○
前田(武)
委員 民主党の
前田武志でございます。
きょうは、
国際協力銀行法案に関連して、
国際協力の
あり方であったり、あるいは、
国際協力に伴う
日本の
政府系の
金融機関の
統合でございますから、
金融面を含めてお聞きをしたいわけでございます。
特に私が
問題意識として持っておりますのは、当
法案が提出されるに至る
経緯というものは、もともとは
行革議論から始まった、そしてまた
財投議論があった、
片一方で、
国際協力そのものの
あり方、
日本の
戦略手段としての
ODAの
あり方という
議論もありました。そういう中で、ここ一両年の間、
日本自身も、
ビックバン等金融改革というものが大きく進んできたわけでございますが、
アジアの
経済危機といったような、この
国際協力銀行そのものの
対象とすべきあるいは
対象となるフィールドにおいて、非常に大きな
国際金融のあらしが吹き荒れているわけでございます。
環境が全然変わってきた、そういったことを踏まえて、どういうふうな
位置づけ、そして将来を展望してやろうとしているのか、その辺の
経緯を踏まえて展望をお聞きしたい、こういうふうに思っているんです。
特に
問題意識としてあるのは、
ボリュームは大きくなりましたが、
片一方で
行革という全然違った
観点からの、
価値評価からの
統合というものを出発にしているものでございますから、本来、戦略的な
国際協力ということについては、
援助の
対象となる
国々の方々と
一緒になってともに学ぶというようなことも通じて
人材育成というようなものも図られなければならないわけでございますが、その辺のところがどうなっているのかなというような懸念があります。
また、こういうような
日本の
援助ということに関しては、もちろん、本国会において
情報公開法が制定されたという大きな動きの中で、こういう
分野であればあるほど、
国民の理解を得ると同時に、
日本の若い
人材が
国際協力等にも大いに貢献をしてもらわねばいかぬ、そしてまた、それを通じて顔の見える
援助というものも実現していかなければならない。当然、
情報公開というものが大きな根底として重要視されなければならないわけでありますが、そういう
意識を持って
お尋ねをしたい、こういうふうに思うわけでございます。
そこで、これは全然
質疑通告をしておりませんので、ちょっと御見解だけを聞きたいと思うんですが、たまたまけさ出てくるときに、車の中で
新聞を見ておりましたら、
朝日新聞の一面トップに「
ODA留学に
官僚特別枠」、こういう
記事がでかでかと出ておりました。
要は、
JICAの中に
国際協力の人員を
育成していくために枠をつくって、
民間あるいは
事業団の
プロパー、そして
官僚、各
役所から
国際協力のための
人材訓練のために
留学をさせている。そういう中で、
官僚の
特別枠というのが、まあ具体的にあるのかどうか知りませんが、
かなりの枠があって、しかも、その行くのが全部
先進国だというようなことが書いてあります。そのこと
自体どうこうというのは、まだ
実態が明らかにされておりませんので、
余り云々はいたしません。
実は、その
片一方で、同じようにこの
朝日の一面のところに
写真入りで、「紙面から」ということで、
伊比恵子さんの
アカデミー賞受賞というすばらしいニュースも載っているわけですね。この
伊比恵子さんという方は、何か
ミス日本になられたような、ちょっとオードリー・ヘップバーンに似ているようなすばらしい方でございます。またこれは、私、朝宿舎を出る前にたまたまテレビをひねっていたら、ぱっとちょっと映ったんですね、時間だったので全部も聞かずに出てきましたが。
ただ、想像するに、この方は、
ミス日本に選ばれて、本来ならば女優として大いに期待されていたところなんでしょうが、みずから、
自分の向きといいますか
自分の
個性というものを脚本、
映画制作の方に求めて、
ニューヨーク大学ですかに
留学をして、随分と苦労をされながらも
研さんを積んで、そしてその
修士論文に当たる作品が
アカデミー賞を射とめたということなんですね。
朝日一面のこの
二つの
報道というのは、何か象徴的なことを
意味しているように私には映るわけです。どういうことかというと、やはりこの
伊比さんというのは、みずから
リスクを負いながらも、
自分の
可能性を求めて、そして多分その負担もみずから負担して
留学して、そして非常にプレッシャーのかかる中で
勉強されて、こういうすばらしい創造的な成果を生まれた、
世界的に
評価もされている、こういうことなんですね。
もちろん、
人材の
育成という
意味においては、
JICA等でやられるこういう高度の
専門家の
育成というものも私は当然必要だろうと思うんですね。しかし、
片一方は、
リスクを負ってみずからやってこられた。そして
片一方は、
役所の方から
JICAの
人材育成のそういうスキームに乗って、しかし
役所そのものの
給料等もいただきながら、この
JICAの
特別枠を利用して
先進国に
留学をして
勉強する。このこと
自体は、私
自身は否定するものではありません。しかし、それが本当に
国際協力という場で生かされるようなものであるのかどうか、その辺に疑問を感ずるわけですね。
まあ、
通告もしておりませんので、具体的なことはお聞きしません。要は、必要であれば
政府としてきちっと初めから、そういう
公務員の国際的な研修という
意味で、もっともっと人事院の枠をふやすだとか、あるいは各
省庁の
専門家ということでこれを
国際協力に生かすというなら、もっと
制度的にきちっと
位置づけをして、
発展途上国に、まずはそういうところに行かせて
経験を積ませて、それをもってさらに高度の、
援助はいかにあるべきかというような
勉強のために
先進国に行かせるだとか、何かそういうことがあってしかるべきだと思うんです。この
記事から見ると何か、ただ
外国留学のために
JICAの
制度を特別にうまく利用しているというようなことにしか受け取れないんですね。
これはどういうことにつながっていくかというと、やはりこういう時代、みずからの
個性を伸ばして、多少の
リスクを負いながらもみずからの
自己実現ができる
世界を求めていくというような
人材が育ってこなければ、本当の
国際協力の
人材というものは出てこないんだろう、こういうふうにも思うものですから、その辺のところを実は、多分これは
JICAということになると外務省になるんでしょうが、
企画庁長官もおられますので、お聞きしたいわけです。
特に、後々
議論をしたいわけですが、要は、
人材育成ということについてもっと正面からとらえてやっていかないと、ただ
効率論で数をこれだけ減らしましたと。これだけの数を減らして本当にやっていけるかというようなところと、そこは当然、ごまかしてと言っては語弊がありますが、こんな少ない
人材でやっていけるわけがないので、どこかで
つじつま合わせをやっているに違いないんですよ。
同じようなことをこの
留学のところでもやっているんじゃないのかという
感じがするものですから、その辺を、
民間にもおられ、そしてまた
国際協力にも間接直接に携わられた
企画庁長官に、やはり
人材の
育成という面から、若者にもう少し夢と、そして覚悟を持ってやらせる、そういうメッセージを含めて、
冒頭お聞きをいたします。