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1999-08-11 第145回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月十一日(水曜日)     午前十時七分開議   出席委員    委員長 井上 一成君    理事 佐藤  勉君 理事 桜井 郁三君    理事 滝   実君 理事 蓮実  進君    理事 久保 哲司君 理事 吉田 幸弘君       岩永 峯一君    下村 博文君       棚橋 泰文君    西川 公也君       西田  司君    古屋 圭司君       宮本 一三君    渡辺 喜美君       冨沢 篤紘君    宮地 正介君       中島 武敏君   知久馬二三子君  出席政府委員         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君  委員外出席者         参考人         (茨城県知事) 橋本  昌君         参考人         (岐阜県知事) 梶原  拓君         参考人         (奈良県知事) 柿本 善也君         参考人         (福島県知事) 佐藤栄佐久君         参考人         (京都府知事) 荒巻 禎一君         衆議院調査局国         会等移転に関         する特別調査室         長       福田 秀文君 委員の異動 八月十一日              辞任         補欠選任   保坂 展人君    知久馬二三子君 同日                 辞任         補欠選任  知久馬二三子君     保坂 展人君 八月九日  北東地域への首都機能移転推進に関する陳情書(第四九三号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  国会等移転に関する件  閉会中審査に関する件     午前十時七分開議      ――――◇―――――
  2. 井上一成

    井上委員長 これより会議を開きます。  国会等移転に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として、午前中は、茨城県知事橋本昌君、岐阜県知事梶原拓君及び奈良県知事柿本善也君に御出席をいただいております。また、午後については、福島県知事佐藤栄佐久君及び京都府知事荒巻禎一君の御出席を予定しております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。  なお、議事の順序ですが、まず各参考人から十五分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず橋本参考人にお願いいたします。
  3. 橋本昌

    橋本参考人 茨城県知事橋本昌でございます。本日は、このような発言の機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。  そしてまた、井上委員長初め委員皆様方には、国会等移転につきまして常日ごろから格段の御尽力を賜っていることに心から敬意を表する次第でございます。  せっかくの機会でございますので、首都機能移転に係ります本県の考え方、本県移転候補地特性などにつきまして御説明を申し上げたいと思います。  首都機能移転につきましては、東京一極集中の是正や災害対応力強化、そして地方分権規制緩和促進など大きな意義を持つものでございまして、まさに二十一世紀日本発展方向を示唆する国家的プロジェクトであると私も考えているところでございます。本日は、本県として特に強調しておきたい点を中心お話をさせていただきます。  まず最初に、首都機能移転必要性について二点ほど申し上げたいと存じます。  第一点は、災害対応力強化についてであります。  私は、国土庁防災局あるいは自治省消防庁に勤務をした経験がございますし、また、雲仙・普賢岳噴火あるいは阪神淡路大震災現場もつぶさに見てまいりました。そして、自然災害というものは防ぐことはできない、いかにして被害を少なくするかが、政治行政に求められる大きな課題であると考えております。そういった点からすると、今の東京は、南関東直下型の地震がいつ起きてもおかしくないと言われて久しい割には、実にのんびりとしているのではないかと考えております。  本県首都機能移転に取り組むことといたしましたのは、さき阪神淡路大震災の惨状を見まして、諸機能集中している超過密都市東京にもし同様の地震が発生したらどうなるのかということを考えさせられたからにほかなりません。首都にある中央政府国会は、災害発生時には災害応急対策総合調整を初めとする危機管理司令塔としての責務を有し、国民生命財産を守るとともに、国民日常生活経済活動の維持に努めるという重大な任務を負っております。そして、このことは瞬時の停滞も許されないものであります。  したがいまして、新首都地震等被害が発生する可能性が極めて低い地域に立地することが何にも増して重要であります。また、仮に災害が発生した場合でも、東京と同時に被災することがなく、かつ、新首都東京とを結ぶネットワーク上においても被災可能性が少ない地域に立地する必要があると考えております。  さき阪神淡路大震災につきましては、その対応についていろいろな評価がされておりますが、今になってみますと、震災直後に国会が頻繁に開かれ、緊急措置がとられ、復興のための各種法律の制定や予算措置が講じられるなど、比較的うまくいったのではないかと私は思っております。  そして、それはとりもなおさず、阪神淡路大震災危機管理に当たって、その司令塔が全く被害を受けなかった東京にあったからであります。仮にあの地震東京に起きたとしたら、災害に対する迅速な対応が困難であったのはもちろんのこと、首都機能が回復するまで数週間にわたり日本が大混乱に陥り、そしてまた日本経済、さらには世界経済にも大きな混乱を与えたものと考えられます。  今、東京に大地震が来るおそれが非常に強いと言われているわけでございますので、ぜひともその場合に備えて危機管理司令塔となる首都機能東京から移転しておく必要があると考えております。  第二点は、日本の将来の国づくりについてであります。  先般、小学校の校長をしている私の中学、高校時代の同級生から、今の子供たちには夢がない、自分は宇宙への夢を生徒に持ってもらおうと思って頑張っている旨の手紙が参りました。私も、今の日本には子供にも大人にも夢が少なくなっているような気がいたします。国づくりという点で見ても、東京一極集中の現在の形をもとに考えた場合、将来に向けて果たして日本に明るい展望が開けるでしょうか。  私は、東京中心としたこれまでの発展はすばらしかったと思います。しかし、千二百万人もの人が住み、通勤に一時間半もかかり、地下鉄ももう新たに敷設する余地もないような状況になってしまいました。ショッピングやコンサートや食事やら、ほかの都市ではまねのできない華やかなすばらしい都会であります。しかし、二十一世紀、さらにはこれから三百年、五百年後をにらんだ場合、若者たち国づくりのために汗を流し、夢を描く場所として果たしてふさわしいでしょうか。  東海道新幹線が開通した直後、東京、大阪二眼レフ論ということが盛んに言われました。しかし、現実はどうだったかといいますと、地方自治体金融産業界に強大な権限を持つ中央官庁が立地している東京への一極集中が起こるべくして起こり、東京ひとり勝ちに終わっております。  一方、金融産業界は、政治行政によるコントロールよりは、グローバル化の中で、世界との競争のためにも大幅な規制緩和を今日求めております。地方自治体についても、それぞれ歴史や風土を踏まえた特色ある地域づくりが求められる時代となっております。  このような状況を踏まえ、二十一世紀国づくりを考えますと、一極集中を是正しますとともに、規制緩和地方分権を積極的に推進し、小さな政府を実現する、あるいは政治行政経済の分離を図ることが必要であり、そのためには首都機能移転を実現することがぜひとも必要であると考えております。そして、それは若者たちの将来への夢にもつながってくることと思います。  次に、新首都建設に当たって配慮していただきたい事項について申し上げます。  第一点は、新首都にどういった特徴を持たせるべきかということであります。  国会等移転調査会の報告によれば、新首都は、平和、文化環境の三つを基本理念に、国民世界に開かれた、ゆとりと安らぎに満ちた都市であるとされております。  私は、新首都世界に対し二〇〇〇年代の日本をアピールするものでなければならないと考えており、そのためには、環境先進都市環境問題への対応世界で一番進んだ都市になることを目指すことが重要であると考えております。  現在六十億人の世界人口は、五十年後には約九十五億人になると言われております。そのとき、食料、エネルギーと並んで大問題になるのは、地球温暖化など環境問題であります。新首都は、インテリジェント化、町や建物のバリアフリー化、あるいは新しいライフスタイルの創造といった面で進んでいることは当然のことでありますが、それに加え、環境面世界モデル都市にならなければいけません。  地球上に百億人が住んでも自然の生態系が損なわれないようにするのは至難のわざと思われます。人間にはもちろん、動物にも植物にも、海や川にも優しい循環型の社会をつくることが今強く求められておりますが、新首都が、ハードの面でもソフトの面でも、世界じゅうの最高の英知を結集し、環境への負荷を極力軽減した人間環境共生に配慮した都市となるならば、外国からも多くの人が訪れ、日本は各国から尊敬される国となるのではないでしょうか。  第二点は、東京と新首都との密接な連携確保についてであります。  首都機能移転は、政治経済の十分な連携確保しながら進める必要があると考えております。  これまでの遷都は、戦争などによる政治の交代を機に実現されるケースが多く、前の文化を否定し、仇敵から身を守る必然性から、新都は旧都からできるだけ離れた場所を選定するなど、過去との断絶をねらいとしたものでありました。  しかし、今日の首都機能移転は、過去の遷都とは意義を異にしており、これまでの財産もとにしながら、二十一世紀に向けて我が国発展を牽引するという新しい視点に立った議論が必要不可欠であります。その意味では、新首都東京とを強制的に分離させるのではなく、東京文化を初めあらゆる機能を生かしながら有機的に連携させる方向移転することが求められます。  特に、少なくとも十年以上はかかるであろう新首都建設期間中は、東京と新首都の重都構造への対応が求められており、新首都東京との連携確保は絶対条件となってまいります。この場合、新首都東京との交流はかなり頻繁になるものと予想され、新首都東京は一体的な運営を確保する必要があり、移動コストども含め、コミュニケーションが容易な場所に立地する必要があると考えております。  また、現首都東京から首都機能移転したとしても、東京には相変わらず千百万人を超える人が住み続けているのに比べ、新首都はせいぜい六十万人程度人口が想定されており、現在の東京のような商業機能文化機能等を有することは規模的にも困難であります。そのため、首都機能移転後も、東京経済文化中心都市としての役割を有することと思われます。  国際社会の中で我が国経済文化面でも確固たる地位を確保する上でも、新首都東京連携し、相互の機能を補完することが期待されております。東京に集積している商業、医療、教育、芸術文化等の高度な都市機能集積は将来にわたって発展することが期待されており、政治行政中枢機能を有する新首都経済文化中枢機能を有する東京とは、常に密接な連携もとに運営されなければならないものと考えております。  次に、本県移転候補地特性について御紹介をさせていただきます。  茨城県は、常陸風土記の中で、長寿と富の理想郷常世の国として紹介されておりますように、昔から自然の恵みが豊かで気候温暖な生活しやすい環境にございます。  資料の七ページをごらんいただきますと、「「公園の中の国際政治都市」の創造をめざして」というのが入ってございます。これの七ページでございますけれども、県の面積は六千九十四平方キロメートルで全国で二十四位でございますが、平たん地が多く、総面積の約三分の二が可住地であり、可住地面積全国で第四番目となっております。  移転候補地である十六市町村内の特性といたしましては、久慈川、那珂川の清流や緑豊かな田園地帯丘陵地など、自然環境に恵まれますとともに、県都水戸市の中心部からも比較的近い距離にございます。  次に、十二ページ、十三ページをごらんいただきたいと思います。  地形は全体的におおむね標高百メートル未満の平たん地となだらかな丘陵地から成っておりまして、年平均気温は十四度と比較的温暖で、降雪はほとんどなく、年間降雨量は約一千二百ミリメートル前後でございます。  土地利用状況は、山林が四割強、農用地が三割であり、山林は雑木林が多く、農用地も桑畑やクリ畑などが多い状況にございます。  次に、十四ページをお開きいただきたいと思います。  本県候補地内には、国会都市候補地として現在三地区、約三万五千ヘクタールございまして、人口密度は平均して一平方キロメートル当たり八十五人程度でございます。その中に山林が約六割、国有林も約二千ヘクタールあるなど、土地取得も容易であり、地価調査山林価格ではございますが、平米当たり五百円から千円程度と低廉な状況となっております。  次に、災害に対する安全性についてでございます。  本県につきましては、東京と比較的近いながらも、大地震等規模災害について東京との同時被災可能性はほとんどない極めて安全性の高い地域であります。活断層東京との間も含め確認されておらず、明治以降震度五を超える地震はございませんし、関東大震災の際にも、東京震度六であったのに対し、本地域震度は四で、大規模被害を受けるには至りませんでした。また、火山はなく、過去の事例からも台風などによる風水害の被害もほとんどない極めて安全な地域でございます。  一方、災害時における東京との連携についてでありますが、東京被災した場合、本県東京と短時間で行き来できるばかりでなく、鉄道や道路などの代替可能な複数の交通手段があり、海路を利用することもできるなど、迅速かつ確実な災害復旧活動が可能であります。このように、本県移転候補地は、東京災害発生時に危機管理司令塔としての役割を担っていくのに最適な地域であると考えております。  次に、東京との連携についてでございます。  本県移転候補地は、東京とはおおむね八十ないし百二十キロメートルという連携確保するためのほどよい距離にあり、建設期間中も含め、将来にわたり東京と円滑な連携確保が可能であります。  また、東京とほどよい距離にありますことから、遠隔地首都機能移転する場合と比較しますと、新首都東京を密接に連携させるために必要な交通基盤通信網などのインフラの整備コストを抑制できますほか、新首都東京間の人や物や情報移動に伴うコストを経費的にも時間的にも抑制することができるわけでございます。  こうした東京との連携確保の観点からも、本地域首都機能移転候補地として理想的な地域でございます。  次に、環境に優しい都市づくりについてでございます。  私どもが提案しております新首都は、移転候補地全体を公園と考えて、その中に都市建設する公園の中の国際政治都市であります。公園の中の国際政治都市は、地球規模で取り組むべき人と自然との共生という課題に対する先導的役割を果たす新しいタイプの都市であり、我が国がこれまでひたすら歩んできた経済大国の道から、真に豊かさが実感できる都市を目指すものであります。  本県候補地は、大変なだらかな丘陵あるいは平たん地が続いておりますので、著しい地形などの変更を必要とせず、多くの土量を動かさずに、環境に優しい都市づくりが可能であります。  また、審議会において、環境負荷に係る検討の調査結果で公表されましたが、温暖な気候のため、エネルギー消費量調査対象地域の中で静岡県に次いで二番目に低くなっているところでございます。  最後に、本県内のこれまでの取り組み状況についてでございますが、民間団体中心として構成している茨城首都機能移転促進協議会と、市町村で構成しております茨城中北部地域首都機能誘致推進協議会中心活動を展開しております。こういった市町村では首都機能誘致決議が行われておりますし、また県議会におきましても、平成七年三月に首都機能誘致に関する決議を行っており、全県一丸となり誘致活動を進めているところでございます。  また、山形県を加えた北東地域五県では、北東地域首都機能移転県知事会議議会におきましても北東地域県議会連絡協議会を設置し、共同アピールの採択、東京においての北東地域首都機能移転促進大会の開催、あるいは北東地域首都機能移転した場合の各県の役割機能分担のあり方を示した連携構想を共同して策定するなど、県境を超えて利根川以北への誘致を進めているところでございます。  以上で私の意見陳述を終わらせていただきますが、井上委員長を初め委員皆様方には、国会等移転早期実現に向けましてなお一層の御尽力をお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。(拍手)
  4. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、梶原参考人にお願いいたします。
  5. 梶原拓

    梶原参考人 岐阜県知事梶原でございます。  本日は、お招きいただきまして、まことにありがとうございます。また、平素、井上委員長さん初め先生方には、日本をよりよくするために格段の御努力をしていただいておりまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。  とりわけ、先般成立いたしました地方分権関連法の成立につきまして感謝を申し上げたいと存じます。私どもの立場からいたしますと、内容的にまだまだというところもございますけれども地方分権に向かって大きな一歩をしるした、かように評価させていただいておりまして、厚く御礼を申し上げたいというふうに思います。  お手元に、一枚紙で追加で「首都機能移転文明論的視点国際的視野)」というものをお届けさせていただいておりますが、それによりましてお話をさせていただきたいと思います。  その表にございます、上の(3)にございますように、ただいま平成維新ともいうべき分権革命進行中であるというふうに認識をいたしております。その一つ地方分権ということでございますし、もう一つ民間との関係における規制緩和ということで、これからは、自主自立創意工夫による活性化、それから、全国一律主義ということではなくて、個性を生かして日本活性化していこう、こういうことではなかろうか、かように思っております。  明治元年から百三十年余を経過いたしまして、まずは明治維新という集権革命がございました。対地方、対民間に対しまして、権限集中一極集中を図りまして、いわゆる護送船団方式で進んでまいったわけでございますが、昭和に入りまして、敗戦後に民主革命ともいうべき昭和維新というものがございました。そして、三度目が今回の平成維新である、かように理解をいたしております。  明治維新の場合、国家目的が、軍事大国をつくる、欧米列強諸国に対抗するために軍事力強化を図ったという歴史がございます。昭和維新におきましては、経済大国づくりというのが国家目的でございまして、ともすれば経済万能という傾向が横行したわけでございます。それから、三番目に現在進行中の改革は、生活大国づくりということではなかろうか。近年、環境重視という傾向がございますが、これは国民的な意識の高まり、あらわれであろう、かように思っておりまして、生活現場重視だとか、あるいはゆとりとか心、こういうところに重点が移行しつつある、かように思っております。  それから、その時代時代社会構造でございますが、明治維新におきましては、農業社会でございまして、養蚕とかシルク、そういうものを海外に売って武器を購入したりしたわけでございますが、近代化を図るということで、脱亜入欧、アジアから抜け出して欧米列強諸国、そういうところに並ばなければいけない、そういうようなことで進んでまいりまして、昭和敗戦後は工業社会づくりということで、欧米列強諸国に追いつき追い越せということで頑張ってまいりましたが、今や時代情報社会ということでございます。  そして同時に、アジアの一員としての日本であるという自覚をしていかなければいけない、こういう時代ではなかろうか。時あたかも、情報ネットワーク革命進行中でございます。マルチメディア等バリアフリー効果がございまして、機会均等化が進む。従来のエリート社会から、衆知を集める衆知社会になりつつあるということでございます。  それから、権力構造は、申し上げるまでもございませんが、明治維新天皇中心とした権力ピラミッド構造昭和維新も同様の、体質的には引き継いでおる、かように思いますが、このたびの改革におきまして、あるいは社会の変化というものはネットワーク型ということで、一台のスーパーコンピューターがすべてを律するということではなくて、例えでございますが、個々のパソコンがネットワーキングする、コラボレーションをすることによって、スーパーコンピューター並みの力を発揮できる、こういう時代ではなかろうか。  それから、対国民との関係でございますが、明治時代は強権と恩恵ということで、大きな政府を目指してまいりました。強力な権限中央集中する。そして、地方もあるいは民間もいわゆる陳情というような形で恩恵中央政府に求めてきた、こういう歴史がございました。昭和維新の場合も余りその傾向は変わっていない。相変わらず集権体制である。そして、中央政府が過大な負担をみずからしてきたという大きな政府を構成してきたわけでございまして、このために、国民から過剰の期待中央政府に集まる。そして、国民的傾向として行政に何でもツケ回しする。行政が悪い。これが行政肥大化を招いている、かように思うわけでございます。  これからは対地方、対民間分権をいたしまして、それぞれが責任を負う、こういう自己責任時代ではなかろうか。そして、小さな政府というものを志向しなければいけない。個人とか自治体とか企業も自己責任自覚していく。このたびのペイオフの例も典型的な例でございますが、そういう方向に行きつつある、かように理解をいたしております。  それから、対外国関係では、明治時代欧米列強諸国に対して対決型の姿勢をとってまいりました。昭和に入りまして、敗戦によって、今度はその反動によりましてへりくだり型になっておる、かように思っておりまして、残念に思います。これからは、過去のそういった歴史を踏まえながらも対等に諸外国とつき合っていく、こういう自信と自覚を持つべきであろうということで、私も海外にあちこち行ってまいりますが、日本への期待は大変大きなものがございます。やはり科学技術研究開発あるいは産業技術に対する期待が大きいということでございまして、それにこたえなければいけない。  それから、そうした変革がございましたし、今また変革進行中でございます。こうした革命ともいうべき変革の場合には、必ず国民の目に見える形で意識改革というものが行われておりまして、明治維新の際には天皇京都から江戸城に入られた。皇居の移転、これが大変わかりやすい時代の変わり目という象徴であろうというふうに思います。それから、地方の大名の版籍の奉還がございました。そして、明治憲法が制定されました。  昭和に入りまして、敗戦後、人間天皇宣言がございましたし、いわゆる駐留軍、その本部であるGHQ、これが戦後の民主革命の象徴的な姿でございました。そして、昭和憲法というものが制定されて、自由とか権利というものが大きくクローズアップされました。ただし、残念なことは、自由と表裏一体の責任、権利に伴う義務というものが余り十分意識されなかったというところに、今日のいろいろな問題点を惹起している、かように思っております。  そこで、このたびの平成維新改革におきましては、変革のシンボルともいうべきものがなければ大きな改革ができていかない、かように思います。国会移転ということによりまして、時代が変わった、小さな政府に進むんだ、こういう国民全体の、あるいは官界、政界におきますそういう意識革命が必要であろう、かように思っております。さもないと、どうしても既得権益、既得権限に執着するという事態がなかなか打開されない、かように思います。そして、新しい移転先の都市は、平成維新にふさわしいシンボルとなるような都市づくりをしなければならない、かように思っております。  そして、このたび憲法調査会が設置されるということになりましたが、このたびも平成維新ともいうべき大きな変革でございますので、新しく憲法も見直して、そして改革をしなければならない、かように私は思っております。  現行憲法では、九十二条以下に地方自治に関する規定がございますが、全く簡単な規定でございまして、ほとんどすべて法律に任せるというようなことになっております。私どもは、憲法レベルで国と地方というものの役割をもっと明確にいたしまして、地方におきましては、法律を介しないで条例でいろいろなことができるというような自主性を持ちたい、かように思っておりまして、今後そのように運動も展開してまいりたい。そして、真の住民自治を実現する、そして一極集中の国家体制から多元的な国家体制に持ち込んでいく、こういうことが必要であろうか、かように思っております。  そして、新しい首都のイメージといたしまして、明治の場合はそういう強権政治でございます。首都機能東京にあるということが、ビッグ・アンド・ストロングという中央政府を象徴することになっておりまして、これはこれで意味があった、かように思っております。それから、昭和に入りまして、東京が巨大化あるいは過大化いたしまして、ビッグではなくてツービッグになってきた。そして、過密都市の弊害が出てまいりまして、ウイークになった。ツービッグ・アンド・ウイークということになっております。しかし、国民全体の意識としては相変わらず明治時代と同様に、ビッグ・アンド・ストロング、こういうような意識がまだ残っておると思います。  したがって、まだまだ中央政府に過度に依存するというような姿勢がなかなか転換できないような状況でございまして、やはり新しい都市におきまして、スモールであるが、バット・ストロング、防衛とか外交とか通貨とか、本来の中央政府機能というものが効率よく強力に発揮できる、そういう首都イメージでなければならないというふうに思います。  したがって、新しい都市は、平成維新のシンボル的機能を象徴するものでなければいけない。分権であり、環境であり、あるいはアジアでありというような時代をあらわすものでなければいけない、かように思っております。一例でございますが、環境問題からいたしますと、私どもは、候補地にありますゴルフ場を国会等建設地にしたらどうかという提案をさせていただいて、県のゴルフ場連盟あるいは特定のゴルフ場の方から、全面的に協力する、こういう意思表示をしていただいております。  そこで、現状をこのまま放置したらどうなるかということでございます。  言うなれば、ニューヨーク市という巨大都市の中にワシントンDCがあるというようなのが現在の首都東京の現状でございます。一例を挙げますと、国連加盟国百八十九カ国ございますが、東京に大使館のない国は六十五カ国ございます。そのうち二十二カ国は兼務でございまして、北京に大使館を置いて日本を管轄している、こういう国辱的な事例さえあるわけでございます。  それから、細かい話かもしれませんが、首都の警護のためということで、これはほとんど東京都の負担でございますが、警視庁の警察費は、全国平均の倍、六千百億円かかっておるわけでございます。  それから、東京都に対する行政投資、国費でございますが、大阪とか愛知とかそういった大都市と比較いたしますと、平成五年度の数字では一年間に約五千億円、東京都にプラスして投資されているということでございます。最近の数字ですと三千五百億円程度ということになっておりますけれども、それでも大きな数字であろう、かように思います。  そして、最後に、移転した場合にどうなるかということでございますが、大変お金がかかるというように錯覚をされておりますが、例えば、私どもの岐阜県の候補地に仮に移転があるといたしますと、国費分で年間二千億円前後の投資が必要である、かような試算をいたしております。全国の国費の、行政投資、その全体のわずか一%程度でございまして、行政投資の全体枠をふやさなくてもその枠内でやりくりできるということでございまして、その点の御理解をこれからよりよく進めていかなければいけない、かように思っておる次第でございます。  以上、僣越でございますが、問題提起もさせていただきながら意見を発表させていただいた次第でございます。よろしく御理解を賜りたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  6. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、柿本参考人にお願いいたします。
  7. 柿本善也

    柿本参考人 奈良県知事柿本善也でございます。  このような貴重な機会を設けていただきましたことをまことにありがたく存じている次第でございます。とりわけ井上委員長を初め各委員におかれましては、長期にわたり、首都機能移転について精力的な審議をいただいていることに敬意を表しておきたいと存ずる次第でございます。  そこで、機会を得ましたので、本日は、首都機能移転に対する奈良県の基本的な考え方、新しい首都のあり方、畿央高原地域特性の三点について、順次意見を述べさせていただきたいと思います。  まず第一点は、首都機能移転に対する奈良県の基本的な考え方をかいつまんで申し上げます。  首都機能移転は、現在別途取り組まれております地方分権規制緩和、行財政改革等二十一世紀国際社会に通用する日本の新しい社会経済システムの構築を促進する契機になるものと考えております。  我が国は、先ほど来もお話がございましたように、明治維新以来、先進国へのキャッチアップを目標として掲げまして、政治行政システムと経済システムが密接に連携するとともに、東京に人、物及び情報集中させ、効率的で、物質的に豊かで恵まれた社会をつくり上げることに成功いたしました。その結果、今日、我が国は先進国の一員となりましたが、むしろこれからは、日本独自の、国民や企業の自由な活動創意工夫を可能とするような新しい社会経済システムの構築が迫られているようになってきております。  ところが、あらゆる分野で東京を頂点とするピラミッド構造の中で文化や物の見方が画一化が進み過ぎまして、例えば、情報発信力でいえば、関西版とか九州版というものが東京からの画一的な傘の下に入るような勢いにある現状でございまして、何らかの変更なり改善が求められているものと考えている次第でございます。  時あたかも、先ほども触れましたが、中央地方関係を上下関係から対等、協力の関係へと転換する我が国歴史的な転換期にあります。あるいは、価値観の多様化に対応した個性あふれる社会創造を目指す社会経済システム改革は、東京から首都機能移転することによりまして、さらに効果的に促進されるのではないかと考える次第でございます。  すなわち、この首都機能移転に伴いまして、国会行政の政策立案機能移転することで、政策立案に際しての視点の変化が期待できます。また同時に、結果として、東京と伍し得る都市圏域が出現することになりまして、全国的な統一性や公平性を重視する現在の集権的システムの見直しによる地域の自立が促進されると考えております。  こういう意味で、歴史を変える重要な選択でございます首都機能移転は、我が国の新しい社会経済システムの構築を促進するきっかけになるものと考えている次第でございます。  またさらに、このほか、先ほどもお話に出ましたが、仮に東京で四年前の阪神淡路大震災のような大地震が発生したといたしますと、一極集中している政治行政中枢機能が麻痺することは想像にかたくございません。国内のみならず、日本の置かれた現状からいたしますと、国際社会に与える影響がはかり知れないものとなると思われる次第でございます。そうした事態を避けるために、東京と同時に被災する可能性の少ない地域に国家行政中枢機能移転させなければならないと考えている次第でございます。  次に、第二点でございますが、新しい首都のあり方について若干の意見を述べさせていただきます。  これまで、国会等移転審議会におきまして、交通条件とか災害への対応等、多角的な調査を進めてこられました。今後は、地域ごとに総合評価を進められると聞いております。  この際、私がこの機会をかりて強調しておきたいのは、まずは国土の中央部への立地という観点でございます。  新首都は、我が国政治行政の中枢を担うことになりますので、全国各地からのアクセスの容易性において偏りがないこと、こういう観点が必要だろうと思います。同時に、既成のいわゆる国土軸に加えて、今後予定されます太平洋新国土軸、西日本国土軸、日本海国土軸の三つの国土軸の結節点に近いところが望ましいと考えている次第でございます。  また、二つ目といたしまして、首都という観点からいたしますと、やはり日本のアイデンティティーの発信という観点があるのではないかと考える次第でございます。  我が国が先進国への仲間入りを果たし、国際社会への貢献がより強く求められている今日、我が国には、改めて自国の歴史と伝統文化の持つ意義を踏まえ、日本文化的アイデンティティーを再認識することが将来の発展にとって重要な課題と考えております。  そのような状況もとにおきまして、新首都におきましては、我が国のアイデンティティーを世界に発信することがしやすい、そういう立地条件を備えることが意義深いものと思っております。具体的には、我が国の伝統文化の薫りを感じ取ることのできる条件の場所に新首都を形成することが我が国首都の顔としてもふさわしいものと考えておる次第でございます。  次に、大きな三点目といたしまして、畿央高原、奈良県も属しておりますが、この畿央高原の地域特性について幾つかの点を申し上げさせていただきたいと思います。  畿央高原地域は、国土のほぼ中央部に位置しております。全国からの均衡あるアクセスにすぐれているばかりか、政治中心が現在よりも西に移動することによりまして、東京に偏らない国土のバランスある発展期待できます。この点は、人口その他の観点からしても、現在の東京は東に偏しているということは御承知のとおりでございます。  また、関西圏と中部圏の結節点に位置し、既存の社会資本ストックや高次の都市機能を活用したコンパクトな都市づくりが可能であります。  また、別の観点といたしまして、大規模な震災等が発生した場合でも、東京との同時被災可能性はなく、被災時の代替ルートの確保が可能ということから、国土の災害対応力強化することにもなります。  さらに、この地域に特筆すべき特性といたしまして、我が国歴史と伝統文化を継承する奈良、京都等から至近距離にありまして、こうした伝統文化を生かした新たな文化の醸成が可能であるという点でございます。  次に、若干、パンフレットによりて皆様方に御説明いたしたいと思いますが、お手元に、薄緑色の「畿央高原 歴史文化と緑に包まれた二十一世紀の新都」というパンフレットがございますが、この五ページをお開きいただきたいと思います。ここでは、奈良県もその持つ特色を生かして畿央高原の新首都への貢献ができる事柄を挙げさせていただいております。  まず第一点、枠がついておりますが、新都にふさわしい文化創造を支援することができます、こういう点でございまして、この点につきましては、奈良は、千三百年ほど前の西暦七一〇年に平城京というものができ上がりました。二〇一〇年にはこれが千三百年という節目を迎えることになります。この際に、これを目標年次として、平城宮跡を中心に、歴史文化国際交流ゾーンの形成を目指しております。また、我が国では珍しく、こういう歴史のありました中央の舞台が現在国有地として百町歩以上の用地が確保されている珍しい場所でもございます。こういうことを目指した新たな歴史文化ゾーンの形成を進めているところでございます。  次に、次のページの一番上に、ゆとりと潤いのある環境創造を支援するということが書いてございます。この点につきましては、畿央高原地域は、大和青垣あるいは室生赤目青山の国定公園など多くの自然公園に囲まれておりまして、こうした豊かな自然環境の保全を引き続き行っていくと同時に、新しく移転する首都機能期待するいろいろな創造にも十分可能性を秘めている場所であろうと考えている次第でございます  さらに、中段以下に、新首都の学術研究機能を支援するという点でございますが、これは御承知のように、京都、奈良、大阪の三府県にまたがりまして、現在、関西文化学術研究都市建設が進んでおります。奈良市北部にもこの一部がございまして、畿央地域からは距離にいたしますと約一時間の距離にございます。そこにはいろいろな研究施設あるいは先端的な大学院大学とかそういうものが立地しておりまして、そういう意味におきましても先端的な科学技術との連携を十分期待することができる場所でございます。  それから、このパンフレットの七ページをごらんいただきたいと思います。次のページでございます。これに関連し、やはり大きな影響を与えるような主要なプロジェクトについて写真をつけながら若干の説明をつけさせていただいております。例えば一番左上には奈良市付近を通ることが予定されているリニア中央新幹線等のプロジェクトを掲げさせていただいております。  以上、大変簡単でございますが、首都機能移転に関する私の考えを述べさせていただきました。  最後に、希望としてお願いを申し上げておきますと、先ほども申し上げましたが、首都機能移転はいわば日本歴史の転換点における大きな、重要な事業でございます。ぜひとも世界を視野に入れた我が国のグランドデザインとして検討を進められることが必要だと考えております。そういう点からいたしますと、数百年のオーダーの歴史観あるいは文明観の論点に立ってその方向性を御判断いただきたいものと考えております。この秋に予定される国会等移転審議会の答申を受けて国会で御論議いただくことになると聞いておりますが、国民的な合意形成に向けて国会におきましても一層のお取り組みをお願い申し上げる次第でございます。  以上、大変簡単でございますが、参考人としての私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  8. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 井上一成

    井上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
  10. 古屋圭司

    ○古屋委員 自由民主党の古屋圭司でございます。  きょうは、三知事におかれましては、参考人として御出席をいただきましてありがとうございました。今それぞれの知事さんから、それぞれの地域の優位性あるいは首都機能移転必要性を、文化的、歴史的、経済的、危機管理的あるいは国家形成上の観点からお話をいただきました。これについて御質問等しますととても時間がございませんので、私は具体的な点を何点か御質問させていただきたいと思います。  まず、その前に、首都機能移転の経緯について簡単におさらいをしたいと思うのですが、昭和三十年代にさかのぼると思います。当時は、例えば富士山のふもと遷都したらどうかとか、あるいは東京湾を埋め立てたらどうかとか、こんな議論があったと思います。また、我が党以外も、当時の日本社会党あるいは公明党も新首都建設案というものを出しておりました。また、昭和三十九年には河野一郎建設大臣が新首都建設プランというものを出して、その当時、建設省や国土庁でもいろいろな観点から検討がなされたと思います。いわばこの時期を論議の時期、こういうふうに位置づけることができると私は思います。  この論議の時期というのから第二期目の段階、すなわち検討の時期というものに移ったのが平成二年の国会移転のあの決議だと思うのです。この決議によりまして、衆参両院で決議をされまして、法律ができ上がりました。国会等移転に関する法律でございまして、これに基づきまして調査会あるいは審議会ができて、この法律も二度にわたる改正が行われました。そして、いよいよ十年の期間を経てことしの秋をめどに審議会が答申を出す、こういうことでございまして、これはいわば私は検討の期間というふうに位置づけることができると思います。  この秋、答申が出た以降が、いよいよ正念場でございます実現の時期というものを迎えるわけでありますけれども、しかし、この実現の時期という期間がもう目前に迫っているにもかかわらず、何となく国民の世論というか、国民的な盛り上がりがどうしても欠いているように思えてなりません。  我々も国会議員で三地域誘致する議員連盟をつくっておりますが、過日、八月四日、それぞれの地域への移転ということもさることながら、首都機能移転を実現しなければ誘致もあり得ないんだという考え方に基づきまして、「世紀が変わる、首都機能を変える」総決起大会という国民大会を開催させていただきました。千八百人以上集まりましたけれども、知事さん初め経済界、全国各地区の方に、代表者に世話人になっていただいて、国会議員以外でも二百名以上世話人になっていただいておりまして、こういう世論を盛り上げていくために何とかしたいと我々取り組んでいるわけでありますが、ぜひ知事さんにおかれましても、実はこの八月四日の大会も、二十七県の知事さんが発起人として名前を出していただいております。御承知のとおり、誘致対象地域は十二県でございますので、十五県はそれ以外の地域の方も応援をしていただいているということでございます。やはり私は、世論の形成のためには、誘致地域の知事だけではなくて、対象地域以外の知事も積極的な応援をしていただくということが必要だと思います。  そこで、三知事にお伺いしたいのですが、対象地域以外の知事さんにも働きかけをして、この首都機能移転というものを国民運動として、それぞれの地域から運動を盛り上げていっていただきたい、そのために、ぜひ私は、そういった知事さんに積極的に皆様方が働きかけて運動をすべきだと思いますけれども、この点についての御意見、そして、実際にそういう行動をとられるという気持ちがあるかどうかも含めてお伺いしたいと思います。
  11. 橋本昌

    橋本参考人 今お話にもございましたように、先般、古屋議員を初め先生方の御尽力により盛大な総決起大会が開催されたところでございますけれども、私どもも、先生のおっしゃられるような必要性をつとに感じているところでございまして、七月の二十九日には北東地域五県で東京におきまして千二百名以上の方々を集め、そして、私どもの場合には、北東地域五県という中には山形県という移転候補地でない地域も入ってございます、そういった形で世論の喚起にも努めておるところでございます。  これからも、おっしゃるような方向を頭に置きながらいろいろな活動をしてまいりたいと思っておりますけれども、それとあわせて、私は、やはり国におきましてももっと積極的な啓発活動というものをぜひともやっていただきたいと思っております。  以上です。
  12. 梶原拓

    梶原参考人 議員御指摘のとおり、いわゆる候補地の知事だけではなくて、他府県の知事さん方にも大きな関心を持ってもらい、また行動もしていただく必要があろうか、かように思っております。  先ほど申し上げましたように、このたびの平成維新ともいうべき分権革命、とりわけこの地方分権革命というものは、国会という国権の最高機関の移転というような象徴的なプロジェクトと表裏一体でございまして、そういう観点からも、他府県の知事さん方の御協力を得なければいけないし、全国的な世論形成もしていかなければいけない、かように思っておりまして、私ども東海四県では、協力いたしまして広域的な取り組みを進めております。東海道新幹線とか山陽新幹線あるいは営団地下鉄の車内広告を出している。あるいは、中部圏知事会では、近畿ブロックの知事会とも協力いたしまして、西日本の高松、広島、福岡で連続講演会を開催いたしております。  こういう努力を今後とも重ねてまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、国政の重要課題でもございますので、明治維新あるいは昭和維新に匹敵するような情熱を国政レベルの上でも盛り上げていただきたい、かように念願をいたしております。
  13. 柿本善也

    柿本参考人 お尋ねのように、相当の期間議論されていますが、本当にみんなが盛り上がっているかというと、我々もその点については大変な懸念を持っておる次第でございまして、やはり、何が先かという議論もありますが、できることをそれぞれの立場で御努力いただくことではなかろうかと思います。  近畿ブロック知事会議におきましても、これは中部圏と協力してですが、首都機能移転シンポジウムを、実は東京とか高松とか福岡とか広島で開催をしております、あるいは開催する予定にしておりますが、そういうことも一つの試みでございますが、そういう形で、いろいろな形で、お互いに情報を交換しながら、多くの方にこの問題が政策的な大きな課題であるという意識を持ってもらうことがまず第一ではなかろうかと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  14. 古屋圭司

    ○古屋委員 我々立法府の人間が全力を尽くして首都機能移転国民世論を盛り上げていく、当然でございますが、全国四十七都道府県の知事さんがその運動の先頭を切っていただくということも、やはりそれぞれの県民の意識を変えていくという極めて大きな効果があると思います。例えば北海道であるとか四国であるとか九州であるとか、こういうところからもそういう声を出していただく。非常に私は大きな効果があると思いますので、引き続き三知事さんの御努力をぜひともお願いしたいと思います。  最近、東京都知事が石原さんにかわりまして、東京が大反対をしている、これがかなりニュースになっております。残念ながらニュースの発信基地というのはほとんど東京であるという、これも一極集中の悪弊でございましょうけれども、しかし、一方では、この反対論というのは多分に政治的側面あるいは誤解に基づく点というのが非常にあると思います。あくまでも首都機能移転というのは政治首都移転するということでありまして、経済首都東京である。例えば永田町、霞が関、これがきれいさっぱり移転したら、ここに新たな経済首都としてのグランドデザインをつくることができる、大変効果的な経済首都をつくることができる。こういう観点からも、ぜひ、これは答弁は結構でございますけれども、やはり東京都との賛否両論の討論というか、そういう公開討論のようなものをどんどん知事さん同士ででもやっていただく、このことが非常に大切だと思いますので、ぜひそんなこともお考えをいただきたいと思います。  余り時間がございませんので次の質問に行きますが、仮に移転地域が決定した場合、法律上も「候補地の選定に伴う土地投機対策」ということが規定されております。都道府県知事あるいは政令指定都市の首長は監視区域に指定する、こういうふうになっておりますが、しかし、これだけでは不十分でございまして、実際にそれぞれの地域でこの土地対策、どうやって効率的に、安い費用で、より早く、より広大な土地確保する。その具体的な方策、公有地をたくさん持っていてそれを提供する、これも一つの例でありましょう、いろいろなことがあろうかと思いますけれども、簡単にで結構でございますから、それぞれの知事さん、どんな秘策を持っておられるか、お伺いをしたいと思います。
  15. 橋本昌

    橋本参考人 秘策というわけではございませんけれども、現在の段階では、私ども、県内の百五地点を調査地点といたしまして、首都機能移転候補地特別調査というものを実施し、土地取引の状況などの詳細かつ迅速な把握に努めているところでございます。  しかし、いざ決定ということになれば、先生おっしゃられるように、さまざまな動きが出てくることになると思います。そして、そのためには一時的な土地取引の規制その他もやっていかなくてはいけないと思っておりますけれども、幸いなことに、私ども茨城におきましては、例えばつくばにおきましても、あそこで二千七百ヘクタール、研究学園地区がございますけれども、こういったものにつきましても、随分、地元での歓迎体制、協力体制というものが、しっかりしたものがございますので、そういった点では、今度の候補地についても、いざとなったときのいろいろな規制をかけるかどうかという検討は必要でございますけれども、そんなに心配をしているところはございません。
  16. 梶原拓

    梶原参考人 私どもの候補地におきましては、四万四千ヘクタール以上の国公有地がございまして、仮に、この移転先、決まりましても民有地を大きく使うということはございませんので、大きな混乱はないかと思います。  そして、岐阜県として特徴的なところは、この地域にゴルフ場が約六十カ所ございまして、私どもは、ぜひ国会等はこのゴルフ場の中でつくりたい、かように考えておりまして、衆参両院の特別委員会の御視察のときも、岐阜県のゴルフ連盟の土屋会長さんが積極的に協力するという意思を表明されておられますし、そして、具体的には、候補地内の富士カントリーというのがございますが、そこの会長さんから知事あてに、この可児クラブという具体的なゴルフ場の名前を挙げながら、協力するというお話がございました。  そういった点、環境を損なわないで、しかも容易に良好な土地確保できる、こういうふうに私どもは思っております。
  17. 柿本善也

    柿本参考人 土地投機対策につきましては、現在の国土利用計画法に基づく制度をやはりその時点で、決定したときに運用を図るということではなかろうかと思います。現在のところはむしろ鎮静化しておりますので、あらゆる届け出も監視も県内でいたしておりませんが、その時点ではまた検討していくべきものと考えております。
  18. 古屋圭司

    ○古屋委員 時間が参りましたので、最後に一言お伺いしたいと思います。  仮に移転地域が一カ所、最終的に一カ所になるわけですが、一カ所になった場合でも、それぞれの地域あるいは知事さんは、首都機能移転のために全面的な協力をしていただくということをぜひ、お考えだと思いますが、その辺について改めて御意見を伺いたいと思います。
  19. 橋本昌

    橋本参考人 もちろん、協力してまいります。
  20. 梶原拓

    梶原参考人 審議会のときにも申し上げましたが、国家百年の大計に基づいて公正な判断が下れば、もちろん、それに従うことが私どもの責務だ、かように考えております。
  21. 柿本善也

    柿本参考人 先ほど申し上げましたように、この首都機能移転はやはり地方分権に重要なインパクトを与えると思います。そういう意味におきまして、十分検討された結果については全面的に協力させていただきたいと思っております。
  22. 古屋圭司

    ○古屋委員 ありがとうございました。  二十一世紀のキーワードは、最先端の科学技術自然環境とのフュージョンであります。それを具現化するのは首都機能移転であります。我々も、しっかりこれの実現に向けて頑張ってまいりたいと思います。また、地方分権の効果的かつ究極的手段であるということをしっかり認識して、我々も知事さんと連携をとりながら、国民世論の形成に向けて頑張ってまいりたいと思います。  以上で質問を終わります。
  23. 井上一成

    井上委員長 久保哲司君。
  24. 久保哲司

    ○久保委員 公明党・改革クラブの久保哲司でございます。  きょうは、橋本知事、また梶原知事、柿本知事にお越しをいただいて、先ほど来貴重な御意見を聞かせていただきまして、まことにありがとうございます。  特にどなたがというわけではないのですが、先ほど梶原知事が一枚物でまとめてくださったもの、我々も日ごろあちこちで好きなことを言うておるわけですけれども、きれいにまとめてもらったので、今後、我々自身も非常に参考にさせていただければと思います。ありがとうございました。  首都機能移転国会等移転、言い方はさまざまあります。私自身も、国会に議席を得て六年になりますけれども、間がちょっと抜けたのですけれども、ずっとこのことに取り組んでまいりました。その中で私自身は、首都機能移転、何が何でも東京を、無理やりでもはがして持っていかぬとあかんのかどうか、そんなさまざまな議論があった中で、一番大事なのは二十一世紀日本という国をどういう国にするのか、政治あるいは行政というものを考えるときに、どういう形の国づくりをするんだ、そのために何をしなければならぬという、これがないといかぬのだろうと思います。  考え出したらそれはさまざまあるのですけれども、二十一世紀日本、いわゆる分権国家、地方自治体に――先日一つの法律が通りました。通った中で、まだ財源がついてきていないやないか、こういう自治体からの御要請、また不平不満も聞こえてくるわけであります。だけれども、これを見事に完成させるためにも、僕はある意味で物理的な、腕力というわけではないのですが、東京機能を移すこと自体がそれを加速させ、分権国家をつくり上げることの完成に近づく、そんなイメージを強く強く持っておるところであります。  期せずして先ほど知事さん方は、いわゆる地方分権規制緩和行政改革、これを進めるためにこそ首都移転首都機能移転が必要なのだというふうな御意見をお述べいただいたわけであります。その点で、私は、そない言われてしもうたら質問することがなくなってしまったようなところがあるのですけれども一つは、別の観点で、岐阜の梶原知事あるいは奈良の柿本知事は、いわゆる日本の国土全体の真ん中あたりにあるべきだ、こういうようなお話。それで、きょうの立場でいえば橋本知事は、東京との距離がそんなに遠くなくて、一定の連携がとれる場所がいいのだ。言うならば、アメリカのニューヨークとワシントンのようなことをイメージされておられるのだと思います。そのことも含めまして一つまずお伺いしたいのは、分権が進めば進むほどに、今以上に知事さん方の政治家としての権限、能力というのは大事になってくるのですけれども、その政治家、知事の立場として改めて、二十一世紀日本はこうあるべきだということについて、御意見をお三方からお伺いしたいと思います。
  25. 橋本昌

    橋本参考人 私は、二十一世紀日本というのは、国内的にはこれまでのような中央集権による画一的な行政を改め、小さな政府を実現し、一極集中の是正や規制緩和などを促進するとともに、それぞれの地域歴史や風土を生かした特色ある地域づくりを進めるためにも、政治行政地方への分権が必要であると考えております。そして、そうすることによって初めて日本社会の多様性、競争といったものを生み出し、二十一世紀日本発展につながっていくのではないかなと考えております。  ただ一方で、世界に向けた日本のあるべき姿としては、環境との共生に配慮した科学技術立国というものを考えております。このため、学問や学術研究などの分野についてはこれまで以上に集中していく、集積していく必要があるのではないかなと思っておりまして、そういった意味で、本県のつくばなどを重要視しているところでございます。  また、現在の我が国は、その経済力に比べまして国際的な交流といったものが少ないわけでございますけれども、二十一世紀は国際化社会であると考えておりますので、国際社会の中で、より強い政治的なリーダーシップを国として発揮していっていただきたいと思っておりますし、また経済先進国として、世界各国、特に発展途上国との関係というものをもっともっと深めていく必要があるのだろうと思っております。さらに学問や芸術文化の分野でも、その独自性を生かしながら、国際的に活躍できる人をふやしていく、こういったことを進めまして、国際社会の中で生きる日本という側面をもっともっと強く意識していく必要があるだろうと思っております。
  26. 梶原拓

    梶原参考人 御指摘のとおりだと思います。これからの時代は、キーワードで表現いたしますと個性と責任、こういう時代ではなかろうか、かように思っております。  これまでは集権体制の、護送船団の中で、甘えの構造がはびこってきたというふうに思います。こういう集権体制はいわゆる発展途上国型でございまして、早くこの体制から脱皮しなきゃいけない。経済は確かに先進国になりましたが、政治行政体制はまだ発展途上国である、こういう現状でございまして、個性と責任を明らかにする分権体制に持っていく、そして中央ぶら下がり体制から地域自主自立を求めていく、こういうことがこれからの姿でなきゃならないというふうに思います。  岐阜県を例にとりますと、その経済力は、GDPでシンガポールとかマレーシアと同じぐらいでございまして、独立しても十分やっていけるだけの経済力がございます。そういう地域の力というものをお互いにもっと評価して、自信を持つべきだ、かように思っております。  アメリカの活力というものは、一つには地域間競争というものがございまして、それぞれの地域の個性を競い合っている、そこに国力の活力が出ているということでございまして、日本もこれからは自治体が自主自立で善政競争をやろう、よりよい政治行政をやるという地域間競争こそが日本の活力を生む、そういう姿の日本でなければいけない、かように思っております。
  27. 柿本善也

    柿本参考人 基本的には御指摘のような観点が必要だと思っております。  私は、今までは日本の国家は、やはり画一性、効率性を追求するために、どちらかというと東京一極集中、評価する立場にあったと思います。それがそれなりの効果を発揮した、そういう過程で、やはり本来に戻って、地域の個性というものがなければならない、あるいは社会経済のいろいろな組織体についてもそういう個性、創意工夫を発揮できるようなシステムにしなければならない。ところが、今のままでは、情報一つにしても東京経由でございまして、そういうことからすると、やはり発想を転換するというきっかけが必要だろう、こういう考え方を持っている次第でございまして、そういう意味で、この百三十年間で東京は十分役割を果たした、そういう観点も必要ではなかろうかと考えている次第でございます。
  28. 久保哲司

    ○久保委員 ありがとうございました。分権を徹底して僕は進めたいと思います。  先日、地方分権一括法が通った後、地元に帰って市町村長さん方何人かと話をしました。一方でいいことだいいことだと言いながら、先ほど申し上げましたように、だけれども、まだ税財源の保障がされていないやないかと。そこで、僕は冗談半分に、それならこれから国会の方でも頑張って、税財源をちゃんと皆さん方にきっちり渡すようにしますがな、しかし考えてや、それをきっちりしたら、今度は金がないからといって府県や国へ陳情に及ぶことはできませんよ。きっちりしてしまったら、あとは全部自分で責任を持たなあきまへんで。あかんようになったときは会社と一緒でぶっつぶさぬとあかんような話になります、隣の市に吸収されるというような話にだってなりますよ、こんなことを申し上げたら、それはそれでえらいこっちゃな、こんな話でございました。府県という自治体、それと市町村、これは立場が大いに違うのかなというふうにも思ったりするのですけれども。  今もお三人の中で言葉が出てきました、行政体制というのは今なお発展途上国ですよという、まさに私もそのことを感じますし、そのためにも、首都機能移転を必ずや実現して、日本の国の姿というものを、国民の皆さんに近いところで本当の仕事ができる、そういう状況をつくり出さぬといかぬと思っています。  そういう意味では、先ほども御質問がございました、お三方のどこかに決まるのか、きょう来られていない知事さんのところに決まるのか、これは最後わかりませんけれども、今おっしゃったような将来の日本行政政治の体制というものを念頭に置いた上で、自分のところに首都機能が決まった場合には、我々としてはこういう都市でありたい、こういう都市にしてみたいという、このことについてイメージをお話しいただければと思います。
  29. 橋本昌

    橋本参考人 先ほども御説明をさせていただいたところでございますけれども、私どもの県の描いておる新首都というものは、地球規模で取り組むべき、人と自然との共生という課題に対する先導的役割を果たす新しいタイプの都市公園の中の国際政治都市ということでございます。これは移転候補地全体を公園と考えて、都市の中に公園があるのではなく、一歩進んで公園の中に国際政治都市創造しようとするものでございます。  このパンフレットにございますけれども、これの二十二ページに「望ましい新都市イメージ」という形で記載がしてございますが、「ゆとりとうるおいに満ちた人間性に配慮された都市」とか、あるいはまた自然環境に優しい都市、「情報通信網が整備された情報先端都市」「世界を身近に感じられる開かれた都市」「新しい文化やライフスタイルが形成される都市」といった大きな項目でくくっておりますけれども、これまでとは違った形で、世界にもアピールし、また住んでいる方たちもゆとりや潤いを持って暮らすことができる、そういった都市をつくっていきたいと思っております。
  30. 梶原拓

    梶原参考人 私どもといたしましては、日本の真ん真ん中、人口重心地である、あるいは二十四時間国際空港がただいま建設中であるというような利点を生かしまして、全国から多くの人が集まる、そして世界から多くの人が集まる、そういう国際都市をつくっていかなければいけない、一言で表現いたしますと、地球家族村というようなものをつくってまいりたいと考えておりまして、豊かな自然を損なわないように自然と共生をしていく、そして内外を問わず、人々のお互いの共生を育てていく、こういう町でなければ相ならぬ、かように思っております。  幸い岐阜県は、お手元に「地球家族村」と題した地図をお届けいたしておりますが、それをごらんになってもおわかりかと思いますが、京都、奈良とか、日本の伝統文化、多彩なものが配置されておりまして、外国の方々にとっても大変魅力のあるポジションではないか。そのポジションを生かした、魅力ある地球家族村をつくってまいりたい、かように思っております。
  31. 柿本善也

    柿本参考人 お答えいたします。  やはり新首都をつくる場合は、二十一世紀日本が諸外国からどういう姿で期待されているかということを描くだろうと思います。そういう意味で、かなり多角的な魅力が認識される都市でないといけないと思います。恐らく高次の、いろいろな先端的な、交通の条件も、通信の至便もすべてそろったコンパクトな都市であると同時に、自然とか文化とか歴史の背景のある、顔のある都市、こういうことになるのではなかろうかと思います。  そういう意味におきまして、そういうものを活用しながらできる場所、こういうことが一つの大きな要件になるのではなかろうか、さように考えております。
  32. 久保哲司

    ○久保委員 時間が参りましたので質問を終わりたいと思いますけれども、今、公園あるいは自然という言葉が出ました。できれば、国会議事堂の横を夜になったら照明灯ではなくて蛍が照らしてくれるような地域国会議事堂が移ればな、そんな夢を持って今後とも私自身も取り組んでまいります。  本日はまことにありがとうございました。終わります。
  33. 井上一成

    井上委員長 吉田幸弘君。
  34. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。  本日は、三名の知事さんより非常に貴重な御意見を伺うことができました。ありがとうございます。  早速ではありますが、質問に入らせていただきたいと思います。  今まで多くの参考人の方々から意見を伺ってまいりました。移転意義について、どの参考人の方々も、大略、同様の内容ではないかというふうに私自身は承知をしております。しかし、国会移転意義について、国内の事情また東京の事情、そしてその地域の事情、いろいろな事情があるかと思います。もう少し広く、観点を変えて、世界全体から見た事情というものを考えなければならないのではないかというふうに考えております。また、二十一世紀に向けて我が国国際社会の中でどのようにあるべきなのか、先ほど梶原知事さんから一枚の表をお示しいただきました。  この件について、私自身も承知はしておりますが、さらに詳しく、移転意義というのか、何のために必要で、また移転の候補地としてはどのような条件が必要であるのか、このような点について伺っていきたいというふうに思います。  それで一点目としては、二十一世紀に向けて、我が国がどのような産業を中心として国際社会の中で共生していくのか、また、そのためにはどのような首都像、特に国内における交通網、そして海外から見た交通網、この辺を含めて、三人の知事さんにお伺いをしたいと思います。
  35. 橋本昌

    橋本参考人 我が国中心産業と首都像というものは必ずしも結びつくものかどうかは別といたしまして、私は、天然資源に乏しくて、人材が唯一の資源である日本といたしましては、二十一世紀にも世界各国の中で今のような地位を保っていくには、技術と知能による国づくり、すなわち科学技術立国というものがぜひとも必要であると思っております。そして、その場合、二十一世紀我が国は、エレクトロニクスとかバイオテクノロジー、情報通信などの先端技術産業を中心として発展していくのではないかと考えております。  ノーベル賞学者であります江崎玲於奈先生は、日本はセカンドランナーとしては大成功してきた、しかし、ファーストランナーにはなり切れないだろう、それである以上、これからはインディペンデントランナーを目指すべきであると言っております。これは独自の形のランナーという意味でございますけれども、特定の分野で独自の発展を遂げていくべきということではないかなと思っておりまして、そういった日本にしかできない形で環境共生した科学技術立国というものを目指していってはどうかなと考えております。  それから、世界あるいは日本各地からのアクセスをどうするのかということでございますけれども、私どもの県の場合、実は、先般審議会より公表されました「交通ネットワークに係る検討」の中の、全国からの鉄道等によるアクセスにおいて日帰りできる都道府県の割合が低いという評価をいただいたところでございますけれども、実は、候補地から五キロないし三十キロメートルの地点に自衛隊の百里飛行場というものがございます。これにつきまして民間共用化というものを進めておりまして、もう地元の説明会にも入っております。六、七年後には民間共用化が可能であると思っておりますし、また、日本各地からのアクセスという意味では、例えば東北新幹線の宇都宮あるいは小山から支線を引く、そういった方法も考えられるんだろうと思っております。そのほか、北関東自動車道路その他を初めとして着々と交通網の整備が進みつつあるところでございます。  それから、一方で、世界とのということでございますけれども、これにつきましては、東関東自動車道水戸線というものを今整備を始めようとしておるところでございまして、今整備区間になっております。これができ上がってまいりますと、成田から一時間でこの候補地まで到着することができます。そしてまた、特別機を飛ばす云々ということになれば、先ほど申し上げました百里飛行場というものが、候補地は長ひょろいわけでございますけれども、その中の五キロないし三十キロの地点ということでございますので、大変近い関係になってくるんではないかなと思っております。  また、海という面では、私ども東京湾を除きますと東日本で一番大きい港、五万トンクラスのコンテナ船が利用できる常陸那珂港というものを今整備中でございます。内貿埠頭は完成しております。外貿埠頭がことしから来年にかけて完成する予定でございまして、いろいろそういった点で、陸海空の形で国内あるいは海外ともアクセスという面ではそんなに心配することはないんではなかろうかと思っております。
  36. 梶原拓

    梶原参考人 御指摘のとおり、国際的な視野の中で考えていくべきことがたくさんあると存じます。  一つは、世界の大勢でもございますが、二十四時間利用できる国際空港の利便がよくなきゃいけない、かように思っております。  それから、先ほども申し上げましたが、これからは脱欧入亜と申しますか、日本アジアの一員として自覚して行動していく時代が来たと思います。また、アジアからもそのような大きな期待がございます。そういう意味におきまして、対アジア、対日本海、そういうことを意識した立地を考えなきゃいけない、かように思います。福岡とか大阪という玄関口もございますし、日本海沿岸では、港湾から飛行場から対アジアの交流を盛んにいたしておりますが、そういうところをにらんだ立地条件にしなきゃいけない、かように思います。  それからさらに、国内的には、人口重心に近い、最も人の集まりやすいポジションでなきゃいけませんし、その上、交通条件が整備されなきゃいけない。  本県の場合、愛知県と御一緒に運動を進めておりますが、先ほど申し上げました国際空港の上に、さらに既設の東名、名神等の高速道路がございますし、あるいは既定の計画としてリニア中央新幹線計画も着々と進行いたしております。そういうインフラを十分活用して国内的にも日本の交流の拠点を形成していくべきであろう、かように考えております。
  37. 柿本善也

    柿本参考人 お答えいたします。  まず我が国の産業ということですが、なかなか難しい基本的な課題ですが、現状を前提にすれば、やはり高付加価値の先端的な産業にかなりシフトしなければいけないのではないか。そういうものが必要であり、そのためにも先端的な科学技術との連携とか、あるいは文化的な面からのアイデンティティーの発揮できるような仕組みが必要ではなかろうかと思います。そういう点からいいますと、今、関西文化学術研究都市でそういう試みがなされているという場所もあるということが一つのポイントになろうかと思います。  それからアクセスの話ですが、国内的には、今お話ございましたように、鉄道のリニア新幹線、いろいろな諸道路の整備が畿央高原地域につきましては既にかなりのストックがございます。それから、対外国関係におきましては、関西国際空港がございますし、中部国際空港の計画もございます。こういう観点から、そういう点では大変条件が整ってきているのではないか、このように考えている次第でございます。
  38. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 今私が質問させていただいた次に、どのような候補地が適地かというような質問をさせていただこうと思ったんですが、今三人の知事さんのお話を伺うと、それぞれの地域が将来に向けて一番適地だというような内容でしたので、通告はいたしておりませんが、さらにもう一問質問させていただきたいと思います。  前回この委員会で、また参考人の方々から御意見をいただくことができたわけです。そのときに、地域の人たちの盛り上がりの度合いはどうなのか、こういうような質問の中で、名古屋なのか愛知県なのか、エリアというのは私は承知をしておらぬのですが、その地域の人たち、名古屋に住んでいらっしゃる方の認識は非常に盛り上がっている、理解が得られているというようなお話がございました。ところが、ほかの地域の方々というのはなかなかまだ、会社の中でも国会移転というものを承知していないんだというような意見も出て、かなり地域によってばらつきがあるというふうに私は認識したわけであります。  きょうの三人の知事さん、御自身の周りで、また県民の皆様方のその認識度というのが、これは主観的な判断で結構です、盛り上がりがあるのかないのか、理解があるのかどうなのか、このことを三人の参考人皆様方にお伺いをしたいと思います。
  39. 橋本昌

    橋本参考人 私、いろいろな機会に県民を対象に話をさせていただくことが多いわけでございますけれども、その中で、もしうっかりして首都機能移転の話を忘れますと、その後で必ず、どうしてきょうは首都機能移転の話をしなかったのかというようなことを聞かれるぐらいでございまして、県内の方々にも首都機能移転ということについての関心はかなり盛り上がってきていると思います。  例えば、これは実は旭村というところ、全く対象地域じゃないんでございますけれども、この村の広報誌でございますけれども、その中でも首都機能移転というのはこんなに大きく取り上げているぐらいでございまして、市町村を初めとしてさまざまな団体も一緒になってその盛り上げを図っているところでございまして、浸透をしてきているものと考えております。
  40. 梶原拓

    梶原参考人 平成十年の七月に、県内居住者一千名を対象にいたしましてアンケート調査をいたしました。首都機能移転に関して三つの地域調査対象地域になっていることを知っているかどうかという設問をいたしまして、知っているというお答えが七八・二%ございました。移転先はどこがいいかという点では、いわゆる中央地域が七五・九%、その中でございますが、東海地域は五〇・七%、こういうような数字が出ておるわけでございます。  岐阜県におきましては、平成三年以降、検討委員会の設置を初めといたしまして、県議会あるいは地元市町村、そういうところで大いにこの問題を論じてまいりました。  県内九十九の市町村ございますが、すべての市町村議会首都機能移転推進決議をなさっておられます。さらに、商工会議所とかそういうところだけではなくて、小中学生あるいは女性、そういう県民層におきましても大いに論議、提案をしていただいているということでございまして、その結果として今のような数字が昨年の七月現在出ている、かように思っております。
  41. 柿本善也

    柿本参考人 お尋ねのように、地域によってばらつき、層によってばらつきがあるというのはそのとおりであろうと思います。ただ、全体として、例えば本県の奈良県でいうと、畿央高原地域と言ったらそれだけであとは説明が要らないぐらい意味はわかっております。ただ、恐らく、この大変財政苦しいときに本気で国はやるんだろうかという疑念がやはり別途にあることも否定できないことでございます。  関係当局といたしましては、例えば県議会では昨年の三月に畿央ブロックへの首都機能移転意見書を決議したり、あるいは関係の村議会でも同様の決議をしております。そういう意味におきましては、それなりに関係者の中ではごく話が通じやすい話題にはなっていると思いますが、そこから盛り上がるかどうかということになりますと、一つまたいろいろな判断がそれぞれの胸の中にあるんだろうと思います。  以上でございます。
  42. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  43. 井上一成

    井上委員長 中島武敏君。
  44. 中島武敏

    ○中島委員 日本共産党の中島武敏でございます。  きょうは、三人の知事の皆さん、大変御苦労さまでございます。  先ほど来、首都機能移転の国家的な意義などについては伺わせていただきました。  そこで、知事の皆さんが知事である限りは、それぞれの県の発展を願わない方はいらっしゃらないと思うんです。それで、この首都機能移転という問題についても、それぞれの県の発展という角度からどんなところをお考えになっていらっしゃるのか、あるいはねらっていらっしゃるのか、そういうことについて率直な意見を聞かせていただきたい。まず第一問、そこをお答えいただきたいと思います。
  45. 橋本昌

    橋本参考人 私が首都機能移転をしようと思いましたのは阪神淡路大震災の直後でございまして、私どもとして、首都東京から離れ、安全なところにないと大変なことになるという思いを強くしたわけでございます。そして、その場合には、災害に強い地域でなければならない。そしてまた、東京被災したときに危機対策の司令塔になれる場所でなければならない。そういったもろもろのことを考えると茨城県が一番適しているのではないかということで、首都機能移転の候補地として手を挙げさせていただいたところでございます。  もちろん、首都機能本県に来ることによりまして多くのメリットがまたあるであろうと思っております。  それは、先ほど申し上げましたように、公園の中の国際政治都市という形で新しい首都をつくり上げていくということになれば、その地域自身が世界日本をアピールする中心にもなっていくわけでございまして、私ども茨城県というもの、東京に近くて、人口も間もなく三百万になるわけですけれども、比較的まだまだアピール度合いが少ないものがございます。そういった点でも大きな役割を果たしていってくれるだろう。そしてまた、住む人たちも、先ほど申し上げたような形で新首都をつくっていけば、環境という面にも大いに意を用いる形になる、あるいはまたゆとりや潤いといったものにもこれから力を入れていく社会になる、そういったことを考えますと、在来の県民にとっても首都機能移転というものは大いにメリットがあることであると考えております。
  46. 梶原拓

    梶原参考人 私ども首都機能移転の運動をいたしておりますが、まずもって、このことは地域のエゴのためにやっておるのではないということを御理解いただきたいというふうに思います。  日本発展を願ってということでございまして、日本発展イコール地域発展、表裏一体のものと考えておるわけでございまして、例えば、分権革命というものをぜひ貫徹していただいて、そして住民により近いところで政治行政が行われる。そのことによって住民参加も可能になります。そして、地域の個性を生かすということもできます。そしてまた、納税者意識の高まりにもこたえることができる。こういうことでございまして、これは自治体共通の関心事でございまして、ぜひ分権革命を貫徹していただきたい、その表裏一体のものとしてシンボル的に、国権の最高機関である国会をやはり移転していただくことが不可欠であろう、かように思っております。  そして、先ほど申し上げましたが、国連加盟国百八十九カ国中六十五カ国が東京に大使館を持ち得ないという現状でございまして、このことは、目に見えませんけれども、外交、国際友好、そういう面ではかり知れない不利益を日本にもたらしている、かようにも思うわけでございます。
  47. 柿本善也

    柿本参考人 先ほど来お答えしておるように、この問題は、やはり国家的な観点で長期的な判断をすべきものと考えております。  特に、これに熱意を持つ理由としては、やはりこれが地方分権を進める大きなインパクトを与えるだろう、恐らく、首都機能移転した場合に、中央の官庁の政策決定の仕方に何らかの変更が生ずるものと考えておる次第でございまして、そういうことが大きく地方分権推進に役立つものと考えております。  それから、東京そのものは集中し過ぎて、いろいろな情報からすべてが、いろいろな弊害が出ていることも事実でございます。やはりそういうものがどういう形で解決されるかという観点からも考えざるを得ないのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  48. 中島武敏

    ○中島委員 それでは次に、もう一つ伺いたいと思うのは、私は、二十一世紀というのはやはり環境が大変重視される世紀にならなきゃいかぬと思うわけですね。茨城県の候補地もそれから岐阜県の候補地も、岐阜県の場合にはヘリコプターの上から見させていただきましたが、それ以外にも何度か私訪問したことがあります。それから、奈良県もバスの中から視察をさせていただきました。それぞれに、私の感じとしては大変いいところだなという感じを受けております。  しかし、ここへ首都が、大きなものでして、発表されておりますところによれば九千ヘクタール、あるいはそれに近くの都市開発をやるという話で、これは必然的に環境破壊にならざるを得ないんじゃないだろうかという気がするわけですね。  その辺の問題について、知事の皆さんどんなふうにお考えになっているのかなということ、先ほどもちょっとそういうことに言及してのお話があったようではありますけれども、やはりかなり大規模都市開発ですから、そういう点でのお考えを伺いたいと思います。
  49. 橋本昌

    橋本参考人 新都市建設当たりまして、自然の地形の変更や山林の伐採、こういったことはある程度は避けがたいと思っております。しかし、これをできるだけ抑えられる候補地を選定していけば、それはそれで、ある程度の変化はともかくといたしまして、さらに環境面でもいい都市ができていけるのではないかなと思っております。私どもの県の場合には、広大な平たん地、なだらかな丘陵地でございまして、切り土、盛り土などによる土量の著しい移動を伴わない、環境に優しい新都市づくりというものがまず可能であると考えております。  それから、あわせて、二十一世紀環境問題ということを考えた場合に、森林の伐採あるいは地形の変更といったことだけではなくて、例えば地球温暖化の問題、酸性雨の問題、さまざまな問題があるわけでございます。そういった面も含めて、二十一世紀人間環境共生できる都市づくりのモデルケースとして取り組んでいってはどうかなと思っております。  私どもが提案しております新都市、先ほど来御説明申し上げておりますように、移転先候補地全体を公園と考えて、その中に国際政治都市建設しようとするものでございますけれども環境問題に対して地球規模で取り組みを求められているわけでございますので、新都市は、廃棄物を外部に排出しないゼロエミッション、あるいはクリーンエネルギー加工のためのソーラーシステム、あるいは水の循環利用システムなどを活用する。さらには、都市づくりをするに当たって、近隣の自然環境との調和に配慮して建築物の高さの制限を設ける、あるいはまた電気自動車の利用エリアをつくるとか、マイカーに依存しない新交通システムをつくる、その他いろいろと、環境面で別な角度から貢献できる、そういうトータルな環境モデル都市としてつくっていけばよろしいのではないかなと考えております。
  50. 梶原拓

    梶原参考人 岐阜県の候補地は四万四千ヘクタールという国公有地がございますが、できればなるべくそういう自然豊かなところは損なわないようにしたい、既に開発済みのゴルフ場に国会等の主要施設を建設したい、かように思いまして、岐阜県ゴルフ連盟あるいは特定のゴルフ場の皆さんに協力をしていただく旨の確約をちょうだいいたしております。  それから、もう一つは、例えば公務員住宅、東京に大規模な公務員住宅があちこちございますけれども、そういう形にしないで、既存の中小都市の中に公務員住宅を介在させるということで、地元との融和、そして公務員の皆さんも生活の現場というものを常日ごろ体得しながら血の通った行政をしていただく、こういうことをねらっていきたい、かように思っております。  仮に自然の中に建物をつくる場合にもいろいろの工夫があるべきだ、かように考えておりまして、岐阜県では、既に、イギリスの建築家リチャード・ロジャースさんの設計で、山腹をそのまま利用して、山を削らないという建築をいたしております。それから、磯崎新さんの設計で、谷筋を埋めないで建物をつくる、清水の舞台のような形でございますが、そういうものをつくっております。それから、飛騨高山におきまして、世界民俗文化センター、芦原義信先生の御発案で、トンネルで潜っていってエレベーターで上に上がるという形で、山を削らない、こういうタイプの自然との共生型の建築を進めておる、そういう知恵も新しい都市づくりに十分活用できるものと確信をいたしております。
  51. 柿本善也

    柿本参考人 それぞれ、お二方がお述べになったことに尽きるだろうと思いますが、やはり環境共生できる都市ということで、実験的にもそういうことを考えながら整備されるべきであろうと考えております。それだけに、そういうようにできるような場所でなければならないということを先ほど申し上げた次第でございます。  同時に、では、そういうことをすれば、日本全体の活動というのはある程度同じものでしょうから、東京環境を取り戻すことになるのではないか。これは、必ずしも自然環境ということに限りませんが、今のままで行きますと、人とか物とかそういうものがますます集中してきて、東京がますます住みやすい場所ではなくなるのではないかという危惧もされるところでございまして、そういう副次効果もあるのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
  52. 中島武敏

    ○中島委員 まだ幾つかお尋ねしようと思いましたけれども、ちょうど時間なものですから、これで終わります。
  53. 井上一成

  54. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。  本日は、三県の知事さんには、大変貴重な御意見を、系統立てて、本当によくわかるように説明されましたし、意欲を持って本当に取り組んでおられるという姿勢を見せていただきまして、敬意を表したいと思います。ありがとうございました。  そこで、私、この首都移転の件につきましては何回か出させていただいたのですけれども、この話があったというのが三十年以上も前の話なんでして、中央集権型の過密というようなことがあったと思うわけなんです。  そういう中でこうした首都移転の話も出てきたと思うんですけれども、私自身は、今この首都移転というのを果たして本当にしなきゃならないのだろうかなというようないろいろな疑問も持っておりますし、むしろ分散的な形での移転というのはどうだろうかなというようなことも私個人としては思いがあります。大変大きな費用をかけてそこまでする必要があるかなというような思いもありますし、田舎の方におればやはり東京というのは魅力がありまして、そこに出ればいろいろなものが返ってくるというか、そうした人の中に出ていったら、何かまた意欲を持って田舎に帰っていくというようなものがあるものですから。そのようなことがあって、いろいろな思いがあります。  そこで、まず三人の知事さんにお伺いしますけれども、これまで委員の皆さんが質問されたものと重複するとは思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  ずっとありますように、首都機能移転は、その規模にもよりますけれども、その地域社会や住民にとって大変大きな変化というものが予想されるわけなんですけれども、先方もありました、それぞれに各県ともに住民への説明会や合意形成等をしておられるわけなんですけれども、実際にこれから、本当にどのようにこの盛り上がりというものをつくっていかれるのか、その努力をどのようにされるのかということを、まず一点、三人の知事さんにお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。     〔委員長退席、吉田(幸)委員長代理着席〕
  55. 橋本昌

    橋本参考人 首都機能移転につきまして県民の合意形成を図りますために、私どもとして、ただいまお手元にお配りしてあると思いますけれども、これは県の広報誌「ひばり」というものでございまして、毎月百万部ほど発行しております。これは最新号をお持ちしたのですけれども、今年度に入りましても五月号でこういう形で、首都機能移転についての啓発を行っているところでございます。  また、先ほども御説明申し上げましたのですけれども市町村におきましても、広報誌で大々的に、それぞれの市町村民に向けての啓発というものを行っております。いろいろなシリーズその他を組んでいただいておるところでございます。  また、そのほか、例えば電光掲示板、あるいは県庁舎あるいは市町村の役場における懸垂幕などによる啓発も行っておるところでございますけれども、これからもっと盛んに啓発をやっていこうということで、例えばこういう形で、私ども民間団体と、それから市町村から成っております推進議会、そして県と共同で、バスの中にポスターなども張っていこうということを計画しておるところでございます。いろいろインターネットなども使いまして、これから幅広い手段を使っての広報に努めていきたいと思っております。  なお、参考までに説明させていただきますと、平成八年に地元紙が、二十歳以上の県民八千四百人を対象に首都機能誘致に関する世論調査を実施いたしましたところ、本県への誘致につきまして、約七割が賛成でございました。私どもの県の場合、先ほども申し上げましたけれども、筑波その他大規模プロジェクト事業に理解ある県民性を持ってくれているのではないかなと思っておりまして、積極的な協力をいただいておるところでございます。
  56. 梶原拓

    梶原参考人 県民各界各層の御理解を得なければならないわけでございますが、例えて申しますと、昨年の九月、女性が考える「私と首都機能移転」シンポジウムを開催いたしました。それから、ことしの六月には、女性が考える「私と首都機能移転」体験ツアーというものが開催されました。それから、八月には、「新首都文化を考える」女性会議というものが開催されました。  そういう形で、女性の皆さんにもこの問題への理解が進んでいる、こんなふうに思っておりますが、議員御指摘のとおり、何のための首都機能移転かということがやはり大きな課題でございまして、分権を進める、そのためにはシンボルである国権の最高機関を移転するというプロジェクトを進めるということが表裏一体である、分権を進めることが、住民参加が可能になってくる、そして納税者意識からいきましても、税金の使途がよりはっきりしてくる、そういうような住民自身のメリットというものを大きくPRしていかなければいけない、かように思っております。  もう一つは、ニューヨーク市の中にワシントンDCが存在するがごとく、東京首都機能があるがために大きなむだがある。例えば、先ほど申し上げましたけれども、六十五カ国の大使館が東京に持ち得ないという現状、これは外国に対して大きなマイナスであるということでございます。  それから、警視庁の警察費一つとりましても、毎年六千億以上のお金を使っておられる。ほとんど東京都の自主財源でございまして、全国平均でいきますと三千億円程度で足りるわけなんです。これは、首都があるために東京が過大な負担をしている、こういう現状がある。あるいは地下鉄その他で他の大都市圏よりも、東京の場合、年間、国費で約五千億円程度、あるいは最近では三千五百億円程度になりましたけれども、プラスの国費投入が行われているということは、重ねて申し上げますけれども、ニューヨーク市の中にワシントンDCを置いているということのためだということでございまして、こういうことも県民の皆さんによく理解していただくようにこれからも努力してまいりたい、かように考えております。
  57. 柿本善也

    柿本参考人 県民の方々に理解してもらうということで、従来から私どもの方は畿央の四府県で、共同でこの運動を続けておりますが、四府県共同で作成したパンフレット、あるいは県で独自でつくったパンフレットをお配りして啓発を行っている次第でございます。  また、先ほどもお答えしたのですが、調査対象地域になっているそれぞれの三村において、首都機能移転実現のための村議会の議決が行われております。また、奈良県議会の方でも同様の意見書の決議が行われている。ある意味で、この意見書を決議することが県民にアピールすることになっております。  先ほども触れましたが、奈良県では、畿央高原という言葉を言うと首都機能移転のことかと、こういうふうなことは大体関係者では定評になっておる、こういうふうに理解しているところでございます。今後とも啓発には努力いたしたいと思います。
  58. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 やはりこの首都機能移転というのは、盛り上がりがないとできていかないじゃないか、相当長い時間かかるわけなんですけれども、本当に県民なり国民の盛り上がりというのが必要なことだろうと思います。  次に、先ほども環境問題について質問があり、御説明ありましたけれども、本当に生態系等に関する悪影響を及ぼすというのは大きな公共事業になるわけなんですけれども、その辺で、本当に建設ラッシュというのですか、そういうものが出てくると思うのですけれども、それにつきましては、先ほどいろいろ三県の知事さんのあれがあったと思いますからいいのですけれども、まずやはり水資源等というか、そのものについてはどのように考えておられますでしょうか。  さっきの中では、水というものがちょっとなかったようですので、環境全体を含めて、そうした水等の資源をどのようにそこの中に取り入れられるか。六十万都市というようなことになるわけなんですけれども、その辺のことについて三人の知事さんに、一言ずつでいいですので、お願いします。
  59. 橋本昌

    橋本参考人 私ども、水資源については十分確保できると思っておりますけれども、それに加えて、その処理をどうするかというお尋ねだと思います。  できましたら、私、ほかの国の湖など見ておりまして、湖に入れないで直接海に流すといったことによって、見事に湖の復活をなし遂げているところもございます。そういったことなども考慮して、これからいろいろと検討をしていく必要があるのだろうと思っております。     〔吉田(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 梶原拓

    梶原参考人 環境問題につきましては、先ほどお届けいたしておりますメモでも御説明しましたように、平成維新生活大国づくり環境重視でなければいけない。したがって、移転先の新しい都市環境を無視した都市では相矛盾するわけでございまして、環境を十分尊重した都市でなければいけない。  したがって、ゴルフ場を活用するとか、あるいは分散配置をするとか、あるいは建築の仕方も工夫するとか、知恵を絞っていくべきである。そして、これぞ自然環境共生した町である、こういうことを内外に誇示しなければいけない、かように思っております。  そして、水の問題は大変重要な問題でございますが、岐阜県の場合、仮に平成二十二年に国会が開設された場合、十万人の需要量というものは十分賄うことができますし、最終的に六十万人になった場合も、なおかつ余裕水量は一・二トン毎秒という余裕を持つことができる、かように推計をいたしております。
  61. 柿本善也

    柿本参考人 水の供給につきましては、もちろん細部は決定した段階でいろいろ検討されなければならないと思っていますが、審議会調査会の報告では、畿央高原については水の安定度は高いという御評価をいただいておりますので、恐らくそういうことではなかろうかと思っております。
  62. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 時間が少なくなりましたのですけれども、最後に一言だけお聞きしたいというのは、この首都機能移転はかなりの長期的なプロジェクトになると思われますけれども、本当に各県が、その機能移転が決定された場合に、長期的に見て、さっきもあったと思うのですけれども日本の国家的発展にどのようなメリットがあるかということをお考えか。一言ずつでいいですのでお願いします。
  63. 橋本昌

    橋本参考人 幾つかのメリットがあると思いますけれども一つは、先ほど来強調しておりますように、我が国災害対応力強化に大きく貢献できると考えております。  もう一つは、これも何度も申し上げたところでございますけれども地球規模で取り組むべき人と自然との共生した公園の中の国際政治都市といったものの建設を目指しておるところでございまして、新都市は、環境問題に対して正面から取り組み、環境問題への対応という点で世界で最も進んだ都市となっていけば、各国にアピールすることもできるし、また尊敬を集めることもできるのではないかなと思っております。  さらに、これから国際化時代でございますし、新首都には海外からも多くの方々が訪れることが予想されるわけでございまして、成田を初め百里飛行場なども使えば、各国からのアクセスという面でも大変便利な地域になってくるのではないかと思っています。
  64. 梶原拓

    梶原参考人 国家的に今後の方向として小さな政府ということはもう間違いないと思うのでございますが、巨大都市東京首都機能があるがために国民から中央政府に対して過大あるいは過剰というべき期待感があるということでございまして、これからの分権社会のシンボルとしての首都機能というものは小さな政府を象徴するような町でなければいけない、かように思っております。  分権革命進行することによって住民参加ができる、あるいは納税者意識が満足される、そういった住民自治が進むということは、それぞれの個人、地域あるいは自治体の個性を生かす、あるいは創意工夫を生かすということで日本にとって大きな活力を生む、かように信じております。
  65. 柿本善也

    柿本参考人 今までいろいろな形でお答えしてきたところにいろいろ含まれると思いますが、大きな点を申し上げますと、やはり一つの大きな歴史的な段階をつくることになるのではないかと思います。画一的、効率的な国家形成を目指した観点から、自然とか文化とかそのようなアイデンティティー、あるいは顔といいますか、日本の顔を変えていくような大きな効果が生まれるのではないか。  それから、我々の仕事にいたしております地方自治の観点からすると、分権が進む大きなきっかけになるだろうと思いますし、あるいはそういう形で、東京一極集中でないことによりまして社会経済的にも各地での創意工夫が可能だ、こういう機運をつくる可能性も出てくるのではないか、こう期待している次第でございます。
  66. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 どうもありがとうございました。
  67. 井上一成

    井上委員長 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  橋本参考人梶原参考人及び柿本参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼申し上げます。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ――――◇―――――     午後三時十六分開議
  68. 井上一成

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午後の参考人として福島県知事佐藤栄佐久君及び京都府知事荒巻禎一君に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序ですが、まず各参考人から十五分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず佐藤参考人にお願いいたします。
  69. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 御紹介いただきました福島県知事佐藤でございます。  特別委員会におかれましては、井上委員長中心に精力的に調査を進めておられまして、心より敬意を表すると同時に、本日はこのような意見を述べる機会をお与えいただきまして、心より感謝を申し上げます。  大変短時間でございますので、早速本論に入りたいと思いますが、短い時間でございますので、早口あるいは言葉足らずの面があることをあらかじめ御理解いただきたいと思います。  私は、意見陳述の主な内容といたしまして、一つ首都機能移転に対する基本的な考え方、二つ目に、本県候補地の概要、そして三つ目に、本県が提案する新首都像「森にしずむ都市」の紹介を申し上げます。  陳述に入ります前に、私は、きょうここに来る前に暑中見舞いのはがきを見てまいりました。そのはがきの中に文章がありまして、非常に感銘深かったのでお話ししますと、お変わりありませんかは昔のあいさつ、お変わりしましたかでないとこの世紀末は乗り切れませんねという文章がございました。好むと好まざるとにかかわらずこのような時代になっているのかなと、感慨深く読んできたところでございます。  首都機能移転に対する基本的な考え方を申し上げたいと思います。  まず、二十一世紀都市像を世界に提案していくチャンスであるというふうに私は考えております。現在、私たちがこれまでに経験したことのないようなさまざまな課題に直面をしておるところでございます。この混沌とした時代状況の中で、解決策も見出せないで苦労し、悩んでいるわけでございますが、私は、これを都市づくりという切り口と申しますか、都市づくりという観点から切り開いていくことが一つの方法であると考えております。  全人口の約七割の人々が暮らし、交流し、生産活動を営む都市が二十一世紀以降どうあるべきかを、移転の目的を十分に踏まえた上で提案していく、そこにこそ移転の大きな意義があると考えております。  私は、このあるべき都市基本理念を「森にしずむ都市」という言葉で提唱しております。これは、単に形態が「森にしずむ都市」ということではございませんで、人と自然の関係地球市民的な観点から新たに構築していく、その中でこそ人類が持続的な成長を遂げていくことが可能となる都市ということでございます。  日本は今、首都機能移転を通じ、このような理念を掲げ、また、モデル的な都市づくりを行うことを通じ、二十一世紀という、グローバル化する一方、個性が求められる世界の中で確固たる地位を持続し、我々を覆う閉塞感を打破していく道を選択すべきであると考えておるところであります。  ぜひ国民の総意のもとにこの国家的事業を実現し、みずからの手で創造する新しい都市の姿、そして日本の主張、進路を全世界的に示すべきであると考えるものでございます。  二番目に、北東地域我が国のフロンティアであるということでございます。  新しい全国総合開発計画、二十一世紀の国土のグランドデザインにおいても、太平洋ベルト地帯への一軸集中から東京一極集中へとつながってきたこれまでの国土構造を、北東国土軸を初めとする多軸型国土構造に転換する必要があると述べられており、特に北東地域への首都機能移転は、この多軸化への流れに大きく貢献することができると思います。  かつて、福祉を熱心に進めていらっしゃるある女優さんに講師として福島県においでいただいたとき、お話をしました。彼女は非常に率直に、東北新幹線で福島県に来たけれども、車窓から町が見えて、田んぼが見えて、森が見えて、そしてまた町が見えるというふうなことはとてもすばらしいことだということをおっしゃっておりました。  当たり前の風景に対しての率直な感想でありましたけれども、実は思い出したのですが、私は常々、東京から東海道新幹線に乗ったときに感じておったわけでございますが、住宅地があり、工場があり、町があり、また住宅地があるという、どこまで行っても連担した風景を見て、これこそ東京から始まり、東海道メガロポリス、太平洋ベルト地帯という二十世紀日本を支えた大動脈が展開されたところであり、過疎化する地域を多く抱える私ども地域にとっては、あるいは理想郷にも見えたことがございました。  しかし今、広大で美しい田園、森林など豊かな自然環境に恵まれ、開発の余地を大きく有する私ども北東地域は、単に限られた国土を有効に利用できるばかりでなく、既成概念を捨て、新しい理念のもと情報化の進展、経済のボーダーレス化など、新しい時代の流れに適応した経済社会システムを築き上げていくにふさわしい地域であると考えております。首都機能移転は、新世紀の幕あけにふさわしい、新しい日本を象徴する国家プロジェクトであるべきであります。  次に、福島県と首都機能移転関係でございますが、本県では、移転が有する国家的意義を踏まえた上で、次の三つの理由から、移転の実現に向けた取り組みを行っておるところでございます。  一つは、美しい県づくり、美しい国づくりという視点でございます。  本県では、平成四年十二月に新しい長期総合計画をつくりまして、県づくりの目標を「二十一世紀の新しい生活圏―美しいふくしま―の創造」とし、「うつくしま、ふくしま。」のスローガンを掲げながら、美しく質の高い生活空間の創造推進しており、それは、新しい全国総合開発計画の中で、美しい国土の形成という理念のもとに、ガーデンアイランド、庭園の島という言葉に象徴される新しい全総の基本理念方向性を同じくしているということでございます。これについては詳しく述べられませんが、まずそのことが一点。  それから二点目は、目指すは多極分散型の県土構造。  この長期総合計画も含めまして、福島県は百万都市はつくらない。三十万都市が分散している県土でございますので、三十万から多くても五十万の人間サイズ、ヒューマンスケールといいますか、そういう都市が分散した多極分散型県土構造をつくっていこう。それだけの交通基盤が、高速体系も含めてできておるということでございまして、そういう意味では一極集中を排除した考え方で今県土づくりを進めておりまして、新しい都市は八つ目の生活圏ということで、たまたま国会があるかもしれませんが、八つ目の生活圏ということで、既存の七つの生活圏と連携、交流が可能となるということであります。  県の基本構造を揺るがす特別、特異なプロジェクトではなく、質の高い生活空間の創造を目指すという現在の県政を推進しながら、極めて無理のない形で首都機能移転が実現可能であるということです。  三番目の、移転の最適地であるということで、これは後ほども申し上げますが、高速体系の整備進展、安全で堅固な地盤、あるいはアクセスの利便性、空港からの利便性等々、移転の効果を最大限に発揮できる地域であるということであります。  さて、二つ目の大きなテーマでございます、本県候補地の概要でございますが、資料一「森にしずむ都市」をお開きいただきまして、右側の日本地図をごらんいただきたいと存じます。  阿武隈地域の位置でございますが、ごらんのように、阿武隈地域は、北海道・東北と関東を結節する重要な位置にあります。また、磐越自動車道を通じて太平洋側と日本海を結ぶ拠点でもあります。そういう意味で、相乗効果を、相乗的な発展促進し、バランスのとれた国土の発展に大きく貢献できると思います。  なお、参考までに、ことしでございますが、郵政省の標準電波送信所というのができました。稚内から鹿児島までカバーできる送信所でございますが、ちょうどその中心地点がこの辺であるということでございまして、そういう意味ではまさに、この地図はデフォルメされておりますが、日本列島を、沖縄については九州の方にもう一つつくるということでございますが、稚内から鹿児島までの間では中心地域であるということでございます。  次に、候補地の概要の二でございますが、移転先候補地の選定方法とその概要でございます。  まず、パンフレットにも移転先候補地の地図が載っておりまして、パネルで説明させていただきます。お手元の資料二がパネルのコピーでございます。  本県では、独自の基準で移転適地を抽出し、候補地を設定しております。国会等移転審議会が設定した調査対象地域は、本県の中通り地域とほぼ重なりますが、その中でも特に開発可能性の高い場所が、本県独自の候補地として設定されております。  候補地設定に当たっては、選定基準を基本的に満たす阿武隈地域等から一キロメートルメッシュごとに、標高五百メートル以下、傾斜度十五度未満、建物ドット数二十未満の条件を満たす、面積五百から二千五百ヘクタール程度のまとまりのあるエリア九つを、それぞれクラスターとして設定しております。これらの合計面積は約一万二千ヘクタールで、里山や人工林など、豊富な森林資源と低密度な土地利用が特徴であります。  本県では、これら九つのクラスターを含む一帯を、赤の点線で囲った部分でございますが、約八万ヘクタールの候補圏域と位置づけております。これは、調査審議会等の地域とはまた別の、本県平成元年からこの地域調査を種々進めてきた結論で、こういう地域一つの候補地として考えておるということでございます。  なお、各クラスターの空撮写真を資料六に載せてあるので、後ほどごらんいただきたいと思います。  三番目に、本県候補地のすぐれた特性でございますが、一つ目は豊かな自然と広大な開発可能地であるということでございまして、お手元の資料三がパネルのコピーでございます。  ごらんのように、福島県の阿武隈地域というのは東京と神奈川を合わせた面積がございます。今、東京、神奈川に何人の方が住んでおられるのかちょっと失念しましたけれども、この地域と同じ面積地域が阿武隈地域ということでございます。  二つ目は災害に強い土地であるということでございます。資料四のパネルがこれでございます。  いろいろな見方があると思いますが、これは地震保険料率の図表でございまして、社団法人日本損害保険協会の資料でございますが、本県地震に対する安全性はリスクマネジメントという実務の世界でも客観的に認められておるということでございます。この部分が一等地でございます。  三つ目は高速交通ネットワークの充実でございますが、お手元の資料五のパネルがこれでございます。  ごらんのように、この候補地から仙台までもダブルの高速体系が整いつつあります。それから東京までもそうでございまして、実は昨年の集中豪雨のときここが通行不能になったわけでございますが、この常磐自動車道を通って通行できた。  それから、東京が万が一の場合でも、新潟を通って北陸・名神自動車道で大阪の方へも高速体系が整っておる。ちなみに、東京を通って吹田に行くよりも、こちらを通っていく方が距離で五十キロ近い、北陸の方を通った方が五十キロ近いということでございます。時間的には、これはまさに渋滞その他を考えますと完全に北陸を使った方が近いということ。  それからもう一つは、この候補地の中に空港がございまして、空港からの私どもの候補地にアクセスする時間というのは十分ないし十五分でアクセスできるということでございますので、そういう意味では非常に高速体系が既に大きな基盤はもうできておる。そして私どもは、この空港までの高速体系も来年二〇〇〇年度に完成すべく今進めておるところでございます。  それでは三番目の大きなテーマに移りますが、「森にしずむ都市」の概要でございます。さらにパンフレットを大きくお開き願いたいと思います。  自然との共生という考えは時代の要請でもあります。本県では、二十一世紀にふさわしい新首都像として「森にしずむ都市」を提案いたしておるわけです。  新首都のコンセプト、整備目標でございますが、まず左上をごらんいただきたい。  「森にしずむ都市」では、都市活動を計画的、総合的にコントロールし、あらゆる面で省エネルギー、省資源化に努め、持続的な都市の成長を目指すサスティナブル都市のほか、人間サイズ都市、自立・交流都市分権都市など二十一世紀の新しい価値観を体現するにふさわしい目標を掲げておりまして、国内への伝播、世界へのアピールを担うモデル都市としての役割を十分に果たせると考えております。  多様なライフスタイルの実現という点でも、県内の三地域、中通り、浜通り、会津では、独特の生活、文化、産業が営まれており、気候的にも、山と海、北国的風景と温暖な海洋性気候など多様性に富んだ社会的、自然的条件を具備しているため、時代のニーズに対応した多様な暮らしが提供可能となります。  一日のうちに、朝のうちは海岸線、浜通りでゴルフをやって、夕方は会津の方に行ってスキーをやるということも可能な候補地であるということでございます。  二番目に、新首都はクラスター型構造であるということです。その下をごらんいただきたいと思います。  クラスター型開発は、効率面こそ従来の拠点型開発に劣りますが、環境負荷の低減、ゆとりの創出、都市のパーツ化による成長管理のしやすさなど数多くの利点がございます。阿武隈地域の広大で自然豊かな空間に先ほどの九つのクラスターを分散配置することで、これまでにない新しいタイプの都市創造が可能となります。  自転車であるいは徒歩で動ける町という、二、三万の都市ですと、住んだことがある方はおわかりのように徒歩や自転車で動ける都市でございます。そういう都市が高速あるいは自動車道でつながる、そういうクラスター型構造というふうに考えていただければと思います。  さて、新首都の外見イメージ、中央のイラストをごらんいただきたいと思います。  これはだれでもかける絵でございますが、自然の地形や植生を最大限に生かしながら、小さな町が小高い丘や川、湖沼の間に分散して存在しておる。そして、人工物であった都市を、森と、森がつくる生態系や四季の変化の中に限りなく一体化させる環境共生都市、これが「森にしずむ都市」のイメージでございます。  なお、福島県では、昨年完成しましたオートキャンプ場あるいは再来年開催される未来博覧会等も、まさに沢や谷や森をできるだけ造成しないでそのまま生かしながら、実験的に今いろいろ進めておるということを申し添えておきたいと思います。  最後に、首都機能移転の実現に向けまして、地球規模環境問題、経済グローバル化、既存の常識を覆す情報化の進展など、我が国時代の大きな転換点の真っただ中にあると言えます。このような今こそ、国民共通の財産ともなり得る新しい首都機能都市をつくることは、国民に夢と希望を与えるだけでなく、将来世代にわたる日本の持続的発展につながるものと確信をいたしております。  本県としては、引き続き移転実現に向け最大限の努力をしたいと考えておりますので、委員長を初め委員の皆様におかれましても一層の御尽力をお願いしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  70. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、荒巻参考人にお願いいたします。
  71. 荒巻禎一

    荒巻参考人 京都府知事荒巻禎一でございます。  本特別委員会におかれましては、これまで首都機能移転に関する熱心な御審議を進めてこられまして、心から敬意を表する次第でございます。また、本日は、首都機能移転につきまして私からも意見を述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。  それでは、首都機能移転に関する基本的な考え方から申し上げますけれども、私は、この移転について賛成というよりも、むしろ必要であるという立場からお話なりお願いをしたいというふうに思います。  それぞれの理由につきましては、午前中も含めまして各知事の参考人からの発言等いろいろございまして、私も聞かせていただきましたけれども、おおむね同じような必要論だろうというふうに存じまして、余りダブらないように申し上げますけれども。  その基本は、あくまでも、約十年前の平成二年の十一月七日に衆参両院の決議におきまして全会一致で首都圏の移転国会決議をされました。その基本的認識はまさしくその原点だろう、私も、そのとおりの中でこの問題が論議されるべきだろうというふうに存じております。  ただ、地価の高騰等の問題につきましては若干事情が異なってまいりましたが、その後、阪神淡路大震災等の大きな災害もございまして、危機管理あるいは災害に対する都市の防御の必要性という点につきましては、さらにさらにその重要性が増してきていると思いますし、また、環境との共生の問題につきましても、大きな時代の流れがさらに加わっている、このように思うわけでございます。  その上もう一つ、十年前に比べまして、最近は、世紀の大変革期である、大きな大変革期であるというような国民的な論議あるいは認識が深まってきておりますし、さらにその中におきまして、長引くバブル経済破裂後の中から二十一世紀を控えての国民の行くべき方向につきましての大きな閉塞感というものが出てまいっておりまして、私ども政治あるいは行政にかかわる者としましては、この不況からの脱出あるいは雇用創出、そういう点に加えまして、この閉塞感からの脱出ということが非常に大きな国民課題であろうというふうに存じております。  時代の変わり目におきましては、御承知のとおり、日本におきましてもそれぞれ大きな人心一新のための首都移転等がございました。奈良から平安京へ、さらに鎌倉幕府へ、あるいはまた京都へ戻って、さらに江戸幕府、そして東京というふうに変わってきたわけでございます。  一国の首都というものは、言うまでもなく、やはりその国の権力軍事力あるいは経済文化というものが一体となった要素がまず普通でございますけれども、実際の場合には必ずしもそうはなっておりませんで、日本の場合でも、かつては、鎌倉幕府では少なくとも首都のうちの軍事機能的なものが中心になって移っておりましたし、江戸におきましても同じような形で、一応都は京都という形で、権力的なものあるいは軍事的なものが中心であったというふうに存じております。江戸時代におきましても、経済等につきましては大阪あるいは堺、そして文化あるいは権威的なものにつきましては京都というふうに分かれておったわけでございます。  そういうことを考えますと、明治以降の東京はまさしくあらゆる権力経済文化というものを一極集中している、一体化しているという点では、日本歴史の中でもむしろ最近では非常に変わった状態でございまして、その中から一極集中のいろいろな弊害も生じてきているのではなかろうか、このように思うわけでございます。  それから、移転先につきましての私の考え方と申しますか、京都府知事としての考え方を申し上げますと、南北東西に大変長い日本の国土、二千キロにも及ぶというようなそういう長い列島の国土でございますので、何といいましても、その首都は、いろいろな点から見て、中央部に近いところに位置していることが必要だろうというふうに存じます。地形的、地勢的あるいは交通等の論議がございまして、これについては各知事さんが述べられたというふうに存じますが、私は、それに加えまして、やはり日本の民族あるいは文化論的な立場からしましても、ぜひ中央部にお願いしたい、それが適当であろうというふうに思うわけでございます。  と申しますのは、日本民族は単一民族として非常に特徴的だというふうに一般的に言われております。しかしながら、コソボほどではございませんが、やはり日本の中でもかなり東西の考え方あるいは民族的な問題がないとは言えないと思います。  例えば食べ物につきましても、おもち一つにしましても、東の方は四角く切ったおもちが中心でございますし、関西から西の方は丸もちという形がございましたり、あるいは納豆は、東の方は食べるけれども関西では余り食べないとか、あるいはウナギの腹の割き方にしましても、関東は背中から割きますが、関西はおなかから割くというようなものがございます。あるいは、うどんとそばとどちらが中心かというところで、うどん屋という言い方、そば屋という言い方も関西と東京ではかなり違っておるわけでございます。さらに加えますと、最近では、電力会社のサイクルも、静岡県の富士川の辺から五十と六十と分かれているというような問題もございます。  そういう日本列島の東西の文化なりいろいろなもののちょうど分かれ目が名古屋、静岡といういわゆる中央部、畿央高原も含めます中央部であろうというふうに存じまして、そういうふうな文化の融合、人の融合、縄文時代と弥生民族といろいろございますが、そういうはっきりしたものではなくても、そういう文化が、中央首都があることによって、さらにさらに日本の統一あるいは人々の気持ちが一体となっていけるのではなかろうか、このように思っておるわけでございます。  そういう意味で、畿央高原と言われます、京都、三重、奈良、滋賀、その県境に属しますところを、四人の知事が一体となって、ぜひ中央部の首都の候補としてお勧めしたい、お願いしたいというふうに思っておるわけでございます。  それに加えまして、四県の知事だけではなくて、近畿ブロック知事会議というのがございまして、御承知のように、今申し上げました府県以外にも大阪、兵庫、和歌山、さらには四国の徳島、そして北陸の福井というような知事も入っておりますが、近畿ブロック知事会議におきましても、ぜひ畿央高原をお勧めしたい、そこにお願いしたい、このように申し上げている次第でございます。  さらに、たまたまきょうになりましたけれども、ちょうどきょうの二時から、中央地域への首都機能移転推進する会という会が、東海、中部の経済界それから大阪中心の関経連あるいは関西経済同友会などそういう経済団体の方々と、中部あるいは畿央に関係いたします七県の知事が集まりまして、ホテルニューオータニにおきましてその設立総会をいたしておりまして、ぜひ中央部に首都をお願いしたい、そういうことで関係方面へ決議等を今申し入れている、ちょうどその段階でございます。  一般的に、都は西から東へ東へ動いてきたので、東へ動くのが原則だ、こういうお話がございますが、私の乏しい知識でも、飛鳥から平城へ行きまして、そして平城から京都の付近の長岡京、そして京都の平安京、ずっと西の方に動いてまいりまして、それから鎌倉に一部行ったり、また京都へ戻ったり、そして東、江戸へ行ったり、そういうふうな形で、別に一つの特色、ルールはない、このように思っておるわけでございます。  それから、私の立場と申しますか、京都におきまして、畿央高原に首都が来る場合にはどういう貢献ができるかというふうな点も含めまして申し上げます。  もう一つ、新しい首都の中で私思いますのは、新しい首都は、自己完結、すべての都市機能からすべての文化、教育の機能を自己完結的に一つ都市でやってしまうということは大変時間もかかるし、また経費的にも大変でございますし、そういうことを目標としなくて、できるだけコンパクトにして、既存の都市のいいところを活用しながらやっていくということがいいのではなかろうかというふうに思っております。  特に、筑波研究学園等におきまして、最近まで、特に当初のころには赤ちょうちん一つない、非常に冷たい、施設だけの町であって、そこに住む学者さんたちがノイローゼになったり、あるいは変な話ですけれども自殺に至ったというようなことも聞いたりいたしております。  その点、この畿央高原におきましては、名古屋、大阪、京都、奈良あるいは滋賀というそれぞれの既成の都市に非常に近い形でございまして、そういうところへ日帰りで、夜になれば紅灯のちまたも望めますし、また教育の面でも、お子さんたちが、それぞれの大学もたくさんございますので、近くに住んで、一緒に通える、そういう状態もあるだろう。あるいは琵琶湖という湖、さらには志摩の方の海、いろいろな点がすべてそろっているのではなかろうか、このように思っております。  それからもう一つ、この畿央高原の近くには、二十キロぐらいの地域のところに関西文化学術研究都市というのが、十年ほど前から特別法のもとにおきましてナショナルプロジェクトとして進めていただいておりますが、その中に国立国会図書館の関西館というのが、既に昨年秋着工に至りまして、あと二年余りで完成をする、このようになっております。  この国会図書館の関西館は、言うまでもなく、東京の国立国会図書館でいざ震災があった場合、災害があった場合に、大事な図書が一つではセキュリティーの問題で大変だということで、大体二冊ずつ出版物が送られてくる中の一つを分散して関西の方に置いておこう。その上に、新しい時代に即応した情報中心の図書館として近代化していこう。こういう二つの目的を持って関西文化学術研究都市につくっていただくわけでございますが、まさしくこの国会図書館の予算は、各省の中ではどこの省にも属しませんで、国会の議院運営委員長が主務大臣的な形で予算を要求されるわけでございます。既に国会の意思として国会図書館を国の中央部の関西に持っていっていただくということは、私の我田引水的な感覚では、もう既に国会では関西の方に首都を移そう、国会を移そうという御前提があったんではなかろうか、こういうふうに思ったりいたしておるわけでございます。  それから、京都には和風迎賓館というものを今お願いしておりまして、これも来年の予算でぜひとも着工の予算をお願いする、そういう段階になっておりますけれども首都ともなりますと、あるいは国会がございますと、世界からいろいろな方も来られます。そういうときの迎賓機能として、最も日本文化を色濃く、また日本のアイデンティティーを示すことができる、そういう和風迎賓館が御所の一角にある、それができるということは、大変適した地域であろうというふうに私は思っております。  それに加えまして、若干暴論になりますが、京都の人々は、まだ都は東京に移っていないというふうに思っているわけでございます。  明治時代に、法的に何の手続もなしに明治天皇東京へ行かれた。ちょっと行ってくるとだけ言われまして、京都の人はいずれまた戻ってもらえると思いましたところ、なかなか戻ってこられない。そのうちに皇后陛下まで行かれるということになりまして、皇后陛下まで行かれたんではいよいよお帰りにならないだろうということで、さすがにあの時代でもデモがございまして、皇居の周りを市民が取り巻いた。そのときに、太政大臣から、必ず戻って来るんだからそういう不穏な動きをしないように、そういう通達が当時の知事に出まして、当時の知事がそういうことを民衆に言って事を起こさせなかった、こういう記録がうちの資料館にも残っております。  私は、別にそれを古証文を出して今京都だということを言うわけではございませんが、畿央に参りますと、畿央の中の笠置町というところには、かつて後醍醐天皇が南北朝時代に行在所として行かれました場所もございまして、そういう意味では非常に御縁の深い場所が畿央高原の中にあるということも御認識いただきたいというふうに思うわけでございます。  いろいろ申し上げましたが、終わりに、この首都機能移転の議論というものは、移転先の問題が非常に大きな課題にはなるわけでございますけれども、私は、移転先の議論も大切でございますけれども、やはり首都移転必要性というものが国民世論の中で大きく形成されて、そしてその中からこういう問題が進めていかれるように、ぜひともそういう中で、まだまだ私たち対象地域にいる知事といたしましてはその世論の形成のために一層努力をしなきゃいけない、そういう使命感を持っております。また、当然本委員会先生方初め国会先生方の強力なリーダーシップによりまして、ぜひこの首都機能移転が実現しますように心からお願いを申し上げまして、私の参考人としての意見陳述にさせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  72. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  73. 井上一成

    井上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。
  74. 岩永峯一

    ○岩永委員 私は、自由民主党を代表して、御質問を申し上げたいと思います。  きょうは、京都府、福島県両知事におかれましては、御多忙の中わざわざ国会までお運びをいただいた上、なお長時間お待ちをいただきましたことを大変恐縮に存ずる次第でございます。また、ただいまは貴重な御意見を御陳述賜り、本当にありがとうございました。  私の持ち時間はわずか十分でございますので、大変恐縮でございますが、早速質問に入らせていただきたい、このように思っております。  なぜ首都機能移転するのか。やはりその一番大きな理由は、地方分権推進への大きな契機になる、私はこういうことだと思っております。そしてそれが、経済文化のみならず政治を一体として支配する現在の東京みたいな地域があれば、結局日本全体の多様性は保たれない。だから、日本全国政治を考える場所経済文化中心地から切り離してみるということが地方分権を進める上で非常に重要な課題ではないか、私はこういうような気持ちを持っているものでございます。  そういう意味では、首都機能移転は二十一世紀に向けた国づくりの集大成である、このように思っておりますので、両県知事におかれましては、何とぞ、今後とも誘致に向けて、また首都機能東京から移転するという分野でひとつ格段の御活躍を賜りたい、このように思う次第でございます。  ずっと多くの知事さんのお話を聞いてまいりました。そして大体総体的な御意見が多うございましたので、私はそういう意味での重複を避ける意味も込めまして、実現に向けての少し具体的な話をお伺いしたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。  首都機能を受け入れるということは、メリットだけでなくコストもそれなりにかかるということでございます。社会インフラの整備もやはり首都にふさわしいものを整える必要がございますし、また、首都が来ますと国家要人の警護なども、現在の東京都ではそれらの費用も負担している、こういうように聞いておるところでございます。  国家財政も緊迫しておりますし、また、社会インフラの整備は自治体それぞれの利益にもなる、このように思うわけでございます。現在東京都が負担している首都のための費用をどうするかというようなことも、今後大きく議論をしていかなきゃならぬのではないか、このように思うところでございます。  国のみならず地元自治体も応分の負担をいただかなきゃならぬ、こういうことを考えるわけでございますが、それにつきまして両県知事はどのように認識されておられるのか。言いかえれば、どの程度これらのコストを地元として負担していただくお気持ちがあるのか。最初にこのことについてお伺いをしたいと思います。
  75. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 お話しのように、上下水道、交通、通信などさまざまな社会生活基盤の整備が必要でございますし、また、要人警護を初め、安全で安心できる生活空間として整備される必要があると考えております。  ただ、首都機能移転は二十一世紀我が国の進路を象徴する都市として建設されるべきものでありまして、また、世界のモデルともなる、日本国民共有の財産ともなる都市であることから、そのための建設及び運営にかかるコストについては、基本的には国において国民の合意を図りつつ負担されるべきものであると考えております。  一方で、地域と密接不可分な事業等も想定されますことから、これらを含めまして、新都市及び周辺地域一体となった新都市整備の基本方針の中で適切な費用負担のあり方について明確に位置づけていく必要があると考えております。  お話しの地方分権等も踏まえて、国の役割地方役割等の関係でいろいろ検討する必要もあろうかと思いますが、文化経済については東京に担っていただくというようなことも踏まえて、そのコストの問題は考える必要があろうかと思います。
  76. 荒巻禎一

    荒巻参考人 岩永先生のおっしゃいましたうちの、分権についての一つの契機になるといったことは私も全く同感でございまして、ぜひこの機会にそういう物の考え方を進めていく契機にもしていきたいというふうに思います。  政治経済文化との分離につきましては先ほどもちょっと述べましたけれども、江戸時代の大坂と江戸もございますが、アメリカのニューヨークとワシントン、あるいは中国の北京と上海、あるいはオーストラリアのシドニーとキャンベラとか、ブラジルのブラジリアとサンパウロとか、世界でもかなりそういうのがございまして、やはり国としてはそういう形の方が強いのではなかろうかというふうに思います。ぜひとも私も驥尾に付して努力したいというふうに思っております。  それから、首都としての経費負担につきましては、地元で負担すべきことはそれなりに私たちもぜひとも精いっぱい努力したいというふうに思います。  また、現に関西地域では、先生御承知のとおり、関西文化学術研究都市というのは、大阪、京都、奈良の県にまたがりまして、一つの面的なプロジェクトを三府県が共同して進めているという点では全国で全く唯一でございます。北海道の東苫小牧にしましても、むつ小川原にしましても、あるいは鹿島臨海、あるいは水島、あるいは志布志湾開発、いろいろな点はすべて一つの県の中だけでの開発、大プロジェクトでございますけれども、関西ではそういうふうに共同してやっていく、こういう一つの経験も積んでおりますので、この際、そういうことも含めてやっていきたいと思います。  首都の負担というのは、やはりかなり国の仕事の負担があると思いますので、地方団体にすべてが来るというのはちょっと難しいのじゃなかろうか、ぜひワシントンのような、同じ地方団体でもいろいろな特別の制度その他を配慮していただく必要があるのではなかろうかというふうに思います。  また、税制というのは、必ずしも今の税制がすべて正しいとは思いませんで、東京にたくさん税が入るのはすべて東京の都民が稼いだというふうには私は実は思っておりません。これは税制上の問題であって、本社機能なり経営機能中心がそこにあって、そこにどう分けるかという結果、そうなっておるわけでございますので、私たちも、地域として担税能力があるような形でぜひ税を決めていただければもっともっと出せる、このように思っておるわけでございます。
  77. 岩永峯一

    ○岩永委員 先ほどの荒巻知事さんの意見陳述にもございましたように、三重・畿央高原にせよ北東地域にせよ、複数の県にまたがる地域が今回の新首都の候補地とされているわけでございます。新しい日本首都機能を考える際、既存の都道府県の枠に縛られる、こういう必要はないわけでございまして、何県かにまたがること、また畿央高原なんかは接点を候補地としているわけでございますので、私はそういう面では大変結構なことだ、このように思うわけでございます。  その場合に、先ほど申し上げましたように、インフラ整備のための費用分担をどうするのかという非常に難しい問題も呈してくるわけです。しかし、例えばワシントンDCのように特別行政区として既存の都道府県制度とは別の扱いをするようなことなんかも考えられるのではないか、こういうように思うわけでございます。そういうことになりますと、首都建設の費用を周囲の都道府県と切り離して国費で賄っていくということができるかもわからぬわけでございます。  国会等移転審議会の答申も十一月に迫っておるわけでございまして、これらの現実的な府県間の連携というものをどういうように両知事がお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。  そして、時間もございませんので、一つ、どの知事さんにもそれぞれの質問者がお聞きしているのですが。いずれにいたしましてもどこかに決まるであろう。しかしながら、うちに決まらなかったから協力しない、こういうことであっては困るわけでございますが、両知事さんに、どこに決まっても新しい首都機能のためにひとつ御協力いただけるかどうか、このこともあわせてお願いしたい、このように思います。
  78. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 先ほど御説明申し上げましたように、福島県の大きな基本的なインフラにつきましては、建設省さん、あるいは港湾、空港もございますが、運輸省さん等々の力で、大きな基盤はおおむね概成しておるというふうに私は考えております。あとは内部の道路等、あるいは必要があれば軌道等の空港へのアクセス等々が考えられますが、そういう考え方でおります。  ただ、先ほど言いましたように、新都市基盤の整備の基本方針を決めるに当たっては、国、関係府県、市町村が密接な協議を行う場を設けて進めていく。  特別区というのは、申し上げましたように、国会があったから生活圏でないというわけではございませんで、これはあくまで生活する人がいるのですから、住民自治、団体自治というのを大切に私は進めていくべきであると。  ただ、国の役割は、道路や河川やそういうものをどうするのではなくて、外交、防衛、これとこれとこれというふうな役割分担をはっきりさせて、そういう役割を担っていくということは、地方分権がここまで進みましたが、これから委員の皆さんのお力でどんどん進めていただいて、役割分担についてはしっかりやっていただく必要があるのかなと思います。  それから、今私どもが最適地だと言って主張している中で、ほかに決まったらという質問に対しては、ちょっと酷な質問かと思いますので、お答えはお許し願いたいと思います。
  79. 荒巻禎一

    荒巻参考人 最初の各県の負担についてのお話でございますけれども、私はいろいろな意味からして、この首都機能移転に対するお金というものは、最近言われております大型公共事業性悪論といいますか、そういうものとはちょっと違うのではなかろうかと。やはり日本国民の将来を決めるために大きな投資効果がありますし、また、この不況の時代の中で雇用対策その他が非常に問題になっている中で、そういう大きなプロジェクトによって雇用あるいは景気刺激の役割もあるのではなかろうか、このように思ったりいたしております。  それから、各府県の中にあります必要なインフラ、道路とか河川とかそういうものは、関西文化学術研究都市におきましても、それぞれの府県でよく調整しながら負担をして、現にインフラ整備をやって今日まで来ておりますし、当然そういうことも含めて地元としての協力をする、それに加えて、国の政策としての大きな御援助をいただきたい、このように思っております。  どこに決まってもということは、最初に私は申し上げましたけれども、やはり首都機能移転が必要である、こういう件につきまして、どこに行くかの議論よりか、まずそこを我々はしっかりすべきだというふうに思っておりますので、私も、正当な手続で決まりましたら、それに対して異議を言う立場ではないというふうに存じております。
  80. 岩永峯一

    ○岩永委員 どうもありがとうございました。  両県知事、これからひとつ東京から移すということで御尽力いただきたいと思います。
  81. 井上一成

    井上委員長 久保哲司君。
  82. 久保哲司

    ○久保委員 公明党・改革クラブの久保哲司でございます。  きょうは御苦労さまでございます。ありがとうございます。福島県知事京都府知事、お待ちをいただきまして申しわけございませんでした。  私は大阪なものですから、京都は隣だし、福島県は大阪府といろいろな交流をしていただいておって、何度も足を運ばせていただいたことがありまして、何か他人のような気がせぬで、これは困ったなと思っておるのですけれども。  首都機能移転は、今、荒巻知事もおっしゃいましたけれども、まず絶対必要だというふうに私も思っています。ただ、この首都機能移転というのは、ある意味で、日本の国にとって、また国民にとって、言うならば世紀の大事業になるんだろうと思いますけれども移転することが目的になってしまったんではこれはいかぬのだろうな。むしろ、二十一世紀日本政治行政体制のあり方、これをどうするのか、そのためにこそ首都機能移転はあるべきではないのか、その目的を達成するために首都機能移転という一つの大きな事業、行為があっていいのではないか、そんなふうに思っています。  先ほど福島県知事が示された地図、福島県の、それこそ阿武隈地方だけで東京都、神奈川県がすぽっと入ってしまうという、考えてみたら、東京、神奈川で二千万近い人がおるんだろうと思いますけれども、この人たちがそれだけのところにぎゅうぎゅう詰めになってやっておること自体の解決も含めて、一定の移転というのは必要なんだろうと思っておるんです。  そこで、知事というのはまさに各地域の大統領でありますし政治家でありますけれども政治家また知事として、それぞれ二十一世紀日本分権国家であるべきだとか行政改革を進めるべきだとか、規制緩和だとか環境を大事にせないかぬとか教育とかさまざまなことが言われるわけでありますけれども、私は、分権を進めることこそが二十一世紀の大きな日本改革だと思っています。私はそう思っておるんですけれども佐藤知事あるいは荒巻知事におかれては、知事、政治家として、二十一世紀日本行政のあるべき姿、政治のあるべき姿、未来のあるべき姿というものをどうお考えなのか、まずそのことをお伺いしたい。
  83. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 ただいま大統領だというお話がありましたが、現実には本当に権限は少ないものでございます。  私は、知事に就任して、裏磐梯や猪苗代のあの地域を、グランドデザインを描いたわけでございますが、現実に土地利用あるいは建物の規制等々、私どもは、国立公園法とか森林法とか都市計画法とか、そういう縦割りの法律の中でしか動けなくて、私どもここを、まさに二十一世紀の、景観等も含めていい地域にしようと思っても、現実には難しかった。  実際は条例をつくって、少し無理がありました条例をつくって、三十階建てのビル等については一切計画等を抑えたわけでございますが、その後地方分権のうつくしま宣言というのをいたしまして、ここに手元にございますが、この中で、住民に近い市町村ができるだけ行政を行うということと、それから国と県と市町村と住民の役割分担をはっきりすべしということを訴えて、平成五年から六年にこの宣言をしたんですが、こんなに早く地方分権の一括法案が通るとは私は夢にも思っておりませんでした。そういう意味では、この動きというのは大変な動きがあったということでございます。  ただ、残念ながら、まだまだプロセス、過渡期の段階でございまして、先ほども言いましたように、国の役割は何と何であるかということをはっきりしていき、我々は大統領になるつもりはございませんが、少なくともいい地域づくりをしようというとき、残念ながらいろいろなネックがあってそれができないというような体制は何とか二十一世紀にはなくしていくためにも、先生のおっしゃるような国と地方あるいは官と民の役割分担をはっきりさせていく必要があるのではないかなというふうに考えております。
  84. 荒巻禎一

    荒巻参考人 この首都機能移転分権の大きな一つのてこにせよという御趣旨の御意見、全く私も同感でございまして、とにかく、現在の規制緩和にしましても、あるいはその他の流れにしましても、これはやはり世界の流れ、日本の流れの中に、この分権問題も同じ流れの中にある、このように思っておるわけでございまして、これを完成させなければ、本当の意味で日本改革もできなければ世の中の変化もできない、このように思っておるわけでございます。  私たち、地方分権一括法案の成立につきましては、大変先生方にお世話になりまして、心から感謝を申し上げておりますけれども、ただ、知事会といたしまして、やはりこれは一つの到達点であって完成ではない、未完成交響楽のようなものだ、こういうふうに申し上げておりまして、それを完結させるまだまだ今後の問題、課題があろうと思っておりますが、そういうことに対する国の方の決意、これをあらわす一つの決断として移転を決めていただくということがその問題についての認識の一つの証拠にしていただけるのではなかろうか、このように思ったりいたしております。  特に、一極集中の排除というのは、私は、金融問題にしましても経済問題にしましても、東京は大変な一極集中であるわけでございますが、その大きな理由の中には、やはり情報関係一極集中が大きな要素をなしている、このように思いまして、その意味では、国会等首都機能移転すれば、当然日本の国の大きな情報はそちらの方から発信されるということで、一極集中は大きく変わる可能性を持っているというふうに思います。  現に、褒章関係でいろいろ、紫綬褒章とか藍綬褒章とかございますが、学術、芸術について貢献したという紫綬褒章でございますが、たしか、私の薄い記憶では、春、秋それぞれ二十名ずつぐらい、四十名ずつぐらいでしたか、あると思うのですけれども、八割ぐらいが東京にありまして、東京が二十近くあったら京都がその次で二人ぐらい、二十人に対して二人、大阪あたりは一人、そのほかない府県がほとんど、こういう状態が紫綬褒章でございます。  これはなぜかと思いますと、私はやはり、そういう芸術家とか小説家とかそういう方々は、東京に住んで情報だとかに乗らないと仕事がやれないし、また生活ができないということでどんどんこちらへ集まってこられる、そうすると悪循環になっている、こういうことだと思いまして、政治情報地方に出していただくということは、非常に大きな一極集中に対する変化のインパクトになろうと私は期待をしておるわけでございます。
  85. 久保哲司

    ○久保委員 もう一つ質問しようかと思ったのですが、時間が迫ってきまして、全体のためにもう質問をやめます。  最後に、きょう午前中にも三人の知事にお越しをいただき、今お二人にお越しいただいて、先ほど「森にしずむ都市」という表現もなさっておられましたけれども、いろいろな皆さん方の、知事の御意見を聞いていると、霞が関そのものを、国会議事堂を含めてごそっと持ってくるという、そうではなくて、新しいイメージ、まさにクラスターという形式も含めてイメージを持っていただいていることにある種の安堵感を覚えておりますけれども、それこそ蛍が飛び交うような中に国会議事堂がある、こんなイメージがあったっていいのではないのかな。できれば本当にそういう心安らぐような新首都、これをともどもに知恵を出し合って、そして、最終的にどこかに決まるのかもわかりませんけれども、そのときにはそれぞれの地域の出した知恵をさらにそこに集結をして、日本国民が二十一世紀、未来に向かってそれこそ誇りにできるような都市建設に御尽力賜りたい。私どももまたそのことに向けて頑張りたいと思いますので、よろしくお願いをします。  以上でございます。ありがとうございました。
  86. 井上一成

    井上委員長 吉田幸弘君。
  87. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。  本日は、二名の知事さんより貴重な意見をお伺いすることができまして、感謝申し上げます。ありがとうございます。  時間もございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  私、今まで数多くの参考人の方々から意見を伺ってまいりました。移転意義について、大方大差ない、同様の意見として私自身は理解をし、また承知をしているわけでありますが、この移転意義について、国内の事情、また東京の事情、そしてその局地的というか、移転先の地域の事情、これらの範囲にとどまった意見で終わっているような気がいたします。  何が申したいかというと、世界全体から見た首都というか、我が国首都移転しなければならない、このような観点から物事を考える必要があるのではないかというような気がいたしております。二十一世紀に向けて、我が国国際社会の中でどのようにあるべきなのか、このようなことを考えて、移転が必要であるのか、また、移転の候補地としてはいかなる条件が必要であるのか、このことを考えるべきではないかというふうに思っております。  そこで、二人の知事さんにお伺いをいたしたいと思います。  二十一世紀に向けて、我が国がどのような産業を中心として国際社会の中で共生をしていくのか、また、そのためにはどのような首都像、特に内外に対しての交通網について、例えば港湾や空港、またそれに付随する新しい交通手段、例えば空の交通手段であれば、HSTみたいな、そういうような極めて先端な機種というか方法というか、そういうものも含めてお考えをお示しいただいて、じゃ、どこが、どのような、地域としてそういう条件を備えているのか、こういうものも含めてお話をいただきたいと思います。     〔委員長退席、蓮実委員長代理着席〕
  88. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 私ども、知事として、今県内の産業等についてもいろいろ苦労して進めておりますが、農林水産業を初め、日本が今まで育ててきた物づくりも含め、今までの産業というのも非常に重要でございます。  そういう中で、新しい時代に向けて、また環境とか平和とか情報とか、あるいは男女共同参画というようなキーワードを中心にした新しい産業、文化、ライフスタイルなどを確立していくことが国際社会の中で確固とした地位を築く要素ではないか、条件ではないかというふうに考えております。  そういう中で、交通網についての御質問でございますが、私はブラジリアやキャンベラも拝見してきましたが、空港については、大体国内中心の空港でございました。これでよろしいんではないかと思います。  むしろ、国際線につきましては、首都のすぐ近くにある必要はないと思いますので、福島県は幸い六月にソウルと上海に、この六月中に二路線が開設されましたけれども、しかし、国際線について、政治都市、新首都との関係で考える必要はそう余りないのではないかというふうに考えております。  なお、港湾あるいはその他高速体系については、国内の空港との関係では、先ほどお話ししましたように、空港でおりたら十五分か二十分で目的地に行けますから、むしろ国内線では非常に便利なところであり、そしてまた港湾も、重要港湾二つを抱えておりますし、高速体系についても、もう既に大どころの基盤は整備されておるというふうに私は考えておるところでございます。  経済金融都市東京との連携というのは非常に重要なことであると思っておりまして、そういう意味では、百五十キロから二百キロ圏内でございますので、阿武隈地域というのは非常にいい地域ではないかなというふうに考えております。
  89. 荒巻禎一

    荒巻参考人 新しい首都機能が国際的にどういうふうな意味づけをするかとか、あるいは日本の将来の産業との関係ということの御質問でございますが、もともと首都的な機能が完結していく中では、かつて、明治開国後、東京に横浜という港があり、そこから人、物、情報がすべて入ってきた、大阪の方には神戸があって、そこから人、物、情報が入ってきた、こういう形の中で発展していくんだろうと思いますが、その後、船から空の方へ変わりまして、現在の東京は成田とか、あるいは大阪は関西空港とか、そういう形になると思います。そういう意味では、空港について、畿央地域は、大阪にも、あるいは名古屋にも、そして滋賀にも一つ地方空港ができる、こういう方向でございますので、人、物、情報の入る窓口としては将来かなり完備できるだろうというふうに思っております。  また、将来の日本の産業の行方といたしましては、日本の持っている技術あるいは基礎科学的なものをさらに伸ばして、今までのように、よその国が時間とお金をかけて開発した基礎発見、発明を器用にまねして工業化するだけではなくて、自分でそういうものを見つけ出して、自分でそれを発展させると同時に、他の国にもそれを貢献して、その尊敬を得る、そういう形でなければいけないというふうに思います。幸い、先ほども申し上げました関西文化学術研究都市は、そういう基礎科学を将来に向かって完備していこう、そういう理念によってつくられたわけでございまして、現在既にあります国際電気通信基礎技術研究所、ATRというものにつきましては、既にアメリカのビジネス・ウイークですか、雑誌の中でも、世界で最も活躍している五つの研究所の一つに挙げられましたり、あるいは地球環境産業技術研究機構といいますRITEというものにつきましては、一年半ほど前にありましたCOP3、いわゆる地球温暖化防止の国際会議、このときに各国の科学者が見えて、アメリカのゴア副大統領あたりもそのことをはっきり、自分は非常にいいものをつくっているのを知っているよというふうに話されるぐらい世界的にも周知されてきておりますので、そういう形でそういうものを活用していけば新首都機能が非常に発揮しやすいのではなかろうか、このように思っておりますし、将来やはりアジアに対する日本の位置というものをしっかりしなければいけませんので、そういう意味では私は西の方が、位置的にも、ロケーションとしていいんじゃなかろうか、このように思っておるわけでございます。
  90. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 私は愛知県でありまして、愛知県の中の三区というところが選挙区であります。  この愛知県に関しては、これも対象候補地となっているわけでして、私が感じるには、この国会移転に対して非常に興味が、県民また私の周りにはあるというふうに認識をしております。  そこで、通告にはありません質問ですが、一言で結構です。さらに主観的に答えていただきたいと思います。  データがどうだこうだではなくて、両知事さんの周りの方、知り合いの方を含めて、この国会移転に関してどんな感じなのか、十分承知をされて、積極的な感じが伝わってくるのか、そうではないのか、このことをごくごく簡単にお話をいただきたいと思います。     〔蓮実委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 先ほどちょっと申し上げましたが、福島県は平成元年から、阿武隈地域の総合開発の中で、特にあぶくま新高原都市構想というのを進めて、一平方キロメートルの中でのドット数、建物が幾つあるかというような調査をずっと進めてきております。そういうことで、私は、地域の皆さんにも御理解をいただいておるというふうに考えておるところです。  なお、五十六主要民間団体から成る協議会活動、あるいは青年会議所や地元の有志から成る移転を進める会の活動、あるいは市町村の主体的な取り組みなど、移転先候補地だけではなくて、県内一体となった運動を展開しております。  なお、福島空港につきましては、反対が一人もなかった空港という、これは珍しい空港でございますが、そういう空港でございます。  以上でございます。
  92. 荒巻禎一

    荒巻参考人 住民の関心等につきましては、率直に、主観的に答えろというお話でございますが、率直に申しまして、京都の府議会あるいはマスコミその他でかなり大きく取り上げられるということは、現在ございません。むしろ、地元の町村で非常に、議会決議をして意見書を持ってまいりましたり、あるいはよその府県との、地元になるであろう町村とお互いが連絡会をつくって相談したりしております。  最近、四府県の知事が集まりまして、とにかくもっとアカウンタビリティーを発揮しなきゃいけない、こういうことで、シンポジウムをやったりポスターをつくったり、いろいろな機会をつくってそれをやっていこうという決議、意思の確認をしたばかりでございますので、今後そういう点を大いに努力していきたい、このように思っておるわけでございます。
  93. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 これで終わります。どうもありがとうございました。
  94. 井上一成

    井上委員長 中島武敏君。
  95. 中島武敏

    ○中島委員 日本共産党の中島武敏でございます。  時間もないから、端的に二つ三つお尋ねいたしたいと思います。  私は、二十一世紀というのは、もう文字どおり環境と福祉の世紀にしなければならないというように思うわけです。福島につきましても、また畿央高原につきましても、きょうもこうやってパンフレットの写真を見せていただきますと、なかなかすばらしいところなんですよね。また、私も直接視察をしたこともありますけれども。  結局、首都機能のこれだけ大規模移転ということになりますと、環境が破壊されてしまうということを必然的に伴うと思うんですね。そういう点で、両知事のこのことについての心のうち、気持ちというか、そういうものを聞きたいと思っております。
  96. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 国会移転に関して、私が「森にしずむ都市」ということを申し上げましたのは、そういうことを一番大きなテーマに考える時代に入っているということで考えてそういうテーマにしたわけでございます。  また、もう一つ、もう委員もいらっしゃっていると思いますが、キャンベラという都市を見たところ、百年前にはまさに荒地だったんですね。石ころが転がっているようなそういう荒地だったんですが、百年たつと森林ができておるんですね。それで、その中に都市が存在しておる。そういうところは、森林というのはその植生、そこにある植生を中心につくれば百年、あるいは明治神宮も五十年で森になるわけでございますので、そういう意味では、私は、基本的なコンセプトをしっかりしていれば、環境との問題は解決していけるというふうに考えております。
  97. 荒巻禎一

    荒巻参考人 環境、福祉の関係と、今後の新首都の開発との関係でございますが、先ほどから福島の知事さんもおっしゃっておられましたが、私どもの方の畿央高原につきましても、いわゆるクラスター方式といいます、ブドウの房のようにあちらこちらに点々と森の中に施設があって、それが、全体が有機的につながるような、そういう形を予想しております。  これにつきましては、既に関西文化学術研究都市でも同じ手法でやっておりますが、よその国のいろいろな新首都、あるいは研究学園のようなサイエンスシティー、それを見ましてもかなりそういう形が行き渡っておりまして、私は、そういう中で、そういう知恵を取り入れていけば、決して破壊だけに終わらずに、人の住みやすい自然ができるんじゃなかろうか、このように思っておりまして、完全なる原始だけの自然というのはかえって人間は住めないということで、そういうことを十分注意しながら自然に対して共生していく立場で進めていければ、こういうふうに思っておるわけでございます。
  98. 中島武敏

    ○中島委員 次の問題なんですけれども日本の国、地方の財政というのは極めて財政危機にあると思うんですね。これがなぜこういう事態になったかというのは、両知事にはもう先刻御承知のとおりだと思うんですけれども、異常なばかりの公共事業の積み増し、これが原因でもたらされていると思うんですね。  ところが、大規模国家的プロジェクトである公共事業の典型だと私は思っているんですけれども、これが実行されるということになりますと、従来のとおりの公共事業偏重、そして福祉が片隅で泣いている、そういう財政運営ですね。これはどこかで改めなきゃいかぬのじゃないか。そういう点では、これは一つのチャンスじゃないのかな。だから、思い切ってこの辺で、国家的プロジェクトはどうなんだろう、こういう提起をされるのもいかがなものかなという感じがいたしておりますけれども、両知事の御見解を伺いたいと思います。
  99. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 もうるる申し上げましたように、首都機能移転を単に費用の多寡のみで語るべきではないというふうに考えております。今後数世紀にわたって我が国の進路を方向づけるであろう国家の一大事業というふうに位置づけて、この経済情勢も厳しい状況の中でございますが、また財政状況お話しのとおりでございますが、これでやめていいのかどうかというように私はむしろ疑問を持ちます。  現実に、もうお話あったと思いますが、国土庁さん等のお話で計算すると、一年に二、三千億というような数字が出ておりますが、これが今の景気対策等の数字と比較してもそんなに大きい数字ではないというふうに考えております。
  100. 荒巻禎一

    荒巻参考人 先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる公共事業、大型公共事業で十分な投資対その成果についての検討もされない、あるいはアセスメントも十分にいっていない、こういう形の公共事業ではいけないと思いますので、その点は、私は、新首都については、これだけの議論を尽くされて、また国民的な合意を得てやる場合には、すべてそういう点についてみんなの配慮が行き届き、そして執行する方もそういうことを十分頭に置いて執行していけば、やはり国土の有効な利用あるいは国の将来の基礎づくりという点では有意義であろう、このように思っておりまして、文化的なことにつきましては、特に畿央高原につきましてはその点、歴史文化を、あるいは環境を重点にいこうということも申し合わせておりますので、十分注意してまいりたいと存じております。
  101. 中島武敏

    ○中島委員 国家的なプロジェクトとしての首都機能移転、この問題の意義については、今も、また先ほどからもいろいろとおっしゃっていただいているんですけれども首都機能を畿央高原なら畿央高原に特に移すとかあるいは福島県に移転をさせるとか、そのことが同時に京都なり福島なりの発展にどういうかかわりを持つ、したがってどうしても福島にとか、どうしても畿央高原に、京都にといいますか、そういう点について特にあれば、どうぞひとつお答えいただきたいと思います。
  102. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 私どもは、最初に説明いたしましたように、分散型の県土づくりをやっておりまして、七つの生活圏ということで今県土づくりをやっております。ですから、もう一つ生活圏が、先ほど地図でお示ししましたように、東京と大阪を合わせたぐらいの広さのところにもう一つ十万人の例えば生活圏ができたということで、私ども環境とかも含めてそう影響は受けない、また、文化あるいは政治都市ですから、そういう面でのいい意味での影響は与えていただけると思いますが、そういう考え方でおるところです。
  103. 荒巻禎一

    荒巻参考人 畿央の場合で申しますと、特に京都地域だけのどこがどう発展してどういう御利益があるかという、そういう考えでは余り頭に置いておりませんで、せっかく関係四府県が共同して、未利用地の土地について国家的にも貢献しながら、なお地域としても一つ地域の将来の発展のための基礎ができる、こういう点でぜひお願いしたいというふうにやっております。その意味では、公共団体の仕事の将来のやり方、府県の仕事の、あるいは府県の区域のあり方とか、いろいろな将来の地方分権なり地方制度そのものに対するいろいろなことを考える、また、それを体験する非常にいい機会でなかろうか、このように思っておるわけでございます。
  104. 中島武敏

    ○中島委員 終わりにしたいと思いますが、もう時間ですから、最後に一言だけ短いことを。  京都の場合に、今度の畿央高原というのは御存じのとおり議連の方から始まっています。京都の県民のお気持ちは一体どうでしょうか。そのことだけ聞かせていただいて、終わります。
  105. 荒巻禎一

    荒巻参考人 京都、特に近畿の場合、最初、六十キロから外で三百キロ以内という大きな基準が出まして、それに当然入っていない、もう幾らじたばたしても、お願いしても基準から外れている、そういう形で一切動いていなかったわけでございますが、畿央高原が三百の中に入るという中で、それならばぜひ、私たちもかねがねそういうことはいいと思っているので一緒にさせていただきたい、そういうことで動き出しましたので、動きとしてはかなり後からという状態であることは間違いございません。
  106. 中島武敏

    ○中島委員 終わります。
  107. 井上一成

  108. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。  本日は、大変お忙しいところ、本当に大変貴重な御意見をいただきましたことを大変ありがたく存じます。  私も何県かの候補地の知事さんのお話を聞いておりましたけれども、本当に熱心な取り組みというのに対しまして敬意を表したいと思います。その反面では、本当に今、多くの話を聞いておりまして、多くの費用をかけ、それと自然が破壊されるという中で、分散、例えば文教地区とか厚生地区とかいうような形のものをつくってもいいのじゃないかなという私個人の考えを持っておるような状況ですけれども、進めていくという形の中で、両知事さんにお尋ねしたいと思います。  先方もあったかもしれませんけれども、この首都機能移転というのは大変規模が大きいと思いますし、それと地域社会の住民にとっては大変大きな変化が予想されると思うんです。各県とも地域住民への説明や合意形成にどのように努力されておりますか。いろいろPRしておるという話もお聞きしましたけれども、どのような形で努力されておるのか、まず一点お聞きしたいと思います。
  109. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 私どもでは、平成八年四月に庁内に対策本部を設置して以来、フォーラム、シンポジウム、講演会の開催、インターネットホームページの開設、県民便り、各種パンフレットによる情報提供など、理解促進に努めてきております。  特に、県民の意見に耳を傾けることを重視しておりまして、平成九年、十年度に県内七つの方部で、七つの方部というのは先ほど申し上げました七つの生活圏でございますが、県民懇談会を開催し、さらに市町村ごとに住民の方々の意見交換会を計十七回開催いたしております。今年度についても、候補地内の市町村住民を対象に懇談会を延べ四十回程度開催するなど、きめ細かな取り組みを行っております。  なお、お手元にお配りしております各界各層からの意見を踏まえた形で、昨年の六月に基本構想を策定したところでございまして、また、懇談会等において自然環境への影響の心配とかいろいろ出ておりますが、そういうことに関しても十分研究調査等もしておるところでございます。
  110. 荒巻禎一

    荒巻参考人 地域に対する説明あるいは情報の提供につきましては、かねてから、京都府独自の、畿央高原についての、あるいは首都機能移転についてのパンフレットをつくりまして配ったりいたしておりますし、その上に、京都、奈良、滋賀、三重、四府県で共同でつくりました畿央高原に対する一つの資料を、パンフレットをつくってそれぞれの府県でも配布しました。それから、去る八月の四日に関係府県が集まりまして、そこでいろいろ議論をした結果、先ほどちょっと申し上げましたが、シンポジウムをやったり、さらに連絡会をつくろう、こういう合意に達しましたり、さらには関係町村がそれぞれ府県の範囲を超えましてお互いの連絡会議をつくろう、そういう動きがございましたり、地元の町村で、議会でぜひ自分のところへ首都機能をという決議を、意見書をつくりまして各方面へ提出したり、こういうふうなことをやっておりまして、そういう中で、できるだけ私たちも説明責任を果たしながら、また機運の醸成に努めたいというふうに思っております。
  111. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 やはり本当に、市民とか、特にそこの地域の人、そして国民の本当の関心度というものがないとなかなか移転というのは実現できないんじゃないかなというような思いがございます。そういう点で、やはりどんどんPRというか、そういうものの盛り上がりが大切だろうと思います。  次にお伺いしたいと思いますのが、先方もありましたけれども、本当に私はこの美しい自然の中での環境破壊というのにつながるんじゃないかなということです。生態系に対する悪影響を及ぼすんじゃないかと思いますので、そこのあたりの考え方、水等の資源も含めて、両方の知事さんにお願いしたいと思います。
  112. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 水の問題につきましては、移転審議会の方で調査結果として公表されておる本県の水資源の賦存量は大変豊富でありまして、六十万人程度都市になっても既存開発用水等を活用することにより十分対応可能であるということになっております。  なお、それであっても、例えば山を切り開いてしまうというようなことは大変水に影響を与えます。私どもは、先ほどの例えば第四クラスター、第六クラスター、第九クラスターについて、現実にどういう都市づくりをするかのグランドデザインを描いて、その中での結果では、第四クラスターについては五二%、第六については四八%、第九については四五%の緑被率といいますか、緑を残すということを前提にグランドデザインを描けたということを申し上げておきたいと思います。
  113. 荒巻禎一

    荒巻参考人 自然の保存と環境破壊に対する対応でございますけれども、私たち、かねてから、先ほどから何度も申しております関西文化学術研究都市のときに、ここはやはりクラスター方式で二千ヘクタール以上の土地を開いたわけでございますが、その中で、オオタカがどうも営巣しているらしいというお話もございまして、そのときに、その場所五ヘクタールほどを公園にする予定でしたけれども、百億円以上余計にかかりましたが、二十五ヘクタールにふやしてその保存を図ったとか、いろいろな形で努力をして都市開発をやってきておりますので、さらにこの点については強力にやっていきたい。特に、五月に、自分で言うのもなんでございますが、京都府が優秀環境自治体賞というのをいただきまして、特にCOP3の地球温暖化防止の京都議定書の地にもなった、いろいろな点で責任と誇りを持っておりまして、ぜひその名前に恥じないような形で進めていきたい、このように思っております。  また、水資源等につきましては、四府県で共同して、自然の破壊のない形での確保ということを話し合っておる次第でございます。
  114. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 最後になりますけれども、この首都機能移転というのは長期的なプロジェクトになると思うのですけれども、それぞれの県で、移転が決定された場合、長期的に見て、本当に日本の国家的発展にとってどのようなメリットがあるかということを最後にお聞かせ願いたいと思います。
  115. 佐藤栄佐久

    佐藤参考人 首都機能移転については、多分、国際コンペ等、あるいはそれに向かってのいろいろな計画づくりの中で、今日本が抱えている課題等についていろいろと検討していくようになると思います。  一つの例を申し上げますと、ブラジリアに一万八千坪、坪でいうなら一万八千ごとの同じ町づくりをブラジリアの中にしておるのです。この中に二千人の方が住んでおるのですが、ブラジリアは無味乾燥な都市だとかいろいろ言われておりますが、ここで私は出生率の話を聞きました。福島県は、大都市は合計特殊出生率一・〇前後でございまして、もう子供さんを産む環境にないわけです。これは日本にとって大問題だと思っております。しかし、ブラジリアは女性の出生率が非常に高い。ブラジルの各地より、多分、ブラジリアですから高学歴の女性が東京あるいは大都会並みに集まっているのだと思うのですが、出生率が非常に高いということをおっしゃっておりました。  これは一つの例でございますが、私は、今日本が抱えているそれぞれの課題をこの都市づくりの中でどういうふうに解決していくかということを考えていく、そのことが、最初からるる申し上げましたように、日本方向の中で非常に大きな意味を持つというふうに考えております。  以上です。
  116. 荒巻禎一

    荒巻参考人 やはり首都機能移転ということに国民的合意ができますと、私は、この非常に閉塞感に襲われている世紀末の国民的な気持ちを二十一世紀に向かって切り開く一つのインパクトになるのではなかろうか、このように期待もいたしておりますし、また、目的意識を持って国策なり政治が行われるということは非常にいいことだろうというふうに思います。  それに、こういう首都づくりに一生懸命お金を使っているということは、軍事大国になろうとしてそっちにお金を使うというよりは、むしろ世界の各国から見た場合には、日本はそっちの方にお金を使っているぞというふうな感覚を持ってもらえば、昔、幕府からにらまれないように各藩の藩主が文化に力を入れたのと同じような、そういう効果もあるのじゃなかろうか、このように思ったりいたしております。
  117. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 大変ありがとうございました。  終わります。
  118. 井上一成

    井上委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  佐藤参考人及び荒巻参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼申し上げます。  参考人には御退席いただいて結構でございます。      ――――◇―――――
  119. 井上一成

    井上委員長 この際、御報告いたします。  今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、畿央高原への首都機能移転に関する陳情書外三件であります。      ――――◇―――――
  120. 井上一成

    井上委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  国会等移転に関する件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、閉会中審査におきまして、参考人から意見を聴取する必要が生じた場合には、参考人出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、期間、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十六分散会