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1999-07-09 第145回国会 衆議院 青少年問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月九日(金曜日)     午前九時十二分開議   出席委員    委員長 石田 勝之君    理事 小野 晋也君 理事 河村 建夫君    理事 岸田 文雄君 理事 佐藤 静雄君    理事 田中  甲君 理事 肥田美代子君    理事 池坊 保子君 理事 三沢  淳君       岩下 栄一君    岩永 峯一君       江渡 聡徳君    大野 松茂君       奥谷  通君    奥山 茂彦君       倉成 正和君    小坂 憲次君       小島 敏男君    佐田玄一郎君       佐藤  勉君    実川 幸夫君       下村 博文君    水野 賢一君       目片  信君    吉川 貴盛君       石毛えい子君    坂上 富男君       松本 惟子君    山本 孝史君       太田 昭宏君    旭道山和泰君       一川 保夫君    松浪健四郎君       石井 郁子君    大森  猛君       保坂 展人君  出席国務大臣         国務大臣         (総務庁長官) 太田 誠一君  出席政府委員         警察庁生活安全         局長      小林 奉文君         総務庁行政監察         局長      東田 親司君         法務省矯正局長 坂井 一郎君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長事務代         理       赤坂 清隆君         外務省アジア局         長事務代理   安藤 裕康君         文部省教育助成         局長      矢野 重典君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         通商産業省貿易         局長      佐野 忠克君  委員外出席者         内閣審議官   田中 法昌君         総務庁青少年対         策本部次長   久山 慎一君         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 今田 寛睦君         衆議院調査局青         少年問題に関す         る特別調査室長 大久保 晄君 委員の異動 五月十一日              辞任         補欠選任   保坂 展人君    知久馬二三子君 同月十二日              辞任         補欠選任  知久馬二三子君     保坂 展人君 七月九日               辞任         補欠選任   小島 敏男君     吉川 貴盛君   山元  勉君     山本 孝史君 同日                 辞任         補欠選任   吉川 貴盛君     小島 敏男君   山本 孝史君     山元  勉君 四月二十八日  青少年健全育成に関する基本法制定に関する請願小川元紹介)(第三〇二三号)  同(堀込征雄紹介)(第三〇八二号) 五月十一日  青少年健全育成に関する基本法制定に関する請願北沢清功紹介)(第三二一八号) 同月十四日  青少年健全育成に関する基本法制定に関する請願小坂憲次紹介)(第三三五一号) 同月三十一日  青少年健全育成に関する基本法制定に関する請願村井仁紹介)(第三八三二号) 六月七日  青少年健全育成に関する基本法制定に関する請願木島日出夫紹介)(第四二一八号) 同月十日  青少年健全育成に関する基本法制定に関する請願羽田孜紹介)(第五三六九号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  青少年問題に関する件(薬物乱用問題等)     午前九時十二分開議      ————◇—————
  2. 石田勝之

    石田委員長 これより会議を開きます。  青少年問題に関する件について調査を進めます。  本日は、薬物乱用問題等について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君
  3. 小野晋也

    小野委員 皆さん、おはようございます。  太田大臣におかれましては、昨日は、中央省庁再編法案国家の大本をなす法案を仕上げられたところで、今回は、国家百年の大計といえばやはり人づくりでありまして、この青少年問題において、またきょうも活発な御議論に御協力いただきますようによろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、きょう議論に入ります前に、私は、現在の青少年の心の状態、また、ある意味では日本社会社会現象と呼ぶべき問題について指摘をさせていただきたいと思います。  それは何かと申しますと、皆さん方もお聞きいただいている方がおられるかと思いますが、青い鳥症候群と言われるような言葉がよく言われるわけであります。これは、メーテルリンクの有名な「青い鳥」というお話にちなんでつけられた名前であります。チルチルとミチルという二人が、青い鳥と出会いさえすれば幸せになれるんだ、こういうことを信じて、その青い鳥を探してあちこちの世界を訪ね歩いていく、こういう物語でありますが、現在の青少年は、まさに自分の幸せというものを自分の外にあるものだと考えて、その幸せにうまく出会うことができさえすれば自分は幸せになれるんだ、こういうことを感じながらさまよい歩いている姿というのがあるのではなかろうか、こういう言葉であります。  人間心理に関して著作物を多く物しておられる加藤諦三氏の著書の中にも「“青い鳥”をさがしすぎる心理」という本が出されていますが、こんなふうな文章紹介されております。  幸せの「青い鳥」を探しすぎる人は生き方の全てが安易なのである。何か自分には特別に安易な生きる方法があるのではないかと思っている。その「得する方法」を探している。そんなものがあるはずがない。だから「偽の幸せ」をつかまえてしまう。 こういうふうな文章であります。  例えば、大学受験の例もそこに挙がっているわけでありますが、偏差値というものに頼りながら自分人生を決めていこうとする姿、それは、偏差値さえ高ければどこかで幸せにめぐり会うチャンスが高いのではないか、こういうふうな幻想に基づいてその生き方を選んでいる姿なのではないか。自分は何が好きで、どういう人生を歩みたいのか、自分得意分野は何なのか、こういうことを子供たち自身がしっかりと自分自身で見詰めようとしない。  親は親で、偏差値さえ高ければ何とかなると思い、その子供の適性を見抜く努力をしないし、どういう師を求めるべきかというアドバイスもできない。学校先生学校先生で、どの大学にどういう先生がおられてどういう授業をやっているかもよくわからないで、とにかく偏差値だけを物差しにして進路指導をしてしまう。  これらの現象が、すべて、幸せというのは外の世界にある、こういうふうに安易に考えるところから出ているのではないか、こういうふうなことをこの加藤さんは指摘しているわけであります。そして、そういうふうにして人生を決めて歩むうちに、やはり自分人生は違う人生だったと思い、そして世の中を恨み、そういうふうにしてしまった人を恨む、こういう指摘もしているわけであります。  また、別の言葉唯運主義という言葉もよく紹介されることがあります。これは唯物主義に対してつくられた言葉であります。唯物論というのは、皆さん御存じのとおり、物によって人の生き方考え方、そして幸せというものも決まってくる、こういうふうな考え方でありますが、唯運主義というのは、人は運だけによってその人生が決められてしまうのだ、こういう考え方であります。  青年たちが、運さえよければ自分成功者にもなれるし、また幸せ者にもなれるのだ、だけれども、運が悪ければ幾ら努力しても自分成功者にもなれないし、人生を幸せに生きることもできない、こういうことでございまして、青年たちが、自分自身努力によって人生を切り開くという考え方が非常に弱くなってきているという示唆がこの言葉の中にあらわれているのではなかろうかという気持ちがしてならないのであります。  私ども、人生というものは、自分自身考え方とそこに注がれる努力によって決するものである、こういう考え方をもっと持たねば社会というのは健全な社会になってこないのではなかろうかと感ずるわけでございます。  きょう取り上げて議論することになっております薬物の問題にいたしましても、外部にある薬物というものを使いながら、それによって自分がハッピーな気分になれればいい、こういうふうな非常に安易な依存症的な考え方背景にあるというところに、この青い鳥症候群だとか唯運主義だとか言われる風潮と重複してくるものが出てくるのではなかろうか、こんなような印象を持たせていただいたわけであります。  そこで、太田総務庁長官には、このような考え方に対して、長官自身のお考えというのはどういうお考えであろうかということについて、まずお尋ねをさせていただきたいと思う次第であります。
  4. 太田誠一

    太田国務大臣 きょうは、初めてこの青少年問題の特別委員会答弁の機会をいただきまして、いささかきのうまでやっていたことと距離がある、戸惑いながら答弁をさせていただきます。  今の青い鳥症候群というのは、小野委員に言われて、きのうその言葉がそういう意味だということを初めて知ったわけでございまして、お許しをいただきたいと思います。  要は、みずからを確立するといいますか、自分自身人格確立するというか、あるいは人生をどう設計するかということは、必ずしも青少年だけがわかっていないのでなくて、みんな、大人も含めて、そこは迷いがあるのだろうと思います。  その中で、自分自身でもって、みずからの責任でもって人生を切り開くという気概に欠けるということは、独立心が極めて低下をしているということだろうと思いますし、それは大人子供もそうでありますけれども、独立した国民、市民という、そういう独立した人格確立しなくてもいいのだという、社会の方にそういう甘やかしもあると思っております。  我々の社会には、こうでなければいけない、こうあるべきだという規範が、実は共通のものが大分なくなってきておることも確かでありますし、それをどうやって確立をする必要があるかどうかということはありますけれども、確立をするとすればどういう共通規範があるのかということに、早く我々はそういう議論にもっと集中をする時代を迎えなければいけないというふうに考えております。  そういう中で、今の薬物乱用そのものは、一つは、薬物の入手が容易となっているということがありますし、また、それに対する警戒感低下をしている、あるいは抵抗感が薄れているというふうなことがあると思うのでございます。  そして、子供大人関係でありますけれども、家庭教育力低下しているとか、地域社会非行防止する機能が低くなっているというふうなことが、当然それは背景としてあると思います。  私は、よく申し上げるのでありますけれども、子供といっても、小学校の高学年ぐらいになれば我々大人とほとんど人格は変わりがないのであって、それを子供ということで甘やかすということに、早目にもっと大人として扱うことの方が大事ではないかというふうに思うし、また、大人社会についても、お互いにこうあるべきだということを求め合う気風がいささかなさ過ぎるのではないか、そういうようなことが背景にあると考えます。
  5. 小野晋也

    小野委員 長官より、自我の確立の問題、また、大人子供との扱いというものをめぐっての考え方等、御指摘をちょうだいしたわけであります。  長官指摘になられますとおり、この問題は、単に子供たち、また青年たちだけの課題というよりも、社会全体がこのような現象を呈している中の問題でございますから、単に子供たち青年がこういうふうに生きるべきであるということを語っても、なかなかそれは実効性を持たないものであって、大人も含めてこの問題に対応しつつ、我々の社会に、ある方向性または秩序、こういうものを確立していく努力が求められるという御指摘は、私も賛同するところでございます。  そこで、薬物の問題になるわけでございますが、このしばらくの、薬物に関連して検挙された中学、高校生の数というものを見てまいりましたときに、平成に入りまして以降、平成元年より六年くらいの間は中高合わせて大体五十人程度の検挙者数であったのが、平成八年、平成九年くらいになると二百五十人くらいということで、非常な増加ぶりを示しているわけであります。  それを称して、現在は第三次の薬物乱用期であるというような指摘もされているということでございますが、この実態に対して、長官の御認識、そしてまた、これを減少させるために今後どういうふうなお取り組みをしていかれようとしておられるのか、その点についてお尋ねをさせてもらいたいと思います。
  6. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  最近の青少年薬物乱用問題は極めて深刻な状況である、小野委員の御指摘のとおりだと認識しております。特に、覚せい剤事犯検挙される青少年の数が高水準で推移をしております。しかも低年齢化の傾向にあるということは、まことに憂慮すべきものと考えております。  政府青少年対策基本方針重点施策等を定めている青少年対策推進要綱におきましては、当面取り組む四つの課題の第一に、青少年薬物乱用対策推進を掲げております。関係省庁の緊密な連絡を図りつつ、青少年健全育成非行防止に取り組んでいっているところであります。そして、今月七月と十一月でありますが、青少年非行防止及び健全育成に関する強調月間などの期間を通じまして、各種の広報啓発活動によりまして幅広い国民運動を展開いたしているところであります。  今後も、政府青少年対策本部長として、また、薬物乱用対策の副本部長として、関係省庁とより緊密な連携のもとに、薬物乱用防止に取り組んでいきたいと考えております。
  7. 小野晋也

    小野委員 続きまして、薬物乱用問題に関して取り締まりを行っております警察庁お尋ねを申し上げたいわけでございます。  覚せい剤シンナー等について、その乱用実態、先ほど指摘させていただきましたように、このしばらく非常に問題視せざるを得ないような状況が起こっているわけでありますが、これにつきましてどのようなとらえ方をされておられるのか、そしてまた、警察としてこの問題に対してどんなふうな取り組みをしていかれようとしておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  8. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 少年への薬物汚染実態とその対策について御説明を申し上げたいと思います。  まず、少年への薬物汚染につきましては、依然としてシンナー等乱用が大きな問題であることに加えまして、最近では、御指摘のように覚せい剤乱用が深刻化しております。そういった意味で極めて厳しい状況にあると考えております。  特に、少年薬物乱用した場合には、成人以上に依存状態に移行しやすく、薬物による心身への影響が深刻な形であらわれやすいことから、少年への薬物汚染が拡大している現状は大変憂慮すべき状況にある、こういうふうに認識しておる次第でございます。  具体的に、どんな汚染状況かということを説明させていただきたいと思いますが、覚せい剤乱用検挙された少年は、先ほど御指摘のとおり、平成九年には千五百九十六人に達しておりまして、平成に入ってからの最悪を記録しております。平成十年、昨年には千六十九人となったものの、平成七年以降、四年連続して千人を超える状況にございます。  特に、平成九年の覚せい剤乱用少年のうち、高校生検挙人員が二百十九人、中学生が四十三人となっております。平成元年と比べますと、高校生で十・四倍、中学生で二・七倍となっております。覚せい剤汚染が中高生にまで広がって、覚せい剤汚染の低年齢化が進んでいる状況にございます。  次に、シンナー乱用検挙された少年についてでございますが、こちらの方につきましては、平成二年以来八年ぶりに昨年増加している状況にございます。平成十年中には四千四百九十六人が検挙されております。そのうち、中学生が六百九人、高校生が七百五十九人となっております。それぞれ相当増加している状況にございます。  そういった状況を踏まえまして、警察としてどんな対策を講じているかということでございますが、深刻な状況にある少年薬物乱用防止するために、供給遮断需要根絶の両面から総合的な対策を講じているところでございます。  まず、供給遮断面では、関係機関との連携を強化いたしまして、密輸、密売事犯取り締まり徹底を図っているところでございます。  特に、御指摘のように少年薬物が蔓延しているわけでございますが、その一つの原因として指摘できますのが、ここ数年、来日外国人が街頭で少年薬物を密売するという状況が見られることとなったことから、そういう面での対策を講じなければいけない、こういうふうに考えております。その面で、薬物を密売している外国人取り締まりや、シンナー等を密売している暴力団、悪質業者取り締まりなど、供給源に対する取り締まり徹底を図っていきたいと思っております。  次に、需要根絶という面からでございますが、末端乱用者検挙徹底とともに、広報啓発活動を積極的に進めていくことが必要だと思っております。薬物乱用している少年早期発見補導に努めるとともに、薬物乱用少年に対しては、必要に応じて継続的な補導を行うとともに、早い段階での少年の立ち直りの支援に努めていくことが必要だと思います。  また、少年薬物危険性有害性についての正しい認識を持つことが極めて重要でありますことから、警察職員学校に派遣して、薬物乱用防止教室を積極的に開催しているところでございます。現在、薬物乱用防止広報車の全国への配備を進めているところでございまして、本年度中に配備を完了する予定でございます。こういった広報車を積極的に活用してまいりたいと思います。  さらに、御指摘のとおり、少年薬物乱用根絶するためには社会全体の活動が必要だと思います。社会共通認識を醸成することが極めて重要だという観点から、地域住民の方々に対しましても広報啓発活動を積極的に進めていきたい、このように思っております。  いずれにいたしましても、警察としましては、大変厳しい状況にあるということで、少年薬物乱用防止するために、今後とも総合的な対策関係省庁等連携しながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  9. 小野晋也

    小野委員 各般にわたりましてのお取り組みを進めていただいておりまして、その点、心から敬意を表したいと思います。  特に、なぜ薬物を使用したのかというアンケート調査の結果がありますが、薬物が手に入りやすくなってきているということを指摘する人が多いようでございます。これは、やはり入り口のところできちんとそれを断つということが重要な取り組みだろうと思いますので、その点に関しましては、何とぞさらに一層の御尽力をお願い申し上げたいと思います。  ところで、冒頭に、青い鳥症候群また唯運主義というような形で指摘をさせていただきましたように、薬物乱用問題というのは、環境問題でありますと同時に、一方では、青少年の心のありようや人生姿勢の問題というところをどうしても欠いて議論することのできない問題だろうと思っております。それは、先ほども指摘させていただきましたように、単に青少年だけの問題ではなくて、社会全体としてそういう風潮があるがゆえに、青少年も同じ風潮の中に置かれてしまっているという問題を我々はしっかりと見据えていかねばならないと思うわけであります。  その社会風潮という問題を考えました場合に、私は、基本問題として三点指摘すべきものがあるように思っているわけであります。  その第一点目は、社会全体が、形式主義が重んじられて、心の意味だとかその重要さというようなものが非常に軽視されるような社会になってきているのではないだろうかという点であります。  つまり、我々が外にあらわす姿が重要なのであって、その奥にどんな思いを持っているかということが余り問われない。だから子供たちが、外見をきれいに取り繕うことは努力をするけれども、自分自身の心を磨いていこうという努力が欠けている部分があって、結果的に言うならば、自分自身を見失ってしまう生き方というのがこの風潮の中から生まれているのではないかというのが第一点目の指摘でございます。  それから第二点目の指摘が、先般、高田好胤さんのちょうど一周忌に当たられるということでテレビ番組で拝見したのでありますが、高田好胤さんが、今の世の中は、楽して要領よく小さな努力で大きな成果を求め過ぎる余り、人生を生きていく上で本当は大事なものを見落としてしまっている社会なのではないだろうか、こんな指摘をしていた点であります。  私たちは、もっと大きな努力を注いで、真剣に生きるということをこの社会の中で大事にしていかねばならないのではないか。つまり、楽して要領よく生きるというのがベストの生き方というこの風潮に対して、そろそろ、そうではないんだよということを語らねばならないのではないだろうかというのが二点目でございます。  それから第三点目は、これはもうよく指摘されているとおりでございますけれども、現在の青少年は非常に視野が狭くなっている。自分自身のことしか意識の中になくて、他人のことは眼中に置かれていない。また、今その瞬間さえ楽しければいいのであって、過去がどうであっただとか、未来のことに対する自分たち責任であるとか、こういうことに対する感覚が非常に弱くなっている。そのゆえに、今のこの小さな自分というところだけにとらわれるがゆえに、浮き草的な生き方をせざるを得なくなっている。自分自身の居場所を社会の中にきちんと置くことができなくなっている。こういう三点を指摘させていただきたいと思うのでございます。  このような問題は、視点によっていろいろな御指摘の仕方があるでありましょうから、この三点に集約するということが妥当かどうかというのはいろいろな御意見もあろうと思うのですが、この点、長官、御異論がございましたら、こういうふうな考え方の方が大事なんじゃないかとか、また、こういう部分をつけ加えなきゃいけないのじゃないかとか、こういう点について、御自身のお考えがございましたら、お聞かせをいただければ幸いでございます。
  10. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えをいたします。  今小野委員が御指摘になりました三つの点というのは、まさに私もそのとおりだろうと思っております。  薬物問題に限らず、今の青少年問題の構造の背景には、家庭学校地域社会、それからメディアというのが非常に大きな要因としてあると思います。これは現代社会一般的風潮問題点として、先ほど申し上げましたけれども、社会で、みんなでこういう生き方を守らなければいけないというふうな基本的なルールについての共通認識が希薄になっております。全体の規範意識低下していることが、我が国社会のあり方にかかわる問題として議論されなければならないと思うわけであります。  こういう青少年の問題、あるいは薬物のこともそうでありますけれども、別に我が国固有現象ではないわけでありますから、普遍的な解決さるべき問題というのがあるんだと思いますが、我々は我々日本国の問題をまず考えなければいけないわけでありますから、日本がどうであるかということを考えたいと思います。  そして、いじめということがいずれまた問題になるのでしょうけれども、いじめということに対してどう思いますかと答えを求められることが私もあるわけですけれども、そのときに、最大の私の答えというのは、そういうことが行われたことを見て、それを見て見ぬふりをしないで、そこを指摘する勇気、つまり、こうあらねばならないということを自分たちの仲間に対して言える勇気、むしろそういうことが欠落をしてきたことが規範意識をなくしておる。つまり、規範を求めるということを言い出す人がいないんだということに問題がある。  いじめというのは、何度も申しますように、子供たちだけの社会の話じゃなくて、我々の社会にも十分ある話でありますから、人に何かモラルを求める勇気が欠落をしているということが、メディアにおいてもそうでありますし、社会全体についてもある。つまり、法律に違反しなければよいというのは、まさにおっしゃった点であります。  ところが、法律によって定めることのできる範囲というのは限られた範囲であって、それを埋める、法律ではカバーしていないものをどういうものが埋めているかといえば、例えば宗教のようなものが埋めていたし、あるいは、かつては地域社会の中のモラルというものが、特に、今農村に行けば依然としてモラルの基準というのがあるわけでございますが、そういうものが現代の都市社会の方でなくなってきているわけでありまして、そこをどう埋めていくかということは、私は課題としてあると思うのであります。
  11. 小野晋也

    小野委員 今長官から、非常に大事な点の御指摘をちょうだいしたと思うわけでありますが、形として示されるものというのはあくまで部分である、人生全体の広がりの中からいえば、いかに努力してもその一部分しか人間社会というのは規定することができないのだということでございましょうが、その点が、では現実に子供たちはどうかということで見てまいりました場合には、その決められた形のところだけ守りさえすればほかはもうどうでもいいじゃないかというようなことで、埋め合わせる部分がこの日本社会で形成されていないということは極めて大事な課題だろうと思います。  この薬物乱用の問題をめぐりましても、アンケート調査結果をいろいろと調べてまいりますと、子供たち薬物使用に対する規範意識ということで、なぜ薬物を使っちゃいけないのかということを尋ねた場合に、ほとんどといいますか、五〇から六〇%の皆さんが、法律で禁止されているからいけないことだと思うというような答えの仕方をしているわけですね。  ですから、法律で規定されてさえいないのならば、こういうものを使おうが何でもいいじゃないかということになるわけでありまして、その裏返しとして、薬物を使用することについて、子供たちは、こんなものを法律で決めるのはおかしい、結局自分がその薬物でどうなろうがそれは自分のことなんであるから、そのことについてこんなものを禁止するのはおかしいじゃないか、個人の自由にしろというのが全体の二〇・四%を占めているというようなデータも出されているわけであります。  私は、先ほど一番目に、形式主義が蔓延していて心というようなものを失っている、物が栄えて心が滅ぶというような世相のことを指摘させていただきましたが、今まさに、我々が人間存在としてどういう価値を持ってこの世の中を生きているのかというようなことに対する子供たちのきちんとした考え方確立されていない、そこに心の価値というものをきちんと位置づけることができていないということが指摘できるのではないかと思うわけでございます。  人間というのは、もっとみずからの主体性というものが大事な問題であって、自分がよりよく生きるということが自分にとっても社会にとっても極めて大事なことなんだということの意識をはぐくんでいかねばならないのではなかろうかというような気持ちがいたしているわけであります。  そこで、もっと人間の尊厳ですとか心の重要さということについてきちんと社会として教育をせねばならないという思いを持つわけでございますが、この取り組みについての御所見がございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 太田誠一

    太田国務大臣 直接のお答えにならないかもしれませんけれども、よく私は留学生と接触をする機会があるわけでございますけれども、留学生に人生観を聞くと、いずれも、我々が開発途上国だと思っているような国の方がしっかりしている。人生とはこういうものであって、こういうふうに、例えば一隅を照らすというふうな気持ちを持たなければいけないというようなことを、わざわざ後から聞かなくても自然に知っていたりするわけでございます。あるいはヨーロッパやアメリカでいえば、法律以外にキリスト教のモラルというものを子供のときから身につけているということがあるわけでございます。そういうものが我々の日本社会ではいつのころからか低下をしてきているということでございます。  なしでいいのかというと、なしでいいはずがないわけでありまして、それをみずから、これから我々がしなければいけない仕事というのは、社会の仕組みや文章で書くルールでもって律することのできる世界のほかに、むしろどうやって、我々はこういう生き方共通してとろうではないかと、この日本社会のコモンセンスというものを模索する時期に二十一世紀はなっていくのだろう。小野委員指摘をされました問題は、極めて重要であるというように考えております。
  13. 小野晋也

    小野委員 続きまして、先ほどの第二点目、第三点目の、今の風潮ということで指摘させていただいたのとちょっと一緒に質問させていただきたいと思うわけでありますが、やはり薬物乱用の理由というところでデータが上がっておりますのを見ておりますと、年齢が上がってくるにつれて顕著にその割合が高くなるものは何かというと、その理由として、学校家庭がおもしろくないから薬物に逃れたのだ、こういうふうな理由が非常に年とともに高まってきております。  この姿を見ておりましたときに、これは明らかに社会からの逃避現象というふうに申し上げてよろしいでありましょうし、また、目の前に困難があらわれるという場合に、困難を避けて生きていこうとする安易な考え方というものをこのデータの裏に読み取らねばならないのではないかと思うわけでありまして、これは、先ほど高田好胤さんの言葉を取り上げて御紹介させていただいたように、要領よく楽に生きられればいいんだという風潮背景にあるという気持ちがしてならないわけであります。  人生というものはもっと、表面にあらわれる枝葉だとか花だとか、こういう人からめでられる部分だけがよければいいというのではなくて、その根底にはやはり太い幹が必要でありますし、また、さらに言うなら、目には見えないところにある根が大地に深く張らねばならない。人生というのは、人から表面的に評価をたとえされないとしても、もっともっと大事なものを時間をかけて培ってこそより強く、よりよく生きられるのだ。  ですから、若いときの苦労は買ってでもせよなんという言葉が昔ありましたが、そのようなたぐいの教えをきちんとやっていかないと、この現実からの逃避をしていく傾向というのはとめられないのではないだろうか、こんな思いを持つわけでありまして、大きな努力で苦労することはいいことなんだ、それが、皆さんの成長に結びつき、皆さんがこの世に生まれた天分なんだというようなことの教育を行うということについて、そのお考えをお伺いしたいと思います。  それから、第三点目のところで取り上げました、私のこと、今現在のことしか考えないという小さなとらわれ心ですね、これを打破していくということは一体何かということを考えましたときに、自分にとらわれ、そして小さな世界に閉じこもる、時間軸ももう現在のところでしかとれないというのは、私は、やはり頭の中だけでその世界を構築しているせいじゃないかという気がしてならないのです。  つまり、我々は、人生を生きる中で、確かに頭の中で構築する要素は非常に大事だけれども、同時に、体験を通して、頭の中の凝り固まった自分自身というものがいかに小さなものであったかということを、常に体験をしながら、小さな自分をいつも打ち破りより大きなものに育てていくという部分が必要だと思うわけでありますが、それにはやはり体験が必要だ、仲間と生きるということの意味を知り、時間のとうとさを知る、こういうことをやっていく上で、体験重視の考え方青少年育成の中にきちんと取り入れていかねばならないと考えるわけでございますが、この点も御所見をお伺いできればと思います。
  14. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えをいたします。  小野委員は大変多岐にわたることを言っておられるので、全部に答えていないと思いますけれどもお許しをいただきたいと思います。  今の、社会についての参加といいますか、大人になるほど、自分は参加していないという、あるいは、自分が求めていることが周囲で満たされないということに対する不満が高じるという御指摘がございましたけれども、それは、社会の全体のことについて、地域社会であれ、国全体であれ、あるいはもう少し小さなコミュニティーであれ、自分がその一員として責任を分かち合っているんだということを自覚しない、あるいは責任を分かち合っているんだということを確認し合う機会が我々はないわけでありまして、そこが一つの問題だと思います。  きのう成立いたしました中央省庁改革の法案に言及をさせていただきますと、そのときの考え方は、国民国家の間の関係でもって、一つは、自分のことは自分でしなさいという自己責任の原則を確立したいということもございましたし、また、あわせて、この社会全体について、自分のことを自分でするだけではなくて、社会全体のことについても責任を分かち合うという考えがなければやっていけないということは、紛れもない、今の改革の基本的な考え方でございます。  これは今御指摘された問題に相通ずることでありまして、社会全体のことについて、まさに一人一人が責任を分かち合う、あるいはコミュニティーについて分かち合うという気持ちがなければ、これはとても持ちこたえられるものではないわけでございます。  そういうところを、責任を分かち合うという、ねばならないということは避けがたいことでありますが、それは確立をしなければいけないわけでありますし、また、そこに思い至れば、もう少し、自分自身人生について、簡単にはいかないんだ、困難を乗り越えたり、あるいは目標を設定して苦労をしてそれにたどり着くという、その苦労をするという過程がなければどうにもならないんだ、コストを支払わなければ物は得られないんだ、すべてそういうことだということを共通認識として持たなければいけないと思います。
  15. 小野晋也

    小野委員 大臣御指摘のとおり、人生の中で何かをなすということは、目標を持ち、そして苦労をし、そして責任においてそれを成就する、そういう一つのサイクルを子供時代から体験させていきながら、その人生を生きていく、社会の中でよりよく生きていくということを子供たちに体感させていくというような部分については、今後の大きな検討課題としてよろしくお願い申し上げたいと思います。  ここでもう一点、別の視点の指摘をさせていただきたいと思うわけであります。  これまでの青少年に対する施策内容を検討してみますと、社会制度面上において改革すべきものは一体どういう面があるのだろうかという問題と、子供たち青年たちの精神面の教育という面においてどういう対応が必要なのかというようなところにほぼ集約されるような取り組みがやられてきたという気持ちがしているわけでございますが、もう一点、最近非常に気になってき始めているのが、青少年健全育成の中における栄養学的な立場の問題でございます。  よく、健全な精神は健全な肉体に宿るというふうなことが言われまして、肉体が弱ければ、病弱であれば、やはり精神の方も惰弱になってしまうというようなことが指摘されるわけでございますけれども、ちょうど昨日、女子栄養大学の学長を務めておられます香川芳子先生にお見えをいただいてお話をお伺いさせていただきましたところ、子供たちがとる栄養と子供たちの精神状態、そして人生姿勢、これらは非常に強いリンクがあるというふうなお話をちょうだいいたしました。  例えば、全寮制のある大学での調査によりますと、朝食をとるかとらないかということで点数が随分違うんだそうですね。そういう御指摘もありましたし、ある方の調査データだということでお示しいただきましたものは、食生活の平均得点によってそのランクをずっとつけた中でどうかというと、食生活が悪いという部類の人は、いらいらする、腹が立つ、憂うつになる、すぐかっとする、根気がなく飽きっぽい、ぼんやりする、学校に行くのが嫌、自殺したいと思ったことがある、いじめている、これらのところでもう極めて明らかなその相関関係が見られているわけであります。  食生活が表面的には豊かに見えるけれども、実は、栄養学的に見ると、今の食生活は非常に貧困になってきているのではないかというような指摘をなされ、それが今の青少年のさまざまな問題の誘因になっているのではなかろうか、こういうお話でございました。恐らく、いろいろな非行が今ふえてきている背景に、この食生活の問題ということも避けては通れない一つの大きい課題ではなかろうかと思うわけでございます。  これは文部省の方にお尋ねしたいと思っているわけでございますけれども、栄養と子供たちの精神状態、また人生姿勢の問題についての研究や、さらに子供たちの教育への取り組み、これがどのように行われているかについてお尋ねしたいと思います。
  16. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  最近、児童生徒につきまして、例えば夜眠れないとか、あるいは何でもないのにいらいらするとか、そういった子供たちのストレスの増大あるいは不安、悩みなど、心の健康問題というものがいろいろな調査によりましても明らかになっておりまして、深刻化しているという状況でございます。  また、こうした状況背景一つとして、食生活を含めました生活習慣の乱れの問題もある。欠食児童が多いとか、あるいは肥満傾向が増加している、孤食の数がふえている、そういった問題もあるというふうに言われております。  平成十年の中教審答申におきましても、食は、身体的発達のみならず精神や社会性の発達にも深くかかわっているというふうに指摘をいただいております。幼児期に食を通して得られた満足感とか信頼感は、自尊感情とか精神的安定感など心の発達にも大きな影響を与えているというふうに言われているとも指摘をいただいております。  私ども、こうした指摘を踏まえまして、今回の学習指導要領の改訂におきましては、教科の体育とか保健体育はもちろん、家庭科や特別活動全体を通じて食に関する指導を充実いたしております。  また、具体的な食の指導に関しまして、学校の栄養士の方々に、特別非常勤講師の利用などによりまして具体的な、実践的な指導をしてくださいということにも力を入れておりますし、今年度からそこら辺の関係につきまして調査会を設けまして、文部省としても、少し腰を落ちつけて研究をしたいというふうに考えております。
  17. 小野晋也

    小野委員 この点につきましては、非常に学校現場の問題また青少年の荒れの問題等に直接的に関係している分野であると思いますから、特に力を注いでお取り組みいただきたいと思います。  なお、質問項目の中に、ロボット創造国際競技大会のことを触れておったのですが、もう時間がありませんので単に要望とさせていただきます。  ロボットをつくり競い合う、この競技を二〇〇一年、日本が国際的に呼びかけて開催しようということで、順次今進められてきているわけであります。これは、子供たちの心を培う、またチームワークをつくる、こういう面でも非常に効果のあるものだと思いますので、青少年対策本部におきましてもこの問題を前向きにとらえて、今後さまざまな御協力、また御検討いただきますことを御要望させていただきまして、質問を終えさせてもらいたいと思います。どうもありがとうございました。
  18. 石田勝之

    石田委員長 次に、松浪健四郎君。
  19. 松浪健四郎

    ○松浪委員 おはようございます。自由党の松浪健四郎でございます。  ちょうど今大きな問題になっておりますテーマをこの委員会で取り上げていただきました。委員長にまずもって感謝を申し上げたいと思います。  質問に入ります前に、先ほど高邁な質問が小野委員からございましたが、小野委員の発言の中に、健全な精神は健全な肉体に宿るという趣旨の発言がございました。この発言は、身体障害者等の皆様方に大変失礼な発言であると思います。したがいまして、この削除をまずお願い申し上げたいと思います。それについて、委員長、いかがでしょうか。  そして、つけ加えて申しますならば、健全な精神は健全な肉体に宿るという表現は正しくはございません。  紀元二世紀、古代ローマのユウェナリスという風刺詩人は、健全な精神は健全な肉体に宿ってほしいと言ったのが正しいのでありまして、我々が学校で学んだことは実は間違いであります。そして、間違いのこの言葉が流布されて小野委員も理解されているのだと思います。  そして今、実は公共の放送では、健全な精神は健全な肉体に宿るということは言えないことになっております。つまり、体の不自由な人たちは全部精神がおかしいのかということになってまいります。したがいまして削除すべきであると申し入れているわけであります。  委員長、これについてどうですか。
  20. 石田勝之

    石田委員長 理事会で協議をしたいと思います。
  21. 松浪健四郎

    ○松浪委員 理事会で協議する以前に、正しい語源、そして今の時代の正しい認識、これを私たちは持たなければならない、こういうふうに思うわけであります。  それでは質問に入らせていただきたいと思います。私は持ち時間が少ないので、小野委員のように高邁に横道にそれるわけにはまいりませんので、もう単刀直入に質問をさせていただきます。  覚せい剤の今まで十年間の平均押収量は約二百六十キログラムでありました。しかし、ことしに入りまして既に一千五百キログラムの押収量があります。中国、台湾、韓国、北朝鮮、これらの国々から密輸されておる。これを防ぐにはどうすればいいのだろうか。  衆議院で過日通過をいたしました組織犯罪等の法律、一日も早くこれは成立をさせてこれら組織犯罪を防止しなければ、目には見えないけれども、今、この国の中に覚せい剤戦争が起こっておる、このように私は認識をいたしております。暴力団は、覚せい剤によって一日三十億から四十億の利益を得ているという統計もございますから、大変なものでございます。そこで、幾つかのことについて質問をさせていただきます。  まず、覚せい剤事犯検挙者の年次別の推移を見ておりますと、かつて、第一次乱用期というのは昭和二十八年から三十年くらいでありました。そして第二次乱用期は五十六年から六十一年。そして今、平成七年から第三次の乱用期に入っておる、こういうふうに思うのですけれども、第一次乱用期は、三十年をピークに三十一年から極度に減り、三十二年にはほとんどこの乱用期から離れるという形になりました。これはどうして鎮静化することができたのか、まずお尋ねしたいと思います。というのは、二次、三次、これはなかなか鎮静化さすことができないでいるという趣旨でございます。
  22. 田中法昌

    田中説明員 第一次覚せい剤乱用期の終息の原因、あるいは第二次がなぜ完全に終息しなかったか、こういう御質問かと思います。  いろいろな、覚せい剤供給の側あるいは乱用する側、あるいはその間の組織犯罪、組織の問題、こういうものがいろいろとかみ合ったことでありまして、これだという明快なお答えをするのはなかなか難しいかと思いますけれども、一次と二次の違い、特に一次の場合に何があったかということを考えますと、取り締まりの強化という意味で、まず、昭和二十九年、昭和三十年の二回にわたりまして覚せい剤取締法が改正されました。これによりまして罰則が強化される等、取り締まりができるようになったというのが一つあるかなと考えております。  それから、第一次と第二次の大きな違いでございますが、第一次は、基本的には国産の覚せい剤でございました。しかるに第二次になりまして、国産の覚せい剤はほとんどなくなりまして、国外からの密輸になってまいりました。当初は韓国ルートということで、韓国で密造されておった。それが次第に中国に移っていった。こういう状況でございまして、この辺がやはり取り締まりという点では非常に困難な面があった、こう考えております。
  23. 松浪健四郎

    ○松浪委員 次にお尋ねしたいのは、昭和五十二年ぐらいから問題となってまいりました青少年薬物乱用問題ですけれども、平成八年、九年に極端に高校生乱用が目立つわけですけれども、これはどうしてなのか、お尋ねしたいと思います。
  24. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 委員指摘のように、平成八年に急激に増加いたしまして、平成九年には過去最悪を記録しております。このように覚せい剤乱用検挙された高校生が急増した背景については幾つかあろうかと思います。  まず考えられますのは、イラン人などの来日外国人が街頭で少年に声をかけ密売するなど、少年でも容易に覚せい剤を入手できるような環境が出てきたということでございます。  次に、女子の場合についてでございますが、テレホンクラブ等を通じて知り合った相手から覚せい剤を入手するようなケースが見られるようになってきたということでございます。  それからもう一点、覚せい剤をSとかスピード等と呼ぶことなどによりまして、乱用に対する罪悪感が薄れてきたということ。もう一点は、覚せい剤乱用方法が、従来の注射器を使用する方法から、火であぶって吸引する方法が広まったことによりまして、薬物乱用への抵抗感が失われた、こういったいろいろな要素が絡み合いまして急激にふえてきたもの、こういうふうに私ども認識しておるところでございます。
  25. 松浪健四郎

    ○松浪委員 どれぐらい質問できるのかと思って、たくさん質問をつくりまして通告をさせていただいたわけでございますが、与えられた時間がこんなに短いのかと思いまして、もうほとんど質問ができませんので、通告をしている各省庁に対して質問がないということがあればおわびをしたいと思います。  そこで、いきなり飛びますが、委員先生方に配付をさせていただきましたコピーがございますが、実は五日前に我が家に新聞の折り込み広告として入っておったものをコピーして配付させていただいたわけであります。とにかく高校生の、また中学生薬物乱用が大きな社会問題になっておるわけですけれども、この広告が私どもの家庭にまで入り込んでくる現実、これを見過ごすわけにはいかない、私はそう思いました。  とりわけこの中で恐ろしいのは、マインドスケープという薬であります。「一〇〇%ナチュラル。アメリカ合衆国のFDAが認めている自然食品を配合して作り上げてしまった合法覚醒剤です。効いている間は音響、色彩感覚が異常に研ぎ澄まされ自分の内面が自信に満ちあふれてきます。」こう書かれてありますと、ちょっと手に入れてみたい、好奇心旺盛な青少年はそういうふうに思っても不思議でない、こういうふうに私は思うわけです。  そこで、まずお尋ねしたいのは、合法覚せい剤とは一体何なのか、そのことについて厚生省にお尋ねしたいと思います。
  26. 中西明典

    ○中西政府委員 覚せい剤につきましては、覚せい剤取締法という法律がございまして、そこで指定されている物質、具体的にはメタンフェタミンあるいはアンフェタミン、こういった物質が覚せい剤でございます。その指定基準といいますか、依存性がある、あるいは精神毒性があり乱用危険性がある、こういった要件に該当するものが覚せい剤として指定される。  合法覚せい剤というのはそもそも存在しないわけでありまして、これは、合法覚せい剤という言葉を使って顧客を誘引するための表現であるというふうに認識しております。
  27. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ということは、大っぴらに覚せい剤というものを、悪いものではないのだよ、買うことができるのだよというような形でのチラシである、こういうふうに理解させていただきますけれども、これを見ますと、かかりつけの医師の処方せんなしに輸入できる薬物、一体これは薬物の中でどれだけの範囲なのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  28. 中西明典

    ○中西政府委員 個人が自分自身の使用目的でもって海外から医薬品を輸入する、要するに、日本で承認されていない薬であっても個人の責任で輸入する、これ自体は現在否定されておりません、これは自己責任という観点に立ちまして。当然、覚せい剤であるとか麻薬であるとか、こういったものについては、それぞれの法律に基づいて、個人であれども輸入することはできないというのが実態でございます。  問題は、この件、先生指摘の話は、輸入代行業が広告を出しておると認識され得るわけでありますが、その輸入代行に際し、日本で承認のない医薬品の広告に該当するのかどうか。要するに、承認のない薬というのは広告をしてはならないというのが薬事法の規定でございます。  それから、輸入代行と称して輸入販売がなされていないのかどうかというのが第二点。要するに、業として販売する場合は輸入販売業の許可をとらなければならないわけでありまして、その二点が問題になってくるものというふうに考えております。
  29. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ドラッグ輸入代行業者についての許可とか規制、これは極めて大切だということは、このチラシを見ていただければおわかりになるわけですね。そして、それを今度は新聞の折り込みとして、チラシとしてやるといったことに対する規制、これらについてはいかがですか。
  30. 中西明典

    ○中西政府委員 輸入代行業というのは、個人個人が海外からいろいろな製品を輸入するに際し、書類を代書するとか、あるいは代金の支払いを代行するとか、かわって注文を入れるとかいう仕事でございますので、これ自体はどの法によっても規制はなされていないわけでございます。  先ほど申し上げましたように、問題は、その輸入代行に際して、薬事法で禁止されている未承認薬の広告というものが大々的になされているのではないかという先生の御指摘だと私どもは考えておりまして、それは先生指摘のとおり、薬事法に違背するおそれが大いにあるのではないかというのが私どもの認識でございます。
  31. 松浪健四郎

    ○松浪委員 説明がちょっとわかりにくくて、輸入業者を援護しているのか、何かわけのわからぬような説明でありましたけれども、時間がありませんので。  今長官にもこのチラシを見ていただきました。とにかく中学生高校生青少年がこのチラシを見たならば、一回買ってみたい、そういうふうに思わせる内容のチラシであり、私は極めて問題が多い、こういうふうにとらえるわけですが、総務庁長官の感想を聞かせていただきたいと思います。
  32. 太田誠一

    太田国務大臣 ちょっと想像を絶することでありまして、合法的な覚せい剤があるということも実は知りませんでしたし、処方せんなしに覚せい効果を持つものを飲んだり食べたりしてもいいということは理解を絶するものですから、ちょっとコメントのしようがないわけでございますが、すべての流通が自由になるということは基本的にはよいことでありますけれども、それは何でもそうであればよいということではないわけでありますので、何かこういうことがあれば敏感に対応すべきではないかと考えております。
  33. 松浪健四郎

    ○松浪委員 どうもありがとうございました。  そこで、いろいろな資料があるわけですが、資料を見ておりますと、薬物関係していたり、関係ありそうだと学校先生が知った場合、ほとんどの保護者は子供たちにやめるようにと言って説得するんですが、学校先生は説得する前にだれかに相談しに行くんですね。どうも頼りないんですね、先生というのは。つまり、薬物乱用の児童生徒を見たときに的確に学校先生が指導できない、戸惑いを覚えておる、私はこのように理解しておるんです。  したがいまして、教員を養成する、あるいは教員がある期間、薬物乱用等の児童生徒に対してどのような指導をするのか、そういった研修が必要であるというふうに私は思っておりますけれども、文部省はどういうふうに考えられているか、お尋ねしたいと思います。
  34. 矢野重典

    ○矢野(重)政府委員 まず、御指摘のように、総務庁が実施した調査によれば、教員の回答のうち、「上司・同僚と相談する」と回答した者が七五%ございまして、「やめるように説得する」と回答した者が七〇・四%でございまして、これを上回っているような結果がございます。  この結果をまずどう受けとめるかでございますけれども、薬物乱用の具体の問題が生じた場合におきましては、個々の教員による指導はもちろん重要であるわけでございますが、同時に、学校長のリーダーシップのもとで、警察等の関係機関連携をとりながら学校という組織全体として対処することが大変必要になるわけでございまして、今回の調査における回答もこのような観点からなされたものではないかというふうに推察されるところでございます。  いずれにいたしましても、薬物乱用は児童生徒の心身に重大な影響を及ぼすものでございまして、教職員一人一人が薬物乱用防止等に関しまして適切な理解を得ることは極めて重要でございます。  文部省といたしましては、今後とも、教員に対する研修また指導資料の作成、配付等を通じまして、各学校において適切な対応がとられるように意を用いてまいりたいと考えているところでございます。
  35. 松浪健四郎

    ○松浪委員 各省庁に通告をしておきながら、時間がなくてできなかったことをおわび申し上げます。どうもありがとうございました。
  36. 石田勝之

    石田委員長 次に、田中甲君。
  37. 田中甲

    田中(甲)委員 民主党の田中甲です。  第三次覚せい剤乱用期ということで、今御質問された松浪先生からも御指摘があったところですけれども、覚せい剤乱用期に入りますと、必ずと言っていいほど組織犯罪、汚職あるいはエイズというものが蔓延していく、こういうものが背景にと申しますか、同時進行していく、そんな側面を持っていると思います。  第三次覚せい剤乱用期、この特徴というものは、外国人のバイヤーが入っている、外国人組織の関与がある。また、この委員会で特に注意をしている、問題点としているがゆえに開かれたわけでありますけれども、青少年薬物乱用の増加、さらに低年齢化が進行する、これが第三次と言われている薬物乱用期の特徴ではないでしょうか。  海外から持ち込まれる薬物の問題は、国と国民の将来にかかわる重要問題である、こういう認識を持たせていただいております。現に、十九世紀、イギリスより大量に持ち込まれたアヘンによって中国、当時清国は疲弊し、治安は乱れ、そして滅亡への道を進んでいったわけであります。  第一次のとき、国内で生産されたという先ほど御答弁がありましたけれども、軍が所有していた薬物というものが一般に広まっていく、ヒロポンという、大流行という表現は適切かどうかわかりませんけれども、広まっていった、その姿だったと思います。第二次の場合には、韓国、台湾からのルートで入ってきた薬物ということだと思います。第三次の場合の外国人組織の関与というのは、まさに私は、チャイニーズ・マフィアという中国からの流れ、バイヤーとしてはイラン人ということで、はっきり国会でもこの点を指摘して対策を立てていかなければいけないんだろう。  私も新宿の一角に現地視察に行ってまいりましたけれども、そのときのチャイニーズ・マフィアの根の張りようというのは、これはもう恐ろしいほど根を張っている。これは我が国日本にとってゆゆしき問題であるという気持ちをまずお伝えした上で、御質問をさせていただきたいと思います。  それでは、外国人による薬物の密輸入の現状及び水際対策という点について冒頭御質問させていただきます。時間が限られていますので、簡潔な御答弁をいただければありがたいと思います。
  38. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 委員指摘のとおり、覚せい剤を初めとします我が国乱用薬物のほとんどが外国から輸入されております。その場合に、国際的な薬物犯罪組織の手によって我が国に密輸入されているということ、日本側では暴力団等の組織が受け手となっているということでございます。  また、覚せい剤が主でございますので、覚せい剤につきましては中国等が主要な供給国となっております。手口につきましても、最近は大変巧妙化してきておりまして、正規の輸入物品の中に隠匿する、あるいは海上で瀬取りして密輸入する、そういったいろいろなケースが出てきておるわけでございます。  私どもといたしましては、関係諸国の取り締まり機関、それから国内では税関、海上保安庁と協力してその密輸入について徹底した取り締まりをしていきたいと思います。  特にここで報告申し上げたいのは、本年に入りまして大変大量の覚せい剤の押収が続いております。六月十六日までに千百三十二・八キログラムと、過去最高の平成八年の六百五十・八キログラムを大幅に上回る状況になっておるということでございます。  こういった状況というのは大変私ども憂慮しておりまして、諸対策をこれから積極的に講じてまいりたいと考えておる、そういう状況でございます。
  39. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  もう一度繰り返しますけれども、チャイニーズ・マフィアの取り締まりというものは徹底的にやってもらいたい。担当あるいは現場に入る警察官の方々は本当に命がけのことでありますけれども、それはやはり、日本はそんな甘い国じゃないということをきちっと見せていただきたいと思います。  それから、イラン人のバイヤーに関しては、これはまさに日本のエネルギー政策にかかわることだと私は認識しています。今はイラン人に対してビザの有料化ということになっていますけれども、当時、オイルショック直後、イランに石油プラントの建設を行う、それと取引をするような形でイラン人がビザなしで日本に大量に入ってきたという中で犯罪が増加しました。そして、薬物というのが蔓延して、非常に許せない状況、一人一人に声をかけてイラン人がヤクを売るという姿が生まれてきた。  そういう認識を持つならば、イラン政府に対して厳しくこの点は政府からも指摘をしてもらいたい、そのぐらい強い姿勢で行ってもらいたいと思います。後ほど、もしそういうことを実際にしているというのでしたら、御報告もいただければと思います。  さて、私は、薬物の問題は、基本的に需要供給というところをしっかりとつかんでおかなければ本質的な対応ができないのだろうというふうに思っています。需要というのは、まさに青少年に広がっていく薬物乱用の現実、現状ということをどうやって食いとめるか、これから若い世代が薬物に手を出さないようにどういう対策をとるのかということが需要面。供給する側は、水際対策とかあるいはイラン人のバイヤー、そういう姿を指摘しているのではありませんで、この地球の中でどこでその薬物が生産されているかということをもっとしっかりとつかんで、その対策をとっていかなければならないのだろうと思います。  例えば、東南アジアにおいては、ゴールデントライアングルと呼ばれていますタイ、ミャンマー、ラオス、この国境地帯でケシの栽培が行われている。つまり、ヘロイン、アヘンですね。それから、ゴールデンクレセント、三日月型の地域になりますけれども、中東はパキスタン、イラン、アフガニスタン。中南米においては、コカイン・カルテルと称されていますけれども、コロンビア、ペルー、ボリビア。さきに申し上げた二つの地域から、ゴールデントライアングルとクレセントに関しましては、香港とタイが中継地になって、仕出しと言っていいでしょうか、日本に入ってきている。  これをまず国際的なチームワークを組んで打破していく、それを壊滅状態に追い込んでいくということが私は非常に重要なことなんだろうと思いますけれども、国際的にはそのような動きというものを行っているのかどうか、それをぜひ御答弁いただきたいと思います。
  40. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 委員指摘のとおり、薬物乱用の問題は世界的に深刻の度を深めておりまして、その解決に向けて関係各国の国際協力が不可欠になっております。国連等のいろいろな場でもってその問題が取り上げられている。私どもは、そういった動きも当然踏まえながら、関係各国との連携を図って対応していかなければならないと思っております。  特に、その際に、供給遮断の観点から、密造が行われている地域における薬物対策を支援すること、これが極めて重要だと考えております。御指摘のゴールデントライアングル及びその周辺諸国では、近年覚せい剤の密造が急増して、その一部が我が国に流入している、そういう状況にございます。  そういった観点で、本年二月には、警察庁におきましては、外務省とともに、国連薬物統制計画、UNDCPと申しますが、このUNDCPの参加を得まして、一九九九アジア薬物対策東京会議を開催いたしまして、この地域における取り締まりに対する支援プロジェクト等について協議したところでございます。  私どもといたしましては、関係各国取り締まり当局との情報交換等、そういったものを極めて密接に連携を図ってやっていくとともに、特にゴールデントライアングル及びその周辺諸国に対しましては、同地域における密売事犯取り締まりに資するために、鑑定、鑑識に関するノウハウを提供してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、この問題につきましては国際的な協力が極めて重要でございますので、委員の御指摘を踏まえまして、さらにその成果が上がるような連携を深めてまいりたいと思います。
  41. 田中甲

    田中(甲)委員 国際的な連携が必要だということと、国内的にも各省庁の連携が必要になってくると思います。  ゴールデントライアングルにしても世界的麻薬組織が実際にそこに存在するわけで、そして買い上げの組織を検挙するということが必要でありますし、また国内においても、その地域の共通した貧困の実態ということを考えていくならば、例えばODAの拠出ということも、転作の奨励金的な役割を、住んでいる住民が生計を立てられるような援助計画というものを立てつつ、いろいろな角度からこの実態を改善していく努力をしていただきたいと思います。  水際の対策というのも非常に重要でありますけれども、商品があれば、つまりヤクがあれば金にしようといかなる手段も使ってくるという組織でありますから、徹底的な対策ということを、御努力には感謝を申し上げます、今後も継続していただきたいと思います。  さて、今度は需要のところでありますけれども、新たな需要層というものをつくり出さないためにはどうしたらいいか。そこにはまず青少年薬物乱用心理、つまり薬物に手を出していく心理ということをしっかりとつかまえていく必要があると思うのです。  先ほどの答弁の中にも含まれていましたけれども、格好いいとか、先輩がやっているから、その格好いい姿を見てまねするとか、覚せい剤のイメージというものが、今までシャブという、骨までしゃぶる、そんな意味だそうですけれども、今ではSとかスピードとか、あるいはチョコ、これは大麻樹脂のハシッシュの隠語ですけれども、MDMAのエクスタシーとか、MDAのラブドラッグですとか、こういう何かファッション感覚めいた名称をつけていく中で、格好いいという誤った印象を持たせてしまう危険性があると思います。それと、やせる薬、眠気覚まし、受験等のストレスから解放したい、そういうのに非常にいいんだというような間違った考え方を持たされて最初の第一歩を踏み出してしまう。  それから、若者の考え方が欧米化してきたということは、ヤクというものを、何か覚せい剤は若いころにだれもが経験するはしかのようなものという感覚が今出始めて、いや、もう既にあるのでしょうか。それから、人に迷惑をかけなければよい、自分の体が痛めつけられるとか、あるいは自分の問題だろうという、それもやはり間違ったとらえ方をしているんだろう。  それと、これは大きな影響を与えていると思うのですけれども、メディア。メディアの中でやはりもっと薬物というものを、危険なものであってこれは手をつけてはならないということを伝えるような工夫ということが私は必要になってきているのではないかと思うのです。  例えば、ドラマの主人公が非常に冷めた男であって、あるいは男性、女性にかかわらず、それが格好いいと、流行ということを感じさせるドラマが流れていると物すごい影響を受けるのですね。ドラッグに関心を持つようになったというのは、複数回答でありましたけれども、九割がテレビからということですから、これはメディアというものをもっとチェックしていく必要があるんだろう。  それから音楽。私はここに、秘書が持っているということで、では持ってきてくれということで持ってまいりましたが、ビートルズのジョン・レノンが作詞作曲をしたルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイアモンズという、あの曲はまさに頭文字が、ルーシーのL、スカイのS、ダイアモンズのD、LSDをあらわしているのでありまして、そして、この曲を聞いていただければわかりますけれども、ダリの絵を想像するような、本当にテンポが、通常の人間ではつくり出せないという、そういう感性の中から生み出されている。それがまた若者には格好いいと。作曲家の中でも、日本でもそういう方が、名前は挙がっていますけれども、これは個人名を挙げることはできませんが、やはりその世界で麻薬、薬物が蔓延しているということが非常に若者に対して、手をつけてしまう乱用心理ということをつくり出してしまっているように思います。  また、先ほど松浪先生指摘されている点、これはインターネットでも全く同じようなことが言えると思うのですけれども、こういう販売ということが行われている。いとも簡単に入手できる、それが現在取り巻いている環境ではないでしょうか。  それからもう一点、携帯電話の普及ということが、これは先ほども指摘しましたが、イラン人から携帯電話を通じてそれを受けている。従来のように、街頭でのキャッチセールスということではあるのですけれども、さらに携帯電話を使ってわからないようにしている。この辺が人づてによって入手していく。直接外国人から買わなくても、人から人へ渡って、友達の友達の友達から入ってくる。つまり、一般の人の手に入りやすくなっている。そして、一般の青少年も簡単に手に入る。  さらに、今末端価格が下落していますから、本当に二千円程度の金で一回分の例えばスピードですとかそういうものが手に入ってくる。安価になっている、価格が安くなっているということも青少年に広がっていく理由だと思いますけれども、その点で御見解等ありましたら、あるいはこの点だけは修正しておきたいというようなことがありましたら御指摘をください。
  42. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 最近の薬物情勢をめぐる御指摘委員の御指摘のとおりだと思います。
  43. 田中甲

    田中(甲)委員 私は、教育の現場でしっかりと薬物の怖さということを教えていかなければならないと思います。小学校からと言うと、極端だ、そこまで低年齢の子供たちに教える必要があるのかと思われるかもしれませんけれども、場合によっては小学校から、中学校、高校ではもう徹底して薬物乱用防止教室ということを開いていただきたい。  現状でも随分努力をされているようでありまして、警察庁警察官が全国五千四百九十六校の九一・三%に当たる五千十八校にもう既に教室を開いて指導をしに行っているということを聞いております。その努力というものを多といたしますが、厚生省、医薬安全局の方にちょっと御答弁をいただきたいのですけれども、努力が不足していませんか。
  44. 中西明典

    ○中西政府委員 私どものサイドでは、麻薬取締官OBあるいは現職も含めまして、中学、高校等で開催される薬物乱用防止教室に出向いて、ビデオ等の啓発資材を活用しながら、中学生高校生等が乱用危険性を正しく認識、理解する、そのための取り組みを行ってきているところでございます。  平成十年度においては、中高に延べ百五回、取締官OBあるいは取締官現職を派遣し、約三万八千人を対象に啓発活動を行ってきたところでございまして、今年度にはさらに拡大して実施したい、教育現場の求めがあれば可能な限り協力してまいりたい、かように考えております。
  45. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  私、少し厚生省には知恵を使ってもらいたいと思うんですね。  私の読んだ書物といいますかあるいはインターネットその他も全部含めて、元薬物依存症だった方々が、更生した方々なんですけれども、今の青少年薬物汚染の現状を嘆き、何とか協力したいと言っている方が少なくないんですね。その代表的な方がダルクという組織をつくっている、ドラッグ・アディクション・リハビリテーション・センターという、薬物依存者の中毒患者のリハビリセンターをつくっている近藤恒夫さんという方がいらっしゃるんですけれども、民間のダルクを設立しています。  こういうところと協力し合いながら、厚生省の医薬安全局から派遣される麻薬取締官のOBの数が少ないならば、実際に中毒患者であった依存症の方々が、更生して人々の役に立ちたい、青少年の現在の状況というものを非常に憂えているという方々の力をかりながら、実際に体験した人たちの説得力のある話というものをもってもっともっと幅広く教育をしていく、中学校も全部、あるいは地域によっては小学校の段階からでもこういうことを考えていただきたいと思います。  もう時間がなくなってしまいましたので、私の方の要望を申し上げます。  薬物の依存者は精神障害者ではない、薬物依存者の社会復帰のために民間で努力をされているダルクのような団体に、施設に対する国の補助金制度というものがない。逆に厚生省には、ここに目を向けて、どういうふうにここと協力関係を持てるかということで、補助金ということも含めて、そちら側にどうか有効に活用していくお考えということを持っていただきたい。お互いに、お互いの持っているよさということを最大限活用していただきたいと思うのですが、最後に御答弁をいただきたいと思います。
  46. 今田寛睦

    ○今田説明員 御指摘のように、薬物依存のリハビリテーション活動にこのダルクという団体が大変御熱心に御活躍されていることは十分承知をしているつもりでございます。  まず補助につきましては、現在、一定の要件、例えばグループホームをおつくりになられている場合には、その要件に該当すればその運営に関する補助、あるいは小規模作業所としての要件に達しておられれば、それに対しての若干の運営費の補助はさせていただいておりますけれども、御指摘のように、薬物依存から脱却をしようという非常に御熱心な、まさに身につまされた経験というものをお持ちの方の活用という御指摘もあわせまして、この団体に対しても、そういった意味で積極的なかかわりを私ども持っていきたいというふうに思います。
  47. 田中甲

    田中(甲)委員 総務庁長官、一言で結構であります。ぜひ、元依存者の方々やあるいは民間で努力をしている方々を、政府と一体となって、この青少年薬物乱用問題に取り組んでいくというその件についての御所見をいただければありがたいと思います。
  48. 太田誠一

    太田国務大臣 いわゆる問題が起きましたときに政府がすべてのことができる、だれよりもすぐれた取り組みができるとは限らないわけでございますから、現に御本人が経験をしておられる方々などの持っておられる能力あるいは知識というものを積極的に活用をしていく努力をしなければならないと思っております。
  49. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございました。  終わります。
  50. 石田勝之

    石田委員長 次に、山本孝史君。
  51. 山本孝史

    山本(孝)委員 民主党の山本孝史でございます。  本日は青少年薬物乱用問題についての審議でございますけれども、時あたかも盗聴法の審議がありまして、ここでの審議が盗聴法を早く通せというようなことに使われないように、ちゃんとした審議をさせていただきたいというふうに思っております。  確かに、覚せい剤の問題、青少年にも多いんですけれども、一番多いのは、シンナー等乱用という問題が相変わらず一番多うございまして、そこで、私きょうは毒物及び劇物取締法に関連して質問をさせていただきたいと思います。  昨年、毒劇物の事件が続発をいたしまして、私、昨年の九月の八日に厚生委員会で、毒劇物への対策を省庁の枠を超えて検討する省庁連絡会議を設置したらどうだという提案をさせていただきましたら、厚生大臣早速に御提案を受けていただいて、毒劇物対策会議が設置されました。十一月二十七日にはその報告書が発表になりました。  厚生省は昨年からことしにかけて三度、去年の七月二十八日、十二月二日、ことしの一月十三日と、毒劇物の取り扱いについて慎重を期すようにという通達を都道府県等に出しておられます。  しかし先日も、大阪で元組員にトルエンを売ったとして化学会社の社員が書類送検されております。こういうことを見ておりましても、厚生省がお出しになっておられる数度の通達が生かされていないと私は受けとめているのですが、厚生省の見解をお示しいただきたいと思います。
  52. 中西明典

    ○中西政府委員 今先生指摘のとおり、昨年の一連の毒劇物に関連した事件の発生等を踏まえまして、厚生省としては、毒劇物営業者等における毒劇法に基づく適正な保管管理等について早急に点検するよう、あるいは毒劇物を販売、授与する場合の手続の遵守、使用目的の確認、譲受者の身元確認についての指導等について、数次にわたり都道府県に対し改めて指導をしてきたところでございますが、今回、御指摘のような事件が発生したことはまことに遺憾でございます。  御指摘の事件につきましては、まだはっきりした全貌が明らかになっていないと思いますが、私ども聞いておるところでは、化学会社の社員が毒劇物の販売手続を適正に行わなかったという事案のようでございます。  毒劇物の販売手続等につきましては、先ほどの報告書に基づきまして、厚生省として、盗難防止マニュアル十万部あるいはガイドブック二十六万部を作成しまして、本年四月末までに毒物劇物営業者等に配布したところでございまして、今後とも、こうしたブックレット等を活用して毒劇物の取り扱いに関する周知徹底を図っていくとともに、各都道府県で実施されております毒劇物取扱責任者等に対する研修をさらに一層充実していただくよう指導してまいりたい、必要な取り組みについて尽力してまいりたい、かように考えております。
  53. 山本孝史

    山本(孝)委員 局長がお触れになったそのマニュアルあるいはガイドブック、十万部、二十六万部、私も拝見させていただきましたけれども、書いてあるのは当たり前のことが書いてあるので、今ごろ何をこんなものをつくって配っておるんだ、お金がもったいないだけじゃないかという気がするのですね。  たまさか一つの事件をとらえてお話しになりましたけれども、かぎをかけずに保管をしている、あるいは管理簿がない、身元確認せずに販売する、そういう実態がずっと続いている。私が申し上げているのは、そんな中で厚生省が通達を出されておるだけでは現場はちっとも変わっておらぬじゃないか、そのことについて厚生省の見解は、認識はどうなっているのですかということをお尋ねしているわけです。  次の質問として、毒劇法の十六条の二の第二項に基づいて、毒劇物の盗難は警察への届け出が義務づけられておりますけれども、厚生省への報告は任意とされています。そのために、警察庁が把握しておられます毒劇物の盗難件数、平成十年に六百八十七件もありますのに、厚生省へは、任意報告ですから一件にとどまっています。  厚生省は、警察から情報を得るなど、積極的にどういう状況が起きているのかということの情報収集は行っておられないというふうに私は認識をしておりまして、したがって、盗難事件があれば毒劇物対策を主管する厚生省に情報が集まるように、届け出を義務づけるように法律を改正するか、あるいは警察との情報交換を密接にするなどの対策が必要であると考えておりますけれども、見解をお示しください。
  54. 中西明典

    ○中西政府委員 毒劇法では、そうした営業者等において盗難、紛失が発止した場合には警察署に届け出るよう義務が課されているところでございまして、これは、言うまでもなく、各種の犯罪等に使用されることを防止する観点から規定されているものというふうに考えております。  しかしながら、先生が御指摘のとおり、毒劇物の規制当局と申しますか、監視を行っております都道府県衛生部局並びに厚生省において、そうした盗難等の発生状況をできるだけいち早く入手して営業者を指導していく、注意喚起していくということは重要であるというふうに思います。したがって、毒劇物対策会議の報告書におきましても、今後の監視に当たっては、都道府県と、都道府県警察を初めとしまして関係機関との連絡体制を整備していくということがうたわれているわけでございます。  私どもといたしましても、警察庁と相談した上で、盗難等の発生時におきまして、都道府県衛生部局と都道府県警察との連絡体制の整備について、改めて各都道府県に対して指導していかなければならないというふうに考えております。
  55. 山本孝史

    山本(孝)委員 各都道府県の主管部局に任せて、そこで警察とお互いに都道府県単位でやってくれ、情報交換をしてくれという考え方もあるのでしょうけれども、まず、本家本元の厚生省のところで全国で今どういう状況が起きているのかという情報の把握をしないと効果的な対策にはならないでしょうし、その一環として法律改正というのもしたらいいじゃないか。  盗難ということがあったときにきっちりと届け出る、そういう義務づけをされているということにおいて、またその保管をしておられる方たちも、きっちりとした保管体制をとろうというお気持ちにもなられるのでしょうし、法律改正、我々国会の場で考えてもいいのかもしれませんが、厚生省としては、法律改正をして盗難のときに届け出を義務づけるというお気持ちはないのですか。
  56. 中西明典

    ○中西政府委員 警察署への報告義務は、盗難に対してそのブツがどのように流れていったのか、あるいはだれが盗んだのか、まさに犯罪と結びついてくるわけでございまして、その報告義務は極めて大きな意味があるというふうに認識しております。それにあわせて、厚生省あるいは都道府県に対する報告義務を課するということは、事業者に対する負担という意味で過度の負担を課するおそれもあるというふうに考えられるわけでございます。  私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、都道府県警察と都道府県との間の連絡体制を整備し、厚生省としては、そういった盗難に対応して各都道府県がこういうアクションを講じたという実態を各都道府県から御報告いただく、そうしたある特定傾向の事件、事犯というものが多いのであれば、それに着目してまた各都道府県に指導をしていくというやり方をとっていくのが適当ではないか、かように考えておる次第でございます。
  57. 山本孝史

    山本(孝)委員 業者の負担などという手ぬるいことを言っていると対策が後手に回らないかという心配をいたしますけれども、しっかりとしたシステムを一度考えてみてください。  それから、今使っております毒劇物対策会議の報告書の中で、毒劇物監視員というのがおられまして、そのもとになる監視要領を見直す、去年の年末までを目途に見直すということになっておりますけれども、見直しはされたのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 中西明典

    ○中西政府委員 報告書には本年末までということを書いてございましたが、実は事務手続がおくれてきておるというのが実態でございまして、これはおわびしなければならないというふうに考えております。  しかしながら、私どもとしては、毒劇物の監視指導要領の見直しを行い、より積極的な危害防止措置の実施を促すための指導事項を盛り込んでいく、こういう作業は確実に行いたいというふうに考えております。  今現在、監視指導要領につきましては、各都道府県の毒物劇物監視員が行うわけでございますから、都道府県の意見を聞く必要があるということで、都道府県の意見を聴取している段階でございます。  今後、速やかに作業を進めて、ことしの夏じゅうと申しますか、八月あるいは九月までにはきちっとした監視指導要領の見直しを行って、これを提示したいというふうに考えております。
  59. 山本孝史

    山本(孝)委員 その都道府県との意見交換をされておられる中で、都道府県側から、監視指導員の活動について、いろいろな障害があるんだとか、あるいは要領の方はこういうふうに見直してほしいとかといったような意見が出ているんでしょうか。
  60. 中西明典

    ○中西政府委員 新しい監視指導要領におきましては、違反発見時の対応あるいは処分方針、処分基準をある程度標準化していくとか、あるいは立入検査の頻度でありますとか、その他の行政指導のあり方について新しく盛り込んでいきたいというふうに考えておりまして、それらについて各都道府県といろいろ御相談し、意見をお伺いしておる最中でございます。
  61. 山本孝史

    山本(孝)委員 では、その点も重ねてお願いですけれども、指導要領の見直しあるいは意見交換をされる中で、要領というような形ではなくて、施行令そのものを見直す等々の対策が必要であるならば、そこも適切に対応していただきたいというふうに思いますが、その点もよろしゅうございますか。  それから、八月じゅうとおっしゃいましたので、八月ですと、ほとんどもう今かなりのところまで煮詰まっているのかと思いますが、そういう理解でよろしいのでしょうか。
  62. 中西明典

    ○中西政府委員 私どもとしては、八月じゅう、遅くとも九月前半ぐらいをターゲットとして、都道府県の御意見も踏まえた上で、新しい指導要領、これは現行の法令を前提とした指導要領でございますが、それを確実に改定してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  63. 山本孝史

    山本(孝)委員 局長、済みません、先ほどの松浪健四郎さんの御質問で、私も、ちょっと一点だけ確認をしておきたいと思いましたのでお伺いするんですけれども、もちろん未承認薬を輸入して販売することはできないけれども、未承認薬であっても個人輸入をすることは可能であって、それをどなたかが代行されることも可能である、こういう理解でよろしいわけですね。
  64. 中西明典

    ○中西政府委員 未承認薬であっても、個人が自分自身のために使用する、大量に買ってほかの消費者のために販売するというのは、これは販売業に該当いたしますが、自分自身の個人消費用に、当然その量は限られてくるわけでございまして、それを輸入することは可能である。それからまた、その輸入手続をどなたかが代行すること、これは一般の商品と同じでございまして、代行すること自体を何ら否定するものではないということでございます。  ただ、代行業者が、代行業と言っておりながら実は販売業を行っておるとか、あるいは未承認薬を広告宣伝するということについては、これは薬事法で規制されている、要するに薬事法違反になるということでございます。
  65. 山本孝史

    山本(孝)委員 それぞれ業者さん、表示の仕方があるんでしょうけれども、当然薬物五法に抵触するかしないかといったような個々の検査、あるいは表示のあり方として適切なのかどうかといった点、そういう検討はされておられるのでしょうか。
  66. 中西明典

    ○中西政府委員 先ほど松浪議員にもちょっと御答弁申し上げましたが、麻薬とかあるいは向精神薬それから覚せい剤、こういったものは、当然のことながらそれぞれの法律で、個人使用といえども個人輸入は禁止されているところでございます。
  67. 山本孝史

    山本(孝)委員 質問と答えが合っていないんです。  私は特定のものを申し上げているわけではありませんけれども、何らかの商品が販売されているという実態を目にしたときに、あるいは輸入されているという実態を目にしたときに、それが薬物五法に抵触しているかどうかというようなチェック、あるいはその表示の仕方が問題があるのではないか、すなわち、覚せい剤と同種の覚せい作用を有するものであれば覚せい剤取締法にひっかかるわけですから、そういった意味で個々のチェックをされておられるのですか、あるいは表示の内容に問題はないかというチェックをしておられるのですか、そういう体制にあるのでしょうかという質問です。このものについて聞いているわけではありません。一般論です。
  68. 中西明典

    ○中西政府委員 ある物質が、今、覚せい剤取締法で規定されている覚せい剤の定義に該当してくる可能性があるかどうかということについては、当然チェックいたしますし、それから、それぞれの物質についてどういう性状のものであるかということについては、私ども、監視活動を通じてできる限りの把握は行ってきているところでございます。
  69. 山本孝史

    山本(孝)委員 総務庁長官、御質問するチャンスがなくなってしまいましたけれども、前回の毒劇物対策会議は、省庁の枠を超えての対策会議でありました。青少年対策を所管されておられる総務庁長官として、今後とも青少年薬物問題については省庁の枠を超えてお取り組みをいただく立場におられるんだと思いますので、きょうは質問が厚生省だけになりましたけれども、各省庁またがっての対策に引き続きお取り組みをいただきますようにお願い申し上げます。  質問を終わります。ありがとうございました。
  70. 石田勝之

    石田委員長 次に、池坊保子君。
  71. 池坊保子

    ○池坊委員 明改の池坊保子でございます。  私は文教委員でもあり、かねてから、中高校生に対する薬物乱用防止対策一つとして、啓発運動の強化ということを提言してまいりました。  総理府の調査によりますと、一割の高校生薬物を使ってみたいというふうに答えておりますし、六・五%の子供たち薬物の使用を誘われた経験があるというふうに言っております。年々、中学生高校生薬物の利用というのがふえております。  ただ、多少私は救いだと思っておりますのは、平成九年で、覚せい剤の使用によって検挙されました子供たちの数が千五百九十六人であったのに対して、平成十年には千六十九人に減っておりますのは、ようやっと各省庁が薬物対策に対して本腰を入れなければいけないということの実行の結果がちょっとあらわれたのではないかというふうに私は感じております。  先ほども小野委員から青い鳥症候群というお話がございました。青い鳥症候群というのは、何も中高生だけではなくて現代人を覆っている病ではないか。そして、その病は、日本だけでなく、いずれのときは世界を滅ぼしていくのではないかという恐ろしい思いをいたしております。  子供たち覚せい剤を手に入れますのは、魂の渇きとか何かの願望というのではなくて、女の子でしたらただダイエットをしたいとか、あるいは試験勉強をしておりますときに眠りがあるのでその眠りを防ぐためにという、いとも簡単な理由から手を染め、そしてそれから抜け出られなくなるだけでなくて、そのためのお金欲しさに窃盗を働いたりあるいは援助交際に走るという二次汚染も招いているということが大変恐ろしいのではないかというふうに私は考えております。  先ほどもお話がございましたように、ことしになってからのこの半年間で覚せい剤の押収量は千百三十二キログラム、これは世界の中では英国に次いで二番目でございます。そして、日本では過去においての年間最多押収量は六百五十キログラムでございましたから、ことしに入ってどれだけの覚せい剤が出回っているか。押収されましたのは出回っているもののごくわずかだと思います。この一トン以上というのは、一回分が〇・〇二グラムから〇・〇三グラムが使用量だそうでございますから、延べにいたしますと何と四千万人の人々がこれに侵されている、利用していると言ってもいいのではないかというふうに考えております。  私は、言うまでもなく、防止策というのは供給遮断、もう一つ需要根絶、この両面だと思います。需要根絶のためには、今は無差別にだれでも安くて手に入る、これをまず遮断しなければならない。これは警察の力をおかりする以外ないのですけれども、需要根絶は、やはり薬物というのは恐ろしいのだということを子供たちに知らせるということが一番ではないかというふうに思っております。総務庁は今、中央省庁再編成という大変重要な課題を持ってはいらっしゃいますけれども、薬物汚染も待ったがききませんし、これは子供たちに大きな影響を与えてまいることでございますので、ぜひ総務庁全体として最優先懸案事項としてお取り組みいただきたいと思っております。  私、思っておりますのは、今いろいろな省庁が縦割りで防止に対しては働きかけなければいけないという認識を持ち始めておりますけれども、横の連絡というのに欠けているのではないかというふうに思っております。内閣には、総理を本部長にした薬物乱用対策推進本部というのがございます。総理府には青少年対策推進会議というのがございます。これは、それぞれがあっても、内容が重複したり似通ったりしているところがあるのではないかと思います。  この二つの協議会がありますので、長官にはぜひこの連絡を密にして、あるいは他省庁との働きかけということを強固にしていただきたいと思っておりますけれども、長官の御見解を伺いたいと存じます。
  72. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  きょうは大変いろいろなことを勉強させていただいておりますが、まず、池坊委員のおっしゃった、いわゆる深刻なといいますか、社会の病理としての薬物乱用状態ということよりも、それもあるけれども、それも一つの柱だけれども、それよりももっと安易な、違う目的でその世界に入り込んでしまうということがあるのだから、あるいは特に値段が安くて手に入りやすいという状態があるのだから、そちらの方をチェックする方が先ではないか、そしてまた、そういう体制はもっと総合的に、壁がなければきちんとできているはずなのだけれども、壁があってそこがうまく回っていないのじゃないかというふうな御指摘、また、既に総理を本部長とし、私も副本部長ということになっております薬物乱用に対する体制、連絡がよくできていないのじゃないかという御指摘の点をよく受けとめて、重く受けとめて対応をいたしたいと思います。
  73. 池坊保子

    ○池坊委員 長官、これを御存じでございますか。ちょっと遠いからわからないかもしれませんが。これは総理府がお出しになりました、予算が二千百六十五万円で四百六十万枚をおつくりになって全中学生に配付なさったカードでございます。表にSPEEDという、私なんか年配ですからこのSPEEDはわからないのですが、今中学生では知らない子がいない歌い手だそうです。これは、悩みがあったらここに電話なさいというのが裏に書いてあって、県にまず配って、それから学校に配って、そして生徒たちに配るのだそうです。  私は、これはいいとは思いますけれども、多少自己満足なのではないかというふうに思っております。と申しますのは、こういうのを子供たちが見ましても、ああ、これで私は覚せい剤をやめようとか、悩みがある、不登校で本当に真剣に悩んでいる、だから電話しようと思ったりする子が本当にいるのだろうかという気がするので、これもわざわざ学校に配るならば、文部省も今薬物対策等々で頑張っておりますので、ぜひ文部省と連携をとりながら、一番いい方法は何かを模索しながら考えてつくっていただきたいと思うのです。これで二千百六十五万円を使う。文部省は文部省でちゃんと使う。  今、長官に他省庁との連携が大切だと申し上げましたのはそういうことでして、これを一つつくって学校に配る、余り子供たちにはインパクトがない。だけれども、文部省の予算と一緒になっていいものをつくったら、もっともっとインパクトの強い、子供たちに直接語りかけられるものができると思いますので、これから先おつくりになるとき、いろいろなアイデアを出してやっていただきたいと思いますが、長官、どうお思いになりますか。
  74. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  まことにお恥ずかしいことでございますが、総務庁でそういうカードを配っているということは、一回私に説明したと今言っておりますけれども、私は実は余り鮮明に覚えておりませんでした。ということもあり、それから、各省庁が有機的に連携をしていればその効果は何倍にもなるのに、別々にやっているがゆえにインパクトがないということは往々にしてあることでございます。  中央省庁改革の考え方も、他の省庁がやっていることに今までは縄張りをきちんと決めて不可侵条約でいくというふうなことでありましたけれども、そうではなくて、それぞれの省庁が他の省庁のやっておる施策について意見をどんどん言うということにしていかなければいけない、そのようなことも私どもの考え方にはございますので、早速実行いたしたいと思います。
  75. 池坊保子

    ○池坊委員 先ほど山本委員から、厚生省がつくった小冊子が余り役に立っていないのではないかという御意見がございました。私も拝見して、これを見たからといって薬物が恐ろしいと感じたりはしないのではないか。第一余り読まないのではないかというふうに思っておりますが、厚生省がなさった大ヒットというのはキャラバンカーを増強なさったことではないかと私は思っております。  我が党は、総理にも要望いたしまして、今まで麻薬防止のためのキャラバンカーが一台しかございませんでしたのを、三台ふやして四台に増強いたしました。このキャラバンカーというのは、ぜひ太田長官も機会があったら見ていただきたいのですが、昨年は国会の中庭にも参りまして、中を見ますとコンピューターがあったり、あるいは映像とか展示などがございまして、子供たちがそれを見て説明を受けると、ああ本当に薬物って恐ろしいんだな、僕たちはそういうものに絶対手を染めてはいけないんだなという気持ちを持たせるものでございます。  私は、幾ら教室で薬物は恐ろしいんだよ、やめなさいと言っても、あるいは親がそのように注意してもそれは身につかないのだと思います。子供たちに、楽しみながら、でも恐ろしさを知らせることにはキャラバンカーは大変役に立ったというふうに思っております。  初めて予算がついたわけでございますが、私は、願わくは、全国九カ所に麻薬取締官事務所がございますね、そこに一台ずつ置いてほしいというふうに思っておりますが、それにはあと五台必要なんですが、厚生省はそのことについてはどのようにお考えかを伺わせていただきたいと思います。
  76. 中西明典

    ○中西政府委員 キャラバンカーにつきましては、平成十年度の補正予算で三台増車いたしまして都合四台、これが東京を中心とし、あるいは中部地区、関西地区、九州地区、それぞれを中心としつつ全国を巡回してきているところでございます。  今後につきましては、学校等からの巡回要望の状況やそれぞれのキャラバンカーの運行実績というものもよく見ながら増車についても検討対象としてまいりたい、かように考えております。
  77. 池坊保子

    ○池坊委員 総理府が出していらっしゃる薬物対策五カ年戦略の中でも、啓蒙運動の一環としてキャラバンカー並びに広報車の増強というのが挙げられていると思います。今キャラバンカーがどんなふうに稼働しているかを調べてというふうにございましたけれども、それの調査はもう出ております。全国的にフル回転をしておりますし、警察の方でも、キャラバンカーをお借りになっていろいろな啓発運動をしていらっしゃると思います。実績を上げているという調査もちゃんと出ているわけですから、積極的にこういうことを取り上げていただきたいと思います。  小冊子とかいろいろなポスターも必要だと思いますけれども、そういうことよりも、どれをどのようにしたら実効性があるか、中高校生に一番わかってもらえるかということを真剣に考えていただきたいというふうに私は思いますので、ぜひこれに対しては取り組んでいただきたいと私は思いますので、もうちょっとちゃんとした答弁をお願いいたします。調査はもうしてありますから。
  78. 中西明典

    ○中西政府委員 先生の御指摘も踏まえまして、今後、十分検討、対処してまいりたいと考えております。
  79. 池坊保子

    ○池坊委員 私は、NGOの活用も大切というふうに思っております。各省庁がようやく薬物対策が大切だというのに気づいたのがこの一、二年だと思いますが、NGOの方はもう十数年来こういう活動を続けております。私は、そのためにも、厚生省の中に恒久的な財源としての薬物対策のための基金を設置してほしいというふうに願っております。  なぜかと申しますと、キャラバンカーができましても、その運営にはお金がかかるんです。毎年予算というのは、子育て支援、子育て基金の中から出ているわけです。やはりきちんとした運営費が欲しいと思っておりますことと、また、継続して各家庭とか地域社会に小冊子の配布、あるいはいろいろな啓蒙運動等が必要だと思いますので、厚生省が軸になって、この薬物の恐ろしさというのは今各界の方々も御存じなわけですから、寄附を集めてもいいですし、そういう基金をつくったらどうかと思っておりますけれども、役人答弁でない答弁をちょっと伺いたいと思います。
  80. 中西明典

    ○中西政府委員 現在、キャラバンカーの運行管理につきましては、麻薬・覚せい剤乱用防止センターに委託いたしておるところでございます。いろいろなソフトの関係の仕事を警察庁と共管しておりますこの団体でやっておりまして、いろいろな意味で御寄附をいただいてきておるというのが現実でございます。  私どもとしましては、この団体を通じて国連に対する募金活動もやっておりますし、その団体の基金と申しますか基本財産と申しますか、そうしたものをできるだけ手厚いものにしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  81. 池坊保子

    ○池坊委員 警察の方にちょっとお伺いしたいと思います。  薬物乱用防止対策については警察の方々にも大変力をいただいております。広報車も十二台から、予算がついて四十七都道府県に一台ずつ置かれるようになってまいりました。置かれていても、これを有効に使わなくては意味がないと思います。  私が聞いたところでは、直接警察官が中学校とか高校に出向いて、覚せい剤はこんなに恐ろしいんだという話をする、そうすると、実際に覚せい剤使用者と接していらっしゃる警察官のお話ですと、普通の人が言うよりもはるかに説得力があるという生の声を私は聞いておりますけれども、広報車を含めて、警察としてどのような取り組みをしていらっしゃるのかをちょっと伺いたいと思います。
  82. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 私どもといたしましては、青少年薬物危険性有害性というものを理解してもらうことが極めて重要だと思います。そういった意味で、先生指摘のように、全国の都道府県警察薬物乱用防止広報車を整備しております。  この場合に最も必要なことは、薬物危険性というものを本当にみずからのものとして認識してもらうことだと思います。そういった点で、薬物の現物だとか薬物を使用したときにどういう状態になるかとか、そういったことについて本当に実例に基づいた説明をする、しかもそれもスクリーンを用いてする、こういったことをやってまいりたいと思います。  また、そういった広報車の活用方法につきましては、当然学校に対しまして行くこともありますけれども、そのほかにも、社会の中における薬物に対する認識を高めていくことがまた重要でございますので、またそういった要望というものが地域社会からございますので、そういった面でもこの薬物乱用防止広報車を活用して、本当に乱用がないような、そういう認識というものをつくる、こういった努力をしてまいりたいと考えております。
  83. 池坊保子

    ○池坊委員 お願いは二点ございまして、一つは、今は中学生高校生を対象に行っていらっしゃるわけですね。中学校には七〇%の学校に行ったというふうに伺っておりますけれども、今の子供たちというのは小学生もなかなか大人になりまして、もう五年、六年になりますと一番好奇心が旺盛なころでございます。  薬物になぜ興味があるかというと、全くこれは好奇心からなんですね。私は早期の予防というのが必要だと思いますので、小学校にも行っていただきたいというふうに思っておりますけれども、人員の問題などについてはどうなのかということと、また、地域社会で、町内会などに広報車を出して、お母様方あるいはお父様方にこんなに恐ろしいんだということも知らせてほしい。なぜなら、子供を守っていくのは学校だけじゃございませんで、やはり地域社会からの盛り上がりというのが必要だと思いますので、その点はどうお考えか伺いたいと思います。
  84. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 青少年薬物乱用防止するためには、早期にそのような危険性あるいは有害性について認識してもらうという必要があろうかと考えております。現在では中学校、高校を重点的にやっておりますが、小学校の高学年に対してもそのような広報活動をしなければいけないと考えております。昨年は千百六十九校の小学校に行っておりますが、全体の数からしますと四・八%ということで、大変少ない状況にございます。今後はいろいろと努力をいたしまして、積極的な展開を図っていきたいと思います。  また、いろいろ限りがあるだろうという御指摘でございますけれども、やはり私どもとしましては、警察官等の担当職員を効率的に運用いたしまして、できるだけ多く開催するようにしてまいりたいと思います。また、その中には、委員指摘のように地域社会、特に母親の方々に対する広報啓発活動というものが重要でございますので、そういった面での活動、これを強化してまいりたいと考えております。
  85. 池坊保子

    ○池坊委員 考えてみますと、あらゆる日常生活にかかわる判断というのは、三つ子の魂百までと申しますけれども、小さいときにどんなふうな意識を持ったかということが、大きくなってそういういろいろな場面に出会いますときの判断力の要因になっていくと思いますので、ぜひ小学校からの早期の防止対策に力を入れていただきたいと思います。  最後に、先ほども申し上げましたように、供給遮断というのがなければ、幾ら子供たちに恐ろしいんだよ、だめだよと言いましても、安易に手に入る。そして、まず安いということが原因だというふうに思っております。何よりも供給遮断に力を入れていただきたいと思っております。安く、簡単に入手できるというそれを根本から断ち切らないとだめだと思いますけれども、外国人等による密売組織への対応というのはどういうふうになっているか伺いたいと存じます。
  86. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 我が国薬物の現状を見ておりますと、従来は暴力団の密売組織による密売が多かったわけでございますが、最近はイラン人、フィリピン人等の来日外国人密売事犯が増加しております。私どもといたしましては、こういった外国人薬物密売組織に対する捜査を徹底いたしまして、その壊滅を図っていかなければならないと思っております。  また、そういった観点で、外国の捜査機関との連携というものが極めて重要でございます。イラン人薬物密売組織の壊滅を私どもは重点の一つとして挙げているわけでございますが、そういった観点で、イランの薬物取り締まり機関等と緊密な連携をとって、現在その対策を進めておるところでございます。
  87. 池坊保子

    ○池坊委員 各省庁への働きかけ、まとめ役としての長官のお力は大なるものがあるというふうに思っておりますので、これからも厚生省、警察庁、そして文部省がそれぞれ力を、自分たちの各分野で力を出すのではなくて、協議しながら力を出すことは相乗作用として大きな力になっていくと思いますので、そのように御尽力いただきますことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  88. 石田勝之

    石田委員長 次に、石井郁子君。
  89. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 こんにちは。日本共産党の石井郁子でございます。  薬物乱用問題等についての審議ということでございまして、私は、きょうは、この薬物問題で今我が国の施策がどういう到達点にあるのかということを、私もこういう機会に勉強させていただくというつもりで御質問いたしますので、どうかよろしくお願いいたします。  その場合に、私は、子どもの権利条約を手がかりに質問をしたいと思っております。  申し上げるまでもなく、子どもの権利条約の三十三条では、このように書いてあります。   締約国は、関連する国際条約に定義された麻薬及び向精神薬の不正な使用から児童を保護し並びにこれらの物質の不正な生産及び取引における児童の使用を防止するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置をとる。 と定めているわけであります。この「立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置」、だから、この問題で、本当に真剣に向かわなければいけないことかというふうに私は思います。  まず、この条約で定めているこういう措置について、既に政府としてのいろいろな取り組みがあるわけでございまして、膨大な資料等々もいただいているところでありますので、ちょっと簡潔に、この「立法上、行政上、社会上及び教育上の措置」という点では私たちはどういうふうに理解をしたらいいのかということで、御説明をお願いしたいと思います。
  90. 赤坂清隆

    ○赤坂政府委員 お答え申し上げます。  ただいま、この条約第三十三条を踏まえ、政府としてどういう措置をとっているかという御質問でございますが、立法上の措置といたしましては、刑法にあへん煙に関する罪が規定されておりますほか、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法等麻薬五法により、正規の麻薬等の流通に関する規制や不正取引等の規制が行われております。また、これに違反した者を罰することにより、不正事犯を防止し、児童の保護を図っていると承知しております。  行政上、教育上の措置といたしましては、特に青少年を中心とした薬物乱用、再乱用防止及び予防、啓発のために、財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターの啓発用キャラバンカーが中学校、高等学校等に出向きましたり、警察薬物乱用防止広報車を活用した薬物乱用防止教室を開催するなど、学校等におきましても啓発活動及び薬物乱用防止教育の徹底を図っておられるものと承知いたしております。
  91. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今御説明いただいた点というのは、子どもの権利条約の、国連の調査に当たりましての政府の報告書というのがありますけれども、大体そこにも書かれているとおりかと思うんです。  きょうも議論が始まったように、いろいろなことがあるかと思うんですけれども、この権利条約に照らしてみますと、児童の権利に関する委員会での政府報告に対する審査ということになりますと、この薬物乱用の問題では措置が不十分だという勧告になっておりますね、これはCの二十六項目にあるんですけれども。私たちはだからこそ今審議をしているわけです。  政府認識として、今おっしゃっていただいたような措置というのがあるわけですけれども、何が不十分なのか、ではどうしたらいいのかというか、そこまでいかなくても、この措置ではなぜ不十分だという指摘を受けたのかということについてお答えいただきたいと思います。
  92. 赤坂清隆

    ○赤坂政府委員 ただいま御指摘のとおり、昨年行われました児童の権利委員会の審査及びその最終見解において、御指摘のような懸念が最終見解の中に含まれております。  児童の権利に関する委員会が出しましたこの最終見解に含まれる提案及び勧告につきましては、関係省庁において、それぞれの所管事項につき十分に検討の上、適切に対処していかれるものと外務省といたしましては理解しております。
  93. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、勧告全般について申し上げているのではなくて、当委員会でこの薬物問題で議論をしているわけですから、その項目に限っての質問をしたわけであります。  薬物乱用の問題では日本政府の措置は不十分だ、そういう指摘に対して、皆さん認識はどうなのか。だから、その点は外務省というよりもやはり関係省庁になるんでしょうか、どこになるのか私はちょっとあれですけれども、関係のところからお答えいただきたいと思います。
  94. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 我が国における覚せい剤を初めとする少年への薬物汚染が極めて深刻な状況にあるということ、また、少年薬物乱用した場合には、大人以上に依存状態に容易に移行しやすく、薬物による心身の影響が深刻な形であらわれやすい、そういう状況がございます。そういった観点から見まして、警察といたしましては、児童の権利に関する委員会最終意見書の勧告というものを重く受けとめているということでございます。  そういった認識のもとに、少年薬物乱用防止するため、供給遮断需要根絶の両面からさらに総合的な対策を進めていかなければならないと思っております。
  95. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私、念のためにちょっと読み上げたいと思うんですけれども、この勧告の二十六項目では、   委員会は、締約国において児童に対してますます影響を与えている薬物及びアルコールの濫用の問題に対処するためにとられている措置が不十分であることを懸念する。 というふうにあるわけですね。ですから、今お答えいただきましたように、もっともっといろいろな措置というか取り組みが求められているかなということだと思うのですね。  もう一点なんですけれども、この勧告の中には、四十七項目にはこういうこともございます。   委員会は、締約国が、児童の間における薬物濫用を防止し、これと闘うための努力を強化し、学校の内外における広報活動を含め全ての適切な措置をとるよう勧告する。委員会は、また、締約国に対し、薬物濫用の被害児のためのリハビリテーション・プログラムを支援することを勧奨する。 ということがございます。  それで、私は、特に、この被害児のためのリハビリテーションプログラムを支援しなさい、これをどのように理解していいのかという問題と、では、こういう取り組みというのはどうなっているのかという問題をお聞きしたいと思います。
  96. 今田寛睦

    ○今田説明員 薬物依存につきましては、当然、児童を含めまして、その社会復帰のために、相談でありますとかあるいはリハビリテーションの体制を充実すべきである、こういった意味で御指摘をいただいたものというふうに理解をいたしているわけであります。  現在、薬物依存者全体に対します取り組みといたしましては、一つは、保健所あるいは精神保健福祉センターにおきまして、医療機関等との連携を図りながら、本人あるいはその家族に対しての相談に応じているところであります。  さらに、依存者のリハビリテーションということから、回復者の支援活動を行っておる民間団体、先ほども出ましたダルクでございますが、これらにつきまして、グループホームでありますとかあるいは小規模作業所としてその要件を満たされている場合にありましては、その運営に要する費用について補助を行っているという状況であります。  また、児童相談所におきます相談支援でありますとか、あるいは児童自立支援施設、いわゆる教護院ですね、こういったところで、シンナーを含めて薬物乱用を繰り返す人たちに対しまして、その自立支援のための生活指導等を行っているというのが現状でございます。
  97. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私、次に、ちょっと角度を変えましてお尋ねしたいと思うのです。  子どもの権利条約を取り上げましたのは、今、日本子供たち非行だとかこういう薬物依存だとかさまざまな深刻な問題があるわけですけれども、この問題を考えるときに、今、日本子供たちは、いろいろ子供調査からも浮かび上がってきているのですけれども、自己肯定感が持てない。つまり、自分を好きになれないとよく言いますよね。あるいは自分を大事に思わない。自分を大事に思わない子供が、他者を尊敬するとかあるいは他者を大事にするということにはならないわけで、こういうところが今の子供たちをめぐる一つの大きな問題だろうというふうに思うのですね。それから、自己肯定感でいいますと、非行に走る子供というのは、中でも自己肯定感を持てない度合いが強いということも出ていますね。  私は、この薬物問題でも非行問題でも考えるときに、いろいろ密売をする、そして子供に売りつけるという大人社会のこの大きな大もとがあるわけで、そこはそことして見なきゃいけないのですけれども、何でそういうものに走っていくのかというか手を出すのかという、その子供の問題もあるわけですから、やはり子供たちをきちんと育てるという大きな取り組みも必要かなというふうに思うのですが、そういうときに、私は、子どもの権利条約というのは大変大きな役割、意味を持つと思っているのです。  つまり、子どもの権利条約というのは、子供というのは特別な保護及び援助についての権利を持っている、だから、あなたたちはそういう権利を持つ存在なんだということを子供自身が自覚をする、そういう問題なんですね。だから、この権利条約というのは子供自身が読まなきゃいけない。そして、自分についてのそういう権利を自覚する、それは、他者をも大事に思う、そういうことにもつながるわけですから。そういうふうに考えますと、とても大事だというふうに私はずっと思っているのです。  そこで、こういう権利条約の問題で、私は、きょうは総務長官もおいででいらっしゃいますのでぜひ伺いたいのですが、この子どもの権利条約は内容的には四十一条から成るわけです。この勧告も四十九項目にわたって勧告として出されているわけですけれども、日本政府子供の施策についての評価というのは、肯定的な部分というのは三項目しかなかったわけでしょう。だから四十六項目ですか、非常に問題だ、日本子供に対する施策は権利条約に照らして問題だという指摘がされているわけですよ。これは非常に重く受けとめなきゃいけない話なんですね。  ところが、これはいろいろ外務省が中心に取りまとめていらっしゃるわけですけれども、では、この権利条約の勧告だとかこういう措置だとか施策というのはどこが進めていくのかというのがどうもわからないのですね。  それで、総務庁に伺うのですが、総務庁は、いわば青少年対策本部をつくっていらっしゃる。そして青少年白書にも、青少年行政に関する基本的、総合的施策の樹立というふうにあるわけですね。各省庁のいわば取りまとめをするということになるわけです。  そうすると、こういう勧告を、全体を扱うところというのは総務庁しかないのかなというふうに思うのですが、どうも日本政府はそこをはっきりしないのですよ。内閣でやるんですか、総務庁でやるんですか、それとも各省庁で、それぞれ項目を振り分けて、この項目は厚生省だ、この項目は文部省だということでやるんですかということになるんですよね。  この権利条約のいわば推進というか、あるいは勧告を受けとめてその施策を進めるという点では、総務庁はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  98. 久山慎一

    ○久山説明員 お答え申し上げます。  児童の権利条約の最終見解につきましては、先ほどおっしゃいましたように、外務省が関係省庁の連絡会議も開催しながら、各省庁におきまして、それぞれの所管事項につきまして検討しているところでございます。  総務庁といたしましては、従来から、青少年健全育成あるいは非行防止等の観点から、児童を含む青少年に関する施策の総合的推進に努めてきておるところでございまして、今後とも、そのような立場から、関係省庁との緊密な連携を図りながら、条約の趣旨も踏まえた施策の総合的かつ効果的な推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  99. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 総務庁としても、もっとこの権利条約を国民の間に、あるいは子供たちにちゃんと読んでもらうという立場での取り組みというのはお考えになっていますか。これは私はぜひしていただきたいと思うわけですけれども、長官、いかがでしょうか。
  100. 太田誠一

    太田国務大臣 政府としての窓口を整えるべきではないかという、この件につきましては、三月にも参議院の総務委員会でお答えをいたしましたように、今後の課題として検討してまいりたいというふうに考えております。
  101. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、必ずしも総務庁が窓口になるべきだというふうに今言っていいかどうかという問題もあると思うのですね。  例えばこんなことも考えられるわけでして、男女共同参画室というのがありますよね。何かそういう形で、子供何とか室というのになるかどうか、やはり子供の問題というのは総合的なんだ、決して省庁を分割してやるような問題じゃないという点で考えますと、何かそういうものが要るんじゃないのかなというふうにも思うのですが、これは大変大きな問題になりますから、ぜひ政府としても真剣にその問題を検討してほしいという気持ちは持っているわけです。だって、国際条約として批准しているわけですから。  そして、政府の報告書というのは、第一回目は条約批准後二年目に出ましたけれども、五年に一度ずつ調査報告をしなきゃいけないのでしょう。報告書を国連に提出しなきゃいけないということになるんですよ。  今回、これだけの厳しい指摘を受けているわけですから、今後、次にはまたどういう報告書を出すのかということも差し迫ってくるわけですから、その窓口が、何か外務省が取りまとめて、こうやって、はい、レポートを提出しましたというのでは、やはり済まないのじゃないか。  子供の問題は、そういう意味ではどの省にも重なっているし、予算上でもそうですよね、どの予算上も各省庁にもまたがっているという点でいいますと、もっとそこをちゃんと総合的に考える、責任あるところが要るのではないかということでありまして、ぜひよろしく、総務庁からもそういう観点でぜひ問題を取り上げていただきたいということであります。  時間が参りまして、きょうは主にそういう点なんですが、最後に一点だけ。  私は、やはりこの薬物問題というのは、なるべく子供たちがそこに手を染めない、まずそういうところが大事だと思うのですが、しかし走ってしまった、その場合の依存というのは、本当にそれから抜け出すのに時間がかかるということをきのう私も伺いました。どうも再乱用防止というのは大変な仕事だということがありますし、抜け出すには十年から二十年かかるというのですね。だから、薬物乱用とか常用しないという、そこの入り口はやはり本当に大事だと思うのです。  しかし、もう既に相当な子供たちがやはり汚染されているという実態もあるわけで、そういう点では、さまざまな民間の取り組みがあるかと思うのですが、その民間の支援団体をどう認識していらっしゃるか、今どういう支援団体がいろいろあるのか、把握していらっしゃったらお聞かせいただきたいと思います。
  102. 今田寛睦

    ○今田説明員 薬物依存から脱却するということは、まさに依存という性格からいたしましても、みずからの意思ということをどう支え続けるかということに尽きるかと思います。そういった意味では、民間の方々が力を合わせて、自分たちがそういった薬物の使用に再び手を出すことがないようにということで、支え合う団体といたしましてダルクという団体がございます。これは全国に十数カ所あるということでございますが、こういった方々の力をかりながら、幅広くこの依存者の皆さん方のリハビリテーションに、お力をかりつつ私どももこういった取り組みの強化を図っていきたいと思っております。
  103. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。  文部省にも何かお尋ねしなきゃいけなかったと思うのですが、ちょっと時間がなくて申しわけありませんでした。  以上で質問を終わります。
  104. 石田勝之

  105. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  先ほどまでの質疑で、田中委員、そして今の石井委員からもお話が出たダルクという民間の自助組織について、きょうは時間も少ないのでなるべく簡潔にお答えいただきながら、質問をしたいと思います。  まず厚生省に伺いますが、ちょうど二年前の三月四日に、時の小泉厚生大臣に対して——私自身がこのダルクというところにたまたま知人がおりまして、支援をしたいというので、一回見に来てくれということで行きましたところ、大変感銘を受けた。要するに、覚せい剤ほか薬物常習で非常にえらい目に遭ってきた、自分はもう抜け出せないかと思って来たという人たちが、合宿しながら、一日に何回もミーティングしながらそこを抜け出すという施設なんですね。太田長官にもぜひ後ほど答弁いただきたいのです。  それで、例えば東京に限っても、今まで千二百人ぐらいの方がそこに入られて、まあ何とか抜け出したという方が三、四百人ということですね。三割五分ぐらいだそうです。あとの方はいなくなっちゃったりとか……。これはかなり高い確率だというふうに言われております。  実は総務庁が勧告を出されておりまして、いろいろ総合的に見てみると、こういった民間施設に対してどうもサポート、援助がうまくいっていないということを、総務庁もこれは非常に的確な指摘をしております。  そういうこともありますので、まず厚生省に聞きたいのですが、例えばこの二年間、小泉大臣はぜひ私も訪れてみたい、行ってみたいというふうに答弁されていますが、行くのはなかなか難しかったものですから、私、ダルクの方たちを連れてその当時の大臣に会わせたのです。いわゆる厚生省の努力として、このダルクなどに具体的に幾ら、どんな形で助成ができたのか、応援ができたのか。この二年間、進んだことがあったらお答えいただきたいと思います。
  106. 今田寛睦

    ○今田説明員 御指摘のダルクに対しましては、施設要件がございまして、精神保健福祉法に基づきますグループホームという要件に該当する場合には、この運営費につきまして補助をするという仕組みがございます。それから、必ずしもそういう大きな施設ではないけれども、例えば五人以上の利用者で原則として週四日以上指導、訓練等の活動が実施されているような場合には、一カ所当たり百十万円の運営費を助成するという構造になっております。  これらの施設につきましては、これまでも、必ずしも十分に施設がふえていない、進んでいないという御指摘がございました。それで、平成十年に厚生科学研究でダルクの施設調査研究を行いましたけれども、そこで、施設を運営する上での困難なものは何かということで、一つには地域住民の理解が得にくい、それから自己資金を集めるのが難しい、それから一定の施設の利用者の数が確保できない、このようなことから安定した運営が困難である、こういうふうな御指摘をいただいております。  そのほかにも、ダルクの活動の支援につきましては、リハビリテーションでありますとかあるいはデイケア、こういったアフターケアのためのプログラムが考えられておりますけれども、今後、これらの活動実態のあり方について、この厚生科学研究を引き続き進めながらその調査研究について検討を行っていきたい、このように考えております。
  107. 保坂展人

    保坂委員 このダルクは、全国十七カ所ですか、日本にこれしかないわけですね、薬物依存者の更生施設というのは。厚生省は、薬物依存者の研究をするためのチーム、班ですか、これをつくられて事に当たっているということなんですが、悲痛なんですね、彼らの声、叫びは。要するに、三千万ぐらいかかるというのですよ、東京ダルクという一カ所だけで。それを具体的にどうしているのですかというと、大体一千万が東京都福祉財団から出ているのだと。東京都にもう少しお願いしたいということで毎回出しているらしいのですが、御存じの財政難で、これは絶対だめと。国からはというと、余り人も来ないみたいですね、具体的にどうなっているのかという。  それで、実は、太田長官にちょっとここで伺いますが、総務庁が出したこの勧告の中で、極めて的確だと思うのですけれども、これは整備されていないと、厚生省に勧告をしているわけです。そして、薬物依存・中毒者を対象とした民間リハビリ施設への助成、公的リハビリテーション施設の整備、アフターケア対策などに対してやはり早急な整備が必要だということを、きちっと調べて、大変よくこれは調べていると思いますけれども。  太田長官、簡単な話を言います。今厚生省が答弁されたのは、グループホーム、小規模作業所というのがありますよと。しかし、それはなかなか当てはまりにくいのですよ。要するに、げたを足に合わせるのか。げたに自分の足を合わせることはできないのです。足に合ったげたをやはり履かせる以外にないわけですね。  そういう意味では、必ずしも精神障害者じゃないわけですよ。その依存症状が終われば社会復帰できるわけです。新しいそういう枠をつくるべきなんですね。そういうことをやはり勧告もされているので、ここの問題、全然進まないままに来ていますので、やはりちょっと長官の率直な感想をいただきたいと思います。
  108. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  今、一般論としてしかお答えできないわけでございますが、問題を解決するについて、その当事者であった人、あるいは当事者が身近にいる方々が知っておることあるいはできることと、当事者でない政府の機関がやる場合と、その持っておりますノウハウというものは恐らく大分違うんだろうと思います。そういうノウハウを持っておられる方々に使いやすいような形のサポートができることが望ましいというのは、おっしゃるとおりでございます。我々は、ともかく政府の機関として謙虚に、いろいろなNGOの持っておりますノウハウから学ばなくちゃいけないという心構えで臨むべきだと考えております。
  109. 保坂展人

    保坂委員 では、ぜひ太田長官、そしてできたら宮下厚生大臣も御同行していただきたい、いろいろな政治テーマで意見の違いはありますけれども。  さらに伺いますが、これは、予防そして摘発ということももちろん大事で、この議論、ずっとありますけれども、一回二回依存になりかけた、あるいはなってしまって入院したという、青少年も含めた、そういう依存者たちがずっと、あなた、人間やめますかというコピーがありましたけれども、人間やめながら生きるわけにいかないわけですよ。その道に間違って入ってしまったけれども引き返す、そこをやっていかなければ、もうそのうち刑務所は満杯になっちゃいますよ。そういう意味では大変大事な取り組みですよね。  欧米の各国、フランスとかアメリカなどでも、こういうのは本当に公的にやっているというのがむしろ筋。あるいは民間のさまざまな取り組みを柔軟に行政が後押しをするということが大事なので、ぜひ太田長官、こういう人たちと会ってみていただきたい、ぜひ。ミーティングの様子を、彼らの許可が得られれば聞いていただきたいんですね。  本当に、一時間聞いているだけで涙が出ましたよ。要するに、毎日自分の弱さをさらけ出すんですね。自分はどうして、エリートサラリーマンだった人もいますよ。あるいは医者の卵だった人もいます。あるいは暴走族だった若者もいる。いろいろな立場を違えたそういう人たちが全部、要するに自分の告白をするんですね。それを一日何回もやって、薬に走らない、そういう活動をしているんですね。  しかし、こういう場所は、周辺住民の理解をなかなか得られないですよね。薬物依存者の施設ができるぞといったら、やはりなかなかこれは不安でしょう。そういう意味ではなかなか移れないわけです。じゃ公的支援を入れようと思っても、そこの東京ダルクというところは消防法違反なんですね、あれは。倉庫を改造してやっているわけです。だから、そういう意味では公的な金はなかなか難しいんですね。  しかし、そういうような実情があるので、そこでやはり必死に取り組んでいるということをきちっと、足を運んで見ていただけないかと思いますが、いかがでしょう。
  110. 太田誠一

    太田国務大臣 機会があればぜひお連れいただきたいと思います。また、それは、特にこの問題でいえば厚生大臣にもぜひそういうことをお勧めいただきたいと思います。
  111. 保坂展人

    保坂委員 特に総務庁長官の役割は大事で、これは、厚生省は大変ですよ、実際そういうものを細かく後押ししろといっても。人員だって限られていますし、そういう意味では政府一体となって、もちろん防止や摘発や外国からのものにきちっとガードを張ることも大事ですけれども、しかし、一度や二度そういう道に入ってしまった人たちが今、もうやめたいからわざわざ薬持って捕まりに行くという人もいるんですよ。それで捕まるわけですね。そうすると、刑務所に入っている間はやめられる。出ました、なかなか社会的には目は冷えていますよね。じゃ、病院に入れてくださいと言っても、なかなかそれだけでは入れてくれないんですね。どこへ行けばいいのかといったら、そういう民間施設しかない。  先ほどの会計内容をいうと、三千万円のうち一千万円が東京都、あと一千万円は義援金というか寄附金ですね、これは非常に苦しくなっている。あと一千万円は自己負担です。要するに寮費みたいな形で入る人が払っている。つぶれそうだという話もあるんですね。  そういう意味では、今こういう民間の努力の中でいろいろ欠けている点もあるかと思います。行政から見れば、こういうものは怖くて、後押しを下手にすると責任を問われるんじゃないかという防御姿勢もあるかもしれませんが、しかし、総務庁はここまでこの事態を調べて、そしてこの行政の空白を埋めていこうということをきちっと指摘しているわけですから、ぜひそこは、特に縦割り行政で遠慮なさらずに、できれば宮下大臣とともに、本当に生の声、どうして彼らがこういう手法で絶っていけるのか、薬をやめることができるのかということをぜひ見ていただきたい、重ねて。それから財政の実情なども、もっと厚生省と連絡をとって調査していただきたいと思いますが、いかがですか。
  112. 太田誠一

    太田国務大臣 ぜひまた個別にも御指導いただきたいと思います。
  113. 保坂展人

    保坂委員 いつも太田長官よくしゃべられるのですが、きょうは簡明な答弁なので……。  では、厚生省に最後に少し伺いますけれども、いろいろ努力はされているんだと思うんですね、小規模作業所やグループホーム。それは、私が指摘したとおり、例えば東京ダルクの場合、グループホームを当てはめようにも、これは倉庫ということじゃ無理なんですよね。じゃ、どこかに移ればいいかというと、今言ったような、近隣の住民の理解とか、もう十五年ずっとそこにあっても、周りの人が理解しているというところ、環境が大事ですよね。  そういう意味で、要するに類型として、グループホーム、小規模作業所ではなくて、精神障害の方とちょっと違うわけですから、やはり薬物依存者更生施設という類型をつくって支援体制を組むべきじゃないかと思うんですが、その検討は始められているでしょうか。
  114. 今田寛睦

    ○今田説明員 私ども、依存症という概念そのものが、広い意味の精神疾患ということで精神保健福祉法の中で対応しているわけでありますが、今御指摘のように、今の私どもがつくっている施設基準に必ずしも当てはまらないケースが多々あるという御指摘でありますが、補助をするということは、それが社会福祉事業であって、なおかつその社会福祉事業を提供するべくつくり上げられた社会福祉法人であるという一つの枠を持っているという実態がございます。  ただ、問題は、この社会福祉法人になるための要件が、資本金が何億なくちゃならないとかあるいは何人以上が利用していなきゃならないとか、ある意味ではかなりハードルを幾つか持っている。そのためにそういう補助を受けられる対象として位置づけられないという御指摘も従来ございました。  現在、社会福祉事業法を改正をいたしまして、できればそういう非常に少ない人数でも、あるいは必ずしも多額の資本金を持っていなくてもそういう社会福祉事業として大いに活用できるような道をつくるために、そのハードルを低くするべきじゃないかということで、社会福祉基礎構造改革の中で検討をしております。それにつきましてはできるだけ早い時期に国会にお願いをするということで準備をいたしております。
  115. 保坂展人

    保坂委員 大事なことを一点だけ厚生省に伺いますが、今太田長官に、そして宮下厚生大臣にもお声かけいただいて、ぜひそういう真剣な取り組みを見ていただきたいという要請をしたのですが、その前にやはり厚生省が、これはいろいろな調査とか研究なんかしている間につぶれちゃうかもしれないですから、どんなところで会計的に苦しいのか、どんな運営で困難なのか、どうかということをすぐ見に行ってください、そして実情把握してください。これ、お願いしますが、ちょっと一言お願いします。
  116. 今田寛睦

    ○今田説明員 御指摘を十分に踏まえて対処したいと思います。
  117. 保坂展人

    保坂委員 それでは、ぜひ、日程をいただければ私が案内をいたしますので、よろしくお願いします。
  118. 石田勝之

    石田委員長 以上をもちまして質疑は終了いたしました。     —————————————
  119. 石田勝之

    石田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  青少年問題に関する件の調査に関し、児童虐待問題等について、来る二十二日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 石田勝之

    石田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十二日木曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時一分散会