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1999-06-01 第145回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月一日(火曜日)     午前九時一分開議   出席委員    委員長 高鳥  修君    理事 伊吹 文明君 理事 岩永 峯一君    理事 杉山 憲夫君 理事 虎島 和夫君    理事 山口 俊一君 理事 小林  守君    理事 田中 慶秋君 理事 若松 謙維君    理事 中井  洽君       飯島 忠義君    岩下 栄一君       衛藤 晟一君    小野寺五典君       大野 松茂君    大村 秀章君       奥谷  通君    熊谷 市雄君       倉成 正和君    小島 敏男君       河本 三郎君    実川 幸夫君       砂田 圭佑君    園田 修光君       谷  洋一君    戸井田 徹君       中野 正志君    萩野 浩基君       桧田  仁君    牧野 隆守君       松本 和那君    松本  純君       水野 賢一君    宮島 大典君       宮本 一三君    森  英介君       山本 幸三君    渡辺 博道君       石井 紘基君    中川 正春君       平野 博文君    藤田 幸久君       藤村  修君    山元  勉君       山本 譲司君    石垣 一夫君       太田 昭宏君    佐藤 茂樹君       桝屋 敬悟君    江崎 鐵磨君       中村 鋭一君    西川太一郎君       西田  猛君    三沢  淳君       春名 直章君    平賀 高成君       松本 善明君    北沢 清功君       深田  肇君  出席国務大臣         法務大臣    陣内 孝雄君         外務大臣    高村 正彦君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         厚生大臣    宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         労働大臣    甘利  明君         建設大臣    関谷 勝嗣君         自治大臣    野田  毅君         国務大臣         (内閣官房長官         )       野中 広務君         国務大臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国務大臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君         国務大臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君  出席政府委員         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局長      河野  昭君         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁行政管理         局長      瀧上 信光君         総務庁行政監察         局長      東田 親司君         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         環境庁長官官房         長       太田 義武君         公安調査庁長官 木藤 繁夫君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         大蔵省国際局長 黒田 東彦君         社会保険庁次長 宮島  彰君         農林水産大臣官         房長      高木  賢君         林野庁長官   山本  徹君         労働大臣官房長 野寺 康幸君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君         建設省住宅局長 那珂  正君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         衆議院調査局第         三特別調査室長 鈴木 明夫君 委員の異動 六月一日               辞任         補欠選任   大野 松茂君     小島 敏男君   金田 英行君     飯島 忠義君   熊谷 市雄君     桧田  仁君   砂田 圭佑君     園田 修光君   谷  洋一君     奥谷  通君   山本 幸三君     渡辺 博道君   岩國 哲人君     石井 紘基君   中桐 伸五君     藤村  修君   並木 正芳君     太田 昭宏君   小池百合子君     中村 鋭一君   三沢  淳君     西田  猛君   畠山健治郎君     北沢 清功君 同日                 辞任         補欠選任   飯島 忠義君     大村 秀章君   奥谷  通君     谷  洋一君   小島 敏男君     松本  純君   園田 修光君     砂田 圭佑君   桧田  仁君     熊谷 市雄君   渡辺 博道君     山本 幸三君   石井 紘基君     岩國 哲人君   藤村  修君     中桐 伸五君   太田 昭宏君     並木 正芳君   中村 鋭一君     江崎 鐵磨君   西田  猛君     三沢  淳君   北沢 清功君     畠山健治郎君 同日                 辞任         補欠選任   大村 秀章君     萩野 浩基君   松本  純君     大野 松茂君   江崎 鐵磨君     小池百合子君 同日                 辞任         補欠選任   萩野 浩基君     金田 英行君 六月一日  国立試験研究機関独立行政法人化中止に関する陳情書外一件(第二一五号)  国立病院療養所の廃止・民営化独立行政法人化反対に関する陳情書(第二一六号)  同(第二三四号)  地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案早期成立に関する陳情書外二件(第二一七号)  同外十二件(第二三五号)  地方分権の実現に関する陳情書外十四件(第二一八号)  社会保険行政法定受託事務とし、職員の身分の地方自治体への移管に関する陳情書外三十一件(第二一九号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案内閣提出第九一号)  内閣法の一部を改正する法律案内閣提出第九六号)  内閣設置法案内閣提出第九七号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出第九八号)  総務省設置法案内閣提出第九九号)  郵政事業庁設置法案内閣提出第一〇〇号)  法務省設置法案内閣提出第一〇一号)  外務省設置法案内閣提出第一〇二号)  財務省設置法案内閣提出第一〇三号)  文部科学省設置法案内閣提出第一〇四号)  厚生労働省設置法案内閣提出第一〇五号)  農林水産省設置法案内閣提出第一〇六号)  経済産業省設置法案内閣提出第一〇七号)  国土交通省設置法案内閣提出第一〇八号)  環境省設置法案内閣提出第一〇九号)  中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律案内閣提出第一一〇号)  独立行政法人通則法案内閣提出第一一一号)  独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律整備に関する法律案内閣提出第一一二号)     午前九時一分開議      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  民主党及び社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られませんが、やむを得ず議事を進めます。  内閣提出地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の各案を一括して議題といたします。  本日は、特に内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の各案について審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村鋭一君。
  3. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 おはようございます。委員長を初め政府委員皆さん、また委員の、議員皆さんにおかれましては、本当に御苦労さんでございます。  委員長、私はこちらに参りまして一つ気がついたんですが、委員長も冒頭に御発言がありましたが、本日のこの特別委員会出席をしておられない議員があるということでございますが、これは非常に残念なことでございます。  元来、国民の選良たる国会議員は、本会議委員会等において国政を議するのが本務でありまして、国民もまた、その点に大きな期待を寄せているわけでございます。だからこそ国会に送っていただいたわけでございまして、しかも本委員会のように重要な法律案件審議しております委員会理由もないのに出席をしないということは、みずから国会議員としての矜持を放棄したと言わざるを得ないわけでございます。  この点、ひとつ委員長から、本日欠席の議員ありとすれば、そしてその理由がうなずくに値しないものである場合は、厳重な注意を促していただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  私、野党としての質問は長年やらせていただきましたが、与党としての質問は初めてでございますので、野人礼に習わず、あるいは失礼にわたる段があるかと思いますが、御容赦をお願い申し上げておきたいと思います。  総務庁長官は、二十七日、社民党の深田肇議員に対する答弁で、公務員削減について、やや消極的ともとれ、かつ、積極性を欠く主張をしているようなマスコミ等に対して、これに同意するような、コミットするようなシグナルともとれるような御発言が本委員会においてあったわけでございます。  公務員削減は、当然ながら大変な困難を伴うことは私も十二分に理解はしておりますけれども、ともに政権を担う自民、自由両党といたしまして、自信と責任を持ってこれを実現するよう懸命の努力を傾けるべきである、こう考えているところでございますが、この際、総務庁長官に改めてひとつ御決意のほどをお伺いさせていただきたいと思います。
  4. 太田誠一

    太田国務大臣 二五%削減目標については、さる五月二十七日の私の答弁で説明の足らざるところを、今日までの記録を詳細に調査し、次のような経過でありましたので、御報告申し上げます。  自自両党のプロジェクトチームは一月十二日以来四回にわたり熱心な協議を重ねられ、一月二十一日には、自由民主党プロジェクトチーム牧野座長内閣行政改革担当であります私が協議をして、自由党御提案の二五%削減に同意することとし、翌二十二日に、自由民主党牧野自由党中村座長が署名して、両党協議決着されたものであります。  政府側手続としては、これを受けて一月二十六日、小渕総理本部長とし全閣僚で構成する中央省庁等改革推進本部に対し、私から二五%削減目標を提案し、閣議において正式に決定したところであります。自自連立の合意を尊重し、政府としては、与党とも密接に連携しつつ、この方針に沿った定員削減を実施するよう最大限努力してまいります。
  5. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 ただいまの長官の御決意に接しまして、まさに日本晴れの空を仰ぐようなすっきりした気持ちになりました。これでこそ、自民、自由両党が相携えまして、国家国民のために、困難ではありましても行政改革を断行するんだということを御納得いただけたと思います。せっかく、今後とも御尽力をお願い申し上げたいと思います。  本委員会議題とはややそれるかもわかりませんが、せっかくの機会でございますので、官房長官お尋ねをさせていただきたいのですが、これはきょうの朝刊に出ておったのですが、野中長官は「国の象徴であるべき国旗国歌について法案提出できないような環境づくり報道を通じて行われ、世論形成がされることは誠に一人の国民として残念だ」、このような発言をなさったということでございます。  私も日本国民の一人といたしまして、きちっとこれは法制化をいたしまして、当然払うべき敬意を国歌国旗に対して国民が払うべきである、このように理解をしているものでございますが、この辺につきまして、現在、法制化につきましての官房長官のお考えをお聞かせ願いたい、こう思います。
  6. 野中広務

    野中国務大臣 国旗国歌につきましては、与党におきます政府与党連絡会議におきまして、この問題について、議員立法として今国会提出をするかあるいは閣法として提出をするか、いろいろ御議論をいただきまして、その結果、政府与党一致して、閣法として今国会提出するということに決定をいただいたところでございます。  政府といたしましては、それぞれ与党の御意向を考え国会対策上の日程をお伺いしながら、そのお取り扱いを国会対策委員長お願いをしておるところでございまして、新聞はさまざまな報道をいたしておりますけれども政府といたしましては、与党それぞれ、政審、総務等党内手続を経られまして、閣議決定をいたしまして、本国会にぜひ提出をし、議了をお願いしたいということに変わりはございません。
  7. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 官房長官のただいまのお話を伺いまして、私も国民の一人として、これまた大変心強い思いがいたしました。  当然ながら、閣議決定をして、国会で御審議をいただいて、この法案成立を見ることは既におおむね合意を得ていることでありますので、せっかく我々も努力をいたしますので、官房長官におかれましても、各方面を督励して、ひとつこの成立を見るようにお願いを申し上げたいと思います。  論語の中にこんな一節がございます。  子路いわく、政をなさば、子まさにいずれをか先にせん。子いわく、必ずや名を正さんか。名正しからざれば、言ととのわず。言ととのわざれば、すなわち事ならず。  これは子路編にある言葉でございますが、わかりやすく言うと、名は体をあらわす、名詮自性といいますか、単に名称の問題というなかれ、その名称は全体をあらわすものであり、その名称によって拘束されるところの人たちは、そのことによってしょんぼりもすれば元気づく、そういうこともあるわけだ、それぐらいの意味だろうと思います。  防衛庁長官、御苦労さまでございます。お越しをいただいておりますが、防衛庁国防省とその名を変えるべきである、こういう意見が多数でございまして、私もまたその一人でございますけれども、まず、名前を変える、この点について野呂田大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 防衛庁としましては、行革会議におきまして、名前を変えるといいますか、省への移行を希望してきたところであります。行革会議においていろいろな議論が行われた結果、最終報告においては、防衛庁については現状どおりとされ、現行の防衛庁を継続する旨の記述がなされたところでございます。  この最終報告については、最大限に尊重する旨の閣議決定がなされており、したがって、行革会議最終報告趣旨にのっとった中央省庁等改革基本法においても、防衛庁現状どおりとされているところでございます。また、行革会議最終報告におきましては、あわせて別途、新たな国際情勢のもとにおける我が国防衛基本問題については、政治の場で議論すべき課題、こういうふうに整理されております。  いずれにしましても、防衛庁としては、国民の十分な理解が得られる形でこの問題での議論が尽くされることが重要である、こういうふうに考えている次第です。
  9. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 大臣、これから重ねて何度かお尋ねをさせていただきますので、だんだんヒートアップしていただいて、ぜひひとつ本音でお言葉を賜りたい。今お伺いしたのは、実に失礼でございますけれども、いわばしゃくし定規のこれまでの政府見解を踏襲しているにすぎない、そういう印象がございますので、その辺、さらにもっと本音をお聞かせ願いたいと思います。  失礼でございますけれども大臣はたしか一九二九年の生まれ、私は一九三〇年の生まれでございますので、大臣と私とは、いわゆる昭和一けた、世代を共有しております。世代を共有する者とすれば、現在、自衛隊があって、二十六万人の自衛官がいて、それが国防省と呼んでもらえない、国防軍と呼んでもらえない、そのようなことは、我々、五十年以前の思いを共有する者としては甚だ残念であると言わなければならない。その辺のお気持ちをぜひまた聞かせていただきたい、こう思うのです。  これは大臣外国の例を見ますと、今、ここにアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国とこうございますが、これはいずれも英語で言いますとミニストリー・オブ・ディフェンスとなっておりまして、これを逆に日本語に翻訳すると国防省だ、こう思うのです。韓国国防部と言っておりますが、ですからこれはデパートメント・オブ・ディフェンスかもわかりませんが、原則的には、どこの国でも地球上のほとんどは、やはりグローバルに国防省なんですね、国を守るのですから。それが、防衛庁、これを英語で言うとエージェンシーになるわけですが、これはやはり自衛隊皆さん士気に影響するところも甚だ大きい、こう言わざるを得ないと思うのですね。  外国に駐在している自衛官皆さんが、例えばパーティー等々に行って、各国のきらびやかなるユニホームの武官と懇談をしておるときに、我が国ミニストリー・オブ・ディフェンスであります、私は駐在武官であります、お国はどうですか、こう聞かれた。私はエージェンシーの一員でございまして、おおむねすべては外務省を経由してやっておりますので、私らは何にもしゃべれないことになっています、これはやはりぐあいが悪いのじゃないか、こう思うのです。  長官外国横並びで、日本だけがエージェンシーと言っているような点についてはどう思われますか。例えば英訳をする場合に、日本エージェンシーだと。エージェンシーというと何か広告代理店みたいな感じがしないでもありませんが、やはりこれはミニストリーだと思うのですが、野呂田大臣、この点はどう思われますか。
  10. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 先ほども申しましたとおり、私どもとしては、できることならば省に昇格してもらいたい、防衛任務というものは国土防衛することでありますし、国民生命財産を保全するために任務に当たっているわけでございますから、そういう意味でも、何としても二十六万の隊員の士気を維持する必要がある、そういう観点から、私ども行政改革会議でこの点を歴代の長官が強く主張してきたのでございますが、結果は先ほど申し上げたような整理になっているということでございます。  私どもは、政治決着を図るということでありますから、どうぞ国会等においても、速やかにこの問題についての決着が図られるような審議が進められることを強く希望している次第でございます。
  11. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 大臣自身の、もっとこう何というんですか、本音をひとつぜひ吐露していただきたいのですね。行革会議でこうなっておるとか、これまでの経過がこうだから今後ともひとつよろしくというのじゃなくて、私はこう思います、したがってこの問題については国民的に議論を興し、国会内でも活発な議論を経由して、数十万の自衛隊皆さんに対してよかったなと思えるようなそういう体制をつくりたい、それはその省を所管する者として当然の考えだ、というぐらいのことはひとつ大臣、ぜひ言っていただきたいと思うわけでございます。  ここに、内閣法それから国家行政組織法等があるわけでございます。一々条文を読み上げることはいたしませんけれども、現在の内閣法もしくは国家行政組織法に規定するところによれば、端的に言いますと、防衛庁には閣議を求める権限がない、それから省令を発する権限がない、予算要求をする権限がない。自衛隊を指揮する最高指揮官は、自民党総裁であり現内閣総理大臣である小渕恵三氏でございますけれども自衛隊そのもの予算要求できない、閣議がやれない、省令を発することができない。  そして、組織図を見ると、これは総理府から棒が出て、今度の新しい行革法案でも金融庁横並びになっていますね。野呂田大臣、今防衛庁は、私、ぱっと見て本当に驚くのですけれども宮内庁横並びになっているのですね。宮内庁宮内庁でそれは大切な役所でございますけれども、どうなんですかね、これはやはり全くおかしい、これは世界じゅうの人に私は到底理解をしていただけない、こう思いますよ。  だから、今私が申し上げました、例えば、防衛庁である、エージェンシーと言わねばならぬ、しかも、今度の行革法案でも私もその衝に携わらせていただきましたけれども、一府十二省庁となっておりますけれども、十二省庁の庁はやはり外さなければいかぬ、十二省にすっきりしなければいけない。野呂田長官、私はさっきから大臣と申し上げておりますけれども、あえて大臣と言っているのですが、普通は長官と言われていると思うのですね。こんな日本の根幹をつかさどる大事な大事な防衛の衝に当たる、そのつかさの長たる者大臣とは言えない。  もう一遍言います。省ではなくて、ミニストリーではなくてエージェンシー、庁。大臣ではなくて長官。そして予算が求められない、省令を発することができない、閣議を開くことを求める権限がない、これは全くおかしいと思う。だから、おかしいかおかしくないか、もう一遍お聞かせ願えますか。
  12. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 ちょっと誤解のないように、まず訂正させていただきたいと思いますが、私は防衛庁長官でありますが、同時に、内閣からいただいている辞令には国務大臣となっておりまして、国務大臣防衛庁長官でございますので、あえて大臣と呼ぶのではなくて、当然そうなっているということを御理解いただきたいと思います。  今、委員から大変大事な御指摘がございました。防衛庁は、現在総理府の外局として位置づけられておりますので、防衛大臣は主任の大臣ではないということになります。したがって、閣議請議権、政令の制定権、独自に概算要求を行う権限等は有しておりません。  防衛庁としては、御指摘のような観点等に立って、行革会議において、ぜひこういう事態を解消するために省への移行を強く希望してきたところでありますが、行革会議においていろいろな議論がなされた結果、最終報告については防衛庁現状のとおりとされたところであります。  私も国務大臣として、行政改革会議最終報告については、最大限に尊重しなければならないという閣議決定がなされておりまして、一人の閣僚として、この趣旨にのっとった行動をとらざるを得ないというのが私の今置かれた立場であると認識しております。  しかしながら、そもそも、先ほども申し上げましたが、国の防衛国家存立基本であります。また、国民生命財産を保全する重要な任務を持つことから、主要国においては防衛組織は省の取り扱いを受けていること等から、行革会議において省への希望を強くしてきたところであり、その思いは今でも全く変わっておりません。  先ほども申したとおりでありますが、行革会議最終報告では、別途、新たな国際情勢のもとにおける我が国防衛基本問題については、政治の場で議論を尽くすべき問題とされておるわけでありますから、防衛庁としては、政治の場で、願わくばこの問題について速やかに議論がなされ、国民の十分な理解が得られる形でこの問題についての議論が尽くされることが大事であると考えておる次第でございます。
  13. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 再三行革会議の結論をおっしゃいますけれども、それに縛られることはないと私は思いますよ。改むるにはばかることなかれということがございますし、国民合意がある。そしてまた、国民によって選ばれた国会議員の多数が国会の場でそれをよしとするならば、私は、例えば今国会中にでもそのことは決して不可能なことではない、こう思うのですね。  現に私、ここにマスコミの世論の存するところを幾つか持ってきておりますけれども、これはきのうの読売新聞の「編集手帳」でございますが、  政治の世界となると依然、偏見がまかり通っているのはどうしてか。審議中の中央省庁改革関連法案では、防衛庁だけが「庁」で「省」昇格は見送られている。国の平和と国民の安全を守る役所を「一人前」に扱おうとしない政治はどこかおかしい。 私も同感であります。  それからまた、これも読売の社説でございます。これは五月十七日の社説でありますけれども、   国の存亡にかかわる安全保障・防衛問題を担当する行政機関を、他の行政機関より一段格下に位置づけている国は、世界中、ほかにあるまい。こうした扱いこそが、しばしば安保・防衛論議をゆがませる原因にもなってきた。   これは基本法および改革関連法案の重大な問題点である。   防衛庁の位置づけ・名称変更についても、基本法の修正があっていい。   自民党の国防関係三部会は、すでに防衛庁の「省」昇格を決議している。現在の連立与党自由党も「省」昇格を主張している。野党の民主党にしても、自民党系、旧民社党系など、安保・防衛問題に高い見識を有している議員も多い。 この辺は、きょう欠席をしておられるのが非常に残念でございますが、  「省」昇格論が多数を占める下地はあるのではないか。   国会での真剣な修正論議を求めたい。 こういう社説ですね。  新聞も時には、また新聞によっては、我々の期待するところと違う報道をする場合があるかもわかりませんが、今回のこの読売の社説に関しては、私は全く同感でございます。  太田長官、せっかくの機会でございます。質問通告はしておりませんけれどもお尋ねをさせていただきたいと思う。どうも、お立ちのところ失礼いたしました。  中央省庁等改革基本法によれば、「防衛庁及び国家公安委員会は、内閣府に、その外局として置くものとし、国務大臣をこれらの長とするものとする。」「防衛施設庁は、防衛庁に、その外局として置くものとする。」こうなっているわけでございます。  まず、最前から言っておりますように、これだけ国の根幹を預かる自衛隊が庁として位置づけられている、そのことだけでも私は随分おかしいと思うのですよ。枝分かれして、おりて、そして外局として置くものとされている、これは法律の条文でございますが。さらに、内閣府に外局として置かれた防衛庁のその外局として防衛施設庁が置かれるということになりますね。これは国民にとってわかりにくいと思うのですね、その位置づけが。外局として防衛庁があって、その外局として防衛施設庁がある。これは、法律はそうなっているわけですが、どうですかね、大臣、おかしいと思いませんか。
  14. 太田誠一

    太田国務大臣 正確にはまた事務局の方からお答えをさせますけれども、国家公安委員会の下に警察庁があるということと、それから防衛庁のもとに防衛施設庁があるということは、論理的には同じ構造になっておるのではないかというふうに、私自身はそういうふうに心も整理をしておるわけでございます。
  15. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 現行の国家組織法におきましては、国務大臣を長とする外局にはさらに外局を置くということができる、そういう規定になっておりまして、今回それを踏襲したわけでございます。  なお、今大臣ちょっと申し上げまして、国家公安委員会のもとの事務局、警察庁は特別の機関という整理をしております。
  16. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 結構でございますけれども、私が言っているのは、そういう組織で、組織としては、こちらに警察庁があるとか公安委員会があって、それはおかしくないということを言っているのではない。その精神において言っているつもりでございますのでね。これは質問通告もしておりませんので、結構でございます。  官房長官、半にはお出になるということですので、一つだけお伺いをさせておいていただきたい、こう思うのです。  昭和三十八年六月に自民党は自衛隊国防省昇格を決議いたしまして、昭和三十九年に省設置法を閣議決定をされたわけでございます。ところが、国会会期が迫っておりましたので、会期逼迫のために未提出となりました。さらに、昭和三十九年の十月に、防衛庁は省設置法の再提出を準備したわけでございます。また、昭和四十年二月に、自民党におかれても、国防省設置に関する党議が再確認をされたわけでございます。  当時三矢研究というのが発覚をいたしまして、今から考えれば、防衛庁の内部で有事に関して勉強や研究をするのは余りにもナチュラル、当たり前のことだと思うのですが、当時は、自衛隊は違憲であるとする社会党、共産党が、これはいかぬということで、責任者の処分等も行われ、その結果、せっかくの、自民党で御決定になり、閣議決定までされた国防省昇格が昭和四十年に見送られたといういきさつがありますが、行政の継続性というものからすれば、その当時ですら既に国防省昇格が自民党において決定され、それから三十年たって、周囲の諸情勢というものは全く変わりました。  今日、PKOがあります。そしてまた、ガイドライン法案も今や国会を通過して、国の守りというものを万全ならしむる体制が整いつつあるわけでございます。  したがいまして、今こそ国防省昇格が真剣に議論をされ、間に合うものであれば、今国会中にしかるべき手段を講じて国防省昇格を実施すべきであると私は思いますが、三十年以前から今日に至る自民党の経過を踏んだ上での長官のお考えをお聞かせ願いまして、どうぞお引き取りをお願い申し上げたいと思います。
  17. 野中広務

    野中国務大臣 委員指摘のように、昭和三十九年の六月の十二日に防衛庁の省に昇格をする法案閣議決定したところでございますけれども、当時、行政機構全般について審議を行っておられました臨時行政調査会の御意見等を踏まえまして、国会への提出は見送ることにされたわけでございます。  このたびの中央省庁の再編に当たりましても、先ほど来御指摘がございますように、防衛庁が省に移行することについてさまざまな御意見があったことは事実でございますけれども防衛庁に新たな業務の追加がないということで、従来どおり防衛庁としたところでございます。  さまざまな政治の場で御意見があることは承知をいたしておりますけれども、一九四五年、戦争に敗れまして武力を放棄した後、朝鮮戦争等の経過を経ながら、警察予備隊そして自衛隊へと経過をしてまいりましたことを考えますときに、内閣総理大臣を最高指揮者として、シビリアンコントロールのもとに、内閣府において防衛庁を置くということは、我が国のこれからのありようとして重要な意味を持つのではなかろうかと私は存じております。
  18. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 野呂田大臣にいま一度お伺いをしておきたいと思います。  この三十年の経過があって、今官房長官はこのようなお考えをお聞かせ――どうぞ、官房長官、御苦労さまでございました。しかし、野呂田長官にはまた別種の考えもあるか、こう思いますね。  昭和四十年、三十何年前ですよ。そのときに、自民党は、これは何回も決議して、閣議決定までしているのですよ。あのころの世情というもの、国際情勢というものと、極東を取り巻く周囲の諸情勢、随分変わってきていると思うのですよ。国民世論も変わってきていますよ。  三十何年前にそれをあえてした自民党の確信、自信、勇気というものと今日とを比べれば、今日ははるかにその状況は熟し切っていると言わなければ相ならぬと私は思いますが、野呂田長官、その辺についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。これは大臣としての立場じゃなくて、国会議員として、政治家として、ひとつぜひお答えを。
  19. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 私は、環境庁がこのたび職務の重要性から省に昇格したことは、大変いいことだと確信しております。環境庁は国土の環境を維持保全するという重要な役目を負っております。  そういう点からいけば、私は個人的には、国民の生命や財産を守る、国の平和と安全を守るという防衛国家存立基本であるということを考えて、また、環境庁のように千人ぐらいの規模でも省になる、防衛庁は二十六万の職員を擁して、四兆円を超える予算を持っている、それでも……(中村(鋭)委員「五兆円」と呼ぶ)五兆円近くになるわけですが、さっき委員から御指摘があったようないろいろな、省令制定権もない、予算の請求権もない、閣議請議権もないというような状態は、やはり防衛庁としてはいびつなものであるというふうに思っております。  ですから、しかし、私は再三申し上げておりますとおり、行革会議最終報告は、閣僚としてこれを遵守しなければいけないという宿命にありますので、その結論は、政治の場で速やかにかつ積極的に決着をすることをひたすらお願いしたいと申し上げているわけであります。
  20. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 これは議員の一人として、このことについて、投票の機会とか挙手の機会とか起立の機会とかがあれば、これは野呂田国会議員として、良心の命ずるところと政治信念に従って、きちっと我々とともに行動をしていただきたい、そのことをお願い申し上げておきたいと思います。  高村大臣お尋ねをいたします。  先ごろ我々の党の西村眞悟代議士が質問をさせていただきましたが、自衛官防衛駐在制度の問題で、国家主権を行使する形態は外交権、国防権があり、軍人であるべき防衛駐在官は、他の省庁派遣要員とは区別して地位、権限を定めるべきであると思うがいかん、こういうような質問がされたと思うのです。私も同じことをお尋ねいたします。  ここに、大臣、昭和三十年八月八日、外務事務次官門脇季光、防衛庁次長増原恵吉、このお二人が署名をなさった覚書がございます。「右外務事務官は防衛庁との直接通信を行わず、且つ、独自の暗号を使用しない。」とか「右外務事務官のため防衛庁は、独自の予算を配布しない。」右外務事務官というのは、防衛庁から来ておいでの防衛自衛官でございますけれども、こういった覚書を含めて、今防衛庁とは話し合いをしていらっしゃると思うのですが、その点の経過等についてひとつお聞かせをお願いしたい、こう思います。
  21. 高村正彦

    ○高村国務大臣 防衛庁から在外公館に出ていただいている方については、あくまで在外公務員たる外務省職員として職務を行っていただくわけでありまして、専ら外務大臣及びその下の在外公館長からの指揮監督を受けることになっております。このことは、他の省庁から在外公館に出ていただく場合と同様であります。  ただ、防衛庁出身者につきましては、自衛官の身分を兼ねることになっております。これは、専ら、現地で自衛官の階級を呼称し、制服を着用することが職務を円滑に行うために望ましいと考えられるということによるものでございます。  防衛庁出身の在外公館員は、防衛庁から直接指揮監督を受けるものではなく、したがって、防衛庁との間で直接の通信を行ったり、独自の暗号を使用したり、独自の予算を配賦されたりするということにはならないわけでございます。必要な情報はすべて外務省を通じて防衛庁に伝達されております。その活動に必要な予算外務省から手当てされているわけであります。  覚書の内容自体、私は基本的に妥当なものと考えております。ただ、古い文書でありますし、文言等に全然問題なしとはしない、そういうことを両省庁間でいろいろ話し合っているという報告を受けております。
  22. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 最後に、野呂田長官、今外務大臣はかくお答えでございましたけれども、先日の西村代議士に対する御答弁では、この覚書はもう効力を失ったと理解しているととれる答弁をなさったということでございますが、今外務省とはその点で意見のそご等々は一切ございませんか、一言だけひとつ。
  23. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 覚書は昭和三十年につくられたものでありまして、現在から見れば、その書きぶりが、非常に今はふさわしくない表現もあるのじゃないかという意味で申し上げているわけであります。効力を失ったとは私は申し上げてはおりません。不適切なものではないかという点があるというふうに申し上げたわけで、今回、長い時間にわたって防衛庁外務省は仲よくガイドライン法案をやってきたわけですから、そういう関係からも、ひとつ事務当局によく話し合わせまして適切なものにしたい、こう思っております。
  24. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 外交と防衛とはまさに表裏一体といいますか、唇と歯、唇歯の関係にあるわけでございまして、ひとつ今後とも、国防省とそして外務省とは相連携を保ちつつ、国家国民のために奮迅の努力をしていただきたいと思います。  最後にもう一回言わせていただきます。国民の望むところでございますから、そしてまた、二十六万自衛官の諸君に自信と誇りを与えるためにも、最も喫緊の課題として、防衛庁国防省に昇格されん日の一日も早からんことを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  25. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、西田猛君の質疑に入ります。
  26. 西田猛

    西田(猛)委員 おはようございます。西田猛でございます。  連日、大臣長官、それから委員の皆様方、またお役所の方々におかれましては、お疲れさまでございます。先輩の中村鋭一議員の非常に高い思想に支えられた高潔かつまたユーモアを交えたお話に引き続きまして、私の方からも少し質問をさせていただきたいと存じております。  この中央省庁等改革関連法、非常に重要な法律でございますけれども、それからまた、中身もたくさんございます。その中でやはり刮目すべきことは、内閣の機能の強化、なかんずく内閣総理大臣権限の強化、そして、省庁の再編等に伴いまして副大臣、それから現在の案では政務官となっておりますけれども、こういう新しい官職などなどを設けて、政治主導による行政権の行使に資していこうという姿が見てとれると思います。  そこで、まず端的に第一問をお聞きいたしたいのは、今回、副大臣制度を導入することの意義についてお聞きいたしたいと思うのでありますが、副大臣制度担当の大臣はどちらでいらっしゃいますか、では自治大臣からお願いいたしたいと思います。
  27. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 これは釈迦に説法かとは思いますが、西田委員、この政府委員制度の廃止、そして副大臣制度の導入、この点について、自民党、自由党、両党間の政策協議の当事者として大変汗を流していただいてまいっておりますことに、まずもって敬意を表したいと思います。これは、少なくとも、本当はここで政府提案の中で申し上げるよりも、政府委員制度の廃止及び副大臣等の設置等に関する法律案というのが議員提案なされておりますので、本来そこで逆に与党として御説明をいただいた方が、より政治意味合いも大きいかとは思います。  ただ、その中でも触れておられるわけですが、今までどちらかというと、これは国会審議のあり方、そして、いわゆる議院内閣制、政治と官僚との間の意思決定のシステム、こういったことが全部網羅的に関係をしているものであると思っております。そういう点で、少なくとも、政治主導の政策判断を迅速に行うということが一番大事なことでありまして、そういう点で、パッケージとしてこれを改革していこうという趣旨でこのような改革が盛り込まれたというふうに認識をいたしております。
  28. 西田猛

    西田(猛)委員 今大臣からお話しをいただきましたように、この今の中央省庁改革関連法に盛り込まれている副大臣制度それから政務官は、今、自由党自民党両党からの提出になっております、衆法として提出されている政府委員制度の廃止及び副大臣等の設置に関する法律案と表裏一体をなすものでございます。したがいまして、その内容等についてお話しを申し上げれば、大臣がおっしゃったように、私どもで本当は半日かけてでも、このことについては事細かに御説明を申し上げたいことでございます。ただ、いずれその政府委員制度の廃止等の法律案についても、この国会議論の場で皆様方と意見を交換できるときが来るものでございますから、そのときに場を譲っておきたいと存じます。  今回内閣から提出された法律について私どもがお聞きをしたいところ、そこをこれからるる述べてまいりたいわけでございます。  それで、この沿革を若干おさらいをしておきますれば、なぜこの時期になって、副大臣の導入、それから政務官の導入、政府委員制度の廃止ということになったかと申し上げれば、これはもう皆さんもよく御存じのように、昨年末、自由民主党総裁であり内閣総理大臣であられる小渕恵三総理大臣と、自由党の小沢一郎党首が、やはりこれからの日本をこのようにしていくんだ、そのために強固な政権をつくらなければならない、国家国民のために、そしてまた世界平和のためにこのようにやっていこうということで、自民党と自由党とが連立政権を組もう、そのために合意をいたされました。小渕総理・総裁と小沢党首との合意が十一月十九日になされたわけでございます。  その合意の中に盛り込まれておりましたのが、「いま直ちに実行する政策」というものがございました。そして、その中には、幾つか重要な点がございますが、このように書かれております。「I政治国民の手に取り戻すために」政治行政改革を行う。「政治が責任を持って諸改革を推進する体制を確立するとともに、効率的で小さな政府を実現する。」そのために、まず、「(1)国会政府委員制度を廃止し、国会審議議員同士の討論形式に改める。そのために必要な国会法改正等法制度の整備は次の通常国会において行う。」この「次の通常国会」というのは、今の通常国会でございます。そして二番目に、「与党議員大臣、副大臣(認証官)、政務次官あるいは政務補佐官」、当時、政務補佐官という名称を使っておりましたが、「として政府に入り、与党政府の一体化を図る。そのための国家行政組織法改正等法制度の整備は次の通常国会において行う。」これが今の通常国会でございます。等々、ここに淵源を発しておるのでございます。  それで、なぜ政府委員制度を廃止することが国民の手に政治を取り戻すことになるのか、あるいは、政治改革になるのか、国会審議の活発化になるのかというところも解き起こしておかなければならないと思うのでございますけれども、そもそも政府委員制度というものは、戦前の大日本帝国憲法下においては憲法の中に定められていた、非常に歴史のある、また伝統のある、そして機能を持った制度でございました。また、戦後は、さすがに日本国憲法からは外れましたけれども国会法の中で、国務大臣とともに国会答弁をすることができる者として政府委員というものが規定されていたわけでございます。  これは、そもそも、主権者である国民の直接代表である国会議員が半数以上を占めるものとされている国務大臣が、国会政府を代表して国会審議答弁する、これは当然のことですけれども、ただ、いろいろな技術的な事項、それから諸行政の執行状況などについて、やはり行政執行者の立場からこれを説明する必要もあるだろうということで、政府委員制度というものは設けられているわけであります。  その限りにおいては、私は、この政府委員制度というのは意味のあることですし、機能するべきものだというふうに考えております。それは、私自身も、短い間ではございましたけれども役所に勤めさせていただきましたし、副大臣制度等担当の自治大臣も、長らくお役所にお勤めでございました。その経緯からいたしましても、やはり日本の官僚制度、それから官僚の資質などを含めて、その機能するべきことについては、我々も大変に高く評価をしているところなのでございます。  ただ、問題になりますのは、国民の諸権利義務に直接かかわるようなことについて、しかも将来の国民の福祉、生活、あるいは国家の安全保障などにかかわる非常に重要な政策について、先ほど来申し上げておりますように、主権者である国民皆さんの代表である国会議員あるいは国会がみずから政治的な重大な判断をしなければいけない問題などについて、これは実は一つは国会あるいは国会議員の機能の怠慢からも生じたことなのだと私も思うのですけれども、そういう主権者としての判断をしなければいけない場面においてお役所の方が判断をしていた事項が多々あるというところが、この戦後の我が国の中で問題となっていたのではないか、そういうところがこの問題意識の根源でございます。  それは、今具体的には申しませんけれども、皆様記憶を呼び起こしていただければいろいろと出てくることだと思います。特に安全保障問題、それからその時々の国の財政方針のあり方、経済政策のあり方などについて、これは言えることでございました。  それが現象的にあらわれてきたのが、国会審議するときに、大臣じゃなくて政府委員の方が重要なことについて答弁してしまう。それは、やはり違いは、国会議員というのは選挙で選ばれていますから、もしも発言したことについて責任をとれなかったり、あるいは発言したことについて重大な国の方針を誤ることが生じたりした場合は、やはり次の選挙で洗礼を受けてしまうという直接の緊張関係がありますけれども、残念ながら、お役所の皆様については、選挙で選ばれているわけではございませんので、主権者と直接の緊張関係にないというところが一番の大きな違いでございましょう。そういうところの発想から、この際、政府委員制度を廃止という措置をとってはいかがかということなのでございます。  そんな中で、これらによって今後国会審議がどのように活性化されていくのだろうか、あるいは、中央省庁改革関連法が冒頭から述べております国民主権の理念というものがいかにして実現されていくのだろうかという二点について、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  29. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 西田委員の御卓見を拝聴して、同じ思いを改めて共有をいたしておるわけです。  かいつまんで私なりに若干この点について敷衍させていただきますと、大きく分けて私は二つの視点があると思っています。  それは、国民に直接責任を負うというのは、やはり主権者たる国民から選挙によって選ばれている政治家が、行政の責任であれ立法の責任であれ、そういう意味での最終的な責任を負わなければいけない。そういう意味で、政治家としての自己規律の側面であり、自己責任の世界の問題である。それを、ややもすれば役所の責任にしてしまう。政治家自身が、ある意味では怠慢のそしりを免れない部分がある。  そういう意味で、行政の責任においても政治家がみずから責任を負う、それだけにきちんとした自立というか、政治家自身が政策形成においても自己責任において決定をしていくという、そこの非常に強い緊張感、責任感というものが非常に大事なことである。それが国会審議の中にも反映されるべきであるというのが第一点であると思います。  それからいま一つは、そういう意味でいえば、議院内閣制でありますから、本来、内閣がかわれば基本政策が変わっても私は許される世界であると思っています。しかし、どういうわけか、その点が、役所は変わらない、内閣はかわっても全然世の中が変わらないという不思議な現象も定着してしまっている。私は、そういったことも改めて、本当は政治論の世界の中できちっとした位置づけをしていただくと大変ありがたい、そのようにも思っています。  そういう角度から見ますと、国会審議というものが、やはり政治論議というもの、政治的判断の論戦を闘わせるということは、少なくとも行政官がその中に割り込んで行われるべき世界ではなくて、政党同士あるいは政治家同士の見識の中において行われるべきことである。ただ、今日までのいろいろなデータあるいは背景、そういった事実関係等についての説明とかいうことについては、それはサポートしてもらうことは結構なことだと思っています。  そういう点で、国会審議のあり方、閣僚の立場で国会審議のあり方についてどうのこうのということを直接口を差し挟むことは避けなければならないと思いますけれども、そういう意味でいろいろなパターンがあっていいのではないか、国会審議のあり方そのものが。いわゆる総括、一般、いろいろな話がございますけれども、そういう意味で、政治家同士の議論をする政治論議の場所、それから具体的に法律の詰めをやらなければならない討議をする場所、いろいろなバラエティーがあっていいのではないか。その点は、政党間の中で十分工夫をして、有効な、充実した議論が行われるように、この政府委員制度の廃止ということに伴って御議論をいただければありがたいことだというふうに考えております。
  30. 西田猛

    西田(猛)委員 今まさに自治大臣からお話しいただきましたように、この諸措置によって、これから行政のあり方、それから国会審議のあり方は次のようになってくるのではないかなと私ども考えておるのでございます。  今大臣もおっしゃったように、国会審議がさらに国民主権の理念に基づいて行われるように、例えば、法律案が出てくれば、その法律案基本理念、それからそれが国民の権利義務にどのような作用を及ぼすのか、そして、世界の平和や日本の安全にとってどのような位置づけなのかという、哲学と申しますかその大方針等については、それこそ政府をつくる与党と、それからそれに対する野党との、これは主権者の代表である国会議員同士が議論をする、そういう委員会の形式。  他方、技術的なことと申しますか、この法律ができたらば実際に都道府県はどういう仕事をするのか、今地方分権推進法もできておりますけれども、あるいは市町村はどういう仕事をするのか。そして、それが国民の日々の生活についてはどのような影響を細かなところについて及ぼすのですかというふうな点については、野党の議員皆さんが持っておられる技術的な、あるいは執行についての質問を、これはもう専ら政府の、お役所の皆さんに技術的に、あるいは執行状況について答えていただく、そういう委員会のステージ。第一、第二のステージができていけばいいのではないかなというふうに思っている次第でございます。  したがって、何も今回の措置で、一切この国会の中でお役所の方が行政部内のお話ができなくなるというものでは全くございません。むしろ、それは逆でございまして、そういう技術的な、あるいは執行状況のことなどについては、もう集中的にお役所の方からお話を伺わせていただく、そのために必要な政府参考人として呼ぶことができるというふうにしているのでございます。  ただ、今までのように、国会が始まる前に、もう事前に政府委員というのはこの方たちですよ、その方たちは、むしろお呼びしなくても、説明してほしいと言われなくても出てきてお答えになられるということは、もう勘弁してください、もうなしですよ。ただ、野党の皆さんあるいは与党議員皆さんが、教えてほしい、これを聞かせてくれといったときには、来て説明をしていただく。十二分に役所としての機能を国会の中で発揮していただく場がもちろん設けられているわけでございますので、そのように考えていきたいというふうに思っております。  それからまた、変な話ですけれども国会審議というのは、通常国会も百六十日もある長い時間でございますから、その期間、政府のお役所の方が国会に張りつきになってしまって、そのほかの重要な国の施策の立案企画、そしてまた役所として当然するべき危機管理などに時間を割くことができないというふうなことを、これからはやめていきたい。ですから、本来の、行政機構が果たすべき危機管理、国民の生活を守る、そういう業務にむしろ専念していただく、本来的な行政権能の発揮を行っていっていただきたい、そういう思いから今回我々は考えているものでございますので、そのように突き進めていきたいなというふうに考えております。  ところで、他方、こういう意見がございます。多数の立法府の議員が行政府に、大臣のみならず副大臣、政務官などなどとして入ることは、いわゆる三権分立を定めている我が国の憲法にも違背するのではないか、特に憲法第六十五条の「行政権は、内閣に属する。」というふうなところをですね、そういう意見があるんですけれども、これについては、政府部内の行政機構全体を統括しておられる総務庁長官、これが憲法に違背するのではないかというふうな御意見に対して、どのようにお考えでございましょうか。
  31. 太田誠一

    太田国務大臣 まず、自自の協議でもってこの副大臣制度が、また政務官制度が大変充実したものになってまいりましたことに敬意を表したいと思います。それから、政府側といたしましても、実は、いわゆる立案方針で、九月ごろであったと思いますけれども、副大臣制度を検討しようということを項目として挙げておりまして、そのことがありましたので、自自協議でもって大変充実した制度をつくっていただいたことに一層感謝を申し上げたいわけでございます。  今のお尋ねの件でありますけれども、そこは、内閣法でもって、今の内閣国会に対して、いわゆる閣法ですね、法律案を提案することができるということになっております。そういたしますと、いわゆる企画立案、法律案を提案するという、そもそもそういう権能が内閣にあるわけでありますので、その内閣を構成しておる国務大臣、そして、ひいては各省の主任の大臣は、そもそもそういう企画立案ということを仕事として持っておる。同時に、さまざまな省令あるいは訓令、あるいは告示、あるいは通達などを通じて行政機関の各省庁に命令をして執行するということになっております。  その中で、今度の副大臣、政務官は、私がよく読んでみますと、やはりそこは大変うまくできておって、企画立案の部門を主としてつかさどり、あるいは助けるということになっておりますので、それはまさに企画立案ということに主として携わる仕事だと思っております。  他方、一般の行政官、大臣にゆだねられたいわゆる執行をやる部門があるわけでございますから、その執行の部門については副大臣、政務官というのは主役を演ずるものではない。そこのところをきちんと峻別していけば、執行たる行政と、それから、いわゆる立法機能、提案機能を持った内閣及びそれを助ける副大臣、政務官との間の区分というのは、非常にはっきりとした区分ができるのではないかというふうに思っております。
  32. 西田猛

    西田(猛)委員 長年、副大臣制度あるいは政務官制度の提唱をしてこられた太田長官からの御発言でございまして、非常に私どもも意を強くしたところでございます。恐らくおっしゃるとおりの機能分化がなされていって、国の基本的な政策立案、企画が政治主導で行われる、ということは、要するに国民主権の理念のもとで行われる、それで他方、執行は粛々と継続性をもって行われる、こういう望ましい姿になっていくのではないかというふうに私ども考えております。  そこで、この副大臣というものがもし置かれるといたしますと、これは、大臣に次いで今おっしゃったような政策企画等の立案権あるいは立法権についての権限と責任を有することになるのでございます。そういたしますと、この改正後の中央省庁法でも行政権は閣議によって行われるわけですけれども、その前段階として、前の段階として、各省を代表する副大臣が総合的に企画立案あるいは立法等について調整をして、そして閣議に上げて、その議を経て行政権を行使するということが必要になってくるのではないかというふうに私は思うのですが、そこは、太田長官、各省を代表する副大臣がそういう総合調整的な場を持っていくということについては、どのようにお考えになられますでしょうか。
  33. 太田誠一

    太田国務大臣 今度議員提案で提案をされます中に、副大臣会議、そういうものを開くことができるという定めがあるということは承知をいたしております。私は、いわゆる手続としてというよりもむしろ意思疎通の場として、そういうものがあるということは意義のあることだと考えております。  ただ、私は、世間一般に、いわゆる事務次官会議というものの存在についてどうかというさまざまな御意見がありますけれども、最終的には、これは各省を代表してというのは、それこそ大臣が専ら代表して最後の結論というものは出すものだろうと思っておりますので、その大臣を助ける意味で、副大臣がそのような各省の意思疎通をよくする、ゆだねられた命令の範囲内で各省の副大臣との会議を持つというのは、意義のあることだと考えております。
  34. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございました。  有権者の方から選ばれた国会議員が、大臣はもちろんでございますけれども、副大臣あるいは政務官として行政権の中にも入ることになります。そして、それぞれの分任した省庁の中で仕事をしていくのですけれども、私どもが言うのもまことに僣越な話ですけれども、そこで一番履き違えていただいたら困るのは、おれは何々副大臣なんだ、あるいは、おれは何々大臣政務官だということで、役所の権限を自分のところに誘導しようとしたり、あるいは、それで何かしらの権益を持とう、確保しようというふうな行為が行われては、これは、今我々が考えている制度の創設に対して全く冒涜以外の何物でもないわけでございます。そんなことをしていては、これはもうこれから先々の日本のあるべき姿を考えて一生懸命つくろうとしている制度が台なしになってしまうというふうに考えておるところです。そういう意味で、やはり行政官庁に高位高官として入っていく国会のメンバーについては、高い倫理観それから倫理の行動が必要とされてくるのだと思います。  この制度を創設された後、これをどのようにして担保していくことができるのか、これは非常に大きな問題だと思うのですけれども総務庁長官、いかがでございましょうか。
  35. 太田誠一

    太田国務大臣 その問題は先ほどの三権分立にも関連してくるところでありまして、いわゆる執行権に政治たる者が深く関与するということは、今度の中央省庁改革の考え方も、企画立案と実施というものをなるべく分けていこうということでありますので、今後我々は、中央省庁改革の精神も、それから、いわゆる副大臣制導入の今までの精神も、やはりきちんと心に深く銘記をしておかなければいけない、心構えとしてきちんと持っておかなければいけないことだと思います。  いわゆる政治倫理との関係で申しますと、昨年の今ごろでありますけれども自民党内においても大いに議論をされたところでございますが、さまざまな利益を得るというふうなことがあれば、私は、今の国会議員だって、物事の解釈でありますけれども、それは、悪いことは悪いということに現行法の法律上でもなるんだろうと考えております。  その関係を律する法律が必要なのかどうかということについては、それはまだ議論のあるところだと考えております。
  36. 西田猛

    西田(猛)委員 当然、最終的には個人個人の倫理に任せるしかないのでございますけれども、具体的にそれを何らかの形で担保していく方途はやはり考えていかなければならないと思います。  それと、他方、議会の中で多数を占める与党がこのように行政権と非常に一体化してくると、これはある意味では非常に強い力を与党が持つことになります。そうすると、我々としては、いつまでも与党でいたいとか、いつまでも政権を牛耳っていたいというつもりは全くなくて、これからどのような政策をもって日本国は世界に向かっていったらいいのかという政策を打ち出す、それが主権者である国民皆さんにとってよければ我々を選んでくださればいいわけでありまして、それが国民皆さんにとってよくないとお思いになったならば、それはそうじゃない方をやはり選んでいただいて、そこに政権の交代ということが行われる。政権交代が可能になるんだというシステムも、やはり他方で確保していかなければならないと思うのであります。  その意味で、きょう三野党の皆さんがこの行政改革特別委員会出席しておられないこの場でお話しするのは非常に残念なんですけれども……(発言する者あり)失礼いたしました。二野党が出席しておられないのが非常に残念なんですけれども、一野党、ちゃんと出席しておられましてお話を聞いていただいていると思うんですが……(発言する者あり)失礼しました。要するに、民主党と社民党の皆さん出席しておられないという場でこの話をするのは非常に残念なんです。  といいますのは、内閣制度それから中央省庁改革とともに国会審議のあり方もこれから変えていくわけですから、国会審議のあり方が変わっていくことについては、できる限り多くの議会の協力、コンセンサスが得られて改革されていくのがやはり望ましいと思いますので、違う機会に、やはりなるべく全党が出席した中でこの議論はしていきたいというふうに思っております。  自治大臣、どうぞ御意見を。
  37. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 先ほど来非常に大事なポイントをお話ししていただいております。  先ほど、自立と自律ということを申し上げました。それは、政治家自身が政策形成過程において自立することがまず大事だ。全部役所におんぶするというような発想から自分自身が自立をしてやっていくという姿。それからいま一つは自己規律という側面、これが非常に大事だと思っています。  特に、この行政という世界の中で言えば、大きく分けて二つの側面があろうかと思っています。それは、一つは政策の形成、決定、遂行という側面と、公権力の行使という側面とあると思っています。  特にその中で、公権力の行使という側面において、これを政治的に利用されるようなことが断じてあってはならない、ここは非常に大事なポイントであると思っています。その点について、それを私するようなことがあっては断じてならない。ここの自己規律をどうやって達成するか。その一つが、実は許認可等々の公権力を必要最小限に絞る、これが非常に大事な視点である。  そういう点で、この政府委員制度の廃止やあるいは副大臣制度の導入、こういった事柄は、少なくともそれだけの、行政の世界における話だけじゃなくて、日本の国つくりのあり方、そういったことにトータルに関連していくテーマでもある。そういう意味で、一丁目一番地という位置づけをして両党間の協議をしていただいたと私は認識をいたしております。  そういう点で、行政と一口に言ってもいろいろな仕事があるわけで、その中で、特に公権力の行使において、これをどうやって達成していくか、フェアな姿をどうやって担保していくか、ここが非常に大事なテーマである。そのためには情報の公開だとか、いわゆるオープンであるということはすなわちフェアである、チェックしやすいということにもつながることでもあるわけです。  そういう点で、トータルにこのあたりはぜひ自己規律といいますか、特に与党の自己規律ということは極めて大事なテーマであるというふうに思っております。
  38. 西田猛

    西田(猛)委員 今、自治大臣からお話があったように、私どもも何とかしていきたいと思っているのであります。  したがって、そのための方策の一つとして、具体的には、もう近い将来において、与党のリーダーである内閣総理大臣与党党首とそれから野党の党首が、一対一で国家の基本的な問題について、全部テレビ中継が入った中ででも議論をするという、いわゆるイギリス型のクエスチョンタイムのようなものが設置されれば、そしてそれが毎週衆議院で一時間なり参議院で一時間なり行われて、それが全国にテレビ中継されるということであれば、今大臣も言われたようなオープンな形で、しかも主権者の皆さんがチェックをしやすい形で、これはフェアに政党間の戦いがなされていくのではないかなというふうに考えているところでありまして、ぜひそういうことを実現していきたいというふうに考えております。  御存じのように、そこで、今回の措置をつくるに当たってもいろいろと勉強させていただいたイギリスの制度などでは、イギリスの、今は女王ですけれども、国王は、与党のことをマイガバメントと呼んで、かつ、反対党のことをマイオポジションと呼ぶわけですね。ですから、両方とも国家制度の中に組み込まれた与党と野党である。その二つで政策を戦い合わせて国民皆さんから選ばれた方が私のガバメントになってくれよ、こういう意味合いなのであると思うのですね。  ですから、野党はもう全くの野党だということではなくして、あす与党になる、そういうアワオポジションとしてこれから機能していただかなければならない。そのためには、ある意味で情報量、それから調査、立法能力等がなかなか与党に追いついていくことのできない野党に対して、ある種の配慮を、これは法的にもあるいは国の財政的にも、今申し上げたように、イギリスなどではマイオポジションに対しては国家からお金が出ておるわけでございます、野党党首に対しては。そういうふうな措置をこれから我が国でも考えていってしかるべきではないかなというふうに思うのでありますが、この点についていかがでございましょうか。自治大臣お願いいたします。
  39. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 私は個人的には、そういう形をきちんと位置づけるということが、よりフェアな、オープンな政党間の切磋琢磨が充実することにつながるという考えを持っております。
  40. 太田誠一

    太田国務大臣 我が国は、国民主権の理念に基づきまして、議院内閣制をとっているところであります。議院内閣制をより実効あらしめるためには、野党側が政府案あるいは与党案に対して具体的な対案を示して、与野党間で我が国がとるべき政策をめぐって議論を深めることが重要であると認識しております。  そのためには、野党側が政府与党に対し選択肢を示して有効な議論ができるような環境整備をすることが、これは国のためにも必要であると考えております。このために具体的にどのような措置がとられるべきであるかについては、与野党間で十分な議論がなされることを期待いたしております。
  41. 西田猛

    西田(猛)委員 もちろん、今、例えば総務庁長官のお立場としてどういう措置をとっていくという具体的な御明言は恐らくできないと思いますけれども、これは国会審議の中でまさに与野党が議論をして、どういう措置をとっていくか議論を深めていかなければならない問題だと考えております。  そこで、今回の法律案の中身で一つだけお聞きしたいと思うのですけれども内閣府に副大臣が複数置かれることになると思います。  まず最初に、各省庁の中で複数副大臣を置く、あるいは複数政務官を置くとすることとされている府省庁がございますけれども、これはやはり複数置くことの意味はいかがなところにおありでしょうか。これは総務庁長官の方からお聞かせ願いたいと思います。
  42. 太田誠一

    太田国務大臣 副大臣は、このたびの省庁改革において各府省を大くくり編成されることに対応して、各府省において政治主導の政策判断が迅速に行われるようにするために設置されるものであります。したがって、各府省の副大臣の数は、大くくりされた府省の任務や所掌事務などの実態に応じて決められるべきものであります。府省によって複数の副大臣が必要な場合が出てくるということであります。与党において、このような考え方から新たな各府省の姿を十分に勘案して各府省の副大臣の数を合意されたものと理解しております。中央省庁等改革関連法律案において、与党合意に沿って、必要な数の副大臣を置くこととしているものであります。  この副大臣の仕事は、先ほど申しました企画立案、そしてまた政務でありますので、主として国会対応については相当の部分を担わなければならなくなるわけでございます。そういたしますと、たくさんの分野を抱えております省庁においては、当然のことながら、国会対応についても、あるいは企画立案についても相当のボリュームの仕事になると思われますので、複数の副大臣を置くということにされたものと理解をいたしております。
  43. 西田猛

    西田(猛)委員 今回の法律は内閣提出の法律でございますので、総務庁長官が責任を持ってお出しになったと思います。ですから私お尋ねしたので、今おっしゃったように、国会対応等々、政策、企画の立案には相当の分量が要求されますから、これはやはり複数の副大臣、政務官を要する官庁が多々あるということでございます。  それで、私が最後に申し述べたいのは、先ほど自治大臣の方からも、総務庁長官からも御紹介がございました、今与党であります自由民主党と自由党の方で、政府委員制度の廃止と副大臣設置等について真剣な議論が長々と今も行われております。その中で行われました非常に哲学的な話を一つだけ御紹介して、私の話を終えたいと思うのであります。  ある議員がこういう文章を見つけてこられました。ガルブレイスという人は、ソ連、東欧の崩壊は、コミュニズムの問題ではなく、肥大化した官僚制の行き詰まりであるという文章があったということでございます。  それからまた、最後になりますけれども、今我々が抱えている問題は非常に多い。憲法問題、地方分権、教育改革、産業経済構造改革といろいろ、そして何よりも国民の安心、安全、安定のための医療福祉の充実、年金制度の財政基盤の確立などなどであると。こういうものに対して、国民にとって何が最も大事か、変えていかなければならないもの、変えてはならないもの、こうした現状を、国会国民にわかりやすく納得いく形で説明する責任がある。この説明責任が全うされるための国会は開かれた議論の場とならなければいけない。こういうことでございますので、その意味でこの法律を審議していっていただきたいというふうに考えております。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  44. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、太田昭宏君の質疑に入ります。
  45. 太田昭宏

    太田(昭)委員 公明党・改革クラブの太田昭宏です。  きょうは、政策評価の問題と、総合科学技術会議の問題と、それから行政書士の三点、お聞きをしたいというふうに思います。  総務省の政策評価の役割について、まず冒頭、二点確認をしたいと思います。  一点は、他府省の行う政策についての評価。方針を見ますと、評価の対象は、全政府的見地から府省横断的に評価を行う必要がある政策と、複数の省庁にまたがる政策、府省が独自でやる政策の両方ということになるわけですが、これは、間違いないことだと思いますが、間違いないですね。
  46. 東田親司

    ○東田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、総務省が行う政策評価の対象につきましては、先般決められました中央省庁等改革推進に関する方針におきまして、四つのケースを掲記いたしております。  一点は「全政府的見地から府省横断的に評価を行う必要があるもの」、二点目は「複数の府省にまたがる政策で総合的に推進するために評価する必要があるもの」、三点目は「府省の評価状況を踏まえ、厳格な客観性を担保するために評価する必要があるもの」、四点目として「その他、政策を所掌する府省からの要請に基づき、当該府省と連携して評価を行う必要があるもの」、この四つのパターンを対象として考えているところでございます。     〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕
  47. 太田昭宏

    太田(昭)委員 私は、各府省のやる政策評価と、総務省が行う政策評価のやり方に微妙な違いがあると思うのです。方針では、各府省は、事前、途中、事後、この評価の立て分けが私は明確であると思いますが、総務省の政策評価は、事前、途中、事後の立て分けが規定をされておりません。どの時点で総務省はどのようにかかわっていくのかということが非常に大事なことだというふうに思っておりまして、総務省が各府省に行う評価も事前、途中、事後というのがすべて含まれるのかどうなのか、どの時点でこれにかかわっていくのか、それについての基本的な考えを教えてください。
  48. 東田親司

    ○東田政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、方針の中におきまして、事前、事後、途中の関係について特に書いてございませんが、私ども総務省が予定しております政策評価につきましては、事前、事後、途中のいずれもあり得ると考えております。  ただし、実際上の話といたしまして、総務省という立場は、政策を所管する府省から離れた、いわば客観的な立場から評価を行うということでございますので、実際上は、制度や事業が導入された後とか、あるいは一定期間が経過した後、その場合に、所期の効果が得られているかということを事後的に検証する、評価をするというケースが多くなるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  49. 太田昭宏

    太田(昭)委員 そこが非常に大事なところで、事前評価というのは非常に大事になるわけで、私は後からもそのことは申し上げますけれども。これは、今の答弁よりももっと踏み込んで、それはあろうかと思いますけれどもと言うけれども、事前ということにもっと力を入れるべきだと私は思いますが、概括的で結構ですから、大臣
  50. 太田誠一

    太田国務大臣 実は、この評価の仕方については、事務局とも何度も何度も議論をいたしております。  その中で、今監察局長がお答えできるところがコンセンサスでありますが、考え方といたしまして、事前の評価ももちろん有用でありますけれども、むしろ厳しいのは、事が起きた後に、それがいい悪いを評価するということは大変各省庁にとっては厳しいことであろうかと思います。そういう意味で、事後評価をすることが次の政策に反映をされていくというところも大変重要であるということを強調を申し上げたいわけでございます。  今まで、例えばPPBSというふうな言葉が使われたこともございますけれども、将来の便益に対する割引率が何%と決めること自体が大変に主観的な数字になってまいりますので、事前の評価と同時に、事後の評価も同じぐらい大事だということを申し上げたいわけでございます。
  51. 太田昭宏

    太田(昭)委員 それはそうでしょう。  そこで、わかりやすく簡単に申し上げますと、この政策評価の具体的なイメージ、ここがどういうものかということが私は大事だというふうに思いますけれども、政策評価と四文字で言えばこれは簡単かもしれない。しかし、評価システム自体が誤ったものであったら、評価の結果として誤った政策を大量生産するということになろうかと思います。  例えば、英語力が日本人は乏しいですよ、最低だ、さあどうするかという場合に、これは、中学、高校のカリキュラムに問題があるというとらえ方もある、あるいは大学入試に問題があるのですよということもある、あるいは、欧米人との接触機会が少ない、そういう問題設定でとらえるという考え方もある。低い英語力というこの実態の背景には数々の問題点があって、何を抽出して何に重きを置いてという、そういうような問題点を正確に抽出するという作業自体が非常に大事だし、それは非常に難しいことで、まさにそれが一つの勝負どころになるんだと思います。そういう問題設定が抽出されたら、今度は英語力の向上に向けて、その背景にある多くの問題に関してどのように優先順位を設定するか、これが非常に大事な問題になってくる。優先順位の決定ですね。そして、優先順位がつけられた問題について、その優先順位に応じた解決のためにどういう方策が必要か。  そういう意味では、一つは問題点の抽出、二番目には問題点の優先順位の決定、三番目には問題解決のための方策立案、そして各方策の総合的な判断、この四つのステップというものが必要になってくるんだというふうに思います。  これら各ステップのすべてを対象に検証する、こういうことは非常に大変な作業になるというふうに思いますけれども、今回政府が提唱している政策評価については、その仕組みについていまだ具体的なイメージがどうしてもわいてこない。今申し上げたような観点に照らして、政策評価のねらい、的確な政策評価のための方法について、現在の考え方というものについてのイメージとか概略、具体的なターゲット、そういうことについてお示しをいただきたいと思います。     〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 東田親司

    ○東田政府委員 今般の中央省庁の再編に伴いまして、政策評価につきましては、国家行政組織法等法案、及び法律になじまないものにつきましては先ほど申し上げました方針、この二つを基礎にいたしまして骨格を決めたところでございます。  政策評価につきましては、行革会議最終報告におきましても、これまで我が国においてはどうしても予算の獲得、法律の制定等のプランの偏重傾向が見られた、実際に政策をやってみて、その効果がどのようになっているかということを検証して、そして新たな企画立案に結びつける、こういう機能が大変弱かったということを言っているわけでございまして、この考え方を踏まえまして、新たに政策を所管する省庁が政策の効果を検証して、新たな企画立案に結びつけていくということを基本的な考え方としているわけでございます。  ただし、政策を所管する省庁だけでは、横断的な政策があった場合、あるいはどうしても手前みそな評価になりかねないという懸念もあるということで、総務省の方で、より厳正、客観的なもの、あるいは総合的な政策推進を図るべきもの、そういうものについては総務省が第二段目として政策評価を行う、こういう骨格で組み立てたものでございます。
  53. 太田昭宏

    太田(昭)委員 私は、そんなことは今聞いているわけではないんだ。私は、例えば問題点の抽出とか優先順位の決定、具体的に言っている。イメージを私自身が言っているんだから、そんな当たり前の話を今してもらっても困る。言い直してください。
  54. 東田親司

    ○東田政府委員 政策評価につきましては、主な視点といたしまして、政策の必要性、優先性、有効性、この三つを掲げております。それに対しまして、政策評価でない行政評価一般につきましては、効率性とか経済性というようなものを考えております。  それで、必要性、優先性、有効性のイメージでございますけれども、要するにこの政策が果たして今の情勢のもとで必要なものかどうか、あるいは、その政策の中で、さらにブレークダウンすると細かい事務事業がございますけれども、その事務事業が優先度の高いものを取り上げてやっているのかどうか、そういう観点で事務事業のあり方を見ていくということを考えておるわけでございます。
  55. 太田昭宏

    太田(昭)委員 ますますイメージが全然わからない話になるんですが、では、一番最初の、政策評価をするということの問題意識、私は、そろそろ日本は、国家経営といいますか、例えば経営的感覚ということが必要だ、そういうものなしに行革はないんだというところに踏み込むということだと思いますが、何を問題意識としてこういうことを目玉と称したのかという、一番原点的なことについて、大臣、お答えください。
  56. 太田誠一

    太田国務大臣 何を最初に、どういう立場から政策評価ということを考えておるかということでありますけれども、従来は、法律の制定や予算の獲得に重点が置かれて、その効果やその後の社会経済情勢の変化に基づき政策を積極的に見直すという評価機能が軽視されがちであったので、その反省に立って、行政がみずからその政策の効果について事前、事後に評価をする、特にそれが企画立案に反映されるようにするために導入するわけでございます。  いわば無反省というか、いわゆる縦割り行政ということで、無反省にそれぞれの省庁がそれぞれ自分の主観によって企画立案をして、どんどん自己増殖をしていって今日に至ったという反省があるわけでありますので、それを、省庁を超えた視点、あるいは、みずからもみずからを反省して、官僚組織の無謬性ということを認めない、過ちは犯すんだ、犯すに決まっているんだ、したがって過ちを犯すという観点から、みずからもチェックをするけれども、総務省などで全政府的にもやるんだ、そういう客観的な立場を評価について確立しようと。  今までは行政監察しかやっておらなかったわけでありますから、これは要するに適法性、つまり法律の精神に反していないかどうかという観点から監察をしておったわけでありますけれども、今度はもう少し広い視野から、政策的にどうなのかということを第三者的な立場から論じるようにできるようにしようということでございます。  太田委員の今の御指摘は、我々の今議論しておることのさらに先に行くことでございまして、どうか御指導をいただきたいと思います。
  57. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今のお話で、適法性から無謬性へのメスを入れる、私も全くそのとおり。  それについては、まさに今おっしゃったように、第三者機関、第三者からという、その角度については後から聞きたいと思いますが、私は非常に事前評価が大事だという立場で言っているわけなんですが、あなたが先ほど言った中で、主として必要性、優先性、有効性、こういう言葉を使ったけれども、この政策評価の中で大事である効率性という言葉が、あなたの先ほど答弁の中でなぜわざわざ抜け落ちているんですか。効率性ということは一番行革で大事なことなんじゃないですか。
  58. 東田親司

    ○東田政府委員 先生のおっしゃる効率性の意味合いでございますけれども、例えば、ある施設をつくって、その施設をAという箇所につくる場合とBという箇所につくる場合とで、どちらがより効率的な利用、より多くの人に利用してもらえるか。そういう意味でおっしゃっている効率性でありますとしますれば、私どもの必要性、優先性、どちらが必要度が高いか、どちらが優先度が高いかという際の判断として、いわば効率性は当然評価しなければならないことでございますので、私どもが視点と掲げております必要性、優先性の中に先生のおっしゃる効率性というのは入っているというふうに考えております。
  59. 太田昭宏

    太田(昭)委員 そこは、実は総務省の中で、私は事前評価に対して消極的ではないかということを言うわけなんです。方針では、「総務省の政策評価」として、そこにも「必要性、優先性、有効性等」、こう書いてある。  ほかの省庁とか、さまざまな行革論議の中では、有効性と並んで必ず効率性という言葉が出てきて、有効性とは何か、効率性とは何かという定義まで明確にしながら論議が行われているのに、「有効性等」と、その「等」という言葉の中に効率性というものが含まれるというようなこと自体の中に、私は、事前評価というものに対して総務省というのは余りやる気がないんだなという感じがしてならないわけです。その点についていかがでしょうか。     〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
  60. 東田親司

    ○東田政府委員 今般の中央省庁再編に当たりまして、政策評価の制度を構築するとともに、政策評価を除く行政評価、監視という二つ目の評価の制度も構築しなければなりませんでした。  ちょっとわかりづらいかもしれませんが、政策評価については政策の改廃を評価するものでございます。それに対しまして、政策評価を除く行政評価、監視というのは、いわば政策を前提として、より効率的、経済的、あるいは合規的にやっていくという評価でございまして、効率性という用語については、政策評価の主な視点というよりは、政策評価を除く行政評価、監視の主な視点に掲げた方が適当であろうというふうに判断をいたしたわけでございます。  それで、先ほど申し上げましたように、政策評価の方は、必要性、優先性、有効性というのを主な視点にしておりますが、先生のおっしゃる効率性というのは必要性、優先性の中に当然入っている概念であるというふうに御理解いただきたいと思っております。     〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 太田昭宏

    太田(昭)委員 言葉が入っている、入っていないよりも、この効率性という言葉の中には、これは、事前評価というものが非常に大事で、事前評価があって、それに対してどう外れているか、そうした政策判断というものがされている、政策評価が行われるという観点から私は申し上げているわけです。  多くの先進国が、RIA、規制インパクト分析というのを採用している。日本ではこれに類する分析が実施されておりません。ことしの四月にOECDが公表した「日本の規制改革についてのレビュー」報告書も、日本に対して、規制の制定や改廃に関してRIAを実施するように勧告をしています。私は検討すべきだと思いますが、いかがですか。
  62. 西村正紀

    ○西村(正)政府委員 お答えいたします。  RIAは、規制を導入するに際しましての費用対効果あるいは影響についての検証をしようというものであると理解しております。  我が国におきましては、これまでも規制緩和推進計画の中で、それぞれ規制を新設する際に、その必要性、効果、または予想される国民の負担等について検討をすることとしております。また、ことしの四月から、規制の設定等に係りましてパブリックコメント手続というものを導入しておりますが、その際にも、原案を公表するに際しましては、可能な限り規制の影響等の程度等、そういう資料を公表するようにしております。
  63. 太田昭宏

    太田(昭)委員 ことしの三月に、規制改革に関するカントリーレビューのためのOECD会議というのがパリで行われて、その報告の中で、日本に対しては、RIAがOECD各国で採用されつつあり、技術的困難はあろうが、日本も取り入れてはどうかという意見があった、当方、日本からは、日本は規制の負担軽減のためのアプローチを重視していること、また、この分野については経済的分析のみならず、経済的分析のみならずというのはRIAというようなことではなくて、法学的アプローチの可能性もあるはずであり、OECDとして、経済的分析だけでなく法学的アプローチの面についても調査の上各国にフィードバックしてもらいたい旨応答した、そういう報告書が出されております。  日本は経済的分析ではなくて法学的アプローチに重きを置く、そういうことというのは、RIAをやりなさいよということに対してはねつけている応答だというふうに見られます。この点について、私はもっと事前評価について積極的な姿勢をとれということを申し上げたいわけですが、いかがでしょうか。
  64. 西村正紀

    ○西村(正)政府委員 お答えいたします。  費用効果分析ももちろん重要でございますが、規制緩和を進めるに当たりましては、それとあわせまして、法学的なアプローチというのは、例えば、規制を許可、認可というようなものから届け出等緩やかなものにしていく、そういう観点も重要ではないかということでそういうような言い方をしたわけでございまして、費用効果分析が重要でないということを言ったわけではございません。
  65. 太田昭宏

    太田(昭)委員 そこで、政策評価自体が実は一つの政策だと私は思います。それを外部の者が的確にチェックするということが非常に大事になる。  それで、四月二十七日のこの方針によりますと、総務省は、府省の評価状況を踏まえて、厳格な客観性を担保するために評価する必要があるものについて評価を行う、その際、政策評価・独立行政法人評価委員会を設置して十分に活用する、こう言っている。これは、各府省の政策評価が妥当なものであるか否かを、外部、すなわち総務省がチェックするという意味になる。いわば、政策評価に対する政策評価という性格である。これは当然であろうと思う。これはよく理解できます。  この場合に、委員会が、国民の最終的な負託を受けた内閣官房に設けられているのであれば私は問題はないと思うけれども、総務省の中に設けられるというのは、これはいかがなものかということを感ずるわけです。総務省の中では、郵政、自治等の固有の行政分野を所掌することになるわけですが、それらに対する政策評価はみずから行うだけで外部からのチェックは受けないということになるわけで、これは、内閣官房とかそういうところでやるという方が第三者的ということからいうと私は大事じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  66. 太田誠一

    太田国務大臣 この点はちゃんとお答えをいたしたいと思います。  内閣官房と内閣府は、今度の省庁改革で、新たに企画立案という、つまり政策を提案する、あるいは提案をリードするという非常に大きな権能を持つことになるわけであります。そういたしますと、そのような企画立案、政策を提案する側の人が、結局、自分が提案したものを自分で評価するということになったのでは、これは客観的な評価にならないわけでございます。  そこで、やはり企画立案をする者の中心たるべき内閣官房、内閣府とそれを評価する部門というのは分けないと、これは要するに利益相反というか、さっきのさまざまな、いわゆる実施と企画立案の分離とか、そのようなことと共通をしたことになるわけでございます。  ですから、そこは、総務省がここをやるということは、まさにおっしゃったような客観性を確保、企画立案がいいのかどうかというそれこそ事前の評価においても、その役割を第三者的な立場にある総務省が担うということがまことに大切なポイントなのでございます。
  67. 太田昭宏

    太田(昭)委員 そうすると、私が今の質問の中で言った、郵政とか自治とかというようなこと自体、総務省の政策評価の妥当性それ自体、これは一体だれが判断し、どう担保されるかということを感ずるわけです。  例えば委員会の人選をします、総務大臣が人選をする、しかし、その総務大臣、そこに自治も郵政も入っているということは、どうしてそれが客観的な評価ということが担保されるんでしょうか。
  68. 太田誠一

    太田国務大臣 まず、総務省の政策評価につきましては、政策評価・独立行政法人評価委員会を設置することといたしております。その活用により、中立的かつ公正な評価が可能だと考えております。すなわち、総務省は、この政策評価については、民間有識者、つまり第三者的な性格の強い評価委員会を設置することにいたしますので、これは総務大臣そのものがやるわけではなくて委員会がやるということでございますので、そこで中立性、公正性というのが確保できるだろうということでございます。
  69. 太田昭宏

    太田(昭)委員 もう少しさまざま申し上げたいことはあるんですけれども、我が党はそういうことを、さまざまな観点から、第三者行政評価機構というものを総務省に設置して、各省担当の監察総監を任命すべきであるという主張をさせていただき、また、行政評価法を制定して、法律的な取り扱いのもとに、もっと厳格に、第三者的に、そしてしっかりした法体系の上から政策業績評価を行うことが大事である、さらに内閣の責任によるチェックを明記すべきだというふうに主張しております。これが私は正しい方向ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  70. 太田誠一

    太田国務大臣 おっしゃっているお考えは非常によくわかるわけでございます。  今の私どもの提案の中にも、法律的にきちんと政策評価を位置づけ、そしてまた、その体制も設計できるようになっておりますけれども、もっとこの部分を重視する考え方からいえば、今後の課題として、あるいは今太田委員がおっしゃるように、そこを強化していくという方向は必要になってくるかもしれないと考えております。
  71. 太田昭宏

    太田(昭)委員 それは、大臣、まずとりあえずこれでスタートをして、さらに次の段階で法制化というようなことを検討したいという意味でよろしいですか。
  72. 太田誠一

    太田国務大臣 私は、それは法制化が、将来もっと強い権能を持たなければいけないということになってくるのではないかというふうに考えております。ただ、今段階で、こういう法律が必要ですということを頭の中に思い描くことは、今のところは描いてはいないわけであります。
  73. 太田昭宏

    太田(昭)委員 アメリカのいわゆるGPRA、一九九三年、これについては、頭の中に具体的にそういうようなものが想定されているかというとあれなんですが、これはどう思いますか。
  74. 太田誠一

    太田国務大臣 アメリカのGPRA法のように行政評価法を制定すべきではないかというお考えでございますが、まず、国家行政組織法の改正案や関係法律の方針に基づき、全政府的に、厳粛で客観的な政策評価を行うためのシステムの構築を進め、これを着実に実施していくことが重要であると認識しております。  行政評価法を定めるかどうかについては、各府省における実施状況を踏まえ、その問題点などを見きわめる必要があるということでございますが、そのような問題意識は当然持っておりますし、また、国会における御協議も、あるいはもっと突っ込んだ御協議がなされる中で、政府としても将来対応していくことになろうかと思います。
  75. 太田昭宏

    太田(昭)委員 自治大臣、私は、建設とかいろいろなことでかなり世間の非難も浴びて、それで、さまざまな政策評価ということについては、ヘドニック法であるとかいろいろなことの手法も入れてやってきた。自治行政ということの中で、政策評価というのは、これはどういうふうに行われてきたかということについてお答えいただけますか。
  76. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 政策評価あるいは行政評価、大変幅の広い要素がございます。そういう点で、私は、二つの視点が自治行政に関してはあるのではないかというふうに受けとめております。  一つは、基本は、住民自身がみずからの自治体の行政評価なり政策評価をどのように下していくか。言うなら、地方自治のあり方論からすればそれが一番の基本になるべきであるし、そのこと自身が、自主性、自立性という上で、自己責任という上で極めて重要な要素をなす。そういう意味で、住民自身がどういう評価の方法をとっていくのかということについては、一つは、情報を公開して、評価ができるような体制をつくっていく、あるいは外部監査という形で外からの評価も受け入れていく、そういうような自己努力というものが非常に大事な側面があるのではないか。  そういう点で、今日、特に静岡県とか三重県とか、こういう県においても、自主的な努力によってみずからの行政評価の仕組みをシステム化してやっていこうという自主的な試みがなされているということは大変大切なことである。ぜひそういった事柄が各自治体においても行われていくようなバックアップをしてまいりたいというふうに考えております。  いま一つは、例えば地方行革、こういう問題であったりあるいは財政運営であったり、いろいろな形で自治省から各自治体に対してガイドラインあるいは通知というものを出しておるわけであります。これはこれで、ある程度総括的に、個別の自治体に対して云々ということでありませんが、基本的にそういう方向性を示していくという形によって、事前の方向性を出していこう。それから個別の起債許可なんかに当たって、自主的な優先順位の判断、どの起債を優先するかというのは自治体自身が自分で判断を下さなきゃなりませんが、自治省としては、その自治体の持っているいわゆる財政にかかわるもろもろの指数なんかを一つの評価の基準にするとか、あるいは審査基準とか、いろいろなことが運営上あるわけでありますけれども、それが一つの事前の多少のシステムといえば言えるということではないか。  ただ、自治省が基本的に自治体をコントロールする形になりやすいということにつながらないようにしなきゃいかぬ。自主性、自立性ということを最大限に尊重していこうという中からシステム的なものは考えていかなきゃいけないというふうには考えております。
  77. 太田昭宏

    太田(昭)委員 なかなか、分権も絡んだ、しかし言うことは言わなくちゃいけないということの中のデリケートなことについてのお答えをいただいたのですが、ちょっと踏み込ませていただくと、その問題は、例えば自治省は起債許可を通じて自治体の政策に対するある意味では実質的な政策評価をした、こう私は言えるのではないかというふうに思うのです。  そうすると、それが成功してきたかどうか。財政破綻の状況もある、あるいは、箱物とかいろいろなことについて、起債許可という自治省の政策評価を経たはずのプロジェクトが各地で失敗になっていたり、あるいは第三セクターがうまくいっていないというような事態というのがありまして、これはかなり根本的な、公共事業のあり方も含めての問題というものが提起されていると思います。起債許可というのはある意味では政策評価ということなのかどうかということについて、今までの、またこれからのあり方も含めた考え方をお聞きしたい。  そしてもう一つ。二点目。一たん失敗すると、自治省の権限で地方交付税を出すというようなことの中で後始末をしているというような非難があるわけなんですが、そういう意味で、この政策評価ということを組み入れてくるということは、起債のことや、あるいは地方交付税のばらまきと言うと言い方がいいかどうかはありますけれども、補てんをするというか、そういうことについてこれからどういうふうにすべきであるというふうにお考えでしょうか。
  78. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 起債の許可制度は、確かに許可という形でありますから、許可に当たって、当然事前に各事業ごとの評価をした上でという発想があるのかもしれません。ただ、今日まで、許可制度とはいうものの、実際には各自治体の自主性、自立性を最大限尊重していかなきゃいけないという角度の中で、今までの許可制度の運用については、いろいろ変遷がございますが、最近は特に、事業主体である地方公共団体がその事業の実施の必要性あるいはその事業の効果あるいは起債による財政に与える影響、こういったことについては、みずからが十分に検討していただいて、そして、議会のチェック、そういったことを経て、住民にも御説明をいただいて、その上で実施をしていただくというような形を最大限尊重しようということの中で運用をしてまいったわけであります。そういう点で、基本的に、この自主性、自立性を最大限尊重しようということでやってまいりました。  そこで、では実際に自治省がどういう角度からチェックしているのかといえば、一つは、何と申しましても、起債制限措置とか、これは財政指標等々によってかなり、一般基準といいますか、事前審査的なものよりも客観的な形による、ある意味では恣意性の入らないような形での運用をしてまいったというような経緯がありますので、それをもって事前の行政評価ということまで、そういう表現でくくれるかどうかについてはちょっと私もどうかなという思いはございますが、やはり自治体自身が自己責任において主体的に決定してもらうということは大事にしていきたいことだというふうに考えております。
  79. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今のお話の、恣意性が入らないということは、ある意味では、起債していい事業かどうかというのは、その事業の種類みたいなものについて認めるという、種類というかカテゴリーというか、そういうものについての判断であって、その内容自体に踏み込んでということではなかったと思うんですが、政策評価ということになると、これから、かなりそういう部分も含めて見るというか、今度は、自治体側にとってみると、そういう観点も含めて提出をしたり要望を出す、自治省の側も、分権ということを考えた上でも、しかし、内容的なものもある程度、カテゴリーだけでなくて踏み込んでいくということになろうかと思いますが、この辺は方向性としてはいかがでしょうか。
  80. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 個別の起債に関して、その事業の必要性、優先度等について直接的に自治省が事前に言及することは極力避けたいと実は考えております。やはり地方自治という自主性、自立性を最大限に尊重していく、特に、今後、許可制度から協議制度に移行しようということでございます。  ただ、全くかかわりがないかというと、実は、消化の側面で、自治体によって消化能力に差があります、財政力の差ももちろんあるわけですけれども。そういった点で、自治省として、あるいは政府資金なり、あるいは特に公営公庫の資金とかいうような形でバックアップをしていくというようなことは実はあります。  その際に、公営公庫についても、主体性を尊重はするのでありますが、この起債問題とは別途、第三セクターなりあるいは公営企業の経営のあり方などについて、より充実した自己チェックを要請してまいるというような形での、一般的なアプローチとしての手法になっていこうか。御相談があれば、それぞれの個別の問題を抱えた事柄についてより踏み込んだ相談に応ずる形で対応していきたいとは思いますが、積極的に自治省の方から踏み込んで個別の自治体にということは極力避けるべきではないか。ただし、財政再建団体になってしまうとかいうようなことになっていけば、またこれは別な話だと思っております。
  81. 太田昭宏

    太田(昭)委員 昨日も我が党の福島委員質問をしたと思いますけれども、そうすると、まさにその自治体自体の中の政策評価ということが次の課題として非常に大事になってくるというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。
  82. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 まことにそのとおりでありまして、まさにこの地方分権一括法によって地方の自治体の自主性、自立性がさらに今まで以上に高められるということになれば、おのずから自己規律という側面も要請をされるわけであります。  そういう点で、問題は、そのチェックを、みずからの規律ということと同時に、議会なり執行部そのものの自己規律と同時に、そういった情報公開なり、あるいは事前の住民からの意見をどのように受け入れて反映していくか、さまざまな手法というものが開発をされていくだろうというふうに考えておりまして、それらのことをぜひ、自治省としては、いろいろなところでこういうようなことをやっておられる、これは非常に成果を上げておられる、そういうような事例などをどんどんと情報交換をするように、我々も努力をして、助言あるいは勧告などという形を通じて、自己チェックシステムというものを充実していかれるように努力をしてまいりたいと思っております。
  83. 太田昭宏

    太田(昭)委員 これからの日本考えますと、経済も大事であることはさることながら、やはり科学技術立国という角度が非常に大事になるというふうに私は思います。  今回、内閣設置法案によると、総合科学技術会議は、総理のほか十四名以内の議員で構成されることになる。本会議が従来の科学技術会議を拡充強化するものという趣旨を勘案すれば、私は、可能な限り多様な分野から人選をすべきである、従来の科学技術会議とは一変したものにしなくては、幅の広い、そしてダイナミックなものにこれをしていくという角度が非常に大事であろう、こういうふうに思います。どのような分野から議員を選定しようと考えているか、お答えいただきたいと思います。
  84. 太田誠一

    太田国務大臣 総合科学技術会議は、内閣総理大臣を議長とし、内閣官房長官、科学技術政策担当大臣が置かれる場合には科学技術政策担当大臣、それからその他の関係国務大臣、関係する国の行政機関の長及び民間有識者を議員とするということになっております。  このうち、民間有識者たる議員の選任に当たりましては、科学技術は人文科学、社会科学及び自然科学にわたる広範な広がりを有するもので、大学、研究機関、産業界などの幅広い分野で推進されていることから、御指摘のとおり、多様な分野から人を得ることが必要と考えております。そのため、議員の総数の上限を十四名といたしております。経済財政諮問会議は十名でございます。それに対してこっちは十四名、余分にしております。有識者議員の数は議員総数の十分の五未満であってはならないというふうにいたしておりますので、議員の半数以上は有識者議員であるということでございます。そのようにして、今太田委員のおっしゃるとおり、十分に多様な分野から人材を集めるような枠組みといたしております。
  85. 太田昭宏

    太田(昭)委員 同じことなんですが、今度は事務局についても私は同じことが言えるのではないかと思うんです。「行政組織の内外から人材を登用する」と方針に書かれておりますけれども、その際、行政の内部及び外部ともに、議員と同様、可能な限り多様な分野の人材を集めることが事務局においても大事であると思いますが、この点は、確認しておきますが、いかがですか。
  86. 太田誠一

    太田国務大臣 総合科学技術会議の事務局機能は内閣府の科学技術政策に関する総合調整を担当する部門が担うこととしておりますが、科学技術が広範多岐にわたり、かつ、専門性を有することから、御指摘のとおり、総合科学技術会議の事務局には行政組織の内外から多様な人材を得ることが必要であります。  この点につきましては、中央省庁等改革推進に関する方針におきまして「企画立案及び総合調整機能が有効に発揮されるよう、内閣府の総合調整機能を担当する部門に行政組織の内外から人材を登用する」、そういうふうな、今回の中央省庁改革の一つの柱であります人材の弾力的な登用ということは、まさにこのことを考えて用意しております枠組みでございます。
  87. 太田昭宏

    太田(昭)委員 そのことについては確認をさせていただきましたが、同様に、行政の内部からの登用に関しては、この会議を、どの省でもない、内閣府に設置した趣旨が十分生かされるようにしていただきたいし、同様に、行政の外部からの登用に関しても、特定の行政分野とつながりが深いものというのではなくて、産学のできるだけ多様な分野からの登用をお願いしたい、このように思います。当然のようなことかもしれませんが、私は、これは幅広くやるという思想性をがっちり持たないといけないと思います。
  88. 太田誠一

    太田国務大臣 今の点は何度確認しても構わないぐらい大事なことでございます。  特定の省庁に何か偏るような人選があってはならない、あるいは、特定の分野に限るような既得権益的なことになってはならないというふうに考えております。
  89. 太田昭宏

    太田(昭)委員 そこで、何か具体的なイメージがもし人選等についてあればお聞かせいただきたいのですが、それはありますか、ありませんか。
  90. 太田誠一

    太田国務大臣 今のようなことで、決まった分野からそういう採用をしない、偏らない、弾力的にやろうということを確認しながら、太田委員も何かお気持ちをお持ちでしょうし、私もあるし、またそれぞれ考えていると思います。ぜひそれは、そのような原則どおりに運用されるように知恵を出し合ってまいりたいと思います。どうぞ、よろしくまた御指導ください。
  91. 太田昭宏

    太田(昭)委員 太田大臣と野田大臣お二人にお聞きをしたいのですが、この間、二十六日の新聞に、通産省のインフラ整備の提案ということで「「県単位」の弊害指摘」、こういうことが出ておりました。  それで、これはお考えを率直に述べていただいたら結構なんですが、私はかねてから、県単位ということはそれはいい、しかし、空港なら空港あるいは港湾なら港湾、国家としてグランドデザインをどうつくるかということが非常に大事だ、そこの頭脳がない。経済もそういうことが今回非常に心配されていて、諮問会議というものがどういう働きをするかということだし、今申し上げました総合科学技術会議というのもまさにそういう役割を果たさなくちゃいけないということで、バランスのとれた強いものが必要だ。  国のあり方としても、国のグランドデザインがあって、各県単位にみんな空港がある、箱物がある。そうしますと、どの県の空港も、便利のように思うかもしれないけれども便数が当然少なくなるから、めり張りをつけて、何々地方なら何々地方に大きなものが一つある、ハブ空港がある、ハブ港湾がある。そういうようなものに高速道路をどうつけるかとか、さまざまなものを、もっとグランドデザインをしっかりしないとだめだ。こういうことで通産省がインフラ整備の提案といって、「「県単位」の弊害指摘」という記事が出ていた。  私は、自分の今までの主張でありましたから大変結構だというふうに思います。今回の行革という論議の中で、道州制というかあるいは地域というか、ある意味では、今度は市町村単位が非常にきつくなっていて、地域戦略プランというようなものを初めて隣の市と協議しましたというようなこともあるわけですね。そういう意味では、ゾーンでくくったり、あるいは県を超えてくくったり、そういうくくり方の論議が本当は行革という論議の中ではあわせて行われなくてはならないというふうに思います。この辺については、大臣お二人はどういうお考えを持って取り組むか。これが今回抜け落ちていると思うのです。いかがでしょうか。
  92. 太田誠一

    太田国務大臣 私も、我が意を得たりという気持ちがいたします。  その中で、今度の省庁改革の中で、今おっしゃった問題は、一つはこういうこともあると思いますね。今の空港と高速道路の話でいえば、省庁が縦割りになっていたことが、それぞれの都道府県ごとに細かい事業をやって、優先順位をつけない。広い範囲で優先順位をつけることができるようにするということが、私は今の太田委員の主張にも結びついてこようかと思うわけであります。  今回は、縦割り行政をどうやって取っ払って、壁を取り払って、広い範囲で優先順位をつけていけるかということをやったわけでございますけれども、同時に、ブロックごとの、つまり都道府県の壁を取り払って、その中で広い範囲で優先順位をつけ整合性を図っていくということは、これからの重大な課題であるというふうに考えております。
  93. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 基本的に、太田委員の問題意識は共有をいたしております。  率直に申し上げて、大きな、言うならナショナルプロジェクトといいますか、そういうグランドデザインという中で、公共事業というよりも、むしろそういうハブ空港、ハブ港湾等々の拠点的な、国家的な立場から見て非常に大事だというものはきちんとした位置づけを行って、むしろ、地方自治というよりも国の責任で整備していく。そういう意味で、同じ公共事業の範疇の中であっても直轄事業とそうでないもの、ここのところのきちんとした仕分けをもう一遍やるべきではないか、これは私はそのとおりだと思います。  そこで、もう地方に任せていていい、国が一々そういうことまでくちばしを入れない方がいいという部分もたくさんあるわけですから、そこの峻別をしていくべきではないか。この点で若干、今までその辺が両者ともにあいまいになって、相互乗り入れ的なところがあって、責任体制もはっきりしないというようなことがあったのではないかという点について、それらの反省を踏まえてしっかりとしていかなきゃならぬ。これが第一点だと思っています。  それからいま一つ、地方自治体自身がやっていく場合にも、今御指摘ありましたように、市町村なり都道府県の区域を超えて、協力してやっていかなければならないテーマもいろいろあるわけです。これらについては、もちろん、広域連合なりいろいろなやり方で、自治体の区域を超えたそういう行政等についての自治体間の協力を深めていくということも一つの手法でございます。いま一つは、さらに、市町村の区域そのものあるいは行政単位そのものを、合併という形において、あるいは事務遂行能力のレベルアップというようなことをも含め、組織力、財政力の向上ということをも含めて、そういった事務執行体制を受け皿として強化していくということもまた必要である。そういう点で、今回の法案の中に市町村の合併支援のための法案も準備をさせていただいております。  なお、冒頭申し上げました直轄事業等公共事業の見直しに関連しては、第二次分権計画の中において言及もされておるわけでありまして、これからさらにその点について、より鮮明な区分けをして、重点的な役割分担をしていかなければいけないというふうに考えております。
  94. 太田昭宏

    太田(昭)委員 実は、行政書士の方からさまざまな不安がこの一年ぐらい寄せられておりまして、私も非常に懸念をしておりました。二つだけ申し上げます。  一つは、受験要件の廃止及び報酬を会則から外すことということがあるわけですが、これについてはいろいろ話をされたようでありますから、ぜひともその趣旨にのっとって、一人一人が心配なさっているということに対して慎重な対応をお願いしたいということを、まず要望とともに申し上げたいと思いますが、御答弁お願いします。
  95. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  今回の分権一括法の中に行政書士法改正がございますが、その中で、行政書士が受ける報酬の額を会則事項から除くことといたしておるところでございます。このことに関しまして一部の行政書士の方々が御懸念を表明されているということは、承知をいたしております。  この点に関しましては、一つは、現行制度下でも、会則に規定されている報酬の額も標準ということでございまして、拘束性のあるものではない。第二点目は、今回の改正で行政書士会等は、報酬額につきまして統計を作成して、それを公表するように努めるという旨の規定を設けることといたしておりまして、報酬額に関します情報提供が確保される、こういうことにいたしておりまして、改正の前後を通じまして、行政書士の業務に支障が生じることはない。御懸念は当たらないと考えておりますが、懸念を表明されている行政書士の方々を含めまして、国民の皆様に今回の改正の趣旨を十分に御理解いただけるように、引き続き御説明など努力をさせていただきたいと思います。
  96. 太田昭宏

    太田(昭)委員 理解をしようと努力をしていると思うんですね。その不安をとにかくなくせということで、努力しますと一言だけで結構ですから。
  97. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 今局長が申し上げました。引き続いて、行政書士の皆さんの不満を取り除くことができるように努力をいたします。
  98. 太田昭宏

    太田(昭)委員 不満というふうに聞こえましたが、不安ですね。(野田(毅)国務大臣「不安」と呼ぶ)不安ですね。それで結構です。  行政書士の人が、業務独占のあり方を十年度以降に検討を開始するということに対して不安を持っているということがもう一点あります。その中には、行政書士の方々が、実は町の法律家として頑張ってきているとか、本当にその仕事はさまざまな、陸運関係から、多様性、専門性に富んでいて、建設事業から、入管から、さまざまなものをやっていて、本当に、町の法律の専門家として非常に大事な、コミュニティーのかなめのようなことをやっていることは事実なんです。  そういう仕事をしておりますよ、大事な仕事なんですよ、この人たちは地域においても貴重なんですよという物の考え方がしっかり確立されて、その上で検討をするならするということが大事であろうというふうに私は思いますが、今後の、検討という方向について、どのように進められていくかということについてお答えをいただきたいと思います。
  99. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  行政書士の方の行われている業務は、今先生御指摘のようなお仕事をされているわけでございますが、ことしの三月に閣議決定されました規制緩和推進三カ年計画改定版、これでは、公的資格制度全般につきまして、「業務独占規定、資格要件、業務範囲等の資格制度の在り方を見直し、その結果に基づき計画期間内に所要の措置を行う。」こととされております。また、行政書士の業務独占のあり方につきましては、「他の資格制度の業務独占に係る議論の動向を踏まえつつ、引き続き検討を進める。」というふうにされております。今後、規制改革委員会におきまして、資格制度につきまして横断的な検討が行われることになっております。  自治省といたしましては、同委員会の検討を注視しつつ、行政書士の業務独占のあり方について検討してまいる考えでございます。委員指摘のとおり、業務独占の廃止は多大な社会的影響を伴うものでございますので、行政書士の業務独占のあり方につきましては、他の資格制度の業務独占に係る議論の動向を踏まえながら、慎重に検討を進めることが必要である、このように考えております。
  100. 太田昭宏

    太田(昭)委員 最後になりますが、私が先ほどから申し上げておりますように、行政書士の方々が非常に住民との信頼関係とかいうことの中で今日まで仕事をされてきたという、そこを十分に配慮して、慎重にも慎重の上に、その位置を明確に認識された上での検討を重ねて要望しますから、簡単で結構ですからお答えください。
  101. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 行政書士の皆さんが地域社会において果たしてこられた役割、今日において果たしておられる役割、太田委員の御指摘のとおりでございまして、今御指摘になられましたことを十分念頭に置き、肝に銘じて、その上で検討をいたしたいと思います。
  102. 太田昭宏

    太田(昭)委員 終わります。
  103. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、若松謙維君の質疑に入ります。
  104. 若松謙維

    ○若松委員 太田委員の関連質問で、引き続き質問をさせていただきます。  地方事務官、これについて、また私の立場から質問させていただきます。  この問題については、与党の立場から伊吹文明君、野党の立場から石田幸四郎君、伊藤忠治君、そして桝屋敬悟君、こういう四人の方が既にこの委員会議論されております。きょうは一般ということですので、やや細かくなりますけれども、現在の地方事務官制度の廃止ということで、特に社会保険庁職員の九五%以上の方が、ぜひ地方公務員にしてほしい、そういう要望がございます。あわせて、特に地方公務員のさまざまな方が中心となって、今百十万人の署名が集まったということで、日本国民の約一%、それがこの地方事務官制度の廃止ということで、大変重要な問題となっております。そういった観点から、改めて質問させていただきたいと思います。  まず最初に、自治大臣にお伺いします。  いわゆる機関委任事務廃止後、厚生省の社会保険関係事務と労働省の職業安定関係事務、これは国の直接執行事務となるわけですけれども、御存じのこのことは、地方分権推進の方向に反することにならないか、法定受託事務としなかったのはなぜか、お聞きしたいんですけれども、いかがですか。
  105. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 地方事務官制度につきましては、これまで、地方公共団体の関係者も含めて、長い間議論をされてきた課題でございます。今回、地方分権推進委員会の勧告を受けて改正を行うわけであります。これまで機関委任事務として処理されてきた事務でありましても、国と地方公共団体の役割分担の原則から見て、国の役割に属し、かつその事務の性格や事務処理の現状から見て、国が直接執行することがふさわしい事務については国が直接執行すべきものと考えられてもおるわけでございます。  この点で、社会保険関係事務については、国が経営責任を負う事業として、財政収支の均衡確保の観点や効率的な事業運営の確保の観点から、また職業安定関係事務については、国の組織の内部管理の観点から、それぞれ国の直接執行事務と整理をされたわけであります。  したがって、地方公共団体の事務ではないということで整理されたものですから、法定受託事務ということも、もちろんそういうことにもならないということになったわけであります。
  106. 若松謙維

    ○若松委員 今の御説明ですけれども、それでは、まさに地方の、特に社会保険庁などは、いわゆる都道府県の公務員と一緒に勤務する場面も出てくる、そんな状況ですね。  地方事務官について、これも自治大臣にお伺いしますけれども、全国知事会等の六地方団体、これが、先ほどの社会保険関係事務、これを国民の利便、効率性の観点から、都道府県の法定受託事務とし、その事務は地方公務員が処理する、労働省関係の職業安定関係事務ですけれども、これは雇用対策等地域性の強い事務で、現在、機関委任事務とされているものは自治事務とすべき、こう主張しておりまして、その方が地方分権趣旨に沿って、現場の声を反映することになるんじゃないか、私もそういう意見には賛成できるわけです。  再度お聞きしますけれども、そういう御主張もありながら、今回のこの社会保険関係事務、職業安定関係事務、いずれも国の直接執行事務に至った経緯について、そういった地方自治団体とのやりとりの中があったのか。また、どういった焦点があって、結果的にこういう結論になったのか、それについてお伺いいたしたいと思います。
  107. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 経緯のことでございますので、事務方から報告をいたさせます。
  108. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  地方事務官制度につきましては、今お話しのように地方団体の関係者からの御意見もあったわけでございます。  この問題につきましては、地方分権推進委員会におかれまして、お話しの地方公共団体の関係者から、あるいは関係の職員団体から、あるいは学識経験者の方から幅広く意見聴取も行われまして検討が行われたわけでございます。それで、基本的には、先ほど大臣からお話ししました考え方で国の直接執行事務とされたことでございます。
  109. 若松謙維

    ○若松委員 そのときに、地方団体、何らかのやはり反論的なものはあったと思うんですけれども、それの代表的なものを紹介していただけますか。
  110. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  地方分権委員会から地方団体の関係者に対しまして、例えば、現在地方事務官が行っている事務を法定受託事務として地方公務員が実施することとした場合のメリットは何か、また、国の直接執行事務として国家公務員が実施することとした場合の支障は何か、それから、現在の地方事務官が地方公務員となることに対する抵抗感はどうか、社会保険事務所の職員の専門性の確保はどうかといったことなどにつきましてその論点が示されまして、地方団体からヒアリングが行われた、このように聞いております。
  111. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、具体的に厚生大臣、何か四十五分までということですので最初に、労働大臣、恐縮ですがお待ちいただいて、厚生大臣からやらせていただきます。  社会保険行政、これが国の直接執行事務とした場合、やはり具体的な問題点というんですか、それはさまざまな方から指摘されております。それを、ちょっと時間がないので要約して一挙に質問してしまいますけれども、まず四点質問させていただきます。  具体的な問題点ということで、まず一点は、住民サービスが低下するということですね。全国三千三百の自治体での行政窓口が今行われているわけですけれども、それが全国三百十の社会保険事務所へ縮小されることですので、当然、市役所が遠くなると同じように、いわゆる年金受給者等の相談窓口が遠ざかる、これが一点です。  二点目が、二重行政が拡大する。これは、住民情報や所得情報を持っている市区町村との連携が当然断たれるわけです。これにつきましては、例えば二十歳到達者の把握、これについてやはり地方自治体、市町村が把握しているわけで、それをまた別な形で把握しなくちゃいけないというむだですね。そういうことで、社会保険の適用また納付案内、こういったところを社会保険事務所だけでは対応できないのではないか。これが二点目の問題点です。  三点目としては、年金制度の崩壊を招くのではないか。これも先ほどの、例えば住民の移動等があって果たして、今でも未加入者が約百五十八万人、未納者が百七十二万人、免除者が三百三十四万人、計六百六十四万人ですけれども、いわゆる加入すべき対象者の三分の一が納めていないということで、それが今自治体の、ある意味で市町村の努力でかなり、その三分の一を減らそうもしくは拡大しないという努力がなされているわけです。それが、先ほどの三百十の社会保険事務所に縮小されると、これは必ず今の制度で未加入者もしくは未納者、これがふえると思うんです。ふえたら、今回の社会保険庁を国の直接執行事務にしたというのは明確な戦略ミスだと私は思います。それが三点目の問題点です。  四つ目といたしましては、省庁のスリム化に反するのではないか。これは、国の直接執行事務とすることによりまして、地方事務官を総定員法に繰り入れ、市町村との連携を断ち切って行政執行することとなれば、新たな国家公務員の増員と機構の増設を伴うこととなる、こういった指摘もなされております。  これは何を言うかといいますと、昭和三十六年の国民年金制度創設に当たりまして、現在一万数千人前後の社会保険庁の職員によって行われているわけですけれども、そのときは、数万人必要だとかそういう議論になっております。またそういう議論が蒸し返されると一挙に職員の増加が、かえって独立することによって助長される、そういう懸念があります。そういった懸念についてどう対処されますか。
  112. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 それでは、今の四点につきましてお答え申し上げます。  住民サービスの低下ということでございますけれども、社会保険事務所では厚生年金と船員保険それから政管健保をやっておりまして、これはそのとおり実施されてまいります。今、委員の御指摘国民年金に関することだと存じますけれども国民年金は今まで機関委任事務でございましたが、法定受託事務として位置づけておりますので、依然として同じように業務を遂行していただくということでございます。  それから二番目は、二重行政の拡大ではないかということでございますが、地域住民の動向等を把握する住民基本台帳等は当然市町村が管理しておられますので、その情報等は、当然二十歳になったら私どもとして把握しなければなりませんが、これは情報提供していただかないと、かのうことではありません。  そこで、今回国民年金法の改正も同時に御提案申し上げておりますが、これは、国と地方公共団体という関係でなしに、国と医療保険者との関係の規定を設けまして情報提供をお願いしてございますが、これは国民健康保険それから健保組合、共済等に情報提供をお願いする規定を設けましてそこは補強してございますから、従来と変わりないというように私ども理解をいたしております。  それから、年金制度の崩壊という点でございますが、確かに二千万人の加入者の中で六百万人程度、そのうちの三百万人程度は免除者でございますから、これは市町村民税の非課税の者ばかりで構成される世帯等々を免除世帯としておりますから、これはもう当然形式的に決まってまいりますが、未加入者と未納者、この問題につきましても法定受託事務として位置づけておりますから、三千三百の市町村で従来と同様に法定受託事務として実行していただくということになっておりますので、この点も、別個、未納者あるいは未加入者解消の努力はいたさなければなりませんが、基本的には従来と変わりはないということでございます。  それから、省庁のスリム化に反するのではないかという点でありますが、確かに委員のおっしゃるとおり総定員法には入っておりませんが、国家公務員なんですね。給料も、人件費、それから国家公務員法の適用もございますし、任命その他も全部国がやっております。ただ違うのは、知事に指揮監督権限だけ与えておりまして、実態は国家公務員だという実態がございますので、私どもとしては、これが地方事務官制度を廃止して国家公務員になったとしても、国家公務員の定員の中に今入っているわけですから、総定員法にだけは入っていないということです。ですから、別に国家公務員はこれによって増加するものではございません。  そんなことで、むしろ、これから社会保険業務等が非常に増嵩していくことが予想されますから、合理化とか効率化を図る必要もございます。あるいは、電算化を進めるというようなこともございますから、余り厚生年金なんかを各地方公共団体に法定事務として固定化してまいりますと、全国的な統一的な運営を害するのではないかとも思いまして、私ども先ほど自治大臣の言ったように、国の事務として一体的に運営する、あるいは経営責任を負うという立場であることを申し上げさせていただきます。
  113. 若松謙維

    ○若松委員 厚生大臣にあと二点お聞きしたいのです。まず低所得者に係る申請免除の取り扱いについてですけれども、現在、いわゆる市区町村、ここでは所得情報を活用して前年度免除者、約九一・二%への指導を行っておりまして、また届け出のあった免除申請の補正、四四・三%を行っている。いわゆる検認率を上げるためだけではなくて、年金権を確保させるための、市区町村という住民の身近な役所としての行政サービスを行っているということでお伺いしたいのです。  これまで、市区町村での所得情報を活用しての免除申請の手続が行われておりますが、では先ほどの前年度免除者、九一・二%に対する社会保険事務所からの指導というのは、今後どのように行われますか。
  114. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 前年度の免除者を今年度どうチェックするかということでございますが、これは年々チェックをしていかなければなりませんので、社会保険事務所として市町村を指導してお願いを申し上げるということになろうかと思います。  なお、その具体的な手続等について、もしかお尋ねでございますれば、社会保険庁の次長が参っておりますから、お答え申し上げます。
  115. 若松謙維

    ○若松委員 では、わかりました。厚生大臣、どうぞ、所用がおありですから、お出かけください。  それで、労働大臣にお伺いいたします。  今回のいわゆる職安の事務、これを法定受託、それについて、具体的にではどういった問題点が現場で懸念されているかということをお話しして、お答えいただきたいのですけれども、職業安定行政を国の直接執行事務とした場合の具体的な問題点、三点お聞きいたします。  まず一点は、国にすることによって、雇用政策が国と地方で分断され、二重行政となり、行政の後退をもたらすのではないか、これが一点です。二点目は、雇用者や障害者の雇用促進など、地域性の強い事務が国の直接執行事務となることにより、施策の有効性が十分に達成されない。三点目が、地方労働局設置は、行政水準と行政効果が低下する一方で、いわゆる国の行政機構の肥大化等、中央官僚の権益拡大のみ生ずるおそれがある。こういった具体的な問題点を指摘しているわけですけれども、ぜひとも労働大臣から、この点について、なぜ地方公務員ではいけないのか、また住民のニーズに対してどう対応していくかについてお答えいただきたいと思います。
  116. 甘利明

    ○甘利国務大臣 お答えいたします。  現場の雇用政策を担当しております職業安定所の職員は、今までも国家公務員であります。そして、これからも国家公務員の体制で行くということにさせていただいているわけであります。  雇用政策で国と地方の分断にならないか。これは、恐らく先生の御指摘は、本省があって現場があって、その中間の部分が地方事務官として県の組織内に入っているというか、国家公務員であって組織上県に組み込まれている。そうすると、県との職業安定政策が一体にできたのに、そこが離れてしまうと分断しないかという御指摘だと思います。  その点につきまして、県が独自の雇用政策、あるいはそれを支援する政策も当然やってきたわけでありますから、そことの連携は雇用対策法の改正、一括法に入っておりますが、そこで地方自治体は国と呼応して政策をつくってほしい、そして地方自治体は国と連携をして進めてほしいということで、連携が分断されるようなことがないように、先生の御不安が払拭されるように対処しているつもりであります。  それから、雇用者、障害者雇用等々、地域性が非常に大事だということでありまして、これは最初のお答えと同じように、地域と連携をしてやっていきますよということでお答えになるかと思っておりますが、今回の雇用対策の中でも、ブロックごとに、あるいは県単位で情報を使用者側、雇用者側あるいは行政側で交換していく、そういう体制はとれないかということも議論をさせていただいておりますし、それはいろいろな枠組みができるかと思います。  それから、地方労働局の設置をすると行政の肥大化にならないか。これは県単位でいいますと、県の基準局がありまして、県というのは国なのですけれども、県に所在する取りまとめとしての基準局がある。神奈川県でいえば神奈川労働基準局というのがある。それから女性少年室というのが、国の県ごとに配置をする部署がある。それと、あとこれは県の知事の指揮下に入っておりますが、職業安定課というのがある。これを三つをまとめて、行政効率を上げながら、なおかつ行政サービスが落ちないようにしていこうという非常な工夫がなされていると理解をしておりまして、そういう体制で先生の各種の御懸念が払拭されるように取り組んでいきたいと思っております。
  117. 若松謙維

    ○若松委員 では、あと十分強となりましたので、地方財政について質問をさせていただきます。  どうぞ、労働大臣、お仕事にお戻りください。  それでは、これは自治大臣にお伺いしたいと思います。  今回の地方分権、どちらかというと行政手続、事務の地方分権という面が大だったと思います。そういうことで、いわゆる諸井委員会、そこは財源は触れないということで、これについては公明党・改革クラブとして、昨年の十二月十一日、小渕総理大臣に対して、改めてこういう要望書を提出いたしました。「国と地方の税財源の抜本的見直しを避けて真の地方分権行政改革の達成はあり得ない。このため行政改革会議と同格の構成人員と権限を有する首相直属機関「地方行財政改革会議」(仮称)を次期通常国会中に設置し、二〇〇〇年一月一日までに地方行財政改革に関する最終答申を得るものとする」、これを要望いたしました。  このときには要望事項が七つあったのですけれども、六つはいろいろな形でかなり反映していただきました。しかし、この七つ目は全く触れていただいておりません。そういう状況で、恐らく自治大臣もかなりそれについて強い問題意識また懸念も持たれていると思いますけれども自治大臣のお考えとして、これは総理が結論することだと思うんですけれども先ほどどもが言うような首相直属機関の、いわゆる地方の行財政を一体的に改革する会議体がやはり必要だ、そういう認識はお持ちですか。
  118. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 真剣に地方の自主性、自立性を保障していこうということであれば、おのずから、権限の見直し、役割分担の見直しということのみならず、それを裏づける財源の見直しということが伴わなければ意味がないということは、私はそのとおりだと思っています。  ただ、具体的にそれをどういうところで勉強していくかという点について、今御指摘の総理直属の行財政改革会議ですか、一つの御提案として受けとめておりますが、今現在、特に税制については政府税調というものがございますし、特に地方制度ということに関してはまた地方制度調査会ということもこれあり、そしてまた現在地方分権推進委員会というものがれっきとして存在もいたしておるという中で、率直に申し上げて、今、いろいろなその種の審議会等々が並行してあれば、今度はその調整をどうするかという話になりかねない。  私は、率直に申し上げて、現在ある地方分権推進委員会、来年七月まででございます。そういう点で、これから後これをどういうふうに、この任務を続けていただくのかどうするのか、テーマはどうするのかというようなことなどを含めて、検討させていただきたいというふうに考えております。  いずれにしても、これから、地方のまさに財政における自主性を担保するための制度改革というものに真剣に取り組んでいかなければならないのは御指摘のとおりでございまして、第二次分権計画におきまして、直轄事業の見直しだとか、あるいは補助金等の見直しだとかということも触れておりますが、やはりそれだけではなくて、税財源に踏み込んだ形での検討をしなければならないと考えております。
  119. 若松謙維

    ○若松委員 太田総務長官にもお伺いします。  今自治大臣の方からも、来年七月一日以降ですか、今の諸井委員会はなくなるということで、それ以降どうするか検討していきたいというお話でしたけれども、私どもとしても、地方の行財政一体とした改革のフレームワークを総理のリーダーシップで進めていただきたい。そのために総務長官にもぜひ御尽力いただきたいわけですけれども、いかがでしょうか。
  120. 太田誠一

    太田国務大臣 私も、今のような観点から、さらに地方分権あるいは行政改革推進されるように努力をいたしたいと思います。
  121. 若松謙維

    ○若松委員 それで、地方財政について、もうちょっと突っ込んで質問させていただきます。  まず、私どもの問題意識なんですけれども、これはもう野田大臣は大変、財投とか、かなり詳しい専門家でございます。私どもの問題点は、いわゆる二十一世紀初頭、日本経済社会が直面する最も大きな課題は、財政のシステミックリスクの顕在化であると考えております。  それは、国債や地方債など財政の赤字額が累積して、六百兆円を超える明示された公的債務が存在することの危機ではありません。何かというと、戦後形成してきた日本財政の制度自体が維持困難となり、国、地方自治体を通じたキャッシュフローの問題が深刻化することを意味しております。恐らく、かなり共有していただけると思います。今回の分権議論で焦点とされなかった税財源、そして財政投融資の面から、国と地方の姿を再検討することが早急の課題にならざるを得ないと思いますね。  そういうことで、少なくとも今は実質上マイナス成長ですから、いわゆる従来の右肩上がりの、財投を中心とした、地方自治体の赤字または国債等はすべて国が受け持つということ自体に対してのシステミックリスクがあるわけですから、そういうリスクを認識した上で、では今後、地方財政をどう考えていかなくちゃいけないのか。  特に、今の赤字団体ですか、県においては四つの予備軍ですよね。また、赤池町ですか、そういったところも具体的に再建団体になっています。これはやはりふえていかざるを得ない状況だと思うのですね。それに対してはどう対処していかなくちゃならないのか。もし御見解がありましたら、お願いいたします。
  122. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 現在の地方財政の状況は、マクロとしても、それから個別の自治体にとっても、大変厳しい状況にあるということは御指摘のとおりでございまして、赤字団体がふえるとか、あるいは財政再建団体になったところも実はございますが、その種のことも御指摘のとおりであります。  もう一つは、地方財政全体として、個別の自治体の財政に悪影響を及ぼすのも極力最小限に食いとめなければならないということで、交付税特会において借入金をして、そして一般財源として各自治体に交付をしている、こういう形がございます。マクロとしての地方財政も、トータルとして百七十六兆に上る借金残高ということに実はなったわけでありまして、そういう点で、今後これをどういうふうに乗り越えてやっていくか、そして必要な行政需要にどうこたえていくかということは、文字どおり、御指摘のとおり、二十一世紀に向けて最大課題の一つであると考えております。  そこで、もちろん、それぞれの自治体において行財政改革努力にさらに真剣に取り組んでいただくということはもとよりのことではありますけれども、それを超えたいろいろな困難な事柄があるわけでございます。そういう点で、この分権の推進ということに伴って、制度として、システム的に、地方税の世界あるいは交付税の仕組み方、補助金のあり方などを含めて、それぞれ、税財源の配分ということにまで踏み込んだ改革にどうしても立ち向かわなければならないというふうに考えております。  時間の関係上、いろいろ申し上げればちょっと時間を食いますので、実に総論的なことで恐縮ですが、そのように考えております。
  123. 若松謙維

    ○若松委員 では、太田長官にお聞きしたいんですけれども、ちょっとこれは質問通告をしておりません。  今たしか、税調というのがありまして、税調はどっちかというと歳入面なんですね。ところが、歳出の方のまたいわゆる調査会も、制度調査会ございますよね。これは別々に議論していたのでは、先ほどのシステミックリスクに対応できないんじゃないかと思うのですね。  ですから、この調査会を、これは例えば税制にしろ、いわゆる行政のあり方に対して非常に重要な調査会です。この二つを一体化するということは、今やらなければいけない、特にこのシステミックリスクに対して乗り越えなくちゃいけない重要な施策だと思うのですけれども長官、どういうお考えですか。
  124. 太田誠一

    太田国務大臣 今おっしゃった点は、私も日ごろから感じております。  ただ、今回の中央省庁改革では、いわゆる審議会の整理統合について全体を扱いましたので、一つ一つのことについて十分検討をしていないわけでございます。問題点は確かにそのとおりあると承知しております。
  125. 若松謙維

    ○若松委員 最後に、野田大臣にお聞きしますけれども、済みません、これも質問通告していなくて。  今言ったような国と地方自治体の、特に財政という面からのシステミックリスク、それを、先ほどどもは地方行財政改革会議なり、もし既存の調査会なりあればうまく統合してそれに対処する審議体というかにしていきたいわけですけれども、今どういう改革ができて、システミックリスクに対応するためには何が欠けているか。率直な御意見をいただければ、最後の質問とさせていただきたいと思います。
  126. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 財政の再建といいますか、システミックリスクをどう乗り越えていくかということについて、いろいろな切り口があろうかと思います。しかし、これはあくまで経済ということを切り離して財政の再建はあり得ないわけであります。  そこで、経済という問題であれば経済審議会であったり、税という問題であれば税制調査会であったり、御指摘のとおり、財政支出であれば財政審議会。さらに加えて社会保障、特に今日の経済動向等、社会保険のあり方の問題、事実上強制徴収の世界ですから、税と実質的に経済効果は何ら変わらない側面も実はあるわけです。  そういう点で、各分野における専門的な検討はそれぞれの調査会なり審議会があっていいと思いますが、トータルとしての日本経済全体をどのように展開をしていくのか、財政、税制をどのように、あるいは社会保障、保険を含めた形の中でどのように展開していくかということが、総合的に検討していかなければならないテーマであると思っておりまして、ただいまの若松委員の御指摘は本質をついた御指摘であり、この点は早急に取り組んでいかなければならない課題であると考えております。
  127. 若松謙維

    ○若松委員 時間が来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
  128. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十四分開議
  129. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤田幸久君。
  130. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 民主党の藤田幸久でございます。  きょうは、中央省庁改革法案の中で防衛庁設置法につきまして、主に防衛庁長官にいろいろと御質問をさせていただきたいと思っております。  今回の中央省庁等改革のための法律案の第十二条におきまして、防衛庁設置法の改正について規定をされております。その中で、調達実施本部、調本の廃止と、従来の調本の業務を二分割して、原価計算部門を内局に統合し、契約部門を新設の契約本部にゆだねる旨の改正案が示されております。したがいまして、今回のこの改正は調達実施本部の解体だけになっておりますけれども、果たしてこれで防衛庁の不透明な体質は改善するんだろうかということに大いに疑問を覚えるわけでございます。  と申しますのは、問題の所在は、むしろ技術研究本部あるいは陸海空の各幕僚監部によるいろいろな問題にあるのではないか。それで、今回の法案ではこういった組織については手がつけられていない、そういったことでは極めて問題があるのではないかというふうに思っておりますけれども、このことについて、まず防衛庁長官からお伺いをいたしたいと思います。
  131. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 防衛庁は、昨年の防衛調達にかかわる一連の不祥事を厳粛に受けとめまして、防衛調達における透明性、公正性を確保し、同種事件の再発を未然に防止するため、去る四月二日に「調達改革の具体的措置」を取りまとめたところでありますが、これは調達制度の改革、調達機構等の改革及び自衛隊員の再就職のあり方の見直しの三つの施策から成り立っているところであります。  このうち、ただいまお話のありました調達機構等の改革については、調本の原価計算部門と契約部門の相互牽制が十分機能しなかった等の問題点を踏まえまして、調達実施本部の廃止及び原価計算部門の内部部局への吸収の措置をとることとし、今般の中央省庁改革関連法案に盛り込んだところでございます。  一方、調達制度の改革及び自衛隊員の再就職のあり方の見直しにつきましては、調本のみならず、各自衛隊、技術研究本部等防衛庁全般にまたがる問題と認識しており、このような認識を踏まえて、供給ソースの多様化の追求等競争原理の強化等の調達制度の改革施策については、防衛庁の全機関で推進することとしたところであります。  また、自衛隊員の再就職のあり方の見直しについては、自衛隊法の改正案を国会提出するなど、必要な措置に努めているところであります。  防衛庁としては、職員一人一人が防衛庁を再生するという前向きの意識で意識改革を行い、調本のみならず、内局、技本、各幕等が一丸となって改革の具体化施策に取り組んでいるところでありまして、二十一世紀に向けた新しい防衛調達システムを構築し、国民の信頼を早急に回復してまいらなければいけない、こういうふうに努力しているところでございます。
  132. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 私の質問に余り答えていない感じでございまして、つまり意識改革とか競争原理とか抽象的なことでございまして、組織そのものに関しましては、技本とか、それからいわゆる幕と言われる陸海空について、余りあるいはほとんど組織としての改革には手がつけられていない。  実際に、調達本部というのは、ある意味ではわき役といいますか、川で言えば川下のような存在でございまして、調達要求を受ける、いわばその事務窓口でございまして、装備品の決定権というのは技本とかあるいは陸海空といった幕僚監部が握っておるわけですね。したがって、そちらに手をつけないというこの改革案では極めて不十分だと思いますが、その点、簡単に、簡潔に長官からお答えいただきたいと思います。
  133. 及川耕造

    ○及川政府委員 今回の問題の背景等が、調本を中心に起きましたこと、並びに内局のチェック体制が不十分であったという反省を踏まえまして、今回の省庁改革等の関連法案で私どもの改革を申し上げているところでございます。  ただいま大臣お話し申し上げましたように、この調達制度の改革あるいは自衛隊員の再就職のあり方等を踏まえまして、調本のみならず、各自衛隊、技本、全般にわたる問題として改革を進めたい、こういう体制を全省庁挙げて取り組む、こういうことにいたしているところでございます。
  134. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 本来は、今の質問長官が答えるべき質問、つまり防衛庁全体の問題でございますので、装備局長、つまり川下での調達の問題ではないわけでございますので、長官からお答えがいただけないということ自体が、非常に、防衛庁全体のこの組織改革に関する姿勢の欠如ではないかというふうに思っております。  「調達改革の具体的措置」というのが四月二日に出ておりますけれども、例えば第三者による調達業務の監視機関の設置等が今回の法案に盛り込まれておりません。それから、調達適正化会議というものが四月から設置されておりますけれども、現在まで二、三回会合が開かれた程度で、一体どこまで実質的に機能しているのか非常に疑わしい。この点について、長官、その具体的措置というもの、具体的になぜ盛り込まれておらないのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  135. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 第三者によります監視体制につきましては、本年四月二日に防衛庁が取りまとめて公表した「調達改革の具体的措置」において、防衛装備品の調達に係る業務処理の基準等について審議を行う機能を担わせ、中央省庁等改革に合わせ、例えば防衛調達審査会といった形で設置する方向を検討することとしております。  また他方、防衛調達に係る透明性、公正性の向上を図るために、第三者による監視体制を可及的速やかに整備する必要があることから、当面の措置としまして、調達等に関する高い専門知識を有する大学教授、弁護士、公認会計士等、部外有識者の参集を求め、防衛庁長官の私的懇談会として防衛調達適正化会議を本年四月から開催し、実質的に第三者による監視体制をスタートさせたところであります。  防衛調達適正化会議については、御指摘のように、現在まで二回開催いたしました。米国とか、日本との対比を含めた調達制度の概要や調達実務の流れ、四社事案の経緯等について防衛庁側から説明している段階ではございますが、これに関して、メンバーの方々からは、まことに率直で活発な意見が述べられている状況にあり、第三者による監視体制は実質的に機能しているものと考えているところでございます。
  136. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 何か抽象的なお答えばかりで、私の質問を繰り返し反復されたような答えでございますので、甚だ不満ではございますけれども、時間の関係で、もっと具体的な質問に移ってまいりたいと思います。  委員長の御了解をいただきまして、資料をお配りさせていただきたいと思います。  なぜ私が技術本部あるいは陸海空の幕僚監部の重要性を申し上げるかといいますと、例えば技術本部の予算ですけれども、九八年度は調達本部の二十三倍に当たる千四百二十九億円という数字が出ております。つまり、調達本部よりもいわば川上にある技術本部の方が権力もそれから決定権もはるかに多いというわけでございます。  それで、この技術本部におきまして、いろいろな研究試作あるいは開発試作というものが頻繁に行われておるわけですけれども、そういった研究試作あるいは開発試作について、性能を確認する性能確認試験で今まで不成功というふうに終わった研究試作品は全然ない、つまり、研究試作として行ったものは全部合格品である、何十年にわたって。そういうふうに聞いておりますけれども、それが事実であるかどうか、確認をしていただきたいと思います。
  137. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  これまでの装備品のうち、開発試作につきましては、性能確認試験において最終的に要求性能の一部を満足しなかったものは二件ございます。
  138. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それは、合計何件に対する二件でしょうか。それから、何年間にわたって、合計何件に対する二件でしょうか。
  139. 及川耕造

    ○及川政府委員 恐縮でございます。手元にそのトータルがございません。後ほど先生にお答え申し上げたいと思います。
  140. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 少なくとも通告していたわけでしょう。それで、合計、何年にわたって二件ですか。
  141. 及川耕造

    ○及川政府委員 昭和四十九年から平成九年度までを調べてみました。
  142. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ということは、昭和四十九年から平成九年ですから、もう数十年にわたり、何千か何万かわかりませんけれども、それに対して二件しか不成功に終わったものはないということですけれども、差し支えない範囲で、二件というのはどういう失敗例でしょうか、その内容についても簡潔に答えてください。
  143. 及川耕造

    ○及川政府委員 一つは、てき弾銃及び同弾薬というものでございまして、これについては、まさに要求性能の一部が満足されなかったものでございます。いま一つは、水上自走標的と申しますけれども、これも要求の性能が一部満足されなかったものでございます。  ちょっと細かい点、今確認をいたしますので。
  144. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 とにかく、何十年にわたって、本当にごく一部のそういう不良品が見つかったというだけで、あとはすべて満足されるような結果に試験が終わったというふうに技本の統計上はなっているのだろうと思うのです。  それで、実は、ちょっと具体的な話ですが、資料をお配りしておりますけれども、絵のようなものが出ていますが、これは将来機雷用複合センサーというもので、いわば機雷そのものでございまして、いろいろな艦船に対しまして、水中に敷設したセンサーで得た艦艇や潜水艦のいろいろな磁気や音の変化を、無線でデータ収録を積んだ計測艦に送るというシステムでございます。  これは、試作品は、メーカーが九一年度末に約五億四千万円、九二年末に五億九百六十万円の価格で二回に分けて納入した。データを転送する無線受信機というものを使ってデータを計測したということになっておりますけれども、この将来機雷用複合センサーというものが合格に終わったという技術報告書というものが存在するはずでございます。  これは平成二年から三年にかけて、先ほど申しましたように約十億円かかっているわけですけれども、その成功したという技術報告書が存在し、どういう内容であるかということについて、お答えをいただきたいと思います。
  145. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの将来機雷用複合センサーは、御指摘のとおり平成二年度から三年度に技本において研究試作されまして、平成六年度までに性能確認試験が実施されたものでございます。試作品につきましては、性能確認試験終了後、引き続き本研究試作で得られましたデータ等をもとに実施されました所内研究とあわせて、平成九年八月に技術研究本部長に技術報告が行われております。  その具体的な成果等につきましては、五種類の異なる艦種、掃海艇、掃海母艦、輸送艦、輸送艇、護衛艦に対しまして、複合センサーから見た船体シグネチャー、いわゆる磁気、音響、水圧、振動の時系列的な同時観測を行い、得た計測データをもとに分析を行った、こういうことでございます。
  146. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今、局長が早く言われましたので一見そのような報告書があったように聞こえますが、今、所内研究を含めという話でございましたけれども、つまり、所内研究というのは平成二年から三年度にかけて十億円を使った、そして研究試作された将来機雷用複合センサーの報告書ではございませんね。
  147. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、平成七年九月ごろの予定でございました確認試験終了後のデータに関する報告書はございません。
  148. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 したがって、確認試験前の報告書、つまり技術報告書は存在しないわけですね。
  149. 及川耕造

    ○及川政府委員 確認試験後の報告書というのはございません。
  150. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 確認試験をしたものは技術報告書をつくらなければいけないという義務があるのではないでしょうか。
  151. 及川耕造

    ○及川政府委員 原則としてつくることになっております。
  152. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 原則とおっしゃいますが、これは六カ月以内につくらなければいけないという作成義務があるんじゃないですか。
  153. 及川耕造

    ○及川政府委員 特段の事情のない限り、御指摘のとおりでございます。
  154. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 特段の事情がない限りということですが、報告書がないまま十億円が支払われたんじゃないですか。
  155. 及川耕造

    ○及川政府委員 現在本件調査をいたしておりますので、もしかしたら私手続の点で十分把握していない点があろうかと思いますが、通常、試作品につきましては完成検査を行って支払いを行うということでございまして、このような報告書等によって決めるというわけではないと存じます。
  156. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それはいわゆる領収試験ということとの混同をおっしゃっているだけでございまして、支払いに関しては領収試験が必要ですが、いずれにしましても、つくったセンサーというものが合格しているかどうかについて報告書を半年以内につくらなければならないという義務があるんじゃないですか。そうでなければこの研究所の所長が責任を全うできないということになるんじゃないですか。
  157. 及川耕造

    ○及川政府委員 受領とは別に、今先生のおっしゃいましたような報告書はつくるのが原則でございます。
  158. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 原則ではなくて、それでは、今までこういう試作試験があって、報告書がない試作試験があるんですか。
  159. 及川耕造

    ○及川政府委員 全部調査いたしておりませんので、あるかどうか現在確認できません。後刻また御報告申し上げたいと思います。
  160. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 いや、後刻の問題ではないと思うんです。つまり、今まで研究試作でつくったものはすべて報告がなければ、それがしっかりとした、防衛庁の今回の場合でしたら技術本部の方が委託した製品が、つまりこのセンサーですけれども、真っ当な、つまり合格品であるという認定ができない、認定できないものを、原則として認定できないということは言えないわけでしょう。原則として、合格であるということは、間違いなく報告がなければいけないということじゃないんですか。
  161. 及川耕造

    ○及川政府委員 試作品につきましては、いわゆるその物が完成して、それが仕様を満たしているかどうかというのをチェックいたしますれば受領し、支払いを行う。ただ、それを今後使いましてそしてどういう検査をするかというのはまた別の形で行いまして、そしてその報告書をつくる、こういうのが手続だと存じます。
  162. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それでは、このいわゆる研究試作によってできたセンサーの性能を確認したデータはあるんですか。
  163. 及川耕造

    ○及川政府委員 性能確認試験のデータはございます。
  164. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それは平成四年から六年にかけてのデータですか。その後のデータじゃないんですか、あるのは。
  165. 及川耕造

    ○及川政府委員 四年から六年にかけてのデータだと聞いております。
  166. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 四年から六年のデータというものは、そうすると、いわゆる浮上ブイから支援船に対して無線で送られたデータが存在するんですか。
  167. 及川耕造

    ○及川政府委員 平成九年八月、先ほど申し上げました技術報告では、複合センサーから計測船へのデータの伝送は、先生のおっしゃいました無線ではなく有線によっていたことを示す記載はございます。  御指摘のように、当初無線で伝送する予定のものが有線に変更されたかどうか、この辺については現在調査をいたしているところでございます。
  168. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ですから、有線のデータはあっても、その前の無線のデータはないわけでしょう。
  169. 及川耕造

    ○及川政府委員 少なくとも技術報告書には記載がございませんので、別途、あるかどうかも含めて調査中でございます。
  170. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 技術報告書というのは、いわゆる品質を証明する、できた製品を証明するものですから、そのデータが存在しないということは不良品ということじゃないですか。
  171. 及川耕造

    ○及川政府委員 この場合の技術報告書は試験の結果を示すものでございますので、試作品あるいは製品の性能等を示すものではございません。
  172. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ですから、試験のデータがあるんですか、無線を使ったデータが。
  173. 及川耕造

    ○及川政府委員 現時点では私どもは確認いたしておりません。
  174. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 現時点ではというのはおかしいんじゃないですか。つまり、平成二年から三年にかけて行った試作、それについてデータがなければ製品として合格とは認められないんじゃないですか。それを今になってあるかどうかわからないということは、ないということじゃないですか。  そもそも、そういうデータが存在し、そして報告書が存在しなければ、これは不合格ということの証明じゃないですか。
  175. 及川耕造

    ○及川政府委員 技術報告書に書きますのは、その試作品を使いましてさまざまな実験をいたします。その実験結果を報告するものでございまして、試作品を納入する場合にはまさに受領検査をいたして、それで納入いたすわけでございますので、そこは先生、報告書におきますものをもって、それがこうこうこういう結果が出なければだめだというようなことではない、そういうふうに理解いたしております。
  176. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 技術報告書というのは、六カ月以内につくらなければいけない、そういう義務報告のものじゃないんですか。本部長に報告することになっているわけでしょう、六カ月以内に。
  177. 及川耕造

    ○及川政府委員 報告は、試験を行って、終わった時点で、したがいまして、四年度から六年度までの試験を行いました、それについては六カ月以内にその試験の結果を報告する、こういうことでございます。  ただ、二―三年度に購入いたしました試作機につきましては、納められる時点で完了検査を行いまして、そして納入する、こういうことでございます。
  178. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それでは、性能確認ができていないわけですね。
  179. 及川耕造

    ○及川政府委員 恐れ入ります。受領検査とは別に、技術的にどういうものであったかという報告をしなければならないのは、おっしゃるとおりでございます。
  180. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ですから、性能確認ができていないわけですね。つまり、性能確認がないのに、そして技術報告がないのに、このセンサーというものが合格したというふうに言えないわけでしょう。つまり、はっきり申し上げますけれども、要するに、データを伝送する無線送受信機が誤作動して正常に働かなかった、九二年三月から九六年三月まで。したがって報告書は、つまりデータも存在しないし、性能確認もできないし、そして技術報告書も存在しないということじゃないんですか。
  181. 及川耕造

    ○及川政府委員 大変恐縮でございますが、昨日遅くに先生から御指摘をいただきまして、鋭意調べているところでございますが、現在まで私どもが調査し、わかっているところでは、本研究試作につきましては、性能確認試験終了後の平成七年九月、これまでに、確かに今先生御指摘のような技術報告書を出すのが通常の予定として決められていたわけでございますけれども、これについては、出されていないのは事実でございます。  ただ、今申し上げましたように、試作につきましては、技術検査、技術が確かかどうかといったような受領検査を行って納入したものだというふうに聞いております。
  182. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 いや、資料請求したのは先週の金曜日です。  それから、その性能確認試験前に、要するにデータがないわけですね。それで、これは無線送受信機が結局動かなかった。動かなかったということは不良品じゃないんですか。不良品であるならば、この十億円の支払いというものは、これは行われてはいけないものではないんですか。
  183. 及川耕造

    ○及川政府委員 確かにこのセンサーにつきましては、とりましたデータを有線で送るか無線で送るかというのは、その置かれた状態等によってベストのものを選ぶべきであろうと思いますけれども、二つの可能性を追求したということはあったかと思います。  ただ、それが最終的に、当初無線で伝送する予定のものが有線に変更されたか、あるいは今先生御指摘のような事態があったかどうか、現在鋭意調査中でございますので、その結果を大至急また御報告申し上げたいというふうに思っております。
  184. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 そうではなくて、今調査をしなければいけないということは、つまり、はっきりこれは合格でなかったということですよね、合格であったならばデータがあるわけで。つまり、防衛庁の技術部の方に、今まで合格したもののリストと技術報告書があって、私はここにその技術報告書のいわゆる摘要表というのはいただいていますが、これはいわゆる有線で、つまり確認試験が終わった後のものはいただいていますけれども、したがって、確認試験の前のデータに関する技術報告書が存在しなければいけない。これは行けばすぐ閲覧できるわけで、ないこと自体が大変な問題じゃないですか。今鋭意努力をして探しているというんじゃなくて、なければいけないものを探しているということは、ないということじゃないですか。
  185. 及川耕造

    ○及川政府委員 御指摘のとおり、平成七年六月の時点ぐらいの予定でつくるべき報告書がなかったことは事実でございますので、確かに通常の例とは違うという認識をいたしております。したがいまして、きちんと調べて御報告を申し上げたいと思います。
  186. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 違います。平成七年じゃありません。この試作品は平成四年の三月に納入されたものですから、平成四年中にこの技術報告書が出ていなければいけないんです。根本的に、今局長がおっしゃっていることは違うんです。  つまり、もともと無線で、センサーを平成二年から三年にかけて試作をして、平成四年に納入していたもの、その要するに報告書がないということは、合格ということが証明できない、しかも、報告義務があるのに報告を怠ったということですよね。平成四年中にこの報告書が出ていなければまずいんですよ。
  187. 及川耕造

    ○及川政府委員 申しわけございません。もし誤解しているといけませんので、いま一度調べさせていただいた上で、きちんとした、正確なところを御報告申し上げたいと思います。
  188. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 正確なことを報告しなければいけないと、もっとものようですけれども、とにかくこれだけの税金を使って、そして製品が納入をされ、そして支払いをされているわけで、その裏づけの性能確認がなされていない、データもない、これは大変なことですよ。  それで、今、ちょっと別の方向に質問をとりあえず移ります。  お配りした資料の二ページ目にございますけれども、平成四年度の経費積算内訳表というものを配っておりますが、例えば左の上の方ですけれども、開発試験費の総額、一番右側でございますけれども、三千六十七万三千円でございます。それに対して、右下の労務借り上げというものがありますが、労務借り上げの合計が二千四百万です。ということは、開発試験費三千万に対して労務借り上げ費が二千四百万。八割が労務借り上げ費です。  労務借り上げ費というのは、その次の三ページ、会計検査院の実施検査受検証書というものがありますが、その左側の下の方で、第二部というところに「将来機雷用複合センサーの性能確認試験のための労務借上」、ということは性能確認試験、さっきから私が繰り返し聞いております、そのための労務借り上げに、右側の方でございますけれども、例えば日立造船が二百十八万円、そして石川製作所が四百九十万円。これは資料の一部でございますけれども、これだけ、つまり開発試験に対して八割ぐらいを労務借り上げ、つまりいろいろな企業から人を借りて、一人当たり一日平均十万円だそうです、一日平均十万円の日当で民間企業の人を借り上げて仕事をさせて、これだけの実はお金を使っているということになっております。  それで、開発試験費それから労務管理費というものはここに示したわけですけれども、実際にどんな業務を行っておったのか、それから技術研究本部、昨年全体で労務借り上げ費全体が幾らになっているのか、それから陸海空についても、労務借り上げ費が幾らになっているのか、お答えいただきたいと思います。
  189. 及川耕造

    ○及川政府委員 御指摘のセンサーの性能確認試験に要しました労務借り上げに関します内容は、試験計測作業の補助が中心でございます。労務借り上げ費以外の開発試験費は消耗品、先生の御指摘の資料のとおりでございます。要は、試験計測作業の所員に対する補助作業でございます。  それから、技本におきます労務借り上げでございますが、平成十年度の決算額については、現在集計中でございますので御容赦をいただきたいと思います。平成九年度につきましては、技本におきます労務借り上げの支払い総額は約七十四億円でございます。また、陸海空自衛隊それぞれでございますが、これも平成九年度でお許しをいただきたいと存じますが、陸幕につきましては約三億円、それから空幕につきまして約八億円の支払いがございました。
  190. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今の平成九年で結構ですが、七十四億円というのを人数割りいたしますと、一日大体十万円というのは合っておりますか。
  191. 及川耕造

    ○及川政府委員 大体おっしゃるような数字だろうと存じます。
  192. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今、計測の補助ということでございますけれども、ここに実は、技術研究本部に対しまして会計検査院の調査を前にして、技術研究本部の中で予行演習をしたというメモがございます。それによりますと、技術研究所の内部の人間が実際に労務借り上げで来ている人に対して、どんな仕事をしていますかというものに対して、グループ会議等の書類を参考に試験計画の立案及び使用器材の調査の補助を行っている。質問する人が、アウトプットは何かありますかというものに対して、事務書類の整理業務のためですと。それから、本当は何をやっているんですかというものに対して、試験準備のための書類づくりであって、アウトプットはありませんと。つまり、計測補助とかいうアウトプットの仕事じゃなくて、実際には事務的な書類の整理だとかそういったことをやっている、こういう答えが出ているんです。  ということは、先ほどの三千万円に対して二千四百万円、そして一日十万円を払いながら、実はそういう事務的なことにお金を使っている、そういうことじゃないんですか。
  193. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生の今御指摘のような件は、私存じ上げませんでした。私の承知している限りでは、少なくとも労務借り上げにつきましては、主たる借り上げの目的は、今申し上げましたような試験計測等の補助という、技能を民間からお力添えをいただく、こういうためにやっているものだというふうに承知いたしております。
  194. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 そうすると、これは後でお見せしても結構ですけれども、実際に技術本部の中でのやりとりの中で御本人たちが、つまり、今局長がおっしゃった計測補助以外のことを実際の仕事としてはやっているというふうに答えている、これについてはどう思われますか。
  195. 及川耕造

    ○及川政府委員 どのようなものであったのか、また先生から教えていただいて、その実態についてさらに調査をいたしたいと存じます。
  196. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 つまり、昨年以来調達本部のことばかり問題になっておりますけれども、そもそも、いろいろな調達要求、装備品の決定権を持っておる、あるいはいろいろな装備品を調達本部よりも先に実際につくる技術研究本部において、この何十年間にわたって二件しか不合格品がない、全部いわば合格品にしてしまって、ただ合格をしたという、実は証明もない。それでいながら実際に支払いがされ、しかも、支払い額のかなりの部分が、民間企業から借りた、一日一人十万円のお金で雇った人たちでこういった仕事がされておられる。しかも、ここに示した資料の場合も平成四年でございます。そうしますと、平成四年にこれだけの人間がこのセンサーの確認試験のために実際に働きながら、その試験を行ったというデータも性能確認もできていない。  これは要するに、実際にしかるべき製品をつくったことにならないんじゃないですか。どうですか。
  197. 及川耕造

    ○及川政府委員 繰り返しになりますが、性能試験につきましては、納入されました器材を使いまして、そして恐らくこの労借りとは別の契約に基づきまして試験を行う、こういうものでございますので、一応試作品と労借りとは別の契約ということになっているのではないかと思います。  ただ、現時点で確認いたしておりませんので、先ほど申し上げましたように、確認の上、また御報告を申し上げたいと思います。
  198. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 各技術報告というものは、年次報告になって毎年出ているんじゃないですか。
  199. 及川耕造

    ○及川政府委員 性能試験は件名ごとに出すのが通例でございまして、今回の場合は四年度から六年度にかけて行った試験でございますので、六年度の試験が終わりました平成七年度に通常作成するというのが例ではないかというふうに思います。
  200. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 いや、そうじゃなくて、平成四年に納入をしているわけですよね。ですから、四年じゅうに、つまり半年以内にこの技術報告書というのを出さなきゃいけないんじゃないですか。
  201. 及川耕造

    ○及川政府委員 試作品にかかわる技術報告書という点では、先生おっしゃるとおりでございます。ただ、今先生の御指摘にありました性能試験にかかわります労借りというのは、これはまた別の、四年度から六年度に行われたもの、こういうことでございます。
  202. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 いや、ですから、試作についての技術報告がなければいけないんじゃないですか。
  203. 及川耕造

    ○及川政府委員 現在確認中でございますが、今先生御指摘のとおり、平成四年度のその試作に関します技術報告書というのは、私どもまだ承知いたしておりませんので、ないんだろうと思います。
  204. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 委員長、これは、ないということは非常に重要なことでございまして、今局長がおっしゃいましたけれども、これはなければならないものなんです。防衛庁において試作をした場合にはなければならないものがないということが、今はっきりしたわけでございます。  防衛庁長官、今局長の方から、そういう報告がないということがはっきりしたわけですけれども、これは、ないというのは大変な事態ですけれども、どうお考えになりますか。
  205. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 お尋ねの将来機雷用複合センサーは、平成二年度から三年度に技術研究本部において研究試作され、平成六年度までに性能確認試験が実施されたわけで、今の応答で、平成四年にこの試作、試験に関するデータがなければいけないという御指摘があったわけでございます。また、平成七年の九月ごろ技術報告が行われる予定であったが、それがなされていないということについて、また、平成九年八月の技術報告では有線によって得たことを示す記載があるけれども、御指摘のように当初無線で伝送する予定のものが有線に変更されたか否か、そういう一切の問題については、今のやりとりを聞いていて、私も大変不都合な次第であると思っておりまして、実はけさ、こういう質問があるということを伺いまして、事務局を集めて、徹底的に数日中に調査をして報告できるようにしろという指示を出しておりますので、いましばらく、真相を究明するまで御容赦いただければありがたいと思っている次第でございます。
  206. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それでは、データがないということをはっきりお認めになって、かつ徹底究明ということでございますので、当時のいろいろなことも恐らくないというのはすぐわかるんだろうと思うのです。  それで、先ほど申しましたが、要するに無線受信機が働かなかった。したがって、データが出なかった。したがって、報告書がつくれなかった。そして、後になってそのデータがないということをいわばごまかすために有線に切りかえて別の報告書をつくっているのです。  有線というものは、そもそも機能的にも価格的にも非常に小さなものでございまして、しかもそのセンサーが行く距離が二百メートルぐらい、それに対して無線というのは大体一キロぐらいと聞いておりますので、そもそも無線を使ってセンサーをつくらなければ意味がないものが、結局、失敗してしまったので有線に切りかえて、とりあえず試験をしてしまったというのが実態だろうと思うのです。それでは意味がないのですね。  今新しいいろいろな管制ができて、いろいろな形でのシグナルが出てきますから、それを識別して対抗するセンサーをつくらなければ意味がない。ですから、有線にしたこと自体が意味がないわけです。有線でしたらば昔のままのセンサーと変わりがないわけですから、無線のセンサーをつくらなければ意味がないわけですから、無線から有線に変えたこと自体も日本の国防上大変な問題でありますし、それから、そもそもデータがないものをそういった形で補ったということは、これは大変な問題でございますので、改めて防衛庁長官の方に、早急に調査をしていただくことをお願いしたいと思います。
  207. 高鳥修

    高鳥委員長 承知しました。  ただいまの藤田委員の要求につきましては、先刻来、委員長答弁を聞いておりますと、甚だ心もとない感じがいたしますので、きちっとよく防衛庁において調べて、的確な説明ができるようにさせたいと思います。
  208. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  行革委員会との関係で言うと、つまり調達本部ではなくて技術本部がいかに重要かということからお話をしているわけで、調達本部よりもはるかに技術本部の方が非常に重要なわけでございますので、したがって、今回の行革法案に技術本部、陸幕、海幕、空幕等の改革が含まれていないということは大変な行革委員会のテーマでございますので、質問をいたしておるわけでございます。  そこで、あと残された時間でございますけれども長官、またこの質問になりますが、次期初等練習機のことについて質問をしたいと思います。  今まで何回か質問をした中で、いわゆるIRANという、いわば自動車でいえば車検を防衛庁の方がメーカーに要求をしておったということについて、私は何回も質問主意書あるいは委員会等質問いたしましたけれども長官答弁の中にも、そういったIRAN、つまり定期整備についてメーカー側に要求したことがないということをおっしゃっておりました。  それで、私の方は、いわば機種選定に参加をしました富士重工と丸紅の方に資料請求をいたしまして、富士重工の方からは資料が出てまいりませんでしたけれども、丸紅の方から、あるいはピラタス社と言ったらいいかもしれませんが、資料の閲覧を許されました。  そこで、メーカーの許可を得てこの資料をお配りしたわけでございますけれども、これによりますと、昨年の五月の段階での会社説明会におきまして、防衛庁の方で、整備方式についてはいわゆる航空自衛隊方式、つまりIRAN方式でということをこの宮下一佐という方が言っていると。これは今まで長官あるいは防衛庁答弁をしておられたことと全く事実が違っておりますが、長官はこれについてどういうふうに認識されておりますでしょうか。
  209. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今先生お尋ねの件に関しましては、今御配付のありましたこの資料の、丸紅の方が防衛庁の装備部の方に照会事項について回答をした、それに関連してのお尋ねかと思います。  私どもは、そういう点も含めまして事実関係はどうなのかというのを空幕の方に調査をさせたわけでございますが、空幕におきまして、このT3の後継機の機種選定業務を担当したすべての者に聴取をいたしまして、その結果、今お話しの提案会社に対してIRAN方式の採用を口頭または文書で要請した、こういう者はいなかった、こういうふうに報告を受けているところでございます。
  210. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ですから、その報告がなかったといっても、実際にこういうふうに言っているんじゃないですか。事実関係、違うんじゃないですか。
  211. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 例えば、この中にいろいろな御報告といいましょうか、記述がなされてるわけでございます。この1のところで、前半部分では、例えば空幕の部長がこういう発言をしたと記述がございますし、あるいはその後に担当者からこれこれという要請があったと了解しておりますということでここに記載がございますけれども、こういった点につきましても、空幕で事実確認をいたしましたところ、それぞれの者から、そういう事実はない、こういうふうな回答を得ている、こういうふうに私どもは報告を受けているところでございます。
  212. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 そうすると、その回答した人は、この三名の方々も意見聴取したわけですね。そうすると、ここに言っていることと内局からのいわゆる質問に対して違った答えを言っているということですか。
  213. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 私どもといたしましては、去年の機種選定におきまして、定められた手続に従い実施をした、こういうふうに考えておりますけれども、その後、いろいろな報道もございましたので、私どもの方から空幕の方に、そういう報道されている事実関係も含めて、当時機種選定作業にかかわった者に対しまして、すべて確認をして報告をするように求めたわけでございます。その結果、先ほど申し上げました回答があったということでございます。
  214. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ですから、この三名も回答しているんだろうと思いますが、この三名は内局からの調査とそれから実際に言ったことと違った答えをしているということですね。
  215. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 私どもの調査依頼と申しましょうか、そういったものに従いまして、空幕でもって各人の調査をしてもらったわけでございますが、その中で実際にこの業務にかかわった者すべてについて調査をした結果が先ほど申し上げたところでございますので、例えばここで記載されている該当の者からは、自分としてはこういったことを言ったつもりはないという趣旨の回答を得ていると私どもは報告を得ているわけでございます。
  216. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 全然私の質問に対して答えていません。つまり、この津曲さんなり佐野さんなり宮下さんという人は、防衛庁内部から聴取を受けたときと実際に言ったことは違った答えを内局の調査に対して言っているということですね。
  217. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 これは、確かに丸紅のこの方はこういうふうに受け取られたということでここに記載されているものだろう、こう思います。しかし一方、空幕におきまして私ども調査をしてもらいましたが、これの当該者について確認をした結果は、今申し上げたように、自分としてはこういう趣旨のことを言った覚えはないのだ、こういう調査結果だという報告を私どもは受けているということでございます。
  218. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ちょっと時間ばかりたっていますけれども、言った覚えはないというふうに言っているというふうに理解をしているとかいう答弁では答弁になっておりませんので、では、この三名の方にはっきりともう一度調査をしてください。でなければ、結局うそを言っているということになると思いますので、長官、今もう一度調査をやり直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  219. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 六月の十五日の会社提案書において、丸紅から整備についてIRAN方式の提案があった。これはもう確かであります。これを前提として、同社が必要な添付資料を提出していなかったため、それを求めたこともございます。それから、同社の提案内容の技術的妥当性についての質疑応答はやっていることは確かであります。しかし、会社提案書の提案後の質疑応答において、丸紅にIRANの採用を要求したとの事実はない、こういうことを申し上げているわけであります。  また、丸紅の方は、今先生からいただいた資料でそうおっしゃっていますが、一方、これは双方の話し合いがあるわけですから、御指摘の説明会における説明者に確認したところ、この説明会において、航空幕僚監部から提案会社に対してIRAN方式の採用を要請したという事実はないというふうに私どもは把握しておりまして、これは一方的に、委員がおっしゃることが正しいのか、我々が調べた結果が正しいのか、これを決めつけて今決めるわけにはいかぬという状況だということを申し上げているわけであります。
  220. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それでは、もう一度再調査をお願いしたいと思いますが、時間がありませんので、長官、今まで何回も、きょうまたあの表を配らせていただきましたけれども、同じ飛行機でありながら、T5という海軍の方の飛行機とT7という今度新しい航空自衛隊用のものが、ほんの一、二年の間にこれだけ価格が下がってしまった。その理由として、エンジン五十台を一括発注というふうに何回も長官答弁されてきたわけですけれども、実際に、最近いただきました防衛庁からの資料によると、T7のエンジンの方が三千五百七万円で、T5の三千四百十二万円より高くなっているのです。つまり、これは長官が何回か答弁をされてきたことと反対の結果になっておるわけですが、これはどういうことでしょうか。
  221. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 防衛庁から富士重工に対して会社提案書の公開についての許諾を求めた際に、富士重工から提出された資料において示された同社提案のT3改、これがT7になるわけでありますが、これのエンジン価格は、議員指摘のとおり、GCIP込みで約三千五百七万円、これは消費税を含んでおりません。消費税を計算すると、三千六百八十二万円となっているところであります。  他方、平成八年度の海自のT5調達実績におけるエンジン価格については、これも議員指摘の三千四百十二万円が、今委員がおっしゃったわけでありますけれども、これが具体的にいかなる数字を示しているものかは私どもは知り得ないところでありますが、私どもは三千七百六十七万円、これは消費税込みでそうであります。これについては、議員からの質問主意書に対する答弁書の中でもお答えしているとおりでありまして、答弁書においては約三千七百七十万と回答したはずであります。
  222. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今まで何回か答えられてきたことと実際に矛盾することが、私の方が何か矛盾をお知らせしているような形で進んでおりますのは、こういう形でまた機種選定というものがされると、またやり直しということでございますけれども、そういうことでは、これは多額の税金を払ってのことでございますので、ますます疑惑を深めるということに、この棒グラフを見ただけでもはっきりするわけです。  根本は、冒頭で申し上げましたように、今度の省庁改革におきまして、いわゆる川の下であるところの川下の話ばかりで、一番力を持っていて予算権も持っておりますところの陸海空、それから技術本部を含めた改正案が省庁改革に盛り込まれていない。いわば川下の、去年たまたま問題の起こったところのみの改革に防衛庁の改革法案がなされているということが最大の問題であると思いますので、その一番重要な点の改革のないまま、この防衛庁設置法案、この中央省庁改革法案というものは、やはり不良品であるというふうに言わざるを得ないということを申し上げまして、そういった意味での抜本的な改革案を検討をお願いをいたしまして、私の質問にさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  223. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、中川正春君の質疑に入ります。
  224. 中川正春

    中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。  今回、三つの問題について主に質問をさせていただきたいというふうに思います。一つは独立行政法人、もう一つは地方支分部局とそれから公共事業の関係、そして最後に、財政と金融の分離でありますが、これはまた、今政党間でいろいろ議論をしております。そのことと同時に、ちょっと違った観点から議論をさせていただきたいというふうに思います。  この行革法案、本来、原点に戻れば、いかにコストを削減できるか、効率が上がっていくか。あるいは、国民にとってサービスというのがどれだけ充実したものとして結果が得られるのか。あるいはまた、将来に対しての、社会の変革に対してどのような新しい機能がそこで付与されてくるのか。そんな原点に返ってみるときには、現在出ている法案が、では、できたからそれぞれどうなんだという、そこのところがなかなか見えてこない。将来に対してコスト三〇%削減、あるいは二五%の公務員の数の削減というのは、これは将来に向かって自然減を頼りながらやっていきましょう、こういうことでありますが、決して今回の法案がそのことをもたらすんだという結果にはなっていないわけであります。そこのところが見えてこないままに議論が進んでいくということでありますので、さらに修正なり、あるいは新しい見方なり加えながら、この議論を真剣に重ねていくということが大切なことだというふうに思います。  そんな中で、まず最初に、独立行政法人についてお尋ねをしたいのですが、これはもともとイギリスだとかあるいはニュージーランド、サッチャー政権なんかが特にその見本だ、こう言われておるわけでありますが、それを参考にして日本も導入をしたんだ、そういう説明を伺ったことがあります。しかし、実際に比較すると、中身にかなりの違いがある。本質的なといいますか、そこまで違いがあるように私は思います。どのようにイギリスの制度を参考にされながら、日本に何をもたらそうとされたのか、そこのところをまず最初に、総務庁長官、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  225. 太田誠一

    太田国務大臣 英国は行政に関する法制全般が我が国とは異なっており、一律に比較することはできませんが、双方を比べると、次のとおりであります。  政策の企画立案機能と実施機能を分離するということ、そういう発想、それから、透明で自律的、あるいは自己責任というか、弾力的な運営管理手法の導入を目指すなどの面で英国のエージェンシーを参考にしつつ、独立行政法人の制度の設計を行ってきたところであります。こうした面で、双方は同じような考え方から出発しているだろう。  他方、エージェンシーと異なる日本の独立行政法人の特徴としては、イギリスのエージェンシーは国の機関の一部であり、その職員はすべて国家公務員である。それに対して、我が国の独立行政法人は、国とは別の法人格を有する法人であり、また、職員は国家公務員の身分を有する者と有しない者とがあるということなどが挙げられるわけであります。
  226. 中川正春

    中川(正)委員 先ほど答弁を伺いますと、基本的なところ、企画立案部門というのを実施部門と分離をしていこうじゃないか、実施部門でエージェンシーという制度を使っていって、マネジメントで民間手法をその中に組み込みながらやっていくということ、この基本的なところは変わっていないんだろうというふうに思うんですね。  その結果、実は、お手元に配付をさせていただいた資料を見ていただきたいと思うんですが、具体的に今回の法案で、日本の場合、エージェンシー化していこうというふうに決定されたそれぞれの研究所なりあるいは施設と、それから、英国がこれまでエージェンシー化してきて、もう二十年の歴史があるようでありますが、これは途中経過で、あそこはそれからまだ民営化というプロセスもあって出入りが激しいわけでありますが、その中で現時点でエージェンシーとして運用をしておる施設と、一覧表で比べてみたんです。  そうすると、どんなことがわかってきたかというと、一口で言いまして、どうも、精神で同じだ、中身で同じだと言っているけれども、出てきた結果というのはまるっきり違っているじゃないかということであります。  日本の場合は、ある意味では既に独立をしている施設、研究所であるとか学校であるとか検査施設であるとかというふうなものを、独立法人という名前でもって定義をし直したという色合いが強いわけでありますが、本家本元のイギリスのエージェンシーというのは、例えば、先ほど防衛庁の調達の不透明な話が指摘をされましたが、そういう部門へ向いてしっかり切り込んでおりまして、いわば行政組織の本体の中にこの独立行政法人のマネジメントの手法を入れることによって、改めてそこにチェック・アンド・バランスと効率化、それから競争原理というのを取り入れていこうという、そこが本旨であるというふうにこれは見受けられるわけであります。ですから、イギリスの場合は国防省がほとんどなんですね。  それから、特に日本で言う国土交通省、運輸省あたりは、高速道路庁などは、これは公共事業部門をそのまま請負をしてやっていくというところでありますし、それから、破産管理局や登記局、登記業務そのものもエージェンシー化していこう、こういうはっきりとした違いがあります。  それで、この違いを前提にして一つお伺いをしたいのは、これから恐らくこの独立行政法人というのも、さらに一つ一つ、もっと広い範囲で、もっと本質的な部分で独立行政法人化していこうという流れをつくっていくんだろうというふうに思うんです。それを期待したいわけでありますが、そのことについて、一つは、どういう基準で、どこの省庁、どこの担当が、どこがそれを推し進めていくのか、まずそれを確認したいと思います。
  227. 太田誠一

    太田国務大臣 英国と比べて我が国の方が、既に外部化したというか、外に出ている独立性の高いところをこのたび独立行政法人にしたという御指摘でありますが、それは当然のことであって、むしろ、そういうところを先にするのは、独立行政法人の定義からいって、もともと外部性の強いところを独立法人化として先にやるというのは、当たり前のことだろうと思うんですね。  それと比較して、イギリスの場合と比べてどうかといえば、これは、我が国もこれから始めることでありますので、私は大いに参考にして、まだ途中でございますから、別にこれでおしまいじゃないわけでありますから、今の八十九独立行政法人ということで、今はここでスタートをいたしたい。今協議中のものもございますし、また、これからいろいろな御示唆をいただいて進めていきたいものもありますので、ぜひそういうことで御理解をいただきたいと思います。
  228. 中川正春

    中川(正)委員 いや、私の問いにはっきりと答えていただけていないので、それはもう一度後で聞きます。  もう一つ、現在の選考基準、これも非常に矛盾があるというか、あいまいなんですね。  例えば、国立病院、これから独立行政法人化していきますよ、こういう流れが出ましたね。それに対して、これもまたお手元に配付をさせていただいたわけでありますが、行政監察結果でありまして、国立大学の附属病院、国立病院と対峙する国立大学の附属病院に関する行政監察結果であります。  これを見て、ちょうど「経営管理の推進」で、経営改善をこうしなさいよというところに出ているんですが、例えば、これを見ていると、文部省のこの施設は、各種数値を的確に把握、分析する仕組みが未整備であって、損益計算書、貸借対照表等の財務諸表を全く作成していない。それに比べて、国立病院及び私立大学附属病院では経営分析のための経営管理指標を広範囲に設定しておって、ちゃんと国立病院はやっているよ、こういう監察結果ですね。  今回、独立行政法人として、本来その目的を達するために入れなきゃいけないよというのは、この流れからいったら国立大学の附属病院なはずなんですよ。それが、片方、国立病院には独立行政法人が入って、国立大学附属病院には入らない。ここのところは、どういう基準でこれは進めているんだ、こういう疑問が当然わくわけであります。
  229. 太田誠一

    太田国務大臣 先ほどの御質問で答えていなかった点は、行政改革推進するのは、一体この後はだれがやるのかという御質問でありました。  行政改革を進めております中央省庁等改革推進本部の事務局は、今、一年たつところでございまして、あと二年間は存続するというふうに聞いております。その後、平時におけるその推進はどこがやるのかといえば、当然それは、総務省がそのような行政改革を一般的に推進する役目を担うことになりますし、また、独立行政法人についての評価も、総務省に設けられます評価委員会でやるということになっておりますので、そのようなことであります。  それから、今、国立大学附属病院に関する行政監察の結果につきまして言及をいただきました。  これは、国立大学附属病院は国立大学の機関、一部をなすものでありまして、今の御議論でいえば、国立病院と国立大学どちらを先に独立法人化するのかというお話に帰着をするんだと思いますね。きちんとやっているかやっていないかというのは、それはもう、きちんとやっていただいた方が立派なことなわけですし、これは称賛すべきことなんだけれども、きちんとやっていないから独立行政法人化するとか、きちんとやっているからしないでいいとかいうことではないわけでございます。  そういう意味では、今のお話でいえば、我々は、国立大学全体に対しても独立行政法人化をお願いしている途中でありまして、国立病院の方が先に御理解をいただいたということでございます。
  230. 中川正春

    中川(正)委員 一つは、基準が第三者から見てはっきりしていないということが、それぞれの施設で担当している人たちの抵抗、それからこの独立行政法人の本来の機能というのはどういうものかという理解の度合い、これがどうも懐疑的になるというか、なぜ私のところなんだ、ほかにいっぱいあるじゃないかという、この議論から始まるからなかなか前に進まないということがあるんだろうというふうに思います。そこのところを、しっかりと外部基準をつくるということ、それに対して、この流れをつくっていくプロセス、これをはっきりさせるということ、これが非常に大切なことでありまして、そこの部分が全く抜けておるから、どうも恣意的に、弱いところから順番に独立法人だぞ、こういう話にしかなっていかないんだという、そこのところを指摘しておきたいというふうに思います。答弁は結構です。  次に、地方支分部局、これについて質問をさせていただきたいというふうに思います。  基本法であるとかあるいは中央省庁改革推進本部によります国の行政組織等の減量あるいは効率化に関する基本計画などで、地方支分部局に対する権限委譲、それと同時に、その中には、先ほどのお話と同じように、企画立案部門を含めてまずは中央省庁をやりますよ、実施部門では地方分権に一つは移し、一つは地方支分部局に移していきますよ、こういう流れ、これをくみ取ることができるわけでありますが、具体的に、公共事業の場合に、地方支分部局に対する権限委譲は、現行の公共事業予算の何割ぐらいを想定しているのか。すべてを移すのか、どれぐらいの想定で変わってこようとしているのかということ、地方公共団体に移る分と地方支分部局に移る分、これについて具体的な数字をぜひ明示していただきたいというふうに思います。
  231. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 先生の今のお話は、いわゆる分権の第二次計画の話と、この中央省庁改革に伴います地方の出先機関への予算の一括執行という両者が含まれておると思います。  前者の方につきましては、これをどれだけ直轄にするかということ、直轄をどうするかということを含めて、今後審議会等で検討することとなっておりますし、また補助金については、どれだけ具体的に取りまとめて、統括ということは、これはまた来年度の予算に向けて検討することになっております。  したがって、今の段階で、現在の何兆という公共事業の予算が何割がどこということは申し上げられる段階にはございません。
  232. 中川正春

    中川(正)委員 地方公共団体にしてもあるいは国民にとっても、この省庁がどういうふうにくくられて、どういうふうに内部で変わるかということ、これ以上に、実際に我々はこれからだれに話をしたらいいのか、それと同時に、どういうふうに補助金なりあるいは直轄事業の体系が変わってくるのだという、その実際の額の部分、これをはっきりさせてもらわないと、今回の省庁再編がいいのかどうかわからない、こういうことだろうというふうに思うのですね。私たちもそうです。  そこのことが出ないままに、枠組みだけ変えて、こうなるよ、こう言ったって、これは一向にぴんとこないということであります。趣旨はわかります。趣旨はよくわかるのですが、しかし中身で、さっきの独立行政法人もそうでありますが、結果としてどうなのかということで判断して初めて、私たちの賛成、反対という意思表示ができるんだろうというふうに思うのですが、そういう意味で、もう少しはっきりしてください。     〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
  233. 太田誠一

    太田国務大臣 地方自治体の方にどういうふうに直轄事業を移譲したり、あるいはどれだけが地方自治体の裁量権の幅が大きくなる統合補助金になるかといったようなことは、第二次地方分権推進計画であらかたの内容はもう示してあるわけでありまして、それは自治大臣の方が、きょうここにかかっております地方分権推進の一括法との関連で御答弁されると思いますが、当然それは地方支分部局については内部の話でございますから、そのときに、どういうふうに予算が措置をされたかということで見ていただく以外にないわけでございます。そういう方向にしたということは、何もこれはそれ自体がおかしいとか、賛成、不賛成、その方向についてどうですかということを我々は問題提起をしておるわけでございます。  独立行政法人、先ほど随分いろいろなお話がございましたけれども、独立行政法人について、もちろん経過でありますから、途中経過でここまで参りましたということでありますから、その中にでこぼこというか、あるいは矛盾もあるかもしれない。しかし、ここはどうしてなっていないのか、うちはこうなったのにどうして向こうがそうなっていないのかというような御指摘も随分ありまして、そのような各省庁との協議の中で進めてまいりましたので、今はそんなに大きなでこぼこはないと私は思っております。  それから、こういうことを進めていく中で、現実に交渉をし、現実に了解を得ながら進めていく中で、ようかんを切ったようにすぱっといかないということもまた御理解をいただきたいわけでありまして、もしあれであるならば、やはり私は、具体的に、どこどこがどうなのかということをぜひここでおっしゃっていただきたい。どこがなっていなくて、ここはおかしいということをおっしゃっているのか、そこをおっしゃっていただきたいのであります。
  234. 中川正春

    中川(正)委員 地方支分部局の話を今しているのですね。その中で、もう一つ気になることがあるのですね。それは、企画立案と言いますが、これは中央での企画立案と、それから地方支分部局の中でそれぞれ地域の計画立案というのがこれからなされてくるよ、それの調整をしていきますよ、こういう話になっていますね。  これは、本来であれば役所だけがやるんじゃなくて、企画立案というのは、本当にいかに国民がそれに参加をしていけるか、あるいは地方自治体そのものが一緒になってやっていけるか、こういうことだろうというふうに思うのです。そこの装置というのがこの法案からはなかなか見えてこない。このままでいけば、その地方支分部局の局長なりあるいはその担当長、課長レベルかもわかりません、その辺がそれぞれ、箇所づけにしたってあるいは地域計画にしたって非常に大きな権限を持ちながら、地方からのいわゆる参加のパイプなしに、自分たちで勝手にやっていってしまうのじゃないか、そういう懸念さえ今の流れの中では見受けられるわけであります。  建設大臣、そこの装置をどのように考えておられるのか。
  235. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生御指摘の問題でございますが、今後、私の担当しておる建設省は御承知のように国土交通省になるわけでございますが、地方整備局ということになってくるわけでございますが、これはいわゆる国土整備及び管理に関する事務を主体的かつ一体的に処理させることとする方針のもとにあるわけでございまして、今までの公共事業予算についてもその地方整備局に一括配分することになるわけでございます。  そういうようなことで、今までのいわゆる直轄事業を、今まででございましたら地方建設局でやっておりましたが、その直轄事業ももちろん含めて行うわけでございまして、その役割に加えて、今後は、地方公共団体が行う補助事業等の調整主体としての役割もあわせて担うということになるわけでございまして、その時点において地方公共団体と綿密なる打ち合わせを行っていくということになります。  そういうようなことでございまして、中央省庁は、地方整備局がその所掌する事務を責任を持って主体的かつ一体的に遂行できるよう組織体制の整備を今後図ってまいりますし、地方整備局が行う事務に対する関与を極力限定をするという方針で今臨んでおるわけでございます。  ですから、建設省におきましては、社会資本の整備というのは国と地方が適切な役割分担のもとに協力して行うという、その観点は今までのとおりであるわけでございますが、都市計画におきます国の認可の半減や補助金の整理合理化など、地方分権推進に取り組んでおるところでございます。  ですから、先生御指摘ございましたように、直轄事業と地方整備局がハンドリングするものの割合をはっきり示せ、そうしないと納得できないということも私も理解することはできますが、そういうようなことはこれから徐々に煮詰まってくるという今の流れでございます。ですから、今、直轄がどれぐらいで地方整備局がどれぐらいというのは、ちょっと数値的には出てこないところでございます。
  236. 中川正春

    中川(正)委員 どうもそういうところがあいまいなものですから、なかなかこの法案の結果が国民にとってどうなるのかというのがぴんとこないところなんですね。  もう一つ、お答えをいただかなかったのは、監督が本庁で、それに包括的に予算を渡しますよ、それをできるだけ口出ししないように使うことにしましょうよ、こういうことですね、一言で言うと。しかし、では、その使い方について、支分部局はどうするんですか、何をもとにその配分を決めていくんですか、だれの意思のもとにその配分を決めていくんですか、こういう問いがあったときには、この法案ではどういう装置がその中にあるんですか。そこのところをはっきり答えていただきたいということなんです。
  237. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 国は、毎年度における地方公共団体ごとの配分枠を、具体的な事業箇所、内容は示さず、まず金額等のみで定めまして、地方公共団体は、その配分枠の範囲内で具体的な事業箇所、内容を定めて、そして補給金を申請するということになるわけでございます。
  238. 中川正春

    中川(正)委員 そこで、もう一つ新たな疑問も出てきました。これまでは積み上げ方式という形で、公共事業が個別に枠組みがありまして、例えば砂防を何本とか道路改良を何本とかという、その枠組みの中で大体上げてきて、その積み重ねの中で新たに大枠をつくりながらまたおろしてくる、そういうプロセスですね。  ところが、さっきのお話だと、一つは、その箇所づけなしで大枠で決めますよと、だけれども、その大枠の決め方の基準というのが何なのかということを、これをはっきりさせないとますますこれは不安になるということ、これが一つ。  それからもう一つ、まだ答えていただいていないのは、それを箇所づけするときに、あるいはさっきの話で、企画立案として、五カ年計画なり三カ年計画なりということで、県を超えた領域の大きな計画の中で進めていくときに、その計画に参加をしていくその仕組み、これが前以上に大切になってくるだろうと思うのです。地方公共団体はそこのところが非常に知りたい。これからどんな形で我々の意思を反映させていったらいいのかという、そのはっきりした返事をもらわないとこれは判断できないわな、こういうことなんですね。その二つなんです。
  239. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 まず、前段の御質問でございますが、まず一つは、二級河川に係る補助金、それから公営住宅等に係る補助金、それから公共下水道に係る補助金、都市公園に係る補助金、そういうもの。それから、例えば、一定の政策目的を実現するための複数の事業を一体的にかつ主体的に実施することができる統合的な補助金というのもございまして、それは、例えばまちづくりに係る新たな統合補助金、あるいはまた住宅宅地関連公共施設等の整備促進事業費の補助金等々がその中に入ってまいります。  それから、二番目の御質問でございますが、その補助金の創設におきましては、国が箇所づけはしないということが、これはきちっとうたわれておるわけでございます。  ですから、そういうことになりますと、今までは、国からそういう箇所づけ、もちろん地元からの陳情があってその箇所づけが行われておったわけでございますが、今後は、そういうようなことで、地方整備局において地方公共団体と直にそれが、御相談していただいて事業箇所を決めていただくということになるわけですから、今まで以上に地方公共団体と地方の、いわゆる地方整備局でございますが、緊密な連絡になってくる、わざわざ本省に出てくる必要はないというような組織になってくると思います。
  240. 中川正春

    中川(正)委員 そういうことであるとすれば、何らこれまでと変わらないのではないかということですね。ただ、土産をぶら下げて東京まで出てくる必要はないんだ、こっちでやりましょうと。  地方公共団体にとっては、地方支分部局も国であることには間違いないんですよ。だから、国相手に箇所づけするのと同じことなんですよね。それがどんなルールで、例えば地元の地方公共団体の議会なり、あるいはそれぞれの地方公共団体の公共事業に対するルールづけ、これからいろいろな形で優先順位を、うちの県ではこんなふうに決めてきましたよ、客観的な標準をつくってこんなふうにしていきますよ、そういうようなものとどういうふうに整合性を持たせていくのかということですね。ただ相談でというような話は、これは本当に古典的なというか、発展途上国がやっているような、そんな公共事業の配分の仕方ではないですか、こういうことであります。  ですから、先ほどの説明を聞かせていただく限り、何だ、何も変わってないではないかというふうに言わざるを得ないということであります。反論があれば。
  241. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 中川先生、私はこういうふうに判断しておるんですが、今後できます地方整備局は、そういうようなことで、地方公共団体とそこでもういろいろな箇所づけをしていただいたらいいわけでございまして、今はやはり正直申し上げまして建設省本省から地建の方へいろいろな指示を出しておるわけでございますから、そういうことは必要ないということでございますから、その権限委譲というのは私は想像を絶するものがあると認識をいたしております。
  242. 中川正春

    中川(正)委員 いや、うがった見方をしたら、それぞれの、例えば国会議員なりなんなりが逆に横やりを入れやすくなったのじゃないかというふうな批判もあるくらいであります。どうもそこのところのルールをだれがつくるのだ、どういうふうに箇所づけの中で、いわゆる情報を公開しながら、なぜこの道路をつくってこの道路はつくらないんだということ、なぜここには予算が来てこっちには来ないのだということを国民に対して納得させるようなシステムが入らない限り、これはやはり納得ができないなということだと思います。
  243. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生、いい御質問をしていただいたと思っておるのですが、私は、この委員会でずっと感じておりましたことを、この機会に述べさせていただきたいと思うのです。  それほど、地方分権ということで、地方にいろいろな権限あるいは判断、決定を、それは地方公共団体にもお任せしますし、例えば国土交通省であれば地方整備局に任すわけでございます。ですから、地方公共団体の方々もそれだけの理解をしていただく。勉強をしていただく。十分な受け皿がなければそういう判断ができないと私は思うのですよ。ですから、地方分権ということは、地方にとっては、ある方は大変うれしいことだと言っておりますけれども、財政的なものも含めてまだそれだけのものが整っていないというふうに心配する声も、正直あります。  そういうようなことでございますから、先生の今の御質問、私はいいことだと思うわけでございまして、ぜひそういうふうに地方の方々が大いに努力をしていただく。勉強していただく。その意識改革をしていただかなければ、これは宝の持ちぐされになってしまうと思っております。  ですから、今の先生の質問には答えにならないかもしれませんけれども、ずっと胸に抱いておったものを今述べさせていただきました。
  244. 中川正春

    中川(正)委員 大臣、責任転嫁をしてもらってはだめだと思うのです。  私の言いたいのは、そこを地方が一緒になってやりましょうといっても、今のシステムではできないじゃないですか。そのルールをつくるのはやはり国の方なんだと思うのですよ。地方支分部局に任せましたよ、任せたけれども、その地方支分部局でいかに箇所づけをしていって外から見て納得ができるような配分にするかどうかというのは、これは国の問題なんですよ。地方の問題じゃないと思うのですよ。  そこの責任転嫁というのを、大臣だけじゃなくて官僚すべてがやるのですよ。だから、地方は頼りないじゃないかという議論があって、何となくそれに巻き込まれて、政治がこれまで地方分権ができなかったということではなかろうかというふうに思います。そこは、私は地方から出てきただけに、声を高くして、我々でやっていきますよということを改めて申し上げたいというふうに思います。  そこで、結論からいえば、そうしたものが見えていないというのがこの法案の最大の欠点なんだというふうに思います。国民に対してやはり理解が得られていないというのが、そこが問題なんだろうというふうに思っております。  次に、大蔵大臣、お待たせをいたしました。財政と金融の分離の議論であります。  これは、各党間の約束を破ったということ、これは私たち許しがたいことだということ、これは冒頭に申し上げておきたいというふうに思うのです。  そのことと同時にもう一つ、今の議論のままでいくと、どうも日本の戦略というのが見えてこないのじゃないかというふうに思うのですね。片方、ヨーロッパが統一されてユーロというのが定着をしつつある。ドルも、南米の方まで影響力を及ぼしていきながら、その流れをつくり始めている。そうした中で、日本は、まだバブルの後遺症を抱えながら、やっと今不良債権の処理を始め、本当の産業再編に向けて、デフレギャップを封じていくために構造改革が始まってきた、まだそこの段階なんですね。その中で、こうした国際情勢の背景を踏まえて、特に金融面、これでやられたわけですから、この部分で、だれが一体責任を持った戦略をつくり上げていこうとしているのかということですね。これが、今のような議論で財金分離をやっているとどうも中途半端になっていく。そこが非常に危ないというふうに思うのです。  私も、あるいは先ほどそこに座っておられた野田大臣も、新進党時代に、日本銀行の独立性というのを確保していこうという私たちなりの法案提出させていただきました。そのときから、これは大蔵省ですべてやったらいいじゃないかというのじゃなくて、金融は分離をして、できれば日本銀行とも連携しながら、FRBのイメージがあったと思うのですが、あれぐらいに金融に特化して、ひとつ強い金融庁というのをつくっていく。あるいはあのころは、三条機関で政策をしっかり立案できるような戦略省庁というのをつくっていこうじゃないか、そういうことを私たちは目指していたということがあります。  そういうことを前提にしながら一つお伺いしたいのですが、これまでの基本合意の中で、私はこういうふうに理解をしております。それが正しいかどうか、まずはお答えをいただきたいのです。  財金分離については、基本的には財金分離していきますよ、その中で、しかしこの緊急事態をとらえて、破綻処理とそれに伴う適切な業務に関して、いわゆる危機管理に関しては共管でいってはどうか。こういうところが、私たちの党を除いてそちらの方で合意がされて、そのように今動いているということ。  これでいいのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。     〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
  245. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 財務省設置法の第三条は、ごらんのように金融という言葉に一切触れておりませんで、その任務からは金融を落としました。他方で金融庁設置法につきましては、金融庁は、我が国の金融の機能の安定、金融の円滑ということを極めて明快に書いてございまして、任務としては書き分けました。それから中央省庁等改革基本法の改正におきましては、別表第二、十五条の関連で、旧法に金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画立案と書いてございましたものを、主要な任務というところからは一切削除をいたしてございます。  したがいまして、この間の分離は極めて明快に法文上行われておりますが、財務省設置法の四条五十五号に、金融庁の方の仕事から流れてまいりました金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画及び立案を、健全な財政の確保、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保の任務を遂行する観点から所管事務とする、そういうふうにはっきり書き分けてございますので、ただいま仰せになりましたように、私どもはこの法律案の述べるとおりに認識をいたしております。
  246. 中川正春

    中川(正)委員 ここは先ほどの条項、四条五十五号は財務省設置法に明記されてありまして、金融庁の設置法には明記はないわけですね。これはどういう意図でそういう形になっているのですか。
  247. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これはもう第三条で、金融庁は、金融の安定、金融の円滑、全部金融に関するものは金融庁とございますから、全部これに入っておる。
  248. 中川正春

    中川(正)委員 ほかにも、わけがわからないところがあります。それは、両方にそれぞれ記述がある部分ですね。  一つは、預金保険機構及び農林水産協同組合の貯金保険機構、これが、同じ条項が財務省の方にもそれから金融庁の方にもあります。それから、保険契約者の保護機構に関してもそうですね。それから投資者保護基金、これについてもそうなんですね。  これは、普通でいけば、財金分離しましたよ、その中でこうした機構については金融庁ですよという判断が出てくるわけであります。これをわざわざ財務省に残さなければならない意味はない。そこは財金分離ということが基本的になっていないというふうに判断されるわけでありますが、ここら辺についてはどうでしょうか。
  249. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、金融庁設置法の、今度は所掌事務のところで、第四条に、「金融庁は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。」とありまして、「国内金融に関する制度の企画及び立案に関すること。」これはもう明らかに金融に関するすべての企画及び立案に関しますから、当然のことながら、危機管理を含んでおる。
  250. 中川正春

    中川(正)委員 だから、これは金融に関する企画立案ですから、金融庁の中に入っているのはいいと思うんですよ。ところが、なぜ財務省にそれを残しているのか、そういう質問なんです。
  251. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 しからざれば、財務省は金融に関して一切の所掌事務を持たないということになりますから。第四条五十五に書きますようなこういう観点から、金融破綻処理、金融危機管理に関する企画及び立案、それはつまり、ずっと金融庁から流れてきた問題が、こういうことに関する限りは財政、国庫等々に関係がございますから財務省の所掌事務になってくる、こういうふうな観念であります。
  252. 中川正春

    中川(正)委員 そこは理解できないですね。これは金融危機管理に関する、あるいは金融破綻処理に関する企画及び立案、ここに限定されているわけですね。それがどうしてそれぞれの保険機構に対して、所管事務として持っていなきゃいけないのか。これは、金融庁がその辺は企画立案しますよ、管理していきますよ、こういう形で分離した上で、必要があれば財政出動は大蔵省に持っていくという話だと思うんですね、財金分離というのは。
  253. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 正確に理解を申し上げているかどうかと思いますが、預金保険機構なんというものは、明らかに金融破綻、金融危機管理に関することでございます。したがって、ここには財政資金も入っておりますし、これは財務省と一番縁の深い、現実にそうであるし、これからも金融破綻処理あるいは危機管理に関してやっていくことになると思いますから。ただ、それはもちろん、預金保険機構に対する金融庁の監督権を排除するものではありません。いわば、そういう意味では、そこは共管になると思います。
  254. 中川正春

    中川(正)委員 その議論でいけば、財務省は何でも口出しできるという話になっていきませんか。  だから、そこの部分は担当省庁にちゃんと渡して、そこでの結論を経たものに財政出動するかしないかという話になる。しかも、この保険契約者保護機構だとか投資者保護基金というのは、財政出動するかしないかというような、そんな話になっていないんですよ。それがなぜ財務省の中におさまっているのかということ、ここは、さっきの説明ではなかなか納得できないですね。
  255. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 お時間があればゆっくり申し上げたいんですが、現に昨年起こったことをお考えになっていただきますと、一昨年の秋にああいう金融機関の破綻があって、そして直ちに日本の銀行のいわゆるジャパン・プレミアムというものが暴騰をいたしました。そしてまた、国内では貸し渋りがありまして、そういうことを考えまして、いわゆる早期是正措置も国内金融機関については一年延ばしましたし、三月に公的資金を導入した。それでも、実際、事態は改まらずに、八月には円が百四十七円までいった、そしてその間に不況になって国は補正予算を組む、税収は減る、そういう事態は明らかに財政にも為替にも通貨にも関係があることでございますから、関係があることは関係ある、これだけのことでございます。
  256. 中川正春

    中川(正)委員 だから、大蔵省のこれまでの、官庁の中の官庁ということが言われるゆえんがそこにあるんだと思うんです。何もかも、危ないから私のところが所管をしなきゃいけない、共管をしなきゃいけない、こういう考え方からは卒業する意味で、財金分離も話が出ていましたし、今の、それぞれの省庁の再編ということにもなってきておるわけであります。  そこのところを一つ指摘させていただきながら、特に、保険契約者保護機構あるいは投資者保護基金というのは、これはなぜここに置いておくというのがどうも解せない。公的な資金の投入というのが前提にされているのであればこれは大変なことでありますし、そうでなければここに置いておく必要はないんだ、こういう理屈でしか見られないような機構でありますから、ここのところが納得できないというふうに思います。
  257. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そうおっしゃいますならば、預金者の預金を保護するのに、財政資金を使わないでどうやって保護するのですか。
  258. 中川正春

    中川(正)委員 わざわざ質問をいただいてありがたいと思うのですが、私の言っているのは、大蔵省が、あるいは財務省がそんなところは共管をしなくても、企画立案をするのは金融庁だ、そこの中で責任を持ってやっていきますよという形に整理をしないと、前と同じような形で、それぞれが引っ張り合ったり、じゃ責任はどっちなんだという話になったり、そこでまたいろいろなゆがみが出てきて、最終的にはバブルのときのような政策の間違いにつながってくる、そういうことだったんだろうというふうに思うんです。  だから、そこの責任を、そこの部分をはっきりさせるためにそれぞれ分担を分けていきましょうという話ですから、さっきのへ理屈みたいな話にはならないんです。基本的なところでどうも観念できていないんじゃないか。いわゆる政治家レベルではそれを分けても、官僚がこうして具体的に法案をつくってくると、どうもまだそこにしっかりと昔の栄華が残っているというふうな形がありまして、これが残っているのが逆に危ないんだというふうに私は見ております。  それからもう一つ、日本銀行との関係があります。  これも両方なんですね。金融庁の方にも、「日本銀行の国内金融業務の適正な運営の確保に関すること。」ということで、日本銀行に関与をしていくことになっております。それからもう一つ、財務省の方も「日本銀行の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること」こうなっておりまして、その後に括弧づけで「(金融庁の所掌に属するものを除く。)」こういう大枠の規定になっているんです。これも一度、具体的にはどういう役割分担をその中でしようとしているのか、財務省はその中で何をやろうとしているのか、これを具体的に聞かせてもらわないといけないというふうに思います。
  259. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 前段の方は、冒頭に申し上げたことでございますけれども、まず、国会の御論議を承っていまして、財務省から金融という任務を一切この法律の上から取り除いてしまったということ、そして、それは一切、金融に関することは金融庁設置法の任務に入れたということで、これははっきり、主と従ではない、金融は金融庁の仕事である、基本的には財務省の仕事ではないということを申しました上で、四条の五十五でこういう場合にはと言っておるわけでございますから、基本的に、金融破綻処理及び金融危機管理に関する企画立案も、もとより金融庁の金融全般に関する仕事の一部であります。  しかしながら、それは、先ほど申し上げましたような、財政とか通貨とかあるいは為替とかに関係をいたしてまいりますので、その管理において財務省の所掌事務といたしたということで、国会で御主張の主流でございました、はっきり金融は金融庁に置くべきだ、大蔵省の任務ではないというお考え、この法案はそれを趣旨といたしまして提案をいたしておるつもりでございます。  この点は、国会の御議論をいろいろ承っておって、私どもは裁かれる立場でございますから何も申し上げなかったし、また、何年かにわたる私どもの行政の誤りということも明らかでございますから、国会の御意思を忠実に法案に体したつもりでございます。ただ、先ほどのような、流れてくる場合に関係がございますから、そこのところは所掌事務にしていただいたということでございます。  日本銀行につきましても、日本銀行の中で銀行券の製造あるいは外国為替の売買等々の業務は、これは当然に財務省の系列、関連に属することでございますから財務省が承認の事務を行いますが、しかし、日本銀行の行う金融業務あるいは国内金融に関する制度の企画立案、これはすべて金融庁の所管でございます。  したがって、このたび日銀法に改正を加えておりませんから、中央の方で金融庁と財務省との所管が再編されるに従いまして、それがそのまま日銀の関係につながることになる、結果としてそうなるというふうに考えております。
  260. 中川正春

    中川(正)委員 そこのところを、具体的な業務の明示をしていただきたいというふうに思うんですね。それは後で結構ですから、どういうふうにそれが分割されてくるのかということを確認させていただきたいというふうに思います。  時間がなくなってきましたので、最後に、一番懸念をしている問題を指摘させていただきたいというふうに思うんです。  これでいくと、いわゆる国際金融といいますか、国際的な業務に関して二つに分かれているように思うんですね、この中身が。銀行等金融機関の国際業務、金融機関が海外に出ていく場合には、これは金融庁がやっていきますよということですね。ところが、IMFであるとかあるいは国際金融機関に対して代表として出ていく、その中で、国際通貨制度と外国為替、これについてのいわゆる企画、運営、こういうものについては財務省にそのまま残しますよ、こういうことだと思うんですね、この法案をそのまま読ませていただくと。その理解でいいんですか。
  261. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今の日本銀行と財務省、金融庁との関連につきましては、表につくりましてお手元にお届けいたします。  後段のお尋ねは、そうでございまして、つまり、一般の金融機関の国内の仕事、金融機関のいわゆる仕事については財務省は一切関係がないということになりますから、為替等々についての関係を生ずるということが、海外でただいまおっしゃいましたようなことにつながっていく、そのとおりと思います。
  262. 中川正春

    中川(正)委員 もう時間が来たので指摘だけさせていただきたいんですが、ここのところが私は一番問題になるんだろうと思うんです。  この時代に、国内マーケットと海外マーケット、どうして区別をつけるかといったら、そんなのつかない時代であります。その中で、海外のマーケットあるいはそれのルールづくりに対しては財務省がやりますよ、国内のマーケットについては金融庁がやりますよ。そんな中で財務大臣が海外に出ていって本当に日本の金融が代表できるのかというと、これも中途半端な形になっているんだろうというふうに思うんです。  そこのところの問題を見てみると、やはり戦略というのが必要になってくる。ここでやはり思い切りというのが、財務省の中に、国際金融であるとかあるいは日銀であるとか、あるいは先ほどの諸所の問題、預金保険機構なんか含めて、そういうところにこだわっていないで、財務省は国庫の管理あるいは税金の管理という部分、マーケットとは違う部分に特化して、金融庁を中心にした枠組みを組んで日本の戦略を考えていく、こういう心の整理を早くしないと、このままでいけば大変なことになるというふうに思うわけであります。  この中途半端さが、私は一番問題なんだろうというふうに思いまして、そんなところを指摘させていただきながら、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  263. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、石井紘基君の質疑に入ります。
  264. 石井紘基

    石井(紘)委員 私は、特殊法人等を中心とした政府のいわゆる関連ビジネスといったものを中心に、行政改革について論じさせていただきたい。また、行政との関連で、自治大臣にお見えいただいておりますので、オウム真理教についての問題、あるいはまた建設大臣には、吉野川河口堰についての御発言が二転三転といいますか、ちょっと印象としてはそうなっておりますので、その辺をたださせていただこうか、その他でございます。  そこで、行政改革でありますが、どうも一般国民から見て、一体何のためにやっているのかな、例えば省庁の再編等々を進めていくことによって実現できるものは何かなという思いが疑問としてあるわけでありますが、ちょっと端的にもう一度お答えいただけますか。
  265. 太田誠一

    太田国務大臣 行政改革の目標、目的、今回の中央省庁改革の目的は、一つは政治主導を確立するということでありますし、また国民から見えるように透明化を図るということ、それから従来の縦割りの行政の弊害を除くために、省庁間の調整あるいは内閣府による総合調整あるいは整合性の確保ということができるようにするということ、それから、そういうことを進める中で政府全体をスリム化して国民の負担が軽くなるようにということをすることであります。  政治主導にするということの意味は何かといえば、それは、再三国会でも議論されておりますように、国民がその任免を決めることのできる政治家にリーダーシップをとらせることが国民主権の理念に沿うものであるという考え方から、これに取り組んでおるわけであります。
  266. 石井紘基

    石井(紘)委員 スリム化といっても、このスリム化というのはなかなか具体的にあらわれてこないわけですね。本当にスリム化というものがどうして必要なのかというようなことも、どうもよくわからない。財政負担が多くなってくる、借金がふえてくる、だからスリム化だというのでは、これはわからぬわけですね。行政というのは、もともとこれは社会に必要なものでありますから、そういう点もよくわからない。  そこで、それと同時に、もう一つ伺いたいのは、当初は行財政改革なんて言われておって、財政の問題があるわけですが、財政的には省庁再編によってどういうふうになっていくんですか。
  267. 太田誠一

    太田国務大臣 よくわからないとおっしゃいますが、大きな政府、大きくなり過ぎた政府を小さくしようということ、そしてまた国民に対する負担、負担というのは、これは単に財政的な負担だけではなくて、オーバーコミットメントをしているということから撤退することが必要だということは、お互いに、国会でもって我々も言ってきたし、石井委員も御議論をしてきたことではないでしょうか。  そして、スリム化の意義がわからないというふうにおっしゃいますが、必要だというコンセンサスがあったればこそ我々はそれに取り組んできたわけでありまして、今時点でそういうふうに言われることは私もよく理解できない。
  268. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは、私は、どういう中身を考えているのかということがわからないということなんですよ。つまり、大きくなり過ぎた、では役人がこの国は多過ぎるのですか。国家公務員、地方公務員が多過ぎるのですか。
  269. 太田誠一

    太田国務大臣 これは、たびたび言っておりますように、事前の調整から事後のチェックへというふうに政府の活動のスタンスを移すということにウエートがあるわけでありまして、事前の調整についてはやり過ぎた、行政指導などでやり過ぎたという反省があり、その部分は縮小をしていくということであります。  スリム化というのは、それが一つと、それから全体として国家公務員の数を削減するということもまたあるわけであります。事後のチェックについてはまだまだ足りないということは言えると思います。
  270. 石井紘基

    石井(紘)委員 事後のチェックは本当にずさんになっております。十年間で二五%定員を減らす、そうすると、今は定員が多過ぎるということですか。
  271. 太田誠一

    太田国務大臣 現在の政府のあり方からいえば、これはいわゆる事前の調整の方に大きくウエートのかかった状態では、やはり多過ぎるということになったわけですね。
  272. 石井紘基

    石井(紘)委員 日本には一億二千五百万人、人口がありまして、諸外国と比べてみて公務員そのものの数というものは、諸外国も多いといえばそれは我が国も多いということになるのかもしれませんが、比較してみて必ずしもそこの部分は多くないのですよ。  問題は、そうじゃなくて、そこから膨らんできた特殊法人等々の部分が大き過ぎるというわけですね。ここは経済活動をやっておりますから、これが我が国の経済を初めとする全体の社会構造をゆがめ、また社会生活を危機に陥れているわけですね。本来でしたら、ここのビジネスの部分は民間で行われなければならない部分。民間で行われることによって競争が起こり、資本、価値の再生産が生まれて、そして世の中のあと半分の働いていない人たち、被扶養の人たち、あるいはお役所、こういうものを支えていくことができるわけですよ。  ですから、行政というものについて、私はそれではここでもう一度見解を、どういう認識でおられるのかということを聞いてみたいと思うのですが、行政というものは、その性格というものは、基本的に事務なんじゃないでしょうか。その点はどういうふうにお考えですか。
  273. 太田誠一

    太田国務大臣 行政というのは、その都度使う人によって大変あいまいに使われていると私は思うのですけれども、結局は、行政権といえば、憲法に定められている行政権というのは内閣の持っている機能に等しいと思います。そうであれば、狭い意味のいわゆる執行ですね、公権力の執行、行政権の執行にとどまらず、それは内閣法に定められた法律案の提案権ということまで含むと思います。
  274. 石井紘基

    石井(紘)委員 それはそうです。行政の長は内閣総理大臣を頭とする内閣、これは憲法によっても、「法律を誠実に執行し、国務を総理する」ということになっているわけです。アメリカの場合は、大統領が法律を誠実に執行させるようにすること、大統領の権限はこういうふうに規定されておって、それでは執行するのはというと、それぞれの省庁の役所の機関ということになっていくわけですね。  そこで、今長官おっしゃるように、いかなる法律が必要であるかというようなことを考える、あるいは必要とする法律の制定を見るように方途を考える、あるいは、社会の運営が一層公正に行われるようになるために新たな制度が必要ではないかというようなことを考えたり、それの必要に応ずる措置を講ずべきであるというようなことは、これは憲法学者が、佐藤幸治先生が書かれているわけです。  ここに先生が述べられていることを私なりに解釈いたしますと、行政というものは、例えば経済との関係についていえば、経済そのものを行うのではない、それがいかに円滑に行われるかのコントロールといいますか、措置を講ずる、そういう役目ですね。やはり行政というものはそういうものだろうと思いますが、いかがですか。
  275. 太田誠一

    太田国務大臣 今、石井委員がおっしゃっていることは、民間部門と政府部門との役割がどういうふうに分担されるかということをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、そのとおりであって、自由主義を建前とする我が国のような社会においては、基本的には、国民の活動というのは国民自身の自己責任において行われるのであって、政府は、その中で政府でなければいけない仕事、あるいは政府が役割を果たさなければ十分にその財が、その商品が供給されない、あるいはそのサービスが供給されないというところに役割を果たす意味があるということだと思います。
  276. 石井紘基

    石井(紘)委員 ですから、経済活動そのもの、あるいは市民活動そのもの、これを行うのは決して行政ではないんだ、こういうことですよ。  そこで、私なんかが前から要求して総務庁が調査をしたところ、特殊法人の関連会社、関連法人というものは、これは直接出資しているものだけで一千社を大分超えてあるわけです。ざっと数えて一千二百社ぐらい、あるいはもっとあるんです。さらにファミリーの企業、持ち合いでつくった企業とかその他を入れますと、これはもう二千社を超える。その中には、道路公団や住都公団の子会社、孫会社のように、ただ単に丸投げをするような小規模な数名ぐらいの企業から、世界一の大企業、住都公団や道路公団や年金福祉事業団というような世界一の大企業まで網羅しておるわけですね。  さらに、特殊法人だけじゃなくて公益法人やら、公益法人というのは職員が五十一万人ですよ。それに対して役員が四十九万人ですよ。役員と職員がほとんど同じですが、合わせて百万人。あるいは、認可法人やらあるいは指定法人やら何やらというようなものが、公益法人の問題も後で申し上げますけれども、その多くが、少なからぬ数がビジネスに従事しておる。この部分というものが大変大きいために、経済活動が大変厳しい苦難の情勢に置かれているわけです。  こういう問題を見なければ、これは行政改革とは言えないんですよ。ますますじり貧、金を幾らつぎ込んでもつぎ込んでも切りがない。最後にはもうギブアップしかない。特殊法人を見ればほとんどそうじゃないですか。そういうところに行政改革をやるのであれば、その意義があるはずですよ。  大蔵大臣はいかがお考えでしょうか。突然で申しわけございません、あれだったら総務庁長官でもいいですが、行政改革をやることの目的をさっき幾つか伺いましたが、透明化だとか政治主導にするんだとかスリム化するんだとかいろいろおっしゃいましたが、具体性には全然欠けておるわけですね。どうして透明化になるのか、ますますこれは不透明になっているような気がいたしますが。こういうのは説得力のある目的じゃない。だから、私が言うように、こういう行政改革の目的というものをきちっとやはり認識をしないと、ろくな案が出てこないということになるわけですよ。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  277. 太田誠一

    太田国務大臣 それならば、そうおっしゃるのであれば、ぜひ代案を出していただきたいと思うわけでございます。  そこはどう違うのかというのは、私も新聞などでは御党でお考えの案も見ておりますけれども政治主導や内閣機能の強化、政治主導にするということは内閣機能の強化になることであって、それはすなわち、国民が選ぶことのできる政治家にリーダーシップを持たせるということが行政改革の重大な柱だという認識は、私は、党によってそう違うとは思えない。  それから、先ほどは端的に言えと言ったから私は端的に申し上げたのであって、内容をきちんと具体的に説明すれば、独立行政法人についても御説明をいたさなければなりませんし、あるいは審議会制度の整理についても御説明をしなければなりませんので、ぜひそれはお聞きをいただきたいと思います。
  278. 石井紘基

    石井(紘)委員 対案をという話ですが、そうじゃなくて、これはまさに謙虚にやはり受けとめていただかなければならない議論だと思うのですね。  そこで、もう一度戻りますが、そうすると特殊法人というものは、これは行政との関連で行政目的を達成するための機関ということになりますかね。
  279. 太田誠一

    太田国務大臣 特殊法人につきましては、もちろんもともとは行政の目的を助けるためにつくられた機関であろうと認識しております。正確な定義はそれぞれまたあるんだと思いますけれども、一応法律によって設立をされているわけでありますから、法律で決まったということは、国会で、公の機関をつくって、資金もつぎ込むし利子補給もするということで、つくってよろしいということになってできたわけでございますから、そういう機関は、今になって考えてみると、あるいは先生がおっしゃいますように、これはちょっと政府の仕事としては出過ぎているんじゃないかという部分もあろうかと思いますけれども、設立した当初は、恐らく国会では大勢の方々が、これは政府でなければできない仕事だ、あるいは政府が補完をしてやらなければできない分野であるというふうに判断されたのではないかと思いますね。
  280. 石井紘基

    石井(紘)委員 法律で至るところに特殊法人への出資とか、だから資金的な面あるいは事業の規定、そういったものがだあっと盛り込まれてありますね。しかも、予算をこの多くには出してやっているわけですから、これはやはり行政機関の一種というふうに見てよろしいですか。この定義というものがないから私は聞いているわけです。
  281. 太田誠一

    太田国務大臣 これは行政機関の一種ではなくて、法律に基づいて設立された、国の行政とは別の法人だというふうに理解をしております。
  282. 石井紘基

    石井(紘)委員 その答弁はわかりませんね。  いいですか。さっきは、行政のいろいろな政策上の目的を達成させるための機関だということで私が聞きましたら、ほぼそれを肯定された。そうすると、行政機関じゃなかったら、少なくとも行政機関の一種というものでなかったら、それは何なんですか。
  283. 西村正紀

    ○西村(正)政府委員 お答えいたします。  特殊法人は、特別の法律によりまして特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人のことでございます。  すなわち、政府がこういう行政目的でこういう事業をある法人に行わせたいというときに、個別に法律をつくりまして、その法律でそういう法人を強制的に設立させるというためにつくるものでございまして、政府が行うべき事業を別の法人にさせるというものでございます。
  284. 石井紘基

    石井(紘)委員 そんなことは何十回聞いたって全然返事にはならないので、特殊法人というのは行政機関の一種なんですか、どうなんですか。だから、やはり政治家に聞かなければこれはだめですよ。
  285. 太田誠一

    太田国務大臣 行政機関といえば国の機関であるということになると思いますけれども、国が直接行うことのない仕事をするわけでありますので、行政機関ではなくて、それを助ける機関だというふうに……。
  286. 石井紘基

    石井(紘)委員 それでは、どういう機関ですか。行政機関ではなくて、それを助ける機関というのは、これは何なんですか、一体。――いやいや、ちょっとそっちの答弁は、法律に基づいて設置されたとかなんとか、そういうつまらないことを言うからやめて。
  287. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 行政機関という、いろいろな法律にも使いようがあるわけでございます。一般的に私どもが行政機関といいますのは、まさに国家行政組織法で、法律では通常行政機関という定義をしているわけでございます。  先生は、行政事務を実施する主体は行政機関ではないかという御指摘かと思いますが、現実には、行政事務といいますのは、法律の委任を受けまして特殊法人が実施する場合、公益法人が実施する場合、あるいは民間が実施する場合もあるわけでございます。したがって、通常行政機関といえば、それは国家行政組織法で定義される機関をいうものであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  288. 石井紘基

    石井(紘)委員 私が聞いたことに答弁をしてもらいたいのですよね。  これは行政機関ではない、それを助ける機関だと。では何だと言っているんですよ。それは何ですか。時間が余りかからないように、もしわからないならわからないと。――いや、あなたはもう勘弁してよ。
  289. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 公共的な法人でございます。
  290. 石井紘基

    石井(紘)委員 公共的な法人というのは、法律のどこにあるんでしょうか。
  291. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 先生よく御承知の上と思いますが、特殊法人といいましても、法人格としては、いわゆる公社みたいなものから、株式会社もございますし、公益法人もあるわけでございます。また、税法上も、公共法人と整理されるものもございますし、あるいは公益法人と整理されるものもあるわけでございます。したがって、それぞれの特殊法人を見ませんと、法律上、それがどういう観点から何法人と定義するかということは申し上げられないということでございます。
  292. 石井紘基

    石井(紘)委員 大体世の中の団体というものは、民間団体かあるいは公の行政の団体か。それで、特殊法人については、特殊法人の総裁は法律によって大臣が任命することになっている。その役員も大臣が承認をするということになっている。予算も各省庁で、あるいは政府でもってそれを決めることになっている。これは行政の機関じゃないとはっきり言うのですか。
  293. 太田誠一

    太田国務大臣 それは、その法人と政府とのかかわり合いがどうなっているかによって、人事権を握られたり、あるいは補助金に頼って生きていかなくちゃいかぬというところは、別に特殊法人じゃなくてもほかにもあると私は思いますよ。  だから、それは完全に独立した民間の企業というものとは違うけれども、民間の企業でもないし行政機関でもない、それ以外の機関というのは、ノンプロフィットオーガニゼーションだってそうでありますし、その中でそれぞれ法律に基づいて法人格を持つということは大いにあり得る、ちっともおかしなことではないと思うのですね。
  294. 石井紘基

    石井(紘)委員 要するに、特殊法人というものの位置づけができないわけですよ、どういうものかということが。しかし、実際には、特殊法人というのは役所のそれぞれの所管があって、その指導のもとに事業を展開しているわけです。これは、大体一九六〇年代、七〇年代ぐらいからだあっとふえてきまして、七〇年代、八〇年代ぐらいになると、最初の設置目的を大きく逸脱してというか、もうほとんど事業の幅を無制限に広げてしまってビジネスを展開する、そういう機関になったわけです。  しかし、これは行政がつかさどっている機関ですから、一般の民間企業とは全然違う。予算をもってするわけです。ですから、ここで行われる事業は営利事業じゃない。営利事業をやりたくても、行政がやっているものだから、行政というのはお金を使うところですから。ですから、こういう特殊法人というものは全部、本体は少なくても赤字になる。赤字になるから国がそれを予算で補てんして、あるいは財投や何かからざぶざぶ借りてきて、そして徐々にギブアップしているのが出てきておりますが、そのうち、みんな水面にあっぷあっぷして浮かび上がってくる、こういうようなものなんですよ。  そこで、私は、その特殊法人というものについて行政改革で徹底的な改革を行わないということは、行政改革の一番のポイントをネグレクトしておると思うわけです。  これはまた、特別会計というものとも非常に密接に結びついているわけですね。例えば、国有林野事業は森林開発公団、あるいは空港整備特会はそれぞれの空港公団、あるいは厚生保険特会は厚生年金基金、国民年金特会は年金福祉事業団とか、都市開発融通特会なんという変な特会は住都公団とか、電源開発は電源開発、石油エネルギー特会は石油公団、こういうふうに、しかもこの特別会計というのは三十八種類もあって、その予算規模は三百兆円ですよ。一般予算の四倍ですよ。  こういう中で、つまり何でこんなことをやっているかというと、実際には特別会計とか財政投融資、特殊法人の、そういう予算の方にむしろ本当のいろいろなお金のやりとりがある。一般予算というものは、そういう汚れた、投機だとか投資だとか、結局やってみなきゃもうかるかもうからないかわからない、損するかもわからない、そういうようなものは予算に組めないわけでしょう、収支がはっきりしないから。そういうのはビジネスなんです。これは民間でやらなきゃいけないことなんです。  だから、民間でやらなきゃならないことを行政がやってしまっているから、その隠れみのといいますか、結局そこにふたをしている役割を特別会計というものが負っているわけです。今の特殊法人に対する答弁だって、特殊法人というものは何者かということが言えないのですよ。つまり、それはそういうところにふすまをして、その向こうでごそごそ何かやっておる、そういうことだからそれが定義さえできないということになるわけです。  そこで私は、今申し上げましたことを実態を明らかにするために、ちょっと具体的に幾つか聞いてみたいと思うんです。  例えば道路公団。道路公団はかつて道路施設協会というものがあって、そして直接出資をした孫会社が六十八、そしてファミリー会社は数百というものを抱えて、盛んにいわゆる内職といいますか、官僚ビジネスをやっておったわけです。そういうのは公益法人として法律にもそぐわないじゃないかということを再三申し上げましたら、それでは見直しましょうということになって、では、民間のように競争の原理を導入しましょうなんということでその公益法人を二つに分けて、今度は道路施設協会を道路サービス機構というものとハイウェイ交流センター、こういうふうに二つに分けた。  これはどういう趣旨で二つに分けたのか、もう一回ちょっとおさらいの意味で御答弁をいただきたいと思います。
  295. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 これは、先ほどるる先生が御指示をされておりましたように、財団法人相互の競争の促進による利用者サービスの向上を図るということが基本でございまして、御指摘のように、道路施設協会を道路サービス機構とハイウェイ交流センターに分割をいたしました。  それで、分割するときには、競争性の観点のほか、分割によります組織、人員の膨張を防ぐという点も加えておりまして、単純な地区割ではなく、同じ法人が運営するサービスエリアが同一路線上で三カ所以上は連続しないようにしようとかいう、細かくモザイク状のまだら模様になるよう、そういう分割もしたということでございますし、第三セクターによる占用もそれに加えてきておるわけでございます。  それは、平成九年度からそういうことをしておりますが、平成十年度には、さらに、民間事業者が既に持っております商業施設等を高速道路に連結して、サービスエリア、パーキングエリアに類似した形態とするというようなことをいたしまして、いわゆる透明化、それと競争の幅を広くするというようなこともやってまいりました。  そういうようなことで、サービスを徹底してやっていくというようなことでやっておりますので、御理解をいただきますようにお願いいたします。
  296. 石井紘基

    石井(紘)委員 私が言っていますのは、今いみじくもおっしゃったように、競争させるというわけですね。公益法人というものは、これは不特定多数の利益に資する、競争なんというものはおよそ考えられない、そういうものを公益法人としているんじゃないんですか。競争は民間の経済社会で行うことなんですよ。公益法人というものがビジネスの競争を、今おっしゃるようにやっているわけですよ。皆さん方がつくったものですよ。これだって、通達か何かでやったか、あるいはもうほとんど行政裁量の中でこういうものをやっておる。こういうことは本当に、今の御答弁のように、競争させるんだというようなことを平気でおっしゃっているという感覚は、私は大変おかしいと思うんですね。  私はちょっと大づかみに幾つか出していきたいと思うんですが、今度は、住都公団はどうでしょうか。  この間私は、本来は民間がやるべき再開発というような事業を、やはり住都公団がプロジェクトをつくって大がかりにやる、そしてその中に民間のディベロッパーなんかを少しずつはめてやる、こういうふうに、明らかに官の優位の中でもって、民間が割り当てをもらって食わせてもらっておる、こういう経済のシステムになっちゃっているわけですね。  そこで私は、住都公団がそうやって商売をやっているものだから、ついつい話のつきにくいところ、立ち退きとかあるいは移転の交渉なんかがやりにくいところは、接待までして、飲み食いまでさせて、そういうなりふり構わぬ手法をもって、そして民間と対抗してやっておるんだということを、具体的な事実をもって申し上げたわけですね。  それは、昨年の十二月の八日に、京都の丹波口の再開発事業に絡んで、そこの中で立ち退き、移転をさせなければならない大きなマンションの組合の幹部を、十数名ですか、私が数えたら全部で十八名ぐらいでもってすき焼きをごちそうして、そしてその後、木屋町のバーに行って、そして公団が全部その費用を払って、しかもタクシー券まで渡して大変な接待をした。それに対して建設大臣は、それは悪いことでございます、いけないことでございますというふうに明確にお答えになられた。  そういたしますと、今度は担当の方は、これは業務上必要であったからやったんだということで、大臣と大変、見解が百八十度違ってきたわけですね。そこで、住都公団の総裁は、そういうことが全然許されないことはないということを言われたわけですが、その後、これはどのように始末をつけたんでしょうか。簡単にお答えください。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  297. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 経過でございますが、御指摘の住都公団のその問題でございますが、御指摘の件につきましては、建設委員会で私が答弁いたしましたのは、その具体的な事実関係は承知していない中での先生からの御質問でございまして、公団が住民を接待して住民の判断に影響を与えるようなことをしたことについてどう思うかという趣旨お尋ねでございましたから、それはもう当たり前のこと、いけないことでございますと答弁したわけでございます。  その後、本件につきましては、公団から報告をいただきまして、その内容を聞いてみましたところ、業務上の必要があっての会合であり、接待と言われるようなものではないというふうに私も感じました。しかし、何千円というもので出しておるわけですから、接待、まあどのあたりまでが常識かわかりませんけれども、ちょっと接待と言われるようなところまでではないのではないかというような思いをいたしました。  それで、先生御指摘のように、本来民間がやることを、そういうようなことをやっておるからだということでございます。それはいたく感ずるところでございまして、それで住都公団も、御承知のように、これは廃止をいたしまして新しい公団にしておるということでございますから、先生の御注意はすばらしい法律になってきておるわけでございます。
  298. 石井紘基

    石井(紘)委員 どうも建設大臣、ちょっと今の御答弁はおかしいんじゃないですか。私は、三月とそれから五月十四日と二回にわたってこのことを聞きましたよ。そうしたら、具体的に公団の方もそういう事実がございましたということで明快に認めた。その上での大臣答弁ですよ。三月に、これはいけないことです、悪いことです、こういうふうに言われて、五月の十四日に私がそれを再度確認をいたしましたら、建設大臣は、そのようなことは常識的に考えても許されることではないということで私はそういう答弁をいたしました、公団の面々も十分に反省し云々というようなことを言われました。  ですから、このときには既に、明快に公団、建設省の方はこの事実をはっきりと認めておったわけですよ。だからそれは、一般的にとかそういう話じゃないわけでございますので、建設大臣のその答弁では私はちょっと納得ができません。  それからまた、何千円とかおっしゃいますけれども、これはすき焼きを食べさせて、それから二十人ぐらいで木屋町へ出かけていって、そしてバーでもって振る舞ったんですよ。それで、帰りのタクシー券をみんなに持たせてやったんですよ。これは、今の答弁じゃ私はちょっと納得できません。
  299. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 反省していないということではないわけでございまして、反省いたしております。  それで、その後公団から報告もいただきましたし、公団の方も、仮にも国民皆さんから疑念を持たれるようなことがあってはいけないということで、公団職員に対する周知徹底も図っているところでございますので、どうぞひとつ御理解をいただきますようにお願いいたします。
  300. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうおっしゃいましても、残念ながら、これは税金を使っていることでございますので、御理解をと言われましても理解できない。残念ながらそういうことでございます。  大臣は、吉野川河口堰の場合も、住民投票の結果が出たらこれは中止するというようなことをおっしゃって、そして、また後で何か御発言を変えられたようですね。四月の二十七日に、これは住民投票で反対派過半数なら建設を中止する、こういうふうに言われたと思ったら、今度は五月の十三日になったら、事業を整々粛々と進めていきたい。十八日にはさらに同様に、河口堰、可動堰化を推進しなければならないと思ったというようなことをおっしゃっておられる。  どうも大臣、こっちの方も聞きたいんですが、今の御答弁では私は納得できませんので、ひとつきちっとした責任を、どうするのかという始末をやはりおつけになるべきだ。大臣は、それは悪いことだ、こういうふうに言ったわけですから、再三そう言われておるわけですから。  しかも、こんなことを政府の機関で、言うことを聞かない住民を次々に接待したり、しかもそれは全員が行っていないんですよ、その役員は。しかも、いまだに解決していないんですよ。十二月の八日に接待して、難航しておるから連れていって接待をしたということなんです。ですから、そこは内部の処分なりのけじめをきちっとつけていただきたい。どうぞ。
  301. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 公団におきましても、職員にそういうようなこと、疑念を抱かれるようなことはしないようにというようなことで周知徹底をしておりますので、そこで一つ今回のことは結論を得た、私はそのように判断はいたしております。
  302. 石井紘基

    石井(紘)委員 公団の方は、業務上必要だったからやった、こう言っているわけですよ。大臣は、それは悪いことだと言っているわけですよ。だから、けじめをつけるには、それは大臣の言い分を徹底させる以外にないんじゃないでしょうか。公団の方はいまだに、まだ業務上必要だ、許される範囲内だ、こう言っているわけですから。  それは、やはり大臣の権威にかけても、大臣のおっしゃることは正しいんだから、それを徹底しなきゃいかぬのじゃないですか。そのために、それが全然違うことを言っているんだから、けじめをつける、それは当たり前じゃないですか。そうしなきゃ行政は進まないし、内閣だって何やっているんだということになりますよ、これは。
  303. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 なおよく注意をいたし、今までも注意をしたのですが、なお注意はいたしますので、そこはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  304. 石井紘基

    石井(紘)委員 そんなに軽いことなんですか、こういうことは。  そうすると、そういうことを日常行われても、おい、何か指摘があってちょっとまずいぞというような程度のことで、注意をすれば済むのでしょうかね。それではちょっと私としても、こういうことを質問して、ああそうですか、それで結構ですと言って、引き下がるわけにいきませんよ。国民の税金の使い方ですから、これは。
  305. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 注意をして、そこで総裁から職員に、仮にも国民の皆様に疑念を抱かれるようなことはしないようにということで徹底したわけでございますから、今後はこういうようなことは起こらないと私は確信をいたしております。
  306. 石井紘基

    石井(紘)委員 この問題は、私は納得できません。やはり、政府のきちっとした見解を出してもらいたいと思います、役所の方と大臣とが全然食い違っているのだから。公団の総裁だって、これは許される範囲とかなんとか言っているわけですから。これは委員長、そうしないと、私、質問は、そうですかと言ってここでやめるわけにいかないでしょう。  ですから、先ほどから私が言ってきましたように、特殊法人というものを行政改革でいかに位置づけなきゃならないか、重要な問題かということの中で、特殊法人というのはこういう商売をやっていて、いろいろな不正だとか不透明なことが山ほど多過ぎる、これは行政にはならないということを言っているわけですよ。  では、住都公団、ほかのことを、建設省。  住都公団が、これはいつですか、例えば私の選挙区じゃないけれども、世田谷で明治薬科大学の跡地を買って、そこに今計画中のようですが、その土地は幾らで何坪買ったのですか。  というのは、そういう個々の事業について、幾ら金がどういうふうに使われたのかということが、委員会で聞いても全然出てこないから、そういう、まさに行政の問題じゃないですか、進め方の。
  307. 那珂正

    ○那珂政府委員 御通告がなかったものですから、手元に関連の資料がございませんけれども、ただいま先生おっしゃいましたように、住都公団の事業につきまして、個別の団地ごと、個別の住宅ごとの土地の買収費等の原価につきましては、いろいろな事業執行上の問題を惹起するというような観点から、公表は控えさせていただいております。
  308. 石井紘基

    石井(紘)委員 だから皆さんお聞きのように、こういうことで証明されているわけでしょう。  要するに、特殊法人のビジネスというものは、例えば千葉の方にマリナイースト21という団地をつくった、そのほかにもあちこちにそういう団地をつくっておる。その団地は、例えば分譲住宅だとしたら、その分譲住宅の価格を決めるのは、土地の取得費、建設費、利子、事務費、こういうものを基準にして決める、そういう規定になっているわけですよ。にもかかわらず、その取得費は言わない、建設費は言わない、事務費は言わない、何にも言わないじゃないですか。それで行政改革になるのですかと言っているのですよ。
  309. 高鳥修

    高鳥委員長 石井委員に申し上げますが、個々個別の具体的なことについてお尋ねの場合は、できるだけ事前に御通知おきいただきませんと、資料を調べる都合があります。
  310. 石井紘基

    石井(紘)委員 委員長、ちょっと誤解されていますが、私はそれを出せと言ったのじゃないのですよ、今。
  311. 高鳥修

    高鳥委員長 はい、わかっております。
  312. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういうことを出さないことはどういうことなのかということを言っているわけですよ。
  313. 那珂正

    ○那珂政府委員 マリナイースト21夢海の街の団地についての土地代、建設費、利息等についてのお尋ねですが、これは建設委員会でも御答弁申し上げましたけれども、公団の供給する住宅というものは民間を中心とした市場において取引されるものでありまして、個別住宅の原価の公開は分譲住宅業務の遂行に支障を及ぼすと考えておりますので、控えさせていただきます。  仮に事業終了後のものでありましても、例えば、その事業の条件によって特殊な基礎を要する地盤条件であるとか、価格が原価を上回ることやあるいは下回ることもございます。個別の原価を公開すると無用な混乱を招きかねないという趣旨から、公団住宅の個別の原価の公表は差し控えさせていただいているところでございます。  ただ、公団事業の透明性等を確保する観点から、一定の期間、例えば五年なら五年間の公団の分譲住宅の原価等につきまして資料を出せということでありますれば、建設委員会でもお答え申し上げておりますが、それは資料を出させていただきたいと思います。
  314. 石井紘基

    石井(紘)委員 財政投融資計画の予算についても、一般会計の予算についても、特別会計の予算についても、それぞれ一応予算としては国会審議することになっているわけです。その中で、そういうふうに特別会計へ行っているものとか、今の住都公団は違いますが、そういう個々の事業について税金が幾ら使われたのか、幾らでつくって幾らで売ったのか、そういうようなことが出されないというのでは、行政改革をする以前の、そういうことを論ずる以前の問題がここにあるじゃないですか。  これは、大臣、ちょっとどういうふうに思うんですか。これはこういうことでいいんですか、どうなんですか。答えられる大臣がいたら、どなたでもいいですけれども
  315. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今までは、確かに公団等がいろいろな土地を買いましたときに、その売った方の、どういいましょうか、プライバシーの問題もございまして、例えばその売った方が公表していいというのであるならば、それは今まででも公表はいたしておるわけでございまして、また、事業自体が終わった後ではそれを公表するというような部分もあるわけでございます。  ですから、やはり権利というものもありましょうから、今までは、そういうケースの場合には本人の了解なくしては公表をしていなかったということでございます。
  316. 石井紘基

    石井(紘)委員 もうさっぱり、これはもう議論にも話にもならない。だから、これはもう時間のむだですので、この問題を途中ここでおいて、ちょっと先に進んで。  私は、オウムの例の問題、これはもう大変、最近また再び大きな問題になってきたわけで、これに対して、法務大臣がこの間、破防法の改正をして対応するんだ、こういうことをおっしゃったようですが、これは、破防法を改正してどうやってこれを適用、オウムの規制をすることができるんですか。
  317. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 破防法というのは団体に対する規制の法律でございます。したがいまして、ただいま法務省におきましては、オウム真理教対策について、現在までの規制請求手続の経緯あるいは同教団の現状を踏まえて、破壊活動防止法の適正な内容がどうあるべきかについて鋭意検討作業を進めておるところでございます。  そういう中で、大変住民に広く不安と恐怖を与えております現在のオウム真理教の活動に対して、適正に対応していく方法を鋭意検討しているということでございます。
  318. 石井紘基

    石井(紘)委員 時間がなくなりましたから、この問題を本当は自治大臣にも聞きたかったんですが、問題は、それぞれ、警察庁も公安調査庁もあるいは税務署なんかももっといろいろ役割を果たしてもらわなければ困るわけですよね。六十億も七十億も事業をやって、一説によると、十億ぐらいはもう資産ができていると言っているわけですから。しかも、被害者に対する補償は二割しかしていないでもう清算されているわけですから。そういう清算手続は終わっているわけだから、だから、そこはもっと横の連携をとってもらって、そして税務署も厳しくチェックできるように、これは自治大臣その他にお願いをしたい。  ということと、大蔵大臣には、私、さっきちょっと特別会計のことで御見解を尋ねようと思ってきょうお話しして、そのことを聞いたら早くお帰りいただこうと思っていたんですが、ほかの大臣その他の皆さん答弁が大変長かったものですから、ちょっとそのときに大臣に聞きそびれましたが、特別会計の制度について、ひとつ……
  319. 高鳥修

    高鳥委員長 どうぞ、時間が来ておりますので、御協力願います。
  320. 石井紘基

    石井(紘)委員 最後に、これを改革をする、そういうお考えはないかどうか、一言お尋ねをいたして質問を終わりたいと思います。
  321. 高鳥修

    高鳥委員長 時間が来ておりますので、御協力願います。  宮澤大臣、手短にお願いします。
  322. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 特定の事業の収支を明らかにするという意味では必要なこともございますが、一般的には、財政全体を総攬するという見地から申しますと、なるべく特別会計は設けたくない、基本的にはそのように考えております。
  323. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。
  324. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、平賀高成君の質疑に入ります。
  325. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  中央省庁等改革関連法案は、政策の立案機能と実施機能とを分離して、実施機能の部門の徹底的な減量と効率化を行い、そして、真っ先に国民生活に密着した公共サービスを切り捨てようとするものであります。  そこで、まず最初に、国家公務員の二五%の削減について質問します。  私は、先進諸国の中で比較をしますと、日本の国家公務員は低い水準にあると思います。総務庁の九六年度調査では、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、日本の人口千人当たりの公務員数は、それぞれ何人になっておりますでしょうか。長官お願いします。
  326. 太田誠一

    太田国務大臣 国、地方及び政府企業の職員数を人口千人当たりで単純に比較すれば、欧米主要国はいずれも日本を上回る数になっておりますが、公務員数を外国と比較することは、行政制度が国によって異なる上、国民の求める行政サービスにも差があるなど、前提となる条件に差があることを御理解願いたいと思います。  政府としては、国の行政組織並びに事務及び事業の減量化並びに国が果たす役割の重点化を積極的かつ計画的に推進することとしており、これにより簡素で効率的な行政を実現してまいりたいと存じます。
  327. 平賀高成

    ○平賀委員 私はきのう、今の欧米諸国の人口千人当たりの公務員の人数が一体何人なのかという質問レクをやって質問していますから、長官が答えられないとすれば、総務庁として答えていただけますか。
  328. 西村正紀

    ○西村(正)政府委員 お答えいたします。  人口千人当たりの国、地方、政府企業職員数で、国防を除きますと、日本は千人当たり三十七人、アメリカは七十一人、イギリスは七十八人、フランスは九十三人、ドイツは七十人でございます。
  329. 平賀高成

    ○平賀委員 今お話しになったとおり、私は、日本公務員の単位人口当たりの人数というのは、非常に低い水準に置かれていると思います。ところが、それにもかかわらず、日本では国家公務員を二五%も削減する、こういう計画が今出ているわけでありますから、私は本当にとんでもない計画だと思います。  そこで、問題は、公務員削減計画はどこの部分を削減しようとしているかです。この問題では、国民生活関連部門の公共サービスを提供する公務員削減しようとしていることは、この間の議論の中でも私は明らかになってきていると思います。その一方で、自衛隊は聖域にしているという問題があります。私の本会議質問に対して小渕首相は、自衛官削減について、別途、中期防におきまして自衛官定員を計画的に削減することが閣議決定されています、こういう答弁を行っています。  そこで、防衛庁に伺いますが、自衛官定員削減によって、計画的にどのように定員削減が行われてきましたか。
  330. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 陸上自衛隊の定員について申しますと、これまで陸上自衛隊につきましては十八万という定員でございました。これを、近年の国際情勢であるとか種々の状況を踏まえましてこのあり方を見直すという結果、新しい防衛計画の大綱を踏まえました中期防におきまして、十二年度末におきましては十六万七千人というところに定員を持っていきたい、こういう計画になってございます。  ちなみに、編成定数という考え方で申しますと、十二年度末には十七万二千人ということで、そのうち即応予備自衛官が五千人、それを差し引いた常備自衛官の定員が十六万七千人、こういう計画でございます。
  331. 平賀高成

    ○平賀委員 今答弁がありましたが、この定員削減というのは、定数の枠だけ削って実害がない、そういう定員削減じゃありませんか。
  332. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 陸上自衛隊の定員でございますけれども、これは、組織であるとかそういったものの改編に基づいてその見直しを行うものでございます。  したがいまして、現在、師団というものでもって平時配備する基幹的な部隊ができているわけでございますけれども、こういったものを、中期防期間中には二つを旅団というものに改める、こういうこともいたしまして、例えば、実員ベースということでございましても、実員で見ましても、七年度末には十五万強でございますけれども、これを十二年度には十四万七千人程度にする、こういうふうな計画になってございます。
  333. 平賀高成

    ○平賀委員 私は今、定数を防衛庁として削減するということを聞いているのですが、この削減の中身が、実際には実害がないような定数の枠だけ削っているのじゃないのかということを聞いているのです。
  334. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 実員につきましては今御答弁したところでございます。もう一回繰り返しますと、実員につきましては、七年度末が十五万強という水準でございますが、これが十二年度末には十四万七千人程度という水準にまで縮減をするということでございます。
  335. 平賀高成

    ○平賀委員 これは今まで十八万体制をつくってきたわけなんですが、しかし、実際には十五万人の体制がずっと進んできまして、ですから、定数を削ったとしても、実害がない定数削減をこの間やってきたわけですよ。  さらに、定数削減をやるというのですが、しかし、即応予備自衛官制度はこれは中期防で一万五千までふやす、こういうことを言っているわけです。ですから、削減すると言いながら、やっていることというのは事実上の増員をやっているというのが今の実態ではないでしょうか。私は、今この自衛隊の分野というのはまさに聖域扱いだ、こういうやり方で自衛隊を聖域扱いしているんだということを指摘しておきたいと思います。  この点では、長官どうですか。防衛庁長官
  336. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 陸上自衛隊の人的枠組み、その体制につきましては、我が国として国防上必要な体制をとっていく必要がございます。ただ、そういう中で合理化を図っていくということで、いろいろな工夫をいたしまして、その編成定数として、例えば中期防でございますと十八万人を十七万二千人にしよう、そういう人的枠組みの中で、しかも、その中で即応予備自衛官といういわば非常勤の形の自衛官を活用していこうということで、常備の自衛官については十六万七千人までそれは縮減をしよう、こういうことでございますので、私どもとしては、厳しい中でぎりぎりの合理化努力をさせていただいている、こういうふうに認識しております。
  337. 平賀高成

    ○平賀委員 そういうふうに削減する予定だというわけですが、しかし、実際に削減をやったというのでしたら、私は伺いたいわけですが、では、実際には人件費は一体どれだけ減ったんですか。
  338. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 経費の面の前に、まず実員がどんなふうに減ってきているか、ここを申し上げますと、八年度には二十名の減少がございますが、九年度は四百七十名の減少、十年度は千四百五十三名の減少、それから十一年度は七百三十一名の減少、これが実員の減少でございます。  そういうもので中期防期間中にどれだけの人件費の縮減が成るのかということにつきましては、これは、中期防を作成する段階で、いわば機械的にといいましょうか、そういう形で積算した段階では、中期防期間中には約百億円程度の人件費の減になるだろう、こう見込んでおりますけれども、年々の人件費、人件糧食費の積算に当たりましては、細かいいろいろな、退職の見積もりとかそういったものも見てやるものですから、現段階で、十二年度まで含めた人件費、人糧の削減が幾らになるかというのは、ちょっと申し上げられないことは御理解いただきたいと思います。  ただ、中期防をつくるときの大まかな機械的な計算によりますと、約百億円程度の減額になるだろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  339. 平賀高成

    ○平賀委員 これは、実際に人員が本当に減っているんですか、もう一度伺いますが。  一般公務員には二五%の削減をやると言っていますから、しかし、自衛隊は、定数の枠は確かにありますけれども、実際の実害があるような定員削減をやっているんですか。
  340. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 実害というのはちょっとひっかかるんですけれども、我々としては、実際国防に実害がないようにと申しましょうか、支障を来さないように工夫しながら人間を減らしていくんだろう、こういうふうに思っております。  実害というのを仮に実員の減というふうにとらえますと、先ほど申し上げましたように、七年度末の実員が十五万四百二十五人でございます。これが十一年度末には十四万七千二百三十一人になるわけでございますから、これは、まさにそれだけ実員が減っているということでございます。(平賀委員「人間が減っているかどうかですよ」と呼ぶ)実員ですから。
  341. 高鳥修

    高鳥委員長 人間が減っているということですよ。
  342. 平賀高成

    ○平賀委員 今までの説明では、そういうふうに実際に人間が減っていなくて、定数のポストが減ってきたんだという説明を私は受けていました。ですから、あなた方に、私が人件費は一体幾らこの間減ったんだと言ったら、実際には、私がもらったのは、削減額を現時点で具体的に申し上げるのは困難だ、こういう文書を出してきたわけですよ。ですから、私は、まさにこういうやり方で自衛隊を聖域扱いしていくのは、やはり本当におかしいと思う。実際に、平成十二年度末で十六万七千ですね。  それで、太田総務庁長官に伺うわけですが、国家公務員が、二五%削減が計画どおりに実際に減員されていくと、現在の公務員の定数が実際にはどれだけになるのか、これについて答弁を求めます。
  343. 太田誠一

    太田国務大臣 約五十四万六千でありますので、今我々が目標として掲げております二五%削減をすれば、十年後には十三万七千人が減るわけでございます。そういたしますと、単純に差し引けば、十年後には四十一万人になっているであろうというのが削減の目標でございます。
  344. 平賀高成

    ○平賀委員 今答弁がありましたように、一般の国家公務員は、二五%削減をやれば十年後には四十一万の体制になる。それから、自衛隊員の方は、これは先ほど答弁がありましたように、大枠で言いますと二十六万の体制になる。ですから、一般の公務員が四十一万人で、自衛隊員が二十六万人で、合わせて全体では六十七万人で、その中の自衛隊員二十六万人が一体どれだけの比率なのかといえば、これは四割の比率になるわけですね。ですから、自衛隊員も含めて国家公務員の実に四割が自衛隊の枠だという、まさにこれは軍事優先の国づくりだというふうに私は言わざるを得ないと思います。  それで、私は、公務員の二五%の削減というのは、これは国民生活の分野に一体どういうふうな問題をもたらすのか、このことについて次に質問します。  国民生活部門の公共サービスを切り捨てていくことは、実際にはそういうふうなところに私はしわ寄せが行くと思います。具体的に労働行政の問題について聞きますが、九七年の労働災害による死亡者は二千名を超えています。被害を受けた労働者数は六十万人にもなっています。この間、適用事業場数は増加しているにもかかわらず、労働基準監督署の定員は削減されて、監督実施率は下がってきています。  そこで、労働大臣に伺いますが、過去五年間の監督実施率はそれぞれ何%になっていますか。
  345. 甘利明

    ○甘利国務大臣 労働災害の死亡者数、昨年は、関係者の大変な御努力の成果が上がりまして、二千人を切りまして千八百数十人になりました。これからも、労働行政の中で民間の御協力もいろいろいただいて、労災の防止に努めていきたいと思っております。  そこで、監督署におきまして、管内の産業事情等を踏まえて毎年計画的に定期監督等を実施しておるわけでありますが、まず、この実施件数、平成六年から十年までの五年間について見ますと、六年から順に、十八万九千件、二十万三千件、十九万一千件、十七万二千件、十八万六千件、そして基準法の適用事業場に占める監督実施率は、それぞれ四・三%、四・七%、四・四%、三・八%、四・一%という数字になります。
  346. 平賀高成

    ○平賀委員 今答弁いただいた数字については私もつかんでおりますが、例えば監督実施率が三・八%というふうな数字もあるわけですが、これは、数字で言えばわずかな比率なんですが、しかしこれは、自分たちの職場が、大体三十年たたないとどの職場も一回も訪問に来ないという実態を示す数だと私は思います。  そこで、今のこの実態から、こういう極めて少ない監督実施率というのは、これは早急に体制を強化する必要が、大臣、あるんじゃないでしょうか。
  347. 甘利明

    ○甘利国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、端から順にずっと回っていくという体制、対応ではございませんで、管内の産業事情等を踏まえて、あるいはいろいろな情報もいただきますから、あらかじめ臨検監督すべき優先順位をきちっと立てて行っておるわけでありまして、それはそれ、限りある人員で効果的な臨検監督を実施しているというつもりでございます。
  348. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、早急にこれは体制を強化しなければならないと思うんですが、ただ、労働省は、平成九年の行政改革会議の中で、ヒアリングを受けて、そのときの内容を私見ますと、労働基準について労働省はこう言っていますよ。  労働災害による負傷者が年間六十二万人に及び、とりわけ死亡者が二千四百人に達している、また、仕事に起因する健康障害も多く、過労死も後を絶たない、職場で負傷し死亡することは本来あってはならないものであると述べて、そして、事後規制のみでは労働者の保護に欠ける事態は避けられない、したがって、最低基準の履行を確保するための労働基準監督官の巡視による指導が不可欠だ、こういうことを労働省としても言っているわけですが、少なくとも体制を早急に改善するべきじゃないでしょうか。大臣、どうでしょうか。
  349. 甘利明

    ○甘利国務大臣 監督官の人数でいいますと、若干でありますがふえてきておりまして、九年と十年を比べますと、三千四百四十六人が三千五百十六人にふえております。(平賀委員「何人ふえましたか」と呼ぶ)引き算をしますと七十人ふえました。  そして、監督官というのは言ってみれば一種の警察行政でありますけれども、そういう警察行政的に取り締まる、あるいは事前防止のための環境整備をすると同時に、中災防等民間の力でとにかく労災事故をなくす、その環境改善をしていく。これらの力を使って効果的に、行革の中、限られた人数で効率を上げていきたい、効果を上げていきたいというふうに思っております。
  350. 平賀高成

    ○平賀委員 今答弁がありましたように、少なくともこの間監督官は七十名ふやしているんだと。少なくともそういう必要性は労働省としても認めて、こういう結果になっていると私は思います。  しかし、確かに監督官をふやしてはいるんですが、全体の定数そのものは削られているために、監督官であるべき人が労災の仕事に回されていて、実際に外に出ていって監督の巡視の活動をやる人員数は逆に減っているんだという実態があるんですよ。大臣、そういうことを御存じですか。
  351. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘ございました、労働基準監督官が労災等の仕事をしていくケース、これは、労働基準監督官も業務全般について知っていく、その上で必要な監督等を実施していく、これが必要な場面もございますので、そういった人員配置をすることはございます。  ただ、そういう場合に、労働基準監督官がそういう部門に配置されているケースにつきましても、年間重要な監督すべき事業場の優先順位を定め、計画を定め、必要な監督件数をこなせるように、そういった方についても必要な応援をさせたり、そういったことで、少なくともこうした臨検の監督件数につきましては、私ども、ある一定の水準を保っていきたいというふうにやっておるところでございます。  さらに、近年におきましては、週四十時間制が実施されたこと等に伴いまして、大量の中小企業の事業場を指導していくために、集団説明あるいは集団指導、こういった手法も組織的に、計画的に取り入れておりまして、そういったことを通じて、実質上かなりの事業場に対しまして、労働条件あるいは労働災害を防止するための基準等につきましても遵守を促しているところでございます。
  352. 平賀高成

    ○平賀委員 私、大臣に伺いたいと思いますが、実際に監督官が必要だということでこの間ふやしてきたんですが、定数が削られるために監督官が監督官の仕事をできない、こういう実態にあるわけですよ。こういう実態を本当に是正する、そのための前向きな検討をやるべきだと私は思うんですが、この点についての前向きな回答をぜひいただきたいと思います。
  353. 甘利明

    ○甘利国務大臣 最小限必要なことはこれからも当然やっていくわけでありますし、行革の中で必要な部署に適正に人が配置できるように、いろいろやりくりも考えたいと思っております。
  354. 平賀高成

    ○平賀委員 私、今、戦後最悪の不況との関係で、職安の問題についてもう少し聞きたいと思います。  私は、横浜の職安の窓口の実態を先日聞きましたが、朝の八時半からもう列が並び始めて、五時の終わるまで終日三百人が滞留する、こういう状態にあるわけです。それで、余りにも職員の数が足りないために、もう所長さんを初めとして事務の職員の方も全部窓口の仕事をやらざるを得ない。そういう状況でありながら、職員の定数も少ないために半分は非常勤の職員で対応せざるを得ない、こういうふうな状況になっています。  実際にこういう状況でありながら、今二五%の削減をやらなければならないということで、四人に一人を削れ、こういうことは想像しろと言われても想像することができない、こういうふうに現場の職員の人たちは言っているわけなんですが、こういう実態を、大臣、御存じですか。
  355. 甘利明

    ○甘利国務大臣 私も何カ所か職安を視察しておりますし、開所時刻前から込み合って、職員が大変に汗を流しながら誠心誠意対応している、その場面もよく承知をいたしております。  ただ、今は雇用失業情勢が非常に厳しいわけでありますが、ずっと厳しいままで放置しておくわけではありませんし、政府としては全力を挙げて、いわゆる完全雇用の状況が早く来るように努力をしているわけでありますから、一番最悪な事態に合わせた職員の数というよりも、何とかやりくりしてもらって、早く巡航速度に戻して、そのときの対応体制でいきたいというふうに考えております。
  356. 平賀高成

    ○平賀委員 先日、労働省の雇用政策研究会の報告の試算ということで、二〇一〇年の完全失業率が、予測をしますと大体四・二%から五・一%の想定をされています。ですから、これからも雇用情勢というのは非常に厳しい。  しかも、この横浜の職安の実態を見ますと、例えば、月平均求職者数、平成元年で一カ月一万三千人弱です。九年度で二万二千人弱で、この間約一・七倍に求職者数がふえている、こういう実態です。さらに、求職者は窓口に並ぶんですけれども、自分の後ろに百数十人も列が並んでいて、ゆとりを持って相談などできるような状況じゃないんですよ。相談する人だって、職を紹介するということはその人の人生を預かることになるわけですから、こういう実態というのは本当に改善してもらいたい。  ぜひ前向きな回答を私はいただきたいと思います。
  357. 甘利明

    ○甘利国務大臣 先ほどの失業率の想定の数字は、何にもしないでほうっておいたらという前提がつくんじゃありませんか。経済対策と雇用対策を適切にやっていく、そしてそれを三%後半に抑えていくという我々の目標が御説明いただけなかったと思いますが。  そして、とにかく人手が足りない分については、情報機器を通じたりしていろいろやっていこうということで、私が在任してすぐ、大規模なパソコンの導入をいたしております。雇用情報も、全国ネットワークあるいは二十三区の情報をインターネットで流す。従来の人手にお願いをする部分と、それから自分の意思で検索できるような部分と、いろいろ情報機器を駆使して、この混雑の緩和と相談時間が短いという苦情におこたえするように今取り組んでいるところでございますし、各般の施策がスタートしたばかりでありますから、うまく回っていくことを切に願っているところでございます。
  358. 平賀高成

    ○平賀委員 こういう状況の中で、相談員の方も一体どういうことを言っているのかといいますと、四十代でリストラをされた方は心に非常に大きな痛手を負っていますよ、一体なぜ自分がこの職場からリストラでほうり出されたのか、一体どういう理由でこういう実態になっているのか、こういう問題を聞くカウンセリングの仕事が本当に必要だ、そういうことが実際の窓口で行われている人の率直な声です。  労働大臣として、こういう問題を本当にこのまま放置するということがあってはならないと思いますが、ぜひその辺の決意を最後に私は伺って、次の問題に移りたいと思います。
  359. 甘利明

    ○甘利国務大臣 別に放置はしているつもりはございませんで、限られた人手の中でいかに効率的に効果を出すかということを、各般の施策で現在までも考えてきましたし、これからも考えてまいります。
  360. 平賀高成

    ○平賀委員 そこで、太田総務庁長官質問しますが、今の労働雇用の実態というのは、本当に今お話がありましたように深刻な実態だと私は思います。そういうときに一体なぜ十年間で二五%の公務員削減をするのか、その根拠を明確に述べてください。
  361. 太田誠一

    太田国務大臣 二五%の削減を、それぞれのセクションごとに、人が、定数が十分足りないところ、あるいはさまざまな事前の調整や行政指導などの仕事に従事しておられるところは仕事そのものを減らしていくわけでございますから、その結果として、定員も恐らく減らしていくことができるだろうということを考えているわけでございます。  ちなみに、今お尋ねでありました労働基準局あるいは労働基準監督署につきましては、過去の定数の削減はまことに微々たるものでございまして、合計で、平成七年度八千三百四十四人が平成十一年度で八千三百三十五人になっておるというだけでございますので、他の部局に比較すればほぼ増減なしと言ってよい状態かと思います。
  362. 平賀高成

    ○平賀委員 いや、その二五%の具体的な積算とかそういったものを全部やって、二五%削減が必要だというふうなことになっているのですか。
  363. 太田誠一

    太田国務大臣 いやいや、それは、他の部局については、ちょっと私は今正確に覚えておりませんけれども、相当削減してきておりますので、その中で労働基準局については削減はほとんどしていないということを申し上げただけであります。  その中でどうやってこれからやっていくのかといえば、先ほど申し上げましたように、規制緩和を進めておりますので、規制にかかわっておるセクションの方々は減っていくだろう。あるいは、審議会も整理合理化をしておりますから、その審議会に携わっておる人たちの仕事は減っていくだろう。例えば独立行政法人化すれば、またそれも携わる方々は外に出られるわけでありますから減ってくるでしょう。さまざまな、今やろうとしております行政改革の中で減っていく要素がたくさんあるから、それを全体としてどの程度まで進めるかというときに、二五%という目標を立てたわけでございます。
  364. 平賀高成

    ○平賀委員 なぜ二五%になるのかという、その根拠を私は聞いているのです。
  365. 太田誠一

    太田国務大臣 それは、けさ一番にもお答えをいたしましたように、自由党と自由民主党との間の協議を通じて、議論協議を積み重ねた結果、そういう数字を目標として掲げようということになったわけでございます。私がそれを省庁改革推進本部に提案をして、そのように決定をしたということでございます。
  366. 平賀高成

    ○平賀委員 今の答弁ではっきりしましたが、明確な根拠がなくて二五%という数字が出ているということは、私は今の答弁でわかりました。  実際には、十年間で二五%も国家公務員を減らしていくだなんというふうになりましたら、本当に全国の公共的なサービスを受けている国民はまさに甚大な被害を受けると私は思います。この二五%削減というのは、自民党と自由党との政党の都合で決めているわけですから、まさに私は党利党略だというふうに思います。こういうことは絶対にやめるべきだ、このことを私は強く指摘をして、次の経済財政諮問会議の問題に質問を移します。  次に、内閣府に設置される経済財政諮問会議について聞きます。  関連法案は、首相権限内閣機能の強化を重要な柱の一つと位置づけて、その一環として、内閣官房を助ける機関として内閣府を設置する。内閣府には国家公安委員会防衛庁金融庁が置かれるなど、質的にも体制的にも強力なものになるということになっています。  内閣府は、今の総理府に比べて、大きく言って三つの違いがあります。  それは、内閣府は内閣の機関として設置をされ、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務として、上からの調整をやりやすくしている、こういう特徴が一つあります。  もう一つは、調整を図る特命大臣を置くことによって、総理の命令により他省庁との調整に当たって、資料の提出をさせて報告を求め、勧告をする権限を持たせていること。  それから三つ目には、経済、財政、予算などの基本方針を示す経済財政諮問会議を設置する、こういう三つの特徴があると思います。  そこで、経済財政諮問会議は、首相の権限内閣機能の強化のもとで重要な役割を担うものであります。行政の機関として設置されるものであり、これまでの審議会とは全く違うものであります。諮問会議の設置はどういう重大な意味を持っているのか、この点について長官答弁を求めます。
  367. 太田誠一

    太田国務大臣 最初に、先ほど最後に定員削減のことを申されましたけれども定員削減をどのぐらいやればよいのかということについては国民の間にもさまざまな議論がありまして、今御党がおっしゃるように、多ければ多いほどいいんだ、どんなに公務員がたくさんいても多い方がいいんだというようなことを考える方々ばかりではないということは、ぜひ強調しておきたいと思います。  それから今の、経済財政諮問会議内閣における位置づけということですね。  経済財政諮問会議は、今次、中央省庁等改革基本方針の一つに掲げられている内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の整備の一環として内閣の行政各部に対する統括機能を助けるため内閣に設置される、内閣府に置かれる四つの重要政策に関する会議の一つであります。  重要政策に関する会議は、内閣府設置法において、同法四条一項の内閣の重要政策に関して行政各部が施策の統一を図るために必要となる企画立案及び総合調整に資するための機関として位置づけられておりまして、内閣総理大臣または内閣官房長官をその長とすること、関係大臣及び学識経験を有する者などを構成員とすることの二つを構成要件としておりまして、従前の審議会等とは異なる新しい類型の合議制機関であります。
  368. 平賀高成

    ○平賀委員 非常に重要な組織をつくったということは、先日の参考人の質疑の中でも、行革会議内閣機能の強化の点で大きな役割を果たしてきた佐藤幸治参考人もそのように言っていました。諮問会議の活動いかんが今回の行政改革の成否のかぎを握る、このように指摘もされています。  そこで、経済財政諮問会議は、十名の委員で構成しまして、議長には総理大臣がなりまして、閣僚や行政の長については総理大臣が指名し、有識者の任命権も総理大臣にあるわけです。十名のうち四名が有識者であることが規定されておりますが、財界の代表は排除されていないのですか。どうですか、長官
  369. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 有識者につきましては、この「議員」の中で「経済又は財政に関する政策について優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者」とございまして、いずれの所属か等々についての要件は書いてございません。
  370. 平賀高成

    ○平賀委員 いろいろな審議会とかそういうものがありますけれども、こういう民間の有識者というのは、こういう範疇で言えば、例えばアサヒビールの社長とかトヨタの社長だとか、そういう人は民間の有識者に入るのですか。
  371. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 それはまず個々人の資質に着目するわけでございまして、その方がたまたまどこの団体、どこの会社に所属されているかということは、この際関係ないことでございます。
  372. 平賀高成

    ○平賀委員 長官に伺いますが、今私が聞いていることは、財界の、経済界のそういうメンバーはこの中に入らないというふうになっているのですか。
  373. 太田誠一

    太田国務大臣 それは総理が御自分の判断で決めることでありますから、財界人が入るか入らないかわかりません。  それから、内閣総理大臣が自分が意見を聞きたいと思う人を指名するのは当たり前のことであって、その中に財界人がおられようが大学の教授がおられようが、それは総理大臣のまさに人事権の行使であります。
  374. 平賀高成

    ○平賀委員 今の答弁でもはっきりしましたけれども、経済戦略会議だとかそれから産業競争力会議、こういうところにはさまざまな財界人や経済人が入っています。  昨年の十一月に、関経連と経団連を初めとした全国の九つの経済団体連合会が共催して、行革フォーラム共同宣言を出しました。この中に、経済界の立場からは、内閣府に設置される経済財政諮問会議が社会保障や税等の国民負担のあり方も含めて経済財政の総合戦略形成の場となることを強く希望する、こういうふうな要望が出ているわけです。ですから、こういうふうな要望、ぜひやってもらいたいということが、九つの、関経連とか経団連が共同して出したアピールの中にあるわけですから、私は当然こういうものも色濃く反映していくものにならざるを得ないと思います。  そこで、諮問会議の問題について、特命大臣を置いて事務局体制も強化されるなど、全省庁に対する強力な調整力を持つ、その任務予算編成や全国的な総合開発計画などの国の重要戦略についても審議をするということになっています。それで、こういう重大な任務を持つ諮問会議の有識者の人事が国会の承認を得るようになっていないのではないかというふうに私は思うんですが、この点については長官どうですか。重大なことです。
  375. 太田誠一

    太田国務大臣 済みません。ちょっともう一回言っていただけますか。
  376. 平賀高成

    ○平賀委員 経済財政諮問会議の四名の民間の有識者が実際には国会の人事案件にならないのか、なっていないんじゃないのかということを質問しているんです。
  377. 太田誠一

    太田国務大臣 それは、さっきも申しましたように当たり前のことであって、この話は、つまり閣議において総理大臣が、例えば予算についてとかあるいは経済運営について自分が発議をするというのが今度の中央省庁改革の新しい柱になっているわけでありまして、総理大臣がみずからリーダーシップをとって提案するということを支えるために内閣府を設け、内閣府の中にいわゆる経済財政諮問会議をつくったわけですから、そこに来られる方々はまさに総理大臣の提案の中身を審議するために来るわけでありますから、これはまさに、内閣総理大臣が自分が意見を聞きたい人をそこに指名するということであります。
  378. 平賀高成

    ○平賀委員 例えば、今審議会がいろいろあります。これは審議会とは違うというわけですが、しかし、実際に審議会では、例えば原子力委員会とかそれから国会等移転審議会とかさらには地方分権推進委員会とか、こういういろいろな審議会がありますけれども、これは必ず国会で人事については承認を得るというふうになっています。  なぜなのかといえば、例えば今そういう審議会は二十一ありますけれども、なぜ国会の承認人事になっているのかといえば、これは、地方分権委員会でいいますと、委員会の果たす役割の重要性にかんがみて、その人選に誤りがないことを国民の代表たる国会において確認されることが適当であるから両議院の同意にかからしめることとしているというふうにして、いわば国民主権の原則に基づいてチェック機能を果たしているということになっているわけですね。  しかし、今度の経済財政諮問会議でいえば、まさに審議する内容というのは、国の財政や経済や予算という、いわば一番の中枢的な部分を決めていくそういう大事な委員会の人事になるわけですから、一般のいろいろな審議会が国会で承認人事になっているにもかかわらず、なぜこの経済財政諮問会議の人事案件国会で承認されないのかということについて質問します。
  379. 太田誠一

    太田国務大臣 これはよい御質問をいただいたと思います。つまり、政策に関する企画立案、つまり立法、法律を提案する行為というのは、内閣法によって内閣に、すなわち内閣総理大臣国務大臣にゆだねられた責任でありますので、それは政治家として内閣及び国務大臣が果たしてもらわなければいけないというのが今回の行政改革考え方でございます。  そういたしますと、そこで、国会同意人事にかかわったものについてのその間の整理はまだ十分できておりませんけれども国会の同意人事にかかわるものは、それは、企画立案すなわち政策の立案ではなくて、そこで法律になったり、政策について考え方がはっきり法律の形にまで意思決定をされたその執行については、これは政治のリーダーシップで執行するわけじゃありませんから、執行についてはそのような審議会を設けて、国民の多くがこれは公正中立な方であるということを認めるような方々によって執行を監視していただく、あるいは執行をかわってやっていただくということはあると思うわけでありますけれども、政策の企画立案については、これはきちっと分けておる、執行ということと政策の企画立案というのを分けているということであります。  まさに経済財政諮問会議は企画立案そのものでありますので、これが国会の同意にかかわらないというのは、内閣の責任でもってやるということであります。
  380. 平賀高成

    ○平賀委員 私が聞いているのは、そういう重要な議論をやるメンバーがなぜ国会の承認を得ないのかということです。歯どめがないじゃないですか。
  381. 太田誠一

    太田国務大臣 そこにどういう人が選ばれるかというのは、総理大臣が一番この人の意見を聞きたいという人を選んできて聞けばいいのであって、そこで総理大臣や関係閣僚が集まって、学者や、あるいは先生の嫌いな経済界の人もいるかもしれない、そういう人たち議論をして案を固める、そして閣議に提案する。閣議でそこに出席していない閣僚の意見も聞いて、最終的に閣議決定をする。そうしたらそれは国会に出てくるわけでしょう。そのときにその内容を厳しくチェックをされれば、まさにそれが国会の、行政府あるいは内閣に対するチェック機能というのは重要な国会の権能でありますから、それを果たされればいいんじゃないですか。
  382. 高鳥修

    高鳥委員長 平賀君、時間が来ておりますので、御協力願います。
  383. 平賀高成

    ○平賀委員 審議会でさえそういうことをやっているわけです。ですから、実際にはこの経済諮問会議でやるメンバーは当然私はやるべきだ。しかも、この諮問会議の内容というのは、まさにこれからの日本のいわば一番中心的な部分を議論するそういう重要な会議であります。  もう時間が来ましたから、引き続き私はこの問題を追及するということを申し上げまして、質問を終わります。
  384. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、北沢清功君の質疑に入ります。
  385. 北沢清功

    北沢委員 社会民主党の北沢でございます。  私は、主として環境庁及び農水省にかかわる問題について御質問をいたしたいと思います。  初め、環境省のことですが、このことは、当時私ども与党の一員でございましたから、環境庁というものから省への昇格については非常に熱意を持って主張し、努力をした経過がございます。  私は、そのことは、日本の産業経済が、ここ十年前までは、いわゆる高度成長政策の中で大量生産、大量消費、大量廃棄というような形で進められてまいりまして、資源のない我が国の資源を浪費するとか自然環境破壊が進んで、最後は、COP3に見られるような人類の存続の基盤である地球環境が著しく損なわれる状況になりました。  したがって、私どもは、二十一世紀の地球社会を見る中では、この経済政策を転換して、環境への負荷の少ない存続可能な循環型社会への転換であるとか自然との共生、そして国際協調、生活スタイルの転換、また、政策の決定には市民参加を推進するような、いわゆる国際的にも日本が世界の環境のリーダーシップをとっていかなきゃならないのじゃないかと私は思うわけです。  私はつい十日ほど前まで、中国の全人代の意見交換で中国へ参りまして、李鵬代表さらには環境の委員長といいますか主任の方に、中国におけるこの十数%という高度成長政策、今八%なんですが、そのことの中で、酸性雨等に見られるような心配を我々はしたわけでありますが、そのことについてただしたところが、向こうは三百幾つといういわゆる環境に対する法律を実はつくっております。したがって、日本の過去の轍を踏まないということを非常に踏まえて取り組んでいる姿を見ています。  また、ヨーロッパも、私もずっと何回も行っていますが、環境行政については日本より数歩、もっと進んでいる、また国民的な熱意もあるというふうに私は理解をしてまいりました。  したがって、今度できる環境省の役割は極めて重要でありますから、やはりあらゆる行政の中で最重要視をしていかなきゃならない行政である、そのためにこの環境関係の行政を統合一元化するということが私は非常に必要ではないかと思うわけです。  しかるに、今回のこの法案は、環境庁から環境省に格上げをしただけで名称の変更だけであります。現在の環境庁の職員は約一千名でありますが、省になった場合は一体どんな人数と予算で、どのくらいの規模になるのか、環境庁長官お尋ねをいたしたいと思います。
  386. 真鍋賢二

    ○真鍋国務大臣 いろいろと御心配をいただいておりまして、環境省に昇格するに当たっての御意見、ごもっともだと思うわけであります。  かつて、自社さ政権ということで社会党にも御一緒になって政権担当していただいて、いろいろな意見をちょうだいいたしたところであります。私自身も野にありましたので、その当時は、環境省というのは第三者的な、クールな目で見られた、こう理解をしておったわけでありますけれども、一たん環境庁に入ってみますると、規模の小ささと申しましょうか、人員の少なさや予算の少なさを痛感いたしておるところであります。  決して無謀な予算要求をしようとは思っておりませんけれども、今環境庁に与えられたお仕事というのは大変なものがあるわけでありまして、私は、ぜひ予算の増額を図り、そしてまた人員の増を求めてお願いしていかなければならない、こう思っておるところであります。もはや中央省庁改革等の推進委員会においてこれらが決定されたわけでありまして、それを粛々と委員会審議をしていかなきゃならないというその使命はあるものの、やはりこれからの時代を背負って立つ環境省でございますので、省に昇格するにふさわしい人員をぜひお願いをいたしたいと思っておるわけであります。  例えば、今先生人員で千名と言われたわけでありますけれども、これはやはり廃棄処分等、ごみの処理をしていかなきゃならないわけでありまして、まさに倍増の人員が欲しいな、こう思っておるわけでありますし、また、予算の点に関しましても、他の省庁と比較しまして大変少のうございます。二千三百億という規模でございますけれども、これまた増額をぜひお願いをしていかなきゃならないと思っておるわけでありまして、言えばいろいろな愚痴にもなるかと思いますけれども、ぜひ御協力方をお願いいたしたいと存ずる次第であります。
  387. 北沢清功

    北沢委員 その熱意でひとつ大いに取り組んでいただきたいと思います。  私は、環境省と他省庁との関係は、特に産業経済政策の実施に当たって環境保全のためのガイドラインを作成するとか、関係省庁にこれを遵守し実行させる権限だとか機能を当然持つべきでありまして、環境の観点から各省庁の施策、事業を横断的に点検すべきだと考えますが、総務長官はどのようにお考えでしょうか。
  388. 太田誠一

    太田国務大臣 環境省の設置法案におきましては、中央省庁等改革基本法において環境省に一元化することとされた事務に加えまして、各省と共管することとされた事務についても、基本法の趣旨を忠実に反映するように所掌事務に位置づけております。従来他の省庁が所管してきた広範な事務について、環境省が環境保全の観点から共同で取り組むことができることといたしました。  その他、環境省設置法では、環境保全に関する基本的政策の企画立案、推進予算の見積もり調整、関係行政機関の長への勧告等の規定を現行環境庁から引き継ぐこととしており、これらにより、環境省は、環境保全に関連する各省の所管行政の全般にわたって適切な機能を発揮できるものと考えております。
  389. 北沢清功

    北沢委員 水道行政を見ればわかるんですが、あらゆる環境問題は、先ほど指摘したように各省庁にまたがっておりますし、また縦割りであります。環境省ができたといっても、省がやはり積極的に指導的な立場でそのことに取り組まなきゃいけないわけでありますが、上水道を見ると、これは厚生労働省、工業用水は経済産業省、農業用水は農林水産省、下水道や水資源は国土交通省、水源は環境省といった、非常に縦割りであります。  私は、水というのは、これからの時代においては命の根源だと思うんですね。そのことの中で、やはり命の根源を守るためにどういうふうに、おいしい、しかも安全な水を提供するかということが主要な国民的な課題だろう、政治の課題だろう、私はそういうふうに考えますから、水基本法というようなものをつくるとか、関係各省の連絡調整機能を設けてやはりこのことの一元化に取り組んでいかなきゃいけない。  山の上から林、そして農村、都市の生活水、工業用水等を含めて、既に二次浄化槽をやっている状況でありますから。そういうことを踏まえるときに、やはり今言ったような主張が大事だというふうに私は思いますので、この点についての総務庁長官のお考えお尋ねいたしたいと思います。
  390. 太田誠一

    太田国務大臣 水道行政につきましては、行政改革会議における議論の結果、今でいいますと厚生労働省が担当するということと結論づけられております。その基本法を受けてこの法律もつくっておりますので、今のような姿になっているわけでございます。基本法の規定に沿って関係省の設置法を立案いたしたので、厚生労働省設置法案において、水道に関することを厚生労働省の所管事務として規定したところであります。  そこで、この水道行政の所管については、基本法をもとに三党合意を踏まえつつ改めて検討した上で、次のように法律案を作成いたしました。  両省の役割分担。厚生労働省は、公衆衛生の向上、増進の任務に照らし、直接人が飲料等に利用する水の安全な供給の機能を担う。環境省は、環境の保全の任務に照らし、水道水源となる公共用水域の水質保全の機能を担うということであります。  それから、水質保全に関する行政の一体化策としては、環境省が、環境保全の観点から下水道などによる排水の処理に関する現行の厚生省の事務の移管を受けるほか、河川の保全について国土交通省と共同で所管することにより、水道水源となる公共用水域の水質保全を一体的に進めるということになります。  公共用水域の水質保全と水道の水質保全については、それぞれの水質基準、水道水質基準と環境基準、排水基準等を相互の整合性を確保しつつ定めるなど、厚生労働省と環境省との実務上の連携協力を緊密化すること等の措置により、厚生労働省と環境省との間で水質保全に関する行政の実質的な一体化を図ることが可能と考えているということでございます。
  391. 北沢清功

    北沢委員 今の御説明ですと、一体となるべく考えているという趣旨について御答弁がございましたが、水、水道行政の一元化という問題は、廃棄物行政と水道行政は非常に密接な関係がありまして、いわゆるそのことの汚染の中での水道の問題が、ダイオキシンだとかいろいろの毒物、異臭、異味の被害等が進んでおるわけでありますので、し尿処理も含めて、水源問題としての水道行政というのは、もっと環境庁を所管の省庁にすべきではないかというふうに私は考えます。  そのことの認識というものは非常に大事でありますが、それについて、重ねて総務庁長官にお考えをお伺いし、環境庁長官にも、御意見がございましたら、お伺いをいたしたいと思います。
  392. 太田誠一

    太田国務大臣 今回の中央省庁の改革の考え方は、任務という言葉に大変思い入れを持ってこの任務という言葉を使っております。  それは、従来は、対象によって、この対象はこの省である、この対象はこの庁であるというふうに、対象ごとにこの産業分野とか、それを対象ごとに切っていくという形でもって仕事をやっておったわけでございます。  そうすると、何かそれが縄張りのようになってくるので、そうではなくて、行政の目的、どういう使命を持ってこの省庁をつくるのかという設置のところで任務という言葉を大変重いものとして使っておりまして、行政の目的である任務ということで、環境省は環境の保全という任務から水道を取り上げる、厚生労働省は公衆衛生の向上、増進ということから水道行政に取り組むということになるわけでありまして、そういうふうに任務によって省庁の役割を区分したことで、一つの水道ということに対して複数の役所から光が当たるということになるわけでございます。
  393. 真鍋賢二

    ○真鍋国務大臣 行政改革会議によってそれぞれの分野に分かれたわけでありますけれども、私自身の考えを申せばということになぞらえて言うならば、やはり水にかかわる問題も環境行政の中で将来的には執行していくのがいいことじゃないだろうかというふうに考えておるわけであります。  しかしながら、今般の中央省庁改革会議等からいただいた意見によってそれが分割されておるわけであります。これはそのような形で進めていかなければなりませんけれども、先々のことを考えてみると、そういうものを念頭に置いて、環境庁として仕事ができる体制をつくっていかなきゃならないと思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、共管的な仕事でございますから、その中から一元化を模索してまいりたいというのが私の考えでございます。  今後とも、いろいろな面で御高説をちょうだいしながら事の処理に当たってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたす次第であります。
  394. 北沢清功

    北沢委員 縦割り行政というようなものが幾つかいろいろなものにあるんですけれども、連絡調整会議を早く設けるとか、その中における環境省の役割というものの主導性といいますか、そういうものをこの際、いろいろ任務はあるかもしれぬけれども、確立をすべきだ、私はそう思います。そういうことで、一層の御努力をいただきたいと思います。  それでは最後に、農林水産省にお尋ねをしたいわけですが、農水省は、今回は統合とか分割が行われないわけでありまして、これは農水大臣としてどういうお考えで進めるかということ、その一つの大きな問題は、農政の大転換というべき新農業基本法を制定するわけでありますから、そこらを含めて、どのような御認識と決意でお取り組みをいただくのか、お願いをいたしたいと思います。
  395. 中川昭一

    中川国務大臣 農林水産省は、今後、名称は変わらないわけでございますけれども、第三条「任務」というところでいろいろ書いてございますが、まず、先生御指摘のように、今、国会で御審議中の新しい基本法、つまり食料・農業・農村基本法、つまり、国民に対する食料の安定供給というものを第一番目に持ってまいりまして、そして、以下、農山漁村あるいは中山間地域等の振興、あるいは、新しい概念として、農業や農村あるいは水産、そして山も含めた地域、そして業として多面的な機能があるということ、多面的な機能というのはいろいろございますけれども、あえて一々申し上げませんが、多面的な機能、公益的な機能も含めた機能があるということを新たな視点に置きまして、農林水産業、そして農林水産地域、そこに住む人々、さらには冒頭申し上げたように、第一義的に、一番目として国民に対する食料の安定的な供給というものを位置づけた省として、時代に対応したこれからの役割を果たしていきたいというふうに考えております。
  396. 北沢清功

    北沢委員 私は太田長官にもう一度お願いしたいんですが、本会議で、独立行政法人と特殊法人の違いは業績の評価とか透明性にあるという答弁をされたわけでありまして、これは当然のことでありますし、特殊法人にも導入すべきではないかと思うわけでありますが、私は、特殊法人は将来独立行政法人に移行するのかどうかということについて長官お尋ねをいたしたいと思うわけです。独立行政法人のあり方というのは、省庁の統廃合の中では今後における非常に大きな問題になってくるんじゃないか。  その中で、たまたま農水省に関係した中で林木育種センターというのがございます。これは、林業の育種については試験研究で長年の歴史を持っているわけですが、私、昨年の十二月の八日の予算委員会で、このことが独立行政法人という形になると、いわゆる効率を、採算を主体に考えた場合、研究機関は採算とかそういうものになじまないわけですね。だから、そのことについては、当時中川農水大臣からは積極的な答弁をいただきましたし、小渕総理からも積極的な答弁をいただいたわけでありまして、ここら辺は検討材料になっているんですけれども、その中身はどういうふうにするのか。個別の審査がどのように行われていくかということについて、対象機関の明確な選定基準があるのかないのか、このことを総務庁長官農林水産大臣に、予算委員会で申し上げてございますから、今回、そのことの進め方についてのお考え方をひとつ開陳をしていただきたいと思っております。
  397. 中川昭一

    中川国務大臣 林木育種センターでございますが、先生御指摘のように、長期間にわたり、国民あるいは国土にとってよりよい樹種をつくり上げていくということでございますから、そういう意味で、何十年単位ということでございますけれども、今回の独立行政法人化によりまして中長期的な目標の適切な設定ができる、あるいはまたみずからが機動的な組織編成、人員配置を行うことができる、あるいはまた予算管理面でも、いわゆる単年度主義から年度を越えた柔軟な予算執行ができる等々で、業務といたしましても、より柔軟、円滑な事業を推進することができるということで、今回の独立行政法人化によりまして本来の林木育種センターの使命というものがより高度に果たせるものというふうに考えております。
  398. 太田誠一

    太田国務大臣 独立行政法人にどういう機関がその対象として検討されたのかというと、三つ条件があるわけでございまして、それは、公共上の見地から確実な実施が必要なことということが一つであります。そして、これは今の林木育種センターの関係でいいますと、樹木の優良な品種の開発は、国土保全など公益的機能の高い森林の育成に不可欠である。この林木育種センターがやっております仕事は、公共上の見地から確実に実施されることが必要であるということが第一点であります。  それから、その次の条件は、国がみずから主体となって直接に実施することが必ずしも必要ではないということであります。それはどういうふうにしてこの林木育種センターの場合には言えるかというと、直接かつ強度の私権の制限などを及ぼす公権力の行使とか、あるいは国の名で行わなければ成立しないとか、あるいは災害等国の重大な危機管理と直結するといった性格ではない業務でありますので、これは国みずからが主体となって直接に実施する必要はないということになります。  三番目の条件は、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある、その仕事が実行されないおそれがあるという問題があるということが三番目の要件でございます。  そこで、これについては、樹木の品種改良は数十年という長い期間を要し、そして市場も小さく、民間の採算ベースに乗りがたいので、民間にゆだねた場合にはできない、行われない可能性がありますので、したがって、今の三つの条件を満たすという意味で林木育種センターは独立行政法人化の対象となったわけでございます。
  399. 北沢清功

    北沢委員 私は、試験研究機関を民営化する、その中でせっかくの研究の成果というものが埋没しては大変だ、そういう意味で実は林木センターの問題を取り上げたわけでありますから、このことは、いわゆる研究機関の共通の問題として、今後、総務庁長官としても十分な配慮をして取り組んでいただきたいと思っております。  最後に、独立行政法人について、「職員団体等、各方面の十分な理解を求めつつ行い、一方的な適用は行わない」という一九九七年十二月二十六日の三党確認もありますし、「労働関係への配慮」をうたう基本法四十一条及び衆議院行政改革に関する附帯決議の趣旨を十分に私は尊重すべきと考えます。  実際に制度設計をするのは中央省庁等改革推進本部でありますので、ぜひこのことは、いろいろな面で各省との話し合いの中でらちが明かない面が非常に多いということを聞いておるわけでありますが、この条項をきちんと受けとめて対応していただきたいと考えますが、総務長官の御意見をお伺いいたして終わりたいと思います。
  400. 太田誠一

    太田国務大臣 今般の八十九事務事業の独立行政法人化の決定に当たりましては、九七年十二月の三党の確認や基本法の第四十一条等の趣旨を踏まえまして、各省を中心に各職員団体等と話し合いを行いつつ決定に至ったものであります。また、私自身も推進本部事務局も、各団体等と何度となく意見交換を行ってきたところであります。今後とも、四十一条に言う良好な労働関係に配慮しつつ対応してまいりたいと存じます。
  401. 北沢清功

    北沢委員 そのことを強く要請をいたしたいと思いますので、ぜひきちんとひとつ取り組みをしていただきたい。  以上をもって終わりたいと思います。ありがとうございました。
  402. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、明二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十八分散会