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1999-04-28 第145回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十八日(水曜日)     午前九時一分開議   出席委員    委員長 中沢 健次君    理事 浅野 勝人君 理事 小坂 憲次君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 小沢 鋭仁君    理事 福留 泰蔵君 理事 西田  猛君       逢沢 一郎君    今村 雅弘君       岩永 峯一君    大石 秀政君       亀井 久興君    倉成 正和君       佐田玄一郎君    佐藤  勉君       園田 修光君    竹本 直一君       虎島 和夫君    仲村 正治君       松本  純君   吉田六左エ門君       渡辺 博道君    生方 幸夫君       原口 一博君    石垣 一夫君       遠藤 和良君    白保 台一君       江崎 鐵磨君    矢島 恒夫君       濱田 健一君    横光 克彦君       中田  宏君  出席国務大臣         郵政大臣    野田 聖子君  出席政府委員         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         郵政政務次官  佐藤 剛男君         郵政大臣官房長         事務代理    鍋倉 真一君         郵政省郵務局長 濱田 弘二君         郵政省通信政策         局長      金澤  薫君         郵政省電気通信         局長      天野 定功君         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君  委員外出席者         参考人         (日本放送協会         専務理事技師         長)      長谷川豊明君         参考人         (日本放送協会         理事)     山田 勝美君         参考人         (日本放送協会         総合企画室〔経         営計画〕局長) 中里  毅君         参考人         (社団法人日本         民間放送連盟専         務理事)    酒井  昭君         逓信委員会専門         員       平川 日月君 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     松本  純君   大島 理森君     岩永 峯一君   仲村 正治君     佐田玄一郎君   石垣 一夫君     白保 台一君   横光 克彦君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     大島 理森君   佐田玄一郎君     仲村 正治君   松本  純君     渡辺 博道君   白保 台一君     石垣 一夫君   濱田 健一君     横光 克彦君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 博道君     江渡 聡徳君 四月二十七日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)(参議院送付)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第五七号)(参議院送付) は本委員会に付託された。 四月二十七日  情報通信の不適正利用対策の充実に関する陳情書(第一五七号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案内閣提出第七〇号)  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第九二号)  高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案内閣提出第九三号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)(参議院送付)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第五七号)(参議院送付)     午前九時一分開議      ――――◇―――――
  2. 中沢健次

    中沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案放送法の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案の各案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました各案審査のため、日本放送協会専務理事技師長谷川豊明君、日本放送協会理事山田勝美君、日本放送協会総合企画室経営計画局長中里毅君及び社団法人日本民間放送連盟専務理事酒井昭君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中沢健次

    中沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――
  4. 中沢健次

    中沢委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂憲次君。
  5. 小坂憲次

    小坂委員 おはようございます。  参考人の皆様には、お忙しいところ、まことにありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。  本日は、有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案放送法の一部を改正する法律案並び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案、以上三案について質疑をさせていただくわけでありますが、主にデジタル化について、いろいろな問題を中心質問させていただきたいと思っております。  今回の放送法の一部改正によりまして、いわゆる放送デジタル化ということについては、衛星、そして地上波、また有線テレビ、それぞれがデジタル化への法律の枠組みとしての対応を終えるような形になって、これから本格的な技術革新に基づく新たなメディアとしての方向づけ、それから、激しい競争を踏まえて、世界の中でのデジタル化への対応の各国におけるしのぎを削るような厳しい時代がやってくるのかなと思うわけであります。  衛星テレビジョン放送というのは、地域を越えて、国境を越えて広くカバーすることができる。また、地上波というのは、日本国内都道府県単位のくくりもできますし、また同時に、受信装置としても非常に簡単な装置で、移動しながらの受信に非常に適しているという特性を持っております。また、ケーブルテレビジョンというのは、接続という物理的な行為を伴って、接続したもの同士の相対的な通信放送という関係になるものですから、双方向性にすぐれているとか、いろいろなメディアによる特徴があると思うのです。  今まで、それぞれに周波数を割り当て、また業務の認可をしてきたわけでありますが、こういったデジタル化機会に、衛星地上波ケーブルというものを全体的にもう一度俯瞰して、そしてメディア特性を勘案しながら、それぞれの放送あり方役割分担というようなものを一度見直すことが必要なんじゃないかなというふうに考えております。  この点について、郵政省考え方をまずもってお聞きし、また同時に、こういった新たな見直しということについて、私としては、ぜひとも大臣の若い柔軟な発想女性らしい発想も踏まえて、固定概念にとらわれない、そういった発想で、これを一つの契機として取り組んでいただきたいな、そんなふうに思っておりますので、この決意をお聞かせいただきたい、こう思っております。  まず、この点についてお願いをいたします。
  6. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、放送分野も、デジタル技術の活用によりまして、新しい局面に移行しつつあるのかなというふうに感じております。  特に、MPEG2あるいはMPEG4という圧縮技術の開花によりまして、今まで単なる音声メディアと言われておりました携帯電話あるいはインターネット、それからNTT等中心に進めておられるFTTHといったものも、通信媒体でありますけれども映像伝送という意味で、放送分野考えるに当たりましても視野に入れていくべきメディアに変わってきているのではないかというふうに考えております。  そういう中で、それぞれのメディアが、デジタル技術中心とする新しい技術を活用しながら、視聴者ニーズにこたえて多様なサービスを提供していかれるものと考えております。  しかし、それぞれのメディアがどのように展開していくのか、どのように特徴を発揮していかれるかというのは、まさに視聴者がどのメディアのどの特徴を生かしていくか、どれに着目するかというところによるところが大でございまして、そういう意味では、デジタルメディアメディア視聴者の間のインタラクティブ放送を可能にしますが、トータルとして、視聴者メディア関係もよりインタラクティブ関係になっていくのではなかろうかと思います。  したがいまして、行政としてこれにどう対応するかということにつきましては、まずは、視聴者メディア選択について、十分に選択可能になるように選択環境を整える、あるいは視聴者メディア間のインタラクティブ関係が進むように整備していく、サポートする、あるいはそれぞれの放送メディアがそれぞれの特徴を十分発揮できるように環境整備に努めまして、放送全体の全体最適を図っていくことが行政の課題ではなかろうか、かように存じておる次第でございます。
  7. 小坂憲次

    小坂委員 大臣お答えの前に、一言。  今、品川局長お答えでありましたけれども視聴者選択の幅を広げて、それを提示していきたい、こういうことなんですが、視聴者自身も、一体どんなことが起こるのか、まだ全然見えていない。そういう点からすると、一番見やすいところにいるのは、やはり役所なんだと思うのです。やはり郵政省が、技術的な近い将来と、それから現状の問題点とか、そういうものを全体的に俯瞰して、その中で、ある程度政策的にこれを誘導していく必要があるだろうと思います。  そういうものを最初に心がけて、その上で視聴者に対して提示をしていかないと、視聴者自身が、今それぞれのメディアごとに起こっている変化を事象としてとらえていて、俯瞰するだけの幅広い横断的な知識、あるいはそういうチャンスも持ち合わせていないものですから、今見直さなきゃいけないのは、役所としての立場から、行政的に、全体的な将来像というものを見据えて、それを考えていく必要があるんだろう、一歩先んじてそれをやってもらわないといかぬのじゃないかなと思うのです。  こういうふうに考えておるのですが、そんなことも踏まえて、ひとつ大臣お願いいたします。
  8. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 だれもが思っていることですけれども放送というのは、私たち国民にとってはまさに一番身近なメディアであるし、また、私たち国民がいろいろな情報を手に入れるための基幹的な役割を果たしているということは御理解いただいていると思います。ですから、放送メディアが、これからそれぞれの特徴、まさに先ほど先生がおっしゃったような特徴を十二分に生かして、私たちの期待にこたえることが必要ではないかと考えています。  まさに、デジタル化されることによって、その成果というかそういう成果物を積極的に取り入れていただくことによって、創造性を発揮して、視聴者ニーズにこたえることによりそれぞれやはり放送市場あり方というものが決まってくると考えます。  例えばきれいな画像を見たい人もいれば、例えば先生のように毎日お忙しくて一日じゅうテレビを見られない人にとっては、蓄積機能があって、集中的に自分の知りたいところを知りたいとか、そういう多種多様な、男性、女性、若い人、お年寄りの方を問わず、いろいろなニーズ放送事業者がそれぞれの個性や特性を生かして把握していただき、そういうものを膨らましていただくことが大事なんじゃないか。要するに、放送というのは、そういう急速な技術革新の中にあって、まさに伸び盛りではないかと思っています。  ですから、私としても、柔軟性を持てということを、あらかじめ、あなたはこれをやりなさい、あなたはこれをやりなさいという枠をはめるということは、そういう伸び盛りの、いろいろなことができるだろうという人たちにとって枠をはめることになってしまってはむしろ発展の阻害になるのではないかということを心配しています。  ですから、今私たちにできることは、そういう新しいデジタル技術を十二分に理解し、事業者を活用し、さらに多種多様な国民のいろいろなリクエストに適時適切に応じられるような、そういう環境づくりのために精いっぱいの応援をしてまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
  9. 小坂憲次

    小坂委員 今、特に質問通告はしておりませんけれども日本放送協会あるいは社団法人日本民間放送連盟の両参考人方々にも、もしこの機会に何か述べたいことがあればおっしゃっていただいて結構でございます。なければ先へ進みたいと思いますが、いかがでしょうか。  特にないようでございますので、それでは先へ進ませていただきます。  今申し上げたように、それぞれの役割分担考えて、その上でチャンネルプランというものも全体的に見直すときに来ているのかな、こういうふうに思っております。ぜひとも郵政省には、そういった意味での全体的な見直しも常に心がけていただきたい、こう思います。  NHK方々に来ていただいておりますが、NHKに関しては、過日のNHK予算審議においてほとんどのことについて御回答をいただいております。ただ、ひとつこの機会に、デジタル化に伴うマルチメディア環境下で、デジタルデータ互換性というようなものを踏まえながらこの利用環境考えたときに、NHKが今まで推奨してまいりましたいわゆるMHEG5という、マルチメディア・アンド・ハイパーメディア・エキスパーツ・グループ・パート・ファイブというものですね、非常に長ったらしい名前でありますが、これをBSデジタル放送においても技術基準として採用するのかどうかという問題が大分議論をされてまいりました。  私は、放送デジタル化を成功させる最大のポイントは、いかに多くのコンテンツ相互に関連づけてそしてお互いに利用し合うかということにあると思うのです。幅広く利用し合うということを考えますと、今非常に急速な発展を遂げておりますインターネット、これを無視することはできない、このインターネットの膨大なコンテンツ資産を有効に活用するためには、インターネットとの親和性お互いになじみやすい点ですね、この親和性を重視せざるを得ないのだろうと思うのです。  この点、今インターネットではHTMLという、ハイパー・テキスト・マークアップ・ランゲージですか、HTMLというのが標準方式になっておりますし、その次の世代としては、XML、エクステンシブル・マークアップ・ランゲージ、XMLというのが次の標準になるだろう、こう言われておりますが、この点について、NHKとしてどういう方向で行かれるのか。私は、ぜひともこのHTMLをベースにしてその拡張型であるXMLでやるべきだと思っておりますが、明快な御回答をいただけますか。
  10. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答えいたします。  ただいま先生の方から、データ放送規格についてどういう考えかという御指摘でございます。  データ放送規格については、現在、電気通信技術審議会及び電波産業会審議しているところでございまして、先生指摘のとおりMHEGという方式及びインターネットに利用されておりますHTML、さらにその次世代の規格と言われておりますXML、この三つについて、今現在、比較検討しているところでございます。二〇〇〇年から始まるBSデジタル放送において、私どもNHKとしては、データ放送はハイビジョンとともに中核のデータサービスということで、この規格についても非常に注目をしておるところでございます。  この規格の選定に当たりまして、私どもは三点ほど意見というようなことを申し上げております。  一つは、二〇〇〇年から始まるBSデータ放送に間に合うような規格でなければならないということが一つでございます。それから、この規格受信機価格に反映されますので、この受信機価格がなるべく安いもので規格を決めなければいけない。それから最後に、この規格には必ず知的財産権といいますか特許権が忍んでいるところがございますので、この辺が最終的に視聴者の皆さんの御負担にならないような、そういう知的財産権がどのようになっているかということについてよく調べて、その上でどの規格にするかということを決めるべきだ、こういうふうに申し上げております。  いずれにせよ、現在電気通信技術審議会及び電波産業会審議中でございまして、私どもとしてはこの審議の結果を十分尊重いたしまして、この結果に従うというふうに考えておるところでございます。
  11. 小坂憲次

    小坂委員 その技術審議会の答申を踏まえながらその方向考えたい、こういうお話なんですが、そのやり方も幾つかあると思うのです。実際には、MHEGをそのまま引っ張りながら、その上でXMLを動かしていくというようなやり方もあるかと思うのです。  これはかなり技術的な話になって恐縮なんですが、端的な例を言いますと、コンピューターで、マッキントッシュウィンドウズが併存しておって、両方ソフトを共有するために、ウィンドウズソフトマッキントッシュの上で動かすというようなことをやると両方とも動かせるなと思って喜んで買ってみると、実際には両方は同じスピードでは動かないという結果になる。  これと同じようなことが起こらないように、要するに、自分たち資産、それを余りに守るために、その上に新たなものをかぶせて両方とも使えるような形ではなくして、結論を出したら、すっきりと根っこから上まで通りやすい同じ種類のもので統一していくということが、やはり技術的な運用面スピードというようなもの、それから親和性の点においてもよりスムーズな相互乗り入れというのが可能になってくるだろうと思いますので、それをやはりぜひとも考えた上で、最終的に採用する方向に統一していただきたい。いろいろなうわさが飛び交っておりまして、やはりMHEGの上に重ねてXMLを動かしたいと考えているんじゃないとか、いろいろなことを言う人がおります。  私はそんなことはないと思いますが、今申し上げたように、結論を出したら、それが一番効率的に動く方法考えて、そしてやはり日本のマーケットが世界標準になれるように、日本技術が、また日本の製品が世界市場において十分な競争力を持ち得るような、そういう方式に統一をしていただきたい。  今現在は、デジタルでもう既に始まっておりますパーフェクテレビあるいはディレクTV、こういったものについてもそれぞれに違う方式になっております。これはそれぞれ単体のアダプターを使っていますから、現実的な問題としては余り出ておりませんけれども、将来的にはやはりこういうものを全部統合していった方がいいと思っておりますので、そんな意味で、衛星だけでなく、今後のケーブル地上波も含めて、こういった圧縮方式あるいは符号記述方式といいますか、こういったものとか、あらゆる技術基準はなるべく統一していく、こういう方向でぜひともNHKにもお考えをいただきたいし、NHKのすぐれた技術もそういった調和の中において発展をさせていただきたい、こうお願いをしておきたいと思います。  だんだん時間もなくなりますので、それでは次にチャンネルプランについてなんですが、もう既にいろいろな機会郵政省にもお願いをしてまいりました。しかし、改めて、今回のこの法案審議に即して、ここの質問の場でも指摘をしておきたいと思います。  それは、現在考えられているチャンネルプランによりますと、いわゆるアナログからアナログ波への周波数変換を余儀なくされる局数が非常に多くなるという懸念があります。これを少なくする方法としていろいろなことが考えられると思いますが、私見として申し上げておりますセットトップボックス、いわゆるコンバーターを受信家庭に配布することによって、一気にアナログを飛び越してデジタルに切りかえる部分があってもいいのではないかなと。  これは全世帯を対象にしてやるというのは難しい話でありますが、しかし、中継局が、お互い干渉し合って重なっていくような地域において、その中継局の一局を中抜きでデジタル化してしまうことによってアナログアナログ干渉一つ飛び越してしまう、これで干渉を減らすことができる。そうしますと、アナログからアナログへの玉突き変更という周波数変更をしないで済む場合も出てくる、こう考えられますので、こういった方式もあわせて考えてもらいたい。  あるいはケーブルテレビジョンというものが受信対策としても今まで活用されてまいりましたけれども、同じように、難視聴地域に対して、デジタル受信をしてこれをアナログに変換して流していくということを考えれば、一気にデジタル化できる地域というものもふえてくるんであろう、こういうことをあわせて有効なチャンネルプランをつくっていただきたい。  チャンネルプランで一番懸念をされるところは、アナログからアナログへの変更ということで、何ら利益を生まない変更を余儀なくされる、こういう地方局あるいは中継局負担というもの、それからそれによって生じる受信者負担というもの、これが大きくなれば大きくなるほど抵抗が出てまいりまして、デジタル化への移行がおくれるという結果になってしまいます。  こういうことを踏まえて、速やかな移行のために、あらゆる可能性を追求して、そして非常に複雑なチャンネルプランの策定でありますけれどもコンピューターを駆使して、そして受信実験等を重ねながら有効なチャンネルプランを早期に確立をしていただきたい。この点について郵政省考え方をもう一度、決意も踏まえてお願いいたしたいと思います。
  12. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指導賜りました周波数変更につきまして、これはデジタル放送を行いつつ、アナログ放送による視聴者を確保しつつ、そしてまたデジタル受信機も普及させるという三つの目的を持った措置になるわけでございますが、おっしゃるとおり、このコストを最小限にするということがデジタル放送の普及にとって極めて大事なことでございます。  今先生指摘のありましたセットトップボックス、STBと称しておりますけれども、これも機能をどこまで持たせるかによっていろいろコストの差もございますし、それから、適用される場所をどう選ぶかによって大変効果的なツールにもなりますので、周波数変更を要するところ、それからセットトップボックスを活用できるところ、その地域地域、あるいはそれぞれの局の状況を子細に見きわめまして、そうした工夫の組み合わせによって、デジタル化への移行のステップをできるだけスムーズならしめたいと、決意を新たにお答え申し上げる次第でございます。
  13. 小坂憲次

    小坂委員 また、このチャンネルプラン変更に伴って、今度はあいてくるチャンネルというのが出てまいります。特にVHF帯があいてくると思うわけですね。将来、このVHF帯は、音声中心とした放送FM放送に活用していきたいというようなアイデアも聞かれております。  今回の放送法改正で、超短波放送というものの定義が変わりました。「三十メガヘルツを超える周波数を使用して音声その他の音響を送る放送(文字、図形その他の影像又は信号を併せ送るものを含む。)であつて、テレビジョン放送に該当せず、かつ、他の放送電波に重畳して行う放送でないものをいう。」こととする、こうなっております。  この定義によりますと、NHKで、ときどきあいた時間帯に風景画像放送される、その放送の画面とは全く関係ないクラシック音楽が流れている、こういうのがあるわけです。FM放送で、「名曲アルバム」としてクラシック音楽を流しながら風景画像も今度は送ることができるようになります。そうしますと、いわゆるFM放送テレビジョン放送は、画面を見ている限りにおいては全く同一ということが将来生じるわけです。このように、将来、超短波放送テレビジョン放送というのは、今回の新たな区分けにもかかわらず、圧縮技術等の向上によって非常に似通った内容になってしまう、ある意味では同一になってしまうことも考えられる。  こう考えますと、このあいた周波数帯を、音声中心とするFM放送に割り振るという考え方自体ももっと柔軟にする必要がある、こう考えておりまして、この点について、せっかく来ていただきまして、民放連の専務理事の方から御意見を伺いたいと思っております。
  14. 酒井昭

    酒井参考人 御質問は物すごく技術的な事柄に関しておりまして、私は、申しわけないですけれども、その辺はよくわかりませんが、これからの放送ソフトの多様化ということが言われておりますけれども、FMとかあるいはテレビの番組の同一性ということも残念ながら出てこざるを得ない。その中で、どういう形でこれからソフトを開発するかということは制作者も頭をひねっておりますし、それから技術的な要因も加味しながらこれからやっていく段階だと思います。  各社の編成方針につきましては、私、四月以降どういう形で変化していくのか、また二〇〇〇年、二〇〇三年、二〇〇六年ということで、キーステーション及びローカルステーションのソフト開発の方向が必ずしもまだ目に見えておりませんので、その辺は遺憾ながら明快な答えはできませんので、現段階での状況のみの説明に終わらせていただきます。
  15. 小坂憲次

    小坂委員 あわせてこのチャンネルプランについても御意見を伺おうと思ったんですが、私どもも、地方の放送局の過重の負担にならないように配慮しながらデジタル化というものは進めていくべきだと基本的には考えておりますので、その点につきましても、今後御意見等あれば、ぜひともお聞かせをいただきたいと思っております。  最後になりますが、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の関係でありますけれども、今回、通信放送機構に債務保証業務が付加をされてまいりますが、この債務保証業務を行う場合の審査基準というものについて、ちょっと明確でない部分があるのですが、この債務保証を断る場合というのは具体的にはあるんでしょうか。あるとすればどういうような場合にこれを断るということになるのか。郵政省に。
  16. 品川萬里

    品川政府委員 これから法案をお認めいただきました後に続く作業でございますので、余り先走ってお答え申し上げるのもいかがかと存じますが、お許しいただきまして、今考えていることを申し上げますと、やはり債務保証の際には、保証して確実に、また通信放送機構の負担にならないということも大事でございますので、認定基準といたしまして、まず認定計画、認定を受ける計画が財政的、金融的な面から見て確実であること、それから、事業遂行上その債務保証をすることが不可欠であること、それから、債務保証の額が、このファンドの上限もございますので、制限もございますので、一定の範囲内であること、この三つが主要な認定基準になろうかと存じます。  したがいまして、裏から申し上げますと、この基準に該当しない場合にはお断りするということもあり得ようかと存じますが、いずれにしましても、お断りするにしましてもお認め申し上げるにしましても、公正、厳正な審査をして、国民の皆様から、それから申請された方々に御納得いただける審査をしてまいりたいと考えております。
  17. 小坂憲次

    小坂委員 ただいまのお答えで大体の方向は見えてきたと思うんですが、これからぜひとも配慮していただきたいことは、デジタル化によって非常に負担が増大をする地方放送局の負担を軽減するためにいろいろな支援措置が必要だと思っております。  ただ、同時に、そういった支援措置とともに指導も必要なんだろうと思うんですね。過度の競争に陥らないように、お互いに共有できる設備あるいは共有できるシステムというものがありそうに思うんです。あるいは、統合ということも場合によっては必要になってくるかもしれない。地域によってはそういうことも考えながら、その審査に当たって、全部集中的に来るわけですから、その内容を横断的に見る中で、調整可能なものについてはそういった誘導といいますか指導といいますか、あるいはアドバイスというものもあわせて行って、そしてその施設整備が有効に行われるように、また債務超過に陥ることのないような、健全な経営体質になれるような、そういう指導もぜひとも勘案しながらこの審査を行っていただきたいな、こう思っております。  時間が参りましたので、以上で私の質問を終えたいと思います。どうもありがとうございました。
  18. 中沢健次

    中沢委員長 竹本直一君。
  19. 竹本直一

    ○竹本委員 ただいまは小坂理事の方から、デジタル化を初め、通信行政全体を俯瞰した中で各部門の位置づけをどうするかというお話をされましたので、私がちょっとお聞きしようとしているところと多少重複があります。できるだけ重複を避けて質問させていただきます。  私、今回質問に立たせていただいた趣旨は、今、二十一世紀に入ろうとする中で、通信行政の中ではデジタル化ということが金科玉条のように言われているような感じがしますし、デジタル化が当然だというような感じがあるわけでございますが、なぜ当然なのかということを国民の中にきっちり理解を求め、そして各部門においてその位置づけをきっちりしておかないと、デジタル化をどんどん進めていく中で、一部の国民、一部の分野においてなぜそこまでやるのかという理解が十分得られていないままであれば非常に困る。そういう意味で、このデジタル化の全体を俯瞰した中で、私が日ごろ思っていることを質問させていただきたい、そのように思うわけでございます。  最近読んだ本で、「市場と国家」という、翻訳本で読んだんですけれども、ダニエル・ヤーギンさんという人とジョゼフ・スタニスローさんという二人の方が共著で書かれておるんです。これは、通信行政のことではありませんけれども、国の行政及び政治の中で、国家がやるべき分野と市場に任す分野をどのように仕分けをしたかということを書いておる本でありますが、日本のことも書いてございますけれども、イギリス、特にサッチャー政権の時代のことを詳しく書いてございます。  そういう本を読んで私思ったんですけれども国民負担を求め国家がその役割を担う場合には、その費用についてのきっちりとしたフィロソフィー、哲学が必要だということをつくづく感ずるわけでございます。そこで、今回私が話題にしておりますデジタル化ということについても、同じような視点に立ってこの事柄の対策に臨まなければいけないんじゃないか、そのように思うわけであります。  そこでまず、デジタル化ということでございますが、NHKと民放があるわけでございますけれどもBSデジタル放送につきましては、国の計画を見ますと、二〇〇〇年十二月を目途にデジタル化を開始するということでございますけれどもNHKの方は十二月一日の放送開始に向けて準備を進めている、そのように聞いております。デジタル化と一言で言いましても、デジタルハイビジョン放送標準テレビ放送チャンネル、そしてデータ放送放送開始当初から実施する、こういうふうに私は説明を受けたわけでございますけれども、こういうデジタル化を進める中で、やはり各地域特性も踏まえながらその進捗順序を決めていかなきゃいけないというふうに思います。  また、周波数の問題も当然あるわけでございますけれども、私が一番関心を持っておりますのは、一体この費用がどれぐらいかかるのか、いつまでで完成し、どれぐらいかかるのか、各分野別にちょっと御説明をお願いしたいな、それがまず最初の私の質問でございます。NHKについてであります。お願いします。
  20. 山田勝美

    山田参考人 お答え申し上げます。  幾らかかるのかという御質問ですが、BSデジタル放送は、十一年度と十二年度の二年間で、送出、送信及びデータ放送の制作設備などに約百億円の設備投資を行う予定であります。  そして、地上放送デジタル化、これは相当のお金がかかるわけですけれどもチャンネルプランデジタル放送用の周波数の割り当て計画、これが明確になりませんと設備計画の策定が困難でありますので、現在のところ、一定の条件を設定したアバウトな、粗い計算では、NHKとしては約五千億円を予想しております。その内訳は、家庭に電波を送り届ける送信設備に約三千億円、ハイビジョン化を中心とします番組制作設備のデジタル化経費、これが約千五百億円、そして番組表に従って放送を送り出す送出の設備、これに五百億円というふうなことで、全部合わせてざっと五千億円ということを予想しております。
  21. 竹本直一

    ○竹本委員 概略わかりましたけれども、そのための財源をどうされるのか、ちょっと御説明をお願いします。
  22. 山田勝美

    山田参考人 財源につきましては、BSデジタル放送、地上デジタル放送ともに、基本的にはNHKみずからの責任で対応をすべきものだというふうに考えております。したがいまして、できる限り、これまでのNHKとしての積み立て、老朽更新あるいは借入金で段階的に賄っていく考えであります。
  23. 竹本直一

    ○竹本委員 NHKみずからの責任でこれに対処するということでございますけれどもNHKには、これは前にも私この委員会質問し、またほかの委員も時々質問しておられますけれども受信料不払いの問題があります。冒頭申し上げましたように巨大な額のかかるデジタル化を進める中で、この受信料不払い問題を残したままではなかなか国民の納得が得られないのではないか、そのように思うわけであります。  そこで、正直者がばかを見ない、正直に納めた人が負担し、納めない人がそのまま相変わらず費用を払わないでデジタル化の恩恵に浴すということは、論理的には考えられるわけでありまして、私が思うには、こういったことがないように、NHKとしては、必ずきちんと、この受信料を不払いのまま放置しない、そういう不退転の決意と、またそれなりの対策が必要だと思うのですけれども、再度この問題についての考えを、あるいは決意をお聞きしたいと思います。
  24. 山田勝美

    山田参考人 お答え申し上げます。  NHKとしましては、二〇〇〇年のデジタル放送開始時点では、いわゆるスクランブル方式というものをとる考えは今のところございません。NHKとしては、今後とも受信料制度を堅持するため、公平負担の徹底、受信料制度への理解促進活動に一層努力する考えであります。  特に、公平負担の徹底のために、デジタル技術を活用しました受信機の設置を確認するシステム、こういう新しい方法が可能かどうか、技術面あるいは制度面の検討を続けているところであります。  以上です。
  25. 竹本直一

    ○竹本委員 最後のところで御答弁ありましたように、デジタル化というのは双方向が可能だというところがアナログとの大きい違いであります。したがいまして、不払いかそうでないかというのは、私は相互にわかり得るのだ、技術的にはわかり得るのではないかというふうに思います。  そうなりますと、不払いでありながらNHK放送を聞いているという人に対してはきっちり料金を取り立てる、そういう作業をやってもらいたい。スクランブル化しろとかそういうことじゃなくて、言ってみればやはり税金ですから、それはきちんとやってもらいたいなというふうに思います。これ以上申し上げませんけれども、ぜひその点はきっちりとした対処をしながら、これからの将来の課題に向かっていただきたいなというふうに思います。  NHKの方はそういうことなんですけれども、今度は民放でございます。  いろいろな分野は当然ございますけれども、きょう民放連の専務理事さんに来ていただいておりますので、民放の方のデジタル化の試算とそして計画、それに対する費用に対する考え方をお聞きいたしたいと思います。
  26. 酒井昭

    酒井参考人 まず、費用の点から申し上げますけれども、全体的には、私どもの研究所の試算によりますと、トータルで約六千億円を必要とする。それはスタジオ系それから送信系を含めるわけでございますけれども、現在、民放テレビの親局、中継局の数が全国で八千局を超えております。一社当たりの平均局数が六十五局となっておりますので、これらの局のすべてがデジタル化移行するのは経費的にも大変な苦労を強いられるということで、各放送局ともその対応に苦慮しているというのが現状でございます。  特に地方民放にとっては、二〇〇六年になりますと経常利益がゼロ、むしろ赤字に転落するというふうな経営状況でございます。現在も、景気低迷下でございまして、その低迷下の中で、二〇〇一年、二〇〇六年、二〇〇三年というふうな形で、東京、大阪、名古屋というのは割かし資金力はございますけれども、地方のローカル局は年間の経常利益が五億あるいは七億程度でございますから、これから設備投資していくのは大変だ。そのためにはどういう形でもって対策を講じていかなきゃいかぬか。それは人件費の削減であり、経営努力ということもありますけれども、そういう形でこれから進まざるを得ないであろうということでございます。  それから一方、BSのデジタル放送の方に関しましては、地上テレビのネットワーク五局が中心となりまして、それぞれBSの委託放送の申請を行い、これが認められまして、BS五社は二〇〇〇年の十二月から事業を開始するということでございますが、そのためには何としてもPRが必要であろうということで、私どもで、WOWOWさんを含めまして、民放連の中にBS連絡会というのを設けました。これは、五社プラスWOWOWさんの六社でございまして、一応社長さん方が構成メンバーということになっておりまして、その下に実務者クラスの検討会というものを設けております。  BSといたしましては、この受像機の普及のためにまずPRをしなきゃいかぬということが一つと、それから、著作権の処理の問題というのがございます。地上放送は、今はJASRACと総括契約という形で進んでおりますが、BS五社にWOWOWさんを含めた六社のあり方をどう検討していくか。ただ、言えることは、BS全社とも国民の皆さんに楽しんでもらえる編成方針を打ち立てておりますので、これからどういう形でさらに進めていくか検討している段階でございます。  以上でございます。
  27. 竹本直一

    ○竹本委員 概略わかりましたけれども、実は、平成十一年の一月二十八日付で、今話題になりましたWOWOWの社長の佐久間さんが、金融監督庁長官の日野さんに、金融検査マニュアル「中間とりまとめ」に対する意見陳述書というのを出しておられるようでございまして、実は、そのことに関して、先週ダイヤモンドにちょっと佐久間さんの記事が出ておりました。それを私読ませていただいて、はあ、そういうことかと思いました。  今回、特別措置法で、機構が債務保証できるようになりました。何をするにもお金が必要なわけですね。ところが、今お話しのように、キー局はまあましだけれども、地方の局になると本当にお金がない。年間七億もうけるのがやっとだというようなところの中で新しいデジタル化を図るとなると、物すごい金が要る、とてもたえられない。機構で債務保証したぐらいではとても賄えない。そこで、どのようにすればその費用負担にたえられるか、こういうことが大きい問題なわけでございます。  今申し上げました意見陳述書の中に言っておられるのをちょっとお聞きしたのですけれども、細かいことは別にいたしまして、非常に経営が大変だという現状を訴えておられる。そういうことの中で、少し申し上げますと、BSデジタル放送が二〇〇〇年十二月一日からスタートする計画だ、こういうことでございますけれどもアナログに加えましてデジタル放送するわけですけれども、全体で、この社長さんのお話によりますと百七十億円ぐらいの投資が必要である。それで、新たにBSデジタル放送に参加するキー五局というのがあるのですけれども、そこに出資している五社の事業計画だと、単年度黒字になるまで五年かかるのが三社、六年かかるのが一社、七年かかるのが一社、このようになっておるわけでございます。  累損解消になるまではもっとかかるわけでございまして、この方の推計によりますと、八年かかるのが一社、九年かかるのが三社、十年かかるのが一社。細かいことはともかくといたしまして、このように累損解消するためには大変長時間かかるということになりますと、その間どのように経営上たえられるかという問題があります。  そこで、いろいろ融資等を受けなければいけないわけですけれども、他方、金融制度改革の中で公的資金が各銀行に導入された。そういう中で、金融監督庁の方では、金融検査マニュアルというものをつくって、公的資金を入れているのだから当然でありますけれども、きちっとした指導をしなければいけないということで、マニュアルを作成しているわけでございます。  その中で、要注意先に関する事項あるいは破綻懸念先に関する事項というのがありまして、そういうものにたやすく該当してしまう可能性がある。なぜならば、累損がずっと連なっておるのですね。そうなりますと、少なくとも要注意先になるのではないか、このような感じで受け取れるわけでございます。ところが、他方、国全体としては、あるいは一企業としても、一生懸命デジタル化対応しながら、これからの通信行政をやっていきたい、そして将来に対するきちっとした見通しもそれなりに持っている、そういう場合には、単に累損があるからということだけで、こういった破綻懸念先に関する事項とか、あるいは要注意先に関する事項に該当するのだというような判断をされて、非常にかわいそうじゃないか、私はそのように思うわけでございます。  確かに、金融行政の厳格さというのは、公的資金を入れている以上当然なんですけれども、その辺のところを、やはり創業の精神と、そして、この分野においてきちっとした将来像を描きながら努力している企業に対しては、現在、累損は相当長くあっても、将来に対してしっかりした見通しが立てば、それに対して、こういった要注意あるいは懸念先というような事項に該当しないような運用、解釈が必要なんではないかと思います。  金融監督庁来ていただいておると思いますが、ひとつお答えお願いしたいと思います。
  28. 五味廣文

    ○五味政府委員 お答え申し上げます。  金融行政について大変に御理解のあるお話がございましたので、前置きは抜きにいたしまして、具体的なお答えだけさせていただきます。  この日本衛星放送さんからのパブリックコメントでは、破綻懸念先であるかどうかを判断する場合の一つのセーフ・ハーバー・ルールと申しますか、この要件にはまっていれば要注意先ということで構わない、その要件にはまっていない場合には破綻懸念先かどうかをチェックしよう、こういうセーフ・ハーバー・ルールが実は中間取りまとめにございました。それは、債務超過解消までに二年超を要する場合は実質審議をしましょう、二年以内で債務超過が解消される場合には、もう審議なしで要注意先ということでよいでしょうというようなことがございます。  この点について大変御懸念をされまして、パブリックコメントをいただきました。要するに、それを裏返しに解釈された場合は、ほとんどの通信事業者というのは破綻懸念先ということになりかねないということからの御意見でございました。  具体的に、この部分につきましては、実は、破綻懸念先であるかどうかを判定する際の定量基準として、債務超過期間が何年であるかというのは実は余り決定的要因ではないのではないかということが、さまざまなパブリックコメントをいただきました後の検討会での議論で出てまいりました。むしろ、収益性でございますとかキャッシュフローの状況、こういった、回収に要する期間とその回収の確実性についての議論の方が重要であるということから、この二年という定量基準は、最終取りまとめでは削除されております。  なお、こうしたたぐいの非常に形式的な適用が行われた場合には問題が起こるというパブリックコメントが諸方面から寄せられておりますので、最終取りまとめでは、検査官がこのマニュアルで検査を行うに当たっては、その運用を機械的、あるいは画一的に行ってはならないのだということを明示いたしました。  さらに加えまして、債務者区分などを行う場合、もちろん、ある程度標準的な着眼点というのはあるわけでございますが、特に、初期投資が非常に大きくて創業赤字の期間が長い、採算分岐点に至るまでの期間が相当長いような業種というのもございますし、あるいは、ベンチャー企業のように、技術力というものにむしろ着目をする必要があるものがある。さまざまな要因がございますので、その業種の特性というものを具体的な検査に当たっては十分着目をするようにという、こうした記述も新たに最終取りまとめで加えてございます。  なお、さらに申しますと、銀行の方が、検査マニュアルに書いてあるから貸せないとか、あるいは、最近検査が厳しいから引き揚げさせていただくとかいうような、行政を口実にして貸し渋り、貸しはがしを行うというようなことはあってはなりませんので、健全な事業を営む融資先に対してはきちんとした融資を行っているかどうか、こうした健全な融資態度を銀行が持っているかどうかという点についても、チェック項目にこれを加えさせていただきました。  こうしたような実態に着目をした運用ということに検査官が十分に意を用いますならば、預金者保護あるいは信用秩序の維持という本来の検査の目的と、それから、具体的な、生きた経済を殺さないようにという要請とを両立させられるのではないかと思っておりまして、こうしたポイントについて、これから十分時間をかけて実務を担当いたします検査官に研修などを行ってまいりたいというふうに考えております。  なお、国会の場でございますので、蛇足でございますが念のため申し上げさせていただきますと、WOWOWさんのお名前が出ましたけれども、今御説明申し上げましたことは、当局として、日本衛星放送さんに対する債務者区分について何らコミットするものではございませんので、この点だけは申し添えさせていただきたいと思います。
  29. 竹本直一

    ○竹本委員 詳しい御説明をいただいたんですけれども、私は、当然のことながら、一般論としてこういう問題があり得ることを申し上げておきたいなと思って、今回話題にしたわけでございます。  いずれにいたしましても、一方で、デジタル化を推進しなきゃならないという、言ってみれば国の強い要請があるわけでありまして、それに対して、本来は自己資金でやるのが当然であります。そういうときに、一生懸命努力しているところにきちっと対応、できるだけそれに添えるような国の施策というのは考えていかなきゃいけないわけでございまして、金融は金融で別だ、だからそんなことは全然別だというふうにして、単に累損があるからどうこうということになると、ちぐはぐになって非常におかしくなるのではないか。そういう意味で、国の要請がどういうところにあるかということも念頭に置きながら、こういった金融検査マニュアルの運用に当たっていただきたい。  それから、今、部長さんのお話の中でもありましたけれども、やはり時々のチェックというか、常日ごろそういうことはもちろんやっておられるわけでしょうけれども、今申し上げたような趣旨に合っているかどうかということの日ごろのチェックというのは、やはりどうしても必要なんではないか。そうしませんと、中央ではこういう議論をしておりましても、末端に行きますと、これだからだめだ、こういうふうにはっきりなってしまうというような話もちょくちょく聞いております。  そういう意味で、今御説明のあった趣旨において、きちっとした具体の対応を引き続きお願いしたいなというふうに思いまして、これからの努力を期待申し上げたいと思います。  それから、デジタル化の中で、ケーブルテレビの方は四、五十チャンネル視聴できるということです。先ほど小坂理事の話もありましたけれども、CS放送では百チャンネル以上という選択肢がありますし、衛星放送はアンテナをつければどこでも視聴が可能だということで、ケーブルテレビは逆にケーブルを引かなきゃならない、こういう違いがあるわけでございます。ケーブルテレビには衛星放送に対して何かメリットがあるのか、こういうことも聞かれるわけであります。  そこで、ケーブルテレビ事業者の経営状況も踏まえながら、ちょっとこのことに関して質問をしてみたいと思っております。  ケーブルテレビについてもデジタル化方向にあると聞いておるのですけれども、具体的にどの程度進められているのか。また、その費用。それから、仮に国が支援するとすれば、どのような支援策があるのか。あるいは、これからこういうところに支援してほしいというような要望があれば、それをまずお聞きをしたいなというふうに思います。
  30. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  ケーブルテレビにつきましては、ただいまデジタル体制になっておりますのは一社でございます。その後はまだ聞いておりませんけれども、CATVというのは、日本の場合は衛星放送と持ちつ持たれつの関係が大変ございまして、今後、衛星デジタル放送が始まりますと、またCATVの新しい可能性ができるんではないかと思っております。  それで、今、CATVにつきましては特に自治体が大変御熱心でございまして、新世代ケーブルという名称で大変たくさんの申請もございます。これまで補正予算等で補助金も用意いたしまして、国、自治体、それから積極的なCATVの事業者の皆さんの方でデジタル化対応の準備も進められているというところでございます。  こういった今までの形を見ますと、新世代ケーブルテレビジョン型の支援というのが大変有効でございますので、今後この点に十分注目してまいりたい、かように感じておる次第でございます。
  31. 竹本直一

    ○竹本委員 ケーブルテレビのデジタル化について、デジタル化にどのような費用がかかるのか。それから、今、一局だけという話がありましたけれども、将来の展開によってこの費用の計算はまた変わってくるんではないかと思います。感じで結構ですが、大体どの程度の見通しを立てておられるのか、ちょっと数字を伺いたいと思います。
  32. 品川萬里

    品川政府委員 失礼いたしました。  現在の技術水準で、かつ、加入世帯が約一万ということを想定しますと、デジタル化につきましては、約十億というようなところが投資をする額の相場かなというふうな感じでおります。
  33. 竹本直一

    ○竹本委員 それは各自の費用でやってしまうのか、あるいは何がしかの支援策を考えているのか。
  34. 品川萬里

    品川政府委員 財源調達をどうするかは、今申し上げましたのは別といたしまして、客観的に投資コストとしてどのぐらい要るかという数字で申し上げたものでございます。
  35. 竹本直一

    ○竹本委員 そろそろ時間が参りましたけれども、冒頭申し上げましたように、このデジタル化というのは、現時点における放送行政の中のもはや避けられないことでもありますし、またそれに対して国として真剣に取り組まなければいけない、そこはよくわかるわけでございますが、その費用をどのようにするのか、それについての国民の理解が十分得られているのかという、冒頭申し上げましたことにつきまして、常々反省しながらその推進を図っていく必要があるのではないかなというふうに思うわけでございます。  郵政省としては、こういったデジタル化についてのいろいろな御努力は私は多とするわけでございますけれども郵政大臣が全体を見ておられて、放送市場が、全体として、今後、二十一世紀の最初の十年ぐらいの間にどのような形に発展すると見ているのか、そして、それに対して国として支援する分野はどこまでかということについての大臣考えをまずお聞きしたいなと思います。そうすることによって、私は、国民の理解を求めていく、それに対して必要があれば国費を出す分野があってもいいのではないか、そのように思うわけでございまして、今後、十年と見ましょう、十年ぐらいでどのような放送行政の姿を見通しておられるのか、それを大臣の方からお答え願いたい。
  36. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先ほども小坂先生から将来の展望についてお尋ねがありましたので、若干重複することになるかもしれませんけれども、まず、放送というのは私たちにとってはまさに身近な情報を得るパートナーでありまして、こういう役割というのは今後ますます重要になってくるであろう。その中で、さまざまな技術革新によって私たち放送メディア選択ができるようになりました。それはもう先生指摘のとおりだと思います。  それでまた、放送事業者人たちは、デジタル技術によって、今までできなかった取り組み、例えば双方向性とか高画質とか移動性とか、またはゴーストが出ないとか、いろいろなメリットを手に入れることになるわけです。  そういうものを使うことによって、これまで放送事業者が営々と築いてきた放送文化があるわけですけれども、それにまだ物足りないと、まだこれもやってほしい、あれもやってほしいと思っている国民のリクエストというのはたくさんあると思います。竹本先生が望んでいる番組のプログラムと野田が望んでいる番組のプログラムは恐らく違うかもしれないし、または、働いている方と、先ほど申し上げたけれども、常にテレビを見られない方にとっては、テレビはこうあってほしいと。いろいろ、自分のわがままというかニーズにこたえられるような、そういう一つの道ができたのではないか、デジタル技術によって。  ですから、今私たちが取り組まなければならないことは、事業者の方または受信機をつくるメーカーの方たちと協力をして、デジタル技術による放送メディアがさらに今まで私たちにとって物足りなかったものを満たしてくれる、とりわけ福祉に関しましても、字幕放送とか、なかなか遅々として進まないと言われる中、そういう技術によって開ける部分が出てくるということも、郵政省としては、精いっぱいそういうPRに努め、そしてその適時適切な支援に努めてまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
  37. 竹本直一

    ○竹本委員 将来ビジョンはわかりましたけれども、私は、こういう通信放送関係のビジネスというのは、非常に今、国の経済を支える、そして高揚させる一番大きい原動力になっている。  先般、ニューヨークへ、四週間ほど前、出張しまして、現場の経済関係の幹部とお会いしましたけれども、まさに、御承知のとおり、通信関係の産業がアメリカの株価を大きく向上させているというのは事実であります。私は、アメリカで起こったことが、五年後、十年後、必ず日本に来るという見通しを持っておるのですけれども、そういう意味におきまして、我々がデジタル化を進める中で、生活の利便を向上させる中で、結果として経済の浮揚が大きく図れるということがあるとすれば、こんな幸いなことはないわけでありまして、そういう結果を生む可能性が多分にあるということを念頭に置きながら、これからの通信行政に当たっていただきたい。  そういう御要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  38. 中沢健次

    中沢委員長 遠藤和良君。
  39. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、地上放送デジタル化に限って質問させていただきたいと思います。  最初に、タイムスケジュールの確認ですけれども、地上デジタル放送審議会が最終報告を出しまして、テレビですけれども、地上デジタルテレビ放送につきましては、関東は二〇〇〇年から試験放送を開始しまして二〇〇三年末までに本放送を開始する、あるいは近畿とか中京は二〇〇三年末までに本放送を開始する、その他は二〇〇六年末までに本放送を開始する、以上によりまして二〇〇六年末までに親局レベルでの全国導入の完了を期待する、こうあります。また、アナログ放送につきましては、その終了時期は二〇一〇年とする、こういうふうなタイムスケジュールを示しているわけでございますが、このことについて、郵政省それからNHKあるいは民放連はどのような見解を持っているのか、最初に確認をさせていただきます。
  40. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から、スケジュールと申しますか、今後のデジタル化一つの見通しの時間的な節目のお話がございました。今御紹介がございましたように、このスケジュールといいましょうか考え方は、放送分野の有識者、権威が集まって御審議いただいた中でいろいろな知恵を盛り込んでおつくりいただいた案でございまして、私ども、現時点において、大変有益な、意義のある考え方ではなかろうかと思っています。  特に、このレポートが出た段階ではまだ衛星デジタル放送というものも現実のものとはなっておりませんでしたけれども、参入される方の認定も済みまして、この衛星デジタル放送というのがより具体的な日程に上ってきておるというようなこと、それから、放送分野以外のメディアにおいて放送同様なサービスが提供できる、一例を申し上げますと、インターネット放送でございますとか、あるいは携帯電話が携帯テレビ電話にもなり得る、こういった急激な技術革新あるいは新しいメディアの展開を考えますと、この二〇〇三年、六年、一〇年という目安というのは、大変時宜にかなった、今の動向に大変マッチした一つの目安ではなかろうかというふうに考えてございます。  もとより、このレポートに示されておりますように、二〇〇三年、六年、一〇年というのは、現実を踏まえて、例えば二〇一〇年につきましても、三年ごとに見直ししながら、ローリングシステムでもございませんけれども、三年後の見直しをしながら、場合によってはこれは早まることもあるかもしれないというようなことも言われておりますし、それからまた、これについて、例えばデジタルテレビの受像機の普及状況も考えるというようなことでございますので、大変現実性のある、かつまた先見性のある一つのスケジュールと申しましょうか、目安ではなかろうかというふうに受けとめております。
  41. 山田勝美

    山田参考人 NHKとしましては、地上放送デジタル化、地上放送というのは視聴者に最も身近な、日常生活に欠くことのできないメディアでありまして、それだけに、視聴者に過大な負担をかけないことを基本にしまして、国民の理解を得ながら、無理のない推進を図っていく必要があるのではないかというふうに考えております。  推進に当たりましては、デジタル放送用のチャンネルの確保、そのためのアナログ放送周波数変更に伴う受信者対策に見通しをつける必要があります。また、衛星デジタル放送の状況や経済全体の動向についても、これを視野に入れながら今後の方針を固めていきたいというふうに考えております。  したがいまして、現在の時点で、懇談会で示されましたスケジュールどおりに地上デジタル放送を実現できるかどうかという見きわめをすることはまだ若干難しい状況ではないかというふうに思っております。
  42. 酒井昭

    酒井参考人 お答えいたします。  今やテレビ放送デジタル化というのは世界の趨勢でございまして、これまでのアナログ放送では困難だった高品質のテレビ放送とかあるいはデータ放送など多様な放送サービスが可能になりますので、これは必然的に全国の視聴者に利便をもたらすものでございまして、その恩恵は速やかに国民生活に還元しなければならないというふうに私どもは認識しております。したがって、民放としてアナログからデジタル放送移行することについては決して反対するものではございません。  ただ、民放各社も、NHKさんも含めまして、これまで、情報地域間格差をなくしまして全国津々浦々までテレビ放送を楽しんでもらえるよう、それぞれのテレビ社の企業努力によりまして中継局を建設し放送サービスを行ってきたということは議員御承知のとおりでございます。これによりまして、民放テレビ全社の親局、中継局の数は現在全国で八千局を超えまして、一社当たりの平均局数は六十五局となっておりまして、これらの局をすべてデジタル化移行するには並大抵のことではないというふうに私どもは認識しているところでございます。  昨年の秋に発表されました地上デジタル放送懇談会では、このスケジュールとして、先ほど議員御指摘ございましたけれども、二〇〇〇年あるいは二〇〇三年それから二〇〇六年というふうな項目がございまして、こういう時期に導入することを期待するというふうに報告されているわけでございますが、昨今の景気状況下では、莫大な新たな設備投資が必要となるデジタル放送の開始は特に民放にとって大きな負担となりかねない。したがいまして、私どもとしては、このようなスケジュールで進めることが本当に可能かどうか、その辺を危惧しているところでございます。  以上でございます。
  43. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 一つの話を三人に聞くと、それぞれニュアンスがよくわかるわけでございますが、郵政大臣、今郵政省は、これは大変現実的なスケジュールだという認識を示されましたが、それぞれの放送事業者は、解決しなきゃいけない問題がたくさんある、あるいはお金の問題もある、かなり慎重です。  それで、国の基本的な方針を聞きたいんですけれども、このタイムスケジュールに沿って国策として推進をしていく方針なのか、あるいは、国はそういう目標に向かって環境整備はしますけれども、実際やるのは放送事業者が自己責任でやっていただくんですという方針なのか。どちらのスタンスなのかということをちょっと大臣から明確にしてもらいたいと思います。
  44. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 国策という言葉をきちっとどう定義すればいいかわからないわけですけれども、先ほど事業者の方からも御発言があったとおり、放送デジタル化というのは世界の趨勢でもございますし、デジタル技術を利用してよりよい、利便性の高い社会経済活動または人々の暮らしを求めていくということは非常に重要なことだと思っています。  これは、放送メディアにかかわらず、これまで、例えばパソコンにせよ電気通信にせよ、最近ではデジタル家電と言われているものも随分出てきているわけですけれども、それはひとえにやはり消費者、私たちにとってこれまでよりもメリットがあるという前提で商品開発がなされ、そしてそれを喜んでいただいている、そういうデジタル技術の恩恵の一つの大きな枠の中の一つ放送メディアがあり、また、放送というのは、先ほども申し上げているとおり、私たち情報を得るに一番基幹的であり、そしてまさに身近なものなんだという意識があるわけですから、当然国としても、そういうものを国民の私たち一人一人が手に入れるためには、ある程度事業者の皆さんと、また視聴者考えを踏まえて、だれがイニシアチブをとるということではなく、いわば二人三脚なりチームを組んでそれぞれの役割に応じた進め方をしてまいりたい、そういうふうに考えているところであります。
  45. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 視聴者の皆さんのためにみんなで力を合わせてそういう目標に向かってやっていきましょう、これはわかるんですけれども、やはり国の方針がある程度明確でないと、財政支援のあり方についても哲学が変わってくると思うんです。  国として、タイムスケジュールに沿って国の方針として行っていくのか、あるいは、それは期待しながらも、いろいろな環境整備はしていきますけれども放送事業者の自己責任でやってくださいという話なのか、どちらか方針をはっきりしなければ今後の財政支援の基本方針というものも変わってくるんじゃないかと思うんですけれども、その一か二かという選択だとどちらの選択になるんでしょう。
  46. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今デジタルについて推進する立場ですけれども、このことについてはデジタル的に割り切れない部分がございまして、やはり放送事業者の人が視聴者にとっていいサービスをつくり上げていきたいという前向きな気持ちに対して、私どもは適時適切な支援をしてまいりたい。その中に、今先生指摘の財政支援というのも当然含まれてくるのかもしれませんが、国が負担する、国が出すということは、いわゆる税金でございますから、税金というのは持って回れば国民が出していただくということになるので、そこら辺はやはり慎重に検討して、皆さんと御相談しつつ進めてまいりたいと考えております。
  47. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 若干、放送事業者の方に、具体的な、タイムスケジュールを目指すという仮定のもとに想起される問題点を詳しく聞きたかったんですけれども、あらあら少し今のお話で出ましたものですから、それを頭に置きまして考えたいんですが、一つは、報道の自由あるいは放送の独立という問題がありますね、それと国の財政支援のあり方というのは非常に難しい問題だと私は思います。例えば放送事業者に直接補助金を差し上げる、経営の支援をする、これはやはり報道の自由あるいは放送の独立性を担保する意味からはやってはいけないことではないのかと思うんです。  ではどういうことが国の支援として可能なのかという話になりますと、例えば税制の支援だとか融資の問題とか、そういうものはできると思います。あるいは、目的を限定いたしまして、みんなで使えるものについて何かできるのかな、そういうニュアンスはあるんですけれどもデジタル放送を推進するという立場で、放送事業者といたしまして、国の財政支援を期待するとすれば、どういうものは支援は欲しくないけれどもこういう支援は欲しいというのがありましたら、分けて、ぜひお願いしたい。  NHKさんはちょっと違うんですけれどもNHKさんも含めて、NHKさんと民放連さんに、国の財政支援のあり方の基本について、こういうふうに立て分けて支援してほしいというのがありましたら、お願いしたいと思います。
  48. 山田勝美

    山田参考人 お答え申し上げます。  NHKの場合、地上デジタル放送に必要な投資額というのは、先ほども大ざっぱな数字として申し上げましたけれども、すべて合わせて五千億円ということを予想しております。  NHKとしては、基本的にはNHKみずからの責任でこれに対処すべきものと考えておりまして、できる限りこれまでのNHK自身の積み立てや老朽更新あるいは借入金で段階的に賄っていこうというふうに考えております。  それで、NHKとしては、長期の効率的な経営計画をつくりまして、国民方々への負担を極力少なくする方向でこれをやっていかないと理解を得られないと考えておりますけれども、いわば国策としてデジタル化計画を一挙に前倒ししてでも推進するというふうなことになれば、やはり何らかの臨時的な公的支援についても検討する必要があるようになるかもしれないというふうに思っております。  その場合におきましても、その検討に当たりましては、国との関係において、報道の自由というものをいささかも損なうことのないように慎重に検討することは言うまでもないというふうに考えております。
  49. 酒井昭

    酒井参考人 まず、最低限、アナ・アナチャンネル変更問題の費用一千億円は国で負担していただきたい、それが最初にございます。  それから次には、アナ・アナ変更の費用は大変なことでございますけれども、それ以外のデジタル化放送設備の構築につきましては、我々放送事業者みずからの経営努力で何とか実施したいというふうな気概は持っております。平成十年度における第一次、第三次補正予算で、地上デジタル化への施策として、郵政省の努力によりまして四百六十億円が投入されております。また、本日の案件でございます高度テレビジョン放送設備の促進臨時措置法のスキームとして、法人税での特別償却、あるいは固定資産税の課税軽減、政策金融機関の無利子・低利融資、それから通信放送機構による債務保証等、税制及び金融上の数々の支援措置を講じていただくことになっておりますけれども、さらに法人税、固定資産税の軽減、それから民放事業者デジタル移行がスムーズに運ぶように一層の御支援を賜りたいというふうに特に考えているところでございます。  私どもとしては、現在の景気を上向きに転じさせるためにも地上波デジタル化推進が有益であると考えておりますので、ただ単に研究開発のみならず、ローカル局向けにデジタル化に公的資金をさらに大規模に投入する施策を展開していただきたいということを期待しているところでございます。  以上でございます。
  50. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 先ほどもNHKの方からも出まして、今民放連の方も出たんですが、いわゆるアナ・アナ変換に伴う費用負担ですね。大体一千万世帯で一千億円という数字が出ているわけですけれども、これは確かに、視聴者から見れば、その時点におきましては何のメリットもない。ですから、視聴者負担を強いるわけにはいかないのではないか。  そして、審議会の最終報告は放送事業者負担すべきだというような角度で書かれていたように思うんですけれども、これも放送事業者によっては、アナ・アナ変換をしなくていい放送局があったり、しなければならない放送局があって、それを国の方針で決められるわけですから、それはちょっとどうかという話もありますね。  それで、一番最初に私が言った、国策としてやるのであったらこのことぐらいはやはり国が考えるべきじゃないのかという方針になるんですけれども、これは国が負担するのか、放送事業者と一緒になって負担するのか。何か知恵を出さなければ前に進まない話でございますが、郵政省としては、この問題はどう考えていますか。
  51. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  いわゆるアナ・アナ、アナログ周波数調整の件につきまして、これは、サイマル放送をやりながらデジタル放送を行う、そしてそれはそもそもデジタル放送を生み出すためだという三つの課題を達成するために出てくる問題でございます。  これは、事業者にとりましては、従来どおりの営業と申しましょうか、視聴者を確保しながらデジタル放送も行っていくということでございます。それから、デジタル化は、最終的に国民全体が恩恵をこうむるという意味国民全体のプラスにもなる話でございます。そもそも、この周波数の生み出しによって、デジタル放送も可能になるということでございます。  それから、今先生指摘のように、周波数調整を要する地域、要しない地域がございますけれども、これは周波数調整が必要になる地域が原因となって起こるというよりは、むしろ全体で、周波数調整を最小にするためにどこかで分担していただくということでございます。そういう意味では、周波数調整に要する費用というのは、メリットと申しましょうか、その意味合いというものを広く分かち合って財源が調達されるべきものでもあろうかと考えております。  したがいまして、この周波数調整に要する費用というのは、仮に国で賄うということは国民の税金で賄うということでございますから、やはりこの周波数調整に要する費用につきましてのコストの性格、それからそもそもこれを何でやるのかということにつきまして、財政当局なりあるいは事業者方々国民の皆様に理解の得られる形というものは、国費で、すなわち税金で賄う場合にも必要なことでございます。この辺、十分な御理解の得られる方策というものをこれから考えてまいりたいというふうに存じております。
  52. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ですから、タイムスケジュールをこのとおりやるとすれば、これは前段階の話ですから、早く解決しなきゃいけないわけですね。まだ結論は出ていないようですけれども、少なくともアナ・アナ変換に対する費用については視聴者負担をさせない、こういう結論は出ているんですか。これは郵政省お願いします。
  53. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  視聴者というこの現在の視聴者は、ほぼ国民の皆様、国民全体ということと同義でございまして、視聴者にこの負担がかからないということは、納税者たる視聴者でもありますから、これはどういうことを意味するのかなと。要は、どのような、バランスのとれた、理解の得られる合理的な分担方法考えるのかな、ここが私ども、十分検討してまいらなければならないポイントではなかろうかというふうに考えております。
  54. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 設問が悪かったと思います。  視聴者は、国民全体も視聴者ですけれども、アナ・アナ変換に伴って実際に手当てをしなければならない世帯、いわゆる一千万世帯の人たち、それに限定した視聴者、その方々が特別にその費用を負担するのかということを聞いているんです。
  55. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、この周波数調整というのは、全体の周波数配置の合理的な配置、しかも最小の周波数調整で済むような形での周波数調整でございます。先ほど申し上げましたように、周波数調整を要しない方も、どこかで引き受けていただいたからそのような形になったわけでございますので、その受信者周波数調整を要する視聴者だけが結果的に負担するという形になるのは、この周波数調整の性格から見て、やはりより広い形での公平な負担という形で考えた方がよろしいのではないかというふうに考えております。
  56. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 実務者ですから非常に慎重な言い回しなんですけれども、要するに、国民全体を視聴者として、その人たちに広く、アナ・アナ変換をしなければならない人も、しなくてもいい人も含めて見てもらうということは、きちっと国が税金か何かの形で対応する、こういうふうな結論だと見ていいんでしょうかね。大臣、どうですか。
  57. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今も品川局長からお話があったとおり、アナ・アナ変換で一千万世帯というふうに言われておりますけれども、それはあくまでもデジタル放送に円滑に進めていくためのサイマル放送デジタル周波数を確保しつつアナログ放送を、両方やっていけるサイマル放送のための一つのプロセスと見ていただければ、必ずしも一千万世帯の人たちのためでなく、全国の皆さんのためという考え方ができると思います。  ただ、このことに関しては、まず最初に、チャンネルプランで、いかにきちっとチャンネルプランをつくって費用を低廉化させる、コストを下げるということが今一番大事ではないかと思っていますし、先生の御指摘につきましては、しっかり検討していきたいと思っています。
  58. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いわゆるデジタル化の入り口の話なんですね。入り口さえきちっとまだ結論が出ていないのに本当に出口まで行けるのかという心配があるわけですから、アナ・アナ変換の費用負担については、私は、早急に結論を出さなければとてもこのタイムスケジュールどおりにはいかないだろう、こういうふうに危惧するところでございます。  それから、出口の話になりますけれども、これは要するに、いわゆる放送事業者だけが負担する話じゃなくて、やはり国民大衆の皆さんも、デジタル化ということについて、受信機デジタル化しなければならないという話があるわけです。しかも、二〇一〇年になるとアナログ放送はなくなるわけですから、ある意味では強制的に、デジタル放送受信機、あるいはチューナーか何かをつける形になるのでしょうけれどもデジタル放送が見られる受信機にしなければ、一切テレビ放送は見ることができない。こういうふうな形になるわけですね。それは必ずしも、今、日本国民全員がそれを歓迎している、あるいは同意をしているという話ではまだないと思うのです。そこまで説明していないのじゃないかと思うのです。  そうすると、この審議会の報告書の中にもあるのですけれども視聴者にメリットはあるということは十分わかるのですが、視聴者デジタルテレビとかアンテナの費用で十六兆六千百七十八億円かかると想定していますね。これは、視聴者自分の、よりよい放送が見られるわけですから、基本的には自己責任で負担してもらうという話になると思うのです。それにしても、これは十年間で十六兆という話になるのですけれどもアナログ放送が二〇一〇年になくなるという話になると、これは国の一方的な政策変化を国民に押しつけるという形に見えますね。やはり国民の皆さんに、そういう国の方針というか、タイムスケジュールといいますか、それをより深く理解をしてもらわなければいけない、こういう問題があると思います。  それからもう一つは、アナログ放送をやめる時期の問題なんですけれども、この審議会では、デジタル放送受信機が八五%普及した段階においてやめると言っているのですが、それは、裏を返したら、一五%の人は切り捨てられてしまうという話なのかな、これは冷酷無残なやり方じゃないのかな、こう思うのですけれども、この二点に限りまして、大臣、見解を述べてください。
  59. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 まず初めに、二〇一〇年に向けて、アナログを取りやめてデジタル放送でやっていきたい、そういうカレンダーをつくったわけですけれども、これは、その土台となる考え方一つに、テレビを買いかえるサイクルというのが約十年というふうに調査で出ております。  ですから、視聴者の方が、今までも、例えば白黒からカラーに、カラーから例えばワイドとかハイビジョンとか、自分情報を得るためのいわゆる投資という形でいろいろテレビを買いかえられたと思うのですけれども、そういう自然の流れの中でデジタルテレビに移行していただくようなことも踏まえての二〇一〇年ということで御理解いただきたいと思います。  しかし、その間、私たちは何もしないのではなく、放送事業者の方に、二〇〇〇年から衛星デジタル放送が始まりますけれども、そういうさまざまな放送事業者の努力と相まって、やはり国民というか私たち視聴者が、デジタル放送はいいな、そうやって理解していただくような、そういう活動を積極的に進めてまいりたいと思います。  八五%ということ、目安ということで、そういうふうにお話が出ていますけれども、おおむね、世界的にもそのぐらいじゃないかということを言われており、妥当な数字と思いますけれども、私たちは、やはり、あくまでもすべての皆様にということで、これからも積極的にそれに向けて検討していきたいと考えています。
  60. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そうすると、この審議会の位置づけの話にもなってくるのですけれども審議会の最終報告書イコール国の方針ではない、こう理解していいのでしょうか。審議会は審議会で報告書を出しているわけですけれども、国としてはまだ方針は十分に決めていない、こういうふうに私は考えるわけですが、審議会の報告書というもの、タイムスケジュールも、今の八五%という数字も今後のたたき台である、こういう認識でいいのでしょうか。
  61. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 ちょっと確認させていただきたいのですけれども審議会でなくデジタル懇談会の方の……(遠藤(和)委員「そうです」と呼ぶ)そうですね、平成十年十月。  これは、放送デジタル化に関しまして、有識者または視聴者の皆様方が時間をかけて真剣に御討議いただいたものでございますので、たたき台というようなものより、むしろガイドラインとして、しっかり皆様方の御意向を踏まえて取り組んでいきたいと思っております。
  62. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 わかりました。  大変これは期待も大きいけれども、本当に大きな問題点があることでございますから、放送事業者の皆さんの御理解と御協力を得ることはもちろんですが、何よりも視聴者の皆さんの御理解を得なければ進まない事業だと思います。  したがいまして、ぜひ、慎重な上にも慎重に対応していただきまして、いい結論になるように期待をいたしまして、質問を終わります。
  63. 中沢健次

    中沢委員長 小沢鋭仁君。
  64. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  民主党全体で、同僚議員とともに一時間半、時間をいただいておりまして、私の方は総論部分を主に御質問させていただき、また、あと、視聴者の視点あるいはまた事業者の視点等々から全体で質問させていただきたい、こういうふうに思っております。  まず、総論部分ということで、私自身の考えも申し上げたいわけでありますが、今回の放送法改正は、具体的な改正内容は、テレビジョン放送あるいはまた超短波放送のいわゆる定義のところ、映像に伴わない文字、図形等を加える、こういう話になっているわけですが、さきの委員の皆さんの質問にも出ていますように、法案変更そのものというよりも、まさに、実質的に物すごく大きないわゆる変化の第一歩になるわけですね。  具体的には、これがデジタル化の第一歩になる、この放送法を変えることによって法律的にはいつでもデジタル放送ができるようになる、そういう意味で第一歩になる。それからもう一つは、いわゆるマルチメディア化、こういいますか、通信放送の融合、そういった意味で、放送そのもののあり方がもしかしたら物すごく大きく変わるかもしれない、それの第一歩にもなる、それのまさに入り口の法改正だ、こういうふうに私は理解をしているわけであります。  そういう観点から御質問を申し上げるわけでありますけれども、そうなってきますと、いよいよ、それを運営していく放送業界そのものも、その大きな変化の中にあって、産業界としての、業界としての形もかなり変わっていくのだろう。端的に申し上げると、いわゆる今までの平和な護送船団方式的な経済運営ということから、かなり激しい自由競争も起こってくるでしょうし、そうなってくると、いわゆる放送業界そのものの、放送業界を超えた、中だけではない再編というような話も十分あり得るのではないか、そんな議論もあるわけであります。  そういった意味で端的にお尋ねをするわけでありますが、放送業界そのものの再編、そういったものが不可避である、こう郵政省はごらんになっているのか。あるいは、さらにもっと言えば、必要だ、今のままの放送業界の対応ではまさに通信との融合のこの時代はやっていけない、そういう意味では必要だ、一歩進んでそういう見方もあり得るのだろうと思います。そのあたりを端的にお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  65. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  通信放送世界というよりは、社会システム全体がデジタル技術を前提にした社会システムに変わってきているということは恐らく共通の認識ではなかろうかと存じます。そういう前提で、国といたしましても、高度情報通信社会推進本部の新しい方針あるいは経済再生計画あるいは生活空間倍増計画におきましても、そういう中での放送デジタル化というものの政策的意義づけが政府全体の方針の中で示されたわけでございます。  今回の地上放送デジタル化というものも、地上放送システムが新しい環境の中で存続して、視聴者の期待にこたえ、基幹放送システムとしての役割を果たしていくためのいわば戦略的なと申しますか、意味合いを持っているわけでございます。  私どもがこれから放送行政として考えていかなければならないと考えておりますのは、それぞれの放送システムがございます、地上放送衛星放送がございますが、いわば放送全体から見ますと、それぞれのサブシステムがそれぞれの個性、特徴を発揮いたしまして、そして全体としての放送システムが国民視聴者ニーズにこたえていくということ、これが放送行政の重要な柱ではなかろうかと思っております。  デジタル技術というのが、新しい放送の局面において、地上放送がすべてアナログ放送からデジタル放送移行できるようにというのも放送システム全体の最適なシステム形成ということを前提に考えられているわけでございまして、あわせて、これまで放送メディアとは別なメディアと見られておりました携帯電話でございますとかインターネット、こうしたものも、いわば融合という言葉がございますけれどもメディア間の競合が始まってくるわけでございます。そうしたものも視野に入れて、放送システム全体が視聴者の期待にこたえていけるようにしてまいりたいというのが放送行政一つの大きな柱ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  66. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 デジタル化のメリットに関しましては、もう日ごろから言われている話でありますけれども視聴者にとっても、多チャンネル化が進むとか高画質化して鮮明な映像が見られるようになるとか、あるいはまた、コンピューターインターネットを活用して双方向の利用ができるようになる、こういうメリットというのが言われているわけですね。  しかし、同時にまた、先ほど来の質問にもありましたように、放送事業者にとっては大変なコストがかかる。あるいはまた、先ほどのアナ・アナ転換の話ではありますけれども、要は、視聴者にとっては全く、アナ・アナ、アナログアナログで中身は変わらないけれどもコストがかかるような事態も予想される。こういうような話があって、いいことはいいので大いに進めたいけれども、そこの障害をどういうふうに乗り越えていくかという話が一つありますね、単純に言えばそういうことなのかな、こういうふうに思うわけであります。  そうした中で、大臣郵政省がどういう役割を果たしていくのか、基本的なところでありますけれども、お尋ねしたいと思うのです。あくまでも、これは産業界の話であるから、そのまま自由競争のもとでやっていってもらえばいい、こういうふうにお考えになるか、あるいは、そうはいっても、そこの社会的コストというものを少しは国として分担していく、こういう視点を持つのか、そのあたりの一番基本になる考え方をお聞かせいただければ、こういうふうに思います。
  67. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 放送を初めとするこの情報通信分野というのは大変急速な技術革新デジタル化のもとで成長過程にあるということで、それぞれの技術も日進月歩ですし、追いつくのが大変だなというのが率直な心境であります。  先ほど品川さんがおっしゃったように、今まで、例えば二〇〇〇年になれば新しい次世代の携帯電話ではテレビのような役割も持つようになるという話を聞きますと、本当に通信放送というのは、私たちが頭で考えるよりも先に技術の方がそれをなし遂げていく。そういう中にあるわけで、基本的に、情報通信分野というのは、そういう民間主導の自由な発想の中でそれぞれの特性を生かして私たちにいろいろ貢献してもらいたいと思うし、それがひいては経済の発展にもつながるし、新しい豊かな暮らしとか、それぞれ今まで弱者であった人の救済の一つの道具にもなる、そういうような大原則があると思います。  今までも、放送に限らず、基本的には民間主導でどんどんやっていただく。例えばいろいろな技術開発において、民間がそういうことではペイできないとか、先端的とか基礎的なものに対しては、郵政省としては、それは国が一緒にやっていかなければいけないことだから、費用を持ち、研究開発をやっていきましょうというような形で、二人三脚の形で民間と歩んできたと思います。  放送に関しましても、必ずしも負担負担という言葉で片づけるのではなくて、むしろ新しい情報に対する投資という意欲というのもやはり私たちも持つべきではないか、そこに至るまでの技術に関しての費用をある程度一人一人が自覚するような社会もあっていいのではないかということで、できればこれからは、私たち利用する視聴者、そして事業者、さらにメーカー、さらに国として進めていく立場として、きちっとしたいろいろな話し合いをしながら検討を慎重に進めていきたいと考えているところであります。
  68. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ありがとうございます。  それで、今の答弁の中にも、大臣の答弁あるいは品川局長の答弁の中にも入り込んできているので、一点、確認といいますか、改めてお聞かせいただきたいと思うのですが、さっきから申し上げているように、マルチメディア化、まさに今ここで議論をしております放送、それから通信ですね、いわゆるネットワーク、それとコンピューター、例えば三者が一体的に動いていく、そういう時代に入ってきているわけですね。  今、中央省庁の再編、こういう話が行われようとしているわけでありますけれども、そうなってくると、郵政省だけの枠で考えられるのだろうか。国民に対して政府が、こう言ったときに、今のような事態を考えていったときにどういうふうに行政対応していったらいいのだろうかということもやはり政府として考える必要があるのではないか、こういうように思うのですが、大臣、そこはいかがですか。
  69. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 まさに先生がたびたび委員会で御指摘のとおりでございまして、郵政省単体、中央省庁再編になりますとどうなるか、名称もいろいろ変わってくるわけですけれども、単体で取り組むべきではなく、やはり政府全体というか、国民全体で考えていかなければならないということは既に高度情報通信社会推進本部でも自覚をしており、さらに、最近ではアクションプランというものを提出し、それぞれの役所がどんどんやっていこうというような形にはなってきています。  ただ、もう少し踏み込んで、小渕総理が発足されましたバーチャルエージェンシーのような、いわゆる横ぐし的な、そういう組織を横断した形でこういう情報通信の高度化に向けての取り組みはしていかなければならないということは実感しているところでございます。
  70. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 この話は今後の省庁再編の中でまた議論になると思いますので、きょうはここまでにしておきたいと思います。  それでは、続いて、いわゆる地上放送デジタル化の目標スケジュール、先ほど御質問もありましたのですが、同じような観点になりますが、現在、先ほど答弁があったようなスケジュールが審議会で出されている。これをいわゆる厳格に推進していくんですか。それとも、いろいろな諸情勢の中で少しフレキシブルに対応しよう、こう思っているんですか。その基本的なところをまず郵政省にお尋ねをしたいと思います。
  71. 品川萬里

    品川政府委員 今先生が御指摘のスケジュールというのは、地上放送デジタル化に関する懇談会のレポートで示された案と存じますが、これは、先ほど大臣からも申し上げましたように、私どもとしましてはこういう考え方がいいのではないかということで、私どもに示された一つのアイデアでございます。私ども、二年間の審議経過を振り返りますと、これはいろいろな角度からの知恵が盛り込まれた案でございまして、先ほど申し上げましたように、非常に有益な、意義のある考え方ではなかろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、二〇〇〇年十二月からの衛星デジタル放送というのも現実のものになりつつある、それから新しいメディアも、いわば放送と競合するようなメディアも誕生していくということになりますと、この二〇〇三年、六年、一〇年というのは、全体の技術革新の流れからしますと一つの非常に現実性のある案ではなかろうかと思います。  しかし、もとより、アナログ放送からデジタル放送への移行というのは、そもそもは、放送事業者の方が強制によってではなくて自分放送事業をやるということで成り立っておる分野でございます。したがいまして、この分野というのは、やはり送り手と視聴者、それからその放送を成り立たせるいろいろな機器の整備、普及というものが相まっていくわけでございます。  ただ、二〇〇三年、六年、一〇年というのは、何にもなければそれぞれ歩調をとりようもないわけでございますから、先ほど申し上げましたように、大変意義のある一つの時間的な目途、目安として、私ども、今後の行政を進める上で参考にさせていただくべき、ベースにすべき考え方ではなかろうかと思っております。  なお、このレポートの中でも盛り込まれておりますように、二〇一〇年、これは、いろいろな考え方はあるわけでございますが、そもそも、二〇一〇年にアナログ放送を切ってしまうというよりは、むしろ、その時点においてアナログ放送というのはまだ選択されておる時代かどうかという議論もまたあろうかと思います。  この十年間の進展の中で、三年ごとに見直しをしながら、二〇一〇年という一つの目安がいいのかどうかということも考えていこう、考えるべきではないかという案も示されておりますので、こうしたアイデアも念頭に置きながら、今後、具体的な行政としての、放送普及計画でございますとかあるいは周波数使用計画でございますとか、今後はこういったものを決めてまいるわけでございますが、その際に十分それを念頭に置きながら考えてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  72. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 先ほどの地上デジタル放送懇談会の数字、おおむねそれを目途として、こういう御答弁でありました。同時に、当然民間の皆さんたちの御判断でやることだから、こういう話で、まさにそのとおりだと思いますが、いわゆる電波の割り当て、こういう意味でいうと、それがないと始まらないわけですよね。ですから、それを目途にしながら、放送事業者の皆さんやあるいはまた視聴者の皆さん等の意見を踏まえながら、こういう話であります。  そうしますと、具体的にどこで決めていくことになりますか。さっきのは懇談会としての一つの提案だ、こういう話になりますよね。どこで最終的に判断して決めていく形になるんでしょうか。
  73. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  行政手続的なことになりますので私から答弁申し上げたいと思いますが、まず、例えば、今後のデジタル放送周波数を生み出すための、それからいわゆるアナログ周波数の調整ですね、このために、政府としてどういうことをすべきかということにつきましては、平成十二年度の予算要求に向けまして、いろいろ御指導も賜りながら案を固めていかなければならない課題であろうと思っております。  それからもう一つは、先ほどちょっと申し上げましたけれども周波数をどのように使うか、それからデジタル放送あるいはアナログ放送の波をどのように使うかというのは、放送法あるいは電波法におきまして、郵政大臣放送普及計画あるいは周波数使用計画というものを決める義務がございまして、これを今後できるだけ早く決めてまいらなければならない。  これも、今のところ、私どもといたしましては当然、平成十二年度の予算要求も考えますと、やはりこの夏にはそうしたことについて一定の見通しを立てなければ予算要求もままならないわけでございまして、そうしたことを行政の手続としては進めてまいるということになろうかと思います。  もちろん、その過程で、これは電波監理審議会というものの場においていろいろ御審議を賜ることになりますが、電波監理審議会の運営におきましても、いろいろ今言われているパブリックコメントと申しますか、いろいろな意見を伺う手続になっておりますので、そういう意見を伺うプロセスも十分尊重しながら、今申し上げたようないろいろな諸手続、法令分類でいきますと省令でございますとかそういったレベルのものになりますけれども、そうしたものを整備してまいる。それがデジタル放送のスケジュールと申しますか、方針を具体的にお示ししていく場になろうかというふうに考えております。
  74. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 わかりました。  今後我々は、この国会の場で、予算を通じ、あるいはまた一般質疑等を通じ、また意見を申し上げていきたい、こういうふうに思います。  ちょっと視点を変えさせていただいて、いわゆる地上デジタル化がどんどん進展していくあるいはまた衛星のCSあるいはBSが行われていく、こういう状態になったときに、受信料収入を中心としたNHKあり方、こういう話がそのままスムーズにいけるだろうか、こういう話が出てきております。  公共放送、こういう性格を持ってやっておるわけでありますから、ほかと仕組みが、受信料やなんかの徴収の方法が一体でなければいけないということはないと思いますが、しかし実際、それでやっていけるんだろうか、こういう疑問も出てくるわけでありまして、そこはNHKとしてはどのようにお考えになっていますか。
  75. 山田勝美

    山田参考人 お答えします。  日本放送制度の大きな目的というのは、放送を通じての公共の福祉の向上、これを推進していくということでありまして、そのことはいつの時代も変わることはないんじゃないかというふうに理解しております。そのために、公共放送と民間放送競争しながら共存するという現在の放送法に基づく放送体制というのは、デジタル時代においても堅持していくことが重要であろうというふうに思っております。  デジタル化に伴いまして、これまで放送関係のなかった業種あるいは外国の資本の放送事業への参入などもありまして、放送界全体としての構図が変化していくということは予想されるんですけれども、そうした中にありまして、NHKは、視聴者国民の立場に立って、豊かで多様な放送サービスを提供していくために、今後とも受信料を財源とする事業運営を堅持していきたいというふうに考えております。
  76. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 わかりました。  それから、BSデジタル放送がいよいよ二〇〇〇年十二月に開始、こういうことでありますが、聞くところによりますと、まだこの方式規格の決定がなされていないというふうに聞いております。これで、放送現場の皆さんやあるいはメーカーの皆さんがどう対応していいか、こういう話も出ている、こういうふうに聞いているわけであります。  ヨーロッパやアメリカでもいろいろな方式意見が出ているようでありますし、そういう中で、ユニバーサルスタンダードといった問題をどうするか、そんな議論もあったようで、そういった意味では作業がおくれてきた、こういう話は聞いておるわけでありますけれども、いつそういった結論を出していくのか。あるいはまた、今はXMLというのですか、そういう方式が望ましいのではないかという意見が多数説のようにも聞いているわけでありますが、それを含めてお答えをいただければと思います。
  77. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  デジタル技術を活用した放送デジタル放送におきまして、いわゆるデータ放送というのは大変デジタル放送ならではの分野でございますので、この放送方式というのは大変重要な意義を持つかと存じております。  私ども電気通信技術審議会で御審議いただいておりますけれども、これは今先生指摘のように三つ方式が俎上に上っておるわけでございますけれども、こういう場合には、やはり複数の視点でどの方式がいいかというのを選択していく、しかもそれが国民の皆様からもわかりやすい形で議論がなされ、なぜその方式に決まったかというプロセスも十分御理解いただける形が大事ではなかろうかと思っております。  ただ、比較する際には比較のクライテリアが必要なわけでございまして、今私どもがこの三つ方式を御議論いただくについては、一つデータ放送でございますからデータベースとの関係が大事でございますので、検索機能というポイントから見てどうか。それから、二〇〇〇年十二月というデータ放送衛星デジタル放送に間に合うかどうかということ、時間的な要素、開発のスピードという点。それから、コンテンツの制作環境あるいは他のメディアとの整合性。それから、今後の技術進歩にどのように対応できるか、テクニカルタームとしては方式の拡張性と申しております。それから、あとは、これまでの研究成果ともある程度の親和性がなければならない。過去の研究経過を全く無にしてしまうものでもこれはいかぬわけでございますので、将来に向かっての、あるいは過去に対応する方式の拡張性。それから、今後特にインターネットとの関係が大事でございまして、そうしたインターネット発展対応できる将来性。この六つのクライテリアに基づきまして、どの方式が一番いいのかということを御審議いただいております。  今先生指摘のように、XML方式というのが大変有力視されておりますけれども、私どもはあくまで、時間は限られておりますけれども、十分議論を尽くしていただきまして、本当に視聴者のためになる、また放送事業の発展に資する方式選択されますように今の御議論を見守っておるところでございまして、きっと視聴者の期待する、それから将来の発展性も備わった方式選択されるのではないかというふうに期待しておるところでございます。
  78. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 いつごろですか。
  79. 品川萬里

    品川政府委員 この夏にはどの方式にするか御決定いただけるものと思っておりまして、私ども、それが可能になるようにいろいろ環境整備をしてまいりたいと考えております。
  80. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 時間も参ってきておりますので、最後に、私のいつものテーマであります放送と青少年、こういうテーマでまた最後に一つ質問させていただくわけですが、本当に多チャンネルが一気に現実のものになってきているわけであります。そういった中でいえば、まさに青少年に影響を与える道具がさらに多くなっている、こういう話でありまして、そういった意味でも、まさに放送と青少年の育成、こういう観点でのあり方というのはさらに一層真剣に議論をしなければいけない、こういうふうに思っておるわけであります。  昨年の十二月に、放送行政局長の私的研究機関で青少年と放送に関する調査研究会の報告書が出されておりますね。それの最後の部分で、「今後の進め方」のところで、いわゆる六カ月以内を目途に新たな検討の場を速やかに設置し、あるいは具体化していくことが必要ではないか、重要である、そういう記載があったと思いますが、その後の進捗状況、あるいは見通し等をお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきます。
  81. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  現在の研究状況でございますが、今先生指摘のレポートの中にも一つの課題として示されました専門家による新たな方策の検討という場、俗に専門家会合と申しておりますが、ここで六つの課題について真摯な御議論をいただいているところでございます。  一つは青少年向けの放送番組の充実、メディアリテラシーの向上、青少年と放送に関する調査の推進、第三者機関等の活用、放送時間帯の配慮、番組に関する視聴者への情報提供の充実、この六つの課題につきまして御議論いただいておりますが、この専門家会合のスタンスといいますのは、お互いに注文をつけ合うのではなくて、放送事業者放送事業者の立場で、あるいは行政行政の立場で、あるいは学界の方々は学界の立場で、それぞれが青少年のために何ができるかというスタンスで、子供に対して同じ方向に向かって御議論いただいているところでございます。  この審議も、研究の方も大変順調に皆様方の相互理解のもとに進められておりまして、この六月には、さっきも申し上げました六つの課題についての一つの具体的な方策をお取りまとめいただける方向でおります。  大変熱心にそれぞれ建設的な御議論をいただいていると伺っておりますが、なお、この専門家会合の議事の状況につきましては、郵政省それからNHK、民放連、それぞれインターネットでホームページを設けておりまして、議事概要を皆様方に見ていただけるようになっておりますので、一言御紹介申し上げておきます。  以上でございます。
  82. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 時間でありますからこれで終わりますが、まさに青少年に対する影響は、家庭そして学校、もしかしたらそれよりも放送の影響力というのはこの今のメディアの時代においては大きいのではないか、そんなことも考えております。楽しみにその報告書を見させていただきたいと思います。  質問を終わります。
  83. 中沢健次

    中沢委員長 原口一博君。
  84. 原口一博

    ○原口委員 民主党の原口一博でございます。  私は、視聴者そしてコンテンツ、この二つの視点から地上波デジタル化に関する問題について御質問したいと思います。  その前に、新たな情報環境を整備する法律、そしてその投資とリスクマネジメント、これをやらなければいけない。先ほど郵政省の方からお話がありましたように、二〇一〇年で果たしてアナログ放送選択されているかどうか、これもわからないし、それと同じ文脈で、私たちが今議論をしている地上波選択されているかどうか、これについても私は不確定だというふうに思います。画像データの通信の今の技術考えると、先ほどNHKさんがお話しになりましたこの五千億の投資、あるいは民放さんの八千局の中継局デジタル化移行というものが莫大なむだな投資にならないのかどうか、このことについてもしっかりと見きわめながら進めていかなければならない、このことをまず申し上げたいと思います。  私は、視聴者の視点から、視聴者が得られるメリット・デメリットというのをしっかりと明確に示して、予想される負担の全容とその軽減措置、タイムスケジュールを国民に示した上で、国民の声を反映した普及計画を確立する必要があるというふうに思っています。  実際に、もうアメリカやイギリスでは始まっているわけでありますが、そこで中継基地を建てることに反対運動が起こって、あるいは近くの病院のさまざまな機器に、あるフリークエンシーの、ある周波数放送電波が有害ではないか、こういったことでなかなか進まないというようなことも起こっていますが、今申し上げました視聴者本位の普及計画、このことをどのようにお考えなのか、基本的な考え方をお尋ねをしたい。  郵政省、それから民放さんにもお尋ねをすればいいのですが、時間が限られていますのでNHKさんに、視聴者がどのような意向を持っているのか、その辺をどういうふうにおつかみなのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  85. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  デジタル放送というのが国民生活にとってどういうものか。先生指摘のように、真の意向はどうかということ。これは、やはり現実にデジタル放送というものに接することによって初めて現実的な意向ということを私どもも伺うことができるのではないかと思います。そういう意味では、今のところはまだデジタル放送というものについてはいわば文献上の情報でしかないわけでございますが、今後を考えますと、一つは、二〇〇〇年十二月から衛星デジタル放送が開始される。そのことによって、視聴者方々は、デジタル放送というのはどういう放送なのか、アナログ放送との違いというものも実感されることになろうかと思います。  それから、私ども今全国十カ所で、民間放送方々はもとより、地域デジタル放送に関心のある方々にも参加いただいて、共同実験施設を設けまして、実際にデジタル放送をして、送り手としての経験、あるいはコンテンツ制作者の立場としての経験、あるいは視聴者としての立場から、デジタル放送というのはどういうものかということを実感していただけるような実験も進めております。東京におきましても、つい最近、移動体受信でどのようにデジタル放送が見られるのかということにつきまして実験も行われ、一部その状況が報道されました。移動体の中でも大変クリアなデジタル放送というものが明確に視聴できるということが実証されたわけでございます。  したがいまして、私どもはまずは行政の立場で、デジタル放送というのはどういうものか、それから今後どのような日程で進められていくことになるのか、この辺を十分情報を提供してまいりたいと思います。  先ほど申し上げましたように、デジタル放送というのはどういうものかというのは現物を見ていただくにしくはないわけでございまして、放送事業者方々にも、あるいはメーカーの方々にも、できるだけ国民の皆様の身近なところでそうしたものに目に触れていただいて、そして家庭の情報化のスケジュールの中でどのようにデジタル放送視聴者の立場で取り込んでいくのか、そういった生活上の見通しも得られるように、いろいろな情報提供、政府としての努力、それから関係者の方々への努力もお願いしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  86. 山田勝美

    山田参考人 お答えいたします。  NHKとしましては、現段階で地上放送デジタル化に特定した視聴者の意向調査というのはまだやっておりませんけれども、ただ、デジタル時代を迎えた中で、視聴者の皆さんがどういうふうな意向を持っているかということにつきましては、一般的な調査の中で、昨年の暮れに行った調査があります。  この中で、例えば今後のテレビへの期待というのを質問しているのですけれども、それによりますと、トップが、いつでもニュースや天気予報が見られるというのが六五%。それから、いつでも見たい映画が見られるが五五%。予約した番組が自動的に見られるが三二%。この三つが上位を占めております。したがいまして、視聴者は、デジタル時代にきめ細かく、より便利なサービスというものを期待しているのではないかということで、今後、地上放送デジタル化に当たりましても、こうした点を参考に取り組む必要があるというふうに考えております。  以上です。
  87. 原口一博

    ○原口委員 郵政省についてはしっかりとアンケートの結果が出てきまして、地上波デジタル化に伴ってどういうことを国民の皆さんがお考えなのかということをしっかりと聞いておられます。全国一斉にやってほしいだとか、あるいはアナログテレビにつけ足してアダプターをつけたい、そういうような意向をお聞きになっていますが、残念ながら、NHKさんは公共放送ということでありますが、そのことはなさっていない。このことは非常に残念だと私は指摘しなければなりません。  また、そこでお尋ねをしたいのは、先ほど五千億という、NHKみずからの対応で、借り入れやあるいは積み立てということでお話をされましたけれども、五千億というお金は、NHK予算の一年分が大体六千億ですから、それのほとんどに匹敵する。そういう投資をしたときに、果たしてこれが受信料にはね返ってこないのか。受信負担という形に、国民負担にはね返ってこないのか。その辺はどういうふうにお考えなんでしょうか。
  88. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答えいたします。  先ほど設備整備費につきましては、非常に大ざっぱな数字として五千億というお話をしております。先生御案内のように、NHKの予算は約六千億ちょっとでございます。そのうち設備経費、設備の建設費として上げておるのが年間約六百億ちょっとでございます。したがいまして、建設費だけでやりますとやはり十年ぐらいかかるということになります。すべてそのお金をかけた、しかしいろいろな設備がございまして、その中で送信機とかあるいは製作費に与える年間の経費というのは二百億程度でございますので、そういうことで六千億を賄うということを見ますと、三十年という数字になります。  御案内のように、アナログテレビも今日に至るまでに約三十年かけてこれだけのネットワークをつくってきたわけでございますので、同じようにやればやはり三十年かかるというのが、財政規模からいったらそういう数字にならざるを得ない。したがいまして、それを何らかで加速するということになりますと、何らかの知恵を出さなければいけないというのが現状の分析ということでお答えいたします。  以上です。
  89. 原口一博

    ○原口委員 情報環境への投資は一方で負担が来るわけでございます。そこのコストとそれからパフォーマンスとの比較、これを国民にしっかりと御理解いただいた上で進めていく、こういうことが一番必要なんではないかというふうに思います。  と同時に、情報格差の回避策、年齢やあるいは住んでいる地域やあるいは障害のあるなし、そういったことによって格差があってはならない。今スケジュールをお尋ねすると、二〇〇三年末までにはいわゆる関東、近畿ということで、あとは二〇〇六年。その間の情報格差というのは、地域間格差というのは物すごく大きいものがあるというふうに思います。  郵政省として、郵政大臣、この情報格差をどのように回避していこうと思っておられるのか。その策をどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  90. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 情報格差について二つの方向で申し上げたいと思うのですが、一つは、今もおっしゃった視聴者側、例えば高齢者とか障害者にとって、デジタル化メディアが進んでいくとますます格差が広がるのではないかという懸念、それは今回私たちデジタル放送に期待しているところは、むしろ今までそうであった人たちデジタル技術によってそういう格差をなくしていく、そういうことに作用してもらうだろう。先ほど視聴者ニーズというのがございましたけれども、特に私たちは、社会的弱者と呼ばれる人たちにとって、このデジタル技術がそれまで皆様方の抱えていたさまざまなハンディキャップを覆せるようなものになってもらいたいということで取り組んでいるところです。  例えばデジタル放送におきますと、受信者側における話速変換機能というのが可能になってきます。つまり、普通、お年寄りになってちょっと耳が遠くなってこられたりすると、アナウンサーのしゃべり方が速い、何をしゃべっているかわからない、あっという間にいってしまう。それを話速変換をすることによって、ゆっくりしゃべって聞くことができるし、あわせて、受信機の方で、字幕が出るとしても、例えば目が悪ければ字を大きくしたりとか、そういうことも可能になってくるわけで、こういうことが期待されるんじゃないか。  もう既に、視聴者の代表の一人である全日本難聴者・中途失聴者団体の方からは、デジタル時代に対してこういうサービスをしてくれという要望を具体的にいただいているところなので、そういうことを活用させていただいて、事業者の方たちと相談して取り組んでいきたいと思っているわけであります。  さらに、地域間格差につきましては、先ほどスケジュールについて話をしました。現段階では、二〇〇三年、二〇〇六年、そして二〇一〇年というふうに段階的に移行していく。これは懇談会の中においても、地域の経済力とか市場性なんかを考えて、やってくださる方、事業者の皆さんの経営体力に合わせてむしろつくったものであり、逆にこれで、猶予という考え方を持っていただき、むしろやる気がある人はどんどん前倒しで進めていただければいいのではないかと思っているわけです。ですから、そういうことによって地域間格差が生じるという、いわゆるそういう因果関係というのは出てこないと私は思っています。  事実としては、地域によって技術水準とか地域の経済力の差があります。でも、そういう格差を生じさせないように、全国十カ所もの共同実験施設を活用していただいて、そういう実験を通じて技術のレベルが格差がないように、そういうノウハウを身につけていただくというようなことで、そういう形での支援措置の検討というのは進めていきたいと思っています。そういうことで、この法案を早期に認めていただきたいと思います。
  91. 原口一博

    ○原口委員 やはり三年のラグがある。特にNHKさん、公共放送の中で見られるコンテンツ地域によって違う。関東では見られるけれども九州では見られない、これはやはりなかなか理解しにくいことではないか。ここについては何らかの施策が必要であるということを指摘しておきたいと思います。  そして、莫大な投資でございますから、この投資がコンテンツに響いてきてはならない。特に民放さんは、コマーシャル料、広告料で成り立つ。そういうものについて、そのコンテンツの視点から幾つか御指摘をしたいというふうに思います。  多チャンネル化の時代に、受け手の側も一方的に放送番組を視聴しているというのではなくて、メディアとどう向き合うかという点について真剣に取り組む時期にもう来ている。カナダでは、メディアリテラシーが学校のカリキュラムの中にも取り込まれている、そういう州がございます。  我が国としても、情報選択肢がふえる、これは大変いいことですけれども、では、それを取り込む際の、情報をリデュースする際の受け手の側の教育あるいはリテラシーの充実、こういったことについてももう一定の方向を出すべきだというふうに思うのですが、郵政大臣の基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  92. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生御承知のとおり、平成十年の十二月に、青少年と放送に関する調査研究会の報告書というのが出ました。  そこで、まさにこれから多チャンネル化していく放送メディアに対しての、その特性を正しく理解する能力、まさにメディアリテラシーの向上についての提言が行われたところであります。  実は、その提言を受けまして一月から専門家会合というのをやっておりまして、それに関係する方たちのヒアリングなんかを含めて多角的に検討をしています。その結果はことしの六月をめどということで、そこで具体的な導入方策を取りまとめさせていただくことになっているわけです。  また、あわせて、平成十一年度の予算にもメディアリテラシーに関する調査研究等を行うという形での予算をつけさせていただきました。  いずれにしても、メディアリテラシーというのは郵政省だけの問題ではなく、まさに国民的課題だと思います。広く、先生を初めとして多くの分野方々が関心を持っていただくことが急務ではないかと感じているところでございます。
  93. 原口一博

    ○原口委員 公教育の中に入れるかどうかは別にして、カナダは公教育にメディアリテラシーを導入するのに十年かかっています。ですから、一朝一夕にこれを論じることはできない。しかし、一定の方向をきっちり示していただきたい。  そして、きょうは大臣の後援会誌をたまたまいただきました。「SEIKO」という会誌ですね。この中の七ページに「各種委員会での質問はすべて自分で作成し、常に生活者の視点で問題提起や政策の矛盾を追及してきたつもりです。」ということで、「Vチップについて質問する聖子代議士」こういう絵がついています。  Vチップについては、今大臣がお話しになった青少年と放送に関する調査研究会において検討が行われています。また、この後援会誌の中に書いてあるように、去年の、平成十年三月十八日の当委員会における大臣委員会質問の中にも、Vチップについて触れていただいています。  この調査研究会において継続検討という提言がなされていますけれども、レーティングについては、大臣がお触れになっているように、グッドレーティングについてはもうやるべきではないか。そして、メディアが自律的に自分たちコンテンツを保っていく、そういう放送文化をつくっていく、こんなことが必要なのではないか。多チャンネル化、たくさんのチャンネルがあるとしたら、メディア自分たちコンテンツを批評する、そういうチャンネルもあっていいのではないかというふうに思いますが、レーティングの実施等についてどういうふうにお考えなのか、大臣の基本的な認識と、そして推進してほしいということをここに書いてあるわけでございますけれども、どのように進めようとされているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  94. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 私が初めてVチップという言葉を知りましたのは、前自見大臣から、今アメリカではVチップというものを導入しようとする動きがあるから、若いあなたはしっかり勉強しなさいという言葉をいただきまして、あれがかれこれ三年ぐらい前、それからいろいろな皆さんのお力をかりて自分なりに研究してまいりました。  アメリカがVチップを導入する歴史的背景を見ますと、大変長い期間をかけてさまざまな議論をした結果今日に至っているということがよくわかりましたので、初めにVチップありきという拙速な考え方はまずいということを私なりに理解しているところです。何しろ、今Vチップというハードがあったとしても、何を限定していくかというものがこの国にはない。  そういうことで、私はかねてから、善良なる放送事業者の方たちに、むしろ今多くの小さな子供を抱える親たちは戸惑いがあるのだ、子供たちにとっていいものを見せたいと思うけれども、そういう指標が何もない、そういう中で、例えば、これは五歳の子供の情操教育には非常にいいよみたいなマークがあれば、そういうことを頼りに親もそういういい形で放送メディアの活用、放送文化の向上になっていくんじゃないかということを個人的には再三申し上げてきたところでございます。  つまり、レーティングという言葉を、悪い、追い詰めるようなことではなくて、むしろ客観的にある一つ情報提供の形ととらえていただき、むしろ前向きに放送文化の向上のために放送事業者の方たちが自発的に検討していただくことが最適ではないかということでお話をしているところでございます。  いずれにしましても、先ほどの専門家会合につきましても、このレーティングについても具体的な取りまとめがなされると思いますので、それを期待しているところでございます。
  95. 原口一博

    ○原口委員 同じ質問NHKさんにさせていただきたいと思います。  これは先ほどの調査研究会の第三回の議事録の中で、NHKとしては、Vチップを導入するよりも、青少年に悪影響を与えるような番組を制作しないことが先決と考えるというふうなお考えをお示しになっています。このことは今も変わらないと思いますが、今大臣がお話しになったレーティング、そういったものについてどのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  96. 山田勝美

    山田参考人 NHKとしましては、Vチップやレーティングの導入で青少年に悪影響を与えるような番組を見せないようにするよりも、悪影響を与えるような番組を制作しないということを基本と考えております。先生の先ほどの御指摘のとおりであります。  少年少女に夢と感動を与えて心を豊かにする番組を制作して放送していくことが、公共放送NHKとしての本来の果たすべき使命だと考えております。  我が国でのVチップの導入についての具体的議論といたしましては、平成十年五月からの青少年と放送に関する調査研究会、これにNHKから海老沢会長も出席しまして、最終的には、我が国での議論が成熟していないということや諸外国の実績も踏まえて、Vチップの導入は見送られる結果になっておるわけでありますが、NHKとしましては、民間放送連盟、郵政省と共同で、青少年と放送に関する専門家会合というのを開催いたしまして、具体的施策について、学者、有識者、保護者団体の方々意見交換を積極的に行っているところであります。  この六月には、Vチップを導入しなくても、放送が子供や青少年の健全な発育に役立てるように、NHKとしての自主的な方策を示してまいりたいというふうに思っております。
  97. 原口一博

    ○原口委員 その際に、やはり外からのチェックというものを入れていただきたい。  各放送事業者が質の高いコンテンツをつくって、そしてそこに努力されているということは私も敬意を表するものであります。しかし一方で、海外から来た方が、例えばNHKさんの番組を見ても、特にこれは女性に多いのですが、大臣にもお願いをしたいのですが、非常に女性に対して差別的、女性に対してデプレッシブ、抑圧的、こういう表現が日本放送メディアの中に非常に多い。私も女の子がいますが、先日、男と女はテレビではどうしてこうも違って表現されるのかということを言っていました。  国内だけで見ていれば、そのコンテンツについては、日本は非常な男性社会ですから当たり前のことでも、海外から見ると、あるいはこれから育っていこうという子供からすると、私たちでは当たり前になっていることが大変な傷を負わせていることがある。私は、放送の内容、コンテンツについて、今回のような多チャンネル化、デジタル化が、一方で逆に競争を激化することによって知らず知らずのうちに多くの人を傷つける、こういうことがあってはならないというふうに思います。  ぜひ大臣、今の放送をごらんになって、女性の感性としてどういうふうに思っておられるのか。あるいは、NHKさんとして、今検討するというお話をされたわけですが、そういったところにこれから留意をして進めていただきたい、このことを強く願うわけでございます。大臣、今の放送をごらんになってどう思われますか。
  98. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 最近は専らニュースを見る機会が多くて、そんなにいろいろな放送番組を見ているわけではありませんけれども、随分改善されたなと思う点は、一昔前は、ニュースにせよ何にせよ、男の方が中央にいて女性がサイドにいるというような構図が当たり前だったのですけれども、最近は、女性が中央にいてサイドに男性がいるというのがしばしば見られるようになってきた。  私が思うのは、見た目というのはすごく重要で、小さなころ見ていると、ああ、女の人は横にいるべきものなのかなみたいなことを、私自身も含めて、何か知らず知らずに入っちゃっているのかなというのは、そこは定かではありませんけれども、最近、昔から比べると大分御理解いただいて改善されているのじゃないかと思うのです。ちょうど男女共同参画の基本法が今国会で審議されている最中でもございますし、引き続き、事業者の方に意識を高めていただきたいと願っているところであります。
  99. 原口一博

    ○原口委員 もう時間が参りました。  十年間で十六兆という受信者の側の負担が、果たして情報環境を手に入れるための投資として妥当なのかどうか、あるいはその負担をどう軽減していくのか、あるいは公共放送としては受信料にもう上乗せしないんだという決意もあるのかどうか。  大臣に最後にお尋ねしますが、NHKでも結構ですから、今回のデジタル化によってどれぐらいの負担国民にいって、そして受信料は値上げしないということが言い切れるかどうか、お尋ねをしたい。
  100. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 放送メディアデジタル化ということは、負担というとらえ方もあれば、投資というとらえ方もあると思います。  その付加価値の高いサービスを手に入れるという意識もぜひお持ちいただきたいと思いますが、私たちとすれば、まず、いろいろチャンネルプラン等、設備に関する費用の低減に最大限の技術的な努力をするということ。  あわせて、視聴者人たちには、放送事業者の皆さんと協力して、デジタル放送のメリットを、十二分にそれだけのメリットがあるものだという理解をしていただくためのPR活動を積極的に進めていくこと。  また、メーカーの皆さんには、当然、投資といえどもコストは低ければ低いほどいいわけですから、特に受信機またはアダプターにせよ、製造に当たっては高い技術を生かしていただき、ローコストで提供していただくようなお願いをしてまいりたい。そういうふうに努めてまいりたいと思います。  NHKにつきましては、先般のNHK予算のときに海老沢会長が受信料の値上げはしないと明言されておりましたので、私もそのとおりだと承っているところでございます。
  101. 原口一博

    ○原口委員 終わります。
  102. 中沢健次

    中沢委員長 生方幸夫君。
  103. 生方幸夫

    ○生方委員 民主党の生方でございます。  私は、主に事業者の立場から、今回の改正について質問させていただきたいと思います。  まず最初に確認をさせていただきたいのですが、このたびの高度テレビジョン放送法のデジタル放送を実施する件につきまして、この計画自体は単なる環境整備なんでしょうか、それともやらなければならない義務規定なのか、あるいは事業者側の努力目標なのか。この三つのうちどれなのかというのを最初にまず御確認させていただきたいのです。
  104. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘の点は、デジタル懇談会の示されたスケジュールのことでございましょうか。  これは、今後の地上放送デジタル化をいかに円滑に進めていくかというスタンスでまとめていただいたレポートでございますが、当然、法律ではございませんから、法律的に決めるものだというふうなレポートになっておりません。  ただ、この二〇〇三年あるいは六年という意味合いは、全体として、アナログ放送からデジタル放送への移行を円滑ならしめるために、今アナログ放送をしている放送事業者が全部デジタル放送に行けるように、そのためには、現在アナログ放送をしている放送事業者の方が先行して移行できるようにした方が全体として円滑にいくということからしますと、二〇〇三年あるいは六年というのは、いわば移行のためのインセンティブの一つの時間的な指標というふうに言えようかと思います。  したがいまして、義務なのか努力なのかという分類がどうかと存じますけれども、全体として、かねがね申し上げておりますように、放送事業者の方も行政視聴者の方もメーカーの方も、やはり共通の目安を持って進んでいくことが必要でございますので、これはそういう共通のコンセンサス型の移行一つの手法として示されたものかなというふうに私どもは位置づけております。
  105. 生方幸夫

    ○生方委員 これを見ますと、「放送施設整備事業を実施しようとする者は、当該事業の実施に関する計画を作成し、これを郵政大臣に提出して、その実施計画が適当である旨の認定を受けることができるものとすること。」というふうになっておりまして、関東地区とか中部地区とか関西地区に関しては二〇〇三年までにその認定を受けるという格好になって、あとは二〇〇六年という年次が設定をされているわけです。  これを見ますと、「郵政大臣は、実施計画が計画どおりに行われていない場合、認定を取り消すことができることとするとともに実施計画を変更しようとするときも郵政大臣の認定を受けなければならないこと等を規定するものである。」と。これを見ますと、かなり義務に近いものであるのではないかなというふうな感じがするのですが、どうなんでしょう。  これは認定しなければもちろんいけないわけで、例えば、あるローカル局にとってみれば、二〇〇六年までに資金計画や何やらでできないということになると、認定をする期間がおくれれば当然実施する期間もおくれるわけで、その場合は認定の取り消しという形になるのか、行政指導という格好になるのか、あるいは何かしらの指導をするというのですか、だから、事業者側から見れば、限りなく義務に近いものになってしまうのか、あるいは、そうでなくても、多少延びてもいいのだよという余裕がある努力目標なのか、そこら辺は今最初の時期にはっきりしておくことが必要ではないかと思いまして、再度お伺いしたいのです。
  106. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  失礼いたしました。先生のお尋ねの高度化法の趣旨につきまして、これはあくまでこの債務保証を利用したいという方が任意にお使いになるものでございますから、これを使わなければならないというものではさらさらございませんし、では、認定をどのように行うかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、法案をお認めいただいた後のことになりますのでちょっと先走ったことになりますけれども、あくまで、資金調達計画そのものが合理性のあるものなのかどうか、デジタル化投資をしようとすること自身が合理性のあるものなのか、そういったことを中心にして見てまいるものでございますので、何かこれは使わなければいかぬ義務があるのかとか、いつまでにやらなければいかぬのかとか、そういう観点ではなくてこの法案をおとらえいただくことがよろしいのではないかと存じます。
  107. 生方幸夫

    ○生方委員 民放連にお伺いしたいのですが、現在の経営状況から見れば当然ある程度の融資を受けなければこれだけの投資をすることはできないというふうに思うので、私は、あくまでもセットになった一つのものだというふうに考えておるのですけれども、民放連さん側から見ると、今回のデジタル化放送というものの二〇〇三年、二〇〇六年、最終的に二〇一〇年という目標はやはり努力目標というふうに見ているのか、あるいは、これはある程度もう国で決めたことだから守らなければいけない義務だというふうに思っておるのか、どちらでございましょうか。
  108. 酒井昭

    酒井参考人 大変難しい御質問を受けたわけですけれども、局によりまして企業間格差がありますから、一応、二〇〇三年、二〇〇六年という区切りといいますかそれを設けられたことは一つ方式だと思うのですけれども、それでも二〇〇六年でローカル局が完全に実施できるかどうかというのは非常に心配でございまして、その辺を我々としてはできるだけ国の方針に沿って実施できる方に参りたいと思いますけれども、これは、義務化というふうにはちょっと正直言いまして受け取りかねる、あくまでも努力目標といいますか、そういう形で考えた方が妥当ではないか。  東京と大阪、名古屋、それに完全なローカル局の間ではまだまだ考え方が一致しているとは必ずしも申しませんけれども、我々民放連の立場としては、数からいいますとローカル局が圧倒的に多うございますので、ローカル局の考え方を踏まえながら、できるだけ二〇〇六年には完全に放送できるようにしたいというふうに思っていますけれども、義務化ということになりますとちょっときついものですから、やはり努力目標というふうに考えたいというふうに思っています。
  109. 生方幸夫

    ○生方委員 再度お尋ねしたいのですが、デジタル化によって、民放にとってはどんなメリットがあるというふうに今現在お考えになっておりますでしょうか。
  110. 酒井昭

    酒井参考人 民放にとってほとんどメリットはございません。  放送のそれぞれの変革期というのは、昭和二十六年にNHKの独占が崩れて民放がスタートした。それから、東京オリンピックの時点でカラー化ができた。今また大きな変革期になっているわけですが、カラー化の場合にはやはり視聴者も喜ぶし広告効果としてスポンサーサイドも喜んでおりましたから、若干の電波料の値上げも可能でした。それによって民放の経営も潤ったわけです。  このデジタル化によってスポンサーが喜ぶかというと、画像がきれいになったということは放送サイドにとって一つのメリットになりますけれども、なかなか電波料を上げてもらえる状況ではございませんので、むしろ、現状維持から経営的には苦しくなるということです。ただ、一般の視聴者にとっては双方向通信も可能ですしデータ通信も可能だということで喜ばれると思うのですが、経営的には民放サイドは決して喜ばしい現象というふうには思いません。  ただ、放送はあくまでも文化ですから、映像がきれいになることによってさらに一般の視聴者に喜んでもらう、それがひいては全般的な公共の福祉の向上に役立つというふうに思っておりますので、経営面の苦しいことは十分考慮しながら番組を送り続けたいということで、それほどのメリットはございません。
  111. 生方幸夫

    ○生方委員 メリットがないものに、これはよくわかりませんけれども、一局で大体四十五億とか、民放全体で五千六百億とかという額の投資をしなければいけないというのはなかなか大変なことで、もちろん融資の条件というのが出ているわけですけれども、今これだけの国の援助で、これだけの投資というもので間に合うのかどうか率直な御意見をお伺いしたいのですけれども、もうちょっと何とかしてくれとかいうような御意見がございましたら、ぜひ聞かせていただきたいのです。
  112. 酒井昭

    酒井参考人 率直に申し上げまして、できるだけ国の公共的な負担お願いしたいということでございます。  再度繰り返しになりますけれどもデジタル放送設備の構築というのは、これは放送事業者、苦しいですけれども何とか実施していく、あくまでも。ただ、アナ・アナ変換の費用まで放送事業者負担することはもう不可能である。したがいまして、何らかの公的資金での支援をぜひお願いしたいということを、この場をかりてよろしくお願いしたいというふうに思っております。
  113. 生方幸夫

    ○生方委員 来年にはBS4が打ち上げられて衛星からデジタル放送というのが可能になるわけですね。これはいろいろな問題を含んでおりまして、ローカル局にとってみれば、今までネットキー局から配信されたものを映し出す、そのネット料金を払ってでも、それを収益のうちの一部に大きく充てられていたわけですけれども、一発で全部通信衛星で、衛星ですから一つ上げれば全国放送がくまなくできるということになるわけで、ローカル局にとってみれば非常に大きな影響が出てくると思うわけです。  キー局にとってみても、一つは地上のデジタル放送化を進めながら、片っ方では地上のデジタル化を進めなくても衛星が打ち上がってしまえば自動的にデジタルで送ることができるわけで、二重投資に近いような形になるのかなという気もしないでもないのですけれども、地上のデジタル化衛星によってすぐデジタルが可能になること、その辺の二つの兼ね合いについて、二重投資になる部分があるのか、それとも二重投資しなくて一つのものとして、もちろん共同で、共通で利用できるものはたくさんあるのでしょうけれども、そうではなくて、二重になる部分というのはどのぐらいあるのかというのをちょっとお伺いしたいのです。
  114. 酒井昭

    酒井参考人 お答えします。  BSと地上デジタル放送、これは民放としても調和のある発展を図っていきたいということで考えているわけで、現実にそれが進んでおりまして、地上テレビのネットワークの五系列がこのBSを始める。民放は御承知のように二〇〇〇年の十二月から事業を開始するということになっておりまして、当面の課題としてはこの受信機の普及が第一でございまして、この受信機を製造する家電メーカーさんに、先ほど大臣の御答弁がございましたけれども、低廉なBS受信機を販売してくださるように期待しているところでありまして、我々としては、このBSと地上の役割分担を図りながら進めていきたい。  おっしゃるように、東京から一つ流せば全国を網羅できるわけですけれども、もともとの地上テレビ放送というのは地域免許ということで免許を受けておりまして、その地方地方の皆さんの期待にこたえる情報、報道、娯楽を与えているわけでございますから、そこでおのずから全国放送地域放送役割分担というのはあると思います。  それは、おっしゃるように経営的に苦しい面はありますけれども、やはり日本の文化というのは、地方における固有の文化というのがございます、これを育成しなければいかぬ。全国的な放送は東京、大阪、名古屋から出ているわけですけれども、北海道、沖縄のそれぞれの固有の文化を育成し、さらに維持していくというためには地方局の存在は不可欠でございますので、この辺の役割調整はそれぞれのネットワークが考えながらやっていくべきところではないかと思います。  二重投資という御指摘はそのとおりかと思いますけれども、大義名分的に言えば、全国的な文化と地方文化の共存といいますか、それを視聴者に与えていくということで、ある意味では放送事業者一つの使命ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  115. 生方幸夫

    ○生方委員 郵政大臣にお伺いしたいのですが、私は、いろいろなインフラはどんどん整備をした方がいいというふうに思っております。だから、BSがあって、地上のデジタル化もあって、もちろんいいと思っています。  それから、当然、光ファイバーの敷設というのも二〇一〇年から二〇〇五年に前倒しして実施をされる、それもどんどん前倒しして実施していいと思うのですけれども、やはり国民の目に見えるメリットというか、めり張りというのですか、ファイバーは何が目的なんだよ、デジタル放送はこれが目的なんですよ、衛星はこれが目的なんですよというのがやはり国民の方たちに見えないと、結局送られてきたものは、光ファイバーだって太いものが来れば動画も当然来るようになるわけですし、これも圧縮技術等を使えば何十チャンネルもの映像が送られるようになってくるわけです。  国民にとっては、ではファイバーで何ができるのか、それから、衛星デジタルでは何ができて、地上のデジタルでは何ができるのかということをもうちょっと、もちろん、全部これはこれだというふうになってしまうのではまた意味がないというのもよくわかるのですけれども国民の皆さん方にとってのメッセージとしてどうなのかというのを何か一個ぐらいずつポイントを挙げた方が、国民の皆さん方が、なるほど、これでこれができるんだなというふうになるのじゃないかなと思うのですが、いかがでございましょうか。
  116. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今の先生の御指摘のように、そういうことができれば非常にわかりやすいかと思いますけれども、御承知のように、この情報通信技術の進展のすさまじさというのは本当に想像を絶するようなところがございます。  今、放送メディアについて、例えば放送デジタル化でのメリットについて二、三挙げていますね。例えば高画質だとか、あとはゴーストがなくなるとか、インタラクティブだとか、そんなことを申し上げているのだけれども、ひょっとしたらまたその次の世代にはもっともっといろいろな付加価値機能が出てくるかもしれない。  そういった意味で、むしろこれからは多メディアデジタル技術をベースとした情報通信機器がいろいろ生まれてくるであろう。それを利用者である私たちがそれぞれ自分の暮らしを見詰め合いながら選択していく、そういうことが大事なんじゃないかなということを感じています。  先ほどの御質問にあったとおり、例えば光ファイバーが二〇〇五年までにFTTHの全国制覇をやるわけですけれども、そのときに光ファイバーですばらしい動画が送れるようになる。見る側にとってみれば、そこで送れる動画とテレビに出ている映像との違いというのはそんなに多くの人はわからないのじゃないかと。  そういうこともありますので、私の方から、それぞれのメディアを、これはこれ、これはこれというのではなく、どんどん融合化し、それぞれつながったり離れたりすることによってのいろいろな付加価値を、それぞれの視聴者または利用者の人が、それぞれのニーズに合わせて見きわめていただくことが大変大事じゃないか、そんなふうに思っているところでございます。
  117. 生方幸夫

    ○生方委員 鶏が先か卵が先かという問題で、やはりもともとのインフラを整備しておかないとなかなか卵が産まれてこないというふうには思うわけでございます。  私が一ついつも考えるのは、ビジネスとか経済の仕組みとか仕事のやり方とか、そういうのを情報化に伴って変えるという視点がどうも日本にはないのじゃないかと。情報化の一番大きな特徴は、ビジネスのやり方とかそれそのものを変えてしまうというその根本の力にあると思うのですけれども、どうもそこがないような気がしてならないわけでございます。  地上放送デジタル化についても、さっき専務理事さんがおっしゃいましたように、放送事業者側にとっては何のメリットもないということですが、それはやはりきっと大きな違いがあるわけで、そこへ新規事業を生むような積極的な価値というものを見出さないと、設備投資だけやらされて非常に大変なことになりますよということになってしまうので、例えば文字放送が一緒に送れたり、何かいろいろなアイデアを使えば新たな収益を獲得するチャンスにもなるんじゃないかなと。これは批判をしているわけじゃないのです。そういう積極性がやや欠けているのではないかという気がしないでもない。  通信衛星についても、私は昔、もう十年も前に本を書いたことがございまして、一九八六年ぐらいに本を書いたのですが、そのときは、通信衛星ができることによってビジネスが大きく変わるのじゃないかなと。当時、アメリカなんかでは、ビジネスチャンネルとかいうような形で、企業が衛星放送を使うことによって仕事のやり方をかなり変えていった。当時はまだ光ファイバーが普及していませんでしたから、大量に、一度に多くの情報を送れるというのは通信衛星しかなかったわけで、それを使ってウオールマートなんかはかなりビジネスのやり方を変えていった。その後、いろいろなことがあって、また向こうもいろいろ変わってしまったのですけれども、ただ、その当時にしてみると、ビジネスに非常にうまく通信衛星というものを使うことによって企業体質というのを変えたところも随分あったわけです。  私は、CSを上げたとき、当然日本もこれを利用していろいろなビジネスができるのじゃないかというふうに期待をしたのですけれども一つには、日本通信衛星の数が、もちろん、上がっている数がアメリカに比べれば全然少なかったわけですから、通信の利用料が高いということで、結局、地上放送のバックアップに使われたり、アメリカみたいに有線テレビがあまり普及していませんでしたからそれにも使われなくて、余り華々しい活躍をしないままCSは推移してきているのですけれども、そこなんかにも、新しいインフラができたら、そのインフラを使って何をしてやろうという、アメリカはどん欲なまでの意欲があるのですけれども日本はやはりどうしても、何かできたら使わなきゃいけないのかという消極的なところがあるんじゃないかなと。  今度の放送デジタル化なんということについては、やはり郵政省が音頭をとってどんどんやっていく必要があると私は思うのですよ。ただ、今のこの時代の中で、これはちょっと視点は変わってしまうのですけれども放送事業者は、かなり厳しい状態の中で、これを何年までというふうに言うのはなかなかローカル局にとっては厳しいのじゃないかなと。ローカル局が厳しい状態になって、仮に経営不振に陥れば、さっき専務理事もおっしゃいましたように、やはり文化を担っているわけで、そこの放送局が仮につぶれるようなことになったらこれも困るわけです。やはり手厚い、援助がいいのか何がいいのかわかりませんけれども、国としての資金の手当てというものも考えておく必要があると思うのです。  まず一点、最初の方で、ビジネスを変えるという視点をもうちょっと持つ、持てというふうに言うのもなんなんでしょうけれども、その辺について、郵政大臣考え方をちょっとお伺いしたいのです。
  118. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 たしかアメリカは、非常に経済が不況なときもIT投資というのが増加してきた。日本の場合は、不況になった途端、IT投資も下がってしまったということが決定的に違うのじゃないかということがよく言われています。  私自身も、今、情報通信の高度化ということで政府を挙げて、また国民各界各層、事業者の方たちから応援をいただいたり、連動して動いているわけですけれども、やはり今後は、情報に関する意識の高揚といいますか、情報に対して当然価値があるから投資していくんだというような一人一人の意欲とあわせて、それを利用する企業の組織のあり方について、例えば、電子メールというのは瞬時に幾つも連絡が流せるみたいなメリットがあるのですけれども、今の組織のあり方、下から稟議のように上がってくるような形で決裁をするような形の日本の企業には、正直メリットがない。そんなようなところも構造的な改革が必要なんじゃないか。  あとは、ビジネスということでおっしゃるならば、特にアメリカなんかの今の好景気を支えているのはベンチャー、特に通信系のベンチャーと言われていますけれども、やはりそこが大きくなるまでの赤ちゃんの時代のリスクマネーのお手当てがあった。それが日本の投資家にとってはそういう意識がまだまだ低いということで、むしろ郵政省自体というよりも、国全体が今までそういうところ、特に情報通信の高度化に向けて、国としてのコンセンサスというか意識の乏しさということに多くの人が気がついて、そういうことに取り組んでいただきたい。私たち郵政省としては、そういう事業者の方たちと連動しておりますので、積極的に働きかけてまいりたいと思っています。  また、放送事業者にとって余りメリットがないと酒井さんからお話がありましたけれども、やはり日本放送文化を担う事業者の責任として御努力いただいていることには敬意を表し、また、そういうデジタル技術によってさらなる視聴者ニーズを獲得していただき、収益につなげていただきたいなということを願っているところでございます。
  119. 生方幸夫

    ○生方委員 これで経済波及効果がどのぐらいあるのか、四十兆円という数字も出ているんですけれども、その数字でよろしいでしょうか。
  120. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの懇談会のレポートにおきましては、経済波及効果、これは内訳といたしましては、放送事業者の設備投資、これは有効需要という面、民間設備投資需要ということになろうかと思います。それと受信機の買いかえ需要、それから新たなデジタルコンテンツの展開、この三分野を合計いたしますと、十年間で金額ベースで二百十二兆円、それから雇用効果というのは七百十一万人という試算がなされております。  これにつきましては、その後いろいろなシンクタンク等の検証もやっておりますけれども、大体かたい予測数字ではないかという評価をいただいておるところでございます。
  121. 生方幸夫

    ○生方委員 最後に、一般家庭への影響ということで、最初の見通しとしては二百二十万世帯に影響があるということが一千万世帯に拡大をされてしまって、大体四分の一がデジタル化に伴っての影響を受けるというふうになったんですが、最初の二百二十万が、何で五分の一なんという低い数字が出たのか、まずそこをちょっとお伺いしたいんです。
  122. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  この時点におきましては、残念ながら正確なより確度の高いデータ、実態を踏まえたデータを推測することが困難だった。したがいまして、あえて申し上げますと、仮置き的な一定の前提を置きまして、五%と考えればこういう数字であるとお示しをしたわけでございます。  ただ、ポイントとしまして、実質的にこういう問題があるということをお示しできたということと、それから量的に試算ということでお示ししたということがございまして、何か世の中には小さく見せてというお話がございますが、そういう考えはかえってデジタル化の推進にマイナスでございますので、当時の専門家の先生方も私どももそういう考え方は全く持っておりません。  今回、昨年の暮れに一応の試算ができたわけでございますが、これもあの時点での得られた情報からの試算でございまして、今後さらに実態データを踏まえて、より精度の高い、確度の高い、実態をより反映したデータを整備してまいりたいと存じております。
  123. 生方幸夫

    ○生方委員 一千万世帯というのは大変な世帯なんだと思うのですが、周波数の体系は非常に今いろいろと込み合っているということはよくわかるんですけれども、こんなに影響がないような周波数帯というのはあり得ないんですか。やはりもうここしかだめだということなんでしょうか。検討する余地があるんでしょうか。
  124. 品川萬里

    品川政府委員 この一千万という母数は放送区域内にある世帯数ということで、そういうベースで計算しますと六千万世帯の中の一千万、御案内のように実数の世帯数というのは四千五百万でございますから、実数世帯ベースでいくと七百五十万世帯になろうかと思いますけれども、今この現実データにつきましてはNHKさん、民放さんが最も生の数字をお持ちでございますので、民放さん、NHKさんからこうしたデータをいただきながら、より確度の高い、精度の高い試算をしているところでございます。  いずれにしましても、周波数変更というのは、先ほど申し上げましたようにデジタル放送を確保しながら、かつアナログ放送での視聴者を減らさないようにして、そしてできるだけ短期間にデジタル放送が導入できるようにという大変欲張った課題を抱えながらの課題でございますので、そのためにいろいろなお知恵をいただきながら、トータルのコストをできるだけ小さくして、かつ、そうした意義も踏まえて、どのようにコストを分担、財源調達していただくのがよろしいか、今後、来年の予算要求に向けて真剣に考えてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  125. 生方幸夫

    ○生方委員 せっかくのデジタル化でございますので、視聴者にもメリットがあるように御努力をいただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  126. 中沢健次

    中沢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  127. 中沢健次

    中沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。倉成正和君。
  128. 倉成正和

    ○倉成委員 自由民主党の倉成正和です。  本日は、デジタル時代におけるメディアの融合と法規制のあり方について質疑を行いたいと思います。  私は、本逓信委員会において、これまで本年二月十日、三月十五日の二回にわたり、テレビ放送デジタル化による地上デジタル放送及びBSデジタル放送の早期普及が、低迷を続ける景気回復の起爆剤となる、いわば景気回復のバイアグラであるとの観点からの質疑を行ってまいりました。きょうは、ちょっと観点を変えて御質問をしたいと思っております。  いよいよ、来年、平成十二年、西暦二〇〇〇年は、十二月からはBSデジタル放送が始まり、また地上デジタル放送の試験放送の開始も予定されていると聞いております。まさにデジタル放送の元年とも言える年ではないかと思っております。CSの方は既に始まっておりますけれども、本当に広くあまねく一般的に普及が進むということで考えますと、このBSデジタル放送、地上デジタル放送がいよいよ始まっていく年になるのではないかと思っております。  さて、米国のマサチューセッツ工科大学の、亡くなりましたけれども、故イシール・デ・ソラ・プールという教授が本を出しておりまして、その著書でございますけれども、一九八三年に出版された「自由のためのテクノロジー」、翻訳本も東大出版会の方から出ております。  その中で指摘がされておりますのは、メディアにおけるモードの融合、すなわち電子化、デジタル化時代においてメディア融合がいよいよ進んでいくということが考えられるわけでございます。  プール教授はこの本の中で、かいつまんで申し上げますと、メディア三つのモデルに分類しております。第一のモデルは出版モデルであります。出版モデルというのは、これは一番最初からあった、最初からというか一番基本的なモデルでありまして、米国の場合は憲法の修正第一条の規定もございますので、基本的に規制は受けないというモデルであります。  それから、二番目のモデルは通信モデルであります。これはコモンキャリアとしての規制を受けます。具体的に言いますと、コモンキャリアというのは、差別なく平等な条件ですべての者にサービスを提供する義務があるというモデルであります。  それから最後に、放送のモデルがございます。この放送分野では、特に電波の希少性だとかあるいは公共性の観点から、それまでの第一のモデル、第二のモデルとは違ったタイプのさまざまな規制が放送に関しては適用されてきた、こういう経緯があるのではないかと思います。  この三つのモデルを掲げておるわけでございますけれども、これはアメリカの場合と日本の場合は多少違うとは思いますけれども、基本的には日本でもそのまま当てはめることができるモデルではないかと思っております。  その本の中で、このモードの融合、すなわち、出版のモデルあるいは通信のモデル、放送のモデルというのは、それぞれがいろいろなメディアが出てくることによって融合をしてきたという歴史。それによってアメリカの場合、憲法修正第一条の表現の自由あるいは出版の自由というのが危機に瀕してきたという観点でこの本は書かれているわけでございますけれども、そういう点で、デジタル化時代がいよいよ進みまして、これは一九八三年に出版された本でありますけれども、このデジタル化時代、メディアの融合というのがいよいよ進んできたというふうに考えられるわけでございます。  そうなりますと、今まで全然別々に進んできた法制度、繰り返しになりますけれども、まず第一に、出版のモデルというのは基本的に言論の自由、出版の自由ということで規制を受けないもの。それから二番目に、通信のモデルというので、差別なく平等な条件でサービスを提供する義務を持つコモンキャリアとしてのモデル。それから最後に、電波の希少性とか公共性によりまして放送法という規制を受けるもの。三つあるということでございます。  私は、デジタル放送の大きな特徴データ放送にあるのではないかと考えます。このデータ放送発展によりまして、出版、通信放送、今申し上げました三つのモデル、モードのメディア融合というのがいよいよ進むのではないかという感じを持っております。そして、進んだ場合にどうなっていくのか、これからどうやっていったらいいのかということについて、そういう問題意識、今申し上げたような観点での質問を幾つかさせていただきたいと思っております。  まず一番目でございますけれどもデータ放送においてどのようなサービスをこれから想定されているのか。今までも文字放送その他で電波のすき間を利用したサービスというのはあったわけですけれども、これは本格的なサービスが期待されるわけでございますけれども、それにつきまして、まず郵政省からお尋ねをしたいと思います。  続きましてNHKにも、せっかくお越しでございますので、御見解を賜りたいと思います。
  129. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  今データ放送という形でイメージされておりますのは、二通りにこの概念は整理できようかと思いますけれども一つは、番組として、テレビジョン放送と今回の放送法定義にございますように、一つの映像番組とは相伴わない形で、あわせて送られる形でのデータ放送という見方というのが一つできようか。  もう一つは、中身に注目いたしまして、デジタル符号によって送られる動画像、静止画像音声、データ、これも一つの、1、0の信号で送られるもの、これを一まとめにしてデータ放送という場合もあろうかと思います。  ただ、これが視聴者に見える場合には、例えば字幕放送あるいは解説放送、それから映像に関連して、あるいはそれに伴いまして送られる独立した映像、音声とかこういったもの、それから、インターネットと並列的にあるいは直列的に結合いたしまして提供されるサービス、あるいは情報に特化した情報サービス、こんなところがデータ放送のフォーマットと申しましょうか、情報の形としては想定されるのではないかというふうに考えております。
  130. 倉成正和

    ○倉成委員 続きまして、NHKの方からお答えをいただきたいと思います。
  131. 山田勝美

    山田参考人 データ放送についてですが、NHKとしましては、データ放送というのが、デジタルハイビジョン放送とこれを組み合わせて実施することがデジタル放送の普及発展の上で非常に大きな、重要なかぎになると考えております。  NHKデータ放送はあくまでNHK放送番組として行うものでありまして、テレビ放送やラジオ放送と同様に、豊かでかつよい放送番組を放送するという公共放送の基本的な使命に沿って実施することになると思います。具体的な編成内容につきましては現在検討中でありますけれども、生活をより便利で豊かにするサービスというのを基本にしまして、視聴者がいつでも必要な情報を知ることができるようなサービスを実施したいと考えております。  具体的なサービスイメージといたしましては、気象情報、あるいはコンパクトな文字中心のニュース、非常災害時や事件、事故の際の安否情報、それからライフライン情報。ライフラインと申しますのは、電気、ガス、水道、電話、交通機関がどういう状況になっているかというような情報です。さらに医療、介護、ボランティアなど高齢者や障害者の方の役に立つ情報などの提供、それから視聴者からの問い合わせに答えるサービス放送番組に関連する補完的な情報サービス、さらにテレビ画面で見られますEPG、電子番組ガイド、こういったものをサービスしていこうということを考えております。  視聴者の皆さんからの御意見、御要望などをこれからどんどん聞きまして、これを踏まえつつ、データ放送による新しい番組開発に積極的に取り組んでいこうというふうに思っております。
  132. 倉成正和

    ○倉成委員 今、いろいろデータ放送についてお答えいただいたわけですけれども、例えば、天気予報とか気象情報あるいは番組の紹介その他、当たりさわりがないといいますか、割と中立的なものというのは、もちろんわかるわけです。ここで問題にしたいと思うのは、例えばニュースの問題。ニュースになると、そこにいろいろな意見だとか何かが入ってくるわけでございますけれども、そういう観点で、データ放送の取り扱いについてお尋ねしたいと存じます。  現在、放送については、電波の希少性及び公共性の観点から、さまざまな規制があるわけでございます。そうなりますと、データ放送というのは放送法の規制を受ける対象でしょうか。放送法の規制を受ける対象であるとすれば、その根拠は何になるのでしょうか。  憲法二十一条では、言論、出版その他表現の自由は、これを保障するとされておりまして、この観点から、基本的に規制を受けない対象である出版モデル、先ほど例を挙げて申し上げましたけれども、新聞その他はそういう部類に属するわけでございますけれども、それと全く同じ情報データ放送で提供した場合に放送法の規制の対象になるのでしょうか、いかがでしょうか。郵政省の方からお答えいただきたいと思います。
  133. 品川萬里

    品川政府委員 立法論としてはいろいろ御議論があろうかと存じますが、先生のお尋ねは現行法で解釈上どうかということでございますので、どのような形の情報であれ、放送事業者放送番組として送る以上、これは放送法の規律のもとに置かれるというふうに解釈できようかと存じます。
  134. 倉成正和

    ○倉成委員 そうなりますと、ここら辺は非常に微妙な話でございますけれども、ある新聞とか雑誌で提供している情報と全く同じものをデータ放送で送った場合には放送法上の規制の対象となって、そこでチェックが入ってくるということも当然考えられるとお考えでしょうか。郵政省から。
  135. 品川萬里

    品川政府委員 放送事業者放送番組として送られる以上、これは放送法による諸規定に従って放送されることが法的に要請されるというふうに解釈しております。
  136. 倉成正和

    ○倉成委員 今のお答えが大体私なりに想定したお答えなんですけれども、これからデータ放送というのが普及をしてきて、かなり雑誌の配信とか新聞の配信のようなサービスに使われる場合、その辺のところが果たして今の解釈のままでいいのかどうか、これからまさに検討が必要なのではないかなと私なりに考えております。  そういう観点で、これからでございますけれどもデータ放送というのが、単に本当に当たりさわりがないニュース、ニュースといいますか、事実関係だけを伝えていくようなものである範囲から、さらには、例えば雑誌の一冊丸々をデータ放送の形で配信するとかということになってくると、その辺の解釈の仕方その他が少し変わってくる、あるいは対応を少し考えていかなければいけないのじゃないか。私なりに、今ここで結論が出るような話じゃなくて、むしろこれからの検討課題として、その辺のところも考えていく必要があるのじゃないかなと考えております。  次の質問に移らせていただきたいと思います。  次は、同じような観点から、インターネットに関連して御質問させていただきたいと思います。  現在、米国に続いて日本でも普及が進んでおりますインターネットについては、先ほど申し上げましたような観点でいいますと、まさに出版と通信放送三つのモデルが融合したメディアであるということが言えるのではないかと思います。  このインターネットというのは、そういう観点でいくと、先ほど三つに分類をした出版モデル、通信モデル、コモンキャリアとしての通信、それから放送モデル、このどの分野の規制を受けるべきであるか、あるいはまた受けるべきでないのかについて、郵政省お答えをいただきたいと思います。
  137. 金澤薫

    ○金澤政府委員 ソラ・プールの「自由のためのテクノロジー」の記述の中でインターネットという言葉はあらわれていないのですが、最近の科学技術の進歩の結果、そのような新しい手段が発生してきたということでございます。  出版、通信放送というのは、それぞれ歴史的な特性を持っております。それぞれが社会的に一定の役割を果たしているというふうに考えております。例えば、放送につきましては、周波数の有限希少性ということを前提にいたしまして、送信コストはほとんどゼロに近い状況にございますし、全国あまねく普及しております。また、操作は非常に容易である。そういうふうな、それぞれがそれぞれの特性を有しているということでございます。  インターネットは、インターネットプロトコルという全く新しい通信方法を使った通信形態でございまして、そういう意味で、出版や放送、電話に代表される従来の通信とはその特性が異なるということで、インターネットという新しい通信形態として私どもはとらえているわけでございまして、三つのモデルが融合したものではないというふうに考えているところでございます。  インターネットにつきましては、通信の新しい形態でございますので、通信の秘密の保護規定など、従来の通信としての制度が適用されているところでございますけれども、内容の秘密性がないホームページ等、新しい利用形態が発生してきております。  これにつきましては、プライバシー侵害とか名誉毀損とかわいせつ情報等の流通が問題となっているわけでございます。これはいわゆる公然性を有する通信ということでございまして、この公然性を有する通信につきましては、表現の自由に配慮しつつ、先ほど申し上げましたようなわいせつ情報、プライバシー侵害、名誉毀損等、さまざまな問題が発生してきておりますので、そのあり方について対応していく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
  138. 倉成正和

    ○倉成委員 きょうは、どちらかというとデータ放送中心にお尋ねをしたいと思うので、インターネットに関しては余り深入りをしないつもりでございますけれどもインターネットも、ホームページその他で提供されるものでいきますと、実際には放送に近いような状態になっているということがあるかと思います。  それで、その放送に近いようなものについて、基本的には、今の局長お答えでは、三つのモデルが融合したものでなくて全く別のものだとおっしゃったのですけれども、これは解釈の違いかもしれませんけれども、それでは、これからのインターネットで提供される情報についてどういう規制をやっていくおつもりなのか、そういう考えがおありなのか。その辺について、手短にお答えいただきたいと思います。
  139. 金澤薫

    ○金澤政府委員 まず、公然性を有する通信についての郵政省考え方でございますけれども、この分野についても当然、自主規制という範疇で私どもはとらえておりまして、例えば、テレコムサービス協会という社団法人がございますが、ここではガイドラインを定めまして、違法有害情報についての基本的な考え方を電気通信事業者に対する指導方針として配付しているところでございます。  そういうふうな自主規制以外にも、現行法規、例えば刑法とか有害薬物取締法とかさまざまな法律がございますけれども、そういう法律に基づいた現行法の適用ということは当然行われているわけでございます。  さらに、技術開発の問題といたしまして、例えば有害情報の格付とか選別技術、このような研究開発もやっておりまして、有害情報をできるだけ排除する技術的な対応というものも行っているところでございます。
  140. 倉成正和

    ○倉成委員 今インターネットにつきましては、出版と全く同じものが提供された場合どういう規制をしていくべきかというのは非常に重要な問題でありまして、それを自主規制その他でやっていくのも一つ方法でありますけれども、これを本当にいろいろ規制をかけていくということになると、表現の自由との問題、憲法二十一条との問題が出てくると思います。この辺は慎重に検討していく必要があると思います。  そこで、さらに、先ほどのデータ放送に戻りましてお尋ねをしたいと思いますけれども、私は、BSデジタル放送とか地上デジタル放送の普及によってデータ放送が普及しますと、今の電話回線で使っているインターネットの数百倍の情報提供が可能になる。これは、計算の仕方あるいはどの程度の帯域を使うかによって出てくるわけです。あるいは圧縮の技術がこれからどのくらい進むかによってまた出てくるわけでございます。  またその際に、インターネットにおいて提供した情報と全く同じ情報データ放送で提供した場合に放送法の規制を受けるべきであるかどうか、この点について御見解を郵政省からお聞きしたいと思います。あわせまして、後でNHKからも同じお答えをいただければと思います。
  141. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  通信法制の規制を受けるべきか、あるいは放送法の適用を受けるべきかというのは、これは送り手と受け手との間の関係の形態に伴って基本的には位置づけられているのではなかろうかと思います。そういう意味で見ますと、先ほど御答弁申し上げましたように、放送事業者放送番組として送っているものである限りにおいて、やはりこれは放送法の適用下にあるのではなかろうかというふうに存じます。  基本的に、似たような形で、同じ情報がいろいろな形で送られますけれども、これをどのような法のもとに行われるかというのは、送り手と受け手それぞれどのような保護法益を担保したらよろしいのかという考え方のもとに、どのような法制度を適用していったらいいのかというのがやはりこの制度を考える上で大変大事なところではなかろうかと存じます。ですから、インターネットで送られる情報でも今放送法で言いますところの放送の形態である以上は、視聴者のためあるいは送り手のために放送法で保護しているそれぞれの保護法益を達成するためには放送法の適用下に置かれるというのがやはり適当ではないかと考えております。
  142. 山田勝美

    山田参考人 今回の改正案が成立しますと、NHKテレビジョン放送の一部としてデータ放送を実施することになりますので、NHKが行うデータ放送につきましては、テレビジョン放送に関する諸規定、すなわち、政治的公平や、報道は事実を曲げないで行うことなどを定めました放送法第三条の二にあります番組編集準則などにのっとってNHKにふさわしい放送を行っていくことになるものと考えております。したがいまして、NHKデータ放送を行う場合には、その内容がインターネットで提供した情報であるかどうかにかかわらず、NHK放送にふさわしい放送をしていく考えであります。
  143. 倉成正和

    ○倉成委員 大体、最初に、質問をする前にこういうお答えが返ってくるだろうなというとおりのお答えをいただきまして、ちょっと残念な気もしますし、やはりそうかなという気もします。  ちょっと時間がございませんけれども、実は今これから問題にしたいのは、これからのインターネットの普及あるいはデータ放送の普及によって、今まで雑誌の形で提供されていたものが、例えばデータ放送の形で提供されて購読が可能になったり、あるいは新聞の形が丸々データ放送の形で配信される、そういう事態、あるいは音楽番組なんかもそういうことが今盛んに話題になっておりますけれども、そういった場合に、出版の形であるいは新聞、雑誌の形で提供されている場合は全く規制を受けないのに、データ放送という形をとったがゆえに規制を受けてしまうということになると、だんだんこれから新聞とか雑誌がそういう方向に、これは行くかどうかまだわかりませんけれども、そういう方向に行った場合、そういったものの表現の自由、出版の自由というものについての非常な侵害になってしまう可能性が私はあると思います。そういう意味で、この問題はこれから非常に検討を要する課題ではないかということで、きょうはあえて少し問題提起の質問をさせていただいた次第であります。  これは、これから融合がどんどん進んでいけばいくほどそういう懸念がこれからますます出てくるということで、先ほど一番冒頭に申し上げました、もう今から十六年前になりますけれども、一九八三年に出された本で指摘されていた問題点というのがまさに現実のものになってきている状況ではないかと思います。  時間が最後になりましたので、ちょっと今までの観点の質問と若干違いますが、米国におけるデジタル放送の普及状況についてお尋ねしたいと思っております。  米国においては、FCC、米国連邦通信委員会のスケジュールが発表されておりましたけれども、これでは、二〇〇二年の五月にはすべての商業局が、また二〇〇三年五月にはすべての非商業局がデジタル放送を開始して、二〇〇六年にはアナログ周波数の返還を行いすべての地上波デジタル化を完了するというスケジュールが発表されております。  しかし、実際には、昨年の十一月から開始はされたものの、諸般の事情で、実際にデジタル化が完了する、いわゆるサイマル放送が終わってデジタル化が完了するのはもう二〇〇六年からさらに十年、十五年先ではないかという見解もございます。  この辺で、そういう見解も出ているわけでございますけれども、普及がなかなか進まないとすればその主たる阻害要因というのは何であろうか、そしてそれは米国の場合はこうであって、日本の場合の普及を考えるときその違いは何でしょうかということをちょっとこれから検討する必要があると思っております。それについて郵政省の御見解をお尋ねいたします。
  144. 佐藤剛男

    佐藤(剛)政府委員 お答えさせていただきます。  倉成先生のような、すばらしいキャリア、華麗なるキャリアをお持ちで、MITを修学せられました先生からの御質問に対して答弁する機会を得ますのは、まことに光栄の至りと存じます。  今、アメリカにおける進まない状況というお話を指摘されたわけでありますが、実態を見ますと、今現在六十局で、全米の世帯の四〇%、カバーエリアがなっているわけでございます。受信機の面からこれの動向を調べてみるといいと思いますが、去年は一万三千台受信機が売れた。これはアメリカの家電製品製造者協会の発表であります。それから、ことし中には約十五万台が販売されるという予定であります。それからまた、同じ家電製品製造者協会の予測によりますと、二〇〇三年までに一千万台のデジタル受信機が販売されるというような見通しを持っておりまして、さらに二〇〇三年から二〇〇六年だと、またその一千万台がオンするというような見通しであります。この数字は、昨年の実績一万三千台、それからことし中の十五万台、これからずっと上がっていくと思われますが、こういう立ち上がりの状況だろうと私は思います。  これを見て将来どういうふうにいくのか。私は、ちょうど白黒テレビとカラーテレビがいったような形で、ある時期までの普及率には相当時間がかかりますけれども、急激にいったり、いろいろな形をとると思いますので、そういう意味において、これをもって少ないという形で判断をするのは若干、いささかプリマチュアといいますか時期尚早ではないかという感じを持っておりまして、その意味では今後大きく普及していくのじゃないか、こういう立場をとらせていただきます。
  145. 倉成正和

    ○倉成委員 本当に御丁重なお答え、ありがとうございました。  もう時間が参りましたので質問を終わりたいと思いますけれども、私なりに考えておりますのは、米国ではCATVの普及というのが逆にかなり大きな阻害原因になってくるのじゃないかなという気がしております。CATVがあるがために、幾ら地上デジタルの局ができてもデジタル化が進まないのじゃないかなと思っております。その一方では、逆に日本ではそういう制約がないので、これはやり方によっては一気に進めることができるのではないかな、そういう思いでございます。  質問時間が終了いたしましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  146. 中沢健次

    中沢委員長 福留泰蔵君。
  147. 福留泰蔵

    ○福留委員 公明党・改革クラブの福留泰蔵でございます。  私は、本委員会におきまして、地上デジタル放送の導入に関する問題と、時間がありましたらNHKの国際放送についてお尋ねしたいと思っております。もう今まで地上デジタル放送については各種の議論が十分なされているところでございますので、できるだけ重複は避けたいと思うわけでございますけれども、せっかくの機会でございますので、重複もお許しいただきたいと思います。  申し上げるまでもなく、情報通信分野におきますデジタル技術の急速な進展によりまして、放送がより新たな情報通信メディアとして高度化し、発展することが近年期待されるようになっているわけでございます。  平成六年にアメリカにおきまして衛星デジタル放送が開始され、デジタル放送の導入は国際的な課題として現在各国で取り組まれている状況でございます。昨年九月にイギリスが世界で初めて地上デジタル放送を開始したのに引き続いて、十一月にはアメリカにおいても地上デジタル放送が始まったということでございます。  我が国におきましても、通信衛星を利用しました衛星放送は平成七年からデジタル放送が始まり、放送衛星を利用した衛星放送は、二〇〇〇年秋に打ち上げ予定のBS4後発機によりましてデジタル放送が始まる予定になっているわけでございます。また、ケーブルテレビにおきましても、昨年七月からデジタル放送サービスが始まっている。  このように、ほかの放送メディアデジタル化が進む中で、私ども国民にとりまして最も身近なメディアでございます地上放送デジタル化というのが残された課題となっていた。こういう状況の中で、今回の法案審議というものは、地上デジタル放送をできるようにするために放送法改正するということ、その早期普及を図るために、高度テレビジョン放送施設の整備を促進するために、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案審議をしているということでございます。  そこで、これはこれまでもいろいろ御質問があった点でございますが、同じような質問になって恐縮でございます。できればちょっと違う角度でお答えいただければと思うのですが、この放送メディアというものが、ケーブルテレビ、有線を使った放送、それから地上波を使った地上放送衛星を使った衛星放送三つメディアがあるわけですが、このそれぞれの将来性というのか、これから十年後、二十年後、今のケーブルテレビもまた変わっていくでしょうし、地上放送の私たちの社会における役割も変わってくるかもしれない、衛星放送もこれから変わってくるかもしれない。  そういうふうなこの三つ放送メディア役割、また国民の多様なニーズというものもどこへ収れんしていくかわかりませんけれども、そういった点の予測と、それに対して郵政省として、これは先ほど来いろいろ答弁があるのですけれども、どのようにしたいと思っているのか、これからの放送三つメディアの動向について、郵政省はそれにどういうかかわりを持っていこうとしているのか、これは大臣から答弁をいただければと思います。
  148. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 これからの放送メディアの行方の予測でございますけれども、まず最初に、これは繰り返しになりますけれども放送というのが私たちにとって一番身近な情報を手に入れる手段である、それは変わらないわけでございまして、技術革新の結果、衛星またはケーブルまたは地上波というふうにさまざまに情報を入手する手だてが今日あるわけでございます。  さらに、今度はデジタル化ということで、それプラスいろいろな付加価値、例えば双方向性とか高画質とか、さまざまなものが加わってくるわけで、それによっても相も変わらず、放送というのは私たち国民生活にとって情報収集の基幹的なメディアであることには変わりありませんし、また特に、今回御審議いただいている地上波というのはその中核を担うものだと思っているわけでございます。  それで、それぞれの役割というようなことになるわけですけれども、何度も繰り返して恐縮ですけれども、今現在私たちが知っている範囲ではそういうような特徴がある。さらに、これからの放送事業者の知恵や工夫によってさまざまな、今までの視聴者ニーズにこたえられるようなコンテンツなり、そういう手段が講じていただけるのだろう。そういうことを切に、自主性というか、放送事業者の今までのノウハウと実績を生かしていただいて、成長盛りにあるこの放送メディアをどんどん伸ばしていただきたい。  では、私たちは何をするかというと、それぞれその特徴が出てくる中で、それぞれに応じた支援というか応援の必要性が出てくると思いますので、それに対して適時適切に対応していきたいと考えております。
  149. 福留泰蔵

    ○福留委員 地上デジタル放送の導入につきましては、平成七年五月の電気通信審議会の答申におきましては、二〇〇〇年から二〇〇五年の間を目標としていたと伺っております。その後、平成八年の三月に郵政省が、地上デジタル放送を二〇〇〇年以前に開始できることを目標とする旨発表された。昨年の十月には、郵政省放送行政局長の研究会の地上デジタル放送懇談会が報告書を提出した。それによりますと、関東広域圏には二〇〇〇年試験放送開始、二〇〇三年末までに本放送開始、近畿、中京広域圏については二〇〇三年末までに本放送開始、その他の地域においては二〇〇六年末までに本放送を開始することとし、一定の条件のもとで、二〇一〇年を一応の目安として地上のアナログ放送を廃止する、こういうスケジュールが報告をされたわけでございます。  当初の計画からすると、二〇〇〇年から二〇〇五年をめどにというふうに言っていたのがかなり前倒しになってきている。これはさまざまな社会的状況、それから技術革新の状況、諸外国の状況これあり、前倒しでやろうというふうなことだろうと思いますけれども、いろいろ審議を聞いていますと、放送デジタル化というものは今大きな世界の流れである、放送事業者の方もそう思っていらっしゃる。視聴者はまだそのデジタル化のメリットというのはよくわかっていない状況があると思いますけれども、いずれにしても、デジタル化というのは、これはこれから我々がたどる道である。そのスケジュールについては、コストの面から、大変短期間にそれだけの投資をするのは困難ではないかというふうな御意見も先ほどからあります。そしてまた、さらに視聴者負担考えてみますと、これまた短期間でやるということになりますと、視聴者負担もそれまた大きくなるということが考えられるわけですね。  ですから、私は、先ほどの懇談会のスケジュールというのは、これは、研究会のある一つの目安として発表したものにすぎないといえばそれまででありますけれども、それに沿った形でこの地上デジタル放送を導入するとしたら、ある意味でいえば、放送事業者負担視聴者負担という観点から見たら、ちょっと性急過ぎるんじゃないかというふうな意見がないことはないと思うのです。それを説得するためには、なぜ急がなくてはいけないのかという説得力のある答えが要るのだろうと思います。ですから、地上デジタル放送をこのスケジュールでやるべしというその理由、喫緊性の理由というものをお答えいただきたいと思います。
  150. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 確かに、先生指摘のとおり、情報通信というのは、非常な勢いで、早さで技術革新が行われておるところでございます。放送メディアだけではなく、例えば、先ほども別の委員からの御質問にありました光ファイバーも前倒しでありますし、学校インターネット接続も文部省の方で前倒しをするということで、情報通信を取り巻くそういうさまざまな環境というのは、極めて予定していたよりも早目早目に取り組んでいくという状況に今あるわけでございます。それは別に慌てているわけではなくて、むしろ想像していたより機が熟するのが早いし、世界の潮流、動きが早いということと、デジタル技術が実質的なものになる見合いが非常に早かった、そういうような形の中で、今日のこういう日程、懇談会が出していただいたスケジュールができ上がってきたのだと思います。  まさに、国際的にも、そして国内においても、先生指摘のとおりの動きがある中で、やはり、既に地上波放送を取り巻く、例えば、CSにせよケーブルにせよ、また、先ほど品川局長から言いましたように、携帯電話ですら二〇〇〇年にはテレビのような機能を持ち、そういうことが可能になってくる、そういう中で、やはり中核的な存在である地上波が取り残されてはいけない、最終的にはそれは視聴者にとって不利益になるということがございまして、積極的に推進をしていきたい。  ただ、二〇一〇年の目標に当たりましても、やはりさまざまな投資に伴う負担放送事業者に関しましても、先ほど酒井さんの方から、大変厳しいけれども放送文化の担い手として頑張っていただくというふうな御発言もございましたように、そういう事業者が前向きに努力していく中で、それに見合う御支援をやはりしていかなければならないと思いますし、私たち視聴者に対しては、やはりメーカーの人たちが、その技術を存分に使っていただき、低廉な受信機を、またアダプターをつくっていただくように、これからも働きかけていかなければならないと思っています。  いずれにしましても、デジタル放送によってメリットがあるんだ、皆さんにとって喜ばしいことなんだということを、やはりこういうかかわりのある皆様方と協力して、国民の皆様方に理解していただけるような努力を積み重ねていきたいというところでございます。
  151. 福留泰蔵

    ○福留委員 やはりこの地上デジタル放送というのは、基本的にはできるだけ早くできた方がいい、ただ、導入に当たってはできるだけ負担を少なくしてほしい、こういう問題だろうと思うのですね。その中で、できるだけ早く、できるだけ負担の少ない方法をとりながらやるというのが、これは私は郵政省の役目の部分があるんだと思います。  そういう意味において、私も、先ほどのデジタル懇談会の目標というものが妥当であるかどうかは別にして、そのぐらいでできてほしいなと思う一人でございますが、本当に、ではそれで負担が少なくできるんだろうかという思いであります。一つの努力目標とか、これだけでできたらいいなという夢物語として考えるのであればいいのですが、それを前提に無理をしていろいろなところにひずみが来たら、かえってそれがマイナスに働くのではないかなと心配をしているわけでございます。  そこで、ちょっと具体的に、その導入のプロセスについての質問をさせていただきますけれども、その中で、午前中のNHK参考人の答弁にありましたとおり、この導入のプロセスに当たっては、技術方式の確定を行う問題が一つある。それから二つ目に、全国的な周波数使用計画の策定、三つ目に、デジタル放送にふさわしいサービスとそのための低廉な受信機、テレビの受像機をできるだけ安いものを供給できるようにする、これを開発していく、こういうような課題があるというふうに御説明があったわけでありますけれども、その中で、私が特にきょうお尋ねしておきたいのは、この全国的な周波数使用計画の策定、つまり、チャンネルプランの策定状況について伺いたいと思っております。  チャンネルプランにつきましては、平成十年十二月二十五日に郵政省から原案が発表されたと聞いております。その後意見の聴取中というふうに伺っておりますけれども、もう間もなくでしょうか、二次案を公表されて、本年七月か八月ごろに電波監理審議会に諮問される、そして、また意見を聴取した上で、九月から十月にもその電波監理審議会から答申がなされ、チャンネルプラン策定が完了する予定であるというふうに聞いております。  何を始めるにしても、恐らくチャンネルプランが決まらないことには先に進まない話だろうと私は理解しておるのですけれども、地上デジタル放送の、ある意味では先導国というか、先進国でありますアメリカにおいては、このチャンネルプランの策定に当たりまして、実は、デジタル放送区域の最大化とアナログ放送への妨害最小化のためのコンピュータープログラムを四年間かけて開発してきた。そのプログラムができた上で、数万通りのチャンネルプラン案を策定、評価し、そして最適化し、チャンネル割り当てに関する意見聴取を三回も実施している。そして、三年かけてチャンネルプランの最適化を行っている。つまり、プログラムの開発から始まって、七年越しでこのチャンネルプランの策定というものを完了しているというふうに私は聞いているわけでございます。  実は、日本とアメリカを比較してみますと、私も改めてびっくりしたのですけれども放送局数日本が一万五千でアメリカが約八千五百ということで日本が多いのですけれども、面積比を考慮しますと、チャンネル過密度でいうと、日本はアメリカの五十倍あるというのですね。だから、日本よりも五十分の一の過密度しかない、ある意味電波状態がすかすかの国でも七年かけてチャンネルプランの策定をした。それが、五十倍の過密度を持つ日本において、こんな短期間で本当に負担の少ない、また影響の少ないちゃんとしたチャンネルプランができるんだろうかという思いが実は私にはあるのですけれども、この今のチャンネルプランの策定状況と、そして、先ほど私が申し上げましたけれども、その予定どおりできる見通しがあるのか。それは最小の負担で済むというチャンネルプランが本当にそこでできるんですかということをお尋ねしたいと思います。
  152. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生に今後の見通しということで言及いただきましたけれども、私どももそのスケジュールに達成できるように今努力を重ねているところでございます。  昨年暮れに公表いたしました原案につきまして、今NHK初め民放の各社の皆様からいろいろ御意見を承っておるところでございまして、直ちに、では、これをチャンネルプランにどう生かそうかというふうにはなかなか反映しにくい一般論から大変具体的な御意見まで三百余件を全国からちょうだいいたしておりまして、これをいかに活用させていただくか、検討を進めているところでございます。  日米の御比較のお話がございましたが、いい悪い、どちらがいいという評価は控えたいと私どもは思いますけれども、やはりアメリカと日本では行政の政策決定プロセスも違いがございますし、それから放送会社は、日本は親局が百六十、百数社、アメリカの場合はその十倍近い放送会社があるわけでございますから、当然利害調整の時間もアメリカと日本では違うところがあるのかな。そういうところを捨象いたしまして、事務的に、物理的に、技術的に、実質的にチャンネルプランの作成に要する時間を比較しますと、そうべらぼうに日本が短い、あるいはアメリカがたくさんかかっているという感じでもない。総体的に妥当な感覚になっているのかなという感じがございます。  いずれにしましても、このチャンネルプランの作成に当たりましては、先ほどから御指導賜っておりますように、周波数調整があるわけでございます。この周波数調整というのはデジタル放送の波を生み出すために、またアナログ放送視聴者を減らさずに放送が続けられる、あるいはNHKも、受信者にちゃんと責務を果たしながらデジタル放送を導入するという大事な仕事でございますので、コストを最小限にできるようなチャンネルプランの作成に向けて、先生さっき御言及いただきましたようなスケジュールを念頭に置いて、鋭意努力してまいりたいと存じております。
  153. 福留泰蔵

    ○福留委員 これは御答弁いただかなくてもよろしいんですけれども、私がちょっと事前にお伺いして納得できなかったのは、日本においてはその最適化のためのプログラムをつくっていない、すべて机上でやっているという話でした。机上でやった方が、いろいろな要素があるので、人間が判断するので、その方がいいんだというふうな趣旨の回答をいただいたんですけれども、私は果たしてそうかなという思いがするんですね。  そこがまだ納得できていない部分がありまして、この問題というのはいろいろなところに本当に大きな影響が出てくるわけで、例えば、この移行期間におけるアナログアナログ変換をしなければならない世帯、先ほど一千万世帯というお話がありましたけれども、この問題についてもチャンネルプラン案によっては変わってくるわけですね。どこが変更しなくちゃいけないということも変わってくる。それぞれの要因というものを、今の御時世の中で、果たして人間の手作業だけで本当に最適な解が出るのだろうかという思いがあります。  今からつくれと言われても間に合わないでしょうけれども、どうもそこら辺が、今郵政省さんの方で、机の上で鉛筆なめなめつくっていらっしゃるチャンネルプランが、本当に最適の、本当に負担が少ないプランができるかどうかということを、若干の疑問を申し上げておきたいと思います。それは、もう事務当局は大変御苦労なさることだろうと思いますけれども、ぜひともそういう観点からこのチャンネルプランの策定に当たってはお願いしたいと思います。  きょうはNHKさんと民放さんが来ていらっしゃいますので、この第一次原案について、NHKとしてこれをどのように評価され、また問題点があれば問題点を御指摘いただきたいと思いますし、民放の方からも、このチャンネルプランの原案について、それからチャンネルプランのこれからの時期的な問題、先ほどの日程で本当にできると思っていらっしゃるかどうか、その辺について御答弁をお願いしたいと思います。
  154. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答えいたします。  先生指摘のとおり、昨年の十二月に郵政省の方から、大変な御努力の結果、チャンネルプランの原案というのが公表されました。この原案作成に当たりましては、私どももできる限りの御協力をさせていただいてできたものでございます。  この原案の骨子は、御案内のように親局と言われている県庁所在地の五十数局と、それから三十ワット以上の中継局、市町村レベルといいますか、そこまでの四百三十五局についてのチャンネルプランがこの時点で公表されたわけでございます。  その時点で、私どもといたしましては、主な三点について、意見といいますか御要望をさせていただきました。  一つは、公表されました四百三十五局以外もあまねく全国デジタル放送受信するという意味では、もっと中継局などのプランが必要でございます。そういう意味で、この四百三十五局以外のプランについての見通しのようなものをやはりお示しできないかということを一つお願いしました。  二点目は、先ほど先生がおっしゃいましたアナ・アナ変換で約一千万世帯がこの時点で影響が出るのではないかというお話がございまして、これについての具体的な対応策ということについて御検討いただけないかということを二点目にお願いしております。  三点目は、これもこの場でいろいろ御議論がございますが、衛星放送と地上のメリット・デメリットということでいいますと、地上はできるだけ地域に根差した放送という観点からいきますと、そのチャンネルプランが、きめ細かな地域サービスができるようなプランといいますか、そういうプランを確保できるようにお願いしたいという三点について御要望をさせていただいたところでございます。  また、チャンネルプランの今後の見通しにつきましては、先ほど品川放送行政局長がお話しいたしましたスケジュールがございますので、私どももできる限り郵政省さんの御希望に沿うように御支援をしていきたいということを申し上げておきたいと思います。
  155. 酒井昭

    酒井参考人 昨年の郵政省さんが発表されました地上デジタル放送チャンネルプランによりますと、デジタル放送チャンネルを確保するためには、現在使用している中継局の一部を一時的に周波数変更いたしまして、別のチャンネルで引き続きアナログ放送視聴できるような措置が必要になる。このチャンネル変更は、基本的には周波数が絶対的に不足しているためでございまして、移行先で同様な玉突き現象を生じさせるおそれもあり、このアナ・アナチャンネルへの変更作業は並大抵ではないということは午前中のこの委員会でも申し上げたとおりでございます。  この変更の場合、視聴者サイド、視聴者側もテレビ受像機やホームビデオのプリセットチャンネル変更、あるいは屋根の上の受信のアンテナの取りかえなどの対策が必要になります。最近のテレビはリモコンが使われておりますけれどもチャンネル変更のセッティングを高齢者みずから、お年寄りみずからが行うことは大変だというふうに私らは考えております。  民放連の現時点での検討では、この作業は全国の五百局以上の中継局チャンネル変更し、それによって影響を受ける世帯数は八百万から一千万世帯になる。その受信対策に要する経費は一千億以上とされております。これは私どもの事務局の中にあります計画委員会の方から全国三十二地区の民放の技術責任者あてにアンケートをした結果、こういう数字が出てきているわけでございますが、この経費はまさにサイマル放送を実施するのに一時的に不足するチャンネルを確保するための、ある意味では我が国の特殊事情から発生するものでございまして、こういった経費まで放送事業者負担することは実質的に企業の責任の範囲を超えているというふうに考えております。  ということで、郵政省さんに対しても私ども意見書は提出しております。  以上でございます。
  156. 福留泰蔵

    ○福留委員 済みません。ちょっと時間がなくなりまして、私の質問時間がないものですから、最後に一言申し上げたくて、御答弁を控えていただいて申しわけありません。  いろいろ申し上げたいことがあったんですけれども、そのチャンネルプランの話もありますけれども、先ほど来アメリカでの計画について、二〇〇六年でしたか、アメリカは実は全部アナログ放送を廃止するというのが、業界関係者、FCCですらも十年から十五年以上延びるだろうと言われているようでございます。  その一つが、実は、本年の五月からデジタル放送を開始しなければいけないところも、シカゴだとかニューヨークだとかボストンだとかいった大都市でタワー問題が出てきている。新たな鉄塔をつくる問題が出てきていて、これがなかなか建設が進まない。住民運動の反対に遭って進まないとか、あるいはニューヨークにおいては、貿易センタービルのタワーの設置の場所がない、もう送出装置を置く場所がないというような問題があったりして、ですから、恐らく、これから具体的にそういう問題を詰めていくと、現状の、例えばNHKさんならNHKさんが持っている鉄塔、送信所もかなりの部分を新たにつくらなくちゃいけない。今の設備が老朽化していて使えないということもあるでしょうし、今の設備にはそのスペースがないという問題がある。  そういうのを細かく詰めていったら、冒頭申し上げましたデジタル懇談会のスケジュールなんかは、非常に非現実的ではないかなというふうな部分もあるのじゃないかと思うのですね。先ほど来の答弁の中で、局長は非常に現実性のある、妥当性のあるスケジュールですというふうにお話しになりましたけれども、そういうことまで詰めていって、例えば新たに鉄塔をつくるとなったら、鉄塔用地を確保しなければならない、そこにはさまざまな地権者がいて、地権者に対する説得があって、環境問題をクリアして、建設作業が始まってと、そういうことを全国あまねくやっていくとしたら、これは二〇一〇年までが目安というふうにはおっしゃっていますけれども、本当にできるのだろうかという思いが実はしているわけでございます。  だから、そういう中にあって、できるだけ早くしなくちゃいけないということは確かですし、それに対する負担というのをどうするんだと先ほど来議論もありますけれども、時間が来ましたのでここら辺で質疑は終了しますが、私は、もう一つ、今既存の放送事業者さんが自動的にデジタル化チャンネルを割り当てられる、その申込期限があって、申請があればそれを受け付けるということになっていますけれども放送事業者によっては、投資にたえられないからという御意見があるわけですね、ゆっくりしてくれと。  ある意味で、ここの部分に、チャンネルの割り当てみたいなところへ競争入札みたいなものを導入して、投資してもいい、デジタル化については我が社はこういうふうな利益が出ると思うからこれだけの投資ができるというところにはある程度参入を許して、競争入札制度なんか導入して、既存の放送事業者には既得権という形でそれは確保したとしても、ある程度そういうことを導入して、やる気のあるところにどんどんやらせていくことによって、視聴者がこれは確かにすばらしいというふうにわかったら、ほかの放送事業者もどんどんそこへ追随していくような形になっていくのではないかなというふうな気持ちもあります。  ちょっと時間が来たので、意見だけ申し上げて終了させていただきますけれども、また次の機会質疑をさせていただきたいと思います。
  157. 中沢健次

    中沢委員長 西田猛君。
  158. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  きょうは、郵政大臣を初め郵政省の皆様方、それから日本放送協会、民放連の参考人の皆様、ほぼ一日の御審議まことにお疲れさまでございます。ありがとうございます。  それで、本格的なデジタル化時代を迎えるのでございますけれども、これはもうきょうの一日の審議にもありましたように、大変な技術革命でございまして、我が国は絶対的に乗りおくれてはならないことでありますし、むしろ世界的に牽引役となって、このデジタル技術をあまねく日本じゅうで利用していかなければならない、このように考えております。  考えてみれば、記録の世界ではもうデジタル化ということは進んできておったわけでありまして、思い起こせば、昔、大きなレコード盤を鳴らして音を聞いていました。溝を掘っていました。それが、もう小さなCD、コンパクトディスクになった。  こういうこと一つ考えてみても、デジタル、しかも放送分野におけるデジタルというものが、確かに費用もかかるし手間も大変、それから国民的なコンセンサスも得なければいけない、あらゆるところでいろいろな努力を払っていかなければなりませんけれども、これを打ち進めていかなければならないことである。これは国民の皆様によくよく理解していただく必要があって、推進していかなければならない。このように考えているものでございます。  そのような中で、電波という限られた資源を免許を受けて利用しておられる、それを業としておられる放送事業者の皆様方における努力は、今後、消費者あるいは国民の方の立場としても、非常な御努力を御期待申し上げたいところなのでございますが、まずもって、民間放送連盟の理事にお聞きしたいのです。  民間放送連盟でおつくりになりました、昨年三月の「「地上デジタル放送(テレビ)経営シミュレーション試算結果」について」という文書がございまして、これはいろいろな資料として公表されておりますが、その中で、結論としては、「予想される収入がほとんど伸びないなかで、デジタル化にともない番組制作費なども含めて九~二〇%以上も経費が増加するため、地上テレビの利益率は急速かつ大幅に低下する、」という大変厳しい見方をしておられます。  このシミュレーションができるに至った経緯と、それから、特にこの中で前提となりました民間における放送事業者の方たちの収入構造について、できるだけ詳しくお聞かせ願えればと思っております。
  159. 酒井昭

    酒井参考人 シミュレーションは、私どもの研究所の方でやった結果でございますが、毎年、その地域、都道府県における広告投下量、それからGDPと広告費の伸びが、大体一%ということで、パラレルといいますか、平行しております。その傾向値を出しながら、なおかつ設備投資に六千億円投資しなきゃいかぬということ、すべてを網羅しながらこれは試算したわけでございます。  全国一都一道二府四十三県ですか、そこで毎年投下される広告量というのは、これはその地域の民力度によってかなり違っております。現在の広告費でも、東京、大阪、名古屋がほとんど過半数のパーセントを占める、あとの部分を都道府県に配分といいますか、そんな形で投下されている。そういう実態をもとにして試算した結果が、先日のシミュレーションということになりました。  これから地上デジタル放送に向けて、特質としては高画質なサービスができるということでございますけれども、高画質のサービスができるからといって広告費がスライドして伸びるということは、全く期待することはできません。また、最近は、スポンサーが投下コストとその効果を非常にシビアに見ておりますので、デジタル放送を開始した当初は、まずその受像機自体の普及台数もわずかでありますし、CM収入はほとんど期待できない。  こういう中で、先ほど若干申し上げましたけれども、一社平均四十五億円の設備投資を行いデジタル放送サービスを実施するわけですから、シミュレーションの結果としては非常に厳しくなってきているというのが実態でございます。  これは、私は計量的な経済学はよくわかりませんけれども、私どもの方の主任研究員が中心となって、正確を期するためにいろいろなデータを駆使しながら発表した数字でございます。  以上でございます。
  160. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今、専務理事の方からお話をいただきました。  その中で、やはり民間放送事業者の方の収入の大宗を占めるのは、これは広告収入でございまして、そのところに思いが至るときには、これはもう既にるる問題になったことでございますが、ひとつ民放連の皆様方には注意喚起プラスお願いをしておかなければいけないなと思いますのは、やはり先般の静岡での広告の放送飛ばしというふうな事件がございました。これについては特にこの委員会でも取り上げられ、時間をかけて審議をしたところでもございますが、例えば自由党の中でも、この問題をそのままうやむやにしておいていいのかというふうなことをおっしゃる議員の方もまだいらっしゃいます。それからまた、その事件を起こした放送事業者の方が次の事業免許の更新になったときにはこれをどう考えるのかというふうな御意見もございまして、このことはやはり、我々は国会の場においても真剣に問題を追及し続けて考えていかなければならないというふうに考えております。  したがいまして、そういう民間放送事業者の皆様方の収入の大宗となる、大切なと申しますか、広告主の方の広告、これらを十全に放送していくということについて、民放連として、まずその事件を起こした特定のテレビ局に対してとった措置、それから他の放送事業者の皆様方に対してとられた措置などについてお聞かせ願えるでしょうか。
  161. 酒井昭

    酒井参考人 お答え申し上げます。  静岡第一テレビの不正行為が発生したということで、これは民放の社会的な信頼を失墜させる行為でございます。私どもとしては極めて残念としか言いようがございませんが、この事態が発生した段階で即座に私どもの組織である緊急対策委員会というのを開きまして、これは二年前に発生いたしました福岡放送、北陸放送に続いての不祥事でございますので、前二社に対しましては連盟の会員活動の停止ということを行いましたが、今回は、そのときにアンケートを行いまして不正行為はないかどうか確認しましたところ、そういう事態はないという回答をいただいておりますので、連盟に対して不誠実な報告をしたということが一点と、それからもう一つは、会員社二度目の発生ということもありまして、即除名ということで理事会、総会の決議を得てそういう結果になったわけでございますが、これは民放連始まって以来の不祥事といいますか、除名という行為は初めてのことでございます。  そこで、私どもとしては、全会員社に対しまして、再度社内体制の総点検とコマーシャルの放送確認書発行システム、その確立を初めといたします具体的な対策を確実に実行するように要請してございます。特に、今回そのアンケート結果につきましては、今情報公開の時期ですから、こういう形でもってCM確認をやっていますよということを広告主協会、広告業協会に対しまして回答してございます。そして、民放の個別企業に対しまして、スポンサーサイドあるいは代理店サイドから開示の要請があった場合にはできるだけ協力するようにというふうなこちらからの通知も出してございます。  そこで、正式な回答は、両協会、主協、業協に対しましては四月三十日、あさって、こちらの方から、二度と不祥事が起きないようにということで、私ども、陳謝といいますか釈明するためにその文書をもって回答するということでございます。  以上でございます。
  162. 西田猛

    ○西田(猛)委員 あさって三十日にそういう文書をお出しになるということでございますので、私どももそれも見させていただきまして今後とも対処させていただきたいというふうに考えております。  そこで、続けて民放連の専務にはお聞きをしたいのですけれども、民放連の方でおつくりになりましたそのシミュレーションの結果のさらに結論の一番最後の部分では、結局、「デジタル化投資の投資収益率をプラスにすることは、」中略いたしますけれども、「実現可能性がかなり低いと考えられる。」という非常に悲観的な見方をしておられるのでございます。  他方、電気通信業界をずっとウオッチしているあるアナリストによればこういう見方もあるわけです。日本放送協会も民放も実質は今までのところ無借金経営であって、収益力も全産業でもトップクラスだ、したがって、総額一兆円というデジタル化のための設備投資に対しても、地上波デジタル事業を黒字化させることは各局の経営戦略次第で十分に可能だという分析をしているアナリストもいらっしゃるわけでございます。  そこで、民間事業である以上、どうしても、デジタル化していったらばやはりこれを黒字経営にしていかれなければいずれはその事業から撤退しなければならない、こういうことでございますので、もしそれがそうでなくて公的な支援を受けるとかということになればこれは表現の自由等々いろいろな問題が生じてまいってくるおそれもございます。したがって、そういう公的な関与も受けないようにするために、デジタル投資を早期に黒字経営に持っていかなければいけない、そのための民放連としての経営全体の効率化あるいはコスト削減等についての毅然としたお考えを少し聞かせていただきたいと思うのです。
  163. 酒井昭

    酒井参考人 先ほども申し上げましたけれども、広告費の伸びというのはそれほど期待できないということが大前提でございますし、それから収益率も、一般企業に比べれば高いといえば高いかもわかりませんけれども、ただ、民放全社の総売り上げは本田技研工業さん一社の一年間の総売り上げと大体パラですね。ということは、中小企業の域に民放は位置しているんじゃないか。国民の皆さんに与える影響力という意味では非常に放送は大きい力を持っておりますけれども、収益構造からいうと必ずしもそんなに大きな企業というふうには私らは見ておりません。ただ、内部留保がありますから、これまでは右肩上がりの成長、広告費の伸びとパラに伸びてまいりましたけれども、これからはそうならない。  したがいまして、研究所のシミュレーションは、二〇〇六年の段階でデジタルが開始すれば、そこで設備投資の費用が一挙に膨大な数字になりますので収益は悪化していく。それではこれからどうするか。国民の皆さんの期待にこたえる優良な放送をやっていくために経営として考えなきゃいけない問題としては、人員体制あるいは人事制度、賃金制度の見直しを含むということ、これを中心的にやらざるを得ない。番組制作費はこれは下げることはできませんので、今申し上げた民放全体の経営の効率化を図れるようにするためには、経費の節減とか人件費の節減、その辺が一つのポイントになるんじゃないか、それを今各社それぞれが真剣な検討を始めているというふうな段階でございまして、苦しい経営の中にも、放送文化の担い手としてこれから力を尽くしていきたいというふうに考えているところです。  以上です。
  164. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃったように、デジタル化していくということですから、どうしてもいろいろな経営の合理化それから効率化等が求められているところだと思います。  そのような中で、きょうもいろいろと議論がございましたが、放送事業というものと通信事業というものがデジタル化によって非常に融合してくる。一体何が放送で何が通信なのか境がなくなってくる。あるいは世界的には通信事業者の方が圧倒的に大きなものが多うございますので、あるいは通信事業者による放送事業者の吸収合併ないしは放送事業分野におけるマーケットの蚕食というふうなことも出てくるのかもしれません。そのような中で、今現在、外資の規制ですとか事業免許とかである程度の新規参入あるいは競争のある種の制限がなされている国内の放送事業者の皆様方についても、デジタル化ということで放送事業者の体質そのものが変わっていくことが求められるのじゃないかということを私は考えるのですね。  例えば、つくられたものをそのまま送出する、放送だけするということではなくして、放送事業者の方が物をつくる、コンテンツをつくる能力を高めて、いいものをつくってお送りする、そういうことも求められている。当然これは従来からもそうですけれども、さらにこれから求められてくるのだと思っているわけです。  デジタル化に伴って放送事業者の方にある意味では飛躍的な質の変化、向上が求められているのではないかなというふうに思うんですが、そこで、若干違った視点ではございますけれども、そういう意味合いで、放送事業者の方が物を制作される、あるいはその制作したものを放送するという場合の権利関係、何と申しますか、著作隣接権の問題について郵政省の方にお尋ねしたいのでございます。  例えばわかりやすく言えば、人が何かを実演する、音楽家が音楽を演奏する、そういうものについては、WIPO、御存じの世界知的財産権機構で保護されることに既になっております。それから、レコード製作者についてもこれも著作隣接権として保護されることになっておりますが、放送事業者の権利については、今現在どのような状況にあって、今後どのような展望が予想されているか、教えていただけますでしょうか。
  165. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  現在、放送事業者には著作隣接権者としての複製権あるいは再放送権等の権利が保障されておりますが、これからのデジタル放送時代になってまいりますと、何といいましょうか、劣化がない技術でございまして、非常にいわゆる海賊行為というものが可能になってくるわけでございます。  そこで、放送事業者の方からは、送信可能権などの新たな権利の創設でございますとか、あるいは放送事業者の権利に関する新たな国際条約、これは、デジタルコンテンツ、国際的に流通するわけでございますので、こうした新しい課題、要請が私どもにも寄せられております。裏からいいますと、こういったところが今非常に弱いという実情があるんではないかと存じます。  そこで、本件については、もうWIPOという国際の場があるわけでございますが、国内的にも、著作権審議会に放送事業者等の権利に関するワーキング・グループが設置されまして、今申し上げた放送事業者側からの二つの要請も含めまして、いろいろ今度のデジタル化時代の放送事業者のための、ひいては放送文化の向上のための新しい条約なり制度を検討する国内体制も整えつつあるところでございます。  こうした議論を踏まえましてWIPOの議論の中に反映していきたいと思っておりますが、WIPOにおいても放送事業者の権利に関する新しい条約の検討が進められる予定になっております。私どももこの国内の勉強会には参加しておりまして、NHK、民放連の方々と一緒に、新しい権利の確立あるいは保護の体制が図られるように努力してまいりたいと考えております。
  166. 西田猛

    ○西田(猛)委員 局長からのお話はそのとおりでございますが、全体的なお話をされましたので少しわかりにくいと思いますから、そこでちょっと個別に聞きたいんですけれども、まず、例えばさっきの話とは別にしても、放送事業者の方が流す放送番組がございますね。この放送番組自体の二次利用についてはどういう権利関係が生じますでしょうか。これを違うメディアの人が二次利用したいというときですね。
  167. 品川萬里

    品川政府委員 現状に限って申し上げますと、現在の放送番組の制作、権利処理というのは、一回利用、多くて二回利用まででございまして、数回利用というようなこと、あるいは二次利用を前提とした権利処理については未確立の状況でございます。  私どもも、これをどう対処するか、今いろいろな意見交換の場を持っておりますけれども、残念ながら、今の段階ではこれならばという案を得る状況には至っていないという状況にございます。
  168. 西田猛

    ○西田(猛)委員 というように、放送事業者の方をめぐるいわゆる著作隣接権についてはまだまだ白地の部分がたくさんございまして、これをやはり一つ一つきっちりと法律で規定していきませんと、放送通信というものが融合してくる事態になれば、さらにまた制作者ないし放送事業者の方の権利が守られないということが多々起こってくると思いますので、当然のことながらWIPOにおける議論も踏まえながら、国内法制についての整備もこれは特に急いで検討していただきたいというふうに考えております。  そんな中で、今申し上げておりますけれども、さっき私が例に出しました、昔は溝に掘った大きなレコードで聞いていたんだけれども、今はもうCDが当然当たり前だ、音質も全然いいという話なんですが、これと今度放送との違いは、今でもあるいは将来的にもレコードでどうしても聞きたいとなれば、これはもうレコードを聞けるわけですね、レトロな人は。アナログじゃなくアナクロな人は、これでも聞きたいと言えばレコードを聞ける。ところが、今の予定でいけば、二〇一〇年以降は、デジタル化が完全化されたらもうアナログ放送を見られない。アナログ放送は見られないというところが、やはり従来の記録方法と限られた電波を使っている放送というものとの大きな違いだと思うんです。ということは、利用する側の視聴者にとってみれば、もうアナログ放送は見られないのか、どうしてもアナログ放送が見たいという人が中にはいるかもしれません。あるいは、逆に言えば、自分はこのテレビを買っていたのにもうこのテレビを見られなくなるのかというふうな人がやはり出てくるんじゃないかなと思うわけですね。  ですから、きょうもいろいろと議論があったと思いますけれども放送事業者の方に対する財政支援措置もさることながら、受信者の方に対しては、これは今のところ考えているとも考えていないともおっしゃらないというようなお話でございましたけれども、再びお聞きして恐縮ですが、受信者の側の方に対して、要するに受信する設備等についての財政支援等はどのように今考えておられるか、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  169. 品川萬里

    品川政府委員 テレビの受像機についてどうかということになろうかと思いますけれども、基本的に、テレビを見る、見ないはこれは各視聴者の自由でございますし、どのテレビを買うかということも自由判断に任せられますので、これまでの国の支援措置ということも、直接的な形でこの受像機購入について何らかの支援措置というのはちょっと考えにくいところかなと存じております。  ただ、できるだけ低廉なコストで受像機が入手できるようにということで、例えば、新しい技術開発について支援をするとか、あるいは、製造側に対するいろいろな税制面でございますとかあるいは政策金融でございますとかそういう間接的な、結果として視聴者が低コストで受像機を入手できるような支援措置というのは考えられますけれども、直接的に各個人が受像機を購入することについての支援措置というのはなかなか今のところ考えにくい方法かなというふうに考えております。
  170. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今局長が言われたように、この地上デジタル放送懇談会の報告の中でも、その第五章では、直接的な各御家庭などに対する国の財政支援というものについては言及しておられない。今局長のお話でも、今のところの時点ではちょっと考えにくいというお話でありますけれども、やはり、デジタル化に伴って、言うならば今のレコードの例で私申し上げたように、切りかえなきゃいけないというこれはある意味で強制になるわけでございますので、少なくともデジタル受信機器等の低廉化を図るとか、そういう努力をぜひ進めていかなければならないと思います。この懇談会の報告書の第五章でも書いておられるように、「地上デジタル放送受信機やアダプターの低廉化を図る必要がある。」ということでございますので、ぜひともこの部分について真剣な検討を早急に進めていただきたいというふうに思っております。  それで、今度このデジタル化に伴いまして民間放送事業者の方たちがいろいろな支援措置をお受けになろうとする場合、今私たち審議しております高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法に基づきまして、政府が基本方針を作成し、それに基づいて実施計画を認定された者が、要するに高度テレビジョン放送施設整備事業を実施しようとする者がその実施計画を作成して郵政大臣に提出し認定を受ける、その上でいろいろなこの法律に定めている支援措置を受けることができるのでありますけれども、今のところ、郵政省として、現在の放送事業の免許を受けておられる方たち以外の方からのこういう実施計画の提出についてはどのように考えておられますでしょうか。
  171. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  現実に手を挙げられる方がいるかどうか別にいたしまして、法律の四条におきまして「(当該事業を実施する法人を設立しようとする者を含む。)」ということで、いわゆる新規参入の方もこの認定審査をパスすればこの高度化法の債務保証等が受けられるような仕組みに法律はなっております。
  172. 西田猛

    ○西田(猛)委員 法律の立て方としてはもうそのとおりでございますので、今現に免許を受けている方以外の方でもこの認定を受けようとして提出することはできるわけでございます。  ところで、その提出する方たちのつくる実施計画でございますが、その実施計画の中で、これから基本方針を定めて郵政省としても検討していくんですけれども、どのような事項に特に注目し、またどのような事項に重点を置こうと思っておられるか、少し教えていただけますか。
  173. 品川萬里

    品川政府委員 午前中の御質問にもお答え申し上げましたけれども、これからのことでございますので若干先回りした答弁になって恐縮でございますが、基本的に早期普及というのがポイントでございますので、本当に債務保証を受けられようとする方の計画が早期普及に資するものであるかどうか、つながるものであるかどうか。それから、債務保証でございますが、公的な支援措置でございますので、きっちりとした財務的な観点から計画が確実であるかどうか、こういったところが審査のポイントになろうかと考えております。
  174. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そこで、先ほど来お話が出ておりますが、御質問される方がアメリカでのデジタル化の進捗状況についていろいろとお話をした上で御質問されましたが、これに対して郵政省の方で、今現在アメリカ合衆国における放送デジタル化についてはどういうふうに把握しておられるのか、今把握しておられる現状をちょっと教えていただけますでしょうか。
  175. 品川萬里

    品川政府委員 先ほど政務次官の方からも御答弁ございましたけれどもデジタル放送波の送信状況といいましょうか発射状況につきましては、昨年十一月現在では、二十二都市で放送を開始されまして三千九百万世帯がスタート時点で視聴可能になっている、ことしの二月現在ではそれが四千百万世帯になっているということでございまして、それが私どもが今実情として把握していることでございます。それから、受像機の方はまだ一万のオーダーであるというところが私どもの承知している数字でございます。
  176. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そういたしますと、米国では二〇〇六年までにはアナログは終了してという今のFCCの計画だそうですけれども、これはアメリカ政府に聞くわけでもありませんのでどう思いますかとお聞きするのもなんですが、今のところ郵政省の見方では、アメリカではこの二〇〇六年までにアナログは終了してデジタル放送化が完全にできるというスケジュールは全うされそうだというふうに考えておられますか。
  177. 品川萬里

    品川政府委員 いろいろアメリカの状況につきましては情勢把握に努めておりますけれども、今の時点では、この二〇〇六年という一つのタイムリミットと申しましょうか、これが動くというような感じの情報は、私どもまだ確認いたしておりません。
  178. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そのような中で我が国も早急にデジタル化を進めていかなければならないのですけれども、先ほどは、各御家庭、受信者の方に対する財政支援などのお話をいたしました。  今度は、放送事業者の方に対しての財政支援のお話でございますけれども、これはもう、きょうもるるお話が出ております。先般のNHKの予算のときの御質疑でもお話が出ましたが、もう一度NHK専務理事にお聞きいたしまして恐縮でございますが、NHKとされては送信設備のデジタル化は三千億円ぐらいかかるというふうに考えておられるようですけれども、これは御自分で賄っていけるというふうにお考えになっておられる、こういうことでよろしいですね。
  179. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答えいたします。  この三千億の設備資金につきましては、先ほども全体の五千億のところでお話をさせていただきましたけれども、五千億というのは送信機以外に二千億ぐらい制作機器なり送出機器が要るということで、全体でデジタルについては五千億、送信でいうと三千億、こういうことでございます。  三千億の負担の仕方につきましては、NHKの予算規模の中で設備経費に充てられる年間予算が六百億強という状況でございますので、その中で今言った送信設備に割り当てておりますのが約百億。年間百億、新しい設備にかえる費用として充てております。したがいまして、三千億を通常の予算規模でやりますと、三十年ぐらいの時間がかかるだろう。したがいまして、私どもはこの費用をできるだけ自前でやるということを基本といたしますけれども、何かこれを前倒しにするとかそういう場合には、先ほど申し上げましたように、何らかの知恵を出さないといけないのかな、かように考えているところでございます。
  180. 西田猛

    ○西田(猛)委員 唯一の公共、また最大の放送事業者NHKにおかれてそういうお考えでございますけれども、同じことについて、民間放送連盟の方ではどのようにお考えになっておられますか。何度も財政支援についての御要望も含めてお話がありましたけれども、今のこの法律で書かれている財政支援、固定資産税の減免、それから無利子融資等ございますけれども、この法律で、どうもありがとうございます、じゃ、頑張りますということが言えるのかどうかですが、どうですか。
  181. 酒井昭

    酒井参考人 いやいや、まだまだ国の支援をぜひともお願いしたいというふうに思っております。  それは、先ほども申し上げましたけれども放送事業者はみずからの経営努力で何とか実現するというところはあるわけですけれども、アナ・アナ変換については、とてもそこまで放送事業者負担することは不可能であるというのは大前提でございます。郵政省さんの努力によりまして、第一次、第三次補正予算で地上デジタル化への施策として四百六十億円投入されております。  そこで、私どもとしてはこの高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法のスキームとして、今おっしゃられた法人税での特別償却あるいは固定資産税の課税軽減、さらには政策金融機関の無利子、低利子融資とか、通信放送機構による債務保証等いろいろございますけれども、さらに民放事業者デジタル移行がスムーズに運ぶように一層の支援を賜りたいというふうに考えているところでございます。どうぞよろしく御協力いただきたいと思います。  以上でございます。
  182. 西田猛

    ○西田(猛)委員 民放連の専務にお聞きしたのは、冒頭は、私、やはりこれは企業でございますから、民間事業でありますので、御みずからの民間企業としての御努力が大変必要でございましょうというお話を申し上げました。それはそれとして、さはさりながら、やはりこういう大変革でありますから、それに対して国の方としても必要な財政措置はとっていく、財政支援はとっていくということが必要でありますから、そこは政府としても、郵政省中心になって考えた上でこの法律を出して、我々はつくって、賛成しようとしているわけでございますから、ぜひ、まずはこの法律の中で必死の努力をしていただくということが第一歩になるかと思われます。その上でさらにまた必要なことなどなどがあれば、我々の方としても、政府としても、逐次考えていくということになろうかと思いますので、ぜひ真摯な御努力を継続していただきたいというふうに思うところでございます。そのような意味で、今、何度にもなって恐縮ですが、再び御質問申し上げた次第でございます。  そこで、私の質問の最後にいたしますけれども、冒頭申し上げたように、このデジタル化ということによって、放送分野とそれから通信分野というものが融合するどころか混然一体となって、そして、世界市場における情報通信分野の中で競争が行われていくという時代になってまいっております。何が通信で、何が放送なのか全くわからない。  きょうも各委員の皆さんがお話しになられましたけれどもインターネットを通じて放送まがいの行為もできるし、それから、放送施設を用いて通信を行うことだってできるわけですから、電話をアメリカへかけるよりも、インターネットでつないだ方が安く済む。これは一体通信なのか。放送の場合も、例えばデジタル放送になって双方向性ができるようになれば、そのルートを通じて話をするということもできるでしょうし、いろいろな融合が見られてくると思います。そんな中で、それぞれの通信事業者がおり、放送事業者がいて、合併とか吸収、そして合従連衡、いろいろ出てくると思います。  そのような中で、最後に郵政大臣のお考えをお聞かせ願いたいのは、我が国において通信分野はかなり規制緩和が進んでまいっておりまして、そしてまた大きな事業者がおります。他方、放送事業においてはなかなかまだ、規制緩和いまだしの感がございまして、事業者の方についてもこれからの体質強化が図られるところでございますけれども、我が国における今後の情報通信サービス事業分野放送情報通信などなどの企業形態のあり方、それからこの先のマーケットのあり方などについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  183. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 大変幅広い、大きな質問でございまして、まず、放送にせよ通信にせよ、いわゆる情報通信分野にあるものは、これから二十一世紀に向けて、まさに経済の原動力、中核でありましょうし、また社会生活の中でもさまざまな生活環境を変えていく大きな道具であるということを自覚していかなければならないと思っています。  そんな中にあって、通信の方は、先生指摘のとおり、WTOの基本電気通信合意のもとの自由化等でほぼその約束を果たしておりまして、外資の一〇〇%参入というのは、今この国では可能になっています。  ただ、放送通信と違うところは、やはり電波の有限希少性とか、また社会的影響力の大きさから、これは日本だけではないのですけれども、外資規制というのが諸外国においても同様に設けられているということであろうかと思います。日本放送事業者にこれから求められるのは、先ほど先生の御指摘のあった、やはりすばらしいコンテンツ、そして日本の文化を、放送事業者の卓越した技術によって、またデジタル技術によってすばらしいものをつくっていただく中で、それを一人でも多くの外国の人に触れていただき、真の国際交流の担い手として、放送文化を通じて頑張っていただくことではないかと思います。  既に日本放送文化の一つであるアニメは、諸外国において大変な人気であるわけでございますから、今後は、さらにデジタル技術を持つことによって、例えば、御存じと思いますが、「タイタニック」という映画の船のシーンというのは、デジタル技術によるCGによって、エキストラを使わずに、たくさんの人がさも船の上を歩いているようなそういうシーンをつくられたということを聞いています。ですから、デジタル技術放送の中に取り入れるということは、そういうことも可能になる。やはり、いろいろなコンテンツが無限大に広がっていくという意味でも、ぜひとも放送事業者の方に、今までの実績、蓄積を積み重ねていただいたものを、デジタル技術と相まって、すばらしいコンテンツづくりに邁進していただきたいと思っているところでございます。
  184. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今の大臣のお話を聞いておりまして、「タイタニック」のすばらしい女主人公のことをほうふつといたしました。  それでは、どうもありがとうございました。私の質問を終わります。
  185. 中沢健次

    中沢委員長 矢島恒夫君。
  186. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  私は、まず放送法についてただしていきたいと思います。  最初に確認しておきたいのは、今回の法改正というのは、これまで独立した免許であったデータ放送、これを、テレビジョン免許があれば新たに免許を取らなくてもデータ放送をできるようにするものであって、したがって、新たな免許を獲得しなくても、テレビ放送を行う放送事業者がそのままデータ放送を行うことができるようになるわけで、デジタル化に伴って、データ放送というものが新たなビジネスのチャンスになるとも言われているわけです。  そこで確認しておきたいのは、このデータ放送というのはこれまでも免許事項であったわけで、テレビ放送事業者データ放送をテレビ免許でできるようになった、だからといって、どんなデータでも放送できるわけではなくて、これまでも独立データ放送として放送法を根拠にして許可してきたその枠内に限定されるのだろうと思うのですが、そう認識してよろしいのでしょうか。
  187. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、放送法の定めるところにより放送していただくということでございます。
  188. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私たち放送デジタル化一般については、やはり技術の進歩として、また国民生活あるいは放送文化、これらの進歩に貢献する、役立つ、こういうことに使われる、このことについては賛成です。  そこで、最初に大臣に基本的な立場でお伺いしたいのですけれども、地上放送デジタル化、こういう問題は、裏を返せば、今行っているアナログ放送を中止していくということになるわけで、つまり国民にとっては、その日から今のアナログテレビが映らなくなる、新たなデジタルテレビを買いかえる、こういうような大きな問題を含むわけです。私は、国民デジタル放送を見るというようになるのは、やはりアナログ放送よりもメリットを感じる、あるいはそういうことで国民がみずから選択した結果であるべきだと思います。国が、アナログ放送については終わりだからデジタル放送に切りかえますよ、こういう強制であるべきではないと思うのですね。そういう点では、国民との合意という点での大臣の御見解を承ります。
  189. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 日本デジタル放送を導入するというのは急に決まったことではなく、既に懇談会の報告書の中にありますように、世界的にも一九七〇年代からいろいろな研究開発がなされて、結果としていろいろメリットがある、そういうステップをたどってきたと思います。その段階で、まさにまだデジタル放送が存在しない段階で国民合意を取りつけるというのは基本的に不可能でございますので、今まさにその懇談会の結果を経て、これから地上波を含めて放送メディアデジタル化させるということを決めた中で、二〇一〇年まで一応目標としてサイマル放送で、アナログデジタル両方、どなたでも不便なく見ていただけるような期間をつくっております。  それは、一つには消費者がみずから選択していただける、自然に買いかえをしていただける、そういうスパンも含めた年数ではないかというふうに受けとめておりますし、私どもとしては、そうやって消費者の皆さんがみずから、先ほどのレコードからCDという話もございましたけれども、自然にデジタルのよさをわかっていただくために、二〇〇〇年から始まる衛星デジタルを通じてのいろいろなプロモーションとか、さらにはメーカーの皆さんに安価にテレビをつくっていただくとか、あとは、チャンネルプランなんかでうんと設備投資を圧縮させていくとか、さまざまな努力を二〇一〇年に向けて積み重ねていった結果、国民の合意が取りつけられる、そういうふうに取り組んでいきたいと思っております。
  190. 矢島恒夫

    ○矢島委員 二〇一〇年にアナログをなくしていく問題では、けさからずっと本委員会でいろいろ論議されてきたことであります。その問題についてはまた後でお尋ねするということにして、昨年十月の郵政省の地上デジタル放送懇談会の報告書の中身について幾つかお尋ねしたいと思います。  地上放送デジタル化のメリットがいろいろ挙げられております。その中で、第一項目については、高品質な映像、音声サービス、それから第二のところでは、多チャンネル化、チャンネルの多様化というのが挙げられております。  二つ目の多チャンネルの問題でただしておきたいんですけれども、この報告書では、「従来のアナログ放送チャンネル分と同じ周波数帯域幅で、アナログ放送と同程度の画質であれば、三チャンネル程度のデジタルテレビジョン放送が可能となることから、最も身近なメディアである地上放送においてもチャンネルの多様化が実現し、視聴者選択範囲が拡大する。」このように書いてあります。これは本当にメリットなのかという問題でお聞きしたいんです。  チャンネルがふえても、番組の質の問題ですね。質が低下してしまったら、むしろデメリットだということになるわけです。郵政省の多チャンネル懇の報告書を引くまでもありませんが、チャンネルの多様化はそれにふさわしい質の番組がふえてこそ意味があるだろうと思うんです。そういう点で、郵政省はどのようにお考えか。
  191. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  デジタル放送のメリット、今、多チャンネル一つの効用ということでお話がございました。そのとおりでございますが、メリットということを考えた場合に、くどいようでございますが、ちょっと付言させていただきますと、恐らく地上放送きりない時代におけるアナログデジタルのメリット論と、衛星デジタル放送が始まった時代での地上放送デジタル化というのは、ちょっと意義が違っているのではないか。  と申しますのは、衛星デジタル放送によりまして、そもそも地上放送がシステムとして存続し得るかどうかという問いかけがなされる状況に変わっているということでございまして、恐らく地上放送がこれまで同様の役割を果たしていくという意味では、地上放送デジタル化のメリット云々以前の話としてデジタル化というのが意義づけられるべきではなかろうか。したがいまして、アナログ放送が二〇一〇年にどうなるかではなくて、地上放送が存続し得るためのデジタル化というのが、衛星デジタル放送下における地上放送デジタル化の意義というふうに位置づけられてきているのではないかというふうに考えております。  したがいまして、今先生指摘のございました番組の質の向上ということでございますけれども、実は、単にデジタル化のために設備投資をしなければならないから、いわゆる経営の合理化的な発想での番組の向上ということにとどまらず、本当に衛星デジタル放送に伍して地上放送ならではの番組はどうあるべきかということで、既にローカル放送局におかれては、本当に真剣な新しい番組づくりの模索が始まっております。  これは今、業界紙等でも全国のローカル放送局の新しい動きと息吹を如実に伝えておられますけれども、私はそれを見ておる限り、先生の御心配はむしろ、デジタル放送技術の活用ということを契機に、ローカル放送局は今まで以上にローカル放送局らしい番組づくりあるいはデータ放送づくりということに進まれるのではないかというふうに考えております。  それにいささかでもお役に立とうということで、既に補正予算でお認めいただきました十カ所のデジタル放送の共同実験施設におきましては、例えば北海道では降雪情報のデータをどう流すか、あるいは東北地方でございますと、気象衛星の「ひまわり」経由のやませ情報をこのデータ放送でどう生かしていくかということでございます。  したがいまして、確かにデジタル化しませんとハイビジョンも地上放送では見られないわけでありますが、その中で、おっしゃったように三チャンネルをとるようになりますと、例えば海岸沿いの地方のための気象情報でございますとか、山岳地方あるいは中山間地域のための気象情報とか、そういったことで、ますますかえって多様な番組情報提供という新しい息吹のきっかけになるのではないか、既にその萌芽が見られるというのが私ども今把握しているところでございます。
  192. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ今のお話のような方向で進んでいくということを私も希望するわけです。  確かにチャンネル数は多くなったけれども、おもしろい番組がないということになれば、視聴者はテレビの買いかえなんというのはする気にならないということになるわけですし、同時に今、多チャンネル化しているCSが大分伸び悩んでいるという実情もあるわけで、そういうことも十分に教訓にしながら質の問題というのを考えていくべきだ、このように思います。  次に、高品質な映像、音声サービスの問題ですけれども、報告書では、従来のアナログ放送チャンネル分と同じ周波数帯幅で、高精細度テレビジョンが受信可能となることから、衛星放送でしか視聴できなかった臨場感あふれる高精細度テレビジョンを最も身近なメディアである地上波でも視聴可能となる、こういうふうに書いてあります。  そこで、そもそもどれだけの番組が高精細度テレビジョンとして提供されるのか、ここが問題だと思うんです。これは余りはっきりわかっていないんですが、昨年から始まったアメリカのデジタルテレビの高精細度テレビジョン放送というのはまだほんのわずかだと言われております。  これも問題の一つですが、もっと根本的な問題でお尋ねしたいんですが、もしすべての番組を高精細度テレビジョンで放送したら、最初の計画どおりの多チャンネル化というのはできなくなるのじゃないかなと思うんですが、そういうことですか。
  193. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  衛星デジタル放送につきましては、高精細度テレビジョンを中心にというような整理がされておりますけれども、これからも地上デジタル放送においてどのようなHDTV番組とSDTVと組み合わせるかというのは、今既に衛星放送受信できるように一千三百万のパラボラアンテナが普及しておりますので、恐らく遠からず高精細度テレビジョンが標準テレビジョンになる時代は来るのかと存じますけれども、過渡期においても、あるいは番組編成においても、ハイビジョン型番組と今の標準テレビジョン番組とどのように組み合わせるか、これはまさにそれぞれの放送事業者の創意と工夫で番組編成がなされていくべきものと考えております。
  194. 矢島恒夫

    ○矢島委員 結局、組み合わせということになるんだろうと思うんです。  視聴者の方から見ますと、どの程度高精細度テレビジョン放送を見ることができるのかなという考えはあるんですね。始まってみないとどうもわからないんだというのだと、さて将来において、安くなるだろうと思いますが、やはり高精細度テレビジョンは普通のデジタルテレビよりは高くなるだろうと思うんですね。視聴者にとって高いそういう高精細度のテレビを買うかどうか、その判断はやはり実際に番組が始まってみないと、どの程度番組があるのかということがはっきりしないわけですね。そういう点では、これを見きわめるということが非常に大切になってくる。やはり、少しは高いけれども、この高精細度のテレビジョンを買おうというには、番組はこういうふうに組み合わさってくるんだな、それならばというか、どうも先行きわからないぞ、そのままではなかなか迷うわけですね。  その点について、早い時点でその中身を知らせる必要があるんじゃないかと思うんですが、どんな考え方か。
  195. 品川萬里

    品川政府委員 これは、これからの話で推測になる部分があって恐縮でございますけれども、今、テレビ番組ガイドブックというのが数百万部出ているというようなことでございます。恐らくそういうところが、HDTVかSDTVかという表示、まさに、レーティングではございませんが、視聴者への情報提供ということになろうかと思います。それから、衛星デジタル放送で、EPG、エレクトロニック・プログラム・ガイドというシステムが導入されようかと思います。そういう中でも、これはHDTVかSDTVかというような視聴者への情報提供がなされるかと思います。  そういう中で、視聴者もだんだんと選択眼を豊かにしていく、送り手の側も、どのように高精細度テレビと標準テレビを組み合わせて放送するのがよろしいか、そういう経験の中で新しい放送スタイルというものを生み出されるのではないかと考えております。
  196. 矢島恒夫

    ○矢島委員 どれだけの高精細度のテレビ放送受信できるかということ、これすらわからない状況の中では、このテレビを買っていこう、そちらがいいとなかなかならないわけですから、その辺は、よく知らせるという意味でも必要かと思います。  そこで次に、きょう午前中にもずっと、それから午後についても質問が続きましたアナログの終了時期の問題で、別の観点から私聞いていきたいと思うんです。  地上放送デジタル化の問題、これを国民視聴者の立場からまずお聞きしたいんですけれども、一番の問題は、やはり地上放送デジタル化によって、放送局が現在のアナログ放送を中止する、その時点で現在のテレビは見ることができなくなる、テレビの買いかえが必要となる、こういう問題が起きてくるわけです。  この問題の原則は、最初大臣も御答弁されましたけれども、やはり視聴者というものとの合意、こういう点が必要だし、私も、この視聴者の利益というものや、あるいは視聴者に買いかえを強要するというようなやり方ではうまく進まない、このことはそのとおりだと思うんです。  これには、私、二つの問題があると思うんです。  第一に、アナログテレビを見ている国民がいるときに、アナログ放送を打ち切る。そうなると、現在のアナログ地上放送というのは基幹放送役割を果たしているわけですから、その国民は、つまりアナログ放送を見ていて打ち切られた国民というのは、この基幹放送にアクセスするために、どうしても今度はデジタルテレビを買わなければならなくなるという問題が一つあると思うんです。まだ映るテレビを強制的に買いかえることになる。これは一つの強制であろうと私は思います。  次に、アナログ放送の終了時期、この問題にもいろいろと午前中から論議が集中したわけですけれどもデジタル懇の報告の中では、「現時点で、具体的な終了時期の目安を示すことは困難であるが、三年ごとに放送対象地域ごとの地上デジタル放送の普及状況等を十分勘案して見直すことを前提として、現時点で予測すると、全国的なアナログ放送の終了時期の目安は二〇一〇年とすることが望ましい。」こう書いてあります。  きょうもそうだったんですが、ことしの三月九日の参議院の交通・情報通信委員会で、岩本委員が、「結局二〇一〇年になるとアナログは全部なくなっちゃうわけですね。お金がなくて買えないというようなときに、八五%の普及率になれば切られる、残りの一五%の中に入っちゃう場合が多いんじゃないかというような気がするんです。そうすると、高齢者の方々は、今まで一番楽しみにしていたテレビが見れなくなるというような、こんな心配がちょっとするんです。」こういう質問をしておりました。二〇一〇年にデジタルテレビがアダプターを含めて八五%に達していれば、アナログ放送は打ち切られてしまうんだという理解だろうと思うんです。  これは、地上デジタル懇の二つの条件、一つは、「当該放送対象地域受信機(アダプター、ケーブルテレビ等による視聴を含む)の世帯普及率が八五%以上であること。」というのと、もう一つ、「現行のアナログ放送と同一放送対象地域デジタル放送で原則一〇〇%カバーしていること。」これを根拠とした質問だろうと思うんです。  品川局長、そのときに答弁に立たれているわけですけれども、この打ち切るかどうかという問題については直接触れていらっしゃらないし、きょうの答弁でも、私自身のとらえ方かもしれませんが、私自身の不明確な部分を確認するという意味で、この二つの条件、一と二の二つの条件が充足されれば、二〇一〇年にはアナログ放送というのは打ち切るというのが基本的な方針であるのかどうかということです。
  197. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  このデジタル懇談会でのレポートの考え方というのは、基本的には、そういう方法が、当然の前提として、それが国民視聴者の皆さんから、まあこの段階ではやむを得ないかなという御理解が得られるということは、特に文章に書いておりませんけれども、そういう前提ではなかろうかというふうに私ども受け取ります。  実は、これは余談になりますけれども、数日前、台湾の方が見えまして、台湾でも二〇〇六年にアナログからデジタルへ全面切りかえをするというような方針を話しておられましたけれども、そういうことができるかどうかというのは、受像機の普及にもよりますし、テレビに対する国民考え方の差にもよりますから、私どもとしましては、受信機の購入サイクルというものが、この二〇一〇年というようにお示しいただいた一つの線にうまくかみ合うような形で、二〇一〇年というものについて国民の皆様に十分情報が提供される、ごく自然な形でデジタル放送への移行が完了する形が望ましいのかなというふうに思っております。  ただ、そうは申しましても、十年後のことでございますので、厳密に今予測することは難しゅうございますけれども、仮に完全にそのようにうまく思ったとおりはいかないという場合もあるかと思いますが、基本的には、そのときには、今いろいろな考え方がございますけれどもデジタル電波アナログに切りかえる、AD変換ではなくて、逆にDA変換器をアナログテレビにつけかえることによりまして、そのデジタル放送、多分番組の中身は、サイマル放送というのは、アナログの番組がデジタル電波でも送られるということがサイマル放送意味でもございますので、言い方では逆サイマルということもございますが、そういう措置で軟着陸できるような方法も可能かと存じます。  ただ、御指摘のように、しからばひとり暮らしの老人の方の場合どうするか、あるいは、経済的に恵まれない方はどうするのかということがございますが、例えば、今でも字幕放送を必要とされる方については、字幕放送内蔵型の受信機をお買いになる場合には、福祉政策の面からの支援措置もございます。そういうこともあわせて、これは、ひとり暮らしの老人の方に受像機をどうするかというのは、放送政策の課題ではないとは申しませんけれども、もう一方、福祉政策の課題でもございますので、これは、どこの省がやるということではなくて、政府全体として、このライフラインにもなっている放送受信対策をどうするかということで、総合的な観点から対応して、この二〇一〇年、あるいは若干の前後はあるかもしれませんけれども、これをどう円滑に迎えるかというのが、今考え得る一つの対処方針ではなかろうかというふうに考えております。
  198. 矢島恒夫

    ○矢島委員 局長はいろいろと希望的な部分も含めてお答えいただいたようでありますが、私がお聞きしたのは、その点もありますけれども、もう一つの、例えば関東の地域で二〇一〇年になって調査した。そうしたら、現行のアナログ放送がカバーしている地域デジタル放送でカバーできた、一〇〇%いった。デジタルテレビとそれからアダプターをつけた世帯も、調査したら普及率が八五%以上になった。その場合、二〇一〇年にそうなった状態だったら、その地域アナログ放送を打ち切るのか、打ち切らないのか。  つまり、八五%のところを重点に私はお聞きしたわけなんです。その点はどうなんですか。
  199. 品川萬里

    品川政府委員 十年後のお話でございますので、円滑な移行ということが前提になりますけれども放送が見られないという状態ではなくて、とにかく、地上テレビ放送が見られるという状況でアナログ放送を打ち切っていくということも考えられる措置ではないかというふうに考えております。
  200. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう一度お尋ねしますが、八五%という普及率に到達したときに、打ち切るのか打ち切らないのか、この点だけちょっともう一度。
  201. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 八五%という世帯普及率ですけれども、これはアメリカにおいても同様の基準であるということで、妥当ではないか。ただ、八五%普及によってアナログ放送を終了するというものではなくて、その時点になって具体的に終了時期を決めるというものであると理解しているところであります。
  202. 矢島恒夫

    ○矢島委員 といいますと、例えば、先ほど私、関東地域に例を挙げましたけれども、二〇一〇年でその地域が八五%普及、そして一〇〇%カバー、条件が満たされた。つまり、デジタル懇の報告の中身ということでです。これは目安というふうに書いてあって、その目安が達成できたという時点で、もう一度ここで、打ち切るか打ち切らないかを決めるんだ、そういうふうに理解していいんですか。
  203. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 もう一度繰り返します。  八五%の普及のその時点で具体的な終了時期を決める、そういうふうに理解しています。
  204. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、非常に重要な問題は、八五%というこの数値は足切りなんですよ。つまり、私自身は一〇〇%にすべきだと思っています。一〇〇%でなくて八五でいくということになると、足切り宣言になりますから、足切りされた世帯ではテレビの買いかえの強制になるんじゃないかと私は思うんですよ。  強制してはならないんで、やはりきちんと状況、この八五というのがどういう根拠であるかということについては、アメリカもそういう数値だというのが言われておりますけれども、あくまでも残り一五%、この一五%というのは何百万世帯になるのか。あるいは八五%の世帯の中に残っているアナログテレビ、これを合計しますと数千万なのかもしれません。こういうテレビの買いかえの強要だと私は思うんですが、その点、どうですか。
  205. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 私たちが今取り組んでいるのは、八五%がゴールではなく、先生指摘のように一〇〇%に向けて、放送事業者または郵政省初め国、さらにはメーカーの努力が今求められているところだと思います。  ですから、あくまでも八五%、今申し上げたように、例えば、カラーテレビが十年で九割普及した、そういうところで妥当な線ではないかということを踏まえているのであって、再度申し上げますけれども、八五%が足切りというのではなく、そこで再度終了時期をどうするか、その時点でどういう状況になっているかというのを確認する、そういう目安と御理解いただきたいと思います。
  206. 矢島恒夫

    ○矢島委員 場合によっては打ち切らないこともあり得るということが一つ。したがって、終了時期それから終了条件、これもそこできちんと決まったものではなくて、先ほどの最終的にはどこで決めるのかという質問に対して、局長の方から、周波数の決定は大臣がやる、電波監理審議会の意見というのもある、この夏の予算というのもある、最終的には省令で決めていくことになるんだという、一つの手続上の答弁があったわけですが、結局現時点では、完全に二〇一〇年で打ち切るんだと決めたわけでもないし、また、終了時期についても終了条件についても、この時点でこの条件が合えば打ち切るんだと決めたわけでもない、そういうように理解いたします。  ただ、私が今危惧しているのは、お話のような状況というものについて、なかなか国民的な理解としてはそのようになっていない状況があるんですね。  例えば、これは日経のことしの二月二十日付です。「デジタル放送時代のテレビ選び」こういう記事が載っております。ここで、「郵政省は」「受信世帯が八五%に達すると見られる二〇一〇年をめどに現行のアナログ放送を打ち切る方針だ。」こう断定しているんですね。  そのほか、例えば、この問題では専門家としていろいろ著書もありますさくら総合研究所の調査部の西さんですが、「テレビが変わる!」という本の中で、やはりデジタル懇の条件を引用した後で、少なくとも一五%超の視聴者がテレビの買いかえを行わずに今までのテレビで引き続きアナログ放送を見ている限りにおいては、アナログ放送を終了できないということ、これは逆の見方をしていますが、という解説をしております。逆にすれば、アナログ放送を見る人が一五%を切った時点でアナログ放送が打ち切られますよと。  こうした記事を読んで国民がどう思うかと言えば、二〇一〇年に今のテレビが見られなくなると思う。それで、テレビの買いかえ期に入る国民は、先ほど来まだ不明確な部分が、これは先のことだから、どんなサービスが提供されるかわからない中でも、高価であってもデジタルテレビを選択肢に加えざるを得ない。これは事実上の強制だろうと私は思うんですよ。  そういう点では、こういう国民の不安を取り除く手当てが必要だと思うんです。それは情報公開だと思うんですよ。今こういうことがばあっと流れていて、私が挙げた二つの例だけじゃないですけれども、二つの例のような状況が進んでいるわけです。ですから、いや、そういうんじゃなくて、本来はこれからこういうふうにやっていくんだよという、そういうのがなかなか国民に伝わっていないという部分で不安が、あるいは買いかえなければというような話が出てきてしまうんだ。その点について、ひとつ。
  207. 品川萬里

    品川政府委員 いろいろ御示唆いただきまして、ありがとうございます。  この十年の経緯を見るわけでございますが、このレポートの中にございますように、これについては三年ごとに見直しをしながら、どの程度受像機が普及しているかとか、あるいはデジタル放送がどの程度先行されているか、こういった実情を踏まえながら、当然経済状況もございます、そういう三年ごとの見直しを経ながら、それで、十年になっても八五%いっていなかったらそれはまた見直そうではないかというのがこの報告書の含意でございます。  したがいまして、今先生御示唆ございましたように、視聴者自分のテレビを買いかえるにしましても、十分時間的余裕を持って計画が立てられるように、できるだけ前広に十分な情報提供あるいは私どもの持っているデータの公開ということに努めてまいりたいと存じます。
  208. 矢島恒夫

    ○矢島委員 局長は、その立場から八五%というのに大分固執されているようですが、大臣は、一〇〇%を目指すというのがありました。  私は、やはり一〇〇%というのが本来の道筋であって、八五%になったから、これでクリアできたぞというので切りかえていくということについては非常に問題がある。デジタル化というのが国民視聴者にとってメリットがあるというのであれば、恐らく国民の皆さんは期限を設けなくたって、これはアナログ地上波とそれからデジタル地上波を見比べてみれば、おのずとその選択というのは決まってくる。だから、私はちょっと自信がないのかなと思うんですよ。こういうのを出しました、どうぞ御選択ください、こちらの方はこんなにメリットもありまして、すぐれていますよということで進めるのが本来の筋だということを申し上げて、実は、時間がなくなります。  NHKさんと民放さんに、実はこのデジタル懇の報告書の中の問題で、特に「高齢者・障害者にやさしいサービスの充実」というのがあるんですね。その中で、特に字幕放送の問題で、今後デジタル化されたことによってスペースが広がる、それを活用することによってさらにいろいろ前進できるだろうということを、いろいろな手だてを私は御質問しようと思ったんです。ところが、あと残り三分少々になってきたわけなんです。  それで、私、ケーブルテレビの問題では、これは私たち反対するんですが、討論ができない状況になっておりますので、どうしてもこの点だけについては聞いておかなければと思いますので、申しわけございませんが、次の機会にそれらの問題についてはお聞きするということで、ちょっとケーブルテレビの方へ入らせていただきます。  電気通信というものが伝えられる内容というのは、個人間であっても、あるいは何であれ、通信の秘密というものは憲法で保障された基本的人権だと思います。しかし、これが多数に伝えられるとすれば、それは放送であって、社会的影響、そして当初は希少な電波という資源を使うこともあって、放送法という規律が課せられたと思うんです。  ケーブルテレビについて言いますと、電波は使わずに加入者一人一人に個々のケーブルで結ばれているわけです。だれでもケーブルテレビに加入できます。加入すればだれでも受信できる。こういう点でケーブルテレビは、個人ではなく公衆によって直接受信されることを目的とする有線電気通信の送信、こう定義されます。  そこで、有線テレビジョン放送法について、放送法のどこが準用されているのか、まずそれをお聞かせください。
  209. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  放送法の関連規定、条文を申し上げますと、まず、放送番組編集の自由、第三条。  それから第三条の二の一項、四項の番組編集準則、字幕番組放送、解説番組放送努力義務。  番組基準の策定及び公表義務、三条の三。  放送番組審議機関の設置義務、これは三条の四及び五十一条でございます。  訂正放送の義務、第四条。  候補者放送における公平取り扱いの義務、第五十二条。  これらの規定が準用されております。
  210. 矢島恒夫

    ○矢島委員 放送局は電波法で、あるいは委託放送事業者放送法で、「日本の国籍を有しない人」だとか「外国政府又はその代表者」「外国の法人又は団体」「法人又は団体であつて」以下ずっと、いわゆる欠格事項というのがきちんと決められているわけですね。  私、時間になりましたので、最後に大臣にお尋ねしたいのですが、今回の有線テレビジョン放送法改正の目的というのは、ケーブルテレビのデジタル化、高度化を促進するために、すぐれた技術力を有する外国企業、こういうところも参加させる、そのことが効果的だ、そのために規制緩和する、こういうことだと思うのです。  ただ、ケーブルテレビは、この有線テレビジョン法で、先ほど出たように放送法というものの準用を受けているわけです。そうなりますと、放送免許は外国企業などの参入については厳格な欠格事項を持っているということを考えると、ケーブルテレビの発展のために、つまり、より影響力のある放送メディアにしていくために外国企業の力をかりることということは、放送メディアに外国の影響があっても構わない、こういうことになるんじゃないかと思うのです。  つまり、申し上げれば、放送の規律を受けるケーブルテレビへの外国企業の参入規制を撤廃するということは、理論上、一般の放送局に対して外国企業の参入規制を課している根拠も崩れることになるんじゃないか。そうすると、将来の問題になりますが、地上放送デジタル化、こういうときに、外国企業がすぐれた技術力を有しているということになると、外国企業を参加させることが効果的となる可能性がないわけではない。その点についてはどんなふうに大臣は思われますか。
  211. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 ケーブルテレビにつきましては、伝送の設備の低コスト化などによりまして、同じ地域において複数の事業者が参入することが可能になっております。地域における情報の提供手段としての独占性というものが相対的に低下してきていることから、今回、外資規制を撤廃する有線テレビジョン放送法改正案を御審議いただいているものと思います。  他方、無線の放送については、先ほど申し上げましたけれども、有限希少な電波を利用して国の政治、文化とか社会に多大な影響力を与えるメディアであることから、外資規制が設けられているところであります。また、諸外国におきましても、日本と同様、電波の有限希少性及び放送の社会的影響力等にかんがみ、放送局に対する外資規制が設けられております。
  212. 矢島恒夫

    ○矢島委員 最後になります、意見だけ申し上げます。  ケーブルテレビの放送局としての根本問題について検討してきたのか、こういう問題です。何ら検討した跡が見られない。  つまり、放送の規律を受けるケーブルテレビへの外国企業の参入規制を撤廃するということは非常に重大な問題だと私たち考えております。そういう意味で、放送法制に重大な変更を事実上行うものであるということから、この法案については認められないという態度をとっている。このことだけ申し上げて、質問を終わります。
  213. 中沢健次

    中沢委員長 中田宏君。
  214. 中田宏

    ○中田委員 中田宏でございます。  最後に、いつものように質問をさせていただきたいと思います。  高度情報社会推進という言葉がきょう一日の中で何度も出てまいりました。この高度情報社会推進、私はもちろん大賛成でありまして、とにかくこれはやはり進めていかなければいけないというふうに常にいろいろな席で申し上げてきました。  きょうのデジタル放送の問題、マルチメディアとかあるいはインターネットなどについても本委員会でも何度も取り上げさせていただいていますけれども、こうした技術の拡大というのは、単に我が国の豊かさだとか利便性を増すということだけではなくて、いわば、国内的に言うならば、我が国産業界の今後の柱になっていくでしょうし、国際的に見るならば、そうした技術において我が国は世界をリードしていけるだけの技術があるわけだし、また、より広範に言うならば、国際社会の中でのあらゆる分野競争力にかかわってくるわけであって、私は、二十一世紀の我が国の国家戦略というふうに位置づけて最優先課題にしなければいけないというふうに本委員会でも申し上げてきたし、ぜひ大臣を初め郵政省の皆さんには、そうした意味お願いをしたい。くだらない景気対策をやるんだったら、郵政大臣にぜひ頑張っていただいて、予算を全面的にこういう分野につけろというふうに私などは思うわけであります。  さて、きょう一日の質疑を振り返って、基本的には、我が国の民間企業の技術が生きるように、活力をさらに生み出していけるように、こうした法の整備をしていくことは、当然基本的に私は賛同をするものであります。一部には拙速ではないかというような声もないわけではないと思います。きょうの委員会でも聞いていました。しかし、民の活力を妨げてもならないし、先ほど申し上げたように、国際的な分野における我が国の位置づけというのもあります。そういう意味では、決して私は遅いとまでは言いませんが、まことに時宜にかなった法整備じゃないのかなというふうに思います。  ただ、デジタル化に当たっての問題点については、既にこの一日でいろいろな分野が出てまいったし、そのことについての私の危惧も当然あります。事業者サイドのコストの問題や、あるいは消費者というか視聴者サイドのコストの問題であったり、あるいは今も御質問の中に出ていましたけれども、二〇一〇年を迎えた際の一五%の人たちはどうなるのかといった、ここら辺の問題はありますから、そういう意味では、今後も郵政省の当局はさらに適切なケアを講じていっていただきたいと思っています。  アメリカの事例などもちょっと勉強してみると、連邦通信委員会、これはFCCというそうですけれども、これなどは、ことし五月までに主要な十の都市で四大ネットワーク系の放送局のデジタル放送を義務づけているわけですね。昨年の十一月からは自主的に既に放送が始まっているということを考えれば、やはり本当に我が国も、乱暴な議論でとにかくやれやれということじゃないですけれども、今申し上げたようにいろいろなケアをしていかなきゃいけないけれども、しかし、アメリカの半強制的にというか完全に強制的に進めている事例を見れば、我が国も積極的に取り組むべきだということだと思います。  さて、そういう意味では、問題点についてぜひ今後もケアを講じていただきたいということを申し上げた上で、私は、デジタル化によって何がどう変わるのかの具体的なことをちょっとお聞きしたいと思います。  郵政省からいただいた資料を見ても、例えば、高品質な映像、音声サービス、映画がよりきれいに映るとかいうのは私たちにとってももちろんうれしかったりするのはあります。あるいはスポーツ番組を見ている最中に天気予報が流れていたりニュースが流れていたりなんというのも、それもそういうふうにデジタル化によって進められるということを聞けば、利便性が増すのもうれしいのですが、しかし、今のテレビに決して不満足なわけでもありませんし、ある意味においてはテレビを見る時間のないひがみかもしれないけれども、これをぬか喜びで進めろ進めろと言っているんじゃしようがないと思うんですね。  大臣がきょうの答弁の中で何回かおっしゃっておられたことなんですけれども、いわゆる弱者の方々にとってのメリット、例えば障害をお持ちの方だとか高齢者の方々にとってのメリットということ、これもデジタル化のメリットとして郵政省サイドもこれまで御説明をされてきたことです。  ここについて、ちょっと、デジタル化のメリットというのを何度お聞きをしても、まだ見ぬ世界のことですからぱっとイメージ的にはわかないんですけれども、障害者、高齢者、その人たちにとってのメリットというのは果たしてどういうぐあいになっていくのか、まず郵政省の方にお答えをいただきたいと思います。
  215. 品川萬里

    品川政府委員 これも今、現実見ているわけではございませんが、かなり確実性を持って私ども可能ではないかというふうに考えておりますものについて申し上げますと、まず字幕・解説放送というものが今以上に技術的にも提供しやすくなるだろうということでございます。それから、受像機の方でいきますと、これまでは、今までのところでは、字幕番組を視聴する場合には文字放送用のデコーダーが必要でございまして、これをつけなければならない。これにつきましては厚生省の公的助成措置がありまして、これによってデコーダーをつけて字幕放送を見ているという状況になりますが、これからデジタル受像機になりますと、こういった特別なデコーダーなしに、しかし価格的には普通のテレビと同じような価格で購入できるということで、一つ便益が増そうかというふうに考えております。  それから、実際に番組を見るにつきましてどのようなインタラクティブなことができるかということでございますが、字幕文字の行数とか色とか、文字を見ておりましてもっと大きくしたいとかあるいは逆に小さくしたいとか、そういった視聴者の好み、選択がこの字幕放送を見るにつきましても意思を反映することができる。あるいは話速変換装置といったことで、もっと緩やかなスピードで番組を聞きたいということも可能になるということでございます。  この点につきましては、今この問題について大変御熱心に取り組んでおられる障害をお持ちの方々の団体がございまして、そうした方々の御意見を承りながら、放送事業者方々にも意向をお伝えして、真にデジタル放送の効用というのがいろいろ、視覚、聴覚において障害のある方にもより効用を増すように努力していきたいと考えております。
  216. 中田宏

    ○中田委員 先ほど申し上げたように、テレビの画質がよくなるとかいうのもいいんですけれども、何よりも、テレビを見ること自体に今不自由をしておられる方々にとってこのデジタル化というのが大きなメリットになるならば、まことに積極的に進めるべき話ですので、ぜひそこら辺は郵政省サイドも、民放、NHK、そういった向上につながるように今後とも施策を講じていただきたいと思います。  同時に、NHKにもお聞きをしたいんですが、これは、実は私は去年のNHKの予算審議のときにこの字幕放送についてお聞きをして、その際のデータも見てみると、平成九年が一週間当たりの字幕放送が二十時間四十四分で、十年が二十三時間四十五分で、十一年が二十八時間二十四分というふうに確かに着実にふえてきている。一日当たりにすると約四時間。四時間テレビをずっと見続けるというのもなかなかないかもしれない。しかし、番組のチョイスは少ないわけですから、そういう意味では、さらにデジタル化によってNHKは、こうしたテレビを見ること自体に不自由な方にとってどういうメリットをこれから先出していけるのか、そういった技術開発やそういったプランを既に検討し始めているか、そこら辺をNHKの方にお聞きをします。
  217. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答えいたします。  NHKとしても、字幕サービスについては、年間計画というか計画を持って漸次増加していこうという考え方でやっております。  字幕化の時間につきましては、ちょっと古いことになりますが、昭和六十年におきましては週三時間というぐらいでございましたけれども、平成十一年度におきましては週二十八時間二十四分ということで、字幕放送を強化しております。  今後も年次計画を進めまして、この時間増に取り組んでいくということにしております。
  218. 中田宏

    ○中田委員 冒頭申し上げたとおり、積極的に進めていくべきだというふうに、私も自分の立場をそう思っていますので、乱暴な議論をするつもりはありませんけれども、しかしこういう問題というのは、すなわち新技術についてはやってみなきゃわからないという部分はいっぱいあるでしょうから、その中でいろいろな問題、今予想されている問題は、きょう一日いろいろな形で出てきましたけれども、やってみなきゃわからない中での問題も出てくると思います。そういう意味では、法律が通ったから終わりということでは当然ないでしょうし、ぜひ、先ほどのコストの問題やあるいは一五%の方々を二〇一〇年どうするんだといったようなことについて、ソフトランディングをしてデジタル化を進めていけるように、今後もぜひ郵政省の皆さんには先回りをして思考をいただきたいと思うし、私たちはそれを後押しすべきだろう、こういうふうに思っています。  関連してほかにお聞きをしようと思いましたが、時間も来ましたし、賛成をするつもりでありますのでこれで終わりにさせていただいて、ぜひ今後とも理事の皆さんには時間をお与えをいただきますように心よりお願いをしまして、素直に終わりにしたいと思います。
  219. 中沢健次

    中沢委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  220. 中沢健次

    中沢委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  221. 中沢健次

    中沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 中沢健次

    中沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  223. 中沢健次

    中沢委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、小坂憲次君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党・市民連合及び無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小坂憲次君。
  224. 小坂憲次

    小坂委員 ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送デジタル化の推進に当たっては、デジタル技術を活用した高度で多彩な放送により視聴者がその成果を享受できるよう配慮すること。  一 地上放送デジタル化の意義、国民生活・経済・社会への影響等をすみやかに国民に明らかにしその周知を図ること。また、国民の要望及び放送事業者意見を十分に踏まえた計画を策定し、その実施に当たっては、視聴者の理解が得られるよう努めること。  一 デジタル化によって促進される放送通信の融合によってもたらされる情報通信産業の新たな展開に対応した行政役割を検討するとともに、デジタル放送時代を見据え、より一層視聴者の利益を増進するための総合的施策及び法体系の在り方を検討すること。  一 地上放送デジタル化によって、地域的、経済的な情報格差が生じないように十分に配意するとともに、高齢者、視聴覚障害者等の社会的弱者の情報アクセスが一層円滑に行われるよう努めること。  一 デジタル化への移行期間において現行アナログ放送視聴に障害が生じた場合、その対策に係る負担視聴者に安易に転嫁しないよう配慮すること。また、視聴者デジタル放送受信に要する設備の変更等の負担を軽減するための諸施策を検討すること。  一 地上放送デジタル化に要する放送事業者の設備投資に対し、これを支援する措置を講じること。  一 放送デジタル化の推進に当たり、放送法の基本理念に基づき、表現の自由等について十分留意すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党・市民連合及び無所属の会の六派共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  225. 中沢健次

    中沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  226. 中沢健次

    中沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、野田郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野田郵政大臣
  227. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 放送法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼申し上げます。  御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  228. 中沢健次

    中沢委員長 次に、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  229. 中沢健次

    中沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に対し、小坂憲次君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党・市民連合及び無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小沢鋭仁君。
  230. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ただいま議題となりました高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 高度テレビジョン放送施設整備事業の実施計画の認定及び通信放送機構が行う債務保証業務の実施にあたっては、公正かつ厳正な審査が行われるよう努めること。  一 地上放送デジタル化に伴う放送事業者の設備投資に対し、一層の支援策を検討するとともに、デジタル化設備投資余力が脆弱な地方放送局に特段の配意を行うこと。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党・市民連合及び無所属の会の六派共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  231. 中沢健次

    中沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  232. 中沢健次

    中沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、野田郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野田郵政大臣
  233. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案を御可決いただき、厚く御礼申し上げます。  御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。(拍手)
  234. 中沢健次

    中沢委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 中沢健次

    中沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  236. 中沢健次

    中沢委員長 次に、内閣提出参議院送付電波法の一部を改正する法律案及び郵便法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。野田郵政大臣。     ―――――――――――――  電波法の一部を改正する法律案  郵便法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  237. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 電波法の一部を改正する法律案郵便法の一部を改正する法律案、以上二件につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  初めに、電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における航空無線通信の多様化に対処するため航空機地球局等について電気通信業務を行うこと以外のことを目的としても開設することができるようにすることとし、あわせて国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則等の改正に伴い海上における遭難通信等に関する規定の整備をするとともに、無線局の増加の状況等にかんがみ電波利用料の金額を引き下げる等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、航空機地球局及び航空地球局について、電気通信業務を行うことを目的とするものに加えて、同業務以外のことを目的としても開設することができるようにするため、その開設目的等に関する規定の整備を行うこととしております。  第二に、新たな海上遭難安全システムへの移行のための国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則等の改正に伴い、モールス信号による遭難通信の聴守を義務づけた規定を廃止する等の措置を講ずることとしております。  第三に、無線局の増加の状況等にかんがみ、一部の無線局の区分について電波利用料の金額を引き下げることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしておりますが、航空機地球局及び航空地球局に関する改正規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  次に、郵便法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便の利便の向上を図るため、郵便に関する料金の納付方法について所要の改正を行おうとするものであります。  その内容は、郵便利用者が郵便に関する料金の納付を他の者に委託して行うことができるようにすることであります。  なお、この法律の施行期日は、平成十二年二月一日といたしております。  以上が、これら二法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  238. 中沢健次

    中沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十九分散会