運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-03-04 第145回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月四日(木曜日)     午前十時二分開議   出席委員    委員長 中村 鋭一君    理事 飯島 忠義君 理事 植竹 繁雄君    理事 砂田 圭佑君 理事 萩山 教嚴君    理事 神田  厚君 理事 土肥 隆一君    理事 西  博義君 理事 達増 拓也君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       奥谷  通君    小坂 憲次君       小林 多門君    佐藤 静雄君       阪上 善秀君    田中 和徳君       田村 憲久君    竹本 直一君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       堀之内久男君   三ツ林弥太郎君       宮路 和明君    目片  信君       望月 義夫君    矢上 雅義君       石橋 大吉君    今田 保典君       辻  一彦君    平野 博文君       藤村  修君    山本 孝史君       渡辺  周君    赤松 正雄君       木村 太郎君    旭道山和泰君       三沢  淳君    平賀 高成君       藤木 洋子君    北沢 清功君  出席国務大臣         国務大臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君  出席政府委員         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         阪神淡路復興         対策本部事務局         次長      高橋 健文君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         国土庁計画・調         整局長     小林 勇造君         国土庁地方振興         局長      中川 浩明君         国土庁防災局長 林  桂一君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         気象庁長官   瀧川 雄壯君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省住宅局長 那珂  正君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省財政局長 二橋 正弘君         消防庁長官   谷合 靖夫君  委員外出席者         内閣官房内閣内         政審議室内閣審         議官      宮城  勉君         内閣官房内閣安         全保障危機管         理室内閣審議官 関  克己君         防衛庁運用局運         用課長     徳地 秀士君         大蔵大臣官房政         策金融課長   二宮 洋二君         海上保安庁警備         救難部長    桑原 康記君         衆議院調査局第         一特別調査室長 高橋 徳光君 委員の異動 三月四日               辞任         補欠選任   小林 多門君     岩永 峯一君   藤村  修君     平野 博文君 同日                 辞任         補欠選任   岩永 峯一君     小林 多門君   平野 博文君     藤村  修君 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件     午前十時二分開議      ————◇—————
  2. 中村鋭一

    中村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。植竹繁雄君。
  3. 植竹繁雄

    植竹委員 災害対策委員会におきまして、災害派遣の県の要請について質問をいたします。  昨年八月の豪雨災害におきまして、三月二日の閣議決定によりまして、局地激甚災害の指定を受けましたことは、私ども栃木県あるいは福島県、地元の議員といたしまして、地元住民はもとより、私も大変ありがたく感謝いたしておりまして、この場をおかりいたしまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。  さて、平成七年一月十七日に発生いたしました阪神淡路大震災は、死者六千四百三十名という戦後最大の痛ましい災害となりました。この大震災は、災害時の初動期における被害規模の把握のおくれ、あるいは官邸への情報連絡体制が十分でなかったことを、災害時の初動体制情報収集あるいは伝達体制重要性を反省させるとともに、地域自主防災活動普及の果たす役割の大きさを再認識させるなど、防災上多くの教訓を私どもは得ることができました。  このために、政府は、この大震災教訓を踏まえまして防災問題懇談会を設置するなど、国、地方公共団体等による防災体制あるいは防災施策の新たな展開を図ったわけでありますが、具体的には、防災基本計画を二度にわたって改定し、災害の種類及び予防、応急対策復旧復興の各段階に、国、公共機関等が実施すべき措置等規定いたしました。これは大変結構なことであります。  また、我が国災害対策の最も基本であります災害対策基本法を、平成七年六月に、災害時の交通の規制あるいは緊急通行車両通行の確保のための措置の拡充に努めまして、同年九月の防災問題懇談会の提言を踏まえまして、同年十二月には、緊急災害対策本部設置要件について、災害緊急事態の布告を要件としないこと、あるいは本部長権限の強化、非常災害対策本部を設置できること、あるいは市町村長災害派遣要請ができるようになったことなどを規定したのであります。  そこで、災害対策基本法の第六十八条の二の規定は、市町村長は、当該市町村地域に係る災害が発生し、またはまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、自衛隊災害派遣要請をするように求めることができる。また二項においては、市町村長は、一項の要求ができない場合には、その旨、当該市町村地域に係る災害状況防衛長官またはその指定する者に通知することができる。そして、この場合におきまして、当該通知を受けた防衛長官またはその指定する者は、その事態に照らし特に緊急を要し、要請を待ついとまがないと認められるときは、人命保護のために、要請を待たないで自衛隊部隊派遣することができると規定いたしました。  もちろん、阪神淡路大震災は、災害時においては、災害派遣された自衛隊部隊が大きな役割を果たしているのが現状であります。私は、この自衛隊派遣につきましては、かつて私が政府の雲仙岳の対策事務局長をやっておりましたときにも、この自衛隊要請をする問題につきまして大変おくれた、そのために現地の住民の方々に大変に心配と負担をかけた、そういう記憶から、特にこの問題は、こういうふうに改定されたということは大変結構なことだと考えております。  そこで、災害派遣された自衛隊部隊等が果たした大きな役割というものを考えますと、ただ、その中におきましても問題点が残っている。それはどういうことかといいますと、地域防災計画により、非常災害緊急災害が発生した場合の所掌事務を、市長から助役への権限規定してある離島とかそういうところで大規模災害が発生したと仮定します。そのとき、市長あるいは助役が被災し、職員市長助役連絡できない、あるいは被災地は大規模災害について自衛隊災害派遣要請したいのだが、知事にも連絡がとれない、どうしたらいいか。そういうときにおきまして、所掌事務担当でない職員が町長または助役にかわって直接自衛隊要請したい、この点につきましては要請ができるように改定されたと思いますが、どういうふうに改定されたか。また、職員要請してまいりました場合には、その対応策をどういうふうに自衛隊がとっておられるか、お伺いしたいと思います。
  4. 柳澤協二

    柳澤政府委員 お答えいたします。  先生からお話しいただきましたように、阪神淡路の震災を契機にいたしまして、私どももいろいろな改善をさせていただいたところであります。  災害派遣要請については、従来は、派遣を希望する人員ですとか、どんな態様の活動をやってほしいかというようなことを御連絡いただくような内規になっておったんですけれども、今、非常にそれを簡略化したというような点もございますが、さらに今先生御指摘のように、それでもなおかつ連絡の物理的な手段が破壊されるようなケースもあるわけでございます。  今挙げられたようなケースにつきましては、一応制度上は都道府県知事等からの要請というふうになっておりますけれども、一方で、自衛隊法八十三条の二項で、都道府県知事等要請を待ついとまがないときには、いわゆる自主派遣ということで、私ども近傍部隊等が直ちにこれに対応するということにしておりまして、今の先生が触れられたようなケースでいきますと、例えば、それはいわゆる正式の派遣要請ではないかもしれませんけれども、それは重要な被害情報というふうに受けとめまして、八十三条の二項で自主派遣をする、そういう形になろうかと考えております。
  5. 植竹繁雄

    植竹委員 自主派遣ができるということは大変結構なことでございますが、災害といってもどんな場合か、いろいろなケースがあると思います。  例えば、海外災害が発生した場合はどうか。あるいは海上災害の場合はどうか。その点につきまして、自衛隊海上保安庁との連絡、あるいはその任務区分はどのようになっているか。その点は大変重要なことだと思っておりますが、その点について防衛庁見解はどうでしょうか。
  6. 柳澤協二

    柳澤政府委員 二点ございますので、まず海上における船舶遭難等に伴う救助につきましては、これは基本的には海上保安庁の方で遭難情報をおとりになります。必要に応じて私どもの方にその情報をいただいて、さらに要請を受けて出動するということになりますので、基本的には海上保安庁と絶えず密接な連絡をとりながら、連携のもとに行動するということになっております。  それから、海外といいましょうか、外国領域の場合は、自衛隊法八十三条の「災害派遣」はそこまで基本的に予想はしていないと考えますけれども状況によりましては、公海上捜索救難の一環として、他国領域に近いようなところでしたら、当然その当該相手協力も得ながら活動するということになりましょうし、また外国領土ということでありますと、これは自衛隊法というよりは国際緊急援助隊法のスキームで活動するということになっております。
  7. 植竹繁雄

    植竹委員 海上といいましても、外国といいますと、公海上の問題はどうするかという点があるわけでございます。  そこで、そういうときには、例えば自衛隊責任者ということもありますけれども、やはり内閣危機管理室というものがあるわけであります。したがいまして、公海上、あるいは領海公海か非常に識別が難しいということになりますと、これは自衛隊というよりも、日本の全体の問題でもあるということで、これは内閣危機管理室でもって対応する、その判断あるいは通知ということはする必要があるんでなかろうか。これは大変重要なことでありますけれども、その点はどういう見解をとっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  8. 柳澤協二

    柳澤政府委員 もちろん、その状況次第ということだろうと思っておりますが、特に専ら外国領域での災害派遣活動というのは、先ほど申し上げましたように、これは自衛隊法災害派遣というよりは国際緊急援助隊、これもまさしく政府として判断する枠組みでありますし、あるいは自然災害以外の必要があればPKO法に基づきます人道的な援助活動ということで、これも政府としての取り組みになってまいります。  それからあと、先生言われるような形で、必要があれば、当然外務省あるいは内閣としての御判断を個別にいただきながら行動するということになるだろうと思います。
  9. 植竹繁雄

    植竹委員 緊急援助隊の点につきましては、後で質問をすることとしたいと思います。  例えば、最近、海上犯罪というものが非常にふえてまいりました。そういう点におきましても、海上保安庁では対応できなくなった、そういう事態もあると思うんです。海上保安庁と緊密な連絡といっても、災害というものは先に予定されるものじゃなくて突発的に発生するものであり、そういう点につきまして、自衛隊海岸線警戒活動に当たるということもあり得るのか。これは海上保安庁ばかりじゃなくて、海上自衛隊自身領海というものに慎重に対応し、検討する必要があるんじゃなかろうか。  例えば、ある第三国の艦船領海内に侵入した場合。その侵入も、国籍不明の船がどういう形態の船かわからない。あるいは、漁船なのか漁船を偽装しましたスパイ行為であるかどうかわからない。現に、日本海沿岸にはどこかの、北朝鮮と見られる兵士の死体が多数上がっているということになれば、そういう不明な艦船もあるわけでございます。あるいはもう一つ、大量の難民が流入した場合の対応。  そういうことを踏まえまして、防衛庁としましては、領海内に侵入した場合の対応という点を考慮いたしまして、どういうふうに扱うのか、それをお伺いしたいと思います。
  10. 柳澤協二

    柳澤政府委員 まず最初の点は、いわゆる不審船舶への対応ということだと思いますが、もう先生案内のところでありますが、海上における秩序の維持ということで考えますと、これは第一義的には、警察機関である海上保安庁担当ということになっておりまして、通常の場合は、私どもはいろいろ日ごろから警戒監視等を怠りなくやっておりますので、そこでつかまえた情報海上保安庁に通報をするというような形の協力体制をとっておりますけれども、さらに事態海上保安庁だけでは対処が困難になってくるというような状況では、自衛隊法八十二条の「海上における警備行動」、これを防衛庁長官内閣総理大臣の承認を得て発令することになると思いますが、そういたしますと、海上保安庁法の一部権限の準用によりまして、海上自衛隊海上保安庁とともに適切な対処がとれるようになるだろうと思っております。  それから、いわゆる大量の難民の流入のケースということでありますが、これは難民の誘導でありますとか入国管理問題等、いろいろ多岐にわたる面がございまして、平成八年の橋本総理の御指示も踏まえまして、安全保障室を中心に各省で検討を行っておりますが、防衛庁といたしましては、先ほど申し上げた警戒監視による情報収集、さらに、仮に難民の一部が遭難するというようなこともございましょうし、その場合のレスキューといったようなこと、あるいは必要に応じて避難民を輸送するというような形で協力することを考えておるところでございます。
  11. 植竹繁雄

    植竹委員 そういう万全の連絡体制をとっていただきたいと思います。  また、そういう難民以外におきましても、例えば、原発関係施設設備というようなものに対する警備ということも、また重要なことでなかろうかと思います。  特に、領海といいましても、日本は何といっても周りが海で囲まれているということになりますと、大変領土の問題というものが重要になってくるわけです。特に離島問題は重要でございますが、例えば、これは大変答弁しにくいかと思いますが、例の竹島の問題でございます。今、人は住んではおりません。しかしながら、もしこれが、観光などで人が竹島へ行った、これは本来ならばいろいろ対外的な問題もありますけれども、これは日本領土だとはっきりとしているわけであります。  したがいまして、こういうところに災害が、あるいはその周辺で、船舶から漏れたる重油とかそういうものが、事故が発生した場合はどういうふうに自衛隊として対応するか。これは大変重要なことであり、日本の古来の領土だと考えておりますので、こういう災害というものも想定しながら自衛隊として対応していかなくちゃならない。できれば、こういう点は、従来からすれば、非常にこれは自衛隊よりも外務省的な、そういう地理的な条件を踏まえまして避けたという方向でありましたけれども、やはり日本といたしましては、これは日本領土、それから発生する災害というものは、はっきりと認識をして行動あるいは対応をとるべきだと思いますが、この点、防衛庁としてはどういう見解でございましょうか。
  12. 柳澤協二

    柳澤政府委員 まず、竹島問題全般につきましては、もう御案内のところでありますが、我が国固有領土でございますけれども、現在、韓国によって実効支配されているという状況であります。  これとの関係で一般的に申しますと、政府としては、この問題の解決は外交交渉を通じて平和的に解決するという立場でおりますので、そのこと自体について自衛隊が直接何らかの対応をとるというものではないというふうに、政府としては一貫して考えてきておるところでございます。  今先生お挙げになりました、その近傍における災害等救助の問題でございますが、これはおのずとまた、ちょっと違った対応が必要になってくるだろうというふうに思っております。日韓の間では海難救助等協力の協定もございます。そういう枠組みを通じまして、当然、他国との関係が非常に微妙な部分もございますので、外務省あるいは海保庁等とも十分連携をとりながら、必要な活動をしていくことになるだろうと思います。  防衛庁といたしましても、実は、先般、野呂田大臣韓国を訪問いたしました際に、将来、海上自衛隊韓国海軍との間で捜索救難に関する共同訓練をぜひ実現しようという機運もございます。そういったチャネルも通じまして、より適切な対応がとれるように、さらにいろいろ勉強させていただきたいと思っております。
  13. 植竹繁雄

    植竹委員 ありがとうございました。  そういうことで、日本領土を含んだ領海問題については、防衛庁としましてもいろいろ対応する施策を考える。特に、自主的な判断もできるという場合には、くれぐれも内閣危機管理室連携をとりながらやっていただきたい。  そこで、我が国防災につきまして、自然的、地理的条件から見まして、防災事業というものは最も大切な事業であり、国土保全上重要な工事につきましては、国は直轄施行することができることになっているわけであります。したがいまして、海岸行政というものは、建設、運輸、農林の三省の共管で推進されまして、これも、海岸法によりますと、すべて都道府県知事海岸管理者となり事業を行うのが原則になっているわけです。  そこで、海岸事業計画的に実施するために、長期計画の策定を行ってこういう国土保全対策を進めていると思うわけでありますが、十年度におきまして、そういった海岸保全対策事業について、具体的にどういうことをとってまいったかお教えいただければありがたいと思います。  さらにまた、建設省におきましても、地震、津波対策等における海岸堤防構築や、そういう関係耐震政策などについてもお伺いしたいと思いますが、これは建設省、ひとつ答弁願います。
  14. 青山俊樹

    青山政府委員 海岸保全の御質問でございますが、我が国は三万五千キロメートルにも及ぶ長大な海岸線を有しているわけでございますが、台風の常襲地帯でもあり、また津波の来襲も多いという極めて厳しい自然的、地理的条件にあるわけでございます。このために、第六次海岸事業七カ年計画に従いまして、全国の海岸線のうち防護が必要な海岸が一万四千キロあるわけでございますが、これにつきまして、海岸保全区域を対象として防護事業を実施しているわけでございます。  平成十年度の海岸事業費は、農林水産省、運輸省、建設省、三省足しまして千四百四十六億七千二百万円という額で、これは補正も含んでおるわけでございますが、実施しておるところでございます。  また、工法といたしましては、海岸線に平行に岸から離して離岸堤を設けて砂浜を堆積させるというふうな施設とか、養浜工などを実施しているところでございます。
  15. 植竹繁雄

    植竹委員 そこで、そういう海岸状況でございますが、また先ほどは防衛庁から、領海問題あるいは災害問題について、防衛庁としての御見解を伺ったわけでありますが、一方、海上保安庁におきましては、また領海内部におきまして、難民問題その他いろいろ、これまた防衛庁連携をとりながら対応しているということでありますけれども、ただし、防衛庁の場合は外国船に対する臨検というものはなかなかできない。しかし、海上保安庁の場合は、領海に入った場合は対応できるということになっているかと思います。  したがいまして、海上保安庁法第十七条におきまして、海上保安官は、その職務を行うため必要があるときには、船長または船舶を指揮する者に対して、書類の提出を命じ、船舶同一性船籍港、積み荷及び航海に関し重要と認められる事項を確かめるため船舶の進行を停止することができ、あるいはこれを立入検査できる、そしてそれに関する質問もできると規定されておりますが、この条項権限規定任意規定強制力を伴っているのか、またこの条項に基づいて立入検査等措置をとった具体的な例があるか、その点に関して伺いたい。  また、軍艦に対しては海洋法の第三十条の退去要求のみか、外国船籍、無国籍等臨検はどのくらいの数があったか、これを海上保安庁で答弁していただきたいと思います。
  16. 桑原康記

    桑原説明員 お答えいたします。  海上保安庁は、平素から、我が国周辺巡視船艇、航空機を配備いたしまして、領海警備に当たっているところでございます。  我が国周辺海域治安、安全を侵害する船舶に対しては、海上における治安公共維持に当たることを任務としております警察機関といたしまして、適切な措置を講じております。不審船領海侵入した場合には、海上における治安公共の安全を侵害するとともに、付近を航行する船舶の安全を脅かすものとなりますので、我が国国内法令に照らしまして、当該船舶を停船させ、これに立ち入り、検査を実施しております。  なお、立入検査実施状況でございますが、これは、港の中に入っているもの、航行しているもの等すべて含めまして、平成十年で一年間に七万三千三百隻の船舶に対して立入検査を実施しております。そのうち約一万五千百隻が外国船舶でございます。
  17. 植竹繁雄

    植竹委員 ありがとうございました。  結局、領海内部の場合は海上保安庁が当たることでありますけれども難民船等はできても、例えば軍艦潜水艦に対しては退去要求ができるわけでありますけれども外国武装船やそういう軍艦についても同様の臨検ができるような施策をとりまして、我が国の安全という点についても検討をしていただくよう、これは内閣危機管理室と緊密な連携をとる必要があることと思います。  またさらには、私の考えでは、日本領土海岸地帯には多くの原発施設があるわけでありますから、この点につきましても、領海に侵入してくる諸外国のものと思われる艦船につきましても、我が国の主権に影響を及ぼさない程度に装備、機材の近代化保安官捜査技術の向上に努めて、海上治安維持のために強化していただきたい。これは国家危機管理の点からも重要なことだと思って、特に要望をするものであります。  時間も迫っておりますので、最後に申し上げたいのは、国際緊急援助隊のことでございます。  これは、約二十年前から活動が行われてまいりました。法的には、昭和六十二年九月に法制化されたのでありますが、その第一条においては、「海外地域、特に開発途上にある海外地域において大規模災害が発生し、又は正に発生しようとしている場合」、そういうことがありますけれども、この「大規模災害」というのはいろいろあると思います。例えば、私が記憶しておるのには、法律が制定されてからは、最近コロンビアその他のものがありますけれども、それ以前にも、シベリアのパイプラインが破損されまして災害が起きたときにはこれが出動しております。  そういうことで質問をしたいと思いますが、特に法律第二条の、災害応急対策及び災害復旧のための活動を行うとされておりますが、その中におきましていろいろなケースが考えられるわけであります。それは、ハード及びソフト面の整備をする必要があるから特に申し上げているのであります。  例えば、仮に国外の地域で紛争が起こっている状態であっても、こういう当該紛争当事国でない第三国でたまたま偶発的な災害が発生した、具体的に申しますと、石油パイプラインが破壊された、その石油パイプラインの一番のもとは紛争地域にある、この紛争地域に出動するというのは、国連の問題がありまして、だから出動できないと。しかしながら、第三国にパイプラインが連なっておる、そういうときの偶発事故が起きた場合は、これは国連でなくて、その第三国の当事国の要請において処置しなくちゃならない。特に重油、石油関係の技術というものは、これは国際緊急援助隊ではできるけれども自衛隊ではできないという場合には、これは要請があった場合は、そういう周辺周辺といいますか地域状況でありますけれども、幾ら紛争自体が近くの国々であっても、この第三国においては平和状態だということがあれば、緊急援助隊というのは出動することが可能であると思いますが、この点について見解をお伺いしたいと思います。
  18. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、国際緊急援助隊法に基づきます派遣は、基本的には、自然災害あるいは人為災害というものでございます。それで、平成四年に国際平和協力法が成立いたしましてから以降は、政策上の仕分けといたしまして、基本的には、紛争に起因するものにつきましてはこの国際平和協力法の対象とされる、そういう仕分けでやっております。  そこで、前者の例えば石油パイプラインの破損等の場合につきましては、国際緊急援助隊法のもとで派遣が可能でございますし、御指摘のとおり、以前におきまして、パイプラインあるいは原油流出といったような事態におきましては、日本から専門家チームを派遣いたしまして対応いたしております。  それで、その紛争地域の隣接地帯、その周辺とか近くで現実にこういう緊急援助隊法の適用対象となり得るケースが発生した場合にどう対応するかということでございますが、これは、先ほど申しましたような区分けになっておりますが、具体的には、具体的なケースに照らしまして判断をするということになろうかと思いますけれども、石油等の災害におきましても過去対応しておりますので、状況によりましては、日本としてもできることはきちんとやる必要があろうかと思っておりますし、そういうふうに対応したいと思っております。
  19. 植竹繁雄

    植竹委員 その石油のパイプラインの破壊でありますが、これは、地震災害が伴って起きた、たまたま紛争地域に近いところであっても、そういう災害が起きたときには、例えば南米のホンジュラスの地震災害がありましたときには、緊急援助隊のもとに自衛隊が組み込まれまして派遣して、これに対応したということがあります。  そういたしますと、こういう第三国の場合には、そういう自然災害があったということであれば、自衛隊も一緒に自衛隊以外の一般から募集しました石油対策の方と混合チームができることが可能かと了解するわけであります。一方では、その近隣の紛争地域におきましては、これまた国連の要請にあるPKOですと別の関係のものを後方支援ということで貢献しているということ。全体から見れば、二つの自衛隊のチームが一つの緊急援助隊という中に組み込まれていく。大変重要なことですが、これもあくまで人道的、しかもこれは第三国ということであればぜひ可能である、そういう形の国際貢献ができるというふうに了解するわけであります。  我が国が国際社会の中で生きていくためには、どうしても国際貢献というものを中心にしてその点を判断し、我が国政府としましても、この国際緊急援助隊について検討し、その充実を図っていっていただきたいと特に要望するものでありますが、最後に、この点については内閣危機管理室の方、きょう来ておられましたら、その辺を検討しこれを実行していただきたい。特に我が国の平和活動、そういう面から考えれば、PKOとこれとの分離というものを認識していただいて今後も計画していただきたい。その点について一言回答を求めたいと思います。
  20. 関克己

    ○関説明員 お答えいたします。  いずれにしましても、先生御指摘のように、緊急事態、大規模災害も含めまして、極めて多様でございます。私どもといたしましても、それぞれの状況に応じまして迅速な対応が可能になるよう、防衛庁あるいは国土庁、関係省庁とふだんから緊密な連携を図り、対処してまいりたいというふうに考えてございます。
  21. 植竹繁雄

    植竹委員 以上、質問を終わりますけれども、特に我が国の国際貢献、また国内の安全という点については、念には念を入れまして対応していただきたい、特に要望いたしまして私の質問を終わらせていただきます。
  22. 中村鋭一

    中村委員長 土肥隆一君。
  23. 土肥隆一

    ○土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。  震災から丸四年と二カ月が経過いたしまして、委員の皆さんも、阪神淡路大震災どうなっているだろうなぐらいの感想かと思います。しかし、ここでやはりこの四年の震災対策、復旧復興対策を私も詰めておかなきゃならないなという気がいたします。それは、地元ではなお引き続きさまざまな問題を抱えているということでございます。  御承知のように、関東大震災に次ぐ最大規模阪神淡路大震災でございました。死者が六千三百九十八名、行方不明者が三名、負傷者が四万八十二名、全壊家屋が十一万一千棟、半壊家屋が十三万七千、これは棟の数で数えますから、倒壊棟数、全壊、半壊合わせまして二十四万八千棟の被害を受けた地震でございました。  今般、私が聞くところによりますと、国土庁防災局に被災者の住宅再建の在り方に関する検討委員会が設置されて、第一回の委員会が開かれたと聞き及んでおりますが、まず、この検討委員会はどういう根拠で設置されたんでございましょうか、答弁してください。
  24. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 この第一回の委員会は二月の十八日に開かれまして、本来でございますと私が出席をする予定でございましたが、予算委員会がございまして、国土庁の政務次官が出席をいたしましてごあいさつをさせていただいたところでございます。  この設置根拠でございますが、被災者生活再建支援法を踏まえまして、国土庁としてその設置を決めたわけでございまして、これは防災局長の私的な研究機関ということではなくして、国土庁として設置をいたしたところでございまして、今後の委員会の検討状況も十分把握をしながら、最終的な対策を講じていきたいと思っておるわけでございます。  土肥委員御指摘のように、本当に今考えてみましても恐ろしいといいましょうか、想像を絶する神戸、淡路の震災でございました。ですから、これを本当に大事な教訓として、今後ともこの対策に万全の措置をしていきたいと考えております。
  25. 土肥隆一

    ○土肥委員 ちょっと、もう一遍確認いたしますが、国土庁としてとおっしゃいましたが、防災局長の私的研究会ではなくて国土庁長官の研究会というふうに考えていいんでしょうか。
  26. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  27. 土肥隆一

    ○土肥委員 ちょっと違うんじゃないでしょうか。
  28. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 補足をさせていただきます。  今回の検討委員会につきましては、国土庁設置法の第四条十四号、災害に関する施策の企画立案という事務がございますが、さらに同条の二十六号で、国土庁の所掌事務に関する調査及び研究に関する事務を行うということがございます。そういった設置法に基づきまして設置する正式の委員会であるというふうに理解しております。  局長の私的研究会という言葉を用いていたときもあったわけでございますけれども、それは、審議会等のように法律にその設置が定められているものではないという趣旨でそういう言い方をしておりましたが、先ほど申し述べましたように、国土庁に正式に設置したものであるということでございますので、その点については補足させていただきたいと思っております。  よろしくお願いいたします。
  29. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうすると、長官名で正式に設置法に基づいてつくられた検討委員会である、そのように理解していいんですね。もう一遍答弁してください。
  30. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 内部決裁でいたしましたものですので、そういう意味で国土庁で正式に決定したということでございます。
  31. 土肥隆一

    ○土肥委員 私的研究会という言葉も消えるんですか。
  32. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 私的研究会という言葉遣いは、この委員会の性格が審議会等のように法律にその設置が具体的に定められているものでないという趣旨で使わせていただいたものでございまして、設置を決める際に私的研究会というような表現で決めているわけではございません。
  33. 土肥隆一

    ○土肥委員 法律の間の審議会の設置の方法をめぐってのことだろうと思いますが、要は、私は、この検討委員会が今後何をするかということについて大変興味がありますので、その点に絞って質問しているわけでございます。  この被災者生活再建支援法の附則の「検討」、第二条のところで、「自然災害により住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建支援の在り方については、総合的な見地から検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとする。」ですから、この検討委員会は、専ら自然災害によって住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建支援のあり方を検討する、これに特化した検討委員会というふうに考えていいでしょうか。
  34. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 私もそのように考えておりまして、この被災者生活再建支援法といいますのは、御承知のように、家屋のいろいろな、たんすであるとかそういう生活必需品に対するものでございまして、それで、この法律をつくりますときにも、その後伺いますと、住宅そのものの再建に対する対策が講じられていない、したがって、このことをそれの追随するものとして検討すべきではないかということでこの委員会をつくったというふうに私は伺っております。
  35. 土肥隆一

    ○土肥委員 まさにそのとおりでございまして、私に言わせれば、この検討委員会は余り余計なことは考えないで、住宅に特化して、被災した国民が自分の家がつぶれてしまって、これを建ち上げるにはどうしたらいいかというところに特化した検討委員会であってほしい、このように思う次第であります。今後の検討委員会の動きを詳細に検討させていただきたい、フォローアップしてまいりたい、このように思います。  では、住宅をどうするのかということでございます。震災後のさまざまな苦悩の中で、国も地方自治体も一生懸命住宅建設に当たってまいりました。少し、私が持っております資料で申し上げますと、兵庫県で被災した住宅は合計で、推計ですけれども、十二万五千戸と推計いたしました。再建が必要とされる住宅を推計いたしまして、十二万五千戸。それから四年たちまして、十一年の一月一日現在で、既に着工しているのが十六万二千戸、今完成しているのは十四万五千戸となっておりまして、十二万五千戸と推計いたしました数からいいますと、はるかに、四万戸以上オーバーして住宅が建っているということでございます。  その中でも、公営住宅はどれだけ建てるかということで計画をいたしまして、兵庫県は三万八千六百戸と計画いたしました。それで、着工戸数は既に四万一千百戸となっておりまして、一〇六%計画より上回って建つだろうということでございます。その中でも、今申し上げました災害復興公営住宅、再開発系住宅、災害復興準公営住宅、公団・公社住宅と、いろいろな種類がありますけれども、これを含めて八万五百戸、こういうふうに計画を立てまして、今、発注済みも入れますと九二・四%、ほぼ一〇〇%に近づいているという状況でございます。  ですから、これから見ますと、要するに住むところ、住宅は、被災した住宅の戸数をはるかに超えて完成しました、数はそろいましたというのが今日の状況だろうというふうに思うのであります。数がそろったんだから、ではもう住宅問題は片づいたのかということになりますと、実は、さまざまな問題をこの中に含んでおりまして、特に持ち家の方々の滅失した住宅は一体何戸あって、そして持ち家の新規着工戸数は何戸あって、その差がどうであるのか。つまり、新規着工戸数は統計上わかるわけでありますが、滅失の推定戸数もわかるのですが、どういう人がどういう建て方をして個人住宅を建て上げてきたかという統計はないのであります。  そこが非常に問題でございまして、例えば、神戸市はこういう統計を出しております。神戸市は、滅失した戸数は七万九千三百戸と数えております。兵庫県にももうちょっと詳しい数字を聞けばわかったかもしれませんけれども、今私の手元にございませんから、神戸市の数でいいます。それで、公営住宅もつぶれましたから、それを足しますと、滅失した戸数は八万二千戸、こうなっております。そのうち木造が八七%、そうなっておりまして、要するに八万二千戸が神戸市で滅失したと。それで、神戸市だけで見ますと、既に住宅着工戸数は十三万戸となっておりまして、八万二千戸を大きく上回ったという統計が出るわけであります。  そこで、復興本部ないしは建設省、おいでになるでしょうか。この数字を見て、持ち家の皆さんの住宅復興はでき上がった、完成したというふうに考えるのかどうか、その辺の認識をお聞きしたいと思います。
  36. 高橋健文

    高橋(健)政府委員 住宅統計から見て持ち家が復興したかどうか、そういうお話でございます。  これにつきましては、住宅統計では、被災者の持ち家再建かどうかという建築主体別の統計はしておりませんので、はっきりしたことは申し上げられません。ただ、震災直後に持ち家の再建が大変急激に増加しております。そういうようなことから推測しますれば、被災者の住宅再建が震災直後から大幅に進んだ、そういうふうに推測できると思います。
  37. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうおっしゃるだろうと思いました。  ですから、統計上の数字はそうでございますけれども、実際、町中を歩いてみましたら、そんなふうにはなっていないのですね。  したがって、私はこの検討委員会にお願いしたいのですが、もうちょっと、悉皆調査とまではいきませんけれども、どこか特定の、神戸市も西部それから中央部、東部と大体三カ所ぐらいしか集中して倒壊したところはないわけでありますから、できる限り個別に統計をとっていただきまして、新しく建ったところは一体どういうふうにして建てたのか、ダブルローンなんというような話もございましたが、本当にどれぐらいダブルローンを抱えて建築なさったのか。それから、公営住宅にだあっとみんな移っているわけですけれども、自宅を建て上げることをあきらめた人もいるわけでございまして、そういう少し細かな調査をしませんと、数の上だけで、今や民間住宅などは余っておりまして、あるいはマンションなども空き家が二〇%ぐらいありまして、民間が地震の結果を見て非常に意欲的に投資をしたけれども思うように入らなかったというようなところもあって、今後の都市型の大震災をどの町が、どの都市が経験するのかわかりません。十二万五千戸も倒壊するというふうな地震はそうめったにないだろうと思いますけれども、この辺のきっちりしたデータを持っておかないと、今後の地震対策についても相も変わらぬ震災対策が行われるのじゃないかということを、私はきょう申し上げたいのであります。  そこで、私ども神戸におります者は、それぞれがそれぞれのグループで、何とか家を建て直す方法を考えようじゃないかということがありまして、例えば地震保険。一体、地震保険て何なんだと、地震保険の加入率が非常に低い。まして神戸市民は、地震など来るとは一度も思っておりませんから。ところが、地震が来た。そして、地震が来た後に、十二時間後ぐらいでも火が起きまして、そして火災に遭う。しかし、これは地震による火災と認定されれば、免責条項で火災保険の保険料は返ってこない、保険金は払い戻しが受けられないというようなこともございまして、地震保険についてもいろいろ考えたのです。  例えば、震災がどんと来たときには、直ちに火災保険に入っている人たちに例えば千円ずつ上乗せしまして、全保険者から千円ずつ取って、それで被災地の住宅復興に充てるとか、これは一、二度大蔵省にも持っていったことがあるのですけれども、けんもほろろに、そんなことはできません、こう言われたわけであります。  地元で具体的に起こりました運動は、やはり地元が地震の実態を見て、これはどうにもならないという実感から生まれたわけでございまして、例えば、兵庫県が音頭をとりまして、一九九六年七月十九日に自然災害に対する国民的保障制度を求める国民会議というのを発足させまして、各都道府県を説得して、やっと十二月には都道府県民会議が発足いたします。そして、すべての被災者が住宅と家財の保障をひとしく受けられる制度をつくってほしい、これを国民的保障制度と呼びました。  それから、この団体は、生協連やあるいは全労済や労働組合の連合、そして県当局などが一生懸命やりまして、二千五百万人分の署名を集めまして総理府に持っていったと思います。これも、実はナシのつぶてといいましょうか、けんもほろろといいましょうか、これにはどういうふうにお答えになったのですか、お聞きしたいと思います。
  38. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 お答えいたします。  自然災害に対する国民的保障制度を求める国民会議や都道府県民会議の趣旨に賛同して全国二千五百万人の方々が署名された事実等については、率直に受けとめておるところでございます。  こうした運動も背景にいたしまして、昨年五月、被災者生活再建支援法が成立し、被災者の自立した生活の開始を支援するための支援金制度が新たに設けられたところでありますが、現在、四月からの運用開始に向けて準備を進めているところでございます。  さらに、住宅再建支援のあり方につきましては、支援法附則を踏まえて検討委員会を設置したところでありまして、今後、兵庫県等被災地公共団体の意見も伺いながら、総合的な見地から検討をしていくというようなことで進めさせていただいているところでございます。
  39. 土肥隆一

    ○土肥委員 ただいまの答弁は大変貴重な答弁でございまして、生活支援基金はもうできました、今度は住宅をやるんです、こうおっしゃっています。これは大変重大な決断でございまして、本当にできるのですねということを念を押したくなるくらいの今の御発言でございます。  果たして、この検討委員会が、全国的にあまねく自然災害に対する保障をする、しかもそれは、住宅と家財についての保障をするというその要望にのっとってやった、やるのがこの検討委員会である。もう一度確認させてください。
  40. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 住宅再建支援のあり方につきましては、支援法の附則を踏まえて検討委員会を設置したことを申し上げましたが、その中で幅広く総合的な検討を行っていくということを申し上げておるところでございます。
  41. 土肥隆一

    ○土肥委員 総合的というところがちょっと気になるところでございまして、要は住宅、家財に関する全国民的な救済制度がここから生まれるかもしれない、生まれるに違いない、このようにお聞きしておきます。  地震保険についてちょっと、どなたでしょうか、大蔵省ですか。なぜ地震保険がこれにこたえられるような形にならないのか、地震保険の現状。そして、もし地震保険があまねく家を持っている国民が大きな負担を負わないで参加できれば、それで、ある程度それを義務づけるような方向にあれば、これはもう一気に地震保険で解決するわけですね。地震保険ではこういうことは無理なんでしょうか。全国的な、あまねくというようなことは無理なんでしょうか。
  42. 二宮洋二

    ○二宮説明員 お答えいたします。  まず、現状でございますが、地震保険の普及率は、これまで大きな被害を伴う地震が余り発生しなかったこと等の理由から低迷しておりましたが、阪神淡路大震災の発生以来、保険業界は、地震保険の一層の普及拡大を図るための施策に従前以上の力を入れて取り組んできておるわけでございます。  その結果、地震保険の世帯普及率は、震災前の七・〇%、これは平成六年三月でございますが、それから平成十年三月末には一四・二%ということで、約二倍に増加しており、着実に伸びてきているわけでございます。また、契約件数にいたしますと、これはやはり震災前の三百八万件から、直近、十年三月末六百五十七万件という形で、三百四十九万件の増加という形になっております。  お話のございました、地震皆共済ができないかということでございますが、その内容につきましては、すべての住宅所有者等を強制加入するというような負担増を多くの国民が受け入れられるか、そういうコンセンサスがとれるかということが一点。また、現行の損害保険会社の地震保険というのは、利潤を認めずに、可能な限り低い料率を提示しているということに対して、今考えられているようなスキームはこの料率よりはるかに低い負担で機能するということでございますが、本当にこのような仕組みで可能なのか。そんな種々の問題がございまして、本件につきましては、さまざまな角度から極めて慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
  43. 土肥隆一

    ○土肥委員 今まさに、多くの国民のコンセンサスが得られない、こうおっしゃっていますね。  そうしたら、国民的保障制度はコンセンサスが得られるとお思いになるのでしょうか。お答えください。
  44. 二宮洋二

    ○二宮説明員 今御指摘のあったような点につきましては、まさに先生御指摘のとおり、現在、国土庁に設けられた被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討会におきまして、地震を含めた自然災害に対する各種住宅再建支援策について検討がなされることとなっておりますので、我々としても、その御議論を踏まえて対応させていただくということにしたいと思っております。
  45. 土肥隆一

    ○土肥委員 国土庁はどうですか、国民的コンセンサスは得られますか。得られるとお考えで検討委員会を置かれたのじゃないですか。
  46. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 先ほど申しましたように、住宅再建策のあり方に関して、地元被災地公共団体、これは必ずしも阪神だけではなくて、奥尻あるいは雲仙等の既存の災害におきますその被災公共団体のヒアリングもございますが、そういったことなども踏まえまして、幅広く住宅再建のあり方について検討するというものでございます。  その中には、例えば耐震改修の問題とか、あるいは応急への対応における仮設住宅等のあり方等々、それから復旧復興段階におけるいろいろな住宅再建の施策等について、既存の施策等につきまして、どういう現状の評価等を行う等々の幅広い検討課題を設けておるところでございますので、そういった中でいろいろなことを検討していきたいというふうに考えておりまして、一つ特定のことにつきまして今できると考えているかどうかということについては、まだこれから検討するという段階でございますので、この段階では何とも申し上げられないということをお許しいただきたいと思います。
  47. 土肥隆一

    ○土肥委員 震災後四年過ぎまして、そして、このいわゆる国民会議ができて、国民的保障制度の署名も行われて、何とかしようじゃないかという国民的な期待があったのが、震災の翌年の七月十九日でございました。それからまた三年たったわけでございますから、地元状況もやや落ちついてきていることは事実でございますが、大蔵省は地震保険というものの普及率が倍になったといっても、それは加入率は一四・二%にすぎないということでございまして、これではもうとても間に合わない。それじゃいわゆる国民的保障制度でやっていけるのか、この辺は検討委員会は相当専門的な、そして国民を挙げて理解が得られないと達成できない課題だろうというふうに思う次第でございます。  国会もまた、ぜひとも災特の皆さんも、災害は繰り返しやってくるわけでありますから、家を持っている人に着目をしているということからいえば、借家人だとかあるいはアパートに暮らしている人たち、賃貸の人たちは関係ないというふうに思われますけれども、こういう大規模な地震が起きますと根こそぎ持っていかれるというか、神戸の地震は洪水じゃございません、あるいは高波じゃございませんけれども、それに近い形で面的にもざっと持っていかれてしまうような災害であるわけでありまして、そこへ人を戻すというのが大変苦労しているわけです。人をここへもう一度戻して、そして、もちろん区画整理だとかいろいろな整備事業がございますから、それも考えながら、早く被災地に人々が戻ってくるということが大事なんであります。  しばらくといって仮設住宅二年間、もう今や四年間、まだ仮設に五、六千人の方がいらっしゃるわけでありまして、何でもごそっと動かして、四万戸の仮設住宅をばっととにかくあらゆる空き地につくりまして、そこへ全部入れる。その前は学校の講堂、図書館などにも、あるいは公的な文化ホールや何かも含めて三十万人からの者がばっと避難する。四万戸の仮設住宅に戻っていく。そして十一万二千戸ですか、恒久住宅にさあ入りなさい。もうまるで右往左往なわけです。  市場で小商売をしていらっしゃる皆さんは、早く商売をしないと自分の生活費が生み出せませんから、もとあるところに市場をつくるわけです。ところが人がおりませんから、マスコミがわあわあ言っている間はお客さんが来ますけれども、それが終わってしまうとがらんとして物が売れない。わざわざそこまで買いに来る人はいないわけであります。  だから、住宅を持っている人、能力のある人には早く住宅を建てさせて、そして区画整理にかかっておればそれなりの制限があるわけですから、また後でつぶさなきゃいけないということもありますからその程度の家を建てさせるとか、いろいろ工夫をしないと、何もかもごっそり行ってごっそり帰ってくる、どっと公営住宅を建ててどっと人をそこへ、言葉は悪いですけれども、押し込んでいくというふうな震災対策ではやはりいかがなものかな。この次どこかの都市で三十万人からの被災者が出たときにどうするんだろうという心配すらするわけであります。  そういうふうな人の動きや商売人さんのことや、あるいは町の中にもう一度住宅を戻していく方法とか、それでも間に合わないところで仮設住宅を建てるとか、そういう検討もこの検討委員会でやっていただかないと、今後の大震災に対する検討をすることにはならないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  そういう中で、結局、個人住宅をどう建てかえさせていくのかという問題、そういう視点が、私有財産をふやすことになるとか私有地に公的な仮設は建てられないとか、公営住宅をつくる場合にはスケールメリットが要るから、やはりもとの小さなところに小さなアパートを公営でもいいからまた建てていくというとスケールメリットがないからとかいうことで、結局は個人住宅の再建は最後になった。最後になったというよりは、もう検討課題から外れてしまった、こういうふうに思うわけであります。  そういう意味で、この在り方に関する検討委員会の持っている使命は極めて大きい。そして、何か漠たる震災対策ではなくて、いかにしたら個人の資力、能力のある人に早く家を建てさせるかという視点でぜひとも今後検討していただきたいと思うんであります。  さて、少し質問を進めますが、例えば、被災者生活再建支援法案でも阪神淡路大震災に対する遡及はされませんでした。しかしながら、同等の支援措置を復興基金などを通じてやろうということで、それは大変ありがたい結構なことでございました。この検討委員会ですが、何年ぐらいかけて結論を出し、かつ阪神淡路大震災に対する何らかの支援措置も考えられるような制度になり得るのかどうか、その辺をお聞きします。
  48. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先ほどから先生の御意見を伺っておりまして、それがゆえに、一番最初の先生の御質問にございましたように、それは私的なものではない、国土庁長官という、重みと言うとちょっと口幅ったい表現になりますけれども、省を挙げて私がその指導をさせていただくということでございます。  そして、この検討委員会におきまして、先生の今御指摘をされた問題などは当然国土庁から報告をいたしまして、そういう角度からも私は検討すべきだろうと思っております。ですから、地震災害に対しますことも、あれだけ全国で大勢の方の署名もいただいております。そういうようなことも考えながら、ただ、今までの地震保険はどうしても個人負担ということになっておるわけでございまして、強制的に全国民にそれを網羅することができるかどうか。それは、今まではそういうようなことをやっておりませんけれども、こういう体験を受けた上で、また戦後もう半世紀以上たった、社会的ないろいろな考え方も変わってきておりますから、そういうようなことも含めて委員会で私は審議をしていただきたいと思っておるわけでございます。  それで、この結論でございますが、やはり早ければ早いほどいいわけでございましょうが、現在のところは、一年半程度で結論を得たいなというふうに考えております。
  49. 土肥隆一

    ○土肥委員 今大臣の答弁の中には、まだ残っておりまして、検討委員会の結論、提言がなされたときに同等の支援が、遡及とは言いませんけれども、同等の支援が阪神淡路にも適用されるだろうかという質問についてはどうでしょうか。
  50. 高橋健文

    高橋(健)政府委員 今回の検討委員会の成果が阪神淡路大震災にも同等の措置として適用されるかどうかという御質問でございますが、今回の検討委員会におきましては、阪神淡路大震災やあるいは雲仙・普賢岳災害、北海道南西沖地震、そういった既存の大災害教訓を踏まえまして、将来の自然災害により住宅を失った被災者に対する住宅再建支援のあり方について総合的な見地からの検討が行われる、そういうふうに伺っております。  阪神淡路につきましては、生活再建の前提となります住宅確保対策といたしまして、公営住宅の大量供給や家賃の大幅引き下げ、また住宅金融公庫の金利引き下げや復興基金によります利子補給など、政府としてもできる限りの措置を講じてきておるところでございます。  今後とも、これらの支援策を着実に推進してまいりたいと考えております。
  51. 土肥隆一

    ○土肥委員 やはり、将来の被災、震災に対してとる措置を考えるんだ、阪神淡路大震災については今あるさまざまな支援制度でやってくれ、こういうことでございます。そうだとすれば、神戸市当局もあるいは兵庫県も余り熱心に協力しないんじゃないかというような気もするわけです。自分の役に立たないものはそんなに熱心にやれるわけないんでありまして。  例えば、冒頭申しましたように、もう少しきめ細かな、悉皆調査に近い、一人一人がどうやって家を建てていったかというような調査というのは、これはもう地方自治体に頼まないとだれもできないわけでありまして、過去の震災は教訓であるといえばそうかもしれませんけれども阪神淡路で既に家を建てた人、あるいは建てられないでいる人、特に建てられないでいる人が、あなたは資力がないんだから公営住宅に入りなさい、あるいは金利もまけてあげますよ、利子補給もしますよというわけですけれども、それでも建てられない人は建てられない。仕方がないから公営住宅に入りなさい、こういうわけですね。  そうすると、私の選挙区の須磨の更地になっておりますところとか長田の南部の復興公営住宅が建っているところは、えらい元気で、どんどん建ち上がっていますけれども、その裏側にある広漠たる空き地は、結局家は戻ってこないんだな、人は戻ってこないんだなという感じがいたします。あらゆる能力を傾けて、建て上げた人は建て上げたわけです。だけれども、まだよく戸数としてはわかりませんけれども、相当の人が断念して公営住宅に入っていくということでございましょう。  やはり、阪神淡路大震災教訓とするというならば、何度も申し上げますように、個人住宅の再建をなるべく急がせるような施策、それも思い切った、公的資金を投じてでもやるべきだと私は考えております。またいろいろな検討委員会の結論が出る、その都度私は御意見を申し上げたいと思うのであります。  今、結論は一年半ほどということでございましたけれども、どんな検討もやはり優先順位をつけていただきまして、まさにこの検討委員会の設置された目的が目的でございますから、住宅というものをまず第一番に挙げて検討していただきたいというふうに思います。  一つ私見を申し上げますと、住宅問題は、確かに個人の私的な財産の形成であることはあるんであります。しかし、仮設住宅が一戸三百五十万円ぐらいするんですね。一戸建てるのと、その一戸分を個人にいわば提供するといいましょうか、支出するというような大胆な発想をすれば、住宅だけ建てようと思えば一千万もあれば建つわけでありまして、どうせ区画整理などの地区に入っておれば、あるいは再開発の地域に入っておれば八百万から一千万ぐらいの家でまずは済むということであれば、三分の一は公的に支援したことになるわけですね。そうしたら、あと残った額で家を建てるということも可能でありまして、何か従来の住宅再建の発想では恐らく何も建たないだろうというふうに思うわけでございます。  私有財産に寄与するような税金は払えないというのでしたら永久に、大量の仮設住宅、大量の公的住宅を建てて、そして建てられる人は建てなさい、建てられない人はあきらめなさい、そうすれば、コミュニティーというのは全く新しいというか別種のものに、旧来から積み上げてきたコミュニティーではなくて、そこには何の親しみもない町づくりがなされる。広漠たる、昔のよき隣人関係などというものは全く念頭にない住宅対策になってしまうというふうに思う次第でございます。  今、阪神淡路大震災とは無関係というふうにおっしゃいました。将来の施策に寄与するために検討委員会があるんだというわけでございます。どうでしょうか、政府として、大規模地震災害の住宅問題について、従来の考え方、今私がるる申し上げました私有財産云々についての考え方は一貫して変わらないというふうにお考えなのかどうか、お聞きいたします。
  52. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 検討委員会において、再三申し上げておりますが、幅広く検討を行うわけでございます。その中に、再建支援策に基本的な考え方として、被災者の自助努力と支援のあり方というのはどういうふうにあるべきかというような、まず基本論的な御議論もしていっていただく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。  そのような中で、今の御指摘の点についても触れられる可能性はないわけではないと思いますが、政府としましては、従来から、個人財産に対する保障はしないということを言ってまいりまして、被災者支援法においてもその考え方は一応貫かれておるというふうに考えているところでございまして、政府の考え方としては、個人財産に対する保障はすべきでないという考え方でございます。
  53. 土肥隆一

    ○土肥委員 これから地震が起こるであろう国民の皆さんに、自助努力でやりなさい、個人財産の支援はしませんと高らかに政府が宣言なさったわけであります。ですから、私たちもこれからはちょっと口のきき方を変えなきゃいけないですね。何らか甘い話はしないというふうに言わざるを得ない。これは極めて大切な話でございまして、現政府で現行法上個人財産に寄与するようなものは一切保障しないというこの建前は、建前どころかこの立場は、はっきりと言ってください。リップサービスであるとかいうようなことはもうやめていただきたい。  ですから、今私が言ったようなフレキシブルな、しかも大胆な住宅支援対策を出そうと思えば、現行法上、そして現政府の考え方ではそれはだめなんですということになれば、恐らくこの検討委員会では結論は出ないと思いますよ。  そして、共済制度でございますけれども、これも、地震保険がこのような状況であるわけでありまして、家を持っている人があまねく共済掛金を出して、兵庫県の案では一世帯毎月千円、年間一万二千円をずっと払っていって、五十年たっても百年たっても地震が来ないところは来ないわけでありますが、ずっと払っていくわけですね。そういう本当に国民的な支援が、あるいは国民的な理解がこれで起きるのかどうかということにもなりますし、大変難しい課題を背負っているなと。そのときに私が思うのは、やはり従来の政府の手法あるいは法の体系というものを超えるような大胆な案を出さない限り、こういう共済制度というのは根づかない、このように思うわけであります。  ぜひともその辺の御検討を、そして政府におかれましても、大胆な意見が出るくらいの柔軟性を持ってこの検討委員会を指示していただかないと、恐らく、一年半後、何も出ませんでしたということになるんじゃないか、そういう懸念をいたします。  したがって、これは政治の場が、我々国会議員がこういう壁を破っていかないといけないわけでありまして、ぜひとも、災特の委員のみならず、衆参あわせて、与党、野党問わず、早く家を建てさせて、今まであったコミュニティーが回復して、そこに購買力がつけば市場もマーケットも成り立つわけですから、そういう大胆な手法をとらない限り、神戸で四年たっても広漠たる更地を残すことになっているということでございます。  一年半ということでございますが、もっと早くというか、あるいは中間報告、中間結論などを出して、広く国民にこういう検討をしておりますよというふうな検討委員会にしていただきたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  54. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先ほどの先生の御質問にもお答えをしたいと思うのでございますが、まず今の質問でございます。中間報告云々ということがございますが、それはぜひ行っていきたいと思っております。  今後のスケジュールは、第二回の委員会を四月の二十三日に行いまして、そのときに阪神淡路大震災について被災地方の公共団体からヒアリングを行うようになっておりますから、そのときに先生の御意見等々も当然報告されるし、また阪神淡路の御関係の方から御意見が出てくると私は思います。ですから、そこで本当に真摯に受けとめていきたいと思っております。それから、第三回が五月ではございますが、これは雲仙岳の噴火災害あるいは北海道の南西沖地震災害についての被災者の地方公共団体からヒアリングを聞くということになっております。  ただ、これは両方を見ましても公共団体ということになっております。ですから、その中に先ほどのいろいろな、例えば国民が千円毎月掛けていくというようなことも当然阪神淡路関係の方からも出てくると思うわけでございます。ですから、個人の問題は一切受けないということでは決してございません。役所の方の答弁からすれば、そういうようなことをしないと彼の立場もないと思うわけでございまして、それがゆえに、ここでお互い政治家同士がこういうように意見の交換、ディベートをやっておるわけでございますから、先生の今のお考え方、そしてこの災害対策特別委員会の審議の内容がただ空論に終わらないように、そのことは必ず、いささかなりとも影響というものが行われて結論を出すようにやっていきたいと思っております。  ですから、一年半、先ほど言いましたように、早ければ早いほどいいということはわかっておりますが、極力早く行います。そして、その間の中間報告もこの委員会でお聞きをいただきたいと思っております。
  55. 土肥隆一

    ○土肥委員 まさに大臣のおっしゃるとおりでございまして、ここはもう、やはり役所の問題ではなくて、政治がこの壁を破らなければいけないというふうに思います。  ですから、私は、この検討委員会に大変期待しているということなんですね。最後の命綱というか、いろいろなことをやってきて、いよいよ住宅問題、個人住宅の再建のあり方について検討するというわけです。阪神淡路に遡及しないということではなくて、何か阪神淡路被災地の皆さんにも幾ばくかのメリットがあったり、あるいは将来、これから建てようとする人たちに何らかのインセンティブを働かせることができる、そういう中間答申を期待する次第でございます。  大臣、積極的に御指導いただきまして、この検討委員会がよき結論が出せるようにお願いを申し上げておきたいと思います。  先ほども何度か申し上げましたけれども阪神淡路大震災を経験したこの国は、この後の大震災、都市型の、直下型の大震災に対するシステム、これを、まずは復旧復興のシステム、そして市町村長あるいは首長、県知事などが、うちの町で兵庫県程度の地震が起きたときには、直ちにできることと、そしてやらなきゃならないことと中間的なことと、それから、やはりその中に、早く古いコミュニティーに人々が帰ってくる、そういうふうなところまで念頭に入れたいわば震災対策といいましょうか、そういうものをぜひとも検討してほしいと思うのであります。  例えば、中央防災会議がやりました「大都市地域の震災対策のあり方について」というのを読みましても、これではだめだなと。大まかな行政的対応はしているけれども、今申し上げましたように、被災市民の暮らしをそのまま取り上げていないというふうに思うのであります。  それから、地震防災対策特別措置法もそうでありますけれども、これも、都道府県と国の間をどうするか、そして福祉施設でありますとか学校でありますとか、負傷者を一時預かるとか、あるいは地震に関する観測だとかなんとかといろいろ挙げておりますけれども、今申しましたように、市民がすぐにあすから、被災してその翌日から生きていく、その生き方をやはりある程度決めておかないと、三十万人からが学校の講堂に避難して、三十万食、毎回用意しなきゃいけないんですね。  私も現場に行ってすさまじい状況を見てきたんですけれども、大体、一食三十万食なんというのを提供できるはずがないですね。提供しないでいいような方法を考えるとか、あるいは半年も、ひょっとすると一年近くおった人、一年も過ぎた人もいますけれども、あの避難所がずっと続くというような事態ですね。そして今度は、厚生省、大変御苦労なさったんですが、どっと四万戸の仮設住宅を空き地を虫眼鏡で探しながらつくっていかれる。そのときには、そこがどういうコミュニティーなのか、どういう地域なのかはお構いなし、とにかくそこへほうり込めというようなことをしない限り、あんな四万戸なんという仮設住宅は建たないんですよ。  どうでしょうか、やはりこういう方式になるんでしょうか。現行法制上、厚生省が災害のための仮設住宅を建てるとすれば、こんな方式、つまり規格品で、そしてどこへ行っても同じような鉄板の長屋の仮設住宅に終始して、神戸なんかの場合はもう四年間そこに住めというふうな考え方でやるんでしょうか。厚生省の御意見を聞きたいと思います。
  56. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 ただいま先生がおっしゃられましたように、応急仮設住宅というのは、あくまで、基本的には避難所から恒久住宅への間のつなぎの住宅だろうというふうな意識をいたしております。したがいまして、非常に不便をおかけするということも、ある意味ではやむを得ないところがあろうかと思います。ただ、いずれにせよ、一番重要なことは、一日も早く恒久的な住宅で安定した生活をしていただくということが何よりの復興対策だろうということでございます。  ただ、応急仮設住宅の改善につきましては、今回の阪神淡路教訓を踏まえまして、私ども、いろいろと勉強しているところでございます。
  57. 土肥隆一

    ○土肥委員 そういう答弁だろうと思いますね。  だから、それは最低限、二年で出られるならいいんですよ。そうじゃなくて、どうしてこんなところに入れられたんだろうというような人もおれば、とても不便なところもあれば、まあ二年間は我慢できましょうけれども、四年というのはやはり問題でして、それから、この豊かな日本の国で、震災後に住む家は、人の見方によれば、結構な家だと言う人もいるので私は驚いちゃうのですけれども、既製品のプレハブ住宅とはいいながら、もう少し質のいいものとか、あるいは家族によってはスペースを変えられるとか、これからの震災においてはもう一層の工夫があって、金がないというようなことじゃなくて、最低二年、法律上は二年、ほとんどの人が三年間おる、四年目に至ってもまだいらっしゃるというような状況から考えると、もう少し工夫もあっていいのじゃないかなという意見があるのですが、いかがでしょうか。最後にお答えください。
  58. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 私ども、応急仮設住宅について、一時的にしろ、やはりより快適な環境でできるだけ過ごしていただくということが重要だろうというふうに思っております。  そのために、例えば高齢者の方については、その高齢者の方に適するような施設設備を設けるとかいうようなことも考えておりますし、今回の阪神淡路につきまして、私ども平成八年に災害救助の研究会というものをつくりまして、いろいろと応急仮設住宅の問題というものを洗い出しました。その中にも、先生が今御指摘されたような、画一的であるとかいうような御指摘もあります。  これは、ある意味では、大量に応急仮設住宅を一時つくらなくちゃいけなかったというような事情もあったかと思いますけれども、やはりそれぞれの入っていただく方々の家族や状況に応じた新たな対応というものは必要だろうというふうに思っております。
  59. 土肥隆一

    ○土肥委員 終わります。ありがとうございました。
  60. 中村鋭一

    中村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十二分休憩      ————◇—————     午後二時四十分開議
  61. 中村鋭一

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西博義君。
  62. 西博義

    ○西委員 公明党の西博義でございます。大臣、大変お忙しいところを御苦労さまでございます。  午前中、危機管理に関する質疑がございまして、その方向としては、特に災害の復興ということなどを中心に詳細な質疑がございました。私は、どちらかというと、その手前の初動段階のことについて大臣と若干議論をさせていただきたい、こう思っております。  まず初めに、災害対策から見た中央省庁の再編のことが今話題になっておりますが、この問題について若干議論させていただきます。続いて、阪神大震災それからナホトカ号の重油流出事故などの大きな災害、事故の経験を踏まえて、平成九年の六月に防災基本計画というものが改定されておりますが、この防災基本計画を中心に質問をさせていただきたいと思っております。  まず初めに、現在、中央省庁の再編の準備が着々と進んでいるようですが、これは、今後の我が国災害対策基本的なスキームを決めることになるというふうに認識をしております。私は、国の災害対策の組織づくりに当たって、今後は、事後の処理ももちろん大事ですけれども、それよりも、今の方向としては、即応体制にもっと重点を置くべきではないか、迅速な初動の活動ができるように、そういう仕組みをこの際つくっていくべきではないかということを申し上げたいわけでございます。そんな観点から中央省庁の再編を見て、幾つかの問題点を私の方から指摘させていただきたいと思っております。  災害対策基本法は、御存じのように、緊急災害対策本部、これは、著しく異常かつ激甚な災害が発生した場合には総理大臣を本部長として設置をされると。一方、非常災害対策本部、これは現在の体制では、自然災害では建設・国土大臣、まさしく大臣の所管でございます。それから、航空事故それから海上災害等におきましては運輸大臣の所管であると。それから、原子力事故に関しては通産大臣とか、あるいは文部、科学技術のケースもあります。そんなことになるんですが、これが中央省庁の再編後は、国土庁が担当しておりました自然災害については内閣府が担当する、こういうことになるというふうにお伺いしております。  そうしますと、軽微な非常災害対策本部の段階でも、いわば総理大臣の所管の部門が担当ということになりまして、災害対策本部長が総理大臣ということになるのかどうか。実際には、担当大臣を任命するとか他の大臣が兼任をされるとかいうことになるんだと思うんです。  今ちょっとこの一枚の紙を配らせていただきましたが、今ずっと説明させていただきましたように、現行の部分、これは総理大臣とそれぞれの大臣、自然災害海上・航空事故、原子力事故、これは現行ですが、中央省庁が再編された後の、今私が指摘したいのは、自然災害の部分では、重大な事故、緊急災害対策本部長は総理大臣で、これは皆そうなんですが、非常災害対策本部長が所管としては総理大臣になっているということですね。もちろん、その中で兼任ということもあり得るのか、または担当大臣を置いて所管をするのかということを今言いたいわけですが、いずれにしても、この自然災害に関しては内閣発足のたびごとにどういう形にするのか、総理がそのままおやりになるということであれば、これはもう決まってしまうわけですが、そういう事態が生まれるんではないかということでございます。  それから、先ほども申し上げましたけれども、再編後は、現在の国土庁防災局が内閣府に移動になると。全体的には国土庁は国土交通の方に移動するわけですが、防災局は内閣府の方に移動する、こういうことだと思うんですが、国土交通大臣が兼任した場合には、大臣と事務局、大臣は国土交通の部局、それから事務局は内閣府に置かれるという意味では分離したという状態になると思います。これが二つ目の問題点だと思います。  それで、兼任しないというふうにしますと、災害対策担当大臣を任命する、こういうことですが、私は、災害対策担当大臣は常置すべきだ、きちっともう常に置いておくべきだ、こういうふうに思います。今後も内閣府が防災についての総合調整を行うということでございますけれども、実際には自然災害部門だけで、海上・航空事故や原子力事故など、それぞれ国土交通省や経済産業省などが対応するということになって、現在と同様に一元化されないのではないか、こういうことが第三点目の問題でございます。  そういう意味で私は、内閣府が一元的に、大規模災害はいわゆる緊急災害対策本部非常災害対策本部を通じて一元化して扱うべきだというふうに考えておりますが、こんな点が今考えられることだと認識しております。今後の再編を進めていくに当たって、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  63. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生からいただきましたこの書類でございますが、いわゆる緊急災害対策本部長というのは、これは先生御指摘のように、自然災害において総理大臣ということでございまして、御指摘の問題は、非常災害対策本部長が今は建設・国土になっておりますが、この中央省庁再編後どうなるかということですが、その結論から言いますと、図式上は先生のこの書類のように総理大臣というようなことになるかもしれませんが、そのときに例えば国土交通大臣が担当ということになれば、そこで担当の大臣になることはできると私は今認識をしておるところでございます。  ですから、そういうようなことがどうなるかというのは、これからまた細かなことは煮詰めていかなければならないと思うわけでございますが、確かに、非常災害対策本部長としても、総理大臣ということではなくして、総理大臣というのはあらゆる分野の行政をされるわけでございますから、そういう意味においては、先生御指摘のように、もう担当のきちっとした、自然災害はどの大臣であるということを私は決めるべきではないかな、そのように思っております。  ですから、そういう意味におきましては、私は、この国土交通大臣が担当できる方向で努力はいたしたいと思います。
  64. 西博義

    ○西委員 私も、やはりだれが担当ということをあらかじめ決めておいた方が、責任の所在もはっきりするし、その方がいいんじゃないかというふうに思っております。  次に、一月の二十六日、「中央省庁等改革に係る大綱」という書類が発表されました。その別表として「府省の官房及び局の名称及び主な所掌事務の概要」、それぞれの府とか省の事務内容の説明の資料があります。それで、防災に関する部局のことについてははっきり明示はされていないんですが、私は、緊急事態に迅速かつ効果的に対応するためには、例えば、よく言われるアメリカのFEMA等に準じた緊急事態管理庁とかもしくは緊急事態管理局ということになるんでしょうか、そんな感じのものを内閣府の中につくるべきだというふうに思います。そんな大規模な、FEMAのような大々的なものではなくても、一般の行政官僚組織という性格ではなくて、少なくとも、現場でいろいろな方が動くんですけれども、例えば消防とか警察とか自衛隊の皆さんも応援されることもありますし、自治体も一生懸命に頑張る、そんな中でその関係組織をきちっと調整できる、いわば専門家集団ともいうべき組織があった方がいいんではないか、こう思うわけです。  平成九年の四月十七日、この災害対策特別委員会でも私申し上げたんですけれども、大きな自然災害や事故災害などの緊急事態対応するために一番大事なのは、やはり初動段階における責任を持って的確な判断を示す人ではないかというふうに思います。そんな意味で、その当時はアドバイザーという、最終決断をする人に対して事態をきちっと把握していただくためのアドバイスをする人、それからコーディネーター、各部局をきちっと調整できる専門家、こういう立場の人がどうしても必要になるんではないかという提言をさせていただきました。大災害、大事故など緊急事態に迅速、効果的に対応するためには、やはり組織的な力が必要であります。そんな意味で、そんなマネジメントができる人材をぜひともこの部局に配置していただきたい、こう思います。  自然災害を今担当されている建設・国土大臣としては、これからの将来の防災のセクションのあり方をどうお考えか、私見でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。
  65. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 確かに私も、先生のお考えと同意でございまして、やはり組織としてそういう訓練された専門家の方々が、やはり防災というのは初動が非常に重要だろうと思います。そういうようなことで、組織として防災対応力を強化しておくということは必要なことだろうと思うわけでございまして、ですから、内閣府にそれが包まれてしまったようなことになると、ちょっと対外的にも私はイメージダウンになるんではないかなと思うわけでございます。  国土交通省という新しいものができますが、その中できちっと、こういう災害対策には機敏に実動していくという組織、そしてまた、そういう人材というものは日ごろから組織化しておきたいと思っております。
  66. 西博義

    ○西委員 非常に明快なお答えをいただきましたけれども内閣府に置く組織としての防災関係のセクションと、それから依然として非常災害対策本部が持っている省庁の、いわば国土交通省の防災災害対策のセクションと、二つどうやらできてくるのかな、今大臣のお話を聞いてそう思うわけですが、そのまま国土庁の防災局が内閣府の方に行っちゃいますと、逆に言えば、今度できる国土交通省は新しい立ち上げをまたしなければいけないのかなというふうに若干今思ったものですから、大臣の今の答弁、もう少し詳しくお願いしたいと思います。
  67. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今の中央省庁再編のプランニングでいきますと、御指摘のように、国土庁防災局が現在担っております防災に関します総合調整機能というものは、内閣府に引き継がれるわけでございます。そういう状態の中で、内閣危機管理監というのができたわけでございますが、内閣危機管理監を初め内閣官房と緊密に連携をして、政府としての災害対策の充実を進めたいとは思うんでございますが、御指摘のように、そういうところと連携をやりながらというのは、いささか弱いという感じはするわけでございますが、今の組織改正ではそういうところになっておるんでございます。  二〇〇一年からでございますから、それまで一年ばかりございますから、またそういう意味でもっての進め方もできるだけ努力したいとは思います。
  68. 西博義

    ○西委員 阪神大震災、それからタンカー事故で問われた最大の問題点は、初動段階の国の即応態勢をいかにするか、こういうことだったように思います。特にタンカー事故の場合は、そもそもは民間の事故ということでございましたので、国の緊急時計画で、非常災害対策本部権限はおろか、位置づけも一時はっきりしなかったという面があったように思います。そんなことが国会でいろいろ議論されましたが、この点に関しては、新しい防災基本計画では非常災害対策本部がきちっと位置づけられましたので、国がイニシアチブをとって対策をしていく、こういうことに改善をされました。  そこで、国がどのような大規模災害、事故に対応するか、こういうことでございますが、例えば、地震ではマグニチュード七、かなり大きな地震でございますとか、原子力の事故のレベルは六以上とか、ある程度目安となるトラブルの尺度、これだったら一応全面的に国がやっていくという大まかな尺度を設定すべきだ、こういうふうに考えるわけですけれども、大臣のお考えをお願いしたいと思います。
  69. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生御指摘のように、私もそう思うんでございますが、阪神淡路のあの大震災があってから、我が日本もこういう大震災に対する対策というのができ上がったんだろうと思うわけでございます。  今振り返ってみましても、あの阪神淡路の震災のときは、ちょうど私、四国の選挙区から東京へ出てくるときでございましたが、東京に着きましたときに、ですからもう午前九時ごろでございますが、そのときでも私たちが耳にいたしましたのは、阪神で大変な地震があったらしい、亡くなられた方は五、六人なんということを聞いておりました。それがもう刻々、まあ十分と言うとオーバーかもしれませんが、本当に数時間ごとにどんどんふえてくるんですから、いかに情報網が寸断されたとか、ああいう大きな震災になるとは思っていなかったのかもしれませんが、そういう状態でございましたから、本当にこれは私は初動の体制。ですから、東京でもそういう数値しか耳にすることはできないようなわけですから、そういうことが本当にもっと的確に報道されておればもっとこの動きが早くできて、それは想像の世界ではございますが、六千名以上の方が亡くならずに済んだのかなということすら思うわけでございます。  ですから、あのことを教訓として、災害対策には本当に徹底した対策をこの中央省庁再編というときにもやっていかなければならないと思うわけでございまして、そこで、先生が御心配されておるのは、どうも内閣に入ってしまうとそこが、お互いがそちらのことだとかいうようなことで弱くなるんじゃないかという御心配でしょうが、確かに私はそういう心配はあると思うので、そういうことはないようにしていきたいと思っております。  それで、先ほどの御質問でございますが、国土庁等の非常災害対策要員は、御指摘のように、震度が五以上の地震が発生した場合または津波警報が発せられた場合などには、それぞれの省庁に直ちに出向くということになっております。それから、国土庁などでも、防災関係機関の局長級で構成する緊急参集チームにありましては、例えば、東京二十三区でございましたら震度五以上、またはその他の地域におきましては震度六弱以上の場合は、総理官邸に緊急に参集をして、直ちに行動に移るというようなことをしておりますし、各防災機関におきましては、航空機その他目視、画像の利用、あるいは一一九番通報の状況その他の関連情報収集するというようなことでございまして、そういういろいろな被害状態を判断し、非常災害対策本部の設置を行うとともに、応急の緊急対策に動き出すというのが今の流れでございます。
  70. 西博義

    ○西委員 時間が参りました。以上で終わりますが、非常に丁寧かつ正確にお答えいただきました。しっかりと防災初動体制ができ上がりますように、御活躍をお祈りしております。  以上で終わります。
  71. 中村鋭一

    中村委員長 木村太郎君。
  72. 木村太郎

    ○木村(太)委員 午前中からの会議でありまして、大臣初め皆様方には心から御苦労さまとまず申し上げたいと思います。  早速でありますが、私は、大きく分けて二つの項目についてお尋ねしてまいりたいと思います。  まず一つが雪対策であります。  既に弥生三月に入りましたが、今季の冬は、特に日本海側を中心に、全国的にも大雪傾向になった印象を持っております。私の地元青森県でも例外ではありませんで、県と青森市の例でいいますと、累積の降雪量というのが、二月末時点において平年値の一冬分を百五十センチ以上も上回る九百六十六センチメートルとなっております。  今季のこの大雪による全国的な被害状況をどのようにつかんでいるのか、まずお伺いします。
  73. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 今年の雪害の状況についてのお尋ねでございますが、気象庁の調べでは、降雪の深さの三カ月、これは十二月から二月までということでございますが、その合計値が、北日本日本海側では平年を上回ったところが多い。旭川では、降雪の深さの合計値の最大値を更新したということでございます。北陸では平年を下回っている、また西日本日本海側でも一部を除いて平年を下回っているという報告がございます。  これらの降雪による全国の被害に関してでございますが、消防庁の三月一日現在の集計によりますと、雪おろし作業中の転落などにより、死者三十三名、住家の一部損壊五棟という報告がなされております。  また、農業関係被害につきましては、県の報告によりますれば、パイプハウス等に一部被害が発生しているとございますが、その他については特段の被害は報告されていないと聞いておるところでございます。
  74. 木村太郎

    ○木村(太)委員 間接的にも、人命が三十三名失われたということでありますし、五棟が崩壊したということでありますが、ただ、生活そのものについての支障が、やはり雪の降る地域においては大変なる一つの苦しみに近いような印象を持っているのも事実であります。  そこで、当委員会での長官の所信表明の中で、今季のこの雪に対してのことが触れられていなかったのでありまして、私は、先月の予算委員会分科会の場でもお聞かせいただきましたけれども、所信の中で触れておりませんでしたので、改めてお伺いしたいと思います。  大雪に対しての長官の考え方、どのようにとらえているのか、また特に、ちょうど今、新しい豪雪地帯対策基本計画をつくる動きが始まっておりますので、今後のこの雪対策に対する所信というものをお伺いしたいと思います。
  75. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今まで、雪に対します対策は、ハードの面は、それはそれなりに進んできたと思うわけでございますが、これからは、先生御指摘のように、やはりそういった豪雪地方の方々の生活を豊かにする、そういう点に私は今後は重点を置いていくべきだろうと思うわけでございます。私は四国の方ですから、そういう豪雪というのが正直申し上げましてぴんと頭にはこないんですけれども、もちろん、テレビだとかそういうフィルムでは見て感ずることはできるわけでございます。  そういうようなことで、今後の対策といたしましては、何といいましても、私は、そういう季節における交通、通信の確保のために必要な除雪、それから消融雪の適切なる実施とか、あるいは防雪施設維持保全、通信線路の地下ケーブル化、あるいは道路、通信施設等のそういう意味での整備というのをやっていかなければならないと思いますし、あるいはまた、先生御指摘のように、高齢者にも安全で快適な生活環境の形成を図るために必要な生活環境施設の整備ということをやっていかなければならないと思います。  ですから、家自体の構造もいろいろ変わってまいりましょう。それから、雪を解かすためのそういう電線の施設というものもまたやっていかなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、やはり高齢者が安全で安心して生活ができる対策ということも私は力を入れたいと思います。  それから、雪によります災害を防止いたしまして、いわゆる安全な国土の形成ということは、これはもう本来の基本的な仕事でございますから、そういう国土保全施設の整備ということをやっていく。それから、何といいましても、雪崩であるとか降雪のときの正確な気象情報を提供するというようなことも、これも重要なことだろうと思うわけでございまして、その気象情報の整備と強化ということをやっていきたいと思うわけでございます。  どうしても豪雪地帯の方々は、それだけ経済的にも、ただ単純に考えてみましても、雪が降っている道路を走るのとそういうところじゃない道路を走るのとは、しょせんスピードだって倍ぐらい違うわけでしょうから、そういう意味において、やはり私は、温かいバックアップの行政というものを豪雪地帯の方々に対しては進めていかなければならない、そういうふうに私自身は考えております。
  76. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ただいま御答弁あった長官の所信をもって、さらに努力を続けていただきたいと思います。  例えば、県民の平均所得なんかを全国的に順番をつけて一年に一回発表などありますが、一つ一つの順位の差はお金の金額にして余りないにしても、雪降る地域は、例えば一冬の灯油代、こういったことだけでも大変な額になりまして、だとすれば、所得から一冬の灯油代を取ると、ある面では経済的にも実質的なハンディみたいなものを背負っている、また感じているという声が私の地域なんかではよく聞かれます。  こういったことも一つのハンディととらえながらも、しかし、雪と我々は共存していかなければならないというような現実の姿がありますので、そこでまた、長官が今おっしゃってくれた所信をもって、国としてできることは何なのかということで、随時その整備を進めていってほしいということをお願いしたいと思います。  次に、特にこの冬問題になっている、また心配されている点の一つでありますが、県、市町村にとって、自治体にとってですが、除排雪費の不足を来しているところがふえておりまして、既に専決処分として、今月開かれている各自治体の議会等で、いろいろ承認をいただくような手はずをしているところが多いようであります。自治体は財政基盤もやはり弱いところがありまして、県、市町村の財政における除排雪費というものは、ばかにならないお金としてとらえられております。こういったことに対しての国の対応を今後どう考えているのか、お伺いします。
  77. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方公共団体におきます除排雪経費に対します財政措置でございますが、これにつきましては基本的に、まず普通交付税の基準財政需要額の算定におきまして、いわゆる寒冷補正という形で、その所要額を積雪等の実態を踏まえて措置しているところでございます。十年度で申しますと、全国で約千六百億をこの積雪等に応じた補正という形で基準財政需要額に算入いたしております。  なお、その上で、豪雪等によりまして、除排雪に要します経費がそれで足りないといいますか、それを上回るというようなケースがございます。そういう場合に、関係の県なり市町村から除排雪に要した経費の報告をいただきまして、そういう必要とした一般財源の額、あるいは先ほど申しました普通交付税の算定額、それから、今委員が御指摘になりましたような個別団体の財政状況、それらを総合的に勘案しながら、特別交付税で財政措置をするという形をとっているところでございます。
  78. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ありがとうございました。ぜひ適切に対応していただきたいと思います。  二つ目の項目に入ってまいりますが、それは地理情報システム、GISということについてお尋ねしてまいります。  長官の所信表明の中で、地震防災情報システム、DISというものの整備推進について所信を述べられておりました。実は私、平成九年の十二月にこの委員会で、地理情報システム、GISといいますが、この整備についてお伺いしたことがあります。  調べてみますと、平成七年にはGIS関係省庁連絡会議政府は設置しておりまして、一体となった取り組みを展開するとしております。また、平成九年六月に改定されました防災基本計画の中でも、GISの構築について推進を図るとしております。さらには、平成九年十二月に閣議決定された新たな行政情報化推進基本計画という中で、GISの効率的な整備、相互利用を促進していく旨のことが盛り込まれております。  私は、前にこのGISの整備いかんというような趣旨の質問をさせていただきました。そのとき、答弁としては、国土庁の方からは、阪神淡路大震災の経験から、地震発生直後における政府初動体制の迅速化が改めて認識されたところであり、GISを用いた、今回長官が所信で表明された地震防災情報システム、DISの緊急整備を推進してまいりたいというような答弁がありました。また、消防庁からも、このGISについての必要性を認識する答弁がありました。  これらの答弁を考えても、私が思うに、今回長官が所信で触れられたDISを整備していくためにも、またその前提としても、私が今取り上げておりますGIS、地理情報システムの整備が重要と考えますが、いかがでしょうか。
  79. 小林勇造

    小林(勇)政府委員 ただいま御指摘のございましたGIS、日本語ですと地理情報システムと申しておりますが、これにつきましては、御承知のとおりだとは思いますが、多様な情報を統合的に処理、管理、分析し、その結果を表示するコンピューターシステム全体を指しております。  そして、今後このデータ整備が着実に進展すれば、非常に高度な分析や迅速な判断を可能とする技術ということで、これは先生も御指摘がございますように、防災を初め各種の行政計画の策定だとか、あるいは環境の保全、救急医療だとか、あるいは福祉、教育、環境、危機管理等の非常に幅広い分野における応用が将来的に期待されており、高度情報通信社会においてその重要性が極めて高いと考えております。
  80. 木村太郎

    ○木村(太)委員 極めて重要性が高いという御答弁でありましたので、そうしますと、国としてこのGISへの取り組みをどのように考えているのか、具体的にあればお答えいただきたいと思います。
  81. 小林勇造

    小林(勇)政府委員 GISにつきましては、これまで、先ほどもお触れになりましたけれども平成七年の九月にGIS関係省庁会議というものを設置しまして長期計画を策定しておりまして、これに基づいて諸般の施策を現在進めているところでございます。  そして、長期計画においては、平成八年度からおおむね三年間を基盤形成期としており、本年度末には、GISを利用する上で不可欠な地図データ等から成る国土空間データ基盤の標準化、これが一番重要なことでございますが、この標準化を終えまして、また、その整備計画を本年度末までに策定することにしております。  そして、さらに平成十一年度からおおむね三年間の普及期においては、この標準化及び整備計画に基づき、GISの普及を積極的に政府全体として取り組んでいきたいという考えでございます。
  82. 木村太郎

    ○木村(太)委員 そうしますと、平成十一年から三年間で具体的に整備を促進していくというふうに考えてよろしいのでしょうか。そして、それが進んでいくとすれば、長官が触れられたDISの整備もさらに進んでいくというふうに考えていいでしょうか。
  83. 小林勇造

    小林(勇)政府委員 まさにそのとおりでございますが、ただ一つ、基本的なデータ整備、これがまだ始まったばかりでございますので、応用編である個別の、例えば防災その他もろもろのいろいろな高度の利用が非常に期待されておりますが、すぐ来年から三年間ですべてが終わるということではなくて、この普及期の基本的な整備計画に基づく作業が始まるということでございまして、すぐにあしたから効果があるということではございませんが、非常に重要なことでございますので、政府全体として積極的に取り組んでいきたいということでございます。
  84. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ぜひ私も、個人的にも期待を申し上げたいと思います。  というのは、先ほどの答弁にもありましたけれども、このGISというのは、防災害対策のみならず、福祉、医療などさまざまな分野において活用が図られる、また広範囲に活用できるだろうというふうにも言われております。よって、また都道府県や市町村においても既に取り組んでいるところもあるようにも聞いておりますし、地元で恐縮でありますが、私の地元青森県でも積極的に取り組んでいく姿勢があるようであります。  こういった、地域でもいろいろな動きが出ている中でのいわゆる国の支援みたいなもの、バックアップみたいなものをどのように考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  85. 香山充弘

    ○香山政府委員 自治省の総務審議官でございますけれども、先ほど来お話がございますGISにつきましては、関係省庁の連絡会議の方に私どもも積極的に参加をいたしておりまして、GISの意義、あるいはこの連絡会議におきます調査検討の成果等は地方団体に適宜連絡をいたしまして、周知を図ることといたしております。  また、自治省独自でも、平成十年度におきまして、複数で、システムが違うような部署の間で持っております空間データにつきましても共用が可能になりますように、いわゆる統合型GISというふうに申しておりますが、その実証実験を行いまして、その結果を統一的な仕様書の形で取りまとめをいたしまして、近く地方団体に連絡をいたしたいというふうに考えております。  また、地方団体がGISを導入した場合の経費につきましては、特別交付税による財政措置を講ずることといたしておりまして、今後とも、GISの普及、活用に積極的に努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  86. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ぜひ、技術的なバックアップ、そしてまた、今ありました財政的なバックアップも含めて、いろいろと地方自治体に対しても国として応援をお願いしたいと思います。  時間が来ましたので、最後の質問をして終わりますが、けさの朝刊を見ましたら、コンピューターの二〇〇〇年問題に関して、アメリカの上院特別委員会が、同問題が引き起こす社会的、経済的な影響を総合的に検証した調査報告書を発表したということであります。この中で、日本の準備状況については、問題を過小評価している、四段階評価では三という厳しい評価になっているというような報道がありました。  そこでお伺いしますが、防災害対策我が国として今後推進する上で、いわゆるコンピューターの二〇〇〇年問題の支障がないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  87. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 コンピューターの二〇〇〇年問題に対処するために、国は、既に二〇〇〇年問題に関する行動計画を昨年九月に決定しておりまして、中央省庁においては、総点検の実施あるいは危機管計画の策定等、必要な措置を講じておるところでございます。  中央防災無線網につきましても、このネットワークの中で、制御監視、あるいは一斉指令等の場面において二〇〇〇年対応が必要であるということがわかってきております。そのために、今計画的にプログラムの修正をしているところでございます。  また、先ほど御質問のありましたDISにつきましては、これは既に二〇〇〇年問題に対応したシステムとなっておりますので、プログラムの変更は必要がないということでございます。  いずれにしましても、国土庁としましては、中央防災無線網あるいはDISにつきまして、今後、模擬テストによる点検、あるいは二〇〇〇年を迎えた際の万一のふぐあいに対応するための危機管計画の作成ということをやってまいりまして、本年六月までにそれらの作業を完了するという段取りでやっておるところでございます。
  88. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ありがとうございました。終わります。
  89. 中村鋭一

    中村委員長 達増拓也君。
  90. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  私も、二〇〇〇年問題につきまして、丸ごと三十分質問をさせていただきます。  まず、なぜ災害特別委員会で二〇〇〇年問題なのかという説明からさせていただきたいと思います。  日本時間できのう発表されました、アメリカ議会の上院の二〇〇〇年問題特別委員会の報告書でありますけれども、その要約の見出しを拾っていきますと、次のようなことが書いてあります。「多くの分野で対応が未完」「重要な分野でも完全な対応は間に合わない」「報告の信頼性に疑問があり、情報公開の程度が貧弱」「国家レベルの危機管理対策は緒についたばかり」。アメリカでは、大統領のもとで、連邦政府も組織を挙げて二〇〇〇年問題に取り組んでおりまして、政府側の担当者もいろいろ発言をしているのですけれども、この上院の特別委員会の報告書は、政府側の見方よりも幾分厳しい見方になっていると思います。  この報告書の結論としましては、「全国的な経済、社会の破綻が起きるという根拠は見出していないが、何らかの機能麻痺は起きるであろう。」「二〇〇〇年問題は暴風雪のようなもの。それなりの備えをしておけばよい。」ということであります。暴風雪のようなものということで、一種の災害ととらえているわけでありますが、これは単なる比喩ではございません。  アメリカの連邦緊急時管理庁、FEMAも二〇〇〇年問題についてホームページを開設しておりますが、そのホームページからリンクで、災害に対する「備え」というコーナーに入っていくことができます。その「備え」のコーナーの冒頭に書いてあるのですが、「災害は、いろんな形をとる。ハリケーン、竜巻、洪水、火事、地震などの自然災害、あるいは危険な化学事故やコンピューターの機能麻痺のような技術災害災害が起きたとき、最良の守りは、前もって準備しておくことと、なすべきことを知っておくことである。」というふうに、FEMAとして、二〇〇〇年問題についても災害対策としての備えが必要であると説いているわけであります。  FEMAの方でも、上院の特別委員会と同じように、二〇〇〇年問題は暴風雪のようなものだと言っております。FEMAの二〇〇〇年問題に関する広報によれば、二〇〇〇年問題は、「普通の暴風雪と同じように備えておけばよい」「いつものとおり、懐中電灯とラジオのための電池、水と保存食を三日分、そして最低タンク半分の燃料を持てばよい」。平常心で、いつものとおり、普通にしていれば大丈夫という趣旨ではあるのですけれども日本人で、ふだんからそういうタンク半分の燃料をちゃんと備えているような人はほとんどいないわけでありまして、どうも国民の危機意識が若干低い。そういう我が国において、国民に対しても、国会として、二〇〇〇年問題の災害対策の側面を強調して訴えていきながら、ともに我が国としてどう対処していけばいいかを考え、決めていくためにも、災害特でこの問題を取り上げる意義があるのではないかということで、取り上げさせていただきます。  まず第一の質問ですけれども、今FEMAについていろいろ話しましたけれども政府として、アメリカのFEMAが二〇〇〇年問題についてどのように取り組んでいるのか承知しているでしょうか。承知しているとしたら、どのような内容でしょうか。
  91. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 米国のFEMAは、米国の二〇〇〇年問題大統領諮問委員会が開かれておりますが、この下部の一つのワーキンググループを担当するという形で、二〇〇〇年問題のうちの危機管理に関する分野について取り組んでいるということを聞いております。  そして、具体的には、主な取り組みとして、例えば、州や地方政府危機管担当者に対する手引書の作成。それから、危機管担当者を対象として、地域ごとに検討会のようなもの、ワークショップということを言っておりましたが、ワークショップの開催をする。あるいは、国民に対して、広報などを通じた情報の提供を行うなどを実施してきておるということ。それから、さらに今後の課題としては、実際に被害が発生した場合を想定した机上の訓練をする。あるいは、二〇〇〇年一月一日を含む数日間の全国的な監視作業を行う等の予定があるというふうに伺っております。
  92. 達増拓也

    達増委員 私が調べたところによりますと、アメリカでは、大きい災害に備えて連邦緊急時対応計画というのを策定するそうであります。これは、日本で言う防災基本計画に当たるのかと思うのですけれども、FEMAは、今回の二〇〇〇年問題についてもこの枠組み対応するということなのですが、我が国の場合、災害対策基本法枠組みで二〇〇〇年問題に対処することは、現行法制上可能なのでしょうか。
  93. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 我が国災害対策基本法では、その対象となる災害といたしまして、地震、豪雨等の自然災害がございますが、それに加えて、「大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害」と定めておりまして、なお、政令ではさらに、「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故」というものが災害の対象になっているところでございます。  二〇〇〇年問題に伴う影響が現段階では必ずしも明確になっていないという状況ではございますので、確定的なことを申し上げられませんけれども、二〇〇〇年問題に起因してこれらの大規模な事故による被害が発生した場合、あるいは発生するおそれがある場合は、災害対策基本法に基づき、所定の対策を講じるということになろうかと思います。
  94. 達増拓也

    達増委員 カナダ政府も、二〇〇〇年問題に対して、そろばん作戦という名前で、ある計画を策定しているというふうに聞いておりますが、政府としてこの内容について承知しているでしょうか。承知しているとすれば、どのような内容でしょうか。これは防衛庁さんに聞きたいと思います。
  95. 徳地秀士

    ○徳地説明員 お答えを申し上げます。  先生御指摘の、そろばん作戦といいますか、オペレーションアバカスというものにつきましては、カナダの国防省の発表資料などを見ますと、コンピューター西暦二〇〇〇年問題によって発生し得る重要な行政サービスに対する影響を軽減するために、同国の政府関係機関あるいは地方当局から協力要請された場合に備えてカナダ軍が実施をしている対処計画の策定作業であるというふうに承知をいたしております。
  96. 達増拓也

    達増委員 私が調べたところによりますと、そのオペレーションアバカスの内容として、具体的には、軍艦を港につけて緊急発電所として機能させることや、通信隊が緊急の連絡網を構築したり、兵士が警官をバックアップすることなどが策定されている。計画では、二〇〇〇年の一月から三月までの三カ月間に、陸軍、海軍、空軍、これに予備役を加え、ピーク時には二万人が動員される。二万人の軍、要員を全土に配備して二〇〇〇年問題に備えるという計画だそうであります。  ちなみに、我が国の現行法制上、こういうカナダと同じようなことが年末から来年にかけてできるでしょうか。これも防衛庁さんに伺います。
  97. 徳地秀士

    ○徳地説明員 お答えを申し上げます。  コンピューター西暦二〇〇〇年問題への対応につきましては、昨年九月の高度情報通信社会推進本部において策定された行動計画に基づきまして、必要な措置が講じられつつあるものというふうに防衛庁としても承知をいたしておりますが、二〇〇〇年問題によって万一何らかの影響といいますか、トラブルが発生した場合における自衛隊の支援という御質問だろうと思います。  現時点におきましては、その影響がどのようなものになるかというようなことにつきましても定かでないということでございますし、いずれにしましても、特に防衛庁として検討しているわけではございません。そういう意味で、御質問に一概にお答えするということはちょっと困難かと思いますが、仮定の問題ではございますが、仮に何らかの形で、では自衛隊もその能力を生かして協力できないかというような形で協力が求められるということがあるとすれば、その時点で、私どもの方としましても適切な形で、可能な範囲で対応してまいりたいというふうに考えております。
  98. 達増拓也

    達増委員 ちなみにカナダ政府は、突然ではそういう対応ができないということで、今から軍の要員を、二〇〇〇年問題向けの配備のための教育とか訓練とか、そういうことをやっているそうであります。  また、カナダの国防担当者が言うには、この作戦は、やはり暴風雪なんですが、去年の暴風雪の際に軍が行った支援と同様の措置であるということでありまして、これもカナダにとってはふだんのとおりに、いつものとおりにやるということなんだと思います。  ちなみに、アメリカ、カナダのほかにもう一つ例を紹介しますと、イギリスでは内務省に緊急時計画局というのがありまして、そこが二〇〇〇年問題緊急時計画をつくっております。そこで、さまざまな危機管理また民間防衛といった観点から対応する、そういう措置について検討、準備を進めているということであります。  今までのは外国の話でありましたが、では、今日本はこういう危機管理的な側面についてどういう準備をしているのか、これについて政府に伺いたいと思います。
  99. 宮城勉

    ○宮城説明員 お答え申し上げます。  政府といたしましては、昨年の九月、小渕総理を本部長といたします高度情報通信社会推進本部を開催いたしまして、二〇〇〇年問題の対応に万全を期すための行動計画、これは非常に具体的なものでございますが、それを決定したところでございます。今現在、この計画に従いまして対応を進めておるところでございます。  具体的に幾つか申し上げますと、まず第一に、やはり国民に対する周知徹底というものをきちんと行うということ。さらには第二に、二〇〇〇年問題により国民生活や企業行動に支障を生じることのないよう、政府、地方公共団体、民間部門においてシステムの修正を完了し、さらには模擬テストを実施する、これを原則本年六月末までに行うということにしております。とりわけ重要なインフラストラクチャーでございます金融、エネルギー、情報通信、交通、医療等の重要分野につきましては、徹底をした対応を今急がせているところでございます。  さらには、このような対応につきましてはフォローアップをしておりまして、近時では、本年一月にその全体の進捗状況を公表したところでございます。  全体として、二〇〇〇年問題についての政府の体制につきましては、まずは総理をヘッドとする高度情報通信社会推進本部があるわけでございますが、さらに二〇〇〇年問題につきましては、全省庁の事務次官をメンバーといたします二〇〇〇年問題対策推進会議、さらには、民間重要分野の枢要な地位にある方の参集を求めました顧問会議というものを内閣の方に設けまして、その対応を強力に進めているところでございます。  特に、先生から御指摘がございました危機管理の点でございますけれども、まずは、二〇〇〇年問題が起こることのないよう修正作業を徹底させるということが第一義ではないかと思っております。まさにそこが危機管理のかなめではないかというふうに思っている次第でございます。そのようなことを大前提とした上での話でございますが、個々のシステムの誤作動等の万が一の場合に備えました個々の危機管計画の策定につきましては、行動計画の中において定めをしておりまして、現在、政府、地方公共団体、民間部門それぞれにおいて、その問題については精力的に取り組んでいるというふうに考えております。  さらに、この危機管計画につきましては、やはりその策定を促すため、先ほど申し上げました顧問会議の下に、官民の実務家の方の参集を求めました作業部会というのを設けているわけでございますけれども、ここにおいてマニュアルの原案の作成を三月中に行い、顧問会議の御議論も得て、四月にも公表をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  100. 達増拓也

    達増委員 今政府も、総理のもとで全組織を挙げて二〇〇〇年問題について取り組んで、まずは問題のあるソフトウエアやチップがないかどうかのチェックや模擬テスト、あった部分についてはどんどん交換を進めて、トラブルが発生しないように努力をしている、それは大変結構なことだと思います。  また、危機管理的なところについても、それぞれ団体や企業に促して、政府自身も対策を進めているということなんですけれども、いろいろ聞いてみると、今政府が進めている危機管理対策というのは現場における危機管理なんですね。個々の企業一つ一つの中で自分たちが使っているコンピューターがダウンしたときにどうするかとか、あるいは取引先との関係でうまく連絡がつかなくなったときどうするか、その延長として、政府として取り組んでいる危機管理についても、それぞれ各省庁、各現場が、自分が持っているシステムが万一ダウンしたときにどうするかという危機管理。それはそれで確かに非常に大事な話なんですけれども、既に二〇〇〇年まで残り三百日くらいとなった今、やはり国全体、国家としての危機管理、そこにはまさに災害対策という観点が入ってくると思うのですけれども、そういう危機管理についても検討すべきだと思うのです。  そういう意味で、政府には、特に内閣には、安全保障室とかあるいは危機管担当官という、多分こういうときにこういうことをやるポストがあると思うんですけれども、今政府が、総理が本部長をしている高度情報通信社会推進本部のもとでいろいろ取り組んでいるわけですが、そこに、内閣安全保障室とか内閣危機管担当官というのは入って仕事をしているんでしょうか。
  101. 宮城勉

    ○宮城説明員 お答え申し上げます。  政府といたしまして、昨年九月に決定しました行動計画に基づきまして、二〇〇〇年問題による影響を回避し、大きな事故が発生しないよう、官民ともになすべき作業等に徹底して全力を傾注しているところでございます。  このような取り組みの推移を見ますると、私どもとして、大きな事故等の発生は想定をしていないところでございます。したがいまして、重大な事故等緊急事態への対応を行う内閣安全保障危機管理室ではなく、内閣内政審議室において、行動計画に基づき、個々のシステム等の万が一の誤作動に備えました危機管計画の策定等々の準備を進めているところでございます。  なお、御下問の点でございますけれども内閣安全保障危機管理室への必要な状況説明等々は、適宜行っているところでございます。
  102. 達増拓也

    達増委員 確かに、日本沈没とか、そういう国全体がめちゃくちゃになって人がたくさん死ぬようなことは起こらないんだと思います。ただ、アメリカやカナダで言われているような暴風雪、そういう一つの自然災害に襲われたときくらいのことは起こるかもしれないということであれば、やはり日本政府としても、そういった観点からの対策をやっておかなきゃならないんじゃないかなと思うわけであります。  アメリカ上院の二〇〇〇年問題特別委員会が、FEMAがいろいろ始めていることについても、まだ国家レベルの危機管理対策は緒についたばかりということで、満足していないわけでありまして、国会議員としての立場から今の政府のそういう取り組みを見ていると、やはり私も満足できないなと思うわけであります。  次に、一つ各論で電力の問題について質問したいと思います。  細かい話は、委員会でいえば商工委員会とかそういったところで追求していくべき話かもしれませんが、災害対策危機管理としての二〇〇〇年問題を考えていくときに、ほかのあらゆるシステムがうまく機能しても、電力の部分に問題があればほかのシステムも動かなくなってしまうということで、電力がきちっとトラブルのないことが確保されることが非常に大事だと思うので、あえて質問する次第であります。  これは通産省に聞きたいんですが、電力業界の二〇〇〇年問題に対する取り組みはどうなっているんでしょうか。
  103. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 電力がいかなる対策でも基幹的な位置づけにある点を十分に理解をいたしておりまして、各社とも、電力会社におきましては、副社長クラスをヘッドとした対策委員会をまず置いております。ここで計画的に対応を進め、かつ対応の進捗状況について定期的に情報を社内で集約し、一元的な統括管理を行っております。  また、電事連におきましても、会長を委員長としたコンピュータ西暦二〇〇〇年問題対応委員会を設置いたしてございまして、情報交換あるいは情報の共有という意味での組織的な対応を図っているところでございます。  九六年以降、電力各社はこの問題についての調査を行ってございまして、電力につきましては、多数の事務系のプログラム、それから制御系のシステムがございますが、これにつきまして、資産管理台帳あるいは設備台帳により、マイクロチップの所在を含めて全数の把握が可能でございます。この把握をした上でメーカー等への調査依頼を行い、メーカー、ソフト会社等の出所が特定できないようなシステム、機器はございません。  また、メーカーからの調査結果が出されたときに、これを電力会社側から、先ほどの資産管理台帳、設備台帳によってクロスチェックを行いまして、漏れがないということを確認しているところでございます。  こうした調査、確認の結果、今明らかになっておりますことは二点ございまして、一点は、制御系システムにおいては、発電機出力を時々刻々コントロールするような電力供給のリアルタイム制御、これにつきましては年月日情報を用いておりません。また、年月日情報が埋め込まれているマイクロチップにつきましてもすべて特定をし、その影響がないことを確認いたしてございます。したがいまして、現在では、停電や電圧異常などの供給支障となる事態は発生しないものというふうに考えてございます。  なお、制御系システムの中で、モニターをしますとか運転状態を記録するとか、そういうシステムにかかわる部分が別のコンピューター体系で入ってございますが、これについては年月日情報がありますので、その点についての対応は必要でございます。  これは、マイクロチップも置きかえたり、プログラムを書きかえたりしながら、昨年十二月における模擬テストを含めて対応が完了しておりますシステムの割合は、電力会社平均では七四%でございます。これは、九九年六月末までに九五%になる予定でございますが、残りは、定期検査の後、それに合わせて置きかえていく。ただし、この残り五%につきましても、それまでに同様のタイプのものについて模擬テストの経験も持っているということで、全数完了を安全にできるものと考えてございます。
  104. 達増拓也

    達増委員 今の答弁の中で、制御システムの一番核になっているところ、リアルタイムで状況を把握しながらやっていくシステムの部分は、年月日情報を制御に用いていないから大丈夫だということなんですけれども、これは、マーク・フローチという人が論文で指摘しているんですが、そういうリアルタイムの一分とか二分とかいう時間を計算する場合に、日付機能、カレンダーが入ったチップを二つ使ってその差を計算することで一分とか二分とかいう時間を算出するようにしておくと、そういうカレンダー機能を持ったチップの方が大量生産されているから、非常に安上がりにできるそうなんですね。  そういうふうにしているシステムというのが少なくないのではないかと指摘しているわけで、リアルタイムで、年月日をそこで計算してやっているわけではないから大丈夫とばっさり切って捨てるので果たしていいのかどうか。リアルタイム計算しているシステムの中にも、実はカレンダー機能が入ったチップが入っていないのか、その辺はもっと突っ込んで調べる必要があるんじゃないかと思うんですが、この点はどうなんでしょうか。
  105. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 先ほど御紹介しましたように、資産台帳等からマイクロチップの所在を確認し、それの時間計算のやり方も確認をした結果で申し上げてございます。  相対時間と絶対時間のお話かと思いますが、制御系、供給系の中に入っております相対時間のつくり方は、六十こまを打てば一分、百二十を打てば二分、そういうふうなつくり方をしてございまして、いわゆる年月日情報の差をとって相対時間を決めるというようなやり方をしておりません。したがいまして、今御指摘のような点はないものと考えておりますが、さらに確認をいたします。
  106. 達増拓也

    達増委員 備えあれば憂いなしということでありまして、この二〇〇〇年問題についても、災害対策の観点から、やはり国会としてもきちんと取り組んでいく必要があるのではないかと思うわけであります。  ただ、二〇〇〇年問題が災害としては極めて特殊なケースであるというのも事実でありまして、また非常に技術的で専門的なところもある。そういう特殊性、専門性、また短期間の間に急いで集中して作業をしなきゃならないという緊急性、こうしたところから、災害特全体でやるよりは、災害特の中に小委員会を設けて、その小委員会で取り扱うのが適当ではないかと自由党は考えております。  ちなみに、アメリカ議会の上院につくられている二〇〇〇年問題特別委員会は、メンバーは七、八人の規模でありまして、規模からいえば小委員会なんです。この問題は、やはり三十人とか四十人とかでやるというよりは、そういう小規模で取り扱うのが国会としても適する問題なのかなと思うわけであります。  最後に、政府行動計画が順調に進んで、ほとんど何も起きないということを私は心から願っておりますし、そうなる可能性は決して小さくないと思います。しかし、事柄の性質上、不確実性というものはやはり残るのでありまして、そこを冷静に受けとめて、平常心で、国家それぞれそういう不確実性に備える機能が期待されている部局もあるわけでありますから、そこがきちんと動いてこの問題を乗り越えていければいいのではないかというふうに思います。  以上の決意と提案をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  107. 中村鋭一

    中村委員長 藤木洋子君。
  108. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  私の出身地でございます兵庫県が未曾有の被害を受けた阪神淡路大震災から、丸四年以上が経過をいたしました。ことし小学校に上がります子供たちは当時二歳だったことを思えば、それだけの年月を経たということを改めて思い起こさないわけにはまいりません。  私ども日本共産党は、昨年も十二月に三日間にわたりまして、国会議員団で調査団を構成し、震災丸四年を経る被災地の実態を調査してまいりました。そして、その現地調査に基づきまして、内閣総理大臣に対し、被災者の生活・営業再建に対する政府の責任を果たし切るように求めたところでございます。今後起こり得る自然災害に当たって、この震災からの教訓をくみ尽くすためにも、この震災被災者の生活の再建、そして営業の再建、住宅再建ということは極めて重大だと考えています。  そこで、長官にお伺いをいたしますが、被災地の五年目を迎えました実態について、どのように認識されていらっしゃるでしょうか。長官はもちろん所信でもお述べになっていらっしゃるわけですけれども、とりわけ被災者の生活と営業の再建をめぐる状況について、御認識をお伺いしたいと思います。
  109. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 四年前に六千名以上の方が亡くなられたわけでございますが、本当に被災されました方々にお見舞いを改めて述べさせていただきたいと思います。当初私も、二カ月ばかり後でございますが、現場を視察させていただきましたが、本当に想像を絶する災害であったということを今も認識をいたしております。  そして、先ほどるる先生方の御質問にもございましたように、初動対応が十分でなかったといえば、それは確かに私もそうだったと思うわけでございまして、その後、国を挙げて被災者の方々に対します御支援ということは、誠心誠意国家としてやってきておると私は思うわけでございます。  しかし、まだ仮設住宅で生活されていらっしゃる方も大勢いらっしゃいます。それからまた、その後、日本を取り巻く、あるいは東南アジア、世界を取り巻く景気が低迷をしておるというようなこともございまして、その状況というものはいまだに私は厳しいものがあると思っております。  そういう中にありまして、生活再建支援の観点からは、地元地方公共団体が復興基金を活用いたしまして被災者自立支援金の支給を開始しており、政府としましても、これに対しまして地方財政措置による支援を実施いたしておるわけでございます。  それから、先ほど少し触れさせていただきましたが、住宅確保対策といたしましては、公営住宅の大量供給や、あるいは家賃を大幅に引き下げる、また住宅金融公庫の金利の引き下げや復興基金による利子補給等を実施いたしております。  また、被災事業者に対します支援策といたしましては、仮設の店舗、仮設の工場、復興支援工場等を整備しております。このほか、政府系中小企業金融公庫を通しまして各種の特例的な融資、長期であるとかあるいは金利を安くするとか等々を実施いたしておるわけでございます。  政府といたしましては、このように被災者の実情に応じたさまざまなきめ細かな支援策を実施いたしておりまして、今後とも、これらの施策を着実に推進し、被災地の復興に向けて努力をいたしたいと思っております。  そしてまた、前段の先生の御質問にもございましたが、いわゆる個人の住宅に対します支援は、これから国土庁にございます委員会でるるまた質疑をしていくわけでございますが、何とか本当に温かい御支援ができる対策というものを私は誠心誠意やっていきたい、そのように認識をいたしております。
  110. 藤木洋子

    ○藤木委員 震災直後、現地へ訪れていただいたということでございますけれども、私が今問題にしていますのは、それから四年が経過したにもかかわらず、被災者が置かれている実態をどのように御認識かということでお伺いしたわけですね。  今、いろいろと施策をお述べになられました。それだけの施策はやられているのは事実であります。しかし、それだけのことがやられていても、現になお大変な実態になっているということを申し上げたいわけですね。ですから、被災地へ実際、この四年たった時点で、長官御自身が足を運んでぜひ見ていただきたいというふうに思うわけです。  被災地の商店街が倒壊してしまいまして、それが空き地になっていたり、その空き地にしているところを駐車場に利用していたり、そういう中に幾つか、自分たち自身が頑張らなければということで、仮設店舗を建てて頑張っていらっしゃる方たちがいらっしゃるんですけれども、人の戻ってこない町でそういう業者の方たちがどんな思いをして日々暮らし、そして借金をどうやって返済していくかということに心を痛めている、そういう声をじかにお聞きいただきたいと思います。  それで、実態の把握ということが出発点だというふうに思うんですね、いろいろな施策をとるために。ですから、これまでいろいろ施策をとってきたことが、果たして現場で、どのように回復をさせ、どのように支援を行って住民の生活再建ができているのか、できていないのか、その検証が今大切ではないかと思うのです。  先ほど来、いろいろと質問のやりとりの中でも、今後の災害に対する施策の問題が出てまいりました。そういう施策を立てるときにも、今回の阪神淡路大震災教訓が本当に生きなければならないと思うわけですから、そのためには、今までやってきたことがうまくいっているだろうというのではなくて、どうなのかという検証が求められているというふうに思います。  孤独死だとか自殺をした被災者というのは、この四年間で仮設住宅だけで二百二十九人に上っておりまして、災害復興住宅に移った、恒久住宅に入った方の中にも三十一人の犠牲者が出ております。この方たちは、それぞれ事情は異なっていたかもしれませんけれども、震災の被害から生活再建ができていれば亡くならずに済んだ方たちではなかろうか、そんなふうに思います。復興支援がうまくいっていなかったからこそ、こうした悲惨な事態が続いているのではないかということに私は胸を痛めております。  神戸新聞の一月八日付の調査によりますと、六七%の人が復興に停滞感を抱いている。そういう停滞感、復興がやられていない、そういう感じを被災者たちは今持っている。小売店や自営業者の本格的再開も五四%にすぎませんし、そのうちで七七%が売り上げが伸びないと訴えております。  また、兵庫県内の失業率は全国平均よりも一・五ポイント高く五・八%と、全国との差は震災前よりも広がっているのですね。不況だということをおっしゃいましたけれども、体力があるところに不況を帯びた全国一般とは違って、阪神淡路大震災の場合は、すっかり震災で体力を失っているところにその不況の波をかぶっているわけですから、その差が歴然と出てきていると言わなければなりません。  その一方で、大企業の鉱工業生産指数は、九六年には震災前の水準を突破いたしました。九七年の下期以降、全国水準を上回っております。ですから、この復興格差は一層深刻なものとなっているわけでして、大臣みずからがおっしゃっておりますように、生活再建の前提が住宅なんだということをお述べになっていらっしゃいますけれども、国の最大限の支援の結果として、現在、それではその住宅がどうなっているか、具体的にお尋ねをしてまいりたいと思っております。  九七年の予算委員会で、私は、もとの町に戻りたいという被災者の願いにこたえるように、希望地への公営住宅の確保をしていただきたいということを求めてまいりました。これに対しまして、当時の橋本首相は、地元公共団体においても極力その被災地に近い市街地に用地を確保する努力をしていただくと同時に、民間住宅の借り上げなどを行うことによって、被災者の希望に近い場所に供給するよう努めていくというふうに御答弁をしていらっしゃるわけです。また、伊藤国土庁長官は、御指摘の点はもっともなことだ、だからできる限りふるさとに再び住むことができるように支援をしていきたいと答弁をしておられますし、九八年の予算委員会では、我が党の平賀議員が、希望地に公営住宅が足りないではないかという問題について取り上げたのですけれども、そのとき、時の瓦建設大臣も、建設省、兵庫県一体となって一層の努力をしていくというふうに決意をお述べになられました。  そこで伺うわけですが、この政府答弁は今達成したというふうに御認識していらっしゃるかどうか、長官いかがでしょうか。
  111. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 できるだけもとのところに住宅を供給といいましょうか、住みたいという方の、そのことに対します今までの先輩の方々の御答弁でございますが、一〇〇%達成されたということはもちろんありませんが、一歩一歩そちらの方向に向かって進んでいっておることは事実であると思います。  公営住宅の供給につきましても、用地の確保が困難な地区もたくさんあるわけでございますが、被災者からのその地域に住みたいという希望の多い神戸市の東部、神戸市の西部、阪神南部の市街地に重点を置いて、できる限りの努力をいたしておるわけでございまして、この結果、その地域に現在、全体の四分の三の方々に供給をされていると伺っておるわけでございます。  そういうようなことでございまして、もと住んでいた場所に戻りたいという声に対応するためには、そのすべての要望にこたえるということは非常に難しい点がございますが、そういう場合におきましては、その希望の地域の借り上げ公営住宅制度というものを活用して、できるだけ自分のもともと住んでいたところに、あるいはまた極力近いところに住宅をつくっていくというようなことで努力はいたしておりまして、私はその成果は出てきておると思うわけでございます。  それから、先ほどの委員の御指摘でございますが、私も一月十四日に国土庁長官を拝命いたしまして、その直後、一月十七日に神戸で行われました阪神淡路大震災の四周年の犠牲者の追悼式に出席をさせていただいたわけでございますが、そのときは十分に時間がございませんでしたので、委員御指摘のようなつぶさな視察をしておりませんので、早い機会に現地へ参りまして、そういうことをつぶさに視察をして、また対策も講じていきたいと思っております。
  112. 藤木洋子

    ○藤木委員 現地に行ってくださるというお話は大変ありがたいと思っております。ぜひしっかりと被災者の皆さんの実態を見て、また声を聞いていただきたいというふうに思います。  そういった調査をしていただきましたら、今大臣御答弁になられましたけれども、一〇〇%ではないけれども着実に復興しているだろうというお話でございますけれども、やはりもといた町に戻れないという状況は依然として続いているわけです。  特に、私どもの平賀議員が九八年の予算委員会で、神戸市の全区ごとに公営住宅の募集戸数と募集者数それから募集倍率について、震災直後の独自募集から第四次にわたる募集の結果を表で示しました。そのときも、一番被災の大きかった東灘だとか灘だとか、それから中央区、中央区はまだそれほどでもないのですけれども、人口が余りありませんから。しかし、兵庫区だとか長田区だとか須磨区、こういったところが依然として住宅戸数も足りませんし、そこへ帰りたいという人が圧倒的に多い。そうではないところに、西区だとか北区だとか垂水区だとか、そういったところに公営住宅がたくさん建設されていて、ミスマッチではないのかということを問題にしてまいりましたけれども、現在も、やはり西区、北区、垂水区の郊外の住宅は、募集しましてもなかなか埋まらないんですよ。入り手がないんですね。ところが一方、兵庫区だとか長田区、灘区、東灘区、中央区などの市街地は四倍から六倍の高い倍率になっているわけです。  今、東にも建てているというのは、東部新都心のことをおっしゃっていらっしゃるんだと思うのですけれども、あそこは灘浜といいまして、神鋼のあった跡地なんでございますけれども、そこはもう本当に高層の住宅などが建てられておりまして、年寄りはとてもそこには入れないというような実態もあるということを申し上げておきたいというふうに思います。ですから、これでは、もとの町に戻りたいとの願いにこたえるような努力が本当にきめ細かくやられたかという思いがいたします。  身寄りのないNさんの例でございますが、この方は六十五歳の方ですが、こう言っておられます。働けるだけ働き、老後のために蓄えをと灘区で店を借りて居酒屋を開店していた。ところが、震災で、開店して一年のこの店と住んでいたアパートは全壊してしまった。仮設住宅で貯金を取り崩しながら生活を続けてきたけれども、もといた灘区の公営住宅に入れれば店の再建かあるいはパートでも働き続けていくことができるだろうと灘区の公営住宅に申し込みを続けてきましたけれども、四、五回続けて落選をいたしました。仕方がなく灘区内をあきらめて、パートや通院がせめてできればという思いで須磨区だとか中央区に申し込んだのですけれども、それでも公営住宅には当たりません。持病が悪化して、治療しなければ足を切断することになると医師から手術を勧められているのですけれども、住まいが決まらないので入院先を決めかねているという実態があるわけですね。このような、もとの町に戻れずに苦しんでいる人たちの訴えを私は数え切れないほど伺ってきているわけです。  去年、公営住宅に移り住んだ千数百世帯を対象にしたアンケートがございますけれども、ここで、ほとんどの人が従前と違う地に移ったというふうに答えておられます。そういう結果が出ておりまして、既に復興住宅に移っている人たちも、必ずしももとの町に戻れたというわけではないということを知っていただきたいというふうに思います。  「阪神淡路大震災 神戸市の記録 一九九五年」というのがございますけれども、ここで、住宅形式別に見た被災度によりますと、長田区では、全半壊した長屋は九千七百十一戸です。一方、公営住宅の募集戸数は千八百戸余りで、震災後の町の状況は、新長田駅南で三十棟以上のビル建設は予定されておりますけれども、結局、長田区というところでは、長屋で被災をした区民が長田区内に住む家が決定的に足りないという状況になっております。  また、灘区の南東地域では、百二十五棟、五百十四戸の長屋が解体されました。再建された長屋はわずか七棟、十四戸です。一方、マンションは七十九棟、八百十八戸解体されたのに対して、百六十棟、一千七百二十一戸も新たに建てられております。ですから、住宅の数だけ言いましたら、従前よりも確かに上回るという建設はされているわけです。  しかも、この新築建築物に占めるマンションの割合というのは五七%と、半数を超えておりまして、低家賃の住宅が圧倒的に激減をしているという状況ですから、灘区でも、やはり長屋に住んでいらっしゃった被災者、この方たちの住む家がなくなってしまっております。被災者五千人の調査では、長屋の一画に住んでいて住宅の確保ができた人はわずか八人に一人だと述べられております。  こうした町の実態を見れば、低家賃の住宅に住んでいた人たちがもとの町に戻れないのは明らかではないでしょうか。政府の答弁に望みを託してこの四年間生き抜いて、待ち続けてきた被災者のもとの町に戻りたいという願いにこたえてはいないという状況になっています。そうではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  113. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今の御意見を伺いまして、希望する地域に住むことができた方が何%あるのか、そういうデータは私ちょっと今聞いておりませんが、後ほどそういうことを聞いてみたいと思います。  そういう御希望にかなうべく、政府としてはいろいろ努力をしていることだけは事実でございまして、そのことも少し御理解をいただきたいと思うわけでございまして、希望する地域の住宅が確保できない被災者に対しましては、申しわけないのですが、他の公営住宅に暫定的に入居していただいて、その後、希望する公営住宅があけば、これに移転できるよう措置を実施しているというふうに報告を聞いておるわけでございます。  これは正直申し上げまして、そうそうすぐあくこともないでしょうから、これはちょっと先生の前で声を大にして答弁できませんが、いずれにいたしましても、その数値を一回また調べまして、なおあらゆる努力をしてみたいと思います。
  114. 藤木洋子

    ○藤木委員 そういったデータなどもぜひお調べはいただきたいというふうに思いますけれども、先ほど申し上げましたように、現地にお越しいただくのでしたら、実際にその数字が現場でどうあらわれているのかというところを、ひとつ十分見ていただきたいというふうに思います。  それで、県外だとか市外へ避難をした人たちというのも随分いるわけですね。こういった人たちだとか、あるいは民間の賃貸住宅で仮住まいをしている、高い家賃なのですけれども、低家賃の恒久住宅に入れるまでは借金してでもそこに身を寄せようか、こういう人たちも随分いらっしゃるわけで、実際には仮住まいを強いられている人たち、こうした人たちの思いはどうか。  震災五年目を迎えるアンケート調査で、もといた町に戻りたいと思いますかの設問に、絶対戻りたい、できれば戻りたい、合わせて三七・四%いらっしゃるわけです。戻りたいとは思うが当面はここで暮らさざるを得ない、そういう思いを抱いていらっしゃる方が三九・三%です。この調査では、八割近い方たちがもとの町に戻りたいとの思いを強くしていらっしゃいます。  灘区内の借家が全壊をして、着のみ着のまま川崎市に移り住んだWさんという方がいらっしゃるのですが、この方は、神戸の被災者向け公営住宅で募集がありますと、これにすべて応募してこられました。すべてですよ。ところが、一、二年辛抱すればもとの町に戻れると思いながらそういうことをやってきたわけですけれども、全部落選だったわけです。  県の帰郷支援策を希望する登録者を昨年十一月から十二月に募集をいたしましたが、登録した世帯のうち、七五%が兵庫県内の公営住宅への入居を希望していらっしゃるわけです。また現在、自宅再建をしたところでも、新築マンションに引っ越しした一カ月後に被災された方は、丸々残ったローンと再建費用で、借金は三千九百万円。返済開始が迫り、苦しくなって行き詰まるのが目に見えている、こういった状況です。  被災さえしなければ負うことのなかった二重ローンや多重ローンで、これまでは公営住宅階層ではなかった人たち、そういった人たちが生活実態が大変苦しくなって、公営住宅でなければ入れないという状況になっております。このように、被災さえしなければ、今まで住んでいた町を離れずに済んだ県外、市外への避難者、生活実態として公営住宅階層の人たちのもとの町に戻りたいとの願いにどうこたえていくのか。  神戸市内で被災者優先枠を外して公営住宅の募集を行いましたところ、灘区では五十八・八倍もの倍率でした。こうした募集状況から、仮設住宅の入居者だけではなくて、もとの町に戻りたいと願っているすべての被災者がもとの町に戻れるようにしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  115. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 民間賃貸住宅に対します家賃の助成というのは、復興基金によりまして月三万円というのが決まっておるわけでございますが、それと、住宅供給公社によります民間賃貸住宅の借り上げということも実施をいたしておりますので、極力そういう方向でやっておりますが、一〇〇%の方々に希望地にお住まいをしていただくということは、そういうようなことで大変厳しい現状であろうとは思っておりますが、それはそれとしまして、できるだけの努力をしたいと思います。
  116. 藤木洋子

    ○藤木委員 長官ができるだけの努力をするというふうに御答弁いただきましたので、ぜひそれは、実態に即した御努力を早急にやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  ところが、実際、現場におりますと、四年もたって五年目に入っているわけですから、家が再建できる人は再建する、行くところがない人は仮設住宅にいたり、それから県外から帰ってこれなかったりというような状況が混在しているわけです。しかし、役所としては、もとの町に戻りたいとの願いにこたえるというよりは、仮設住宅の居住者だけを対象に、それがなくなればいいというふうに考えているのではないかというような、心痛むようなことも起こっているわけです。といいますのは、仮設住宅がなくならなければ、被災地の住宅問題は解決したとは言えないというお考えではないかと思われるのですね。  実は、仮設入居者への個別あっせんというのが行われておりまして、確かに、いつまでも仮設にいてもらうわけにいかないほど、隣がいなくなったり、まばらにしかなっていませんから、治安上も大変な状態になっているのは事実なんです。しかし、その個別あっせんをするに当たりまして、その方の希望に応じたところにきめ細かくやるというお約束だったのですけれども、しかし、実際やられているのを聞きますと、坂の上の住宅に足の悪い人をあっせんしたり、強引なあっせんが行われているということを私は訴えられたのですね。市の職員の方が三人がかりで強引に行き先を決められそうになってしまった、希望する場所と違うと言ったら、今までにくじ運が悪かったんだから仕方がないだろうと言われた、とても希望を尊重してあっせんしているなんて言えない、もう本当に被災者はおびえて訴えているわけです。  もちろん、職員の方たちが使命感に燃えて、一日も早く恒久住宅へ移ってもらおうという善意の思いで頑張っていらっしゃる方たちがいらっしゃるのは、それはそのとおりではあります。しかし、たとえわずかでもこういった事例が出てきますと、そのことに被災者は本当におびえてしまう。住むところがないのに追い立てられるという思いに駆られるわけです。こういうことは許されないというふうに思うのです。  これは厚生省の管轄だと思うのですが、国として、その実態をしっかり見ていただいて、改めさせていただきたい。少なくとも、強制だとか、あるいは強引に対応をするというようなことは改善させていただきたい。そのための御指導をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  117. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 仮設住宅からできるだけ早く恒久的な住宅へ移っていただくということは、生活再建ということで基本だろうと思います。しかし、先生御指摘のように、なるべく希望にかなった転居先を探すという努力も重要だろうというふうに思っておりまして、入居者の方々に納得をいただけるよう十分な御説明、また親切な対応ということにつきましては、私からも地元の県、市にお願いしておりますし、これからもそのような指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  118. 藤木洋子

    ○藤木委員 お願いしてこられたのにそういった実態がございますので、ぜひ一度問い合わせをしていただきたいのです。二日たったら取り壊すよというようなことまで言われたり、そういった事実がございまして、訴えが来ているのです。ですから、もし市だとか県に対してそのようなことをきちんと伝えていても、現場で起こっていることにはやはりきちんと対応していただかないと、そちらからおっしゃっていることが下まで徹底していないということではないでしょうか。  その辺はぜひもう一度御確認をいただいて、間違っている点があったら是正をしていただくようにお願いをしたいのですが、いかがでしょうか。
  119. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 地元地方公共団体に問い合わせまして、指導を強めたいと思っております。
  120. 藤木洋子

    ○藤木委員 地方公共団体が本当に把握しているかどうかということも、私は懸念をしないわけにはまいりません。  住宅の数は確かに被災地全体として足りていても、あるいは余っていても、しかし被災者が恒久住宅に入れない、こういう実情です。それは、被災者の生活実態に合った低家賃の住宅が、必要な場所に必要な戸数ないというのが原因です。  神戸市による「復興カルテ'99」速報版というのがございますが、これを見ますと、民間住宅市場の動向といたしまして、賃貸マンションの入居状況のアンケート調査結果の報告書がございます。ここでは、神戸市内の全般的な空き家率は一五%から二〇%となっておりまして、震災前よりも五%ふえているのです。空き家がふえているのです。住む家のない人がいるのに空き家がふえているのですね。神戸市内の分譲マンションの市場動向としては、残戸数の割合というのは、震災前は一〇%前後で推移していたのですけれども、九七年には約一五%になっておりまして、九八年には二五%と、これも増加傾向になっているわけです。  ですから、民間賃貸住宅の空き家が多い状況を見ますと、必要な場所に必要数の民間借り上げを行い、公営として確保してはいかがかというふうに思うわけです。  先ほど来、大臣も、借り上げという制度があるんだからそれをやればいけるというお話をされましたけれども、灘区だとか長田区だとか、帰りたいといって帰れないでいるところに借り上げをやっていただきたい。そこにも、わざわざつくっていただかなくても空き家はございます。そういう活用の方法があると思いますので、国として御指導をしていただくわけにはいかないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  121. 那珂正

    ○那珂政府委員 お答えいたします。  災害復興公営住宅の適切な地域での立地を促進するために、これまで地元公共団体、一生懸命努力してきたつもりでございます。また、それは先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、民間の住宅の借り上げというような形ででも、今着々と進めているところでございます。今お話のありました具体の例で、民間のマンションのあいているところを借り上げるというようなことも、今までも一定の実績があるわけでございます。  ただ、そうはいいましても、具体的に借り上げ公営住宅として予定されて建てられた民間の住宅の場合は、例えば高齢者仕様、バリアフリーの仕様にあらかじめしていただいているとか、そういう措置がとられておりますけれども、一般の民間マンションでありますと、必ずしもそうなってはいなかったり、それから、一部屋一部屋ばらばらに公営住宅として借り上げることにつきましては、その住宅全体の区分所有者等との調整とか、あるいは管理する上での効率性の問題とか、さまざまな問題が生じてくるかとも思います。  その辺につきましては、地元神戸市なら神戸市、公営住宅の事業実施主体の判断によるかとも思いますが、いずれにしても、そういう方法まで含めて、具体のなるべくきめ細かな立地が進むように、なお地元公共団体が一生懸命当たってくれるように指導してまいりたいと思います。
  122. 藤木洋子

    ○藤木委員 一生懸命地元自治体に話をされるということですから、それでいいです。話をしていただいたらいいですけれども、しかし私は、バリアフリーの問題だとかというのはおかしいと思いますよ。一方では、古い県営住宅なんかの空き家を世話しているのですよ。そこなんか段差がいっぱいあるのです。おふろのない家だってあるのです。一方ではそういうところを公営住宅としてやっていながら、一方ではバリアフリーの民間住宅でないと借り上げない、それは役所の都合ですよ。被災者の都合じゃありません。私は、あくまでも被災者の立場に立って考えていただきたいということを申し上げているのです。このままだと大変な事態を招くことになると思います。  町の再生の問題で申しますと、先ほども具体的に数字を示してまいりましたけれども、灘区の南東地区、ここは新規の駐車場が、九六年一月の三十五カ所、六千五百平米から九八年の一月には百六十七カ所で一万八千平米と、約三倍に広がっております。  また、新長田駅周辺は、駅前の一等地に完成したビルでも、年末の時点でまだ四分の一が埋まっていないという状態でございました。同じ新長田駅南の三十棟のビルは、駅からさらに離れたところに建ち、何もしなければビルばかりのゴーストタウンになってしまうとの懸念の声が出されています。こうした状況は、町の再建どころか、崩壊につながる危険がございます。  そこで、このようなことを放置していてよいだろうかという思いがあるわけですが、新長田駅南の再開発でいえば、総事業費二千七百十億円もかけて再開発しても、肝心の人や事業者が入らずに、後に赤字ばかりが残るというようなことでは、むだ遣いの最たるものだと思うわけです。こうした問題の多い再開発地域というのは、住民合意で合理的な方向に事業の見直しをすべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。こういった都市再開発事業を今の時点で見直すことができますか。
  123. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  今先生御指摘の新長田駅南地区市街地再開発事業は、御案内のとおり、阪神淡路大震災によって大変な被害を受けられた市街地の復興を早急に行うということを目的に、平成七年の三月に事業の都市計画決定がなされまして、順次事業が進められているところでございます。  一般的に、事情変更等がございました場合に、再開発の計画を見直す必要が生じてくる場合がございますが、そういう場合には、地方公共団体が、都市計画法による都市計画の変更でありますとか、あるいは都市再開発法に基づきます事業計画の変更とか、そういう手続を行うことによりまして、制度的にはその変更が可能であろうというふうに考えておるところでございます。
  124. 藤木洋子

    ○藤木委員 制度的には可能だということでありますから、ぜひこれは見直していただきたいというふうに思います。  そこで、新長田駅前の一画でうどん屋を営業していたKさんは、四カ月前に改修した店舗つきの住宅が震災で全焼してしまいまして、九六年に再建をしましたけれども、市の言い値で買収されたKさんの土地と建物というのは、評価額が約三千三百万円です。ところが、再開発ビルの店舗用の床を買って内装すると何も残りませんから、分譲住宅に入るために、さらにあと三千万円必要になってまいります。町に人が戻らず、売り上げが震災前の半分なのに、店の再建と震災前の改修費の二重ローンの返済をすることになりますと、これはとてもできないということで、あきらめてしまう。ですから、この再開発ビルをもう最初からあきらめた方だとか、このKさんのように途中からあきらめる人、それぞれ一割ずついるというふうに聞いているのですが、こういうことになると、やはり人が戻るわけにはまいりません。  そこで、私は、最後に御提案を申し上げて大臣の御決意を伺いたいと思うわけですけれども、こういった再開発事業は、住民参加で行って納得ずくでやって、みんなが入れるような状況にしていくことが、一番むだ遣いをしない方法ではないかというふうに思うわけです。これは、総理大臣にも申し入れをしたときに申し上げたことではございますけれども、小規模の公営住宅を用意して、とりあえず住民に一時的に帰ってきてもらって、住民参加で町の再建計画を練り直していく。ですから、中高層ビルだけに限らないで、低層でも木造でも採用していけば、多様なニーズにこたえることができるというふうに思うのですけれども、そういった改善のための見直しをぜひ行っていただきたいと思います。  私たちは、震災当初から、被災者の生活と営業の再建なくして復興はないということを言い続けてまいりました。生活と営業の基盤となるのが住宅です。真の復興をなし遂げるために、生活と営業、住宅再建に公的支援を行うということを求めてきたのもそのためです。今こそ、被災者の生活再建が一日も早く完全に実施できるような復興計画施策に方向転換をしていただきたいということを強く要望させていただいて、大臣の御決意を伺い、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 あらゆる地域での住民参加という御意見だろうと思いますが、その一つの例として、新長田駅南地区の問題を御提起されておるわけでございます。  これは報告の段階でございますが、被災者のもとの居住地に戻りたいという強い要望を踏まえ、要望の多い被災市街地における住宅供給に努めていると伺っておるわけでございます。いずれにいたしましても、そういうようなことを考えつつ、最大の配慮をしつつこれを進めようとしているところでございますから、そういう先生の御意見も伺いながら、なお現地の方々と十分に話し合いをして進めていくように指導をしたいと思います。
  126. 藤木洋子

    ○藤木委員 終わります。
  127. 中村鋭一

    中村委員長 北沢清功君。
  128. 北沢清功

    ○北沢委員 社民党の北沢清功でございます。  私は、きょうの質問をお聞きいたしまして、土肥委員の御質問それから西委員の御質問の中から感ぜられることは、災害救助法を中心に、もっと現代的な、いわゆるニーズに合った施策を考えるべきだということと、中央の行政改革が行われるわけでありますが、この際、それらを含めて、もう一度災害に対する施策なり組織というものの一元化を考えたらどうか、特に危機管理の問題が重要な課題になっていますから、そういう御意見だというふうに理解をしております。  災害救助法については、明治のつくられた時点、そのころの問題は、治安を確保するということと窮民を救済するということでございました。終戦直後に災害に対する問題が多発をいたしまして、そのことの直後にできまして、改革としては、一九六二年に災害対策基本法が実はできまして、またその後、国土庁がそのことに当たるという意味でも大きな発展を遂げてまいったわけでございます。  それらを見て感ずることは、基本法は災害に対しての応急救助であるという中から、自然災害である豪雨、豪雪とか洪水とか地震とか、それともう一つ、自然災害でない大規模な火災、爆発、放射能物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他、大規模な事故を含めて災害という言葉が用いられております。二〇〇〇年問題は広義の意味の災害であろうというふうに私は思いますが、いずれにしても、現時点ではそういうことでありまして、その中で、新たな問題点が社会の発展とともに出てまいりました。  そこで、私はきょうは、平成九年に出された防災基本計画の中の原子力災害等についてお尋ねをいたしたいと思います。  その中の幾つかについて気になる点がありますが、国、公共機関、地方公共団体及び事業者は、原子力事故に対する万全を期するために、それぞれの機関及び機関相互において情報収集連絡体制の一層の整備充実を図るものとするとなっておりますが、これについて、具体的にどのようなことを指しているのか、またどういうように具体化をされているのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  129. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 原子力災害に関しまして、防災基本計画におきましては、御指摘のとおり、国、公共機関、地方公共団体及び事業者が、情報収集連絡体制の一層の整備充実を図るというふうに規定されておるところでございまして、これに基づきまして、関係機関においていろいろな取り組みをしてきているところでございます。  その一例を申し上げますと、例えば、科学技術庁におきまして、緊急事態発生時に的確かつ迅速な防護対策を講じるということを目的といたしまして、周辺環境における放射線濃度等を予測し、災害対策本部、地方公共団体等にその情報を提供するというような内容の、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、SPEEDIということでございますが、それらの開発、運用、あるいは、さらにその精度向上といったようなことに努めまして、万一の災害の場合の分析及び情報提供ということなどの努力をしてきているところでございます。  また、緊急時における情報伝達の迅速性及び正確性を確保するということから、ハード面といたしまして、科学技術庁、通産省と関係地方公共団体の間を結ぶ専用回線あるいは電話、ファクスの整備を行うとともに、それを適切に維持していくために必要な財源を関係都道府県に交付する等の措置ども行ってきております。  また、そういったファクスなり電話というようなもののみでなくて、それに加えて画像、映像情報の提供というようなことも今後の課題となるということで、そのシステムの構築に今現在取り組んでいる、これから取り組むというような努力もいたしております。  それらを通じまして、万が一原子力施設で事故が発生した場合の情報が国及び地方公共団体に迅速かつ正確に伝わるような努力を、それぞれのところでしていただいているというところでございます。
  130. 北沢清功

    ○北沢委員 原子力事故というのは、これはあったら大変なことなのですね。あってはならないわけでありますが、今までしばしば新聞報道等されることは、大きな事故に結びつかないような取り扱い上の不備、または、たまには急激に発電を停止するというようなこともあるわけですが、そういう問題が幾つか隠されているというか、後でわかって大変な問題になって、その都度科学技術庁は陳謝をしたり、責任問題が出ているというような状況であります。市町村もそのことについて抗議をしています。だから、そういう意味で、情報の伝達、真実の追求ということは、極めて大事なことだろうというふうに思います。  国、地方公共団体等は、平常時より防災関連情報収集等に努めるものとありますが、どのような情報収集可能なのでしょうか、お尋ねをいたします。
  131. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 どのような情報収集が可能かということでございますが、災害の発生しました場合におきますその発生の状態の具体的なものは直ちに必要となる情報でございますが、その状況からさらにどの程度の地域への影響が生じてくるのか、そういったようなことに関します影響の予測的な情報ということも必要になるだろうと思います。  また、応急対応ということになりますと、その応急対応をするための体制がどのようになっているかということに関する情報ですとか、それぞれの防災のリソースがどういう場所に、どういう状況に存在しているかというようなことの情報を得ながら、適宜応急対策を行うということになろうかと思いますので、そういったことの情報ということも必要になろうと思います。  また、避難地とか住民の方々がどういうところに避難していくかということは、これはあらかじめそういうことを設定いたしまして、いざというときに備えるということでございますが、そういったことなどの情報については、もうこれは基本的に必要な情報ということで、共有化されていくことが必要であろうというふうに思います。  そういうこともありますので、一々具体的に全部を網羅して申し上げることがなかなか難しいわけでございますが、基本的に言えば、災害の予防から発生における応急対策、それから、それ以降のいろいろな活動に必要なすべての情報ということではないかなと思います。
  132. 北沢清功

    ○北沢委員 今お話がございましたが、次に、災害応急体制の整備関係の中で、国、公共機関、地方団体、事業者は、それぞれの機関において実情に応じた職員の非常参集体制の整備を図ることになっています。実際に原子力事故が起きた場合には、こうした対応ができるかどうかということ、具体的に想定していることはどういうことですかということをお尋ねしたいと思います。  また、必要に応じて応急活動のためのマニュアルを作成するということになっていますが、国は地方団体のマニュアル作成等を支援することになっておりますが、具体的に何がなされておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  133. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 防災基本計画におきましては、御指摘のとおり、国、公共機関、地方公共団体及び事業者は、職員の非常参集体制の整備を図るとともに、応急活動のためのマニュアルを作成するということでございます。  これを踏まえまして、現在、関係省庁、指定公共機関においては、既にそれぞれの、そのような災害の場合におきます活動につきまして防災業務計画を定めることにしておりますが、その見直しを現在進めてきているところでございます。  さらに、こういった関係の機関が共同してといいますか、連携して、一体的にどのような行動をとるべきかということにつきましての具体的内容、さらに、災害対策本部というものを立ち上げる場合に、それぞれのどういう活動役割分担をしながら行うかといったようなことに関しまして、現在、関係の十八省庁間で検討を行いまして、マニュアルの作業をしているところでございます。  そういうような関係機関における取り組みということを進めてきておりますが、また、これとあわせまして、災害発生時におきます応急対策につきましては、先ほどの参集のところから始まりまして、いろいろな応急対策につきまして習熟度を高めるということがやはり必要でございますので、国、事業者、地方公共団体等連携いたしまして、通信連絡、対策本部の設置、あるいは避難誘導等を内容といたします原子力防災訓練を実施するということにいたしておりまして、例えば平成九年度におきましては、全部で十四県ございますが、九県でそのような防災訓練を実施しているというようなところでございます。
  134. 北沢清功

    ○北沢委員 マニュアルを作成中だということですが、特に、記載されている中では、避難場所についても書かれておりまして、地方公共団体は、公民館、学校等公共施設等を対象に、その管理者の同意を得た上で、あらかじめ指定し、周知徹底に努め、必要に応じて照明等の環境を良好に保つための整備に努めておりますが、原子力の問題として、そのことが果たして、一般災害と同じような避難場所とかそういう対応なのでありまして、これは特殊な災害ですから、やはりそういうものに対する、チェルノブイリのああいう問題もありますから、そういう経験を踏まえて、もっと具体的に施策を立てないと、一般災害と同じような対応ではそしりを免れないのではないか、私はそう思っておりますが、いかがでしょうか。
  135. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 避難場所の指定についてのお尋ねでございますが、これにつきましても、地方公共団体において、公民館、学校等公共施設等を対象として避難場所を指定し、住民への周知徹底に努めるということにされておるわけでございます。  これにつきましては、従来から、消防庁、科学技術庁におきまして、防災対策に係る地域防災計画の作成マニュアルを作成しまして、公共団体に対しまして、これらに関する地域防災計画上の取り扱いについての指導を行っているというところでございますが、そういったこともございまして、現在は五十七の関係の市町村においてそれぞれ地域の実情に応じた避難場所の指定が行われて、合計千六百カ所の避難場所が指定されているところでございます。  そういった原子力災害の特殊性にかんがみ、通常の避難場所というようなことで考えるのではなくて、もう少しその特殊性を反映したものでなければならないのではないかという御指摘であろうかと思いますが、それに関しましては、例えば愛媛県の地域防災計画におきまして、関係市町村が避難場所や避難経路を選定するための基準をその中で示しておりまして、県みずからも周辺地域の鉄筋コンクリートづくりの公共建築物を避難場所としてリストアップをして、発電所からの方向、距離、面積、収容能力、給食能力、こういったようなことにつきましてもデータの公表を行うなどいたしまして、円滑な避難地の指定を進めるというような取り組みをしているということの例もございますので、そのようなことなどを進めていきたいというふうに考えております。
  136. 北沢清功

    ○北沢委員 やはり未知の分野ですから、常識的な一般防災とは違うわけですから、そこら辺については、今お話がございましたように、経験がないわけですから、さらに一層の対応を研究されるように要望しておきます。  次に、自治体との関係ですが、原子力について、県の連絡協という組織がございます。また、発電所の地方自治体などには協議会があるというふうに聞いていますが、その組織の実態と活動内容について、これらと国との関係について、いかがなされているか、その点についてお尋ねしたいと思いますし、あわせて、これまでの内容を含めて、いわゆる原子力防災について各地方自治体の取り組みはどうなっているか、また、自治省においてはどのように把握をされているか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  137. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  原子力発電所等の立地道府県の集まりであります原子力発電関係団体協議会、及び立地市町村の集まりでございます全国原子力発電所所在市町村協議会というのがございまして、この二つが今先生おっしゃいましたようないろいろな活動をしております。この二つからは、地元住民の原子力に対する不安解消のために、国による防災機関の設置であるとか、あるいは現地対策本部の強化などの国の対応の充実強化を中心とした要望を受けてございます。  国といたしましては、災害対策基本法枠組みのもとで必要な体制を整備してきているわけでございますが、これらの要望も踏まえまして、平成九年六月には防災基本計画を修正いたしまして、原子力災害対策編を新たに追加してございます。この中で、国、地方自治体及び事業者の責務の明確化、国による専門家の現地への派遣、あるいは事故進展・放射能影響の予測や退避、避難の指導助言など、防災体制を一層強化したところでございます。  さらに現在、原子力安全委員会の原子力発電所等周辺防災対策専門部会におきまして、原子力防災対策の実効性を向上させる観点から、地方自治体の意見も伺いながら、国による初動対応の強化、緊急時活動実施機能の強化、事業者の防災体制の整備、現地対策本部の連携の強化、防災訓練の充実等について鋭意検討が進められているところでございます。  このように、地方自治体の要望を踏まえながら、今後とも、防災対策の一層の充実強化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  138. 北沢清功

    ○北沢委員 もう一つお尋ねをしたいのですが、いわゆる「もんじゅ」の立地自治体である福井県の敦賀市などでは、非常にこのことを重要視しておりまして、原子力の防災計画にどういうふうに取り組んでいるかということについて教えていただきたいと思います。実際に、情報も余りなくて、予測もつかない中で、原子力防災計画の策定などには机上の空論であるというふうな思いをして、計画の策定を拒否しているというふうに聞いておりますが、その真偽のほどをお尋ねいたしたいと思います。
  139. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 敦賀市の属します福井県でございますけれども平成七年に発生をいたしました旧動燃事業団の「もんじゅ」のいわゆるナトリウム漏えい事故を契機に、原子力防災計画の修正を検討いたしておったわけでございますが、さらに平成九年六月に追加をされました防災基本計画原子力災害対策編というものを踏まえまして、県では、平成十一年二月、ことしの二月に県原子力防災計画を全面修正いたしております。  それで、県といたしましては、今月中旬にも、敦賀市を含めた原子力関係防災関係市町村と原子力防災計画の修正すべき事項について検討を行うという段取りを予定しておるようでございますので、敦賀市につきましても、今後、県とも協議をしながら、そうした原子力防災計画等の修正ということについて取り組んでいかれるのではないかというふうに考えております。
  140. 北沢清功

    ○北沢委員 この問題の最後に長官にお聞きをしたいのですが、日本は地震国でありまして、静岡県では活断層の上に原子力発電、古いのですけれども建てられておりますし、いわゆる原子力対策については縦割り行政の過ちもあったり、それから常に言われていることは、安全である、安全であるということだけの宣伝であって、本当の意味で地域対応というものや住民の認識というものが非常に、危険を持つ割には中央の指導というものがまだ足らないのじゃないかというふうに私は思います。一般的な災害の基準から抜き出せない問題でありますから、防災の最高責任者としての国土庁長官のこのことに対するお考えをお伺いいたしたいと思っております。
  141. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 この原子力の問題につきましては、先生御承知のように、戦後ずっと、このことに対してはあらゆる角度からのいろいろ問題点があったわけでございまして、その地域での反対運動なども事実たくさんございました。  そういう中にあって、原子力発電が安全である、そしてまた自然のいわゆる火力発電とかあるいは水力発電だけでは、日本の経済を支えるエネルギー資源としてはどうしても原子力発電が必要である。そういう中で、今までいろいろな問題が起こって、その都度論議をされて、そしてその中で一番大きな争点になりましたのは安全性ということでございまして、先生御指摘のように、災害、また防災対策という観点から見ましても、やはり原子力の防災ということが一番重要であるという論旨で、るる今まで御審議をいただいたわけでございます。  そういう中にありまして、先生の先ほどの言葉にもございましたように、この原子力の分野でのそういう事故、災害というのは本当に起こってほしくないことでございまして、そういうようなことでございますから、今までのいろいろな流れはありますけれども、これからはなおのことオープンに、いろいろなことをその地域の方々にも、地域の方と申しましょうか、国民の皆さん方にもっともっとオープンに、今までも私は別に隠していたというようなことはないとは思うのでございますが、なお一層オープンにしていただいて、国民の皆さんの理解をいただいて、そしてこの防災体制というものは本当に最高の高度な対策を講じておかなければならないのではないかな、そういうふうに思っております。
  142. 北沢清功

    ○北沢委員 以上で原子力問題については終わりますけれども、私はきょう、そのほかに災害救助法の問題について申し上げたいと思うのです。  このことは、私は、栃木の豪雨災害で二度行っていまして、現地の黒磯の市長周辺の町村、那須町ですか、そういう市町村長さんからいろいろ問題点が出されまして、いわゆる緊急な事態ということで、災害救助法の所管は厚生省の援護局の援護課でございますが、このことは省令で行われていると思うのです。そのことの中身は、先ほど私がちょっと取り上げたのですけれども、土肥委員も神戸のプレハブの問題を取り上げたのですが、現場に二度目に行ったときに、床上浸水について救済されるべきだと言ったところが、六百万かけてされましたと。だから、壁も崩れたり床もだめになったり畳もだめになるのですが、法律の古い感覚でそういうものは救われることになっているけれども、実際にはそこには住めない。それから、避難所といいますか、避難所も七日間過ぎると、後は自動的に世話を見てもらえない。  市町村というのは、事故の救急救済に当たるところなんですが、いわゆる災害を復旧するとか、または復興する、そういう任務を一貫して持っているわけです。だから、そういうものと、中途半端でけられるような問題や、または、今当然テレビのほかにラジカセもあれだし、または、一般的なテレビだとかそういう家電は町が一千万円出したりして買って支給しているのですけれども、そういう意味で、その対応や何かについて、私は現地へ行ってみて非常に問題があるというふうに思って、前回もちょっとこのことは取り上げました。  したがって、この際考えなきゃいけないことは、そういう一連の自治体の対応を含めて、私、冒頭に申し上げたような、国土庁の果たすべき役割というもの、このことが、私は今後、果たして、援護局とかいろいろ分かれていていいのかどうかということについて問題になるわけでありますから、私が冒頭申し上げた一元化という問題も含めて、それから、実際に省令なり自治体でやる災害救助法の細部の問題について、改めて見直すべきではないか、そういうことを強く要望しておきます。  時間がないものですから、そのことについての御決意は長官からいただきたいと思っております。
  143. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 国土庁が一括して所掌すべきだという御意見と承ったのですが、現在は災害対策行政を、厚生省が所掌している災害救助法というのがあるわけでございますが、これは今日までの歴史的なものもあるようでございまして、災害救助法が昭和二十二年に制定されるまでの間は、災害による被災者の救助は、明治三十二年に制定されたその基本法に基づいて行われていたということでございまして、同法は、生活困窮者の救護の一環として、昭和十三年の厚生省設立当初から厚生省が所管をしてきたという古い歴史があるようでございます。  ですから、そういうようなこと、その後の災害に対します対処の仕方、また国民の皆様方の考え、それぞれの役所のその後の仕事の内容等々も考えて、また一度そういうような勉強会といいましょうか、そういうようなこともしてみたいなと思っております。
  144. 北沢清功

    ○北沢委員 ありがとうございました。  私は、歴史的に古いなりに、やはり現代に合うというか、時代錯誤であってはならないというふうに強く感じますから、この点は強く御要望を申し上げておきます。  終わります。
  145. 中村鋭一

    中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会