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安住委員 基本計画が出てきたら、もっと具体的な
議論をしたいと思いますが、私もいろいろ
計算をしたんだけれども、これは
質問じゃなくて私なりの考えです。
小麦を七十万トンにすると大体それで上がるのが〇・五%、大豆を二十万トンにすると、
大臣、私の
計算だとそれでも〇・二%ぐらいしか上がらないんですよ。米の消費を例えば五%ぐらい上げますと、それでも自給率でいうと一%上がるか上がらないかだと思いますよ。つまり、四一%を四五%にするというのはこれはもう大変な話ですよ、大変な話。だから、私はさっきから言っているように、ある種、挑戦しないといけないと思います、食生活に対する挑戦ですよ。
それから
生産者に対して、前も私言いましたが、自由市場の中で自由に作物をつくる権利をある種規制をするというか、政策誘導するための財政的な支出も必要になってくるということでありますから、どうぞその点をよりわかりやすく、より具体的に示していただきたい。それに応じてまた次の機会に
議論をしたいと思いますが、何かありますか、
長官。いいですか、それで。
大臣、それでよろしいですか。
私の
認識はそういうことでございますから、ぜひ具体的な数字で、もし計画を出すのであれば我々が納得がいくような根拠を示して、なおかつ、針の穴に糸を通すような話で恐縮だが、国際的な流れに反しないような財政的な
措置をどう講ずるのか、こういうものを考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
さて、次に農地の問題をやらせていただきたいと思います。
昭和二十七年七月十五日にできた農地法、第一章の総則第一条「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、」云々と書いてある。私は今回の
議論をするときに、この農地法、多分
農業基本法の理念からいったらば大改正をしないといけない、そういうことになると実は思っております。
そこで、この農地をめぐる歴史というのはなかなか言いにくくてなかなかやりにくい問題ではあるが、私なりに少し
議論をして、私の考えも言わせていただければと思います。
昭和二十七年に農地法ができたわけであります。そして農地の権利移動というものが進むことによって、
我が国は農地解放というのが実現をいたしました。当時の資料をここに取り寄せておりますが、国がその当時買収した農地が百七十四万ヘクタール、買収をかけられた地主
農家が百七十六万世帯、国から売り渡しを受けた
農家の方が四百七十五万戸。つまり、この
時点で名実ともに地主
制度は崩壊をいたします。
しかし、その後の農地の問題で
一つ忘れてならないことがあります。それは、言い方は悪いんだけれども、農地というものが果たして耕す者のためにあったのか、それとも農地そのものが資産であるというふうな、いわば誤解を持った
認識というものが農村社会の中にはびこっていた可能性がなきにしもあらずだと私は思っております。規模拡大を進めなければならないという
我が国の
農業の中で、昭和三十六年に
農業基本法ができました。
私は、実はそのときの資料を国立国会図書館で取り寄せました。
大臣、これは当時の池田勇人
総理大臣が昭和三十六年三月二十五日に、水戸で
農業基本法推進大演説会というのをやっています。これは御党の、自由民主党が発行している旬刊自由民主のコピーなんです。私は当時の資料を読んでいくときに、なるほどと思ったことが何点かあります。それは、この
農業基本法を制定するときに、
国民的
議論が少なくとも巻き起こり、社会党を含めて自民党も当時全国で大変なキャンペーンを張ります。
我が国農業がどうあるべきか。その中で特徴的だった、当時の池田首相、このときは福田赳夫
先生が政調会長を実はやっておられて、二人で行脚をするんです。その中で特徴的なものを旬刊自由民主が載せたので、そのコピーを私今持ってきました。
そのときに池田総理はこう言っているんです。私は、昭和三十六年当時ですよ、十年後には
農家が半分以下にならなければならないと思っております。
農業に不勉強な人間は、池田はまたふざけたことを言っているとお思いでしょう。しかし、十年前に比べて専業
農家というものがどの程度になったか。
農業所得よりも
農業外所得の方が多い
農家が専業
農家の数と同じぐらいになっちゃったんじゃないか。
農業人口を減らすことで規模の拡大をせにゃならぬ。だからこそこの
農業基本法というものをつくるんだ云々ということが書いてあります。これが事実かどうかなんということを私は
大臣に申し上げるつもりはありません。しかし、当時のにおいが実は伝わってきます。
当時のことを言うと、当時農水省の
農政課長だった方があの小倉さんです。小倉さんの本も私読みました。小倉さんは、「
農政・税制・書生」というところでこういうふうに書いてあるんですよ。私は、戦後
農政の農地をめぐる問題の中で一番端的な話かなと思ったのでここで簡単に紹介しますが、小作農の方がかわいそうだというだけでは
政治的にこの農地の問題を解決するというのは難しいだろう。農地の有効利用、
食料生産性の向上という公共の利益があって初めてこの問題は解決し得るのだ。にもかかわらず、その後の農地
制度は私権拡張の歴史であった。農地改革時には、国から買い受けた農地を転売する場合は国が先買いする規定を明記していた。それが数年を待たずに削減され、高度成長に伴い、農地は残念ながらますます資産化し、これが農地をいわば乱す結果になってしまった。現在の
日本の農地は単に狭いだけでなく、地権が複雑に入り組んでいることに特徴がある。これが
我が国農業の規模拡大にどれほどの障害になっていることだろうか。四十年前に書いたこの文章が私には今も新鮮に響きます。
大臣、
我が国の農地の歴史をどのように御自身はお考えになっておられるか、まずそこから伺いましょう。