○井奥
委員 ありがとうございました。
今日の税制の
議論におきましては、まずこの極めて厳しい
経済情勢にどういうふうにして
対応していくのか、このことが問われているわけであります。
我が国の政治がどのように取り組んだかを振り返ってみますと、小渕総理大臣は、昨年の夏以来、
経済再生を挙げられまして、本年以降六兆円を超える恒久的な
減税を実施するようリーダーシップを発揮してこられたのであります。この大胆な政治決断は、国の内外はもとより、
世界から高く評価をされております。その後、
宮澤大蔵大臣を初めとして、政府・与党の方々が税制改正の実現に向けて大変な努力をされたことに私は敬意を表するものであります。
また、厳しい
経済情勢のもとに、ややもすると我々の目は国内に偏りがちでありますが、
世界では大きな変化が進んでおります。その一つがアジア通貨危機であり、もう一つが本年の年初から導入されたユーロであります。
世界経済の動きが
我が国経済に直結をし、また、
我が国の
経済政策が
世界経済に大きな影響をもたらすようになっているのであります。急速に進むグローバリゼーション、
世界における
日本の置かれた
立場や役割を
考えますと、税制のあり方についても、グローバルスタンダードを常に
考えながら
議論をしていかなければなりません。
他方、このような税制上の措置は、当面の対策というだけではなく、
我が国の
経済社会の構造的な変化に
対応し、小渕総理大臣が施政方針演説で述べられたように、繁栄へのかけ橋となるべく、将来につながるような施策でなければならないと
考えております。
本日、私は、
経済再生、グローバリゼーションと二十一
世紀へのかけ橋との視点から、政府提出の法案について
質疑を行うものであります。
今般の税制改正のうち、いわゆる恒久的
減税について見ますと、個人所得課税について、国民の意欲を引き出すといった
考え方から、国税、地方税を合わせた最高税率を六五%から五〇%に引き下げるとともに、中堅所得者層に配慮した定率
減税が実施されることになっております。
また、
法人税につきましても、
我が国企業の国際競争力の発揮、企業活動の活性化の観点から、実効税率を四六・三六%から国際水準並みの四〇・八七%に引き下げることとされ、中小企業を取り巻く厳しい
経済状況等にも配慮をして、中小企業の軽
減税率も引き下げることになっております。
個人所得課税の最高税率、法人課税の実効税率の引き下げは、ともにグローバルスタンダードに沿ったものとはいえ、人、物、金の動きがグローバルになった今日、適当な措置と私は
考えております。
次に、恒久的
減税とともに、現在の厳しい
経済情勢を踏まえてさまざまな措置が講じられることになっております。
まず、低水準が続いている住宅
投資の
現状を
考え、新たに実施される住宅ローン
減税は、
平成十一年または十二年の二年間に居住用の場合に限り、残高五千万までの住宅ローンについては、十五年間にわたりその一定割合を
所得税から控除するというように、現行の制度を思い切って拡充したものとなっております。住宅建設は
経済への波及効果が大きいことを
考えると、相当な
景気刺激効果があると私は
考えております。
また、
景気刺激策といたしましては、住宅とともに民間
設備投資の促進が重要でございまして、百万円未満の情報通信機器を取得した場合には、一年間に限っての時限措置として、取得価額の全額が損金算入できるという情報通信機器の即時償却制度の創設などに期待をして、多くから刮目をもって見ているわけであります。
そして、税制改正全体では、地方税も合わせますと九兆四千億もの
減税であり、昨年の公明党との
議論に基づき、現在実施をされている地域振興券の七千億をも含め合わせますと、十兆円を超える規模となっております。政治のリーダーシップのもと、かつてない規模の施策を決断されたのであり、政府としてはなし得る限りのことはした、こう言える税制改正であると評価をいたしております。
また、先ほど申し上げましたように、国際金融における大きな動きを目の当たりにいたしますと、
我が国の通貨であります円を国際化していくというのは緊急の課題であります。
昨年の秋、
大蔵委員会の欧州視察団として、
村井委員長以下、私もその一員として欧州の
財政、金融、
経済事情を調査をしてまいりました。その中で、
我が国には、
都市型先端技術を含め、省エネや環境に関する技術など
世界に誇るべきものが大変多い、その中でなぜ
我が国に
投資が少ないのか、アジア
経済の三分の二を占めるにもかかわらず円の国際化が進んでいないのはなぜなのだろう、こういう理由の一つとして、
我が国の金融
市場にかかわる税制上の措置が欧州の金融当局者から
指摘をされたのであります。
帰国後、
指摘をされたことを念頭に、円の使い勝手をよくするにはどうするのか、どうすればよいのかを
考えつつ、私も税制改正に携わってまいりました。今般、金融
関係税制として、円の国際化の進展に資する税制上の措置や有価証券
取引税及び
取引所税の廃止が政治主導で決着を見たのは、まことに画期的なことと言えましょう。
さて、
大蔵大臣、このように今般の税制改正は極めて広範多岐にわたる大きな内容となっておりますが、今般の税制改正の基本的な
考え方について、
大蔵大臣の御所感をお伺いいたしたいと思います。