○横光
委員 社民党の横光克彦でございます。
今国会に提出されております
産業活力再生特別措置法案、この主眼と申しますか主軸は
事業の再
構築にあるわけです。つまり、
過剰設備、
過剰債務、
過剰雇用の事態を打開することにあると思うのですね。したがって、
税制上の対応も、おのずと
企業が持つ負の遺産、もっと言えば
企業がみずからつくり上げてしまったとも言える負の遺産、この過剰部分の清算を進めるための
支援策に重点が置かれてしまったと言えると思うのです。
しかし、
営業の譲渡あるいは譲り受けにかかわる買いかえ
特例の拡充や、あるいは
登録免許税の
軽減などは、
過剰設備の廃棄後の跡地等の流動化を進めやすくしてほしいとの強い要請を受けての、消極的
選択のなせるところであろうと私は思うのです。立地するときに
税制上の優遇
措置を受けておりながら、今度、これを撤収するときにも税の優遇
措置を与えなきゃならないのかというやるせない思いを、税に携わる主税局の第一線の皆様はそういったお気持ちを正直に言えば持っているのじゃなかろうか、私はそんな気がいたしております。
また、債務の
株式化促進に当たっての登免税の
軽減、あるいは債務の
株式化自体が債権者にとっては債権放棄の甘味剤にすぎない、こういった指摘も銀行界から出ているわけです。つまり、
大口債務者に対する深情け的な側面が余りにも強過ぎるのではないか、そう思わざるを得ません。
しかし、そうはいっても、ここまでは何とか私も許容の範囲かもしれないと思っております。つまり、官民共同で、本来ならば
民間で自助
努力でやるべきところですが、これが非常に厳しい中、緊急避難的
措置として官が手助けをする、そういった
意味からも、先ほど申したところまでは許容の範囲かもしれない。
しかしながら、この
過剰設備の廃棄促進を結果的には国が出張ってまで
支援することになる
欠損金の繰越控除の延長にまで手を染めるに至っては、なぜそこまでという思いをどうしても禁じ得ないのですね。工場撤退などの設備廃棄が進めば、地域経済に与える影響、また関連する中小
企業に与える影響、とりわけ雇用問題には深刻な打撃を与えることはもう必至の状況だと思います。
ですから、
政府原案のままでは、雇用安定の確保が明確にされなくても
事業再
構築計画を主務大臣が
認定することができるようになっている。確かに、主税局が言うとおり、
税制上の優遇
措置を得るためには二重の関所を越えなくてはなりません。しかし、雇用安定の明確な確保は要件となっていないのです。つまり、雇用安定の明確な確保が要件とならない
欠損金の
特例とは、残念ながら、このリストラの加速の潤滑油となることで、失業率の悪化を通じた景気への悪影響という負の連鎖、本来ならば景気回復の目的を持っていながら結果的には景気への悪影響という負の連鎖を招く役割を果たしかねないという気がしてならないのです。
景気が順調なときであればこのような副作用は低く抑えられるかもしれませんが、しかし、御案内のように、現在、雇用失業情勢は底割れ
懸念すら払拭できない現状にあるわけです。一進一退の踊り場的な状況にあるわけですね。他方、今回緊急雇用対策として組まれました補正予算は五千億円という規模にすぎず、雇用不安の解消という国民的要請にこたえられるものになっているとは思えないわけです。
そこで、
大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今の現状から見て、つまり失業率が過去最悪の現状の中、雇用対策として組まれた補正予算とセットで
提案されましたこの
事業再
構築支援の一環としての
欠損金の
特例措置が、果たして景気回復に向け前向きな相乗効果を望めるとお考えなのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。