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1999-05-19 第145回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十九日(水曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 中沢 健次君    理事 浅野 勝人君 理事 小坂 憲次君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 小沢 鋭仁君    理事 福留 泰蔵君 理事 西田  猛君       逢沢 一郎君    今村 雅弘君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       亀井 久興君    倉成 正和君       竹本 直一君    虎島 和夫君       仲村 正治君    宮腰 光寛君       山口 泰明君    吉川 貴盛君      吉田左エ門君    生方 幸夫君       原口 一博君    石垣 一夫君       遠藤 和良君    江崎 鐵磨君       矢島 恒夫君    横光 克彦君       中田  宏君  出席国務大臣         郵政大臣    野田 聖子君  出席政府委員         公正取引委員会         事務総局審査局         長       平林 英勝君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         郵政大臣官房長         事務代理    鍋倉 真一君         郵政省郵務局長 濱田 弘二君         郵政省貯金局長 松井  浩君         郵政省簡易保険         局長      足立盛二郎君  委員外出席者         金融監督庁監督         部銀行監督課金         融会社室長   青木 一郎君         逓信委員会専門         員       平川 日月君 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   大島 理森君     吉川 貴盛君   佐藤  勉君     宮腰 光寛君   園田 修光君     山口 泰明君 同日  辞任         補欠選任   宮腰 光寛君     佐藤  勉君   山口 泰明君     園田 修光君   吉川 貴盛君     大島 理森君 本日の会議に付した案件  郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四〇号)(参議院送付)  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣提出第四一号)(参議院送付)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 中沢健次

    中沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田左エ門君。
  3. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 委員長、おはようございます。大臣、おはようございます。  きょうは、私は、かねてから随分と思いを込めておりました、郵貯そして簡保にかかわる新しい時代に即応して創設された新商品といいますか新しい保険、それから、ここで今やっていることが多くの国民ニーズに大変合うものですから、それらの方々簡保にも加入していただき、あるいは郵貯にたくさんお金を預けてくださっている、こうしたものの運用について、お時間が四十分定まりましたものですから、この間、一、二質問をさせていただきたい、そんな思いでございます。  まず、簡保にかかわることでありますけれども、一病息災という名のもとで、新しいニーズに向けての保険を始めていただきました。  私は、常日ごろから社会で、しゃばという言葉を使うなとこの前注意されましたものですから、社会で、うちお父さん、もう年をとって保険にも入れなくなってしまったというのが一つの、これはお父さんという言葉を今軽々使ったのですが、おばあさんでもいいのですけれども日本の家庭の大黒柱はお父さんというイメージがまだ残っている部分もあるものですから、そうすると、何か男のあるいは人間としてのすべての価値がなくなってしまったみたいな表現なんですね。保険にも入れなくなってしまったんだってさと。  こうした言葉の中には、元気に働かれて、そして子供を育てて、それでその子供は大方結婚をしたり、そしてその後に孫が生まれたり、ちょうど今の六左エ門ぐらいの年になるかもしれませんね。そして、後は長く添い続けてきたお母さん、連れ合い、いわゆるおばあちゃんと二人、時々というより一般的なときに、表現がいいか悪いかわかりませんが、何か事あったとき、長い間厄介をかけた連れ合いに対して、これは男女両方のことを申しています、幾ばくのものでも残してやりたいな、あるいは棺おけの担ぎ賃という形でもいいと思うのですね。  ところが、途中でがんの手術をしたりいろいろなことがあると、もう一般保険には、そのチェックをクリアできませんね。  そうしたものを受けて公が、一病あって息災なりという日本のよき格言です、こうしたものを呼称として定めた思い入れたっぷり保険制度を新しく定められたということ、私は、大変によきことだ、これにかかわる質問をさせていただきたいとお願いをしたのですけれども、これは自分思いがそこですから、大臣、あくまでも質問賛成質問ということになるのですけれども、本気でアピールしていきたい、そんな思いがあります。  ちょうど、みつをのこんなペーパーが手に入ったものですから、見ていただきたいのですが、   一病息災   貧乏神同居   しかもかくのごとく   なりといえども こんなような状況であったとしても、   いのち明朗   いのち満点左エ門なら、この後ろに「精心満腹」と書き足したいというような思いがいたします。  そうした思いに立って、まず、これにかかわって一、二御質問をさせていただきたい、こう思います。  生命保険加入できない者が随分とふえたと前段でお話ししましたが、今度のこの簡易保険法の改定に、こうした背景を踏まえられましていろいろと改定されたことと考えられますが、これに向かったいわゆる大きな意味、御趣旨をまずお聞かせいただきたいと思います。
  4. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 ただいまは、大変御理解のあるお話をしていただきまして、ありがとうございました。  日本の国におきましては、私たち国民が生涯にわたって健やかにそして充実した生活を送るということが政治の上でも大変重要な課題であるわけです。  その一方で、高齢化が進みますと、先生指摘のとおり、いわゆる生活習慣病と言われている高血圧とか糖尿病などにかかる方の数がふえてきます。今現在は、この病気を理由に簡易保険加入できない方がふえているわけであります。  ただ、これからの健康とかのあり方について、今一病息災のお言葉についてのコメントがございましたけれども、全く病気を持っていないことが健康というのではなく、一つでも病気があったとして、しかし、現代の医学の発展でコントロールができるということと、また、そうであっても、健康であり続けようという自助努力の中で、健康という新しい概念が生まれてきているのではないかと思っています。  その中にあって、簡易保険としては、やはりそういう方々自助努力を支援させていただく、まさに簡保の使命と思い、今回、生活習慣病、かつては成人病と言っておりましたけれども、そういうようなものにかかっている方でも加入していただく、そういう道を開かせていただいた、そういうことでございます。
  5. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 私もこの議論をして初めて、今大臣がいみじくも申されました生活習慣病、この言葉を知りました。ああ、いい表現言葉があるものだな。自分のことはもう仮に今の状況を申し上げるまでもありませんけれども、これらの方々に対する受け皿、そしてみんな寿命を全うされるわけです、そんな思いを強くしました。  ですけれども、公が行う保険ですから、あす死ぬかわからぬような者まで、一病息災だからといって、どんどんと来い、新しいタイプ保険だというようなわけにいかないと思うのですね。  どのような疾病だとか症状をこの対象にするのか、まず具体的なところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  6. 足立盛二郎

    足立政府委員 お答えさせていただきます。  ただいま先生からもお話がありましたとおり、生活習慣病と言われるものは、私たちの日常の食習慣とか運動習慣あるいは喫煙、飲酒、そういった生活習慣病気の発症、進行に関与するということであります。このことは、裏を返しますと、自己規制によりまして病気進行をある程度自分自身でもコントロールできるといったようなことなどがありますので、そのような趣旨を体しまして、今回、高血圧症それから糖尿病及び悪性生物を考えておるところであります。また、こうした生活習慣病の中でも、どのような症状でもいいのか、大変重篤なものでもいいのかということになりますので、一定症状範囲内ということを考えておるところでございます。  具体的に申し上げますと、現に入院をしていないということを大前提といたしまして、高血圧症の場合でありますと、心電図による異常の指摘がない、そして血圧値が良好にコントロールされているということ、それから糖尿病の場合でありますと、インスリンの継続的な投与を受けていなくて血糖値が良好にコントロールされておるということ、それから悪性生物の場合でありますと、根治手術を受けた後一定の年数を経過しており、再発、転移の指摘を受けていないことなどを考えております。  なお、具体的な疾病種類、それぞれの症状範囲につきましては、現在、東京大学の金澤先生を座長といたしまして医的基準検討のための研究会進行中でありますので、そこで最終的な詰めを今行っておるところでございます。
  7. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 これらに対しての十分な仕分け、対応スキームありということで、安心をさせていただきました。伺っていますと、何か政治にかかわる者の専門分野みたいな病気がずっと並んできまして、今さらながら、しっかりとコントロールしていかなければならぬなという気がしています。  私は、どっちかというと朝起きますと少し血圧の高い方なんですが、動くに従ってだんだんよくなって、晩、若干アルコールが入るとぴたっといい数字におさまる。これを毎日データをとりますと納得がいくのですね。ちょっとこうなっているけれども、おれは少しここで運動でもしたらこれはこうなるんだ、結果して下は九十、八十九になるんだなというのはわかるわけですね。ですから、そうしたものがコントロールされていれば、保険に入れていただいても、郵貯は損はせぬのですよ。そういう意味合いでおります。  しかし、こうしたものをつまびらかにしてどんどんと受けていきますと、リスクが必ず裏打ちとしてついてくる。これらのことを、この保険を販売しても、よき運営をしてこられた簡易保険という仕事に営業上問題は起きないのかな、そんな気を持ちますが、その辺はいかがでございますか。
  8. 足立盛二郎

    足立政府委員 確かに、保険といいますのは、健康な状態にある者につきまして一定確率保険事故がどの程度発生するのか、それを賄うための経済的な裏づけを全員で拠出しようということで、言ってみますと善意の相互扶助組織であります。  したがいまして、今回、新しいタイプ保険をつくる場合にも、やはり、どの程度リスクがあるのか、そういったことを十分検討する必要があるわけであります。今回の場合、特に簡易保険が無診査保険であるということでありますので、特に、生活習慣病といったもののいわゆる病気種類や、その中における症状範囲につきましても、慎重にこれを選択する手法というものも考えていく必要があると思います。  そこで、私どもが考えておりますのは、第一に、対象とする疾病でありますが、これが、先ほどから申し上げましたとおり、医療技術の進歩に伴いまして症状経過が安定的に推移するようになってきた糖尿病高血圧などの病気に限定をしておる。そして、その上でさらに、先ほど申し上げました一定症状範囲内にあるかどうかというものを調べることにしているということであります。  そして二つ目に、加入申し込みに当たりまして医師の診査を行いませんが、被保険者本人から血圧値とか血糖値など、自己健康状態について簡便な告知をいただくことによりまして、そういった危険選択というものが可能になるというふうに考えております。  さらに第三といたしまして、対象とする疾病にかかった人の死亡の確率等につきましても計算をいたしておりまして、例えば、そのようなリスクに従いますと、保険料アップをお願いするわけであります。四十歳の男性で例えば十年満期養老に入りますと、一般保険よりも保険料が約三%程度アップになります。五十歳の男性でありますと七・五%のアップになる。それから、六十歳男性でありますと約二〇%の保険料アップになります。  それからさらに第四番目といたしまして、重篤な症状の方がこの保険に入ろうというようなことをいわば予防あるいは牽制をいたすために、加入一定期間内に病気で死亡した場合には保険金額を低く設定するということを、現在、保険設計上考えております。  こういうような仕組みによりまして、リスク管理に十分対処して、事業経営上、問題が生じないようにしたいというふうに考えておるところでございます。
  9. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 長年、保険を取り扱われてきた経験と学習の蓄積がおありなんでしょう。本当に細かく、年齢にまで分けて掛金が設定してあるとか伺って、よく理解をさせていただきました。  このタイプ保険の新設に当たっては、今まで一般的な保険会社で何か似たような保険があったかに漏れ伺っているのです。それは、フルメニューを用意する中で、余りその保険は繁盛するというか売れなくともいい、ただ、うちにはそういう優しい保険も用意がありますよ、そんな感じで用意されたのではないかなと六左エ門自身が勝手に思うような向きもあったわけですけれども、どうも最近、かの人たち郵政のこの新しい保険を意識してなのか、随分と一生懸命にPRをするようになりまして、ちょっとテレビでそんなものが目につくようになりました。  こうしたものもあらかじめ、賢明なる簡保ですから、精査されてのことだろうと思いますけれども、実際にこれを定められて運用を始められるまでにどんなふうな検討をされたのか、ちょっとひとつお聞かせいただきたいと思います。
  10. 足立盛二郎

    足立政府委員 今回の一病息災というこの新しいタイプ保険ができますまでには、実は、平成七年のことでありますが、当時、郵政大臣懇談会でありましたKampo二十一世紀ビジョン懇談会というのがございました。そこで、平成七年のことでありますが、一病息災時代に対応した軽度疾病に罹患している人を対象とした保険というのを考えてはどうかという提言をいただいたわけであります。これが最初であったというふうに思います。  実は、この提言を受けまして、平成八年、九年と二年間にわたりまして、一橋大学の下和田先生を中心とする専門調査研究会を行ってきました。その結果、成案を得て今回国会にお諮りをさせていただいたということでございます。また、この間、平成九年には、二十一世紀を展望した郵便局サービスあり方検討いたします郵政審議会からも、軽度疾病者保険の提供につきまして提言をいただいたところであります。  また、平成九年度及び十年度の両年にわたりまして、全国四千世帯を対象ニーズ調査を行いました。その結果、約九割の方が何らかのこういった保険があることが望ましいというような回答をいただいております。そういうようなことで、平成七年以来、三年間にわたる検討を経まして、今回この制度を実現すべく法律をお諮りしておるということでございます。
  11. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 最後に説明されました、平成十年度、四千件のサンプルで精査された中のうち九割がこれらのものを望んでいる、この数字を聞いて、私たち政治にかかわる者がどぶ板を歩きながら、一般市民ニーズ、これは粗づかみですけれども、何となく感じるんですよ、最初に申し上げたように、うちの父さん保険入られなくなってしまってというような声を一つあれしても、それが数の上で四千ものサンプルで精査されているということを聞いて安堵をいたしました。  大臣、時として郵政大臣女性を配置するべきだなという思いを強く今いたしております。それはどういうことかというと、こうした被保険者、それから一般の年老いた人たちニーズ、これに優しさで、女性ばかりが優しい時代じゃなくなってきたかもしれませんけれども、優しさでこうした受け皿保険を創設してさしあげるというような努力、これは本当に私は常々思っていたことですから、いいものをいい折に創設していただいたな、感謝を申し上げたいと思います。なお一層、ひとつ、この保険のスムーズな運営努力をしていただきたいと思います。  引き続き、郵貯資金自主運用ということについて伺いたいと思うのですね。  私は、行政改革の折に、経験が足りませんから、少しずれたりしたら御勘弁いただきたいのですが、郵貯でお集めになられた国民お金、これを、資金運用部というところを通って、そこでぐるっと様子が変わって、財投という形で運用されていくわけですね。そうしたら、財投でどういうふうに使われるかというのは政府が定めていくわけです。  それで、あそこではもう縁が切れているわけですよね、お金としては。そういう規則で、集めたものはよこしなさいと。ですから、その先のことの使い勝手について郵政あるいは郵貯に対して何かかんか言われたって、それは我らのあずかり知らぬことです、先様にお渡しすることにこれはルールが古くの規則でなっているわけでしょう。  そして、その規則にのっとって運用方を御依頼、御依頼というか、御提供申し上げているので、そこから先にどういう使われ方をした、それで財投いかぬというような議論になったとしても、銭出したのは郵貯じゃないかという、それは、あの資金運用部のところを通過したときによって、もうこのお金はお貸ししました、御提供申し上げました、何百何十何円というこれだけがやりとりのあかしでありまして、決めた日にちゃんとした利息がついてそのお金が返ってくればいいわけで、こんなことで、少し腹立たしい思いをしたことを今さらながら、きょう、また思い起こしています。ですけれども、どんどんと自主運用という方向に向けての雰囲気が高まってきまして、そして、運用対象はもう多様化する、その制度の改善、拡充が図られてきたわけであります。  平成十一年度において、金融自由化対策資金運用方針運用計画、ことしどのような計画を持ってこれに臨まれているのか、まずお教えいただきたいと思います。
  12. 松井浩

    松井政府委員 金融自由化対策資金が今の郵便貯金自主運用資金でございますが、御案内かと思いますが、郵貯お金大蔵省の資金運用部預託をしております。預金者銀行お金を預けるのと全く同じ立場で、法律上の義務として大蔵大臣に預金しております。それをこの金融自由化対策資金は預けたときの条件と同じ条件で借りるという仕組みになっていまして、実際には、十年で財投と同じ預託金利で借りております。  これを原資として運用しているわけでありますが、もともと金融自由化に適切に対応した健全な郵便貯金事業経営の確保のためということでございますので、借り入れコストを上回る収入を長期安定的に得ることができるように、国債とか地方債だとか、そういった債券長期保有を基本として確実有利な運用を図ることとしております。基本的な考え方はそういうことでございます。  具体的に、平成十一年度でどのような資金配分で考えているかということでございますが、この十一年度の新規運用原資が五兆五千億円を予定しております。このうちですが、二兆七千五百億円を新規国債の引き受けという形で運用いたします。そして、残る半分の二兆七千五百億円を、マーケットを通して国債を買ったり、あるいは地方債を買ったり、あるいは公庫公団債を買ったり、あるいは簡易保険福祉事業団への寄託、いわゆる指定単でございますが、それでこの二兆七千五百億円のうちの一兆二千億円を指定単運用に充てることにしております。  以上でございます。
  13. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 簡易保険資金積立金運用については、当初より郵政大臣が直接管理運用しておられるわけですが、今もちょっとお話がありました大蔵とのかかわりの中で、差し引きの残を一年間、これは法律にのっとって、義務的に預けるとか、これは郵貯お金に限らず自動車の関係の保険なんかのものもそうなんですが、同じ条件でまた借り戻すとか、何かうっとうしいことをしているんだなということが私の単純な疑問なんですね。ですけれども、これは昔の法律にのっとってという説明を聞かされていますから、そうか、では、その法律は我々が変えないとちゃんとしないんだな、国の法律の手入れにかかわる議員としての責務、逆にこっちがちゃんとしなきゃならぬなというような思いでおりますので、このことを深く触れることはいたしません。  今回、運用対象多様化を図るために、特定社債運用対象に追加するということが、特定社債発行する特定目的会社SPCというものの関与を得てということになっているわけですが、話は簡単なんで、私はこれらのところに集められる少額のローンのために発行された手形ですとか、こういったものというのは、小さい額を何遍も何遍も割賦して、そして買うという、消費者はまじめなんですね。手形はジャンプさせてくれとか書きかえてくれとかと、そんな乱暴なことはないんです。時期が来ればそくそくとちゃんと落とされてきているということを、ある事案にかかわってよく知っています。  でありますけれども、そこのくずを集めたというと、これは言い方がちょっと乱暴過ぎますから、いろいろなものを集めて、そしてそれを原資として発行された特定社債ですから、これを郵貯運用のためと言うて買われる、この辺が、私どもを含めて、一般には、それは大丈夫な品物なのか、まず疑問に思われる方が多かろうと思うんですね。  ですから、まず第一点は、中身一つ一つについての信用性も、今やこれは大変昔のことですが、かつてはそうした細かいローンのために切られた手形事故率は二%とか三%とかと言われておりましたですね。ですけれども、何がどんなふうに集められるのか、よくわからない六左エ門としては、発行特定社債の信用度はどんなものなのかなということが一つでありますし、それから特定目的会社、いわゆるSPC登録状況はいかに、この二点についてお聞きしたいと思います。
  14. 松井浩

    松井政府委員 まず最初に、特定社債発行状況、また特定目的会社SPC登録状況について申し上げたいと思います。  今のこの特定目的会社による特定資産流動化に関する法律通称SPC法と呼んでおりますが、これが施行されましたのは平成十年の九月でございます。これまで七社がこの法律に基づく登録を受けております。実際にその特定社債として発行されましたのは五件でございます。  次に、先生の御質問安全性でございます。  特定社債は、その資産を担保にして債券発行されるものでございまして、資産としては不動産がございます。それから、そうしたものの受益権、信託の受益権という形もございます。それから、実際には、既に市場が成熟してきておりますアメリカの状況を見ましても、圧倒的にローン債権の方が多いのでございます。やはり住宅ローンだとか、それからオートローンだとか、あるいはクレジット債権だとか、そういった債権裏づけにしたものの方が金額的には圧倒的に多いということでございます。  では、どのようにこれが安全だと見ることができるのかということだと思います。それは、この特定社債は事前に特定目的会社登録しなければなりません。これはそのときにこの裏づけとなる資産の内容を記載した資産流動化計画というものを金融再生委員会に提出することになっております。  投資家は、事前にそれは公衆に縦覧されることになっておりますので、自分で確認する。投資家というのは通例機関投資家が考えられるわけです。それで、事前にその裏づけ資産状況を調べるということができることになっております。ですから、当然それはしなければなりません。  さらに、私どもの実際の運用に当たりましては、特に安全確実な資産担保証券についての運用でなきゃならぬというふうに思っておりまして、具体的には政令それから一部省令にもなろうかと思いますが、運用基準をびしっと定めたいというふうに考えております。  例えば不動産であれば、本来なら我々が運用対象となるような社債を発行できるような会社、そういう会社の元利保証がついているその資産を譲渡した会社もあれば、そうでなくて、関係のない、例えば損害保険会社なんかがそういうふうなビジネスとしてやる場合が多いんですが、そういうものの保証がついていて、かつ不動産が担保であれば、その不動産の価格の実際に半額、半分以下が債券発行額になっているということだと、つまり不動産が半分に値下がりしても、買った時点からさらに半分に値下がりしても安全だ、そういったものに限定したいと思っております。ローンなどの場合は、不特定多数、多数のローンが担保になっている場合は、不動産とは全然違った安全性の観点になりますので、また別の基準になろうかとも思っておりますが、そういうふうなことをきちっと決めてやっていきたいと思っております。  なお、今回の法律で改正をお願いしておりますのは、このSPC法に基づく特定社債でございますが、そのほかに、既に別のスキームでですが、クレジット債権、リース債権等をバックにした、通称特債法と呼んでおりますが、こちらの方は通産大臣が厳密に審査してということになるんですが、そういうものも既にありまして、それも合わせて全体としての、資産担保証券と呼ばれておりますが、そういうものがございますが、いずれにしろ安全確実なものをやっていきたいというふうに考えております。
  15. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 私が一番心配しておった不動産にかかわってまで丁寧な御準備と、何があるんだということで、安心をいたしました。細かいことに余り何されることなく、整々とひとつ大きな運用をしていただきたい。  最後になりますが、過日、ミドルリスク・ミドルリターンを志向したらどうだというような意見を聞きまして、なかなかやはり難しいところを選択しながらの運用なんだなという思いを強くしましたので、その御難艱にも耐えて、いい運用で大きな利益をひとつ国民が享受できますようにお願いをして、終わります。  ありがとうございました。  大臣、どうもありがとうございました。
  16. 中沢健次

    中沢委員長 小沢鋭仁君。
  17. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  きょうは法案二つ同時に審議になっておりますので、同僚議員と分けまして、私の方は基本的に運用の問題を質疑させていただきたい、こういうふうに思います。  さてそこで、今も議論がございましたが、SPCの証券に対する運用、こういうことになるわけでありますが、私自身は実はSPC法をつくるときに野党ではありましたけれども、作成段階からこのことの必要性を申し上げて関係してきた人間でありまして、そういった意味ではSPC法の意義は承知しておるつもりでございますし、同時にまた、今回その運用一つ対象として加えるということだけでありますから、ある意味ではどうしてもこのSPCの特定債権運用しなければいけない、こういうような法案の形にはなっておりませんので、そういった意味では十分納得ができる案だ、こういうふうに思っております。  冒頭まず、SPCの直接的に今回の法案の対象になっております内容については、私の思いをそのように申し上げさせていただいて、きょうはせっかくこうした機会でございますから、それに関係する、すなわち運用あり方についてぜひ質問をさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  さてそこで、時間も限られておりますのでとんとんと少し急ぎ足で行きたいと思いますが、まず、二〇〇一年からいわゆる郵貯簡保全額自主運用、それも市場を通じてという話になっているわけでありますが、現時点で郵政省では、簡保郵貯はどこの部署が何人体制くらいで運用にかかわっていますか。その事実だけまずお知らせください。
  18. 松井浩

    松井政府委員 郵貯簡保分まとめてお答え申し上げたいと思います。  郵便貯金運用体制でございますが、現在、貯金局の中に資金運用課という課がございます。そこで五十二名体制で担当しております。また簡保積立金でございますが、創業当初から郵政大臣が直接管理運用しておりますが、簡易保険局の中に同じように資金運用課がございます。こちらの方では七十五名体制で運用しております。
  19. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 さてそこで、二〇〇一年の準備、こういうことでいろいろな準備をされているんだろうと思います。今郵政の中でどんな形でそういう準備を行っているのか、あるいは関係省庁として大蔵省とか自治省とか総務庁とか、今後再編の先も含めて関係省庁があるわけでありますけれども、そういった準備として今どんなことが行われているか。まずそれも事実だけ、簡単で結構ですからお答えください。
  20. 松井浩

    松井政府委員 財投改革、全額自主運用後の郵貯簡保資金運用あり方につきまして、平成十年九月から、有識者にお集まりいただきまして、郵政大臣主催の郵貯簡保資金運用研究会を開催し、検討しておるところでございます。その中では、運用の法制、枠組み、リスク管理あり方運用体制の整備充実、いろいろな角度からの検討を行っていただいております。  郵政省としては、この研究会議論を踏まえまして、これからの自主運用の実施に向けた準備を適切に進めていきたいというふうに考えております。  それで、関係省庁との関係でございますが、行政レベルでいつもの連絡はございます。ございますが、この研究会にも来ていただきましていろいろ御説明いただいたりもしております。そういう中で、連絡を密接にとりながら準備していきたいというふうに考えております。
  21. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今二つ御質問をさせていただいたわけでありますけれども、これはもう言わずもがなでありますが、現段階の郵貯簡保資金、約三百五十兆円であります。三百五十兆円の運用をこれからやっていく、こういう話になるわけであります。現時点では、郵貯の方が五十二名、簡保の方が七十五名でやっております、こういう話でありまして、今は大蔵省の理財局の方が財投資金の話をやっておりますから、もちろん今の郵政省の人間だけが担当しているわけではないのは承知しておるわけですが、三百五十兆円の資金運用というのはこれは並大抵のことではない、こういうことでありますね。  私は実は東京銀行の出身で、合併をしまして東京三菱銀行になっておりますが、東京三菱のいわゆる資金というのは約五十兆です。それで、世界的に見て三百五十兆の資金運用をしているところというのはあるんですか。例えば銀行とか、あるいは投資信託会社まで含めても結構ですから、それをちょっと調べておいていただいたと思うのですけれども、いかがですか。
  22. 松井浩

    松井政府委員 事実関係をちょっと申し上げます。  世界の主な銀行での資金量の問題でございますが、それぞれいろいろな業態、業務内容がございますので単純に比較するというのはちょっと適当ではないんじゃないかと思いますが、アメリカのバンカー誌によりますと、例えば東京三菱銀行の総資産でございますが、先生のさっきのお話はあったんですが、そこでは、平成十年の時点で約八十六兆円という表示になっております。これは恐らく、銀行間でコール市場で調達したようなものもみんな入っておるんだと思います。それから債券、東京銀行債券を出していましたからそういったものも含めた総資産だと思いますが、そこでは約八十六兆円になっております。  ドイツ銀行、これも大きな銀行でございますが、ドイツ銀行が約七十六兆円となっております。  ほかにもございますが、オーダーは大体そんなところでございます。
  23. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 投資信託会社というのがありますね、いわゆる銀行とか証券会社とか、そういうところから資金を集めている。ここの運用は調べていただいていますか。ここは結構大きな資金をたしか動かしているんですが、ここはありませんか。
  24. 松井浩

    松井政府委員 手元にちょっとぴたっとしたのがないんですが、UBS、スイスの巨大銀行ですが、UBSとSBCが合併しましたですね、これがいろいろ信託部門を持っておりますが、約百兆弱のそういった数字を報道で承知しておりますが、具体的な数字はちょっとお持ちしていませんので、恐縮ですが、失礼します。
  25. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ぜひまたお調べいただいてお知らせいただきたい、こういうふうに思います。  今お尋ねした話は、要は、世界に類を見ない最大、巨大な資金運用をする機関ができる、こういうことなんですね。それに対する準備を我々は本当に真剣にやっていかないと、まさに運用の失敗というような話はあってはいけないわけでありますから、その心構えというか、そういう意味でお尋ねをしたわけであります。  恐らく世界経済に与える影響というのも想像を絶する大きさになると思います。そういった意味では、まさに郵政省のというか、あるいは、今の形でいくと郵政事業庁になるんでしょうか、その郵政事業庁が持つ、あるいはまたその運用は総務省の中の部局になるかもしれませんが、少なくともそこの与える影響というのは本当に巨大だ、こういう話をお互い確認をしておきたい、こういうふうに思います。  そこでまず、一番簡単な、国民の皆さんが心配するところだけ聞いておきたいんですが、あってはいけないことでありますが、万が一運用に失敗したときの対応はどうなるのか、こういう話でございます。  御承知のように、民間金融機関はここ数年いろいろな問題を抱え、そしてそれなりの対応もしてきている中で、ペイオフの制度も実は整備されたところでありまして、二〇〇一年以降はペイオフを導入する、しかしそれまではいわゆる全額保証を、一般の、国民の皆さんが普通に扱っている預金に関しては全額保証する、こういうことになっているわけでありますが、まず郵貯の場合あるいは簡保の場合、運用を失敗したときに、その商品を購入している皆さんにはどういうふうにするんですかね。これはどういうふうに今決まっているのかということ。それから、会計上、例えば穴がもしあいたとしたら、そこの補てんはどうするんでしょうか。この二点をお尋ねしておきたいと思います。
  26. 松井浩

    松井政府委員 まず最初運用の基本的な考え方ですが、郵貯簡保資金、どちらもそうでありますが、これから市場を中心とした運用になりました場合に、やはり公社債等の安全確実な資産を中心とした運用になるというふうに考えております。いろいろなリスクを低減する手法をとりながら運用することを基本的な考え方にしておりまして、まず多額の損失が発生するといった問題は生じないんではないかというふうには考えております。  具体的に申しますと、長期安定的な運用を行う、いわゆる短期の売買を繰り返すようなそういうスタイルの運用ではなくて、長期で安定的な運用をするというバイ・アンド・ホールド、買って最後まで持ち続けるというのが基本になろうかというふうに考えております。それから分散投資を行います。それから、これまた金融としては大事なんですが、資金調達の性格ですね。集まった資金の性格、期間だとかコストだとかいろいろございますが、それに対応した運用をする、この三つが手法として基本になろうかと思います。  それから運用の結果でありますが、いろいろな運用の中で、それは償却損だとか、出ることがございます。そのときにどうかということでございますが、まず事業として申しますと、郵貯簡保もどちらも独立採算でございます、税金等からの補てんを受けておりません。独立採算でございますので、トータルな郵便貯金簡易生命保険事業、それぞれの事業の責任において対応することとなると思います。  具体的に申しますと、例えば外貨債でもそうです、たまたま償還のときに、買ったときよりも円高になったとか、出ることがございます。その場合にどういう処理をするかということでございますが、同じ特別会計の中で、会計の中で、歳出として損失補てん金を出します。郵貯の場合は損失補てん金という名称になっていますが、損失補てん金を計上します。実際に歳出という形で計上します。ですから、それはその中で費用として出ていきます。普通の営業費用と同じような形で、費用として出ていきます。  さて、それは個々の話でございますが、トータルに申しまして、穴があいた場合はどうかということでございますが、トータルで損失が出た場合、当然それは、利益が出たときは積立金という形でためていくわけですね、今郵貯の場合は五兆近いお金がたまっていますが、その中で、積立金から取り崩すという形で、ですから独立採算になっているわけでございますが、そういう仕組みの中でこれをやっていくということになろうかと思います。ですから、それでできるようにやっていかなければならないというふうに考えているところでございます。(小沢(鋭)委員国民に対してどうですか」と呼ぶ)国民との関係でございますが、当然、ですから……(小沢(鋭)委員「全額保証」と呼ぶ)全額保証でございます、元利ともに保証でございます。  なお、御案内かと思いますが、郵便貯金法三条、簡易生命保険法も三条でありますが、元利に対して国は支払い責任を負うということになっておりまして、法律に明定されております。国営ですから当たり前といえば当たり前なんですが、そういう仕組みでございます。
  27. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 まず国民に対しては全額保証する、これはいいですね、今の局長の話で。ただ、民間とのイコールフッティングでいうと、例えば郵貯の場合には一千万円が限度額になっておりますから、ある意味ではペイオフの一千万と横並びになっている。郵貯だけおかしいじゃないか、こういう議論に対しては、そこはイコールフッティングですとも言える、こういうふうに私は理解をしているわけであります。  さてそこで、積立金を、準備金を積み立てておいてそれで処理をしたい、こういう話でありますが、本当にあってはいけないことでありますが、ここのところ国民が見てきた話は、銀行は倒れない、こう思っていたところが、銀行だってずっと準備金を積んできた、そして預金保険機構もつくってきた、しかしだめだといってこういう結果になっているわけで、そういった意味では、万が一ということで、大変恐縮でありますが、そのときどうなのか、こういう話なんですね。ここは、そういう問題点があるんだということをちょっと指摘だけして、時間がないので先に行きます。  それで、もう一つ、今度は自主運用になったときに、この運用というのは、金融の性格として、政策金融なんですか、それとも、そういう政策金融みたいな話じゃなくて、まさにマーケットオリエンテッドな運用をしていく、こういうことなんですか。今までの財投との関係でいうと、財投は政策金融でありましたね、郵政が今度やっていくときにはどうなるのですか。
  28. 松井浩

    松井政府委員 先ほど申しましたように、財投改革、それから全額自主運用後の資金運用あり方につきましては、現在、大臣主宰の研究会を開催して検討しているところでございますが、まだ結論が出ているわけではございません。  まず前段として申しますと、今までの郵貯と裏腹にございました、密接なかかわりを持っておりました財投そのものが、必要な資金を政策的な運用財投は政策的なものでございますが、必要な資金を能動的に調達する、預託金という形で受動的に受けるのではなくて、能動的にマーケットから調達するという考え方が基本になっております。逆に今度は、財投改革の趣旨と、それから郵政事業の自律性という観点も踏まえますと、全額自主運用後の郵貯簡保運用につきましては、先ほど申しましたような国債等の債券を中心とした市場運用が基本になる、こういうふうに考えているわけでございます。
  29. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ちょっと時間がなくなってしまって、質問は取りやめて、とりあえず私の意見を申し上げて終わりたいと思います。  今までのいわゆる郵貯簡保資金簡保資金自主運用でずっとやってきたわけだけれども、要するに財投がありましたから、ある意味では安心弁であったわけですね、貸したものは財投のところで返ってくると。財投の、出ていった、貸出先の話はまた別ですよ、郵貯としては安心弁がある。しかしそれがなくなる、こういう話ですから、そこのところに関しては相当やはり考えなければいけないというのが一点。  それから、例えば国債とかそういう安定的なものを購入していく、こういう話もよく聞くわけでありますけれども国民は、正直言って、例えば国債が、今何百兆も借金が国にある、国債発行されている。国民は、国債というのは、ほとんど自分は持っているとは思っていない、しかし、郵貯資金を通じて、実は国民国債を買ったりしている、こういうことも言えるわけですよね。  そうなってくると、逆に言えば、郵貯国債を買っていくという話と同時に、今の、大変申しわけないが、ざっくばらんに言わせてもらうと、自民党のようなばらまき予算をやって、国債資金調達をしている、それを郵貯が買っている、国債は安全だからといって買っている、こういう話は、政策論として見ますと、銀行引き受けとまでは言わないけれども、極めて似たことがある。財政的な節度という意味で考えたときに、その歯どめを失う、そういう意味だって十分あり得るわけでありまして、ある意味ではタコ足予算になるわけですよね。  国民の財産を、税金を使ってそして公共事業をやる。それも、必要な公共事業は我々も反対しないけれども、諫早みたいなむだな公共事業をやる。そしてまた、いろいろな財投的な運営を今後も国債で賄う、あるいはまた郵貯資金で賄う。だから、やはり、ぐるっと回って、ここのところが物すごく私たちとしては心配だ。いよいよ郵政省もその中に組み込まれていくのかと。そういった意味でいうと、まさに独立性というのをどういうふうにやって担保していくのかというのは大事ですよ。  これから地方債や何かの購入もしていくという話になりますが、地方債のプロジェクト、その案件を審査するのは一体どこなのか。郵政局とそれから財務局とそれから各都道府県だと。そこに政治家も加わってくるんですよ。そういう話が三百五十兆をめぐって起こるんだということを指摘申し上げておいて、きょうの質問は終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  30. 中沢健次

    中沢委員長 原口一博君。
  31. 原口一博

    ○原口委員 民主党の原口一博でございます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、幾つか郵政大臣並びに御当局に御質問申し上げます。  その前に、今、三百五十兆の運用お話を伺っていまして、やはり戦略なき国家というものは大変厳しいなというふうに思います。なぜアメリカが今このような情報産業を中心に大変な活況を示しているかというと、八〇年代の、日本の製造業にどうしても勝てない、その中で、自分たちが勝てるものを国家戦略として、アル・ゴアを中心に国の意思として積み上げてきた。  今、日本にはたくさんのインドの方々もお見えでありますが、四六時中、アメリカが寝ている間に起きていられる国、それはインドでございます。数学や英語を自由に使え、ゼロを発明した国もインドでございますが、そこへ集中的な情報の投資をそういう人たちと一緒に行っていく。  資金運用についても、私たちの国が持っている強さ、これもある戦略を持ってやらなければならない。また、それができるのはまさに郵政省であり郵政大臣、あなたのお仕事である。私たちもそのことについてはお手伝いをしなければいけない。やはり、しっかりとした戦略を練るところ、それが必要なのではないかということを冒頭申し上げたいと思います。  さて、法案に入ります。事実関係だけお尋ねをしたいと思いますが、最近の簡易保険新規の契約状況あるいは保有契約状況はどういうふうになっているのか、当局から御説明いただきたいと思います。
  32. 足立盛二郎

    足立政府委員 バブルの崩壊以降、新規契約が年々減ってまいりました。平成四年は年間約九百万件を超えておりましたけれども平成九年度で約六百万件にまで落ちてきたということでありますが、最近、平成十年度のまとめたばかりの数字でありますが、対前年で新規契約は約九%増ということでございます。  なお、このように新規契約がようやく回復の兆しに転じたわけでありますが、しかしながら、出ていく契約、いわゆる満期とか、あるいは最近、失効、解約が家計のリストラの進行に伴いましてふえておりますので、そのように新規契約がふえたといたしましても、実は保有契約は、対前年、平成十年度で約〇・二%だったと思いますが、マイナスになっておるという状況でございます。
  33. 原口一博

    ○原口委員 経済全体がシュリンクしていますから、今みたいな中で大変健闘されている方だというふうに思います。  何でこんな御質問を申し上げるかというと、私たちは、基本は、民でできることは民でやるんだ、官というのは民の補完であって、民になじまないもの、競争性の原理のなじまないもの、これについて積極的に官がセーフティーネットをつくっていく。こういう立場からすると、今回の法改正、今まで民の方もなかなかこういう保険はございませんでした。昨年、ある会社が一つお出しになったぐらいだというふうに承知しています。ニーズを拾って、そして実際に困っておられる方々のために制度をつくる、これは大事なことだというふうに思います。  簡易保険法の第一条では、「この法律は、国民に、簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で提供し、もつて国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」というふうに書かれておりますから、先ほど吉田委員質問にありましたように、慢性疾患をお持ちの方がふえて、その方々対象となる保険が、なかなかそのニーズにこたえられないとすれば、これは妥当な法改正であるというふうに思います。  ただ、その中で、今のような契約状況、そしてもう一つは、そういう慢性疾患になった方々保険あるいは保障、そういったものをしっかりやるとすれば、一方で運用の方はだんだん苦しくなるのも当たり前だというふうに思います。高血圧だけ見ると、平成五年で六百四十万人だったのが、平成八年で七百四十九万人。糖尿病は、平成五年で百五十七万人おられたのが、平成八年には二百十八万人。  簡易保険法の第三条、国は簡保契約に基づく保険金、年金等の支払いを保証するということをうたっているからには、やはり一方で確実な運用をしなければいけない。そして片一方で、この保険に入っておられる方だけではなくて、国民全体の健康を増進しなければいけない。この大きな義務があるというふうに思います。ただただ商品をニーズに即して広げればいいというものではなくて、その一方で健康増進の機能あるいは事業というものが真摯に行われなければいけない。  今、その事業をどのようになさっているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  34. 足立盛二郎

    足立政府委員 先生のお尋ねは、ただ単に簡易保険そのものの商品を売ってそれでよしとするんではなくて、さらに国民加入者の健康の増進、そういった施策にも積極的に取り組むべきではないかというお話であります。  実は、簡易保険は、大正五年の創業の当時から、いわば国民加入者に対しまして健康増進施策を展開してきておるところであります。身近な例で申し上げますと、例えばラジオ体操を昭和三年から開始したというようなこと、あるいは、今日では厚生省所管の保健所というふうになっておりますけれども、あれは戦前逓信省が健康相談所として設けたものでございます。そういうふうに広く国民加入者に対しまして健康増進の施策を片方で提供しておるわけであります。  最近、主なやっておりますことは、例えば話題となっております介護問題に関する、その周辺のことだけ取り上げてみますと、例えば、簡保の健康増進支援事業によりまして、在宅介護教室あるいは介護技術講習会などの介護支援を実施しております。平成九年度では、全国で八百五会場で約十四万人が参加しておるところでございます。  また、ケアタウン構想を現在全国五十カ所の町村で展開しておりますが、そこにおきまして、ホームヘルパー三級の研修などを行っております。平成十年度で約千六百名の方がこの三級研修に参加しておられるところであります。  また、電話による健康相談サービスを実施しておりまして、平成十年度でいいますと、相談件数が年約四万四千件に上っておるといったようなことでございます。  そのほか幾つかございますが、簡単に御紹介を申し上げた次第でございます。
  35. 原口一博

    ○原口委員 ラジオ体操からきめ細かな健康相談あるいは栄養相談に至るまで、その努力を私たちも存じ上げています。  特に、今お話しになりました介護の相談、これは、この一年間、私たち政治家の側にも大変多い。  今どういうことが起こっているかというと、来年の四月の介護保険の導入に向けて、特別養護老人ホームに今入っている人たちが、その六段階の認定をめぐって、ある方はもうおうちに帰ってください、ある方は別の施設に移ってください、こんなことが起こっています。  私は、介護保険というのは、ただただ厚生省が所轄をし、そしてそれを進めるだけでは不十分である。全国二万四千の郵便局のネットワークあるいは簡保の事業団、そういったところできめ細かく皆さんからの御意見をいただいておられるというふうに思います。介護の悩み、介護についての戸惑いというのは、この一年間、大変大きなものがあるというふうに思いますが、その辺、どういうふうに受けとめておられますか。
  36. 足立盛二郎

    足立政府委員 介護保険を提供したり、あるいは直接その受け皿となるということはできないわけでありますが、いわゆる介護問題の周辺で私たちも何かお役に立つことができるのではないかということで取り組んでおるわけであります。  一例を申し上げますと、この介護問題につきましても、先ほどのかんぽ健康電話相談サービスなど、平成七年から実施しておりますけれども、やはり年々その相談内容の中に介護の問題がふえてきておるというようなことであります。  また、全国に現在百二十三の簡易保険の施設がございます。保養センターとかあるいは健康診断施設などでございますが、こういったものの中で、例えば保養センターなどにつきましては、障害を持つ方あるいは高齢者の方でも利用しやすいように本格的なバリアフリー化を、大臣の御指示もありまして、平成十一年度から取り組んでおるところでございます。  また、そういった施設に、一部でございますが、デイサービス的機能をいわば付設していくといったようなことにも取り組み始めておるところでございます。
  37. 原口一博

    ○原口委員 郵政大臣に強く要望しておきたいのですが、やはりそういうネットワークをお持ちですから、しっかりと皆さんのニーズをきめ細かく拾われて、そしてそれを国務大臣としてほかの、厚生大臣もそうですが、四月に向けて、介護とそれから医療と福祉がそれぞれ縦割りになっているために大変な戸惑いがございます、こういったところの解決策を、御自身のネットワークを通じて議論をしていただきますように私は要請をしたいと思います。  一方で、簡保業務については、総務庁が合理化を勧告しています。職員一人当たりの業務量に大幅な格差があるということで、集金を行う外務員で最大七〇%、窓口業務などを行う内務員で最大三二%の格差が生じているというふうに勧告をしています。  今、中央省庁でも、あるいは地方でも、政策評価、いろいろなものを数値にして、そしてそれをアウトカム、国民の皆さんにわかりやすい形で示していく。これは一方で必要なことであろう。しかし、それが、ただただ数字だけがひとり歩きし、そして、ただそこににっこりとほほ笑んでくれる職員さんがいる、それだけで随分違う、一人一人の職員が単なる数値、単なるマシン、そういったこととして扱われるとすれば、それは行き過ぎである。  私たちも、今、政策評価を練り上げています。そのシステムをどうやって導入しようかということで議論を進めていますが、こういう総務庁の勧告について、どういう改善方を考えておられるのか。そして、合理化対策をお考えなのか。また、行き過ぎた数値化については私は慎重であるべきだという立場でございますが、基本的なお考えをお尋ねします。
  38. 足立盛二郎

    足立政府委員 九八年に行政監察局から、経営の効率化、合理化につきまして勧告をいただいておるわけでありますが、これにつきましては、まず郵便局あるいは簡易保険事務センターの要員の合理化、あるいは全国に七カ所あります簡易保険事務センターの再編整理といった課題が取り上げられておるところであります。  このことにつきましては、平成十年度におきまして、約二百名の減員を実施していくといったことなどを考えております。また、事務センターの再編整理につきましては、現在、検討作業を進めておるところであるわけであります。  総じて言いますと、この十年間で、いわゆる定員の合理化を進めてまいりまして、内務、外務職員約三千八百名の減員をいたしました。純減でいいますと、約千百名ということになります。  この間、保有契約数は約一・四倍にふえているわけでありますが、ただいま申し上げましたような形で、定員はスリム化を進めていくというのが現在の私どもの考え方でございます。  そこで、先生から御指摘いただきましたとおり、ただ数字に基づいて職員の能率を図り、人を減らしていけばそれで済むのかという御指摘でありますが、確かに私たち簡易保険事業といいますのは、全国二万四千の拠点におきまして、そこで職員が地域内をくまなく走り回っておる、歩き回っておる、各家庭をお回りしているということで、非常に地域社会に密着した、そして地域社会の隅々までよく情報をつかんでおる存在であるわけであります。  そうした観点から、郵便局の職員をそういう意味で積極的に地域社会に活躍させるような施策を考えることこそ、いわば人材の有効活用ではないかというふうな御指摘であるわけでありますが、まさに、私どもとしても、そういう取り組みが必要だと考えております。  そこで、現在、量的には職員を減らしていくことをするわけでありますが、現在配置されている職員をいかに地域社会のために貢献できるように育てていくかという視点といたしまして、外務職員に介護研修を実施しております。平成九年度から三年間で、保険が約二千八百人、貯金が約九百人、合計三千七百人の職員に地域社会で最小限の介護のお手伝いができるような研修をしておるということ。  あるいは、全国モデル地域におきまして、六十五歳以上の独居老人の方に対しまして、健康情報誌を外務員が配って回るというようなことなどもやっております。平成十年度で約一万一千件配っておるところであります。  また、高齢者世帯の方が年金を受け取る場合に、郵便局まで来られないといったようなことがございますので、そういった方に対しましては、自宅まで年金をお届けするといったようなことなども進めておるところであります。  いずれにしても、ただ単に量的に減らせばいいというものではなくて、職員のそういった活用を考えるという点はやはり大変重要な視点だというふうに考えております。
  39. 原口一博

    ○原口委員 時間がわずかになりました。  郵政大臣は、政治改革についても積極的に発言し行動されてこられています。文章の中で興味深いものがございました。  今、選挙のときの党籍あるいは選挙のときの枠組みと目まぐるしい政界再編との間に大変な乖離が起こってしまって、国民自分が一票を投じた者、それはそのときは野党だ、それがいつの間にか与党になる、そういったことについて、民主主義としては大変危惧をされる事態が起こっている。そして、私は少なくとも、これは郵政大臣と同じ考えなんですが、国会議員は在職中にみずからの意思だけで勝手に離党してはならない、特に、小選挙区であれば人物に投票をしたと言われてもしようがないかもわかりませんが、比例で、政党名で当選してきた人が勝手に離党する、こういったことについては、できるだけ早い時期にきっちりとした議論をしなければいけない、党の方針と折り合いがつかなくなったときは、離党してそのまま国会に残るのではなくて、潔く議員を辞職すべきだと私は考えていますということでございますが、これは今もそうですか。
  40. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 御質問なのでお答えしますが、郵政大臣という立場ではなく、一人の国会議員として申し上げたいわけですけれども、私も若くして政治を志した一つは、私自身が当時の政治に対して距離を感じていた、先生がおっしゃる乖離を感じていたということで、常に政治というのは有権者とか国民がわかりやすくなければならない。その一つが選挙制度であったり身分保障であったりするわけですけれども、例えば中選挙区の場合なんかは、自民党のような大政党にいますと数名の候補者が立ったりして、そうすると、自民党という名のもとに候補者が立っているのだけれども言っていることはそれぞれ勝手ばらばらだ、そういうことでは有権者からすると政治はわかりづらくなる。そういうことで、やはり小選挙区で一政党一人候補者という、選ぶ側にとってわかりやすさが必要ではないかなということで、政治改革も積極的に努めてきました。  今の選挙制度のもとで、今先生が御指摘のような問題も随分議論になっているところです。私は、新しい選挙制度というのは、それぞれ国会議員が、何のためにこの選挙制度に変えたかということをしっかり理解した上で、投票してくれる有権者に対してよりわかりやすい形に議論していくことは非常に重要だと思っております。変わりません。
  41. 原口一博

    ○原口委員 終わります。ありがとうございます。
  42. 中沢健次

    中沢委員長 石垣一夫君。
  43. 石垣一夫

    ○石垣委員 公明党・改革クラブの石垣でございます。  最初に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案に関連してお聞きしたいと思うのですけれども、けさほどからいろいろ論議がございました。国民ニーズに沿った政策であると私は評価したいと思うのです。  当局として、将来どのぐらいの加入者を見込んでおられるのか、年齢制限はどうなっておるのか、それから、二年三年の死亡によって保険金額の支払いが異なるのですけれども、三年とした医学的根拠についてお聞かせ願いたいと思うのです。
  44. 足立盛二郎

    足立政府委員 まず、どのくらい加入される方がいらっしゃるのかということでありますが、先ほど来からもちょっと数字が出ておりますが、現在入院中あるいは通院中の方といいますのは、高血圧でいいますと七百四十万人ほど、糖尿病の方ですと二百十万人、あるいは悪性生物ですと百三十万人ぐらいあるわけであります。しかしながら、いわばその周辺にいらっしゃる方が、これも厚生省の調査によりますと、約三、四倍にも達する、高血圧糖尿病等につきまして言われておるわけであります。したがいまして、現段階でそれらの方々をすべて救うことができるわけではありませんので、はっきりした予測というのは立てがたいと思います。  しかしながら、現在、簡易保険加入を申し込みされて健康上の理由でお断りしている方が年間約十二万人いらっしゃいます。その十二万人の中にこれらの病気に該当する方が約二〇%ぐらいはいらっしゃいますので、少なくとも十二万人掛ける〇・二、多少プラスアルファいたしましたといたしましても最低でも三万人程度は考えられるのではないかという見込みを現在持っておるところであります。  また、年齢制限でございますが、これはいわゆる生活習慣病、昔は成人病と呼んでおりましたけれども、そういう方々は日常生活を元気に送りながらも入れないということでありまして、そういう方々は大体四十歳ぐらいから多くなってきております。また、私どもに対する保険の申し込みで病気を理由として断られる方が四十歳を境といたしましてふえてきておりますので、四十歳以上の方を対象としようというふうに考えております。  なお、上限につきましては、実施までにもう少し時間がありますので、いろいろな調査をいたしましてこの辺の年齢の上限などを決めていきたいというふうに思っております。  それから、お尋ねの、加入後三年間は保険料を減額しておるというのはどのような理由であるのかということでありますが、実は今回この保険をつくる場合に、当然のことながらリスクのある方でありますので保険料を高くしなければなりません。しかし、広く国民に利用していただくためにはなるべく安く保険料を設定する必要があるということでありますので、早期に死亡された方に対して保険料を減額することといたしますと結局払い込んでいただく保険料がその分安くなるわけでございます。  具体的に申し上げますと、一般保険料の算定に当たりましては、大体加入後三年間でお亡くなりになる方というのは私ども経験生命表によりますと千人に四人程度いらっしゃるわけであります。それが今回恐らく多くなるだろうということであります。多くなりますので保険料が高くなるわけでありますが、一方、それを安くするために三年間に限りまして減額いたしますと、例えば四十歳で御加入いただきますと、減額しなかった場合には普通の保険料より三・七%高くしなければなりません。しかし、減額いたしますとそれを二・九%に抑えることができる。それから、五十歳御加入でありますと、減額いたしませんと九・九%高くしなければならない保険料が七・五%に抑えられる。六十歳加入でありますと、二七・七%も高くしなければなりませんが、それを一九・九%に抑えることができるということでありまして、この辺のいわば効果を考えて三年間減額したものでございます。
  45. 石垣一夫

    ○石垣委員 三年間、いろいろと慎重に調査をされて踏み切られた政策でございますけれども、今おっしゃっているリスク管理、それと採算性の問題、簡保といえども安全確実という経営方針、これはやはり堅持されなければいけないと思うのです。そういうバランスをどう考えておられますか。
  46. 足立盛二郎

    足立政府委員 リスク管理でありますが、加入の申し込みに当たりましては、簡便な質問事項に答えていただくという告知の方法をとることといたしております。また、いわゆる郵便局職員が直接被保険者に面接をいたしますので、その面接によりまして健康状態を把握することができる。そこで告知された告知書と外務員が面接いたしました情報等をもとにいたしまして、簡易保険の事務センター、広報施設があるわけでありますが、そこで、いわば審査をし、不審な点があれば調査をするといったようなことを現在考えておるところでございます。
  47. 石垣一夫

    ○石垣委員 加入審査の基準、これは当然必要だと思うのです。それに基づいて面接者がいろいろと診断されるのですけれども、せっかくこういう制度をつくられたわけですから、やはり幅広く多くの方に入っていただくという意味においても、世の中はいろいろな考えを持った人もおりますから、私はやはり性善説に基づいてこの施策を執行されていくことを要望しておきます。  次に、関連して質問したいと思うのですけれども、先般来、五月十二日の読売新聞には、いわゆる「郵政職員の天下り先企業」として、「郵便車ガソリン独占受注」、こういうことで報道されております。さらにまた、五月十六日には、「郵便局車両の保守独占 丸投げ、事務手数料稼ぐ」、こういうふうな報道がなされております。こういう報道についてどのようにお考えですか。
  48. 鍋倉真一

    ○鍋倉政府委員 お答えいたします。  まず、後半の保守の関係でございますけれども、これは郵便局で使用しております車両、従来、四千九百の集配郵便局がございますけれども、それぞれが個々に実施をしておりました保守店との交渉、あるいは保守作業内容のチェック、それから代金の支払いなどの事務を十二の地方郵政局ごとに集約をしまして、いわばアウトソーシングをしたものでございます。したがって、丸投げという報道がございますけれども、保守作業そのものの実施を委託したものではございませんので、そういう批判は当たらないというふうに考えております。  一般的に外部委託は、行政事務のスリム化、効率化というものに沿ったものでございまして、郵便局の事務の軽減が図られますほかに、保守作業内容のチェックが強化をされますし、それから、保守経費の節減に効果が上がっているというふうに考えております。  なお、この保守作業の関係の委託につきましては、現在郵政局にかわってこういった保守作業内容のチェックを適正に行うことができるところはこの会社一社しかないというふうに考えておりますので、その会社に随意契約で委託をしているということでございます。  それから、ガソリンの件につきましても、同じような形で、これは普通郵便局、千二百でございますけれども、やはりその郵便局がそれぞれに行っておりました事務をアウトソーシングをした、同じ考えでアウトソーシングをしたものでございますが、これにつきましては、一般競争入札で行っておりますが、今までのところ入札に応じているのがこの会社だけだというふうに理解をいたしております。
  49. 石垣一夫

    ○石垣委員 ガソリンの独占受注については、この報道によりますと、市価より一割高ということが報道されておりますけれども、これは事実なんですか。
  50. 鍋倉真一

    ○鍋倉政府委員 お答えいたします。  入札については、市場価格の収集、分析をした上で予定価格を設定しておりまして、報道にありますようなことではなくて、入札は市場価格を反映したものということになっております。
  51. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは報道によりますと、市価のそれぞれの調査をやりながら、こういうふうにこれは報道しているのですけれども、これにはもう改善する余地はないのですか。
  52. 鍋倉真一

    ○鍋倉政府委員 現在、郵政局単位で一括入札という方法をとっておりますので、果たしてそれがいいのかどうかということがございます。新規参入事業者がより参入しやすいように、今のところ、先ほど申しましたように、一般競争入札とは申しながら事実上一社しか応札をしておりませんので、新規参入事業者がより参入しやすいように、今の郵政局一括の入札方法を例えば県単位に分割するとか、そういったことによりまして改善を図ることといたしております。
  53. 石垣一夫

    ○石垣委員 ぜひ幅広く、透明、公平、公正な入札制度、これをやはりやるべきだと思うのですよ。このガソリンだけに限らず、先ほど私申し上げました、この車両の保守点検サービスですね。これは総合資材サービスという会社をつくられて、ここが一括してやっておる。これはアウトソーシングの一環だと。郵政省がこういう施策に踏み切られるときに、広くその趣旨を世間に公表して、こういうことをやるからこれに参加してくれ、こういうことを、手続を踏みましたか。
  54. 鍋倉真一

    ○鍋倉政府委員 お答えいたします。とっておりません。
  55. 石垣一夫

    ○石垣委員 巷間に言われるアウトソーシングというのは、やはり民間の英知を幅広く活用して、そして行政として最小の経費で最大の効果を上げるという、この原点を踏まえての私は施策でなければならないと思うのですよ。この総合資材サービスは、これは従業員百十人ですね。しかも、その中でOBが八十四人、これは七六%が言うたら郵政省の一族です。ですから、代表取締役社長の小宮さん、これは元東京簡易保険事務センターの所長、以下八人が、役員は全部これ郵政省のOB。初めからこういう会社ありき、そこに結局仕事を一括して、そこを経由して、そして全部この施策を展開している。  先ほど、事務の合理化とかスリム化とかおっしゃっていますけれども、何もこういう、それが本来の筋だったら、やはり幅広くこれはアウトソーシングの目的に向かって天下に公表して応募されなければいかぬのと違いますか。そういう手続をやっていないのでしょう。これで何がアウトソーシングですか、あなたたち。答えてください、これ。
  56. 鍋倉真一

    ○鍋倉政府委員 お答えいたします。  こういう郵便の車両というのは、先生御承知かと思いますけれども、いろいろな改良を加えている車両でございますし、そういったところの知識を持っている会社というのは限られているのかなということで、そういった手続を先生指摘のとおりとらなかったものでございますが、今後、類似のことをやりたいという企業が出てまいりました場合には、なるべくそういった方々も参加ができるような方向に考えていきたいというふうに思っております。
  57. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、本来のアウトソーシングの目的に向かって、現在の総合資材サービスを含めて、幅広くそういう参加希望者がおれば門戸を開く、こういうことですね。
  58. 鍋倉真一

    ○鍋倉政府委員 そういう方向で努力してまいりたいと思っております。
  59. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、ぜひその方向に向かって改革されるよう要望しておきます。  次に、昨年十月一日に私は逓信委員会で、郵便の読み取り区分機の入札及び保守点検のことについて御質問申し上げたのですけれども、きょうは公正取引委員会も来ておられますので、ぜひお願いしたいと思うのです。  この私の質問に対して、公正取引委員会の答弁は、審査にかなり時間がかかる、通常一年以上の時間がかかるのじゃないか、こういう答弁だったのですけれども、そのやりとりがあった一カ月後、これはちょうど平成九年の十二月だったと思うのですけれども、NEC、東芝に対して、平成十年の十一月十二日に勧告されたわけですね。  その後、NEC、東芝としてはその勧告に応じなかったということで、現在審判なんかしておるのですけれども、この内容について、その後どの時点まで進んでおるのか、ちょっと現状を説明してください。
  60. 平林英勝

    ○平林政府委員 お答えいたします。  昨年私が答弁申し上げた、審査に一年くらい通常要するというふうにお答えしたわけでございますが、それは、立入検査をしてから勧告するまで大体一年くらいを要するということでお答えしたわけでございまして、昨年十一月に勧告をして、先生指摘のとおり二社が応諾しなかったので、昨年の十二月四日に審判開始決定をしたということで、現在審判中でございます。  審判は、基本的には裁判類似の手続でございまして、ややちょっとテクニカルになりますけれども、審判開始決定、その後、答弁書の提出、冒頭手続、証拠調べ、最終意見陳述というふうに手続を踏みまして結審するという流れでございまして、現在二回ほど審判を開いているわけですが、冒頭手続の段階ということでございます。  審決がいつ出るか、審判を終結した後、その時期につきましては、これはもう当事者の主張立証がどうか、審判の進展いかんによるわけでございまして、見通しをつけるのはなかなか難しゅうございます。そういう意味で、いつになるかということにつきましては、お答えは差し控えさせていただければありがたいというふうに考えております。
  61. 石垣一夫

    ○石垣委員 今御説明あったように、いわゆる独占禁止法違反事件審判手続、この図を見ましても、冒頭手続ということで、いよいよスタートについた、こういうことだと思うのです。  したがって、かなり長期間が予想される、これはよくわかるのですけれども、実は、その長引いているもともとの原因は、やはりNEC、東芝、これは、今回の公取の勧告について両社から言わせるならば、郵政省庁舎での、配備計画の都合で、区分機種の型式や、右流れ、これは東芝の方ですけれども、左流れ、NEC、これをつくってくれ、こういうふうに毎年毎年言われたから、これは暗黙の指示に従って受注を了解した、こう言っているわけなんですね。  結果論として、公正取引委員会が勧告した内容は、おおむね半分ずつ安定的に受注した、こういうふうに指摘しているのですけれども郵政省は、生産可能性の問い合わせのとき、生産可能性の打ち合わせ、こういうふうに詭弁を弄しているのですけれども、実際は、この生産可能性の、この指摘は、受注調整のための事前の打ち合わせであったことに対して公取が疑いをかけた、こういうことなんですね。  そこで、この疑いをかけられた生産可能性の問い合わせのときに、特定会社への情報提示ということが言われておりますけれども、このときにどういう表現、説明をしたことが疑いを受けられたのか、これを説明してください。
  62. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘、基本的なところの区分機の調達につきましては、過去も御答弁させていただいておりますように、先生御案内の政府調達手続あるいは我が国の会計法令に基づきまして、私どもとして適正に処理をいたしておるところでございまして、この点については、さらに努力をしてまいりたいと思っております。  今先生の方から、生産可能性の問い合わせについて具体的なお尋ねがあったわけでございますけれども、これは当時、今はおかげさまで日立が参入してくれましたので三社体制になっておるわけですが、二社に限られておった、これも技術上の困難性から二社にならざるを得なかったわけですが、限られておった中で、配備計画を実務上可能なものを策定するというような業務上の必要性から、二社に対しまして生産可能性の問い合わせをしておったということでございます。  ただ、先生、最後のところが御質問かと思いますが、具体的にどのような説明をしておったのかというようなところになりますと、今公正取引委員会の審査局長からの御答弁にもございましたけれども、本件、もう既に公取委において審判手続に入っていることでもありますので、係争中の事案ということでございますので、私の方から現段階におきましてるるコメントを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  63. 石垣一夫

    ○石垣委員 今局長は、いや、技術が及ばなかったと。これは、東芝が右、NECが左。これを東芝、NECに聞きますと、そんなことは子供でもわかる話と違いますか、技術を持っておりますよ、日本の技術をなめたらあきませんよ、こう言われておるのです。  あなたは、その技術がなかったから仕分けた、こうおっしゃっているのですが、ちょっと答弁おかしいのと違いますか。日本の技術というのはそんなものじゃありませんよ。
  64. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  問題は、先生指摘のように、右とか左とかいうことじゃなくて、先生これはよく御案内かと思いまして先ほどの答弁では省略させていただいたわけでございますが、我が国におきましては、手書きの漢字とか数字、片仮名を含めて機械で読み取る必要があるわけでございます。七けたも読まなきゃいけない、またあて名も読まなきゃいけないということでございます。  この辺、読み取りの方のOCRのところでございますが、技術的に非常に困難だということで、私ども、ずっと歴代、平成四年の新型区分機発案の当時から、日立を含めまして、IBMを含めた外資系に対しましても、何とか我が国に参入していただきたいということで、いろいろな働きかけをしてきたわけですが、やっと日立だけが引き続いて努力をしてもらいまして、平成九年の十一月に読み取り率が所定の技術上の基準に達したということで、残念ながらIBMを含めた外資系は今のところギブアップのような状況にございます。  これだけ技術上の問題のハードルは高いということは、ぜひ御理解いただければと思います。
  65. 石垣一夫

    ○石垣委員 その技術的なハードルは高いと。  私は、これはやはり、そうなってくると、NEC、東芝を呼んできて、この場で日本の技術水準の論争をしなければいかぬと思うのですよ。もう時間がありませんので省略しますけれども。これは、今の答弁、私は納得しません、はっきり申し上げて。  ただ、公正取引委員会が勧告したその勧告文によりますと、「郵便番号自動読取区分機類について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた事実が認められたので、同法第三条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反するものとして、同法第四十八条第二項の規定に基づき、本日、二社に対し、別添勧告書のとおり勧告」した、こういうふうにはっきり書いているのですね。  この指摘に対して、郵政省としてはどうお考えですか。
  66. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私どもは、日立が入ってきてくれましたので現在のところ三社体制で、生産能力も私どもが調達を予定しております数量に達するということで、生産可能性の問い合わせは現在のところやっておりませんけれども、当時は、生産可能性の問い合わせは業務上の必要性でやっておったわけです。  今先生指摘の、公取委の昨年秋の勧告にかかわります具体的な事実関係などにつきましては、冒頭申し上げましたけれども、もう既に事態は公取委における審判手続に入っておる、係争中の事案になっておるところでございますので、勧告にかかわります具体的な点につきましてのコメントは、私、差し控えるのが筋だと思っておりますので、先ほど来そのように申し上げているところでございます。
  67. 石垣一夫

    ○石垣委員 係争中のことで答弁を差し控える、これはこれで了解いたします。改めてまたその機会があると思いますけれども。  勧告のときに、「公正取引委員会は、併せて、郵政省に対し、今後、本件と同様の違反行為が再び行われることがないよう、入札に係る情報管理等について検討するよう要請した。」こう述べておるんですね。この「入札に係る情報管理等について検討するよう要請」された、その後、郵政省はこの勧告に対してどういう行動をとられましたか。
  68. 鍋倉真一

    ○鍋倉政府委員 お答えいたします。  昨年九月に官房長官から、これは全省庁に対してでございますけれども、予算執行手続について改めて見直しを行い、一層の改善努力を行うよう御指示がございましたので、私ども郵政省の物品調達等につきましても、当省におきましては官房長をキャップに調達手続点検委員会を設置いたしまして見直しを進め、その結果を十二月に取りまとめまして公表いたしました。  その見直しの一環といたしまして、区分機の調達に関しましては、これまで行ってきた配備計画策定のための生産可能性の問い合わせについて、今後も必要により行う場合はございますけれども、その際は、資料提供招請に応じたすべての者に対して行うなどの方法によりまして、生産可能性の問い合わせによって特定の者が有利になるようなことがないようさらに配意をする等の取り組み方針を取りまとめたところでございます。
  69. 石垣一夫

    ○石垣委員 今答弁ございましたように、たまたま防衛庁の調達問題がこれあり、全省庁含めてそういうふうな話があったと思うんですね。調達手続検討委員会の報告書、今一部読まれましたけれども、これをもって公正取引委員会に対する、勧告のいわゆる答弁だ、こうなるんですか。
  70. 鍋倉真一

    ○鍋倉政府委員 そういう御要請がございましたけれども、私どもは、この点検委員会でそういう報告を取りまとめ、公表したことによって、これで私どもの考えは示されているというふうに解しております。
  71. 石垣一夫

    ○石垣委員 大臣、私もこの問題について、一連の郵政省の、こういうOBを通じての、いろいろな部門にわたっての受注の独占体制、こういう体質がいろいろな面で見えてくるんですね。こういう体制についてやはり改善しなければいかぬと思うんですよ。透明、公平、公正、これは行政の原点です。そういう面からいって、この問題についてはどうお考えですか。
  72. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生からは何点か御指摘がございました。これまでも政府調達の手続に従ってきちっとやっているところでございますけれども、これからも、いささかも疑いのかからぬよう適切に取り組んでいきたいと思っております。
  73. 石垣一夫

    ○石垣委員 終わります。
  74. 中沢健次

    中沢委員長 西田猛君。
  75. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  私は、郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案を中心にいたしましてお尋ねを申し上げたいと思っております。  この法律は、一見非常に短い法律のように見えますけれども、その意味するところはなかなか奥深いものがございます。  我が国経済が今大変な危機を迎えていると言われておりますけれども、これは第二次世界大戦後、日本の国全体の復興、なかんずく経済の復興を目途とした我が国が、日米安全保障条約を締結して、そして米ソ二超大国の東西冷戦構造の中で、日米安全保障条約を中心とするアメリカの防衛の傘の中で経済の繁栄のみを追求してきた。いろいろな問題がございましたけれども、大量生産、大量消費、そして政官業の鉄のトライアングルの結託した生産構造、そして消費構造の中で、経済の繁栄を追求してきた。  その行き着く先が、その時々の金融あるいは財政政策の若干の誤りも手伝って、大変な、金融緩和の中で資産価値の上昇を招き、あのバブル経済を生み出してしまった。そしてそれが崩壊した後の今の経済状況が我々の存している現在であるという状況にあるわけでございまして、こういう我が国の危機的な経済状況を、二十一世紀を目前に控えて、一刻も早く根本的、抜本的に、また構造的な改革をもって改めていかなければならないというふうに、我々政治に、あるいは国政に携わる者、肝に銘じているところでございます。  そのような中で、総合的な経済対策あるいは金融自由化対策、資産流動化対策等々がなされてきておりまして、そのような一環として、平成十年の四月二十四日の経済対策閣僚会議の中でも、土地・債権流動化と土地の有効活用ということがうたわれております。その中でいろいろな方途が述べられたわけですけれども、例えば郵便貯金簡易生命保険資金による資産担保証券、アセット・バックト・セキュリティーズ、いわゆるABSと訳されております、への運用について、平成十一年度に向けて検討するとされた総合経済対策に基づいて今回の法改正が行われるわけでございます。  さてそこで、本法案の第二条の第一項で、運用対象として追加される特定社債については、「政令で定めるもの」とされているわけですが、「政令で定めるもの」とはどのようなものになるのか、お尋ねしたいと思います。
  76. 松井浩

    松井政府委員 先生御案内のように、資産担保証券への運用に際しても、安全確実なものを対象としていくことが肝要と考えておりますが、具体的に政令では、一つは、不動産を裏づけとするものにつきましては、純資産十五億円以上の上場企業等による元利保証が付されており、かつ、特定社債等の発行額が裏づけとなる不動産の取得価格の五〇%以下であるものにしていきたいというふうに考えております。また、不動産を裏づけとするもの以外では、不特定多数の指名金銭債権裏づけとするものを対象にしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  77. 西田猛

    ○西田(猛)委員 政令で書いていただくわけですが、今お答えのあった中で、不動産を裏づけとするものについては元利払いについて保証が付されているものという条件を付されるようでございます。もちろん郵貯資金あるいは簡保資金国民の大切な財産でございますから、安全確実な方法で運用していただかなければならない。他方、先ほど申し上げたような経済対策に資するため、あるいは全体的な、いわゆる第二の予算と呼ばれている資金運用部の今後の展望も含めて今回の金融自由化措置がとられるわけでございます。  そのような観点からしますと、今回の、いわゆるSPC法、特定目的会社による特定資産流動化に関する法律に基づき設立される特定目的会社発行する社債、いわゆる特定社債運用対象に追加することの意義をよくよく考えていかなければならないと思うのでありますね。  そこで、きょうは金融監督庁にも来ていただいているのでありますが、金融の企画立案は依然大蔵省の金融企画局でやっておりますが、実際の金融の実施については金融監督庁の方でやっておりますので、金融監督庁にお聞きいたします。  このいわゆるSPC法が施行されて以来、どのような特定社債、ここで話題になっている特定社債発行されてきているのか。それを裏づけしているもの、不動産とそれから指名金銭債権の別。それから、発行する会社はSPCですけれども、それの設立のもととなった親会社というのはどういう性格のものであって、それぞれ発行額はどの程度の規模だというようなことについて教えていただけますでしょうか。
  78. 青木一郎

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  特定社債についてのお問い合わせでございますが、SPC法に基づく登録を実施した特定目的会社は現在七社ございますが、そのうちの五社が特定社債発行しておりまして、発行額は一千百八十六億円になっております。  この五社の内容について申し上げますと、発行体となります特定目的会社特定資産を譲渡した社、一般にはオリジネーターと呼ばれる社でございますけれども、これは不動産会社が一社、リース会社が二社、割賦販売業者が一社、そして都市銀行が一行でございます。  特定社債裏づけとなります特定資産は、不動産を信託する信託の受益権となっておりますものが二社、指名金銭債権とするものが二社、それから指名金銭債権を信託する信託の受益権とするものが一社となっております。  なお、特定目的会社五社が発行しております特定社債は、すべて特定目的会社の財産について他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有するという一般担保つき社債となっております。
  79. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それぞれの発行された特定社債の一本一本のロットはどのくらいの金額になっているか教えていただけますか。
  80. 青木一郎

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  五社でございますが、一社ずつ申し上げますと、一つ目は五十一億円、二つ目が三百億円、三つ目が五百億円、四つ目が二百億円、それから五つ目が百三十五億円となっております。
  81. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今教えていただいたいわゆる特定社債うち、確かに元利払いについては他の債権者に先立って弁済を受ける権利が付されているわけでありまして、これがいわゆるSPC法の一つのメリットでもあるわけですが、さらにそういう特定社債について、発行体でない第三者による元利払い保証が付されているという特定社債というのはあるのですか。
  82. 青木一郎

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  特定目的会社五社により発行されました特定社債うち、第三者による元利払い保証を付されて発行されているものはございません。
  83. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そういたしますと、これはあえてお尋ねをするわけですが、冒頭郵政省の方からお答えいただいたことによると、今回の運用対象に追加される特定社債は、政令で元利払いの保証が付されているものに限ろうとしているというお話なんですね。  ところが、今金融監督庁の方からお話があったところによれば、今までのところ、発行されたこの目的となっている特定社債については、第三者による元利払い保証が付されているものはない。というのは、法の仕組みが、他の債権者に先立って弁済を受けるという仕組み制度の中に組み込まれているものですから、そこにおいて特定社債を購入する債権者、もし今回も郵貯資金簡保資金が買えば、郵貯資金簡保資金についてはその債権者になるわけですけれども、他の債権者に先立って弁済を受けるという権利がそもそも仕組みとして付されているわけなんですね。それに加えて、元利払い保証もなされていないと買いませんよ、こうなると、今後いかにいわゆるSPC法によるSPC発行する特定社債の市場が整備されていっても、運用対象になる特定社債がなかなか出てきにくいのじゃないかなというふうに思うのですが、いかがですか。
  84. 松井浩

    松井政府委員 お答え申し上げます。  いろいろな考え方があるんだろうと思います。不動産担保つきの、不動産を裏づけとするABSでありましても、当然不動産価格が前提になるわけでございます。担保価値がどうなるかということでございます。これに関してもいろいろな議論がございます。私どもとしては、先ほど申しましたように、取得価格の半額までしか見ないということで考えております。それは、安全確実というところをそこで考えようかということでございます。これだって、いろいろな考え方があり得るんだろうと思います。  先生が今おっしゃいましたように、こういった不動産を譲渡するような会社の格付よりも、大体直接の資産を担保にした債権の方が格付的には一般的に高いです。会社自身は例えばトリプルBであっても、この債権はトリプルAであったり、内容にもよるわけですが。  しかしながら、日本の今の現状の中で、やはり安全確実という点をしっかり見ていきたいというふうに思っております。先ほど先生御案内の景気対策の中にもきちっと「安全・確実な資産担保証券」というふうに記されておりますので、その中で私どもとしてはスタートしていきたいというふうに考えておる次第でございます。今後のいろいろな展開の中でまた見直すこともあるかもしれませんが、スタートとしてはそのように考えている次第でございます。
  85. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大変正直なところをお答えいただいて、よかったと思います。  それと、ちょっと比較のために、一般社債もこれは運用対象にすることができているのですけれども一般社債についてはどのようなものが運用対象となっていますか。
  86. 松井浩

    松井政府委員 お答え申し上げます。  今回のSPC法に基づく特定社債につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、社債につきましては、既に現在の運用法の中でですが、純資産が十五億円以上の会社でありました場合は特定の公益事業の業種の場合はいいよというのが一つ政令で指定されております。そのほかに、上場企業、純資産十五億円以上の株式等を上場している企業が発行する社債については、制度としては運用対象になるというふうになっております。  なお、今広い意味での資産担保証券と呼ばれるものの中には、前の答弁の中で申し上げましたが、今回の法律改正に係る以外の、通称特債法と呼んでおるもののスキームによるものもございます。先ほど申しましたクレジット債権だとかリース債権裏づけとするものが既に現行法の中であって、発行もされておりますが、それについてはまた別途政令の手だてが必要になりますが、運用対象になり得るもの、検討対象になり得るものというふうには考えております。
  87. 西田猛

    ○西田(猛)委員 続けてお尋ねするのですけれども、その運用対象に既になっている一般の社債についても、これは元利払いが発行体じゃない第三者の保証が付されているものに今は限られているんですか。
  88. 松井浩

    松井政府委員 お答え申し上げます。  制度上はそういった元利保証というものについては求められておりません。
  89. 西田猛

    ○西田(猛)委員 というのは、今局長からお答えがあったように、発行体そのものが純資産額が十五億円以上のものであったりするわけでして、そういうところで元利払いの安全確実性をある程度担保しているわけなんですね。  今回はいわゆるSPC法により設立されたSPCですから、これは非常に小さな会社であろう。そういうところから、その発行する債券について、元利払いを第三者による保証が付されてあるものということの担保措置をとられようとしているんだと思うんですが、先ほど金融監督庁からもお話があったように、このSPC法そのものが、そういう特定の目的会社をつくって、それが発行する債券流動化させよう、それは日本における、何といいますか、今非常にこびりついた資産流動化させるためのこれは促進剤なんですよという話でございますから、この仕組みの中そのものに、もういわゆるABSだとかSPC発行する特定社債についての元利払いの確実性あるいは安全性はある程度担保されているというふうに見ることもできると思うんです。  ですから、あえてさらにその特定社債について、第三者による元利払い保証が付されているものに限るというふうにされるのは、いかにも石橋をたたいて渡らないというふうな感じになるんじゃないかなと思いまして、しかも今回、郵貯資金それから簡保資金運用対象にあえて加えるということからも考えれば、もう少し運用対象として特定社債をどのように考えるかということについてさらなる御考慮をいただけないかなというふうに思うのでございます。  ここで急に大臣にお伺いしたいんですが、そういう特定社債に今回運用対象を広げるということの意味合いも考えて、今後どのような特定社債なら運用対象にできるかという考えも含めて、もう少し柔軟に考えていっていただけないものかなと思うのでございます、総合的な経済対策からすれば。いかがでございましょうか。
  90. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 既にアメリカでは、この資産担保証券の市場というのは大変成熟していると承っております。日本でもようやくSPC法が施行されてその市場が形成されていくということで、今後その市場の発展は期待されるものだと思っています。  ただ、郵貯簡保運用というのはあくまでもそれぞれの事業の健全な運営にあるわけでありまして、さらには預金者とか利用者の利益の向上という大前提がございます。ですから、あくまでもやはり慎重に、確実有利な運用に努めていかなければならないと感じていまして、今の時点におきましては、資産担保証券という新しい運用対象を広げるということで、さらに多様化することによっての有利な運用を進めていきたい、そういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  91. 西田猛

    ○西田(猛)委員 重々理解をさせていただきます。  冒頭の局長の答弁にもあったように、いろいろな考え方が今後出てくるでしょうから、そのような中でどのような特定社債運用対象を広げるのかということについてさらなる御考慮をお願いしておきたいというふうに思います。  それから、もう一つ、今回の法律運用対象に加えられる通貨オプションですね。これは一瞬、読みますと、え、郵貯資金簡保資金で通貨オプションをやるのというふうに思うわけですね、運用対象として追加されていますので。しかし、これはまさか郵貯資金簡保資金で通貨オプションだけを売買するということではないですよね。そこらあたりはどうなんでしょうか。
  92. 足立盛二郎

    足立政府委員 今回、運用対象に加えたということで、ちょっとそういう御心配が出たかと思いますが、私どもは、現在保有しております外貨債の為替変動リスクを回避するためだけに行うということで考えておりまして、具体的な取引基準等につきましては、さきに認めていただいております先物外国為替と同様、省令におきましてこういったものにつきまして措置をしていきたいというふうに考えております。
  93. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今お答えいただいたように、郵貯資金簡保資金運用の性格上、運用対象に加える、こういうふうに法律で書かないとこれは買えない仕組みになっていますから、本来であれば、一般企業の会計などであれば、通貨オプションを、保有している外貨建て債券リスクヘッジのためにつけるのであれば、例えば会計上は前受け収益だとかそういうふうな会計立てができるんですけれども郵貯資金簡保資金の場合だったら、あくまでも運用対象として買うということの対象に加えなければいけないということで今回の法律改正になっているんだと思うんですね。  しかし、それはあくまでも、今おっしゃったように、運用している外債のリスクヘッジのためだけに買うんですよということをしっかりと担保しなきゃいけないと思うんですが、今おっしゃったように、それはどこで書くことになるんですか。政令で書きますか、省令で書くんですか。
  94. 足立盛二郎

    足立政府委員 現在、先物外国為替につきまして省令が定められております。その中で、運用の目的それから運用の基準、運用の基準の中で、あくまでもこれは為替変動リスクを回避するためであるということが記載されておりまして、同様な省令を定めることといたしておるところでございます。
  95. 西田猛

    ○西田(猛)委員 わかりました。  それでは、この法律案の御質問の最後に、そういうふうにリスクヘッジをしようとしている、今、金融自由化対策資金及び簡保資金運用しておられる外貨建て債券の含み益あるいは含み損について教えていただきたいと思います。  それと、もう一つあわせて、もし郵貯資金あるいは簡保資金で、日本の地方公共団体が発行している外貨建て債券というのがあるんですけれども、東京都とか横浜市、神戸市、大阪市あたりが発行しておりますが、そういう、もし日本の地方公共団体が発行している外貨建て債券を購入している場合があったらば、それは外債として分類されているのか、地方債として分類しておられるのかもあわせてお答えいただければと思います。
  96. 足立盛二郎

    足立政府委員 平成九年度末におきまして、金融自由化対策資金で保有する外貨債券の為替評価損益でありますが、一千九百六十七億円の評価益が出ております。また、簡保資金におきましては、三千三百六十四億円の評価益が出ておるところでございます。  また、先生お尋ねの、地公体が外貨建てで発行しておる債券を保有しておるかということでありますが、現在簡保資金におきまして保有をしておりまして、そのような地公体が発行します外貨建て債券は、国内債、地方債として私どもとらえて分類をしておるところでございます。
  97. 西田猛

    ○西田(猛)委員 なるほど。そうしますと、地方公共団体が発行している外貨建て債券については、今おっしゃった外貨建て債券の含み益とか含み損という計上には入らない、こういうことなんですか。
  98. 足立盛二郎

    足立政府委員 含めて入れる計算をしておるところでございます。
  99. 西田猛

    ○西田(猛)委員 わかりました。それは恐らく、外貨建て債券であろうと地方債として分類されようと外貨建て債券の含み損益だという統一した計算をしておられる、こういうことで理解しておきます。  それから、最後に、いわゆる今度の簡易生命保険法の一部改正案で制度がなされた一病息災保険ですけれども、これは私ども自由党も従来よりこの制度設立を強く主張していたところでございまして、今回の法改正で設立されることをまことに喜んでおるところでございます。従来できなかったこのような、一つ大きな病気を持っておられても簡易生命保険に入れるという制度ができるであろうということを非常に喜びたいと思います。  それでは、時間が参りましたので、終わります。
  100. 中沢健次

    中沢委員長 矢島恒夫君。
  101. 矢島恒夫

    ○矢島委員 矢島恒夫でございます。  持ち時間の関係で、通告いたしました質問の順序を変えまして、通貨オプションの問題から質問をさせていただきたいと思います。  今回の改正というものは、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金、それから簡易生命保険積立金運用対象に通貨オプションを追加するというもので、その目的は、先ほど来それぞれ質疑されておりますように、外貨債の為替リスクのヘッジのためということになっています。確かに、外国債状況は、ディスクロージャー誌を見ますと、償還損を計上しているだけでなくて、九五年度は、海外投資利回りでトータルで赤字になっている。まさしく外国債だけでなく、全体としても元本割れをしている。現在の為替レート、これはマレーシアのマハティール氏の金融鎖国の例を引くまでもありませんけれども、実体経済とかけ離れた巨額の国際的な資金移動、こういうものによって翻弄されているという状況にあります。  そこで、基本的なことをお聞きするわけですが、そうした投機的取引の中での外債での運用、元本割れをする危険性のあるハイリスク商品で運用する、これが運用法の確実有利、公共の利益、こういう原則に反するものではないかと思うわけですが、お答えいただきたいと思います。
  102. 足立盛二郎

    足立政府委員 確実有利かつ公共性に配意をして、そして、簡易保険事業の経営の健全のために資金運用をするというふうに書いてあるわけでありますが、いわゆる資金運用といいますのは、個々の資産内容がハイリスクであるということよりも、資産全体としてのバランスがどうであるか、いわゆるポートフォリオといいますか、そういったものが適正に行われているかどうか、いわゆるリスクとリターンとの関係につきまして、健全な運用ということができるようになっているかどうかといったことから判断すべきことではないかというふうに考えております。  いわゆる外国債運用することにつきましては、国内債に比べまして非常に高い利子収入が期待できるといったようなこと、あるいは、先ほどから申し上げておりますとおり、国際的なリスク分散ができるといったような観点からこれは許されるものであるというふうに私たちは考えておるところでございます。     〔委員長退席、小沢(鋭)委員長代理着席〕
  103. 矢島恒夫

    ○矢島委員 トータル的に見て安全確実という郵政省なりのお考えだろうと思いますが、どうもその点、私、非常に疑問に思うわけなんです。個々別々に見ても、そこに非常にリスクの高いものが入ってきているということの問題について指摘したわけです。  さて、簡保積立金運用に関する第一条というのは、先ほど局長も言われたように、「公共の利益になるように運用すること」、ですから、確実有利というだけでなくて、公共の利益という観点が必要なわけです。今までの郵政省の答弁、局長の答弁なんかをずっと聞いていますと、公共の利益ということがどうもすっぽり抜けちゃっているんじゃないか。  この点で、私、今までずっと聞いていたわけですが、預金者にとって利益が確実で有利だ、これだけじゃなくて、運用そのものが公共の利益にかなう運用であるかどうか、これがそもそもの運用法の精神であろうと思うんです。投機的な市場となっているところの為替市場、ここで公的資金運用するということが公共の利益という原則から見てどうなのか、こういう点であります。  しかも、今回はデリバティブの一種である通貨オプションという形での運用、これが加わるわけであります。為替市場での運用拡大、これは本当に公共の利益なのか、投機市場の拡大で、為替攪乱に加担することになるんじゃないか、こういう危惧を持つわけなんですが、いかがですか。     〔小沢(鋭)委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 足立盛二郎

    足立政府委員 確かに、有利確実かつ公共の利益ということで、有利確実ということと公共性ということが、間々相反するような概念でもあるわけであります。そんな中で、私どもといたしましては、あくまで個々の個人の方が積み立てられたお金でありますので、なるべく簡易保険事業の経営を健全ならしめるという観点で、どのようにこの三つの理念を調和させながらこの資金運用をやっていくかということでありまして、決して有利性だけを主張し、確実性あるいは公共性をないがしろにするということではないというふうに思っております。  ただ、公共性を強調する余り、いわゆる加入者の利益を損なうようなことがあっては、これまた問題がある、したがいまして、政策運用ばかりに使われてしまうというのもこれは問題であるということでありまして、どちらがどうだということが、なかなか難しいわけであります。  そんな中で、現在、外債運用をやっておるわけでありますが、全体のポートフォリオ上に占めます外債の比重といいますのは、簡保でありますと約三・八%程度、貯金でありましても七%程度ということでありまして、いわば全体の資産の構成の中から、ある程度リスクのあることも承知しながらも、適切な資産構成として配慮して行っておるところでございます。
  105. 矢島恒夫

    ○矢島委員 安全、確実、有利、それから公共性、いわゆる法の精神からいけば、難しいことではあっても、その法にのっとる方向というものを追求するということが必要だろうと思うんです。まだ納得しませんけれども、次の特定社債、いわゆるABSの問題に移りたいと思います。  先ほど、特定社債運用の基準については、同僚議員からそれぞれ質問があり、局長の答弁も得ておりますが、運用額というのはどれくらい予定しているか、その辺についてお答えください。
  106. 松井浩

    松井政府委員 日本におきましては、今の資産担保証券、今回の特定社債は、今のところまだ五社ですね、既に発行されたものは。そういう状況でございます。ですから、額につきましては、市場の今の動向を見きわめながら検討していくということになろうかと思っております。
  107. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そもそも、この特定目的会社SPC発行する特定社債、いわゆるABSですが、出発点は不良債権対策として始まったわけですね。構造改革推進研究会の土地ワーキンググループの報告書を見ますと、「金融システム改革の一環として、また、不良債権処理や土地有効利用の促進策として、今般、「特定目的会社による特定資産流動化に関する法律」の制定により、特定目的会社が業として特定資産(不動産、指名金銭債権等)の流動化を行う制度が確立され、証券化の条件整備が大きく前進した。」と書かれております。  不良債権の処理というのが一つの目的であるということ、そうしたものに郵貯やあるいは簡保資金運用していくということになるわけですが、そこでまず私、確実有利という観点でお尋ねしたいんですが、先ほど来、基準というものを設けた、例えば土地の取得額の五〇%、こういう基準をつくる、本当にそれで安全なのかという問題なんです。  バブル崩壊後地価がどんどん下落いたしました。またそのうちに上がるだろうというので持っていたら、ますます下落して、担保不動産、これが不良債権になっていっている、こういう状況があるわけですね。郵政省は、この地価の変動、これをどう考えているのか。一層下がる可能性があるんじゃないか。  というのは、こうしたことを専門としている、あれはハゲタカファンドというのが一時新聞をにぎわしましたが、海外の投資家です。日本銀行やその関連のノンバンクから不良化した債権資産を買いあさって話題となったことがあります。その取得価格というのは簿価取得価格の五%だとか一〇%だとかと言われております。五〇%という数字、本当に安全と言えるのかどうかお答えいただきたい。
  108. 松井浩

    松井政府委員 お答え申し上げます。  先ほど、基準に関する考え方として不動産の取得価格の五〇%以下というふうな一つの目安を申し上げたところでございます。  もっとも、不動産を担保とする特定社債につきましては、そのほかに、本来なら私どもが社債を制度上買っていいということになっている会社の元利保証つきのものを合わせてセットで条件化するという考え方で、そういうセーフガードを用意しているわけでございますが、その五〇%の考え方についてちょっと申し上げたいと思います。  いろいろな議論があるのは、私も経済専門誌だとかいろいろ読んでおりますので、それはそれで先生がおっしゃっていることについても承知しているつもりでございます。もちろん、十分であるかどうかについてはまたあれですが。ただ、私ども一つの目安でございますが、六大都市の市街地価格指数は過去五年間でですが四〇%下落しております。これはもういろいろ御経験の中でございます。  ここからの考え方なんですが、過去四〇%下がっているから今後さらに五〇%下がってというこういうベースで考えているわけです。ですからそういう意味では、もとのところから来ますと相当下がったところで置いているということをお含みいただきたいと思います。先ほどの質問で、ちょっとかた過ぎるんじゃないかというふうな観点での御質問をいただいたわけでございますが、そういうレベルで考えていると思います。  それから、先生が先ほど御指摘の、例えば取得価格の五%だとか、それとハゲタカファンドのお話がございましたが、あれは、だれも見向きもしない、どうしようもない土地を組み込んだ話ですから、それは、もともと逆に言うと使用価値のないものというふうなものを組み込んだ話でございますので、ここで想定しております特定社債とはちょっとケースが違うんではないか。ここは、そういった虫食いのような、かつての地上げの失敗したようなものは恐らく対象にならないと思います。それはもう発行できないと思いますね。マーケットが受け付けないと思います。そういうふうに考えております。
  109. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろと基準を設け、安全ということを最大限確保しているということですが、もしですよ、もしもの話なんでお答えいただけるかどうかわかりませんが、このABSを買って損失が生まれたという事態が起きたと。その責任の所在というものですが、私としてはもう少し厳しい基準を定めた方がいいとは思っているんですが、こういう基準を決めた郵政大臣にその責任があるのか、それとも、この情報をよく吟味しないで運用した職員にあるのか、どこにあるのか。この点はどういうふうにお考えですか。
  110. 松井浩

    松井政府委員 お答え申し上げます。  最初にちょっと申し上げたいのは、やはり安全確実なものを運用対象に慎重に選択していきたいというスタンスがまずございますので、基本的に、多額の損失が発生するといったことはまず考えておりません。しかし、実際にそうなったらどうなのかということでございます。  これは、ある程度のハイリターンを目的としてというか、リスクとリターンの関係がありますので、当初の想定よりも違うときは当然ございます。ないとは言い得ません。  それから、さっき私答弁申し上げましたが、取得価格との兼ね合いで例えば元本が少し足りない場合ですね。全部足りない場合だって万が一、一〇〇%ないとは言い切れませんが、そういう場合は、私どもの会計処理の中では費用としてきちっと計上することになっております。売却損が出ても同じでございます。そういう形で費用として計上する。それから、会計全体としては、独立採算でございますので、そういうトータルとしての年度の損失が出れば、欠損が出れば、それは既往の積立金を減らす形で処理しているということでございまして、そういう中で処理されるということでございます。  個々の職員が、私ども国家公務員でありますと、国家公務員法上の職務専念義務に従いまして誠実に務めるというのは当然でございますが、ただ、きっと、賠償責任をどうするんだ、損害賠償をどうするんだというお話でありましたとすると、これはちょっと私どもの所得水準からはるかにけたの違う話になりかねませんので、ここのところは、そういうふうな仕組みには、国家公務員の法の体系はそういうふうにできていないというふうに考えております。
  111. 矢島恒夫

    ○矢島委員 損失についての補てんの問題はお聞きしました。責任の問題、損害賠償まで私今お聞きしようとは思いませんでしたけれども、やはりそれに対してきちっとした態度をとることが必要だろうなと思いました。  さて、この十五億円以上の上場企業、元本保証、あるいは先ほど来の五〇%を超えない、いろいろ条件をつけてやるわけですが、こういう条件をつけざるを得ないというところあたりがこのABSのハイリスク性を物語っているんじゃないかと私は思うわけですが、次に、公共の利益という観点から何点かお聞きしたいんです。  政府は、昨年四月二十四日の土地・債権流動化のトータルプランで、このSPCあるいはABS、こういうものをつくっていくことに対して、リスクを嫌う一般投資家への呼び水としてこのABSを郵貯やあるいは簡保で買い取らせる、こうしているわけです。郵貯簡保は、機関投資家でいろいろ専門家もいらっしゃるでしょうからそれなりの対応ができるようになっておると思います。  このSPC法によりますと、ABSというのは、小口証券として銀行の窓口でも一般の投資家も買うことができるようになってくるわけです。安全確実というものを旗頭にした国営の郵貯簡保がこのABSを買う、そうすると、個人投資家、情報そのほかの問題もありますけれども、このハイリスク商品を安全確実だ、郵貯簡保までやっているんだから、こう思わせる危険性はないわけじゃない。この点はどんなふうにお考えですか。
  112. 松井浩

    松井政府委員 簡易保険局長が先ほど申し上げましたが、私ども資産は当然有利確実に運用されなければなりませんが、ベースはトータルな立場で考えております。ポートフォリオ全体として考えております。しかしその中でも、普通の民間の機関投資家に比べれば、はるかに安全資産に軸足のウエートがある内容になっているというふうに考えております。  あともう一つは、マーケットに与える影響についてのお話でありましたですけれども、現在の持っております、私ども運用資産にしておりますものが、いわゆる通例の生活者としてのサラリーマンなり、あるいは、個々のそうでない自由業の方もいらっしゃると思いますが、そういう方々が平素身近に運用対象としておられるものを我々が対象にしているわけではございませんので、私どものそういう市場との巨大な機関投資家としてのかかわりから、直ちにそういった一般の市民の方の誤解というふうにつながるとは、私はちょっとそこは思っていないのですが。
  113. 矢島恒夫

    ○矢島委員 新しい金融商品です。リスクがある商品ということになれば、やはり公共の利益ということから考えてみても、そこへの運用というのを主張されるならば、当然社会的な影響というものも十分配慮されるべきだというふうに考えます。  私、金融監督庁と、それから通産省の方に来ていただいているのですが、時間がなくなってしまったんです。せっかくおいでいただいたのに、申しわけございません。またの機会に質問させていただくということで、本当に申しわけなく思います。先ほどちょっと話しておきましたが。  そこで、このABSというのは、国内では九六年から解禁されているわけです。その根拠となっているのが、九三年六月に制定された特定債権等に係る事業の規制に関する法律、いわゆる特債法、これでリース、クレジット債権流動化を認めたものだと思います。九六年からABS方式の流動化が始まっているわけです。日経金融新聞の四月二十日付によりますと、リース、クレジット債権などを裏づけにした資産担保証券、この市場が急拡大している、九八年度に日本企業が国内外で発行した公募ABSは初めて一兆円を超えた、こんなふうに報じられています。  そこで、この特債法に基づくか、あるいは外国で発行されたABSを郵貯簡保運用したということは聞いたことがないのですが、これは法律運用できないということですか。
  114. 松井浩

    松井政府委員 お答え申し上げます。  外国のものにつきましては、外国、つまり発行体ですね、先ほどもありましたが、外貨建てか外国債かというのはちょっと違いまして、外貨建ての国内債もあれば、逆に円建ての外国債もあるわけでございますが、外国法人が発行するものを外国債と呼んでおります。それは、外国政府だとか、あるいは外国の地方政府だとか、外国の、日本でいえば特殊法人に当たるもの、そういったものにつきましてはもちろんできますから、そういった外国債として運用法上認められているものは、発行体がそういうものであれば、形態がどういうものであれ、それはできるということになります。しかしながら、今までの経験はございません。
  115. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今回の法改正によって、クレジットなどのリース債権を担保にしたものでも、SPC、これを通じて発行されたものならば一定条件のもとで運用できるようになる、こういうわけだろうと思います。  このSPC法の解説を、前の大蔵省の銀行局の課長補佐だった国枝繁樹さんという、今大阪大学の助教授をされておる方が書物に書いておりますが、それを読みますと、我が国においても、内外の特別目的会社を利用したABSの活用が可能となり、資産流動化が着実に進むようになったが、流動化対象資産の中心は、クレジット、リース債権あるいは売り掛け債権銀行の優良貸出債権の比較的リスクの少ない資産であり、不良債権、不動産といったリスクの高い資産流動化は進まず、リスクの高い資産の証券化を可能とする法的枠組みが望まれた。特定目的会社による特定資産流動化に関する法律及びその整備法は、不良債権、不動産といったリスクの高い資産流動化を進めるための新しい枠組みを提供するものである、こう述べているわけです。  そこで、最後に大臣にお聞きするのですが、既に先ほどお話がありましたように、一定の市場もある、リスク的には少ないと言われているABSが既に流通しているわけですね。なぜ、あえてまだ未発達でリスクの高いSPC法に基づくABSから運用するのか。これでは結局、バブルの後始末のための不良債権の処理、そして、リスクの高い不動産に郵貯簡保資金運用するためじゃないかと考えるわけですが、大臣のお考えを。
  116. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども資産担保証券の市場というのは外国において始められ、既に成熟しているところもあるわけで、直接金融の一つの分野をなしているものと思います。私たちは、郵貯簡保の事業の健全化を図るために運用させていただいているわけですけれども、その運用多様化することによってより有利な運用ができるわけでございまして、その一つとしてつけ加えさせていただいているものでございます。そういうことでございます。
  117. 矢島恒夫

    ○矢島委員 アメリカでは、クリントン大統領が公的年金の資金を、七千億ドルですか、株式運用に使おうとしたのに対して、FRBのグリーンスパン議長が猛反対したという記事がありました。日本では、株式だけではなく為替市場、そして今回の不動産市場、こういうことになるわけで、郵便、簡保には九三年の為替PKO、昨年末に株価PKOというのがありましたが、こういうものがあるわけで、やはり私は、全銀協だけではなくて、国民から郵貯簡保の民営化なんというのが出てきたら本当に困るわけなんですが、そういうことを招きかねない問題を含んでいるということを指摘して、時間になりましたので終わります。
  118. 中沢健次

    中沢委員長 横光克彦君。
  119. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  何人によらず、資金運用というのは大変難しい問題だと思います。しかも、それが何十兆、何百兆という巨額な資金運用する場合は、安全でありそしてまた確実であり、その上に有利を求めるわけですから、その難しさ、その責任の重さというのは、私は想像を絶するものがあると思うわけでございます。  本法案の郵貯簡保資金による特定社債への運用は、「郵便貯金事業及び簡易生命保険事業の健全な経営の確保に資するため、」このように提案理由にございます。この趣旨は非常によく理解できるわけでございます。  しかし、先ほどから質疑に出ております特定社債への運用でございますけれども、これはSPC法が施行されたのが昨年の九月でございますね。それによって、不動産の証券化事業が年を明けてからようやく動き始めております。先ほど金融監督庁の説明では、社債を発行しているのは現在のところ五社であると。いわゆるスタートしたばかり、市場が動き始めたばかりという状況なんですね。不動産の証券化市場が整備されて、成熟しているという状況とは言えない。確かにいろいろな面で期待はされておりますが、まだまだ市場の育成の段階ではなかろうか、このように思うわけでございます。  ということは、逆に言えば、いわゆる投資家の保護制度が確立されていないとも言えるわけでございます。今回の、特定社債運用という対象が広がったわけですが、いわゆる投資家なんですね、国民お金を預かっている、非常に健全であり、しかも確実を伴った投資家であるサイドであるわけですね、郵政省としては。ですから、私は、この法案に反対しているわけではないのですが、法案が成立して、施行されて、そしてまた運用ができるようになったとしても、先ほど申しました公的資金運用の原則は安全性、確実性でありますから、この不動産証券化商品の市場が本格的に確立されるまでの間は、公的資金の市場への介入は、できるだけ状況を把握しながら、私は、慎重であるべきだと、つまり、ちょっと水を差すような意見でございますが、こういう考えを持っておるんですが、いかがお考えでしょうか。
  120. 松井浩

    松井政府委員 お答え申し上げます。  総合経済対策の中では、「郵貯簡保資金運用対象多様化し、預金者加入者の利益に資するため、安全・確実な資産担保証券に対する運用について平成十一年度に向けて検討する。」と盛り込まれております。この対策にありますように、この資産担保証券に対します郵貯簡保資金運用は、預金者加入者の利益に資することを目的として行うものでありまして、資産担保証券の市場の育成を直接の目的とするものではないということを確認させていただきたいと思います。
  121. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、市場の育成が目的であってはならないと思いますが、しかし、運用するわけですから、ある程度市場が成熟しなければリスクというものが伴うわけですので、そこのところは慎重にしていただきたい。そしてまた、SPC法案そのものが、いろいろな、税制等を含めてまだまだ不備の点があるということで、改正の動きがあるわけですね。そういった状況の中ですので、より慎重な対応を私は求めているわけでございます。  次に、SPC法により、一般の不動産のみならず、不良債権の担保となっている不動産をも証券化されることになっております。そのような不動産を裏づけとする特定社債に投資するリスクは、これは当然のごとく回避しなければなりませんが、この回避する手段はしっかりと担保されているのかどうか、いま一度説明いただきたいと思います。
  122. 松井浩

    松井政府委員 お答え申し上げます。  SPC法に基づく特定社債の特色は、この特定目的会社登録する際に裏づけとなる資産の内容を記載した資産流動化計画を金融再生委員会に提出することになっております。これは公衆に縦覧されることとなっておりますので、投資家は事前にその裏づけとなっている資産状況について知ることができます。当然調べます。そうしまして、このチェックによりまして、安全確実でないものに対する投資をしないというふうなチェックが働くというふうに考えております。  また、よくありますあれですが、虫食いの土地だとかいうような、不良債権の担保となっている不動産を裏づけとする特定社債がどうなんだろうかといったときでありますが、こういったものは市場で受け入れられませんから、現実に発行されることはないというふうに考えております。  実際の運用に当たりましては、先ほど来申し上げておりますように、運用基準をきちっと政令等で定めまして、さらに投資家の立場で慎重に判断をした上での投資をしたいというふうに考えております。
  123. 横光克彦

    ○横光委員 どうぞ、しっかりとした対応、慎重な対応をよろしくお願いしたいと思います。  次に、郵貯簡保資金ともに、今日まで、より有利で確実な運用を図るため、順次この運用多様化を図ってきたわけですね。平成七年には先物外国為替、そしてまた九年には有価証券信託も加わることになっております。そして今回でございます。今後、郵貯の全額自主運用を控えております。郵貯簡保合わせて三百五十兆を超えるこの巨額の資金を今後運用することになるわけでございますが、これからどのようなものでの運用をさらに考えておられるのか、説明をいただきたいと思います。
  124. 松井浩

    松井政府委員 財投改革、全額自主運用後の資金運用あり方につきましては、先ほど申し上げましたように、大臣主宰の郵貯簡保資金運用研究会の中で今いろいろ検討されているところでございます。郵政省としましては、この研究会議論を踏まえて、預金者利益の確保あるいは健全な経営の確保の観点に留意しつつ、適切に準備を進めていきたいと思っております。  御質問のどのようなものでということでございますが、まだ研究会として意見がまとまっているわけではございませんが、基本的には、これまでの郵貯簡保の長年の自主運用の実績と経験を踏まえまして、引き続き、財投債とか地方公共団体貸し付け、こういったものへの運用を通じて、社会資本整備など公的分野への長期資金を供給していきたいというふうに思っております。  また、日本のビッグバンの進展によりまして、証券・金融市場が拡大してまいります。その市場の中で、国債、社債等の長期債を中心に有利運用していきたい。こういうことによりまして、安全確実な資産を中心とした長期安定的な資金運用を行うことを基本として、健全経営を維持してまいりたいというふうに考えております。
  125. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、財投債を中心とした社会資本整備の供給等が中心になろうかと思いますが、先ほどからいろいろ意見がございます、多様化した運用対象というのがこれからもやはり課題であろうと思うんですね。  そうしますと、平成十年四月二十四日に総合経済対策で、「郵貯簡保本体による指定単運用を可能とするよう検討し、」このように総合経済対策では打ち出しておるわけですが、この指定単に対する直接運用検討対象はどのようになっているのか、そしてまた、郵貯簡保ではこの直接運用を積極的に行うおつもりがあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  126. 足立盛二郎

    足立政府委員 昨年の総合対策の中で指定単の本体運用ということが検討課題になったわけでありますが、実は、財投改革が現在進められておりまして、この全く新しい枠組みの中でこれから資金運用というものをやっていかなければならないということであります。  そういうようなことになりますと、財投改革全体の中でこの本体運用についてもその一環として検討した方がいいんではないかということでありまして、現在関係省庁とも検討しておるところでありますが、今国会に法案を提出するということはいたさなかったものでございます。
  127. 横光克彦

    ○横光委員 最後に大臣にお聞きいたしますが、簡保法の方ですが、今回発売の一病息災保険ですね。これは本当に、先ほどからお話ございますように、まさに国民ニーズにこたえた、時代に即応した商品の発売だと私は思うんです。確かに、国民ニーズがあるということで、既に民間生保がもう発売しているわけですね。さすがに民間生保も、今非常な厳しい状況の中で、いかに国民ニーズにこたえるかということで大変努力されている。そして、既に始まっているわけですね。  ところが、郵政省は、郵政三事業は、官は民を補完するのである、そういう立場である以上、民業の圧迫にならないか、また、民業の圧迫にならないためにも、生保業界への説明あるいは理解というものが必要であろうかと思いますが、このことにはどのように対応されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  128. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 御審議いただいております一病息災保険につきましては、例えば生活習慣病とか、急速な高齢化に伴ってそういう方たちがふえてきて、なおかつ、以前はその人たちを健康であるというふうに呼ばなかったけれども、医学が進歩し、コントロールができるようになり、なおかつみずからも自助努力をする中で、健康な人間として御活動されているというところを踏まえて、そういう新しい健康概念をつくっていかなきゃいけないということを感じておりました。  民間生保の方は、戦前から有診査による病気にかかった人たちへの保険というのはあったそうですけれども、ようやく最近、無診査で一部の民間生保が始められたということを承っておりますが、まだまだニーズというか、市場の広がりというのは十分ではない。むしろ、私たち簡保の方で率先して一病息災という新しい健康概念というか、そういうものを踏まえた保険制度をつくり、そしてその市場をつくることによって、民間生保の皆様方と商品開発に向けて切磋琢磨ができるのではないかと思っています。  先生御心配の点は、民間生保の皆様方とこれからも対話を積み重ねてまいりたいと思っていますので、御理解いただきたいと思います。
  129. 横光克彦

    ○横光委員 この商品が発売されたら、本当にニーズ、求めている多くの国民の皆様方が加入していただきますことを期待して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  130. 中沢健次

    中沢委員長 中田宏君。
  131. 中田宏

    ○中田委員 いわゆる一病息災保険と言っていいのでしょうか、簡易生命保険法の一部を改正する法律案についてお伺いをしていきたいと思います。  私も調べてみましたら、高血圧の方は、平成八年のデータで七百四十九万人、糖尿病の方が二百十七万人。受診していないけれども潜在的な患者数というのは、それぞれ三千四百万人と六百九十万人もいるというようなデータがあるわけですから、そういう意味では、まさにきょう一日の議論の中で出てきているように、基本的には今の時代ニーズにマッチした簡保あり方だろうということで私は考えます。  そういう意味では、今回の法改正によって、持病を持っておられる方々保険の道が開かれるということは大いにいいことだと私は思うわけですが、一方で、民間生保の取り組みはどうなっているのかなというふうに感じるわけであります。  そこで、きょうは短い時間ですが、金融監督庁に来ていただきましたので、民間生保の取り組みについてお教えをいただきたいと思います。
  132. 乾文男

    ○乾政府委員 お答えいたします。  最近の生保商品の開発動向を見ますと、加入条件を緩和するなど保障範囲を拡大いたしました商品や、生前給付タイプを中心といたします給付事由を充実した商品の販売など、顧客ニーズの掘り起こしに向けた取り組みが行われているわけでございまして、お尋ねの、慢性疾患等、高血圧でございますとか糖尿病でございますとか、そうした持病のある方を対象とした保険のほか、健康状態に関係なくだれでも加入可能な保険というものが、これまでごく一部の保険会社において開発され、販売が行われている状況にございます。
  133. 中田宏

    ○中田委員 事前に少し調べたところだと、今、具体的な名前はわかりませんでしたけれども、住友生命、明治生命あるいはアリコジャパンといった会社がそうした同種の保険というものを開発しているようでありまして、三社で既に四商品が発売をされているというふうにお伺いをしています。そういう意味では、私がここで判断をするならば、まだ民間生保の方の取り組みは余り進んでいないというふうに考えてもいいのだろうと思います。  その意味では、簡保がまさに国営の保険会社として、そして公共サービスとして、時代ニーズはあるけれども一方では民間の手がついていないところを補完するのかなと。既にきょうの議論の中でも民業の補完という話がありましたけれども、そういう意味では今回のこの一病息災保険というのは理にかなっているのかなと私は思っていますが、民業の補完という意味において、これはそういう認識をしてよろしいかというところをちょっと大臣にお伺いしたいと思います。
  134. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 一病息災保険に関しましては、多くの皆様方から御要望があるにもかかわらず、まだ民間生保の方で十二分にそういう商品開発がなされていないということで、その補完というよりも、やはり簡保の役割というのは基礎的な生活保障サービスをするということで、そういう役割に基づいて今回こういう保険の導入の御審議をいただいているところでございます。
  135. 中田宏

    ○中田委員 民間の補完ということが私は大事なことだと思っているのですね。ですから、今申し上げたとおり、民間がまだ手がついていないところを今回簡保が積極的にやっていくということに関して、もちろん先ほど申し上げたように民間もやっている部分もありますけれども、まだまだ十分じゃないというところをやることはいいことだというふうに私は考えているわけで、お伝えもしたいと思っていたわけです。  一方で、やはり民業の補完というのが何よりも郵貯やあるいは簡保にも求められていることでありまして、そういう意味においてぜひこの機会に、こうした保険が出されること、きょうの議題の一病息災保険が出ることは民業の補完でいいことだというふうに申し上げた上で、一方では、果たして今の簡保あり方がこれでいいのかなということをぜひ大臣にも御答弁をいただきたいと思うわけです。  今、法律上の種類でいったら十一種類簡保保険があって、約款上でいったら二十六種類保険が出回っている。完全にフルラインナップでそれが存在をしているというふうにも言えます。簡保保険の総資金量ということになれば、平成九年で百兆円を超えて、平成十年度の最新でいうと百十兆円規模で資金運用がなされているようになります。  大正五年にこの簡保法ができて以来、基本的には民業の圧迫だという話はあったわけだし、大正五年に帝国議会が簡易生命保険法を成立させたときにも既に民間は反対をしていたわけですけれども、そんな趣旨から考えて、一方では評価すべき点と、それから現状の簡保で果たして民業の圧迫にはなっていないのかというところを最後に大臣にお伺いをして、終了したいと思います。
  136. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生御存じのとおり、郵便局、二万四千七百のネットワークを持っているわけでございまして、ここでは、都会に住んでいない地方の人たち、それぞれいろいろな不便な点があるわけですけれども、そういう方たち保険という生活保障のサービスを提供しているということで、まさに民の手の届かない部分に対して官である郵便局、簡易保険がそういうサービスを補完している、そういう理解をしていただければありがたいと思っています。
  137. 中田宏

    ○中田委員 終わります。
  138. 中沢健次

    中沢委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  139. 中沢健次

    中沢委員長 ただいま議題となっております両案中、郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。
  140. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、日本共産党を代表し、郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部改正案に反対の討論を行います。  本法案に反対する理由は、不動産への運用を、特定社債を介する形で、事実上解禁するからであります。  公的性格が強い郵貯簡保資金で不動産投機を行うことは、国民はもとより大蔵省、歴代の政府でも踏み切れずにきたものであります。郵貯簡保銀行などと違ってバブルの傷を受けなかった大きな要因は、不動産投機が禁止されていたからであります。株式市場については、指定単という抜け道をつくって参入し、経済対策の名のもとで株式PKOに動員され、大きな痛手をこうむってきたことは、これまで当委員会で追及してきたところであります。  特定社債運用は、不動産会社や金融機関の抱えるバブルの後始末を、国民資産である郵貯簡保資金で肩がわりするものにほかなりません。  金融ビッグバンを控える金融機関の救済であり、政府の土地、債権流動化対策との名目のもとで不動産投機に道を開くことにつながることは明白であり、断じて容認できるものではありません。  本法案に反対する第二の理由は、昨年の先物外国為替取引への拡大に続き、デリバティブである通貨オプションを追加することは、リスクも大きく、元本割れもある為替投機取引を拡大するものであり、国民資金を危険にさらすからであります。  郵貯簡保資金は、「積立金を確実で有利な方法により、かつ、公共の利益になるように運用する」というのが法の目的であります。通貨オプションは、デリバティブ取引であり、少ない資金でより大きな効果をねらうこともできる反面、大変なリスクを背負わされることになります。外債購入の為替PKO以上に政府による為替介入のおそれがあります。  今回の改正案は、郵貯簡保資金の完全自主運用を先取りするものであり、二〇〇一年の金融ビッグバンのために、個人資産千二百兆円のうち三百五十兆円を占める郵貯簡保資金を不動産投機、為替相場介入の手だてとして動員する以外の何物でもありません。また、株式市場、不動産市場、為替市場で、民間の機関投資家同様に郵貯簡保資金を自由に運用しようというのでは、もはや国営で郵政三事業を運営していく存在意義をみずから投げ捨てたものと言わなければなりません。  今回の改正案は、郵便貯金簡易生命保険を、国民の意に反して民営化に道を敷く路線につながっていかざるを得ないことを指摘して、私の反対討論を終わります。
  141. 中沢健次

    中沢委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  142. 中沢健次

    中沢委員長 これより採決に入ります。  郵便貯金法及び簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 中沢健次

    中沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  144. 中沢健次

    中沢委員長 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  145. 中沢健次

    中沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 中沢健次

    中沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  147. 中沢健次

    中沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会