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鉢呂委員 目標率の明示についてはいろいろ
議論があると思いますから、そこは、我が方はそれを法律に明示をしろという
考え方をとっておりますけれども、問題は、その
目標に到達する政策なり予算を本当に集中するということについて条文化しておくことは私は必要でないかなというふうに思いますから、御検討願いたいと思っております。
新
農業法が国会でも審議されるということもありますから、私も北海道ですから、
農村地帯を絶えず歩いておるんですけれども、先日、二月の十一日も三時間ほど、これは酒も飲まないで十二人ほどの
農家の、まあ若い人といっても三十五から五十二、三歳の十二名の方と懇談をする機会を設けました。そこで出てくる話は、例えば米政策の、先ほど
大臣も言っておりました、
市場価格に連動していくという政策で、この二、三年来極めて
経営が厳しくなって、ずっと厳しいことは
農家の人も盛んに言うわけですけれども、本当にこの二、三年は厳しくて従来と比較にならないような
状況で、昨年も米が、北海道の場合ですけれども、豊作ではあったんですけれども、
価格が
低落をするということで収入減になっておる。子供に後を継がせるというよりも、むしろ自分がいつやめた方がいいかと。北海道は、
大臣も御案内のとおり、稲作
農家を中心に急激に離農者が出ておりますし、また
農地も、むしろ後を引き受ける方がいないというような感じも出てきておるわけであります。
そういう面では、いわゆる専業的な土地利用型の
農業経営というものが、この間の貿易の自由化といいますか、そういうものの波を大きく受けているというふうに思うわけでありまして、先ほども言いましたけれども、米の関税化で当面はしのげるかもわからないけれども、五年後、十年後になれば輸入されるのではないか。
その証拠に、後で
質問する機会があるかどうかわかりませんけれども、SBSというような売買同時入札のお米なんかが、昨年は四、五万トンしか入らなかったものが、十二万トンですよ。六十八万トンの海外のミニマムアクセス米のうちの約二〇%もいわゆる主食用として
市場に出回っている。
質問する機会がありませんから言っておきますけれども、農水省の、食糧庁の
皆さんは、国内の米
生産に
影響を与えないという閣議決定がありますから、したがって、その分に見合う国内産のお米を海外援助に回すとかいう形で、国内に出回らせないようにしておるという言い方をされるんですけれども、その内実は、
平成六年産の最も古い米をそういう形で海外援助に回しておる。本来はもう国内で出回らないようなものが、そういう形で、国内に出荷をしないという形のものとなっておる。したがって、十二万トンは最終的にはやはり国内の
需給に大きな
影響を与えておるというふうに思わざるを得ないのですけれども、そういう
状況を
農家の
皆さんも肌身に感じておるというような受けとめ方を私はしてきました。
あるいは、新
農業基本法にかかわる一連の
国民的な合意を得るということになっておるけれども、これは
農家の人が言っているんですから、私が言っているわけじゃありませんけれども、何か
農家の声といったら全中の声のような形で、どうも農水省、与党、全中という三者
会議で最近決められていく。農協の
理事さんもいたんですけれども、では単位農協でこれらの
課題が
十分論議されたかというと、なかなかその点までいっておらないということで、
農家の声が本当に農水省に届いておるのかなという強い疑問の声も、一人ばかりでなくて、出てきました。
役場の職員、
農政課の担当職員も、あるいは農協の営農指導課の指導員の
皆さんも来ておりましたけれども、ここ数年、補助事業等にかかわる事務が急激にふえてきた、地方分権で独自な
農業政策あるいは営農指導をしろといっても、そこまで手が回っていかないという声も聞いたわけであります。
大臣、北海道の
農村がその代表かもわかりませんけれども、極めて悲痛な声に満ちあふれておりまして、私も本当に、今さらながら、とりわけ北海道のような専業的な
経営が必ずしも安定化の
方向になっておらないということを肌身に感じて受けとめてきたわけであります。
そこで、若干資料も示したいと思いますけれども、昨年の北海道の稲作部門の
農業経営の平均が、これは一番わかりやすくするために、水田
農地十アール
当たり、これは転作田も全部入れてですけれども、
平成十年度、十アール
当たりの粗収入額が九万七千円であります。
昭和六十三年に十二万八千円ありました。
平成六年、今から四年前でも十三万四千円あったのでありますけれども、この四年間、本当に急激に、
平成八年でも十二万六千円、九年で十一万四千円、十年で九万七千円と、
昭和六十三年の十二万八千円に比べて七七%に落ち込んでおるわけであります。
したがって、北海道全体で、水田
農地総面積でいきますと、
昭和六十三年に粗収入額が三千百八十四億あったわけでありますけれども、今は二千五百五十六億円、八〇%に落ち込んでおります。これはいずれも、作況指数は一〇四、一〇八、一〇一、一〇二、一〇二と、不作の年ではありません。
農業粗収入、一戸
当たりのものを見ても、
平成十年は一千三百三十四万円あるのですけれども、変動費と固定費を入れて一千六十万円ということで、差し引きの
農業所得が二百七十四万円であります。家族労働費を時間
当たりで割り出しますと五百九十万円になるわけで、
農業純収益は逆に三百十六万円の赤字ということで、家族労働の報酬は全くなしのような状態。
農業所得で二百七十万ということですから、本当に、若い人がサラリーマンで勤める金額にも、一家三人ほどの就業でもならないという状態でありまして、そういう面では、この間の稲作の
経営安定
対策というのは不十分であったと言わざるを得ないと私は思います。
市場価格に連動していくというのは、私はある面ではやむを得ないと思いますし、そういう
方向で努力をしていきたいと思っていますけれども、しかし、そのことと、新
農政でも言われておったようにタイムラグがある。特に専業的な
経営は、土地利用型の
経営は、
価格支持政策についてソフトランディングをさせるためのきちんとした
方向でやらなければ、専業的な
経営者はほとんど脱落をしてしまうということも新
農政でうたわれておりましたけれども、まさに今そういう状態になっておるのではないか。したがって、稲作の
経営安定
対策については格段の強化をしなければならないのではないかというふうに思いますけれども、
大臣、どのように思われますか。