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1999-04-26 第145回国会 衆議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十六日(月曜日)     午後一時開議   出席委員    委員長 山崎  拓君    理事 赤城 徳彦君 理事 大野 功統君    理事 玉沢徳一郎君 理事 中谷  元君    理事 中山 利生君 理事 畑 英次郎君    理事 前原 誠司君 理事 遠藤 乙彦君    理事 西村 眞悟君       安倍 晋三君    相沢 英之君       浅野 勝人君    石川 要三君       大石 秀政君    河井 克行君       瓦   力君    小島 敏男君       阪上 善秀君    田村 憲久君       丹羽 雄哉君    西川 公也君       萩山 教嚴君    平林 鴻三君       福田 康夫君    細田 博之君       宮腰 光寛君    宮島 大典君       八代 英太君    米田 建三君       渡辺 博道君    伊藤 英成君       上原 康助君    岡田 克也君       桑原  豊君    玄葉光一郎君       土肥 隆一君    横路 孝弘君       赤松 正雄君    佐藤 茂樹君       山中あき子君    若松 謙維君       東  祥三君    井上 喜一君       達増 拓也君    木島日出夫君       児玉 健次君    佐々木陸海君       伊藤  茂君    辻元 清美君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法務大臣    陣内 孝雄君         外務大臣    高村 正彦君         文部大臣         国務大臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君         厚生大臣    宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         運輸大臣         国務大臣         (北海道開発庁         長官)     川崎 二郎君         郵政大臣    野田 聖子君         労働大臣    甘利  明君         建設大臣         国務大臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君         自治大臣         国務大臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君         国務大臣         (内閣官房長官         )         (沖縄開発庁長         官)      野中 広務君         国務大臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国務大臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君         国務大臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君         国務大臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君         国務大臣         (金融再生委員         会委員長)         大蔵大臣臨時代         理       柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障危機管         理室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障・         危機管理室長  伊藤 康成君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省条約局長 東郷 和彦君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君  委員外出席者         衆議院調査局日         米防衛協力のた         めの指針に関す         る特別調査室長 田中 達郎君 委員の異動 四月二十六日             辞任         補欠選任   大島 理森君     丹羽 雄哉君   桜田 義孝君     渡辺 博道君   東中 光雄君     児玉 健次君 同日                 辞任         補欠選任   渡辺 博道君     桜田 義孝君   児玉 健次君     東中 光雄君 本日の会議に付した案件  日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会条約第二〇号)  周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案内閣提出、第百四十二回国会閣法第一〇九号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出、第百四十二回国会閣法第一一〇号)     午後一時開議      ————◇—————
  2. 山崎拓

    山崎委員長 これより会議を開きます。  第百四十二回国会内閣提出日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の各案件を一括して議題といたします。  この際、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案に対し、遠藤乙彦君外九名から、自由民主党公明党改革クラブ及び自由党の三派共同提案による修正案が、また、畑英次郎君外一名から、民主党提案による修正案がそれぞれ提出されております。  両修正案について、提出者から順次趣旨説明を求めます。大野功統君。     —————————————  周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 大野功統

    大野(功)委員 私は、自由民主党公明党改革クラブ及び自由党を代表し、遠藤乙彦君外九名から提案の、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案に対する修正案趣旨を御説明申し上げます。  この修正案は、これまで行われてきた法律案についての審議を踏まえ、我が国の平和と安全を確保するための措置の充実を図るという見地から、政府原案の基本的な考え方と枠組みはこれを維持しつつ、その上で、この法律案に対する一層広範な国民の理解と支持を得ていくとの趣旨で提出するものであります。  修正の第一は、周辺事態定義そのもの変更するものではありませんが、第一条に「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」という文言を加え、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態を例示的に丁寧に説明することによって、その内容をより明確にするものであります。  修正の第二は、同じく第一条に「日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し、」という文言を加えることにより、本法案我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする日米安保条約目的の枠内のものであることをより明確にするものであります。  修正の第三は、船舶検査活動に係る諸規定について、これをすべて削除することであります。  なお、この点につきましては、今後、別途の法律によって措置することとしたいと思います。  修正の第四は、基本計画に定められた自衛隊部隊等実施する後方地域支援後方地域捜索救助活動について、内閣総理大臣は、原則として、これらの対応措置実施前に、緊急の必要がある場合には事後に、これらの対応措置実施することにつき国会承認を得なければならないこととするとともに、事後国会承認を求めた場合に不承認議決があったときは、速やかにこれらの対応措置を終了させなければならないこととするものであります。  修正の第五は、基本計画決定または変更があったときは、その内容内閣総理大臣国会に報告しなければならないとしていることに加え、基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果を内閣総理大臣国会に報告しなければならないとするものであります。  修正の第六は、後方地域捜索救助活動に際しての武器使用規定に加え、後方地域支援としての自衛隊役務提供実施を命ぜられた自衛隊部隊等自衛官は、その職務を行うに際し、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体防護のためやむを得ない必要があると認める相当理由がある場合には、その事態に応じて合理的に必要と判断される限度武器使用することができることとするものであります。  以上が、修正案内容概要であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  4. 山崎拓

    山崎委員長 畑英次郎君。     —————————————  周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  5. 畑英次郎

    ○畑委員 ただいま議題となりました民主党提案に係る修正案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。  民主党は、日米安全保障条約支持し、日米防衛協力を進めることが日本安全保障のために不可欠であり、ガイドライン関連法案の整備は基本的に必要であるとの認識に立っております。しかし、新ガイドラインは米国の軍事活動日本が従来以上に関与する側面は否定できません。したがって、我が国主体性確保国民生活に対する配慮を担保するために、以下の修正提案いたします。  案文はお手元に配付しておりますので、朗読は省略させていただきます。  第一は、目的及び周辺事態への対応措置基本原則に関する事項であります。  まず、第一条の目的規定についてでありますが、原案では、「周辺事態」を「我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」としておりますが、本修正案におきましては、これを、「我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態で、これを放置すれば我が国に対する武力攻撃のおそれが生ずると認めるもの」に改めることといたしております。また、本修正案におきましては、同条に、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与することを加えることといたしております。  次に、第二条の周辺事態への対応基本原則規定についてでありますが、本修正案におきましては、第一項に合衆国軍隊への協力についての文言を挿入することとし、政府は、日米安保条約目的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国軍隊協力し、対応措置実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとすることといたしております。  第二は、基本計画に関する事項であります。  まず、基本計画国会承認に関する部分についてでありますが、内閣総理大臣は、基本計画決定があったときは、当該基本計画について、当該基本計画に定める対応措置実施前に国会承認を得なければならないこととしております。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会承認を得ないで当該対応措置実施することができることとし、国会承認を得ないで対応措置実施した場合には、内閣総理大臣は、直ちに、当該基本計画につき国会承認を求めなければならないこととしております。政府は、国会承認を得ないで対応措置実施した場合において国会不承認議決があったときまたは対応措置実施する必要がなくなったときは、直ちに、当該対応措置を終了させなければならないこととしております。  次に、一定期間ごと対応措置継続についての国会承認についてでありますが、内閣総理大臣は、基本計画について国会承認を得た日から六十日を経過する日を超えて引き続き当該承認に係る対応措置実施しようとするときは、原則として当該日までに、当該措置を引き続き実施することにつき国会に付議してその承認を求めなければならないこととし、この場合において不承認議決があったときは、政府は、速やかに、当該対応措置を終了させなければならないこととしております。また、対応措置継続についての国会承認を得て対応措置継続した場合、さらに六十日を超えて当該対応措置を引き続き実施しようとする場合についても同様の措置をとることとしております。  第三は、武器使用に関する事項であります。  原案の第十一条では、後方地域捜索救助活動または船舶検査活動実施を命ぜられた自衛隊部隊等自衛官については、武器使用することができることとされておりますが、後方地域支援について武器使用規定は存在しておりません。そこで、本修正案におきましては、後方地域支援としての自衛隊役務提供実施を命ぜられた自衛隊部隊等自衛官は、その職務を行うに際し、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体防護のためやむを得ない必要があると認める相当理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度武器使用することができることとしております。  なお、周辺事態における船舶検査活動については、原案どおり国際連合安全保障理事会の決議に基づき実施することといたしております。  以上が、この修正案概要であります。委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  終わります。(拍手)
  6. 山崎拓

    山崎委員長 以上で両修正案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 山崎拓

    山崎委員長 これより各案件及び両修正案を一括して締めくくり総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山利生君。
  8. 中山利生

    中山(利)委員 自由民主党を代表いたしまして、総括質問トップバッターを務めさせていただきます。  大変長い間お待たせをしたわけですが、ようやく討論、採決という事態になりました。閣僚諸公にも長時間にわたって御苦労をいただいたことに敬意を表する次第でございます。  この法案は、九六年の四月に行われました橋本・クリントン共同宣言日米安保に関する共同宣言から既に三年、九七年の九月に新ガイドライン最終報告ができましてからもう二年、この間、安保委員会のみならず、予算委員会あるいは外務委員会等相当審議議論がなされてまいりました。  本特別委員会におきましても、八十時間を超える記録的な審議が行われたわけでありますが、ようやくこの採決事態になりましたことを関係者皆さん敬意を表する次第でございます。  最終的にはまだまだ不満のある、しかも我が国安全保障国防ということについてこれで万全というような法案ではないわけでありますが、その法体系のこれからの構築に向けて第一歩を踏み出した、そういう法案ではないかというふうに私どもは思っております。  そのほか、この委員会論議、特に修正論議をめぐりまして、委員長を初め各党の理事さん方の、この委員会と並行してあるいは委員会の時間の外で、本当に誠心誠意この問題に取り組んでいただいて、我が国安全保障国防についてこれだけ強い関心と熱意を持った先生方がいらっしゃった、そして、その長い論議を通じてお互いに強い信頼関係を構築することができた。私も大変感銘を深くしたところでありますし、国会議員となって幸せを感じた次第でございます。心から関係者皆さん敬意と感謝をまず申し上げたいと思います。  今修正論議が出ましたので、提案者の方々に御質問を申し上げたいと思います。  まず、第一条でありますが、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」というのが原案につけ加えられたわけでありますが、この文言自衛隊法第七十六条の防衛出動とほとんど同じのように読めるわけでありますが、どこが違うのか。それから、政府見解の六類型というのが発表をされているわけでありますが、この六類型にこの文言一つ類型として加わるのかどうか、そして、この六類型と今回の修正がどう性格が違うのか、いかなる意味か、これをお伺いしたい。  それに、この法案が可決されまして、防衛出動をしようとするときに、この条項と同じような条項がありまして、防衛出動でなくて周辺事態法でいいんではないかとか、逆に周辺事態での出動をしようとするときに防衛出動にした方がいいんではないかというような混乱した議論が出てくるのではないかというふうな心配もされるわけでありますが、これについてお伺いをしたいと思います。この二つの条項が違うということであればどこが違うのか、お伺いをしたいと思います。
  9. 大野功統

    大野(功)委員 防衛庁経験者であられます中山先生でございますから、御質問内容は、お答えの方も十分御存じの上で御下問をちょうだいしている、このように存じますけれども先生のただいまの御発言の中で、質問に答えさせていただく前に、このガイドライン法案というのは、我が国安全保障が目指す理想像に向かって第一歩を踏み出したものである、大変我々にとって励みになるお言葉をちょうだいいたしました。  ただ一点、中山先生のお言葉、訂正させていただきますと、特別委員会における審議時間は八十時間を超えたとおっしゃいましたけれども、実は九十三時間二十分になっておりまして、歴代の特別委員会審議時間の中でもベストテン入りをしている、随分と審議させていただいております。  さて、御質問でございますけれども、まず第一条に修正を加えました。「そのまま放置すれば」云々ということでございます。自衛隊法七十六条とどこが違うのか、こういう御質問でございますけれども、全く違います。なぜ違うか。そこは、今回の修正は、言ってみますと、第一に、原文の中で我が国の平和と安全に与える影響重要性に着目する、こういうことが書かれておるのでありますけれども、その我が国の平和と安全に与える影響の一態様をとらえているわけでございます。したがいまして、この辺は周辺事態についていわば例示的に丁寧に解説をしている、こういうことでございます。  たびたび特別委員会審議の中で防衛庁長官からも、周辺事態類型について、たしか六類型お示しいただいていると思いますけれども、六類型はどちらかというと、こういう原因があって我が国の平和と安全に影響する、こういう御説明でございました。こちらの方は、いわばその原因に基づいて現象面、その現象面法案では平和と安全に重要な影響を及ぼす、こういうふうに書いてございますけれども、この影響面一つの形が、この「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」、こういうことになろうかと思います。  一方、ガイドライン法案の方は、百条の十を加えまして、いわば本体業務、七十六条本体業務でございますが、本体業務に差し支えのない範囲で遂行しなさい、こう書いてありますから、いわば七十六条の武力攻撃のおそれがここにあれば、それよりちょっと離れて、離れたところに今回武力攻撃に至るおそれがある事態があるというふうに読めるわけでございます。したがいまして、全く違う、実質的には何の変更もない、説明を加えているだけである、こういうふうなことでございます。  それから、防衛出動をしようとするときに混乱が起こるのではないか、こういう御指摘がございましたけれども、今申し上げましたとおり、認識が違う、全く七十六条とガイドライン法とは認識が違います。したがいまして、そういう混乱は全く起こらない、このように思う次第でございます。  以上でございます。
  10. 中山利生

    中山(利)委員 私もこの修正案論議には加わった方なんですが、なかなか一般国民皆さんが素直に読んだときにわかりにくいところが、この法案自体近隣諸国との外交関係その他がありましてはっきりできないところがあることは承知しておりますが、この修正に当たって、今御説明をいただいたようなことをしっかりと国民皆さんに広報をして、わかっていただくような努力をしていただきたいと思います。  もう一つ国会承認でございますが、国会承認を今回のように修正した理由をお聞かせいただきたい。
  11. 大野功統

    大野(功)委員 私どもは、政府原案どおり国会承認は基本的には不要である、このように思っております。  なぜならば、これはこのガイドライン法案によりまして武力行使にならない、それから国民権利義務に抵触するようなことは全くない、このような観点から、基本的にこのガイドライン法案の中で決められた法律行為でありますから、何らシビリアンコントロールを改めて国会承認で明記する必要はないと思っております。  しかしながら、特別委員会議論を通じまして、このガイドライン法案で新たに付与される二分野、三分野でございましたが一分野削除されますと二分野後方地域支援後方地域捜索救助活動につきましては、この法案で新しくやるものであります。したがいまして、新しくやるものについては、新分野としてシビリアンコントロールがあっていいのではないか。  その点を論議する際に、私、個人的でございますけれども、思い出すのは、湾岸戦争のときの機雷掃海をおやりになった艦長さんが、我々にとって一番励みになる、仕事をする上で一生懸命頑張ろうという気持ちになるのは国民支持があることだ、こういう言葉がありました。  したがって、国会できちっとそれを認めてあげるということも一つ大きな意味があるのではないか、こういう意味で今回訂正させていただきました。
  12. 中山利生

    中山(利)委員 シビリアンコントロール、憲法の精神からいきますと、武装集団であります軍隊を例えば域外に派遣をするというようなときは国会承認が必要であるという原則は私もよくわかるわけでありますが、実際の危機、危急のときに、余裕があれば問題ないんですけれども、一刻を争う、一秒を争うというような事態のときに一体これが効果をあらわすんだろうかどうか。アメリカのような、戦争権限法ですか、大統領にすべての権限を一任するかどうかを議会が議論して大統領に委任するというような制度も考えられていいのではないかな。  ということで、この運用につきましては、これからも十分に注意深くとり行っていただきたいと思います。  今回の論議を通じまして、私の戦争体験といいますか、私は十九歳のときに、徴兵検査が一年早まりまして、例年だと二十で検査があるわけですが、一年早まって十九歳で検査をして、その年のうちに軍隊徴兵をされました。非常に厳しい、自由も束縛される、いろいろなことを教わるのもみんなげんこつと一緒にたたき込まれるというような生活を続けたわけでありますけれどもげんこつだけではなかなか物事は覚えられない。それから、何事にも驚かない、あるいは、人間としてどんな最低限度生活も何とか耐えられるような自信がつきました。  これは大きなプラスだったと思うんですが、終戦になりまして、今まで灯火管制で真っ暗だった世界が、ぽつりぽつり電灯がついて非常に明るくなった、気分的にも自由になった、平和と自由のありがたさというものを本当に心から喜んだわけでありまして、私のこの気持ちが、後日政治家といいますか、国会に出馬をするという一つの原点になったような気がいたします。  そして、その体験から、平和と自由を守る、国民の安全を守るということは、外交も経済も防衛ももちろんそうでありますけれども国民を挙げて努力を積み重ねていかなければ本当の平和も自由も獲得できないんだ、そういう気持ちを強くしているわけでありますし、それは、こういう防衛というような形で、国民の国を守る強固な意志と、そして装備や訓練を通じた準備というものの二つをやはり内外に示していく必要があるんだというふうにかたく信じていたわけであります。  今回のこの法案審議で、いろいろな方からお電話をいただいたり手紙をいただいたりいたしました。女性が多いんですけれども、あの戦争のときの悲惨な体験、これはもう二度とこうむりたくない、そういう悲痛なお気持ち、遺族やなんかの気持ちを考えますと、そういう一つの、私どもの決意とまた違った体験もあったんだなということを強く感じたわけでありますが、私は、戦後の復興、それから経済の発展、今日の日本に至るこの成果というものは、戦争の体験の中から血みどろになって国民全体が築いてきた成果ではないかなというふうに思っているわけであります。  今回の法案は、アメリカ軍、これは世界の平和を目指して、力で平和を獲得するというようなちょっと嫌いはありますけれども、本当にアメリカが犠牲と努力、多額のお金を費やしてこの体制の維持を目指しているわけであります。  九三年のボトムアップ、世界じゅうに展開をしておりましたアメリカ軍の兵力を大削減したわけでありますが、その中でも、極東については、極東の複雑な国家間の関係、そういうものを考えて、依然として以前のような十万人体制というものを維持している。その努力というものは大変なものでありますけれども我が国も、そのアメリカの世界平和を目指す努力の一部として我が国周辺の平和と安全を担っていく、そういう役割を日米安全保障条約で確立したわけであります。  これにつきましては、何か周辺諸国からいろいろ非難があるとかなんとかいう報道もありますが、私は、アメリカの大きな力と、そしてアジア太平洋地域の一国である日本が力を合わせて、安全保障のため、平和のために努力をするということは、専門家の間ではそれなりの評価を受けているのではないかなというふうに感じているわけであります。  その中で、そういう体制を円滑に、効果的に遂行していこうというその約束の中で、いろいろな法制や何かで縛られて、そして国家的な働きが十分に、円滑にできない、協力ができないという一つの大きな悩みがあったわけでありますが、今回はその第一歩としてこの法案が成立できますことを、もう少しでありますけれども、心から期待を申し上げている次第でございます。  どうも、ちょっと時間がないので一方的なお話になってしまいますが、長い間の繁栄のおかげで、昔、国民を挙げて努力をしてまいりましたこの防衛と安全というものが最近どうも忘れられている、等閑に付せられている、そういう感じがするわけであります。  この間、ちょうど象徴的な問題として、北朝鮮の不審船、工作船の事件が起きました。時間がありませんので簡単でいいですから、発見から逃走までの経緯と、その間に我が国の海自、海保ができたこと、できなかったこと、できなかったことは何によってできなかったのか。それから、もちろん自分の判断でしなかったこともあるわけでありますが、そういうことも含めてちょっと説明をしていただきたいと思います。
  13. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 防衛庁としては、海上警備行動発令下において停船命令に従わない船舶を停止させる手段として、例えば、自艦を相手船舶の進路前方に航行させることにより相手の行動を妨害する行為、これは進路妨害でございます。それから、自艦の船体を相手船舶に接触させることにより相手の行動を妨害する行為、接舷であります。それから、障害物や投てき具を使用して停船させる場合、あるいは警告射撃や警告のための爆弾の投下、あるいは相手船舶に対して人に危害を与えることのない射撃を行い航行不能にする航行不能化射撃等が一般的に考えられます。  先般の不審船対処の際には、接舷や航行不能化射撃は、相手が大変な小型船舶のために、もし護衛艦が持っておる武器で攻撃しますと、人に危害を与える可能性がある、また、接舷については、余りにも船体の大きさが違うものですから、これを強行することは物理的に困難であった、そういうことから考えて、強制的な措置はとらなかった次第でございます。  自衛隊法八十二条で海上警備をやるときは警職法の七条が準用されますので、その法律の意図するところは、正当防衛や緊急避難や殺人、無期懲役その他三年以上の懲役の大変重罪を持っておる人の場合には武器使用してやるわけであります。そういう場合には積極的な対応はできるわけですけれども、それを超えてやるということはなかなか難しいということでありますので、今回は遺憾ながら取り逃がしたということであります。私どもは、現行法の枠内で、どういう方法ができるかということを今衆知を絞っているところでございまして、こういう事態に直面した場合には、二度と同じようなことは繰り返しちゃいかぬということで、今緊張感を持って検討している、こういう次第でございます。
  14. 中山利生

    中山(利)委員 今こういう御質問をいたしましたけれども、私はこれを非難しているわけではありません。先般の玉沢理事のように、同じように高く評価しているわけでありますし、一昨日ですか、韓国の国防関係者の方から、よく日本は抑制のきいた行動をしてくれた、高いお褒めの言葉をいただいたばかりであります。  ただ、私が申し上げたいのは、せっかくそういう立派な行動をしたのに、法制上の欠陥が幸いして結果的に評価をされたということではなくて、こればかりじゃありません、すべての防衛、安保関係の法制というものをこの際きちっとバランスのとれたものにしていく必要があるんではないかな、これはもう先ほどから申し上げているように、全政党の責任、立法府である国会の責任だと思います。  もう時間がありませんので、総理から一言、先ほど自分の体験を申し上げましたが、総理と私はうし年生まれで、ちょうど一回り違い、私が上、先輩でありますので、この平和問題、戦争の問題について考え方の多少の違いはあるんではないかなと思いますが、一言、平和に対するお気持ちをお聞かせいただければ幸いでございます。
  15. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 常々、中山委員におかれて、日本安全保障に対して強い御意思を持って、それを確保するために御努力いただいておりますことに改めて敬意を申し上げたいと思います。  今日、ガイドライン関連法案をめぐりまして長時間にわたる御審議をちょうだいし、その御判断をいただく場面に立ち至っております。この間の御審議並びに修正論議に対しまして真剣な取り組みをいただいたことに対しましても改めて感謝を申し上げたいと思います。  言うまでもありませんが、政治の目的とするところは、日本国民生命と財産をいかに守り抜くかということでありまして、そのためには、有備無憂といいますか、備えあれば憂いなしということをもって対処するわけであります。  今日におきましては、戦後の冷戦構造が崩壊をいたしまして以降、本来なれば国際的な大きな大戦を想定されるような危機は立ち去ったと考えてよろしいわけでありますけれども、にもかかわらず、世界の国々の中ではいまだ混乱が続いておるということでありますし、また、日本周辺におきましても常に十分な備えをしていかなければならない、これは国民に対する責務であろうと思っております。  そういう意味で、今般特に、戦後日本の安全に対して日米相協力してこれを守り抜いてきたということでありまして、その実効性をさらに高めるために日米安保条約におきまして今回さらなる確実な状況を国民にもお示しし、安心をいただくためのガイドライン法案提案でございます。  こうした状況の中で、日本国の憲法のもとで節度ある防衛力を整備し、我が国の安全と繁栄は国際社会の平和と繁栄の中でのみ実現可能であるという観点から、諸外国との二国間の関係の維持発展、また、ARF等の地域協力、国連等のグローバルな枠組みに対する協力を重層的に進めてまいることによりまして日本の安全を確保し、また、この北東アジアの平和と安定に寄与していくことが必要ではないか、そのために政府を挙げて全力で対処いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  16. 中山利生

    中山(利)委員 ありがとうございました。  私は、防衛、安保の要点は何かと聞かれたときに、それは近隣諸国と仲よくすることだよ、こう答えます。平和外交というのは、いろいろな兵器や何かの装備をするよりも最も安全保障にとって大事なことだという原点に立って、これからも今のお話のように平和外交に努めていただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  17. 山崎拓

    山崎委員長 これにて中山君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田克也君。
  18. 岡田克也

    ○岡田委員 民主党の岡田克也です。  総理にお聞きしたいと思います。  今回のこの審議、大変重要な法案でありますから、長時間の審議ということでやってまいりました。先ほど、九十三時間を超える審議時間を確保したというお話がございました。それはそのとおりだろうと思います。  しかし、実質的な審議は三時間だということもまた申し上げなければなりません。つまり、実際には、政府の案、与党の案というものが出てきて、そしてそれを審議するのが国会の場であります。しかし、今回の場合は、いろいろな経緯はあるにしろ、与党の間の議論が煮詰まらずに、そしてそれがようやく煮詰まったのは一昨日、そして国会においてその与党の案をもとにして議論ができるのはきょう一日、三時間だけだ、こういうことになっているわけでございます。  したがって、九十三時間という時間を誇ってみたところで実質審議は三時間だ、そういう考え方もできるわけでありまして、なぜこれだけ与党の間の協議というものが時間がかかったのか。総理は自民党総裁でもありますから、当然そのことについて責任がある立場でございます。これだけおくれてしまったということ、そして国会での審議が本当に限定されて形骸化されたということについて、総理としての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 九十三時間か三時間かというお話でございますが、私はこの委員会の総括質疑にも出席をいたしておりまして、以降、それぞれ外務大臣あるいは防衛庁長官ほか出席をいたしましての御審議が、申し上げたように百時間になんなんとする御審議をいただいておったということについては、これはこの問題の重要性にかんがみまして、私は国会として大変精力的にお取り組みいただいたことだと思っております。  そこで、私は、そうしたことを集約した形で最終的法案国会での採決を得るに至ります間、長い間の御審議を総括的に検討し、そして問題点の所在を明らかにし、そして与党同士の話し合いを進められて、そして今日こういうことに相なっておると考えておりますので、このガイドライン法案をめぐりましての特別委員会の御審議以降熱心な御審議をいただいた結果、そして与党たる自民党と自由党との真剣な話し合いの中で修正案を取りまとめてこられたということにつきましては、政府としては、原案を提出したものではありますけれども国会がしかるべく対応した結果であると考えて、私は今日の三時間のみをもって審議のすべてではないというふうに考えておりまして、当初以来のこの国会における御審議に深い敬意と、そしてまた、それを深く受けとめながら、これが成立をするということに相なりますれば、当然のことながら、国会の御意思を承りまして誠実にこれを実行していくというのが政府の立場だ、このように認識をいたしております。
  20. 岡田克也

    ○岡田委員 法案全体については、もちろんこの九十三時間の議論というのは意味があったと思いますけれども、例えば、これから順次質問してまいりますが、船舶検査活動を削除したこと、これは突然出てきた話であります。それから、周辺事態の定義を変えるということ、国会承認についても修正がなされております。そういうものについての国会での審議はきょう一日しかないということも事実でございます。  今総理は、政府としてはという言い方をされました。確かに総理としてはそういう言い方になると思いますが、総理は同時に自民党総裁でもあります。つまり、二つの与党のうちの一つのトップでありますし、しかも圧倒的に大きな存在でありましたから、自民党総裁として小渕総理がリーダーシップを発揮され、そしてもう少し早いタイミングで与党の中の調整をすべきではなかったのか。本来であれば、閣議を経ますから、与党の中で一つの閣議を経て出された法案について意見が違うということはあり得ない話であります。それが今回はタイミングの問題でたまたまそういうことになったわけでありますけれども、それは正常な話ではございません。  したがって、そのことについて、自民党総裁としてもっと努力をされて早く与党の意見をまとめられ、そして国会でもっと実のある議論ができるようにすべきではなかったか、こう思いますが、総理はなぜそういったことについてリーダーシップを発揮されなかったのか、お聞きしたいと思います。
  21. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 議院内閣制におきまして政府を担当させていただいている立場でございますが、ここでのお尋ねは、総理としてどう考えるかということについて御答弁を申し上げる立場でございますが、確かに、自由民主党の総裁として、今日この問題について与党としての責任を負っているということではございますが、しかるべき政策担当者も含め、この問題については、申し上げましたように、こうした国会での長時間にわたっての熱心な御審議というものを背景にしながら、やはり与党同士の話し合いを進めていくことは必要なことでございます。  その結果、自由党、自民党両党が最終的に、この御質疑の中でも、自民党と自由党と必ずしも意見がすべて当初から一致をして——共同して、根本的には法案として提出をされておりますけれども、個々それぞれの議員の方々の貴重な御意見というものにおいては相当のそれぞれお考えの差異もございまして、そうした審議を通じながら両党間において修正をまとめ上げていかなければならないということでありまして、そのことをもっと総裁としてスピードアップさせるようにリーダーシップを発揮されと、こう申されますけれども、これはやはり政党としてそれぞれ両党が、両党としてまた熱心な党内手続も経なければなりませんので、そうした審議が行われた結果、最終的に、自民党と自由党との修正の諸点についておまとめをいただきまして、各党にお諮りをしてきたという経緯でございますので、政府側におる者といたしまして、あえてこのことについて制肘をしたりあるいは一つの方向性を定めることよりも、それぞれの自主性にお任せをいたしたというのが今日までの経緯だ、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  22. 岡田克也

    ○岡田委員 与党同士で議論をするその自主性を重んじたということでありますが、その結果として、何回も言いますが、この国会での審議が非常に形骸化してしまった。これは、私は、議会政治に対する大きな汚点を残したということになる、そのことを先ほどから聞いているわけでありますが、答えがございませんので次に行きたいと思います。ただ、このことは本当に残念なことだと私は思っております。  公明党提案者に一言お聞きしたいと思います。  この法案審議につきましては、与党の間でいろいろ議論が進んできたわけでありますが、同時に、並行して与野党の協議、その場合、与党が意見が一致しておりませんでしたので、政府案を提出した自民党と、そしてこの法案について頭から反対ということで明確にしておられる共産党、社民党を除いた、つまり自民党と公明党民主党との協議というものを続けてまいりました。そこには山崎委員長もお入りいただいて審議をしてきたわけでありますが、その中で、昨日のことでありますけれども、一方で公明党とそれから自民党、自由党の間で幹事長間の合意をされて、一方で委員長も入られた審議といいますか検討、協議が進む中で、それと全く違うものが出てきた、これは私どもはどういうことなんだろうかというふうに非常に戸惑ってしまうわけであります。  与野党のいろいろな話し合いというものを私は否定するわけではありませんが、委員長まで入られて、そして議論している、そういう、委員会ではないけれども、それに準ずる場での理事を中心とした議論というものに対して、いわば幹事長や国対委員長が中心になって議論をするというのは、これはあしき国対政治の復活じゃないか、こういう議論もございます。  それから、我々から見れば、きちんと公明党さんも入れて議論をしていたにもかかわらず、こういうことになったことについて、戸惑いを覚えるわけでありますが、公明党提案者として、そのことについて、公明党のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  23. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 岡田委員の御質問にお答えをいたします。  私自身は修正協議の担当者ではございませんでしたけれども、我が党は、基本的に、どの場で内容議論されたにしろ、基本的な価値判断としては、国民のためにどういう修正内容がいいのか、そのことを、例えば政党間協議であれ、また委員会理事間の協議の中であれ、貫き通してきたつもりでございまして、どちらで最終的に結論が出たにしろ、今回私どもは、この法案内容に対しての修正内容が、すべてではないけれども大きく反映された、そういう判断から、この修正内容でいいのではなかったのか、そのように判断をいたしまして修正案に賛成をした次第でございます。
  24. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、野党が議会を中心に議論をしていくという姿勢を捨てれば、それはやはり野党としての大変な間違いじゃないか、そういうふうに個人的には思っております。そこはそれぞれの党のお考えがあることですから、これ以上申し上げません。  そこで、委員長にお聞きしたいと思います。  委員長にも随分御苦労いただきました。そのことは私どもも感謝申し上げたいと思います。  しかし、私は、委員長もやや意外だったんじゃないかと思うのですけれども、こういう形で三党間の合意ができたということについて、委員長、何か御感想があれば一言お伺いしておきたいと思います。
  25. 山崎拓

    山崎委員長 お答えいたします。  私が自公民三党の修正協議に入りましたのは、昨日だけでございます。  昨日は、本日の最終締めくくり総括審議を控えまして、もう時間的限界があると考えまして、あえて修正協議に委員長でありながら参加をさせていただきました次第でございます。自民、自由両党からの修正提案が金曜日に行われておりまして、それを受けまして、各党において持ち帰って協議をしているという状況でございました。  公明党におかれまして、特に第一条と船舶検査にかかわる条項につきまして、修正案に問題なしとしないというお立場でありまして、自自公三党間で別途本件についての修正協議が進められておりますことは、理事者間の協議の場でも御紹介申し上げ、お互いにそのことも踏まえまして、同時並行的に論議を進めてまいりましたわけでございます。  その時間の経過の関係で、民主党が御結論をなさる前にその両点に関する決着がつきまして、船舶検査にかかわる条項についてはこれを削除するということで、三党は合意されましたわけでございます。  そういう一連の経過で今日に至ったわけでございまして、同時決着でございませんでしたことは、できるだけ幅広い合意を得たいとする私の立場といたしましては遺憾な点もございましたが、万やむを得ないことであったと御了解を願いたいと存じます。
  26. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、次に参ります。  船舶検査であります。  今回の三党の案では、船舶検査が削除されたということでございます。この法案における船舶検査というのは、非常に位置づけは大きいものがあると私は思います。第四条の第一項、「基本計画」に定めるその措置ということで四つ書いてございますが、その四つというのは、「後方地域支援」と「後方地域捜索救助活動」、「船舶検査活動」、そしてそれ以外の「関係行政機関が後方地域支援として実施する措置であって特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるもの」、この四つのうちの一つがこの法案から削除されてしまった。抜け落ちてしまったということは、この法案そのものはできたけれども、しかし、そのうちの四分の一はできなかった、こういうことでありますから、非常に大きい修正、削除である、私はこういうふうに思うわけでございます。  総理にお聞きしたいと思いますが、最終的にこの三党案が出てきて、そして、政府としてもこの船舶検査について削除するということについて同意を、総理は自民党総裁としても総理としても削除について同意をされた、こういうことでありますが、削除されるに当たって、いろいろ迷いとか逡巡とか、そういうものはなかったのでしょうか。削除に同意をされたその理由といいますか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  27. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 本委員会におきましても、私、お尋ねに対しまして、原案をもって政府としての考え方をすべて取りまとめたものでありましたので、これが願わくば無修正で通過することをこいねがっておりましたが、政党政治といいますか、特に国会の御審議を通じまして、今日修正案提案をされてまいりました。  その中身とするところにおきまして、今、船舶検査行動に対しましてこれが削除されるということになることの御提案でございまして、そういった意味で、この原案から考えれば、重要なこの点について、法律としてこれが当初首肯できないということになるわけでございますが、ただ、三党間でぎりぎり協議をされました結果、今国会にも別途新たな法案成立を図るとの前提で削除されたものと理解をいたしておりますので、今後三会派の間で協議を進め、新たな法案が今国会会期中にも提出される運びとなるものと理解をいたしておるところでございます。
  28. 岡田克也

    ○岡田委員 自由党提案者にお聞きします。  この船舶検査活動を削除した、つまり三党間で合意ができなかった理由一つとして、国連安保理の決議の位置づけの問題があったというふうに理解をしております。私は、自由党の御主張を必ずしもよく理解できないわけでありますが、この国連安保理決議をこの法律に書く、つまり国連安保理決議がある場合に船舶検査をする、もちろんそれ以外に旗国の同意がある場合には船舶検査活動をするということは私はいいと思いますけれども、国連決議がある場合に船舶検査活動をするということを法案に書くことについて、それに対してもし自由党がノー、こう言われたとすれば、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  29. 東祥三

    ○東(祥)委員 岡田克也議員の質問にお答えさせていただきます。  この周辺事態確保法案の中核的なその考え方、これを我が自由党といたしましては、当然、その日米安保体制の強化、また日米安保体制の実効性を担保する上での法案である、このように位置づけております。そういう視点から考えますと、この中身を見ていくうちに、船舶検査活動のところだけ国際連合の、とりわけ安保理の決議というものが出てきている、したがって、本来、日米の防衛協力の視点から考えたときに、あくまでも安保理がここに出てくるのはそもそもおかしいと。もちろん船舶検査活動を旗国主義に基づいて無差別的に行えるためには、また、国連憲章四十一条に基づく経済制裁を実効性あらしめるためのこの四十一条が出ない限り基本的に実効性ある船舶検査活動はできないということも承知した上で、あくまでも日米安保体制を強化していく、日米安保体制の実効性を担保していく、その方針に従うとするならば、ここに安全保障理事会の決議がぽんと出てくる、それはそもそも論理的にそぐわないのではないのかということで、一貫して安保理決議、これを除く必要がある、このように申し上げてまいりました。また、安保理決議を除いたとしても、安保理決議が出ることによって船舶検査活動が行われることにはならない、そういう理解の仕方で削除を求めておりました。
  30. 岡田克也

    ○岡田委員 今の御説明を聞きますと、実質的には余り開きはない、ただ、国連安保理決議という用語そのものをこの法案に書くことに対してノーだ、こういうふうに受け取れるわけですが、例えば日米防衛協力のための指針の中にも、ここの部分について、「経済制裁の実効性を確保するための活動」という中に、国連安保理決議に基づく船舶の検査に際しての協力が含まれる、こう書いてありますね。  そうすると、法案に国連安保理決議というものを書くべきでないという御主張であれば、この日米防衛協力のための指針そのものを変更しろ、こういう御主張ですか。
  31. 東祥三

    ○東(祥)委員 あくまでも日米安保体制の強化。別の角度からいいますと、一九五四年に自衛隊法自衛隊というのができる、一九六〇年に日米安保条約ができる。日米安保条約でちゃんと書かれているとおり、日本として主体的に行うものとしては米軍への基地提供しかない。今回初めて大幅な便宜供与拡大という形でもって種々の活動が明記されてきた。  その中で、その延長線上で考えていった場合、あくまでも安保理決議というものを前面に出してくるとするならば、これはあくまでもグローバルな国際連合の中で、安保理決議に基づく国際社会の平和と秩序に対してどのように日本がかかわっていくのか、そういう文脈でとらえるべきものであり、あくまでも防衛協力というその中身の中にぽこっと国連決議が出てきている、そもそもそこに大きな論理的な問題点を私たちは指摘しておりました。そういう流れの中でとらえている考え方であります。
  32. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、結局、余り実質的には変わってないと思うんですけれども自由党さんのかねてからの御主張である国連の集団的安全保障といいますか、そういう考え方、基本的考え方に基づく御主張ではないか、そういうふうに思うわけであります。  そうだといたしますと、自由党の御主張、私の理解するところでは、国連の決議があれば、最初は武力行使そのものもと言っておられたと思いますが、あるいはそこまでいかなくても、それに近いものまで踏み込んで日本協力すべきである、こういうお考えだと思います。  しかし、憲法解釈については政府は変えない、こうおっしゃって、そして自由党のお考えそのものについても、先般、官房長官がこの場で、予算委員会だったかもしれませんが、読み上げられたその政府の考え方を読みましても、そういう自由党のお考えはとっておられないというふうに私どもは理解をしております。  そうだとすると、ここの船舶検査のところについては、いわばドグマとドグマのぶつかり合いみたいな、基本的考え方と基本的考え方の違い、中身というよりは考え方の違いで合意できなかったということでありますから、この国会中に総理は新しい法案ができるだろう、こうおっしゃいましたが、とてもできるように思えないわけでございます。  総理、本当にそういうことで自信おありですか、この国会法案ができる。
  33. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 今般、修正に至る間、三会派で十分御議論をいただいて、こうした船舶検査行動につきましてはこれを除外したということでございますので、この船舶検査そのものの必要性については、私はこれは認識をされておられるのだと思っておりますので、そうした観点からも、これから三党会派で十分御審議をいただきながら、新たなる立法について、これがそうした運びになることを、政府といたしましては、原案を提出いたした中にそのことが盛られておるわけでございますので、そのことを強く期待をいたしてまいりたいと思っております。
  34. 岡田克也

    ○岡田委員 期待というお言葉を使われましたが、この日米ガイドラインを実効性あらしめるための法律を早急に整備しなければいけないというのは、これは我々もそう思っておりますし、政府も同じ考え方だろうと思います。そして、そのうちの重要な部分の三分の一が抜け落ちてしまったということでありますから、もし、今総理がおっしゃったようにこの国会でそこの部分について合意がされ、新たな法案が出てこないということになりますと、これはとんでもないことだということになるわけでありまして、そのことを申し上げておきたいと思います。もしそういうものが出てこないということになりますと、私は、総理としてのリーダーシップが問われる、こういう事態になるということでございます。  それでは、次に参ります。周辺事態の定義の問題であります。  周辺事態の定義を議論していく中で、これも与党間でいろいろ話し合いをする中で、私は、集団的自衛権の問題というのが一つ出てきたと思います。  そこで、自由党提案者にお聞きしたいのですけれども政府は集団的自衛権については、これは国として自衛権そのものは持っているけれども、しかしそれを行使することは憲法九条が禁じている、こういう解釈であります。自由党は同じ考え方ですか、それとも違う考え方なんでしょうか。
  35. 東祥三

    ○東(祥)委員 自由党におきましては、岡田克也議員御案内のとおり、新進党時代から、安全保障に関する基本的な考え方ということで三つの原則を確立いたしました。今御下問の点に関しては第一番目の問題でございまして、あくまでも私たちは、個別であろうがあるいは集団であろうが、自衛権の名のもとに、我が国武力攻撃を受けない限りにおいて武力行使をしない、こういう定義をいたしております。  それで、今御下問の集団的自衛権の行使に関して認めるのか認めないのかということに関しては、自由党内における議論、まだそれ自体を取り上げた形でもって行っておりません。したがって、その点に関しての結論はまだ出ていない。したがって、現段階においては、政府が解釈している視点において私たちの考え方を置いている、このようにとらえてよろしいかと思います。
  36. 岡田克也

    ○岡田委員 ちょっと忘れないうちに防衛庁長官に、私どもが要求しておりました周辺事態における我が国の情報提供と集団的自衛権の関係について、御見解をおまとめいただいていると思いますので、それをお聞きしておきたいと思います。
  37. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 日米安保体制下において、日米が平素から軍事情報を含め相互に必要な情報交換を行うことは、当然のことであります。このことは、周辺事態においても何ら変わるものではございません。このような一般的な情報交換の一環として米軍への情報提供をすることは、実力の行使に当たらず、憲法第九条との関係で何ら問題を生ずるおそれはないと考えております。このことは累次申し上げてきたところであります。  したがって、自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動により得られた情報を、一般的な情報交換の一環として米軍へ提供することは、憲法上の問題はないと考えます。これも先般申し上げたところでありますが、例えば、特定の国の武力行使を直接支援することのみを目的として、ある目標に方位何度何分、角度何度で撃てというような行為を行うことについては、憲法上問題を生ずる可能性があると考えているところであります。現実にこのような情報を私どもが米軍に提供することは、全く考えておりません。
  38. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは自由党にちょっと、たびたびで恐縮ですけれども、お聞きしたいと思います。  先ほど大野提案者の方から、第一条の修正に関する御発言がございました。そして、今回の第一条目的のところに新たにつけ加えた、つまり「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」というふうに加えたことは、先ほどの大野委員の発言をそのまま繰り返せば、実質的には変更は全くありません、こういうことでございました。そういう解釈でよろしいですか。
  39. 東祥三

    ○東(祥)委員 よろしいと思います。  私どもは、周辺事態の定義というものをもうちょっと明確に、わかりやすくさせる必要がある。何度も何度も申し上げているとおり、大幅な米軍に対しての便宜供与が促される以上、国民に対してよりわかりやすく定義をする必要がある。その内容に関して、私どもは、今委員が申し上げてくださったとおりの部分をつけ加えさせていただいたということで、定義それ自体の意味、それ自体が変更されていないという大野委員のお話で正しいと思います。
  40. 岡田克也

    ○岡田委員 今までのこの委員会における自由党の御発言やらテレビその他での御発言と、果たして今の答弁が同じものなのかどうかというのは、それは調べてみればいいことですから、ここでは特に申し上げませんが、このためにたくさんの時間を使ってしまった、その結果がこれなのかな、若干そんな感じがいたします。  政府の方にちょっとお聞きしますけれども、ACSAの中に周辺事態についての定義が今回出てくるわけでございますが、ACSAの定義についても、法案を変えるのであれば同じように修正しなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、ACSAの方は従来の定義をそのまま残して、修正案の中ですけれども法案の方は変えるというのは、いかなる理由に基づくものなのか。  ACSAの中では、今回の改正案の第二条で、「「周辺事態」とは、日本国の周辺の地域における日本国の平和及び安全に重要な影響を与える事態をいう。」こう書いてあるわけで、ここも同じように例示を入れるべきだというのが普通の考え方だと思いますが、いかがなんでしょう。
  41. 高村正彦

    ○高村国務大臣 修正により周辺事態の定義自体が変わるわけではなく、またその実質的内容変更されるわけでもないわけであります。したがって、当然のことながら、ACSA改正協定における周辺事態の定義を修正する必要はなく、またそのようなことは考えていないということでございます。
  42. 岡田克也

    ○岡田委員 何のために延々と修正協議をしてきたのかな、そういう感じがいたします。  では次に、国会承認に参りますが、この国会承認の中で、新しく、自衛隊後方地域支援後方地域捜索救助活動について国会承認ということになったわけでありますが、これと基本計画との関係というのは一体どうなっているんだろうか。  今度の修正案では、基本計画に定められた自衛隊部隊等実施する後方地域支援後方地域捜索救助活動について、内閣総理大臣はこれらの対応措置実施前に、これらの対応装置というのは基本計画に定められた自衛隊の例えば後方地域支援ということだと思うんですね、その実施前に、これらの対応措置実施することについて国会承認を得なければいけない。  つまり、これは単に抽象的な自衛隊後方地域支援ということではなくて、基本計画というものを前提にした自衛隊活動だ、こういうふうに考えるわけです。したがって、国会において承認をする場合にも、そういった基本計画までさかのぼって、全体として、基本計画によって規定された自衛隊活動というものを承認するかしないかということを議論することになる、こういうふうに思うわけですが、政府はそのような考えでよろしいのでしょうか。
  43. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 この法案におきまして新たに認められる二つの活動実施につきましては、国民の理解を十二分に得ることが望ましいと考えております。そういうことでございますので、新たに国会承認の枠組みを設けることにしたのがこの修正案でありますが、これは、これらの活動が、一つは、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である周辺事態に際して、実力組織たる自衛隊部隊等実施するものであるということ、それからまた、第二は、本法案により自衛隊部隊等が新たに実施できるようになるものであることを考慮したものであると承知しております。  一方、承認の対象を御指摘の活動実施することに限っているのは、防衛出動等を含め緊急事態に際しての国会承認が求められるのは、いずれもその実施についてであること、それからもう一つは、周辺事態の複雑性、流動性、対応措置の多様性等の観点から、具体的な措置は行政府の責任において迅速になされることが実効的であるということ、それからもう一つは、基本計画については国会報告とすることとしており、国会においてその内容を踏まえつつ、実施についての承認の判断を行うことができること等を考慮したものであると承知しております。
  44. 岡田克也

    ○岡田委員 ちょっと私の聞いたのと違うお答えだったと思うのですが、法制局長官にお聞きします。  ここで、先ほどの質問なんですけれども自衛隊の行動について、国会承認と書いてありますが、その自衛隊の行動というのは、基本計画というものを具体的に背負って行動というものがあるわけでありますから、国会承認するときには、その前提、自衛隊の行動の前提となっている基本計画についても含めた形での国会承認ということになるのではありませんか。いかがでしょうか。
  45. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 お尋ねは、その修正案内容をどう理解するかということでございますので、修正案政府が出すわけでございませんから、その内容をどう理解するかと今問われましてもお答えに戸惑う点があるわけでございますが、手元に届いております第五条を見ますと、基本計画に定められた自衛隊部隊等実施する後方地域支援または後方地域捜索救助活動については、これらの対応措置実施前に国会承認を得なければならないということでございますから、この文理からいたしますと、国会承認活動自体について行われるということが修正案に盛り込まれているように思います。  したがいまして、その帰結といたしまして、基本計画自体は国会承認の直接の対象とされていないのがこの修正案内容である、私どもはこのように理解する次第でございます。
  46. 岡田克也

    ○岡田委員 基本的には、基本計画というものは対象になっていない。しかし、自衛隊の行動というのは具体的な基本計画というものを背負っているわけでありますから、私は、国会承認するときにその基本計画にまで議論が及ぶだろう、こういうふうに思うわけでございます。  そういうことになると、基本計画そのものが大きく変更されたときに改めて承認が要るのではないかという法律的な疑問も当然出てくるわけでありまして、私は、この条文の書き方というものは、後にいろいろ問題を残す極めてあいまいな書き方である、そういうふうに申し上げざるを得ないということを言っておきたいと思います。  ほかにもいろいろ聞きたいことがございますが、もう時間でございますので、私、いろいろ質問してまいりましたけれども、なかなかはっきりしない点も多いわけでございますし、それから、何よりも私が今回のこの修正で残念だというふうに思うのは、船舶検査についてこれを削除してしまったことであります。これは本当に痛恨事だと思います。総理は、この国会じゅうにまとめたものを出して成立させる、こういうお考えだと思いますが、本当にそれができるのだろうか、先ほどの自由党とそして政府との考え方の違いを聞いておりまして、私は大変心配をしております。  そして、きょうは言いませんでしたけれども、何か、国にとって非常に大事なこの安全保障の問題を政争の具にしよう、こういう考え方がどこかにあるのじゃないかという、その影がちらちらするわけでありまして、もしそうだとしたら、これは国にとって大変なことでございます。そのことについて私なりの憂慮の念というものを表明させていただき、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  47. 山崎拓

    山崎委員長 これにて岡田克也君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤乙彦君。
  48. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 公明党改革クラブ遠藤乙彦でございます。  この日米ガイドライン関連法案我が国安全保障問題にとって極めて重要な、また歴史的な法案であると考えますが、九十時間以上に及ぶ真摯な幅広い論議を通じて、いよいよ終局の地点に到達をしたわけでございます。  私ども、当初より、この法案につきましては、日米安保体制堅持という視点の上から慎重な論議をしていく、また修正を求めていくということで私たちは議論を進めてまいりました。私たちの特に関心事項は三つございまして、一つは、何よりも憲法の原則と精神を十分踏まえたものであること、二つ目に、国民に対して幅広い理解と支持を求めつつ行うこと、三つ目には、近隣諸国に対して無用な疑念や誤解を与えることのないよう十分な配慮を払うべきものであること、この三点を念頭に置きまして、修正要求並びに審議を行ってまいりました。さまざまな修正点を提出したわけでございますけれども、全体を見た結果、私たちの修正要求、関心事項は十分に反映されたものと考え、共同提案者となったわけでございます。  そこで、私からは、確認の意味も含めまして、私どもの提出した修正要求の諸点を中心に質問をさせていただきたいと思っております。  まず最初に、総理にお伺いしたいと思っております。抑止と対話、大分確立したキャッチフレーズになってまいりましたが、この点につきましてまずお聞きをしたいと思っております。  私ども日本の平和戦略を考える上で、また、冷戦後のアジア太平洋の平和を考える上で何よりも大事なことは、現実を直視すること、そしてまた、歴史の教訓に立って、抑止と対話のバランスをとりながら、賢明な政治的英知のもと、この原則運用していくことによって結果的に平和が達成される、そういう視点で全体像をしっかりつかまえた上で議論しなければならないということが何よりも大きな私たちの主張でございました。そういった意味では、今回のガイドライン関連法案審議は、コインの一つの側面にしかすぎない。すなわち、抑止という問題を、このシステムをどう強化し信頼性を高めるかという、コインの半面の議論でしかなかったわけであります。  したがいまして、見方によれば、それだけ見れば、一部の政党が言うような戦争協力法案みたいに見えるかもしれない。しかし、そうではなくて、大事なことは、抑止という概念が、潜在的な侵略に対して十分な備えをつくることによって未然に侵略の意図を防止し、戦わずして勝つ、現実に戦争を起こさないということが大事であって、まさにこの抑止概念ということが今回の法案の最も中核の概念でありまして、ただ、なかなかわかりにくいということがあって、この点をぜひ今回の審議の中では明らかにしたいと思って議論をしたわけであります。  しかしながら、このガイドライン関連法案だけでは、もちろん物事の半面にしかすぎません。我が国の平和戦略を本当に考える上では、もう一つの側面である対話ということをぜひとも明確にしていく必要があるかと思っております。  私も、三月十八日に行われました総括審議の初日におきまして、抑止と対話のバランスということをしつこいほどに申し上げました。幸い総理からも強い賛同の意を表していただきまして、その直後に行かれた韓国におかれましても、大学での講演で、対話と抑止というテーマでまさにお話をされた、また、日韓首脳会談でもそのような精神でお話をされたものと私たちは受けとめております。  また、たまたまその直後に起こりました北朝鮮の不審船の問題に対しましても、政府対応を見るに、この抑止と対話のバランスということをよく理解した上での対応であったと、私たちは高く評価をしたいと思っております。  それぞれ党内いろいろな議論があります。なぜ取り逃がしたのかとか、やはり拿捕すべきだったとか、かなり強硬論も含めたいろいろな議論がありますけれども、私の考えは、あれは大変結果としてよかった、十分合格点がつけられる対応であったと思っております。  北朝鮮に対して、十分な我が方の抑止の決意を示すとともに、また、対話を求めているというメッセージも十分に伝わったと思うわけでありまして、そういった意味での二重の戦略目標は十分に達成されていると判断をするわけでございまして、政府対応をこの点で評価をしたいし、また、実際に現場で体を張ってこの任務の遂行に当たった自衛隊、また海上保安庁の人たちに対しても、心から労をねぎらいたいと思っている次第でございます。  そこで、もう一つの、対話の側面でございます。これを今後どう進めるかこそが最も重要なことでございまして、今回の法案等によって抑止の体制をしっかりとつくった上で、さらに次の目標は、対話をどう進めるかということが何よりも大きなテーマでございます。  ハーバード大学の教授でありますハンチントンという先生の書物に、「文明の衝突」という本が最近出されております。かつてフォーリン・アフェアーズに出された論文を発展させたものでございますけれども、要するに、冷戦後における最大の安全保障上の脅威の源泉は、文明の対立、この場合の文明ということは、文化の違い、あるいは宗教や風土、体制の違い等、広義のものでございますけれども、そういった文化的、価値的要因の対立、差異における問題こそが冷戦後における安全保障上の最大の問題点であるということを指摘しております。まさにそのとおりであると思っておりますし、現在行われておりますユーゴの紛争、コソボの問題も、まさにその典型的な例ではないかと思っているわけであります。  そういった意味で、我が国のこれからの大きな使命は、そういった抑止と対話のバランスをしっかりつくり上げた上で、どうやってこの文明の衝突を文明の対話へと変えていくか、そのために力を発揮する、努力を発揮することこそが、我が国にとりまして最も大きな使命ではないかと思っているところでございます。  そこで、総理にぜひお伺いしたいのは、この抑止、もう一つの半面である対話、これに向けて、我が国の平和外交、平和戦略、どのようにこれからビジョンを考え、進めていこうとされているのか、総理の基本的なお考え、その決意につきまして、まずお話を伺えればと思っております。
  49. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 まず、日米安保体制について、我が国の平和と安全にとって死活的な重要性を持つのみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって重要な基盤となっている、現在御審議をいただいております日米防衛協力のための指針関連法案等は、このような日米安保体制のより効果的な運用確保し、我が国の平和と安全を脅かす事態の発生等を抑止することに資するものであり、本件法案等の成立は極めて意義深いことであります。  今、遠藤委員から抑止と対話というお話をちょうだいいたしました。これは私だけで考えることでなく、まさに常に、抑止といいますか、安全保障を維持するためには、きちんとしたそれに対する確固たる対応を常に考慮しなきゃならぬと思いますが、一方、対話という形におきましても、これを推し進めなければならぬというふうに思っております。  若干長くなるかと思いますが、こうした諸点について、せっかくのお尋ねでございますので、特に対話という観点につきまして、考え方を申し述べさせていただきたいと思います。  アジア太平洋地域の平和をより堅固にし、二十一世紀における同地域の平和と繁栄を確保するために、我が国としてさらなる努力が必要となります。  私といたしましては、抑止力の向上とともに、周辺諸国等の対話を軸とする外交の展開を重視しており、今後とも積極的なリーダーシップを発揮しつつ、以下、諸点を中心に、現実を直視した具体的施策を推進していく考えでございます。  その第一は、域内の予防外交、信頼醸成の具体的かつ積極的な推進でありまして、域内各国との安保対話、防衛交流の活発化は、対話による予防外交の重要な柱であります。  我が国としては、国連の場における平和と安全のためのさまざまな活動はもとより、ASEAN地域フォーラム、いわゆるARFでありますが、これにおける予防外交及び信頼醸成の取り組み等に積極的に努力していくことといたしております。  今後とも、地域安全保障環境の向上のために、種々の対話の場、枠組みの設定、発展に向けてイニシアチブを発揮し、国際的に信頼される日本を築いていかなければならないと考えております。  第二は、貧困、人権問題を初め、紛争の根源にある諸要因及び環境、国際組織犯罪、難民等、地球的規模で発生する脅威への取り組みの強化であります。  これらの諸問題を包括的にとらえ、それらに対する取り組みを強化していくことといたしたいと思っております。いわゆる人間の安全保障とはそのような取り組みを志向するものであり、今後さらに重視される必要があると考えております。  第三は、国民的な議論を踏まえた外交、安全保障政策の実施でありまして、我が国を取り巻く国際環境をより良好なものとするために、国際レベルの広範な努力が必要であります。  このため、国民とともに歩む外交のモットーのもと、民間レベルの研究に対する支援等を通じて、地域の平和と安定に関する国民的な議論を喚起し、国民的理解を得た平和のための戦略を検討していきたいと思っております。その際、中央と地方との対話、連携にも一層留意いたしてまいりたいと思っております。  また、我々は、現在の我が国の平和と繁栄が沖縄の方々のとうとい犠牲の上に築かれてきたことを片時も忘れてはならないと思います。  我が国の戦後の平和と繁栄は、日米安保体制に対する沖縄の方々の御理解と御協力、そして忍耐なしには語れないものであり、政府としては、基地問題、沖縄振興等に関し、国民的課題として、引き続きさらなる努力を最大限傾注していく考えでございます。  先ほど、ハンチントン博士の文明の対立のお話も御引用されておりました。なるほど、この二大スーパーパワーの対立、いわゆる冷戦がなくなりまして以降、現在なお、世界各国におきまして、文明といいますか民族の対立といいますか、こうしたことによって惹起されてきておる大きな惨劇が、世界各地、まだ依然として消えざる状態でございまして、こういう中におきまして、対話の意味合いというものはまことに大きいものと考えております。  遠藤委員から、今般、たまたま事例として起こりました工作船事犯に対しての対応につきましての御評価といいますか、御指摘もちょうだいいたしました。  いたずらに抑止の理論のみをもって、それがゆえに行き過ぎたことではいけませんし、また対話の意味についても、対話のみにおいて世界の平和が確実に招来できるという安心をすることもいけない。したがって、双方のりを越えずに、抑止と対話をバランスを持って対応していく中に平和に向けての道筋が生まれてくる、こう考えておりまして、この間につきましてはいろいろと御評価の分かれるところであると思いますが、引き続いて、遠藤委員の目からごらんになられて行き過ぎのないように我々も心していきたいと思っております。  以上、御答弁とさせていただきます。
  50. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 大変にありがとうございました。総理の深い理解力と高い見識に心から敬意を表したいと思っております。  いずれにしましても、大変高邁なお話を今伺いまして、また決意を伺ったわけでありまして、私ども審議の中で主張してきたさまざまな点、取り入れていただいたことは大変多とするものでございまして、ぜひとも、今後、これの具体化に向けてさらなる努力をお願いしたいと思っております。  そこで、実際の具体化は恐らく外務省等の省庁になるわけですが、外務大臣にもこの点、お伺いをしていきたいと思っております。  今、総理のお話の中で、国民的な理解を得た平和の戦略を構築していきたい、そういったお話がありました。これをどう具体化するかということでございますが、私のこれは個人的な意見でございますけれども、外務省はもちろんいろいろなそういった文書を発表されておりますが、中身は大変かっちりしておりますけれども非常にわかりにくいし、一般国民にはなかなか読んでもらえないといったものではないかと思っております。  そこで、ぜひとも、まずこの平和、安全保障の問題について国民的な理解、議論、論争を巻き起こして、その結果十分な議論が行われて、それを踏まえて、我が国の二十一世紀における平和の戦略、あるいは平和のためのガイドラインと言ってもいいかもしれませんが、そういったものが共通の認識として、共有の一つの財産としてつくり上げていかれるようなプロセスをぜひとっていただくことが必要ではないかと思っております。  その意味では、最初から結論、一定の方向を明示した書類をつくるのではなくて、むしろ、まず情報の提供、問題点の整理、さまざまな選択肢の列記、その利害得失の検討等、そういった問題提起の文書をしっかりとつくり上げて、それを踏まえて、幅広い中央と地方の対話、民間研究所、民間等のあるいは国民的な議論も踏まえて、一定の方向に、十分な国民的な合意を持った最終的な平和の戦略あるいはこの平和のためのガイドラインといったものをつくっていくことが、建設的な、対話を踏まえたそういう方策であると思っておりますけれども外務大臣としては、そういった方法に対しまして、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
  51. 高村正彦

    ○高村国務大臣 ただいま総理が答弁されたような高邁な見識を拳々服膺いたしまして、また、委員が御指摘になったようなそういうガイドライン的なものも委員にも御指導いただきながら、外務省の内部で、そういったことがどういうふうに国民とともに歩む外交ということに役に立っていくのか、どういうふうにしたらいいのか、さらに検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  52. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 最新版の外交青書のサブタイトルは「新たな世紀に向けたリーダーシップのある外交の展開」、極めて適切なタイトルであると思っておりますので、このタイトルにかなった実体を持ったもの、努力をひとつぜひやっていただきたいと心からお願いをいたしまして、まず総理及び大臣にお願いをしていきたいと思っております。  続いて、私たちの修正要求、修正といいますか法案それ自体ではありませんけれども、要求事項の中で、地方自治体及び民間に求める協力のあり方といったテーマがございます。これをぜひマニュアル化すべしということでお願いをしてありまして、もちろん今までも政府より十項目の案が提示をされ、またさらにそれに加えてもう少し詳しいものが出てまいりましたけれども、万が一の場合の補償のあり方や方式、あるいはより詳細な、求められる具体的内容等につきまして、ぜひこれはもっともっと詳しい、わかりやすい、体系的な書類を出す必要があるかと思っております。  いろいろ、地方公聴会等へ行った私自身の思い、また各地へ派遣された委員の声を聞きましても、地方あるいは民間の方々は、私たちが予想する以上に、非常に今回のガイドライン法案の将来あるいはこの内容について不安感を持っているというのが実情でございます。  その主な原因は、やはり情報提供が十分でない、説明が十分でない、また、地方や民間との対話がほとんどされていないままにこういった法案審議がされているところに大きな問題があるかと思っておりますけれども、私自身、本会議の代表質問の中で、本件に関するアカウンタビリティーの向上ということを強く申し上げた次第でありますけれども、そういった意味からもぜひ地方公共団体に求める協力あるいは民間等に求める協力等に関しまして、安心感を与えるような明確な情報提供、あるいはマニュアル等を早急に作成し配付していただければと思っておりますので、この点につきまして、政府の見解、準備状況につきまして御回答をお願いしたいと思います。
  53. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 必要な協力内容につきましては事態ごとに異なるものでありまして、あらかじめ具体的に確定される性格のものではないわけでありますが、例えば、地方公共団体の長に対して、地方公共団体の管理する港湾や空港の施設の使用についての協力とか、あるいは建物、設備の設置許可についての協力等を求めることとか、また国以外の者に対しても輸送、医療、廃棄物処理、給水等の協力を依頼することが考えられるわけであります。  今委員から御指摘ありましたとおり、ガイドライン特別委員会においても、委員長さんのお骨折りで、政府の十項目に加えてさらに十一項目の確認事項ができたわけであります。我々は、そういう方向に沿って誠実に対応していきたいと思っております。  この場合でも、あくまでもこれは協力を求めまたは協力を依頼するということでありまして、強制するものではございませんので、これが円滑に行われるように一層の努力をしてまいりたいと思っております。
  54. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 マニュアルをつくるというのは既に約束をしていただいておりますので、ぜひとも早急に、詳細なわかりやすいマニュアルをおつくりいただき、地方や民間に配付いただくよう強く要望したいと思っております。  それから、私ども修正要求に関連をいたしまして、今般の修正の中には、「日米安保条約の効果的な運用に寄与し、」という文言が入ることになりました。これはもともと、私ども並びに民主党も含めて、日米安保条約の枠内という文言をこの法案の中に明記すべしということを要求したわけでございますが、法制局等の意見を徴すると、この枠内という言葉法律用語としてなじまないという趣旨でございましたので、これにかわる文言を挿入するということで検討し、この文言が入ったと私たちは理解をしております。  そこで、私がお聞きしたいことは、この修正協議で盛り込まれることになった「日米安保条約の効果的な運用に寄与し、」という文言は、日米安保条約の枠内と同義と解することでよいのか、改めて確認をしたいと思います。これは総理にお願いをしてあると思いますが。
  55. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 日米安保条約の効果的な運用に寄与するとは、本法案が、我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする日米安保条約の効果的な運用に資することを意味すると考えております。  法案第一条におきまして、「日米安保条約の効果的な運用に寄与し、」または「我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。」とする今般の法案修正は、我が国の平和及び安全に着目した本法案が、このような日米安保条約目的の枠内であるということと同じことを意味するものと考えている次第でございます。
  56. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続いて、国会承認の問題でお聞きをいたします。  当初は、この法案では基本計画は報告ということになっておりましたけれども、私たちはこの部分を、特に自衛隊活動にかかわる部分、当初は三つだったのですが、これが二つになってしまいましたけれども、これを原則事前承認、緊急の場合には事後ということで修正を求め、最終的にこれが受け入れられたわけでございますけれども、中には、結果的にはほとんど事後承認になってしまうのではないかといった議論も今なされております。私どもは、それは趣旨に反するわけであって、ぜひとも、原則はやはり事前承認であって、極力事前に承認を求め、国民の理解を求めるのが筋であると考えております。  私たちのこういった修正を求めた趣旨は、実力組織である自衛隊というものが活動するに際しては、やはり民主国家において、念には念を入れて国会承認をかけるということが民主国家のあり方として望ましい、民主的コントロールといった意味で、またシビリアンコントロールといった意味で望ましいということでこの要求をしたわけでございまして、国民の理解を得る上からも、また国民に安心感を与える意味からも、また行政府の独走をチェックする意味からも、非常に重要な条項であると考えております。  私が言いたいのは、確かに、本当に緊急に対処する必要がある場合においては例外的な事後承認は認めざるを得ないと考えておりますけれども、大部分のケースにおいては、国会の事前承認を得るだけの時間を確保できるだろうと私は考えております。周辺事態といっても、それが日本への武力攻撃という事態ではありませんので、相当時間が経過しながら、だんだん状況が推移していくというのがほとんどであると考えますので、政府は可能な限り事前の承認を得る努力をすべきである、これは当然だと思っております、考えておりますけれども、改めてこの点につきまして総理に確認をしたいと思います。
  57. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 周辺事態への対応措置について迅速な対応を行うことが重要であることから、政府といたしましては累次御答弁申し上げておりまして、周辺事態安全確保法案に関する今般の修正案におきましても、緊急の場合は事後承認とする旨の規定が設けられているところであります。  が、しかしながら、原則はあくまでも事前承認であり、政府といたしましては可能な限り国会の事前承認を得るよう努めていくことは当然である、このように考えております。
  58. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続いて、周辺事態終了後の国会報告の点につきまして確認をしたいと思います。  私ども、これも大変重要な修正であると思っております。  なぜかといいますと、確かに理論的、概念的には、後方地域を設定してそこで支援活動を行うことは集団的自衛権の行使に当たらない、また、そこが戦場になることはないといったことは、概念的には理解をできますけれども、これは実態的にどうなるかということはやってみなきゃわからないということでございまして、事前に検証できる話ではないということでございます。  したがって、次善の策として、この措置が憲法に合致しているかどうかを判定し、検証するためには、やはり計画終了後の詳細な国会報告を見て、国会を中心に検討するという作業はぜひとも必要だと思っておりまして、この作業抜きに民主国家のあり方を議論することはできないと思っております。そういった意味で、事後的な検証という意味でこの国会報告を盛り込んだわけでございます。  法案修正協議におきましては、周辺事態の終了後、政府がどのような対応措置を講じたか、その詳細を速やかに国会に報告する義務ということで法案に盛り込むことになったわけですけれども、通常、外交や安全保障に関する文書は、これまで、国益とか相手国との関係その他の観点から公開が限定されているという状況にあるわけでございます。報告義務を課したとしても、報告される情報が、政府の講じた対応措置が妥当であったか否かを判断するに十分な量及び質を兼ね備えていなければ意味がないわけでありまして、その点からも、対応措置については原則として極めて詳細なものを、全般的なものを報告するとの方針で臨んでいただきたいと考えておりますが、政府の見解を伺いたいと思います。これも総理にお願いいたします。
  59. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 御指摘の点はよく理解するところでございまして、政府といたしましては従来から、対応措置の終了後に国会におきまして十分な検証、議論を行っていただくことは大変有意義なものと考えていたところであります。  さらに、今般、対応措置終了後の報告につきましての規定を盛り込んだ修正案が提出されたところでありまして、政府としては、本委員会におけるこれまでの御議論も踏まえまして、御懸念のような問題が生ずることのないよう十分な報告を行ってまいりたいと考えておりまして、国民のそうした理解を最終的には求められるように努力をいたしていきたいと思っております。
  60. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひそのことを強く要望しておきたいと思っております。  最後に、一言総括的な所感を申し上げたいんです。  私は、アジア太平洋の安全保障ということを考えるときにいつも念頭に浮かぶのは、ヨーロッパのことでございます。欧州も、かつては普仏戦争以来、また第一次大戦、第二次大戦と世界大戦の主要舞台になってきたわけでございますが、その最大の原因は、ドイツとフランスという二つの国の敵対関係があったかと思っております。それが、第二次大戦後は見事にその敵対関係を乗り越えて、今や新しい欧州建設のいわばきずなとなっているのがこの独仏の関係であると承知をいたしております。  私もフランスの北東部にありますストラスブールという町を訪れたことがあります。ドイツの国境に近いところで、いわゆるアルザス地方であり、かつて独仏抗争の象徴的な地であったわけで、激戦地であったわけでございます。町の郊外にはかつてのマジノ・ラインと呼ばれる要塞群の廃墟が置かれておりまして、生々しい傷跡が残っているわけでございますが、今その地が、まさに、むしろ対話の象徴として欧州議会が置かれ、また教育文化交流の象徴的な地として今や発展しているというわけでありまして、そういった過去と現在、未来を見ると、大変感慨深く思うわけでありますけれども、こういった東アジア太平洋地域におきましても、そういう敵対関係を乗り越えて、真の意味で文明の対話を実現して、新しい平和を構築していくことがぜひとも必要であると考えております。  そういった意味で、欧州と東アジアの対比を考えて、総理としてどのような所感をお持ちか、最後にお聞きをしたいと思います。
  61. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 我が国は、御指摘のような欧州連合の動きを、欧州ひいては国際社会全体の安定と繁栄につながるものとして評価いたしております。政治的統合もやがてはという気がいたしておりますが、現段階におきましては、国の基本である通貨につきまして、これがユーロという形で統合されておることは、大きな前進であろうというふうに認識をいたしております。  そこで、アジアについて御指摘もございました。先ほども申し上げましたが、対話を重視するという観点から、九四年に、全域的な政治、安全保障に関する対話と協力の枠組みでありますASEAN地域フォーラムが発足したことを初め、地域における種々の多国間の安全保障対話の枠組みがあらわれてきていることは、歓迎すべきことであると考えております。  ただし、アジア太平洋地域は、欧州と比べると、発展段階、政治経済体制さらには文化的、民族的多様性が存在することや、各国の安全保障観が多様であること等が特徴であります。政府といたしましても、アジア太平洋地域の特徴を踏まえつつ、これらの枠組みの発展に積極的に取り組んできておりまして、今後とも、このような努力を引き続き強力に継続してまいりたい、このように考えております。
  62. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 以上で、私の質問を終わります。
  63. 山崎拓

    山崎委員長 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。  次に、達増拓也君。
  64. 達増拓也

    達増委員 自由党達増拓也でございます。  冒頭、難民の状況がますます悪化しておりますコソボの問題につきまして、総理に質問をさせていただきたいと思います。  これは、きょう午前中の自自与党連絡会議でも取り上げられた問題でございますけれども、コソボの難民支援についてでございます。政府はさきにテント一千張りと一千五百万ドルの支援をしているということを承知しておりますけれども、新聞報道によりますと、さらに追加して、一億ドルの追加支援が言われているということでございます。  現在のコソボ情勢は極めて長期化しつつあり、かつ大量の難民と、これを受け入れている国のことを考えますと、我が国としてさらに追加した支援、これは本当に必要なことだと考えますけれども、この点について、総理のお考えを伺いたいと思います。
  65. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 コソボ問題の政治的解決の見通しが依然として立たず、大量の難民が周辺国に流出し続けていることにつきまして、政府としても重大な関心を持って受けとめております。  私といたしましても、議員同様、コソボ難民と、これを受け入れる国に対する支援が必要であると考えておりまして、現在外務大臣を中心に、追加支援策を取りまとめさせているところでございます。  今日の政府・与党の連絡会議におきまして、自由民主党そして自由党の幹事長から、今御指摘のように、既にコソボ難民対策といたしましていろいろの手を打たせていただいておりますが、やはり日本として、日本政府として、日本国民のお気持ちとして協力し得るのは、この難民対策ということに尽きるのではないか、そういった意味で、多くの国民の理解を得つつ予算的な措置を講ずるべきである。今一億ドルというような金額も想定されておりますが、さらに加えて、必要なものは協力すべきではないかということでございますので、こうした点については、政府としての調査団も行っておりますし、NGOの皆さんも既に参加しておりますし、できれば、国会のお許しをいただければ、外務大臣にも、現地、マケドニアを含めまして、その地域を実際視察をしていただきまして、どのような形での支援が可能かということを考え、適切に対処いたしていくべきだと思っております。  財政当局とも十分勘案しながら、できる限りの支援体制を講じてまいりたい、このように考えております。
  66. 達増拓也

    達増委員 人道上も極めてゆゆしい事態になっておりますし、また欧州の安定、バランスが崩れることは、ひいては世界全体の安全保障にとっても、グローバルな安全保障にも非常に重要な影響を及ぼすと思いますので、思い切った決断、措置をお願いしたいと思います。  それでは、ガイドライン関連法案質疑に入りたいと思いますが、九十時間を超える長い審議、白熱した議論も多々ございました。それを踏まえまして、きょう、周辺事態安全確保法案については修正案が提出されまして、中でも自民、明改、自由共同提案修正案につきましては、今まで白熱した議論の対象となった論点につきまして、的確な修正を施す内容となっておりまして、長い時間をかけ、かつ幅広い国民的な議論を喚起してやってきた成果が、いよいよきょう出たのかなというふうに思っております。  特に、第一条、周辺事態の定義の部分に「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」ということが加えられたわけでありますけれども、ともすれば周辺事態、一体どういうものなのか、国民にわかりにくい、わかりにくいということが延々議論されてきたわけでありますけれども周辺事態という事態のまさにただならなさといいますか、いわゆるピクニックなどというような問題ではないのでありまして、その重要性というものがこの修正によって明らかになる、そういう修正だと思います。  また、これと対応しまして、後方地域支援における武器使用規定、これが新たに加えられるということで、一層本質に迫るような修正が施されたと思うのですけれども、特に今の点につきまして、今までの審議の過程で強く主張をされてきた自由党提案者に、この点について、その意義を、今言ったようなことでよろしいのか、質問したいと思います。
  67. 西村眞悟

    西村(眞)委員 周辺事態の定義につきまして新たなる文言が入ったことによって、周辺事態という概念の外延が広がったり縮まったりするのではなくて、その内包の意味がより鮮明になった。  九十時間の審議の中で、ともすれば、日本と全く関係のない紛争にアメリカから引きずり込まれるような法案だという意見もたびたび聞こえたわけですから、概念がより鮮明になった。我が国に対していかなる意味を持つのかということがより鮮明になったと思いますね。
  68. 達増拓也

    達増委員 この周辺事態の定義、その概念について明確化される修正がなされ、提案されているわけでありますけれども、それに関連して、修正箇所以外の部分について、政府に幾つか質問をしたいと思います。  それは、まず周辺事態法の第二条の一項でございますけれども政府は、周辺事態に際して、適切かつ迅速にこれこれこういう対応措置実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする。周辺事態への対応基本原則の第一でありますけれども、この対応措置というのは自衛隊出動するケースを含んでいるわけでありますが、防衛出動、治安出動あるいは待機命令等、自衛隊が動く場合、法律規定ぶりでは、できるという規定になっているんですね。治安出動の場合、それは出動防衛庁長官が命じることができるということでありまして、それができる事態の場合に、ある事態になったときに、実際に出動するかどうかというところで政策的判断が加わる余地がある。  この二条一項は、そういうできるという規定ではないので、周辺事態になったら、必ずこういう対応措置をとらなければならないのかという義務規定にも読めるのですが、あるいは、その後の「努めるものとする。」というものの係りぐあいによっては、努力規定であって、無理ならやらなくていいというようにも読めるんですけれども、この二条一項というのは努力規定なのでしょうか、義務規定なのでしょうか。
  69. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 この二条第一項の規定は、周辺事態我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であることから、かかる事態に際しては、適切かつ迅速に必要な対応措置実施するという政府の責務を表現した規定であると考えております。
  70. 達増拓也

    達増委員 そうしますと、周辺事態になった場合に、後方地域支援等、できるけれどもやらないという政策判断はあり得るんでしょうか。
  71. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先ほど来、この第二条第一項、委員から御指摘のように、防衛出動等と異なり、できるという規定ではなく、「努めるものとする。」と規定をしております。  これは、防衛出動や治安出動等の自衛隊の行動にかかわる規定が、自衛隊法上、当該行動を実施する権限を与える規定、すなわち根拠規定であるのに対しまして、この法案第二条第一項では、必要な対応措置実施する直接の根拠となる規定ではなく、また、これは後方支援や後方地域捜索活動ができるというこの法案の他の条文、あるいは他の法律により、これは自衛隊法の機雷の除去等でありますが、既に根拠が置かれている措置について、周辺事態に際して、これらを適切かつ迅速に実施すべきであるという政府の責務を定めた規定であることによるものであります。
  72. 達増拓也

    達増委員 今の答弁で明らかになったのは、周辺事態における対応措置というものが、極めて高度に、戦略的といいますか、そもそもこういう事態の認定から非常に総合的にいろいろな要素を勘案し、またそこの対応措置についても、政府にそのような責務を設け、非常に柔軟といいますか、事柄の本質によって、それに合わせた対応をとっていく、そういう一種特殊な性質を持ったオペレーションであることがわかったと思います。  したがって、そういうオペレーションであるからこそ、批判する方々の中には、自動参戦装置という言葉を使って、日本に関係のないようなことでもこれによって戦争に引きずり込まれるという言い方をするんですが、周辺事態というのは決して日本に無関係なことではないんだという、周辺事態のその本質をやはり明らかにする必要がもとの案についてはあったと思うわけですけれども、自民、明改、自由の共同修正案の中で、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力行使に至るおそれのある事態等ということが加えられたことで、その周辺事態というのが本当に日本にとって切実な問題なんだということが明らかになり、その政策判断や運用についても、この修正によってより的確な対応が望まれるようになったと思います。  これは、政府に対し通告はなかった質問ではありますけれども、この修正案文言、これを踏まえ、今の二条一項のケースで、ここに書かれているような「我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする。」、これは、この修正を踏まえて、政府としてやはりきちんとやっていける、そういう内容になっているかどうか、質問したいと思います。
  73. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 そのとおりであります。
  74. 達増拓也

    達増委員 周辺事態の定義をめぐる今までの審議の中で、私が一度、大量難民の発生については、日本に対する直接の武力攻撃に当たるケースではなく、そういう意味でこれは純粋平時と言っていいかもしれないということを言ったんですけれども、その後、審議が経過する中で、大量難民の発生というのは、いわば自衛隊法においては、治安出動やあるいは治安出動の前の待機命令をしなければならないような、そういう事態につながり得る。したがって、防衛出動にそのまま発展し得るような事態ではないけれども、そういう治安出動につながりかねないということで、大量難民の発生、特に我が国に大量流入するようなケースというのは、やはり準有事というような言葉で表現してもいいような事態ではないかと考えております。  大量難民が発生するような周辺事態、これは、その推移によっては我が国の治安に重大な影響を与えて、その後治安出動あるいは治安出動が予測される場合として待機命令を下さなければならない、そういうところに発展し得る、そういう可能性もあるというふうに考えますでしょうか。
  75. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 御指摘の大量の避難民が発生した場合でございますけれども、そのときのまた状況により判断せざるを得ないわけでございますが、こういう状況でございますれば、国際的な緊張も高まるということもございましょうし、あるいは武装難民ということも考えられると思います。  そういう意味で、我が国に対する武力攻撃の発生までには至らないものの、通常の警察力をもってしては対応できないような国民生命あるいは社会の平和及び安定を脅かし得る事態を発生させる可能性もあるなどの観点から、我が国の平和と安全に重要な影響を与えているというふうに判断される状況もあり得る、こういうふうに考えております。
  76. 達増拓也

    達増委員 自民、明改、自由の修正案では、直ちに治安出動をしなければならない事態ではないんですけれどもそれにつながり得るような事態を例として入れてあるわけでありますけれども、そのような防衛出動につながりかねない事態、またあるいは今のように治安出動につながりかねない事態、そうしたことも周辺事態の中にはある、そういう周辺事態というものの持つ切実さというものが審議を通じて明らかになり、またこの修正案で一層それがはっきりすると思います。  周辺事態をめぐる議論の中で、どこまで地域的に入るのかというような議論もあったわけですけれども、地理的な概念の問題というのは、あくまで日本との関係で考えなければならないと思うわけであります。すなわち、我が国に対する武力攻撃には決して発展し得ないような事態ですとか、また難民流入のような我が国に対する治安上の危機に絶対発展し得ないような、そういう我が国を直接攻撃しないような、我が国に難民が来ないような遠隔の地、例えばマラッカ海峡のあたりですとかASEANのあたりまでいきますと、直ちに我が国に対する武力攻撃とか難民流入にはつながらないと思うのですが、そういった地域で発生したことであっても、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態とみなし得るケースは出てくるかもしれないわけですね。  いろいろ、シーレーンがふさがってしまうですとか、また東南アジア、ASEANの一国が崩壊しかねない内戦が勃発したりしますと、果たしてそれは周辺事態かという問題になるのですが、そうした場合は、自衛隊出動しなくても我が国の平和と安全が直接侵されるようなところまでは至らないと思われるわけですけれども、改めて確認したいんですが、そういう場合でも周辺事態として我が国が米国と行動をともにすることはあり得るんでしょうか。
  77. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 ある事態周辺事態に該当するか否かはその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するということは、累次申し上げてきたとおりであります。  一概には申し上げられないわけでありますが、例えば、政府周辺事態の具体例として答弁している、ある国の行動が、国連安保理によって平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為と決定され、その国が国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような場合などは、御指摘のケースに該当するものと考えられます。  なお、周辺事態というのは、これは累次申しているわけでありますが、地理的な概念ではなくて、あらかじめ地理的にその発生する場所を特定する性格のものではなく、ある事態周辺事態に該当するか否かは、我が国の平和及び安全に対し、軍事的な観点を初めとする種々の観点から見て重要な影響を及ぼすか否かをその時点の状況を総合的に見た上で判断することとなることは、これまでも申し上げてきたところであります。  したがって、御指摘のような事例が周辺事態に該当するか否かは、あらかじめ一概に特定するものではないと考えているところであります。
  78. 達増拓也

    達増委員 国連の安保理決議があるようなケースは、それは日本としても国連のもとでの平和活動への参加という文脈で考えていけばいいと思いますけれども、総合的に勘案して決めていかなければならない。やはり、この法案がいわゆる自動参戦装置などということになって日本の主体性のないまま参加してしまうようなことがないように、今回のこの自自公の修正案周辺事態の定義が、概念がより明確になったことによって、そういう危ない運用、間違った運用、政策判断がなされないようになる、そういう効果があるというふうに考える次第でございます。  さて、国会承認について質問をさせていただきたいと思います。  自民、明改、自由の修正案によりますと、事前の国会承認という規定が加えられておりますけれども政府の立場といたしまして、かかる修正が行われても自衛隊活動の迅速性が阻害されるものではないというふうに思うわけですけれども、そのように認識されているでしょうか。
  79. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 緊急の場合は事後承認ということになっておりますが、私どもとしては、原則事前承認をたっとんでいかなければいけないことだと思います。事後承認という場合でも、できるだけ速やかに対応できるようなことを考えていきたい、こう思っております。
  80. 達増拓也

    達増委員 同じく国会承認の関連で、これも防衛庁長官伺いたいのですけれども国会承認によりまして、先ほども大野先生の方から指摘がありましたけれども自衛隊員が、国民の代表から認められて、それで出動するんだということで胸を張って活動することができ、そういう隊員の士気が高まる効果というものが国会承認によってあると思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  81. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 国の防衛は、国民支持協力なくしては成り立たないものであると考えます。国民の代表であります、立法府におけるさまざまな議論を経て合意されたこの制度に基づき自衛隊が任務を遂行することは、隊員の士気の面からも有意義なものと考えております。
  82. 達増拓也

    達増委員 それでは、この修正案内容を踏まえまして、さらに日米安保体制の実効性を高めながら、日本安全保障というものをより確かなものにしていくための今後の総合的な取り組みについて、総理に質問をさせていただきたいと思います。  今回、船舶検査活動については別の法律で定めるということが修正案の中に入っておりまして、この背景にある考え方としては、我が国として、国連のもとでの平和活動、経済制裁の実効性を確保するための船舶検査活動も含めまして、そういう国連の憲章が定めております集団安全保障というものにやはり積極的に参加していかなければならないのではないかという考え方があると思うわけであります。  そうした国連のもとでの平和活動への積極的参加ということと、また自衛権、我が国の固有の自衛権というもの、これを乱用しないように努めつつ、きちんとその自衛権を行使するような体制をとっていく、そうした今後の取り組みが求められると考えますけれども、この点いかがでしょうか。
  83. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 我が国の平和と安全を確保していくためには、今回お願いしております、周辺事態に対する対応ということでの制度を整備していくということと並んで、我が国有事の際のこれに対する対応我が国としての自衛権の発動に関連するような事態、こういうものに対する制度のあり方ということについても十分検討をしていく必要があろうかと思っております。  我が国有事の場合の対応につきましては、基本的な骨格は既に整備しているわけでございますが、これにつきましては、これまでのいろいろな研究等も行われているところでございます。いずれにしましても、この問題につきましては、大きな政治的な検討を必要とする課題であろうと思いますので、私どもとしては、現在この研究を行っている、こういうふうな状況にございます。
  84. 達増拓也

    達増委員 総理に質問させていただきたいと思いますけれども、今の話にも出てきました有事法制の問題も含めまして、危機管理に関する法整備については、かなり各方面から立ちおくれが指摘されていると思うのです。この委員会で招いた公述人の中にも、佐々淳行公述人は危機管理基本法のようなものを整備してと。これは、最近の工作船の問題や、また領域警備の必要性といった問題、そうした最近いろいろ起こってきた事件とも関連し、そういう世論もかなり盛り上がりつつあると思います。  他方、この危機管理の問題は、各省庁にまたがる話が多くて、総理のリーダーシップのもとで徹底した研究と法令の立案作業が求められていると思うのでありますけれども、この点についての総理のお考えを伺いたいと思います。
  85. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 国の安全と繁栄を維持し、国民生命財産を守ることは、政府の最も重要な責務であると認識しており、政府としては、内閣危機管理監を設置するなど、危機管理に関する内閣機能の強化に努力を払ってきたところでございます。  また、先般の能登半島沖不審船事案におきましても、内閣危機管理センターで官邸対策室を設置し、情報を集約するなど、政府一体となって適時適切な対応を図ることができたところであります。  しかしながら、このような事案はいつ再発するかもしれず、我が国危機管理体制、安全保障体制の一層の充実を図るべく、教訓を謙虚に整理、検討することを指示し、鋭意取り組んでいるところでございます。  委員御指摘の、有事立法と申しますか、防衛出動が命ぜられた事態におきましての自衛隊の行動にかかわる有事法制問題につきましては、その研究は当然必要なことであり、政府としてもこれまで研究を行ってきたところであります。  現実に法制化を図ることは高度の政治判断にかかわる問題であり、今直ちに法制化することは考えておるわけではありませんが、政府といたしましては、有事法制は重要な問題と認識しており、国会における御審議国民の世論の動向等を踏まえて適切に対処してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、国民生命財産を守るためいかなる措置を講ずるべきかにつきましては、各種の事例に照らし、必要に応じ、法整備の問題を含め、十分な検討、整理を行い、我が国危機管理体制、安全保障体制を一層堅固なものとすべく、責任を持って努力してまいりたいと考えております。
  86. 達増拓也

    達増委員 近年、国家的な課題として経済の問題やまた行政改革といった問題があり、時の政府、それに一生懸命取り組んでこられたと思いますけれども、やはり安全保障の問題、危機管理の問題、これも国家にとって、また今の日本にとって見逃すことのできない、かなり集中的に、真剣に取り組まないと千載に禍根を残すような、そういうテーマであると思います。  そういう中での今回のこの周辺事態安全確保法案ガイドライン関係法案審議、非常に自由濶達な議論、また国民を巻き込んでの議論、いろいろな中から、最終的に国家としての責任を果たそうという考え方、同じ理念、政策、そういう方向性で、この問題にきちっと決着をつけなければということで、自民党、明改そして自由党修正案ができたということだと思います。  そのような志を同じくする政治家が心を一つに合わせつつ、総理の強力なリーダーシップのもとで、日本にとって国家百年の計をきちっとつくっていける、今回、そういう一つの例ではないかということを指摘させていただいて、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  87. 山崎拓

    山崎委員長 これにて達増君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  88. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  どの党がどういう修正案を出すのか、それすらもわからない状況のもとで、先週末の理事会できょうの質疑の日程が設定をされました。私は、当然それに反対をいたしました。  その修正案は、まだ十二時過ぎに出されたばかりであります。第一条で法の目的変更することを初め、この法の体系そのものにかかわる修正が幾つかなされている。そういう修正案が出されて、三時間程度の質疑質疑を終わろうというのは、私は、とんでもないことだ、断じて許されないということを最初に一言申し上げて、質問に入りたいと思います。  まず、第一条の修正にかかわって、自由党提案者にお聞きをしたいと思います。  「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」という表現がこの修正に入っておりますが、先ほどの質問にもありましたが、自衛隊法七十六条の「防衛出動」の中で「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」という表現がありますし、旧ガイドラインにも「日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合」という表現が出てまいります。  この「おそれのある場合」と「武力攻撃に至るおそれのある事態」というものの、同じか違うかという問題に関しまして、先ほど自民党の答弁者からは全く違うものだという答弁がありましたが、自由党の考え方を聞かせてください。
  89. 西村眞悟

    西村(眞)委員 冒頭言われましたことについて、我々は九十時間質疑を繰り返して、率直な質疑がありますから、当然意見の相違も生まれてくる。ただ、共通の思いとしては、民主党も含めて、この周辺事態法の成案を得るという志を持っておった。したがって、我々の質疑というものは、その共通の目的に到達するための過程であって、そして、その共通の成案を得るために使われるエネルギーというものは、政治の最も必要とするエネルギーなんです。共産党が言われておるのは、ただ単に廃案を主張するための質疑だったんです。だから、我々のこのことはわからないんです。九十時間の質疑がいかなる意味を持つかはわからないんです。  それで、質問のことについて、周辺事態の定義については、新たに加わった文言によって、この概念の外延が膨れたり縮まったりするのではなくて、概念の内包といいますか、その意味がより鮮明になった。共産党が言われておるように、全く関係のないところにちょっかいを出しに行くようなことになるということとは全く逆だ。我が国の国益がかかった問題であり、その問題に対して我が国がいかに動くかということを考える法案であることがより鮮明になったと思っております。
  90. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いろいろ余分なことを言われましたが、そういう点はこれからの議論の中で私も明らかにしていきたいと思います。  藤井幹事長は、この修正が入った後の記者会見で、我々の考え方がかなり反映された、我が党の主張してきた自衛権に基づく措置だと考えていると。つまり、この文言が入ることによって、この周辺事態自衛隊が行う行動というものは自衛権に基づく措置と考えている、こういう説明をなさっているんですが、そのとおりですか。
  91. 東祥三

    ○東(祥)委員 あくまでもこの周辺事態確保法案というものを、日米間における協力のあり方、また協力内容、そういうものにつぶさに取り組んでいく、こういう視点でもってとらえておりました。そして、そもそも米軍に対して、一九六〇年の安保条約以来四十年たった今日、拡大された便宜供与、瞠目すべき便宜供与をするわけですから、それなりの論理が必要である。一つのとらえ方として、自衛権というとらえ方があると思います。  そういう視点からではなくて、どのようにこれを説明し切ることができるのか。あくまでも米軍に対しての協力である。そういう意味で、藤井幹事長は、別の角度から見れば自衛権でもって説明し得るのかもしれないということで申し上げられたんだろうと、私は、その場におりましたから、そのように理解いたしました。
  92. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私も当委員会審議をずっと聞いてきたんですが、自由党皆さんは、この法案に基づく自衛隊の行動というものは、自衛権に基づくものなのか、それとも国連決議に基づくものなのかというような問題の立て方もされてきましたし、それから今お答えになった東委員自身、この周辺事態での日本の行動というものは、米軍の日本からの戦闘作戦行動への発進にノーなどと言うことは当然あり得ないことだ、ノーがあり得るなどということは信じられないという質問までなさり、そして、まさに日本の自衛にかかわるような、つまり自衛権の発動に近いようなものとしてこれを受けとめなきゃいけないなどということを一貫して言ってこられた。そういうニュアンスで藤井さんは言われた。そのことをお認めになりますね。
  93. 東祥三

    ○東(祥)委員 いろいろな見方があるわけですけれども、私がこの委員会の場で質問した内容というのは、自分自身が発言していることですから、それはよくわかります。  我々が提示している、そのまま事態を放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態、そういう文言を入れることによって初めて周辺事態の定義をより明確にすることができる。そういうものを入れないと、我が国の平和と安全に対する重大な影響を与えるといった場合、いろいろな場合が想定されるのではないのか。  そういう視点から、例えば朝鮮半島においてまさに有事が起こるとする。朝鮮半島それ自体における有事というのは日本の平和と安全に直接的な影響を与えてくることは、すべての委員または議員の方々がお認めになるところでございます。そういう事態を踏まえた上で、より的確なる、明確なる定義を与える必要があるのではないのかという角度で申し上げてまいりました。そういう定義が付されないと、ともすればそれは自衛権の問題になっていってしまう、その部分を明確にすることができますか、できませんかという角度からの質問でございます。  今回、私たちが主張しているこの周辺事態における定義をより明確化させることによって、これは自衛権の問題ではないという歯どめの一つの見方を提示させていただき、それが受け入れられたことによって、その部分部分における質問といいますか、疑問が払拭された、このように理解いたしております。
  94. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、藤井さんの、我々の考え方がかなり反映された、それから、我が党が主張してきた自衛権に基づく措置と考えているというコメントは、違うわけですね。そうはならなかったということですね、この文言を入れたことによっても。
  95. 西村眞悟

    西村(眞)委員 委員会で正式にお答えするのは考え方でございます。それを前提にして申し上げますと、我々の九十時間の率直な審議というものは、この成案を得るために、お互いに意見の相違点を相違点としてそれを確認し、この成案のための実り多き時間だった、私はそのように思っておるわけです。今ここに至って、だから前に何を言っていたかとかいうことについては、余り建設的ではないんです。
  96. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 では、建設的に聞きましょう。  この文言が入ったことによって、自衛権に基づく措置ということにはならなかったわけですね。(東(祥)委員「そういうことです」と呼ぶ)はっきり確認してください。
  97. 東祥三

    ○東(祥)委員 繰り返しますが、我々の主張する文言を入れることによって、自衛権の問題ではない、そういうふうに理解するに至っております。
  98. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 自民党もそういうことで確認しているわけですね。
  99. 大野功統

    大野(功)委員 そのとおりでございます。  自衛権の問題は、往々にして法律上の世界で問題になりますのは、武力の行使ということでございます。  この法案につきましては、武力の行使については全く否定しておりますし、武器の行使についても、我々としてはきちっとした考え方があるわけでございます。武器防護は九十五条、その他治安出動についてはきちっと、任務についてその合理的な範囲でやる。ただし、自然権的な武器使用については書かれておりません。この自衛隊法全体の体系、安全保障全体の体系で問題になるかと思いますのは、書かれていないことはやっちゃいけない、こういうことで、限定列挙的に書いてあることでございます。  したがいまして、話が少し横へそれますけれども武器使用については後方地域支援についても明記する、こういう措置をとっているわけでございまして、自衛権という問題は当然あるわけでございますけれども、それがあらわれてくるのは武力の行使ということでございますから、武力の行使とは関係ございません。
  100. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この周辺事態の定義をめぐっては、いろいろな議論があった。そして、結局最後は、民主党は最初自由党提案されて入った修正案について、大分自分たちに近づいたと言っていた時期もあられたようですけれども、最終的にはきょう違った修正案を出されている。したがって、この問題についても、いろいろな議論がありましてそれが何かに集約されてきているというようなことが言える段階ではないと私ははっきり申し上げなきゃならぬと思います。  それから、周辺地域の問題について少し、今度は政府にお聞きしたいと思います。  第一条の原文に、今度の修正も含めて入っておりますが、我が国の周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態、その前に今触れた例示が入ったわけですが、この原文の部分は変わっておりません。  この我が国周辺事態我が国周辺、これがどういう範囲か、もうずっと議論をされてまいりましたが、先週の木曜日の審議防衛庁長官は、何と言われても我が国周辺地域とは周辺事態が発生し得る地域意味するものである、こういう答弁をされました。私は、率直に言って無責任きわまりない答弁だと思います。  総理は、今の時点で、我が国周辺地域、あるいは我が国周辺の公海という言葉もありますが、この我が国周辺というのはどういうふうに考えておられるのか、国民にわかるように説明していただきたいと思います。
  101. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 防衛庁長官がかねて来御答弁申し上げておることに尽きると思っております。(佐々木(陸)委員「ちょっと聞こえなかった。もう一回言ってください」と呼ぶ)周辺事態とは、我が国平和と安全に重要な影響を与える事態であり、その事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するものでありまして、したがって、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできない。これはもう冒頭からしばしば、何十回も御答弁いたしておるところでございます。
  102. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 冒頭から一貫してそういうことを言われて、ちっとも問題が明らかにならないわけですよ。  だって、そうでしょう。いいですか。我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でしょう。我が国周辺事態であって、かつ、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態法案の条文はこうなっているんですよ。だから、総理も最初のころに、インド洋や地球の裏側は違うと言われたわけでしょう。そこでどんな事態が起こっても、それは周辺事態じゃないわけでしょう。我が国周辺地域で起こった日本の平和と安全に重要な影響を与える事態周辺事態じゃないですか。  周辺事態は地理的概念でないなんてことを何百遍繰り返したって、周辺事態が地理的概念でないなんてことはわかり切った話ですよ。そんなことを幾ら説明したって、全然説明にならないんですよ。周辺地域とはどういう地域なのかという説明をちゃんとしてもらわなきゃわからないじゃないですか。
  103. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 これも何回もやりとりをしているわけでありますから、改めて説明するのもどうかと思いますが、周辺事態というのは我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態である、これは地理的概念ではない、その発生する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないことであるということはこれまでずっと申し上げてきました。  こういうふうに周辺事態が特定できない以上、我が国の周辺地域はどこかと言われてもお答えするわけにはいかない。したがって、私はこの間から、御党の質問に対して、我が国周辺地域とは周辺事態が発生する地域意味するものである、こういうふうに申し上げてきたところであります。周辺事態が地理的概念でない以上、その発生する地域である我が国周辺地域もあらかじめ地理的に特定できないところである、こう答えざるを得ないのであります。
  104. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 先ほどから九十何時間審議をしてきたということが盛んに言われておりますけれども、九十何時間審議をしてもこの結果なんですよ。日本周辺の地域における日本の平和と安全に重要な影響を与える事態というふうに定義をしておいて、聞かれれば、その周辺事態というのは地理的概念ではございません、あらかじめ特定することはできませんと言って地理も全然説明できないという、それを繰り返しているだけなんですから。  六〇年の安保国会では、首相みずからが極東の範囲について政府の統一見解を述べました。その見解は、もちろん我々から見ればいろいろ議論はありますけれども、しかしそれは、四十年近くたった今日でも国会での論議でしばしば引用されて、論議の基礎になっているわけですよ。これに対して、周辺地域の範囲は周辺事態の発生し得る地域だなんていう、こんな答弁は本当に、後の世の議論にたえるどころか、物笑いの種にしかならないじゃありませんか。こんなことを繰り返していたのでは全然論議の締めくくりなんかできないということを申し上げておきたいと思います。もうこれ以上やっても時間のむだですから、これはやりませんが。  中国は、最近でも事あるごとに、台湾がこの周辺事態の対象に入るかどうか懸念を表明しております。  そこで、公明党にお聞きしたいと思いますが、公明党の求めで、政府周辺事態の六つの類型を示しました。その第六には、「ある国において内乱、内戦等の事態が発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大している場合であって、」云々ということが表明されております。  日本の近隣で該当しそうなところということを探すとだれでも台湾問題が思い浮かぶわけでありますが、修正で台湾は対象から明確に除外されたということが言えますか、どうですか。その辺について考え方を示してください。
  105. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 先ほど総理が何回も答弁されておりますように、この周辺事態の周辺というのはあらかじめ特定の地域を指定するものでございませんので、佐々木委員には大変失礼でございますが、具体的な地理については、入るかどうかという御答弁は私どもとしてはできかねます。
  106. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、修正議論を経ても、台湾が入るか入らないかということも言えないということであります。  周辺事態というのは事態の性格によって決まるんだからあらかじめ特定できない、しかし、その周辺事態という言葉の中に周辺という概念が含まれているんですから、これが説明できなければ周辺事態についてまともに議論をしたことに全くならないということを申し上げておかなきゃならぬと思います。  要するに、周辺事態というのは法案の基本概念であります。この事態になれば、日本への武力攻撃が行われたわけでもないのに自衛隊が公海にも出ていって米軍を支援する、さらに自治体や民間企業、国民も動員される、そういう基本の概念であります。その基本の概念について、周辺と聞かれると、周辺事態というのは地理的概念じゃないから周辺というのはどこか特定できないんだというようなことを繰り返している。だから、何時間審議を経たってこんなものは全然明らかにならない。こんなでたらめな法案審議は何時間やったって意味がないということを申し上げなきゃならぬと思います。  同じようなものが後方地域支援です。戦闘する米軍への自衛隊による武器弾薬の輸送や補給などが、兵たんの活動、ロジスティックサポートの活動であれば武力行使と一体化して憲法違反になるけれども法案に基づく活動は、戦闘が及ばない後方地域を指定してそこで実施するから、ロジスティックサポート類似の活動ではあってもそのものではない、よって武力行使と一体化せず、よって憲法違反ではない、これがいってみれば政府説明であります。  これも自由党にお聞きしますが、自由党はこれまでの議論の中で、前方と後方の区別なんかできない、そして後方地域なんていうのを指定してもこれはバーチャルリアリティーだ、こういうことをしばしば言ってまいりました。区別できないから、戦闘する米軍への支援を始めたら自衛隊は当然攻撃を受けるし、それゆえに武器使用が必要だということで修正に入れたということではありませんか。
  107. 東祥三

    ○東(祥)委員 常に明確に申し上げているとおり、憲法で禁じられているところは、我が国が直接攻撃されていない限りにおいてこちらから武力の行使はしないという一点でございます。したがって、後方地域支援、あるいは戦闘地域と戦闘地域でないところ云々、分ける云々ということは実体上なかなか難しいのかわかりませんけれども、問題は、我が国が攻撃されない限り武力の行使はしない。  他方、そのまま事態を放置しておれば我が国に直接その攻撃に至る、そのような事態我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態周辺事態というふうに言っている以上、米軍に対しての協力をその一点において行うということで何ら矛盾することは申し上げてない、このように思います。
  108. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 矛盾することを言っているというふうに今私は質問したわけじゃありません。自由党皆さんは、今まで、前方と後方を区別するなんということは実際上今の戦争ではできないんだということを、この論議の中で、私もよく聞いておりましたが主張をなさってきました。そして、そうである以上、後方地域とかなんとかといったって、そこでやる活動は非常に危険もある、だから武器使用を認める、そういう論理で今度の修正を主張されたわけでしょうということを言っているだけの話です。
  109. 東祥三

    ○東(祥)委員 後方地域支援活動における武器使用、それはこの法案自体に、九十五条の武器防護、これ以外入れていない。米軍に対しての協力周辺事態に対して行うという前提であるとするならば、何が起こってくるかわからない。したがって、輸送業務を行っている、これはあくまでも仮定の話ですけれども、そういう状況下において、武装兵がひょっとしてあらわれるかもわからない。あらわれたときに、そのときに、派遣されている隊員が、正当防衛あるいはまた緊急避難的な形でもってどのように自分を防衛したらいいのか、そこがこの法案において欠如している問題でしたから、武器使用権限を当然与えるべきである。それに基づいて修正されている。  以上です。
  110. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 では、防衛庁長官にお聞きします。  防衛庁長官は、これまでしばしば、後方地域支援後方支援と違ってあくまでも後方地域支援でございますので、戦闘行為が行われておらず、また行われることがないと認められる地域というふうに定めているわけでありまして、その後方地域に存する米軍に対して米軍の艦艇への人員や物品の輸送や補給等を実施するものでありますから、この場合、当該職務に従事する自衛官生命等に対する危険が生ずることは想定されていないということで武器使用について規定しなかったものでございますという答弁をされておるんですが、この長官の想定しておられた方向は、この修正によって、法案の体系は違ってくることになりますね。
  111. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私はこれまで、後方地域支援とかあるいは後方地域捜索活動につきましては、後方地域で行われるから、この後方地域支援等が米軍の武力行使との一体化の問題は生じない、それから、これら二つの活動はいずれも武力を行使するものじゃない、こういう意味で、憲法上の武力行使とは全く一線を画しているというふうに申し上げました。  しかし、このたび、三党間において、そういう安全な場合であっても、万が一予測されない事態が起こるかもしらない、ですから、念には念を入れて、そういう武器使用規定を置こうじゃないかという三党間の合意によるものでありまして、むしろそういう経緯については提案者の方から御説明いただいた方が適切じゃないかとは思いますが、私どももそういう提案の意図がよくわかりますから、納得して、実現したいと思っているわけであります。
  112. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 自衛隊の三つの活動のうちのこの分野だけは武器使用ということを除いてあったわけですが、それがこういう修正がなされるということについてもそれはそれで結構だ、本当に、では、今までの審議は何だったんだ、無責任な答弁だと言わざるを得ません。  この後方地域支援についても、いろいろな疑問がこういうふうにあります。法案第九条の、自治体や民間、国民に必要な協力を求め、あるいは依頼する、この問題についても同様であります。法案には、その具体的な内容は何も書いてありません。一体何をやらされるんだということで、二月三日付で、「周辺事態安全確保法案第九条において想定される協力項目例」、十項目、木で鼻をくくるような極めて簡単なものが出ました。こんなもので自治体や国民の不安や懸念は消せない。自治体決議がその後急速にふえて、二百近くにもなっているということで、先週の末、最終段階で新たに十一項目、多少詳しくなったものを提示して、ここでまた項目をふやしました。この間の質疑の中で出されたことを追加しているわけであります。  そこで、例えば「地方公共団体の有する施設や土地の一時的な貸与」ということが含まれていますが、この中に、例えば小中学校の体育館や校庭などが含まれますか含まれませんか、はっきりさせてください。
  113. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 先般もこの問題につきましては別の委員先生から御質問がございまして、御答弁申し上げたところでございますが、法理的にはそういうふうなものも除くということはないと思います。  ただ、実際問題といたしまして、学校というのは通常使っているところでございますので、そういうところを九条一項で求めるということは通常考えられないということを申し上げているわけでございます。
  114. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 通常は考えられない、しかし法理的に除かれているわけじゃないということを言いました。使っているところを使うわけないと言うんですが、それはかなり勝手な言い分だと思うんです。  この問題の本質は、根本は、アメリカ側の必要、今までの答弁でもありました、アメリカ側のニーズを見て検討するということを言っていました。  例えば、この委員会でも明らかにされましたが、九四年の北朝鮮の核疑惑の際にアメリカが千五十九項目の具体的な要求を出してきている。政府は、アメリカから一体どういうニーズが出されているのかという問題についてはほとんどこの委員会で明らかにしておりません。  明らかにしたのは何かというと、戦闘作戦行動に発進準備中の戦闘機に対して自衛隊が給油や爆弾、弾薬の装てんをやりましょうか、やりますまいかというお伺いを立てたら、それは要らないよと言われたので、これはニーズがないのでやらないことにしました、そういうことについてはニーズがありませんでしたということを明らかにしていますが、それ以外の問題については、一体アメリカ側がどういうことを要求しているのか。戦争における支援ですからね、だから、好きならやってくれてもいいし、嫌だったら断ってもいいよなんて単純な、そんなばかな話が通用する世界じゃないはずなんです。  そのアメリカの要求を実現するのがこの法案であるわけですから、自治体に対して強制ではないとか言っていますけれども、自治体に対しても、港湾法だとか地方公務員法だとかの規定をどんどん動員して、その他法律外のいろいろな措置も使いながら自治体にこういうことを事実上強制されていくということは非常に明白だろうと思います。  そうでないと言うのなら、アメリカ側の要求、ニーズは一体どういうものなのか、具体的なケースでどういうふうに出されているのか、当然示すべきでありますが、何も示されてはいないわけであります。この点でも法案審議をこれで締めくくれるような状況には全くない。これでは国民の疑惑は晴れないということを申し上げておかなきゃならぬと思うんです。何かありますか。
  115. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 これも何度も申し上げているところでありますが、私どもは、共産党が言われているように千五十数項目のまとまった要求書をもらったという事実は全くありません。ぜひひとつ、あるならば見せていただきたいと思っております。  それからまた、この法律は、どこを探しても、民間や公共団体に協力を義務づける規定一つもありません。また、拒否したから罰則の規定もないわけでありまして、それを勝手にあなたの方が義務だとか何とかと言っていることは、それはおかしいと思います。
  116. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、そういう答弁も承知した上で言っているんですよ。アメリカ側のニーズに対応してこの法案あるいはその他の措置を使って保障していこうとしているんじゃないですか。そのニーズが全然明らかにされていないということを申し上げているし、我々はその千五十九項目の内容も既に示しているところであります。本委員会に提出しております。  だから、要するに、九十何時間の審議をしてきたと言いますけれども、基本的概念が一向に明確でない。そして、先ほどの修正でも、そのまま放置すれば直接の武力攻撃に至るおそれ、これ自身も随分あいまいな解釈の余地を残す規定でありまして、新しい修正がなされたからといって何かこの問題が明確になるわけでもない。そして、周辺地域については全く無責任な答弁しか続いて行われない。これでは当然国民の納得も得られるものじゃない。  しかも、この修正の経過については、先ほど民主党委員からもいろいろ話が出ておりましたけれども、私たちからすれば、あの民主党委員がおっしゃったことよりももっと根本的な問題があるわけでありまして、理事会に二つの党の修正要求項目が正式に出された、それに対する正式の回答も何もないままに、理事会の外、委員会の外で修正協議がいろいろな形で伝えられて、それがきょういきなり出されてきて、こうして採決ということになってきているわけであります。  我々は確かに、先ほど答弁にもありましたように、廃案を言っていますけれども、廃案かどうか、賛否がどうかという問題にとどまらないで、こんなにいろいろな基本的な概念もまだ明らかになっていない、国民に対する疑惑も解かれていない、そういう状況で論議を終わりにしていいのかどうなのか。この問題は本当に問われていかなきゃならぬということを、私はもう何度も強調しておきたいと思います。  委員長にもその点についてはしっかりと認識していただきたいということを申し上げまして、質問時間が終了しておりますので、終わらせていただきます。
  117. 山崎拓

    山崎委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、辻元清美君。
  118. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党辻元清美です。  本日は締めくくり質疑というふうになっておりますけれども、私は、やはり審議は十分尽くされていないし、本日採決するのにはまず最初に反対と申し上げて、話を進めていきたいと思います。  六〇年安保のとき、当時衆議院に日米安保条約特別委員会が設置されて審議されましたが、これは何回やられたか、総理、御存じですか。今すぐ答えられないかもしれませんから私が申し上げますと、三十九回やっているのです、そのときの審議は。徹底審議をしています。今回はまだ十回しか審議をしていません。  かつ、政府はこの間、私は何回も安保条約の根拠条文を示してくださいと、総理に代表質問のときにも申し上げたと思うのです。ところが、根拠条文すら最後まで示すことができなかった。規定されていないからといってやってはならないと限らないなんという開き直った答弁をされた大臣の方もいらっしゃるわけなんですね。新ガイドラインという単なる実務者による政府間取り決めです、これで安保条約に規定されていないことをやってのけてしまうという、この手続においても憲法違反であると言わざるを得ないと私は思っています。ですから、どのように修正してもこの法案は廃案以外にないという一つ目の大きな根拠を私はここに示したいと思います。  政府は正々堂々と安保条約改定を、これをまず国民に信を問うというのが、私は私たちの責任であるし、筋ではないかというふうに最初に申し上げたいと思います。  さて、このようなありさまを危惧して、反対や慎重審議の意見書を採択した地方自治体は二百を超えようとしています。また、米軍への民間協力の直接的な対象となる航空、船舶、運輸、港湾関係の労働者は、きょうこの委員会をやっているこの瞬間も、国会の前に反対を表明して詰めかけていらっしゃるわけなのですね。このような動きは、私は日に日に広がってきているというふうに認識しています。  さてそこで、やっと初めて私は国民皆さんがこのガイドライン関連法案の矛盾や危険性について、その中身をやっと認識したのが今の時点であって、これからがいよいよ本番、これから国民的に議論を始めていくやっとスタート地点についたという私の認識です。  さて、それでは総理にまずお聞きしますけれども、総理は地方自治体が採択した意見書に幾つ目を通しましたか。読んだか読んでないか、率直に答えてください。
  119. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 新聞その他を通じまして、地方自治団体がそのような判断をしておることは承知をいたしておりますが、そうしたことも十分勘案をしながら、しかしながら、日本全国それぞれの自治体におきまして、民主主義国でございますから、いろいろな御判断はあるかと思いますが、政府といたしましては、日本国民の総意は、私は今回のガイドラインにつきましても理解を示していただいているものと確信をいたしております。
  120. 辻元清美

    辻元委員 ということは、意見書は、そのものは一通も読んでいないということですね。新聞でごらんになった程度ですか。
  121. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 いろいろ御主張されていることは承知をいたしておりますが、つぶさにすべての意見書に目を通しておることはありません。
  122. 辻元清美

    辻元委員 どんな懸念の声がありましたか。紹介していただけますか。——総理です。総理に答えていただかないと。委員長、総理にお答えいただかないと。
  123. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 どのような意見が出されているかという御質問でございますので、幾つかの例を申し上げたいと存じます……
  124. 辻元清美

    辻元委員 というのは、総理は今お答えになりましたよ、新聞などで読みましたと。だから、どういう心配を御認識されているかということを私は総理に直接聞きたい、お聞きしたいと申し上げているわけですよ。  それはすごく大事な点だと思っています。総理は、やはりそういう、非常に不安の声も受けとめていらっしゃるというならば、どういう声があるということを総理みずからの声で語られるべきです、今こそ。総括質疑ですよ、きょうは。
  125. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 委員長の御指名でございますので、内容につきまして御説明いたしたいと思います……
  126. 辻元清美

    辻元委員 ですから、その声をどう受けとめているかというところは、この法案審議に当たっては大事だと思いませんか、皆さん。(発言する者あり)
  127. 山崎拓

    山崎委員長 静かにしてください。御清聴願います。静かにしてください。
  128. 辻元清美

    辻元委員 総理、総理に。答えてください、総理。  ですから、こういうのを読んだ、こういう意見があるけれども私はこう思うということを率直に、そんな答弁書なんかもらわなくても答えられますよ。何日間やってきたんですか、総理。総理、総理の言葉で答えてください。
  129. 山崎拓

    山崎委員長 辻元君、座ってください。内閣総理大臣
  130. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 地方自治団体の中におきましては、地方自治団体として、このガイドラインをめぐっていかなる事柄を要請されているかにつきましていろいろと不安があり、そういった点について意見書が出ていることは承知をいたしておりまして、そうした内容につきましては一応読ましてはいただいて、ここにありますから読んでもよろしゅうございますけれども。それは、それぞれの自治団体におきまして、どのようなガイドラインが出た場合にはどのような、本当に、強制力を持たれるのかあるいはどのような協力をしたらいいのかというような不安があっていろいろ意見書が出ておるわけでございまして、その点につきましては、しばしばこの委員会を通じまして、自治大臣を初め関係の大臣からその説明を十分いたしておるところでございまして、そうした点についてまだ御理解をいただいていない点があるとすれば、それはさらに理解をいただかなければならぬと思っておりまするけれども、ぜひ、この点については、政府としては万全の措置を講じていくということにつきましてはきちんと答弁をいたしておるところでございます。それを実行いたしていきたいと思っています。
  131. 辻元清美

    辻元委員 今総理の御答弁の中に、いろいろな声があると。その中身、どういう声があると御認識ですかと伺っているわけなんですね。  もしも総理、本当にまだよく直接お聞きでなければ、今審議をストップして私と一緒に国会の外に出ましょう。外に出、直接関係のある労働者の皆さんの声を聞かれたらどうですか。私はそう思いますよ。それがやはり総括というものの意味じゃないですか。そのために総理は今出てこられているんじゃないですか。私はそう思いますけれども。  総理、今の御答弁を聞いていますと、総理はアメリカの御説明は何回も聞かれたんじゃないでしょうか。アメリカにまるで、この審議の日程もそうです、お土産として持っていきたいといっぱい論評されていますけれども、私もこの委員会でその論評に賛成。アメリカにお土産を持っていきたいという意図が、はっきり言うて見え見えというか、アメリカの方を向いていますけれども国民の方を向いていないと言わざるを得ないと、今の総括質疑での総理の御答弁を聞いても、私はそう言わざるを得ないと思います。  それで、さらに続けさせていただきたいと思います。  そういうような状況を、今の前提条件です、この審議の。そして修正案に至っては、私はこの委員会のこの部屋に来てから、ちょっと前にこの修正案を拝見しました。まだ三時間もたっていません、この修正案を見てから。理事会の正式な場で協議するという話でしたけれども理事会では、はっきり言いまして、民主党公明党修正要求ペーパーが配られただけで、理事会の場で各党そろって論戦を張るなんていうことはなかったわけです、一度も。何だか赤坂の料亭とか近所のホテルで協議をしたというような報道ばかりたくさんあるじゃないですか。私は、こういうやり方も非常におかしいと思います。こういうことが国民の政治不信を買っているんじゃないでしょうか。  さて、総理は、この修正案なるこのものをいつ見ましたか。いつごらんになりましたか。総理、お答えいただきたいと思う。いつごらんになりましたか、これを。
  132. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 段々の経緯で、自民党と自由党とがまず協議を行い、そしてその上で公明党ともお話を進めて、その段々の経緯につきましては、常に党から、また官房長官から報告を受けながら、逐次、その判断について私の方に報告をいただいておったところでございます。
  133. 辻元清美

    辻元委員 ですから、今私がお聞きしましたのは、この最終案、これをいつごらんになりましたかと。総理は、何時間審議しているという御認識ですか。その二つをお答えください。
  134. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 申し上げましたように、与党同士の話し合いが済み、そして公明党ともその修正について話し合いをしておりましたことにつきまして逐次報告を受けておりまして、昨晩にその修正についての考え方がまとまったという報告を受けたところでございます。
  135. 辻元清美

    辻元委員 昨晩にまとまったという報告を受け、私たちは委員です。三時間前にちょっと、三時間たっていない前に見ただけ、こういうあり方ですね。  この内容を見ましても、私は、もともと現行の安保条約を逸脱して憲法違反があるというようなことをいろいろなところで指摘されていましたし、周辺事態の定義にしたって、後方地域支援にしたって非常にあいまい、ごまかし法案だと言わざるを得なかったと思っているんですけれども、そこにさらに各党の思惑、それとか各党の違った意見をつなぎ合わせて強引にねじ込んで、支離滅裂法案になってしまったんじゃないか、私はこのように言わざるを得ないと思います。修正とは言えず、はっきり言って土壇場修悪としか言いようがないというふうに、この修正案については申し上げたいと思います。  さて、そういう中で、先ほどからも話が出ておりますが、総理は私の今までの質疑の中で、先ほどの話です、後方地域支援は、これは何回も私、代表質問の折も、心の底で武力行使と一体化する可能性があると思っていらっしゃるんだったら、はっきりと勇気を持ってお答えされるのが総理の責任ではないですかという問いかけに、一体化ではない、そして戦闘行動の一体化ではないというふうにお答え続けていらっしゃいましたけれども、今も御認識、それは変わらないわけですか、これだけ質疑してきても。
  136. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 変わりはございません。
  137. 辻元清美

    辻元委員 それでは、修正案提出者西村眞悟委員にお聞きします。  私は、西村委員とこの点だけが一致していたんですね。後方地域支援は戦闘行動の一部とみなされる、この点だけは西村委員とこの委員会で一致していたことは皆さん御存じだと思いますが、今も変わらないですね。西村委員
  138. 西村眞悟

    西村(眞)委員 周辺事態対応措置は自衛権と無関係な措置ではない、これは確かでしょう。だから、新しく入ったあの文言において、先ほどからお答えしている、何が明らかになったか。ほっておけば、我が国の権利としての自衛権を行使しなければならない。反対に……(発言する者あり)いやいや、これを反対からいうならば、自衛権を行使する以前の行為である、この定義から出てくるわけですね。しかし、自衛権と無関係な行為ではない。したがって、不測の事態が起こり得る、こういうことです。
  139. 辻元清美

    辻元委員 私が聞いているのは、西村委員がもう力説して、戦闘行動と一体化するじゃないかとあれだけ鋭く追及されていた、それは認められるわけですね。西村委員
  140. 西村眞悟

    西村(眞)委員 修正協議が調った現在、私自身が個人的に答弁すると委員長がお許しいただけるのならば、幾らでもつき合います。
  141. 辻元清美

    辻元委員 今のはしっかり議事録に残っていますよ。恥ずかしくないですか、そういうことをおっしゃって。私はそう思いますね。  というのは、ここは非常に大事なところですよ。この後方地域支援についてどのような認識を持つかということは、この法律の根幹にかかわる問題です。そうでしょう。この法律の基本の任務の一番大きな部分と言っても過言ではないじゃないですか。それが、私は、これは西村さん、今のははっきり言って逃げだと思いますよ。全然矛盾していますよ、今まで言っていたことと。  ですから、修正案では後方地域支援でも武器使用を認めるとした時点で、今まで政府は、後方地域支援は安全で、戦争の行為の一部である後方支援とは違うと言ってきていた、この政府の主張そのものが破綻してしまっている。今までの答弁の百八十度の転換だと思います。  ですから、この点だけをとってもこれからまだまだ審議しないと、この法案をこれで審議打ち切りなんて、そんなことを認めるわけには私はいかないと思います。これは、皆さんお聞きになっていて、そうだなと心の中で思っていらっしゃる方は結構たくさんいらっしゃると思いますよ。だっておかしいもの。  さて、それではもう一つ聞きたいと思うんですけれども、今回の修正で、周辺事態法案の周辺事態の定義を、何とか等と入れて、変えました。ACSAの周辺事態の定義もこれは変えるんですか。ACSAの定義、変えますか。これは外務大臣ですね。
  142. 高村正彦

    ○高村国務大臣 周辺事態安全確保法案の定義自体は変わっていないと思っていますし、当然ACSAの定義は変えません。
  143. 辻元清美

    辻元委員 ということは、ACSAも文言を変えるということですね。あの部分を、周辺事態法案の修正案に出た部分を挿入するという理解でよろしいですね。
  144. 高村正彦

    ○高村国務大臣 変えませんと申し上げたのが入れるという理解でよろしいですねと、どうしてそういうことになるのか、全く理解できないということでございます。
  145. 辻元清美

    辻元委員 私はおかしいと思いますね。このACSAと、これは三つ一括して関連法案として出されているわけですから、一方を変えて、それは国内的な配慮じゃないですか。ACSAはアメリカとの協定でしょう。ですから、国内的な顔とアメリカへの顔と、これは一致していないんじゃないですか。どうですか、外務大臣
  146. 高村正彦

    ○高村国務大臣 提案者が先ほどからおっしゃっているように、この周辺事態の定義をさらに拡大するものでも縮小するものでもない、わかりやすく国民説明するために入れた、こういう趣旨のことをおっしゃっているわけでありますし、ACSAについて定義が全く変わっていない以上、協定の定義を変えるつもりは毛頭ございません。
  147. 辻元清美

    辻元委員 私が土壇場修悪と申し上げたんですけれども、今のような御答弁は、私は通用しないと思います。これは、ここの定義の部分、ACSAの定義の部分についてもずっと議論してきたんですよ。土壇場ですっと変えてしまう、そういうやり方じゃないですか。  さて、民主党修正案にも質問します。  民主党は、このACSAについてどういう御見解なんでしょうか。
  148. 岡田克也

    ○岡田委員 民主党は、基本的にこの日米防衛協力が必要であるという見解に立っておりますので、ACSAに対しては賛成であります。
  149. 辻元清美

    辻元委員 それでは、前回私はACSAについて質問しましたが、この四条には「日本国自衛隊又はアメリカ合衆国軍隊がそれぞれの国の法令に従って行う活動」というふうにACSAには出ておりまして、この「それぞれの国の法令に従って」という法令というのは、周辺事態法案のことを指します。  私は、民主党が、ACSAは賛成して、周辺事態法案は今修正を出していらっしゃいますけれども修正案原案に反対されたとしたら、これは矛盾してくると思いますので、ACSAもあわせて、やはり周辺事態法案と連動していますから、反対だったら反対という行動をとらないと矛盾すると思いますが、いかがでしょうか。
  150. 岡田克也

    ○岡田委員 我々が周辺事態法案の原案に反対しているのは、幾つかの理由があって反対しているわけでありますから、一つだけを取り上げて議論されるのは、私にはよく理解できないことであります。
  151. 辻元清美

    辻元委員 いや、どう考えても、これは前回私が質疑したところですからこだわっていますけれども、連動していますので、まだ少し時間がありますから、この点もよく議論して態度をお決めになった方が私はいいなというふうに思っておりますので、そういうことを申し上げました。  さて、先ほどから、アメリカへの手土産論というのが出ていますけれども、私は、これはこの間の、日程急げ急げ急げ。何だか二十九日、総理が行かれるまで、それまでに採決をしてほしいという自民党、与党の皆さんの声を、直接私は幾つも聞きましたね。そういうことでいいんでしょうか。  実際、そういう態度を見ていると、どうもアメリカの喜ぶお土産を持っていって、総理、これは恐縮ですけれども、昔冷めたピザとか言われました。そやから、ホットピザへアメリカの評価を転換してもらって、アメリカの国益に沿った、その評価という外圧で政権の延命を図ろうと考えている、そういうふうな見方をされてもしようがないような今回の審議であると私は言わざるを得ないとはっきり申し上げたいと思います。
  152. 山崎拓

    山崎委員長 持ち時間が参りましたので。
  153. 辻元清美

    辻元委員 いや、しかし、そうであるならば、こんな三時間前に配られて、これで審議打ち切りなんて、こんなこと認められるわけがないじゃないですか。そうでしょう。  大体、この周辺事態定義そのもの変更しているわけですよ。後方地域支援における武器使用、これは、後方地域支援が何だったかということ、これも今までの定義、根底から覆そうとしていますよ。これは法案の本質に触れる転換である、皆さんそう思われるのじゃないでしょうか。集団的自衛権の行使にもつながりかねない、私はそう思います。  その修正案なるものが数時間前に配られて、審議もほとんどせずに採決するということは、私は、この立法の府で働く国会議員としての自殺行為だと思います。  やはりこれは、私は申し上げたいと思いますけれども、まだ審議続行しましょうよ。そうですよ、本当に。こんな大事な問題ですよ。今までの日本の進路、これを変えざるを得なくなるかもしれないという法案ですよ。ですから、これをこういう形で審議を打ち切るのはおかしいと私は本当に思います。そういう行為をしたら、後で愚かな行為をしましたねというように歴史から叱責されかねないというふうに私は思いますけれども皆さん、いかがですか。  この法案については、もう一度、スタート地点がきょうですよ、これだけ修正案が出て。ですから、このスタート地点に立って、これから、総理もそんなにアメリカへ行く日を気になさらずに、ぜひこれがスタート地点だと思って、本当にやり続けるべきだと私は思います。  本当にそうですよ。おかしいですよ。これで打ち切りとしたら、私たち全員が恥ずかしい思いを後でするかもしれません。そう思いますよ。
  154. 山崎拓

    山崎委員長 辻元君、終わります。  これにて辻元清美君の質疑は終了いたしました。  これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。  以上をもちまして各案件並びに遠藤乙彦君外九名提出の修正案及び畑英次郎君外一名提出の修正案に対する質疑はすべて終局いたしました。     —————————————
  155. 山崎拓

    山崎委員長 これより各案件及び両修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。
  156. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました周辺事態安全確保法案及びその修正案に賛成の立場から討論を行うものであります。  本法案は、我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態、いわゆる周辺事態対応して我が国実施する措置等を定め、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とするものであります。  我が国は、戦後五十余年にわたって、一貫して平和と繁栄を享受し続けてまいりましたが、二十一世紀へ向けての新たな情勢に対処し、引き続き我が国の平和と安全を確保していくためには、日米安保体制を堅持し、適切な防衛力の整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うという安全保障政策を維持していくことが肝要であります。  今日、冷戦終結後約十年が経過し、国際情勢は大きく変化しましたが、アジア太平洋地域におきましては、依然として不安定、不確実な要因が存在しております。言うまでもなく、この地域における平和と安定は、我が国の安全と密接にかかわっているものであり、日米安保体制が地域の安定の重要な基盤となっていることは論をまちません。その日米安保体制の信頼性の向上という観点からも、本法案は極めて重要な意義を有するものであります。  すなわち、本法案においては、周辺事態に際して、我が国は米軍に対し後方地域支援等を行うこととされておりますが、事態の収拾、抑制のために活動する米軍に対し、我が国の憲法の範囲内で協力を行うことは、日米安保体制の信頼性を大きく向上させるものであり、ひいては我が国に対する武力攻撃の抑止に資するものであります。  このように、我が国の平和と安全にとって極めて重要な意義を有する本法案は、本委員会において精力的に審議され、委員会における修正案として、一定の対応措置について国会承認の対象とすることとしており、シビリアンコントロール確保にも十分配慮をされているところであります。  また、修正案において、船舶検査活動に係る条項は削除をされることとなりましたが、今国会中にも、別途立法措置をとることとし、自由民主党自由党及び公明・改革の三会派間でこれについての協議を開始することとしております。今後の建設的成立に向けて努力してまいりたいと存じます。  最後に、本法案におきましては、周辺事態という我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態に際しましては、単に国のみが対応するだけでなく、地方自治体等に対する協力を求め、依頼することができることとされています。  もとより、この規定は、いかなる意味におきましても強制に当たるものでないことは、たびたびの政府側の答弁で明らかでありますが、関係各位におかれましては、周辺事態という事態重要性にかんがみ、本法案趣旨を十分御理解いただき、協力の依頼があった場合には適切に対応していただくようお願い申し上げまして、私の賛成討論といたします。  ありがとうございました。(拍手)
  157. 山崎拓

    山崎委員長 次に、畑英次郎君。
  158. 畑英次郎

    ○畑委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりましたACSA協定改正案に賛成、内閣提出周辺事態安全確保法案及びそれに対する自民、自由、公明党・改革提出の修正案に反対、民主党提出の修正案に賛成、自衛隊法改正案に賛成の立場で討論いたします。  民主党は、日米安全保障条約支持し、日米防衛協力を進めることが日本安全保障のために不可欠であり、ガイドライン関連法案の整備は基本的に必要であるとの認識に立っており、この立場からACSA協定改正に賛成いたします。  自衛隊法改正案についても、邦人救出の実効性を高めるために、艦船を派遣する選択肢を加えることの必要性にかんがみ、これに賛成いたします。  次に、周辺事態安全確保法についてであります。  日米防衛協力に当たっては、我が国主体性確保国民生活に対する配慮を法律規定することが必要であります。内閣提出周辺事態安全確保法案はこうした点が不十分であり、また、自自公の修正案は看過できない重要な問題点を抱えております。  第一に、基本計画全体ではなく、自衛隊の一部活動のみを国会承認事項規定しており、地方自治体や民間協力に対する行き過ぎた協力要請に国会が歯どめをかけられないことであります。  第二に、周辺事態の定義や政府統一見解は拡大解釈の余地があり、専守防衛を大きく超えて、自衛隊活動領域に歯どめがかけられないことであります。  第三に、新ガイドラインについて日米間で合意した国連決議に基づく船舶検査活動が削除されており、法案として未完成なものとなっていることであります。  民主党は、自治体、民間協力項目を含む基本計画全体を国会原則事前承認事項とすることや、周辺事態日本有事に発展する可能性があると判断される事態に限定すること等を主な内容とした修正案を提出いたしております。民主党修正案への議員各位の賛同を改めて要請し、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)
  159. 山崎拓

    山崎委員長 次に、佐藤茂樹君。
  160. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、公明党改革クラブを代表いたしまして、自由民主党公明党改革クラブ自由党三会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案等に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。  戦後、我が国は、平和憲法と日米安保条約のもとで平和と安全を享受し、目覚ましい経済の繁栄を遂げてまいりましたが、国家の存立にとって欠くことのできない安全保障については現実的な議論がなされるような環境にはありませんでした。そのため、我が国がアジア太平洋地域における日米同盟の有する重要性認識し、我が国なりの役割を果たしていくには、何より、アジア太平洋地域における現実を直視し、それを我が国の外交方針に反映させた上で、日米両国間における信頼性の強化を図るための具体的な体制の確立を早急に行う必要があります。  そうした我が国を取り巻く現状を考えた場合、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とするガイドライン関連法案は、日米間における安全保障上の信頼性の強化に寄与するものであるとともに、依然として我が国周辺地域には不安定要因が存在しているという現実への備えという意味においても、国家としてまさにとるべき措置であると考えるものであります。  以下、順次、三会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案等に賛成する理由を申し上げたいと思います。  三会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案等に賛成する第一の理由は、このガイドライン関連法案は、我が国憲法の精神と原則を十分に踏まえたものとするため、周辺事態安全確保法案に基づく措置日米安保条約の枠内である旨を法案上に明確にされたことであります。  賛成する第二の理由は、国会の関与に関し、基本計画に定められた自衛隊部隊等が行う後方地域支援活動後方地域捜索救助活動について、原則国会の事前承認とし、緊急の必要がある場合には事後承認を求めることとし、また、基本計画に定める対応措置の終了後、対応措置の詳細を国会に報告する義務を法案に明記されたことであります。  賛成する第三の理由は、周辺事態の概念を明確にするために、認定基準につき類型化したものを政府統一見解として明らかにされたことであります。  賛成する第四の理由は、地方公共団体や民間に対する協力内容に関しさらに明確化され、マニュアル等の作成、提供政府答弁として確認されたことであります。  以上、我が会派がこれまで強く求めてきた修正事項が盛り込まれたことを受け、私は、三会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案等は速やかに可決成立させるべきものと考える次第であります。  さらに、現在議題となっておりますガイドライン関連法案は、いわゆる対話と抑止に該当するものであります。しかし、このような点に関する議論は、本来、我が国の平和戦略がいかなるものであるかが示された上で、対話と抑止の双方に対する我が国の取り組みが議論されるべきであったのではないでしょうか。  御承知のように、このガイドライン関連法案に対しては、近隣諸国から懸念が示されたり、特に米軍基地を抱える沖縄を初めとする地域においては、政府国民に対する説明不足も手伝い、不安の声が上がっております。このような状況を踏まえ、政府におかれましては、この機会に我が国として国際社会の平和構築のためいかなる外交を展開していくのか、つまり、我が国の平和外交に対するビジョンを示すべきであります。  最後に、民主党提案周辺事態安全確保法案に対する修正案につきましては、評価すべき点もありますが、見解を異にするため反対であることを表明いたしまして、私の三会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案等に対する賛成討論といたします。(拍手)
  161. 山崎拓

    山崎委員長 次に、達増拓也君。
  162. 達増拓也

    達増委員 私は、自由党を代表して、自民党、公明党改革クラブ自由党提出の修正案に賛成、修正部分を除く政府原案に賛成、民主党提出の修正案に反対の討論を行います。  賛成する理由の第一は、我が国の平和と安全の確保に寄与すると考えるからであります。日本の安全を確保する上で、米国との同盟関係は必要不可欠であります。我が国の安全を我が国のみで確保するためには膨大な装備と人員が必要になり、大きな負担となるばかりか、それ自身がアジア太平洋地域の不安定要因となりかねません。ガイドライン関連法案は、日米関係をより強固なものにし、日本の安全確保に大きく寄与するものと確信するものであります。  第二に、アジア太平洋地域の平和と安定にも資するものであるという点であります。我が国周辺地域の安全を日米両国が協力して確保するという関係が強化されることは、アジア太平洋地域の安定に寄与することとなり、この地域の紛争要因を抑え込む見地からも有意義であると考えるものであります。  第三に、日米同盟関係の強化は、世界の平和と繁栄にとっても意味のあることであるという点であります。世界第一、第二の経済大国が、経済的ばかりでなく政治的にも結びつきを強めることは、世界の緊張緩和と経済発展にも資するものであり、この点からも評価すべきであります。  第四に、米国が一方的に我が国の安全を守ってくれるという関係から、我が国が米軍に協力するという、普通の同盟国が行う支援をようやく我が国としても行うようになるということであります。日本が米国と協力して一緒に汗をかくということが、日米関係をより確かなものにしていく上で不可欠のものであると考えます。  自由党は、以上の理由から、ガイドライン関連法案の成立は必要であるとの立場をとってまいりました。しかし、政府案には、自衛隊という我が国唯一の実力組織を海外に派遣するに当たり、従来の政府見解ではなし得なかった活動をなし崩し的に拡大させていくのではないかという懸念があり、安全保障政策を遂行していく上での明確な原理原則を明らかにすることなしに、むやみやたらに自衛隊を海外に派遣するべきではないというのが自由党の主張でありました。  この見地から、我が党は自民党との間に修正協議を行い、最終的には公明党改革クラブも加わって、三会派による修正合意がなされたのであります。これにより、我が党の主張がより明確に法律案に反映することとなったのであります。  なお、民主党提出の修正案は見解を異にしており、反対であることを申し添えます。  日米安保共同宣言から三年、法案国会に提出されてから一年、ようやくガイドライン関連法案が衆議院を通過しようとしております。これらの法案が早期に成立し、日米友好関係の発展と我が国周辺地域の平和と安全が安定的に確保されますことを強く希望して、賛成討論を終わります。(拍手)
  163. 山崎拓

    山崎委員長 次に、木島日出夫君。
  164. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、日本共産党を代表して、周辺事態法案など新ガイドライン関連三法案、条約案に対して、反対の討論を行います。  最初に、法案審議を打ち切り、採択を強行することに強く反対します。  本法案は、憲法の平和原則にかかわる重大問題を持つものであるにもかかわらず、周辺事態が、どういう地域の、いかなる事態であり、だれがどういう基準で決定するのかという根本問題についてさえ、政府はまともに答弁せず、あいまいな答弁を繰り返してきました。加えて、本日、これまで審議してきた法案の骨格にかかわる修正案が提出されてきました。これに対する質疑時間は、わずかに三時間のみであります。憲法原則にかかわる数々の問題があるにもかかわらず審議を打ち切るなどということは、国会審議権を投げ捨てるものであり、議会制民主主義をじゅうりんする許しがたい暴挙であり、到底認めることはできません。  反対の第一の理由は、法案が、周辺事態に際して我が国が行う活動は、武力行使を行う米軍に対する武器弾薬、兵員の輸送、燃料の補給など、戦闘行為と一体となってこれを支える兵たん活動そのものであり、法案は、憲法九条の平和原則をじゅうりんする違憲立法ということであります。政府の前方と後方は区別できるという答弁は、軍事常識上も国際法上も、さらにはまた憲法解釈上も到底成り立つものではありません。  反対の第二の理由は、周辺事態の定義、概念が、地理的にも内容的にも全く無限定であり、特に周辺地域から台湾を除外していないことは、政府一つの中国という方針に反して、中国への内政干渉にもつながるものであります。日本がアメリカの戦争に加担、参加することは、アジア太平洋諸国に軍事的脅威を与え、この地域全体に軍事的緊張と武力紛争の危険性を増大することになるということであります。  反対の第三の理由は、本法案によって、アメリカが、パナマ、グレナダ侵略やイラク空爆、ユーゴ空爆などに見られるように、国連憲章や国際法を無視して無法な先制攻撃をした場合にまで、我が国がこれに加担する道が開かれるということであります。  反対の第四の理由は、法案が、自衛隊のみならず、地方自治体、民間にもアメリカの軍事行動への協力を事実上強制し、国民生命と財産、権利と生活を脅かすことになるということであります。それは、憲法で保障された地方自治と国民の基本的人権に対する許しがたいじゅうりんであります。  以上が政府提出法案に対する反対理由でありますが、自民、公明・改革、自由の三党から提出された修正案民主党提出の修正案は、いずれも法案の持つ重大な問題を何ら変えるものではなく、反対であります。  現在、多くの国民と地方自治体の中に、この法案の危険性に対する批判と危惧の声が急速に広がっています。  日本共産党は、憲法の平和原則を破壊し、歴史の教訓に逆らって我が国を再び戦争への道へと歩ませるこの法案の廃案を強く求め、反対討論を終わります。(拍手)
  165. 山崎拓

    山崎委員長 次に、伊藤茂君。
  166. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、三法案内容修正をめぐる大混乱のこの状況について心からの怒りを込めながら、政府原案の撤回を要求し、自民、明改、自由三会派共同提出の修正案民主党提出の修正案の二つに反対する立場で、社会民主党・市民連合の見解と決意を表明します。  今私は、この国会の状況は一体何だろうか、国会国民日本の将来への責任は消えてしまったのではないか、そういう思いを抑えることができません。私は、怒りを込めて、日本の将来への深い憂慮の念を込めて申し上げたい。  日本の進路と憲法の基本にかかわるこの法案について、自民党の諸君が小渕首相訪米の手土産に強引に採決する行動をとったことは許せません。国民合意のための徹底した審議は、議会の、また我々の国民への基本的な責任であります。理事会で修正案への回答もないままに採決日程が決められ、そこから修正の協議をするという状況もまさに異常であります。  それに加えて、我が党と共産党以外の各党協議なるものは、混乱混乱を重ねて、政府が重要項目として説明し、議論の焦点となってきた船舶検査事項を削除しました。これは、法案審議と協議なるものが、まさに矛盾の塊であることを表現したものと言わなければなりません。  社会民主党は、この法案内容が憲法に違反し、ポスト冷戦時代の歴史の方向に背を向けたものであり、部分的な修正をしても危険な本質は変えることはできないと主張します。政府原案はもちろん、提出された修正案内容を見ても、その思いを深くいたします。自民党自身が国会議論の重要な焦点となった問題について削除を合意するなどは、まさに矛盾に満ちたことをみずから表現をしたものにほかならないのであります。我が党は、議会の歴史に汚点を残すようなこのような態度と内容を厳しく糾弾するものであります。  特に、周辺法案の基本的な部分である第一条、目的において、いわゆる準有事とも言われる内容を導入して事例を追加する合意なるものは、重大な安保の変化を意味することを、我が党の土井党首が記者会見でも指摘したところであります。  そういう立場から、原案の撤回を要求し、二つの修正案に反対する決意を申し上げます。  特に厳しく指摘したいことは、これによって日米安保条約はグローバル安保となり、日米安保条約の本来の中心目的であった日本の平和と安全をはるかに超えたものに変質することであります。  歴史にとどまる六〇年安保改定での先輩の議論、この部屋で行われた議論であります。その中で、軍事同盟の暴走を抑える二つの歯どめが確認をされました。その一つは、極東の範囲であり、もう一つは、在日米軍の行動に関する事前協議制度でありました。  しかし、今、その二つは空洞化どころか空文と化して消滅しているのが今日の政府の態度と言わなければなりません。今や沖縄や横須賀を初めとする在日米軍基地から、はるか湾岸に自由出撃をしています。これが日本の現実であります。米国自身がこれを公式に高く評価をしているのであります。  本案は、まさに危険な新条約であります。これを撤回して新条約交渉をやり直して、二十一世紀日本の新しい世界における生き方を真剣に国会議論をして、もって国民に信を問うべきであります。それだけが国民皆さんに誠実にこたえる唯一の道であることを私は強く表明します。  また、周辺事態法案には反対、自衛隊法改正と新ACSAには賛成という対応も、論理的にも、国民的にも理解しがたいものであると考えます。  私がさらに強調することは、国会の権威と責任を落としたことであります。国会は、国権の最高機関であります。国会が首相を指名して政府があります。国民に最高の責任を負い、国と国民に責任を持つ決定をするのは国会であります。国会政府の下にあるのではないのであります。国会決定すべき重要なことを、政府の自由に任せるわけにはまいりません。すべてが国会承認で決まるというのが議会制民主主義の原理であります。  特に後方支援という名による戦争参加の危険性は、憲法そのものにかかわる問題であります。近代戦に前方も後方もないことは常識であり、私どもは、繰り返し審議の中で主張をいたしてまいりました。本法案ではこのような事態は、憲法で規定する集団自衛権の行使につながる重大な問題であります。  さらには、地方自治体と民間に協力を求めると言いながら、協力するのは当然、正当な理由なくして拒否は許されないと答弁して、事実上の強制を意味する答弁をやっています。さらに、高知県などの非核のための行動を抑圧しています。これは、憲法に定める自治権と国民の基本的な権利への重大な侵害であります。審議に出席をされました陸海空で安全な運送を担っている働く人々が、参考人としてこの場で切実な意見を述べられましたが、そういう意見を無視して、米国の意見にだけこたえようとする内容であると言わなければなりません。  この内容の危険性は、何時間かけても語り尽くせない重要な問題があります。私は、日本国憲法の前文にある、国際社会に名誉ある地位を占める日本への原点に立って、政府案を撤回し、部分的な措置では変わらないものですから修正案も撤回して考え直すことを要求します。  社会民主党は、日本国憲法の理念を高く掲げ、それを現実のものとするために闘い抜くことをここに宣言して、社会民主党を代表しての反対の討論といたします。  重ねて言います。社会民主党は、政府原案並びに修正案に反対します。  以上で終わります。(拍手)
  167. 山崎拓

    山崎委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  168. 山崎拓

    山崎委員長 これより採決に入ります。  第百四十二回国会内閣提出日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 山崎拓

    山崎委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  第百四十二回国会内閣提出周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、畑英次郎君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 山崎拓

    山崎委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、遠藤乙彦君外九名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 山崎拓

    山崎委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  172. 山崎拓

    山崎委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  第百四十二回国会内閣提出自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  173. 山崎拓

    山崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 山崎拓

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  175. 山崎拓

    山崎委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十八分散会