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山中(あ)
委員 イギリスのブレア首相の政権が発足して、九七年の十一月のことでございますけれども、ODAの名称、位置づけを変更いたしました。そしてこれは、国際開発のための省に格上げしたわけでございますが、決して大きな組織ではありません。組織表を見ると、本当に小ぢんまりとした組織です。このことによりまして、つまり発足して、
改革をするというのはそういうことも含めているという
意味でちょっと参考までに申し上げますと、まず目的が非常に明確化されておりまして、二〇一五年までに
世界の貧困を半減するということ、それから、国連で努力目標とされております〇・七%の拠出をする。
日本はまだ〇・二%の拠出しかしておりませんが。
そういう中で出された小さな小さな白書があります。これは全くの省略したパンフレットのようなものですが、これは子供
たちでも読めるような形になっておりまして、その中に、この惑星の維持、開発のためにこの新しい省があるのだ、
世界の一員としての認識ということが第一点。
そして第二点目は、
世界のリーダーとしての自覚ということがちゃんとうたわれているわけでございます。
民間ボランティアとの協力、これが第三点。
第四点は、多国、それから多地域との協力を
推進する。
そして第五番目には、開発の問題点ということを、子供への教育、これは開発庁はインターナショナルでございますけれども、イギリスの子供も含めて、開発ということはどういう利点があってどういう問題点があるか、そういう教育もここの中に入っております。
また、六番目として、国際的には、新しい国際法の制定ということに向けてイギリスはこれから努力をする、
世界に呼びかけていくということもうたっております。
七番目には、将来のために、新地球社会のためにということで、一番最後のところにはどういう言葉が書かれているかと申しますと、私
たちの孫のそのまた孫のその人
たちのために今これを始めるのだという、ある
意味でフィロソフィーをきちっとうたった、こういうものをつくって、そして実際に活動は、限られた活動、
日本から比べますと総額は非常に少ないのですけれども、どういう顔で開発援助をするかということが非常に明確に見えてきているわけでございます。
そういう
意味で、
日本の援助は、九二年の大綱に非常にいい
理念がうたわれておりますけれども、しかし現実の実施の方法としてはまだまだ考えなければいけないところがたくさんあるというふうに思います。
まず一番
最初に、目的というのが非常に漠然としています。例えば、これまで
日本の
貢献の中で、環境に関する
貢献というのは、環境
分野というのだけとってみても一五%ぐらい占めていますし、もう少し、森林、砂漠化防止とか、そういうものも含めますと、約二〇%の環境に係るODAの予算が使われていますけれども、このことは、海外に行っても
日本にいてもだれもわからない。
そしてもう
一つは、医療も
世界でトップの
貢献をしているわけです。二十一世紀、アジアの環境問題が非常に大きな問題になってくるということを踏まえますと、これからの十年は、例えば、
日本は、環境、それから保健衛生、医療、こういった生活に特化させて援助をするのだというようなことを目標として決めれば、同じようにやっていても、それが内外ともに自覚もされるし、そして認識もされる。そういうようなことで、目標の設定の仕方が漠然とし過ぎているというふうに思います。
そういう
意味で、大綱に沿って、本当に実施の基本計画というのをきちんと策定するなり大綱を見直しするなり、そういうことがありませんと、企画調整をするというだけの変化では十分にいかないのではないか。
そして、まとめて申し上げますと、これはEメールで随分NGOの方
たちからも寄せられておりますけれども、ハードの部分からソフトの部分へということで、先日、人口開発議連のお役でミャンマーまで行ってまいりました。ミャンマーに建てられた、はっきり言えば大きな総合病院がありますが、これは、病院はすばらしく立派ですけれども、運営費用はミャンマーの政府の予算で行われるために運用が十分いかない、つまり、入院患者は週に二回しか引き受けられないとか。そうしますと、
日本が援助したものというものがどれだけ効果的に評価されているかというのは非常に難しい面もあります。
また一方、同じような箱物であっても、同じミャンマーの看護大学というのは、これはイギリスの統治時代からのナースという職業、職分というものに対する深い理解もありまして、女性の学長でしたけれども、全国各地から女子学生を集めてナースを育てるということで、これはお金をほとんどかけないで看護婦をふやしていくという
意味で、大成功している例です。
ですから、箱物が一律にだめだということではなくて、果たしてどう運用されていくのかということが大事です。もっとやはりきめ細かい、大切な援助の仕方というのは、例えば、私が行きましたら、ミャンマーは今大学がクローズされていますけれども、
外国語大学だけ開いておりまして、その中で
日本語教育というのは抜群の、一クラスに四百五十人ぐらい殺到するくらいの人気があって、そこで
日本語とミャンマー語の辞書がない、これは
日本で出ているのにないということで、こういう
情報をとる。
そういうことからいっても、支援金を与えるとか資金を提供するだけではなくて、ネットワークとして、もっと内外のNGOの人
たちの
情報を得ていって、きめ細かい、小さな小さなプロジェクトをもっとふやしていく、そしてハードからソフトへ移していく。この辺はかなり抜本的に、やはり基本計画なりを新たに立てて
推進していっていただきたいと思いますが、
外務大臣、いかがでしょうか。