運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-05-26 第145回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十六日(水曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 高木 義明君    理事 金田 英行君 理事 佐藤 静雄君    理事 山本 幸三君 理事 吉川 貴盛君    理事 池端 清一君 理事 島津 尚純君    理事 冨沢 篤紘君 理事 鰐淵 俊之君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       奥山 茂彦君    北村 直人君       久間 章生君    桜田 義孝君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       小平 忠正君    古賀 一成君       東  順治君    丸谷 佳織君       西村 章三君    児玉 健次君       中西 績介君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君  委員外出席者         参考人         (北海道知事) 堀  達也君         参考人         (福岡県知事) 麻生  渡君         参考人         (全国鉱業市町         村連合会会長・         福岡添田町長         )       山本 文男君         参考人         (北海道釧路市         長)      綿貫 健輔君         参考人         (長崎外海町         長)      山道 幸雄君         参考人         (石炭労働組合         協議会会長)  安永  嗣君         商工委員会専門         員       野田浩一郎委員の異動 五月二十六日             辞任         補欠選任   木村 隆秀君     桜田 義孝君   熊谷 市雄君     奥山 茂彦君 同日                 辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     熊谷 市雄君   桜田 義孝君     木村 隆秀君 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件     午前九時開議      ————◇—————
  2. 高木義明

    高木委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人といたしまして北海道知事堀達也君、福岡県知事麻生渡君、全国鉱業市町村連合会会長福岡添田町長山本文男君、北海道釧路市長綿貫健輔君、長崎外海町長山道幸雄君、石炭労働組合協議会会長安永嗣君に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、大変ありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を開陳いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、各参考人からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対して質疑できないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、まず堀参考人お願いをいたします。
  3. 堀達也

    堀参考人 北海道知事の堀でございます。衆議院石炭対策特別委員会委員の皆さん初め関係の方々には、日ごろから北海道発展格別の御高配をいただき、厚くお礼を申し上げます。また、本日はこのような意見陳述機会を与えていただきまして、感謝を申し上げたいと存じます。  北海道は今、少子高齢化グローバル化の進展など社会経済環境が変化する中で、北海道拓殖銀行の破綻などによりまして、これまで北海道を支えてきた社会経済行政の仕組みを大きく転換しなければならないときを迎えております。  私ども北海道といたしましては、「自主自律の新世紀北海道」を大きなテーマとしながら、平成十年度から十年間を計画期間とする第三次北海道長期総合計画を推進し、二十一世紀の新しい北海道づくりを目指しております。  この総合計画では六つの地域生活経済圏に分けておりますが、このうち道央圏は、札幌市を中心といたしまして、個性豊かな地域が連携し、世界と結び、北海道を支える圏域を目指しておりますが、この圏域に、炭鉱閉山から間もない空知地域が含まれておりまして、人口の流出や地域経済の衰退が著しい産炭地域問題を抱えております。  また、釧路根室圏は、釧路市を中心として、すぐれた自然に囲まれ、世界に開く活力に満ちた生活産業空間としての圏域を目指しておりますが、地域経済を支える基幹産業一つである太平洋炭鉱長期存続の問題が大きく横たわっております。  いずれも、北海道が「自主自律の新世紀北海道」を築く上で克服していかなければならない大きな課題でありまして、このためには、委員皆様特段の御理解と御支援が不可欠なものと強く認識しておりまして、北海道が直面しております石炭産炭地域問題の切実な実情などについて述べさせていただきたいと存じます。  まずは、太平洋炭鉱長期存続問題についてであります。  世界石炭需要の増加が見込まれる中にありまして、海外炭国からの技術協力の要請は年々増加してきております。太平洋炭鉱の保有するすぐれた技術基盤維持することによりまして、海外炭安定供給確保に貢献することが大切であります。  また、太平洋炭鉱釧路地域における基幹産業となっておりまして、太平洋炭鉱太平洋グループの持つ産業集積技術の蓄積を拡大し、産業活動に生かすことは釧路地域にとって極めて重要であると同時に、同炭鉱地域経済にとって有形無形の支えとなり、産業振興雇用確保を図る上で極めて重要でありますので、その支援について最大限の努力をすることが地元自治体としての役割、このように考えております。  また、これまで電力業界負担をいただきながら引き取り協力をいただいておりますが、引き続き国内炭引き取りをしていただきますよう特にお願いを申し上げる次第でございます。  さらに、国におかれましては、石炭政策におきまして保安確保あるいはまた安定供給補給金といった構造調整対策などの政策支援を進めておりますが、今後ともこうした支援を続けていただきますようお願いを申し上げたいと存じます。  以上のような事情を御理解いただきまして、太平洋炭鉱長期存続が図られますよう、委員皆様方のお力添えをお願いする次第でございます。  次に、産炭地域問題についてであります。  道内産炭地域のうち、昭和六十二年度からスタートいたしました八次政策以降、空知五市一町において、この十年間のうちに七炭鉱閉山をいたしました。このために、閉山による急激な人口減少や加速する高齢化の進行、また、基幹産業の消滅による税収の激減に加えて、閉山対策などに要した多額起債によりまして、各自治体財政逼迫のきわみに追い込まれております。  平成九年度の財政力指数を見ましても、全国都市ワーストテンの中に空知炭地の五市が連ねておりまして、特に、閉山から三年しかたっていない歌志内市が〇・一一と一番低い数値となっております。このことは、石炭政策転換後の地域振興のおくれや、石炭鉱業にかわり地域を支える新たな産業が根づいていない状況を示すものであります。  また、石炭会社が残していった負の遺産であります不用施設が各市町村に相当残っておりまして、新しい町づくりを推進する上で障害となっております。  このように、過疎地域にはない産炭地特有課題が山積しておりますことから、産炭法失効を二年後に控え、自助努力で残された課題を解決することは極めて厳しい状況にあると受けとめております。  以下、このような基本的な視点に立ちまして、北海道として産炭地域振興対策につきまして意見を述べさせていただきます。  まず一点目は、地方自治体公債費負担対策についてであります。  空知五市一町は、閉山対策閉山後の処理に多額の資金を要し、これを公債に依存せざるを得ない状況でありました。現在、この公債の償還がピークに来ておりまして、財政が逼迫しており、起債の借りかえ措置などの特例的な対策を講じていただくことをお願いするところであります。  二点目は、不用炭鉱施設除却、いわゆる解体、撤去についてであります。  閉山から日が浅いこともございまして除却対策がおくれておりまして、期間内に支援施策を拡充強化するなどして除却促進するとともに、期間内に除却問題をすべて解決することは至難でありますので、産炭法失効後においても一定期間経過措置が図られることをお願いするところであります。  三点目は、中核的事業主体基金増額についてであります。  閉山から間もない空知五市一町にとって、十四年度以降も、後処理など地域対策に必要な財源確保のために不可欠なものと考えており、このため、空知機構基金増額することが必要であります。産炭地域振興対策の円滑な完了に向けての国の果たすべき役割は極めて大きいものと考えておりまして、基金増額については国が主体的に支援することとして、全額措置されることをお願いするところであります。  また、釧路機構につきましては、太平洋炭鉱地域振興を担う基幹産業としての大きな役割を果たしておりまして、その経営安定を図るためには運用益により継続的に支援することが不可欠でありますので、基金増額を図っていただくことをお願いするところであります。  さらに、現在、全国産炭地域の中で唯一基金の対象となっていない、いわゆる六条地域空知二市六町につきましては、一部の地域閉山後の不用炭鉱施設が残っておりまして、財政状況が依然として厳しいために、地域として必要な事業が思うように進んでいない状況にあります。また、空知五市一町と隣接しておりまして、少なからず八次政策以降の影響を受けておりますことから、財源対策として新たな基金造成が必要であると考えております。  いずれにいたしましても、それぞれの地域事情空知釧路、そういった地域事情に応じた中核的事業主体基金増額や新たな基金造成につきましては、ぜひとも国の主体的な支援として措置されますようお願いする次第でございます。  四点目は、産炭法失効に伴う激変緩和のための経過措置についてであります。  産炭法失効後において、なお深刻な疲弊状況にある空知五市一町につきましては、自治体財政破綻を招くおそれがありますことから、法失効後において、一定期間経過措置として財政支援策に関する激変緩和措置が講じられるよう、ぜひとも新しい制度などの創設をお願いするところであります。  委員皆様特段の御理解と御支援を賜りますようお願いを申し上げまして、私の意見陳述を終わります。どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手
  4. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、麻生参考人お願いをいたします。
  5. 麻生渡

    麻生参考人 福岡県知事麻生でございます。  本日は、参考人といたしましてこのように意見を述べる機会をいただきました。まことにありがとうございます。心から感謝を申し上げる次第でございます。  そしてまた、衆議院石炭対策特別委員会委員先生方におかれましては、平素より本県産炭地域振興につきまして格別の御配慮を賜っております。心よりお礼を申し上げます。  特に、一昨年三月に三井三池炭鉱閉山をしたわけでございますけれども、その際は、迅速な対応、御支援を賜りました。この場をおかりいたしまして改めて御礼を申し上げます。  早速でございますが、本県産炭地域現状、そして課題につきまして意見を申し述べさせていただきたいと思います。  まず産炭地域、大きく大牟田地域筑豊地域と分かれるわけでございますが、大牟田地域について申し上げたいと思います。  三井三池炭鉱閉山をいたしまして、ちょうど二年が経過をいたしました。この間、この閉山地域に及ぼす影響を最小限にとどめますために、国の支援を得まして、離職者対策あるいは商工業者対策緊急対策、これに取り組んでまいったわけでございます。  同時に、中長期的な視点に立ちまして、石炭産業にかわります新たな産業の創出、企業誘致、物流、都市機能の向上、このための産業基盤都市基盤整備、そしてまた大牟田のテクノパークの造成、このようなことを行っております。そしてまた、環境産業を立地しますための事業、特にごみの固形燃料発電、この準備も進めているわけでございますし、三池港、有明沿岸道路整備、このようなことにも前向きに取り組んでまいっております。  しかしながら、これらのプロジェクトは、まだ閉山二年後でございまして、ようやく緒についたばかりであるという状況でございまして、まさにこのプロジェクトが本当に実現し効果を上げるためには、さらに時間、そして多くの努力が必要な状況でございます。  一方、二年余りたちました現状でも、炭鉱離職者の再就職率は五六%にとどまっているわけでございます。そして、大牟田人口はこの二年の間に約三千人の減少でございます。市の税収も三億円落ち込むというようなことでございまして、閉山影響が顕著にあらわれている状況でございます。  特に、大牟田市の財政状況は非常に深刻でございます。平成十年度の経常収支比率は九九・二%ということでございまして、財政の硬直は極度に進んでおるわけでございます。そして、平成九年度、十年度とも赤字決算となっているわけでございます。  市の財政状況がこのように悪化する中で、新しい産業の育成あるいは中心市街地活性化事業などの新しい行政需要に応じていかなければいけない、取り組んでいかなければいけないということでございまして、一方では多額財政需要が生じておるという状況でございます。  他方筑豊産炭地域でございますが、昭和三十年代から四十年代にかけまして閉山が集中して起こりました。この地域はまさに経済社会が根底から崩壊するという事態に立ち至ったわけでございます。このため、産炭地域振興臨時措置法を初めといたします石炭諸法に基づきまして、地方財政への支援、あるいは鉱害などの炭鉱後遺症解消、あるいは石炭にかわります新たな産業導入産業生活基盤整備が行われてきたところでございます。  そして、筑豊地区の中でも大体二つ地域に分かれておりますが、一つ飯塚直方地域でございます。こちらの方は、大学などの新しい誘致にも成功いたしましたし、自動車産業が進出してくる、そして道路整備、現在筑豊本線の電化事業を鋭意進めているわけでございます。このようなことを通じまして、福岡、北九州両政令都市圏活力導入努力をいたしておるところでございます。このようなことで相当の効果を上げております。  しかし、この地域でも、依然といたしまして人口減少が続いているわけでございます。一方で、将来を見ますと、下水道などの生活環境基盤整備を行いまして、地域の魅力を高める、発展力を高めていくという施策が大きな課題として残っているわけでございます。  他方、さらに、内陸部田川地域でございます。こちらの方は、国道などの幹線道路網整備がどうしてもおくれております。このため、企業誘致が思うように進まず、自治体財政状況も非常に厳しいわけでございます。そして、そのような結果、雇用失業状況本県の中でも最も状況が悪いということでございまして、その振興をいかに図るかが非常に大きな課題であり、状況は深刻であるわけでございます。  特に、この田川地域につきましては、現在、鉱害復旧事業、これによりまして炭鉱後遺症解消を行っているわけでございますが、そのための事業が今活発に行われております。しかし同時に、その関係もございまして、この地域産業中心建設業となっております。建設業従事者比率は、県全体が一一%でございますが、この地域は一八%にも上るという状況でございまして、建設業への依存率が非常に高いわけでございます。いよいよ鉱害復旧事業も大幅に進捗いたしておりまして、いずれはこれがなくなっていくということを考えますと、建設業からの大量失業ということが懸念されるわけでございます。  一方では、産炭地域開発就労事業、これも予定どおり十三年に終わるということになりますと、それでなくても景気が今非常に低迷をいたしております。そういう中で、有効求人倍率失業率が非常に悪いわけでございますが、一層この地域雇用情勢は悪化するということでございまして、この先行きに非常に苦慮いたしておるところでございます。  このような状況でございますが、今後の産炭地域振興についてでございます。この現状あるいは課題を踏まえますと、産炭法は十三年に終了することになっておりますけれども、最近の経済情勢と重ねて考えますと、とてもこれまでの施策を終了させる状況ではないと考えているところでございます。したがいまして、以下の点につきまして、改めて御理解特段の御配慮お願い申し上げたいわけでございます。  第一点は、鉱害対策についてでございます。鉱害対策のうち累積鉱害につきましては、先ほども申し上げましたように、今最後のこの解消のための復旧工事が鋭意行われているところでございます。累積鉱害につきましては、ぜひともこの完全な解消お願い申し上げたいと思う次第でございます。  その際には、特に農地の復旧工事につきましては、工事完了後の効用回復、これの検査が三年以内というようなことになっております。工事後におきましても、三年間の確認のための期間が要るというようなことでございます。このようなことがございますから、農地問題を中心に、完全な検査あるいは効用回復確認ができる、これを含めまして、所要の経過措置が講じられますように特段の要望を申し上げる次第でございます。  また、これまで復旧工事などを行ってまいりました後、かんがい排水施設につきましていろいろな維持を行っているわけでございますが、この施設につきまして、管理者でございます市町村への基金引き渡し促進あるいは引き渡し後の維持管理が円滑に行われますように財政措置をよろしくお願い申し上げます。  二番目の鉱害につきましては、今後発生をいたします浅所陥没等でございます。これにつきましては、前回の法改正におきまして指定法人制度導入されまして、特定鉱害復旧という形での実施予定をされたところでございます。この浅所陥没などの特定鉱害につきましては、その認定につきましては現行どおり国の方でお願いを申し上げたい。また、国でないと能力がないわけでございます。  同時にまた、指定法人によります事業が円滑に実施ができますように、現在の法期限内の指定法人の体制だけではなくて、法期限後の指定法人機能維持、また、安定して事業ができますように国の財源措置お願い申し上げる次第でございます。同時に、これに伴います地方財政負担につきましても特段財源措置を講じていただきますようにお願いを申し上げます。  次に、産炭地域振興関係でございます。これにつきましては、大牟田地域あるいは後遺症回復が最もおくれております田川地域中心に多くの課題があるわけでございます。また、飯塚直方地域につきましても、新しい企業誘致して活力導入しなければいけないという課題がございます。そういう中で、平成十四年度以降の産炭施策がなくなってしまいますと、このような課題を抱えました産炭地域の自立は非常に難しくなってくると考えております。  したがいまして、現在の地域実情に即しまして産炭地域振興施策を講じていただきまして、激変緩和となるように御配慮お願い申し上げたいと思います。  具体的には、第一番目には公共事業促進でございます。石炭関連事業が終息してくるわけでございますが、その影響は大変大きなものがございます。したがいまして、これを緩和していく、そして、産炭地域振興実施計画にいろいろな道路あるいは下水を中心といたしました基盤整備事業が掲げられているわけでございますが、このような事業の前倒しあるいは重点的な実施お願い申し上げる次第でございます。  第二番目には、雇用問題、地域発展を考えますと、企業誘致促進が不可欠でございます。現在、未譲渡の工業団地あるいは工業団地造成中のものがございますけれども、これらの地域企業誘致いたしますためには、現在の産炭法の六条を根拠といたしております課税の減免あるいは減収補てん措置といった誘導措置が不可欠でございます。  三番目に雇用対策でございますが、これらの地域の厳しい雇用失業状況を考えますと、産炭地域開発就労事業につきましては適切な配慮お願い申し上げたい次第でございます。  第四番目でございますが、地方公共団体財政の問題であります。さきにも申し上げましたように、財政状況がこの地域自治体は非常に脆弱でございますが、一方では、地域振興のためにいろいろな事業をやってまいらなければいけないということでございます。どうしても財政支援が不可欠でございます。このため、地方債によります財源措置地方交付税によります特例措置並びに産炭地域振興臨時交付金によります支援、これらにつきましては特段の継続、御配慮お願い申し上げる次第でございます。  最後に、このような措置を講じてまいります場合には、どうしても激変緩和を的確に実施いたしますための法的な措置、この点につきましても御配慮お願い申し上げる次第でございます。  以上の点でございます。御高配を賜りますようによろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手
  6. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、山本参考人お願いをいたします。
  7. 山本文男

    山本参考人 私は、全国鉱業市町村連合会会長を務めさせていただいております福岡県の添田町長山本でございます。  本日は、大変貴重な時間に私の意見を申し上げさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  なおまた、私どものこの連合会というのは、石炭関係全般事業を行っている市町村団体でございまして、御承知のように今石炭関係では、まず第一が稼行炭鉱の問題、第二が産炭地域の問題、それから第三が鉱害復旧の問題、こういったものと、さらにもう一つ失業対策事業の問題、四つが私ども団体の対処している大きな事業でございます。  その中でも、稼行炭鉱につきましては、きょうは釧路市長さんと外海町長さんがお見えになっておりますので、恐らく稼行炭鉱の点についてはお話があるんだろうと思いますので、その点は省略させていただきます。ところが、先ほど、北海道知事さんと福岡知事さんから全般にわたりましての意見陳述がございました。私どもも同じことをやっているわけですから、申し上げることも同じような意見になってしまいますので、それらをすべて省略させていただこうと思っております。  事前に事務局の方に、私の参考人としての意見を申し上げる要点の文書を差し上げております。それを中心としてお話を申し上げさせていただきます。  まず第一点目に、鉱害復旧の件でございますけれども鉱害復旧は、先ほど福岡知事から申し上げたとおりでございますけれども、重要な点が一つ二つございまして、まず第一点は、累積鉱害という沈下鉱害については、法で決められております期限内にすべてが完了できるようにしてほしい、こういうことでございます。  ところが、現地におります私どもの目から見ますと、どうやら法期限内にすべてが完了する見通しは非常に難しいのではないかというような感じがしているところでございます。ただ、数字を正確に私どもの方で把握することができませんので、ここで申し上げることは不可能でございますけれども、それにしてもかなりの額の復旧量が残っているのではないか、こういうふうに思います。  問題は、農地の場合は、工事が終了いたしましてから三年間の調整期間がございますが、もし法期限内にこの三年間を含めて完了しない場合はどうするのかということが起こってくることになると思います。これが第一点目でございます。  その次は、どうしても解決のつかない不調案件がございます。これをどうするのかというのが二点目であります。これは大変難しい内容をはらんでおりますので、解決するのには格別制度というものを考えなければならないのではないかと思っているところでございます。  三点目は、先ほどからお話のありました浅所陥没の問題でございます。浅所陥没法失効後も引き続きこれが起こるだろうと言われておりますから、その起こるだろうと言われている浅所陥没の処理の方法についてはきちっと法律で制定をすべきではないか、こういうふうに思っているところでございます。  なおまた、そのほかかんがい施設の問題などがございますけれども、これらについても、先ほどお話がございましたとおりでございます。  さて、その次に産炭地域振興でございますが、地域振興にはいろいろなメニューがございますけれども、私ども、現場で一生懸命に努力をしているつもりでございますけれども、それにもかかわらず予定どおり地域振興が成らないのは、多くの課題があるからです。  通称言われておりますような石炭後遺症というのがございまして、事前に差し上げておりますものの中から拾って申し上げさせていただきますと、まず膨大な炭鉱住宅が残っておりまして、今一万二千戸残っていると言われております。その中で、要改良戸数が七千五百戸あるということでございます。今、年間に四十億程度の事業を行っているわけですけれども、それでも二百戸を超えることはないと私は思っているところでございますから、解消するためにはまだまだかなりの時間が必要ではないかということや、資金が必要ではないかということが言えるのではないでしょうか。  その次はボタ山でございまして、北海道の方ではズリ山と言っているようでございますけれども、二百五十以上のボタ山が残存しているのではないかと思われます。これは保安上の対策を行っているだけでございますけれども、極端なのは、ボタ山の下に人家、住家がございまして、その下に住んでいる皆さんたちはいつも不安な気持ちで生活をしているという実態でございます。ところが、このボタ山の処理については保安上の処理しか制度がございませんので、住民の皆さんたちの訴えもなかなか聞き届けていただけないという状況でございますが、いずれにしても、このボタ山の処理は完全にしておく必要があるということでございます。  なおまた、このボタ山というのは、石炭産業が稼行しておりますときには、言うならばその市町村中心地に多くつくられてまいりました。ですから、炭鉱閉山後はこのボタ山が地域振興上大きな阻害になっていることはもう御承知のとおりだと思いますけれども、これらをどう処理していくかによって地域がかなり変わってくることになるだろうと思っているところでございます。  その次は、失業対策の問題がございますけれども、そのほか、決められました十一条、十七業種だけで地域振興を図っていけということだけでは、産炭地域は根深いいろいろな障害を受けておりますので、非常に難しいという点がございます。しかし、それを解決しなければうまくいきません。  例えば、未利用炭鉱跡地の処理などが地域振興には欠くことのできない一つの大きな課題でございます。ところが、これを処理するためには膨大な資金が必要になってまいりますが、残念ながら、産炭地域として指定をされております市町村で、六条指定を受けております市町村財政状況というのは非常に脆弱でございます。脆弱な財政状況ですから、自力でそれらを解決することは不可能だと思います。したがいまして、いまだにこれらが完全な解消をしないまま今日まで残存をしているという状況でございます。こういうような課題が解決をしないと本当の意味での産炭地域振興というのはでき上がるものではないというふうに思っております。  そこで問題でございますが、鉱害復旧がもしなくなるということになりますと、新たな失業者を生み出すことになります。今一番問題は、失業の問題ではないでしょうか。あるいは雇用の創造ではないかと思うのですけれども、今、少なくとも鉱害復旧事業費は四百億円前後だと思います。正確な数字はわかりませんけれども、そういうように思われますが、これに従事している人たちの数は膨大な数です。  ちなみに、この産炭地域の失業者の就労事業として、また地域開発の事業として、通称開就と言っておりますが、これに今千七百七十人くらいが就労しておりまして、十三年度末には千三百四十名くらいになると言われております。もう一つは特定地域開発就労事業というのがございまして、これは一般会計で賄っておるわけですけれども、現在二千六百人くらいが就労しております。  ところが、法が失効いたしますと、石炭勘定が廃止になりますので、開発就労事業というのは続けることはできません。したがって、鉱害復旧がなくなりますと、この開発就労事業の千三百名以上の失業者が出るということが言えると思いますので、この失業の問題をどうするのかということが地域にとっては最大の課題となっておりますし、また、この就労事業経済的にも社会的にも大変な好影響産炭地域には与えておりまして、もしこれがなくなってきますと、大打撃を受けるということになります。  こういうようなもろもろの課題を抱えておりまして、これらをどうしても解消させない限り、地域振興は成りませんし、鉱害復旧も完全に解消しない限り、また、望んでいるような地域を創造することは不可能でございます。  ですから、私はここでお願いを申し上げたいのは、法律の時間切れになることについてはやむを得ないことではございますけれども、では、法律の時間切れになって、それぞれの地域あるいはそれぞれの事業が全部解消してしまうのかというと、決してそうではないというふうに私は思いますので、できればさらに続けて、地域振興のため、言うならば振興上必要な事業をこれからも継続していただいて、私どもが願っているような産炭地域を創造していただけるような支援をしていただきたいということでございます。  大まかでございますけれども、これが私がきょう申し上げたいことでございます。どうぞ、ひとつよろしく御採択をいただきまして、格別な御配慮をいただきますよう心からお願いを申し上げまして、私の意見を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手
  8. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、綿貫参考人お願いをいたします。
  9. 綿貫健輔

    綿貫参考人 おはようございます。釧路市長綿貫健輔でございます。  本日は、このような意見陳述機会を与えていただきまして、光栄に存じますとともに、心より感謝を申し上げます。また、衆議院石炭対策特別委員会高木委員長を初め諸先生には、日ごろ特段の御指導、御支援をいただきまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  それでは、国内にわずか二鉱を残すのみとなった坑内掘り炭鉱であります太平洋炭鉱を有する地元市長として、また、産炭地域を構成する一自治体市長として意見を申し述べさせていただきます。  太平洋炭鉱は、釧路市の基幹産業の大きな柱の一つであります。長年にわたり、釧路市の産業経済を支えてまいりました。太平洋炭鉱は、今から八十年ほど前の大正九年に、木村釧路炭鉱と三井鉱山釧路炭鉱の合併によりまして創立をされ、自来、着実な発展を続けてまいりました。今日では、採炭、保安、管理などの技術におきまして、世界に誇り得る炭鉱として高い評価をいただいております。  このような高い評価の裏には、採掘フィールドが海底下六百メートルという中で、断層、高圧、出水、ガス湧出などの厳しい環境条件下にあって、今なお、そこで培われ、発展してまいりました技術を駆使し、効率的な生産体制を確立していることにもあらわれております。  石炭は、何といっても可採埋蔵量の豊富さ、地域偏在性の少なさ、価格の安さなど、数多くの利点を持ったエネルギー資源でありまして、我が国におきましても、一億三千万トンもの石炭海外から輸入しております。言うならば、世界最大の石炭輸入国であります我が国にとりまして、大変貴重なエネルギー資源でございます。  しかしながら、海外の産炭国では、坑内のガス管理、保安、掘削等の技術が未熟であることなどによりまして、生産性が不安定となり、また、災害が増加し、とうとい命が犠牲となるなどの問題があらわれていることも事実でございます。  こうした状況の中、太平洋炭鉱は、平成三年度から、JCOALやJICAなどを通じまして、世界の産炭国に対しまして、これまで二十九カ国、六百十八人もの炭鉱技術者の受け入れと、十六カ国、三百六十八人もの炭鉱技術者の派遣を行うなど、延べ一千人余りもの受け入れ、派遣を実施しておりまして、それらの技術者が、帰国後、それぞれの国の第一線で活躍していると伺っております。これは、太平洋炭鉱のすぐれた採炭、保安、管理技術のノウハウが海外で大きく貢献しているということであります。  こうした中にあっても、我が国が海外炭の多くを依存しているアジア・太平洋地域中心とした産炭国におきましては、インドネシアやベトナムが露天掘りから坑内掘りへと移行してきておりますし、オーストラリアや中国の坑内掘り炭鉱では採炭箇所がより深く、より奥へと一層進行しているなど、高度な生産、保安技術が求められている状況でございます。  太平洋炭鉱は、先ほども申し上げましたように、海底下六百メートルの地点を採掘しておりますことから、絶えず厳しい採掘環境に日々直面しておりますが、そのたびごとに常に安定的な生産体制を構築し、これまで高度な生産、保安技術等を築き上げてまいりました。海外炭鉱が、近い将来このような技術課題に直面することは確実であります。  このことは、海外炭の採掘が円滑に行われ、我が国が将来に向けて海外炭を安定的に確保することができるかどうか、さらには、世界的なエネルギーとして供給確保が図られるかどうかという非常に重大な局面を迎えるということであります。そのためにも、現に困難な状況の中で採掘している生き山の必要性、稼行炭鉱の必要性、すなわち太平洋炭鉱長期存続の必要性が絶対的な命題となってくると考えます。  太平洋炭鉱は、コスト削減のために、昭和六十一年度半ばから退職者の補充をしておらず、その後も、事務部門と坑外部門におきまして早期退職勧奨制度導入し、さらに、職種の統廃合や採炭区域の集約化によりまして、来春から二カ年で三百五十人の削減策を打ち出すなど、より一層の省力化を目指しております。  また、ことし一月にはTPM、トータル・プロダクティブ・メンテナンス、すなわち全員参加の生産保全に取り組みまして、今後三年間で九十億円のコスト削減計画を打ち出すなど、海外炭との価格差をできる限り縮小するために血のにじむような自助努力を行っているところであります。  太平洋炭鉱の存続は、日本及び世界石炭エネルギーの安定供給確保にかかわる問題でありますが、とりもなおさず地域経済地域社会の根幹にかかわる最大の問題でもあります。  これまで私は、幾多の炭鉱閉山を目の当たりにしてまいりました。現在実施されております新しい石炭政策のもと、平成四年の三井芦別鉱、平成六年の住友赤平鉱、平成七年の空知炭鉱、そして平成九年には、国内最大の炭鉱であった三井三池炭鉱がやむなく閉山となりました。これら閉山を経験した産炭地域では、自治体、住民が一体となって地域の再生、活性化に向けた懸命の努力を続けているところでありますが、今なお人口の流出、雇用機会の喪失、経済の停滞、危機的な自治体財政など、多くの難問を抱えている状況にございます。  釧路市最大の従業員数を擁する太平洋炭鉱におきましては、関連会社も含め、生産額で九百億円、人口で約一万七千人もの経済効果を生み出すことから、釧路市並びに近隣の自治体に大きな影響力を及ぼしておりますことは衆目の一致するところであります。すなわち、私どもにとりまして、太平洋炭鉱の存続こそが経済活動の源であり、町づくりの柱そのものでございます。  先般、私は、平成十一年度予算におきまして、太平洋炭鉱への支援策を提示させていただきました。太平洋炭鉱存続のために、地元自治体として、厳しい財政状況ではございますが、今後、年間総額二億七千六百万円という、現時点でできる最大限の支援策を打ち出したところでございます。  現在、石炭鉱業審議会におきましては、今後の石炭鉱業のあり方等につきまして大詰めの審議が行われているところでございます。太平洋炭鉱が長期に安定存続していくためには、一地方自治体支援だけでは限りがございます。何と申し上げましても、国の長期的な視点に立った施策支援が必要不可欠でございますし、そのためには、広く国民の皆さんの理解をいただくことが必要でございます。  あわせまして、ユーザー側の皆様には、今日まで大変な御協力をいただき、厚く感謝を申し上げる次第でございますが、いましばらく、これまで同様の御理解をいただきまして、国民経済全体という、国民のエネルギーという視点からさらなる御協力を賜りますよう切に願うものでございます。  これまでるる申し述べさせていただきましたが、私ども太平洋炭鉱の一層の企業努力地元自治体協力、政府の支援、さらにはユーザー側の皆様、そして国民の皆さんの御理解をいただき、必ずや炭鉱を存続させていただけるものと信じております。  石炭産業は、戦前戦後を通じて日本の経済を力強く支えてきたばかりか、日本、世界のエネルギーを守ってきたと自負しておりますし、これからも必ず太平洋炭鉱がその責任を果たし、世界に貢献し続けていくものと確信をしております。  私たち釧路市民は、生産都市として誇りを持って今日まで生きてまいりました。その代表である太平洋炭鉱は、いましばらくの皆さんの御支援をいただければ、必ず皆さんのお役に立ちます。国のエネルギー政策に必ず貢献をさせていただきます。  高木委員長を初め各委員皆様の温かい御理解と御支援を重ねてお願い申し上げまして、私の意見陳述にさせていただきます。  ありがとうございます。(拍手
  10. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、山道参考人お願いをいたします。
  11. 山道幸雄

    山道参考人 長崎外海町長山道幸雄でございます。声帯を傷めておりまして、お聞き苦しいかと思いますが、しばらくお許しをいただきたいと存じます。  高木衆議院石炭対策特別委員会委員長様を初め各先生の皆様には、日ごろより、町政の推進並びに石炭鉱業の安定と産炭地域振興につきまして特段の御尽力、御高配を賜り、まことにありがたく、深く感謝申し上げる次第でございます。また、本日、このように貴重な時間を与えていただきましたことに対しましても、重ねて厚くお礼を申し上げます。  池島炭鉱のことにつきましては、日ごろより細心のお心がけをいただいており、また、現地視察等、委員会活動により調査、検討をしていただき、まことにありがとうございます。その際、池島においでの諸先生方には、地域並びに炭鉱生活をしている町民が池島炭鉱存続に向け心血を注いでいる姿を見ていただいたことと存じますが、その同じ思いを持って本席に出席をさせていただいております。  さて、本町池島炭鉱は、石炭から石油へのエネルギー革命による相次ぐ国内炭鉱の閉山、急激な為替の円高等、日本経済社会の激変の中で、幾多の困難にも耐え、今や九州で唯一残る、海上を基地とした炭鉱であります。また、海上ボーリング、物理探査等の結果、西彼杵炭田には、今後操業を継続することが十分可能な埋蔵量があるとされているところであります。  生産、合理化の推移でありますが、常用の実働人員につきましては、機械化等の合理化により、昭和六十年当時の約千五百名と比較し、平成十年には三分の一の約五百名程度まで減員し、生産規模におきましては、昭和六十三年度以降、年産百二十万トン体制を維持してきております。  しかしながら、九〇年代を国内石炭鉱業の構造調整の最終段階と位置づけた新石炭政策も残すところ三カ年を切った現在、平成十四年度以降の国内石炭鉱業のあり方についての論議がなされており、池島炭鉱は、今、存続のための厳しい正念場を迎えております。  これまで池島炭鉱においては、保安確保を大前提に労使一体となった企業努力がなされておりますが、現行の国の制度のもとで平成十四年度以降も操業すべく、労務費の大幅な見直し、また職務体系の新システム導入等、生き残りのため積極的なあらゆる対策を労働組合参画のもと実施し、より一層の懸命な取り組みがなされております。  現在、外海町における池島炭鉱関係者が占める人口は町全体の約四割、税収についても町全体の地方税総額の約六割を占める等、池島炭鉱の存在は町の盛衰を左右する存在であり、また、外海町のみならず近隣市町の地域経済振興に重要な役割を果たしてきております。  かかる現状に際し、我が外海町といたしましては、本町唯一の基幹産業である池島炭鉱の存続が最重要課題であり、各種助成制度による経済支援はもとより、産炭地域団体連絡協議会を初め長崎石炭対策協議会、長崎県鉱業市町村連合会長崎石炭鉱業関係町村議長会等の関係団体との連携による要望、陳情活動を展開してきたところでありますが、今後とも、国、県の支援を要請しながら、企業の操業努力にこたえる形での新しい応分の支援策も検討しているところであります。  また、去る五月十七日には、池島炭鉱長期存続を県民の総意として訴えることを目的とした「池島炭鉱長期存続を求める長崎県大会」を開催し、翌十八日には、金子長崎知事ともに、同大会の大会決議を携え、高木衆議院石炭対策特別委員会委員長様を初め石特委の皆様、稲川資源エネルギー庁長官様、また石炭鉱業審議会委員皆様方への陳情をいたしたところでございます。  さきにも触れましたとおり、幸いにも池島炭鉱は、炭質もすぐれ、自然条件に恵まれた炭層を有し、加えて可採炭量も豊富で、今後も操業を継続することが十分可能な好条件を備えた優良炭鉱であります。  石炭エネルギーの需要は、国内はもとより、世界的に増大化傾向にあり、特にアジア・太平洋地域中心に大幅に増大が予想されている今日、安定的な海外炭の供給確保のためにも、世界から高く評価されている日本の保安技術、生産技術を堅持し、もって技術者の受け入れ研修、海外派遣等、国際的な貢献と協力を果たすことは、我が国にとってますます重要な課題であり、池島炭鉱に課せられた使命であると確信するものであります。  かかる使命を持つ池島炭鉱維持、存続させるためには、国家レベル、国民レベルでの支援策が必要であることは論をまちません。  その一つは、言うまでもなく国の支援であります。国内炭鉱の存続は、国のエネルギー政策にかかわる問題であり、ぜひとも国策としての支援お願いいたします。  いま一つは、最近、新聞紙上でも話題になっております、電力業界による国内炭引き取りであります。報道によりますと、電力業界平成十四年度以降の国内炭引き取りについて難色を示しておられるようでありますが、電力業界の御協力なくしては、国内炭鉱の存続は考えられません。この場をおかりして、池島炭鉱存続に向けての電力業界の御協力を切にお願いする次第であります。  各先生方におかれましては、かかる現況を御理解、御賢察の上、池島炭鉱が今後とも安定的に維持、存続できるよう、何とぞ特段の御高配を賜りますようお願いを申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  12. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、安永参考人お願いをいたします。
  13. 安永嗣

    安永参考人 石炭労働組合協議会の安永でございます。  本日は、国内炭鉱の将来のあり方について、炭鉱労働者としての意見を聞いていただく機会を与えていただきました高木委員長を初め、石特委員会の各先生方に対し、私は、石炭産業に働くすべての労働者とその家族を代表し、心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。  国内炭鉱存続をめぐる政策論議につきましては、御案内のとおりでありますが、一昨年の石鉱審の企画小委員会から舞台を同じ政策部会へ移しまして、今、白熱した議論が展開をされておるわけでありまして、いよいよ大詰めを迎えておりますが、先生方御承知のとおり、その展望は今もって厳しく、予断を許さない状況にあります。  私はこれまで、石炭産業に働く者の立場から、基本的には七つの点について強く訴えてまいりました。  その第一は、世界のトップレベルにある石炭関連技術については適正に評価をしていただきたい。  第二に、その技術の評価の上に立って、海外炭国からの技術協力にこたえるためにも、現存する太平洋、池島両炭鉱は、石炭技術を国際貢献に生かすアジアの技術拠点として明確に位置づけていただきたい。  第三に、負担の問題については、国内炭鉱の役割と必要性を明確にした上で、石炭サイドの自助努力を前提に、需要家の協力、国の支援という三位一体の関係はぜひ維持していただきたい。  第四に、基準炭価については将来とも継続するとともに、平成十三年度まではいまだ構造調整の道半ばでありますので、コスト低減対策がスムーズに推進できるよう配慮していただきたい。  第五に、国の経済政策雇用政策の観点からも、炭鉱を存続させることは最大にして最高の地域振興対策であり、雇用対策であることを、国の責任において明らかにしていただきたい。  第六に、世界最大の輸入国であり、恐らく将来もあり続けるであろう我が国のエネルギー政策として、ベストミックスと言われる燃料構成の中で、自分の国の石炭を切り捨て、一時的な価格論のみで将来の国内炭鉱存廃を論じるのは、国家国民の貴重な石炭エネルギーの永久放棄であり、優秀な技術、技能の損失であるということを認識していただきたい。  第七に、現行法律期限切れ以降の石炭政策については、現存する二炭鉱海外炭安定供給の技術拠点として認め、その役割に応じた国の財政対策や法的整備について、新規の助成制度を確立していただきたい。  以上のようなことを、これまでの企画小委員会政策部会で訴えてきたわけであります。  私たちのこうした訴えに対しまして、企画小委員会政策部会では一定の理解はいただいたわけでありますが、いわゆる負担のあり方をめぐってさまざま意見があり、冒頭申しましたように、いまだ結論は出ず、国内炭鉱の将来展望は極めて不透明であり、私たちとしては、まさに切歯扼腕しているところであります。  そこで、私は、国内炭鉱の存続のキーワードであります三つの点、すなわち石炭サイドの自助努力電力業界協力、国の支援という三本柱について、私の考え方について意見を申し上げさせていただきたいと思います。  第一の石炭サイドの自助努力についてでありますが、これは、先生方御承知のごとく、石炭経営側は平成十四年度以降、国内炭価格についてはトン当たり一万二千円を切るところまで努力するという決意を表明し、その達成に向け、今、二山とも懸命なコスト低減対策に取り組んでいるところであります。  このコスト低減対策は、私たち炭鉱労働者の賃金を含む労働諸条件の圧縮や切り下げに手をつけるものであり、極めて厳しい対応を余儀なくされるわけであります。それでも、私たちは、国内炭鉱存続のためには、思い切った対応を図るべく、組合員や家族の理解協力を得てコスト低減対策を推進していくことを決意し、それぞれの経営協議会において確認をしてきたところであります。  したがって、先生方の中には、それでもなお内外炭価格差が存在をするわけですから、もっとコスト低減対策を徹底せよという御意見があるかもしれませんが、私たち労働者の心血を振り絞って取り組んでいる苦渋と苦悩についてぜひ御認識いただき、このコスト低減対策について御理解を賜りたく、衷心よりお願いを申し上げる次第でございます。  第二の電力業界協力についてであります。  電力業界としては、今日まで終始一貫して、フリーかつオープンなマーケットという自由取引を主張してこられました。電力業界を取り巻く環境が、規制緩和、電力の自由化などもあって大変厳しい情勢にある。ゆえに、十四年度以降については、燃料費等の購入はその企業の責任で行うものであり、そこに規制があってはならないとの考え方を主張されているわけでございます。  すなわち、このことは、どこの石炭を何トン幾らの価格で買うかは、使う側といいますかユーザーの自由であり権利ですよというふうに私は解釈をするわけであります。自由主義経済の原理原則からいって、石炭政策という法律の縛りが解ければ、この主張は私も十分理解いたします。  そこで、私は、この電力業界が主張される基本原則は尊重し理解するという立場に立って、お願いを申し上げているところでございます。  それは、今日まで企画小委員会政策部会で議論をしてまいりました、国際貢献を果たすための国内炭鉱の石炭関連技術役割と意義については一定の理解をいただいておりますので、それに雇用対策地域対策という社会経済の面も考慮していただき、電力業界みずからの主体的判断に基づき、先ほど申しました、いわゆるどこの石炭を何トン幾らで買うかはユーザーの権利であり自由であるという範疇のもとに、国内炭引き取り協力をしてあげましょうという電力業界の御理解をいただけないかと、心からお訴え、お願いを申し上げているところであります。  このことは、電力の労働組合とも協議し、御理解をいただいておりますし、ナショナルセンターである連合におきましても、六月開催の政策制度要求について確認をされる予定であります。  電力業界のこれまでの御協力感謝しつつ、改めて、今後の御協力と御英断を心から重ねてお願いを申し上げていく決意でございます。  次に、第三の、国の支援についてであります。  御承知のごとく、今、石炭会社が設備費等の一環として国から直接助成をしていただいておりますのは、安定補給金、保安補助金、骨格構造補助金等々、平成九年度の実績では、太平洋、池島二炭鉱で大体四十四億円、トン当たり千三百円程度でございます。すなわち、石特会計約一千億円程度の中で、直接補助金をいただいているのは全体の四・四%にすぎないわけであります。  ただ、残念なのは、石炭産業現状理解されていない国民の中や、一部マスコミも含めて、国内炭鉱は一千億円近い国民の税金を食っておるという誤解もあり、極めて遺憾に思うわけでございます。  したがって、私は、平成十四年度以降は、現行法律の継続が無理だとするならば、国際貢献を果たすという国内炭鉱の石炭関連技術を評価して、例えば技術協力補給金、あるいはまた技術協力委託助成金等の名目のもとに、新規の助成策を一定期間交付する法的制度を確立するよう、強くお願いをしているところであります。  あわせて、可能であれば、電力料金を通した間接的国民負担である価格差を縮小、軽減するため、国による価格差補給金または引き取り交付金みたいな助成策を一定期間講じることができないかということも要請をしておるところであります。  したがって、私は、日本は二十一世紀に向け、石炭需要は確実に、しかも大幅にふえること、産炭国に対する技術協力は今後も引き続き必要であること、国内炭鉱のコスト低減は積極的に推進をしていくということ等々を総合的に判断をすれば、国民負担については、直接的であれ間接的であれ、国民の御理解をいただくのではないかと確信をする次第であります。  以上、三つの点について私たちの考え方を申し上げましたが、いずれにしても、国内炭鉱存続に当たっては、直接的であれ間接的であれ、国民負担という支援協力がなければ、その存続はあり得ないわけであります。  私たちは、平成四年から始まりましたポスト八次策につきましては、その趣旨に基づき、国民経済負担の均衡点を求めて、閉山という厳しい現状を直視し、苦悩しながらも、粛々と取り組んでまいりました。この私たちの対応は、経営多角化、新分野開拓という課題が、日本経済不況の影響もあって思惑どおり進展しなかったことはありますけれども、構造調整の名のもとに推進してまいりました国内炭の縮小問題は、多少手前みそかもしれませんが、ポスト八次策の趣旨に照らしましても、一点の曇りもなく推進をしてきたと言っても過言ではないと思います。すなわち、あのポスト八次策の議論は、少なくとも国内炭ゼロが均衡点ではなかったはずであり、二炭鉱維持、存続をもって均衡点に達したと見るべきであります。  これまでも申し上げてきましたように、二十一世紀に向け、世界一の石炭輸入国であり続ける日本が、今は安いからといって、一時的な経済合理性のみをもって世界に誇れる国内炭鉱を切り捨てることは、先ほど申しましたように国家国民の貴重なエネルギーの永久放棄であり、優秀な技術、技能の損失であることを改めて訴えさせていただき、本衆議院石炭対策特別委員会におかれましても、国民負担のあり方についてぜひ御理解、御協力を賜りたく、石炭産業に働くすべての労働者と家族、そして産炭地の声として伏してお願いを申し上げ、御意見とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  14. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  これにて参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 高木義明

    高木委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。
  16. 山本幸三

    山本(幸)委員 本日は、参考人の皆さん方におかれましては、大変貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。それぞれ地域実情を踏まえて、大きな課題を抱えておられるということで、大変胸を打たれるものがありました。  私も、自分の選挙区に田川地域を抱えているわけでありまして、まさにそれは私自身の問題でもあるというように思っております。この地域は、まさに石炭六法の期限切れを迎えるということで、今、地元の人たちは、本当に一体どうなるんだろうという不安に駆られているわけでありまして、そうしたことをどうしたらいいかということを、ともに考えたいと思っております。  まず最初に、山本町長さんにお伺いしたいのです。  期限内の累積鉱害解消は懸念があるということで言っておられますけれども、これはもうとても無理だ、とてもできない、はっきりそういうふうに考えておられるのか。そして、それでは、どれぐらいあればできるかなというような見通しなどがありましょうか。そしてまた、その中で、ちょっとお触れにならなかったんですけれどもかんがい排水施設引き渡しの問題が挙げられておりますが、これはおくれているということでありますか、どういう問題があるのか、ちょっと教えていただければと思います。
  17. 山本文男

    山本参考人 累積鉱害解消でございますけれども、私は今、鉱害復旧をやっている現地に実は住んでおりますから、毎日と言っていいほど現場を見ております。  それで、現在の状況から考えますと、予定をしております、例えば、平成十年度にもう完了しておらなければならない工事がまだ未着工の部分もございます。ですから、予定どおりに進捗しているとは思えません。  それは、被害者の方で、権利関係などや利害得失などが入り乱れておりますので、なかなか同意ができないという点もありますし、あるいは、施行に関していろいろと受益者の方から意見が出たり、あるいは被害者の意見が出たりして、意見が交錯しているわけです。それでなかなかまとまりにくいというところがございまして、現在の状況から判断しますと、平成十三年度までに田を含めての物理的な鉱害復旧完了するのは非常に厳しいのではないか。  もう一つは、農地の場合は三年間の調整期間を設けられておりますから、工事が終了いたしましてから三年間調整期間を設けなければなりません。法期限内でそれを処理することはとても不可能だというふうに思いますので、現在時点から考えますと、言われているように法期限内に鉱害解消完了するとは思われません。  それからもう一点は、先ほども申し上げたのですけれども、不調案件がたくさんございます。正確にどれぐらいあるかは別としまして、かなりの数ございます。その不調案件が鉱害復旧を遅延させている、障害になっていることも間違いない事実でございます。ところが、これを解決するのには、大変な努力がなければ難しいと思います。あるいはまた、片づかないかもしれません。  そういうような状況でございますので、今後新たな、言いかえますと、制度の中で考えられる、あるいは手当てができるものがあるのかということをもう一回見直すことが必要だと思いますけれども、現在時点ではそういう状況になっておるのは不可能ですから、新たなものを見つけて実施をするという以外はないんじゃないでしょうか。ですから、制度を、あるいは政令を改正して新しい取り組みの方法を考えることが必要じゃないかな、そういうふうに思います。  それから、かんがい排水施設でございますけれども、これは全部、将来とも維持管理ができるための基金を渡すことになっておりまして、これは法律で決められているのですけれども、現在、百七十五の施設がまだ引き渡しが未完了でございます。  引き渡しの未完了なのは、二つほど理由があるんじゃないかと思うのですが、一つは予算上の問題。一つは、これは果実をもって維持管理をすることになっておりますから、基金ですから、その果実、言いかえますと、金利が非常に低下してまいりましたから、その金利では到底維持管理することは難しいというのが市町村側の方の言い分でございます。当時、これは五ないし七%ぐらいの金利を想定して現行の引き渡し基金の額を決めておりますから、現在のような一%を割るような金利状況になりますと、受けても、とても維持管理をすることが不可能だというのが市町村側の言い分でございますから、この財源と市町村側の言い分とがうまく調整がつかないと進捗が難しいのじゃないかな、こういうふうに思います。それが理由だと思います。  以上です。
  18. 山本幸三

    山本(幸)委員 問題点はよくわかりました。ありがとうございました。  次に、排水はそれなりにやられていますが、田川地域を見ていて、水の問題が非常に大きいのですね。鉱害復旧をやって、形は何となく外見的にはきれいに整ったように見えます。道路もできたり、農地も基盤整備できたり、家も新しくなったりと、外見上きれいになったところもあるのですが、では実態はどうかというと、実は、水の問題があったり、あるいはまだ陥没のおそれがあるとかいうようなことで、それは上辺だけの姿なんですね。特に水の問題は大きな問題でありまして、下水道なんかとてもまだ手がついていない。まだ下水道もないような地域がすべてでありますから、これは先進国と言えるのかと私は思っているのですが、そういう水の問題が非常に大きいのです。  私も、企業誘致ということで、例えば、数年前にトヨタが出てきたときに、関連企業を何とか誘致できないかと二、三お願いしてみて、結局、なぜだめになるかというと、水がないということですね。水がない。地下水をくもうといったって、赤水が出て、そんなものは使えないのですから。  この水の問題について、田川地区の上下水道整備事業というのが計画されていますけれども、これは一体どういうふうになっているのでしょうか。そしてまた、法失効後、これがどういう影響を受けるのかということに非常に懸念があるのですけれども、この点、山本町長、いかがでしょうか。
  19. 山本文男

    山本参考人 田川地域は、上水道の整備がおくれているとは言いませんけれども、水質度が非常に悪い地域がございます。したがいまして、新たな水道の水源地を見つけようということで努力をしておられるようでございますが、十カ市町村ございまして、半分ぐらいの下流地域市町村は、どうしても新しい水源を見つける、こういうことで、上水道の企業団をつくって、今新たな水道施設を創設中でございます。  ところが、これは水源を、犀川町にございます伊良原ダムというのが今建設をしようとしておるのですが、これに求めようということになったのですけれども、かなりの時間を要しますので、油木ダムが私の町にございまして、このダムの水を北九州市へ運んでおりますけれども、北九州市に運んでいる途中から、伊良原ダムができるまでの間その水をいただくということで、工事は行われております。  ところが、まず第一点目が、ダムの水をいただくわけですから、伊良原ダムのスポンサーにならなきゃなりません、受水者になりますから、それのアロケーションに基づいての負担金がございます。この負担金についても、産炭の臨時交付金をもって充当したいという考えがございまして、それらの話を詰めてきたようでございます。  それからもう一つは、施設の費用についても、言うならば、臨交金をその費用の一部に充てて工事に着工したのですけれども、先ほどからお話し申し上げておりますように、法律が失効になりますと、臨交金の交付もなくなりますし、それからまた、自力で負担をしていけなんていったって、田川市郡の一つの市や町では、財政力は非常に厳しゅうございますから、とても負担には耐えかねるという状況でございます。  次いで、ちょっと恐縮でございますけれども、私ども田川地域の町の中では、歳入に占める税収の比率が八%という町が幾つかございます。それほど財政力は非常に脆弱でございますので、そういうような事業を自力で、自主財源で、臨時交付金がいただけない分を補完しながら実施をしていくということは不可能でございます。途中でやめるわけにはまいりませんから、もしこれを起債等で補っていきますと、さらに公債費が高くなりまして、財政の硬直化を起こして、一般の行政にも重大な影響を与えて、言うならば行政の麻痺状態が起こる、こういうことが言えると思いますので、これの財源手当てについては特別に配慮してやる必要がある。したがって、私がさっき申し上げた事業でこれから支援をしていただくことはどうでしょうという御意見を申し上げたところです。
  20. 山本幸三

    山本(幸)委員 それに関連いたしますけれども雇用対策として、産炭地域開発就労事業、あるいは特開事業、この点について山本町長さんは、ぜひ事業を継続していく必要があると。これはどういう形でやれば可能と考えておられるのでしょうか。
  21. 山本文男

    山本参考人 先ほども申し上げたのですけれども、今私ども地域には、特定開発就労事業と開発就労事業二つの失対就労事業実施されております。これは全体の数で約四千二、三百人の人が就労しておるのですが、主として田川地域、それから嘉飯山地域が大体四割、四割、そして直鞍地域ですが、これが二割ぐらいで、トータルで一〇〇%ということになるわけですけれども、この特定開発就労事業や開就事業等が廃止になりますと、大きな影響を受けることになります。言うなれば、経済的にも社会的にも重大な問題でございます。  ところが、今、この産炭地振興鉱害復旧事業を行っておりまして、私ども田川地域だけでも、十年度ベースで約三百億円ぐらいの事業費がございます。これが全部なくなりますと、この事業費をもとに就労している人たちが、今申し上げました開発就労事業に就労している人より以上の人たちが失業することになります。そうしますと、恐らく日本一の労働砂漠地帯をつくり上げていくことになるだろうと思いますし、今この失業対策事業実施しておりますから、あの田川地域というのは有効求人倍率が少し上がっている。これが全体の約六割ぐらいを占めておりますから、もしこれがなくなってしまいますと、十コンマ以下のシングルの有効求人倍率になっていくということになります。  そういうことになりますと、かつてそういう例はどこにもないわけですけれども、言うならば、全く機能を失ってしまった地域が出てくることになると思いますので、これらの解決のためにも、開発就労事業、これは石炭勘定で行っておりますけれども、この就労事業を廃止することをやめていただく、あるいは特開というのを存続していただく。あるいは産炭地域振興も、先ほども申し上げますように、地域振興が成るまでの間、長い期間とは申し上げませんけれども、特定の事業実施をしていただくことなどを考えていただかないと、一挙に打ち切られますと、言うならば、さっき言ったような状態ができてくると考えられますので、ぜひひとつ御配慮を願いたいというふうに思っているところです。  一つは、どうしてもそれができないという理由は財源だと言われております。財源ですから、油の関税で石炭勘定は賄われておりますけれども平成十三年度いっぱいでこれが廃止になるということになっておるようでございますが、新たな財源をどう求めていくかということが最大の課題のようでございます。ぜひひとつ、先生方のお力で新たな財源を確保していただくようお願いを申し上げたいと思います。財源が確保できれば今申し上げたようなことも、私どもが願っていることが実現できるのじゃないか、こういうふうに思っているところです。  以上です。
  22. 山本幸三

    山本(幸)委員 もう一つ指摘されましたのがボタ山の問題ですね。  ボタ山というのは今、平たくして木が生えていまして、何となくいいじゃないか、ゴルフ場にも使えるんじゃないかということなんですが、実は、これがまた厄介者でして、野焼きしたりすると地中に火がついてしまうんですよ。実際に、田川郡川崎町のあるボタ山の跡地で、ボタ敷で、これはなぜ、たばこかたき火かわからないのですけれども火がついてしまいまして、今、地中が燃えているのですね。燃えていまして、なかなか消すことができない。  ところが、ボタ山対策というのは、先ほど山本町長お話にありましたように保安上の処理しかしていないので、こういう問題が起こったときに、一体どういう処理をできるのかということが問題になるのです。町長さんあるいは知事さん、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  23. 麻生渡

    麻生参考人 これまでのボタ山対策でございますけれども、これは専ら保安の観点からなされておりまして、国の補助をいただきながらやっております。ただ、保安の場合の考え方は、ボタ山が崩れて崩落してくる、それが非常に危険であるということで、それを防止するための事業中心でございました。  今お話がございましたように、火がついたときにそれにどういうふうに対応していくのかということにつきましては、今の制度では直ちには非常に難しいという点がございますが、昨日も、国と県と地元で現地に調査団を出しまして、具体的にどうやっていくかという協議を今やっている最中でございます。できるだけ速やかに、早急の手当てができるように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  24. 山本幸三

    山本(幸)委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思いますし、また、国の方もぜひ協力してもらいたいと思っております。  もう一つ知事さんに、先ほどのお話で、指定法人に関して、期限後についても何らかの措置が必要だ、法的な措置が必要だと申されましたけれども、具体的にはどういうことが必要なのかということ。  それからもう一つ、全体の激変緩和措置について、ぜひ法的な措置お願いしたいということでありますが、これはなぜ法的な措置が要るのか、各省の申し合わせとか閣議了解等ではだめなのか、その点についてお願いしたいと思います。
  25. 麻生渡

    麻生参考人 第一点の指定法人の問題についてでございます。  現在の復旧法では、いわゆる累積鉱害、これは今の臨鉱法で対応するということになっております。そして、十年の延長をした前回の際には、累積鉱害を処理した後に発生いたしますいわゆる特定鉱害浅所陥没につきましては、これは累積鉱害を処理した後に発生してくる鉱害でございますから、これをどのように処理していくかということにつきまして議論がなされて、指定法人というものにこの特定鉱害を処理させるのであるということになっておるわけでございます。  したがいまして、特定鉱害の処理につきましては、今の復旧法がなくなりました後につきましても指定法人が存続し、そして特定鉱害という概念がはっきり法的に定められて、その復旧のためのいろいろな措置がなされるということが担保される必要がございますから、復旧法がなくなった後におきましても、特定鉱害処理のための法律、制度というものは何らかの形で残していただく必要があるというふうに考えているわけでございます。  それから二番目の、産炭地域振興のための措置につきまして、現状から考えていろいろな措置がどうしても必要であるということをるる申し上げているわけでございます。それを具体的に実行していく、そのための政策手段の担保の方式につきましては、今お話がございましたように、各省申し合わせというようなやり方もないわけではございませんけれども、これはいかにも不安定でございます。そしてまた、力強さ、拘束力も非常に弱いのではないかと思っておる次第でございます。特に、地方財政の問題あるいは企業誘致のための税制の問題等々につきましては、しっかりした基礎がなければ実行しにくいという点がございます。こういう点を考えますと、やはり何らかの法的な枠組みを激変緩和のための措置といたしましてお願いしたいというふうに考えているわけでございます。
  26. 山本幸三

    山本(幸)委員 よくわかりました。ぜひ私どもの大きな課題として取り上げていきたい、そういうことを改めて感じた次第でございます。  次に、北海道知事さんにお伺いいたします。  稼行炭鉱二つあるわけですが、そのうちの太平洋炭鉱北海道にあります。北海道として、太平洋炭鉱に対してどういう支援をしておられるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 堀達也

    堀参考人 太平洋炭鉱に対する支援についてかと思います。  道としても、これまで、国と連携をしながら太平洋炭鉱に対しまして、炭鉱保安確保に係る事業費の助成といったことについて、保安面の支援を主に実施をしてきたところであります。  太平洋炭鉱を存続させるためには、地域産業振興あるいは雇用確保という面からも大変重要でございますので、私ども、対象事業といいますか、それを平成十一年度で広げまして、さらに支援制度を拡充したいというふうに今検討しているところでございます。さらに新年度に向かいまして、太平洋炭鉱が新しい分野の開拓事業等にも積極的に取り組んでおりますので、こういった間接的な支援も含めて、関係機関と協議しながら、道としても最大限の努力をしていきたい、このように考えております。  以上でございます。
  28. 山本幸三

    山本(幸)委員 先ほど釧路市長さんから、二億六千万ぐらい支援しているというお話がありましたので、当然、北海道はその何倍か出しているのかなと思うのですけれども、やはり地元が相当の支援をするという姿勢がなければ、これは国民に対して説得力を持たないんですね。その辺はしっかりと、そういう支援措置をやっているという実績を踏まえて私どもにまたそういう、新たな国民的な支援ということを言っていただければと思います。  次に、安永参考人にお伺いしたいと思います。  これは、まさに労働者にとっては大変なことだと思いますし、お気持ちはよくわかりましたし、なかなか説得力のあるお話がありました。  一つ、これは私が太平洋炭鉱に自分で潜って感じたことなんですけれども、ちょっと意地悪な質問で申しわけないのですけれども技術世界に冠たる技術があるというお話なんですね。ところが太平洋炭鉱へ潜ってみると、使っている、掘る機械はアメリカ製とドイツ製でして、そうすると技術とは何だ、私はそれをそのときから常々思って、自分なりにもいろいろ考えたりしているし、通産省の人にも聞いているんですけれども、労働者の立場として、自分たちはこれは技術として絶対に負けないんだ、そしてそういうことを失うことは国家の損失になるよ、したがって、ぜひこれは国民的な負担もあるいは業界の負担も求める必要があるんだということがどういう形で言えるのか。ちょっと労働者の立場からの御意見を伺わせていただければと思います。
  29. 安永嗣

    安永参考人 二つあると思うのですが、一つは、やはり日本の場合は海底炭鉱という世界に例のないと申しますか、最近中国がちょっと着手したようでありますが、海底炭鉱というのは非常にやはりいろいろな制約がございまして、そういう中で、外国の石炭先進国であるドイツ、イギリス、フランス等々も、ドーバー海峡の下にいっぱい石炭があるのですが、ちょっと怖くて掘り切らぬ。私は、いずれ、東南アジアを含めて、海底炭鉱に好むと好まざるとにかかわらず近々のうちに入っていくときには、必ず日本の海底炭鉱採掘技術に援助、支援というものが求められてくるというのが一つ。  それから二つ目は、先ほどどなたか委員さんがおっしゃったと思うのですが、やはり深部化、奥部化における総合的な採炭システム、保安システムというのがよその国に比べると非常にすぐれているのではないかなと。  機械一つ一つをとってみたら、オーストラリアだって日本と同じような機械を使っておる。ところが、先生も御承知のとおり、オーストラリアなんかは坑内掘りはまだ浅くて、だから、言葉で言えばいいとこ掘りなんですね。ちょっと天井が悪い、水がついた、やめた、こっちへと。それだけ炭量が豊富にあるわけでありますが。そういうことも今後は難しい。やはり漸次深くなっていくし、奥になっていく。  そういう面では、今オーストラリアから求めておられるというのは、集中監視システムを含めた総合的な保安管理体制のあり方だとか総合的な採掘システムというものについて、日本にぜひひとつ技術協力を求めたいと。これはオーストラリア以外でも、東南アジアの各国についてもそうでありますし、現にそういう面で今各国からも日本に来て研修をされておる、こういう実態にあるということだと思います。
  30. 山本幸三

    山本(幸)委員 大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。大いに参考になりまして、私どもの今後の審議に役立たせていただきたいと思います。  ちょっと時間が早いんですが、終わらせていただきます。
  31. 高木義明

    高木委員長 池端清一君。
  32. 池端清一

    ○池端委員 民主党の池端清一でございます。  ただいま参考人の皆さんから本当に貴重な意見陳述を承りまして、本当にありがとうございました。厚く御礼を申し上げる次第です。  皆さんの御意見に共通しているものは、国内に現存する二つ炭鉱太平洋炭鉱と池島炭鉱長期存続をぜひとも図ってほしい、そういうことと、今多くの困難に直面しながら大変その地域努力している産炭地域への国の支援をさらに継続してほしい、この二点に私は集約をされるのではないか、このように思うわけでございます。  太平洋炭鉱、池島炭鉱の持つ生産技術、保安技術の優秀さ、世界の最高水準にあるということは申し上げるまでもないわけであります。そのすぐれた技術基盤維持を図ることは、海外炭国への技術協力にこたえて人材を養成し、国際貢献に大きな役割を果たす、このように確信するものでありますし、海外炭安定供給を確保するためにもぜひこれは必要不可欠なことだ、このように考えるわけでございます。  国内炭鉱の長期存続に向けてはクリアしなければならない課題も多々あると思います。安永参考人からもお話がありましたように、石炭経営側の自助努力はもちろんでございますが、電力会社を初めとする需要サイドの協力、そして国の支援、こういう三位一体の形でこれはやっていかなければならない。そういうことで、国内炭鉱の長期存続の実現を何としても図っていかなければならないというのが私ども民主党の立場でございますし、これは党派を超えて皆さんの気持ちは変わりはない、このように思うわけでございますので、本日出されました御意見を十二分に踏まえて今後とも最大限の努力を傾注してまいりたい、このように考えておるところでございます。  ところで、私に与えられました質問時間は十五分と極めて限られてございますので、私は、現在非常に厳しい状況に直面しております産炭地域現状とそれに対する具体的な対策に絞って参考人の御意見を伺いたい、こう思います。  まず最初に、北海道知事堀参考人にお伺いをいたします。  その一つは、先日の産炭審において、産炭地域自治体財政状況は、圏域ごとに過疎地域と比べて特に遜色はない、こういうふうに見ているというふうなことを私は伺っておるのでございます。過疎地域と比べて特に遜色はない、こういう分析をしているということでございますが、先ほど堀参考人陳述でも、これは平成九年度でございますが、全国財政力指数の平均は〇・七二、それに比べて閉山三年後の歌志内市は〇・一一と最低の数字である、全国都市ワーストテンの中に空知産炭地域の五市が占めている、こういう実情が報告されたわけでございます。  こういった産炭地域を抱える北海道知事として、空知釧路産炭地域における実態をどのように見ておられるのか、改めてお尋ねをしたいと思います。
  33. 堀達也

    堀参考人 産炭地域現状認識についてかと存じますが、例で申し上げた方がよろしいかと思いますので、若干例を入れましてお話をさせていただきます。  例えば、八次政策以降の閉山影響が最も大きい空知地域の五市一町と過疎地域を比較した場合でございますが、過疎法の人口の基準年でございます昭和三十五年と平成九年度との人口を見ますと、全道過疎地域におきましては五二%の減少にあるのに対しまして、空知の五市一町では七六%減少しておりまして、過疎地域に比べて人口流出が大変著しいということを一つ示しております。  それからまた、平成九年度の六十五歳以上の人口比率につきましては、全道過疎地域が二三%であるのに対しまして、空知五市一町におきましては二七%という高い数字になっておりまして、過疎地域に比べて高齢化が進んでいるということが言えるかと思います。  さらに、平成八年度の財政力指数につきましては、ただいまも池端委員からお話がございましたけれども空知五市一町が〇・一八でございまして、全道の過疎地域の平均が〇・一九でございますが、それよりも低くなっている。とりわけ、先ほどもお話しいたしましたが、歌志内市では〇・一一と極めて低い水準になっております。  産炭地域基本計画における経済生活圏ごとに相対的に見ますと、過疎地域より水準の高い部分がないわけではございませんけれども、特に閉山から日の浅い空知の五市一町につきましては、地域の実態として過疎地域よりも厳しい状況にある、このように認識をいたしております。また、空知地域で五市一町以外のいわゆる六条地域であります二市六町、それから釧路地域の一市六町におきましては、一部地域に今なお閉山後遺症を残しておりまして、とりわけ釧路地域社会経済を大きく支えている太平洋炭鉱の存続いかんによりましては、地域全体がはかり知れない影響を受けることになる、このように認識をしております。  以上でございます。
  34. 池端清一

    ○池端委員 ありがとうございました。  現在、産炭審において産炭地域振興対策の円滑な完了に向けた進め方について審議が進められておるわけでございますが、ただいまの御意見によりますと非常に厳しい状況である、こういうふうに受けとめざるを得ないわけでございます。  したがって、知事といたしましては、円滑な完了のためには具体的にどのような対策を各自治体が必要としているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。堀参考人にお尋ねをします。
  35. 堀達也

    堀参考人 円滑な完了のための具体的な対策ということでございますが、とりわけ閉山後日の浅い空知五市一町につきましては、先ほども申し上げましたとおり、閉山対策などを処理するために多額起債に頼ったという状況がございます。現在、その償還のために地方財政が逼迫をいたしまして、地域振興対策が進んでいないというのが現状でございます。  例えば夕張市の場合ですと、平成九年度末の起債残高が約百六十五億円ございますが、このうち平成十年度の償還額が二十八億円ということになっておりまして、平成九年度の歳入総額百九十億円の一五%に相当いたしまして、自主財源の確保に苦慮をしているという状況がございます。このために必要なことは、起債の借りかえ措置などによる公債費負担対策が最大の課題である、このように考えております。  それからまた、不用炭鉱施設の大部分が市街地に放置されたままになっている、それで老朽化が進んでおりまして、危険も多くなっております。住民にも不安を及ぼしたり土地の有効利用を妨げている、こういうことも少なくございません。このために、期間内における早期除却に向けた臨時交付金等の拡充が必要ではないか、このように考えております。  以上でございます。
  36. 池端清一

    ○池端委員 釧路市長綿貫参考人にお伺いをいたします。  実は私も、自由党の鰐淵委員ともども釧路市に生まれ、釧路市に育った釧路っ子でございます。この釧路は、石炭それから紙パルプ、さらに漁業の町として今日まで大きく進展をしてきました。太平洋炭鉱は、釧路市民にとってはかけがえのない共有の財産でございます。この財産を何としても守ってほしい、これは釧路市民の多くの願いであろう、こう思うわけでございますが、これまでも綿貫市長は、鉱産税の引き下げなど企業に対する独自の支援策をとってまいられました。非常にこの努力に対して多とするところでございますが、今後ともこれらの独自的な支援策を講じていくお考えなのかどうか、何か具体例がございましたらお示しをいただきたい、こう思います。
  37. 綿貫健輔

    綿貫参考人 池端先生の御質問にお答えをさせていただきます。  私ども太平洋炭鉱が存続することが最大の願いでございます。そこで、地元自治体としてどのような支援策を講ずることができるか、これを私ども十分検討させていただきまして、支援策を四分野にわたりまして打ち出したところでございます。  まず第一には、鉱産税の税率を下げさせていただきました。それは、私ども、生産の百分の一・二から一・〇まで、こういう枠内での課税が許されておるわけでございまして、従来まで百分の一・一であったものを百分の一に〇・一下げさせていただきました。これによりまして、現時点で千九百三十九万円ほどの間接的な支援という形になろうかと思います。  二点目は、太平洋グループが保有しております大変多くの土地が市内にございます。とりわけ、太平洋炭鉱関係の皆さん方がお住まいになっている、例えば小学校の用地であるとかあるいはまた消防署の敷地であるとか、このような公共的な土地につきまして、従来まで市が無償で借用し、そのかわり、これは公共用地ということで太平洋に対しては固定資産税等々を非課税扱いにしてまいりましたが、これを正常な姿と申しますか、払うべきものは払う、そして納めていただくものはいただく、こういうことで、土地を有償化、私どもから太平洋に対して賃借料をお支払いする、太平洋はこの固定資産税をお支払いいただく、この差額が現時点で約九百十万円ほどございまして、これもやはり支援策として私は考えさせていただきたい。  三つ目は、公共的施設に対する土地の借り上げでございます。太平洋炭鉱、従来まで一般市民の皆様に、社員ばかりでなしに一般市民の皆さんに、例えて言いますとパークゴルフ場それから運動公園等々、多くの部分を無料で開放していただいておりました。市民の皆さん大変喜んで、多くの皆さんにお使いいただきました。それを私は、公共的意味合いも含めまして、これを市の事業として、土地の借り上げあるいはまたその土地の整備等々を太平洋に委託するという形で、市の事業として取り入れ、それを太平洋に委託するという形をとらせていただきました。これで、現時点で年間千七百六十六万円の支援として考えられます。  四つ目は、太平洋炭鉱が進める多角化事業一つでございます廃棄物の中間処理事業についてでございます。これは太平洋炭鉱に対しまして、市内に、本来でありますと自治体整備をし、そして事業を展開して進むべき廃棄物の中間処理事業を、太平洋にこの事業を推進していただく、それに市が委託料としてお支払いをする、こういう形で、平成十一年度、今年度は年度当初でございますが、来年から年間を通しまして約二億三千万ほどの委託料となってあらわれてまいります。  これらを合わせますと、先ほど申し上げましたような、年間二億七千六百万円の支援策として私どもとらえさせていただきます。  そして、先生御質問のように、私ども、前段申し上げました、太平洋炭鉱は必ず残していただける、それに対して自治体が、さらなる支援を私ども考えていかなければいけない。それはやはり、これからこの太平洋炭鉱がさまざまな多角化事業に進んでいくわけでございますが、それに対して行政がどのような形で御支援ができるか、これがまず一点でございましょうし、あるいはまた、太平洋が、これまでも頑張ってまいりました国際協力、国際貢献という意味でさまざまな事業を展開している、これに対して地元自治体として支援する方法をさらに検討してまいりたい、このように考えております。  地元でも、例えば太平洋炭鉱も私企業である、このようなお話をよくされる方がいらっしゃいます。私は、太平洋炭鉱は私企業であると同時に炭鉱という産業を支える担い手であって、企業であると同時に産業である、このようにとらえたときに、かわり得る企業が、今の段階では太平洋しかございません。ですから、私は、太平洋を守ることは産業を守ることだ、このような気持ちでこれからも対応策、支援策を考えてまいりたいと思います。  以上でございます。
  38. 池端清一

    ○池端委員 ありがとうございました。  持ち時間がこれで終了いたしましたので、他の麻生参考人山本参考人山道参考人安永参考人にお尋ねする時間がございませんので、この御無礼をお許しいただきたい、こう思います。  皆さん方の御要望、御趣旨を十分に体して、これから全力を挙げて頑張ることをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  39. 高木義明

    高木委員長 島津尚純君。
  40. 島津尚純

    ○島津委員 民主党の島津尚純でございます。  参考人皆様方には、御多用の中御出席をいただきまして、ただいまは貴重な御意見を聞かせていただきまして、心からお礼を申し上げる次第であります。  ただいまの池端委員と、私、時間を半分こいたしましたので、私の持ち時間は十分ということでございますので、恐縮ですが、九州地区、九州関係の三名の参考人に絞らせていただいて質問をさせていただきたいと思います。恐縮でありますが、時間がありませんものですから、それぞれの参考人は、二、三分ぐらいでお答えいただければありがたい、このように存じます。  まず、福岡県の麻生知事にお尋ねするわけであります。  私は、やはり、産炭地域振興問題は、平成十三年度以降も相当期間政府の政策的な支援というものは必要である、このように存じておるところでありますけれども、特に、福岡県の中で、二年前に閉山をした、わずか二年しかたたないあの大牟田地区、先ほどもお話がございましたように、まさに閉山対策は、その各種プロジェクトは緒についたばかりであるということでありますので、特にこのような地区は平成十四年度以降も政府の政策支援というものは不可欠である、このように存ずるわけでありますが、その辺お聞かせいただきたいと思います。
  41. 麻生渡

    麻生参考人 大牟田地区でございますけれども、今お話がございましたように、閉山をいたしまして二年ちょっとでございます。この間、炭鉱離職者の再就職対策を初め、いろいろな当面の緊急対策、そしてまた、今後、石炭産業にかわります新しい産業の育成、産業構造の転換、これをしていくためのいろいろな道路、港湾あるいは中心市街地の再開発、工業団地づくり、企業誘致、こういうことを今総合的に進めている段階でございます。  しかし、これらの事業といいますのは、二年ですぐはっきりした成果があるという性格のものではございません。相当長期にわたりまして、粘り強い精力的な努力をいろいろな方面でやっていく必要があるわけでございます。  そのようなことを考えますと、この産炭地大牟田地域に対する今後の振興、これにつきましては、やはり、この十三年で終わるのではなくて、いろいろな形での支援を継続しなければ、本当の意味での地域振興地域の新しい発展への転換は進んでいかないというふうに考えている次第でございます。
  42. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  続きまして、外海町の町長さんにお伺いをさせていただきたいと思います。  国内炭の存続問題は、これは国のエネルギー政策の一環でありますので、当然、その存続問題は国が主体的に図っていかなければならないという性質のものであると思います。しかし、その一方で、地域にとりましても、振興対策であるとかあるいは雇用対策というような観点から、地域でも大変重要な問題でありまして、地元自治体ができるだけの支援協力体制をつくっていくということも大事だろうと思います。  先ほど北海道釧路市長が、具体的な釧路市の太平洋炭鉱に対します支援体制というものを述べられたわけでありますが、外海町長におきましては、長崎県等々と協力をされて、今後池島炭鉱に対するどのような支援協力体制をとっていかれるというようなことであるか、この辺を聞かせていただきたいと思います。
  43. 山道幸雄

    山道参考人 池島炭鉱に対する現在の支援状況と今後の支援対策についてのお尋ねでございますけれども外海町の予算規模は、ここ数年五十億前後を推移して財政運営をやってきているのでございますけれども、実質財源に乏しくて、財政力指数平成九年度で〇・二二五といった、県平均よりも下回った状況でございます。  しかし、こういう厳しい状況でありますけれども、やはり、地域社会経済に寄与している石炭鉱業維持、存続、また、長期安定操業のためには、町の単独事業として何とかしたいという気持ち等もございまして、石炭鉱業経営改善助成金という助成制度を新石炭政策のスタートの平成四年度から行いまして、年間単独事業として五千万の助成を行っているところでございます。  その目的は、炭鉱経営の医療、コスト管理等の経営に要する経費、また、雇用、労働力確保等に要する経費、経営の合理化等に要する経費を中心として助成を行ってきたところでございます。  なお、そのほか、県とも協調しながら、外海石炭従事者就職者奨励金、また、長崎県貯炭管理補助金という助成も行っておりますが、今後とも、新たな支援策としては、これまでの経営安定助成金の内容に追加する形になるのではないかと思いますけれども長崎とも協調しながら、さらなる助成策を検討してまいりたい、このように思います。  しかしながら、やはり、現在の町の財政事情から見ますと大幅な増額は不可能でありますので、委員おっしゃいますように、基本的には、国のエネルギー政策として、国の主体性において存続していただきますように御期待を申し上げ、また、お願いをいたすものでございます。  また、先ほども意見陳述でも申し上げましたけれども、やはり、炭鉱存続のためには電力業界による国内炭引き取りが必要不可欠でございますので、電力業界におかれましても、これまで以上にひとつ御理解をいただきまして、御協力を切にお願いするものでございます。
  44. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  続きまして、石炭労協の安永会長に、最後にお尋ねをさせていただきたいと思います。  お話の中で、国内炭二鉱は生き残りをかけて、労使協調の中で血のにじむようなコスト削減対策に取り組んでいる。平成十四年度中には炭価をトン当たり一万二千円以下に低減させるというような、本当に血のにじむような御努力であろう、このように存ずるわけでありますが、そういうふうな対策において、労働組合の組合員の皆様方に大変な影響を与えてくるものであろう、このように考えるわけでありますが、具体的にはいかがでございましょうか。
  45. 安永嗣

    安永参考人 先生おっしゃったように、コスト低減対策二つございまして、一つは労働者の削減という問題がございます。それからもう一つは賃金等労働諸条件に手をつけざるを得ない。  労働者の方は削減、太平洋、池島はそれぞれ多少違うわけでありますが、今、予定といたしましては、太平洋の場合、十年度末で、これは業者を含めて千七百名程度おりますが、これを十四年度末では千二百名程度に減らす。それから池島炭鉱の場合は、これも業者を含めて約千名程度在籍をしておるわけでありますが、これを十四年度末には八百名にするということで、今粛々と削減対策をやっております。  それから労働条件の方は、これも太平洋、池島炭鉱それぞれ違うわけでありますが、まず太平洋の方は、わかりやすく言いますと、いろいろな諸手当を含めて月収の大体五%程度をカットするということでやっておるということでございます。それから池島炭鉱の方は、今年度からストレートに賃金カット、一般作業員二五%から管理職四〇%まで、これは実は大変な金額でございます。  これは、太平洋もそうでありますが、これまで労使一体でやってきたわけでありますが、提案する経営側も、これを受ける労働組合側も、まさに苦悩と苦渋の中で選択をせざるを得なかったということで、組合の中にも多少不安と動揺はありますが、今、そういう面では、生き残るということを合い言葉に、これについては積極的に取り組んでいこうということで、今、コスト低減対策努力中ということであります。  以上でございます。
  46. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  時間が参りましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますが、平成十四年度以降も何らかの形でこの政策支援が継続をするように、私たちもこれからも最善を尽くして頑張ってまいるということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  47. 高木義明

    高木委員長 冨沢篤紘君。
  48. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 冨沢篤紘でございます。  公明党・改革クラブを代表いたしまして、質問をさせていただきます。  参考人皆様には大変御苦労さまでございます。皆さんの御意見を拝聴させていただきました。  私は神奈川県の大和市生まれでございまして、本委員会皆様はおおむね、それぞれ産炭地域関係の深い方でございます。  御承知のように、神奈川県は炭鉱がございません。私も、生まれてから今日まで六十年間、石炭とは直接関係がなく暮らしてまいりました。子供のころの燃料はまきでございますし、まきがプロパンガスにかわって、今日、都市ガスになっている。国内炭というのは見たことのない人間でございます。  本委員会に初めて所属をいたしまして、高木委員長から、もっと石炭を勉強しなさいということで、石炭の標本をわざわざプレゼントをいただきました。今、議員会館の私の部屋の正面に飾ってございまして、お見えになるお客様に、これが石炭だと宣伝をしている始末でございます。委員長のこの問題にかける御熱意を肌で感じながら、改めて、我が国の石炭の歴史、現状、そして二つ炭鉱の存続、廃止の問題を勉強させていただいているところでございます。  本委員会の御意向としては、一つの方向が出ているように私は受けとめております。当面の経済性だけで、存続、廃止を決めてはいけない。国民経済全体あるいはエネルギー百年の計を考えると、知恵を絞って存続をさせようではないか。この三月の末に、金融業界大手十五行に国税七兆四千五百億円を投入している事実もあるわけでございますので、ここは政治が知恵を絞って存続をさせよう、こういうのが本委員会の大勢であると私は認識をしているところでございます。  そこで、三つの質問を申し上げるわけでございますが、まず第一は、廃止した場合に、二つ炭鉱を廃止するとするとどんな影響が出るのか。炭鉱所在地の綿貫釧路市長山道外海町長さん、お二方に御答弁をお願いいたします。
  49. 綿貫健輔

    綿貫参考人 御答弁を申し上げます。  私ども、現時点で、太平洋炭鉱がなくなるということは、本当に想像すらできない状況でございます。先ほど陳述でも申し上げましたように、太平洋炭鉱の存在は、八十年にわたり、私どもの毎日の生活の中に大きく位置づけられてございます。  現時点で例えば経済的な効果を申し上げますと、先ほど言いましたように、太平洋炭鉱並びに太平洋炭鉱の関連企業を含めまして、年間約九百億前後の経済活動をしてございますし、また、関連の人口誘発数と申しますか、直接間接、太平洋炭鉱の存在によってどのくらいの人口構成に影響があるか。一万七千人。私ども、現在、今、十九万五千人でございますので、この一万七千という数字の大きさを考えたときに、どんな努力をしても、どのような困難に向かっても、必ず太平洋炭鉱を残していただく、そして、太平洋炭鉱を残していただくことが私ども町づくりの大きな柱であり、そのことの御理解をぜひお願い申し上げたい、このように訴えているところでございます。  ぜひ先生にも御理解をいただきたいと思います。  以上でございます。
  50. 山道幸雄

    山道参考人 池島炭鉱の存在でございますけれども、まず、先ほど意見陳述で申し上げましたけれども外海町の人口は約七千四百でございますが、その中に占める池島炭鉱関係の住人というのが四〇%、また、地方税収入に占める割合というのは約六〇%、そういう数字だけとらえてみましても、外海町における存在価値というのがいかにウエートが高いかということは御存じと思います。なおかつ、最近の高齢化状況を見てみましても、池島の皆さんというのは六・七%の高齢化状況でございますが、それが本土関係では三四%、トータルいたしまして二四・五%という活力源が実は池島にあるわけでございます。それだけ地域経済に貢献をしている池島ということでございますので、もう今や、この池島炭鉱なくして外海町はどうやっていくんだという盛衰に影響するような大きい存在でございます。  以上でお答えを終わります。
  51. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 二つ目の質問に移ります。  電力会社が三百億円も二つ炭鉱石炭を買い取るために過重負担をしている、これも厳然たる事実でございます。  電力会社、ユーザーやあるいは電力料を払っている国民の御理解を得るには、これは県として、もっともっと具体的な支援策、強力なバックアップをする必要がある、私はこう考えますが、北海道の堀知事長崎県の山道参考人に、それぞれお答えを願います。
  52. 堀達也

    堀参考人 太平洋炭鉱に対する御支援についてかと存じますが、先ほど山本委員にもお答えしたところでございますが、私ども太平洋炭鉱を存続させることは、地域産業振興あるいは雇用確保を図る上で極めて重要であるというふうに認識をいたしておりまして、国、関係機関と協議をいたしながら、道としても最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  53. 山道幸雄

    山道参考人 私は外海町長の立場で御説明をさせていただきたいと思いますが、私も、この国民負担の問題については、炭鉱経営においては、本当に国民の皆様にいかに理解をしていただいて経営につないでいただくかということが非常に大事な問題と思っていまして、少し立場が違うものですから、この程度で御答弁とさせていただきたい、このように思います。
  54. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 それでは、福岡県知事麻生参考人にお答えを願います。
  55. 麻生渡

    麻生参考人 福岡県の場合には、残念ながら、三井三池鉱がもう二年前に閉山をしてしまいまして、稼行炭鉱一つもないという状況でございます。  そういう状況でございますけれども、私どもの経験からまいりますと、三井三池がそうでございますけれども、これが閉山しますと、雇用問題を初め、もう本当に地元に大きな影響が出ておるということでございまして、その対策を今一生懸命やっておりますが、苦慮しているという状況でございます。  以上です。
  56. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 ありがとうございます。  三つ目の質問ですが、石炭労働組合協議会の安永会長にお伺いをいたします。  御承知のように、日本経済が水膨れ体質のままになっておる、これをどう筋肉質に変えていくか、各業界御努力をいただいている最中でございますが、炭鉱を存続させるとすると労働組合も当然大きな御努力が必要になってくる。企業経営は労使ともに協調をして成果が上がるわけでございます。今御答弁の中で、組合員の中にも不安と動揺が広がっている、こんなお答えがあったわけなんですが、労働組合をまとめていかれる立場とされて、乗り切っていかれる御自信、御決意のほどを伺わせていただきたいと思います。
  57. 安永嗣

    安永参考人 石炭産業も三十年近くいわゆる縮小を続けてきまして、そういう意味では、労働組合も多少なれておると言ったら大変語弊がありますけれども、縮小に次ぐ縮小、人員整理にも労働諸条件にもこれまで手をつけてまいりました。  先生おっしゃったように、これからの問題でありますが、労働組合の目的というのは、そこに働く組合員の雇用生活を守るというのが本来の目的でございますが、炭鉱の実態からいいますと、雇用も賃金も減らさざるを得ない。そういう面で、非常に我々も、先ほどから申しましたように、苦渋し、苦悩をしておるわけでありますが、やはり、組合員、家族の中には、炭鉱が残るか残らないか、残ることにすべてをかけて我々はあらゆるものをやっていこう、考えられる合理化、コスト低減についてはやっていこうと。ややもすると、これはすべてのものが経営側の提案みたいなんですが、今は、炭鉱の場合はまさに、文字どおり、言葉どおり、労使が知恵を出し合って、意見を出し合ってやっていく。  ですから、よく賃金の労使交渉とかございますが、私たちは、むしろ、労使交渉というよりも、労使の中でどうやったら労働者の犠牲を少なくしてコスト低減ができるかという知恵を出し合う場だ、経営協議会という名前も使っておりますが、そういう場を通じてやっていこうということで努力をしているわけでございます。  組合の中にも、はい、結構結構という意見はないわけでありますが、それは、これだけのやはりコストも下げられた、しかし、結果として、これだけ努力したにもかかわらず炭鉱閉山になったということになりますと、じゃ、我々の努力は何だったのかということになるわけでありますから、我々といたしましては、先ほど先生からもおっしゃったように、まずみずからが考えられるコスト低減を、経営側だとか組合側だとかという、形は抜きにして、言葉は抜きにして、とにかく、やるべきことを一生懸命やって皆さんにお願いをしていこう、こういうことで努力をしておるということでございます。
  58. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 ありがとうございました。大変勉強になりました。  最後に私の意見を申し上げて、質問を終わります。  通産大臣の諮問機関の石鉱審でありますが、それぞれ立派なメンバーで運営をされておりますが、前回の答申内容は、存続する、廃止をする、両論が併記をされている内容でございました。間もなく最終答申が出されるようでありますが、これは通産大臣の諮問機関の答申、御意見でありまして、本委員会のおおよその方向は、先ほど申し上げたとおり、経済性だけで存廃を決めるのはいかがなものか、国民経済全体の立場に立って、エネルギー百年の計を考えて、知恵を絞って存続させよう、これが本委員会の大勢の意見と私は受けとめております。  通産大臣の個人的な諮問機関の石鉱審と国民を代表する本委員会意見とどちらが正しいのか、民主主義であれば、当然後者の方を選択すべきである、私はこう考えます。このことを申し上げながら、質問を終了させていただきます。大変ありがとうございました。
  59. 高木義明

    高木委員長 鰐淵俊之君。
  60. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、自由党の鰐淵俊之でございます。  本日は、参考人皆様方、大変お忙しいところをお越しいただきまして、それぞれ貴重な御意見をいただき、私自身、産炭地関係しておる者といたしまして、身にしみていろいろ御意見を伺ったところでございます。  したがいまして、たくさん聞くことがあるわけですが、時間は二十分でございますので相当絞ってお伺いしたいと思いますが、つまるところ、先ほど山本添田町長さんがおっしゃったとおり、本石炭問題は、まさに石鉱審の答申を目前に控えて、いわば石炭問題のいわゆる存亡の岐路に立っている、こう言っても過言でない、私はこのように思います。  そのために、先ほど言われたように、四つあるわけですね。一つは、今実際掘っている、稼行している炭鉱を一体どうするのか。二つ目は、これまで稼行しておった炭鉱閉山をして、閉山をしたところのいわゆる産炭地域振興を一体どうするのか。これは、先ほど来多く答えていただきましたように、財政は疲弊している、地域も大変困難を来している、高齢化も進んでいる。非常に困難な問題ばかりである。三つ目は、いわゆる後始末の問題、鉱害の問題でございます。こういった問題を今後またどう処理していくのか。最後の四つ目は、雇用問題、失業問題であります。黒手帳をもらっている間は何とか収入もあるだろうと思いますが、今のような状況の中では、新しい仕事を見つけて従来どおりの収入を確保するということは非常に困難である、こういうぐあいに思うわけであります。  したがって、後者の三つにつきましては質問したいことがたくさんありますが、先ほど来時間が限られておりますので、私は、稼行炭鉱をどうするかということ一本に絞って御質問をしたいと思っております。  御案内のとおり、稼行炭鉱長崎北海道一つずつあるわけであります。かつて六百、七百だった、たくさんあった炭鉱がほとんど閉山して、ポスト八次によって最終的に今残存しているのがこの二鉱であります。したがって、この二鉱を残すべき条件で一番今困難なのは、いわば出炭している石炭の価格が、いわゆる内外炭価の格差が三倍もある。この価格ギャップをどう埋めるかということに非常に苦心しているわけであります。  これは、ユーザー、いわゆる電事連の方では、石炭政策のある間は協力いたします、しかし、平成十三年以降は自由取引にしていただきたい、私どもの方は責任を持って石炭確保します、こう言って、電事連の方はまさしく市場原理に基づいておっしゃっている、これは当然のことだと私は思います。  しかし、先ほど来いろいろ御意見がございましたように、日本の炭鉱は、まさに先ほど山本議員もおっしゃったのですが、一体どこに技術があるか、こう言われたときに、私は胸を張って言えることは、今私ども太平洋炭鉱がございますが、いわゆる死亡率、事故率というのは世界一少ない、それも極端に少ない。ですから、日本の炭鉱世界一の保安技術を労使ともに確立しているわけであります。それから、ドラムカッターやその他いろいろな機械も、わずか二鉱では量産ができない。したがって、ドイツとかアメリカが量産することによって、そのユニットを買ってきて、買ってきたユニットをいかに坑内条件に合わせて速やかに設置をして採炭していくか、こういうソフトエンジニアリングといいましょうか、こういう技術にすぐれておる。  そういったことで、今非常に能率を上げて採炭をしているのでありますが、いかんせん日本の石炭は、海外炭と比べると大変な格差があるわけであります。  そこで、この稼行炭鉱をどうしても残していくということになれば、このギャップをだれがどのように埋めるかというのが、当面、石鉱審においても大きな問題であるわけであります。私は、恐らく答申は、今度は、稼行炭鉱は存続するかしないかという問題については必ず結論を出してくると思います。  これは、実は私、去年、石鉱審が両論併記のときに、先生方が一生懸命努力されて議論されたけれども、両論併記というのはおかしいじゃないかと。両論併記は言ってみれば結論を出さないということ、結論を出さなきゃ、通産省が政策を打ち出そうと言ったところで出すわけがない。出すことができないんですよ。ですから、やはり審議会は一定の結論を出してもらわなくてはいけない。それがもう間もなく出されるわけであります。  そうなりますと、私は、資源エネルギー庁といたしましても、この稼行炭鉱の持つ有形無形の価値、そういったものは与謝野大臣も認めていただいておりますが、そういった価値を十分理解していただきまして、やはり稼行炭鉱を何とか国民の理解を得て存続させていく。これがまた、この石炭対策特別委員会の諸先生方におかれましても非常に御理解をいただいておる、こういったことについて私も大変感謝をし、うれしく思っておるわけであります。  そのためには、まず一つは、稼行炭鉱企業自体の自助努力、これはトン一万二千円まで持っていく、こういう努力がありますが、これはまた、一万二千という一つの目標へ向かっていきますけれども、さらなる努力が要求されるかもわからない。しかし、保安というものは一〇〇%確保しての問題でありますから、先ほど安永参考人も言われたとおり、本当に血のにじむような、賃金カットもしながら、残そうという家族ぐるみの涙ぐましい努力について、私どもは本当にこたえなきゃいかぬという気持ちを、一政治家としてそう考えているわけであります。  そこで、まず第一は企業努力というものが一つ、それからその次は、やはり何といっても、稼行炭鉱を有している自治体、県あるいは市町村、こういったところができる限りのいわゆるインセンティブあるいはサポートを出す。この問題は、自治体がやる場合は特別財政需要がありまして、産炭地でもそうですが、産炭地補正といって交付税にちょっと上乗せすることができます。あるいは補助金のかさ上げ等もあります。私は、この稼行炭鉱を残すためには、道庁や県や市や町が思い切った対策を打って、やはり自治省の特別交付税の該当にしていただく、そういう運動を私はしていきたいと思っているのです。余り自治体負担にならないようにしていくというような方法論は、これはやっていけると思います。これはエネ庁とも相談しながらできると思うのであります。  そこで、第一点、恐らく、エネルギー庁が答申を受けて、この稼行炭鉱存続のためにどういう役割分担をし、どういう協力を求めるかということがコーディネートされてくると思います。あるいはスキームというものがつくられてくる。そういったときに、北海道庁の堀知事あるいはまた釧路市長綿貫市長、どのようにそういったことに対処でき得るか、これについて堀知事さんの方からお答えください。
  61. 堀達也

    堀参考人 私どもといたしましては、国の基本的な方向が打ち出された際には、国とまた十分協議を深めたいと考えておりますし、また、国あるいはまた地元釧路とも十分連携をとりながら、道として役割を十分果たしてまいりたい、全面的に協力をしてまいりたい、このように考えております。
  62. 綿貫健輔

    綿貫参考人 鰐淵先生の御質問にお答えをさせていただきます。  太平洋を抱える釧路市としましては、太平洋炭鉱が存続することがまず第一でございます。そこで、太平洋炭鉱みずからもコスト削減のために大変な努力をしているところでございますが、太平洋を、山を抱える地元自治体としてもその支援策を講ずることが、とりもなおさずこの太平洋炭鉱のコスト削減にまたつながっていく。このように考えたときに、私ども、先ほど支援策をお答えさせていただきましたが、さらに自治体として御支援をすることができる分野を探し、できるだけの太平洋存続のための手助けになるように、太平洋が存続をさせていただく、皆さんの御理解をいただくように支援策を講じてまいりたいと思いますし、その決意を持ってこれからも臨んでまいりたいと思います。  なお、通産省の皆様の御指導、あるいはまた道との協力体制を、これはもう今まで以上にしっかりととってまいりたい、このように決意をしているところでございます。  以上でございます。
  63. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変ありがとうございました。  それぞれの知事さん、市長さん、存続のためのかたい決意を持って今答弁されたことと思うわけでありますが、やはり、炭鉱閉山しますと、先ほど来何回も話がございますように、産炭地振興をどうするか。高齢化は進む、あるいはどんどん企業は撤退していく、そこの地域が崩壊していく、財政力指数は悪くなる、こういったことで、後々お金がかかってきます、国も県も自治体も。あるいは鉱害問題もしかり、失業問題もしかり。ですから、稼行炭鉱がなくなったらお金がかからないかといったら、むしろ、国へでも自治体へでも次々とかかってくるわけであります。  ですから、私は、万難を排してもこの稼行炭鉱は、今言った有形無形の価値というものを認めていただくとするならば、何としてもこの二つ炭鉱を残していく。日本は石炭の輸入大国、一億三千万トンを輸入しております。そしてまた、今後為替相場も百二十円で未来永劫いくなんということは到底考えられない。これが円安に振れていくかもわからない。あるいは、場合によっては海外石炭もやがて坑内掘りの方に移行していくかもわからない。  そうしますと、海外炭の炭価も、今のような安い炭価でいつまででもあるとは限らない。そういう条件がそろったとしたならば、あるいはまた、自力でもって国内の炭鉱が大変な努力をしてコストダウンを図ったとしたならば、一トン当たりの差というものはそんな大きな差にならないと私は考えます。今はかなりの差がありますけれども、そういう時期は必ず来る、経済が循環していると来ると思います。  ですから、そういった時期に、ああ、炭鉱は何もないといったときに残念だと思ってももう遅いわけでありまして、まして日本の炭鉱は国際貢献をしている。あるいは海外技術援助をしている。海外の研修生をいろいろと抱えて、そして研修をして、また送っておる。こういう意義のある仕事をやっているわけでございますので、ぜひひとつ、そういう意味では、私どももできるだけこの炭鉱を残すべく努力をしたいと思っております。  そこで、安永参考人にお聞きいたしたいのでございますが、こういった企業者側の経営努力というのはかなりまた要求される。電事連の方で例えばユーザーに、これだけ協力しているからよろしくお願いしますと言っても、やはりユーザーは、まだまだあなたたち努力できないのですかと言われた場合、まだ要求される可能性は多分にあると私は思います。そういったことに対して、これまで人員も削減し、あるいは労力も、皆様方が非常に厳しい条件で働いておられる中で、さらなる厳しい条件を訴えられるとするならばどのように対応できるかといった点について、御答弁をいただきたいと思います。
  64. 安永嗣

    安永参考人 先ほども申し上げましたけれども、可能な限り、考えられる限りのコスト低減対策と申しますか、合理化を我々はやっていこう。それは先生おっしゃったように、やはり国民負担お願いするわけですから、国民の皆さんにわかりやすい形で、炭鉱も本当に血を流しておる、骨肉を振り絞ってやっておるなという形を示すためにも、我々が考えられることをこれからやっていこうと。  率直に申しますと、これまでは炭鉱というのは、長い歴史がございまして、多少甘えもございましたし、ある面においては恵まれてきたことも事実であります。しかし、もうここまで来ますと、ただ炭鉱を残すために国民の皆さんにお恵みをちょうだいということではなくて、本当の意味で、先ほど言いましたようにエネルギー政策として、日本に二つぐらいあっていいじゃないか。そのためには、我々みずからも努力することによって国民の皆さんの理解をいただこうということで努力をしているわけです。  私はいつも申し上げますけれども石炭産業をただの一般産業と同じ不況産業として見るところに間違いがあるんじゃないかなと。やはり石炭というのは、不況であることには間違いないのですが、なぜこのようになってきたかという、国の方針で石炭がこういうふうになってきたという歴史を忘れてはならない。そういう中での石炭産業の扱いについて考えるべきだということを常々私たちは言ってきたわけで、そういう意味では、繰り返すようでありますが、我々みずからも、今後とも引き続きできるだけのことは、コスト低減、合理化努力に組合みずからも努力をしていくということを申し上げておきたいと思います。  以上でございます。
  65. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変ありがとうございます。  いよいよ時間になりましたので私も終了になりますが、今、農業基本法というのが国会に出されておりましていろいろ議論されておりますが、これは農業も、言ってみますと、外国と競争すると、ほとんど勝つものは一つもないのです。米を初め、勝つものがない。しかし、農業は、全国に普遍に農業者というのはおりますし、食糧というのは割合と日本人の皆さんの合意を得ることが易しいといいましょうか、得ることが可能である。ただ、石炭の場合は、たまたま二つしかない。幾ら我々がその効用を言っても、全国民というレベルになりますと、理解していただけない人も中にはいるわけであります。  しかし、私どもは、できる限りそういった皆さんに理解を求めて、ぜひこの稼行炭鉱二つを存続させること、それから、疲弊している産炭地域を何とかよみがえらせていくこと、そしてまた、鉱害で悩んでいる地域については速やかに鉱害を除去していくこと、あるいはまた失業で苦しんでおられる方々については、これから雇用創出のいろいろな仕事もあると思いますし、優先的なインセンティブで可能にしていくことができるであろうと。どうかひとつそういう意味で、思い切った政策を打ち出してください。そのことによって、私どもは必ずそれをサポートする役割をぜひいたしますことをお約束いたしまして、私の質問にかえます。  ありがとうございました。
  66. 高木義明

    高木委員長 児玉健次君。
  67. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  稼行炭鉱を抱えている北海道の堀知事に最初に御質問をしたい、こう思います。  先ほど堀知事は、太平洋炭鉱長期存続の重要性についてお触れになってから、国の支援策の強化について陳述なさいました。これまで国のやってきたこと、閉山対策という点では一定のことをしてきました。しかし、稼行炭鉱の存続という面でどのような政策があったか。骨格坑道の整備、それから保安確保への補助金、そして石炭鉱業安定給付金、今稼行している二つ炭鉱で、経営、約四十億円です。その程度ですね。それで、二つの山の長期存続を求めていく上で、国の支援策としてどのような具体的な内容を北海道知事としては求めていらっしゃるか、その点がお聞きしたい第一の点です。  二つ目の点は、先ほどのお話の中で、電力業界国内炭引き取りを継続してくれるように求めたい、こういう趣旨のお話がありました。北海道電力との関係ですが、北海道電力は、かつて道内炭引き取りを条件に新設火発に対する国の補助金を受け取っていた経過もあります。そういう中で、北海道知事として、北海道電力に国内炭引き取りの継続を要請する意思がおありかどうか。  以上、二点お尋ねします。
  68. 堀達也

    堀参考人 太平洋炭鉱の存続に向けまして、国に私どもが求めていきたい支援ということかと思いますが、国におきましては、太平洋炭鉱に対しまして、これまで石炭鉱業構造調整対策としてさまざまな助成対策交付金の支援が行われております。諸外国におきましても石炭に対する補助が行われておりまして、我が国の石油備蓄とか、あるいは新エネルギー導入促進に向けての助成といった、他のエネルギー確保に対しましてもさまざまな施策がなされておりまして、我が国のエネルギー問題として、基本的には、何と申しましても国におきまして対策を講じていただきたい、このように考えております。  太平洋炭鉱が長期に存続するためには、企業としての自助努力はもとよりでございますが、地元自治体役割も重要でありますが、海外炭国に対するすぐれた炭鉱技術の移転をすることによりまして、海外炭安定供給確保が図られるように、国内炭の明確な位置づけというものをもとにいたしまして、技術協力に関する支援の確立を図っていただきたい、このように考えております。  国内での火力発電等に燃料として求められることが大変大事でございますので、従来からも需要面で私ども北海道電力の火力発電所におきまして、石炭消費量をできるだけ多く使っていただきたいというお願いをしてまいりました。平成九年度で約百二十七万五千トンでありますが、このうち太平洋炭鉱石炭は約四十四万トン、三五%になっておりまして、今後とも国内炭の継続使用が図られるように強く要請をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  69. 児玉健次

    ○児玉委員 重ねてお尋ねしますが、電力業界に対して意思表示をなさるということはよくわかるんですが、北海道知事として北海道電力に対して要請をなさるかどうか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  70. 堀達也

    堀参考人 これまでも、北海道電力に対しまして、私どもは強く要請をしてまいりました。今後とも国内炭の、とりわけ道内炭の継続使用が図られますように、引き続いて強く要請をしてまいりたいと考えております。
  71. 児玉健次

    ○児玉委員 次に、釧路市の綿貫市長にお尋ねをいたします。  先ほど御意見陳述の中で、太平洋炭鉱が今果たしている国際的な役割技術の分野で特に非常に大きい、そのことにお触れになった上で、困難な状況の中で採掘している生き山の必要性、すなわち太平洋炭鉱長期存続の必要性が絶対的な命題になっている、こういうふうにお話しになりました。全く同感です。技術的な寄与というのは石炭を生産しているから可能なんであって、山が閉じてしまったらもうそれは言ってみれば過去の遺物になってしまうので、本当に御指摘のとおりだと思います。  そこで、二つの点についてお尋ねをしたいと思います。  それは、太平洋炭鉱の存続が釧路市の経済活動の中でどのような役割を果たしているか、九百億の経済的な効果、一万七千人の人口誘発という具体的な指標もお示しになっている。これまで北海道と九州で炭鉱閉山していくときに、経済面と雇用面で炭鉱に取ってかわる受け皿の問題がよく議論されましたが、しかし、日本のこの間の歴史的な経過からすれば、炭鉱にかわる受け皿はないということが既に明白になっていると思うのです。  この点、先ほど市長は、山が閉山することは想像することもできないとおっしゃいましたが、万一の場合、太平洋炭鉱にかわるような何らかの企業の立ち上げが可能だとお考えかどうか、その点が一点目です。  二点目は、これも万感の思いを込めてお話しになったと思うのですが、釧路市としての自治体支援をなさった、そして地方自治体支援には限りがある、本当にそうだと思うのです。私たち国会サイドの仕事というのは、主として国の支援策をどうするかという問題であって、もし自治体支援策について論ずるとすれば、自治体として支援をなさる自治体に国がどういう裏づけをするかという点がこの場での議論の焦点になるだろう、いつもそう思っております。  それで、綿貫参考人としては、自治体支援には限りがある、国の長期的な視点に立った施策支援、どんな内容を提起なさりたいとお考えになっているか、ぜひ忌憚のないところをお示しいただきたいと思います。
  72. 綿貫健輔

    綿貫参考人 児玉先生より二点御質問をいただきました。お答えをさせていただきます。  まず一点目でございます。  私ども太平洋炭鉱が私どもの町をつくり、私どもの町の大きな部分として現在も活動しております。総額からしますと、経済効果で年間約九百億、一万七千人にも及ぶ人口誘発数と申しますか、人口関係する数字として上がってきております。  今、このような状況の中で、これだけの経済活動をし、これだけ人口構成に影響を及ぼす産業あるいは企業釧路ができるかと言われたら、全く不可能だ、私はこのようにあえて言わせていただきます。ですからこそ、太平洋炭鉱が存続すること、そのことが町の大きな経済活動の柱でもありますし、町づくりに欠くことのできない存在である、このように御答弁を申し上げております。  もう一点目でございます。  私ども自治体として、本来でありますと、エネルギー政策は専ら国の施策として、国の責任でぜひひとつ御検討いただきたい、このように従来からお話をさせていただきました。  しかし、国のエネルギー政策と同時に、今申し上げましたように、地域にとって大変な問題でございます。私ども太平洋炭鉱を一企業ではなしに一つ石炭業という産業である、このように考えたときに、地元の多くの皆さんも、それぞれの仕事が大変厳しい中、太平洋に対する支援に皆さんがもろ手を挙げて賛成をしていただき、もろ手を挙げて共鳴していただいているのは、やはり石炭業、太平洋にかわるべき企業は、産業はもう起きないんだ、だからこそどんな努力を払っても太平洋をぜひ残していただきたい、このように考えております。  そこで、自治体として、釧路市として御支援を申し上げるのは、太平洋が生き残るために、できるだけのコスト削減、自治体としても本当に厳しい財政ではございますが、太平洋が生き延びていく、その一助となるように私ども支援を申し上げております。その支援をする自治体をどのような形でまた国が御支援をいただくか、それはこれからの問題として、私ども、今は最大限、この太平洋炭鉱を残していただくために、地元としての姿勢をぜひ御理解いただきたい、こういうことで、これからもさまざまな支援策についてできる限りの努力をさせていただきたい、このように考えております。  以上でございます。
  73. 児玉健次

    ○児玉委員 山道参考人に同様のことをお尋ねしたいんですが、先ほどからのお話のように、町の人口の四〇%、税収の六〇%、もしそれが失われたらという思いが町長さんの胸の中を駆けめぐっているだろうと思います。  それで、先ほど国家レベルの支援策の必要性というふうにお話しになった。国家レベルの支援策としてどのような内容を、あれこれの条件が満たされれば実現していただきたいというふうにお考えなのか、そこのところをやはり忌憚なく承りたいと思います。
  74. 山道幸雄

    山道参考人 池島炭鉱が本町に占めるウエートでございますけれども、私は、町政を進める上で、やはり町の最重要課題は、この池島炭鉱と町の活性化対策という二本に絞っておりますけれども、池島炭鉱を掲げている理由は、やはり今、先ほど来説明をいたしております四〇%の人口の問題、これなくしてはどうしてもやっていけないという前提での最重要課題として取り上げておるものでございます。  したがいまして、この池島炭鉱以外の企業というものもまず数えるものはございません。あるとすれば、福祉施設等じゃないかと思います。あるいはまた、農協、漁協、商工会といったような形に、本当にどちらかといえば貧弱な形の自治体ではなかろうか、このように思っておるものでございます。  そういう意味で、国のレベルでこの炭鉱を何とか助けてやっていただきたいという念願を込めてお願いをしておるのでございますけれども、やはりそのことは、これまでの炭鉱経営上必要な、骨格構造とかもろもろのものもございますけれども、そういう問題を別としてでも、大きくは、やはり国際貢献をしている現在の炭鉱の実態、これも先ほどから出ておりますけれども、保安技術、生産技術、こういった技術を大事にして、将来性を持たせていくという形での支援策を大いにとっていただけばと念願をしてのお願いでございます。
  75. 児玉健次

    ○児玉委員 添田町長でいらっしゃる山本参考人にお尋ねしたいと思います。  先ほどのお話の中で、失業対策就労事業についてお触れになりました。そして、開発就労事業、特定地域開発就労事業、これらが地域経済基盤整備に多大の貢献をした、そうお話もあったし、そして、好影響をもたらしてきたとの御指摘もありました。どんな面で貢献をしたかということを一、二具体的に例として示していただきたいことと、それから、失業対策事業の存続、有効活用による事業の推進が必要不可欠な状況、こういうふうにお話しになりましたが、この点の具体的な方途としてどのような道筋をお考えになっているか。  以上、お伺いしたいと思います。
  76. 山本文男

    山本参考人 失業対策事業でございますけれども、先ほどもお話し申し上げましたが、現在、石炭勘定で行っております開発就労事業は、重複しますけれども、千七百七十人ぐらいが就労しています。これは主として福岡県でございまして、この事業は、基盤整備にほとんど向けられておりますから、他の公共事業でやらなければならないところをかわってやっておりますから、したがって、この失業対策と同時に基盤整備が並行的に行われる、そういう効率面がございまして、たくさんの人たちが就労しておる関係で、地域経済への貢献度が非常に高いということが言えると思います。  ところが、法が失効いたしますと石炭勘定がなくなってまいりますから、この事業を継続していくことが不可能になります。したがって、そうしますと、今度は逆現象が起こるわけですから、私ども地域としては大変困ることになるわけです。疲弊から脱却をしておれば他の事業に求めて基盤整備等を行うことができますけれども、まだ疲弊から脱却していない私ども地域でございますから、こういうものが廃止になっていきますと、経済的な打撃はさらに加わってきますから、ますます立ち直り困難ということになります。そういうことで、私は、どうしても広域的な地域としてこういう事業を行いたい、しかも、そういう人たちがたくさん滞留しておるならば、こういう事業に充てていけば失業の問題も解消していくし、それから事業効率も上がる。  私も、実は具体的な例を一つ申し上げますと、産炭地域振興策で、篠栗線というのがございまして、この篠栗線を電化するための事業が今行われております。それに接続しておりますのが、田川市から飯塚までの鉄道がございまして、これを同じように電化するためには、鉄道の敷地を整備していかなきゃいけない。あるいは、今のままでは効率が悪いですから、新たな路線を敷くというようなことなども考えなきゃならないわけです。  これはもちろん専門家が考えることですけれども、我々が考えても、新たな路線をつくっていく、そういう事業にこういう開発就労事業の就労者の皆さんを充てるということにすれば、さっき申し上げたような二つの面の効果が上がってくる、したがって疲弊から徐々に脱却をしていくための一助にもなる、こう考えているところでございますので、ぜひ存続をしていただきたいというのが私どもの願いでございます。  以上です。
  77. 児玉健次

    ○児玉委員 安永参考人にお伺いしたいと思います。  先ほど御意見の冒頭のところで、炭鉱労働者としての意見を述べる、こういうふうにお話しになりました。御陳述の中で、一時的な経済性による国内炭鉱存廃論議、これに落ち込んでいけば石炭の永久放棄につながる、こうもおっしゃいました。  我々、この特別委員会で、何回か参考人意見を聞いてまいりましたが、九州大学の研究者の方の御意見を含めて、二十一世紀石炭がエネルギーの王座に返り咲くことはもう疑いがない、こういうお話もありまして、それが私たちの審議にとって一つの道しるべになっております。  一時的な経済性による国内炭鉱存廃でなく、二十一世紀を目指した日本のエネルギー政策全体の中でこの石炭をどう位置づけるか、特に国内炭鉱が果たすべき役割、この点について御意見をいただきたいと思います。
  78. 安永嗣

    安永参考人 基本的には、もう先生のおっしゃるとおりであります。  ただ、残念ながら、この政策論議をした企画小委員会、また政策部会では、国内炭の意義だとかそれから技術論についてはわかるけれども、結局この内外炭の価格差のところにどうしても論議が来る。したがって、やはり一部の学者の先生の中には、役目は終わったのではないかという見方、あるいはまた、国民負担までして残すべきかどうかという見方も一部ございまして、結局、経済性で炭鉱をもうやめてもいいじゃないかというような印象を与える発言もあるのは事実であります。  先生も御承知のとおり、我々終始一貫して申し上げてきたのは、確かに電力負担とは言うけれども、これは、企画小委員会の報告書の中でも明らかなように、電力料金を通じた間接的な国民負担なんですね。電力の皆さんには大変申しわけない言い方かもしれませんが、一時的に電力さんの負担になるけれども、結果としては電力料金を通じた国民負担である。したがって、私は、この電力料金を通じた国民負担、間接的国民負担と、先ほどから先生がおっしゃいました保安補助金だとか骨格補助金だとかのいわゆる四十数億の直接的国民負担、こういう形で、何とかひとつ、いわゆる国の支援とユーザーの協力で残していただきたいということを言っておるわけでございます。  ただ、残念ながら、先ほどから言いましたように、経済性がすべて優先するというような発言があるということが非常に残念でございまして、私たちは、そういうことはあってはならないということを終始一貫して申し上げておるということでございます。
  79. 児玉健次

    ○児玉委員 貴重な御意見、本当にありがとうございました。  麻生参考人には、時間がなくて質問できなかった失礼をお許しいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  80. 高木義明

    高木委員長 中西績介君。
  81. 中西績介

    ○中西(績)委員 参考人の皆さんには、大変お忙しい中にこうして貴重な御意見をお聞かせいただくこと、本当にありがたく、感謝を申し上げたいと思います。  時間が制限されておりますことと、重複することが非常に多くございますので、限られた質問になりますけれども、お許しをいただきたいと存じます。  まず第一点は、鉱害対策についてお聞きしたいと思います。  累積鉱害解消問題でございますが、先般、十三日の石特でも質問をいたしましたところ、石炭部長あたりからの答弁では、十三年度中に解消できると答弁があっております。  現地福岡、あるいは山本町長などにおきましては、解消が本当にできるのかどうかの見通しなんですけれども、この点はどのように見通されておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  82. 山本文男

    山本参考人 鉱害復旧については、先ほども申し上げましたけれども、計画の上では確かに十三年度で終わるようになっていると思いますけれども、現場の状況を見てみますと、既にもう平成十年度に完工しておらなければならない鉱区がございますが、こういう鉱区がいまだに未着工のところもたくさんございます。ですから、恐らく十三年度までにはすべてを完了させることは不可能ではないか、私はそういうふうに見ておりますので、筑豊一帯はそういう状況下であると言ってもいいんじゃないかと思います。  以上です。
  83. 中西績介

    ○中西(績)委員 そのように見通されるに当たって、その他、何か具体例はございますか。
  84. 山本文男

    山本参考人 私ども田川地域でございますけれども、彦山川という川がございまして、その彦山川の左岸地域が今一番大きく工事が行われているところでございます。  ある町でございますが、今復旧がされておる。道路、家屋、すべてのものがかさ上げされておりますが、正確な数字はわかりませんけれども、一番高いところは二メーター以上ぐらいはかさ上げをしなければなりません。これは今工事が進められておりますけれども、その区域の中で、百ヘクタールもある田の復旧に関して、今、工事をやっていないのです。  なぜやっていないのかと尋ねましたところが、要するに、交換分合もやらなければなりませんし、道路の幅も広げることになったりします。あるいはまた家屋が引っかかったりしてくるものですから、それらの問題が、言うならば、被害者と施行者側との間にうまく調整がつかないということがあるのではないだろうかと思われます。  私は一週間のうちに三日ぐらいはそこを通りますから、現場を十分見ておるところです。しかし、そういう状況でございますから、尋ねますと、そういうような答えが返ってきますから、恐らく、言うならば、話し合いが利害対立をしてうまく進まないという点があるのではないでしょうか。そういうことで、計画の予定よりもかなりおくれている。一番長いのでは一年以上おくれるところがあるのではないでしょうか。  そういうことで、私は、法期限内に調整期間を含めてすべてが完了するというのは不可能ではないかと思っています。
  85. 中西績介

    ○中西(績)委員 累積鉱害は、だれに聞いても、私もお聞きするのですけれども期限内に完了することは大変困難だろうということを言われるわけですね。  そうしますと、法が失効するわけですから、その後の対応はどうすればよろしいか。そうしたことに対して、知事の方からでもよろしいのですが、法的措置なり、いろいろな問題等についてはどのようにすればよろしいのか。要求されることがあれば、おっしゃっていただければ。
  86. 麻生渡

    麻生参考人 累積鉱害、これは石炭後遺症の典型でございます。我々地元といたしましては、このような石炭後遺症をできるだけ早く解消いたしまして、産炭地域はこれを乗り越えて次の発展をしていかなければいけないと思っているわけであります。その意味で私どもは、累積鉱害をできるだけ早く解消していく、それをお願いいたし、また地元としても努力をいたしております。  今、国あるいはNEDO、関係者は一生懸命努力をいたしておりまして、相当急ピッチに復旧工事が進められているという状況でございます。私は、この努力を一段と強めていくということが非常に大切であるというふうに思っております。  ただ、では、この努力をやった結果といたしまして、完全にこの期間内に終わるかどうかということになりますと、一つは被害者の同意の問題とか、そもそもの鉱害認定の問題、あるいは農地の場合の効用回復期間が三年あるというようなことを考えますと、完全に終わるということは難しいという事態になるかもわかりません。その場合には、累積鉱害をしっかり解消していくということにつきましては、かねて国の基本的な政策でもあるわけでございますから、それに必要な法的な枠組み、これはやはり残してもらうということが必要であろうと思っておる次第でございます。
  87. 中西績介

    ○中西(績)委員 累積鉱害解消いたしました後の問題は、浅所陥没問題が残るわけであります。この部分につきまして、麻生知事あるいは山本町長、いろいろ御見解を持っておると思いますが、時間が余りありませんので、一つだけ確認をしておきたいと思います。  と申しますのは、平成四年の三月の石特委員会におきまして法の改正をするときに、私の方から質問をしたのですが、累積鉱害解消後の浅所陥没対策も国の事務として扱うべきではないか。特に、将来のことでございますから、この点を明らかにしていくことが肝要だということを指摘したところが、当時の土居政府委員の答弁でございますけれども鉱害二法の改正におきましては、累積鉱害解消後の浅所陥没等対策を行う法人につきましては、国が指定をし、国が必要な監督命令を行うということになっておりますし、さらに事業計画も、あるいは収支予算の認可も通産大臣みずからが行うということになっておりまして、その関連の規定を整備しておるところだということを言っていますね。  そうなってまいりますと、法が失効した後の浅所陥没の取り扱い、法人を指定するわけですね。そうした後の対応の仕方が、国がどこまで責任を持たなくてはならぬかということが非常に問題になってまいりますけれども、この点について、現状をどのように受けとめておられるのか、お聞かせいただけますか、山本町長
  88. 山本文男

    山本参考人 浅所陥没は、これはもう石炭採掘を起因として発生するわけですから、言いかえますと、鉱害であることは間違いない、私はそう思います。したがって、法失効後も、この浅所陥没というのはいつ発生するかわからないわけですから、それにいつも対応するだけの準備をしておくことが必要だと思います。したがって、指定法人を設立してそれに対応していくことが一番望ましいと、当時、法律の延長時に議論をしたところでございますが、私も、指定法人をつくって、この運営の基金を今の石炭勘定の中からつくり上げていって、そして、実施をする場合は現行の鉱害復旧のやり方をそのまま準用していくやり方が一番望ましいのではないだろうか、そういうふうに思っておるところでございます。  ですから、指定法人を県につくっていただいて、基金を国側から与えていただいて、そして、その事業実施については現在の鉱害復旧の方法をそのまま準用していくというやり方をすることが一番望ましいのではないか、そういうふうに思っております。
  89. 中西績介

    ○中西(績)委員 その点について、知事、今、政府の方の対応の仕方等で何か問題点があればお聞かせいただけますか。
  90. 麻生渡

    麻生参考人 累積鉱害解消された後に残りますのは、浅所陥没、いわゆる法律で定義されております特定鉱害でございます。この問題につきましては、前回の法律の延長の際に、今御引用がございましたような議論が行われ、通産省の方での答弁も行われているところでございます。  私の方は、当時の考え方、答弁に沿った形で処理が行われるということを期待し、またそうなるというふうに考えております。つまり、累積鉱害解消した後の特定鉱害につきましては、これを処理いたします法人の指定、そしてまた具体的な事業を行います事業のやり方、鉱害の認定、そしてまた財源の問題、これにつきましては、これがきちっと処理されますように、この現在の復旧法が終わりましても、仮に終わった後にしましても、そのようなことが行われるような法律の枠組みが維持されるということが必要であるというふうに思っているわけであります。
  91. 中西績介

    ○中西(績)委員 残り時間わずかになってまいりましたが、産炭地振興対策についてお聞きしたいと思います。  平成十三年度末に終了することになっておりますけれども、旧産炭地域はそれではどうなるかということが大変危惧されます。そこで、お二方にお聞きしたいと思いますけれども、これの問題について、もし今、過疎法あり、あるいは地対財特法あり、これは福岡の場合特にそうなんですけれども石炭関係法、こういうものがすべて失効したときの状況を考えますと、具体的にどのような状況として出てくることをイメージされておるか。この点、どうなんでしょう、知事の方から伺います。
  92. 麻生渡

    麻生参考人 仮に産炭地域振興のための法律以下、現在の産炭地域経済あるいは雇用を支えますためのいろいろな対策が一挙にゼロになってしまうというふうに仮定をいたしますと、これは地域によって、例えば我々の大牟田地域、あるいは筑豊の中でも田川、飯塚、直方、程度は違うわけでございますけれども一つは直ちに非常に深刻な雇用問題に当面いたすわけでございまして、失業が一挙に急増してまいるというふうに考えております。それと同時に、地方財政の方も非常に悪化を、現在もいたしておりますけれども、非常な勢いで悪くなっていくというふうに予想をいたしております。  その結果、産炭地域、新しい産業を起こしながら、産業転換をしながら発展していかなければいけないわけでありますけれども、そのためにはいろいろな公共事業あるいは独自のプロジェクト実施していかなければいけないわけでございますが、そのようなことを行っていく力がなくなっていく、余力がないという状況になるんじゃないかというふうに非常に懸念をいたしておるということでございます。
  93. 中西績介

    ○中西(績)委員 山本町長、具体的に市町村の場合を想定していただいて、どのように考えますか。
  94. 山本文男

    山本参考人 先生から今御指摘ございましたように、そういう三つの制度がなくなってしまいますと、筑豊だけでも考えてみますと、約四百四十億円強の言うならば事業費がなくなっていくことになります。そうしますと、全体の約二〇%強になりまして、事業費ですから大変な影響が出てくることになると思います。  ちなみに、私ども田川地域ですけれども、十カ市町村ございますが、この十カ市町村の九年度の決算だけを見てみますと、全体の予算が九百七十億円ぐらいでして、その中で、今先生から言われました三つの制度がなくなったとしますと、大体二百三億円ぐらい事業費がございます、したがって、それがないとしますと七百七十億円ということになって、十カ市町村ございますけれども、約三つぐらいの町と村、二つの町と一つの村が予算が全然ゼロになるというような状況下になります。ですから、地域に与える経済的、社会的な影響というのは大変重大でございます。  ですから、これがそのままそっくり平成十四年度に来るようなことのないように考えていただかなければならない。もちろん、我々は自助努力は最大限行っていく所存でございますけれども、力が弱いだけに、その自立性を確保することが非常に難しい状況下であるということでございます。
  95. 中西績介

    ○中西(績)委員 そういう状況になったときの雇用と失業問題が大変な状況になるということは論をまたないわけでありますけれども、先ほどいろいろ参考人の方からも説明がありましたので、この点についてはもう重複しますのでお聞きしません。  しかし、いずれにしましても、今後の対策のあり方なんですけれども、もう一点だけ、阻害要因、産炭地振興の阻害要因をひとつお聞きしたいと思います。  特に私、指摘したいと思いますのは、資料なんかを政府が出すときに、六条地域ということで限ってやればうんと条件が悪くなるんだけれども、産炭地全域の平均値を出していろいろ討論をする際の資料にしてもらうと、これは財政力指数が、審議の過程の中におきましても、ある程度一般のところと変わらないんだというふうな声の出てくるのもそういうところにあるんですね。先ほどから皆さんのお話をお聞きしておりますと、大変財政力指数等についても、ワーストテンの中に北海道五つ入って、しかも最下位だというような、だから、特定された地域になっておるということの認識がまだまだやはり政府の中にもないと私は思っています。  ですから、そういうことも一つの産炭地振興を阻害する要因になると思うのですけれども、具体的に阻害要因等がもしあればお答えいただけますか。山本町長
  96. 山本文男

    山本参考人 地域振興の阻害要因というのはたくさんございまして、通称言われております石炭後遺症ということでございます。これらの石炭後遺症解消しない限り地域振興は成らないというふうに思っておるところです。  もう一つは、よく対象にされますのが、財政力指数でございます。これを、過疎地域産炭地域財政力指数を対象にするのですけれども、先生御存じのように、産炭地域市町村も過疎に指定されているところがたくさんございます。先ほど北海道の例もお話がございましたように、我々のところもやはり過疎の市町村で指定をされておりますから、言うならば過疎地域財政力指数の低下に大きな要因を持っておるというところもあると思います。  ですから、財政力指数は、過疎と対象するのではなくて、昭和三十五年、炭鉱閉山が進んでいこうか、あの例のスクラップ・アンド・ビルド政策をつくっていこうとしているときの三十五年ごろを対象にして、現在がどうなのか。だから、どこらあたりまで水準を上げていけばいいのかということを考えていただくのが望ましいんではないでしょうか。  ですから、それを私どもは目標にして努力をしておるのですけれども、なかなか鉱害だとか今の失対問題だとか、ボタ山だとか炭住だとか、あるいは炭鉱の未利用跡地の利用など、こういったものが地域振興の阻害要件になっておる。これらを解消しない限り、言いかえますと、言葉ではちょっと言いづらいんですけれども、後始末が完全に終わらないと新しい分野は開けていかない、こういうことではないかと思いますので、後始末の方がまだまだ未処理であるということが阻害要因の大きなものになっているのではないでしょうか、そういうふうに思っております。
  97. 中西績介

    ○中西(績)委員 ありがとうございました。
  98. 高木義明

    高木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、大変御多忙の中、貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会