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1999-02-04 第145回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月四日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 坂井 隆憲君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 土肥 隆一君    理事 桝屋 敬悟君 理事 鰐淵 俊之君       小島 敏男君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       平沢 勝栄君    藤井 孝男君       藤本 孝雄君    宮島 大典君       持永 和見君    保岡 興治君       桑原  豊君    葉山  峻君       細川 律夫君    松崎 公昭君       白保 台一君    富田 茂之君       西村 章三君    穀田 恵二君       春名 直章君   知久馬二三子君  出席国務大臣         自治大臣         国務大臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君  出席政府委員         阪神・淡路復興         対策本部事務局         次長      高橋 健文君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁生活安全         局長      小林 奉文君         国土庁防災局長 林  桂一君         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         自治政務次官  田野瀬良太郎君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君         消防庁長官   谷合 靖夫君  委員外出席者         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿君 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件     午前九時開議      ————◇—————
  2. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
  3. 古賀一成

    古賀(一)委員 民主党古賀一成でございます。  きょうは、自自連立内閣ができまして、しかも自自連立のいわばシンボルともいうべき野田大臣をこの委員会にお迎えしまして質問するということで、しかも通常ですと自民党与党がやるところ、何と私がトップバッターをいただきまして、大変緊張いたしております。かつて一緒に、新進党当時、いろいろ政策を教えていただき、またともに論じさせていただきました野田大臣自治大臣にお迎えしての質疑でございます。  今回は、実は大臣所信に対する質問は、通常ですと一日で終わるということが多かったのですが、今回、四日と九日、週をまたがってということで、きょうは野党の方は私が一人ということで、どちらかというと来週九日の質疑に当たって、本委員会審議あり方というようなものをきちんと確認した上で質問申し上げますが、それを踏まえて、あと来週、我が民主党からももちろん出ますけれども、野党質問に、こういう審議方法でというものをまず冒頭に確認をいたしたいと思うわけであります。  それはなぜかといいますと、自自連立政権誕生に当たっての政策合意によりまして、一月十一日でございましたか、いわゆる国会審議あり方政府委員の役割について、新聞でも大分載りましたけれども、政策合意が成った。これは自自連立一つ政策合意であったわけでありまして、これに対して私は非常に関心もあるし、本委員会でも他の委員会でも影響があるだろうと思うのですね。  しかも、その提案をされました自由党代表して野田大臣自治大臣に就任され、この地方行政委員会所管委員会、こういうことでございますので、今後の地方行政委員会、たくさんの法律が、十本以上でありましょうが、今後出てまいります。とりわけ地方財政関連法案ですね。大変過渡期の、破綻に瀕した重要法案でありまして、こういうのを審議していくに当たって、第一点目はこの委員会審議あり方について確認をしたいと思います。  もちろん、自自連立合意内容は、政府委員廃止する、副大臣導入、あわせて参考人導入、次の国会から、こういうことになっているのは重々承知しておりますけれども、精神はもう既に生まれておるわけでございまして、今国会で私が確認したいのは、我々は極力その趣旨を踏まえ、大臣及び政務次官にとりわけ重要なことについては聞いていかねばならぬ、こう思っております。  この点について、大臣として、今後は、本国会から、大臣及び政務次官質問があったものは必ず自自連立合意を踏まえ政治家が答える、こういう方針で当然やるべきだし、そのおつもりだろうと思いますが、今後の質疑の対応もありますので、御確認といいますか、所見をいただければと思います。政府委員は我々が指名しない限り、大臣が指名されたとおり、政務次官が指名されたとおり答弁する、その点でございます。
  4. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今までの国会における議論が、どちらかというと質問答弁といいますか、一方通行的なことが多くて、本当にフランクな政治家議論交換ということよりも、言うなら攻撃対防御というような感覚がかなりあった。そういう点で、もう少しざっくばらんにお互いが、政治家がきちんとした政策論議を互いに交わすことができる、そういう形に切りかえていかなければならぬのではないか、この思いは、私は多分与野党を超えて多くの政治家問題意識を持ってきたことであると思っております。  そういう点で、逆に言えば、それにふさわしい内容議論をやりたい。したがって、政策議論中心にした論戦が交わされるような国会でありたい。  ただ、法律の中には、かなり技術的な事柄日本の場合には法律の中で決められているケースがあるわけであります。そういう点で、政策論議をやるというのと、それから技術的、計数的なことをどうするかという話は、場面を変えてもいいのではないかということが私たちの念頭にはあります。  そういう点で、今国会政府委員という制度、これはまだ健在でありますけれども、できるならば政策論議お互い交わしていく中で、私自身も努めて政策論議においては私自身の肉声でお話をさせていただきたい、考え方を述べさせていただきたいと思っておりますが、具体的な計数等あるいは技術的な今日までの経過等について、できれば政府委員答弁を必要としないような議論ができるならば大変結構であるというふうに私は考えております。
  5. 古賀一成

    古賀(一)委員 早速、政治家としてのフランクな意見という、それが目的だというお話がございました。  政務次官、今大臣の御答弁ございましたけれども、我々も今後政務次官にも盛んにこれは政務次官マターだろうということで質問したいと思うのですが、政治家として本決定についてどういう御意見、あるいは覚悟というか決意をお持ちか、せっかく来ていただきましたので、よろしくお願いします。
  6. 田野瀬良太郎

    田野瀬政府委員 政務次官といたしまして、初答弁をそれこそさせていただきたいと思うのですが、このたびの自民党自由党両党間の合意によりまして、仰せのとおり、政府委員廃止、副大臣政務官導入、私は、これは最高の決議機関である国会の権威を高め、しかも国民と直結した、さらには政策迅速化という意味では非常に重要で画期的な改革である、このように積極的に評価をさせていただいておるものでございます。  私も、政務次官といたしまして、この制度導入された暁には、今までも活発な議論は行われたと思うのですが、一層議論活性化に、しっかりと大臣を補佐し、それに資してまいりたい、このように決意をいたしておる次第でございます。
  7. 古賀一成

    古賀(一)委員 政務次官として委員会答弁するのはなかなかないのですが、御答弁をいただきました。  それで、先ほどの質問にちょっと戻りたいのですが、今大臣の方で技術的な問題については場面を変えるというお話ございましたけれども、今までの自自連立協議、我々は野党でございますから、新聞で聞くぐらいしかないのですが、この技術的な面では場面を変えるというのはどういう内容なわけでしょうか。
  8. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 基本的には、自民党自由党両党で議員立法の形で、政府委員制度廃止あるいは副大臣制度導入等について法案化作業を現在協議をしていただいておる最中であります。詳細はその協議の結果を見た上でなければならぬと思います。  ただ、そこに至る過程の中で、自由党の中であるいは自民党との協議の中で検討しておりました事柄について、現在の日本法律の中には極めて技術的な事柄が多いところもあることは確かであります、内容において法律の数も多いわけですし。そういった点で、あらゆる法律改正作業をそのたびに全部必要とするかどうか。つまり、政策論議をする場面と、それから技術的な数字の計数を確認するような場面と変えた方がいいのではないかという議論があることも事実であります。  そういう意味で、それを一緒くたにしますと、結局、従来のいわゆる説明員とかいろいろな形の中で混在型でやっていくということになると、本当の意味政府委員制度廃止したことの意味がなくなるではないかという発想の中から、場面を変えていいのではないかという議論が行われているということであります。
  9. 古賀一成

    古賀(一)委員 今後の議員立法過程そこら辺がはっきりしてくると思うのですが、それはそれで私もそういう場面があっていいと思うのです。  ただ、最後確認したいのは、確かに政策マター、とりわけ質問する方が、これはぜひ大臣に聞きたい政策マターであるということで質問を、この委員会のみならず、いろいろな委員会でしてきた。極論すれば、これは非常に政策的に重要な質問だから政府委員答弁させますというのもかつて何回かあったわけで、この委員会でも、私は大臣質問したいと思っておって、質問して、通告のときもその旨言って、その予定だったけれども、実際は局長が手を挙げて答えられるということも、これはもう皆さん御存じですけれども、しょっちゅうあるのですね。  ここはそうかりかりしておりませんから、別にそれを我々は、政府委員座れとかそういうことは一回も発したことはないのですが、自自連立でそういう非常に大きな問題意識国会活性化させようということで大臣が就任されましたから、ぜひとも、我々がこれは政策マターだというようなことについては、その中で技術的に細かいものが関連して答えられる場合もあるでしょうけれども、私は確認したいのですが、我々が、大臣答弁をお願いしますと言った場合には、大臣がそれは受けて立つということを、私はここでひとつはっきりとさせていただきたいと思うのです。  この前の一月二十五日の予算委員会で、菅代表質問に対して、これは新聞にも大分出ておりました。小渕総理野田大臣とのニュアンスが違うということで新聞に書いてありましたけれども、大臣は、政府委員にかわる別なものができてはいけないと確認した上で今日に至っているのだ、こういう答弁予算委員会でされました。つまり、この政府委員制度廃止というものが変な形でまた復活するようなことは許さぬという決意が読み取れるわけです。  それを踏まえて、技術的にはつまらぬ問題を大臣に聞くというのも失礼なのかと思うし、我々も自制しなければなりませんが、我々が政策的にこれは絶対大臣答弁をいただきたいということを言った場合には、補足説明はあってもいいと思いますが、私は、大臣は少なくともこれを受けてまずは答えるということについて、来週以降の質疑がありますので、御確認をいただければと思います。
  10. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 予算委員会におけるやりとりのお話も出たのですが、政府委員制度廃止するということは動かないわけであります。したがって、閣僚なり今後できる副大臣以外の者がかわって答弁するということはないという仕組みに切りかえよう。今日そういう意味で、政府委員という名前であったり、あるいは説明員というのも制度としてあるのですね。したがって、そういうこともやらない。  だから、質疑者といいますか、その求めに応じて、国会の要請があって、初めてそういう計数的な話とか過去の経緯とかいうことに限定をした形でお答えをする。言うならば、参考人という言葉がいいのか、この参考人というのも現在ある制度なものですから紛らわしいので、どういうネーミングがいいのか、これは検討しなければなりませんが、そういう意味で、具体的な計数的な、技術的な説明をする、これはこれであっていい。しかし、いわゆる政策論議に関連して、従来の政府委員のような形でのそういう仕組みは残さないということで合意をしておるわけでありますから、この点は、もう一遍この機会に明らかにしておきたいと思います。次の国会からそういう形に移行しましょう、こういうことであります。  今国会は、そういう意味では政府委員制度の残っている最後国会ということになりますから、多少心情においてはこの機会に大いに心置きなく使ってあげたいという気持ちもしなくはないが、しかし、その趣旨からいって、政策論議、逆に言うと、そういう意味で大いに政策論議お互い与野党の間で交わすことができるような国会に、実は議論そのものの中身もお互い工夫をしていければなおいいことではないか。できるならば、その精神趣旨を前倒しできるような形ができるならなお結構なことだ、そういうふうに思っております。
  11. 古賀一成

    古賀(一)委員 本問についてはこれ以上詳しく申し上げませんが、大体の大臣のお気持ち、そしてこれまで、今日この政府委員廃止等々に至る経緯も正式にわかりました。今後の当委員会での質疑に私も何度も今後立とうと思いますし、この委員会で立つ方はたくさんおられるわけですが、政治家同士の活発ないわゆる忌憚のない意見交換というものができるような形での質問のつくり方、あるいは質問通告仕方等に心がけてまいりたいと思います。よろしくお願いします。  二問目でございますが、これは再度自自連立の話に絡むわけでございます。非常に政治的大変化をもたらしたとも言えるこの自自連立でございますから、この点については私は、代表として入閣されました野田大臣にはやはりはっきりとお聞きしなければならぬと思うのです。  今回、自自連立新聞に載っているようなテーマ、項目合意し、ガイドラインとか、先ほど申し上げました政府委員廃止とか、閣僚の削減とか、いろいろ話題がございました。その結果、合意が成ったということで連立になった。そして、その連立の結果、唯一の閣僚として、自由党代表されまして野田大臣が、当地方行政委員会に一番関係の深い自治大臣になられた。  通常でございますと、私は、自治に絡むいろいろな政策マターが自自で合意されまして、それを存分にやってほしいということで自治大臣になられるのが普通じゃないかという気も、政策的には言えばするのですね。ところが、ガイドラインの問題等々で議論されて、地方自治に関するいわゆる政策合意、あるいはそれ以前の政策協議というのが、我々の立場からいうと全然伝わってこずにこの連立になった、こういうふうな印象を非常に強く持つわけです。これは何か変だなという気も一方でしますし、これまでの与党でございます自民党地方自治政策と、自由党が強く主張されてこられた地方自治関連政策、これも相当の温度差というか、問題提起の仕方とか違う部分が相当あるのですね。  ここら辺について、つまり、自由党自民党地方自治あるいは地方分権というか、こういうものに関する政策の違いというものを、大臣として、自治大臣を拝命される、あるいは内示があった直前というか直後というか、どう認識され、それについて、自分自治大臣になる、自由党代表して自治大臣になるのであれば、これは自由党が主張してきたこの部分はやるぞというふうな話があってもいいのではないかと思うのですが、そこら辺が全然我々に伝わってきていないように思うのですが、自民党自由党との、一言で言えばいわゆる地方自治政策、これに関する政策の違い、大臣としてどう認識しておられたのか。  そして、自治大臣を拝命され、それならば自由党代表する自治大臣として、これは自由党政策は絶対一歩でも二歩でも前に進めたいという部分が私は当然あっていいと思うのです。ただ、所信表明では、私は、そこら辺のところは具体的項目も感じなかったし、その思いもどちらかというと感じられなかったような気がするのですね。だから私は期待するわけですよ。  具体例を挙げれば、三百市町村合併。一朝一夕にはいきませんが、例えば三百市町村構想というものに一歩でも近づけることであるとか、住民税も、自由党は半分でやるという主張もされてこられましたし、自治体にとって今大変な問題になっております介護保険の問題は、自由党は、新聞にもよく出ておりますけれども、廃止だと言って強く主張してこられた。  こういった自由党政策あるいは改革というものを、自治大臣になられて、私は、当然一歩でも二歩でも進めることを大臣にやっていただきたい。しかし、これまでの経緯からいうと、そこが感じられない。その点を大臣が腹の中でどう思っておられるのかを、ぜひこの際お聞きいたしたいと思います。
  12. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 両党首の合意事項の中で、いわゆる基本的方向で一致したという中の、今直ちに実行しようという政策というので九つばかりの項目がある。そういう中で、今のお話で、中央省庁の話とか閣僚の数の話とか安全保障の話だとか、さまざまなことがあって、その中に確かに地方分権とかいう言葉が表面化していないということで、あるいはそういう御指摘であったのかもしれません。  しかし、これはもう既に御承知と思います、今お話しの中でもありましたが、自由党というのは基本政策の中でそのことを明確にかなり強く打ち出しておりますし、それから同時に、自民党の中も今日まで、きょうのこの地方行政委員会委員先生方はもとよりのことでありますけれども、先般の小渕総理大臣所信表明演説の中にも、「地方分権の一層の推進」ということとか、特に「地方公共団体自主性自立性を高めるため、昨年決定した地方分権推進計画を踏まえた関連法案を今国会に提出するなど、地方分権の一層の推進を図り、あわせて市町村合併を含む体制整備行財政改革への地方公共団体の積極的な取り組みを求めてまいります。」という形で、中心課題一つとして掲げておられるわけであります。  これは地方分権ということだけでなくて、基本的に、我が国経済社会が二十一世紀において一段と活力と魅力にあふれたものとなるためには、それを構成する一人一人の国民や個々の企業が、みずからの個性や独創性を生かして積極果敢に創意工夫の実現に挑戦できる社会状況をつくらなければならないというこの問題意識。これは、国と地方自治体、言うなら地域住民自身がみずからの創意工夫によって自分たち地域を興していくということ等、一連の基本認識の上に成り立っている事柄であります。  そういう点では、基本的に、自民党自由党との間で、地方分権なり地方自治重要性問題意識においてそんなに相矛盾するような話ではなし、お互い基本方向というのは一致しているんじゃないか。これは私は、必ずしも両党だけでなくて、古賀委員もそうだと思います。ある意味では、党派を超えてこの基本方向というものは共有している部分ではないか。  大事なことは、お互い基本認識方向が一致しているとしても、それをどういう手順で、どういうスピードでやっていくのかということに、そろそろ具体化のところに突っ込んでいかなければ、実際には物事は動いていかないわけであります。  そういう点で、今回、小渕総理から私に自治大臣をせよという御下命があったということは、すなわち自由党代表という立場での入閣でもあるわけで、その点で、地方自治のさらなる推進地方分権というか、あるいは、私はよく地方主権という言葉を言ってきたわけですけれども、そのことに対するアクセルを踏んでいきたいという思い小渕総理自身におありになったからこそこういう人事をおやりになった、私はそう理解をいたしておりまして、さらに責任感を発揚しながら努力をしてまいりたいと考えております。
  13. 古賀一成

    古賀(一)委員 小渕総理所信表明等々各委員会での発言、私は、それは作文を読めばああいうことになると思うのです。  私は、実は前大臣にもお聞きしたことがあるのです。私から見て、地方分権なり、とりわけ今地方財政の、これも次の地方財政関連法案でるる申し上げますけれども、本当に恐るべき状態だと私は思っているのです。私は、これはにっちもさっちも立ち行かない、本当に奈落の底を転げるような感じすらしておるのです。  にもかかわらず、この統治に関する最大の地方自治問題、その中でも地方財政問題について、大臣問題意識ありや否やと。私は、読んでおられることは間違いないけれども、そこら辺は本人のお気持ちに全然ないんじゃないかということで、前大臣にもお聞きしました。  今いみじくも野田大臣自治大臣を拝命するに当たって小渕総理の心の中を推測するにということで御推測があったわけですが、ということは、大臣からはっきりとした明示の言葉がなかったということにもとれるわけでございます。  私は、当然、自自連立という一種の政治的な流れが、バックギアが入ったのか新しい仕組みになったというべきか、それは別として、本当に重大事件であったと思うのです。その中で自治大臣が選ばれたわけですから、私は大臣に、今の内閣地方自治に対する、地方分権に対する、地方行政に対する取り組みをもう一回確認したいわけです。  総理大臣から、そういう中で自治大臣を選ばれたけれども、一言もなかったと私は理解しましたが、そうでしょうかということと、私は、野田大臣みずから、閣僚自治大臣を拝命されたときに、総理に、引き受ける以上は地方自治に関連してこういうことをやらせていただくという条件提示があったのか。私は、これは非常に重要なことだと思うのです。本当に改革へ向かって自自連立がその担当大臣分野で起こっていくか否かということは、これは私は非常に重要なことだと思うので、その点を再度お聞かせ願いたいと思います。
  14. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 自治省が抱えておりますいろいろな課題を網羅的に羅列してということではありません、限られた時間の中です、お互い政治家です。  しかし、先ほど申し上げましたが、総理から、現在の地方分権に至る今日までの取り組みの中での私に対する御命令でございます。そういう点で、非常に大事なこの地方行政といいますか、地方自治の強化あるいは分権、あるいは地方財政困難性を抱えている現状の中における問題ということを認識した上での御下命であったわけですから、私は、そのとおり、しかと承ってお引き受けをした、こういうことであります。  そういう点で、全力を挙げて取り組んでまいりたい。特に、今お話がありましたとおり、率直に言って、今の地方財政状況というのはかなり惨たんたる姿になっておることも事実であります。これは何も地方財政のみならず、国の財政もそうでしょうし、言うなら日本経済全体が今どん底の状況にあることでありますから、そういったことを含めて、本当にお互い命がけでやっていかなければならないと思っています。
  15. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは、関連して次の質問に移りたいのですが、私は、新進党当時も、いわゆる地方分権地方の時代、抽象論幾ら言ってもやはりだめだ、最大の問題は、基礎的公共団体である市町村の規模をしっかりと大きくすることだ、私はそう思うのですね。私の地元の状況を見てもそうです。この委員会で何度も申し上げましたけれども、半径四、五キロで円をかいて、市役所、町役場がもう五つも六つもあるのです、私の地元は。そういう地方議会あるいは役場、市役所のモラルの問題、今経済社会で起こっている事柄というのは、国際化、いろいろなあらしの中に内政があるという状況でもある。  そうして見ますと、私は、もう市町村合併促進というのはスタートの問題だろうという意識が非常に強くして、歴代大臣にこの点は一貫して申し上げてきて、当初は大変冷とうございましたが、今回、市町村合併については手だてを政府としても講じようという流れになってきた、それは非常にいいと思うのです。  ただ、前国会でも、次期通常国会でどうだとお聞きしましたところ、どうも法案がまだ固まっていないわけですから詳しくは申し上げられないのでしょう、余り今までと変わらぬじゃないかと。我々がこの委員会で言ってきた、昭和二十八年から三十一年にかけての昭和の大合併のときの、あの自治省がやった仕掛け、取り組み、情熱、こういうものが今ないじゃないか、こう言って、私は、ちょっと生ぬる過ぎると。  この地方財政の破綻を前に、介護保険の問題もあります。市町村で今悲鳴を上げつつあります。そうしたときに、今度の国会大臣所信表明でも申し上げられましたけれども、地方分権推進計画実施のための五百本前後の法律が出る、その中で市町村合併の特例の仕組みも盛り込むということのようですが、ぜひとも、一気に三百市町村というわけにはいかないかもしれません、しかし少なくもあと数年後には五、六百とか例えば千とか、千なんか私は簡単だと思うのです。  やはり自治大臣、この政策をひっ提げての入閣でございますから、この間の政策合意になっていなくても構わないし、追加的政策合意でもいいし、自治大臣野田先生がなられたということの意義づけをするためにも、ぜひこれは、三百とは言わないけれども、自由党一つの哲学、理念、そしてこの委員会でも一致してその方向を申し上げてきたこの点について、大臣のリーダーシップを発揮する最大の好機じゃないかと私は思うわけです。  その点、市町村合併の大促進に向けて、大臣としてのリーダーシップを発揮することについての御決意を私はぜひお聞きしたいと思うのですが、よろしくお願いします。
  16. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 意気込みのほどは、古賀先生にも劣らぬ意気込みはしております。  現実問題として、市町村合併問題は、まず、住民自身の理解とみずからの意思というものが非常に大事であることは言うをまちません。しかし、それをずっと待っていたら、いつまでたっても何にも動かないじゃないかという焦りを感じておることも事実でございます。そういう中で、殊さらに古賀先生に合併の意義を強調することは、ここでは屋上屋になると思いますから避けますけれども、そこへ持っていく過程の中で、言うなら、合併を促進するためのどういう手だてを講じていくかということは非常に大事なことであります。  そういう点で、やはり都道府県の協力ということが当然前提になるわけでありますし、そういう意味で、合併を行おうという現在の自治自身の住民の努力、意識と同時に、都道府県の協力をどういうふうに促進、推進をしていくか、そのためのいろいろな財政上その他の支援等の仕組みをどういうふうに組み合わせていくか、このことを実はいろいろ勉強しておる最中でもございます。  当面、お話しのとおり昨年地方分権推進計画という形で取りまとめをした、それの法案化をして、この国会でぜひ御審議をお願いしようと考えております。その法案の中に、市町村合併促進についての部分も盛り込むつもりでおります。しかし、それだけで完結するかというと、私は、それだけではなくて、さらなる推進のための方策を現在さらに勉強しておるということを申し上げておきます。
  17. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、自由党日本再生へのシナリオ、あるいは小沢党首みずから代表質問で申し上げられた言葉の中で、変わらずに残るためには変わらねばならない、非常にいいキャッチコピーだなと思います。まさにこの市町村の規模の問題にぴったりなのですよね。市町村が今までどおり豊かで今までどおりそこそこの住民ニーズにこたえるには、もう変わらねば、変わらずにおることはできませんよ。まさにこのキャッチフレーズそのものだと思うのですね。  私は、再度申し上げますけれども、この自自連立のある面で、歴史が移ろって、あれは大したものであった、よかったというのはこの点じゃないかと思うのですね。政府委員は余り関係ないと私は思うのです。国民にとっては、どうぞ永田町と霞が関のルールの問題ですから。  私は、そういう面で、これについてはぜひとも強いリーダーシップを、引き続き、自由党のレゾンデートルをかけてというか、あるいは自自連立のレゾンデートルをかけて取り組んでいただきたいし、きょう政府委員といいますかお役所の方も来ておられますけれども、役所の限界は、これまでの一種のトレンドの中でしか政策はつくれないと思うのです。やはり、ガラガラポンというかニューパラダイムでひとつつくり直してみようというのが政治であるし、政治が言えば、役所も実は本音としてはそうなんだと思っている向きも、いろいろな政策面でたくさんあると私は思うのですね。  私は、その点について、再度お願いでありますけれども、ぜひとも市町村合併促進についての大臣取り組みを、これは要望ですが、お願い申し上げます。  あと質問をたくさんしておりましたが、五分前とありますが、時間でいうとあと二分ありますが、私は、地方財政全般について、徹底した論議を今後やれるので詳しくは申し上げませんが、基本的認識を、一点だけ今後のためにお聞きしたいと思うのです。  大臣は、若いとき大蔵省の官僚として活躍をされたわけですが、私はこの委員会で何度も申し上げてきたんですけれども、税制の審議の仕方、税制を決めていくプロセス、あるいは財政もそうですね、やはり地方が完全に従属していると私は思うんです。国会の中で経済政策を論じ、それが中央のある事情によって、国会では特別減税も引き延ばす、やらないやらないという、補正予算も組まないという、しかし国会の都合、とりわけ大蔵の都合で、国会が終わったらアナウンスなき政策転換なるものをやっていく。そのしわ寄せは全部、今度通達で自治省が各自治体に、たくさん地方単独を組めとか、そういう注文がどっと自治省を通じて行く、そのツケが今の百七十六兆というこの債務残高でもある。  私が最後に聞きたいのは、今後の質疑に資するためにお聞きしたいのは、今の財政、税制構造すべてにわたって地方が国に従属した形で意思決定がされていく、とりわけ大蔵省中心主義というのが私は目に余るような気がいたします。  細かくは申しませんが、大臣、その二つの指摘について、大蔵省、お二人並んでおられますが、ひとつそういう厳しい指摘について、一般的な印象でも御見解でも結構ですが、最後にお聞かせを願いたいと思います。地方税法等の今後の質疑にひとつ参考にさせていただきたいと思います。
  18. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 若いころ大蔵省で奉職しておったことは事実ですが、偉くなる前にドロップアウトしたものですからなんですが、ただ、いずれにしても、今地方財政は百七十六兆の借金を抱えている、これは現実です。しかし、国、地方を合わせて約六百兆という数字があることも事実。ではどのぐらいの借金の配分であればいいのかということ自体はナンセンス、私はそう思っています。  現実問題、今回の予算編成に関連して、あるいはたばこ税について、より国からの移譲といいますか、こういうことが行われている。これは交付税の世界であるとはいえ、法人税についての交付税率を引き上げる。いろいろな意味地方財政への配慮がかなり行われておることも事実でございます。  そういった点で、少なくとも、財政をどういうふうに立て直すかということは、国、地方を通ずる共通した課題でありますが、この問題は、国の経済が本当にどういうふうにきちんと立ち直るか、そこからどういう、例えば所得を課税標準とする税収がどれだけ上がってくるのか、そういうような、ある意味では正常における税収構造ということを前提にした国、地方の財源配分というような形からきちんと整理していかないと、今の極端に落ち込んでいる状況を前提としての財源配分というのは、ちょっとまだ早いのではないかという印象を持っております。  しかし、いずれにせよ、御指摘のありましたように国づくりの基本の一つとして、やはり地方が主体になっていく、国は、まず地方がやれないことを限定してやっていくんだという、その仕事の中身をきちんと配分していくということを考えれば、おのずから財源配分についても、地方のきちっとした主体的な財源を確保するということが基礎になるという発想は、御指摘のとおりであります。
  19. 古賀一成

    古賀(一)委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  20. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、滝実君。
  21. 滝実

    ○滝委員 自由民主党の滝実でございます。今回の一般質問に当たりまして質問機会を与えていただきまして、まことに光栄でございます。しかも、野田自治大臣が御就任直後にこういう形で大臣から直接御意見を拝聴できる機会を与えていただきましたことも、あわせて感謝を申し上げたいと存じます。  当面の税制改革あるいは財政対策につきましては、いずれ法案が出てまいりますので、そういった問題についてはその段階で議論が行われるはずでございますから、本日は、地方分権推進ということに絞りましてお尋ねをさせていただきたいと思うわけでございます。  まず最初に、質問に入る前に、全国の地方団体は自治大臣がどういうような考え方で今後の地方分権をお進めになるのか、そういうことについて恐らく大変高い関心を持っていらっしゃると思うんです。そういう中で、大臣所信にも見られますように、そしてまたそれに付随しての御意見にもございましたように、そういう地方団体の皆さん方が持っております関心について一言で申し上げるならば、非常に大臣に期待するものが大きい、こういうふうに私どもは実は感じております。  大臣がおっしゃいますように、地方分権の動向については恐らく総論として各党各会派で異論がないだろう、問題は、今の段階で具体的にどうやって結論を得て進めていくか、こういうような段階に来ている、こういうふうにおっしゃっているわけでございまして、私は、そういう意味地方団体ももう少し活発に自治省に対していろいろな提案をしていただくことも必要でしょうし、大臣も積極的にそういうものを受けて立っていただく、そういうようなことが必要だろうと思います。  そういう意味で、私は今回、このいただきました時間に際しまして、少し飛躍したことも申し上げるかもしれませんけれども、一つの御提案ということでお酌み取りいただければ大変幸いでございます。  さて、個別に見てまいりたいと思うんでございますけれども、今回の所信表明にもございましたように、地方分権推進に関しまして五百本前後の法律改正を今国会にお出しになる、一括法案としてこの通常国会にお出しになる、こういうような方針は決まっているわけでございますけれども、問題は、この五百本というのが一体何を指すのかということは、必ずしも今の段階で国民の前に明らかにされていないわけでございます。  分権推進委員会は、一次から五次にわたって、大変期間をあけてそれぞれ答申をいただいているわけでございますけれども、この五百本というのは一体どこまでの答申を指すのか、そしてその中身は、当然のことながら、分権推進委員会の勧告に沿ったものだというふうには理解をいたしておりますけれども、法案を見なければわからないのかもしれませんし、今まだ詰めている最中かもしれませんけれども、大体勧告に従ったものになっているのかどうか、そういった点について大臣の御見解を承りたいと思います。
  22. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今法案化の作業をしております内容は、御指摘のとおり、今日まで四次にわたる地方分権推進委員会から出されました勧告を昨年の五月に地方分権推進計画として閣議決定で取りまとめた、それを法案化しようというのが現在の作業であります。なお、第五次勧告については、これはこれで、この年度中にこれを計画としてきちっと決めたいというふうに考えておるわけです。  今お尋ねの五百本前後の法案というのは大体どんなものかということなんですが、これは主として、今までの四次にわたる勧告の中でいろいろ出ました機関委任事務制度廃止、これに伴って地方自治法における諸規定を整理し直す、それから同時に、法定受託事務と自治事務という新しい事務区分に基づき、関係法律において所要の整備が必要であるということでありまして、大きく四つほどの柱があるわけですが、それは国の関与について新しいルールを定めるとともに、これに伴って関係法律における個別の関与の見直しを行うこと、そして必置規制の廃止等を行うための関係法律の見直しを行うこと、第三に権限移譲を図ること、第四に地方公共団体の行政体制の整備確立を行うこと、これが主な柱でございます。  法案の数は各省に大変またがっておりまして、役所ごとにいくと、例えば厚生省所管の法律が九十一本ぐらいこれに伴って改正する必要があるのではないか、各省ごとにずっと足し算していきますと、今現在四百七十八本ぐらいの法律になるのではないかというふうに考えております。各省ごとに申し上げるのはまた、必要とあらば申し上げますけれども、例えばの話です。  そういう各省にまたがっておるということでありますので、一括法としてお願いをしたい。これは、とてもじゃないが一本一本の法律でやったらどうにもならぬということでございます。
  23. 滝実

    ○滝委員 そこで、今の第四次までの勧告をもとにして一括法案、こういうようなお考えのようでございますけれども、そうしますと、五次勧告、これは大変おくれて出てきたものですから作業がなかなか相伴わない、こういうことだろうと思うのでございますけれども、この五次勧告についてはどのようなことでこれから推移していくのか、その辺の見通しについてお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
  24. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今ちょっと申し上げましたのですが、昨年十一月十九日に第五次勧告が出されました。これに基づいて、十二月に閣議で、今年度中にその勧告に基づいてそれを具体化していくための地方分権推進計画を、第五次勧告に基づく計画を策定しようという手順になっておるわけでありまして、それを今年度中につくりました後、今度は具体化のための法案化の作業が行われるわけであります。  そして、できるならばこれは、いわゆる統合補助金などというような非常に予算に関係する分野でもありますので、早ければ十二年度の予算編成、あるいは遅くとも十三年度の予算編成に間に合うことができるように、できるだけ早くこれを具体化してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  25. 滝実

    ○滝委員 そうしますと、推進計画の方は、五次勧告に伴う分は三月末ぐらいというのが一応の目標になろうかと思うわけでございます。  そこで次に、一つの例として、建設省の道路局と河川局の作業状況についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。  第五次勧告で言っているのは、今自治大臣もお述べになりましたように、まず直轄事業については、直轄事業のいわば基準あるいは区間の範囲、そういうようなことを具体的に明示するんだ、こういうような勧告でございますよね。そのほかに、今大臣もお述べになりましたように、補助金をできるだけ廃止して統合補助金にするとか、そういうようなこともあわせて五次勧告にあったと思うのでございますけれども、まずそういうようなことについて、建設省としては道路、河川についてそれぞれどういうような今作業方針で臨んでおられるのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  先般の五次勧告におきまして、道路、河川等について直轄のありようについて基本的な枠組みが示されております。現在、私ども、五次勧告を受けまして、それぞれ道路審議会、河川審議会でより一層基準を明確化するというふうなことで作業をやっております。  おおむねの目安でございますが、やはり少し作業のピッチを上げまして、ことしの春には基準を相当程度体系化いたしたいと思っております。その後は、その基準を受けまして、個別の直轄区間のありようについて公共団体といろいろな御相談に入るというふうな段取りを念頭に置いております。  それからもう一つ、五次勧告で統合的補助金というふうなことがうたわれております。これにつきましては、今自治大臣からお答えになりましたように、できれば私どもも十二年度の予算編成の過程を通じて枠組みをつくり上げていきたいというふうに現在は考えております。  以上でございます。
  27. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。  そうしますと、これは、道路審議会、河川審議会の議を経てということになってまいりますと、かなり時間的にはずれ込むのじゃなかろうかなという感じがあるわけですね。ずれ込むならずれ込むでやむを得ない点があると思うのですけれども、そうしますと、今度は十二年度の予算に反映させていくのはなかなか難しい、そういうようなことにならざるを得ないと思うのです。その辺の、地方分権推進計画をこれからつくるということと、それから道路、河川の審議会で議論をしてもらうということとのスケジュール的な点は、もう少し具体的に何かお見通しがあるのでしょうか。
  28. 小川忠男

    ○小川政府委員 道路、河川両審議会での議論の結果としての基準の明確化といいますか体系化、それはことしの春までには一応の結論を得たいというふうに思っております。ただ、その基準が体系化されたときに、それを踏まえまして、全国にございます個別の区間を、これは直轄として残すのか外すのか、あるいは何かを追加するものはあるのかないのかというふうなこと自体はかなりいろいろな議論があるでしょうし、現段階で何カ月くらいで終了するというのは少し御勘弁いただきたいと思います。  ただ、その意味では、基準を体系化するということと、それからそれを踏まえて個別の点検作業を行うというふうなことと予算とは若干違った局面なのかなというふうな感じはいたします。  ただ、予算について、先ほど言いました統合補助金、これは制度でございますから、これは十二年度の予算編成を通じて、できるならば少し明確化させたいというふうに思っております。
  29. 滝実

    ○滝委員 確かに、おっしゃるように、これは直轄事業だけとってみても大変時間がかかる話だと思いますし、そしてまた補助金の統合化の問題に至っては、これはもう、また議論が出てくる話でございますから、なかなか手間のかかる話だと思いますけれども、こういう分権の機運のあるときにそれに合わせてやっていただくということがやはり一番大事だと思いますので、ひとつ、一番大手の事業をお持ちの建設省におかれましては、速やかにその作業をお進めいただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  総務審議官、あと災害の関係がありますけれども、この問題はこれで結構でございます。  次に、同じ分権の中で、権限移譲とかそういうこと以外に勧告の中で触れてきている問題では、第二次勧告にある話なんでございますけれども、住民参加の拡充、拡大と申しますか、そういうようなこともこの分権推進委員会の中で勧告として出されているわけでございます。  しかし、その中で出てきておりますのが住民参加の拡大、といっても抽象的でなかなかわかりにくいのでございますけれども、具体的な例を挙げれば、住民投票の問題とかそういったことが折々あるわけでございますけれども、こういった点も含めて、私は、一つの基準というか、それに対してどういう取り組みをしたらいいのかというのもこの際あわせて方向づけをしておく必要があるのではなかろうかなという感じがいたすわけでございます。  例えば、住民投票一つとりましても、住民参加の機会をできるだけ多様性を持たせる、あるいは拡大するんだという点からすれば、進めるということについてはもう少しPRした方がいいという意見もあるでしょうし、いや、待てと、今のような議員制度をとっている地方団体において、そういうようなものを制度としてどこまで取り込んでいくかということになると、これはまたなかなか議論のあるところだ、こういうようなこともあると思うのでございます。  問題は、そういうようなこと、それから技術的な問題として、住民投票ということになりますと、なかなかこれを、住民の皆さん方に一つ事柄を理解してもらうには時間がかかるという問題もあるでしょうし、そういった観点から、二次勧告で一応こういうサジェスチョンはされておりますけれども、こういった問題について自治省としてどういうような方向づけをしていくのか、それについてのお考えを承っておきたいと思うんです。
  30. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今御質問の中でもお触れになりましたとおり、住民の意思を直接反映していくということについて多くの方面の要請があることも事実だし、また、法律上、この点について特段それを禁止するような形でもない、これはこれで事実でございますが、他方でまた、お触れになりましたとおり、現在のいわゆる代議民主制というか、議会政治との関係をどう考えるのか、なかなか難しい問題があることも事実です。  そういう点で、どういうテーマを対象にするのかしないのか、そういったところで、どう仕切るという考え方もあるけれども、ではどこで仕切るのかということについても、なかなかまだ合意が成立されていない。ここは分権推進委員会の方からもお話があったことも事実ですが、同時に、これは地方制度調査会でも長い間この問題、いろいろ議論をしていただいておりまして、その中においても、率直に言って、両面からの御議論があることはもう御承知のとおりでございます。  しかし、これはいつまでもずるずるしておくわけにもいかぬのでしょうが、私どもの方は、そろそろその辺、どの辺までがいいのか、もう少し論点をさらに絞り込んでみたいというふうに考えておりまして、この問題は引き続き勉強させていただきたいというふうに考えております。
  31. 滝実

    ○滝委員 大臣から承りましたけれども、おっしゃっておられますように、なかなかこれは、いろいろ両論がある話だと思います。したがって、過去に我が国の中でも何件かの事例があるわけでございますので、そういった事例をもう少し披露してもらうとか、そういったことを通じてやはり議論をしてもらう必要があるんだろうというふうに思うわけでございます。一つの団体でこれをめぐった事件が出ますと、そこだけで議論がどうしても終始して客観的な方向づけを出すというのがなかなか難しいことも具体的な事例ではあると思いますので、こういった点についてもひとつ御研究等を進めていただく必要があろうかと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思うんです。  次に、合併の問題について少し御意見を承らせていただきたいと思うんです。  やはり、今度の介護保険の準備に当たりましても、市町村の区域の中だけではなかなか難しいというのが現実の問題として出てきているわけでございます。それが直ちに合併に結びつくというのは論理の飛躍ということもあるわけでございますけれども、具体的な行政を進めるに際してはやはり今の区域では狭いというのは、事実問題として市町村そのものが今認識している、こういう段階だろうと思うんです。  問題は、その上でそれをどうこなしていくか、こういうことになるわけでございますけれども、やはり私は、合併推進をする、ただ単に抽象的に進めるといってもなかなかこれは乗りにくい話だと思います。そこで、その壁をどこで取り破るような環境を整えていくかということに尽きるんだろうと思うんです。大臣のお言葉をかりれば、具体的にどういうような方向づけをするのかという段階であろうかと思います。そういういろいろ考えられる中で、一つ二つ申し上げてみたいと思うんです。  従来は、自治省も、どちらかというとこの合併問題についてはなかなか旗振りをしにくい立場、いろいろな事例は集める、状況のPRはするということでございますけれども、具体的になかなか旗振りはしにくいということだったと思います。それを受けて、実は都道府県の方も、自治省以上になかなか合併の旗を振るなんという感覚そのものがない、そういうような状況だろうと思うのでございますけれども、今、全国の動きを見ますと、合併協議会ができ上がっている地域が八地域ですか、それから、事実上の合併の話し合いができているのが六地域とか、そういうふうに、多少はその芽があるように思うのでございます。  そこで問題になりますのは、やはり当該市町村だけで合併の機運をつくるといってもなかなか難しい問題がある。そこで都道府県がどう取り組むかという姿勢がありませんと、やはりこの問題はなかなか住民の皆さん方の関心が出てこない、そういう性格のものだろうと思うんです。都道府県が、この問題をもう少し地域の実態に即した、旗振りというと都道府県そのものもなかなか立場が微妙でございますからできかねるところがあるのでございますけれども、都道府県がもう少しこの問題に関与するような方策を考えてみたらどうか、それについて自治省はどういうようなことを考えられるのか、その辺のところからまずお聞かせいただきたいと思うんです。
  32. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、まさに国がいろいろ合併推進を慫慂するに先立って、まず一番地元の状況に精通しているのは都道府県でもあるわけで、そういう意味で、都道府県の協力体制ということが不可欠の事柄であると考えております。そういう点で、自治省としては、都道府県に対し、合併を検討する際の参考や目安となる合併のパターンなどを作成し周知するなど、積極的な取り組みを要請いたしておるところでありますし、また、その際に参考となる合併推進ガイドラインを本年上半期にお示しするという予定であります。  また、分権推進法の中で、合併特例法の改正も含めるわけでありますが、その中では、都道府県知事が関係市町村意見を聞き合併協議会の設置を勧告することについても規定をしたいというふうに考えております。  今お話がありましたとおり、まさに今一番大事なときでありますので、合併に対する都道府県のさらなる強力なる御協力をぜひお願いしたい、そのためにまた自治省もできるだけの努力をしたいというふうに考えております。
  33. 滝実

    ○滝委員 問題は二つあると思うんですね。一つは、合併をされますと、旧市町村の中で取り残されていく地域が出ないかどうかという心配が当然あるわけですね。一つの村として存立する以上はいろいろなことができた、それなりのまとまった意識ができたけれども、合併しちゃうと、どうしても中心地は栄えて周辺部分は取り残される心配がある、こういうような地域的な格差が生じるおそれというのが一つございます。それからもう一つは、合併しても具体的に住民の皆さん方には何も影響がないじゃないか、そういうような意味合併に対する積極的な意見が出にくい。こういう二つの問題があると思うんです。  したがって、私は、この二つの面から、やはりこれからのものを考えていくとすれば、仮に取り残されていく地域があるということであれば、突拍子もない例を引いて恐縮でございますけれども、例えば地方議会にも二院制度をつくるというようなことがあったっていいと思うんですね。非常に突然な話でございますからなかなか理解は得にくいと思うのでございますけれども、要するに、旧市町村代表する機関、仕掛けを議会の中につくる、そういうことがあったっていいんじゃないだろうか。これは連邦国家でやっていますよね。そこまで飛躍するとえらい大げさな話になるのでございますけれども、地域が心配だというのであれば、仮にそういうような仕掛けを考えてみてはどうかというのも一つの考え方ではあると思うんですね。  それから、住民の皆さん方は、何にもメリットがない、合併してもしなくたって一般住民の日常生活には関係ないというような思いがやはりあるんですね。したがって、その上で合併計画というかそういうものを考える場合には、住民の皆さん方に、合併すればこんないいことがあるよという意味では、やはりきめ細かいいろいろな提案がないといかぬ。昔のように小学校を整備するから合併しますよというような大ざっぱな話では、なかなか今回は通用しないわけでございますから、例えば合併をするとして、地域間の連絡をよくするために思い切って手厚い路線バスを誘致するとか、そういうこと一つとってみても、やはり地域の皆さん方の生活の利便が増すような、これは合併しなかったらできないというようなものを合併計画の中に入れ込む、そういうような考え方がどうしても必要じゃないだろうかなという感じがいたすわけでございます。  こういった点について、一つの考え方として、これをどういうふうにこなすかはこれからの問題でございますけれども、そんなことを考える必要があるんじゃないかと思うんでございますけれども、ひとつ大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  34. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、かなりきめ細かい発想が必要だろうという御指摘、そのとおりだと思います。そういう点で、住民の意識においてもやはり合併した方がいいんだという気持ちをまず持ってもらうということが大事なことだと思います。そういう点で、きめの細かいそういったサービスがきちんと、逆に合併した方が確保できるんですというようなことが出せないかどうか、この点が非常に大事なことだというふうに思っております。  そういう点で、今回の法律改正においては、合併前の市町村協議して旧市町村の区域ごとに地域審議会を置くことができるということにして、合併市町村の長に対して地域意見を述べることができる仕組みを新たに設けたいというふうに考えております。  また、日常の行政サービスが身近に受けられるように、地域ごとの支所や公共施設を活用したり、またネットワーク化を図ることが有効でありまして、国として示す予定の合併推進の指針、ガイドラインにもこうした方策の活用を盛り込みたいと考えております。  さらに、旧市町村の振興や市町村建設計画に基づく事業のための財政措置を拡充し、合併した市町村が均衡のある発展ができるよう総合的に支援をしてまいりたいというふうに考えております。  まあ、議会を二院制にするかどうかはちょっと勉強させてください。
  35. 滝実

    ○滝委員 議会の問題は一つの考え方として申し上げたので、これが簡単に実現するとは思っていませんけれども、それに似たようなことで、地域審議会でございますか、そういうような各周辺区域が安心できるような仕掛けというのは今までにない仕掛けでございますから、そういうものはやはりこの際打ち出していただく、それは大変効果があるのではなかろうかなという感じがいたします。  それと、財政措置についても思い切ったことをおやりになる、こういうことでございますけれども、なかなかここのところが難しいところがあると思うのですね。従来、合併しますと、交付税でも五年間だけは合併による交付税交付金が減らないように、こういうことであったわけでございます。これは、これからの合併については少し延ばすという意見もあるかもしれませんけれども、そうなりますと、今小さな市町村に対する国民の批判というのは、大都市から見るとどうも小さな市町村に交付税が行き過ぎている、こういう批判もある中で合併がなかなかうまくいかないということも片やあるわけですね。  お金のことでございますから、財源付与の問題は理屈の問題じゃなくて、本当に必要があればお金を出さなければいかぬ、こういうことで、交付税でも段階補正とかそういう形で小規模な市町村も何とか成り立つように、こういうことの結果、小規模な市町村もそれなりに手厚い財源措置が交付税という格好で出てきているわけでございます。これが合併問題の足を引っ張っている、こう言われているわけでございますけれども、しかし、現実問題として、合併すると直ちにこういうメリットがなくなってしまうということになりますとなかなか合併が進まないという、妙な堂々めぐりができているわけでございます。  したがって、将来の方向としては、こういった小規模市町村に対する財源付与というものを普通交付税でやらずに、あるいは特別交付税かなんかにゆだねるとか、そういうことを片や考えながら、しかし合併がしやすいような措置はしていく、こういうことだろうと思うんでございますけれども、こういった財政問題についてもう少し具体的なお考えがあればお聞かせいただきたいと思うんです。
  36. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 さすがに実情をよく御存じの上での御質問でありまして、基本的な問題意識、考え方の方向性は御指摘のとおりでありまして、やはり合併を促進するというか、そちらに誘導していくような財政的なスタンスというのが必要であるというふうに考えております。  今御指摘もありましたが、普通交付税の算定における合併算定がえの期間を、今五年でありますが、今度の法改正の中で十年に延長するような方向取り組みたいと考えておるわけです。そのほかにも、市町村建設計画に基づく事業その他旧市町村の振興等に必要となる事業に対する地方債、この起債措置を手厚くしよう、あるいは合併関係市町村の公債費負担格差の縮減等の財政健全化、あるいは合併協議会の運営等の合併準備等に要する経費に対する交付税措置、こういうような財政措置を拡充をいたしたい。  今申しましたそういったことをやるために必要な法改正、必要とあらばやりたいというふうに考えております。
  37. 滝実

    ○滝委員 合併問題につきましては、ひとつ従来にない中身のものをぜひ取りまとめをお願いを申し上げたいというふうに思います。  次に、税財政の問題について一つ二つお聞かせをいただきたいと思うのです。  今度の大臣所信にもうたわれておりますように、法人事業税の外形標準課税について取り組みをしていくんだ、検討を進める、こういうような決意の御表明があるわけでございます。これにつきましては、一つ二つ問題がありますのは、外形標準課税という抽象的な言葉だけがひとり歩きいたしておりまして、外形標準課税は困るという、直ちにそういう反応に結びついているわけですね。中小企業の皆さん方からすると外形標準課税即増税、こういうような図式ができ上がるわけでございますけれども、問題は外形標準課税というものの中身ですね。どういうような案で議論をするのか、そういう議論をする土台がそもそもないんじゃなかろうかなという感じがいたします。外形標準課税といっても、どういう方法でやるのかという、その方法、中身が全然出てきていないわけでございますから、これは議論のしようがないわけでございます。  ところが、年末に政府の税制調査会で中間取りまとめをしたんでしょうか、法人関係税の小委員会で外形標準課税についての一応報告があったと思うのでございますけれども、こういう報告の中身とそれまでの議論、どういう議論をしてきたのか、まずその辺のところを、大臣にお答えしていただく前に税務局長の方からひとつ紹介をしていただきたいと思うんです。
  38. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 事実の経過でございますので、私からお答え申し上げます。  政府税制調査会の地方法人課税小委員会は、昨年の四月十七日の政府税調総会におきましてその設置が決定され、昨年五月十九日の第一回会合以来、これまで九回にわたり熱心な調査審議が進められてきております。  これまでの審議におきましては、まず事業税の課税団体でございます都道府県の意見を聴取ということで、関係県知事さんの考え方をただすとともに、納税者の意見を幅広く伺うため、経済界を代表いたしまして小委員会にも御参加いただいておる委員の方から御意見をレポートしていただいたり、あるいは、地方経済団体あるいは収入金額課税法人など多様な立場の納税者の御意見をいただくため、関経連でありますとか全国法人会総連合あるいは電気事業連合会、そういった方面からのヒアリングも実施をいたしております。  また、諸外国におきましても地方税の世界で外形標準課税が実施されているケースがございますので、そういったところを調査をしてみたり、あるいは学識経験委員の方々からのレポートもたくさんいただいているところでございます。そうしまして、これらに基づきました活発な議論が毎回続けられております。  この地方法人課税小委員会におきましては、引き続き検討を進めまして、まだ幾つかの考え方をまとめるという段階には至っておりません、まだ議論の入り口とは申しませんけれども、もう少しいろいろ議論を積み重ねまして方向を絞っていくというようなことになっていこうかと思っております。
  39. 滝実

    ○滝委員 政府税調の方もまだこれからだということとして受け取らせていただきましたけれども、先ほど申しましたように、この問題は具体的にどういう外形標準をとるのかということでありませんと、ひたすら増税になるぞ、赤字法人がみんな軒並み税金払わにゃいかぬぞ、こういうような、総論だけで抽象論だけで賛否を問うというような変な話でいきますと、結局結論は見え切っておりまして、反対ということにつながりやすいわけでございますね。  やはり議論をもう少し冷静に、具体的にしていただきませんとこの問題は進展しないと思いますけれども、これにはやはり大臣の御決断がどうも要るんじゃなかろうかなと思いますので、ひとつその辺のところをお聞かせいただきたいと思うんです。
  40. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 この問題、新しいようでいて最も根本的な問題で、戦後直後に直面した問題であるわけです。そもそも地方行政サービスを受ける受益者という立場と、それから地方財源の安定性をどう確保するかという問題、そういったところからいくと、むしろ累進的な所得というものを対象にして財源調達するのがいいのか、そういう意味で受益者というか応益負担というような角度から見れば、むしろそういう外形標準的なものを基礎にした財源の調達方法がいいのではないか、これはもう二十年代の半ばごろから非常に大事な問題としてずっと今日まで来ているわけであります。  そういう点で、率直に言って、単に事業税について今外形標準課税化の話があって、具体的な話が政府税調でもいろいろ御勉強いただいているんですが、地方税の根幹をなす税として幅広くそういう意味での応益課税という形を位置づけていく、そういう一番根本問題であるという認識がまず何よりも必要であるというふうに私は認識をいたしております。そこが一番の出発点ではないかというふうに感じております。  ただ、いろいろ政治的な側面からいえば、確かに、事、事業税だけに限定して考えると、いうなら所得課税的な側面が非常に強くなってきておるものですから、そういう点で黒字、赤字の話が必ず出てきて、そういった角度から今御指摘のような話が出てくる。しかし、もともと地方税の根幹をなす税のあり方というところからいえば、まさにそういう応益課税、そういう外形標準的なものを基礎とする、それが本来根本になるべきであるというような議論というのをもう一遍掘り起こしてきちっとした位置づけをするという、その両面の作業が必要ではないか、私自身はそのように感じておりまして、今一生懸命、税調初めいろいろ御議論いただいておるわけで、さらに議論が深まることを本当に切に望んでおるわけであります。
  41. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。  基本は、大臣がおっしゃいますように、とにかく議論を深めてもらう、こういうことがまず何よりも大事かと存じますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、次の問題は、今回平成十一年度の地方財政措置の中で、法人税を交付税に繰り入れる率を大変上げていただきました。当面は三二・五%ですか、わずか〇・五%の繰入率のアップでございますけれども、基本的には三五%にする、こういうようなことでございますから、これはかなり、近来ない思い切った財政措置だろうというふうに思うのでございますけれども、それにあわせて、交付税は交付税で強化をしていただくのは結構なんでございますけれども、その反面で、やはり地方税というものをいかに充実していくかということがその前提としてなければいけない、こういうふうに思うわけでございます。  少なくとも分権推進委員会の財源勧告におきましては、地方負担の変動があるわけではない、したがって、一次勧告、二次勧告を通じて、特に地方の負担が移動するわけじゃないから財源措置については特別な具体的な勧告をしてない、こういうことになっているわけでございますけれども、地方の負担がふえるふえないにかかわらず、やはり、仮に今の負担のままでいくといたしましても、税というものをもう少し充実する方向、何でもかんでも最後は交付税でもってガラガラポンとやってそこで収支じりを合わせればいいんだということでは、やはり地方団体の自主性ということからいっていかがなものだろうか、こういうふうに思いますので、地方税というものをもう少し今の制度の中でも機会をとらえて充実していく、こういうようなことがあっていいんじゃなかろうかなというふうに思います。  今回の法人税の繰り入れについては、それは高く評価をさせていただきますけれども、それとは別に、こういうような税というものについての、どう扱っていくかということについての大臣の基本的な御認識を伺わせていただきたいと思うんです。
  42. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおりでございまして、本来地方財政が、権限移譲とともにその自主財源がきちんと裏づけられて初めて本当の意味での地方分権というか、それが成り立つわけであります。そういう点で、単に交付税でその都度その都度しりぬぐいして御都合主義でやってはよくないというのはそのとおりだと思います。  今年度といいますか、十一年度においてこの法人税についての交付税率を少し引き上げたということは、それはそれで一つの方策なんですが、あわせてたばこ税について、これは交付税ではありませんで、地方へのいうなら財源移譲したという形にはなっておることは、これはこれで評価をしていいと思います。  ただ、安定的な形で国、地方の財源の再配分というか、税源の配分ということを考えた場合に、ここ一両年できちんとした仕分けができるかどうかということについては、多少問題も一方ではあるのかなというふうには思います。  それは、小渕内閣としても、今年度の経済成長を何とかプラスを確実にしよう、そして来年は安定的な軌道に乗せましょう、そしてその次は民間を主体にした経済成長に切りかえていきましょう、そういう形で経済再生の一つのシナリオ戦略を描いている。そういう経済がきちんと立ち直っていくというシナリオが出て、初めてそこからどういう税収が上がってくるのか、当然、経済が動いていけば法人税収、所得税収等々は大きく変動を受けることは間違いないわけであります。  そういった根幹となる税収の動向ということを、いわゆる平時における税収の姿、それを前提にして、同時に一方で事務の再配分といいますか、国と地方の権限配分、この両方を見た上できちんとした仕切りをしたい。そこまでちょっと今、ここ一両年で原則論をきちんと決めてしまうのはちょっときついのかな、そういうイメージがありまして、そこへ行くまでの間は、これはやむを得ざる措置として地方特例交付金なりなんなりということで、これも単にことしだけの手当てじゃなくて、三年間なり、今後にわたる一つのルールはこの際はっきりとしておきたいということで整理をしたというのが今回の姿でございます。
  43. 滝実

    ○滝委員 法人税の繰入率の拡大、そして特例交付金の創設、いずれも、今回の地方財政対策は、今までにない大変思い切った措置が講じられているという意味では、地方団体が一様に評価をされていると思います。  今大臣のおっしゃるようなことで、この経済のいわば変動期、大変な激変期というものを乗り越えた上での問題として、今から議論をしていてもちょうどいい時期に間に合うんじゃなかろうかなという感じはありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、今の経済対策に関連する問題でございますけれども、平成十一年度には、地域活力創出プラン、こういうようなことが自治省政策として打ち出されてきているわけでございます。あわせて、世界の文化遺産あるいは史跡、そういうものについても、地域活性化を図るという観点からの、同じような枠組みでの支援措置が今回打ち出されているわけでございます。  しかし、こういった措置について、もう少し自治省、いろいろな課長会議、部長会議でPRはされているんだと思いますけれども、もう少し大きなPRをしていきませんとなかなか地方団体は乗りにくいのではなかろうかなという感じがいたします。例えば、地域活力創出プランというと、イメージとしては従来のふるさと創生事業かな、こういうふうに思うのでございますけれども、どうもそうではない。これは明らかに、雇用創出とか新規事業の誘致だとか、文字どおり景気対策関連の新規支援措置だ、こうなるわけでございますけれども、もう少しPRをしてもらいたい、こういう感じがあるわけでございます。  こういった問題について、地域活力創出プランとか世界文化遺産を初め歴史遺産についての今度の支援措置、地方団体のこういう取り組みは具体的に期待できるのかどうか、その辺のところも含めて、こういったPRの問題について、大臣あるいは事務当局の方から何か御意見があれば、この際PRの御意見を承りたいと思うのです。
  44. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今御指摘の細部については、せっかくのことでありますから、より詳しく政府委員から補足をさせてもらいたいと思うのですが、基本的に地域活力創出プランというのは、今御懸念がございましたが、いわゆるふるさと創生事業とは随分中身が変わっているということは、ぜひ我々も大いにPRといいますか、周知徹底をしていきたいと考えておりまして、これはハード、ソフト、両面から一兆円規模にわたって行うわけであって、交付税措置と起債措置と両面から行うということでございます。  これについて、一方で、政府としてはこれだけでなくて、これはなかなかこれから調整をしていかなきゃならぬと思いますが、生活空間倍増戦略、この中での地域戦略プランとどういうふうにこれをうまく連携をさせていくかという、また大事なもう一つの視点がございます。そのことも含めて、政府全体としてきちんと対応していきたいというふうに思います。  PR等の、多少のことは、もし必要であれば説明をさせていただければと思います。
  45. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答え申し上げます。  地域活力創出プラン、ことしは一兆円規模の事業を地方財政計画に確保いたしておりますが、これは御質問にもございましたように、地域経済に新しい動きをつくろう、それから地域を支える人づくりに力を入れよう、こういった目標を持って財源措置を講じたものでございまして、基本的にその事業の趣旨財政措置の内容等につきまして明らかにできますように、財政課長内簡、あるいは企画室長内簡、さらには、この後事務次官通達等で地方団体に徹底をすることにいたしております。また、我々がいろいろな会議あるいは民間の会合等に出向いた場合にも、そういった趣旨について機会をとらえてPRをすることにいたしております。  何よりも、こういう制度趣旨市町村が受けとめていただきまして、それぞれの地方団体が本格的にこの事業に取り組んでいただいて、その動きの中から、日本全体が動いているといいますか、地方に元気があるということが発信されまして、それ自体がまたニュースになるというのが望ましい形態と考えておりまして、そういう意味で、市町村に対しましてこの事業の積極的な活用を今後とも強く要請していきたいというふうに考えております。  また、歴史的遺産に関することでありますが、これは、住民が郷土を愛して、郷土に誇りと親しみを持って活性化に取り組んでいただく、そういうことが今日極めて重要ではなかろうか、こういう趣旨で平成十一年度からスタートさせたものでありまして、住民との触れ合いの場あるいは集客のための施設、そういったハード事業に対しまして五百億円。一方で、ソフト事業としては地域の文化財保存のための行動計画、あるいは地域の方々にお話を聞きますと、発表の場、そういったものをつくってほしいというような声もございます。そういうもののソフト経費に対しまして百億円程度の普通交付税措置を新たに講ずることにいたしております。  これも、先ほど御説明申し上げました活性化プランと似たような目的、手法によりまして、地方団体の積極的な取り組みを私ども期待をいたしておる次第でございまして、今後ともこの事業が活用を図られますように、周知徹底、啓発等、PR等に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  46. 滝実

    ○滝委員 今大臣あるいは総務審議官から開陳がございましたように、一兆円という大変大きな事業でございます。さきの地域振興券だけがマスコミをにぎわしておりますけれども、一兆円のこの事業も、地方経済活力強化という点では大変大きなものが期待できるんだろうと思います。  そういう意味で、市町村、都道府県の取り組みが積極的になりますように、よろしくお願いを申し上げたいと思うのです。  さて、最後になりますけれども、阪神・淡路大震災に関連して、二つほど申し上げたいのです。  一つは、既にあの地震が起きて四年を経過して、五年目に入るわけでございますけれども、あの地域における、例えば危険な建物の検診、耐震、危険度の調査事業というのはそれなりにやられてきたと思うのでございますけれども、地震の被害を受けなかった全国の各都市におけるこういう危険な建物の調査というのがどの程度進んでいるか、甚だ心もとないんじゃなかろうかなと思うのですね。  一たん地震がありまして、建物が崩壊をいたしますと、崩壊した建物の大体〇・〇三%から出火をいたします。これは統計的なデータなんですね。そうしますと、幾ら消防力を強化したって、肝心の建物がその前に倒れていますと、消防力の範囲を超える出火件数が出てくる、これは対応できないわけでございます。何といっても、その前に人が圧死をしないように、建物につぶされて死なないようにするためにも、やはり全国の危険な建物の調査が必要だと思うのですね。  建設省の基準でいけば、昭和五十六年以前に建った建物、これはいずれも怪しい、こうなるわけでございますので、建築基準法の改正以前の建物は怪しいというふうになるわけですから、その調査がどういうようなことになっているのかを建設省の総務審議官からお願いをしたい。  それからあわせて、補強工事というものもどういう格好になってきているのか、その辺のところを、公的な建物は大体進んでいると思うのですけれども、民間の方がなかなか伴わないんじゃなかろうかなという感じがしますので、よろしくお願いしたいと思うのです。
  47. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  阪神・淡路大震災での貴重な教訓の一つというのは、やはり今先生もお話しになりましたけれども、昭和五十六年の建築基準法の改正の前後で被害の程度に有意な差があった。したがって、昭和五十六年以前の建築物で現在なお残っている建築物については、相当程度潜在的な危険性があるというふうなことであったかと思います。  その意味では、御指摘にございましたように、一般的に、建築物の耐震診断といいますか、チェックをした上で、必要に応じて改修工事を施すというのがやはり非常に重要だと思います。  ただ、今までの経緯を見ておりますと、学校あるいはその他の公共建築物については、確かに相当程度進んでおります。ただ、個人の住宅あるいは民間の建築物については、いま一つ歯車がかみ合い切っていないというのが率直なところだと思います。  ただ、私どもといたしましては、耐震診断、公共団体が独自でいろいろ御努力されているというふうなことがございますけれども、耐震診断の費用でございますとか、そういうふうなものについて助成制度を設ける、あるいは個人の住宅ですと、住宅金融公庫の耐震改修の費用について、一番安い基準金利で、先般も、一千万円まで御融資するというふうな形で、できる限りの手だては講じてきているつもりでございます。  ただ、御指摘のようにいま一つという点、確かにございます。その意味では、助成制度をもう少し強化する点があるのかないのかというふうなことも含めて、公共団体と御相談させていただきながら引き続き努力させていただきたいと思います。
  48. 滝実

    ○滝委員 この辺については、よろしくお願いしたいと思うんです。  特に、消防機関も、やはり都道府県あるいは市町村の建築行政とタイアップして、もう少し注意を喚起して歩くということが必要じゃなかろうかなというふうに思います。こういう建物が軒並み、仮に直下型地震があったときには、消防では少なくとも手に負えないというのは阪神大震災の教訓でございますので、その辺のところはよろしくお願いしたいと思うんです。  それと、いよいよ阪神地域の仮設住宅につきましても、今仮設住宅に入居されている方が、大分、おかげさまで減ってきた。もう少しすればこの解消が完了するんじゃなかろうかなというところまで来ていると思うんです。あの地域でできました仮設住宅は延べ五万四千軒でございますか、五万四千人が入ったわけでございますけれども、大体二年たちますと入居者が半減する、こういうことですね。三年たつと、さらに今六千戸ぐらいまで減っているんですかね。入居してから三年たつと、六千戸ぐらいまで減ってきている、こういう状況でございます。  そこで、今後の問題として御検討をお願いしたいのは、ああいう災害がございますと、どうしても避難所は必要でございます。どうせ一時避難はしなきゃいかぬ。そうすると、今度、一時避難の次のステップは仮設住宅の建設だ、こういうことになるわけですね。それが今回の五万四千軒の仮設住宅につながっているわけでございますけれども。  問題は、仮設住宅一戸の値段がかなり高いんですよね。これは三百万とか三百五十万かかると思うんです。しかも、余りにも数が多いものですから、なかなか建てる土地を探すのも難しい。結局最後は不便なところに建てざるを得ない、こういう状況でございます。  しかも、その建てた仮設住宅は二年たてば半減するし、三年目になれば何とか解消まで行く。どうせ二、三年の命、こうなるわけです。それに、一戸当たり三百万とか三百五十万とか言われているものが消えてなくなるというのは、いかにも財政的に考えてもったいない感じがあるわけです。  ここはやはり、これからの災害対策として、一時避難、仮設住宅という図式を少し修正する必要があるんじゃないか。仮設住宅が必要なことは、これは今後とも変わらないと思うんでございますけれども、その必要の程度をもう少し絞り込むという、そういうシステムがあっていいんじゃないか。  具体的に言えば、同じ三百万円をかけるならば、三百万円を現金で出すということにすれば、かなり仮設住宅へのシフトが減るんじゃなかろうかな。これはなかなか技術的に難しいですよ。難しいんですけれども、国民経済的に言うと、何となく同じ三百万が二、三年で消えちゃうというのはもったいないなという感じがするんでございますけれども、ひとつ、国土庁の防災局長さんから、その辺の検討の方向などについて、御意見がありましたらよろしくお願いしたい。
  49. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 お答えいたします。  被災者の住宅再建支援につきましては、被災者の支援対策の中の特に重要な課題であるというふうに認識しておりまして、現行制度におきましても、応急対策としての応急仮設住宅、あるいは恒久対策としての公営住宅の建設、住宅金融公庫の融資など、各省において、災害の実態あるいは被災者の実情に応じて各般の支援策を講じているというところでございますが、さらに、このような中で、昨年五月に被災者生活再建支援法が成立いたしましたが、この附則二条におきまして、こういった住宅再建支援についても総合的な見地から検討を行うというふうにされたところでございます。  これを踏まえて、国土庁を中心にしまして、各省庁にもお願いしまして共同で検討していくということで、本年一月に、有識者で構成する被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会というものを設置させていただきました。今後、第一回を二月十八日に開催する予定でございますが、被災者の住宅の再建の状況、過去の事例、課題の把握等々を行いながら、今先生の御指摘のありました点なども含めまして、総合的に検討を進めていくという形でさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  50. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。  生活再建支援法の附則二条の関係でございますか、とにかくそういうようなことに基づいて早速検討会をおつくりになっているということでございますので、ひとつ速やかな御検討をお願い申し上げまして、時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
  51. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、宮島大典君。
  52. 宮島大典

    ○宮島委員 自由民主党の宮島大典でございます。引き続きまして、地方行政一般につきまして、当面の諸課題につきましての御質問をさせていただきたいと思います。  質問に入ります前に、このたびの野田大臣の御就任につきまして、心よりお喜びを申し上げたいと思います。大変地方行政、先ほど来議論があっておりますとおり、厳しい折からでございます。また、地方自治も大きな曲がり角を迎えていると思います。そうした中にありまして、地方の、また同じ九州人といたしまして、今後ますます御活躍くださいますことを心よりお祈りを申し上げたいと思います。  それでは質問に入らせていただきますが、若干先ほど来の議論に重複する点があろうかと思いますが、私も本委員会に配属になりまして初めての質問でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕  まず、去る一月二十九日には、平成十一年度の地方財政計画が策定をされたわけでございます。この策定につきましては、大変自治省の皆様方、御苦労があったんではないかというふうに思うわけであります。殊に、現下の厳しい経済情勢にかんがみながら、特に景気に最大限の配慮をして、今回恒久的な減税を実施されるというその影響というものがあり、それについて補てんをしていかなければならないという点がございます。また一方では、巨額の財源の不足というものがございまして、地方財政の運営上に支障を来さないように、またその補てんの措置というものもしていかなければならないということでございまして、その補てんにつきましては本当に御苦労が多かったんではないかなと思います。  そして、恒久的な減税に伴う地方税の減収一兆七百十一億円につきましては、特例交付金制度を復活され、あるいは法人税の交付税率を三五%に引き上げをされるなど、大変な措置というものが必要であったかと思います。殊に、特例交付金の制度の復活につきましては、著しく財政状況が悪化をいたしました一九六七年度以来三十二年ぶりのその復活であったということでありまして、現状の大変厳しさというものがそこにうかがえるわけでございます。  その結果といたしまして、地方交付税におきましては二十兆八千六百四十二億円、前年比といたしまして一九・一%の増、これは、大幅な地方税の減収の中にありましては、前年度比の一・四%増の地方一般財源を確保していただいたということでございまして、この点についても評価を申し上げたいと思います。  しかしながら、一方にありましては、先ほど来論議がありますとおり、多額の借入金の残高というものが残っております。百七十六兆円にも及ぶ額ということが残っております。また、個別の団体の財政需要の硬直化というものは際立っておりまして、公債費負担率一五%以上の団体というものが、もう半分を大きく超えているわけでございます。  そういう大変厳しい情勢、今後ともまたその財政需要というものが増大するというふうなことも見込まれるわけでございまして、大臣はこのことにつきまして、今後のその見通しというものをどういうふうに思っておられるかということについて、まずお伺いをいたしたいと思います。  と同時に、大臣は御就任の折に、不況の影響を受けにくい課税標準にしていく必要があるということを会見でおっしゃった旨のことを仄聞をいたしております。  ということで、その点も含めまして、これからの地方財政の強化についての御所見を承りたいと思います。
  53. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 現在の地方財政の極めて厳しい状況について、今宮島委員いろいろ御指摘のあったとおりであります。  この問題について、平成十一年度予算に関連して、地方財政への配慮の中で、交付税における取り扱い、あるいは特例交付金、あるいはたばこ税についての財源移譲等々いろいろな措置を講じて、当面地方財政に大きな支障を来さないような措置がなされたことは御指摘のとおりであります。これはこれで、現在の環境の中で最大限の配慮を政府として行うことができた、私はそう確信をいたしております。しかし、今後一体どういう展望になるのかという、この点について同じく心配をいたしておる、これは同じ共通した問題であると思います。  しかし、これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、まず税収の基礎となる経済活動のレベルがどういう形で、言うなら平時における経済活動といいますか、今異常に落ち込んでいる状況下にあるわけで、この異常に落ち込んでいる状況下にある中での税収計算、それを基礎とする財源配分ということであると、バイアスがかかり過ぎるのではないか。そういう意味で、もう少し経済活動が平時に復するといいますか、安定した軌道に経済が乗っていく、その中での税収の内容というものをきちんと見た上で、国、地方の配分を改めてきちんと整備したいというのが一つ。  いま一つ。別途、今全力を傾注しております地方分権といいますか、権限の国、地方の移譲の問題、ここをもう少しきちんと事務配分も行うという形で、できるだけ住民に身近な事柄については住民の一番身近な地方公共団体が主体になって行うんだ、このことを基礎とする見直しということとの連動の中で、地方自治体の財源の安定性ということをどうやって確保するかということを主体に考えていきたいと思っています。  その際には、もちろん、景気変動を受けやすい所得課税といいますか、所得を課税標準とする税の中からどの程度を地方の主たる財源として扱うのか。と同時に、より基本的に、応益課税的な、景気変動を受けにくい税をどういうふうにきちんと仕組めるかということだと思っています。特に、地方の行政サービスといいますか、身近な行政は必ずしも景気変動に直結しない仕事が多いわけでありますから、そういう意味での税収の安定性ということもあわせて、地方の自主財源強化という中では大事に考えていきたいというふうに考えております。
  54. 宮島大典

    ○宮島委員 先ほど滝委員との御論議の中にもございましたとおり、外形標準課税の今後の議論というもの、あるいは、これから地方税というものを強化していくということの中で、地方財政というものをやはりこれからしっかりと強化をしていただきたいということを強く要望をしておきたいと思います。  と同時に、そういう地方財政難というものが地方の住民にとりまして大変先行きの不安というものを生んでいるということも、これはもう御高承のとおりでございまして、言うまでもございませんけれども、そういう不安というものがしっかりと解消をされないと、そういうのが景気あるいは二十一世紀の我が国のあり方というものについてもやはり大きく跡を残していくんではないかというふうに思っておりますので、鋭意自治省としてまたお酌み取りいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  ということで、地方財政計画に基づきまして今年度もいろいろな対策、事業というものが組まれているようでございまして、その幾つかについて、私、質問を申し上げたいと思うわけであります。  先ほどのお話にも出ましたけれども、大臣の所信の表明にもございましたが、地域の活力を創出していくということが挙げられているところであります。ということで、地域の活力創出というのは、文字どおり地方分権等と相まって大変重要な懸案であるわけでありますけれども、そんな中で、今回、地域活力創出プランというものが打ち出されたわけでございます。先ほど、もっともっとPRをしてくださいというようなお話もありましたけれども、確かにこういうことを地方の中でどんどんと活用をしていただいて、本当に地方地方ならではの事業というものをできるような、そういう受け皿づくりというものをやっていただきたいということを思うわけでございます。  殊に、地方のことを申しますと、やはり企業体というか、その事業というものがどうしても偏重状況にあるというものが指摘されるというふうに思っております。一次産業を中心といたしまして、あるいは公共事業を中心とする産業、こうしたものが中心となっているわけでありますけれども、二十一世紀においては、その辺の新しい雇用の創出というものは、これはもう強く全国的なものとして望まれているわけでありますけれども、地方では、事その点について、指摘をされると思うわけであります。  ということで、今回、その地域活力創出プランの中には、一次産業というもの、いわゆる従来の産業というものをしっかりと立て直していこうということも挙げられております。例えば農産物につきましても、生産だけではなくて、加工、流通、販売というもの、その事業化に対する取り組み、ソフト事業に対する支援というものをやっていこうということであるわけでありまして、そのことにつきましては、一次産業の一つの大きなこれまでの課題であったわけでありますので、そうしたことが解消をされるような、そういう取り組みというものになればなというふうに思います。  また同時に、これから新しい産業を創出する中で、ベンチャー企業の創業あるいは事業化の支援ということにつきましても、そしてまた人づくりの事業につきましても、さまざまな取り組みということが盛り込まれているわけでございまして、その点につきましては、先ほどの御論議のとおり、私も大きく期待をいたしているところでございます。  ということで、重複になろうかとは思いますけれども、この地域活力創出プランにつきまして、大臣の、これまでの御論議の経緯とそしてまたこれからのさらなる取り組みについての御見解をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  55. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 平成十一年度、御指摘のとおり一兆円の規模で地域活力創出プランを推進していきたい、ハード、ソフト、両面から対応していきたいということは、先ほども申し上げたとおりであります。  具体的な内容についてはまた少しこの問題について詳しく政府委員の方から補足をさせていただきたいと思いますが、基本は、今お話がございましたように、本当に、みずから考えて、みずから行うんだという、ここが一番大事な、地域おこしというか地域づくりの原点であるというふうに思います。そういう点で、必ずしも中央の方から余り類型化して押しつけ型でないやり方ができれば一番いい、それぞれ地域の特性を生かしたようなものをみずからぜひ考えてやっていただきたいな、そういう創意工夫を重視したやり方、そのことに重点を置きたいというふうに考えております。  詳しくはまた政府委員の方から、恐縮ですが補足をさせていただきたいと思います。
  56. 香山充弘

    ○香山政府委員 それでは補足をさせていただきます。  先ほど大臣が申し上げました地域活力創出プランでございますけれども、これは私ども、地方団体が知恵を凝らしたいろいろな取り組みを支援する、そういう考え方から、できるだけ財政措置は包括的な措置にいたしております。  ソフト事業につきましては、これは補助金ではなくてあくまで交付税措置ということでございますから、その積算にどういったものを念頭に置いておるかということを地方団体に御説明し、説明資料等に用いておるということでございますけれども、例えば農産物につきまして、生産、加工、流通を一貫として事業化するような取り組み、あるいはベンチャー企業に対する創業化の支援、あるいは商品化のための支援、こういったものをイメージいたしまして所要の経費を算入いたしておるということでございます。  また、人づくりにつきましては、いわゆるIターン、Uターン、Jターン等、人口の地方への定住を促進するような取り組み、あるいは地域においていろいろな人材、民間等も含めて人材を集めて活用する、そういった事業に対する取り組みを想定いたしまして、全体として二千五百億円程度の普通交付税措置を講じておるものでございます。  それからハード事業につきましては、地方団体が国庫補助金ではなくて地方単独事業として実施する、今申し上げたような、地域経済再生あるいは人づくりのための事業を支援するものでございまして、具体的には、地域活力創出事業債という地方債、もう一つはすべての人に優しい町づくり債という二つの銘柄の地方債を中心にいたしまして、いわゆる地域総合整備事業債によりまして支援をすることにいたしておりまして、全体の枠を七千五百億円程度確保いたしておるわけでございます。  今度とも、地方団体におきまして、この事業を積極的に活用していただきまして、地域活力創出のための積極的な取り組み具体化することを期待いたしておる次第でございます。  以上でございます。
  57. 宮島大典

    ○宮島委員 今お話がございましたとおり、これらの地域総合整備事業債というものが広く自治体に認知をされまして、そして活用をされ、これからの地方一つの起爆剤となるように期待をいたしたいと思うわけでございます。  それでは、対策事業の関連の中にありまして、いよいよこれからは介護保険制度の実施に向けた取り組みというものが必要になってくるわけでございます。来年度からはいよいよ公的介護保険制度というものが導入されるわけでございますけれども、本年度からその実質的な準備というものは進んでまいろうかと思っております。  しかし、これに当面の問題として出てきておりますのが、いわゆる介護保険制度の施行準備にかかわる、いわゆる事務準備というもので大変人がかかり、お金がかかるということがそれぞれの団体の悩みであろうかというふうに思うわけであります。既に介護保険制度導入について積極的に取り組んでおる、そういう自治体におきましても、まず当面する課題として、そのことを陳情を受けるというケースが多いわけでありますけれども、その点につきましては、ぜひともしっかりとした支援というものが今必要ではないかなというふうに思うわけであります。人的なあるいは物的な支援というものをぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思いますけれども、この点の取り組みにつきましてお聞かせをいただければと思います。
  58. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 新しい公的介護制度導入について、今、御承知のとおり、全国の市町村において非常に神経を使いながら、その前段階である準備作業を進めているところでございます。この点は、もちろん財政面もあるのですけれども、何よりもその実施体制、事務体制がどういう形で行われるかということで、率直に言って、非常に苦慮しておることも事実でございます。しかしやらなければならぬという中で、自治省としても、そういった状況をいろいろつぶさに市町村の報告、相談を受けながら、具体的に相談に応じていきたいと思っております。  ただ、これは一応、まず当面は厚生省の所管の事業という形を通じて行われるということもありまして、第一義的には、厚生省の方でどういうふうにその体制を整備するかということはあるわけですが、それを受け持つ自治体そのものが、広域連合とかいうような形をも含めながら具体的な対応をしていかなければならぬ。ただ問題は、そのことによって起きるアンバランスですね。場合によっては地域間のアンバランスが出るのではないかということの懸念を、まだ今は懸念が表明されているのですが、まだ実態が固まってきていないということで、我々も心配しておることは事実でありますが、もう少し内容が詰まってきた段階で我々としても対応措置を考えていきたいと考えております。
  59. 宮島大典

    ○宮島委員 その点につきましてはまだ不透明な部分というものも多くあろうかと思いますけれども、厚生省としっかり連携をとりながら、あるいは各地方団体のいろいろな御要望というものもこれから出てこようかと思いますので、お聞き取りをいただきながら進めていただきたいと思います。  それではもう一点、今国会につきましては、一番活発な論議が出ておるのがいわゆる周辺事態法案の件であろうかと思います。  この件につきましては、内外の情勢というものをかんがみながら、一日も早く成立をしたいというような希望もあるわけでございますけれども、その点につきましての、いわゆる地方公共団体とのかかわり合いというものもその論点の中であるわけであります。  この法律案の中には、地方公共団体に対しまして必要な協力を求めることができるという規定が設けられておりますので、地方公共団体としては、住民の生活や地域経済活動に少なからず影響を及ぼすものであるというふうに懸念が出てきておるところであります。特に、基地を抱える地域におきましては、その点につきましてはなおさらのことであろうかと思うわけでありまして、その点についても国として、しっかりとまた見ていかなければならないのではないかなと思うわけであります。  ということで、これは地方財政のかかわり合いの中にありまして、これから基地交付金を初め基地交付税等の充実について、この点を含めての御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  60. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今回、国会で御審議をいただくいわゆる周辺事態法案に関して申し上げますと、直接、地方公共団体との関係で、直ちに何らかの財政負担的なものが加速されるというような性質のものではなかろうというふうには考えておりますが、もし将来、何らか運用の中でそういうことがあるなら、その問題と別の問題として、必要なそれぞれの自治体における財政需要が発生すれば、それに対して対応していくというのはこれは当然のことだと思っております。  ただ、一般論として、今基地交付金についてのお話もございました。この交付金それから調整交付金については、もう御承知のとおり、五十六年から六十三年度まで同額据え置きということであったわけでありますけれども、平成元年度、四年度、七年度、そして十年度、三年ごとにそれぞれ十億円の増額を図ってきて、基地所在市町村に対するそれなりの手当てを、配慮してきたということはまた御承知のことかと存じます。  平成十一年度の予算では、厳しい財政状況の中でありますけれども、前年度と同額、二百九十一億五千万を確保したところでございます。  今後とも、当然のことながら、対象資産価格の状況や国の財政状況等を勘案しながら、所要額は確保してまいりたいというふうに考えております。
  61. 宮島大典

    ○宮島委員 それぞれの地方財政対策につきましては、先ほど来お話にございましたとおり、今時の地方団体の経済状況を考えまして、鋭意強力に取り組んでいただきますように要望を申し上げたいと思います。  しかし、一方にありましては、過疎の波というものがさらに大きく広がっているというのが今の我が国の実情ではないかというふうに思います。  国土庁が出しております過疎白書にもありますとおり、人口減少率の多い過疎地域市町村数というものが、九年度の発表でも、前年度から二十三ふえて千二百三十一、全体の四割近くに達するということでございまして、過疎地域というものは大阪と神奈川を除くすべての都道府県に及んでいるということが事実で、集落の崩壊というものが懸念をされている状況であります。  ということで、このままでは二十一世紀の早い時期に市町村というものが大きく崩れてくるんではないかというふうなことを地方の人間としては本当にひどく心配をしているところでありますけれども、先ほど来お話ございますとおり、今のこの時流をつかみまして、今こそ地方分権というものをしっかりと達成しなければならないということがあろうかと思うわけであります。  ということで、一つには、来年度には過疎法というものが期限切れを迎えますので、地方自治体としてはそれぞれ新しい過疎法の制定というものを望んでおるというふうに思うわけでありますけれども、過疎対策についてもぜひしっかりと取り組んでいただきたいというふうに要望したいと思います。  と同時に、先ほど来の議論になりますけれども、やはり今こそ市町村合併というものをしっかりとやっていかなければならないというふうに思います。先ほど、滝委員とのやりとりの中でいろいろなお話がございました。都道府県のこれからのかかわり、あるいは交付税の措置の期限の延長等々を含めまして、これからインセンティブというものをしっかりと与えていくということでございますので、そのことについて強く期待をいたしたいと思うわけであります。  しかし、その一方にありまして、やはり市町村合併につきましては、地域それぞれの事情というのがありまして、歴史的背景あるいは文化的背景等もありましてなかなか進まなかったというものが事実であろうかなと思うわけでありまして、どうか、そうしたものを、特例というものをしっかりと与えていただいて、市町村合併に結びつくような、そういう意味では最後のチャンスではないかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  その点につきまして、一点、お聞かせをいただきたいと思いますけれども、大臣は日ごろから、市町村合併の件につきまして、小選挙区の三百というものが一つのイメージであるというふうにおっしゃっておられます。基礎的自治体というものはおおむね三十万人というものを軸とし、少なくとも十五万人以上にすべきではないかというような御主張も仄聞をいたしておるところでありますけれども、その点についてのお考えというものもお聞かせをいただきたいと思います。  ここに一つ資料がございますけれども、これは近畿大学の調査の結果でありますけれども、その中に、いわゆる一人当たりの経費といいますか、人件費、物件費というものの分析をいたしますと、大体一番効率的なのが十五万、十六万前後だというふうな調査。ほかの、地方財務協会なる団体の調査でも大体同じような結果というものが出ているようでありまして、若干の幅を設けましても人口十万ないし二十五万の程度というものが、一つの、歳出として最も少なくて済む、効率的なということでは理想的な自治体になるのかなというふうに思います。  その点を勘案されまして大臣はそういうお話をされているのかなというふうに思いますけれども、先ほど来お話ございますとおり、そのメリットというもの、合併をすることによってこういういい形になるんだということをやはり住民自体が理解をしてくれないと合併というものは進んでいかないということは、これはもう論をまたないところでありますので、その点についてどういうふうな見通しというものがあるのか、メリットというものがあるのかということを、今まではどうしてもデメリットの方が、あるいはメリットがないのではないかというふうな論議が進んでおりましたので、その点について大臣の御所見というものを承りたいと思います。
  62. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 市町村合併についてそれぞれメリット、デメリット、いろいろな議論が成り立つと思います。  ただ、その中で私どもが考えております一つは、やはりサービスそのもの、行政サービスのレベルをどうやって維持するかというのは基本的に大事なテーマであると思います。しかも、それをどうやって効率的に提供するかということがなければ、どんなにお金をかけてもいいんだということではこれはまた話にならぬわけでありまして、そういう意味で、行政サービスのレベルをどう維持するか、特に均質性を必要とされるような行政サービスというものについてはレベルが大事だ、内容が大事だ。そういったところから、先ほども御指摘ありましたが、言うなら介護サービスであったり、その種のものはある程度、地域が異なってもサービスのレベルというものは保障されるという部分が必要ではないか。ということになれば、それなりの一つの、提供できる能力といいますか、支出という側面よりもむしろ物的といいますか、いろいろなそういう、外形的能力といいますか、そう言った方が誤解がないでいいと思うんですが、そういう意味でのことが必ず必要になる。これがまず第一義であると思います。  これは一つのメリットという側面でぜひとらえていただきたい。地域住民から見てもその方がいいんですよと。これは、一つは介護の問題があるが、これからますます少子高齢化が進んでいけばいくほどそういう世界が広がっていくんじゃないか、この点が一つございます。  それからもう一つは、国、地方を通ずる行政のスリム化というか、あるいは財政難が国、地方を通じてあるわけです。そういう意味でどうやって行政経費を、国、地方を通じて節約していくかということも一方で必要な部分であるというふうに思います。  その点で、単に合併ということだけでなくて、いわゆる地方分権もそうなんですが、ただ権限そのものを国から地方におろせばいいということだけでなくて、逆に、自治体のサービスとしてどこまでやるべきかどうかという議論もあわせてぜひ行われるべきことである。そういう意味で、国、地方の公的セクターから、もう少し民間セクターの中でやっていかなきゃならないテーマがたくさんあるんではないか、この視点も私はあわせて必要であるというふうに思っております。  そういう意味で、地域の行政レベルをどうやって確保するか、そして、より身近な事柄をどうやって自分たち地域の中で達成していくかというこの視点と、それから財政的な側面、こういったところでぜひメリット・デメリット論を論じていただければありがたい。  その中で大事なポイントは、効率性ということばかりでいくんではなくて、取り残されないようにどういうふうにそういうきめ細かなニーズということをも対応できるのかという中で、先ほど申し上げましたが、いろいろな、合併したところの旧市町村について何らかの協議会なりあるいは支所なり、そういったサービスのネットワークをどういうふうにきちんと確保していくかということも一方では大事なことだというふうに思っております。
  63. 宮島大典

    ○宮島委員 今大臣のおっしゃったことは、まさしく、今度合併推進していく中での本当に本質の問題ではないかなと思います。住民にとってみれば、地方分権で行政サービスの質が上がるのか、あるいは税負担が下がるのかというようなことをやはりつまびらかにしながら、しっかりと論議していただいて進めていかなければならないと思いますし、改革という意味におきましては、現状への不満あるいは将来への危機感という二つのエネルギーというものも必要ではないかなというふうに思っておりますので、その点というものも十分に、今度の合併の論議の中で地方一体となってあおっていただきながら進めていただきたいということをお願いしたいと思います。  それでは、次の話題に入らせていただきます。  このたび、この四月にはまた統一地方選挙の時期になるわけでありますけれども、今度の地方選挙につきましては、その開票というものが即日開票になるのかどうかという問題が一つ話題になっておりました。  自治省とされましてはそれぞれの自治体の自主性に任せるということでありますけれども、その点につきましては、基本的には、選挙としては即日開票というものが基本ではないかなというふうに思っております。それぞれの自治体の財政状況等も勘案されているようでありますけれども、改めて自治省としてその点の措置についての指導等はなされるのかどうか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、有権者の感覚からいえばできるだけ早く結果を知りたいというのは、これは人情だと思います。一方で、そうなれば、開票事務に携わる職員その他、そのために必要な経費等を考えた場合に、その部分だけ出費が余分にかかるということも事実であります。  そういう点で、両方のことを念頭に置いて、最終的にどう自治体として御判断をされるかということになるわけであります。そういう点で、自治省の方からこうすべきだと、言うならべき論として指導するということはいかがかなと。最終的には、自主的判断にお任せをするということにならざるを得ないというふうに考えております。  ただ、人情論としては、そういう要請はありますねということは認めざるを得ないということであります。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 宮島大典

    ○宮島委員 ありがとうございました。  この際でありますので、今年度も地方財政の重点施策の中に選挙制度改革というものがうたわれておりますので、その点について少し質問をさせていただきたいと思います。  今、本当に投票率の低下というものが懸念をされる中で、文字どおりあの手この手を使って投票率を上げようというのが今の選挙に対する取り組みではないかなと思います。それで、投票時間の延長というものがなされ、また不在者投票の要件というものが緩和をされて、そういうことが少しずつ投票率の上昇につながっているのではないかなと思います。  また、その改革の中にありまして、やはり投票機会の拡充に関する検討というものが挙げられております。その中には、選挙権を有しながら投票することが困難な船員あるいは寝たきり老人等の有権者の投票機会を保障するため、郵便投票制度や新たな投票の方法の拡充について幅広い検討を進めるということをうたってあるわけであります。  ということで、その中で一つお尋ねしたいのは、これまでもずっと長年問題になっておりました洋上投票というものをどうやって可能にしていくかということについてお聞かせをいただきたいと思います。  この点につきましては、その対象となる数というものは、なかなか規定が難しいかなというふうには思いますけれども、一部の団体の人のお話によれば、その数というものが六万ないし七万ぐらいいるというふうなお話でもあります。ということで、これもやはり投票機会の拡充ということ、投票率のアップということにつながっていくと思うわけでありますけれども、何とかこの点につきましては、長年の懸案でもありますので、ぜひとも可能にしていただきたいということを要望申し上げたいと思いますけれども、その件につきましての御所見を承りたいと思います。
  66. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、これは長年の懸案であります。率直に言ってなかなか頭の痛い問題でして、何とかうまい方法はなかろうかと思いつつ、実際に検討していくとなかなかハードルもあるということでありまして、これからも引き続き勉強していきたいというのが結論であります。  この問題について、特に船員の方々については、就業形態が特別であるということから特例的な不在者投票制度が既に設けられているということは御承知のとおりでありますが、今一番要請が強いのは、外洋航行中の船上からのファクスによる投票ができないかという指摘、要望であります。ただ、ファクスということになりますと、基本的にはコピーの性格を有するわけでありまして、そういう意味で、コピーによる投票がいいのかどうか。それから、それが本当に本人からのものなのかということの確認をだれがどういうふうに行うのか。率直に言ってなかなか難しい部分もあって、なかなか乗り越えられないテーマを含んでおるということも事実でございます。  しかし一方で、非常に、何とかその貴重な選挙権を行使したいという、一番国民の基本的な権利義務の部分でもあるものですから、そういう要請にもこたえなきゃならぬということで、率直に言って、さらに真剣に勉強をさせてもらいたいと思っております。
  67. 宮島大典

    ○宮島委員 よろしくお願いを申し上げます。  と同時に、先ほどおっしゃいましたそれぞれの課題、ハードルを越える一つの方法というものはやはりファクスという方法でありましたけれども、情報化、この情報化にいかに対応をして、そして投票の方式自体というものを改革していくかということにもあるのではないかなと思うわけであります。我が国の投票の方式につきましてはこれまで種々論議というものがありましたけれども、なかなか遅々として進んではおらない。先進国の中ではいわゆる選挙投票後進国であるというような指摘もされておるところでありまして、その点につきましては、一日も早く先進国並みの投票方式というものを導入していただきたいという強い願いがあるわけでありますけれども、その点についてのお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  68. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 この問題、さらにいろいろな角度から勉強をさせてもらいたいと思っています。特に、電子投票等々新たな角度からのアイデアなりいろいろな考え方も出てきておりまして、さらに勉強をさせてもらいたいと思います。
  69. 宮島大典

    ○宮島委員 その点についてもよろしくお願いを申し上げたいと思います。  今、投票率が大変下がっているということが言われる中で、いろいろな取り組みというものが有権者の中で起こっているということも御承知のとおりであろうかと思います。その中で今よく行われているのが、公開討論会という方式をそれぞれの有権者の中で、自治体の中でとか第三者的な団体が取り組んでおるということも大臣よく御承知ではないかなと思います。  今、日曜日の朝にはよく討論番組というものがございまして、大臣もよくそこにお出になって、理路整然とされた本当に歯切れのよいお話しぶりに、大変日ごろから敬服をいたしておるわけであります。そういうことが大変視聴者の皆さん方の興味を起こしておるということであろうかと思いまして、その点についても、選挙について何とかそういう方式が導入できないかなということを思うわけであります。  今、よく、政治の課題がわかりにくい、あるいは政党間の違い、候補者間の考え方の違いがわかりにくいということが有権者から指摘をされるわけでありますけれども、しかし、そういうのを変えるのには、私は討論形式というものは非常にわかりやすいことではないかなと思うわけでありまして、その点が各団体での取り組みにつながっているんではないかなと思うわけでありまして、それは、直接的に私は投票率のアップにつながっているんじゃないかと思うわけであります。しかし、若干まだ法律的にはその点についての壁というものがあろうかと思うわけでありまして、その点については、ぜひ緩和をしていただきたいなと思います。  極論を申し上げれば、やはり、候補者が選挙期間中にでもテレビにそれぞれが出て、有権者にそれぞれが訴えかける、あるいは一つの問題に関してそれぞれの候補者がお話をすれば、その熱の入れよう、話しぶりによっても全然異なってくるんではないか、その点が有権者投票の行動につながっていくんではないかなというふうに思うわけでありまして、その点についてぜひ鋭意お取り組みをいただきたいと思いますので、そこにつきましてのお考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  70. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 基本的に、有権者が候補者の政見なり、あるいはいろいろ比較をして選択ができるようなチャンスを広げていくということは、非常に大事なことだと思っています。  かつて、国政選挙でも立会演説会というのがありまして、私どもも何回かその経験があるわけです。しかし、そのときには形骸化して、結局、自分の支持者がわっと来て、候補者がかわるたびに聴衆がさっと入れかわるということでは、どうも形骸化してしまったんではないかというようなこともあって、廃止ということになりました。  今現在、選挙運動期間中の演説会というと、第三者主催の演説会はできない、しかし、候補者が個人演説会を共同開催するということは可能であるというようなことでもあるので、これをうまく活用する方法があればということもあります。  しかし、一方で、映像時代に入りまして、これをどういうふうに活用するかということを、これはもう少し、本当に各政党レベルでお互い勉強していっていい問題ではないか。なかなか、時間をどういうふうに活用できるかというおのずから制約はあるとは思いますけれども、ここは少し知恵を出し合って、政党レベルで勉強していいんじゃないか、そういうふうには思っております。
  71. 宮島大典

    ○宮島委員 それぞれの政党の間でそういう議論というものがどんどんと沸き上がってくることを強く要望しておきたいと思います。  もう時間もなくなりましたので、最後警察庁に一つお聞かせをいただきたいと思います。  いわゆるハイテク犯罪の現状というものをお聞かせいただきたいと思うわけでありますけれども、平成十年度の警察白書の中にもありますとおり、ハイテク犯罪というものが、平成九年に認知されたもので二百六十三件、この五年間で八倍に上っておるということであります。このうち、ほとんどが捕まっておりますので、そういう点におきましては、認知度、認知された件数以上のものが私は存在をするんではないかなと思うわけであります。  殊に、このハイテク犯罪につきましては、匿名性が高い、あるいは犯罪の痕跡が残りにくい、不特定多数の者に被害が及ぶ等の大変困った特徴というものがあるわけでありまして、その点につきましては、これまでのお取り組みにつきまして、大変な御苦労もあるんではないかと思うわけであります。  しかしながら、今後の脅威といたしまして、従来型の犯罪というものがハイテク犯罪に移行をしておるというようなこともございます。そういうことで、本当にこれからの問題になってくるんではないかなと思うわけであります。ということで、これからの取り組みにつきまして、警察庁につきまして、その対策をお聞かせいただきたいと思います。
  72. 野田健

    野田(健)政府委員 コンピューターネットワークが普及する中で、コンピューター技術あるいは電気通信技術を悪用するいわゆるハイテク犯罪が増加しているわけでございます。  御指摘のとおりの状況にありまして、実際には、認知をして検挙するということでありますけれども、検挙できたものが認知されたという逆のような関係もややあるということがあります。したがって、検挙件数がどんどんふえている、恐らく認知できていない被害もかなり広がっているんではないかというように思っております。  特に、昨年末ぐらいからは、いわゆるインターネット等を利用いたしまして、薬物、毒物を手に入れるとか、あるいはそれを使わせるというような新しい形の犯罪も出ておりますので、そういったものも含めまして対策をとってまいりたいというふうに考えております。  特に、このハイテク犯罪の中でも典型的なものは、コンピューターシステムに侵入するとか、あるいは他人の名前をかたってそこに入っていろいろな悪さをする、こういうことでありますので、従来以上にハイテク犯罪捜査を技術的に支援できるような体制が必要だということで、警察庁情報通信局にナショナルセンターを設けたい、あるいは各都道府県にもハイテク犯罪捜査の専従班を設けて厳重な取り締まりをしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  73. 宮島大典

    ○宮島委員 今どきの犯罪として、これから本当に多くなると思います。インターネットでの毒物の販売の問題や、あるいはこれは種類は違いますけれども、ダイヤルQ2を使った犯罪等々が今出てきておりますので、そういう点につきましても、大変御苦労も多いかと思いますけれども、しっかりと取り組んでいただきますように強く要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  74. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、鰐淵俊之君。
  75. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいまいろいろ質疑がございまして、地方行政委員会の主たる、地方分権あるいはまた地方財政、そしてまた地方自治制度あり方、そんなようなことについて、非常に有意義な質疑もあったわけであります。  実は、私は、最近のテレビを見ておりましてつくづく思うことがございます。それは、御案内のとおり、日本経済がバブル崩壊後非常にデフレ経済になりまして、大変未曾有の危機に陥っているということでございます。それだけに、政府は、昨年の第三次補正で二十三兆円、その大宗はやはり国債、それから新年度の予算八十一兆、その大宗はやはり税と三十兆を超える国債。まさに、国債の発行がなければもう予算を全然組むことができない、こういう状況でございます。  その中にあって、地方財政もまたそれと連動いたしまして、地方の各都道府県あるいは市町村においても、そういう経済情勢の中ですから、地方の税金はやはり減少ぎみ、いわゆる地方税の増収は見込めない、こういう状況でございます。しかし、その中で政府は、経済の再生をするために、まずは公共事業の投資それから減税、こういった二面性から経済活性化を図り再生をする、こういう、言ってみますともうがけっ縁に立った不退転の今回の予算である、このように私は思います。  そういう中で、自治省の方におかれましても、地方財政が大変厳しいという中でそれらの対策をいろいろるる講じていただいたわけでありますが、これもやはり、税が伸びないということでございますから、勢い交付税特会は二十兆を超える負債といいますか借り入れをしている、こういう状況ですし、これからそういった税金が伸びていくかどうかということについては、全国の財務局長あるいは通産局長あるいは日銀の支店長会議、そういうようなところの情報を伺っても、一部公共事業は活発になされておる、あるいは一部の消費は伸びているというようなことを言われますが、まだまだ、経済企画庁長官が言われた変化の胎動を感ずるというところまでどうも実感していないのではないか、こう思います。  そうすることになりますと、ことしは何とか地方財政対策ができましたけれども、万が一、経済がいわゆるこの停滞のまま、あるいはまたなかなか再生でき得ないということになりますと、私はもう大変な状況になる、このように心配をいたしているわけであります。したがって、早く本年度の予算が成立し、これが国民に活用され、一刻も早く経済活性化し、そして政府が考えておる〇・五%のGDP成長というものを達成しなければ、これはもう本当に大変なことになる、このように思っております。  今、大臣もおられませんから、大臣に対する質問は後に回しまして、具体的な御質問を申し上げたい、このように思っております。  私ども自由党におきましては、住民基本台帳の問題におきまして、一年弱かけましていろいろ部会で検討をいたしました。  住民基本台帳というのは、これは自治体における、言ってみれば最も基本的な住民の情報データでございます。したがいまして、このデータを活用していかに住民に平等に、公平に、公正にサービスを提供できるかということについては、この情報が最も大切なわけであります。しかしながら、どうもこの住民基本台帳の法案の改正に向けましては、いまだにまだしっかりとした審議もなされておらない、こういうことでございまして、この点について、自治省の考え方を若干お聞きしたいと思っております。  私は、経験からいたしまして、住民基本台帳は、とりわけ、お聞きしますと、氏名、それから性別、住所、それから生年月日、こういったことによっていろいろな住民のサービスを提供するわけでありますが、今は昔と違いまして、住民の側にも非常に大切な情報であるにかかわらず、どうもこれらの点の義務というものについて余り義務感がない。  というのは、昔は米穀通帳というのがなければ米の配給を受けられませんでしたから、どうしても転入、転出、転居したって必ず届けるということがあったのですが、今は住民票を届けて何が一番必要かということになりますと、これは選挙権と運転免許証、あるいはまた国民健康保険、年金の得喪に関する事務、こういうようなことがせいぜいでございまして、住民の捕捉は、そうすると、税は税でやり、選挙は選挙でやり、それぞれの部署でやっているわけであります。それだけに、どうも情報がふくそうしてシンプル化されておらない、それだけにむだな経費もかけておる、こういうことではないか、こう思います。  したがって、今、私ども、住民基本台帳がネットワーク化されることによって期待されることは、まず住民の不現住処理。例えば私ども経験する中では、国勢調査がございます。国勢調査は悉皆調査ですから、一番確実な情報なんでございます。それと住民台帳とあわせますと、必ずそこに乖離があります。大変な乖離があります。私ども、十八、九万の都市も、大体一万前後の乖離がある。ということは、不現住の処理がなかなか難しいということをあらわしているのです。  あるA市からB市に行っても、いわゆる転出届を出さない、あるいは転入届も出さない。あるいは、うっかりすると、自分の市内をめぐっていても転居の届けも出さない。ですから、いわゆる自治体自体の住民の動きというものの捕捉率といいましょうか、これがやはりかなり不明確といいますか、そういうようなことが言われるわけであります。  したがって、私はそういう意味で、この転入、転出、その状況だけでも、例えばほとんど税金を納めないで、あるいは国民健康保険も納めない、年金も納めないでA市から転出していってしまう、その方はどこかの市に行っているのですが、もともといた市では、そこの市のまだ市民になっておるわけです、転出届を出していませんから。しかし、実際はその市にいないのですね。ですから、国民保険掛けても年金掛けても、これは未納になるわけであります。そういう状況がたくさんあります。  たまたまそれを何かのあれで見つけることによって照会をして、私ども北海道ですと、東京まで税金の督促あるいは徴収に市の職員が、東京とか大阪とか札幌とか、割合と転出の多いところに行って税金を徴収に行く、こういうことがあるわけです。これは私どもの市だけでもありますから、これは全市大体あると思っていいと思います。そういうことを考えましたときに、やはり住民の基本的なものがネットワーク化されておれば、そういうむだもかなり省けるのではないか、私はそのように考えます。  そういう意味で、この住民基本台帳ネットワークシステムというものは自治省でも積極的に進めたい、こう思っておられると思うのですが、これに対して、まだまだ、国会の方も、あるいは住民の方もよく理解をされてない点が非常にあるのではないか。そういうことに対して、このシステムを導入するメリットについて、一体住民に対してはどんなメリットがあるのか、あるいは行政側にとってどんなメリットがあるのか、こういった点についてお答えをいただきたい、このように思っております。
  76. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 住民基本台帳ネットワークシステムというものを形成すべく、基本台帳法の改正案を御提案申し上げておるところでございます。  このシステムの仕組みは、今お話しのございました住民基本台帳、市町村の行政のベースとなります住民基本台帳に記録されております情報のうち、いわゆる本人確認情報と言われる氏名と住所と性別と生年月日と住民票コード、これがいわば本人の同一性を確認するために必要な情報ということで本人確認情報でございますが、これを市町村の区域を超えて全国的に利用できる、効率的に利用できるという情報システムをつくろうというものでございます。これによりまして、高度情報化社会に対応して、一つは、住民の負担軽減、サービス向上に役立つ、もう一つは、国、地方を通じまして行政改革に資する等のメリットがあると考えております。  具体的には、非常に現実的な問題といたしまして、住民サイドでは、全国どこの市町村、勤務地の市町村でも住民票の写し、自分の住民票の写しがとれるようになる。また、各種の役所に対する資格申請、あるいは試験などで住民票が必要とされているものがございますが、その添付が、省略ということが可能になる。また、住民基本台帳カードというものを考えておりますが、それを利用する場合には、市町村においてさまざまなサービス、また広域的なサービスというものが実現できる。また、住民の方が希望すれば、この住民基本台帳カードを身分証明書として利用できる、こういったメリットがあるというふうに考えております。  また、行政サイドでの現実的なメリットは、窓口業務の簡素化が図られますから、そこでの人員の一部を、新しい増大する福祉分野などで活用できるということが可能になる。  また、このネットワークを利用できる国の行政機関あるいは事務については法律で限定するわけでございますが、現在で十六省庁九十二事務について法律に盛り込んでおりますが、このネットワークシステムから本人を確認するための情報が提供できますので、事務の簡素化、効率化が図られる。こういうことで、国、地方を通じた行政改革につながるメリットがある、このように考えております。
  77. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 それぞれの今のメリットについてお話がございましたが、一つは非常に簡素化ができるということと、同時に、住民側にとっても、それによって、ネットワークがあると、どこの市や町へ行っても、自分に必要なものは、住民票なら住民票がとれる、こういうメリットがある、そういうようなことのメリットについては、やはり一層理解を求めるようにすべきであろう、私はこのように思います。  それとまた、この住民基本台帳について理解がまだひとつされておらない点というのを懸念しているのは、国が国民のさまざまな情報を集約して、ただしその情報も、今言った四つに限られていますからそんなたくさんの情報じゃないのですが、そういった情報を集約して、どうも国は管理するのではないかということで、かつて国民総背番号制というのがありましたけれども、そういった懸念というものが考えられている点。  それからもう一つは、プライバシーですね。プライバシーの保護というのは、一体本当になされるのか。こういうプライバシーの保護について、こういったシステムの面でどのようなプライバシー保護というものが講じられるのか、こういった点についてはいかがでしょうか。
  78. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 まず、国民総背番号制との関係でございますが、このネットワークシステムは、市町村が管理いたしております住民基本台帳、これを基礎といたしまして、地方公共団体共同のシステムとして構築をしようとするものでございまして、国が一元的に管理するシステムではないということでございます。  それで、都道府県や全国センター、これは指定情報処理機関が扱いますが、そこが保有するのは、先ほども申し上げましたが、本人確認のための氏名、住所、性別、生年月日、住民票コード及び付随情報だけでございます。さらに、国の機関等にこれらの情報提供がなされるのは、法律で規定いたしました事務に限ってでございます。また、提供を受けた国の機関等も目的外利用は法律上禁止をいたしております。  こういったことで、国の機関が法律に定めるそれぞれの目的を超えてデータマッチングなどをいたしまして、さまざまな個人情報を集約して管理するということは不可能な仕組みとなっております。  このような意味で、このネットワークシステムは、国が国民のさまざまな情報を一元的に集約して管理するという、いわゆる国民総背番号制とは全く異なるものであると考えております。  次に、プライバシー保護策についてでございますが、この点は極めて重要な課題であると認識しておりまして、そのために、法令上あるいは技術上の措置を講じております。  法令上、制度面の保護措置としては、今ほどお話し申し上げましたが、利用機関、また利用目的は法律で限定する、それから、本人確認情報を取り扱う関係者に対する安全確保措置及び秘密保持については義務づけをする、それから、本人確認情報の目的外利用の禁止をする、また、民間部門の住民票コードの利用は禁止する等の措置を講じることといたしております。  また、システム面というか技術上の保護措置といたしましては、専用回線を使う、また、送信情報は暗号化する、また、コンピューター及び操作者については、パスワードなどによって厳重な認証システムにする、また、データ通信の履歴管理及び操作者、操作をする人の履歴管理等の措置を講じるということでございまして、制度面、システム面のいずれの面におきましても、厳重に個人情報を保護するということにいたしております。
  79. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 今のお話を伺いまして、そういった国民の中で懸念される点については、今のような説明をしっかりすることによって、プライバシーは完全に保護されるのだ、それから、そういった住民情報を国が管理して、言ってみれば総背番号制のような形でコントロールするというものではない、あくまでも国民の権利義務、それから行政事務上、非常に効率的に行うために必要な法律であるということをぜひひとつ、さらに理解を求めていただきたい。私どもはこれらについて、自由党としては部会で十分検討いたしまして、もう結論を出しております。いっときも早く国会通過できるように、私どもも努力いたしたい、このように思っています。  それでは、次に、市町村合併につきまして先ほど来いろいろ議論がございました。古賀委員がおっしゃったことについては、私も全く同感でございますが、私は、この市町村合併については、国会議員になりましてからずっと言い続けております。最近ニュアンスが少し変わったかな、こう思われるのは、少し自治省も積極的になったな、こういうことでございます。  かつては、地方自主性を重んずるということに重点を置き過ぎて、合併促進という面からは、ちょっといろいろなインセンティブも欠けておるというぐあいに私ども考えておりました。  そこで、先ほども大臣からお話ございましたが、また質問にもありましたけれども、適当な規模は大体三十万人、こういうお話ございましたけれども、三十万というと、大体、行政が自立して行える人口規模、こういうぐあいに想定されているわけでございます。  私どもは、市町村合併につきましては、やはり自主的な合併というのは、もちろんそれに視点を置くわけでございますけれども、今約三千三百の自治体があるわけでありますが、そのうち、地方制度調査会で調査した結果があるわけですが、市町村数でいいますと、市では五百六十七、八四・六%が二十万人未満の都市だ。それから町村では、二万人未満、これが二千二百二十八ですから、八七%、これが二万人未満だ、こういうことになります。したがって、ほとんどが非常に人口規模の少ない自治体が多い、こういうことをこれはあらわしております。  そこで、市町村合併に関するアンケートの結果も出ておるわけでありますが、将来の行政需要に対応するということで、この行政需要に対応するために、市町村自分からその対応ができるかどうかという問いですが、大体これは、可能と困難とは半々になっておるということであります。それから、みずからの市町村の今後の合併の検討の必要性、これについては、必要であると答えているのが六五・八ということであります。ですから、過半数の市町村では、やはり合併ということについては大きな関心を持っておる。それからまた、みずからの区域及び市町村合併推進の必要性、これについては、必要であると答えているのは九四・五%ですから、ほとんどが合併推進の必要性というものを訴えております。  したがって、一般論として、なぜ合併を進める必要性があるのかということにつきましては、これも先ほど来いろいろ議論がありましたが、やはり介護保険なんかは、小さな町村でお医者さんもあるいは保健婦さんもなかなかおらないとか認定には難しいとか、いろいろな点があろうと思いますし、また、もう一つは環境問題ですね。とりわけ清掃工場。そういった意味では、なかなか小さな町村、自治体では不可能である、こういうような状況であろうと思います。  そういう意味で、この市町村合併を促進していくということは、やはりインセンティブを思い切って出していく。これは今、先ほどの説明の中で、交付税の措置ですとかあるいはいろいろな形で若干出されておりますが、これらのインセンティブについてはもう少し、合併すれば住民にとって大きくプラスになる、あるいはその方が住民に大変な利益があるんだということがやはり住民に納得されなければならない、私、そのように思うわけでございます。  そこで、先ほど来の、国土庁で出しております地域戦略プラン、これは先ほどちょっと大臣から話がありましたが、これは、地域の数が四百ですね。そして、平均して一地域当たり約百億円投入するんです。総額は五年間四兆円程度。ですから、これが市町村合併とかそのインセンティブとは直接何にもかかわっていないわけですね。私は、こういうことを昔、昔というか、一年か二年前の地方行政委員会で、一単位百億円くらいどんと出して、あるいは交付税措置も思い切ってやり、合併もやって、思い切ってそんな促進する対策を講じたらどうだ、こう提案したはずであります。その提案が、自治省から出たのではなくて、国土庁から出てきた。  こういう問題についてどう自治省は考えておられるか、これについて御答弁をいただきたい。
  80. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 合併に対します推進のための財政措置につきましては、先ほどの質疑の中でも、大臣から、この国会に法改正を行うべく準備しておる内容について御説明がございました。いわゆる普通交付税の合併算定がえの期間の延長でございますとか、あるいは市町村建設計画に基づきます事業についての地方債の措置でございますとか、あるいは合併関係市町村の公債費負担の格差、これを縮減するための健全化策でございますとかといったようなこと、また合併協議会等のソフト経費についての交付税措置といったようなことを盛り込んだ今の法改正を準備いたしておるところでございます。  今委員の方から、いわゆる空間倍増プランのことについてのお話がございました。これは、各省庁にまたがっておる仕事を広域的にまとめて、地方の方からいろいろなアイデアを出していただこうというふうな性格の施策でございまして、各省庁にまたがるということから、国土庁で所管をすることにいたしております。その際に、私どもの方も、プランづくりのための特別交付税措置をいたすとか、あるいはその中に単独事業を盛り込んでいただいていろいろな事業を進めていただくとかといったようなことも考えておりまして、そういう広域的な取り組みが行われるということを通じて、委員もおっしゃいましたように、それぞれの地域におきます広域的な取り組み、さらには、あるいはそういうことが合併一つにつながっていくというふうなこともあるのではないかというふうに思っております。  私ども、そういう点については十分留意しながら、国土庁とよく相談をしてまいりたいというふうに思っております。
  81. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私が以前に申し上げたのは、いわゆる合併をしていこうと地域の住民が自主的に考え、そしていろいろ進めておられる地域思い切ったインセンティブを出すということによって、さらに促進されるであろうといったことをお話し申し上げたと思うのです。したがって、例えばこういった地域戦略プランが国土庁から出ている、それから、一兆円で地域創生のプランも自治省から出ている、こういったものが、そういう合併促進の機運にあるところをまず優先的に取り上げていく、こういうようなことをやはり出さなければ、せっかく立派な、これはほとんど、この内容を見ると、合併することによって非常に有機的に実行できるようなプラン、計画が多いんですね。  ですから、そういった合併に対しては、この採択について優位に取り計らう、こういったことが出せないかどうか、この点についていかがですか。
  82. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 その地域戦略プラン、先ほど申しましたような経緯で行われる施策でございまして、各省庁にまたがっております。したがいまして、窓口は国土庁で行うということにいたしておりますので、私どもの方で今すぐそれを合併に結びつけて、それを優先的に採択することにつきまして、私どもの立場から、直ちにそういう方向でということはなかなか申し上げにくうございますが、今の委員の御指摘も踏まえまして、私どもも、このプランに自治省としてのかかわりを持っておりますので、そういう点は我々としても十分頭に置きながら、国土庁とも相談をしていきたいというふうに思っております。
  83. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ひとつ、私どもの話しておる内容については十分自治省でも聞いていただきまして、やはりこの町村の合併というのは、合理的なあるいは理論的な話で合併が進んだり合併ができなかったりということではなくて、実は、多くは感情問題だとか、あるいは合併することによって自分地域が取り残されてほかの地域がよくなるとか、そういったごく身近な問題が合併を阻害する要因なんですね。例えば議員である人が議員でなくなるとか、合併すれば、自分のところでいけば村会議員が十人ぐらいいたけれども、今度町会議員になるときは一人出るか出ないかわからないとか、そういうようなごく身近な話題がどうも合併を阻害する要因である。  ですから、この間、合併を促進する一部法律案をやっても、今度は、発議しても、発議して合併協議会を必ずかける、こういう制度法律を改正したようでありますが、やはりどうも今のケース、いろいろと見てくると、まだ全国的には——発議は簡単にできるんですね、五十分の一ですから。しかし、これはなかなか、実際この協議会をやってみると、首長が拒否をしたりあるいはまた議会で拒否をしたり、いわゆる合併が進まない、こういうことでございますので、こういった点も十分考慮して、今後、ひとつ行政に資していってもらいたい、このように思います。  お忙しいところ大臣が来られましたので、あと十分ぐらいですから、私、ひとつ大臣に二点お聞きしたいと思っております。  まず一つは、自自政権樹立のために大臣みずから大変な御努力をされました。そして、自自の政権が両党首の英断によって実現を見た、こういうことについて、私は、本当に心から敬意を表したいと思っております。  そういったことで、私ども自由党が出しておりましたいろいろな改革案、これは、今日までなかなか、言うべくしてやることが難しかった問題ばかりであります。これが合意を見て、一応実行の筋道といいますか、そういったものの緒についておるということは、これは画期的なことだと思うのであります。  そういったことで、各種の世論調査を見ましても、世論調査ですから上がったり下がったりするわけでございますが、しかし、以前から見ますと確実に、自民党さんもパーセンテージを上げておる、小渕総理も上げておる、私ども自由党も上げておる、こういうことで、国民がやはりそういったことについて私は好意を持っている証拠ではないかと。しかし、最終的には総選挙によって国民の審判を得て、ぜひ私どもが唱える政策について国民の理解を求めたい、このように考えております。  そこで、大臣にお聞きしたいことは、こういった改革は筋道ができましたけれども、今後、閣内にありまして大変難しい状況がたくさんあろうかと思いますが、これらの改革を実行していく、閣僚として実行していく決意といいますか意思といいましょうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  84. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今、鰐淵先生御指摘されましたように、今回、小渕総理・総裁と小沢党首の間で、基本政策あるいは当面の時局認識、基本方向において一致をされて、大きく新たな政治の動きが始まったわけでございます。  しかし、もともと、今回総理所信表明でもあらわれておりましたが、時代認識というのが、明治維新、そして終戦直後に匹敵し得る今や第三の改革の時期であるというこの時代認識、これは必ずしも自民党自由党両党だけでなくて、多くの方々もこの認識は共有していることであるかとは思います。  しかし、その中で、言うばかりではなくて、時間的な制約もある。あと、本当にどういうふうに具体的に実行に移すかという大きな段階に差しかかっている。そういう意味で、小渕総理がこの機会に、この自自連立をてこにして、日本の二十一世紀に向けてのあらゆる分野における改革を抜本的に自分も命がけでやるんだというそのあらわれとしての今回の連立内閣のスタートであったと思っております。  もちろん、そのあらゆる分野における抜本的な改革、構造改革一つの大きなテーマがいわゆる官から民へという一つの大きな流れ、これは国、地方を通ずる公的セクターから、規制緩和、撤廃を通じて、民間の活動領域における自立というものをより中心的なテーマとしてやっていこう、そして簡素で効率的な政府を国、地方を通じて達成していこうという基本理念と共通基盤をなすものであるわけであります。  同時に、国と地方という関係でいえば、御承知のとおり、地方分権というかあるいは地方主権というか、そういった理念を基盤とするわけでありまして、まさにそういう大事な分野について御下命を受けて、その仕事の一端の責任を果たさせていただくということになりまして、私自身、存分の思いを込めて、全力を挙げて努力をさせていただきたい。そして、今置かれております日本の非常に大事なこの時期に、内容とそれからスピード、この両面において我々の努力の成果が上げられることができますように頑張ってまいりたいと思います。この上ともぜひまた御指導、御鞭撻、御協力を心からお願いを申し上げる次第であります。
  85. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいまの大臣お話は、十分私どもも理解をいたしておるつもりであります。  先ほども大臣のいないときに申したんですが、私は、今回の国の予算、これをいっときも早く実行に移さなければ経済の再生というものに立ちおくれてしまう。とにかく、今の経済的指標一つ見ましても非常にまだ低迷をしておるというのが実態でありまして、倒産数も相変わらず減りませんし、あるいは失業者も過去最高を記録しておる。そういうようなことで、やはり経済を早く再生しなければ、借金漬けにあった国、地方財政も立ち直っていかない、大変がけっ縁にいる状況ではないかと先ほども申し上げたわけであります。  ですから、自治省が各市町村にわたるいろいろな事業を通じて早く末端の景気といいましょうか、それを刺激することによって、押しなべて全国が少し底が上がっていく、こういう力は、自治省市町村における仕事をサポートしているだけに、私はあるのではないか。そういった意味で、市町村に対するそういう期待といいましょうか、そういったことについて大臣の所見をひとつ伺います。
  86. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおりでございまして、やはり国づくりというものが、上からおろしていくようなやり方じゃなくて、基礎的自治体といいますか、それぞれ地域から盛り上がりが出てきて国が動いていく、むしろ我々はそういう国づくりを目指しておるわけで、そこが従来の明治における中央集権型の国づくりという手法と、今回我々がやろうという手法との根本的な違いだろうと思っています。そのためには、少なくとも、まず担い手自身がみずからそういう自覚と努力というものが出てこなければなりません。  そういう意味で、今回いろいろな施策をやっておりますが、自治省として今回初めて打ち出しましたいわゆる地域活力創出プラン、これは人づくりとか地域再生とかそういうことに光を当てた、ハード、ソフト両面から、言うなら末端からといいますか地域自身から自立心を奮い起こしていく、やはりそこが一番の原点ではないか。上から、これをやればすぐ補助金をつけますよというような画一的な形じゃなくて、まず地元から、自分で考え自分で生み出していく、そういうことに力点を置いたやり方をしていきたい、そう思っております。
  87. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私どもも全く同感でございまして、いわゆるスモールガバメントといいましょうか、効率的で住民サービスが徹底できる基礎自治体の体制というのが非常に大事である。これも大臣のいないときに、市町村合併についても若干お話をさせていただいたわけであります。  先ほどの、国土庁から出た地域戦略プラン、これは四百カ所、一カ所百億なんですね。こういった思い切ったいろいろなものがあるわけで、そういうものを国の各省がメニューとしてそろえる、それを積極的に基礎自治体は、そのメニューを選択しながら、自分たち自治体の住民の福祉の向上、あるいは生活の向上、あるいは地域経済活性化のために、みずから自治体が活性化できるようなインセンティブを自治省としては大いに出すべきではないか、こういうようなお話をさせていただきましたが、その点の大臣の所感を聞きまして、私の質問を終わらせていただきます。
  88. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 全く御指摘のとおりでありまして、地域活力創出プランと同時に、今御指摘の、一応主管は国土庁が中心になって取り進めをしていかなければならぬと思いますが、生活空間倍増計画、それの一環としての地域戦略プラン、これとの連携をしっかり講じていかなければいくまいと思っております。  先ほど来申し上げておりますとおり、そういう各地域自身から盛り上がっていくエネルギーを国づくりの大きな原動力にしていかなければ、物事は成り立っていかない。我々は、そういう思いを持って努力をしてまいりたいと思います。
  89. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
  90. 坂井隆憲

    坂井委員長 次回は、来る九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十一分散会