○若松
委員 引き続き、石田
委員の関連
質問で、公明党・
改革クラブを代表して
質問させていただきます。
昨年の
中央省庁改革基本法の
審議におきまして、特に
行政評価、かなり重要な
審議の課題となりました。その成果をもとに今回の
設置法案にも、特に総務省、この
行政評価というところを省の主な
仕事ということで取り上げられました。その御努力には敬意を表する次第ですけれども、では、
日本の
行政改革の進捗状況はどうなのかというところをぜひともグローバルスタンダードから比較してみたい、そう試みて表をつくりました。
ちょっと字が小さくてNHKの方には大変恐縮ですけれども、まず
日本の場合には、
法律に関しては、特に
行政評価の中身を規定する
法律がございません。総務省と各府省に所掌事務としての規定があるだけで、
行政評価をやる、それだけです。それに対して
アメリカ合衆国ですけれども、一九九三年に政府実施結果法というものをつくりまして、明確に今行われております。
さらに、方針ということですけれども、既に米国は
予算偏重から結果重視へと転換しております。いまだに
日本は
予算偏重ということで、
予算を決定する大蔵省がその使い道をチェックしていない、そういう状況でございます。
そして、対象ですけれども、
アメリカは原則としてすべての政策が
行政評価の対象となっておりますけれども、
日本はまだまだ限定的なものでございます。
実施者ですけれども、
アメリカは、いわゆる
日本で言う大蔵省、これからの財務省、そこが、
予算編成権というものが既に
行政管理
予算庁に、いわゆるOMBというところに移っております。そこと監察総監、いわゆるゼネラルインスペクター、各
省庁にこのゼネラルインスペクターが外部から任命されまして、その人がきちんと
責任を持ってそれぞれの
省庁の
行政評価を、先ほどの一九九三年法に基づいて実施しているかチェックをしております。その報告は後で御説明いたしますけれども、それに対して、
日本の場合には
予算編成は財務省で、そして実際そのチェックは総務省ということで、どちらかというと一貫性がございません。
さらに、報告ですけれども、
日本の場合には白書というもの、それに対して
アメリカは先ほどの九三年法に基づいた実施報告書、これをつくっております。
では、その中身は何かということですけれども、
アメリカにおいては、
国民の知りたい
行政目標と結果、ところが、
日本の白書を見ますと、
行政側が伝えたい
サービスの内容の説明、簡単にこう説明できると思います。
では、ちょっと具体的に、これが、一九九八年に
アメリカでできました新しい
社会保障省、SSAと言っておりますけれども、ここの実施報告書。これを、ことしのゴールデンウイークに
アメリカに調査に行ってまいりましたので、そのときに入手してまいりました。そこの、先ほどの
行政評価というところを、また事例を説明しながら御説明させていただきます。
まず、先ほどの九三年
法律によりまして、SSAとしては五つの目標を設定いたしました。時間に限りがありますので、そのうち一部を御
紹介します。五十七項目、これがいわゆる
国民の知りたい情報であろうというところでSSAが調査をして、それについて目標と実績、その比較を行った資料でございます。
まず、2ということで、契約者への、契約者というのは、
社会保障のいわゆる基金を、例えば
日本で言う年金掛金、これを払っている契約者です。それへの迅速な対応と
世界標準レベルの
サービスの提供をするということで、顧客満足度、五十七項目のうちの二十一項目として、SSA
サービスに対する
国民評価、よい及び非常によいというのが、九六年実績七九%が九八年実績で八二%で、九九年計画で八七%にしよう、こういう形で、二十二番は、SSA職員の丁寧さに対する
国民の満足度という結果及び計画。
さらには二十三番は、SSA郵便の、いわゆるSSAから出る、例えば
日本で言う年金の支払い額の通知書とか、そういった郵便の中身が、情報が明確かということで、それに対して満足であるまたは大変満足ということで、九八年実績で八一%の
国民が満足している、こういう情報です。
それでは、3ですけれども、
社会保障省の制度管理が、不正、誤謬を生まず、最適な
事業であること、これは三十八番、特に、老齢年金または遺族年金、障害年金、いわゆるOASIとあちらで言いますけれども、その支払い額が正確に行われたかどうか。いわゆる過大支払いがなかった、正確に行われたという
意味です。それが九九・八%。これは九九年計画ですね。過小支払いなし、これも九九・八と、かなり正確です。
御存じのように、
日本は、
日本の会計検査院は、特にこの過大支払いがなしということで、いわゆる過大支払いがある場合の金額を
指摘しております。
それはそれでいいのですけれども、その過大支払いの前に、四十四番を見ますと、未払い保険料、
日本でもまだたしか三分の一が
国民年金を払っていないという人がいる。それに対して徴収努力をどの程度行っているか。そういう
観点から、年次増加率ということで、かなり増加しております。九八年実績が、やや特殊な事情がありましてこういういびつな数字になっておりますけれども、その説明もされております。
四十五番ですと、過払い回収金額ということで、九九年計画では
日本円で二千四百億円。これを、一度払った過払いの金額を戻そう、そんな努力。
さらには五十七番は、
社会保障制度の情報提供が非常によいまたはよいということで、
アメリカの場合には約六割弱の人が満足している。
では、これに対して
日本の情報はどうなのかということで、これは
日本の厚生白書です。
日本の厚生白書は、ではどういったものかというと、これは、その
社会保障部分に関するところの項目だけをピックアップいたしました。
そうしましたら、
社会保障の構造
改革ということで、
改革の必要性とか方向とか、そういう、
行政が何をやっているかという情報は提供しているのですけれども、では、
国民が知りたい情報はどういう状況なのかというところに対しては、何ら説明しておりません。
ということで、簡単に比較しますと、ここにも書きましたけれども、まず、この
行政評価に関しまして、要約いたしますと、
アメリカは
国民のニーズに合わせた報告内容をちゃんと出している。それに対して
日本は、
行政側からの
サービス内容の説明報告なんですね。いわゆる
行政側から、これを
国民知ってくれと、一方的な情報提供とも言えると思います。
こんな状況で、いろいろと私も
考えたのですけれども、今回の
中央省庁設置法ですけれども、やはり
行政評価というのは今回の行革のかなりの目玉なはずです。それはずっと今まで議論してわかっていると思うのですけれども、やはり今の設置法での、
行政評価をやりますだけではなくて、それを実効たらしめる
アメリカのような、またイギリスではもう数年前からネクスト・ステップという数十に及ぶエージェンシーが、先ほどの
アメリカの目標そして実績、これを比較して
国民に提供しております。
こういったものを担保させるような
法律がやはり必要と
考えますけれども、これは全
省庁にまたがる話ですから、まず
総理大臣に聞きますけれども、今の、
日本のこれからやる
行政評価、まだ見えないわけです。だけれども、
アメリカの、いわゆる
国民のニーズという
観点から
行政評価というものを行っていくということに対して、
総理はどのようにお
考えになりますか。評価されますか。やはり
日本もそういった形の、
国民のニーズに合わせた
行政評価というものを定着させよう、そういう決意がおありですか。いかがですか。