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1999-03-15 第145回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十五日(月曜日)     午前十時一分開議   出席委員    委員長 中沢 健次君    理事 浅野 勝人君 理事 小坂 憲次君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 小沢 鋭仁君    理事 福留 泰蔵君 理事 西田  猛君       逢沢 一郎君    今村 雅弘君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       大島 理森君    亀井 久興君       北村 直人君    倉成 正和君       河本 三郎君    佐藤  勉君       園田 修光君    田中 和徳君       虎島 和夫君    仲村 正治君       松本  純君   吉田左エ門君       生方 幸夫君    坂上 富男君       肥田美代子君    石垣 一夫君       漆原 良夫君    遠藤 和良君       江崎 鐵磨君    西川太一郎君       矢島 恒夫君    横光 克彦君       中田  宏君  出席国務大臣         郵政大臣    野田 聖子君  出席政府委員         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君  委員外出席者         文部省生涯学習         局主任社会教育         官       梶野 愼一君         自治大臣官房審         議官      石井 隆一君         参考人         (日本放送協会         会長)     海老沢勝二君         参考人         (日本放送協会         専務理事・技師         長)      長谷川豊明君         参考人         (日本放送協会         専務理事)   河野 尚行君         参考人         (日本放送協会         理事)     石渡 和夫君         参考人         (日本放送協会         理事)     酒井 治盛君         参考人         (日本放送協会         理事)     松尾  武君         参考人         (日本放送協会         理事)     芳賀  譲君         参考人         (日本放送協会         総合企画室〔経         営計画局長) 中里  毅君         参考人         (日本放送協会         経理局長)   笠井 鉄夫君         逓信委員会専門         員       平川 日月君 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   竹本 直一君     河本 三郎君   仲村 正治君     北村 直人君  吉田左エ門君     松本  純君   原口 一博君     肥田美代子君   石垣 一夫君     漆原 良夫君   江崎 鐵磨君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     仲村 正治君   河本 三郎君     竹本 直一君   松本  純君     田中 和徳君   肥田美代子君     坂上 富男君   漆原 良夫君     石垣 一夫君   西川太一郎君     江崎 鐵磨君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君    吉田左エ門君   坂上 富男君     原口 一博君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     午前十時一分開議      ————◇—————
  2. 中沢健次

    中沢委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中沢健次

    中沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 中沢健次

    中沢委員長 まず、趣旨説明を聴取いたします。野田郵政大臣。     —————————————  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。  一般勘定事業収支につきましては、事業収入は六千三百五十四億円、事業支出は六千二百五十九億円となっており、事業収支差金九十四億円は、債務償還に使用することとしております。  一般勘定資本収支につきましては、資本収入資本支出とも八百二十一億円となっており、放送設備整備など建設費に六百八十六億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、衛星デジタル放送開始に向けた設備整備及び新しい放送技術研究開発などに積極的に取り組むこととしております。  あわせて、業務全般にわたる改革とその実行に取り組み、一層効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣意見といたしましては、これらの収支予算等につきまして、適当なものと認めた上で、引き続き事業運営の刷新、効率化を徹底するとともに、地上放送を初めすべての放送デジタル化推進等我が国放送の発展のための先導的役割を積極的に果たしていけるよう、事業計画等実施に当たって、特に配意すべき事項を付しております。  具体的には、受信契約締結等促進地上デジタル放送の円滑な導入に向けた研究開発等への取り組み、青少年向け放送番組充実映像国際放送推進等の六項目であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願い申し上げます。
  6. 中沢健次

    中沢委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長海老沢勝二君。
  7. 海老沢勝二

    海老沢参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  平成十一年度の事業運営に当たりましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組提供に努めるとともに、衛星デジタル放送開始に向けた設備整備及び新しい放送技術研究開発などに積極的に取り組むこととし、視聴者要望にこたえ、公共放送としての役割を着実に果たしてまいります。  あわせて、協会の主たる経営財源視聴者負担する受信料であることを深く認識し、業務全般にわたる改革とその実行に取り組み、一層効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、創造性活力にあふれた公共放送を実現してまいります。  平成十一年度の主な事業計画につきまして、御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、緊急報道体制強化のための設備整備を行うとともに、衛星デジタル放送開始に向けた設備ハイビジョン放送設備整備及び放送会館整備などを実施いたします。  次に、事業運営計画について申し上げます。  国内放送におきましては、多様な視聴者要望にこたえて、番組充実を図り、信頼感のある公正で的確なニュース・情報番組及び人々の共感を呼ぶ豊かで潤いのある番組提供に努めるとともに、地域に密着した放送サービス福祉番組などの充実を行ってまいります。  国際放送におきましては、国際間の相互信頼国際交流に貢献するとともに、海外在留日本人に多様な情報を的確に伝えるため、ラジオ国際放送充実及びテレビジョン国際放送の拡充を行ってまいります。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度に対する理解促進を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納に努めてまいります。  調査研究につきましては、新しい放送技術研究開発を行うとともに、放送番組の向上に寄与する調査研究を積極的に推進し、その成果を放送に生かし、また、広く一般に公開いたします。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内に百九十人の純減を行い、総員一万二千六百五十五人とし、給与につきましては、適正な水準を維持してまいります。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支収入総額六千三百五十四億五千万円を計上し、このうち、受信料については、六千二百十億七千万円を予定しております。これは契約総数において五十一万件、衛星契約において七十万件の年度内増加を見込んだものであります。  これに対し、支出は、国内放送費など、総額六千二百五十九億七千万円を計上しております。  事業収支差金九十四億八千万円につきましては、債務償還に使用することとしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百八十六億円、出資一億円、長期借入金の返還などに百三十四億円、総額八百二十一億円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、事業収支差金減価償却資金及び放送債券など、総額八百二十一億円を計上しております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入四億八千万円、支出四億円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金需要及び調達を見込んだものであります。  以上、日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、一層効率的な業務運営を徹底し、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらぬ御協力と御支援お願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  8. 中沢健次

    中沢委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  9. 中沢健次

    中沢委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂憲次君。
  10. 小坂憲次

    小坂委員 おはようございます。自由民主党の小坂憲次でございます。ただいま御説明を賜りました日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、若干質問をさせていただきたいと存じます。郵政大臣並びに海老沢会長におかれましては、きょうは長時間の審議にわたりますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  今日、二十一世紀を目前にいたしまして、放送国際化通信との融合化、あるいはデジタル化による高画質、高機能データ放送、多チャンネル化など、放送を取り巻く環境が大きく変化をしております。私は、放送デジタル化世界趨勢だからこれについていこう、こういうことではなくて、今日日本社会が直面しております高齢化あるいは生活様式多様化、こういった観点に立って、我々視聴者すなわち利用者にとって必ず大きなメリットがある、そういう新しい技術である、こう信じて、これを積極的に早期導入を図るべきだ、こういうふうに考えております。  しかしながら、この際考えなければならないことは、第一にデジタル化必要性とそのメリット、どういうことが視聴者にとってもよくなるのか、こういうことを、視聴者にとって利益になることを十分に説明をして理解を得ることがまず第一であろう。これがしっかり行われないと、円滑な導入ができないのだろうと思うのですね。  そして第二に、デジタル化によって生じる周波数変更に伴う受信者対策、あるいは受信障害などの状況を徹底的に把握をして、まずデータを集めて、そして受信者の物理的なあるいは経済的な負担をどのようにしていくか、これをしっかりと見きわめなければならないし、周到な計画を立てなければならないと思うわけであります。  そして第三に放送事業者負担、とりわけ経営基盤の弱い地方放送事業者に対しまして、発信設備あるいは中継設備などの新たな投資に国として税制面での支援、あるいは公共事業というような枠組みを使っての支援も含めて、デジタル化の円滑な導入に向けての国として、あるいは業界として、あるいは視聴者を含めた全体的な理解とそして協調のもとにこれを推進していくことが肝要であろうと思っております。  これらの観点から、まず海老沢NHK会長にお尋ねいたしたいと思います。まず、この必要性メリット視聴者にとってどのようないい点があるのか、これを御説明いただきたいと存じます。
  11. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今小坂先生から、デジタル趨勢についてお話がありました。放送デジタル化は、言うまでもなく世界の大きな潮流になっております。私どもも、将来はアナログからデジタル時代になるだろうということで、いち早く衛星放送ハイビジョン開発を進めてまいったわけであります。そうした中で、デジタル技術が急速に進歩してまいりました。そういうことで、私どもは、このデジタルメリットとして、多チャンネル化ができる、あるいは私ども開発したハイビジョン高画質、高音質あるいは高機能、いわゆるデータ放送ができる。つまり、高齢者でも操作が簡単にできて、非常に人に優しい放送ができるだろう。そういうことで、このデジタル放送を積極的に国民に還元すべきだろうということで、今その準備をしているわけであります。  ただ、口でデジタルと言ってもなかなか御理解できない、いろいろな番組等で紹介してまいりましたけれども百聞一見にしかずという言葉がありますけれども、やはり実物をお見せし、そしてこういうメリットがあるのだということを手にとってわかってもらう。そういうことで今、いろいろな面でPRをこれからさらに促進していこう、そう考えているところであります。
  12. 小坂憲次

    小坂委員 ありがとうございました。  私も、NHKに、公共放送としての使命というものをしっかり踏まえてお願いをしたい。すなわち、あまねく、よりよい暮らしを守って、そしてよりよい番組提供するという使命。また同時に、デジタル化がこの目標に近づく技術であるならば、それを推進し、そして視聴覚障害者聴覚障害者を中心として、高齢者など生活弱者に対するサービス強化をし、そして国民生命財産を守るという国家的見地からして、ライフラインとしてのNHK使命というものをしっかり踏まえてお願いをいたしたいと思います。  次に、野田郵政大臣にちょっとお伺いいたしたいと思いますが、私は、このデジタル化産業振興の面でも大きなメリットがあると思っているのです。  その内容としては、当然新しい技術ですから、これが国民生活にプラスになるということになりますと、新しい機器開発導入ということが盛んになってまいります。特に、デジタル化という問題が起きますと、放送通信融合というのみならず、デジタル対応家電製品とのインターフェース、相互関連というようなものが出てきて、新たな家電産業というものの活性化にも役立つ。したがって、これを世界に先駆けてその技術を確立することは、世界の市場に日本製品を送り出す大きな弾みになると思うのです。  こういった点も踏まえながら、このデジタル化についての大臣考え方と御決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  13. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 放送デジタル化についての考え方決意なんですけれども、今まさに先生がおっしゃったとおりのことで、多少繰り返しになります。  二十一世紀に向けて我が国は、トータルデジタルネットワークということで、とにかく今、通信放送のみならず、すべてがデジタル言語によって融合していく中で、新たな産業とか機器を生み出していこうということで、それぞれ事業者の皆さんが努力をしていただいているところで、まさに放送デジタル化というのはその重要な一部であり、私たち戦略的課題として積極的に取り組んでいます。  デジタル化メリットは、今海老沢会長からもお話がありましたけれども、もう一度申し上げるとするならば、今まで見られなかったハイビジョン地上放送で見られるようになるとか、データ放送が非常に容易にできるようになるとか、さらには三倍の伝送効率がある、または周波数利用効率も上がる、そういうさまざまなメリットが、アナログにはなかったものがこれからデジタル化によって生まれてくるであろう。  それとあわせて、地方局に関しても、二〇〇〇年にBSデジタルが開始されるわけですけれどもデジタル化ということが引き続きの基幹放送として、より一層地域皆様方にこたえていけるような、そういう技術になっていくだろうということが考えられています。  今、情報家電の話が出ましたけれども、まさに私たち日本の国のお家芸であるわけで、そういう新しいデジタル技術を利用することによって新規産業の基をつくっていただこう、さらに、それに伴う雇用を創出していただけるということで、大変期待をしているところであります。  先ほどの、百聞一見にしかずということなんですけれども、私たちとしますれば、このデジタル放送をやはり多くの視聴者の方に体験していただくことが大事じゃないかということで、御承知のとおり、全国十カ所の共同利用実験とか東京パイロット実験などを通じて、一人でも多くの方にデジタルのよさを知っていただくことがこれから重要だと感じているところでございます。  いずれにしても、視聴者の方、また放送事業者の方、さらには情報家電メーカー方たちが一体となって取り組んでいただくことが望ましいと思っているところでございます。
  14. 小坂憲次

    小坂委員 ありがとうございました。  先ほどの、私が最初に申し上げました二点目、三点目にかかわることなんですが、一つ提案をさせていただきたいのです。  地上デジタル放送送信設備にかかる費用、これはNHK総合教育二波で、基幹局設備が一千億、また中継局関係設備で二千億、合計三千億と見積もられるというふうに聞いております。また、これはチャンネルプランによっても変わってくるだろうということも聞いております。  そういう点で、私見ではありますけれどもデジタルへの移行期に、アナログデジタルの両方で同じ放送をするという、いわゆるサイマル放送の期間をできるだけ短くすること。余り長いと、その間にまたアナログ機材更新をしなければならない等の経費負担が重なってまいりますので、そういうこと。  それからまた、移行期チャンネルプラン上、デジタルに割り当てるために、そこにいるアナログの局を新たなところへ移さなければいけない。ところが、新たなところに移そうとすると、そこにまた電波が干渉してしまうような中継局があると、その中継局電波もまたさらに動かさなければいけない、いわゆる玉突き状電波の再割り当てをしなければいけないというようなことが生じますと、受信者受信対策をさらにまた絡めて多くの経費が必要になってくる、こういうことにもつながってまいります。  そういう点で、私は、アナログ局から次に移したところに電波が干渉し合ってしまうような中継局がある場合、その中継局をいっそ一足飛びにデジタル化してしまう、そしてそこでは、デジタル化をした中継局で、その先の中継局との干渉をなくしてしまう、すなわち、間にサンドイッチのように挟むことによって電波有効利用が可能になると思うのですね。ちょっと技術的な面で理解しにくい面もあるかもしれませんが、そういうことをやることによって、デジタル化した地域受信者に対して、現在の放送デジタル化になっても見られる程度の非常に簡易な、セットトップボックスといいますか、アダプターをつけて受信をしていただく。そのアダプターは、国なりNHKなり、できれば国の施策としてやるべきだと私は思っておりますが、そういう形で受信対策を進めていく。こういうことで効率を図っていくことによって電波有効利用とまたより円滑な導入が図れると思うのですが、この点について、NHKの御見解、また郵政省の御見解を賜りたいと思います。
  15. 長谷川豊明

    長谷川参考人 今先生指摘のとおり、デジタルチャンネルを割り当てるためにアナログ周波数を一部変更しなければいけないという問題が考えられております。俗にアナアナ変換というふうに言っておりますけれども、そういうときに、今先生の言われたように、一気にデジタルに行って、アナログチャンネルに中継しないで一気に行こうという、そのためにその御家庭にセットトップボックスを簡単に配るという方法がいいのではないかというお考えでございます。私どももそれは大変いい考えであるというふうに思っております。  ただ、先生承知のように、デジタルにするには、サイマルをしないで一気にしなければいけませんので、対象とする世帯に一気にまたセットトップボックスを配らなければいけないという問題がございますし、新しくデジタル電波を出すには事前に準備を周到にしなければいけないということがございますので、大規模世帯にそういう変換はちょっと難しいかと思いますが、先生の御指摘中継器など、中小規模世帯については一つ方法というふうに思いまして、私ども参考にさせていただきたいというふうに考えております。
  16. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘の点は、デジタル化促進のために大変重要な点でございます。移行作業移行コストをいかに小さくするか、そういう観点から、先生提案の、御示唆の件も、十分我々は積極的に検討してまいりたいと思います。  今、我が国全国に五千四百三十二本の鉄塔が立っておりまして、これに一万五千の送信局がある。千差万別でございます。したがいまして、アナアナ変換をしなければいけないところ、それから、今申し上げました、先生の御提案セットトップボックスでできるところ、いろいろあろうかと思いますが、固定観念にとらわれず、いろいろな工夫をしてまいりたいと存じております。  以上でございます。
  17. 小坂憲次

    小坂委員 それともう一つ提案申し上げたいことは、デジタル放送局に割り当てる周波数の幅なんでございますけれども、今、三メガヘルツ、六メガヘルツという議論があるのですね。すなわち、単にハイビジョン一つだけ放送するには三メガあれば十分だ、しかし、デジタル放送を交えていろいろなことをやろうと思うと少し幅をとっておいた方がいいだろうという考えから、六メガヘルツという案が出ておるようであります。私は、結論から先に言いますと、六メガヘルツにすべきだ。  すなわち、今回のこのデジタル放送というのはいろいろなことが考えられる。まだ我々のわかっていない新しいアイデアが生まれてくる可能性のある技術だと思うのですね。ですから、少し余裕を持って、遊び心を持ってそれに対処できるような、そういう部分をつくっておく方がいいと思うのです。ぎりぎりのところで、現状の問題だけを解消するような解決策よりも、新たな技術の入る余地を残しておきたい、そういう意味で、少し余裕を持たせて、認可された事業者がいろいろな実験をその中でやりながら、将来の新しいサービスが次から次へと生まれてくるような、そういう当初の割り当てというものを考慮していただきたいと思っております。  時間も迫ってまいりましたので、まだいろいろ申し上げたいことはありますが、最後一つだけ。  受信料の問題が、今回受信料免除について、これも予算の中に入っておりますが、こういう例があったのですね。私の友人でございますけれどもNHKの料金徴収人が来た。これは多分、委託徴収人だと思いますけれども、この人が、塗りかえたばかりの玄関の横の壁に受信ラベルを張っていった。自分としてはそこに張りたくなかったので非常に困ったということで、せっかく塗ったばかりなのに困るじゃないかと文句を言った、これじゃ、また塗りかえなければならないよということを言ったら、次の月から受信料が安くなったというのですね。なぜ安くなったのだと聞いたら、どうも衛星受信料が抜けているように思う、こういう話がありました。  これは本当にあったらちょっと問題だと思うのですが、実際、こういうこともなきにしもあらずかなと思って、申し上げたいことは、徴収に行ったときに、受信者から苦情を言われたような場合に、それをしっかりと受けとめるNHKとしての体制を整備しておいて、それを徴収人に徹底しておいた方がいいのではないか。そうでないと、個人的な判断で動いてしまうようなケースが生じかねない。実際に私はこれを確認しませんでした。あり得る話だなと思っている程度で申し上げておきますが、そういうことで、そういうことのないように、ひとつ、徴収体制の整備についても御配慮をいただきたい。これは要望として申し上げておきます。  以上であります。どうもありがとうございました。
  18. 中沢健次

    中沢委員長 山口俊一君。
  19. 山口俊一

    ○山口(俊)委員 自由民主党の山口俊一でございます。  引き続いて質問をさせていただきます。  まず、予算云々についてであります。今回、いろいろお話を聞いていますと、要員減等々、これから恐らく事業量というのは大変ふえていく中で、本当に御苦労なさっておられるな、大臣のこのたびの意見でも珍しく、「適当」であるというふうなお話でございました。どうかそうした方向で、今後とも頑張っていただきたい。  聞きますと、民放と比べても、相当皆さん方、給料も安いというふうに聞いておりますが、どうか使命感を持って大いに頑張っていただきたいと思っております。  ところで、デジタルの話なんですが、先ほど小坂委員の方からもお話がございました。私も全く同感であります。  ただ、若干視点を変えてお伺いをいたしたいのは、御案内のとおり、二〇〇〇年、もう来年ですね、来年末からいよいよBSデジタルが始まるわけであります。まさにデジタルの幕あけの年を迎えるわけです。  ただ、いかんせん、どうもいろいろな世論調査等々を見ておりましても、デジタルによって、多チャンネル化される、少しはきれいな画面が見れるのかなというふうな理解しかないのではないか、今のところ。これでは、ちゃんとデジタル化というのが進んでいくのかどうか、大変疑問に思います。やはり先ほど来のお話のように、視聴者の皆さん方の御負担も若干ふえる、あるいはまた、結局郵政省あるいは公的な援助をするにしても、もとはこれは税金ですね、そうしたことで、なかなか御理解が得られない。そのためにも、実は是が非とも、来年から始まるBSデジタルにおいてまさに先導的役割を担っておられる、あるいはフロントランナーというかペースメーカーというか、NHKとしては、どのような、いわゆるデジタル放送BSデジタル考えておられるのか。これは多チャンネルとか高精細度、いろいろあります。ただ、やはりデータ放送といかにうまく組み合わせてやるかということが実は一番大事な点じゃないかなというふうな気がいたしておるわけでありますが、そこら辺についてまずお伺いいたしたいと思います。
  20. 海老沢勝二

    海老沢参考人 やはりデジタル放送の大きなメリットは、私ども開発しましたハイビジョンデータ放送をうまく組み合わせる、つまり、私は、デジタルの大きなメリットは、ハイビジョンデータ放送が車の両輪としてうまく作用することだろうと思っております。  そのためにはやはり、先ほど申し上げましたけれども、簡単に操作ができること、そして受像機なりアダプターというものが安く手に入る、この二つの要素がかみ合いませんと普及はなかなかおぼつかないだろうと思っております。そういう面で、私ども技術研究所におきましても技術開発をさらに進めております。そして、操作がしやすい、そして受像機が安くなる、この二つを目標に今研究開発を進めると同時に、またメーカーにもいろいろな面で働きかけをしておるわけであります。  それと同時に、問題はやはりソフト、内容であります。デジタルになってこれまでと同じような番組では意味がありません。そういう面で、国民生活に役立ち、そしてより便利になり、そしてそれが文化の向上、福祉の向上につながるようなものにならなきゃ意味がないだろうということで、今あらゆる面で質の向上、新しい番組開発をいろいろ勉強している最中でございます。
  21. 山口俊一

    ○山口(俊)委員 ありがとうございました。  今かなり総論的なお答えをいただいたわけでありますが、やはり今回始まるBSデジタル、これが本当に魅力のあるものでないと、視聴者の皆さん方は御負担をこれ以上するということに恐らく首を縦には振っていただけないでしょうし、こんなものかというのでは私は本当に困ると思うんです。そういった意味で、是が非ともすばらしい番組をおつくりいただきたいと思っております。  それと、予算を拝見しますと、BSデジタルのための設備投資については若干予算としては見えておるわけでありますが、実は、御承知のとおり、地上波のデジタルももういよいよ目の前に来ておるわけでありまして、これについての予算措置がよく見えないというふうな感じがいたします。  そして一方では、御承知のとおり、昨年末に郵政省として、チャンネルプランを含めてこれからのデジタル化へ向けての大まかなスケジュールというのが出ました。二〇〇三年、二〇〇六年、二〇一〇年、いろいろ出ました。そうしたことを受けて、NHKさんとしては地上波デジタルについてどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  22. 海老沢勝二

    海老沢参考人 衛星放送につきましては、割合に設備投資はそれほど大きくかからない、つまり、一九九九年、平成十一年度と十二年度で百億の予算を見込んでおります。今のところ百億前後の資金設備が完了すると見ております。これは設備だけであります。  地上デジタルの方につきましては、先ほどお話がありましたように、各家庭に電波を送り届ける、映像、音声を送るためのいわゆる送信設備、あるいは、ネットワーク化すると言っていますけれども、これに、全世帯をカバーするためには三千億かかるという試算をしております。そして、三大都市圏ほか各県庁所在地、ここだけでありますと、日本全体の七〇%をカバーするわけでありますけれども、こういう平野部では一千億の資金で賄えると思います。  ただ、問題は、やはり日本は山国でありますので、全体をカバーするとそのほかに二千億かかるということであります。これも、今の設備を四割ほど使う、六割の設備のためにそれだけかかるというふうに見ております。  ですから、我々はできるだけNHK財源の中で、我々放送事業者が基本的には自分で賄うというのがこれは基本だろうかと思っております。ただ、この二千億の資金というものはやはり相当のものでありますので、これを一遍にデジタル化するためにはやはり相当資金計画を見直さないと難しいというのが現状であろうと思っております。  そのほかに、番組の制作のためにあと千五百億、それから各地方放送局から放送を出すための送出設備、これに五百億、合わせて二千億の金がかかりますけれども、これは今の設備を更新していく、いわゆる老朽更新という形でこれまでも千五百億ほど使ってまいりましたけれども、あと千五百億プラス五百億、二千億は我々の今の資金計画の中で達成できるだろうと見ております。
  23. 山口俊一

    ○山口(俊)委員 よくわかりました。是が非とも円滑な導入に向けて御努力をお願いいたしたいと思います。  同時に、デジタル化をされてきますと、一つの側面として多チャンネルというのが出てきますね。そうなりますと、やはりコンテンツ、良質な放送をいかに提供するかというふうなことが問題になってこようかと思います。  しかしながら、先般の例の臓器移植に絡む報道を見ても、どうも悪貨が良貨を駆逐する側面もなきにしもあらずかなというふうな心配も実はいたしますし、先般のダイオキシンの報道に関しても、ある意味で、きちっとした裏づけのない、きちっとした調査のないがままにずさんな放送をしてしまったというふうなことも実はあるわけであります。そうしたいろいろなことを受けて実は先般も当委員会で関係者に来ていただいて御議論があったわけでありますし、ある意味で放送法の見直しもやれというふうな声もあちこちから聞こえます。しかしながら、やはり表現の自由というか報道の自由、放送法というのは本来それをいかに守っていくかというふうなところに基本的な考え方があるんではないかと実は考えておるわけでありますので、そこら辺非常に難しい問題になってこようかと思います。  ただ、私は、以前から思っておりますのが、実は、何か問題があるたびに、例えば郵政省がこの放送についてどうだというときには、結局放送したことを文章で書きおろしてくるんですね、アナウンサーなりレポーターなりが言ったことを。しかし、新聞メディアと放送メディアが全く違うというのは、実は、放送というのは音声だけじゃない、いろいろな、モンタージュを使ったり画像を使ったりあるいはBGMを使ったりしてトータルとしてメッセージを出すわけなんです。ですから、ちょっとおかしいなという放送があったときに文章を見ただけでは何にもわからないというふうなことがあるわけで、ですからビデオ提供をしてくれというふうな要求をしてみたりやっておるわけでありますが、なかなかこれが出てこない。  これが出てこないんであれば、では、どういう意図でその番組が制作をされたのか、実はこれはシナリオとか脚本、これを見ると非常によくわかる。ビデオを出さないんであればせめてそうしたものぐらいは出していただいてもいいんではないかなというふうな感じがするわけであります。恐らくそこには、ここでどうした画面を入れるとか、カメラをどこへ振るとか、そうしたものを見ますと恐らくその意図というのがわかってくるような気がするわけであります。  そこら辺について郵政省がどうお考えなのか、同時に、NHKさんとしてもそうした問題に対してどうお考えになるのか、一般論で結構でありますので、お答えをいただきたい。  それともう一点、これもNHKさんにお伺いをしたいわけでありますが、昨年の十二月に青少年と放送に関する調査研究会の報告がございました。これを踏まえて、現在、放送時間帯をどうするか、あるいはレーティングの問題についていろいろと御相談をいただいておるというふうに聞いておりますので、その検討状況についてもお伺いをいたしたいと思います。
  24. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  放送番組をめぐる視聴者との関係も、あくまで放送された番組そのものについて、例えば視聴者が訂正放送を申し入れるということでございます。  今の制度を見ますと、例えば視聴者が訂正放送を申し入れるについて、番組が見られるようにということで保存義務が課せられておりますけれども、その場合でも、政令で保存義務が課せられておりますのは録音または録画ということでございます。したがいまして、その余の情報提供ということについてはやはり放送事業者の判断にゆだねざるを得ないんではないかというふうに、現行法の解釈あるいは運用、あるいは放送法考え方をしますと、そのように考えるのが適当ではないかというふうに存じております。
  25. 河野尚行

    ○河野参考人 お答えします。  視聴者から寄せられますさまざまな苦情につきましては、NHKとしましては、その都度誠実に御説明をしているところでございますけれども、今御指摘の脚本や台本といったものは、放送そのものと違いまして、放送番組の制作過程で使うものでございまして、実際にはそれを一部変更したりしているものですから、著作者それから情報提供者との関係で外に出すというのはなかなか難しいというふうに思っております。  それから、VTRテープ等につきましては、基本的、原則的には放送目的以外には使用しないということになっておりまして、複製して外に出すということは難しいと今後も思っておりますけれども、しかし、NHKも最近、公開と参加ということを言っておりまして、その放送によって個人が著しく人権を侵害されたとか、それから放送に重要な誤りがあるというふうに御指摘されて、これまでの方法でなかなか御説明がつかない場合においては、NHK放送センターに来ていただけるならば、職員立ち会いのもとで放送指摘された部分を見ていただいて御納得いただくことも考えておりまして、その対応への道は開いております。  それから、もう一つの御質問でございまして、青少年の放送に関する専門家会合についてでございますが、この青少年の問題については、私ども会長もたびたび申し上げましたけれどもNHKとしましては、まず第一には、青少年に悪影響を与えるような番組は制作もしないし放送もしない、むしろ青少年の健全な発育に役立つような、そういう番組を積極的につくろうということで、平成十一年度の編成においても重点に置いておるのですけれども、今御指摘の専門家会合は、民間連盟、郵政省NHKと共同で開催しておりまして、この六月にまとめをするということで、いろいろと話し合いをただいま進行中だというふうに聞いております。
  26. 山口俊一

    ○山口(俊)委員 郵政省、若干後ろ向きでありますが、いずれにしても、これからの方向としては、やはり多チャンネル化、まさに放送あるいは紙のメディアも含めたビッグバンの様相を呈してくると思うのです。  そうした中で、放送法がどうあるべきか、あるいはそれをどういうふうに解釈をするべきか。今の放送法、今の郵政省のやり方というのは、文章に書きおろしたものを見てどうのこうのと鉛筆をなめてやっても、全く意味がないと思いますので、そこら辺も含めてこれから御検討をお願いいたしたいと思います。  ほかに関連団体等の御質問もいたしたかったわけでありますが、これから本当に、NHKさんも法律で縛られてできないこと以外の部分を、相当関連団体等にやっていただいておるわけでありますので、それこそいろいろな団体を使ってあらゆるメディアを牛耳ってしまうのではないかというふうな一部の心配もあるようでありますが、そこら辺も情報開示等々を進めながら慎重にやっていただきたい。同時に、だけれども、やれる範囲のことは一生懸命やっていただきたいと思っておりますので、今後の御努力に期待をして、質問を終わらせていただきます。
  27. 中沢健次

    中沢委員長 浅野勝人君。
  28. 浅野勝人

    ○浅野委員 先日、テレビ朝日のダイオキシン報道に関連して、民放連の代表に見解をただしましたので、NHK会長に同じ質問をいたします。  一つは、映像の倫理規範を設けることについてです。例の放送で、ホウレンソウをふんだんに見せておいて、実は伝えたかったのは別のものでしたと言われても、何かだまされたような気がいたします。映像に対する責任の重さを絶えず認識しておくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。  それからもう一つは、訂正放送のあり方についてですが、放送法四条は「相当の方法で、」実施することになっています。「相当の方法」とは何ぞやということですね。かなりの量の間違いについて、翌日一言不適切であったで済むのかどうか。放送法四条はこのままでいいとお考えですか。
  29. 海老沢勝二

    海老沢参考人 NHK公共放送というものは国民の信頼によって成り立っているわけであります。そういう面で、我々、ニュース報道に当たっては、やはり事実を正確に伝える、客観報道に徹する、これが基本であります。そういう面で、映像の使い方につきましても、やはりそれにふさわしい映像をやるのが原則であって、その映像とコメントが非常にかけ離れた、誤解を与えるような編集をやってはならないと思っております。そういう面で、やはりジャーナリストとしての使命感なり、あるいはジャーナリストとしての誇りを持って、やはりきちっとした正確な報道をやるのが我々の使命だろうと思っております。  それから、訂正放送につきましては、やはりこれはそれを聞いた方が納得しなければ意味がありませんので、そういう面で、私どももできるだけ訂正放送をするような放送をしないようにというのが大原則であります。これまで三度ほどそういう訂正をやったわけでありますけれども、できるだけ放送をしないということで頑張るつもりでおります。  具体的には、放送局長から答弁させていただきます。
  30. 河野尚行

    ○河野参考人 テレビニュースの場合の映像の使い方でございますが、浅野委員が既に十分御承知のとおり、テレビのニュースの場合は、言葉による表現以上に映像が極めてインパクトを持つことがございます。それで、NHKとしましては、番組基準ハンドブックとかNHK放送ガイドラインというのを最近非常に充実させまして、映像の取材、撮影、編集に当たりましては、表現の自由、国民の知る権利を追求する立場から、モラルと節度を守ること、誇張した表現を避けること、仮に過去のフィルム、VTR等を使う、コメントバックと称してこれまで使ってきたことが多かったのですが、そういうことは避けるにこしたことはないのですが、使う場合にも、必ず資料映像というふうにそこに表記したり、場合によっては撮影日もそこに入れるということで、映像の表現においても正確さを期する努力をしております。
  31. 浅野勝人

    ○浅野委員 どうもありがとうございます。  デジタル時代放送界は、技術革新の急速な進展に伴い、放送通信融合など大きな転換点を迎えます。来年の暮れからですか、BSのデジタル放送が始まりますと、衛星放送は一段と普及することになるものと予測されます。  全国一律の情報の伝達に強いBSと、地元の話題や生活情報を伝える地域放送を含めて、総合的なサービスをしてきた地上波放送との位置づけについて、どうあるべきだとNHKはお考えですか。
  32. 海老沢勝二

    海老沢参考人 浅野委員承知のように、BSは空からの電波でありますので全国一律に降ってくるということであります。私どもは、そういう面で、やはり地域放送を重視する立場から、地上放送地域放送の核になるだろうと見ております。そういうことで、地上デジタル放送になれば、ある面では地域放送の大幅な拡充強化が実現できるだろうと思っております。そういう中で、私ども、十一年度にもさらに地域放送の時間の延長、拡充を図るつもりでおります。  同時にまた、地方からは、地域情報のほかに地域全国といいますか、地域から全国に発信してもらいたい、それが全世界に伝わる、そういう要望も一部出ておりますので、地域全国放送世界放送ということにも今拡大を図っているところであります。  そういう中で、衛星放送も最近は、地方のいろいろな話題物あるいは生活の実態なりあるいはいろいろな産業が興っている、そういう番組もかなり全国放送で流しております。お気づきと思いますけれども、最近衛星放送で「おーい、ニッポン・○○県」、この前富山県、高知県、秋田県と三つやりました。これは四十七都道府県、丸ごと、一日十数時間生放送でやっております。それもやはり、全国にそれぞれの県の出身の方がおりますので、非常にいい反響をいただいております。  そういう面で、衛星は全国放送、地上波は地域放送という役割はこれから一層強くなると思いますけれども、ただ、やはりこれもバランスの問題がありますから、そういう面でバランスをとりながら視聴者のニーズにこたえていきたいというのが基本原則であります。
  33. 浅野勝人

    ○浅野委員 国際放送の十一年度予算案ですが、ラジオは九十九億円余りで、政府からの交付金十九億七千万円が含まれております。テレビは三十二億円で、すべて受信料で賄われて、英語と日本語の二カ国語放送を中心に一日十八時間、十月から二十四時間、ほぼ全世界に向かって放送していると聞いております。  CNNが世界を凌駕しているのは、自分たちの言葉の英語で制作したものをそのまま世界じゅうに流せばいいわけですから、これは簡単なんですね。NHKの「ワールドTV」のハンディは、すべて英語に翻訳してから放送しなければなりません。これにはすごいエネルギーが要ります。将来、技術が進んで、ビームを絞れば中国大陸には中国語で、中東にはアラビア語で放送ができるというようなことになりますと、翻訳のコストと労力ははかり知れません。  政府は、NHKのテレビ国際放送に翻訳料を助成するお考えはございませんか。
  34. 品川萬里

    品川政府委員 事実関係だけ申し上げたいと思います。  先生の御指摘のとおりでございまして、今まで政府としてどのようなことをしてきたかということでございますけれども、財団法人放送番組国際交流センターがございまして、これにつきましては、平成三年より活動しているわけでございますが、平成十年までの間に約八億円の補助金を交付してございます。それによりまして、延べ二千本の番組が配られているということでございます。  ただ、この場合に、何語に翻訳しているかというと英語とスペイン語だけでございまして、先生おっしゃるように多角的な言語になっておりませんので、今後の検討課題ではないかなというふうに考えております。
  35. 浅野勝人

    ○浅野委員 終わります。
  36. 中沢健次

    中沢委員長 逢沢一郎君。
  37. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 自由民主党の逢沢でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  私は、ちょっと別の角度からNHKに質問を申し上げる、またお願いをいたしたいわけであります。  考えてみますと、およそ映像というものがこの世の中に登場して百数十年になるんでしょうか、その映像を通じて、人間というのは随分多くの知識を吸収してきたと思うのですね。また、さまざまな想像力もかき立てられてきた、そのことは間違いありません。  これは想像でありますけれども、写真というものが世の中に登場したとき、恐らく人間というのは相当なショックを受けたんだろうと思うのですけれども、音声、画像が目の前にあらわれたときのその衝撃、ショックというのは、写真のそれとは比べ物にならないほど、恐らく大きなものがあったんだろうというふうに思います。まさに、映像を通じて地球や世界が見えてきた、そう言っても過言ではありません。  そして、戦後大衆社会の中にあって、テレビがまさに各家庭に普及をしてきた。テレビを通じて、テレビを見ることによって人間は成長もしてきたと思いますし、また結果において、政治や社会に大変大きな影響を与えてきたということも事実なんだろうというふうに思うんです。  そういう映像の歴史をずっと展望したとき、この際NHKにぜひ思い切って頑張ってもらいたいと思うのは、特に映像が登場してからの、つまりこの百数十年の歴史というのは、人類の長い歴史にとってとりわけ大きな百年、二十世紀だったんだろうと思うのですね。したがって、本格的にこの二十世紀、この百年というものを検証して、二十一世紀にどう展望を開いていくか、そういう本格的な番組にぜひ積極的に取り組んでいただきたい。これだけの優秀な人材を持ち、またこれだけの、まさに今予算の審議をいたしているわけでありますけれども、予算があるわけでありますので、世界がびっくりするような、あっと言うような、特集番組とでもいうのでしょうか、そういうものにぜひ挑戦をいただきたい。  二十世紀というのは、とにかく人間が空も飛ぶようになったし月にも行けるようになりました。また、十九世紀までの戦争というのは、兵隊さんと兵隊さんが戦場に行ってチャンバラをしていたわけでありますけれども、とにかく一般大衆市民を巻き込むような、そういう新しい状況にもなったわけであります。また、通信ネットワークや衛星を通じれば、世界じゅうどこにいても瞬時に情報が手に入るようになった。そんな二十世紀に人間は何をやってきたのか、それを検証して、だからこそ新しい二十一世紀というのは人間は何をすべきなのか、積極果敢に、結論が出る問題ばかりでないと思います。思い切った問題提起をぜひしていただきたい。そして、そういう番組を見ることを通じて国民が、人間というのは一体何なんだ、我々人間というのは何なんだ、その人間の本質をみずから深めていくような、そういう機会をぜひNHKによってつくっていただきたい。  ちょっと大きな命題をお与えするような気持ちもいたすわけでありますが、その二十世紀をいよいよ終えようとしている、そして新しい世紀をこれから間もなく迎えるわけでありますから、それだけの大きな展望の中で構想を持っていただきたい。  もう既に、世紀末に際してあるいは来世紀を目前にして、いろいろな企画やそういうものがあるんでしょう。あるいは、まさに考え中のものもあるかもしれません。そういうものをぜひここで紹介をいただきたいというふうに思います。あるいは、こういう考え方でやりたい、その方向もぜひお示しをいただきたいというふうに思います。
  38. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今先生が御指摘のように、二十世紀はまさに映像の世紀であります。そういうことで、私ども数年前に、世界のあらゆる機関から、映像の重みというものを感じ取って、そして二十世紀の映像ということで長時間にわたる番組を制作し、そして非常に反響を呼びました。  そういう経験を踏まえて、ことしの一月から来年の十一月までにかけて四十三回のシリーズで、「世紀を越えて」というタイトルで、食糧の問題、人口、環境あるいは資源、エネルギー、少子高齢化問題、我々が今抱えている人類の課題についてあらゆる角度から、日本だけでなくて世界各地に取材をして、今番組を制作しております。我々は、この一、二年、これにかなりの力を入れたいと思っております。古きをたずねて新しきを知るという言葉がありますけれども、やはり二十世紀を振り返り、また将来を考え一つの材料を国民提供していきたいと思っております。  ただそれをやるだけでなくて、そういう番組を踏まえながら、またこれに対するいろいろな識者の意見なりあるいは国民意見を聞くような番組もつくり、そしてともに人類の将来を考えるような番組をさらに追加していきたいと今思っておるところであります。  そのほか、今衛星放送では、あなたが選ぶ二十世紀世界の十大ニュースという募集をしながら、また、二十世紀を振り返る番組を今制作しております。  そういうことで、二〇〇〇年、二十一世紀という新しい時代を迎えるわけでありまして、そういう節目の時代に当たって、我々は視聴者の立場に立っていろいろな番組を制作することを考えております。また、いろいろ国民から御意見がありますれば、そういうものを参考にしながらつくっていきたいと思っております。
  39. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 「世紀を越えて」ということで、長期間にわたっていい番組をつくっていこう、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思うんです。  そこで、さらに、そういうそれだけの総力を結集して企画をし制作をするものが、これはもう我々日本人だけが見るんじゃある意味ではもったいないんだろうというふうに思うんですね。また逆に言えば、そんなにいいソフトがあるんならぜひうちでも放送したいと世界じゅうの放送局から引き合いが来るような、そういうものにぜひしていただきたいというふうに思うんです。  時々耳にする話でありますけれども、例の「おしん」というのがありましたね。「おしん」というのが随分人気なんです。中国でも何億人が見ただとか、アジアの方でも大変な人気だったとか、そればかりじゃなくて、欧米でも人気があったというような話は時々耳にいたしますけれども、その話は有名で結構なんでありますけれども、それ以外に、本当にNHKさんが力を入れて企画をしてつくられたソフトが、どのくらい世界放送局から買ってもらっているのか。NHKを見ていますと、BBC制作の、あるいはアンテヌ2がつくった、あるいはイギリスとフランスのテレビ局が共同してつくったようなものが時々流れておりますけれども、輸出の方というか、逆に出ている方は果たしてどのくらいの成績になっているのか、また、そのことを意図して企画してというところに力を入れていらっしゃるのかどうかわかりませんけれども、どんな認識をその部門で持っていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  40. 海老沢勝二

    海老沢参考人 NHKのソフトの海外販売でありますけれども、私どものPRがちょっと不足して国民にまだ十分理解されていませんが、こういう機会に私から説明させてもらいますと、私ども今、NHKインターナショナルという財団法人を持っております。ここを通じて、今開発途上国、特にアジアを中心に日本を紹介する番組なりあるいは教育関係の番組を、例えば平成九年度につきましては三千百本ほど各国に提供しております。四十カ国から五十カ国に上っております。  これは、外務省の文化無償協力、それから国際交流基金のお金、それに放送番組国際交流センター、この三つの機関からの助成によって、NHK番組を翻訳して、NHKインターナショナルが各国の放送機関あるいは学校等に無償で配布しておるというものでございます。  そのほか、商業ベースでは、やはりNHKの関連会社を通じて、これも世界各国に販売しております。これも平成九年度ベースで、私の記憶では四千六百六十一本、百九十一タイトルでやっております。これは、主にやはりアジアが多くて、台湾を中心にアジアで大体六〇%、そのほか四〇%ということであります。特にこれも、アニメとかあるいは朝の連続テレビ小説の「ふたりっ子」とか、こういうのも出ておりますけれども、やはりNHKのソフトといいますのは、NHKスペシャルの「海」とかあるいは「人体」とか、こういう番組もありますし、そのほか、「地球大紀行」とか、そういう自然物の番組がかなり出ております。  そういう面で、アジアの国はやはりなかなか資金がないということで、商業ベースでは四千六百本で大体五億の売り上げでございます。私どもが海外から購入しているニュース、スポーツの放送権料を除くいわゆるドラマとかドキュメンタリーは、今二千本程度購入しておりますが、これが五十億です。そういう面では、輸入超過といいますか、我々の販売が購入に比べて十分の一というふうに減りますけれども、これはやはり、欧米、アメリカ、ヨーロッパになかなか日本のソフトがなじまない、国民性もあるでしょうし、そういう面で私どもは、アジア、開発途上国にそういう教育関係のものを中心に販売しているというのが現状であります。  そういう面で、先ほど先生が言われましたように、「世紀を越えて」とかあるいは正月に放送しましたNHKスペシャル、資本主義の行方とか、そういうものについても我々はもっとPRして、海外にさらに販路を広げていきたい、そう思っております。
  41. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 詳しくお答えをいただいたわけでありますが、やはり相対的に見て、日本発の情報発信というのはまだまだ足らない、努力をしなきゃいけないんだろうと思うんです。無償で提供する積極性も必要でありましょう。ただ、本当にいいものなら、やはりお金を出して買ってでも欲しいよということになるんだろうと思います。ぜひ不断の努力をよろしくお願いをいたしたいと思います。  さて、最後の質問に移らせていただきますが、十一年度の事業計画を拝見いたしますと、教育テレビの充実というのを挙げておられるわけであります。  伺いますと、教育テレビが始まりまして四十周年をお迎えになる、こういうことで、そういえば私が今四十四歳でありますから、大体同じぐらいの歴史なのかな、そういえば子供のころから随分三チャンネルになじんできたな、そんなふうに思いますけれども、この教育テレビの充実、幾つかの大きな柱がおありになるんだろうと思うんです。  学級崩壊に教師や地域やあるいはPTAでどう対応していくのか、あるいは理科の分野なんかにも非常に力を入れられるというふうにちょっと耳にいたしておりますけれども、どういう方向で教育テレビの充実考えていらっしゃるのか、的確にお示しをいただきたいというふうに思います。
  42. 海老沢勝二

    海老沢参考人 教育テレビが四十周年を迎えて、私どもやはり教育テレビの重要性、必要性というものを今改めて痛感しております。  そういう中で、十一年度は、これまでより三時間ふやして二十一時間放送いたしましょうということにしております。つまり、朝は高齢者を対象にして午前五時から放送を始めて、深夜は二時まで放送する。深夜帯は寝る時間だという説もありますけれども、この深夜帯に学校放送のいい番組をまとめて放送して先生方に見てもらう、また、先生方がビデオに撮ってそれを後でまた見てもらって教材にしてもらう、そういう意味で時間をふやしたわけであります。  そういう中で、教育テレビというのはいろいろなジャンルがあります。ですから、大きく分けて「おかあさんといっしょ」を中心とした幼児、若いお母さん向け、あるいは学校放送あるいは小学校、中学生を対象とした夕方五時、六時台の時間帯、あるいは高齢者向けの八時、九時台、あるいは障害を持った方へのサービス、非常に多岐にわたっております。  そういう面で、私どもは、今一波だけでは全部賄い切れないというのが現状だろうと思っております。そういう面で、地上デジタルになれば、教育関係のチャンネルでも三つぐらいやってもいいんじゃないかと思うと、こういう教育、福祉関係の時間というものはさらに必要だろうと私は思っております。  そういう面で、いずれにしても、いろいろなニーズがありますので、最近、教育テレビの見直し、それによる視聴者の反響もかなり出てきておりますので、今後ともそういう教育テレビの番組の内容の充実に我々は一層努力していきたいと思っております。
  43. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  44. 中沢健次

    中沢委員長 今村雅弘君。
  45. 今村雅弘

    ○今村委員 自由民主党の今村雅弘でございます。  本日は、貴重な質問の時間をいただきまして、どうもありがとうございます。  きょうは、NHKの予算の関連ということでございます。  NHKは、言うまでもなく、まさに視聴者皆様方からお金をいただいて経営が成り立っているということでございまして、私ももちろん払っておりますが、きょうはそういう意味で、一議員として、そしてまた一視聴者に成りかわって、いろいろお聞きしたい。そういう意味では、視聴者の皆様はNHKにとっては株主じゃないかなと思いますので、ひとつ皆さんも、てきぱきと明快にぜひお答えいただきたいというふうにまずお願いいたします。  まず、先ほど来いろいろお話がございますが、デジタル化ということが今非常に言われているわけでございます。これはもういろいろな電気器具にデジタル化が進んでおるといいますが、しかし、そもそもこのデジタル化というのは一体何なのか。このデジタル化そのものについて、まずわかりやすく教えていただきたい。  そしてまた、もう一つは、このデジタル化によって放送はどういうふうなメリットがあるのか。これは、視聴者サイドから見たメリット、あるいはまた、もう一つは、放送者といいますか制作者といいますか、そちらの方から見たメリットということで、前段のデジタル化ということについては、多少これは技術的な話になるかもしれませんので、技術に強そうな放送行政局長の方にお願いいたしたいと思います。
  46. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  デジタル化とは、理論家に言わせますと、すべての情報は二値論理であらわせるというのが原理だそうでございます。すなわち、一かゼロかですべての情報をあらわせる、デジタル化とは一言で言えばそういうこと。  しからば、通信放送世界でどういう効果があるかと申しますと、一つは、大変大きな省エネ効果がございます。例えば、アナログ放送で同じ範囲を届けるのに、十分の一とか五十分の一のパワーで済むということ。それから、大変雑音に強くて、何万キロ送っても同じ情報に復元することができる。それから、映像、音声、データ等を統合して送ることができるということがございます。それから、同じ情報を送るのに、アナログよりも非常に少ない周波数利用で済む。それから、情報の検索、加工、編集が非常に容易であるということでございます。  しからば、これを放送に活用したらどうかということでございます。  一つは、いわば受像機をコンピューターつきテレビにできるわけでございますので、番組の蓄積それから検索が非常に便利になる。ゴールデンアワーにいなくても、ゴールデンアワーの放送を好きな時間に見られるということでございます。それから、列車の中でもきれいな画像が見られるということでございます。それから、インターネットと組み合わせまして、視聴者参加型の放送も可能になってくる。それから、先ほど会長あるいは大臣からお話ございましたように、高齢者、障害者に非常に優しい、例えば話速変換効果でございますとか、あるいは字幕放送が簡単につくれるとか、あるいは、点字の装置さえつければ、例えば点字放送というものも可能になる、そういう可能性を秘めたものでございます。何よりもまた、ハイビジョンが、今のままですと地上放送で見られませんけれどもハイビジョン地上放送で見られる。こういった効果が放送の中で実現されるということでございます。  一言で申し上げますと、デジタル技術というのは、効率性、安定性、信頼性、拡張性に富んだ技術ではなかろうか。既に世の中、このデジタルの配当を、交通制御の面でもあるいは新聞制作の面でも視聴者、我々にこのメリットが還元されております。放送世界でも、ぜひデジタルの配当、効用がもたらされるようにと考えておる次第でございます。
  47. 今村雅弘

    ○今村委員 何となくわかったようでございますが、NHKののど自慢でいうと、二つ鐘ぐらいじゃないかなという感じがしております。次の質問はぜひ三つ鐘を目指して頑張っていただきたいということでございます。  そういうことで、それでは、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、これはやはり非常に大きな投資を伴う。これは放送者サイドでもそうでありますし、今度はまた受信者の方でも、いろいろ、受信機の交換でありますとか、そういった面でも負担を与える。そういったものを今後どういうふうに展開するのか。  展開するのかというのは、やはりできるだけ安くつくらなきゃいけない。そしてまた、非常にこれは高度なインフラでありますから、恐らくNHKだけではなくて民間放送事業者の方もやはりそういったことに進出する。そうした場合に、先ほど言われましたように、多チャンネルというようなこともいろいろできるようでありますから、このインフラをある意味では共同で利用する、あるいは共同で所有する、そういったことが今後考えられるのかどうか。  例えば、私は鉄道の出身でございますが、私鉄、地下鉄の相互乗り入れはやっておりますし、これから先は新幹線と在来線を行き来できるフリーゲージトレーンといったものも今後開発されようとしているということでございますので、そういったインフラの問題をどうするのか。  そしてまた、将来的に、例えばこのインフラの所有者、提供者と、番組をつくるサイドと機能分化をしてやっていったらどうかということも私は考えておるのでございますが、そういった点について御意見を伺いたいと思います。
  48. 海老沢勝二

    海老沢参考人 地上デジタル化につきましては、やはり送信設備が非常にかかるということであります。そういう面で、今先生から設備の共用化といいますか、例えばNHKと民放が同じアンテナを使う、送信所を使うとか共同して利用するとかいろいろ手だてがあろうかと思います。現実に今、地上アナログ放送でも、NHKと民放が一緒に利用しているところもあります。  そういう面で、今後周波数が確保される、つまりチャンネルプランができ上がった段階でどういう送信設備が必要か決まってくると思いますので、できるだけ経費を節減するという意味合いから、私どもは民放ともいろいろ協議をしながら、共同で使えるものは共同で使うように努力していきたいと思っております。
  49. 今村雅弘

    ○今村委員 ぜひその辺は、まさに競争と協調ということで、国民的な財産になると思いますので、よくその辺を調整しながら、協力しながら、いい設備、施設をつくり、そして、いい放送をやっていただきたいなというふうにお願いする次第でございます。  それでは続きまして、デジタル化ということでございますが、実は、デジタル化というものは本当に、まさにいろいろなところに今進んでおるということでございます。そしてまた、世の中は今まさにモバイル時代と言われておりまして、みんながもちろん携帯電話を持って歩くし、いろいろなモバイル類やその他を持って歩くわけでございます。野田郵政大臣もかつて、モバイルギアか何か知りませんが、委員会の最中にもかちゃかちゃやっておられたようなこともちょっとお見受けしたこともございますが、それはそれとして、本当にこういう時代になったときに、ある意味では、デジタル化をやっていく中でのそういったいろいろなモバイル機器、これは、テレビの映像を介するのに極めてやりやすいというふうな話も実は私は伺っているわけでございます。  そういう中で、一つ私は、ちょっとお聞きしたいのは、こういうみんながモバイル化していく中で、いろいろな情報の発信源になることも当然これは可能なわけでございます。世の中は今、いろいろなところでいろいろな出来事が起きている。そして、それを即座に、いろいろなニュース性の高いものがあればそういった機器を持った方がNHKの方に、こういうことが今起きていますというようなことをやれば、極めてニュースの速報性というものは高くなっていくんじゃないかというふうに思うわけでございます。  この設備、本日の説明書の中の二ページにも、ここに、「まず、建設計画につきましては、」ということで、「緊急報道体制強化のための設備整備を行うとともに、」ということがございます。これは、確かにNHKサイドでいろいろなこういったことを、巨額の投資といいますか大きな金を使ってやられることも大事だと思いますが、今言いましたように、いろいろな方が情報を発信できる体制に今あるわけでございますから、この皆さんとNHKを結ぶホットラインをこれからつくっていく、そういうチャンネルを、道筋を開いていくということが一つ非常に大切なことではないかなと私はまず思うわけでございます。  ぜひともビビッドなニュースを受け入れる体制をひとつ整備していただけないだろうか。その点につきまして、今でも、例えばビデオクラブとかいろいろな方から番組の制作の資料をいただいておられるということも聞いておりますが、そういったものが今どうなっているのか、そしてまた今後どうされるのかということをお聞きしたい。  そして、あわせて、ニュースだけではなくて、これから先はローカルのデジタル放送、これの充実がやはり求められると思います。ある意味では、五百人乗りのジャンボ機に百五十人しか乗れない、本当はあと三倍乗れるのにもったいないねということもいろいろあるかと思いますので、ぜひこのローカル放送充実していただきたい。その中で、やはり地域の皆さんも、NHKの方だけじゃなくていろいろな方が、趣味を持った方、あるいはいろいろなイベントをやっている方、そういった方にもぜひこの番組の制作にひとつ参加していただいてやっていくことが大事なんじゃないか。  実は私は、たまたま昨晩、けさ早くといいますか、深夜放送で、これは多分NHKの佐賀放送局でつくったビデオだと思いますが、「有明海の楽しい仲間達」という番組を見まして、私も実はそこの育ちでございますが、今まで知らなかった有明海の生き物の生態を知ることができて、大変感動したわけでございます。こういった、やはりローカルのビビッドな、本当にいろいろな話題とかニュース、そういったものをぜひ充実していかれる体制を今後つくっていただきたいということをお願いしながら、NHKの方の御見解を伺いたいと思います。
  50. 河野尚行

    ○河野参考人 デジタル時代というのは、今村先生指摘のとおり、だれでもが、どこからでも情報の発信源になれる、そういう時代だと思います。  例えば、この間南極横断がございましたけれども、大場さんは、実はデジタルの携帯電話で、NHKのラジオで、生で南極から会話して放送に出した。それから、デジタル電話で一部映像も送れる時代になったということでございまして、NHKとしましても、こういう技術放送に生かさない手はない、そういうふうに思っています。  今御指摘にございましたけれどもNHKはこれまでも一年間に五千五百件アマチュアビデオの提供がございまして、その中には、昨年八月の栃木県の水害の模様とか、それから、十月の北海道駒ケ岳の噴火をスクープした映像もございまして、全国にビデオクラブとして四千人のネットワークを持っております。  今後も、さまざまなデジタル技術、テレビ電話等を使って、双方向性のおもしろい番組開発していきたいと思っていますが、ただ一方で、おもしろければいいという問題だけではございませんで、その情報が本当に正確なのか、真実なのかという裏をとることもございますので、私ども放送のジャーナリズムのプロがチェックする体制も築かなければならないと思っています。  ですから、デジタル技術を積極的に取り入れるものと、一方ではそれをきちんとチェックする、両面でNHK放送を豊かなものにしたいと思っていますし、今御指摘の、こういう時代であればあるこそ、ローカルの生活基盤を持った豊かな情報も、NHKとしては地域サービスにもこれまで以上に重点を置いて放送に当たっていきたいと思っております。
  51. 今村雅弘

    ○今村委員 ぜひお願いいたします。  そしてまた、先ほど来も正確な報道ということもありましたので、例えば犯人と被害者を間違えて映すようなことをやるとまた大変でございますので、そういう面もきちっとやはり気をつけていただくことをお願いしたい。  そして、昨年も私はここで質問したときに、NHKののど自慢の話をやったわけでございますが、やはりこののど自慢のよさというのは、ある意味では素人の皆さんといいますか、国民の皆さんが主役というところにまた変わったおもしろさがあるわけでございます。NHKのスタッフの方も優秀な方がおられることは十分承知しておりますが、ぜひ、そういう民間の方のいろいろおもしろい話題がございますので、そういった方を広く取り入れていくということでお願いしたいわけでございますが、ひとつ会長に、最後に御意見を伺いたい。  こういった、もっと開かれたNHKを目指していかれるつもりなのかどうなのか。よろしくお願いいたします。
  52. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私ども、やはり視聴者国民あってのNHKでありますし、私ども国民のための放送局であろうというのが基本でありますし、また、国民が、自分たちの身近な自分たち放送局ということでNHKをいろいろ支えてもらう、また、いろいろな番組に出演してもらう、参加してもらうというのが私の基本的な考えであります。そういう面で、改革実行とともに、公開と参加というのを経営理念に掲げております。  そういうことで、放送もきめ細かいいろいろな配慮をしながら出しますけれども、それと同時に、またNHK理解するために、番組の公開派遣ということをやっております。  十一年度は、この十年度より十三本ほどふやしまして、ラジオ、テレビ合わせて三百七十一本の公開派遣番組を今出す計画をしております。もちろん、のど自慢とか「ふたりのビッグショー」とか、いろいろな番組地方でも公開する、そして一緒になって番組をつくる、いわゆる視聴者参加番組をさらに充実させていきたい。それと同時に、やはりいろいろな面で、そういうことを通じてNHKの仕事ぶり、存在というものをわかってもらいたいと思っているところであります。
  53. 今村雅弘

    ○今村委員 どうもありがとうございました。御健闘を祈りまして、質問を終わります。
  54. 中沢健次

    中沢委員長 大石秀政君。
  55. 大石秀政

    ○大石委員 引き続き、自由民主党の大石秀政でございます。  私は、教育テレビの中の時間帯で、最近かなり多くの時間帯を占めております幼児番組NHKの制作姿勢について、まずお尋ねをしたいと思います。  「だんご3兄弟」がはやっているからというわけではございませんが、最近、育児をしない男の人を父親とは呼ばないとか、そういうような風潮になっておりますので、私も三歳の娘の父親として、一緒にそういった幼児番組を見つつ、いろいろと疑問に感じたことを少しお尋ねしたいと思います。  幼児書がかなり出ておりまして、月刊誌とかいろいろあるわけですけれども、そういったものは裏表紙あたりを見ると、どういう人が監修をしていて、その人がどういう人なのかというのが書いてあります。それで、大体こういう人が監修してこういうところを見ているのかなというふうに安心をしたりもするのですけれども、では実際NHKの幼児番組というものは、先ほど来、大人が見てもいろいろ映像というものはその人の思考とかに与える影響が大きいというお話が出ておりましたが、一層脳への吸収が大きいと思われる幼児が見るそういった番組について、例えば医学ですとか心理学、心理学の中では、最近、認知心理学ですとか、あるいは発達心理学というものもありますけれども、そういった児童の深層心理に大きな影響を与えるであろう幼児番組というものについて、そういった専門家の方々が、例えば音楽ですとかCGとかも最近は使っておりますし、デザイン、レイアウトあるいは色等も含めて監修をされて、それがどういう影響を与えるのかということについて、番組制作のバックグラウンドにあるかということについて、少しお聞かせいただければ大変ありがたいのですが。
  56. 河野尚行

    ○河野参考人 教育番組について御質問がありました。  委員指摘のとおり、教育番組、中でも幼児期にとって、子供たちの基本的なところができ上がるときでありますし、それから、心理的にも本当にいろいろな影響を受けるときでございますから、NHKとしましても、実は二十年ぐらい前から、二歳児の番組研究会というのをつくっております。この中には、心理学の専門家の方も多数入っていただいておりますし、NHKの文化研究所、それから、ディレクターで子供の番組を長いことつくってきたNHKの職員、そういう者が入って研究しておりますし、それから、最近はゼロ歳児の番組開発という研究会もつくっておりまして、専門家の先生方のほかに絵本作家とか、そういう方も入っていただいております。  それから、そのほか、子供たち、幼稚園、保育所向けの番組につきましては、専門家のほかに幼稚園とか保育園の先生方、それから舞踊家、つまりは踊りとかそういうことを含めまして、単に表面でおもしろいとか、ためになることだけではなくて、最近の、先生指摘のような認知心理学とか、そういう深層心理の新しい知見も利用しまして、NHKとしては、子供番組、特に幼児番組については、自信を持って番組がつくれるような体制をつくっておるところでございます。
  57. 大石秀政

    ○大石委員 どうもありがとうございました。  政治家として、と同時に、一人の三歳の娘の親としても、かなり安心をいたしました。  来世紀を担う子供たちに与えるいろいろな影響というのは多大と思いますので、できるだけ、この子たちが、心の中に思いやりですとか優しさとか家族愛ですとか、そういったものを大事にして、さらに、なおかつ、自分の夢とか、世の中のために尽くしたいとか、そういったことを、強制的ではなくて、自分の中から自発的に考えて自分の進路等も決めていく子供に育っていくように、さらに御活躍を御期待申し上げます。  それで、ちょっと次に移りますが、衛星放送の新規加入の問題です。  加入見込みが前年度と同じということで、ただ、去年はワールドカップですとか、あるいは長野五輪というものがありまして、かなり新しい需要が見込めるといいますか、そうした要因があったなという感じがするのですけれども、ことしはどういった根拠に基づいてそういった数字をはじいたのか、少しお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  58. 海老沢勝二

    海老沢参考人 衛星放送、これまで十年たちます。ことしの六月で正式放送開始十年ということで、我々、ことしは一つの節目ということで、さらに衛星放送の普及に努力していきたいと思っております。  今のところ、普及は、千三百万世帯に達したろうと見ております。そのうち、二月現在で、受信料の契約が九百四十万世帯まで伸びてきております。そういうことで、これまでの経験では、年間百万前後の普及をしておるということであります。そういう中で、十年度が七十万の増、十一年度も前年度と同じ七十万と目標を立てました。  御承知のように、受信料収入も百三十五億で、対前年比二・二%伸びました。といいますのは、やはり、この一、二年、厳しい経済情勢の中で、税収も伸び悩み、そして企業の収益も落ち込んでいるという中で、NHKそんなので大丈夫かというような御指摘もありました。おかげさまで、十年度はこの目標値に近いところまで今来ております。  そういう面で、私ども、この十一年度も目標を高く持ってやっていこうと。現場では、この目標値は非常に厳しいということも知っておりますけれども、我々、やはり、NHKの財政基盤を確立する大事な時期と位置づけて、今、こういう高い目標を掲げて、この目標へ向かって全職員挙げて取り組みたいと思っているわけであります。  そのためには、先生指摘のように、オリンピックとかワールドサッカーという国際的なスポーツイベントがありましたけれども、ことしは、そういう、なければないだけの、また我々は新しい知恵を出す、つまり新しい番組開発すべきだろうということで、先ほど答弁しましたように、今、みんなが選ぶ二十世紀のニュースといいますか、そういう募集をしたり、あるいはいろいろな番組をさらに開発して、それによってまた我々の制作能力を高める、また、職員の意識改革を進めていい番組をつくる、そういう方向へ持っていきたいと思っているところであります。
  59. 大石秀政

    ○大石委員 どうもありがとうございました。  質問をしていて、多少、自己矛盾的になりますけれども、確かに、ある種のイベントに頼るというのは、その年だけはいいかもしれませんが、やはり、安定して何年もいい番組をつくっていくという姿勢が私も大事だと思いますので、その点は共感しつつ、さらなる御活躍を御期待申し上げます。  最後に、ちょっと技術的なことなんですけれども、壁かけハイビジョンというものをNHKの技研の方でつくっているということをお聞きいたしました。今、ハイビジョンでなくても、壁かけテレビというのは大変注目をされておりますし、そういった技術があるのかなということをもう少し多くの人に知ってもらいたいと思いますので、その点について、少し御説明をいただきたいと思います。
  60. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答えいたします。  私どももPR不足で大変申しわけないと思っておりますけれども、PDPという、壁かけテレビでございますけれども、私どもが研究所で二十年ほど前から、実際は基礎研究をやってまいりました。昨年の長野オリンピックに向けて、商品化ということで、各メーカーさんの御協力をいただきまして、商品化にこぎつけました。現在では、例えば秋葉原の電気店に行きますと見ることができます。もちろん、私どもの研究所とか、あるいは放送センターの中にもございますし、私どもから見ても、大分世の中に一般的に出てきたなというふうに思っております。  簡単に御説明すると、薄型のテレビということで、先生御案内のように、ノートパソコンや何かもみんな薄型のディスプレーになってございます。ただ、ノートパソコンは、ああいうものに使っていますのは液晶というのを使っていまして、ああいう技術でやりますと、二十インチぐらいの大きさが限界でございます。テレビといいますと、やはり四十インチぐらいは欲しいものですから、そうしますと、PDPと言っておりますけれども、プラズマディスプレーパネル、プラズマというのは蛍光体と同じような原理で光るものでございますが、そういうもので、現在、四十インチあるいは五十インチのものが標準化されておるところでございます。  そういう点で、PR不足ということで、今度、NHK放送センターの前にも、こういうものをお見せしようということで今準備しているところでございます。
  61. 大石秀政

    ○大石委員 どうもありがとうございました。  まさに、いろいろな分野で日進月歩といいますか、消費者、私どもを含めて、買う方としては、いつ買ったらいいのか非常に迷うわけでございますが、そういった進んだすばらしい技術は、やはり開発に力を入れていくべきだと思いますので、その点についてもさらなる御活躍を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  62. 中沢健次

    中沢委員長 倉成正和君。
  63. 倉成正和

    ○倉成委員 自由民主党の倉成正和でございます。  本日は、平成十一年度NHK予算に関する質疑を行いたいと存じます。時間の制約もございますので、衛星デジタル放送及び地上デジタル放送に絞って質問をさせていただきたいと思います。  現在の最重要課題が、景気回復、日本経済の再生であることは論をまたないと考えます。春を迎えまして、少し景気回復の兆候も見られるようでございますけれども、特に懸念される問題がございます。それは、我が国において、次の世代を担う新産業、新商品が育っていないということであります。その意味で、デジタル化による放送通信融合が進み、大きな発展が期待される地上デジタル放送の早期実現のため、政府が強力に支援することを要望しているところであります。まさに、景気回復のバイアグラとして期待されるデジタル放送の普及の先導としての役割NHKが担うべきであると考えます。  そこで、NHKに対して幾つかの質問をさせていただきたいと思います。また、地上デジタル放送につきましては、先般も野田大臣の方にいろいろお答えをいただきましたので、本日はNHKの方からのお答えを中心にいただければと思っております。恐縮でございますけれども、時間の制約もございますので、簡潔に御回答いただければと思います。  まず、デジタル放送の先導として、その役割が大いに期待されておりますBSデジタル放送が、来年、二〇〇〇年、平成十二年の十二月に開始をされることになっております。一方、衛星放送の普及もBS放送の普及も、平成十年度末で、全世帯の三〇%の千三百万件程度と聞いております。  今後、BS放送全体及びBSデジタル放送の普及をどう予測されているのでしょうか。また、普及促進のための方策はどう考えられておるのか、NHK会長の御回答をお願いしたいと思います。
  64. 海老沢勝二

    海老沢参考人 このBS、衛星放送でございますけれども、これは、NHK世界に先駆けて十年前から放送を始めましたいわゆるニューメディアであります。そういう中で、先生指摘のように、この十年の中で千三百万世帯まで普及してまいりました。年間百万前後ということであります。  これをさらに毎年百万ずつ本当に普及するのかどうかということでありますけれども、私は、年百万前後は普及できるだろうというふうに見ております。これから実際に私どもは、BS4後発機、いわゆるBSAT2と言っておりますけれども、これが来年の秋の打ち上げで、私どもとしては、二〇〇〇年、来年の十二月一日から放送をするように今準備を進めております。その段階で千五百万世帯まで普及させようと思っているということであります。  その後、デジタルになってきた場合、どのくらいのスピードで普及するか、私どもの文化研究所等でもいろいろ調査をさせておりますけれども、これは、最高百万、最低二、三十万というようないろいろなデータがあります。これはなかなか予測は難しいわけでありますけれども、私は、毎年百万前後、今のようなソフトを提供していけば達成すると見ております。ただ、どの辺で限界に達するのか、これはなかなか難しい問題があります。  いずれにしても、これからデジタルになりますと、民放系の新しい衛星放送会社が六社ほどこれに参入するわけであります。そうしますと、私どもといろいろな番組開発競争をやりますし、そしてまた、視聴者のニーズにこたえるような番組を数多く出せば、視聴者デジタルの方に転換し、新しい顧客層を開拓できるのではなかろうか、そういうふうに見ております。
  65. 倉成正和

    ○倉成委員 今お答えになりましたように、当面の、開始時には大体千五百万件程度のBS放送衛星放送ということで、その割合がどのくらいになるかというのは、今後の施策、方策によって決まってくる要素があると思います。今後のデジタル放送の普及を考えますと、まずは、二〇〇〇年の十二月に始まるBSデジタル放送一般に受け入れられることが重要であると考えます。  今後、デジタル放送の目安としては、二〇〇〇年十二月にBSデジタル放送が開始され、そして二〇〇三年には東名阪における地上デジタル放送の開始のめどが立っております。そうなりますと、二〇〇〇年にBSデジタル放送の開始に合わせて発売されるBSデジタル受信機に次の地上デジタル放送受信機能が搭載されていないと、現在のアナログハイビジョンにおきましては買い控えというような現象がございまして、今のアナログハイビジョンは残念ながら将来的には消えていく運命にあるということでございまして、同じようなことが起きてしまうのじゃないか。  そこで、現在決定されておりますBSデジタル放送の方式と、また、検討中であります地上デジタル放送の方式の違いはどこにあるか、受信機レベルである程度の共通化というのが可能であるのかどうか、あるいはまたアダプターその他で、あるいは内蔵のカセット式の組み込み式ででも共通化をするようなことが可能なのかどうか、その辺のところが非常に重要になってくると思います。そうしないと、BSデジタルというのが始まっても、フルスペックでそれを見るということができなくなる。つまり、その先に今度は地上波デジタルというのが控えていて、三年後か四年後かになるかわかりませんが、そこに新しい方式のものがあって、また違うテレビジョンを買わなければいけない、違う受信機を買わなければいけないという事態になると、これはそこでもう普及がとまってしまうのじゃないか、そういう懸念がございます。  その辺についてどうお考えなのか、NHK会長の御回答をお願いしたいと思います。
  66. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答え申し上げます。  先生の御指摘は、二〇〇〇年の暮れからBS放送が始まるけれども、そのときに地上の受信機も組み込まれていることが一番望ましいじゃないかというお話だというふうに理解しております。私どももそういうふうにできるのが一番望ましいというふうに考えてございます。  ただ、先生御案内のように、衛星と地上放送の方式が一部違うところがございます。衛星放送の使っている電波それから地上放送の使っている電波というのが違うために、その電波の方式が地上と衛星と違うという問題がございます。これは欧米など諸外国も全く同じ状況でございまして、日本だけが違うということではございませんが、電波の方式は衛星と地上と違うという問題がございます。  ただ、電波を受けた後の映像あるいは音声を、信号を処理する部分、これは地上も衛星も同じでございます。したがいまして、共通の部分もあることはあるわけでございます。  最初の御指摘の、二〇〇〇年の暮れに衛星の受信機が出たときに地上の受信機も一緒にできるなり、あるいはもし地上が後になるならば、それをあらかじめ設計しておいて、簡単に取りつけるようなことにしたらいいではないか、こういう御指摘だというふうに理解しております。  今のBSデジタル受信機につきましては、現在、昨年の暮れにBSの放送規格というのが基本的なところが決まりまして、この受信機をつくるための規格というところが現在鋭意進められておりまして、ことしの春にはこれが決まります。そうしますと、この規格をもとに衛星の受信機メーカーは受信機をつくりまして、今の予定では、来年の秋ごろにはこの衛星のものは発売されるというふうに理解しております。  一方、地上放送の方式につきましては、基本的なところがことしの春に決まりまして、ちょうど衛星のスケジュールからいきますと一年おくれでございます。したがいまして、この後、デジタル受信機をつくるための規格の細部を詰めていくという作業がございます。衛星の例でいうと一年ぐらいかかってございますので、順調にいっても来年の春ごろにはそういうことが決まるということであります。  したがって、二〇〇〇年のときには一緒に組むことはできませんけれども、かなり共通な部分があること、それから、違う部分は後からつけるような設計をできるだろうと思いますし、ただ、これはつくるメーカーさんが御判断するところでありまして、私どももそういうふうにメーカーがつくっていただくことを期待しているという状況でございます。
  67. 倉成正和

    ○倉成委員 今お答えをいただきましたように、BSデジタル受信機に、アダプターという形でなくて、今アダプターがあふれておりまして、私のうちだけでもアダプターがテレビ受像機の上に三つも四つも載っているというような状況でございますので、アダプターではなくて、むしろ内蔵のカセット式みたいなもので、地上波デジタル受信部分のところをがちゃんと入れれば見られるような、そういうものを、メーカーに望むことかもしれませんけれどもNHKとしてもぜひ進めていただければと思います。  この問題にも関連をいたしますけれども我が国デジタル放送の方式と米国、欧州での方式の違いはどこにあるのかということについてお尋ねしたいと思います。  この問題はまさに我が国のスタンダード、標準に対する戦略の問題でありまして、多少単純化して申し上げますと、米国においては、特に情報通信分野で圧倒的に優位であるということを使いまして、デファクトスタンダード、事実上の標準をグローバルスタンダードとして世界に広めるという戦略を推進していると思います。一方、欧州においては、EUの統合や長年にわたる国際機関での影響力、発言力を背景にして、国際機関の制定するものを標準としてこれから推進していこう、そういう戦略、米国主導、欧州主導のものがあると思います。  実例を挙げますと、米国が主導するグローバルスタンダードとしましては、インターネットの規格とか、パソコンのOSであるマイクロソフトのウィンドウズというのがあると思いますし、欧州主導の国際標準としてはISOの規格などがあると思います。  その中で、現在のアナログハイビジョンというのは、非常にすぐれた方式であるにもかかわらず、残念ながら、世界において孤立した、日本独自のものになってしまったということでございますので、この次のBSデジタル放送地上デジタル放送の規格において、ハイビジョンでの経験を教訓として取り組んでいただきたいと存じます。  また、今後の国際化考える上では、特にアジアにおける連携というのが重要になってくるのではないかと思いますので、その対応についてお尋ねしたいと思います。
  68. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答えいたします。  私ども世界標準ということは念願でございまして、残念ながらアナログのミューズはそうならなかったわけでありますけれども、その過程においては国際標準化ということに努めてまいりました。結果的にはならなかったということでございます。  先生指摘の今後のデジタル放送につきましては、そういう観点国際標準ということを目指せということでございます。この国際標準につきましては、私どもも、日米欧と一緒になってこれを目指しておりまして、先ほど言いました電波の部分は、各国の状況によってこれは皆違います。しかし、スタジオ規格と言っておりますけれども、スタジオの中でつくる規格につきましては、例えばハイビジョンにつきましては、現在、1080iという方式で、ITUでも世界統一規格ということでことしの五月にはそういう結論が出るというふうになっております。  残念ながら、電波のところは各国の事情が違いますので、日本における例えば地上放送電波の方式、アメリカにおける方式、日本の方式はヨーロッパにほぼ近い形でございますが、若干そういう電波のところが違うところは残念でありますけれども、少なくとも、スタジオ規格については統一していこうということで鋭意努力しているところでございます。
  69. 倉成正和

    ○倉成委員 今、地上デジタル放送お話をいたしまして、それからまた、地上デジタル放送が普及すること、この普及が進むことは、二〇〇〇年の十二月に開始されるBSデジタル放送がどのくらい進むかによって決まっていくという感じがいたしております。  ちょうど、御案内をいただきましたけれども、三月十七日、十八日には、地上デジタル放送の映像伝送実験のデモンストレーションもあると思いますので、このBSデジタル放送地上デジタル放送をにらみながら、そしてその中で、先ほども申し上げました国際標準、世界標準になるようなことを考えながら、これから進んでいきたいと思います。  NHKにおかれましては、最近、「おかあさんといっしょ」という番組で、「だんご3兄弟」という大ヒットを飛ばされて、大変おめでたいことだと思っておりますけれども、このBSデジタル放送、そして地上デジタル放送が、「だんご3兄弟」に負けないような大ヒットとなるように祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  70. 中沢健次

    中沢委員長 佐藤勉君。
  71. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 自由民主党の佐藤勉でございます。  デジタルデジタルと、デジタルばかりで大変恐縮でございますけれども、私もデジタルのことについて若干御質問を申し上げたいと思います。  デジタル放送時代における放送体制ということでお伺いをしたいと思います。  デジタル化は、番組の編成、内容、そのつくり方、それに、設備、機材まで各面において大変大きな変革をもたらすと言われております。まさに、デジタル革命と言われるゆえんだと思います。  ところで、日本放送でありますけれども財源と組織形成の異なる公共放送NHKと民間放送とが、互いに競い合って、切磋琢磨をする形で発展を遂げてきたと思います。私も、物心がついたときにはもうテレビがございまして、例えばの話でありますが、NHKで相撲をやっていれば民放でプロレスをやっていたという時代に育ってきた人間でございまして、そういう意味では、テレビがないと、テレビが生活の一部と言っても過言ではない中で私どもも育ってきたわけであります。  そういうことで、併存体制とか共存体制とかと言われるのがこれではないかと思いますが、この併存体制に対する評価はいろいろ、さまざまあるだろうと思います。放送の現状に問題はないと言えないのも事実であると思いますが、全体として見た場合、多様なサービスが行われており、その大きな要因が公共放送と民間放送との併存体制にあることは、私が感じる限りでは間違いないことだろうと思っております。  デジタル時代になれば、これまでの放送の枠組みが大きく変わり、併存体制そのものも変革を迫られるという見解も一部にあるようであります。そうではなく、デジタル時代においても、この世界に冠たる併存体制といいますか、そういうものを維持してきたわけでありますから、これからもそういうことをしっかりと維持していくことが放送の一層の発展につながるというふうに私は自分の考えとして持っておりますが、NHKさんの考え方をお伺いしたいと思います。
  72. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今、先生指摘のように、公共放送、いわゆる受信料で経営をしておるNHKと広告放送を主体とする民間放送、これが昭和二十五年の放送法の成立、二十六年からの民放の設立ということで、お互いが切磋琢磨しながら、競争をしながら放送が発展したわけであります。  私は、やはり、この民放とNHKとの共存関係を今後も維持し、さらに発展させていくことが、日本放送文化の向上に最もふさわしいものではなかろうかというように思っております。  そういう中で、CS放送なりあるいはCATVということで、それに有料放送、いわゆるペイ・パー・ビュー、見たものに金を払う、有料テレビというのも加わってまいりました。このCS、CATVの方は、どちらかといえば専門チャンネル的な要素が強いわけであります。そういう中で、NHKと民放とは、どっちかといえば総合編成ということで、子供から高齢者までひとしく、全国あまねく情報に格差なく見られるというシステムをとっているわけであります。  私は、やはり、こういう多メディア・多チャンネルになればなるほど、公共放送必要性、存在というものは再認識されるのではなかろうかと思っています。それにはやはり、いつも指摘されていますように、質の高い、視聴者が心豊かになれるようないい番組をつくることが、すべてといいますか、肝要だろうと思っております。  そういう面で、そういう競争の中にもやはり、視聴者本位といいますか、視聴者の立場に立った質のいい番組をつくっていけば、私は、公共放送はこれからもさらに発展するだろうというふうに思っております。
  73. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 ありがとうございました。  デジタル放送時代において、受信料という、NHK財源を見直したらどうかということが言われると思います。  スクランブル、有料放送に切りかえたらどうか、これについてはなかなか、私も素直にどうかという話はできないわけでありますけれども、いずれにいたしましても、BSデジタル放送が開始される二〇〇〇年時点においては、NHKのBSアナログ放送とBSデジタル放送をスクランブル化することは適当ではないという郵政省の検討結果もあるわけでありますけれども、このスクランブル化の問題を含め、NHKデジタル時代公共放送財源のあり方についてどのような考え方を持っているのか。  また、引き続き受信料制度を堅持していくということなら、多チャンネル化や対価意識の浸透などで受信料収納の困難さが増す環境の中で、どのような方策によって制度を守っていこうとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  74. 海老沢勝二

    海老沢参考人 この受信料の公正負担ということで、私ども日ごろいろいろな形で我々の公共放送の意義なり存在というものを御説明しているわけであります。そういう中で、私は、広告放送なりあるいはNHKが有料放送をやりますれば、根本的に放送のやり方が変わっていかざるを得ないだろうと思っております。  先ほど申しましたように、やはり、イギリスにBBCというのがあります、これは受信料だけで広告放送をやらないでやっておりますが、イギリスの方は御承知のように罰則規定がありますし、強制的に徴収される。それで、NHKは罰則規定、いわゆる公権力が働かなくて、NHK国民との信頼に基づいて受信料をいただいているという全く世界に例のない理想的な公共放送であります。  そういう面では、我々日本人は、私は、性善説をとっているというのですけれども、性善説の中で、国民理解と信頼で成り立っているわけであります。この組織というものを私は大事にし、やはり、日本人の心の優しさといいますか、それを信じながらいい番組をつくっていくことが我々の使命だろうと思っております。そういう面で、私は、多メディア・多チャンネルになっても、NHK受信料を堅持し、これを我々はさらに発展させていくように努力するのが我々の使命だろうと思っております。
  75. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 なお一層頑張っていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。  二〇〇〇年末から衛星デジタル放送が開始されるわけでありますが、現在の衛星放送がただデジタルに置きかわるだけなら、視聴者にとってデジタル受信機購入料の負担がふえるだけでメリットが少ないという意見になってしまうかもしれません。デジタル化に当たっては、従来のアナログ放送では不可能だった新しい放送サービスを実現することが必要であると思いますし、この新しい放送サービスが魅力あるものならば、デジタル放送の普及が早まり、また、受信機の値段も下がるという相乗効果が得られると思います。  そもそもデジタル放送にはどのようなメリットがあるのか、NHKはそれを生かすべくどのような研究開発をしているかをお伺いしたいと思います。
  76. 長谷川豊明

    長谷川参考人 お答えいたします。  デジタル化メリットは再三この中でも御議論いただいておりますけれども、簡単に申し上げますと、高画質、多チャンネルデータ放送など高機能なことができるというのが放送側にとってのメリットでございます。  二〇〇〇年に始まる衛星デジタル放送では、高画質ということではハイビジョンを、多チャンネルということでは、CSで既に三百チャンネルやってございますけれども、二〇〇〇年暮れからやるBSでも、ハイビジョンチャンネルが今の予定では私どもを含めてほかに六つ、要するに七チャンネルハイビジョンを見ることができますので、これも多チャンネル時代というふうに理解できると思います。  データ放送につきましては、公共放送としてのデータ放送という観点で私どもサービスイメージを練り上げているところでございますけれども、できるだけ暮らしに役立つとかあるいは生活に役立つようなものを今考えてございます。  例えば、災害のときにいち早く情報を御提供するとか、あるいは選挙報道などのときもいち早くその開票速報をお送りするとか、ニュースもいつでも見られるようにするとか、そういうようなことを考えてございまして、あるいはまた、今後、人に優しいという高齢化社会に向けても、字幕放送充実など、このデジタルならではのサービスということも考えられるのではないかということで、今その内容について局内で検討しているところでございます。
  77. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 最後になりましたけれども、先日、自由民主党の勉強会の中で、海老沢会長にお越しをいただいて、スポーツの放送権料の対応の話を聞かせていただきました。大変懸念を示しておられる御意見を聞いて、私も大変なことだなというふうに思ったわけであります。  二〇〇〇年にはシドニー・オリンピック、二〇〇二年には日本と韓国が共同で開催するワールドカップサッカー、大きなスポーツイベントが今後も続くことになると思います。多くの視聴者が家庭のテレビの前でこうしたビッグスポーツを楽しみたいと考えていると思われますし、また、きのうも、BSでありましたけれどもNHKさんじゃありませんけれども、夜遅くまで私もサッカーを見ておりまして寝不足でありますけれども、そういう期待が大変に大きいと思います。  聞くところによれば、スポーツの放送権料は年ごとに急騰しているというお話を聞きますし、場合によっては、将来は有料テレビでなければこうしたスポーツを見ることができなくなると予想する人もいるわけでありますが、これまで多くのスポーツイベントを放送してきた公共放送であるNHKに対する期待は大変大きいと思います。  そこで、オリンピックやワールドカップサッカーでの放送権料の急騰の実態と、こうした問題にNHKはどう取り組もうとしているのかお伺いをして終わりたいと思います。
  78. 海老沢勝二

    海老沢参考人 この国際的なスポーツイベントについての放送権料の高騰は、もう御承知のように、ロサンゼルス・オリンピック以来言われてきているわけであります。  そういう中で今我々が憂慮しておりますのは、二〇〇二年に日本と韓国で共同主催することになりましたワールドカップサッカーでございます。これにつきましては、私どもはこれまで世界の五つの放送連合が放送権利を取得し、そしてサッカーを全世界に安い料金でテレビを見てもらい、それによってサッカーが普及するということで、我々は放送連合として、リーズナブルといいますか、非常に安い値段で放送できたわけであります。ところが、三年前にこれが競争入札になって、そしてオリンピックのように非常に高い値段になったということであります。  ちょっと話が長くなって恐縮でありますが、二〇〇二年と二〇〇六年の二つの大会で私どもにこのFIFAの代理人の会社の方から提示された金額が六億五千万スイス・フラン、つまり、これを一スイス・フラン八十五円にしますと、五百五十億という値段です。これに税金がかかりますと六百億であります。私どもは、二〇〇二年だけで交渉しましょうという提案をしたのですけれども、両方でなければ応じないと。  例えば、これを二つで割っても三百億円ということであります。二〇〇〇年の、来年のシドニー・オリンピックが一億三千五百万ドル、大体百六十億ぐらいですか、オリンピックの倍の料金であります。  そういうことで、我々としてはとてもこれは話に応じられる金額ではないということで、今これを拒否しております。代理店の方も、その後、我々のところには正式に来ておりません。私どもは、NHKだけではなくて民放とも一緒になってジャパン・コンソーシアムという一つのプールをつくって、ここが窓口を一本化して交渉に当たるという姿勢をとっております。そういう面で、こういう高い値段では、我々、受信料ではなかなか賄い切れない、非常に難しい状態だろう。  しかし、そういう面でこれからヨーロッパのほかの国がどういうような対応をするのか、そういう面で、ヨーロッパ各国の動き等を見ながら、これから諸般の状況を見ながら対応していきたいと思っております。
  79. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 ありがとうございました。
  80. 中沢健次

    中沢委員長 西田猛君。
  81. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  午前中の最後に質問をさせていただきますことになりまして、委員長初め各委員皆様方の御理解に心から御礼を申し上げたいと存じます。  日本放送協会は、言うまでもなく、放送法に基づいて設立、運営されている公共放送でございまして、国民の財産でございます。また、その運営は視聴者皆様方受信料によって賄われておりますので、このことはもう今までの質疑の中でもるる出てきたところでございます。  そのような中で、日本放送協会の毎年度の収支予算事業計画及び資金計画などにつきましては、国会の承認を得るということになっているわけでございます。そのたびごとに、各毎年度、国会におきましては、放送法規定に基づいて日本放送協会の予算、収支予算等承認を行うについては、附帯決議をつけていることが多々ございます。  そこで、平成十年度の附帯決議を少し振り返ってみたいのでございますけれども、その中で、このようにございます。「政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。」そのうちの一つといたしまして、「協会は、」日本放送協会は、「厳しい財政状況を深く自覚して、経営全般にわたる業務の見直しと職員の意識改革に取り組むとともに、業務運営効率化に努め、視聴者の十分な理解が得られるように、経営の方針、財務内容等の開示に努めること。」というふうになってございます。  平成十年度がそろそろ終わりまして、また十一年度の予算の今審議をさせていただいているわけですが、ここにございますように、業務の見直しと職員の意識改革、これは大変大きな言葉だと思いますけれども、これにつきまして、海老沢会長は、職員の特に意識改革ということをどういうふうに認識しておられて、また平成十年度においてどのような措置をとられまして、それがNHK経営全般についてどのようにプラスになったのかなというふうなところをお聞かせいただけますでしょうか。
  82. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今、日本経済、非常に厳しい状態に置かれております。そういう面で、今どこの企業も、こういう厳しい状態を乗り切るために、それぞれ改革をし、リストラをし、それぞれの立場で職員といいますか従業員の意識の改革を図って会社を立て直そう、そういうのが実態だろうと思っております。  私ども放送業界も、国際化が進み、規制緩和がだんだんとなっている中で、これまでのような仕事のやり方ではこの自由な競争時代を生き抜くことができない。やはり、今の時代というものがどういう時代なのか、これからどういう時代に向かっていくのか、そういう時代認識をきちっと持ちながら、そして、これまでのやり方がマンネリになっていないかどうか、もう一度自分の足元を見直してみよう。それが、やはり職員の意識を変えるといいますか、職員がやる気を出し、また元気を出してやる一つのきっかけにしていきたい。  そういうことで、全職員に対して、これまでの自分たちの長い間の仕事、いろいろなプラス面もありますけれども、マンネリを打破しながら、ひとつ新しい発想で、元気が出、そしていい番組をつくる、そして国民に信頼される体制に持っていくにはどうするか、そういうことで今、意識改革を呼びかけ、仕事の見直しをしているところであります。  そういう中で、平成十年度ではまず経費の節減も図っていこうということで、平成十年度予算では百二十四億の経費の節減を掲げました。これは達成できると見ております。平成十一年度も、経費の節減八十七億を今計上いたしました。  そういう面で、まずそういう自分のむだなことを省いていく、そしてまた、仕事のやり方も、これまでの先輩のやり方から、まだいろいろなやり方を考えてみようということで、番組制作のやり方もかなり今変革させております。それによって放送の倫理の向上も図ることができますし、また、公私の別もわきまえながら人間として成長するようなことをしていきたいということで、そういう意識の改革事業運営の見直しということに今邁進しているということであります。
  83. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ぜひ、業務運営効率化に努めて、視聴者の十分な理解が得られるよう今後も御努力をいただきたいというふうに存じております。  それでは、先に、同じく平成九年度の附帯決議にありますことについて、効果測定と申しますか、少しお伺いしてみたいと思うのですけれども平成九年度の附帯決議の中では、放送番組審議機関について規定をしておりまして、日本放送協会は、「放送に対する視聴者国民の信頼を確保し、放送倫理の確立を図るため、放送番組審議機関の審議内容、視聴者意見及び訂正放送制度の運用状況を視聴者にわかりやすい形で積極的に公開するように努めること。」努めてほしいというふうになってございます。  そこで、再び会長にお聞きしたいのでありますけれども、この放送番組審議機関がどのように平成九年度以降機能してこられて、今どのような状況にあるのか。それからまた、訂正放送制度がどのように運用してこられたのか。大きくこの二点についてお聞かせいただけますでしょうか。
  84. 河野尚行

    ○河野参考人 お答えします。  NHKはこれまで、放送番組審議会の審議内容を要録といたしまして記者クラブなどで配付しておりましたけれども平成九年四月から、インターネットを通じて広くホームページに要録を公開しております。  それから、平成九年の十月に、中央、地方国際とそれぞれの番組審議会がございますが、その規定を改正しまして、この審議会の中身につきましてはNHK番組を通じてもお知らせしておりまして、ただいまは「あなたの声に答えます」という番組の中で紹介をしておりますし、各地域放送局でも据え置きまして公開しておるところでございます。  それから、訂正放送でございますけれども放送法第四条に定められております訂正放送につきましては、その実施の状況を審議会に報告をして、どういうふうな措置をとったかを報告することになっていまして、その模様につきましても、各放送局に置いてあります審議会の議事内容、それからインターネットを通じて、視聴者にわかりやすい形で公表していくことにしております。
  85. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ぜひ、今後も放送番組審議機関の運用、それから訂正放送制度の状況についてはわかりやすく我々に知らせていただきたいなというふうに存じておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、引き続きまして、同じく平成九年度の附帯決議でありますけれども、これは附帯決議に限らず、字幕放送についての一層の拡充をしてほしいということをNHK要望しておきます。  これは、視聴覚障害をお持ちの方や御高齢の方たちに向けての字幕放送ですとかが一層充実されれば、より国民の皆さんにとって便利なものになるということもございますし、それから、私もアメリカで生活しているときに思ったのですけれども、実況のニュース番組とか、あるいは大統領であるとか要人のインタビューも直ちに画面の下に字幕でざざっと出てくる。そうすると、聞き逃しても見ればわかるし、それから私たちのような外国人にとっては、そういう要人のステートメントを見ながらそれが文字であらわれるというのはこの上ない外国語の勉強になるのでございます。ですから、日本でも、あるいは海外に向けてのNHK放送でも、日本の人たちのスピーチが即字幕として、キャプションというのでしょうか、日本語で出てくれば、これは外国の方で日本語を勉強しようというふうに思われる方たちにとってはこの上ない勉強の機会になるのではないかなとも考えるのであります。  もちろん、二十何文字かでできているアルファベットと、それから漢字、仮名などを取りまぜた日本語とは大変大きな差があるのですけれども、これらの字幕放送についてNHKとして今後どのように取り組まれるのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  86. 河野尚行

    ○河野参考人 障害者のことについても、絶えずNHKとしてはサービスを拡充したいと思っておりまして、字幕放送につきましては国会での附帯決議がございまして、総合テレビ、教育テレビそれから衛星放送とそれぞれ年次計画を立てております。総合テレビは平成十二年までに週三十時間に拡充する、それから衛星放送についても教育テレビについても目標を立ててやっておりまして、現状を申しますと、例えば教育テレビは、平成十三年度までという計画を既に平成十一年度中に前倒して実行する、相当のスピードでやっています。  今後につきましても、計画が終わる年次の前に今後の字幕放送計画を定めて、これに向かって努力していきたいと思っていますが、今先生指摘のとおり、アルファベットによる英国とかヨーロッパの国と違いまして日本語は漢字というものがございますし、それを変換するのに時間がかかる。そのほかに、同音で別の意味を持っている言葉がたくさんございまして、なかなかそれをやるのには難しい問題がございます。しかし、NHKとしましては、音声認識装置で言葉がそのまま自動的に文字になるようなことも研究しておりますし、それからこれまでの速記のタイプライターと違った高速タイプライターというものを開発しておりまして、何とかこういう情報系の番組にでも将来は適用したいということで技術開発を行っているところでございます。
  87. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ありがとうございます。  先日私も砧の放送技術研究所を伺いまして、その研究の場面を見せていただきました。日本語がそのまま文字になるにはこれからもまだまだ乗り越えなければいけないことがたくさんあるようでございますけれども、できないことを行っていくのが日本NHKだというふうに考えておりますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに思っております。  そこで、ぜひこの機会にお伺いしておきたいことがありましたのですが、それはNHK国際放送に大変力を入れておられる。例えば私どもがいただいた資料によれば、テレビ国際放送が最新のデジタル技術を駆使して平成十年度にはほぼ全世界海外在留邦人の九八%をカバーしたというふうに言っておられます。さらには、平成十一年度からは四月から十九時間、十月には二十四時間の放送を実現して、世界のどこでもいつでもNHK番組が見られるよう一層の充実を図りたいというふうに言っておられます。ぜひそのように頑張っていただきたいと思うのであります。  そこで一つ、変わった切り口かもしれませんが、ことしの五月からいわゆる在外邦人の投票制度の登録が開始されます。これは長年の懸案でございましたが、海外に住んでおられる日本人の方にも選挙権は当然、日本国民であって二十以上であればあるわけですけれども、それがなかなか日本国内に居住していない場合には行使できなかった。しかし、それを行使していただくようにしようという制度でございます。これはもう皆様よく御存じのとおりであります。  今申し上げたように、日本国民で二十以上、そしてその領事館が管轄する地域に三カ月以上引き続き住んでいる方については、その領事館に対して登録することによって選挙権の行使ができる、当面比例選挙に限られるようですけれども、そういうシステムになります。  そこで、私、先日ニューヨークとかロンドンに行ってこの実態などを調べてまいったのですけれども、現場の在外公館の領事の方たちに聞いてみますと、在留しておられる邦人の方でこの制度をまだ御存じない方がいらっしゃる、ですから、早く領事館に来て登録をしていただきたい、これをあまねく一人の漏れもないようにまず登録をしていただきたいなというふうな声がございました。この周知徹底方について、NHKの方で在外選挙のシステムの周知徹底をどのように進められるのかをお聞かせいただきたいのが一つ。  それと、これはやや微妙な点にもわたるのですけれども、今度は、そういうふうな登録をした、選挙権が行使できることになった在外邦人がいざ選挙権を行使しようとしたときに、長年日本を離れている人がいて、今一体日本には何党があるのかわからない、どんな政党があるんですか、昔何か新進党というのがあったのに、今あるんですかないんですかとかいろいろあるわけですね。しかも、どういう党はどういうことを考えておられますかということを聞かれる。  そういうことを聞かれたときに、在外公館の人はやはり公務員という公平性の立場から、何党はこう考えていてこの党はこうですということはなかなか言えない。そういうときにNHKを見てみれば、何となくそういうことがわかればありがたいなと思うのは在外におられる日本人の方の気持ちではないのかなと思うのですけれども、そのあたりについてのお考えNHKからお聞きしたい。  それから、国内と同じように海外に放送しているNHKのネットワークを使って、自治省としてどのような選挙公報、これは公報であり広報でありますけれども、それをされるお考えがおありなのか、自治省の方からもお聞かせ願いたい、まとめて三点お願いしたいのですが。
  88. 河野尚行

    ○河野参考人 選挙法が改正されまして海外で働いている日本人も選挙ができるということは、国民の大切な権利でございますので、NHKとしましてもそれを放送を通じていろいろな場合をとらえて放送していきたいと思っています。  実は、改正が決定した際、国際ニュースとして放送をしましたほか、ラジオ・ジャパンでも十分程度時間を割きまして番組として解説をしております。いよいよことしから選挙人名簿の登録が始まるということでございますから、ラジオにつきましてはこの四月の後半ごろから一週間にわたりまして、夕方の番組時間帯で在外邦人の選挙メモということで放送することとしておりますし、それからテレビにつきましても国際放送局で独自の番組をつくってお知らせしていこうというふうに思っております。  それから、日本の政治事情ということでございますけれども、今やっておりますテレビによる国際放送の中でNHKのニュースをそのまま流しておりますし、政治番組も扱っております「クローズアップ現代」とか「日曜討論」もそのまま流しておりますので、この国際テレビの放送をふだん見ていただければ大方の日本の政治状況もおわかりになるというふうに思っておりますし、また選挙が始まった場合は「各党討論」「党首は訴える」、例えばこの前ですと「ドキュメント参院選」というようなことも国際NHKのテレビ放送でお伝えしておるところでございます。
  89. 片木淳

    ○片木政府委員 在外選挙に際しての、国外の有権者の方々に対します情報提供でございます。  選挙公報につきましては、これは作成の時間的制約等がありまして難しいといった、国内に比べて種々の制約はあるところでございますが、名簿届け出政党等の名称あるいは名簿登載者の氏名に関する情報提供を行いますことにつきましてはできる限り努力をする必要があるというふうに考えております。  そのためには、まず在外公館におきましてこれらの情報に関する資料の便宜供与をしていただけますようにする必要がございますが、自治省といたしましては、外務省等関係機関と御相談してまいりたいと思っております。さらに現地の日本人会その他の団体等の協力をいただいての周知徹底、あるいはインターネットの活用、さらには、ただいまお話のありました国際放送の活用等も含めまして、今後さまざまな角度から効果的な手段につきまして検討してまいりたいと考えております。  NHK国際放送につきましては、ただいまもお話ありましたとおり、既に在外選挙制度の啓発につきまして協力をお願いしているところでございます。今後ともさらにいろいろな角度から御協力をお願いしてまいりたいと考えております。
  90. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それでは、もう時間がなくなってまいりましたから、最後野田大臣、先ほどちょっと私お話を伺いました字幕放送について、NHKとタイアップして、行政の方がどのように推進していっていただけるのか、少しお考えをお聞かせいただければと思います。
  91. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 字幕放送につきましてこれまで講じてきた策について御報告申し上げます。  附帯決議を踏まえて、平成九年度に放送法等を改正しました。字幕放送等の開始手続の簡素化、字幕放送等の努力義務化を行いまして、平成九年十一月には、行政上の指針として字幕放送の普及目標を策定、公表し、制度面での環境整備を整えました。  あわせて、放送事業者への直接的な支援策として、字幕番組の制作費用に対する助成措置を講じているところです。特に来年度の予算案では、平成十年度の一・三億円から四・四億円と大幅に拡充することが予定されています。さらに、研究開発の方でも、字幕自動制作の実現に資する研究開発平成八年度から平成十二年度までの五カ年計画で、TAOの研究として実施していますし、さらに、この試作システムが完成して実験が可能になる見込みになっています。研究者の人の言葉をかりれば、もう八合目まで来たということでございます。  こういう対策を講じている中で、字幕放送実施事業者数、放送法の改正以前では、NHKのほか、百二十六社中十四社でありましたが、現在は百十四社に増加しています。  今後のことですけれどもデジタル化によりまして、今先生の御指摘の字幕・解説番組等の制作が容易になってくるでありましょうし、話速変換が実現できますでしょうし、また、そういうことでバリアフリー型、ユニバーサルデザイン型の放送の実現に寄与できるものと信じているところであります。
  92. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それでは、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  93. 中沢健次

    中沢委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  94. 中沢健次

    中沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤忠治君。
  95. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 民主党の伊藤忠治でございます。私は、NHK郵政省に対して質問をいたします。  NHK平成十一年度予算案ですが、一読をいたしますと、収支差金が九十四億円、次年度繰越金が四百五十六億円、一口に言いまして、健全財政だと私は思うのです。この数年、NHKの財政は安定をしていると思います。関係者の御努力にまず敬意を表したいと思います。  たしか十年前の、衛星放送が本格化するあの当時のことを思い出すわけですが、財政的にも大変な御苦労がございました。言いかえれば、投資がかさみましたし、そのことが財政の逼迫化につながる、こういうことにもなりまして、受信料の値上げを余儀なくされるという当時を思い出します。  その後、放送界でも技術の日進月歩、非常にスピードが速くて、新たなサービスが生まれたと思います。NHKは、我が国公共放送としてその役割を果たすべく、先頭に立ってこられました。視聴者にしてみれば、そういうNHKに対します期待が非常に大きいと思っているわけです。  ところで、今回の予算案の提示を見ますときに、デジタル放送の問題が事業計画の主要項目の一つに座っております。その中身は、電波を利用します放送通信世界アナログからデジタルに切りかわりつつあるわけです。放送の分野でも、二〇〇〇年十二月ごろからBS4後発機が打ち上げられまして、衛星放送でもデジタル化が始まると聞いております。  郵政省の中に置かれました懇談会がございますが、この答申を見ましても、地上放送デジタル化も二〇〇三年までに東京や大阪、名古屋のエリアで実施をしていくべきである、二〇〇六年までにその他の地域での衛星によりますデジタル放送実施していただきたい、このような答申が出ているわけです。  そこで、郵政省にお伺いをいたします。  郵政省としては、この答申を積極的にとらえて、放送界ではこの計画を全うできるように積極的にデジタル化を進めていただきたいという姿勢なのか、その点についてまずお伺いをいたします。
  96. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 郵政省はもとよりですが、我が国におきまして、高度情報通信社会推進に向けた基本方針、これに示されているとおり、二十一世紀は、この国にトータルデジタルネットワークを確立しようということで、既に電気通信デジタル化が完了していることは先生承知のことと思います。この放送デジタル化というのがこのデジタルネットワークの重要な一部であり、国にとっても戦略的な課題ということで理解しているところであります。  今お話しいただいたとおり、二〇〇〇年中にBSデジタル放送が開始されます。となりますと、デジタル化は、地上放送が引き続いて国民基幹放送として期待に応じていくための戦略的に必要な技術ではなかろうか。そういうことと同時に、デジタル放送関連分野というのは、放送文化の向上はもちろんのことですけれども日本国際競争力とか雇用の確保においても極めて大きな発展の可能性を秘めた分野であると認識しています。特に、私たち、国の得意とする情報家電、この産業にも大変大きな効果があると思っているところでございます。  ただ、地上放送デジタル化につきましては、視聴者、そして放送事業者、さらにはメーカー、それぞれが歩調を合わせていただいて初めて順調に進んでいくものと考えていますので、私たちは、皆様方の御協力と御理解をいただき、円滑に、またかつ確実に移行できるように努力してまいりたいと思っております。
  97. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 続いて、NHKにお伺いをいたします。  デジタル化になりますと、視聴者にとって、テレビを見る場合にどう勝手が変わってくるのかということなんですが、まず第一点、デジタル用のテレビを購入しなければいけないということが一つ。  二つ目のケースは、現在使っておりますアナログ系の受像機、テレビに変換装置というんですか、アダプターをつけなければデジタル放送は見ることができない。それには、大量生産されれば二万円ぐらいになるのかな、現在アダプターを購入するとなればとてもその値段では買えないと言われておりますが、現在のアナログ用の受像機でデジタル放送を見ようとしますと、どうしてもそれをつけなければいけない。  三点目。NHKにとっては、送信の設備や局内設備や、過去の映像や資料をデジタルで保存する場合にはデジタル化の整理をしなければいけないと思うのですが、それらを含めますと相当な経費がかかると聞いているわけです。  以上三点について、NHKにお伺いをいたします。
  98. 海老沢勝二

    海老沢参考人 アナログからデジタル化へ転換する場合に、受信機なりアダプターなりアンテナなり、いろいろな面で受信者負担してもらわなければならない、こういうことであります。  私どもは、アナログからデジタル転換に当たっては、できるだけ視聴者に大きな負担をかけないように、技術開発をすると同時にまた、メーカーに対してもできるだけ大量生産によって低廉化を図ってもらいたいということを要望しております。  それと同時にまた、デジタル化メリットといいますか、デジタル化になって視聴者により便利でよりいい放送が送り届けられなければ新たなサービスにつながりませんので、そういう面で、私どもは、このデジタル化を機会にさらに番組の質の向上を図っていきたい、それによって視聴者の御理解を得たいと思っているわけであります。  今まず問題は、BSと地上波が同じ、並行で議論しますとなかなかわかりにくい面がありまして、我々は、まずこの衛星デジタル、いわゆるBSデジタルをきちっと国民理解してもらう、その上でさらに地上デジタルへというふうに、段階を経ていきませんと混乱が起こることになってしまうんじゃないかと思っております。  しかし、やはり今こういう時代でありますので、私どもも地上デジタルについては郵政省ともども実験を重ね、そしてできるだけ早く地上波のデジタル化へ着実に移行していきたいということで両にらみでやっておりますけれども、まず衛星デジタル、来年の十二月一日を目指して今そういう準備を急いでいるということであります。  できるだけ、このアダプターについても、先生おっしゃるように、これはもうメーカーが決める値段でありますけれども、我々の希望としては、私は個人的に二万円ぐらいな値段でないとなかなか視聴者理解してくれるのはどうかなということを申し上げておるところであります。
  99. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 BSは二〇〇〇年の暮れにサービスを行うということになりますよね。それでもかなりお金がかかります。加えて、この答申、計画どおりいきますと、これも急がなきゃいけない。地上デジタル経費がかかります、設備投資がかかるんですが、資料をいただいた中でも、放送送信設備で三千億、あるいはその中で、基幹局設備で一千億、中継局設備で二千億、これは相当な金額だと思うんです。  NHKは、年度予算の総額が六千四百億ですね。一度にこれは設備投資をやるわけじゃありませんが、この実施計画を目標にして年度で割っていきますと、各年度の負担額というのは相当なものになります、借金で回すということになれば話はまた別ですが。  いずれにしても、資金調達方法が、少し判断を誤りますと受信料の値上がりにはね返ってこざるを得ないのではないかと私は推測をするわけですが、この点、会長どうですか。
  100. 海老沢勝二

    海老沢参考人 送信設備全国あまねく普及させますと、三千億ほどかかるという試算を今出しております。このスピードをどういうスピードで年次計画をつくっていくかというのが我々にとっても大きな課題であります。  基幹局といいますか、四十七都道府県、県庁所在地でやりますれば全体の七〇%をカバーできる、その資金が一千億ということで、これは私どもの計算では、基本的には私ども事業計画といいますか、自主財源によって賄うことができるだろう、中継局を全部含める二千億については、我々の資金力からいってかなり長期間の年月を要すだろうと思っております。そういう面で、これをできるだけ早く、情報に格差がないようにするために早くやるということになりますると、何らかの新しい知恵を出さないと非常に苦しいかなという考えを今持っております。  いずれにしても、私どもは、チャンネルプランができた段階できちっとした年次計画を立てて、また国会等の御審議をいただきたいというふうに思っておるところであります。
  101. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 最後に、郵政省に対して質問いたしますが、NHK会長の答弁にもございましたとおり、デジタル化へ向かって進む方向についてはお互いに努力しよう、積極的な姿勢で取り組んでいこうというのは私も理解できるんですが、ところが、これはさまざまな問題が絡み合うと思うんですね。しかも、白黒テレビからカラーテレビに切りかわったあの時代というのは、もちろんこれはオリンピックの時期と合わさったわけですが、相当な熱気があったと思うんですね。ところが、今回アナログ放送がずっと普遍化しまして、結構このコンテンツの問題でも皆さん方は非常にハイレベルでもってこの放送のあり方に関心を寄せておられるわけですが、あの当時の熱気がデジタル化に対して寄せられているかというと、そうじゃないと思うんです。  その辺の開きがございまして、距離を置いた言い方をするんですが、結局これは業界主導、行政主導、そういうことの色彩が非常に強いと思いますよ、私。相当懸隔がある。懸隔がある中でどんどんとこの部分だけが進んでいくということになりますと、どうしても無理が生じますし、光と影の部分というのが、どうしてもこれは矛盾、トラブルを引き起こしていくんじゃなかろうかと思うんです。  どうしても計画どおりやれというんだったら、できませんからね、現実には。なかなかいかないと思うんですよ。NHK自身としても相当財政事情に影響いたします。民間だって絡むんですよ。そうしたら、結局資金調達については国の公的資金でどうのこうのということにいかないとも限らないと思うんです。そういう議論となったら、さまざまな角度の議論というのはまた生まれてくると思うんです。非常にこれはさまざまなそういう問題を含んでいるということをお互いに知り合った中で、これから実現に向けて円滑に進んでいけますように努力をいただきたいと思っております。  最後に一点、一言で言いますと、これは放送業界のビッグバンと私は思っております。実際の話、共同受信者それからCATV、こういう視聴者の皆さんは、つまりアダプターをつけるかデジタルの端末に変えるだけで実際今のような放送を享受できるだろうかといいますと、そうはいかないと思うんです。時間がございませんから、これは割愛をいたしますが、私、なかなかそういかないと思う。民間の地方放送局は果たして今のように成り立つんでしょうか。私は、崩壊していくんじゃないか、こう思っております。  この辺の議論は改めてさせていただきますが、そういう点も含めまして、最後郵政省にお伺いしたいと思うんですが、もし何としてもこのデジタル化計画どおりにやっていただきたいということになれば、これは国としての財政支援というんですか、そういうことがついて回ると思うんですが、この点についてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  102. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 巨額な設備投資ということで御指摘がございました。郵政省としては、平成十年度の予算以来、地上デジタル放送のパイロット実験、さらには全国十カ所の共同利用実験、そして法人税や固定資産税の軽減措置とか政策金融機関の低利融資制度などの支援措置を講じてきたところです。  繰り返しになりますけれども、これはやはり日本の国の国策の一つで、二十一世紀に向けて非常に重要だ、そういう大きな柱の一つとして位置づけられておりますので、今後とも、その時期時期に応じた可能な支援策について検討してまいりたいと思います。  恐らく、先生の方で、国策として考えているなら基本のインフラ部分ぐらいはというようなお話ではなかろうかと思いますけれども、これはまさに公共投資に関する新しい理論構成ということになりまして、財政当局の理解などを必要とするものとなります。どうか、先生のお力をかりながら、前向きに検討してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  103. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 終わります。
  104. 中沢健次

  105. 肥田美代子

    ○肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。  NHK海老沢勝二会長にお尋ねします。  NHKテレビの「おかあさんといっしょ」という番組放送されました「だんご3兄弟」という歌が大変人気を呼んでおります。子供たちが口ずさんでいるのを聞いておりますと、確かにほのぼのとした感じがして、いい歌なんですね。  会長は、この歌の人気の秘密はどこにあるとお考えですか。
  106. 海老沢勝二

    海老沢参考人 この前、これをプロデュースしました、外部の方でありますけれども、佐藤雅彦さんという方でありますが、いろいろ話をしましたけれども、なぜこんなに大ブームになったか、本人もわからないと言っておりました。佐藤さんは、できるだけこの歌を末永く口ずさんでもらう、子供たちに歌ってもらいたい、そういう気持ちで作詞作曲をしたけれども、こんなに爆発的になったのは私自身もよくわからないと言っておりました。  その後、私もいろいろな方に、なぜこれがこんなに社会的現象と言われるほどブームになったのかということでいろいろ伺っておりますけれども、それぞれの方のいろいろな思いといいますか、解釈があるようであります。  一つ紹介しますと、ある家庭の主婦は、子供たちが集まって騒いでいても、この「だんご3兄弟」のメロディーが来ると、みんなそこへ座ってじっと見ている。それから、まだ余りきちっとしゃべれない一歳半から二歳ぐらいの子供たちも、これを見るとすぐ覚えてしまうということで、やはり二歳、三歳児に何か触れるものがあるんではなかろうかというような方。いわゆるお母さんたちが歌っているのではなくて、子供たちが自分のものとしてこれを受けとめているというような言い方をする方もおりますし、また、今一人っ子が非常に多い世の中になってきた、そういう中でやはり友達が欲しい、きょうだいが欲しいという願望もあるのかなというような方。あるシナリオライターの方は、これは哀歓があるんではなかろうか、哀愁といいますか、そういう方もおります。私、よく意味がわからないんですけれども、そうですかなんていう程度ですけれども。いろいろ言う方がおりますが、いずれにしても後講釈でいろいろ言うんでしょうけれども、なかなかきちっとしたあれはありません。  しかし、いずれにしても、今電車の中とかいろいろな中で、この「3兄弟」が子供たちから大人まで幅広く歌われるという一種の社会現象になっているということであります。そういうことで、私どもも非常に戸惑いながらも、やはり国民がこういう機会にこういう歌を歌って、明るく、そして元気になればな、そういう願いを今持っているところであります。
  107. 肥田美代子

    ○肥田委員 平成十一年度のNHKの事業収支予算を見ますと、副次収入は約六十六億円です。事業収入全体のおよそ一%でございます。国民から受信料を徴収しておりますから、副次収入をふやすための事業を展開することはいろいろ困難があると思います。それは私も承知いたしております。ただしかし、経営努力という視点に立ちますと、副次収入をふやすという努力があってもいいし、またこれまでも努力なさっていると思っております。  ところで、NHKテレビの「おかあさんといっしょ」の番組放送された「だんご3兄弟」、このシングルCDが今月三日に発売され、既に販売枚数が二百万枚を超えております。最終的な販売枚数は、史上最大と言われた「およげ!たいやきくん」の四百五十三万枚をしのぐ六百万枚に達するのではないかという予想が立てられております。爆発的なヒットなんですね。CD一枚税抜きで七百円ですから、六百万枚が売れると、およそ四十二億円の売り上げが見込まれるわけでございます。  シングルCDの発売に至るまでには、NHKエデュケーショナル、それからNHKソフトウェアなどの関連会社も関与されているわけですが、発売に当たってはどのような契約を結ばれ、またこの大ヒットによってNHK関連の副次収入はどのくらいと予測されていらっしゃいますか。
  108. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今先生指摘のように、CD盤で予約を入れますと二百万を超えて三百万。これが「たいやきくん」の四百五十三万を超えて六百万ということになるかどうかまだ予測がつきませんが、いずれにしても三百万ということで計算しますと、NHKに入る収入がざっと五千七百万円でございます。  これはいろいろ複雑な権利関係がありますので、ちょっと話が長くなりますので省略いたしますが、この番組NHKが、NHKの関連会社であります、教育番組を主につくっているNHKエデュケーショナルという株式会社、ここに番組制作の委託をいたします。この番組委託をされたエデュケーショナルが、今月はこういう歌をつくろうということで作曲家、作詞家等と打ち合わせをして決める。今度はそれの発行というものをNHKソフトウェアという、いわゆるNHKのVTRだとかCDの販売元でありますソフトウェアに業務委託をいたします。このソフトウェアが、発行はソフトウェアでありますけれども実際の発売元というものを、自分で工場を持っておりませんので、それを株式会社のポニーキャニオンに業務委託する、そういう格好になっております。  ソフトウェアが自分でVTRを発売する、CDを発売することもありますけれども、この音楽関係、いろいろあるんですけれども、すべてが当たるというわけにいきませんので、たまたま今度の場合は大当たりをしてしまったということで話題になりましたけれども、年間何百何千本とつくっております。そういう中で当たり外れもありますので、こういうのは、発行はしますけれども、発売は外部のそういう専門の会社に委託しているというのが現状であります。  原盤権は先ほど言いましたNHKエデュケーショナルが持っております。私ども番組を委託しておりますので、それの一部の権利がNHKに入ってくる。三百万で二十一億の売り上げでありますが、そのうちの大体二・七%前後のいわゆる権料といいますか、それがNHKにバックしてくる。それが合わせて、今CDだけで五千七百万ということであります。  そのほか、これからVTRなりあるいは音楽権のほかに御承知のようにキャラクター権というのがあります。いわゆるいろいろなグッズとかそういうもののキャラクター権。これはやはりNHKの関連会社が持っておりますので、これがどれくらい売れるか、今、いろいろな会社がそういうキャラクターをつくりたい、あるいは映画にしたいというので来ておりますので、その辺の見通しは立っておりません。  いずれにしても、NHKにはそういう形で二・数%の権料が入ってくる、そういう構図になっております。
  109. 肥田美代子

    ○肥田委員 今会長説明を伺ったんですけれども、本当に素朴な疑問なんですけれども、二十一億売れて二・七%で五千七百万。販売のルートがないとおっしゃいますが、私は、何かNHKさんがうっかりしていておいしいくしだんごをさらわれたんじゃないかというふうに思うんです。もちろん放送法では、日本放送協会は営利を目的としてはならないとありますから、NHKが直接販売できないことは私も承知いたしております。しかし、出版部門でもすぐれた書籍が販売されておりますし、音楽などのソフト部門でもやはり開拓の余地があるのではないかと思うんです。やはりそうした経営努力を通じまして将来的にも受信料の値上がりを抑える道筋をつける必要があるのではないか、そういうふうに考えるわけですけれども、いかがですか。
  110. 海老沢勝二

    海老沢参考人 御承知のように、私ども、今関連会社、株式会社、二十社持っております。そのほかに厚生文化事業団とか公益法人が七社。二十七社で、今二千四百億の売り上げを持っております。  御承知のように、この関連会社はいわゆるNHKの資本が入っておりますので、いわゆる民業圧迫といいますか、あるいはいたずらな商業主義に走らないように、節度を持って、公共放送をバックアップするという大きな意味合いを踏まえながらそういう営利事業もしているということであります。  そういう面で、これまでもNHKの関連会社の業務については、民放連なりいろいろなところから、節度を持ってやってほしいというような要望も来ております。そういう中で、私どもも、その関連会社も株式会社でありますし、また、副次収入を上げて受信料負担を軽くするという二つの意味合いもあるものですから、その辺のバランス、兼ね合いというものが難しいということも御理解を願いたいと思っているわけであります。  そういう面で今、副次収入全体で六十数億でありますが、そのうち、平成十一年度では、四十七億の関連会社からの副次収入といいますか、NHKに入る金は、十年度の四十二億から今度は五億ほどふやしまして、四十七億ということを今見込んでおります。これを急激にふやしていきますと、いろいろまだ民間事業とのバッティングがありますし、そういう面で、私は、できるだけ節度を持ちながらも、そういう経営努力によって副次収入をふやす方向で今しているところであります。  いずれにしても、これが爆発的にふえるということはなかなか難しいわけでありますけれども、そういうNHK公共放送を支える関連団体の意味合いということも御理解願いたいと思っているわけであります。  ただ、今先生指摘のように、「だんご3兄弟」、私は生みの親ではなくて育ての親でありますけれども、何といいますか、たまたま爆発的ブームで、売り上げも三百万を超える勢いでありますけれども、ほかのものがそのとおりいかない場合もかなり多いわけでありますから、そういう面で、今度の経験も踏まえながら、どういう方法がさらにNHKあるいはNHK関連団体としていいかどうか、さらに勉強させてもらいたいと思っております。
  111. 肥田美代子

    ○肥田委員 子供たちが幼児のころはNHKテレビをたくさん見て、その接触率もかなり高くて九〇・六%なんですけれども、これが高学年になってまいりますと、どんどん下がってくるわけですね。それは、民放の方で幼児番組が少ないということもあるのですが、やはりNHKに子供がわくわくするような番組が少ないというふうな私は気がするのです。やはり子供たちの心を引きつける、例えば今回の「だんご3兄弟」のように、子供たちの心を本当にわくわくさせる、そういう番組づくりにNHKはもっともっと努力していただきたいなと思うわけですが、最後会長、いかがですか。
  112. 海老沢勝二

    海老沢参考人 やはり子供たちは二十一世紀日本を担っていく方であります。そういう面で、子供たち、幼児のころから、心を豊かにするような、そしてすくすく育つような、やはり質の高い番組提供するのが我々の務めだろうと思っております。  それからまた、小中学生に対しても、いろいろ問題が起こりましたけれども、私どもは、そういう小中学生に対しましても、「ドラマ愛の詩」というようなシリーズ物をつくって、子供たちが楽しく、みんなの話題になるようなドラマなり、いろいろな番組をつくっていきたい、これからも一層努力していきたいと思っております。
  113. 肥田美代子

    ○肥田委員 ありがとうございました。
  114. 中沢健次

    中沢委員長 生方幸夫君。
  115. 生方幸夫

    ○生方委員 民主党の生方幸夫でございます。受信料について御質問をしたいと思います。  これまでも委員からNHKの収支についていろいろな質問がなされておりますが、受信料について申しますと、いただいた資料によりますと、平成二年からほとんど値上がりをしていないということで推移をいたしております。これは、我々テレビを見る側からすれば大変ありがたいことでございまして、NHKさんの努力に敬意を表するところでございます。  しかしながら、これまで質問がずっとございましたように、これからデジタル放送が始まっていくということもございます。それで、チャンネルが非常にふえていくということがあるということと、主にどこで受信料を値上げしなくて済んだのかというと、衛星カラー受信料というのが非常に、この資料から見ますと、その受信料収入がふえているということが受信料を据え置くことができた一つの原因だというふうに解釈をしております。  これから先を考えますと、デジタル放送になって多チャンネル化時代がやってくるということが第一点。第二点として、衛星カラー放送受信料もこのまま右肩上がりでずっと伸びていくということは、これは考えられないわけでございます。  アメリカの例を引くまでもなく、チャンネルが多くなってくればいろいろな選択肢が出てくるわけで、NHKばかりを見るという方がこのままずっとふえていくということは考えられないわけで、受信料収入というのがいずれ頭打ちになることもあり得るんじゃないか、そうだとすれば、当然、方法一つで、受信料を上げるという方法しかないわけです。  そこで、私は常々考えていたのですが、NHKさんは放送の中でコマーシャルが入らない、これは見る側からすると、例えばスポーツ中継なんかは途切れることなく、我々も非常に気持ちよく見ていることができるので、そのために私は受信料を払うのは私個人からいえば何でもないことであるのですが、ところが、NHKの例えば大河ドラマとか良質なドキュメンタリーなんかの場合は、冒頭にコマーシャルが仮に入ったとしても、視聴者そのものとしてはそれほど大きな抵抗はないのではないか。一方、コマーシャルを出す企業の側にしても、NHKで仮に広告ができるということになれば、需要もかなり大きいところがあるんじゃないかというふうに私は考えております。  もちろん、放送法四十六条で、広告をしてはいけないということがございますが、これももう随分時代が長くたっておりますので、そろそろ、すぐに放送法四十六条を改正しろというのではなくて、四十六条も含めて、二十一世紀を前に多少考えてもいい時期に来ているのではないかなというふうに思っているところでございます。  そこで、まずNHKにお伺いしたいのですが、海外にももちろんNHKと同じように受信料を取って公共放送をしている放送局がたくさんあるわけですが、そこでは広告の扱いはどうなっているのか、その辺、知っている範囲で結構でございますから、お教えいただきたいと思います。
  116. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 お答えいたします。  世界放送機関の中には、公共放送あるいは国営放送、この区別が大変難しいところもございますので、あわせてお答えいたしますが、広告収入、広告をやっているところは全部で三十機関ございます。
  117. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私は、NHKと民放との共存体制といいますか、NHK受信料、民間放送が広告、この体制は私は今後とも日本国民にとって、日本にとって最もふさわしい体制ではなかろうかというふうに確信をしているところであります。  御承知のように、イギリスは受信料だけで広告放送はしておりません。そのほかのヨーロッパの、フランス、ドイツ、イタリア等では一部広告収入でやっています。フランスは大体二〇%、それからドイツは六・七%、イタリアは二九・八%、各年度で違いますけれども、それの割合で広告放送をやっております。  私も去年のワールドカップサッカーのときにヨーロッパのこういう各機関のトップと話をし、そういう中で、今のヨーロッパの広告放送についていろいろ聞きました。各首脳とも、やはり我々としてはできるだけ広告放送でなくて、NHKのような受信料でやるのが一番ふさわしい。やはり、広告放送をやると、どうしても番組の質の低下というと語弊がありますが、いずれにしても、安易に流れてしまう、と同時にまた、いろいろな面で問題が多いということで、広告放送を減らす立場をとっているのがヨーロッパ各放送機関の首脳の一致した考えであります。  隣の韓国、KBSも受信料と広告放送をやっておりますけれども、この社長も、できればやはり受信料だけでやっていきたいというのが我々の基本的な考えであります、といいながらも、やはりなかなか受信料というものは難しい制度であります。  そういう面で、日本の場合は、これだけの視聴者理解と信頼を得てやるということは、非常に毎日毎日の積み重ねが信頼されている結果だろうと私ども思っております。  それで、私もこの今の体制が本当にどこまで続くかどうかいろいろ考えておりますけれども、私はできるだけこの制度を延ばしていきたい、この制度が崩れる場合は私どもがやはり番組の質の低下を来す、そして視聴者の信頼を失ってしまう、そのときはNHKが崩壊していく時期であろう、しかし我々は、国民、国家のためにやはりいい番組をつくるという限りは国民から支持されるだろう、そういう確信のもとにこれからも事業を展開していきたいと思っております。
  118. 生方幸夫

    ○生方委員 これまで局内で放送法四十六条あるいは広告ということについて検討をなさったりしたということはございませんですか。
  119. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今までありません。
  120. 生方幸夫

    ○生方委員 郵政大臣、今のNHK海老沢会長の答弁を聞いて、郵政省として、極端に受信料が上がっていくということはないとは思うんですけれども、仮に極端に上げなければいけないような状況ができた場合、極端に上げるのを許可するのか、あるいは広告を一部開放するのを許可するのかというような選択の問題が出てきた場合、現時点ではなかなかお答えするのは難しいかもしれませんが、郵政大臣個人のお考え方で結構ですけれども放送法四十六条、ここから十年ぐらいいじらないつもりがあるのか、少なくとも検討してもいいのか、その辺のお考え方があったら聞かせていただきたいと思います。
  121. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 単に財源論ということであるならばそういう選択肢もあろうかと思いますけれども、今海老沢会長からお話があったように、この問題というのはNHKのあり方の問題であるし、私たちの国の放送のシステムのあり方の問題であるわけですから、国民視聴者の声とか、さまざまな議論を重ねていかなければならないと思っています。  ですから、相当に慎重な検討を要するものであると私は受けとめています。
  122. 生方幸夫

    ○生方委員 コマーシャルが入ると番組の質が低下するおそれがあるというのは一面でもちろんあると思いますが、同時に、NHKさんがコマーシャルを仮に入れるということになれば、民放さんにもその意味で新しいライバルが出現するということにもなって、民放の質が上がるということも考えられないではないというふうに私は考えますので、もちろん、今すぐにコマーシャルを入れろというような考えもないんですが、少なくとも見る側には余りそれほど大きな抵抗はないだろう。それによって受信料をもし万が一引き下げることが可能であれば、迷惑にならない範囲でそういうことも考えてもいいんではないかなという気がいたしましたので、あえて御質問させていただきました。  もう一点、前回、テレビ朝日の社長以下を招きまして私も質問させていただいて、あのときに放送法四条の訂正放送の問題について質問をしたんですが、十分な答えが来なかったような気がいたしますので、もう一度再度郵政大臣にここでお伺いしたいんですが、この間の参考人質疑でも明らかになりましたように、放送事業者側が、訂正放送を要求されてもこの放送は真実であったというふうに認定した場合は訂正放送をしなくていいということになっておりまして、こうなりますと、訂正放送をしてほしいというふうに訴えた側にはその後救済的な措置がないということになりますので、この部分はやはり私は放送法上の不備だと思うんですが、郵政大臣、いかがお考えになっていますでしょうか。
  123. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 放送による権利の侵害は、そもそも、放送事業者と被害を受けたと思われる人との私人間の問題ということで、紛争解決は裁判でやるのがこの日本の国の制度であります。しかし、社会的影響力を有する放送を行う放送事業者視聴者との関係にかんがみ、視聴者の立場に配慮して訂正放送の制度が設けられているものであります。  ですから、放送事業者と権利侵害を受けたと思われる人との間で話し合いがつかなかった場合は、視聴者の立場から迅速かつ有効に対応するために、放送事業者により自主的にBRC、放送と人権等権利に関する委員会が設立されているわけです。それで、先日の参考人のときにもBRCの委員長から御報告がありました。BRCは今日一定の役割を果たしつつあるということでございます。  ということで、郵政省としては、まずは今のお話の答えとするならば、放送事業者の努力により設立されているこの第三者機関のBRCの活動に期待をしたいということでございます。  郵政省としては、さきにも御指摘ありましたけれども、このBRCとか訂正放送制度自体、国民皆様方に十分に周知徹底されていないという御指摘がありましたので、私どもは、これが十分活用されるようにPRに努めてまいりたいと思っています。
  124. 生方幸夫

    ○生方委員 この放送法四条では、三カ月以内に訂正放送をしなければいけないというふうになっておりますので、仮に今郵政大臣がおっしゃったようにBRCに申し出を訴える、BRCの側でこの放送には真実に基づかない部分があったあるいは不適切な部分があったという何かしらの結論というのが出た場合、その結論を受けて、じゃ訂正放送をするべきだというふうに、あるいは、放送法のここの内容を変えれば、BRCもそれなりに機能をして——訂正放送をしないと、その番組だけしか見ていない人がいますから、BRCでどういう結論が出たというのは、恐らく新聞で報道されるぐらいで終わってしまって基本的に被害者の救済にはならないと思うのです。  そのBRCの結論を受けて訂正放送を出すというふうに四条を変えていただければ、BRCの機能そのものもより充実したものになるというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  125. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  訂正放送制度の解釈でございますので私から答弁させていただきますが、ひょっとしたら先生、私聞き違いかと思いますが、だったら失礼いたしますが、三カ月以内というのは、三カ月というのは三カ月以内に請求があった場合でございますから、十分にその点は訂正放送を申し入れる期間というのは確保されていると存じます。  それで、BROというのはあくまで民間のいわば団体でございますから、先生おっしゃるような言ってみれば公権力的な機能を付与するというのは、この今の放送法に限らず、日本の制度の中ではなかなか難しいんではないかというふうに放送法なりあるいは日本の国内法制から解釈しているところでございます。
  126. 生方幸夫

    ○生方委員 やはり、放送される側は個人で非常に弱い立場でございますので、放送事業者側が事実であるか事実でないかを認定するという、それだけでは結局泣き寝入りになってしまう可能性があるんではないか。  今、三カ月以内に申し立てというふうに言いましたけれども、申し立てが三カ月以内であったとしても、訂正放送が仮になされたとしてもほとんど救済にはならないと思いますので、私は、この部分はやはり何かしらの形で改正をするべきではないか、これはもちろんこれからの論議でございますが、するべきではないかなという感想を持っているということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  127. 中沢健次

  128. 坂上富男

    坂上委員 坂上でございます。  まず、臓器提供の脳死移植に関する報道について、NHKの立場からの御回答を質問としてさせていただきたいと思います。  私が今資料としておりますのは数日前に報道されましたアンケートの資料でございまして、臓器提供施設に対するアンケートでございます。臓器提供施設となっている大学病院や救急医療機関計三百五十二施設を対象に実施した全国アンケートで、「回答した二百四十施設のうち」云々とこう書いてありまして、報道についてこういう記載があります。その見出しは「過熱報道に批判集中 早急なルール作り求める」と。  提供施設からは報道の過熱ぶりへの批判が集中。自らの施設で提供者が現れた場合の混乱への不安が現実となり、早急なルール作りを求める声が上がった。 病院の名前は避けますが、   「病院名公表は最大の誤り」「臓器搬送をリアルタイムで伝える必要があるか疑問」と、提供者と家族のプライバシー保護を求める意見が多数。高知では会見した院長が、救急部と発表内容を確認するため、深夜まで何度も往復する場面があり「日常的な医療を障害しないよう配慮すべきだ」と指摘があった。   再度の脳死判定の前から全く情報が公開されなかったことに「公開されるべき医学データが隠され、守られるべきプライバシーが出てしまったのが問題」との意見があった。   今後の具体策として「厚生省や提供施設と報道機関が協議し、情報公開や報道の態勢を整備すべきだ」「発表窓口の一本化を」「報道機関は代表質問、代表撮影にするなどの配慮を」と、枠組み作りを要望する声が強かった。 こういうふうなアンケートでございます。  この報道の中にはNHKが入っているんだろうと思うのでございますが、NHKとしての所感あるいは反省があれば会長から求めたいと思いまするし、郵政大臣からはこのような過熱報道、批判集中ということに対しまして、いわゆる放送の監督といいましょうか、指導する立場にある郵政省としては今後いかように対応されようとしているのか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  129. 海老沢勝二

    海老沢参考人 臓器移植法が成立して初めての例でありました。日本では、脳死を人の死とするかいろいろ議論があった問題でありました。そういう中で、我々報道機関として患者さんなり患者の家族のプライバシーなり人権をどういうふうに保護するか、それと同時に、一方では、初めてという脳死の臓器移植、これに対する国民の関心も非常に高いということで、こういう情報の公開との兼ね合いが非常に難しい点であろうかと思っております。そういうことで、私どもも、この取材に当たっては以前から、報道する場合の指針といいますかガイドラインというものをつくって、現場にはそういうガイドラインを大分勉強させてまいりました。  そういう中で今度の臓器移植の初めての報道があったわけでありますけれども、過熱報道、非常に患者さんなり家族に迷惑をかけたような表現なり動きがあったという場面も、正直言ってあったと思います。そういうことで、私ども、こういう機会にやはり反省すべき点は反省し、そして報道のあり方も、やはり相手の立場に立った思いやりの精神がなければこれはできませんので、そういう面で今度の報道を全部検証して、どういう点を放送しどういう点をカットするか、どういう点までなら表現が許されるのか、その辺を今チームをつくって検証しているところであります。  そういう面で、今先生指摘がありましたように、あくまでも我々報道機関としては、相手の立場、人権を守り、プライバシーを保護することも非常に大事であります。それと情報の公開とをうまくかみ合わせながら視聴者の信頼が得られるような報道をするのは当然であります。そういうことで、今御指摘のように我々報道機関としてもやはり節度を持った取材なり報道があるべきでありますので、そういう面で我々の考えをまたきちっとした形で世間に表明していくのが我々の使命だろうと思っております。そういう面で、こういう過剰な報道についての反省と同時に、今後の報道のあり方についても真剣に対応していきたいと思っております。
  130. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 まず、この臓器移植に当たりまして、提供された方の御冥福を心からお祈り申し上げ、さらに、提供を受けられた方、患者さんたちの一日も早い回復を願っているところであります。  郵政省としては放送法を所管している立場として、放送というのは、放送法にありますとおり、表現の自由の尊重と公共の福祉への適合、この両方を求められているところであります。まさにこれは放送の自律の原則に立ってこの二つが強く要請されているところでありまして、私たちは、放送事業者においてこの理念に従って放送文化の向上のために努めていただきたい、そういうふうに考えているところでございます。
  131. 坂上富男

    坂上委員 私もテレビを拝見させてもらっておりました。脳死状態——脳死状態というのは脳死になるという可能性のある状態のことをいうんですね。脳死で臓器を提供した場合は、脳死の段階から死なんですね。テレビを見ておりまして、この患者は脳死状態である、いつ脳死になるのか、いつ脳死になるのかという報道のように私は感じました。言葉で言いますと、いつ死ぬんだ、いつ死ぬんだ、いつ死ぬんだということになるわけでございます。これは大変なことだなということを私はテレビを見ながら直観しておりました。  そんなような意味で、私は、近く法務委員会が、今度大臣がかわったから開きますが、人権、いわゆる患者の人権それから家族の人権、これをどう守るかということを人権擁護局ではどう対応するのかということもこの際きちっと明示させたい、こう実は思っておるわけでございます。  私は、家族の方々が余りにも過熱報道でびっくりされまして、そしてまた、一時脳死状態から脳死でないというような状態が出てまいりまして、再度家族の確認を求めたとき、このとき家族の方がもうこんな状態では提供できません、こう言われたら、これまた報道によって何だというようなことが出るんじゃなかろうか、そんなようなことで、患者と家族の方々は本当に過熱をした報道にもう身動きできないで、甚だしい状態に入れられておったのじゃなかろうか、こんなふうに実は見ておったわけでございます。  今の御答弁を聞いておりますと、何かもうこの一回限りのような御答弁でございますが、今またこういう状態が起きるわけでございます。その可能性があるわけでございますから、早急にいわゆる自主的にこの協議をなさって対応するなら対応するように、本当に患者と家族の人権、プライバシーを守りながらどうあるべきかということをしなければ、今のお話を聞いても人ごとのように、まだまだ、またもう半年後しか起きないような感じでありまして、今直ちにされなければならぬ問題だろうと私は実は思っておるわけでございますので、強く要望をまずいたしておきたいと思っております。  その次に、時間がありませんので、今回、受信料の免除撤廃、廃止の部分があります。これは、学校の職員室、それから校長室、これを受信料を取らないでいたのが今度は取るというような予算のようでございまして、これから徴収をいたしますと約六億円という徴収になるそうでございます。そして、今までの免除基準というのはこう書いてあるわけでございます。日本放送協会受信料免除基準、学校教育法に規定する学校のうち、大学、専門学校、高等学校以外のものにおいて、「教育の専用に供するため、その管理者が受信機を設置して締結する放送受信契約」こうあるわけでございます。  さて、文部省おりますか。文部省、いわゆる校長室、職員室、ここは教育の専用の場所じゃないですか。どうですか。簡単でいいです。
  132. 梶野愼一

    ○梶野説明員 現在は、小中学校等につきましては放送受信料免除の扱いを受けているわけでございますが、お尋ねの職員室等における受信機におきましては、主として台風などの災害時に教育活動に関する情報収集を行ったり、あるいは児童生徒のための番組を録画したりして利用することが多いということから、教育関係者からは、免除措置の廃止について疑問の声やできれば現行どおりにしてほしいとの意見が上がっていることを私ども承知しているところでございます。
  133. 坂上富男

    坂上委員 文部省に私が聞いているのは、結論はそれはそれでいいんですが、校長室と職員室というのは「教育の専用に供する」のかそうでないのかと聞いているのよ。「教育の専用」でしょう。ここに設置してあるテレビは、いわゆる子供たちの学校教育のためのテレビとして設置してあるんでしょう。先生方が見て、これは有害である、これは子供たちによく見てもらいたい、いろいろのことをやる、そのために設置してあるんでしょう。先生方の娯楽や休養のためにこれが設置してあるわけじゃないんです、特に言葉として「専用」と書いてあるんだから。「専用」というのは、教育に専用するものについては免除する、こう書いてあるんです。したがって、NHKに聞いてみたら、どうも郵政省、文部省、ここと相談して免除することをやめた、こう言うわけでございます。これはとんでもないことじゃないの。  自治省、もしこういうことが実施されたら、交付金、きちっと各市町村に出しますか。どうですか。簡単に。
  134. 石井隆一

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  教室以外に設置されております小中学校のテレビについて、NHK放送受信料を徴収することになるかどうか今先生御議論されておるんですが、仮に徴収するということになりますと、地方自治体の負担がその分ふえるということになりますので、それについては、関係省庁の御意見ですとかあるいは地方団体の実情も聞きまして、地方交付税措置をするかどうかも含めまして、適切に対処していきたいと思っております。
  135. 坂上富男

    坂上委員 よく聞いてください。職員室はテレビがない、校長室もこれをやめた、しかし、子供の教室にはある、しようがないから職員室から教室へ行って番組を見て、そしてまたテレビ放送をどういうふうにするか、そういうことがこれから起きるんです。でありまして、こういうようなことは、郵政省、きょう私は全部皆さん方の報告書、意見書を読みましたよ。これには、青少年教育それから教育テレビを充実発展させると書いてある。しかし一面、これを見てみると、文部省もしかも郵政省も、これの免除はもうやめてもよろしい、こういうことで、これは、言うていることとやっていることと反対なんです。  これは一体どういうふうにお考えでございますか。会長さん、大臣、どうぞ。
  136. 海老沢勝二

    海老沢参考人 学校の受信料免除につきましては、私ども先生承知のように、昭和三十四年から、四十年前から教育テレビをやって、主に学校放送充実してまいりました。この学校放送を普及するために免除措置をとったわけであって、この学校放送というのは相当普及した、いわゆる所期の目的を達したということであります。  そういう中で、これまで高校、大学の方も免除を解除してきました。今残っているのが幼稚園、小中学校ということになってきました。そういう中で、教育現場はもう少し検討するとしても、校長室と職員室はやはりいただくべきだろう。もちろん私どもは、この衆議院の逓信委員会でも、前に附帯決議として、公平負担の意味からもやはり受信料を取るべきだという附帯決議を受けております。  そういう中で、私どもは、各世帯から、一世帯世帯から受信料をいただいて運営している事業体です。それと同時に、学校はやはり国民の税金で賄われる学校法人でありますから、そういう面で、そういう交付金なりあるいは地方財政の中から税金として納めてもらいたいというのが私の立場であります。
  137. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 受信料免除ということは、もともとは放送の普及という見地から進められてきたことと承っています。おかげさまで、その免除措置によって受信機が広範に普及してまいりまして、その利用実態も変わってきている、そういう中にあって、「教育の専用」に使用される受信機を限定する必要が出てまいりました。そこで、今お話がありました受信料免除の適用範囲を明確にするために、校長室と職員室の受信機について免除措置を廃止しようとしているものであり、御理解いただきたいと思います。  今会長お話がありましたけれどもNHK受信料というのは公平負担が原則ということになっており、もう既に放送自体は広範に普及している中、あわせて衆参両院の逓信委員会の附帯決議を踏まえて、これまで順次免除措置を廃止してきたところであります。  先生指摘の、例えば学校教育的目的に放送を利用するということであれば、むしろこれからは、それぞれの行政の角度からとらえていただくのが望ましいのではないか、そういうふうに考えているところでございます。  よろしくお願いします。
  138. 坂上富男

    坂上委員 これは、NHK郵政省も自治省もそれから文部省もきちんと、やはり教育に必要欠くべからざる職員室にあるテレビであり、あるいは校長室にあるテレビなんです。でありますから、それはだれが負担しようと構いませんけれども、結局地方自治体が負担するという形になって、ではもうテレビは置きませんというような事態になったらこれは大変なことでございます。でありますから、私は、極めて重要な問題だろうと全部予算案を見ながら考えておったわけでございますので、どうぞ四者の方で十分な御協議をなさって、私は無理やりこの予算に反対はしませんけれども、さりとてこの六億円の予算の執行はひとつお考えになって対応していただきますこともお願いをいたしまして、時間が超過したようでございますから、終わります。  ありがとうございました。
  139. 中沢健次

    中沢委員長 小沢鋭仁君。
  140. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  NHK予算案について御質問をさせていただくわけですが、先ほど同僚議員からも出ておりましたが、大変明るい話題の「だんご3兄弟」の話をひとつ聞かせていただきたいと思います。  今大変ヒットしておりまして、子供たちも喜んでいる、こういうことで、好ましいことだなと思って私も見させていただいておりますが、たまたま私の地元でこの話題になりましたときに、女性の支持者の皆さんたちの会でありますけれども、三人の兄弟、男ばかりでどうも残念だな、こういう意見がありました。三人にとどめる必要はなくて、ぜひとも四人目をつくってもらって、それはぜひ女の子を入れていただきたい、そういう話をNHKの皆さんにぜひ伝えてくださいよ、こんなお話がございました。その中では、そもそもだんごというのは、くしに刺さっているのは四つが基本ではないか、そんな意見もありました、そこは私はよくわかりませんが。こんな御検討をいただきたいと思うんでありますが、いかがでございますか。
  141. 海老沢勝二

    海老沢参考人 これは非常に難しい問題であろうかと思います。  「だんご3兄弟」は現場の発案でできたオリジナルソングでありまして、宣伝を呼びかけた私が育て親みたいになっておりますけれども、ただこれを、「だんご4兄弟」「4姉妹」といいますか、いろいろ出ていますけれども、うまくできるかどうかわかりませんが、先生のそういう御意見が一部にあるということを現場の方には伝えておきます。  いずれにしても、それほどこの「だんご3兄弟」が話題になっているということは我々にとっても非常にうれしいことでありますし、またそういう話題が世の中を明るくすることを願っております。
  142. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 このお話をするときの海老沢会長は大変にこやかなお顔になって、言ってみればだんご三兄弟のお父さんかな、だんだんそういうふうに見えてくるような気もするわけでございます。どうぞ御検討をお願いしたいと思います。  次に、いろいろな皆さんからもありましたが、受信料の話というか、スクランブルの有料方式についても含めて、国民の皆さんが支払う、こういう観点から御質問させていただきたいと思います。  かねてから海老沢会長は、今の条件が変わらなければ、こういう前提をおつけになっておりますが、就任以来、二〇〇〇年までは、すなわち平成十一年の今予算、それから今予算だけではなくて来年の予算も含めてでありますが、受信料の値上げはしないようにしたい、こうおっしゃっていただいていると私は理解しているわけであります。今回の予算も当然受信料値上げにはなっていないわけでありまして、それは国民にとっては、今景気が大変厳しい折にありがたい話であります。私もこの予算、賛成を予定しておりますけれども、賛成の理由の、幾つかもちろんあるわけでありますが、その一つは、受信料の値上げがないというのも一つの理由であります。  来年を含めて値上げをしないとはっきりともう一回言明をしていただきたい、こう思うわけであります。
  143. 海老沢勝二

    海老沢参考人 平成二年から受信料の据え置きと、私ども、予算として赤字を組みながらも、最終的には黒字決算をこの十年間続けております。そういう意味で、私もおととしの会長就任以来、当面、この三カ年、二〇〇〇年までは国民に新たな負担お願いしません、つまり受信料を値上げしませんということを明言してまいりました。来年二〇〇〇年も、私は値上げするつもりはありませんし、しなくても、この十一年度予算をきちっと執行し、そしてまた受信料収納を確実にすれば値上げしなくて済むわけでありますので、この一年間さらに頑張っていきたいと思っております。
  144. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 この審議の模様も全国に放映されるようでありますから、来年度までNHK受信料は上げないと明快に言い切っていただいて、ぜひその姿勢で頑張っていただきたいとお願いを申し上げるわけであります。  続きまして、いわゆるBSのデジタル放送に関してお尋ねをするわけでありますが、NHKは二〇〇〇年の、ですから来年の十二月にBSのデジタル放送を開始する、こういう予定でいるというふうに承知しております。このデジタル放送に当たっては、その放送収入をどうするかというのがNHKだけではなく民間も含めて話題になっておりますし、当然視聴者の皆さんたちも、それはどうなるんだろう、こういう疑問をお持ちになっているわけであります。  そこでお尋ねでありますけれども海老沢会長、この間ですか、NHKのBSデジタル放送に関して、話題になっておりますいわゆるスクランブル放送ですね、お金を払った人だけが見られる、お金を払っていない人はいわゆるザーという形で見られない、そういうスクランブル放送でありますが、そのスクランブルの有料方式はとらない、こういうふうにおっしゃっていただいたように私は記憶しているんですが、改めてそのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  145. 海老沢勝二

    海老沢参考人 BSデジタル放送にいわゆる有料スクランブルをしたらどうだという意見がありました。私どもも、この問題につきましては真剣に検討してまいりました。  その結果、私ども受信料収入だけでやっている公共放送として、新たな、いわゆる映像、音声を遮断して、スクランブルをかけて、見た者から料金を取る、今こういうCS放送をやっておりますけれども、そういう方法は、やはり我々、受信料制度NHKの根幹にかかわる、基本にかかわる問題でありますし、NHKのあり方そのものをもう一度議論しなきゃならない最重要な課題だろう。そういうものについての議論がまだ十分されていない中でそれをやることは、非常に混乱を招く。  それと同時に、また私自身も、放送法ができて以来、この受信料制度は、日本国民に根づいた、国民から信頼された制度だろう、この制度をやはり一日も長く維持するのが我々執行部の務めだろうというふうに確信をしているわけであります。  そういう中で、今後とも、民放の広告放送に対して、我々は受信料制度で維持していきたいということを改めて表明したわけであります。  それと同時に、もうちょっと具体論になりますと、今アナログの方の衛星放送、千三百万世帯まで普及しております。片方を受信料、そしてデジタルの方をスクランブル有料化するといいますと、非常に混乱も起こしますし、そういう面で普及にもいろいろな問題が起こるであろうし、また国民もなかなか納得できない、そういう一面もあります。  ただ、受信料を払わない人まで見られるんだから有料化したらどうだ、スクランブルにしたらどうだという意見もあります。しかし、私は、先ほども言いましたように、我々は性善説に基づいてこの企業体を経営しているわけでありますので、国民の信頼の中でこの制度を維持していきたい、そういう気持ちでスクランブル有料化しないということを表明したわけであります。
  146. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 郵政省にもお尋ねいたしますが、いわゆる世論調査というか、パブリックコメントとお呼びになっているようでありますが、このスクランブル有料方式について調査をなさっているようですが、その状況をお教えいただけますか。
  147. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  広く意見をいただきましたところ、九十三件の御意見をいただきました。論点は三つに分類できようかと思います。一つは、デジタル衛星放送全体の発展のために見てどうかということ、それから、事業者間の競争という観点から見てどうか、それから受信者の間の公平論から見てどうか、こういう論点に分類できようかと思います。  結局、全体の発展あるいは事業者間の公平競争というのもやはり大きな土俵の中での競争ということが望ましいんではないか、そういう意味から見ますとスクランブル化は必ずしも適当でないという御意見。それから、受信者間の公平、これもそのために取るべきであるという御意見もありました。しかし、もう一方で、受信料適正徴収のためには別の手段があるんではないかという論点、こういったところが主な御意見だったというふうに承知しております。
  148. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今のいろいろな御意見も含めて、ぜひ、私も、先ほど海老沢会長におっしゃっていただいたように、来年度のBSのデジタル放送に当たってもスクランブルの有料方式ではない今のこの方式を堅持してやっていただいたらいいのかな、こういうふうに思います。そうすればチャンネル数はふえても基本的には料金は変わらない、こういう話になると思いますから、ベネフィット、便益はふえるけれども料金はそのままでいく、こういうふうに理解をさせていただきたいと思います。  さて、大変そういう意味では国民にとってはありがたい話でありますけれども、同時に、先ほどの、一番最初の質問でもそうですが、受信料は上げない、スクランブル有料方式みたいな新たな方式も加えない、こうなってくると、収入は一定でふえないわけですね。もちろんそれは人口増とかそういうのがあれば別でありますけれども、基本的には新たな収入源はない。  しかし、同時に、BS放送はまさに新たなサービスがふえる、そして同時に、今回の予算の中でも盛り込まれておりますけれども、二十四時間放送化に向かってさらなる努力をしていく、こういう話でありますから、率直に言って、NHKの皆さんたちにとっては収入はふえないけれども仕事はすごくふえる、こういう状況になっていくんではないかなと思って、やや心配もしているわけであります。頑張っていただくのは大変ありがたいわけでありますけれども、しかしそれが、いわゆる大変超過的な労働、こういう話を強いるのであれば、それで質が落ちていっても、これまた国民にとってもマイナスもあるわけであります。  そういった意味では、そういった幾つかの点を考えますと、いわゆる仕事の適正選択、こういうような話も考えて、スクラップすべきはスクラップし、そしてビルドすべきはビルドする、スクラップ・アンド・ビルド、こういうような仕事の適正選択という話も考えないといけない時期なのではないかなというふうに、私なんかは思うのでありますが、最後海老沢会長のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  149. 海老沢勝二

    海老沢参考人 非常に相反することに我々は今挑戦しておるわけであります。  しかし、世の中がこういう経済情勢が厳しい中で、どこの企業でも、一汗も二汗もかく、身を削る思いでやっているわけであります。そういう面で、私どもも意識を変えて改革をして、今先生がおっしゃるように、スクラップ・アンド・ビルドの精神にのっとって、これまでの仕事のやり方を個々に見直してみよう、そして、これまでやってきたもので要らないものは削っていこう、そしてまた新しい仕事をやっていこう、そういうめり張りをつけなければいけない時代だろうと思っております。  そういう面で、今、組織の見直しなり、あるいは職員の意識の改革によって、番組制作のやり方も本当に一から出直すつもりでやっております。そういう中で仕事を進め、現場からいろいろな問題が出てくるのではないかという御指摘でありますけれども、私は、やはり公共放送の職員としての自覚なり使命感でこの難局を乗り切っていきたい、そしてまた衛星放送の普及を図ることによって増収も見込める、そういうことで、難しい課題でありますけれども、こういう厳しい状態の中で汗を流していきたいというつもりでおります。
  150. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 御健闘をお祈りいたします。終わります。
  151. 中沢健次

  152. 石垣一夫

    石垣委員 公明党・改革クラブの石垣でございます。  平成十一年度の予算の説明の中で、契約収納業務については、「受信料負担の公平を期するため、」云々とありまして、「効果的・効率的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納に努めてまいります。」こういうふうになっております。それを受けて、予算説明書によれば、重点三項目として三点挙げられております。「受信契約活動の充実強化を図り、受信料収入の一層の確保に努めます。」二点としては「営業システムを活用することにより、契約取次業務等を効果的に実施します。」三点として「口座振替利用を拡大し、効率的な営業活動を展開します。」こういうふうになっておるのですけれども受信料契約の現状はどうなっておりますか。
  153. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 十年度の営業活動につきましては、受信料収入の確保を最重要課題というふうに位置づけて、全国第一線でもって最大限努力をしているところであります。今まさに年度末でございますので、地域スタッフ、職員ともども最後の追い込みに努力をしているところでございますが、十年度の当初目標といたしました衛星契約増加数につきましては、ワールドカップ等の効果もございまして、ほぼ近い水準に達するのではないかというふうに考えています。  一方、契約総数でございますが、当初計画は四十七万でございましたが、景気が大変低迷し、長引いている、あるいはホテル、旅館等事業所等につきましても倒産とか休業とかそういうところも出ておりまして、この当初計画の四十七万の確保というのは大変厳しい状況にございます。  しかしながら、受信料収入、ここにつきましては、ワールドカップによりまして前倒しに仕事ができたということもございまして、六千七十五億の予算額はぎりぎりながらも確保できるのではないかというふうに考えています。  ただ、一方で、やはりこういう経済状況を反映しまして、支払いをもう少し待ってほしいという、滞るところも出てまいっております。ここは心配されるところであります。  しかしながら、今先生お話にありました口座振替等、間接集金率が八六%を超えておりますので、全体の受信料収納につきましては、昨年同様の九七%のところまでは確保できるというふうに考えているところであります。
  154. 石垣一夫

    石垣委員 収納率が九七%確保できる。過去三年か四年はほとんど九七までいっていないのですけれども、九七ということは、非常に努力をされた成果だと評価いたします。  そこで、一般世帯のいわゆる受信契約率は現状はどうなんですか。簡単に。
  155. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 一般世帯に対する受信契約率でございますが、二人以上世帯につきましては、私どもは八九%、およそ九割というふうに推定しております。訪問をし、面接ができたところではいただいている。ただ、全世帯の四分の一を超えます単身世帯でございますが、お会いするのが大変難しゅうございまして、六三%でございます。これにつきましてはさらに努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、衛星契約のところでございますが、これも受信者の発見、把握ということに時間がかかっておりまして、残念ながらまだ七六%程度ということになっておりますが、ここにつきましても、ケーブルテレビとか集合住宅とか、発見の難しいところにパワーシフトをしながらこの向上に努力してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  156. 石垣一夫

    石垣委員 受信契約については、まだまだ努力目標に対して努力する余地がある、私はこう判断いたします。鋭意努力していただきたいと思うのです。  そこで、衛星放送なんですけれども、昨年も御質問申し上げたのですけれども、たまたま海老沢会長が阪神タイガースと契約をしたということで、本年はさらにまたそれをふやして、三十五試合ですか、こういう契約になったということを聞いたのですけれども海老沢会長はどこのファンなんですか。
  157. 海老沢勝二

    海老沢参考人 読売ジャイアンツでございます。
  158. 石垣一夫

    石垣委員 読売ですか。敵の敵は味方ということで……。  阪神とのBS契約について着手したということは、私は卓見だと思いますよ。恐らく、私は、関西ではBS契約は大きく伸びたと思うのです。その資料はありませんか、判断資料。
  159. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 個別の競技あるいは個別の地域について、どのスポーツがどれだけの効果を上げたかということは大変難しゅうございます。  しかしながら、例えばワールドカップでありますと、大会が開催されました……(石垣委員「私は野球のことを聞いているのですよ。わからぬならわからぬで結構です」と呼ぶ)はい。個別に出すことは大変難しゅうございます。
  160. 石垣一夫

    石垣委員 ことし、阪神は野村監督を呼んで、ゆうべも、「猛虎復活へ! 野村監督で変わるか」こういう放送をたまたま私は見たのですけれどもNHKも阪神の復活に非常な力を入れていただいておるのですけれども、これは大阪経済の復興に大きなインパクトを与えますから、これはねらいがいいのですけれども、たまたま会長は巨人ファンということで、巨人のことを何でやらないのですか。
  161. 海老沢勝二

    海老沢参考人 個人のファンとNHK会長の立場を分けて私は仕事をしております。国民全体のスポーツファンにどうこたえるかというのがNHK会長の立場でありますので。  私は、会長就任と同時に阪神タイガースの本社へ伺って、もっと阪神は元気を出せ、そのためには、やはり阪神は、勝っても負けても、阪神ファンが非常に多いわけでありますから、これは全国区であります。そういう面で、衛星放送放送しますと全国の人々に見られるということで説得いたしました。  私、甲子園の試合全試合を衛星放送いかがかという提案をしましたけれども、いろいろ問題があって、去年が二十九試合、ことしと来年が、巨人—阪神戦、これは甲子園を含めて三十五試合ずつ契約を結んだということであります。  いずれにしても、これはやはり、パシフィック、セントラルをバランスよく放送するのが我々の使命でありますので、これに並んで、パシフィックリーグの方も日本ハムを中心にかなりの放送をいたします。衛星放送では合わせて百試合程度流すつもりでおりますし、地上放送は十三試合ということを考えております。
  162. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、二〇〇二年のワールドサッカー、これの放送に関して非常に話題になっておりますけれども、オリンピックがいわゆる商業化されて、それに伴ってオリンピック、またワールドサッカーの放送権というのは非常に高騰してきておりますね。先般、いわゆるJCに対して五百四十億円の提示があった、こういうふうに聞いているのですけれども、これに対して、会長としてはどういう御意見ですか。
  163. 海老沢勝二

    海老沢参考人 二〇〇二年のワールドサッカーにつきましては、これは我々にとっては非常に法外な放送権料というふうに受けとめております。  先ほどもお話ししたわけでありますけれども、二〇〇二年だけ見ても、交渉はこれからでありますけれども、三百億前後というふうになりますと、シドニー・オリンピックの倍になります。同時に、これをその値段でやれば、我々としては受信料収入から考慮した率が非常に、何といいますか、国民に納得の得られない権料だろうと思っております。したがって、我々としては、ジャパン・プールをつくって、NHKと民放が一緒になって窓口を一本化して、これから厳しい交渉に当たらなければならぬだろう、そう思っております。
  164. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、「スポーツ放送権高騰問題についての声明」ということで、一九九六年、香港総会で採択されておりますね。たまたま海老沢会長はABUの代表ということで、これにかかわった当人でございますけれども、そのときに、「事態の改善に努める決意を表明する。」こういうふうに表明されたのですけれども、今後の展開として、ABUが発信基地となって、会長海老沢会長でございますから、この問題を世界に投げかけて、この高騰する放送権料に対して、やはり世界的な一つの組織づくりをやるべきではないか、私はこう思うのですが、いかがですか。
  165. 海老沢勝二

    海老沢参考人 そういうことで、ABUとしても、香港の総会でワールドカップサッカーの高騰につきましては声明を出したわけであります。  そういう中で、私、去年ヨーロッパ各国を回って、ワールドカップサッカーの放送権料は法外なものであるということで、これについては、我々放送機関が結束して当たるべきだということを表明してまいりました。  御承知のように、イギリスでは、オリンピックとかワールドカップサッカーとかウィンブルドンテニスとかという、国民の関心のあるスポーツ十種目については、無料放送いわゆる公共放送と民間の広告放送ができるという法律をつくってあります。ヨーロッパ各国も、EUを中心にあるいはEBUというヨーロッパ放送連合も中心に、それぞれ各国でそういう法律をつくる準備をしているということも聞いております。  いずれにしても、こういう高騰する放送権料ではどこの放送機関も賄い切れないというのが実態でありますので、今後とも我々は各放送連合ともいろいろ情報を交換しながら、この放送権料についてはいろいろな意見を申し述べていきたいと思っております。  ただ、こういう市場原理に基づく自由な競争時代の中で、いわゆるスクランブルをかけた有料テレビ、いわゆるCSなりCATVが顧客をふやすために値段をつり上げる、そういう問題も抱えております。そういう面で、我々公共放送なりほかの民間放送とも結束を固めていきたいというのが現状であります。
  166. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、いわゆる国際スポーツ・レジャー、ISL、これの実態は御存じですか。
  167. 海老沢勝二

    海老沢参考人 スイスに本部のあるISLの実態ですか。私ども、どういう相手だか、やはりそれを勉強するのが我々の務めであります。これはスイスに本部があり、そして運動靴の製造メーカーを中心とした資本が多く入った、そして日本の電通も一部ここに資本参加しているスポーツのいわゆる総合代理店といいますか、そういう企業であります。そして、一時は今の世界陸上選手権とかワールドカップだとか、そういういろいろな放送権利を取得している代理店であります。
  168. 石垣一夫

    石垣委員 この「オリンピックの汚れた貴族」という本を読みますと、これに正体不明と書いてあるんだ、はっきり言ったら。情報公開もしていない、どこにあるかわからない、この著者の指摘からいくと、非常にややこしい会社だ、こういうふうに指摘しているのですけれども、今おっしゃっているように、はっきり言うたら、この著者が指摘するような会社だと私は思うのですよ。だから、相手が非常にややこしい会社ですから交渉は難しいと思うのです。  会長会長としていわゆる民間外交に努力しておりますけれども郵政省としては、こういう問題について、やはり国民のスポーツに対する関心が非常に高いわけですから、高騰ということで、もし日本放送できなかったらこれは大変なことになります。これは民間だけに任すのじゃなくして、郵政省として、この際、官民協力して日本がやはりその音頭をとるというぐらいの決意があってもいいと私は思いますけれども、いかがですか。
  169. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今お話がありましたワールドカップの放送権料の高騰については、私も大変心配しているところであります。  現在、会長からお話があったように、NHKと民放の皆さんと協力していただいており、特定の視聴者だけがそういうスポーツ番組を見られるような、そんな事態にならないように連携をしていただいているところであります。  どの番組を放映するかというのは、もともと放送事業者の人の契約という問題でありますから、もともとは放送事業者の仕事、お話しになるということになるのですが、仮にいろいろそういう問題点が出てきたときには、私たちは政府として、できる限り御相談に乗りたいということでお話を申し上げているところで、その気持ちには変わりございません。
  170. 石垣一夫

    石垣委員 郵政省として、そういう事態に陥れば、陥る前から大臣、やはりきちっと対策を立てていただくということを要望して、終わります。
  171. 中沢健次

    中沢委員長 福留泰蔵君。
  172. 福留泰蔵

    ○福留委員 公明党・改革クラブの福留泰蔵でございます。  本日は、平成十一年度のNHK予算案の審議ということで、短時間でございますけれども、質問をさせていただきたいと存じます。  まず、先ほども質疑がございました件でございますが、今回の脳死移植報道に関する件でございます。NHKにお尋ねいたします。  二月二十八日に、日本で初めての脳死・臓器移植が行われました。移植を推進する立場から見てみますと、細部を除けば合格点をつけてもよい今回の移植システムの作動であったとの評価がございます。それに引きかえまして、マスコミはその不見識を露呈したとも言われております。つまり、ドナー候補とその家族に対する過剰取材と、配慮を欠いた大量報道があったということでございます。  二十五日の夜七時のNHKニュースで、今回の一報がなされました。この段階では脳死判定はまだ行われておりませんでした。そこでは、高知県内に住む四十四歳の女性であること、病院名を高知赤十字病院と実名を出しております。また、別の報道では、病院名だけではなくして、二十五日の夜の時点でございますが、患者さんの住んでいらっしゃる町村名まで伝えたとも聞いております。この早過ぎる報道をきっかけに、堰を切ったような取材合戦と大量報道がなされたのであります。  プライバシーの配慮として大変問題ではないかと考えますし、さらに大きな問題は、先ほども指摘がありましたけれども、早過ぎる報道と家族への取材攻勢によって、家族による自由で自発的な意思決定が不可能になりかけた事実であります。  NHKにおかれましては、番組基準ハンドブックと厚生省の臓器の移植に関する法律の運用に関する指針を参考にされまして、プライバシーの保護に細心の注意を払われていること、さらに、昨年の九月に取材マニュアルを作成され、徹底されておられることは承知しております。しかしながら、報道に関して大きな課題を残したのは事実であります。  NHKとしては、先ほど会長の答弁の中で、社内にチームをつくられて今検討中であるというお話がございましたけれども、これはやはりNHK単独だけではいかない問題もあろうかと思います。民放各社とも協力して、生命倫理と情報倫理の境界面の原理というものを明らかにして、それに見合ったルールを至急確立すべきだと考えますが、その予定はございますでしょうか。
  173. 海老沢勝二

    海老沢参考人 この脳死による臓器移植の問題、今先生指摘のように、異常な、あるいは過剰な報道であったという御指摘を受けました。  第一報は私どもの記者がこれを報じたわけでありますけれども、これはやはり、脳死・臓器移植というものが臓器移植法ができて初めてのケースということで、非常に国民の関心が高いということで第一報をしたわけであります。  そういう中で、我々はできる限り患者さんとその家族の方々のプライバシー、人権の保護、これを守るんだという、そういうことはきちっと踏まえながら報道に当たったわけであります。そういう面で、家族の周辺は一切取材しないということで、しませんでした。  しかし、そういう中で、やはり繰り返しの報道でありますし、長時間にわたる報道だったということで、過剰にわたった面はあるわけであります。また、それと同時に、今これだけの放送会社がひしめき合っている中、それに新聞、雑誌等が加わる。そういう面で、異常な雰囲気の中での報道があったわけであります。いずれにしても、基本は、相手の立場に立つといいますか、プライバシー、人権の保護を優先するということが大事であります。  それとまた、もう一方では情報の公開という面もありますけれども、その辺の兼ね合いを十分に我々は踏まえながら、これからの臓器移植の報道に当たっては、今度の報道を十分反省し、検証し、そして国民から信頼される報道に当たるべきだろうということで、先ほども答弁しましたように、社内で今そういう面で検証をして、そしてそれをまとめて、きちっと徹底し、そういう過剰報道に当たらないよう、人権を守るように努力していきたいと思っております。  これは、単にNHKだけでなくて、民放と一緒にやらなければ意味がないという御指摘、全くそのとおりと思います。そういう意味で、民放各社もやはりそれぞれの立場で自主的にいろいろやっておるということだと思います。そういう面で、民放連に対しても、何らかの形で国民のそういう意見というものを十分くみ入れながらやるように働きかけていくのは我々の使命だろうと思っております。
  174. 福留泰蔵

    ○福留委員 ぜひともNHKの社内におかれて検討をされるとともに、民放各社にも呼びかけていただいて、また新聞の各社にも呼びかけていただいて、この点についてのマスコミの報道のあり方ということのルールを至急確立されるよう要望しておきたいと思います。  平成十一年度のNHKの予算案を拝見いたしますと、国際放送充実を図るということで、テレビジョン国際放送の二十四時間放送化が実現されることになってございます。国際放送我が国の文化、産業を紹介して、我が国に対する正しい認識を培い、国際親善の増進に資するとともに、海外同胞に適切な慰安を与えるために大きな貢献をしていること、その上で、今回の計画については高く評価をしているところでございます。  昨年五月のインドネシア暴動の際は、現地の在留邦人へ内外情勢を刻々と報道し、帰国のための臨時便やチャーター便について詳しく伝えられ、帰国した人の九八%が「NHKワールドTV」から情報を得たという大きな実績を上げられましたことは大変喜ばしいことだと思っております。  そこで、この際、国際放送のあり方について確認をしておきたいと思います。  放送法の第三十三条に、「郵政大臣は、協会に対し、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して国際放送を行うべきことを」命ずることができるとあります。つまり、命令放送規定されておるのであります。また、第三十五条には、その費用は国の負担とするとの規定がございます。平成十一年度につきましては、ラジオ国際放送実施につきまして政府交付金が約二十億であり、経費総額の約二〇%を占めております。そして、先ほども議論がありましたけれども、現状、テレビジョンについてはございません。  NHKにまず確認をさせていただきますけれどもラジオ国際放送については命令放送の部分があるわけでございます。その際、政府から番組編集についての何らかの指示がございますでしょうか。また、編集については全くNHKの自主性に任されているのでしょうか。この点を確認させていただきたいと思います。
  175. 河野尚行

    ○河野参考人 ラジオの国際放送の場合の放送事項として具体的に指定されておりますのは、ただいま委員指摘のとおり、時事、国の重要施策、国際問題に対する政府の見解の三つがございますが、NHKとしましては、これらの三つの事項について、命令放送をまつまでもなく、その中身につきましては、自主的な判断で制作し、編成をしております。
  176. 福留泰蔵

    ○福留委員 現状においては、国から二〇%のお金をいただいておるけれども番組編集については全くNHKの自主的な編集が行われているというふうに理解していいんだろうと思います。
  177. 海老沢勝二

    海老沢参考人 全くそのとおりであります。
  178. 福留泰蔵

    ○福留委員 それでは、実はかなり極端な話をちょっとさせていただきたいと思う次第でございます。  まず、今、国会で、衆議院でガイドライン関連法案が審議されております。いつ来るかわからない非常事態に対して国家の危機管理をいかにすべきかということで議論をされていると承知しているわけでございますが、この非常事態における国際放送のあり方について、私は原則を確認しておきたいと思う次第でございます。  仮に日本がある国との戦争状態に受動的に巻き込まれたとしたときに、国際放送はどのような役割を果たすべきと考えるのかということでございます。在留邦人の保護のために情報伝達を行うのは当然と考えますけれども、相手国へのいわゆる対敵放送は命令放送によって可能かどうかということでございます。  NHKの海外放送の歴史を見てみますと、太平洋戦争中は戦争遂行のための国際宣伝活動が当時の海外放送の重要な要素であったわけでございます。時間がありませんので省略いたしますけれども、まず、非常事態において、今私が確認いたしましたいわゆる対敵放送が命令放送によって可能なのかどうか、これを郵政大臣に確認したいと思います。
  179. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 ちょっと確認を先にさせていただきますけれども、現在、放送法第三十三条の規定に基づいて、短波国際放送については、放送事項として指定しているものは、時事、国の重要な政策、国際問題に関する政府の見解について報道及び解説することとなっています。  これは先ほどの説明どおりでありまして、指定事項としては「放送区域、放送事項その他必要な事項を指定」できるとなっているわけでありまして、それに対して、今のこの法の運用としては、どのような場合にどのような命令をすべきかというのは、個別具体的事例に即して検討し、判断しなければならないと思います。ですから、仮のお尋ねとなると、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  180. 福留泰蔵

    ○福留委員 それでは、もう、ちょっと時間がないので、一点だけ確認をしたいと思いますけれども、先ほどNHKに確認いたしました。今ラジオの国際放送は命令放送の部分がある、しかし、番組の編集は全く自主的な判断で編集をされているということがございました。放送法の第三十三条の中にある「放送事項その他必要な事項を指定して」というふうに書いてございますが、その「その他必要な事項」の中に番組の編集の内容が入るのかどうか。  先ほど来質問が実はありましたけれども、テレビジョンの国際放送については、翻訳についてお金がかかるんで国が何らかの補助をすべきではないかというふうな御指摘もございました。今テレビについては国の交付というものはないわけですけれども、これから、もしそういうことがなったときに、テレビジョンの国際放送のあり方として私は大きな問題点があると思うんですが、現状は、自主的な放送番組編集に任されているけれども、法律的には、命令放送の中で政府がある特定の番組編集をするように指示することができるかどうか、読めるかどうかということを確認して、私の質問を終わりたいと思います。
  181. 品川萬里

    品川政府委員 法の解釈の点でございます。私の方から答弁させていただきます。  ここにございますように、あくまで「協会に対し、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して国際放送を行う」ことを命ずることができると。この「放送事項」というのは、決め方はあろうかと思いますけれども、「放送事項」というのは、一定の範囲で内容を示すことになろうかと思います。しかし、実際の放送というのは、四十四条に基づく国際放送と三十三条に基づく国際放送、トータルとして放送されております。これはNHKの方の編集の中で放送されている、かように解釈しております。  それから「その他」とは何かということでございますが、今指定しておりますのは、放送時間というのもこの中に含めております。  以上でございます。
  182. 福留泰蔵

    ○福留委員 またぜひともこの問題については、この逓信委員会、放送法に関する質疑がありそうですので、その際にまた改めてさせていただくということにさせていただいて、本日は質問を終了させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  183. 中沢健次

    中沢委員長 遠藤和良君。
  184. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、今回もまず高田屋嘉兵衛から質問に入ります。  NHKはいよいよ高田屋嘉兵衛のドラマ化を決定されましてロケを開始する、こういうふうに聞いておりますが、高田屋嘉兵衛をドラマ化する今日的意義というものをどのようにお考えになっていらっしゃるのか。あわせまして、二〇〇一年に放送すると聞いているんですけれども、具体的な放送計画あるいはそれに至るタイムスケジュール、それをどのように考えて進めていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、小沢(鋭)委員長代理着席〕
  185. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今遠藤先生から、高田屋嘉兵衛、司馬遼太郎さんの原作の「菜の花の沖」という小説があります、これは高田屋嘉兵衛を題材にした小説であります。この高田屋嘉兵衛の、江戸末期になりますか、淡路島出身で北前船で函館を拠点に北方海域の漁場の開拓なり、あるいは北海道の産物を本土に運ぶという、いわゆる海運業として波乱万丈の人生を送った豪快な日本男子という方だと伺っております。これをやはりドラマ化するに当たって、いろいろな方々からサジェスチョンを我々は受けております。  そういう中で、この高田屋嘉兵衛、ロシア船に捕まり、そしてロシア側といろいろ折衝し、ロシア側からも信頼を得た大人物だったということも言われております。そういう中で、今、日本とロシアとの関係も新しい段階を迎えております。そういう面で、この日ロ関係が、この二〇〇〇年前後に大きな展開を見せるというような見方もあります。  それと同時に、このドラマ化によって、地域活性化あるいは歴史の見直し、文化の振興にいろいろ役立つ面があるだろう、そういうことで大河ドラマにしてほしいというような要望がありましたけれども、なかなか一年間には難しいという中で、七十五分物で五回シリーズでひとつつくってみようということで、脚本家にも今脚本をお願いしておるところであります。それと同時に、海を舞台とした非常に壮大なドラマになりますので、カムチャツカ半島も含めて、今ロケハンといいますか、下見をしている最中であります。  そういうことで、来年の初めから秋ごろにかけて制作をして、来年二〇〇〇年の秋には完成する予定であります。放送は、でき上がってすぐ放送するか、年末にするか、二〇〇一年にするか、まだ決めておりません。いずれにしても、でき上がれば早く放送をしてみようと思っております。  いずれにしても、このドラマ化に当たっては、今日的な意味合いも含めながら、日ロ関係の動向などを踏まえながら、いろいろ国民参考になるようなドラマ化を考えているというところであります。
  186. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今、二〇〇〇年の秋から二〇〇一年の新年にかけての放送という話を聞いたわけでございますが、まさに二十世紀から二十一世紀へ変わる時期ですね。私も、本当に歴史の大きな転換点に、もう一回日本人像というものを考えるという意味でも、この幕末の時代に日本人という概念を持っていた人物は、この人と恐らく坂本竜馬の二人だったんじゃないかと思うんですけれども、気宇広大な日本人像というものを、私は、このドラマを通して日本人の皆さんにも、そして世界にも日本人のこうした先達がいたということを広くアピールする大変いい企画ではないかな、このように思っています。  私自身も、司馬遼太郎先生の「菜の花の沖」を何回も読みまして、感動いたしまして、出生地であります淡路島の五色町に参りまして、その足跡をいろいろ取材もいたしましたし、あるいは活躍をしました北海道の函館市にも一人で参りまして、いろいろな関係の方々からいろいろなお話を聞いてまいりましたものでございますから、大変に感銘をしております。ぜひ、全国各地の皆さんからも大きな期待が寄せられていると思いますので、すばらしい作品を放映していただきますように期待をしたいと思います。     〔小沢(鋭)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、ハイビジョン放送という話があるわけでございますが、現在、NHKハイビジョン開発して、すばらしい成果を挙げられまして、今全国で百七十万台の受信機がハイビジョンを受像していると聞いております。しかし、現在は実用化試験放送中なんですね。この本格化、本放送というものをぜひ早めてもらいたいと思うわけでございますが、その時期はいつなのか、またあわせて、本放送になった場合に、有料化になるのではないかとか付加受信料をつけるのではないかということが懸念されるわけでございますが、その辺の考えも教えてください。
  187. 酒井治盛

    ○酒井参考人 お答えいたします。  今御指摘のとおり、ハイビジョン放送につきましては、いろいろ今、実用化試験放送中でございます。これはアナログハイビジョンでございます。  ハイビジョン放送にはアナログデジタルの両方があるのですけれどもアナログハイビジョンについては、NHKは、現在の実用化試験放送でも実質的には本放送と変わらない本格的な放送を行っている、そういう認識を持っております。  今、これは民放とNHK一つチャンネル放送実施しておるのですけれども、民放さんの方は、平成十二年末のBSデジタル放送が始まる時期までにはこれをやめたいという意向があるというふうに伺っております。NHKとしましては、このアナログハイビジョン受信者、今百七十万とおっしゃいましたけれども、MNコンバーターのものも含めてでございますけれども、この受信者の方々のデジタル放送への移行が十分に進展するまでは、単独でもこのアナログハイビジョン放送実施していく考えでございます。  それから、もう一方のデジタルハイビジョン放送でございますけれども、開始当初から本放送として実施できるものというふうに考えておりまして、NHKとしては、二十四時間の本放送実施したいというように思っております。アナログハイビジョンデジタルハイビジョンともに、基本的には同内容の放送を行うということになろうかと思いますけれども、そういうふうに考えております。  それから、有料化するかしないか、付加料金云々でございますけれどもアナログハイビジョンも、衛星デジタル実施する予定のデジタルハイビジョン放送も、衛星放送サービスの一環として、現行の基本と衛星という二本立ての受信料体系のもとで実施していく考えでございます。したがいまして、それに加えて新たな料金を設定するということは、現時点では考えておりません。
  188. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 NHKハイビジョン放送に係る申請を受け付けるためには、放送普及基本計画の変更が必要です。この場合は、まず、アナログハイビジョン実用化試験放送を本放送化することが適切かどうか、または、アナログハイビジョン放送を継続する場合、いつまで実施することが適当かどうか、さらに、NHKが行う場合、保有メディアの数から問題がないか、そのような観点を踏まえて放送普及基本計画の変更案を策定する必要があるわけです。  昨年末に、ハイビジョン放送の今後の取り扱いについて、いわゆるパブリックコメント手続を実施しまして、NHK初め関係事業者一般の方々から広く意見をいただいたところであります。今後は、これらの意見参考にして、今月または来月を目途に制度改正案を電波監理審議会に諮問して、答申に沿って制度整備を図ってまいりたいと考えております。
  189. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 NHKとしては、ハイビジョンアナログ放送もしたいということで既に申請をしているわけですから、郵政大臣の方としては、許可する方向で検討を進めてもらいたいと思います。  それから、今後、デジタル化してまいりますと、特に地上波のデジタル化が進むと、いわゆる知的所有権の問題というのが大変大きな、再放送あるいは再々放送をする上でのネックになるのじゃないかと思うのですね。これは、米国と我が国の法律が違う、あるいは考え方が違う点があるわけでございますが、私は、デジタルチャンネル化時代というのは、恐らく再放送とか再々放送の時代になるのではないかと認識をするわけです。  そうすると、アメリカのように第一次著作権者の権利を放送事業者が一括して購入しておく、こういう形になると番組の流通は大変促進するわけですけれども日本の場合は大変、再放送あるいは他メディアあるいは再々放送というものがある場合に、またもとの著作権者にさかのぼって承諾を得なければいけないという仕組みになっているわけですね。  そうすると、なかなか多チャンネル時代のソフトの供給ができないのではないか、こういう心配をするわけでございますが、その辺のことについて、NHKはどういう見解を持っておりますか。
  190. 河野尚行

    ○河野参考人 今委員指摘のとおり、アメリカは、映画はハリウッド方式で、会社とかプロデューサーが権限を一括して持っております。ですから、それを使う場合はそこと交渉しさえすればいいのですけれども日本の場合は、著作者人格権とか隣接の著作権がございます。ただ、今、世界的に見てみますと、アメリカのそういう著作権のあり方に対して、むしろ実演家の皆さんからは、アメリカの方式を必ずしも世界基準にすべきではないというふうな意見がございます。  NHKの場合も、実はNHKも、著作権として物を購入して使う側と、それからみずから著作権をため込む著作権者の集団でありまして、むしろ、これからデジタルコンテンツの時代は、これまで余り日本では価値が認められなかった著作権というものを非常に、その知的財産権をどう管理してそれを認めるかということが、ある意味ではデジタル時代で優秀なコンテンツの番組をつくって、世界的な意味でもソフトの競争力がこれからは大切だという意味からいいますと、なかなか一本にまとめることが難しくて、著作権を守る側と利用しやすい側と、そういうところをあんばいしていきたいというふうに思っております。
  191. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 確かに、多チャンネルデジタル化時代というのは、ハードの競争の時代ではなくて、ソフト、コンテンツの競争の時代に私はなると思いますね。今の知的所有権問題が番組の流通促進に対して大きな障害になる心配は十分あるわけでございまして、私は、下手をすると、日本の各メディアはどこのチャンネルを回してもアメリカの映画ばかりやっている、こういう心配があります。  そうではなくて、本当は、NHKが持っているいろいろな放送番組、それを民放が自由に使える、こういうふうなことも考えていかないと、いわゆる再放送できるということですね、あるいは他メディアで再放送ができる、こういう仕組みを容易にしていかないとなかなか難しいのではないか、こういうふうに思います。  時間が余りないので郵政大臣にお伺いしたいのですが、そういう放送番組の流通を促進するために、流通番組の卸問屋のようなものをおつくりになったらどうかと思うのです。名前はいろいろ考えられるのですが、放送番組流通センターというふうな名前でもいいかもわかりませんけれども、そこの流通センターで知的所有権を含めてすべて処理をする。そして、その権利を、財団法人になるのか何かわかりませんが、そこが持って、そこがメディアで必要な放送事業者があればそれをお貸しする。そのかわり知的所有権料は払っていただく。  こういうふうにして一括的にやっていかないと、個々の放送事業者が個々に著作権者に交渉して放送していいかどうかという許可を得ていると、なかなか、本当に多チャンネル、マルチメディア、そしてデジタル時代というものに対応できないのではないか。こういう仕組みをつくるべきではないかな、こう思っておりますが、郵政大臣見解を聞きます。
  192. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 私も、先生指摘のとおり、これからデジタル化が進み、また多チャンネル化になっていく中で、コンテンツの重要性、特に二次利用ということは、これからの重要な課題になってくると思っています。これは円滑に利用されなければ、今おっしゃったような事態になる可能性があるわけです。  郵政省としては、とりあえず、そういう観点からは、例えば権利情報を含む番組流通情報提供するデータベースシステムの開発とか、または放送関係者の方たちで構成しておられる放送ソフト流通促進協議会の活動の支援など、そういうことについてはこれまでも御支援してまいりました。  今先生がおっしゃった放送番組の問屋さん、これについても大変興味深いので参考にさせていただきまして、また放送流通の促進に一生懸命取り組んでいきたいと思っています。よろしくお願いします。
  193. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 終わります。
  194. 中沢健次

  195. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 委員長初め先輩理事の皆さんの格別なるお取り計らいで、きょう私もこうして質問する機会を授かりましたこと、まず心からありがたく感謝を申し上げます。  私は、NHKまさに定かなり、こういつも思っております。重責、重い責任の中で、最近とかく話題になりますある民放のごとく、奇をてらったりあるいは聴取者が喜んでくれれば、もっとうがっていえば、特別な思いあってというようなああした手法、これの中で、適当にやるのは何でもできるわけです。ではなくて、大変な責任ときつい規則の、法律の中で、しかし元気いっぱい、「だんご3兄弟」なんというすごいヒットを飛ばして、大臣はお笑いですけれども、お若いから御存じないかもしれませんが、かつてはNHKで「蜂の巣の子供達」とか、それから「向こう三軒両隣り」、本当に日本じゅうをわくわくさせるようなヒットを飛ばしてきたんですけれども、私は久しぶりにこれに向かうような、新しい時代にまた新しいダイナミックなヒット、こういうすごい努力をしておられるなと思うのです。  そんな中で、去年もちょっとここで申し上げさせていただいたんですが、NHKのブラジルでののど自慢大会。ブラジル新潟県人会長の南雲さんからお礼の手紙が来たんですね、すごかったと。七日の予選で選ばれた三十組が本番に出場してというようなことで、最後には五木さんが返礼としてロベルト・カルロスの「アミーゴ」を熱唱するというようなことで、本当にすごかった、いいことをしていただいたというようなお礼の手紙をいただいたんですね。僕にお礼の手紙をよこしたってしようがないんですけれども。  引き続きブラジルのことは、やはり我が同胞が異国にあって何代もそこで繁栄をし続け、難儀な中で、そこで聞く日本ののど自慢、いかがだったものかなというようなセンチメンタルな部分もひとつ、お慰め申し上げたい、元気でまた頑張ってもらいたい、こういう思いもありますけれども、と同時に、世界に誇る日本の固有の特異な文化ですから、これをもっともっとちゃんとわかってもらいたい、このことの役割はまさに大きいと思うんですね。  私が聞きたいのは、ちょうどこの席ですから、ラジオ体操、去年私どもの新潟市の隣の黒埼の二十五周年記念に来ていただいたんです。あんなものも外国でやったらいいなというような思いもありまして、これからどんな充実したものを海外に向けてやっていかれるようなお気持ちなのか、あるいは具体的に何かもう御用意があるのか、その辺をお聞かせいただければと思います。
  196. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今先生指摘のように、去年ブラジルのサンパウロでのど自慢をやり、非常に好評を得ました。ことしはペルーとアルゼンチンからぜひのど自慢をやってほしいという要望がありました。ことしはペルー日本移民百周年ということでありますので、私はできるだけその要望にこたえたいと思っております。  ことしはペルーのリマで九月の中旬にやるべく、最終的な詰めを行っております。ブラジルの場合は録画でやりましたけれども放送の命はやはり生放送でありますので、日本の午後零時十五分でやりますと、リマの時間で、ペルー時間で夜の十時を過ぎますが、できれば生放送でそのまま世界に伝えたいなということで、これも時間を延長してやるために下調べを今やっている最中であります。  そのほか、アルゼンチンはことしはできませんので、一両年中にはアルゼンチンでもそういうのど自慢をやってみてはどうかというように私は今思っているところであります。  いずれにしても、南米を中心に、在留邦人がいるところにつきましては、やはりじかに私どもが現地へ赴いて、現地の人たちとひとつ一緒になって番組をつくる、そういう方針のもとにいろいろな企画を立てているところであります。
  197. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 顔は日本人の顔をしていましても、精神から考え方から血液まであっちの人になっちゃった連中がどんなに小躍りして、元気に、このことで盛り上がるのかなということが目の当たりに見えまして、ぜひひとつ引き続きお力を入れていただきたいと思います。  次に、災害なんですけれども日本で昔から、地震、雷、火事、おやじという言葉があるんですが、これはおっかないものを並べたように感じるんですが、と同時に、私は、どこのうちにもいるおやじのようにポピュラーなんだというふうにも理解したいと思うんですね。災害列島、脆弱な土地の上に培ってきた、それで発展した日本の文化ですから。人が死んでも四十九日、四十九日前の災害で亡くなった者を弔ったらもうそのことは忘れて、五十日目には次の災害で死んだ人をいとおしむというか、頭を空にしておかなきゃならぬというので四十九日だと、これはでたらめみたいな話ですけれども、そんな日本です。  結果として、去年の八・四新潟大水害、これは全国に先駆けてなんですけれども日本列島すべての災害だったんですね。このときに私たち新潟は都市型の水害に見舞われまして、五十万というキャピタルが水につかりますと都市機能が動かなくなっちゃう、そしてそこから派生する、大きなものがみんなストップしてしまう。もしかすると何かパニックになるのではないかというようなおそれもある。  しかし、このときに、八月四日だけでも、NHK情報放送、記録があるんですね。ラジオとテレビとありますけれども、一日三十数回、もう準備されているスケジュールの上に、「おはよう日本」七時云々というその上にすぐ上乗せをして放送していただいて、これによって随分と雨の情報、被害を知らしめていただいて、そして大変な中にも落ちついた行動ができた。  こうしたものに対して、新潟のことはこんな形でやられたのでそこそこ理解はしていますが、今後、災害に対する情報提供、これはNHKにとっては大事な役割だと思うんですが、どんなふうな御用意がなされているか、聞かせていただきたい。
  198. 海老沢勝二

    海老沢参考人 日本列島、地震あるいは台風、いろいろな災害が非常に多い国であります。災害は忘れたころに来るという言葉がありますけれども、そうじゃなくて今、本当にもうしょっちゅうそういう災害に見舞われる日本列島であります。そういう面で、私ども国民生命財産を守ることが基本でありますし、そして、災害というのは、起こった後放送することも大事でありますけれども、その前に、やはり防災という面からできるだけ被害を少なくする、災害を防ぐというのが大きな役目でありますから、そういう面で、災害が起こる前、早い段階から、台風だとか大雨情報が出ればすぐやる、そういうことで私ども、ラジオに続いてテレビも二十四時間放送に踏み切ったのはそういう意味です。  いつでも何かあったら放送に出せる、そういう意味での二十四時間体制を組んでいるわけであって、何かあればすぐNHKチャンネルにスイッチを入れてもらえばわかる、そういうシステムをとって、今東京でも毎晩百八十人の要員が泊まって、いつでも災害報道ができるようにしておりますし、そういう面で、各局でも泊まり要員を置いて、国民生命財産を守るという立場からそういう体制をきちっと組んでおるということを御報告申し上げます。
  199. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 引き続き、前にも質問があったのですが、受信料の関係について簡単に聞かせていただきたいと思うのです。  どうしても払わない者がいる、しかしテレビは見えちゃう、ラジオは聞けちゃうということで、この辺が不公平な感じが否めません。随分と本気で努力をしておられるのでありましょうけれども、契約率を一層上げるために御尽力いただきたい。前任者もそのことを申し上げていました。さらに、受信料負担の公平性確保ということで、郵政省という立場でどんなふうなお考えがあるのか、これもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  200. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  NHKの本来の役目を果たしていただく上で、受信料の公平徴収というのは大変大事なことでございます。郵政大臣意見でもその点を記させていただいておるところでございます。  郵政省としてどのようなことができるか。基本的にはNHKさんの御努力にまつところが大でありますけれども、私どもといたしましても、先ほど御審議賜りました免除措置の見直しでございますとか、あるいはNHKさんも大分力を入れておられますけれども、CATV事業者の方々がこの受信料制度について十分理解をされますと大変効率のよい受信料徴収ということが果たされますので、いろいろな点、私どもも、今申し上げた点にとどまらず、各方面の受信料の公平な負担というものが十分国民の皆様に理解され、喜んでお支払いいただけるように御支援申し上げたいと考えております。
  201. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 それでは最後に、過日、週刊誌で、NHKの都内の営業センターというところで、新聞が販促のために何か金品をくれるとか、あるいはそこには少し違法なぐらい強引なことがやられるとかという話はポピュラーなんですけれども受信契約について何か不正行為を行っておられるというようなことが「サイト&サウンド」というところへちょっと載っていたのですね。私は、当初質問に立ったときに申し上げたとおり、我が信ずる定かなるNHKという立場でおりますものですから、こうしたものに対して今席でコメントがありましたらお聞かせいただきたい、安心もさせていただきたい、こう思います。
  202. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 先生御心配をおかけしまして、まことに申しわけありません。  一月に週刊誌におきまして、都内の営業センターの業務実態に対する記事が掲載されました。記事では、その職員の緩慢な仕事ぶり、それから経費のむだ遣いについて掲載されております。しかし、これは事実誤認に基づく一方的な内容だというふうに考えています。  しかしながら、受信料で成り立っている公共企業、NHKの職員として一部でも誤解を受けるような行動があるとすれば、これはまことに申しわけないことだ、直ちに改めるべきだ、こういうふうに考えているところであります。したがいまして、直ちに、東京のみならず全国の営業部職員につきまして、改めて業務全般にわたりまして検証を行って、注意を喚起して徹底しているところでございます。  営業は、今まで、この十年間で職員を約三七%、九百人を超える職員を削減してきている、大変厳しい条件にございまして、全員がコスト意識を持ちながら受信料の公平負担受信料収入確保のために全力で努力をしているところです。特に、都内の営業センターにつきましては、単身世帯が多い、あるいは世帯移動が大変多いということで苦労しているということをぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
  203. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 時間が来ましたので、最後に、こんなことができたらなという思いを申し上げて、これは御要請ですので、聞き届けていただきたいと思うのです。  それはワールドカップのサッカー、これは二〇〇二年ということなんですけれども、一九九〇年イタリー大会、そして次にロサンゼルス、フランス大会、ここまで、前夜祭にドミンゴとかカレーラスとかあるいはパバロッティの三大テナーの競演がやられるのですね。イタリアはたしかカラカラ浴場だったです。パリはエッフェル塔のすぐ北側の前のところでやられたんですね。ロサンゼルスでももちろんやられました。日本も二〇〇二年にワールドカップが来ますので、それをぜひ日本でやりたい、やっていただいて、そしてオペラはハイビジョンが一番なんですね。これによって放送された絵は大変に美しく臨場感もあり、まさにそこにあるがごとくなんですね。  ワールドカップ、これはよそのことだというふうに会長はお考えになられるかもしれませんが、それが実現の方向に向けて、私も微力でありますが努力をしますので、会長もその方向に向けて強い努力を仕掛けをしていただいて、結果としてNHKハイビジョンでこれを全国あまねくやる、それが一つのワールドカップの歴史であり、流れを踏襲していくことになるのではないかな、こう思いますので、最後にこのことを一言申し上げさせていただいて、私の質問にさせていただこうと思います。ありがとうございました。
  204. 中沢健次

    中沢委員長 矢島恒夫君。
  205. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  私、地上波デジタルの問題と、それから毎回この予算の審議のときに字幕放送のことについてお尋ねしてきたわけですけれども、持ち時間の関係から、最初に、字幕放送の問題でお聞きしたいと思います。この間、皆さん方が本当にこの問題で努力されていらっしゃること、このことに対しては敬意を表していいと思います。  ここに「岡山難聴」という機関誌があるんですけれども、その難聴者の皆さん方が出していらっしゃる機関誌、その中に幾つかの歌が歌われております。  例えば   孫娘に教えられつつリモコンの操作で見ている字幕ドラマを こういうのがあります。あるいは   字幕ドラマ見つつワインを飲むわれの暫しの幸せ月の射し込む 非常に字幕放送が楽しいものだということを表現していると思います。  一方、こういうのもあるんですね。   字幕ドラマいまだ少なし日に三度夜のドラマを楽しむひとり というのもございます。この分野でどれだけ要求が強いかということを歌っているものだと思います。  ことしの二月十二日の朝日新聞ですが、「難聴者にテレビ見やすく」という記事が載っておりました。  その記事の中に、ある電機メーカーが、邦画のレンタルビデオを字幕つきで見られる通信サービス、それに伴うアダプターを発売した、こんな記事もありました。それから、耳の不自由な人のためのテレビ補聴機器がふえているというのもございました。まさに難聴者の皆さん方への字幕という問題がビジネスになるほど要求があるということだろうと思います。ただ、この記事には、「背景に字幕放送の普及遅れ」という見出しもついていたわけです。字幕放送のガイドラインでは、二〇〇七年までにいわゆる生放送番組を除くすべての番組に字幕をつけるということになっております。  まず最初にお聞きしたいのは、総合教育、衛星第一、第二、それぞれの達成度がどうなっているか、お答えいただきたいと思います。
  206. 河野尚行

    ○河野参考人 字幕放送の達成度につきましては、総合テレビ、衛星放送とも計画値を上回っておりまして、特に教育テレビにつきましては、平成十三年度までに週八時間拡充するということになっておりましたが、これを二年前倒しして、平成十一年度にはその目標を達成できる見込みでございます。その後につきましては、その年度が切れる前に新たな計画値を作成する予定になっております。
  207. 矢島恒夫

    ○矢島委員 NHKが、この間、予算審議あるいは予算作成、こういうことに当たって、字幕放送の年度計画を立てていること、そして着実に毎年前進し増加させている、このことについては本当に評価に値するものだと私も思います。  総合放送では、九九年、多分三十二か三十三番組になったろうと思います。二十八時間二十四分と聞いております。これは九八年度の二十三番組、二十三時間四十五分から比べますと、九ないし十番組ふえて、時間数にしても四時間三十九分増加しているということになろうかと思います。  この字幕放送の対象というのは、もちろん三十八万人おられる難聴者の方々だけでなくて、六百万人の高齢者、これを含む耳の聞こえにくい人たち全部ということであって、高齢化社会を迎えるという状況の中で、だれでも老いていくわけですから、まさに高齢化社会対策だ、こういうことが言えると思うのです。ガイドラインでは、文字放送情報入手のライフライン、こうも述べているわけです。  そこで、そういう認識の上に立って考えますと、NHKさん、その年その年計画を立て、あるいは先ほどの答弁にありましたように、教育テレビでは前倒しの状況までつくられている、こういうわけですが、私は、二〇〇七年までの中長期といいますか中期的計画、あるいは教育テレビのほかの総合やあるいはその他についても前倒し、こういうような方向でひとつ思い切ってやっていただきたいというのが要望であるわけです。  そこで、確かに字幕放送NHKは先陣を切っております。二〇〇七年までにどうやって字幕可能番組の字幕率を一〇〇%に達成するのか、ひとつ二〇〇七年までの計画をぜひ示してほしいのですが、いかがでしょうか。
  208. 河野尚行

    ○河野参考人 字幕放送に関しましては、郵政省の行政指針の中で、二〇〇七年までに対象の放送番組すべての字幕を考える、こういうことになっておりますが、私どももこれに向かって最大限の努力をしたいと思っておりますし、それぞれ総合テレビ、衛星、教育ともさらなる年次計画を立ててこれに向かっていきたいと思います。  ただ、この際、やはりニュースそれからスポーツ放送という生放送にどういうふうに対処するかという難しい問題がありまして、これには音声認識システムとかそれからリアルタイム高速ワープロ等、さらなる新しい技術開発する必要がございますので、そういう技術開発面でも、技術研究所を中心にそれに対応するような技術開発を含めて、この字幕放送に向かって努力をしたいというふうに思っています。
  209. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今のお答えの中に、二〇〇七年までのひとつ中期的といいますか、この計画を立てる、このことのお考えがあるかどうかを私はお聞きしたのですが、その辺のことはどうなっているか。では、会長
  210. 海老沢勝二

    海老沢参考人 先生御案内のように、十一年度の予算では、字幕放送は、対前年比一億三千万プラスして、今五億一千万計上しております。そういうことで、これを年々ふやしていくわけでありますので、私どもは、今の受信料体系の中でどれだけのまた収入が得られるか、その辺の見通しをまた立てながら、年次計画をきちっとつくっていきたいと思っております。
  211. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほどお話にありました、いわゆる生番組以外の字幕がつけられる可能性のあるものについての年次計画というものを立てながら進めていらっしゃるのですが、いわゆる生放送やスポーツ放送、これへの字幕というのはなかなか、技術的に今開発中ということだろうと思うわけです。  私、難聴者の方からこういうお話を伺いました。長野五輪あるいはフランスのワールドカップ、こういうものに対して、国民が熱狂するテレビ中継があった。同じ家の中の家族の熱狂の中で、つらい思いをしたことを忘れていません。障害者スポーツの長野パラリンピックですら字幕がなかったのです。シドニー五輪の放映権料が百五十億円とか、その他経費を含めると数百億円もかけて放映されるのに、どうして字幕がないのかと思わざるを得ません。こういうお話を伺ったわけであります。  アメリカの生放送の字幕というのは、速記入力者がタイプをしていると聞いています。日本にも、人が高速入力する技術はあると聞いております。NHKは、来年の二〇〇〇年九月に開催されるシドニー・オリンピックを、BSを使ってデジタル方式で試験放送する、こういう方針を決めた。三月九日の日経が、「BSデジタル放送は二〇〇〇年十二月に始まる予定だが、普及のため事前に画質の良さなどを視聴者に訴える狙い。」だと。確かに、よい画質で視聴者に楽しんでもらう、これは必要ですけれども、それだけではなくて、私が聞いた話のように、聴覚障害者の方々の願いにこたえるということが緊急に求められていると思います。  そこで、シドニー・オリンピックを、字幕つきで家族そろって楽しめるようにはできないのか、ぜひしていただきたいと思いますが、見通しはどんな状況でしょうか。
  212. 河野尚行

    ○河野参考人 スポーツ関係者と話し合っておりますけれども、今のところ、委員の御指摘に対して前向きの御返事がなかなか申し上げられない段階ですが、ただ、実はまだこれは決まっていないことなんですが、シドニー・オリンピックのときに、デジタル放送をどうするかという話が、実は放送関係者の方ではございまして、衛星のデジタル放送というのは二〇〇〇年の十二月以降始まるということになっていますが、試験を兼ねて、デジタル放送でどうするかと。  ただ、そうしますと、デジタル放送というのはデータ放送も可能なんですね。そうすると、そのデータ放送の中に、ある意味では、今インターネット等を通じてスポーツの記録がすぐ出ますね。そういうものを利用したデータ放送がひょっとしたら考えられないかということを、これは全く内輪の議論ですが、そういうことも考え、内部ではいろいろと考えているということだけ御報告させていただきます。
  213. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひデジタル放送の非常な利点というものを生かしていただいて、少なくともデータ放送ぐらいを研究していただきたい。  郵政省にお聞きしたいんですが、九六年度から二〇〇〇年までの五カ年間で、この間の計画として、字幕制作の効率化に関する研究開発というものが行われているわけですけれども、先ほど大臣の方の御答弁にもありました。  この研究開発というのは、相当進んではいるんですが、ニュースの原稿があらかじめあるものを字幕として要約、送り出すという技術開発で、いわゆる生放送のニュースだとかあるいはスポーツ、こういうものについては今のところ対象でない、こう聞いているわけです。  生放送のニュースや、あるいはスポーツの字幕制作への研究もぜひ進めるべきだと思うんですが、計画の中でそういうことについてどんなになっているか、お聞かせいただきたい。
  214. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  先般大臣から答弁ございましたように、ようやくニュース原稿自動読み取りというのが八合目ぐらいまで来たかなということで、今月中には先生方にも見ていただけるような状況に来ております。  それで、さらにというお話でございまして、私どももぜひそういった方面に、この字幕放送に寄せられる聴覚障害者の方々の思いは大変私どもも肌で感じておりまして、何とか一歩でも二歩でも前進させたいと思っておりますけれども、まずはこの手始めの原稿の自動読み取りの方を立派なものにしたいと思っております。  先生の、さらなる工夫につきましては、今お話ございましたように、デジタル放送というのはバリアフリー型サービスあるいはユニバーサルデザインサービスに大変向いておりますので、ぜひこういったこともデジタル放送メリットとして御理解いただいて、そのための研究あるいは普及ということにも心がけてまいりたいと存じます。
  215. 矢島恒夫

    ○矢島委員 確かに、スポーツの実況に字幕をつけるというのは、非常にいろいろな電子システムが必要だろうと思います。  ニュースはどうかというのでいろいろ私見たんですが、スポーツのように実況ではなくて、ニュース原稿を読むという形になっているのが多いかと思うんです。その原稿がワープロで打たれたものなら、それを字幕として放送するということについてはそれほど難しさはないのではないかなと私なりに思うわけなんですけれども、CSで放送されていますCNN、これを見ますと、字幕は全く同時ではないんですね。少しおくれて流れてくるわけです。  また、これは字幕ではありませんが、NHKニュースの英語通訳を聞いていますと、ニュースのすべてを通訳しているわけじゃなくて要約されている、あるいは一部カットされている、当然少しおくれて出てくる、こういういろいろな工夫もされていると思うんです。  それで、きのう、夜七時四十分から「聴覚障害者のみなさんへ」という番組を見ました。そして、そのことについてはまた後ほどお聞きするとして、その後、七時五十五分から「手話ニュース」が続けて放送されるわけであります。  もちろん、画面で手話通訳をされる方がニュースをそれぞれ言いながら手話をしておりました。そして、画面が変わりましてその方が消えて、その画面はスポーツ中継の場面で、千代大海が負けたところの場面が、土俵が映ったわけです。解説者が千代大海の敗因そのほかをしゃべるわけですが、そうしますと、それと全く同じに、一字一句変わりなく字幕がずっと出たわけですね。まさに、こういう技術はもう既にやればできる状況にあると見たわけなんですが、可能ならばそういう形での字幕放送もひとつ進めてもらいたいと思うのです。  NHKさん、教育テレビのそういう番組での非常にすばらしい技術だなと思って見ていたんですが、いかがなんでしょう。
  216. 河野尚行

    ○河野参考人 このNHKの手話ニュース等につきましては、非常にそれに熟知したチームが何時間前からそれに備えておりましてサービスをやっておりますが、今先生が御指摘技術につきまして、まことに恥ずかしながら、私自身詳しく存じておりませんで、早速帰って勉強してみたいと思っています。
  217. 矢島恒夫

    ○矢島委員 相当いろいろな場面で研究しながら進められているなということをその画面で私見ましたので、ぜひそういうことが進められるようにお願いしたいと思います。  さて、今私が申し上げました聴覚障害者向けにつくられている番組の問題ですけれども、「聴覚障害者のみなさんへ」という番組放送されております。昨年急に亡くなられたチーフディレクターの方ですけれども、非常に聴覚障害者の立場に立った番組制作に努力されてきた方だ、このように伺っております。  この番組に対していろいろな御要望があるんですが、例えば、聴覚障害者として、この番組の中で新型インフルエンザの予防について放送されたらなとか、あるいはマルチ商法の被害防止など、これを取り上げてほしいというようなさまざまな要求があり、いろいろなテーマがあろうかと思うんです。  ただ、この番組は毎週日曜日七時四十分から七時五十五分まで放送されているわけですが、その放送が再放送として朝の七時十分から七時二十五分まで、二こまの時間枠があるわけです。  ところが、私ずっと番組表を見ましたところ、番組制作は隔週、一週間置きのペースで、一カ月単位で考えますと全部で八こまあるわけですけれども番組を調べましたら、三月に入りましてから六こまがいわゆる再放送なんですね。いや、三月のは多分すべて再放送になっていたかと思います。  きのうの放送は弁護士の方の問題を取り上げた放送でございました。そういう意味では、余りにも再放送が多過ぎて、実際に聴覚障害者の方々がこんなことのテーマで何かできないかなと願っているんだけれども、また前に見たのが放送されたぞという感じが非常に多いわけです。  そういう意味で、もちろん、再放送そのものに私は一定程度意味があると思います、全部が全部再放送はだめだとは言いません。ただ、一カ月のうちに再放送の方が多いという状況は必ずしも、やはり新しく制作した聴覚障害者の方々の要望にこたえるような番組、これを制作してもらいたいと思うのと、それから隔週放送、一週間置きの放送になっておりますが、これをせめて毎週放送できるような状況にはならないだろうか、そんなことを考えたわけですが、お考えをお聞きしたい。
  218. 河野尚行

    ○河野参考人 先ほどの再放送の件でございますが、それまでは本放送を週一回、再放送を週一回だったものが、十年度から本放送一回、それから再放送は三回。二週に一回再放送でしたけれども、それを二週に三回再放送ということで、今年度は再放送をふやしたために再放送が多過ぎるのじゃないかなというふうなお考えだったと思いますが、そういう事情でございます。  それから、私どもも障害者の皆さんに対する認識を新しくしていることを一つ報告させていただきますと、実はこの前、「金曜フォーラム」の介護保険というシンポジウムをやったのですね。それに御出席していた障害者の方から、現場で手話ニュースをボランティアの方につけてもらったのだけれども放送する際はぜひこれを予定にはないけれども字幕放送にするようにということを言われました。私どももその文書を読みまして非常に感激したものでございますから、急遽、三月十九日の「金曜フォーラム」、教育テレビの十時四十五分ですが、これは予定にはなかったのですが、字幕放送をしてサービスすることにしておりまして、我々のグループも年々字幕放送に対する意識は高まりつつあります。
  219. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間がなくなりましたので、デジタルの方はまたの機会ということで、最後に、今御答弁にありましたように、再放送がふえてきているという状況、これについてはいろいろ局の方の問題もあろうかと思いますが、チーフディレクターの方が一生懸命障害者のための番組づくりをやっていたということを私はお聞きをする中で、その方の後を引き継いでやられる方、人事の問題になろうかと思いますが、そういう方の問題かなと私なりに考えたのですが、それはそうとして、いずれにしろ、何回も再放送の中で同じ番組を見せられるよりは、少なくとも半分以上制作をして新しい番組として放送してもらえたらな、このことを要望しておきまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  220. 中沢健次

    中沢委員長 横光克彦君。
  221. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  きょうは、大臣また会長、皆さん、長時間にわたる審議、まことに御苦労さまでございます。  私もちょっと念押しのために質問させていただきます。臓器移植の報道の件でございます。  今回、一昨年成立した法案、初めてのケースということで、初めてということを差し引いても私は相当激しい報道ではなかったかという気がいたしております。もちろん、国民の納得や同意、こういったものを得るために、また密室医療であるという不安とか印象、こういったものをぬぐい去るために、情報の公開あるいは克明な報道、これは欠かすことができないと思うのです。しかし一方で、臓器の提供はプライバシーの保護の上に成り立っているということも決して忘れてはならないと思うのですよ。  ですから、今回のドナーそしてまた家族、この方たちは、いろいろなことがありながらも、最終的にはドナーの意思を尊重して善意の提供を決断してくれたわけです。これは一つの大きな貢献だと私は思うのです。実は私は、この法案の提案者の一人だったものですから、非常に今回のこの問題、感慨深いものがあったし、また考えさせられる問題も同時にあったわけです。ですから、そういった貢献と、もう一つは、結果的にはドナーと家族の貢献は報道のあり方というものを問題提起したという部分もあるんだ、このように思うわけです。ですから、そういった貢献をぜひともむだにしてほしくない、そういった思いがするわけです。  今回の報道NHKはかなり批判されているのです。ある新聞で、著名な作家がNHKを名指しにして批判しておりました。こういったことをどのように皆様方は受けとめていただけるか。  私は、先般の参考人質疑で民放連の酒井理事に、やはりメディアサイドが自主的にルールづくりに取り組む必要があるという質問をしたのです。そのときの答弁が、取材競争でプライバシーが侵害される場合があると思う、ドナーの立場もあり、人命、人権を論議した上で検討したい、こういうように答弁していただきました。先ほどからの会長の御答弁を聞いておりますと、ほぼ同じ内容でございます。  しかし、今回の第一例ということで、脳死に対する、移植に対する理解が深まるとドナーカードの普及が拡大すると思います。そのことによって、第二次、第三次の事例もいつ提供が起きるかわからない。そうした場合、これは本当にいつ起きるかわからない。そして、今のような体制で起きたら、また同じことの繰り返しになる。ですから、私が言いたいのは、先ほどの会長の答弁にぜひとも加えていただきたいのは、早急にとか早速にとか、あるいはもっと言えば直ちに、民放連あるいは関係者と協議しながら新しいルールづくりのために取り組んでいくんだ、その文言をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  222. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私の言葉足らずで、いろいろ誤解といいますか、迷惑をかけたと思いますが、いずれにしても、私どもは、先日の臓器移植の報道につきましては、そういう患者さんなり家族のプライバシー、人権というものを十分守るというこの大原則はもうきちっとさせながら、そういう中でやはり情報公開という面も一面では視野に入れながら、今度のこの報道でいろいろな経験をいたしました。我々自身も、そういう面で、先ほど申し上げましたように、これを検証し、そしていろいろな面でやり方を変えながら、これから臓器移植がスムーズにいくように、円滑にいくように、我々もそういう面から協力するのは我々の使命だと思いますので、そういう面で過剰報道に当たらないように、また今後こういう臓器移植が円滑に行われるように努力するのは当然だろうと思っております。  そういう面で、今度の場合はNHKが一番最初に報道したということでいろいろ御批判を受けておりますけれども、それはそれとして、我々はそういう国民意見を謙虚に受けとめて、民放なりほかの報道機関とも先生おっしゃるようにできるだけ早く連絡をとり合いながら、迷惑をかけないようにいたしたいと思っております。
  223. 横光克彦

    ○横光委員 今できるだけ早くという答弁をいただきましたが、もう一歩、直ちに、これを心がけていただきたいと思います。こういった始まった臓器移植医療が定着するためには、やはり報道のあり方というものも影響が大きいわけですので、御努力いただきたいと思っております。  次に、教育テレビがこの一月に四十周年を迎えたということで、大変喜ばしいことだと思っております。私は、教育テレビは公共放送であるNHKの中で最大の目玉といいますか、武器といいますか、もっと言えば、私はNHKの財産だと思うのですね。ですから、教育チャンネルのないNHKは私は公共放送だとは言えなくなると言っても過言でないくらい今大事な分野になってきている。  これは三チャンネルじゃないのですが、総合テレビなんですが、「中学生日記」という番組が現在もございます。これは実は昭和四十七年にスタートしたのですね、約二十六、七年前。この四十七年にスタートしたときの「中学生日記」の最初の先生を実はこの私がやらせていただきました。それは非常に安いギャラでした、まだ駆け出しでしたから当然ですが。今でもNHKのギャラは安いんですが、それでも、隔週名古屋に通って、アルバイトをやめて初めて俳優として一本立ちした、私には印象に残る番組です。  こういった「中学生日記」が現在も続いている。日曜日のお昼の一時でありながら、平均すると七%台の視聴率をとるという非常に高い視聴率をとっている。娯楽時間帯でありながらです。それくらいやはり教育の問題というものは大きいし、NHK役割も大きい。今度、三月二十二日に、スペシャルで「中学生日記」の特番をやるらしいのです。私も楽しみにしているのです。  そういったことで、教育テレビのこれからの展望、デジタル化あるいは多チャンネル化がこれから進むわけで、デジタル時代の大きな特徴だと言われているのが双方向番組、これも試みられている。あるいは、生涯教育という中で、料理や健康や趣味や、いろいろなことが始まっている。ですから、そういった中で、教育放送、とりわけ学校放送にはどのように展開していくおつもりなのか、お聞かせください。
  224. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今先生指摘のように、教育テレビは本当に多岐にわたったいろいろな分野のものを取り上げております。そういう中で、一つ大きな柱は学校放送もそれに含まれております。ただ、学校放送の場合は、御承知のように、今CD—ROMを使ったり、インターネットを使ったり、学校の教育のあり方も大分変わってきております。しかし、やはり基本はいろいろな面で変わっておりませんし、そういう面で私どもも、学校放送充実について一層努力をしていきたいと思っております。  ですから、これからいろいろな面でどういう、また、学校放送にふさわしいものができるかどうか。また、教育課程の改訂もあります。総合学習的なものも出てきます。そういう面で、新しいカリキュラムにのっとって、また文部省なり各先生なり、あるいは子供たち意見を十分考えながら、さらに充実したものにしていきたいと思っております。
  225. 横光克彦

    ○横光委員 これから総合教育等、指導要領も変わるわけで、それに合わせて今、より学校放送充実させていくというお答えでございました。非常にありがたいことだと思っております。  ところが、結局、今回の予算では、学校の中の職員室やあるいは校長室、ここのテレビの受信料を取るということに、免除基準を廃止すると。職員室や校長室はこれはやむを得ないなと私も思います。しかし、いずれこのことが教室にまで広がるであろう、あるいは社会施設にまで広がるであろう、こういった懸念があるのですね。今のお言葉とそういった方向というのはやはり逆行するわけでございます。  もしそのようなことになったら、これは今地方財政の厳しい自治体の中では、すべての学校からテレビを引き揚げてしまう可能性だってある。あるいは、教室の受信料まで取るとなると、二重払いだとか、あるいは不払い運動さえ起きかねない。NHKの評価は非常に下がると思うのですね。先ほどの質問で、字幕とかあるいは難視聴とか、そういった手話通訳とか、まさにそういったところがNHKの公共性の最たるものだと思うのです。ここの教育分野もそうだと思うのですね。ですから、理科や歴史や地理や、こういったことが、これからやはり学校の教材として使われるわけで、その使うテレビに、今までと違う形でやはり受信料を取るようになるということは、大変私は心配しているわけでございます。  子供たち教育放送から遠ざけてしまうことにならないように、これからの教育テレビの発展のためにも、教室からの受信料を取るということは再考をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  226. 海老沢勝二

    海老沢参考人 校長室、職員室につきましては、直接教育現場ではありませんので、まずここからお願いしようということでしております。  ただ、先ほども答弁しましたように、一方では、NHK国民の各家庭から、一世帯世帯から受信料を公平にいただいている立場であります。そういう面で、各教育委員会、学校も、これは国税なり地方税なり、いろいろな面で税金で賄っておりますね。御承知のように、ガス、水道等の公共料金は皆さんいただいているわけですね。そういう面で同じ税金でありますから、そういう面で、この国会決議にもありますように、NHKもそろそろ学校放送も、所期の目的を達成し、全国に普及したわけですから、受信料を取るべきだという意見にも我々は耳を傾けなければいかぬ立場であります。  一方で、先生のような御指摘があります。そういう面で、この問題は非常に複雑な様相を呈してきているなというふうに私も思っております。学校放送のその後の実態を今我々も調査しております。そういう面で、各教室から受信料をいただくかどうかについては、先生の御指摘がありますので、我々もこれから、郵政省、文部省なり自治省なり、いろいろな関係方面とも話し合いを進めながら、最終判断をしたいと思っております。
  227. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、これはいろいろな省庁との関係があるわけですので、連携協力し合いながら、この問題に対処していただきたいと思います。  もう時間になりましたが、もう一つお聞きします。  今回のデジタル化時代が到来しても、NHKビジョンで、受信料制度を基本とすると明確に打ち出しております。先ほどから会長も、何度もそのことははっきりと御答弁されております。しかし、現在の受信料制度では払わなくても見られるわけですね。不公平じゃないかという声もある。スクランブルを導入、打ち出している中で、NHKはスクランブル化を実施する考えはない、こういうふうに結論づけたわけです。でも、このスクランブル化によって、そういった不払いをなくそうじゃないかという意見もあるわけですが、今回、視聴者受信コストを考えた上での結論づけだと思います。それであるならば、より強く受信料制度理解が進まなければならないわけですね、受信料制度で成り立っているわけですから。  ですから、公共放送の土台となるこの受信料制度理解を深めるためには、今の営業活動をより強化することが必要になってくると思うのです。いわゆる営業体制の強化ですよね。これは人ですよ。例えば宝くじは、買わなければ当たりませんよ。NHKの契約も、相手と会わなければ契約できない。要するに、人が要るのです。  先ほど週刊誌の質問にもございました。ああいったことも誤解だというお話でしたが、火のないところに煙は立たないわけですから、自戒していただかなければならない。そして、各地域を担当する委託スタッフの能力をアップする。要するに、研修とかあるいは育成プログラム、こういったものを実施していくことはもちろんだと思うのですが、何よりも私は人材の確保だと思うのですね。営業職員をずっと削減してきたというお話でしたが、一三%まで下げてきた営業経費率をしばらく凍結して、体制の整備を図ることが必要だと考えておりますが、いかがでしょうか。
  228. 海老沢勝二

    海老沢参考人 この営業経費率、私ども、一七%から一八%ありましたものを、今一三%に引き下げてまいりました。いずれにしても、営業経費率を上げますと、どうしてもまたコストアップというふうなことになりますし、できるだけコスト削減をしながら受信料収入をふやしていくという非常に難しい課題に取り組んでおるわけであります。いずれにしても、NHK受信料で成り立ち、NHK番組受信料でつくられているんだ、そういうことで、我々はより質の高い番組をつくることによって理解を得るように、いろいろな面でPR活動なり、いろいろな面で公開番組なりイベントをしながら、その徹底を図っていきたい。そういうことで、人をふやさないで、何かいい方法をさらに考えていかなければならぬと思っております。  いずれにしても、経費の節減を図りながらやはり受信料を確かなものにしていく、その努力を一層続けていきたいと思っております。
  229. 横光克彦

    ○横光委員 よろしくお願いします。  終わります。ありがとうございました。
  230. 中沢健次

    中沢委員長 中田宏君。
  231. 中田宏

    ○中田委員 中田宏でございます。  早速、平成十一年度のNHK予算についての質疑に入らせていただきたいと思います。  毎年一月十五日の成人の日に、恒例番組で「青春メッセージ」という番組がございます。ぴんとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、かつての「青年の主張」という番組であります。  私は、実は一月十五日は、ここにいる先生方もそうでしょうが、国会議員は割と忙しくて、ずっと昼は出ずっぱりで見る機会はないのですが、たまたま一月十六日の土曜日に、地元のさまざまな行事が終わって家に帰って、真夜中にテレビをつけていたら、この「青春メッセージ」の再放送をやっていました。日付がかわった十七日の午前一時過ぎから二時過ぎまで私はそれを見ていたのですが、久しぶりにこういう番組を見たら、率直に申し上げて実にいい番組でした。本当にいい番組だなと思って、このことについてきょうはぜひお聞きをしたいと思っていました。  私は見てのとおり三十四歳の若造でありますから、私がこういうせりふを言うと実に先生方はお笑いになるかもしれませんが、本当に近ごろの若者も捨てたものじゃないというようなメッセージを幾つも幾つも、十七歳の高校生ぐらいの人から二十代前半の人たちまでが発表をしていた。  私が特に印象に残ったのは、例えば調理師を目指しているという中で一生懸命努力をしている高校生だとか、あるいは、家庭がいろいろと大変ごたごたして、再婚した父親に今ここで私は改めて感謝を言いたいという人が、会場にいるお父さんに向かってお礼を言っていたりとか感謝を言っていたりとか、本当に私自身感動したし、何よりも、こういう番組を同世代の若い人たちが見れば物すごく勇気がわくし、よし、私も頑張ってみよう、夢に向かって挑戦してみよう、そういうふうに若い世代の人たちが思える番組であったわけであります。  そういう意味では、ぜひそうした同世代の人たちがより多く参加をできるような番組づくりを今後していただきたいというふうに思うわけです。  そこで、実は、今回質疑に当たって、NHKの方に幾つか資料を取り寄せていただいてお聞きをしました。すなわち、全国大会に出ていく選考基準でありますとか、どの程度の応募があるのかといったところについてお聞きをしてみたところ、近年では約二千人ほど全国で応募があるんだそうであります。それぞれの地方でこれはブロックごとになっていて、北海道から九州までの八ブロックで基本的な選考をまずするのだそうであります。  そこで、私が想像していたのでは、予選会というのか予選コンクールというのをやって、その中でやはり勝ち上がってきた人が全国大会に出ているのかなと思ったら、どうもそうではなくて、九六年、平成八年までは予選会みたいなものをやっていたんだけれども、この近年、九七年から九九年の三年間はやっていないということがわかりました。  その地方の予選会、ブロックの予選会みたいなのはどうしてなくなってしまったのか、そこら辺についてまずお伺いをしたいと思います。
  232. 河野尚行

    ○河野参考人 今「青春メッセージ」を大変いい番組だというふうにお褒めいただきましてありがとうございました。私も、手前みそですが、ことしの「青春メッセージ」は非常に若者の率直な意見が出されていて感心しました。  今のお尋ねでございますが、平成三年までは各県単位で会場でやっておりまして、それから平成七年度まではブロック単位で会場でやっていました。  なぜそういうことをやらなくなったのかなという御質問でございますが、実は「青年の主張」というタイトルで始まった当時、昔は全国で五千人を超える応募者がおりました。それで、平成三年からのバブル時期になりまして応募者が急に減りまして、実質、会場に人を集めるということが困難になりました。  そこで、平成八年からは、むしろこういう映像時代ですから、それぞれ現場でVTRを撮って、それを放送でお流しする、そういうことが逆に子供たちに大変受けまして、このところまた復活して二千人まで戻ったということでございます。やはり全国大会は華やかなものですからこれはホールでやりますが、そういうことで、一次予選、二次予選とも、VTRを放送しながらやっているというのが実情でございます。
  233. 中田宏

    ○中田委員 なるほど理由がよくわかりました。  そうしたことも踏まえますと、何も地方予選をどうしてもやってくれということではないのです。しかし、私は実はそう言おうと思っていたのですけれども、でも今状況をお聞きする限りにおいては、こういうビデオに撮ってやることによってまた参加者がふえたということですから、そういう意味では私はそれはそれでいいと思うのですね。  高校野球だってそうですけれども全国大会、甲子園でやる前に地方大会があって、その地方大会の熱戦に多くの子供たちが参加をして、またそこに親が応援に行ったりすることによって、やはり全国大会、甲子園に対する注目が集まるのですね。やはり地方におけるそういう大会なりというものがあればすそ野が広がっていく。  そういうことを考えたときに、ぜひこれは、大会そのものをやれとはいいませんが、今二千人という数字がありましたので、それが三千人、四千人、そしてかつての五千人というような数字に膨らんでいくようにいろいろな工夫をしてもらいたい。  それは、例えば学校に対してその参加者というものを募っていくということなどももっと強化してもらったり、それから、恐らくは「青年の主張」の当時というのは新成人が番組そのものに出るというか主張するんだったのでありましょうが、今はかなり、十七歳、十六歳の高校生ぐらいから二十代前半までいるのですね、見た限り。そういうふうな幅があっても結構でありますから、私が先ほど申し上げたとおり、同世代の人たちが、友達が出ていれば番組を見たり、予選会で地方で出るよということだったら応援しに行ったりしますね。僕は、そうやってあの番組をつくづく、本当に同世代の若い人たちがいろいろな学校問題があったり社会事情があったりして複雑な中で、ああいう番組を見て生きていく勇気を持って、夢をともに持っていけるような、ああいう番組をせっかくやっているのだからぜひ多くの同世代の人たちに見てもらうようにより努力をしてもらいたいということを、答弁は結構でありますから、要望しておきたいというふうに思います。  それから、急ぎ質問をしますが、ことしの一月十日に「日本の学校・ここを変えて!」という番組がありました。  今、学校を取り巻くさまざまな問題、御承知のとおり多発をしています。私は、チャイルド・ライン設立推進議員連盟というので、今超党派の議員で取り組んでいるのです。イギリスにチャイルドラインというのがありまして、二十四時間無料で、子供たちが教員にもまた家庭でも相談できないことを電話できて、そしてカウンセリング、いろいろと聞き役になってもらえるラインがあります。これを日本の中でもつくろうというふうに私たちは取り組んでいるわけですが、今回NHKが一月十日に取り組んだこの番組は、そういう意味で一つの大きな意味がある番組でありました。  ファクスの総数が八千五百二十二件、電話の総数が七百二十三件。しかし、一月十日の日曜日にやって、視聴率は一・五%。これは、一・五%というのは極めて低い数字だということであります。しかし、それでも数字に直せば百五十万人が見ていたことになります。  ぜひこの番組は、私は資料を取り寄せたり、あるいはこのチャイルド・ライン推進議連の中でNHKの担当の方に説明をしてもらいましたけれども、多くの子供たちが学校への悩みを番組を通じて言ったりしていた。こういう番組をぜひ継続的にやってもらいたい。例えば夏休みとか冬休みとか、年に二回ほどで結構だと思います。夏休み、冬休み、子供たちがテレビを見られる時間の、そういうときにやっていただきたいと思いますが、これから先のその予定について、要望を兼ねて答弁をいただきたいと思います。
  234. 河野尚行

    ○河野参考人 この一月十日の長時間の番組は、視聴率は必ずしも高くありませんでしたけれども、十時間以上に及んで、本当にいろいろな方から反響がございました。  私どももこれを用意するに当たって、その前の一年間、子供たちのここを聞きたいという番組を六回、七回重ねてきてやりましたので、先生が今御指摘のとおり、継続してやるということが大切だと思います。  ですから、私どもも、一年に二回程度はやはりこのくらい規模を大きくしてやるということがある意味では目につくということでもありますから、日常の番組と連動しながら、ぜひ、さまざまな人が自分のことのように次世代のことを考えていただく、そういう番組をやっていきますし、今先生が御指摘のチャイルドラインみたいなものを日本に、いろいろなところで行き渡るように、私どもも何かのきっかけでそういうものもこれから御紹介していきたいというふうに思っております。
  235. 中田宏

    ○中田委員 先生方も御承知のとおり、大人の人生相談というのは、実はテレビやラジオであるのですよ。ところが、子供向けがないわけでありまして、そういう意味ではぜひお願いを申し上げたいと思います。  時間が来ましたので、最後に早口で一つだけ。  「おかあさんといっしょ」が生んだ、今大ヒットになっている「だんご3兄弟」でありますが、恐らくNHKの職員の皆さんにとっても大変士気が上がるニュースだったんじゃないのかなと思います。会長も大ヒットを喜んでおられるようですが、私は、会長より早くこの大ヒットは予感がありました。  といいますのは、うちの子供は四歳と二歳なんですが、あの「だんご3兄弟」のリズムに合わせて、まあ踊る、踊るなんですね。ですから、ヒットすべくしてしたなという感じがしないでもないわけでありますが、先週末でCDの売り上げが予約分も入れて三百万枚を超えたというニュースも聞きました。「およげ!たいやきくん」の記録が四百五十三万枚だったということで、その記録を抜くことは、海老沢会長も既に宣言をしておられるようであります。  ついでに、最後一つだけお聞きをしますが、紅白歌合戦にぜひ出してもらいたい。なぜこういうことを言うかというと、去年のNHK予算の質疑でも私は申し上げたのですが、紅白歌合戦というのは非常に重要だと思うのですね。世代を超えて日本人が大みそかに、お年寄りから子供までがこたつに入って一つ番組を見て、演歌から若い歌まで見る。そういう共通の意味において非常に重要な番組だ、こう思うわけで、最後に、紅白歌合戦に「だんご3兄弟」を出してほしい、こんなことを申し上げて、終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
  236. 海老沢勝二

    海老沢参考人 非常に励ましの言葉を受けました。  いずれにしても、こういう景気の悪い世の中でありますので、私どもは、できるだけ国民を、視聴者を勇気づけ、元気が出るような番組づくりをしております。  そういう中で「だんご3兄弟」がいろいろな面で大きな話題になっております。我々は視聴者本位でありますので、視聴者の方からこれだけの熱烈な声援があるわけでありますから、当然、紅白歌合戦のメーンになるだろうと私は見ております。これをどういうふうに演出するか、全員で歌うような場面になるのか、あるいはまた若い人たちが歌うようになるのか、いろいろな演出法がありますが、いずれにしても、これは国民的な行事でありますので、この「だんご3兄弟」をきっかけに、さらに元気が出るような番組づくりに努めたいと思っています。  いずれにしても、紅白は当確だろうと思っております。
  237. 中田宏

    ○中田委員 ありがとうございました。終わります。
  238. 中沢健次

    中沢委員長 これにて本件に対する質疑は終局 いたしました。     —————————————
  239. 中沢健次

    中沢委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  240. 中沢健次

    中沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  241. 中沢健次

    中沢委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、小坂憲次君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。小坂憲次君。
  242. 小坂憲次

    小坂委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送の不偏不党と表現の自由を一層確保するとともに、放送社会的影響の重大性を深く認識し、公正な報道に努めること。  一 協会は、放送が青少年に与える影響を深く認識し、青少年の健全育成に配慮し、豊かな情操を養う放送番組提供に努めること。  一 協会は、経営全般にわたる業務の見直しと職員の意識改革に取り組むことにより業務運営効率化に努め、視聴者の十分な理解が得られるよう経営の方針、財務内容等の開示に努めるとともに、関連団体の業務の在り方について検討すること。  一 協会は、その経営基盤受信料であることにかんがみ、受信料の公平負担観点から衛星契約を含む受信契約の確実な締結と受信料収納を徹底するとともに、受信料免除の在り方について更に検討すること。  一 デジタル放送の円滑かつ積極的な導入に向けた取組みを推進するとともに、デジタル化に伴う視聴者負担の在り方について検討すること。  一 視聴覚障害者高齢者向けの字幕放送、解説放送等の更なる拡充、番組内容の充実に努めること。  一 映像国際放送については、我が国の実情を的確に海外に伝えるとともに、海外在留日本人への情報提供充実させるため、番組内容の一層の充実に努めること。  一 協会は、地域放送について、地域の実情にあった放送番組充実強化を図るとともに、地域から全国へ向けた放送番組の拡充に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党・市民連合及び無所属の会の六派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  243. 中沢健次

    中沢委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  244. 中沢健次

    中沢委員長 起立総員。よって、本件に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、野田郵政大臣及び日本放送協会会長海老沢勝二君から発言を求められておりますので、これを許します。野田郵政大臣
  245. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 日本放送協会平成十一年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、御承認いただき、厚くお礼申し上げます。  御審議を通じた貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)
  246. 中沢健次

  247. 海老沢勝二

    海老沢参考人 日本放送協会平成十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  248. 中沢健次

    中沢委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 中沢健次

    中沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  250. 中沢健次

    中沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十八分散会