○鰐淵委員 大変長時間、御苦労さまでございます。
当委員会では、これまで、参考人の質疑六時間を含めまして、既にもう二十時間以上にわたる議論がなされ、大変活発な議論、そして充実した議論になっておる、このように私は評価をいたしております。したがいまして、もう論点もかなり集約されてきたようにお見受けしますし、私としては、そろそろ総括する時期に来ている、このように思います。したがいまして、幾つかの論点を
整理いたしまして、ひとつ
大臣、
局長の御答弁をお願いしたいと思います。
まず第一点目は、この
システムと
地方自治との
関係でございます。
くしくも本日、
地方分権一括
法案が本
会議にかかりますが、この
住民基本台帳ネットワークシステムは、基礎的自治体である
市町村をベースとしたものでございます。この精神を貫こうと努力しているものであると私は考えます。
外国の例におきましても、御案内のように、国に一括して多くの
情報を集め一元
管理しておりますが、今回の案は、都道府県に四
情報と
住民票コードを送り、都道府県が連携して
ネットワークシステムを構築するというものであります。その際、四十七の都道府県がお互いに協議しながら
業務をこなしていくというのは大変でございますので、
自分たちが出資した公益法人に一定の
業務を委任することとしたわけでございます。委任することができるということですから、しない県があってもよいわけであります。
二点目は、都道府県や
全国センターが保有する
情報を、四
情報と
住民票コードに限定した点であります。
これも、
市町村が持っている多くの
情報をできるだけ集めるということではなく、
行政を遂行していく上での必要最小限の
情報に限っているわけでありまして、この
情報は、既にもうだれが請求しても開示する
情報であります。したがって、
個人情報保護の観点から大変重要なことであるということも考えられます。この
情報だけでは足りないという議論もありましょうが、私自身が
行政に携わった経験からしますと、
行政事務を行うに
当たり、この
本人確認情報は、
住所の
確認、それから
生存の
確認など、大変有効なものでありまして、本人の
確認システムとして
ネットワーク化された場合、十分にその威力を発揮するものと私は期待しております。
三点目は、保有
情報の
利用方法についてであります。
これまでの当委員会における審議を踏まえ、
法律で
利用機関及びその
事務について、個別に限定列挙という形で
法律の
別表に規定した点であります。とかく
行政は、立法府の制約を免れ自由に
情報を
活用しようとするわけですが、ここまで立法府にゆだねるということは、大英断であると評価いたします。
今回、
法律の
別表に十六
省庁九十二
事務が掲載されておりますが、縦割り
行政と言われる中で、これだけのものがこの
システムに集まっております。これは各
省庁が保有している
情報を
ネットワークには送らない、すなわち、この
システムでは
情報集約が行われないという仕組みになっているからこそ、これだけの各
省庁が認めたのではないかと思います。
四点目は、罰則の
関係であります。
一般の守秘義務違反に対しましては、懲役一年以下または三万円以下の罰金という罰則が公務員法に定めてありますが、今回の
法案では、それを二年以下の懲役または百万円以下の罰金としております。ほとんどの公務員は誠実に公務に取り組んでおります。しかし、この
システムの安全性を
制度面、
技術面、人的な面から担保する
意味で、涙をのんで重い罰則規定を置いたものと思われます。しかも、この罰則を受託業者まで対象としたことは、これまた画期的なことであると思います。
五点目は、民間
利用を禁止している点であります。
住民票コードは他の番号と異なり、あくまでも民間には示さず、本人と
法律で定められた
機関のみが知り得るわけでありますが、仮に
住民票コードの任意の告知までも罰するということにすれば、それは弁護士会も言っているように、構成要件をきちんと定め、むやみに罰則を設けるべきでないとの趣旨に反すると思われます。今回の
法案の民間に対する罰則適用はまどろっこしいかもしれませんが、むやみに罰則を設けるようなものではなく、段階を踏んだ上で懲役刑まで踏み込んだものです。このことは大きな前進だと思われます。
次に、民間を含めた
個人情報保護法についてであります。
先日の参考人質疑におきまして、堀部参考人は、
個人情報保護の法的対応の方式として、官民を一括したヨーロッパ型オムニバス方式、官と民を分けるセグメント方式、アメリカに見られるような、官民のそれぞれで
分野別にきめ細かく規制していくセクトラル方式という三つの方式を示しております。
今回の
法案は、民間の
利用を禁止し、
行政サイドの
個人情報保護を定めておりますが、それでも民間で
利用した場合の措置まで踏み込んでおります。もちろん、
行政側を律している一般法である
行政機関の保有する
電子計算機処理に係る
個人情報の保護に関する
法律が改定され、あるいは民間についての一般法が制定され、その内容が本
法案を上回るものであるならば、今回の特別法たる
住民基本台帳法もそのレベルに引き上げるべきであると考えます。
とかく一般法はその規制が甘くなるわけで、手続規定にとどまる場合もあります。
住民票コードをそのまま納税者番号にする民間に使わせるとするならば、民間の
個人情報保護法がしっかりと必要なわけですが、繰り返しますが、今回の
法律は民間
利用を禁じているので、民間の
個人情報保護システムはこの
法案の前提とはならないと考えます。
いずれにしましても、この
法案の審議を通じ、民間を含めた
個人情報保護の議論が高まったと位置づけたいと思います。
さらに、ICカードについてですが、これは
質問をいたします。
今回のカードは、
市町村が希望する
住民の申請に対して発行するものでありますが、これに四
情報と
住民票コードを記憶させるに
当たり、セキュリティーの観点からICカードとするものであります。その際、カードの余裕がある部分について、さらに
市町村の条例に定めるところによる
住民が選択した
情報を記憶させることが可能となってくるわけです。これまで出雲市を初め、先進的自治体において大変な苦労の末にチャレンジがあったわけですが、先日の五色町、あるいは広域的に
利用しようとした岐阜県の取り組みに対し、敬意を表し、
住民基本台帳を扱う
市町村がその
利用について大いに期待しているものと受けとめたところでございます。
そこで、第一点お伺いしますが、先進的な
地方公共団体が苦労して進めているICカード
システムについて、その
地方公共団体の苦労、意見、新しい発想をよく酌み取っていただきたいと考えますが、その点、いかがでしょうか。
最後に、
大臣にお伺いいたします。
住民基本台帳の
システムは、毎年三千億円、四万人がかかわって維持しているわけであります。現在では
全国のほとんどが
コンピューター化されておりますので、実際、
住民票には番号が付されて
処理されております。これを
ネットワーク化していかに
活用するかといったことは、
市町村にとっても、国にとっても、そして
住民サービスの向上の観点からもどうしても必要なことだと私は思います。
さまざまな議論があることは承知しておりますが、まさに未来を切り開くため、私たちは前進しなければならないと思います。二十一世紀の高度
情報化社会における
行政インフラとなる
住民基本台帳ネットワークシステムの構築は、今行うべき大切な構造改革であると思いますので、この点につきまして、
大臣の決意をお伺いしたいと思います。
以上です。