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1999-03-09 第145回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月九日(火曜日)     午前九時四十二分開議   出席委員    委員長 村井  仁君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 鴨下 一郎君 理事 柳本 卓治君    理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君    理事 石井 啓一君 理事 小池百合子君       大石 秀政君    大島 理森君       河井 克行君    栗本慎一郎君       河野 太郎君    桜井  新君       桜田 義孝君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    竹本 直一君       中村正三郎君    平沼 赳夫君       村上誠一郎君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       綿貫 民輔君    桑原  豊君       末松 義規君    仙谷 由人君       玉置 一弥君    中川 正春君       山本 孝史君    青山 二三君       大口 善徳君    谷口 隆義君       並木 正芳君    若松 謙維君       鈴木 淑夫君    達増 拓也君       佐々木憲昭君    矢島 恒夫君       横光 克彦君  出席国務大臣         大蔵大臣    宮澤 喜一君         国務大臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         金融再生委員会         事務局長    森  昭治君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         大蔵政務次官  谷垣 禎一君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵省関税局長 渡辺 裕泰君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         大蔵省国際局長 黒田 東彦君  委員外出席者         参考人         (日本銀行総裁         )       速水  優君         参考人         (日本銀行副総         裁)      藤原 作彌君         参考人         (日本銀行理事         )       小畑 義治君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   下村 博文君     中村正三郎君 同月九日  辞任         補欠選任   中野 正志君     田中 和徳君   海江田万里君     桑原  豊君   谷口 隆義君     青山 二三君   西田  猛君     達増 拓也君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     竹本 直一君   桑原  豊君     海江田万里君   青山 二三君     谷口 隆義君   達増 拓也君     西田  猛君 同日  辞任         補欠選任   竹本 直一君     中野 正志君 三月四日  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提出第八号) 同月五日  電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第九号)  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号) 二月二十五日  消費税率を三%に戻すことに関する請願川内博史紹介)(第七七六号)  同(川内博史紹介)(第七九一号)  同(木島日出夫紹介)(第七九二号)  同(児玉健次紹介)(第七九三号)  同(志位和夫紹介)(第七九四号)  同(瀬古由起子紹介)(第七九五号)  同(平賀高成紹介)(第七九六号)  同(金子満広紹介)(第八九三号)  同(川内博史紹介)(第八九四号)  同(佐々木陸海紹介)(第八九五号)  同(鈴木淑夫紹介)(第八九六号)  同(川内博史紹介)(第九一八号)  同(佐々木憲昭紹介)(第九一九号)  大型所得減税消費税減税に関する請願冨沢篤紘紹介)(第七七七号)  所得税基礎控除引き上げ課税最低限の百八十万円への改正に関する請願藤田スミ紹介)(第七九〇号)  不況打開消費税率三%引き下げに関する請願木島日出夫紹介)(第七九七号)  同(志位和夫紹介)(第七九八号)  同(平賀高成紹介)(第七九九号)  消費税減税に関する請願鈴木淑夫紹介)(第八九二号)  配偶者特別控除の廃止に関する請願石井一紹介)(第八九七号)  同(青木宏之紹介)(第九二〇号)  同(土井たか子紹介)(第九二一号) 三月五日  消費税率を三%に戻すことに関する請願金子満広紹介)(第九五八号)  同(木島日出夫紹介)(第九五九号)  同(佐々木憲昭紹介)(第九六〇号)  同(佐々木陸海紹介)(第九六一号)  同(不破哲三紹介)(第九六二号)  同(松本善明紹介)(第九六三号)  同(佐々木陸海紹介)(第一〇八一号)  同(藤木洋子紹介)(第一〇八二号)  同(古堅実吉紹介)(第一〇八三号)  消費税率引き下げに関する請願生方幸夫紹介)(第一〇二五号)  消費税率三%への引き下げ食料品等の非課税に関する請願坂上富男紹介)(第一〇四〇号)  同(木島日出夫紹介)(第一〇八五号)  相続税法緊急改正に関する請願西村眞悟紹介)(第一〇五七号)  計理士に公認会計士資格付与に関する請願若松謙維君紹介)(第一〇七九号)  消費税減税に関する請願金子満広紹介)(第一〇八〇号)  年金生活者に対する課税最低限度額引き上げに関する請願石井郁子紹介)(第一〇八四号) は本委員会に付託された。 三月九日  消費税撤廃に関する陳情書(第九九号)  納税者権利憲章の制定に関する陳情書(第一〇〇号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第九号)  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)     午前九時四十二分開議      ――――◇―――――
  2. 村井仁

    村井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出関税定率法等の一部を改正する法律案電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。     ―――――――――――――  関税定率法等の一部を改正する法律案  電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、最近における内外経済情勢の変化に対応する等の見地から、関税率減免還付制度等について所要改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、関税率等改正であります。  ニオブ・チタン合金等関税撤廃を行うとともに、絹紡糸等関税率引き下げ等を行うこととしております。  第二は、暫定関税率適用期限延長であります。  平成十一年三月三十一日に適用期限の到来する百五十四品目の暫定関税率について、その適用期限延長することとしております。  第三は、減免還付制度適用期限延長等であります。  平成十一年三月三十一日に適用期限の到来する減免還付制度について、その適用期限延長等を行うこととしております。  第四は、延滞税軽減等であります。  延滞税及び還付加算金割合等について、過去に例を見ない低金利の現状を勘案し、当分の間、特例を設けることとしております。  第五は、官公署等への協力要請であります。  税関職員が他の官公署等に対し資料提供等協力要請を行う根拠規定を設けることとしております。  その他、所要規定整備を行うこととしております。  次に、電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、海上運送貨物に係る税関手続のより一層の迅速かつ的確な処理を図るため、関税及び内国消費税に係る手続に加え、とん税及び特別とん税に係る手続についても電子情報処理組織を使用して処理することができるようにする等所要改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。  次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  国際開発協会、いわゆる第二世銀は、貧困開発途上国に対して長期かつ無利子で融資を行う世界銀行グループ機関でありますが、今般、本年七月以降三年間の融資財源を確保するため、第十二次の増資を行うことを各国間で合意いたしました。  また、開発途上国向け民間海外直接投資に関する非商業的危険に対し保証を行う、同じく世界銀行グループ機関である多数国間投資保証機関につきましても、増大する業務に対応するため、初めての増資を行うことを各国間で合意いたしました。  政府といたしましては、両機関の役割の重要性にかんがみ、その活動を積極的に支援するため、これらの合意に従い、追加出資を行いたいと考えております。  本法律案内容は、政府が、国際開発協会に対して二千九百五十億五千二百八十六万円の範囲内において追加出資を、多数国間投資保証機関に対して四千二百二万四千八百八十合衆国ドル範囲内において追加出資を行い得るよう、所要措置を講ずるものであります。  以上が、関税定率法等の一部を改正する法律案電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  4. 村井仁

    村井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 村井仁

    村井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として、日本銀行総裁速水優君、日本銀行総裁藤原作彌君及び日本銀行理事小畑義治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 村井仁

    村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 村井仁

    村井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  8. 上田清司

    上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。  きょうは、参考人の皆様、御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。  早速でありますが、今提案のされました関税定率法の一部を改正する法律案につきましては、私どもは、既に各党会派協議をしております附帯決議趣旨に沿ってしっかりやっていただいた上で、私どもも賛成していきたいというふうに考えているものでございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それでは、いろいろ今日的な課題もたくさんありますので、その問題に絞って議論をさせていただきたいというふうに思っております。  早速ですが、昨日、大手十五行が再生委員会資本注入要請をするという形が出ておりますが、どうしても私どもの頭に残るのは、昨年の佐々波委員会の一兆八千億の投入の中で現実的に日債銀と長銀が破綻するという結果を踏まえると、先般も予算委員会で三時間、日債銀問題についての参考人質疑がございましたが、今お手元にお配りしておりますように、その次の日の各紙は社説の中で、俗に六大紙という形で言われておりますが、その中で五紙がこの予算委員会での集中審議参考人質疑を受けた形で社説を出しております。  基本的には、ますます疑惑が深まった、こういう論説でございますし、五紙のうち四紙が結論部分で、証人喚問が必要だ、このくらい強い、社会の木鐸としての新聞が訴えているところでありますので、前回佐々波委員会で、閣議も了承した一兆八千億、なかんずく破綻した部分が実質的にはロスになっている、損失になっているという現実を見るときに、この責任は一体だれがとるのか、いまだに私は明確になっていないと思います。  まず、大蔵大臣金融担当大臣に、この問題についてロスが出た部分に対してだれが責任をとるのか、明快にお答えをしていただきたいと思っております。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は前回にも申し上げたところでございますけれども、昨年の国会におきまして、金融破綻あるいは不正常な場合における処理の仕方につきまして法律を成立させていただきました。それによりましていわゆるセーフティーネット整備をされたわけでございます。また、それより前の時期におきまして、破綻の場合の預金等保護につきましても制度整備されるに至りました。  これに先立ちまして、そのような整備が行われておりません時期に金融破綻が起こりまして、あるいはその危険が起こりまして、当時金融当局としては、これがいろいろな内外における不測の事態に発展しないために、いわゆる今で申せば保護行政と申しますか、あるいは護送船団方式とも言われましたが、そのようないわば行政範囲内においていろいろな措置を講じてそれを防止し、あるいはその蔓延を防止しようとしたわけであります。  その努力の真情は、その間故意過失があったものとは思われませんが、しかしながら、結果といたしまして、いわゆる奉加帳であるとかあるいは他の金融機関からのいわゆる互助的な支援等々を要請した結果が必ずしも意図したような結果に終わらなかったということは現実に事実でございます。したがいまして、そのような行政の結果における責任というものは否定することが私はできないと考えております。  しかし、そのような行政あり方につきましては大変に強い批判国会からもいただきまして、結果といたしまして、そのような従来大蔵省がやってまいりました行政あり方につきましては極めて厳しい御批判を受け、また大蔵省自身におきましても、多少そのことに関連をして、省内のいわば正常でない役人の勤務のあり方刑事事件になったものもあったわけでございますけれども、全般につきまして、当時の大臣がみずから査察を行われて、それについての処断をされたといったようなことで、当時行政に関係をいたした者は、そういう意味での自分なりの遺憾の意を、あるいは責任を表明したところでございます。  そのことはもとより、そういうことに関連をいたしました金融機関が当初の期待に反して損失を受けるであろう、あるいは既に受けつつあることについての償いということにはなっておりません。また、そのような行政あり方、あるいはそれと呼応した形で金融機関協力をしたことについて、株主としての代表訴訟というようなものもあるいは起こされることがあるかもしれない。それらの問題は、いずれにいたしましても裁判所が決定せらるべき問題であると思っておりますけれども、それとは別に、行政側がこの何年間かを顧みて反省すべきことが多々あるというふうに私は考えております。
  10. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 注入した資本であるところの国民税金毀損をされたことについての行政責任あり方についてどういうふうに考えるかということかと思いますけれども、私は、責任ということは、ほかの選択肢があった場合に、それがとり得るのにとらなかったというようなときに非常に明確になってくるものだというふうに思います。そういうことからすると、与えられた条件のもとでの選択としては、いろいろな状況を勘案するとき、あのような選択がやむを得ず選ばれたということについては理解ができるという立場でございます。  ただ、結果において毀損が起こったということは、これはどこまでも責任をこちら側が感じなければならない、行政の側としては感じなければならないことであろう。責任を追及される立場まであるのかと言われれば、私は、先ほど言ったとおりにお答えをしたいと思いますけれども、しかし、だからといってこちら側が責任を感じないでいいというわけではない、このように思います。  したがって、私どもとしては、そういう責任を感ずる中で、今後において二度とそのようなことを引き起こして国民の皆さんに迷惑をかけることは、全力を挙げてこれを防いでいかなければいけない、こういうことではなかろうかというふうに考えております。
  11. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣には、資本注入の件についてお伺いしたんですが、日債銀の問題、奉加帳の問題、多岐にわたっていろいろ御解説をいただいたわけでございます。また、柳沢大臣におかれましては、他に選択肢がなかったのでというような、しかし結果については責任を感じなければならないというお答えを聞いたんですが、御承知のとおり、日債銀に関する限りは、大蔵検査があって、一兆一千二百十二億というちゃんと資料検査部にあって、まためくったりも何回もして、あえて今度は、佐々波委員会で六百億を投入するときにはこの部分は一切合財目をつぶって、六千三百億の部分だけを、自己査定部分だけを査定されて投入した。他に選択肢は十分あったんですよ。どう思われますか。この点について、柳沢国務大臣にお伺いしたいんですが。
  12. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 私が他の選択肢がないと言うのは、先ほど宮澤大蔵大臣もおっしゃられた他のスキームがないという意味で申し上げたわけでございます。  あの当時に、率直に言って金融検査というものも、資産の側の査定というか分類にとどまるものであって、これに見合うところの引き当て適正性というものについては、これは銀行サイド監査法人等協議をして決めるということで、いわば検査範囲から離れておるというようなことであったようでございますので、したがって、トータルにいろいろ綿密な評価が必ずしも十分に行われないというシステムのもとにあった。  そういう中で、破綻をさせた場合のいろいろな社会的影響だとかなんとかということを他方において考え、また一方において、資本注入を補強することによって何とかこの銀行を再生させることができないかという可能性を追求する余地について、その基礎がないわけではない、こういうように判断をしてとられた措置であったんだろうと思うわけでございます。  そういう意味で、再生法がその後立法されて、そのあたりのことが別のスキームのもとで整然と処理されるとき、現在がそういう状況なのでございますけれども、そこのところからそういうスキームがなかったときのことを評価をするというのはちょっと無理があるんではないか、私としてはこういう気持ちを持っております。  ですから、他から責任を追及されるという根拠はどうも余りないんではないかなと私は考えますが、もちろん、先ほど申したように、だからといって当事者として責任を感じないでいいということにはならない。私は、ちょっと分けて考えて、自分自身の頭を整理させていただいておるということでございます。
  13. 上田清司

    上田(清)委員 これは議事録に残ってまいります。お二方の答弁も歴史にきちっと残ってまいりますよ。一兆八千億というお金が投入されて、そして二つの銀行破綻して、毀損した。しかも、少なくとも日債銀に関しては、大蔵検査を受けてきちっとした数字がありながら、それを伏せて佐々波委員会結論を出してしまったという決定的な間違いを犯している。しかも、閣議でこれは了承された問題であります。案件であります。にもかかわらず、どなたも責任をとろうとしない。明快にけじめもつけようともしない。そして今回、七兆数千億という資本投入がされる段階において、この間の解明が十分になされないまま、単なる反省程度でやっていって後世の歴史にたえられると私は思いません。  今度資本注入された場合、もし一つでも破綻するようなことがあったら、これはだれが本当に責任をとるんでしょうか。柳沢国務大臣お答えをいただきたいと思います。
  14. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 新しい金融機能早期健全化法に基づく資本増強につきましては、先ほど上田委員冒頭に触れられましたように、昨日は実は、頭取から資本増強に対する申請をした立場からの決意というか、考え方を最終的に確認をさせていただくという手続をとらせていただいたわけでございますが、正式の申請は先週四日の日に行われたわけでございます。そのようなことで、現在、この正式申請に基づいて審査を最終的に詰めさせていただいておるという段階でございます。  今回行われる十五行、地方銀行横浜銀行一行を含めての十五行に対して、現在のところでは資本増強が行われることになろうと展望されておると言ってよろしかろうと思いますが、そういうことが行われた後で、前回佐々波委員会における資本注入と同じような不幸な毀損というようなことが今後生じないのかどうか、それらについて一体どう考えるのか、こういうことでございますが、私といたしましては、前回と立たされている法制上その他の状況が随分違うというふうに考えております。  一つは、先ほど私がちょっと申し上げましたように、このごろの金融検査というものは、資産査定にとどまらず、負債の側の引き当て等についての適正性ということについてもきっちり検査を行うということになっておる、そういう基礎が与えられているということが一つでございます。  それからもう一つは、早期是正措置というものが銀行法上ビルトインされております。この早期是正措置というものは、いろいろ資本の充実の度合いに応じてとられる措置が決まるというような仕組みでございますが、そのぎりぎりのところの考え方というものは、資本毀損まで引き起こして、それを例えば国民税金で負担をお願いするというような形で国民一般に御迷惑をかけるということがないように、そういう事態の前に適切な措置を講ずる、こういうことが早期是正措置のエッセンスだろう、私はこのように思っております。したがいまして、早期是正措置というものを的確に運用すること、この的確に運用することができるかどうかということが勝負どころだろう、このように思っておるわけでございます。  もちろん、その他にも銀行法上あるいは早期健全化法上の手だてがいろいろ我々に与えられておりますので、これらを総合的に適切にかつ的確に運用することによってそうした事態を防がなければならない、また防げるような手だては与えられている、このように考えておりまして、私どもは、今申したような的確な運用ということのために全力を挙げる必要がある、このように考えておる次第であります。  そのようなことによって、私どもは、今言ったような事態を何としても再び起こさないように努めたい、このように考えておることを申し上げたいと思います。
  15. 上田清司

    上田(清)委員 何か問題が起きれば全責任を負って、国務大臣そのものが責任をとってやめるぐらいの、そういう決意が欲しいところですね。そのくらいの決意がないとこういう問題はできないと思います、国民に対しても。  むしろ、ここ一、二年の国会の論議の中で、政府委員の人も含めて、責任逃ればかりしている、責任の回避ばかりしている、言いわけばかりしている、こういう思いが一般的に強いんです、国民から見ると。別に社説で言わなくても、みんなそう思っているんです。これは政治に対する大変な不信になってまいりますし、行政に対する不信になってまいります。ここで柳沢国務大臣が、一つでも手違いがあれば私が責任をとってやめる、こういうことをこの席で言えば、資本注入に対しても、新しい仕組みの中での決意というのが国民に対してきちっと説明ができると思いますが、いかがでしょうか。
  16. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 私がこの職を辞するなどというようなことは何でもないことなんです、私が感じている責任の重さからいったら。私は、そんなことではないんだろうと思っております。  したがって、早期是正措置の的確な運用を確保するためにどういう体制が必要なのか、また、どういう段取りが必要なのかということを、この最終決定を行うまでには何とかもう少し具体的なものを考えて、その段取りあるいは体制において誤りのないようなものをつくって対処したい、何としても私としてそんなことを起こさないようにしてまいりたい、このように思っております。  私自身のやめる、やめないなどというようなことは、そのことに比べればこれはもう問題のない、大した重みのない問題だ、私はそのぐらいの認識をいたしております。
  17. 上田清司

    上田(清)委員 大変頼もしい御見解を伺いましてうれしく思います。  ところで、柳沢国務大臣にお伺いしたいのですが、この七兆数千億という資本投入について、再生委員会の方で決定する運びになっておりますが、しかし、これは大変重大な問題でありまして、本来ならば、国会の場に、どういう指針、項目で具体的に注入額を決めていくのか、どのような頭取等のヒアリングの結果だったのか報告して、国会の場でもいろいろな知恵を出していただくというような考え方はないのでしょうか。  私は、むしろ委員長にもお願いしたいのですが、予算委員会なり大蔵委員会などで、一日、八時間ぐらい、きちっとそういう議論をしておくべきじゃないか、そんなことを思っておるのです。委員長にもその件をぜひお願いをしたいと思いますし、国務大臣にもこの点についての感想も伺いたいと思います。
  18. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 上田委員おっしゃることは、気持ちとしてはわからないわけではない、そのぐらい重要な問題ではないかという問題の意識というか御提起だろう、このように思います。  しかし、日本の行政、立法は分権の仕組みになっておりまして、私がこんなことを申し上げるまでもないのですが、法律でかなり事細かに書いていただいて、そのことに基づいて行政で適切な判断をしなさい、それから情報等についてのいろいろなディスクロージャーも、これも大いに努めなさい、こういうことが法律が私どもに命じておることであろう、このように認識をいたしております。  加えまして、私どもの今度の資本注入というものについては、恐らく再生法の世界がやや司法的な、資産の判定とかそういうようなことがあるということをおもんぱかられた結果だとは思いますけれども、三条委員会行政委員会のシステムをとられておりまして、私が独任でこれらの問題に対処する、そういう組織にはなっておりません。皆さん方の御承認をいただいた、国会での御承認をいただきました他の四名の委員と一緒になって私どもこの制度の運営に当たっておるわけでございまして、事柄の重大性からするお気持ちからの御発言とは思いますけれども制度としてはそのように非常にこの制度の運用に適切な組織を行政の内部につくっていただいておるということもありまして、ぜひ私どものこの委員会に今度の仕事の運営についてはお任せいただくという法律趣旨を御理解賜りたい、こういうように思います。  情報等につきましては、私ども努めてこれを大きく開放してまいりたい、このように思っております。告示であるとかあるいは基本方針であるとかというようなものについては、新聞報道あるいは国会議員への配付において遺憾のないようにしておるということでございますので、この点もつけ加えさせていただきます。
  19. 村井仁

    村井委員長 ただいまの上田委員の御発言につきましては、委員会の運び方の問題もございますので、追ってまた理事会などで御協議をさせていただきたいと存じます。
  20. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  それで、柳沢国務大臣、経営健全化計画の項目の中に、減配問題、いわゆる減配でありますが、配当を減らす、これを一つの項目の中に挙げて、得点が上がるというのでしょうか、こういう言い方が適切かどうかわかりませんが、そのように考えて奨励されておられる、こんなふうに私は承っておりますが、事実でしょうか。
  21. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 そもそもこの減配の問題につきましては、健全化法そのもので、恐らく与野党の議員の議論の中でも大いに議論をされた結果として一つのフォーミュラが私どもに与えられているわけでございます。  資本注入の相手銀行資本充実の程度による区分に応じて、これらについて資本注入に当たって再生委員会がとるべき措置というものが決められております。私ども、今度注入を前提にいろいろ審査をさせていただいております十五行についてはいずれも健全行のカテゴリーに入る、こういうことでございますので、その対応する規定法律上見ますと、これは利益流出の抑制という形で最も抽象的な表現にとどめられておる。  他のところをちょっとちなみに御紹介いたしますと、例えば過少資本行については、配当、役員賞与の抑制というふうに書かれておりますし、また、著しい過少資本行あるいは特に著しい過少資本行の場合には、明確に配当の停止というようなとるべき基準が定められております。  私ども、今回、この利益流出の抑制というものの適用をどのように具体的に図っていくかということを考えまして、その結果、出していただくこの健全化計画というものを条件を決定する場合に一つの大きなファクターにしておりますが、このファクターとしての健全化計画についてはかなり詳しい読み込みをしまして、それでポイント制でこれを積み上げていくというような作業をさせていただきました。その幾つかのポイントの中にこの減配というものが行われるかどうかということを一つの項目として掲げておりまして、これが行われればポイントが上がる、こういう仕組みをつくらせていただいたということをせんだって私国会で答弁をさせていただいたという次第でございまして、その点においては間違いございません。
  22. 上田清司

    上田(清)委員 こういう議論もございます。過少資本資本注入をする銀行が配当するのは何事だ、本来おかしいのではないか、こういう議論もありますが、大蔵大臣は、これは多分三月三日の記者会見で、配当は株主への務め、こういう企業論理の側に立ってお話しされた。これは記者会見ですので、議事録を私は見ておりませんので、新聞だけのものでございますので、はっきりしておりませんが、大蔵大臣はどうお考えなんでしょうか。私は、今国務大臣が言われましたように、減配する、この考え方に立つべきだし、むしろ配当なんかできない、このぐらいの考え方に立つべきだというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  23. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは結果として私の申しようが悪かったと実は思っておるのですが、事の次第は、参議院の予算委員会であったと思います、御質問がありまして、公的資金の注入を受ける銀行が配当をするのはけしからぬではないか、簡単に言いますとそういうお尋ねでありました。  それで、私は、今柳沢大臣が言われましたように、ここは健全行と健全でない銀行とを法律がちゃんと書き分けてありまして、健全行については利益流出云々ということだけ言ってあって、健全度が悪くなるに従って配当に触れている、そういう法律の書き方でございますから、それを一概に配当をするのはけしからぬというお説には私はすぐには賛成できないということをお答えをいたしました。  ところが、その点について記者会見で質問がありまして、本当にそう思うのかと言いますから、私は、それはやはり配当というのは基本的には経営者の株主に対する義務ですから、特に落ち度がないのに配当をやめてしまうというのはそれでいいんだと言うわけにはまいらないということを申しました。  そのときには法律がそういうふうに書いてあることを頭に置いて言ったわけでございますけれども、悪い癖でちょっとまた理屈を言い過ぎたと思うんです。再生委員会が苦労していらっしゃるときに何もそんなことは言わなくてもよかったなと思いまして、柳沢大臣には、大変失礼したというおわびをしたところであります。それが真意でございます。
  24. 上田清司

    上田(清)委員 では結構でございます。  ちょっと財金の分離についてもお伺いしたいんです。柳沢大臣にお伺いしたいと思いますが、早期健全化計画の指針をつくるときに、これは大蔵金融企画局との御相談がございましたか。極端なことを言うと、関与があったかどうか、これを聞きたいんですが。
  25. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 再生委員会は、特に行政委員会でございますものですから、国会での論議が始まる前に、大体答弁に当たるのは私であろう、しかし、他の四名の委員の意向を無視したり、あるいはそれとそれた立場で話をするということもできまいと思いまして、基本ラインだけ決めさせていただいたというのが基本方針ということでございます。  これをそもそもやろうと発想をしたのも私ですし、やった場所も基本的には再生委員会の場でございまして、関与というお言葉で含意されるようなことについては、率直に言ってやる余地はなかったと思います。  ただ、事務方というのは、いつでも関係の部署と合い議をするというのは政府一体の、内閣一体の原則から当然でありまして、恐らくそういったことはあり得たであろう。しかし、そこから何かが上がってきて再生委員会で論じられた、論議されたというような事実はなかったと記憶しております。
  26. 上田清司

    上田(清)委員 そういうお話であると、特に大蔵との共管にしなくても大丈夫ですか。こういう問題についていろいろな指針をつくったりいわゆる金融政策を打ち出す中で、再生委員会として特に大蔵にお願いしたり御一緒に考えたりすることはないですか。
  27. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 今先生ちょっと金融政策と言われましたけれども金融行政というのは、マクロ金融政策と金融機関行政という意味金融行政と大まかに言って二つに分かれる、こう思っております。私ども今分担しているのは、言うまでもなく金融行政というか金融機関行政である、こういうことでございます。それで、これも私は率直に言って金融産業としての行政の面があり得ると思っております。  この金融産業としての行政の面は、むしろ今まで、例えば税制その他におきましても、財政と一緒にいると金融産業として余り好都合な結果を生んでこなかったというようなことがあるいはあったかもしれないなという印象を私持っておりますが、事危機管理、なかんずく破綻処理という問題について言えば、それは、金融産業行政というよりもむしろ財政問題そのものだという認識を私自身は持っているというのが今の私の心境です。
  28. 上田清司

    上田(清)委員 正式にお答えになっておりませんが、特に大蔵と共管でなくても困らない、こういう認識でよろしいんでしょうか。一言で。
  29. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 私は財政問題そのものだと思っておりますので、それをどういうふうに権限配分のときに表現するかというのはまたいろいろ御検討をいただければいいかと思うんですけれども、預金の保護をどうするか、預金者以外のいろいろな債権者の保護をどうするかというようなことには、最終的にはもうまさに直接的に財政資金を導入するというのが今日の考え方です。  一応、資金繰り的には日本銀行がラストリゾートとしていろいろ供給するということはあり得ますけれども、昨今では、日本銀行、どこの中央銀行もそうですが、中央銀行が最終的に処理をするというようなことよりも、さらに大きな破綻によるいろいろな資金の必要というものが大きくなっておって、最近では、むしろ財政そのものが第一義的にも責任を負うというような体制の方がふさわしいんじゃないかというのが一つの風潮として出ているというような識者の見解も何かどこかで読んだような気がいたしておりまして、私はそのときに大変共感をした覚えを持っております。
  30. 上田清司

    上田(清)委員 必ずしも言葉がはっきりしませんが、ちょっと先に進みます。  日債銀問題に関して大蔵省がいわゆる確認書を出された問題でございますが、この確認書を出すときに当然金融検査部の実態調査というものを踏まえて出されたものだというふうに私は拝察しておりますが、事実でしょうか。
  31. 乾文男

    ○乾政府委員 日債銀の問題、金融監督庁に引き継がれておりますので監督庁からお答えしたいと思います。  これまでも先生にお答えをしておりますけれども、例えばこの確認書、平成九年の五月から六月当時に確認書という名前でございますと日本生命と交わしたわけでございますけれども、当時はまだ当時の官房検査部検査の途中でございまして、検査の結果というのは出ておらないわけでございまして、検査の結果ということではございませんで、これもお答えしておりますように、四月一日に大蔵省の方からいろいろな要請をしたと。これは、日債銀の再建が金融システムに大きな影響がある、そしてまた、三十四先が御協力いただければ再建が可能である、そうした認識をそうした金融機関とのやりとりの中で記述した、そういうものと御理解いただきたいと思います。
  32. 上田清司

    上田(清)委員 あいまいな答弁はしていただきたくないんです。金融検査部に聞いたかどうか、確認書を出すときにどういう状態なのだということをですね。例えば、問題があるのかないのかと。このままだと破綻をするということを言いながら、各金融機関あるいは日銀にお願いをした経緯があるわけですね。そのことについて検査部にきちっと確認をしたのかどうかということだけを聞いているんですよ。
  33. 乾文男

    ○乾政府委員 繰り返してのお答えになりますけれども、当時検査は途中でございまして、何らの結論というものは出ておりません。この文書というのはあくまでも当時大蔵省説明していたことを記述した、そういうものでございます。
  34. 上田清司

    上田(清)委員 時期的に若干ダブっている部分もあるんですね、五月から六月ということですから。四月十六日から検査を始めているわけでしょう。それで、現実に中間報告みたいな形で大蔵から日債銀に伝わったりあるいは日債銀から大蔵に聞いたり、そういうやりとりがあるわけでしょう。その根拠というのは検査部を通じて出てきたんじゃないんですか。だから検査部に聞いたんじゃないんですか、それなりに。まだ検査が終わってないからではなくて、検査の途中でもいろいろ言っているじゃないですか。だからそれを聞いているんですよ。明快に言ってください。
  35. 乾文男

    ○乾政府委員 繰り返してのお答えで恐縮でございますけれども、四月十六日から入りました検査というのは、立ち入りが終わりましたのが七月四日、検査結果が出まして示達しましたのは九月十一日でございまして、この五月の二十日当時の時点では何らのそうしたものは出ておりません。  今先生は中間報告とおっしゃいましたけれども、中間報告というものではございませんで、これは日債銀が、当時増資要請先から迫られて、その検査を受検している中で御自分の感触を述べられたもの、そういうふうに理解していただきたいと思います。
  36. 上田清司

    上田(清)委員 それはおかしいですね。議事録にいっぱい残っていますよ、関係者がいろいろ言っていらっしゃること。では、どういうふうになるんでしょうか。それはうそだったということになりますよ。それでも構いませんか、そんなことを言っておられますけれども。大丈夫ですか。
  37. 乾文男

    ○乾政府委員 これは、私ども政府側といたしまして、この五月二十日の時点で日債銀がおっしゃっていたものは、日債銀の当時の検査を受けていた感触、それを金融機関に伝える必要があったということで、例えばその七千億という数字を伝えられたというふうに従来から一貫して御答弁を申し上げているところでございます。  それで、衆議院の予算委員会で先般行われました参考人招致の場でも、当時の日債銀東郷頭取は、その検査を受けている中で自分たちの受けた感触を自分たちで積み上げたといいますか、正確に覚えておりませんけれども、あるいは算定して、そうした感触を持って説明したというふうに答弁しておられるというふうに承知しております。
  38. 上田清司

    上田(清)委員 では、時間がありませんから、後でまたそれはやりとりをやりましょう。  それじゃ大蔵省に聞きますけれども、再建策で、「関係金融機関の同意がなければ」、特に日本生命の確認書でありますけれども、「日債銀破綻に陥る見込みである旨、確認する。」と一行目に書いてありますけれども、何の根拠でそういうことを言ったんですか。
  39. 乾文男

    ○乾政府委員 大蔵省当時のことでございますけれども監督庁の方から、引き継いでおりますのでお答えいたしますと、これも先ほど実はお答え申し上げたかと思いますけれども、四月一日の当時の大蔵大臣の声明にもございますけれども、この日債銀問題というのは当時の金融システムに大きな影響を持つ問題である、そうして三十四先というものが一致協力して再建に協力していただければ再建は可能である、逆に、そうしたことがなければ、これは日債銀がいつまでもいられるかどうかという問題があって、そうした場合には金融システムに大きな影響を及ぼすのでぜひ協力していただきたいということを四月一日以降大蔵大臣も述べられておりますし、それから大蔵省もいろいろなところに説明をし、協力要請したという状況にございまして、そうした認識をそうした例えば日本生命との文書の中でも記述されたということでございます。
  40. 上田清司

    上田(清)委員 きょうはとことん正式に答えられませんね。何か作戦勝ちみたいですね、時間ばかり経過して。  それじゃ、ちょっと申し上げます。示達書についてですけれども、両論併記の話も出てきたり、両論併記ではなかったという話もありますし、何回もいろいろな議論が出てきていまして、整理がつきかねます。きちっと、正確にはどうだったんだということをこの席で言ってほしい。例えば、検査報告書には日債銀考え方としての六千三百億が書いてあったけれども、正式な示達書には一兆一千二百十二億しか書いてなかった、括弧つきで小さく書いてあったとかなかったとか、いろいろな議論が出ておりますので、正式に言ってほしいと思います。  私は、はっきりしなければ大蔵委員会資料を、示達書を提出してもらいたい、あるいはせめて理事だけには見せてほしい、このような要請をしたいと思いますので、きょうはっきりわかればそのことを要求しませんから、はっきり教えてください。
  41. 五味廣文

    ○五味政府委員 お答え申し上げます。  日債銀に対する平成九年四月を基準日とする大蔵省検査、この検査の報告書におきまして三分類額は一兆一千二百十二億円、このように記載をしておりまして、その内訳に貸出金というのがあるわけでございますが、この貸出金の内数としまして、「当行が」、当行というのは日債銀でございますが、「当行が今後とも支援を続ける方針を有しており、当行の意思に反して倒産することは無い。」このように注書きがついておるんですが、このように考えられる日債銀の子会社グループに係る債権額、これが四千三百八十億円ある、貸出金の中に。したがって、この子会社に係る日債銀の主張の四千三百八十億円を控除しますと六千三百九億円となる。この六千三百九億円といいますのが、一兆一千二百十二億円の内訳としての貸出金のさらに内数として括弧で記載をしてある、これが記載の実態でございます。  ところで、この意味するところをちょっと御説明した方がよろしいと思いますが、検査をいたします過程で、日債銀は、今申しましたような支援方針を有している子会社グループ、このような債権は二分類債権であるというふうに強く主張しておられました。実際検査をいたしました検査官の方は、こういった会社の財務内容、これを見たところ、これは第三分類債権であるというように査定をいたしました。こうした経緯がございまして、第三分類債権としては総額で一兆一千二百十二億、こうしたものがその中の貸出金の中に含まれているということになりますので、そこで、検査報告書では、三分類の一兆一千二百十二億の中の貸出金の中にこのような債権が含まれているということを明らかにするためにこうした記載をした。  検査報告書と申しますのは、示達書とともにその検査報告書の写しが先方の銀行に交付されるというのがこの示達という形式をとっておりました時代のやり方でございまして、この検査報告書の性格は、検査を行いました検査官並びにこれを審査いたしましたバックオフィスが検査部長、すなわちその部局の責任者でございます検査部長に検査結果を最終的に報告をする、こういう性格のものでございますので、検査部長に対しましてはこうしたものが含まれていますということがわかるようにこれを記載した。そして、そのコピーが示達書とともに日債銀に渡っている。  示達書そのものにつきましては、これはどこでも一緒でございますけれども検査対象になりました金融機関が、検査で問題というふうに私どもから指摘をすべき点あるいはそういった点についての改善を求める事項、こういうものを記載をして、これは示達書本体が先方に渡る。これに附属をして、検査部長に対する報告という形で出ました検査結果報告書、これの写しがあわせて交付される。  なぜ写しを交付するかと申しますと、今申しましたように、示達書には、検査における問題点の指摘ですとかあるいは改善点ということは記載してございますが、具体的ななぜそういう指摘になるのかという理屈づけでございますとか、あるいは具体的にどういう数字がどう動くのかというようなところまでは記載がございませんので、金融機関にそこら辺をきちっと御理解いただく必要がありますので、内部資料の写しではございますけれども根拠なり数字なりというものをわかっていただくということでこれをお渡しする、こういうことでございます。  要しますると、お時間のないときに恐縮ですが、三分類債権は一兆一千二百十二億円ということで先方に示達をされた、ただし、上司に報告するという性格の検査結果報告書の性格上、その中に一部日債銀が異なる主張をしておられる金額があるということが数字でわかるように注記をされておる、こういうことでございます。
  42. 上田清司

    上田(清)委員 時間が参りましたので終わりますが、今お聞きのとおり、前東郷頭取が参考人質疑予算委員会において、実質的にうその答弁をされておられるというふうに私は理解しております。  この点について、やはりもう一回参考人招致なり証人喚問なりを要求したい、このように委員長に申し上げて、取り扱いをお願いしたいと思います。
  43. 村井仁

    村井委員長 次に、谷口隆義君。
  44. 谷口隆義

    谷口委員 公明党・改革クラブの谷口でございます。  本日は、私に与えられている時間が二十五分でございまして、それに対しまして、山ほど聞きたいことがございます。ぜひ的確に、また簡潔に御答弁をお願い申し上げたいというように思います。  日銀の総裁に本日来ていただいておりますので、まず初めに、日銀の最近の金融政策につきましてお伺いいたしたいというように思います。  昨年来、長期金利が上昇し、大変危惧された事態であったわけでありますが、この三月三日に日銀が、短期金融市場におきまして無担保コール翌日物を実質金利ゼロまで引き下げられるという、いわば量的緩和政策、短期金利の低目誘導というようなことがなされたわけでございます。この政策につきましては市中においていろいろな議論があるところでございますが、この件についてお伺いいたしたいというように思います。  まず、コール市場でございますが、このコール市場の規模でございます。従来は三十六兆円から三十七兆円程度の規模であったというようなことをお聞きしておるところでございますが、これが現在三十兆円を割るというような状況になっておるようでございます。短期金融市場、このコール市場から資金が流出しておるというような状況になっておるわけでございますが、このような状況の中で、果たして資金のとり手が資金ショートをするというような心配はまずないのかどうかについて、総裁の御意見をお伺いいたしたいというように思います。
  45. 速水優

    速水参考人 お答え申し上げます。  政策をとりましたのは、三月三日でなくて、二月十二日でございます。二月十二日に、できるだけ低いところへ持っていってくれということを指示したわけでございます。  御指摘のように、準備金が積まれ、コールが下がって資金が減ってきているわけでございますけれども、コール市場の縮小に伴いまして万が一資金決済面で支障が生じるというようなことはあってはならないわけでございまして、コール市場を破壊したなんというようなことを書いている記事もございますけれども、決してそんなことではございませんで、コールにあります資金の一部がほかへ移っていることは確かでございますし、いずれにしましても、市場において資金の流れに大きな変化が生じていることは事実でございます。  今後ともこの動きを十分見ていきたいと思っておりますが、ただいままでのところを見ますと、短期物の金利は〇・〇四と非常に低いところへきておりますが、その余った資金が中長期物に行って、ターム物の金利が下がり、そしてまた国債が買われて、長期金利は、以前に二・三四%ぐらいのところにありましたのが、一・六七%ぐらいのところまで下がってきております。これは、都市銀行その他が国債を買っているためでございます。  それと同時に、イールドカーブがフラットになってきておりますが、株に至っても間接的な効果を持って、海外から株を買いに来ております。そういうこともありまして、為替の方も、百二十円をちょっと超えておりましたのが、ちょっとまた弱くなって百二十一円前後ということで、いずれも安定した効果を、今のところは私どもが期待していたような動きになってきているように思っております。  これはまた、新しい試みでもございますし、事態がどう変わっていくかよくよく見ていかなければなりませんので、これからも十分注意をして、変化が起こりましたらそれに対応する手を打っていきたいというふうに考えております。
  46. 谷口隆義

    谷口委員 要するに、短期金融市場において大量に資金供給をして、ジャブジャブの状態にして今やっていらっしゃるわけでございます。そのような供給資金が再び日銀の方に返ってきて準備預金として積まれて、市中に流れないのではないかというようなことも言われておるわけでございます。このことについてお聞きしたい。  もう一つは、一時的にはマイナス金利というような状況も発生しておるようでございますが、先進諸国においてこのようなことは資金取引でなかったわけで、極めて異常な事態になっておるわけでございます。市中において金融機関の、特に都銀の方は三月の八日から定期預金金利が引き下げられるというような状況で、普通預金金利とほぼ変わらないというような状況になっておるようでございます。一方、貸し出しのプライムレートは動いておらないというような状況になっておりまして、高齢者、特に金利生活者に対しては大変ダメージがあるのではないか、このように言われております。  この二点について、総裁、ちょっと御意見をお伺いいたしたいと思います。
  47. 速水優

    速水参考人 お答えいたします。  第一の、準備金が日銀に積まれて動かなくなってしまうのではないかという御質問でございますが、銀行としては、準備金はいつでも動ける資金として日銀に置いておるわけでございまして、これが必要なときには引き出されていくことは間違いないところでございます。  それからもう一つの、低金利で庶民が困ってやしないか、貸し出しの金利がまだ余り下がっていないのに、こういう御質問かと思いますが、私どもとしましても、特に金利収入に多くを依存しておられる方々、家計にとって大変厳しい状況であることは前々から申しておりますとおりで、その辺のことは十分承知しているつもりでございます。  しかし、最近の経済情勢を見ますと、所得で見ますと、雇用者所得というのは八三%、個人企業が一六%、利子配当は五%でございまして、景気の低迷というのは、雇用所得の悪化を通じて総体としての家計部門にもマイナスの影響を及ぼしているということが認められます。したがいまして、家計部門全体が元気を取り戻していくというためにも、現在は日本経済をできるだけ早く回復軌道に乗せること、特に、民間経済にコンフィデンスを与える、低利の資金をこの期末を控えてなるたけたくさん出しまして、それで企業が動き出していただく、家計についても必要なものを買っていただくというようなことにしていきたいというふうに考えているわけであります。  今回の金融緩和措置が、金利の低下を通じた投資採算の改善とか、企業や金融機関の資金繰りの緩和とか、資産価格、例えば株価、こういうものの下支えなどを通じて経済に好ましい影響を与えていくことを期待しておるわけでございます。また、ひいてはそういうことが国民経済全体にもよい影響をもたらすものかというふうに思います。  ただいままでのところ、一カ月ぐらいたっておりますけれども、大体思ったようなところで明るい方向に向かっていると申して差し支えないと思っております。一般庶民の方にはもうしばらくの我慢をしていただいて、そのうちにまた金利が上がっていくことは十分期待できるというふうに思います。
  48. 谷口隆義

    谷口委員 異例の資金供給ということでございまして、これは、日銀がインフレ政策に変わったんじゃないか、このように市中で言われております。もしそういうような状況であれば、債券相場の急落が起こってまた長期金利がはね上がるんじゃないか、そういう意味において長期金利の抑制効果はいずれなくなるのではないか、このように市中で言う声もあるわけでございます。  このような観点と、日銀が次の一手は果たしてあるのかないのか、極めて選択肢が限られてきたわけでございますが、そういう観点で御答弁をお願い申し上げたいというふうに思います。
  49. 速水優

    速水参考人 私ども今むしろ最も心配しておりますことは、この不況の中で、インフレ不況といったようなことになりましたら、これはえらいことなんですね。ですから、インフレになる種を絶対につくらないということを一生懸命考えておるわけでございまして、いわゆるモラルハザードといったような言葉もございますけれども政府といえども、あるいは今大事な金だということで、将来動かなくなるような資金を余り集め、日銀が買い支えるといったようなことは絶対に回避してまいりたいというふうに考えております。  政策委員会、月二回政策決定会議が行われておりますけれども、この辺は、学者二名、産業界出身二名、銀行の御出身一名、マスコミ御出身一名、それに私ども日銀に長くおりましてずっと内外の市場を見、金融政策に携わってきた者が、内外の情勢を集めて詳細に分析をし、一日討議をした結果、こうやって政策を決めて出しておるわけでございまして、その点は十分御信認いただいていいかと思っております。  また、情勢が変わるようなことがあれば、それに対応して打つ手は幾らもあるというふうに思っております。
  50. 谷口隆義

    谷口委員 日銀総裁は今お聞きしたことで終わりでございますので、どうぞお帰りいただいて結構でございます。済みません、ありがとうございました。  それで、次に金融再生委員会柳沢国務大臣にお伺いいたしたいわけでございますが、先ほどのやりとりの中にも出ておりましたが、昨日、金融機関経営者とのヒアリングが行われたということでございます。  今回、状況を聞いておりますと、資金注入を申請した十五行全行に資金注入が行われる予定のようでございます。新聞の情報でございますが、経営健全化計画を見ておりますと、二〇〇三年三月期に業務純益を十五行合計で九九年三月期の見通しから七割以上積み上げをし、四年で収益を回復したいと。また、人員は二万人を削減し、店舗も一割削減するようである。また、不良債権については、九九年三月期、この三月期でございますが、九兆円強の処理をするというようなお話のようでございます。  まず、そういう状況の中でお伺いいたしたいことは、どうも金融再生委員会の議論の中で、当初は十五行全行に公的資金を注入しない、数行については注入をしないというような意見があったようでございます。まず、それについてちょっと御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  51. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 先生御指摘のとおり、私ども、二月の十二日の日に予備審査を終えまして、十五行に対して、公的資金の投入を前提にして臨時株主総会の開催等の手続を進めて差し支えない旨の通知をいたしたわけでございます。その後の手続は整々として進んでおりまして、去る三月の四日の日に正式申請があり、きのう頭取からのヒアリングを行ったというのは御指摘のとおりでございます。  この申請をした銀行について全部入れるということになったじゃないか、あるいは当初はそういう考え方でなかったのではないかというようなお話でございますけれども、このあたりは必ずしもそういう見方が当たっているわけでもございません。  私ども、当初、申請しようかなというようなところで申請に至らなかったところもあるということでございますし、また、申請の前提になっている自分たちの経営体としてのあり方について、当初とは異なるような立場を構築されて改めて申請するというようなこともあったわけでございまして、この辺はやはり、市場への影響等もありますので私の発言も慎重を期さなければいけないと思っておりますけれども、少なくとも単純に今先生がおっしゃったようなこととはちょっと事実は違うということだけを申し上げさせていただきたい、このように思います。
  52. 谷口隆義

    谷口委員 先ほどもおっしゃったわけでございますが、資本毀損を来して国民に迷惑をかけるということになってくると、大変な問題になるわけでございます。十五行については健全行の範疇にあるというような先ほどのお話でございましたが、私は大変悲観的な見方をいたしておりまして、果たして十五行全部が健全行なのかというようなことを思うわけでございます。  今回、貸し渋りの問題が極めて重要な問題でございました。ですから、金融機関の公的資金注入を行うという最大の眼目は、そういう金融機関の公共性みたいなところ、いわゆる貸し渋りが経済全体に大きな影響を与えておる、こういうことを解決しなければいけないというようなことが最大の問題なんだろうというように私は思うわけでございますが、経営健全化計画等々を見ておりますと、収益性を重視する余り、また貸し渋りが起こるのではないか。  昨日の状況を聞いておりますと、貸出枠を広げたいというような金融機関の経営者の話があったわけでありますが、この貸し渋りについて、現実にこれが起こらないというように考えていらっしゃるのかどうか、御見解をお願い申し上げたいと思います。
  53. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 今度の資本注入をさせていただく基礎になった法律は言うまでもなく早期健全化法でございますけれども早期健全化法の大きな目的は二つありまして、不良債権の処理の問題と貸し渋りの解消というか信用供与の円滑化、この二つでございます。  もっと言いますと、信用供与の円滑化がなぜできなかったかというと、やはり不良債権の処理が進まなくて、そのために金融機関にいわばリスクを負担する力が非常に欠けるというか、低水準になってしまったということがあろうかと思っております。したがって、私ども、不良債権の処理をすることによって、金融機関が本来行うべき金融の仲介機能というものが回復する、あるいは仲介力というものが回復するというふうに考えておることを一つ申し上げておきたいと思います。  加えまして、私ども、健全化計画の中で、これは申すまでもないことでございますけれども、貸出計画、また特に中小企業向けの貸出計画というようなことにつきまして計画を盛り込むようにということをお願いし、そしてその点についての回答という形での計画もいただいておるところでございます。  そんなことで、私どもとしては、この計画に沿って貸し出しが伸長することを期待するし、また見込んでおる、こういうことでございます。
  54. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど申し上げましたように、収益性を重視しますとどうしても貸し渋りになってしまうわけでございまして、このあたりが大変難しいところでございます。  また、不良債権もこの三月期で九兆円強というようなことでございますが、どうもアメリカの格付機関の経営者あたりの発言を聞いておりますと、日本の金融機関の不良債権総額は百兆円程度あるというようなこと等々を勘案しますと、この九兆円強の不良債権処理で果たして十分なのか。また、柳沢担当大臣の方は、再編のときにもまた公的資金注入をというような話が報道されておりますが、このあたりが、やるときには一挙に不良債権処理をやっていかないと、先送りをすることによって、より一層業界全体の体力が低下すると私は思っております。大変難しい状況でございますが、そういう観点も十分入れてやっていただきたいというように思う次第でございます。  あと、残り時間が少ないわけでございますが、今回のIDA、MIGAの関連、世銀のことについてお伺いをいたしたいというように思います。  一番初めに、今回、IDA、MIGAについて追加出資三千億余りを出資するということのようでございますが、世銀のガバナンスについてお聞きいたしたい。  ちょっと聞いておりますと、昨年十一月に世銀の日本人職員二人が、日本特別基金、JSFというやつから約十一万ドルの不正使用が行われて懲戒免職になったというようなことは聞いております。また、九五年、アルジェリアのプロジェクトに関して、世銀の元職員、これは日本人の方ではありませんが、受注契約の見返りでコンサルタント会社からリベートを受け取った、それについて処分されたというようなことでございますが、この世銀のガバナンスについて万全の体制がしかれておるのかどうかという観点で、大蔵大臣、お伺いをいたしたいと思います。
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
  56. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、我が国が世銀に信託しておりました資金の使用に当たって事件が生じたということを契機といたしまして、日本特別基金の一層適正かつ厳正な管理運営のために世銀当局と協議を行ってまいりました。  その結果、まず第一に、世銀内に日本特別基金の運営についての特別監視ユニットをつくるということ、それから二番目に、このお金は各業務担当の局で使われているわけでございますが、各業務担当副総裁による信託基金の運営の監視を強化するということ、三番目に、情報公開の一層の充実を図るということで世銀側と合意したわけでございまして、当然、こうした措置も含めまして、事件が起こらないように、かつ適切な運営が行われるように努めてまいりたいと思っております。  なお、ウォルフェンソン世銀総裁自身、この日本特別基金のみならず世銀全体の業務について、不正の防止あるいはガバナンスの強化ということを強く内外で訴えておられるというふうに承知しております。
  57. 谷口隆義

    谷口委員 ちょっと時間がないんで、最後に質問をさせていただきたいんですが、先ほど申し上げました日本特別基金、JSFについて、この中に奨学金制度というのがございまして、この奨学金、受給者が千三百人ほどいらっしゃる。このうち日本人が七十五人、このうち大蔵官僚が四十九人、この奨学金を受給されておるということのようでございます。  これは、一九九一年以降、世銀のほかでアジア開発銀行等四つの機関すべてにJSFを設け、毎年二百億から四百億の支出が行われておる。また、これについて大蔵省が独占的に権限を持っておられる。目的を絞って独自の基金を持つという国はあるが、これほど巨額な基金を持っている国はないということのようでございます。前述の日本人職員の不正は、この監視の目の行き届かないところで行われた。こういう観点でこのJSFについて、大蔵省所管でODAの白書にも載っておらないということのようでございます。  今回のJSFの問題について大蔵大臣にお伺いをいたしたいわけでございますが、これは一部でもう廃止したらどうかという声もあるようでございますが、御見解をお伺いいたしたいというように思います。
  58. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 先ほど御指摘になりました奨学金は、確かにこの基金にごく一部でございますが含まれておりまして、その中で大蔵省職員が一部大学院に留学していたことは事実でございます。国会での御指摘等も踏まえまして、それは来年度から行わないことになったわけでございます。  いずれにいたしましても、世界銀行におけるPHRDという日本特別基金、それからアジア開発銀行その他のところにもやや規模が小さいわけですがございますが、これらは、これらの開発金融機関が途上国に対する支援を行う際に、適切な支援が行われるようないろいろな技術的な支援あるいはプロジェクトの組成に向けてのいろいろな経費を途上国にかわって負担をするということでございまして、私どもといたしましては、基本的にこういった制度は途上国のためにも、また世界銀行等の開発金融機関のためにもなるというふうに思っております。  ただ、御指摘の点も踏まえまして、先ほど申し上げたように、ガバナンスの強化はもとより、その使途等についてもさらに厳しく監視をしていきたいというふうに思っております。
  59. 谷口隆義

    谷口委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  60. 村井仁

    村井委員長 次に、大石秀政君。
  61. 大石秀政

    ○大石委員 自由民主党の大石秀政でございます。  今回の三法案、非常に重要かと思いますが、技術的な面も多うございますので、国の支援つながりということで、宮澤大蔵大臣が出された新宮澤構想というものに触れながら、日本の海外の金融支援ということについて少し御質問をさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕  いろいろと経済協力等も考えてアジアというものをこれまで考えてまいったわけでございますが、一連の通貨危機というものの影響が非常に大きいということに、我々も改めてそういったものに対する責任を感じたわけでございます。  宮澤大蔵大臣におかれましては、相当前から、このアジアの関係だけではなく、IMFですとかあるいはIMFのSDRの活用というものも含めて、国際金融支援等の政策についてかなり打ち出してきたこともございますし、それだけこの問題について非常に思いが深いと思っております。  一昨年の七月から始まったと言われておりますアジア通貨危機から一年八カ月余りが経過をしたわけでございますが、そういった宮澤大蔵大臣が打ち出された構想というものに対しまして、かなり今アジア諸国から期待が大きいのではないかと思っております。  そういった進捗状況も含めて、これまでのそういった政策、あるいは支援した額の効果というものも含めて、少しお教えいただければありがたいのですが。よろしくお願いいたします。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、一昨年の七月にタイに始まりましたいわゆる通貨危機がその後暮れまでに韓国まで広がった、御承知のようなことでございましたが、IMFがいろいろな意味で救援に出まして、我が国もそれに当然参加をいたしました。  少し時間がたちまして見ておりますと、これらの国のかなり多くがいわゆる放漫財政をしたとかいうようなことではありませんで、むしろ短期的な国際的な資本取引の犠牲と申しますか影響を受けたという部分が多い。おのおのの国がみんな勤勉であるし、知的水準は高いし、賃金そのものは決して非常に高いわけではない、貯蓄率も悪くないといったような状況でございますから、結局、回復をいたしますために何が一番必要かといえば、それはやはり金である。かえってIMFがそれを締めてしまったといったような面もなきにしもあらずであるというふうに観察をしてまいりました。  金といいますと二種類ございまして、一つは、我が国でもそうでございますけれども、不況の場合に、インフラストラクチャーを起こすとかあるいはセーフティーネットをつくるとか失業対策であるとか、そういう意味での国内的な不況回復のための金がないというその金と、それからもう一つは為替でございますが、輸出をするためには原材料を輸入しなければなりませんが、そのための外貨がない。端的なケースはそういうケースですが、そういう両様の意味で金が一番大切だ、そういう観察をいたしてまいりました。  したがいまして、これはIMFの努力と決して衝突する話ではなくて、むしろ早い回復を助けるという意味で考えたわけでございますが、昨年の十月にIMFの総会等がワシントンでございましたときに、これらの国々の大蔵大臣、中央銀行総裁と御相談をいたしましたところが、それはぜひひとつやってみてくれというお話がありました。そこから早急に各国にミッションを出しましたり、また各国からもおいでになられまして、今日までのところ三百億ドル、これは百五十億ドルが中長期のもの、百五十億ドルが為替、短期のもの、こういうふうに考えておるわけでございますけれども各国からおいでになったりミッションが行きましたりして、今日までのところ五カ国が対象でございますが、対象五カ国に、第一ラウンドと申しますか、ほぼ百五十億ドルぐらいのお約束をして、既にそれが実行に入ったところでございます。  したがいまして、あと百五十億ドル残っておるわけでございまして、これからまたそれらの国々から、あるいはそれ以外の国々からお話があったときにどうするかということはまだ決めておりませんですけれども、そういうことでお役に立つだろう。  私の思いは、もとより、長いこと東南アジアの国々とは我が国は一緒にやってまいって、これだけの経済が、まさに二十一世紀に向かって世界のホープだと言われている段階でああいう出来事が起こりましたので、もともとそういう素質のある国々でございますから、何とか当面入り用なお金を貸してお助けすることができれば回復も早いであろう、また、そのことは我が国自身にとりましてもこういう不況のときに非常に大切なことであると考えましたので、この施策はなお進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、国々のことにつきまして政府委員から一言御説明いたします。
  63. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 若干補足させていただきますと、五カ国と申し上げましたのはインドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイという、いわゆるアジア通貨危機で最も大きな影響を受け、これらの国のほとんどが昨年マイナス成長という状況になったわけでございます。  こういった五カ国に対しまして、三百億ドルのうちちょうど半分程度を、具体的に申し上げますと百四十五億ドルでございますが、これまでにコミットしたわけでございまして、順次これらがディスバースされていくということでございます。
  64. 大石秀政

    ○大石委員 あるところの宮澤大蔵大臣のお話の中に、余りに野心的な政策調整を求めることによってという文面等がありまして、この辺、宮澤大蔵大臣の政治家の理念そのものの中に何かそういったものが含まれていて、私も大変それは共感する部分がございます。  私どもも含めまして、いろいろな権限とか、まあ権力というと大げさかもしれませんが、そういったものを持つ人間は多少の自制とか謙虚さというものを持って政策に当たるということが大変重要かと私は思います。  IMFの当初のアジアに対しますいろいろな政策の批判をするつもりはございませんが、私は、日本は、特にアジアの国々から、そういった意味で、ほかの点も含めまして尊敬されるといいますか、どちらかというと他のアジアの国に催されて生きていく日本というものがこれからの一つの日本のあり方ではないかと思っておりますので、そういったことも宮澤大蔵大臣には御期待を申し上げて政策遂行に当たっていただくと大変ありがたいと思っております。
  65. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、まさにIMFのこれらの国々に対する処方せんの書き方について言われている問題でございます。  大石委員の言われるとおり、つまりIMFの人たちから見ますと、これらの多くの国は銀行制度も余り整っていないし、西欧的な厳密さから言えばいろいろなことが何となくルースではあるし、かたがた、よくクローニーキャピタルと御承知のように申しますが、身内びいきであるとか系列であるとか、そういうことに対してIMFはこの際かなり理想主義的な立場から改革を求めたわけでございます。  それは理解のできるところですが、しかし、結果を見ていて、世界のかなりの指導者たちが、政治家もおりますしバンカーもおりますが、いや、これらの国はそういうことをもう何十年もやってきたわけで、何十年やってきょうの成功になっているものが、急に、きのうきょう始めたわけじゃない、それがきのうきょうこうなったのには何か別の原因があるのじゃないのかという議論をし始めたわけでございます。これはまた行き過ぎますとアジア的何とかいう話になっていきますので、気をつけることは必要でございますけれども、そういう批判がありまして、厳しく金を引き揚げたためにかえって立ち上がる能力が非常に損なわれたという反省は多くの人がいたしております。  我が国は何もマハティールさんの言うところまで考えておるわけではございませんけれども、しかしやはり、とにかくやる気のある勤勉な人たちでございますから、それはやはりそれとして助けていくことが大事だろうというようなことを思っておるわけでございます。
  66. 大石秀政

    ○大石委員 どうもありがとうございました。  ちょっと時間も押しているようでございますので、あと半分、百五十億ドル残っているわけでございますが、そういう点も含めて宮澤大蔵大臣の御活躍を御期待申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  67. 村井仁

    村井委員長 次に、佐々木憲昭君。
  68. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  まず初めに、税関で働いている通関業者の問題についてお聞きをしたいと思います。  今通関業者は一千百社、その営業所は一千七百カ所ございます。昨年十一月二日に税関手続に関する関税率審議会が行われまして、その企画部会懇談会というのがありました。議事録がインターネットで公表されております。そこで日本通関業連合会の会長がこういう趣旨の発言をしておられます。  通関業者は輸入業者にかわって関税消費税の立てかえをしてきた。それは月に二千七百億円に上り、一社平均三億円の立てかえ納税となっている。しかし、最近は立てかえた税金が企業の倒産などで戻らなくなる事例がふえており、通関業者の間で非常に大きな問題になっている、こういう訴えがあります。通関業者は中小企業が大変多く、競争も激化をしております。輸入業者に比べて相対的に弱い立場にあります。  大蔵大臣にお伺いしたいんですが、本来、関税消費税の納入というのは、これは輸入業者が行うべきだと思うわけですね。このような立てかえというのはやはり不正常だと思っておりますが、これはやめさせるべきだと私は思っております。どのような対策を考えておられるか、この辺についてお聞きしたいと思います。
  69. 渡辺裕泰

    渡辺(裕)政府委員 お答え申し上げます。  通関の際に、荷主、輸入業者が支払うべき関税及び消費税につきまして、通関業者が荷主に対するサービスの一環といたしまして立てかえ払いを行う場合があるということは私どもも承知をいたしております。この立てかえ払いは、例えば貨物の引き取りを急ぐような場合に行われているようでございますが、この問題は基本的には荷主と通関業者の間の問題というふうに考えております。  しかしながら、立てかえ期間が長期にわたりましたりあるいは多額になることによりまして通関業者の経営を圧迫しているというお話もございますので、私どももこの問題を注視してきたところでございます。  関税及び消費税には、納期限を三カ月延長できる制度がございます。荷主がこの制度を利用いたしますと、貨物を引き取る際に関税等を納付する必要がなくなりまして、したがいまして、立てかえ払いもまた少なくなるというふうに考えられます。したがいまして、大蔵省といたしましては、今後とも機会あるごとにこの納期限延長制度について説明会等の場で荷主に説明していくこととしたいというふうに考えております。
  70. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 納税の延長制度というのがありますが、それを利用しているのは三分の二程度というふうにお聞きをしております。やはりこれは直接、今おっしゃったように、荷主の方に、この利用をするように、通関業者に負担をかけないようにということをぜひ今後とも強化をしていただきたいと思います。  次に、通関業務のあり方について、これは大蔵大臣の基本認識をお伺いしたいわけであります。  大蔵省の財政金融統計月報の関税特集、これは定期的に出ておりますが、輸入許可件数というのは四年間で五割もふえるというふうに、輸入が大変急増しております。そのために迅速な通関処理を行わなければならない、これは一つ要請となっております。もう一つは、同時に、けん銃、麻薬などの社会悪物品の不正輸入に対する取り締まり、これを強化しなければならない。そういう迅速通関とそれから適正通関といいますか、この二つの柱があると思うんですね。これは車の両輪のようなものでありまして、どちらもおろそかにしてはならないというふうに思いますけれども、その点はどのように認識されているか、お聞きしたいと思います。
  71. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 財政金融統計月報の中でまさにそういうことを申しておりまして、適正さを確保しながら迅速な通関をという、一種の二律背反である。  おっしゃいますように、いわゆる伝統的な通関の仕事はそのままございます上に、麻薬であるとかあるいは銃砲であるとかいうものの摘発の方が実は社会悪としての差し迫った問題になっておるというようなことで、できるだけ伝統的な通関業務は電算化をし、あるいは合理化をして、ただいま御審議願っておる法律案もその一つでありますけれども、その上でそういう社会悪的な差し迫った事案の処理、防圧に力を注ごう。殊に沿岸の長い国でございますから、小さなところへ船で上がったりいたしますととてもそれはなかなか税関だけでカバーできない。地方の警察等々に協力を仰いでおるわけですけれども、なるべく伝統的な仕事の方は機械化をし、合理化をして、そして、増員といってもなかなか容易でございませんので、与えられた人たちを最大限にそういう方に働いてもらおうというのがただいまの税関の、御指摘のように一番の悩みの問題であるわけでございます。
  72. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 迅速性と適正性の両面をバランスよくとっていくということが大事だというふうにおっしゃったわけであります。  そこで、実態を確かめたいわけですけれども、輸入手続関連省庁連絡会議というのがございますね。ここで調査が行われておりますが、輸入の申告から許可までの時間、これはどの程度短縮されているか、平成三年と平成十年の結果を御報告いただきたいと思います。
  73. 渡辺裕泰

    渡辺(裕)政府委員 お答え申し上げます。  輸入申告から輸入許可までの税関手続に要する平均時間でございますが、平成三年二月には、海上貨物で二十六・一時間、航空貨物で二・三時間でございましたが、直近の調査、平成十年三月の調査では、海上貨物で五・六時間、航空貨物で〇・七時間となっております。
  74. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今御紹介がありましたように、海上では七年で約五分の一に短縮されている。確かに迅速性は随分進んだというふうに思います。  もう一つの適正の方、これは一体どうなっているかという点でありますが、これはやはり輸入されている貨物そのものを、現物をどうチェックするかというのが大事でございます。  ここに、これは厚生省生活衛生局食品保健課がつくりました輸入食品監視統計というのがございます。これを見ますと、届け出件数のうち何件の検査を行ったかという検査総数が示されて、全体に占める比率が出ております。ピークは平成元年、一八・一%でありました。それが平成五年には一四・七%になり、平成九年には八・四%となっております。約一〇ポイントのマイナスです。いわばきめが非常に粗くなったということを示しているわけです。  では税関の場合はどうかということでありますが、輸入許可承認件数に占める検査件数の比率、これを示していただきたいと思います。
  75. 渡辺裕泰

    渡辺(裕)政府委員 輸入許可件数に占める現物検査の比率というお尋ねでございますが、税関におきましては、必ずしも十分でない人数で大量の物件を処理するためにいろいろなことをやっております。  一つは、検査の重点化ということをやっております。そのために、重点化をいたしまして選別的な通関処理というものを行っております。すなわち、通関情報総合判定システム、CISという電算システムを使いまして、社会悪物品が含まれている可能性が高い貨物、ハイリスク貨物と、可能性が低い貨物、ローリスク貨物に選別をいたしまして、社会悪物品が含まれている可能性が高い貨物につきましては重点的に検査を行います一方、こうした可能性が低い貨物につきましては検査を極力省略することによりまして、全体としてチェック機能の重点化、集中化を図っているところでございます。  したがいまして、全申告貨物に対する平均的な検査率を申し上げました場合に、検査対象者が、ハイリスクと判定されているか、あるいはローリスクと判定されているかを御自身で判断できることになりまして、税関現場での検査の実施にさまざまな面で支障が生ずるおそれがありますことから、従来から公表をいたしていないものでございます。  大変恐縮でございますが、現場の検査のこともお考えをいただき、申し上げることができないことを御理解いただきたいと存じます。
  76. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 厚生省ではこの数字を出しているんですね、検査率というのを。その傾向が示されて、大変きめが粗くなっている感じがするわけですが、税関の検査というものが実際にどうなっているのか、これを示さないというのを私は非常に疑問に思うわけであります。  数字が出せないというわけですけれども、それでは、この数年間、その比率は、検査率は低下してきているのか増加しているのか、それだけでも示していただきたいと思います。
  77. 渡辺裕泰

    渡辺(裕)政府委員 先ほども申し上げましたように、近年、輸入申告件数は大幅に増加してきております。他方で、申告件数の増加に見合った増員というのが極めて難しい状況にございます。こうしたことから、通関事務の電算化、効率化を図ること等によりまして検査要員の確保に努めておりますけれども検査水準は、残念ながら下がってきております。
  78. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 つまり、検査水準が下がっているということは、車の両輪の迅速化という一方はどんどん大きくなっている、しかし、適正検査といいますか、適正通関、この面はどんどん下がって車が小さくなっている。真っすぐ進まないじゃありませんか。  ですから、私は、一番大事だと思うのは、この適正な、つまり社会悪物品が不正に輸入されないようにチェックを、どう機能を高めていくかということが大事でありまして、そのためには税関の定員を一定程度配置をする。輸入が五割ふえているんですから、本来なら定員を五割ふやしてもおかしくはないというふうに思うんです。  最後に、大蔵大臣にお伺いしますけれども、こういうふうにきめがどんどん粗くなっていきますと不正なものが輸入される危険性はむしろ高まるんじゃないかと私は大変不安を覚えるわけです。それを防ぐために定員をふやすというところに力点を置いて、そして定員の確保と同時に処遇の改善あるいは職場環境の充実ということは私は大変必要だと思いますけれども、その点の決意をお伺いしたいと思います。
  79. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 税関の業務に御理解をお示しいただきましたことを感謝いたしております。  御指摘のように、先ほどもまた申し上げましたが、できるだけ内部で配置転換を行いましてそういう急ぐ仕事の方に、あるいは機械化等々もやっておりますが、なかなか現実には、今の公務員の定員削減のこともございまして、思ったとおりのことができておりません。前年度比で何とかプラスを出したいというふうに思うのがせいぜいでございますが、それだけ言っていただきまして、私どもも一生懸命努力をいたします。
  80. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 現実には、平成十年度、十一年度はマイナスになっておりまして、これはやはりプラスにぜひ転換をして十分なチェック体制を整えていただきますように要請をいたしまして、質問を終わります。
  81. 村井仁

    村井委員長 次に、横光克彦君。
  82. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。  今同僚議員が質問いたしました社会悪物品の水際取り締まりについてまず御質問させていただきます。  最近非常に心配されることの一つに、中学生や高校生、つまり青少年層の間で覚せい剤やあるいは麻薬等の乱用が拡大しつつあるという現実、非常に深刻な情勢が続いていると思うのですね。  実は、私の地元に中津市という城下町があるんですが、福沢諭吉先生の出身地でございます。この中津市から北九州まで約五十キロほどあるんですが、この北九州方面からここ数年、いわゆる覚せい剤等が中津市に流入してきている。地元の警察は非常に取り締まりの強化また啓発に力を入れているわけですが、それと同時に、一般市民を巻き込んだけん銃事件が多発している。これもよく新聞で目にするわけです。  これら覚せい剤やそういったいわゆる社会悪物品の大半は、海外からの密輸入、それもとりわけアジアからの密輸入であると言われております。白い粉、黒い武器に手を触れないためにも、国内に入り込む前に水際でいかにして阻止していくかということが極めて重要であるということは、これはもう申すまでもないわけでございます。  平成十年、昨年度の密輸摘発状況を見ますと、不正薬物押収量が約八百七十キロ、覚せい剤や大麻がその大半でございます。覚せい剤がとりわけ五百五十一キロ、これは末端価格にしますと数百億円とも言われております。これだけ押収できたということは大変助かっているわけですが、もしこれが押収できていなかったらぞっとするような量が入ってきているわけですね。  そういった意味で、税関の検査体制というものがいかに国民の安全にとって重要であるかということだと思うんですね。また、摘発件数も五百七十八件と、この押収量と摘発件数はともに過去最高を記録したということでございます。また、ことしに入ってからも、横浜税関において覚せい剤が約二百キロ摘発された、そういった大型の密輸入が後を絶たない状況だと聞いております。  しかし、そういった大型と同時に、この密輸入は、先ほどお話ございましたように、各地方の港をねらったり、あるいは港まで入らずに洋上取引を行ったり、あの手この手で税関の間隙をついてきているわけですね。つまり、その手口というものが非常に複雑化している、そして実に巧妙化している、こういった現実であるわけでございます。  そういった中、税関は膨大な件数の貨物をそれでなくても扱うわけですから、こういった状況の中で検査体制が果たして大丈夫なのか。先ほども心配されておりましたが、私もそれを心配するわけでございます。  税関での覚せい剤や麻薬やあるいはけん銃等社会悪物品の取り締まりの現状及び今後の対応はどうなっているのか、御説明いただきたいと思います。
  83. 渡辺裕泰

    渡辺(裕)政府委員 お答え申し上げます。  社会悪物品についてのお尋ねでございます。  近年、第三次覚せい剤乱用期に突入したと言われておりますように、覚せい剤、麻薬等の不正薬物の乱用が、中学生、高校生などの青少年層へ浸透いたしております。また、一般市民を巻き込んだけん銃事件の発生も後を絶たないというようなことがございまして、不正薬物や銃器問題が大きな社会問題となっております。  平成十年の摘発実績につきましては、今先生の方から御指摘がございましたが、その平成十年の摘発実績から見ました最近の密輸入事犯の特徴を申し上げますと、一つ目は、商業貨物、船舶乗組員を利用した大口事犯の増加、二番目に、航空機旅客による悪質、巧妙な事犯の続発、三つ目に、国際郵便を利用した向精神薬の事犯の増加、四つ目に、従来、暴力団関係者が中心となっておりました大口密輸事犯につきまして、外国人の関与の増加というのが挙げられるかと思います。  このような状況の中、関税局、税関におきましては、社会悪物品の国内への流入の水際阻止を最重要課題の一つとして位置づけて、いろいろな対策を講じております。  まず一つは、警察、海上保安庁等との合同取り締まりの実施による関係取り締まり機関間の連携強化でございます。特に、御指摘のございました地方港におきましては、私どもの人数も少のうございますので、警察、海上保安庁と一緒に取り締まりをいたしております。  二番目に、国際機関等を通じた情報交換等の推進でございます。  先般、アジア地域の麻薬情報のセンターでございますRILO、これはWCOとの連携によります国際機関一つでございますが、それを香港から日本に持ってまいりまして、そういうものも使いながら大いに情報交換を推進していきたいと思っております。  それから三つ目に、税関相互の応援、監視カメラや麻薬探知犬などの取り締まり機器の拡充等による取り締まり体制の整備でございます。  こういうようなことをやりまして、水際での取り締まりが効果的かつ効率的なものとなるよう鋭意努力をしているところでございます。その結果、不正薬物の国内押収量に占めます水際における摘発量は六割から七割程度というふうになっております。  今後とも、迅速かつ円滑な通関の要請にも配意しつつ、社会悪物品の流入阻止のため全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  84. 横光克彦

    ○横光委員 こういった犯罪は、今お話ございましたように、水際において取り締まることが税関に課せられた最大の使命だと私は思うんですね。そしてまたそこに国民は非常に期待しているわけでございます。どうか今後とも、国民生活の安全を守るためにこの税関の水際取り締まりの強化を怠らないように、くれぐれもお願いしたいわけでございます。  先ほどお話ございました。そうはいいながらも、非常に定員が、事情が厳しい折ではありますが、先ほど言われましたように、税関の電算化を推進して省力化を図っていくという法案も今度出ているわけですので、何とかしてそういった人員を、検査体制の確保、人員確保のために、大臣、最大限の配慮をすべきだと私は思います。今お話ございましたように、監視カメラとか探知犬だけではどうしようもないんです。最後にこれを摘発できるのは人間なんですね。そこのところの人員確保が厳しい状況であれば、余計こういった流入を阻止することは難しくなるわけでございます。  また、今回の関税改正で、今お話ございました官公署等への協力要請規定の新設が盛り込まれているわけでございます。これまで以上に関係機関との連係プレーを図る意味からも、連絡を一層緊密にして、私は、政府一丸となって覚せい剤や麻薬の撲滅のために努めていただきますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  85. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど政府委員からお聞きいただきましたような現状でございますが、御指摘のように、やはり水際あるいは洋上で阻止するということが極めて大事でございます。つきましては、関係各省庁との連絡を緊密にするとともに、なお人員の確保につきまして一生懸命努力をいたしたいと存じます。
  86. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。
  87. 村井仁

    村井委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  88. 村井仁

    村井委員長 これより各案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  89. 村井仁

    村井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  90. 村井仁

    村井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  91. 村井仁

    村井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  92. 村井仁

    村井委員長 この際、関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、井奥貞雄君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。中川正春君。
  93. 中川正春

    ○中川(正)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨説明といたします。     関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 関税率改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、国民経済的観点に立って国民生活の安定に寄与するよう努めること。    なお、関税の執行に当たっては、適正な課税の確保に向け、より一層努力すること。  一 国際化の著しい進展、相互依存等による貿易量、出入国者数の伸長等に伴う業務量の増大、覚せい剤をはじめとする不正薬物、銃砲、知的財産権侵害物品、ワシントン条約物品等の水際における取締りの国際的・社会重要性にかんがみ、税関業務の一層の効率化、重点化に努めるとともに、今後とも税関業務の特殊性を考慮して、税関職員の定員確保はもとより、その処遇改善、職場環境の充実等に特段の努力を払うこと。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  94. 村井仁

    村井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  95. 村井仁

    村井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣宮澤喜一君。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  97. 村井仁

    村井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 村井仁

    村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  99. 村井仁

    村井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十一分散会