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石井(郁)
委員 残念ですけれ
ども、きちんと御答弁いただいていないんですね。
私は、この学校教育法の施行の当時の附則の理解をめぐって、この立法の趣旨は何だったのかということをお尋ねしているわけであります。だから、将来は都道府県に教育
委員会ができる、それが完成したときには、そこに、
文部大臣の権限から外して、相当の部分を都道府県や市町村の教育
委員会に教育
行政の権限を移していくんだとはっきり言っていたじゃありませんか。そこのところをねじ曲げているわけですね。これは本当に戦後の
日本の教育
行政を、ここからやはりゆがんできたと私は言わなければならないというふうに思うんです。
それから、先ほど現状がこうなっているからその現状をいわば追認したんだ、条文を
整備しただけだというような御説明ですけれ
ども、今この現状こそがやはり重大なんですね。
それは、臨教審、臨時教育
審議会の答申で、既に十年以上も前にこの現状についての厳しい批判もあるじゃないですか。読み上げますと、臨教審の答申ですからまさに皆さんがおつくりになったものですよ、こう言っているわけです。
近年の校内暴力、陰湿ないじめ、いわゆる問題教師など、一連の教育荒廃への各教育
委員会の対応を見ると、各地域の教育
行政に責任を持つ合議制の執行機関としての自覚と責任感、使命感、それから次が大事なんですね。教育の
地方分権の精神についての理解、自主性、主体性に欠ける。二十一世紀への展望と
改革への意欲が不足していると言わざるを得ないような教育
委員会が少なくない。
つまり、教育
委員会がやはり活性化していない、
地方の教育
委員会にいろいろ問題があるようだ、それはやはり
地方分権の精神に基づいていないのじゃないかということを言っていたじゃありませんか。そのことが、もう十年以上たって、今回の
改正で、では
地方の教育
委員会に本当に活性化するような道が開かれたのか、そこが問題なんですよ。ないじゃないですか。そういう意味で私は質問しているわけであります。
さて、その立法、制定の当時は、やはり市町村の教育
委員会に大変な権限を与えていました。これは当時の
文部省が発行の、いろいろ資料がございますけれ
ども、例えば教育
委員会設置の手引だとか、ちょっと古いものですけれ
ども、私は読んでみました。本当に重要なことが書いてございます。それは、市町村の教育
委員会まで人事権、教育内容も含めて権限を移していくという
方向でしょう。それで、この手引ですけれ
ども、教育
委員会の職務権限ということまで書かれておりまして、教科内容及びその取り扱いについて、教育用図書の採用に関することなど、十八項目にわたって述べてあります。
だから、法
整備云々、法
整備が未
整備だったというのは、私はとんでもないと思うのですね。やはり当時、真剣な努力の中で、こういう教育
委員会をつくろうということをしてきたじゃありませんか。それが
地方分権の
方向だったというふうに思うわけであります。
そういうことで、私は、まさに現状、五十年以上たった今日、この
地方に権限を移していくという立場に立つべきであって、それを、そうではなくて逆に
文部大臣に権限を集中する、それが今回の
方向だというのはとんでもないと言わなければなりません。今回は、この学校教育法の当分の間を外した分について言いますと、分権化法と言えるものではなく、むしろ
文部大臣の権限の固定化だ、永久化だと言わなければならないと思うわけであります。今後、
地方に教育権限を本当に移譲する気があるのかないのか、このことが一つ。
それから、私は、そういう意味では、今何も
文部省を監督庁として定める必要はないし、監督庁としてこういう項目で握る必要はないと思うのです。そういうふうに考えるわけです。しかし、今回こういう法
整備が出されておりますけれ
ども、十七項目、ずっと
文部大臣が権限をこの先も握って放さないというつもりなのかどうかという問題。
それから、ちょっと一つ例を申し上げますけれ
ども、例えばこの中には、十一条で、児童生徒というか学生も含めて、懲戒という問題もあるでしょう。つまり、退学処分だとか停学処分だとかという問題は、今大変大きな
社会問題でもありますし、子
どもの権利条約が批准されたという
状況や世界の流れを見てみますと、ここの項目などは、私はぜひこれは見直しが必要だというふうに考えているわけですけれ
ども、そういうことも含んで、この十七項目、たくさん問題があるわけですよ。その点で、
文部大臣の御所見をぜひ伺いたいというふうに思います。