○安倍(晋)
委員 私としては、これはせっかく捜索救援
活動あるいはまた
船舶検査においてはしっかりと武器の使用の規定があるわけでありますから、この後方地域支援についても、これは宿題として将来ぜひとも考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
また、
北朝鮮でありますが、対話と抑止政策というのは当然堅持をしていかなければいけないことであります。しかしながら、この対話、なぜ対話をしないんだという、野党側の御
質問にありました。しかし、もちろん、対話というのがなかなかそう簡単なことではないというのは
政府側の
答弁にもあるとおりであります。
私の個人的な考え方といたしましては、個人レベルあるいは民間レベルでのパイプというのはどんどん太くしていくということも、ある意味では大切であろう。そのパイプはつくっておく、そして、お互いに
情報交換、あるいは言いたいことはちゃんと言っていくということが私は必要であろうと思います。
ただ、私は、
政府の公式的な窓口については、これは場合によっては毅然とした態度を堅持しなければならないんだろう、こういうふうに思うわけであります。こちらの主張をしないで対話をしようということであれば、これは極めて簡単なことであります。
我が国には、いわゆる
拉致事件、七件、十人の人たちが、十三歳の少女である横田めぐみさんを初め十人の人たちが
拉致をされてしまった。これは、疑惑ではなくて、
警察庁が断定をしているわけであります。ですから、そういう意味においてもしっかりとした
対応をとってもらいたいな、こういうふうに思うわけであります。
先ほどの朝鮮総連との関係にもなるわけでありますが、この
拉致問題について、例えば辛光洙
事件というのがかつて大阪で発生したわけであります。原敕晁さんというコックをさらってしまって、そして辛光洙というスパイが入ってきて、それと入れかわってこの原敕晁氏は
北朝鮮に
拉致をされた。そして、辛光洙が原敕晁のパスポートを取って、
韓国に行って破壊
活動に従事をしていて逮捕されてしまった。逮捕された後、裁判で有罪で今服役をしているわけでありますが、その裁判の記録の中にも、兵庫県の総連系の商工団体の
理事長が店長をしていた店にこの原敕晁氏が勤めている、この
理事長と会長がぐるになってこの人をさらって、そして辛光洙を入れたということが裁判記録の中にあるわけであります。さすがに
理事長も会長も役職はやめられましたが、今は堂々と中華料理店もやっているし、残念ながら
我が国の司法は指一本触れることができていない、裁判記録にあるにもかかわらずですね。そういう現状もあるということであります。
ですから、国内での後方地域支援
活動にも、そういう問題もあって常に危険も伴ってくるということを考えておかなければいけないんだろうと思います。
ついででございますが、この辛光洙
事件につきましては、皮肉なことでございますが、盧泰愚大統領が来日をされたときに有志の
議員が
韓国人政治犯の釈放に関する
要望というのを出したわけでありまして、二十九人の政治犯、この人たちはイノセントであるから返してもらいたいという要求を出されたんですね。この二十九人の中に何と辛光洙が入っているんですね。
我が国の原敕晁さんを誘拐した、入れかわった辛光洙自体が、その段階ではまだ裁判は始まっていませんでした、捕まった段階だったんですが、それも入っていたということであります。この釈放しろと言った有志の
議員の中には、土井たか子さんとか菅直人さんも署名をされているというわけでありますが、こういう
状況の中に
我が国があるんだということも
理解をしておいた方がいい、私はこういうふうに思うわけであります。
続きまして、今後の法整備等々について申し上げたいと思うわけであります。
この
北朝鮮の
工作船の侵入に当たりまして、私は、
総理もそして
防衛庁長官も極めてスピーディーな、そして果断な決断をされたんだろう、こういうふうに思うわけでありますが、しかし、結果としては二隻とも逃げてしまったという結果が残ったわけであります。このことについて
安保委員会で私が
質問したわけであります。
その
質問というのは、現在の法制ではベストを尽くし、そしてまた、かなりの装備が十分に整っているにもかかわらず逃げられたということは、法整備等にも
限界があるんではないかということを申し上げたわけでありますが、大臣の御
答弁が、現行法の枠の中では、どのように領海を侵犯されても、相手がこちらの停止等に耳をかさない限り、本日行われた状態が
限界の現実の姿ではないかと思う、このような御
答弁があるわけであります。
でありますから、私は、幾ら
自衛隊に頑張れ、海保に頑張れと言っても
限界がある、そしてまた、幾ら予算をつぎ込んでもやはり
限界がある。これは私は、
領域警備の任務をしっかりと
自衛隊に与える、そしてまた、武器使用についてもある程度の枠を設けるということが必要ではないか、このように思うわけでありますが、
総理の御見解をいただきたいと思います。