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1999-07-06 第145回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十一年七月六日(火曜日) 午前九時四十二分
開議
出席委員
委員長
村井
仁君
理事
井奥 貞雄君
理事
衛藤征士郎
君
理事
鴨下
一郎
君
理事
柳本 卓治君
理事
上田 清司君
理事
日野
市朗君
理事
石井 啓一君
理事
小池百合子
君 大石 秀政君 大島 理森君 河井 克行君 河野 太郎君
佐田玄一郎
君
坂本
剛二君 桜井 新君 桜田 義孝君 砂田
圭佑
君 中野 正志君
中村正三郎
君 平沼 赳夫君
村上誠一郎
君
望月
義夫
君
渡辺
具能
君
渡辺
博道
君
渡辺
喜美君
海江田万里
君 末松 義規君 玉置 一弥君 中川 正春君 山本 孝史君
大口
善徳
君 谷口 隆義君 並木 正芳君
西川
知雄
君 若松
謙維君
鈴木 淑夫君 西田 猛君
佐々木憲昭
君 矢島 恒夫君 横光 克彦君
出席国務大臣
大蔵大臣
宮澤
喜一君
国務大臣
(
金融再生委員
会委員長
)
柳沢
伯夫君
出席政府委員
内閣参事官
兼
内閣総理大臣
官房会計課長
尾見
博武
君
金融再生委員会
事務局長
森 昭治君
金融監督庁長官
日野
正晴君
金融監督庁検査
部長
五味
廣文
君
金融監督庁監督
部長
乾 文男君
国土庁大都市圏
整備局長
兼
国会等移転審
議会事務局次長
板倉 英則君
大蔵大臣官房総
務審議官
武藤 敏郎君
大蔵省主計局次
長 坂 篤郎君
大蔵省主税局長
尾原 榮夫君
大蔵省関税局長
渡辺
裕泰君
大蔵省金融企画
局長
伏屋 和彦君
大蔵省国際局長
黒田
東彦君
国税庁次長
大武健一郎
君
通商産業省産業
政策局長
江崎 格君
中小企業庁次長
殿岡 茂樹君
自治省財政局長
二橋 正弘君
委員外
の
出席者
法務省刑事局刑
事課長
池上 政幸君
公安調査庁調査
第二
部長
松田
宏君
参考人
(
預金保険機構
理事長
)
松田
昇君
参考人
(
日本銀行理事
)
小畑
義治
君
大蔵委員会専門
員 田頭 基典君
委員
の異動 七月一日
辞任
補欠選任
御法川英文
君
坂本
剛二君 同月六日
辞任
補欠選任
渡辺
博道
君
望月
義夫
君
綿貫
民輔
君
佐田玄一郎
君
大口
善徳
君
西川
知雄
君 同日
辞任
補欠選任
佐田玄一郎
君
綿貫
民輔
君
望月
義夫
君
渡辺
博道
君
西川
知雄
君
大口
善徳
君 本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
金融
に関する件 午前九時四十二分
開議
————◇—————
村井仁
1
○
村井委員長
これより
会議
を開きます。
金融
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
参考人出頭要求
に関する件についてお諮りいたします。
本件調査
のため、本日、
参考人
として
預金保険機構理事長松田昇
君及び
日本銀行理事小畑義治
君の
出席
を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
村井仁
2
○
村井委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
村井仁
3
○
村井委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
渡辺博道
君。
渡辺博道
4
○
渡辺
(博)
委員
おはようございます。自由民主党の
渡辺博道
でございます。 私は、
大蔵委員会
に配属されまして、やっとの思いで
質問
する機会をいただきました。
理事
の
先生方
、同僚、そして先輩の議員の
皆様方
に改めて感謝を申し上げる次第でございます。また、本日は、私の尊敬いたします
宮澤大蔵大臣
そして
柳沢国務大臣
におかれましては、
日本
の
景気回復
のために日夜尽力していただいておりますことに改めて敬意を表する次第でございます。 このたび、
柳沢大臣
の方で、
再生委員会
の方で出されました、
破綻金融機関
の
処理
のために講じた
措置
の
内容等
に関する
報告書
が上がってまいりました。この
報告書
をじっくり読ませていただいたわけでありますが、大変よくまとめられてあるというふうに
評価
したいと思います。 そして、特にその中で、長銀問題の
バブル期
における
銀行経営
の環境についてという
項目
の中に、その当時における
銀行
がどんな
姿勢
で
経営
をしてきたか、その
内容
がつぶさにあらわされております。特に
銀行
では、この当時においては、
銀行
の
競争力
は結局のところは
貸し出し
の
競争力
であるというふうに断言しております。そしてまた、より
収益
を確保すべく、いわゆる中堅、
中小企業融資
の
拡大
に向かうことになり、この分野での
競争
は一層激化してまいりましたという記述もあります。さらには、
不動産関連融資
は
貸し出し規模拡大競争
の格好のターゲットとなっておりました、こういった
項目
がこういった公の書類の中に記されております。 しからば、こういったそれぞれの
金融機関
がその当時果たしてきた
役割
をもう一度しっかりと精査する必要があるのではないかというふうに思うわけでありますが、この点につきましては、今後の私の
質問
の中で論じたいというふうに思うわけであります。 こうした
認識
を前提といたしますと、現在のような
金融機関
の貸し渋り
姿勢
というものが本当に正しいのであろうか、これをしっかりと見きわめていかなければならない、そのように思うわけであります。まさにこの点がこれからの
金融政策
における最
重要課題
として考えなければならない問題ではないか、そのように思うわけであります。 そこで、今回の
質問
の
中心
は、
金融機関
と
中小企業
との
関係
に重点を置いて
質問
していきたい、そのように思うわけであります。
小渕総理
は、今
国会
の冒頭において、
施政方針演説
の中で、二十一世紀に向けた
国政運営
を五つの
かけ橋
を
基本
に
推進
していく旨述べられております。とりわけ繁栄への
かけ橋
においては、本年を
経済再生元年
と位置づけ、
金融システム
の
再生
に全力で取り組むと同時に、
中小企業対策
、
雇用対策
に最大限の配慮をしていく、そういった旨を述べられております。 こうした諸施策の着実な
推進
により、
経済成長率
も一—三月期においては一・九%の
伸び
、そしてまた昨日は、日銀短観による
業況判断指数
が大幅に改善したということによって、株価も九七年以来一万八千円台を回復いたしました。それぞれすばらしい成果がいよいよあらわれてきたな、そんな
感じ
であります。 ただ、ここで忘れてはならないのは、まだまだ
不安要因
が多くあるということであります。特に
失業率
の
増大
について、五月でありますけれ
ども
、
失業者
はまだまだ三百三十四万人、
完全失業率
として四・六%で高どまりしている
状況
にあります。そしてまた、
倒産件数
を見るならば、
平成元年
と
平成
十年の対比でありますけれ
ども
、
件数
において二・六倍、
負債額
において十一・二倍という大きな
伸び
を示しております。また、
新規企業
の
設立件数
、これは一向に
伸び
ておりません。貸し金に関する
訴訟事件
が大変ふえております。
中小企業
の
融資残高
が
伸び
ておりません。こういったもろもろの指標が、
資料
として取り寄せるとすべて裏づけられております。 こうした
現実
の中で、先般、
警察庁
の
資料
、「
平成
十年中における
自殺
の
概要
」という
資料
でありますが、この中身を見ますと、特に際立ったところは、
自殺者
が三万人を超えたという大きな見出しがありましたが、その「原因・
動機別状況
」の中においては、
経済
生活問題によって
自殺
した人が前年に対して七〇・四%の
伸び
、二千五百二名の増加というふうになっております。 こういった
状況
において、今一生懸命
金融安定化
を目指して頑張っているところでありますが、
現実
の
社会
においては、
中小零細
においてはまだまだ厳しい
状況
にあるということをぜひとも御
認識
をいただきたい、そのように思うわけであります。 このような
状況
にあって、
経済
の
動脈
というべき
金融システム
の
改革
はまさに不可欠であり、また、
政府
においてはその
改革
を着実に
推進
しているところでありますが、その
動脈
の血液の流れが個々の
中小企業
に十分流れていない、このことに問題があるのではないか、そのように思うわけであります。 特に、
日本
全体を見るならば、二百五十万社という
法人
があります。その九九%が
中小企業
であり、また八割の方が
中小企業
に勤めている。こうした
我が国
の現状を見ていくならば、
中小企業
こそが
中心的担い手
として活力ある豊かな
経済社会
を創造していくための
役割
を果たしているのではないか、そのように思うわけであります。
中小企業
が
国民
の暮らしを支え、
空洞化
、
疲弊化
が進む
地域経済
の
再生
と
日本経済
の質を高めているのであると私は思うのであります。
我が国
の
経済金融政策
として
中小企業
が果たすべき
役割
を正当に
評価
するならば、
中小企業
こそ
行政
の
保護
が必要なのであります。特に、
規制緩和
の
推進等
により、ただでさえ厳しい淘汰の中にさらされている
中小零細企業
に
追い打ち
をかけるような手法は正しくないと思うわけであります。
我が国
の
経済社会
の二重
構造自体
が
経済
の
効率化
とともに自然淘汰される側面を宿命的に持っているから、弱い者への性急な
追い打ち
は犠牲だけを大きくし、逆に
社会費用
の負担の
増大
をもたらすものであると思うからであります。 特に、
中小企業
においては、その
経営者たる者
は、
融資
を受ける際には
自分
の
自宅
を当然のことながら
担保
に入れております。そしてまた
個人保証
もされております。
自己
の拠点である
自宅
を
担保
にし、こういったものが万が一返済不能または
倒産
という事態に陥ったときには、
企業
のみならず
生活そのもの
が破綻してしまう、こういった
現実
があるわけであります。まさに、この点が大
企業
の
経営者
と大いに違うところであります。その究極、追い詰められて死を選択せざるを得なかった、この実情が先ほど示した
警察庁
における
自殺者
の
概要
である、私はそういうふうに
認識
しているわけであります。 こうした
現実
は、まさに政治としても無視できない
現実
だというふうに思うわけであります。
経済
、
金融
、
雇用
に対する
国民
の不安を解消するためには、今こそ
人間中心主義
の
中小企業重視
への
政策転換
が必要であると思います。そして、そのことこそが
安心
への
かけ橋
につながるものと確信しているわけであります。 以上のような
基本
的な考え方のもと、具体的な
質問
に入らせていただきたいと思います。 まずは、
銀行業務
の
適切性
についてであります。
銀行法
によりますと、第一条「
目的
」の中には、「
銀行
の
業務
の
公共性
にかんがみ、
信用
を維持し、
預金者等
の
保護
を確保するとともに
金融
の円滑を図るため、
銀行
の
業務
の健全かつ適切な
運営
を期し、」となっております。 当然のことながら、
銀行
は健全でなければならないということで
健全化法案
の中にも種々の
対策
を練ってきておりますが、いざ、この
適切性
についてどのような取り組みがなされているのか、これが大事だというふうに思うわけであります。現在、
金融機関
に対する
早期是正措置
や、また
監督庁
における
金融検査マニュアル
が、
銀行
にとっては貸し渋りや
資金回収
の一つの
理由
になっている、こういった
現実
もあるということもぜひとも御
認識
いただきたい、そのように思っております。この点については厳しく
監督
をしていただきたい、そのように思うわけであります。 私は、
業務
の適切な
運営
の
判断基準
として、
金融機関
が
地域
の
資金ニーズ
に適切に対応しているか否かを重要なポイントとして、その
評価
結果を公表すべきであると思うわけであります。
金融機関
がその
社会的役割
を正当に果たしているか否か、この点をまさに重視する必要があると思うわけであります。 また、
金融機関
においては、
融資審査
に当たっては
物的担保至上主義
をいまだに崩してはおりません。この点の
改革
が必要だと思います。その
改革
の
方法
としては、
経営者
による
経営指針
や
経営能力
、
企業
の
技術力
、
開発力
、
市場性等
を総合的に
評価
する
システム
への
転換
が必要であると思うわけであります。 また、独禁法上、
優越的地位
の乱用の疑いのある
拘束預金
、また
金銭消費貸借契約
における
銀行
の絶対
的優位性
など、こういった
問題点
についてしっかりと取り組む必要がある、そのように思いますが、こうした
業務
の適切な
運営
の
評価
に関して
大臣
の御
所見
をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
柳沢伯夫
5
○
柳沢国務大臣
渡辺先生
から、
日本経済
全体における
中小企業
の
地位
、なかんずくその中での
重要性
ということについて御
指摘
をいただきました。そしてまた、さらに、大
企業
と違って
中小企業
が
金融機関
との間で立たされる厳しい立場ということについての御
指摘
もいただきました。 そこで、私の所掌は、
銀行法
というよりも、主として先般の
国会
でおつくりいただいた
金融
二法でございますので、その
関連
で申しますと、この
健全化法
、
資本増強法
といってもよろしいかと思いますけれ
ども
、この
目的
には明らかに
信用供与
の
円滑化
ということが入っておりまして、それがために
資本
の
増強
を
公的資金
をもって行うんだということが明記されております。 そして、それを私
ども
受けまして、
実施要領
ともいうべき
経営健全化計画
のフォーマットというものをつくらせていただきましたけれ
ども
、そのときには、
一般
的な
信用供与
の
円滑化
にとどまらず、さらにブレークダウンをして、
中小企業
の
皆さん
に対する
貸し出し
についてこれを増加する
計画
をぜひ盛り込んでもらいたい、こういうようなことをさせていただきました。 そういうようなことで、今度、この
資本増強
は三月の末日に実は行われたわけでありまして、その
増強
された
資本
を使って今言ったような
信用
の
供与
の
円滑化
を図っていただくのはこの四月一日からであるわけでございまして、
対象期間
は今始まったばかりということであるわけでございます。 ただ、私
ども
は、実際
上金融機能健全化法
が始まって三カ月たったというところで、この
健全化計画
をスタートさせる、その
スタート時点
のことについて一回
報告
をいただいておこうということで、先般、
資本
を注入させていただいた各
銀行
から
報告
をいただきました。 その結果、今
先生
ちょっと御
指摘
いただいたとおり、
中小企業向け
の
融資
が必ずしも
計画どおり
進んでおらない。多くの
銀行
においては大体
計画どおり
というようなところが多いわけですけれ
ども
、二つの
銀行
と言っていいと思いますけれ
ども
、かなり
見込み
と
スタート時点
において違ってしまった、こういう御
報告
をいただきました。 その
理由
を聞いてみますと、九月期のときの
伸びぐあいをそのまま
三月まで延長していいだろうという
見込み
を立てたところが、実は、
中小企業
の
皆さん
の側の
資金需要
、それからまたリストラといったようなことに伴う返済というようなことがありまして、
残高
において
見込みどおり
の
伸び
というか
残高
を確保できなかった、こういうことでございました。 そこには
努力
を怠ったとか意図的に
中小企業者
の
皆さん
に対する
貸し出し
を渋ったとかということはないということを我々心証として受けとめたわけでありますけれ
ども
、客観的にそういう事実がありましたので、これはまさにこれからの
計画期間
、来年の三月期に向けて
計画どおり資金
の
供与
が、
信用
の
供与
が行われるように
努力
をしてもらいたい、そういう気持ちを持っておりましたところ、各行から、言われるまでもなく既にそのようなことを考えておる、
計画
である、こういう意図の表明がございましたので、私
ども
は今後これを見守ってまいりたい、このように考えているところであります。
渡辺博道
6
○
渡辺
(博)
委員
ありがとうございます。 次に、
中小企業
と
銀行
との
取引
がある場合、いろいろな
トラブル
があると思うのです。
現実
的に
裁判
になっているものが多々あります。最終的には
裁判
かもしれません。でも、その前に、
相談窓口
として対応を考えてあげる、こういったことも今後必要ではないかというふうに思うのです。 私は、先般、ある人から
相談
を受けて、実は、
銀行
との
トラブル
があるのだけれ
ども
、
相談
する
窓口
がないのだけれ
ども
どこですかというふうに言われたのです。
監督庁
に
相談
したところ、具体的な個別の問題については対応しかねますというお話でありました。でも、本当にそのままでいいのかなという
感じ
がしております。 確かに、個々具体的な
取引
について介入することは正しい
方向
ではないと思うのでありますけれ
ども
、実際に
金融取引
をしている相手としては、どこか困ったときに
相談
する
窓口
、これは国としても絶対何か必要じゃないかなというふうに思ったのです。私自身もどこに
相談
していいかわからないというのが
現実
でありまして、
監督庁
に言っても、
窓口
としてはないんだということでありました。したがいまして、
中小企業
の
現実
の生の声を聞く
機関
として、私は、
金融監督庁
の中に例えば
金融相談センター
の設置とかこういったものをぜひとも考えていただきたい、そのように思うわけであります。 先般、
金融監督庁
の機構が改正されました。この中で見ても、
検査部
や
監督部
、こういったものがありますが、
一般
の
国民
の声を聞く
機関
がありません。やはりこれからの
金融政策
においては
国民
の声をじかに聞ける
システムづくり
が必要ではないか、それこそが
国民
により身近な
金融政策
として位置づけられるのではないか、そのように思うわけであります。 したがって、この生の声を聞くこと、同時にそれが
検査
や
監督
に
プラス効果
になる、逆に言うと
苦情
が出ればマイナス、減点だ、こういった
評価
も必要ではないか、そのように思うわけであります。こうした
体制づくり
が私は必要だと思うのですが、いかがでしょうか、御
所見
をお伺いしたいと思います。
日野正晴
7
○
日野政府委員
お答えいたします。
金融監督庁
の
行政
のあり方、あるいは、もし
金融機関
による違法な
取引
といったようなものが
苦情
として
相談
に来られた場合には、これは
金融機関
の
業務
の健全かつ適切な
運営
を確保するという
法律
の
目的
の達成に資するものでございますので、
金融監督庁
におきましても、こういった問題につきましては従来からさまざまな御
相談
に応じてきているところではございます。 ただ、
金融取引一般
に関します
金融機関
と
利用者
との間の
苦情相談
につきましては、先ほど
先生
が御引用なさいました
銀行法
一条の
目的
などに照らしまして、これは
金融機関
が
自己責任
のもとで、まずもってみずからが適切に対応すべきものではないかというふうに考えているところでございます。現在は、そういった
観点
から、
金融機関
や
金融関係団体
の
窓口
における
苦情相談体制
を整備していくことがまず何よりも肝要かなと考えて、それを推し進めているところでございます。 こういった
観点
から、
金融監督庁
といたしましては、昨年九月に「
金融機関
に関する
苦情相談窓口
の
周知等
について」というものを発表いたしまして、
金融機関
の
協会
についての
苦情相談窓口
の一覧を
財務局等
を通じまして配付いたしました。また、これをインターネットにも掲載してございます。 それから、各
金融機関
の
協会
に対しましても、傘下の
金融機関等
を通じて
苦情相談窓口
の広報を行うように努めてもらいたいということを求めております。それから、
金融監督庁
といたしましては、そういった
協会
から毎月
苦情相談
の
実施状況
についての結果
報告
を求めております。 また、さらには、
苦情
の円滑かつ迅速な
処理
を行うための
音声自動応答システム
を設置いたしておりまして、これからこういった
方法
で
苦情相談
には対処していきたいというふうに考えているところでございます。
渡辺博道
8
○
渡辺
(博)
委員
その問題につきましては、私はちょっと納得しかねる部分があるのですね。やはり間接的に聞くのじゃなくて、直接聞くということの大事さをひとつ考えてもらいたいのです。人の
認識
を経由して出された
報告
、これは全然血が通っておりません。みずから聞くことによってその痛みがわかるわけでありますから、私は、国の
政策
としても、今後はこういったものをじかに聞く
体制づくり
はぜひとも必要だ、そのように思っております。それは私の考えでありますけれ
ども
、ぜひともそういった
方向
を検討していただきたいと思います。 さらに、今回の三月決算の
状況
を見ますと、
法人
の
収益
を上げた中で
ノンバンク
がかなり上位を占めております。この
現実
はいかに理解すべきかということであります。本来であれば、
金融機関
、いわゆる
銀行等
がしっかりとした
貸し出し
をしていれば、こういったところに
資金需要
は出てこない、
資金
を借りるような
必要性
はないわけでありますが、
銀行
がしっかりと門を閉めてしまった、そのためにやむにやまれず
ノンバンク
に手を出さざるを得ない、こういった
現実
があることもぜひとも御理解いただきたいわけであります。 こういった
状況
を見ますと、現在の
銀行
が本当に
社会
的、
公共的使命
を全うしているものかな、そのように思うわけであります。先ほ
ども
柳沢国務大臣
がおっしゃいました、これからの
状況
を見きわめていくということでありますが、私は、より積極的な
融資体制
をとるように指導すべきではないか、それこそが
中小企業者
の
安心
への
かけ橋
につながるのではないか、そのように思うわけでありますが、
大臣
の御
所見
をお伺いしたいと思います。
柳沢伯夫
9
○
柳沢国務大臣
金融機関
と
中小企業
の間をどのように円滑につなげるかということでございますが、個別の
取引事案
について、公的な
機関
がこれに何らかの形で介入していくということはやはり差し控えるべきことであろう、このように考えております。 しかし、さはさりながら、私
ども
の
健全化法
におきまして、それをブレークダウンした
健全化計画
、こういうようなもので
中小企業向け
の
融資
というものを増加させる、こういうことを
計画
として盛り込んでいる以上、私
ども
はこれの確保をぜひ図ってまいりたい、このように考えておりますが、今現在、私
ども
の法の仕組みの中で、これをどのような方途でもって確保すべしとされているかと申しますと、その手段としては、
基本
的には
報告
を徴求しそれを
国民
に広く公表する、こういうことでございます。言いかえますと、
国民
の
監視
のもとで各
金融機関
が
自分たち
の
計画
に対して忠実でなければならない、こういう
一般
的な基盤をつくらせていく、こういうことが
基本
ということにこの
法律
ではなっているわけでございます。 もちろん、具体的に非常に不当、違法というようなことがありますれば、これは
健全化法
でも二十条でもって
銀行法
を援用して、
銀行法
上の例えば
業務改善命令
といったようなものの発動があり得べしということは規定されておりますが、
基本
的には、今申したように
報告
の徴求とその公表ということで、
国民
みんなの
監視
のもとでこの
計画
が円滑に遂行されることを見守っていく、
監視
していく、こういうことが
基本
の法的な枠組みになっておりまして、私
ども
もそれに従ってまいりたい、このように考えております。
渡辺博道
10
○
渡辺
(博)
委員
ありがとうございました。 時間が限られておりますので、最後に
大蔵大臣
にお伺いをしたいと思います。 今
柳沢国務大臣
のお話もあったとおり、現行法制上はなかなかそれが対応できない、そういったお話でありました。しからば、
金融機関
と
中小企業
との
関係
においてこういった
問題点
を解決するために何らかの方策はないのかと思うわけであります。 例えばイギリスにおいては、八六年、ビッグバンと同時に
金融
サービス法が制定されました。これは、
取引
者、消費者の
保護
を図るため、詐欺行為や誤解を招く商品説明を禁止するような規定を盛り込んだ
法律
であるわけでありますが、
我が国
においても同様の
金融
サービス法なるものが検討されているやに聞いております。その際に、借り手である
中小企業
を
保護
する
観点
から、法整備をぜひとも早急に行う必要があると私は思うわけであります。 その視点をとらえるならば、まずは
中小企業
が
安心
して商売ができる環境づくりをしてあげることだというふうに思うわけであります。そういった
内容
を盛り込んだ法整備、いかがでしょうか。これから実施していく御予定があるかどうか、
大蔵大臣
の御
所見
をお伺いし、
質問
を終わらせていただきたいと思います。
宮澤喜一
11
○
宮澤
国務大臣
大変難しい問題を御提起ですが、
金融機関
が
中小企業
の活殺の権を握っておるということをよく申しますが、握られている方はとてもたまったものではありません。そういう意味では、端的に申して
金融機関
と
中小企業
というものの力
関係
がイコールでない、残念ながらそういうのが現状であると思います。
中小企業
は利子を払っておるわけですから活殺の権を握られるわけがないのだけれ
ども
、力
関係
はそういうことであるということは、やはり
基本
的にはそういう力
関係
というものを直していく。
金融機関
側に自由
競争
があって、そういう中でハイリスクもありローリスクもあり、また
中小企業
の側にもそういう選択があるということで、そういう
社会
のあり方というものをやはり直していくことが
基本
だろうと思います。 同時に、
金融
サービス法という種類のものは考えております。考えておりまして、この中で、不正であるとかあるいは不当であるとかいうようなことへどこまでさわれるかということは大変に問題のあるところだと思いますけれ
ども
、いかにも力
関係
を利用してフェアでないことが行われるというあたりまではあるいは書けるかもしれない。しかし、これは大変難しい問題でございますから、よくよく考えさせていただかなければなりませんが、
金融
サービス法のようなものはやがて必要であると考えております。
渡辺博道
12
○
渡辺
(博)
委員
ありがとうございました。
中小企業
の活性化こそが
日本
の
経済
の
再生
につながるものと私は確信しております。ぜひとも
中小企業
に光を当てていただきたい、そのような気持ちを述べまして、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
村井仁
13
○
村井委員長
次に、砂田
圭佑
君。
砂田圭佑
14
○砂田
委員
自由民主党の砂田
圭佑
でございます。 今
渡辺
委員
から
中小企業
問題についていろいろ御
質問
があったところであります。私も、実は
自分
が
中小企業
の、
中小企業
といっても小
企業
の
経営者
でありましたから、
渡辺先生
のお話、大変大事なことだと伺っておりました。
大蔵委員会
でありますから、広い範囲でいろいろな御
質問
があることは当然でありますけれ
ども
、私も
自分
が経験した
中小企業
に集中して
質問
をしたいと考えます。できるだけ
自分
の意見は差し控えまして、
皆さん
方の、
大臣
のお話等、じっくりと承りたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。 まず、今も
渡辺先生
からいろいろお話のあったところでございますけれ
ども
、
日本
の
経済
の中における
中小企業
の存在、それを
大蔵大臣
はどんなふうにとらえて御
認識
になっているか、そこのところをお伺いいたしたいと思います。
宮澤喜一
15
○
宮澤
国務大臣
大蔵省の
法人
企業
統計年報によりますと、一億円までの
資本
の
中小企業
は、
法人
数におきまして九八・八%でございます。付加価値におきまして五五%ぐらい、従業員数におきまして六七%でございますから、実際上、よく言われますが、
我が国
の
経済
というのは
中小企業
によって支えられている、これはこの数字から見ましても明らかであります。 しかし、かなり多くのものが、
法人
といいましても、いわゆる店と奥というものがつながって、必ずしも分かれていない。家族ぐるみで
企業
をやっているというようなところは少なからずございますので、したがいまして、
経営
の危機というものは常に家族の危機につながる、そういう非常に脆弱な
状況
を脱していないものが少なからずある。昨年来、いわゆる借入金の保証をいたしまして、それによってかなりの
中小企業
の方が年を越すことができたと言われましたけれ
ども
、この
状況
なんかを見ましても、ひとり立ちしてやっていけるというような
中小企業
というものは数の上ではそうたくさんはないというのが現状であるだろうと考えています。
砂田圭佑
16
○砂田
委員
日本
にとって
中小企業
がその
経済
を構成する中で大変重要な存在であることは、今のお話でも数字でも証明されているところでございます。 しかし、
中小企業
で日々暮らした経験を持つ者としては、
日本
の
経済
の支えになっているという意欲も、またそれほどの自負もありませんで、ただ日々ひたすら前進をして何とか商売をつないでいこうというような思いだけ、また、その活力がエネルギーの原因になっているということはよくわかるわけでございます。 それにしても、
中小企業
に対する
経済
政策
、そういうものがいろいろな形で語られ、そしてとられながらも、まだまだ
中小企業
に十分に行き渡らないというところもございます。また、
中小企業
そのものも、
自分
の力、組織、あるいは置かれている位置というもののきっちりとした
認識
が薄いというようなことが、大変その
経営
をあやふやにしている部分もあることは事実であります。 先般、七兆五千億という
資本
注入を受けた大手十五
銀行
、この間ちょっと新聞で拝見したものですから正確かどうかわかりませんけれ
ども
、
柳沢
委員長
が、そのうちの八行が、先ほどちょっと
渡辺先生
へのお答えにもありましたけれ
ども
、
中小企業向け
の
融資
の
計画
の目標をまだまだ達成できていない、これからも引き続いて
貸し出し
の増加を求めていくというような御発言を新聞で拝見いたしましたけれ
ども
、実際に、どのように具体的に
融資
の増加、
貸し出し
の増加を進めていこうとなさっているのか。 また、これはちょっと
質問
通告にはあれなんですけれ
ども
、
柳沢大臣
の個人的な御意見でも結構でありますが、その新聞の端っこに、
銀行
が
信用供与
をするならば、
企業
の方も、それを受ける
中小企業
の方もしっかりした構造改善をやらなきゃいかぬと。この辺について極めて個人的なお答えでも結構でございますが、
中小企業
に何を求められているか、少しお答えをいただきたいと思います。
柳沢伯夫
17
○
柳沢国務大臣
ことしの三月末に、十五行に対して私
ども
資本増強
をさせていただきました。 我々が依拠したところの
金融
健全化法
によりますと、このようにして株式を取得したりあるいは貸付金債権を持ったりした
銀行
につきましては、この処分あるいは返済が終わるまでの間、その
計画
の履行
状況
につきまして
報告
を求めることができるということでございます。 したがって、本当のことをぎりぎり言ってしまうと、三月末の時点ですぐに
報告
を徴するということが適切であったかどうか、余りにもスタートの時点ではないかということもあったのですが、私
ども
としては、
健全化計画
がスタートする、その一番のスタートの時点の
状況
を知っておきたい、こういうようなことであえて
報告
の徴求をいたしました。 その結果判明したのが、このスタート台のところで
見込みどおり
の
中小企業
貸し出し
の
残高
にまで至らなかった
銀行
が八行ある。八行あるということですけれ
ども
、一千億台のものはその半分くらいということでございましたけれ
ども
、いずれにしても未達のものがあるということが判明したということでございます。 そして、これらの
銀行
を含めて十五行すべてについて、この
計画期間
中、とりあえず来年の三月末までの期間について
中小企業
貸し出し
の増加が
計画
されておりますけれ
ども
、今後ともこの
計画
の実現に向けて
努力
をしていくという意図の表明がこの
報告
の中でなされておりまして、私
ども
もこれを了として今後これを見守ってまいりたい、このように考えておるということでございます。 なお、具体的な方策いかんというお尋ねでございますけれ
ども
、
基本
的に、
健全化法
では
報告
の徴求と公表ということでもってこの
計画
の遂行
状況
を
国民
の
監視
のもとに置く、このことをもっていわば
銀行
サイドにプレッシャーをかけていく、こういう仕組みにお定めいただいたわけでございまして、そういうことで私
ども
は
運営
してまいりたい、このように考えております。もちろん、そこにもっと個別に不当、違法というようなことにわたることがあれば、これは別途
銀行法
等を援用していろいろな
措置
を行うということがありますが、
基本
的には今言った公表ということでやっていくということになっております。 なお、私が
中小企業
貸し出し
の問題について、
中小企業
の
皆さん
の側も、今
日本経済
が構造的な
改革
を求められているという時期にございますので、たまたまそういう構造調整を要するような業種に属されている
中小企業
の
皆さん
方におきましては、そういったことについても
努力
をしていただく必要があるのではないか。あわせて、私は必ず申しておるのですけれ
ども
、
金融機関
というのは知的な産業であるということを考えましたら、この構造
改革
の
方向
等について
中小企業
の
皆さん
と一緒になっていろいろな知恵を出してあげる、こういうような共同的な
方向
への
努力
も必要だということを申し上げさせていただいている次第でございます。
砂田圭佑
18
○砂田
委員
いずれにしても、
銀行
からお金を借りる
中小企業
というのは、やはり
経営
の
内容
がそれなりに十分充実したものであって、また実態の情報が開示されている、また財務
内容
が悪くないというような条件が当然
中小企業
側にも求められるわけでありますから、そういう意味では、赤字垂れ流し、あるいは今までのような
担保
主義だけの借り入れということは慎まなきゃならない。借りる側にもそれだけの問題があろうかという気がいたします。 この
資本
注入によって、今まで
中小企業
に対する
貸し出し
についても、
自己
資本
比率の規制があるから
貸し出し
はできないんだというような
理由
が長年言われてきたわけでありますけれ
ども
、現在、
自己
資本
がある程度注入された形の中ではそれは
理由
にはならない
状況
になっていると思うのですけれ
ども
、実際に、本当に
自己
資本
比率が高まって、十分に
中小企業
へも
貸し出し
ができる、そういう余裕が
銀行
の中に生まれているのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
柳沢伯夫
19
○
柳沢国務大臣
そもそも、
金融
機能
健全化法
によりまして
公的資金
をもって
資本
を注入するという、私などから見ますと本当に臨時異例の
措置
であるというふうに考えますけれ
ども
、このような
措置
が行われた
理由
の一つには、貸し渋りという現象を克服して
信用
の
供与
を
円滑化
するということがございました。あわせて不良債権の
処理
を進めるということがあったことは言うまでもございません。 いずれにいたしましても、そのような
目的
をもって行われた三月末の
資本
注入の結果、注入された十五行の
自己
資本
比率の大ざっぱな平均をとりますと、一二%をちょっと超えるくらいのところまで参りまして、欧米並みとあえて言わせていただける
自己
資本
比率を持つに至りました。 ということはどういうことかといいますと、
自己
資本
比率のために資産の圧縮、貸し渋りをしなければならないという
理由
は既になくなったはずである、こういうことを私
ども
は考えておりまして、これからは
自己
資本
のことに気をとられることなく、本当の、与信先のいろいろな
状況
と
自分たち
の
経営
戦略、そういうものをあわせて活発な
融資
活動をしていってもらいたい、このように考えておりまして、そのような
状況
が可能になったという
認識
を持っております。
砂田圭佑
20
○砂田
委員
昨年の特別保証制度の導入によりまして各県で保証
協会
がそれぞれ大変柔軟な
姿勢
で対応していただいたことによって、本当に
中小企業
は恵みの雨というような思いであったと思います。それがぼつぼつ返済の時期にかかってくるというようなこともありますけれ
ども
、時点的には少しずれているのかもわかりませんけれ
ども
、最近、新聞に、地方
銀行
による貸しはがしという、強盗みたいな表現でありますけれ
ども
、貸しはがしとか貸し渋りが再び起こり始めているのではないか。 特に保証
協会
が少し
状況
を緩めた段階では、確かにつけかえ的な、保証
協会
から借りた金を今までの市中
銀行
に返せというような形が起こったことは事実だったと思うのですが、最近またそういうことが少し起こり始めたのではないかといううわさ、あるいは我々が地元に帰ってそういう人たちの話を聞くのに、そういうことを迫られているという部分もあるのでありますが、そういう実態について何か
監督庁
でもあれでありましょうか。
日野正晴
21
○
日野政府委員
従来、貸し渋りといった問題がいろいろございまして、
政府
におきまして、これまで
信用
保証
協会
等の
信用
補完制度の拡充でありますとか、あるいは先ほどから出ております早期
健全化法
による新たな
資本増強
制度の創設でありますとか、あるいは開銀法の改正などによります中小、中堅
企業
等に対する
融資
制度の拡充などが講じられてきたところでございます。 今、砂田
先生
からも御
指摘
がありましたように、最近は、貸し渋りとはまた別な現象として、既に存在している債権を回収するといいますか、貸しはがしといいますか、そういったことも報じられてきているところでございます。
金融監督庁
といたしましては、これまで
金融機関
のトップにお集まりいただきまして、私の方から直接貸し渋り防止の要請を行ってきているところでございます。また、先ほ
ども
渡辺先生
からの御
質問
にもお答えいたしましたが、
苦情相談
状況
につきまして、
金融関係団体
からの
報告
徴求を求めております。また、
銀行
や
信用
金庫に対する債権管理体制あるいは
信用
保証
協会
の保証つき
融資
の実態につきまして
報告
徴求を求めております。さらには、各都道府県単位での
地域
融資
動向に関する情報交換会というのが設けられておりまして、そういったところでしばしばそういった問題に関する
対策
が講じられてきているといったことでやってきております。 こういった取り組みの結果、現在の実情を具体的な数字で申し上げさせていただきますと、日銀が五月に公表された数字によりますと、全国
銀行
については、不良債権の償却、債権の流動化等の特殊要因を勘案した後のベースで見ますと、五月は対前年比一・〇%の減となっております。ただ、減ではございますけれ
ども
、マイナス幅は縮小傾向にあるということが認められるところでございます。 また、
中小企業
庁が借り手側につきまして六月に
調査
しておりますが、民間の
金融機関
の
中小企業
に対する
貸し出し
姿勢
が厳しくなったとする
中小企業
の割合は、依然として高い水準にございますけれ
ども
、八カ月連続で対前月比で改善しておりまして、昨年の十月は実はピーク時で三五%でございましたけれ
ども
、最近では二六%まで下がってきております。 いずれにいたしましても、
金融機関
の
融資
動向につきましては、
金融機関
が
融資
態度を必要以上に萎縮させて健全な
中小企業
等に対する必要な
資金
供給が円滑に行われないような事態が生ずることのないように、私
ども
といたしましては、
報告
徴求やヒアリング等を通じまして引き続き注視していきたいというふうに考えているところでございます。
砂田圭佑
22
○砂田
委員
金融監督庁
の名においてぜひとも
監督
を強めていただきたいと思います。 二〇〇一年の四月にはペイオフが解禁されると言われております。一千万円までということでありますけれ
ども
。けさの新聞などでは、我が党では、当座預金あるいは普通預金についてはそれを守ろうというような雰囲気の記事が出ておりましたけれ
ども
、実際にお金を預けて、
銀行
がつぶれて、そして一千万円しか返ってこないということになれば、当然小切手、手形の決済、そういうものはできなくなるわけで、
中小企業
というのは本当に塗炭の苦しみにまた遭うだろうという気がいたします。 そこで、このペイオフの解禁の延期をやるというお考えがあるか、また
企業
の救済とかなんとかというのは大変難しい問題でありますが、
金融
面に限っての救済といいますか、そういう場面に直面した
企業
に何らかの形で
融資
をすることができるかどうか、その辺のことについて大蔵省にお伺いしたいと思います。
宮澤喜一
23
○
宮澤
国務大臣
二〇〇一年の四月からいわゆるペイオフを行うということは以前からの既定方針でございますし、また、ちょうどこの時期が、
我が国
の
金融機関
が、いわば
政府
のいろいろな、ただいま
公的資金
の導入等々がございますが、そういうことからもう離れて、文字どおりひとり立ちしていくべき時期というふうにこの時期を私
ども
とらえておりますし、また
金融機関
もそれをターゲットとして、いわば自立体制、リストラクチャーを完了する、そういうふうに
努力
しておられる、それを
金融監督庁
は
監督
しておられるということでございますし、また、
法律
によりますれば、
金融再生委員会
もその任務をそのころに終えられるということがございますので、このことをここで変更するというつもりはございません。 ただ、御
指摘
のように、
現実
にそういう事態になってまいりますあるいはなってまいります過程において、いろいろなことが起こり得る、また起こるであろう。それはどのようなことが起こるのか、またそれに対応してどういう
対策
を考えておけばいいかという、大変複雑な、しかしあり得る問題でございますから、実は
金融
審議会にかねてからそのことについて諮問をいたしております。 ただいまの段階では、いわば
金融
審議会が、各方面の方が集まって討議をされた結果、
問題点
を整理してみるという段階に達していまして、やがてどういう問題が発生するか、それに対してどう対応するかということを大づかみにとらえまして、さしずめ
問題点
を整理するという段階になっております。 これは極めて複雑な、いろいろな問題を含みますので、中間的にその
問題点
を整理した上でそれを公表してもらいまして、それについての各方面の反応なりサジェスチョンを得て、そして結果としてこう対応すべきであるという最終的な結論をやがて審議会としても出してもらいたいと考えております。 ただ、時間的にはそんなに余裕はございませんので、この作業はかなりこれから急いでいかなければならないと思いますので、そういう意味で、できるだけ早く
問題点
の整理並びにそれについての
関係
方面のリアクションを出していただきますような機会を得たいというふうに考えております。
砂田圭佑
24
○砂田
委員
大変時間がなくなってまいりました。あと一問だけ。 私は神戸の出身でありますので、選出でありますので、神戸であの阪神・淡路大震災で大変な被害が出ました。いまだに市民の生活は十二分にもとに戻っておりません。特に住宅
関係
については非常に厳しい
状況
にあります。いろいろ
努力
はされています。そして、国のおかげで
社会
資本
的なものはほとんど復活をしましたし、ありがたいと思っておりますけれ
ども
、市民の生活の面で、特にうちをつくるというような面ではいまだに大変苦労は続いている。そして、これから何とか建てようという人もたくさんいるという
状況
の中であります。 税制面でいろいろな特例
措置
をしていただきました。固定資産税とか住宅の登録免許税とかいろいろなもので御支援をいただいております。しかし、これらはすべて大体
平成
十二年の三月末で終わってしまうという
状況
にあります。我々としては、何としてももうしばらくこういう税制の
措置
を引き続いてお願い申し上げたいという思いがいたします。簡単で結構でございますので、その辺はどんなふうにお考えか、大蔵省からお考えを。
尾原榮夫
25
○尾原
政府
委員
今年度末で期限の到来いたします阪神・淡路大震災の特例
措置
の継続についてのお尋ねでございました。 今年度の税制改正におきましても、もちろん、被災地における復旧
状況
、あるいは税制以外の再建支援の
措置
の期限がどうなっているかということを勘案いたしまして、いろいろな
項目
につきまして期限の延長を行わせていただきました。 今後の取り扱いでございますが、まだ来年度の税制改正の作業には入っておりません。そういうことでここで明確に申し上げるというのは難しいわけでございますが、いずれにいたしましても、
先生
から今お話がございました、被災地全体における復旧
状況
がどうなっているのか、あわせまして税制以外の支援策の
状況
がどうなっていくのかというようなことを考慮しながら総合的に判断していかなければならないと思っております。
砂田圭佑
26
○砂田
委員
大変ありがとうございました。ぜひとも
中小企業
に対していろいろな意味で御支援をいただきますようにお願いを申し上げます。 終わります。ありがとうございました。
村井仁
27
○
村井委員長
次に、
小池百合子
君。
小池百合子
28
○小池
委員
自由党の
小池百合子
でございます。
金融
に関しまして御
質問
をさせていただきます。
質問
は数多いわけではございますが、その中で私はあえて朝銀問題について
質問
をさせていただきたいと思っております。チョウギンはチョウギンでも長期
信用
銀行
ではございません。いわゆる北朝鮮系の朝銀問題でございます。 御承知のように、北朝鮮に関しては、テポドンであるとか新型ミサイルの発射準備が整ったなどという報道が相次いでおるところでございまして、多くの
国民
はこの件について大変不安を抱いているところでございます。 一方で、KEDOの開発に対しましては、
資金
供与
問題など、
国会
を通過したわけでございますが、私
ども
自由党についても、朝鮮半島の平和的解決に向けての
努力
として百歩譲って承認をしたところでございます。 しかし、昨今の
金融
不安の中で、
預金保険機構
を通じて既に三千億円を超えます
日本
国民
のお金が、
経営
不振、破綻に陥りました朝銀系の
信用
組合に対しまして直接間接につぎ込まれていることは、これは既に行われた事実でございます。特に、
日本
への税金をまともに払う気もない人たちによりますバブルのツケ、そして本国への寄附など北朝鮮への莫大な送金疑惑が消えない中で、
日本
政府
が十分な審査、
検査
もせずに大盤振る舞いをして、その
資金
がいかなるルートであれテポドンなどの軍備
増強
に使われるというふうになっているならば、これはブラックユーモア以外のものではないというふうに思っております。
国民
の生命、安全、財産を守るのが政治の
基本
的な務めと私は思っております。ということであるならば、これらすべての
観点
からこの問題を看過することなく追及をしていかなければならないと思っております。もちろん、もう一つの長銀など邦銀の
金融
問題を徹底
調査
、追及しなければなりませんが、これは事
日本
の安全保障にもつながる問題でもございます。であるならば、もっと真剣に力を注いでいかなければならない、それが政治の責務だと考えております。 ちなみに、この朝銀問題に関しましては
国会
でいまだ一度も論議することがございませんでした。これはある意味での政治の怠慢ではないかということで、自省、猛省を含んで、また蛮勇を振るってこの問題を取り上げさせていただきたいと私は思っております。 まず伺わせていただきたいのが、既に保険機構から
資金
援助が行われたケースでございますが、朝銀近畿のケースでございます。 これは、九七年の五月に債務超過で破綻いたしました朝銀の大阪
信用
組合が、近畿五府県の朝銀信組と統合されまして、また日銀の
政策
委員
会の議決も経まして、昨年の五月、朝銀近畿として再スタートをいたしております。その際、
預金保険機構
から特別
資金
として三千百五十九億円、
日本
の
皆さん
のお金であります三千百五十九億円が既に投入されているところでございます。 そこで、この
金融
検査
について伺わせていただきたいんでございますが、きょうは、当時の
監督
責任は大阪府にあるわけでございますが、その大阪府に聞きたいところですが、
金融監督庁
並びにそれらを審査し最終的に
資金
投入を実行されました保険機構、一体どのような
検査
、審査を行われたのか、厳正にその
検査
を行われたのか、どのような議論があったのか、またそのことに対して十分な情報公開は行っておられるのか、これらの点について伺わせていただきます。 〔
委員長
退席、鴨下
委員長
代理着席〕
五味廣文
29
○五味
政府
委員
検査
に
関連
して、まずお答え申し上げます。 お言葉がありましたとおり、朝銀大阪
信用
組合は大阪府の管轄下にございまして、大阪府の
検査
は、
平成
九年八月三十一日を
検査
基準日としまして九月二十五日から実施をされました。資産の確定というのが主な
目的
の
検査
でございます。 私
ども
直接の
監督
官庁でございませんので必ずしもその詳細は把握しておりませんけれ
ども
、資産の確定の
検査
という意味では適切に実施されたというふうに承知をいたしております。
小池百合子
30
○小池
委員
適切に
検査
が行われたということをおっしゃったわけでございますが、一連の
金融
不祥事が続いて、そしてその中でさまざまな方々が責任を問われ、中には逮捕されというような
状況
が続いた、これはそういう中での大阪朝銀幹部の証言でございます。預金を金正日に流したのだから逮捕を覚悟した、逮捕されたらすべてを語るつもりでいたが、だれも
調査
に来ず、来たのは
預金保険機構
からの三千百億円の贈与であった、そして逮捕を免れたという証言もあるわけでございます。そして、さまざまな幹部から直接間接に聞くところは、いや、そんな
調査
なんかしてませんよということ、こういう証言は山ほどあります。 そして、保険機構でございますけれ
ども
、これは結局単なる書類審査、ちゃんと正しく書かれているのかどうかというぐらいのチェックしか実際にはされなかったのではないかと思わせる節がございますが、それについてはいかがでしょうか。
松田昇
31
○
松田
参考人
お答えいたします。
先生
御
指摘
のとおりの金銭贈与それから資産の買い取りということで三千百五十九億円を支出することに決定いたしました。その後、ちょっと経過がございますけれ
ども
、五十八億円、後発事由を発見しましたのでそれを減額させて、現在のところ三千百一億円が朝銀大阪の
処理
に使われたということになります。 私
ども
といたしましては、
検査
権限を直接持っておりませんので、破綻公表の後の大阪府の清算
検査
をもとに買い取り資産の価格の妥当性等を審査いたしまして、十年の四月に
大蔵大臣
による
資金
援助をすることの適格性の認定を受けまして、それによって申し込みなされたものについてさらに審査をしまして、これはペイオフコストを超える金額だということで
必要性
の認定をもう一度
大蔵大臣
に御認定いただきまして、その上で事業譲渡、この金額を確定しまして、
運営
委員
会で決定をして、譲渡日にその
資金
を
供与
して不良資産は買い取った、こういう段階でございます。 〔鴨下
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
小池百合子
32
○小池
委員
今五十八億円の減額というふうにおっしゃいましたが、五十八億円という切りのいい数字ではなくて、きっと細かい、円までの単位が出てきていると思うのですね。 では、それは、大阪府の方がそれをまた
検査
をし直してそういう申請にし直した、もしくは保険機構の方での判断によるものなのでございましょうか。
松田昇
33
○
松田
参考人
それは、
運営
委員
会で一たん
資金
援助の額を決めますね。決める基準日が清算
検査
をした日を基準にいろいろな妥当性について審査してくるものですから、それと実際に営業譲渡に至るまでの間に期間的なラグがあります。その間に後発事象として思いがけない回収があったという事実を私
ども
がつかみましたらそれで減額をしていく、こういう形でございます。
小池百合子
34
○小池
委員
そういう事実までおつかみになるのでしたら、例えば、
預金保険機構
の方でも、世に言われます、また多数あると言われている架空口座であるとか仮名口座についての審査、
検査
な
ども
なさったのでしょうか。
松田昇
35
○
松田
参考人
先ほど申し上げたように、私
ども
、
検査
権限を持っておりませんので、その中の、私
ども
審査の一番重要なことは、架空口座と預金の
関係
ではなくて、買い取り資産がどれだけ傷んでいるか、どれだけ補てんをして預金者を
保護
することができるかという点に重点が置かれておりますので、そこはそれほど主力を置いたことはありません。
小池百合子
36
○小池
委員
大阪府がやるべきであるということでございますけれ
ども
、しかしながら、
現実
にそういった幹部の人たちが、ろくな
調査
をしていないという証言があるわけでございます。そして、多額の、三千百一億円でございますか、このお金が使われたということは事実でございまして、やはり私は、納税者の一人といたしましても、大阪府による
検査
、これが本当に妥当なものかどうか再
検査
をしていただきたいということをお訴えしたいと思っております。 また、
預金保険機構
、このところずっとフル回転でお忙しゅうございましょうが、たまたまきのうホームページを引っ張ってみましたら、「
預金保険機構
は、
国民
一般
の預金を
保護
する
機関
です。」とまず冒頭に
役割
として出てまいります。また、「預金保険制度は、預金者にとってのラストリゾートといえましょう。」というふうにも書いてあるわけでございまして、そして保険機構の審査に対しての信頼性ということも、この朝銀の問題からさかのぼればどうかなと思わせるところも残念ながら出てくると、だれにとってのラストリゾートなのかという話にもなってしまいますので、これまでの審査、そしてこれまでの過程、デュープロセスなどは私はしっかりと情報公開すべきではないかというふうに思っております。 それからもう一つ、何かホームページばかり見ている人間のようでございますけれ
ども
、こちらは、ことしの五月十四日付、「朝銀愛知
信用
組合の事業譲渡について」ということで、朝銀愛知の事業譲渡に関しますお知らせでございます。これは、朝銀岐阜、三重、静岡、石川、富山が合併いたしまして朝銀東海をつくる、これに朝銀愛知、朝銀福井が事業譲渡をするというふうにあります。 それから、ちょうどきょう皆様のお手元にあるこの分厚い
報告書
の百六十一ページでございますが、ここに「預金保険制度を活用した
処理
予定案件一覧」ということで、百六十一ページはほとんどが朝銀
関係
の今後の再編のスキームと申しましょうか、それが一覧になっているわけでございます。つまり、例えば関東甲信越の朝銀神奈川、埼玉、茨城、栃木、群馬が合併いたしまして朝銀関東信組をつくる、これに東京、千葉、新潟、長野の各朝銀が事業譲渡するということで、これはさきの朝銀近畿のケースをモデルケースといたしまして、全国三十二の朝銀系
信用
組合のうち十三の
信用
組合が
経営
破綻状態にある、残りの十九信組が
地域
ブロックごとに四つに合併しようというものであります。 これは、聞くところによりますと、内部では大阪朝銀方式と呼んでいるそうでございます。この大阪朝銀方式というのは、再編の
システム
もさることながら、つまり、これまで大阪朝銀のケースにあったように、チェックが甘い、
検査
が甘い、フリーパス同然だ、だから今度のこの四つの方もうまくいくぞ、そういうふうな受けとめられ方をしており、また一方で、どうせ
検査
がおざなりだったらこの際水増ししておけというようなことまで行われているということを聞いておるわけでございまして、さきの朝銀近畿の場合で三千億円余がつぎ込まれたということから類推いたしますと、もっとも朝銀大阪が一番多かったわけでございますけれ
ども
、いずれにいたしましても、全国に広がります朝銀系の
信用
組合のネットワークから逆算いたしますと、あと一兆円ぐらいつぎ込まなくちゃいけないことになってしまうのではないかということが最大の不安になっているわけでございます。 つまり、最初の朝銀大阪のときにきっちりと
検査
をしていないということで、その後なめられるんじゃないかということを私は懸念しているのですが、その点については、御担当、いかがでございましょうか。
日野正晴
37
○
日野政府委員
お答えいたします。 朝銀の場合も、これは
信用
組合ということで、
監督
事務につきましては、
中小企業
等協同組合法に基づきまして第一義的には都道府県知事が所管しているところでございます。本年五月に破綻が発表されました朝銀系の十三
信用
組合につきましては、
自己
査定の結果、
平成
十年度決算におきましては債務超過に陥ったというふうに聞いております。 これらの十三組合では、自力再建が不可能であるというふうに判断いたしまして、それぞれの組合の
監督
官庁であります都道府県知事に対しまして、いわゆる
再生
法、
金融
機能の
再生
のための緊急
措置
に関する
法律
の六十八条の一項に基づきまして、その
業務
または財産の
状況
に照らし預金等の払い戻しを停止するおそれがある旨の申し出を行ったところでございます。破綻した十三組合につきましては、先ほど小池
先生
がお話しになりましたように、全国の朝銀系
信用
組合を四ブロックに分けまして、そしてブロックごとに合併する組合に事業譲渡を行う方針であるというふうに聞いております。 ところで、今回発表されました破綻した朝銀系
信用
組合に対する
資金
援助額はどの程度見込まれるのかという趣旨の御
質問
であったかと存じますが、破綻した朝銀系の
信用
組合に対する
資金
援助額等につきましては、破綻発表以後
監督
官庁であります都道府県知事が
検査
を行いまして、破綻した
信用
組合の資産
内容
を
調査
し、その後預金保険法上の手続を経まして、最終的には
預金保険機構
において具体的な
資金
援助額が決定されるというふうに承知しておりますが、現時点では
資金
援助額等を算出するための作業はまだ終了しておりませんで、具体的な
資金
援助額の
見込み
等についてはまだお答えできるような
状況
にないということを御理解いただきたいと存じます。
小池百合子
38
○小池
委員
破綻した大阪朝銀の場合も、最初二千億程度というふうに言われていたのが、結果的に三千億という数字に積み重なっているということがございます。ということで、
自己
査定で債務超過とはいえ、これまでの破綻した
金融機関
に押しなべて言えることは、これはたしか
柳沢
委員長
もおっしゃっていましたように、破綻前と破綻後でその金額が莫大に、二十倍とか、そういうふうにめちゃくちゃ変わってくることもあるわけでございます。その意味で私は一兆円という数字を予測したわけでございます。 そうしますと、私の今最大に
指摘
したいことは、あれだけ、
日本
の
銀行
である長銀などに対していろいろな
検査
であるとか、それから、破綻したかしないかによって違うんでしょうけれ
ども
、今いろいろと責任追及などが行われている中で、
日本
の
銀行
でもあるのか、その辺がややこしいのですが、外資と言えない、その中で邦銀以上にこれは厳しくチェックもし、責任も追及しなければならないのではないか。 例えば一連の情報公開ですね。朝銀の各信組のこれまでの議事録であるとかバランスシートであるとか不良債権先の名簿とか金額、
融資
先の決定基準と決定
方法
、不良
融資
決定の際の稟議書。ちなみに、不良
融資
ということについていえば、それぞれ、朝鮮総連が持っているような財産に対して考えられないような額の
融資
を行っていることはよくマスコミなどでも報じられているところでございます。 これらのことをやはり明らかにしない限りは次の一歩を進めちゃいけないというふうに私は思うのでございますが、こういった一連の情報公開をする考えはあるのかどうか、御担当の方、お願いいたします。
乾文男
39
○乾
政府
委員
金融機関
のいろいろな不良債権等については、
一般
論としましてディスクロージャー等が求められているところでありますけれ
ども
、ただ、今御
指摘
にありましたような個々の
取引
ということになりますと、破綻をいたしました
金融機関
とはいいましても、その
取引
先等、生きているところがあるということがございまして、その詳細についての公表は差し控えるべきだというふうに従来からお答えしているところでございます。
小池百合子
40
○小池
委員
しかし、事の問題は安全保障にもかかわってくる、そこが一番問題なわけでございまして、これについてやはり
日本
国民
に、なぜこうなったのか、そのデュープロセスをしっかり見せなければ、ましてや直接間接に、先ほ
ども
申し上げましたように、いかなるルートであれ、今
我が国
はいろいろな脅威にさらされているわけでございます。そして、私たち
日本
のお金が、どういうルートであれ使われる、もしくは品物にかわってそれが送られる、そして私たちが脅威にさらされてのほほんとしている方がおかしいということを私は申し上げているのでございます。 ごめんなさい。今の
質問
は、そういえば通告するのを忘れていた、今加えた問題でございますけれ
ども
、この問題について、確かに
監督
はそのときは大阪府でございました。しかしながら、きのうのそれぞれ通告をした中で私が
感じ
ましたことは、全部たらい回しです。どこにだれが責任を持ってやるのか。私たちは言われたことだけやっていますと。確かにそうかもしれない。だけれ
ども
、結果としての意思を持たない
方向
違いということが生じてきて、今
我が国
の安全保障にまで多くの脅威が出てきているのではないかと思っております。 先ほど、責任の所在を明確にすべきということを申し上げましたが、例えば、朝銀の愛知信組のある方が
自分
の口座から勝手に預金を引き出された、
信用
組合の個人なのか
信用
組合そのものなのか、この辺のところがまだ問われているんですが、預金を引き出されたとして訴えて、勝訴した方がおられます。そして、その提訴の中で、朝鮮総連内の非公然組織とされていた学習組という存在が明るみになったわけでございますが、公安
調査
庁に伺わせていただきます。 この学習組というのが朝鮮総連の意思を伝える一種の実行部隊であるというふうに考えてよいのか。そしてまた、現在の朝鮮総連ですが、構成員の数は今どうなっているのか、過去と比べてどうなのか、この辺のところをお伝えください。
松田宏
41
○
松田
説明員 お答えいたします。 現在、在日朝鮮・韓国人総数は約六十三万九千人であり、このうち朝鮮総連系は、全体の約三〇%に相当する十九万六千人と見ております。また、韓
国民
団系は、全体の約六五%に相当する四十一万八千人と承知しております。増減傾向につきましては、民団系が漸増しているのに対し、朝鮮総連系は近年組織勢力が減少していると承知しております。 また、学習組についてでございますが、学習組は、朝鮮総連中央・地方組織、傘下団体の中に設置されている非公然組織であると
認識
しております。現在、学習組員数は五千人と見ております。
小池百合子
42
○小池
委員
朝鮮総連系が減ってきているということは、これはまた朝銀の衰退、弱体化と歩調を合わせている、つまり
経済
問題が非常にいろいろな意味での影響を与えているということが言えると私は思います。 それで、私が先ほどから申し上げている一番のポイントは、これまでも、こういった朝鮮総連の傘下にあると言っていい朝銀の
信用
組合、これが足利
銀行
などを通じ、また現金で北に送られているのではないかという送金疑惑でございます。ある方は年間で六百億とも、またある方は一千億とも言われておりますし、また、九三年には、当時の羽田外務
大臣
が
日本
記者クラブでの会見で二千億円という数字を認めておられるわけでございますが、まず公安
調査
庁の方には、この北への送金額はどれぐらいと見積もっておられるのか、それはキャッチするのは難しいのかどうなのか。 それから一方で、もう一つは大蔵省に伺わせていただきますけれ
ども
、足利
銀行
を通じての送金額、もしくは足利
銀行
などの
銀行
からの送金額。それから、人、物、金を本国へせっせと運ぶ船ということで
指摘
されております万景峰92号、これは新潟の港に着くわけでございますけれ
ども
、実際に税関のチェックはどれほどされてきたのか。それぞれ伺います。
松田宏
43
○
松田
説明員 お答えします。 朝鮮総連など北朝鮮
関係
者による北朝鮮への送金については、公安
調査
庁といたしましても重大な関心を持って
調査
を行っているところでございます。しかし、その全体像を把握するには至っておりません。 送金の
状況
につきましては、今後の
業務
に支障を来すおそれがありますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
黒田東彦
44
○黒田
政府
委員
外国向けの送金につきましては、御承知のように、現行外為法上原則として自由でございまして、北朝鮮向け送金の実態を把握することは困難でございますが、御
指摘
のように、かつて北朝鮮向け送金の取り扱いが多いとされていた
銀行
から任意に聞いたことがございますが、そのとき聞いた限りでは、
平成
八年度における北朝鮮向け送金額は総額二十八億六千万円でございました。
渡辺裕泰
45
○
渡辺
(裕)
政府
委員
新潟港に入港しております北朝鮮の定期船でございますマンギョンボン号、
日本
語読みしまして万景峰号でございますが、これを利用して北朝鮮に現金が不正に持ち出されているのではないかという御心配でございます。 私も実際に新潟の現場に行って見てまいりましたが、税関は、まず警察、海上保安庁等
関係
取り締まり
機関
との連携によりまして、入港中の船舶に許可を得ないで物を持ち込むことのないよう厳重に警戒をいたしております。 それからまた、許可を得て持ち込む旅客の携帯品や貨物につきましても必要に応じ開披
検査
を行いまして、これらに紛れ込んで不正な持ち出しがあることのないように厳重な取り締まりを行っているところでございまして、
先生
御心配のようなことがないよう万全を期しているところでございます。
小池百合子
46
○小池
委員
ずっとこういうことが積み重なって、結局
日本
は、国交のこれまでのおくれてきたこともございましょうが、しかしながら、北朝鮮はもうアメリカとしか話をしない、
日本
に話してもしようがないみたいな、もうなめられちゃっているわけですね。それではやはり国家としての体をなしていないのではないか。それぞれ、一つ一つはパーツでしっかりやっておられるかもしれないけれ
ども
、全体の誤謬と申しましょうか、そういったことで結果的に
我が国
は非常に、平たく言ってなめられていると言わざるを得ないと私は思います。 また、以前
日本
海での不審船との交戦が話題になったことがございますけれ
ども
、この万景峰92号こそ私は堂々と入ってくる不審船だというふうに思うわけでございまして、必要に応じということで関税
局長
おっしゃいましたが、これは常に必要があるというふうに、さらにきっちりとしたチェックをすべきということを私は主張しておきたいと思っております。 いずれにいたしましても、事総連絡み、朝銀絡みとなると、どうも
皆さん
腰が引ける。また、
国会
においてもこれが初めての
質問
であるということ、これも同じことだと思います。また、ある月刊誌の七月号には、大阪朝銀の破綻について、大蔵省筋はやはり民族系
金融機関
という事情が大きいと説明している、そういうくだりもございます。 これまで、国税庁と朝鮮人商工会とのいわゆる五カ条の御誓文なるものがあって、それによって団体交渉権を得て、商工連の判こがあればそれはほとんどノーパスだということは、この業界、この方では極めてよく知られるところでございます。国税庁は、以前も参議院の方で
質問
があった際に、そういう合意書はないというふうにお答えになっているのですが、しかし、国税庁が否定なさったその直後に、商工連の梁守政氏は、絶対に既得権は守ると言って高らかに宣言をされておられるそうでございます。彼らにとっての既得権とは一体何なのでしょうか、国税庁、お答えください。
大武健一郎
47
○大武
政府
委員
お答えさせていただきます。 今
先生
からお話ありましたように、過去に在日朝鮮人商工連合会から国税に関する要望があったということは承知していますが、国税庁としては、決して特定の団体なりその会員に対し特別な扱いということを行うことはあり得ず、御
指摘
のような合意事項というものは存在いたしません。 昨年十一月、
先生
からもありました、あたかも合意事項が存在しているのではないかと
国民
の誤解を招くおそれのある報道が新聞紙上でされたこともございまして、本年の一月、合意事項なるものは存在しないという旨について改めて職員に周知徹底を図ったところでございまして、今後とも適正かつ公平な税務の執行に全力で取り組んでいきたい、そう思っているところでございます。
小池百合子
48
○小池
委員
ありがとうございました。 最後に一言だけ申し上げておきますと、私は、もともと人権擁護団体で始まった朝鮮総連の歴史というものには深く敬意を表するところもございます。しかしながら、いつの間にかそれが北の政権のお財布がわりになってしまった、そしてそれに貢ぐ人たちが在日の人になってしまった、貢ぐお金がバブルの崩壊でなくなってくると今度は北の方に入国しようと思っても拒否されてしまう、そういう実態もございます。つまり、これまで在日の方々は、いろいろな主義主張もございますでしょうけれ
ども
、結果として貢ぐ役を務めていたことになって、お金がなくなって金の切れ目ということになると今度はぞんざいな扱いを受けているという、私は大変気の毒だと思わざるを得ないわけでございます。私の地元の兵庫県の中にも、こういった問題について大変深刻に考えている方々も多数おられます。 私は、在日の方々が本当にこれまでの苦労を経て、そしてみずから働いたお金でみずからを守る、そういう本来のあるべき生活が一日でも早く営まれるような、そういう形で臨んでいくべきだというふうに思っております。中には、先ほどから出ております万景峰号を何とかとめてくれないかという朝鮮総連
関係
の方もおられると聞いております。あの船がとまれば私たちはミツグ君でなくなるんだ、だからとめてくれというような、これは切実な叫びであるということもお伝えいたしまして、私の
質問
を終わらせていただきます。
村井仁
49
○
村井委員長
次に、
海江田万里
君。
海江田万里
50
○海江田
委員
海江田でございます。 まず
大蔵大臣
にお尋ねをしますが、きょう冒頭の
渡辺
委員
の
質問
にございました
金融
サービス法の制定に、
宮澤大蔵大臣
は
金融
サービス法の制定ということはこれから考えなければいけないという前向きの発言がございました。たしかきょう
大蔵大臣
の諮問
機関
であります
金融
審議会がこの
金融
サービス法につきまして中間
報告
を行うはずでございますが、もう既にその
報告
をお受けになったのか、あるいはこれからお受けになるのか。 新聞などではもうその骨子も発表されておるわけでございますが、時間も限られておりますので、こういう精神で
金融
サービス法を制定するんだ、しかも、その中身の一番大事なところはここの部分だということ、それから、これからその中間
報告
を受けてどのような段取りになっているのか、これはやはりきちっと
法律
にしなければいけないわけでございますから、その法案をいつごろの時点で出してくるのか、そんなようなお心づもりもお聞かせをいただきたいと思います。
宮澤喜一
51
○
宮澤
国務大臣
金融
審議会の答申は今日行われるはずでございますが、まだ私はその具体的な
内容
に接しておりません。 そこで、
金融
サービス法につきましても審議会に答申をお願いいたしておるわけでございますけれ
ども
、
基本
的な考え方は、今までの
我が国
のこういう問題についてのいわゆる指導
行政
、
行政
がいろいろに業界を指導する、あるいはもっと
一般
的に申せば規制と申していいのかもしれませんが、規制を緩和する、規制をなくすということは、自由
競争
をせよということでございます。同時に、今まで規制によって消費者が守られておったということも事実であります。 したがいまして、規制をなくすということは、
基本
的には消費者にとって有利でありますけれ
ども
、消費者が十分な知識を持っていない場合には損失をこうむるおそれがあるということも事実であろうと思います。したがいまして、
規制緩和
をするということはそれでいいとして、他方で消費者が思わざる損失をこうむらないような、そういう意味でのサービスということをやはり国は考えなければならないだろうということが
基本
的な
金融
消費者
保護
法の観念であると思います。 なお、具体的に
金融
審議会に現在検討をお願いしておりますのは、例えば
金融
商品の販売、勧誘についての
一般
的なルール、あるいはホールセールとリテールの区別を設けたときのルール、それから多数の者から
資金
を集めて専門家が運用するといったいわゆる集団投資スキーム、そのルールに関しての検討等をお願いいたしておりますが、
基本
的には、先ほど申しましたように、消費者も賢くなければなりませんが、常に賢いとは決まっていませんので、消費者を不測の損失からどうやって守るかということが
基本
の精神であろうと思います。
海江田万里
52
○海江田
委員
この
金融
サービス法でございますが、実はもうかなり遅いのじゃないだろうかというようなことも言われております。 今私は
質問
で、
金融
審議会が最終答申をいつごろ出すのかとか
法律
をどうするのかというところもお考えがあったらお聞かせをいただきたいということをお伝えしたんですが、御返事いただきませんでしたけれ
ども
、もう既に、ビッグバンはとりわけことしの四月から始まっておりますし、もっとさかのぼって考えていけば、
金融
の自由化というのはずっと進んできているわけでございますね。そういう中で、やはりかなりおくれたんではないだろうかということと、一日も早くきちっとしたものをつくらなければいけないというような自覚といいますか決意があってしかるべきだと思いますが、そこの点はいかがでしょうか。
宮澤喜一
53
○
宮澤
国務大臣
言ってみれば全部がおくれているわけでございますが、できるだけ早く、この消費者についてのサービスあるいは消費者が道を誤らないような法制を整備していきたいと思います。
海江田万里
54
○海江田
委員
これは本当に一日も早く私は
国会
に提案をしていただきたい、そのように思っておりますが、ただ、そのとき、一つ大事なのは、
現実
の問題解決に役立つ
内容
にならなければいけないと思うわけでございますね。 これも、きょうの朝の
渡辺
委員
——
渡辺
委員
の
質問
は若干角度が違っておりまして、今いらっしゃればいいんですが、
中小企業
の方と
銀行
との間の
トラブル
を解決するような、あるいは
中小企業
の方と
銀行
との間のいろいろな
苦情
を持っていけるような
窓口
を
金融監督庁
につくってほしいということであったわけでございますが、私は
中小企業
の方だけにとどまりませんで、むしろ今一番大きな問題になっておりますのは個人と
金融機関
との間の
トラブル
、私の表現を使わせていただけるならば、
銀行
による被害者の方々、こういう人たちと
銀行
との間で大変大きな
トラブル
が出ているわけですね。その問題はこの
大蔵委員会
でも何度も取り上げられましたから、そういう問題が存在をするということは、
大蔵大臣
、
認識
はお持ちですね。
宮澤喜一
55
○
宮澤
国務大臣
そこはけさも申し上げたことですが、確かにそういう
認識
は持っていますけれ
ども
、それがどれだけ消費者
保護
法等の対象になり得るかというところは、非常に難しい問題であろうと申し上げました。
海江田万里
56
○海江田
委員
私は、
現実
の問題から酌み取るべき教訓というのはたくさんあると思うんですね。 幾つか具体例を私はお話ししたいと思います。これは
金融監督庁長官
、
日野
長官にお尋ねをしたいと思いますが、既に
内容
もお示しをしてございますが、六月の十七日に、東京都の古川さんという方と千葉県の時井さんという方、この方たちが、被申立人株式会社三和
銀行
は
銀行
業法違反のおそれがある、
銀行
業法違反の行為を行っているということで
金融監督庁長官
に対して権限発動を求める申し立て書というものを提出しておりますが、この扱いがどのようになっているか、お答えをいただきたいと思います。
日野正晴
57
○
日野政府委員
お答えいたします。 御
指摘
の、六月十七日付の
金融監督庁長官
に対する権限発動を求める申し立て書というものが提出されたことは、当然承知しております。 御
指摘
の事例は、民間当事者間の民法とか商法の私法上の契約の紛争にかかわる問題でございまして、私
ども
といたしましては、こういった個別の
金融取引
につきましては従来から
監督
当局は介入できないとされているところというふうに
認識
しているのですが、その
理由
は、一つには、私
ども
に付与されております
監督
権限といいますのは、もともと、
信用
秩序の維持でありますとかあるいは預金者
保護
等を図るための必要最小限度のものであるということがございます。 それからもう一つは、個別の
金融取引
というのは、
銀行法
等の
金融
法規に基づくものではございませんで、あくまでも民法あるいは商法といった私法上の商
取引
でございまして、その
取引
の是非についてはやはり
裁判
所御当局が判断すべき事柄であるというふうに考えているところでございます。 そういったことで、問題は民間当事者間の私法上の契約に関する問題でございますので、こうした問題は民事訴訟等による解決が図られるべきものというふうに考えておりまして、これに関する文書につきましては、私
ども
の方としてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。
海江田万里
58
○海江田
委員
異なことをおっしゃいますね。 民間の
取引
にかかわるものである、それから個別の
取引
に関しては介入できない、これがまず大前提でございますが、
金融機関
から借りる
一般
の人たちというのはみんな民間なんですよ、民間人なんですよ。大蔵省のお役人が、
自分
は大蔵省の役人だと言って
金融機関
からお金を借りたらとんでもない話であって、少なくとも
金融機関
からお金を借りる人たちというのは、
中小企業
であろうが個人であろうが全部民間なんですね。 それから、個別の
取引
といいますけれ
ども
、個別があって初めて全体があるんですよ。だから、民間の
取引
と個別の
取引
に関しては介入できないといったら、何にもできないんですね。口が挟めなくなってしまう。 それからもう一つ、
銀行
の
取引
というのは商法だとか民法に基づく
取引
であって、これは業法の法規に基づくものではないということをおっしゃいますが、民法や商法に基づく
取引
であっても、そこに業法違反の疑いがあれば、これは当然のことながら
金融監督庁
が出ていって、その業法違反に関して取り締まりを行うでありますとか、
業務改善命令
を出すでありますとか、営業停止の処分を行うですとか、こういうことがやられて当然なんですね。 だから、今、
日野
長官がおっしゃった話では、コメントができないというのが結論のようでございますが、全く関与できないんだよということでございますが、それでいいんですか、どうなんですか。もう一度お答えを。
日野正晴
59
○
日野政府委員
お答えいたします。 私が申し上げておりますのは、本件の申し立て書にあらわれておりますような個別の商
取引
に関する
苦情
の
相談
につきましては、
基本
的には各
金融機関
の自主的な
経営
判断によって対応が決定されるべきものであるというふうに考えているわけでありまして、その
内容
については私
ども
が介入するべきものではないというふうに考えていることが前提にございます。 ただ、今海江田
先生
がお話しになりましたように、
金融機関
による違法な
取引
についての問題につきましては、その情報提供につきましては、
金融機関
の
業務
の健全かつ適切な
運営
の確保というこの
法律
の
目的
に照らしまして、
金融監督庁
といたしましても、従来からこれは受け付けておりますし、これに対して適切に対応しているところでございます。
海江田万里
60
○海江田
委員
それでは具体的にお尋ねをします。 この申し立て書の中では、
銀行法
十二条、他業の禁止ということがあるわけでございますが、これは確かにそうですね。不動産業者でありますとかあるいは
一般
の物品販売業でありますとか、そういうような、やはり
金融機関
でございますから、
融資
を伴うわけでございますから、そういう
金融機関
が他業を行ってはいけないよということが
銀行法
十二条に書かれておるわけですね。この申立人が言っているのは、これはその
銀行法
第十二条の他業の禁止に触れるおそれがあるんじゃないだろうかということを言っておるわけでございますね。 これは少しお調べになって、これは
銀行法
十二条に該当しない、他業の禁止に該当しないという結論をお出しになったのか、それとも全くお調べにならないで、これは他業の禁止に触れるはずがないんだという前提でもってお答えになったのか、いかがでしょうか。
日野正晴
61
○
日野政府委員
銀行
が組織として営利
目的
で不動産の仲介等の他業を反復継続して行う場合には、これは
銀行法
のいわゆる他業禁止の規定に抵触し得るというふうに考えられますけれ
ども
、これは個別のことでございますので、この事案が果たしてそれに当たるかどうかということについては、先ほ
ども
申し上げましたように私の方からコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。 具体的には、先ほど申し上げましたように、組織として営利
目的
で仲介等の他業を反復継続して行っているかどうかということを個々の事案ごとに判断すべきものではないかというふうに考えているところでございます。
海江田万里
62
○海江田
委員
だから、そこで個々の事案が大切になってくるわけですよ。そうでしょう。この事案についてお調べになったのですか。 それから、おっしゃるとおり、業というのは組織として営利
目的
で反復継続と。確かにこれは業なんですよね。一回こっきりやったというならこれは業でないというような判断も成り立つわけでございますが、私はこの場合もやはり業に当たると。組織として、
銀行
として、そして営利
目的
。もちろん営利が入ってきます。一つは利息収入という収入が入ってまいります。それから、場合によっては仲介手数料という収入も入ってくる。それから、反復継続でございますが、この手の話は幾らでもあるのですよ、はっきり申し上げまして。 これは、
日野
長官も初めて聞いた話ではないはずでございます。私のところにも、本当にたくさん
苦情
といいますか、これだけあるのですよね、こういうふうに。恐らく
大蔵大臣
やあるいは
再生委員会
の
委員長
のところにもこの手の
苦情
は行っておると思うのですけれ
ども
、これだけの問題を見れば、もう少し真剣に業法違反があったのかどうなのかということについて調べてみる必要があるのじゃないですか。これがまず一点。 それから、
監督庁
は、直近の事例では生命保険会社のあの
転換
の問題がありますね。あれもやはり業法違反のおそれがあるわけですよ。あれはお調べになるのか。それから、こちらの問題についても業法違反がこれまで全くなかったのか。この問題二つ、お答えいただきたいと思います。
日野正晴
63
○
日野政府委員
繰り返しになって大変恐縮でございますが、
銀行
と個人の債務者との間の債務
処理
の問題は、私法契約上の紛争に関する問題でございまして、こういった問題は民事訴訟等により解決すべきものであるというふうに考えております。したがいまして、当事者間で話し合いが行われて早期に解決が図られることが望ましいというふうに考えております。 もちろん、私
ども
が発出しております事務ガイドラインでは、
銀行
に対する
社会
的な批判その他の
理由
によりまして
業務
運営
の
適切性
あるいは健全性に関して疑義が生じた場合には、必要に応じて
銀行法
の二十四条に基づいて
報告
を求めて、
内容
によりましては
銀行法
の二十六条に基づいて
業務改善命令
を発することが必要になるというふうにされておりますけれ
ども
、
金融監督庁
といたしましては、
銀行
の
業務
の健全かつ適切な
運営
を確保する
観点
から、個別の問題について
苦情
等の申し出があった場合には、必要に応じまして事実
関係
等についてヒアリングを行いまして、その過程で仮に
業務
運営
の
適切性
や健全性に疑義があるというふうに認められた場合には、先ほど申し上げております事務ガイドラインの規定に従いまして適切な
措置
をとらせていただいているところでございます。 いずれにいたしましても、本件の問題は個別の問題でございますので、ここでこれ以上コメントするのは差し控えさせていただきたいと存じます。
海江田万里
64
○海江田
委員
個別の問題を話をしなければ事態が進んでいかないというか、議論になりませんよ。申しわけないけれ
ども
、あの答弁では議論にならないでしょう。同じことを言っているでしょう。
柳沢
長官、同じことを言っているわけですよ、最初の話と。こんなところで時間をとめたってしようがないのですけれ
ども
ね。 個別の問題であっても、まさに個別からスタートをするんだから。さっきはケースによっては事情を聞いてみることもあるということを言ったわけでしょう。では、この場合は事情を聞いてみるに値しないという判断をなさったわけですね。どうですか、長官。
日野正晴
65
○
日野政府委員
私の方では、先ほど御
指摘
になりました申し立て書というものは承知しております。私もじっくりそれに目を通しておりまして、それが果たして先ほど申し上げましたような事務ガイドラインに書いてありますようなことに至るかどうかということについて、これ以上コメントすることは、先ほどから申し上げているような
理由
によりまして差し控えさせていただきたいと存じます。
海江田万里
66
○海江田
委員
じっくり目を通した、だけれ
ども
コメントができないというのはおかしな話で、では、もう一度目を通していただいて、これはやはり
調査
はしてくださいよ。そういう事例があるのか、業法違反のおそれがあるのかないのか、これは結論を出してくださいよ。それを約束できないのですか。約束してください。
日野正晴
67
○
日野政府委員
繰り返しになって恐縮ですが、これを精査させていただきます。そして、それに対してどういう方策があるかということは、よくまた私
ども
の方で検討をさせていただきたいというふうに考えております。
海江田万里
68
○海江田
委員
では、これはきちっと
理事
会に
報告
をいただきたいと思います。これは後で
理事
会、我が党の
理事
から申し出がありますが、この扱いについてどうなったかということは
報告
をいただきたいと思います。
委員長
、いいですか。
村井仁
69
○
村井委員長
その点は、
理事
会の運用の問題でございますので、追ってまた御
相談
をさせていただきます。お話としては承りました。
海江田万里
70
○海江田
委員
はい、お願いいたします。 それから、全く視点は変わりますけれ
ども
、
日野
さんは、
金融機関
、
銀行
から
融資
を受けたことはありますか。それから、大蔵省の伏屋さんもいらっしゃると思いますけれ
ども
、
銀行
からお金を借りたことはありますか。個人的にですよ、もちろん私人としてですよ。ありますか。それぞれお答えいただきたいと思います。
日野正晴
71
○
日野政府委員
ございます。
伏屋和彦
72
○伏屋
政府
委員
随分前ですが、住宅ローンを借りたことがございます。
海江田万里
73
○海江田
委員
ありがとうございました。 どうしてそういうお尋ねをしたかというと、
銀行
から
融資
を受けますと、借りたんだから御存じだろうと思いますけれ
ども
、普通お金を貸し借りすれば
金銭消費貸借契約
書とかそういう書類が残るわけですけれ
ども
、あるいは
銀行
に
融資
の申し込みをするときは
融資
の申込書というのが残るわけでございますが、実は
銀行
とのローンの
関係
においてはそういう書類は一切こちらの手元に残りませんね。ただ、ローンの返済の予定表だけ。ずらっと二千何年、二〇一〇年ローンの旅なんていうことが言われますけれ
ども
、あなたはこの予定でもって返しなさいよと、コンピューターから出しました紙だけがおくれて来て、そしてそれをじっと見詰めてローンの重さに耐えるわけでございますけれ
ども
、これはおかしいんじゃないですか。そういうことに対して疑問に思ったことはありませんか。 貸金業者なんかから
融資
を受けますと、大変な文書、書面をきちっと整えて、その書面を借りた人間に対して交付をする義務があるわけでございます。ところが、
銀行
の
融資
に関しては、そういう一番大事な契約書自体についても交付の義務がないということはやはりおかしいんじゃないですか。これは常識の話ですから、
柳沢
長官にお尋ねをしますか。あるいは
宮澤大蔵大臣
、こもごもお聞かせいただきたいと思いますが。
日野正晴
74
○
日野政府委員
お答えいたします。
銀行
との
取引
におきます各種の約款でございますが、これは
平成
九年六月の
金融
制度
調査
会の答申に、「
我が国
金融システム
の
改革
について」という中で、
銀行等
と
利用者
との間の公平の
観点
、
利用者
にとって契約
関係
をより明確にわかりやすくする
観点
から、
関係
業者においては九八年度じゅうにも所要の
措置
が講ぜられることが必要とされまして、これを踏まえまして、全国
銀行
協会
の連合会におきまして検討がなされまして、本年三月に消費者との契約のあり方に関する留意事項が制定されているところでございます。 これによりますと、消費者ローン契約書等、消費者から契約書の差し入れを受ける方式で契約が締結された場合には、当該契約書面の写しを交付しなければならないというふうにされていると承知しておりまして、その点に関しましては、現在この留意事項に沿った取り扱いが現に行われているのではないかというふうに考えております。
海江田万里
75
○海江田
委員
それは、消費者からの申し出があった場合ですか、それとも機械的に全部出さなければいけないという話ですか。どうですか、特に住宅ローンなんかの場合は。
日野正晴
76
○
日野政府委員
この留意事項は消費者からそういった申し出があったかどうかということにかかわりなく、契約の
内容
あるいは契約締結に関する行為について
銀行
が留意すべき事項を取りまとめたものでございますので、
銀行
協会
に加入している会員
銀行
におきましては当該留意事項を踏まえて対処しているというふうに承知しております。
海江田万里
77
○海江田
委員
今、申し立て書もそうですが、この申し立て書だけではありませんで、当
委員
会でも四月に
佐々木憲昭
委員
が取り上げました富士
銀行
の問題、石川さんと兵藤さんという方の場合、それから
融資
一体型の変額保険の例、抵当証券の場合は若干事情が違うと思うのですけれ
ども
、やはり
金融機関
の
融資
と絡んだ問題というのは大変問題が多いわけですね。
裁判
で決着をつけようと思っても、結局、手元に全く
資料
がないわけですよ。そうですよね、契約書だとか。三月末でそういう留意すべき点についての指示が出たということで、これからはそういうふうになるのでしょうけれ
ども
、過去の分については全く材料がないわけですよ。だから、訴えを起こす段階で提出をしようと思っても、全くないところで記憶やメモを頼りにそういう訴えを起こすということになって、これは大変なハンディキャップを負うわけですよ。 だから、そこでもって
金融監督庁
の出番があって、先ほ
ども
お話がありましたけれ
ども
、
金融監督庁
は、
銀行
業法にはっきりと、そういう書面、書類を出させるというような権限を持っているわけでございますから、その意味において、これからはそういう契約書な
ども
出てくるようでございますけれ
ども
、これまでなかった分について
金融監督庁
が出させるべきだ、また、そういうような指導をやる
窓口
をきちっとつくるべきだというふうに私は考えるのですけれ
ども
、いかがでしょうか。
日野正晴
78
○
日野政府委員
先ほ
ども
御紹介申し上げましたが、私
ども
の方で事務ガイドラインを発出しておりますが、その中に、
銀行
に対する
社会
的な批判その他の
理由
で
業務
運営
の
適切性
、健全性に疑義が生じた場合には、必要に応じまして
銀行法
二十四条に基づいて
報告
を求め、
内容
によりましては二十六条に基づいて
業務
改善を命ずることが必要というふうにされておりますので、これにのっとって私
ども
はこれからも事務を遂行してまいりたいと考えております。
海江田万里
79
○海江田
委員
これは二十五条にありましたね。「
金融再生委員会
は、
銀行
の
業務
の健全かつ適切な
運営
を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に
銀行
の営業所その他の施設に立ち入らせ、その
業務
若しくは財産の
状況
に関し
質問
させ、又は帳簿書類その他の物件を
検査
させることができる。」という、この二十五条というのは、大変大きな権限を
監督庁
が持っているわけですよ。 だから、もちろん業法違反のおそれがあるときですけれ
ども
、業法違反のおそれがあるときはきちっと二十五条なんかを使って書類を出させるということが、実は、例えば民事の問題だから全部
裁判
所でやってくれと言うけれ
ども
、
裁判
所で
裁判
官が公平な判断をする一つの材料になるのですね。そのような意味も含めて、私がお尋ねをしたのは、ぜひそういう
相談窓口
をつくってほしいと。 よく
協会
でやってください
協会
でやってくださいということを言っていますが、
協会
は御案内のとおり片一方の当事者でありまして、
裁判
で負けたりすれば、
自分たち
のところが、傘下の
金融機関
が損害をこうむるわけですから、やはり中立的な第三者かあるいは
行政
機関
であります
金融監督庁
がそういう問題をしっかりやるということ。このことはもう少し前向きに、先ほど来
宮澤大蔵大臣
からもお答えのあった
金融
サービス法との
観点
におきまして、やはりそういうものは必要なのではないですか。これまでと同じように門前払いで続けるおつもりなのかどうなのか、もう一度お尋ねをしたいと思います。
日野正晴
80
○
日野政府委員
金融機関
に関する
苦情
を見ておりますと、その大宗は、個別の
金融取引
についてのものがその大宗を占めているところでございます。その
内容
につきましては、大変恐縮でございますが、繰り返しになりますが、
金融監督庁
がこれを指導したり介入したりすることはできないというふうに考えておりまして、
基本
的には各
金融機関
の自主的な判断によって対応を決定すべきものというふうに考えております。 もし
金融監督庁
におきまして
相談窓口
を設置いたしますと、
苦情相談
につきましては、
基本
的には本来は
金融機関
が自主的に判断して決定すべきものであるにもかかわらず、その
取引
の
内容
についてあたかも
金融監督庁
が何か介入できるといったようなむしろ誤解を与えるおそれがあるのではないかなというふうに考えておりまして、私
ども
としては
相談窓口
は現在のところ設置しておりませんで、海江田
先生
は一方の当事者とおっしゃいましたが、
協会
は単に一方の当事者のみでなしに、そういう立場ではなくて、やはり公益的な立場、公共の立場から
協会
というものが設けられているわけでございますので、現在
協会
に置かれている
窓口
を使っていただくようにということを私
ども
としては今行っているところでございます。
海江田万里
81
○海江田
委員
さっき私が何で
銀行法
の二十五条を読み上げたかというと、
金融監督庁
はそういう権限があるのですよ。
協会
にそういうような権限があるのですか。
金融機関
に行って書類を見せてくれとか、そんなようなことができるのですか。
日野正晴
82
○
日野政府委員
お答えいたします。
銀行法
の二十五条は私
ども
に与えられておりますいわゆる
検査
権限が規定されているものでございまして、これは国家
機関
である
金融監督庁
にのみ与えられている権限というふうに承知しております。
海江田万里
83
○海江田
委員
これはぜひ
大蔵大臣
あるいは
柳沢大臣
にもお願いをしておきたいのですけれ
ども
、イギリスなんかはオンブズマンという制度があって、確かにこれはそれぞれの業態ごとにオンブズマンというものを任命しているわけでございますが、このオンブズマンが出したジャッジに対して
金融機関
は言うことを聞かなければいけない。これにあらがうことはできない。けれ
ども
、個人については、もしオンブズマンが出したジャッジに対して不平、不満があれば、今度は司法の手続でもって訴えをすることができる。しかも、そのオンブズマンを
運営
していくに当たる費用は一切それぞれの
金融機関
が負担をするというような形で消費者
保護
をしっかりやっておるのですよ。
我が国
は、これからの話だと言うけれ
ども
、もう既にそういう被害者もたくさん出ておりますし、それから橋本総理が言った
金融
ビッグバンも、もう既にそのフロントランナーは走り始めているわけですから、そういうような
方向
でもって、今の消費者
保護
の
観点
というのは、生ぬるいというかちっとも積極的でない。そういうちっとも積極的でないところから、果たして本当にどういうようなサービス法というものが出てくるのだろうかという私は大変大きな懸念を持っておるのですね。
大蔵大臣
、いかがでしょうか。
宮澤喜一
84
○
宮澤
国務大臣
それは先ほど申し上げたことでございますけれ
ども
、いわゆる規制解除というものが行われた後、消費者にはぜひ賢くなってもらわなければならない。しかし、それだけでは足りないところがあるだろうというその類型的なケースの中で、オンブズマンというものが本当に確立しますと、それは事実と法との間で大変いい
役割
をしてもらうことになるのですけれ
ども
、そういう制度がにわかに
我が国
でこういう場合に確立するとも思えない。思えないとしますと、どの程度のことを
保護
法が書けるかということに結局帰着をいたすであろう。 確かに、客観的に見て、救ってやらなきゃならないケースというのはいろいろあるのだろうと思います。しかし、役所がビジネスに口を入れるということはむしろ弊害の方が結局大きいと思いますので、先ほどのような
金融監督庁長官
の御答弁になっていると思いますので、それが違法であれば問題はありませんが、フェアであるかフェアでないかというあたりをどのぐらい
保護
法が書けるかというのはやはり難しい問題で、今宙に申し上げるほど易しい問題ではないと思いますが、しかし、考えてみる価値のあることだろうと思います。
海江田万里
85
○海江田
委員
しかし、そこのところを本当はしっかりさせないと、出てくる
金融
サービス法というものは一体どういうものなのかということになってくると思うのです。 私は、やはり守るべき立場の人たちは守らなければいけない、知識が余りない人でありますとか、そういう人たちは守らなければいけないということだろうと思うのです。それから、もちろん、いろいろな
金融
商品を販売をするあるいは
融資
をする、そういうときにルールをきちっとやりますよということだろうと思いますが、幾らやったところで実際の
トラブル
というのは出てくるわけですよ。
法律
ができたからあるいは規制ができたから、それによって
トラブル
がなくなるという話じゃないですよ。むしろ規制ができたから
トラブル
がふえるかもしれない。そうしたら、その
トラブル
をどういう形で解決するのかということが、実はこの
金融
サービス法というものの中で大変大きな
役割
を占めるのじゃないだろうかというふうに私は思うのですね。 だから、ここのところについてある程度の青写真を、
行政
機関
の方式でいくのか、あるいは第三者
機関
の——オンブズマンというのは第三者
機関
で、
行政
機関
というのは
金融監督庁
のそういうところにそういう
役割
を持たせるというようなことですけれ
ども
、どっちでいくのかということについてはやはり検討はしてみなければいけないのじゃないですか。あるいは、そういうような
トラブル
をきちっと解決をする、あるいは
トラブル
に対してある程度のジャッジメントを出すということが、一つの
金融
サービス法の大きなガイストというのですか中核というのですか、そこになってくるのじゃないですか。私はそういう気がするのですけれ
ども
、いかがですか。
宮澤喜一
86
○
宮澤
国務大臣
どうも今さら水戸黄門というわけにもいかないものですから、そうかといってオンブズマンという制度が
日本
に育っていないということがありますので、フェアであるかフェアでないかということについてある程度の物差しができましたら、それは多分
行政
機関
が少し何か言ってもいいんだろうと思いますが、これは悪用されるといいますか、悪用という言葉はよくないかもしれませんが、過大に使われる危険が常にあるものですから、そこのところをどういうふうに書いていくかというのは苦心の要るところではないかと思うのです。
海江田万里
87
○海江田
委員
あともう一つ、これはやはり大蔵省にも責任があると思うのですけれ
ども
、大型フリーローンですね。 八〇年代の後半ですけれ
ども
、
企業
がエクイティーファイナンスなんかで市場から
資金
を調達する、もちろんそれはある程度限定をされたものでありますけれ
ども
、
企業
がお金を借りてくれないということから、要するに個人向けにローンを解禁した。これはまさに大蔵省のゴーサインでもって解禁をしたわけですね。フリーローンですから、使い道は自由ですよという話、そしてその借り入れの限度額も一億円でありますとか二億円でありますとか、大変大型なものになっている。これが、実は先ほど私がお話をした業法違反とも絡んでくる大変大きな問題じゃないかなというふうに思うわけでございます。 この大型フリーローンの現在の焦げつき率というのですか、どのくらい焦げついているのかということを、私、前予算
委員
会でお尋ねして一部のデータはいただいたのですが、それ以降、この大型フリーローンのところに個人のいわゆる不良債権になってしまった人たちが随分いるのじゃないだろうかというふうに思うわけでございますが、これについての
資料
は、大蔵省ですか
監督庁
ですか、おありですか。
乾文男
88
○乾
政府
委員
今御
指摘
になりましたフリーローンと言われるものは、恐らく
金融機関
がバブル当時に顧客の相続税
対策
等にこたえるものとしまして、不動産を
担保
に、
資金
の使途を特定せずに個人に
貸し出し
を行ったローン商品の一形態であると承知しております。 そういうものであるといたしますと、
一般
的には、バブル崩壊後の
担保
不動産価値の下落あるいは景気の悪化等によりまして不良債権化したものも相当数存在するのではないかというふうに考えております。 他方、フリーローンというのは、今申しましたところからも明らかなように、必ずしも明確な定義があるものではございませんので、当局といたしまして、それだけを取り出しまして集計等を行っていることはしておりませんので、そこのところは御理解をいただきたいと思います。
海江田万里
89
○海江田
委員
個人債務者のうちいわゆる不良債権、不良債権も実はいろいろな種類があるということは考えなきゃいけないわけですけれ
ども
、個人でもって
銀行
からの借り入れを受けて、
法人
じゃなしに個人で借り入れを受けて、この間の地価の下落、株価の下落などによってまさに不良債権化してしまった債務者というのはどのくらいいるのですか。
乾文男
90
○乾
政府
委員
ただいまもお答えいたしましたように、個人でそういうローンをお借りになって、
担保
価値の下落等によって返済に苦労していらっしゃる方もいらっしゃるということは想像できますけれ
ども
、これにつきましても、そうした数字というのは私
ども
把握しておりませんので、御了解いただきたいと思います。
海江田万里
91
○海江田
委員
これは把握しなければだめだと思うのですよ。想像できると言うけれ
ども
、想像じゃないですよ。
現実
に幾らもそういう方がいらっしゃって、そして
監督部
長のところにも足を運んでいるわけですから。幽霊じゃないわけですから、これは。しかも、そういう方がたくさんいらっしゃるわけですよ。
裁判
の
件数
だってたくさんあるわけですから。それがどのくらいあるのか。 もし大型フリーローンで三割だとか四割だとか、そういうような形で不良債権化しているというようなことがあったら、この大型フリーローンというものが一体どういう意味を持っているのか。 今後、これに対して何らかの形で
融資
をするとき、どうしてもこれまでの
銀行
業法だとかなんだとか、
法律
を見ても全部わかりますけれ
ども
、預金者
保護
、投資家
保護
、保険契約者
保護
ということは書いてあるわけですよ。だけれ
ども
、これは前からもお話をしていますけれ
ども
、
銀行
との
関係
というのは預金者だけじゃないのですよ。確かに、預金者ならペイオフのところでつかまえておけば保険金でもってある程度
保護
ができるかもしれない。だけれ
ども
、
銀行
から借り入れを受ける立場の人、この人たちに対する
保護
というものが、これもまさに
金融
サービス法のかなり重要な部分になってくると私は思うのですよ。だけれ
ども
、そこを本当に
保護
しようと思ったら、実態はどういうふうになっているかということがわからなくてどうやって
保護
ができるのですか。 やはりこの大型フリーローンは緊急に、しかも、これは先ほ
ども
お話をしましたけれ
ども
、さっき背景は説明をしましたけれ
ども
、
金融機関
が音を上げたわけですよ、もう
企業
が金を借りてくれないと。今と全然違うわけですよ。エクイティーファイナンスでやってしまって
自分
で調達してしまうから、金を借りてくれないから、もう今度は個人しかないんだというところで、
金融機関
の側が大蔵省にこれの解禁をお願いをするということを言ってきたわけですよ。そして、大蔵省がわかったと言ってこれにゴーサインを与えたわけですよ。 だから、そういう責任がありますから、やはりここのところはきちっと、
自分たち
が許可を与えた大型のフリーローンが一体今どういう
状況
になっているのかということをぜひ聞いていただきたい、聞き取りをやっていただきたい。そういうおつもりはありますか、どうですか。
資料
を集めていただきたい。
乾文男
92
○乾
政府
委員
私
ども
、
金融機関
の財務の
状況
というのを適切に把握する
観点
から、例えば不良債権の額というのを
報告
徴求いたしまして集計しております。 これは、多数の
金融機関
からそういうものを徴求いたしますときには定義が明確であるということが必要でございまして、例えばリスク管理債権でございますと、三カ月以上延滞したとか金利条件を変更したとか、そういう明確な定義を私
ども
明示いたしまして、それについて全国の
銀行
からその
報告
を求め、集計し、発表しているわけでございます。 今御議論していらっしゃいますフリーローンにつきましては、先ほどから申し上げましたように、そういうものとしてはあるわけでございますけれ
ども
、これにつきましての明確な定義もありませんことから、これを取り出して貸出金額や不良債権額を集計することは困難であるというふうに考えているところでございます。
海江田万里
93
○海江田
委員
そんなことないですよ。簡単ですよ、これは。できるでしょう。個人向けの
融資
のうちから、まず
基本
的に住宅ローンを控除すればいいわけですよ。それから、あとそのほかに小口のローンもあるけれ
ども
、カードローンだとか何だとか、それはある程度わかる話で、そうやって控除していけばはっきりわかるわけですよ、幾ら幾らということが。 そんなにできないんですか、本当に。できないことなんかないですよ。やる気になればできるんですよ。今はやっていなくても、これからやるおつもりがあるのかどうなのか。いかがですか、それは。やるつもりがあるとおっしゃって、やればいいんじゃないですか。
乾文男
94
○乾
政府
委員
これは先ほど来の御議論とも
関連
してまいりますけれ
ども
、私
ども
例えば
銀行法
第二十四条で
報告
徴求の権限が与えられておりますけれ
ども
、これは
金融機関
の財務の健全性でございますとか預金者の
保護
という
観点
から徴求しているものでございます。 そうした
観点
からは、ある一つの
金融機関
が全体としてどのような
貸し出し
の
状況
にあるか、そしてそれがどのような状態の不良債権を持っているかということ、そのマクロの数字というものが
金融機関
の健全さの
観点
から必要であるわけでございまして、それが
銀行法
第二十四条の趣旨だというふうに私
ども
考えておりますことから、個々の
取引
、あるいは個々ではなくてもう少し広いものだとおっしゃるかもしれませんけれ
ども
、私
ども
、そうした分類のものにつきまして集計をすることは、またさらに、先ほど来申し上げておりますように、定義も難しいものにつきまして徴求し集計をすることは、困難であるのかなというふうに考えているところでございます。
海江田万里
95
○海江田
委員
やる気がなきゃ何だって困難なんですよ。要はやる気の問題だと思いますよ。 先ほど
大蔵大臣
も、やはり預金者
保護
は大切であって、そして預金者
保護
のための
法律
をこれからつくらなきゃいけないということをやっているわけですよ。これはそれに資する大変大きな仕事になるわけですよ。決して後ろ向きの仕事でも何でもない、前向きの仕事なんですよ。そういうことを何でやりたがらないか。やりたがらないというか、わかりました、やります、どこまでできるかわかりませんけれ
ども
一生懸命やってみますということを一言言えばいいと私は思うのですが、
柳沢
委員長
、これはいかがですか。
柳沢
委員長
は
大臣
ですから、やれと言えばやらざるを得ないんじゃないですか。だけれ
ども
、本当は、我々が主権者なんですから、我々の意見でやるべきなんですが、
柳沢
委員長
、どう思いますか。そんなこと面倒だからやめろというお考えですか。
柳沢伯夫
96
○
柳沢国務大臣
報告
の徴求をして新たな統計をつくるということについては、
一般
論として、統計で余り
行政
上の負担を民間にかけてはいけないというようなことで、明確な根拠を持ってやるということがずっと議論をされてきておるわけでございます。 したがって、今の海江田
委員
と
監督庁
の議論を聞いておりまして、やはり
監督庁
としては、
報告
の徴求というのは法定をされた根拠を持ってお願いするしかないという立場であるということは、それはそれなりに私は納得のいくことである、このように考えます。
海江田万里
97
○海江田
委員
何も二十五条じゃなくたっていいのですよ、本当は。やっているわけだからね。サンプルで聞いたっていいわけだから。だけれ
ども
、本当は二十五条でやるのが一番いいわけです。 それについて明確な根拠がないと言うけれ
ども
、私は先ほど来四十分から五十分近くかけて話をしてきたのは、まさにこの大型フリーローンのところに業法違反の疑いのある
融資
がありますよということなんですよ。おわかりになるでしょう。
融資
するわけだから、しかも提案型
融資
という、これはみんな認めているわけですよ。提案型
融資
を、こっちから持っていく押しつけ
融資
だと言う人もいるわけですよ。だから、
融資
したら、その
融資
を何とかさせなきゃ、お金を使ってもらわなきゃいけないわけですよ。そうでしょう。ただ
融資
をして、それを
銀行
の預金に置いておいてくださいと言ったんじゃ、だれだってそんな
融資
を受けるはずがないわけですよ、借りる金利の方が高いんだから。 だから、
融資
をするかわりに、この
融資
を、もっと有利な
方法
がありますよということをいろいろ提案をして、証券業の手伝いをやってみたりとか、あるいは不動産業の手伝いをやってみたりとか、まさに業法違反の可能性はそこの提案のところに潜んでいるのですよ。 だから、そういう意味でいうのならば、きちっとこの二十五条でもって、しかも
銀行法
十二条で言うところの業法違反の疑いがあるから、この大型フリーローンについては大いに調べをしてみるよ、こういうことがあっていいんじゃないですか。住宅ローンなんかにはこんな問題は一切ありませんよ。まさにこの大型フリーローンの中にそういう問題が本当にたくさん詰まっているのですよ。どうしてそれをやるということをおっしゃらないのですかね。私の言っていることが何かおかしいですか。おかしかったら言ってください。どうぞ。
乾文男
98
○乾
政府
委員
先ほど来
日野
長官もお答えいたしましたけれ
ども
、いろいろな情報提供がありましたときに、その大部分は個々の
取引
に関するものでございますから、私
ども
がそれに対して直接どうこうという立場でないということは申し上げたとおりでございます。 ただ、そうした情報提供の中に、これは
一般
論でございますけれ
ども
、他業禁止でございますとか違法ということになりますれば、それは私
ども
の方で適切な対応ということが必要になると考えておりますけれ
ども
、そのことと、先ほどから御議論になっておられますフリーローンにつきまして
一般
的な
調査
を
報告
徴求するということとは、これは別の問題であるというふうに考えているところでございます。
海江田万里
99
○海江田
委員
何を言っているか僕はよくわからないのですね、本当に。普通に聞いておりまして、今何が言いたかったのですか。やらないということだけを言いたいわけでしょう。やって何か重要なデメリットがあるんですか、これは。 今まさにこれから
金融
サービス法をつくろうという大きな
目的
がある、大きな
方向
性がある、その中で、これまでの例もいろいろ調べてみて、これまでの例からやはり教訓を酌み取らなければいけない。では、これまでの例で、いろいろな例があるけれ
ども
、見てみると、どうもやはりこの大型フリーローンに問題があるんじゃないだろうかというところぐらいまではわかるでしょう。そこまでは、聞いておれば。みんなそれに絡んだ話ですから、
皆さん
方のところに行く話は。だから、この実態がどうなっているのか調べてみようということを考えるのは当たり前の話だと思うのですよ。この私の理屈立てに何かおかしなところがあるのですか。
乾文男
100
○乾
政府
委員
繰り返しになって恐縮でございますけれ
ども
、
銀行法
の二十四条あるいは二十五条は
検査
の条文でございますけれ
ども
、これは
金融機関
の健全性の確保あるいは預金者の
保護
という
観点
から
金融監督庁
に与えられている権限でございまして、そうした権限を用いまして
金融機関
の健全性の確保の
観点
から、先ほど申しましたように、資産でございますとか不良債権額全体につきまして
報告
徴求することはございますけれ
ども
、個々の問題につきましてそれを徴求するということは難しいのかなというふうに考えているところでございます。
海江田万里
101
○海江田
委員
これはいつまでも押し問答してもしようがありませんけれ
ども
、ただ
国会
の議論というのはきちっと記録に残るわけですよ。だから、おっしゃられたお話が活字になって出てくる。それをよく御
自分
で、夜の夜中にでも、だれもいないところで読んでみてはいかがですか。そして、何ら
自分
に、思うところに、そういうことはないですか。 それから、そういう記録というのはこれからずっと後の代も残るんですよ。私が今言ったような話なんか当たり前の話になって、一九九九年にはこんなようなことを言っていたよといって、後の世界から笑い物になっちゃいけませんよ。 私自身もバブルのときにいろいろな間違った発言なんかをして、それは今でも本当に恥ずかしいですよ。本なんかもあるし。だけれ
ども
、そのときのことはきちっと反省をして、これからどうやったらこの国の中できちっと預金者が
保護
をされて、それからお金を借りた人たちが
保護
をされて……。それでいいかと思って発言をしているわけです。そういう
観点
がお一人お一人にも必要だと思うんですよ。特に大蔵省はこのフリーローンというものをゴーサインを出したわけですから、言っているようなことで本当にいいんですか。 僕は残念でしようがないけれ
ども
、もう一つ大事な問題があるので、そのことを
指摘
をしておかなければいけません。 ことしの三月、
金融再生委員会
が
金融機関
に対して
資本
注入をして、とりわけ都市
銀行
に対して
資本
注入をして、その
資本
注入をしたときに不良債権の償却を早めてくださいということを、これは通達というよりそれを条件にしているわけでございますが、その結果、不良債権の
処理
を進めるという場合、確かに本当に借り手の側に問題のある不良債権の償却というものは、
処理
を早く進めるということはいいわけですけれ
ども
、係争中のものだとかあるいは借り手の側にそれほど大きな瑕疵のないようなケースも、とにかく競売だ競売だということで今競売の
件数
が非常にふえているわけですよ。 最高
裁判
所から三月の競売の
件数
をいただきましたけれ
ども
、去年の三月と比べると大体三〇%増しになっている。実は三月はそうやって
資本
注入をした月ですから、四月、五月のところでもって大量にそういう競売のケースが多くなっているわけですよ。これは
金融再生委員会
の
資本
注入のときの条件と密接に
関係
があると私は思うんですが、それはいかがでしょうか。そういう
関係
はないんですか。それともこのままでいいんですか。これは
金融再生委員
長にお答えをいただきたいと思います。
柳沢伯夫
102
○
柳沢国務大臣
私
ども
、確かに
資本
注入をするに当たって、不良債権の
処理
を、これは
法律
がうたっている
目的
の、大
目的
の一つでございますので、当然これを具体的に進めるためのいろいろな要領について、
健全化計画
ということの中で実現をすべく指示を出したわけでございます。 それは、一つは引き当てという
方法
であるわけでございますけれ
ども
、しかし、アメリカなどの体験から、不良債権の
処理
というのは引き当てだけで十分というわけにはいかない、いわば最終的な
処理
まで持っていかないとこの問題からの本当の脱却ということが難しい、こういうことを教えられておりまして、私
ども
も、最終
処理
の
計画
というものを一つのメリットにしまして、例の優先株の条件を決めるに当たってこの点を勘案するというような格好で奨励をしたということが事実としてございます。 そういうことでございますけれ
ども
、今
先生
は最高
裁判
所の
資料
でもって不動産の執行事件の事績につきまして月別にお触れになられました。私はちょっと残念ながら今手元には年度別の
資料
しか実は持ち合わせておりませんが、そういう
資料
で申しますと、これは
平成
三年、バブルの崩壊、まさにその年でございますけれ
ども
、それから一貫して趨勢的に上がっておるということでございまして、これは私
ども
のそうしたいろいろな奨励
措置
がこれからかかわりを持ってくるかもしれませんけれ
ども
、
一般
論として言うと、不良債権を持ったそのこととむしろ
関係
が深いのではないか、このようにただいまのところは
認識
をしているところです。
海江田万里
103
○海江田
委員
もう時間が来ましたので長々とお話ししませんが、これは四月からふえているんですよ。
裁判
所に行けば、そうです。 それから、
自宅
をとられて、それが競売に付されている人たちの生の声なんか、私なんかも何人かで、大蔵
委員
の
先生方
もいらっしゃいますが、超党派の議員の会をつくっていますのでそこで聞いていますが、本当に
皆さん
方もそういう生の声を聞いた方がいい。 それから、あと、場合によっては、これは
委員長
にお願いで、後ほど
理事
会で協議をしていただければいいのでございますけれ
ども
、そういうような
金融
問題で、被害者とあえて言わせていただきますが、そういう人たちの声も一度聞くような会を持っていただきたい。そして、そういう人たちの声だけで片っ方だけの意見ということになるんだったら、
金融機関
の人たちはどういうふうに考えているんだということ、これも聞いて構わないと思うんですね。 そういうことをきちっと聞いて、考えて、そしてしっかりとした
金融
サービス法というものをつくらないと……。きょう、後で
大蔵大臣
も中間
報告
を受けるんでしょうけれ
ども
、新聞なんか気の早いところは抽象的だとか観念的だとかいろいろ書いていますが、そういう中から教訓を学び取って、そしてきちっとした
法律
をつくっていかなければいけない。そのためには、この
大蔵委員会
の果たす
役割
というものも大変大きいと思いますので、ぜひそういうことも御検討いただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
村井仁
104
○
村井委員長
ただいまの海江田君の御発言につきましては、また追って
理事
会で御
相談
をさせていただきます。 午後一時から
委員
会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ————◇————— 午後一時
開議
村井仁
105
○
村井委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。中川正春君。
中川正春
106
○中川(正)
委員
民主党の中川正春でございます。ちょっと聴衆が少ないようでありますが、張り切ってやらせていただきたいというふうに思います。 きのうは日銀の短観が発表されまして、中身の検討を十分にしていただいておると思うんですが、いよいよ正念場といいますか、
日本
の
経済
運営
も非常に大事な時期を迎えてきたというふうに思います。そんな中で、通告に従ってそれぞれ話を進めていきたいと思うんです。 素直な
国民
のサイドから、あるいはそれぞれ今
企業
活動の中で必死に構造
改革
ということに取り組んでおられる
皆さん
方にとっては、
金融
がどうなっていくのかということ、その中でも
銀行
がいつまでにどのような形で
日本
の中で落ちついてくるのかということ、これがまず非常に大きなポイントになってくるんだろうというふうに思うんです。 それで、論点は二つありまして、二〇〇一年のいわゆるペイオフ解禁ということを控えて、これを一つのターゲットにしながら最終的にはどのような形に落ちつけていこうとしているのか。
資本
注入によりまして一たんは落ちついたよと言っていますが、落ちついたよと言っているのは当事者と
政府
サイドだけでありまして、それぞれの専門家あるいは客観的に見ている海外投資家も、どの文献をそろえても、いやいやまだこれは先送りしただけだよ、その後に大きな再編が起こって、最終的な落ちつき方というのはもっとドラスチックなものなんだよ、こういう二つの大きな論点があるように思うんです。 そこのところを改めて整理をしていただいて、いつの時点にどういう形で落ちつかそうとしているのか、ここの大枠はやはり
政府
としては説明責任があるんだろうと思うんです。そこのところを見据えながらそれぞれの構造変革を
計画
的に行っていくというのが、やはり今の
日本経済
の主役、それぞれ民間のサイドの活力を引き出す、
安心
を引き出す一つのもとだろうというふうに思いますので、そこのところをひとつ聞かせていただきたいということ。 それからもう一つは、では、そこへ至っていくのにただではいかないだろう、いろいろな血が出るだろう。その中で、これまで大枠は決めてきたわけでありますが、
公的資金
は最終的にどれぐらいのところで確保していかなければならないんだろうかということ、これももう一つの
国民
に対して説明をしていかなければならないポイントだろうというふうに思います。
経済
の
状況
がここに至ったこの時点で、改めてそこの二つの
観点
を御説明いただきたいというふうに思います。
柳沢伯夫
107
○
柳沢国務大臣
日本
の
金融
不安というものが貸し渋り等を通じて、また、場合によっては消費者の消費マインドを冷やしてしまうということを通じていわば
経済
の足を引っ張ったという事態があったわけでございます。それに対して、
金融
再生
法で破綻を
処理
し、
金融
機能
健全化法
でもって
資本
の過少状態を解消するということをもって
金融
不安を解消し、少なくとも
経済
の足を引っ張るような、そういう影響をもたらすような事態を克服する、これが私
ども
に運用をゆだねられた二つの
法律
の趣旨かというふうに考えております。
先生
今おっしゃっていただきましたように、私
ども
、残念ながら破綻をした
金融機関
に対しては、
再生
法を適用してある意味で毅然としてこれの
処理
に当たるということをさせていただきました。そして、残った
銀行
は少なくともそうした不健全な
状況
にはないということを逆に明らかにしたい、こういう思いでこの法を運用してまいりました。 他方、
資本増強
につきましても、できるだけ大きな金額を広く必要な
銀行
に注入させていただくことによって
資本
の
増強
を図るということで
金融機関
に対する信認の回復をいたしたい、こういうようなことでやらせていただきまして、まあまあ、ジャパン・プレミアムが解消したとか、あるいは株価がいっときに比べて大体二倍に近いぐらいの回復を見たというような形で市場の信認を得ると同時に、いろいろな問題はありますけれ
ども
、
貸し出し
についても、最近は、往時に比べればはるかに、貸し渋り等についての、あるいは
金融機関
の
融資
態度が厳しいというような声も、
中小企業
等におきます場合であってもかつてよりは随分緩和された、こういう事態を出現させることができたということでございまして、これは
先生方
の御指導、御協力があったればこそと思っておる次第でございます。 しかしながら、ペイオフあるいは
金融システム
改革
、いわゆるビッグバンの本格化を展望するときに、現在の
状況
でこれを乗り越えられるような状態というものはまだ出現し得ていないのではないかという声が多いという御
指摘
、これは私
ども
も折に触れ、目にしておるところでございます。 しかし、これについては、
金融
健全化法
も言っておるわけでございますが、再編を促進して
金融システム
の
効率化
を図れと言いつつも、それは同時に、自主的な
努力
を促すことによってというように私
ども
読ませていただいておるわけでございまして、
基本
的に、
政府
の側からこれをこうしろ、あれはああしろというようなことでやっていくべきことではなくて、個々の
金融機関
がみずからの将来を展望して
経営
戦略としてそうしたことを進める、それに対して
健全化法
で必要な支援を与えていく、こういうことであろうというふうに考えております。 ただ、
先生
御
指摘
のように、二〇〇一年の三月末をもってペイオフの凍結という事態が終わる、あるいは、さらにそのころになるとビッグバンがより本格化するということを考え、また他方、私
ども
金融再生委員会
、あるいはこの二つの
法律
の期限というものを考えますときには、これは相当急いで
処理
をした方がいい、そういう事柄である。残された我々の期間ももう一年半ぐらいになってきておりまして、そうした大きな仕事というものはいわば時間との
競争
の中でやらなくてはならない、こういう事態になっておると
認識
をしておるところであります。 なお、これに必要な
資金
の問題でございますけれ
ども
、私
ども
総枠として六十兆円の
資金
を与えていただいておるわけでございまして、全体としては、これだけのお金を用意していただければ今申したような仕事をなし遂げることができるのではないかというふうに考えておりますけれ
ども
、個々に考えますときに、例えば特例
業務
勘定でございますか、例の十七兆円のうちの七兆円のいわば真水部分については、将来を展望したときになかなか厳しい
状況
にある、このような
認識
を持っておるところでございます。
宮澤喜一
108
○
宮澤
国務大臣
七兆円の交付公債でございますが、ここへ来まして、長期
信用
銀行
あるいは日債銀、相当
大口
が控えておるわけでありますので、その
処理
いかんによりまして七兆円を増額する必要があるかもしれない。いつということは実は読み切れませんし、それに今、この二つの
銀行
の最終
処理
、どういうふうな
処理
になりますかも実ははっきりいたしませんので、確たるお返事を申し上げられないわけでございますけれ
ども
、もちろん、これが不足になるような事態が見えますれば預金保険法を改正いたさなければなりませんし、また予算
措置
も講じなければならない、そのことは当然考えておりますが、仮にそれが今年度内であるかないかというようなことになりますと、ちょっとわかりかねておりますので、いずれにいたしましても、そういう必要がありましたら遅滞なくそういう
措置
をとるという気持ちではございます。
中川正春
109
○中川(正)
委員
通告に七兆円の交付国債の話を含めていたものですから先にそれを答えていただいたんだと思うんですが、これはちょっと別な
観点
から後ほど議論をさせていただきたいというふうに思います。 その前に、もう少し具体的に
所見
をお聞かせいただきたいと思うんですが、
銀行
に限って言いますと、
銀行
もこの三月にそれぞれ決算を迎えて、その発表がされております。これはいろいろな
評価
があるんだろうと思うんですが、一つは体力が非常に落ちてきているということ、これは
一般
的に
指摘
をされておることであります。 そんな中で、長銀あるいは日債銀のようないわゆる特殊
銀行
が崩壊をしてきた。信託
銀行
も含めてそれぞれ整理統合されていく中ですべてが普通
銀行
化していく、そういうことが加速されてきているというような
指摘
であるとか、あるいは、
銀行
群の中で、生きていくべきといいますかリードしていくいわゆる健全な
銀行
というものと、逆に非常に劣化して何らかの形で整理をしていかなければならないだろうという
銀行
、そういうものが二分化あるいは三分化してきた、それがはっきりとした傾向としてあらわれてきているというふうなこと、そんなことが専門家の間では
指摘
をされておりますが、改めて、
大臣
の
所見
の中で、今回の
銀行
の決算、これをどう
評価
しておられるか、お聞きをしたいと思います。
柳沢伯夫
110
○
柳沢国務大臣
いわゆる大手行に限って申し上げるわけですが、今回の決算につきましては、東京三菱を除いて大体赤字の決算になったということであります。これは、私
ども
が不良債権の引き当てを非常に分厚くするようにというようなことを申し上げたということが大きな
理由
になっておるというふうに
認識
いたしておりまして、それ以上に、今
先生
がおっしゃったような、俗な言葉で言うと勝ち組、負け組の色合いがはっきりしてきたんじゃないかというようなところまでは、私
ども
の
認識
としては、正直言ってまだそこに至っていない。そういう議論が部外の方々、専門家、分析家などの間であることも傍らで聞いてはおりますけれ
ども
、私
ども
の
認識
として、今そういうものがあるかと言われれば、それは現在のところ申すに至っていないということでございます。
中川正春
111
○中川(正)
委員
私がどうしても理解できないところというのは、そういう先ほどのようないろいろなところに気を使った発言なんですね。 というのは、もともと、一番最初のお言葉にもありましたように、ビッグバンというものを控えながら全体の再編を促していく、早いところ行き着くところへ持っていかなきゃいけない、そういう
政策
目標がある。ところが、
現実
問題、それぞれ個別の
銀行
を相手にしていくと、前回の
資本
注入をやったときのように、どこかで再編していかなきゃいけないということは、具体的に言えば全体の数を減らしていく、あるいはこれはつぶすということだけじゃなくて、吸収合併、整理統合を含めて再編をしていくということですね。それにもかかわらず、結果的に出てきたものは、それぞれがいわゆる十五行それぞれの
計画
の中でそういうことを前提にせずに、とりあえずのところ不良債権を償却する、その
資金
に充てるためのような使われ方をした
資金
がばらまかれたという結果に終わった。 それが一時いわゆる
金融
が破綻するというその不安というものを払拭したのは確かだと思うんです。一時そこで休憩はできたと思うんです。しかし、それにさらに最終的には圧力がかかって再編の流れができていくということを判断するかしないかというのは、これは
政策
判断だと思うんですよ。例えば、それを促すような形でこれから先の
公的資金
を流すということであれば、それは、
一般
にばらまき型で一時不安感を払拭するための金の使い方とは違ってくるということが前提になってくるだろうというふうに思うわけであります。 そんな中で、マーケット自体、あるいは一つの流れが出てきている、先ほどの優勝劣敗というものがあらわれてきているというものに対して、いつまでも
行政
サイドが、いや、そうじゃないんだ、これはそれぞれが自然の流れの中で淘汰されるということでいいんだというような
政策
をとっていって間に合うのかどうか、二〇〇一年のペイオフを控えてそれで間に合うのかどうかということ、それを加速する
政策
目標というのがあってもいいんじゃないかということ、これが私が今期の
銀行
の決算の中で
感じ
たことでありますし、その部分がもっと前向きに
監督庁
の
方向
性の中で出てきていいんだというふうなことを一つ
指摘
をさせていただきたいというふうに思います。 その上に立って、実は具体的にもう一つお聞きをしたいことがあるんです。不良債権の
処理
、償却なんです。この数字が合っているかどうか確認をしたいんですが、ずっとトータルで見まして、バブル崩壊から現在まで、四十九兆六千億、主要行で償却をしてきたということであります。その都度その都度、それぞれの立場で、現在時点ではこれだけの不良債権が残っています、まだこれだけ償却をしていかなければなりませんというのを、この償却の過程の中で、それぞれの時点時点で発表してきているんですね。 例えば九六年時点では二十一兆八千億、これだけ残っていますよという話があった。実際には、確かに、そのときの
評価
基準、それからそれぞれの不良債権のカテゴリーというんですか、それがまだ整理されていなかったころでありますから、この二十一兆八千億が、いやそうじゃない、八十兆円あるいは九十兆円あるだろうというふうなことを言われながら、非常に不安な中で流れてきた時代でありましたが、それでも
金融
当局からは、その後、九六年の時点で二十一兆八千億でありました、翌年の九七年で十九兆三千億、九八年の時点で二十二兆円、それからことしでありますが、ことし、こうして決算をして償却が終わった後にまだ二十兆八千億円不良債権の残があるという数字が決算のトータルの中から出てきているわけなんですね。そうすると、この額を見ていると、毎年毎年償却していながら残自体は全く減少してこないんですね。どっちかというとふえてきている、そんなケースも見受けられるわけであります。 これを客観的に見ていると、いや本当にこの数字というのは信憑性があるのかな、二十兆八千億という
残高
の数字が出ているわけですけれ
ども
、これから先、これに対して本当にその前提で考えていっていいのかなという単純な不安というのがここから出てくるわけであります。 この数字をいわゆる
監督
当局としてはどうとらえておられるのか、これまでの実績の中からこの数字をどのように分析をされて、将来に向かってあとこれだけですよという
認識
をされているのか、そこのところをもう一回確認をしたいと思うんです。
柳沢伯夫
112
○
柳沢国務大臣
不良債権の
処理
が進んでおると言われながら、発表されるいわゆる不良債権の
残高
というものにそれがどう響いておるのかということについての御
質問
なのでございますけれ
ども
、確かにこれはなかなかわかりにくいことが一つあります。
先生
のような方には釈迦に説法かと思うんですけれ
ども
、一言言わせていただきますと、不良債権の償却、今
先生
、たしか四十九兆円というふうな数字を挙げられたかと思うんですが、これはいわゆる最終
処理
というものをした数字でございます。したがって、バランスシート上は除かれてしまった数字であるということでございます。 他方、例えば十一年三月末の不良債権の
残高
、これもいわば二とおりの数字が発表されておりましてわかりにくいわけですが、一つは、全銀協が行っておるSEC基準によるいわゆるリスク管理債権という数字がございます。それと、
金融
再生
法が不良債権の
残高
を発表しなきゃいけないぞという規定を置きまして、この基準に基づいて発表される数字、二とおりがあるわけでございます。
金融
再生
法基準の方でいいますと、二十兆八千億の数字が今回発表されたわけでございますが、これは必ずしも全部本来償却をしてバランスシートから除いてしまわなければならない数字を意味しておりません。これは、例えば要管理債権とか、相手がいろいろなことで
経営
がうまくいかなくなって少し利息の支払いが滞っておるものとかというような、少しでも傷がついたというか、問題になっておる債権も含めての数字でありまして、そういうことになったからすぐそれを破産に持っていって
処理
をしてしまえということにはならないことは、これは私がわざわざ言わなくてもおわかりいただけると思うわけでございます。 そういう意味では、いわゆる償却というのは、最終
処理
あるいはライトオフということでバランスシートから除かれた数字というふうに言わせていただきますと、その数字がまだ二十・八兆残っているということを意味しておりませんので、ちょっと数字の
関連
だけをとりあえずお答えして後の御議論の展開を待ちたい、このように思います。
中川正春
113
○中川(正)
委員
いや、私の論点は、時系列的に見ていって不良債権が結局は減ってきてないじゃないか。
経済
の背景も後ろにありますけれ
ども
、それ以上にもう一つ、きょうも午前中に
指摘
がありましたが、例えば国有化したあるいは破綻した
銀行
をぽっと開いてみると、当初言われていた不良債権額よりもぐっと膨れた形であらわれる、そういうことも含めて、時系列的に見た不良債権が減っていかないというその中身には、どうも恣意的なといいますか、
銀行
サイドのこれまでの体質の中に隠れた問題があるんじゃないか。そこのところが外から見ていてはっきりしない、だから全体の
金融システム
そのものの不安が払拭をしてこない、そこのところに原因があるんじゃないか、そういう意味での
指摘
でありまして、その中身の問題、これはもう各時系列的に全部共通した話でありますから、また違った
観点
かというふうに思います。それはそれで、時間の
関係
で次に進みたいので、そういうことを
指摘
しておきたいと思うんです。 要は、私がここで言いたかったことは、これからいよいよ再編に入ってくる中で、はっきりさせてほしい、そのどちらの
方向
へ向けていくのかというのは、これはやはり
政策
なんですよ。自然にやることを待っていて、今まで十年かかってできなかった、それが第一歩を踏み込んだということによってここまで来たわけですから、後、完成させるには、やはりはっきりした見解を持ちながら、
公的資金
をこれから使うとしても、受け皿
銀行
に対して再編をしていくという
方向
の中で使っていくんだという、そうした
方向
性というのをはっきり打ち出しながら
政策
を遂行してほしい、それをしていかなきゃいけない、その
指摘
をしたかったということであります。 次に、先ほどの七兆円のいわゆる
公的資金
の問題に絡めてもう少しお聞きをしていきたいんですが、この七兆円の問題だけじゃなくて、特例
業務
勘定との
関連
で、特例
業務
勘定というのは、改めて説明をさせていただくと、いわゆる特別保険料と、今のところ日銀借り入れと民間借り入れ、それぞれがあって、これで運用していますよ、それ以外にこの七兆円の交付国債を使いますよ、こういうことでトータルで運用されているということだと思うんですね。 そこで、問題になるのは、この特別保険料、日銀借り入れ、民間借り入れは、最終的にこれを払うのはだれかといったら、これは
銀行
のサイド、それぞれ民間サイドが
自分たち
の保険制度の中で最終的な清算をしていきますよ、だから負担がかかってくるのは
銀行
のサイドにかかってくるということ、その理解でいいのかどうかということ。 しからば、そうすれば、この七兆円の交付国債を使うか、あるいはこちらの
一般
的な枠を使うかということは、言いかえれば、枠は七兆円でありますけれ
ども
、具体的な負担割合として、公的にどこまで負担をして、それぞれ自助
努力
でどこまで負担をするか、そこのところのせめぎ合いでもあるわけであります。 そこの基準というのは、考えてみれば、七兆円の大枠だけ決めておいて、実際は、例えば保険料率をどれだけにするのか、あるいは民間借り入れや日銀借り入れはどんなペースで返していこうとするのか、そのやりくりをどうするのかというその議論がないままに、この七兆円の交付国債の問題だけが足りなくなってきそうですよ、こういう話があっても、私たちとしてはなかなか理解ができないところなんですね。そこを最終的にどういうふうに持っていくのかということ、ここのところもあわせてお話を聞かせていただきたいというふうに思います。
森昭治
114
○森(昭)
政府
委員
お答え申し上げます。 ただいま
先生
の御
指摘
、特例
業務
勘定の交付国債七兆円分の話と十兆円分の話、それに特別保険料の話、この三つに分かれると思うのでございますけれ
ども
、使途がいわば限られておりまして、七兆円につきましては、破綻した
金融機関
を最終的に受け皿
機関
に譲渡する際に最終的なロスというものが確定するわけでございます。そのロスを埋めるための原資が七兆円の交付国債ということでございます。 十兆円、これは
先生
御
指摘
のとおり、民間からの借り入れあるいは日銀からの借り入れを原資とする十兆円という
資金
があるわけでございますけれ
ども
、
基本
的にはこれは、整理回収機構が資産を買い取り、そして回収を図るわけでございますけれ
ども
、その資産を買い取るための原資としてRCC、整理回収機構が借り入れるためのものでございまして、十兆円は整理回収機構を通じて資産の買い取りに充てられるわけでございます。そして、
基本
的には、整理回収機構が予定どおり回収を果たした場合には、その回収したお金をもって十兆円の特例
業務
勘定に返済する、そういう
資金
でございまして、七兆円の性格と十兆円の性格というのは
基本
的に異なっているということでございます。
中川正春
115
○中川(正)
委員
そうした中で、さらにいけば、特に長銀、日債銀がこれから出てくるという前提で、この七兆円が大体どれぐらいになってくるのか。先ほどのお話で、法的改正も含めて考えていかなければならない、こういう答弁が出たわけですが、当面、具体的にはどれぐらいの試算をしているのかということ、ここをお聞かせください。
柳沢伯夫
116
○
柳沢国務大臣
この点は、今、
再生
法を適用した
銀行
、これらについては長銀を初めとしてどれもいわば最終的な
処理
が終わっておりません。したがいまして、これらの既に
再生
法を適用した
金融機関
についての損失補てんがどのくらいの額に上るかということについて、ちょっと今この段階で申し上げられないということでありますし、こういうことはないことを望みますけれ
ども
、
再生
法はまだ一年半、二年近く効力を持っておりますので、そういった意味合いで、七兆円が一体幾らぐらい上回るような
状況
になるかということをこの段階で申し上げる、そういう段階ではないことを御理解賜りたいと思います。
中川正春
117
○中川(正)
委員
もう時間が迫ってしまいましたので、せっかくのことですから、もう一つ、通告をしてあるところに移っていきたい。それぞれ突っ込んでいきたいんですけれ
ども
、また時を違えてお話をさせていただきたいと思います。 長銀と日債銀の
関係
ですが、時間的にこれも表面上の話にしかならないので残念なんですが、まとめていきますと、今それぞれで訴追なんかも始まっていまして、責任問題ということも刑事上あるいは民事上の課題になっております。それはそれとして、
一般
的な
国民
の感覚からすると、三つぐらい整理をしていかなければいけないところがあるように思います。 一つは、現在問題になっているのは、近々の話、いわゆるバブルが崩壊してから、あるいはバブル当時の
運営
というのが本来は問題になっていたわけでありますが、これがずっとそれぞれの
経営
責任というのをバトンタッチしながら、一番最終のランナー、一番最終のバトンを受け取った人たちが前回の
平成
十年の
検査
結果と突き合わせて責任を追及されているという
状況
であります。これはしかし、だれが見ても不公平なんです。本来やったのはバブル当時の問題じゃないかというこの問題に対して、
監督
官庁としてどうこたえていくか、これはやはりどうするかということを明言しなければいけないところだというふうに思います。 それからもう一つは、今回問われているのは、
金融
再生
法によって破綻されたあるいは国営化された
銀行
だけが問われております。
一般
的に
国民
から見たら、いや、あそこだけじゃないだろう、同じような体質を持っているのはあっちもこっちもあったじゃないか、それがたまたまこうした形で破綻したからその分だけが出てくる。その中身も、これは非常に大変なことをやっていたな、こんなのむちゃくちゃだな、そういうものが出てきているだけに、やはりほかのところをどうするかということに対してもこたえていく必要があるだろうというふうに思います。 それからもう一つ、当時の大蔵あるいは日銀の関与それから
監督
責任について、これは
裁判
の中でもいろいろな形で明らかになってくるだろうと思うのですが、それぞれ知っていたよ、あるいはそういう指導をしていたよ、こういう話があちこちから今出てきております。これに対して、トータルとして大蔵省としてあるいは
監督庁
としてどうしていくのかということ、これもはっきりさせる必要があるだろうというふうに思うんです。 これは、時間がないので本当に残念ですが、一つ一つ具体的にやっていきたかったのですけれ
ども
、このトータルな問題に対してどんなスタンスでこれから整理をしていこうとしているのか、それぞれお聞かせをいただきたいと思います。
宮澤喜一
118
○
宮澤
国務大臣
トータルな問題として申し上げますれば、大蔵省がやっておりました
金融
行政
、戦後といえば戦後でございますが、最近の十年、十五年ぐらいのところで申しましても、いわゆる護送船団方式、それは戦後からどの
金融機関
もつぶさないでいこう、そういう目標のもとに行われたのでありますが、そういう護送船団方式が、だんだん自由化の時代になり、グローバル、いわゆるビッグバン等々に向かうに当たりまして実は維持できなくなった。今私
ども
、新しい立法でセーフティーネットもあり、また
再生
も破綻
処理
もできるようになりましたが、そういうものを設けずに、ひたすら護送船団でみんなを生かしていこう、こういう
行政
そのものがいわば新しい時代の要請に合わなくなったこと、及び、それにつきまして多少世間からいろいろ言われるような不正事件等々も発生をいたしましたから、さらに
国民
の信を失うに至った。刑事事件のことはわかりませんので申しませんが、そういう
行政
の破綻に対して大蔵省は責任がある、そういうふうに私は考えておりまして、また省内でもそれなりの意識で、過去を反省し、今後同じような過ちを起こさないようにという反省のもとに今日
行政
をいたしておるわけでございます。
柳沢伯夫
119
○
柳沢国務大臣
今
先生
のお尋ねの民事、刑事の責任の問題については、これは
再生
法の方で規定がございまして、新しく選任された執行部、役員が、刑事上の責任について、必要があればこれを告発しなければならない、また民事上の責任についても訴えを提起しなければならない、こういうようなことになっておるわけでございまして、現在は、この規定に基づいて、それぞれの
再生
法適用
銀行
、
金融機関
におきましては、内部
調査
委員
会とか内部
調査
事務局とかというような特別な、第三者による、大体弁護士さんでございますけれ
ども
、その方々にお願いしての
機関
を設置しまして、今言ったような
法律
の定めるところによる責任の追及をする前提としての
調査
を進めておる、こういうことでございます。 その中で長銀につきましては、先ほど
先生
が、これだけでは
国民
は納得し得ないじゃないかということでございますけれ
ども
、十年三月期について、内部
調査
委員
会の
報告
に基づきまして現在の取締役が刑事告訴をし、そういったことに基づきまして今刑事手続が進んでおるということでございます。これだけが今
現実
の司法手続の方に進行した、こういう
状況
にあるということでございます。
中川正春
120
○中川(正)
委員
的を得たお答えにはなっていなかったんですが、改めてまたこの問題についてはそれぞれ
質問
をしていく機会があると思いますので、それから掘り下げてやらせていただきたいというふうに思います。 時間が来ましたので、ありがとうございました。
村井仁
121
○
村井委員長
次に、末松義規君。
末松義規
122
○末松
委員
民主党の末松でございます。 今の中川
委員
の御
質問
とも重なるんですけれ
ども
、まず初めに、今話題の長銀の粉飾決算について、私の方ももう少しお伺いをしたいと思っております。 昨年の八月二十七日、
金融安定化
特別
委員
会において、
宮澤大蔵大臣
が、長銀は債務超過ではない、マスコミ報道、いわば風説の流布によって
経営
危機に陥ったんだという答弁をされました。その後は捜査当局によって、実際に昨年の三月、
政府
が長銀に千七百六十六億円もの
公的資金
を投入したんだけれ
ども
、その際に大蔵省は長銀の粉飾決算を見抜けなかった、この見抜けなかったという
監督
の責任があるんじゃないか、あるいは、見抜いてはいたんだけれ
ども
、実際に知っていて隠していたのかというもの、もしそうであればいずれにしても大きな問題であろうと思いますが、その
認識
をもう一度ちょっと私の方にもおっしゃっていただければと思います。
大蔵大臣
の方にお願いします。 〔
委員長
退席、鴨下
委員長
代理着席〕
宮澤喜一
123
○
宮澤
国務大臣
長期
信用
銀行
につきましては、昨年の春から夏にかけまして、
国会
の御審議の際に、長期
信用
銀行
は債務超過であると認められる特段の
理由
はないと、当時、
金融監督庁長官
が答えておられますので、粉飾決算を大蔵省が見抜けなかったというような事実はなかったと思います。また、そういう判断に基づいて昨年の三月に
公的資金
の導入が行われた、このことについても別段間違いはなかったと思います。
末松義規
124
○末松
委員
そうしますと、今刑事的な問題になっておりますが、これは
再生
委員長
の方にお聞きした方がいいのかもしれませんが、現在の
監督
であればそういった粉飾決算等についてもきちんと見抜けるといいますか、そういうことができる体制に今はなっておるというふうに考えてよろしいですか。
宮澤喜一
125
○
宮澤
国務大臣
昨年、新しい二つの
法律
ができ、また
金融監督庁
が発足をいたしまして、いわゆる
検査
というものの性格が、従来大蔵省の
検査部
でやっておりました
検査
といわば一変をしたと申し上げるべきであろうと思います。 すなわち、護送船団のもとで
金融機関
を破綻させないことが国益であると考えていた
行政
から、そうではないという価値観を持つ
行政
に
転換
をいたしましたから、したがいまして、今の
検査
体制で初めて、先進国並みといいますかアメリカ並みといいますか、各国並みの
検査
というものができるようになった。また、
検査
も、アービトラリーでなくてマニュアルのようなものがちゃんとできて、
検査
する方もされる方も客観的に一つの基準でそういう
行政
が行われるということになりましたのは
金融監督庁
が発足して以来のことでございますから、そこで新しい
検査
体制あるいは
金融
行政
が生まれた、こういうふうに御判断いただくことが私は適当なのではないかと思っております。
末松義規
126
○末松
委員
そうしますと、
金融再生委員
長の方にお伺いいたしますけれ
ども
、六月の十三日の報道によりますと、
再生
委員長
が記者会見をされて、
銀行
の
監督
につきまして、
早期是正措置
を命じている
銀行
があと二行ぐらいあるが、それ以外は健全
銀行
だ、現時点で今後の破綻は念頭には置いていないという発言をされておられます。 それで、そうかなということで見ておりましたが、きのうですか、発売された週刊ダイヤモンドという雑誌、皆様のお手元にあるかと思いますが、そこの二十八ページに「
地域
金融
危機マップ」というのが掲載されておりまして、これによりますと、実質的に債務超過に陥っている、あるいは極めて問題があると言われているような地方
銀行
が二十行前後といいますか、そういうふうにあるような書き方にもなっておりますけれ
ども
、
金融再生委員会
として、あるいは
委員長
として、どういうふうにこの記事を考えておられるか、あるいは
金融監督庁
がどういうふうにお考えになっておられるか、これについてそれぞれ御見解をいただきたいと思います。
日野正晴
127
○
日野政府委員
お答えいたします。 ただいま御
指摘
の週刊ダイヤモンド七月十日号二十八ページの記事の件でございますが、
金融監督庁
といたしましては、個別
銀行
の財務
内容
に関する事柄でございますので、これについてはコメントしないということで御理解いただきたいと思います。 なお、付言して申し上げますと、各
金融機関
が監査
法人
等の監査を経て確定いたしました本年三月期決算におきましては、既に破綻している
銀行
を除きましては債務超過の
銀行
はないというふうに承知しております。
柳沢伯夫
128
○
柳沢国務大臣
私の記者会見の記事を御引用してのお尋ねでございましたけれ
ども
、その前に、別のスキームでもって四%割れの
銀行
が存在しておったわけですけれ
ども
、それについては別のスキームということで、あえてそのときには言及をいたしませんでした。 しかし、その後改めてまた連結の決算について
早期是正措置
が発動されたということがありますので、現在では三行が
早期是正措置
の適用を受けておるということでございまして、それ以外の地方
銀行
、第二地方
銀行
については今
監督庁
長官が申したとおりの
状況
である、こういうことでございます。
末松義規
129
○末松
委員
そうしますと、
監督庁
長官が、その問題の
銀行
以外は債務超過状態には一切ないんだという話を今明言されたわけであります。 同じ週刊ダイヤモンドの方に、実は自民党の
金融
問題
調査
会長の越智通雄議員が、地銀と第二地銀はいずれ半減する、ペイオフ延期もあり得るということで、地銀、第二地銀というのはもう半減しますというところまで言っておられると報道されておるんですけれ
ども
、そういうことからいくと、自民党の内部ではまた違った見方があるのかなという気もするんです。
政府
の見方としては、
金融監督庁長官
は、いや、もう全然コメントをしませんという話でしたけれ
ども
、そこの辺については、何ら問題ないとは言いませんが、債務超過はないということでよろしいわけですね。もう一回ちょっと確認したいと思います。
日野正晴
130
○
日野政府委員
お答えいたします。 ただいま申し上げましたように、本年三月期の決算におきましては、既に破綻している
銀行
を除きまして債務超過の
銀行
はないものと承知しております。 なお、ただいま、地銀、第二地銀の再編に対する考え方はどうかという御趣旨の御
質問
がございましたので申し上げますと、
金融機関
の再編は、
基本
的には各
金融機関
の
経営
判断によるべきものであるというふうに考えております。地銀あるいは第二地銀のような
地域
金融機関
につきましても、
金融システム
改革
の進展
状況
に対応いたしまして、それぞれの顧客ニーズにこたえるためにいろいろな創意工夫を現在発揮しているところでございますし、
競争力
の強化あるいは
経営
体力の強化を進めていく中でさまざまな動きが出てくる可能性があるのではないかなというふうに考えているところでございます。
末松義規
131
○末松
委員
そうしますと、債務超過というのは全然ないんだという話で、そうおっしゃっているんですけれ
ども
、この週刊ダイヤモンドによると債務超過続出みたいな書き方がしてあるわけです。これは逆に、そちらから見たらいわれなき根も葉もないことに基づいて書いた迷妄記事、いわゆる風説の流布なんだ、おかしいじゃないかということも一切反論をされないということですか。
日野正晴
132
○
日野政府委員
この週刊ダイヤモンド七月十日号にそういった趣旨の記事が載っていることは、もちろん読ませていただいて承知しておりますが、私
ども
といたしましては、あくまでも個別
銀行
の財務
内容
に関することでございますので、これについてはやはりコメントすることだけは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
末松義規
133
○末松
委員
そうしますと、コメントという話は、ここでどうこうというところまでは言いませんけれ
ども
、粉飾決算等も一応見抜ける体制を整えたということですから、これから債務超過の
銀行
がどんどん、あるいは何行か出てきた場合、長官、言われているところの責任はありますから、そこはぜひ御
認識
しておいてください。 では、今アドバイスもいただきましたので、そこのところについて御
認識
を再度お伺いします。
日野正晴
134
○
日野政府委員
先ほどから答弁させていただいておりますのは、
平成
十一年の三月期の決算において、私
ども
が承知しているところでは、債務超過の
銀行
は既に破綻している
銀行
以外にはないということを申し上げているところでございます。
末松義規
135
○末松
委員
ですから、この三月期において、もしそういうことが後でわかったら大変なことになりますよということを私は申し上げておるわけであります。 二番目にお伺いしたいのが、
金融再生委員
長の方にお伺いしたいんですが、ことしの三月十九日ですか、
大蔵委員会
におきまして、生命保険会社が長銀や日債銀に
供与
している劣後ローン、これは報道によれば七千四百五十億円とか、あるいは別の報道によればたしか一兆八百億円とか、そういうふうな数字が報道されているわけですけれ
ども
、仙谷
委員
が税金でこれを穴埋めするのかどうかということについてお聞きしたら、
再生
委員長
の方で、「しばらく時間をかりて検討いたしたい、」という話がございました。 この検討はもう結論を得たのかどうか、そこをちょっとお願いします。
柳沢伯夫
136
○
柳沢国務大臣
先生
今御
指摘
のとおり、三月十九日の当
委員
会におきまして、仙谷
委員
に対して私そのような答弁をさせていただきました。それから随分日がたちまして、改めての御答弁の機会がこのように遷延したことは私としても大変恐縮に思っておりますが、改めて以下御答弁をさせていただきます。 長銀及び日債銀の劣後ローン契約におきましては、劣後特約として、破産宣告または会社更生手続開始の決定がなされ、かつ、継続している場合を劣後事由として限定して定めております。劣後事由が生じた場合には、劣後ローンに係る債権者には、債権カット等の債権債務の清算手続が行われる過程の中で、弁済順位が劣後した形で元利金の支払い請求権が発生することとなります。 他方、特別公的管理の制度は、
破綻金融機関
に係る
預金者等
に対しまして、債権カットなどの債権者の負担を求めることなく、特別公的管理
銀行
の営業を継続させる中で不良資産の整理回収機構への売却等を行うとともに、必要の限度において
資金
援助を行い、健全な財務
状況
を有する
銀行
とし、受け皿
金融機関等
への円滑な引き継ぎを図るものであります。 このように、特別公的管理制度は、債権全般について債権カット等による債権債務
関係
の清算手続を求める制度ではなく、また、特別公的管理制度は、当該劣後ローン契約に限定列挙されている破産宣告または会社更生手続開始の決定がなされ、かつ、継続している場合という劣後事由に該当するものでもありませんから、
金融再生委員会
として改めて検討をしまして、劣後ローンを含むすべての負債について契約に従い
保護
することを改めて確認したところでございます。 長銀及び日債銀に係る特別公的管理を公表した際の総理談話におきまして、長銀または日債銀双方の預金、
金融
債、インターバンク
取引
、デリバティブ
取引
等の負債は全額
保護
され、期日どおり支障なく支払われることとなっているとの見解も、このような考え方に立って発出されたものであります。 なお、劣後ローンは
銀行
監督
規制上は
資本
として取り扱われておりますが、劣後ローンの本質は債務であり、劣後ローンの
銀行
監督
規制上の
資本
性に着目し、株式に準ずるものとして劣後ローンに係る債権者に対して債権カットなど契約条項にない一方的な不利益を強制するにつきましては、
法律
上の根拠が必要であると考えております。 これが私
ども
の検討の結果でございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
末松義規
137
○末松
委員
済みません。文語体ですので、なかなか私自身も理解しにくいところもあったのですけれ
ども
、要するに、劣後ローンについても
保護
するのですか。そこのところを、私も
一般
論を述べられてちょっとわからなかったものですから、率直に答えてください。
柳沢伯夫
138
○
柳沢国務大臣
ちょっと長々とした文章でおわかりにくかったこと、私も読みながらそんな
感じ
もいたしましたので、改めて申し上げますと、要するに、劣後ローンの劣後性というのは債権全般について何らかの清算が行われるときに問題になる、こういうことであります。 ですから、特別公的管理は債権について何らの清算も行いませんから、したがって、まずそこでももうこの事由を欠くわけでございますけれ
ども
、さらに債権全般の清算が行われるときでも、明示的な限定列挙された事由がある、それに該当する場合のみ劣後するというふうに解されるということでございます。 なお、それでは何でBIS規制上この
資本
性を云々するんだということが問題になるわけでございますけれ
ども
、これはいわゆるシニアデットというか、そういうデットでないということでBISが
資本
性を認めたわけであって、だから、
資本
性を認めたからといって
資本
と運命をともにするというものではない、これが
資本
性との
関係
での我々の考え方であります。 以上です。
末松義規
139
○末松
委員
そうしますと、具体的にもう少しお聞きしたいのですが、長銀に関して生保なんかが有している劣後ローンの問題については、この劣後ローンの返済ということでもって
保護
をして税金を投入する、あるいは
公的資金
をそのために投入するということはないですよねということを私は確認したいのですが、それはあるということでございましょうか、今の御答弁は。
柳沢伯夫
140
○
柳沢国務大臣
債務として新しい受け皿
銀行
に承継されるということであります。そういうことでございますので、資産との見合いで不足をする分は損失補てんになりますから、その劣後ローンのためにという牽連
関係
と申しましょうか対象性というものを、意識はありませんけれ
ども
、損失補てんをするということで結果においてそれが補てんの対象にもなると解することもできる、こういうことです。
末松義規
141
○末松
委員
この劣後ローンというのは、
資本
のティア2に入れているのですよね。ということは、なぜそれに入れているかということは、平たく言えば、つぶれた場合には返さなくてもいいじゃない、
基本
的にそういうふうな性格もあるから入れているのだろうと私は解してもいたのですが、今の御答弁でいくと、ここは概念的にはっきりしておかないと困るのですよ。何かひょっとして対象性があって、ここでこういうことも解され得るとか、得るかもしれないみたいな言い方はちょっと困るので、そこのところの概念ははっきり言ってください。これは
関係
ないんだ、あるいは
関係
あるのか、もうちょっとお願いします。そこの答弁は苦しいかもしれませんが、ぜひはっきりしてほしいのです、概念的に。
森昭治
142
○森(昭)
政府
委員
私の方からお答えさせていただきます。 今
大臣
が申し上げんとされていることは、
先生
、つぶれるというお言葉をお使いになられました。(末松
委員
「公的管理だ、ごめんなさい」と呼ぶ)いいのでございます。私が申し上げたいのは、劣後ローン契約というのは
法律
的に契約が結ばれておりまして、世の中には破綻とかつぶれるということについてはいろいろな意義があろうかと思いますけれ
ども
、この劣後ローンについては、先ほど
大臣
が申し上げましたとおり、破産という形態、会社更生という形態、この二つに限定して契約がなされておりまして、いわゆる破綻
一般
ではございません。 特別公的管理の場合は、長銀あるいは日債銀が特別公的管理
銀行
に移行するわけでございますけれ
ども
、特別公的管理
銀行
の間に破産ないし会社更生法の適用になることは想定されておりません。そのままの
状況
で受け皿
銀行
に引き継がれるわけでございます。 したがいまして、劣後ローン契約の中に定められている事由、すなわち破産ないし会社更生法の適用のあったときには負債の履行に当たっては劣後いたしますということが特別公的管理
銀行
の間においては起こらない。すなわち、劣後ローンも、その事由に該当しない限りは全くほかの負債と同じでございます。負債でございます。その負債のままで次の受け皿
銀行
に引き継がれますので、したがいまして、劣後事由が生じないという意味においてほかの負債と差はないということを申し上げたかったわけでございます。
末松義規
143
○末松
委員
負債、負債と言われますけれ
ども
、
再生委員会
は、大手
銀行
への
公的資金
注入で、劣後ローンを
資本
とみなして一部の
銀行
にも注入しているわけですね。何かそこの辺、ちょっと私自身、今の御説明では納得できない、矛盾があると思うのです。ですから、ちょっと時間がなくなりましたので、再度ここは
質問
させていただきます。 次に、最後ですが、
国会
移転問題について、
公的資金
ということで
国民
に税金の負担を求めるという意味の
観点
から
質問
させていただきます。 今、例えば
警察庁
にしろ、新しい首相官邸ができようとしております。どうも
国会
移転という話になると、あの新しい首相官邸は一体どうなるんだ、これは私だけではなくてたくさんの方が
指摘
されているのですけれ
ども
、そこをちょっと問題としたいと思いますが、今、
国会
移転問題の進捗
状況
について、ごく簡単に御説明いただけますか。
板倉英則
144
○板倉
政府
委員
首都機能移転、
国会
等移転と同義でございますが、これにつきましては、現在、
国会等移転審
議会におきまして
調査
、審議が精力的に進められているところでございます。 具体的には、昨年一月に、今後詳細な
調査
を行っていく
地域
といたしまして
調査
対象
地域
が三
地域
設定されまして、その後、四月から五月にかけまして
調査
対象
地域
に
関係
する地方公共団体ヒアリング、それから九月から十月にかけまして現地
調査
が実施されております。また、ことしに入りまして一月から六月にかけまして、全国九ブロックにおきまして、広く
国民
の方々の御意見を伺うという見地から公聴会が開催されました。 現在、
調査
対象
地域
の各
地域
について、交通ネットワークとか地震等の災害、あるいは水供給の安定性など、各分野ごとの詳細な
調査
検討が行われているところでございます。 今後、
国会等移転審
議会におきましては、候補地間の相互比較、総合
評価
等を行い、本年秋ごろを一応の目安としまして移転先の候補地の選定作業を進めることとされております。
末松義規
145
○末松
委員
そうしますと、
国会等移転審
議会におきましては、
国会
を移転しないという判断はそこではできませんね。
板倉英則
146
○板倉
政府
委員
首都機能移転の問題でございますが、
先生
御案内のとおり、
平成
二年の
国会
等の移転に関する
国会
決議、
平成
四年の
国会
等移転に関する
法律
の制定、それから
平成
八年の同法の一部改正等、いわば
国会
の主導のもとに精力的に検討が進められてきたテーマでございます。 現在、この
法律
の第二章というのがございまして、そこに
基本
方針が定められております。また、改正前のこの
法律
に基づきまして設置されました
国会
等移転
調査
会というのがございますが、そこで
基本
的な移転先地の選定基準というのが示されたわけでございますが、現在の
国会等移転審
議会は、その移転先の選定基準に則しまして移転先候補地の選定作業を進めるという立場でございます。そういうことでございますので、総体としましては、移転の具体化に向けて積極的な検討を行えという
法律
の趣旨に沿って現在作業を進めている、こういうことでございます。
末松義規
147
○末松
委員
総理府の方もおられるかと思いますけれ
ども
、ちょっと時間がなくなったのであれですけれ
ども
、そうしますと、新しい首相官邸なんかをつくっても、
国会
移転したらまたその地において首相官邸をつくらなければいけないのではないか、だれが見てもそう思うわけです。この費用は四百数十億円かかるという話なのですが、これはどういうことですか。そんなに
我が国
の財政は余裕がありましたか。
大蔵大臣
、大蔵省として予算を認めた立場から、そこの御見解をお伺いしたいと思います。
坂篤郎
148
○坂
政府
委員
新官邸につきましては、現在の総理官邸が築後約七十年たっておりますというふうに聞いておりまして、非常に老朽化しておる、あるいは非常に狭い、特に通信機能や何かの
関係
からいって非常に狭いというような問題がある。内閣の機能強化でございますとかあるいは危機管理体制、阪神・淡路のときも大問題になったわけでございますが、そういった危機管理体制の強化というものが求められる中で急いで整備する必要があるのではないかということがございまして、十年度の第三次補正予算からその建設経費を計上させていただきまして、今年度の予算でもまた引き続きやっておるわけでございます。 首都機能移転との
関係
では、私
ども
伺っておりますのは、移転後も東京が
我が国
の
経済
、文化の
中心
ではある、そのことには変わりはないということでございまして、
国民
各界各層との意見交換の場、あるいは国賓、公賓等が当然おいでになるわけでございますが、そういった方たちの接遇の場としての活用というのが必要ではないかということ、それから、例えば災害のときなどに危険分散、場所を分散しておく必要があるのではないかといったような
観点
、そういった
観点
から東京における
政府
の活動拠点として利用されるというふうに私
ども
伺っているところでございます。
末松義規
149
○末松
委員
私
ども
考えておりますという決断はだれがやっているのですか。それは大蔵省が勝手にそういうふうに考えているのですか。それはだれが決定したか、その位置づけを言ってください。
坂篤郎
150
○坂
政府
委員
官邸を建てかえるということ自体、あるいはそれについて予算要求をどういうふうにされるかということ自体は私
ども
ではございませんで、総理府あるいは内閣官房でいろいろ御検討になって、私
ども
に御要求があって、私
ども
はその予算を査定する側から、今申し上げたようなことを伺って、そのようなことも考えて予算の査定をいたしまして、それを当然
大臣
に御
報告
をいたしまして、また内閣、閣議で予算案というのが決定されまして、
国会
で予算
委員
会等で御議論になって決定をされた、こういうプロセスかと思います。
末松義規
151
○末松
委員
早急に老朽化した首相官邸をつくりかえる、これは多分筋が通っていると思うのですね。ただ、スケジュール的に見ますと、二〇〇三年にそれが終わるという
状況
なのですね。一方、
国会
移転については、当時の平岩会長が昨年の一月に、
平成
十一年の秋ごろ、作業上の一応の目安として移転先の候補地を選定することができるよう精いっぱい
努力
と書いてあるのです。ということであれば、もう同時並行的に全部やっていくということなのですが、危険の分散だという今の位置づけでいけば、全くそこは違ってくるのですよ。ですから、物すごくでっかい、すばらしいものを建てる必要が本当にあるのかどうか、そういうところも検証しなければいけないと思うのですね。そこの点について、最後にちょっと
大臣
に、そこをどう整理しておられるのかというのをお聞きして、私の
質問
を終わりたいと思います。
宮澤喜一
152
○
宮澤
国務大臣
ただいま
政府
委員
がお答えいたしましたように、これは総理府あるいは官邸からの予算要求に基づきまして、適正と認めまして私
ども
はそういう予算編成をしたわけでございますが、その
理由
とするところは今主計局次長がお答えをしたとおりでございます。 それに加えまして、恐らく、普通に考えまして、
国会
移転というのは非常に大きな出来事でございますから、いろいろな意味でおくれがちだということもあるだろう、片っ方は老朽をしているといったようなことも、要求者としては予算要求の際にお考えになったのだろうと思います。
末松義規
153
○末松
委員
それで
国民
は納得するかどうか、
国民
に判断をゆだねますけれ
ども
、今は
質問
を終わります。ありがとうございました。
鴨下一郎
154
○鴨下
委員長
代理 次に、上田清司君。
上田清司
155
○上田(清)
委員
民主党の上田でございます。 早速ですが、まだ
預金保険機構
の
理事長
は御到着ではないですね。わかりました。それでは順番をまた変えまして、まず、
柳沢大臣
にお伺いしたいのです。 「
破綻金融機関
の
処理
のために講じた
措置
の
内容等
に関する
報告
」の最終ページでありますが、こちらに
公的資金
を投入した十五行の平均役員賞与や報酬あるいは退職慰労金のリストが載っております。甚だ私はこれに疑問を持っております。 例えば、十五行の平均役員退職慰労金が十一年三月末で五千五百万。もし
公的資金
が導入されなければあるいは近い将来的に
経営
破綻もあり得たような
銀行
に、なぜ役員に平均で五千五百万の退職金が支払われることをお認めになるのか。 あるいは、この中でも三和
銀行
を見ていただきたいのですが、一億二百万。本年度、私の知るところでは二十七人退任をされる役員がおられるはずであります。これを都市
銀行
の平均の五千五百万に掛け合わせますと約十四億、そして一億を二十七人に掛けますと二十七億。そうしますと残りが約十二億ぐらいになるわけでございますけれ
ども
、多分、頭取と会長のお二人で十二億ぐらいになってしまうのではないか。つまり平均で、二人でいえば六億ずつ。このぐらいの推定もできるわけでありまして、私は、到底こういうことを認めてはならない、退職金を自発的に返上すべきだと考えております。 その根拠となるのは、
金融再生委員会
の告示の第二号、この中にも、「議決権のある株式の引受け以外の株式等の引受け等の要件に関して、
経営
の合理化、
経営
責任の明確化、株主責任の明確化及び
資金
の貸付けその他
信用供与
の
円滑化
のための方策に関する基準を定める件」という形できちっと書いてありますね。役職員数及び経費の抑制等により
経営
の合理化を図ること、これが一です。二と三を飛ばしまして、「四 利益の流出を抑制すること。」「五 国内向け
信用供与
の減少を回避するような方策を策定し、これを実行すること。特に
中小企業者
向け貸出しの総額については、原則としてその
残高
を増加させること。」ページで言いますと百六十六ページでございます。
委員
の
皆様方
もぜひ見ていただきたいのですが、この百六十六ページの告示第二号の中身から到底かけ離れた結果が、この一番最後のページの「平均役員退職慰労金」。まさにこれは利益の流出ですよ、私に言わせると。そして、役職員数及び経費の抑制等により
経営
の合理化を図ること、この一項にも匹敵します。 しかも、御承知のとおり、
再生
委員長
が新聞なんかでも記者会見なされましたように、
中小企業
への貸出額は減っているのですね、ふやせと言っているのに。十五行中八行減っている。もちろん、
銀行
全体の貸付
残高
も減っている。公的
資本
の注入のときには、あくまで貸し渋りを解消し、市中にお金が流れるように、これを名目にしたのです。 あれは真っ赤なうそだったのですかということを改めてお伺いしたいのですが、ともあれ、この高額退職金について返還、返上をするような御要請を
金融再生委員会
委員長
として、担当
大臣
としてなされるかどうか、このことについてお伺いしたいと思います。
柳沢伯夫
156
○
柳沢国務大臣
上田
委員
から役員の退職慰労金についての御
指摘
をいただきました。 リストラの一環として、また、
資本
注入を受ける
金融機関
の遵守すべき事項というものが
法律
でも規定をされておりまして、それに応じて、私
ども
若干のものを付加しながら、
先生
御
指摘
の告示を定めさせていただいたわけでございます。 そこでも、
基本
的に健全行に対しては、これは
法律
の過少
資本
行等々に係る規定と御比較いただくとわかりますように、「利益の流出を抑制すること。」というようなことになっておるわけでございまして、例えば過少
資本
行、隣の項でございますが、そこでうたわれているように、「役員に対する賞与の支給等を抑制すること。」と具体的に書いてあるのとは差を設けて規定がなされたということが
国会
の御意思であったわけでございます。 そういうようなことを踏まえて、私
ども
は、今回の
資本
注入に当たってのリストラについてもできるだけ
国会
の意向をそんたくして、しかし、それに必要な、例えば
中小企業
貸し付けというようなものについてはあえてここにつけ加えて規定をさせていただいたということでございます。 したがいまして、
基本
的に我々が考えたことは、要するに、リストラとかなんとかその他いろいろな要件があるわけですが、それの最終の結果というものは
収益
というものにあらわれてきて、これこそが我々の投入した
資本
の毀損を免れさせる源泉になる力であるというふうに考えておりまして、ここに危殆が及ぶような事態となれば我々は所要の
措置
を断固としてとるということはかねて申し上げておるとおりでございますが、そうでない限りはできるだけ、
国会
の意思をそんたくしたこの告示がぎりぎり守られていれば、その一つ一つについて、はしの上げ下げに至るようなことについては容喙しない、むしろ
経営
の自主性というものにゆだねていこう、これが私
ども
の
基本
的考え方であります。
上田清司
157
○上田(清)
委員
担当
大臣
は一つ誤解があります。この告示に関しては
国会
の意思じゃありません。これは
委員
会でつくられた告示でしょう。
国会
がつくったんですか。
国会
はその大枠をつくったのであって、この告示はあくまで行
政府
が一つの目安の基準として出されたものです。だから、
国会
の責任、
国会
の意思をそんたくしてというのは、少し論理の飛躍があります。 それで申し上げますが、
大臣
としては今の御答弁だと、これでよしというお話になりますよ。本当によろしいんですか。少なくとも、
公的資金
を投入する過程の中で、もう既に日債銀と長銀の毀損たるや膨大なものですよ。そういうものも含めて大枠で回収しなきゃならないというときに、同じレベルではないとはいえ、それなりに利益を出している。それでも本当に、五億、六億。これはあくまで推定です。二十七人の平均が一億二百万、市中
銀行
の十五行の平均が五千五百万。二倍近いものをなぜ三和
銀行
だけが許されるのか。特定の方が多分五億とか六億という形でいただける過程になっていると私は思います。こんなことが許されるわけないじゃないですか、
国民
感情からして。それを
大臣
が何にも言わないというのはおかしいですよ。これは私は認められませんね、
大臣
がそんなことを言っていられるようでは。ぜひやめてもらいたいですね、そんな担当
大臣
だったら。冗談じゃない、
国民
は怒りますよ。もう一度聞きたいと思います。
柳沢伯夫
158
○
柳沢国務大臣
上田
委員
にはもう釈迦に説法かと思いますけれ
ども
、
委員
自身も御
指摘
になられた告示第一項の第四号「利益の流出を抑制すること。」というくだりは、これは
健全化法
の第七条第二項の第一号ロと全く同一の文言でございます。つまり、ここのところは、あくまで我々は、
国会
の議決された
法律
に従って決めさせていただいたということであります。 そして、確かに、
委員
が
資本
の
増強
をした
銀行
に対してリストラというかそういうものを求めるというお気持ち、
姿勢
、あるいは
方向
というものについては私もよく理解できるわけでありますが、ただ、私
ども
は、
資本
の
増強
をしたということのみをもってどこまで一体我々国の意思を
経営
に入れていくことができるのかということ、これはやはり別の問題として考えなければならない、私はそのように思うわけでございます。そして、その限度を決めたのがやはりこの
法律
であろう、こういうような解釈に立って冒頭申し上げたような
先生
に対する御答弁を申し上げた、こういうことであります。
上田清司
159
○上田(清)
委員
正式にまたお答えになっておられませんが、
資本
注入のときも、
経営健全化計画
を各行に出させて、さまざまなリストラ
計画
も出しました。その中の
基本
的な部分についても
委員長
御承知のとおりであります。役職員の退職金の減額、あるいは賞与を全廃するとか、そういう形での
経営健全化計画
を出したことも事実でありまして、私は、四の言葉を言っているわけじゃないのです。一にちゃんと、役職員数及び経費の抑制等により
経営
の合理化を図ること、これにだって匹敵するじゃないですか。はしの上げおろしじゃないですよ。一のところにも該当しているのですよということを申し上げております。当然ですよと。それを覚悟してもらわなくちゃいけない。世間の常識の中で認められる範囲じゃないとそういう役職員の高額な退職金をいただくというようなことはできない、こういうことを私
ども
は言ったつもりですよ。だから、その趣旨からすれば、一の部分で十分該当できるはずですよ。 もう一度申し上げます。役職員数及び経費の抑制等により
経営
の合理化を図ること。まさに経費の抑制じゃないですか、役職員の退職金を減らすということは。 ここで、
大臣
が絶対言わないというのならしようがない。しかし、
大臣
もいいことを言われました。
中小企業向け
の貸出
計画
について、十五行中八行未達成じゃないか、七千百億も未達成じゃないかときちっと言われました。一方ではこういうところが未達成、一方では一億からの退職金をとっちゃう。これは許されないのですよ、
国民
感情から。我々は、政治の場にあって、毎日
国民
の
皆さん
と接する場にあって、こういうことは許されないということをきつく、
国民
感情の平均はそんなものですよということをここで強く申し上げて、
銀行
関係
者に猛省を促したいと思います。 次に移ります。
参考人
でお呼びしておりますので、できるだけお早く帰っていただくようにということで、ちょっと先んじてやります。 まず、御承知のとおり、京都共栄
銀行
が幸福
銀行
に営業譲渡され、幸福
銀行
、その当時、たしか私の記憶だと四百五十六億か何かの
資金
援助をいただいた経緯があって、それが昨年の十月でありました。そして八カ月後に破綻。そして福徳、なにわが、やや健全
銀行
ではないのですが、とにかく
大蔵大臣
があっせんする中で合併して、金銭贈与とかもやったり、不良債権を
預金保険機構
、回収
銀行
が引き受けたりしながらなみはや
銀行
をつくった、八カ月後に
早期是正措置
を受けている。 あるいは、みどり
銀行
から阪神
銀行
、そしてみなと
銀行
と転々としながら、その都度
預金保険機構
から
資金
供与
をいただいているという経緯の中で、とりわけ一昨年の十月から十二月にかけて、この
委員
会でも私は何度か質疑いたしました。何の基準もなしに健全
銀行
に不健全
銀行
をくっつけていくというようなやり方はよくない、あるいは不健全
銀行
同士を特定合併させるのもよくない、せめて基準だけ出してくださいということを毎回申し上げましたけれ
ども
、メモ一つも出なかったのですね。答弁で、ケース・バイ・ケースである、言えないと。
大蔵大臣
、
大蔵大臣
があっせんされたことになっております。もちろん当時の
大蔵大臣
でありますが、今日二つともパアになった。あるいは、みどり
銀行
から阪神、みなとという過程の中で次から次に破綻
状況
に、みどり
銀行
に関しては、破綻
状況
の中で阪神
銀行
が受け皿になり、みなと
銀行
として新しく発足していくという形をとっております。余りにもおかしいじゃないですか。しっかり
大臣
があっせんされて、これから強化されますよ、なみはやができるときも、これで
経営
体力は著しく強化されますとかいうことを言いながら、実はこんな事態になっている。余りにも不見識だということで、
大臣
は責任を
感じ
ておられますか。
宮澤喜一
160
○
宮澤
国務大臣
当時の事情について調べたり聞いたりいたしておりますと、今日のような制度がございませんために、この
措置
をとるしか、
地域
のことを考えますと、この
地域
にはやはり
金融機関
が必要であろうということからああいうことをした。いたしましたが、実は両方とも強い
銀行
でないということは
一般
的にはわかっておったことでございましょう。しかし、国の援助によって何とか
地域
に
銀行
を残していきたい、こういう意図であったというふうに説明を受けております。 それは善意であったと思われますけれ
ども
、結果としてはその試みは結局成功していないということでございますから、これはやはり、
行政
としては法に従い、また善意を持ってやったことではありましても、結果としては失敗であったわけでありますから、私は
行政
の責任というものは残ると考えています。
上田清司
161
○上田(清)
委員
形の上ではどのような形で残るのでしょうか。
宮澤喜一
162
○
宮澤
国務大臣
やはり、大蔵省の
金融
行政
というものが必ずしも適当でなかったということから、省内においてもそれに対するいろいろな処分も行われましたし、反省も行われ、また、世間からも指弾を受けました。また、いわゆる
金融
行政
一般
につきましては、大蔵省からこれが
金融監督庁
あるいは
再生委員会
、さらには将来
金融
庁でございましょうが、それに移行をするという形で責任を問われたと考えます。
上田清司
163
○上田(清)
委員
預保の
松田
理事長
にお伺いしますが、年間の
金融機関
の
預金保険機構
に対する出資総額は幾らになりますか。
松田昇
164
○
松田
参考人
平成
八年に現在の
預金保険機構
の形になりまして特別保険料を徴収するようになりましたが、
平成
八年度、九年度、十年度、いずれも四千六百億円であります。
上田清司
165
○上田(清)
委員
私が知るところでは、
平成
四年以降、五十八件の金銭贈与を行っている。金額で五兆九千七百七十二億というのは大体当たっておりますか。
松田昇
166
○
松田
参考人
そのとおりだと思います。
上田清司
167
○上田(清)
委員
そうしますと、
預金保険機構
が
銀行
だとすれば、ここももう大変な債務超過みたいな
状況
になっているということでございますが、まさしく、先ほどお話ししました部分がどんどん毀損して
預金保険機構
の収支バランスが非常に悪くなっている。さりとて、今の
銀行
の体力で特別保険料を引き上げるという形もとれない。結果的には借入の形をとっておるという形になっておりますが、
預金保険機構
としてどのような形でこのバランスをきちっととっていかれるつもりなのか、そのことだけお伺いしておきたいと思います。
松田昇
168
○
松田
参考人
まず、現状でございますけれ
ども
、先ほど御
指摘
ございましたように、金銭贈与で
平成
四年から使いましたのが、丸めて約六兆円弱でございます。それで、使いました保険料がその中で二兆七千億円、それから特例
業務
基金としての国債を償還して使わせていただいたのが約一兆五千億円、残りが一兆七千五百億円、これが借入金になっているわけでございます。 借入金自体はいろいろな問題がございますので、全体としては十五兆円の借り入れを現在起こしているわけでございますが、それぞれ借り入れは、同時に貸し付けという形をとったり、いろいろな形で変化しておりますので、それ自体、即損失ということじゃございません。現在の損失は、
資金
援助に係る
一般
勘定と特例
業務
勘定との
関係
の約一兆七千五百億円、これが当機構の一番大きな欠損となっております。 今後はどういうことになるかといいますと、現在のところ抱えております
状況
ですが、破綻が公表されておりますのが大体、四つの
信用
金庫、二十三の
信用
組合、それから先ほど来お話に出ております特別公的管理
銀行
が二
銀行
、それから被管理
金融機関
、
金融
整理管財人が入っておりますのが三
銀行
と五つの
信用
組合、このように及んでおりますけれ
ども
、いずれもまだ具体的な
資金
援助の日程その他は固まっていない
状況
でございますので、現時点において財務
内容
を将来に向かって見通すことはなかなか難しいということで御理解をいただきたいと思います。
上田清司
169
○上田(清)
委員
いずれまた機会がありましたら、この辺の議論をさせてもらいたいと思います。どうぞ、お引き取りいただいて結構でございます。 それでは、
金融監督庁
にお伺いします。 過日、行革特で
平成
七年八月の立入
検査
の各分類ごとの金額を教えていただきました。例えば、幸福
銀行
のことでございますが、回収不能の第四分類が八百四十九億だったというようなことを数字で言われております。私も幸福
銀行
の
自己
資本
率とかを細かく調べておりませんが、結論だけで結構でございますが、この当時、債務超過だったのかどうか。 というのは、いろいろな
金融
関係
の雑誌に、当時債務超過だったんじゃないかというような記事がよく流れております。
平成
七年八月の立入
検査
で、この間聞いただけでも、第二分類が三千八百八十一億、第三分類が七百八十三億、第四分類が八百四十九億という、とりわけこの第四分類なんかは、回収不能ですのでそっくり損失だというふうに理解していいかと思いますので、相当たちの悪い
状況
になっていたのではなかろうかということが予測できます。そういうことも含めて多分債務超過だったのではないかというような記事が出ているのかなというふうに思っておりますので、具体的に、明確に、あったのかなかったのか聞きたいと思います。
五味廣文
170
○五味
政府
委員
平成
七年八月十八日を基準日とする幸福
銀行
の
検査
結果、ただいま
先生
がおっしゃいましたとおりの数字でございますが、この当時、
平成
七年でございますので、
早期是正措置
の導入の前でございますから、
検査
において償却や引き当ての
適切性
というものを
指摘
をする仕組みになっていなかった、こういうことでございます。 したがって、こうした
検査
結果に基づく償却、引き当てというものをどういうふうに行い、それをどの決算期で具体的に反映していくかということは、
基本
的に当該
銀行
と監査
法人
とでお決めになる、こういうことでございました。したがって、例えば、先般の集中
検査
で行いましたときのように、
検査
の結果に基づく追加償却、引き当てを考慮すると債務超過であるとかないとかいうような認定が当局によってはなされていない、こういう仕組みでございます。 なお、そういうことでございますので、御参考になる数字だけちょっと申し上げておきますが、この
検査
基準日が七年八月十八日でございますが、この直後に九月期決算が行われております。七年九月期末におきます広義
自己
資本
額が八百五十六億円でございます。
検査
自体の示達は
平成
八年の二月になってからでございますので、
銀行
がこの最終結果を知りましたのは八年の二月ということになります。幸福
銀行
では、この
検査
結果も踏まえてということであろうと存じますが、
平成
八年三月と十年三月、それから十一年一月、この三回にわたりまして、それぞれ六十億円、第三者割り当て増資を行っておられる。 御参考までにそうした数字を申し上げておきます。
上田清司
171
○上田(清)
委員
非常に克明にありがとうございます。 これは当時大蔵省だったと思いますが、
平成
八年の二月にこの立入
検査
の後の示達書を出したということなんでしょうか、今のお話だと。ちょっと聞き違ったかもしれませんけれ
ども
、もう一回。
五味廣文
172
○五味
政府
委員
示達が行われましたのが
平成
八年二月でございます。したがって、三月期決算の直前にはその
内容
がわかる状態になっていたということです。
上田清司
173
○上田(清)
委員
平成
七年の八月十八日に立入
検査
をやって、そのときには特に当局によって何らかの形での指示はなかったということで承りました。
平成
八年の二月に大蔵省で示達書を出されたということは、この示達書できちっとした
評価
を出されたんでしょうか。例えば、
自己
資本
が九月期決算で八百五十六億ですから非常に際どいですね。八月十八日の八百四十九億回収不能、第三分類だけでも七百八十三億ですから、常識的にいけば、第三分類を低目の一五ぐらいに引き当てたとしても、ちょっとこれは債務超過になる可能性が高いですね。この辺について示達書では何か述べられたんでしょうか。
五味廣文
174
○五味
政府
委員
破綻をいたしました
金融機関
でございましても、その
検査
の詳細につきましては、やはりそれぞれの民間の
金融機関
の意に反してその
経営
内容
を明らかにする、あるいはその
取引
先もございますし、そういうことで詳細は明らかにいたしませんけれ
ども
、こういう
状況
でございますから、当然のことながら、
検査
当局といたしましては、
自己
資本
が非常に薄い
状況
にこの時点ではなっているという
認識
は持っておりました。そんなこともあって、恐らく第三者割り当て増資というようなことも
銀行
はなさったんだろうと思います。
上田清司
175
○上田(清)
委員
例えば
平成
八年の三月に六十億の
自己
資本
の
増強
をなされたというようなことも言われましたが、それを足してもなかなか厳しいんではないかなというふうに数字の上で私は理解ができます。 そうすると、この時点で債務超過であったという可能性の方が高いんですけれ
ども
、にもかかわらず大蔵省は当時何もしなかったんですか。それとも、明確に当時の
認識
では債務超過じゃなかったというふうに言われるんでしょうか。
五味廣文
176
○五味
政府
委員
先ほど申しましたように、この
検査
における債権の回収の危険度による分類というものを踏まえまして
銀行
と会計監査人が協議をして適切な引き当てを行って決算を組む、こういう仕組みでございます。 そうやって組まれました決算、この
検査
立ち入り中が九月期決算になるわけですけれ
ども
、これは赤字ではございますけれ
ども
資産超過という決算が組まれておりますし、その後の決算でも資産超過の決算を組んでおられますので、会計監査人と
銀行
とで適切な
処理
をなさった結果、資産超過である、こういう結論を当局としては踏まえて
行政
を行うということであったということでございます。
上田清司
177
○上田(清)
委員
とりあえずわかりました。またこれは、予算
委員
会等でもう少し私も数字の計算をし直してからお尋ねしたいと思います。 それから、日銀にもおいでになっていただいておりますので、むだな時間を費やすのはいかがなものかと思います。 先般、
大蔵大臣
、日銀の半年に一回の
国会
に対する
報告
がございまして、この
委員
会で四時間、審議をさせていただきました。当然、最近における日銀の
政策
の中での議論が真摯になされまして、私などは特融について非常に気になっておりまして、特融の回収ができない
状況
が日銀の将来における一種の
信用
というんでしょうか、そういうものをなくしていくという、まあこれは
報告書
そのものにも書いてありましたけれ
ども
。 そういうふうな
認識
でいくと、山一の日銀特融について、十一年六月三十日の時点で三千四百億、日銀特融が事実上回収不能に、最終的にはまだわかりません、しかし、この時点ではこのくらい回収不能の可能性があるということを総裁からお聞きしました。 これについて私は、四十年のときの山一の一回目の特融の事例を申し上げながら、これは
大臣
はいわば
日本経済
の生き証人ですので御記憶にあるかと思いますが、当時田中角栄
大蔵大臣
のときに、五年にさかのぼって役員の
皆さん
の私財を没収することや、株券、それからもろもろ、土地、家屋、全部没収することを特約条項に書いて一種の契約をした上で山一に対する限りない特融をやった経緯があります。それほどの覚悟を当時の日銀は
経営者
に対して突きつけている。今回の山一に関してはそれがない。それは極めて残念であります。また、役員の人たちから退職金一つも返そうと思っている人もいないという、この厚かましい人種の人たちも困るんですけれ
ども
。 そこで、この毀損した三千四百億についてはあくまで
大蔵大臣
、大蔵省に責任があると明快に日銀総裁は申されましたけれ
ども
、そのとおりでしょうか。
宮澤喜一
178
○
宮澤
国務大臣
日銀がたび重なる特融をやられまして日銀のバランスシートが悪くなるということは、中央
銀行
としては、やはり世界の中央
銀行
の一つとして決して
日本
のためにいいことではない、御心配になるのは私はごもっともだと思っております。 山一の場合に日銀が特融をされましたのは、
大蔵大臣
の恐らく要請、あるいは当時古い日銀法でしたか新しい日銀法でしたか、いずれにしても命令か要請でございますから、これは本来ならば、
大蔵大臣
のそういう要請あるいは命令によって行ったことでございますから、金額がどういうふうになるかはわかりませんけれ
ども
、
大蔵大臣
に責任がある、私はそういうふうに考えています。
上田清司
179
○上田(清)
委員
それでは、
大蔵大臣
、この欠損が最終的に固まるときだとは思いますが、どのような形で
措置
をされるのか。 少なくとも当時は、債務超過はないと
認識
しているというようなことばかり言っておられました。大変な責任ではないですか。金額的に責任を負うということだけじゃなくて、事実を誤認されていたという、このことに関しても
大臣
としての責任は大きいのじゃないでしょうか。
宮澤喜一
180
○
宮澤
国務大臣
それは、二つのことは分けて考えなければならないのではないかと思います。 山一が破産宣告を受け、そして債務超過であるということが今わかっておりますけれ
ども
、当時、そうであるというふうには
一般
には思われていなかったと思います。山一でございますよ。債務超過であるというふうには
一般
には思われていなかったと私は思いますが、いろいろな事情で債務超過だ、それはもう議論をいたしません。ただ、日銀はそういうことで特融をされたのでございますから、投資者
保護
基金というものはあるわけでございますけれ
ども
、なかなかそういうことではこの金額には恐らく届かないだろうと考えるのが常識だと思いますから、そうしましたら、残りはやはり
大蔵大臣
が何かの形で日銀がお困りにならないようにしなければならない、それは私はそのとおりだと思います。金額がどうなるかわかりませんから、今具体的にどうするということを申し上げるに至りませんけれ
ども
、何かのことをして日銀に御迷惑のかからないようにしなければならない、そう思っています。
上田清司
181
○上田(清)
委員
それは日銀にとりましてはきちっとした回答だということで、はっきりしていいことだと思いますが、しかし、当時、
大臣
も御承知のとおり、当時は三塚
大蔵大臣
だったのですが、山一に関しては債務超過じゃないということをしきりに言っておられまして、しかし、いろいろな飛ばしの
状況
やそういうことを考えると、予算
委員
会や
大蔵委員会
で、議事録を見ましても、今自治
大臣
をやっている野田
大臣
も含めていろいろな御
指摘
をされております。これは債務超過の可能性が高いのじゃないでしょうかというような議論が出てきておりまして、その中で、あくまで日銀総裁も
大蔵大臣
も、ちゃんと債務超過じゃないから大丈夫だというようなことを言っておられて、実際ふたをあけてしまったらこういうことだったということで相済みませんではなかなか済まないでしょう。 我々は
委員
会で何か御答弁されても、半年たったり一年たったら——日債銀も長銀もそうですよ。債務超過じゃないと何回言われましたか。僕らが調べているだけで、何度も、わずかな
資料
の部分でもこれは怪しいと。佐々波
委員
会だって本当はみんな怪しいと言ったのでしょう。それを日銀総裁と
大蔵大臣
が大丈夫ですと言って、結果的にはパアになったじゃないですか。何回も何回もそういうことを言っていて実際違ったといったら、
委員
会でやっている意味がないじゃないですか、答弁がいつも半年たったり一年たったら中身が違っていました、相済みませんで。そういうときに何回議論をしたと思っているのですか。正直にその時々に言っていただかないと困るんですよ。隠し通せるものだったら隠し通そうというようなパターンじゃないですか。それで、見えてしまったら済みませんと。冗談じゃないよ。
委員
会を何と考えているのですか。言っていることがどんどん違っていてだれも責任をとらないといったら、
委員
会は構成できませんよ。
大蔵大臣
、私は本当はもっと厳しく受けとめてもらいたいと思っているのですよ。この山一特融にしても、軽く三千四百億、それで、これは大蔵省が責任をとらないかぬでしょうと。それもそうでしょう。それもそうだけれ
ども
、ずっと債務超過でないと言い続けた大蔵省や日銀の責任はどうなるんだということも言いたいのですよ。そのことをお伺いしたいと思います。
宮澤喜一
182
○
宮澤
国務大臣
当時の
資料
がございましたので、もう少し正確に申し上げますけれ
ども
、
大蔵大臣
談話におきましては、「現在、山一証券は債務超過の
状況
にはないと
認識
しているが、」という部分がございます。それから、日銀総裁の談話におきまして、「
大蔵大臣
談話において、「本件の最終
処理
も含め、証券会社の破綻
処理
のあり方に関しては、寄託証券補償基金制度の法制化、同基金の財務基盤の充実、機能の強化等を図り、十全の
処理
体制を整備すべく適切に対処いたしたい」とされており、
日本
銀行
資金
の最終的な回収には懸念はないものと考えている。」こういうふうに述べてありまして、まさに
大蔵大臣
談話にも、寄託証券補償基金制度の法制化、基金の財務基盤の充実、機能の強化というようなことが書いてございます。 ただ、今になって考えますと、いわゆる寄託証券補償基金、これも何かのことをしてもらわなければ私はいかぬと思っているので、ここはもうパアになる、なっていいと私は思っていないのですが、金額的にとてもこれでは届かぬことが明らかだと思っていますから、したがって、日銀総裁が、当時、
大蔵大臣
がこう言っている、したがって、「
大蔵大臣
談話の趣旨に沿って、本件の最終
処理
を適切に実現されるよう、
日本
銀行
として強く期待する」ということを、これは十一年六月二日でございますが、言っておられる。私は、
日本
銀行
総裁がそう期待されるのは当時のいきさつからしてもっともであると思いますから、
政府
はこれに何かの形でこたえなければならないと考えています。
上田清司
183
○上田(清)
委員
債務超過に対しての
認識
について、常にそうであります。山一でもそうでありました。日債銀でも長銀でもそうでございました。そういうことをしばしば繰り返して、行
政府
は
国民
の信を失いますよ。
委員
会で真摯な議論をやっているときに、常に違った回答が後から出てくるということに対して、私は大変な憤りを持っております。
小畑
理事
、申しわけありません、二回連続御登壇の機会がなくて。ただし、
大蔵大臣
のきちっとした回答が出ましたので、日銀はしっかりお土産がついたと思いますので、御了解いただきたいと思います。きょうはありがとうございました。 終わります。
鴨下一郎
184
○鴨下
委員長
代理 次に、並木正芳君。
並木正芳
185
○並木
委員
公明党・
改革
クラブの並木でございます。お疲れのことと存じますけれ
ども
、よろしくお願いいたします。 このたびの
報告
がなされたわけですけれ
ども
、長銀、日債銀あるいは第二地銀の
国民
、幸福、そして
報告
後にも、この六月、東京相和
銀行
と相次いで破綻したわけです。 そこで、もういろいろ話題もあったかと思いますけれ
ども
、共通して問題なのは、
融資
先について、実質破綻先や破綻懸念先、こうしたものを正常先あるいは要注意先、こういうふうに格上げしている
自己
査定の事実、そしてそれに対して
自己
査定が甘いというようなことでの話題が起きているわけですけれ
ども
、しかし、
自己
査定が甘い、そういうことだけで片づけられない問題であるというふうに考えるわけです。 この債務超過の
状況
が、
銀行
みずから破綻
状況
を公開するのは好むものではないと思いますけれ
ども
、この破綻が明らかになっていく中で、
経営者
側から、官との見解の相違だとか、あるいはマスコミのリークによって預金取りつけ騒ぎなどが生じて、そのため
経営
が悪化したからだと、いわゆる責任転嫁をするような発言が相次いでいるわけです。こうした見解の相違といういかにも無責任というか軽い言葉で片づけようという向きもあるわけなんですけれ
ども
、こう言わしめてしまうような官のあり方というか、そういうものについて
監督庁
の御見解、いかがなのでしょうか。
日野正晴
186
○
日野政府委員
お答えいたします。 個別
銀行
に対するコメントはここでは差し控えさせていただきたいと存じますが、
一般
論として申し上げますと、昨年来実施しました集中
検査
におきまして当局の査定と
自己
査定が相違した主な
理由
といたしましては、
銀行
の
自己
査定基準自体に問題が見られたことや、あるいは
自己
査定基準の適用に問題が見られたことなどが挙げられようかと思います。一例を申し上げますと、例えば
自己
査定におきましては、
関連
会社や
大口
メーン先につきまして、その財務
内容
を十分に勘案せずに査定を行っているものなどが認められたところでございます。 ただ、今回の
自己
査定は、
早期是正措置
導入後初めて行われたものであるということも当局の査定との間に相違があったことの
理由
の一つと考えられまして、この点につきましては、今後、より正確な
自己
査定が行われるというふうに私
ども
としては期待しているところでございます。
並木正芳
187
○並木
委員
特に地銀についてお伺いしたいわけです。 今長官も、いわゆる個別の
銀行
に対しては発言できないということですけれ
ども
、
自己
査定と
監督庁
検査
の差が一%未満の
銀行
というのが三十三行ある。その反面、二%以上ある
銀行
が十九行もある。さらに、貸倒引当金の計上などでは、九八年三月期ですけれ
ども
、破綻懸念先、いわゆる第三分類向け
貸し出し
の地銀六十四行の平均引き当て実績率というのが三九・七二%というふうに言われております。しかし、うち十一行は三〇%に満たない。このように、地銀間において特に格差が著しいものがあるわけです。 大手
銀行
の平均引き当て実績率というのは五二・一%ということで、地銀というのは三九・七二%と低いわけですけれ
ども
、今回破綻した
国民
銀行
というのは、第二地銀ではありますけれ
ども
、九八年九月期末の破綻懸念先引き当て率でもわずか一一・三%、こういう極端な例もあるわけでございます。
中小企業
取引
を
中心
とする
地域
の
金融機関
と大
企業
も手がける大都市
銀行
の資産
内容
というのは、当然大きく異なるわけです。 そういう中で、
公的資金
により
資本増強
を申請した大手
銀行
引き当て率、この目安を七〇%とされているわけですけれ
ども
、地銀とか第二地銀、そういう中小
金融機関
に対するガイドライン、これについてはどのようにお考えになるのか。地銀の方は
担保
割合とかこういうものが高いということで、一概に引き当て率だけでは問題にしないというような見解もあるようですけれ
ども
、この辺についてお伺いします。 〔鴨下
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
森昭治
188
○森(昭)
政府
委員
お答え申し上げます。
先生
御承知のとおり、先般三月に大手行につきまして
資本
注入する際には、いわば要注入額と申しますか、どれほどの注入をすればより健全な国際的な信認を十分回復できる大手行の
金融システム
になるかということを考えまして、破綻懸念先につきましては七〇%、要管理先につきましては一五%といったいわばアメリカンスタンダードを採用したわけでございますが、その後の進展におきまして
金融監督庁
の新しい
検査
マニュアルというものができてことしの九月期から適用になる、さらに、それに合わせる形で公認会計士
協会
の実務指針が改正された、そういうことで、引き当て率というものがいわば新しく見直された形で出発しつつあるわけでございます。 そういう
状況
を踏まえまして、地銀、第二地銀の
資本増強
、今後申請があれば当方がそれを審査するわけでございますけれ
ども
、その際の引き当ての基準というものはこの新しい引き当て基準でいくということでございまして、大手行のようなアメリカンスタンダードを目安にするという考え方をとらないことにしたわけでございます。
並木正芳
189
○並木
委員
今お話しですけれ
ども
、九九年九月期以降、今後ですけれ
ども
、
金融検査マニュアル
を徹底することで、査定がこれまでのように官民誤差が大きい、そういうことはないというふうにお考えでしょうか。
五味廣文
190
○五味
政府
委員
この七月一日に、
金融検査マニュアル
検討会最終取りまとめを通達化いたしまして
検査
官にこれを発出いたしておりますけれ
ども
、この通達の中で、特に債務者区分を判定する場合の判定基準、これを明確化を図るということに重点が置かれております。 特に、
関連
ノンバンク
を含む
金融
支援先の査定
方法
を、従来もちろんそれなりの基準でやっておったんですが、はっきり文字に落としてこれをだれが見てもわかりやすいものにしたというようなこと、あるいは、正常先を判断する際の赤字
企業
の取り扱い、これもわかりやすい形に落としてある、こういったような形で、債務者区分という一番ポイントになる部分での判定の基準を明確化しておりますので、今後については、少なくともより正確な
自己
査定が
銀行
側においてなされることになるということは期待できると考えております。
並木正芳
191
○並木
委員
より正確なというのは当然でしょうけれ
ども
、ぜひその辺の
姿勢
で徹底させる
方向
でやっていただきたいと思います。 ところで、
国民
銀行
の破綻に関して話題となりました税効果会計を活用した
資本増強
策、こういうことなんですけれ
ども
、課税所得を過大に見積もることで税金の戻りを算定して
自己
資本
を水増しする、そういうことをやったという問題があるわけです。 そこで、
監督庁
では、
自己
資本
に算入する税効果相当額というのが今後五年間に見込める合計利益の範囲内だ、そういう事務ガイドラインを出しているようですけれ
ども
、いわゆる赤字
銀行
とかの利益というのは果たしてどう予測できるのか、この基準で五年間を見通した利益をどう予測するのか、この辺について、税効果会計を悪用して粉飾的操作をする、そういうことを許さないため、より一層の明確なルール化、そういうことについてはどのようにお考えでしょうか。
日野正晴
192
○
日野政府委員
ただいま税効果会計についての御
質問
がございましたが、この税効果相当額の計上に当たりましては、まず、有税引き当てに係る税効果計上額につきましては、当該年度を含めた過去からの有税引き当ての積み上がりの金額、それから有税引き当ての対象となっている債権が将来どの時点で無税適状となるかという
見込み
、さらには将来の利益、これは課税所得でございますが、その
見込み
によって決まることとなるわけでございます。また、税務上の繰越欠損金に伴う税効果計上額につきましては、繰越欠損金の額、それから向こう五年間の利益の
見込み
額によって決まることになります。 それで、先ほど御
指摘
がございましたように、将来の利益、課税所得の
見込み
が果たして適切に行われるかどうかというところがポイントだろうというふうには存じますが、これは、
金融機関
自身それから監査
法人
によって行われることになります。 この点に関する公認会計士
協会
の実務指針は、繰り延べ税金資産の計上に当たりましては、当該資産の回収可能性につきまして十分に検討し、慎重に決定しなければならないというふうに決めております。そして、将来、課税所得が発生する可能性が高いかどうかを判断するためには、過年度の納税
状況
や将来の業績の予測を総合的に勘案して課税所得の額を合理的に見積もる必要があるというふうに定めておりまして、
金融機関
と監査
法人
はこれに沿って慎重に判断することとなると思われます。 それで、これは赤字決算となった
銀行
であっても同様でございまして、当該
銀行
を監査
法人
は、この実務指針にのっとりまして税効果計上額の
適切性
の判断を厳正に行う必要があると考えております。
金融監督庁
といたしましては、
監督
当局として、財務書類の
適切性
については常に関心を持ちましてチェックを行う
必要性
があると考えておりまして、税効果計上額につきましても、その額が過大でないかどうかということをチェックすることとしていきたいというふうに考えております。そして、先ほど
先生
からも御
指摘
がございましたように、昨年十二月一日に事務ガイドラインを改定いたしまして、
資本
勘定に算入される税効果相当額は適正に計上されているかどうか、例えば、計上された税効果相当額が今後五年間の利益
見込み
額の合計額を上回っている場合には、監査
法人
と十分な協議が行われているかどうかを含めましてその
理由
を聴取するという
項目
を設けているところでございます。
並木正芳
193
○並木
委員
今回まで破綻
状況
が
報告
された各
銀行
において、情実
融資
だとか
自己
保身のための
融資
継続、その上で今のような税効果会計もある意味では過大というか悪用するような形で粉飾まがいの査定等が行われたということがうかがえるわけなんですけれ
ども
、六月に破綻したという東京相和
銀行
ですけれ
ども
、第三者割り当て増資で見られた
融資
金の
関連
会社への迂回
融資
あるいは還流増資、こういう問題が起きております。 この辺はちょっとうがった見方かもしれませんけれ
ども
、驚くところでは、大蔵省が九七年の夏に関西第二地銀四行、いわゆる幸福
銀行
あるいは福徳
銀行
、その後なにわ
銀行
と合併してなみはや
銀行
となりましたけれ
ども
、幸福
銀行
も京都共栄
銀行
を吸収したわけですけれ
ども
、この四行の大同合併構想というのがありました。しかし、これが消費者
金融
会社を含めてこの間で
資金
の還流を行っていた。くしくも、大蔵省が描いた構想と、なれ合いというか、その
銀行
間のそういう
取引
ということが明らかになっているわけなんですけれ
ども
、こうしたことが平然と行われ、そして通常より高い金利で
資金
を貸して、それで利益を得て、最終的には破綻しても国が肩がわりしてくれる、そして公的に救済される。これではまさに悪い言葉で言えば盗人に追い銭というような、モラルハザードきわまれりというところだと思います。
現実
にこういうものが一部明らかになってきたわけなんですけれ
ども
、今後こういう
現実
にどのように対処していくおつもりでしょうか。
乾文男
194
○乾
政府
委員
まず、
金融機関
が存続が困難な状態になりましたときには、
金融再生委員会
あるいは
監督庁
といたしましては、
金融
再生
法等の考え方に基づきまして破綻
処理
を行うということでございますけれ
ども
、破綻に至った
金融機関
でございますけれ
ども
、破綻前に不適切な
業務
を行っていることが明らかになった場合、これは
一般
論でございますけれ
ども
、
金融監督庁
におきまして適切な対応をとることとしているわけでございます。 今幾つかの御
指摘
がございましたけれ
ども
、例えば還流増資と言われるものでございます。これはいわゆるバーゼル合意の中に、
金融機関
がお互いに
資本
を持ち合えばそれが結果的に体力を弱め、一つの
金融機関
が破綻したときにその影響が直ちに他に及ぶということから、
自己
資本
比率規制上一定の規制を行っているところでございますけれ
ども
、これはいわゆるダブルギアリングと言われる問題でございますけれ
ども
、こうした問題につきましても適切な
監督
を行うとともに、
一般
論でございますけれ
ども
、こうしたことが脱法的に行われることのないよう、適時適切な対応というものもとっているところでございます。
並木正芳
195
○並木
委員
適切という抽象的なんですけれ
ども
、なかなか行き届かないところありというところかもしれませんけれ
ども
、これは、当然
経営
陣については責任が厳しく問われるべきだということなんです。 しかし、九七年の商法改正前の公訴時効というのが、背任も特別背任も五年になっている。しかも、
融資
状況
とか不良債権の
処理
の内実、こういうのはかなりトップシークレットで、ごく一部の役員しか知らない。破綻して徐々にその内実が明らかになってくるというのが現状であるわけです。そういうことではほとんどが五年の公訴時効となってしまう。特に、バブルが破綻してもう足かけ九年ぐらいですか、八年以上たつわけですけれ
ども
、
バブル期
の乱脈
経営
などにさかのぼって立件するというのは、五年の時効ということになると極めて困難だということになるわけです。ですから、マスコミ的にいえば、
バブル期
の乱脈
経営者
が高額の給料だとか退職金をもらい得してしまう、こういう例が後を絶たないということで、
国民
からすれば全く納得がいかない、怒りがおさまらない、こういうことだと思います。 こういう
経営
陣の責任について一層厳しく問うという御回答かと思いますけれ
ども
、それをどう問い、
国民
の前に明らかにしていくのか、その辺の決意も含めてお伺いできればと思います。
柳沢伯夫
196
○
柳沢国務大臣
今
委員
御
指摘
のような刑事事犯あるいは民事の責任の追及については、私
ども
が運用に当たっております
再生
法におきましても、いわば義務規定ということで新
経営
陣に負託をされております。 ただ、
先生
おっしゃられるとおり、時効の壁というようなものがありまして
国民
感情とはそぐわない、そういう
状況
になるということについては、これはやはり事後法の禁止という近代
社会
の
法律
としての大原則というものがありますので、いかんともなしがたいのは大変残念だというふうに思っておりますが、いずれにせよ、その許された範囲で我々は厳正に責任の追及をしていくということで督励をしておるところであります。
並木正芳
197
○並木
委員
官の立場としても公訴時効というのは重いと思います。ですから、感情的にはやはり
国民
と同じような考えかと思いますけれ
ども
、もちろん義務規定にもありますので、ぜひ今後こういったことを厳しく問いただしていただきたいというふうに思います。 また、
経営
陣の責任とともに、
行政
の責任についてお伺いします。大蔵省の過去の問題ですけれ
ども
、
検査
の問題があるわけです。 九七年十月に破綻しました頴川一族の
経営
である京都共栄
銀行
、この受け皿
銀行
に今回
報告
に載っています幸福
銀行
がなりましたけれ
ども
、それに伴って大蔵省は、九八年三月期の幸福
銀行
の決算をもとに、九八年六月にその受け皿となることが適当だというふうに認定しています。しかし、そのわずか三カ月後の
監督庁
の
検査
で、九八年九月末時点ですけれ
ども
、四百六十四億円という巨額の債務超過となっている事実が明らかになりました。大蔵省自身が、九五年八月時点で、幸福
銀行
の回収不能な第四分類債権だけでも、
自己
資本
八百五十六億円とほぼ同額の八百四十九億円もあるということを把握しております。不良債権を
処理
すれば、この時点でもう著しい過少
資本
だったということは確実ではないかと想像できるわけです。 また、
国民
銀行
に対する
検査
でも、九六年五月に欠損
見込み
額は
自己
資本
二百六億円の二倍を超える約四百五十億円だ。これはもう
自己
資本
をはるかに二倍半ぐらい超えている。そういうふうな危機的
状況
にあると
指摘
して、しかも迂回
融資
だとか不良債権の飛ばしにも気づいている。こうしたことは、ほかの方も
質問
されましたけれ
ども
、拓銀や長銀、日債銀でも
指摘
されている、こういうことなんですけれ
ども
、それがなぜ生かされなかったのかと、今になってはなんですけれ
ども
、非常に疑問に思うわけであります。 こうした責任を今もう一度明らかにしなければ、
行政
がこれから指導していく上でも、あるいは
経営
関与がどの程度までかというのもありますけれ
ども
、そういうものへの不信が免れなくて、いわゆる今後の
金融政策
に重大な禍根を残すということになると思いますけれ
ども
、この辺の経緯を踏まえて、現状でのお気持ちというか見解についてお伺いさせていただきます。
日野正晴
198
○
日野政府委員
まず、京都共栄
銀行
の幸福
銀行
への営業譲渡に係る問題につきまして申し上げたいと思いますが、この適格性の認定につきましては、預金保険法の六十一条に規定されている要件、すなわち具体的には、この合併等が行われることが
預金者等
の
保護
に資すること、
預金保険機構
による
資金
援助が行われることが当該合併等を行うために不可欠であること、それから、当該合併等に係る
破綻金融機関
について、合併が行われることなく、その
業務
の全部の廃止または解散が行われる場合には、
破綻金融機関
が
業務
を行っている
地域
または分野における
資金
の円滑な需給及び
利用者
の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること、この要件がございますが、このいずれの要件にも該当していると認められましたために、当時、大蔵省におきまして、
平成
十年六月に適格性の認定がなされたものというふうに承知しております。 この適格性の認定の時点におきまして、当時、大蔵省が
認識
しておりました幸福
銀行
の十年三月期決算は、不良債権の
処理
によりまして大幅な赤字決算となりましたが、債務超過とはなっておりませず、
自己
資本
比率も四・六六%ということで四%を上回っていたものと承知しております。 また、次の
国民
銀行
でございますが、これは、
平成
八年四月十二日を基準日とする大蔵省の
検査
結果によりますと、四分類は二百五十五億円でございましたが、
早期是正措置
導入前に実施されました当時の
検査
におきましては、先ほ
ども
御答弁申し上げましたが、償却、引き当ての
適切性
につきましては
指摘
する仕組みとはなっておりませんでした。 また、
国民
銀行
におきましては、先ほどこれも申し上げましたように、
自己
資本
の充実を図るための百六十九億円の第三者割り当て増資を実施しているところでございます。 いずれにいたしましても、
金融機関
の決算は、
銀行
みずからの責任におきまして、商法や
企業
会計原則等にのっとりまして不良債権の償却、引き当て等が適正に
処理
された上で、監査
法人
等の外部監査も受け、作成、公表されているものでございまして、これを踏まえ、
監督
当局としては、当時におきましては、御
質問
のございましたいずれの
金融機関
も債務超過と
認識
していなかったところでございます。 なお、
金融監督庁
が発足いたしました昨年以降は
早期是正措置
が導入されまして、これを踏まえて、
金融機関
の
経営
の健全化を確保する
観点
から、
検査
におきましては、
自己
査定の正確性、償却、引き当ての
適切性
等につきましてチェックを行っておりまして、仮に問題がある場合には、その旨を
指摘
するとともに、
検査
結果を踏まえた適切な償却、引き当て等の対応を求めているところでございます。
並木正芳
199
○並木
委員
当時としてはというお言葉があるわけですけれ
ども
、
金融
が目まぐるしく変わるというか、それはそれなりにわかる面もあるんですけれ
ども
、わずか数カ月というような期間の中でこうも著しく変わるというのは、どうも見落としたのか、片目か両目をつぶっているのか、あるいは
検査
が終わりましたというだけにしかすぎなかったのか、その辺はやはり、反省というか、当時の中でのあるいは誤りというものをきちっとした上で、今一生懸命やられているのはよくわかるわけですけれ
ども
、さらにやらないと
信用
という点で欠けるのじゃないかと思うのですけれ
ども
、もう一度、いかがなんでしょうか。
日野正晴
200
○
日野政府委員
繰り返しになって大変恐縮でございますが、
金融監督庁
が発足してから新しく
早期是正措置
が導入されまして、償却、引き当ての
適切性
についても
指摘
させていただく、もし問題がある場合には早目早目に
早期是正措置
を発動することによりまして
金融機関
の健全性を確保してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
並木正芳
201
○並木
委員
こういうような破綻した
銀行
はもちろんですけれ
ども
、
地域
金融機関
というのは非常に、破綻経過等を見ていても、ワンマン
経営
とか同族
経営
、
自分
で
自分
の会社にお金を貸しているような、あるいはたらい回ししているような、そういう事実が見受けられるわけであります。 そういう
機関
に
公的資金
を導入するというふうな
状況
の中でこの
経営
状態をそのままにしていたというのでは、許されざることということになるわけです。テリトリーを分けたがるというか、
銀行
の独自性とか監査
法人
云々とか、そういうものはもちろんあるんですけれ
ども
、そういう個人的
経営
が強いという
金融機関
は非常にリスクも高いと思いますけれ
ども
、こういうものを今後どう指導あるいは再編に導いていくのか、そういう方針がおありなのか、伺いたいと思います。
柳沢伯夫
202
○
柳沢国務大臣
最近の破綻
銀行
の事例の中に、今
先生
御
指摘
になられたような個人
経営
的色彩の強い
金融機関
がございました。そして、そのような
銀行
の場合に、今御
指摘
になられたような、適切でない
経営
と申しますか、
法人
間であるならば許されないような、例えば他業種兼営というようなことが個人というような形で行われてしまうということで、この個人的
経営
の色彩の強い
金融機関
のあり方については特段の注意が必要であるということは、これはもう確かに言い得ることである、このように考えます。 しかし、また他面、これから
金融
の自由化の中で、これは通常の預貸の
業務
をやるという業態のものを予想しているわけではありませんけれ
ども
、いろいろな例えば信託会社であるとかあるいはプライベートバンキングであるとかいうような業態のことを考えますときに、むしろ、そういうところに有能な個人が参入してくるということを初めからシャットアウトするという考え方は必ずしも適当と言えないのではないか、このように考えるわけであります。 したがいまして、私
ども
としては、そうした
金融
改革
の趣旨がより実現しやすいように、しかし同時に、我々の過去の失敗というものを十分反省して、そうしたものについては特段の
監視
、
監督
、特に
検査
といったようなことについて遺憾なきを期していくということが今後の我々のとるべき態度ではないか、このように考えております。
並木正芳
203
○並木
委員
別の
観点
からお聞きしますけれ
ども
、こういう優勝劣敗といいますか、そういう中での指導あるいは再編、こういうものも含めてでしょうか、そうとっていいのかどうか、
柳沢大臣
、先日、健全行をふやす、こういう方針から、
公的資金
を申請した
銀行
が注入額を計算するための目安として
自己
資本
比率を八%とすべきだ、こういうふうに発言されて、特に地銀とか第二地銀は、その半数ぐらいがもちろん八%以下ですから、これは厳し過ぎる、あるいは、
資金回収
をするぞ、そうしたら貸し渋りが起こるぞなんというような物議を醸しているわけです。めどとすべきと、その後後退したような発言も見られたわけですけれ
ども
、その真意を改めてお伺いしたいと思います。
柳沢伯夫
204
○
柳沢国務大臣
これはちょっと最初から報道の仕方に我々は問題を
感じ
ておりました。 私
ども
、地銀、第二地銀等
地域
金融機関
の
資本増強
の段階になったわけでございますが、これについての
基本
的な考え方というものを
委員
会の議に付して、最近決定をさせていただいたわけでございます。 十分な額の
資本増強
を行うという場合に、一体どの辺を目安にすべきか。これはかねてこの
委員
会でも申し上げておりますように、実際上、
資本増強
しても、私
ども
としては、回収可能性ということから上限の制約があるわけでございますけれ
ども
、仮にそれが非常に高いというようなケースの場合、それを上回って一体どの辺までをめどにして注入をしていくかということが問題になるわけであります。その際には八%を目安、めどとして考えていったらいいではないか、それが十分な額の
資本増強
と言い得るのではないか、このようなことを考えたということでございまして、これは
基本
的考え方の文脈を考えていただければ間違いなく理解を得られるところであった、このように思うのでございます。 したがいまして、地銀に八%を要求とか、あるいは
早期是正措置
の
資本
充実の区分について、国内行においても八%から是正
措置
をとるとかというようなところに結びつくものでは全くないということを御理解賜りたいと思います。
並木正芳
205
○並木
委員
いきなり八%を義務だというふうにはしないと思いますけれ
ども
、そういうことかもしれません。
大臣
は、かねてから、これは大手の場合ですけれ
ども
、国際間の
金融
競争
を重視して、アメリカの
銀行
の半分とかあるいは三分の一と言われる
日本
の総資産利益率、これを飛躍的に高める必要があるんだ、そのためには再編をしていかなきゃならぬ、それを支援していくんだというようなことを盛んにおっしゃられていると思います。 私もそうですけれ
ども
、中小
金融機関
も含めてですが、
日本
はオーバーバンキングだ、これはもう常にいろいろ言われているわけです。そういうところで強力に再編と規模の
拡大
を進めるということをしていかないと、まさに余りにも多くの数の
金融機関
では世界に取り残されてしまう、こういう思いが強く
大臣
の方からは
感じ
られるわけなのです。そういった中で
日本
の大手
銀行
はせいぜい片手ぐらいの数グループに再編されるべきだ、こういう意見が専門家の間では多いわけですけれ
ども
、
大臣
はその辺どうお考えでしょうか。
柳沢伯夫
206
○
柳沢国務大臣
今
先生
、私が私がというようなことで、私の発言がすべての起源であるかのごとき御発言でございましたが、実は、再編のことは
健全化法
で既にうたわれていることでございます。
健全化法
で、再編によってもっと
効率化
しないとだめだという考え方が出ておるということがすべて起源でございまして、ちょっとその点については御理解を賜っておきたい、このように思います。 そして、今
先生
がおっしゃられたような
経済
の専門家というか
金融
の専門家の方々の発言というようなものが数多く見られておりまして、たまに私も、例えば、かなり高名の
経済
界の方が幾々つと、片手よりもちょっと少ないぐらいというようなことを言っているけれ
ども
、
大臣
はどう思うんだというようなことを新聞記者に突然聞かれたりいたしますと、私も、そういうようなことであれば花丸じゃないでしょうかというようなことを言ったことはございますけれ
ども
、私は、
基本
的には、再編というのは、先ほど来申しておるように、まず、それぞれの
金融機関
がみずからの
経営
戦略として発案して
努力
をされるということから生じてこなければならないことであって、我々が何かあらかじめ絵をかいてそれを強要していくというようなことであってはならない、このように考えております。
並木正芳
207
○並木
委員
その辺の立場上の御発言もわかるのですけれ
ども
、報道によりますと、
大臣
が再編を強力に進める、その時期はいわゆる時限立法が切れる二年以内だ、こういう見解だというふうにあったわけなのです。二年で実行していくということでは、今、それぞれの
銀行
の自主的な
努力
、そういうのに依存するようなお話もありましたけれ
ども
、しかし、相当思い切った再編策を考えていかないと、そこまでいくのかなという気がするのです。 そういうような展望をお持ちの二年ということなのでしょうか、それとも、二年で民間も動かなければ仕方がないのは、当然そういうのはわかっているでしょうというような意味なのでしょうか。その辺について伺いたいと思います。
柳沢伯夫
208
○
柳沢国務大臣
私、その点について、必ずしもみずからの発言について正確に記憶にございませんけれ
ども
、もしそういうことを私が言ったとしたら、私
ども
が運用を託されているこの
法律
の期限というものが念頭にあったわけでありまして、それ以上でもそれ以下でもない。ただ、私
ども
としては、せっかくこの
健全化法
に再編を通じて
効率化
をということを言っているわけでありますから、その運用の責めに任じている私
ども
としては、この
法律
の有効期限内にこの
法律
をうまく使ってそうしたことを少しでも前に進めるという責任を負っている、こういうように考えております。
並木正芳
209
○並木
委員
当然その考え方の中に、
収益
力が
日本
の
銀行
は非常に低い、それを高めるため、国際間
競争
に勝つためということがあるわけなのです。
公的資金
の導入に当たっては、各
銀行
とも
業務
増益というのをそれぞれ出してきておりますけれ
ども
、その見通しについてお伺いします。 いわゆる単独行でいくという場合ですけれ
ども
、
収益
力
拡大
というのが、ある意味ではそれでできてしまえばいいわけですけれ
ども
、限界があるのじゃないかというお考えなのでしょうか。そして、やはり再編を
銀行
間で行っていくのか、あるいは、異業種間も含めてですけれ
ども
、その辺、どういう合併にしていけばアメリカ並みの
収益
力に迫ることができるのか。こういうふうな点では、提携、再編というのをアメリカを基準にお考えなのでしょうけれ
ども
、その辺、再編の展望と
公的資金
導入に当たって
銀行
が出してきた
姿勢
との違い、そういうものも含めてお伺いできればと思うのです。
柳沢伯夫
210
○
柳沢国務大臣
今
先生
御
指摘
のとおり、運用資産面の多寡でもって仮に世界の
銀行
をランクづけいたしますと、
日本
の
銀行
というのは単体であってもかなり高いところに位置するわけでございます。しかし他方、
業務
純益の多寡でもってこれを順番づけますと、トップの
銀行
でも、いわばスーパーリーグとかメジャーリーグとかというようなことに十行ぐらいずつ分けますと、大
銀行
の中で中位のところにしか位しない、こういうようなことがあることは事実でございまして、私もその辺のことをかなり気にしている人間の一人だということはここで申し上げさせていただきます。 そういうような場合に、これから
日本
の大手行の中からいわゆるグローバルなランクづけでトップだとかスーパートップのところに位するような
銀行
をぜひ輩出していってもらいたい、このように考えておるわけですが、その場合に、単体で戦略を駆使してそういうように成長していくということなのか、あるいは複数行の提携とか統合でもってそういったことを実現するかということについては、やはりここのところを何か固定的に考えていくべきだとは私は思いません。それは、それぞれの
銀行
の先ほど来申しておるような
経営
戦略の問題だと考えております。
先生
が今おっしゃった他業種、証券だとか生保との境界をまたがった統合というようなものも考えられぬかということでございますが、この点については、既にこの前の
資本
注入の場合でも、ある程度その萌芽的な形態は出てきておるわけでございまして、特に、
銀行業務
と証券、あるいは
銀行業務
と生命保険ですら、そういう提携
関係
をリストラの一環として
健全化計画
の中でうたう、そして我々に訴えるというような向きがございました。 したがって、こういうようなことも今後決してあり得ないことではない。むしろ、特に
銀行業務
と証券
業務
、信託
業務
というようなものについては、直接
金融
、間接
金融
、さらには
資金
、資産運用の
業務
というようなことで今後大事な位置づけが引き続いて必要だということを考えますれば、そういうことは十分あり得るということで私
ども
も協力してまいりたい、このように考えています。
並木正芳
211
○並木
委員
今、国際間
競争
に対処する非常に積極的な意味の提携、再編なんですけれ
ども
、ネガティブな方の提携というか再編もあるいはこれから起きていくわけです。それについて、みどり
銀行
などの例でも、だめ
銀行
同士というのは結局だめというふうになる、直接言っては失礼かもしれませんけれ
ども
、そういう可能性が大変大きいというふうに思うわけです。 いずれにしても、
銀行
が廃業するということになると、
金融システム
不安だとか、ほかの
企業
の
経営
だとかあるいは
地域経済
に影響を与えるのは当たり前で、しかし、影響を与えるから救済するんだといっていては全部救済するということになっていきかねないわけです。そういうふうになると、結局、
経営
陣のモラルハザードというもの、最後は国に頼ればいいということになりかねないと思うわけなんです。 この辺、大変思い切った話なんですけれ
ども
、結局、そういう不良
銀行
といいますか不良
金融機関
の退場ということで清算、廃業というものも辞さずにやっていくのか、あるいは再編、ほかのいい
銀行
にくっつけていって全部救済していくのか、あるいは、どうせ受け皿
銀行
がそうそう出てこないようなものもあるわけですから、国がその受け皿
銀行
をつくっていくのか、こういうふうな対応がいろいろあると思います。その辺、国が余り関与すると、今度は
金融
を公的管理にどんどん置いていってしまう、
社会
主義化といいますか、そういうものにもなりかねないわけなんですけれ
ども
、今後、そういうネガティブな意味での再編をどのようにお考えなんでしょうか。
柳沢伯夫
212
○
柳沢国務大臣
これは、私
ども
が考えるというよりも、
法律
の方が既に、ある考え方というものを出してくれていると私は解しております。 国有化と申しますか特別公的管理については、実は、株式を売るか、営業あるいは事業譲渡をするかという道のみが設定されておりまして、解散、清算といった道は閉ざされております。他方、
金融
整理管財人による管理、それをさらに延長したところのいわゆるブリッジバンクを使った場合には、これは解散というような道も残されている、開かれている、こういうことでございます。そういうようなことでこの
法律
の枠内で我々としては最も適切な選択をしていきたい、このように申し上げるほかはないわけでございます。 ただ一点、
先生
、前のみどり
銀行
などの例を挙げて、いわば弱者連合というか、そういうものは結局だめじゃないかというお話がございました。 しかし、これにつきましては、ちょっと私、別の面もあるということで御注意をお願いしたいわけでございますけれ
ども
、これからの場合には、一度グッド部分とバッド部分を分けまして、グッド部分だけの統合ということがございますので、それがなかった当時の弱者連合とはかなり意味合いが違った効果も生むのではないか、このように考えています。
並木正芳
213
○並木
委員
いよいよペイオフに近づいて、そういった意味でのいろいろな再編、提携が進むわけです。一方、きょうの報道、朝日だとか読売などにも出ていましたけれ
ども
、このペイオフ制度解禁を前提としてなんでしょうけれ
ども
、それを何となくある意味ではなし崩しというふうな、一部、
金融
再生
法を、例えばブリッジバンク制度とかを存続させるべきじゃないかとかというような、普通預金とかを全部国が面倒を見てしまう、そんなような
方向
性というのがあるというところなんです。 そういうふうになると、逆に、
日本
の
金融
というのはもう整理がつかない、むしろ
日本
の
金融機関
の脆弱性を世界にアナウンスしていってしまうんじゃないかというふうな懸念や、先ほど申し上げたように、受け皿
機関
がないからどんどんブリッジバンクから
平成
銀行
みたいな形で国有化だなんてなると、やはり
金融
の国家管理的な色彩が強まってしまう、こういうような懸念を私はするわけなんです。 報道そのものがすべて事実ではないかもしれませんけれ
ども
、ニュアンスの違いとかいろいろあるかと思いますけれ
ども
、こういう点についてそれぞれ、きょうは
大蔵大臣
もいらっしゃいますけれ
ども
、いかがお考えなんでしょうか。
宮澤喜一
214
○
宮澤
国務大臣
二〇〇一年の四月にペイオフに移るという
基本
の考え方は少しも変えておりませんが、何しろ大きな問題でございますから、かねて、それに伴ういろいろ今から考えておくべき事項あるいは留意すべきこと等々を
金融
審議会に諮問いたしておるわけでございます。
金融
審議会では、
皆さん
いろいろ御議論をなさいまして、いわば論点整理をしよう、そういう
目的
を持って中間
報告
を今ここで出そうとしておられるわけでございますけれ
ども
、けさ報道せられましたことはそのことに
関係
をいたしておったように思います。 報道されておりますことが全部そうであるとかそうでないとかいうことを申し上げますよりは、この審議会の仕事そのものがこれにまつわるいろいろな問題についての基礎的な検討を行っているところでございますから、ああせよ、こうせよというのではなくて、こういう問題がある、こういう可能性があるということの中で、きょう報道されておりましたようなことは、例えば、今の預金保険法の中で
破綻金融機関
の承継先があらわれない場合にはどうするかといったようなことについて、今では保険金の支払い方式しかないわけでございますけれ
ども
、ブリッジバンクとか
金融
整理管財人とかいうものがたまたま今の制度としてあるものですから、そういうものを何か残しておけば問題の解決に非常に寄与するんではないかというようなことがきょうの報道になっておるんだと思います。 そのようなことも確かに審議会では議論をされておるようでございますから、審議会の中間
報告
がそういう
問題点
を列記して出されてまいりましたときに、これからそれについていろいろな世論が起こって、こうあるべし、あああるべしという意見がだんだん形成されてまいりますと、将来の審議会の答申になってそれが出てくる可能性がある、そういう道行きにあるものと考えております。
並木正芳
215
○並木
委員
それでは、次の
西川
議員もおいでになっていますので、自治省の方に、例の、運動場、保養施設等をリストラで処分する場合に、公園とかの土地、地方自治体とかにお譲りするしかないというような
現実
で、問題が起きている、これをお聞きしたかったのですけれ
ども
、せっかくおいでいただいたのに申しわけないのですが、時間になりましたので、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
村井仁
216
○
村井委員長
次に、
西川
知雄
君。
西川知雄
217
○
西川
(知)
委員
西川
でございます。 きょうは、主に、ロスシェアリングということとペイオフ、それから株式交換制度、地銀等に対する
資本増強
について、この四つぐらいできればやりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ロスシェアリングの問題でございます。今
関係
の
銀行
がいろいろな交渉をしているということで、個別具体的な話は交渉に影響を与えるので、それは避けますけれ
ども
、まず、預保の協定
銀行
に対する二次ロスの補てんというのは、預保法の附則の十条の二というところで手当て済みであるということでございますが、現行法上、受け皿
金融機関
について、この二次ロスの補てん、これに関する規定が存在するかどうか、ちょっとまず確認をしたいと思います。
森昭治
218
○森(昭)
政府
委員
お答え申し上げます。
金融
再生
法上、特別公的管理
銀行
に対する
公的資金
によるロス補てんの規定としては、六十二条及び七十二条の規定に基づく金銭贈与がございます。しかし、これはいずれも、特別公的管理
銀行
の前の段階のロス及び特別公的管理に入った後受け皿に移されるまでの間のロス、いずれにしても、特別公的管理
銀行
の最後までのロスでございまして、それが受け皿に移った後、受け皿が保有している間に出てきたロス、これを
先生
、二次ロスとおっしゃっているのだと思いますけれ
ども
、その二次ロスを補てんする規定ではございません。この二つの規定とも、いずれも特別公的管理
銀行
であり続けるまでの間の規定でございまして、そういう意味で、いわゆる二次ロスを補てんする規定というものは
再生
法にはございません。
西川知雄
219
○
西川
(知)
委員
そこで、二次ロス
処理
のスキーム、これが整備をされないと、
破綻金融機関
、これの受け皿になろうという
銀行
がなかなか登場するのが難しい、ひいては迅速な不良債権の
処理
が滞るおそれがある、こういう
指摘
があるわけでございます。 そこで、大蔵省の方でも若干の検討はされている、また
金融再生委員会
の方でも若干の検討はされていると思いますが、アメリカで、ロスシェアリングというのが行われたわけでございます。御存じだと思いますけれ
ども
、ロスシェアリングというのは、受け皿
銀行
が、
破綻金融機関
の資産、これを引当金を控除した後の簿価で買収をして、そして受け皿
銀行
の買収後一定期間内に二次ロスが発生した場合、その一定割合、通常八〇%についてFDICが負担する、これがロスシェアで、FDICからロスシェアを受けた後で買収資産について回収できたときは、逆に受け皿
銀行
が回収額の一定割合をFDICに払い戻す。そういうふうにすることによって
公的資金
の投入を圧縮することができる、そして資産価値が維持されて効率的な回収が実現をすることができた。こういうことで、FDICの元総裁のシードマン氏なんかも、こういう
方法
を考えないとなかなか迅速な
処理
というものはできないんじゃないか、こういうことをおっしゃっているわけでございます。 アメリカは、御存じのように、債権については、債務者に対してのリコースベースというよりも、むしろプロジェクトごとのノンリコースということで、こういうことが割合やりやすいのかなと思うのですが、同様のコンセプトが
日本
で果たして導入することができるものなのかどうか、また、そういう研究は当然、
再生委員会
、大蔵省の方でされていると思うのですが、その研究
状況
はどの程度か、その辺のことを御説明願いたいと思います。
森昭治
220
○森(昭)
政府
委員
お答え申し上げます。 米国におきまして、
先生
御
指摘
のとおり、PアンドAを行う際にロスシェアリングの条項を入れる、そういうことで約束するということは承知しております。 ただ、
日本
の
金融
再生
法の前提と一つ大きな違いがあると思いますのは、特別公的管理
銀行
の場合、御承知のとおり、資産判定というものを
金融再生委員会
の五人の
委員
によって何カ月もかけて行うわけでございます。そして、適資産と不適資産というものを分けまして、不適資産は整理回収機構に売る、適資産を抱えて新しい受け皿を探す、こういうことになって、いわばこれは
先生方
につくっていただきました
金融
再生
法の大きな一つの前提となって、そういう適資産を抱えて受け皿を探すということになって、そこが少しアメリカと違うのかなという
感じ
がいたします。 もう一つ、受け皿
機関
に適資産を譲渡する際に、債務超過額は特例
業務
勘定から埋められるわけでございますけれ
ども
、そこで一たん資産、負債がスクエアになった後で、そして受け皿
銀行
に行った。受け皿
銀行
が何年か保有する間にいわゆる二次ロス、またさらに資産が劣化したといった場合に、一体何が原因でそういうロスが生じたのかというところかと思うのです。それを単に二割、八割の責任ですぱっとやれるのか。そこはむしろ受け皿
金融機関
の
経営
責任に帰する場合が多いのではないか。そういう受け皿
金融機関
の
経営
責任に帰するようなものまで、後々、何年かの間にまた
国民
の税金でそれを埋めるということが果たして
国民
の理解が得られるのか、そういうところにやや疑念を持っておりまして、検討している次第でございます。
西川知雄
221
○
西川
(知)
委員
今おっしゃったことは、適資産か不適資産かというものが、債務者ベースか資産ベースかということで、今の場合は債務者ベースになっている。そういうことで、例えばその債務者が、それこそ新しい事業を起こして、また失敗してしまった、そのおかげでまた資産の価値が落ちた、そういうところまで責任をとることは当然できない。これはよくわかる理論でございます。 ところで、私も石井議員等と
再生
法の作成にかかわらせていただいたわけでございますが、ちょっと、つくっておきながらというのもおかしいのですけれ
ども
、わからないところがございます。なぜかというと、引き継ぎの資産、これが適正なものかそうでないかというのを判断するのは資産ベースで判断するというふうに
法律
には書いてあるわけですね。ところが、その基準の
概要
等を見てみますと、これは、正常な債務者か要注意先債務者か、例えば繰越損失があって二年後の期末までに正常な債務に移行するならこれは適当であるとかどうだとか、そういう債務者ベースに実はなっているわけですね。 そうすると、もっと簡単に言えば、破綻した
金融機関
があります、債務者がいます、その債務者はいい債務者か悪い債務者か、これを分ける、こういうことでいい債務者は受け皿
銀行
へ、悪い債務者は預保の方に行ってしまう、こういう分け方をしているわけですが、果たしてこんなに単純にいくものなのかなということがそもそもの私の疑問でございまして、そもそも債務者ベースで分けていくということが本当に適切なのかどうか。そういう前提でいくとこのロスシェアリングというのは当然のことながらできないわけでございますが、資産ベースでやっていくのであればそういうことも可能ではないか、こう思うのでございますが、
柳沢国務大臣
、
金融
再生
法に基づく資産判定の基準を債務者ベースでされた
理由
、これをもう一回教えてください。
柳沢伯夫
222
○
柳沢国務大臣
法律
の専門家である
西川
委員
に私から何か釈迦に説法のような話をするのは恐縮にも思いますけれ
ども
、御
質問
ですので申し上げますが、結局それは、
先生
が先ほどちょっと触れられた、我々の
金融機関
の
融資
がコーポレートファイナンスのベースで行われている、プロジェクトファイナンスのベースで行われていないということが最も
基本
的な
理由
かと思います。我々は債務者に対して丸ごと貸し付けをしているという観念で
融資
が行われていることがもう圧倒的に多い。 それに対して、実はシードマンさんがわざわざ訪ねてくれていろいろお教えを私に垂れてくれたりしておりますので、私もちょっとシードマンさんに、論争というほどではないのですが、我々がアメリカの制度と違ったことをしているので、シードマンさん、せっかくのお教えながら、なかなかすっとそれが受け入れられないのだということの一つの
理由
にも今申した点を挙げておいたわけでございます。
西川知雄
223
○
西川
(知)
委員
ロスシェアリングについてはこの辺で終えます。 ペイオフについて、ちょっと
宮澤大蔵大臣
に確認をさせていただきたいのですが、先ほどからの御答弁で、二〇〇一年の四月一日より実施すること、これは確認をする、ただ、諸種の技術的な問題、こういうことについて解決をする必要がある、こういうことでございますが、これは、例えば
金融
再生
法が時限立法であるとか、そのほかのいろいろな要素にかかわらず、どういう事態が発生しようとも二〇〇一年の四月一日より無条件で実施することであるのかどうか、ここの点について確認をしたいと思います。
宮澤喜一
224
○
宮澤
国務大臣
お答えとしては、二〇〇一年四月から予定どおりいたしたいと考えておるわけでございます。 それで、けさほどから御議論になっておりますのは、さて、そうするについては大変にいろいろな問題があり、また、こうしておいた方がよかろうというような知恵もあり得るしということで、
金融
審議会にひとつ考えていただきたいというお願いをしておきましたが、ちょうどここへ来まして論点整理というものをやっていただいておって、それを世の中に問うてみようと。それは、これをやる場合に
関連
して考えるべき施策等々はどういうことであるかといったようなことに関してでございまして、ねらいは、そういう論点整理の中からいろいろ世の中から御議論があって、最終的にこういうふうにしてやることがよかろうということの道行きとして考えているわけでございます。 同時に、しかし、今
再生委員会
のこと等も仰せられましたので、
再生委員会
も一つの期限を持った組織でございますし、たまたまこの時期が、いわゆる
金融
の不正常な
状況
からいわば
政府
の
公的資金
導入等々を離れて一本立ちをするという全体の正常化の時期だというふうにも考えておりますので、それもございまして、ここで二〇〇一年四月から予定どおりやることがいいのではないかというふうにも考えておるわけでございます。
西川知雄
225
○
西川
(知)
委員
中間
報告
がきょうの四時ごろ、もう発表されるころであると思うのですけれ
ども
、それは、そういう大学の
先生
とか日経の会社の方とかいろいろそういう方々が入られて一応お出しになるのでしょうけれ
ども
、大体
問題点
というのはそう難しくなくて、要するにいかにしてスピーディーな支払いができるかということであると思うのです。 そこで、名寄せの問題とかいろいろな問題があるというふうに
指摘
されておりますが、一つ私はちょっと
大蔵大臣
の御意見をお尋ねしたいのです。 例えば保険金支払い方式の場合、これは預金等債権の買い取りでだれかの
資料
によると多分一カ月間ぐらいかかるかもしれない。そういう時期のことがあるけれ
ども
、まず、その期間の短縮というのは、これは実務的に可能なのかどうかという点が一つ。 それから、こういう概算払い率によってやる場合に、例えば概算払い率を資産が確定するまでに少なく払ってしまった。そうすると後で払わないといけない。後で預金者の方はもらえるわけですから、それはまあいいだろう。ところが、国が多く払い過ぎた、預保が払い過ぎた。その場合返してほしいというのは、実は預保法の八十一条の二には書いていないわけですね。ですから、預金者の方としては、多くもらい過ぎたから後で返さないといけない、これは大変ですけれ
ども
、一たんある程度もらって、さらにもらえるということで、例えばそれをスピーディーにやれば
金融
不安というのはまず起こらないのではないかというのが第一点。 それから、仮払金というのは、大体一週間ぐらいで政令で定める範囲で払われるということで、現在二十万円になっているわけですけれ
ども
、これをもっと上げれば、例えば千万円とかに上げれば、すぐ
問題点
は解決できるのではないか。 スピーディーにやる
方法
というのは、いろいろな
方法
があるのでしょうけれ
ども
、一生懸命考えられているのでしょうけれ
ども
、現在の
方法
でも、例えば名寄せをするのがそんなに難しいのか、もっと簡単にできるのではないか、二番目は、さっき申しましたように、預金等の債権の買い取り、これは一カ月というのはもっと短くできるのではないか、また、仮払金、これも政令改正で二十万円をもっと増額すればいいのではないか、こういうふうに考えるわけですけれ
ども
、その点について
大蔵大臣
の御意見はいかがでしょうか。
宮澤喜一
226
○
宮澤
国務大臣
御
質問
の御要諦を伺っておりますと、
金融
審議会でいろいろ議論になっておりますその論点整理につきまして、今の御
指摘
などはまさしくそうでありますが、実は、
金融
企画
局長
がこの審議を直接、時々
自分
で聞いております。私は実はほとんど全く存じませんで、これから
報告
を受ける立場でございますから、よろしければ
金融
企画
局長
から今の問題、それからお尋ねの問題についてお答えをさせていただきたいと思います。
伏屋和彦
227
○伏屋
政府
委員
お答えいたします。 預金の全額
保護
という現在の特例
措置
が終了した後の
金融機関
の破綻
処理
として、先ほど
先生
言われました現行の預金保険法の本則では、保険金支払い方式と
一般
資金
援助方式が
措置
されているわけでございます。今
先生
が言われましたように、保険金の支払いをいかに迅速に行うかということがまさに重要な課題ということで、
金融
審議会でもこの議論が活発に行われておるわけでございます。 一つ、言われました名寄せの問題でございます。これは、現行の保険金支払い方式では一預金者当たり一千万、一
金融機関
一千万ということでございますので、どうしても保険金を支払うためには名寄せが必要ということでございます。 現在、審議会では、保険金支払いのために必要な名寄せを迅速かつ正確に行うためには、これは非常に具体的な意見の
内容
を申し上げますが、例えば、平時から
金融機関
に名寄せをやってもらうように求めたり、また
金融機関
に、名寄せデータを
預金保険機構
がスムーズに引き継ぐように、そういう
システム
対応を求めてはどうかというような意見もあります。また他方で、全
金融機関
に名寄せを求める場合、その負担は相当なものになるのではないかというような意見もあるわけでございます。 それから、
先生
の言われました買い取りにつきましても、
預金保険機構
等によりまして、平時からいろいろな意味で関与しておいてはどうかというような意見もあります。 それから仮払いの点でございますが、これは名寄せ等の作業が終了するまでの間のいわば預金者の当座の生活
資金
に充てるためのというような趣旨で設けられているものでございますので、一方において、この水準は必要最小限にとどめるべきだという意見と、やはりいろいろな意味で生活水準も上昇しているのだからある程度は引き上げてはどうかというような意見もあります。 いずれにいたしましても、保険金支払いをいかに迅速に行うかということで、今後とも
金融
審議会でまた精力的な審議がやっていただけるものと考えております。
西川知雄
228
○
西川
(知)
委員
それで、今、例えば平時からの関与ということをおっしゃいましたが、アメリカのFDICのように、いろいろと事前準備の段階から入っている、そうするとその資産の確定というものが比較的速やかにできる、こういうふうに思いますので、当然そういうふうな
方向
性でやっていかれるのじゃないかとは思います。 そこで、一つちょっと気になることが、
中小企業
の決済性の預金、これを
保護
したらどうかということで、概念的には確かにそうだと思うのですが、これは当座預金じゃなくて普通預金口座というものも対象にする。そうしますと、これと貯蓄性の預金との差とか、それからまた
中小企業
でも休眠会社とかいっぱいございますし、その辺をどうするのかということが公平性の
観点
から、また技術的なところから大変問題となると思うのですが、その辺のところはどういうふうに、概略で結構ですが、大蔵省の方としてはお考えになっているのでしょうか。
伏屋和彦
229
○伏屋
政府
委員
お答えいたします。 やはり今
先生
の御
指摘
の点も
金融
審議会のワーキンググループでは大事な問題として、
金融機関
が破綻した場合の流動性の問題、すなわち
法人
等の決済、特に
中小企業
の決済の問題が論点になっているのは事実でございます。 この点に関しまして、決済性預金については、これは全額を
保護
対象とすることによって速やかな払い戻しを認めるべきではないかという意見があります一方で、決済性預金を全額
保護
対象としてしまうと、やはり負担の
増大
やモラルハザードの問題、一体ほかの預金との明確な線引きができるかどうかといったような問題があるという意見もあるわけでございます。したがって、ほかの課題とあわせましてこの点も、論点の整理公表以降、またいろいろな御意見を聞きながら審議が行われていくと思います。
西川知雄
230
○
西川
(知)
委員
では、ペイオフのことはこのくらいにいたしまして、株式交換制度のことについてちょっと、
質問
通告はしておりませんが、
大蔵大臣
の御
所見
をお伺いできればと思うのです。 株式交換制度は、
一般
の事業会社だけじゃなくて、
銀行
も、これからの
金融
の再編成ということでこれは大変いい
システム
であるということで待ち望んでいるわけです。既に、これに関する租特法の改正というものは本年の三月三十一日に手当て済みでございますし、この株式交換制度自体を総理も、新聞報道によると、成立に強い決意を表明されているということでございます。 そこで、これを今
国会
中にぜひ通す。これがいろいろなほかの
法律
との
関連
でなかなか審議できないとかそういうようなことをしていては
日本
の
金融
の再編成にも非常に支障を来す。こういうことで私は、早急に法務
委員
会の方でもこれを審議すべきである、こういうことをぜひ訴えたいと思うのですが、こういう
金融
再編成という立場から、
大蔵大臣
のこの点についての御
所見
をお伺いできればと思います。
宮澤喜一
231
○
宮澤
国務大臣
このたび、
雇用
の問題と産業の
競争力
の問題、二つをあわせまして先般閣議決定をいたしまして、これに伴います補正予算、並びに産業
関係
につきましては幾つかの立法をやがて御審議を願いたいと思っておるわけでございますが、
金融機関
及び事業会社につきまして今の株式交換制というのが、やはりリストラクチャリングと
競争力
強化の一つの目玉になっておるわけでございます。既に
法律
は提案されておりますので、このたびの産業
関連
で提出いたします法案にはそれは当然のことながら含まれておりません。したがいまして、今御審議中のこの法案について、ぜひとも速やかに成立をさせていただきたいということを念願いたしておるわけでございます。 まさに今のリストラクチャリングあるいは
金融
の問題にも大変に
関連
のある法案でございます。法務
委員
会におきまして、御承知のように、いろいろ御議論のあります法案が幾つかございまして、その中からなかなかこの法案が御審議の順番になりませんで、おくれておるわけでございます。正直を申しますと、私
ども
も
国会
対策
の
関連
の各党の方々にもお願いをして、何とかこの
国会
で成立をさせていただきたい。実は、会期を余分に延長しましたときの議論の一つにも、この法案の成立をぜひお願いしたいという気持ちがございましたので、
政府
は、何とかこの
国会
において成立をさせていただいて、あわせまして産業
競争力
強化
関係
の立法を、多分今月の二十日過ぎには準備をいたしますので、それもこの
国会
中に成立をさせていただきますと
関連
の法案が全部そろうということでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
西川知雄
232
○
西川
(知)
委員
私も
宮澤大蔵大臣
がおっしゃったことと同様に
感じ
ておりまして、ぜひこれを早く進めるべきであるというふうに強調したいと思います。 そこで次に、地銀に対する
資本増強
について
柳沢大臣
にちょっとお伺いしたいのです。
中小企業
に対してのいろいろな
対策
、これは地銀の力によるところも大変多いと思います。そこで、この間、「
地域
金融機関
の
資本増強
についての
基本
的考え方」というところで、配当率等についていろいろな優遇
措置
を行う場合が書いてあります。改善点の
評価
項目
で加点すべきところと減点すべきところというのがあるのですが、この配当率の加点また減点のところに、例えば
中小企業
に対してリーズナブルにたくさん貸すというところは加点する、そうではなくて貸し渋りをしている、そういうところは減点する、そういうふうにすべきではないかと私は思うのです。それは、この
報告
の百七十二ページのところに「
経営健全化計画
の改善点の
評価
項目
」というのが書いてございますが、その中にちゃんと記載しているでしょうか。それは、「その他」の貸出金総額が増加しているかどうかの中で読めるかどうかなのですが、読めるとは思うのですけれ
ども
、ちょっと確認の意味でそれをお答えください。
柳沢伯夫
233
○
柳沢国務大臣
ちょっと時間をとりまして、恐縮でした。 この
経営健全化計画
で改善点の
評価
項目
というのを挙げておりますのは、多分、大手行の場合の要領のものでございます。
地域
金融機関
、地銀等については今
基本
的考え方を明らかにしたという段階でございまして、そこにもうたっておりますように、
基本
的には大手行のときの
資本
注入と同じ考え方によるけれ
ども
、あえてそれにつけ加えるあるいは確認をしておきたいというところを主たる部分として
基本
的考え方をまとめました。 したがいまして、これからさらに優先株等の配当率等に関する加点、減点の
項目
等については、
地域
金融機関
特有の問題があるかないかというようなところ、そういう視点からもう一度再チェックをして確定いたしたい、このように考えております。したがって、その際、
先生
がおっしゃったことを念頭に置いて検討してみたい、かように申し上げておきます。
西川知雄
234
○
西川
(知)
委員
もう一つ念頭に置いて検討していただきたいことは、先ほど、
資本
の注入に関しての申請の場合に、八%を目指してか目標かして申請をしてほしいということで、前の大手行に適用するためにつくったとおっしゃる
評価
項目
の中にも、
公的資金
申請額が特に十分であるかどうか、これも加点のところになっておりますので、それが八%を目標として、それで申請してきたらこれはプラスであるというふうにぜひしていただきたいと思います。 ちょっと確認の意味でお答え願えますか。
柳沢伯夫
235
○
柳沢国務大臣
先生
、正確に理解していただいているというのは非常にありがたいと思いますけれ
ども
、まさに私
ども
、大手行のときも、十分な
資本増強
をしてもらいたいというところからこういう
評価
項目
を置かせていただきました。したがいまして、
地域
金融機関
についても同様の考え方から、ただ、多々ますます弁ずといって
自分
が返せないような金額を申請されても困りますので、その辺のところのころ合いを見るための一つのメルクマールということで念頭に置いてまいりたい、このように思います。
西川知雄
236
○
西川
(知)
委員
そこで、
評価
項目
の中で、不良債権の流動化が具体的に
計画
されているかどうかというのも入ってございます。実はアセット・バックト・セキュリティーということで、SPC等を使って流動化ということがやられているのですが、そのSPC法ができてもいろいろな不備な点がある。例えば、今のやり方というのは、資産を流動化しようというために使われていて、運用のためにやっているSPCではない。ですから、資産の入れかえなんかができるようなスキームがつくられていない。だから、一々資産流動化
計画
というものを
金融監督庁
に提出して、そして変えるときにも一々承認をもらわないといけない、そんなふうなことになっています。 実は私も、何人かの
金融
問題について詳しい代議士の
先生
と、それから米国の商工
会議
所のメンバーで、そういう
金融
のことを
日本
でやっている大手の
金融機関
何行かの人に集まっていただいて、彼らがこっちに来てグローバライゼーションでやっていろいろな具体的な問題が見つかってくる、それをどういうふうに解決したらいいのだろうか、そういう研究会をやっていまして、けさもちょっとやったのですけれ
ども
、その中でも、このSPC法というものが現在のままではなかなか使いづらい。十三件のSPC法を使った中で不動産の流動化というのは五件しかないわけで、金額も六百億くらいしかいっていないということで、このSPC法の問題。 それから、キャッシュフローなりそういうものが一定化していないとなかなかこれは難しいわけですけれ
ども
、定期借家権、この問題について規定が今のところ整備されていない。これはいろいろな難しい議論はあるのでしょうけれ
ども
、流動化の対象になるような借家というのはビルの一棟とか二棟とかそういう話で、個々の個人に
関係
するようなものではありませんので、それも例外規定を設けて定期借家権の整備とかそういうものもやっていく必要があるのではないか。 それから当然のことながら、破産とか会社更生、これは新しい
倒産
法制がこれから提案されようとしていますが、これは和議だけに適用されるので否認権が非常にあいまいである。例えば、故意否認の対象となる行為、これが期間が限定されていないためにキャッシュフローをつくる上に非常に問題である。 こういうことがございますので、加点をするのは、不良債権の流動化が具体的に
計画
されているかということでございますが、実際はそういう問題があって、そういう問題を解決しない限りこういうことができないので、ぜひこういうことも含めた上で、
関係
当局と
再生委員会
、
柳沢大臣
の方で検討していただきたい、そういうふうに思いますが、ちょっと御
所見
をお伺いしたいと思います。
柳沢伯夫
237
○
柳沢国務大臣
私
ども
、最終
処理
というものについて多大の関心を持ってその加点
項目
を掲げさせていただいております。そして、
現実
に今度不良債権の
処理
、九兆円ほど十五行についてやっていただいたんですが、そのうち、割と流動化というのが進んでいまして、これはバルクセールが一番大きいかと思うんですけれ
ども
、そんなことで五一%ぐらい実は引き当てでなくライトオフが進んだということでございます。 しかし、それにしても、その中に確かにSPCを使った流動化というのはりょうりょうたるものというか、なきに等しいという
状況
でして、これは本当に、
先生
問題を御
指摘
いただいたように、キャッシュフローがちゃんと見通せなきゃだめだ、安定的に見通せる必要があるんだということ、それにはもうちょっと家主の権利がきちっと
保護
されないとなかなかそういう仕組みができ上がらないといったような
問題点
も私
ども
十分
認識
いたしておりまして、むしろ
先生
にお願いで、SPC法の改善をひとつ精力的に進めていただきたいというふうに考えております。
西川知雄
238
○
西川
(知)
委員
終わります。どうもありがとうございました。
村井仁
239
○
村井委員長
次に、谷口隆義君。
谷口隆義
240
○谷口
委員
現在の
金融
業界の
状況
でございますが、昨年末に、御存じのとおり、六十兆円の
公的資金
が準備され、セーフティーネットが張りめぐらされ、また、本年に入りまして若干景気も持ち直しております。株価も一万八千円台ということで小康状態にあるというように言われておるわけでございますが、しかし、本当に
金融
業界の構造的な側面が改善されたのかどうか、これはまだ私は大変厳しいものがあるんではないかというように考えております。 先日の
公的資金
注入十五行の
経営健全化計画
の進捗
状況
を見ましても、一番大事なところの事業再編のところに大胆な切り口が見受けられないんではないか。今、御存じのとおり、これは共通の
認識
でございますが、オーバーバンキングというような
状況
の中でこれが進んでいくのは、まだまだ越えなければいけない障害があると私は思っておるわけでございます。 それにつけ加えて、二〇〇一年にペイオフが行われるわけでございますし、これが予定どおり行われるといたしますと
資金
がかなり大きく動くであろうというようなこと等々を考えますと、それはそれなりに時間の余裕はないというようなことでございますので、特に
金融再生委員会
の
委員長
をやっていらっしゃいます
柳沢大臣
のところは大変お忙しいことであるとは思いますが、より一層やっていただきたいというように申し上げたいと思います。 今申し上げたことにつきましては、後ほどまたこういう議論もさせていただきたいというように思っております。 それで、まず初めにちょっとお伺いいたしたいことは、先ほど同僚議員の中にも
質問
をされた方がいらっしゃいましたが、特定合併でございます。
平成
九年十二月に預金保険法の一部改正ということで、
経営
不振行同士が大胆なリストラをし、また不良債権をRCCに譲渡し、その後合併をするというようなスキームが行われたわけでございます。当時私はこれに対しては大反対でございましたが、しかしこれが成立いたしまして、御存じのとおり、福徳
銀行
となにわ
銀行
がこれの適用を受け、なみはや
銀行
という形になったわけでございます。それが
平成
十年の十月に改正されまして、当初は御存じのとおり
平成
十三年の三月末までというものが
平成
十一年三月三十一日までということで、結局この合併一つが適用の対象になったということで終わってしまったわけでございます。 このようなスキームについて、どうもマスコミの情報を聞いておりますと、田波事務次官は、この
状況
からして特定合併を選んだのも間違いではないというようなお話もいたしておるようでございますが、ひとつ
大蔵大臣
にこの特定合併についての御見解をお述べいただきたいというように思っております。
宮澤喜一
241
○
宮澤
国務大臣
詳しい事情は私個人としては存じませんけれ
ども
、そういうことがありましたことは存じております。そして、その
法律
は今年の三月末で廃止されましたので、この福徳、なにわ
銀行
の特定合併だけが適用を受けたケースであることになりました。
経営
が悪化した
金融機関
同士であったということは事実でありましたし、またしかし、そのゆえに保険機構から不良債権の買い取り等もやってもらいました。また、大胆なリストラなどについては、
金融監督庁長官
の御承認も受けるというような
計画
でいたしました。大蔵省としては、どうもこれ以外に、今のような制度がございませんから
方法
はないと考えたものと判断をいたしますが、結果としては、しかしこれはどうも成功でなかったと申し上げざるを得ないと思います。 まことに、この
地域
に
金融機関
がなくなることは非常に
地域
のためにもよくないと考えた結果ではございましたけれ
ども
、
行政
としてはどうも私は成功とは申しがたい例であったのではないか、率直に申しますとそう考えております。
谷口隆義
242
○谷口
委員
その結果、今なみはや
銀行
は
早期是正措置
が発動されたということでございまして、このスキームが成功するというのは、
経済
も上向きになり、自然に立ち直るような素地があればこのスキームも扱えるんではないかというように思っておりますが、あの当時にそういうように考えられるというようなことはなかったわけでございまして、私はそういう意味で反対しておって、今結果としてその状態になっておるということです。 しかし、一方、よくよく考えてまいりますと、主力十五行についてはいろいろ議論が行われたわけでございますが、今地銀、第二地銀のところで
早期是正措置
であるとか
経営
破綻が表面化いたしておるわけでございます。一方で、
地域
金融機関
の安定ということを念頭に入れた場合に、従来のスキームで果たしていいのかどうかというようなことも問われておるわけでございます。 そのような
観点
で、
大蔵大臣
、何か御意見がございましたらお伺いをいたしたいというように思います。
柳沢伯夫
243
○
柳沢国務大臣
今
先生
おっしゃったとおり、私
ども
、大手行については過ぐる三月末の決算期において
資本増強
をいたしまして、市場の反応等、株価あるいは短期
資金
の調達のマーケット等からそれなりの反応を得たというふうに考えております。 これを踏まえまして、
金融監督庁
が行いました一斉の
検査
結果に基づいて、次に地銀、第二地銀といったようなところに
資本増強
を行う、あるいは必要な場合にはまた
再生
法の適用も行うというような事態に至っておりまして、最近においても
再生
法の適用の事例が、今御
指摘
のとおり複数行出ておるということでございます。 そして、その場合に、
再生
法が用意してくれておる現行のスキームでよろしいのかという立法論の立場からの御
質問
をいただいたわけでございますが、私
ども
は、今回、地銀、第二地銀の破綻に際して、ブリッジバンクにつながる前提の手続とも言える
金融
整理管財人のスキームを利用いたしておりますのは、特別公的管理の要件を満たし得ていないということから、今言ったスキームを活用させていただいておるということでございます。 活用を始めたばかりでございますので、総合的な
評価
というのは現在の段階でなし得ないわけでございますけれ
ども
、私は、
再生
法と
健全化法
というものを比較して、例えば新聞記者の
皆さん
などにはよく申し上げるのでございますけれ
ども
、
再生
法の世界が非常に幸せな世界か、
健全化法
に比べて非常にいい世界かということについては、実は、
再生
法を適用し始める入り口のところのスムーズぶり、これはもう本当によくできた制度だというふうに考えるわけでございます。 若干、地方
銀行
へ行きますと、店頭に預金の引き出しに来られる方が多数に上ったようなことがありますけれ
ども
、大手行の場合などはほとんどゼロに等しいというようなことで、非常に平穏のうちに実はこの移行が行われたというようなことでございますが、果たして、これから抜け出す、
処理
を終えるということの難しさということが私はかねてから非常に心配の種でございまして、そういうものを経験した後でないとなかなか総合的な
評価
は難しい。では、何かほかにいい
方法
が今思いついているのかといえば、残念ながら、今の制度をベストに運用させていただくしかないじゃないか、このように考えております。
谷口隆義
244
○谷口
委員
大手の場合と、
地域
の安定と申しますか、そういう
地域
金融機関
の場合と、若干、スキームを例えばきめ細かくやっていくとか、別の角度で考える必要もあるのではないかというように思っておりまして、先ほどの
質問
をさせていただきました。 それで、私、西村
銀行
局長
の当時からずっと言っておることがあります。それは、不良債権の問題は大変深刻な問題だ、不良債権として
金融機関
が公表していない部分が当時からかなりあるよ、それはどういうやり方でやっているかといいますと、追い貸しをして不良債権を正常債権化しておりますよというようにずっと申し上げておりました。 このところ、日債銀の
状況
また長銀の
状況
等々見ておりますと、やはりそういうような形で正常債権化しておる。また一方で、不良債権飛ばしと言われるような、商法特例法を逃れるために、監査を受けないがために、八十社弱の、これは日債銀でいいますと七十六社でございますか、会社をつくって不良債権を飛ばしたということで粉飾をやっておった。日債銀で申しますと、これは報道によるわけでございますが、粉飾総額五千六百億のうち三分の二、三千五百億がダミー会社七十六社に移しかえられたものであるというようなことでございます。 これは私は、非常に重要なことで、実はこの二行だけにとどまらないだろうというように思っております。大手十五行また地銀、第二地銀の中にも本質的にはこのような
処理
が行われておるのだろうというように今考えておるわけでございますが、こういう
観点
でまず第一点お伺いをいたしたいわけでございます。
金融監督庁
、今回、日債銀の問題で、ダミー会社を通じて不良債権飛ばしがあったわけでございますが、
検査
の手法はどのようなことを当時なされておって、現在どういう
方法
に変えられたのか、ちょっとそのところをお話をいただきたいというように思います。
日野正晴
245
○
日野政府委員
お答えいたします。
検査
は、これまでも主要行に対しまして不良債権等財務
内容
の実態を把握するために実施してきているわけでございますけれ
ども
、その際、
関連
会社への
融資
あるいは不良債権のディスクロージャーの
適切性
等についても、実態把握に努めてきたところでございます。なお、その際、仮に不適切な取り扱いやあるいはリスク管理等に問題があると認められた場合には、
検査
結果通知でその旨
指摘
し、改善を求めてきたところでございます。 本年三月期から連結決算が導入されまして、今後は原則として
銀行
と、それから
銀行
子会社等グループ
企業
と申しましょうか、とを同時一体的に
検査
するほか、不良債権のディスクロージャーを回避するための手法についても十分に注意を払いながら
検査
を実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。
谷口隆義
246
○谷口
委員
今の御答弁は、連結が入っていない当時の状態においては
関連
会社のところまで行っていないというようにとられるがごとくの御答弁でございましたが、こういうような
検査
の
状況
でございますと、先ほどから申し上げておりますように、これは百五十行近い
銀行
全体の問題であるというようなことで、極めて重要なことであるというように思っております。 今、
日野
さんがおっしゃったように、この三月期から、
金融機関
が民間
企業
に比べまして一年早く連結決算を行ったわけでございます。前にも連結決算はもう既にありました。連結の範囲の問題も、要するに決められた連結の範囲で行うのか、連結の範囲を想定し、実質的な連結の範囲で行うのかという問題があるわけでございますが、今回の連結決算の
状況
を見ておりますと、実質支配力基準ということで、実質的に支配の及ぶところも連結の範囲だというようなことでございます。しかし実態は、私がいろいろ
状況
を聞いておりますと、やはり
金融機関
の中には実質支配力基準でさえも含めない実質的な
関連
会社があるというように聞いておるわけでございまして、
検査
の実効性を高めるという意味においては、会計上の連結範囲を念頭に置くだけではなくて、一体どの程度まで影響が及んでおって、いわば実質的な連結範囲がどの程度までなのかというような
観点
でやっていかないと、また同じような、この範囲から除いたところに不良債権を飛ばすような行為が行われる可能性もあり、
現実
にそのようなこともあるということも、これは風聞でございますが、聞いておるわけでございまして、このような
観点
でいかがお考えか、もう一度御答弁をお願い申し上げたいと思います。
日野正晴
247
○
日野政府委員
ただいま御
指摘
がございましたように、この三月期から導入されました連結決算制度は、従来ももちろん連結決算というのはございましたし、形式的には五〇%基準というのがございました。あるいは持ち分法というのもございましたけれ
ども
、この三月期からはいわゆる実質支配力基準といいますか、実質基準が導入されることになりましてかなり連結の範囲が広がったということは、ただいま谷口
先生
から御
指摘
いただいたとおりでございます。 したがいまして、連結の範囲をどの程度まで見るべきかということは、やはり一番大事なのは、決算に当たりまして、監査
法人
あるいは公認会計士の方々がよく決算をチェックしていただきまして、例えば連結子会社と認められるようなところに役員を派遣していないかとか、あるいはさまざまな実質的な基準がございますけれ
ども
、そういった
観点
から、なるべく連結を小さくしようとするような、仮にそういう誘因があるとするならば、そういうものはやはり監査
法人
においてよくチェックしていただくということが非常に大事になってきているのじゃないだろうかというふうに考えます。 もちろん、
検査
におきましても、私
ども
といたしましては、
銀行
やそれから
銀行
子会社等のグループ会社と言われるものについては十分によく見ていきたいというふうに考えているところでございます。 〔
委員長
退席、井奥
委員長
代理着席〕
谷口隆義
248
○谷口
委員
さっき私が申し上げている意味を理解されておらないんですが、例えば、仮に会計上の連結範囲が決まっておったとしても、それを乗り越えて、実は個々の
取引
を見ていくと大変実質的にかかわっておるな、支配しておるなというようなところがあれば、そのあたりまで突っ込んで
検査
をしていくつもりですか、こういうように聞いておるんです。
五味廣文
249
○五味
政府
委員
御
指摘
ごもっともでございまして、これまでいわゆる不良債権を
関連
会社に移しかえるというようなケースの
検査
技法といたしましては、
関連
会社の営業貸付金自体をまず査定いたしまして、その査定結果に基づいて
関連
会社の債務者区分を行い、それが本体の
銀行
からの貸付金の区分に適用されていく、こういう形で、実質的に連結決算を
検査
するのと同じ効果があるような手法をできるだけ用いてやってまいりましたけれ
ども
、問題は、それが一回だけの移しかえですとある程度できるのですが、二回、三回と移しかえが進んだ場合、そこをどこまでトレースできるかというのは非常に難しい問題があります。そういった先がすべて連結対象になっておりますれば把握は比較的容易なんですが、そうでないケースというのは
先生
おっしゃるとおりあるわけでございまして、これをどこまでトレースできるか、今までも精いっぱいやっておるんですけれ
ども
、やはりなかなか限界があるという部分がございました。 これから、
検査
マニュアルもつくりまして、
関連
会社への査定の基準というのも大分明確化いたしましたので、御
指摘
を踏まえてさらに頑張っていきたいと思っております。
谷口隆義
250
○谷口
委員
だから、今申し上げたことが一番重要なんですね、不良債権の実態把握には。要するに、今もう既に目前にあるものの不良債権を探すのは、これは大したことないんです。要するに、飛ばされている不良債権を探すのが大変なんだよ。そういう
観点
で、私が申し上げていることをぜひ念頭に入れてやっていただきたいというように思います。 ですから、そういう実質的な不良債権を把握できるように、不良債権の金額はこの程度だというように思っておったが、実はまたふえたんだ、こういうことにならないようにやっていかなければいかぬわけで、そういう
観点
でぜひやっていただきたい。従来からの粉飾が起こった後の
状況
を聞いておりますと、やはりそのようなことが一番大きな原因になっているということでございますので、ぜひぜひ、そういう一定の範囲内だけ見るのではなくて、追いかけるというようにやっていただきたいと思います。 それで、今度は
再生委員会
の
委員長
にお伺いいたしたいわけでございます。
平成
十一年一月二十日に「
金融再生委員会
の
運営
の
基本
方針」というのがございまして、そこで、一部文章を抽出して読ませていただきますと、「少なくとも大手行については本年三月期において不良債権問題の
処理
を
基本
的に終了することを目指すとともに、」ということで記載されておるわけでございますが、十一年三月期決算で大手行の不良債権
処理
は終了したというようにお考えなのかどうか、御見解をお伺いいたしたいというように思います。 〔井奥
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
柳沢伯夫
251
○
柳沢国務大臣
我々
再生委員会
の仕事の最も重要な部分は、
日本
の
金融システム
に対する不信認のもとであるところの不良債権の
処理
である、こういうことを強く意識いたしましてこの仕事に取り組んでまいりました。 その一番の手始めが本年三月末の
資本
注入でありまして、我々はその
資本
注入に当たって、まず不良債権というものの分類、これは
基本
的に
金融監督庁検査
部による一斉
検査
の分類を引き継いだ厳しい分類であること、それから引き当ての基準については、これは大変論議のあったところですけれ
ども
、あえて定量的な基準を設定して、それをめどとして引き当ての水準を高目に保つこと、それから連結については、もう既に既定方針でございましたけれ
ども
、これも、今
先生
たびたびお触れになられた実質支配基準を厳格に適用すること、このようなことをもちまして不良債権の
処理
に当たってもらったわけであります。 そのための所要
資金
ということで七兆五千億の
資金
を公的に注入いたしたわけでありますが、たまたまでございますけれ
ども
、今回は税効果というようなことも加わりまして、また
資本
の
自己
調達
努力
というものも多くの
銀行
でやってくれまして、この不良債権
処理
に充てることのできる
資金
としては、我々の投入した七兆五千億を含めて十九兆円ぐらいのものが利用可能な
資金
ということでこの
処理
に充てることが可能というようなことになったわけであります。
現実
にはそうして九兆円余りの不良債権の手当てが行われたということでございますが、これは決して、
資金
的に制約があって九兆円になったという事情でないことは、ただいま言ったように、活用できる
資金
はもっとかなりのものであったということからも私
ども
言わせていただき、またそのような
認識
をしておるという次第でございます。 そういうようなことを総合して、私
ども
としては、この三月期に大手行十五行については不良債権の
処理
が
基本
的に終了した、こういうことを
認識
し、またそのように言わせていただいておるという次第であります。
谷口隆義
252
○谷口
委員
基準のとり方もあるんでしょうが、これは外資系の
金融機関
の
調査
報告書
によりますと、大体こちらの方では、七十六兆ほどの不良債権があって、十数兆まだ未
処理
の不良債権として残っておるというような結果もあるようでございます。 いずれにいたしましても、私自身も、この三月期で不良債権
処理
が終わったとはちょっと考えにくいなというように思っておりまして、株価が若干上がっておりますからそういうプラスの効果もあるわけでございますが、先ほど私申し上げましたような不良債権の飛ばしというのは、特定行だけではなくて、かなり広範な形で行われている可能性があるということをまず念頭に入れていただいて、再度厳しくそのあたりを見ていただきたいというように思います。 それともう一つ、もう時間がございませんので最後でございますが、報道によりますと、クレディ・スイス・ファースト・ボストン、CSFBの
取引
について、
金融機関
との間で粉飾幇助ではないかというような報道がございました。一つは日債銀、九七年三月期に一千億ほどの損失を適正に
処理
しないでこの金額を隠したのではないかというような報道がございました。また、東京相和
銀行
がCSFBグループの海外のSPCに百五十億の不良債権を売却したことが不良債権隠しではないかというような報道もございました。 そこで、どうも
金融監督庁
の
検査
では、CSFBの資産運用商品が粉飾に当たるものがないかということを検討しておるというようなことが出ておりました。また、どうもCSFB側社員が
資料
を廃棄するなど証拠隠滅を図ったというような情報もございました。これについて事実をお述べいただきたいというように思っております。
五味廣文
253
○五味
政府
委員
クレディ・スイス・グループに対する
検査
は現在まだ続行中でございますことと、それから個別
金融機関
に関します
検査
内容
の詳細につきましては、いずれにせよ皆様に御説明するのは控えさせていただいておるところでございます。ただ、ただいまお話のありましたうち、
検査
妨害に関する話につきましては、クレディ・スイス・グループ、スイスに本部がありますが、そこが、
検査
に関して
資料
の隠匿あるいはこれを妨害する行為を行った社員がいるということをプレスリリースしておられます。 外資系の
金融機関
に対します
検査
というのは実は久しく行われていなかったわけでございますが、ビッグバンの進展に伴いまして、外資系
金融機関
の進出あるいは本邦
金融機関
との提携ということが広範に行われるようになりました。特にその
業務
の
内容
というのが、
一般
の国内の
金融機関
が行っております預貸
業務
を
中心
としたようなものではなくて、例えばデリバティブスのようなものを広範に扱う、あるいは債権の流動化に
関連
して、これをデリバティブスと組み合わせてさまざまな商品を開発し、販売する、しかもこれを在日拠点、証券会社そして
銀行
あるいは信託現法、こういったような同一グループの在日拠点全体がグループとして分担し、開発し、またこれを販売したり運用したりしている、こういった特色が認められるものが多くございます。 そこで、今回は、こういったグループを一体としてとらえまして、こうしたオフバランス
取引
を
中心
に、リスク管理の
状況
あるいは法令遵守の
状況
、こういった点を重点に
検査
する、こういうことで
検査
に入りまして、クレディ・スイス・グループ以外のグループにも二つばかり現在
検査
を入れておるところでございます。 今後とも、この
検査
は重点として進めてまいりたいと思っております。
谷口隆義
254
○谷口
委員
時間が参りましたのでこれで終わりますが、今申し上げた最後の問題につきましては、極めて複雑な
金融
商品を扱っておるようでございまして、オフバランスであるとかオフショアであるとか、海外に持っていくというようなこともどうもあるようでございますので、
金融監督庁
におかれましては、そういう複雑な
金融
商品をよくよく見ていただいて、今のその
状況
を捕捉していただくと申しますか、不良債権の飛ばしが起こらないように
状況
をよくよく見ていただくということでぜひやっていただきたいというように申し上げまして、終わらせていただきます。
村井仁
255
○
村井委員長
次に、矢島恒夫君。
矢島恒夫
256
○矢島
委員
日本
共産党の矢島恒夫でございます。 私は、まず、提出されましたこの
報告書
の中の「
日本
債券
信用
銀行
の破綻
処理
について」、ここに
関連
して
質問
したいと思います。 日債銀の破綻宣告というのは、昨年十二月十三日の日曜日でした。
金融監督庁
の手で行われたわけです。十二月の十五日、二日後になりますが、
金融再生委員会
が発足するわけですけれ
ども
、その前だったから、形式的には
再生
委員長
権限代行の小渕首相が行ったことになっております。実際は
金融監督庁
が下した決定と言えるわけですが、なぜこの時期だったのかということ。
早期是正措置
だとかあるいは
業務改善命令
などの余地はなかったのか。その二日後、十二月十五日には
金融再生委員会
の発足が予定されていた。これを待ってからではまずかったのか、何か特別の
理由
があったのか、お答えいただきたい。
柳沢伯夫
257
○
柳沢国務大臣
当時、小渕
内閣総理大臣
が
金融再生委員会
を代行しておりましたが、私が
小渕総理
の補佐役ということに指名をされまして、
小渕総理
をお助けして私もこの問題にタッチをいたしました。 その立場から御説明をさせていただくわけでございますけれ
ども
、日債銀については、まず
検査
が行われ、その
検査
結果に基づいて、十一月の十六日に
検査
結果を通知すると同時に、いろいろな改善のことについて
報告
を徴求するということをやったわけでございます。 特に、私、当時の記憶で一番大きかったのは、
資本
の
増強
というよりも、ある
銀行
との合併構想というものが進捗しており、これが可能になればまたこれは別途のいろいろな
対策
も打ち得るというようなことで、ある種期待の気持ちも持って眺めておったわけですが、それが最終的にうまくいかなかったということが決定的になりまして、つまり
資本増強
についてはなかなかいい
方法
がない、こういう事態がはっきりしたということでございます。 そういうことで、ほぼ一カ月を置いた日曜日でもあるということで、市場の混乱等を避けるために、翌々日には
再生委員会
が発足するけれ
ども
、あえて十三日に特別公的管理のもとに置く決定をさせていただきました。 これがすべての経緯でありまして、逆に、ではなぜ
再生委員会
の発足を待って
再生委員会
の手でこの
処理
を行わなかったかということでございますが、これにつきましては、
再生委員会
が発足をいたしましても、年末年始もあることでもあって、その
運営
の仕方であるとかあるいは議事規則であるとかというような、いわば基礎工事の部分をどっちみちかなりの時間をかけて
処理
しなければならない、こういう事情がありました。実際にも、
再生委員会
がそういう基礎的な枠組みをつくり上げて活動し始めたのは、私の記憶では一月もかなり中に入ってからであった、こういうことでございまして、この判断というのはその意味でも適切を欠くというようなことはなかったというように思っておりまして、御理解を賜りたいと思います。
矢島恒夫
258
○矢島
委員
どうも十二月十三日としたことについて納得のいくような
理由
というわけにいかないのですが、それでは私、日債銀にかかわる個々の問題でただしていきたいと思います。 まずは、日債銀破綻の大もとは何か、こう考えますと、九七年四月一日に、日債銀救済のために奉加帳方式による再建方式、これを大蔵省が主導で行ったわけですが、ここに問題があるのではないか。 このことは、当
委員
会でもしばしば論議されてきました。大蔵省の呼びかけで民間大手
金融機関
から二千百億円集めた、それでも足りないので日銀から八百億円、合計で二千九百億円を集めたわけですが、これが奉加帳方式。私も、去る二月五日の当
委員
会で、この問題で
質問
しました。その
質問
に対して、九七年四月一日に大蔵省
会議
室で、
銀行
、生保、損保など三十四の
金融機関
の
関係
者を集めて
会議
をやったこと、そして大蔵省からの
出席者
については、当時の
銀行
局を担当した者と、多分乾
部長
だったと思いますけれ
ども
、そう答弁されたわけであります。 そこでお聞きしますが、
銀行
局の担当者とは当時の中井省官房審議官と思いますが、これは間違いありませんか。
乾文男
259
○乾
政府
委員
二月のときにも私お答え申し上げましたけれ
ども
、この四月のときに
銀行
局から
関係
の
金融機関
にそういう説明をしたということでございます。 当時の担当者につきましては、
銀行
局担当の審議官ということでございますけれ
ども
、名前につきましては差し控えさせていただきたいと思います。
矢島恒夫
260
○矢島
委員
今さら差し控えさせてなんていうようなお答えが来るとは思いませんでした。もう中井審議官であることは周知の事実だろうと思います。 そこで、この
会議
において中井審議官はどんな要請をしたのか。例えば、日債銀は債務超過ではなくて再建可能である、こういう説明をしましたか。この点についてはどうですか。
乾文男
261
○乾
政府
委員
平成
九年四月の
経営
再建策の実施に際しましては、当時、大蔵省といたしまして、これに最大限の支援を行っていくとの方針を打ち出しておりまして、同日の
大蔵大臣
談話の中でも明らかにされておるわけでございますけれ
ども
、各出資要請先からの個別の照会等に対しまして、大蔵省といたしましては、この再建策が実施されれば日債銀の再建は可能であるとの
認識
を持っていることを説明した、そういうことでございます。
矢島恒夫
262
○矢島
委員
債務超過ではないなどという説明が行われ、そしてそれを信じさせて民間
金融機関
に二千百億円も出資させたことになるわけで、まさに粉飾説明ということで、その責任は私は重大だと思うんです。 法務省に尋ねますが、今、日債銀破綻に関する刑事責任の追及を鋭意行っているところだと理解しております。幅広く捜査を進めるということで、その一環として
参考人
からの事情聴取も行っていると思いますが、その中には当時の大蔵省担当者な
ども
含まれているのかどうか、その辺についてお答えいただきたい。
池上政幸
263
○池上説明員 お答え申し上げます。 具体的事件につきまして、捜査
機関
が現に捜査を行っているかどうかなどにつきましては、捜査
機関
の具体的な活動
内容
にかかわる事柄でありますので、お答えすべき性格のものではないと考えております。 ただ、あくまでも
一般
論として申し上げるならば、検察当局におきましては、常に法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対処するものと考えております。
矢島恒夫
264
○矢島
委員
四月一日のこの
金融機関
との
会議
で、中井審議官は、こんなケースはこれまであったか、こういう
質問
がされたわけですけれ
ども
、それに対して、今回のケースは初めてだ、これまではあくまで債務超過だった、破綻というよりグレーゾーンに属するものの
処理
と考えている、こう答弁したと思いますが、そういう答弁はありましたか。
乾文男
265
○乾
政府
委員
先ほ
ども
お答えいたしましたように、その再建策が実施されれば再建は可能であるとの
認識
を持っていることを説明したというふうに聞いておりまして、今
先生
がお話しされたようなことを話したというふうに私
ども
承知しておりません。
矢島恒夫
266
○矢島
委員
それでは、その後、五月三十日だと思いますが、
日本
生命との間で確認書を交わしたはずですけれ
ども
、大蔵省側で署名したのはだれですか。
乾文男
267
○乾
政府
委員
平成
九年五月三十日に、
日本
生命の求めに応じまして、当時の大蔵省
銀行
局の審議官と
日本
生命の副社長との間で取り交わされたというふうに承知をしております。
矢島恒夫
268
○矢島
委員
中井審議官ということになるわけですが、もう一つ、日銀の
資金
は
大蔵大臣
が要請したと談話で言っているわけですけれ
ども
、実質的に起案したのはだれなのかということ。当時の
銀行
局長
なのか、それとも中井審議官なのか、お答えいただきたい。
乾文男
269
○乾
政府
委員
これは
大蔵大臣
の談話ないしは
大蔵大臣
の要請でございますから、組織としての大蔵省
銀行
局、あるいは組織としての大蔵省ということだったと思います。
矢島恒夫
270
○矢島
委員
当時の中井審議官は、日銀から元本を毀損させないという念書をとられている、大蔵省も逃げることはできないと
質問
に答えているんですが、念書を出した事実はあるんですか。
乾文男
271
○乾
政府
委員
そのような事実は私
ども
承知をしておりません。
矢島恒夫
272
○矢島
委員
承知をしていないということですが、ぜひ調べてもらいたいんですよ、そういう念書が提出されているか。実際に本人が、中井審議官本人がこういう念書を出しているという発言をしているわけですから、そういうものがあるかどうかも含めてぜひ
調査
をしてもらいたいと思いますし、その結果は
報告
をいただきたいと思います。 そこで、
大蔵大臣
、今ずっとこの問題でやってきたんですが、
日本
生命との確認書の問題、大蔵省は、全
関係
金融機関
の同意が得られ今回の再建策が実行されれば、日債銀の再建が可能である旨を確認する。もう一つ、日銀との間の念書については存在そのものがまだ確認されておりませんし、後
調査
して、なければないということになるかもしれませんが、これらのことが全く裏切られてしまったわけですわ、結果としては。 ですから、これに対する大蔵省の責任というものをやはりとらなければならないんじゃないか。
大臣
はこの大蔵省の責任をどう
感じ
ていらっしゃるか、お伺いしたい。
宮澤喜一
273
○
宮澤
国務大臣
平成
九年の四月一日に
大蔵大臣
の談話がございまして、それに従いまして大蔵省としては省を挙げてこの問題の、日債銀の
経営
再建策を支援しようといたしたわけであります。その省の趣旨に従いまして、
関係
者たちは各方面にこの再建策についての協力を要請した、その中に今
委員
の御
指摘
になりましたようなことも含まれておったと存じます。 このときには、日債銀は、もとより債務超過であるというようなことはございませんでしたし、また、これらの協力があれば再建できると考えておったわけでございますから、これらのことは、
行政
に携わる者として、
大臣
の意向を踏んで当然のことをいたした、権限を越えたことをいたしてはいないし、また、善意を持っていたしたことであるということまでは私は信じておりますけれ
ども
、しかし、結果としてこれらの協力というものは、日債銀が再建できなかったことによりましてその実を結ぶことができなかった。そういうことについての
行政
の責任、悪意はありませんでしたし、過失もなかったと思いますが、しかし
行政
の責任、ないというわけにはまいらない、こう考えております。
矢島恒夫
274
○矢島
委員
次に、
金融
危機審査
委員
会、いわゆる佐々波
委員
会のことで尋ねたいと思います。 九八年二月に
金融
二法が成立しました。これを受けて破綻
処理
のための
公的資金
枠が十七兆円準備されたわけです。佐々波
委員
会が発足しました。九八年の三月十日、
大蔵大臣
と日銀総裁もメンバーとして
出席
している中で、日債銀に対しての六百億円の
資金
投入、これが認められる。そのいきさつについて、あるいは九八年三月時点の日債銀の
自己
査定と、そのときは債務超過でないとなっているわけですが、七月二十四日以降行われた
金融監督庁
の
検査
、わずか六カ月の差で九百四十四億円の債務超過、こういうことになった問題などなど、当
委員
会でずっと論議されてまいりました。 そこで、実は提出されたこの
報告書
には、この間の佐々波
委員
会に関する事柄というのは書かれてないわけですけれ
ども
、この問題、どのように反省し、総括したのか。消滅してしまった
委員
会だから一切
関係
ないというのか。きちんと総括すべきだと思いますが、いかがですか。
柳沢伯夫
275
○
柳沢国務大臣
今回私
ども
が
国会
に対して提出をいたしました
報告
は、
金融
再生
法第五条に基づきまして、この
再生
法に基づいて
処理
された
金融機関
の破綻
処理
の
状況
の
報告
ということになっております。もちろん私
ども
、それだけにとどめようかと思ったのですが、せっかく
健全化法
もあることでありますので、
健全化法
についても参考
資料
としてそれにつけておこうということでございました。 そういうようなことで、
再生
法系統の話でございますので、そもそもが佐々波
委員
会は
資本増強
の系統の
法律
でもあるということで、私
ども
これには掲載しなかったし、また、そういうようなことをそもそも考えなかったというのが率直な事情でございます。
矢島恒夫
276
○矢島
委員
そこで、
大蔵大臣
にお尋ねするわけですが、やはりこの
金融
危機審査
委員
会、佐々波
委員
会について、これまでいろいろとここで論議されてきたわけです。ですから、その総括と
報告
、これはどこでやるのか、それともやらないのか、その辺について、
大臣
、お考えがありましたら。 今、
柳沢
委員長
がお答えになったように、この中ではやらない。しかし、この佐々波
委員
会の問題について、この間この
委員
会でもいろいろと論議されてまいりました。とりわけ
公的資金
六百億円の投入問題などなどについて、そのときの判定その他について。そこで、佐々波
委員
会の総括といいますか、一切もう
関係
ないというので、消滅してしまったんだからというので、もうこれで終わりになるのか。総括、その
報告
、こういうのはどこでやるのか、あるいはやらないのか。
大臣
のお考えをお聞きしたい。
宮澤喜一
277
○
宮澤
国務大臣
私は、佐々波
委員
会が当時、三月末に、大変に短い時間の間でこの仕事についての決断をせざるを得なかったという
状況
、また、
出席
しておられる
大蔵大臣
等々も
銀行
から提出されましたラインシート等を役所に持って帰られて、そして当時の
検査部
局がそれを精査した等々の事情を考えますと、この佐々波
委員
会の決定には私は間違いはなかったというふうに
自分
としては
資料
等々から判断をいたしておりますが、今のお尋ねでございますと、佐々波
委員
会の最終
報告
というものは、時間が決まっておるのですが、将来において公になることになっております。その記録によりまして、もう一度きっと、恐らくは
国会
におかれまして御議論があるのではないかと考えております。
矢島恒夫
278
○矢島
委員
日債銀破綻の中で重大な
役割
を果たし、また不明確な点も多々あるこの佐々波
委員
会の問題です。今
大臣
のお答えのように、きちんとやる必要があるということを申し上げて、次に移りたいと思います。 次に、日債銀の会計監査、これを担当したのがセンチュリー監査
法人
だと思います。九八年三月決算と、それから破綻宣告を受ける九八年十二月の直前、十一月二十四日だと思いますが、九月の中間決算が出ました。その際、センチュリー監査
法人
は、債務超過でなく特に問題なし、こういうお墨つきを与えたわけです。 大蔵省はこのセンチュリー監査
法人
の
調査
を行った、こう聞いておりますが、
調査
結果についてお答えいただきたいと思います。
伏屋和彦
279
○伏屋
政府
委員
お答えいたします。 まず
一般
論として、公認会計士法三十条では、故意にまたは相当な注意を怠り、重大な虚偽等のある財務書類を虚偽等のないものとして公認会計士または監査
法人
が証明した場合には懲戒処分をすることができるという規定がございます。同じ
法律
の三十二条に基づきまして、今申し上げました三十条に規定します懲戒処分の事由に該当する事実があると思料されるようなときは必要な
調査
を行うことになっております。 現在、センチュリーと今御
指摘
になりましたが、必要に応じ、事情を聞いているところでございますが、個別の
内容
についてコメントすることは、まことに申しわけございませんが、ここでは差し控えさせていただきたいと思います。
矢島恒夫
280
○矢島
委員
日債銀を監査したのがセンチュリー監査
法人
の監査人ですが、元日債銀の幹部社員だということですが、これは事実ですか。答えられますか、事実かどうかだけで。
伏屋和彦
281
○伏屋
政府
委員
今の
先生
の御
指摘
については、私
ども
、ちょっとまだ情報を持っておりません。
矢島恒夫
282
○矢島
委員
今後の
調査
の中でぜひその点も含めて
調査
してもらいたいと思います。 次に移ります。 さらに問題だというのは、先ほ
ども
金融機関
の役員の退職金の問題が論議されました。
経営者
の責任であります。 報道によりますと、日債銀の役員は退職金を返還するとかしないとかいろいろ書かれておるのですけれ
ども
、日債銀の役員の退職金返還問題、どうなっているかお答えいただきたいと思います。
森昭治
283
○森(昭)
政府
委員
お答え申し上げます。 日債銀の旧
経営
陣の退職慰労金返還の問題につきましては、日債銀が当
委員
会に提出いたしました
経営
合理化
計画
におきましても、
平成元年
以降退任いたしました故人を除く取締役のうち、代表権を有していた取締役、合計十六名でございますが、これらの方々に退職慰労金の自主的な返還を要請することとしております。これに基づきまして、これまでこの十六人の方々と現在の日債銀の新しい
経営
陣が接触いたしまして、この十六名全員から返還について
基本
的な了解を得たというふうに聞いております。 ただ、具体的な金額がすべて決まったということではないようでございまして、とにかく返還には応じて、今後具体的な返還手続等について協議を進めていくというふうに聞いております。
矢島恒夫
284
○矢島
委員
十六名全員が一応返還するという
方向
に行っているようですが、退職金全額返還させるべきですよ。新聞報道によれば、一部だけ返還したいなどというような記事も載っておりますが、ぜひその点については、その責任をきちんととらせるという意味からも全額返還させるべきだ。 法務省に聞きますけれ
ども
、今一連の日債銀問題、例えば監査
法人
、虚偽
報告
になるかどうか、これからの問題だと思いますが、あるいは、九八年三月の日債銀の決算においては粉飾疑惑があるなどなど、これからこれらに対するいろいろな問題が起きてくると思いますが、これについての取り調べ
状況
を
報告
していただきたいのですけれ
ども
。
池上政幸
285
○池上説明員 お答え申し上げます。 お尋ねの件について種々の報道等がなされていることは承知しておりますが、捜査当局が具体的事件について、現に捜査を行っているかどうか、あるいはどのような捜査をするかというようなことにつきましては、捜査
機関
の活動
内容
にかかわることでございますので、お答えを差し控えさせていただくことを御了承願いたいと思います。 ただ、あくまでも
一般
論として申し上げるならば、検察当局におきましては、常に法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対処しているところであると考えております。
矢島恒夫
286
○矢島
委員
この日債銀の問題については、今後、強制捜査があるだろうとか、あるいは逮捕者が出るだろうとか、刑事事件に対しては司直の手によって明らかにされ、裁かれるものだと思うのです。しかし、これで一件落着ではないと私は思うのですよ。この間の大蔵省あるいは政治家の
役割
とその責任、この問題があると思うのです。つまり、政治的、道義的な責任、これもきちんとする、そうしなければ
国民
は納得しない、このことを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。 長銀にもあるいは日債銀にも生命保険会社は大体大株主として名前を連ねています。先ほどの日債銀支援のいわゆる奉加帳、これにも生命保険会社も深くかかわっております。
日本
は世界一の生命保険普及国だと言われておりまして、保険料のシェアは全世界の四割以上を占めているとか、あるいは簡易保険や共済を合わせた生命保険の世帯加入率というのは九〇%を超えている、こういうふうにも言われております。 一昨年四月二十五日、日産生命が
業務
停止命令を受けて以降、解約が続出して、新規契約も
伸び
ないで、予定利率の高い既契約によるいわゆる逆ざや、これも解消できない
状況
にある。先月のある週刊誌の表紙には、生保地雷などという大きな活字が躍っておりました。今日、生命保険問題というのは大変厳しい
状況
にあると思います。 そういう中で、去る六月二十四日に東邦生命に
業務
停止命令が出されました。一昨年の日産生命に次ぐ破綻であります。今後さらに破綻する生命保険会社が出るだろうとも言われているわけですけれ
ども
、このことは
国民
への重大な影響をもたらす、こう考えます。 そこで、東邦生命の問題を
中心
に生命保険の問題についてお尋ねしたいと思うわけです。 まず、
金融監督庁
、東邦生命に対して
業務
の一時停止命令を出したわけですが、その
理由
は何なのか、東邦生命は破綻した、こう見ているのか、お答えいただきたい。
日野正晴
287
○
日野政府委員
お答えいたします。 東邦生命が事業の継続を断念するに至った
理由
、あるいはそのいきさつの詳細については承知しておりませんけれ
ども
、東邦生命の
平成
十年度の決算の作業の過程で、会計監査人から当社の
平成
十年度決算における計算書類が法令及び定款に適合しないという監査
報告
、いわゆる不適法意見でございますが、これが提出されたと聞いております。東邦生命におきましては、
平成
十年度決算における計算書類等に関しまして、今申し上げましたように、会計監査人から不適法意見が提出されたことを受けまして、臨時取締役会におきまして事業の継続が困難であるとの結論に達したものと承知しております。
矢島恒夫
288
○矢島
委員
そういう臨時取締役会での決定というもので
金融監督庁
に対して
業務
停止命令等の発動を要請してきた、こういういきさつだろうと思うのです。 そこで、今お答えにならなかったのですが、
金融監督庁
はこれを破綻と見ているのかどうかという問題でもう少しお尋ねしたいのですが、保険業法の第二百四十一条「
金融再生委員会
は、保険会社の
業務
若しくは財産の
状況
に照らしてその保険業の継続が困難であると認めるとき、又はその
業務
の
運営
が著しく不適切でありその保険業の継続が保険契約者等の
保護
に欠ける事態を招くおそれがあると認めるときは、」こういうふうにずっと書かれております。
金融監督庁
は、今の御答弁ですと、保険会社が、
理由
はよくわからないけれ
ども
、
業務
停止命令を要請してきた、原因についてはよくわからない、こういうお答えだったわけですが、原因が何であるかということを調べないでも保険会社の方から要請があれば
業務
停止命令を発動するのか。生命保険会社が
業務
停止をすれば、これに対して保険契約者に非常な影響を与えることは申し上げるまでもありません。その点から考えてみても、原因をきちんと明らかにする、こういう責任があるのではないか。 それから、破綻かどうかということについてお触れになりませんでしたけれ
ども
、この点もきちんと調べて明らかにする、このことは当然の仕事ではないかと思うのですが、いかがですか。
日野正晴
289
○
日野政府委員
お答えいたします。 ただいま御引用になりました保険業法の二百四十一条でございますが、この条文には、「保険業の継続が困難であると認めるとき、」という規定がございます。この困難であると認めるときというのは、まさに先ほど御答弁申し上げたように、当該会社が
業務
継続困難というふうに私
ども
の方に申し出てきたということで、私
ども
の方ではそういうふうに認定させていただいたわけでございますが、確かに、ただいま御
指摘
がございましたように、保険会社が
業務
の継続が困難であるというような事態に陥ったときに大変大事なことは、保険契約者の契約がどうなるかということだろうと思います。 したがいまして、この二百四十一条にも、
業務
の停止を命じた場合には、保険管理人による
業務
及び財産の管理を命ずる処分ができるということになっておりまして、私
ども
といたしましては、直ちにこの保険管理人を選任いたしましてその管理を命じたところでございます。 これからは、この保険管理人の手によりまして、保険契約者の保険契約が受け皿保険会社に対して円滑に行われるように、これからその
業務
が進行していくものというふうに考えております。
矢島恒夫
290
○矢島
委員
保険管理人の手にありますので、
監督庁
としてはその円滑な推移を見守っていると思うのですが、破綻の問題については、やはり保険管理人の今後のいろいろな
調査
あるいはまた
運営
の中ではっきりすると思うのですが、
業務
停止に至った本当の原因とかそのほかについては大体いつごろ明らかになりますか。
日野正晴
291
○
日野政府委員
お答えいたします。 先ほど申し上げましたように、現在、保険管理人によって管理がなされているところでございます。 私
ども
といたしましては、既に東邦生命に対しましては大蔵省時代に、
平成
五年当時に
検査
が実施されております。ただ、それ以降
検査
が行われてきておりませんでしたので、当局の手による財務
状況
の
内容
というのは
検査
によっては把握しておりませんし、それから、本年四月に
早期是正措置
が導入される以前は、これは
銀行
においても同じですが、償却、引き当ての
適切性
について
指摘
する枠組みとなっておりませんでしたので、
基本
的には保険会社と監査
法人
との判断に、生命保険会社の内部留保の
状況
あるいは実質的に債務超過ではないかどうかということはすべてそのところの判断にゆだねられていたところでございまして、当局といたしましてはその実態把握を行ってはまいりませんでした。 しかし、今後、保険管理人による管理あるいは受け皿会社への保険契約者の契約の移行などを通じましてその点が次第に明らかになってくるのではないかというふうに考えておるところです。
矢島恒夫
292
○矢島
委員
今、
日野
長官も言われましたけれ
ども
、どうも
監督庁
の答弁を聞いていますと、責任回避。旧大蔵省の責任について少しただしていきたいと思うのです。 長官も今言われたように、東邦生命を
検査
したのは
平成
五年の五月なんですね。御答弁の中にありました。それからもう六年以上経過しているのです。その他の保険会社二十六社、
検査
実施の
資料
をいただいたのですが、東邦生命の
検査
の期間が、間隔が異常にあいているのですね。東邦生命の
検査
がなぜこうなったのか、ほかの生命保険会社と比べて、
平成
五年の五月ですよ、ずっとやっていないのですから、なぜそういう事態になったのか、この点について御説明いただきたい。
五味廣文
293
○五味
政府
委員
資料
は私
ども
から御提出いたしましたが、私の見ます限り、東邦生命の
検査
のインターバルが異常に長いということはないと考えております。もちろん、短いところは四年ぐらいで入っているところもありますが、長くて六年、そのくらいのことで、要するにそのくらいの頻度でしか入れないマンパワーしかいないということであります。 なお、念のため申し上げますと、報道などでも出ておりますように、私
ども
記者レクもいたしましたが、生命保険会社、損保系の生保子会社を除きます生保会社三十数社になりますけれ
ども
、これに対しましては、ソルベンシーマージン比率による
早期是正措置
が今年度から入りましたので、昨事務年度から今事務年度にかけましてこれを集中的に
検査
をするという予定になっております。第一陣五社だけは昨事務年度中に
検査
に立ち入ることができたのですけれ
ども
、御承知のように、昨事務年度は、
金融
再生
トータルプランなどを受けまして
銀行
の集中
検査
を注力してやっておりました
関係
で、生命保険会社にはその五社に入るのが精いっぱいという
状況
でございました。今事務年度においては集中的に入るということでございます。 なお、東邦生命について、それでは、ある程度期間があいているのだから最初に入ればよかったではないかというお話があるいはあるかもしれません。最初に入ったところでしょせん数カ月その期間が縮まるだけの話でありますが、東邦生命につきましては、御承知のように、GEグループ、あそことの間で
業務
提携を行いまして、いわゆるGEキャピタル・エジソン生命というものを合弁で、共同出資で設立をしている。このGEキャピタルの最初の決算というのがこの三月決算だったわけでございまして、GEキャピタルと東邦生命をセットで
検査
をするというのが当然のことながら一番効率的な実態把握になりますので、そういうことで実施をしたいということで、GEキャピタルの決算が終わるのを待っておった、したがって第一陣では入れなかった、こういう事情でございます。
矢島恒夫
294
○矢島
委員
そちらからいただいた
資料
ですが、
平成
五年五月三十一日に実施されて以来、東邦生命はずっと入っていないのです。ほかは九年とか八年、近いものはもちろん、今言ったように十一年、ことしやっているのもあるわけです。確かに、
検査
官が少ない、それから
銀行
の
検査
をしなければならない、いろいろな
状況
があることは私もわかります。 こういう中で、
平成
五年のこのときの
検査
ですが、この東邦生命の
検査
時点で何か問題がなかったのか。当時大蔵省ですけれ
ども
、
平成
五年五月の
検査
時点で財務的に問題がなかったのか。何かあったんじゃないかと思いますが、その点についてお答えいただきたい。
五味廣文
295
○五味
政府
委員
破綻をいたしました
金融機関
でございますので、
検査
結果の
概要
については御説明を申し上げたいと思います。
検査
基準日
平成
五年五月三十一日で行いました大蔵省
金融
検査部
による東邦生命の
検査
の結果でございますが、これは資産査定の結果ということで御紹介をいたします。 第一分類、いわゆる非分類でございますが、この資産の額が四兆八千五百六十六億円、第二分類、個別の適切なリスク管理が必要な資産でございますが、二千二十六億円、第三分類、最終回収に重大な懸念が存する資産でございますが、四百十億円、第四分類、回収不能または無価値、これが二億円という
状況
でございます。総資産が五兆一千六億円という結果になっております。 先ほど長官から申し上げましたように、こうした回収の危険度に応じた債権分類の結果、どういう引き当てを行うかということについて、
検査
当局あるいは
監督
当局から適否を
指摘
するという枠組みになっておりませんでしたので、これに引き当てを行った場合にどういう財務
状況
になるかというのは
金融機関
と監査人で御判断をいただく、こういう
状況
でございました。
矢島恒夫
296
○矢島
委員
もう一つお聞きしたいのは、なるほど、
平成
五年五月時点の今の資産査定によりますと、それぞれの分類ごとにお聞きしたわけですが、第三分類、第四分類合わせても四百十二億円というわけです。それからずっと
検査
は行われないで来てついに破綻、こういう事態になったわけですけれ
ども
、
業務
報告書
、これは保険業法の百十条でしたか、毎年毎年
金融再生委員会
に
業務
報告書
を提出すること、こうなっている。以前は
大蔵大臣
ですけれ
ども
。 この
業務
報告
には、営業
報告書
あるいは貸借対照表、それから損益計算書、全部含まれているんだと思います。これを見れば、
平成
五年の時点ではそうでしたが、六年、七年、八年となるに従ってどういう問題があるかわかるのだろうと思うのですけれ
ども
、これは
業務
報告書
だけではわからないんですか。
乾文男
297
○乾
政府
委員
先ほ
ども
長官または
検査部
長がお答えいたしましたように、今御
質問
ありました
業務
報告書
の中に貸借対照表あるいは損益計算書というものが出されているわけでございますけれ
ども
、その前提となりますのは、当時の仕組みといたしまして、これは保険会社自体が監査
法人
の監査を受けまして、その適正な監査を受けた上で出してくるということでございまして、当時の大蔵省がそれについて
指摘
をするという仕組みになっていなかったというところでございます。
矢島恒夫
298
○矢島
委員
その辺非常に問題があると思うのですよ。素人の私だって、見れば大体、どういう傾向にある会社か、こういう面には問題があるというのは、毎年毎年この
業務
報告書
できちんとわかると思うのですよ。 例えば、この東邦生命の財務諸表を見ますと、九三年三月末、九二年度の財務諸表ですが、経常利益は二億八百万円になっていますね。ところが、さかのぼって八九年、そのときの経常利益は千八十九億円、そして九〇年度もやはり千百三十九億円。つまり、バブル
経済
が崩壊して九一年度、九二年度、急激に減少しているんですね。しかも、この経常利益も相当の有価証券を売却してようやく経常利益を出している。有価証券の売却益がなければ経常利益というのは経常損失になっているということがこの中からはっきり言えるわけですね。 それだけじゃなくて、九一年度は、財産の
評価
益あるいは売却益、これを積み立てていた準備金百六十八億円、これも戻し入れているのですね。九二年度を見ますと、有価証券の
評価
益約三百九十六億円になりますが、それぞれ特別利益に計上して乗り切った、こういう状態なんですね。いわゆる益出し、益出しで乗り切ってきた、だから九一年度から生命保険会社としての本来
業務
では完全に赤字になっている、こういうことがわかるわけですが、こういう点についても何の警告も出すことができないんですか。当時の大蔵省ですが。
乾文男
299
○乾
政府
委員
保険会社につきまして、この東邦生命に限りませんが、
一般
的な傾向といたしまして、例えば十年前と比べますと、資産価値の下落でございますとか、それから景気の低迷によりまして契約者がだんだんと減ってまいりますこととか、また有価証券の価格の問題等がございます。それからもう一つは、金利、いわゆる予定利回りの問題がございまして、八九年、九〇年当時、高い金利で引き受けたけれ
ども
、生命保険という商品性から運用の方がだんだんと下がってきてしまうという問題等がございますことから、
一般
的に生命保険会社の
経営
というのは
バブル期
と比べますと非常に厳しいものがあることは事実でございまして、そうした
観点
から、当時の大蔵省の
監督
当局といたしましても、
一般
的に、資産の運用リスクの問題でありますとかそういうものについて注意を喚起するとともに、その事態に対応するべく、必要なリストラでありますとかそういうことを行うように指導といいますか、
監督
を行ってきたというふうに承知をしております。 その結果、各保険会社におきましても、例えばリストラの一環としての人員、給与の削減でございますとか、あるいは本社ビルの売却とか、そういうふうなできる限りの対応をしてきた、
一般
論でございますけれ
ども
、そのように承知をしておるところでございます。
矢島恒夫
300
○矢島
委員
この東邦生命は、予定利率の高い保険をたくさん抱えていたということと同時に、非常に大きな不良債権を抱えていたと思うのですが、東邦生命の分類債権、どのようになっているか、お答えください。
乾文男
301
○乾
政府
委員
公表ベースということでございますので、リスク管理債権ということでお答えをさせていただきますけれ
ども
、リスク管理債権、このリスク管理債権は、御案内のように、破綻先債権、延滞債権、三カ月以上延滞債権、貸し付け条件緩和債権の合計でございますけれ
ども
、
平成
十年三月末が千二百七十三億円、十年九月末が千百六十三億円ということでございます。十一年三月につきましては、決算が出される前に先ほどの事態になりましたので、把握をいたしておりません。
矢島恒夫
302
○矢島
委員
破綻先債権あるいは延滞債権、数字を言っていただいたわけですけれ
ども
、私の得ている
資料
によりますと、東邦生命の
自己
査定額というので出ておりますが、第二分類から第四分類の合計額が二千百四十四億円、リスク管理債権額とは比較は難しいですけれ
ども
、不良債権は償却できずに年々ふえていった可能性があるわけです。そういう点も十分考えますと、
銀行
などの
金融機関
の不良債権についてはある程度明らかにされていろいろ問題にされてきましたが、この生命保険会社の不良債権についてはなかなか明らかにされていないのですね。いかがですか、
金融監督庁
、生命保険会社の不良債権について明らかにすべきだと思うのですけれ
ども
、どんなお考えですか。
日野正晴
303
○
日野政府委員
先ほどは東邦生命の不良債権について御
報告
申し上げましたが、これは実はリスク管理債権全体として生保会社全社ベースでも既に公表されているところでございます。 全体としていいますと、例えば、破綻先債権から延滞債権、三カ月以上延滞、貸し付け条件緩和債権など合計いたしますと、先ほど東邦生命の場合には、貸付金に占める比率は、
平成
十年三月末では一〇・三%というかなり大きな金額でございますが、全社ベースで申しますと二・七%というぐあいになっております。また、同じく十年九月末をとってみますと、やはりこれらのリスク管理債権の貸付金全体に占める割合は一〇・八%でございましたが、全社ベースで申しますと二・九%ということでございまして、御
指摘
がございましたリスク管理債権については、こういったことで公表されているところでございます。
矢島恒夫
304
○矢島
委員
東邦生命の出資や
融資
などの債権、非常に問題が多いと私は思うんです。東邦生命の破綻の要因の一つがこれだと考えるわけです。ゼネコンや東邦生命系列
ノンバンク
、こういうところに多大の不良債権があるようです。長銀系列の
日本
リースにも約七十九億円の債権がある。これは回収されないでしょう。 注目すべきことは、旧大蔵省は
金融機関
の破綻などのたびに、例えば日債銀の債権あるいは三洋証券の劣後ローンなどを生命保険会社に負担をさせてきましたが、そのツケが回っているということも言えるわけです。日債銀に対して、東邦生命は普通株七十五億円、優先株三十七・五億円、計百十二・五億円の出資があります。これは奉加帳方式によるもので、多分これは損失になるだろうと思うんですが、三洋証券に対しても相当の不良債権がある。九八年三月末現在で、東邦生命は二千三百八十八億円の劣後ローンがあるわけですね。 それに加えて、公的な事業への出資、
融資
も不良債権化していると思われるようなところがたくさんあるわけです。苫小牧開発問題については何回も当
委員
会でやりましたが、そこに対して七億円を超える
融資
があります。それから、むつ小川原、これも問題になりましたけれ
ども
、十四億五千万円の
融資残高
があると聞いております。これらの債権が今度債権放棄を迫られるのじゃないかということもある。 それから、これも当
委員
会で問題になりましたが、東京臨海副都心建設株式会社、ここにも一億一千万円の出資と十九億五千三百万円の
融資
がある。これらの回収
見込み
がどうなのか、今後どう
処理
されるべきかということは非常に重要な問題だと思うんです。 時間がありませんので、最後に
大臣
にお聞きしたい二点があるんですが、一つは、今申し上げましたような債権が不良化しますと、保険契約者の損害としてはね返ってくるわけなんですね。
自己責任
ということでは済まされないと思いますけれ
ども
、それに対する御見解。 もう一つは、東邦生命に
業務
停止命令が出た後、いろいろな意見があるわけですが、その中にこういうのがあるんですね。保険会社の逆ざや解消のため、既契約の生命保険の予定利率の引き下げを認めて保険金を引き下げるとか保険料を引き上げる、こういうことが必要だという意見があるわけです。これは、一度約束した契約
内容
を中途で一方的に変更するということになるわけですけれ
ども
、どうも、これは保険会社があのバブル
経済
の中で、私が今申し上げました東邦生命の
状況
のように、乱脈
融資
、放漫
経営
をしてきた、こういう責任を免罪することになっちゃって、保険契約者の犠牲の中で再建を図ろうなんということは絶対に認めるべきでないと私は思うんです。 そこで、
大臣
、こういう
状況
の中で、既契約、既存の契約部分を含めて、一方的に予定利率を引き下げるということは行うべきでないと思うんですが、
大臣
のお考えをお聞きしたい。
柳沢伯夫
305
○
柳沢国務大臣
要するに、今の組織は、生命保険会社に対する
監督
権というか
行政
権というのは、今
先生
たびたび御引用になられたとおり、「
金融再生委員会
は、」ということになっておるんですけれ
ども
、それらの権限は一切法定の上で
金融監督庁長官
に委任をされておるという
状況
でございます。したがって、何と申しますか、私はもぬけの殻というか、そういうような権限
関係
になっておるわけでございます。 ただ、
先生
の今御
指摘
の問題は私
ども
もよく承知をいたしておりまして、数年前でございましたか、予定利回りを変えるということの権限を削除したということから保険会社の
経営
が今非常に苦境に立っているということはあるわけですけれ
ども
、これは憲法の財産権の問題との絡みで非常に大きな問題を提起しているということでございます。 しかし、何らかのいい
方法
でこの問題を解決しませんと、既契約分については非常に金利、利回りの高い時代の契約でございますので、今後それを実現していくということが到底難しいという事情もありまして、これらについてはなお検討を要する問題だというふうに考えております。
矢島恒夫
306
○矢島
委員
ぜひひとつ十分検討していただくということで、
質問
を終わります。
村井仁
307
○
村井委員長
次に、横光克彦君。
横光克彦
308
○横光
委員
社民党の横光克彦でございます。 きょうは長時間にわたって、両
大臣
そしてまた
政府
委員
の
皆様方
、大変お疲れだと思いますが、私が最後でございますので、あとしばらくよろしくお願いいたします。また、ちょっと
質問
内容
が重複するところがあろうかと思いますが、確認するという意味でよろしく御理解いただきたいと思います。
公的資金
の投入を柱とする
金融システム
早期健全化等の
対策
を講じるに当たっては、情報の全面公開を前提としつつ、
金融機関
に対する
貸し出し
実行
計画
の提出を義務づけ、あるいは貸し渋りに対応することによって
信用供与
を
拡大
する、とりわけ
中小企業向け
融資
の拡充を図って健全な借り手
保護
、
地域経済
、
雇用対策
に資するものとする、これが非常に重要であると私たちは強く主張してきたわけでございます。このような主張を受け入れて、例えば注入条件として、
中小企業向け
貸出
残高
の増加が明示されました。これは非常に
評価
できます。 しかし、残念ながら、先ほどから各
委員
が
質問
されておりますように、
公的資金
の注入を受けた大手十五行のうち八行が、
再生
委に提出した九九年三月末時点での
中小企業向け
貸し出し
について
見込み
額に達しなかった、約七千百億円余りが未達成となった、そういったことが明らかにされました。 予定どおり達成している
銀行
があるにもかかわらず、これら八行の
銀行
が達成できなかった
理由
は
金融再生委員会
としてはどのように分析されておるのか。貸し渋りが原因なのか、あるいは
企業
の
資金需要
の低下が原因なのか、いろいろあろうかと思いますが、御説明いただきたいと思います。
森昭治
309
○森(昭)
政府
委員
お答え申し上げます。
先生
御
指摘
のとおり、今回
資本
注入の際に十五行から出していただいた
経営健全化計画
の中の
中小企業向け
貸し出し
、これは三月の時点では、もちろん決算等が出ていないわけでございましたので、各
銀行
に
見込み
を出していただいたわけです。それを今回、決算が出たのを機会に
見込み
値を実績値に置きかえてもらった。その結果、差が出たところがございまして、上振れ行もございますけれ
ども
、
先生
御
指摘
のとおり、八行について下振れ行が出た。 その
理由
についても、各
銀行
から聞きまして、今回
国民
にその
理由
も発表させていただいているわけでございますけれ
ども
、その
理由
として十五行共通に言えることは、一つは
資金
需給の変化。
見込み
の段階では、昨年度の前半のいわば勢いあるいは十二月ぐらいまでの勢い、そこら辺を前提に各行とも出したわけでございますけれ
ども
、その後の
資金
需給の変化が読み取れなかったという点。 もう一つは、いわば財務リストラの一環として
資金
の返済が行われ、それによって
資金需要
が予想以上に冷え込んだ。これはどういうことを意味するかと申しますと、
基本
的には、大手
企業
の
取引
先の子会社、これは
中小企業
なわけですけれ
ども
、そこへ貸していたわけでございますけれ
ども
、この三月の決算期に向けて、そういう親会社の方がいわば債務の肩がわりをしてむしろ子会社についての財務を健全化する、こういう行動に出たために予想以上に
中小企業向け
の
資金需要
が減ってしまった、こういうふうな説明をしておる
銀行
も多うございます。 以上でございます。
横光克彦
310
○横光
委員
資金需要
の変化、あるいは今説明ございました財務リストラの
資金
の返済、こういった
理由
でそういった
見込み
額に達しなかったという御説明でございますが、たとえどのような
理由
があったとしても、これは
法律
上の要請等からしても、このような前期
見込み
が未達成だった
銀行
に対しては、
計画
割れした分は、今期の
計画
、つまり九九年四月から二〇〇〇年の三月までに、この今期
計画
に上乗せするように私は強く指導すべきではないかと思うのですが、
大臣
のお考えはいかがですか。
柳沢伯夫
311
○
柳沢国務大臣
今大手行は、いわゆる大
企業
に対する
貸し出し
というものを余り主力に置いていたのでは所期の
収益
を上げられないというような事情もございます。それがために、
健全化計画
でもリテール部門に注力するというようなことを述べておる
銀行
が非常に多かったというようなこともありまして、ある意味では、
先生
が強く御主張になられた
社会
経済
的な意味で大手行による
中小企業融資
が増加するということもさることながら、むしろ大手行の置かれた立場からここに注力せざるを得ないというような事情もございます。 そんなこんなで、実は、今回
見込み
違いが起こった
銀行
も、今回出しました
報告
の中で、今
先生
がまさに御
指摘
になられたように、今度の下振れ分も上乗せして増加を図っていくということを既にその意図として表明しておりますので、私
ども
としては、必ずやそういう結果が出てくるだろう、このように期待をいたしておる次第です。
横光克彦
312
○横光
委員
ぜひそのような
努力
を促していただきたい。
現実
、それでなくても、
計画
上の貸出枠が用意されていたとしても、
金融機関
は何も損をしたくないわけですから、優先株等のプレミア部分の貸出金利への上乗せや、あるいは
信用
リスクに見合ったものをということを重視するわけですよ。これは当然のことであり必要ではありますが、これを重視する余り、高金利の適用によって結局は借り入れ困難な
状況
がつくられる可能性が出てきてしまう、これでは所期の
目的
を果たしたとは言えないわけですね。ですから、こういった実効性を高めるためにも、何らかの配慮なりあるいは
監視
が必要ではないかという気がするのですが、その点はいかがですか。
森昭治
313
○森(昭)
政府
委員
お答え申し上げます。
先生
の御
指摘
の点、非常に難しい点だと思うのでございますけれ
ども
、我々、
中小企業向け
貸し出し
の
伸び
というのは確かに重視しておるわけでございまして、
経営健全化計画
に、その達成
見込み
、すなわち、ことしの四月一日から来年の三月三十一日までどれくらい伸ばすのか、どれくらいの
残高
にまで行くのかというところを見ておりまして、三カ月に一度ヒアリングをいたしますし、六カ月に一度
報告
を徴求してそれを
国民
に公表し、
国民
監視
のもとでそのような
努力
を注入を受けた各
銀行
が行うよう促しているわけでございます。 また、
先生
おっしゃるように、
貸し出し
の際の
信用
リスクに見合った金利という意味で、金利がどうなるのかという面もあろうかと思います。その点につきましては、やはりリスクに見合ったスプレッドというのは
基本
でございますので、また、そのリスクに応じた引き当てもしなきゃいけない、つまり、リスクの大きいところに貸すほど経費もかかるという面もございますので、金利につきましては、ある程度スプレッドが
信用
リスクに応じて差が出るということはやむを得ないかと思います。 いずれにしても、重要なことは、
中小企業
への
貸し出し
についてその目標に向かっての
努力
を強く促す、そのようにこれからもヒアリング等を通じて
努力
していく所存でございます。
横光克彦
314
○横光
委員
どうか、その各
金融機関
の
努力
を非常に指導していただきたい、このように思っております。 次に、
再生委員会
は、
運営
の
基本
方針において、九九年三月期で大手行の不良債権
処理
問題を終了すること、そしていま一つは、二〇〇一年三月までに揺らぐことのない
競争力
を持った
金融システム
の再構築、この二本柱を掲げております。 このための
法律
的な裏づけが、
金融機関
の
倒産
処理
にかかわる
金融
再生
法、そしていま一方が、破綻の心配はないが
信用
力が低下して市場での有利な調達が難しい
金融機関
に対する
資本
注入法、いわゆる早期
健全化法
、これがあるわけでございます。 そこでちょっと問題になるのが、
健全化法
対象の優良な
金融機関
と、破綻あるいは破綻寸前を含むのですが、そういった
金融機関
の間に存在するグレーゾーンにある
金融機関
、これがどちらの
法律
を適用するのか。こういったグレーゾーンにある
金融機関
がこれから出てくる可能性があると私は思うわけですね。つまり、判定の仕方によってこういった
金融機関
がこれから出てくる可能性があるのじゃないか、善意の判定あるいは厳しい判定によってこの二つの
法律
のどちらでも対象になるような
金融機関
が。 そうした場合、そういったことの対応が迫られるわけですが、そういったグレーゾーンにある
金融機関
の
処理
に関して明確な基準を確立しておく必要があるのじゃないかという気がするのですね。混乱しないように今から考えておくべきではないかと思うのですが、この点、いかがお考えでしょうか。
柳沢伯夫
315
○
柳沢国務大臣
大手行に関して申しますと、今
先生
がおっしゃったのは、恐らく、〇%は上回っているけれ
ども
八%以下になってしまうような、そういう
自己
資本
比率の
銀行
を一体どうするのかということですが、私
ども
としては、大手行についてはそういう事態は考えたくない。今現に一一%、一二%の
自己
資本
比率を有しておりますから、当然高い
自己
資本
比率を持って、またみずからの
経営
戦略を持って、より強固な
資本
基盤のもとで
業務
を展開していってもらいたい、このように存じております。 しかし、
地域
金融機関
の中には、場合によってそのような
資本
充実度の区分に当てはまってしまうような
銀行
もひょっとして出てくるかもしれない。それがゆえに、我々は、今回は
資本
注入を申し出ていただいて、
資本
注入をしたいということを申し上げているわけでございます。 ただ、これは先ほどちょっと別の
委員
の御
質問
でも申し上げたんですけれ
ども
、そういういわゆるグレーゾーンの
銀行
について、
再生
法適用の方に持っていくとかあるいは
健全化法
の適用をするとかということを私
ども
行政
当局の判断でやるというのは、やはり行き過ぎだというふうに思いまして、これは当該の
金融機関
がどちらを考えるかということで対処すべき問題だとは思います。思いますけれ
ども
、ここであえて申しますと、私
ども
本当にそういう局面に直面することも想定して、いろいろ頭の体操みたいなことをやることもあるわけですけれ
ども
、そういった場合に、一体、
再生
法の世界がいいのか、あるいは
健全化法
の世界で
処理
するのがいいのかという問題、なかなか難しい問題だということでございます。 ここで私が
再生
法の世界にはなるべく行きたくないですよと言うと、これは国際的に見て
日本
の
銀行
の信認にもさわるような話になりますので、そこは誤解のないようにしていただきたいんですが、その誤解さえないと、
再生
法の世界よりも
健全化法
の世界でいろいろ
処理
する方が、正直言って、
国民
負担の点、財政負担の点からいえば実はよりベターなのではないか、こういうような考え方もいたしております。 ただ、先ほど言ったように、いわば頭の体操の中身をちょっと御紹介した程度とお受けとめいただいて、これはすべからく個々の当該の
金融機関
の
経営
判断の問題が最優先に尊重されるべきであると考えております。
横光克彦
316
○横光
委員
確かに当該
金融機関
の判断が一番重要でありましょうが、やはりそこのところに
金融機関
が最後に判断を求めることだってあるわけですので、一応の対応はしておいていただきたい、このように思うわけです。 今回の大手十五行に対する約七・五兆円の
資本
注入、これは不良債権
処理
を完了させるものであった。そして、先ほどの
委員
からの
質問
で、
大臣
もそのように、ほぼ完了したというお話もございました。予定どおり実施されていると思っております。 したがって、もし大手行に対する
公的資金
の追加投入があるとすれば、これは再編
目的
以外にはあり得ないんだ、このように
認識
しておりますが、それでよろしいんでしょうか。
柳沢伯夫
317
○
柳沢国務大臣
これも
先生
、そういうふうにややお決めつけになられるようなお問いかけに対して、私がさようでございますと元気よく一義的に答えるわけにはなかなかまいらない、非常に難しい問題でございます。 ただ、私
ども
、仮に今後、今一一、二%に達している大手行の方々の中で
資本
をもう少しふやしたいというようなところが出てくるとすれば、それはやはり再編の問題を念頭に置いて対応するということも十分あり得ることだ、このように申し上げておきたいと思います。
横光克彦
318
○横光
委員
次に、先ほどこの問題も
質問
がございましたが、もう一度確かめさせていただきます。 預金者
保護
のための特例
業務
基金、これが支払われた時点、つまり交付国債が現金化された時点で
国民
の負担が確定されることになるわけでございますね。これまで特例
業務
基金が七兆円あったわけですが、これは拓銀等の
処理
によって既に一・五兆円強が取り崩されております。つまり、同基金は現在五・五兆しかないんではなかろうか。そして、今後見込まれる長銀や日債銀、あるいは
国民
銀行
や幸福
銀行等
に対する
資金
援助額、これを積み上げるならば、私は、当然、この規模からいって早晩この基金は底をつく、このように考えられるわけです。
皆さん
方も恐らくそういうふうに考えられているでしょう。 となりますと、今後、どのように対応していくおつもりなのか、御説明をいただきたいと思います。
大蔵大臣
、お願いします。
宮澤喜一
319
○
宮澤
国務大臣
恐らくいずれは七兆円では足りなくなると思っております。その際には、もとより預金保険法を改正いたしまして、そして予算を組みまして調達をしなければなりませんが、その時点がいつであるか、今年内であるか今年度内であるか、ただいまのところ、例えば長銀につきましても日債銀につきましても、承継の問題がまだはっきりいたしておりません等々の事情で、ちょっといつになりますか見通しは明確でございません。 しかし、今年度内にそういう時期が来ると判断いたしましたときは、遅滞なく
法律
の改正と予算の増額をいたさなければならないと考えております。
横光克彦
320
○横光
委員
いつになるかわからないというお話でございますが、私は、長銀はすぐ損失を埋めるための必要額はわかってくるのじゃなかろうか、あるいは日債銀も年内には確定するんじゃなかろうかと思っているんですが。 私が、今どういう対応をしていくおつもりかと言ったのは、底をついてしまえば、一つは、
預金保険機構
が今後
政府
保証つきの借り入れや債券発行で
資金
調達する
方法
、そしていま一つは、結局
国民
負担に直結します交付国債の積み増し、この両方があると思うんです。この二つの
方法
でこれから対応せざるを得ないと思うんですが、そこのところを
大臣
にお聞きしておるんですが、どうでしょうか。
宮澤喜一
321
○
宮澤
国務大臣
いっときのことでございますと借り入れで
処理
をすることができますけれ
ども
、実際には、交付公債を現金化して渡してしまわなければなりません場合には、これは行きっきりの金でございますので、したがいまして、その方の需要があれば、それはやはり七兆円の公債を積み増していかなければならぬということにしょせんはなってまいりますので、その時期いかんで決断をしなければならない、こう考えておるわけでございます。
横光克彦
322
○横光
委員
ですから、その七兆円の積み増しということになりますと、今ペイオフの延期論というのがいろいろな分野から出ておりますね。仮にペイオフが延期されることになったら、交付国債の積み増しということになると
国民
負担が続くことになるわけですね。確かに、ペイオフ解禁によって起こりかねない
必要性
のない
資金
流出、これらに対しては万全な
対策
を講じなければならないと思いますよ。また、
金融機関
の
経営
実態を十分に把握するための情報公開、これはやっているとおっしゃるかもしれませんが、難しい情報公開じゃなくて、本当に預金者にわかりやすい情報公開、お年寄りでもわかるような情報公開、こういったことの透明化、徹底が必要であろうし、そうしたことを通じて預金者の
自己責任
原則が適正に機能する環境整備が急がれるんだと私は思うのです。 ですから、そういった環境整備を図った上で必要のない
国民
負担を遮断するためにも、私は、ペイオフは予定どおり二〇〇一年四月より実施されるべきである、このように考えておりますが、
大臣
のお考えをお聞かせください。
宮澤喜一
323
○
宮澤
国務大臣
それは同感でございます。今、二〇〇一年三月というものを動かしますと、今横光
委員
が言われましたようないろいろな
努力
というものがそこでだれてしまいますので、これは動かさない方がいい、同感でございます。
横光克彦
324
○横光
委員
そうはいっても、実態にはいろいろな問題があるわけで、二〇〇一年三月三十一日までは
金融機関
同士の
取引
の債権債務までもが全額保証されるのをいいことに、
資金
の出し手は、リスクを精査するという投資家としての当然ともいうべき最低限の倫理すら喪失しているのではないかという実態も間々あるわけなんです。ですから、安易にペイオフ解禁を延期してモラルハザードが高じて蔓延するようなことがあれば、
日本
の
金融
の
再生
はそれだけおくれるわけです。ですから、今の
大臣
のお答えは非常に重要であろうと思いますし、そういったことはぜひ貫徹していただきたい。 ただ、ペイオフを解禁した後、やはりいろいろな混乱が起きる可能性があります。そういったことで、大蔵省もいろいろなセーフティーネット等を導入する方針もお考えのようですが、私が一つお願いしたいのは、
金融機関
みずからの
努力
、つまり、ペイオフ解禁後は健全な
銀行
の
経営
を引っ張らないように、悪貨が良貨を駆逐するようなことがないように、
経営
内容
の悪い
金融機関
に対しては高い保険料を求めることができる可変料率制、この導入も不可欠ではないかと思うのですが、お考えはいかがでしょうか。
宮澤喜一
325
○
宮澤
国務大臣
それは以前からそういう議論がございます。つまり、リスクの少ないところは保険料は安くていい、高いところはそれだけ出しなさいということをいたしますと、
国民
から見ていますと、あそこは保険料が高いから危ないんだなということにまことになりやすいという問題もございますので。 しかし、けさほどからお話のあります
金融
審議会の中間
報告
の中には、いろいろな御議論の中にそういう御議論も確かにございます。ですから、間もなく公になりますので、そこらも論点整理のためにいろいろ御検討いただき、また御教示を仰ぎたいと思います。
横光克彦
326
○横光
委員
確かに今言われたような懸念もあるわけですが、アメリカでも既にやっているところもあるわけですから、そういった先例を参考にして検討に入っていただきたい、私もこのように思うわけです。 次に、約七・五兆円に上る
公的資金
の注入を受けた大手行が株主配当を継続していることに対しては、不況に苦しむ
国民
感情からしても、どうも釈然としないものが残らざるを得ませんね。
経営健全化計画
を提出した
銀行
は、つまるところは健全な
経営
に向けて
経営
再建中の会社と言えるのですよ。また、
公的資金
の注入はあくまでも
自己
資本
充実のために行われたということも忘れてはならないと思うのです。 であるならば、
経営
倫理を問うまでもなく、ごく常識的な判断として、
資本
の社外流出につながる配当は
経営健全化計画
が完了するまでは停止することが求められてもいいんじゃないかと私は思うのですが、なぜ
再生委員会
は配当の継続を承認したのか。
国民
が納得できるような御説明をいただきたいと思うのです。
森昭治
327
○森(昭)
政府
委員
お答え申し上げます。
先生
の御
指摘
ももっともなのでございますけれ
ども
、
先生
も御承知のとおり、先般
資本
注入した十五行はすべて国際基準行でございまして、八%以上の健全行でございます。
法律
及び告示の要件で、八%を切った過少
資本
行に対しての条件として、配当の抑制というのが入っております。一方、健全行の方は、利益流出の抑制でとどまっております。 この二つの言葉の対比から考えられることは、健全行につきましては少なくとも配当の抑制を強制はできないということかと思います。ただ、
資本
注入の際に、御承知のとおり、
経営健全化計画
の
評価
の点を二十二
項目
つくったわけでございますけれ
ども
、減配するところには高い点数をつけることにいたしました。それをすることによって十五行のうちの多くの
銀行
が減配を決断したと思っております。そういう形での誘導を行うことをさせていただいたということでございます。
横光克彦
328
○横光
委員
終わります。ありがとうございました。
村井仁
329
○
村井委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十五分散会