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1999-02-18 第145回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十八日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 坂井 隆憲君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 土肥 隆一君    理事 桝屋 敬悟君 理事 鰐淵 俊之君       安倍 晋三君    小坂 憲次君       小島 敏男君    河本 三郎君       滝   実君    中野 正志君       西川 公也君    平沢 勝栄君       藤井 孝男君    宮島 大典君       村上誠一郎君    持永 和見君       保岡 興治君    桑原  豊君       葉山  峻君    細川 律夫君       松崎 公昭君    白保 台一君       富田 茂之君    西村 章三君       穀田 恵二君    春名 直章君      知久馬二三子君    畠山健治郎君  出席国務大臣         自治大臣    野田  毅君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       藤井 秀人君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      田中 信明君         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿委員の異動 二月十八日         辞任         補欠選任   石橋 一弥君     安倍 晋三君   藤井 孝男君     小坂 憲次君   藤本 孝雄君     村上誠一郎君  知久馬二三子君     畠山健治郎君 同日         辞任         補欠選任   安倍 晋三君     石橋 一弥君   小坂 憲次君     藤井 孝男君   村上誠一郎君     河本 三郎君   畠山健治郎君    知久馬二三子君 同日         辞任         補欠選任   河本 三郎君     藤本 孝雄君 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一四号)  地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案内閣提出第一五号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細川律夫君。
  3. 細川律夫

    細川委員 おはようございます。連日、大変御苦労さまでございます。民主党の細川です。  まず、地方交付税法改正案に関連をいたしまして、地方財政についてお伺いをいたしたいと思います。  地方交付税特別会計を見てみますと、借入金総額が二十九兆六千億円という大変膨大な金額になっております。これは、昨年議案となりました旧国鉄長期債務、この総額が二十七兆八千億円でございましたから、それを上回るものでございます。  私は、この旧国鉄長期債務処理の問題に関しましては、しばしば委員会あるいは本会議などで、歴代の政府が問題の解決を先送りした、そこにこの債務が肥大化した原因があったのではないか、こういうことを強く指摘をしてきたところでございます。長期債務交付税特会とは条件が違いますから、軽々には比較はできないという意見もあろうかと思いますけれども、交付税特会があの国鉄長期債務と同じような経過をたどることになるのではないかという心配をいたしているところでございます。  ことしの地方交付税を見ますと、法定五税分で十二兆三千億円に対しまして、交付税交付金総額は二十兆九千億円に及んでおりまして、単年度だけでも八兆五千億円の赤字になっているところでございます。これまでは、景気回復をして税収がふえれば改善をされる、こういう議論もございました。しかし、いわゆる恒久的減税は、地方税減税によります地方財源不足と、そして所得税などの減収によります交付税額減収のこの両面で作用いたしまして、合計二兆六千億円の不足額が生じておりまして、今や、多少の税の増収では補い切れない構造になっておるのではないかと思います。そういう意味では、地方交付税制度そのものが破綻を来しつつある、こういうふうに言ってもいいというふうに思うところでございます。  そこで、お聞きをいたしますが、借入金残高の今後の動向、そしてこれに対する対応策について政府はどのようにお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、交付税特別会計における借入金は、地方負担分が二十二兆円、国負担分を含めると総額で二十九兆六千億円という規模になっておりまして、額ということで比較するなら国鉄債務を上回る額に上っておるということは、そのとおりであります。また、これを含めた地方財政借入金残高は、平成十一年度末で百七十六兆円に達すると見込まれるところでありまして、非常に厳しい状況にある。  これだけの借入金残高を抱えている地方財政状況の中で、どうやってこれから先の展望を開いていくかという大きなテーマであることは、同じ思いをいたしておるわけでありますが、もう今まで平成十一年度における地方財政対策について具体的にいろいろ申し上げておりますから、時間の関係もありましょうから、事細かにはここでは省略をしたいと思います。  いずれにせよ、地方財政借入金残高がここまで急増してきた背景というのは、これまたたびたび申し上げて恐縮でありますが、我が国経済低迷によって、特に地方税やあるいは交付税の原資となります国税の落ち込みというものが非常に大きかった。さらに数次にわたる景気対策ということもあり、また、もちろんそれぞれの地域活性化ということと相まってではありますけれども、公共事業の追加ということも大きな背景でありましたし、また、このたびの減税ということもその原因を構成しているということも、そのとおりであります。  この後の展望でありますけれども、現在の趨勢のままで推移をするということを前提とすれば、毎年度相当規模財源不足が発生するということは避けがたいと言わざるを得ないと思います。  したがって、こういう状況にあります地方財政を立て直していくためにも、そしてまた地方財政運営に支障を来さないようにしていくためにも、緊急経済対策を初めとするいろいろな施策を実施していくということで景気回復軌道を確実にしていくということがまず第一の課題でありますし、それに伴って税収入を、あるいは交付税収入を確保していく道を開いていくということと同時に、国、地方を通ずる行財政簡素効率化ということも必要でありますし、同時に、地方団体自身においても、徹底した行財政改革推進していただくということによって地方財政健全化を進めていかなければならぬわけであります。  いずれにしても、地方自主性自立性を保障するような形での地方自主財源確保のための根本的な制度見直しを、できるだけ早期に達成してまいりたいと考えておるわけであります。
  5. 細川律夫

    細川委員 大臣の御答弁では、交付税特会のこの大きな借金をどういうふうにしていくかという将来像がどうもまだ明確でないような気がいたします。このまま放置をしておきますと借入金残高がさらにさらにふえていくということでありますから、早くこの制度改革に向けて一定の準備をしていかなければいけないということでございます。  そこで、ここでもよく議論をされましたけれども、地方交付税法第六条の三第二項で、大幅な財源不足が続いた場合には「地方財政若しくは地方行政に係る制度改正又は第六条第一項に定める率の変更を行う」、こういうふうに規定がされております。今年度法人税交付税率が引き上げられました、あるいはまた特例交付金制度をつくったというような対応は見られるわけでありますけれども、しかしこの問題の解決にはなかなかほど遠いのではないかというふうに思います。交付税法の第六条のこの規定をきちんと履行するためにも、抜本的な改革考えるべきではないかというふうに思います。  一昨日の議論の中でも、大臣からは、地方分権推進と国と地方役割分担見直して、あわせて税財政制度あり方について幅広く検討していきたい、こういうような御答弁がございましたけれども、さらにどういうふうに具体的に改革をしていこうとしているのか。先ほどの答弁に加えて、具体的にどういうふうに考えておられるのか、お答えいただけたらというふうに思います。
  6. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今、率直に申し上げて、国、地方を通じて大幅な税収不足という現状にあるわけであります。それの背景は何といっても景気の異常なる低迷状況にあるということは、幾たびか申し上げたとおりであります。したがって、そういう現状において、その背景の中で直ちに抜本的な国、地方を通ずる配分見直しを含めた税財政の姿というものを今ここでというわけには、なかなかこれは難しいことは御理解をいただけることだと思っております。  したがって、手順としていえば、まず、これ以上地方財政に悪影響を及ぼさないような形で、ともかく景気対策をしっかりとやって、しっかりとした経済回復軌道を確かなものにして、そして安定的な経済の姿、そしてそれに伴う安定的な税収の姿というものをとらえた上で、それを前提とした中で行っていく。その際には、あわせて国、地方役割分担といいますか、権限の移譲ということをもはっきりさせていかなければならないことでありますし、そういう中で、財源配分についても、地方団体自立性自主性を保障するという考え方で、その仕事に見合う形での税財源の再配分を含めての位置づけをしていかなきゃならぬということを申し上げておるわけであります。  そういう点で、望ましい姿というものをどうとらえるかということからいえば、これは一般的にもかねてから言われておることでありますが、地方自主財源地方税考える上でどういうものを基本に置くか。それはやはり、負担分任的な要素というものをしっかりと位置づけていかなきゃならぬと思いますし、後ほどいろいろお話が出ようかと思いますが、事業税課税標準のとらえ方にしても、いわゆる外形標準課税的なものに移しかえていく、応益課税的なものに重点を置いていく。そういう形での普遍性といいますか、税収安定性と同時に、税源普遍性というか、いろいろな角度から地方行政サービスとリンクするような財政裏づけということを十分認識した形でやっていかなきゃならぬ。  しかし、そういうことであっても、自治体間の財源調整的な角度からの交付税の存在というのはやはり無視できない。一般財源を保障していくという角度から見れば、そういったことも不可欠の要素を形成するということは当然頭に置いて対応していかなければならぬというふうに考えております。
  7. 細川律夫

    細川委員 大臣お話は、地方分権を進めていく、そういう中での改革ということに尽きるかと思いますけれども、去年の五月の二十九日には、閣議決定地方分権推進計画というものが策定をされております。その地方分権推進計画の中に、「地方税財源充実確保」、こういうことで、地方税充実確保がうたわれております。こういうふうに書かれております。「地方税については、基本的に、この地方における歳出規模地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図る。」こういうことになっておりまして、今大臣の言われたことと同じようなことが書かれているわけなんです。  今回の地方税法改正などによりますと、税源の減少はこの方針に背反するんじゃないかというふうに思います。地方自主財源充実を抜きにしては地方分権推進も図れないというふうに私は考えておりまして、この点について大臣はどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  8. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、地方分権推進計画では地方税充実確保ということを強くうたってあるわけでありまして、基本的に私も、今申し上げたとおりその方向を最も大事なことの一つとして考えておるわけであります。  ただ、そういう角度から見て、今回の地方税恒久的減税というのは一体どういう関係か、こういうお尋ねであったかと思うんですが……
  9. 細川律夫

    細川委員 いや、そこまで言ってなくて、地方自治体の方も、今度の地方税法改正などにおきますと税源が縮小するわけです。それとこのことと矛盾するのではないか、こういうことです。地方分権推進方向とちょっと違うのではないか、逆になっているんじゃないか、こういう質問なんです。
  10. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今回の減税がその方向と違うんじゃないかということですね。つまり、そういう意味では地方税自主財源を強化せよという方向と、今回の恒久的減税地方税減税というのは方向が違うんじゃないか、こういうことですね。確かにそのことだけとらえると、地方税充実しようというのに減税するとは一体どうなんだという議論は成り立つと思います、その次元において言えば。  ただ、今回の減税措置というのは、何といっても現在の景気低迷を脱却する、これが最重点の国、地方を通ずるテーマである。やはり景気を立て直していくということが、単に国の財政という側面、国の経済という側面からだけでなくて、地方税収を確保していくという、あるいは交付税を確保していくという意味で、地方財政裏づけていく、その基盤を強化していくという上でも大事な一つ着眼点であるということ。  それからいま一つは、あるいは住民税等についてのお話も含めてのことかもしれませんが、いわゆる国、地方を通ずる最高税率あり方について、その一つの姿、恒久的な姿を出すということが、税のあり方論としても、国、地方を通ずる所得課税という角度から見て大事である、そういう角度からの減税が行われたと我々はとらえております。  しかし、いずれにしても、国税地方税における減税負担割合といいますか、配分割合ということを考えますときに、現在の極めて厳しい地方財政状況、あるいは、今先生からも御指摘がありましたが、地方分権推進に伴う地方税源充実強化必要性という、このことをも念頭に置いて、国、地方の間の負担割合というものが定められたと考えております。  そういう意味では、国税における減収額の方が圧倒的にウエートが大きくなっているという結果は、そういう要請の結果を踏まえての姿であるということが一つと、いま一つは、減税に伴う地方減収分について、特に地方税恒久的減税による減収分についての裏づけ措置として、たびたび申し上げて恐縮でありますが、特にたばこ税についての国から地方への移譲が行われ、そして法人税地方交付税率の引き上げが行われる、こういう形で、この手法のいわゆる地方税減収についての保障措置を特にきちっと制度的に対応したものであるというふうに考えておるわけであります。
  11. 細川律夫

    細川委員 いずれにいたしましても、地方分権、これを強力に進めていくということだと思いますが、先ほど申し上げました地方分権推進計画については、地方交付税につきましても積極的な提言がなされております。特に算定方式簡素化を進める、あるいはまた、できる限り簡明な方法による算定ということなどがこの推進計画に書かれておりまして、私も、なかなか交付税というのはわかりにくい、そういう意味においてはこれについては大いに賛成でございます。  そこで、お聞きをいたしますけれども、今回の改正の中でどういうふうに簡明化が進んでいるのか、また、今後どのような方向交付税についての簡明化が進められていくのか、これらについてお考えをお聞きいたしたいと思います。
  12. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 実務的な面がございまして御説明をさせていただきたいと思いますが、分権推進計画におきましては、今御指摘がございましたようにその第二次勧告で、交付税の機能が極めて重要であるということを前提にしながら、算定方法簡明化を進めるようにということが明記されております。そういう趣旨に沿いまして、平成年度普通交付税算定におきましても、この計画に沿いまして、例えば清掃費におきますごみ処理人口を指標とする密度補正を廃止するといったようなことなど、補正係数の廃止、縮減ということも行ったところでございます。  今回お出しいたしております十一年度交付税法改正案の中におきましては、引き続きこの算定方法簡明化を進めるという観点から、例えば、これまでその他教育費として補正係数算定しておりました公立大学運営でございますとか私学の助成でございますとか、あるいは公立幼稚園運営に関します経費、これは補正係数でございますと省令で定めて行うということになるわけでございますが、これらをこの補正をやめて、法律で定める単位費用という形にいたしまして、この国会での御審議をいただけるような形で分権委員会の言う簡明化を進めるということにいたしているところでございます。  今後とも、この計画に沿って、地方団体意見にも十分配意しながら、算定方法簡明化に取り組んでまいりたいと思っております。あわせて、これからの分権一括法を御提出する際に、地方公共団体から交付税算定につきましていろいろな意見をいただくということをその中で制度化をするということも行ってまいりたいというふうに考えております。
  13. 細川律夫

    細川委員 ぜひ、これについても強力に進めていただきたいと思います。  次に、単独事業に関して質問をいたしますけれども、単独事業に対して地方債元利償還についても交付税に算入をする、この方式につきましては、個々の事業そのものについては私も意義があるというふうに考えますけれども、全体的に考えますと、どうも交付税制度趣旨に沿わないんではないか。そしてまた、地方債というのが大変多く残高がふえておりまして、その結果、結局地方財政をさらに圧迫をするというような要因になっていると思います。  そこで、地方分権推進地方財政にとって、こういう流れというのはむしろマイナスじゃないかというふうに考えるんですけれども、この点はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  14. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 単独事業地方団体がいろいろ工夫しながらそれぞれの地域特性を生かして行う事業でございますが、その事業を行います際に、どういう形で財源手当てをするかということがまず大前提だと思うんです。その際に、地方債一般財源財源手当てをすることになりますが、財政力相当やはりいろいろ差がございますので、特に財政力の弱いところで単独事業をやっていこうということになりますと、そもそも税収が少ないということもございまして、いろいろな意欲がございましても、なかなか事業に取り組めないという状況がございます。  そういうことから、交付税は、算定に当たりまして人口とか面積といったような客観的な要素でいわば静態的に算定する面と、片方で、やはりそういう財政事情の実態に応じて算定していく必要があるんじゃないかということで、これは単独事業に限らず、例えばダムでございますとかあるいは港湾事業とかというような非常に大きな事業を特定の団体で行いますと、河川の延長とか港湾延長だけで算定をいたしておりますと、やはり地方負担がなかなか財源的に手当てできないということがございまして、これはかなり以前からでございますが、そういうものについては、地方債元利償還財源手当てするような形で財源措置をしてきております。  そういったような考え方一つ延長線上として、単独事業につきましても、地方団体財政力の格差を前提にして、財政力の弱いところでも事業ができるようにという面から、一部の単独事業について元利償還を算入するということをやってきておるわけでございまして、私どもとしては、地方団体が自主的に単独事業に取り組む上で、こういう算定を行うことはやはり必要であるというふうに考えております。  単独事業でございますので、補助事業と違いまして一々の要件があるわけではございませんで、地方団体がそれぞれ地域特性を生かした工夫をしながら事業に取り組んでいただくということで、そういう意味では分権化流れと矛盾することはないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  15. 細川律夫

    細川委員 それでは、次に事業所税について質問をいたします。これは市町村税だと思いますが、専ら市税であると思いますが、この事業所税について御質問をいたします。  事業所税というのは、都市環境整備及び改善のための目的税として創設をされまして、地方財政計画によりますと、平成十一年度合計税額というのは三千二百四十六億円、こういうことで、大都市自治体では大変貴重な財源になっているところでございます。  そこで、この事業所税課税対象の中に、人口三十万人以上の市というのがございます。ここで、私、疑問を感じていることが二つございます。  一つは、都市環境整備という、そのための目的税でございますけれども、人口三十万人で区切る必要があるのかどうなのか。人口が三十万になったら事業所税を徴収する、そうならなければ事業所税は取らないというのが、果たしてこの三十万というのに合理性があるのかどうなのかということでございます。どこかで切らなければいけないという議論はわかりますけれども、この三十万人という規模の内外で都市環境が具体的にどうなるのかというようなことについてはどうもわからないところでございます。  そこで、お伺いいたしますが、私は埼玉県に住んでおりますが、例えば人口七万人の蕨市とそれからお隣の四十五万人の川口市、これを比べますと、人口七万人の蕨市というところは全部市街化区域ばかりでございますし、川口は荒川を渡ってすぐのところですが、人口が四十五万人、しかし、必ずしも市街化区域ばかりではなくて市街化調整区域もあります。例えばそういう蕨市と川口市を比べますと、蕨市の方では事業所税は取られない、しかし川口市の方では事業所税負担する。この蕨市と川口市にどういう質的な違いがあるのかということでございます。  むしろ、都市環境整備ということから考えますと、一般的に市街化区域を持つような市は、どこでもこういうような財源は必要ではないかというふうに考えるわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  16. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 お答えいたします。  御案内のように、事業所税は、企業等都市に集中することに伴いまして増加いたします交通施設あるいは学校施設等の各種の行政需要対応するため、都市行政サービスを、そこに所在をいたします事業所等との受益関係に着目をいたしまして、都市環境整備等に要する費用負担をこれらの事業所等に求めるため設けられているものでございます。  その中で、ただいま課税団体につきましてのお尋ねがあったわけでございますが、御案内のように、事業所税課税団体は、政令指定都市、それから人口三十万人以上の市、それから首都圏整備法規定する既成市街地または近畿圏整備法規定する既成都市区域を持っておる市というものも課税団体ということになっております。  これらの都市につきましては、一応人口規模相当の市ということで、当然その行政区域の中には人口もあるいは企業も相当の集積があるわけでございますので、今後とも、道路混雑を緩和するでありますとか駐車場対策をするでありますとか、あるいは緑の保全とか公害防止対策とか、もろもろの都市環境整備必要性、緊急性というものが、やはり規模の小さな一般の都市と比べますと相対的に大きいものがあろうということで、一つの線引きということで三十万人で引いているわけでございます。そういうことで、一般の中小都市と比べまして、やはり都市施設の整備の必要性、緊急性は一般的に言って高いであろうというところで、一応三十万人の線引きがなされているということでございます。
  17. 細川律夫

    細川委員 都市整備の必要性が三十万人というのは、説明としてはどうも納得できないわけでございます。市街化区域といいますか、市街化があれば、そこには当然きちんとした都市整備も環境整備もしていかなければいけませんし、また事業所としては、そこからいろいろな形で利益を受けるわけですから、これまたそこにはそれなりの応益的な負担をきちっとしてもらわなければいけないんじゃないかというふうに私は考えます。  そこで、もう一点、この点についてお伺いをいたしますが、三十万ということになっておりますから、人口が二十八万、二十九万、三十万になりますと、今まで全くかかってきていなかった事業所税というのを、突然ゼロから、何十万、何百万、事業をやっている企業なり事業所が払わなければいけない、こういうことになるわけです。いわゆる税額が激変をいたします。  例えば、同じ性格の問題ですけれども、従業者割というのがございまして、百人、こういうことになっておりますから、今まで百人が百一人になりますと、同様に、いきなりゼロから百一人分の給与総額が課税の対象になってくる、こういうことになります。資産割の方でも、床面積が一千平米を超えたときには途端に全体として課税をされる、ゼロからばっとたくさん課税をされる、こういうことになります。こういった免税点制度というのは国税には一つもないわけでありまして、地方税には数種類あるわけでございます。中でもこの事業所税というのは税額が大変多いということで、激変の要素が強いわけでございます。  こういう激変になりますから、この激変緩和策というのをとることができないのかどうか。今、不況でなかなか経営も苦しい。そういうときに、全くゼロから何十万、何百万と払わなければいけないというようになってくると、事業をやっている人もなかなかこれは納得できないのじゃないか。現実に、私の選挙区の市が三十万になった途端に、これを事業者の皆さんが払わなければいかぬなということで、非常に不満があるのですね。何でこんな急に、三十万になっただけで今まで払わなかったものを何十万、何百万払わなければいかぬか。  これについては、激変の緩和措置というのを制度的にもきちんとつくらなければいけないのじゃないかというふうに思いますけれども、これについてはどういうふうにお考えになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  18. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 事業所税人口が三十万になった途端にかかってくるというので、納税者の側面からすればショックがあるという受けとめ方は、納税者心理としてはわからぬことはない部分であると思うのですが、一方で、これは目的税でもあるわけです。そういう点で、逆に、都市環境整備のための財源が調達されることによって都市環境整備が進むのですという、一方で便益、受益の部分も向上するということとあわせてぜひ考えていただきたい、こう思うわけです。  それから、免税点のお話ですが、事業所税で免税点があるというのは、これはもう御承知のとおり中小零細企業者の負担を排除するということから、一定規模以下の事業所等に対しては課税をしないということで設けられておるわけであります。かつて国税でも、物品税の時代には免税点という制度も現にあったわけであります。  そういう点で、所得課税を行う税については大体基礎控除方式というか、これは沿革的にいうと、外形標準的なものは大体免税点制度でいく、それから所得課税的な面ではいわゆる負担額と所得額との間で逆転現象を発生させないように、そういう意味で基礎控除方式を取り入れるというのが、私の今までやってきた中では、大体そういう仕分けがあったように感じております。これは国税地方税共通する部分ではないか。  そういう点で、この事業所税はあくまで外形標準に絞っておるわけでありまして、所得金額とは関係なしに課税が行われるという意味で、免税点方式の方がふさわしいのではないかと考えておるわけであります。
  19. 細川律夫

    細川委員 激変緩和措置について、大臣の方からは御検討というようなお話がございませんでしたけれども、これは、人口が三十万になったらゼロから多額の事業所税を払わなければいかぬ、あるいは従業員も、百人まではいいけれども、百一人になったら、これはまた今までなかったものが百一人分の給与の総額で課税をされてくる、こういうことでは、納税者の方としましてはどうも納得しにくい点があると思いますので、ぜひこの点については、今後ひとつ激変の緩和策を講じていただくように御検討をいただきたいというふうに思います。  次に、また事業所税に関連をいたしますけれども、都道府県税の事業税につきまして外形標準課税を入れるべきであるという議論がございます。私も、地方税の性格からすれば当然外形標準課税にするべきだというふうに思います。しかし、今お話をしてきました事業所税、これは市町村税なのですけれども、事業所税は外形標準課税のみで、完全な応益課税だというふうに思います。つまり、都道府県税の事業税に外形標準課税を導入いたしますと、今までの事業所税にある課税に加えて屋上屋を架するということになるのではないかというふうに思います。  そこで、事業に対する税制の改正考えますときに、事業所税も含めて、都道府県税と市町村税の包括的な課税を検討するのも一つ方法かというふうに思います。税の簡素化地方財源充実という観点に立ちましたそういう税制改革も必要かというふうに思います。今までの都道府県税の事業税、そして市町村税事業所税、これを包括、一緒にやりまして、その配分についてはいろいろ検討の仕方はあるかと思いますけれども、そうすることが税の簡素化あるいは地方財源充実ということになるように私は思いますが、ぜひこの点を改革していただきたいと思いますので、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  20. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地方税あるいは交付税を含め、そして国税地方税配分を含め、抜本的見直しをしなければならない、そういう中で、現在の地方税全体についても当然見直しをしていかなければならぬと思います。  その中で、今御指摘事業税事業所税の一本化という視点のお話がありますが、そういう発想もあろうかとは思うのですが、一つ二つ申し上げれば、事業所税目的税なのです。事業税はベーシックな、まさに各都道府県の税でありまして、そういう点で、都市環境整備のための所要コストをどう把握するか、どうとらえるかというのは、やはり大都市地域とそうでないところでの差がおのずからあるのではないかということをどうとらえるかというのが一つ残ると実は思います。  それから、もちろん都道府県税と、片方は市町村税というか市税というか、そういうことなのですが、それとの、課税する自治体自身が違うというテーマももう一つございます。ただ、いずれにせよ事業税を、外形標準課税化を目指してそういう形に持っていこうということであれば、かなりオーバーラップする部分も確かにあるだろう。  そういう時点で、事業税の場合にどういうものを外形標準の対象にするのか、外形標準として、基準としてどういうものを取り入れるのかというようなことと連動する中で、現在の事業所税の、言うなら課税標準として今幾つかの、従業員の数なりあるいは事業所の床面積なり、いろいろなものを課税標準として取り入れておるわけですが、その中の見直しをしていくということもあるいは必要になってくるかもしれません。しかし、では完全に税として統合できるかというと、ちょっとそこには、否定はしませんが、直ちには越えにくい部分もあるのではないかというふうには思います。
  21. 細川律夫

    細川委員 ぜひ御検討をしていただけたらというふうに思います。  それで次に、これは全く違う形の質問になってまいりますが、一昨日のこの委員会でも葉山委員などからも質問がありました、非核証明問題についてお聞きをいたしたいと思います。いろいろ議論がございましたけれども、私にはどうもよくわからない点がございますので、この点について質問をいたします。  いわゆる神戸方式というのがございまして、神戸市では、昭和五十年の市議会で、全会一致で核兵器積載船の神戸港入港拒否に関する決議というのが採択をされまして、以後、外国の艦船は、核兵器を積載していないという証明書を提出しないと入港できないということになっております。その後、昭和六十二年まで、カナダ、オーストラリアなどの艦船が、計十七隻、証明書を提出した上で入港をいたしております。  しかし、今度の高知の条例につきましては、外務省は明確に、外交は国の事務であり、地方公共団体の権能を逸脱している、こういう見解を出しているところでございます。  それでは、外務省に聞くわけなのですが、今まで神戸では、私が今説明したような形で外国の艦船が神戸港に入港したときに非核証明書をわざわざ出させて、そして入港をさせている、こういうことですけれども、この神戸方式を国としては認めていたのではないか、黙認していたのではないかというふうに考えられますが、その点、外務省としてはどういうふうに判断をなされているのでしょうか。
  22. 田中信明

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  神戸市議会が、先生御指摘のように五十年に決議をしたわけですが、そのときに神戸市から外務省に対して、その決議の説明をしたり、あるいは政府の見解について照会するということはございませんでしたし、外務省としての見解を神戸市に伝えるというようなこともございませんでしたが、このことをもって、外務省が、あるいは政府が非核証明書方式と言われているものを容認したということではございません。  確かに先生御指摘のとおり、過去においては、外国軍艦が神戸港に寄港する際に、たまたま当該艦船の核兵器不搭載等の情報を神戸市に対して提供した、あるいは提供されたという、そういう事例がございますが、国会における答弁あるいは地方公共団体からの照会に対する回答等を通じまして、いわゆる非核証明書方式に対する政府としての一貫した考え方というものは、御理解いただいたものというふうに私ども考えている次第でございます。
  23. 細川律夫

    細川委員 もう一度確認いたしますけれども、こういうふうに六十二年までの間に、艦船が十七隻、神戸港に入るときに、神戸市の方で非核証明書を出させて入港させていたということについては、外務省はこれは知っていたのですか、知らなかったのですか、はっきり答えていただきたいと思います。
  24. 田中信明

    ○田中説明員 先生御指摘のとおり、七五年から八七年にかけまして、七カ国、十七隻というものが神戸港に入港したということで、こういう艦船に関しましては非核証明書を提出して入港したということは私どもも承知しております。
  25. 細川律夫

    細川委員 承知をしていながら、そういうことに対して何もしなかったということは、黙認をしていたというふうにとられても、これはしようがないのではないでしょうか。
  26. 田中信明

    ○田中説明員 先ほど御説明申し上げましたとおり、過去においてそういう事実というものは、確かにあった例はございましたが、近年の国会における答弁、それから自治体からの照会に対する回答等を通じまして、いわゆる非核証明書方式というものについての政府考え方というものは一貫して、これは説明してきたとおりでございまして、この点については全く疑義の念はない、また、各位におかれまして御理解いただけているものというふうに考えております。
  27. 細川律夫

    細川委員 そういうふうにお答えになると、また質問せざるを得ませんけれども。  それでは、このとき、知っていながらどうして指導はされなかったのでしょうか、指導を。
  28. 田中信明

    ○田中説明員 私ども、そういうような過去の事例を踏まえまして、一貫した考え方というものをきちっと整理いたしまして、そして照会に対しては指導してきております。
  29. 細川律夫

    細川委員 一貫していて、指導してきていると言うけれども、このときには指導しなかったわけでしょう。だから、なぜしなかったのですかという質問に、ちょっと答えていただきたいと思います。
  30. 田中信明

    ○田中説明員 過去において、確かにたまたまそういうような事例というものはあったわけでございますが、そういうことを踏まえまして、私ども政府といたしまして、統一した見解を自後持ちまして、その後一貫して指導をしてきた、そういうことでございます。
  31. 細川律夫

    細川委員 それはいつですか、そういうふうに統一をしたというのは。
  32. 田中信明

    ○田中説明員 これは、例えば具体的な文書という形であらわれておりますのは、一九八七年、函館市に対する回答文書でも、きちっとした私どもの非核三原則に関する考え方、それから米国艦船の入国の諾否に関する考え方というものについて言っておりますし、また、一九九〇年、呉市に対する回答においても、そういう基本的な考え方、枠組みでございますね、それについては考え方をきちっと言っておりますし、また、先般の高知県からの御照会に対しましても、先年の十二月に私どもの考え方というものを文書にて先方に開陳した次第がございます。
  33. 細川律夫

    細川委員 今のお答えでは、行政としての一貫性があるとは全く思えないところでございます。  私も、基本的に、外国の艦船についての入港の是非を決めるのは港湾の技術的な問題じゃない限り国にあるというような見解そのものについては、理解もできるわけでございますけれども、しかし、今度のこの高知県の条例の問題については、これは、直接外国の艦船に対してあるいは外国の大使館とか領事館にやるのではなくて、外務省そのもの、外務省に非核証明を求めている、そういうことなんです。そうであるならば、国の事務として外務省が認めた艦船の入港を許可するということですから、これは僕はいいのではないかというふうに思いますけれども、この点についてはどうですか。
  34. 田中信明

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  地方自治体が、いわゆる非核証明書の提出を求めまして、その結果に基づいて港湾施設の使用に関して決定を行うということは、それが、外国政府に対して直接求めるかあるいは外務省に対して求めるかにかかわらず、外交関係処理に当たる国の決定というものに地方公共団体が関与し、またこれを制約するものであるというふうに私ども考えておりまして、これは、港湾管理者の権能を逸脱するもので、地方公共団体の権限の行使としては許されないものであるというふうに考えております。  といいますのは、国と地方公共団体というのは、相互に異なる次元においてそれぞれの事務を処理しており、国として責任を有する外交関係処理というものが、地方公共団体によって関与、制約されるようなことがあってはならない、そういう考えのもとでございます。
  35. 細川律夫

    細川委員 納得できませんけれども、時間が来ましたから、最後にこの点について質問いたしますが、この非核三原則というのは日本国の基本政策であり、国是でもございます。アメリカもそれを尊重いたしまして、安全保障条約で定められました事前協議の申し出がないということは核兵器が積載されていない、こういうことになりますけれども、この議論が正しいとするならば、個々の艦船についても核兵器を積載していないというのが論理的な帰結だというふうに私は思います。  しかし、このことを国民の皆さんが心底納得しているならば、こういうような議論というのは起こらないんではないかというように思います。国民は、外国の艦船の核兵器の積載について疑問があり、やはり政府に対しては不信を持っている。だからこそ、国民の皆さん方は、核兵器が艦船に搭載をされていない、その担保を求めているんだろうというふうに思います。  この高知県の非核証明の要綱案は、確かに、今外務省が言っておるように自治体の事務を超えているかもわからない。しかし、国民の皆さんが不信を解消できない、国のやり方についてどうも信頼できない、こういうことならば、自治体がこれにかわってこの住民の気持ちに応じるということも、これは私はごく自然のことではないかというふうに思います。  そういうことで、非核三原則を徹底的に守るというような政府のかたい意志、これがどうもあいまいだというようなことからこういうことが起こるんだと思いますけれども、これについてどういうふうに国の方は考えているんでしょうか。
  36. 田中信明

    ○田中説明員 これにつきましては、十六日に野中官房長官が記者会見で申し述べておりますが、これに尽きると思います。  ぜひ関係地方公共団体のそれぞれの皆様方にも、非核三原則を守っていく我が国の態度を信頼してもらいたいというふうに長官の方から発言されております。それに尽きると思います。よろしくお願いします。
  37. 細川律夫

    細川委員 私は、この問題については、国民的に非常に関心の高い問題でありますから、政府の方も、この非核三原則の基本政策、国是については徹底的にこれを守っていくように、ぜひ今後ともしっかりとやっていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
  38. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、桑原豊君。
  39. 桑原豊

    ○桑原委員 民主党の桑原でございます。地方税法改正につきまして、まずお伺いをいたしたいと思います。  昨年は大変厳しい不況、そしてまた、ことしもそういう状況でございます。昨年、政府は二兆円程度の特別減税、さらには同じ規模の追加減税ということで、景気対策のための減税を行いました。そしてさらに、六兆円を超える恒久的な減税をやろうということで、今予算案が出されておるわけでございます。  そのたびに私どもも質問をしたわけですけれども、なぜ地方税もそれにあわせて一緒に減税を強要されなければならないのか。確かに、地方の理解を得て納得してもらっての減税だ、こういうふうにおっしゃられるわけですけれども、しかし、現実、大変財政基盤そのものが弱い上に、この先、地方分権という形でいろいろな権限を地方が国から受けとめてその基盤というものを充実していかなければならない、先ほどのいろいろな細川委員質問にもございましたけれども、そういうふうに考えておるわけでして、地方として、この減税について積極的にそれはやるべきだというような意見はほとんど見られなかったというふうに私は思っております。  地方もこの景気の厳しさについては十分、嫌というほど実感をしているわけでございまして、そういう意味では、地方のいろいろな事業を行うことによって景気対策をやっていかなければならぬとか、さまざまな角度から、地方として減税についてどうするのかといういろいろな思いはあるとは思いますけれども、私は、それはやはり地方自主性といいますか、そういう判断の中で考慮すべき問題ではないかというふうに思うんです。  そして、今度は恒久的な減税ということでございまして、単にそのときの景気対策というにとどまらず、将来の抜本的な税制の改革、そういうものに橋を渡していくといいますか、かけ橋にしていく、そういうねらいも込めた改革である、そのために地方税もということに今回はなっておるわけです。  しかし、そうであるならば、なおのこと地方の税制のあり方について、また減税対象になった税目以外にも、地方の税制はどうあるべきなのか、それとのかかわりをどうすべきなのか、そういう基本的な議論を踏まえて地方税をどうしていくのかというのならわかるんですけれども、所得税とそして個人住民税、そういった一連のかかわりの中でしかどうするかという話がなされていないというように思えるわけです。  その点について、私は、地方税減税というものをこういう形で行うということは、自治体がみずからの需要額というものを責任を持って調達していくという自治の原則、そういうものに照らして、やはり大変問題があるのではないか、極めておかしな、先ほどの議論とも重複しますが、分権に逆行するようなことではないか。その分についてはいろいろな手当てをいたしますよというふうに国は言うわけですけれども、それは逆に、ある意味では地方自立性とか、国に頼らなくて自前の責任でやっていこうという姿勢に水を差す結果になるのではないか。  減税を強要して、その分穴があいたらまた国から補てんをする、このやり方をやはり根本的に考え直していく必要があるのではないかと思うんですが、まずその点について、改めて大臣の御見解を伺いたいと思います。
  40. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 基本的に、今日の厳しい地方財政状況下にあって、まずは、地方税減税できるほどの余力があるのか、そして、減税をする必要があるのなら国税の方からやるべきじゃないか、それがまた地方自主財源を確保するという観点からいっても当然のことではないか、大体こういう御指摘であろうかと思います。  基本的な考え方というか、地方財源を重視しなければならぬ、減税をやる場合でもそのことをしっかり踏まえた上で対応しなきゃならぬという基本的スタンスは、私はそのとおりだと思います。率直に申し上げて、何とかそういうことを基本線に置いてやらなければいけない。  しかし、今日の経済の情勢は、まさに戦後初めての異例な状況下にある、財政状況あるいは財政基盤が非常に劣悪な状況になっているということは、地方財政もそうでありますし、同時に、国の財政も負けず劣らず劣悪なる状況にある。  そういう状況下にあって経済を立て直していくということは、必ずしもその成果、その結果が国にだけ裨益をもたらすというものではなくて、当然のことながら、地方財政を立て直していく、地方税収を確保していくという上でもやはり大事な課題であるということを考えますときに、また、税というものを考える場合には、国税地方税ということを通じてやはり考えていかなければならない、そういう角度の中から、ぎりぎりの選択として、減税についての国税地方税における応分の負担配分割合という中で結論が出されたことである。  ただ、そういう中でも、その減税負担割合、特に法人系統あるいは個人の所得課税系統においても、国税地方税における負担配分割合というものが、圧倒的に国税における負担が大きいという姿の中で今回の改正が行われたことは、もう細かく数字を申し上げませんが、御案内のとおりだと思います。  しかし、これでもってすべて処理が終わったというのではなくて、あくまでこれは本当に異例の措置である。ただ、減税そのものは、単年度限りの、一回限りの減税ということなのではなくて、少なくとも恒久的な形で毎年行われるということが経済効果から見ても大事なことであるし、そういった将来の抜本的税制改革ということを視野に入れた場合でもそういう意味での対応というものは必要であるということで、いわゆる恒久的な減税という形になりました。  したがって、それに対する財源措置も、ここはもういつも申し上げておりますが、単に一回限り、単年度の措置ではなくて、少なくとも抜本見直しが行われるまでの間の措置として、法人税についての交付税率の引き上げであったり、あるいはたばこ税についての国から地方への財源移譲であったり、地方特例交付金という措置を創設する、そういう形で、特に地方税恒久的減税減収について従来よりも手厚い形で配慮がなされたということは御案内のとおりであります。  率直に言って、ぎりぎりの中での減税の措置であるということは申し上げなければならぬと思います。
  41. 桑原豊

    ○桑原委員 地方税法というのは、国会で審議をされて、そこで決められていくという現在の制度でございますから、最終的に国が責任を持って決定をしていく、そのこと自身を今問題視しているわけではございませんけれども、問題は、この先、地方税というものが本当の意味地方税源としてさらに拡充をしていく、そして自立的な地方自治体運営というものを可能ならしめていくという将来の展望というものを考えたときに、ある意味では今のような形で国の減税のおつき合いを、国で一方的に地方の税制全体を見ながらどうこうしていくという形ではなしに、その部分だけをとらえて、国は圧倒的に減税分は多いんだから、地方はそれに比べると少ないんだから、それで応分の負担だ、よしとしなければならぬのじゃないかという議論だけでは、これはなかなか納得しかねるものがあると私は思います。  そういう意味では、地方のありよう、そのことが今問われているさなかでございますから、ぜひ地方のそういう税源の体系というものを踏まえて一体どうしていくのかという、そういう議論をこれからやはり本格的に展開をしていく必要があるのではないか、こういうふうに思っております。  それから、私は、地方分権というものにとっては、それを裏づける独自の税源の拡充というのがもはや避けられない事態に来ておるというふうに思っております。どうも全体像を見ておりますと分権は進みつつある。そして機関委任事務というものが廃止をされて、対等・協力の関係というものも今までよりは前進しつつある。しかし、それを本当に裏づけるものが必ずしも前進ではない。非常にピンチの状態から、さらにその色を濃くしているのではないかというふうに、非常にちぐはぐなことが行われているのではないか、私はそういうふうな気がしてなりません。  そこで、私どもの党でも、所得税の一部を安定的な財源という形で地方移譲して、現在の税収が一対二、地方対国という関係ではなしに、少なくとも一対一に近いものに何とか持っていけないだろうかということで、いろいろと考えているわけでございます。そういった地方税源の拡充について、既に部分的にはたばこ税の問題ですとかございますけれども、地方の特殊性を踏まえるならば、将来的にどんな税源を、これだこれだという具体的なものは指せないにしても、どういう考え方税源としてどういうものを地方移譲していくべきなのかという点について、大臣としてお考えがあれば、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 大きく分けて二つの視点からのお話があったと思います。一つは、いわば国と地方の仕事の配分、それに応じてそれを裏づけ自主財源地方にきちんと保障すべきであるという視点ですね。  これは、おっしゃるとおり、少なくとも財源と権限、この二つがしっかりとリンクしているということが大事なことであって、本当にその与えられたみずからの責任を自己責任において遂行していこうというのであれば、それを遂行できるための背景というのが当然必要であるという意味で、自主財源をより強化していかなければならぬ、まずこの方向性はおっしゃるとおりだと思います。  それからいま一つ、そういう中で地方税としてどういうような税が望ましいかという御質問でありますけれども、私は、この委員会でも、私見とはいえいろいろ申し上げてきておるわけでありますが、やはりその地方自治体の行う行政サービスというものが、いわゆる景気対策とかなんとかというよりも、よりベーシックな行政サービスである、したがって景気変動に余りかかわりのない、そういうベーシックな仕事を主として受け持っていく、より住民に身近なサービスを受け持っていくということからいえば、当然それをサポートする税というのも、安定性といいますか、税収安定性展望できる、それをビルトインできるような税であることがいい。  そういう意味で、どちらかというと、所得課税的なものよりも応益課税的なものの方が望ましい。それは外形標準的なものだと置きかえていいかもしれません。所得課税的なものにしても、累進度の高いものよりも、より負担分任的な要素の強いもの、そういう形でベーシックな地方行政サービスが保障されていくということが基礎にあるべきではないか。  もちろん、それぞれの地域における特殊性だとか、いろいろあるでしょうから、大都市においては、そのための一つ目的税的なものが存在するのも当然あってしかるべきだと思いますし、そういう中で地方税だけですべてを賄うことは、やはり税源の偏在をすべて乗り越えることはなかなか難しいという側面がありますから、そういう意味で、財源調整的な役割を交付税的なものが担っていくということは、これまたもう一方で避けて通れない課題である。その方向で、いわゆる補助金的な行政を打破して一般財源として地方自主財源として使えるような形に持っていくという、これも組み合わせとして必要なことであろうというふうには考えております。
  43. 桑原豊

    ○桑原委員 地方税源はベーシックなもので安定的で、そして言うならば応益課税的な側面のある、そういうものを基礎に置くという考え方、そして調整的な必要性というものは、私もそのとおりではないかというふうに同感ができるわけでございまして、そういう意味では、私は、もう大方、そういった方向地方税源充実していくという方向性は、ほぼ共通の認識に立ちつつあるのではないか、そういうふうに思っております。  問題は、それを先送りせずに、どの時点で改革を断行していくのか、そのことが求められているというふうに思います。多少、この先も基本的な議論を積み重ねる必要性はあるとしても、ぜひその改革をしっかりと行っていく、そのことを、必要性を重ねて申し上げたいというふうに思います。  そこで、今度の地方税の具体的な中身についてお尋ねをいたしたいわけですけれども、今の考え方を基礎にしながら少しお尋ねいたします。  法人事業税減税というのが行われることになりました。しかし、これには前提的な物の考え方があったというふうに思います。それは、この間、何度も議論に出ておりますいわゆる税収中立という形で外形標準課税、そういったものをどういうふうに導入をしていくのかということが前提としてあったというふうに思います。それをせずに減税を先行させることによって、そうした目的にしていたところが本当に達成できるのだろうかという不安を今覚えるわけですけれども、その点についての段取りをどういうふうにしていくのか。  まず減税を先行させるわけですけれども、外形標準化の問題についてはどういう段取りでいくのかということが、国民の前に私はそれなりに説得力を持って明らかにされていくことが必要だろうというふうに思うんですけれども、そのことをどう考えておられるのかということ。  それから、非課税等の特別措置、これが今回、件数にしますと、廃止、縮減合理化を含めて九十六件ですか、行われるということでございますけれども、この非課税特別措置はまだまだたくさんございます。そのほかにも何百件というものがあるわけですけれども、これらも、一体どういうふうにして必要性のあるものとそうでないものとを全体的に区分けしていくのかということも、大変大事なことだろうというふうに思います。  これについても、私はもう少し抜本的に取り組みをしてセットで提案をすべきことではないかなと思うんですけれども、この点についても、そう先送りをすることはやはり許されないのではないか、こういうふうに思います。地方税源充実していくというふうな意味でも大事なことではないかと思っております。  これらについてどう考えておられるのか。余りそのことを抜きにして減税を先行させていくということは、結局は無責任な話に私はなると思いますし、将来的に禍根を残してはならないというふうに思いますので、その点について改めてお考えをお聞きしたいと思います。
  44. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今回の減税決定に当たって、特に事業税については外形標準課税化について、今回はそれよりも事業税の税率を下げるということで対応するということが早く意思決定がなされたわけでありますが、この事業税の外形標準課税化への段取りについては、率直に言って、私は、個人的に言えばザ・スーナー、ザ・ベターだと思っております。ただ、これはやはり納税者あるいは多くの、これは政党をも含めて、協力が必要になるだろうと思っています。  当然のことながら、外形標準というものを事業税の世界に導入しようということであれば、納税者側から見れば、一方で増減税がそれぞれ出てくるという話になるわけであります。つまり、事業税税収の増減収ゼロという中でやろうとすれば、おのずからプラスマイナスがそれぞれの納税者において出てくるというのは、これは当然予想される姿であって、そのことを政治的に本当にどうやってきちんとお互いが説明をし、納税者の理解を得ていくかという、この作業は非常に大事なことだ、私はそう思っております。取る側だけの一方的な発想だけでは税制というのはなかなか難しい側面が一方にあることは、御承知のとおりであります。  そういう点で、外形標準というものを事業税の世界に導入していくことの重要性ということを、これは政府税調も指摘もいたしておりますが、自治省としても、国民の理解を得られるように大いに努力をしていきたいと思いますが、ぜひこの点は、せっかくの御指摘でもございますので、桑原委員のお力添え、御支援もぜひお願いを申し上げたい、こう思うわけであります。  事業税の問題はそういうことでありまして、提案をしましたときにはぜひ御賛成をいただけるように、今からあらかじめお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、地方税の世界におけるいろいろな租税特別措置の整理合理化の問題。この点もいろいろ御議論がありますが、極力地方税の世界においては、そういう租税特別措置的なものは少ないというか、本来的に少なくあるべきであるというスタンスをさらにこれからも強く堅持してまいりたい、そういう角度で、これからも毎年行われる税制改正の作業の中で、より厳しいスタンスで対応していきたいと考えております。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  45. 桑原豊

    ○桑原委員 さらに、個人住民税所得割の非課税限度額が引き上げられるということでございます。納税者の側にとってみれば、確かにそのことによって減税だということでございますけれども、住民税というものの性格からして、果たしてそれでいいのかという議論は残るのではないかというふうに思います。言うならば、自治に加わる会費的な要素というものが非常に強いわけでございまして、そういう意味では、会費を負担する方が少なくなるという話にもなるわけですね。税の性格としてどういうことなのか、御見解を伺いたいと思います。  それから、特定扶養親族の控除の加算がございますね。これも、私は、まだ税制調査会の中でこの控除のあり方についてはどうなのかという議論がなされている最中だというふうに思います。そういう意味では、この扶養控除の問題にしても、私は、一定の決着がついて、それを受けてどうするかという考え方の整理が必要なのではないかというふうに思うんですけれども、少しそこら辺が、場当たり的とまでは言いませんけれども、かなり安易な取り組み方ではないかな、そんな印象を持つわけです。その点につきましてもあわせて御見解を伺いたいと思います。
  46. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 前半の非課税限度額のお話です。私は、今御指摘されました視点というのは非常に大事な視点だと思います。この経緯は、もう御案内のとおり、生活保護世帯からも住民税を徴収することがいいかどうかという、端的に言ってその点だと思います。  毎年生活保護の基準が上がってくるものですから、住民税の課税最低限と逆転現象を生ずるという中で、住民税の課税最低限が余り高くなっていきますと、これは負担分任という住民税の性格からいっていかがなものかという角度の中で、課税最低限の引き上げということについてはやはり限度があるんではないか。しかし一方で、生活保護基準額の方がそれを上回っていくというようなことになるとこれまたいかがなものかということから、非課税限度額というようなことになってきた経緯は、御案内のとおりであります。  そういう点で、ここは本当に政治としてどう受けとめるか。だから、一つ考え方は、そういう意味で、生活保護の世帯からは住民税は徴収しないんだという今の発想をそのままいくのか、あるいは、いや、それでも住民税は住民税でいただくのであって、その負担相当額は逆に生活保護の方を上乗せしていけばいいではないかという議論も、一方であり得るかもしれません。どっちを選択するか、ここはいろいろ議論をしていただきたいところだと私は思います。  そういう点で、今までの考え方では、生活保護世帯から住民税を徴収することはしないという考え方に立って行われてきた。それとのバランスの中で、課税最低限とは別に非課税限度額というものも必要になっているということであります。  それから、特定扶養親族控除の問題でありますが、これは、教育などの分野で特に支出のかさむ中堅所得者層に対して特段の配慮を行うために、抜本的見直しを行うまでの間の措置として実施をされることになったわけであります。これは、率直に申し上げて、いろいろ各党の中でも教育費控除の話があったり、特にこういう中堅所得層、中高校生を子に持つ世代層というのがかなり重税感もある、生活が厳しいというその背景があったことは御案内のとおりでありまして、そういう点で、そういうことへも配慮して行われたものだと思います。  ただ、住民税のあり方として、そういう特別のいろいろな事情をしんしゃくしながら制度の中にビルトインしていくことがいいことなのかどうなのか、望ましいことなのかどうなのかということにおいては、やはり一方では、負担分任なり、地方税の性格からいって、多少議論があってもいいのではないかという御指摘は、十分理解するところだと思います。
  47. 桑原豊

    ○桑原委員 他の社会保障制度といいますか、そういったものとのかかわりの中でどういうふうに対応していくかという問題もございますけれども、税制そのものの、税の簡素化といいますか、そういうものと、社会的な給付として一体どういうふうな形で見ていくべきなのかというところの本当にきちっとした議論をやはりしていく必要があるのではないか。税そのものが非常に複雑になってまいりますし、一方では、国民の権利意識という面で非常にまた問題も出てくるというようなことになると私は思いますから、そこら辺の区分けをどうしっかりしていくかということが大変大事なのではないかなというふうに思っております。  次に、地方特例交付金の問題でお伺いをしたいと思います。  恒久的な減税へのおつき合いといいますか、地方税減税ということで大変巨額な減収が出てくる。これを抜本的な税制の見直しが行われるまでの間、地方税の代替的な性格を有する財源としてこの制度を創設する、こういうふうなことでございますけれども、今の減税が続く限り、この特例交付金制度というのは続くわけでございます。  私は、この制度というものは、地方のあるべき姿にとって本当にいい制度なのかどうなのか、やむを得ずの制度なのか、あるいは、これを当分の間やるということを常態化していくことになるわけですけれども、そのことが本当に地方にとっていいのかどうかということをどのように考えておられるのかということをまずお聞きいたしたいと思います。
  48. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 率直に言って、この制度がなくても十分に地方財源が保障されるということであれば、それが一番望ましいことであるというのは、私はそのとおりだと思うのです。  ただ、そう思うのですが、現実になかなか、今の厳しい財政状況の中で、これがないとやはり地方自主財源そのものを確保するということが極めて困難であるということも、これまた事実でございまして、そういう意味では、やはりなくては困る、地方の現在の必要な行政を遂行していく上で、地方財政に支障を来さないような運営をしていく上で、やはり不可欠の存在である、こう言わざるを得ないと思います。
  49. 桑原豊

    ○桑原委員 率直なところをお聞かせいただいてありがとうございます。私も、これがなければ地方運営は一日とてもたない、そういう現実だというふうに認識はいたしております。  そこで、この制度を、いわゆる地方交付税の特別会計の中に、一勘定として置くということでございますけれども、この間、この種の議論をしていて、地方交付税でないのに、なぜこの勘定をこの会計の中に置くのかという議論があるわけですね。これについてはどういう考え方でこの中に置くという形になるのか、そこら辺を御説明いただきたいと思います。
  50. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 この特例交付金につきましては、交付税及び譲与税配付金特別会計で経理することにして今回、法改正をお願いいたしておるわけでございますが、この特別会計は、地方交付税だけではなくて、地方交付税及び地方譲与税の配付に関する政府の経理を明確にするため一般会計と区分して経理する、こういうことを目的として設けた経理会計でございまして、国が地方団体一般財源として交付する資金を一元的に経理いたしまして、その交付の状況を明らかにする機能を果たしておるものでございます。  特例交付金は、今回の恒久減税財源措置の中で、地方税の代替的性格を有する一般財源という性格を持っておるわけでございまして、そういう意味で、今申しましたような特別会計の趣旨からして、この会計で経理することにいたしたものでございまして、この特別会計に経理はいたしますが、交付税とか、あるいは譲与税とか、他のものとは明確に区分して経理することにいたしております。  かつて、こういう特例交付金的なものは昭和四十二年度にもございましたけれども、その際にも特別会計で経理をしているわけでございまして、それぞれ区分して経理をいたしますので、そういう点での問題はないのではないかというふうに考えております。
  51. 桑原豊

    ○桑原委員 それと、地方特例交付金地方減税減収分として国から受け取るわけでございますけれども、それは足らざる分の四分の三で、あとの四分の一は減税補てん債ということで地方が借金をする、それをまた国が交付税で見る、こういう形になっておるわけですけれども、この特例交付金減税補てん債を基準財政収入額に算入をする、こういう形になるわけです。  これはどうなのですか。地方交付税というものの考え方からいきますと、いわゆる国の財源不足というものを、逆にそういうものを算入することによって、本当の意味での深刻さがあらわれてこない。交付税の会計の中で、会計の中といいますか、基準財政収入額の中にそういうものを算入することによって、大変な巨額の交付税が必要になってくるということがあらわれてこないという形になるわけですけれども、それはそんな考え方でよろしいのですか。
  52. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回の特例交付金それから減税補てん債、これは交付税の計算上基準財政収入額に算入することにいたしておるわけでございます。  普通交付税算定をいたします場合には、各団体の標準的な税収入の、都道府県におきましては八〇%、市町村は七五%をそれぞれ基準財政収入額に算入いたしまして、片方の需要額との差し引きで計算をするということにいたしております。この特例交付金は、恒久的な減税なかりせばその地方団体にとってはあった税収でございまして、その税のかわりということで交付することにいたしておりますので、そういう性格からいきまして、やはり基準財政収入額を算定いたします場合には、税と同じ扱いといいますか、そういう考え方から、八〇%とか七五%を基準財政収入額に算入するということは、むしろこの交付金の性格と交付税算定というものの本来の趣旨からいって合うだろうというふうに考えております。  これまでに行われました特別減税の場合の減税補てん債等についても、同様な扱いをいたしておるものでございます。
  53. 桑原豊

    ○桑原委員 私もちょっとよくわからないわけですけれども、それでお聞きをしておるわけです。  いわゆる交付税制度そのものに結局問題があって、本来なら交付税というものを、制度を変えることによってその穴を埋めていかなければならないんですけれども、それがとりあえず不可能だということで、こういった形で減収分を穴埋めしていくということはわかるわけですけれども、それを収入の中に算入することによって、交付税そのものの問題点といいますか、そういうものが逆に隠されるのではないかというふうに私はとるわけですけれども、そういったことではないんだと。  これは、そうしますと、この減収分が続く間はこういう形で措置をしていくということに当面はなるわけですか。
  54. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 減税を行います場合に、どういう形でそれを財源補てんするかということがまず先にありまして、委員がおっしゃいますように、全部税源移譲とかあるいは全部交付税で補てんできれば、それはまた一つ考え方でありますけれども、今全体の国、地方財政状況の中で今回の決着のような形になっております。そういう財源補てんのやり方が決まってまいりますと、それによって今度は団体間の交付税算定を行っていく必要がございますので、その場合には、やはり税の代替的性格を有するものは税と同じ扱いをするということが、結局団体間の財源調整をする上で必要であるということになってくるわけでございます。  それから、この特例交付金は、恒久的な減税が続いております間は当然交付されるという性格のものでございますから、これから毎年度交付税算定に当たりまして、今回御提案申し上げておりますのと同じような計算の仕方が続いていくということになるわけでございます。
  55. 桑原豊

    ○桑原委員 私は、やはりこの特例交付金のようなものをどうしてもつくらなきゃならないというようなことは、ある意味では一日も早く解消すべき問題だ。そういう意味でも、国の減税地方減税がつき合うことの意味というのが、この問題一つとっても、そのためにこの制度をつくらなきゃいかぬということですから、本当によく理解できない。  こういうことを長続きさせないためにも、今後国のそういう減税に対して地方が連動するということの考え方について、やはり改めてもう一度再考すべきではないか、こういうふうに今後のこととして思うんですけれども、その点、大臣、どうでしょうか。
  56. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 おっしゃるとおり、いわゆるおつき合い、一体いつまで国におつき合いを続けていくのか、こういうことであります。  基本的には、もう限度に来ているんじゃないか。ただ、では地方税そのものとして、みずからの今の税の姿で立派な姿になっておるかと言われると、やはりそれなりに中身も見直す必要もあるでしょう。そういう意味での地方税自体としての独自の見直しというのは当然あってしかるべき、その際には、たびたび話が出ておりますが、事業税課税標準のとり方とかを含め、そういった部分はあると思います。  そういう点で、基本的にそういう政策税制的なものを地方税の世界に持ち込むということは避けなければならないことであるし、それから、減税をやるだけの財政的余力は地方にはもうないということも事実であります。そのことを念頭に置いて、これからも対応していかなければならぬと思います。
  57. 桑原豊

    ○桑原委員 特例交付金減収分の四分の三、そして減税補てん債で四分の一ということでございます。やはり、国に連動して地方税収が上がり下がりする、非常に不安定だということが繰り返されてまいりますと、自治体によっては、財政状態が極端に悪い、いわゆる格付と申しましょうか、実際に借金をするということになると、かなり高金利の資金を調達せざるを得ないというようなことも出てくるんではないかというふうに私は思うんです。そういう意味で、条件のよい起債がなかなか難しくなってくるというようなことも考えられます。  また、この四分の一の減税補てん債については交付税で措置をされるんだということではございますが、結局将来の地方財源をある意味では先食いをする、こういう形になるわけでございますから、その点について、もっとこの分については、将来の先食いというようなことではなしに、国の減税によって連動したものであるということの責任で、国がきちっとこの補てんをしていくというような特別の措置が必要ではないかというふうに思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
  58. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、恒久的な減税に伴う地方税減収への対処として、四分の一の部分については減税補てん債で対処することになったわけです。  これは、今回の減税については、恒久的でしかも巨額であって、現在の厳しい財政状況、それから地方分権推進に伴う地方税充実確保という要請などから、地方に一定の協力を求める場合は、それによって生ずる減収によって地方財政運営に支障が生じないよう必要な配慮を行うことを基本として対策を講ずることとしたということと、それから、従来の特別減税については全額を減税補てん債により対処していた、そして、一般的な税収不足については国、地方の折半としていること、交付税算定における市町村の留保財源率が二五%であることなどを総合的に勘案して決定したものであります。こういうことで御理解をいただきたい、こういうことなんです。  なお、減税補てん債の元利償還金は毎年度地方財政計画の公債費に算入をし、所要の一般財源を確保するとともに、地方財政運営に支障が生じることがないよう、その元利償還金の全額を後年度地方交付税算定において各団体の基準財政需要額に算入する予定であります。  それから、減税補てん債の資金区分がいわゆる起債団体の格付にいろいろ影響するのじゃないか、発行条件に不利な結果をもたらすのではないかという御懸念を表明されたのですが、この減税補てん債の中でいわゆる市町村分、都道府県、政令指定都市を除く市町村については、約二千億ほどでありますが、これは政府資金をもって引き受けるという形をとっておりますので、直ちには発行条件の悪化にはつながらないのではないかと考えております。
  59. 桑原豊

    ○桑原委員 何遍も何遍ももとに戻る話になりますけれども、国の減税そして地方減税、私は、それなりにちゃんと区分けをして対応していくということがなければ、やはりこういう問題は今後もまた尾を引くことになるのではないか、こういうふうに思いますので、そこら辺は今後の課題としてぜひ真剣に御検討をいただきたい、こういうふうに思います。  それから、長い間、地方財政難の折に常々言われてきたわけですけれども、交付税率の引き上げというものが交付税法に基づいてきちっと行われるようにということが言われてまいりました。今回、そういう意味では、法人税分が当面〇・五、そして十二年度以降は三・八引き上げになる、こういうことで、その見直しに踏み切られたことそのものは一つの評価に値するだろう、私はこういうふうに思っております。  ただ、結局、交付税で足りないものはまた借り入れするわけでございますから、その分の負担地方と折半していくという物の考え方、これは全く変わっておりません、そのまま踏襲されておりますし、また、その分の国の加算額なるものも地方に本来交付すべきものの前倒しだというような物の考え方も変わっていないと思うのですけれども、そこら辺、やはりそういったことをせずとも済むような、今の制度前提にするなら、地方交付税率の抜本的な改正というものに取り組む、いよいよその時期に来ておるのではないか、こういうふうに思うのですけれども、その点についてどう考えるかということをお聞きしたいと思います。
  60. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、今年度のようなやり方が毎年毎年継続していいということではありませんで、できるだけ早い機会に、本当にきちんとした、地方団体財政需要をしっかりと賄えるような、地方財政運営に支障が生じないような、そういう交付税見直しのみならず、地方税を含めていわゆる地方一般財源がきちんと確保できるように全力を挙げて努力をしてまいりたい、そう思います。そして、できるだけわかりやすい、簡明な税制をやはり目指していかなければならぬ。そして、しっかりと地方団体自主性自立性を確保できるような体制を築けるように全力を挙げて努力していきたいと思います。
  61. 桑原豊

    ○桑原委員 従来、折半されて、半分は地方負担だというふうに言われてきておるわけですけれども、私は、そういう地方負担などという物の考え方がこの交付税制度の中でなぜ成立をするのか、そこら辺がなかなか納得がいかないところでございまして、この交付税というのは、制度趣旨からして、あくまでも国の責任において国が地方に交付すべき、そういう性格のものだろうというふうに思うのです。  ですから、ぜひ、そういった地方負担分などということではなしに、国が明確にそれを負担していくというような考え方をあわせて打ち出すべきではないかというふうに思うのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  62. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 きちんと整理をしておくべきだというのはそのとおりだと思います。そう思いつつ、毎年、国も地方もそういう財政状況が厳しいということを背景にして積み重ねをやってきた結果、こういうことになってきておるわけでありまして、今日までの経緯もありますので、今日までの経緯について、財政局長から少し補足答弁をさせていただきます。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 毎年度地方財政対策を行います際に、地方財源が足りているか足りていないかということは財政計画ベースで検討を重ねるわけでございますが、その結果、財源不足が出るということになりました場合に、もちろん交付税だけではございませんで、地方債も含めていろいろ検討いたしますが、交付税対応しなければいけない分でどのくらい足りないかというふうなことを検討いたして最終的に補てんをいたすわけでございますが、その場合には、基本的には、それぞれのその時々の国と地方役割分担とか財政状況考えながら毎年度対応してきております。  今委員が、特別会計の借り入れで地方負担という概念はおかしいのではないか、こういうお話でございますが、交付税総額が足りない場合に特別会計で借り入れて補てんをするということにいたします場合に、これまで折半というやり方が比較的多いわけでございます。そうでないケースももちろんございますが、比較的多いわけでございますが、これは基本的に、国税地方税、譲与税それから地方交付税、いわゆる一般財源全部を合わせた比率で考えますと、交付税まで含めて考えると、国と地方が大体二分の一になっている。  そういうことになっておりますので、その一般財源が足りないという状態が出てきます場合にそれを補てんする場合に、そもそも、大体一般財源ベースで国と地方が半分ずつ財源をいわば配分しているということを基礎にして、八年度とか九年度にとりました措置、それから、今回、十、十一、十二と三年間の措置としてとりました補てん措置におきまして、特会の借入金について国と地方が半分ずつ責任を持とうというふうな考え方に基づいて、今のような姿になっておるわけでございます。
  64. 桑原豊

    ○桑原委員 地方の収入の総額、それを前提にして、国と地方財源割合といいますか、そういうもので大体一対一だ、こういうふうなことで折半をしておる、そういうことですか。  その場合、交付税の方は地方の方に算入されるわけですか、地方財源というふうに見られるわけですか。交付税はどっちに入るわけですか。
  65. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 これは一般財源のベースで申し上げておりますので、交付税とか譲与税は地方財源としてカウントをして、交付税は、国から地方に動いた後、その一般財源の割合でおおむね半分ずつという配分になっている。交付税地方にカウントした上の話でございます。
  66. 桑原豊

    ○桑原委員 交付税や譲与税が地方にカウントされるということも、私はなぜなのかなというふうに思うのですけれども、それはどうなんですか。
  67. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 まず、地方税国税という税配分のベースで言いますと、よく言われますように、国税が二に対して地方がおおむね一という形になっておるわけでございます。  そのうち、国税がとっておりますもののうち五税についてそれぞれの率を掛けたものが地方交付税という形で、これはいわば地方の固有の共有財源、そういうふうな性格のものでございますので、実質的に国と地方がどういうふうに財源配分しているか、そういう次元で考えますと、地方のいわば取り分は地方のものとしてカウントをして、その分はもちろん国の方は地方分として渡さなくちゃいけないわけでありますから、国税からその分を引いて、それから地方の分はその地方財源としてカウントした上で、それが一対一になっているということが、実質的ないわば国と地方財源配分ということになるという考え方でございます。
  68. 桑原豊

    ○桑原委員 そのカウントの仕方もちょっと納得のいかないところがございますけれども、全体の財源が足らざるからそれをそういう形で折半をするんだという考え方そのもの、地方財源不足というものが何によって生じたのか、そしてそれは一体どこの責任において補てんすべきなのかという根っこの考え方に少し問題があるのではないか。やはり国がそこに責任を持つということを私は明確にすべきではないかなというふうに思いますので、これは御意見として申し上げておきたいというふうに思います。  さて、地方交付税の中で、単位費用算定というのが総額に非常に大きな影響を与えてくるというふうに思うのですけれども、この単位費用算定につきましても一部改定がございました。  私は、詳細に地方の実態を見ているわけではございませんけれども、実際の事業費というものを考えたときに、この単位費用あり方というのが、非常に不足する例が多いのではないか、こういうふうに思っております。  平成十一年度単位費用が適正に算定されているのか、その算定の根拠となります単位、単価であるとか数量、そういったもので前年度と変わったもの、どこがどう変わったのか、そこら辺、恐らく膨大なものになるかとは思うのですけれども、そういった異動は一覧して一度委員会に提出をしていただいて、それが本当に適正なのかどうかということが議論できるような場が必要ではないかというふうに思うのです。  これは委員長の権限にもなろうかと思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  69. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 単位費用は、標準的な条件を備えた地方団体の合理的妥当な水準における地方行政を行う場合の経費ということで、交付税法でそういう定めになっておりまして、そのために必要な測定単位当たりの費用算定いたしておるものでございます。  単位費用は、費目ごとに毎年度交付税法改正の際に国会の御審議をいただいておるわけでございまして、それぞれ、人件費でございますとか、あるいは物価でございますとか、あるいは国の予算との関係地方負担が変わってくるとかといったようなことを要因にして単位費用の改定が必要になってくるわけでございまして、国会の方で交付税法の御審議をいただきます際には、参考資料というものと、それから単位費用算定基礎というものの一覧、こういう計算でこの単位費用になっておりますというふうなものについて、御審議の参考にお出ししているところでございます。  これは、あくまでも標準的な経費を賄うためのものでございますから、最初に委員がおっしゃいましたように、実際の事業費用に比べますと、交付税で賄いますその分でございますから、実際の費用には足りないというケースはもちろん当然あると思いますけれども、あくまでもそういう標準的な水準のものの経費を測定単位ごとに計算をしているものというふうに御理解をいただきたいと思います。  今言いましたようなことで、参考の資料を審議の際に御提出してごらんいただいているところでございます。  それからまた、地方団体関係者へも十分御理解をいただく必要がございまして、今のような資料はもちろん地方団体にも十分行っておりますし、それから、実際の算定段階になりますと、地方の方でいろいろ作業をしていただくことになりますので、そういうことを通じて、それぞれの単位費用考え方というものも地方団体の方で承知していただくチャンスは何回もあるということでございます。  それから、そういう過程で、地方団体の方から、ここはもう少しこういうふうに考えた方がいいのではないかというふうな意見が出てくることは当然ございまして、そういう意見もいろいろ出していただきながら毎年度算定に当たっての必要な改正も行っているところでございます。そういったようなことをよりオープンに行うという趣旨から、これから予定いたしております分権の一括法の中で、地方団体の方からも交付税算定についての意見を出していただく、それを受けて検討していくというふうな制度化につきましても、次の分権一括法の中にそういうものを盛り込むという予定にいたしておるところでございます。
  70. 桑原豊

    ○桑原委員 単位費用の問題は資料を出してあるということですけれども、私どももそこまで見て今議論しておるわけではございませんけれども、何らかの機会にそこら辺の詳しい御説明をいただければ大変ありがたいというふうに思っております。  と申しますのも、そこら辺が本当にいろいろな実態を反映している仕組みになっているのかどうか、あるいはまた、自治体がそういったことをちゃんと踏まえてどういうふうに具体的にやっているのか、本当に相当負担自治体におっかぶせるようなことになっていないのかどうか、そこら辺が非常にわかりにくいところでもございますので、ぜひ何らかの機会にそういったことを御説明していただければと、これは委員長にもお願いを申し上げておきたいというふうに思っております。  そこで、こういう厳しい折に、三税の議論というのはいつもこの時期に行われておるわけですけれども、いつもいつも同じような議論を重ねておるわけでございます。そして、国と地方との関係がなかなかしっかりとした区分けができないままにずっと来ておるわけでございますけれども、私は、また先ほどの繰り返しになるわけですけれども、こういう厳しい時期に本当に地方と国との問題をしっかり考え対応をしていく、分権という方向でそれをつくっていく、そういう一番のチャンスなんだろうと逆に思うわけです。  ところが、実際は逆に、この厳しさをどう乗り切るのか、ともかく今の制度の中で少しいじったり改善したりはしますけれども、どう乗り切っていくのか、その先にひとつ大きな改革をという形で、ずるずると毎年毎年、多少違う議論はいたしますけれども、大筋の基本的なところは同じような議論をしながら来ているように思うわけでございます。  そこで、これは今後の抜本的な改革の中での議論になってくると思うのですけれども、地方交付税あり方でございます。地方交付税は確かに、国と地方財源配分の問題ですとか、あるいは自治体間の財源調整の問題ですとか、あるいはその自治体の最低限の財源をどう保障していくのか、そういう意味で大きな機能を果たしていることは事実だと思うのですけれども、その交付税制度そのものが、結局、自分の力量を超えた事態に直面して、現在はもうその範囲では対応し切れなくなってきているのではないかというふうに思うのです。そのことの中で、特会への借り入れ、そして地方負担の問題、そんな問題が繰り返されてきているのではないか。  この交付税制度を将来的にどう改革をしていくのか。もちろん、地方税源充実という形で交付税的な要素に依存する部分は少なくしていく、そのことも必要であろうというふうに思いますし、また、少なくしていくとはいえ、必要なものはきちっとそこで見ていくということをはっきりさせていくことも大事であろうというふうに思うのですけれども、将来的な交付税のありようとしてどのように考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
  71. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 将来展望について、今、質問の過程の中でいろいろお考えをお述べいただいた、大体同じような認識をしていただいておる、こういう思いであります。  それに先立ってお話がありましたが、率直に言って、今の異常な経済情勢の中で、本当にこのままの姿で毎年毎年継ぎはぎを重ねていくということを避けなければならぬのは、これは当然のことだと思うのですが、それにしても、まずはやはり、税を発生するもとは経済であります。そういう点で、当面経済を安定軌道に乗せるということに全力を投球する。そして、安定した税収というのはどういう形で発生していくかということをやはりきちんと展望するということがないと、なかなか実際税源配分の話に入っていけないという要素一つございます。  しかし、いつまでもずるずる先送りばかりしておったのでは、日本経済は本当にがたがたになっていってどうにもならぬわけでありますから、それは必ず、ことしは無理にしても、今小渕内閣としては、これから、ことし、来年、再来年という三年に向けて、きちんとした民需主導の、そして二%程度の少なくとも安定成長ラインに定着させるのだという強い意思を持って臨んでいるわけで、そういう税収が安定した形でどういう税源でどういう税収が発生するかということを見ることができれば、私は、そのことは非常に大事な柱になると思います。  同時に、できるだけ早期に地方分権の話もさらに精力的に進めていかなければならぬわけで、そういう意味での国と地方役割分担、事務事業のきちんとした配分、この姿もつくっていかなければなりませんし、それから市町村の合併の促進であったり、そういった形で国、地方を通じての行政の簡素効率化ということと同時に、地方自身の行革も含め、そういったことを、本当にそんなにいつまでも先送りできないという中で、私は、総合的にきちんとした対応をそんなに遠くない時期に本当にやらなければ、この国ももたないし、もちろん地方ももたないというところに今立ち至っているように実は感じております。  そういう点で、御指摘のとおりいつまでもこの形をずるずる続けていくわけにいかないという危機意識の中で、そういう枠組みの中で、交付税のありようもあわせてその際きちんと自主財源を強化するという、その一環として考えたいと思います。
  72. 桑原豊

    ○桑原委員 交付税制度地方の足らざる財源を国の責任で補てんをしていく、そして地方はそれを一般財源として、地方自立性に基づいてそれを扱っていく、これが本来的な姿だと思うのですけれども、私は、この交付税制度そのものの中に地方自立性自主性をそぐ、そういう要素があるということをぜひわかっていただきたいと思うのです。  単位費用お話をいたしましたのも、それから折半負担の話をいたしましたのも、結局はそういうところに私は問題があるのではないかというふうに思うのです。交付税のような制度は必要なんですけれども、今のような制度の運用でいいのかどうか、そこは大きな問題があるというふうに思います。  私は地方議員の多少の経験があるのですが、残念ながら、地方の議会で、本当の意味で自分たちの財政について自分たちの税制について、執行部と激しいやりとりをして、この町を、この県をどうしていくのかというようなことでちょうちょうはっしの議論が行われてしかるべきなんですけれども、なかなか現実はそういうことになっていないのです。  その背景は、やはり私は、おんぶにだっこ、あるいははしの上げおろし、自分の洋服の着がえまで一々国に伺いを立てなければやっていけないような仕組みの中で、地方財政が、地方の分権を支えるその根っこの部分が非常に大きな問題を抱えているのではないか、こういうふうに思いますので、地方交付税の問題を、国が地方の面倒を見てやるのだというような形でとらえるのではなしに、本当の意味地方がそれを生きた財源として使っていけるような、責任を持ってやっていけるような仕組みをどうしていくのかということの観点でぜひとらえ返していただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  73. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、桝屋敬悟君。
  74. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公明・改革クラブの桝屋敬悟でございます。  今から二時間ほどが私ども公明・改革クラブの持ち時間、担当する時間であります。なぜかちょうど昼食時間に重なるわけでありまして、いいときに、いい時間をいただいたなと思っておりますが、私どもは慈悲の政党でありますから、きょうの議論のストーリーを若干変えまして、大臣議論したいことを先にやらせていただいて、後、大臣にちょっとトイレ休憩ぐらいをとっていただくように考えたいと思っております。大臣の顔を見ているとどうなるかわかりませんが、議論させていただきたいと思います。  先ほどから同僚桑原議員と大臣のやりとりを聞いておりまして、ここにいらっしゃる委員の方も皆そうだろうと思いますが、本当にある意味では悩ましい話だなと。ことしの地方財政対策につきましては、何とかこれで地方はやっていけるのかなと思いつつも、一つ一つ打たれた手を見ると、果たして本当にこれでいいのだろうかと思ってしまう内容もあるわけであります。かといって、ではやめていいのかというと、そうではないわけでありまして、桑原議員と大臣議論を聞いておりまして、まさにそんな感じがしたわけであります。  さて、私も同じ論点でいましばらく大臣議論したいわけでありますが、特に、私は、きょうを迎えるに当たりまして、地方団体がどんなふうに思っておられるのか、私も地方団体の出身でありますので、いろいろな声を聞いてまいりました。私は、ことしは新しい手当てもされているわけでありますから、ぜひ委員長にもお願いを申し上げたいのですが、当委員会でもぜひ地方に出向いて、現下の厳しい状況をどのように現場が認識しておられるのか伺う必要があるのじゃないか、こんなふうに思っているわけでありまして、最初に委員長にもお願いしておきたいわけであります。  と申しますのは、大臣の御説明でもありましたように、ことしの地方財政対策につきましては、地方財政運営に支障が生じないような対策を大変に厳しい状況の中で何とかやることができた、あるいは、先ほどから議論がありましたように、地方交付税につきましても、第六条の三第二項の趣旨を踏まえた対策は何とかできたのじゃないか、このように説明をされているわけであります。果たして本当に地元の、地元といいますか、実際に地方団体がそのように認識しておられるかどうか、これも私はやはり聞いてみなければならぬだろう、こんなふうに思っているところであります。  平成十一年度地方財政計画の全体像を見ますと、ありていに私は申し上げますと、確かに御説明がありましたように、たばこ税の一部移譲、あるいは法人税交付税率の引き上げ、それから先ほども議論が出ておりましたけれども、地方特例交付金等財源対策、こうしたものはあるわけでありますけれども、これはいずれも恒久的減税の対策なわけですね。私は、前の西田大臣ともずっと去年一年間この委員会でも議論をしてきまして、十一年度どうするのだろうかというのがずっと疑問でありました。  ところが、十一年度、先ほどから議論が出ていますように、恒久的減税というものが出てきたわけでありまして、これでどうも全部ごまかされてしまったような気がしてならぬわけであります。  もちろんその対策は必要でありますけれども、実は一番大事なことは、通常収支の不足が十兆以上もあるわけでありますから、ここをどうするのかということが本当は一番議論すべき、ことしの当初予算の審議はそれが最大のテーマだと私は思っていたわけでありますけれども、残念ながら、恒久的減税という新たな要素がもう一つ加わったわけでありまして、その対策も、もちろん地方団体が何とかやりくりできるように対策を講じなければいかぬ、それでさっきのたばことか話が出てきているわけであります。特例交付金もそうであります。  しかし、それは全部恒久的減税でありまして、通常の収支不足に対する対策について、どうも地方団体から見ると、恒久的減税でもって、先ほどから言っていますようにごまかされたのじゃないかという思いがしてならぬ。確かに、地方財政運営に支障がかつかつ生じないように手当てはされているものの、私は、通常収支の不足ということについて本当にがっちりと議論されたのか、あるいは対策が十分講じられたのか、この辺は大変に甚だ疑問だ、このように思っているわけでありますが、大臣の最初の御所見をお伺いしたいと思います。
  75. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 なかなか率直に言ってそんなに威張れる姿ではないと思いますが、やはり地方自治体がちゃんとしたそれだけの行政を行えるために、それだけの財政的な裏づけが必要であることは当然のことであります。そういう点でいえば、地方財政計画そのものが、結局これは一つ地方自治体の行政の標準的な姿をあらわすわけで、そういう意味で、それを賄うに必要な財源手当ては講ずることはできているということは一つ言えると思います。  何よりも、いろいろ御議論ありますが、交付税総額が一九%増という形の中で、少なくとも個別の自治体にとっての一般財源としての裏づけは確保できているのではないか。そういう意味で、単に恒久的減税に伴う地方税減収分の、言うなら穴埋めというだけでなくて、いわゆる通常収支の不足に対しても、そういう形での手当ては一応はできておるのではないか。その結果、地方財政計画における一般財源比率もおおむね六五%程度で、昨年度並みの比率は確保できているのではないかと考えておるわけであります。  これで、地方財政について、個別の団体についてそれぞれ地域的な特色、あるいは地方税そのものの地域による異なりというのは当然あるということではありますが、総じて言えば、地方財政を賄うに、あるいは運営するに支障を来さない範囲のことはできたのではないかと考えております。
  76. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 地方交付税、一九%伸びていると。それは当然ながら恒久的減税の対策も入っているわけでありますので、通常収支の不足について地方に説明されている資料等を見ますと、一般会計における加算措置五千五百億、これを一つやられていますね。これもやったのだ、こういうことです。  私は、最初この特例交付金というのをぱっと聞いたとき、いよいよこの地方財政の厳しさの中で、その手当ての一つとして、恐らく昨年の暮れから自治大臣と大蔵大臣とさまざまな議論があったと思います、その中でこの通常収支の不足のために特例交付金をおやりになったのかな、やっと一つ自治省も頑張ったな、こう思ったわけでありますが、結局は、恒久的減税ということがあって初めてできたわけであります。  言ってみれば、自治省と大蔵省の分捕り合戦の中で、恒久的減税で追い込まれて、それでもって何とかその分だけは頑張ったというだけでありまして、私は、通常収支の不足については五千五百億のこの一般会計による加算措置、これだけじゃないか、こうも思うわけであります。  こんなことを幾ら切り返してもしようがないですから、大臣、先ほどの同僚議員との議論を聞いておりまして、やはり私は、今回は、恒久的減税がなければもっといろいろな議論ができたと思うのです。新たな要素恒久的減税というものがあったがために、大変にわかりにくくなっているし、対策としてそちらに目を奪われた感がある。私に言わせると、大蔵省に突っ込まれて少し押し戻しただけじゃないか、自治省としてもっと突っ込んでもらいたい、こういう思いもあるわけであります。  いずれにしても、さっきの議論の続きで言いますと、やはり私は、景気対策としての地方税減税なんというのは少なくともこれで終わりにしなければいかぬ。大臣は、さっきもう限界だとおっしゃったけれども、これで終わり、このぐらいの宣言をされてもいいのじゃないか。そうしない限り、先ほどからるる議論がされています抜本改革に向かっての第一歩は踏み出せないのじゃないか。景気対策としての地方税減税なんというのはこれで終わりですよ、こういう宣言をされたらいかがでしょうか。
  77. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 いや、本当にその宣言をしたいぐらいの気持ちであります。私は、率直に言って多分そうなるのではないか、こう期待をしておるのですが、特に宮澤大蔵大臣は、ハマの大魔神を一回から投入したような気分だ、こうおっしゃった。それくらい、まさに十兆円に近い大幅な減税措置をやった。いずれも財源は率直に言って借金であります。  そういう意味で、本当に異例中の異例の対応をとっているわけで、そして同時に、いわゆる金融システムの安定のための対策もあわせて集中的にやっていくというようなことと両々相まって、これは堺屋企画庁長官がいろいろおっしゃっているわけですが、そういう形で、どうやら最悪の時期を今脱しつつあるのではないかという見方もふえてきている。  そういうことを考えますときに、景気対策を税の面でというか、特に地方税の面で景気対策を重ねて、一年後にまた大きな景気対策のための対応をしなければならぬ状況には、私はならないのではないかと、多少希望を込めてそう展望しておるわけであります。そして、仮に、万々が一に何らかの必要性があるということがあり得るとしても、もはや地方税においての景気対策としての対応というのは、できることはもうほとんど今までの中で出し尽くしてしまっているのではないか、私はそういう考えを持っております。  したがって、本当に、言うなら背水の陣だというところに来ている、そう認識いたしております。
  78. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 まさに私も同感であります。背水の陣という状況に来ているわけでありまして、そういう意味では、景気対策として地方に回すということは、もう本当にない、多分そうなるだろう、こうおっしゃったけれども、私は、自治大臣としてそうした毅然とした取り組みをぜひお願いをしておきたいと思います。  それで、今大臣がおっしゃった中で、多少これから景気がよくなるかもしれない、堺屋長官の話もありましたけれども、私も財政の素人でありますから、財政の玄人の大臣に御指導を賜りたいこともあるのでありますが、それは、私の理屈でもどうしても理解できないのは、地方借入金残高ですね、百七十六兆と言われております。交付税特別会計借入金も二十九・六兆円ですか、これは果たしてこれから景気がよくなっても返せるものなのかどうなのか。地方に聞きますと、もう無理だと言いますね。交付税特別会計借入金を見ても、あれはもう手がつかぬ、手だてはないだろうというふうに感じておられる地方だってあります。私は現にいろいろ議論する中で聞いてきました。  読売新聞ですか、記事が出ておりまして、さくら総合研究所は、二〇〇一年以降二・五%成長に回復しても減らすことはできないのじゃないか、それこそ、あのバブルのような時代がしばらく続いたとしても、これはここまで来るとなかなか厳しいのではないか、こういう話もあるわけでありまして、私は、バブルが返ってくることはもうないと思いますけれども、たとえこれから安定成長の軌道に乗ったとしても、今までのこの地方の借金の残高、百七十六兆円というのは果たして処理できるのだろうか。  これは大臣、どうでしょうかね。私は、よっぽど何か考えないと、地方財政対策をその年その年、それは新しい流れはつくれたとしても、この現在ある借金残高をどうするんだ、これは地方がみんな悩んでいる声でありまして、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  79. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 これは非常に大きな重圧となっておることはそのとおりで、頭が痛い問題でありますが、ただ、できるできないではなくて、返さなければならないのです。これはできないからやらなくていいということにはならないのであって、したがって、そのために、地方財政健全化ということに今まで以上に真剣に取り組んでいかなければなりません。  そのためには、地方自主財源としての根幹である地方税というものを、どういう形でこれを充実強化していくか、あるいはその税収安定性なり普遍性なりというものをどういう形で求めていくのか。それと同時に、交付税についても一般財源として大事な柱でもありますから、この確保をどういうふうにしていくのか。さらにまた、歳出面において、当然のことながら地方自治体自身においても、みずからの行革なり、歳出あるいは経費の効率的な使用であったり、そういったこともやってもらわなければなりません。  国の方も、国、地方を合わせて六百兆という借金を抱えておるわけであります。そういう点で、国は国でまたそれなりのきちんとした財政再建のための方策を、経済回復軌道ということのシナリオが、この展望がはっきりしたときに、本格的なそういう財政再建へのきちんとした展望もつくっていかなければならない。これは国も地方も同じことであって、やはりその中で、借金した額は約束どおり返していくというのは、これはもう物事の根本であろうと思いますので、そういう点で、厳しいけれどもやらなければならぬ、こう思っております。
  80. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 財政の素人であります私も、借りたものは返さなければいかぬということはわかっております。問題は、本当に返せるのか、もうそれを超えちゃったんじゃないかと。それと、今大臣がるる申されましたさまざまな改革、幾つか言われました。それでは恐らく無理だろう、何か新しいものが必要ではないか、私はこう思うわけでありますが、まさに財政のプロの大臣でありますから何か御教示賜れるかと思ったわけでありますが、引き続き議論をしたいと思います。  それから、もう一点、大臣議論したいことがあります。それは、この前所信でやらせていただいた介護保険の問題であります。この前、決して私は意地悪質問したわけではないわけでありまして、所信の中に介護保険という言葉を入れてもらいたかった、入って自然なときですよ、こう申し上げたわけでありまして、大臣に特別の意図がないということをお聞きしましたので、そこはよく理解をしたわけでありますが、ただ、あの議論の中で、大臣がこうおっしゃっているのです。  それは私が申し上げたことに対して大臣がお答えになったのですが、ちゃんとした充実したサービスが受けられれば、サービスを充実すれば、それは当然ながら充実すればするほど保険料も高くなる、こういう仕組みが介護保険だと私は理解しております。この仕組みに実は私どもは大変に抵抗したわけでありますけれども、まさに制度の根幹はそうなっているわけであります。それで、その私の話に対して大臣が、そういう話もあったけれども、果たしてそうだろうか、本当にみんながその理屈どおりにいくんだろうか、こういう疑問を呈された。  私は、大臣議論する中で、この後も大臣がおっしゃったことをできるだけ誤解がないように理解をしたいと思いますけれども、やはり介護保険の基本というのは、この前も申し上げましたように、その市町村の中でもって市町村に一番適したサービス体系、サービスの内容を組み立てていく、つくり上げていく、ただしそれは、そこの住民の、市民の負担と合意が必要であります。負担が伴うということでありまして、これがいわゆる介護保険の仕組みであります。  その仕組みについて大臣は、果たしてそうだろうか、制度はそうだとして、本当にそのとおりいくんだろうかという御懸念をお持ちなのかどうなのか、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
  81. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 率直に言って、疑問というより懸念ですね。私が今自治大臣という立場で言うと、あるいは厚生省との間で云々という話になるのかもしれぬが、ただ、本当に地元でのいろいろな、町長さん方の話を聞きますと、例えばある郡では一緒に認定業務やなんかは共通してやりましょう、こういうことになる。しかし、それの受け皿、サービスの体制でいくと、例えば特老という施設がある町もあればない町もあるんですよ。それから、年齢構成も結構町によって隔たりがあります。したがって、それぞれの町長さんが計算すると、同じ郡内で保険料に倍ぐらいの差が出るという計算もあるんです、隣町同士で。そういうことになったときに、本当に町長さんは選挙が大変ですね、こういう話になるわけです。  そんなこともあるものですから、私は、そういうことのないように、保険料についていろいろな差がありそうになるならば、五%ぐらいですか、何かそういうような財源調整の話も制度としては予定されているという話は承知はいたしておりますけれども、本当にそれで全部カバーし切れるんだろうか。つまり、市町村が保険者になるということが本当に大丈夫なんだろうかという懸念を実は率直に言って今なお有しております。  だから、この点は、自治省として云々ということではなくて、党レベルの中でぜひさらに議論をしてもらいたいという形に実はなっておるわけであります、その点は。  ただ、公的介護保障、公的に介護をサポートしていくというこの制度自体は大事である。公的介護制度はきちんとした方がいい。ただ、ファイナンス面で、今の考えられている保険ということで本当に胸をたたけるんでしょうかということについて、保険料については、それぞれの格差があり過ぎるということが出てきたときにそれだけでは賄い切れない部分が出るのではないだろうかという懸念をなかなか払拭し切れないでおるわけであります。  そのことをもう少し、私が心配しておりませんと言えば片がつくんでしょうけれども、公式には。しかし、政治家として誠実に、率直に受けとめておりますことを、せっかくの地方行政委員会の先生の御質問でありましたので、あえて素直に申し上げたのであって、自治大臣として自治省という役所がどうのこうのという話になると、ちょっとそこは、物事としては言い過ぎになるのかもしれません。ただ、私は、率直に言って、政治家としてそういう懸念を持っているということは否定できないということを申し上げたわけです。
  82. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 率直な意見の開陳をいただいたように思います。  政治家としての議論は理解をいたしました。ただ、大臣、ただいまは自治大臣でありますから、なおかつ、この前申し上げたように全国の全市町村で今準備が始まっている。今が一番きついときであります。問題も出てくる。そういうときに当たりまして、もう一回改めて伺います、やはり大臣である以上は、自治大臣として今度はお伺いしますけれども、個人的にそういう見解をお持ちの野田自治大臣自治大臣としてこの介護保険制度についてどのように取り組まれるのか。  私は、さまざまな問題がある、一番自治大臣としての御見解を聞きたいのは、広域であろうと市町村単独であろうと、介護保険の根幹は、私どもが一番悩んだのは、サービスを充実すれば保険料は高くなるというこの事実であります。この根幹は根幹として、制度ですからそれをお認めになって、それでもって万全の体制をつくるように自治省としても介護保険に対して取り組んでいかれるのかどうか、そこは再度確認をさせてください。
  83. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 現在行っておりますのは、認定作業等々の、制度を導入するための準備作業を今本当に必死の思いで各市町村取り組んでいるわけで、それは大いにサポートしなければいけない。この点は何ら相矛盾するものではなくて、先ほど来るる申し上げておりますが、公的介護制度というものをきちんと位置づけて、それをだれがどういう形で担っていくかということは共通しているテーマでありますから、これは当然のことだと思っています。これははっきり申し上げておきます。
  84. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そこのところをやはりしっかり、やる以上は持っていただきたい。  それと、重ねてお願いでありますが、せっかく先ほど政治家個人として制度に対する懸念も開陳されたわけでありまして、それは私どもの党が持っている懸念とほぼイコールであります。そういうこの制度に対する懸念をお持ちの自治大臣が生まれたということを私はむしろ歓迎したい。そういう意味では、厚生省だけではやはり限界があります。この前申し上げたように、自治省として、広域行政への仕掛けという意味で、戦略を持って大胆な自治省からのアプローチもあってしかるべきだろう。私は、そこはぜひお願いをしておきたいと思います。  もう一点だけ大臣議論をしておきたいのは、認識論でありますが、地方交付税の大まかな話だけを大臣としたいと思います。  平成十一年度分の地方交付税状況を見ておりますと、私が言うまでもありませんけれども、法定五税に係る地方交付税が十二兆円余ですね。それに対しまして、借金をして用立てをするものが八兆円。総額二十兆円という実態でありますが、どう見ても、きょうも議論がありましたけれども、私の認識としては破綻状況だ。  世に言われていますように、この状態というのはまさに地方交付税制度の崩壊を意味するんじゃないかという私は認識を持っておりまして、そしてその認識のもとに、抜本的な改革、先ほどから出ていますような改革に取り組まなければならぬ、こう思っておりますが、大臣地方交付税制度、私は既に崩壊をしておる、こういう認識を持っておりますが、どうでしょうか。
  85. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 非常に破綻の危機に瀕しているという認識はありますが、しかし、破綻しているとは思いません。  それはやはり、交付税のもとになる、特に所得税法人税というのは、非常に景気変動を受けやすい税であります。特にバブル崩壊後、大変な資産価格の下落によって、そこで随分とロスが発生しているわけです。早く言えば、金融機関が不良債権を償却していく、そのうちの半分は実は税が減収になっていくわけであります。そういう意味で、いろいろ言う中で、もう千二百兆を超える資産価格の下落、土地やら株やらいろいろ含めたかなりの部分が税収減という形で反映されているであろう。  そういうことを思いますと、言うなら金融システムがある程度安定していく、そして言うなら地価の下落に歯どめがかかる、そういったベクトルの方向が多少なりとも変わっていくことによって、私は、この種の法人税系統の世界においては非常に税収は敏感に反応していくだろう、当然予測されることであります。  そういったことも含めて、先ほど来のやりとりの中で、経済が安定し、どういう税目でどういう税収が発生するかを見た上でということを申し上げてきたのは、そういうことをも含んでおるわけでありますし、特に所得税の世界は、御案内のとおり累進構造でもありますから、当然のことながら税収の弾性値は高いという分野でもあります。  そういったことを考えますと、交付税の中で大きなウエートを占めておりますこれらの税目が果たす役割というのは、決して破綻したとはまだ言い切れないものが私はあると思っております。
  86. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 破綻の状態に瀕している、こういう認識であります。  大臣大臣議論したいことはとりあえず一通り終わりましたので、どうぞトイレ休憩をとっていただいて結構でございます。  それで、平成十一年度地方財政計画についてさらにちょっと議論をさせていただきたいんです。  先ほど大臣ともお話ししましたように大変な借金の状況になっておりますが、現下の厳しい財政難の中で、自治省においては公債費比率の新指針を検討されているような、そういうマスコミの報道がありました。また、これもマスコミの報道でありますが、地方債の許可制を廃止する方向もマスコミに出ておりました。  地方債は大変大きな数字になっておる中で苦しんでいるわけでありますが、一つは、公債費比率の新指針を検討している、恐らくこれは財政難の自治体向けに、公債費、今の一五%というものを、過去三年間というものを、これは新聞報道ですよ、将来の公債費の状況も勘案をして、厳しい方向で検討されておられるのかな、こういうふうにも私は思うわけであります。  もう一つは、また、地方債の許可制を将来的には検討しよう、財構法の後は地方債の許可制を廃止する、こういう方向もあるわけでありまして、これからの地方財政を自治省としてどういうふうにお考えになっているのか、これからの流れとして、地方債計画等の流れが中長期的に見るとどうなっていくのかちょっとよく見えないところがありまして、今の報道の正確な、自治省としての見解等がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  87. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 最初に、新聞に報道されました新しい財政指標を検討するというお話でございますが、これは、今の非常に厳しい地方財政状況のもとで、各地方団体でみずからの財政状況を総合的に把握していただいて、財政健全化に努める必要性があるわけでございます。これまでもさまざまな財政分析指標をいわば開発して、それぞれ利用していただいておりますが、今申しましたような昨今の非常に厳しい財政状況を踏まえまして、平成十一年度に研究会を設置いたしまして、この財政分析指標を再評価をいたしますとともに、地域の実情とかあるいは財政負担の将来見通し、今ちょっと委員お話しになりましたような、そういう将来の見通し等を踏まえた新たな財政分析とかあるいは財政指標を検討してはどうかということで、十一年度に研究会の設置を予定いたしておるわけでございます。  もう一つは、地方債の許可制度でございますが、これは御案内のように、地方分権推進計画におきまして、財政構造改革期間中は今の許可制を維持して地方債の全体のコントロールをする必要があるが、その後は協議制に移行するというふうな方向が出されておるわけでございまして、それを踏まえて、近く予定されております分権一括法の中でそういう内容を盛り込む必要があるわけでございます。  構造改革との調整ということが必要になりますのは、全体の財政赤字を一定の水準の中にいわば抑えていく、そういう形で財政健全化を図っていこうという中期目標が構造改革のときにございまして、これからもそういう必要性は変わらないわけでございます。その際に、財政赤字というのは地方債の発行量、いわば地方債の新規の発行量を意味しておるものでございますから、何らかの形でその全体の総量をコントロールしておかないと、財政赤字を一定の中に収れんさせていくというわけにはいかないということがございまして、それとの調整を図るべきというのが分権推進計画におきます考え方でございます。  私ども、今考えておりますのは、それらを踏まえまして、今直ちに許可制から協議制に移行するということはそういう意味合いで困難でございますが、分権一括法の中では、今検討いたしておりますのは、二〇〇五年まで現在の許可制でいって、二〇〇六年から協議制に移行するという方向で検討いたしておるわけでございます。  先ほど申しました新しい財政分析指標は、そういう趣旨から将来の財政負担等を織り込んだ新しい財政分析の方法とか指標を検討しようというものでございます。これは、許可制が協議制になりましても、引き続き財政健全化を維持するために、そういう分析の指標とかそういったものが当然必要になってくるわけでございまして、これまでのものを評価して、研究の結果何とか新しいものを開発していきたいと思っております。  それは、直ちに全体の公債費負担の管理を厳しくするとか厳しくしないとか、あらかじめそういう方向というよりは、いわば財政分析の評価をしやすいような、今の実情、これから先の見通しに応じたものを研究開発していこうという趣旨でございますので、今の許可制度を協議制に移行するということと必ずしも連動して物を考えているわけではない、あるいは、それと方向として向きが違うという向きのものでも必ずしもございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  88. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  二〇〇五年あるいは二〇〇六年という話がありましたが、先ほどから大臣がおっしゃっているように、これから抜本的な改革をしなければいかぬ、そういうときを迎えているわけで、それが一つの二〇〇五年、六年というときなのかな、こう思っておりますけれども、それまでの間については、やはりしっかりと今までの経緯も踏まえて、私は地方債についても適切な管理をしなければならぬな。ただし、その後について私は、やはり事前協議制に持っていく、自主性を重んじていくというこの方向性は、私はそれでいいだろうというふうに思っています。  さて、もう一つの話題でありますが、先ほどから出ております地方特例交付金でありますが、さっきの議論もありましたけれども、地方税の代替的な性格を有する。本来税でということがかなわないから、今回は代替的性格でということなのでしょうが、まさに、これなんかも、さっき私が申し上げたように、恒久的減税に引っ張られた感があるわけでありまして、これは本当に、私も喜んでいいのか、大変とらえ方に苦慮をしているわけであります。  一つ確認をさせていただきますけれども、さっきも議論がありました。そもそも恒久的減税の影響額の処理について、四分の一を減税補てん債で、残りを地方債特例交付金等で賄う等々、たばことかなんとか入ってきますから。この四分の三と四分の一というのは、私も素人でよくわからぬのでありますが、これは何で四分の三と四分の一なんですか。
  89. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 恒久的な減税を行います場合に、そもそも国税地方税でどういうふうな減税の分担をするかというふうな問題がまずございますが、そこのところあたりが、いろいろな議論の経緯の末、大体こういう割合で考えた方がいいのではないか、つまり、法人関係についてはこう、あるいは個人所得関係についてはこうというふうに決まってまいりますと、では、それを、今のような状況からいってそのままにするわけにいかない、どういう補てんの仕方をするか。  地方の場合には、特に恒久的減税というのは、ここ数年ございました特別減税のような単年度のものではございませんので、恒久的な減税が続いている間は少なくとも恒久的な財源を確保しなくてはいけないというふうに私どもとしては考えて、そういう方向で検討していったわけでございます。その際に、減税が非常に大きゅうございますので、できるだけ、とにかく当該年度、毎年度確保できる財源で確保したいという観点と、その片方で、ここ数年ございました特別減税というのは、御案内のように、全額減税補てん債で対処をしてきております。  国庫当局のサイドからいたしますと、全部国の方は赤字国債で行うような話でもあり、全額、地方の方の財源を当該年度のいわばキャッシュの財源で補てんするというのは非常に難しいというふうな主張は、当然、国庫当局の方はございます。それから、特別減税が、今言いましたようなやり方でやってきているといったような考え方もございます。  そこで、そういうことをいろいろ考え合わせながら、交付税算定におきまして、市町村のいわゆる留保財源、七五%を基準財政収入額に算入いたしておりますけれども、市町村のその残り分、いわゆる留保財源というふうに言っておりますけれども、その留保財源の率が市町村の場合には二五%になっておる。そういったようなことを総合的に勘案いたしまして、四分の一は減税補てん債で、四分の三はその他の財源といいますか、当該年度財源で確保するというふうな決着に、最終的になったということでございます。
  90. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 よくわからない説明でありまして、私は、減税補てん債をふやせと言っているのではなくて、せっかく地方特例交付金というものができたわけでありますから、これでみんなやってもええやないかという気もしないでもない。  四分の三と四分の一というのは、さっき留保財源の話がありましたけれども、それで国民に説明できる数字なのでしょうか、四分の三と四分の一というのは。教えてください。
  91. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方のサイドからいたしますと、今委員の御指摘のように、全部交付税率のアップなり、あるいは全部税源移譲なり、あるいは特例交付金で補てんすればいいではないかという主張は、当然もちろんあり得るわけでございます。  いろいろなやりとりをもちろんいたしておるわけでございますが、しかし、先ほど申しましたような、これまでの減税のやり方、あるいは財源補てんのやり方といったようなこと、それから片方で、しかし非常に大きな減税が恒久的に続くといったような要素がございます。  そういうことから、全部を補てんできればそれは最も望ましいわけでございますが、国の方も、全部赤字国債で補てんし、かつ、今言いましたような、税源移譲にいたしましても、交付税率のアップにいたしましても、特例交付金にいたしましても、全部、基本的に国の財源を割くとか、あるいは国の赤字国債を増発するとかという形になるわけでございまして、そういうときに、いろいろやりとりの末、全部というのはなかなか難しいなと。  我々としては、できるだけ多く補てんできるのが望ましいのはもちろん当然でございますが、そういういろいろな中で、一つのいわば物差しといいますか、目安として、交付税算定におきます市町村の留保財源率が二五%であるといったようなことも考慮して、四分の一にしたということでございます。
  92. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。  要するに、交渉でこうなったということでありまして、四分の三と四分の一について、通常の常識のようなルールがあるわけではないということがわかったわけでありまして、そういう意味では、では、来年はこれは率が変わるということはあるのですかね。一つの、一応これからのルールでいくということですか。しばらく恒久的減税が続く間は続くわけですね。その点はどうでしょうか。
  93. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回の恒久的な減税の補てんの方法につきましては、この恒久的な減税が続く間はこのやり方でいくということで合意をいたしております。
  94. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 それともう一つは、これは交付税不交付団体へもという話でありまして、まさに東京にもという話が実は理事会でも随分出ているわけでありますが、東京でどの程度の規模になるのか、ちょっとお示しをいただければと思います。
  95. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回の補てんの中に、今の税源移譲あるいは交付税率のアップと並んで特例交付金ということが入っているわけでございまして、先ほども桑原委員からもいろいろ御指摘がございましたが、これは、いわば不交付団体に対する手当てとして、交付税率のアップでは対応できないということもございまして特例交付金というのが措置されたわけでございまして、いわば交付団体、不交付団体にかかわらず交付するというところが一つのポイントでございます。  これは、各団体ごとの減税の影響額をもとにして算定いたしますので、正確にまだ申し上げられる段階ではございませんが、大ざっぱな数字で、私どもが特例交付金の額を算定いたしましたときのもとになっておりますもので申しますと、初年度平成十一年度でございますが、県分の特例交付金が千四百億弱ぐらいになると思いますが、そのうちの東京都分は三百数十億、三百六十とか七十とかというぐらいのオーダーになるのではないかと思います。  それから、平年度、十二年度以降になりますと、もう少し額がふえてくるわけでありますけれども、そのときの都道府県分、これが二千百億余りというのがそのときのおよその試算でございますけれども、そのときの東京都分というのは千二百億強ぐらいになってくるだろうというふうな見込み、これはあくまでもこの段階の見込みでございます。
  96. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 これもまさに全く初めてのことでありますから、ぜひ東京都の意見も聞いてみたいなと思っているわけでありまして、先ほど委員長にもお願いをしましたけれども、ぜひ、ことしは当委員会、現場の地方団体の声も聞く機会を持ちたい、重ねてお願いをしておきたいと思います。  それから、地方交付税の問題に入りますけれども、先ほど大臣と、破綻に瀕しているという話がありましたけれども、今回の一般会計からの加算措置について、五千五百億、一般会計から加算をされたわけでありまして、しかもこの加算については、従来の加算方式改善をされているということは評価できるわけでありますけれども、五千五百億というのは後年度地方が結局は返さなくてはならないものなのかどうなのかをお示しいただきたいと思います。
  97. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 一般会計からの加算額五千五百億でございますが、この内訳が二通りございまして、平成十一年度の本来の法定加算分が約三千三百億ございますが、これはもともと本来の法定加算分ですから、返す必要はもちろんないわけでございます。  それから、臨時特例加算として残りの二千二百億がございますが、これは後年度の法定加算分を、予定されておりましたものを前倒しするということでございますので、前倒しをした分は、後年度の法定加算分はもちろん減額になりますが、これは十二年度から二十一年度までにかけての法定加算額を減額する、いわば前倒しするということでございます。
  98. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 十二年から二十一年、薄く徐々にということでしょうが、特に臨時特例加算二千二百一億円については、やはり地方に後年度の影響は出てくる。今回先食いという形でありまして、これも今後の地方財政、先ほど地方債の将来への負担というようなことも議論をちょっとさせていただきましたけれども、本当に、中長期的に地方考えたときに、果たしてこれでいいのだろうか、こういう懸念を持つわけであります。  大臣も席に帰ってこられました。今まで、いわゆる三年間の折半ルールで来ているわけでありまして、これが十、十一、十二年ですよね。この折半ルールについて、今回は一般会計における加算措置五千五百億、これは外に出ましたので一定の前進でありますけれども、この加算措置のことし改善されたもの、来年、十二年度、これはまた昨年と同じようになるんじゃないかという危惧もあるわけであります。そこをちょっとお尋ねしたいのと、いずれにしても、三年間の折半ルールが来年の十二年で終わるわけでありまして、来年の十二年はどうするかという問題があると思うんですね。  先ほどから、通常収支の不足の話も私は申し上げておりますけれども、そここそ問題でありまして、平成十二年度も今回のような、ことし十兆円以上でありますから、巨額な財源不足が生じる、多分そういう状態になると私は思います。それは一年先だからわからぬと言われるかもしれませんけれども、そんなに経済が一気に今上向くとも考えられない。そういう意味では、十二年度も、十二年度の予算を組むときに、ことしと同じような巨額な財源不足が生じる可能性は私はあるだろうと思います。  そうした場合、このルールそのもの、折半ルールそのものを私は見直していく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、その辺の自治省での御検討の状況をお伺いしたいと思います。事務方でも結構ですよ。
  99. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 十、十一、十二と三年間のルールを設けまして、今、十一年度はそれを基本にして対応をいたしました。その際に、かねてから当委員会でも議論のございました一般会計からの加算分、折半の中に入っているではないかという議論がございました。  これにつきましては、大蔵省の方と私どもと相当やりとりをし、折衝をいたしまして、私どもと大蔵省との間は、単年度の措置として合意し合ったということでございまして、基本的には、十二年度以降の措置については改めて協議するということになるわけでございます。  したがいまして、十二年度、この分をどうするかということは今の段階で確たることは申し上げるわけにいかないわけでありますが、いずれにしても、今回、この加算方式の変更をいたしましたので、そういう趣旨を私どもとしては十分踏まえて、折衝といいますか、対応をしていきたいというふうに思っております。  それにつけましても、この三年間のルールの最終年度の十二年度はどういうことになるかということの方がいわば大きな問題でございまして、そういう中で、これもその段階でどういう財源不足になるのかというふうなことをなかなか今の段階で見込むのも難しゅうございますし、それから、仮に財源不足相当出たといたしましても、それが、その先行き、いわばその財源不足が縮まっていく方向で見通せるものかどうかということも非常に大きな要因としてあろうかと思います。  ずっとそういう状態が続くような見込みにならざるを得ないというふうなことは私どもとしてはあってほしくない話でございますし、経済が少なくとも回復基調に乗ってくれば、それはもちろん、それに対する税の反映へのタイムラグがございますけれども、十二年度財源不足がかなり出ても、次を目指してそれが縮小していく方向で見通せるかどうかということもあろうかと思います。  そういったようなことも含めまして、現在の三年間のルールを見直すという必要が出てくるということも当然あり得ると思います。その際に、今の加算方式についても、その中の一つの課題として検討していきたいというふうに思っております。
  100. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 いずれにしても、来年は大変な年だなという認識を持つわけでありますが、最後に、もう一つだけ確認をさせてください。  今回、昨年の委員会でも私は随分しつこくお願いをして、公債費負担対策、新しい道が開かれたということは歓迎をいたしますし、評価しているわけであります。その中で、高利の地方債に対する特別交付税措置であります。  今回、三つ対策があるようでありますが、この三番目の高利の地方債に対する特別交付税措置、今回の対策は十一年度限りの特例措置だ、こういう御説明は何度も聞いているわけでありますが、特交での措置についてもことし限りなのかどうなのかということを確認させていただきたいと思います。私は、ぜひこれは続けていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
  101. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回のいわゆる公債費負担対策、一つのパッケージとして、繰り上げ償還とか借りかえとか、あるいは特別交付税による措置ということで、起債の残高の額にいたしまして六千百億円程度ということで手当てをいたしたものでございます。  今、このうちの特別交付税の分についてどうか、こういうお話でございまして、繰り上げ償還とか借りかえというのは、これは性格上やはり単年度のものとして合意したものでございます。それはそういうことでいかざるを得ないと思いますが、今の特別交付税の分につきましては、私ども、もう少し、今委員の御指摘もございましたので、そういうことも踏まえて検討いたしたいというふうに思っております。
  102. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 特交について、最後にお願いでございますが、先ほど大臣から、一九%以上の交付税が増額されたわけでありまして、結果的に、特交も相当金額がふえているようでありまして、よくあるのでありますが、ばくっと予算がふえたときにはむだ遣いがよくあります。特交でありますから、この使い道、配分については、よくよく現場の状況も聞いていただいて、この厳しい状況の中で十分効果的な活用をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  103. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、白保台一君。
  104. 白保台一

    ○白保委員 公明党・改革クラブの白保台一でございます。  慈悲深い桝屋委員の後を受けまして質問いたしますが、大臣も朝から細かいことを、大きな問題等を含めて御答弁されて、大変きりきりと胃の痛むところだったと思いますが、これからしばらくの間、大臣質問をさせていただきたいと思います。  大臣につきましては、初めに、かつて新進党で一緒に仕事をさせていただいていたころ、沖縄県の米軍用地の特別措置法の問題等、あるいはまた沖縄振興開発特別措置法の自由貿易地域の問題等、そういったプロジェクト等でいろいろと教えていただいたわけでございますが、こういう形でお会いするということは余り予想していなかったんですけれども、そういうことになりました。  いずれにいたしましても、当面大変な課題が多いわけでございますから、自治大臣として全力で取り組んでいただきたいと、まず冒頭に申し上げたいと思います。  そこで、自由党を代表する形でもって入閣をされたわけでございます。小渕総理はよく富国有徳ということを、まあ施政方針のときにも言われましたが、同時にまた、最近では二月十一日、どこかの会合でそのようなお話をされております。自治大臣としては、こういった富国有徳ということについてどういうふうな御認識あるいは御理解を持っておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  105. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 率直に言って、富国有徳というこの言葉を総理がおっしゃった、決してボキャ貧ではないというふうに感じました。  それは、単なる言葉の遊びというのではなくて、施政方針演説でもその意味するところを総理が述べておられるわけで、健全な資本主義は利潤追求だけでは維持できない、そのことは世界の哲人が主張している、「徳すなわち高い志を持った国家でなければ、豊かな国であり続けることは不可能であり、何よりも世界から信頼されなくなるわけであります。」こうおっしゃっているわけで、国づくりの基本を、言うなら経済問題、当面は経済が非常に大きな課題でありますが、それだけではなくて、高い志を持った国家でありたい、それに向けた国づくりをやりたい、その思いをこの言葉の中に込めておっしゃっているというふうに受けとめました。  このことは、かねてから、新進党時代は白保委員も一緒に勉強させていただいたわけでありますが、今お尋ねがございましたが、自由党から入閣をした立場としてどう受けとめるかという御質問でありましたのであえて申し上げるわけでありますが、それは自由党の目指す国づくりの方向と合致するものであると考えておりますし、総理がおっしゃることでありますから、自民党総裁のおっしゃることでありますから、当然、自民党の目指す方向そのものである、そのように理解をいたしております。
  106. 白保台一

    ○白保委員 先般の委員会だったと思いますが、高知県知事の条例改正の問題が議論になりました。去る十六日に、本院はガイドライン関連法案を審議するための特別委員会をスタートさせたわけでございますが、その日、高知県の橋本知事は、非核三原則の尊重をうたった県港湾施設管理条例改正案と要綱を二十三日開会の二月定例県議会に提案する、この方針を改めて強調されているわけであります、ただ、当初目指していたところの非核証明書の提出を外務省に求める要綱というものは、今後再検討する可能性に含みを残したと言われているわけでございます。  先般の議論等を受けて、今回の橋本高知県知事の、改めて提出するというそのことについて、自治大臣、どのように受けとめておられますか。
  107. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 いろいろな高知県内の動きの中で条例化を提案しようという話があり、それについて、少し、議会の方の賛同がどうも得られない見通しだから、その点については、その当初の方針どおりで進むというのではないというようなまた報道がありというところまでは承知をしておったんですが、今、それをまた提出しようという方向に高知県知事さんがなっておられる、こういうことなんでしょうか。(白保委員「そうです、そのことについて」と呼ぶ)もしそういうことであれば、当初、条例化を提案しようとなされたときに私も申し上げ、政府としても見解を表明したのと同じことを申し上げなければならぬと思います。  それは、大事な問題ですからあえて少しきちんと申し上げたいと思いますが、国と地方公共団体とは相互に異なる次元においてそれぞれの事務を処理しており、国として責任を有する外交関係処理地方公共団体によって妨げられるようなことがあってはならないと考える。外国軍艦の本邦寄港は、外交関係処理につき責任を有する立場から、国がその是非を判断するべきものであります。  地方自治法及び港湾法に基づき地方公共団体に認められている係留場所の指定等の港湾施設の使用に関する規制は、あくまでも港湾の適正な管理及び運営を図る観点からの港湾管理者としての地位に着目してのものにとどまるということでありまして、その点で、高知県は、港湾施設管理条例の改正に当たり、政府に対し、外国艦船が核兵器を積載していないことを証する文書の提出を求め、その結果に基づき港湾施設の使用に関し決定を行うことを検討しているものと承知をいたしております。  これは、外交関係処理に当たる国の決定に地方公共団体が関与し、またはこれを制約するものであり、港湾管理者の権能を逸脱するものであって、地方公共団体の権限の行使としては許されないものであると考えますということであります。
  108. 白保台一

    ○白保委員 今、基本的な考え方を述べていただきました。  そこで、先般もそのような御答弁であったと思いますが、今回報道されるところによりますと、いわゆる非核三原則をうたった条例改正はやります、しかし、非核証明書を出しなさいと外務省に求めるということは少し考えるというような、若干ニュアンスが変わってきていると思うんですね。そういうことを踏まえていった場合にも、自治大臣、ただいま答弁されたそういう形になるんでしょうか。
  109. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 その条例の内容がどういう内容の条例にならんとするのかがちょっとよくわからないんですが、外務省に文書の提出を求めない、そういう条例なんでしょうか。つまり、その条例というのは何を規定しようとするのかがちょっと定かでないのです。ですから何とも物の言いようがないんです。  要は、知事の行政権限の行使において、国の責任範囲である外交関係の国の決定に何らかの影響を与えるような権限行使ということは、それは逸脱をすることであるということに尽きるんであって、そうでない内容であるなら、一切そういうことにかかわりがないということであれば、内容にもよると思うんですけれども、そこのところが権限行使と関係のないような内容のもの、そういう条例であるなら別だとは思います。  しかし、それにしても、その中身を見ないと何ともちょっとコメントのしようがないということです。
  110. 白保台一

    ○白保委員 非核三原則の尊重をうたうということですから、それがどういう形になるのか、私どももまだ見ておりませんからわかりませんが、いずれにしても、非核三原則というのは私は国是だと思っております。また、非核宣言をしている市町村、自治体というのは数多くある状況ですね。ですから、そういった面で、私どもも大変な関心を持って見守っているわけであります。  特に、私の住んでいる沖縄県の場合に、御存じのように提供施設の七五%、これだけの基地を抱えているわけですから、さまざまな問題等があることは御承知のとおりでございます。そういった面では、非核三原則の尊重をうたうということについては、復帰の際に核抜き本土並みということを基本にして行われたわけですから、非核ということについては極めて重要な関心を持っているわけです。  ただ、提供施設、いわゆる一般港湾じゃありませんが、提供施設の中に、沖縄県の本島中部の方に勝連町というのがありますが、あそこにホワイト・ビーチという提供施設があります。幅二十五メーターで、かなり長い八百五十メーターぐらいの桟橋と、四百五十メーターぐらいの桟橋があって、軍が使っているわけですけれども、そこに原子力潜水艦の寄港が、おととしあたりの集計で、復帰後百三十二回ですか、それぐらい寄港しています。そのために、県も、それからまた科学技術庁等も、寄港のたびに周辺の放射能の測定をやるなど、非常に手間暇かけてやっているような状況なんですね。ですから、提供施設といっても、周辺住民にとってみれば、原潜の寄港というのはそれなりの根拠を持って入ってきているのかと思いますが、非常な不安を持って地域住民は見ているわけです。そしてまた、自治体がそれを測定する、こういうような状況があって、大変な費用がかかったり、時間をかけてやっているわけですね。  こういう状況について、地域住民の不安、こういったものを考えるときに、自治大臣、どういうふうに受けとめられますか。
  111. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 周辺住民の立場からすれば、率直に言って、何にも来ない方がいいと思うかもしれません。それは、原子力発電施設も似たようなことがよく言われることであります。  しかし、そういう中で、御指摘のとおり七五%の米軍基地が沖縄に集中しているというこの現実の中で、本当に大変な重荷を背負いながら、必死になってまた沖縄の振興開発のために努力をしておられる姿に改めて敬意を表したいと思いますし、これは単に沖縄県民だけでなくて、日本国全体の安全保障という角度からそういう現実があるわけですから、その事柄の重要性と痛みというものをひとしく日本列島みんなが受けとめるという心構え、それが私は常日ごろから必要なことだ、そんな思いをいたしておりまして、最初言及のありました特措法の問題についても、そういう角度からのアプローチをしたというふうに私どもは考えておるわけであります。  そこで、今の原子力潜水艦の出入港に当たってのいろいろな御懸念でありますが、これは今日まで、海上保安庁による警戒などのほかに、放射能測定船によるモニタリング等、厳重な放射能調査が実施をされておるということでございます。また一方で、米国政府は、累次にわたる政府声明及び覚書をもって原子力艦船の安全性を保障しておるわけでありますし、米国の港においてとられる安全上のすべての予防措置及び手続を我が国においても厳格に遵守することを保障しておるところでありまして、寄港時の安全は十分に確保されているものと認識をいたしております。しかし、今後とも住民に不安を与えることがないように、政府としても安全の確保には万全を期してまいりたいというのが考えであります。
  112. 白保台一

    ○白保委員 この件について、不安というのは、単に原潜がたびたび寄港するので不安だということだけでなくて、これは復帰後じゃありませんが、復帰直前に魚の汚染というものがあって、漁業者に大きな打撃を与えるということがございました。また、県民の不安もあったということがありまして、私どもは万全の体制でもって臨んでおる、こういうふうに言うことでございますが、かなりの皆さんが不安を持っておるということをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、そういったことに関連していきますが、若干ガイドラインの問題についてお聞きしたい、こう思っています。  せんだって、三日に、政府が周辺事態法案に盛り込まれた自治体、民間協力でまとめた想定項目が新聞等でも報道され、発表になっております。「国が国以外の者に対して求め又は依頼する協力の内容については、事態毎に異なるものであり、予め具体的に確定される性格のものではなく、以下のものに限られないが、例えば次のような例が想定される。」ということで、十項目、民間、地方公共団体に対するそういうものが出ております。  そこでお伺いしたいと思いますが、民間に限らず地方公共団体にこの項目がありますね。地方公共団体の管理する港湾の施設だとか、あるいは地方公共団体の管理する空港の施設の使用だとか、あるいは建物、設備等の安全を確保するための許認可の問題だとか、あるいは人員の確保だとか、給水だとか、そしてまた公立病院の使用だとか、そういった問題があります。  そこで、自治大臣として、これを政府が事態に応じて要請したときに、地方公共団体すべてにこれを受け入れるだけの能力があるのかなということを考えるんですが、その辺はどのように認識されますか。
  113. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 率直に思いますのは、どういう事態が想定されるかといいますか、それによって協力の内容、程度、範囲、そのこと自体が随分と異なってくるのではないかと思います。したがって、あらかじめ、日本国の地方公共団体がみんながこぞって協力しなきゃならぬようなことというのはちょっと想定しにくいのでありますが、そういう中で、どういう協力を必要とするか、これは、そういう事態が発生して直ちにつくられる基本計画、そして、それに基づいて具体的に行われる実施計画、そういった中で、どういう方面、どういう地域のどういう施設について、どの程度の内容の協力を必要とするかというのは、その辺で固まってくるので、余り最初からふろしきを広げて論議するというのは、率直に言って、それほど意義深いものとはちょっと想定しにくいのであります。  そういう点で、十項目について、協力を求められる例示といいますか、そういうことが先般発表されたわけでありますが、そういう意味では、必ずしもその十項目だけに限定されるものではなかろうというのも、また当然予想されることだと思いますが、言うなら、いわゆる仰々しい姿での協力要請があると最初から想定するのはいかがなものかと思います。
  114. 白保台一

    ○白保委員 そうなんですね、一番の問題はそこなんです。  結局、想定されるものが今十項目ばかり一応出てきた。これは基本的な問題なんだろうと思います。ただ、その中に、今大臣がおっしゃるように、あらかじめ想定できるものでは、確定される性格のものではないがということで、これだけのものが出てきているわけです。  それで、今私がお聞きしているのは、今の大臣答弁の中で、実態論として出てきたときに、恐らく基本計画をつくり、実施計画をつくって要請する、そういうことだから、今ここでもって答えられないだろうということがお答えなんだろうと思いますが、すべての自治体がこれについて、はい、わかりましたと言って受け入れられるものなのかどうなのか、そういった用意があるのかどうか、こういったことは一つあると思うのですね。その辺については、自治大臣はどのように考えられますか。
  115. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 すべての自治体が受け入れられるとは思いません。  それは、少なくとも都道府県と市町村によっておのずから権限行使の範囲が異なっておりますし、地理的な関係もあると思います。あるいは規模の大小ということもあると思います。そういう点で、何よりも自治体自身の権限行使にかかわる協力の部分、それから、そうではない、先ほどちょっとお話がありました、民間の協力に準ずるような、たまたまその施設を自治体として設置しているというような部分、だから、それぞれによって態様が異なると思いますので、一視同仁に扱うわけにはいかぬと思います。
  116. 白保台一

    ○白保委員 先ほど読み上げました幾つかの項目、これ以外にも、大臣、今想定されるものはございますか。
  117. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 例えば、何らかの仮設物を設置しようというようなときに、やはり何らかの許可なりというような部分もあるのかもしれませんね。  とにかく緊急な事態でありましょうし、そういうときに、市町村、県の持っておる建築許可の権限もあるでしょうし、今私の手元にありませんが、現在、地方公共団体の所掌事務の中にいろいろな権限の項目があるわけでありまして、そういうのをずらっと引っ張っていくと、とても十じゃ及ばぬこともあるかもしれません。
  118. 白保台一

    ○白保委員 結局、政府がまとめた十項目、自治体、民間に対する協力の想定項目、これは大きな柱である。今、大臣が答えられた中にありますように、いわゆる建物、設備等の安全を確保するための許認可というのもありますから、そういったところにくくられるのかなと思うのですが、大きな柱としては、ほぼこれに集約されているのかな、そしてそこから、今度は小枝が出たり大枝が出たり枝葉が出ていくのかな、このような理解でよろしいのでしょうか。
  119. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 私も、これで本当に根本的なものが網羅されているかということについて、率直に言って、確たることを今ここで申し上げるのは恐縮ですが、やはりそこのところは防衛庁長官なりなんなりがきちんと検討した上でお答えをいただかなきゃならぬ部分だと思います。  ただ、私が今まで、党においても議論をし、いろいろやってきた中で見ますと、基本的なところは大体入っているのではないかとは思料されるところであります。
  120. 白保台一

    ○白保委員 実は、自分のところの選挙区の話ばかりで恐縮なんですけれども、私の選挙区の一番南、南というのは日本の一番南です、波照間島というのがあります。一番西というのは与那国島です。これは日本の一番西です。与那国島というのは、島一つで町になっているのです。約二千人ぐらいの方が住んでおられると思いますが、そこには港湾もあり、空港もあります。  そこは、ちょうど戦後のどさくさの際に台湾とかなり貿易をやってもうけて、栄えた島なのですが、復帰後余りもうからなくなった、そういうような島ですが、天気のいい日には台湾が見える、また、ひょいとすると台湾のテレビの電波が入ってくるという極めて至近距離にあるわけですね。非常に豊かな島ですから、水もあり、お米もとれる、そして漁師は非常に働き者で、漁に出てカジキマグロをとって頑張っておられる、こういうところです。  たまたま台湾の総統選挙のころに、公海上でありましたけれども、中国軍が台湾海峡で猛烈な実弾演習を、示威行動でしょうか、よくわかりませんが、やりました。そうしますと、この至近距離でこういう行動をされると、漁師は漁に出られない。それで与那国島の町の漁業組合から、国は何とかしてくれぬかという要請が出るほど台湾に近い島であり、また、周辺の事態によっては、島民生活、町民生活に極めて影響を与えるところです。  こういう島があるわけですが、そういう島に、先ほども申し上げましたように、この島だけでいろいろなものがあって、与那国島というぐらいですから、島の人は、自分たちは国だ、こう言っているぐらいの、すべてが賄えるようなそういう島に協力要請がぽんと入ったときに、恐らく町長は、島民生活上応じられないということが出てくるのだろう、こう思うのですね。  そこで、要請を拒否した場合にどういうことになるのでしょうか。
  121. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 まず、町に直接米軍が協力要請ということではないと思います、事柄としては。だから、そういう点で日本国政府としてどうするかということがあって、日本国政府としてどの地方公共団体にどういう形での協力をお願いするかというのが基本だと思います。  特に、与那国島の場合に、ただ何も言わないでとにかく無条件で協力しろということにはならないと思います。何をしてほしいからという部分がないと、そういう意味で、ただ単に協力しろ、イエスかノーかということにはならないと思います。具体的な協力の中身が当然伴って、その上で国からの話ということになると思います。
  122. 白保台一

    ○白保委員 具体的な話はこれからしていきたいと思っておりますが、この法律上、自治体が拒否ができるかどうかということをまずお聞きしたいと思っています。
  123. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 逆に言うと、国が具体的な地方公共団体に要請をするということは、それを受け入れるだけの物理的能力を初めそういったことを念頭に置いて協力を要請するという形になろうかと思います。したがって、私は実際問題、拒否という回答が行われないだろうと考えております。
  124. 白保台一

    ○白保委員 実は、私の選挙区、島々から成っている、まあ県自体が島々から成り立っている県ですから。那覇空港、そしてまた宮古島へ行きますと宮古島空港、そのそばに飛行訓練の下地島空港、訓練飛行場、石垣島に石垣空港、波照間島に波照間空港、与那国島に与那国空港、冒頭に申し上げましたけれども、こういった各島々に空港があります。そしてまた、島々に港湾があります。  空港があり港湾があるというのは、私ども島嶼県にとってみれば、空路というのは言ってみれば道路なんです。海も道路なんです。これが生活道であるという形になっている。したがって、これは生活に欠くことのできない、本土に行けば鉄道の駅みたいなものですから、生活に密接にかかわりのあるもの、ほかに代替機関があるとかそういうものじゃない、生活に密接に関係のあるもの。こういったものに対する、例えば今の与那国島のように、第三種空港ですと、協力要請があった場合に、これは島民生活上欠くことができないということで拒否することになった場合、これは可能かどうかということです。
  125. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今日、今現在のような平時においての協力要請ということではないと思います。少なくとも、まさに周辺事態、日本国周辺であるとはいえ我が国の平和と安全に重要なる影響を与えるという事態における話でありまして、そういう点では、言うなら異常なる事態、正常な姿ではないわけで、そのときに我が国の安全をどうやって守って確保するのか、どうやって平和を維持するのかという発想の中で必要な措置をとっていこう、そのときに必要な地域における必要な御協力をお願いしようということで国が協力要請をするわけであります。  私は、実際問題として、そういう異常な折には、まさに周辺事態が発生するようなそういう際には、日本国の一員としてみずからの安全、平和にかかわる話でありますから、適切な判断が行われるのであろう、こう思いますから、必要でないような地域にまで国が協力を依頼するわけがないのであります。  そういう点で、その事態が現に発生しないと、どこの地域でどういうことを協力要請するかというのは、やはり率直に言って、今からケースAからケースZまでずらっと並べろといっても、それはかえって誤解を生むだけの話であって、と思うのですが、そう思うと、結論において、拒否されるという事例はまずないものと考える、私はそう申し上げておるわけであります。
  126. 白保台一

    ○白保委員 これまでもいろいろなところで議論されてきたのですが、なかなかわかりにくい議論が多くあるものですから、私は具体例を挙げて、今台湾海峡のそばでこういったことが起きた場合はどうだろうかということをお話をしたわけでございます。  そこで、自治大臣、この法律に関連して、自治大臣の権限、こういったものがありますか。自治大臣、いかがですか、権限。
  127. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 条文の一条からすべてを今全部チェックしておるわけではございませんが、自治大臣として、施設の使用等に関することにおいては直接的な権限の話はないと思います。  ただ、周辺事態が発生した際に、政府として手順を追って基本計画を策定したり、あるいは閣議においてそれを決定したりなどといういろいろな政府としての役割がございます。自治大臣としては、その政府の一員としての重要な役割を果たす部分もあるということははっきりしておることだと思います。
  128. 白保台一

    ○白保委員 この問題につきましては、また新しく特別委員会もスタートしたことでございますから、改めてまた議論をさせていただきたいと思います。  昨年の百四十二国会の平成十年三月二十日でございますが、この地方行政委員会で決議しました地方財政の拡充強化に関する件、これについて伺いたいと思います。「厳しい地方財政状況財政需要の増大にかんがみ、政府は次の諸点について措置すべきである。」ということで、この委員会で六項目にわたる決議がなされました。  まず、その第一点についてお伺いしたいと思いますが、その第一点には、「百五十六兆円に上る多額の借入金地方団体財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にかんがみ、地方一般財源充実強化に努め、地方財政健全化を図ること。」との決議があったわけでございますが、これについて、まず自治省、具体的にどのようになされたのかということをお伺いしたいと思います。
  129. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 昨年の決議におきまして、今委員が御指摘になりました一般財源の強化についての内容が含まれております。平成十一年度地方財政対策におきましても、これまでいただいた決議を踏まえて対処したところでございますが、そのうちでも地方一般財源充実強化につきましては、先般来申し上げておりますとおり、まず、恒久的な減税に伴う地方財政減収につきましては、抜本的な税制の見直しが行われるまでの当分の間の措置として、たばこ税の一定割合の地方への移譲法人税地方交付税率の引き上げ、地方特例交付金の創設等の制度改正により対処することにいたします。  それから、その他の巨額の財源不足につきましても、平成年度に定めた三カ年の制度改正を基本として対策を講じることとして、地方交付税を前年度に比べ一九・一%増として、地方税の大幅な減収の中にあって、対前年度比一・四%増の一般財源総額を確保したところでございまして、地方財政運営に支障が生じないように適切に対処することとしたところでございます。
  130. 白保台一

    ○白保委員 平成十一年度においては、これは先ほどのお話と重なると思いますが、「恒久的な減税が実施されることに加えて、地方税収入地方交付税の原資となる国税収入が落ち込む一方で、公債費の累増が見込まれるほか、当面の緊急課題である経済再生への対応、少子・高齢社会に向けた地域福祉施策の充実等に対処することが必要であることから、巨額の財源不足が生ずることとなった。」こういうふうに対策に述べているわけであります。  財政状況といえば、巨額の今の借入金残高年度末で百七十六兆円ということで、地方債残高が百二十七兆円、そして普通会計負担分の企業債二十七兆円、そして国庫負担分を除く交付税特会借入金が二十二兆円というふうになっておるわけですが、特会借入金は、いずれこれは返済していかなければならないわけでありまして、いわば交付税の先食いであり、将来の交付税収入を減少させるというものであって、将来の公債負担が増加して、財政の硬直化を懸念する声が非常に強いわけですね。先ほどからいろいろと議論されておるわけですが、それについてどのように考え対応されるのでしょうか。
  131. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今委員が御指摘になりましたように、恒久減税分を除きましても、いわゆる通常収支の不足が十兆円を超えるという、かつてない非常に大きな財源不足が生じたところでございまして、これにつきましては、平成年度に設けました三年間のルールを基本として対応することにいたしまして、建設地方債の増発と交付税特別会計借入金によって対応するということにいたしたところでございます。  今、国、地方とも非常に大きな財源不足にある状態でございまして、このような対策で十一年度の通常収支の不足の補てんをいたしておりますが、先ほど来いろいろ議論がございますように、まず何よりも経済回復軌道に乗せていくということが先決だろうと思いますが、そういうことについてのいろいろな諸施策を実施していくことを通じまして経済回復軌道に乗せ、また、地方財政健全化について、今後とも幅広く取り組んでいかなくてはいけないというふうに考えております。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  132. 白保台一

    ○白保委員 先月の十二日の新聞に「公債費比率 六割が警戒ライン突破」という記事が出ています。「都道府県の九七年度決算 財政運営厳しく」ということが出ておりまして、自治省がまとめた「地方債元利償還負担が拡大した一方、税収が伸び悩んだため、一般財源に占める公債費の割合(公債費負担比率)は全都道府県の約六割に相当する三十一道県で警戒ラインとされる一五%を突破した。全体では前年度より一・四%上昇の一四・六%となり、過去最高だった八五年度の一四・一%を上回った。借金の返済負担が膨らみ、自治体が一段と厳しい財政運営を迫られている姿が浮き彫りになった。」こういうふうに報じられているわけであります。  そういった状況の中で、しかし現下の状況でいきますと、一五%は危険ライン、こういうふうに受けとめられているというよりも、いわばもう常態だということで、こういう感じで受けとめているところが非常に多いんじゃないか、強いのではないか。いわゆる起債に係る元利償還金の後年度交付税措置もあることから、地方公共団体にとっては本当に危機というような状況にあるのかどうか、そういう声が非常に強い面があります。これについて自治省はどのように受けとめられて対応をされようとしているのか、お伺いします。
  133. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今委員がお挙げになりました公債費負担比率一五%以上の団体、これは私ども財政運営上警戒ラインというふうに考えておりまして、地方団体関係者におきましても、そのラインというのは将来の財政運営考えた場合の一つの警戒ラインであるという共通の理解はあると思います。  その団体が、平成年度の決算で全団体の五六%強、六割弱ということになっておるわけでございまして、そういう状況もございます中で、先ほど来議論になっておりますように、恒久減税を行うとか、あるいは十一年度の地財対策を行うということで、それぞれそれに対する財源手当てあるいは対策を行ったところでございますが、個々の地方公共団体におきましても、そういう状況を踏まえて行財政改革に積極的に取り組んでおります。  端的に、例えば十年度のいわゆる勧告に基づく給与改定でございますが、これもなかなか勧告どおり実施できないというふうな状況のところは、いろいろな判断の末、私どもが承知しておる限りでは十二ぐらいの県で人勧をいわば時期を延ばすとか、あるいは部分的に凍結するとかといったような厳しい措置を決断しているところがございまして、その他、全般的に財政健全化に各団体とも取り組んでおるという状況にあると思っております。  私どもは、そういうものを背景にして、全般的な財政対策なりあるいは恒久減税に対する財源手当てを行っているということでございます。
  134. 白保台一

    ○白保委員 私は本会議でも代表質問をいたしました。地方単独事業の問題ですけれども、前年度と同額の十九兆三千億円というふうにされております。地方単独事業は、言うまでもなく、住民に身近なところで生活関連の施設を整備する、小回りのきく、そういう事業でございますし、地域経済を下支えしていくということではこれまでも重要な役割を果たしてきていたことは間違いないところであります。  ところで、近年の単独事業の増加というのは、本会議のときにも申し上げましたが、要するにこれは地方債の償還金について交付税に導入するという方式によって推進されたものであって、今回の地方債計画上、地方単独分のうち景気対策枠が八千億円計上されていることからもわかるように、まさに景気対策の一翼を担わされているという状況にあるのではないかと思います。  ただ、その地方財政状況が非常に厳しいときでもあって、本会議でも大臣にもお伺いしましたが、地方財政計画上の額を地方が遂行できるのか、こういった問題があります。これは、ある意味では景気対策地方へツケ回しというか、そういったことになっているのではないかという感じがするわけでございますが、この点について、自治省はどのように受けとめていらっしゃいますか。
  135. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、地方単独事業というのは、地方団体がそれぞれ地域の実情に即して自主的、主体的に実施をするものでありまして、住民に身近な社会資本の機動的な整備ということとあわせて、地域経済を下支えする事業として、地域にとって大事な役割を果たすだけではなくて、我が国の公共事業、公共投資ということにおいても重要な役割を果たしてきておるわけであります。  平成十一年度、今年度地方財政計画においても、地方単独事業について、お話しのとおり、景気対策分を含めて、前年度と同規模の十九兆三千億円を確保することとしたわけであります。特にその中で、景気対策分八千億円というのは、それぞれの地域経済状況に即した機動的、弾力的な財政出動に対処し得るように、地方交付税それから地方債によって所要の財政措置を講ずることといたしておりまして、その重点的、計画的な実施ができますように要請をしてまいりたいと思います。
  136. 白保台一

    ○白保委員 いろいろと工夫をされておられるということでもあると思いますが、ただ、結局、公債費がふえ続けて、一層地方財政の悪化を招来するのじゃないかという、そういうことについてはいかがでしょうか。
  137. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 近年の公債費の増、いろいろな要因がございますが、全般的に、経済が非常に低迷いたしておりまして、財源不足を補うということから借入金に依存しているという面がございますのに加えまして、景気対策としての減税が行われる場合の減税の先行分を地方債で賄いましたり、それから、今委員がお挙げになりましたような、公共事業とか単独事業の追加を景気対策の一環として行うというときに、地方債の増ということになってきた。そういったような幾つかの要因が重なって、近年の地方債の増になっておりまして、それが今の財政状況を端的に示すものであるというふうに私どもも十分理解をいたしております。  そういうことから、毎年度地方財政対策において、公債費のいわば償還財源も含めて毎年度財源の確保に努めますとともに、公債費の適正化について、個々の団体におきましても適正化に取り組んでいただく場合の支援をするといったようなことを通じて、財政健全化に努めておるというところでございます。
  138. 白保台一

    ○白保委員 もう時間が迫ってまいりましたので最後になろうかと思いますが、もう一度、昨年の委員会決議に戻りまして、四項目めに、「地方団体が、社会経済情勢の変化、地方分権の進展及び増大する行政需要に的確に対応するため、自主的な市町村合併や広域行政など行政体制の整備や、自主的かつ計画的な行財政改革の一層の推進を行うよう支援すること。」こういう項目がうたってあります。それに対する自治省の支援をお聞きしたいと思います。  それと同時に、ここにも記されておりますように、本委員会も、去年、おととしでしょうか、私ども、沖縄の久米島というところや具志川市というところに合併問題で視察に行っているのです。しかし、なかなか進まないのですね。結局は、選挙が終わって、首長の性格によって随分変わってくるのかなという感じも受けておるわけでございますので、そのことも含めて、この四番目に書いてある支援の問題について、自治省としてはどういうふうに進めておられるのか、お伺いしたいと思います。
  139. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 市町村合併の推進のための支援措置ということでありますけれども、これはたびたび申し上げておりますが、地方分権推進計画に基づいて法案化をしていこう、この一括法の中に合併特例法の改正を盛り込ませて、これもぜひお願いをしよう、こう思っております。  その中身として考えておりますのは、一つは、合併協議会の設置についての住民発議制度を拡充しよう、あるいは都道府県知事による合併協議会設置を勧告できるようにしようというようなこととか、あるいは合併算定がえの期間を延長しよう、これは合併によって普通交付税が不利にならないようにしよう、こういうことであります。  さらに、合併することによって、小さな地域が自分たちの意見を主張できなくなるのではないかということについて、地域審議会を置くことができるようにしよう、そのほかいろいろな法律上の手当てをして支援していこう。さらにまた、法律だけでなくて、いろいろな財政上の支援措置もしていかなければならぬ、こんなことも考えております。  ことし上半期に、都道府県に対して、いろいろな合併のパターンもあるわけですから、それらについてのガイドラインをお示しして、特にこの市町村の合併については、都道府県の協力というか、これがかなり大きな力になるものですから、ぜひその理解を得ながら進めていかなければなりませんので、そういった手順を踏みながら進めていきたいと考えておるわけであります。
  140. 白保台一

    ○白保委員 時間が参りましたので、終わります。
  141. 山本公一

    ○山本(公)委員長代理 次に、春名直章君。
  142. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。  最初に、地方税減税景気回復に本当に役に立つのかどうかという問題について、野田自治大臣の見解を聞いていきたい。地方税減税、住民税の減税、法人事業税減税について、これの景気回復との関係で、議論をまず最初にさせていただきたい。  恒久的な減税全体で、標準世帯でいいますと、七百九十四万円以下の世帯が九八年度と比較をして差し引き増税になるということが予算委員会で再三追及をされまして、これが大きな問題になって残っております。そこで、地方税の分野ではどうかということを、まず事務的に聞いていきたいと思います。  個人住民税の最高税率の引き下げの対象は、標準世帯でいいますと、課税所得七百万円超、給与収入でいいますと一千百四十五万二千円、こういう世帯であります。この最高税率引き下げの対象になる方々は、義務的納税者のうちどの程度を占めているのか、まずお答えいただきたいと思います。
  143. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 お答えをいたします。  個人住民税の最高税率一五%の対象となっておる人の数でございますけれども、例えば、平成年度分の個人住民税に関する調査の結果によって申し上げますと、最高税率の適用を受けている納税義務者の数は二百十七万人で、全納税義務者数、五千二百四十五万人おられますけれども、この総数に対する割合は四・一%となっております。
  144. 春名直章

    ○春名委員 四%ということでありました。  定率減税との組み合わせによる住民税の減税額が合計九千六百六十二億円でありまして、九八年度の定額減税が一兆二千四百八十九億円で、総額自身が減少しているわけでありますけれども、それはさておいて、同時にこういうやり方を地方税の分野でもとることになりますので、定額減税制度を廃止し、最高税率の引き下げと定率減税の組み合わせへの変更となるので、九八年度と比べてみますと、どうしても下に薄く上に厚いという減税にならざるを得ないと私は考えます。  そこで、もう一度数字をお聞きしますが、九九年度は九八年度と比較をして減税になる納税者は全体の中でどのぐらいになるのか、これはいろいろな数字があるかと思うのですけれども、大体どの程度なのか、おわかりでしたらお答えください。これ、住民税の分野です。
  145. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 まず、平成年度の一年度限りの方式としてとられました定額方式によります特別減税と、今回の恒久的に効果が持続いたします恒久的減税とを単純に比較することは、果たして適当であろうかという面がございますけれども、それはおきまして、減税額が増加する納税者の数がどの程度のものになるのかというお尋ねでございます。  御案内のように、世帯構成あるいは扶養人員の状況等によりまして減税額は個々の納税者ごとに異なってまいりますので、正確に推計をすることは大変困難でございますけれども、幾つかの前提を置きまして大胆に試算をいたしてみますと、平成十一年度において減税額がふえる納税者の数は、全体の納税者数のおおむね三割程度になるのではないかと推測をされます。
  146. 春名直章

    ○春名委員 減税額がふえるということは、ことしよりも減税がふえる、増税にならない、減税になるという意味ですけれども、それは三割ぐらいだろうと。増減税関係ない層もありますので、だから、言えば半数以上いるのでしょうか、今の数字で見ても。差し引きでいえば減税額が減る、つまり増税になる層があるということがおわかりいただけたと思います。  自治省にモデル階層の減税を試算して出していただきました。標準世帯でいいますと年収七百万円以下が差し引き増税です。夫婦子供一人の世帯では年収六百万円以下は差し引き増税です。夫婦だけの場合も年収五百万円以下は差し引き増税です。独身者も年収四百万円以下は差し引き増税です。今お話があったとおり、少なくとも、全体の部分でも大きな問題ですけれども、地方税の分野だけを取り出しても、ことしに比べ来年度が差し引き増税になる層が多いという事実が今新たに明らかになったと思うのです。  そこで、もう一点聞いておきます。減税になる階層でも、高額所得層ほど額も率も大きな減税になる一方で、年収が低くなればなるほど減税額も微々たるもの、率も下がっていくという傾向になっていると思います。  そこで、数字をお聞きします。標準世帯でいえば、年収八百万円から一千百万円までの階層での減税額がどれくらいになりますか。
  147. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 個人住民税の恒久的減税によります納税者一人当たりの減税額は、夫婦子二人の標準世帯の場合、年収八百万から一千百万円の所得階層では四万二千円になります。
  148. 春名直章

    ○春名委員 恒久的減税後の税額と十年度分の定額減税の後の税額との差額ですよ。その差額を言ってください。
  149. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 千五百円になります。
  150. 春名直章

    ○春名委員 年収八百万円から一千百万円までの階層での差し引き減税額は千五百円です。  同じく標準世帯で、年収四千万円から五千万円の高額所得者の方は、同じく差し引きどうなりますか。
  151. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 五十五万円から七十四万円程度に相なります。
  152. 春名直章

    ○春名委員 今数字を確認したとおりでございます。年収八百万円ではわずか千五百円の減税、年収の〇・〇一九%の減税率です。一方、年収四千万円の層ならば五十五万円の減税です。減税率は一・三八%になります。  実はこの傾向はどういう世帯でも当てはまるのであります。夫婦子一人の場合、年収七百万円世帯が、差し引きでいきます、減税額が千八百五十円、八百万円から一千百万円までは六千円、率でいいますと、年収七百万円の世帯で、減税率は〇・〇二六%であります。一方、年収五千万円の世帯は、これも夫婦子一人の場合ですけれども、七十五万三千二百円の減税になりまして、一・五%の減税率となります。  独身者の場合はどうでしょう。年収五百万円世帯で九千七百円の減税、一千万円までの世帯で二万三千円程度の減税です。七百万円の世帯でいいますと、減税率は〇・三%。年収五千万円の世帯なら七十八万三千四百円の減税で、一・六%の減税率となります。  今種々の数字を議論してきました。私、この点で大臣にお聞きをしたいと思います。  景気回復が最優先だということが語られて、地方財政もそれに道連れにされております。国もそういう方向で、大変な借金を抱え込むようになりました。そして、その景気回復の効果が、この減税のやり方で本当にあるのだろうかという根本的な疑念を抱きます。減税の部分でも、所得の少ないところほど減税額も率も低い。高額になればなるほど減税の額も率も上がる。しかも、六割以上は増税になる。差し引き増税です。これで本当に景気回復に役に立つのでしょうか。私はその根本問題を問うてみたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
  153. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今いろいろ議論のやりとり、聞いていまして感じますのは、減税額が所得の階層に応じて、それぞれの数字についてお話がありましたが、減税額が大きいということは、それだけ根っこにおいてたくさんの納税をしていたということではないのでしょうか。税の話は、自分からは少なく、人からはたくさん取れという発想が非常に多いように私は思います。そういう点で、特に地方財政の世界においては、負担分任の角度の中で、やはりお互いそういう発想があってしかるべきではないか、その発想は大事にしたいものだと私は思います。このことを第一点、申し上げておきたいと思います。  そういう点で、住民税よりも所得税の方がそうなのですが、高い累進度ということが結果として、抜本的な税制改革考えいろいろな意味考えた場合に、今まで日本のとってきた高い累進度は、ややペナルティー的な発想に立ち過ぎているのではないか、そういう反省に基づいて、この抜本的な税制改革をやろうということがコンセンサスを得て、政府税調においてもその方向性が出されて、それを受けて、私は今回の最高税率の引き下げということに着手をした。  ただ、本来なら、ここで本当に恒久税制措置ということにいければ一番よかったんだけれども、そこに行き切れなかった。そこで最高税率を引き下げるということでは、国、地方それぞれの役割をしながらやったけれども、結局恒久的減税ということにならざるを得なかった。  その最大の理由は、昨年まさに定額控除方式を伴う特別減税ということをやったからであって、この結果、言うなら所得課税の体系としては、その特別減税前であっても世界のレベルの中では極めて高い課税最低限のレベルが、極端に高いという姿になってしまった。したがって、どこかの時点でこれをもとに戻さなければならないということはみんながわかっていたはずだ。  そういう意味で、昨年のあの定額控除方式を取り入れた特別減税後の姿と、ノーマルな姿であるべき恒久的な税制改革による改正後の姿と比較して増減税論議をやるということは、ちょっと角度が違うのではないか。むしろ、今回景気対策としての問題は、昨年に比べてどの階層で増減税になったということではなくて、減税規模において、トータルとして昨年の特別減税を含む減税よりも超えることということがまずあったと思いますし、何よりも、恒久減税措置、抜本改革として、過重であった、ペナルティー的要素が強かった税体系そのものにメスを入れようという、そのことが非常に意味があるということであります。そういうことをぜひひとつお考えいただければ結構だと思います。  その点で、もともと主張が共産党の年来の御主張に相入れない方向であろうかとは思いますが、今回の恒久減税の発想というのは、むしろそういう抜本税制改正方向を目指しているということを申し上げておきます。
  154. 春名直章

    ○春名委員 共産党と発想が違うというふうに言われるので言いますけれども、野田自治大臣自身、今消費不況であって、そのための大きな景気効果として消費税の減税あるいはゼロにするということを言われているじゃありませんか。そのことを本気でやれば、そして人的控除を引き上げるなどやれば、全階層に実質減税する施策もあるんですよ。それを私たちは示しているんです。そのことには答えないで発想がもともと違うなんて言われると、非常に私は心外であります。  勤労者の実質賃金が十六カ月連続で今マイナスですよ。そして、九六年との比較で見てみると、九七年の可処分所得がマイナス〇・六九%、消費支出もマイナス二・二五%。特別減税を実施した九八年でも、可処分所得がマイナス一・〇二%、消費支出がマイナス二・八七%。これは総務庁の家計調査年報からつくったものですけれども、現瞬間こういう事態になっているんですよ。これは予算委員会でもそういう議論をしておるわけです。また発想が違うと言われれば終わりかもしれませんけれども。  しかし、そういう断面のとき、そういう現実のときに、多くの部分が差し引き増税にならざるを得ないということをやる。その一方で、消費税減税を中心にしたやり方をすれば、全体として実質の減税をすることができるという道もある、そういうことを私は問うているのであります。  将来の税制全体についての議論はもちろんあるでしょう、ペナルティー的な話とかいろいろ言われましたけれども。しかし、野田自治大臣自身が、先ほどからの議論をずっとされていて、景気回復が最優先、すべてはそれにかかっている、こうおっしゃっているじゃありませんか。そういう瞬間にこういうやり方で本当にいいのかということを私は思うのです。そのことを私はもう一回問いたいと思います。
  155. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 定額控除方式による特別減税、このやり方は本来の所得税制の体系とは合わない、一刻も早くこれを是正しなければならない、このことは最優先課題の一つであります。したがって、これは昨年度限りのことであって、それと比較して増減税の話をしたら、ずっとこれを継続しろということになってしまうわけでありまして、それは税体系そのものをゆがめてしまうということは、まず申し上げておかなければならぬと思います。  その問題と消費税の話は次元が異なると私は思っています。それは、少なくとも消費税というのは所得とは関係ございません。所得とは全く関係のない世界、まさに消費の世界であります。そのことを、ただ単に引き下げるということだけを主張したことではない。  今言及がありましたから、誤解のないように申し上げておきたいんですが、私は、それは下げっ放しでいいということを一言も言ったことはございません。むしろ一時期下げて、その後段階的に引き上げるんだ、段階的に引き上げるということが逆に一つの、消費を前倒し喚起する、それを継続的に喚起していくという効果、しかも住宅や大物が動くという、自動車もそうですが、そういったことから、景気刺激効果としてはトータルとしての財政ということを考えた場合でもはるかに効果があるんじゃないんでしょうかということを言ってきたわけで、それはそれで私は間違ったことを言ったとは思いません。  ただ、もうこれ以上長くは申し上げませんが、それがすべてで、それ以外はみんなだめだということまで思い上がったことはありません。しかし、両党間の協議の中で、それにかわる措置として、減税規模を十兆円に近い、本当に私は、清水の舞台から飛びおりるぐらいの覚悟で小渕総理はおやりになり、その決定をされたと思います。そのほか、歳出面もあわせ、とにかく最優先課題として経済の再生を最重要のテーマ一つとして内外に表明をし、そのための具体策を現にこの内閣で前進をしておられるということによって、我々は、我々の主張のすべてが入れられたわけではないが、それにかわる措置としていろいろなことをしていただいたということで、高く評価をして今日に至っているということは、たびたび申し上げておるとおりであります。
  156. 春名直章

    ○春名委員 努力をされていることはわかっております。しかし、やり方があるでしょうということを私は言っているのであって、先ほど私言いましたけれども、消費税率を三%に引き下げることと、基礎控除などの人的控除を各十万円引き上げる、そういう所得減税をきちっと実施すれば、七兆円規模になりますけれども、国民すべての階層で昨年より減税にすることができる、個人消費をふやすということができるんです。  九七年と九八年の四月から十一月までの消費支出と可処分所得の伸びを比較したそういう資料もあります。階層分位でいいますと一分位から三分位、いわゆる中低所得層ですけれども、九七年と九八年を比べて、消費支出がマイナス二・六五%、可処分所得がマイナス〇・五六%。一方、第五分位、高額所得層は、消費支出がプラス一・九二%、可処分所得がプラス一・六一%。自力で消費もふやすことができて可処分所得もふえているのが高額所得層です。一方、自力でなかなかどうにもならない、一番影響を受けている層が一分位から三分位、いわゆる中低所得層です。そこに水を差すような減税はやるべきではありません。そのことを私は申し上げておきたいと思うんです。  昨日だと思いますけれども、日銀が生活意識に関するアンケート調査を発表しました。消費をふやすための条件は何か。第一位は、断然トップで消費税率の引き下げ、五七%です。それから、全信連総合研究所というところが特別調査を発表しました。中小企業が必要と考え景気浮揚策、中小企業自身が答えていることですが、六八・五%が消費税の減税です。私は、こういうところに今の国民の声、実感があると思います。そのことを改めて要求しておきたいと思います。  次に、法人事業税減税についてお聞きします。  今議論もありましたけれども、地方団体が、法人関係税が落ち込んで赤字転落が現実の問題になるというようなことが起こっています。その中で、法人事業税減税をあえて行う理由をぜひお伺いしたいと思います。
  157. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 これはたびたび申し上げておりますとおり、国、地方を通じて、いわゆる所得課税、個人所得課税と並んで、法人課税についても国際的な水準に歩調を合わせられるように、ともかく今大競争時代に入っているわけで、法人税制ということも非常に大きなそういう意味でのインフラを形成する要素であります。そのことがまた、雇用の確保ということを将来的に展望したときに非常に大事な要素でもあるわけで、そういった点から、法人課税を国際水準並みにしようということはかねてから強い要請があったことは御案内のとおりと思います。  そういった中で、国税だけでやれというのも一つ考えでありますけれども、率直に言って、国も地方もお互い財政状況はどっこいどっこいの厳しい悪さにある。こういう中で、地方においてもそれなりの軽減措置を図るということで、法人事業税についても引き下げを行ったということであります。  しかし、そのかわりにと言ってはなんですけれども、それにかわる措置として、御案内のとおり、法人税地方交付税率を引き上げたということによって、地方税の落ち込み分、減収部分をこれによって補てんをしているということは御案内のとおりであります。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 春名直章

    ○春名委員 国際的な水準に引き下げるということが最大の眼目で、競争力を強めるということが引き下げていく大きな理由だということを言われました。  そこで、その点をあえて伺っていきたいと思うのですけれども、その前に、御存じだと思いますけれども、法人事業税というのはピークの平成年度には六兆四千七百六十三億円の税収がありました。ところが、平成年度になりまして四兆八千二百九十四億円です。一兆六千億円を超す税収の落ち込みです。都道府県税全体の税収に占める割合も、最高時が平成元年とお聞きしていますが、四三%ありました。平成年度には三二%に落ち込んでいる、こういう状況でございます。この法人事業税の落ち込みが直接の要因になって、東京や大阪、神奈川、愛知などが赤字転落ということで政治問題になっています。  そういう中であえてやられるわけであります。それ相当の根拠がなければなりません。その点を聞いていきたいと思います。  諸外国に比べて日本の法人の税負担が高い、国際競争力を高める上でそれがネックだというお話でありますけれども、果たして日本の法人の税負担が諸外国に比べて高いのでしょうか。必ずしもそうとは言えない、これが税調自身の現在の結論ではないでしょうか。その点の認識を伺っておきたいと思います。
  159. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 確かにいろいろな物の見方があろうかと思います。  率直に言って、私も長い間税制改正関係に携わってきた経験がございますが、減税したくないという立場からすれば重いとは言えないという言い方になるわけでありますが、実際問題、納税者というか、そういう感覚からすれば、外国で企業活動をし、同じように日本国内で企業活動をする、そういった比較の中から、実感としていわゆる実質税負担などという言い方で比較をしたときもあります。政府としては、実効税率という表現で、所得を基準にして、所得に対して実効税率という言い方をしております。これでいくと、課税標準をどうとらえるかによって数字は動いてくるわけであります。そういう点で、それだけで一概に一つの基準としてすべてを判断することにはなかなかならないと思います。  しかし、課税ベースの広さ等、いろいろなことを含めた実感としていくなら、なるほど、やはり日本の場合はそういう意味で実質税負担ということで比較していくならば、重いという実感はわかるというのが関係者において幅広い理解がある。だからこそ、今回、そういう意味での国際水準並みのレベルにしようというその意思決定が行われたというふうに申し上げた方がよかろうと思います。
  160. 春名直章

    ○春名委員 実感で物を言われたら困るのですね、はっきり言って。  野田大臣が今おっしゃられた中身は、十年の十二月に出された政府税調の税制改正に関する答申の中で述べられておりますけれども、その前の九六年の十一月、二年前にも政府税調法人課税小委員会の報告書というのが出されています。これも私は読んでみました。そうしますと、野田大臣が今おっしゃられたように、一概になかなか判断できぬというのが結論なんですね、税負担が重いというのは。だから実感ということをおっしゃったのかもしれませんけれども。  そこを見てみますと、「我が国の法人課税の「税負担」が国際的にみて重く、これが産業の国際競争力に影響を及ぼしているのではないか、また、このため産業の「空洞化」が引き起こされているのではないか、そこで、法人課税の軽減を図るべきではないか、といった問題提起がなされている。」というふうに述べた上で、こう言っています。  「「税負担」は、「税率」と「課税ベース」を掛け合わせたものであり、その国際比較を行う場合には、「税率」と「課税ベース」の双方について検討する必要がある。しかし、後者については定量的な比較は容易ではない。我が国の法人課税の表面的な「税率」が国際的にみて高い水準にあることは否めないものの、「課税ベース」と併せて考えると、法人課税の「税負担」水準の高低は、容易には判断できない。」こういうふうに述べています。  九八年の八月十八日に予算委員会で、大蔵省の尾原主税局長も同じ認識を披露しています。「法人の実際の税負担といいますのは、課税ベースに法人税率を掛ける、もちろん地方税を含めますが、それで出てくることは間違いないわけでございます。」「社会慣行が違う中で、その課税ベース掛ける税率の本当の税負担を比較するというのはなかなか難しい」、はっきり述べています。  だから実感というお言葉を言われたのかもしれませんけれども、実感ということからこのような大事な問題を判断されていいのでしょうか。私は不思議です。どうでしょう。
  161. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 春名委員に申し上げますが、私は、税の比較というのは実感がすごく大事だと思っているのです。それは何も感覚論で言っているんじゃないのです。  さっき言いましたように、同じ企業——これは経団連でかつて調査したことがあります、私もその掌にありましたから、だから申し上げたのです。同じような事業を日本国内あるいは海外で行った場合に、どの程度の負担になっているかという比較をしている。その結果、日本の方が高いということが背景にあったのです。  そういう意味で、納税の実感、実質負担というか、それからいって高い、こういうことを言っているのであって、何か数字の裏づけなり、論理がなくて感覚的に抽象論で実感と言っているのではない。むしろ表面的な形式論議だけで比較をすることの方が、私は恐ろしい結論に至るだろう、そう思います。  課税ベースの話であったら、それは企業会計、いわゆる会計処理方法が必ずしも国際社会の中で完全統一されていないわけでありますから、そういう点で、一〇〇%きちんと同じベースで比較をした数字を出すというのは、それはなかなか困難なことであります。それは慣行自体が違うわけであります。退職金を支給する慣行、しない慣行、いろいろあるわけで、そういった意味で、税務会計における取り扱いが企業会計における取り扱いとどういう関係になっているのか、その際に課税ベースがどうなっているのか、さまざまな角度から比較しなければいけません。  しかし、大事なことは、その比較が難しいからといって一概に高いとはいえないという結論を出すよりも、同じような企業活動を日本国内と外国とにおいてやっている実際の納税者が、どちらの方でより負担が重くなっているかということは非常に大事なデータだと私は思っている。だから申し上げたのです。
  162. 春名直章

    ○春名委員 低いというデータもあるのですよ。そのことも御検討ください。  それから、そういうふうにおっしゃるのであれば、国際的な水準に引き下げるということによって、そのために今度の税制改革をやるんだという根拠がなくなりますよ、実感だとおっしゃるのだから。国際的な水準に税率を引き下げる、法人課税の税率を引き下げるということを言われるわけだけれども、しかし、課税ベースを合わせればその負担というのはどうなるかわからぬというのが実際の姿、だから実感というふうにおっしゃるわけであります。  そうだとすれば、今度の法人事業税まで含めた減税をやる、四〇%まで引き下げるということの根拠自身が全然ないじゃないですか。どうしてそういう結論になるんでしょう。なぜ実感ということだけを言われて、根拠が、先ほど言ったけれども、税率でいえば低いのも高いのもある、税率でいえば数字が出ますからね。  しかし、その数字の問題でいっても、これは「地方税」という雑誌の一月号で自治省の府県税課長さんが対談で言っているのですけれども、この税率の問題でもいろいろ問題があるんだと言われているのですよ。法人課税の実効税率四六・三六%が諸外国に比べて高いか低いかという議論がある、特にアメリカと比較しての議論があったようだけれども、アメリカでは、カリフォルニア州の四〇・七五%よりは高いけれども、ニューヨーク州の四六・〇八%に比べればそんなに違いはない、何が国際基準かは、法人課税の税率そのものだって何が国際基準かは人によって見方が違うのです。こういうふうに、府県税課長さん自身が「地方税」という雑誌の中でこういう議論をされているということが紹介されています。  そして、実感だとおっしゃる。全然根拠が、四〇%にどうしても引き下げなければいけないという根拠が私には全く納得できませんね。それは大蔵との議論もしなければいけないし、予算委員会議論もあるでしょうけれども、そのようなことで地方財政自主財源を引っぺがしてしまうようなことにならざるを得ない。それでいいんでしょうか。  だから、私が聞いているのは、高いも低いもそれは判断できない、それが今の到達点じゃないですかと聞いているわけであって、その点をお答えになっておられないように私は感じますけれども、いかがですか。
  163. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 私が先ほど来るる申し上げておるとおり、今までの日本の法人課税は高いという問題があるので、それを国際水準にまで下げましょうということで、こういうことが行われた。そのうちの一つとして事業税についても引き下げを行ったわけでありますが、その点について地方財政に支障を来すようなことがあってはならないということから、交付税において法人税交付税率をその部分引き上げることによって、地方税減収事業税減収に対するリカバーをやった、こういうことを申し上げておるわけであります。  それから、事業税ではなくて企業課税全体として今いろいろ御議論があろうかと思います。もし必要ならばいろいろやったっていいのですが、むしろ、その主たる分野は大蔵委員会できちんとおやりになる方がいいかもしれません。  ただ、私はあえて、お聞きになりましたので、私自身の今までやってきた考え方の中で、今日の、今現在の云々だけじゃなくて、今までの議論背景を私なりの言葉で申し上げたわけで、その中であえて実感という言葉を使ったのは、そんなにないがしろにされるべき世界ではない。  私は、そういう意味で、くどいように申しますが、同じような事業形態をして、日本国内における納税額と海外における納税額とどっちが重いかということを比較することは、そちらの方がより重要な意味があると信じているから、あえて申し上げておるのであります。
  164. 春名直章

    ○春名委員 先ほど、実は低いのじゃないかという試算もあるということを言いましたけれども、前の議論のときにも紹介したのですが、税調もやっておられた東大の神野教授が指標を出しているのですね。  九〇年代の前半時点での法人の直接税負担、このシミュレーションを自動車分野に限ってやってみた。そうすると、イギリスとほとんど日本は同じだ、アメリカ、フランス、ドイツよりは約二割程度低い水準だというシミュレーションが出た。しかしそれ以降、欧米では法人税関係を増税し、日本だけが減税をやっているから、今の時点ではあの数字よりももっと格差が開いているだろうということも言っています。  だから、実感ということであえて言えば、日本の方が今重いとは言えない。その点を、実感の議論をやっていけば時間がまたたっていきますけれども、そういう問題なんです。  今の議論を私は聞いていて、大臣の言わんとしていることもわかりますけれども、その根本の国際水準に合わせるんだということの根拠が、基本的にいうと非常に希薄だと思うのですよ。その中で、これだけあえいでいる地方税収自主財源を引っぺがしていくようなことをあえてやるような必要があるのかという問題提起を私はしているわけであります。その点を改めて指摘をしておきたいと思います。  そして、こういう減税をやるための、恒久的減税財源補てんもまた問題だと思います。前回の所信の質問でも示しましたけれども、今回の恒久的減税に伴う地方財政への影響額は二兆五千九百九十五億円であります。そのうち、一兆三百二十億円、これは四〇%に当たりますが、実質地方負担であります。その中には、赤字地方債である減税補てん債が二千六百七十八億円含まれています。個々の自治体を直接苦しめることになります。  私は、国が行う景気対策というのは、また減税というのは、当然、国がすべて責任を持つべきだと思います。そして、本会議で総理大臣にこの点をお聞きいたしました。今回の減税は恒久的なものだ、地方自主財源を減少させて、一年限りでない負担地方に恒久的に押しつけることになる、これは地方自治の拡充という方向と真っ向から逆行するものになっているんじゃないか、このように思いました。総理にそのことをお聞きしましたが、この点はお答えになっておられません。自治大臣としてはそのように考えないのかどうか、この点をお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  165. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 景気対策としての減税はもっと国の責任でやれ、端的に言えばこういう趣旨お話であったかと思ったのですが……(春名委員「そうではなくて、それと同時に、恒久的に自主財源が減るという、恒久的になっているということについてどう考えるかということを一緒にお答えください」と呼ぶ)  今回、地方税の世界においても、景気対策との関連だけではもちろんありません。地方税自身としてのあり方論の中をも含めて制度改正を行ったところでありますが、その中で、景気対策角度からの部分もあったことはそのとおりであります。  それは、少なくとも国の景気回復という側面において、何といってもこれは国だけの課題ではなくて、国、地方を通ずる共通の課題であるということは言うをまたないことだと思います。地方税収を安定させていくにもやはり経済がしっかりと回復していかなきゃならぬ、それが大前提であるということはそれは当然のことであります。  いま一つは、税というのは、必ずしも国税地方税、全く無関係に存在し得るというものではありませんで、やはり所得課税なりあるいは法人課税なりというものは、やはり国、地方を通ずる税負担という発想も、納税者から見ればあるのは、これまた当然の世界でもある。そういった角度から全く無関係だというわけにはいかない。  しかし、そうはいいながら、地方税ができるだけベーシックな地方行政サービスと密接に関係があるだけに、極力その種の政策によって大きな変動を受けないようにしなければならぬという要請、これもまた当然のことでありますし、地方財政の現在の厳しい状況というのは異常なものもあるという環境の中で、ぎりぎりの国、地方の、言うなら減税額の負担配分というものが決められたということでありまして、そういう点で、個人所得課税でいえば、国が三兆二千億、地方が一兆一千億、法人課税でいうと、国が一兆五千億、地方が八千億ということで、トータル、国が四兆七千億、地方が一兆九千億、こういう形で、国により大きなウエートを持たせた一つ減税額ということになっておるということでもあるわけで、そういう点では配慮を行っている。  それからいま一つ、これは毎回毎回申し上げてくどいようでありますが、少なくとも減税による地方減収分については、たばこ税の一定割合を国から地方移譲をしたということ、制度として移譲したということであり、そしてまた法人税地方交付税率を引き上げる、そういう制度的な措置を講じている。さらにまた、地方特例交付金を創設する。  そういうさまざまな財源措置を講ずることによって、地方の、言うなら自主財源の世界を確保するということに重点を置いた地方財政措置を今回行ったところであるという、トータルで判断していただければ、私は、今回の景気対策による地方税減税ということが、今地方一般財源を苦しめているというところに直ちに結論づけるのは早いのではないかというふうに考えておるわけであります。
  166. 春名直章

    ○春名委員 今補てんのこともおっしゃいましたので、私は思いますけれども、法人事業税や、もちろん住民税というのは地方税そのものです。自主財源です。しかし、特例交付金法人税の税率の引き上げという点でいえば、固有財源という位置づけにはなりますけれども、国から交付されているお金、交付税地方特例交付金、そういうものでやっているからかなり頑張っているということだと思うのですけれども、補てんがそういうふうにされているからそれでよしとはできないと思うのです。やはり、地方自主財源ということについて、地方税収ということについて、それをどう充実させるかということが財政の質、基本だと思うんですね。  地方分権推進計画でも、歳出規模地方税収入との乖離が存在している、地方税については、基本的に、この地方における歳出規模地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図ることが大事だ。財源一般を言っているのではなくて、地方税収との乖離、これを打開しなければいけないのだというふうに地方分権推進計画でも述べています。  地方税収を引き上げていくということが財政の質の問題として大事なのだということが全体の方向です。しかし、これはそれにいわば水を差すような方向ですね。だから、私は補てんはそれなりにされているのでいいじゃないかということでは済まされない問題だと思っています。  そして、今の御答弁で聞き漏らしたのかもしれませんけれども、こういう措置を恒久的におやりになるということになるわけで、一年限りではないわけですね、この補てん措置を。それは地方自治を拡充する、そういう視点から見たときに、私は問題があると言わなければならないと思うんですけれども、そのようにはお考えにならないのでしょうか。もう一度この点をお聞かせください。
  167. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今回の措置が百点満点だとはとても思いません。できれば、どなたかに御答弁申し上げましたが、地方特例交付金という仕組みをつくらないでもいいようなことができれば、それでなおかつ地方財政もちゃんと賄えるということができるなら、それにこしたことはない、これは当然だと思います。  しかし、そうはいっても、今日の異常な経済低迷を反映して、地方税収も落ち込むし、国税も落ち込んでいる。それを反映していわゆる交付税も落ち込んでいる。そういう厳しい財政状況下にあって、どうやってこれを乗り越えていくか、そして必要な地方財政需要を賄っていくか。そういう中からいろいろ苦労して今回つくり上げてきたという、これはもう率直にそういうことであります。  したがって、その中でとりわけ苦労した一つは、恒久的な地方税減税措置ということに伴う減収をどういう形で補てんをするか。それについて、これは先ほどいろいろ言いました法人税交付税率の引き上げの話であったり、たばこ税の話であったり、言うなら税源移譲を実際にそういう形で行うということであり、または特例交付金ということによって事実上地方税にかわる措置の形としてこれを財源裏づけに使うという措置であるわけで、この種の措置は恒久的減税でありますが、いずれきちんとした形での抜本税制改革ということをやらなければなりません。  そのときに地方税自体も見直さなければなりませんが、国、地方税源配分、あるいは国、地方の事務の役割分担、そういったこともきちんと、これはそんなにいつまでも先延ばしはできません。そういったことをきちんとやらなければならない。そのときには、今のような措置はもう一遍見直しをして、より簡明な形で、より地方自立性自主性が保障される形での財源裏づけ、組み立てをしていかなければならないということは申し上げておるとおりでありまして、これを未来永劫固定化しようなどということは毛頭考えておらないということははっきり申し上げておきたいと思います。
  168. 春名直章

    ○春名委員 では、続いて、話を進めていきます。  今、いずれそういう抜本的な対策をということで、これがいつまでも続けばいいというものじゃないということをおっしゃいました。そのとおりだと思います。  十六日の当委員会での質疑の中で、大臣が、今の話なんですけれども、今回の恒久的減税に伴う地方税減収補てんについて、この措置は当分の間続けられるということについて質問を受けて、当分の間とはそう長いことであってはならないという旨の答弁をされております。それは、今お話があったように、地方税減収がやはり地方自主財源である地方税で補てんされるような方向自主財源が拡充をされるような方向、そういうことが早く必要だからだという御認識だと思うんですね。それは、うなずいていらっしゃるのでそうだと思うんです。  そこで、そのことを確認した上で、もう一つお聞きしておきたいんですけれども、この補てん措置の中の、減収分の四分の一が減税補てん債で補てんされることになっています。減税補てん債というのは赤字地方債です。そうしたもので減収額の一部を補てんするということは望ましいことかどうかということについての認識を聞いておきたい。財政の健全性を損なうようなものになると思うんですけれども、こういうやり方、減収額の一部を赤字地方債で補てんするということについて望ましいのかどうかということもあわせて聞いておきたいと思います。
  169. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 望ましいか望ましくないかと問われたら、望ましいとは言えないと思っています。必要やむを得ざるところであると言う方が素直だと思います。これが永続的な話でないことも、そのとおりであります。そういう意味で、当面のやむを得ざる措置と言った方がいいと思います。
  170. 春名直章

    ○春名委員 確かにそのとおりでございまして、地方財政法の五条は、こういうものなら地方債は発行してもよいという書きぶりになっているんですね。減税補てん債というのはその五条にも該当しませんので、特別な規定を定めなければ発行できないというようなことになっているわけです。そういう性格のものが恒久化してしまえば、望ましいわけないんであって、当然のことだと思います。  そういう点からお聞きをしていきたいと思うんですけれども、さて、当分の間ですね。この当分の間というのは大体どれぐらいの期間を想定しているのか。どれぐらいの期間でこうした措置はやめると、大蔵との話し合いの中で、大体何年間ぐらいはこれでいこうというような話があったのかどうか。  それから、自治大臣は決着したときには大臣ではございませんでしたので、直接の当事者ではございませんけれども、そうであれば自治省にお答えになってもらってもいいんですけれども、自治省の意向として、当分の間というのは、望ましくない措置だから何年ぐらいまでには何とかする、何年間で何とかする、その辺のお話、そういう認識、どういうふうにお考えになっているんでしょう。
  171. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回の恒久的な減税に対します補てんとして、先ほど来大臣からお話がございましたような、いろいろな組み合わせの財源補てんをいたしておりますが、これはあくまでも今回の恒久的な減税が続いております間のものでございまして、抜本的な税制改革が行われるまでの間ということでございます。私どもと大蔵省の方とで補てん措置を折衝し、合意いたしましたときにも、それ以外に、その手前とかそれ以外の期間で当分の間ということを想定いたしたことはございませんで、これはあくまでも抜本的な税制改革が行われるまでの間というふうな両方の理解でございます。
  172. 春名直章

    ○春名委員 どうもできるだけ早くというような認識が出てこないんですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。こういう好ましくない、やむを得ざる措置を一日でも、一日いうたらあれですけれども、早く解決をするということだと思うんですけれども、大臣はどういう御決意、どういう認識なんでしょうか。
  173. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 これは本当にたびたび申し上げておるんで、簡単に申さなきゃならぬと思うんですが、今局長が抜本的税制改革という言葉を使いました。その抜本的税制改革ができる環境というのは一体どういう環境かということを考えれば、やはり仕事の事務配分、国、地方の個々の問題、それに合わせた財源見直し、当然そういったことが連動する話だと思っています。  そのことは、そんなに遠く、いつまでもずるずるとやるようなことではこの日本国はおかしくなるわけでありますから、そういう意味で、経済が最低、安定軌道に乗るということがまず大事なことだ。これは予算委員会でも大蔵大臣からもそのことは明確に申し上げられておるとおりでありますし、そういったことを考えれば、そんなに遠くはないと私は思っているんですよ。
  174. 春名直章

    ○春名委員 そんなに遠くはないという御答弁ですけれども、なぜこれを聞くかといいますと、通常収支の財源不足の補てん方法にこれは関係してくるからなんですよ。恒久的減税交付税の影響額の一兆五千二百八十四億円、この補てんは交付税特別会計借入金で補てんして、その償還を国と地方で折半するとされましたね。通常収支のやり方というのは二〇〇〇年までそういう形になったわけだけれども、恒久的減税の場合もこのやり方を導入しています。この理由、何ですか。これは財政局長の方がいいと思いますけれども。
  175. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 恒久的な減税に伴います交付税の減分につきまして国と地方とで折半をして補てんするということにいたしておりまして、今御案内のように、平成年度から三年間定めた財源不足のやり方として折半というやり方をいたしておりますことも一つ。それから、先ほどの議論にもございましたが、基本的に国と地方一般財源ベースで、交付税まで含めますと国と地方がおおむね一対一になっているというふうなことを考えまして、折半をするということにいたしておるものでございます。
  176. 春名直章

    ○春名委員 今財政局長が、通常収支の財源不足の補てん方法、二〇〇〇年までの折半ルールを参考にしたということをおっしゃいました。その点を確認した上で質問しておきたいと思うんです。  今、るる話の中で、この通常収支の補てん方法というのは平成十二年度限りの方法です、平成十二年度までですと。今回、恒久的な減税による地方減収分の一部を補てんする、そういう方法としてこのルールがこちらの側にも、恒久的減税減収分にも当てはめられたということになりますと、恒久的減税の方はそう遅くないというふうにおっしゃるわけだけれども、別に期限が切られているわけではありません。平成十二年度までというふうにはおっしゃっておりません。できるだけ早く解決して、景気がよくなったらというふうにおっしゃっていますけれども、そんな一年、二年ですぐ解決するというような景気状況ではありません。  そうすると、私が非常に危惧をしておるのは、この措置が、折半ルールが当分の間続いていくわけだから、通常収支の補てんの方法も折半ルールが二〇〇一年以降も続けられるんじゃないかということを私は危惧をしております。二〇〇一年以降も続けられるということにはならない、二〇〇〇年度までできちっとこれはやめる、恒久的な減税の補てんの措置だけは続ける、そんなことになるでしょうか。そんなことにはならないと思うんですね。二〇〇〇年で終わるんですか。本当に終わるということでいいんですか。
  177. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 恒久的な減税に伴います財源措置、これは地方税の減に対します措置、それから国税減税に伴います交付税の影響額、全体ひっくるめまして、恒久的な減税に伴うものは、先ほど申しましたようにこの恒久的な減税が続いております間はそれによって対応するということに決めております。  それから、一方で、通常収支の不足につきましては、今は十年度に設けましたいわゆる折半ルール、十、十一、十二をそれでいくということで法律で定めておりまして、それ以降のことについては何も決めておりません。  したがいまして、それ以降の状況につきましては、その時点におきます財政状況財源不足がどうなるかといったようなことをよく見て考えなくちゃいけませんが、今そこまで決めておるわけではございません。十三年度以降の通常収支の分につきましては、いずれにしてもそのときの財政状況考えながら、地方財政運営に支障が出ないようなやり方を考えていかなくてはいけないというふうに思っております。
  178. 春名直章

    ○春名委員 時間が参りましたので終わりますが、このルールが、通常の場合も、また二〇〇〇年以降も続けられるようなことになりますと、またしても地方の大きな負担になってきます。  そういう点を指摘し、まだ聞きたいことはありますけれども、後に回すことにしまして、きょうはこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  179. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、畠山健治郎君。
  180. 畠山健治郎

    ○畠山委員 けさからずっと議論が続いておるわけでありますから、かなり重複する部分もあろうかと思いますが、通告をいたしておりますから、お許しをいただきながら、質疑をさせていただきたいというふうに思っております。  さきの予算委員会でも大蔵大臣自治大臣お尋ねをいたしたところでありますが、九九年度地方財政対策の根幹部分について改めて、確認も含めてお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。  今回の地方財政対策の中心の一つは、財源不足の補てんに対する中央、地方の折半方式について、通常収支十兆三千億円から一般会計加算額五千五百億円を除外したこと、二つには地方税減収に対する六千四百億円の地方特例交付金の創設、そして三つには法人税配分割合の引き上げ、こういう点にあろうかと思っております。  不足財源から一般会計加算分を差し引いた折半方式を適用したわけでありますから、従来の補てん方式よりも一歩前進したものと評価をいたします。が、本当に評価をし得るか否かは後年度の対策いかんにかかっておると言ってよろしいかと思うんです。といいますのも、この加算額には、これまでの交付税法の附則で九九年度に一般会計から繰り入れることとなっている約三千三百億円を含んでおるからであります。したがって、純然たる一般会計加算額は二千二百億円にすぎない、こう言ってよろしいんではないかと思うんです。  このような加算措置は、今回に限らず、これまでもたびたび行われてまいったところでありますから、両大臣の覚書があるとはいえ、何かごまかしではないのかというふうに言われても仕方がないのではないかという要素が含まれておるというふうに思いますが、この点、改めて確認をさせていただきたいと思うのです。
  181. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成十一年度の一般会計からの加算額五千五百億、今お話のございました金額でございますが、これにつきましては、法定加算額に加えまして、財源不足規模相当大きいということ、それから覚書加算額の状況交付税特別会計における新規の借入金をできるだけ抑制したいといったようなこと等を総合的に勘案いたしまして、できる限り一般会計からの加算措置を講ずることとした結果の額でございます。  この額は、今委員指摘のように、法定加算額約三千三百億円に加えまして、臨時特例加算額を二千二百億円として、合わせて五千五百億円といたしておるわけでございますが、国の方も多額の特例公債の発行によって一般会計予算を編成する中で、ぎりぎりの結果として決めた額でございまして、御理解をいただきたいと思います。
  182. 畠山健治郎

    ○畠山委員 補てん措置のルールといたしまして折半方式の外枠で行われた今回の一般会計加算措置は、先ほど来いろいろ議論がなされまして、今回限りではなくて恒久的減税がやられておる間は、こういうことの確認ができたところでありますが、これが外枠で措置されたところに、来年度地方財政対策意味があると考えます。制度減税が行われる間という確認がとられたところでありますが、改めて大蔵省、確認してよろしいんですね。
  183. 藤井秀人

    藤井(秀)政府委員 お答え申し上げます。  先生と大蔵大臣との間で先般の予算委員会でそのような趣旨のやりとりがいろいろあったことは承知をいたしております。改めて、若干重複するかもしれませんけれども、御答弁をさせていただきたいと思います。  財源不足のうちの地方交付税の増額により補てんする分については、平成年度から平成十二年度までの三年間、国と地方が折半して負担することといたしております。十年度におきましては、国の負担部分につきまして一般会計からの加算措置を含めているのではないかということで、この問題は折半の趣旨に合わないということで、先生からも種々御意見を賜ったという経緯があろうと思います。  そこで、平成十一年度の対策につきましては、こうした議論も踏まえまして、一般会計からの加算措置につきましては、地方財政全体の収支の改善に資するよう、一般会計から加算を行った上で、その残余について国と地方が折半で負担するということにいたしたところでございます。  こうした折半ルールといいますのは平成年度から十二年度までの三年間の制度改正ということでございますので、最終年度たる十二年度においてどのような措置を講ずるかについて、現段階ではなかなか確たることは申し上げられないと思います。ただ、いずれにいたしましても、やはり国、地方、これは公経済としての車の両輪ということでございますので、私どもといたしましても、国と地方がともに円滑な財政運営をなし得るよう、今後とも適切に対処していきたいというように考えております。
  184. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方交付税法六条の三の二項の規定からすれば依然問題は残る措置と言えるわけでありますけれども、この論議は長いこと議論してきたことでありますから、今回はおくといたしましても、自治省としても、折半方式の外枠とした今回の措置は、当然、後年度においても継続を前提財源対策を講ずるものと考えます。この点、予算委員会での自治大臣答弁、いささか歯切れが悪かったというふうに私、受けとめておりますが、どうかひとつ積極的な御答弁をいただきたいというふうに思います。
  185. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 歯切れが悪かったかどうかちょっとよくわかりませんが、改めて申し上げたいと思います。  平成十一年度における一般会計からの加算方式の変更については、財政当局と単年度の措置として合意し合ったものでありまして、平成十二年度以降の措置については改めて協議することとなります。したがって、今後どのような措置を講ずるかについて現段階では確たることは申し上げられませんが、いずれにしても今回の加算方式の変更の趣旨を踏まえて適切に対処をしてまいりたいと思います。  平成年度から十二年度までの三年間の中期のルールがある中で、その最終年度である平成十二年度においても仮に極めて巨額の財源不足が生じることとなるならば、現在のルールそのものについて見直す必要が生ずることも考えられるわけであります。  そういった点で、やはりその財政状況財源不足というものがどの程度のマグニチュードのものであるかということを見ながら、必要な措置を、地方財政運営に支障を来さないような措置を講じていくということが私の仕事だ、そう思っております。
  186. 畠山健治郎

    ○畠山委員 確かに覚書からすれば単年度になっておるかもしれませんが、自治大臣として地方税財政に責任を持つ立場からすれば、自治省としてはやはり敢然たる立場でしっかりと取り合ってもらわなければ大変心配だというふうに言わなければいけないというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  それから、昨年の十二月十九日に両大臣で取り交わされた覚書では、例えば四項、五項、七項、すべて平成十七年度以降において調整するとされております。ここで言う十七年度とした理由は一体何なのか。予算委員会では、大蔵大臣は、そう書いておったというふうな答えがございましたが、改めて、自治大臣、御確認をいただきたいというふうに思います。
  187. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今御指摘のように、今回の一般会計からの加算措置も含めまして、地方財政運営に支障が生じないように対処するとともに、両大臣の覚書におきまして、平成十一年度において加算することとされていた額につきまして平成十七年度以降の十年間で加算することとして、この旨を法定化して今回御審議をお願いしているということでございます。  この十七年度以降において加算することとしておりますのは、この十一年度におきまして交付税特別会計の新たな借り入れがございます。この借り入れにつきましては、地方負担をする分についての償還は五年据え置きで、平成十七年度から十年間ということで償還を設定いたしております。したがいまして、なるべく後年度地方交付税の安定的な確保に資するように、加算の方も十七年度以降ということにいたしました。  この考え方は、平成年度以降、大体五年度据え置いて十年間で加算するということにいたしておりますので、十一年度のものにつきましては、その考え方で、後年度交付税の安定的な確保を図るという観点から、十七年度以降ということにしたものでございます。
  188. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そうしますと、来年度以降の財政状況によっては新たな精算調整もあり得るというふうに理解してよろしいのですか。
  189. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 この点につきましては委員からもたびたび御指摘をいただいておりまして、私どもは、両大臣の覚書において加算することとされております毎年度の額につきましては、基本的に当該年度に加算されるべきもの、そういう基本的な考え方で対処をいたしたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、毎年度財政対策を講じる中で、やはりそのときの国と地方財政状況等を踏まえながら、その覚書加算の額につきましても、財政運営に支障が生じないような対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  190. 畠山健治郎

    ○畠山委員 来年度地方税収のマイナスは八・三%と大変大きな減収が見込まれてございます。こうした税収減はもちろん戦後初めてのことで、現下の地方財政窮乏化原因の第一はこれにあると考えます。加えて、法人事業税の税率の引き下げ、高額所得者に対する最高税率の引き下げも、これを加速させておるというふうに言ってよろしいかと思います。したがいまして、恒久的減税による地方税の影響を放置することは許されることではないというふうに思います。  そこで、自治大臣お尋ねいたしますが、法人事業税を引き下げておきながら懸案の外形課税化の時期をはっきりさせないということはどういうわけなのか。確かに、景気が大変な状況にある、今は大変だということはわからないわけでもない、わかるわけですけれども、せめて、見えるような形でやりますよ、時期は特定できませんけれどもというぐらいの立場はとる必要があるんではないだろうか。それがない限り、自治体は先々も財政に対する自信が持てない、不安が続く、こういうことになろうかと思いますが、いかがでしょう。
  191. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 事業税の外形標準化の導入時期について、時期を明示せよ、この種のお話であります。  私から言わせれば、先ほどもどなたかの委員に申し上げたんですが、ザ・スーナー、ザ・ベターだと思っておりますが、ただし、そこへ行くにはよほど国民的理解を必要とする。特に、今日非常に経済全体が低迷している中で、特に中小企業にとっては死活の問題に直面しているところも多いわけであります。  そういったところで、所得がない、言うなら赤字の中小零細企業に対して外形標準という形で課税が行われるということに対する受け入れがたき意見ということも十分理解できる部分もあるわけで、そういう点で、率直に申し上げて、これは理屈の世界と同時にやはり負担の世界という部分があって、その中で、大変長年の懸案でありながらなかなか率直に言って具体化するのに多少時間がかかっておるということは、もう既に十分、首長さんを経験である委員には、御理解をいただけることであると思います。  しかし、そうは言いながら、少なくとも地方行政の性格、内容というものがより住民生活に密着している、それだけに、景気変動を受けにくい形で税源普遍性のある形で、応益的な形で保障されるということを考えると、その必要性考えると、この事業税というものを所得を課税標準とする形から外形標準というものを導入していくということは非常に大事な流れであるし、ぜひそれは実現をさせたいというのが悲願でもございます。  その時期をできるだけ早く持っていきたい。それには、せっかく先生からもその種の御意見をちょうだいをしておることでありますから、私どもがそのことを御提案を申し上げるときには、ぜひ積極的な御賛成、バックアップをお願いを申し上げたいと申し上げておきます。
  192. 畠山健治郎

    ○畠山委員 自治体の立場からすれば、赤字であろうとなかろうと既にサービスを受けているんですね。受けておるわけですから応分の町内会費はやはり納めていただくというのは当たり前だと思うのですがね。ぜひそういう御判断に早く立っていただきますようにお願いを申し上げたいというふうに思うのです。  次に、交付税配分についてでございますが、ごく最近の一部のマスコミが、地方に厚く、大都市、大府県には薄いという、大分批判を高めておるようであります。一見俗耳に入りやすいものでありますが、ロビンフッドの矢ともいうべき地方交付税の意義は、標準的行政サービスの全国的保障であろうかと思うのです。  税源の不均衡を調整する地方交付税だけをやり玉に上げるということは、適切な議論とは思えません。税源移譲とワンセットにしながら今後の交付税配分あり方考えるべきだというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。
  193. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 要は、交付税の意義というのは標準的な行政サービスの全国的な保障にあるんだ、だから税源の不均等を調整する交付税だけをやり玉に上げるのは適切な議論ではない、こういう趣旨お話。したがって、今後の交付税配分考えると、税源移譲とワンセットで考えなきゃいけませんよ、大体この種のお話であったかと思うんです。  これはもう釈迦に説法と存じますが、我が国の行政は、法令等に基づいて国、地方役割分担しておるわけで、今現在、最終支出ベースでは地方は約三分の二を分担をしておるということになります。そして、国、地方間の負担区分に応じて税源配分がなされておる、こういうことになっておるわけであります。  その場合に、地方税収は地域間で偏在するという問題がある。これは一人当たり、道府県税収で見ると三倍程度の格差があるというようなことから、地方財源地方税交付税を組み合わせた形で確保して、これに経費の性格に応じて国庫補助負担金が交付される、こういうことになっておるわけでございます。  交付税は、税財源配分の一環をなす制度であるわけで、地域間の税源の偏在を前提としてその地方団体間の財政格差を調整するということと同時に、各地方団体がその役割分担に応じた責務を果たすことができるように財源を保障するためのものである。これは、制度趣旨はもう御案内のとおりであります。  今後、地方分権推進計画趣旨にも沿って、国、地方役割分担見直しをやらなければいけない。また、それに対応した国庫補助金の整理合理化、これもやらなければいけませんし、何よりも地方税財源充実確保そのものを推進していかなければなりませんが、各地域の自立を進めて、分権というか、地方主権という言い方もあるわけですが、本当の意味地方自主性自立性を保障する、そういう地方行政を支えていくためには、やはり地方交付税制度というのは引き続き、地方自主財源たる、自主独自税である地方税と同時に、この交付税制度というのは大事な一般財源を構成する基幹的要素であるというふうに考えておりまして、その所要額の確保にはこれからも努めてまいりたいと考えております。
  194. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ちょっと私の尋ね方が間違っておったのかどうかわかりませんが、言ってみれば、地方交付税がこっちへ余計に行った、こっちへ少なく行ったなんていうような議論だけではなくて、移譲財源も含めてどうあるべきかということをこれから先は考えていかなきゃいけないだろうということだと思うんですね、多いとか少ないとかという議論だけじゃなしに。ぜひひとつそのように受けとめていただきたいというふうに思います。  次に、公債費負担対策として、政府資金の繰り上げ償還並びに借換債の発行が認められることになりました。これによって、起債限度比率一五%以上並びに一四%以上の団体で特別な財政事情のある団体に限り対象とされるということになっております。  そこでお尋ねをいたしますが、特別な財政事情を有する団体とは、具体的な基準と申しますか、一体どういう団体ということになるんでしょうか。そして、それを想定した該当する団体は幾つぐらいあるんですか。そのことをまずお尋ねいたします。
  195. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回の公債費負担対策におきます政府資金等の繰り上げ償還につきましては、基本的に起債制限比率が一五%以上の団体を対象と考えていますが、それに準ずる団体として、今御指摘がございましたように、制限比率が一四%以上で特別の財政事情がある団体を対象にするということにいたしております。  具体的には、起債制限比率が一四%以上で、かつ単年度の起債制限比率が一四%以上で、しかも赤字団体または激甚災害等の指定団体ということを予定いたしておりまして、全体で約五十団体ぐらいが該当するだろうというふうに考えております。
  196. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そうしますと、今一応の基準が示されたわけでありますから、裁量権は全くないということと理解してよろしいですか。
  197. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 客観的な指標で団体の該当が決まってまいりますから、裁量とかそういったことはございません。
  198. 畠山健治郎

    ○畠山委員 バブル期の高い金利を軽減する措置としての今回の対策は歓迎したいというふうに思います。  問題は、これに手を挙げる自治体がどれほどあるかというようなことであります。金利負担は確かに軽減されますが、ある意味からすれば、これは自治体に対する格付ということにもなるわけでございます。そのプラス・マイナスを勘案した場合、必ずしも該当する団体すべてが手を挙げるとは限らないというふうに言わなければならないかと思うんです。しかも、特定債を除けば三年間普通会計債の発行はできないとなれば、なおさらのことであろうかと思うんです。対策と実態との隔たりが生ずる可能性があると考えますが、見解をお尋ねいたします。
  199. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回の措置は、公債費負担が著しく高い団体につきまして、資金運用部資金法に定めております確実かつ有利な方法で運用するという運用原則に沿いまして、早期に貸付元本の回収を図るという面と、それから公債費負担対策の一環としてそれぞれの該当する団体の公債費負担の軽減を図ろうというものでございまして、そのような考え方を踏まえて、新規の政府資金の貸し付けにつきましては、災害復旧事業債とかあるいは財源対策債等、一定の地方債を除いて三年間停止されるということになっておるわけでございます。  それらも考え合わせてのことでございますが、やはり今回の措置によりまして高金利の地方債の金利負担が軽減されるということになりますので、この要件を満たす地方団体におきましては、今既に当初予算の編成作業中でございますが、あるいは議会に出しているところもございますが、その中でこの繰り上げ償還のための公債費を計上している団体もあるというふうに聞いておりまして、公債費負担の特に重い団体にとって、公債費の負担適正化計画の策定とあわせて、公債費負担の適正化、軽減に向けて大きな一歩になるというふうに私ども期待いたしております。  なお、私どもといたしましては、政府資金の新規貸し付けが三年間停止になるということを申しましたけれども、この場合にも、一定のものにつきましてはその対象の外になっておりまして、該当団体でこれまでの実績からいきますと、半分以上の地方債はこの例外にできるんじゃないかというふうに考えております。  また、それ以外の地方債につきましても、資金面で私どもまた必要な配慮をして、地方団体地方債の発行に支障がないようにしていきたいというふうに考えております。
  200. 畠山健治郎

    ○畠山委員 まさかこんなことがあるとは考えたくないんですが、手を挙げる資格がありながら手を挙げなかった、だとすれば、まだ余裕があるんじゃないのかというようなことで逆に嫌がらせが起こる、起こらないという保証もないと思うんですが、いかがですか。
  201. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 私どもは全くそういうことは考えておりませんで、一定の要件に当たるところで公債費が高いというところからむしろ非常に強い要望がいろいろな機会に出された結果、大変シビアな交渉を貸付当局といたした結果、今回こういう措置をとることになったわけでございまして、地方団体の方がその上で、要件には当たるけれどもやらないということになれば、それはそれでまた一つ考え方だろうと思いますので、そこはあくまでもそれぞれの団体の判断の問題であろう。私どもはそういう道を開いたということと御理解いただければと思います。
  202. 畠山健治郎

    ○畠山委員 公営企業金融公庫資金についても同様の繰り上げ措置ないし借りかえが認められたことになっておりまして、これまた、対策としては評価をいたしたいというふうに思いますが、問題は、公営企業金融公庫資金の金利設定のあり方だと思います。  そこでまずお尋ねいたしますが、今の金利は幾らでしょうか。また、公営競技からの納付金もある以上、金利の弾力化を図ってもよいのではないかというふうに考えますが、いかがでしょう。
  203. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 公営企業金融公庫の貸付金利でございますが、これは、公庫自体が市中で資金を調達いたしておりますので、その資金調達コストに基づいて基準利率を設定する一方で、政府資金利率に連動してその中の特別利率あるいは臨時特別利率を設定しておるわけでございまして、現在の金利情勢のもとでは、政府資金の利率が二・一に対しまして公庫の基準利率と特別利率が二・二でございます。それから臨時特別利率が二・一五になっておるというのが現在の状況でございます。  この金利設定につきましては、先ほど申しましたように貸付原資の資金調達を債券発行で市中から行っているということでございまして、その調達コストに基づいて基準利率を設定することが基本でございますが、委員お話にございましたように、公営競技納付金等の資金を活用いたしまして貸付金利の引き下げとかあるいは公営企業借換債の充実に努めておるところでございます。
  204. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に話題をかえたいと思います。  運輸省、お見えでしょうか。公共交通問題についてお尋ねいたしたいというふうに思っています。  まず運輸省についてお尋ねいたしますが、現時点で、公営であれ民営であれバス事業について、廃止された事業体あるいは廃止路線、路線縮小、休止路線の実態並びに代替バスあるいは福祉バス運行をしている自治体の数等について、具体的に実数を説明いただきたいというふうに思います。
  205. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  廃止をした事業者は、平成年度二社でございますが、いずれも子会社に事業を譲渡しておりますので、このケースではバス路線はそのまま維持されております。また、廃止されたバス路線、休止されたバス路線でございますが、平成年度で廃止バス路線三千六百八十八キロ、休止バス路線千八百六十四キロでございます。一方、全体の免許キロは十五万四千八百七十二キロとなっております。一方、廃止代替バスを運行している地方自治体の数でございますが、平成九年十月現在で四百五十六となっております。福祉バスを運行している地方自治体の数は、申しわけございません、把握しておりません。
  206. 畠山健治郎

    ○畠山委員 自治省、おわかりですか。——なければ後で結構です。  ただいまの御答弁からいたしましても、地域社会、特にローカルな地域での住民の足である公共交通が著しく衰退しておることがあらわれております。このような実態に対し、運輸省は運輸政策審議会自動車交通部会において検討し、答申骨子に対する意見を求めておると伺っておりますが、答申骨子について説明いただきたいというふうに思います。
  207. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 乗り合いバスの今後のあり方について、運輸政策審議会の自動車交通部会の答申骨子素案をただいま公表して意見を求めているところでございます。その骨子の概要を簡単に御説明申し上げますが、需給調整規制を廃止するということが出発点になっておりますので、需給調整規制を廃止して競争を促進するという一方、地域のニーズに応じた生活交通の確保のための新たなシステムの確立を図るということが重要な課題だとされております。  その生活交通の確保のあり方でございますが、答申骨子素案の中では、具体的には、国と地方の適切な役割分担のもと地域の実情や住民のニーズに通じている地方公共団体がより主体的に関与していくことが望ましいという点。二点目でございますが、乗り合いタクシー、スクールバス、福祉バス等の活用や統合的運行による効率的な輸送形態の選択、あるいは生活路線を運営する事業者の経営効率化といった措置を講じるという点。三番目には、事業者が路線退出を希望する場合、その地域における足の確保、公的補助のあり方、サービス内容等につきまして、都道府県が中心となる、関係者をメンバーとする地域協議会を必要に応じて設置することが適当である。さらに、補助制度見直し地方財源充実等が重要な内容になっております。
  208. 畠山健治郎

    ○畠山委員 規制緩和によって適正な競争を求める、そういう考え方もあるというのはよくわかりますが、逆に、そうではなくて、撤退するという部分がふえておるというところに問題があろうかと思うんです。運輸省の期待する方向とは逆の方向に今作用している面が多く出ている、さまざまな問題点を抱えておる、こう言わなければならないかと思っております。  そこで、答申骨子では、平成十三年からの需給調整規制撤廃後の生活交通について、従来の内部補助は限界に来ており、これにとってかわる新たな仕組みが必要として、そのために「地方公共団体がより主体的に関与していくことが適当。」こうされております。  そこで、バスによる公共交通に対し、中央、地方役割分担について運輸省はどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
  209. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 地域の生活交通の重要性について、今委員申されたふうに運輸省も認識しておりますが、国の役割につきましては、この答申の中にも触れられておりますが、「国は、ナショナルミニマムの観点から維持することが適切であると考えられる広域的、幹線的な輸送サービス類型について、地方公共団体を通じて支援することが適当。」であるというような触れ方をされております。  地域の生活交通の維持につきまして、国と地方役割分担は極めて重要な問題であると考えております。運輸省といたしましては、応分の責任と役割を担っていく必要があると考えておりますが、今後どのような役割分担が、地域の生活交通の維持を効率的に図るという目標の達成のために望ましいかということを、この最終的な答申を踏まえまして、今後関係行政機関と十分検討、調整を図っていきたいと考えておりますが、実際的で効果的な役割分担の姿を構築する努力をしてまいりたいと考えております。
  210. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ナショナルミニマムの観点から広域的、幹線的な輸送サービス類型の維持は中央の役割、こう言っておりますよね。一方では、地方公共団体地域の生活者の足の確保や地域の町づくりの観点から、それぞれ責任を持つ、こううたっております。  それならば、こうした役割分担に見合う具体的な権限問題を論じてしかるべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  211. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 委員申されましたように、具体的な国、地方役割分担、さらには権限の分掌ということもさらに重要になってくると思います。国の役割分担、権限につきましては、道路運送の世界におきましては、輸送の安全の確保、利用者の保護に関する措置などは全国統一のルールで行うことが適当であると考えておりますので、引き続き国が行うことが必要ではないかと思っております。  一方、営利サービスとして成り立たなくなっているような生活交通につきましては、特にバス輸送のような地域の形態でございますと、地域のニーズに応じた確保を図っていくことが必要だと思っております。その際の国、地方の権限と責任の範囲と対応、国と地方公共団体の適切な役割分担でございますが、現在審議をされております運輸政策審議会にも触れられておりますので、その議論、最終答申を踏まえつつ、関係行政機関と十分調整を図って検討していきたいと考えております。
  212. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方分権の論議の中でこの点はさんざん議論してきたんですが、何としても運輸省は外そうとしなかったというような経過があるので、あえて今お尋ねをいたしました。  生活交通確保のための地方財源充実が課題となることから、これに見合った安定的な地方財源の手当てを関係行政機関と十分検討と言っておるわけでありますが、そこで言う安定的な地方財源とは一体具体的にどんなことを想定なさっていらっしゃるんですか。
  213. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 地方のバス輸送を維持するためには、地方財源充実が大変重要だというふうに認識しておりますが、具体的にどのような地方財源かという点につきましては、私ども十分な経験、権限がございません。今後、答申を踏まえた上で、関係行政機関、とりわけ自治省の関係の方と十分協議、検討させていただきたいと存じております。
  214. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そんな大事なことを、しかも今答申がまとまる、あるいは原案を投げかけておるという段階で、こんな大事なことの議論もしないで投げ込んでいったら無責任と言われても仕方がないんじゃないですか。さらに答弁してください。
  215. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 答申の協議の過程で、自治省と事務的には協議させていただいております。何せ運輸省独自の財源というわけにいかないものでございますので、自治省の事務当局の方と協議をしているということを御報告させていただきたいと思います。
  216. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今の議論を踏まえて、それでは自治省にお尋ねいたしたいというふうに思います。  現在、二種、三種あるいは自治体の代替バスについて、特別交付税で措置をしておるはずでありますよね。毎年度どれほど交付しているのか、また、この答申骨子の策定過程において、自治省は運輸省と、今お話がありましたけれども、詰まった話じゃないようですけれども、具体的にどんな協議をなさっておるのか、お聞かせいただきたいというふうに思うんです。
  217. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 まず、特別交付税でございますが、地方バス路線の運行維持に要する経費といたしまして、特別交付税に関する省令で算定いたしておりますが、平成年度分でその算定額は、県の分が九十七億、市町村の分が百三十三億、合わせて二百三十億円というふうになっております。  それから、運輸政策審議会でのいろいろな議論についてでございますが、これは運輸政策審議会の議論、検討の段階でございまして、その過程におきまして、私どもは運輸省当局の方から適宜情報提供等を受けておりますし、また地方の方の関心の非常に強い問題でありますから、私どもが承知しております限りの情報の交換をいたしておりますが、いずれにいたしましても、まだ審議会で議論されている段階でございまして、本格的にこれが具体化の検討が行われる際、あるいはさらに法令化が図られていく段階で当然政府部内での協議が必要でございまして、その段階で意思決定を行う際に必要な協議を行ってまいりたいというふうに考えております。
  218. 畠山健治郎

    ○畠山委員 いずれも各都市では、都市交を抱えてそれぞれ大変頭を痛めておる問題なわけでして、その認識は自治省十分持っていらっしゃると思うんですよね、今の実態、苦しみというようなことは。だとすれば、運輸省から御相談があったから御相談に乗るのではなくて、自治省自身の問題でもあるわけでありますから、しかるべき対応をしなきゃいけないというふうに思うんです。ぜひひとつ、詰まった協議が進んでいないとすれば、これから早急に両省で協議を重ねていくように求めたいというふうに思います。  一つの例を挙げたいと思いますが、具体的には島根県の出雲市、平田市では、民営バスは全く撤退する方向にあると承っております。地域公共交通に対する責任を自治体が積極的に担うためには、地域公共交通に対する国、地方役割分担と権限並びに地方税財源とは一体であるべきと考えますが、大臣の所見をお伺いいたしたいというふうに思います。
  219. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 確かに、先ほど来の御議論を聞いておりまして、通勤通学など、地域住民の生活を支える足の確保ということは極めて重要な課題でありまして、単に運輸省のレベルで云々というだけじゃなくて、自治体としても、まさに地域住民の足にかかわる問題ですから、主体的に取り組んでいかなければならないテーマであるというのは御指摘のとおりであります。  しかし同時に、それを財源まで含めて既存の枠組みの中で全部地方で賄えということになると、やはりそれだけの仕事をするにはそれだけの先立つものも必要であるという発想もまたあるわけで、この点はすべて自治省で知恵を出すというわけにいかぬので、そこはやはり運輸省を初め関係当局としっかり話を煮詰めて、地方税財源の確保ということをきちっと果たした上で対応していくという基本線で臨んでいきたいと考えております。
  220. 畠山健治郎

    ○畠山委員 さっきも申し上げましたが、運輸省としてはナショナルミニマムとしての御主張をなさっているわけですよね。広域的、幹線的な輸送体系のあり方というような御主張をなさっておるわけで、そこの御主張をなさらないとすれば、分権でちゃんと地方にやるべきなんですよね。そうじゃなくて、中央の役割を果たすべきだという主張をなさろうとすれば、必要な財源もやはりちゃんと運輸省は責任を持って確保するという努力をしなきゃいけないと思うんです。  地方公共団体の生活者としてどうするのか、町づくりとしてどうするのか、それは自治省がちゃんとやりますよと言っているわけです。中央の役割を主張するからには、運輸省は中央としての必要な財源をどうするかということの議論をみずから積極的にやってもらわなければ困ると思うんです。権限だけを主張なさるなんというようなことは無責任というふうに言われても仕方がないと思うんです。あえてこのことを申し上げて、もう一度答弁を願いたいというふうに思います。
  221. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 舌足らずであったかもしれませんが、今運輸省の方で、地方交通の維持のため約九十億の国庫財源を用意しておりまして、地方と協調して合計で二百億を超える維持資金助成をしております。これは今後とも充実を図っていくべきと運輸省としても考えております。  また、委員おっしゃいました権限と責任のあり方、新しい世界を築くということでございますので、地方交通の維持、地方の町づくりという観点に心をはせて、運輸省としても最大限努力してまいりたいというふうに考えております。
  222. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ぜひひとつ、重ねてよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  時間が参りました。最後の質問になろうかと思いますが、答申骨子では、都道府県が主体となって関係地方公共団体事業者、国を含めてメンバーとする地域協議会を設置することが適当、こううたっておりますよね。  そこでお尋ねをいたすわけでありますが、この協議会の性格はどのようなものなのか。現在、運輸省設置法に基づき、省令でつくられておる陸上交通審議会の各県部会がございますが、これとのかかわり合いはどうなのか、また、その法的根拠はどのようなものなのか、この点についてお尋ねをいたします。
  223. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 現在の地域交通審議会は地方運輸局長の諮問機関でございます。地域協議会は都道府県が主体的になるという点で、性格は変わってまいります。また、協議の内容といたしまして、地域サービスの維持のため、都道府県が中心となって地域関係者が協議するという点が違って、法的な性格につきましては、今後検討を進めていかなければいけない点で残っております。
  224. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  225. 坂井隆憲

    坂井委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後三時二十一分休憩      ————◇—————     午後七時五十二分開議
  226. 坂井隆憲

    坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土肥隆一君。
  227. 土肥隆一

    ○土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。  こんなに夜遅くまで、大臣も、また委員の皆様も大変御苦労さまでございます。  地方行政委員会というのは、今まで専ら数字をいじったり、けちつけたり、あるいは根拠を問うたりしてまいりまして、頭が少し混乱しておるわけでございますけれども、私は地行に入りまして、やはりなぜ地行を選んだかということも申し上げなければいけないと思うのであります。それは、私、今も厚生委員をしておりますけれども、介護保険のことであります。  介護保険法が成立いたしまして、もういよいよ来年の四月から公的な介護保険事業が出発するという時期に当たりまして、専ら厚生省サイドから介護保険を見てまいりました。しかし、これは、実際に保険者として仕事をなさるのは自治省を頂点とする三千三百余の市町村であります。今、介護保険の準備のために、地方自治体の職員の皆さんは猛烈な勢いで仕事をしていらっしゃるわけでありまして、もうふらふらになっていると言っても過言ではないというふうに思うのであります。  そういう非常な苦労をして努力していらっしゃるわけでございますけれども、私がきょう申し上げたいのは、私ども厚生委員会考えてまいりました介護保険の一番根っこの問題、介護保険がなぜ導入されたかという一番基礎的な、一番中心になる課題がどうも消えつつあるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、それを忘れますと、そもそも介護保険は何だったのかということにもなりかねない課題であります。  それは、地方自治体が保険者であるということをどれだけ自覚して、そして、この介護保険を何のために自治体が保険者となって市町村単位で仕事をするのか、介護、看護の仕事をするかということがあいまいになる可能性もあるわけでございまして、そういう意味で、私はきょうは、厚生省がやっておりますこの介護保険事業の準備と、そして、各自治体がそれにこたえてどういうことをしているかということの中身を問うてみたいと思うのであります。  実は、新聞にも大々的に出ましたけれども、ことしの二月十三日の日経でございますが、福岡県内の大部分の町村というふうに書いてありますが、ここで言うと七十町村が広域連合構想を持っている、そして五月中にはこの大広域連合構想に入っていくのだ、こういうふうに言うわけであります。  私、この広域連合という言葉を聞くときに、一体、基礎自治体を担当するそれぞれの市町村が、介護保険の保険者として本当に自分のやるべき役割を自覚しておられるのかどうかということを考えるわけであります。これは非常に重大なことだと私は思うわけであります。  この福岡の構想によりますと、広域連合で、人口の数にして百二十万人が対象になるというふうに報道されております。そして、なぜ広域かということについて、福岡県町村会長の山本文男氏、この人がいろいろなことをいろいろな新聞社に言っておりますけれども、要するに、介護保険というものは本来は国か県がやるべきであって、そして、それは地方自治ではなく、国が面倒な事務を市町村に押しつけただけ、こう主張しているわけであります。こういうことをおっしゃって、いわば七十を超える市町村が大連合構想を持って介護保険をこなしていくということになるわけであります。こういう事態をどう認識するのか。  これは何も福岡の話だけではなくて、北海道の空知地区でありますとか、九州の佐賀県でありますとか、あらゆるところにそういう現象が生まれておりまして、もう既に介護保険目当てに約三十を超える地域連合ができつつある、このように新聞は報道しているのでございます。一体、この現象について我々はどう考えたらいいかということでございます。  したがいまして、このことを論ずる前に、やはり大臣、あるいは厚生省、そして自治省——特に県が指導しているという向きが非常に強いわけであります。県が地域の市町村をまとめようとしている。県がいろいろノウハウを提供するから、それを聞いてやるのだ。もちろん経費や人件費の削減もできるけれども、しかし何といっても、お互いに保険者として、つまり市町村同士が比較されたり、あるいは、地域住民にこの市町村は何もしていないじゃないかとかおくれているじゃないかというふうな比較、差別されることを嫌って、なるべく均一な、平等な介護保険事業をやりたいというようでございます。  そうした中で、本来介護保険というのは何のために導入したのかというところから出発しませんと、このままいきますと、何かもう従来の行政手法、つまり国があって、県があって、市町村があって、そして国が隅々まで面倒を見る、市町村の面倒を見る、その中間で県がいろいろとお手伝いをして、そして、言ってみれば従来と全く変わらない行政手法が介護保険の世界にどっかりと足をおろしつつあるのではないかというふうな危惧の念も持つわけでございます。  したがいまして、少し込み入った話になりますけれども、まずは、今度自治大臣になられました野田大臣がもともと新進党の時代には、介護保険は税でというふうに主張しておられたわけでございまして、しかしながら、これを公的な保険でやるということが法律で決定された今日、市町村、これを基礎自治体と申しますけれども、この市町村というものについて、自治大臣としてどういう認識を持っておられるか、そこからお聞きしたいと思います。
  228. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 多少、広範なお話があった後で基礎自治体ということについての御質問であるのですけれども、基礎的自治体という前に、私の認識では、もともと介護という問題を、公的な形の中で介護支援をしていく、この位置づけがなされたのはそんなに古い話ではないと思います。むしろ、それぞれ家庭の中で、どちらかというと特に女性の負担が非常に重くなってきている。場合によっては家庭崩壊にまでつながりかねない。そして、そういう要介護の方々がどんどんふえてきている。ある意味では老後の尊厳にかかわるテーマである。  そういった中で、やはり公的セクターとしてこれは放置できない世界なんだ、まずそういう認識の中から、ヨーロッパにおけるさまざまな対応の仕方などをいろいろ厚生省も勉強されて、そのうちの一つのアイデアとして公的介護サービスを達成していく。その一つのファイナンスのあり方などとして、保険ということと組み合わせて介護保険ということになったのであって、もともとこの問題は、介護保険というワンセットの言葉で無理にスタートしたところに多少問題があるのではないか。公的介護体制という問題と保険という問題とを必ずしもリンクしなければならないのかどうか。  特に、ドイツなどでは、給付の問題で、やはり施設や何かで十分追いつけないというようなこともあって、現金給付ということが、その是非まで含めて、介護保険ということについての見直し議論さえ現にある。そういう背景の中で、この制度が導入をされたというふうに私は認識をいたしております。  したがって、この問題について、今私は自治大臣という立場でありますからそれ以上のことをとやかく申し上げることは慎みたいとは思いますが、少なくとも、自民党、自由党両党の政策協議の中で、この点については、自由党からは、今申し上げましたように、介護保険制度については、負担の実質的な公平、サービスの普遍性、事務負担の軽減等を勘案し、公費負担を中心とする税方式に改めるという提案を行い、一方で自民党からは、個人の自立と連帯の精神に基づき、社会保障の根幹である医療、年金も公費と保険料の組み合わせによる社会保険方式で構築されており、介護保険制度についても同様の仕組みとすることとしていることなどから、法律で定めているとおり施行することが必要であるとの主張がありまして、その上で、両党が協議をした結果、介護制度については、平成十一年度末までに、基盤整備、実施主体の状況などを点検し、円滑な実施が図られるよう、財源あり方などを含め検討するということになったわけであります。  したがって、問題は、公的介護体制を推進していくというこの一点では両党とも一致をしていることであり、そういう意味で、各自治体においてこの問題に全力を挙げて取り組んでいただいておるということが今日の姿であり、それを自治省としても全面的にサポートをしていきたいという今状況下にあるということを、まず、長くなって恐縮でありますが、ぜひ御理解をいただきたいと思っておるのです。  その上で、基礎的自治体というお話がございました。これは、地方自治法にも書いてありますとおり、市町村が基礎的自治体ということは規定もされておるわけであります。それは、当然のことながら、住民により密着した仕事を一番身近な地方公共団体が担っていく、ここが当然のいわゆる地方自治の原点に近い部分であろうか、こう考えております。  そういう点で、今るる申し上げましたのは、公的介護支援というこの仕事が、そういう意味で基礎的自治体、市町村に本当に固有の事務としてもともとなじんでいる仕事なのかどうかということについても、実はいろいろな御議論もあるのではないか。  特に、その仕事の重要性、老後の尊厳を考えた場合に、それを担うだけの行政的、人的、その種の積み重ねなりというものが本当にあるのでしょうかという中から、今御指摘のような広域連合というものを考えていかなければ、それだけの行政サービスを担うだけの力量というものが現に備わっていないという現実を考えたら、多少、基礎的自治体である市町村自身がまずもってやらなければならぬという位置づけについては、私はそう一概には言い切れないのではないかという思いをいたすわけであります。
  229. 土肥隆一

    ○土肥委員 まさに自治大臣、ずばりおっしゃっていただいて、基礎的自治体である市町村には介護保険を担う能力がまだ備わっていないのではないかという指摘でございます。  私は、これこそ大問題であります。本当にそうなのか。そして、広域連合というのは、実は基礎的自治体がその実力を問われることを嫌って逃げているのではないかというのが私の考えでございます。介護保険が導入されて、保険者が市町村であると決めた以上は、何が何でも市町村が担わなければならないのです。実力があるかないかはやってみなければわからないし、広域連合に至る必然性はやはり自分でやってみなければ出てこないというのが私の考えでございます。  それでは、厚生省にお聞きします。  厚生省が公的介護保険を提案なさったときに、保険者を基礎自治体である市町村にゆだねるといったときに、市町村をどのように評価し、なぜ市町村にゆだねられたのでしょうか。お答えください。
  230. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護保険制度を創設する際に、保険者をどこにお願いするかということで大議論があったわけでございます。  非常に重要な最大の論点であったわけでございますけれども、介護サービスというのはやはり地域性を持つということ、それから市町村におきまして、老人福祉あるいは老人保健事業、こういったものの実績がもう既にあったわけでございます。さらには、平成二年に老人福祉法等の改正を行いまして、市町村に高齢者に対しますサービスの決定権限を一元化する、こういう地方分権流れがあったわけでございます。  こういう全体の流れを踏まえまして、私ども、国民に最も身近な行政主体でございます市町村を運営主体ということでお願いをして、現在も精いっぱい御努力をいただいている、こういうことでございます。
  231. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうすると、もう一度お聞きしますけれども、保険者として十分市町村が介護保険を担う力を持ち、その責任も果たすと理解なさったのですか。
  232. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 恐らく、市町村の人口とか行政能力、いろいろ差がございますので、一概に全部の市町村が単独でそれを担えるかどうかというのは難しい面もあろうかと思うわけでございます。特に、安定的な保険財政運営でございますとか、あるいは広域的な区域でサービスの基盤というのを余り格差がないようにするとか、あるいは事務処理、特に介護認定審査会の委員を選ぶわけですけれども、そういう専門家を任命するに当たりましても、ある程度の広域性ということでないと対応できない面がある。  こういうふうな認識で、私どもといたしましても、広域連合というのが、これももちろん関係の市町村の集まりで決められるわけでございますけれども、決めていただければそれはやはり望ましい方向ではないのかな、こういうふうな感じを私どももいたしております。
  233. 土肥隆一

    ○土肥委員 厚生省が初めから、広域連合なり近隣市町村の共同作業がなければこの介護保険事業は遂行できないというふうに理解しておられた、初めからそう考えておられたとすれば、介護保険法を審議するときあるいはこの法案を通すときに、基礎自治体である市町村がこれから住民の生活の隅々まで担っていく、そして、どんなに苦しくても住民の介護、看護に関する問題は市町村が担っていくんだ。どんなに小さな町村であっても担っていくんだ。そういうことが、いわば住民自治というか、そして介護保険を本当の意味で保険事業たらしめる。  あるいは、介護保険を育てていくときには、地域住民が文句を言ってきたら、不平を言ったら、これは給付と負担関係になるわけですが、そこでまともに地域住民と話し合って、なぜこの町村ではこの事業ができないのかということを説明して、いよいよできなくなれば、やはりできなくなった同士が手を結んでやる。  介護保険事務にいたしましても、そんなに難しい高等計算をやるわけじゃございませんで、一定のソフトの開発と一定のルールをやればどこの市町村だってできる事務であろうと思うわけであります。医者がいないなんという理由を挙げておりますけれども、医者がいなかったら隣の町から医者をお連れすればいいわけでありまして、そして認定の審査のときにその分の費用を介護保険からお支払いすればいいわけであります。  そうすると、もう一度確認しますけれども、初めから広域連合構想が厚生省にあったということですね。もう一遍答えてください。
  234. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 基礎的な、国民に身近な市町村にお願いをする、基本は当然そこにあったわけでございまして、身近な市町村でやっていただくということですけれども、事務的な問題についてはある程度はそれは想定していたということでございます。
  235. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうすると、冒頭御紹介いたしましたような福岡のケースなど、いろいろと比較検討されるのが嫌だとか、あるいは一定のレベルで抑え込んでしまわないと地域住民が何を言うかわからないとか、あげくの果ては、これは国か県かがやればいいのであって、市町村に押しつけられたのは心外である、そういうふうな考え、これはかなり幅広く自治体の中に広がっておりまして、それをずっと拾っていきますと、いろいろとこの問題点が私には見られるわけであります。  つまり、基礎自治体であります市町村が介護保険を本当に自分の、例えば町長や市長が自分の政治生命をかけてやらなければいけない仕事であるとか、あるいは自治体の議員さんたちが、この介護保険というのは今までのような政治活動では追いつかないような、これはもう基本的に地域住民をどう見るか、どう支えていくか、そういう新しい視点がここから生まれてくるということを私は期待していたのでありますけれども、今日に至りますと、何か厚生省みずからもこの広域連合を推薦し、推奨し、そして自治省も、県や市を通してなるべく大きく県の指導を発揮させるような、そういう方向に、つまり自治省と厚生省とが同じような呼吸で、呼吸を合わせてこの介護保険のスタート、来年四月一日を迎えようとしているのじゃないかというふうに私には思えるわけであります。  そこで、自治省にお聞きいたします。  自治省は、地方自治法に言います広域連合とか一部事務組合というものを定められておりますけれども、一体この広域連合とか一部事務組合というのはどういう目的で制度上乗せられてきたのでしょうか、本来の目的についてお述べいただきたいと思うのであります。
  236. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 お話しの広域連合あるいは一部事務組合の制度は、地方団体が行います事務事業につきまして、住民サービスを適切かつ効率的に提供するということの目的などのために、いわば複数の地方団体が共同して事務を処理する、こういう仕組みとして設けられて、自治法上は特別地方公共団体、こういう位置づけでございます。  なお、広域連合の制度平成七年にできたものでございまして、広域行政需要対応すると、あわせまして国や県からの権限の移譲を受けられるという仕組みも持っております。  現実には、一部事務組合では、環境衛生とか消防防災とか厚生福祉などの事務に関して利用されている。それから広域連合につきましても、同様の事務、あるいは広域市町村計画の策定事務、公共施設の設置管理事務などに利用されている、こういうことでございます。
  237. 土肥隆一

    ○土肥委員 自治省にもう一度お聞きしますが、広域連合なり一部事務組合を使って介護保険事業をするということは、今行われておる広域連合の仕事あるいは一部事務組合の仕事と比べて適切な事業、つまり、広域連合も一部事務組合も介護保険を担うには適切なグループといいましょうか、そういうものであるとお考えなんでしょうか。
  238. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 今ほど申し上げましたように、一部事務組合あるいは広域連合におきまして、いわば共同的に事務を処理している、広域的な行政需要対応して効率的に事務を処理するということで行っているわけでございます。  現在、広域連合は二十できておりますが、そのうち十の広域連合において介護事業関係の仕事をしておりますが、その多くは介護認定業務等を中心としているものでございまして、なおその際、あわせまして、先ほど申し上げましたような環境衛生関係の一般廃棄物処理あるいは公共施設の管理とか福祉関係の仕事も行っているということでございまして、介護保険事業というものを円滑に進めるということでそれぞれの地方団体で御相談いただいて行っている、このように承知しております。
  239. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうすると、自治省も介護保険事業をやるには広域連合をお使いになったらどうですかというふうな御判断のようでございます。  私はそうではない。広域となるとどうしたって地域住民との距離ができますし、これからの介護保険というのは一人一人の生活を見ていくわけでありまして、特に在宅福祉サービスをやるときに、一軒一軒訪ねていって、そしてその人が介護保険を使ってどういう生活の向上があるのか、介護保険が十分でなかったら、横出しとか、介護保険事業、いろいろありますけれども、そういう介護保険に乗らない事業も含めて、一人一人のお年寄りの暮らしの人生設計をしてあげるというこの介護保険、これが広域連合で、福岡の場合は百二十万人も広域化して、そしてその広域連合とそれぞれの市町村の間が一体どうなるのか、市町村の役割はきちっと果たしながら事務だけ広域連合でやるのか、これはまだ厚生省ははっきりと区別なりあるいは指導をしていないようでございますけれども。  要するに、介護保険というのは、住民が自分で決めて、これはみずから、介護サービスのいわばメニューを自分で書くこともできるわけですね、もちろんケアマネジャーにやってもらう場合もありますけれども、自分はこういう生活をしたいんだということを申し出ることができるわけです。自己決定して、そして自己責任でサービスを受けて、そしてその中では、保険料も払い、一割の自己負担もしよう、そういうある意味で住民自治というか、あるいは市民意識というか、共同体、そういうものがこの介護保険を通じて生まれるのではないか、まだやってみなきゃわかりませんけれども、私はそういう期待を持ってきたわけであります。  ところが今日、市町村長の皆さんは、これはえらいことだ、自分の政治生命すら危うくなるのです。この市長は何にも介護保険について熱を入れない市長だとか町長だとか言われると、選挙に負けちゃうわけですね。私は、選挙に勝つとか負けるとかいう言い方よりも、この町長は本当に自分の地域住民の暮らしをしっかりと守ってくれる市長なのか、町長なのか、そうでないのかということが有権者の選択の判断基準になるというふうにも思うくらいでございます。  つまり、大きくは地方分権、住民自治、そして保険という全員参加の、そして介護保険を育てていくという、いわばこの制度が本当に血の通ったものになる、そういう介護保険が生まれるというふうに期待をしていたわけでございますけれども、市町村がこの段階で逃げ始めた、私はそういうふうに考えるわけであります。  そうすると、厚生省は先ほどの御説明によると、積極的にこの広域連合を進めていくんだということになりますと、今私が申しましたような介護保険が一軒一軒のお年寄りの生活を見ていく、そういう図式は広域連合との関係では一体どういうふうに考えたらいいんでしょうか。局長のお答えをお願い申し上げます。
  240. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 広域連合、いろいろな形があるわけでございまして、保険者で一本になるという形、こういうときにどうするかということだろうと思いますけれども、やはりこれは運用の問題だと私は考えております。  やはりそこのリーダーといいますか、首長さん、こういう方、あるいはそこのもとで働く職員の方、こういう方の意識によって変わってくるんではないかというふうに思っておりますし、現実に、単独の市町村でやられるときも、これはその意識によって、まさに住民から、下から突き上げるような意識があるようなところについては、これはもう当然そういうふうなことで動いております。特に、私ども時々接触がございます、福祉ユニットに参加されているような市町村におきましては、市町村の幹部の方も非常に熱心ですし、それから市町村の住民というのも非常に熱心でございまして、そういう面で一体になって動いている。  こういうことで、やはりこれは住民意識あるいは首長さんの意識、こういったもので左右されるものであって、広域連合いかんによって変わってくるというものではないというふうに私は考えております。
  241. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうすると、この公的介護保険というのは、市町村あるいは市町村長、首長の意欲とか、介護保険に対する認識とか、あるいはその中には、やりたくないけれども責任を負うのが嫌だから広域に任せてしまう、自分の責任の所在を明らかにしないとか、さまざまな考え方で首長さんたちが相寄ったり単独でやったりすることをほぼ全部許して、そして、一度好きなようにやってごらんなさいというふうに考えていいんでしょうか。もう一度お答えください。
  242. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 現在の介護の仕組みでございますけれども、措置費で特別養護老人ホームがあったり、あるいはデイサービスで市町村が委託するというふうな事業があるわけでございますけれども、やはり非常な格差があるわけであります。現にあるわけでございまして、介護保険制度で格差が生じるという御心配もあるわけでございますけれども、基本的には、おくれているところを底上げする、そういうふうなことで実質的には格差というのは縮まるのではないか、こういうふうなことを私は考えているわけでございます。  そういう意味で、介護保険ができましても、やはり市町村の対応いかんによって結果も変わってくる。これまでは、まさに、はっきり言って格差が非常に大きかったわけでございますけれども、これはある程度、余り熱心でない市町村におきましても、最低限のことは当然やることになるということで、格差が縮まるということでございます。  好き放題にやっていいということではなくて、今までがまさに好き放題にできたわけでございまして、これからは、ある程度最低レベルのものはやはり市町村レベルでやっていただかなきゃいかぬということでございますので、それは全体としての底上げになるのではないか、私はこういうふうに思っております。
  243. 土肥隆一

    ○土肥委員 私は、格差があってはならないと言っているのではございません。格差というのは、どこかとどこかが比較されるわけですね。Aという市町村とBという市町村があって、それぞれ介護保険を実施している。お隣の市の方がよくやっているじゃないのというふうにその別の市の人が見て、うちは何しているんだというふうな話で格差が、そういう住民意識の批判の目が徐々に育ってまいりますと、いわばサービスの落ちているところがサービスを上げざるを得ないわけですね。そこで初めて格差のない介護保険が大体全国的に広がっていく。  私は、介護保険というのはそもそも格差から出発する、こう思っているんです。悪い意味ではなくて、広域ではなくて、それぞれの市町村が比較されて、そして首長さんなり市の職員なり、あるいは議会人が、これではいけないというふうにして考えて初めて介護保険というのは質が上がってくる。それを広域にしてしまいまして、そしてそれぞれの市町村の違いをわからなくしておいて、介護保険をやっていますよというスタイルこそが、どうも介護保険がこれから育っていく状況とは異なってきているのではないか、私はそういう危機意識を持つわけであります。  したがって、自治省の皆さんにも申し上げたいんでありますけれども、厚生省がこうして既に持っていらっしゃる広域連合や一部事務組合を使って、使ってというか、うまく呼吸が合って、それで介護保険を乗せていく。大きいときには百二十万単位の大きな大連合ができるというふうなことを、それがいいことだというふうに思いますと、実は私ども厚生委員会、あるいは介護保険に関心を持つ者がこれまで考えてまいりました、市町村が何をすべきかというこのイメージと相当な開きがあるというのが、少なくとも私の今の実感であります。  このままいくならば、もうそれこそ医療圏とかあるいは老人福祉の介護圏がございますけれども、単位を決めて、介護保険単位でも決めてやった方が、よほどはっきりしっかり中身が明らかになっていく。地域住民も、ああ、身近なところに市町村がいるんではなくて、どこか広域のところが審査に来たり、あるいは調査に来たり、そしてサービスがずっと回って、どこからともなくサービスが伝わってくるような、自分の暮らしがこの市町村の中で支えられているという、そういう意識を持たないままにこの介護保険が進んでいくんじゃないかということを、私は大変危惧しているわけであります。  ですから、もう一度やはり自治省と厚生省と協議していただきまして、一体介護保険というのは何のためにあって、そして基礎自治体である市町村にこれをゆだねた、保険者としてなってもらったというその原点を役所としてもしっかりと押さえていただかなきゃならないと思うんであります。  しかし、にもかかわらず、最も推進役をしております厚生省さんが、介護保険の事業計画を進めていくときに、共同化といいましょうか、大連合化を進めておられるということになりますと、なるほどなというふうに思うわけであります。  例えば、平成年度の予算で、新規事業で、介護保険に関する広域的取り組みに対する支援事業に対して補助金が出ております。私、最初これを見たときには、広域的な取り組みというときに何を考えていらっしゃるのかなと、そのときは余り深くも考えてみなかったわけであります。だけれども、今思うと、まさに広域連合に介護保険をゆだねようというわけでございまして、このときにきちんと厚生委員会質問をしなかったことを残念に思うわけであります。  あるいは、市町村相互財政安定化事業などがございますけれども、広域化しないというところにこの介護保険の最大のメリットがある。地域住民が、最も基礎自治体である市町村に自分が生きて暮らして、そして老後の介護、看護が必要になったときに、この市町村が見てくれる、そういう一番初めの根っこの事業ではなくなってきつつあるんじゃないかと思うんですが、もう一度厚生省さんにお聞きいたします。  もう既に、事業計画の中に、十年度には広域取り組みに対する支援事業を行っておられましたが、これで、この結果が今日の大連合あるいは広域連合、一部事務組合につながっているというふうに認識していいんでしょうか、お答えください。
  244. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 先生、大連合とおっしゃいますけれども、私ども、必ずしも福岡県の例がいい例かということではないわけでございます。やはり私どもも、老人保健福祉圏域、こういうふうなものを一応想定いたしているわけでございまして、特別養護老人ホームでございますとか老人保健施設、あるいは療養型病床群、こういったものはやはり広域的に利用するということもございますので、必ずしも大きなものを想定しているわけではございませんが、市町村に分かれておりますけれども、地域が一体性がある、広域的な利用も可能である、こういうふうなことを想定してやっているわけでございます。  私ども、そういうふうなことで、自主的に市町村の方がお集まりいただきまして検討される場をつくられたときに、事務的な、どうやって実施するとか、それからサービスの提供のあり方をどういうふうにやったらいいのかという検討のための事務的な費用を百万程度補助したわけでございまして、福岡県がその結果できたということではないというふうに認識しております。
  245. 土肥隆一

    ○土肥委員 それでは、福岡のこの大連合と言いません、広域連合に対して百万円つけた、つけたんですね。そしてそのときに、百二十万人口というのはいかがなものでしょうとか、一体こういう試みというものが介護保険の本当の趣旨からいってふさわしくないんじゃないですかとか、もう少し小さくしなさいとか、そういう指導はなさったんでしょうか。あるいは北海道の空知中部広域連合などについて何か指導なさったんでしょうか。意見などを申されたんでしょうか。その辺のかかわり合いについてお答えください。
  246. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 私ども、経過的な報告といいますか、相談にはあずかっておりますけれども、私どもが具体的な形でこうあるべきだ、こういうことを指導したことはございません。
  247. 土肥隆一

    ○土肥委員 それでは結局認めたということですね。ですから、こういうふうにして介護保険がこれから広がっていって、いよいよ来年の四月にスタートする。  この広域連合による責任所在のあいまいさ、あるいは、広域連合といいましても、選挙をやって連合長が選ばれるわけでもございません、互選で恐らく選ばれるのでしょう。広域連合の議員とて、それは各議会からいわば指名して互選された者が出てくるんでしょう。そういう非常に責任主体の明らかでない広域連合が介護保険という市民の毎日の暮らしにかかわるようなそういう事業を責任を持って担う主体になり得るのかどうかということでありまして、これはやはりぜひとももう一遍、三千三百市町村と根本的な介護保険に関する討議をしないと、大変なことになると私は思うんであります。  そのときに、自治省もぜひこれに参加していただく。なぜならば、地方自治体職員が保険者として大変な苦労をするわけです。そして今度、そのほかに、介護保険を実施するのは介護保険事業者というのがあらわれてまいりまして、これはもう何らかの法人格を持っておればだれでもいい、参加できる。そのときに、本当に市民の暮らしを中心に置いて介護保険事業者とそして行政とが一体となってお年寄りを支えていく、そういういわば今まで行政が一度もやったことのない個別的な介護、看護のサービスをやるんでありますから、なるべく単位は小さくした方がいい、小さくした方がはっきり見える、そのように思う次第でございます。  自治省がこの広域連合とか一部事務組合をおつくりになったのは、むしろ廃棄物処理場の問題でありますとか下水道とか、いわば広域でやった方が効率がよく、お金を持ち寄って社会福祉施設もつくるときがあると思いますけれども、それを超えて介護保険を担う単位ではないと私は思うのでありますが、自治省の御意見があればお聞きしたいと思います。
  248. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 現在、広域連合の仕組みを利用して公的介護事業を行っている状況を見ますと、先ほど十連合と申し上げましたが、八十二市町村、ですから平均しますと八市町村、ほかの連合でも大体そういうような市町村の構成団体処理を行っております。  介護制度の実施に当たりまして、広域的な取り組みを地方公共団体が行うことにつきましては、これまでも、厚生省とも連携をいたしまして、いろいろな広域連合あるいは一部事務組合あるいは機関の共同設置など、広域的な対応の仕組みがございますので、それごとにその特徴とか留意点なども地方団体にお示ししているところでございますので、そういったことの情報提供など、市町村に対しまして支援をしてまいりたいと考えております。
  249. 土肥隆一

    ○土肥委員 こうなりますと、自治省も厚生省も、三千三百市町村を一つ一つ訪ねて、あなたの地域住民をあなたの市町村はどのようにして支えていくんですかという問いかけよりは、何度も申し上げておりますように、首長さんなり、あるいは地域の行政がなるべく大きく固まって、自分の責任の所在を不明瞭にして、不明確にして、そしてこの介護保険制度を乗り切っていくというふうに聞こえるわけであります。大変残念であります。  介護保険というのは、御承知かと思いますけれども、介護量に応じて、介護のボリュームに応じて介護の費用が決まって、それはその保険者の市町村が持たなきゃいけないわけですから、ボリュームがふえると負担もふえるわけです。だけれども、負担がふえたからといってそれを減らすということは許されないわけでありまして、負担がふえて大変だということを地域住民にもきっちり言って、初めてこの地域に与えられる介護保険の質や量は何なのかということがお互いにわかるわけです。  この責任関係をあいまいにしますと、絶えず利用者は不満を持つんです。ちっとも介護保険というのは実現しない。自分の暮らしの半分も見てくれない。そうはいいましても、片っ方で行政の側は、あなたの介護認定は三ですよ、五ですよ、それでこれだけのものしか提供できません、ではこれはやってくれないんですか、いや、それはできませんと。そうしたら、もう身もふたもない、介護保険だけの事業ということになって、いつまでたっても利用者が介護保険に対する本当の理解もできない。そういう種類のものだというふうに私は思うんですね。  ですから、従来の行政手法でこれをこなしていくというふうな、つまり措置的な取り扱いで介護保険を実施していこうとしているんではないか。今や社会福祉基礎構造改革で、措置から契約へと福祉の内容が変わってきているわけですね。そして、まさにこれは介護保険ですから、権利としてこういうサービスを受けたいということを言うことができるわけです。申し出たら、それにこたえなければいけない。しかし、それに十分こたえ切れない。なぜこたえ切れないのかということがそこで激しく討論というか、激論があるわけです。  しかし、その中で、介護保険制度というのはこういうものだということを説明して、そして介護保険でできる部分ではこうしましょう、しかしできない部分は、ボランティアを集めたり、あるいはもっと低廉な身辺介護、家事援助などをやってくれるグループを育てたり、あるいはどんなに小さな市町村でもみずからの社協があるわけですから、社協などが介護保険事業者を組み立てたり、そして責任のある市町村を何とか自分で保っていくんだということを首長は決意しなきゃいけないんです。  ですから、私は、きょうの御答弁を聞いておりまして、先行き暗たんたる気分になりました。もうそうであるならば、先ほどちょっと老人保健福祉局長がおっしゃいましたように、老人保健福祉圏域がある、正確には都道府県老人保健福祉圏域、あるいは医療法上では第二次医療圏というのがあるわけでありまして、むしろ介護保険を実施するに当たって適切な人口規模を定めて、そしてこれを介護看護圏とでも名づけて初めから広域化をやってくださった方が、介護保険とは何なのかということがよくわかるというふうに理解するんですが、局長はどういうお考えでしょうか。
  250. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 御指摘のとおり、こういう広域圏を実施主体とするというお考えは当然あり得たと思いますけれども、やはり保険者として制度運営を行えるような広域単位を全国ベースで介護保険を実施する前に整えることができるか、こういう問題もあろうかと思うわけでございまして、やはり介護保険制度というのは急いでやるべきである、こういうふうなこともございまして、もちろん不満足な状態も多々あるわけでございますけれども、それを乗り越えて、走りながら直していこう、こういうふうなことでこの介護保険制度を施行したい、こういうふうに考えているわけです。  先生がおっしゃるように、もしそういうものが事前にあって、それが保険者たり得るようなものであれば、恐らく理想的な姿としてはあり得たのかな、こういうふうに思っております。
  251. 土肥隆一

    ○土肥委員 自治省にもお聞きします。  今、厚生省と協調して広域連合なり一部事務組合を使ってもいいんじゃないかという認識。  しかし、どうでしょうか。市町村という基礎自治体をどう認識するのかということで、この地行に参りまして思うことは、いわば国がかりで全部地方を見るわけですね。全体で八十八兆円の規模で、それこそ補助金から交付金から、まあ自主財源もあるわけですけれども、まるっきり全部抱えて見るというような中で、もっと地方、市町村が自分で工夫して自分で創造的に生きて、そして自分の町は、自分の村は自分で頑張るんだというふうな意識というものが生まれてこない限り、日本の社会というのは言ってみれば住民自治とかコミュニティーだとか、そういう意識が生まれないんじゃないか。  特に、介護保険を通じてそういう自治意識、コミュニティーを豊かに育てていくという重大な実験を今しようとしているにもかかわらず、そういう実験はまだ今の日本の市町村からいえば不十分だから、能力がないから、実力がないからといって逃げる、こういう図式になっていると思うのであります。  最後ですから、自治大臣に聞きましょう。こういう私の問題提起というのをずっと聞いておられたわけでありますけれども、私は、介護保険が日本の地方自治を変える、そして介護保険が地域住民を変える、コミュニティーを変える、そして地方の政治も変える、首長も変わるという、従来型でない新しい地域住民の代表が生まれてくるというふうに期待していたわけなんです。  少し理想主義的であったかもしれませんけれども、これから逃げてはいけないというのが私の主張でございまして、時間が来ましたので、最後に大臣、長々と私の持論を聞いておられまして恐縮でございますが、御意見、御感想をお聞きしたいと思います。
  252. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地域住民自身が、みずからの地域あるいは福祉の問題について、より自己責任といいますか、自分たちの責任において処理をしていこう、それが自治の基本ではないかというこの発想は、私はそれはそのとおり非常に大事な発想、それが自治の基本だと思います。しかし、現実に、ではどこまでそれができ得るか、人的あるいは経済背景がどこまでそのみずからの自治の思いを達成できるかという現実になりますと、なかなか難しい側面がある。  特に、介護の問題で、いろいろ御議論を伺いながら、私自身、実は保険ということになじまないのではないかということを感じたのは、それはなぜかというと、老齢化比率は市町村によって物すごく異なるという現実があります。特に、過疎地域にいけばいくほど老齢化比率は高いわけであります。そういう中で、市町村がみずからの責任において介護をしっかりやれ、格差があるのはみずからの努力が足りないんだということで片づけるわけにはいかないのではないか。  それから、老後の尊厳という言葉を私は使いましたが、それは地域においてそれほど差別があっていいものかどうか。要介護の認定そのものも大変難しい話であって、とてもじゃないが、首長さんや議員が、あるいは我々政治家が素人判断でできる世界ではない。  であれば、そういう認定作業そのものが、本当に現在の市町村という基礎的行政単位の中で、自治体の中で自己完結的に対応し得るだけの素地があるのかないのかということなどを考えていきますと、やはり理想論は、住民自治というものが、やはり地域のことはみずからの責任でやっていくんだということが原点であるという思いはあるものの、現実に介護という問題に関連させて考えた場合には、なかなかその方法だけではうまくいかないのではないか。そういったところから、やはり事介護に関してはかなり幅広い角度からやっていこうと。  私は、先ほどいろいろ福岡のお話を伺いましたが、すべての事務を全部広域連合でやろうという話ではなくて、むしろ認定作業について広域連合的にやっていこう、そうでなければ、同じレベルの要介護の人が異なった判定を受けるといいますか、ランキングが異なってくるということについては、やはりここは、同じ要介護のレベルである人は同じレベルにランクをされるという方がよりよいのではないかという判断があった、私はそう思って見ております。  したがって、それは福岡県の町村長さん方が、みずからの自治に対する責任を逃れようとかそういう発想ではなくて、より介護という問題について主体的に責任を持ってやっていこうとして、その上での発想でそういうことになっているんだ、私はそう理解をいたしております。
  253. 土肥隆一

    ○土肥委員 最後です。  大臣相当踏み込んだ価値観をおっしゃいましたので、私もやはり言わざるを得ない。  にもかかわらず、任せなさいというのです。それは、親心はいいですよ。親心が、実はたくましい子供を育てないのです。任せて悲鳴を上げたところからしか広域連合というのは生まれませんよというのを私は言いたいわけです。だから、もう大変だろうということは初めからわかっているのです。だけれども、そこからスタートしないとこの制度は生きてこないというのが私の持論でございまして、親心もありがたいとは思いますが、実はもう少し真剣な討議を各市町村と自治省及び厚生省はしてほしいと思う次第でございます。  終わります。ありがとうございました。
  254. 坂井隆憲

    坂井委員長 次回は、来る二十三日火曜日午後六時理事会、午後六時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十四分散会