○土肥
委員 民主党の土肥隆一でございます。
こんなに夜遅くまで、
大臣も、また
委員の皆様も大変御苦労さまでございます。
地方行政委員会というのは、今まで専ら数字をいじったり、けちつけたり、あるいは根拠を問うたりしてまいりまして、頭が少し混乱しておるわけでございますけれども、私は地行に入りまして、やはりなぜ地行を選んだかということも申し上げなければいけないと思うのであります。それは、私、今も厚生
委員をしておりますけれども、介護保険のことであります。
介護保険法が成立いたしまして、もういよいよ来年の四月から公的な介護保険
事業が出発するという時期に当たりまして、専ら厚生省サイドから介護保険を見てまいりました。しかし、これは、実際に保険者として仕事をなさるのは自治省を頂点とする三千三百余の市町村であります。今、介護保険の準備のために、
地方自治体の職員の皆さんは猛烈な勢いで仕事をしていらっしゃるわけでありまして、もうふらふらになっていると言っても過言ではないというふうに思うのであります。
そういう非常な苦労をして努力していらっしゃるわけでございますけれども、私がきょう申し上げたいのは、私ども厚生
委員会で
考えてまいりました介護保険の一番根っこの問題、介護保険がなぜ導入されたかという一番基礎的な、一番中心になる課題がどうも消えつつあるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、それを忘れますと、そもそも介護保険は何だったのかということにもなりかねない課題であります。
それは、
地方自治体が保険者であるということをどれだけ自覚して、そして、この介護保険を何のために
自治体が保険者となって市町村単位で仕事をするのか、介護、看護の仕事をするかということがあいまいになる可能性もあるわけでございまして、そういう
意味で、私はきょうは、厚生省がやっておりますこの介護保険
事業の準備と、そして、各
自治体がそれにこたえてどういうことをしているかということの中身を問うてみたいと思うのであります。
実は、新聞にも大々的に出ましたけれども、ことしの二月十三日の日経でございますが、福岡県内の大部分の町村というふうに書いてありますが、ここで言うと七十町村が広域連合構想を持っている、そして五月中にはこの大広域連合構想に入っていくのだ、こういうふうに言うわけであります。
私、この広域連合という言葉を聞くときに、一体、基礎
自治体を担当するそれぞれの市町村が、介護保険の保険者として本当に自分のやるべき役割を自覚しておられるのかどうかということを
考えるわけであります。これは非常に重大なことだと私は思うわけであります。
この福岡の構想によりますと、広域連合で、
人口の数にして百二十万人が対象になるというふうに報道されております。そして、なぜ広域かということについて、福岡県町村会長の山本文男氏、この人がいろいろなことをいろいろな新聞社に言っておりますけれども、要するに、介護保険というものは本来は国か県がやるべきであって、そして、それは
地方自治ではなく、国が面倒な事務を市町村に押しつけただけ、こう主張しているわけであります。こういうことをおっしゃって、いわば七十を超える市町村が大連合構想を持って介護保険をこなしていくということになるわけであります。こういう事態をどう認識するのか。
これは何も福岡の話だけではなくて、北海道の空知地区でありますとか、九州の佐賀県でありますとか、あらゆるところにそういう現象が生まれておりまして、もう既に介護保険目当てに約三十を超える
地域連合ができつつある、このように新聞は報道しているのでございます。一体、この現象について我々はどう
考えたらいいかということでございます。
したがいまして、このことを論ずる前に、やはり
大臣、あるいは厚生省、そして自治省——特に県が指導しているという向きが非常に強いわけであります。県が
地域の市町村をまとめようとしている。県がいろいろノウハウを提供するから、それを聞いてやるのだ。もちろん経費や人件費の削減もできるけれども、しかし何といっても、お互いに保険者として、つまり市町村同士が比較されたり、あるいは、
地域住民にこの市町村は何もしていないじゃないかとかおくれているじゃないかというふうな比較、差別されることを嫌って、なるべく均一な、平等な介護保険
事業をやりたいというようでございます。
そうした中で、本来介護保険というのは何のために導入したのかというところから出発しませんと、このままいきますと、何かもう従来の行政手法、つまり国があって、県があって、市町村があって、そして国が隅々まで面倒を見る、市町村の面倒を見る、その中間で県がいろいろとお手伝いをして、そして、言ってみれば従来と全く変わらない行政手法が介護保険の世界にどっかりと足をおろしつつあるのではないかというふうな危惧の念も持つわけでございます。
したがいまして、少し込み入った話になりますけれども、まずは、今度
自治大臣になられました
野田大臣がもともと新進党の時代には、介護保険は税でというふうに主張しておられたわけでございまして、しかしながら、これを公的な保険でやるということが
法律で決定された今日、市町村、これを基礎
自治体と申しますけれども、この市町村というものについて、
自治大臣としてどういう認識を持っておられるか、そこからお聞きしたいと思います。