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1999-05-19 第145回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十九日(水曜日)     午前九時十四分開議   出席委員    委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君    理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君       岡部 英男君    奥田 幹生君       木村 隆秀君    木村  勉君       新藤 義孝君    田中 和徳君       竹本 直一君    武部  勤君       牧野 隆守君    村田敬次郎君       茂木 敏充君    山口 泰明君       山本 公一君    山本 幸三君       奥田  建君    河村たかし君       島津 尚純君    樽床 伸二君       中山 義活君    中野  清君       福留 泰蔵君    青山  丘君       小池百合子君    金子 満広君       吉井 英勝君    前島 秀行君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         通商産業省基礎         産業局長    河野 博文君  委員外出席者         議員      奥田  建君         議員      佐藤謙一郎君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   入江登志男君         建設省建設経済         局建設業課長  中島 正弘君         商工委員会専門         員       野田浩一郎委員の異動 五月十九日         辞任         補欠選任   奥谷  通君     田中 和徳君   林  義郎君     山本 公一君   渡辺  周君     河村たかし君 同日         辞任         補欠選任   田中 和徳君     木村  勉君   山本 公一君     林  義郎君   河村たかし君     渡辺  周君 同日         辞任         補欠選任   木村  勉君     奥谷  通君 本日の会議に付した案件  特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案内閣提出第八八号)  特定化学物質排出量等公開等に関する法律案佐藤謙一郎君外四名提出衆法第一六号)     午前九時十四分開議      ————◇—————
  2. 古賀正浩

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案並び佐藤謙一郎君外四名提出特定化学物質排出量等公開等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川太一郎君。
  3. 西川太一郎

    西川(太)委員 与党の立場として質問をさせていただきます。  本日の審議でいわゆるPRTR法案質疑終局を迎えるわけでありますが、これまでの各党の御議論を拝聴しておりますと、情報公開リスクコミュニケーションのあり方、二つ目には、いわゆる環境ホルモン対象物質に含めるか否か、そして三つ目は、事業者から排出量データ届け出先などに都道府県も含めるかどうかというような問題が大きな論点としてあったと思うわけであります。私は、我が党として、また与党として、これらの問題を終局に当たって整理をしてみたい、こういうふうに、自由民主党の皆さんの御了解もいただきまして、最後質疑を私が仰せつかったわけであります。  そこで、まず政府お尋ねをするわけでありますけれども、極めて基本的なお尋ねでございますけれども、このPRTR法制化を急ぐ必要性と、閣法のねらいはどこにあるのかということであります。  私は、化学物質というものが有用性を持っていることは何人も認めざるを得ないと思います。人工的につくられたものが世界じゅうで十万種類ぐらいあって、我が国でもそれはもう大変な数があると言われて、私たちの生活には欠くことができないものになっているわけであります。しかし、便利で有用な化学物質も、程度の差こそあれ、人の健康や生態系にさまざまな影響を及ぼす可能性を持っているということも承知をいたしております。  私どもの国では、一九七〇年代の公害問題の経験を経て、大気汚染防止法水質汚濁防止法化審法を初めとする化学物質規制法体系ができております。これらの法律は、有害性はもとより、人の健康との因果関係が判明した化学物質対象に必要な規制を行ってきたと承知をしておりますが、地球環境問題への対応という観点から、オゾン層保護法地球温暖化対策推進法がこれまた制定され、そのときそのときの環境保全法体系はきちっとできていると、これも理解いたしております。  しかしながら、今日、ダイオキシン環境ホルモンという問題が、数年前にはほとんど国民が名前さえ知らなかったようなものが化学物質課題として緊急に上がってきている。そこで、今国民が求めていることは、この化学物質安全裏に共生できるというのですか、そういうものを求めていると思うわけでありますが、必要な化学物質を人間のために有用に使う、こういうことは、単に規制を後から後からと事後的にやるのではなくて、いろいろな手段を活用して未然に防止するということも大変重要なのではないかというように思います。  一九九六年にはOECDからの勧告が出ています。そこで、我が国においてもPRTRへの取り組みを急ぐ必要がある。私はそのように思いますが、与謝野通産大臣のこの点に関する御所見を承りたいと思います。
  4. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生の御質問は、PRTR取り組みに対する政府の基本的な方針はどうかということだというふうに伺いました。  これはもう先生よく御存じなのであえて答弁をする必要があるかどうかと思いますが、PRTRについては、欧米諸国においては既に法制化が進められているということ、また、一九九六年に加盟国PRTRの導入に取り組むようOECDから勧告が出されていること、こういう背景が実はございます。我が国においても、化学物質管理改善促進と、化学物質による環境汚染未然防止観点から、早急に制度化を図ることが必要であるとの認識に立ちまして、本法案提出させていただいたところでございます。  本制度は、環境保全上の支障未然に防止するための新たな枠組みとして、これまでの環境規制法制と比べましても一歩進んだものだというふうに私は考えますし、また、本制度によって得られた排出量等情報国民事業者行政において広く活用され、事業者による化学物質の自主的な管理改善促進が図られ、環境保全上の支障未然防止がなされるよう最大限の努力をいたす所存でございます。  したがいまして、本法案が一刻も早く成立するよう願うところでございますし、そのための御審議委員の各議員方々お願いをするところでございます。
  5. 西川太一郎

    西川(太)委員 次に、環境庁お尋ねしたいと思います。  ただいまも質疑の中で申し上げましたが、危険を未然に防止するという観点は、この立法には欠くべからざる視点だと思うのですね。  と申しますのは、この政府案を検討いたしますと、事業者による化学物質管理促進し、環境汚染未然防止を図るという、いわば化学物質管理対策環境保全対策が表裏一体になっている、だから連合審査にもなじむということで我々は理解して進めてきたわけであります。十四日の参考人質疑の中でも、財界の方は、近年、化学物質を取り扱う企業がふえて、また同時にそのために社会的責任というものを自覚して、環境リスクコミュニケーション取り組み姿勢、または一般的な言葉で言う環境対策、こういうものをしっかり組み入れている、こういうことであります。  私は今、通産大臣に、後追いの規制法律であってはいけないと。私の個人的な考え方を言うと、インセンティブ・ベースド・アプローチという、別にそんなことあれかもしれないですが、これはエコノミック・リポート・オブ・ザ・プレジデントという、ことしの二月に議会が大統領に送ったものでありますけれども、その中にも、企業がただこれはだめだ、これはだめだというのじゃなくて、環境問題に協力することによって企業インセンティブを引き出して、そして新たな発明発見改善、こういうものをしていかなければ、環境問題というのは、エコロジー・イズ・エコノミーという言葉もあるけれども、しかしその意味は、環境企業を殺すような、そういうことになってしまってはいけないということであって、共存を否定しているわけではもちろんないわけですから。  だから私は、そういう意味で、インセンティブ・ベースド・アプローチというのを日本でもやるべきだ、こう思っておりますことを申し上げて、そこで、環境庁には、今度の政府案枠組みというのは、環境汚染未然に防ごう、こういう意図が十分盛り込まれているのかどうか、この点を再度お尋ねしたいと思います。
  6. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  環境汚染未然防止という観点が盛り込まれているかどうかという点については、まず結論から申し上げれば、先生既に御引用のように、第一条の目的のところからして掲げているところでございます。  本法案では、事業者はみずからの化学物質排出量等を把握して、化学物質管理状況につきまして国民理解を深めるよう努力することが求められているほか、排出量等データは集計、公表されるとともに、個別排出量データも請求に応じて開示される仕組みが用意されておるわけでございまして、こうした本法に盛り込まれましたさまざまな措置を通じまして、事業者は自主的に化学物質管理を徹底し、環境への排出量等を減らす努力を進めるものと期待されているわけであります。  また、行政サイドの点におきましては、多くの化学物質排出量等データは、国や地方公共団体環境行政を推進する上で極めて重要な基礎情報になりまして、これをもとに未然防止観点に立った環境行政が推進できるという点がまず挙げられると思います。さらには、本法案の十二条に規定しておりますように、PRTRの結果を勘案しながら環境モニタリングを進める、あるいはその他の科学的調査を進める、こういうことが規定されているわけでございまして、化学物質と人の健康影響等に関しての重要な知見を与えるものにもなるわけでございます。  この調査の成果につきましても積極的に公表するとともに、必要があれば既存法令等も活用しまして、環境保全施策に速やかに取り組むことによりまして、最初に申し上げました法律第一条の目的のところに沿った運営ができるものと考えております。
  7. 西川太一郎

    西川(太)委員 そこで、具体的に化学物質管理指針についてお尋ねをしたいと思うのですが、政府案は、PRTRによって事業者から排出量等情報を国が集め、公表するだけではなくて、事業者がどのように化学物質管理改善していけばよいかについて、環境庁長官通産大臣指針を定めることとなっております。そして、この指針の策定に当たっては、事業実態に詳しい関係行政機関の協力を得ること。  私の意見を言わせていただければ、単に環境庁通産省だけではなくて、関係省庁が力を合わせてこういうものに取り組もうという姿勢は大変いい、こういうふうに思っておりまして、ぜひそういうふうに努力をしていただくわけでありますけれども、そこで通産省お尋ねをしたいのは、この指針効果と、具体的にどういうことをねらっていくのかということを、前段述べた線に沿ってお尋ねをしたいと思うわけであります。  MSDSPRTRと一体的に法制化することによって、どんな効果を生み出すと考えておられるのか、通産省の御見解をいただきたいと思います。
  8. 河野博文

    河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘をいただきました化学物質管理指針、そしてMSDS、こういったものをこの法案に盛り込んでおりますのは、御指摘のとおり、政府提案特徴だというふうに思っております。  化学物質を取り扱います広範な事業者皆さん管理改善促進していただくということを意図しているわけでございますけれども事業者方々の中には、化学物質に関します情報が必ずしも十分でないために、その管理使用合理化方法について理解が十分とは言えない方々もおられるわけでございます。  この法律の第三条には、化学物質管理指針を定めることとしておりまして、その中には、排出抑制につながるような方法、あるいは使用量の減少につながるような技術的な情報等々を盛り込んだ指針をつくることにいたしておりまして、これによりまして、洗浄あるいは反応などのような主要なプロセスごとに、各業種におきます対象化学物質実態を踏まえた管理方法をお示しすることができるのではないか。このガイドラインを提示することによりまして、事業者皆さん化学物質管理効果的、効率的に改善していただけるように、こういうことをねらっているのでございます。  また、MSDSPRTRと一体的に法制化するということがこの法案特徴一つでございますけれども、これによりまして、化学物質成分情報などが使用者皆さんに提供されることになりまして、化学物質を受け取った事業者方々PRTR制度に基づく排出量などを把握することに役立つことはもちろんでございますけれども、さらに、化学物質管理改善促進していく際にも重要な情報として役に立つものと認識しております。
  9. 西川太一郎

    西川(太)委員 ぜひそうなるようにお願いをいたしておきます。  それから、環境庁に、具体的にこれから政府案問題点とされていることを三つ四つお尋ねをします。  一番目は、情報公開リスクコミュニケーションの問題であります。  情報公開をすればそれで事足れり、または、耳なれない化学物質排出量を示されるだけで、これでもう後は住民責任だなどと言われたのでは国民はたまったものではなくて、情報公開というのは元来、住民の不安を解消するためにあるわけでありまして、不安をあおるようなことにつながったらこれは絶対にいけないわけであります。行政事業者公開をすればそれで責任が果たせたなどということにも実はなりかねない性格のものであります。  そこで、積極的に企業社会的責任としてリスクコミュニケーション努力をしていく、またそのいろいろなノウハウを相互に交換しながら、住民に対して十分な情報公開の実質的な実を上げていく、これは非常に大事でございまして、そういう意味では、環境庁はどういうふうにして事業者リスクコミュニケーション促進していくのか。その場合には、後ほど触れますが、地方公共団体と国の役割というのはどうなっているのか。これをお尋ねしたいと思います。
  10. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  事業者リスクコミュニケーションを進めやすいようにするために、化学物質管理指針におきまして、事業者リスクコミュニケーションガイドラインとなるべきものをまず示すということを定めております。  そのほかに、先生指摘のように国としてきちんと体制づくりをしていかねばなりませんので、リスクコミュニケーションが円滑に実施されるための基盤整備といたしまして、化学物質全般に係る情報をわかりやすい形で提供することができるデータベースの整備などを、まず国が率先して進めていこうということを定めております。  また、御指摘の国と地方公共団体役割についてでございますが、この連携ということが極めて重要でございます。  したがいまして、事業者に対する技術的助言を行うこと、環境教育等を通じた国民理解の増進を図ること及びそれらに必要な人材の育成を進めること等につきましては、この法案の十七条の三項、四項、五項に定めているところでございますが、これが実の上がるものになるように連携体制をきちっとつくっていく。そのためには、既にいろいろと企画をしておりますし、知事会等とも相談を始めておりますが、例えば国と地方の間の協議会のようなものをつくって、そこが万全の体制で臨めるようなことを考えていこうと思っております。
  11. 西川太一郎

    西川(太)委員 ぜひ、リスクコミュニケーション体系をきちっと、国、地方を包含してやっていただきたいと思います。  さっき三つ問題点を挙げました。二つ目環境ホルモンについてなのでありますが、対象物質にこれを書き込んでいないという点がこの政府案問題点だと指摘をされてきたわけであります。有害性に対する科学的知見とかデータというものがなくても、疑わしきは罰するというような感じでこれを入れろと。しかし、私はその意見一つの御見識だと思うのですが、そういたしますと、リスクコミュニケーションというものを実施する場合、無用な混乱を時には招いてしまうのではないか、こんなふうにも心配しております。  有害性に関する科学的根拠を充実していくということはもちろん不可欠でございますけれども、これらの解明について、現在、環境庁としては、喫緊の課題であるというふうに当然認識しておられるとは思いますが、早くこれらの科学的解明をするためにどんな御努力をしておられるのか、環境庁取り組みを伺いたいと思います。
  12. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答えいたします。  いわゆる環境ホルモン問題は、環境保全上の重要な課題でございまして、この問題に対する国民の不安を解消するために対策を急ぐ必要があるということで、真剣に取り組んでいる課題でございます。  このため、環境庁におきましては、昨年五月には環境ホルモン戦略計画SPEED98、頭文字をとってそういう略称をつけておりますが、こうしたものを公表いたしまして、国立環境研究所における専門研究施設建設を進め、内分泌攪乱作用が疑われている化学物質環境中の分布状況調査野生動物の異常の確認とその原因の究明のための調査などに積極的、重点的に取り組んでいるところでございます。  また、本問題の解決に必要な内分泌攪乱作用試験方法早期確立に向けまして、関係省庁が協力いたしまして、OECDにおける多数の化学物質について国際的に統一された試験方法を開発するとともに、その開発された手法に基づいて物質各国で分担しながら検査、調査をしていこうという体制に積極的に参加しているところでございます。  なお、今先生の御指摘のこの法案との関係で申しますれば、私ども内分泌攪乱作用というものも有害性一つのものだということは十分承知しておりますが、先生指摘のように、一方でいわゆる環境ホルモンにつきましてはまだわからないことがいっぱいあるということで、先ほど申し上げましたようなOECDでの分担に積極的に参加するということはもちろんですが、それぞれの化学物質につきまして、積極的に、内分泌攪乱作用有無、どの程度のものかということの解明を急ぎまして、内分泌攪乱作用が確認され次第PRTR対象物質とするということで、個々に取り組んでいこうと思っております。  先般来申し上げておりますように、私どもSPEED98では、現在まで各国の文献上示されているものといたしまして六十七物質を掲上しております。その中での環境ホルモンとしての内分泌攪乱作用の強さ弱さ、あるいは場合によってはないかもしれないということも含めて、一つ一つつぶしていかなきゃならぬわけであります。  それはともかくといたしまして、現在でも既に十七物質は、内分泌攪乱作用有無を確認するまでもなく、発がん性生態毒性などの有害性を有するということが明らかでございまして、私どもパイロット事業でも既に対象としておるところでございますし、残り二十三物質のうちでも十七物質については、有害性に関する情報はそれなりに整備されてきているという状況もございます。  したがって、先ほどの脈絡で言いますと、PRTRの実施に関して言いますと、特に科学的知見が不足している残り物質について重点的に調査研究を進めてまいりたいというふうに考えているような次第でございます。
  13. 西川太一郎

    西川(太)委員 環境庁見解を聞いていると、すべて完璧にやっているように聞こえるけれども、私はそうは思わない。  やはり与党といえども与党だからかもしれないけれども化学物質国民の健康に重大な影響を持っている、これを未然に防ぐということは当然のことであって、さっきから言っているように後追いの規制法ではなくて、ダイオキシンで大変な被害を受けたとか、また過去にもいろいろ、この審議を通じてそういう事故の事例が、アジア諸国の例なども示されて、我が国にそういうことが起こっていないからということで安心してはいけないという御議論もありました。また、大きくはカドミウムの事件とか、いろいろなものも我が国に実際あったわけでありまして、私は、こういうものを後追いで規制すれば事足れりという、その姿勢を伺っているんじゃないんですね。もっと積極的にそういうものを見つけ出してほしい。  それは、私が先ほどもちょっと申し上げましたけれども、いわゆるインセンティブ・ベースド・アプローチという方法は、そういうものを未然に発見することによって、そんなものは我が社の製品には使っておりませんということを明示することによって、その企業にはインセンティブが働くんですね。社会的にも、経済的にも利益が得られるんです。そういうインセンティブ、誘因があって初めて企業の行動と環境保全というのは一致するわけですね。  だから、エコロジカルエコノミーというものは、そういう極めて狭い隘路をたどっていかなきゃいけない。企業の論理もきちっと確立しなければいけない、同時に環境保全もやらなきゃいけない、こういう道をたどっていかなきゃいけない。私は今回のPRTRはそういうものでなきゃならぬと実は思っているわけです。  これは事前通告していない質問でありますが、通産大臣、いかがでございましょうか、こういう見解について。
  14. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 この法律の中にあります思想というのは、昔は環境問題を議論するときに経済との調和という言葉をよく使っていたわけでございますが、今回の思想は、調和ということではなくて、二つのことを同時に実現するという考え方です。  調和という考え方は、どっちかが引っ込むことによって調和する。いずれかの、両方引っ込むとかそういうことで全体を調和させていこうという思想が、実は初期の段階の環境問題を論ずるときにあった思想です。今回のこの法律思想は、環境問題もあるいは安全管理の問題も、法律の中に書いてありますことに関しましては、調和ということよりは、目的をすべて同時に達成するという考え方が書かれているんだろうというふうに私自身理解をしております。  そういう中で、やはり企業環境問題をしっかりとらえ、また環境問題に対応した施策企業自身としてやっていくためには、何らかのインセンティブが必要だろうという思想先生おっしゃっていると思います。それも一つの、目的ではありませんで、目的を達成するための手段を論じているわけですから、目的は同じ、手段はいろいろ、目的をよりよく達成するための手段というものは、それは一つ思想としては十分考えられる思想ではないかなというふうに、先ほどから先生の御質問を伺いながら自分で考えていたわけでございます。
  15. 西川太一郎

    西川(太)委員 最後質問でございますけれども、ついでに言うと、インセンティブ・ベースド・アプローチズと言うのですね、本当は複数なんですよ。だから、今大臣がおっしゃったとおりいろいろなアプローチがあっていいわけでありますが、今の大臣の御理解と私が持っている気持ちは基本的には一緒でございますので、どうぞこの法律ではそういう点も十分よろしくお願いしたいと思っております。  最後質問は、今はリスクコミュニケーション情報公開、そして環境ホルモン三つ目の問題は届け出の窓口です。  これについて、PRTRは国が責任を持ってきちっとやるということが審議を通じてはわかってきたわけです。しかし、例えば私ども専門にしております中小企業、雇用されている方々も日本の全就業人口に対して占める割合は圧倒的であります、また企業数でも同じくであります。こういう方々理解を広めて、届け出の確保というものをできるだけ数多く出していただくようにするためには、やはり地域の中小企業や地場産業の実情を承知しておられる都道府県の関与というのは欠くべからざるものじゃないか。  一方、秘密というのはできるだけ窓口が少ない方が確保されることは言うまでもないので、だからここは、企業秘密という、または営業秘密というものを、企業にとっては死活問題でありますから、これはきちっと確保しながら、しかし同時に、その地域から出てくる声をできるだけ身近なところで吸い上げるということは、決して矛盾しない。  こういうふうに私どもは考えておりますが、これについて通産大臣の御意向を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  16. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 国の制度と申しますか、日本全体の制度は一体どういうふうになっているのかというと、国がやりますことと地方がやりますことをある種区分けしようという考え方で、地方自治に関しては、地方自治の本旨に基づいてこれを行うという、私、正確な文章ではございませんが、そういうことは憲法に書いてあります。したがいまして、憲法が予定している制度というのは、いわば国の固有の事務と地方の固有の事務ということを分けて、それで日本全体がうまく治まっていくような、そういう制度を憲法が書いているわけでございます。  このPRTR制度というのは、一体、国の固有の事務として国に帰属させるべきか、あるいはこれは地方に関与させて地方の固有の事務なのかという議論を進めてまいりますと、どうも、全国統一的な基準をつくって、統一的なルールを皆さんに守っていただいて、いろいろな報告とか数字とかというものをどこか一カ所に集めて、一元的に物事をきちんと進めていく。それから、化学物質が仮に危険なものであるとすれば、これは地方住民にとっても危険なんですが、国全体にとっても危険だという意味で、どういう側面から考えても、これは国の固有の事務であるというふうに私は考えております。  国の固有の事務だからといって、例えば都道府県を排除するのかということを議論していきますと、そんなことはなくて、現行の地方自治法においても、国の事務なんだけれども実際には県知事に国の機関委任事務として権限を渡しているという例がたくさんございます。  これは、いずれ新しい地方自治法ができてまいりますと、機関委任事務というのは法定受託事務というふうに変わっていくわけですから、国、地方関係で、国の事務を、現在では機関委任事務、将来は法定受託事務ということで、都道府県に一定の関与というもの、あるいは一定のかかわりを認めるということは、制度としてはあり得る話でございます。  制度としてあり得るときに、どこからどこまでのかかわり合いをということは、やはり政府が考え、国会と御相談をしながら決めていくことでございまして、都道府県の関与というものを頭から否定する議論というのは、今回の答弁でも政府は一連の審議の中でしていないと私は思っております。
  17. 西川太一郎

    西川(太)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  18. 古賀正浩

    古賀委員長 吉井英勝君。
  19. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。  私は、最初に伺っておきたいと思いますのは、九二年の国連環境開発会議で採択されたアジェンダ21の十九章で、PRTRについて、有害化学物質の適切な管理を明記して、九六年にOECD理事会が加盟各国に対して、PRTRの実施勧告と附属書「PRTR制度構築に係る原則」を出したわけです。もちろん日本政府も参加しているわけですが、日本の今回のPRTR法は、この一連の国際的取り決めや約束に基づいて始まっているものであります。  一方、その内容の方については、勧告に先駆けてアメリカ、カナダ、オランダ、英国などのPRTR制度の構築と、中でもアメリカのTRI、有害化学物質排出目録制度PRTRのモデルとなり、また、オーストラリアなどのパイロットプロジェクトの取り組みなどが実施に当たっての準備過程で参考になってきたものと思います。  アメリカでは、八六年に市民の知る権利を保障する立場からTRIとして制定されたわけですが、国民の生存権にかかわってくる有害化学物質環境への排出については、国民はそれについて知る権利がある、こういう人権思想、民主主義の観点が貫かれているというふうに私は思うわけです。日弁連や市民団体からも、法律に知る権利の明記が求められてきたわけでありますが、政府はこの知る権利を明記することを非常に嫌がってこられた。その理由は何ですか。
  20. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 知る権利というのは、我々、通常使っている言葉であることは間違いございません。情報公開法の議論のときも先生よくそれをフォローされていたと思いますので、知る権利に関しましては、現に知る権利という言葉が広く一般に使われている、そういうことは実はございます。それは私は否定しませんし、知る権利という言葉があることはよく知っておりますし、そういう内容も漠然とわからないではないわけでございます。  ただ、残念なことには、法案をつくりますときには言葉法律的な概念というものがしっかりしていなければなりませんし、そういう意味では、知る権利というものを法律学的にうまく定義できないという問題が実はございます。  それは、憲法に実は書いてないということが一つその前提、考え方が難しくなることの原因でございます。憲法に知る権利というような概念が使われているとすれば、それは直ちに引用できるわけですが、知る権利を憲法の問題から論じるときに、知る権利というのを憲法の第何条のどこから引き出していくのかということがなかなか法律学的に難しいという問題があります。  しかし、憲法に書いてないからといって言葉の定義ができないわけではないのですが、仮に裁判所の判例で知る権利というものの内容が判例的に与えられていたとしたら、恐らくそれは大変使いやすい用語だったと私は思います。ところが残念ながら、最高裁の判例のどこを探しても、実は知る権利という言葉の定義を使った判例を探すことは難しいということでございます。  しかし、知る権利という言葉をそういうことで法律学的に使うことは難しくても、例えば情報公開法の中での、何人も情報開示を請求できるということを書いてありますことは、まさに先生指摘されているように、我々一般の会話の中で使っている言葉の内容に命を与えているという話でございまして、知る権利という言葉を使わなかったことによって制度としての欠陥が出てきているということでは多分ないのだろう。  今回も、情報公開法もございますし、今回のこの法律の中にも情報公開に関することはきちんと規定されているわけでございますから、知る権利という言葉は私どもは使いませんが、国民が十分知り得る立場にこの二つ法律によってなっているということは先生にもお認めをいただきたい、そのように思っております。
  21. 吉井英勝

    ○吉井委員 憲法上でも、知る権利というのは文言としてはなくても、それを規定する立場はきちんと憲法上明記されているんだという学者の議論もありますし、私は確かにそうだというふうに思っております。国民の生存権にかかわってくる有害化学物質環境への排出については、私は、まさに生存権、基本的人権の問題として、知る権利というものをきちっと本来明記するべきだというふうに思うのです。  大臣は今の御答弁の立場ですから、ただ、重ねて伺っておきたいのは、文言上はないけれども、知る権利を保障するという立場でこの法律を組み立てて出したんだ、こういうお考えだというふうには理解していいですか。これは大臣の方から伺っておきたいと思います。
  22. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 これは、情報公開法でも、何人も情報の開示を請求できるわけですけれども、プライバシーにかかわることとか、あるいは法人情報とか、あるいは捜査の情報とか、国家の外交上の機密とかというのは除外をされています。  しかし、今回のこの化学物質については、法律に書かれているように、国民といえども、あるいはその他の団体といえども、必要な情報を知り得る立場になったということは、それを権利と呼ぶか立場と呼ぶかは別にいたしまして、内容は、そういう必要な情報を知り得る立場になったということはこの法律に書いてあるとおりでございます。  用語の問題は、なかなか法律学的に、法律専門家に聞くと難しいことを言われますので、にわかに先生に知る権利が書いてあるのかと言われますと私は素直には答えられませんが、知り得る立場に置かれたということは、そういう権利が、権利と申しますか、そういうはっきりした立場が書かれているということは、それと同等の意味をほぼ持っているのではないかなというふうに私自身は解釈をしております。これは、法制局的な厳密な法律用語の解釈とはまた別の話で御答弁を申し上げているわけでございます。
  23. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、OECD勧告附属文書「PRTRシステムの構築に関する原則」の十三項で、目標、目的必要性を最もよく満足するメカニズムについて関係関連団体と合意すべきであるとしているわけです。そこで、この法案作成過程におきまして、日弁連、NGO、生協や種々の市民団体の皆さんとこのPRTR法について合意をされているのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  24. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  本法案のベースになりました審議会の議論というのが化学品審議会あるいは中央環境審議会においてなされたわけでありますが、そうした場合におきましては、労働団体あるいは消費者団体等を含めた幅広い分野から委員として参加をいただいたのみならず、市民団体を含めまして、参考人からの意見の聴取、パブリックコメントの聴取などを行い、取りまとめたものでございます。  各方面の御意見を踏まえて、まず中間報告なり中間答申ができ、これをベースにして今回この法案をまとめさせていただいたという意味で、その精神は生かされていると考えております。
  25. 吉井英勝

    ○吉井委員 いや、私が聞いておりましたのは、意見は聞いたと。合意には至っていないということだったんですか。
  26. 岡田康彦

    岡田政府委員 いろいろな考え方が、委員先生あるいは参考人の方々の御意見が集約された形で、先ほど申し上げました化学品審議会の中間報告であるとか中央環境審議会の中間答申という形になっておりますので、それは、広い意味では皆さん方の御意見の集約がこの報告なり答申であり、それをまとめたものがこの法案だというふうに御理解賜りたいと思います。
  27. 吉井英勝

    ○吉井委員 意見を聞いて集約をしたということですが、しかし、さまざまな意見を私たちも寄せていただいて、伺っております。ですから、これは国会の方でも各党がみんな力を尽くして、そういう市民の皆さん方の意向が一層反映したものにしていくということが大事だというふうに思います。  次に、ことし三月十五日に覚書を交わした建設省の課長に伺っておきたいんですが、その覚書の二の1、3で言う下水汚泥というものについてですが、指定化学物質を含んでいても下水汚泥としては指定化学物質に該当しないという意味であり、またその排出量、移動量は把握の対象にはならないということを意味していると理解していいですか。
  28. 中島正弘

    ○中島説明員 まことに申しわけないのでございますが、御通告を受けましたのが別の事項でちょうだいしまして、下水道を担当する課長が本席におりませんので、お手元に覚書がございますが、この範囲で御理解いただくようにとしか私の立場では申し上げられませんので、御理解いただきたいと存じます。
  29. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、この覚書について確認するという質問をしておきました。  それで、確かに課長は、経済局の建設業課長とそれから下水道部下水道企画課長と二人が署名しておられるわけですが、しかし、この覚書を交わす話し合いには出ていらっしゃるわけだから、だから、少なくとも、よく議論をされたときに内容について詰めていらっしゃったのは当たり前だと思うんだが、書いてあるとおりだということだからそれでいくと、下水汚泥というのは、指定化学物質を含んでいる下水汚泥であっても下水汚泥としては指定化学物質に該当しないという意味であり、またその排出量、移動量は把握の対象にはならない、そうしたらこういうふうに書いてあるとおり素直に理解させておいてもらっていいんですね。そのことだけは確認しておきたいと思います。
  30. 岡田康彦

    岡田政府委員 お答え申し上げます。  私の方からお答えさせていただきますが、下水汚泥を原料とした製品を移動することと言っておりまして、下水汚泥そのものの移動を言っているわけではないという、先般来申し上げておりますように、これはあくまで、解釈についてそれぞれが意味合いを違ったふうにとってはいけないという確認の事項でやっておりますので、そういう分野についてのみ、これはその移動をもってそれがその移動量の把握の対象となるわけではないということを言っているものと理解しています。
  31. 吉井英勝

    ○吉井委員 要するに、製品といっても、下水汚泥を、例えば堆肥としてそれを出すとすれば、それは堆肥として行った先に排出されるわけですよ、環境中に。余りそんなことでもって抜け穴をつくるということはよくないと私は思います。  同様に、厚生省の確認書に署名された課長に聞いておきたいと思います。  こちらの方の三と四についてですが、廃掃法で言う廃棄物の中に指定化学物質が含まれていても、PRTR法で排出量、移動量を届け出なくてもいい、こういう意味ということで署名していらっしゃるんですね。
  32. 入江登志男

    ○入江説明員 お答えいたしますが、三月十五日付で、環境庁通産省及び厚生省の間におきまして、法の施行に当たっては廃棄物の特性に配慮するという旨の覚書を結んでございます。  その趣旨は、家庭から出るごみや事業活動に伴い出る廃棄物には製品等に起因するさまざまな化学物質が含まれており、市町村や廃棄物処理業者にその取り扱う廃棄物に含まれる特定の化学物質のみを把握させることは極めて困難であるという、廃棄物の特性を勘案する必要があるということでございます。
  33. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、家庭のごみ等については、もちろん分別収集もやれば、それはそれぞれごとにきちっとした収集や処理、処分の仕方をやらなきゃいけないし、また、もともとそういう製品をつくらないということで、ドイツのような循環経済法のようなシステムを考えるべきだということで、これは家電リサイクルその他の議論のときにもやってまいりました。しかし、少なくとも、廃掃法で言う廃棄物の中にいろいろなものが入っているから排出量、移動量を届けなくてもいいというその確認というのは、これまた抜け穴をつくってしまうというものだと思います。  そこで次に、OECD勧告附属書の十四項で、PRTRシステムを構築する全過程及びその実施、運営は、透明かつ客観的であるべきであるとしているわけです。大体、国会審議が始まる二カ月前に省庁間で確認、覚書が既に交わされて、内容のこのような実質的骨抜きがなされているというのは、私はこれはOECD原則の無視じゃないかと思いますが、どういうふうに考えているんですか。これは環境庁の方から聞いておきましょうか。
  34. 岡田康彦

    岡田政府委員 先ほども若干御答弁させていただきましたけれども、閣議決定をするに当たりまして関係省庁間で交わした覚書や確認書と申しますのは、その時点におきますところの法案の解釈を統一化することによりまして法案成立後の関係各省庁における効率的な業務運用を確保する観点から結んだものでありまして、通常、法令の制定あるいは改正に際して行われておるものでございまして、本法律の解釈につきましては、国会審議を踏まえまして、もちろん必要があれば当然再度整理されるものでございまして、決して国会を軽視しているようなものではないというふうに考えております。  なお、先ほどの御指摘の点でございますが、私ども理解するところ、これは間違っていないと思いますが、別に廃棄物処理業について対象外にするということなどは全然考えておりませんで、要は、先ほどの答弁にもありましたように、一般廃棄物等については中身がいろいろなもので、一々中身を一つずつ中身から追っかけて実際の排出量の把握というのはなかなか難しいという、現実を踏まえた対応をしてくれということで結ばれているものでございます。  例えば具体的に言えば、大気汚染防止法などの規制で現に実測されている数値、例えば一般の廃棄物の処理の中からこういうものが出ているということが現にわかっているものがある。そういうものを例えば使わせてもらうとか使うとか、そういう形の便宜の方法を、便宜といいましょうか、技術的に現実に対応可能なものを考えてくれというような意味合いのものというふうに理解しております。
  35. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、そのOECD原則を無視して、このPRTR法を国会で審議してつくる前から骨抜きを図るという覚書類は破棄するべきだというふうに思います。これは破棄して、こういうものはまず白紙から臨む、そういう態度をきちっととられますか。
  36. 河野博文

    河野(博)政府委員 今御答弁申し上げましたように、法案作成過程で法案成立後の関係各省庁の事務の効率化を図るためにも、統一的な解釈について相互の理解を深めるという手続を踏んだわけでございますけれども、このことをもって国会の御審議影響を与えようという意図は毛頭ございませんし、さまざまな御議論があれば、それをもとに再整理することもあるということでございます。  加えまして、今後、政令、省令等を定めていく場合におきましては、これも累次御説明のとおりでございますけれども、いわゆるパブリックコメントの閣議決定に従いまして、関係者の皆様方の御意見を十分伺いながら対応していくということで、透明性の確保に努めてまいる覚悟でございます。
  37. 吉井英勝

    ○吉井委員 大体、法案をつくるときに、一層いいものにしようということで、いろいろ議論されて覚書を交わしたというならば話はわかるんですよ。法ができる前から骨抜きにすることを考えたような覚書、確認というのは、私はこれはまず破棄して、そうして白紙から出発するべきだというふうに思います。  厚生省が求めている、廃棄物にはさまざまな物質が含まれ、その内容を把握することが極めて困難であるという、先ほどおっしゃった部分ですね、廃棄物の特性に配慮することということがあるわけですが、例えば、大阪の森之宮とか能勢のダイオキシン発生量の問題ですね。ダイオキシンの発生量というのは、これは濃度と排出ガス総量から推計できるわけですよ。  私は、さまざまな物質があって難しいというのじゃなくて、実際には、ダイオキシンならダイオキシンについて見たときに、推計できるものだというふうに思っているし、またそれで数値を発表していらっしゃると思うのだが、環境庁の方に確認しておきたいと思います。
  38. 岡田康彦

    岡田政府委員 全く、私ども先ほど御答弁申し上げたことも、個々のものについて実測データ等に基づいた形で対応をしていくと。要するに、逆に言いますと、一般廃棄物の中であれ、確かにいろいろなものがあるので、何から何がということはわからないし、何がどうだということを、一つ一つのものについて製造工程、製造工場のその何の把握の仕方が逆にできない。したがって逆に、大気汚染防止法などの規制で既に実測されているデータであるとか、そういうものを積極的に活用していくということが必要だということを確認したものでございます。
  39. 吉井英勝

    ○吉井委員 ダイオキシンに限らず、例えば廃棄物でいえば、焼却場の煙の中から、これはマスフィルターを通すなり、ガスクロにかけるなり、要するにピークを見ればどの物質が出ているかわかるわけで、それで濃度がわかるわけですから、ガスの総排出量から推計はできるわけですよ。私は、そういうことができるのだから、きちっとやるのは当たり前だと思うのですね。  ですから、ダイオキシンだけじゃなくて、ほかの物質についても推計できるわけでしょう。
  40. 岡田康彦

    岡田政府委員 したがって、その推計の根拠を、私が先ほど申し上げておりますように、既に規制で実測されているものが、幾つかデータが基礎にありますので、そういうものをベースにして物を考えていきたいということを申し上げたわけであります。
  41. 吉井英勝

    ○吉井委員 だから、規制で出ているものをベースにすれば、マスフィルターなりガスクロなりを使って排ガス中のピーク値を調べればどの化学物質であるかとかがわかるわけですから、その両方から追跡していけば何がどれだけ出たということは十分把握することができるわけですから、私はそれをやるべきだと思うのです。  だから、正確な数字を提出させるように一方では追求する。しかしその上で、そうはいっても相手に技術的能力がまだ十分ない、そういうときには支援もしないとうまくいかないわけです。  そこで、戻ってこられたので大臣にこの点は伺っておきたいのですが、私は、ダイオキシンにしろ何にしろ、やはり正確な数字を出させる、そういう点での厳しい追求というものと、いわば優しい支援といいますか、実際に相手の技術的能力も高めるようにして進めていくという、それを国としてもきちっとやらないとうまくいかないことは、そういう分野はやはりあるわけですから、その点は大臣に一言伺っておきたいと思います。
  42. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まず、環境問題については、国民全体もそうでございますし、恐らく化学物質を扱う業者あるいはその他の業態においても、環境問題抜きには企業は存続をし得ないという意識はだんだん高まってきたと私は思いますし、またこれからも高まっていくと思います。一たび環境問題を一企業が起こした場合には、まさに企業の存続にかかわるような大問題になりますので、それ自体の社会的背景が一つの抑制力になっていくというふうに、善意の立場からまず物事を考えていくというのが一つの立場でございます。  この法律案自体においては、迅速かつ効率的な届け出、公表や、営業秘密の全国統一性を確保するために、国を届け出先とするものの、地方自治体等とは協力して、技術指導の実施、国としても既存リスト等を活用した検証を行うこと、また罰則により抑止効果が働くこと等を踏まえますと、届け出及びその真実性は確保されている、また担保されているというふうに考えておりますし、先ほど前段で申し上げましたような社会的な物の考え方というものも、当然こういうものに働いてくるものと思っております。
  43. 吉井英勝

    ○吉井委員 さっきの建設省と環境、通産の三省覚書の方をまた見ておきたいのですが、両省庁の窓口一本化を求めているわけです。これについて、私は、覚書がなくても当然じゃないか、実務が煩雑にならないようにということですから。  そうすると、ここは大臣に伺っておきたいのですが、やはりこういう点では、両省庁の窓口一本化となれば、環境庁に窓口を一本化する、その立場をとる方が極めて妥当だと思うのですが、その点について大臣のお考えというものを聞いておきたいと思います。
  44. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 実務的なことは後で基礎産業局長からお答えいたしますけれども環境庁通産省があたかも縄張り争いをしたというふうに受け取られているとしたら、それは大変残念なことでございます。  確かに、両省庁には設置法という法律がありまして、それぞれが持っている権限が法律上明定をされているわけでございます。それと同時に、官僚というのは誇り高き人種でございますから、自分がやった方が物事がうまくいくという自負を常に持っておりまして、これはおれの仕事であるということを本来主張する人たちであるということでございます。そういう中で、権限から見ても、それは口には出さないでしょうけれども、自分たちがやった方が国民のためになる、国のためになるという自負を持っていることも確かで、設置法に書いてありますこと、あるいはそういう官僚としての自負、そういうものがぶつかり合うということは決して悪いことではなくて、むしろ責任感のあらわれでもあると私は思っております。  そういう中で、覚書を交わして、それでは国や社会や国民のために仕事を進めていくためにきちんとした仕事の分担、役割を決めておこうということ自体は、法案の原案を作成する過程では必要でございますし、法律が成立した後、きちんとした運用、適正な運用を確保するためにもまた必要であるわけでございまして、何か、全体として環境庁通産省が無用な権限争いをしたということは全くないと私は思っております。  それを前提に、窓口の問題については基礎産業局長からお答えをさせていただきたいと思っております。
  45. 河野博文

    河野(博)政府委員 まず、純粋に事実のことだけお答えさせていただきますと、環境庁と私ども、どういうふうに一元化するかということをまだ議論を詰めておりませんので、決まっていないという状況でございます。  ただ、今大臣が御答弁申し上げましたような趣旨にのっとって議論いたしますので、これは私どもがやりたいからとかいうことではなくて、純粋、技術的に、例えばコンピューターの活用方法としてどちらがいいかというようなことで議論をして決めさせていただく、そういうことだろうと思っております。
  46. 吉井英勝

    ○吉井委員 両省庁の窓口一本化を求めているこの部分については、私は環境庁に一本化されるように、その方が確認の内容にも従っていくんじゃないかと思います。  最後に一問だけ。  アメリカでTRI制度を導入して以来、現在、対象化学物質は六百五十、報告施設数が二万一千九百五十一施設で、インターネットを通じてすべての情報が無料で入手できるようになっている。もちろん、営業秘密と認定されたものは全体の〇・一%以下で、そうした情報公開による市民的監視、注目を浴びる中で、八八年から九六年までの間に総排出量を四五・六%削減できたというこの実績を見たときに、私はやはり、インターネットを使ってホームページに載せて無料で国民だれでもアクセスできるようにする、それは非常に大事なことだと思うんです。  リコーの則武さんという方が「環境資源対策」という最近号に書いていらっしゃいますが、リコーでも、九七年比で二〇〇一年には対象物質を二〇%以上、排出量を五〇%以上削減するんだ、最終埋立廃棄については全廃するという企業としての姿勢も示していらっしゃるときですから、余り障害はないと思うんですね。  ですから、インターネットを使ってホームページに載せれば無料でだれでも国民がアクセスできる、なぜそれを嫌がっていらっしゃるのか。それは結局、お金を取りたい財政上の話なのか。しかし、行政効果を上げようと思ったら、やはり広く市民の方たちが無料でアクセスできるようにする方がいいに決まっているわけですから、なぜなのか。その一点だけお聞きして、質問を終わりにしたいと思います。
  47. 河野博文

    河野(博)政府委員 この法案を立案するに際しまして、化学物質管理あるいはいわゆるリスクコミュニケーション、こういったものを第一義的には事業者皆さんにむしろ積極的に取り組んでいただきたいという希望を込めてやっております。  その観点から、まずは事業者皆さん情報公開していくというようなことを促しながら、しかし、すべての事業者皆さんがそれができないとしたならば、国が最終的に国民皆さんのお知りになりたい情報責任を持って提供させていただくということで、この請求開示制度を導入しようということでございます。  手数料につきましては、情報公開法の例に沿いまして実費の範囲内ということで、極力利便性のある、また利用者の皆さんにとって障害とならないようなことを心がけながら定めていきたいというふうに考えているところでございます。
  48. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  49. 古賀正浩

    古賀委員長 前島秀行君。
  50. 前島秀行

    ○前島委員 この法案も、連合審査を重ねてきて、かなり論点が出てきたと思います。我が党としても最後でありますので、基本的な点を二、三質問させていただきたい、こういうふうに思っています。  まず第一点は、取扱業者、それを取り巻く業界、産業界の責任ということをちょっと通産大臣にただしてみたいと思うんです。  このPRTR法案が有効性を発揮する、実効性を上げるというにはさまざまな点があると思いますが、この法案の実効性を上げる中における取扱業者あるいは産業界の果たす役割というのは非常に大きいな、こういうふうに思います。  特に、情報をどう集めるか。やはり、パイロット事業のときにおける五〇%を切るという状況ではしようがないだろうなと。同時にまた、届けられた、提出された情報が正確でありという点も、ある意味だったら産業界、取扱業者の方にかかっている、こういうことだろうと思いますね。  そういう中で、この法案が求めている実効性、特に、業界の方が自主的に管理する。自主的にというところがまた重要であり、またここがポイントであるだろうと思います。  この自主的にというところが、ある意味PRTR制度の特色であるし、また同時に、反面不安を伴う面でもあるな、こういうふうに思います。同時に、化学物質、特に危険な、人体に影響を及ぼすような化学物質に対する不安と同時に、取り扱う企業の側に対する国民の不安はないのかなというと、ないとは言い切れない、不信というものもないとは言い切れない、私はこういうふうに思います。  実は私、静岡ですが、富士のすそ野でトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンに基づく地下水汚染というのがちょくちょく起こるんです。このテトラクロロエチレン、トリクロロエチレン等々は精密機械の洗浄等々に使われている、こう言われている。考えてみると、この富士山の周辺に精密機械にかかわっている業界がたくさんある。どうも、その廃液をもとにした産業廃棄物が地下浸透をして地下水に出てきている。  この富士山のすそ野というのは非常に湧水の豊富なところでして、そこにこのトリクロロエチレン等々の地下水汚染ということは大問題なんですね。ちょくちょく起こるんです。数年前も起こっていまして、これは環境庁もみずから御出馬いただいて調査もいただきました。県当局も調査をした。犯人は、犯人と言うと語弊があるかもしれませんけれども、直接の原因は、決定的にはならなかったんだろうけれども、周辺に捨てられる産業廃棄物の中にトリクロロエチレン等々の廃液が含まれて、それが地下浸透で地下水汚染をしている、こういう現象だろうと思って間違いないだろうと私は感じています。  やはりそういう過程を通じてくると、企業に対する住民の不安、不信、なきにしもあらずであると言わざるを得ないだろうと思いますね。こういう状況の中で、このPRTR制度の実効性を上げる、効果を上げるという意味における産業界、取扱業者の責務というのは大きいだろうな、こういうふうに思います。ここがうまく作用していないと逆に混乱が生じ、不安が生じてしまう、こういうふうに思うわけであります。  そういう面で、そういう業界をつかさどる通産省として通産大臣として、この制度における取扱業者、産業界、業界の責務というものはどうとらえているのか。また、そういう業界を含めて何を期待し、何を要望するのか。その辺の基本的な、通産省として大臣としての見解、認識を伺っておきたい、こういうふうに思います。
  51. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 基本的なことを申し上げれば、やはり我々が生活し、また世界全体として持続可能な経済成長というものを可能にしていくためには、環境問題は避けて通れない。すべての国民と申しますか、あらゆる人たちが、個人個人の生活者も、あるいは企業という組織で経済活動を行う者も、やはり環境問題を意識の前面に置いて物事を考えていくという意識をどんどん強くしていくということが必要だろうと私は思っております。これは基本でございますし、一般論からいえば、日本人の環境に対する意識、エコロジーに対する意識、こういうものはだんだん日ごとに強くなってきていると思っております。  今回の化学物質の件でございますけれども化学物質は大変数多く存在するわけでございますが、これらの製造、使用等の方法によって実は千差万別でございます。取り扱い実態に即して適切な管理を行えるのは、第一義的には化学物質を取り扱う事業者自身でございまして、その意味では、事業者化学物質管理改善促進に関する社会的責任を負っていると言えるのではないかと私は思っております。  このような観点から、法案の第四条におきまして、事業者指針に留意して指定化学物質等の製造、使用その他の取り扱い等に係る管理を行うとともに、その管理状況に関する国民理解を深めることに努める責務を明記しております。  さらに、第五条において、PRTR制度等の対象となる幅広い化学物質について、事業者排出量の把握、届け出を義務づけるとともに、第十条、第十一条においては開示請求制度を規定することによって、事業者は常に国民に対して化学物質管理状況に係る情報提供に努める状況に置かれることとなります。  このような措置を通じまして、事業者が自主的に化学物質管理改善促進を行い、環境保全上の支障未然防止が図られることを強く期待するということでございます。
  52. 前島秀行

    ○前島委員 私は、「自主的な管理改善」、この自主的にと明記する以上は、逆に、非常に社会的な責任を負うんだという自覚といいましょうか、認識が絶対に必要だろうなというふうに思います。  そして、昨今、住民、市民の環境に対するいろいろな思い、そういうものはどんどん高まっているわけでありますから、それに対する産業界等の対応のギャップが広がるのか縮まるのかというところが非常に大事であって、ここのところを注意しないと、この法案ができたこと、自主的に任せるんだからという側面と、逆に、ちゃんとやらないとそれに対する住民、市民の反発というのが起こるんだ、ここら辺の認識というのはちゃんとしておかないと大変になるのではないだろうか、私はそういうふうに思います。  それで、私たちのトリクロロエチレン等々の地下水汚染等々の経験を見ますと、やはり産業界等々に対するしっかりしてほしいという思いが住民の側に存在することは間違いないわけであります。そして、この法案ができて、今度の法案の有効性、実効性を考えると、具体的な対応というのは大丈夫なんだろうかというところですね。大手、大企業等々は財政的にもあるいは知識の面においてもそれなりの対応をできると思うけれども、やはり中小というところはなかなか、正直言って、経済的側面だけではなくして、知識の面、経験の面等々で非常にまだ不安がある。  この種の法案、この制度というのは、やはり正確性というものがすべてでありますし、出されたデータをどう活用するかということが大事なんでありますから、したがいまして、特にこの中小に対して、特に地域の、地方の中小事業者に対して業界としてどういう対応ができるのか、またそれを通産省としてどう指導しようとしているのか、またどういう体制が今日あるのかないのか、その辺のところを聞かせてほしいと思います。
  53. 河野博文

    河野(博)政府委員 先生承知のとおり、この法案では、対象化学物質を少量しか扱っていない事業者あるいは排出量の届け出義務をかけることが過剰な負担となるような小規模事業者皆さんを除きまして、中小企業皆さんといえども対象事業者になっていただくということになっているわけでございます。  こうした中小企業皆さんに対しましては、地方公共団体はもとより、中小企業事業団ですとかあるいは中小企業関係のさまざまな団体などの密接な協力をいただきまして、今後、環境庁と私どもが一体となって、排出量の推計方法に関するマニュアルをつくりますとか、あるいは推計のためのソフトウエアをつくりますとか、あるいは届け出の様式を統一化するといったようなことを通じまして、対象事業者皆さんにできるだけきめ細やかな周知徹底あるいは技術的なお手伝いをさせていただきたいというふうに考えております。  また、中小企業皆さん化学物質管理改善のために新たに設備投資をなさるというような場合には、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫によります融資を始めたいというふうに考えておりまして、今後とも、円滑な制度運営のために積極的なお手伝いをさせていただきたいというふうに考えております。  また、人的な協力ということも必要だろうというふうに考えておりますけれども、日本化学工業協会におきましては、化学物質管理化学物質のリスク評価のための人材育成を行うために、平成八年度から既にカリキュラム、教材等の開発に取り組んでいるところでございまして、政府としても、このような業界団体の取り組み連携をしながら、産業界における人材の育成にも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  54. 前島秀行

    ○前島委員 そういうふうに方針を羅列されてもなかなか納得いかないというのが、地域における業界、産業界を取り巻いている実態から見るとそこのところの不安はなかなかぬぐい去れないなというのが率直なところでありますので、やはりせっかくつくったこの法案の実効性を上げるという面で、産業界独自、業界独自の努力というもの、通産省を中心にした支援というものは具体的にやっていただきたいということを強く要望しておきます。  それから私は、やはり大きな議論になっております自治体への期待、かかわり合い方ということをお聞きしておきたいと思います。  この法案で、十七条で、いわゆる自治体の任務が三項目挙がっていますけれども、これは、努めてくれ、こういうことなのであって、ある意味では非常に弱い。この法案の実効性を上げるために、あるいは住民の不安を解消するために、あるいは未然に防止するというこの法案目的を達成するために、自治体への位置づけということは果たしてこの十七条で言っているだけでいいのかなということ、非常に不十分だろう、私たちはこういうふうに思います。  そこでお聞きをしますが、単に十七条の三項目だけではなくして、本当に実効性を上げる、目的で言っております未然に防止をする、住民の不安を解消する、不信を解消するという意味だったら、やはり自治体に、チェック機能だとかあるいは立入検査とかあるいは改善勧告等々を求める権限を明確に法的にも担保する。そのことが、このPRTRの最終目的である未然に防止するというところにつながる。自治体にこの機能、役割というのがどうしても必要ではないだろうか。  単に廃棄物の排出量だとか移動量だとかを提出する、そういうだけでは、やはりどうしてもこの目的は達成し切れないのではないだろうか。したがって、やはり現場における自治体の機能強化というのを法的に担保する必要があるのではないだろうかということを痛切に感じます。  特に私は、住民との摩擦ということを考えますと、自治体の果たす役割というのは大きいのではないだろうか、こういうふうに思います。そういう面で、チェック機能だとか立ち入り権限だとか改善に関する勧告なんかを自治体に求める、そこを法律的に担保する必要があるのではないだろうか。  その辺の通産省並びに環境庁の基本的な認識を、時間がありませんから、簡単でいいですから。
  55. 岡田康彦

    岡田政府委員 簡単にお答え申し上げます。  この法案は、排出量等を届け出するとか、あるいは事業者が自主的な管理改善を図るという、いわば従来型の規制的な法案ではないというところが一つの特色でございまして、その局面に立入検査等の規制的な措置というのがどうもなじみにくいというのがまず端的な基本的な考え方でございます。また、そんなことから、もろもろの例におきましても、このような届け出制度において立入検査を規定している例を承知していないというような状況にございます。  ただし、自治体等の協力をいかにきちっとしていくかということは大事でございますから、先ほどもちょっと答弁で触れましたが、自主的に協議会をきちっとつくって連携していくようなことを考えるとか、それから十二条で、私ども自身は、このPRTRの届け出の結果、逐年の、連年の変化等を見まして、特定の物質についてモニタリングをする必要があるならモニタリングをする、こういうことを決めておりますし、そのときに都道府県等からこうした物質についてもモニタリングの対象にしてくれとか、こういう注文も受ける仕組みにもしておりますし、そういうような形で、先生指摘の点の実効が上がるような努力はしてまいりたいと思っています。
  56. 河野博文

    河野(博)政府委員 先ほど先生から十分な支援と厳しい追求というお話がございまして、十分な支援の方について御説明をさせていただきましたけれども、そういったさまざまな機会をとらえて地方公共団体あるいは関係業界団体などが事業者皆さんに働きかけることも、この届け出が円滑に出てくる一つの働きかけをなすものだというふうに考えております。また、罰則担保等については今環境庁から御返事がございましたので、そのとおりだというふうに考えております。  さらに、届け出を受けます所管官庁という立場から申し上げますと、コンピューターによりまして経年変化をチェックしますとか、あるいは同業種間で、あるいは同規模間での比較検証を行いますとか、そういった形でのチェックも有効に機能するというふうに考えております。
  57. 前島秀行

    ○前島委員 対案を出している民主党さん、この制度、この法案に対する自治体の役割、特に先ほど申しましたようなチェック機能だとかあるいは勧告だとか立入検査等々に対して、どういうふうに思っていらっしゃるか、どう考えているか。民主党さんに聞かせていただきたい。
  58. 奥田建

    奥田(建)議員 民主党案の方では、前島先生指摘のとおり、PRTR制度というものを実効あるものにするために、地方自治体の役割というものを大変重要視しております。また、社民党さんにおかれましても参議院の方に法案提出されているということで、また、先生の御質問の中でも地方自治体の役割というものは大変大きく考慮、検討されていることと思います。  まず、データの正確性の担保のために、中小企業に対するきめ細かな指導というものが必要と思います。また、国の今のPRTR制度というものをしっかりと理解してもらう、そういったきめ細かな対応は、国レベルでは不可能であって、地方自治体を主体とすることが適切であると考えております。また、環境汚染物質に対しますリスク削減、これも企業住民が円滑なリスクコミュニケーションを持つということが一番のことかと思います。そういった中で、企業住民の間に行政の仲立ちというものが大変重要な役割を持つということを考えております。  民主党案の方では、データ届け出先を市町村としております。また、データの正確性を担保するためのチェック、立入調査権というもの、そしてリスクコミュニケーションを円滑に図る。また、市町村がリスク削減計画というものを定め、事業者に対しての指導助言をできるということを明文化しております。先進的な取り組みを既に行っております地方公共団体、神奈川県などの自治体の動きというものを考慮し、また地域の特性、実情に応じた上乗せ、横出しというものをしやすくする必要性もあると思います。  政府案においては、自治体の措置ということで、努力を書いておりますけれども地方自治体の権限というものについて触れていないのは、自治体の役割というものを矮小化したものではないかと思っております。  どういった自治体が届け出あるいはリスクコミュニケーションを行うかということについて、さまざまな議論がございますけれども、社民党さんの方では都道府県というものをその主体としておられますし、そういった選択も十分考えられるものかと思います。そのことについても、参議院の方で十分議論させていただきたいと思います。
  59. 前島秀行

    ○前島委員 この法案の制定、私は必要だろうと思います。しかし、内容の面ではまだまだ充実を図っていかなくちゃいかぬ点はあるだろうな、こういうふうに思います。OECD勧告があって、当面、取り急ぎ法制化したという感が率直に言って免れない部分もあろうと思います。まだこれから十分、体制をといいましょうか、整えなくちゃいかぬ面もたくさんあるだろう。その代表的なところが人材の育成確保の面等々だろうと思います。  したがいまして、この法案が、さらに充実あるもの、いいもの、実効性を上げるためにも、通産省並びに環境庁、さらに一層の努力、内容の充実を図ることを心から期待を持ちまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  60. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて両案中、内閣提出特定化学物質環境への排出量把握等及び管理改善促進に関する法律案に対する質疑終局いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十時四十六分散会