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1999-03-04 第145回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月四日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 河上 覃雄君    理事 栗原 裕康君 理事 桜田 義孝君    理事 下村 博文君 理事 渡辺 具能君    理事 石毛えい子君 理事 樽床 伸二君    理事 青山 二三君 理事 松浪健四郎君       岩永 峯一君    小此木八郎君       小野 晋也君    大村 秀章君       河野 太郎君    河本 三郎君       鈴木 恒夫君    田中 和徳君       能勢 和子君    城島 正光君       肥田美代子君    丸谷 佳織君       藤田 スミ君    中川 智子君  出席国務大臣         国務大臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     山田 昭雄君         経済企画政務次         官       今井  宏君         経済企画庁長官         官房長     林  正和君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         経済企画庁国民         生活局長    金子 孝文君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         国税庁課税部長 森田 好則君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君  委員外出席者         農林水産省食品         流通局品質課長 吉村  馨君         労働省職業安定         局雇用保険課長 稲田  敏君         衆議院調査局第         二特別調査室長 牧之内隆久委員の異動 三月四日               辞任         補欠選任   小林 多門君     岩永 峯一君 同日                 辞任         補欠選任   岩永 峯一君     小林 多門君 二月八日  遺伝子組換え食品表示に関する請願(伊藤茂紹介)(第四八二号)  同(伊藤茂紹介)(第五三七号)  同(伊藤茂紹介)(第五七八号) は本委員会に付託された。 二月十六日  遺伝子組換え食品表示に関する陳情書外二件(第八九号)  実効性ある消費者契約法早期制定に関する陳情書外一件(第九〇号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  物価問題等国民消費生活に関する件     午前九時開議      ――――◇―――――
  2. 河上覃雄

    河上委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  この際、堺屋経済企画庁長官から所信を聴取いたします。経済企画庁長官堺屋太一君。
  3. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 我が国経済の当面する課題経済運営の基本的な考え方につきましては、去る一月十九日、本会議場における経済演説において明らかにしたところであります。本日、消費者問題等に関する特別委員会が開催されるに当たり、重ねて所信の一端を申し上げさせていただきます。  我が国経済は、二年連続のマイナス成長という経済国難ともいうべき状況にあり、この不況を克服して我が国経済再生することが当面の最重要課題であります。  今日の深刻な経済状況には、短期循環長期波動歴史的発展段階転換という三重の波が重なっています。まず、短期循環では、九七年初頭を頂点として、景気下降局面に入っています。長期波動においては、戦後一貫して成長拡大してきた我が国経済が、八〇年代末のバブル景気を境として安定成熟局面に入っています。もう一つは、規格大量生産型の近代工業社会から多様な知恵の時代という、より大きな歴史的発展段階転換です。  これらの三重の波は相互に絡み合っており、現下経済国難から脱出するには、これら三重の波を同時に解消していかなければなりません。  このような認識に立って、政府は、平成十一年度の経済をはっきりプラス成長にすること、失業をふやさないこと、そして、経済における国際協調を進めることという三つの目標を立て、これを達成するため、不況の環を断ち切るべく全力を挙げてまいりました。  第一は、金融システム再生であります。  小渕内閣は、昨年来、金融システム再生のための法的整備予算措置等を行ってきました。今後は、用意された法的、財政的枠組みを的確かつ厳格に運用し、我が国金融システム早期健全化に努める一方、金融機関に対しては厳しく効率化情報公開を求める方針です。  第二は、需要の喚起であります。  昨年十一月の緊急経済対策において、政府は総事業規模十七兆円超の事業を実施することとし、平成十一年度予算においては、公共事業について、公共事業等予備費を含め、前年度に比べて一〇%を上回る伸びを確保しました。また、税制面では、六兆円を超える個人所得課税法人課税の恒久的な減税に加えて、個人住宅取得等に対する特別措置を初めとする政策減税を含め、国、地方を合わせて平年度九兆円を超える減税を実施することといたしました。  第三は、雇用及び起業の拡大であります。  これからの日本経済では、企業別産業別の盛衰には大きな格差が生じると見られ、より柔軟で適切な労働力の再配置が必要になります。新しい産業構造就業形態に即した雇用開発と創造に力を注ぐべく、勤労者能力開発を強化し、新規雇用創出に対して新たな助成制度を設けるほか、新たに事業を起こそうとする者の資金調達を支援する措置を講ずることとしております。  以上のように、金融需要雇用の三点で不況の環を断ち切ることによって、来る平成十一年度には〇・五%程度プラス成長を見込むことができます。  重要なのは、これを平成十二年度までに本格的な経済再生につなげ、二十一世紀においても我が国世界の先端を行く国であり続けるように、経済社会構造国民の心理を未来志向型に改革することであります。  そのために、緊急経済対策においては、生活空間倍増プラン及び産業再生計画の策定を打ち出すとともに、二十一世紀先導プロジェクトを盛り込みました。また、民間資金やノウハウを活用して公共施設サービス充実促進する手法、いわゆるPFIを推進するためにも、民間資金等の活用による公共施設等整備等促進に関する法律案早期成立を期待するものであります。  小渕内閣が進めるもう一つ重要経済政策は、国際経済への貢献です。世界経済、中でも我が国とかかわりの深いアジア経済の安定には、我が国経済が果たす役割が極めて重要です。  こうした認識に立って、緊急経済対策には、事業規模一兆円程度アジア支援策等を盛り込みました。また、市場開放苦情処理体制を活用しながら諸外国の要望にこたえていくなど、輸入や対日投資促進に取り組んでまいります。  以上のような積極的な諸施策と大規模減税の結果、平成十一年度予算では三十一兆五百億円の公債を発行することとなりました。財政健全化はもとより重要でありますが、現下経済状況においては、何よりも急ぐべきは不況からの脱出であり、その成果として生じる多様な選択肢の中で考えていくべきであります。  官僚主導からの決別を知らしめたことは、小渕内閣の重要な業績の一つであります。特に、金融分野において、透明かつ公正な金融行政への転換推進等が、政府が、言葉だけではなく、実際の政治行政においても厳格な自由経済を志向していることを知らしめる重要なメッセージとなっています。  先般、小渕総理大臣より、経済審議会に対して、この歴史的な転換期に当たって、我が国経済社会のあるべき姿とその実現に向けての経済新生政策方針を策定いただくよう諮問がありました。経済審議会では、経済戦略会議の提言をも踏まえて、今後十年程度の間に達成すべき我が国経済のあるべき姿とそれに至る道程を指し示していただけるものと期待しています。  また、選択の自由が広い市場経済では、公正な競争事業者情報公開が欠かせぬ一方、選ぶ者の自己責任も重くなります。これに対応して、消費者事業者との間の契約に広く適用される民事ルール、いわゆる消費者契約法制定も積極的に検討いたします。また、人々の善意による活動重要性も増すことでしょう。政府は、民間の非営利団体、いわゆるNPOの活動促進するための条件整備を今後とも続けてまいります。  我が国は、今、深い不況のやみに閉ざされています。しかし、我々の立つ基盤は揺るぎないものであります。  これからの日本が目指すのは、夢と安心がともにある世の中です。若者が夢膨らませる可能性があると同時に、高齢者失敗者にも新たな挑戦の機会のあることが重要です。消費だけではなく、教育や住居や職業でも選択の幅を広げることが大切です。拡大する高齢者市場、歩いて暮らせる町づくり、育児や家事のアウトソーシングなど、これから広がると見られる分野は限りなくあります。  世界に先駆けて高齢社会現実となる日本は、その豊かさとすぐれた慣習を生かして、これからの人類文化に積極的な貢献ができることでしょう。  今、この国に必要なのは、みずからに対する自信と未来への夢、そして改革を実現する勇気ある実行です。  本委員会皆様方の御理解と御協力を切にお願いいたします。(拍手)
  4. 河上覃雄

    河上委員長 次に、消費者行政及び物価対策関係経費概要につきまして、政府から説明を聴取いたします。経済企画政務次官今井宏君。
  5. 今井宏

    今井(宏)政府委員 おはようございます。  平成十一年度の消費者行政及び物価対策関係経費概要について御説明を申し上げます。  政府は、現在、市場メカニズムを重視した活力ある経済社会を構築するため、規制緩和等経済構造改革を積極的に推進しているところでございます。  こうした中、消費者政策におきましては、消費者安全の徹底、消費者取引適正化等、各般の分野における消費者保護のための各種施策とともに、近年は、消費者事業者自己責任に基づいて行動できるような、公正で明確な市場ルールを整備することがとりわけ重要になってきております。  また、現在、物価は極めて安定しておりますが、引き続き国民生活安定の基礎である物価安定の維持に努めるとともに、我が国経済の高コスト構造の是正を一層進めていくことが重要であります。  政府といたしましては、こうした認識に基づき、消費者行政及び物価対策を展開することといたします。  まず、平成十一年度の消費者行政関係経費でございますが、お手元に配付されております資料に、各省庁消費者行政に係る経費を整理してお示ししております。  一枚目、二枚目は、消費者行政関係経費消費者保護基本法の体系に沿って十二の項目に分類しており、「危害の防止」から「契約適正化」までの最初の六項目は、主として事業者活動適正化内容とする事項であります。項目七の「消費者啓発」以下の諸項目は、主として消費者が自主的、合理的な消費生活を営むことを支援する内容のものであります。  消費者行政関係経費を合計いたしますと、二枚目の表の一番下の欄にありますように、二百三十億円となっております。前年度に比べますと五・四%の減となりますが、これは、各種検査機器が前年度までにかなり程度整備されたこと等の事情によるものでございます。  次に、平成十一年度の物価対策関係経費でございますが、お手元に配付されております資料の三枚目、四枚目に、「低生産性部門生産性向上」、「生活必需物資等安定的供給」等、物価の安定に資することとなる各省庁経費を七項目に分類整理してお示ししております。  物価対策関係経費を合計いたしますと、四枚目の表の一番下の欄にありますように、四兆九千五百八十七億円と、前年度予算に比べ二・八%の増となっております。主要経費項目別に見ますと、雇用対策充実による労働力流動化促進のための経費が大幅に増加しているほか、公共事業の積極的な推進により、同関連経費が増加しております。  最後に、五枚目は、外来薬剤費の一部負担に係る臨時特例措置等平成十一年度予算に関連する主要な公共料金の改定をまとめたものでございます。  以上、平成十一年度の消費者行政及び物価対策関係経費概要を御説明申し上げました。  何とぞよろしくお願いを申し上げます。
  6. 河上覃雄

    河上委員長 次に、平成十年における公正取引委員会業務概略につきまして、公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。公正取引委員会委員長根來泰周君。
  7. 根來泰周

    根來政府委員 平成十年における公正取引委員会業務について、その概略を御説明申し上げます。  私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独占禁止法違反行為については、内外の事業者の公正かつ自由な競争促進し、消費者の利益を確保するとの観点から厳正に対処し、価格カルテル入札談合等二十七件について勧告等法的措置をとったほか、二十二件の警告を行いました。また、十九件の価格カルテル入札談合事件について、総額八十二億八千四十六万円の課徴金納付を命じました。なお、このうち、審判開始請求があった合計五十四億五千三百三十二万円については、課徴金納付命令は失効し、いずれも審判を行っています。  独占禁止法における株式保有合併等に関する企業結合規制については、制度の趣旨、目的に照らしたより効率的かつ機動的な運用等観点から、届け出・報告対象範囲の縮減、審査手続整備等が行われましたところ、これとあわせて、法運用透明性を高めるため、「株式保有合併等に係る「一定取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」の考え方」を公表しております。  独占禁止法適用除外制度見直しについては、独占禁止法適用除外法及び個別法に基づく適用除外カルテル等制度について見直しを行った結果、平成十年三月の閣議決定において、独占禁止法に基づく不況カルテル制度等廃止適用除外法廃止等措置を講ずることとされました。  また、著作物再販適用除外制度見直しについては、公正取引委員会における検討の結果、競争政策観点からは廃止の方向で検討されるべきものであるが、文化振興、普及と関係する面もあるとの指摘もあることから、これを廃止した場合の影響について配慮しつつ引き続き検討すること等の結論を得ております。  事業活動及び経済実態調査については、競争政策観点から、薬局・薬店に対する広告規制出店規制等に関する実態調査公益法人等自主基準・認証に関する実態調査司法書士行政書士広告規制等に関する実態調査保険業に関する実態調査等を行い、それぞれ結果を公表しました。  不当景品類及び不当表示防止法に関する業務については、消費者の適正な商品選択が妨げられることのないよう、過大な景品類提供及び不当表示排除に努め、十二件の排除命令を行ったほか、四百八十五件の警告を行いました。また、消費者に対する適切な情報提供等観点から、英会話教室における消費者取引実態について調査を行い、その結果を公表しております。さらに、景品規制見直しを進め、景品類提供の制限に関する二十九の業種別告示すべてについて見直しを完了しております。  以上、簡単でございますが、業務概要について御説明申し上げました。  今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
  8. 河上覃雄

    河上委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 河上覃雄

    河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。
  10. 下村博文

    下村委員 おはようございます。自由民主党の下村博文でございます。  今、国民の中で大変な不況感というのが蔓延しておりまして、非常に財布のひもがかたくなっている。消費行動転換をしていくような、そういう施策が今問われていると思いますが、そういう意味では、今度、地域振興券が施行されることになりましたが、特に商店街等では、これに対して大変期待感がございます。  きょうは、特に、規制緩和という中で、商店街等のそれぞれの、個々小売店問題等中心として、これが結果的に消費者に大きく影響してくることがございますので、このことを中心として質問をさせていただきたいと思っております。  規制緩和というのは、先ほど堺屋長官からもお話ございましたように、消費者にとっては、選択の幅を広げることにより、より適切な商品を購入することができるというプラス面があると思いますし、また、そういう流れの中に既に我が国が入っているということであります。  ただ、その中で、特に小売関係におきますと、今商店街の中で、そのような閉塞感不況感ということと同時に、規制緩和における今後のそれぞれの個店について大変な危機感を持っているということがございます。  それは、大店舗法問題等もございますが、それと同時に、規制緩和をすることによって、商店街を形成している個々のお店、魚屋さんであるとか八百屋さんであるとかというのと、以上に、今回規制緩和対象になっている、例えば酒屋さんとかあるいはお米屋さんとかガソリンスタンドとか、こういうそれぞれの業種にとっては大変切実な問題でございます。  この方々というのは、同時に、地域の中のコミュニティーの核になっている。商店街方々地域コミュニティーの核になっている、あるいは町会組織の核になっている。いろいろなイベントやお祭り等、そういう方々が支えていただくことによって、青少年の健全育成等もそうですが、地域文化とかあるいは秩序とかが成り立っている部分がございます。  ですから、できるだけ商店街が持続をし、また発展をしていくような施策も同時にとっていかなければならないということが今後大きな課題になってくるかと思いますが、その中で、きょうは、規制緩和の中で今後あり方として一番問われてくる、特に公正取引委員会に対して、不当廉売等業種的に一番問題になっております酒屋さん、酒類、それからガソリンスタンド、この辺の問題を質問させていただきたいと思っております。  まず、その前に、我が国において、規制緩和をすることによって構造改革をしていこうということでありますけれども、消費小売、この関連分野経済効果が見込めるということが具体的に言えるのか。また、どの分野でそれが言えるのか。また、規制緩和をすることによって、今のような消費小売分野ですけれども、社会的、経済的メリット、デメリットというのをどんなふうにお考えになっているのか、まず長官にお聞きしたいと思います。
  11. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 規制緩和というのは、結局、自由主義市場経済を目指すものでございます。  自由主義市場経済とは何物かと申しますと、これは、十八世紀産業革命が起こって、いろいろなやり方商品、技術、いろいろなものが生まれてきたとき、どれがいいものであるかわからない。何しろ、当時は、聖書の言葉さえ疑われた時代ですから、どれがいいものか、役人にも学者にも選ばせるわけにはいかない。  そういうときに、どうしたらいいか。イギリス人は、あらゆるものを市場で販売する権利を認める、いわゆる法の前の平等、こういう身分の人でなければこれはしちゃいけないとか、こういう権利を持っている人でなければそれをしちゃいけないとかということをなくして、自由に販売させる、いわゆる新規参入の自由ということを行いました。そして、どれがいいものかは、市場が、つまり買い手が選ぶんだ、消費者が選ぶんだという消費者主権を確立しようと。新規参入消費者主権セットになっているわけです。  そういたしますと、当然、供給者事業者の方は玄人でございまして、消費者の方は素人でございますから、玄人素人をだましちゃいけない。だますのは簡単だから、これは抑えなきゃいけないというので、供給者情報公開を義務づける一方、消費者には、消費の秘匿、何を消費したか、何を買ったかを隠す権利がある。こういう理念、概念を打ち立てた。これが自由経済の始まりであります。  したがって、これを政治に適用したのが民主主義でございまして、だれでも立候補できる、そして、政治消費者である投票をできるだけたくさん集めた者が当選し、それの多い政党が政権をとる。そして、立候補する人は供給者でございますから、必要な情報は公開しなきゃいけない、政治消費者はだれに投票したか秘匿する権利がある、こういう仕掛けになったわけです。  この例で考えていただきますとわかりますように、新規参入消費者主権情報公開が三点セットになっている。この制度の一番の利点は、まず第一に、競争によって、消費者が一番選べるものが残る、消費者好みのものが残る。これが安いものであるか高いものであるか、それはわかりません。だから、規制緩和によって保障されている最大のポイントは多様化消費者の好きなものが残るということでございます。消費者の選んだものが残るということが最大メリットです。  第二番目には、新規参入が認められておりますから、どんどん、新しいやり方創意工夫が生かされて、日進月歩、新しいものが生まれてくる。そして、それにまた消費者が支持をすれば、それが発展をする。そういう常に改善、改革が行われるというのが一番のメリットで、そういう仕組みをつくろうというのが、この規制緩和自由化の基本的な考え方でございます。  大規模小売店法にかかわりまして、累次規制緩和を行い、小売業かなり影響を与えておりますのも、大規模店でも小規模店でも、あるいは無店舗販売通信販売、最近では電子商販売等、あらゆる形を認めることによって、消費者選択を広げていこうということです。その結果、いわゆる神の見えざる手というのが存在してくる。これによって、生き残るものは生き残り、繁栄するものは繁栄する、そういう仕掛けになっております。  この神の見えざる手というのは、よく言えば神の見えざる手ですが、悪く言うとジャングルのおきてでございます。だから、ある段階である分野を見ますと、確かに弱肉強食が起こるのです。ところが、全体として見ると、ジャングルのおきてというのは、いわゆる極相、ある一定の形で、肉食獣がふえると草食獣が減って、肉食獣が飢え死にして、また草食獣がふえる。草食獣がふえると草が減って、それが減る。こういう神の見えざる手による自然調整が行われるものと期待しているわけです。  そういったことをつくっていこうというわけでありますが、一方、現実の問題として見ますと、その間に、大規模店が出たので従来の商店衰退をするという問題があります。しかも、この十年間の経験でいいますと、商店街衰退が徐々に起こるのではなくして、ある日突然起こる。特に、地域商店街、夕げを買いに奥様方が来られるような商店街でございますと、お魚屋さんとお肉屋さんと八百屋さんのどれか一種類がなくなるとがっくり減る、客足がとまるというようなこともございます。そういった構造的な問題が後継者難と絡んで非常に重要な問題になってまいってきております。  経済的、社会的には、長期的に見ると、先ほど申しました神の見えざる手による市場原理を貫徹することは大いなるプラスがあるわけでございますけれども、短期的にはあるいは部分的にはそういう弱肉強食というようなことも行われ、住みなれた土地を去らねばならない人も出てまいりますし、職業をかえなければならない人も出てくるという副作用もございます。また、一時的には、反社会的な商売が行われることもあります。新規参入を自由にいたしますれば、商売小売店にいたしましても、サービス業にいたしましても、言論活動にいたしましても、反社会的なものが出てくる可能性があります。  こういうものを官僚が取り締まるべきか、それとも、消費者選択によってそういうものは排除されるのだと考えるべきか。自由主義市場経済の世の中では、あくまでも大衆を信頼いたしまして、そういうものは大衆が市場メカニズム排除するのだと考えています。だから、できるだけ官僚はタッチしないで、一見反社会的なものができても、情報公開が確実であれば、必ず大衆が排除するはずである、市場競争排除するはずである、こう考えているのでありますが、現実には必ずしも時間的にそのようになるとは限りません。  そういう意味で、副作用をとめるために、多数の利益に対して少数の利益を守ろうということも必要になってまいります。市場原理を貫徹していく上で、この少数の利益、あるいはそれの間のタイミングのとり方等々の問題は、検討する必要のある課題だと思います。  現在、ガソリンスタンドや酒類販売店につきましてこういった問題が起こっておりまして、ガソリンスタンドなどは一時、大変たくさんできました。土地の値上がりを待つためにスタンドにするというようなことも含めて過剰になったことがございまして、それが今、大廉売になっております。ちょっと最近とまったようですが、ことしに入ってまた始まっている、一部にはあるようでございますが、そういった時間的猶予をどう考えるかというのは、一つの問題として存在すると思います。  今、この自由化の問題と規制緩和の問題と社会的な問題、このはざまが目立っている時代でございますけれども、長期的に見れば、私は、自由経済市場経済というのを推進することが日本にとって必要であり、有利であると考えております。
  12. 下村博文

    下村委員 その長期的、短期的という期間をどう見るかによって、消費者にとって、あるいはいろいろな既存の小売関係の仕事をしている方々にとって、どのような痛みを伴うのか伴わないのかということは当然違ってくると思うのですね。また経済的には、自由経済の中で、神の見えざる手という言い方をおっしゃいましたが、ジャングルのおきてですか、これは弱肉強食であるわけですね。  ただ、そういう経済状況と同時に、やはりそこに、官僚という言い方をおっしゃっていましたが、我々は、政治という立場から見れば、できるだけ、社会で、地域の中で生活している方々がそれぞれ幸せに生きる可能性を追求するのが政治ということでありますから、政治の中で全般的な幸福というのをどうバランスをとりながらつくるかということがある意味では我々の仕事であると思うのです。ですから、当然、少数の利益を守るために国民経済的に得られたはずの多数の利益を犠牲にするということはあってはならないわけであります。  ただ、実際に、今、長官からもお話がございました酒類に限定をして、これがこれから急激な緩和になりますから、この緩和とあわせてどんな問題が出てくるのか、それが消費者にとってどうプラス面があるのか、マイナス点があるのかということをちょっと具体的に御質問をさせていただきたいと思います。  それは、今までは、酒類の場合には免許制であったわけでありますが、これが今後、需給調整要件ということで、距離基準が来年、平成十二年の九月一日から廃止をされる。また、人口基準についても平成十五年の九月一日から廃止されるということで、既に昨年の九月から人口基準の段階的緩和をされることになってきているわけですから、今後、これが全廃になるわけですね。ですから、どこでも酒類小売業をしようと思えばできるという状況になってくるわけであります。  ただ、ほかの国等を見ますと、特にお酒というのは、アルコール中毒、依存症等、いろいろな社会的な、あるいは青少年の健全育成等からも問題がありますから、そうはいっても、どこの国でも、それぞれ、それなりの免許制度があったり、それなりの一定の規制等があったり、あるいは、国によっては一切販売しないというところもあるぐらいで、全く自由という国はないわけであります。  つまり、自由経済だからどこでもいいだろうというのは、原理原則としてはそうかもしれませんが、一方で、マイナスの部分を、どうそれを国民生活の中で行政側があるいは政治の方が配慮するかということは、大変に重要な問題であると思います。  このような中で、いわゆる経済的な規制については全面的な撤廃になるということはもう決まっているわけでありますが、これにかわって社会的規制ということを自主的に考えていかなければならないのではないか。  これは実は酒類だけでなく、我が国における、例えば表現の自由等、抵触するということをよく言われるわけですが、いろいろな週刊誌等のヘアヌードの問題とか、販売の場所の問題とか、あるいはマスコミ、特にテレビ等におけるセックス描写であるとか暴力描写であるとか、こういうことも含めて、我が国が戦後、ある意味では、ある部分から全く自由放任になってしまったことによって、まさに無秩序状態になっている部分があるのではないか。これについては、新たな社会的な規制をすることによって、よりよく健全な社会を構築していくためにつくりかえるということが問われているのではないかというふうに私は考えるわけであります。  その中で、酒類の経済的な規制については全面撤廃するということは、先ほどの経済的な原理原則からすればそのとおりのことになるとは思うのですが、それにかわって社会的な何らかの制約を考えていくことが必要ではないかと私は考えております。  その中で、実は、東京を中心として、そのような小売酒販の業界の方々、それから、子供たちを持っているPTAの方々等が中心となって、この酒類の経済的な全面撤廃に対応して、自分たちで社会的規制について議論していこうという中で、幾つか自主規制的な部分というのを考えております。  例えば、一つは、酒類の販売管理者の設置を義務づける。このことによって、子供を含めてむやみに売るようなことがないような、ちゃんとした管理者を置くとか、あるいは対面確認販売をする、これは未成年者等が対象になると思いますけれども。  また、自動販売機等も、置いておくということが、これはだれでも買えるということになってしまいますから、これを平成十二年の五月までに撤去して、改良型、IDカードを使用した自動販売機を置くとか、運転免許証利用型自動販売機等を置くことによって、きちっと未成年者が買えないようなことをすべきではないか。  それから、今は町の酒屋さん以外で、コンビニ等でお酒を売っているところが大分ふえておりますが、コンビニ等では、アルバイト、パート、若い学生を使っている場合が多いわけでありまして、特に深夜等ではそういう人が売っていることが多いというデータがありますので、このような未成年者のレジスター業務の従事については、未成年者飲酒防止の原則に関して、これを認めないというようなことをきちっと規制したらいいのではないかということ。  それから、既に自動販売機では行っているわけですが、自動販売機以外のコンビニ等では夜間でも酒類の販売を行っております。これを深夜の十一時から朝の五時までは売らないという、販売時間の自主規制を行う。  それから、販売場所については、病院とか学校とか青少年の施設等については、距離を新たに設けて、新規の酒類販売の設置については認めないようにしたらどうかとか、広告については、酒類のテレビCM等は全面禁止する。このことによって、過度の飲酒を誘引するものについては一切認めないということにした方がいいのではないか。  これは、そういう方々が自主的な中で、こういう社会的規制の提案をされてきているのです。これは、ただ自主規制のみでは不十分であるから、今後、条例化をそれぞれの都道府県に対して働きかけていこうという動きも出ておりますけれども、それだけではなく、国としてもこれに対して何らかの法制化を考える必要があるのではないかというふうに思いますし、また、それに対して有効性を担保するものとしては、罰則規定等を設けるということも今後、一方で必要になってきているのではないかというふうに考えておりますが、このことについてはどのような見解をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
  13. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 酒類の販売は長く制限されておりました。その理由は、酒類が大変税金が高いものですから、税収の確保ということが第一の条件であったと思いますが、今、これが大幅に自由化されて、コンビニでも売っているし、自動販売機でもビールが売られているというような状態になってまいりました。  このことがどの程度社会的影響を与えるか。この経済的規制と社会的規制の問題を考えるときに、しばしば、社会的規制という理由で経済的規制が行われ、そこに利権が発生するということが問題として存在いたします。諸外国の場合は、アラブ諸国の一部では酒類は厳禁、これは宗教的な理由でございますし、アメリカでも禁酒法が行われたこともございます。また、ヨーロッパの国々でも、酒類の販売について、免許制あるいは利権化しているところもたくさんございます。  もし社会的規制、特に委員御指摘のような青少年の教育問題ということに限定して考えますと、現在、青少年の行動範囲はかなり広がっておりまして、学校の前になかったら青少年が買わないかというと、そうもまいらぬ状態でございます。また、コマーシャル等につきましても、時間的に制限するとか内容を制限するというのは非常に困難でございますし、それから酒の濃度、あるいは酒類を販売することと飲食させることとの問題がございますが、そういった点から考えましても非常に難しい条件だろうと思います。  私の考えといたしましては、酒類の販売につきましては、社会がこれだけ情報化し、いろいろなことを知られるようになりました。幸いにして日本の場合は、青少年、特に未成年のアルコール中毒は極めてわずかでございまして、むしろ、シンナーとか別の悪害のあるものがございますけれども、酒類の影響は比較的少ないのではないかと考えております。  そういう意味でいいますと、これまで長く規制してまいりました事実がございますので、できるだけ多数の利益、つまり、便利で安価な販売競争が行われる方を重視すべきではないかというように考えております。制限をいたしますと、従来そうでございましたけれども、やはりお酒の値段が一定の価格で利権化するということもございますし、また、夕げの支度をするのに幾つもの店を回らなければならないというような不便もございますので、一般論として申しますと、これはできるだけ自由開放した方がいいのではないか、極めて特殊な場合を除いては自由に開放した方がいいのではないかと考えております。
  14. 下村博文

    下村委員 経済的な規制を撤廃することにより、消費者にとって本当に利便性が増すのか、つまり、安くなるということが本当に言えるのかどうか。  例えば、我が国より二十五倍広いアメリカにおいて、酒類の小売免許の数は六万カ所だそうでありますけれども、我が国は今十七万あるそうであります。昨年の九月からもう段階的な規制緩和をしておりますから、昨年だけで六千、新規にふえているんですね。そういう意味では、既にかなりの数がありますから、そういう、消費者にとってかなり限られた場所でしか買えないような状況なのかどうかということを考えますと、これはそうは言えないのではないか。  また、これが段階的に経済的な規制が突破されることによって、本当に消費者にとっての利便性、安くお酒が買えるということが言えるのかどうか。  それというのも、既にアルコール摂取量、これは今までの経緯から見ると、トータル的な摂取量というのは、我が国においてはもう減りつつあるんですね。ですから、これが、ふやすということが逆に、ふえればいいということでもない、また違う問題も出てきますし、また、ほかの国に比べて高校生のアルコール依存症は少ないのではないかというお話もありましたが、実際ある統計によりますと、我が国において確実に、高校生で少なくとも一%はアルコール依存症に既になっている、そういうデータもあるんですね。  ですから、そういう観点から見た場合、必ずしもそういう今の長官のようなお話にならないのではないかというように、今までの経緯から見ると私は考えるのですが、いかがでしょうか。
  15. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 詳細な数字につきましては、国税庁、事務当局から説明していただきたいと思いますけれども、アルコール依存症がふえているとか摂取量の問題とかいうのが現在の酒類販売店の自由化とどのような関係があるか、これは一概に関連性が言えない問題だと思います。  欧米の制度あるいは最近の酒類販売店の数、それに伴いまして酒類の販売がどうなっているか、その辺については、これは国税庁から詳しいデータをお願いします。
  16. 森田好則

    ○森田(好)政府委員 手元にその数字は持っておりませんけれども、確かにおっしゃるように、米国等におきましても、各州ごとに免許なりなんなりの規制を行っているところでありますし、もしお時間いただければ、国税庁としての酒類の社会的規制の取り組み状況だけを説明します。  では、もう簡潔にいたしますけれども、ごく最近におきましても、例えば、酒類業者等に対する現行の酒類自動販売機の撤廃の指導、あるいは酒類の容器に対する表示、未成年者の飲酒は法律で禁じられている、そういうふうな措置をとっておりますし、昨年四月には、特に酒類小売業者等に対しまして、酒類販売における未成年者飲酒防止のための取り組みとして、一つには年齢確認の徹底、それから販売責任者の設置などの具体的な取り組みを関係団体に要請いたしますとともに、国税庁長官通達を発遣して、これらの取り組みの実施について酒類小売業者等を適切に指導しているところであります。  当庁としましては、引き続き、未成年者飲酒問題に関する消費者等に対する啓発や年齢確認徹底等の事業者の取り組みを積極的に推進してまいりたいということであります。
  17. 下村博文

    下村委員 実は、この酒類というのが昨年大変に公取の不当廉売等でふえておりまして、不当廉売の中では酒類とか石油製品、家電製品が圧倒的な、業界で問題になっている分野として出てきているわけですね。これについては、今後きちっと国としては、見えざる手という中で放置をするということではなく、やはり積極的な関与をする必要があるのではないかというふうに私は思っております。  この中で、公正取引委員会が昨年の十月十六日付で、規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため、中小企業者等に不当な不利益を与えるなどの不公正な取引に対して厳正、迅速に対処する、こういうふうに発表しております。  規制緩和が行われる中で、やはり市場における公正、公平、透明性というのを明らかにするということが消費者にとって大変に重要なことでありますし、また、最初から市場経済の中で、そういう流れの中でしてこなかった分野については、途中から急にこのようなハンドルを変える中では、特にこれはある意味では弱肉強食なわけですが、中小零細企業に対する対応ということを、大が結果的にいろいろな不正を行いながら勝ってしまうということを認めるようなことがあってはならないというふうに思います。  これについては、今までに比べてなかなか公取が、先ほど申し上げましたような例えば不当廉売問題に対して取り組んでいても、注意を与えるだけでありましたから、実質的な成果、効果は非常に目に見えるほどではなかったのではないかというふうに私自身は感じざるを得ないわけでありますけれども、少なくとも、昨年、新たに、さらに中小企業に対して不当な不利益を与える不公平な取引に対して対応するということでありますから、従来に比べて具体的にどのような取り組みを今後行う予定があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  18. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま御質問のように、不当廉売ということは見過ごされぬ事柄でございますので、引き続き厳正にやっていきたい、こういうふうに思っております。  ただ、御理解をいただきたいのは、不当廉売という線引きが大変微妙でございますので、その線引きをどうするかという問題がございます。それともう一つは、審査というのは時間がかかる。時間がかかると、結局、注意しても何をしても余り効果がないという批判がございます。ですから、そういう時間のかかり過ぎる点をどういうふうにクリアしていくかというのは、私どもに課せられた問題だと思っております。  それから、中小企業者の保護ということでございますが、これは独占禁止法のみならず、いわゆる下請法という法律がございまして、中小企業者の保護の万全を期すべく、私どもも、そういう法律に準拠いたしまして努力しているところでございますが、これは国会からも御示唆がございましたように、実態がよくわからないという点がございます。  それで、要するに、日本商工会議所あるいは商工会とネットワークをつくりまして、中小企業者に対して独占禁止法の宣伝、広報をするということのみならず、中小企業者からいろいろの情報を私どもに提供していただいて、その情報を基本にしまして、中小企業者の保護といいますか、そういうことに万全を図りたいということを今軌道に乗せておりますので、今後ともひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  19. 下村博文

    下村委員 基本的に我が国自由経済ですから、そういう中での規制緩和ということは、これはそういう流れがあるのは当然のことであるというふうに私も考えますが、ただ、これだけ高度化、複雑化された社会の中で、一方でそれに対してなすがままになってしまったら、強者の論理だけで、どぎついところしか生き残らないということになりかねないと思うわけです。  そういう意味で、公正取引委員会の今後の規制緩和の中でのあり方というのは、逆に私は大変重要になってくるのではないかというふうに思っておりまして、現在、実数五百五十人だそうでありますが、行政改革というのが言われている中で、逆にこういうところこそ強化する必要があるのではないか、それがある意味では国民消費生活を守るために必要なのではないかというふうに思っております。  同じようなことで、アメリカにおいては、連邦法において司法省に一千八百人のスタッフがいる。その上、各州ごとにコスト割れ販売規制法が存在して、それぞれ百人から三百人のスタッフがいるということで、全部で約二万人近くが、必ずしも日本の公取委員会そのものと重なるというわけではありませんが、それだけのスタッフがいるということであります。  そういうことから考えても、さらに公正、公平、透明な市場を確保するということから考えると、今後公取を拡充させるということは、国民消費生活にとっては大変に重要なことではないかと思いますけれども、このような規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため、今後公取が抜本的な組織の見直しとか取り組みも考えてもいいし、また、そういう必要性があるのではないかというふうに思っておりますが、それについてはいかがでしょうか。
  20. 根來泰周

    根來政府委員 従来、国会、この委員会を初め、ただいままた非常に御理解をいただきまして、大変ありがとうございます。私どもも、今の陣容で満足しているわけではございませんが、この十年間で百人ぐらい増員されております。こういう規制緩和時代には事後チェックということが必要でございますので、やはりこれ以上の人員を増加したいと私どもも思っておりますし、また、組織の拡充あるいは職員一人一人の能力の向上ということを図っていく必要があると思いますので、これまで以上の御支援をお願いしたい、こういうふうに思っております。
  21. 下村博文

    下村委員 時間が参りましたので、これまでとさせていただきますが、特に今問題になるのは、公取の中でも取り上げられておりますけれども、そのような酒類販売やあるいはガソリンスタンド、家電等、規制緩和の中で、力のあるものがその力をさらに拡大をさせるために、非常に不公平な、あるいは不正の取引をすることによって小を淘汰させていくというような問題点が非常に出てきております。  それは、経済原則ということではなくて、やはり中小零細企業の立場というのを、少なくとも公正、公平、透明の中でどう存在させるかということがやはり必要なことだというふうに思いますから、ぜひそういう視点から、育成も図る、また、単なる競争原理の中で放置するということがないような施策を最後にお願いいたしまして、質問を終わります。
  22. 河上覃雄

  23. 松浪健四郎

    ○松浪委員 おはようございます。自由党の松浪健四郎でございます。  大臣の所信表明の演説をお聞きして、幾つかのことをお尋ねしたいと思います。  大臣におかれましては、連日委員会がございまして、国務に精励され、お疲れのことと思いますが、日ごろの行動、発言に対し、敬意を表させていただきたいと思います。  まず最初にお尋ねしたいのは、大臣の先ほどの所信表明演説の結びのところで、我々は自信を持たなければいけない、夢を持たなければいけない、前向きに未来を志向して生きていかなければならないというふうなお話がございました。それに関連するかどうかわかりませんけれども、一昨日の総理並びに官房長官の発言に、君が代と日の丸、これを法制化するというお話がございました。そして、既に政府はその動きに対応されているふうでございます。  私は、長い間、若いときにスポーツ選手をやっておりました。胸に日の丸をつけて、世界選手権を初め何回も海外遠征をした経験がございます。常に、自分は日本人である、日本国民であるという意識を持って外国で行動してまいりました。  昨今、君が代を聞くというのは、ほとんどがスポーツの場面だけであります。例えば、大相撲の千秋楽であるとか、プロ野球の観戦の際の試合の始まる前であるとか、あるいはオリンピックの表彰式であるというふうに、そういう場面でしか国歌と言われる君が代を聞くことはありませんでした。  過日、広島県の県立高校の校長先生が、国旗と君が代をめぐって教員の皆さんといろいろな議論をされた末に自殺をされるという悲劇を生んだわけでありますけれども、これが発端となって君が代と日の丸を法制化しようという動きでございますけれども、堺屋長官に、国務大臣として、これらのことについての御所見をまず伺わせていただきたいと思います。
  24. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 お尋ねの日の丸・君が代の問題は、経済企画庁の所管ではございませんし、当委員会の所管でもないとは思いますが、大変一般的な問題なのでお答えさせていただきます。  既に戦後だけでも五十年余、日の丸が日本の国章として、国旗として外交的には通用しております。各国の国旗、国章に対する尊厳というのがございまして、それは日本の場合、日の丸と決まっております。  また、君が代の演奏も、委員御指摘のように、スポーツの場面、あるいは国賓をお迎えするような儀式の場面ではずっと行われておりまして、現在までのところ、これについて外国から苦情が出たことは一度もございません。せんだっても、江沢民中国主席あるいは金大中韓国大統領等がお見えになりましたときにもその演奏がございましたし、これについて苦情が出たことはございません。  そういう意味では、国際的には明らかにこれが国旗・国歌として容認されているといいますか、常識化していることは間違いない事実だと思います。そういう事実を日本法律で認定していくのは一つの方法ではないか、非常に許容しやすい分野ではないかと思います。今さら法律で定めなくても、もう通っているじゃないかという議論もあるかと思います。  また、国旗・国歌を定めることは国際的通念となっておりますが、では、これから日の丸・君が代にかわる国旗・国歌を国民投票をしてといいましても、それにかわる案があるかどうか、これも甚だ疑問だと思います。  そういう意味でいえば、これを法制化する必要が今さらあるかどうかという議論は残るといたしましても、事実上これが国旗・国歌であるということは間違いない事実だと私は思っております。
  25. 松浪健四郎

    ○松浪委員 けさ、グルジアの大統領が我が国にお見えになっているというあかしに、国会周辺ではグルジア国旗と日の丸がかかっておりました。何となくすがすがしい思いをしたわけであります。  そこで、大臣にお尋ねしますが、大臣は日の丸を自分の家でお持ちですか。
  26. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 二枚持っておりまして、最近立てたことはめったにございませんが、この間、去年の春分の日でございますが、愛犬が死にましたので、一度立てたことがあります。
  27. 松浪健四郎

    ○松浪委員 その日の丸、国旗をどこで買われましたか。
  28. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私が買いましたのは、記章やカップなどを売っている店なんです。日の丸どこで売っていますかというのを百貨店で聞きましたら、各百貨店全部違うんですね。文房具で売っているところもあればふろしきで売っているところもあるんですけれども、私が買いましたのは、台東区の方の、優勝カップなどを売っているお店でございました。
  29. 松浪健四郎

    ○松浪委員 大臣は、この日の丸の問題は当委員会とは関係がないとおっしゃられましたが、実は関係があるのはそういうことでございます。  それで、日の丸・君が代、これを法制化していくということになりますと、一部報道によりますれば強制条項は設けない、これはやはり個人の思想、信条とかかわる問題だから強制条項は設けないということであります。私も結構だと思いますけれども、何と申しましても、私たち日本人は元旦に日の丸を掲げ、国民の祝日にも日の丸を掲げて、そして、いろいろなことに対し思いをはせるというのは、我が国文化であり慣習でありました。そのことは大事にしなければならない。大臣の演説にあったとおりであります。  そこで、法律的にも日の丸が国旗だということになりますと、やはり、強制はされないけれども、国民として国旗を買いたいな。これを一々、浅草の優勝カップ屋まで、旗屋まで買いに行かなきゃならない。私は、諸外国のようにもっともっと簡便に国旗を買えるようにすべきだと。  ところが、申すまでもなく自由経済我が国にありまして、国旗が売れるか、なかなか難しいかもしれません。としたならば、政府が法制化するのならば、政府が、例えばこの前の地域振興券のように国が、国旗が欲しいという国民に対しては、またその世帯主に対しては国旗を配布する、あるいはうんと政府が財源的措置を講じて、国がかなり補助金を出すというふうな考え方を持たなければ、私は国民が国旗を掲げようというような気持ちにならないのではないのか。だから、法制化するに当たっては、単に、する必要はないんだけれども一応するんだという程度のことであるとしたならば、情けない議論だと思います。  そこで、お尋ねしたいことは、政府はそこまで考えているのか。やはり国旗というものを国民に持ってもらおう、そして掲げてもらおう、そういう思いがあるのか。そして、あれば、政府はどういう形で取り組もうとされているのか。これをお尋ねしたいと思います。
  30. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 外国へ行きますと、星条旗や三色旗が至るところに掲げられております。これは、その国の象徴として非常に風景としてなじんだ場面でございますが、日本で、特定の官庁、公共施設を除いては、国旗を立てていることはありません。私の大臣室にも、入った途端に国旗が後ろに立っておりまして、私が特に立てたわけではありませんが、既についておりますけれども、会社の社長さんなんかでも、国旗を背景にしている人は日本では非常に少ないようです。  外国へ行きますと、社長さんのお宅にも立って、部屋にも立っておりますし、前に湾岸戦争のときには、自分の家族が、湾岸戦争に息子さんが出ている、お父さんが出ているという家は全部国旗を窓に立てまして、これが国民から非常に尊敬といいますか、とうとばれた状態がございました。そういう意味で、国旗というものは非常に重要なものだと思います。  これを法制化して、政府が販売するというのはいかがなものかと思いますが、もっと買いやすい状態にし、また公共施設その他、国民がこういうものになじむような、国民運動といいますか、そういったものがほうふつとして国民の間から起こってくるような、そういう心理状態、社会的な心理状態ができてくれば私はいいことだと思っております。
  31. 松浪健四郎

    ○松浪委員 法律で日の丸は国旗だ、そうしたらば何も思想的におかしい存在だと思われないわけですから、国旗を買いたい、ところがなかなか買いづらい、それを政府が買いやすいように、また買うことに対してそれほどの負担が必要でないということになれば、私は普及していくと思いますし、そして日本人が日本人としての慣習を取り戻すことができる。  私たちは、我々の先輩や先祖が営々として構築してくれたこの日本文化というものを年々喪失しつつあります。そして、私は、そのことが日本人自身が自信を失いつつあることにも連動しているような気がします。  そこで、まず、日本文化というものを我々は継承していく上において、日本人として、国民の一人として認識を新たにするためには、政府が本気になって、この法制化をするということを機に、積極的に国民が国旗を買いやすい、掲げやすい、そういうふうな雰囲気を、もちろん国民の中からもつくっていかなければなりませんけれども、政府もそのために財源措置を講ずるぐらいの前向きな姿勢で、本気になって法制化されることをお願いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  32. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 そのようなことも含めて、幅広く検討したいと思います。
  33. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ありがとうございます。  次に、昨日の夕刊で発表されましたように、失業率が非常に高い。もはやアメリカよりも二カ月連続高いという発表がございました。その数は、実に二百九十八万人であります。この失業問題、雇用問題については、大臣も演説でるる述べられました。  そこで、もう時間がございませんので、多くをお尋ねすることはできませんが、ことしの新卒者、いわゆる大学の卒業生、短大生をも含めますが、極めて厳しい就職状況にございます。そこで、年々卒業できない者がたまってくるとしたならば、大きな障害を生じますのは、各企業が募集要項の中に、新卒者という表現で採用をいたします。かつてこの国には、女性の方を採用するときに容姿端麗という言葉が書かれてありましたけれども、これは問題だということで、それができなくなりました。それと同じように、私は、各企業が採用するときに新卒者という表現はやめるべきではないか、こういうふうに思っております。この考え方に対して、大臣、いかがお考えでしょうか。
  34. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員御指摘のように、今、日本雇用は極めて厳しい状況にあります。そして、それは単に失業率が四・四%に上がった、完全失業者が二百九十八万人になったという数の問題ではなくして、質的な問題といたしまして、従来の終身雇用が崩れてきているということです。委員御指摘のとおり、新卒に限るというのは、新卒者が終身雇用で途中でやめないという前提があったからこそ成り立った話なんです。これが流動化してくると、当然、新卒に限るというわけにはまいらなくなると思います。  また、従来は、学校を卒業して四月一日に採るというように、期間も限定しておりましたが、最近は通年で採用するところもふえてまいりましたし、また、外国の学校を卒業してきた人は九月ごろに就職するという例もふえてまいりました。さらに、大学院その他いろいろなケースがございますので、委員御指摘のように、新卒に限るというのは非常に狭い範囲だと思います。  ただ、企業にそれを強制的に廃止させるかどうかは、労働省ともよく相談をして考えたいと思いますが、社会の流れの方向は委員御指摘のとおりだと思います。
  35. 松浪健四郎

    ○松浪委員 労働省あるいは文部省等とも御相談をされまして、このような表記をしないように御指導いただければありがたい、こういうふうに思います。  もう一つ雇用に関してでございますが、これだけの長寿社会になりました。その中で、自衛官の定年が非常に早いわけであります。大臣は、先ほどの演説の中でも、アジアのことについて、またその経済について協力をしていかなければならないというふうに述べられましたけれども、私は、自衛官が早い年齢で退職している、この人たちをもう一回雇用する方法はないだろうかと。  過日、私は、単身、単独でアフガニスタンという国に行ってまいりました。御承知のように内戦中の国でありますけれども、既にドイツとイギリスは、地雷の除去のために協力をしておりました。このような、世界各国で地雷を除去してもらいたいという国はたくさんあります。カンボジア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アフガニスタン。こういう地雷の除去をするために、私は、この人たちを知恵を絞って採用しながら、派遣し、協力していくというようなことも雇用問題と絡めて考えていけばどうか、このように思うわけであります。  時間がございませんので、具体的に申すことはできませんけれども、そういう考えについて大臣はいかがお考えになるか、お尋ねしたいと思います。
  36. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 自衛官の高齢化につきましては、委員御指摘のように問題がございまして、特に、曹、下士官ですね、それから兵につきましては、一定以上の年齢になりますと、やはり体力的な限界、生活的な限界がございますから、現在より定年を延ばすことには非常に難しい問題が含まれていると思います。  したがいまして、その後どういうような職業についていただくかということでございますが、委員おっしゃったように、地雷の除去、あるいは発展途上国におけるそういう戦乱地域の問題に対して、この方々を派遣するということは非常に結構なことだと思いますが、自衛官だからといって、すべて地雷を除去する技術を持っているかどうか、私ちょっと存じません。あれはかなり専門的な危険を伴う仕事でございますので、そういう再訓練を行って派遣するということは考えたいと思います。  自衛官に限らず、今、雇用につきまして、従来は終身雇用でございますから、雇用をその場で、現在勤めている職種で維持することを主としておりましたけれども、これからは能力開発を進めていく。例えば、自衛隊の中に、退職後に備えて、地雷の処理であるとか通信技術であるとかいうのを教育するようなプログラムを組みまして、定年になられる前に一年間はそういうプログラムをやってもらうというような措置をとることも考えられております。これは、防衛庁なり外務省なりとよく協議させていただきたいと思います。
  37. 松浪健四郎

    ○松浪委員 もう時間が参りましたので、詳しくは申すことはできませんけれども、総理の諮問機関、経済戦略会議により、日本経済再生への戦略に関する最終答申で先日打ち出されました能力開発バウチャー制度、この導入の中にもそれらのことを考えてやっていただきたいというお願いでございます。  時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  38. 河上覃雄

    河上委員長 次に、石毛えい子君。
  39. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。  長官、連日の委員会御出席で大変でいらっしゃると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、長官所信表明をいただきましたので、その内容につきまして、また、先週まとめられました経済戦略会議の答申などにも触れさせていただきながら、長官の御見解を承らせていただきたいと存じます。  その前に、本委員会は遺伝子組み換え食品の表示問題に関する小委員会を設けてございますので、そのことに関しまして、冒頭、農水省の方にお尋ねさせていただきたいと思います。  この遺伝子組み換え食品の表示に関しまして、懇談会などで新しい展開に入っているように報道などで伺っておりますけれども、その検討状況を簡単に御説明いただきたいと思います。
  40. 吉村馨

    ○吉村説明員 それでは、現在の私どもの遺伝子組み換え食品の表示問題についての検討状況について御説明申し上げます。  遺伝子組み換え食品の表示のあり方につきましては、食品表示問題懇談会で検討されてきたところでございます。昨年八月には、遺伝子組み換え食品の表示のあり方につきましてたたき台を提示いたしまして、パブリックコメントを求めたところでございます。これにつきましては、一万件を超える多数の御意見をいただきまして、この問題についての国民の皆様、消費者の関心の高さということを痛感したところでございます。  一月に開催されました食品表示問題懇談会におきまして、表示に関しまして、信頼性、実行可能性という観点から、技術的、科学的な検討を行うことが必要であるということで、このための小委員会を設置することが決定されたところでございます。  今後、この小委員会におきまして、技術的、科学的検討を本年六月ごろまで行いまして、これらを踏まえて、懇談会として検討し、遺伝子組み換え食品の表示のあり方について、できる限り早く取りまとめを行っていきたいというふうに考えております。
  41. 石毛えい子

    ○石毛委員 この表示のあり方に対しまして、今御説明いただきましたように、ことしに入りまして、技術的、科学的検討、それを踏まえて六月ぐらいまでに結論を求めていく、そういう御説明でございますけれども、私は、これは新しいステップを踏んだというふうに受けとめさせていただいております。  そこで一点、私の思っております疑念と申しますか、あるいは要望と申しますか、それを申し上げさせていただきたいと思います。  それはどういうことかと申しますと、遺伝子組み換え食品であるという証明をしていくための技術的方法がどれだけ開発されているかということと、それから、遺伝子組み換えをした原材料を使って加工された生産物が組み換えの影響を受けているかいないかというその証明が一〇〇%フィットするかどうかというところまで、技術的なあるいは科学的な方法が到達しているかどうかという問題があると思います。  そのあたりは十分に小委員会でも御認識されていらっしゃることだとは思いますけれども、この技術的な、科学的な現段階認識と方法によって証明できないものは含まないとみなすというような結論にはしていただきたくないという思い、これは消費者に一般的にあることだと思いますので、この技術的、科学的というとらえ方につきまして、あるいはその方法の適用につきまして十分な御配慮をいただきたいということを、新しいステップを踏みました折でもございますから、小委員会委員の一人といたしまして要請をさせておいていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは長官、よろしくお願いいたします。  まず、所信で触れられておりますNPOにつきましてお伺いしたいと思います。  長官は、このNPOにつきまして、活動促進するための条件整備を今後とも続けるというふうにお述べになっていらっしゃいます。また、経済戦略会議も、この点に関連いたしまして、税制措置などについて提案をされているところでございます。  私は、アメリカなどでもあるいはイギリスでも、不況から脱却する折にNPOの活動が大きな社会的な力を発揮するベースになったというようなことも含めまして、このNPOの活動日本で定着し、広がっていくことに期待をしている一人でございます。  まず最初に、昨年十二月に、いわゆるNPO法、特定非営利活動促進法が施行され、現在、法人認証の申請が進行しているところでございます。そこで、この法人認証の申請が全国どのような状況で進展しているかということにつきまして、御報告をいただきたいと存じます。
  42. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 昨年十二月から受け付けを始めまして、現在までに全国で三百五十二件の申請がございました。そのうち、都道府県をまたがっておりますものは、当庁、経済企画庁で受け付けておりまして、これが三十件、各都道府県別のものが三百二十二件でございます。このうち、既に認証されたものが六件出ております。そのような状況でございます。
  43. 石毛えい子

    ○石毛委員 当初、経済企画庁の把握では、NPOとしての活動を進めている団体、約八万団体ぐらいあるというふうに把握されたと伺っておりますけれども、まだ認証申請、始まって間もないわけでございますけれども、この八万団体存在しているという、そのNPO活動実態に照らしますと、認証申請が大変少ないというふうな印象を私は受けます。長官はどのようにごらんになっていらっしゃいますでしょうか。
  44. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 いわゆるNPO、ノンプロフィットオーガニゼーションというのにはいろいろな種類がございまして、各国ともとり方が大いに違っております。  日本の場合は、まず民法法人という既に古くから行われている方法、それから学校法人、医療法人、宗教法人というようなもののほかに、今度新たに、それとは別に、非常に登録だけで認証がとりやすい制度をつくったわけでございまして、仰せの八万六千団体という数は、都道府県、市町村等を通じて、そういうようなノンプロフィットの、利益を求めない運動をしている諸団体らしきもの、これはよくわからないのでございますが、そういうものに当たって接触したところでございます。  それで、この制度が始まって、まだ十分に知られていないこともあるでしょうし、また、法人格を取る必要を感じていないものも非常に多いと思います。そういう点で、期待したほど、どっと一遍に来ているわけではございませんけれども、将来、これはだんだんふえてくると思います。  それからもう一つは、御存じのように、この団体を登録いたしますと、代表者の個人ではなくして団体としての人格が得られるわけでございますが、今のところ、それによって税法その他の利益、メリットがございません。これは二年間の実績を見て再検討することになっておりますので、そういう点でも積極的に出そうとしない方がおられるのじゃないか。また、そういう手続その他も面倒くさいということで放置されているのもあるのではないかということでございます。  現在までのところ、この受け付け、申請手続等が特に煩雑であるから云々という苦情については、聞いておりません。
  45. 石毛えい子

    ○石毛委員 長官、今の御答弁で税制の点にも触れられましたし、それから、書類の面倒くささというのも巷間よく聞かれることでございますけれども、そうしたことなどがあったとしましても将来はどっとふえてくるだろうというふうにおっしゃられました。私も、どっとふえるかどうかというのは、ニュアンスの相違があるかとは思いますけれども、ふえてくるだろうとは思います。  私の知っています団体でも、申請しようかというような声は随分聞いているわけですけれども、将来どっとふえるという、そこに至るまでに、やはりNPOに関する税制の問題は大変大きな課題になっているということは、今長官が二年の実績を見てというふうにはおっしゃられましたけれども、お認めになっているところだというふうに存じます。  この経済戦略会議の答申を拝見しておりますと、「寄付金に対する免税措置を大幅に拡大する。国家に税金として納め、それによって公共財を供給するだけでなく、個人個人が必要とみなす公共財を寄付金によって供給する自由を認めるべきである。」こういう一文が拝見されます。この「個人個人が必要とみなす公共財を寄付金によって」というのは新しい考え方だというふうに私は受けとめておりますけれども、こうした点なども含めまして、経済戦略会議の答申には「寄付金に対する免税措置を大幅に拡大する。」こういう見解が盛られてございます。  先ほど長官は、二年間の実績を見てというふうにおっしゃられましたけれども、もう少し、今の戦略会議の答申などを受けまして、どのように御認識になられておられますか。その点をお伺いさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、青山(二)委員長代理着席〕
  46. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私もNPOには三つぐらい関係をしておりまして、一つは、財団法人という民法上の法人格を得ておりました。もう一つは、大阪の町づくりでございまして、もう一つは、神戸の震災のときに伺ったものでございます。  それぞれ立場の違う団体で、目的も違うのでございますけれども、私は、この職につきます前、政府税制調査委員を十年間やっておりまして、常に寄附の拡大、寄附要件の緩和について、特に個人が寄附するときについては税制上の優遇措置、つまり、個人の所得から、一定金額までは控除できるようにすべきではないかという主張をしてまいりました。  日本では、民法三十四条によりまして公益法人が認可制度になっており、そしてさらに特増法人という、特別に税金のまけられる、安くなる寄附法人になるものが非常に限定されております。  この制度は、早く言いますと、何が公益であるかを官僚が決めるという制度なんですね。許認可する官僚が、これは民法法人に当たるということを決め、さらに、その中でこれが特増法人に決まるということを役人が決めるという制度でございます。そのおかげで、企業は、交際費、経費その他、寄附の限定がございますから、ある程度メセナその他の制度でやっておりますが、個人になりますと、それが非常に窮屈になります。  そのおかげで、これは、統計上余り正確な調査ではございませんけれども、一説には、個人のNPO、広い意味でのNPOに対する寄附金が、アメリカを一〇〇として日本が〇・三というような数字もございます。日本個人が、そういう社会法人に寄附するのが非常に少ない、そういう実態も踏まえてこの問題は考えていきたいと思いますが、その場合に、どの点までを個人の善意の寄附とみなすか、これは非常に大きな問題です。  私も、都道府県、公共団体やいろいろな団体に寄附させていただいたことがございますが、学校法人なんかに寄附するときには、非常に厳しい限界がついております。例えば、今後五年間に親族を入学させてはいけないとか、あるいは、京都の名画の庭に寄附させていただいたときには、寄附者の表示は絶対人に見えないように裏側に書けとか、いろいろなことが出てくるわけですね。寄附願を出させていただくというようなこともございます。そういう点も含めて、どの点まで、どういうような形で寄附が認められるようにすべきか。私は、これは積極的に検討していきたい課題だと考えております。  もちろん、これにつきましては、税務当局その他から、いろいろ悪用されるという反対論があることは御承知おきいただきたいと思いますが、日本が、官僚の主導ではなしに国民の善意である程度運営される国ということを考えますと、この問題は非常に重要な問題だと認識しております。     〔青山(二)委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 石毛えい子

    ○石毛委員 長官の長年の、税制調査会の委員をお務めになられました、あるいはその他の御経験から、私も、今、大変有益な教えをいただいたと思って感謝申し上げます。  改めて、個人の寄附を、統計データとしては、必ずしも精度の問題では確実とは言えないのかもしれませんけれども、アメリカ一〇〇に対して日本が〇・三という、その水準の違いには非常に驚きました。  私たちの周辺にも、特に私より若い世代ぐらいになりますと、財産を子供に残さないで、お互いに持っている財産を融通し合って、できる限り共助のシステムをつくっていく中で自分たちの老後の生活を確保しよう、こういうことはかなり一般的な思いになっていて、実践もどんどん始まっているところなのですね。そういう中で、うちを寄附したいと思うけれどもとか、あるいは、よくある話ですけれども、いただいたお香典を寄附したいと思うけれどもとか、そういう感覚というのはもう日常的な市民活動に広がってきていると思います。  そこで、せっかくその個人の寄附、アメリカは一〇〇に対して日本は〇・三ぐらいの水準と長官はおっしゃられましたけれども、個人の寄附の実情につきまして、あるいはどのような意識を市民が持っているのかというようなことにつきまして、経済企画庁として、NPO税制を一歩進めていく前提として、実体的な取り組みに着手していただく、このことが大変重要なNPO支援の意味を持つことになるかというふうに私は思っているわけです。  そのような個人の寄附についての実態調査、あるいはそのことをどのように考えているか、あるいは考える方向性を日本人が持っているかというようなことについての世論調査などにつきまして、経済企画庁としてどのようなお受けとめをいただけますでしょうか。
  48. 金子孝文

    ○金子政府委員 お答えいたします。  法施行二年以内に、税制も含めて、この制度見直しをするということを附帯決議でいただいています。そういうために、私どもとしても、その検討のために各種の調査を実施しよう、こう考えております。  その一環として、先生御指摘の寄附の実態、そういう世論調査などについても、こうした調査の一環としてこれを行うかどうかということについても検討してまいりたい、こう考えております。
  49. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の御答弁ですと、行うかどうかについて検討してまいりたいということで、まだ具体的なプログラムに上がっているという御答弁ではなかったというふうに承りましたけれども、もう一度よろしくお願いいたします。
  50. 金子孝文

    ○金子政府委員 現実に、現在の段階でどういう調査をやろうかという全体の話ですけれども、それが決まっていないので検討するということを申し上げましたけれども、いろいろ税の問題も検討することになっていますから、先生御指摘のようなことについても前向きに考えていきたいと考えております。
  51. 石毛えい子

    ○石毛委員 事柄の内容として、当然調査の中に含まれるというふうに受けとめさせていただいても間違いではないのだろうと私は考えるところでございます。  そこで、実施されます折には、NPO、今、大変さまざまなセンターの活動もなされているところでございますので、ぜひともよく御連絡をおとりいただいて、このNPOが積極的に日本の社会の中に定着していくような促進策を力強く進めていただけますように要請したいと思います。  長官にもう一度お尋ねさせていただきますけれども、所信で、NPO活動促進するための条件整備を今後とも続けてまいりますというふうにお述べになっていらっしゃるところでございますので、この条件整備につきまして、長官はどのようなことをお考えになっていらっしゃいますか。その点を御教示いただければと思います。
  52. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今の税制の問題が一つだと思います。この税制につきましては、NPOに対して寄附する方の税制と、それから、NPOが活動した場合、あるいは財産を持った場合の税制、この二種類がございます。  それから、公共施設、例えば公園でございますとかそういうものの利用について、各自治体が便宜を図るような方法をとっていただきたい、これもなるべく推進したいと思います。外国へ行きますと、各団体、いろいろな社会運動もあれば人種団体もあるわけでございますが、そういう団体がパレードをするときには、大変、優遇といいますか、便利にできておりますし、公共施設の借用も便利にできております。こういうのも、NPOというものが認知されてまいりますと、個人でというよりも借りやすいような状況をつくっていく。  それから、三番目の問題としては、やはりNPOというものが社会的に認知されまして、それに活動している人たちの善意が評価されるということが大変重要だと思います。アメリカあたりは、非常にこれが盛んなのは、NPOで活動している人たちを社会的に高く評価するというところがあります。日本では、寄附をいたしますと、すぐ売名行為であるとかというようなマイナスのうわさも立つこともありますし、それから、御近所の方でも必ずしも支援されないような体質でもありますし、行政も、自分たちの考えていることとずれていると迷惑がるところもございます。  そういう、それぞれの人々の善意ということが認知され、そして情報発信として、今、インターネットとかCS放送とかいろいろな情報手段が出ておりますが、それぞれの方々の、同じように協力してくれる人を集める情報ネットワークというものの構築も大変重要だと思います。そういうインターネットを通じて、お互いの経験を交流させる、お互いの善意を蓄積するというような方法も検討する課題だと思っております。  これから、今始まったところでございますので、これからの二年間にいろいろな試みをしながら、この活動日本の二十一世紀の善意の世の中のものとして定着させていきたい、発展させていきたいと考えております。
  53. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございます。  今、長官がおっしゃってくださいましたさまざまな条件整備の中で、例えば公共施設の利用に対しての便宜供与というような点は、NPO活動が活性化するためのインフラ整備として大変重要な点であると私も考えております。  それから、インフラ整備という点で申し上げますと、私は、NPO活動に対して自治体事業が優先的に契約を結んで業務委託をしていくというような、ある種のポジティブ政策でございますけれども、そうしたことも考えられるべきではないかというふうに思っております。  それから、これは経済企画庁として、その役割を果たしていただけるのかどうか私は存じませんけれども、日本の今の実情の中で、新聞報道などでは、例えば、障害をお持ちの方や移動の御不自由な高齢者の方のための移送のサービス、これが道路運送法に抵触するというようなことで、NPOの申請ができないということが神奈川県初め各地で生じているようでございます。  その実例は、業法に抵触する部分という問題があるわけでございまして、このことは今、運輸省との間でも関係の方々さまざまに議論を進められているところでございますけれども、ぜひこのあたりも、NPOを所管しておられます経済企画庁として実情を御解明いただきまして、解決の方向に向けて促進を図っていただければというふうに存じますけれども、これは要望として申し上げさせていただくことでよろしゅうございますか。  金子局長、御答弁ございますでしょうか。
  54. 金子孝文

    ○金子政府委員 実態を十分に把握していないので、申しわけございません。  基本的には、このNPOというのは要件を満たせば受理されるわけですから、その辺、今の移送サービスをすることと要件との関係がどうなっているのかということについて、私どもとしてももう少し調べてみたいと思います。
  55. 石毛えい子

    ○石毛委員 ぜひとも、それこそ前向きな御検討をお願いしたいと思います。  もう時間がほとんどなくなってしまいまして、もう一つ、きょう長官にぜひともお伺いさせていただきたいと思いましたのは、先ほど松浪委員も質問なさっていらっしゃいましたけれども、失業問題に関してでございます。  長官、第三にはということで雇用課題をお述べになっていらっしゃいます。そこで、きょうは労働省からわざわざおいでいただきまして、現在の労働行政の中で、失業給付日数に関連してでございますけれども、公共職業訓練受講者、訓練終了後の延長給付という制度があって、これがどのような役割、機能を果たし得ているかということをお教えいただきたいと思いまして、お越しいただきました。  この延長給付を受けている人数、どれぐらいの延長給付期間なのかということ、予算規模、それから、延長給付で訓練を受けた方の再就職の状況ということにつきまして、時間の関係もございますので、簡潔にお教えいただけたらと存じます。お願いいたします。
  56. 稲田敏

    ○稲田説明員 お尋ねでございます。  先生御説のとおりでございますが、私ども、雇用保険制度の中で、失業された方につきまして、所定の給付日数ということで、九十日から三百日という形での失業給付を行っておるわけでございます。  ただ、そうは申しましても、そういう方々に対する給付につきまして、いろいろな個別の事情、それから今先生お話がございましたような能力開発の必要性、そういう個々の事情等がございますので、一定の給付延長という制度を持っておるわけでございます。  そこで、その給付延長の内容でございますが、今申し上げましたとおり、基本的には、いわゆる個別延長として、例えば非常に失業率の高いといいますか、雇用情勢が悪い地域に対する延長等ございます。今先生がお話しになりましたことの一番中心になるのはその訓練の延長の話だと思っております。  訓練延長給付につきましては、現在も非常に私どもとして重点を掲げて推進してございます。ただ、数字的には、平成九年度が今最終の数字になるわけでございますが、平成九年度に訓練延長を受けられた方の数はおよそ三万七千人ということになってございます。  訓練延長の対象となります公共職業訓練でございますが、これは法令上は二年までということになってございますが、実際には各公共職業訓練施設で訓練を行っておるわけでございます。その訓練の内容、それから、求職者の方に対する再就職のための効果等にかんがみまして、基本的に、大体六カ月程度のものが多くなってございます。  この訓練延長の期間につきまして、現実の期間、どの程度になっているかということでございます。これは訓練延長でございますので、当然、所定給付日数の中でまず訓練を始められて、その所定給付日数を超えて給付を行うというものでございますので、訓練の期間と延長日数がそのままダイレクトにつながる、そういうものではございませんが、大体、推計してまいりますと、平成九年度で四カ月弱の期間になってございます。およそ百三日というのが平均でございます。  また、それにかかっている費用でございます。平成九年度におきます訓練延長給付の支給額は、およそ二百二十億円ということになってございます。この訓練延長にかかる費用そのものは、予算上は失業等給付費、これが平成九年度、二兆五千八百億ほどあるわけでございますが、この中で訓練延長を行っておるわけでございます。  なお、訓練を受けられた方の再就職の状況でございます。公共職業訓練全体を見てまいりますと、九年度で、大体六割以上の方が再就職ということで就職を決められておるわけでございますけれども、訓練延長給付を受けた方だけに絞って就職状況ということになりますと、ちょっと雇用保険のシステムの方ではとれないということになっておりまして、恐縮でございます。
  57. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の御答弁いただきました内容ですと、延長給付を受けました人数は平成九年統計で三・七万人ということでございますので、ちょっと比較の時点がずれますけれども、完全失業者数は最新のデータですと二百九十八万人ですから、一・五%ぐらいの人数ということになるのでしょうか。再就職の状況などから見ますと、大変有効な施策というふうに受けとめました。  もう一方で、この経済戦略会議の報告の中には新しく能力開発バウチャーという考え方が提示されてございます。この内容を拝見いたしますと、例えば、現在労働省で進めておられます教育訓練給付、それの上限額が二十万円ということに対しまして、こちらの経済戦略会議の方は百万円を限度というような、あるいは利用法も大学、大学院というところが対象になっているような内容で、全体の予算額も一兆円というふうに書かれていまして、規模が大きく、内容の広がりもあるというような印象を受けるのでございます。  もう一方で、現在労働省が進めておられますこの雇用保険の中での給付を、例えば六十歳以上六十五歳未満の方の最大給付日数三百日を、確かに地域指定によっていろいろと延長施策はあるわけではございますけれども、基本的に、この三百日を、例えば今の不況の期間、年度設定をしまして日数を延長していくとか、さまざまな雇用政策というのは考えられるというふうに私は思っております。  長官といたしまして、これから積極的に推進をされていかれるその雇用政策、どのようなところにポイントを置いておられますか、その点をお伺いしたいと思います。
  58. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 経済企画庁が緊急経済対策を昨年十一月に設定いたしまして、この十二月に予算編成をいたしました。そのときの最重点政策として掲げたのが、金融問題の再生需要の拡大、そして雇用問題でございまして、雇用問題につきましては、平成十一年度、大変予算枠を拡大して、大々的に雇用対策をやることにいたしました。  今、労働省から御説明がありましたのは、過去の実績でございまして、これから、こういうような雇用情勢でございますし、予算も拡大したことでございますので、積極的に取り組んでいきたいと思っております。  つきましては、明日、産業構造雇用促進の閣僚会議を開きまして、これをきっかけといたしまして、平成十一年度には、委員の御指摘のとおり、雇用拡大の方針、政策を十分にとれるように検討したいと思っております。  特にその中で重点を置いておりますのは、これは甘利労働大臣も再三おっしゃっていることでございますが、今までは、各企業の中に、できるだけやめさせないように、そこで雇用を温存させるという方に力点を置いてまいりましたが、これからは、能力を開発して新しい就職口、雇用をつくるという、雇用維持から雇用創造へと労働政策を転換するということを甘利労働大臣も繰り返し申しておられます。そういうことを含めて、明日からの閣僚協議会で検討していきたいと考えております。
  59. 石毛えい子

    ○石毛委員 原則的に、この技術革新の時代、あるいは、もっと創造的な産業あるいは仕事の仕方を展開していく時代に、仕事の能力を開発していくということは基本的に大変重要なことでございますし、私もその点には同感をいたしますけれども、ただ、そうはいいましても、なかなかうまく転換できない、そういう年代層もあるかと思いますし、あるいはそのほかの理由もあるかと思います。  失業保険の給付日数を広げていくというのも重要な政策ではないかということを思っておりますということと、それから、きょうは時間がございませんでしたので質問できませんでしたけれども、日本は大変平等な国だと言われておりますけれども、所得分配では不平等が拡大している、そういうデータも公表されております。そうしたことの反映として、国民の中に生活の不安感というのはいろいろな意味で広がってきていると思いますので、雇用を初めといたしまして、経済成長に国民生活の安心がついていくという考え方よりも、むしろ、国民生活の安心をどういうふうにメッセージしていただくかということは、大変重要だというふうに私は考えておりますということを申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  60. 河上覃雄

    河上委員長 青山二三君。
  61. 青山二三

    ○青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。大臣、連日連夜、本当にお疲れさまでございます。  昨年、小渕内閣経済再生内閣として発足をされました。国民生活を守る上で極めて重要な位置を占める大臣として、また、この内閣の最大の目玉であり、また、国民が注目をしておりました堺屋大臣が就任をされ、七カ月余が過ぎたわけでございます。  この間の大臣の登壇回数は、過去の大臣と比べますと、経企庁長官としては断トツではないかと思います。大臣は大変ユニークなお考えを持っておられまして、大いに期待をしております。大変短い時間ではございますが、大臣のお考えを伺ってまいりたいと思います。  戦後最悪のマイナス成長の中で迎えた本年は、日本経済再生がかかっている大事な一年であります。大臣の手腕を最大限に発揮され、今国民が求めている必要な政策を速やかに実行する明確な意思と決断力を示していただきたいと期待をいたしております。  まず、堺屋大臣に、就任七カ月の今のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  62. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まことに大変な仕事でございまして、私が、去年の七月三十日に、衆議院で総理大臣に指名されました小渕恵三さんからお電話をいただいて、この職を承知したとき、まあ、召集令状が来たようなものだと家内に申し上げたんですけれども、この務めは予想以上に大変です。委員の先生方、国会議員の先生方が皆、大変命がけで政治をやっておられることをしみじみと感じている次第でございます。  特に、私が就任いたしましてからは、直ちに経済戦略会議を発足させ、また七十九日臨時国会、その後の秋の臨時国会、そして通常国会、その間に緊急経済対策等がございまして、もう非常に休む暇なく小渕内閣は走り続けていると思います。  小渕総理自身は、鈍牛と謙遜しておられますけれども、これほどスピーディーに、七カ月のうちにこれほど多くの経済対策をとった内閣はかつてなかったんじゃないかというほど多くのことをやってまいりました。残念ながら、経済の状態は非常に厳しいものがございまして、小渕内閣が発足したとき、私も就任して、非常に危機的状況になっているのに驚いたほどでございます。  それから、金融機関の問題をまず解決し、まず骨組みを、枠組みをつくっていただき、それから緊急経済対策をとっていただき、税制の問題を解決していただき、着実に、また大胆に進めております。  今も、金利の問題をめぐりまして非常に多忙な状況が続いておりますが、ようやく去年の暮れから、少しではありますが、新しい動きの胎動が生まれてきた、これが、この三カ月言い続けてきたことでございますけれども、やや広がっているのではないかと期待している次第でございます。
  63. 青山二三

    ○青山(二)委員 そこで、来年度の経済成長でありますけれども、政府は〇・五%という見通しを示しております。しかしながら、民間のシンクタンクの間では、〇・五%はもとより、プラス成長は困難という見方がほとんどでございます。  はっきりしたプラス成長の実現には、今参議院で大詰めを迎えております平成十一年度の予算案がかなめとなるわけでございますが、この予算政府公約を実現することができるとお考えでしょうか。政府は、はっきりしたプラス成長にするとの政府公約に沿って、所得税、住民税の減税、法人税減税公共事業などの政府経済対策が景気を下支えする間に、民間需要が緩やかに回復するシナリオを描いているようでありますけれども、改めて大臣に、景気回復のシナリオを伺いたいと思います。
  64. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 来年度につきましては、民間企業数十社のシンクタンクがいろいろと予測を発表しておりまして、その平均値はマイナス〇・六になっております。政府見通しはプラス〇・五でございますが、民間の平均値はマイナス〇・六になっております。つまり、やはり厳しい見方が多いということです。諸外国の見方を見ましても、かなり厳しい見方が多いようでございます。  これに対しまして、政府としてどういうシナリオを組んでいるか、御説明させていただきたいと思うのですが、まず、小渕内閣は、みずからを経済再生内閣と位置づけました。そして、ことしは、とにかく景気プラスにする、しっかりとした、はっきりとしたプラスにするということを第一の条件といたしました。  これまで、一九九三年、平成五年以来、政府は八十兆近い緊急経済対策をやってきたのでございますけれども、余り効果が上がってないではないかという御指摘もございます。もちろん、それなりに効果はあったのでございましょうけれども、確かにそういう批判がございます。  それで、小渕内閣は、発足と同時に、現在の経済のどこに最大の欠陥があるのか、これを用心深く、注意深く観察いたしまして、まず第一は金融問題であると。この金融収縮がどんどん進んでおりまして、一昨年の十二月に三十兆円というスキームを一度組みましたけれども、それでも効果が乏しいというので、秋に国会で金融再生法案を出していただきまして、これによって六十兆円という人類史上空前の大きなスキームを組みました。今、ちょうどきょうその申請が出るところでございますが、不良銀行は国有化いたしまして、健全な銀行には、早期是正措置ということで、資本注入を行うことにいたしました。  一方、この金融問題を解決していく段階では、不良債権を減らせということですから、銀行は貸したがりません。これは交通と一緒でございまして、事故をゼロにするのは自動車も人も通さなきゃいいんだという説がありますけれども、それと同じことをやるんですね。だから、不良債権を一切ふやさないためには一切貸さなきゃいいんだという議論になりますので、これでは中小、中堅企業がもちません。したがって、政府といたしましては、保証協会の保証をふやし、また、政府金融機関の融資をふやし、二十兆円の保証と二十兆円の融資をふやすということで、昨年の暮れには、珍しく中小企業の倒産を減少させることができました。  これでまず出血をとめたようなものでございまして、次の段階として、今度は、臨床的に需要不足を解決しなければいかぬ。  それで、公共事業につきましては、これは予備費を含めての話でございますが、前年度を一〇%程度上回る事業を行うとともに、大幅な減税を行いました。所得税で恒久的な減税が約四兆円、それから法人課税で二兆三千億円、そのほかに、住宅と情報機器につきましての償却等で三兆一千億円、計九兆四千億円の減税を行って需要の喚起に努めております。  同時に、御存じのように、あわせて低金利政策をとりまして、短期金利についてはほとんどゼロというような状態まで金融を緩めております。  そしてもう一つは、先ほどから議論のございます雇用問題につきまして、これをそろそろ、そろそろといいますか、一生懸命今準備をしておりますが、この準備が整い次第、人々に安心してもらえるような政策をとりたい。  この三つ、金融需要雇用の三点で不況の環を切る、これをことしから来年度、平成十一年度にかけて行いまして、まずこの病原を取る、そして来年度、〇・五%の成長にし、その後本格的な復活、回復軌道に二年ぐらいかけて乗せていきたい、こう考えている次第でございます。
  65. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変すばらしい景気回復のシナリオでございましたけれども、私が思いますのは、何といっても消費者心理がどこまで好転するか、これも一つ大きな問題ではなかろうかと思うわけでございます。  そこで、この消費者心理の好転という観点から、今話題となっております地域振興券についてお伺いをいたします。  最近、非常に暗いニュースが多い中で、去る一月二十九日の島根県浜田市を皮切りに、地域振興券の支給が開始されておりまして、約一カ月がたちました。この支給が全国的に本格化する三月に入りまして、明るい、夢のある話題として期待が大きく高まっているのが感じられます。  我が党が提案をいたしました商品券構想と比較いたしますと、金額がかなり落ちたわけでございますけれども、七千億円という小さな予算の割には随分盛り上がりを見せております。各地域からいろいろなアイデアが生まれ、単に消費喚起という側面だけではなくて、積極的に市町村の方も盛り上げようという機運が出ており、予想以上の効果があるのではないか、このように感じるわけでございます。  冷え込んだ景気を回復するために、消費者心理を好転させる呼び水として大変に有効であると私は考えておりますが、交付から一カ月の反響とともに、大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
  66. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 地域振興券は、一月二十九日に浜田市で第一号が出まして、その後徐々にふえておりますが、特に、この三月一日に四百六十九の市町村が出しました。これで一気に増加いたしまして、きょうまでの分を含めますと、全体の一八%が交付されることになっております。  これぐらいになってまいりますと効果の判定も非常にわかりやすいと思うのですが、予想以上に一番これの効果があったのは、各地域団体、地方公共団体や商店街の人々がいろいろと知恵を出していただきまして、これをきっかけに地域振興の行事をやっていただいておる、これが追加的な支出を誘うのではないか。  電通という民間企業の調査によりますと、二万円使うのに、実際には、二万円の券だけではなしに、あと一万五千数百円お使いになるだろうというようなことも言われております。もちろん、こちらで使うとこちらの方を貯金するということがありますから、これだけ丸々消費がふえるということではございませんけれども、この春の話題として、意外と明るい話題を提供している。  私ども経済企画庁の試算といたしましては、普通、可処分所得の増加が七千億円ございますとGDPでは〇・〇六%上がるのですが、地域振興券の場合には、期間限定がございますから、〇・一%ぐらい、少し多目に効果があるんじゃないかと思っております。  そのほかに、話題を呼んだという点ではやはり非常な効果があります。その反面、地域に限定されているというところで、流通のゆがみが出てくるというような問題点もあるかもしれません。  そういうことをあわせまして、この春の話題としては明るい話を提供していただいていると思っております。
  67. 青山二三

    ○青山(二)委員 大臣から大変明るい話題だということで評価をいただきまして、私も大変うれしく思います。  そうした中で、市町村がすごい知恵を出しているその一つの例に、栃木県の国分寺町というところでは、この振興券に、職員が描きました天平の丘公園「夜明け前」周辺のイラストをカラーで印刷して、その上で、偽造されないように隠し絵なども入れる工夫をいたしております。町では、使用後に戻ってきた券を絵はがきとして活用して、希望者に販売するなどというリサイクルを考えております。また、その他の市町村でも同じように、使用後、しおりをつくって販売して、集まったお金を福祉施設に寄附することを考えているところもあるようでございます。  しかし、この使用済みの振興券につきまして自治省地域振興券推進室に問い合わせをしましたところ、およそ一年間の保存が必要だと聞きました。これでは、せっかくの善意やアイデアがすぐ生かされずに、がっかりしている市町村もあるわけです。  偽造検査を行ったり、適正に使用されたかどうかという検査をするために保存するということですけれども、本当に一年間も必要なのでございましょうか。
  68. 香山充弘

    ○香山政府委員 ただいま、振興券についてのお尋ねがございました。  御質問の中にもございましたように、これは国庫補助事業でございますので、現実に市町村から振興券を取り扱いされました店舗に支払われた額と、現実に取引に使用されて市町村に戻ってきた振興券の合計額とが一致するかどうか、あるいは市町村に戻ってきた振興券の中に偽造券が含まれていないかどうか、そういったことにつきまして、国としても実地検査等を行うことができるような、そういうふうにしておく必要がある。  これは当然、全市町村について会計検査院が全部調査すると言っているわけじゃありませんけれども、ある程度の市町村については調査をするということにしておかないと、率直に申し上げまして、その辺の国費の適正な使用が確保できるかどうかというのが懸念されるということで、やむを得ず一年間は保管をしていただくように市町村に求めておるものでございます。  もちろん、ほかにも関係の書類はたくさんございまして、取り扱い店舗からの請求書あるいは市町村の支出命令書、こういった他の書類は五年間保管していただくようにいたしておりますけれども、振興券そのものにつきましては、ただいまおっしゃったような問題点もいろいろありますので、一年間に短縮して保管していただこうという体制をとっておりますので、この点につきましては、やむを得ない措置ということで御理解を賜りたいというふうに考えておる次第でございます。
  69. 青山二三

    ○青山(二)委員 これは、今の御答弁をいただきますと、全国どこでもそのようにするということではなさそうでございますから、リサイクルをしたいというところだけでももっと早くできるような体制がとれないものでしょうか。
  70. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答えいたします。  振興券につきましては、御質問にもございましたように、券面に地元の名産だとか名所をあしらう、あるいは地元出身の著名な漫画家のキャラクターを使っておられるとか、あるいは券の材料として地元特産の和紙だとか織物を使っておられるとか、いろいろな工夫を市町村が凝らしておられまして、ある県によりますと、全市町村分の見本券を集めまして、県全体として展示をしているというような府県もあります。  そういったことで、私ども、せっかくの券を事後に有効に活用していただく、こういうことは大変結構なことだというふうに考えているのですが、先ほど申し上げたような事情がございますので、この団体だけ短くていい、そういう運用をするわけにまいりませんので、ひとつそれは保管期間が経過した後に有効に活用していただく、そういうことで取り組みをしていただきたいというふうに考えている次第でございまして、御理解賜りたいと存じます。
  71. 青山二三

    ○青山(二)委員 せっかく地方でこのようなリサイクルをするというすばらしい知恵を出したのに国が規制するというのは、私は、何だかおかしな感じがするなと実感するわけでございますが、大臣、何かいいお知恵はございませんでしょうか。
  72. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 やはり、長野オリンピックでも、余り早く書類を焼却すると問題が起こったりしておりますから、本来はあった方がいいと思いますけれども、一年たったら、サザビーかクリスティーで日本振興券一覧の入札でもしたら結構売れるんじゃないかという気がいたします。  これはやはり歴史に残る一つの、今まで前例のない政策を日本がとったということですから、これは大事にどこかで、図書館、記念館で保存していただければいいんじゃないかと思っております。
  73. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、大変この地域振興券経済的な効果ももたらしている、先ほど長官からは、〇・一%の効果がある、このようにおっしゃっていただきました。公共事業関係で九兆円の予算をつぎ込んでも〇・二%の効果ということに比べますと、これは大変プラス効果が期待されるわけでございますので、こういう地域振興券をまた今度二弾、三弾ということで考えてはどうかと私は思っておりますけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  74. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 公共事業でございますと、投下したものの一・三ぐらいかな、一・二一でございますから、九兆円になりますとずっと大きな数字になると思います。ちょっとその点は訂正させていただきたいと思います。  地域振興券を二度、三度やるべきかどうかについては、これは慎重に検討すべき問題だと思います。今、これは一回でございますから、アイデアもいろいろ出ますし、お祭り効果もあります。むしろそういう点については、各市町村が独自に次のイベントを考えていただきまして、国に頼らず、地域の問題としてアイデアを出していただき、盛り上げていただくというのが、やはり地方分権の本筋ではないかなと考えております。
  75. 青山二三

    ○青山(二)委員 地域ではこれに刺激されまして随分やっておりまして、効果も出ているようでございます。  加藤寛政府税制調査会会長がこのようなことをおっしゃっておりますね。私は最初から商品券構想を世紀の快挙と賛成しました、今のような時期には奇想天外な政策こそやるべきだからです、惜しむらくは、七千億円と規模が縮小したこと、四兆円は欲しい、景気回復の呼び水には十分なる、額をふやして、二弾、三弾を早急に検討すべきです、こうおっしゃっておりますが、この言葉に対してどのように長官はお考えでしょうか。
  76. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 加藤寛先生は、税制調査会長でもあり、私の大変尊敬する先輩でございます。先生のお考えとして、真摯な気持ちでそうおっしゃったと受け取っております。
  77. 青山二三

    ○青山(二)委員 同感とかいうことを御答弁でいただきたかったわけでございますが、何か長官の御答弁には、同感するところがある、このように私は受けとめさせていただきました。  時間も少なくなりました。たくさん質問を用意いたしましたけれども、最後に、二兆円の戻し税についてお伺いをしたいと思います。  消費者の心理を好転させるという点でもう一つ大切なことは、中低所得層の潜在的な消費を掘り起こす、こういうことが大変重要でございますけれども、今回減税があると申しましても、年収七百九十三万円以下の所得の人には全く恩恵が及ばないどころか、前年よりも税が重くなってしまうわけです。これらの層が六割から七割で、ほとんどの人々がここに当てはまりまして、消費ということを考えますと、これではまた冷え込むのではないかと心配をしているわけでございます。したがいまして、やはり税負担が重くなってしまう世帯については、最大影響力を少なくするよう配慮をすべきであると思います。  この点につきまして、我が党は、低中所得者層の負担を軽減して消費喚起を促すために、二兆円の戻し税ということで主張をいたしておりますけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  78. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 平成十年度におきましては、緊急やむを得ないということで、四兆円の定額減税をいたしました。一定の金額までを全部返すということをやりました。その結果、個人所得税の最低課税限度額が四百九十一万七千円、これは夫婦と子供二人の標準家族の場合でございますが、それぐらいまで上がってしまいました。従来の形といいますか、特別減税を除いた本来の日本の姿では三百六十一万円でございます。三百六十一万円でも諸外国に比べると非常に高い最低課税限度でございまして、イギリスは百万少々、アメリカは二百四十万ぐらいでございまして、日本だけが飛び切り高いんですね。それをさらに四百九十一万七千まで引き上げました。  その体系がいいか悪いか。所得税というものはやはりそれ相応に、四百万円台も所得のある方は社会からいろいろと貢献もし恩恵も受けておられるわけですから、それ相応の負担をしていただくのが正しいんじゃないか。そうでなければ、二百万、三百万、本来課税すべきでない人と四百九十万も所得がある人とが一律に無税というのは、縦の問題としてもやはり不公平ではないか、こういう考え方を持っております。  それで、もとに戻りまして、去年の平成十年の特別減税はないものとして、もとの平成九年以来続いているものと比べて、平成十一年度の減税、税体系はいかにあるべきか、ここで四兆円減税するとすればどうすればいいかというので今度の定率減税というのができたわけでございまして、これにいささか教育年齢の人々の減税等がありますから、幾らか最低限も上がっておりますが、大体二〇%ずつ引き下げるという形にいたしまして、これを恒久的な減税ということで、これからも続けていくから安心してお使いいただけるように、こういう仕掛けになったわけです。  委員御指摘の戻し税でございますが、この三百六十一万円と四百九十一万七千円の間の方々が、前年に比べれば、特別減税のあった年に比べれば増税になるから、これに対して何らかの措置をした方がいいということがございますけれども、それをやりますと、特別減税というものが、実は特別でなくて一つのあり方として認めることになりまして、日本の税制を将来ゆがめていくのではないか、こういうような問題がございます。やはり、できるだけ大勢の人々が少しでも国の財政貢献をしていくということの方が日本国民として正しいんじゃないか。金額としてはそれほど大きなものではございませんけれども、人数は非常に多いのでございますが、そう考えます。  もう一つ重要なことは、景気対策としてどうかということでございます。景気対策では、低所得者の方に減税をした方が、皆さんお金をお使いになって、高額所得者に減税するよりいいというふうに言われてきたわけです。そういう学説もございました。ところが、最近になりまして、低額所得者の消費性向がだんだん落ちてまいりまして、特に限界消費性向という、ことしよりも一万円ふえたら、その一万円のうちで幾ら使うかという限界消費性向を見ると、低額所得者の貯蓄率もかなり高くなっています。  問題の三百六十一万円から四百九十一万円、この四百万円台の方というのは、所得の第三階層ぐらいになりまして、一番貯蓄率が高いんですね。余りお金を使わない。逆に、第四階層と言われる、ちょうどお子様が高校、大学に行かれるところの方がお苦しいようでございまして、比較的限界消費性向が高い。  そういうような、日本の所得というのは、所得の高い人はいい待遇、いい地位にいて、ずっと高いじゃなしに、年齢によって変わるわけですから、そういうことを考えますと、やはり、現在政府が行っている定率減税の方が恒久的な体制としてはいいんじゃないか、だから、ここでちょっと戻し税をやるということには私は賛成いたしかねるという立場でございます。
  79. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変懇切丁寧に長い御答弁をいただきまして、質問をたくさん残してしまいましたけれども、次回に回すこととして、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。  大変ありがとうございました。
  80. 河上覃雄

    河上委員長 藤田スミ君。
  81. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 日本共産党の藤田スミでございます。  大臣、大変御答弁が御丁寧で結構なんですが、私の時間は二十分しかございませんので、あらかじめ御協力をお願いしておきたいと思います。  私は、消費者契約法について質問をいたします。この問題は、昨年の五月、当委員会でも取り上げました。当時、尾身長官は、通常国会、つまり今度のこの国会のことを指しておられますが、この国会の成立に向けて努力をするというふうに約束をされたわけであります。  改めて言うまでもありませんが、消費者契約適正化のために民事ルールを確立するということは、欧米諸国などでは既にもう整備されてきているところであります。この点では、高度に経済発展を遂げた我が国でいまだに立法化されていないということは、私は、やはり消費者保護政策が大変おくれていることのあらわれではないかと言わざるを得ないわけでございます。  そこで質問ですが、なぜ今国会の提出を先送りせざるを得なかったのか、お聞かせをいただきたいこと。契約にかかわる消費者被害を防止し、迅速な問題解決を図り、消費者権利を確保するために、契約法の制定は緊急の課題だと私は思っておりますが、大臣のお考えもお聞かせいただきたいと思います。
  82. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 消費者契約法は大変重要な法律と考えております。現在我々が検討しております消費者契約法ほど完備したものを持っている国は、世界じゅうにございません。いろいろと部分的なものはございますが、契約と解除と両方をとった法体系を持っている国は、実はございません。法理論とか判定とか、いろいろ部分的なものでやっております。  私どもの方で、国民生活審議会の消費者政策部会の報告に基づいてこの案を今国会に提出すべく、前任者並びに私も努力をいたしました。そして、二十八業種、五十一の団体から意見を聴取するなど、いろいろな努力をいたしました。ところが、なお詰め切れない問題がたくさん出てまいりました。  その一つは、記載すべきまたは告知すべき重要事項とは何かという問題でございます。それから、不当条項とは何かという問題です。それから、対象範囲をどうするか。例えば、消費者というのは自然人に限るのか、それとも団体あるいは消費者集団等も含めるのか、あるいはその対象範囲に宗教団体、国立学校、そういうようなものも含めるのか、そういうような問題が出てまいりまして、条文化するのに非常に難しい問題が発見されてまいりました。  その影響をいろいろと考えまして、これから鋭意それらの問題を詰めて、世界に冠たる消費者契約法をつくり、できるだけ早く、できますれば次の通常国会には提出させていただきたいということで、今鋭意準備を進めているところでございます。
  83. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 各国の置かれた状況を反映して、いろいろな特徴があることはあるのですが、消費者契約適正化を図るための民事ルールは整備されてきているというような、私が何も勝手に言っているのではなしに、国民生活審議会消費者政策部会の報告を見てもそのように書いておりますので、一言だけ申し上げておきたいと思います。  ところで、そういうふうにいろいろおっしゃるわけですが、今、消費者の中ではどういうふうな懸念を持って言われているかというと、これはもう業界の反発が非常に強くて、それが法制化をおくらせ、結局契約法は骨抜きにされてしまうのではないかということが懸念されているわけであります。  それは実際、国民生活審議会消費者契約適正化委員会が、昨年三月から八月にかけてずっと各界からの意見聴取を行っております。そこでは、四十九の業界団体の代表が意見を述べ、また、経済界から政府に対して要望書なども出されているわけです。  しかし、その内容は、消費者自己責任確率の視点が弱く、事業者消費者の役割と責任の範囲が明確でない。これは経団連が言われたわけですが、そういうようなことで、その大半が消費者契約法制定そのものに疑義を唱えるとか、あるいは業界の特性や業法の規制があることを理由にして、業界ごと法の適用から除外するように求めるというようなものであるわけでありますので、これは、要するに業界の反発が強く、したがって、法制定がおくれ、骨抜きの心配が出てきたというふうに心配の声が出るのは私は当然のことじゃないか。  しかし、今大事なことは、早期成立を求める多くの消費者団体や消費者被害の救済にかかわってこられた全国消費生活相談員協会や弁護士会の皆さんの声、その声こそ尊重して、本当にもう次の国会のときには、また次の国会というような御答弁にならないように、もう一度決意のほどを聞かせていただきたいと思います。
  84. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 業界の関係でこの問題にたじろいだことは一度もございません。業界の方で反対の意見あるいは慎重論をお出しになったところもございますけれども、私の方でそれを考慮して法案提出を延ばしたことはございません。  むしろ問題なのは、業界の方で、この法律に対して、いまだにほとんど内容について関心を持っておられないところもあります。例えば国立学校や宗教法人がその最たるものでございますが、こういうところにもやはり御意見を伺って、どういうふうな処置をするか、これからやっていかなきゃいけないと思っております。  私どもといたしましては、できるだけ広範な、個別の業界法では抜け落ちてしまう部分も含めた広範な消費者契約法をつくりたいと考えております。  それから、もう一つの問題といたしましては、今、金融問題、これはビッグバンで非常に変わっております。また、電気通信関係、電子マネーの問題、そういうものは急速に変わっております。それから放送関係のCS、そういうような点の変化もございますし、無店舗販売その他もございます。  私どもの観点は、この法案は、単に消費者を保護するだけではなしに、新しい業態に基準を与えることによって消費者に安心してもらって、新業種、新業態がどんどん出て、世の中が進歩する、そういう観点でこれはぜひ必要な法律だ、自由化に対してこれはぜひ必要な法律だということで考えておりますので、業界の反対でたじろぐことはございません。(藤田(ス)委員「次の国会は提出」と呼ぶ)ええ、次の国会は提出するように最大限の努力をしたいと思っております。
  85. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 金融ビッグバンのもとでこのまま放置していたら、本当に、それこそもう難破船に乗った人が救命具もつけないで荒海にほうり出されるような状態になるよという警告ももう出ております。私は、もうこれ以上、この問題を言いませんけれども、今度の通常国会のときに同じ質問が出てくるというようなことは許されないことだということを申し上げて、移りたいと思います。  消費者契約法の問題とあわせて、国民生活センターや消費生活センターについてお伺いをしたいわけであります。  もう大臣、御承知だと思いますが、消費生活センターに寄せられる苦情相談件数がこの十年間に二倍近くにふえています。その相談内容も複雑多岐にわたっている現状。さらに言えば、消費者契約法で確立されるルールを活用してその実効性を上げていくためにも、今求められているのは、消費生活センターをふやし、質的にも強化すべきだという問題であります。  一九六八年に制定されました消費者保護基本法を契機に、各地に消費生活センターがつくられてまいりました。しかし、あれからもう三十年ですが、現在、三千二百三十二の自治体の中で消費生活センターの設置数は三百三十五ですから、単純に言えば一一%の整備率ということになるわけです。  年間十六万件近くもそういう苦情相談を受けるこのセンターが、消費者にとってどういう存在になっているか。いよいよ消費者情報を掌握し、それをまた公開していかなければならない重要な役割を担っているということは、もう言うまでもありません。まして、さっきも言いましたように、規制緩和を進める一方で消費者自己責任というものを促していくならば、消費生活センターの存在というのは非常に重要だというふうに私は考えますが、大臣はいかがですか。
  86. 金子孝文

    ○金子政府委員 おっしゃるとおり、消費者契約法制定しようということになっていますし、それから、自己責任が非常に重要だということになっていますから、消費者情報提供、啓発、さらには苦情相談というのは非常に重要なことだと思っております。  それで、御承知のように、消費生活センターは現在三百三十五カ所、かなり広がってきているわけですけれども、さらに、複雑多様な問題を消費者の身近なところで適正に処理するということが非常に重要でありますので、市町村レベルにおける消費生活センターの体制整備ということを図っていくことは非常に重要な課題ではないか、こう考えている次第です。
  87. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私と認識が一致いたしました。  私はここに、中学校の教科書の写しを持っておりますけれども、近年、消費者問題でいろいろ事が起こってきているということを子供たちに紹介しながら、もし自分の力だけで解決できないと思ったら、国民生活センターや各地の消費生活センターにすぐ相談するようにしましょう、子供たちにそういうふうに教えているわけであります。大変結構なことなんですが、実情は今お聞きいただいたとおりであります。  しかも、今、地方自治体は、御承知のように非常に財政難だということで、その中で行われる行政の統廃合の対象にこういう消費生活センターや相談窓口がずっとされてきているということで、関係者が大変心配をしているわけであります。  私は、経企庁が今、市町村とのかかわりで直接的にそれを助成したりしている存在ではないということを知っていますが、同時に、一定の交付金というものも支給しているわけであります。まして、一九六八年以来、消費生活センターそのものをつくっていくために大変積極的な推進力としての役割を果たしてこられたわけでありますから、こうした縮小の方向に歯どめをかけて、せめて市とつく町だけでも設置をしていき、そしてその縮小に歯どめをかけるべくひとつ御尽力をいただきたい。  これは、長官に一言お願いをしたいわけであります。
  88. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 消費者行政自由化とともにますます重要になってまいりますし、事後チェック方式、既にできておりますPL法、あるいは消費者契約法等を考えますと、極めて重要なものでございます。  そういったことで、賢い消費者情報のある消費者をつくるためにいろいろな手段が必要と思いますが、この消費者センターも非常に重要なものと考えております。今後とも、その充実、それから消費者関係の職員の待遇の改善、知識の向上等にも努力したいと思います。
  89. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 消費生活相談員の待遇の改善の問題にまで触れていただきまして、大変ありがたいのですが、私もその問題について少し、最後にお聞きをしておきたいというふうに考えているわけです。  私、今回、全国消費生活相談員協会の調査を見て本当に驚きました。相談員の雇用というのは、一年契約で、そして、契約更新を繰り返している自治体が、実に八二%までそうなんです。だけれども、その中では、一年じゃ仕事にならないということで、二年、三年というふうに契約の年数をふやすという傾向も一部で出てきているということは、それがやはり大事なことだというふうにはなってきている部分もあるわけでありますが、いずれにしても、消費者相談が大変複雑化し多様化する中で、いよいよ専門性が求められているこの相談員の資質の向上と力量が要求されている時代に、こういう雇用実態では本当に大変だと。  私は、その点で大臣が評価されたように、その消費生活相談員の果たす役割、この評価をきちっとあらわれるように、この際、こういう消費生活相談員の雇用実態というものを調査していただき、そして、相談員の皆さんが本当にやりがいのある雇用環境になっていけるようにバックアップをしていただきたい。つまり、もっと端的に言えば、相談員の雇用形態の見直しのために御尽力をいただきたいということをお願いしたいわけでございますが、御答弁を求めたいと思います。
  90. 金子孝文

    ○金子政府委員 お答えいたします。  相談員の処遇につきましては、これは各自治体が自主的に決める事項であるということが基本だと思います。私どもとしては、その相談員の雇用がどういう実態になっているのかという把握をいたしまして、相談員の働きやすい環境が実現するよう努力してまいりたい、こう考えています。  ただ、経済企画庁としては、先ほどおっしゃったように、非常に相談の内容が複雑化、多様化していますから、その相談員の知識、能力、求められるものは非常に高まっています。そういう面で、私どもとしては、国民生活センターを通じて、相談業務に関する最新情報提供、あるいは研修講座の充実等によって、相談員の能力、資質の向上にこれまでも努めてきたわけでありますけれども、それを一層充実してまいりたい、こう考えている次第です。
  91. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私の時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、経企庁は一九九一年にこの消費生活相談員の専門相談員としての資格制度を創設されて、そうしてずっと、もっと社会的地位というのですか、その地位も確保できるような手だても講じてこられたわけです。だから、直接的な関係はともかくとして、ひとつ大臣、一肌脱いで、調査もするとおっしゃっておいでですので、八〇%を上回る人が一年契約で低い報酬でくるくる回されるという状態を改善するためにお力添えをいただきたいということをお願いを申し上げ、一言だけ、そうしますと言ってくださいませんか。
  92. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 できるだけ尽力させていただきます。
  93. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 どうもありがとうございます。
  94. 河上覃雄

    河上委員長 中川智子君。
  95. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  ただいまの藤田委員の半分の質問時間でございますので、そこのところをお含み願って、簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。  まず、長官に伺いたいのですけれども、本当にこれだけの不況時代の中で、ここ数年、決算期ごとに史上最高の経常利益を上げている業界が幾つかございますが、私がきょう聞きたいその業界というのはどこであるとお思いでしょう。お願いします。
  96. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御通告をいただいておりますので大体わかりますが、消費者金融だと思います。
  97. 中川智子

    ○中川(智)委員 ピンポーンというお答えを差し上げたいと思います。  そこで、いわゆる多重債務問題というのは、今やもう我が国の大きな社会問題になっております。  最高裁の調べでは、昨年の個人の自己破産申し立て件数は過去最高の十万三千八百三件に達しました。そして、長期化、深刻化する経済不況影響を受けて、不況型、生活苦型の自己破産が急増しているというのが最近の状況でございます。  実は、私の知り合いも、家族五人、いまだにどこでどう生きているかわからない。この寒い冬になりますと、あの人たちはどこでどうしているんだろうと。本当にまじめに、小さな建設会社をしておりまして、一生懸命、人々のためにいい仕事をと頑張ってまいりました。しかし、この不況の中で注文が来ない。でも、従業員にお給料を払わなければいけない。そして、高金利のところでお金を借りまして、それで夜逃げです。まさしく夜逃げ。生きているのかどうか、そのことさえもわからない。そのような状況になっています。  現在、いわゆる自己破産は十万件に達したといいましても、実際に存在する多重債務者というのは百五十万人から二百万人と言われています。ですから、表に出ている数字は本当に氷山の一角だと考えるわけなんですが、多重債務者の多くは、自己破産の知識とか弁護士会であるとか相談機関に関する情報がないために、一体、今この状況をどうすればいいのか、どこに相談に行けばいいのか、また人目を忍んで生きている、住民票も持っていないという、そのような状況の中で生活している人が多いわけですので、また債権者の督促とか取り立てを恐れて、どういうふうに今の状況を突破したらいいかわからないという状況にあります。  ドイツなんかでは、各連邦ごとに三百カ所ぐらいの相談業務をするところがありますが、実際、長官が今そのような浪々の身になって相談をしに行くところはどこでしょう。日本の場合はきっちりそれがあるのかどうかということをまず一点伺いたいのと、そのような多重債務者の実態調査というのをおやりになったことがあるのかどうか、お伺いします。
  98. 金子孝文

    ○金子政府委員 お答えいたします。  どこに行くかということになりますと、先ほど御説明しましたように、消費生活センター、それがかなり全国にありますし、それから国民生活センターもあるということで、いろいろなチャネルがあると思いますけれども、身近なところとしてはそういうところが考えられるんじゃないかと思います。  それで、現に国民生活センターとしても、この多重債務問題は非常に重要な問題であるということで、これまでも多重債務に関する研修員の研修、さらにはいろいろな広報もしております。  それで、その国民生活センターでは、多重債務に関する特別調査というものを現在やっていまして、ことしの三月に公表される予定ということになっております。
  99. 中川智子

    ○中川(智)委員 大臣、今の私の質問の中で、やはり今のお答えではもう全然不満足でございまして、では、どうしてこんなにふえるのか。ホームレスも何倍にもふえております。この状況をきっちりと把握して、相談窓口をもっと身近なところ、そして、それに対する情報というのを知らせるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  100. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 多重債務問題につきましては、本人がなかなかしゃべらないという一つの問題点がございますが、それを、プライバシーを完全に守って相談していただける身近な人というのが確かに少ないことは事実でございます。  本来でございますと、これは弁護士の仕事だろうと思うのですが、我が国は、弁護士が非常に少ないし、一般の方々が弁護士をお使いになるという習慣がございません。そういう意味でございますと、やはり生活センター、消費者センターなどを活用していただくのも一つの方法だと思います。  この多重債務問題は、その人々によりまして、私の知り合いでもそういうことがございましたし、また同僚、部下でもそういう事件が起こったんでございますが、最後の最後になるまで本人が言ってくれないというところに問題がございました。そういう点も含めて、プライバシーを守りつつ相談できるような相手というのがどこにどのように存在するか、これを広げていくことは大変重要な問題だと考えておりますけれども、これからどんな方法が最善であるか、よく考えたいと思います。
  101. 中川智子

    ○中川(智)委員 いわゆる不況のあおりを受けて、銀行の救済措置はきっちりと税金でやられていて、個人のいわゆる中小零細企業の経営者、また、個人の破産に対して救いの手がきっちり伸べられないという今の法整備の落ちこぼれた部分というのが、私は大きな原因だと思います。  経済的な構造をしっかりと考慮した総合的な対策が必要だと思うのですが、公定歩合が世界的にも歴史的にも今最低の〇・五という中で、大手サラ金業者の貸出金利というのは、今、年利で二五%から二九%。そのように、実に数百倍、クレジット、サラ金業者の貸出金利というのは銀行の普通預金金利の数百倍という状況になっていますので、具体的に多重債務者を発生させる経済的、構造的要因を十分に考慮した対策が必要だ、求められている。そうでないと、もっともっと膨大に今のこの状況が膨れ上がっていく。  きょうの堺屋長官のこの所信の中で、「高齢者失敗者」と書かれていました。失敗者ということがこの人たちを指すのだと私は思いまして、本当にぞっといたしましたが、この「失敗者にも新たな挑戦の機会のあることが重要です。」と書かれています。それに対しての施策というのは、私は本当に今ないと思いますが、的確に、手短に答弁をお願いします。
  102. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 これは、法制度の問題、自己破産制度の問題、その他、非常に複雑な問題が絡んでおりまして、多重債務者はもう千差万別でございます。お家を移られた方、行方不明になられた方、離婚された方、いろいろ千差万別でございまして、一概に言えませんが、法整備として、破産法その他の問題が重要なポイントかと思います。そういう点については、法務省とも一度相談してみたいと思います。
  103. 中川智子

    ○中川(智)委員 私は、個人のモラルとかそういうのをもう超えて、今、借金に借金を重ねて、そして金利で雪だるま式にふえて生活が破綻していく。これは、今の社会構造経済のゆがみの中で、最も悲惨な状況であらわれている。自分の子供に母親がお弁当を盗ませて、そして夕食を確保してきなさいとかという新聞がもうあちこちで、本当に胸が痛む思いで見ております。それはやはり、今の経済状況が弱い者に弱い者に向かっている、その中での救う手だてがない、相談していくにも相談場所がない、このことが原因だと思っております。  また、三つ目の質問ですが、このクレジット、サラ金業者の大半は、利息制限法の制限利息を全く守っていません。というのは、利息制限法には罰則がない。そこが大きな原因だと思いますので、利息制限法の制限利息や賠償額予定の制限の見直しというのを具体的に検討されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。できれば長官に。
  104. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 その問題は、経済企画庁だけではなしに、通産省、大蔵省とも協議する必要があると思いますので、鋭意、できるだけ早い機会にそういう機会を持ちたいと思います。
  105. 中川智子

    ○中川(智)委員 時間が終わりました。鋭意、できるだけ早い時間の中でというふうにおっしゃっていただきました。ぜひともお願いしたいと思います。  ますますやはりふえていく。そして、失敗者ということではなくて、だれがこの失敗者を生み出したかということに対して、私たちはしっかりと考えていかなければいけないと思いますし、長官のお力が発揮できると思いますので、期待申し上げて質問を終わります。  ありがとうございました。
  106. 河上覃雄

    河上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四分散会