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1999-08-12 第145回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月十二日(木曜日)     午前九時七分開議   出席委員    委員長 高木 義明君    理事 金田 英行君 理事 佐藤 静雄君    理事 山本 幸三君 理事 吉川 貴盛君    理事 小平 忠正君 理事 島津 尚純君    理事 冨沢 篤紘君 理事 鰐淵 俊之君       麻生 太郎君    江渡 聡徳君       大石 秀政君    木村 隆秀君       北村 直人君    久間 章生君       熊谷 市雄君    西川 公也君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       古賀 一成君    東  順治君       丸谷 佳織君    西村 章三君       児玉 健次君    中西 績介君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君         労働大臣    甘利  明君  出席政府委員         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君  委員外出席者         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    長谷川真一君         商工委員会専門         員       酒井 喜隆君 委員の異動 八月十二日              辞任         補欠選任   渡辺 具能君     西川 公也君 同日                 辞任         補欠選任   西川 公也君     渡辺 具能君 八月九日  産炭地域振興対策に関する陳情書(第四九〇号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  石炭対策に関する件(石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会答申に関する問題)  石炭対策の確立に関する件     午前九時七分開議      ――――◇―――――
  2. 高木義明

    高木委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件、特に石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会答申に関する問題について調査を進めます。  石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会答申に関し、政府から説明を聴取いたします。与謝野通商産業大臣
  3. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 本日の御審議に先立ちまして、石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会答申が取りまとめられましたので、一言ごあいさつ申し上げます。  現行石炭政策の円滑な完了に向けての進め方については、昨年六月十六日の諮問以来、さまざまな角度から慎重な御審議を尽くしてこられ、石炭鉱業審議会については去る八月九日に、産炭地域振興審議会については去る八月五日に答申を受け取ったところであります。  これらの答申においては、石炭鉱業構造調整対策炭鉱労働者雇用対策鉱害対策産炭地域振興対策といった現行石炭政策全般について、平成十三年度までの三年足らず期間最大限に生かすことを基本に、政策を円滑に完了するための道筋が明らかにされております。また、これらの対策を着実に遂行し、完了し得るよう、政府に対し、法制面財政面について十分慎重に検討の上、適切に対応するよう求められております。  当省といたしましては、今後、これらの答申を踏まえ、関係省庁自治体等とも連携し、答申に沿った石炭政策の円滑な完了に向け、全力を傾けてまいります。  委員各位におかれても、答申趣旨を御理解いただき、その実現に向け、今後ともお力をおかしいただけるようお願い申し上げる次第でございます。  以上をもちまして、簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。
  4. 高木義明

  5. 稲川泰弘

    稲川政府委員 石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会答申概要について御説明申し上げます。  最初に、石炭鉱業審議会答申について御説明申し上げます。  第一に、本答申趣旨につきまして、現行ポスト八次石炭政策において掲げられている目標を達成し、本政策を円滑に完了し得るよう、政策期間の終了までの三年足らずの残された期間最大限生かすことを基本に、今後実施すべき事柄を明らかにしたものであることが述べられております。  第二に、石炭をめぐる状況について概観されております。  その中で、我が国の今後の石炭需要については、供給安定性の高さ及び経済的優位性から、引き続き中核的石油代替エネルギーとして位置づけられるほか、現在、唯一国内炭需要者である電力事業者においては、石炭火力を原子力に次ぐベース電源として位置づけ、将来、需要量増加傾向にあるとの見通しが示されております。  これに対し、世界石炭市場の動向を見ると、中長期的には、アジア地域中心とする需要増加などにより、現状よりもタイト化可能性があり、国内石炭需要量の九七%を海外からの輸入に依存しているという我が国の特異な状況にかんがみれば、国際規模での石炭安定供給を図ることは依然として重要な課題である旨指摘されております。  第三に、エネルギー政策上の国内炭役割国民経済的負担との関係について論じられております。  まず、国内エネルギー供給源としての役割についてですが、我が国石炭需要に占める国内炭のウエートが約三%にまで低下し、一次エネルギー供給ベースで一%を下回るまでに至ったことを踏まえれば、国内炭役割国内エネルギー供給源として量的な観点から意義づけることは困難であると指摘されております。  一方、オーストラリア、中国など、我が国海外炭の多くを依存するアジア太平洋地域中心とした産炭国においては、露天掘りから坑内掘りへの移行採炭箇所のさらなる深部化奥部化による採掘環境の悪化が見込まれております。これらの国々の炭鉱が、保安確保を含め、採掘箇所深部化に的確に対応し、安定的な生産活動を継続していくためには、炭鉱技術の大幅な高度化が必須であります。  国内炭鉱技術活用した技術協力海外炭鉱の直面するこのような課題の克服に資するならば、結果として我が国海外炭安定供給確保に資することから、国内炭鉱エネルギー政策上の役割評価する余地があるとの指摘がなされております。  以上のような認識のもと国内炭鉱技術を生かした技術協力の推進に当たっては一定国民経済的負担が必要である点を踏まえ、ただいま申し述べました諸点を総合的に評価した結果、国内炭鉱の今後のあり方に関する方向が示されております。  具体的には、中国インドネシアなどの海外炭鉱我が国炭鉱のすぐれた炭鉱技術移転する炭鉱技術移転五カ年計画を策定し、遂行することが適当である旨提言されており、海外炭鉱従業員我が国炭鉱研修生として受け入れ自然条件の厳しい我が国炭鉱操業現場での実地研修を通じ、人から人へ技術を伝えるという方法により、技能、ノウハウを教える方法が有効であると述べられております。実施時期としては、おおむね二年程度の準備期間を置いた上、平成十四年度から平成十八年度までを技術移転のための期間と位置づけ、集中的、計画的に事業実施していくことが適当であるとされております。その上で、国に対し、当該事業遂行に当たり、必要な支援措置を講ずるべきであるとの指摘がなされております。  また、電気事業者については、電気事業者を取り巻く環境が大きく変化しておりますが、国内炭鉱操業現場活用した研修事業を国のエネルギー政策として推進していくことは重要であり、その実現には、今後着実な石炭需要の増大が見込まれる電力業界による国内炭の引き取り協力が不可欠であることから、国内炭鉱活用して行う技術移転計画完了する平成十八年度までの間、国内炭の引き取り協力を期待する旨述べられております。  ただし、電気事業者による引き取り協力平成十八年度限りとし、平成十九年度以降においては当事者間の自由取引にゆだねるとともに、引き取り期間中の負担を極力小さくする観点から、その引き取り価格について、平成十四年度以降の引き取り協力期間のうち少なくとも後半において、トン当たり一万円を下回る水準実現するよう、石炭会社は、親会社、関係会社一致協力もと最大限合理化を継続するべき旨が指摘されております。  一方、我が国炭鉱地域経済において果たす地域振興雇用確保という観点での役割も重要であり、地域経済を預かる地方公共団体にあっては、国内炭鉱地域経済における役割を十分踏まえた上で、相応の支援を行うよう検討すべきであると述べられております。  第四として、現行石炭政策の円滑な完了に向けての今後の進め方について、現行石炭政策の今後の進め方に関し、個別の政策ごとに論じられております。  一点目として、石炭鉱業構造調整対策の円滑な完了に向けての今後の進め方につきまして、現行の諸施策は、平成十三年度末までは継続することが適当である旨述べられております。また、稼行炭鉱平成十三年度末までに予定している合理化取り組み実施することにより、海外炭鉱との技術協力の母体として平成十八年度までの間に果たす役割と、これを支える国民経済的負担とが均衡し得ると評価され、ポスト八次石炭政策目標として掲げてきた均衡が達成されると見込まれることから、国の石炭鉱業構造調整対策は、予定どおり平成十三年度をもって終了するのが適当であると指摘されております。  二点目として、炭鉱労働者雇用対策の円滑な完了に向けての今後の進め方については、石炭鉱業構造調整対策平成十三年度末をもって終了することに伴い、構造調整を円滑に推進する観点から講じられてきた炭鉱労働者雇用に係る特別な対策も、これと同様に平成十三年度末をもって終了するのが適当である旨指摘されております。また、地域開発及び炭鉱離職者等に対し就労の機会を与えることを目的とした産炭地域開発就労事業についても、平成十三年度末をもって終了することが適当であると指摘されております。しかしながら、当該地域の厳しい雇用状況にかんがみ、当該事業就労している者の自立促進のための措置を講ずるとともに、一定期間暫定事業実施できるような激変緩和措置を講ずることが必要であると指摘されております。  三点目として、鉱害対策の円滑な完了に向けての今後の進め方について述べられております。  基本的な考え方としましては、国土の保全及び民生の安定を図ることを目的に、昭和二十七年に臨時石炭鉱害復旧法が制定され、以後五十年近くにわたり、同法及び石炭鉱害賠償等臨時措置法に基づき、国及び県が賠償義務者負担を補いつつ、計画的に鉱害復旧してきたところでありますが、唯一累積鉱害が残る福岡県についても、平成十三年度中には累積鉱害解消のめどが確実になる見込みであり、鉱害関係行政機関福岡県、賠償義務者がより一層連携協力し、鉱害復旧を強力に推進していくことが必要であると指摘されております。同時に、鉱害二法については、福岡県における累積鉱害最終的解消を確実なものとするため、所要経過措置を設けることが必要であるとされております。  さらに、法期限後も発生する可能性のある浅所陥没等については、復旧法上、国の指定を受けた公益法人復旧事業を行うという仕組みが設けられており、この仕組み活用を図っていくことが適当であるとされ、法期限内に指定申請があれば、国は、指定を行うとともに、県と協力して指定法人体制整備支援すべきであるとされております。これらの対策を講ずることにより鉱害対策完了に向けての道筋を確実なものとした上で、平成十三年度末をもって鉱害二法を失効させることが適当であると指摘されております。  四点目として、産炭地域振興対策の円滑な完了に向けての今後の進め方について述べられておりますが、別途、産炭地域振興審議会において審議答申がなされており、石炭鉱業審議会答申は、この答申を踏まえて取りまとめられております。したがいまして、具体的内容につきましては、産炭地域振興審議会答申に関する説明として、後ほど引き続き御説明いたします。  以上、産炭地域振興対策を含む各政策の今後の進め方について述べた上で、結論といたしまして、現行ポスト八次石炭政策目標に掲げてきた所要政策課題については平成十三年度末をもって基本的には完了し得る見通しを持ち得るとの見通しを示し、政府に対し、このような基本的な考え方もと現行石炭政策を着実に遂行し、完了し得るよう、法制面財政面について十分慎重に検討の上、適切に対応することが必要であると指摘しております。  以上、石炭鉱業審議会答申概要について御説明いたしました。  最後に、産炭地域振興審議会答申概要について御説明申し上げます。  昭和三十年代以降の石炭鉱業構造調整過程における大量かつ急激な炭鉱閉山による重大な影響を受けた産炭地域について、その影響を是正することを目的として産炭地域振興対策が推進されてまいりましたが、その目標はおおむね達成しつつあるものと認められるとの評価が示されております。  一方、第八次石炭政策及びポスト八次石炭政策に伴う炭鉱閉山等影響を受けている個別の市町村については、閉山等による影響が一部残存していることから、産炭地域振興対策を円滑に完了するためには、法失効後も一定期間激変緩和観点から、法失効に伴う影響等諸問題に適切な配慮が不可欠であると指摘されております。  なお、これらの市町村以外の市町村であって、産炭地域振興臨時措置法第六条に基づく措置の適用を受ける市町村のうち、人口増加率等主要指標のいずれもが全国水準から著しく乖離し、経済活動の沈滞や財政の窮迫が閉山という特殊な要因によるものであると特段認められる市町村についても、所要検討を要すると指摘されております。  具体的な対応といたしまして、まず第一点目ですが、これら市町村等においては、法失効後も当分の間、閉山対策関連財政需要等が継続することに配慮して、地方財政上の特例措置等所要支援措置を講ずるべきである旨述べられております。  二点目に、公共事業等につきましては、特に広域的な振興効果波及効果が大きい事業を重点的に実施するべき旨が述べられております。さらに、産炭地域振興実施計画に基づき実施され、産炭法第十一条に基づく国の補助率に係る特例措置が講じられてきた公共事業等のうち、法失効後も継続して実施されるものについては、八次策・ポスト八次策影響市町村等中心とする六条市町村を対象として、当該市町村財政状況当該事業地域振興に与えている効果にかんがみ、一定期間所要支援を講ずるべき旨指摘されております。  三点目として、産業振興観点につきましては、従来より地域振興整備公団が造成してまいりました工業団地につきまして、引き続き分譲、企業誘致を継続するとともに、地元の自発的な創意工夫により、既存の地域産業資源を有効に活用した新事業育成等に係る一般施策の積極的な活用を推進する必要がある旨述べられております。  四点目といたしまして、中核的事業主体につきまして、産炭地域地域資源を有効に活用し、地域経済の広域的、内発自立的発展を図っていく上で中心的な役割を果たしていくよう活性化を図るとともに、事業規模の増額、新事業育成等に係る一般施策の積極的な活用を推進することが必要である旨述べられております。  五点目といたしまして、法失効後も、産炭地域振興関係省庁等連絡会を通じ、一般的な地域振興対策への円滑な移行が図られるよう、関係省庁等の連携を十分確保するよう指摘されております。  以上であります。     ―――――――――――――
  6. 高木義明

    高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠正君。
  7. 小平忠正

    小平委員 おはようございます。民主党の小平でございます。  昨日来、衆議院、参議院、両院においてまことに不幸な事態が生じております。ただいま現時点でも、参議院では本会議が開かれていると思います。  こういう状況の中で、国会は正常になっておりませんが、この石特委員会におきましては、今し方理事会も開き、委員長もとに各党の理事一致協力をいたしまして、今問題につきましては、石鉱審産炭審答申を得ての、政党政派を超越した国民的に大事な課題である、特に、今日までのエネルギーの根幹を支えました石炭の今後のあり方を問う重要な問題でありますので、例外といたしまして、特例として、この委員会はこういうことで審議を進める、こうなったわけであります。そういう意味におきまして、私も大事な問題ととらえまして、これから何点か質問をさせていただきたいと思っております。  まず、私は、今問題になっております石炭閉山の地帯、言うならば北海道空知、十区が私の選挙区でございます。したがいまして、今回、この二市六町あるいは五市一町、これらも私のいわゆる選挙区でございます。そういう中で、人ごとではない、そんな思いでおりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。私は、そんな中におきまして、今のこの状況を申し上げながら質問に入っていくわけでありますので、よろしくお願いをする次第でございます。  さて、今、大臣そして長官から、石鉱審産炭審答申の御報告がございました。いろいろとこの一年間の論議の中で、完全な自由取引を求める意見、さらには何らかの形で国民経済的負担を求めるべき、こういう両論併記的な意見もございましたが、一年間の議論を経た中において出されたこの答申は、私も、こういう状況におきましては一定評価をしたい、こう思っております。特に、二炭鉱存続そして産炭地域振興対策、これらの方向がとられる中で、その評価はしたいと思っております。  しかし、そういう中におきましても、幾つかの問題点がまだまだあると思っております。  特に、平成十四年以降、石炭会社のさらなる合理化、これは進めるといたしましても、平成十八年末には、トン当たり一万円を下回る水準を目指しながら最終的には内外価格差ゼロを実現する、こういうことを目指す、こううたっております。  しかしながら、端的に言って、この内外価格差ゼロの実現が困難である、だからこそ、そのために政策がある、こう言ってもいいのではないかと思います。特に、十九年度以降自由取引ということでは、それでは石炭政策も必要ない、不要である、こう言っているのと同じではないかと思うのであります。したがいまして、この点についてどのようなお考えを持っておられるのかもお尋ねをしておきたいと思っております。  また、新聞の報道によりますと、資源エネルギー庁北畑石炭・新エネルギー部長は、与党における本答申案説明に当たりまして、二炭鉱支援の五年間は長寿のための体力養成期間である、そういう発言をされたようでありますが、答申に示された炭価水準実現していくためには、炭鉱コスト削減への取り組みはこれまでより一層厳しいものになっていくだろうと思われるのであります。  電気事業者国内炭引き取り協力が五年間延長されたことで、国内に残った二炭鉱については、これまで以上に厳しい合理化努力が求められてはおりますが、当面、存続維持へ向けての方向性は示されたとは言えますが、非常に厳しい状況にあると思います。  こうした炭鉱コスト削減への取り組みに向けての国の一層の支援として、現行ポスト八次策期間内と法失効後の激変緩和対策について具体的にどう取り組んでいかれるのか、その御決意をお答えいただきたいと思います。
  8. 北畑隆生

    北畑政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、石鉱審に先行する石炭鉱業審議会合部会企画小委員会で、二年前から炭鉱の問題について議論をしてまいりました。この企画小委員会では、関係者の合意が得られず、両論併記になったというのは委員指摘のとおりでございます。  このたびの石鉱審政策部会におきましては、この点について引き続き御議論をいただいたわけでございます。その結果、現行石炭政策が十三年度に終了した以降、石炭の有する優秀な技術海外移転する、こういう施策中心に、炭鉱技術移転五カ年計画平成十四年度以降実施をするという答申がまとまったわけでございます。  この期間につきましては、御指摘電力業界の引き取り協力を期待するということが書いてあるわけでございますし、また地方自治体も、地域雇用地域経済という観点から所要支援策を講じていただく、こういう御指摘をいただいたわけでございます。この結果、二炭鉱につきましては、五年間存続をし得る条件がそろったものと考えております。  御質問趣旨は、十九年度以降長期存続がどうかということだと思います。この点につきましては、長期存続のためには、一つは、炭鉱合理化努力によりまして内外価格差を詰めていくということが一点でございます。もう一つは、現在の海外の炭の値段というのがいわば最低の価格になっておりまして、今後の世界石炭需給考えますと、今後は増加基調が期待できる、この二つであろうと思います。  現行石炭政策が二年余り、それに加えて五年間、合わせて七年半のいわば長期存続に向けての努力をする期間答申によって認められたのだ、このように理解をいたしております。
  9. 小平忠正

    小平委員 私は、繰り返して申し上げますが、内外炭価格差ゼロの実現とありますが、この価格差ゼロを実現できない、こういうことをかんがみて、そのために政策がある、こう言えるのであって、そのことを思うと、そこについてのしっかりとした対策が講じられるよう、そこは強く申し述べておきたいと思います。  次に、大臣、昨年十月の当委員会質疑におきまして、人類は多分石炭というエネルギー資源を今後将来相当長きにわたって捨てることはできないだろうというふうに考えている、このように御発言なさっておられます。我が国エネルギー需給における石炭重要性海外炭安定供給確保必要性、そうした中での国内炭鉱技術の意義を的確にとらえて、今回の答申炭鉱技術移転五カ年計画の策定、遂行ということにつながっていった、こう思うのであります。  エネルギー政策上の国内炭役割を量的な観点から意義づけるのではなく、質的な観点から意義づけ、アジア太平洋地域における石炭供給能力維持を図るとしたことはもっともなことである、こう思うのでありますが、そうした考えの上に立ってこの研修事業を国のエネルギー政策として推進していくということであれば、国内炭鉱存続を国策として明確に示していくことが肝要であると思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。  さらにまた、五カ年計画の中身としてどのような内容実施しようとお考えになっておられるのか、具体的かつ計画の実効ある実施のためには、研修生受け入れ体制一つをとってみましても、さまざまな課題も多く、国のエネルギー政策としての確固たるリーダーシップと十分な支援体制というものが不可欠である、こう考えますが、大臣の御決意を賜りたいと思います。
  10. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まず、第一の部分についてお答え申し上げますと、石炭鉱業審議会答申においては、国内炭鉱の今後のあり方に関しまして、海外炭安定供給確保を図る観点から、国内炭鉱技術海外炭鉱への移転重要性を深め、国内炭鉱活用した研修事業、人から人へ技術を伝えるという方策を講ずるべきであるとの提言がなされております。私としては、炭鉱技術移転五カ年計画を含め、答申指摘された内容を踏まえ、講ずべき措置を速やかに具体化して実行に移してまいりたいと考えております。  次に、先生の御質問は、若干炭鉱技術移転五カ年計画の具体的な内容を御質問になられましたので、その点についてお答えを申し上げます。  炭鉱技術移転五カ年計画は、中国インドネシア等海外炭鉱技術者を大規模かつ長期間我が国炭鉱受け入れ、実際に困難な自然条件もとでの採炭、掘進、保安、選炭から機械設備等整備、補修に至るほとんどすべての作業を体験する機会を与え、我が国炭鉱技術者が長年にわたり身につけてきた深部、奥部の困難な自然条件に対応し得る世界的にもすぐれた技能、ノウハウを人から人へ伝えるものでございます。  主として中国インドネシア、ベトナムの核となる炭鉱に対し集中的に技術移転し、おのおのの国々において、我が国のすぐれた炭鉱技術を各国の他の炭鉱へ広く伝搬させていくための拠点をできるだけ早期に育成することを目指し、そのために必要な人員を研修生として受け入れ平成十四年度から平成十八年度までの五年間で集中的かつ計画的に技術移転実施するものであります。
  11. 小平忠正

    小平委員 次に、産炭地域振興対策についてお伺いをいたします。  今回の産炭審答申では、八次策・ポスト八次策影響市町村等においては、法失効後も当分の間閉山対策関連財政需要等が継続することから、法失効に伴う影響等諸問題に適切な配慮が不可欠であり、一定期間地方財政上の特例措置等所要支援措置を講ずるべきであるとして、いわゆる激変緩和措置を講じる必要性を示しております。  先ほど申しましたように、私の地元空知では、八次策以降この十年間に七つの炭鉱閉山をし、八次策以前に閉山した山を含め、すべての山が閉山しました。  ちょっと加えますと、私の選挙区は二十七市町村ございます。そのうち、十市十六町一村、こうなっております。今は小選挙区でありますが、その中で、一つの小選挙区が十市を持っているということは、まずほかにはないと思います。普通ですと、一つの小選挙区では、あっても二つか三つの市で大体一つ選挙区が構成される。しかし、十市であります。私は、まずこれはほかに例がないと思います。その意味するところは、かつて産炭地として隆盛を誇ったその地域が、夕張を初めその地帯が、閉山によって人口減が相続きまして、今では、名称は市でありますけれども、実態は市としての形が持っていけるかという、非常に財政的に厳しい、そういう状況が今のこの空知の閉山後の実態であります。そこのところをまず御理解いただきたいと思います。  そこで、石炭と米が基幹産業だった空知の各自治体の財政。空知は、一方では産業の米と言われた石炭、そしてもう一つは、北海道の大平原である石狩の平野、そこは日本で最大の米の産地であります、面積においては。その農村も、今こういう米の状況の中で非常に厳しい立場に立たされておられる。したがって、かつては食糧の米であったその米と産業の米だった石炭、この二つが今やまさしくこういう状況にある、そういう地帯であります。そこのところを御理解いただきたいと思います。  そういう中で、空知の各自治体の財政は、まさに石炭鉱業構造調整という特殊な要因、つまり閉山という特殊な要因によって逼迫をし、平成九年度の全国都市の財政力指数ワーストテンの中に空知の産炭五市が入るという状況であります。この十二年間で、空知五市一町、この人口は十二万七千人から八万一千人に減りました。そして、平成九年度の財政力指数の平均は〇・一七と、全道平均〇・四三一に比べましても大きく下回っております。  また、先日の参考人質疑における北海道堀知事の発言にもありましたが、平成八年度財政力指数は、空知五市一町が〇・一八と、全道の過疎地域平均〇・一九をも下回っているのが現状でございます。また、平成九年度の六十五歳以上人口比率も、全道の過疎地域が二三%あるのに対し、空知五市一町は二七%、このように高齢化が進み、人口流出も著しい、こういう発言もありました。  さらに、この五市一町以前に閉山をしました、いわゆる六条地域である空知二市五町、そして胆振の一町、いわばこの二市六町、六条地帯。この閉山の時期こそ八次策以前でありましたけれども、閉山対策関連財政需要等が継続していることは、今申し上げましたように、同様の状況でございます。答申では、激変緩和措置の対象について、八次対策ポスト八次策影響市町村以外の六条市町村については「所要検討を要するものと考えられる。」という表現でありますが、これでは私はいかにも不十分である、こう言わざるを得ないのであります。  六条市町村の中で、人口増減率、工業出荷額、財政力指数等を過疎地域と比較をし、市町村ごとに激変緩和措置検討する、こうなっておりますが、産炭地域と過疎地域では、形成をされてきた歴史あるいは社会環境等、その背景が大きく異なっております。閉山後遺症対策に追われて膨らんだ財政負担地域の発展を大きく阻害をしてきておるのであります。  また、これまで産炭地域経済生活圏単位で産炭地市町村の振興を図ることを目的に、広域的地域振興策にも広域市町村圏で取り組んできた経緯を考えると、地域の広域的な取り組みに水を差すことにもなりかねないと危惧をするものであります。申し上げましたように、空知を考えてみましても、各自治体ごとに閉山の時期や石炭産業への依存度、財政力など、それぞれに条件の違いはありますが、市町村ごとに判断しようというやり方には、結果として地域の結束をそぎ、今後の広域行政の推進を阻害することになるのは明らかであります。  そういった状況の中で、今回の答申で示された激変緩和措置がどの範囲まで及ぶのか、また、措置内容についてそのお考えをお聞きしたいと思います。
  12. 北畑隆生

    北畑政府委員 平成十三年の十一月で現行産炭地域振興法は失効する、こういう前提で審議会で御議論をいただきました。その結果、委員指摘のとおり、八次策・ポスト八次策影響市町村、これは閉山時に市町村が多額の起債等を行い、なおその返済が済んでおらないという意味で、時期的な議論をしていただいたわけでございますが、この八次策・ポスト八次策影響市町村については一定期間激変緩和措置をとるべきである、こういう結論をいただいております。  なお、委員指摘のとおりに、八次策以前に閉山をした市町村につきましても、これは具体的な対象は答申の段階では確定をしなかったわけでございますが、人口増加率でありますとか財政力指数、工業出荷額、こういった部分を判断して、なお閉山による影響が残っておるという市町村があれば、これらについても激変緩和措置必要性について検討すべきである、こういう指摘になっております。  激変緩和措置内容としては、地方財政上の特例措置、自治省において講じられておる産炭地域の普通交付税の補正措置ということでございますが、こういう措置あるいは公共事業補助率のかさ上げ措置につきまして、法失効後も一定期間継続をすべきである、こういう指摘をいただいております。  地方財政上の措置補助率のかさ上げ措置市町村財政力を補てんする措置でございますので、八次策・ポスト八次策影響市町村以外の市町村については市町村ごとに判断をすべき、こういう趣旨答申をいただいたところでございます。
  13. 小平忠正

    小平委員 確かに市町村によって状況は違いますので、市町村ごとに御判断という考えも理解はできますが、空知の広域的なそういう状況の中で、関係市町村が一体となって地域活性化に取り組んでいこう、こういう意欲を持っておりますので、ぜひそこのところは御理解いただいて、効果あるように進めていただきたい、このように強く要請をする次第であります。  さて、次に、今申し上げた中核的事業主体の積極的活用についてでありますが、現在、全国で五つの中核的な事業主体が形成されております。それぞれに地域の実情に応じた事業を展開しているわけであります。答申にも示されたように、中核的事業主体の機能拡充は産炭地域振興対策の大きな柱であります。空知におきましても、平成四年に設立をされた空知産炭地域総合発展機構を中核として五市一町で事業の展開がされてきたわけでありますが、先ほど申し述べました空知二市六町にあっても、同じくかつての産炭地として地域振興に向けての課題を抱えて、平成八年には空知地域振興基本構想を策定して、広域的地域振興の充実に力を注いでまいったわけであります。これは今私が申し上げたことでございます。  答申に示された基金の増額、地域の実情に応じた基金の事業活動の機動的、弾力的な実施については評価できるところではありますが、しかし、空知におけるこうした地域の自発的取り組み支援していくためにも、対象地域の拡大を含めまして広域的地域振興観点、これらを考え支援をしていくべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  14. 北畑隆生

    北畑政府委員 中核的事業主体についての御質問でございますけれども、先ほど答弁をいたしました激変緩和地方財政に関連する措置と違いまして、こちらは委員指摘の、広域的な観点から地元の自主的な活動により地域振興を図っていく、こういう趣旨で設置をされたものでございまして、五十億円規模の基金が造成されておるところでございます。  この事業の範囲は、空知の場合に委員指摘の五市一町に限定をされておって、二市六町の方が対象にならないという御指摘ではないかと思いますけれども、これは今申し上げましたように、地元の自主的な活動ということでございますし、活動の母体になりますのは北海道庁認可の公益法人でございます。したがいまして、その範囲は定款、寄附行為で定められているわけでございまして、御質問の対象地域をどうするかということにつきましては、一義的には北海道庁あるいは地元の御判断ではないかというふうに考えております。
  15. 小平忠正

    小平委員 確かに、道初め自治体が自主的に今後の対策を講じ得る、こういうことの決まりはそのとおりであります。しかし、それでは前進しない。したがってここは、こういう答申も一応出されたわけでありますから、これを基本に、さらにこれが前進し、実際地域の発展に効果あらしめるように、ぜひ政府の果敢な取り組みをお願いしたい、また、改善策をお願いしたい、こういう意味から申し上げておるのであって、そのところを、今そう決まっているからそうだ、そう言ったんでは何の前進もないと思いますので、そこのところは何らかの道を開いて進んでいっていただきたい、このことを要請しておきたいと思います。  あと、そうおっしゃると、これは果たして通産省の所管か、あるいは道か、あるいは自治省か、こういうこともありますが、一応これに関連した問題で、具体的なことでもう一点お伺いしておきます。  地方財政上の支援措置についてさらに申し上げておきますと、起債の借りかえ措置など、こういう公債費負担対策についても私は問題があると思います。  さきに堀知事が参考人の意見聴取のときに発言がありましたが、過疎地域にはない産炭地域の特有の問題として、閉山後、各自治体では、石炭会社が残していった負の遺産ともいうべき不用施設の処理等、新しい地域づくりのための多額の資金を公債に依存せざるを得ない、この公債の償還がさらに財政を圧迫する、こういう事情に陥っております。例えば、炭住跡の問題あるいは廃鉱後の施設、これらは景観も損ね、その地域に住む住民の心情も害している。これはどう転んでも観光施設にはならない、名所旧跡とは違います。これをきちんとした形で整理することがその地域の発展にも大きく寄与する。そのことは、当然それらの地帯も視察をされていると思いますので、御承知であると思います。  そういうことを考えまして、こうした地帯に対し、産炭地域振興関係省庁等連絡会において関係省庁の十分な対応を求めていくことが重要である、私はこう考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  16. 北畑隆生

    北畑政府委員 起債の借りかえの問題につきましては、私どもも地元からたびたびお話をお伺いしております。  私どもの所管ではないわけでありますけれども、委員指摘のとおり、産炭地域振興関係省庁等連絡会活用していくという答申をいただいております。この場を通じまして、地域の実情に応じた支援を行っていくよう、関係省庁等に対して通産省としても働きかけを行ってまいりたいと考えております。
  17. 小平忠正

    小平委員 ありがとうございました。終わります。
  18. 高木義明

    高木委員長 古賀一成君。
  19. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 民主党二番バッターで質問させていただきます。九州、福岡から選出をいただいてまいりました古賀一成でございます。  石鉱審答申が九日に出されまして、この内容も見させていただきました。大変利害が対立する業界代表の委員もおられるだろうし、財政難でいろいろ施策が打ちにくいという中で、エネ庁は事務局として大変御苦労されたな、頑張ってもいただいたなと思うところはたくさんあるのですが、さはさりながら、私は、この答申で、ずっとこういうやり方でいったときに、果たして大丈夫だろうかと思う大きな疑問点を三つほど実は持ったわけでございます。  それを中心に、大変重要な、過渡期にあるきょうの委員会だと私は思うのですね。平成十三年度まであるとはいいながら、もう十二年度の概算要求は間もなくでありますし、きょうの委員会は、ある面では、これからのエネルギー政策あるいは石炭政策というものを、どこに軸足を置いているかということをしっかり確かめておくべき一つの時期であるしチャンスだろう、私はこう思って、ちょっと本質論にわたりまして質問をさせていただきます。  まず第一に、この答申を読ませていただきまして極めて不思議に思ったのは、エネルギー安全保障の視点というものが極めて希薄であるという点でございました。  この点につきまして、まず事務局といいますかエネ庁の方にお聞きしたいのですが、この最終答申に至る過程でのエネルギー安全保障の論議というものは横に置かれたのか、あるいは中にあったのか、あったけれども最終答申では落ちたのか。そこら辺の中身をひとつ、概略で結構でございますから、御説明をいただきたいと思います。
  20. 北畑隆生

    北畑政府委員 石炭鉱業審議会答申を取りまとめるに当たりましては、我が国石炭需給状況世界石炭需給状況から、委員指摘我が国エネルギーの安全保障の一つであります石炭安定供給確保策と国内炭鉱役割について議論が行われたところでございます。  具体的に申し上げますと、石炭につきましては、中長期的に見て引き続き我が国の中核的な石油代替エネルギーとして位置づけられる、こういうことでございます。  また、我が国石炭供給のほとんどを依存します世界石炭市場の動向を見ますと、中長期的には、アジア太平洋地域中心とする需要増加等により今後タイト化可能性が認められる、こういうふうに指摘をされております。我が国石炭供給を依存しておりますアジア太平洋地域産炭国においては、今後、露天掘りから坑内掘りへの移行採掘箇所深部化奥部化等によりまして、採掘環境の悪化が予想されるということでございます。  今申し上げましたこういった状況もと世界最大の石炭輸入国であり、国内石炭需要量の九七%を輸入に依存している我が国状況にかんがみれば、我が国にとって海外炭安定供給確保策は非常に重要な課題である、こういった議論がなされたところでございます。  その上で、採掘環境の悪化に直面しているアジア・太平洋の海外炭鉱に対し、我が国炭鉱の高度な生産、保安技術移転することが、我が国海外炭安定供給確保を図る上で有意義であり、我が国炭鉱活用した海外炭鉱従業員研修事業実施することが有効である、こういう観点から、炭鉱技術移転五カ年計画の策定を提言する答申がまとめられたところでございます。
  21. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今のお話ですと、エネルギー安全保障の論議はあった、そして石炭というものの位置づけもある。それがいつの間にか海外炭というふうにすんなりとすりかわって、だから海外技術移転スキームだ、こういうふうに聞こえるわけですね。これを読みましてもまさにそのとおりなんです。  でも、五十数年前に日本が戦争をやった、まさにその原因というものは、海外炭を求めて、あるいは海外エネルギーを求めて、それが来なくなるからこそ、求めて戦争をやったというのが、ほんの五十年前までの日本の歴史なんです。だから、海外炭さえ求めれば安全保障は成るんだというのは、まさに五十年前の歴史はそうじゃなかったわけでありまして、そこに、国内炭へのもう少し真剣な思いがあっていいのではないかということを私が言う原因があるのですね。  別にこの石鉱審答申だけじゃないのです。これを機会に、最近政府といいますか、あるいはマスコミも含めて、あるいは我々も含めて、エネルギー安全保障という論議が極めて希薄になってきておりまして、ではこの際ひもといてみようかということで、私はちょっと見てみました。  まず、超マクロに日本の経済というものを論ずるのは経済計画だろうと思って、経済計画を見てみたのです。  ちょうど二十年前、一九七九年八月に新経済社会七カ年計画というのがございました。これは、実は「資源エネルギー安定供給」と題しまして、八ページに及ぶ記述があるのです。  二十年前の話でございますけれども、当時日本が置かれた状況、そして役所の、あるいは経済審議会の決意の一端を申し上げますと、決意を新たに、原子力、石炭など石油代替エネルギーや新エネルギー開発に最大級の努力を傾注する、あるいは「短・中・長期の諸施策を同時並行的に、かつ、整合性と実効性をもって実施する総合エネルギー政策を展開する」、世界的に賦存量の極めて多い石炭に重点を置くなど電源構成の脱石油化を中心とした施策の展開が必要。そして、こういう記述もありました。「エネルギーの需給両面にわたる政策は、国民一人一人の理解と協力を得て取り組む必要がある。」  これは重立ったところなんですけれども、ここまでのいわゆる気迫というか問題意識というか、あるいは国民だって理解してもらわぬといかぬというところまで踏み込んだ論述が実はあるわけです。  ところが、翻って、ちょうど二十年後のことし七月、経済計画と呼べるかどうかわかりませんが、経企庁経審の方で、経済審議会ですね、経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針というのが出たわけですけれども、わずか三行なんですね、たった三行。そして、ここに書いてあることが、私は噴飯物だと思います。  「第二次石油危機による混乱が収束して以降のエネルギー資源の過剰状態が、将来も続くとは限らず、」こんなの当たり前のことなんですけれども、「特に、開発途上国の人口増加アジアにおけるエネルギーの域外依存の高まりは今後の大きなリスク」、これだけなんです、エネルギーに関する記述は。「エネルギー資源の過剰状態が、将来も続くとは限らず、」もうそれはだれでもわかってますよ。将来枯渇するんではないかというのが問題なんで、こういう認識である。それから、人口がふえるというようなくだりですね。  いや、一番怖いのは、こんなじわじわ来るエネルギーの危機じゃないんです。中東がどうなる、戦争が起こる、マラッカ海峡がどうなる、何が起こるかわからぬところに、極めて脆弱なるそのバランスの中に、石油の日本への輸入といいますか確保があるというところに問題があるわけで、私は、本当にこうなりますと、政府というのはエネルギー安全保障というのをどこまで考えているんだという感じすらする。  そして、今度の総合エネルギー調査会の需給部会中間報告も読ませていただきました。問題意識は書いてございますけれども、エネルギー安定供給を図ることはエネルギー政策の根幹であり、国家安全保障上も最重要の課題、ここで切れておりまして、私は、こうして見たときに、別に石鉱審に限らず、エネルギー安全保障への問題意識が、日本の政府というか、今の日本の社会というか、極めて弱いと思うんですね。この石炭対策特別委員会、将来どういうふうになるんだろうかという論議も今後あると思うのです。そうしたときに、今のような問題意識のままだと、もう石炭対策平成十三年度で終わる、エネルギーに関して、まあそう大したことなかろうという流れになるんじゃないか。  本委員会が今後どうなるか、国会はどう責任を負うかという問題も絡めて、私は、この答申一つの欠点は、エネルギー安全保障の視点が極めて欠落しておるということを申し上げ、再度これは大臣にぜひお聞きしたいのです。  この答申にこう書いてあるんですね。これは、単に問題意識が希薄というよりも、私は、石炭というものはもうエネルギー安全保障上カウントする必要がないと読めるくだりがございます。この部分は私は納得できません。こう書いてございます。国内炭役割を、国内エネルギー供給源として量的な観点から位置づけることは、困難、こう指摘してございます。つまり、国内炭のウエートが今や三%になった、一次エネルギーのシェアからいって国内炭は一%のシェアしかない、だから、これほど小さくなったシェアだから、国内炭役割国内エネルギーの供給源としては位置づけることは困難と書いてあるんですね。私は、これは重大なるこの審議会のミスというか、発想の間違いじゃないかと思うのです。  もう少しわかりやすく言いますと、例えばこの論理で少子化社会を論ずれば、これから少子化で子供が日本では少なくなってくる、だから将来、日本の労働力は期待できないと言っているに等しいんですよ。この点、なぜ国内炭が小さくなったから国内エネルギーとして位置づけることは困難、こういうとんでもない記述になったのか。私は、その経緯はともかくも、こういう発想に対する大臣の御意見、御所見というものをぜひこの際お聞きをいたしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  22. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 この答申に流れておりますのは、決してエネルギーの安全保障を軽視するという思想が流れているわけではございません。  先生御指摘のとおり、やはり若干最近は、石油も量的には世界じゅうで余っておりますし、石油価格も下がったということもございまして、日本人全体の、エネルギーの安全保障と申しますか、エネルギー確保しなければ日本の経済が立ち行かないという観点からの議論が、石炭、石油に限らず、少し希薄になってきたということは事実でございまして、そこのところに思いをいたさなければならないというのは先生の御指摘のとおりだと思います。  一方では、この答申を書かれた先生方、学識経験者の方々の心の中には、むしろ、日本の石炭産業を継続していくということを考えた場合に、どの切り口からいけば正当性が得られるかということを多分お考えになったのではないかと思います。そういう意味では、エネルギーの安全保障ということからは多分正当性は得られないだろうということで、いろいろな考え方の工夫をされてここの答申に至ったと思うわけでございまして、決して、考え方としてエネルギーの安全保障を軽視したのではなくて、日本の石炭、二炭鉱を続ける上でのどういう切り口で正当な存続理由を探すかというときに、安全保障という切り口では十分ではないということがここに書いてあるというふうに私は理解をしております。
  23. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 わかりました。  三井三池も二年前に閉山したのですが、私自身は今、先ほど言いましたような思いから、何でこういう優良炭鉱を残すような話にならないか、こう思っておったのですが、今の大臣のお話で、確かに、世の中全体がエネルギーに関して危機意識がない。国民の危機感は完全に風化したとある経済計画審議のベースになったペーパーにも書いてございました。これが先ほどの海外技術移転スキームが十八年度までという話になってくるのです。  私は、後ほどこの質問はいたしますけれども、根本の、どう取り繕おうと日本のエネルギー資源がない、国内資源石炭しかない、そしてそこに優秀な技術がある、地域はその存続を望んでおる、そして、石油というのはいずれ枯渇する資源であり、少なくもその途中に暴騰を繰り返す資源である、これはもう全部はっきりしているんですよね。  あとは、国民の皆さんがそこまで先に心が及んでいないという点でありまして、私は、技術移転、そのスキームは一つおもしろいスキームだと思います。しかし、私は、その土台というものは、やはり長期にわたり日本の我々の子孫に極めて脆弱なるエネルギーの需給環境を与えるわけにいかない、最低限のエネルギー安全保障は今の我々の世代が布石を打っておく、その点に論理の根本は絶対置かなければならぬと思います。私はこう思うのですが、大臣としては、その点どう思われますでしょうか。  今、審議会の先生方の気持ち、あるいは世の中の気持ちを一つ的確に御分析いただいたと思うのですが、エネルギー所管大臣として、今のようにやはりエネルギー政策の原点は、海外技術移転という理屈を出せばこの十八年までは延びるだろうという論理じゃなくて、エネルギー安全保障、もっと長期にエネルギー確保することが行政の役割だ、私はそう思うのですが、その点につきまして再度大臣の、一番重要なところだと思います。御所見をお伺いしたいと思います。
  24. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 この答申で述べられておることを二つに要約いたしますと、国内炭鉱存続させるための根拠というのは、技術という観点から進めていくのがいいだろうという観点と、もう一方では、過渡的な部分はしようがないけれども、ある種の経済性を目指して努力をしていただきたいというこの二点に集約されるんだろうと私は思っております。  エネルギーの安全保障ということを考えますと、エネルギー源を多様化するという部分と、それから供給先を多様化するということと、それからもう一つは新エネルギー開発していくということと、いろいろな組み合わせで物事を考えていかなければならないと思いますが、私は、日本の石炭も三%とはいえ日本のエネルギーを供給しているわけですから、そういう観点からも、安全保障の一環として考えていただいてもこれは正しい考え方だろうと思っております。  ただ、安全保障と価格との相対的な関係というものは考えていかなければなりませんし、石炭価格とその時々のエネルギーのカロリー当たりの価格というものも考えていかなければならない一つの要素であって、ただただ安全保障の観点からだけではなく、やはり複合的な観点からこの問題を考えていく必要がある、そのように思っております。
  25. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 この点、非常に重要なんでいろいろ論議をしたいのですが、後の論点もございますので、次に進ませていただきます。  次に、今度、ポスト八次の終局が提言されておりまして、それに伴ってその後は、るるお話がございましたように一般施策へシフトしていく、あるいは各省庁の一般施策活用を図るとか、あるいは各省庁の協力をいただくとか、補助率のかさ上げをねらうとか、地方交付税の措置をお願いしておるとか、こういう話がありました。  でも私は、まずこういうスキームだけで足りるのかなという点が一点。地方交付税にしたって、補助率のかさ上げにしたって、全部先行き大変な、もう既に大変な問題をはらんでいるスキームなんですね。私は、もう地方交付税という制度は破綻していると思っているんです。ことし二十兆あるべきところが八兆円も穴があいている。隠し借金というか、累積借入金が二十九兆ある。実はもう恐るべき状況なんですね。東京都が、来年度は千二百五十億の地方交付税まがいのものをもらうのです。もうとんでもない状況になっているんですね。だから、こういう一般的な措置移行しますよ、連絡協議会で何とかなりますよという程度でこの産炭地の問題というものが片づくとは私は思わないのです。  そして、この産炭地の問題というのは、ある面で産炭地だけの問題じゃないんです。日本全国で今起こっている不景気。これはやはり、日本全体に物余りがある、すべての産業にわたって生産余剰能力になっておりまして、生産過剰なんです。そういう問題の一番基礎的な部分、あるいは歴史のある部分、それが石炭なんですね。だから、石炭産業にこの程度の一般措置を講ずるということで物が進むはずはないと私は思います。  そこで、具体的提言でありますが、この前ヒアリングのときに私はエネ庁の方に申し上げましたけれども、日本経済がこれまで行き詰まっている。地方も今、地域振興のスキームがない。市町村も都道府県も、新しいパラダイムの地域振興策というものを考えあぐねているんですね。まさにポスト八次策のキーワードは新分野開拓ということでございましたので、かつての新産・工特という例は余りよくないかもしれません、時代が違いますから。重厚長大の新産・工特じゃないんですが、私は、この際、新産・工特のようなああいう骨太の、一つの次の時代を切り開くようなイメージを持つ新分野開拓先進地域といったようなモデル事業、そういう新しい骨太の力強い地域経済開発スキームというものをつくれないものだろうか、ある面ではそれは最高のチャンスじゃないか、こう思うんですね。  私の地元を例にとりますと、では具体的にどういうことだと。私もよく地元に帰って町の人とかと議論します。私は、大牟田あるいは久留米を抱えます旧福岡三区出身の国会議員でありますが、例えばこういう話もあるんです。大牟田には、三井が持っている膨大な土地があります。ここを例えばエコリサイクルシティーというようなことで、九州各地からの高速道路を使っての、もちろん廃棄物もあるでしょう、発電もあるでしょう、リサイクルもあるでしょう。そういった概念で何か集中的な町おこしというか、地域開発的なコンセプトで開発ができないか。  あるいは、大牟田という土地も久留米もそうなんですが、大変病院が整備されたところなんですね。かつて鉱山があったこともあるでしょう。病院が物すごく多い。これだって、これからのニーズからいうと、ホスピタルシティーといいますか、それは単に近所の筑後地方だけ面倒を見るんじゃなしに、もっと広い視野で、この十年、二十年はそういう高度な医療機能が集積した地域にするとか。  例えばそういう次の時代を担っていくいろいろな新分野開拓の先進地域、手を挙げろ、そういうような経済スキームというか地域開発スキームというか、そういうものが検討されてしかるべきだと私は思うのです。だから、この産炭地域というのはまさにそのモデルケースとして一番いいと思うのですが、この点、補助金のかさ上げだとか各省庁の連絡協議会で何とかしてもらうとか、要するに一般施策だとかに円滑に移行していくんだとか、そういう発想ではない、新たな次の時代を切り開くといいますか、未来志向のスキームというものを私は考えるべきだと思いますが、御所見を賜りたいと思います。
  26. 北畑隆生

    北畑政府委員 現行産炭地域振興対策は、閉山あるいは石炭鉱業の不況といったことによる特殊な地方の疲弊、これを回復するという趣旨で講じられておりますので、地方財政上の措置、公共事業のかさ上げ、こういった措置中心になっておるわけでございます。  ただ、こういうマイナス点の補正だけではいけないというのは委員指摘のとおりでございまして、産炭地域振興審議会におきましても、地域ごとにその特性を生かした新事業の創出、二十一世紀をにらんだ新しい産業の育成、こういった議論をしていただきました。その結論は、地域ごとに地域の産業資源地域の特性を活用するということ、それから地元の創意工夫によりやっていく、こういうことでございました。  委員指摘の大牟田におきましては、石炭鉱業にかえて環境リサイクル産業を町おこしの中核にしていくということで、委員指摘の、閉山をした炭鉱の跡地を活用した事業が動き始めております。また、筑豊田川地区では、新しい産業として情報ソフト産業を育てるという県の意向で、たがわ活性化センターといったものが設置をされております。  こういった地域の特性を生かしながら地元の発想で新しい産業を育成していくというのが趣旨であろうと思っております。また福岡県では、新事業創出促進法という法律がございますが、これを産炭地域も含めて活用していくということで、現在検討をしておられます。  こういった地域ごとの創意工夫を、通産省としても、一般施策をできるだけ活用しながら支援をしてまいりたいと思っております。
  27. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 時間も迫ってまいりましたので、最後の質問に移ります。  先ほども大臣の方から御答弁をいただいたような気もします。つまり、炭鉱技術移転五カ年計画、この構想でありますが、平成十八年度までの期限つきという提案でございました。これは端的に言えば、平成十八年度で終わる、準備期間が二年で、五カ年ですからあと五年で終わるということですが、こうして見ますと、要するに、タイトルは技術移転五カ年であるからして、私は、これは一つは国際貢献によるエネルギー安全保障なのかな、こう思う。あるいは、長期的な国際貢献スキームだろうとも思う。  しかし、十八年度でぴったり切りますよと言わんばかりの記述になっておりますから、これは実は国際貢献というスキームでもなく、エネルギー安全保障の一つの戦術的、戦略的な部分でもなく、要するに、電力業界さんに、まあ、こういう国際貢献もすることだから十八年度まではつき合ってよという、それが結論だろうと私は思うんですね。でも私は、それでいいのかなという疑問を大変大きく持ちます。  その中で、なぜ期限つきになったかは聞きませんが、先ほど内外価格差の話が御説明ございましたが、私は、あの説明は絶対おかしい、根本的におかしいと思うんですよ。なぜなら、内外価格差というものは、日本全体のすべての産業、すべての物品にわたる内外価格差をゼロにしよう、それはわかりますよ。  でも、なぜ石炭がこういう状況になったかといいますと、戦後、日本は経済が破綻した、それで、基礎産業である石炭、鉄鋼こそ国おこしのベースだということで、いわゆる石炭が立ち上がり、掘った。それを下支えに置いて、日本経済というのはより高度な産業体系をつくってきたのです。石炭、鉄鋼が下支えして日本の経済復興があり、経済の高度化がなし遂げられたのです。その最先端に、例えば半導体がある、コンピューターがある、自動車がある、それが輸出産業としていく、そこが反映されて為替レートが変わってくる、こうなるわけでしょう。  だから、一番基礎的な部分が内外価格差数倍で取り残されるのはもう当然なんですよ。それが五倍だったら許せない、それはわかるんですよ。でもそれが、石炭をも内外価格差ゼロまで企業努力しろというのは論理的にあり得ないことだと私は思うのです。それならば、日本の人件費を例えば中国、ベトナムと同じにしろという議論と全く一緒ですよ。私は、日本全体における全産業、全品目にわたる内外価格差をゼロにしろという論理はわかるけれども、まさに基礎産業で、条件も違う。そして、為替レートが変わってきたのはやはり最先端のそういう輸出産業ですよね。それとの総合調整の中で今の為替レートがあるわけですから、それを一番弱い基礎産業の石炭の部分についてまで内外価格差ゼロというのは、私はおかしいと思う。  したがって、私は、この十八年度で内外価格差がゼロになればこれは続くのですか、まずちょっとお聞きしたいのですけれども。このスキームというのは、内外価格差ゼロまで石炭合理化してくれ、頑張れよ、こう書いてある。では、頑張った場合はこの技術移転スキームというのはどうなるのでしょうか。それをちょっと確認したいと思います。
  28. 北畑隆生

    北畑政府委員 答申では、炭鉱技術移転計画を五カ年計画といたしましたのは、技術移転を集中的、計画的にやるべきだ、こういうことでございます。  背景といたしましては、中国炭鉱深部化が進んでおります。おおむね今後十年ぐらいの期間に深度が主要炭鉱で五百メーターの水準に入る。これは審議会でも御議論いただいたのですが、五百メーターあたりからガス突出、地盤の関係で非常に事故が多くなるということでございまして、中国だけを念頭に置いているわけではございませんが、そういう意味で、急いで技術移転をしなければいけないというのが一つでございます。  中国以外では、ベトナム、インドネシアにつきましては、露天掘りから坑内掘りがここ五年から十年の間に急速に比率が高まってまいります。  そういった意味で、五カ年間で集中的、計画的にやるということが一つのポイントでございます。  それからもう一つは、我が国の体制の問題でございますが、二つの炭鉱受け入れられる研修生の人数、これを考慮いたしまして、五カ年間あれば、日本の技術を習得した技術者一定程度確保できる。この人たちが五年後には、現地で、モデル炭鉱あるいは現地にある石炭技術センターを中心として、日本で研修を受けた人が現地の労働者を研修する、そういう体制が整うだろう。そういうことでございまして、この移転計画は、五年間に集中的に、計画的にやる、こういうことでございます。  そういう意味では、内外価格差の問題とは直接関係いたしません。先ほどの答弁は不十分だったかもしれませんが、この五カ年計画と連動する形で、電力業界が引き取り協力をしていただくということになりました。これは一種のソフトランディング期間とお受け取りいただいてもいいと思うのですが、この間に、二炭鉱は、合理化努力をいたします、一層の合理化努力をして、もちろん為替その他いろいろな問題がありますけれども、十九年度以降はそういう引き取り協力がなくても自立していけるための努力をする期間というふうに炭鉱側は受け取っておると思います。
  29. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 これで終わります。
  30. 高木義明

    高木委員長 鰐淵俊之君。
  31. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、自由党の鰐淵でございます。  石鉱審答申をいただきまして、若干の御質問をいたしたいと思っております。  私は、かつてこの石特の委員会の中でも、大臣に、現在稼行炭鉱二鉱あるわけでございますが、経済合理性のみでこの問題を考えていくのは間違いではないかな、もっと炭鉱の持つ多面的な意義を十分評価していただいて、ぜひひとつ勘案をしていただきたいという要請をいたしましたところ、大臣におかれましては、技術というのは非常に大事なことだ、やはり技術は人から人へ移転していかなければならないものだということで、当時大変積極的な御答弁をいただきまして、私は、実はこの答申案に大変期待を持っておりました。  以前は、両論併記ということで結論が出なかった。私は、こういう時期ですから、早く結論を出すべきではないか、こういったこともお願いをいたしておりまして、今回出た答申を、ただいま大臣あるいは長官、私もじっくり読ませていただきました。各利害関係のある方が非常にぎりぎりまでお互いに調整するといいましょうか、お互いに話し合って、本当に最大公約数の、私としては大変評価に値する立派な答申が出た、このように積極的に評価をいたしております。  その中で、この答申の中で何が一番の評価をするゆえんかといいますと、稼行炭鉱は残すべきである、永続させていくべきであるという観点に立ちまして、まずは、この稼行炭鉱二鉱を残すということにいろいろ工夫を凝らして答申が出ておる。しかし、その中には、当然、経済性を無視するわけにまいりませんから、できる限り稼行炭鉱コスト削減にぎりぎり努めていく、こういうことも載っておるわけであります。これはやはり当然のことであろうというぐあいに思います。  それからいま一つは、ただいま古賀委員質問で、核心をつく質問がございました。それは何かというと、この答申は、言ってみますと、十八年までいわゆる電事連が協力をします、しかし、後半は一万円以下まで引き取り価格を落としますよ、こういうような意味合いも書いております。したがって、十八年になりますと、あとは自由取引にしていただきたい、これは電事連の主張だと思います。  それで、その中で、炭鉱技術移転五カ年計画というのを政府で策定することになったわけであります。そこで、五カ年はわかるわけです。ただ、政府も、言ってみますと、電事連のように、十八年になれば後はわかりませんよ、みんな後はひとつ自助努力してくださいよという形では、これはやはり片落ちではないかというぐあいに思います。これは移転五カ年計画をつくってからその後どうするかという問題ですが、やはり、石炭政策の中で今石炭の持っている多面的な意義は、この答申の中で非常によく書かれております。「国内炭鉱役割とそれを支える国民経済的負担の均衡に向けた国内炭鉱の在り方」という中で、非常に立派な記述が書かれております。  こういうことを考えてみますと、私どもの期待は、やはりこの移転五カ年計画を立派につくっていただき、そして稼行炭鉱努力をする。そして、今の客観情勢からいたしますと、日本は何としても石炭の輸入大国であります。したがって、これからも石炭需要は、私は日本は旺盛だと思うわけであります。ですから、そういう中で、稼行炭鉱の持つ、これまでの答申で出された意義というものは、高くなりこそすれ薄れることはない、私はそのように確信を持っておりますので、そういう意味から、今回出されました八月九日の石鉱審答申、これを大臣といたしましてはどう評価され、さらに、そこに盛られた具体的な提言内容がるるございますが、そういったものをどんな決意でこれから対処されようとしておるかということにつきまして、大臣の所信を述べていただければ、このように思います。
  32. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まず、国内炭鉱が二つ存続するということは、私は、個人的には大変いい答申をいただいたと思っております。それは、技術の問題もさることながら、地域社会との関係もございますし、将来何が起きるかわからないエネルギー需要の中で、二つとはいえ炭鉱が今後も存続するということは、やはり大事なことだと思っております。  一方、電力会社も苦しい立場でございまして、電力の消費者からはなるべく安い電気をつくれということを要請されておりますので、当然、電力の経営者は安い燃料を求めて自分たちの企業行動を決めていくということをしなければならないという責任もありますし、一方では、電力料金というのは、結局はコスト・プラス・フィー、いわゆる原価主義、原価プラス適正報酬という形で成り立っているではないかという議論も当然成立するわけでございます。  しかし、電力会社の経営者も、少なくとも、当面石炭は引き取ってくださるということでございますから、その間に、稼行炭鉱の方々も相当合理化努力をされるということになっておりますから、先生御評価くださるように、バランスのとれた答申をいただいたのではないかと私は思っておりますし、この答申に基づきまして、国会を通じて皆様方といろいろ意見を交換しながら今後の石炭政策を展開していきたいと思っております。  私が思っておりますのは、今の時点で物事を考えると、今のいろいろな前提条件で物を考えざるを得ない。ただ、為替レートとか世界エネルギー事情とか、いろいろ変わってまいりますので、刻々と状況は変化する中で、現時点という断面で物事を判断している、ぎりぎりのところで答申をつくってくださったものだ、そのように私は実は思っております。
  33. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいまの大臣の御発言につきましては、私も全く同感に思います。刻々変わる国際経済の中で、特にエネルギーの変遷は大変激しい変転がありますが、とにかく、この石炭につきましては、これから日本においてもっともっと輸入していくことがどうしても必要であるということは言えるわけであります。  それから、先ほども説明がありましたように、中国あるいはインドネシア、そういった産炭地域においても、これは石炭の消費地である、そういう意味で、日本に安定的に供給でき得るかどうかというのは不安定要素であります。  それから、将来に向かって、露天掘りはオーストラリアあたりでもやっておりますけれども、環境問題が非常に大きく取り上げられておりまして、なかなかあのような採炭というのは難しくなってくる。どうしても、それではやはり坑内掘り移行せざるを得ないわけであります。これは世界的な傾向だと思います。そうしますと、どうしても石炭のコストは上がってくる、私はそのように考えます。  それからもう一つは、石炭の質という問題もあると思います。サルファーが多いとか少ないとか、アッシュが非常に良好だとか良好でないとか、いろいろな問題がございまして、これから、先ほどおっしゃった為替の相場、円安になりますと、当然海外炭は割高になっていくわけであります。  そんなことも考えてみますと、まずは、この答申のようにしっかり通産省が、資源エネルギー庁が具体的な政策を出されて進めていけば、稼行炭鉱においても必ずそれに呼応してしっかりと頑張っていくもの、私はそのように考えているわけでございます。  さて、そこで、私は、大まかな答申概要をかんがみまして、特に、政府炭鉱技術移転五カ年計画というものを平成十八年まで策定することになっておりますが、あと一、二年はこの策定のためのいろいろな準備をしなければならない、こう思います。これらの政府の策定につきまして、今後どんなスケジュールで、しかも、その技術移転計画というものは、どんなスキームといいましょうか、どんな要素というものが今考えられるのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  34. 北畑隆生

    北畑政府委員 答申をいただきましたので、答申趣旨にのっとりまして、早急に炭鉱技術移転五カ年計画の具体化を図ってまいりたいと思っております。  この計画趣旨は、海外炭鉱の現場の技術者を大規模かつ長期に我が国炭鉱受け入れ、いわばオン・ザ・ジョブ・トレーニングの形で採炭、掘進等の作業を体験する機会を持っていただく、こういうことによりまして、我が国炭鉱技術者が長年にわたり身につけた技能、ノウハウを海外技術者に伝えていく、こういう趣旨のものでございます。対象国としては、中国インドネシア、ベトナムなどを想定しております。そして、相手国の側においてもモデル炭鉱あるいは保安技術センターといった拠点を整備していただきまして、そこを中心に集中的に技術移転を行う。先ほど御答弁いたしましたが、五カ年たてば地元で技術研修ができるような体制を目標といたしております。  そういった意味で、平成十四年度から十八年度までの五年間で集中的かつ計画的に技術移転実施していくというのがポイントでございます。  実施は十四年度以降でございますが、二年間、そのための準備を進めてまいりたいと思っております。準備としましては、一つは、今申し上げました相手側の体制整備でございます。それからもう一つ国内体制整備でございまして、外国人の技術者を大量に受け入れるわけでございますから、施設面も含めまして、それなりの準備が必要だと思っております。  こういった準備の点も含めまして、今後財政当局と調整をし、具体化を図ってまいりたいと考えております。
  35. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 移転五カ年計画考え方といいましょうか、進め方というものは今部長から述べられたわけでありますが、私は、先ほど来からも議論がありますが、この答申の中で出されております国内炭鉱の持っている意義、意味というものは、単なる経済の合理性のみで考えてはならない。やはり多面的に持っている稼行炭鉱の意義というものを深く理解し、なおかつ、これからのグローバル化した時代に、国際的な、いわゆる炭鉱技術の貢献といいましょうか、あるいはまた国内炭鉱の持つノウハウの貢献とか国際的な交流とか、こういう中で、五カ年でもってその意義がすっかり終わるというぐあいには考えないのでありまして、ますます重要性を増していく、私はこう思っているわけであります。  ですから、まずは五カ年計画をきちっと策定していただきまして、私どもの要望といたしましては、しかる後においてもなお、日本における稼行炭鉱の意義は薄れない、その意義が高くなることはありますけれども薄れることはない、こう私は確信をいたしておりますので、ぜひ、そういったことも必ず勘案しつつ技術移転五カ年計画を策定していただきたい、こう思っているところでございます。  さて、次の質問でございますが、今回の答申におきまして、いろいろ私は各社の、マスコミあるいはその他の解説書を見ました。マスコミ等におきましてもいろいろ取り上げ方がございまして、積極的に評価をする取り上げ方、それからもう一つは、単にこれは延命ではないか、しかも内外価格差を単にちょっと埋めるだけじゃないのか、そういう非常に消極的な評価の仕方、こういうものが実は見られたわけであります。私は、それはまだよく理解していただいておらないのではないか、マスコミがそうであれば国民はなおさらのことだと思うわけであります。  したがって、この答申に出されておる炭鉱技術移転五カ年計画の策定に当たりましても、あるいはまた電事連の皆様方の協力をしていただくにいたしましても、こういった国民の理解とか国民の協力とか、これは非常に必要な背景だと私は思いますので、ぜひひとつ政府としましても、そういう意味ではもっともっと国民に対して、理解を深めていくといいましょうか、あるいはまた十分説明をするというのでしょうか、そういったことが私は必要だと考えるわけでありますが、その点についていかがでしょうか。
  36. 北畑隆生

    北畑政府委員 審議会の答申を取りまとめていただく過程におきまして、いわゆるパブリックコメントの募集というのを行いました。答申の原案を公開いたしまして、広く国民の皆様から御意見をいただきましたが、その結果は、おおむね評価をいただいていると思っております。  なお、答申案でも、エネルギーセキュリティーの観点から万全の対策を講ずることが必要であり、我が国炭鉱がその役割を積極的に果たしていく場合、国民経済的負担を伴う国のエネルギー政策として海外炭鉱との技術協力事業実施することについて、広く国民の理解を得られるであろうという文章も入っております。  今後、この施策を具体化していく過程におきましても、委員指摘のマスコミも含めまして、広く国民の御理解をいただくような努力をしてまいりたいと考えております。     〔委員長退席、島津委員長代理着席〕
  37. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 今の部長の答弁にございますが、ぜひひとつそういう形で、国民に十分説明をしていくということは大変大切なことだと私は思います。そうすることによって、恐らくマスメディアの皆さんも十分理解していただけるもの、私はそのように考えておるわけでございます。  さて、私は先ほど来お話ししておりますとおり、この答申案の骨子は、一つは、稼行炭鉱は自助努力をしていくということ。それからもう一つは、電事連もその間、十八年までは協力をする。これはもちろん政府移転五カ年計画に呼応するといいましょうか、そういうこと。それについては厳しいコスト削減はやはりやってほしい、経済の合理性を無視するということではなくて、できる限り労使がコスト削減努力をしていただきたいということ。  それから、稼行炭鉱所在市町村あるいは都道府県、こういったところが積極的な支援をすべきであるということもうたっております。私は、それぞれの自治体は真剣にサポートしようと考えておると思います。しかし御案内のとおり、これも先ほど古賀委員から申されましたが、交付税等も、交付税特会からどんどん借り入れしていますから、何十兆という赤字になっておるわけであります。しかし、そういう中でも、景気をうんと上げていくことによって、だんだんそういうことが解決できると思いますが、地方財政も、そういう状況ですから大変厳しいわけでございます。  ですから、気持ちはやりたい、知事にしても市長にしても町長にしても、思い切って自分たちの稼行炭鉱、所在する炭鉱にやりたいと思っておると私は思うのですが、しかし、どうしてもそれは気持ちだけではだめでありまして、やはりお金が必要であります。そういう財政支援をするということになりますと、自治体といたしましてはそれを裏づけるお金、財政支援というものが必要だ。  そのためには、ぜひひとつ資源エネルギー庁の方でも、そういった炭鉱に出し得るもろもろの支援のための支出があるとするならば、自治省サイドあるいはその他の官庁においてそういう制度があるとするならば、そういった制度を十分導入する。今まで手っ取り早いのは、自治体でやるものが産炭地補正とか特別交付税とかそういったものに該当して、実際支援するお金の何割かを政府が肩がわりするというか面倒を見る、こういうシステムを構築でき得れば、所在市町村あるいは都道府県は積極的に支援する、このように私は思いますので、そういった点の交渉等についての見解をひとつ伺いたいと思います。
  38. 北畑隆生

    北畑政府委員 答申では、委員指摘のとおり、地域振興雇用確保という観点から、地方自治体による支援をお願いいたしております。  私どもといたしましても、地方自治体と調整をいたしておりますが、地方自治体による炭鉱支援が充実し、かつ、的確なものが実施されるよう期待をしておるところでございまして、委員指摘のような自治省における措置についても、地方自治体から要望が出ておるというふうに聞いております。私どもも自治省と十分相談をしてまいりたいと考えております。
  39. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私も衆議院の地方行政委員会理事として、地方行政の委員会に所属しておりますので、そういった意味ではひとつ積極的に自治大臣を初め自治省にはぜひ要請をしていきたい、かように思っておるところでございますので、どうか資源エネルギー庁におかれましても、大いに各省の折衝に精力的に当たってもらいたい、このように要請をいたします。  さて、三十分の質問ですから、産炭地振興あるいはまた鉱害問題、これは非常に大きなテーマの二つでありますが、私自身が住んでいるところは釧路でございますので稼行炭鉱にウエートを置いた質問になりましたが、最後、産炭地域の問題について御質問をしたいと思っております。  産炭地域は、むしろ、稼行炭鉱はもう二鉱ですからほとんどが炭鉱閉山地域でありますから、その閉山地域というのは非常に疲弊をしておるといいましょうか、なかなか活気を取り戻せないでいるというのが実情でございます。そういう意味では、産炭地域振興対策として、あの答申に盛られているような内容をさらに継続してやっていくということが必要でございます。  そこで一点、産炭地域総合発展機構というのは全国でつくられておるわけでございますが、大体五十億円拠出されて、国と地方自治体という中で、あるいはまた民間の企業も入れまして、五十億という基金を積んでおります。ところが、どこの所在市町村の首長に聞いても、とても今の利息では、五十億積んでもどうにもならないというんですね。何にもこれといった使い道がないというわけです。  したがって、第一点は、この五十億円ではとても足りないので、ぜひこの基金を増すということが必要ではないか。第二点は、場合によっては、緊急避難的な要素もあるけれども、本当に産炭地域のために非常に大事な仕事ということであれば、基金の取り崩しも緊急避難的に必要ではないか。これは、大蔵省はなかなかガードがかたいと思いますが、ひとつ大臣にも大いに頑張っていただいて、これらの点についてどうお考えになっておりますか、御説明をお願いします。
  40. 北畑隆生

    北畑政府委員 産炭地域振興審議会答申におきましては、産炭地域振興法の失効後の産炭地域振興対策のかなめとして中核的事業主体役割が重要だ、こういう御議論をいただきました。ただ、現状の中核的事業主体が低金利のもとで十分な事業がやれておらないということも審議会で御指摘をいただいたところでございます。  答申では、この中核的事業主体事業規模の増額、それから、地域の実情に応じた事業活動の機動的、弾力的な実施が可能となるよう所要支援措置を講ずるべきだ、こういうふうに指摘をいただいております。したがいまして、委員指摘のような点も踏まえまして、今後この措置の具体化を財政当局と相談してまいりたいと考えております。
  41. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 最後になりますが、今回の答申は、非常に長い間委員の皆様方が御苦労されてこの答申としてまとまった、このように私も理解いたします。これらの委員の皆様方の御努力を非常に多としたい、このように思っております。  そして、この答申に盛られている提言内容につきましては、政府といたしましてもぜひ前向きに受けとめていただきまして、先ほど来から質疑にあります、政策として出す炭鉱技術移転五カ年計画というものが、五カ年と区切っておりますけれども、これを中長期という形からもっと先を見たもののその一里塚といいましょうか、そういうような考え方計画を練っていただければ非常に幸いだ、このように私は思っております。  そしてまた、稼行炭鉱においては、本当に存続が果たして可能か不可能か、こういう中で、我々地域の住民は守ったわけでありますが、幸い稼行炭鉱存続できる、しかし、その中に厳しいコストの合理化が迫られることも事実でありますが、まずは雇用が守れたということは安堵すべきことであります。  今後十分、政府政策、それから関係協力者のもと稼行炭鉱も将来長く永続できるように努力していくものと私は期待をいたしておりますし、また、そこの所在の自治体におきましても、できるだけ、自治体の支援についてはまた別な角度で私どももぜひ協力するように努力をしていきたいと思っておりますので、今後、大臣を初め、ぜひ石炭政策につきましてより充実した政策内容が出されますことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。     〔島津委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 高木義明

    高木委員長 児玉健次君。
  43. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  このたび示された政策は、日本の石炭産業の存続、そして、この後の発展のために当面講じられる最小限の政策的な措置である、そのように私は考えております。何しろ、今後に向けて、この二つの炭鉱という、日本の国内石炭産業を考えるために火種となる二つの山が当面残されることになった。そして、国会としても、この後時間をかけて日本における石炭産業のあり方について大いに議論をしていきたい、こういうふうに思っています。  最初に私は、一、二、指摘しておきたいことがあります。  それは、何といっても、今後炭鉱労働者の生活と権利がしっかりと守られていくこと、これが非常に重要であるという点と、それと太平洋と池島、両鉱が存在する地方自治体に対して相応の支援を国の政策として提起することになりますから、これはそれぞれの地方自治体にとっては、地域的な特別の事情ということにもなる。鉱山税のことについても既に論議が始まっていますけれども、そういうところに対して、国として、交付税交付金の措置などを含めて、一定支援を行う必要があるだろう。これはもちろん通産省そのもののお仕事ではありませんけれども、その点で、先ほども議論がありましたが、通産省として、省庁の間で協議をしていただきたい、この二点目についてはまず最初にお答えをいただきたいと思います。
  44. 北畑隆生

    北畑政府委員 答申の中でも、産炭地域振興審議会答申審議に当たりましては、関係省庁の事務次官が委員として参画をされております。また、答申の中では、産炭地域振興関係各省等連絡会を今後とも活用すべきだという御指摘をいただいております。それから、石炭鉱業審議会関係でも、自治体も委員になっていただいておりますほか、関係各省は、委員ではございませんが、随時相談をしながら答申案の取りまとめをやってまいりました。  今後も、各省と十分な連携を図って石炭政策を推進してまいりたいと考えております。
  45. 児玉健次

    ○児玉委員 この後の石炭産業に関連して、具体的な問題にわたって私は幾つか質問をしたいと思います。  その第一は、日本の石炭産業を存続させ、将来の発展に備えるために、現在、決定的に重要なことの一つは、保安確保し、そして、事故を防止するために最善の努力を進めていくことだ、このように考えます。太平洋炭鉱、池島炭鉱保安確保を監督するために、国が現地においてどのような体制を現在とっているか、そして、どのような保安検査を実施しているか、簡潔に、端的にお答えいただきたいと思います。
  46. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 委員指摘のように、保安対策は、石炭に限らず、すべての生産を進める上で大前提となるものでございます。  石炭企業につきましては、国としては自主保安体制を基本としつつ、保安確保に対する監督指導をこれまで着実に実施してきたつもりでございます。あわせて、保安対策事業に対する支援等の措置も講じているところでございます。  国の、石炭鉱山に対する保安監督体制について御質問がございましたが、太平洋、池島、それぞれ北海道及び九州の鉱山保安監督部に石炭保安を担当する石炭課、指導課等を置き、さらに、釧路及び佐世保の鉱山保安監督署に鉱務監督官を配置いたしまして、巡回検査、さらには機械、器具の性能検査、落成検査等、きめ細かい指導監督を実施しているところでございます。  今後とも、それぞれ鉱山について特色がございます、そういう実態に応じた行政ニーズを踏まえつつ、鉱山保安確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  47. 児玉健次

    ○児玉委員 両鉱について、保安上の問題点、そして、検査の上で重点をどこに置いていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  48. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 太平洋の場合は、やはり奥部化深部化ということが一つの大きな課題でございます。そのため通気確保対策等をしっかりやっていきたいということで、これまでもそのための努力を進めてまいりました。  一方、池島の場合は、海底の下の炭鉱ということで排水対策が大きな課題ということで、非常用排水設備を増設する等の対応を進めてきているところでございます。
  49. 児玉健次

    ○児玉委員 一九九九年度、平成十一年度ですが、石炭関係予算の中で、会社が保安機器設備の充実、各種保安確保事業を行うために支出している必要な経費に対して国が負担する鉱山保安確保事業費補助金、これは両鉱合わせてで結構ですが、幾らになるでしょうか。そして、現在のポスト八次策が終了した後、この分野はどうなっていくのか、お答えいただきたいと思います。
  50. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 十一年度予算額で、ですから、まだ執行されていない部分等ございますが、委員質問の鉱山保安確保事業費補助金は二十三億円を計上しております。  二つ目の御質問でございますが、この鉱山保安確保事業費補助金の支援につきましては、構造調整対策の一環として昭和四十年以降講じてまいりました。去る八月九日に出された答申では、石炭構造調整対策に関しては平成十三年度で完了すべき旨が述べられております。これを踏まえ、その対策の一環である鉱山保安確保事業費補助金等に関しても平成十三年度をもって終了することとしております。  平成十四年度以降につきましては、石炭鉱業は企業による自主保安体制の確立、堅持を基本として保安確保に取り組んでいくことになりますが、通産省といたしましても、引き続き十分な監督指導等、所要措置を講じてまいりたいと考えております。
  51. 児玉健次

    ○児玉委員 これは与謝野大臣にお伺いしたいのですが、日本の炭鉱技術の優秀さというのは、その中身で柱になっているのはやはり鉱山保安の問題ですね。事故を防止するという点で、ここ数年一定の前進があるだろう、私はこう思っています。  今の議論からも明らかになりましたけれども、一つの点は、国としての保安監督体制を強化し、充実していくことだと思います。もう一つは、現在技術的に大きく進歩、発展している保安の施設設備、これは大変なものです。しかし、現状でよしとはしないと思います。そして、今まで、今のお話にもあったように、二つの炭鉱に対して二十三億円の財政的な支援をしている。この分野で企業が最善の努力をするのは当然のことですが、国としてやはり保安技術的な部面その他に対して必要な指導、支援を行っていく、それが日本の技術の国際的な信頼を高めていく上でも今後重要だと私は考えます。この点、大臣、いかがでしょうか。
  52. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 石炭鉱山は、一たび事故が発生いたしますと、大変多くの死傷者、多大な物的な損害が発生する可能性がございます。このため、石炭鉱山における危害防止等の鉱山保安監督行政の重要性は非常に高いものと認識をしております。このため、通産省といたしましては、北海道、九州の鉱山保安監督部を中心としてきめ細かい監督指導を実施しており、近年、災害率は改善してきているところでございます。  今後とも、石炭鉱山の保安確保につきましては実態を踏まえて万全を期さなければならない、そのように考えております。
  53. 児玉健次

    ○児玉委員 ちょっと重ねてで恐縮ですけれども、その面はぜひおっしゃるようにしていただきたいのです。  と同時に、これまで二つの山、三井があったときはそこに対しても同じですけれども、保安のための施設設備を充実させるため、国としての一定努力をしてまいりましたね。今も局長から、所要措置について考えるというお話もありましたが、この点についてやはり大臣の方から、そこをさらに力を入れていくという点についてのお答えを私は求めたいと思います。
  54. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 当然それは予算の問題にもなってまいりますので、そういう必要な予算を獲得するために通産省としては全力を挙げたいと思っております。
  55. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、この後の石炭政策考えていく場合に非常に大きなポイント、先ほども同僚議員がそれぞれの観点からお話がありましたが、私、質疑を聞いていて、つい先ほど与謝野大臣石炭価格の推移に関連して、今回の石鉱審答申は現時点という断面で答申がつくられている、こういうふうに答弁されたことを非常に興味深く聞いておりました。石炭価格と、そして深い関係のある原油価格、それぞれについての中長期的な見通しをきちんと立てるということが今後の日本の石炭産業を考える場合に非常に重要だと思うのです。固定的に考えてはならない。  一つ、まず最初に事実関係をお伺いしたいのですが、一般炭を例にとって、オーストラリア炭のトン当たりCIF価格、これを、一九八二年二月、十七年前ですね、一九八九年、一九九七年、一番新しい資料になるかもしれませんが、それぞれの時点で幾らであったか、お示しいただきたいと思います。
  56. 北畑隆生

    北畑政府委員 八二年の二月が一万七千二百四十円でございます。一九八九年度の年度平均が七千二百五十円。一九九七年の年度平均で五千四百七十円となっております。
  57. 児玉健次

    ○児玉委員 今のお答えからも明らかなように、海外炭というのは四千円、五千円のところで固定しているわけではない。この十数年間を見ても、ピークは一万七千二百四十円、そして一番下がったのは、オーストラリア炭について言えば九四年の四千四百五十円ですね。約三倍の非常に大きな流動的な状況を示している。そして、そのことを考える場合に、やはり、なぜそういう海外炭価格がこれだけの期間の間に大きく変わっているか、その点について国際的な権威のある機関がどう見ているかということを私たちはこの際注目することが必要だと思うのです。  IEAが、二つのケースを立てていますけれども、その前者の供給能力制約ケースで、今後の原油価格と日本が輸入する石炭価格を、二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一〇年の三つのポイントでどういうふうに推測しているか、お示しいただきたいと思います。
  58. 北畑隆生

    北畑政府委員 IEAの分析でございますけれども、日本が輸入する石炭につきましてトン当たり、ドルベースで恐縮でございますが、二〇〇〇年につきましては五十一ドル二十セント、二〇〇五年につきましては五十三ドル、二〇一〇年につきましては五十三ドルという見通しを作成していると承知しております。
  59. 児玉健次

    ○児玉委員 原油についても、できたらお示しいただきたいと思います。
  60. 北畑隆生

    北畑政府委員 原油につきましては、二〇〇〇年が十七ドル、二〇〇五年が二十五ドル、二〇一〇年が二十五ドルというふうになっております。
  61. 児玉健次

    ○児玉委員 ここでまず、石油価格、原油価格についてもう少し踏み込みたいのですが、現在の世界エネルギー状況、そして世界地域の製油状況と、それから石油自身が、今直ちにではないけれども、数十年で枯渇する状況にもある、そういったことも相まって、現在の国際的な原油価格というのはほぼ底値である。こういうふうに見ていいのではないか。  IEAが、二〇〇〇年は十七ドル、そして二〇〇五年、二〇一〇年と二十五ドルというふうに見ていますが、これは一つの見方だろうと思いますが、少なくとも現在の状況よりかなりの比率で上がっていくことを予測していますね。そのあたり、通産省はどのようにお考えでしょうか。
  62. 稲川泰弘

    稲川政府委員 IEAの物の考え方基本は二つあると思っておりまして、一つは、今後、世界的なエネルギー需要というのは、片方で、北海原油あるいは南米の原油、それぞれの量の開発の伸びがそんなに大きくはならないだろうという点が一つ。他方で、いま一つは、アジア中心といたしましてエネルギー需要が相当量伸びるということでございます。したがいまして、全体として、この二〇〇五年までその需給バランスがかなりタイト化をし、それが持続をするというような基本的な考え方になっております。  ちなみに、APECの中で、アジア需要増の予測をしたことがございます。昨年の沖縄のエネルギー大臣会合の席で発表されましたが、アジアの石油需要は二〇一〇年に向けてほぼ倍増をするということでございます。それほどアジア需要が非常に大きい中で、今あります北海あるいは南米を中心とした、ヨーロッパ、アメリカが中東への依存度をどんどん下げていく中で、世界の中でただひとりアジアが中東依存度を非常に高めている。そういう地域的なアンバランスを含めて、今後全体的な石油需給バランスのタイト化が起こるのではないか。これがIEAの基本的な考え方と理解をいたしております。
  63. 児玉健次

    ○児玉委員 この点はこの後何年かたてば事実が示してくれるだろうと思うけれども、私は、石油の価格は、この後、上がる要素はあっても下がる要素は少ない、こういうふうに考えています。  今長官がおっしゃった、アジアエネルギーの純輸入量の問題ですが、これは石油の問題だけでなくて、石炭についてもやはりしっかり見ておく必要があるだろう、こう考えます。  何年か前までに私たちはよくこういう議論をしていた。世界石炭生産は総額で約四十億トン、その中で国際貿易に提供される量は約四億トン、日本の輸入量が一・三億トンですから、国際貿易に提出されている石炭の約三分の一を、日本が事実上大変な比率で占めている。この問題が、先ほども議論のあった、国の存立の一つの重要な柱であるエネルギーにおける自給、またはエネルギーをどのようにして確保していくか、その問題と深い関係がある。今言ったのは、数年前の私たちの議論です。  最近のものとして、これもIEAが一九九五年に行った見通しですが、アジア地域における石炭の純輸入量、輸出もしているし、輸入もしているけれども、それを差し引いて純輸入量は幾らか。一九九二年の一・五億トン、それが二〇一〇年には二億トンから四・四億トン、見通しが困難だからそれだけ大変な幅がありますけれども、ともあれ二億トンから四・四億トン程度に増加していく。その中で中国その他の果たす役割が非常に大きいと思うのですが、こういった見方について通産省はどういうふうにお考えでしょうか。
  64. 稲川泰弘

    稲川政府委員 委員の御指摘になりました世界の貿易量四億トンの中で一・三億トンを日本が輸入をしているという事情を太平洋の中で見ますと、太平洋の中で貿易をしている石炭の量は三億トンと言われておりまして、まさにそれの半分近くを日本が輸入しているという事情でございます。  こうした中で、アジアの数字の御紹介がございました。二〇一〇年に二億から四億四千万トンの純輸入量、これはアジアにおける石炭開発量の見通しにかかわるものでございます。特に、中国開発は、今回の五カ年計画で十億トンから十五億トンにふやすという計画でございますが、その過半が奥地の方にございますので、鉄道輸送量をどう考えるかというようなところからも、アジアがどれだけ純輸入をするかという量に幅が生じているものと理解をいたしてございます。  他方で、アジアエネルギーの総需要は、現在から二〇一〇年までIEA及び関係機関が見通しましたところ、世界は四割伸びますが、アジアは七割伸びるという数字になっております。この七割の需要の中の過半が石炭に依存するものでございます。もちろん天然ガス、石油に依存する部分もございますが、アジアが自前で持っている最も安いエネルギー石炭でございまして、今、石炭需要中心とした七割のアジア需要、これをいかに賄ってバランスをとるかが世界エネルギーバランスの要諦になってございます。言いかえれば、アジアがいかに石炭をうまく開発し利用するか、これが世界エネルギーバランス、石油バランスを含めまして、すべての要諦になる。  ちなみに、中国が十億トンから十五億トンへ開発する中の一億トンを開発できませんで、それがアジアの現在の貿易量三億トンの中に入ってまいりますと大混乱をいたします。それがまた石油の市場に入ってまいりますと、石油の市場も大混乱をする。かような意味で、アジアがいかに石炭をうまく開発し利用するか、これが世界エネルギーバランスの最も重要な要諦である、かように理解をいたしてございます。
  65. 児玉健次

    ○児玉委員 非常に重要な御指摘をいただいたと思います。日本の国内における石炭産業を考えるときに、現局面でどうなっているかというのを固定的に考えるのでなく、やはり変化においてとらえていく。  与謝野大臣、恐縮だけれども、去年十月一日のこの委員会議論をしたときに、私の質問に対して大臣はこういうふうにおっしゃった。「海外炭の値段というのは、その時々の海外エネルギー需給あるいは為替レート、そういうものによって上下いたしますし、そういうものを固定的にとらえて物事を比較していくということは必ずしも正しいことではない。」まさにそうだと思うのです。今でもそのようにお考えだと思うのですが、いかがですか。
  66. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先ほどの質問にも関連をいたしますが、私は、エネルギー全体の需要と供給の関係世界全体として考えますと、一つは、世界の人口がふえていくという要素、それから、多分人類一人一人の経済活動のレベルというのは少しずつ上がっていくという方向にあること、それから、環境問題の制約という今までは考えられなかった制約がかかってくること、この三つのことを考えても、やはりエネルギー価格というのは多分上がっていくんだろうと思います。短期的な上下の振れは別にして、十年とか二十年のスパンをとってみますとそういう方向に行くんだろうと思っております。  その中で、日本がどの程度のものを輸入するのかということ、また、どの程度の価格で輸入ができるかということは、日本の国民の生活にとっては本当に大事な問題でございます。  したがいまして、もちろん、価格の問題を考えながらエネルギー政策を展開していくということ、コストの問題を考えるということは一方では当然のことですが、価格だけにとらわれて物事を判断するというのは、これは間違いを犯すことにもなりますので、ある局面だけの価格というのは、その時々の需要、需給関係とか為替レートとか景気、不景気とか、いろいろな短期的な要素に左右をされます。したがいまして、なかなか難しい作業ですが、そういう短期的な要因にとらわれ過ぎて物事を判断していくということは、多分正しいことではないというふうには今でも思っております。
  67. 児玉健次

    ○児玉委員 その観点を私たちは一つの大切な軸にしながら、この後の国内における石炭産業のことを考えていきたい、こう思っています。  そこで、最後の質問なんですが、今大臣のお挙げになった三つの要素の中の最後の部分ですね。環境に対する影響、働きかけの問題です。  石炭というと、やはりCO2をどうやって抑制するか、このことが現在非常に求められていますが、その点で、通産省が中心になってお進めになっているクリーンコールテクノロジー、ちょっと舌をかみそうで、どういうふうに言ったらいいんでしょうか、要するに、環境に対して負の影響を与えることが少ない技術をどのように開発していくかということだと思うのです。おととし、このことを議論したことがありますが、もう二年たちました。  それで、時間の関係もありますから、私は、二つの技術開発に絞って聞きたいのです。  何といっても、日本におけるエネルギーの最大の問題は、火力発電所が使う石炭の問題です。その火力発電所の高能率燃焼技術、これが進んでいくことが今の環境への問題の非常に近道ですね。一つは、高度加圧流動床燃焼技術、もう一つは、噴流床炉利用石炭ガス化燃料電池、その二つの技術開発が持っている可能性と実用化の展望についてお示しいただきたいと思います。
  68. 北畑隆生

    北畑政府委員 石炭火力発電所の環境問題で重要な点は、発電の効率を上げる技術開発を進めるということでございます。  まず、現状を申し上げますと、微粉炭火力発電所の九年度の実績で三九・七%まで向上しております。御質問関係で研究開発目標で申し上げますと、加圧流動床発電で四四%、それから、石炭をガス化し、ガスタービンと燃料電池を組み合わせた石炭ガス化燃料電池複合発電においては、五五%の発電効率を目標としまして研究開発を続けているところでございます。
  69. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、これも大臣にお伺いしたいのですが、平成九年六月十二日に今の議論をしたとき、当時の江崎エネルギー庁長官は、発電効率というのは大体二四%ぐらいで、そしてそれが三九%、四三%ぐらい上がるかもしれないということを一昨年おっしゃった。今の北畑部長のお話のように、前者についていえば四四%の熱効率、後者についていえば五五%。熱効率が二倍になるということは、一キロワット当たり発電するのに必要な石炭の量が簡単に言えば二分の一になるということですから、その分のCO2の抑制というのは大変なものですね。ここのところはやはり、基礎技術開発を含めて国の責任が大きいと思うのです。  この二年半の当委員会における論議、そして参考人からさまざまに御意見をお聞きした。私たちが緩やかに今共通認識に達している重要なポイントの一つは、二つの山をなくしてはならないということだったんです。もう一つ重要なポイントだったのが、二十一世紀に石炭が再びエネルギーの王座に返り咲く、その見通し抜きには考えられない。  それで、石炭のことを考えるとき、さっき大臣のおっしゃった三つ目の要素、環境との関係が非常に大きいですから、このクリーンコールテクノロジーの前進の分野で国がさらに積極的な役割を果たしていただきたい。その点の抱負を伺って、私の質問を終わります。
  70. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 石炭を燃やしますと、当然CO2は出てまいりますし、硫黄系の化合物も排出されますし、一部窒素系も出てくるでしょう。こういう環境面から、世界に対しても責任を負っておりますし、国民の健康にも責任を持っております。したがいまして、そういうことに対する研究開発技術開発ということは国としてやらなければならない分野であると私は思っております。  一方では、今まで石炭火力にしろ石油火力にしろ、なかなか五割を超える熱効率というものは得られなかったわけでございます。燃やした熱の大体六割近くが廃熱として捨てられてしまったという中で、最近新しい、ガスタービンと組み合わせた技術とかいろいろなものが出てまいりました。こういうものにもやはり国が、気持ちの上でも応援しますし、実際予算の面でも応援をするという、これは大変大事な観点でありまして、そういう技術開発するということは、日本のみならず世界のためでもあって、我々がそういうことに熱心に取り組むということは、国内経済のみならず世界全体に貢献するゆえんである、私はそのように思っております。
  71. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  72. 高木義明

    高木委員長 北村直人君。
  73. 北村直人

    ○北村(直)委員 自由民主党の北村でございます。  今回、石鉱審並びに産炭審答申が出たわけでございます。改めて、この答申にかかわりました関係各位に敬意を表すると同時に、私自身、自由民主党の石炭政策の取りまとめ役として党の中で、きょうも同僚の議員たくさんおいでになりますが、石炭に直接関係のあった我が自由民主党の議員の先生、あるいは石炭には全く関係のない先生方も含めて、我が党の中で相当な議論をしてまいりました。そして、その結果といたしまして、我が党としても決意をし、それがある面でこの答申の中に盛り込まれ、自由民主党がまとめた決議、この範囲の中で答申を出させていただいた、私はこう理解をしております。また、そのことにつきましては、本当に心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  そこで、まず大臣決意をお聞きしたいと思いますが、答申で示されましたそれぞれの措置実現に向けた大臣決意をまずお聞かせいただきたい、このように思います。
  74. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 当然のことながら、答申を踏まえて石炭行政、石炭政策を行ってまいらなければなりませんし、また、衆参の国会での議論を十分踏まえて今後の石炭政策を展開していかなければならない、そのように思っております。そのためには、財政当局や関係業界との話し合いも十分しなければならない、そのように考えております。
  75. 北村直人

    ○北村(直)委員 大臣決意をお聞かせいただいて、まだまだ詰めていかなければならないところ等々もあるわけでございます。特に財源対策については、これは相当大臣の御指導をいただき、そして我が党もバックアップをしながら、まず概算要求、そして十二月の本予算に向けて相当な、一致結束をした方向性をつけていかなきゃならない、このように思うところでございます。  さて、私自身、今回我が党で取りまとめをした中で随分悩みましたのは、特に、二つの炭鉱存続していくのにどのような国民の合意を得なければならないか。そして、石炭会社がどのような取り組みをし、国の政策をつくり、さらに石炭を使っていただいている電力業界の方々の協力、そして地方公共団体支援、これらが非常に大切になる、このように考えまして、それぞれの方針あるいは考え方というのをまとめていかなければならないな、このように思っております。  今回の答申においても、石炭会社合理化努力をまず第一にしてほしい、その上で国は、五カ年の海外技術移転、この国としての政策遂行していく、この五年間の政策遂行するに当たっては電事連の五年間の協力が不可欠である、そして、それぞれ都道府県あるいは町村の、地方自治体のさらなる支援というものが必要である、こういう答申が出たわけでございます。  どれ一つとっても、一つでも欠けるとこれが遂行していかないわけでございますが、これらの答申に当たりまして、大臣一つ一つのことについて披瀝をされる時間がありませんので、私の方である面ではお願いをするような形になりますが、私自身は、やはり一つには、石炭の会社の経営努力というものは大変重要になる、そうしなければ、大変きつい言い方になりますけれども、国民の合意がとれてこない、こういうふうになると思います。その上で、やはりこの炭鉱技術移転五カ年計画というのは大変重要になってくる、こう思っております。  先ほどエネ庁長官概要等々をお聞きしておりますと、残された三年足らず政策期間最大限生かすことを基本として今回明らかにされたものである、このように御説明がございました。しからば、この平成十四年の五カ年計画実施するに当たりまして、十二年、十三年、この二年間で、先ほど同僚の議員もお聞きをしておりましたが、それでは具体的に何をされるのか、そして、その具体的な政策の中でどのくらいの財源が必要になってくるのか、ここのところ、今の段階で考えられていることをお聞かせいただきたいな、このように思います。
  76. 北畑隆生

    北畑政府委員 炭鉱技術移転計画は十四年度から始まりますので、十二、十三年度はその準備のための施策検討するということになります。八月末の概算要求に向けて作業をしておるところでございますが、この準備期間二年間にどのようなことを考えているかについて御答弁をしたいと思います。  先ほど来御答弁しているとおりでございますけれども、大規模かつ長期間研修事業を集中的に実施するということでございまして、一連の準備としては、例えば研修生の宿泊施設等の施設整備でありますとか、相手国の側では、炭鉱技術者の派遣にかかわる海外産炭国政府との調整。それから、日本の技術協力ででき上がっておりますけれども、中国には石炭関係技術センターがございます。インドネシア、ベトナムからは同様のものを設置してもらいたいという要請が来ておりまして、これを十四年度の計画のスタートまでに立ち上げるということで相手国と調整を図る、こんなことを考えております。  金額については未定でございますけれども、まずは、十二年度の予算要求について現在作業をしておるところでございます。
  77. 北村直人

    ○北村(直)委員 部長、もう少し具体的に、これから概算要求するわけですから、そういうことがある程度固まっていないと、もうこれは今月中ですよ、概算要求は。まだ未定ですなんというような、そんな説明はない、私はこのように思いますね。まず、十二年度に、そういった具体的な施策に、どれぐらいの要求、あるいは求めるのかということをぜひ御答弁ください。
  78. 北畑隆生

    北畑政府委員 十二年度の予算要求については、まだ省内で最終調整中ということで御了承いただきたいと思っておりますが、私どもとしましては、研修生受け入れるための宿泊施設の施設整備費という形で予算要求をしたいと思っております。金額的にはそう大きな金額にはならないかと存じます。
  79. 北村直人

    ○北村(直)委員 八月の、今月の概算要求ですから、今そのことを申すと大蔵省の方から何を言われるかわからないというのがあるでしょう。しかし、我々自由民主党はよくわかっているつもりでございます。石炭にかかわってきた同僚の議員ともども、概算要求の満額確保に向けて全面的なバックアップをしていきたいと思いますので、ぜひ十二年度の具体的な施策について思い切った考え方で取り組んでいただきたい、このようにまずお願いを申し上げる次第でございます。  それから、最後に、大臣がお帰りになったらお聞きをしようと思うのですが、私は大変残念なんですが、先ほども同僚の議員からの御質問の中にありましたが、今回私どもは、それは一〇〇%の答申ではありませんけれども、産炭地域振興あるいは石鉱審等々で出てきた答申というのは随分と評価ができる、ある面では、今の段階ではこれ以上のものはなかなか難しいのかなという感じがいたします。しかし一方で、マスメディアを含めて、これはどうも現行石炭政策の継続ではないかとか延命策ではないかと。見ていると、どうもマスコミを含めて、十三年度末には二つの炭鉱閉山することが当たり前のような記事、私は、大変情けないなというふうな感じをしているわけであります。  ですから、そういう面では、マスメディアを含めて、今回の答申に基づく政策というのは現行石炭政策の継続ではないか、そういう懸念は真っ向から払拭をして、そうではないんだということを言っていかないと、国民の多くの理解を得られないのではないかと私は思います。  これは大臣に聞きたいと思ったのですが、長官なり、または部長から、現行石炭政策の継続ではないということをしっかりと答弁をしていただきたいな、このように思います。
  80. 稲川泰弘

    稲川政府委員 今回の答申にかかわります評価、各方面から相半ばしている点がございます。今後、御趣旨の点も含めて、我々の趣旨審議会の趣旨を十分に世の中にも説明してまいりたいと思います。  その中で、今般の答申に示されております政策は、エネルギーセキュリティーの観点から海外炭安定供給確保を図るためのものでございまして、従来の政策とは目的の異なる、新たな政策趣旨を十分持っているものでございます。
  81. 北村直人

    ○北村(直)委員 大臣、今長官から御答弁をいただきましたけれども、マスメディアを含めて、延命策だとか、あるいは現行石炭政策の継続ではないかとか、そういう本当に情けないといいましょうか、これまで支持をしていただき、また審議会等々で随分議論をして新たな政策として出していただいた割には評価が非常に低いところもある、こういうことを私は一番懸念をしております。もう一度大臣から、これは現行石炭政策の継続ではないという御答弁をいただきたいなと思います。
  82. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 意外に国民に知られていないことというのは、日本が石炭をたくさん使っているということでございます。我々の子供のころは、石炭をストーブでたいていたという体験がありますし、蒸気機関車も走っていたということで、石炭を我々は使っているという実感がありましたが、今、国民のほとんどが、日本がこれだけの石炭を消費しているということを自覚的に体験するということが非常にない状況でございますから、やはり、国会審議等を通じて我々は、国の経済や国民の生活のために石炭をこれだけ、一億トンを優に超える量を消費しているということをよく御理解をいただく努力が私はまず必要であろうと思っております。  今回の新しい答申に含まれているものは、従来の延長線上の考え方ではなくて、初めて日本が持っている石炭に関する技術世界に誇り得る技術だということが考え方のベースになっているというのは、今までのように、地域経済とかエネルギーの供給先の多元化とか多様化とかといろいろ従来行われてきた議論だけではなく、やはり私は、新しい視点が加わったということでは、従来の物事をただ延長しただけだという批判は多分当たらないんだろうと思っております。  また一方では、石炭を掘っておられる会社の方々に対しても、一万円を切るようなところまで、効率性、生産性と申しますか、合理化努力をしていただきたいということも書いてございますので、これはやはり、ある意味では画期的なことだろうと思います。  一万円を切るという目標はなかなか大変な目標でございまして、それは機械化とかいろいろな経営努力が必要なんで、相当重い責任を石炭会社にも課しているという点では、従来の延長線上で物事を考えて、とりあえず物事を先送りしたというような批判は多分当たらないんだろうと私は思っております。
  83. 北村直人

    ○北村(直)委員 私もそのように思っております。  ぜひ大臣から、いろいろな関係するところに、今御説明をいただいた決意を十分浸透できるように御努力をいただきたい、このように思います。  そうしますと、新たな政策の上で、炭鉱技術移転五カ年計画というのが平成十四年度からスタートする。私は、五年間でこの計画が十分になされればそれにこしたことはないと思いますが、新たな視点から政策として海外炭鉱技術移転をするということになれば、それは十八年度末で終われれば結構でございますけれども、それ以後も、場合によってはまだまだ技術移転にかかわっていかなければならないのかな、こういうふうな感じを持っている一人でございます。まずはこの五カ年計画遂行し、その中でいろいろな問題がまた出てくると思っております。  この我が国が誇りとできる、まさしく大臣が、人から人へ技術移転していくんだという御答弁が何度もありましたが、この、人から人へ技術を伝えていくということになったときに、この五カ年計画をまず遂行していく、その上でまた新たな問題が起きたときには果敢にそれに対処していくべきである、私はこのように考えている一人でございます。  大臣、今の段階で、これからですと八年後のことを言うのはなんだと思いますが、考え方として、この海外への技術移転五カ年計画というのが本当に五カ年で終わり切れるかどうか、さらに、そうなったときに、考え方一つとしてどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  84. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 平成十八年度までというのは現時点でのベストの判断だろうと思いますが、石炭を取り巻く環境エネルギー状況環境に対する考え方技術の進展、円レート、もろもろの変動する要因はあるわけですから、現時点で判断したベストのことが平成十八年度でもまたベストであるという保証はないわけでございまして、その時々与えられた条件の中でベストの判断をしていくというのが必要なことなんだろうと思っております。
  85. 北村直人

    ○北村(直)委員 十八年度末にまた新たなベストという考え方を、私も大賛成でございますので、その方向で我々も考えていく、そして我が党もその方向でまた議論をしていきたいな、このように考えるところでございます。  我が党の持ち時間、十二時ぐらいまでありまして、私の方は終わってしまいましたが、この後、本当は労働大臣にお聞きをするところがございました。同僚議員の山本議員の方からあわせて労働大臣の方にも御質問があろうと思います。  それでは、この後の時間は山本議員の方にお譲りをいたします。ありがとうございました。
  86. 高木義明

    高木委員長 山本幸三君。
  87. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三です。  我が自由民主党では、この石炭対策について、党内に石炭対策特別委員会を設けまして、北村委員長もとに精力的に議論を重ねてまいりました。また、私の出身であります福岡県では、自見庄三郎県連会長のもとに関連の議員懇談会をつくって、また精力的に検討してまいりました。そうした熱心な議論を踏まえて自由民主党としての決議を行いまして、通産大臣にも決議を提出させていただきました。  そうした決議を受けて今回答申が出たわけでありますが、私どものそうした要望を十分反映していただいたというふうに高く評価したいと思っております。その意味で、通産大臣労働大臣初め関係各位の皆様方に心から敬意を表したい、まずそのことを申し上げたいと思います。  そこで、時間もできるだけ北村委員ともども協力したいと思っておりますので、ポイントだけ御質問させていただきたいと思います。  まず、労働大臣、産炭地の開発就労事業、いよいよ終息するということになるわけでありますが、ただ、私どもの地元の筑豊地区を中心に、まだまだ大変厳しい雇用状況が続いている。そして、そういう中でこうした事業がなくなっていくという意味で、地元では危惧の念が大変高いわけであります。  今回、激変緩和措置ということで対策が打たれているところでありますが、その緩和措置というものはどれぐらいの期間行われるものか、あるいはその内容はどういうものかということ、そして、これを実施するための工夫としては、財源の問題は当然あるわけでありますが、関係自治体に基金を造成して、そしてやっていくということでありますが、十分な財源措置がなければ自治体としても困ると思いますし、その辺のところをお伺いしたいと思います。  その内容については、緊就事業でそういう激変緩和措置が行われたのですが、事業者の方からは、ある意味で自立すればいいということで一時金がばんと与えられる。それに乗るんだけれども、では、それで本当に自立できたかというと、どうもそういうことになっていないケースも多い。そういう意味で、ただ一時金を上げますからすぐやめてくださいよということだけでもいかぬのではないかなというふうにも思っていますし、やはり事業をそれなりにきちんと続けながら、そしてそのバランスをとっていくということが大事だろうと思いますが、その辺も含めて大臣の御所見を賜りたいと思います。
  88. 甘利明

    ○甘利国務大臣 先般の石鉱審答申におきましては、産炭地域開発就労事業、いわゆる開就事業につきましては十三年度末をもって終了をする、しかし激変緩和措置は行うべきであるという答申がなされたわけであります。私どもといたしましては、この答申を踏まえまして、地域の実情等を勘案しながら、暫定事業実施期間であるとか内容検討していきたいというふうに思っております。  それから、財源の問題も非常に重要でありますが、この確保については、関係省庁等とも連携をしつつ、適切に対処をしていくということであります。  先生御指摘の、開就事業の終えん、終息に際しての就労者の自立、過去にもその種の経験があるけれどもなかなか思うようにいっていないという御指摘、そういう点もいろいろ今検証をいたしております。この委員会、先生を初め、いろいろな御指摘をいただいておりますが、その御意見も踏まえまして、これから具体的に、この八次策が終わる後の暫定策をどうするかを詰めていきたいというふうに考えております。
  89. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 ありがとうございます。ぜひ十分に実態を踏まえて検証しながら進めていただきたいと思います。  次に、産炭地の振興策ですが、いわゆる六条市町村についても、実情を踏まえて激変緩和措置の対象にしていただくことになりまして、私どもは大変ありがたく思っているわけであります。  と申しますのも、時間はそれなりにたっているわけですけれども、では、それで事態はよくなっているかというと、とてもそういう状況じゃないんですね。  私どもの、あそこの筑豊地域なんというのは下水道の普及率ゼロでして、私の町は筑豊ではないのですが、その土地の隣ですが、これも下水道ゼロで、私は地元に帰るたびに便秘になってしようがない、そういう実態があるわけでありますが、あるいは水も不足して、ちょっと雨が降らないとすぐ水不足になる。  では、工場に、来てくれといって誘致するのですが、まさに地盤が安心できないので、大きな機械を積むような工場というのはとてもできない。場合によってはボタ敷で、この前もボタ敷が地下から燃えてしまったということもあったり、あるいは地下水を吸い上げると赤水が出るというようなことで、表面的にはきれいになっていても、とても実際に企業を誘致しようといってもなかなか難しいという条件もあります。道路も十分に整っていない。  そういう意味ではまだまだやはり影響が残っていて、よくなるどころか、どんどん人口は過疎化の方向に進んでいるということだと思いますが、そういう意味で、激変緩和措置の対象にそういうところも考えていただくということを大変ありがたく思っているわけでありますが、その際に地元の方で心配しておりますのは、どういう指定基準になるのだろうかと。  そこのところは、ここのところはよくて、ここはもう形式基準でだめですよというような形で区別されるようなことになると困るなという感じがありまして、その辺は、やはりある意味で、地域として、一体として振興を図っていくということでこれまでも取り組んできたものですから、そういう一体的、地域的、広域的な観点からぜひ検討してもらいたいという要望が多いわけでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  90. 北畑隆生

    北畑政府委員 八次策・ポスト八次策影響市町村十三市町村以外の六条市町村については、答申の段階では具体的に対象が決まっておりませんが、その対象にするかどうかの基準として、答申では、人口増加率、財政力指数、一人当たりの工業出荷額、生活保護率、これらのいずれの指標も全国水準から著しく乖離をしているというのが一つの基準でございます。それから、過去の累積閉山量の大きさ、老朽炭鉱住宅の残存等、閉山に伴う負の遺産の存在量、こういったところが指定の基準になるとされております。  具体的にどういう基準でやっていくかというのは、今後関係省庁財政当局とも相談をして検討してまいりたいと思います。  それから、委員指摘の、地域振興地域一体でやってきたということと激変緩和措置の対象が市町村単位で考えるというところ、難しいところでございまして、委員指摘の点も踏まえまして、地域の実情をよく精査の上、検討したいと思います。
  91. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは、最後に大臣にお伺いしたいのですが、産炭地はこれから指定法人によって対策が、特定鉱害、いわゆる浅所陥没等については行われていくわけでありますが、この指定法人は、国と県がその財源を拠出してやっていく。  ただ、浅所陥没というのは、いつ起こるかわからない、どれだけの規模でまた突然起こるかわからないというところがあるものですから、基金の額の予測というのは大変難しいだろうと思うのですけれども、しかし、この辺は、やはり経費についてちゃんとしていただける、あるいは、事業費に不足が生じないようにちゃんとしたことを政府として決意していただけるということがないと不安になるわけでありますので、その辺についての大臣決意をお伺いしたい。  そしてまた同時に、県の拠出の負担があるわけでありますけれども、これも県の財政支援という面から、起債等を含めて、これは自治省の話でありますけれども、通産大臣と自治大臣の間でお話しいただいて、そういう対策をきちっとしていただけるようにぜひお願いしたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  92. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 今般の石炭鉱業審議会答申においては、法期限後も発生する可能性のある浅所陥没については、指定法人制に基づき指定された公益法人復旧事業を行うことが適当であり、法期限内に指定の申請があれば、国が指定を行うとともに、県と協力して指定法人体制整備支援していくべきであるとされたところであります。  今般の審議の過程において、福岡県は平成十三年度中に指定法人指定申請を行う旨を明らかにしたところでございまして、通産省としては、福岡県と協力して指定法人体制整備支援を行ってまいりたいと考えております。その際、指定法人事業を賄う基金の造成に当たっては、福岡県と十分に協議し、指定法人事業の円滑な実施に必要な拠出額の確保に努めてまいりたいと考えております。
  93. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 ぜひよろしくお願いします。  それではこれで質問を終わります。ありがとうございました。
  94. 高木義明

    高木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  95. 高木義明

    高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島津尚純君。
  96. 島津尚純

    ○島津委員 民主党の島津尚純でございます。  今回出されました二つの答申につきまして質問をさせていただくわけでありますが、この委員会におきまして長い時間をかけまして私ども討議をやってきたわけでありますが、そのような私どもの主張といいましょうか、要求というものを色濃く盛り込まれた答申であるというふうに高く評価をさせていただきたいと存じます。そういうことを踏まえまして、質問を申し上げたいと思います。  まず、今回の石鉱審答申のかなめとなっておりますのは、炭鉱技術移転五カ年計画であると思います。前回の当委員会におきまして、通産大臣は、我が国炭鉱技術海外に伝えるということは大変重要なことであるというようなことを述べられましたし、さらには、その技術を人から人へ伝えるべきであるという趣旨の御答弁をされたと記憶しておりますが、まさに大臣が述べられたようなことが趣旨として盛り込まれた今回の答申であるというふうに思うわけでありまして、そのような答申を、通産大臣、どのように受けとめておられるのかということをまずお尋ねさせていただきたいと思います。
  97. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 審議会の委員の方々は本当に熱心に御討議くださり、そして、答申を出していただいたわけでございます。  石炭鉱業審議会においては、昨年六月十六日に諮問を行って以来、現行のいわゆる八次策の後に続く石炭政策、これは平成十三年度末までの三年しか残っておりませんけれども、政策の円滑な完了に向けて今後実施しなければならない事柄も明らかにするべく審議が続けられ、そして今回、取りまとめられたわけでございます。  答申においては、もう先生御承知のことでございますけれども、現行石炭政策全般にわたりまして、平成十三年度をもって円滑に完了させるために実施すべき事柄を具体的に示し、政府に対し、適切な対応を行うよう求めております。  議員御指摘のように、国内炭鉱の今後のあり方につきましては、委員会において、国内炭鉱技術を生かした海外炭安定供給確保の方策に対する認識が深まりまして、国内炭鉱活用した研修事業、人から人へ技術を伝えるという方策を講ずるべきであるとの提言がなされております。  私といたしましても、通産省全体といたしましても、炭鉱技術移転五カ年計画を含め、答申指摘された内容を踏まえ、講ずべき措置を速やかに具体化し、実行に移し、現行石炭政策の円滑な完了に向けて万全を期する考えでございます。
  98. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  今回の答申、それから、その審議の過程において私どもが最も重要に感じておりますのは、日本の石炭技術というものが、日本のエネルギー政策上きちっとした位置づけをしていただいたということであります。  日本は世界最大の石炭輸入国である、この状況というものは中長期的に変わらないであろう。そういう中で、アジア諸国のエネルギー源といいますのは、石炭が半分ぐらいを占めるというようなことでありまして、日本は世界の最大の輸入国である。さらには、世界石炭の需給関係というものはかなりきついものになってくるのじゃないか。そういう中で、日本の技術海外に提供することによって、移転することによって、石炭生産の増産に寄与する、あるいは日本とその石炭輸出国の関係において信頼関係の上から安定供給確保ができる、いろいろな意味があると思うわけであります。  私は現在、党のエネルギー委員会を担当させていただいておるわけでありますが、昨年の夏ぐらいからいろいろなエネルギー問題の勉強会を重ねてきた中の一環におきまして、石炭の勉強会をやらせていただいたときに、エネ庁の方とかあるいは専門家の皆様方といろいろな議論をする中で、きょうの議論等を聞いておりまして大分違うなと思いますのは、私はそのとき、中長期的に石炭の需給関係というものはタイトになっていく方向に行くのではないか、だからというような議論をしたのですが、そのときの、わずか半年かちょっと前の皆さん方の回答は、タイトになるとはとても思えない、このようなことでありました。  午前中の質疑におきまして、北畑部長が、石鉱審議論の中において要するにエネルギーの安全保障の問題等々があったのかというような質問に対して、あったと。さらには、その議論の中において、石炭の中長期的な需給関係はかなりタイトなものになってくるだろうというのが審議会の委員の皆様方の意見であった、きょうこのようにお答えをいただいておるわけでありまして、わずか半年ぐらいで本当にそのような重要な見通しというものは変わってくるんだなということでありますので、本当に、エネルギーの安全保障という観点に立った問題というものは国にとって極めて大事な問題であり、やはり私たちは常に危機感を持つ中からの情報で対処していくべきであろう、このように思うわけであります。  そういう中にあって、技術移転五カ年計画という格好で日本の高度な石炭技術というのを我が国エネルギー政策の問題の中にきちっと位置づけをいただいたということは、大変すばらしいことであるというふうに思うわけであります。  この五カ年計画について、午前中も随分皆様方から質問がありましたので、総論の部分は省きまして、少し各論の部分をお伺いさせていただきたいわけであります。  これは、海外にモデル炭鉱をつくって、そこから技術者を日本に呼んで研修をして、そして帰っていただいて、今度はそのモデル炭鉱の中でその国内研修生を集めて、そこで指導していく、こういうふうなシステムである、このように御説明があったわけでありますが、私どもが知りたいのは、このようなすぐれた日本の石炭技術というものを海外移転する場合に、わずか五年で移転できるとは実はとても思えないわけであります。  私どもは、五年、そしてさらにその後もこのような計画というものをぜひ続けていっていただきたい、このように思っておるわけでありますが、その辺についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  99. 北畑隆生

    北畑政府委員 炭鉱技術移転計画についての御質問でございますけれども、これは、大規模かつ長期間我が国炭鉱研修生受け入れ、実際の現場で研修をするという性格のものでございます。それから、これは先ほど御答弁もいたしましたが、相手国の側におきましても、モデル炭鉱、それから日本の石炭技術受け入れる中核となるセンター、こういうものを整備していただく、日本側と相手国側の両方で整備をしていくということでございます。  それから、五年間で一定程度の日本の技術を身につけた技術者が戻っていくわけでございまして、戻られた後はそれぞれの国の現場で指導的な、あるいは教える側になって研修をしていただく、そんな形で日本の技術が拡大をしながら伝わっていく、こういうことを想定しているわけでございます。アジアの主要国に対してこういった方式であれば五年間で日本の技術は一応の移転ができる、こういう想定をいたしております。
  100. 島津尚純

    ○島津委員 午前中の議論におきまして、この種の質問に対しまして、通産大臣は、七年後のことでありますけれども、その時々でベストの判断をするのがいいのではないかというような、私の受けとめ方は、それなりに将来に可能性を持ったような含みのある発言というふうに受けとめさせていただきました。わずか五年間ではなかなかやはり難しい問題だろうと思いますので、その後もぜひ継続的なこのような移転計画というものを続けていただきたいということをお願い申し上げまして、次に行かせていただきたいと思います。  次の問題は、今回、国内の二炭鉱存続させるということで、電力会社に電気料金による間接的な負担という従来の方法によって五年間存続をさせるというような仕組みをとられたわけであります。私は、何も電力会社の言い分に肩を持つということではなくて、この委員会におきましても、従来、本来ならば、やはりエネルギー政策の一環として日本の国内炭鉱が重要であるというならば、間接的な負担ではなくて、国民の皆さん方にきちっと重要だという説明をして、そして直接的な負担によって日本の炭鉱、そして炭鉱技術というものを維持していくべきだ、このような主張を申し述べさせていただいてきたわけであります。  今回、このような従来の手法の延長ということになってきたわけでありまして、私は、やはり本来のあるべき姿というものは今申し上げたような格好ではないかというふうに思っておりますが、この点について今後どのようなお考えでおられるかをお聞きしたいと思います。
  101. 北畑隆生

    北畑政府委員 審議会の答申におきましては、国内炭鉱活用した海外炭鉱への技術移転事業実施に当たり、研修生受け入れに要する経費等に関する国の支援必要性指摘されておりまして、この部分について国が支援をしていくということでございます。ただ、答申では、炭鉱地域振興雇用確保観点から地域経済に果たしている役割を踏まえ、地元地方公共団体においても相応の支援を行うべきという考え方が示されております。  御質問電気事業者関係でございますけれども、炭鉱操業現場活用した研修事業実施するに当たり、炭鉱の操業を支える観点から、電力事業者による引き取り協力が不可欠であるという指摘がされておりますが、これは、技術移転が進むことによりまして、石炭安定供給というのはひいては電力業界の原料の調達につながるという面がある、それから、これまで引き取り協力をお願いしてきた経緯、こういった観点から、電力業者の引き取りを期待するという答申になっているわけでございます。  炭鉱が期待される役割を果たすためには、国、地方公共団体電気事業者、それぞれがそれぞれの立場から必要な対応を行う、こういう趣旨答申をいただいておりますので、この趣旨を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
  102. 島津尚純

    ○島津委員 午前中の議論の中で、古賀委員あるいは鰐淵委員からも、今回のこのような石炭政策につきまして国民の理解がなかなか得られていないんじゃないかというような指摘があったわけでありますが、私は、やはり、必要なものはきちっと国民の皆さん方の理解の上でやっていくことが今後の方向ではないか、このようなことを思っております。  例えば、現在、炭価差は一万円ぐらいというふうに言われておりますが、三百万トンとして三百億、さらには生産補助金というような名目で四十四、五億のお金が出されている、合計で三百四、五十億の資金というものが石炭鉱業に投下されているということであると思いますが、これが、答申にありますように、一万二千円からさらに一万円になり、さらには十八年の末には一万円を切ってほしい、そういうことでなるべく内外価格差をなくしてほしいというような、それを一つ目標にする、また、電力会社もそういうことを条件に今回の引き取りということを了解したというふうにも聞いております。  そうなってきますと、炭価差というものはほとんどなくなるような状態じゃないか。よくエネ庁の皆さん方もおっしゃいますが、今の海外炭との内外価格差は最高の幅であって、日本の炭価というものはどんどん皆様方の努力によって削減されてくる。逆に、海外炭は今が底値であって、これから間違いなく上がってくるだろう。  さらには、なかなかマスコミ等々で知られていないことなんですけれども、いわゆる海外炭の場合はコールセンター経由でありますので、コールセンター経費がトン当たり二千円かかる。さらには、灰分が多いために灰の処理が大変で、それがトン当たり平均五百円ぐらいかかる。ですから、海外炭というものは、例えばトン当たり五千円でありますと、それにプラス二千五百円して七千五百円ぐらいが本当の今の価格なんだということを認識してもらいたい。  そうなってきますと、先ほど申し上げたように、平成十九年のスタートのころには一万円を割っておるとなってきますと、本当に接近をしてくる。北海道では今でも、露頭炭をカロリーベースにしますと一万五百円ぐらいで買っておるというような状況でありますので、私は、このような海外移転に対する政府支援であるとかそういうものを含めていったならば、日本の石炭鉱業というものは一本立ちできるような姿になってくるであろう、このように思います。そういう意味から、平成十九年度以降も視野に入れた政府のお取り組みというものをぜひお願いしたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  103. 北畑隆生

    北畑政府委員 十九年度以降は電力業界の引き取りのない自由取引ということになるわけでございますが、現在から七年半ございます。海外から入ってくる炭の値段につきましては、いろいろ不確定な要素がございますけれども、今の価格より上がってくるということは、委員指摘のとおりだと思います。  それから、この七年半の間に、政府支援、自治体の支援、それに加えて何よりも石炭会社合理化努力が進むわけでございまして、内外価格差は相当縮まっていくものと考えております。
  104. 島津尚純

    ○島津委員 ひとつその点、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、次に行かせていただきたいと思います。  次の問題は、NEDOと旧石炭鉱事業団が統合をする際に、石炭鉱事業団の職員の将来の雇用については、直接の雇用者としてのNEDOはもちろん、通産省としても誠心誠意対処していきますというような当時の大臣の答弁があったわけであります。  今回の石鉱審答申におきまして、石炭鉱害問題は平成十三年度をもって終結する、解消する、さらに浅所鉱害については平成十四年度以降もしかるべき対応をやっていくということでありますが、言うならば、旧石炭鉱事業団の職員の皆様方については大部分の方が、そのやっておられた仕事というものは一応なくなってくる、こうなってきます。  そうなってきますと、この職員の皆さん方の雇用、身分についていよいよ問題になってくるというふうに思うわけですが、私どもとしましては、ぜひ当時の大臣の答弁のように、この職員の皆さん方に対する雇用については誠心誠意お考えいただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、この時点において再度確認をさせていただきたいと思います。
  105. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 鉱害対策につきましては、NEDOにおいて累積鉱害復旧完了に向けた努力が強力かつ着実に進められているところでございます。しかし、累積鉱害の復旧完了目標時期である平成十三年度末において、鉱害本部職員が多数在籍する見込みでございます。  したがいまして、雇用者としてのNEDOはもちろん、通産省としても、平成十三年度末までの間にNEDO鉱害本部職員の雇用確保対策を適切に実施すべく、誠心誠意対処してまいる所存でございます。
  106. 島津尚純

    ○島津委員 与謝野大臣の今の力強い御答弁をいただきまして、本当にありがたく思っております。どうかよろしくお願いを申し上げます。  最後の質問でございますが、労働大臣にいらしていただいておりますので、雇用の問題につきまして質問を申し上げたいと思います。  これは二点に分かれておるわけでありますが、三井三池、日本一の炭鉱閉山をしましてから二年以上が経過をいたしておるわけであります。この炭鉱閉山によりまして、多くの、千五百人近くの方々が離職をされたわけでありますが、今日まで、労働省を中心として、あらゆる求職活動支援体制あるいは職業訓練体制等々をとってきていただいたわけでありますが、数字を申し上げますと、五十数%の皆様方が再就職をしたのみにとどまっておって、半分近くの皆さん方がまだ就職をされない状態にあるということであります。  これを、あと二年で石炭六法はすべて失効するわけでありますから、そうなりますと、特別の雇用対策というものがなくなってくるという状況にあるわけでありますので、どうかこの二年間で何とか力を入れてもらいたいというのが一点でございます。  いま一つは、福岡県の筑豊を中心とした開発就労事業におきまして、現在でも二千人近くの皆様方がこれに就労されているという状況にあります。  これも、この答申によりますと、十三年で終結をするということでありまして、その後は経過措置激変緩和措置一定期間とるというようなことになっておりますが、その一定期間とはどうなのか。さらには、現在、ことしの開就事業の予算規模は八十億ぐらいであるというふうに思うのでありますけれども、それが一定期間の間、経過措置として、どのくらいの予算規模で、どのくらいの人たちの雇用確保しようとしていただいているのか。  この二点につきまして、質問をさせていただきたいと思います。
  107. 甘利明

    ○甘利国務大臣 まず第一点目でございますが、三井三池炭鉱閉山によりまして離職をされた方の再就職状況につきましては、平成十一年の七月一日現在までに、関連企業を含めまして千五百十五名の方が求職申し込みをされまして、そのうち七百九十四名の方が就職をされたところであります。御指摘のとおり、なお六百三十三名の方が求職中となっているわけであります。  労働省といたしましては、これまで、炭鉱労働者等の雇用の安定等に関する臨時措置法に基づきまして、離職をされた方々に対しましては、炭鉱離職者求職手帳の発給、そして機動的な職業訓練の実施、離職者の方々の意向を踏まえたきめ細やかな就職相談、あるいは特別求人開拓の実施等の措置を講じてきたところでもあります。  今後とも、三井三池の離職者の方々につきましては、地元の福岡県とかあるいは熊本県と密接な連携をとりつつ、特別の求人開拓を実施しますとともに、例えば合同面談会の開催等を通じまして、一人でも多くの方が一日も早く再就職できるよう努力をしてまいります。  この未就職者の実態を調べてみますと、やはり五十歳以上の方が非常に多いんですね。炭鉱離職者の方々でその年齢の方というのは、その地域経済からいうとかなり高い部類の給与をもらっておられる方でありまして、そして手帳で、保険給付以降も含めて三年間、六割が給付されるとなりますと、いわゆる所得水準が比較的高い部類になりますものですから、それと同等の職業がなかなか見つからないということと、あと、五十五歳からの年金がスタートしますので、現在もらっている水準よりも低いところでということになかなか気持ちが働かないので、同等の仕事が何かないかということで、そこの年齢域に未就職者が多くいらっしゃるのではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、我が省でできることは最大限に使いまして、再就職に向けての努力をしていきたいというふうに思っております。  それから、二番目の御質問であります。  先般の石鉱審答申におきまして、いわゆる開就事業につきましては、「平成十三年度末をもって終了することが適当である。 しかしながら当該地域の厳しい雇用状況にかんがみ、当該事業就労している者の自立を促進していくための措置を講ずるとともに一定期間暫定的な事業実施できるような激変緩和措置を講ずる必要がある。」とされたわけであります。つまり、開就事業は終了するけれども、激変緩和措置をとるべきであるということでありまして、我が省といたしましては、この答申を踏まえまして、地域の実情等を勘案しながら、この暫定事業をどのくらい実施するかということも含めて、激変緩和措置検討していきたいと思います。  この事業内容につきましても、この答申を踏まえまして、関係県が主体的に実施できるものにしてまいりたいというふうに考えております。具体的な期間とか予算等々、他省との連携もありますので、これから具体的に詰めていきたいというふうに思っております。
  108. 島津尚純

    ○島津委員 今申し上げました二件につきましては、どうかこれからも労働大臣によろしくお願いを申し上げたいと思います。  時間が参りましたので質問を終わらせていただくわけでありますが、今回の答申、特に私どもが、念願でありましたし、また多少不安にも思ってまいりました二炭鉱存続というものがこのような形で位置づけられたということを、関係者の皆さん方に心から感謝を申し上げる次第であります。また、今後の日本と世界関係において、石炭の位置づけというものはますます重要になってくるし、また厳しい環境の中に入ってくると思いますので、石炭、日本の残る二炭鉱につきまして、今後あらゆる角度から政府支援というものをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  109. 高木義明

    高木委員長 丸谷佳織君。
  110. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。  午前中から審議をお伺いしておりまして、なるべく重ならないようにというふうに思いますが、若干重複してくる点もあるかと思います。大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。  今回の答申を見させていただきまして、特に炭鉱技術移転五カ年計画等、二〇〇二年度以降の石炭に関連します施策が出されたことは、大変に意義深い結論だというふうに思っております。また、特に、我が国エネルギー政策の中で、海外炭安定供給確保する、あるいは将来のエネルギー危機を回避するという観点から、稼行炭鉱二鉱を存続させて、世界屈指の石炭技術海外移転していくというこの重要性というのは、国際的な評価のみならず国内的にも必ず認知されていくものだというふうに確信をしているわけでございます。  実際に現存します炭鉱地域の方々も、炭鉱存続するということに関しまして一安心されているんじゃないかなというふうに思うのですが、二〇〇二年度以降の施策はありますものの、反面、二〇〇一年度で終了してしまう施策も実際にありますし、炭鉱技術移転五カ年計画というのは、先ほども説明がありましたけれども、その五カ年の間で重点的に集中して技術移転する事業だというふうになりますと、より長期的な俯瞰に立った石炭政策の展望というのを明示していく必要があるのではないかなと思っております。  今回の答申の中にも、地域の自立的な発展に向けて、厳しい状況を認識しつつも、明るい展望を視野に入れて、地域環境をとらえた柔軟な対応が必要であるという言葉があるのですけれども、いま一度大臣の方から、長期的な我が国石炭政策の展望、明るい展望をぜひ示していただきたいと思います。
  111. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 石炭政策の難しさと申しますか、国民に御理解をしていただかなければならない点は、先ほども申し上げましたが、実際は日本はたくさんの石炭を消費をしているわけです。ただ、国民はその実感を持っておられない。石炭は専ら火力発電所と製鉄所で使われているということで、一般の我々の生活には余り直接関係のないところで使われておりますので、まず国民の石炭に対する認識というものをやはりもう一度深めていただきたいと私は個人的には思っております。  石炭政策というのは、一つは、古くは雇用問題としてとらえられていたこともありますし、また、地域社会との関係でとらえられてきたこともありますし、戦後すぐというのはむしろエネルギーそのものとして、石炭、鉄鋼というのは、日本が持っているいろいろなリソースを傾斜的に配分していく対象であったわけでございます。  今回の答申は、やはり従来の路線とは少し違いまして、いわゆる日本が持っている炭鉱技術の優秀な部分というものを海外移転していこう。これは、採炭技術そのものと安全上の技術の両面にわたると私は思うのですが、採炭技術及び安全に関する、保安と呼んでおりますけれども、安全技術、この両面を海外移転していこう、そのために日本の稼行炭鉱二つは存続の正当性があるという観点に私は立っております。  当然ながら、稼行炭鉱炭鉱存続するということは、地域社会との関係においても大変いい関係になりますし、また、そこで働いている方々にとりましても雇用の場が確保されるということでもあるわけですが、正当性を国民に説明するためにはやはり、技術移転という大変国際的に貢献度の高い、そういう考え方で国民に御説明して御理解をいただく、これが多分答申の真髄なんだろうと私は思っております。
  112. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 午前中の審議の中でも、大臣の方から、国内炭鉱存続の根拠というのは我が国が持っている炭鉱に関する技術力にあるんだという御答弁があったと思うのですけれども、また、同様に先ほどから、国内炭海外炭価格差のお話が、それぞれの議員の皆さんされていたわけなんですけれども、二〇〇一年度末までに国内炭一万二千円以下を実現するということは、大変に厳しい経営努力合理化を進めていかなければいけないんだというふうに思います。また、現在で、海外炭との価格差は三倍近い。将来的に一万二千円でも、単純に計算しますと約二倍の価格差になってきているわけですよね。  ただ、先ほどから、海外炭におきましては、ほぼ価格が連動しています石油が現在値上がりをしているということ、また、低コストの露天掘りの方から坑内掘りの方へ世界的な流れが変わっていくであろう、環境面を考えて変わっていくであろうということ、そしてアジア地域自身も、石炭需要がふえていくことによりまして自国のエネルギー危機を考えて輸出を控えていくのではないかということを考えますと、海外炭は今は底値であるということもあわせて国内炭考えると、将来的にはその価格差が非常に小さくなっていくのでありましょうけれども、国の政策あるいは路線としまして、一万二千円以下、より低コストの国内炭にするための道筋というのをある程度示していかなければいけないのではないかなというふうに先ほど来の質疑を聞いていて思ったのですが、その点に関しましてはいかがでしょうか。
  113. 北畑隆生

    北畑政府委員 まず、十年度の実績で現状を申し上げますと、電力会社に引き取っていただいている石炭の値段は、平均でトン当たり一万五千円でございます。これに対して、我が国に輸入されておる海外炭のCIF価格の平均が約五千円でございまして、現状、内外価格差は三倍という計算をしております。  昨年来二年間にわたって議論をしている過程で、二炭鉱からは、平成十三年度末に一万二千円を切る水準まで合理化努力をする、こういう表明がございました。それから、このたびの答申では、さらに合理化努力を継続し、電力会社が引き取る価格のベースで、引き取り期間五カ年間の後半、始まりは平成十六年の十月ということになりますが、その時点で一万円を下回る、こういう価格引き下げの目標ができておるわけでございます。これは炭鉱にとっては大変厳しい目標であろうかと思いますけれども、労使一体となって効率化を進める、これは達成可能だというふうに考えております。  もちろん、この合理化努力支援するために、現在の石炭政策が残っております二年半、それから、技術移転五カ年計画遂行するその後の五年間、政府はもちろん地方自治体と一緒になりまして、こういった合理化努力を側面から支援をしてまいりたいと考えております。
  114. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では次に、炭鉱技術移転五カ年計画についてお伺いをしたいと思います。  この中に、政府一定負担をするとした以外には、現時点では具体的なスキームが触れられていません。この政府負担というのが実際にどのような形で国内炭支援につながってくるのか。あるいは、現在実施されていますNEDO、JCOALの海外炭鉱技術者受け入れと実際にどのような違いが出てくるのか。現時点で明らかになっている具体策がありましたら教えてください。
  115. 北畑隆生

    北畑政府委員 JCOAL、財団法人石炭エネルギーセンターなどが現状実施しております研修との差を最初に御説明申し上げたいと思います。  現在でも、二炭鉱で年間百七十名程度の研修生受け入れておるわけでございますけれども、これは期間が一カ月程度でございます。また、対象者は、どちらかといいますと、将来炭鉱の幹部になられる方、あるいはそれぞれの政府石炭行政担当者となられる方が中心でございます。  これに対しまして、今後検討してまいります炭鉱技術移転五カ年計画におきましては、主として現場の炭鉱技術者を対象に、人数も大幅にふやし、研修期間も長期化をさせる。また、研修の内容といたしましては、採炭、掘進から選炭まで、炭鉱のあらゆる技術をオン・ザ・ジョブ・トレーニングの形で研修をする。まさに答申にもありますように、人から人に技術を伝えるという形での研修を考えておりまして、この点でこれまでの研修事業とは内容は大いに変わったものになるかと存じます。  これに対する支援策については、十四年度以降でございますので、これから議論をするわけでございますけれども、こういった研修を実施する事業を助成すると同時に、それが炭鉱への支援、あるいは価格引き下げ努力への支援となるように知恵を絞ってまいりたいと考えております。
  116. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では、続きまして、産炭地域の振興対策について何点かお伺いをしたいと思います。  実際に、法失効後の激変緩和措置というものが答申に盛り込まれたことに対しまして高い評価をしているわけなんですが、八次政策以前の閉山による市町村に対しましては、激変緩和措置を適用することについて検討をすることが必要というふうにされています。今後、この適用の可否についてはどのような基準で検討をし、決定されていくのかという点をまずお伺いします。
  117. 北畑隆生

    北畑政府委員 八次策前の対象市町村の選定につきましては、答申では、人口増加率、財政力指数、一人当たり工業出荷額、生活保護率、これらの指標が全国平均から著しく乖離しているという点が一点、それから過去の累積閉山量、閉山規模の大きさという意味でございます、それから老朽炭鉱住宅の残存等、負の遺産が残っておる、こういったところを基準といたしまして選定をしていくというふうに答申で書かれております。具体的な基準はまだできておりませんけれども、この答申趣旨に沿いまして、基準をつくり、対象の選定をしてまいりたいと考えております。
  118. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 実際に、北海道、特に空知の方で暮らしていらっしゃる方々からは、生活保護率あるいは老朽炭鉱住宅戸数要件の廃止等を望む声をお伺いしております。  また、答申の、産炭地域の現状と振興対策評価の項というのを読んでみますと、中空知圏域では人口の減少率が過疎地域の減少率を上回っている、また、財政力指数は過疎地域の平均を下回っているというふうに分析してあります。また、八次策・ポスト八次策影響市町村以外の六条市町村の中には、人口の増加率ですとか財政力指数、一人当たり工業出荷額、生活保護率のいずれの指標も過疎地域の平均値を下回るなど全国水準から著しく乖離をして、老朽炭鉱住宅の残存などから見て、経済活動の沈滞ですとか財政の窮迫が、閉山という特殊な要因によると特段認められる市町村があるというふうな分析がされているわけです。  ここで指します市町村で生活している方と、そして、さきに述べました生活保護率、老朽炭鉱住宅戸数要件の廃止を望んでいる方々は重なっているんだろうというふうに思われますし、また、激変緩和措置の適用を検討されることになってくる地域の方々も、同様に重なっている地域の方々だというふうに思います。  以上のことを踏まえまして、この適用基準というのが非常に大切になってくるのではないかというふうに思われます。特に、これは一つの基準ですから当然なんですけれども、客観的かつ地域の実情を確実に踏まえた的確で公正な判断というのが求められてくると思いますし、この基準に対しても今後十分に検討をしていただく必要性が高いと思うのですが、この点に関してはいかがでしょうか。
  119. 北畑隆生

    北畑政府委員 適用基準につきましては、答申趣旨に沿いまして、今後、関係の省庁、財政当局とも相談しながら、御指摘のような点を十分頭に置きまして検討してまいりたいと考えております。
  120. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 どうぞよろしくお願い申し上げます。  では、中核的事業主体についてお伺いしたいのですけれども、こちらの方も、法失効後においては、自立的な経済社会の構築に向けて中心的な役割を果たすように機能の拡充強化を図るべきというふうに答申に書かれています。これには、事業規模を増額するなど、国そして地方において所要支援実施するべきとなっておりますが、そうなると、基金増額などの財政負担を伴うことになってくるのだろうというふうに思います。国としましては、どの程度の基金の増額を想定していらっしゃるのか、これが一点目です。  また、地域の実情に応じた基金の事業活動の機動的かつ弾力的な実施というのもうたわれているわけなんですけれども、実際に地元の方々からは、基金の元金を取り崩してほしいといった意見を伺っておりますし、また、ある声では、空知二市六町については、六条地域でありながらも全国で唯一、基金の対象となっていないということを踏まえまして、新たな基金の別途造成といった要望も受けております。基金の事業活動の機動的かつ弾力的な実施という姿勢に対して非常に期待をしているところなんですが、政府考えはいかがでしょうか。
  121. 北畑隆生

    北畑政府委員 産炭法失効後の地元の自主的な産炭地域振興事業実施していく主体として中核的事業主体役割が重要だという点は、審議会でも非常に多くの方から御指摘をいただきました。  また、それぞれ五十億円程度の規模の基金を使いまして事業をやっておるわけでございますが、御案内のような低金利のもとでは十分な事業ができないという御指摘も受けたところでございます。答申では、事業規模の増額ということで、基金について予算面の措置をしていかなければならないと考えておりますけれども、この金額につきましては今後の予算要求の過程で決めてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、こういう低金利の状況では、むしろ元本の取り崩しを認めたらどうかという御意見があるのも委員指摘のとおりでございまして、審議会でも同様の御指摘がございました。この点につきましては、財政当局と相談をしてまいりたいと思いますが、なかなか前例も少なくて難しい交渉になろうかと思いますが、努力をしてまいりたいと思っております。  それから、空知地区の二市六町がこの基金の対象になっておらないという点につきましても、委員指摘のとおりでございます。  ただ、別途基金をつくるというのは、他の地域とのバランスから難しいかと存じます。現在対象になっております五市一町との関係の調整というのを、地元の市町村、北海道庁と相談をしてまいりたいと考えております。
  122. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 新たな支援ができないかどうかも含めまして、より弾力的な実施というのを望んでいく次第であります。  次に、産炭地域振興対策におきましては、石炭鉱業の不況に起因する影響が是正されました後にはもちろん一般的な地域振興施策に転換されていくというふうになっているわけなんですけれども、実際には、八年を経過しようとしている産炭地域振興実施計画の三百五事業のうち、完了している事業はわずか三四%で、残る事業が六六%未完了という、依然として大変厳しい状況下にあることは間違いないのも事実であります。今回の答申の方針にこたえていくためにも、また、何といいましても産炭地域の復興のためにも、実施計画に関連する事業の先行的、そして重点的な実施に向けまして、予算枠の優先配分などが望まれますが、大臣はいかがお考えになるか、御所見をぜひお伺いします。
  123. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 通産省としては、産炭地域振興実施計画の実効性を確保するために、関係省庁、地方自治体等との緊密な連携を図りつつ、地方自治体への財政支援等から成る総合的な産炭地域振興対策を推進してきたところでございます。  産炭地域振興対策の円滑な完了に向けて、産炭地域振興審議会及び石炭鉱業審議会答申内容を踏まえて所要措置を講じる考え方であります。今後、関係省庁等各方面との調整を進め、法期限に向けて、関係省庁等との緊密な連携のもと産炭地域振興実施計画に沿った各種施策の着実な実施に努めてまいります。  もちろん、先生のおっしゃるような財政的な裏づけもまた必要であるわけです。
  124. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 どうぞよろしくお願い申し上げます。  では、最後の質問になるかと思いますけれども、空知地域でも今は、二十一世紀に向けまして新たな町づくり、そして町おこしに皆さんそれぞれ英知を出し合って懸命に取り組んでいらっしゃいます。例えば、三笠市というところでは湯けむり事業ですとか、あるいは芦別市の方は合宿の里構想などといいまして、それぞれの独自の発想で町の前進を図られているわけなんです。  北海道内の産炭地域には不用炭鉱施設が現在千十八件も放置されているという現状があります。これらが地域の景観の整備ですとか新しい町づくりの障害になっているということは想像にかたくないというふうにも思います。ただし、これを除去するにはもちろん多額の資金というのが必要となってきますし、国の現行制度では対象とならないものも多いものですから、基盤整備不用施設除去等の調整額など産炭地域の振興臨時交付金制度などの、こちらは要件の緩和そして拡充というものが町づくりには必要不可欠となってくると思いますが、この点に関してはいかがですか。
  125. 北畑隆生

    北畑政府委員 多数の不用炭鉱施設がなお残っておるということは、委員指摘のとおりでございます。平成五年度から、産炭地域振興臨時交付金の中に産炭地域振興街づくり基盤整備不用施設除却等調整額という制度を新設いたしましてこのような支援をしてきたところでございまして、これまでも相応の成果を上げてきたものと考えております。残る石炭政策期間に引き続き努力をしてまいりたいと思っております。  要件緩和というのは、これは財政当局と調整をしてみますけれども、今までもなかなか実現をしておりませんで、御要望にこたえられない点がございますが、なお努力をいたしたいと存じます。
  126. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 その点に関してもよろしくお願いいたします。  いずれにしましても、今回の答申方向性の中で確実な施策実施というのを図っていくために、優先的にすべきことを公正に判断をしていただいて思い切って実現をしていただく、そして地元の方、地域の方々の声に対しましてはより敏感に反応していただいて、繊細で手厚いケアをしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  127. 高木義明

    高木委員長 中西績介君。
  128. 中西績介

    ○中西(績)委員 私に与えられた時間、大変短うございますので、今回答申されました二つの答申案を見まして、極めて実務的に質問をさせていただきたいと思います。重複する部分もあると思いますけれども、この点はお許しをいただきたいと存じます。  まず労働省にお伺いしたいと思うのですけれども、今まで緊急就労事業というものがございました。これが終了いたしましてから以降、暫定措置をやっておるわけでありますけれども、この点で、平成十二年度末までということになっておりますが、最終的には何人になるんでしょう。
  129. 長谷川真一

    ○長谷川説明員 御指摘の暫定緊急就労対策事業でございますが、平成十二年度末で、五年間ということで終了することとされておるわけでございますが、現在これに就労しております方が、年齢によってこの事業から引退をされるという方を考慮して平成十二年度末の見込み人数を推計いたしますと、約五十人というふうに考えております。
  130. 中西績介

    ○中西(績)委員 そういたしますと、これとちょうど同じようなことが産炭地域開発就労事業でまた行われるということになるわけですね。現在人員千九百六十人だと言われています。法失効平成十三年度末におきましては千六百人台と聞いておりますけれども、今考えますと、筑豊地域における求人倍率は、閉山時と全く同じ〇・一%台、失業率は一〇%を超える状況になっています。  答申では、平成十三年度末で終了適当となっておりますが、自立促進措置一定期間暫定的事業による激変緩和措置が必要とあるけれども、さきのこの緊急就労事業考えた場合に、この問題についてはどのように措置されていくおつもりなのか、この点をお答えいただきたいと存じます。
  131. 長谷川真一

    ○長谷川説明員 開発就労事業につきましては、先生御指摘のとおり、平成十三年度末で約千六百人の就労者が残るというふうに考えております。  この開発就労事業につきましては、石鉱審答申の中で「平成十三年度末をもって終了することが適当である。」ということでございますが、御指摘のような「当該地域の厳しい雇用状況にかんがみ、当該事業就労している者の自立を促進していくための措置を講ずるとともに一定期間暫定的な事業実施できるような激変緩和措置を講ずる必要がある。」と答申の中で指摘をされておるわけでございまして、この考え方に沿いまして、自立促進措置や暫定事業による激変緩和措置内容について早急に詰めてまいりたいと考えております。
  132. 中西績介

    ○中西(績)委員 私がこのことを申し上げるのも、開就紹介対象者の年齢構成をお聞きしましたところ、千六百五十七人と推計をいたしまして、四十三歳から始まり六十四歳まで、六十五歳は切るようになっておりますから。そうなってまいりますと、これが最高百四十名になるわけでございまして、ずっと、平均的に四十三歳まで、四十五人以上になるわけでありますけれども、そうなりますと、これは長期間にわたってそういう状況が続くわけであります。  したがって、もしこれを今言われておりますようにリストラだということで処置をいたしますと、私、この地域の生活保護状態を調べましたところ、福岡の平均が一六・五パーミルであります。千人に十六・五人ということになっておりますけれども、この地域になってまいりますと、特に六条地域におきましては大変な生活保護世帯になっています。五十をはるかに超える状況があるわけでありますから、先ほど申し上げたように、求人倍率〇・一だといたしますと、ここで就職などということは到底不可能だということを言わなくてはなりません。  ということになりますと、もし今言われましたような何らかの措置をとらないということになりますと、毎年これだけの者が、約二十年にわたって定期的に百人を超える失業者がそこに存在するということになっていくわけでありますから、失業率が一〇%を超えておるこの地域における状況、また失業者増大、そして、しかもそれは生活保護世帯へと落ち込んでいくという結果になるわけであります。  そういうことになりますと、生活保護で支払う金額の方が有利なのか、それとも、実際に働かずに生活保護を受けることよりも、具体的に就労させることによってその中身を、質を濃くするとか、いろいろなことによって労働することの価値をどのように評価していくかということを考えた方がむしろ政策的にはよろしいのではないかと私たちは考えます。  したがって、今お答えいただいた面における暫定的な措置、今このように答申がなされておりますときだけに、十分検討に値するものではないかと思いますので、この点については十分お考えいただけるかどうか、もう一度確認をしたいと思います。
  133. 長谷川真一

    ○長谷川説明員 暫定事業開発就労事業平成十三年度末以降の、平成十四年度以降の措置につきましては、石鉱審答申趣旨に沿った形で十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  134. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、これはこの委員会とはかかわりないものになりますけれども、ついでと言ってはなんでございますが、特別開発就労事業につきましては、一般財源によって施行されるわけでありますけれども、来年度概算要求については本年と変化なしに要求をされるものであるかどうか、お答えください。
  135. 長谷川真一

    ○長谷川説明員 先生御指摘の特別開発就労事業でございますが、これにつきましては、昨年の十二月十六日に、学識経験者によります特定地域開発就労事業の在り方に関する調査研究会の報告が出されたわけでございます。この報告におきましては、特開就事業につきましては、もはや終息すべき時期を迎えているものの、これを直ちに廃止することには問題があり、当該事業への新たな流入を停止し、現に就労している者に限って事業実施すること等の必要な対応について指摘がなされたところでございます。  労働省としては、この事業が一般会計を財源としており、非常に厳しい財政状況の中ではあるわけですけれども、この報告の内容を尊重しつつ、必要な予算の確保に努めておるところでございまして、平成十二年度概算要求につきましても、報告の内容に沿った対応に必要な予算措置財政当局にお願いしてまいりたいと考えておるところでございます。
  136. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、石炭鉱業審議会答申の中の鉱害問題についてお聞きをしたいと存じます。  累積鉱害平成十三年度末で処理されるとたびたび報告がなされております。現状の進行状況から見ると、必ずしもこれがそのまま消化されるということは困難だと私は思います。したがって、法律の失効後の体制、措置について多くの不安を抱かせています。  そこで、お聞きしますけれども、鉱害二法改正問題について、平成十二年、国会に提出すべきであるといいますけれども、失効後の経過措置として三点、今まで説明してまいりました。これについては時間がありませんから詳しくは申し上げませんけれども、法期限後の認定されるもの、さらにまた、連携家屋等の不同意のある部分についての問題、あるいは農地の調整工事施行後三年後の問題等いろいろあるわけでありますけれども、国が責任を持って処置するのかどうかが多くの皆さんの関心の的になっています。  しかし、今度の答申の中身を検討させていただきますと、その点はある程度私たちが期待をするような状況になったと思っておりますけれども、国、県あるいは指定法人の任務と責任を明確にする必要があると思いますが、この点についてはどうお考えですか。
  137. 北畑隆生

    北畑政府委員 累積鉱害と浅所陥没に分けてお答えを申し上げたいと思います。  累積鉱害につきましては、現在、唯一福岡県にのみ残っておるという状況でございまして、審議会では、個別の案件も含めまして詳細な議論をお願いいたしました。その結果、大部分につきましては、現行政策の期限であります十三年度中には累積鉱害の解消のめどがほぼ確実になるという御判断がございました。  ただし、委員指摘のとおり、三点。法期限内に復旧工事に着手はするけれども、工事そのものが十四年度以降にずれるものがあるということが第一点。それから、農地の関係でございますが、農地の制度に伴います三年間の効用回復確認期間、この期間中に実施をします附帯的工事、これにつきまして十四年度以降に延びるものがあるというのが第二番目でございます。それから三番目は、道路等の復旧に際しまして家屋等に連携工事が必要となる場合、その連携工事家屋の施工について同意が得られておらないという部分が何件かございます。これらにつきまして、法期限後も復旧工事を続けていき、完了させるというための経過措置が必要である、こういう指摘を受けております。これらにつきましては、復旧法の中で法的な経過措置を講じ、これまでと同様国が責任を持って処理をするという形で対処してまいりたいと考えております。  次に、小規模な浅所陥没でございますけれども、これにつきましては今後も長期にわたって発生をするということでございまして、現在の復旧法に定められた制度でございます指定法人制度を活用するということでございます。  福岡県とは、十三年度中にこの指定法人を設立いたしまして、法期限後であります十四年度以降、新規に発生する浅所陥没については指定法人が対処をする。これに対しまして、国と県は資金面で支援をし、また、鉱害の存否について通産局が引き続き確認事業をやるといった手当てをして、指定法人事業として実施をしていくということにしたいと考えております。
  138. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お答えいただきました点はぜひお守りいただければと思いますが、ただ、浅所陥没の問題につきましては、これは指定法人を設置するわけでありますけれども、福岡県だけでなしに全国的にということもございますので、この部分については、将来的にはやはり考えるということであると受け取ってよろしいですか。
  139. 北畑隆生

    北畑政府委員 浅所陥没の指定法人につきましては、福岡県以外の都道府県からも申請があれば指定をし、同じような措置をとりたいと考えております。
  140. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、一部はエネ庁関係でない部分もあるかと思いますけれども、ボタ山問題についてお聞きしたいと思うのです。  ボタ山問題は、ごく限られた地域に存在をしておるということもございまして、関心がだんだん薄くなってきつつあるわけでありますが、田畑あるいは池などに流入した場合、効用阻害が起こるわけでありますけれども、復旧は失効後もされるかどうかを大変心配されておるところです。この点、どのようにお考えですか。
  141. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 ボタ山対策についてでございますが、御案内のように、崩壊の危険があるボタ山対策につきましては、基本的には鉱業権者が対策を行うべきものでございますが、鉱業権者が無資力あるいは不存在のものについては、地方公共団体実施する防災工事に対しぼた山災害防止工事費補助金を交付し、防災工事を実施してきたところでございます。  また、有資力のものにつきましても、私どもの鉱山保安監督部は、例えば梅雨入り前に念入りにパトロールを行うということで、その有資力の会社に必要な措置を講じるよう指導してきたところでございます。  今後とも、県のボタ山災害防止計画最大限尊重し、平成十三年度までに工事を終了すべく、施工者である県にスケジュール管理の徹底を図ってまいる所存であります。  御指摘の十四年度以降についてでございますが、現在行っている防災工事完了後のボタ山の管理、補修等を行う資金を確保するために、各県におきまして、産炭地域活性化事業費補助金制度を活用し、基金を造成しているところでございます。  これらの措置によって地元地方公共団体によるボタ山の保全工事等の必要な対応が可能となっており、今後とも、これらの措置が適切に進むよう、我々は注意して見守っていきたいというふうに考えているところでございます。
  142. 中西績介

    ○中西(績)委員 加えて、環境面からこれをとらえてみますと、ボタ山の周辺にある、あるいはボタ山の下の方にある家屋は、風によって微粉炭あるいは砂などの被害が相当出ております。これは常時ないものですから、風のあるときだという限定された問題でございますので、余り大きな問題になっていないようでございますけれども、防災工事をやればそのことはある程度防げると思いますけれども、やっていないところあたりにおきましては、樹木の植栽、特に落葉樹あたり、そして落葉樹ですから、葉が落葉してそこに積もればそうしたこともなくなっていくわけなんですね。  こういうようなことをしないと、やはり浸食がどんどん、起こったままの状態で放置しておりますと、これはさらに続くと思います。したがって、これらについても、法失効後、何らかの対策をしていく必要があると思うのですけれども、この点はどうでしょうか。
  143. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、防災工事の完了後の補修、管理のまさに一環として、そういうことが県の方の工事として補修、管理の作業の一環として考えられるかどうか、その辺はまた県の方のお考えも聞いていきたいというふうに考えております。
  144. 中西績介

    ○中西(績)委員 だんだん時間がなくなってきましたので、先ほどもちょっと出ましたけれども、報告の中に、その他関連事項の中に、鉱害処理の中心役割を果たした機構鉱害本部職員の雇用対策については、従来から確認をしておるとおり、間違いなく今後も誠意を持ってやるということを確認したいと思いますが、よろしゅうございますか。
  145. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 午前でも同じ答弁をいたしましたが、当然のこととして、誠心誠意やりたいと考えております。
  146. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、現在産炭地域は、四道県、八経済生活圏で百二市町村と言われています。この対象の中におきまして、八次策以降分について、十三市町村については出されておりますけれども、先ほどから言われておる、いろいろ諸条件に沿ってやるということになっておるようでありますが、閉山という特殊な要因によって特段認められる市町村があるといたしますならば、これについては検討すると言われています。  私は、この点でぜひお聞きしたいし、確認をしておきたいと思いますけれども、一つ地域の中で、ちょうど間引きみたいに、隣の町村はそれから外れ、どこが境かわからないようなところの一つの町村は外れるという可能性だってあるわけですね。このことは私は非常にこれから問題になってくると思います。  なぜ私はそのことを申し上げるかというと、今までの産炭地振興対策、私は当初からもう随分言い続けてきたのですけれども、例えば道路関係一つとってみましても、私のところを例にとりますと、北九州、小倉というところから出る三百二十二号線、それから今度は八幡から出る二百号線、そして福岡から出る二百一号線、こういう縦二筋横一つ横断道路があるのですけれども、これが完成していないんですよ。  そのように、総合的にやらなくちゃならぬということを随分僕らは言ってきたのだし、建設省にもそのことを強く指摘したのですけれども、いまだにこれが開通していないのです。ですから、十トン車の離合が非常に緩やかでなくちゃならぬとか、あるいは高い峠を越えなくちゃならぬとか、こういう問題等が依然としてまだ残っているのですよ。  しかも、これを見ると、三百二十二号なんというのはまだ十年かかりますね。それから、二百号線だって大変な渋滞をするんだけれども、もう一つ県道があるんだけれども、その横断しているところあたりはもう長いこと接続されていないのです。直方というところに入るところが入れないんですね。あるいは、二百一号線のごときはまだまだトンネルを掘らなくちゃならぬし、いろいろな問題が依然としてたくさん残っておる。  ということになってまいりますと、今言うように、虫食いみたいにそれをやり、地域全体をどうするかということでなくてそういうやり方でもってやりますと、アクセスそのものもできていないような中でまたこれを引っこ抜かれてしまう。ただ条件が、さっき言うような人口増加率だ、なんだかんだと。小さな町村というのは、養護老人ホームができて二百人入ったといったら、過疎から落ちる可能性だってあるのですよ。  こういうような問題等を考えてまいりますと、少なくともやはり地域的にどうするかということを考えるべきだ。圏域的に今まで筑豊は三つに分けていた。そのことに対して私は随分反対してきたけれども、最後はとうとうそういう形になったのです。だから、そこが一体的に内陸部におけるものとしてどうするのか。  この前も申し上げたように、宮田にはトヨタ、海岸線には、苅田というところに日産があるのです。両方、生産高にすると、県でいうと、日本でも有数、一位に近いところにある。なのに、内陸部にはその影響は非常に少ない、あってもまた少ないという状況があるのです。ですから、この選択の仕方なり選考の仕方というのは、よほど詳細なものをやらないと私は困難だと思います。  したがって、こうした点について、ぜひ、検討する際に考えていただけるかどうか、お答えいただきたい。
  147. 北畑隆生

    北畑政府委員 現行の産炭地域振興政策は、委員御承知のとおり、広域な観点から実施をするという方針に重点を置いてまいりました。現行の産炭地域振興臨時交付金の運用、それから、関係の省庁にお願いするインフラの整備、こういったものもできる限り広域的な効果を持つものに優先的に実施をしてきた、こういう経緯がございます。  今回の激変緩和措置市町村単位で考えるということとの関連についての御質問でございますが、激変緩和措置のうち中核的事業主体、先ほどから御質問が出ておりましたけれども、基金の増額等機動的な運用を考えておりますが、これにつきましては、こういう市町村の限定はございません。原則、六条市町村全体について広域的な運用が法失効後も可能でございます。  ただ、地方財政措置と公共事業については、市町村単位で考えるという答申にまとまっております。これは、市町村の主として財政力、それから歳出面の負担考えたものでございまして、たとえ隣接する市町村でも、他の地域に比べて財政力があり、財政負担が小さいというところは、この激変緩和措置の対象から外れてくるということに原則なりますが、委員指摘の点もよく頭に置いて今後検討してまいりたいと思います。
  148. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後になりますけれども、大臣にぜひ御検討いただきたいと思うのは、三池炭鉱閉山をしたときに、従来にないように大臣が先頭に立っていろいろ打ち合わせをしていただき、そして関係省庁等連絡会が設置をされました。  従来からこの連絡会というのはありましたけれども、極めて形式的なものであったと私は言わざるを得ません。さっきのような道路関係とかいろいろな関係がばらばらにやられておったという状況があるわけですから、この関係を本格的にもう一度見直していただいて、やはり何に力点を置いてやるかと。  ですから、今度の答申の中には今やらなければならない新しいいろいろな産業構造というものを想定しようとしている、もう申し上げませんけれども。しかし、これはさっき私が申し上げたように、例えば電子関係が熊本の阿蘇の方に、あるいは鹿児島の空港の近くにというのは、全部、空港があって、小さなものですから飛行機で運ぶことができるから、そういうところにみんな持っていかれたのです。ですから、他の県よりも物すごくそうした産業は設置されています。  ですから、そういうことを考えあわせてまいりますと、これから後、福祉の問題だとかいろいろ環境の問題だとか、たくさんありますよ。こうしたものを総合的にどうするかということを、ぜひ、そのためにはアクセスはどうするかというようなことを含めて、省庁連絡会を強めていただくということが大変重要だろうと思っています。  そのときに私が非常に思いますのは、さっき出ました中核的事業主体、ここに基本的な財政活性化基金というものをあれしておりますけれども、これではもう今の金利ではどうすることもできぬわけですから、ここいらも含めてやはり本格的にどうするかということを今思い切ってやることが、さっきから出ておる、例えば緊急就労事業を早目に切り上げることができるかどうかということにもかかわってくるだろうし、生活保護をどのようになくしていくかということにかかわってくるだろうということになってまいりますと、あくまでも、この問題については総合対策をこれからどう進めていくかということが大変重要です。  その裏づけになる財政面についてもこれから御心労いただかなくてはならぬわけですけれども、この点について一言お答えください。
  149. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生からの御質問は二点でございますので、まとめて答えさせていただきます。  まず、最初の部分でございますが、答申においては、地方財政公共事業等産業振興中核的事業主体といった各般の施策実施していくに当たり、関係各省庁の緊密な連携を確保することが必要であり、国は法失効後も産炭地域振興関係省庁等連絡会を通じまして十分な対応を図っていくべき旨の指摘がなされています。同連絡会につきましては、昭和四十四年一月十日の閣議決定に基づき設置されたものでございまして、従来から活発に開催し、各省庁との緊密な連携のもと、実効性が上がっているものと認識をしております。  三井三池炭鉱閉山に際しましては、商工業者対策雇用対策等について、関係省庁等中心に、地元関係者も含めた、一丸となった取り組みにより所要の成果をおさめたことが確認されたところでございます。  今後とも、答申内容を踏まえまして、激変緩和措置の具体化に向け、同連絡会の場を有効に活用しつつ、適宜適切に検討してまいりたいと思っております。  次に、石炭政策遂行のための財源措置をどのように講じていくのかという御質問だと存じますが、現行石炭政策の円滑な完了に向けての進め方については、石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会答申を踏まえて、所要措置を講じる考えであります。  これらの措置を講ずるに当たって必要となる予算の財源確保については、今後、財政当局を初めとする各方面と議論を進めていかなければならないものでありますが、石炭政策の円滑な完了に向けて最大限努力をしてまいりたいと考えております。
  150. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わります。ありがとうございました。      ――――◇―――――
  151. 高木義明

    高木委員長 この際、佐藤静雄君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による石炭対策の確立に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。島津尚純君。
  152. 島津尚純

    ○島津委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     石炭対策の確立に関する件(案)   石炭関係諸法の失効期限である平成十三年度を目前にし、二鉱の大手坑内掘炭鉱を残すのみとなった国内石炭鉱業においては、炭価の引き下げに向けて労使一体となった必死の合理化努力が続けられている。また、産炭地域においては、累積された閉山後の疲弊からの脱却と、地域の自立再生に向けた懸命な取り組みが行われているところである。   石炭は今後とも石油代替エネルギーとして国際的に一層の利用の増大が見込まれており、我が国としては国際的な需給動向を踏まえた長期的観点に立った安定確保への取り組みが必要である。このためにも、国際的に評価が高い我が国石炭鉱業の有する高度な生産・保安等の技術力を適切に維持し、これを世界に提供する等有効に活用することにより、輸入大国としての国際貢献を果たすと同時に我が国石炭安定供給確保につなげていくことが重要である。   また、いうまでもなく、石炭鉱業地域の基幹産業として、地域の振興や雇用確保を図る観点からも維持存続が切望されているところである。   政府は、こうした観点に立ち、石炭政策を着実に実施するとともに、我が国エネルギー政策上の国内石炭鉱業の適正な位置づけと展望の下に、現行石炭政策終了後における対策の樹立を図るべきである。   ついては、我が国石炭鉱業存続に向けた環境整備に努めるとともに、産炭地域振興鉱害復旧等の円滑な達成を図る観点から、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 国内炭鉱存続に向けた事業者の自助努力を促しつつ、需要業界、なかんずく電力業界に対し引き続き引取協力を要請すること。    なお、引取協力期間内における国内炭鉱の炭価引き下げへの取り組み努力は当然のこととしても、相当の期間技術協力基盤としての炭鉱存続が可能となるよう、必要な支援策を講ずること。  二 産炭地域の実状を踏まえ、平成十四年度以降においても関係自治体に対する地方財政上の特例措置を講ずるとともに、各省庁連携した社会資本整備事業地域振興事業等を優先的に実施する等、地域事情を考慮し激変緩和措置を講ずること。    なお、産炭地域振興に資する中核的事業主体の基金への出資金の拡充等の財政支援策を講ずるとともに、基金の事業運営を地域の実態に合わせた弾力的なものとすること。  三 鉱害復旧事業については、関係機関及び関係自治体との一体的な協力の下、鉱害法期限内に累積鉱害を解消すること。また、浅所陥没等に適切に対応するため、早急に指定法人を設立するよう促すとともに、その財政支援に努めること。  四 八次策以降の閉山合理化等により離職を余儀なくされ、現在求職中の炭鉱離職者について、広域職業紹介、職業訓練等の雇用援護措置活用し、再就職の実現に努めること。    なお、産炭地域における就労事業の終焉が当該地域に混乱をもたらすことがないよう特段に配慮すること。   右決議する。 以上であります。  決議案の内容につきましては、委員会審査及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略をさせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  153. 高木義明

    高木委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  154. 高木義明

    高木委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決議するに決しました。  この際、ただいまの決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。与謝野通商産業大臣
  155. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 ただいま御決議の趣旨を体しまして、今後とも石炭対策に全力を尽くしてまいる所存でございます。
  156. 高木義明

    高木委員長 次に、甘利労働大臣
  157. 甘利明

    ○甘利国務大臣 ただいま御決議のありました石炭対策の確立に関する件につきましては、関係省庁と連携をとりながら適切に対処してまいる所存であります。
  158. 高木義明

    高木委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 高木義明

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ――――◇―――――
  160. 高木義明

    高木委員長 この際、御報告申し上げます。  今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしましたとおり、臨時石炭鉱害復旧法の延長に関する陳情書外四件であります。念のため御報告いたします。      ――――◇―――――
  161. 高木義明

    高木委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  石炭対策に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 高木義明

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 高木義明

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会中、委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 高木義明

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十九分散会