○金子(満)
委員 私は細かいあれこれを言っているのじゃなくて、例えば産業といったら何のことをいうのですか、産業とは。これは広辞苑を見るまでもないのですよ。生活のものを生産し、そしてこれをいろいろ改良し、そしてまた広く言えば、農業も漁業も、そして流通
関係末端まで全体を含めて産業というのに、この場合は、産業が競争力を強めるために、これが代表だと。
ほかにも、例えば今労働界の問題が出ましたけれ
ども、どれを選ぶか。では、政府が提唱しているものに労働界の代表はいないのですか、中央労働
委員会はどうですか。それでは、学識経験者が入っているいろいろの諮問
委員会とか機関がありますよ、あれはだれを選ぶのですか。これは皆あるのです。ただ、ここだけがないのです。だから、こういうのはほかに例がないだろうと。それを細かくきょうここでごたごた言っても仕方がありませんから、私は細かいことを言わないわけですけれ
ども、問題は、そういう形で発足しちゃったわけですよ。
それで、総理の裁断なんですよ、そして
通産大臣が進行係をやるわけですよ。中小
企業、こっちの意見を聞きました、労働界もいろいろわかります、あれこれ選べないのですといっても、答えだけが出るのです。
私は、そういう中で、非常に大事な問題が実はこの競争力
会議、
会議ということでやられていますけれ
ども、言葉は産業の再生とか競争力とか活性化とかいろいろ言われています。では、そういう中で、実際にはどんなことになっているのか。
これを構成している産業界の代表という中で、最初から入っている十六の上場
企業、ここではこの六年間に人員の削減を十五万八千人以上やっています。これは後で私
どもの
調査による表もお届けしますけれ
ども、そういう中で、あれほど雇用を拡大すると政府も随分言ってきました。去年の秋も百万人と言ったけれ
ども、どうだった、経過を見れば五十万人も減って、また七十万人出すわけですね。しかし、そういう中で、こうした大
企業が積極的に意欲的に新しい求人をやっておるか、していないのじゃないですか。これも数字が出ているわけですね。
しかも、そういう中で大事なことは、この
会議に参加している経団連の今井会長は、五月二十日のこの
会議で公式に
発言して、これは出ているわけですね。その中では、
企業内に必要以上の労働力を抱えたまま事業転換を図るというこれまでどおりの対応では世界的な競争に打ちかてないと、人減らしを公式に言っているわけです。これは
会議で出ているわけですね、ないしょで言ったとかひとり言ではないわけです。
そして、日時の経過をたどってみると、これはもうよく国会の
発言でも出されましたけれ
ども、今井会長の
発言が、実は同じこの五月一日、小渕さんがシカゴでやった有名な演説、これは新聞にも随分出ました。その中で、
日本の失業率の増加は避けて通ることはできない、失
業者の増加もやむを得ないんだということを公式に
発言しているわけですね。
そういう中で、この産業競争力
会議が、過剰人員を口実とした大
企業の大量の人減らし、しかもその減らし方が、皆さん御存じだと思いますけれ
ども、見て、どこの
企業の労働組合が人減らし反対ということに立ち上がっただろうかというのも
一つの疑問として出されるわけなんですね。つまり、人減らしというのはいろいろの勧誘のやり方がある。人減らし誘導、勧誘、今ならこうだと。そして、
企業によっては就職先から履歴書の書き方から面接のときの注意までやるのですね。私は、そういうことを考えたときに、こういう大量の人減らしというのは人権無視の退職勧誘、あるいは退職の強要、こういうことがやられている、これが実態だと思うのですね。
こういう中で注目すべき
発言は、去年の十二月、
与謝野さんが
通産大臣として参議院で行った答弁なんです。これはなかなかいろいろの
意味で含蓄があると思うのですね。昨年十二月十日、参議院の
経済・産業
委員会で、私
どもの党の山下
議員の質問に対して次のように答弁しているのですね。リストラというのはその
一つの
企業にとってはバランスシートをきれいにするという
意味では大変いいわけですが、全部の
会社がリストラをやるということは全部の
会社で不況運動をやっているのとほとんど同じだ。私はそうだと思うのです。
ところが、不況運動を全部やっている人がこの
会議の産業代表の構成メンバーになっているわけです。私は、こういうことを考えたときに、これは大変なことだ。ですから、雇用をふやすというのだったら、失
業者を出さないということも同時に考えなきゃならない。いろいろ転換の問題がありますけれ
ども、失
業者を出さないということを考えなきゃならない。
さあ、そういう中で、今やるべきことというのは、人権侵害とか不当な解雇を許さない、解雇規制というのを
通産省はやるべきだ。同時にやはり、私
どもは、世間でも言われるけれ
ども、大
企業、ゼネコン奉仕の大型公共事業を何でもかんでも、これを景気回復だというのじゃなくて、国民生活に密着した、医療や福祉やそして教育に
関係する公共事業を積極的に起こしていくことが、これは失
業者を出さない、雇用を維持し拡大していく、そして収入もふやし、購買力を高め、消費を拡大していくという
意味でも大事だ。
こういうことを今やるべきだと私は思いますが、
大臣、どうですか。