○鈴木(淑)
委員 自由党の鈴木淑夫でございます。
ここへ提出されております半期の
報告書は、先ほど
総裁言われましたように、新
日本銀行法の第五十四条第一項に基づいているわけでございます。
この新
日銀法を二年前に
国会で審議いたしましたとき、当時の新進党、そのときの仲間はここに大勢いらっしゃいます。公明・改革から民主党にもいらっしゃる。さらには自民党にもさっき
質問された
山本委員がおられますが、私ども新進党がこの五十四条について何を言ったかといいますと、この
報告書はどうして大蔵大臣経由で
国会へ出されるんだ、
日本銀行が国民の代表である
国会に対して
透明性を確保し、責任を負うのであれば、直接出したらいいじゃないかということを言ったんです。そうしましたら、大蔵大臣、総理の、橋本総理ですが、御答弁は、いや、それは御心配なく、
日本銀行が出してきた
報告書をそのまま
国会へ取り次ぎますよ、中身についてつべこべ言いません、
日本銀行の独立性を尊重します、こういう答弁でございました。
その結果、
日銀法が成立して、きょうで二回目の
報告書が出ているわけでございますが、私が見る限り、当時の政府が約束したとおり、
日本銀行の見解が、大蔵省を経由していますが、直接ここへ出ておるというふうに理解しております。
したがって、またきょうのように大蔵大臣が御
出席にならないで、
日本銀行総裁以下役員が
出席されて、直接私ども衆議院議員あるいは参議院議員、
国会議員の審査を受ける、このことはある意味では
日本銀行にとって新しい体験であり、厳しい面があろうかと思いますが、しかし、これは
日本銀行の独立性を確保するための当然の仕事であります。その意味で、私はきょうのような、この後野党から
質問が来ますからもっともっと厳しいでしょう、しかし、こういうやりとりの中で
透明性を確保しながら責任を全うしていく、アカウンタビリティーを貫くということを、ぜひとも新
日銀法に基づいて
日本銀行にやり遂げていただきたいと思うものであります。
私ごとになって恐縮でございますが、実は私、先週の木曜日、二十四日から今週の日曜日の二十七日ですか、四日間米国に参りまして、フォード元大統領が主宰し、事実上は共和党のシンクタンクであるAEI主催のワールドフォーラムというのに
出席してまいりました。そこには、グリーンスパン連銀議長を初め、ウィリアム・プールとかあるいはジェリー・ジョルダンといった地域連銀
総裁も来ておりました。IMFの筆頭副専務
理事のスタンレー・フィッシャーもおりました。それから、
日銀の
金融研究所のオナラリーアドバイザーであるアラン・メルツァーもおりました。
そういう人たちが大勢そろって
出席した
会議に行ってまいりましたが、彼らはかなり
日本の
金融政策、
日本経済に通じております。そこで彼らが申しましたことあるいは私に対して関心を持って問いただしてきたことは、この半年の間の
金融政策の運営について三つあります。
まず第一は、やはり何といってもことしの二月からのいわゆるゼロ
金利政策の効果であります。非常に思い切ったことをやった、マイナスのインフレ率のもとではあれは当然だ、しかしそれにしてもマーケットで妙なことは起きていないか、大丈夫か、それからあのゼロ
金利政策の効果はどういう格好で出ているのか、ここに最大の関心がございました。
二番目は、これは本当に詳しく
日銀の
金融政策を見ている人以外には、わからないというか気がつかれなかったんですが、やはりこの
報告書にはっきり書いてあること、すなわち、年末と年度末の
企業金融を円滑にするために
日銀は三つの手を打った。一つは
CPオペの条件緩和による積極化、拡大、
二つ目は貸出増加額の五〇%の
日銀リファイナンス、三つ目は社債担保の
日銀信用供与であります。これについても、彼らは、このことが
企業倒産、御承知のように前年比三割、四割まで劇的にがっと落ちました、そのことと関係しているのかどうかという
質問ですね。
それから三番目は、これは
日銀の政策ではない、そう言っては恐縮でございますが、私ども自由党が汗をかいて、最初は野党共闘で、その後は自自連立の中で一生懸命やりました中小
企業に対する信用保証枠の拡大、あるいは中堅
企業への信用保証の拡大、これが非常にきいておるという話なんだけれども、どうきいておるかという
質問なんですね。こっちがきいたのか、
日銀の年末
金融あるいは年度末
金融対策がきいたのか、どっちがきいたんだと。
いずれにしても、
企業倒産が劇的に減っておるな、
企業金融は相当緩和したね、これが彼らの
質問であります。国際的にはそういうふうにこの半年の
日銀の
金融政策が見られているということなんですね。
そこで、私、時間が限られておりますので、大きな
質問を二つだけいたします。
一つは、今言った政策をとった結果、
マネーサプライがどうなっているかということなんですね。私は彼らに
説明しました。今さっき
山本委員が問題にされていたのは、年末から一月に向かってベースマネーの
伸びががっと落ちたということなんですが、私が彼らに
説明をして、彼らが、そうか、これは結構な傾向が出ているねと言ってくれたのは、ベースマネーの前年同月比を見ると、一月がボトムですね、それで最近に向かってがっと上がってきています。六、七%まで上がっていますね。そのことを彼らに言いました。それで、ブロードマネーの方は、M2プラスCDの方はそれほど劇的ではないが、やはり前年比、一月がボトムです。それで最近に向かって上がってきているんですね。
だから、どの政策がきいたか、必ずしもアイデンティファイはできないが、ベースマネーで見てもブロードマネーで見ても、間違いなく
金融の量的緩和が一段と進んでいる。これが、一―三月のGDP七・九%は堺屋長官でなくてもほんまかいなと思いますが、しかし、私は、プラス成長はちっともおかしくなかったと思う。あの中で
設備投資がプラスになった。その中核は、御承知のように中小
企業非製造業の
設備投資がぐんと
伸びたわけですね。この辺は明らかに
企業金融緩和を抜きにしては理解できないんだよという
説明をしてきたところであります。
そこで、
日本銀行に一つお尋ねしておきますが、私は、
日本の新聞が、
日本銀行は、
金利はゼロ
金利政策をしたが量的緩和はしない、量的緩和に踏み切るかどうか、次の政策
委員会はどうか、こういう記事を書く。これを読むと大変不満ですね。
日本の新聞は理解していない。
日本銀行は常々言っているように、量と
金利というのは表裏の関係にあるわけだから、ゼロ
金利政策、それから一連のことをやれば量だって緩むわけですよ。
それで、私は
日本銀行に申し上げたいんだが、量的緩和はしていないとかこれからするかどうかとかいうふうな誤解に満ちた記事を書かれないように、もっと上手に
説明しなさいということです。
つまり、私に言わせれば、
日本銀行は量をターゲットしないと言っている。さっき
山本委員が一生懸命
質問しておられた。これは大事なポイントで、ベースマネーという量をターゲットしない、ターゲットしているのは
金利だ、
コールレートだ、こう言っているわけです。けれども、同時に、
コールレートとベースマネーという量は表裏の関係にあるんだから、ゼロ
金利政策その他一連の手を打てば量の中心指標であるベースマネーだってぐんとふえてきているんですね。
日本銀行は、
説明の仕方にもう少し工夫を加えるべきだと思います。量的緩和はしていないなんて言われたら、冗談じゃない、徹底的に量的緩和をしているよ、だからベースマネーもブロードマネーも
伸びが高まっているんだよ、その手段がゼロ
金利政策だよ、そういう
説明をすべきだと思うんです。その点の
説明について私は若干不満を持っているんです。その点はいかがですか。