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1999-05-18 第145回国会 衆議院 商工委員会環境委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十八日(火曜日)     午前九時二分開議  出席委員   商工委員会    委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君    理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君       岡部 英男君    奥谷  通君       木村 隆秀君    河本 三郎君       新藤 義孝君    竹本 直一君       武部  勤君    中尾 栄一君       牧野 隆守君    村田敬次郎君       山口 泰明君    山本 幸三君       奥田  建君    島津 尚純君       樽床 伸二君    中山 義活君       渡辺  周君    大野由利子君       中野  清君    青山  丘君       金子 満広君    吉井 英勝君       前島 秀行君   環境委員会    委員長 北橋 健治君    理事 鈴木 恒夫君 理事 福永 信彦君    理事 米田 建三君 理事 小林  守君    理事 佐藤謙一郎君 理事 田端 正広君    理事 武山百合子君       岩下 栄一君    尾身 幸次君       大野 松茂君    桜井 郁三君       村上誠一郎君    山本 公一君       近藤 昭一君    西  博義君       丸谷 佳織君    藤木 洋子君       中川 智子君    武村 正義君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         通商産業省基礎         産業局長    河野 博文君  委員外出席者         議     員 小林  守君         議     員 佐藤謙一郎君         農林水産大臣官         房審議官    大森 昭彦君         商工委員会専門         員       野田浩一郎君         環境委員会専門         員       鳥越 善弘君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定化学物質野環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案内閣提出第八八号)  特定化学物質排出量等公開等に関する法律案佐藤謙一郎君外四名提出衆法第一六号)      ————◇—————
  2. 古賀正浩

    古賀委員長 これより商工委員会環境委員会連合審査会を開会いたします。  内閣提出特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案並び佐藤謙一郎君外四名提出特定化学物質排出量等公開等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田建君。
  3. 奥田建

    奥田(建)委員 民主党奥田建でございます。  ただいま議題になりました、政府提出の閣法であります特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案、並びに、対案として出ております民主党提出特定化学物質排出量等公開等に関する法律案について質問をさせていただきます。  まず、政府案の方も、OECD勧告あるいは先進国等の動向に準ずるという形で、一つの、パイロット事業など準備期間を通して、今国会に法案提出されましたことを評価いたしたいと思う次第でございます。  私も、PRTRという名前は年が明けるまでは余り耳にすることなく、どちらかというと認識不足の男でございましたけれども、この法案提出とともに大変勉強をさせていただいたなというのが実感でございます。  今の法案自体も、特定化学物質を製造するあるいは取り扱うという事業者に対しての排出あるいは廃棄物移動といった報告義務を求める法であるということはだれもが理解できる部分かと思いますけれども、まだ確定していない政令部分が大変多い。そして、その政令部分に大変重要な要素が含まれているといったところで、政令実施状況あるいはその後の利用、活用といった部分で、まだまだ未知の部分といいますか、はっきりと把握し切れない部分が多い。あるいはこの法が施行されることによってどのような実効性を持つのかという部分でとらえ切れない部分があるのかなと思っております。  今回の法案の中で、対案としても出ておりますけれども、一番論点が多い部分は、目的部分、あるいは審議会部分化学品審議会あるいは中央審議会といった中での議論。  目的が、事業者による自主的な管理改善促進する、なおかつ環境保全上の支障未然防止を図るという政府案に対して、民主党案では、環境への排出量把握及び公表に関する措置を講ずることにより排出量削減を図るとしております。また、化学品審議会の方では、特定化学物質安全管理指針の延長と考えていると私には受け取れますし、環境庁の方の中央審議会の方では、環境負荷を考えるための環境情報公開法としてとらえているように思われます。  そういったずれといいますか、溝というものがはっきりと埋め尽くされないまま法案提出されているような感触を受ける次第でございます。  まず、環境庁長官にお尋ねしたいと思います。  民主党案の方では、情報公開というものを最重要視しておるということになりますけれども改革あるいは改善といった道をたどるときに、ほかの分野政治資金分野、あるいは行政情報公開、あるいは昨年ありました金融問題といった中でも、情報公開というものが、改革改善に対して、余りお金や規制といったものでない中で改善を図る力となり、また早道であると私は考えますけれども環境庁長官情報公開というものについてどのような御認識をお持ちでしょうか。
  4. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 一九九六年にOECDからの勧告を受けまして、ようやくにして我が国でもPRTR法案化が現実視されてまいったわけであります。ここで、この法案問題点は、先進国等々の法の運用なんかを取り入れまして、できるだけ完全なものにしていかなきゃならないと思って、通産省初め関係省庁と連絡を密にしながら、今日この法案提出に至ったわけであります。  そこで、考えられますことは、やはり先生が御指摘のように情報公開を徹底してやっていかなきゃならない、そしてそのことによってリスク管理を十分になしていくということが大きな目的だ、こう思っておるわけであります。それがためにいろいろな対策を講じていかなきゃならないわけでありますけれども、今、試行錯誤しながら今日に至ったということでございまして、これが今、関係省庁から考える最善のものである、こう考えておりますけれども、なお多くの先生方の御意見をいただきながらこの法案を完全なものにしていかなきゃならない、こう考えておる次第であります。  そこで、これは言うに及びませんけれども、本法では、排出量移動量集計情報公表とか、個別事業所データ請求開示とか、データベースの整備と提供、事業者による化学物質管理状況に関する国民理解増進、国、地方公共団体による化学物質排出状況等に関する国民理解増進を規定して、情報が十分活用されるよう配慮したものとなっておるわけであります。
  5. 奥田建

    奥田(建)委員 情報公開の方も、政府案にしましても全くないわけではございませんし、最初の提出のころから見ればかなりの柔軟性を持って対応しておるということはわかるかと思いますけれども社会といいますか、民主主義自体も、公開できる情報あるいは資料といったものがより多いということがバロメーターと申しますか、オープンにできる、透明にできるといった分野の大きい社会がやはり成熟した社会と考えられるかと思います。ぜひとも、より公開できる部分、あるいは隠すべき部分というものが少ない、そういった法の運用ができればと願う次第でございます。  続きまして、通産大臣の方にお尋ねしたいと思います。  政府案では、PRTR制度の方については、所管自身環境庁そして通産省共同運用ということになっております。できるだけシンプルな法律である方が、あるいは運用である方が法にかかわる人たちもわかりやすいという基本的なこともありますけれども、なぜ一本化できないまま共同運用という形になっているのか。また、こういった法の運営上、二人の統括大臣がいるといいますか、関係大臣がいるということで問題は考えられないのか。あるいは、ちょっと私の勉強不足もございますけれども、既存の法律の中で、複数大臣あるいは省庁が運営する法律というものがありましたら御提示していただければと思います。
  6. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まず、現在政府が扱っている問題、たくさん見てみますと、そういう問題の中には、一つの省の範囲の中にはおさまらない問題が数多く出てきておるということは先生よく御存じのことだと思います。  化学物質による環境保全上の支障未然に防止するためには、多種の対象化学物質の多様な製造使用実態に合わせて、創意工夫しながら化学物質管理を行うということが求められているわけでございます。本法案におけるPRTR制度も、環境保全及び化学物質管理観点から、それぞれ環境庁及び通商産業省制度全体について責任を持ち、また、その他の各省庁法律で規定されている役割ごと責任を果たしながら、PRTR制度政府全体で取り組むこととしております。  なお、ほかの法律においても、例えばオゾン層保護法、これは特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律という長い名前ですが、オゾン層保護法で、環境庁及び通商産業省が、おのおの地球環境保全及び化学物質管理観点から共同施行をしております。  また、リサイクル法、これは正式の名前再生資源利用促進に関する法律、この法律では、環境庁通商産業省建設省農林水産省厚生省、運輸省といった省庁が、共同施行を行っております。
  7. 奥田建

    奥田(建)委員 民主党対案の方では環境庁長官所管大臣とすると述べられておりますけれども民主党の方の法案提出に関して、所管といったことについて述べることがあれば教えていただきたいと思います。
  8. 小林守

    小林(守)議員 お答えいたします。  民主党案では環境庁所管官庁とするということになっておりますけれども、なぜそのような趣旨かというようなことかと思います。  そもそも、このPRTR制度というのは、環境汚染物質移動排出量等公開することによって、住民と事業者などがリスクコミュニケーションを行って、環境汚染物質削減が行われることになるということが制度趣旨であります。したがいまして、環境汚染物質についての把握環境汚染物質削減という視点からなされるべきものであり、このような権限は環境所管する省庁に行わせることが制度趣旨に適当である、このように民主党は考えました。  また、アメリカやヨーロッパの制度を見ましても、PRTR所管環境省あるいは環境問題を担当する省庁が一括して担当しておりまして、政府案のように共管という形については縦割り行政の弊害をもたらすのではないか、我々はこのように考えました。このような例は、諸外国では見た例がございません。  したがいまして、民主党といたしましては、制度趣旨及び諸外国の例から考えて所管官庁環境庁としたところであり、これが世界の常識である、このように考えております。
  9. 奥田建

    奥田(建)委員 政府全体として取り組むということにもちろん異論はございませんけれども中央省庁再編の方でも環境省といったものが提示されておる次第でございます。ぜひとも、これから大きな仕事を担うであろう環境行政の一本立ちと申しますか、こういった責任をまた新たにしていただきたいと願う次第でございます。  次に、PRTR制度対象となります対象物質選定、そして審議会といったものの役割についてお聞かせいただきたいと思います。  通産大臣にお尋ねしたいのですが、対象物質選定の際、あらかじめ関係審議会意見を聞くと政府案には書かれております。前日の質疑の中でも、関係審議会とはどういった審議会をいうのかという中で、中央環境審議会、そして化学品審議会生活環境審議会環境衛生審議会ですか、環境庁通産省そして厚生省所管審議会での意見を聞くという答弁がございましたけれども、こういった答弁とともに、審議会意見を取りまとめるに当たりましてパブリックコメントを求めるという環境庁長官の御答弁もございました。  通産大臣の方も同じように、一般の方からも、そういった審議会開催といいますか対象物質選定の際には、こういったパブリックコメントを求めるということについては異論がないかどうか、お聞かせください。
  10. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 対象物質を定める際に、幅広く国民の御意見を伺うということは極めて重要であると私ども認識をしております。  対象物質を定める政令の立案に際しては、あらかじめ審議会にお諮りすることが法の第十八条に規定をされております。また、本年三月二十三日に閣議決定をされましたパブリックコメント手続に従って、広く国民、NGO、産業界学識経験者等意見を聞くこととしております。
  11. 奥田建

    奥田(建)委員 同じくパブリックコメントにつきまして、環境庁長官にお尋ねしたいと思います。  こういった場で求められました国民意見といったものは、そういった物質選定の際にどの程度反映されるということになるのか。はっきりとしたお答えはできないかもしれませんけれども参考意見程度という考え方になるのか、また、意見によりましては大変重要な判定要素といいますか、選定要素として取り上げ得る可能性はあるかということについて、お答えいただきたいと思います。
  12. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 ただいま通産大臣からも御発言がございましたように、三月二十三日に、規制設定または改廃に係る意見提出手続、いわゆるパブリックコメントに関する閣議決定が行われたわけでありますが、この閣議決定に従いまして、対象物質選定する際には政令案公表し、提出された国民からの意見情報を考慮して意思決定を行うこととしております。  なお、この際には、国民意見等に対する環境庁等考え方を取りまとめまして、提出された意見等とあわせて公表することといたしております。
  13. 奥田建

    奥田(建)委員 続きまして、また環境庁長官にお尋ねしたいと思います。  先日の質疑の中にも一つございましたけれども、こういった対象物質選定の際、関係審議会意見調整という中で、この三審議会意見集約、あるいは見解が違う場合の調整といったものはどのように行われるのか。  また、そういった選定の場といいますのは、どのような公開の形、審議会ですから議事録は当然提示されると思いますけれども、そういった審議自体が見える形になるのかということについて、お答えいただきたいと思います。
  14. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 対象物質選定に当たりましては、意見を聞く審議会に、環境庁といたしましては中央環境審議会、そしてまた厚生省にいたしましては生活環境審議会、及び通産省には化学品審議会ということを予定いたしておるわけであります。そして、審議会のおのおのの分野の専門的な科学的知見に基づいて、これは公開審議がなされることによって、最も適切な結論が得られると考えておるわけであります。  仮に、科学的見解に差が存在しても、合同審議会開催いたしまして検討を行う等、より調整を図ることができると考えておるわけでありまして、二重の網をかけた対策を講じていくことにいたしております。
  15. 奥田建

    奥田(建)委員 ただいま長官の方から、意見集約を図るために合同審議会も考え得るという御答弁がございましたけれども環境庁の方にお尋ねいたします。  一つ議題について多くの審議会があるというのは大変非合理であるということを私も述べたかったのでございますけれども、そういった合同審議会といった形での一元化した審議会、各審議会から代表者が来るのかあるいは全員が参加するのかということは別としまして、そういった形での開催審議会を持つということは十分可能なことかどうか、環境庁にお尋ねします。
  16. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま既に大臣から御答弁したとおりでありまして、審議会合同開催するということにつきましては、それらによりまして審議効率化やさまざまな科学的知見を一堂に会するといった効果もございまして、大臣から検討指示が既におりておりますので、関係省庁ともよく相談をしてまいりたいと考えております。
  17. 奥田建

    奥田(建)委員 対案を持ちます民主党の方で、同じ質問についてお答えすることはございますでしょうか。
  18. 小林守

    小林(守)議員 お答えいたします。  先ほどの所管官庁の一本化と同じような考え方に立ちまして、民主党は、政府案のように複数審議会で同じ議題を別々に議論することでは対象物質などについては少なくなってしまうのではないか、このように懸念をいたしております。間違いなくそういう現実になるのではないか、このように考えます。PRTR制度規制法ではないわけでありますから、有害性の疑いのある物質についても幅広く積極的に取り入れる必要がある、このように考えております。  民主党案におきましては、対象物質を定める際には、まず政府みずからの責任政令の案を作成することといたしております。これは責任主体を明確にするためであり、審議会審議を先行させた場合に審議会を隠れみのとして政府責任を回避するというようなことが起きないようにいたしまして、そして、政府がつくった原案を公告縦覧に付して国民から広く意見を募集した上で、その意見を踏まえた上で中央環境審議会において議論を行うこととしております。  このような手続を設けることで責任主体が明らかになり、国民意見も十分に反映できる制度としており、政府案よりも適切な手続を定めているものと考えております。
  19. 奥田建

    奥田(建)委員 続きまして、質問の内容の方が変わりまして、PRTR制度の方の対象事業者部分についての質問をいたしたいと思います。  これも、政令によって定めるという一言によって、どこの業者対象かという部分が、はっきりした部分とグレーの部分とございます。事業者の方にとりましても、自分たち報告義務を持つ業者なのか、あるいはすそ切りなどによって報告義務は持たない事業者あるいは業者であるのかといったことは、法の実施に伴い現実的な問題として出てくるかと思います。  私自身にしましても、化学物質に深くかかわる、製造する、あるいはそれを利用して製造業を営むといった業者の方が対象となるというのはわかりますけれども、非製造業者といった方々が、どの業者が入ってどこの業者が入らないといった判断が大変難しいのかなと思います。パイロット事業問題点でも、これからの検討事項として、そういった業者選定といったものが述べられております。  また、各省庁あるいは政府全体協力してといった言葉もございましたけれども、各省庁確認書といったものが事実存在しておりまして、それは、厚生省、農林省あるいは建設、運輸といった部分での、対象になる、ならないといった打ち合わせの確認書となるかと思いますけれども、そういったものが実際に存在しております。  こういったパイロット事業あるいは各省庁間のすり合わせの中で、大変判断が難しい業種、そういった業種というものを、環境庁の方に各所管省庁ごとに少し例示していただければと思います。
  20. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  政令で定める業種ということに二条の五項でなってございますので、すべてはこれからということになりますが、私ども、今先生が御指摘のように、パイロット事業経験をもとにどんなことを考えておるのかという観点から御説明申し上げます。  PRTR届け出義務がかかる対象業種としましては、化学物質を製造する事業所のほかに、原材料や洗浄処理剤等として対象物質を使用している製造業もありますし、サービス業もございます。そういう業であって、対象物質環境排出する可能性がある業種というのがまず考えられると思います。  それから、環境庁実施したパイロット事業におきましては、通産省所管各種製造業のほかに、厚生省所管洗濯業農林水産省所管食料品製造業建設省所管下水道業などを対象事業といたしたところでございます。  本法律に基づきます対象業種につきましては、このようなパイロット事業の結果及び経団連等PRTRに係る産業界自主的取り組み等の実績もございます。こうした情報を含めまして、対象物質の取り扱い、環境への排出等実態について再度精査した上で定めたいと考えております。
  21. 奥田建

    奥田(建)委員 また環境庁の方にお尋ねいたしますけれども、現在の法案の中では、事業者と同様に、政府関係機関あるいは地方自治体施設といったものがどこまで報告義務を持つことになるのかといったことが、やはりはっきりとは明示されておりません。そういった政府関係機関あるいは地方自治体施設といったものの中でPRTR報告義務を持つと考えられる施設、ございましたら、また業務ごとに例示していただきたいと思います。
  22. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  対象事業につきましては、政府関係機関公益団体民間事業者と同様に扱うというふうに考えてございます。  御質問の、公共関係について例を申せということでございますけれども、例えば、市町村の一般廃棄物処理施設下水道終末処理施設などが考えられると思っております。
  23. 奥田建

    奥田(建)委員 またこれも政令決定仮定条件となる質問で、はっきりと答えるのは大変難しいかもしれませんけれども環境庁の方にお尋ねしたいのですが、そういったパイロット事業の過程といったものを前提にしても結構ですが、PRTR報告義務を持つ事業者数の予測というものが現在において可能でしょうか。もし可能であれば、その数字といったものをお知らせいただきたいと思います。
  24. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  先日来御答弁申し上げておりますように、まだすそ切りライン等について明確に決めているわけではなくて、これから検討しなければならないことではございますが、現時点で想定してみろという御指示でございますので、私どもといたしましては、現在のところ、二万程度事業者を想定してございます。  これは先ほど申し上げましたように、本来、具体的には政令によりまして、対象業種の指定だとか対象事業者取扱量等に関する要件、先ほど申し上げたすそ切りというものの設定を待たなければならないわけでございますが、仮に二万というのはどうして想定してみたんだということについて申し上げれば、環境庁パイロット事業の例あるいは諸外国の例、産業界におけるPRTRに関する自主的取り組み状況等参考といたしまして、とりあえず事業者当たり従業員数で二十人程度事業所当たり年間取扱量で五トン程度ということを仮定して試算するとそういうことになるということで、そんな数字を現在想定した次第でございます。
  25. 奥田建

    奥田(建)委員 また、確認事項のような質問になりますけれども報告シートなどを見せていただきましても、報告を受け取る方は、割と一律化した情報ということで、それほど困難な業務というものはないかと思います。しかしながら、そういった排出量を数量化するといった中で、事業者の初期の負担負担といいますか、計算、計測といったものが大変難しい業務になってくるかと思います。  また、全国統一性を持ったルールに従って行うということで、マニュアルといったものが大変重要なものになり、また不可欠なものになるといったお話が参考人の方からもございましたけれども、また環境庁の方へ御質問させていただきますが、対象事業者選定あるいは物質選定、そしてマニュアル作成といったことにおいて、法施行までのタイムスケジュールといったものを示していただければと思います。
  26. 岡田康彦

    岡田政府委員 PRTR対象物質届け出義務がかかる対象業種などを定める政令は、これは附則の第一条にございますが、本法公布後九カ月以内に定めることとしているところでございまして、本法成立後、直ちに検討作業を開始する所存でございます。  一方、PRTR制度の本格的な施行は法公布後二年六カ月以内とされておりまして、できれば二〇〇一年の四月から施行したいと考えております。そのため、事業者における排出量等把握に必要なマニュアルは、対象物質対象事業者が定まり次第本格検討を進め、PRTR制度の本格施行が円滑に行われるよう可能な限り早く作成したいと考えております。
  27. 奥田建

    奥田(建)委員 可能な限りということでございましたけれども、ちょっと今、私ども民主党の方も大変こだわっている部分の中で、報告届け出先といったもの、そして報告の届け出内容といったものがございます。  届け出先が各業の所管大臣であるといった形に政府案の方はなっておりますけれども、その理由というものは、これまでの答弁の中では、統一ルール、そして迅速性、あるいは営業秘密にかかわる科学的な知見といったものを理由として述べられております。  今も申しましたけれども、いろいろな届け出あるいは計測といったものに関してマニュアルが必要であるということ。そして、営業秘密の分野に関しては、アメリカの例あるいはパイロット事業の例を見ましても、ほとんど無視とは当然申しませんけれども業務として地方自治体ができないというほどの量ではないと思っております。  自分たちといいますか、民主党の案のように各地方自治体を届け出先とするというときに、確かに科学的知見という観点から営業秘密といった判断は難しい場合があるかと思いますけれども、それにしましても、その部分だけを地方自治体あるいは国の方に照会すればいいかと思います。  あるいは、政府案にしましても、営業秘密として認めていただきたいというものに関して、環境庁あるいは通産省の方から各所管の官庁に対して、これは営業秘密と認められるだろうかということを、業務の周辺環境をよく知っているという理由のもとで照会するといった形はとれないのか。  もし営業秘密に関して一律的な判断を持つということであれば、その方が合理的であるかと思うのですが、その点につきまして通産省の方にお答えいただけますか。
  28. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生も御指摘がございましたように、PRTR制度におきましては、届け出を全国統一的なルールで行う、また集計の迅速かつ効率的な実施を確保する、そして、窓口として各事業におきます化学物質の取り扱いや工業プロセスなどに関します専門家が必要になるというふうに考えまして、届け出先を事業所管大臣というふうにしております。  また、営業秘密の判断につきましても、企業を取り巻く競争環境あるいは技術状況に最も精通している者が判断するのが適当だというふうに考えまして、また、営業秘密データが直接の判断者に届け出されるということが制度として簡潔で、かつ信頼性が高いということで、事業所管大臣が適当であるというふうに考えているわけでございます。
  29. 奥田建

    奥田(建)委員 続きまして、届け出の内容の方の質問に移ります。  政府案としては、排出量並びに廃棄物としての移動量報告事項として定められております。民主党の方では、取扱量あるいは最大貯蔵量といったものも大変重要で有意義な情報として考えております。事業所が持つ潜在的な危険性といいますか、リスクと申しますか、事故あるいは天災時の災害対策、安全対策といったものに対する自治体の対処に関して、あるいは作業所、事業所自体が、廃棄物ではあるけれども仮保管しておるといったような状況ども把握すべき事項ではないかと考えております。  環境庁の方では、そういった排出あるいは貯蔵量といったものの情報というものはどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  30. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  そもそも、PRTR制度につきましては、事業者にみずから化学物質環境への排出量等把握してもらいまして、行政として、その届け出を受けて、環境への排出の全貌を明らかにするというものであると私ども理解しておりまして、このPRTRの本来の目的を達成するために、事業者届け出義務を課するのは、環境への対象化学物質排出量移動量だけで十分であるというふうに私どもは考えております。  また、PRTR制度実施しています諸外国PRTR制度や、OECD勧告におきましても、取扱量や最大貯蔵量等についての届けを求めているところではないというふうに理解しております。
  31. 奥田建

    奥田(建)委員 時間がありませんので、MSDSについて一言だけお伺いしたいと思います。  こういった化学物質の特性情報というものは、やはり化学物質の製造関係の方々が一番詳しいのかと思いますけれども、また、そういった製造者から使用者へ情報を伝えるという趣旨のもとにある制度かと思います。  日本化学工業協会等が、情報としては、データベースとしては一番頼りになる団体になるかと思いますけれども、これは化審法の関係で通産省にお聞きした方がいいのかもしれませんが、今現在、政府として、MSDSに関するデータベースというものはどのくらいの量を保有しているのかということ。そしてまた、こちらの方は資料をお見受けしたところでは記載内容も非常に多いということで、そうやって届けられたデータというものをどのように集約し、公開して共有データとしていくかといった施策について、今の時点で考えがあれば教えていただきたいと思います。
  32. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  MSDSに記載されますような化学物質の性状あるいは取り扱いに関します情報につきましては、政府といたしましても、各種文献調査はもちろんのこと、昭和四十九年から既存化学物質の安全性点検を実施するなどで情報収集に取り組んできております。  こうした情報につきましては、国民事業者に対して化学物質の性状や取り扱いに係る情報をできるだけわかりやすい形で提供申し上げて、その情報の共有を図っていくということが必要だと考えましたので、政府提案の法案第十七条におきましても、国がそのためのデータベースの整備及びその利用促進に努めることとしているのでございます。実際、私ども通商産業省におきましては、データベースを現在構築中でございます。本年中にインターネットを通じて公開することができるように、これらの各種情報に係るデータベースの整備に現在取り組んでおります。  今後、MSDSの制度が発足いたしまして、その対象物質選定いたしました場合には、MSDS対象物質として選定した根拠に関します情報、あるいはMSDSそのものに記載されております情報等、こういう情報をデータベースを通じて、国民の皆さんあるいは事業者に対してわかりやすい形で広く公表してまいりたいと思っております。
  33. 奥田建

    奥田(建)委員 質疑時間が終了ということですけれども環境行政あるいはPRTRといったもの自身が、行政も、また事業者も、そして私たちも、まだまだ学びながら育てていく法であると私は思います。そういった観点からも、ぜひ活用できる制度としてあってほしいと思いますし、また、運用しながら柔軟に変化していく、育っていく法でもあると思います。  ぜひとも、政府案の中の十年という、日進月歩の世界では大変長過ぎるのではないかと思われる見直し期間が設定されておりますけれども、そういった面についても御一考いただきたいと最後に一言述べさせていただきまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  34. 古賀正浩

    古賀委員長 近藤昭一君。
  35. 近藤昭一

    ○近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。今回の法案について幾つか質問をさせていただきます。  私も、この法案、大変に重要だと思っておりますし、大変に期待をしてきた法案であります。先般の環境委員会でも質問をさせていただいたわけでありますが、ここのところ、予想だにしなかったような影響が環境あるいは人体に大変に出てきていると思います。  以前ですと、やはり文明というか技術の発達、新しい物質ができてくる、これは本当に人類にとっていいものだ、そういった技術がどんどん進展していくことが私たちにとっての幸せだと思ってきた。ところが、どうもそうではない。新しい物質ができる。当面は、確かに開発したときにはバラ色のような、ああいう効果があります、こういう効能があります。ところが、それが、だんだんと時間がたってくるにしたがって、予想だにしなかったような影響が出てくる。それに対して、私たち人間、人類というものは非常に不安を感じている、そういう時代ではないかと思います。  そういった中で、では、これをどうやって抑えていくのか。我々の知恵を働かせて、どうやってこういうことを、リスクを低減していくかということが大事だ。それについて、環境庁ではどういうふうに考えていらっしゃるかというような質問を先般させていただきました。  そこでやはり一番に出たのが、今回、今通常国会においてPRTR法案というものを出す。このPRTR法案によって、我々というか国民全体が情報を知って、それによって管理をしていく。そして、おそれがある物質について我々が監督をしていく、そういうようなことをおっしゃったという記憶があります。  そこで、この今回のPRTR法案が果たしてそういったことに十分機能しているのかなというふうに思うわけであります。それで、このPRTR法案のもとになったというか、原則の大きな部分を占めていると思われますOECD勧告附属書の原則についてお聞きをしたいと思います。  これについて、私はここで大変に重要な原則が示されていると思いますが、政府の方は、どの程度重要であるか。つまり、重要であるかどうかという判断は、どの程度これが理想的といいましょうか、いいことだということにつながってくると思うのですが、その点について環境庁長官にお伺いしたいと思いますが、いかがでありましょうか。     〔古賀委員長退席、北橋委員長着席〕
  36. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生指摘のように、生活が多様化した中に、新しい化学物質が生まれてくるわけであります。我々国民生活にとって利便性のあるもので無公害のものならば、これはもう我々は大いに活用していかなきゃならないわけでありますけれども、そこに次々と問題点が出てまいるわけであります。  平成八年二月にOECDから勧告されましたこの附属書でございますけれども、この原則は、PRTR制度を構築するに当たって最も考慮すべきものとされておるわけであります。本法律案の作成に当たっては、この原則を重要なものとして念頭に置いて、そして、例えば、関係の審議会における審議は各方面からの参画を得て公開で行うこと、パブリックコメントを求めることなどの措置を講じてきたところでございます。  そういうことを勘案いたしまして、これからの問題の取り組みに当たっていかなければならないんじゃないだろうか、こう考えております。
  37. 近藤昭一

    ○近藤委員 大臣、ありがとうございます。  少し確認をしたいのですが、大変に重要であるとお考えだというふうにはわかるわけでありますが、そうしますと、重要であるということは、やはりこの原則について、いろいろと事情があるかもしれないけれども、このPRTR法案を作成するに当たっては、こういう言い方が適当かどうかわかりませんが、例えば七割とか八割とか、この原則を実現するんだというような覚悟みたいなものが必要だったと思うのですが、その点についてはいかがお考えでしたでしょうか。
  38. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 この十四項目にわたる附属書に対しましては、やはりこれが基本となるわけでありまして、それは遵守していかなければならない、こう思っております。
  39. 近藤昭一

    ○近藤委員 なかなか七割とか八割というお答えはしにくいのかもしれませんが、ただ、遵守しようということでありますならば、私は、やはりこれの原則については基本的に満足しているという理解だと思います。  それでは、その原則について幾つか確認をしたいと思います。  まず、勧告では、目標、目的の必要性を最もよく満足するメカニズムについて、関係関連団体、利害関係のある団体と訳されているところもあるようですが、関係関連団体と合意すべきであるという原則がこの中にあります。  そこで、この関係関連団体には市民団体も含まれるという認識でよろしいでしょうか。
  40. 岡田康彦

    岡田政府委員 OECD勧告の附属書の原則十三には、先生指摘のようなことが掲げられております。  この利害関係者についての定義は特に設けられているわけではございませんが、本法律案におきまして、第一条の目的規定に明記してございますように、PRTR制度事業者及び国民理解のもとに実施したいと考えておるところでございますので、市民団体の方々の御理解も得たいものだと考えております。
  41. 近藤昭一

    ○近藤委員 ちょっと微妙な表現だと思いますが、市民団体の方の理解も得たと考えるということでありますけれども、この原則については、合意すべきであるというふうに書いてあるのですよ。そうすると、合意したかどうかということが重要になってくると思うのです。  ですから、二点についてお伺いしたいわけですが、もう一度、合意をしたのかどうか。理解をいただいているものということで今答弁されたわけですが、そうすると、もっと具体的にお答えいただきたいわけですが、合意をしたのかどうか。そして、その合意をした中には、きちっと合意をした利害関係団体というのですか、そこには市民団体も含まれているのかどうか。お答えいただきたいと思います。
  42. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  本法案のベースとなりました審議会でございますところの化学品審議会あるいは中央環境審議会におきましては、労働団体あるいは消費者団体等を含めまして幅広い分野から委員として参加していただいたのみならず、市民団体を含め参考人からの意見の聴取、パブリックコメントの聴取などを行い、取りまとめたものでございます。そういう意味では、そうしたことから各方面の御意見を踏まえているものと認識しております。
  43. 近藤昭一

    ○近藤委員 ここで言葉の議論をするつもりはないのですが、意見を聴取しているのと合意をしているというのは全く違うと思うのですよ。意見は聞くけれども、そのことについて反映をしているのかどうか。そして、反映をしたことについて意見を述べられた方が納得している、それでいいんだ、こういうものがやはり合意というものだと思うのです。  聴取をして、それについて議論をする、そしてその結果をお互いが納得する、これが合意だと思うのですが、合意をしたのでしょうか。
  44. 岡田康彦

    岡田政府委員 やや繰り返しになるかと思いますが、化学品審議会あるいは中央環境審議会におきましての議論というものは、それぞれの委員先生方あるいは参考人として意見を伺った方々の御意見等がそれぞれに溶け込まれて一つの答申なり報告になっている。それを我々が受けて法案化に努めてきたという意味では、それぞれの方々の御意見を踏まえているというふうに理解しているということでございます。
  45. 近藤昭一

    ○近藤委員 何遍質問しても同じ答えになるのかもしれませんけれども、もう一度申し上げます。  意見を踏まえた、ではどれぐらい踏まえたのかということになると思うのです。踏まえたと合意したというのは全く違うと思うのですが。そうでありますと、踏まえているとしたら、どれぐらい踏まえたと思われるのか、ちょっとお答えいただけますでしょうか。  合意というのは、全部一〇〇%ではないと思うのです、いろいろ意見があると思いますから。そういう意味では一〇〇%お互いの意見が満足するということは難しいと思うのですが、踏まえている、合意はしていない。合意をしていないとはおっしゃっていないかもしれませんけれども、合意をしたというお言葉を使われなかったということは合意をしていないのかなと想像するわけでありまして、そうすると、踏まえたということになると、どの程度踏まえたのか。その点について、どの程度踏まえられたと思っていらっしゃるのか。  もう一つは、一番最初に長官にお伺いしました、原則というものを大変に重要視している。そして、原則の中には、合意すべきであるという言葉が入っている。ところが、どうもそうではないということのようでありますが、どのようにお考えでしょうか。
  46. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  まず、先ほど来申し上げておりますように、先生指摘のように、これは利害関係者と読むか関係の関連団体と読むかということはございますが、いろいろな団体の方、もちろん私どもは、先ほど申し上げましたように、市民団体の方々の御意見もできるだけお伺いしたいと思いますし、御意見も反映できるように努めてきたつもりですし、ある意味では当然、実際にPRTRの届け出をしてもらう事業者の方々の意見というものも皆全部ここに入ってくるのだと思います。  そういう意味で、一々全部について、言葉の額面どおりの意味での合意かと言われればあれですが、そういう皆さん方の御意見集約した形の答申をいただいた、それを受けて法案化して、今こうして先生方に御審議を願っているということで、全体を、私どもはできるだけ原則に沿った形の運営あるいはその努力をしてきているというふうに思っている次第であります。
  47. 近藤昭一

    ○近藤委員 これ以上お伺いしても余り建設的なことにならないかもしれませんが、とにかく政府としては、そういった意見を踏まえた、それが関係団体の意向だろうということで反映させていただいているということで行動されているのだと思います。そういった意味では、ぜひとも、この後も質問していく中に出てくるのですが、今回つくった法案を見直していく、柔軟に、より現実的に合ったものにしていくということがまた今後重要になってくると思うのです。  そうしますと、今回そうやって踏まえられた、大事なことだと思います。その踏まえたことが、十分踏まえられていなかった、あるいはどうもその認識が間違っていたということであれば、もちろんこれは将来的に見直していかれるということでありますか。確認の御答弁をいただきたいと思います。
  48. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  まず、PRTR制度の円滑な運用を行うというためには、それぞれ各地方公共団体のほか、事業所管官庁であるとか業界団体あるいはさまざまな機関の協力を得て、また市民団体の方々の御理解も得て、法の理解や浸透を図っていかなければならぬというふうに私ども考えていますし、また実際には、私ども制度運用状況を見まして、必要があればいつでもこの制度の見直しをしていくというのが基本的な考え方だと思っております。また、例えば指定物質等につきましても、科学的知見の集積に応じまして政令は弾力的に改正していこうということで、十八条の中でも政令の改正ということを予定した条項を入れてございます。  そうした局面局面におきましては、当然のことながら、審議会の御意見を伺うとか、パブリックコメント意見を伺うとかといったものの積み重ねは当然してまいるということでございます。
  49. 近藤昭一

    ○近藤委員 また後で勧告の中の違う原則のところでお伺いしたいと思いますので、次の質問に移りたいと思います。つまり、必要があれば見直していくということでありますので、原則を大事にするということでありますと、原則に合致していない、原則に合わせていく必要があるということであればやはり見直していくというふうに理解をさせていただきたいと思います。  それでは、次の質問でありますけれども、先般何人かの方も御質問なさっているのですが、もう一度お聞きしたいと思うのですが、勧告では、原則では、PRTRシステムを構築する全過程及びその実施、運営は、透明かつ客観的であるべきとされておるわけでありますが、このPRTRシステムを構築する全過程とは、もちろん法案作成過程も含まれるという認識でよろしいでしょうか。
  50. 岡田康彦

    岡田政府委員 法案作成過程というのは、大分広い意味がございますので、そういう意味で、広い意味で申し上げれば、それはもちろん入るのだと考えます。  まず最初から申し上げますと、本法案は、先ほど来申し上げておりますように、審議会でまず幅広い分野から委員に参加いただきつつ、公開審議を進めてまいりました。かつ、参考人からの意見の聴取、パブリックコメントの聴取なども行ってまいったところであります。  法案作成過程で最も重要なのは国会での御審議でございまして、こうして今御審議をお願いしているわけでありますし、今後、先ほど先生の御指摘にもございましたように、弾力的に柔軟性のある対応をするために、またいろいろな見直しをするとかいうときに、あるいは物質の見直しをさらにつけ加えをするというようなときに審議会にお諮りするわけですし、それはすべて公開のもとで行っていく。  こういう意味では、私どもは、全般的に考えていただいて、法案作成過程についても原則十四に極力従うよう努力しているという認識でおります。
  51. 近藤昭一

    ○近藤委員 先ほどもちょっと似たようなことかなと思うのですが、こういう場所でとか、こういうときとか、こういうところからとか、とにかくいろいろなところから意見を聞いた、それが非常に透明、客観的であるという御認識なのかなというように思うわけでありますけれども、そうしますと、今の御答弁で感じましたのは、とにかく今回の法案作成過程というのは透明かつ客観的であったと御認識なのだろうなと思うのです。  もう一度お伺いしたいのですけれども、この法案を策定する前に各省庁間が覚書を交わしたということ、これはどうも不透明なあかしのように思えてならないのですが、いかがでありましょうか。
  52. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の覚書でございますが、政府としては、法案を国会に提案させていただくに当たりまして、法案についての理解省庁間で異なることを避けるという意味の確認手段でございまして、透明性の確保の観点から問題があるものではないと考えております。  また、現にその覚書等につきましては、これは佐藤謙一郎先生の本会議での御質問、御要望にこたえた形になっておりますが、どういうものがあるかということについては既にお示しをしたところでございます。
  53. 近藤昭一

    ○近藤委員 覚書というのは見させていただいたのですが、大変に基本的なことというか、簡略に簡単なことが書かれている。そうしますと、逆に言うと何か、覚書をつくる段階でいろいろなことが話し合われたけれども、出てきたことはその覚書の部分だけではないかというふうに、大変に失礼かもしれませんが、勘ぐってしまうわけでありますし、覚書は公開されておりますけれども、その覚書をつくる過程も透明にすべき全過程に入るのかどうかという御認識は私と違うのかもしれませんけれども、こういった覚書をつくる過程も大変に重要ではないかと思うのですが、これについての透明性についてはどうお考えでしょうか。
  54. 岡田康彦

    岡田政府委員 二点お答え申し上げたいと存じます。  一点は、まず、法案作成の途上でございますが、今回通商産業省環境庁共同法案として提案させていただいておりますが、これは化学品審議会の中間報告あるいは中央環境審議会の中間答申というものを一つに結びつけた法案にするにはどうしたらいいかということを中心に考えてまいりましたので、根っこはそれぞれ中間報告なり中間答申によっているという意味でございます。先ほど来御答弁しておりますように、もろもろの皆さん方にお知恵を拝借した成果物をこうして現在法案にまとめ御審議を願っているのだという点を一点、もう一遍申し上げたいと思います。  もう一点は、先ほどの覚書の件でございますが、法案策定過程で幾つかの省庁と覚書を交わしておるわけでございますが、これは法案についての理解省庁間で異なることを避けるための確認手段というものでございまして、そういう意味からいきますと、これは別に今回初めてつくったということではない、通常ごく普通になされているものでございますので、その点についても御理解賜りたいと思います。
  55. 近藤昭一

    ○近藤委員 通常されているということは、そのことがいいのかどうかという判断とはまた別だと思いますが、通常そういうことが行われているということでありますね。  そうしますと、私は、これからのあり方というのは、そういったことも含めて、通常そういうことをやること、中で悪いことが話されたと申し上げているわけではないのですが、やはりそういうことを国民の皆さんの見えないところで通常やっていくということはいかがなものかなと思うわけであります。  それで、そういったものを、今後、例えば情報公開法なんかでも、我々すべての国民が監視をしていくということになっていくんだと思いますが、そうしますと、このPRTR法案でも、何というのでしょうか、みんなで危険性を、あるいは、大変にうがった見方かもしれませんが、そういった隠された部分があってはならないということでみんなが監視をしていくということだと思うのですが、それで、この勧告の中で、PRTRの結果を、すべての関係関連団体が適切な時期に、かつ定期的に入手できるようにすべきであるとされております原則がありますが、これについてお伺いをしたいと思います。  現在の日本のNGOの状況を考えますと、大変に財政的に厳しい団体がほとんどだと思うのですが、こういった状況を考えますと、手数料を取った場合には、現実的には情報を入手できない、そういうような危険性があるのではないかと思いますが、その辺についてはどうお考えでしょうか。
  56. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 開示にかかわる費用についてのお尋ねでございます。  行政情報公開法と同様に、例えば郵送代あるいは封筒代等の実費の範囲内で徴収することは妥当だというふうに考えております。その範囲内で費用負担をお願いするという法文にもなっております。したがいまして、多数の請求を行ったといたしましても、実費にかかわる費用の負担が上限でございますから、手数料は請求事業所数に完全に比例して負担が大きくなるということには必ずしもならないというふうに理解しております。そういう意味で、多くの情報を一時に求められるという方についても、過剰な負担を強いることなく対応できるのではないかなというふうに考えております。  ただ、具体的な金額のあり方につきましては、今後政令の策定段階で検討していくことになります。御指摘のような、可能な限り開示請求者にとって利便性が高く、負担のかからないようなものにしたいというふうに考えております。
  57. 近藤昭一

    ○近藤委員 できるだけ情報がとりやすいようにするには安い方がいいわけでありまして、そこでちょっと気になるのは、実費という言葉でございますが、例えば、郵送料というのはだれもが一律でありまして、幾らというのは決まっているわけですが、コピー代とか、百枚とか二百枚、確かにこういったものをコピーしていく、これは実費がかかりました、実費というのはどういうふうに計算するんでしょうか。  ちまたでもコピー一枚十円とか二十円とかいろいろな金額があるのですが、受け取る側にすれば安い方がいいわけでありまして、政府がこれが実費で一枚二十円ですよと言われても納得していただけない場合もあると思いますし、あと非常に微妙な問題は、このデータを管理するのにコンピューターが使われると思うのですが、このホストコンピューターというかコンピューター、このメンテナンスとか購入に幾らかかりました、ですからそれについての実費負担というか、分割というのでしょうか、そういった経費も含めて国民の皆さんに請求をするのか。  その辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 御指摘のような、コピーをとる、あるいは郵送する際の封筒がどれぐらいかかるか、この辺は、データを集めて適正なコストというものをまずはじかせていただいて、それで決めさせていただきたいというふうに思っております。  また、インターネットのような電子的手段を利用した開示請求、これもできるだけおこたえしたいというふうに思っております。この手数料がどうなるかということでございますけれども、これも今後の検討ではございますけれども、インターネットなどの電子的手段の場合には、例えばデータセキュリティーの確保の手段がどうなるのか、そういったことも考えて、全体のデータベース作成の費用等々、これらを勘案して、可能な限り開示請求者にとって利便性が高くて負担のかからないようなものにしたいというふうに考えております。
  59. 近藤昭一

    ○近藤委員 ここでコンピューターのメンテナンスに幾らかかるとか購入に幾らかかるとかそういうことは申し上げませんけれども、やはりこの基本というのは、そういった環境汚染物質環境の中にどれほどあるかということを国民の皆さんに知っていただいて、それでリスクを低減していくということが大変に大きな目的、重要な部分になると思うのです。  そういう意味では、やはりある意味で皆さんにも一緒になって監視していただく、ある意味ではお願いをするようなところもあるのではないかなと私は思うわけでありまして、そういう意味では、幾らにしろとかここでは申し上げませんけれども、やはりきちっと幅広く情報を入手していただける、このぐらいの気持ちが必要ではないかと思いますが、そういうようなことで、実費という、ちょっとあいまいな言葉だと思いますけれども、それを算出をしていただきたいと思います。  それでは次に、開示の請求については、今法案は十条第二項で、事業所の名称、所在地その他の開示請求に係る事業所を特定するに足りる事項を明らかにしなければならないとされています。こういうことは、諸外国の例から考えると、NGOはすべての事業所の個別データを分析していくこともあると思うのですが、そういった場合、すべての事業所の名称と所在地を書いて請求するということであれば、事実上は請求を認めないということと等しくなると思うのですが、この点についてはどうでありましょうか。
  60. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  この法案におきまして考えておりますことは、例えば、ヨーロッパでの例と同様に、PRTRによって届け出られましたデータを有害性に関するわかりやすい説明をつけて対象化学物質別あるいは地域別、業種別に集計して広く公表する。また、それだけではなくて、御指摘のような個別事業所のデータにつきましては、事業者リスクコミュニケーションを通じて関係者の皆さんの理解を深めることに努めるべきこと、これも規定しておりますが、関心を持つ方に対しましては、電子情報処理組織などによる場合を含めまして、請求によって個別事業所のデータを開示するということにしているのでございます。  御指摘のようなケースとして、例えば、日本国内のPRTRにかかわる個別事業所全データといったような請求が行われた場合には、行政情報公開法において開示を求める情報を特定するというふうにされておりますので、これが事業所を特定するに足る事項であるというふうに認められれば、そうした請求にもお答えすることになるというふうに考えております。
  61. 近藤昭一

    ○近藤委員 わかりました。  そうしますと、ちょっと確認なんですけれども、どこのデータが欲しいかということがわかればいい。だからそうすると、すべての事業所のデータが欲しいということで、すべてを出していただけるということでよろしいわけですね。
  62. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 今ちょっと触れましたように、情報公開法の特例法的な側面がございますので、情報公開法におきます事業所を特定するに足る事項というものの解釈を情報公開法の所管官庁とも詰めまして最終的に結論を出したいと思いますが、基本的には御指摘のとおりだと思っております。
  63. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございました。これからは大変に市民団体の皆さんの活動が重要な位置を占めてくると思います。そういう意味では重要ですし、ただ、まだまだ日本においては、財政的にあるいは組織的にしっかり充実した市民団体と、これからまだ育っていっていただかなくてはならない、そういった団体もたくさんあると思うのです。そういう意味では、組織的にまだまだ不十分なところもあると思いますので、できる限り財政的にあるいは手続的にそういった情報がとりやすい、そういうことにしていっていただきたいと思います。  続きまして、勧告では、勧告の原則の中で、PRTR制度は、実施途中の評価を可能にし、必要性の変化に応じて関係関連団体による変更が可能な柔軟性を持つべきであるという条項があるのですが、このことについて政府はどのように担保していらっしゃるのか。  政府案によりますと、附則第三条において「政府は、この法律施行後十年を経過した場合において、この法律施行状況について検討を加え、」施行について検討を加え、「その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とあります。最近の法案は大体どれもそういう見直し条項というのがついているわけでありまして、そういう意味では、大事なことでありますが、非常に一般的な表現であるような気がするわけであります。  最初のお答えをいただきましたように、このOECD勧告が大変に重要だという認識であれば、もうちょっと踏み込んだような表現であってもいいのではないかなと思う反面、政府のお答えでは、これで十分なんだ、表現というだけじゃなくて、しっかりと中身をやっているのだということかもしれませんが、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  64. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 御指摘のように、この法案におきましては、附則におきまして、法律施行後十年を経過した後見直しをする、これは政府の義務でございます。しかし、制度施行状況を見まして、実際の運用に問題があれば、もちろん十年を待たずにも見直しを行うのは行政の責務だというふうに考えております。  また、見直しの検討に当たりましては、審議会などで検討状況公開するとともに、パブリックコメント等を実施することによって、広く国民の皆さん、NGOの方々、産業界、学識経験者の方々の意見を伺っていきたいというふうに考えております。
  65. 近藤昭一

    ○近藤委員 そうしますと、これは勧告を踏まえて柔軟性を担保する条項である、十年たったら必ず見直さなくてはいけないし、十年を待たずしても必要があれば見直すということだと理解してよろしいでしょうか。
  66. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 結構でございます。
  67. 近藤昭一

    ○近藤委員 そうしますと、ちょっとお伺いをしたいわけでありますが、では、必要性が出てきたという判断、またそれをどういうふうに変更するとかそういったことについての検討は、これは条文によりますと政府とは書いてあるわけですが、具体的にどういった会というか、今ちょっと審議会というようなお言葉も出たような気がしますけれども、どういったところでやられるのか。  あるいは、こういった質問は失礼なのかもしれませんけれども、何か頭に、この辺はもしかしたら不十分で問題が出てくるかもしれないななんというようなことはあるのでしょうか。これはもう完璧だから、もちろんこれは見直し条項が入っているわけですけれども、完璧だからそんなことはないのだと思っていらっしゃるのか。  どんなところで検討を加えられる予定なのか、あるいは、もしかしたらここについては不十分なところがあるのかもしれない、そんなようなことも頭の中にあるのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  68. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 見直しの対象が何か限られているということはないというふうに思っております。  ただ、政府案として御提案申し上げているわけでございますから、事後的に顧みて、もうちょっと改善の余地があったということが将来発生しないということはないかもしれませんけれども、今の段階でそういうことを予期しているものではございません。  それから、見直しの検討に当たりましてどういう場でかというようなお話もございましたので、若干付言させていただきますけれども、これは、制定に際しまして審議会の御意見を賜っておりますから、審議会などでの検討をお願いすることにもなろうかと思いますし、また、その状況公開をいたしますし、これまでの検討と同様にパブリックコメント実施するなど、そういった必要なことはやってまいりたいというふうに考えております。
  69. 近藤昭一

    ○近藤委員 つくったところから、どこかおかしくなるかもしれないと言うことは、通常は考えられないことでしょうが、そうでない、例えばこの委員会の席でもいろいろと議論になっているところに、対象物ですね、環境ホルモンをどうするか、対象物の幅をどうしていくか、そんなようなこととか、届け出を地方自治体にするのか国の方がいいのかというような議論もあるのですけれども、こういったことについてはどうでしょうか。対象物については柔軟に広げていくということは、システムの中でどういうふうに担保されているのでしょうか。
  70. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  対象物質の指定は政令でございます。したがいまして、これは随時見直し可能というふうに考えております。  法案におきましても、第十八条におきまして、これは物質の指定に際しまして審議会の御意見をいただくという条文でございますけれども、そこは「制定又は改正の立案をしようとするとき」という条文になっておりまして、これは当然、途中で見直しといいますか、改定があるんだということを前提にした条文でございます。
  71. 近藤昭一

    ○近藤委員 本当に柔軟に見直ししていっていただきたいわけであります。  ところで、そういうお答えではあるのですけれども、ちょっと条文で気になる書き方があるものですから、もう一度お伺いをしたいと思うのですが、この条文によりますと、「検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」検討を加えた結果、これは別に見直す、見直すというか直す必要がないんだということになっても、例えば、勧告の言うところの関係関連団体は必要性を非常に強く訴えている、そんな場合も出てくるのではないかと思います。  もちろん、一つとか二つ、百ある関連団体のうちの一つだけが言うからそれは必要性があるんだというふうには申し上げませんけれども、先ほど申し上げた、政府検討を加える、検討を加えた結果もう何も必要ないのだということに対して、例えばどこかが意見を申し上げられるような、そんな機関とかシステムはあるのでしょうか。いかがでしょうか。
  72. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 この附則第三条の運用につきましては、関係省庁間でまだ議論している段階ではございません。しばし先のことでございます。ただ、十年が節目になっておるわけでございますから、その段階で、むしろ私どもも積極的にいろいろな方々の御意見をいただくことになるだろうというふうに思っております。
  73. 近藤昭一

    ○近藤委員 これは附則のことであって、まだ議論していない。ただ、何か今、議論していないというお答えがあったというのはちょっと、これは中身じゃなくてシステムですから、どういうふうにやっていくかということですから、それはやはり検討していく必要はあるのじゃないでしょうか。  それとやはり、十年より以前にもこういう問題がいつ出てくる、検討、見直されるということでありますが、そうしますと、中身はどう見直すかは、もちろんそんなことはまだこれから問題が出てきてからでありましょうけれども、問題が出てくるかもしれないのでシステムとしてはこういうものをつくっていく、それについては必要だと思うのですが、いかがでありましょうか。
  74. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 附則第三条の十年目の見直しという点については今申し上げたようなことでございますけれども、これを運用してまいります過程でいろいろな御意見をちょうだいすれば、その都度政府としてはそういったことをさまざま検討していくことになるのは当然だと思っております。
  75. 近藤昭一

    ○近藤委員 わかりました。  そうしますと、先ほどもちょっとお伺いしたこととダブってくるのですけれども、では、そのいろいろな御意見とはどこで受けて、それをどこで検討するのか、もう一度お伺いをしたいと思いますし、その受けた御意見検討することになると思うのですが、検討して、経過とか結果はもちろん公表されるのでしょうか。
  76. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 これは、この制度に関係しますどの行政庁も、担当の部局で御意見を受け付けることは当然だというふうに思っております。その御意見の内容にもよりますけれども、それが必要あれば例えば審議会に御報告申し上げ、御意見をちょうだいするといったことも当然考え得ることだと思っております。
  77. 近藤昭一

    ○近藤委員 どこまでが十分でどこからが不十分かというのは難しいかもしれませんけれども、冒頭申し上げましたように、物質がどういった危険性を持っているかということ、なかなか想像だにしなかったようなことが起きている、どんな問題がほかの面でも出てくるかわからない、そういうことに対して柔軟に対応していくということの原則がOECDでは勧告されていると思います。そういう意味で、しっかりと柔軟性を持ってやっていっていただきたいと思います。  これは民主党案の方についてもちょっとお伺いをしたい点ですが、民主党案についてはこの柔軟性はどういうふうに担保、確保されているのか、お伺いしたいと思います。
  78. 小林守

    小林(守)議員 お答えいたします。  OECDの附属書の原則について、まず実施途中の評価についてでございますが、民主党案では、厳しくチェックされた企業秘密を除きましてすべての情報公表することにしておりますので、国民一人一人が非常に容易に情報を入手することができるようになっており、国民全体でのチェックがしやすくなっております。したがいまして、この制度の妥当性についての国民的な評価が行いやすいものと考えております。  次に、民主党案では、附則第三条において、「政府は、この法律施行後七年を目途として、化学物質による環境の汚染の状況等を勘案し、この法律による制度全般について検討を加え、その結果を公表するものとする。」として、政府の評価結果を国民公表し、透明な手続の下で見直しができるように措置しております。  このように民主党案では、国民のための情報公開国民のためのPRTR制度であることを前面に打ち出しておりますので、国民全体での議論を通して柔軟に制度運用したり再構築することが可能であり、OECDの原則に沿ったものであると考えております。
  79. 近藤昭一

    ○近藤委員 とにかく、私もちょっとくどいかもしれませんが、情報をみんなで持って危険性を監視していくということだと思うんです。  ちょっと質問の時間も残り少なくなってまいりましたので、リスクを低減するということで、民主党提出案についてだけお伺いをしたいと思います。  なるべく情報は多くの人に共有をしてもらう、そして身近なところで共有するということだと思うんですが、このPRTR制度では、やはりそういった意味でのリスクコミュニケーションというものが大変に大切だと思っています。そのリスクコミュニケーションについて民主党案はどのように工夫をされているのか、そのことについてちょっとお教えいただきたいと思います。
  80. 小林守

    小林(守)議員 もとより、このPRTR制度については、環境リスクを削減させるということが政策目標であります。その点で、アジェンダ21十九章やOECDのガイダンスマニュアルにあるとおり、排出移動について知る必要がある、こうした排出移動に伴って発生するリスクを市民が知る、これと結びついた形で諸外国においてPRTR制度が導入されてきている、このようなことであります。  環境リスクの削減のためには、住民と事業者が具体的な化学物質のリスクについて議論をし、削減のための方策を共同で考えていく、これが重要であります。  私たち民主党は、リスクコミュニケーションPRTR制度の中で非常に重要な役割を果たすという認識を持っております。リスクコミュニケーションを円滑に行うためには、事業者と住民が対立し、反目し合うような構図ではなくて、共通の目標に向かって話し合いを続けることでなければならないと考えます。そのための仲介役として、仲立ちの役として、自治体の役割が非常に重要と考えております。住民から一番身近な自治体がその役割として適任であると考えます。  もちろん、民主党法案では、報告もまず自治体にというような考え方に立っておりますけれども、その自治体が、民主党法案では三十四条で、リスク削減計画を設ける、そして市町村が仲介役としてリスクコミュニケーションに積極的に参加をする、このように求める法案の中身になっております。  もちろん、国や都道府県もリスクコミュニケーション促進するように努めるとの規定もあります。住民、事業者、国、地方公共団体が一体となって環境リスクの低減に向けて努力するという仕組みになっておるわけであります。
  81. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございました。なるべく多く、そして身近なところでということが大事だというふうに思います。  それでは、質問時間も終了しまして幾つか質問通告をさせていただいたのは残してしまいましたが、おわびいたしまして、ただ、本当にいいPRTR法をつくっていただきたい、民主党案もいいのでぜひ御考慮をいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  82. 北橋健治

    ○北橋委員長 田端正広君。
  83. 田端正広

    ○田端委員 与謝野大臣真鍋大臣、大変に御苦労さまでございます。また、民主党の提案者の皆さん、本当に御苦労さまでございます。敬意を表したいと思います。  私、非常に、一つの時代といいますか、流れを感じるわけですが、産業界所管する通商産業大臣環境を守るべき環境庁長官、この両大臣が席を並べて先日来こういう形で議論をしているということについて、本当に一つの新しい時代を示唆しているのではないかという感じがしております。この両省庁というのは、過去にはお互いにぶつかり合ってきた間柄であったと思いますが、そういった意味で、今回、共管ということは私はちょっと不満ではありますが、しかし、こういう形で一つ法律についてお互いに力を出し合っているということは、私なりに評価したい、こう思います。  さて、実はきょう午後の本会議からいよいよ中央省庁改革関連法案審議が始まるわけですけれども、私は、環境行政の一元化ということについては大変大事なことだ、そういう意味で、環境庁環境省という形になって二〇〇一年からスタートし、そういう方向になっていくということは非常に期待したい、こう思います。しかし、一元化される中身が、廃棄物行政とか公害健康被害の補償とか野生動植物の保存等々にとどまっていて、その他もろもろの環境関連の施策が共管という形で分散しているといいますか、そういうことには非常に残念な気持ちも持っております。  今度は経済産業省というふうに名前が変わるんだと思いますが、経済産業省との共管事項もたくさんあるわけです。例えば化学物質の審査及び製造、このPRTRのことも絡んできますが、これの規制を初め、公害防止のための施設の整備、工場立地の規制、資源の循環的再利用促進オゾン層保護、温室効果ガスの排出抑制等々、こういうことになるわけです。  そこで、通産大臣にお伺いしたいと思いますが、こういう環境関連事業に対しての共管となっていることを、大臣として責任者としてどういうふうにお考えになっているのか。私個人的には、例えば環境省の中に林野庁も入れて、環境保全、自然保護ということもそういう形でこれからの二十一世紀はあるべきだ、こう思っておりますが、そういうことも含めて、今後の環境行政のあり方に対してまず通産大臣に、環境行政促進するという立場で御答弁、御意見をお伺いしたいと思います。
  84. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 世界の人口がふえ、あるいは各国の経済活動が盛んになりますと、当然のごとく環境にかける負荷というものは大きくなるわけでございます。  近年の環境問題の多くは、地球温暖化問題、廃棄物、リサイクル問題、有害化学物質問題等に見られるように、通常の事業活動や日々の日常生活に深くかかわる問題でありまして、広範な政策分野における、また政策分野にわたるさまざまな対策を講ずることによって対応していくことが必要であると考えております。  こうした中で、資源の有効利用、エネルギー制約の克服、環境制約の克服を実現しつつ、持続的な経済成長を可能とするためには、従来の大量生産、大量消費、大量廃棄型のシステムから脱却し、原料調達、製造、加工、流通、使用、廃棄のすべての段階における循環型の経済システムを構築することが求められております。  通産省としては、こうした観点から、資源、エネルギー、環境の制約の克服の要素を経済活動に適切に組み込むこと等を通じ、環境保全に配慮しつつ経済や産業の発展を図り、また、エネルギーの安定的、効率的な供給を確保するため、経済産業省となった後も引き続き、環境省その他の関係省庁と密接な連携を図りながら政策を展開してまいるというのが方針でございます。
  85. 田端正広

    ○田端委員 ぜひ本音のところで密接な連携をとっていただけるようお願いしたいと思います。  そこで、PRTR法案でございますけれども、私は、届け出先が産業界所管省庁になっているという点について非常に残念に思っておりますが、諸外国の例を見ても、アメリカにおいても、カナダにおいても、オランダにおいても、英国においても、それぞれ環境行政所管省庁がこれらの中心の窓口になっているわけであります。  そういった意味で、このOECD勧告に基づいて、人の健康または生態系に対して潜在的に有害な多数の物質をどう未然環境保全の上から防いでいくか、そういう視点からいきますと、そういうリスク対策の上に立って国民の健康及び環境を守るということになれば、本当は環境庁がすべての掌握すべき中心になるべきであった、こう思うわけでありますが、真鍋長官、その点どういう御感想でございましょう。
  86. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生がおっしゃるように、所管省が一省になってやっていけばという御意見でございます。将来的にはそういうことも一つは想定されるわけでありますけれども、現段階におきましては、やはり事業所管というものは、通産省環境庁というだけでなくして、政府自体が所管事業省という位置づけをして取り組んでいくことが必要じゃないだろうか、こう思っておるわけであります。  このPRTR法の施行先進国等々を見ましても、一省に位置づけておるというのでなくて、その国々によってやり方がいろいろと考えられておるわけでありまして、日本は日本なりの対策を講じて、それがベストのものであってほしい、こう思っておるわけでありますけれども、御指摘のようなことにつきましては、今後この法案施行に従って考えていくべきじゃないだろうか。できれば一省に統括していきたいものだという考えを持っております。
  87. 田端正広

    ○田端委員 将来的なテーマということで、今日においてはやむを得ないかなという気もいたしますが、しかし、中身においては、ぜひこれは、より一歩実効あらしめるようにすべきだと私は思います。  それで、十四日の連合審査の議論とか参考人の先日の御意見等も伺っていて、このPRTR法案の中身には何点か問題になる点があるなという感じがいたします。皆さんの議論を聞いていて、大体数点に絞られてきているのではないかなという感じがいたしますが、そういう意味で、環境庁長官がおっしゃったような精神を生かして、運用面でより実効あらしめるように変えていけないものだろうか、こういうことを考えている一人でございます。  私なりに少し整理してみますと、修正とすべき点の第一点は、一番現場を知っている自治体が関与すべきだ、これはもう最大の問題だろう。関与の仕方もたくさんあります。民主党の皆さんのおっしゃっているような三千三百という自治体もありますが、しかしそこまで行くにはちょっと、非常に理想的かという気もしますので、とりあえず四十七都道府県、これで何とかならないのか、それが入るだけでも相当違うだろう、これは参考人の御意見でもそういうことが強調されたわけであります。  それから第二点は、対象物質の中にはっきりしていない点があるので、内分泌攪乱物質、つまり環境ホルモンは入れるべきだとか、あるいは発がん性物質、発がん性の強い物質についてはぜひ加えるべきだ、こういう議論がありましたので、そういった点、明確に表現できるなら明記した方がいい。  それから第三点は、先ほども議論がありましたが、今日の科学技術の発達が非常に進んでいる時代において、十年の見直し規定というのはいかにも合わないのではないかということで、これを七年ないしは五年とかというふうに考えたらどうかという気もいたします。  そういうことを前提に、少し質問させていただきたいと思います。  自治体の関与の問題ですけれども、私は、この法律制度を実効あらしめるためには、地域の実情をどれだけ知っているかということと非常に関係する問題である、こう思います。少なくとも、環境問題、住民の健康問題、そういったことに直接かかわっている自治体が排出量報告の窓口になる、つまり都道府県を経由して国に報告する、それだけでも相当違ってくるんだろう。  なぜ違うかといいますと、例えば化学物質におけるいろいろな事故があります。例えば世界を見ても、ことしの三月、ドイツ西部のデュイスブルクで、廃棄物処理工場の煙突のフィルター装置が故障して、高濃度ダイオキシンを含む粉じん、亜鉛なども含んで、約一トン、二十平方キロにわたって排出されたとか、あるいは一九八四年十二月、これは大事件でありましたが、インドのボパールで、史上最悪と言われる化学工場の事故で、殺虫剤工場がここには建設されたわけですが、そこから猛毒のイソシアン酸メチルが大量に流出して、周辺住民、死者三千四百人、五万人の人が呼吸障害や視力障害になった、こういう事故もありました。  日本においても、一九九七年三月、動燃の東海再処理工場の火災等もあったわけでありまして、あるいはタンクローリーの運搬中、あるいはその他運搬事故の過程において、次亜塩素酸ナトリウムを誤って処理したために塩素ガスが発生したとか中毒を起こした事件、こういうことが各所で起こっているわけであります。  事故が起こったときに第一番に駆けつけるのは消防署、救急活動であるわけでありまして、都道府県、自治体が関与していくことが、そういう意味では対応も即できるわけであります。届け出先を、いきなり国ではなく自治体にすべきだと私は思いますが、そういう観点で、通産大臣、どうでございましょうか。
  88. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 質問が多岐にわたりましたので、少しお時間をいただいて、詳細にお答えを申し上げます。  まず、本法案は、事業者の自主的な管理改善促進し、環境保全上の支障未然に防止することを目的としてPRTR制度を規定しています。PRTR制度は、全国統一的なルールにより届け出と集計を確保する、まさに国が行う事務であります。また、営業秘密の判断を全国統一的に行う必要があること等からも、届け出先を国としております。  同時に、事業者からの届け出の徹底やその正確性の確保や中小企業への適切な指導を実現し、PRTRの円滑な実施を図るためには、都道府県を含めたさまざまの機関が、事業者に対するPRTR制度の周知徹底や普及啓発、個別事業所に対するフォローアップといった役割を担っていただけることを期待しております。  また、届け出の確保の方策としては、国は、既に保有している対象事業所、全企業のリストや、今後実施することとしている届け出予定物質の取り扱い調査の結果等を活用して、個別事業所ごとに届け出の有無やその内容の真偽を検証することとしております。さらに、届け出をしなかった場合や虚偽の届け出がなされた場合に科される罰則、過料でございますが、罰則による抑止効果等が働くことにより、届け出及びその正確性の確保は十分に担保されると考えられることから、現行の政府案で特に不都合はないものと考えております。  次の御質問は、都道府県を経由するということの是非についての御質問がございました。この点について、現時点で我々がお答えできることは、次のような答えでございます。  まさに御質問趣旨は、主務大臣への届け出を都道府県を経由して行う場合に、都道府県の経由の事務が、現在国会において審議中の新しい地方自治法において自治事務となるのか、あるいは法定受託事務となるかという趣旨であると私は理解をいたしました。  本件につきましては、現在御審議いただいているPRTR制度にかかわる政府法案にはない規定についての仮定の御質問でございまして、また、現在国会で御審議中の新地方自治法の取り扱いに関する問題でありますが、自治省に照会しましたところ、現時点での見解として、本PRTR制度趣旨及びその法的枠組み、新地方自治法の自治事務と法定受託事務との仕分けの趣旨とをあわせて考えますと、御質問のような経由事務は法定受託事務となり得ると考えられますし、また、PRTR制度が国として統一的に行う制度としているという趣旨にも合致しているものと考えております。  また、仮定の問題ではありますが、本法案に都道府県の経由を規定する場合で、それが法定受託事務とされる場合には、自治省からは、本法案にこの経由事務は法定受託事務である旨を規定する必要があると言われております。  なお、法定受託事務たる経由に付随して、例えば都道府県知事が経由に際して意見を出したりすることもあるかと思いますが、そういう事務ですとか、経由により受理した情報管理する事務ですとか、その情報情報公開条例に基づいて開示請求がある場合にその開示の是非につき審査するといった事務などが派生することになると考えられますが、それらについては、一般的には自治事務になると考えております。  また、先生の御質問の中で、見直し規定ということについての御意見がございますが、私どもは、制度施行状況を見て、実際の運用に問題があれば十年を待たずとも見直すべきだというふうに考えておりますし、また、見直しの際には、審議会等での検討状況公開するとともに、パブリックコメント等は当然のごとく実施するという考えでおります。
  89. 田端正広

    ○田端委員 大変丁寧な御答弁ありがとうございます。私がこの後御質問したかったことを先にいろいろと答えていただいたために順序が逆になりましたが、大臣おっしゃったように、パイロット事業を見ても報告が五〇%程度ですから、そういった意味でも、ぜひ実効を高めるためにも都道府県を経由するということが大事だろう、そう思います。そうすることによって、いろいろな形でチェックもできる、あるいは制度促進もできる、こう思います。  それから、十三都道府県においては既に化学物質管理チェックを独自でやっておられる。例えば、東京は百三十一物質対象とか、大阪は百二十三とか、神奈川は二百とか、こういう形で管理指針を決めてやっておられる。こういうことと、その延長線上にこれを置くことによって、今おっしゃった自治事務が非常に生きてくるだろう、こういう感じもしているわけであります。  だから、先日来大臣が、機関委任事務になるから地方分権法との絡みで認められないというような御発言も前回あったと思いますが、私、あの答弁を聞いていて、そこはもう少し考えようはないんだろうか。そうしたら今、細かく仕分けていただきましたので、そういう仕分けをしていただいた上で、連動するといいますか、そういう形でもう少しこれは実効あらしめる方向へ持っていけないものだろうか、こういう思いを、今大臣答弁を聞いてさらに一層そういう気持ちがいたしました。ぜひその方向でお願いしたいと思います。  私は、NGOの皆様も含めて、この制度そのものは非常に評価されているんだろう。したがって、制度が生きるか中途半端になるのか、そこのところに戸惑いがあるわけで、先日来の議論が大体同じようなところに集中しているんだろう、こう思っているわけで、今大分交通整理をしていただきましたので、それをさらに議論していけば一つのよい方向が出てくるだろう、こういう思いをしております。  大臣、もう一回確認しておきますが、要するに、都道府県知事を経由して所管主務大臣に届け出るということで障害はない、さっき何か知事の意見を付するということもおっしゃっておりましたが、それによってこの制度をより実効あらしめる、こういうお考えと確認させていただいてよろしいでしょうか。
  90. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 大臣の御答弁申し上げた内容は、仮定のことであるというふうにお断りの上で御答弁申し上げたように思いますけれども、仮に経由という仕組みをとるとした場合に、その事務の性格を整理して御説明をさせていただいたわけでございます。  ただし、この法案自身は、現在、政府提案という形で御提案申し上げているわけでございますので、また、具体的な修正提案をいただいているという、そういう提案があるという状況でもございませんので、その点については大臣がこれからお考えになることではないかというふうに思っております。
  91. 田端正広

    ○田端委員 つまり、経由というのは法定受託事務になるけれども、その他の意見を付すとか、あるいは情報管理するとか、あるいは情報請求に際しての審査をするとかということは今の自治事務の範囲の中でいろいろできるから、その二つをかみ合わせて新しい方向を見出そう、こういうことで私は理解しておきたいと思います。  最後に一点だけお伺いしたいと思いますが、データを国民にどういう形でフィードバックするのかという意味において、インターネットを使えるようにするということでありますが、インターネットが有料なのか無料なのかということがはっきりしていないような気がいたします。つまり、インターネットを使ってだれでもたやすく、まあ無料なんだろうと思うんですが、おっしゃっている有料という意味がちょっとよくわからないんですが、どういうことになるのか、その辺を少しわかるように御説明願いたいと思います。
  92. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 御指摘のように、インターネットを通じまして情報の開示請求ができるということを考えております。  お尋ねの手数料でございますけれども政府提案の第十九条には「政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の開示の実施に係る手数料を納付しなければならない。」という規定がございます。  この費用でございますけれども、インターネットによる情報開示に係る費用について、現時点で具体的にどの程度のものかとかそういったお答えをできるまでに詰まっておりませんけれども、具体的な金額のあり方につきましては、データセキュリティーの確保ですとか、あるいは手数料の徴収方法がどのような形になるのかとか、そういったことを検討した上で、今後政令の策定段階で算定をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。  その算定根拠となる実費の考え方を申し上げますと、開示請求にかかわる直接的な経費としては、例えば具体的には、開示用のデータベースの整備、維持管理や、データの改ざん等を防止するためのデータセキュリティー対策に要する費用などが考えられるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、手数料の額は、法律上明記しておりますように、コンピューターの使用料等の実費の範囲内として、可能な限り利用者の皆さんにとって利便性が高く、負担のかからないようなものにしていきたいというふうに考えております。
  93. 田端正広

    ○田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  94. 北橋健治

    ○北橋委員長 大野由利子君。
  95. 大野由利子

    大野(由)委員 公明党・改革クラブの大野由利子でございます。  今の同僚議員質問と若干重複するところがあるかと思いますが、都道府県の関与の問題、私も若干初めに質問させていただきたい、このように思います。  先日の委員会で、各委員また参考人からの、都道府県の関与が非常に低過ぎる、都道府県が、地方自治体ということもあるでしょうが、特に都道府県がもっと主体的に関与できるようにするべきだ、こういう御意見がたくさんあった、このように思います。  それで、通産大臣環境庁長官、お二人にお伺いしたいんですが、化学物質排出量移動量を直接主務大臣にするのではなくて都道府県経由で国の方に報告をする、そういうシステムで何かまずいことがあるか、こういう不都合があるからそういうふうにすることができないというものがあるかどうかが一点でございます。  もう一点は、この間の委員会でも種々出ましたけれども、都道府県経由の方が、市町村となると小さな町や村もございますのでちょっと無理もあるかと思いますが、都道府県を経由することによって適切な助言や指導ができる。また、国へ直接報告するとなると報告率も低くなる、またその誤りをチェックすることも難しくなる。都道府県が窓口で、その報告の中身について都道府県がいろいろ相談に乗ることも可能だけれども、直接に国となるとその辺がうんと薄められてしまうのじゃないか、こういう御意見がございました。  この二点について、大臣長官の御意見を伺いたいと思います。     〔北橋委員長退席、古賀委員長着席〕
  96. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 前の質問者への答弁と若干ダブりますのでお許しをいただきたいと思います。  事業者からの届け出の徹底とその正確性の確保や中小企業への適切な指導を実現し、PRTRの円滑な実施を図るためには、都道府県を含めたさまざまな機関の協力を得ることが重要でございます。特に中小企業に関しましては、届け出に関するきめ細かな相談指導を行うべく、事業所管官庁、業界団体、関係中小企業団体等さまざまな機関の協力を得ることとしていますが、都道府県にも、中小企業に対するPRTR制度の周知徹底や普及啓発、排出量の届け出についての個別事業所に対するフォローアップといった重要な役割を期待しております。  また、国においては、既に保有している対象事業所、全企業のリストや、今後実施することとしている届け出予定物質の取り扱い調査の結果等を活用して、個別事業所ごとに届け出の有無やその内容の真偽を検証することとしております。  さらに、届け出をしなかった場合や虚偽の届け出がなされた場合に科される罰則による抑止効果等が働くことにより、届け出及びその正確性の確保は十分に担保されるものと考えていることから、現行の政府案で特に不都合はない、そのように考えております。
  97. 大野由利子

    大野(由)委員 最初の質問はいかがでしょうか、大臣。都道府県を経由するとまずいところがあるかどうか。
  98. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 本法案におけるPRTR制度では、届け出を全国統一的なルールで行い、集計の迅速かつ効率的な実施を確保するとともに、窓口として各事業における化学物質の取り扱いや工業プロセスなどに関する専門家が必要となること、競争環境、技術状況等の最も精通した者が営業秘密を判断するのが適当であることから、届け出先を事業所管大臣としており、こうした体制が将来とも適当であると考えております。  ただ、先ほどの御質問者にお答えした後半の部分は、私、自治法との関係を詳しく述べさせていただきました。必要であればもう一度答弁をいたしますが、いかがいたしましょうか。
  99. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 大野先生の所属する公明党からは、ただいま都道府県経由というようなお話がございました。そしてまた、民主党の方からは、市町村単位でいかがなものだろうかという提案もございました。我が方といたしましては、政府提案でございますので、もちろん先ほど来お話のあった意見参考にさせていただきますけれども、現在提出しておる政府案でもって答弁をさせていただきたいと存じます。  PRTR制度においては、事業者把握した排出量等の収集や集計を迅速かつ効率的に実施するとともに、営業秘密の判断を含む届け出を全国統一的なルールで行うためには、国を直接の届け出先とする仕組みが適当である、こう考えております。  そしてまた、御指摘のような中小企業者に対する届け出指導や記載ミスの補正については、通商産業省とも協力しながら、事業所管大臣、都道府県、業界団体、関係中小企業団体等、さまざまな機関と連携をして、届け出に関する周知徹底、記載に関する指導を行い、届け出の確保に万全を期していきたいと考えておるところでございます。
  100. 大野由利子

    大野(由)委員 今通産大臣の御答弁を伺っておりましても、都道府県を経由する、都道府県が窓口になると、都道府県にそういう化学物質に精通した専門家等々が必要になってくるというようなお話もあったかと思いますが、確かにそのとおりだと思うのですが、そうすることがこのPRTRを有効ならしめる最大のことだと思いますので、私は、都道府県にそういう人がいないということであればこのPRTR法が本当に生きてこない、こう思いますので、ぜひ都道府県を経由していただきたい。  そして今、企業秘密のことについて、都道府県で判断が違ってくると困る、企業秘密のことに関しては主務大臣がする必要があるんだというようなお話もあったかと思いますが、それはそれで、都道府県で全く判断が割れることがないように、都道府県が主務官庁の意見を聞いて判断をするとか、場合によっては、企業秘密の分野に関しては国の方で判断をするとかいうようなことも可能ではないか。  いろいろな方法があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、都道府県を経由して、排出量移動量報告をそれから国に上げる、こういうふうにぜひ修正をすべきだ、このように要望をさせていただきまして、ぜひこの点につきまして御検討をお願いしたい、このように思います。  次の質問に行かせていただきます。  届け出事項の集計、この八条の五項に、主務大臣及び都道府県知事は、第二項の規定による通知があったときには、この通知に係る事項について集計するとともに、その結果を公表することができる、こういう項目がございます。都道府県知事が集計して公開が可能という、これは機関委任事務か自治事務か。さっきのお話もあったと思いますが、ちょっと確認させていただきたいと思います。
  101. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  都道府県知事が環境庁長官及び通商産業大臣から通知を受けた事項の集計、公表の事務は、自治事務であると認識しております。
  102. 大野由利子

    大野(由)委員 今、自治事務だという御答弁がございました。そうであれば、自治体の判断責任で積極的に情報公開をすることが可能、そしてインターネットで、地方によっては、その地方がどういう判断をするかわからないわけですが、手数料を取らないで情報公開をするということもあり得る、こう解釈してよろしいわけですね。
  103. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  都道府県に通知された個別事業所のデータ公表方法につきましては、自治事務として都道府県知事の判断にゆだねられると考えられますが、政府としてはPRTR制度趣旨について十分説明することとしておりまして、各自治体が本法案趣旨を踏まえて、地域の化学物質管理施策や環境保全施策を実施するために活用していただけるというふうに考えております。  今先生の御指摘の点の開示の手数料につきましては、都道府県知事による開示の手数料につきましても、情報公開条例等に基づく地方の独自の判断によることになると考えています。
  104. 大野由利子

    大野(由)委員 十条に政府案の開示請求の項目がございます。何人も、ファイル記録事項であって当該主務大臣が保有するものの開示請求を行うことができるということで、国民は、通産大臣環境庁長官、その他の主務大臣に開示請求をすることができる。この開示請求が、はっきりはしていませんが、いろいろ、政令で開示請求料がかかるのじゃないかというふうなこと等も言われているわけです。最終は政令で決まるのでしょうが。  では、これは都道府県を通して各事業所、個別事業所のデータをとるときと、国に直接データをとるときと二つの方法があって、そして手数料も変わってくる、二つの方法がある、そういう解釈でよろしいのでしょうか。
  105. 岡田康彦

    岡田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、もし仮に都道府県に通知された個別事業所のデータを都道府県知事の判断において公表するというようなことがなされる場合には、自治事務ということでございますので、都道府県知事による開示の手数料についても、情報公開条例等に基づく地方の独自の判断によってなされることになるのだろうというふうに考えています。
  106. 大野由利子

    大野(由)委員 もう一回はっきり言っていただきたいのですが、私の質問は、二通りの方法があって、その二つ、県に聞いたときと国に直接聞いたときで手数料の違いとか手続に差があるということがあり得るわけですね。イエスかノー、はっきり簡単に言っていただきたいと思います。
  107. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  この私どもが提案しておりますところの法案におきましては、もともと国の仕組みとして物を考えておるものですから、先ほど先生指摘の十条の規定しかございません。  したがって、あとは、先生の御質問に先ほど来お答え申し上げておりますように、仮に都道府県知事がそういう御判断をされた場合には別途の御判断になるだろうということを申し上げておるわけでございます。
  108. 大野由利子

    大野(由)委員 何かすごく難しいのですが、イエスと。二つの方法があって、そして値段が変わってくることもあり得るということですね。私は、そういうことはあり得ないのか、あり得るのかだけを聞きたいのです。
  109. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  地方自治団体の方でそういう判断をされた場合には、可能性としてはあり得ると思います。
  110. 大野由利子

    大野(由)委員 わかりました。そういう法案政府案になっているということがよくわかりました。であるならば私はさらにまた、最初から地方自治体にもっと主体的に関与をしていただく、こういう法案であっていいんじゃないか、このように思います。  それから、第二条に第一種指定化学物質、第二種指定化学物質が出てきます。第一種指定化学物質PRTR対象になって、第一種、第二種がともにMSDSの対象になる。何が指定化学物質、一種なのか二種なのか、これは政令で定められるということですが、どういうふうにして政令で定められるか伺いたいと思います。
  111. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 第一種指定化学物質の要件は、法第二条第二項にございますように、さまざまないわゆるハザードがあるような物質につきまして、それが「その製造、輸入、使用又は生成の状況等からみて、相当広範な地域の環境において当該化学物質が継続して存すると認められる」、現に存すると認められるという化学物質を第一種、つまりPRTRの指定対象物質にするという規定でございます。  次に、第二条の第三項におきまして、この法律において第二種指定化学物質、これはMSDSのみの対象物質でございますけれども、これは「前項各号のいずれかに該当し、」ということでございますから、いわゆるハザードといたしましてはPRTR対象物質と同様でありますけれども、その化学的性状あるいは製造量、輸入量または使用量の増加等によって「相当広範な地域の環境において当該化学物質が継続して存することとなることが見込まれる」ということでございますから、使用状況等々から考えましていずれその広範な地域において相当継続して存することとなることが見込まれるものを対象にするということでございます。
  112. 大野由利子

    大野(由)委員 今、私、次の質問答弁を先にいただいたと思うんです。この一種と二種がどう違うか、判断基準は何かという質問をさせていただくつもりでして、その答弁を先にいただいたと思うんですが、そうした判断基準をもとにしてどこで決めるかという質問をさせていただきました。
  113. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 失礼いたしました。  そういった化学物質につきまして、これは政令で指定をいたしますから閣議決定によって指定されるわけでございますけれども、その手続といたしましては第十八条にございますように、内閣総理大臣、厚生大臣及び通商産業大臣がその制定または改正の立案をしようとするときは、あらかじめ政令で定める審議会意見を聞いて定めるということでございます。
  114. 大野由利子

    大野(由)委員 審議会でいろいろ意見を出されて、それを参考にして閣議決定されるんだと思いますが、この段階で国民の皆さんの御意見がしっかり反映される、そして、どういうふうにしてそれがそういうふうに決定されたかというようなことが十分公開をされて行われる、透明性の高いところで決定される、このように解釈してよろしいでしょうか。
  115. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 政令案を立案いたします際には、この法案に規定されておりますように第十八条に定める審議会意見を聞いて策定するわけでございますけれども、その際、ことしの三月に閣議決定されました規制設定または改廃に係る意見提出手続、いわゆるパブリックコメント手続に基づきまして広く国民の皆さんの意見をお聞きした上で決めるということでございますし、また、審議会はこれまでも、通産省化学品審議会もまた中央環境審議会公開原則で開かれているわけでございまして、そういったことを考えております。
  116. 大野由利子

    大野(由)委員 一種と二種の違いを先ほど御説明いただきました。  それで、全国的には排出量が少ないから今は二種かもしれない、しかし、ある特定の地域には大量に出されている。この特定の地域に関してはそれこそ第一種並みに排出をされているということが当然あるだろう、起こり得る、このように思うわけです。そういう問題に対して、特定の地域ではまさにPRTR対象にすべきだ、MSDSの対象だけではだめだ、こういうことが起こり得るのではないか、こういう地域性というものが加味されなきゃいけないんじゃないか、こう思います。  ダイオキシンでも、やはり個々には大丈夫であっても、産廃処理施設が集中するところには問題がある、総量規制が必要というようなことがあるのではないかと思いますが、環境庁長官の御意見を伺いたいと思います。
  117. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 地域の問題でございます。これは、先ほど申し上げました指定の要件の広範な地域云々というくだりをどのように今後解釈していくかということだろうと思っております。
  118. 大野由利子

    大野(由)委員 ぜひこれも、地域の特性というものがはっきり生きてくるような形で一種、二種、やっていただきたいと思いますし、それを可能にするためにも県がもっと主体的にかかわるべきではないか、このように思います。  第二条の五項、六項で、指定化学物質の取扱事業者が出ています。政令で定めるということで、どういう基準でこれを決定されるのか。これも政令ということなんですが、どれぐらいの事業者を想定していらっしゃるのか、どういう基準でこれが決められるのか。主務大臣というのは、これをまた地方から一括してそれぞれ中央官庁の本省に直接報告をされるのかどうなのか。  そしてもう一点、時間もないので伺いますが、では、従業員が十人以上になるのか二十人以上になるのか、これが政令でこれから検討されるんでしょうが、おたくの会社は取扱事業者ですよということがどのように周知徹底されるのか。これは、官報に出したとか、業界を通して言ったというだけでは、業界に入っていない業者もいらっしゃいますので、どういうふうに周知徹底をされるのか。  何点か取扱事業者に関する質問についてお答えいただきたいと思います。
  119. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  まず、事業者の数でございますが、先ほども答弁申し上げましたが、具体的には政令による対象業種の指定だとか対象事業者取扱量等に関する要件の設定を待たなければならないわけでありますが、現在のところ、私どもは約二万程度事業者を想定しているところでございます。  その想定の根拠といたしましては、環境庁パイロット事業や諸外国の例、産業界におけるPRTRに関する自主的な取り組みの状況などを参考にしまして、当面、私ども事業者当たり従業員数で二十人程度事業所当たり年間取扱量五トン程度を想定して試算を行うとそういうことになるということでございます。  それから次は、届け出の義務が課されたことをどのように周知徹底するのかというお尋ねでございました。この点につきましては、PRTR実施のための準備として対象事業者把握調査を実施いたしまして、あらかじめ事業者のリストをつくることをまず検討したいと考えています。  また、特に地方公共団体についてPRTR制度の円滑な運用を図るために、法案成立後早速にも都道府県との連携体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
  120. 大野由利子

    大野(由)委員 国に、直接中央省庁報告が行くんでしょうか。
  121. 岡田康彦

    岡田政府委員 そういう仕組みでお願いしております。
  122. 大野由利子

    大野(由)委員 時間が来ました。以上で終わります。
  123. 古賀正浩

    古賀委員長 吉井英勝君。
  124. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。  私は、最初に林野庁の方に伺っておきたいと思うんですが、二月十七日の予算委員会で、ダイオキシンを含む枯れ葉剤、除草剤2・4・5Tについて質問をしました。これは、焼却場から発生するいわば二次的なダイオキシンと違って、製品としてダイオキシンそのものをつくって販売し、使用したものでした。  七一年の四月に使用中止措置をとって以来、その時点であった2・4・5Tは、この二十八年間に林野庁が二十五トンを埋立処分にし、残りの十七トンは民間流通分でありました。このダイオキシンを含む2・4・5T剤の五つのメーカーはどこであったのか。それから、それぞれの事業所ごとに、幾ら生産して、幾ら販売して、幾ら貯蔵していて、幾ら廃棄物処分の取り扱いなどをしてきたのか、数量的にきちっと把握をしていらっしゃいますか。まず、そこから伺っていきたいと思います。
  125. 大森昭彦

    ○大森説明員 2・4・5T除草剤につきましてのお尋ねでございます。  この除草剤につきましては、昭和四十年から四十六年までの期間に生産をされておりましたが、当時メーカーからの報告によりますと、2・4・5Tを含みます農薬製剤の総生産量、これは約五千三百トンでございます。そのうち、出荷された総量は約四千六百トンとなっております。  また、製剤についての主な農薬メーカー別の出荷量につきましては、日産化学工業株式会社が約二千トン、石原産業株式会社が約二千三百トン、日本カーリット株式会社が約二百トンでございまして、その他に東京ファインケミカル株式会社あるいは三井東圧化学株式会社におきましても数十トン程度の出荷があったとされております。  なお、農薬メーカー別あるいは製造工場別の生産量でございますとか、あるいはその出荷先の内訳というふうなことにつきましては、当時の資料が存在しておりませんので不明でございます。  さらに、昭和四十六年に使用中止の措置をとった際に流通業者の方にございました在庫につきましては、これは農薬メーカーの方が回収をいたしまして、メーカーの在庫分とあわせましてメーカーにおいて高温の焼却施設で処分をしたということでございます。そういうことで、現在、農薬メーカー及び流通業者で貯蔵しております2・4・5Tはないというふうに承知をしております。  以上でございます。
  126. 吉井英勝

    ○吉井委員 今もお話ありましたように、五千三百トンのダイオキシン類を含む除草剤を生産して、出荷が四千六百トンですから、七百トンがどうなったかということなんですが、その中で、林野庁が二十五トンの埋め立てと、残りの十七トン、民間で流通する予定であった分については焼却処分ということを前回も伺ったわけですが、結局、これでいっても六百五十八トンはどうなったのかとか、非常に不明なものがあるわけです。  パイロット事業で挙げたナンバー百七十五がまさにダイオキシン類であったわけですが、いよいよこの事業を始めようということで進めるときには、実際にはこれがどういう経過をたどってどうなったのか、十分把握されていないというのが実態です。  林野庁がこのダイオキシンを含む除草剤の埋立処分をしたのが全国で五十四カ所、その中には、八四年、八九年、九四年と五年ごとに調査して、ダイオキシンそのものである2・3・7・8TCDDが土壌中の暫定ガイドライン値の十数倍という漏えいを検出した事例もあったことは、予算委員会で既に御報告をいただいております。  この調査は、五十四カ所中五十三カ所は八四年にやっただけで、その後は地方自治体が独自に調査した以外に全く調査されていないということもわかりました。つまり、この点でも、ある意味では自治体の関与の重要性というものが示されているなとも思ったわけです。  清掃工場から排出されるダイオキシンの排出量というものであれば、濃度測定と排出ガス量から算出するということになりますが、2・4・5Tの方は生産量がわかっているものです。この製造、使用その他の取り扱い過程において変動する化学物質の量に基づき算出する排出量移動量事業者や購入した者の貯蔵量、取扱量というのが、実は十分には明らかになってこない。過去のデータということですが。事業者の取扱量の中には、今もお話があった、貯蔵しないで焼却処分したというものがあります。どういう処分の仕方で、どこでどう処分したかという情報も今日では十分あるわけじゃありません。  つまり、私は、問題になってから把握しようとしてもなかなか把握はできないというのが、こういうところにもあらわれていると思うんです。  そこで環境庁長官に伺っておきたいんですが、これは、過去のことだからわからなくても仕方がないという問題じゃないと思うんですね。このことから大事な教訓があると思うんです。つまり、今PRTR法をつくるときだからこそ、排出量移動量、貯蔵量、取扱量のすべてがきちんと報告されて記録されることによって、将来にわたって環境保全上の支障未然に防止する効果が出てくるようにする、そのことがやはり今大事なことじゃないかと思うんですが、この点についての環境庁長官のお考えを伺っておきたいと思います。
  127. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生が御指摘問題点につきましては、御存じのように、既存のいろいろな取り締まりや法案があるわけであります。  今回のPRTR制度は、化学物質環境への排出量把握するものでございまして、これを実施することによって化学物質環境への排出状況の全貌を明らかにすることができるものと私は考えております。  しかしながら、化学物質の生産量とか取扱量とか貯蔵量等については、諸外国制度においても対象となっていないように、PRTR目的から見ても把握する必要があるものではないと考えておるわけでありまして、その他の法案で賄っていけるのじゃないだろうか、こう考えております。
  128. 吉井英勝

    ○吉井委員 その他の法案との組み合わせによってもつかみ切れていなかったというのが事実としてあるわけでありますから、私は、やはり全段階できちっと、それはおっしゃるようにほかの法律等の組み合わせによってもいいんですけれども、しかし、少なくともPRTRということを考えたときには、きちっとすべてがつかまれるようにするということが大事な点だというふうに言わなきゃならぬと思うんです。  生殖毒性が問題になっている化学物質であっても、相当程度因果関係が明らかになっていないと、損なうおそれがあると見なされることにはなってこない。しかし、損なうおそれの疑いのあるものでは指定化学物質にされないとすると、将来、仮に生殖毒性が明らかになって、被害も生じた、今の例のように生産停止も命じた、しかし過去に生産したものがどれだけの排出量移動量、貯蔵量、取扱量であったかわからないということでは、今の2・4・5T除草剤の場合と同じ問題をやはり生じてしまうというふうに思うんです。しかも、それが実際貯蔵しておったところで漏えいしたという問題もあって、これは予算委員会で報告を受けているんです。  そこで、環境庁長官に引き続いて伺っておきたいんですが、そういうことにならないようにするためには、全段階での量的把握、量的管理という考え方はやはり大事じゃないか。そういう立場で物を組み立てていくといいますか、考えていくということが大事じゃないかと思うんですが、この点についても大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  129. 岡田康彦

    岡田政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げたことと同じことを繰り返すことになりますので、私の方から申し上げますが、大変恐縮ですが、PRTR制度そのものは何かというところまで戻る議論だろうと思います。  PRTRそのものは、あくまで環境中への排出あるいは移動量を登録する、それと、トータルを集計して公表して、みんなの財産として、それをどういうふうに活用していくかということをみんなで考えながらいくという仕組みでございますので、そこにおいて、今先生指摘の点まで全部のものをこのPRTR制度の中に掲げて、そこまでの登録をさせるというのは、この制度を新たに導入する局面、あるいはPRTR制度そのものの性格等からいって、事業者負担も多くなるし、法案の性格からもはみ出るものだろうというふうに思っております。
  130. 吉井英勝

    ○吉井委員 事業者負担という心配よりも、大事なことは、やはり、今の事例のようなことが起こらないようにするということが一番のポイントであって、全量管理をやっておきますと、相互に排出量移動量のチェックも、報告した数字がきちっと根拠があるか、合理性があるかということの相互のチェックもできるのです。私は、そういう点では、全段階での量的把握管理というものは極めて重要な非常に大事な問題だと思いますから、やはりそういう方向へ発想を切りかえていくということが必要だということを申し上げておきたいと思います。  次に、過去の事例についても環境庁に少し伺っておきたいのですが、例えば一八八五年に愛媛県の別子銅山からの亜硫酸ガスによる被害が発生したわけですが、国が硫黄酸化物に係る環境基準を閣議決定したのは六九年二月のことで、一九六一年ごろから四日市でぜんそく患者が多発して、六七年に四日市公害訴訟が起こされてからのことでありました。つまり、八十四年後に初めて因果関係を認めて規制基準がつくられた。裁判での原告勝利というのはさらに後のことになります。  やはり、原因は、因果関係が認められるということになるまでには随分時間がかかっていたというのが、この事例に見ることのできる事実ではないかと思うのですが、これについても環境庁に伺っておきたいと思います。
  131. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  私どもが直接所掌している事例で、一つ、水俣病あるいはイタイイタイ病のようなケースで具体的に申し上げたいと思います。  水俣病につきましては、昭和三十一年五月に患者発生の報告があり、その後、ある種の有機水銀化合物が原因との厚生省食品衛生調査会答申が出るまでに約三年、チッソ水俣工場の排水中のメチル水銀化合物が原因との政府統一見解ができるまでに約十二年かかっております。  イタイイタイ病の例で申しますと、昭和三十年十月に原因不明の奇病として学会発表がなされまして、その後、三井金属鉱業神岡鉱業所の排出したカドミウムが原因との厚生省見解が出るまでに約十三年かかっております。こんな状況にございます。
  132. 吉井英勝

    ○吉井委員 私が最初に伺った例のように、亜硫酸ガスについては八十四年という年数がかかっているのですね。  今おっしゃったのだが、私は、もう少し長い時間かかっているのがイタイイタイ病の問題だと思います。富山県神通川で奇病が発生したとされるのは、一九二二年ですね。厚生省が、この原因は三井金属鉱業神岡鉱業所のカドミウムであるとしたのは、一九六八年の三月に訴訟が起こされてから二カ月後の、同年五月のこと。ですから、実に被害発生から四十六年後のことなんですね。  水俣病の一番最初の患者の方が発生したのは一九五三年十二月で、一九五九年七月に熊本大学の研究班が水俣奇病の原因は有機水銀だと発表したのですが、その後、一九六四年になってからも新たに新潟県阿賀野川沿岸で水俣病患者が発生し、一九六七年四月に科学技術庁が汚染源は不明だという見解の原案を示すなど混乱があった末、政府が二つの水俣病の原因をメチル水銀によるものと見解を発表したのは一九六八年九月、つまり十五年後のことでした。  ですから、環境庁長官に伺っておきたいのですが、規制という場合でいきますと、因果関係が確定しないと、かなりそこがはっきりしないと規制しないということがあったわけです。あるいは、指定化学物質としての報告をさせて公表するということを因果関係の確定までやらないということになると、これは、因果関係の解明までに多数の人命が失われたり健康を損ねる人々が生じてしまうというのが、亜硫酸ガスの問題であれカドミの問題であれ有機水銀の問題であれ、我々が経験してきた事実じゃないかと思うのです。  ですから、我々は、法律の仕組みを考えていくときに、やはりそのことをきちっと踏まえて取り組むということが必要だと思うのですが、長官の考えを伺っておきたいと思います。
  133. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 因果関係については、先生指摘のようなことが考えられると思うわけであります。  PRTR対象物質選定に当たっては、人の健康を損なう等のおそれがある物質を幅広くとらえることとしております。このような考え方に基づきまして環境庁が行ったパイロット事業の結果等を踏まえれば、約二百から三百という数多くの物質対象とできるのではないかと考えており、御指摘のような限定的なものとは考えていないわけであります。  先生の御意見は、貴重な意見としてお聞かせいただきたいと思います。
  134. 吉井英勝

    ○吉井委員 発がん性など健康を損なうおそれの疑いが問題とされるようになってから因果関係の解明までの時間というのは、これは発がん性の問題だけではありませんが、ぜんそくであれ、さまざまな健康を損なうおそれの疑いが問題になってからのことですが、今も言いましたように、SOxで八十四年、カドミで四十六年、水俣病で十五年。  ですから、規制を行うという場合には確かに、規制対象物質化学物質と健康被害の因果関係が明確にされてから規制基準を設けるというやり方が必要であるということでやってこられた。これはこれまでのやり方だったと思うのですが、PRTR法の場合は、化学物質排出移動などの状況公開して、おそれや、おそれの疑いのあるものについては市民の判断で選択して近づかないようにすることもできるし、あるいは、事業者が世論の批判にさらされることで実質的な規制の効果が生まれる。つまり、事業者からすれば、自主的に化学物質の不必要な使用や利用削減する力を生み出す。そのことが非常に大事なことだと思うのです。  その点では、大臣もそういう立場でこの法律を考えてこられたと。もともとPRTRというのはそういう考えから始まるものですから。そうすると、やはり健康を損なうおそれの疑いが問題になる、そういう化学物質についても、きちんと対象に加えることを検討して臨む、そのことが必要じゃないかと思うのですが、これも大臣に伺っておきたいと思います。
  135. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 水俣病にしても、イタイイタイ病にいたしましても、その原因を究明する時代的な背景があったと思うわけであります。今日になれば、PRTRのような法案を作成しましてその規制を図っていくことが可能になったわけでありまして、私も、水俣病水銀禍にかかわる罹病した方々に、本当にお気の毒だったと思う気持ちでいっぱいであります。  またそういうことがないように対応していかなければならないわけでありますけれども、現実的に申しましても、各種法案もございます。そしてまた、未解明の分野もございます。例えば、環境ホルモン関係の問題はどうしたらいいだろうかということを想定するわけでありますけれども、そうなった場合には、まだこれは十分究明ができていないわけでありまして、それらの専門家の知見をいただきながらこれらの問題に取り組んでいかなければならないんじゃないだろうかと思っておるわけであります。  時期来たりなばということで、できるだけ早くそういう予防措置を講じていかなければならない、こう思っております。
  136. 吉井英勝

    ○吉井委員 健康を損なうおそれの疑いというものについて、今、環境ホルモンで未解明の問題とおっしゃいました。未解明という立場に立つとしても、しかし、これが解明されたという時点で対象とする指定化学物質に加える。ところが、さっきの除草剤の例のように、それまでに生産され、移動し、貯蔵され、取り扱われ、あるいは環境中に排出され、その量が、その時点では過去のデータはわからない。それは、本来、せっかくPRTRを考えていこうというときに、やはり私は欠陥を持っているということを言わざるを得ないというふうに思うわけです。  そういう点で、未解明の問題というのは、規制基準を設けるとか規制するという問題だったら、大臣おっしゃった考えもある意味ではわかるわけですよ。しかし、今度の場合は規制するという立場じゃないんですね。報告を求め、公表することによって、世論の力などとも相乗効果を発揮して、実質的に、有害な、人の健康を損なうあるいは環境を損なうものについて削減する、その効果を生み出していこうというものですから、そういう点で、十分な因果関係の解明というところに至らなくても、相当数の学会での発表その他があれば、健康を損なうおそれの疑いのある段階からやはりきちっと指定化学物質に加えて取り組むということが、この法の趣旨に照らしてみても求められていると私は思うんですが、もう一度伺っておきたいと思います。
  137. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生の御指摘問題点につきましては、種々さまざまである、こう思っておるわけであります。  例えば、環境ホルモンと位置づけましても、これがどういう種類のものであるか。御案内のように昨年も京都におきまして世界の環境ホルモン会議を開きました。そのときにも、専門家の意見もいろいろありまして、相対立するような意見にもなったわけであります。今年も神戸において世界環境ホルモン会議を開催いたしますけれども、世界の知見を集めてということにも一つにはなってくるんじゃないかと私は思っておるわけであります。  また、国内におきましても、いろいろな審議会や知見者の意見もいただきながら問題を整理していかなければ、疑わしいからということで数に限界を設けなければ、それは何十万個以上の数になってくるんじゃないかと私は思っておるわけでありまして、そんな点を慎重に考えながら、なお迅速にやっていきたい、こう思っておるところであります。
  138. 吉井英勝

    ○吉井委員 おそれの疑いあるものでも全部取り込んでとなって、余りにも膨大になるとかえってわけがわからなくなるといいますか、不便ということもあります。当然、そこはよく研究、検討もしなければいけない分野もあろうかと思いますが、しかし、少なくとも健康を損なうおそれの疑いのある段階から指定化学物質に加えていくということを、検討する対象にやはり考えるべきだということを申し上げておきたいと思います。  次に、法案第六条で、営業の秘密とは、情報が秘密として管理されている生産方法、事業活動に有用な技術上の情報で公然と知られていないものに該当するものとなっています。これではいかようにも解釈されて、実質的に公表されないことにもつながりかねないわけです。  アメリカでは企業秘密を認めていますが、それでも数万件のうちの十数件しか秘密扱いのものはない。市民団体の方が調べられたものでは、九五年で七万三千三百十一件の報告中、十三件のみ秘密扱いであった、圧倒的に公表されているというのも紹介されております。  私は、こういう圧倒的多数を公開しているアメリカの秘密の基準というものはどういうものかということと、あわせて、日本が営業の秘密についてもアメリカ並みの公表を行う、そこでどういうものを考えていくかということについて、まず環境庁考え方というものを聞いておきたいと思います。
  139. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  営業秘密につきましては、不正競争防止法に倣いまして、法案第六条第一項に規定されました秘密性、有用性、非公知性の三要件に照らしまして、事業所管大臣によって、そのすべてに該当するか否かについて判断をされることになります。  なお、事業所管大臣は、当然のことながら、企業を取り巻く競争環境であるとか技術状況等を熟知しているとともに、本制度において第三者的立場にある行政機関でございまして、PRTR制度が何であるかということ、それから、再三御答弁で申し上げておりますように、これは環境庁通産省責任を持ってつくる仕組みではありますが、関係省庁みんなに協力してもらうということで取り組みを進めておりますので、こうした趣旨に沿って審査をしてもらえるものだと確信しております。
  140. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので最後の質問をして終わりたいと思いますが、この営業の秘密というもので、今基準をおっしゃったわけだが、その基準に照らして公開、非公開を決めるという方の、後段の問題ですね。私は、これは、特定化学物質情報公開審査会のような透明性や公正な判断の保障されるところの判断を聞いて環境庁長官が決めるということにしておかないと、薬害エイズの情報公開を拒否した厚生省の例を見ても、所管官庁判断では国民の信頼は得られないと思います。  大体、今、天下りが多い時代ですが、天下りというのは汚職の先物取引と同じなんですね。官僚と業界との関係からして、公正、客観的判断が下されるというふうに国民の皆さんは信じてはいらっしゃらない。だから、アメリカでは環境省がこれはやっておりまして、所管官庁じゃないわけですね。  私は、この点で最後にもう一問環境庁長官に、やはりそういう公開を審査するところを設けて、環境庁が基準に照らして判断する、そういうふうにすべきだと思うんですが、この点についての大臣見解を伺って、時間が参りましたので終わりにしたいと思います。
  141. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生の御趣旨に沿った対応ができれば、こう考えております。
  142. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  143. 古賀正浩

    古賀委員長 中川智子君。
  144. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。きょうも座ったままでの質問をお許しいただきたいと思います。  きょうはすべて環境庁長官にお伺いしたいんですが、まず最初に、地方公共団体、社民党案でもこれを一つの大きな柱にしておりますけれども、私自身は、地方公共団体制度運営の基本にすべしという思いを持っております。  今回のPRTR法は、制度運営の基本をどこに置くかというのは非常に大事だと考えております。政府案では、事業者との関係で、制度運営は国、そして具体的には業所管官庁となっていますが、環境庁長官事業者との関係では主務大臣を介してしか向き合っていません。ここが私は、大きな不安を抱く、大きな制度的な問題点だと思っています。  今、地方公共団体は、環境法規ですとか公害防止協定などさまざまな手段を持って、地域にある工場や事業場の様子というのをとてもよく把握しています。そしてまた地方公共団体は、環境汚染の問題に関しては、このところさまざまな問題があちこちの地域で起こっていますので、専門のセクションなり人員というのを配置して、そして縦割りをできるだけやめて、一つ環境のセクションで日常的に地元の工場や事業場単位での接触というのがあるように聞いておりますし、私自身もそのような場面に何度か遭うことがありました。  地域の化学物質情報の収集や真実度の担保をすることにおきましても、国がデータを収集するよりも効率的かつ適正に地方公共団体は行う力を持っていますし、また、これからはそのように育っていかなければいけないというふうに思います。にもかかわらず、政府案は、地方公共団体事業者の届け出先として適当でないと判断されているようですが、環境庁長官地方公共団体が届け出先として適当でないとした具体的な理由をぜひともお教えいただきたいと思います。
  145. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生から、きょうは環境庁長官に全御質問をということで、ありがたい御指名を受けたわけでありますけれども、私の知見だけでは十分答えられない点も出てくるのじゃないかと思いますので、私の答えられる範囲内で答弁をさせていただきたいと存じます。  ただいま御指摘を受けました、地方自治団体に対する思いやりということで、地方分権体制を整えなきゃならないというのは先生の御意見からも拝聴できたわけであります。  しかし、事によりけりでございまして、問題処理を行っていく場合に、やはり今回のようなPRTR法案のように、情報公開をやろうという大義でもって事を進めていくわけでありますから、地方にありましては、情報を収集しやすいけれども、果たしてそれを公開して企業に大きな打撃を与えないだろうかという点も配慮しなければならないと思っておるわけであります。それがためにということで、企業秘密の分野につきましては、主務大臣ということでそれを担当させていただいておるわけでありまして、そういう点の考慮も必要じゃないだろうかと私は思っております。  いずれにしても、将来にわたっては地方分権時代にふさわしい体制をつくらなければなりませんけれども、現時点においては、PRTR法案において、ぜひ中央主導でやってほしいというのが大方の意見であるように私は考えられまして、今回の措置になったわけであります。
  146. 中川智子

    ○中川(智)委員 企業の打撃というふうに今長官おっしゃいましたが、そうではなくて、やはり環境の汚染を未然に防止する、そして、国民自身が安心を持って、その情報をきっちりとスリムな形で得ることができてということで、私は、地方公共団体制度運営の根幹にすべきだ、届け出先として地方公共団体にということを強く申し添えて、次の質問に移ります。  今のと関連いたしますけれども政府案では、企業からの届け出は業所管大臣が行って、環境庁長官所管大臣からデータが送られてくる、このような仕組みになっています。  私たちの社民党案では、法律に基づいて全国一律のルールをつくって、地元の事情によく通じた地方公共団体にまず企業が届け出をして、それを環境庁長官に送るというふうなシステムでお出しいたしました。  両案とも、環境庁長官がデータ集計を行うことについて、間接的ではあるんですけれども、そこのところに違いはないんですが、環境庁長官にぜひともお尋ねしたいのは、長官は、企業の届け出を業所管大臣が受け付けるのと地方公共団体が受け付けるのでは、データの集計を行うに当たって具体的にどのような違いがあるとお考えですか。データの収集をきっちり行うに当たって、業所管大臣がやって環境庁に送られるのと、地方公共団体がやって環境庁の方に送られるということで、データ集計で大きな差があるとお思いですか。どのような差があるとお考えかということを伺いたいと思います。
  147. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 事業所管大臣は、企業を取り巻く競争環境や技術状況等を熟知していることと、全国統一的な判断を行うことができることから、本法案に基づくPRTRの届け出にかかわる営業秘密の判断を行う主体として適当である、こう考えておるわけであります。また、PRTRの届け出を全国統一的なルールで行って、集計の迅速かつ効率的な実施を確保するためには、届け出先が国であるということが私は妥当なことじゃないだろうかと思っております。  一方、届け出先を地方自治体にすることは、全国統一的な営業秘密の判断を確保し切れない点があるということと、また二番目には、すべての自治体が専門的な知見を持ち合わせているとは限らないという点であります。国との大きな違いとは考えられませんけれども、そのような理由で事の処理に当たったということでございます。
  148. 中川智子

    ○中川(智)委員 大きな違いがないというふうにおっしゃったことは、やはり将来的に地方が力をつけていって、そのときはというふうな御答弁のように伺いましたが、力をつけていくためには、スタート時点からそのようにすべきだと思っております。  そして、企業秘密はもうちょっと後に質問したいんですけれども、後といってもあと五分しかなくなりましたので、今のと関連して諸外国のことをちょっと長官に伺います。  国が所管するにしても、私は、業所管大臣ではなくて環境庁に、環境庁長官所管すべき、環境庁所管すべきであるということを一貫して述べております。  PRTR制度について、OECD諸国のことで伺いますけれども、欧米諸国で、国が制度運営をしているとしても、すべてそれは環境庁ではないかと思うんですね、諸外国では。それがどうなっているか、諸外国で、国が主管である場合、それはどこの省でやっているところが多いかということを教えていただきたいと思います。そして、欧米諸国で国が制度運営をしているとしても、我が国において地方公共団体を排除する理由にはならないというふうに考えるんですが、その二点について質問したいと思います。
  149. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  PRTR制度実施している国について見ますと、PRTR制度の届け出先を事業所管大臣としている国は見られないように思います。ただ、国の組織及び政府の構成する行政庁の名称や役割分担というのは国によってさまざまでございますので、我が国におけるPRTR制度は、我が国の実情にふさわしいものとすべきものだということで御提案申し上げております。  それからまた、実際問題としては、環境庁長官は、事業所管大臣に対しまして、営業機密の扱い等につきましての説明も求められる条項も設けておりますので、環境行政上これで支障があるということはもちろんございません。
  150. 中川智子

    ○中川(智)委員 企業秘密のことに質問を移したいと思いますが、やはり御答弁を一貫してずっと流れの中で伺っていますと、何しろ企業秘密に対してどうするかというところにとても心が行っているような、今回のPRTRの中でなぜそんなに企業秘密というところに重きを置かれるのかというのがどうも理解できません。  業所管大臣というのは、業所管庁が企業秘密なり企業の事情をよくわかっているというのは、それはよくわかります。そうだと思います。でも、それだからこそ、第三者的な公正さを担保すること、そのことが大事だということで諸外国においても環境庁がそれをやっていると思うんですね。やはり、検察と裁判所が同じ屋根の中にいるようなPRTR制度では、私たち自身が待っていたものにならないと思います。  そこで、環境庁長官に伺いますけれども、秘密事項の判断を業所管大臣が行うということの中で、制度的な公正さの担保から、ぜひとも環境庁長官判断すべきだと思いますが、環境庁長官、業所管大臣じゃなくて環境庁はきっちりそれができるという自信はおありですよね。お願いします。
  151. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生御承知のように、今回の法案は、OECDから勧告を受けて、日本で初めて取り組んだ法案であるわけであります。そこで、いろいろな問題が出てくるわけでありますけれども、最初からこれありきというような限定的なものは、私は難しいと思うわけであります。そこで、今回の法案処理というのは事業所轄省を政府という形に取り上げたわけであります。そこで環境庁がイニシアチブをとってやっていくということでありまして、環境庁に一括した形のものを今すぐ設置するということに対しては、私は少々の不安もあると思うわけであります。  環境庁長官がすべてを把握しているかと言われれば、大臣もオールマイティーではございませんので、皆さんの協力を得ながら勉強してその体制をつくっていくことじゃないか、こう思っております。
  152. 中川智子

    ○中川(智)委員 大臣、やはりOECD勧告の中にも、そして先ほどの政府委員の方の答弁の中にも、諸外国でも環境庁だと。そして、日本はそれにおくれて今回このPRTR制度をつくるわけですよね。ですから、やはり環境庁長官が、今は不安というふうにおっしゃいましたけれども、やるべしという決意、それを聞かせていただきたいんです。
  153. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 決意といえば、これは何としてもやっていこうという気持ちでいっぱいであります。ただ、今日まで培ってきた日本の行政的な役割ということもかんがみまして、それを一刀両断に処理するというのも難しいわけであります。お互いが相協力しながらそういう方向性を見出していきたいと思っておるわけでありますけれども環境庁としては、先生指摘をいただいたように、また御激励をいただいたような点につきましては、しかと取り組んでまいりたいと思っておるところであります。
  154. 中川智子

    ○中川(智)委員 時間になりましたけれども、済みません、短くて結構ですが、最後に。  公表ですが、情報公開はいわゆる情報開示権ということで成立いたしました。でも、その後にできるこのPRTRは、いわゆる開示要求されてデータ公表ではなくて、きっちりと最初から公表する、データは公表ということで、アクセスしやすい形でスタート時点からやるべきだと思います。個別事業所のデータもしっかりと公表という姿勢で臨んでいくべきだと思いますが、長官はいかがお考えでしょうか。政治家としての御意見、御見解をぜひともお願いいたします。
  155. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 公開は大原則でありまして、先ほど来企業秘密というような点についておしかりも受けたわけでありますけれども、これは、最初からなじみがなければこの法案というものが執行できないわけでありまして、そういう点においては、不安感を払拭するという意味合いにおいてもそういうものを提示したわけであります。  諸外国の例をとってみましても、企業秘密という分野は非常に少のうございます。少ないけれども、そのものが管理できておるということが日本企業にとっては今必要なことじゃないだろうかと思うわけでありまして、その不安を払拭しながら、この情報公開は、できるだけ企業、国民、そしてまた政府関係の協力を得てなしていきたい、こう思っておるところであります。
  156. 中川智子

    ○中川(智)委員 時間になりました。  ぜひともこれは、企業と市民、国民が対立するような形じゃなくて、一緒に、事業者、そして地方公共団体国民がしっかりと信頼関係を築いていく第一歩にしたいと思いますので、このままの中身ですと対立関係を生む、このことをしっかりと強調して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  157. 古賀正浩

    古賀委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後零時十四分散会