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1999-06-11 第145回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月十一日(金曜日)     午前九時五分開議   出席委員    委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君    理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君       荒井 広幸君    大石 秀政君       岡部 英男君    奥田 幹生君       奥谷  通君    木村 隆秀君       河本 三郎君    佐田玄一郎君       新藤 義孝君    竹本 直一君       武部  勤君    中尾 栄一君       中谷  元君    林  義郎君       牧野 隆守君    松本  純君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       山口 泰明君    山本 幸三君       奥田  建君    島津 尚純君       樽床 伸二君    中山 義活君       原口 一博君    山本 孝史君       渡辺  周君    遠藤 乙彦君       中野  清君    福留 泰蔵君       青山  丘君    小池百合子君       二階 俊博君    松浪健四郎君       金子 満広君    吉井 英勝君       前島 秀行君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君         国務大臣         (内閣官房長官         )       野中 広務君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     山田 昭雄君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         通商産業省基礎         産業局長    河野 博文君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         工業技術院長  佐藤 壮郎君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君  委員外出席者         商工委員会専門         員       野田浩一郎委員の異動 六月十一日         辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     大石 秀政君   河本 三郎君     中谷  元君   新藤 義孝君     松本  純君   中山 太郎君     荒井 広幸君   村田敬次郎君     佐田玄一郎君   樽床 伸二君     原口 一博君   二階 俊博君     松浪健四郎君 同日         辞任         補欠選任   荒井 広幸君     中山 太郎君   大石 秀政君     遠藤 武彦君   佐田玄一郎君     村田敬次郎君   中谷  元君     河本 三郎君   松本  純君     新藤 義孝君   原口 一博君     山本 孝史君   松浪健四郎君     二階 俊博君 同日         辞任         補欠選任   山本 孝史君     樽床 伸二君 六月九日  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案内閣提出第三九号)(参議院送付) 同月十日  中小企業支援策充実強化に関する請願羽田孜紹介)(第五二六一号) 同月十一日  中小零細企業などの地域産業振興策拡充に関する請願佐々木陸海紹介)(第六四一八号)  同(志位和夫紹介)(第六四一九号)  同(瀬古由起子紹介)(第六四二〇号)  同(辻第一君紹介)(第六四二一号)  同(寺前巖紹介)(第六四二二号)  同(中路雅弘紹介)(第六四二三号)  同(葉山峻紹介)(第六四二四号)  同(知久馬二三子紹介)(第六五三七号) は本委員会に付託された。 六月十一日  中小企業コンピューター西暦二〇〇〇年問題の徹底対策に関する陳情書(第二四四号)  廃棄物再生利用の促進のための公的規格確立等に関する陳情書(第二六一号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  通商産業省関係基準認証制度等整理及び合理化に関する法律案内閣提出第九五号)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案内閣提出第三九号)(参議院送付)     午前九時五分開議      ――――◇―――――
  2. 古賀正浩

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出通商産業省関係基準認証制度等整理及び合理化に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田建君。
  3. 奥田建

    奥田(建)委員 民主党の奥田建でございます。  このたびの、内閣提出通商産業省関係基準認証制度等整理及び合理化に関する法律案につきまして、質疑を行わせていただきます。  見直し対象となったものが十八法案、そして今回改正あるものが十一法案ということでの一括提出ではございますけれども、いろいろな世の中内外要請、あるいは閣議での強力な推進要請といった中で、閣議決定からは、大量の法案とはいいながら迅速な仕事をしていただきましたことに、まず通産省関係方々に敬意を表したいと思います。  各法案通産省関係ごと法案ということになっておりますけれども、その根本にはやはり規制緩和要請といったものがあるかと思います。規制緩和推進三カ年計画、あるいは規制緩和委員会、現在は規制改革委員会となっておりますけれども、そういった活動の中、あるいは要請の中、取りまとめていただいたと思います。政府全体としては総務庁の方で窓口になっていただきまして、出ましたいろいろな要望事項指摘事項見解といったものを各省庁担当部署に回送しまして、今回の改正になっておると思います。  まず、総務庁の方に、本日は西村審議官に来ていただいておると聞いておりますけれども、この規制緩和あるいは基準認証制度全体の各省庁の現在の取り組みといったものについて御報告をしていただきたいと思います。
  4. 西村正紀

    西村(正)政府委員 お答えいたします。  政府は、規制緩和につきましては、昨年の三月に規制緩和推進三カ年計画を策定いたしまして、これに基づきまして各省庁規制緩和を進めていただいておるわけでございます。また、あわせまして、規制改革委員会という委員会政府行政改革推進本部のもとに設けまして、この委員会でいろいろな審議規制緩和テーマについても審議をいただいておるところでございます。  基準認証につきましては、この規制緩和委員会が昨年の十二月に、国が関与する基準認証の範囲を見直す、また自己認証自己保安等基本とした制度に移行する、また基準国際整合化性能規定化重複検査の排除というような三つの骨格を示しまして、これらを踏まえて規制緩和推進三カ年計画の期間内に見直しを行うよう委員会として各省庁要請が行われました。  政府は、ことしの三月末に規制緩和推進計画を改定いたしましたが、ここでその旨の方針を決めたところでございまして、各省庁において基準認証見直しが行われますとともに、また、規制緩和委員会、これはことしの四月六日に規制改革委員会と名称を改定いたしましたが、ここでも、基準認証について各省とは別に重要な課題として取り組むことにしているところでございます。
  5. 奥田建

    奥田(建)委員 同じく総務庁の方にお尋ねしたいのですけれども、こういった基準認証に関しましては、横断的な基準認証というものが大きな目標一つということになっております。各省庁から見直し改正案というものが出てきました後に、またもう一度、今度は横軸と申しますか、そういった横断的な基準認証実施ということが行われるわけですけれども、そういった実施体系総務庁としてどのように取りまとめ、あるいは指示していくかということ。  それと、昨年、運輸省関係基準認証見直しがあったというふうには聞いております。通産省も、今の見直しは早い方かと思いますけれども、ほかの関連省庁動きなども踏まえて御報告いただければと思います。
  6. 西村正紀

    西村(正)政府委員 各省庁基準認証見直しは、先ほど申しましたように、ことしの三月末の規制緩和推進計画で定めたものでございまして、これから二年の間に各省庁見直しを行っていただくことになっております。もちろん、総務庁といたしましても、規制緩和全体をフォローする観点から、各省庁から適宜報告をしていただくことも考えておりますし、また、規制改革委員会といたしましても、各省庁推進状況等についてフォローアップをされるのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、この一年あるいは二年で、各省庁検討されました成果がまとまりましたら、今の規制緩和推進三カ年計画を来年また改定することにいたしておりますので、その中に盛り込むというようなことを進めてまいりたいと考えております。
  7. 奥田建

    奥田(建)委員 ちょっと一言だけお返事をいただきたいんですけれども、各省庁の現在の状況ですが、第二回フォローアップという中で、今通常国会にその基準認証見直し案を出しなさいということが閣議決定されておりますけれども、それに各省庁すべて呼応していると言えますでしょうか。総務庁の方にお願いします。
  8. 西村正紀

    西村(正)政府委員 まだフォローアップ等行っておりませんけれども、規制緩和推進三カ年計画閣議決定でございますので、各省庁がこれに基づいて二年の間に見直しを進めていただけるものと思っております。
  9. 奥田建

    奥田(建)委員 最終期限が十二年度ということで理解させていただきたいと思います。  各省庁基準見直しも大切でございますけれども、ぜひとも効果的な運用といった中で、その横軸をつなぐ役目というものを十分に果たしていただきたいとお願いする次第でございます。審議官の方、お忙しい中、どうもありがとうございます。  続きまして、今回提出されました法案全体についてのことになります。  基準認証というものは、古くから、一般の生活者にとっては直接にかかわる部分ではないかもしれませんけれども、間接的に大変な恩恵を、あるいは接点のある部分かと思います。そういった中で今回大幅な全面的な見直しといったことが行われたわけでございますけれども、今までの基準認証制度強制法規という名前であったりしますけれども、その基準認証政府認証というものが果たしてきた役割、そして、社会状況変化とともに基準認証あり方も変わっていくという中で、これからの基準認証あり方、あるいは今言いましたような社会状況変化といったものについての見解を、与謝野大臣の方にお答え願いたいと思います。     〔委員長退席岸田委員長代理着席
  10. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 基準認証について、今回の法律改正の一番底に流れている思想はどうかという御質問だろうと思います。それはやはり何といっても、すべてを官がやるという思想からの脱却だろうと私は思っております。それは、事業者能力向上いたしましたし、何から何まで官がやる必要はない、やはり民の能力向上に伴って自己責任で行うことも必要だろうという思想がございます。  一つは、自己認証といって、例えばメーカーならメーカーが自分で検査を行ったり、基準に適合しているかどうかを確認していくという、まず事業者自己認証というものも考え方にあります。また、事業者が何社か集まって第三者機関を設立して、そこに基準に合っているかどうかというような作業をしてもらう、こういうことも必要である。そういうことで、官からの脱却という面がございますけれども、一方では、安全性というものが、国民生命健康等に重大な影響のあるものについては引き続き官がこれを行う。多分そういう三つの分類になっていると私は考えております。  ただ、なぜこれをやるのかといいますと、やはり官がやることによっての非効率という面もありますし、民が自主的にやるということによって責任感向上という面も出てくるんだろうと私は思っております。いずれにいたしましても、官が行うことの非効率性も克服しながら、また事業者責任感向上していく、こういう二つの思想が入っていると思っております。  ただ、繰り返して申し上げますけれども、国民生活生命に重大なかかわりのあることについては、やはり政府あるいは政府関係機関責任を持って行うという体制は引き続き続けていく必要がある、そういう考え方によって成り立っていると私は考えております。     〔岸田委員長代理退席委員長着席
  11. 奥田建

    奥田(建)委員 丁寧に答えていただきまして、ありがとうございます。  今大臣の方からも、官から民への移行、それから自己認証という言葉、あるいは第三者認証、そして制度効率化といったものが目標になるであろう、期待される効果となるであろうということ、しかしながら安全という部分においては譲るわけにはいかないというような御答弁かと思います。  今回、十八法のうち十一法が改正対象となって提出されておりますけれども、今回改正が見送られたという七法、JISなんかは先行して改正が行われておりますけれども、残りました七法、それぞれに理由はあるかと思います。  しかしながら、いろいろな、前にも言いました省庁間横断認証といった中で、石油コンビナート等災害防止法、こういったものに関しては、保安四法という中で省庁間横断の法の規制と申しますか認証が必要だということで、この調和を何とか図れないのかというような記事も目にしております。  そういった法体系整合化あるいは調和を求めるといった声に対して、どのような対処をするのかということを少しお聞かせいただければと思います。今回は出ていませんけれども、これからの動きという中でお願いしたいと思います。通産省の方にお願いします。
  12. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 お答え申し上げます。  奥田委員指摘のいわゆる石油コンビナート関係保安四法でございますが、石油コンビナート地域に集積している大規模事業所、ここでは、例えば蒸留塔みたいな高圧ガス製造設備、あるいはタンクだとかボイラーだとかさまざまな設備、施設が混在しております。そういう事情もございまして、高圧ガス保安法、それから労働安全衛生法消防法、それから石油コンビナート災害防止法のいわゆるコンビナート四法がそれぞれ適用されている状況でございます。  こういう状況にかんがみまして、これら四法の検査等について、先ほど総務庁審議官からお話がございましたが、ことしの三月末に閣議決定をいたしました規制緩和推進三カ年計画で、あくまでも安全性を損なわないことを前提といたしまして、事業者の負担をなるべく軽減するという観点から、さらなる合理化整合化余地がないかどうかを検討するべく、私ども通産省、労働省それから消防庁の関係省庁実務者、それに有識者あるいは関係業界団体の代表の方々と一緒に委員会を設置して、向こう二年間をめどに検討を行うことを決定したところでございます。  私ども早速、三省庁協力のもとに、先月の末に第一回の会議を開催したところでございます。今後、例えば検査周期を、波長を合わせるというか延長する、それから検査主体相互乗り入れを図れないかどうか、さらには検査方法改良等の諸点について合理化整合化余地検討して、結論を得たものについて速やかに措置を講じていきたいというように考えているところでございます。
  13. 奥田建

    奥田(建)委員 検査時期の同一化あるいは検査相互乗り入れといった形で、前向きな検討が行われているということかと思います。ただ、ニーズといいますか、検査される側といいますかユーザーといいますか、そういった側の論理、要請もございますので、ぜひとも前向きな行動をお願いしたいと思います。  続きまして、工業技術院の方の担当になるかと思いますけれども、認証というものを政府関与部分から大きく切り離していくという方向性の中で、それは私も、当然ほかの方も同意なさる部分だと思いますけれども、基準というものの大切さというものは、こういった新しいものがどんどんと出てくる時代には、やはり秩序あるいは標準といったものがどこにあるのかということで非常に大切な部分かと思います。  そういった標準という部分におきましても、新産業といいますか先端産業部分では、事業者あるいはメーカーといった中での調整、選択が行われておるようでございますけれども、国として、政府として、新技術あるいは新分野というものがこれから出てきた場合にどのような対応をしていくのか。  安全ということに関しては事前規制から事後チェックという形の基本方針がとられておりますけれども、こういった先取りしなければいけない部分基準といったものに関してどのような考え方をしていくか、政府標準化政策というものはどういったものなのかということをお答え願いたいと思います。
  14. 佐藤壮郎

    佐藤(壮)政府委員 ただいま先生御指摘されましたように、新技術社会に普及し定着するためには、技術の内容を標準として整備いたしまして、広く企業国民が利用できるようにすることが極めて重要であると私ども認識している次第でございます。そのため、例えば情報、バイオ、環境等の新技術、新分野におきまして必要な調査研究を適宜実施するとともに、その成果を迅速にJIS規格化すること等によりまして、標準化を積極的に推進しているところでございます。  今後とも、新技術の定着、普及等観点から、こうした施策を鋭意進めていく所存でございます。
  15. 奥田建

    奥田(建)委員 これも法案効果としては求められておりますけれども法案自体に直接明記はされておりませんけれども、国際整合性といったことについて、もう一つ工業技術院の方にお尋ねしたいと思います。  現在、欧州の方とのMRA協定が進行中ということで聞いておりますけれども、そういった相互承認協定といったものに関する取り組み、いろいろな分科会があると聞いておりますけれども、そういった取りまとめ役にもなっておると聞いております。あるいは、もっと大きな視点での、ガットのTBT協定といったものに関してやはり窓口となっておられる中で、日本の越えるべきハードルといいますか、海外から多く指摘される事項といったものを、現状報告とともに聞かせていただければと思います。
  16. 佐藤壮郎

    佐藤(壮)政府委員 現在、経済のグローバル化が大変進んでいるわけでございまして、そういう中で、国際標準化に積極的に取り組んでいくことは非常に重要な政策課題でございます。  具体的に申し上げますと、国際貿易円滑化観点からは、平成七年度から三カ年計画でございますけれども、JIS規格国際標準であるISOあるいはIEC規格と整合させる作業実施して、これは既に完了しております。  さらに、平成九年に、日本工業標準調査会国際部会におきまして、今後の我が国国際標準政策あり方についての答申をいただいたところでございます。政府といたしましては、この答申をもとに、国際的な相互承認を含めて重点分野国際標準化支援する技術開発制度を創設するなど、我が国からの国際標準の提案を加速しているところでございます。  いずれにいたしましても、重要なのは産業界の主体的な取り組みとそれに対する政府の適切な支援でございまして、今後とも、これらを両輪といたしまして、国際標準化に向けて積極的な対応と発信に努めてまいる所存でございます。
  17. 奥田建

    奥田(建)委員 文献などを見させていただきますと、そういった国際整合という、国境を越えた整合性という部分は、まだ日本がどうしても歴史的に出おくれておるというようによく聞きます。これから貿易立国の中におきまして、事業者側の期待も大変大きい分野であると思いますので、ぜひとも政府としてもこれまで以上の力を注いでいただきたいとお願いする次第でございます。  なかなか一つずつの法案の方に入っていけませんけれども、今回、民間第三者認定を大幅に認めるということで、これまでなかった民間認証機関といったものを新たに認定するという作業が今度政府の方についてくるかと思います。そういった認定作業が、この法が成立しました場合にはついて回るわけです。  もちろん、現在でも希望を表明しておる団体というものはありますけれども、政府認定する民間認証機関第三者認証機関といったものの認定条件、法の中にも三本柱として技術、中立公正、経理能力といったものは書かれておりますけれども、それ以上に何が具体的条件となるのかといったことを通産省の方にお答え願いたいと思います。
  18. 岩田満泰

    岩田政府委員 御指摘のとおり、今回の制度見直しにおきましては、第三者機関について民間会社参入を認めることといたしております。  その制度を実効あらしめるという意味で、今回法律の中にも技術的能力経理的能力等々の規定を置かせていただいておりますが、やや具体的に申しますと、基本的に第三者機関のありよう、あり方については、ISOIECガイド65というものが存在いたしておりまして、こうした国際的な基準にも準拠しながら、透明性の高い認定制度にいたしたいというのがまず基本的な考え方でございます。  具体的に申し上げますと、第三者機関が適確かつ円滑に検査業務を行うということを担保するために、十分な検査能力を持った検査員確保しているといったような技術的能力を有することというのが一つございましょうし、あるいは、安定した経営を行えるだけの財政的な基盤を有していることというようなこともあろうかと存じます。  さらに、中立性公正性確保というような観点から、例えばでございますが、商業的な取引などの要因が検査を行う職員の判断に影響を及ぼさないこと、あるいは組織が非差別的な手続で運営されていること、あるいは第三者機関とその職員検査対象品目利害関係のある品目の設計、製造等に直接関与しないことなどの要件を想定いたしておるところでございまして、このあたりにつきましては法律にも規定させていただいておりますが、省令の中に今申し上げたようなことを規定するということを予定いたしております。  これらの基準に基づきまして厳正な審査を行い、第三者機関認定業務取り組みたい、こう考えております。
  19. 奥田建

    奥田(建)委員 しばらく、こういった開放される部分といいますか移行される部分につきましての企業参入ということの質問をさせていただきたい。  今回、民間機関参入するということになれば、やはりそういった団体の中には、営利を目的とする、あるいはエンドユーザーに対するサービスという視点が今まで以上に強化されるといった中で、今まであった公益法人資料によりますと検査、検定というものを業務にしている公益法人が大ざっぱに約九百五十法人ぐらいある。  今回の法に関連します通産省関係公益法人におきましても、いただいた資料でも大体四十五から五十ぐらいの法人が関与しているといった中で、原則、一法規につき一公益法人、あるいは一つ分野につき一法人といった体制がとられておりますけれども、こういった現在の体制の弊害といいますか、メリットもあるんでしょう、デメリットあるいはメリットといったものについて少しお聞かせ願えればと思います。
  20. 岩田満泰

    岩田政府委員 御指摘のように、ある分野につきましては一分野検査業務に一ないし二の公益法人しか指定されていないという場合があるわけでございまして、そうした場合には、業務が少数の公益法人によるいわば独占状態ということになっておるわけでございます。一般論ではございますが、業務効率化、あるいは検査サービスの質の向上に向けての努力と申しますか、インセンティブと申しますか、そういったものが働きにくいという弊害をもたらす可能性はあるということでございまして、今回の見直しにおいても一つこの点にも着目をいたしたところでございます。  また、複数の法律による規制一つ対象製品あるいは施設に適用されるというケースにおきましては、各法ごとの検査機関がそれぞれ検査を行うということになるわけでございまして、これに伴う効率性の問題もあるであろうというのも一つの認識でございます。  こうした弊害を解消するために、今回お願いをいたしております制度見直しにおきましては、民間企業などの参入を促進いたしまして、いわば競争原理を導入するということによりまして、企業の意向によっては業務分野の選択ができる、あるいは横断的に複数の業務分野をカバーするというようなことも可能になるということでございます。  また、競争原理によって、中で他の法人との競争ということも生ずるわけでございますけれども、そこにもインセンティブが働くであろう。あるいは、質のよいサービスをできる限り安い価格で提供するという、環境整備ということに資するのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  21. 奥田建

    奥田(建)委員 今、競争原理を働かせるといった御答弁がございましたけれども、競争原理という中で、参入の希望が多い分野、例えば電気関係、ガス関係といった部分について、では、既存の公益法人というものが競争原理の中にさらされた場合に生き残れるのか。そういった場合、政府が手を出す部分ではない、自然淘汰の原理に任せるのかという部分。そしてあるいは公益法人としての優遇措置、端的に申しますなら税金の問題といったものが参入業者と平等な条件になるのかといったことについて、今は決まっていない部分もあるかもしれませんけれども、その辺についての見解をお願いしたいと思います。
  22. 岩田満泰

    岩田政府委員 御指摘のように、公益法人には税制上の優遇措置などがありまして、こうしたものは公平性という観点から適宜見直しを行うということが一般論として重要であろうと考えております。  一方、今回の基準認証に関連をして考えてみますと、民間企業が自由に営利活動が実施できるのに対しまして、公益法人というのは決められた業務しかできないという、業務範囲が限定されるという側面もございます。この点は、まさに御質問の内容は審議会の場でもかなり議論がされたわけでございまして、一概に公益法人民間企業との競争に有利であるという状況には必ずしもないとは考えます。  いずれにしても、今後第三者機関への民間企業参入が認められるわけでございますので、そうしたものの中で公益法人としても切磋琢磨をしていただき、よりよいサービスの提供ということに努めていただく分野というものはあるのではないかというふうに認識をいたしておるところでございます。
  23. 奥田建

    奥田(建)委員 今度は、やはりビジネスとしての視点から、こういった第三者認証機関民間認証機関といったものについて考えていきたいと思います。  前向きに考えますれば、もしMRA協定が成立すればの話になるかもしれませんけれども、海外での検査といったものが国内で可能になる、あるいはお話にありましたような複数の検査、複合検査といいますか、そういった検査が必要なものが一カ所で済むようになるといった、工業技術院の言葉をおかりするならばワンストップテスティングといった一つの試験、検査の理想の形に近づいていくということになります。  そして、国内の分野に関しては、それまで公益法人が持っておりましたシェアの部分ですから、全体的に見れば変わらない部分もあるかもしれませんけれども、間違いなく民間にとりましては新しいビジネスが創出されるという考え方もできるかと思います。  こういった中で、こういった新しい産業とまでは申しませんけれども、新しいビジネスを育てていく政策、あるいはこういった試験というものは、素人考えでは学校の研究室なんかの測定分析能力あるいは試験器具といったものが大変役に立ちそうな分野に考えられるのですけれども、こういった産学協同あるいは産官学協同の取り組みといったものが現在考えられていたり行動されているのかということについて、お尋ねしたいと思います。     〔委員長退席岸田委員長代理着席
  24. 江崎格

    ○江崎政府委員 こうした検査、分析に携わる産業というものを新規産業として位置づけて、それを育てるための産学の連携、あるいは産官学の連携という御指摘かと思いますが、私どもも、新規産業の創出ということを考えた場合に、大学の持っております研究機能ですとか、あるいはその研究人材を活用する、そのために産学連携を進める、これは非常に重要な点だと思っております。  政府としましても産学連携を推進する体制を幾つかとっておりまして、例えば、昨年の国会で成立させていただきました、技術移転機関を整備する法律ができましたけれども、こうした措置ですとか、あるいは産学の共同研究にかかわる税制面の措置ですとか、あるいは研究開発を共同で実施する、こういった制度を既につくっておりますし、また、各地の大学で、地元の産業界との共同研究を実施するための共同研究センターといったようなものが既に全国五十三大学で発足をしております。  こうした施策も相まちまして、現在、大学と民間企業との受託研究ですとか共同研究は急速に増加しておりまして、共同研究ですと、平成元年に比べまして平成九年では三倍ぐらい、件数で二千数百件という件数になっておりますし、受託研究におきましても、平成元年に比べまして平成九年は二倍以上にふえているということで、件数も四千数百件というふうになっております。  御指摘のように、今後とも産学連携は非常に重要だという認識のもとに、私どもも関係省とも連絡をとりまして、今後さらにこうした施策を進めてまいりたいというふうに思っております。
  25. 奥田建

    奥田(建)委員 つけ加えることがあればもう一つお尋ねしたいのですけれども、産学の連携といったものを非常に重要視して実際に取り組んでおられるということを聞いて一つ安心すると同時に、欧米、特にヨーロッパの方では歴史的に民間での複合検査機関といったものが存在するといった中で、日本の今からスタートするそういった機関がやはり同じ土俵の上に乗ることになるんじゃないか。  そういった海外からの検査機関の進出が現在でどのように考えられるか、あるいはそういった海外機関との競争を国内民間機関がどのように行っていくべきかということに関して、見解がございましたらつけ加えてお尋ねしたいと思います。
  26. 岩田満泰

    岩田政府委員 御指摘のように、海外、特に欧米におきましては、古くから自主確認を原則とする制度、それに民間第三者機関が参画をする、関与をするというような歴史があるわけでございます。そうした海外の検査の機関は、こうした違いもございまして、かなり技術力あるいは実績の面で、少なくとも現状の我が国検査機関に比べて優位に立つものがございます。極めて総合的な仕事をしている機関も存在するわけでございます。既に我が国にも幾つかの検査機関が進出をしてきているわけであります。  こうした機関は、今回の改正法に基づく業務を含めまして、今後、我が国検査機関として参入してくることが見込まれると考えております。今後、第三者機関として今回の法律改正に基づく認定という行為も起こるわけでありますが、この新しい制度のもとでの認定という対象としても入ってくるのではないかというふうに予想をいたしておるところでございます。  私どもとして、むしろ、内外を問わずこうした機関の積極的な参入を期待いたします。そのもとでサービスや料金面での競争ということが行われ、いわば先ほど来先生がおっしゃっている、ユーザーに対して、より質の高い、より安い形での検査サービスが提供できるビジネスと申しましょうか、そうしたものが初めて育成されるのであろう、あるいは産業として形成されるのであろう、このように考えておりまして、そうしたビジネスの進展というものを新しい制度改正のもとで期待をしているというのが率直なところでございます。
  27. 奥田建

    奥田(建)委員 利用者、ユーザー、あるいは利用する事業者本位の体制になっていくのが競争原理だというお話かと思います。  続きまして、各法の方の話に入らせていただきます。  今回提出の中で、消費生活用製品安全法、こちらの方で、古くといいますか、既存法の中で第一種特定製品、第二種特定製品といったものが、特別特定製品あるいは特定製品といった名称に変更される。もちろん認証の方法も変わるということですけれども、多分この品目が指定されるであろうと予想される品目、予定している品目といいますか、それが特別の方では二品目、あるいは特定の方では四品目という、非常に少ない品目数になっております。  製品安全法の存在自身を否定するわけではございませんけれども、特別特定製品、ベビーベッドあるいはザイルといったものを今でも特別という名のもとに置かなければいけない理由。過去においては社会問題に近いような問題が起きたことも存じておりますけれども、それをずっといまだに強化指定品目という形で置き続ける存在意義というものに少し理解しがたい部分があるのですけれども、その辺についてお答えいただける方がいらっしゃいましたらお願いいたします。
  28. 岩田満泰

    岩田政府委員 御指摘のとおり、現在の消費生活用製品安全法の指定品目品目、そのうち現段階における第一種と申しております政府認証にかかわりますものが二品目でございまして、これは、御指摘もございましたように、過去の事故の実態、あるいは事故が起きる蓋然性とでも申しましょうか、そうしたものを踏まえまして、審議会で御議論をいただき、指定をされて、今日に及んでいるということでございます。  確かに、近年、技術の進展でございますとか民間事業者の力がついてきたというような状況もあり、製品事故そのものの数はおかげさまで減少してきておるわけでございますけれども、同時に、死亡事故につながる事故が現実に発生するというようなこともございます。とりわけ、例としてお挙げいただきましたベビーベッドなどにつきまして申しますと、その使用者が極めて幼いということもございまして、そうした要素も考えますると引き続き規制の維持ということは必要ではないかと思います。  もちろん、ベビーベッドあるいはザイルというものが今政府認証対象品目になっておりまして、これをこのままにするかどうかという、特にザイルの問題についてはなお検討を要する部分もあるかと存じておりますけれども、いずれにせよ、そうした当面の検討等を含めまして、この規制対象品目については、追加するもの、削るもの、両方の側面について引き続き適宜見直しを機動的に行っていくということで対応したいと考えております。
  29. 奥田建

    奥田(建)委員 またどうしても基準認証という話に戻りますけれども、確かに、基準という部分は、時代とともにあるいは製品とともに、迅速に新たに規定されるということは大切なことかと思います。また、認証という一つのその基準を守るための継続業務的な部分、そういった部分は、一つ基準を守るレールができたときには大いに解き放してもいいのじゃないかなと思います。そういった中で、既存のといいますか、ある程度のレールが敷かれた。基準ができて、その基準が浸透したと思われるときには、品目指定というものは本当に柔軟に対応していいものかと思いますので、ぜひとも御検討を願いたいと思います。  続きまして、こういった認証に伴います認証マークといったものについてお尋ねいたします。  政府認証の中でつけられております強制マークといいますか、そういったマークと、自主認定、業界認定あるいは法人認定といった中での任意マーク的なものが、世の中には大変多く存在しておるかと思います。私自身も調べようと思いましたら、消費者関係団体から冊子は出ているという話でしたけれども、数にするととても数え切れないくらいたくさんの数がある。言いかえれば、いろいろな多くの団体一つの自己主張みたいな部分もあるかと思います。そしてまた今回も、自己認定あるいは第三者認定の中で、マーク表示の義務づけといった項目が設けられております。  まず、総論的な、大ざっぱな話になるかもしれませんけれども、通産省としましては、こういった多くのマークの存在、有意義なものもあれば皆さんが全然知らないものもあるかと思います、もちろん強制マークもあれば任意マークもあるということで、これ以上いけばはんらんと言ってもいい言葉になるかと思います。そういった表示マークについての御認識というものをお聞かせいただければと思います。
  30. 岩田満泰

    岩田政府委員 マークの問題につきましては、今御指摘のとおり、強制法規に基づきますマークと任意のマークがございます。  任意のマークは、それぞれの、例えば業界単位というようなところでマークが定められておりまして、そうしたものは、それはそれなりにその世界において認知を受けているものだろうというふうに存じます。  とりあえず、私ども、きょう御審議いただいております強制法規にかかわるマークにつきましては、これはぜひ表示をしていただかなければならないものとして今回御提案を申し上げておるわけでございますが、ただし、現在、製品関係についても四法がございますので、これはそれぞれマークは異なっているという状況にございます。  今回の改正によりまして、製品安全関係の四つの法律につきましては、一つ考え方のもとで同一の手法を用いた制度にするという、整合化を図るということにしたわけでございまして、そのような思想のもとで、可能な限りマークを統一するという方向で検討してまいりたいと考えておりますが、その際に同時に、実はこの製品四法にかかわるマークの中には既に社会的に認知がされているものがございます。したがいまして、そうした認知されているマークの部分をどのように扱うかという問題は、法改正後の社会の現実における、わかりづらさ、あるいは混乱というようなものも避けなければいけないというふうに考えております。  私どももまだ最終の結論に至っておりませんけれども、一方においてできる限り統一する、一方において社会的な認知というものをどういうふうに取り入れる、あるいは取り入れることが適当かというような両面から検討させていただきたい、このように考えております。
  31. 奥田建

    奥田(建)委員 JISマーク、JASマークなんかは小学校ぐらいでいろいろと教えていただいたりしますので、私どももよく理解しておるつもりでございますけれども、あとはもう社会的なニーズとともに出てきたようなマークぐらいしか知らないというのが現実かと思います。  確かに、任意のものは政府が排除したりするというわけにもいかないかと思いますけれども、ぜひとも、政府認証部分のマークというものは多くの方に認知されるという努力も、大変なエネルギーが必要な部分かと思います、余りふえてほしくはないのですけれども、必要とあればしようがないですので、どうかそういった認知の業務というものもしっかりとお願いしたいと思います。  一つ、消費生活用製品安全法とともに成立した特別認可法人ということで、製品安全協会といった団体がございます。今はSマーク、SGマークの発行ですか、そういったことも業務としておるようでございますけれども、製品安全協会が特別認可法人から公益法人へ移行するという動きに伴いまして、その安全協会の委託業務、特別認可法人の委託業務を、今度は公益法人日本文化用品安全試験所、そういったところが業務の委託を受けておると聞いております。  一つの特殊な例でしかないかもしれませんけれども、こういった特別認可法人が廃止されて公益法人に移ったというときに、名称までは問いませんけれども、その元にある特別認可法人公益法人の関係というものはどういったものになるのかということを、少し教えていただきたいと思います。
  32. 岩田満泰

    岩田政府委員 製品安全協会と、消費生活用製品安全法第六十四条に基づきまして指定検査機関になっております日本文化用品安全試験所との関係でございますが、今回の政府認証の廃止を含みます見直しに伴いまして、製品安全協会が特別認可法人という地位を失うわけでございます。そこで、これまで協会がいわば政府代行業務として行ってまいりました検定等の事務もしたがって廃止をされることになります。  これに従いまして、製品安全協会から指定検査機関として委託を受けて検査を行っておりましたこの文化用品安全試験所の検査業務についても、廃止をするということになるわけでございます。
  33. 奥田建

    奥田(建)委員 もう団体そのものがなくなるというお返事かと思います。  そのほか、今回の法改正の特徴といたしまして、事後措置、あるいは回収命令といった事後措置の強化といったことが明記されております。こういった規制対象商品に対します事後措置といったものが、改正前の法でも明文化はされておりますけれども、現実に発動されたというような例は非常にまれでありますし、ましてや、緊急命令的な法措置というものはとられたことがないという資料がございます。  こういった事後措置の認証民間移行とともに、あるべき事後措置というものはどういったものであるとお考えになっていらっしゃるか、あるいは、今まで法はあっても発動がなかったというのは考え直せば大変よいことであるかもしれませんけれども、そういった要因は一体何であるとお考えになっているかということについてお尋ねしたいと思います。
  34. 岩田満泰

    岩田政府委員 ただいまの御質問にお答えをいたします前に、文化用品安全試験所についての御答弁、ちょっと私が言葉が足らなかったかもしれません。ちょっと補足させていただきます。  文化用品安全試験所が現行の消費生活用製品安全法六十四条に基づく試験検査機関でなくなるということは事実でございますが、文化用品安全試験所は一方においてもろもろの試験機能というものは持っておりますので、試験所としては存続をするわけでございます。この法律に基づく指定機関ではなくなるということでございます。したがいまして、今後、第三者認証制度というような新しい制度のもとで、あるいはこの試験所も何らかの役割を担われるという可能性は残っているということでございます。補足をさせていただきたいと思います。  それから、事前規制、事後規制の問題でございますけれども、この法律案におきましては、製品安全規制について製品流通前の規制合理化して、一方で、消費者に具体的な危険が発生した場合には、迅速に、事後措置と申しますか、いわゆる製品流通後の措置を充実していただいてそういう対応を図ろうということでございます。  具体的には、指定対象製品、つまり規制品目と申していいと思いますが、すべてについて回収などの命令が行えるようにしたいということで、製品四法について言いますと、まず、電気用品取締法に新たに危険等の防止命令を規定する、これは電気用品取締法には従前ございませんでした。これを規定すると同時に、危険な製品の流通の拡大を防止し得るように、製品安全四法の指定対象製品すべてについて表示の禁止命令、実質的な業務停止命令のような意味合いを持つと思いますけれども、表示をしてはならないという、表示をできないものは流通をさせることができないという法体系になっておりますので事実上業務停止のようなことになるわけでございますが、そうした対象にするというような整備をお願いいたしておるわけでございます。  それで、指定対象製品につきましては、問題となるような事故が発生した場合にはこれらの措置を機動的に発動するということで、今後、この改正成果を生かしつつ被害の拡大防止に努めていきたいということが一つでございます。  もう一つ、指定対象外の製品についてでございますけれども、従来から指導というようなことは行ってきたわけでございますが、今後もこうした指導というようなものを引き続き行うと同時に、重大な事故が発生した場合には、報告徴収、立入検査というようなものを活用をしながら、必要があれば緊急命令という形で、この発動によりまして指定対象外の製品についても一般的に対応ができるという形で対応をしていきたい、このように考えております。
  35. 奥田建

    奥田(建)委員 前の質問に戻りますけれども、製品安全協会といったもの、あるいはそのもとにある試験所の方は、民間試験所としての存続を考えておるというふうに受け取らせていただきます。  それと、また安全協会の方の業務に戻るんですけれども、SGマークの存在といったものが、利用者の方から大変ありがたいという声とともに、どうしてあるのかわからないという記事なんかも見ることがございます。  といいますのは、さきのあのPL法制定後に、製造物責任といったものが条文で法文化されたということ、あるいは製造業者にはPL保険の加入といったものが拡大して現実に加入しておるといった中で、SGマーク自身が強制的なものでないという中で今この特別認可法人が発行しておるマークになるかと思うんですけれども、そのSGマークについて、その存在のPRといいますか、ちょっと教えていただければと思いますし、あるいはその料金体系といったものが、保険つきマークというのはほかにもたくさんあるんですけれども、その保険つきマークというものの料金体系が、公益法人政府の関与することでないとおっしゃるかもしれませんけれども、特別法人の方であれば当然把握しておるべきことであるかとも思いますので、SGマークの説明とその料金体系というものを教えていただければと思います。    〔岸田委員長代理退席委員長着席
  36. 岩田満泰

    岩田政府委員 製品安全協会が行っておりますSGマーク制度でございますが、今おっしゃいますように、SGマーク制度は任意の制度でございます。  それで、もともと消費生活用製品安全法の制定時から、政府がいわば規制を行います強制的なものと、それと相まって、いわば一つの車の両輪のような形で、民間の発意によって基準認証あるいは安全を確保するような仕組みというものが進められることも重要だという思想がございました。そのために、一つ法律の消費生活用製品安全法の中に製品安全協会を特別認可法人と位置づけて、その業務としても位置づける。それはまさに民間窓口になる。窓口になりつつ、そして、その具体的な安全確保あるいは基準認証の取り扱いとして、SGマーク制度というものが、言ってみれば一方の柱として生まれてきたということでございます。  私ども、一般論として申しましても、政府による今お願いをしている四法によるような規制にあわせて、民間において自主的な取り組みとして、業界としていろいろな基準をつくり、それを一定の、それに合格をしたとかあるいはそれに整合したようなものについて、例えばSGマーク制度、あるいはSTマーク制度、そういうようなものができるということは決して悪いことではないというふうには考えておるわけでございます。  同時に、SGマーク制度のもとでは、お説のように、損害補てんの措置として保険制度というようなものを設けて、これはまた同時に、入られた方につきましては、現実に事故が起きたような場合には、具体的にその損害賠償額のもろもろの被害者との間の協議、あるいは損害保険金の支払いというような業務までこの協会が行っているというようなことでございまして、今申し上げましたようなことが中心になって、今後はこの製品安全協会の、特別認可法人ではない、公益法人移行後はそうしたものを中心とする仕事であり、産業界との接点として製品安全行政の一翼を、民間ベースの、あるいは任意の制度として担っていただこうと我々は現在想定いたしておるところでございます。  大変恐縮でございますが、このSGマーク制度にかかわります金額にかかわるようなものについて、ちょっと今手元に数字がございませんので、後ほどお届けあるいは御説明をさせていただければと思いますが、お許しいただけますでしょうか。
  37. 奥田建

    奥田(建)委員 料金体系も、だれかほかの方でお答えできる方がいればお願いしたいと思うんでございますけれども。  現在は安全を守るという使命を持っての政府の特別認可法人ということで、民間移行していった場合であっても、そういった社会的認知の中での認証という中でブランドとして残っていくであろうという見解かと思います。  非常に細かい話になって恐縮でございますけれども、電気事業法の中では、そういった認定業務を電気保安協会が現実には行っておるということでございます。  ちょっと電話で問い合わせをしまして、今回の改正といったものをどの程度もう情報として持っておられるかという話に始まりまして、保安協会さんのお仕事というのは、私たちに説明するときにどういったお仕事になりますかと聞きましたときには、一般の方の家庭を中心とした低圧電力の定期点検、あるいは変電施設を持つ事業者方々への月一回の点検あるいは年一回の精密点検、そして建物ができたりしたときの竣工時の点検といったものが主な業務になりますというふうに聞いております。  ただ、その中で、私が今回の法を説明しておりますときに、ちょっと認識のずれといいますかを感じましたところは、事業者、受電する側の義務となっておる、料金を支払う高圧電力受電の部分は今回開放されるが、一般の方の低圧電力、電気事業法で電力さんなんかが義務としてあってそこから委託されている業務、こっちの方は今回の対象にならないような認識をしておった。  たまたま私が聞いた方がそうであっただけなのかもしれませんけれども、そういった中で、今回の電気事業法の改正の中で、検査業務、どこまでを開放してどこまでは開放されないのかということで、もし決まっておる部分がございましたら、お答え願いたいと思います。
  38. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 今回の見直し改正におきましては、一般用電気工作物の調査を行う指定調査機関、現在は電気保安協会を指定してございますが、ここの分野での株式会社、民間法人参入を認めることといたしてございます。  一般用電気工作物は大半が一般住宅でございまして、当然のことながら、一般住宅の所有者、占有者、要するに住人は、電気的知識が余りない。また、みずから点検を行うことを義務づけることは困難でございます。他方で、現在でも、一般用電気工作物であります屋内配線に起因すると思われる火災は、消防統計によりますと年間で千七百件程度発生をいたしてございます。  こうした事情から、いわゆる電気工事のチェック、点検を公正中立に行うという趣旨で、この一般用電気工作物にかかわる調査業務を指定調査機関に行わせしめているところでございますが、今回、この調査業務について、公平性、中立性等の一定の要件が確保されることを条件として、株式会社等の民間法人参入を認めることとした次第でございます。
  39. 奥田建

    奥田(建)委員 一言で言いましたらどういったことになりますか。全面的に民間参入余地はあるということですか。
  40. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 電気事業法の中に、一般用電気工作物、それから事業用の工作物と、大きな分類を分けてございます。先生から御指摘ございました高圧、低圧といった部分は、自家用電気工作物に関連する部分で、いわば全体としていけば事業用の電気工作物でございます。  それで、他方で、今申し上げました一般用電気工作物については、御説明申し上げましたように会社等の参入を認める体制をしておりますが、事業用に関しましては、自主保安、みずから安全管理をするという体制考え方が少し違うものでございますので、こちらの分野においては従来の体制を継続するという次第でございます。
  41. 奥田建

    奥田(建)委員 私の質問のときの趣旨が反対であったような感じのお答えかと思います。  それと一つ、法自体とは関係ありませんけれども、国策といたしまして、さきのJIS制度改正という中で知的基盤の倍増計画といったものが提示されております。ちょうど二〇〇一年までに、こういった計量標準と申しますか、基準物質あるいは純粋なデータといったものを蓄積してひとつの産業基盤を大きくしていくということでございますけれども、ちょうど今ごろが折り返し点ということになるかと思います。  この知的基盤倍増計画、一般の方には見えない部分でございますけれども、大変に産業の基礎として大切な部分かと思います。そちらの方の、折り返し点に立っての目標に対しての進捗状況といったものを教えていただければと思います。
  42. 佐藤壮郎

    佐藤(壮)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、計量標準標準物質あるいは生物資源情報等のいわゆる知的基盤でございますけれども、これは、産業競争力強化のためのインフラとしてばかりではなく、基準認証の世界でも大変重要であるというふうに思っております。  しかしながら、大変残念なことに、我が国の整備状況につきましては、欧米諸国と比べ大きくおくれているのが現状でございます。このため、ことしの一月に閣議決定されました産業再生計画等に基づきまして、これら知的基盤をおおむね二〇〇〇年までに欧州並みに整備する計画、いわゆる知的基盤倍増計画と私ども言っておりますけれども、これを推進しているところでございます。  平成十年度第三次補正予算におきまして、総額百五十四億円をこの計画のために確保することができまして、今までのところ計画は順調に進んでいるというところでございます。この計画を予定どおり達成すべく、今後とも努力をしてまいる所存でございます。
  43. 奥田建

    奥田(建)委員 いま一つ電気事業法の関連でお尋ねしたいのですけれども、今回の改正の中で、通産省としては初めてなのかなというふうに聞いておりますけれども、インセンティブ規制といった、保安実施能力を見て、きちっと保守、管理されている業者に対しては検査期間の延長などのメリットを与えるといった、柔軟なといいますか報奨的な制度といったものが取り込まれております。  こういった制度、あるいは免許証においてゴールド免許といったようなものがあったのと多分同じような考え方でもあるかなと思いますけれども、こういったインセンティブ規制というものをほかの規制の方にもどんどんと、もちろん効用を見てからになるかもしれませんけれども、広げていくといったような考え方は、通産省の方に現在ございますでしょうか。
  44. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 事業者におきます自主保安を促進する観点から、御指摘のございましたように、自主保安への取り組み保安実績の優秀な者に対しまして国の関与を軽減するというメリットを与える制度を、いわゆるインセンティブ規制と呼んでございます。  今回の改正によりまして、電気事業法に基づく安全規制に導入することを考えておりますが、例えば高圧ガス保安法におきましては、原則行政庁による検査を義務づけてはおりますけれども、保安確保への取り組みがすぐれた事業者につきましてはみずから検査を行うことを既に認めております。このほか、検査インターバルの弾力的運用を認めるなど、他法令におきましてもそれぞれの実情に合った形でのインセンティブのあり方が今後考えられるものと認識いたしてございます。
  45. 奥田建

    奥田(建)委員 済みません、注意不足で、質問時間が突然終了してしまったようでございます。大臣の方にも総括的な質問をしたかったのですけれども、ちょっと省略することになります。申しわけございません。  今回のように、法をふやすというよりも法を削っていく、削除していくというような動きも、法をつくる作業と同じように私は大切なことかと考えます。ぜひとも、運用されている法、これを見直し、各方面の意見を反映させて、効率よい、あるいは実効力のあるものとする努力を、皆さんとともにこれからもしていきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。
  46. 古賀正浩

    古賀委員長 中野清君。
  47. 中野清

    ○中野(清)委員 公明党・改革クラブの中野清でございます。いわゆる基準認証制度整理及び合理化に関する法律案につきまして、何点か質問をいたします。  今回の法改正は、規制緩和推進三カ年計画指摘を踏まえまして、いわゆる基準認証制度について、従来政府が主体となった積極的な関与のあり方見直して必要最小限とするとともに、民間事業者検査機関の活力を活用していくという趣旨は大いに賛同するものであります。  さて、規制緩和についての基本的な認識でありますけれども、経済的規制については原則自由、例外規制として、社会規制については自己責任を原則として最小限とするということがあります。私は、規制がすべて悪という考え方は間違いであると思っております。むしろ、社会規制というものは強化しなきゃならない。すなわち、国民の安全や健康の維持、環境の保全、災害の防止などを目的とする規制については、社会規制という見地から、当然なすべき規制だろうと思っております。  それで、まず大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今回の制度見直し安全性向上の関係で、国から民間に移行するということで本当に国民の安全が従来以上に確保できるという保証はどのように担保されているのか。また、最近における事故の発生状況や、高齢化社会の到来が叫ばれる中、安全等のより一層の向上に向けた取り組みについて、大臣としての御見解をまず伺いたいと思います。
  48. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 今回の制度見直しは、事前規制における国の直接的な関与を必要最小限にし、政府の過剰な規制、手続の合理化を図り、民間事業者の負担を軽減することにより、安全性等の政策目的の達成を前提としつつ、社会的コストの低減を図るものでございます。  これらに加えまして、事業者自己責任にのっとったみずからの安全確保対策を促すような措置を講ずるとともに、民間第三者機関の活用による検査サービス等の質の向上を図ってまいります。また、危害が発生するおそれが生じた場合等の事後措置の充実、多重の安全確保体系の構築が図られることから、より一層の安全レベルの向上に資することとなると考えております。  近年、事故発生件数は減少、低水準で推移してきておりますが、今後、高齢化社会の到来も踏まえたより高いレベルの安全性確保できるよう、適切な制度の運用に努めてまいるとともに、事故情報の収集分析提供体制の充実等を図ってまいる所存でございます。
  49. 中野清

    ○中野(清)委員 御答弁、ありがとうございました。  そうしますと、例えば行政コストを監視という視点から考えてみますと、目を離せば保安はおろそかになるといういわゆる企業性悪説、それから、事故による多大な損失を考慮すれば手を抜くはずがないという企業性善説と、当然見解が分かれるわけでありますけれども、今までの考えからしますと、過剰規制といいましょうか、役所の既得権益になっているという点に非常に問題があった。行政コストの削減という視点からもっとチェックする必要があるんじゃないか。それが一点。  それから、あわせてもう一点。例えば、製品安全規制という点で消費者の安全を確保することは引き続き重要なことでありますけれども、事故規制についていうならば、まず第一に、事故情報の収集とか分析等に係る予算、人員はどうなっているか。また、そのシステムはどうなっているか。第三として、分析、試験における情報提供は確実に行われるか。事後のフォロー体制というのは、今は事前から事後にしたいと思っているようでございますけれども、監視体制ですか、このチェック体制をどのように運用していくか。  そういう点をあわせて、いわゆる情報公開についての国の姿勢について、少し御説明を願いたいと思います。
  50. 岩田満泰

    岩田政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃるように、企業性悪説、性善説といったような議論はもろもろあるところだと存じますが、いずれにいたしましても、相当程度民間能力向上し、事故の実勢としても減少するという好ましい傾向が最近の状況となっておるわけでございまして、そのような中で、いわゆる官民の役割分担と申しましょうか、ということは、行政コストという面において、あるいは事業者の負担という面においても適切に見直さなければならないというのが今回の見直しであったわけでございます。その意味で、事前規制というものについては可能な限り最小限のものにするということで規制方式の見直しを行ったというのが、今回の趣旨でございます。  それから、事故情報の収集、提供等々にかかわります御質問でございますが、現在、通産省では、製品の安全性確保向上対策に必要な予算として、例えば事故情報の収集分析に係る費用として四千四百万円強、市場の製品の安全性を調査する試買テストというのをやっておりますが、に係る費用として一億六千万円強を平成十一年度予算に計上いたしております。  また、体制でございますけれども、事故情報の収集分析につきましては、私どもの通産省本省におきます製品安全課という課がございますが、あるいは製品評価技術センターのほか、地方通産局の職員を加え、さらに地方自治体の消費生活センターとの連携もとっておりますので、これら消費生活センターの人員を含めますと、この製品安全関係に関与をしていただく、携わっていただいている方は二千名ぐらいに達するのではないかと理解をいたしております。  また、通産省は事故情報収集制度というものを持っておりまして、収集あるいは分析しました事故情報につきましては、四半期ごとに取りまとめまして、全国の消費生活センターなどを通じまして情報提供をするという形で公表いたしておるところでございます。なお、重大な事故が起きましたときにつきましては、こうした定期的な情報提供とは別に、随時、消費者に対して注意喚起を行うための公表を行っておるところであります。  こうした情報提供の仕事は大変重要なものだと思っておりまして、今年度からさらに、インターネットから製品安全情報の検索、閲覧を可能にするシステムを構築する予定でございまして、消費者が利用しやすい方法で情報収集、提供ができますように、引き続き体制を整備してまいりたい、このように考えております。
  51. 中野清

    ○中野(清)委員 では岩田さんにちょっとお伺いしますけれども、一つだけでいいですから。  最近、輸入の自転車でもって折り畳み自転車の問題が新聞に出ましたね。あれは、一万台と言われていますけれども、その事後処理はどうしましたか。それだけ、そういうことが象徴的だと思いますから、答えてください。
  52. 岩田満泰

    岩田政府委員 先般、公表をさせていただいた自転車の件かと存じますが、これは、これまでも平成八年ぐらいからこうした制度の充実を図ってきたところでございますが、九件ぐらいの実績があると存じます。  これらのケースにつきましては、回収あるいは点検の指導を行った後に、定期的に報告を受けるというような形で、事業者が講じた対策が実効性を持っているかどうかという点は把握をいたしまして、消費者の安全というところの確保対応していきたい、このように考えております。
  53. 中野清

    ○中野(清)委員 それはこれから一番大事な話ですから、ぜひ期待したいと思います。  検定とか検査について、今日まで国や代行機関であるところの公益法人が、先ほどの奥田さんの質問に対してもお話のとおり行ってきたわけでございますけれども、今回新たに公益法人に限らず民間のいわゆる第三者機関参入が可能となる制度化は、検査市場に新たな競争原理が導入されることになりまして、検査機関を利用する事業者サイドにとっても、コストの低減を初めとして、検査機関の技術力やサービスの向上などが期待できるなど、私はメリットは少なくないと考えます。  それでは、そのための早期の実施が重要と考えますが、具体的にいつから施行するのかお伺いしたい。それから、中立性とか公平性確保のために、監督機能に伴う負担増が当然予想されますけれども、これについてどう対応するか。それからまた、先ほども話が出ていましたけれども、地方自治体の工業保安課とかいろいろ通産省と関係がありますけれども、地方自治体に対する負担というものがこれ以上大きくなってはいけないんではないかと思いますけれども、この点についてどうか。  簡単で結構ですから、お願いしたいと思います。
  54. 岩田満泰

    岩田政府委員 施行の時期についてのお尋ねでございますが、私どもも、可能な限り早い施行が重要と考えております。このために、新しい制度のもとで極めて重要な役割を担います第三者機関につきましては、平成十二年四月から認定等の申請を行うことができることで施行時期を考えております。  一方で、事業者への周知期間でございますとか、事業者が準備に要する期間というものも考慮する必要がございます。その意味で、新制度の施行につきましては、各法律改正内容に応じまして三段階に分けて実施することにいたしております。  具体的には、平成十二年七月に六法律、すなわち火薬類取締法、高圧ガス保安法、航空機製造事業法、揮発油等の品質の確保等に関する法律、熱供給事業法及び電気事業法、さらに平成十二年十月には三つ法律、すなわち消費生活用製品安全法、液化石油ガスの保安確保及び取引の適正化に関する法律及びガス事業法、さらに平成十三年四月に二つの法律、すなわち計量法及び電気用品取締法の施行を予定いたしておるところでございます。  それから、行政側の負担増の問題でございますが、私ども、今回第三者機関認定等々に当たりまして、それが公正に行われ得るよう、あるいは国際的にも調和した形で行い得るようにということで、ISOIECガイドといった国際的な基準を踏まえた基準を定めまして、透明性の高い認定制度とすることにいたしております。  これは、まさに第三者認証制度そのものが創設制度でございますので、行政サイドとしては新しい措置ということになるわけでございますが、しかしまた同時に、国際的な流れあるいは動向としても、このような事前規制はできる限り少なくし、事後措置を手厚くする、充実をさせる、と同時に、自己確認を中心としつつも、分野によっては第三者機関によるチェック体制を整えるというのが国際的な動向でもございます。その意味での負担の増というところについては、私ども、ぜひ広く御理解いただいて、私どもとしてぜひ遺漏なく取り組んでいきたいと思います。  ただし、事前規制のところについては大幅に緩和をするわけでございますので、そうした人員等々のやりくりというようなことで、事後体制についてはさらに遺漏なきを期したい、このように思っておるわけでございます。
  55. 中野清

    ○中野(清)委員 今後、早期に複数の検査機関による競争的な市場の確立、活性化を図るというような御答弁でございますけれども、これはそのとおりだと思っております。  そのためには、一つには、一つ検査機関が複数の検査認証業務が行えるように、これまでの縦割り行政といいましょうか、今までの一法律法人とかというような形態がございましたね、そうじゃなしに、それをまとめてやるところの、いわゆるワンストップテスティングというものが可能になるような対策といいましょうか、政府がそういう対策について真剣に取り組む必要があると私は考えております。  例えばEUなんかの外国諸国では、一つ検査機関がさまざまな検査業務を行うような企業というのが一般的だ。これはコストからいっても当然なんですよ。そういうことを考えていきますと、我が国の現行では、他の官庁の検査業務においては、今回の通産省法案のような第三者機関というものとは違って、まだまだ民間参入を可能とする例というのはほとんど少ないような気が私はしております。  そうしますと、政府として今後も、統一した基準認証制度合理化を反映したいわゆるワンストップテスティングといった形態の構築に向けて具体的にどのように取り組んでいくか、お伺いをしたいと思います。
  56. 岩田満泰

    岩田政府委員 ワンストップテスティングも可能とするような取り組みという意味におきましては、極めて重要な御指摘だと思います。  先ほど総務庁の方からも御答弁があったように思いますが、今回の制度見直しというのは、通商産業省関係に限りました形でお願いをいたしておるわけでございますが、一方で、三月に閣議決定がされまして、すべての基準認証制度について平成十二年度末までに見直しを完了するという目標が設定されたわけであります。この基準認証制度の統一的な見直しにつきましては、まさに今回お願いをいたしております改正の趣旨と同様の考え方が示されておりまして、その意味で、第三者認証機関、あるいは自己確認を原則とし第三者認証機関が入るというような仕組みの方向性が示されておるところでございます。  この結果、検査サービスの多様化が期待されますし、その一環として、まさに民間の株式会社などの参入が認められれば、幾つかの法律をまたがった業務を、それぞれの検査機関の判断によって、選択によって、検査業務が総合的に行い得る環境整備というものが図られるのではないかと考えておりまして、今後、各省庁においてそうした基準認証制度見直しが行われる、こう期待しておるところでございます。
  57. 中野清

    ○中野(清)委員 今、岩田商務流通審議官の方からお話がございましたけれども、大臣にそのことをもう一回お伺いしたいと思うんですよ。  と申しますのも、この基準認証検査とかいろいろそういう問題についてはもちろん今お話しのとおりと思いますけれども、通産省だけじゃなくて、消防庁もあれば厚生省、農林省も労働省も、その他いろいろの法律がありまして、法人も、さっきも九百幾つかというような話がございましたけれども、それはもうたくさんあるというのは御承知のとおりだと思うんです。  それで、コストの話がありましたね。当然、例えば通産省の中だけでも、例えばガスストーブをやるときには、電気用品は電取法であり、ガスの部分検査はガス事業法だ、これは通産の話ですね。それからまた、他省庁でいいましたらば、例えば医療器具の検査は厚生省がやってきて、電気用品の部分については電取法だ。本当にそれでいいんだろうかという話です。ましてや、コンビナートなんかの日本基本的な問題になってくれば、消防法とか労働安全衛生法とか高圧ガス保安法とか石油コンビナート等災害防止法で、これは通産省と自治省と建設省というふうになってきまして、しかもその検査がみんなまちまちだ、操業を停止しろという話になるわけですよ。  そう考えてくると、今もお話しのとおり平成十二年三月には全部見直しをするんだ、そしてその中で総合的な対策をやる、環境整備をするというのが審議官のお話ですけれども、大臣として、内閣の一員として、これはきちっとすべきだと私は思いますけれども、いかがでございましょうか。
  58. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 私も民間にいたことがございまして、そのとき、許認可をとったり検査を受けたりするということの経験がございます。そうしますと、複数の官庁にまたがる、検査が重複する、報告書も重複するということは、多分民間の人たちの率直な気持ちだろうと私は思います。それは先生の御指摘のとおりでございます。  そういう中で、各省庁が連携するということの重要性を先生は御指摘をされたわけでございます。効率的な検査等が各省の連携で実施できる分野は、多分調べていけば非常に多いんじゃないかと私は思っております。したがいまして、通産省としては、可能な限り各省庁との協力を今後行ってまいりたいと考えております。
  59. 中野清

    ○中野(清)委員 大臣の御発言と行動力を期待したいと思います。  あわせてちょっと大臣にお願いしたいと思うんです。  検査市場の活性化、これは今八千億から一兆円とも、場合によると二兆円だとかと言われておりますけれども、やはり通産省として、この活性化についての土壌づくり、環境づくりをすべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
  60. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 御指摘のとおり、検査市場の活性化、そしてユーザーの利便の向上観点からは、検査業務への競争原理の導入は重要な課題であると考えております。規制緩和推進三カ年計画等の閣議決定にもあるとおり、この点も含めた政府全体としての基準認証制度見直しが行われることが必要であると認識をしております。  通産省としては、政府全体の基準認証制度見直しの着実な実施が図られるよう、まず、今回の法案によりまして、公益法人要件の撤廃を含め通産省所管の基準認証制度見直しを他省庁に先駆けて行うとともに、各省庁行政改革推進本部規制改革委員会に対し、種々の協力を行ってまいりたいと考えております。
  61. 中野清

    ○中野(清)委員 ぜひ期待したいと思います。  それと一緒に、実はこれはちょっと通告外で申しわけないと思うんですけれども、七月の十五日に、公正取引委員会が、いわゆる公益法人認証制度について過剰と改善要求をしたという記事が出ております。私がきょう申し上げたかったのは、いわゆる民民規制だと言われるこれでございます。  例えば、日本下水道協会とか、通産の関係ですと日本内燃力発電設備協会というようなところがあるわけでございますけれども、一つは、いわゆる法律に定められた基準以外の自主基準をやりながら、これが大体どうも法律と一緒じゃないかというようなことでやっている、いわゆる自主基準を設定しているというのは、百五法人のうちで五十二法人だという問題点が一つあります。  それからもう一点は、どうしても事業者の新規加入というのを不当に制限する場合が多いんじゃないか。これがいわゆる民民規制の代表的なものだ。それから、今政府が一生懸命やっていらっしゃる公的規制の緩和の問題を、今度逆に民民規制とかいう公益法人の形の中で、事実上規制緩和を代替するといいましょうか、私はそういう動きがあるような気がするんです。  ですから、この問題については、せっかく通産省として一生懸命やっていらっしゃるわけですから、本来の趣旨といいましょうか、筋といいましょうか、意思を通してもらいたい。そういう意味でもって、これについてどうお考えになっているか。別に公取の意見を聞けということじゃないんです。ですけれども、やはり一つの筋だと思いますから、民民規制という考え方が、現に言葉もあるし現実に行われているんじゃないか、そういうことを考えたときの考え方をお伺いしたいと思います。
  62. 岩田満泰

    岩田政府委員 民間におきますいわゆる民民規制の問題を御指摘でございます。今回の見直しは国の規制について御議論いただいているわけでございますけれども、私ども、俗に民民規制と言われている点についても、この官側の規制の変更ということによりましてある程度影響を与えるものだというふうに一つは考えております。  また同時に、今御指摘のようなどちらかといいますと問題と思われるような御懸念の御指摘は、従来から私どももいただいておるところでございまして、引き続き制度の運用実態などを注視いたしまして、そうした弊害のあるような事態ということについては必要な指導を行うなど、いろいろ適切な対応をしていきたい、こう考えております。
  63. 中野清

    ○中野(清)委員 先ほど奥田委員からも質問がございましたが、多少関連して、電気事業法についてお伺いをしたいと思っております。  電気事業法では、原子力発電以外の電気工作物については事業者の自主保安に任せるかわりに、安全管理審査制度を創設するということでありますけれども、これはどうなっているか。また、保安実績の優良な企業へのいわゆるインセンティブ規制の導入、これについて具体的な内容とか積極的な適用の必要性についてお伺いしたいと思うんです。  それと、保安水準の向上とともに検査コストの低減が当然期待されるわけでございまして、これがいわゆる高コスト構造の是正の第一歩だと私も考えております。また、消費者の側に立ちますと、コスト還元といいましょうか、例えば電力でしたらば電力料金の引き下げとか、ガス料金の引き下げというように反映しなければ、本来の意味からいってもおかしいんじゃないかと思うわけでございますけれども、この二点についてどう考えているか、まずお伺いしたいと思います。
  64. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 今回の見直しの前提としまして、電気にかかわります事故の実態を見ますと、件数、死傷者数についても近時大幅な減少が見られております。  ちなみに、昭和二十五年度に感電によって死傷をした事故というのは千五百件ございましたが、平成八年度には約百件に減少しております。加えて、現在発生をしております事故の原因を見ますと、設備そのものの欠陥ではなくて、操作ミス、過失等々の人為的な原因によるものが大半を占めてございます。  このような状況を踏まえますと、国による検査頻度をふやすといった国の直接関与を強化するよりも、自己責任を原則として、設置者に対して自主検査を義務づける、他方で、国は設置者の自主検査実施に係る体制について審査し、必要に応じて立入検査や罰則等の事後的な措置を機動的に発動する規制体系とする方が、むしろ安全確保観点から効果的であると考えられます。  こういった観点から、従来国が行ってきました使用前検査、定期検査につきましては、今回、設置者の責任において行う自主検査といたしますとともに、その自主検査実施状況を確認するものとして、御指摘をいただきました安全管理審査を新たに規定したものでございます。  また、インセンティブにつきましては、安全管理審査の結果、自主保安がすぐれていると認められる設置者に対しましては、安全管理審査を受けるべき頻度を軽減したり、また自主検査検査インターバルについて弾力的な運用を認めるなどの措置を講ずることを予定してございます。こうしたメリットを与えることによって、いわば動機づけ、設置者にとっての安全性をより一層向上させる動機づけとなるような制度として認識をいたしてございます。  また、コストの点についてのお尋ねがございましたが、この新しい制度によりまして保安水準の向上が図られますとともに、工事、検査工程の合理化に伴いましてコストが低減するものと考えてございます。  このコストの減により生ずる原資をどのように配分するか、これは経営上の判断でございますが、既に平成十三年度までに国際的に遜色のないコスト水準を達成することを目指してございまして、この安全規制見直しについても、事業規制見直しとともに進めてきたものでございまして、今後電気料金の一層の低減が図られるものと期待をいたしてございます。
  65. 中野清

    ○中野(清)委員 ぜひそういう方向のための第一歩として、今回の法案を生かしていただきたいと思います。  公益法人規制緩和によりまして、一般家庭の家屋内家庭電気の工事についての問題については、今までの電気会社の調査義務といいましょうか、それは現状のままで、今回は、今まで指定調査機関として全国十の保安協会の独占から、民間検査会社が参入すると伺っております。この規制緩和によりまして、二千万件とも言われますけれども、この分野に新しい検査機関の参入可能となったわけでございますけれども、これについて幾つかお伺いをしたいと思います。  現行の電気事業法などの分野において、産業保安をより一層確実なものにするために、設備を施工した者がみずから保守を行うべきではないとする保工分離の原則というのが、法律的な事項ではないにかかわらず多年にわたって存在したと聞いておりますけれども、これはどうかということをお伺いしたい。ただし、私は、自分がやった工事を自分が検査するという意味じゃありませんから、それだけはつけ加えておかないと誤解を受けると思いますので、まずその点をお伺いしたい。  それから、現在の保工分離によって、事業用電気工作物と一般用電気工作物については検査体制が異なると先ほどちょっと稲川長官が奥田議員の質問にも答えておりましたので、これは簡単で結構ですから、この点をまずお伺いしたいと思います。
  66. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 保工分離は、まさに御指摘のございましたように、一般用電気工作物の保守、監督を行う者と工事を行う者とが同一であってはならないという考え方でございまして、一般用電気工作物の体系の中でのまた特異な原則でございます。  したがいまして、事業用電気工作物、これは一般に自主保安が原則でございまして、みずからの組織の中に電気主任技術者等を置き、それで自主保安を進めるという体系の中でございますので、この保工分離という考え方は本来適用のない世界でございます。
  67. 中野清

    ○中野(清)委員 先ほど奥田さんの質問についてもそうだったんですけれども、やはり、一般電気工作物については、これは変更してこれからはそうじゃないという話をさっき伺ったわけですね。それは確認で結構でございます。  そうすると、今、事業用電気工作物については自己保安が中心だ、だから公益法人以外の民間企業参入を認めないということだと思うんですけれども、これはなぜか、それをはっきりしてください。
  68. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 自家用電気工作物、これは事業用の電気工作物の一つでございますが、先ほど申し上げましたとおり、設置者の自主保安を原則といたしてございます。小規模な事業所につきましては、例外的に第三者への委託を認めております。  この第三者への委託先といたしましては、社内に置きます雇用者にかわる制度という趣旨で、一定以上の経験を積んだ電気主任技術者、いわゆる電気管理技術者が認められておりまして、全国に約七千名存在をしております。  また、この七千名の中で、かなりの競争状態の中にあることは確かでございますが、地方でありますとか遠隔地でありますとかいうところにつきましては、この保守管理業務を委託することができない、都市部と比較して相当割高になるというような事情があるために、電気保安協会がいわば補完するものとしてユニバーサルサービスを行う性格で置いてございます。  こうした事業用電気工作物、その中での自家用電気工作物、自主保安をやる雇用者にかわる制度という趣旨でございますので、そういう体系の中で、制度としての趣旨及び既にこの七千人の中で相当の競争が進行をしているという二つを考えて、制度としては現状のままとしたものでございます。
  69. 中野清

    ○中野(清)委員 私はちょっとおかしいと思うんですよ。と申しますのは、七千名いるという電気主任技術者ですか、この中には当然、電気工事業界もいれば保安協会もいれば電気管理技術者協会もいるはずなんです。恐らく今までの慣行として、私の理解では、それでは今まではどうも保安協会と電気管理技術者協会の主任技術者はやってもいいけれども、電気工事業界の主任技術者については、いわゆる先ほど言った保工分離の原則の中でもってだめなんだという話を聞いておりますけれども、そうじゃないというふうに理解していいんですか。それだけ言ってください。
  70. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 自家用電気工作物にかかわります委託を受ける第三者としての先ほど数字を申し上げました七千名は、すべて個人でございまして、その個人が、自家用電気工作物の設置主体、保有者が自主管理をするに際して、自社に置く雇用者にかえて会社の外に委託をする相手として存在をするものでございます。  保工分離の話は一般用電気工作物の世界の話でございまして、先生からも御指摘がございましたように、一般家庭の電気工作物について、一般の家庭が電気的知識を持ちみずから点検することができない、したがって、電気工事が行われた後、それを第三者としてチェックするものがこの指定する調査機関でございまして、この調査機関につきましては、保工分離という先生の御趣旨を踏まえながら、ここにさらに競争を、企業を含めて参入をせしめようということでございます。
  71. 中野清

    ○中野(清)委員 ちょっと今の稲川長官の御意見は私と違うんですけれども、時間がありませんから、これについては、やはり私は、自主検査というときに、保安協会とか電気管理技術者協会が入るとか入らないとかじゃなしに、これは主任技術者であれば、どこに行っても、どこに所属してもそれをできるような方向にすべきだろうということを要望して、この質問は終わります。  最後に、時間がありませんから、中小企業の立場から、今回の改正の問題について、これは特に大臣にお伺いをしたいと思うのです。  と申しますのは、この基準認証制度改正の目的の一つとして、先ほど来、高コスト構造の是正を挙げておりますけれども、認証機関が民間第三者機関に移行した場合に、認証手数料などは現行以上に引き上げられる懸念がないのか。また、一社当たりにしますと認証申請件数が中小企業の場合どうしても少なくなる。そうすると、どうしてもこれは割高になるんじゃないか。そしてまた、中小企業に対する負担というものが当然重くなるんじゃないかと心配するわけでございますけれども、この点がどうかというのが一点。  それからもう一点は、特に製品安全の方だと思いますけれども、今回の見直しで、事業者技術基準への適合について確認した場合、その検査記録を作成、保存する義務が生ずるわけだと思うんです。これは自己認証でございますから、ある意味で当然だといえば当然なんですけれども、これが中小企業にとっては大きな負担になるはずだ。それについてはどのような対策を考えていらっしゃるか、お伺いしたい。  また、中小企業というのが、例えば必要な検査設備、そういうものを持っていない企業がたくさんあるはずだと思うんですね。それは、おっしゃるとおり、すべてそろっていれば結構なはずでございますけれども、それがない場合にどうすればいいか。ただ民間検査機関へ持っていけというだけのことでは困るのではないかと思いますので、お伺いしたいと思います。
  72. 岩田満泰

    岩田政府委員 民間第三者機関検査業務を開放した場合の手数料の問題でございますが、民間企業参入によりまして、現在は分野によりましてはほぼ独占的な状態になっている状態に、いわば競争的な環境がつくられるわけでございますので、先ほど来から御質疑もございますように、まさに欧米の検査機関は既に我が国に進出をしているような企業も存在をしているという状況のもとで、かなり厳しい競争が展開される分野もあるかと想像いたしております。  その意味では、検査サービスの効率化とか、あるいは質の向上というようなことが行われますし、そういったものを通じて検査料金の低廉化というようなものも期待ができるのではないかというふうに私どもは考えておるところでございます。  それから、自己確認を原則とするという制度になることに伴いまして、検査記録の作成保存義務をお願いするということになるわけでございますけれども、これは、危険な製品が流通をしているというようなことがわかった場合における事後の製品の回収等々の製品流通後の措置を機動的にやるということのためにも、検査記録の作成、保存というものは極めて重要なことでございますし、また、事業者自身にとりましても、検査をしたその結果の記録、あるいはその経過の記録というものを作成するということ自身は、みずからの検査のプロセスをもう一度確認するという意味合いも持つ、あるいは、そうしたものにもう一遍みずからの責任を確認し得るという意味合いもあると考えております。  また、もう一つさらに、検査記録の作成、保存と申しますのは、万が一事故が発生した場合に、もろもろの、訴訟を初めとしてトラブルが発生するわけでございますけれども、製品等の技術基準への適合性を立証するという資料としても、これは重要なものとして、事業者にとっても有益なものであるというふうに考えております。  一方で、御指摘のように、新たな制度に移行するわけでございますから、企業への負担にも配慮する、特に中小企業への配慮ということを御指摘でございますけれども、その意味で、作成、保存すべき検査記録につきましては、事業者検査をする、あるいはその検査をした結果の文書管理というものが現状においてどのように行われているのかという点を私ども十分踏まえたいというふうに考えておりまして、その上で、過大な重複負担とでも申しましょうか、そういうようなものにはならないように検査記録の内容については規定をしていきたい、このように考えておるところでございます。  また、検査設備の保有は、そもそも制度として求められておるわけではないわけでございますけれども、従来どおり、これまでも自己確認の制度のもとにあった中小企業者の場合には第三者の任意の検査を使ってという実態は存在をしていたわけでございます。欧米におきましても、第三者の力を使ってという、まさにアウトソーシングをしてやるということの方がむしろ効率的であるというケースが往々にして存在をするわけでございまして、そうしたサービスを選択していただくということも十分可能なのではないか。  いずれにいたしましても、もろもろの過度の負担ということの御指摘でございますので、私ども、制度の円滑な移行ということに配慮して、もろもろの点に配慮していきたい、こう考えております。
  73. 中野清

    ○中野(清)委員 それでは、時間がありませんから、最後に大臣にお伺いしたいと思います。  今、中小企業に対する配慮がございましたけれども、このほかにも、技術基準性能規定化するという問題についても、当然これはなかなか中小企業にとってはクリアするのは難しい問題があります。これも含めてお伺いをしたいと思います。  今回の基準認証整理合理化法律につきましては、私は冒頭に、それ自体は評価すると申し上げたつもりであります。つまり、高コスト構造、それから国際競争力の確保といった、力のある大企業に対する立場での改革という面は私は否定できないと思うのですよ。そうしますと、今申し上げましたような中小企業に対する配慮というものはこの法律をやるときにおいての大前提として持っていないと、中小企業にとっては実際にはついていけない、逆にせっかくの法律が悪法になってしまう、そういうことを私は憂えるものであります。  どうかそういう意味で、中小企業への配慮ということを含めて、実効性のある法の運用というものを大臣としてどのようにやっていらっしゃるか、やるおつもりか、この決意だけで結構ですから伺いたいと思います。
  74. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 基準認証制度見直しに当たりまして、事業者みずからが安全性向上取り組み、信頼性を確保していくことが基本でございます。  なお、先生御懸念の中小企業に関してでございますが、中小企業等においては、必要により第三者機関の任意の検査サービスを活用することにより信頼性の確保も可能と認識しておりますが、当然、中小企業政策としては、過度の負担を中小企業にかけないという基本的な認識は持って、法は運用していく必要があると考えております。
  75. 中野清

    ○中野(清)委員 終わります。
  76. 古賀正浩

  77. 小池百合子

    ○小池委員 自由党の小池百合子でございます。  早速、本案そのもののテーマに入る前に、きょうの新聞の朝刊は大変にぎやかでございまして、長銀の元頭取の逮捕に始まりまして、それからユーゴの空爆停止。それで、何よりもこれは私もびっくりしたんですけれども、この一―三月期の実質GDPが一・九%、年率にすれば何と八%に届かんばかりの勢いでございまして、マーケットも大変びっくりして、逆にニューヨークの株の方は下がったりとか、いろいろと驚きを持ってとらえられているところでございます。  一言、本論に入る前に、きのう大臣は驚かれませんでしたか。
  78. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 月例経済報告が数日前に出まして、その月例経済報告のトーンというのは、底を打って横ばいかなというトーンでございます。しかし、昨日出ました数字というのは、実は大変数多くの方が驚かれたのではないかと思います。統計のとり方とか、いろいろな議論はありますけれども、少なくともプラスの方向に物が一―三月の間に動いたということでございますから、これは私は朗報だと思っております。  特に、公共投資に関しましては、昨年からの二回にわたる補正がございまして、そういうものの執行状況とのかかわりがあってある一定の寄与をしておりますが、中でも注目をいたしますのは、個人消費が回復しているということと、そして非製造業分野における設備投資が回復しているということです。  これは一体どういうことなのかというのを今考えている最中でございますけれども、私どもとしては、中小企業設備投資が回復しているということであれば、それはやはり、昨年から国会の皆様方の御協力をいただきながら全国で行いました信用保証協会の信用供与ということも若干の寄与をしているのではないかと思っておりますが、概して言えば、多くの専門家にとっては予想外のことだったのではないかと思っております。
  79. 小池百合子

    ○小池委員 その場合、大臣も入るのか、どういうふうに専門家をとらえればいいのかよくわかりませんが、いずれにいたしましても、マイナスであるよりはうんといいわけでございまして、ただ、気を抜くことなく、これから産業競争力そして緊急雇用対策など、ここはやはりむしろ矢継ぎ早に構造改革を含めた対策を積み重ねていくという不断の努力が必要ではないかと思います。  その構造改革という点から申しまして、今回のこの基準認証制度改正でございますが、これは非常に、これまで大変複雑であった、手間がかかった、コストもかかった、時間もかかった、こういったことを改めるというのはまさに構造改革の一環ではないかととらえているところでございます。  そして、規制緩和三カ年計画の中にも、許可、届け出等の見直し基準、規格及び検査・検定の見直しということも盛り込まれているところでございますし、また、これは全産業にかかわることでございますが、中でも通産省関係が、これまでのいろいろな基準が多いということも含めてではございますけれども、こうやって大変積極的に取り組んでいただいていることには敬意を表したいと思っております。  そこで、ちょっと時間がございませんので私の方からお話しさせていただきますと、基本的にはこれは小さな政府を目指すものでございますし、またそのためには自己責任原則ということも、これは我が党そして私自身の考え方にも合致するところでございます。その意味で、この基準認証見直しというのはさらに今後もお進めいただきたい。  こちらに、調査室がおつくりいただきました概要のところに、戦後の混乱からまだ抜け切らない昭和二十年代から、企業における技術革新の進展著しい昭和四十年代ごろまでの期間にこの基準認証制度が多くつくられた、その意味で、戦後間もなくの保健衛生関係の制度の整備に始まり、その後、危険物、保安や交通関係の整備が行われた、その中で出てきたものであって、戦後の混乱の中で安心感を与えるというためには必要であったけれども今時代が変わった、そういう認識のもとに今回の改正が行われるものと理解をいたしております。  一方で、何でも自己責任ですよ、消費者が買ったんだから、欠陥品を買ってもそれはあなたの責任ですよというのは、これはまた酷な話でございまして、やはりそのためには社会としてのセーフティーネットを用意しておくというのも必要かと思います。また、その意味で、政治の責任としてPL法というのもできているわけでございます。  そういった中で、大臣の方から一言、今回のこの法案の歴史的な、また国際的な意義について伺わせていただきたく思います。
  80. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 どちらかというと、日本人と申しますか我々は、お上が判こをぽんと押しますと信用するというところがずっと明治維新以来あったわけでございます。今回のは、先生御指摘のように、そういう物の考え方を変えるという意味では画期的なことでございまして、自分でこれはちゃんとした製品ですよという自己認証をするとか、あるいは民間の機関が安全性についてきちんと点検をして安全ですよということを証明するとか、こういう考え方というのは非常に日本人にとってはやはり画期的な考え方だろうと思います。  そして、自己責任原則ということも、ややもすれば、お上がこう言っているとか、そういうお上頼りのところがございましたが、今回のこの法案に出てまいっております思想というのは、やはり自己責任原則ということで社会は進んでいくんだよということが私は多分書いてあるのだろうと思います。  ただ、ぎりぎりのところでは、やはり国民の健康とか生命とか安全性とかということで、民間だけに任せておくということが不適当な分野があるということは今後も続くのだろうと思っております。
  81. 小池百合子

    ○小池委員 最後の部分は、規制緩和のところでいつも出てまいります社会規制と経済的規制。経済的規制はむしろ緩和、撤廃の方向を目指すということで、この社会的なのか経済的なのかという議論もこれまたずっと続いているわけでございますが、明らかに経済的な規制については、今後ともさらに緩和、撤廃の方向に向けるべきだと私は思っております。  先ほど私の方からも触れさせていただきましたが、セーフティーネットとして消費者保護の意味でもつくられておりますPL法でございますが、成立後しばらく時間はたっているわけでございます。その後、このPL法そのものがどのように活用されて、そしてそれは消費者保護に適しているのかどうか、この辺のことについて御報告いただきたいと思います。
  82. 岩田満泰

    岩田政府委員 お答え申し上げます。  製造物責任法に基づきます訴訟の件数を見ますと、この四年間で私どもの承知する限り十五件というようなことで、必ずしも多いとは言えない状況にあると思いますが、私どもはこの件数の多少ということ以上に、この法律はそもそも裁判規範として定められているものでございますけれども、同時に社会規範としての意義が非常に大きなものとして、いい意味での影響を持っているのではないかというふうに考えております。  この法律の制定によりまして、製品事故におきます被害救済の新たな民事ルールが導入された、こういうことでございますけれども、消費者と事業者の間の相対交渉というようなことにおきましても、同法の制定後に進みました例えば裁判外の紛争処理機関、いゆわるPLセンターというようなところにおいても、このルールに基づいて交渉が行われるという実態が社会の中に根づいてきているということであります。それによりまして、製品事故にかかわります消費者の被害救済というものが円滑に行われるようになったという意味において、裁判外においてもろもろの問題解決が図られてきているという実態があると存じております。  また、この法律の制定後、事業者の製造物責任保険への加入というのも加速的に進んでまいっておるという状況にございまして、それによりまして被害救済の実効も上がる、こういう実態にもなっているかと考えております。  さらに、これに加えまして、同法の施行後、反射的な効果とでも申すべきものかと存じますが、事業者の製品安全に対する自主的な取り組みが充実してきたということだと存じます。いわゆる事業者、製造業者等々におきます安全マインドの向上でございます。例えば、表示でございますとか、取扱説明書の改善でございますとか、企業の中に製品安全対策部門というものを設置するというような形で、事業者の製品安全対策も着実に向上していっているというふうに考えておりまして、そうした大きな効果を上げておると思います。  昨年、少額裁判制度の創設というようなことも行われました。こうした司法制度の充実ということの中でこの法律が一層いろいろな意味合いで効果を発揮するということを期待いたしたい、このように考えております。
  83. 小池百合子

    ○小池委員 わずか十五件と聞いて、世の中が平和なのか、それとも今幾つか御指摘ございました司法制度の問題、そういった大きな観点からも強化していかなければならないのかなというふうに思っている次第でございます。  それで、今回のこの基準認証の変更でございますけれども、やはり世界的な変化、グローバルな基準の設定ということが何よりも大きな現実として迫ってきているということが考えられると思います。  そのグローバルな基準として極めて代表的な、また最近大変人気のありますのがISOでございます。このISOの取得に向けて、9000シリーズとか14000シリーズとかいろいろできて、このISOのビジネスというのも大変各国でも盛んでございます。また、このISOを取得していることで国際ビジネスに参加できる、一種の木戸銭みたいなもののように今なりつつあるわけでございますが、どうも私、日本の場合、ISO取得というのが、コンサルティングフィーなどを含めて極めて高いんじゃないかなというようにも思います。  実際にISOを取得された方々の御苦労というのも私も直接よく伺うわけでございますけれども、ISO取得後のメンテナンスの、何とかという専門用語があったと思いますが、それだけでも工場を持っている方だったら年間一千万近くはかかるというようなことを直接聞いているわけでございます。  ISO取得に対しての平均的な日本の場合のコスト、これはどういう実態になっているのか。また、これはちょっときのうお知らせしていなかったんですけれども、各国で見て、同じISOを取るのに日本だけやたらめったら高いのではないか、そういう思いはあるわけでございますが、一体、現実はどうなのでございましょうか。
  84. 佐藤壮郎

    佐藤(壮)政府委員 お答えいたします。  ISO9000あるいは14000シリーズの取得にかかわる費用に関してでございますけれども、これは審査を受ける範囲あるいは企業規模等によりましてコストが変わってくるわけでございますけれども、平均いたしますと取得のために大体二百万円程度かかっているということでございます。  それから、いわゆるコンサルタントフィーでございますけれども、これも取得を希望する企業の実態によって大変千差万別でございますけれども、高い場合には一千万円程度の費用がかかるというふうに聞いております。
  85. 小池百合子

    ○小池委員 また、今でなくていいですから、各国のその辺のところの比較を教えていただければ結構かと思います。同じISOのマークをもらうのにどうも日本だけ高い、結果的に高くなる。いろいろなコンサルタントがビジネスとしてやっているわけですから。結局そうなってくると、それは余りフェアじゃないのじゃないかなというふうにも思いますので、その辺もよくチェックをしていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、ISOという機関そのものが民間機関と言っていいんだと思います。というか、ノンガバメンタルで、言ってみたらちょうどオリンピックコミッティーのような存在ではないかなと思うわけでございます。それが、今後ISOが余りにもまた巨大になって、その機関がどのように運営されていくのか、これもよくチェックもしていかなければならないんじゃないかということを考えております。  さて、今回、基準認証制度が、これから代行機関の変更があるわけでございますけれども、代行機関の選定、認定方法についてお教えいただきたいと思います。つまり、やはり信頼できるところ、基本的には自己確認でございますけれども代行の部分もある、それの選定、認定方法、これについてお聞かせください。
  86. 岩田満泰

    岩田政府委員 第三者機関認定の御質問でございますが、私ども、まず基本的な考え方といたしまして、各国との今後のMRAの展開というようなものも視野に置きつつ、ISOIECガイドにこの種の第三者機関の備えるべき要件に関するガイド65というのがございまして、これに準拠をするような形で透明性の高い認定制度をつくりたいというのが基本的な考え方でございます。  具体的に申し上げますと、第三者機関が的確かつ円滑に検査業務を行う、これを担保するという意味において、法律にも書かせていただいておりますが、十分な検査能力を持った検査員がいるかといったような、技術的能力があるかどうか。あるいは、安定した経営を行えるだけの財政的な基盤があるかというようなことを求めるということと同時に、第三者機関でございますので、中立性公正性というのが極めて重要な要素でございます。その意味で、商業的な取引などの要因が検査を行う職員の判断に影響を及ぼさないこと。あるいは、組織が非差別的な手続で運営されていること。第三者機関とその職員検査対象品目利害関係のある品目の設計、製造等に直接関与しないこと。  今申し上げておりますのはISOIECガイドのやや直訳的なところで、お聞き苦しいところがあると思いますが、こういった趣旨のものを要件として定める予定でございまして、それを前提として、厳正な審査、認定という作業をしていきたい、こう考えております。
  87. 小池百合子

    ○小池委員 国の認定にひずみがございますと、結局また国が訴えられるようなことになると同じことの繰り返しになりますので、その辺は厳正によろしくお願いいたしたいと思います。  それから、こうやって一種の自己確認、これまでお上がやっていたことを自己確認で、それから代行機関がやるというアウトソーシングの一つのパターンかと思いますけれども、じゃ、これによって、通産省の許認可件数でございますが、その部分の手間が省けるということを考えますと、許認可件数も減ってきていいんじゃないかと思う次第でございます。  ちなみに、通産省の場合、各省庁間の数字で申しますと、いまだに輝かしいトップを走っておられまして、千七百十件、これはちょっと古いのかな、数字。守備範囲が広いということもあるんでしょうが、まだまだこの許認可件数が高いのが通産省でございます。もっとも、この辺、私も総務政務次官をさせていただいて、なかなかこういうのはかなりテクニカルな数字で、何か二つのものを一つにしたりとか、その辺のところ、各省いろいろ工夫を凝らしておられるということも存じ上げておりますが、いずれにいたしましても、通産省は現在でもまだトップでございます。この件数が減るのかどうか。  それから、許認可の項目でございますけれども、許可、認可、免許、承認、指定、承諾、認定、確認、証明、証左、試験、検査、検定、登録、審査、届け出、提出、報告、交付、申告。速記の方、後でお渡しします。  これだけバラエティーに富んでおりますが、例えば、バシェフスキーさんに、許可と認可と承認と承諾を英語でどういうふうにお訳しになっているのか。試験と検査の英語訳はどう変えておられるのか。ばかばかしいようですけれども、やはりこういうのが国家としてのアカウンタビリティーを下げている原因にもなっている。また、これは、これだけいろいろレベルを変えることによって、裁量行政にも結局つながっているわけですよね。  ですから、今回の基準認証制度整理合理化とおっしゃるのならば、こういった許認可項目の整理合理化をすることが、日本が複雑でえたいの知れない国というようなことを、これは対外的なものだけでなくて、やはりそれぞれの日本国内の企業が何か一喜一憂して、勲章のあれじゃないですけれども、ほんのちょっとの差でもってやはり手間が大変かかることは先ほど大臣もおっしゃっておられました。これも実際考えなくてはいけないんじゃないかと思うんですが、御担当の方、そして大臣、今のことについてどうお考えになりますでしょうか。
  88. 岩田満泰

    岩田政府委員 お答え申し上げます。  許認可数は減ったのかという点につきまして、事実関係ということでございますのでお答えさせていただきますが、今回、事前の規制を最小限化しまして事後ということでございますので、したがいまして、検定とか登録とか型式承認あるいは届け出といったことにつきましては、届け出のみにするといったような形で許認可項目の整理が行われております。一方で、事業者の自主的な安全への取り組みを促すという意味で新しい制度をつくる、つまり第三者認証制度というものがつくられるとかいうようなことになることに伴いまして、いわゆる総務庁で計算をされるような形での許認可数ということでありますと若干の増加になるということになっております。  十一本の法律の総計で申し上げまして、許可、承認というようなものは三十ほど減るのでございますが、届け出が三十五ふえるということになっておりまして、したがいまして、五つほど許認可数というのはふえるという形になっております。しかしながら、産業界との関係でいえば、明らかにこれは負担の軽減にはなるということは、届け出でされれば済むことでございますので、そういうものではあろうかというふうに思っております。
  89. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 私の通訳をやっておられる大森さんという方は、今の言葉を全部分けて使っておられますけれども、今秘書官と話したのですけれども、我々注意深く聞いていないものですから、思い出すのはオーソライゼーションとかパーミッションとかリポートとかその程度のことで、しかし、大森さんという方は全部区分けして、きちんとやっておられます。
  90. 小池百合子

    ○小池委員 いや、その方は大変御苦労なさっていると思います。そういう意向を酌んできっちりやっておられるプロだと思います。ただ、言葉で、日本語だって許可と認可と免許、それぞれ法律的なバック、その違いはあるのでしょうけれども、やはり、こういうことが結局は日本制度というのを複雑怪奇にし、かつそこでの裁量行政の温床をつくってしまっているというのは、私はこれは事実じゃないかと思うのですね。  ですから、今回のことを踏まえて、ぜひともこういう許認可のグレードの整理そして合理化ということを徹底してやっていただきたい。さもないと、これはまだ不十分だと思います、その意味では。こういうことを本当にやっていかないとだめだと思っております。  よく、この場でも申し上げたかと思いますけれども、ニュージーランドの過激な規制緩和規制撤廃で、やり過ぎちゃって首都の一部が停電になってしまったというような例もございますけれども、要はニュージーランドの場合は、公務員の数をどれぐらいにしますということの数の目標よりは、そもそもお上が国をすべて運営するのではないということで、官から民へという哲学的な背景でもって行政改革を行った。三千六百人いた運輸省の許認可のことをほとんど全廃、航空管制まで民営化しちゃったんですから。そうすると結局はお役所の仕事がなくなっちゃって、三千六百人いたのが結果として六十人に減った。これがいいのかどうか、羊の数の方が多いニュージーランドと日本とではだめだ、そういう比較もございますけれども、基本的な考え方は、私はニュージーランドと同じことではないのかなと思っております。  今回、この法案に関係するところのアウトソーシングをすることによって、もともとこれまで指定の財団などにお願いしていたというので既にアウトソーシングでしょうが、猪瀬直樹さんなんかが言うところの、霞が関と虎ノ門は一体だという考え方からすれば、まだ本来の意味のアウトソーシングになっていないんじゃないか。その意味で、今回の法案改正によりまして通産省内の合理化効果はどれぐらい出てくるのか、どれぐらい期待していいのか、それについてお答え願います。
  91. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 今回の基準認証制度見直しによりまして、官民の役割分担を見直し、製品流通前、設備使用前等における政府の直接的関与が最小限化されること等によりまして、製品流通前に行っていた国の検査等にかかわる事務は合理化されることとなります。  また、例えば製品安全規制四法においては、今回の見直しによりまして規制体系の整合化が図られることとなります。これにあわせて、その運用を原則同一部局に一元化することとしております。これによりまして、コストの低減がなされることとなると考えております。
  92. 小池百合子

    ○小池委員 先ほど申し上げましたニュージーランドの例などもとって、私ども別に本当に生首をとるというふうなことを言っておりません。しかしながら、そもそもお役所がやるべきでなく、民間がやるべきこと、今回の法案がその一例でございますけれども、そういった方向で、結局、日本としての、国家としての活力を取り戻すということを目指すべきではないかと思います。  鉄鋼問題についても伺おうと思ったのですが、一分二分でかえって変なことになってもあれですので、最後に一つだけ。  きのう省庁再編の法案が衆議院で可決したのですけれども、通産省改め経済産業省、よくそちらの省内の方も、魚マグロ省とか、似た言葉が二つ並んでいてどうもおかしいななんていう声があったりもするのですけれども、縮めると経産省になって、何か計算しているところみたいな感じがいたしますし、これがひっくり返って産経省になると、どこかの新聞の親分がそれだけはやめてくれと泣きついたりとかいろいろ聞いてはおります。私はむしろ通産省の方がいいのではないかなと思ったりもするのですけれども、大臣、いかがですか。
  93. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 これは、行革をやっておりますときに名前論争というのは相当ありまして、経済省というのがいいという人もいたり、今の名前がいいということを主張されたり、いろいろ言われましたが、皆さんで決められた以上、その名前の中で生きていくしかないと思っております。
  94. 小池百合子

    ○小池委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  95. 古賀正浩

    古賀委員長 次に、吉井英勝君。
  96. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。  今回のこの法案について考える上で、規制緩和万能論が横行する中で、国民の安全を守る上で必要な検査から国が手を引くことがあれば、それは重大な問題だというふうに思うわけです。そこで、溶接検査が原発でも自主検査になる問題を例にとって、少し吟味していきたいというふうに思います。  原発の検査は従来どおり国がやると言いつつ、溶接検査からは手を引くということでありますが、九〇年代に入ってから原発における溶接部のトラブル、あるいはそれによる冷却水漏えい事故が起こったりとか、そういう問題は件数でいえば何件あったのか、まずこのことから伺いたいと思います。
  97. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 原子力発電所に関するトラブルといたしまして、原子力安全白書に挙げられたもののうちで溶接部に関連するものは、九〇年度以降、昨年度までに合計十四件ございまして、全トラブル件数の約一割弱でございます。この中には、溶接施工の問題が原因とはなっていないが、他の原因により溶接部が損傷したものも含まれてございます。  ちなみに申し上げれば、トラブルの発生状況別に見ますと、運転中に発生したものが四件、定期検査中に発見または発生したものが十件でございます。また、原因別に見ますと、溶接施工上の問題が関与しているものが八件、溶接施工上の問題が原因とはなっていないけれども、他の原因により溶接部が損傷したものが六件でございます。  なお、溶接施工上の問題が関与している八件の内訳でございますが、応力腐食割れを原因としたトラブルが四件ございますが、これは七〇年代のかなり古い時代につくったものでございまして、建設当時、応力腐食割れに関する知見が十分でなかったというところから生じたものでございまして、溶接施工自体にミスがあったものではございません。残りの四件につきましては、溶接施工が不十分であったことに起因するものではありますが、いわゆる電事法に基づきます溶接検査、国の検査対象外の案件でございまして、もちろんいずれも放射線による外部への影響はございませんでした。原則としてその対応を、損傷部分を新品に取りかえる等々で行っているものでございます。
  98. 吉井英勝

    ○吉井委員 今おっしゃったように、応力腐食割れの問題などもあり、ですから、残留応力をなくすようにするとか、あるいはラジエーションダメージによる影響などを少なくするということから、溶接については非常に厳重な管理をやっているというのがこの問題だというふうに思います。  ところが、九七年、原発配管について溶接データの捏造事件というのが二年前に発覚しました。この溶接データ捏造というのは、日立製作所の子会社であった日立エンジニアリングサービスがその下請である伸光に指示してやらせたものであったわけですが、下請が勝手にやったというものではないわけです。親会社であり原発を建設した日立製作所は、データ捏造を見抜く能力がなかったのか、あるいは一緒に捏造をやってきたのか、この辺はどうだったのかを伺いたいと思います。
  99. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘の案件に係る対応のために、通産省といたしまして、電気事業法に基づく立入検査、疑義部位の特定、溶接部健全性確認のための緊急調査を実施いたしました。その結果明らかとなりましたことは、下請であります伸光が日立エンジニアリングサービスから請け負っております焼鈍において、真正でない温度記録が作成、使用された事実がありました。ただし、焼鈍自体は適切に行われておりました。  また、真正でない温度記録が使用された可能性のある溶接部、いわゆる疑義部位でございますが、原子力発電プラント十四基、二百四十八カ所であること等が明らかになってございます。  日立製作所は、この日立エンジニアリングサービス及び下請業者に対する定期的な品質管理体制の監査は実施をいたしておりましたけれども、作業の詳細にまでは立ち入った監査を行っていないというところで、日立製作所の品質管理体制には不十分な点があった、かように考えてございます。  日立製作所自身が本件に関与したかどうかという点につきましては、関係者からの事情聴取、下請管理の実績を勘案しますと、日立製作所が真正でない温度記録の作成、使用に関与をしたという事実はなかったものと考えております。
  100. 吉井英勝

    ○吉井委員 当時の読売新聞の社説に、下請に出していた日立側の責任も重大だ、本当に気がつかなかったのかどうか調べる必要があると指摘しています。それで、見抜く能力はなかったのかということを含めて、政府としてそのことを調査したのか、私はこの点も聞いておきたいと思うんです。
  101. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 日立製作所につきましては、関係者からの事情聴取、温度記録の調査結果等を総合的に勘案いたしまして、伸光が日立製作所から直接焼鈍を請け負った場合には、真正でない記録が使用されたことはなかったということを確認いたしてございます。  また、今回特定した、真正でない温度記録が使用された可能性がある、先ほど申し上げました溶接部二百四十八カ所につきましては、伸光が日立製作所から直接焼鈍を請け負った箇所は含まれておりません。  しかしながら、日立製作所は、本件に係る配管の発注者の立場でございまして、品質管理上の責任を有するものと考えてございます。
  102. 吉井英勝

    ○吉井委員 真正でなかったデータがあって、それが真正なものかどうかということを見抜くということがやはり非常に大事だと私は思うんです。  この点で、先ほどの、まあ一緒にやったことはないだろうということなんですが、私、なぜこの問題も大事な点かといいますと、実は、昨年問題になった使用済み核燃料輸送容器の問題ですね、キャスクの問題。あれのデータ捏造事件を調べてみると、これは日本原子力発電株式会社の子会社である原電工事という会社がやった問題だったんですが、その原電工事に日本原電から、これは天下りといいますか何といいますか、おりていった、その原電の幹部が直接かかわってデータ捏造を指示しておったということが既に明らかになっております。ですから私は、こういうふうな問題は、本当に一緒に捏造をやったのかどうかとか、そういう問題というのは国としてもきちっと調べる必要があるというふうに思うわけです。  事業者の現状は、自主検査への移行の前提となる資格はあるのかどうか。このことは、実は疑念が呈せられる問題だというふうに私は思うんです。  親会社がデータ捏造を知っていたなら、そんな事業者の自主検査というのは信用できないことになってしまうし、親会社がデータ捏造の事実を見抜く能力を持っていなかった、あるいは本当は能力はあるんだが手抜きをしてしまっていた、監査していなかった、そうなると、これは信頼に足る自主検査を行う能力がないということになってしまう。いずれにしても、事業者の現状では、国が検査から手を引く、すなわち安全確保から手を引いてよいということにはならないというのが、私はこの問題の大事な点だというふうに思うんです。  そこで、もう少し伺いますが、政府自己責任原則を強調して、自主検査を導入すると言っているわけですが、さきのこの事件では、事業者責任だけでなくて、国や指定機関の検査の実態と政府の指導も問われているというのが問題だと思うんです。さきに挙げた読売新聞の社説でも、真正データと改ざんデータではグラフの模様が一見して違うことが素人でもわかる、同検査協会が本当にこの不正に気がつかなかったのなら、検査機関としてお粗末としかいいようがないということを指摘して、検査機関の存在意義が問われると指摘しています。  さらに、資源エネルギー庁にも指導監督を果たしていなかった責任がある、読売の社説はこれも指摘しているんですが、通産省はその責任というものをどのように考えていますか。
  103. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 発電設備技術検査協会についてのお尋ねがございましたが、検査員は、溶接後の熱処理が技術基準に定められた方法で行われていたものかは確認しておりましたけれども、その記録の真偽までは意識をしていなかった、これが発見を妨げていた要因と考えております。  このため、再発を防止するために、検査員の意識の改革を促す、溶接部位、焼鈍特性ごとの特性を踏まえた温度記録の適否の判断能力向上を図る必要がある、かような点を認識いたしまして、関係する全検査員に対して特別研修を実施するなど、研修制度を充実したところでございます。  また、日立製作所につきましては、しかるべき管理をしていながらも詳細作業手順について意が至らなかったということで、その後の内部の管理体制、自主保安体制を改めたところでございます。  国にかかわるお尋ねでございましたが、今回の事件が国民の原子力に対する信頼を損ないかねないものであり極めて遺憾ということで、監督官庁としてもこのあり方について種々検討を行ったところでございますし、再発防止策に万全を期していくという形で当省の責任を全うしたいと思っております。
  104. 吉井英勝

    ○吉井委員 今、この記録の真否までチェックしていなかったという話なんですが、本当に、この記録の線の様子を見ただけで素人でもわかると読売が書いているぐらいのことなんですよ。それをメーカーの日立も見抜くことができなかった、検査協会も見抜くことができなかった。そこはやはり非常に重要な問題だと思います。  この点では、同時に問われるべきは、指定検査機関である公益法人、財団法人発電設備技術検査協会の問題があるというふうに私は思うんです。  これは調べてみると、原発ユーザーである電力会社と、原発メーカーでBWRのメーカーである東芝、日立と、PWRの三菱重工など重電が金を出してつくったところですね。その役員構成を見れば、事件発覚当時の九七年九月で、理事十四名中、ユーザー側の電力は六名、原発メーカーの東芝、日立、三菱の重電が三名、通産省からの天下り四名という構成なんですよ。  ですから、原発メーカーである日立の入った検査協会が、日立の原発部品の溶接検査をする。これでは検査協会の検査はなれ合いと言われても仕方がないというふうに思うんですね。客観性や公平性は保証されないということになるんじゃないですか。
  105. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘のございました発電設備技術検査協会につきましては、電気事業法に基づきます指定検査機関として、当然のことながら、検査業務に関する規程、事業年度ごとの事業計画について国の認可を受けなければならないということにし、その認可を通じ、協会の公正性中立性に関して十分な監督を行っているつもりでございます。  なお、現在、同協会の役員は全体で十二名でございまして、公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針に基づきます当省の出身者は二名、電力会社四名、メーカー出身者三名という構成でございます。
  106. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは定款によっても通産大臣が認めている協会なんですよ。  その検査あり方が問題なんですが、この溶接データの捏造をやったメーカーの方に、自主保安や自主検査ということにして好き勝手をやらせるんじゃなくて、まず、この溶接検査に当たった発電設備技術検査協会の実態を第三者機関にふさわしいものに正していく。やはりそのことを今一番やらないことには、信頼の回復というのはできないんじゃないですか。
  107. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 発電技検が、御指摘の案件につきまして、真実でない資料、データを見抜けなかった点は大変遺憾である、かように考えてございます。したがいまして、先ほど、全員の意識の改革及び資料の見方等々に関する特別研修を実施したことを御報告申し上げましたが、また、内部の管理体制につきましても規定その他を改めせしめまして、今後、国民の不安感、不信感をさらに醸成することなく、またこれを回復し得る組織たり得るよう指導してまいりたいと考えてございます。
  108. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、組織、構成その他含めて、これはやはり本当に客観性、公平性がきちっと得られるものにしないと、通産大臣が認可している団体のことですから、通産省自身の責任というものも、まさに読売が指摘したとおり、厳しい責任が問われてくる問題だというふうに思います。  電力保安委員会の中間報告によると、国、指定機関の検査では、検査さえ合格すればよいというモラルの低下をもたらすおそれは否定できず、真の意味での自己責任確保が困難なものとなるというふうな書き方をしております。だから、それを自主検査の導入の論拠としているわけですね。  しかし、検査さえ合格すればいいというモラルの低下をするような、こんなことでモラルが低下するような企業に自主検査だといって任せられるのか。この論理でいえば、安全確保に対する責任が一層重要な原発こそ、国の検査でなく自主検査でということになってしまうんじゃありませんか。これはどうなんですか。
  109. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 今回の事件が全体として示唆をしたものと我々考えましたところは、溶接検査というのは非常に多段階の工程を含みまして、その多段階の工程のすべてについて品質管理体制が十分でなければならぬということでございます。  この多段階の品質管理というものにつきまして、全体としての技術基準適合義務を持つ電気事業者そのものに、自主検査という形で責任を十分に保有させるということが最も大切なことである。国が最終的なチェックをするということも一つでございますが、多段階の工程を持つ溶接検査の全段階について、品質管理というものを電気事業者が十全に行うということがより効果的であるという反省をいたしました。  かような趣旨から、全体としての今回の改正を行ったものでございます。
  110. 吉井英勝

    ○吉井委員 先ほど冒頭にお話ありましたように、原発でトラブったものの一割がやはり溶接にかかわる部分なんです。その溶接にかかわるところでデータ捏造事件等があって、メーカーも見抜くことができなかった。それはメーカーの監査の体制が問題あったのか、どこが問題あったのかという問題もあるでしょう。同時に、検査を請け負ったこの検査協会そのものが、原発メーカーも入った協会で、だから、検査する側が自分のところの製品を検査するという形になっているわけですよ。そこには客観性や公平性が保証されないという仕組みになっていて、現実にこういう問題を引き起こしたわけです。  だから、そういう中でなおデータの捏造を見抜くこともできなかった、ひょっとしたらかかっておったかもしれないわけですが、そういうメーカーの自主保安ということだけで、もう国が検査しない、そういうことでいいのかということが今問われていると私は思うわけです。国民から見れば、最も厳しい安全性の求められる原発でさえそんな不正があるなら、他の分野では一層ずさんな実態があり得ると疑わざるを得ない。これでどうして国が検査から手を引いて自主検査にするという結論になるのかというのが、問題のポイントだと私は思うんです。  結局、国民生活の安全を守るための議論をすべきところに規制緩和の議論が持ち込まれてきて、議論の方向をゆがめてしまっている。私は、ここのところは本当に考えなきゃならぬというふうに思うわけです。  時間が迫ってまいりましたので、最後に大臣に伺っておきたいんですが、自主保安というのは事業者にとって当然のことだと私は思っているんですよ。また、品質管理も当然の話だと思っているんですよ。これはどういう体制であれ、当たり前のことなんです。産業、製品について、事故の未然防止によって国民生活の安全を保障するということは、事業者事業者で当然なんだが、これは国の役割そのものじゃないか。  安全規制の原則的見地というのは、まさに、国民の安全にかかわる問題については国がきちっと責任持って進める、それが当然のことじゃないかと思うんですが、この点だけは大臣に伺っておきたいと思います。
  111. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 大臣がお答え申し上げます前に、ちょっと先ほどの件についてお話を申し上げます。  御指摘のありました溶接施工不良による四件のトラブルにつきましては、電気事業法に基づく溶接検査対象ではない部位で発生したものでございまして、こうしたトラブルをなくしていくためにも、設置者による自主保安をより充実させることが重要であるというふうに認識をいたします。  ちなみに、先ほど御指摘のございました案件につきましても、自主検査をすることでデータを差しかえる意味がなくなるということに加えて、溶接部も含めた電気工作物の健全性にかかわる責任が設置者にあることを明示するという効果もあろうかと思います。  かような意味で、原子力について十全の意を払いながら今回の改正を提案しているものでございます。
  112. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 国民の安全を確保するための安全規制は重要でございます。その中で、具体的な安全確認の手続については、事業者等の能力等を勘案し、官と民の適切な役割分担に基づく制度を構築していく必要があると考えております。
  113. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  114. 古賀正浩

    古賀委員長 前島秀行君。
  115. 前島秀行

    ○前島委員 時間もおくれていますので、簡単に一、二お伺いをしたいと思います。  経済状況変化あるいは技術向上、同時に、余りにも検査、検定等々が複雑であるという現状から見て、基準認証制度整理合理化というのは私たちは当然だろうと思うし、この法案の提出の客観的な背景というものは理解するわけでありますけれども、ただ、安全性だとか保安だとかあるいは消費者保護という、いわゆる社会規制部分については慎重であってほしいなということを思うわけであります。  特に私は、今度の法案の前提となっている点が、自己責任原則に根差した社会という、そこが前提条件になっていると思います。自己責任でいくんだ。そうすると、今日、日本社会がどの程度、自己責任制度といいましょうか、そういうものに根差した社会に進んでいるのか、成熟しているのかという、その成熟の度合いというものがやはり社会規制の緩和の一定の配慮をしなくちゃいかぬ部分ではないだろうか、こういうふうに思います。  同時に、やはり、この制度を具体的にやっていく前提として、政府が調査だとか検査から手を引いていくわけでありますから、それにかわり得る代行の第三者機関というものが十分な技術力を備えているのか、能力を備えているのか、その辺のところの兼ね合いで、どの程度社会規制部分について緩和をしていくかというところが尺度とならなくてはいかぬではないだろうかな、私はそう思っているわけであります。  そういう意味で考えますと、この日本社会にあって、今日、自己責任原則に根差した社会が、欧米と比べてまだまだ、深度といいましょうか成熟度というのは、おくれている部分が多いんではないだろうか。考え方そのものは否定するものじゃないんですけれども、現実に、その辺の深度といいましょうか成熟度というのは、まだまだ欧米から遅い。その点を十分配慮してこの安全性社会規制という問題はやっていかないと逆に混乱が生ずる心配があるだろう、こういうふうに思っているわけであります。  そこで大臣、この日本における自己責任に根差した社会というのがどの程度進んでいるという認識を持っているのか、それによっての対応を期待するものでありますので、その辺の大臣基本的な認識について考え方をお聞きしておきたい、こういうふうに思います。
  116. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 昭和二十年代から四十年代にかけましては、我が国の安全規制体系の整備を行ってきた時期でございまして、この時期においては、我が国事業者の安全確保能力が必ずしも十分でなかったことから、政府がその責任を補完する形で制度の整備を行ったものであります。  しかしながら、近年、事業者の安全確保能力向上し、安全確保についての消費者の理解も進む中で、自己責任についての認識も深まっていることと考えております。特に、平成六年の製造物責任法、いわゆるPL法の成立以降、事業者及び消費者双方の自己責任原則への理解が一層深まってきたと考えております。
  117. 前島秀行

    ○前島委員 それは昭和二十年代から比べれば相当進んできたことは認めますけれども、やはりまだまだ私は、業界、産業界における問題について、本当に自己責任を持っているのかということは、言い切れない部分というのはあるわけであります。産業廃棄物の処理の問題なんかも私はその一つの典型だろうと思います。  そういう面で、自己責任ということは双方に求められる部分でもあるだろうと思いますね。事業者の側、あるいは利用者、ユーザーといいましょうか消費者といいましょうか、双方が自己責任を前提としたルールづくりということに進んでいくことは間違いないだろうと思いますけれども、やはり一義的には、生産者の側といいましょうか、事業者の側がどう責任を持っていくかということ。したがって、この事業者側に対する指導といいましょうか、あり方をどうとらえているかということが一つ。  同時に、ユーザー、消費者側に自己責任によって処理をしてほしい、こういうことになると、やはり客観的な正しい情報というものが利用者側、消費者側にどう提供されているのか、こういうことが問われてくるわけでありまして、そういう面で、こういう制度をやる場合は、情報の提供、情報の公開といったことが前提条件になってくるだろうと思います。  その辺の、一義的に責任を負うべき事業者側の役割、責任、それに対する政府としての指導、特に情報の公開、情報の提供についてどうとらえているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  118. 岩田満泰

    岩田政府委員 お答え申し上げます。  まず、事業者に関する御質問でございますが、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、特に近年の出来事で申し上げますれば、PL法の制定というのは、私ども実感として、安全に対応する面において大変大きな意味を持ったと思います。  御承知のとおり、PL法制定以前には過失がなければその責任を問われない仕組みであったものが、製品に欠陥があれば過失があろうとなかろうと責任を問われる、そういった社会になったということは、事業者側に対して非常に大きな、安全対策に対する、それを重視する姿勢を植えつけたというふうに考えております。  しかしながら、御指摘の点はまさに御指摘のとおりでございまして、私ども、今回の法律改正によりましてさらにそうした点を確認するメッセージを提起するわけでございますので、今回の法案が成立の暁におきましては、これを、説明会等々を通じまして、その制度改正の趣旨、自己責任原則というものがあるということ、あるいはそのことを十分に承知をいたしていただく必要があると思っております。  それからまた、情報提供の点も御指摘のとおりでございまして、私ども、消費者が適切な製品選択をしていただくということのためには情報提供は極めて重要だと思います。  その意味で、今回の改正法の中におきましての一点といたしまして、法律に基づくマークをつけることを義務づけをいたしております。これは、みずから安全を確認したことを示すものでございまして、このマークのない製品は安全の確認が行われていないものであるという情報提供をまずはするという、これは消費者に対する情報提供の意味合いがあると思っております。  もちろん、別途の意味で、このマークを不当な形でつける、あるいはつけないで流通に製品を供するということについては、別途、このマークのあるなしの問題として規制の体系に入ってくるという別の意味もございますが、消費者との観点からいけば、マークがついているかいないかを店頭で見ていただくことによって、安全確認が行われているんだということのとりあえずの基準になるということかと存じます。  さらに、御指摘のとおり、私どもこれまでも行ってきたところでございますが、事故情報の収集分析につきましてはさらに制度の充実を現在考えております。そういう中で、事故情報を広く集め、これを分析し、その結果について幅広く提供をする、この仕組みについてはさらに充実したものにしていきたい、このように考えております。
  119. 前島秀行

    ○前島委員 時間がありませんのでこれ以上質問しませんけれども、ぜひこれは、情報提供を義務づけるという視点は私は大事だろうと思います。同時に、この制度合理化することによって経済効果というものも当然出てくるだろうし、期待するだろう。そのことが消費者、ユーザーの側に必ず反映できるようなことを当然考えていただきたい。  そのことを要望として申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  120. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  121. 古賀正浩

    古賀委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。
  122. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、通産省関係基準認証制度整理合理化法案に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、火薬、高圧ガス、電気、ガス等の産業保安まで政府認証でなく原則自己確認とすることは、経団連、関係業界の年来の規制緩和要求を受け入れたもので、安全確保を後退させるものだからです。  本法案は、官民の役割分担の見直し民間技術的能力向上などを理由に、検査民間任せにしようというものです。事業者自身が安全確保の義務を負っているのは当然ですが、国による検査を廃止することは、企業利益第一、国民の安全は二の次という効率優先の事業者の自主保安体制とモラルに過度に依存することになり、事故の未然防止により国民生命、安全を守る国の責任を放棄するものです。  特に、原子力発電所等の溶接検査まで自主検査とすることは、重大災害の根絶を願う関係職場の労働者、国民の期待に全く反するものです。  第二に、消費生活用品、電気用品等の政府認証の廃止は、製品流通前の安全性チェックをなくすものであり、これも事故の未然防止により国民生命、安全を守るという国の責任を放棄するものであります。  第三に、国の検査業務の公正さの確保に関する国民の疑問、不安にこたえず、一昨年の原発配管溶接データ捏造事件に見られるように、検査あり方をゆがめている官民の癒着、業界と一体となっている指定検査機関の現状を放置したままで指定検査機関等への民間企業参入を認めるなど、検査、調査機関の公平性、中立性確保が一層危ぶまれるからであります。  なお、計量法の改正については、安全、保安にかかわるものでなく、反対するものではありません。  以上、反対理由を述べ、討論を終わります。
  123. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  124. 古賀正浩

    古賀委員長 これより採決に入ります。  内閣提出通商産業省関係基準認証制度等整理及び合理化に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 古賀正浩

    古賀委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 古賀正浩

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  127. 古賀正浩

    古賀委員長 次に、内閣提出参議院送付私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。野中内閣官房長官。     ―――――――――――――  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  128. 野中広務

    ○野中国務大臣 ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  政府は、我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会を実現していくために、規制緩和推進とともに、公正かつ自由な競争を一層促進することにより、我が国市場をより競争的かつ開かれたものとするとの観点から、競争政策の積極的展開を図ることとしております。  その一環として、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律、いわゆる独占禁止法の適用除外制度について、事業者の公正かつ自由な競争を制限し、消費者利益を損なうおそれがあることから、制度自体の廃止を含めて見直しを行い、昨年三月三十一日の閣議決定規制緩和推進三カ年計画において、その見直し結果が得られたところであります。今回は、この見直しの結果を実施に移すに当たり、法律改正を要する事項をとりまとめ、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、独占禁止法について、不況カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止等を行うこととしております。  第二に、独占禁止法の適用除外等に関する法律を廃止することとしております。  第三に、独占禁止法の適用除外制度規定されている海上運送法等について、適用除外の範囲の限定等を行うこととしております。  なお、これらの改正は、公布の日から一月を経過した日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  129. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十五日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十六分散会