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1999-04-23 第145回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十三日(金曜日)     午前九時一分開議   出席委員    委員長 村井  仁君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 鴨下 一郎君 理事 柳本 卓治君    理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君    理事 石井 啓一君 理事 小池百合子君       今村 雅弘君    大石 秀政君       大島 理森君    大野 松茂君       栗本慎一郎君    河野 太郎君       佐田玄一郎君    桜井  新君       桜田 義孝君    砂田 圭佑君       田村 憲久君    中野 正志君       中村正三郎君    平沼 赳夫君       松本  純君    村上誠一郎君       吉川 貴盛君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    綿貫 民輔君       海江田万里君    末松 義規君       仙谷 由人君    中川 正春君       山本 孝史君    吉田  治君       石田幸四郎君    白保 台一君       谷口 隆義君    並木 正芳君       鈴木 淑夫君    西田  猛君       佐々木憲昭君    矢島 恒夫君       横光 克彦君  出席国務大臣         大蔵大臣    宮澤 喜一君         国務大臣         (北海道開発庁         長官)     川崎 二郎君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    斎藤 徹郎君         国土庁計画・調         整局長     小林 勇造君         国土庁地方振興         局長      中川 浩明君         大蔵政務次官  谷垣 禎一君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君  委員外出席者         北海道東北開発         公庫総裁    濱本 英輔君         日本開発銀行総         裁       小粥 正巳君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   河井 克行君     大野 松茂君   桜井  新君     松本  純君   中野 正志君     吉川 貴盛君   渡辺 喜美君     今村 雅弘君   綿貫 民輔君     佐田玄一郎君   玉置 一弥君     吉田  治君   大口 善徳君     石田幸四郎君   若松 謙維君     白保 台一君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     渡辺 喜美君   大野 松茂君     田村 憲久君   佐田玄一郎君     綿貫 民輔君   松本  純君     桜井  新君   吉川 貴盛君     中野 正志君   吉田  治君     玉置 一弥君   石田幸四郎君     大口 善徳君   白保 台一君     若松 謙維君 同日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     河井 克行君 四月二十三日  共済年金制度堅持に関する請願奥山茂彦紹介)(第二七四八号)  同(木部佳昭紹介)(第二七四九号)  同(田村憲久紹介)(第二七五〇号)  同(高橋一郎紹介)(第二七五一号)  同(中村喜四郎紹介)(第二七九二号)  同(原田昇左右紹介)(第二七九三号)  同(畑英次郎紹介)(第二八〇六号)  同(奥野誠亮紹介)(第二八一三号)  同(久野統一郎紹介)(第二八一四号)  同(園田修光紹介)(第二八一五号)  同(畑英次郎紹介)(第二八一六号)  同(森英介紹介)(第二八一七号)  同(奥田幹生紹介)(第二八五八号)  同(桑原豊紹介)(第二八五九号)  同(中村喜四郎紹介)(第二八六〇号)  同(原健三郎紹介)(第二八六一号)  同(松本和那君紹介)(第二八六二号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第二八六三号)  同(山崎拓紹介)(第二八六四号)  共済年金制度堅持に関する請願小林守紹介)(第二七五二号)  消費税減税に関する請願石井郁子紹介)(第二八四六号)  消費税率を三%に戻すことに関する請願木島日出夫紹介)(第二八四七号)  同(穀田恵二紹介)(第二八四八号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二八四九号)  同(辻第一君紹介)(第二八五〇号)  同(中林よし子紹介)(第二八五一号)  同(不破哲三紹介)(第二八五二号)  同(藤木洋子紹介)(第二八五三号)  同(松本善明紹介)(第二八五四号)  同(矢島恒夫紹介)(第二八五五号)  同(吉井英勝紹介)(第二八五六号)  大型所得減税消費税減税に関する請願吉井英勝紹介)(第二八五七号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  日本政策投資銀行法案内閣提出第三三号)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 村井仁

    村井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本政策投資銀行法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
  3. 中川正春

    中川(正)委員 おはようございます。民主党の中川正春でございます。  先日に引き続きまして、もう少しこだわりの質問をさせていただきたいというふうに思います。  私の趣旨は、この合併そのものについて反対するということではありませんで、これについてはいいだろうと。その中身、例えば役員の数であるとかあるいはリストラの努力であるとかあるいは新しい業務に対してどのように整理をしていくか、これについてはまだまだ議論の余地があるだろうというふうに思うのです。しかし、合併そのものについて反対していくということではありません。  ただ、先日も申し上げたとおり、北東公庫につきましては、苫東とそれからむつ小川原、この二つ国家プロジェクトに対しての教訓というものが一つあったはずであります。これが破綻していった経過、そしてそれに対してその時々で柔軟に対応していけなかったということ、それともう一つは、いわゆる政府系金融機関独立性といいますか、それ自体判断プロジェクトの中で生かせずに、言いかえれば当事者能力を出せずに悪い方向プロジェクトが向かっていった。それで、最終的に破綻を迎えて、それを本来は、北東公庫範疇の中でその法律に従って整理をする、その整理をしたものを将来に生かしながら、今度の新しい合併した銀行の中にどう生かしているのかということを確認しながら前を向いて進んでいく、そういうプロセスが必要なんだろう、私はそんなふうに思うのですね。  それゆえに、ただ、たまたま特殊法人合併あるいは合理化ということの課題があるからそれに乗って今回合併をしていくんだという、その機会をとらえて、相手方の開発銀行準備金でそれを償却していくという手段はとるべきではないというふうに思うわけであります。そういうことじゃなくて、やはり現在の枠組みの中で整理すべきものは整理をする、その上で、将来にその整理教訓を生かす、そういう道筋が大切なことなんだろう、そういう趣旨前回質問をさせていただいた。今回も、もう少しそれにこだわりながら、それぞれの御所見をお伺いしたいというふうに思うわけであります。  それで、北東公庫総裁にまずお伺いをしたいのです。現在のスキームでまずは処理をして、その反省点それからこれまでの教訓、これを徹底的に洗い出しながらみずからその意思をはっきりさせるべきだと思うのですが、それをしないというのはどういうことであるかということ、そのことをまずお尋ねしたいというふうに思います。
  4. 濱本英輔

    濱本説明員 ただいまのお尋ねの中には二つの事柄があわさっておろうかと思いますが、一つは、北東公庫としてみずから抱えたこの苫東むつという債権に関しみずから問題点を突き詰める、その作業があり、その上で、北東公庫みずから発生した損失金につきましての措置を講じた上で統合に臨むというのが筋道のある進め方ではないか、中川先生の御指摘前回からそのように私承っておりました。  前者の点につきましては、この委員会におきましてもたびたび御指摘がございまして、その都度さらにいろいろな意味でこれまでの経過を考えさせられておることでございますけれども、私どもとしまして、なぜここに至ったかということにつきまして私どもの持っております認識は先日来御報告申し上げたとおりでございます。  北東公庫使命というのは公庫法の第一条に規定されております。この使命に発する北東公庫運営に関しましては国会でもいろいろな御議論を賜り、またそれに従って政府計画という形でいろいろな意思を我々に示してくださった。それをひたすら遂行するということに専念する、その過程でいろいろな問題に直面した。執行部局としてやらなければならないことでやるべきことはやったつもりでありますということも申し上げたつもりでおりますけれども、なお、今から考えてみまして、あのときなぜこういうことができなかったのかとかこれは執行当局としてできたことであるはずだというようなことで残されたことが具体的にあれば、それがなぜできなかったかということを徹底的に反省したいと思って考え続けておるというのが前者に関する私の率直な今の段階での態度でございます。  もう一つ、収支のしりに関しまして、開発銀行準備金と合算された形で決着がつくというその処理の仕方というのはいかがかという点についてでございますけれども、これは中川先生の先日来の御指摘一つやり方といいますか、処理の仕方であろうと私は思いますし、ほかにもあるいは処理の仕方があるのかという気はいたします。  いろいろそういうものを並べてみましたときに、今回政府の方でまとめられた国という同一株主二つ機関が合体する、それは行政改革特殊法人整理合理化という方針が実は先行的に定められまして、その国という同一株主による合体ということをそのままたどっていきましたときに今回の御提案のような処理が行われる、そのことも一つやり方であって、いずれをとるかは結果的には政策判断政府側としてはこの御提案をしておられる案によられるということでありますし、我々としてもこのやり方十分説明をさせていただくことはできるだろうというふうに考えて、今日に至ったわけでございます。
  5. 中川正春

    中川(正)委員 もう一つ説明をしてもらわなければいけない相手というのが、特に、新しい銀行がいわゆる独自の債券発行していくという前提があるだけに、北東公庫の場合も、あるいはこれは逆に開発銀行に当てはまるのかもしれませんが、既に発行している債券相手開発銀行の場合は海外投資家ということになると思うんですが、そういう人たちに対して今回のような措置を、私は先日は超法規的と言いましたけれども、これまでの法律枠組み前提としてあって、そういう枠組み前提にして投資をしてきた人たち、全くそれを無視といいますか覆す形で新しい枠組みをつくって、それでこれを法律にしようというわけですね、まあ何でもありという意味合いにもとれるわけであります。だから私は超法規的だ、こう言ったんですけれども、これが法律になったら、それがまあ法律の中でということであります。  しかし、これまで一つの流れ、一つの既定といいますか前提条件を踏まえて投資をしてきた人たちにとっては、それはないだろうということであろうかと思うんですね。そういう人たちにどう説明をしていくかということ、これも一つの大きな、あるいは大事な点だと思うんです。でないと、これから先、政府系投資機関も、前回議論の出ました財投ということを見直していく中で、機関債、これを前提として発行していくということであるとすれば、それが日本の場合はどうも将来どこでどうなるかわからないよというふうな前提の中で運営をされていくということは許されないだろうというふうに思うんですね。  こういう人たちにそれぞれどう説明をしていくのかということですね。この点についてそれぞれ聞かせていただきましょうか。
  6. 小粥正巳

    ○小粥説明員 今回の統合に際しまして、北東公庫側不良債権処理に基づく損失統合相手開発銀行準備金の一部をもって補てんする。開銀は、御指摘のように、これまでかなり長期間にわたりまして海外でみずからの資金の一部を調達してまいりました。そして、幸いこれは、海外市場、初めはアメリカ市場、最近は主としてユーロ市場でありますけれども、大変高い評価、格付を得ております。しかしこれは、当然のことでございますが、日本という国の信用を背景にしておればこその高い信用ということでございます。したがって、現在、開銀債を保有しております海外投資家も、当然にかなりの層にわたっております。  ただいまのお尋ねは、統合によりまして、この損失負担分については確かに統合後の新銀行自己資本内容を、例えば自己資本比率をある程度下げる要因であることは当然でございますから、そのことをどう説明するのか、これは御指摘のとおり、私どもも大変重要なポイントの一つであろうと考えております。  私どもは、外債の発行につきましての市場調査あるいは投資家に対するリレーションの意味も含めまして、現在、アメリカ及びヨーロッパに五カ所の駐在員事務所を持っております。それから、海外政策金融機関あるいは民間の金融機関とも必要に応じていろいろな形でコンタクトをとり、それらを通じてこれまでも、投資家に対して私ども財務内容、経営の方向についての説明努力をしてきたつもりでございますが、今回は、形の上では発行主体開銀が廃止をされる、その上で他の政府機関統合をする、そのために財務内容についても、特にただいまの損失負担の問題もございますから、変化がございます。その点はもう御指摘のとおりでございまして、当然、この御審議をいただいております法案が成立をしますれば、私ども海外投資家、あるいはあえて申せば内外市場投資家に対してもその点を十分に説明する。  確かにこの新銀行自己資本にとって開銀のそれと比べますと負担になることは当然でございますが、しかし、今後新銀行内外資本市場資金を調達するにつきましてそれが非常にシリアスな問題点になることは私どもは決してないと思っております。幸い、国からの自己資本充実策もいろいろと両機関ともとられてきておりますので、その点についての最終的な懸念はないと確信をしておりますし、当然、その内容を詳細なディスクロージャーを通じて説明してまいりたい。  その上で、当然、改めて新銀行も、今後一層資金調達方法を多様化していかなければいけないわけでございますから、内外投資家のその信認を得て、政策コストを賄うに足る有利な資金調達を行ってまいる、そういう方向でございます。御指摘内外投資家に対する今回の統合に伴う財務内容変化についての詳細、そして市場信認を得るための説明というのは大変大事なこと、私はそういうふうに考えております。
  7. 濱本英輔

    濱本説明員 私は、ある意味では、今中川先生が御指摘いただきました点が一番重要な点の一つだというふうに思っております。  これは先生のおしかりを受けるかもしれませんが、あえて答弁をさせていただきたいと存じます。二つ機関一つになりました場合に、たまたま両方とも同じ国の機関でございます、同じ国民資産でございます、その持ち分の合算でございますから、そのやり方自体の特質の問題があるんだという御指摘はよくわかっておりますが、その間におきまして利害を生じないという関係になろうかと思います。合併とか統合で最も大きな問題となりますのは、それを取り巻く全体の関係者の中にどういう利害を生ずるかという問題だと思います。その中で典型的にあらわれますのは、今御指摘がございました債権者立場だというふうに思います。つまり、開発銀行債権者北東公庫債権者がおりまして、それらがこの統合によって大きな利害変化にさらされるということが問題になるという気がいたします。  私ども、多少神経質にその点を議論させていただきました。しかし、たまたま、幸いにしまして、今この債権には政府の保証がついております。したがいまして、債権者立場がこれによって危うくなるということは直接的にはございません。そういう意味におきまして、この方法というのはとり得る方法だというふうに考えました。
  8. 中川正春

    中川(正)委員 私の指摘したいのは、個別の問題で、今、現状がこうですから大丈夫ですよ、そういう説明、これはそれぞれの機関範疇で一生懸命やってもらって当たり前のことですが、それで納得するものじゃなくて、今回の枠組みそのもの、これまでそれぞれ別個の機関として想定をされた法律枠組みがあって、それはお互い融通をきかすことはありませんよという話できた、そういう想定の中で投資が行われた。  ところが、その基本的な枠組みというのを完全に無視して、他人の債務をこっちで償却しますよというようなフレームを今度は新しくつくるわけですよね。そういうことが起こり得るという国家体質といいますかその政府体質というものに対して、将来、財投機関債なんというものが念頭にあるだけに、ここでこんなことをやっちゃったら、それぞれ政府金融関連で買ってもらわなければらないお客さんに対して、まああの国はどこでどんなことが起こるかわからないよというふうな懸念を起こさせるような問題をこの中に含んでいる、だから今回のスキームは健全でありませんよということを指摘しているわけなのですね。  だから、そこのところはやはり問題として残ると思うのですよ、どう取り繕っても説明できない部分だと思うのです。これは筋を通していませんよということだろうと思うのですね。そこのところを指摘しておきたいというふうに思います。  それと同時に、もう一つ、これは大蔵大臣にお聞きをしたいのですが、ここで、苫東にしたってあるいはむつ小川原にしたってこういう形で償却してしまうということは、一つモラルハザードなんだというふうに思うのですね。本来であれば、これはやはり別個に課題としてのけておいて、じっくりそれを議論してこれまでのいきさつを精査して、しかも公的機関がその投資をする場合に、それぞれどこまでその独自性といいますか独立性というのを認めながら議論を重ねていくかという緊張関係ですね。政府政策に対してそれぞれの機関自分たち立場でしっかり意見を言っていくような緊張関係、その中で、できないものはできないと言えるようなそうした議論、それをまたもう一つ中立的に見て、フィージビリティーの観点から本当にいけるのかどうかという第三者機関のようなチェック機能、そんなものを将来つくっていくというふうな議論まで高めていって、初めて今度の国家プロジェクト破綻ということの将来に向けての効果といいますか方向性というのが生きてくるのだろうというふうに思うのです。  そんな議論が出てきているとは私はまだ思えないのですね。思えない中で、これを今回のような形で償却してしまうということは、これでまたうやむやに終わってしまうのじゃないかなというような懸念がもう一つある。これは、国民が見ても第三者が見ても、やはり日本の物の解決というのはこれぐらいのことなんだろうなというあきらめのようなものを醸し出してしまうということだろうと思うのです。それではだめなんだ、やはりそこのところにちゃんとメスを入れて、議論すべきところは議論をする、そんな舞台をここでもやはり残していくべきじゃないか、そんなふうに思うのですね。  そういう観点から、仮に、どういう採決になるかわかりませんけれども、どっちの採決になっても、私たち修正案というのを出していきたいと思うのですが、何かそうしたけじめというのをつけていけるようなものが必要だというふうに私は思うのですが、大蔵大臣、どうでしょうか。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず最初にお出しになっておられた問題は、両方総裁が答えられましたとおり、大変に本質をつく御指摘であると私も思っています。結局株主政府でございますから、こういうことを法律をもってお願いしている、そういう意味では、やみくもにいたしておるわけではございません。それはおわかりいただけると思います。  しかし問題は、開発銀行債権者開発債保持者に対して、従来の開発銀行資産がこれだけ劣化するということは、これはもう事実でございますから、その関係をどうするかという御指摘は、金額の大小にかかわらずそれは存在をする。それで、幸いにして開発銀行は今後とも信用を続けるでありましょうし、政府がバックにおりますし、劣化といってもそれは非常に大きな部分とは事実上申しがとうございますから、やはり開発銀行総裁が言われましたように、そういう債権保持者に対して経緯について十分に説明をされるとともに、今後不安がないということを、事実上ないと思いますが、よく納得してもらう、そういう手続は十分にいたさなければならないことは確かであると思います。  このことは、中川委員のおっしゃっている御疑問に十分には答えていないと思いますけれども現実には、恐らく債権者に疑念を生ずるようなことはない処理ができるであろうということは申し上げることができるだろうと思います。  それから、もう一つの問題でございますが、モラルハザードとかいうことに関する問題。結局、北東公庫はあの四十年の間に大変にいい仕事をたくさんしてまいりましたけれども苫東むつ小川原というのが、やはりここにきますと何といっても非常に大きな、言葉は悪うございますが、北東公庫からいえばお荷物になっている。そこで、この際北東公庫をこういう特殊法人整理合理化のときにどうすべきかということは、実は北東公庫自身だけの問題ではなくて、苫東という問題とむつ小川原という二つを、そういう地域的な大きさのあるいわばナショナルプロジェクトとして政府が考えてきた、そのことをこの際どうするのかということと、大げさですが北東公庫の運命ということとは切り離しがたい問題に現実にはなってまいったのだと私は思います。  それで、政府としては、少なくとも苫東につきましては、地域の人々の熱心な要望あるいはみずから新会社の設立に関係してもいいという積極的な意思、もちろん基本には国の将来についてのこのプロジェクトへの思いもございますけれども、そういうものがございましたから、むつ小川原の方はまだ分明ではございませんけれども、これはやはり何とか生かしていけそうである、ということを考えるならば、もともと北東公庫は大事な仕事をしてきたところでございますから、苫東というものを将来に向かって大切にしていく、育てようということの中で、やはり北東公庫一つの大きな仕事が将来に向かって残っていくというふうに考えていいのではないか、同じことがむつ小川原についてすぐに言えるかどうかは分明でございませんけれども、そういうふうに考えること、それは実は本末転倒ではないかという御批判があることは承知をいたしておりますが、やはりそういうふうに考えていくべきなのだろう。そう考えますと、こういうプロジェクトを持ちながら北東公庫がいわば新しい銀行の形において誕生するということは、政府として意味のあることだ、こういうふうに申し上げるのが一番実態に即しているのだろうと私は思っています。  これは最初の問題に返るわけですけれども、その方法一般会計できちんと処理をして、そうして、それはそれ、これはこれという処理をすべきだとおっしゃいますことは、筋道としては一つの御主張だと私は思います。しかしながら、そのような負担を新たに国民に求めませんでも、幸いにして開発銀行にそれだけの蓄えがたっぷりございます。そういう意味で、それを使わせてもらうということは、当面国民に御負担をかけることはなしにそれが行えますので、国会のお許しがあればそういう方法でやりたい。開発銀行開発債の所有者からいえば、おっしゃいました議論は確かにございますことは重ねて申し上げますけれども、その方々に損害を及ぼすというふうには現実には考えられませんので、したがいましてこういう法律による処理をお認めいただきたい、こういうお願いをいたしておるわけでございます。
  10. 中川正春

    中川(正)委員 株主国民ですから、だからこれは準備金処理しようが一般財源で処理しようが、最終的には国民負担なんです。だから、そういう意味合いでの話は通らないだろうというふうに私は思います。  だから、この際は、それぞれ筋道を通すということ、ルールはルールとして守っていくということ、それと同時に、それをやることによってこの今回の破綻というのを、分析ができて、責任も明確にできて、将来に対して新しいツールというのをつくっていく、その糧にやはりしていくべきだということ、これをあえて申し上げまして、時間が来たようでありますから、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  11. 村井仁

    村井委員長 次に、上田清司君。
  12. 上田清司

    ○上田(清)委員 連日御苦労さまです。  早速ですが、過日、斎藤総務監理官に、いわゆる経営が悪化した状況認識についてどのような御認識を持っておられるかということを再三お聞きしまして、いわゆる苫小牧東部開発新計画北海道開発庁が平成七年の八月に出された、この時期に明らかに経営が悪化したのではないかというようなことを私は議事録の方で確認をさせていただいております。  ちなみに、文言だけちょっと確認でございますが、私のことでございますが、こんなふうに言ってあります。それでは、平成七年に、厳しい経営環境にあったので、さまざまな形で対応を新しく直してみたいというような認識に立ったわけですね、これだけ確認してくださいということを申し上げまして、斎藤総務監理官は、苫東開発計画の基本的な考え方の変更を行いました大きな要因として、先生指摘のように、経営環境の悪化というものが挙げられると思いますと。  この文脈の中で、明らかに平成七年当時に経営環境が悪化したものだと理解をしているというふうに私は認識しましたが、これは間違いないでしょうか。
  13. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 御指摘のとおりでございます。
  14. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  濱本総裁にお伺いしたいんですが、北東公庫の融資の過程の中で、いろいろな環境変化が開発行為に、プロジェクトにあったわけですが、大蔵大臣も言われましたように、なかなか引くに引けない、後知恵ではいろいろなことが言えるけれども、その当時としては、いろいろな思いを実現するために、国の意思部分を尊重してバックアップしたんだということであります。明らかに平成七年ぐらいからこれは容易な事態ではないという認識を北海道開発庁はなされたわけです。北東公庫はそのころの時点ではどのような認識の変化があったのか、あるいはあくまで国の意思にはもう全面的にバックアップするという御意思でやられたのか、それとも特別にその当時に、経営環境の悪化についての認識、開発新計画が出された時点での取り組み方についてどのように考えられたのか、教えていただければと思います。
  15. 濱本英輔

    濱本説明員 平成七年ごろの問題意識ということでございますけれども、先般来上田先生からたびたび御指摘ございましたように、利子がだんだん加算されていく、それは確実に刻々加算されていくということがもちろんだんだん目に見えてまいっておりまして、そういう中で、いかなる対応が必要かという問題意識は一方においてだんだん強まっていたと思います。そのころのものを今の段階で私どもが顧みまして、読んでみたりいたしまして、やはり基本的には、苦しいが何とかしてその事態を克服できないかと。  例えば、先日もちょっと申し上げましたけれどもむつにつきましても苫東につきましても、これは関係者が大勢ございますから、関係者の意向が調わない限りなかなかいろいろな措置は講じにくいものでございますけれども執行部局として、例えば金利負担を少しでも低下せしめる方法、あるいは外から新しい企業を引っ張ってくる方法、あるいはそのために地方公共団体などが補助を加えていただく問題、そういったものを一緒に議論をしまして、そういうものがまとまれば険しい状況をまた乗り越えられるかもしれない。  気持ちとしましては、何とかしてこの事業計画を進めたいという気持ちの方が強かった、そういうことではなかったかと存じます。
  16. 上田清司

    ○上田(清)委員 どうも余りすっきりしなかった御回答であります。  と申しますのは、そういう厳しい環境にあるという認識を、監督官庁であり計画の主体でありました北海道開発庁がなされた、当然事業会社もそういうことをなされたと思うんですが、融資をされる場合、その事業会社に対して、例えば収支決算あるいは事業の中身についてもやはり見られるわけですね。ただ幾ら国の意思があるからといっても、例えば人件費がべらぼうだというようなことであれば注意をされるとか、当然そういうことはあってしかるべきだというふうに私は理解するんですが、そういう点についてはチェックをされるんでしょうか。
  17. 濱本英輔

    濱本説明員 ただいまの御指摘の点、執行担当者としては非常に重要な点で、その状況に応じましてどの企業でもリストラをしておられる。ましてや、これだけの国家的なプロジェクトにおける運営というものはそれにこたえるものでなければならないという意識がございまして、人件費等につきましても、例えば人の数とかいうようなものにつきましてもこれを減らすことができないかという議論は折に触れやってきたし、現に人も減らした。減らす議論を起こし、会社といろいろ相談をし、これはほかの関係者もございますけれども、人は減ってきた。こういう流れであったというふうに聞いております。
  18. 上田清司

    ○上田(清)委員 総裁は就任後間もない時間の中で個々のケースを審査されたわけでもないと思いますし、質問通告も詳しくはしておりませんので、その程度でも別に私は構いませんが、斎藤総務監理官、七年のころに厳しい環境にあるという見方をされた、それはそうだと思います。だからこそ新計画ができた。  そこで、当然事業会社に対しても、北海道開発庁として、例えばリストラも含めたさまざまな経営について関与をされたのか、それとも、全くそれとは関係なく、計画計画で別のところにある、事業は事業で勝手にやっていらっしゃる、どちらの認識なのでしょうか。関与されたのか、それとも、全く別個ですよということなのか。
  19. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 少なくとも平成七年当時にありましては、苫東会社の経営環境あるいは経営内容そのものは極めて厳しい状況、これはバブル崩壊とかいろいろな要因があろうかと思います。  ただ、先日申し上げましたように、苫東会社は、発足当初から、どちらかといいますと借金が先行するような経営であった。しかしながら、四十年代から五十年代前半にかけましては、何とか土地の分譲を中心とした事業自身は進んでまいりました。しかし、徐々に厳しい環境に陥ったことを会社自身も認識しておりまして、五十年代の後半ぐらいから人員の整理を行っております。当然、当時の北海道開発庁がこれについては関与をしているところでございます。  さらに、バブル崩壊後、特に平成七年あるいは八年にかけまして、かなり大幅な人員削減を行っている。一時期百十人おりました職員が今日では二十名程度になっているということでありますし、役員の報酬のカットといったこともその間に行っているところでございます。  これは会社みずからが自発的に行ったことではありますけれども、当然私ども計画遂行上の責任を持っております官庁といたしましては、ウオッチをしており、リストラの計画の中身についても一定の評価をしていたということでございます。
  20. 上田清司

    ○上田(清)委員 しばしば六百億の赤字からのスタートだということを言われますが、それはもう最初から償還計画十年の形の中で比較的順調に、五十年代の初めに確実に分譲売上高はふえておりまして、順調に償還していたわけなのですね。だから、それは余り言わないでください、赤字からスタートしたからと。もともと赤字は解消できるような仕組みをつくってやっておられたし、現実にそれは進んでいたわけですから。  ところが、御承知のとおり、産業構造の転換の中で、最初は重化学工業の基地としてつくったこの苫小牧の中身が世の中のニーズに合わなくなってきたからこそ、五十年代の終わりの方に全然分譲地が売れなかった。具体的に、五十九年と六十年は全然売れなかった、こういうことがありました。  しかし、同時にまた、そのころからバブルというのでしょうか、非常に好景気になって、六十一年、六十二年、六十三年、あるいは平成元年、二年、このあたりも結構いい成績を残された。その後から景気の下降局面と重なり、そういうことで全然売れなくなって、それこそここ五年ぐらいは一年に一社分程度で、ここ直近の五年でわずかに六億弱という売り上げにしかなっていない。  こういう流れですから、赤字からスタートしたからずっと赤字なのですというようなことは余り、そうじゃないのですから。いみじくも中田社長が現況説明で言われましたように、金利分の借金をけ飛ばせばそこそこ、とんとんですよ、こういうことを言えるぐらい金利による大赤字になってしまったという事実があるのですよ。だから、その辺は事実をしっかり確認していただきたい。  しかし、今言われましたように、確かにリストラをされてこられた。というよりも、売り上げが全然上がらないわけですし、それだけ管理する人たちもいないわけですから、契約案件だってそんなにないですから、当然人数は要りません。それで人数が減ってきた。しかし、平成七年にそういう認識をされた割には、このリストラがうまくできていたかというと、私は必ずしもそうは思いません。  例えば、北海道庁が関与団体の現況調査報告というものを十年の四月一日に報告書で出されております。関与団体という中身でありますが、出資しているとか、役職員を派遣しているとか、こういう公益法人並びに第三セクター約二百法人、正確に言いますと二百法人です。これを対象に調べております。そこで、この苫東開発株式会社に関しても、第三セクターとして調べてみましたら、一九九八年三月決算で収入が七億五千万。ところが、その中の給与費は幾らかというと五億七千七十九万、その比率七六・一%。新会社が六〇%といって、大蔵大臣も、そういうのはちょっと隆盛しないでしょうねといみじくも言われました。こういう事実があります。  それで、他の第三セクターといっても、これはもう株式会社という商法法人ですから、ほかの商法法人四十七社を見ましたら、人件費二〇%以下が三十五社。七四%以上の会社は人件費二〇%以下なのですね。七〇%を超えた会社は苫東ともう一社だけです。あえて名前は申し上げません。こういう事実もあります。そして、いわゆる第三セクターで、北海道ちほく高原鉄道、これも経営が厳しいということでそれなりに報道されているところですが、ここの人件費の割合は二八・四%。  果たして人件費が七五%もなっている。九年、八年。十年は大幅に下げましたよ、三〇%カットとか。しかし、七年当時に、あるいはもっと前ですよ、明確に言えば。ここ五年間、今申し上げましたように、六億弱しか売れていない、五億九千万しか売れていない。そういう状況の中で、一つの事業会社の人件費の割合が七五%なんというべらぼうな高さというものをどう認識されていたのか。徐々に削ってきました、それはそうでしょう、それは認めます。しかし、こういう割合に関してどういう御認識だったのか、北東公庫総裁と斎藤総務監理官、お二方に聞きたいと思います。
  21. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 人件費割合についての御指摘でございます。  厳密に数字をチェックしておりませんので、確たることは申し上げられませんけれども、昭和五十年代後半から苫東会社にありましては人員の整理を行ってきておりますけれども、同時に、人員整理を行いますと退職金の問題がございます。先日申し上げましたように、平成九年七月以降の役員の退職者については退職金を支給しておりませんし、また、支給すべくもない状況にあるわけでありますけれども、同時に、職員の退職者につきましては退職金を払っております。  したがいまして、確たることは申し上げられませんけれども、人件費割合が最近になっても高いというのは、一つにはリストラによる退職金が累増しているのかな、こんなふうに考えております。
  22. 濱本英輔

    濱本説明員 人件費をどれぐらいのスピードで、どれぐらいの幅で減らしてきたか、上田先生の目からごらんになりまして物足らないものであるという御印象のようにお見受けいたします。  手元の数字を今ひっくり返してみましたところ、平成六年の三月に六十七人おりまして、今御指摘の平成七年のあたりでございますが、七年三月が六十二人、平成八年の十二月に五十一名、平成九年の十二月に四十二名、平成十年十二月末に二十名という経過をたどりました。
  23. 上田清司

    ○上田(清)委員 済みません、濱本総裁。事実関係はそういうことだということですが、そのときにどのような考え方を持たれたのかということ、先ほどもちょっと聞きましたけれども、やはりいま一つ答弁がすっきりしなかったんですけれども。  その当時のことを細かくよく審査していないからわからないといえば、それはそれでも構いません。次席の方でわかる方がいらっしゃれば、答弁を譲られても結構でございますけれども、その点、ちょっと聞きたいなと思います。
  24. 濱本英輔

    濱本説明員 失礼いたしました。  私がこれまで得ております認識といたしましては、大きなものが人件費であり、人件費は常に削減の議論をしておったということが一つ。そして、北東公庫としてもそれを進める方向で論議に加わっておりました。しかし、ほかにも経費がございます。例えば、事務所の賃借料とか、さまざまな経費がございまして、そういったものにも論議を及ぼしておったというふうに聞いております。  しかし、やはり一番目につきましたのは、前々から御指摘の金利の問題でございます。この金利の問題をどう克服するかというのが、やはり私どもにとっては非常にずっしりした問題で、この間申し上げましたような特利制度、そういうものを要求することによって少しずつでも穴をあけていくというようなのが当時の経費に関する全体の論議でございました。
  25. 上田清司

    ○上田(清)委員 斎藤総務監理官に申し上げます。  確かに、今濱本総裁が言われましたように、平成七年から六十二、五十一、四十二、二十と、平成十年まで一気に、とりわけ、やはり破綻状況になって金利すらも払えないという状況ですから、四十二人が二十人に半減した、この辺は高く評価されるべきものだと思いますが、先ほど申しました北海道の現況調査報告書によれば、人数にちょっとずれがあります。今、濱本総裁が言われた四十二人、こちらの方では四十七人ですから、年度でやったのか年度末でやったのか、どこか仕切りが違うのかもしれません。この報告書によれば、職員総数四十七人中管理者が三十三人、これもまた七〇%を超える管理者がいる。こういうまたべらぼうな組織というのは本当にいかがなものか。  ちなみに、先ほど申し上げました商法法人の四十七社中三十九社が五〇%未満。八〇%、八割の会社は、やはり管理者というのは五〇%以下だということなんですね。七〇%以上の管理者がいる会社というのは苫東を含めて二社しかない、こういう事実もあるんです。  役員構成について、北東公庫は融資機関として、妙に役員の構成率が高くないかとか、そういうことは思わなかったんでしょうか。それから、北海道開発庁も、事業会社として経営の思わしくないところに必要以上に管理職が多かったとは思わなかったんでしょうか。この辺も含めて、お二方から御答弁いただきたいと思います。
  26. 濱本英輔

    濱本説明員 ただいま上田先生が御指摘になりました人員構成の問題について、当時どこまで真剣に、どこまで掘り下げた議論をしたのかということは、私、申しわけございませんけれども今つまびらかにしておりませんが、私が認識しておりますところでは、当時、新規の採用というものを抑えることから入った。その結果、構成としまして、今先生が御指摘のような形に、だんだんゆがんだ形になっていったのではないかと推察いたします。  そのこと自体に対しては問題意識を持っていたのかもしれませんけれども、そこを変えるまでには至っていなかったということかと存じます。
  27. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 最初に、苫東会社の役職員でございますけれども、昭和五十七、八年当時十一人、それが徐々に削減されまして、平成八年度七人、平成九年度五人、それから現在も五人という構成になっております。  それから職員でございますけれども、申しわけありませんが、北海道の現況調査の管理職の把握の仕方を承知しておりません。  ただ、関連するデータを申し上げますと、男子の場合でありますけれども、昭和四十七年当時、平均年齢が四十二歳で、平均給与が十七万七千円でございました。それが徐々に高年齢化しておりまして、平成九年度では、平均年齢が四十七歳、それから平均給与が五十万五千円というふうになっております。  今、北東公庫濱本総裁から答弁がありましたように、最近では新規採用を手控えているということの結果、平均年齢及び平均給与が上昇している傾向にあるわけでございます。
  28. 上田清司

    ○上田(清)委員 管理職という認識は、課長級以上だという認識であります。  今、結果として、人数を削減する過程の中で頭でっかちになってきましたよということもよくわかります。よくわかりますが、そういう企業体で本当にいいのかどうかということになってくると、私はやはりすごく疑問を持ちます。そこも含めて何らかの形できちっとした企業体にしなければ、それはどう考えても隆盛を待つような企業体になるわけがない。これはもう当たり前のことだというふうに思いますし、融資機関としてもそのことは意識しなくちゃいけないというふうに私は理解しております。  昨日、佐々木憲昭議員の方から退職金のお話も出てまいりました。今、たまたま五十万という数字が出てまいりましたが、道庁クラスで大体五十万ぐらいで定年退職された方々は、在職三十五年ぐらいで二千五百万ぐらいの退職金だ。しかし、この事業会社は、平均で二千百九十八万、勤続年数が大体七年有余、これは役員でございます。七年間で二千百万と三十五年間で二千五百万、いかにも割が合わないなと。しかも大赤字の会社だ。  そういうことをやはり国民は見ているわけであります。そういう厳しい状況の中でいろいろなことをやってきていますということですが、七、八、九年にどうも取り組みがまだ深刻さに欠け、本当に金利すらも払えないという事実上の破綻状況になって初めて三〇%カットだとかいうことを始めた。  だから、やはり七、八、九年というこのときに、管理者として、計画の責任者として、基本的に北海道開発庁に罪がある、なぜその当時に三〇%カットでもやらなかったのか。  あるいは、北東公庫にしても、融資機関として、国の意思がということを再三言われました。翌日、翌々日ぐらいの地元新聞を私読みましたら、あくまで北東公庫の責任を国の意思ということでかわしていくというふうな表現をされていました。私もそんなふうに理解いたします。  国の意思だったら全部融資できるということであれば、それはもう本当に大福帳みたいな話でありまして、無限にそういうことをやっていれば、融資機関としての見識を本当に問われてしまう、私はそんなふうに思います。おのずから国の意思はある、しかし、それに協力はしなければならないけれども、やはり問題点問題点として指摘しながら、きちっと指導をする部分は指導しなければならない、こういう責任のあり方をある程度明確な形で出さない限り、「苫東開発をふりかえって」、私はこれは本当に北海道開発庁はよく検証されたと思いますよ。私はこれは正直言って評価しています。非常に丁寧に追っかけておられます。最後のところも、本当に文字どおりよくわかっておられる。責任のなすり合いとは言いませんが、もたれ合いとしっかり書いてあります。長期的な視点で取り組まなくてはならないにもかかわらず、それが十分できなかった、関係機関が官と民の多岐にわたる既存の縦割りシステムの中で、連携の不足と責任の欠如を生じたと書いてあるんですよ。いわゆる官民のもたれ合いにその要因があったと。  本当にこれは立派な報告書だと私は思います。にもかかわらず、一たびこうして答弁席に立たれると、それぞれの方々は責任の主体からは外れたような発言をされることに私は大変不満です。不満というよりも憤りを感じます。  それではいけない、そういう責任の所在を明らかにしないで、どうしていわゆる民間の金融機関の協力が得られるのか、地元の協力が得られるのか、私はこのことを強く申し上げたい。何らかの形で、もっときちっと、我々にも責任があったと。場合によっては、私は軽い処分で構わないと思います。人を切れとかそういうことは申し上げません。三日間の職務停止であるとか、そういうことをラインの人たちがやることによってやはりけじめがつく。そういうことによって責任をきちっととった、だから新しい出発をやったらどうですかと。  私は、法案スキームについてまだいろいろ議論がありますから、この法案について問題があることを申し上げますが、しかし思いは一緒です。青森の一番僻地、そこに巨大プロジェクトで地域おこしをやろうという。北海道の苫小牧もそうでしょう。とても普通では、湿原地帯で何も興らない、しかし何とかそこに北海道の夢を、地元の夢をと思っている。思いは理解できますから、これからもやらなくちゃいけない。失敗はできないのですよ。もう二度と失敗はできないのですから。今度失敗したら地元の人からも見放されますよ、またかいなと。  そのために、きちっと責任を痛感する言葉をやはり委員会の議事に残しておかなくちゃいけない。歴史の中に残しておく。言葉だけで、この報告書だけに残したのではだめです。  それも、これはどちらかといえば客観的に言っておられまして、だれに責任があるのかわからないようにしてしまっている、そういうことをわざわざ書いていらっしゃる。だから、我々にも責任があります、何らかの処分も検討しましょう、そういう答弁をきちっとこの大蔵委員会の議事録に残されることによって、それを実行されることによって、地元の協力を得ることができるということを私は申し上げますので、再度、斎藤総務監理官濱本総裁に御答弁をいただきたいと思います。
  29. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東会社は、昭和五十年代後半以降、人員削減に乗り出している、最近では相当のリストラをやっているということから見ますと、一般的に、経営環境がだんだん悪化し、究極的には破綻に至っているという認識は、当然当時の苫東会社あるいは北海道開発庁も持っていたわけでございますけれども、今先生指摘のように、なぜもう少し早く苫東会社にあってもう少し思い切ったリストラをやらなかったのであろうか。私ども開発庁としましても、もう少し状況認識を深刻に考えるべきではなかったかという点につきましては、状況認識の甘さ、そういった点は、振り返ってみますと痛感しているところでございます。  今後でありますけれども、これは何回も何回も、鈴木当時北海道開発庁長官、大臣みずからが北海道あるいは苫小牧市に確認を求めておりますけれども、我が国に残された数少ない未利用広大地、これを一体として確保していくことが我が国あるいは北海道の地元にとって必要不可欠であろうかどうであろうか。その上で、北海道開発庁あるいは北海道、苫小牧市、北東公庫、それぞれの立場で、何とかしてこれを一体のものとして確保してまいりたいということでございます。  ただ、この土地は北東公庫を入れますと四十の金融機関あるいは保険会社の担保になっているわけでありまして、この担保の処理、抵当権の処理、すなわち債務整理をいたしませんと一体としての土地の確保はできませんし、また新たな事業展開も図れないという状況にございます。  何とか、私どもとしては過去の債務を整理し、新会社を立ち上げ、二度と失敗しないような事業体制をつくっていくことが最大の使命であろうと思っております。大変口幅ったい言い方を申し上げてお許しをいただきたいと思いますけれども、今まで以上にいわば重い十字架を背負っていくのが北海道開発庁の責任ではないかというふうに考えているところでございます。
  30. 濱本英輔

    濱本説明員 こうした大プロジェクトの難航、そこに至りました原因なりそれにかかわりました者のかかわり方なり、そういう問題を本当に省察して、これを一つの区切りとしまして、機関としての認識をきちんと整えて将来に生かしていくことが重要だ、それができて初めて過去が生きるということを重ねて御指摘いただいてまいりました。  私どもとしまして、結果として力の至らなさがあったということであれば、このことを十分心に刻んで努めてまいりたいと思います。
  31. 上田清司

    ○上田(清)委員 斎藤総務監理官には、二十日の日に結構そこは押し問答をしたのです。重い十字架を背負って一生懸命やることが責任のとり方だということですが、それは見えません、一般の社会では。事実、事業会社は、多分新会社をつくる過程の中で役員の人たちで残る方はおられないでしょう。残れないでしょう。多分みんなおやめになるでしょう。わかりませんが、そういう形で責任をとっていかれるのではなかろうかと私は思っております。しかし、計画の主体、管理の主体である北海道開発庁では何もない。一生懸命やることが責任だ、こういう言い方をされる。  では、事業会社が新会社にみんな移って、一生懸命やることが責任だということが世の中で通じますか。通じると思うんだったら、斎藤総務監理官、御返事してください。
  32. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 現在の苫東会社につきましては、破綻に至っており、清算をしていく以外に道がないということでありますので、最終的には、清算が終わりましたならば、あるいはその前の段階で、当然役員については退任を願うということにならざるを得ないわけでありますし、同時に、新会社に再就職する道があるというふうには到底考えておりません。
  33. 上田清司

    ○上田(清)委員 であるからして、同じように、北海道開発庁においても何らかの責任のとり方というのは、一生懸命やりますからということじゃなくて、私は重い処分だ、軽い処分だということを申し上げませんが、そういうことを検討しなければならないということを、また川崎長官がおいでになったときにこの点は確認させてもらいたいと思いますが、総務監理官立場で言えないということであれば、長官にお伺いするしかないと思います。  溝口官房長にお伺いいたしますが、二十一日の質疑の中で、多分官房長が間違っておられるんじゃないかと思いますが、この新会社の事業のことについて、法案の仕組みのことも含めて聞いて、具体的な事業計画については関係者の間で現在検討が進められているわけでございますとか、精力的に関係者の間で検討が進められておりますと。  しかし、私が指摘しましたように、また大蔵大臣も認められましたように、新会社の事業計画そのものは北海道開発庁が取りまとめられたものである。わざわざ欄外に他の関係省庁とは打ち合わせておりませんといっておりますけれども、官房長はどういう認識でこの御答弁をされたのか。
  34. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 議員御指摘計画の資料の方は、ペーパーに書いてありますように、北海道開発庁のものでございます。それは北海道開発庁の案でございますが、そういうものが可能かどうか、あるいはほかの案はないかとか、それは関係者間で検討しておるわけでございますから、私はそういうふうにお答えをしたということでございます。
  35. 上田清司

    ○上田(清)委員 極めて明快な答弁で、そのことはわかりました。  それでは、国土庁にお伺いしますが、まさに北海道開発庁が出された事業計画案について、国土庁などは関係者としてどのような精力的な検討を加えておられるのか。
  36. 小林勇造

    小林(勇)政府委員 国土庁の役割でございますが、御承知のとおり、国土庁は、全国総合開発計画という基本方針の策定という立場でございまして、この苫東の話に関して言えば、昭和四十四年の新全総以来、累次の全総計画において、国土審議会の審議や地元関係者等の幅広い意見を踏まえて、その開発のあり方に関して、その時々の経済社会情勢を反映した位置づけを行うことに努めてきておりまして、最終的にその合意形成が行われたものが閣議決定という形で計画をつくってきているところでございます。  そして、昨年三月に閣議決定されました新しい全総計画におきましても、近年の経済社会情勢を反映した見直しの検討を行うこととし、それに基づいて推進していこうというようなことになっておるわけでございます。  なお、本件に関する具体的な施策の内容については、北海道開発庁関係者と協議しつつ検討されるものと認識しておりまして、国土庁としては、昨年三月に閣議決定された新しい全総計画の適切な推進を図る観点から、関係十三省から成る苫小牧東部開発連絡会議に参加しているということでございます。
  37. 上田清司

    ○上田(清)委員 溝口官房長、関係機関というのは、今言った十三省庁の話なんですか。それとも、何か特定できるものはあるのでしょうか。
  38. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 政府の中におきましては、この苫東の開発に関連いたしましては、主管の北海道開発庁、あるいは北東公庫、あるいは予算等の関係でありますと大蔵省、それから全国の総合計画関係でありますと国土庁、それからこの事業の中で国家的なプロジェクトとして関係省が、あるいは物によりましては、ターミナルのようなものでありますと運輸省とか、いろいろあるわけでございまして、そういう意味で、国土庁を中心にして関係するところと話をいろいろしておりますし、大蔵省もその中で御相談を受けておるということでございます。  ただ、御指摘のペーパーは、関係省の了解をすべて得ているというものではなくて、まだ調整中ということでございます。
  39. 上田清司

    ○上田(清)委員 小林計画・調整局長、こういう関係会議というのでしょうか、何回ぐらいやっていらっしゃるのですか、閣議決定以降。
  40. 小林勇造

    小林(勇)政府委員 先ほど申しました十三省庁から成る苫小牧東部開発連絡会議というのは、主管が北海道開発庁でございまして、私ども、昨年の八月に二回ほど参加したということでございます。
  41. 上田清司

    ○上田(清)委員 官房長、昨年の八月から二回程度なんですよ。精力的に打ち合わせをしていれば、こういう事業計画は出てこないのですよ。やっていないのですよ、そんなに。やっているという反論をしてください。
  42. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 会議という形では、今国土庁の方でお答えになったかと思うのですけれども、もちろんそういうふうに関係省が全部集まって話をすることもございますし、個別に北海道開発庁がお回りになって相談するということもあるわけでございます。私どもも、その過程で御相談を受けているということでございまして、北海道開発庁からそういう話を承っておるということでございます。
  43. 上田清司

    ○上田(清)委員 なかなか苦しい答弁ですね。だめですよ、ちゃんと言わないと。関係者間で精力的に協議していたら、こういう中身にならないのです。精力的に協議されていないのですよ。だから問題だということを申し上げたのです、おととい。  いいですか。私は、大変率直に大蔵大臣はお述べになったような気がいたしまして、議事録を読み返してみました。速記録です、正確にまだ議事録とは言えないのかもしれません。大変地元の思いを政府は、準備したこの法案スキームだと完全なものではないかもしれないけれども、しかし、それはそれでとにかくやっていこうという思いをこの法案の中にしたんだというようなことも言っておられます。  やはりこれは非常に不完全な法律案でございまして、北東公庫の分でいえば、苫東部分が地元の合意ができていない、まだ道の予算も通っていない。むつ小川原については全くの未処理だ。いわんや、ことしの一月十八日には、地元の五つの金融団が、支払い猶予についてのいわば拒否をするという回答書まで株主である経団連の方にも届けるというような、かなり強硬な手段までとっている。非常に危ぶまれる、そういう状態であると私は思っております。  こういう条件ゆえに、先ほど中川議員が言われましたように、率直に法律にのっとった措置をした方がわかりやすいのではないか、筋が通るのではないかということを、私たち修正案という形の中で提案をしていく予定になっておるわけでございますが、やはり、法案そのもののスキーム、それが大変問題だ。とりわけ新会社が、一昨日指摘したように、余りにもずさんな計画だということを私は何度も申し上げました。  大蔵大臣も、これは一種の目論見書であるとか、北海道開発庁の案をとりまとめたものであり、関係省庁の了解を得たものではないと書いてありますのでそういう性格のものと承知しております、本当にそのとおり言われました。  しかし、私も申し上げましたように、閣議決定の中身が、円滑な事業の推進を前提に予算措置をとるということになっておりますが、本当に円滑な事業の推進の形になっているかというと、今申し上げましたように、いろいろなデッドロックが予想されている、管理会社としての性格もいまいちあいまいであるし、事業計画に至っては全く絵にかいたもちになっている。こういうことを踏まえると、私は、この計画がとんざしたときどうなるんだろう、むしろ、あいまいな事業計画を出さないで、二年、三年凍結してしっかり見直した方がいいんじゃないか、そのぐらいのことを考えます。  それゆえに、私ども修正案の中で、開銀開銀できちっと準備金は留保しておいて、場合によっては将来構想として、国庫に納付していくという道もあり得るでしょうし、税金ということで一般会計の中から公庫法にのっとって補てんをしていくのは一般の国民負担をかけることになるから、幸い余りに余っている準備金を使ったらいいじゃないかという議論もそれはわからないではありません。しかし、なかなか筋が通る話でもない。準備金の方は、余ってしようがないのだったら、きちっと国庫に納入すれば一般会計がふえるわけでありまして、そういう考え方もあるのではないかというふうに私は思っております。  大蔵大臣お尋ねしますが、多分認識の部分に関しては同じだというふうに私は思っております。ただ、処理の仕方について、思いを重点にして、やや未完成のまま進行させようという政府案であります。私たちは、未完成のまま進行するのじゃなくて、きちっと事業計画を立てて見直しをしっかり図って、それから思いを遂げるべきだ、こういうふうに思っております。  思いは全く同じでありますが、その具体的な処理の仕方それから進め方について考え方が違うと思いますが、本当に、閣議で決定された中身と、その閣議を受けた形の中での予算措置に見合うだけの事業計画の中身があるとお思いなのか、それをもう一度確認させてください。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  44. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどから承っておりまして、もう二度と失敗は許されないというお立場から、大変厳しい御批判がありました。過ぎ去った過去に関する限り、当事者たちの意図あるいは熱意はともかくとして、明らかに御指摘のような失敗があったわけでありますから、このことは私は否定するすべはないであろうと思います。  責任問題についてでありますが、むつ小川原あるいは苫東、何十年の間、政府が全国総合開発計画において追い求めてきたプロジェクトであります。それはしかし、今日までのところ成功していない、実を結んでいないわけでありますから、たとえどのような事情があれ、そのことは第一義的にはやはり私は政府の責任だと申し上げるべきものと思います。  そういう政府の主導のもとに、地元に会社ができ、あるいは北海道開発公庫が融資をしてまいった、その中身につきましては、基本的には官民のもたれ合いといいますか、そこに何がしかの安易さがあったことも否定できないと思います。純粋民間であったら、こういうことは到底長年もっていけないわけでございますし、殊に、おっしゃいますように、バブルの崩壊後の最近の何年か、当事者方は一生懸命やられたのでありましょうけれども、振り返ってみて、それは十分だとは言えないとおっしゃれば、私はそのとおりだと申し上げざるを得ないと思います。  したがいまして、ある意味でこれは、そういう失敗を過去に背負って、もう一遍ここでスタートをし直したいと申し上げておるわけですから、過去についてそういう御指摘があることは、私は虚心に承って、責任を感じなければならないという立場であります。  しかし同時に、二度と失敗は許されないよ、そういう御忠言の立場からいえば、これから先の見積もりのような、今お話しの二ページの紙でございますが、それについては、正直申して、こういうものでしたら、私企業は企業の計画として到底認めるわけにはいかないだろう。やはり、これもある意味で、幾らか官民合成型のいわば見取り図と申しますか、そういうものであって、一つ一つ大丈夫かとおっしゃいますと、それは大丈夫だと十分にお答えできる根拠もないものであろうと思います。  ただ、閣議がそういう決定をいたしておりますから、私どもも閣議として、何にもないものに対して今後存続をしていこうということを認めるわけにはいかない。やはり今できるだけのものを求めたいという気持ちなのですが、それはしかし、将来これを当てにして事業を運営できるかといえば、実は到底そういうものではないだろう、この点も私はそう思います。  したがって、失敗は許されないよというお立場からの御忠告は、こんなものではだめだ、もっときちんと現実的なものを考えなければとおっしゃる、そういう意味でのアドバイスと私は伺いまして、それもごもっともなことだというふうに今伺っております。  最後に、さて、このたびの新銀行の発足につきましての北東公庫の債務あるいは不良債権等々の処理でございますが、おっしゃいますように、きちっと両方の問題を切り離して、はっきり切開手術をして、ここに一般会計の金を投入するということは、極めて問題を明快に国民の前にいわばエクスポーズするわけでございます。  私どもは、国会の御審議にそれは解明をしていただいておるわけですから、決して隠そうとしておるわけではありませんが、そういうふうにきちっとやれば国民にその問題の実態がわかる。これだけの失敗があったんだから、したがって今後よほど注意をしなければだめだぞという、国会の御意思というものなんだろうと私は思うのですね。  それは間違いだと私はあえて申し上げません。申し上げませんが、私ども立場から申しますと、幸いにして、開発銀行に相当余裕のある準備金がございますし、今ここで、こういう財政のときにあえて一般会計を投入して処理するということでなくとも、幸いにしてという状況を利用するがごとくでございますけれども両方そういう処理をさせていただければ財政上は大変に助かる。  また、便法とおっしゃればそうですが、新しく一般会計からの投入をしないで済む、そういう立場でお願いをしておるというふうに御理解いただきたいと思います。決して、おっしゃいますような処理が間違いであるというふうに申し上げておるわけではございません。ただ、あえて一般会計からここで北東公庫に金を呼びませんでも、幸いにしてと申し上げるべきなのでしょうか、片っ方に大きな準備金を持った同じく政府機関がございますので、それによって処理をさせていただきたい。超法規という意味ではございません。法律によってお願いをしたい、こういうのが私ども立場でございます。
  45. 上田清司

    ○上田(清)委員 大蔵大臣の大変率直な見解をお伺いいたしました。政府に責任があるという明快なお言葉もいただきました。  しからば、どういう具体的な形で責任をとっていけるのか。これでいくと、また斎藤総務監理官みたいに、一生懸命やることが責任です、こういう言い方もあるのかもしれません。ただ、どうしても、常に責任の所在というものを明らかにする意味で、全体として政府に責任がありますし、また、政府というのも便利なもので、もっと言えば、政府株主である国民にも責任がある、こんなことにもなってくる。  私はそういうふうに理解をいたしておりますので、抽象概念としての政府という形になるとわからない。具体的に責任のとり方はあるのじゃないか、あるいは、そのことが事業推進の意味でも民間の皆さんの協力も得やすいのではなかろうかというふうに私は理解しておりますが、この点について御見解をまた承りたいと思います。  大臣にお願いいたします。
  46. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これから二度と過ちを繰り返さないのが責任のとり方であるという考え方に私は必ずしも同調いたしたくないのでございますけれども、実際に、どこにどういうふうな形でその責任をだれが考えてもその程度はというようなことが考えられるものかどうか、それはまたいろいろ検討させていただきたいと考えます。
  47. 上田清司

    ○上田(清)委員 大臣の言をよしとしたいと思います。  そこで、今大臣もいみじくも言われましたように、やはり過去はさらりと整理して、つまり、何が何でもこの責任問題を言い貫いて追及し抜くのが仕事だというふうに私は思っておりません。さらりと処分をしてもらいたいというふうに思っております。別にこれは重い、軽いは関係なく、関係の方々のところでかなりきちっと処分を発表する、このことがやはり大事だと思います。  それ以上に大事なのは、ではこれからむつ小川原の巨大プロジェクトあるいは苫東の巨大プロジェクトを何らかの形で生かすためにどれだけの工夫ができているのかということがやはり問われているわけですよ。そのことに関して、余りにも貧弱過ぎるということを私は再三言っている。閣議決定を受け、予算措置というきちんとした仕組みができてはいるのだが、しかし、受け皿の母体に関していえばもう余りにも貧弱だ。  この点について、北海道開発庁の独自につくったものですということであれば、それはよくない、関係省庁等の理解のもとにやはりきちっとしたものをつくらなければいけない。私ははっきり申し上げますが、絵にかいたもちだというふうに思っております。  法案スキームの中でも、きのう、おとといも大臣が言われましたように、ある意味ではこの法案は半分しか完成しておりません、いろいろな形で半分埋めなくてはいけない、しかし、それがもし失敗するようなことがあれば根本から洗い直しだって必要になるかもしれないというような御答弁もなされておる。  そういうことがないようにするには、開発庁がまとめられた事業計画案というものは通用しないものであるというふうに私は認識しております。直近の五年間で約六億弱しか売り上げていないそういう分譲の中身が、この五年間で百三十億売れるようなことは到底考えようがない。そういう考えようのないことがつらつら書かれている。いかに見取り図、いかにもくろみ図といえども、余りにも貧弱だというふうに理解しておりますが、この点について、北海道開発庁立場の中でこれを全面的に見直される予定はあるのかどうか、これを確認したいのです。
  48. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 御指摘のいわば事業の目論見書でございますけれども、これが実現のためには、例えば国の事業でありますと改めて予算要求をしてまいらなければなりませんし、またこれが北海道の関係する事業でありますと北海道が予算をつくり道議会の承認を得ていくという手続を通じて具体化が図られていくということでございます。  そういった意味で、関係省庁の了解を得たものではないということでございますけれども、昨年の夏以来、将来の新会社のもとにおける事業につきましては、何よりも北海道、それから関係者であります北東公庫と十分に協議をし、北海道開発庁で取りまとめたのがお手元にございます事業見通しでございます。その事業計画自身、将来の新会社の事業計画になるべきものでございます。その骨子というべきものでございます。  新会社につきましては、できるだけ早い機会に立ち上げを図ってまいりたいと存じますけれども、今まさにその事業計画をもとに新会社の事業計画が具体的にどうあるべきか幅広い関係者と具体的に協議を続けているところでございます。その意味での見直しということであれば御指摘のとおり見直しをする必要があろうと思います。
  49. 上田清司

    ○上田(清)委員 私も言葉の正確さを欠きました。見直しではなくて、撤回でしょう、これは。撤回すべきではないかなと思います。もう白紙撤回してつくり直さないと無理ではないですか。ほとんど生きるところがないのではないでしょうか、これは。  骨格と言われましたけれども、骨格は骨格かもしれませんけれども、具体的に書いてあるのですよ。所有の面積をずっと処理していく、数字まで全部入っているのですよ。そういう意味では、骨格の部分もあるかもしれないけれども、ある意味では具体的な計画もしっかり出ているのですよ。しかし、これは納得できないと思いますよ、普通の方々には。  それから、何か時と場合によっては使い分けをされている。関係省庁の了解を得たものではない、独自に書いたと。関係省庁と打ち合わせしている、でも打ち合わせの回数は極端に少ない。一体どっちなんですか、これは。独自にやられたのか、打ち合わせされたというなら具体的にどの程度本当に打ち合わせされたのか、もう一回きちっと言ってください。私は、撤回した方がいいでしょうということを再度質問させてもらいますので、それについての答弁もしてください。
  50. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 先ほど申し上げましたように、具体的な事業の個々のプロジェクトの中で、国の事業あるいは国の補助事業としてやっていくべき事項については、地元調整その他を終えて、関係機関との調整を終えた上で国の予算措置を求めていかなければなりません。  関係省庁との会議、全員が集まっていただいてこの状況説明をし事業の中身を説明するというのは確かに二回でございますけれども、例えばリサイクル施設の問題でありますと通産省が関係してまいりますし、あるいは厚生省が関係してくる分野もあろうかと思います。そういった個々具体的なプロジェクトについての協議というのは日常的にやっているわけでございます。  それから、それ以上に、何と申しましてもすべてのプロジェクトは苫小牧市、北海道の地元に一番縁の深い事業であり、また地元に利益が還元されるべき性格のものでございます。去年の夏以来、どういう事業計画を設けていくかにつきましては、北海道の実務者、それに予算要求上の必要がありますので北東公庫の実務者にも加わっていただいて、できるだけ具体的な事業計画をつくろうということで詰めてまいったわけでございます。  したがいまして、行く行くは新銀行の事業計画の核になるべきものとして詰めてまいりたいと思いますし、関係各方面、北海道の地元を含めて調整を重ね、個々のプロジェクトについて何とか具体的に実現を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  51. 上田清司

    ○上田(清)委員 これを撤回してもう一回考え直すという考え方についての御答弁は。
  52. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 十分に北海道とも検討してまいった案でございます。何とかこれが実現に向けて、北海道あるいは北東公庫とも協調しながら、努力をしてまいりたいということでございます。
  53. 上田清司

    ○上田(清)委員 おととい大臣は到底できるものとは思えないという答弁をなされていますよ、特に分譲の部分に関して。過去五年間でできなかったことが急にできるようなことは到底思えないと。こういうことに関してはどう思われますか。
  54. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 従来の苫東計画のもとにおける土地の分譲、一部に石油備蓄ですとか北海道電力関係の公益事業も入っておりましたけれども、一般企業向けの分譲が主体でございました。そのためもありまして、企業が立地するについては当然各企業の経営判断の問題であり、これはその時々の経済環境に大きく影響を受ける問題でございます。  経済状況の悪環境のもとで過去分譲が進まなかったわけでありますけれども、将来に向かって、新会社のもとにあっては、そうした一般企業向けの分譲も予定しておりますけれども、それ以上に、経済環境に余り影響を受けない、あるいは地元の公共的なニーズを吸い上げた形での事業、公的プロジェクトについても積極的に推進してまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。  したがいまして、地元での公共事業ということでありますので、これはこれまでも十分に、北海道の御当局、実務者とは協議を重ねてまいりましたけれども、推進に当たりましては、北海道開発庁はもとよりこの事業の実現に努力いたしますけれども、それ以上に、地元の北海道なり苫小牧市を含む公共団体に積極的な取り組みをお願いせざるを得ないということでございます。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 上田清司

    ○上田(清)委員 斎藤総務監理官、分譲価格が高いということは御承知でしょう、金利分が上乗せされて。そういうことも言及しなければ現実的な話にならないでしょう、この五年間で百三十億売りますなんという計画を立てても。だって、過去五年間で五億九千万しか売れていないのに、どうしてこれからの五年で百三十億売れると言えるのですか、分譲価格が高いにもかかわらず。  そういうこともきちっと言ってから初めてそういうことが言えるので、どうも中身がないのですよ、要するに一口で言うと。
  56. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 過去、分譲価格が、借入金利の上乗せなどによりまして、多少の価格競争力が残っておりましたけれども、比較的高い水準にならざるを得なかったのは御指摘のとおりでございます。  新会社のもとにありましては、これは有利子の負債に依存せずに不動産の造成、分譲をやっていこうということでありますので、相当程度の分譲価格の値下げを見込むことができると思います。  先生お考えの意味での具体的な数字の入った計画というのは、これは新会社の事業計画でありますので、現在関係者の間で鋭意詰めているところでございます。御理解を願いたいと思います。
  57. 上田清司

    ○上田(清)委員 新会社の見通しについても、おとといお話ししましたように、新会社の固定的収支見通しの中で人件費が六〇%になっている。これも改めてもらわなければいけないと思います。一億五千万、これは三〇%にするようなことをしないとやはりだめですよ。やりますか。
  58. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 お示しいたしましたのは、企業の場合のいわゆる一般管理部門だけの収支をお示ししているわけでございまして、事柄の性格上、一般管理部門だけを取り上げれば人件費割合がある程度高くなるのは当然かと思います。  営業部門を含めた全体としての事業見通しにつきましては、今後の新会社設立に向けて、新会社の事業見通しとして現在鋭意詰めているところでございますので、この点は御理解をいただきたいと思います。
  59. 上田清司

    ○上田(清)委員 川崎大臣においでいただいておりますので、速やかに終えたいと思っているのですが、これは固定的な収入に対して赤字を出さなくても済むように、あとは固定的な支出、その上で分譲ができて利益が出れば、その分をそっくりやはり過去の部分に対して何らかの形で返す仕組みをつくるべきだと私は思いますよ、いろいろな形で。開銀準備金で、私どもは必ずしも認めておるわけじゃありませんが、面倒を見るという仕組みの中で、北東公庫を通じた返済分を、旧会社が六百億ぐらい損失を与えているのですから、新会社が利益を出したら、これはきちっと何らかの形で戻す仕組みをつくるべきだというふうに私は思います。  これはどちらかというと、斎藤総務監理官よりも、川崎長官や、あるいは法案の責任者であります、総務部門の責任者であります大蔵大臣にお伺いしたいのですが、分譲しながら利益を出していったときに、この利益の還元というのはどんな形にしましょうか、大蔵大臣。これはやはり何らかの形で還元すべき仕組みをつくった方がいいのじゃないかと思いますが、この点についてはどうでしょうか、検討課題として。
  60. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 御承知のとおり、多くの債権放棄をしていだき、かつ出資をしていただくことになります北東公庫、将来的には政策投資銀行に変わっていく。それから、民間の銀行にも同じようなお願いをしていきます。したがって、当然新会社の出資者になる。言われるとおり、利益が生じたらば配当という形で返していく、これは当然のことであろう。ある意味では、逆に民間の方に、債権放棄をしていただいて、かつ出資までしていただくわけですから、その条件として、何とか少しでも土地を売って配当していかなきゃならぬなということで今回のスキームをつくらせていただいたということでございます。  基本的には、多くの方の御意見をいただく中で、一団の土地を抱えて、売らない方がいいのじゃないかという御意見もあったのです。しかしながら、今上田委員が言われるとおり、やはり出資者に対して少しでも配当という形で返していけ、こういうこともありましたので、今のようなスキームにさせていただいているところでございます。
  61. 上田清司

    ○上田(清)委員 株主に対する出資、出資者に対する配当は当然のことですが、これは国の分も想定しているのでしょうか。国にもお返しすることを想定しているのか、そのことを確認したかったのです。
  62. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 国が直接お金は出しておりません。要するに、日本政策投資銀行北東公庫から株が移るわけですね。それでそこへ利益として還元されていく。投資の利益として配当という形で還元されていくということで、一応筋道は立つのじゃないでしょうか。国からの基本的な金は出ていない。
  63. 上田清司

    ○上田(清)委員 実は、二百二十二億というのを今年度の予算で計上しております。国から直接北東公庫に出す形をとっておりますので、私は、国に対しても何らかの形で返還義務があるのじゃないかというふうな理解をしているつもりですけれども、この点についてはどうでしょうか。
  64. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 技術的な話でございますので、政府委員から答弁させていただきます。  北東公庫の新会社に対する出資二百二十二億円の原資でございますけれども、これは産業投資特別会計からの出資が原資になっているわけでございます。したがいまして、新会社に対する株主としての北東公庫ないしは日本政策投資銀行に配当が入りますならば、この場合、出資を受けております産業投資特別会計の方に、全体としての、プールされた上での配当を行うということになろうかと思います。
  65. 上田清司

    ○上田(清)委員 産業投資特別会計の方に戻すという理解でよろしいのですか。
  66. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘のように、産投会計から北東公庫に出資をいたしまして、北東公庫の出資になるわけでございますが、それは、権利関係一切新銀行に参りますから、新銀行が出資者になるわけでございます。  したがいまして、新会社におきまして土地の売却が進みまして利益が上がりますと、それは株主の一人として政策投資銀行に配当が参るわけでございます。その配当は、政策投資銀行におきましていろいろな融資の業務から上がる利益とか、あるいは、政策投資銀行開銀からいろいろな出資も引き継ぐわけでございまして、それから上がる利益もございます。他方でコストもかかるわけでございます。そういう全体の政策投資銀行の収支の中で、一定の必要な準備金は積みます。積んだ上で、利益が上がりますと、それは全体として、政策投資銀行から産投の方に利益納付ということで納付をするということになるわけでございます。
  67. 上田清司

    ○上田(清)委員 時間が参りました。川崎大臣、ガイドラインの法案審議のところ、大変時間がもったいないと思いますので、あるいは今の答弁、後で訂正があればまちたいと思います。  大臣、実はこの委員会議論の中で、幾つか集約されている部分があります。ディスクローズをきちっとしてくださいということと、この検証する会の報告書にも出ているのですが、この苫小牧東部開発の最後の報告書のくだりの中で、こういう表現になっております。  要するに、一義的には経営破綻は経営上の問題だけれども、さまざまな複合的な要因によるものが大きい。それから、開発システムの資金面においては、有利子借入金による累積債務構造が最大の要因だ。また一方では、苫東開発が壮大で長期的な視点に立ち戦略的に取り組むべきにもかかわらず、関係機関が官と民の多岐にわたる既存の縦割りシステムのもとで、連携の不足と責任の欠如が生じる、いわゆる官民のもたれ合い構造にも一因がある。こんなふうに締めくくっております。  再三再四いろいろな議論をする中で、北東公庫のお立場の中では、国の意思に従って、最後の五年間ぐらいは分譲価格の八〇%も金利が乗っかるような形になるようないわば資金の貸し付けをしてしまった、しかし、これは国の意思に従ってやったことだという、いわば責任逃れみたいなお話がございます。それから、我々は理事会で現況視察をいたしました。現地企業の第三セクターの中田社長の方は、我々は手足でありまして、頭は開発庁ですと。開発庁は、一義的には経営の責任は事業会社にある、こう言われます。  だれが本当に責任をとるかわからなくて困ったなと私は思っておりまして、しかも、御承知のとおり、まだ民間の合意を得たわけではありません。民間金融機関が合意したわけではありません。合意の方向で御努力をされるとは思います、北海道開発庁初め関係機関は。しかし、まだ合意をしたわけではありません。むつ小川原に至っては、もうまるっきり合意をしていないどころか、むしろ拒否の回答があるぐらいだ。  こういう状況の中で一番問題なのは、官の側の責任がとられていないことにあると私は思っております。過去のことばかり言って前へ進まないのもいかがなものかというふうに私は理解しておりますので、重い処分を想定しておりませんが、むしろ軽い処分でも何でもいい、何らかの形で責任をとらせていくということが、これからのこの新しいプロジェクトのあり方についても一番大事なことじゃないかというふうに思っております。例えば、関係のラインの人たちは、北海道開発庁の職員の、役職員の中のラインだけ三日間でも職務停止するとか、いろいろな方法があると思います。やはり、責任は我々にもありますということをきちっとしない限り、この問題はなかなか強力に進めていけないのじゃないかということをあえてずっと申し上げておりました。  この点についてだけ。長官は、しばしば記者会見で責任をあいまいにしてはならないと。私は立派な方だな、こういうふうに思っております。ぜひ明快なる御答弁をいただきたいと思います。
  68. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 上田委員指摘いただきました責任論につきまして、私も一月に就任以来、頭の中に常に置きながら今日まで参りました。一つは開発計画の責任、一つは経営の責任、一つはやはり貸し手の責任、出資者の責任、こういうものがふくそうした形で、責任論、当然けじめをつけなければならぬという議論になってまいっていると思っております。  四十五、六年、私、ちょうど大学を卒業した年でございます。上田委員も大体同じ年でございますので、まさに重厚長大産業、これを北海道へ持ってきて、そして雇用というものをしっかりふやしていこう、これが北海道の夢につながる、こういう時代、今から考えれば、この計画自体が失敗だったということになるのだろうと思います。今は産学住遊という開発計画に変わっている。開発計画の目的自体が変わっているということは、四十五、六年の考え方自体が少し間違っておったということになるのだろうと思います。  それからもう一つは、五十八年から経営が悪化してきております。簡単に言えば、単年度赤字になってきている。人数も五十七、八年が百二十名ぐらいでピークで、そこから人数を減らし始めている。これは、このままではまずいなという感じになってきて、リストラが始まってきたのだろうと思っております。そこで、民間の経営者から、昭和六十年から北海道開発庁のOBがやるようになってきたという形でございます。その時点でもうちょっとしっかりやれなかったのかという議論もあります。  それからもう一つは、鈴木長官がかなり思い切った発言をされておる。十年前自分が北海道開発庁長官になったら、もうそのときにリストラをしている、これは国会での正式答弁でございますけれども、されておる。そういう意味では、北海道については最も見識の深い方でありますので、そういう認識もあったのだろう。  それは時代時代で、確かにそのときにやっていればよかった。実は私は昨年、国鉄の長期債務でもいろいろおしかりをいただいた。何であのときやっておかなかったかと。しかし、そのとき私がその任にあったわけでないものですから、なかなか難しいという話をしてまいりました。  その中で、我々がやはり今考えておりますのは、第一に、やはり経営の責任の問題を片づけなければいかぬ。五月中に新しい会社の準備委員会を設立させます。そして、六月には株主総会で、もう会社の経営者の責任をとってもらおうということで、これは私が一方的にできる話ではありませんけれども、お願いをいたしております。御承知のとおり、中田社長がトップでございますけれども、開発庁の事務次官、また北東公庫を経験された方でございます。そういった意味で、役員の方は平成九年から退職金がゼロということで整理に入ってきておりますけれども、ほとんどの役員に六月をもってやめてもらいたいということで、私の方からお願いをしておるのが現実であります。これが一つのけじめのつけ方だろう。  それからもう一つの考え方として、貸し手は、今御論議いただいておりますように、大変大きな債権放棄をしていただくということで実は責任をとっていただいておるところでございます。  それから、開発庁の責任論でありますけれども、今も申し上げたように、過去のその時点の人たちが責任をとるのか、先ほど申し上げたように、九年から手術に入ってきて、その中で汗を流している人たちが悪いから今責任をとれというのは、なかなか上田委員のおっしゃるようなことではないのではなかろうかなというふうに私も思っております。  では、開発庁のけじめのつけ方は何だといえば、実は三代にわたって社長を開発庁OBが出してまいりました。新しい会社をつくるときに、開発庁は私を先頭に汗はかくけれども、もう経営に参加をするということはやめなさい、こういう思いでおります。  北海道庁に堀知事にお願いに行って、現職の部長なり次長を出してくれ、今国全体としてエージェンシーというものに取り組もうとしているときで、もうOBがやるという時代じゃないから現役がやってくれ、そして出資者である北海道とそれから北東公庫、ここがきちっとした経営者を出すことによって責任をとってほしい、しかしOBはだめですよ、現役でやってくださいということでお願いをする。我々は、そこには役員は出さないという形が一つのけじめのつけ方かなと思っております。  そういった意味では、精いっぱい汗をかいて、新しい会社をつくって、そして我々は横から支えるけれどもOB等そういうものはやらないという宣言をしていくということが一つのけじめかなと思っております。
  69. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  ただ、行政には継続性があります。現場の人たちには気の毒な部分もありますが、私はそれでも、やはり軽い処分でも結構ですので処分をすることで、民間金融機関のより強い協力を得られることの方が望ましいということだけは申し上げます。  それから、共管の問題についても、ぜひ大蔵大臣、行革の趣旨からすると、一部は国土庁、一部は大蔵省、一部は北海道開発庁、これもわかりづらい部分でございますので、速やかに共管を減らして、協議は必要でしょうけれども、できるだけ専任体制にしていただくことをあえて申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  70. 村井仁

    村井委員長 次に、石井啓一君。
  71. 石井啓一

    石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。  まず最初に、私は、前回委員会におきます宮澤大臣の答弁の中で、若干懸念される点がございましたので、この点ちょっと確認をしたいと思うんです。  といいますのは、今、むつ小川原開発の処理の取りまとめについては新銀行発足までということになっておりますけれども、何かこれが新銀行発足に間に合わない可能性もあるかのようなニュアンスの御答弁がございました。そういうことは万が一にもあってはならない、私はこういうふうに思いますので、具体的な担当でございます国土庁にその点もう一度確認をしたいと思いますが、いかがですか。
  72. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 先日のお尋ねにもお答えいたしましたように、むつ小川原開発の取り扱いにつきましては、現在、むつ小川原開発株式会社、青森県、北東公庫、経団連、民間金融機関関係者と協議を進めているところでございまして、多岐にわたる関係者のすべてが協力し連携し得る案を得るべく、国土庁としても最大限の努力をしているところでございます。  今後とも積極的に協議を進めまして、本年十月の新銀行設立までのできるだけ早い時期に結論を得るように努めてまいりたいと考えております。
  73. 石井啓一

    石井(啓)委員 しつこいようですけれども、ちょっと大事なところなのでもう一度確認します。  これは努力すべきことというふうに受けとめられていらっしゃるのか、あるいはもう新銀行設立までに必ずやらなきゃいけない義務として受けとめていらっしゃるのか、その点について、しつこいようですけれども、確認します。
  74. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 閣議決定で定められておりますように、十月一日の新銀行設立までの間に結論を得るようにしていきたいと思っております。
  75. 石井啓一

    石井(啓)委員 閣議決定というのは閣議の意思ですけれども、閣議の意思というのは変わることもあり得ます。内閣がかわればそういうこともありますでしょうし。  だから、もう一度しつこいようですけれども苫東については十年十二月二十五日の閣議了解で一応処理方針を閣議の了解としてまとめていますけれども、では、むつについても同様に処理方針をことしの十月一日までに閣議了解という形で出す、こういうことでよろしいですね。
  76. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 結論を得ました時点で、閣議了解という形で取りまとめることになろうかと存じております。
  77. 石井啓一

    石井(啓)委員 では、よろしくお願いしたいと思います。  それから、苫東について、これまで質疑の中でるる失敗の原因なりあるいは反省なり責任なり、こういうことで確認をしてきたわけでございますけれども、今後の苫東開発に当たって、これまでの失敗をどういうふうに具体的に生かしていくのか、この点について確認をしたいと思います。
  78. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 お読みいただいております苫東問題を検証する会のレポートを要約させていただきたいと思います。  苫東会社の経営破綻の原因、これは一義的には会社経営上の問題でありますけれども、一点目は、やはり有利子借入金による債務累増構造が生じたこと、それから二つ目の原因が、再三御指摘を賜っておりますように、既存の縦割りシステムのもとで関係機関の連携の不足と責任の所在の欠如が生じた、こういった大きな二つの原因を挙げてございます。  その上で、この反省を踏まえて将来の方向としては、第一に、有利子の借入金に依存しない新たな推進主体の確立、新会社でございます。したがいまして、新会社にありましては、有利子借入金に依存せずに、専ら出資をもとに会社経営をやっていくということでありますし、同時に、現在の苫東会社から譲り受ける予定の固定的収入を生み出す資産をもとに一般管理費を賄っていこうという考えで、今新会社の検討をしているところでございます。  それから二番目に、計画策定、それから推進における関係者の役割と責任の明確化を図ることにしております。  さらに三点目といたしまして、計画の実施、それから会社経営における透明性の確保並びに評価体制の確立に向け、関係者と連携して精力的に検討しているところでございます。
  79. 石井啓一

    石井(啓)委員 新会社の方は後ほどお聞きしますけれども、今の二番目、三番目でございますね。関係者の役割と責任の明確化、あるいは透明性の確保、それから評価システムの確立、言葉としてはわかるんですけれども、具体的にどういうふうになされるつもりですか。
  80. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 まず、二点目の関係機関の役割の明確化でございます。  この点につきましては、現在関係者と協議中で結論は得ておりませんけれども、私どもの考え方といたしましては、北海道開発庁につきましては、プロジェクト推進について中心的な役割を果たすというのが私どもの役割分担ではないかと思います。  それから、北海道につきましては、企業誘致について中心的な役割を果たす。現在、北海道が事務局になっております苫小牧東部産業立地促進会議を活用、強化し、戦略的かつ実効性のある企業誘致を展開するということだというふうに考えております。  それから、北東公庫にありましては、苫東新会社の経営指導をやっていただけないかということで、現在お願いをしているところでございます。  それから、地元公共団体、苫小牧市、早来町、厚真町、それから苫小牧港管理組合につきましては、地元協議会を通じた土地利用調整、関連公共基盤整備、立地企業サービス等の役割ということをお願いしているところでございます。  今申し上げた点は、まだ私どもがお願いし、こういう考えを持っているということで、必ずしも関係者間で結論を得たことにはなっておりません。  それから、透明性の確保並びに評価、助言体制の確立でございますけれども関係機関の役割と責任を明確化した上で、新会社の中に経営推進会議、仮称でございますけれども、これを組織いたしまして、新会社の事業の進展状況などについて評価、助言を行いますとともに、三年ないし五年の中期の推進目標の設定、あるいは推進状況の評価、助言を行う、あるいは新会社の経営状況の評価、助言を行うという方向で現在検討いたしておるところでございます。  それから、中期目標、推進状況については、対外的に公表することを考えているところでございます。
  81. 石井啓一

    石井(啓)委員 責任の明確化の中で、協議中というお話だったんですけれども関係の省庁が多岐にわたるという構図自体は変わらないんですよね。開発庁がおまとめになったこの「ふりかえって」という報告書の中でも、関係機関との協議、調整に時間を要したとか、あるいは協力、協調体制が必ずしも十分でなかったということがあるわけでございますけれども、これはどう変わっていくのか。もう少し言いますと、開発庁がどうリーダーシップを発揮していくのかということなんですが、その点についてはどうですか。
  82. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 北海道開発庁の持っております政策ツールは、主として公共事業でございます。したがいまして、公共事業以外の分野で余り政策的なツールというものを多く持っておりません。  例えば、リサイクルなどの問題あるいは防災施設などの問題、それぞれ関係省庁の御支援と協力を仰ぎ、また、場合によっては、予算要求はそういった関係省庁から行っていただかざるを得ない状況にありますので、従来以上にこの関係を緊密にする。同時に、私どもプロジェクトの立案については中心的な役割を担っておりますので、地元の北海道などと十分に相談しながら、例えば地元調整を速やかに進めることなどを通じまして、各省が予算要求できるような前提条件を整えていくということが極めて今後は重要になっていくというふうに考えております。
  83. 石井啓一

    石井(啓)委員 きょうも質問をたくさん用意しているので、なるべく短く御答弁いただきたいと思うんです。  では、次の質問とも関係しますので、あわせてお聞きしますけれども、先ほどから野党側が申し上げておりますように、今後の苫東の事業展開がどうなるのか、あるいは新会社がどう自主性、自立性を確保していくのかというのがポイントなわけでございます。  確かに、私も資料をいただきました。新しい会社については、約五億の固定収入があって、その中で人件費とか一般管理費だとかあるいは固定資産税等を賄えるということでございますから、要するに、単年度でいえば赤字は出さない、借入金に依存しないということで赤字は出さない、そういうことでしょうから、新会社が苫東の土地を管理する、こういう意味では何とかやっていけると思います。  ただ、資産を管理するだけでは、国が新たに出資をする、あるいは民間から債務を出資に振りかえてもらうという意味がないわけでありまして、要は、先ほど川崎大臣もちょっとおっしゃっていましたように、土地が本当に売れるのかね、土地を売ってちゃんと配当として還元できるのかしら、ここら辺がポイントになろうかということでありますから、我々は、事業としての展開がどうなるんだ、こういうことをくどく言っているわけでございます。  この土地の売り方については、今までの議論の中でも二種類あるんだろう。  一つは、開発庁がおっしゃっているような重点地域、今まで造成した地域あるいは臨海地域と、今やっている柏原地区ですか、そこは恐らく個別企業にもどんどん売っていくというところなんだろう。そうしますと、そこは売れるように、新しい会社にも土地の売却価格の設定等はかなり自由度を与えて、会社がみずからの経営判断で分譲をどんどん進められるような形でやる、そういう意味での自主性、自立性というのを与えるべきじゃないかというふうに思います。  もう一つは、公的なプロジェクトを導入する、こういうところは、これはやはりかなりプランニングというのが重要になりますでしょうから、そこら辺をじっくり検討してやっていく、こういうことではないかと思うんですけれども、公的プロジェクトを導入するというところについては、これはかなり関係機関との調整を要するところですから、まさにこれは北海道開発庁がいかにリーダーシップを発揮するかという力量が問われるところだと思うんですね。  こういった点についてどう考えているのか、確認したいと思います。
  84. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 御指摘のように、新会社が単なる不動産管理会社ということであれば到底民間からの出資を仰げないという点は、御指摘のとおりでございます。その上で、不動産管理を超えて、土地の分譲、造成をいかなる形で進めていくか、今先生指摘のように、企業向けの一般的な分譲については、何と申しましても、新会社の自主性、自立性を確保していくということが極めて重要でございます。  これまでは、土地の分譲価格に支払い金利の部分を上乗せせざるを得なかったために、苫東会社の価格設定に大きな制約があったわけでございますけれども、今後の新会社にありましては、もちろん土地の取得価格あるいは土地の造成費用を織り込まなければいけないという問題はございますものの、それ以外の面では、適正な利益が上がる限りにおきまして、苫東会社の自主性、自立性というのは十二分に確保される、土地の分譲価格の設定の面でも十分に確保されるというふうに考えているところでございます。  それから、これも今御指摘のように、公的プロジェクトの分野では開発庁が主体的な役割を担わなければなりませんし、同時に、北海道を初め地元の公共団体にも、みずからの問題として積極的に取り組みを期待せざるを得ないということでございます。
  85. 石井啓一

    石井(啓)委員 新しい苫東会社は、そういう意味でのみずからの経営能力も従前より問われるわけでございます。  そういったことを考えますと、新しい会社の経営陣、本来は民間人といいますか経営手腕のある人が望ましいんだろうなと思うんですね。先ほどの川崎大臣のお話だと、道庁の現役の方を呼ぼうとされている。役人だから経営手腕がないとは私は申し上げませんけれども、本来ならば民間の方の方が望ましいんではないかと思います。  新しい会社の役員というのが、開発庁なり道庁なりあるいは北東公庫の天下り先として活用されるといいますか、利用されるといいますか、そういうことがあってはならぬのだろうな、私は少なくともその点については確認をしておきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  86. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 新会社の役員でございますけれども、先ほど川崎大臣の方から御答弁申し上げましたとおり、新会社につきまして、北海道の方を役員としてお迎えするということでお願いしてございますけれども、これは北海道を公務員として卒業された方ではありませんで、まだ現役の方に来ていただくという前提で考えているところでございます。
  87. 石井啓一

    石井(啓)委員 済みません、ちょっと質問によく答えていただきたいんですけれども。  卒業されたか現役かということは余り関係ないと私は思うんですよ。卒業間近の人を迎えればそれはOBとほとんど変わらないわけでありますから。要は、この新会社の役員を開発庁あるいは北海道、北東公庫の天下り先にまた使うというようなことはないんでしょうね、その点について確認をしたいんです。
  88. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 それぞれのパブリックセクターに現に勤めていた人が役員として就任することはあろうかと思いますけれども、御指摘のような意味での天下りということであれば、それはそういうものとしては考えておらないところでございます。
  89. 石井啓一

    石井(啓)委員 何だかよくはっきりしないお答えでしたけれども。  それでは、ちょっと私、時間がないんで次の質問に移ります。  北東公庫の財務状況が債務超過じゃないかという指摘も、これまでの質疑の中で幾つかございました。政府系金融機関でございますから、損が出れば国がその補てんをするということであります。頼めば必ず増資してくれる、頼りがいのあるだんなさんがいるということで、それはつぶれるということはないんでしょうけれども、民間銀行に引き当てて考えてみると、北東公庫というのはどういうふうに評価したらいいものだろうか、こういう問題提起をさせていただきたいんでございます。  平成十年度末、平成十一年三月末の北東公庫の財務状況は、民間銀行としてとらえるとどういうふうになるんだろうか。すなわち、民間銀行と同様の不良債権処理苫東むつ小川原開発に対する不良債権処理を行うとすると、北東公庫の財務状況というのはどうなるんでしょうか。私は、これは債務超過あるいはそれに極めて近い状態になるんではないかというふうに思いますが、その点についてどう認識をされていますでしょうか。
  90. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 北東公庫は、御指摘のように政府の全額出資の特殊法人でございます。それから、これまでの審議の過程で御質問もございましたが、資産評価等につきましては民間銀行並み、あるいは再生委員会基準の資産の評価につきましては、これは新銀行ができまして、十二年の三月末からやっていくように今準備を進めているところでございまして、現在のところ、そういう形のものはないわけでございます。仮定のお話でございますが、申しわけございませんけれども、そういう形での計算はできないわけでございます。  政府といたしましては、政府の基準にのっとりまして貸倒引当金の繰り入れを行っておりまして、これまで北東公庫の方からも答弁ございましたが、本年度上期の北東公庫の当期損失金の額が約七百八十六億円となると見込まれておりますけれども、資本金の額は千六百六十三億円と見込まれておりまして、そういう計算でいきますと、今の北東公庫がとっております経理の方法でいきますと、債務超過にはなっていないわけでございます。
  91. 石井啓一

    石井(啓)委員 それは官房長、私もよくわかった上でお話をして、官房長も私の質問をわかった上でそういうお答えをされていると思いますけれども。  今、政府系金融機関の経理でやればもちろんそういうことになるわけですが、民間銀行であればこれはどう評価されるんだろうか。お答えにならないようですから私の方から申し上げますけれども、平成十年度末、資本金は一千三百四十億円ですよ。これは、監督庁が検査に入って、民間銀行だったら処理しなきゃいけない、苫東むつはちゃんと平成十年度末で不良債権処理しなさいと言われますね。  どう処理するかというと、苫東については六百七十億円の処理をしなけりゃいけない。では、むつがどれだけ処理をしなきゃいけないかというと、最大限、融資額と出資額が全額返らない、こういうことはほとんどないとは思いますけれども、そういう状況を考えると、九百七十九億なんですね。そうすると、不良債権処理は一千六百四十九億、これはもう明らかに債務超過でございます。  では仮に、むつの融資額、九百五十九億ございますけれども、これの半分が損失になる。まだまとまっていませんので、どういう数字を置いたらいいかわかりませんので、仮に半分とすると四百八十億円なんです。九百五十九億の半分で四百七十九億五千万ですが、約四百八十億。六百七十億と四百八十億の不良債権処理とすると、一千百五十億円、資本金は百九十億円しか残らない、こういうことになってしまうんです。  仮に、むつ苫東と同額の六百七十億円の損失だとすると、これはぴったり資本金がなくなっちゃうんですね。この苫東の六百七十億とはもしかしてここからきているんじゃないかというふうに思わざるを得ないような数字なんでございます。  そういう状況でございまして、民間銀行だとすれば、債務超過かあるいは著しい過少資本状態と言わざるを得ない、こういうことなんでございます。これは私の指摘として受けとめていただきたいと思います。  それでは、もう一つ質問を続けますが、平成十年度末の開銀北東公庫の財務状態と、平成十一年十月一日で統合した後の新しい銀行の財務状況がどういうふうに変化をするのか、この点について確認をしておきたいと思います。
  92. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまのお尋ねは、日本開発銀行につきましては、十年度末、すなわち本年の三月期の財務状況、こういうお尋ねでございます。  ただいま日本開発銀行の資本金は六千八百九十六億円、それから法定準備金が九千三百八十六億円、自己資本の合計が一兆六千二百八十二億円。なお、業務全体の規模を示します融資及び出資の残高の合計額は十七兆五千二百十七億円でございます。
  93. 濱本英輔

    濱本説明員 同じく十一年三月期の北東公庫の、ただいまの小粥総裁の御説明に見合います数字を申し上げますと、資本金が千三百四十一億円、準備金はございません。積むことができません。したがいまして、資本の合計は千三百四十一億円にとどまります。それから、出融資の残高が一兆六千六百十四億円でございます。
  94. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 日本政策投資銀行が、開銀北東公庫の一切の権利義務を承継いたしまして本年の十月一日に設立された場合の資本金は、八千六百五十四億円でございます。準備金が九千二百三十二億円と見込まれます。合わせまして、自己資本が一兆七千八百八十六億円でございます。これに対しまして、出融資の残高が二十兆五千六百六十八億円と見込まれるところでございます。
  95. 石井啓一

    石井(啓)委員 溝口官房長、今おっしゃった新しい銀行準備金九千二百三十二億円というのは、むつ損失を含んでおりませんね。だから、本来は九千二百三十二億円からむつ損失分が引かれた分が準備金ということになりますから、資本も、一兆七千八百八十六億円、今おっしゃった額からむつの償却分を引いた分が資本金ということになるわけですね、正確に言うと。ちょっと確認です。
  96. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 上期におきまして、開銀の方で利益が見込まれます、それから北東公庫の方では損失が見込まれるわけでございまして、その分も準備金の中で計算をして織り込んであるわけでございます。したがいまして、準備金の額は、本年の三月末の水準から上期の両機関の利益、損失の増減を含みまして、それで上期の準備金の額が出まして、それを新資本金に足すという計算でございます。
  97. 石井啓一

    石井(啓)委員 いやいや、官房長、それはわかっているんですよ。わかっているんだけれども、今おっしゃった九千二百三十二億というのは、むつ損失がまだ確定していないけれども、本来はそこから引かなきゃいけないんでしょう。そういうことなのですね。  私が今なぜ北東公庫の財務状況だとか、統合前、統合後の財務状況をお聞きしたかというと、北東公庫の財務状況なりあるいは今回の統合というのをどういうふうに受けとめたらいいのか、民間銀行だったらこれはどういうふうな状態として考えたらいいのか、私はそういう問題意識から問いを発しているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、平成十年度末で、北東公庫の財務状況というのは、民間銀行でいえば債務超過かあるいはそれに極めて近い状態であると言わざるを得ません。  そういたしますと、そういう銀行処理するという手法には、一つは特別公的管理だとか、あるいは金融整理管財人を派遣して、いわば公的資金を入れて受け皿銀行を探す、こういう手法があるわけですね。もう一つ、救済合併してもいいよという銀行があれば直ちにそこと合併をしてもらう、そういう手法、大きく分けてその二つがあると思うわけでございます。  先ほどの質疑の中で、一般会計を入れて処理した上で開銀統合するというのは、民間銀行でいえば私は前者処理に相当するのかな、すなわち公的資金を入れた上で受け皿銀行を探す。今回の開銀との統合のケースというのは、今申し上げた後者のケース、すなわち経営の苦しくなった北東公庫開銀が救済合併するケースに相当するんではないか、民間でいえばそういうケースに相当するんではないかというふうに私は考えます。  なぜこういう議論をしているかといいますと、こういう破綻処理で考えると、一般的には、救済合併してもいいよという銀行があらわれれば、そのケースが恐らく優先されてやるんだろうなというふうに私は思っておりまして、そういたしますと、今回の開銀との統合一般会計を入れた上で開銀統合するというケースもそれはあり得るわけでございますけれども、やはり処理としては開銀との統合というのが優先されるのではないか、私はこういう考え方でおります。  ただ、この場合、やはり一般会計を入れるという意味は、ある意味で、先ほど大臣もおっしゃったように、北東公庫の責任といいますか損失といいますか、それをきちんとはっきりさせる、意味合いをはっきりさせる、こういうこともあるわけでございまして、それは当然のことなんですね。  ですから、私先ほど冒頭に、むつ処理を当然その新銀行発足までにやりますよねとしつこく申し上げたのはそのことを言っているわけでございまして、北東公庫不良債権処理合併までにどうなるかわからない状況でやるとしたら、これは今議論している本来の趣旨から大きく外れることになる、私はこのことは指摘をしておきたいと思います。  大臣、私の今るる申し上げましたような、民間銀行並みに考えるとすると北東公庫は平成十年度末で債務超過あるいはそれに近い状態にあるんじゃないかという認識が一つ。それから、今回の開銀との統合というのは、これもやはり民間で考えてみれば経営不振に陥った銀行を救済合併するケースに相当するんではないか、私はそういうふうに認識しておりますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  98. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御所見に別に逆らうつもりはございません。  北東公庫としては、やはり苫東とかむつ小川原とか、そういうかなりナショナルプロジェクトともいうべきものをずっと背負ってまいりましたので、それはもともと民間銀行には期待できない種類の任務でございますから、その結果として、今言われましたような結果になるということも理解できることではないかと思います。
  99. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、政策投資銀行に関しまして、ちょっと細かい問題を確認しておきたいと思います。  今回、地域振興整備公団と環境事業団の融資が新たな銀行の業務として移管をされるわけでございますけれども、これらの融資の融資枠が今後どういうふうになるのだろうか。これまでの地域振興整備公団あるいは環境事業団の融資の実績に縛られるのかどうか、この点について確認をしておきたいと思います。
  100. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 新銀行が引き受けます地域振興整備公団及び環境事業団からの融資分野でございますが、これにつきましては、従来の両機関において実施されてきた実績に縛られるとかそういうことではございませんで、実際の当該分野の需要に即しまして適切に対応していくということになろうかと思います。
  101. 石井啓一

    石井(啓)委員 わかりました。よろしくお願いしたいと思います。  時間が迫ってきましたので、最後の質問になろうかと思います。  新しい銀行になって行政改革の実が上がるのかという指摘も何回かございました。昨年の法改正で、開銀あるいは北東公庫も、今、いわゆる貸し渋り対策として、従来おやりになっていなかった長期の運転資金に対する貸付業務をやっている。こういったこともあって大変業務量がふえている、こういう認識もございますので、そういう貸し渋り対策をやっているときに直ちに組織なり人員なりを合理化すべきということは私は申し上げようとは思いませんけれども、この貸し渋り対策が一段落をいたしましたら、やはり行政改革に資するということで組織、人員の合理化には努めるのが当然だ、こういうふうに思うわけでございます。その点について確認したいと思います。
  102. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 新銀行政府関係金融機関でございまして、何度も繰り返し申し上げて恐縮でございますが、やはり民間金融の補完でございますから、今後とも、新銀行の業務につきましては、どの程度の補完が必要かという判断を不断に加えながら、人員の増減につきましてもそれに応じて検討していくべきものだと思います。  それから、貸し渋りで確かに業務は現在大変ふえておりますが、開発銀行におきましては、人員をふやすのではなくて、年末には土曜出勤をいたしまして対応するとか、あるいは残業で対応するとか、あるいは既にやめられた方で経験のある方を嘱託として臨時に雇いまして対応するというようなことをやって、今の貸し渋り対策に伴う業務をこなしております。そこはそういう工夫をしておるわけでございまして、今後、そういう業務がなくなりますとそういう分野は自然に減っていくものかと思います。  以上でございます。
  103. 石井啓一

    石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上でおしまいにします。
  104. 村井仁

    村井委員長 次に、矢島恒夫君。
  105. 矢島恒夫

    矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  これまで本委員会で、苫東問題あるいはむつ小川原の開発破綻問題、いろいろと論議されてまいりました。私も、このような結果になったその総括、それから責任、こういうことを明らかにしないままで開銀北東公庫を新銀行統合していくということは認めるわけにいかない問題だ、こう考えております。  そこで、まず、提案されております法案の中身でお聞きしたいと思います。  そもそも開銀というのは、一九五一年、あの講和条約締結、これと一緒に発足いたしまして、戦後の日本経済の復興、そのための重化学工業などいわゆる基幹産業の育成、その担い手である大企業へのてこ入れというので、輸銀や開銀政府系金融機関として、産投会計からの出資で、大企業向けに特別有利な条件で豊富な資金を提供してきた、こういう経過があると思います。したがって、開銀はこうした意味で大企業向け中心の政府系金融機関というのが基本的な性格づけということが言えるのではないかと思います。  そこで大臣にお聞きしたいんですが、今度の新しい銀行日本政策投資銀行法案、目的とかあるいは業務などが書かれておりますけれども、これまでの開銀の基本的性格、これと比べて、変わるのか同じなのか、見解をお尋ねしたいと思います。
  106. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろな観点があると思いますが、まず、開銀そのものが昭和二十六年から果たしてまいりました役割、当然、日本の戦後の産業のビルドアップということでございましたから、勢いそれは重厚長大といったような設備産業等々大企業を中心にした融資であったと思います。  もとより、そのときから地方融資というものはございました。ございましたから、今、北東公庫と一緒になりましても、もともと地方融資という部分開銀最初持っておりましたから、その部分について違和感はないというふうに思います。しかし、いわゆるその中心になります部分の融資は、我が国の経済のいわばニーズというものが戦後数十年とここへきましてと随分変わってまいっておりますから、そういう意味で、貸出対象の重点というものが、国民生活に密接な部分で相当大きな資金を要して、民間の金融機関の融資対象としてはトータリーには必ずしも適当でないというようなもの、あるいはインフラストラクチャーでありますとか、そういう我が国の経済のニーズが変わってくるにつれて融資対象というものが自然に少しずつ変化していくということは、これは当然あることだと思っております。しかし、いずれにしても、それは民間金融機関が自分だけではなかなかできにくいという部分であるには違いないと思います。  それからもう一つは、中小金融機関等々からこういう貸し渋りと言われるような時代になりまして、社債等々の金融にもいろいろ問題がございますから、そういうことも開銀にこの際助けてもらおう、しかし、この部分は永久にという意味ではございませんで、こういう時期ということであると思いますけれども。  言ってみますと、そういう違いはあるんだろうと思いますが、主として、根本的には、民間の金融機関のなし得ない種類の、しかも国民経済が必要とする金融という点では一貫をしておるのではないかと思います。
  107. 矢島恒夫

    矢島委員 今までの開銀の基本的な性格というものが、戦後の歴史から見ましても、また今日まで開銀が行ってきた経緯と実績というものを見ましても、やはり大企業向けという性格づけであると私は思います。  そこで、今も大臣がちょっと述べられたので、実は、この法案の目的とか業務という中身から判断しにくい部分もありますので確認のために質問するわけですが、今度新しくできる銀行、これは中小企業を資金融資の対象として位置づけている、こう判断してよろしいんでしょうか。
  108. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 たしかこれは法律の附則におきまして述べておる点でございますから、本来、そういう中小企業を民間の金融機関の融資対象として十分民間金融機関が機能できるということになりますと、それは開銀がそこまで踏み込まなくてもいいということになろうかと思いますが、現状ではそういう必要があるという判断をしておるわけでございます。
  109. 矢島恒夫

    矢島委員 私、やはり今まで開銀が行ってきた融資の状況そのほか、これをきちんとすることによって新銀行の持つ役割というものもおのずと決まってくると思うのです。  そういう意味で、開銀に聞くのですが、現在、資本金規模で一億円未満、一億円以上十億円未満、十億円以上百億円未満、それから百億円以上、この四段階で、それぞれの貸付件数、それから貸付残高はどれほどになっているか、お答えいただきたいと思います。
  110. 小粥正巳

    ○小粥説明員 日本開発銀行の融資対象及びその融資規模を、御質問は資本金の規模別に示すように、こういうことでございますが、確定しておりますのは、九年度末、すなわち平成十年三月末のベースでございます。  まず、開銀の融資対象、取引先の企業数、社数で申し上げます。  全体は三千六十二社でございます。そのうち、先ほどお示しいただきました資本金規模別に分けます。資本金一億円未満、これが五百八十二社、割合で一九%でございます。次に、資本金一億円以上十億円未満の層が、社数で千二百二社、割合で三九%でございます。次に、十億円以上百億円未満、このグループが八百九十六社、二九%。そして、資本金百億円以上の層が三百八十二社、一二%、こういう構成でございます。  以上は取引社数でありますが、次に、融資残高について申し上げます。  十年三月末時点でございますと、融資残高の合計は十六兆二千二百六十七億円であります。そのうち、資本金一億円未満が四千九百九十九億円、割合は三%であります。次に、一億円以上十億円未満の層は一兆二千百四十八億円、割合が八%でございます。次いで、十億円以上百億円未満、この層が二兆六千八百二十億円、割合は一六%であります。最後に、百億円以上の層が十一兆八千二百九十九億円、割合で七三%、このようになっております。
  111. 矢島恒夫

    矢島委員 今お答えいただきましたけれども、一億円以下は、融資全体の額からいきますと三%、そして、百億円以上、ここのところが七三%という融資残高になっているというお答えでした。やはり、融資額からいえば百億円以上、圧倒的にこれらの企業に融資されているという結果になっていると思います。  それから、開銀からいただいた平成十年三月期調べの貸付残高上位五十社という資料がありますが、これを見ますと、東京電力、中部電力など電力九社、あるいは東日本を初めとするJR各社、私鉄の大手、それから航空会社、その他、製鉄、ガス、石油などいわゆる有数の大企業がずらりとこの五十社の中に名前を連ねております。  これだけ見ましても、先ほどの融資残高もそうですが、この貸付残高上位五十社を見ましても、やはり開銀の基本的性格は大企業ということで明らかだと思うのですが、総裁、そのようにお考えですか。
  112. 小粥正巳

    ○小粥説明員 私どもの融資残高を資本金規模別に見ますと、先ほどお聞き取りいただきましたように、十億円未満の二つの層を合わせますと、社数では約六割、それ以上のものが四割、そういう分布でございますけれども、貸出残高で申しますと、確かに、御指摘のように、当然資本金の大きなクラスが大きなウエートを占めている、それはそのとおりでございます。  それから、これもお示しいただきました、十年三月期の日本開発銀行の貸付残高上位五十社、それにつきましては、当然のことながら、大規模な資本金を擁する大企業が並んでいることも事実でございます。  ただ、補足させていただきますと、私ども日本開発銀行は、当然のことながら、国の定めました一定の政策を推進するために出融資を行っております。そして、その政策目的が認められますものは、これは申すまでもなく、企業に着目しているわけではございませんで、それぞれの企業が行うプロジェクト、そのプロジェクト政策的に推進、サポートする意味があるもの、これに政策金融を行って支援をしている、こういうことでございます。  ただし、大臣からもお話がございましたように、政策金融の対象は、一般的に申せば、その投資回収に非常に長期を要するもの、あるいは収益性の低いもので民間金融機関だけには任せておけない分野、あるいはそういう性格のプロジェクトを対象としているものでございますから、そのようなプロジェクトは、極めて所要資金が巨額であって、たとえ資金調達力の相当にある民間大企業でも自社単独では容易に調達し得ない、民間金融機関ではもとより十分に対応できない分野に着目をして行っている。  結果として、お尋ねのように、残高上位に大企業が並んでいるということは、そのとおりでございますけれども内容につきまして、政策金融の意味合いにつきましては、御理解を賜りたいと存じます。
  113. 矢島恒夫

    矢島委員 いろいろ言われましたけれども、新銀行がこれから発足するに当たって、やはり大臣もおっしゃっておりましたけれども、融資対象というのは重厚長大からいろいろとその時代時代によって変わってくる、こういうお話もありました。私は、やはり国民生活安定という方向が、今後求められるんじゃないかと思います。  そういう意味では、開銀の今までの基本的な性格というものをそのまま受け継ぐんじゃなくて、時代に即応し、中小企業の問題あるいは国民生活の問題、こういうところも重視していく必要がある、このことを申し上げておきたいと思います。  それで、中堅企業の問題で幾つかお尋ねしたいと思います。  政府が昨年十一月十六日に緊急経済対策、これを決めました。その中に、中堅企業向け貸し渋り対策というのがあるわけですけれども、それによって、昨年十二月に、二〇〇一年三月までの期限つきではありますけれども開銀法それから北東公庫法の改正を行いました。  その中で、中堅企業等の円滑な事業活動を支援するため、設備投資と関連のない長期(一年以上)の運転資金の融資を導入するというのが盛り込まれているわけであります。  開銀にお聞きいたします。  昨年、開銀法が改正され施行されてからことしの三月末までに、長期運転資金の貸し付けの実績がどのようになっているかということ。特に、資本金が十億円以上、それから十億円未満とに区分して、件数それから金額を示していただきたいと思います。
  114. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまお尋ねの、昨年十二月の開銀法改正以来ことしの三月に至るまで、約四カ月でございますけれども、その間の法律改正によって新たに対応できることになりました長期運転資金の融資実績、これを資本金規模に従って申し上げたいと思います。  まず、全体で百二十六件、千二百二十五億円となっておりますが、御質問の資本金区分十億円以下の企業のシェアは、このうち件数では六四%、金額では二一%、こういうふうになっております。一方で、資本金で百億円以下の企業のシェアは、件数で八八%、金額で五五%、こういう区分でございます。  いずれにいたしましても、これは厳密な定義ではございませんけれども、十億円以下の中堅企業ないし中小企業、一般的にはそういうことになろうかと思いますが、件数では全体の三分の二近い、金額では二一%、こういうことでございまして、先ほども申し上げましたように、やはりその件数、つまり対象といたします企業、特にお尋ねの大企業以外の中堅、中小企業に対しても、この長期運転資金融資におきましても私どもは精いっぱい対応をしている、こういうふうに考えております。
  115. 矢島恒夫

    矢島委員 そうおっしゃいますけれども、昨年この開銀法改正の問題が論議された当委員会でいろいろと論議された問題、つまり中堅企業への貸し渋り対策、これを中心にやっていくんだと言うけれども、この法案の中身をいろいろ考えてみますと、やはり大企業への新たな支援策、こういう内容も含んでいるんじゃないかということが、まあ我が党もそういう角度から質問しておりますけれども、質疑が行われたわけであります。  この指摘というのが、当時新聞でも取り上げ、注目されたところでありますけれども、これは既に発行されておりますけれども、ことしの五月号ということですが、「金融ビジネス」というのがあります。この中に、「昨年の開銀法改正によって、現在、日産、ダイエー、神戸製鋼、NKK、西武百貨店などが開銀からの融資を受けたり、あるいは、借入の申請を行ったりしている。なかには、メインバンクよりも融資額が多くなるようなケースも出ていることが報道された。」というのがありますが、これは間違いありませんか。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  116. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまのお尋ねでございますけれども、個別企業に対しまして、私どもが具体的に融資をしているかどうか、あるいは融資の内容につきまして申し上げますことは、これは恐縮でございますけれども、私ども銀行として取引上知り得た秘密ということになりますので直接の答弁は差し控えさせていただきますが、お尋ねでございますから。  先ほどのお話に出ました昨年十二月の臨時の法改正によりまして、現在いわゆる貸し渋り対策に、企業の規模を問わず私どもとしては精いっぱいの努力をしているということを申し上げました。そして、その中に規模の非常に大きな企業がたまたま含まれているということもこれは事実でございます。  ただ、これもつけ加えて申し上げれば、私どもは、先ほど申し上げましたように、大企業だから中堅企業だからという、その企業の規模に必ずしも着目しているわけではないわけでございまして、その意味で、たまたまこの貸し渋り対応の融資先が大企業でありました場合、その大企業そのものを助けるという考え方よりも、むしろこういう非常に金融の逼迫した時期でございます、それぞれの大企業は、大企業であればそれだけ関連のあるいは非常に多数の取引先を有しておりますし、その取引先の非常に多くが中堅ないしは中小企業であることは申し上げるまでもございませんので、その関連企業、そしてまたそれに関連する従業員の雇用問題、そういうものも私ども政策的意義を十分に認識して対応している、これは御理解をぜひいただきたいと思います。
  117. 矢島恒夫

    矢島委員 あなたは、十二月三日の衆議院当大蔵委員会におきまして、やはり中堅企業を中心に対応したい、こういう答弁をしていらっしゃいます。法の目的の貸し渋り対策ということで、大企業はその下にいろいろな企業もあるんだからというようなことじゃなくて、中堅企業を中心に貸し渋りをどうするか、中小企業についても信用協会を通じてやりました、そういう状況の中での問題なんですよ。ですから、問題のとらえ方が大きくても小さくても、この千二百二十五億円というもののうちの、金額でいえば八〇%ぐらいが大きな企業に行っているわけですよ。本当にこれでこの法改正の目的が遂行されたのか、このことは極めて問題があることだと私は思うのです。  開銀は、もともと設備資金への融資が基本になっていましたけれども、貸し渋りを理由に、中堅企業の事業の活動のためといって、大企業にも融資できる道を開いた。こういうことになって、もともとそのねらいがあったのではないかと私は結果から見て言わざるを得ないのですが、大臣の見解はいかがでしょうか。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  118. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまの私の答弁について重ねてのお尋ねでございますから、お答え申し上げます。  先ほど私がお示ししました長期運転資金の数字でも、件数では約六割が資本金十億円未満、こう申し上げました。ですから、例えば中堅企業、私がせんだっての委員会における答弁で中堅企業を主体として考えていきたいと思いますと申し上げましたのは、その点は私も全くそのとおりに考えております。件数では、例えば長期運転資金についてそうなっておりますから。ただ、お尋ねのように、大企業が結果として金額で大きくなっている、これはある意味では企業規模の違いでそういう結果は当然出てくると私は思います。  開銀の任務と申しますのは、例えば中小企業金融公庫等と違いまして、中堅企業等、等という表現を使っておりますが、これは中堅企業も大企業も法律上対象とし得るものでございます。私ども、貸し渋り対策の主眼というものを十分にわきまえながら対応してきたということは、重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
  119. 矢島恒夫

    矢島委員 やはり、国会審議の中でこの法改正のときに、貸し渋り状況が全国的にいろいろな問題が起きた、中小企業についてもいろいろ手当てをした、中堅企業はどうなんだと、そこで出てきた一つの法改正の、これは緊急経済対策の一環なんですよ。ですからそのとおりにいくべきなのが、件数は件数はとおっしゃいますが、金額にしたって大分差がある。  余り時間がありませんので、では、次の問題を聞きましょう。  開銀の融資問題でちょっと聞きます。私、調べてみますと、開銀の貸付金の推移、一九九一年度になって初めて十兆円を超えているのですね。この年、貸付金を見ますと、前年度比で一一〇・四%に伸びているのです。そして、その後貸付金がどんどん右肩上がりに伸びています。昨年度は、これは予定額ですけれども十八兆一千億円になっている。  開銀の資本金を調べてみますと、九一年度までは大体ずっと長い間二千三百四十億円でした。九二年度以降は毎年増額していますね。特に昨年度は二倍以上増資しています。今や七千億円に近い資本金になっておりますし、資本合計は、先ほど昨年度末の数字をおっしゃられましたけれども、これも私の方で調べたのは、予定額ですが一兆七千億円超になっている。  そこで、総裁、なぜこの九一年度に貸付金がぐんと伸びたかということ、それはどのような事業分野で伸びているかという点をお答えいただきたい。なるべく短くお願いします。
  120. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまお尋ねの九一年度、平成三年度でございますが、それ以降開銀の融資が伸びていると。  これは残高あるいは毎年のフローベースの、両方のとらえ方があろうと思いますけれども、実は、毎年のその出融資の額で申しますと、今お尋ねの三年度以降で一番大きくなっておりますのは平成五年度の二兆七千四百二十五億でございます。  ちょうどこの三年度から五年度、確かに毎年の出融資実績も増加をして、ピークであります五年度二兆七千億余になっておりますが、このときは、御案内のように、いわゆるバブル経済の崩壊後の段階でございまして、その局面で、政府が数次にわたる経済対策として非常に積極的な財政投融資の活用がうたわれました。細かいことはもう省略させていただきますけれども、その間に民間設備投資の促進、あるいは新しい社会資本の整備、特にエネルギー問題あるいは通信、情報の分野で、政府政策としてもあるいは民間の投資としても、その分野に新しい投資の需要が大変あった。そこで、開銀のその出融資の背景であります財投資金としても、当初計画の策定後に、三年度では例えば三千億円、四年度では七千億円、五年度四千二百億円、それぞれこの三年次にわたっては相当額の追加が行われた。これはそのような当時の経済社会の実績及び政府の経済対策の対応の端的なあらわれであろうと思います。  しかし、その後になりますと、平成七年度以降は、むしろ融資分野の選別、重点化に努めてまいりました。あるいは民間の補完に徹するという融資規模の適正化を図ってまいりましたので、繰り返しになりますが、各年の実績では、ピークは五年度でございまして、その後、平成九年度まで、七年度一兆八千億余、八年度一兆七千億、九年度一兆九千億、こういうふうに、平成三年度から五年度に比べますと毎年の実績はむしろ減ってきている。そういうふうに、かなりその時々の政策要請に応じて開銀の出融資規模が増減をしているということは申し上げたいと思います。  ただし、残高ベースで申せば、例えば平成三年度以降、毎年それぞれ波はありますけれども、これは確かに増加していることは間違いございません。
  121. 矢島恒夫

    矢島委員 社会資本整備に対する貸付金もやはり同じような状況で伸びていると思います。  いわゆる第三セクターの問題なんですけれども、一九七〇年代の前半、それから一九八〇年代の後半、民活法、それからリゾート法、こういうのが成立いたしました。この辺で急増していると思うんですけれども、もちろん政府の社会資本整備の促進策というものの中で、NTT株の売り払い収入を財源とした無利子融資、あるいは同じく低利融資、こういう創設があった。こういう中で、九一、九二年にはこの第三セクターがかなり設立されていると思うんです。  そこで、開銀に聞きますが、開銀が現在出資または融資している第三セクターの数の推移はどうなっているか。
  122. 小粥正巳

    ○小粥説明員 お尋ねでございますが、私の手元に十年三月末時点の第三セクターに対する出融資状況がございますので、とりあえず、その点を申し上げさせていただきます。  出融資の対象となっております事業社数は五百八社、それに対する出融資総額は一兆七千六百九十五億円でございます。そして、実は平成に入って以降、第三セクターが、新しい法律ができました、その他の理由によって、確かに平成年間でふえてきていることは事実でございます。  大変申しわけないんでございますけれども、第三セクターの定義の問題も含めまして、私ども、過去、例えば十年にさかのぼって正確に比較のできる統計上の整理が今のところできておりませんので、暫定的に、今私が申し上げました平成十年三月末の、二年前にさかのぼりますと、平成八年度におきましては百五十八社、千九百五十九億円、九年度については百五十八社、千七百三十八億円と、各年度ごとに、例えば今申し上げました二千億前後の出融資を行ってきて、その結果として、さっき申し上げました十年三月末、五百八社、約一兆七千七百億という数字がございます。  それから、これは出融資合計で申し上げましたが、その出融資の分別を申し上げますと、出資、四十八社、二百八十一億円。融資、五百五社、一兆七千四百十四億円。ただし、出資会社のうちの三社は出資のみでございますので、四十五社が融資とダブっております。
  123. 矢島恒夫

    矢島委員 私の聞いたことだけに答えてください。もう時間がなくなっちゃうんで。要するに、どういう推移かということだけをお聞きしたのに、余分なことを答えていらっしゃるのでどんどん時間が食います。  今、第三セクターの問題というのは非常に重要な状況にありますね。苫東の問題あるいはむつ小川原の問題もずっとここで論議されてきましたけれども、ほかにもまさに解散しなきゃならない、清算に追い込まれているというような第三セクターも多くなっているわけですよ。  開銀がどういうふうな推移で、この間、第三セクターに融資してきたのかということを知るのは極めて重要なんですよ。そういう意味では、三年間だけおっしゃられましたが、こういう統計をとっていないんだというのは非常に問題があると私は思います。やはり、こういうものはきちんと、第三セクターにどういう経過で融資が行われてきているのか、その融資を行っているのはどこで、今どういう状況か、こういう情報がきちんと開示されないから、いざパンクしちゃってから苫東の問題やむつ小川原の問題などが出てきて、そこで騒ぐわけでしょう。ぜひこれは私が要求したような資料を提出してもらいたいと思います。すぐにできなければ時間をかけてでも結構です。  さて、そこで、時間がありませんので、私、東京の臨海副都心の問題で現状をお聞きしたいわけですよ。  まず、第三セクター、三社がありますね。テレポートセンター、それから東京臨海副都心建設株式会社、それから竹芝地域開発株式会社、こういう三社があります。東京都が四〇%から五〇%以上出資している筆頭株主ですけれども、国からも、郵政省、通産省、運輸省、建設省、それぞれ民活施設として民活補助金を交付している。開銀を初め民間銀行からも出資が行われていると思うんですが、今大変な状況だということが言われております。  これは、東京都が九八年度から十年間、無利子貸し付けあるいは地代の減免、こういうので二百七十億円も支援しなければならない事態に陥っているということ、あるいは東京テレポートセンター一社にほかの二社を集約しちゃおうというリストラ計画、こういうのが出ている。  そこで、開銀、この三社に、出資額、融資額、融資額については無利子融資と有利子融資、どうなっているか、教えてください。
  124. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまお尋ねの東京の臨海部の計画の中で三社をお挙げになりましたが、私どもは、そのうち東京テレポートセンターに対しては出資及び融資、竹芝地域開発に対しては融資のみを行っております。なお、東京臨海副都心建設に対しては出資、融資、いずれもございません。  そこで、私どもが出融資を行っております二社についての具体的なお尋ねでございますが、これは先ほど申し上げましたように、個別の企業に対する出融資額は私どもの原則はあくまで守秘義務の範疇ということでございますが、本件につきましては事前に御通告もいただきましたので、私ども、会社からの了解を取りつけまして、その上でお答えをさせていただきます。  まず、東京テレポートセンターでございますが、現在の残高は、出資十五億円、融資のうち有利子のもの四百一億円、無利子融資百六十二億円であります。それから、竹芝地域開発につきましては、これは出資はございませんので、融資のうち有利子のもの百七十四億円、無利子のもの五十四億円。  以上でございます。
  125. 矢島恒夫

    矢島委員 さてそこで、この三社の現状はどうかという問題ですよ。累積損失、私調べてみましたら、六百五十二億円と出ていました。これから年々三社とも赤字は膨らんでいくのではないか。  これは四月十三日の日経ですけれども、株式会社形態など全国に約三千社ある、景気低迷の長期化の中で実質赤字に陥っている会社は全体の七割に上るなんという記事もあります。まさにこの三社については、大変危険な状態にあるというのは総裁も御存じだろうと思います。  さてそこで、これからの返却その他、どういうように考えておりますか、この三社についての状況。
  126. 小粥正巳

    ○小粥説明員 三社とおっしゃられましたけれども、私どもとお取引がありますのは二社でございますから、この二社の経営状況についてのお尋ねでございますけれども、これはまた大変恐縮でございますが、個別の取引先の具体的な経営状況については、私ども、やはり先ほど申し上げましたような意味で発言を控えさせていただきたいと思いますので、御理解いただきたいんです。  ただ、東京湾臨海部におきまして、ただいまお話がありました三社、あるいはその他の第三セクター会社もあるわけでございますけれども、その場合、私どもの取引をさせていただいている企業につきましては、申すまでもなく公共性、公益性が高い、したがって先行投資が一般的にいえば非常に巨額であり、採算性が低い、投資回収に長期を要するという意味で、その時々の経済情勢にもよりますけれども、その一部については厳しい経営環境下に置かれていることも確かにあることを承知しております。  ただ、この債権の管理につきましては、これは第三セクターに限りませんけれども、私ども、単に出融資を行う際に十分審査をするだけではなく、その後事業が継続している期間中、十分にモニタリングを行いまして、そして出資者である地方公共団体あるいは主たる融資者である民間金融機関等との協調を図りながら、お尋ねのように厳しい経営環境下に置かれております一部の第三セクター事業につきましても、十分に事業の採算性あるいは事業のフィージビリティーを必要に応じて見直し、あるいは事業体に対して、必要であれば大変厳しい事業改善の要求をしながらも、その実行を見守り、かつ最終的な私どもの融資についての償還確実性を担保すべく必要な措置を講じている。これも、しかし私ども単独ではできません。他の出資者、融資者との間で十分な協調を図りながら、私どもとしてできるだけの調整を行って債権の保全に努めている、そういう一般的な状況として御報告させていただきます。
  127. 矢島恒夫

    矢島委員 総裁の答弁が極めて丁寧なので、私が用意した質問、つまり結論の部分、こういうところまで行きませんでした。もう時間だというのが来ました。  開銀は東京ファッションタウンにも融資していますよ。今大変三セクの問題というのは全国的に重大な問題になっているということは、これは御存じだと思うんですよ。そういう意味からして、北東公庫だけじゃなくて、開銀にも同様の問題を起こす危険性というのは私は大いにあると思うんです。  そういう点では、開銀の出資の状況あるいは情報開示という面、こういう面では、私が質問した中で出せなかった資料については後ほどきちんと出していただくということを要求いたしまして、質問を終わります。
  128. 村井仁

    村井委員長 次に、横光克彦君。
  129. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。本法案も、苫東の視察を含めまして、非常に長時間にわたって審議してまいりました。最後に質問をさせていただきます。  二十一世紀を間近に控えて、現在の我が国の政策的な課題というのは、ただ単に経済や産業の問題だけにとどまらず、地球的規模で発生しております環境問題の解決、あるいは急速に進行している高齢化の中での福祉の問題、こういった幅広い分野も政策課題になろうかと思います。  日本政策投資銀行は、こうしたさまざまな重要課題を抱える中での船出となるわけでございますが、この船出に当たって、やはり今回の審議の状況をしっかり踏まえた上で船出していただきたい。つまり、苫東むつ小川原等のいわゆる政策的な失敗、こういった苦い経験があったわけです。ですから、こういった失敗をただ苦い経験とするだけではなく、この経験を、しっかりと責任を踏まえた上で、いかにして教訓としてこの新銀行につなげていくか、これが重要であろうと思っております。今回の審議を通じて、この問題に関しての責任を一番感じておられるのは、私は大蔵大臣のような気がいたしておりますが、やはりそれが一番大事であろう、このよう考えております。その上で、やはり、政策金融機関として期待される役割をしっかりと果たしていく義務があるということをまず冒頭申し上げたいと思います。  そういった中で、きょうは私、新銀行が果たすべき役割について何点か確認したいと思うんですが、日本国内への外国企業の投資、これが、日本企業の外国への投資に比べると非常に少ないわけですね。国内への外資の進出が、現在の状況では一対四という状況になっております。これは直近の十年度の上期ベースでのデータでございますが、外資の進出が非常に少ない状況にあります。  外資の国内への投資の促進は、これは言うまでもございません、産業の空洞化を防ぎ、雇用を促進し、そしてまた地域での国際化を進めるという意味で非常に重要なわけでございます。一例を挙げれば、大分県に日本テキサス・インスツルメンツ日出工場というのが八三年に進出しておるんですが、これは外資系企業の日本立地のはしりであったと思うんです。  こういった分野において従来開銀が対日投資促進融資で果たしてきた役割は大きいと思うんです。しかし、これからまださらにこういった外資の一層の導入を行う施策は重要になってくる、このように認識しているわけですが、こういったことが新銀行において十分担保されるのかどうか、まずお聞きしたいと思います、大蔵省。
  130. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 開銀におきましては、昭和五十九年に対内直接投資事業促進融資制度というのを設けました。それから、平成二年度より対日投資促進センターを開銀の本支店、海外事務所に設立いたしまして、対日投資の促進を支援しておりまして、新銀行におきましてもこの業務は重要な柱の一つとして実施していくものとなると考えております。
  131. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。  次に、環境分野についてちょっとお聞きしたいんですが、環境問題は、これはダイオキシン等有害物質など、国民の生活を脅かすような日々の生活レベルの問題から、そしてまた地球温暖化問題のようにグローバルな視野を持って取り組まなければならない問題まで、非常に幅広い検討が必要であると考えておりますが、平成九年九月の閣議決定に従って、新銀行は環境事業団の融資機能を継承することになっております。  ところが、環境事業団の融資には不良債権が非常に多いと聞いております。つまり、延滞率、これが、十年度三月末のデータでは、開銀が〇・三一に比べ、環境事業団は二・七、非常に償還不能の率が高いわけですね。新銀行においては、償還確実性の堅持というのが定められておりますが、この点をどう対処するおつもりなのかお聞かせください。
  132. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘のように新銀行は環境事業団の融資の事務を引き継ぎますが、これは機能を引き継ぐわけでございまして、環境事業団が既に融資を行いまして、残高として残っている債権を引き継ぐわけではございません。そちらの方は、引き続き環境事業団の方で管理、回収は行うわけでございます。  それで、新銀行になりますと環境関連の融資を行うわけでございますが、これはやはり償還確実性の原則に基づきまして、プロジェクト内容等をよくチェックいたしまして、そういう返済の問題が起きないように十分注意していくべき問題だと考えております。
  133. 横光克彦

    ○横光委員 これからの新たな分野でのそういった監督、チェック、どうぞ厳しく対処してください。  次に、特定非営利活動促進法案、いわゆるNPO法案が成立してスタートしているわけですが、このNPOについては、環境や福祉や防災あるいは文化、幅広い政策課題があるわけでございます。先ほどからお話がございましたが、非常に中小の形になろうかと思うのですね。しかし、こういった人たちはいわゆるベンチャーに近い、つまり民間銀行が対応しにくい、そこでやはり政策金融が補完という意味から必要になってくるわけです。  こういった面で、新銀行は、融資による金融面の支援だけでなく、こういった分野での各種の情報提供やあるいは経営上のアドバイス、そういった点についても対応がこれから必要になってくると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  134. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまのお尋ねは、いわゆるNPO法がスタートいたしましたが、そのNPO法のカバーいたします分野についての支援の必要性、こういうお尋ねかと存じます。  私どもも、つとにこの分野に対するいろいろな意味での支援が必要と認識をしております。非常に強い関心を持っております。具体的には、例えば、私ども調査セクションでは、昨年、ことしとNPO関連調査レポートを出しまして、具体的には省略いたしますけれども、その内容もかなりその世界では評価もされていると自負をしております。  これから新銀行に移行するわけでございますけれども、これまでの私どもの情報発信なり提言、これは引き続いてさらに推進をしていきたいと考えております。もちろん、単なる情報発信にとどまらず、NPOの組織の運営、それにつきましても、私どものノウハウなり経験なりが役に立つ場合には、積極的にアドバイスをしていきたい。  それから最後に、融資でございますけれども、この点につきましても、私ども、今後十分検討していきたいと考えております。ただ、これは融資一般に、申すまでもなく私ども法律上、償還確実性の原則を踏まえなければなりませんので、それを踏まえた上での適切な対応、具体的なケースに即しまして十分勉強させていただきたいと思っております。
  135. 横光克彦

    ○横光委員 次に、この新銀行は、名称において政策投資銀行と掲げているとおり、国の政策に金融上の寄与を行う機関として位置づけを明確に示しているわけですね。ところが一方では、政策方向性が変わるたびに業務方針を二転三転させられてきた、これもまた事実だと思います。  そこで、新銀行においては、これまで以上に政策との連携を掲げていくことは結構でございますが、機関独立性というべき観点から、機関としての意見ないしは判断を場合によれば国あるいは監督庁に対して示すことも必要であろうと思うのです。  これはなぜそのように思うかというと、今回のいわゆるいろいろな問題点の中で、企画立案、計画の分野と執行部分の間のいわゆる連携というか、意思の疎通が非常に弱かったという反省点が浮かび上がったわけです。ですから、一定の緊張感を保つ意味からも、やはりそういった現場の実態を知っている機関の意見ないし判断もこれからは受け入れていくべきではなかろうかという気がいたしております。  今回の反省点の中で、私は、教訓として一番生かす部分はこの点ではなかろうかと思うのですが、そしてまた、答弁によっては、この問題点でどの程度反省しているかというのがわかるのではなかろうかという気がしておるのです。どうか、機関独立性という観点から、そういった機関としての意見ないし判断を場合によっては国に対して示すことも可能であるということをお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  136. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの御指摘はまことにごもっともなことだと思います。今後心がけまして、銀行と監督官庁との間で十分な情報交換をいたしてまいりたいと思います。
  137. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。ありがとうございました。
  138. 村井仁

    村井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  139. 村井仁

    村井委員長 この際、本案に対し、上田清司君から、民主党提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。上田清司君。     —————————————  日本政策投資銀行法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  140. 上田清司

    ○上田(清)委員 民主党を代表しまして、修正案趣旨説明をさせていただきます。  北東公庫の解散に当たり、苫小牧東部開発に係る損失開銀準備金で穴埋めされることになりますが、この過程の中で、損失が明確にならない可能性が高いという判断が我々にございます。  そこで、民主党としましては、損失処理の透明性を確保するために、北東公庫損失については一般会計で補てんするという内容修正案を出すものであります。  修正により、北東公庫損失処理は国会の予算審議を経ることになり、原案と比較してはるかに透明性が高くなります。また、その結果、国や関係機関の責任も明確にすることができると考えます。苫小牧東部開発及びむつ小川原開発の両プロジェクトの将来を考える上でも、過去の清算を透明な形で行うことが不可欠であり、このような姿勢が原案には欠けているものと考えます。  なお、北東公庫から二百二十億出資する予定の苫東新会社の事業計画が余りにもずさんであること、むつ小川原処理が確定していないこと、さらに、行革の視点からも原案が十分でないことについて、修正案を出すものであります。  以上、終わります。ありがとうございました。
  141. 村井仁

    村井委員長 これにて修正案趣旨説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。大蔵大臣宮澤喜一君。
  142. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの日本政策投資銀行法案に対する修正案につきましては、政府としては、遺憾ながら反対でございます。     —————————————
  143. 村井仁

    村井委員長 原案及び修正案につきまして、日本共産党から討論の申し出がありましたが、理事会の協議によりまして、御遠慮願うことになりましたので、御了承をいただきたいと思います。  これより採決に入ります。  内閣提出日本政策投資銀行法案について採決いたします。  まず、上田清司君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 村井仁

    村井委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  145. 村井仁

    村井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  146. 村井仁

    村井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、井奥貞雄君外三名から、自由民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。石井啓一君。
  147. 石井啓一

    石井(啓)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨説明といたします。     日本政策投資銀行法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 日本開発銀行及び北海道東北開発公庫の統合に当たり、統合の実をあげるため、その効率的な業務運営に努めること。  一 日本政策投資銀行の業務について、経済社会情勢の変化に応じて適切に改善するよう随時検討するとともに、特殊法人整理合理化趣旨を踏まえ、民業補完の原則を徹底すること。  一 日本政策投資銀行の業務の運営については、償還確実性の原則の趣旨等を踏まえ、財務の健全性の保持に配慮すること。特に、苫小牧東部開発株式会社他に対する北海道東北開発公庫の債権について、多額の償却を行わざるを得ない状況に至ったことを厳しく反省し、今後、リスクの一層厳格な管理に努めること。  一 財務内容の透明性の一層の向上を図るため、今後ともディスクロージャーの充実に取組むとともに、外部監査法人の活用に努めること。  一 日本政策投資銀行の設立後三年を経過した時期に、運営及びその業務の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。なお、内部登用の促進を図ること。  一 苫小牧東部開発及びむつ小川原開発の両プロジェクトについては、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するものとなるよう、抜本的な見直しを行うこと。  一 苫小牧東部開発プロジェクトの今後の進め方について、新会社の事業の円滑な推進が図られるよう努めるとともに、苫小牧東部開発株式会社に対する北海道東北開発公庫の債権の取扱いについては、日本政策投資銀行設立の際にその損失処理を行うこと。  一 むつ小川原開発プロジェクトの取り扱いについて、北海道東北開発公庫の出資・貸付債権の再点検を行い統合前に不良債権額を確定し、ディスクローズするとともに、現在関係者間で行われている協議を精力的に進め、日本政策投資銀行設立までのできるだけ早期に成案を得ること。 以上であります。  何とぞ御賛成いただきますようよろしくお願い申し上げます。
  148. 村井仁

    村井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  149. 村井仁

    村井委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣宮澤喜一君。
  150. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議がありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえ、配意してまいりたいと存じます。     —————————————
  151. 村井仁

    村井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 村井仁

    村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  153. 村井仁

    村井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十三分散会