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宮澤国務大臣 そういう
お尋ねを承るのは私はごもっともだと思って
お答えを申し上げます。
かなり私
どもとしても、複雑な局面でいろいろなことを考えながらこういうことをいたしておるわけですが、まず
最初に、こういうことを申し上げさせていただきたいと思うんです。
今
我が国はこういう非常な
不況の時代にありますし、
経済ばかりでなく、
国民全体が何か二十一世紀に向かって、つまり今まで戦後五十年の努力というものは、これを新しい展開をしなければいけない、そういう一種の大変に苦しんだ局面にある、こういう事実認識は
日野委員も恐らく御同意いただけると思うんですが、そこで、片っ方で、いずれの日にか、二十一世紀のそんなに遠くない時期に、我々はどういう国家として何をしなければならないのか、グローバリゼーションのことな
どもあって、そのときに新しい
我が国の
あり方というものを一遍考え直さなければならないだろう、そういう一種の予感と申しますか、予知を持っております。
それは、いっとき
財政改革というようなことをやりかかりましたが、とてもそんなことではなくて、
財政も
税制も
社会も、あるいは国と
地方の関係も、国と国家の関係等々、新しい国、新しい
社会にならなければいけないだろう、そういう一種の予知がありまして、そのときにはいろいろなことを一遍全部考え直さなければならない、そういうときがなければならないという意識を持っております。
したがって、今ここで国会に御
提案をし、お願いをしていることは、そこに至る今の段階において我々が考えておりますことをごらんになっていただきたい、これでずっと先々いけるという種類のことではございませんということが
一つでございます。
しかしながら、同時に、それならば前
内閣がやったように一遍限りの
減税みたいなことを繰り返していいかというと、いろいろな
意味でそういうわけにはまいらないし、またそれをやりますと、せんだっても申し上げましたが、将来への可能性を、あるいは将来への
障害になるおそれすらございますから、今として、この苦しい間を切り抜けていく間は、毎年毎年違ったことではなくて、それはそれなりに一貫した
税制というものをやはり考えていかなければならない。毎年毎年一遍限りの
税制をやるというようなことは、将来に向かってもよくないし、
国民にも不安を与える、これが第二の
問題意識であります。
第三の
問題意識は、しかし、たまたまその時期が
我が国の非常なピンチにございますが、いわゆるグローバリゼーションというようなものとぶつかりまして、ブームの後、こういう破裂したバストの中で、しかし、もういやも応もなくグローバライゼーションを迫られる、あるいはリストラクチャーを国際的な
理由から迫られるというようなことがございます。それにもこたえていかなければならない。
つまり、グローバライゼーションとかあるいはリノベーションとかいうことは、
経済あるいは国が好調であればそんなに難しくないんだろうと思いますが、好調でないところへそういう荷物を担がなきゃならないというのが今の
我が国の姿でございますから、そういう
意味で三つぐらい違った局面に、今こういう
法律をごらん願うことによって対応していかなければならないと考えておるわけでございます。
最初に、ですから、
我が国の
経済社会の
構造的な変化、国際化という
部分は、そういう時点に今
我が国があるということ。それは例えば、今回
法人税を四〇%という国際並みにいたしました。これなんかは、どうも世界どこへでも法人の主たる事務所が置けるという今となっては、やはり国際的な配慮をせざるを得ない。あるいは、
所得税の
最高税率の
引き下げにもそういうところがあろうかと思います。あるいはまた、ノンレジデントには非課税にするとか、
政府の短期証券につきまして、償還差益について
所得税を源泉課税をやめるとかいったようなこと、これもそういうグローバライゼーションに対応したものとしてお考えいただくべき問題であろうと思います。
しかし同時に、現下の著しく停滞した
経済活動云々というあたりは、これはもうまさに一種の、この際とにかくここを脱却しなければならないという意識からお願いをしておりますので、これは幾つかの例を申し上げることができると思いますが、ともかく、今としてはやはりこうお願いせざるを得ないだろうというような
部分がございます。
それから第三に、しかし将来を展望する問題としましては、これは大変にせんだって以来御批判のあるところですけれ
ども、十年分
所得税のように
課税最低限を四百九十一万円にするというようなことは、これは将来の
我が国の
所得税の
あり方からいって必ず将来に累を及ぼす、できるだけ従来どおりの
課税最低限に近づけておきたいといったようなことは、これは、今だけのことを申しましたら
定額減税をやってしまえばいいかもしれない。しかしそれは、本格的に我々の将来を考えるときに必ず害になると考えておりましたし、あるいは、これは大変語弊があることを存じておりますけれ
ども、今
景気に一番いいのは
消費税をやめちまうことだというようなことも、なるほど、それは当面
景気にいいかもしれないけれ
ども、
我が国の百年の大計を考えるとやはりにわかに賛成できないといったような
部分は、今度は、将来あるべき、来るべき本格的な二十一世紀の
日本というものを考えるときを思いますとそういうことはいたしたくないといったような、そういう三つの
目的意識が
一つの
法案に盛られました結果として大変長い名前になりまして、一体これは何を言っているのかなとおっしゃる御批判を招くことはいかにもそうであろう。第一条に書いてありますことは、しかし、ほぼそのような思いでございます。