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1999-06-08 第145回国会 衆議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月八日(火曜日)     午前九時四十五分開議   出席委員    委員長 木村 義雄君    理事 佐藤 静雄君 理事 鈴木 俊一君    理事 田中眞紀子君 理事 長勢 甚遠君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 岡島 正之君       安倍 晋三君    伊吹 文明君       岩下 栄一君    衛藤 晟一君       大村 秀章君    桜井 郁三君       桜田 義孝君    砂田 圭佑君       田村 憲久君    戸井田 徹君       能勢 和子君    桧田  仁君       船田  元君    堀之内久男君       松本  純君    宮路 和明君       家西  悟君    石毛えい子君       五島 正規君    土肥 隆一君       古川 元久君    松崎 公昭君       青山 二三君    久保 哲司君       武山百合子君    吉田 幸弘君       児玉 健次君    瀬古由起子君       中川 智子君    笹木 竜三君  出席国務大臣         厚生大臣    宮下 創平君  出席政府委員         厚生大臣官房総         務審議官    真野  章君         厚生省保健医療         局長      伊藤 雅治君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         厚生省保険局長 羽毛田信吾君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         社会保険庁次長 宮島  彰君  委員外の出席者         厚生委員会専門         員       杉谷 正秀君 委員の異動 六月八日         辞任         補欠選任   田村 憲久君     桜田 義孝君 同日         辞任         補欠選任   桜田 義孝君     田村 憲久君 五月三十一日  年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(井上喜一君紹介)(第三五八一号)  同(小里貞利君紹介)(第三五八二号)  同(大野松茂君紹介)(第三五八三号)  同(小坂憲次君紹介)(第三五八四号)  同(葉梨信行君紹介)(第三五八五号)  同(谷畑孝君紹介)(第三六三七号)  同(額賀福志郎君紹介)(第三六三八号)  同(能勢和子君紹介)(第三六三九号)  同(梶山静六君紹介)(第三六七七号)  同(岡部英男君紹介)(第三七〇四号)  看護婦の増員・夜勤改善に関する請願(畠山健治郎君紹介)(第三五八六号)  同(鉢呂吉雄君紹介)(第三六四二号)  重度障害者介護体制確立に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一〇号)  重度障害者の入院時における付添介護人に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一一号)  重度障害者のためのケアハウス設置に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一二号)  重度障害者障害基礎年金増額に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一三号)  介護用ホイスト水平トランスファー等の支給に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一四号)  介護保険法の適切な施行実現に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一五号)  無年金障害者の解消に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一六号)  障害者に関する医療制度改善に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一七号)  人工呼吸器を必要とする脊髄損傷者に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一八号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六一九号)  寒冷積雪地重度障害者への寒冷地手当に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六二〇号)  脊髄損傷者の寒冷地以外における異常発汗手当に関する請願(畑英次郎君紹介)(第三六二一号)  社会保障の拡充に関する請願(土肥隆一君紹介)(第三六二二号)  年金改悪反対、安心して暮らせる老後の保障に関する請願(岩浅嘉仁君紹介)(第三六二三号)  小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(岩浅嘉仁君紹介)(第三六二四号)  同(熊谷弘君紹介)(第三六九九号)  同(坂上富男君紹介)(第三七〇〇号)  同(前島秀行君紹介)(第三七〇一号)  同(赤松広隆君紹介)(第三七二三号)  同(粟屋敏信君紹介)(第三七二四号)  同(伊藤公介君紹介)(第三七二五号)  同(伊藤達也君紹介)(第三七二六号)  同(石田勝之君紹介)(第三七二七号)  同(上田清司君紹介)(第三七二八号)  同(上原康助君紹介)(第三七二九号)  同(江崎鐵磨君紹介)(第三七三〇号)  同(江渡聡徳君紹介)(第三七三一号)  同(衛藤晟一君紹介)(第三七三二号)  同(大野功統君紹介)(第三七三三号)  同(大原一三君紹介)(第三七三四号)  同(奥田幹生君紹介)(第三七三五号)  同(奥野誠亮君紹介)(第三七三六号)  同(奥山茂彦君紹介)(第三七三七号)  同(鹿野道彦君紹介)(第三七三八号)  同(梶山静六君紹介)(第三七三九号)  同(金田英行君紹介)(第三七四〇号)  同(亀井静香君紹介)(第三七四一号)  同(亀井久興君紹介)(第三七四二号)  同(川内博史君紹介)(第三七四三号)  同(木村太郎君紹介)(第三七四四号)  同(木村隆秀君紹介)(第三七四五号)  同(木村勉君紹介)(第三七四六号)  同(岸田文雄君紹介)(第三七四七号)  同(北村直人君紹介)(第三七四八号)  同(旭道山和泰君紹介)(第三七四九号)  同(桑原豊君紹介)(第三七五〇号)  同(小坂憲次君紹介)(第三七五一号)  同(小林興起君紹介)(第三七五二号)  同(古賀一成君紹介)(第三七五三号)  同(河本三郎君紹介)(第三七五四号)  同(左藤恵君紹介)(第三七五五号)  同(佐藤謙一郎君紹介)(第三七五六号)  同(佐藤静雄君紹介)(第三七五七号)  同(佐藤敬夫君紹介)(第三七五八号)  同(佐藤勉君紹介)(第三七五九号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第三七六〇号)  同(笹川堯君紹介)(第三七六一号)  同(笹山登生君紹介)(第三七六二号)  同(自見庄三郎君紹介)(第三七六三号)  同(白保台一君紹介)(第三七六四号)  同(鈴木俊一君紹介)(第三七六五号)  同(砂田圭佑君紹介)(第三七六六号)  同(田中慶秋君紹介)(第三七六七号)  同(田中昭一君紹介)(第三七六八号)  同(田村憲久君紹介)(第三七六九号)  同(滝実君紹介)(第三七七〇号)  同(谷口隆義君紹介)(第三七七一号)  同(谷畑孝君紹介)(第三七七二号)  同(西川公也君紹介)(第三七七三号)  同(西川太一郎君紹介)(第三七七四号)  同(西田司君紹介)(第三七七五号)  同(西野陽君紹介)(第三七七六号)  同(能勢和子君紹介)(第三七七七号)  同(葉山峻君紹介)(第三七七八号)  同(萩野浩基君紹介)(第三七七九号)  同(蓮実進君紹介)(第三七八〇号)  同(畠山健治郎君紹介)(第三七八一号)  同(鳩山由紀夫君紹介)(第三七八二号)  同(濱田健一君紹介)(第三七八三号)  同(平沼赳夫君紹介)(第三七八四号)  同(福島豊君紹介)(第三七八五号)  同(福留泰蔵君紹介)(第三七八六号)  同(藤村修君紹介)(第三七八七号)  同(藤本孝雄君紹介)(第三七八八号)  同(二見伸明君紹介)(第三七八九号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第三七九〇号)  同(古屋圭司君紹介)(第三七九一号)  同(保利耕輔君紹介)(第三七九二号)  同(細川律夫君紹介)(第三七九三号)  同(細田博之君紹介)(第三七九四号)  同(堀之内久男君紹介)(第三七九五号)  同(牧野隆守君紹介)(第三七九六号)  同(松岡利勝君紹介)(第三七九七号)  同(松崎公昭君紹介)(第三七九八号)  同(松本和那君紹介)(第三七九九号)  同(松本純君紹介)(第三八〇〇号)  同(松本龍君紹介)(第三八〇一号)  同(三ツ林弥太郎君紹介)(第三八〇二号)  同(宮路和明君紹介)(第三八〇三号)  同(武藤嘉文君紹介)(第三八〇四号)  同(村田吉隆君紹介)(第三八〇五号)  同(村山富市君紹介)(第三八〇六号)  同(目片信君紹介)(第三八〇七号)  同(茂木敏充君紹介)(第三八〇八号)  同(森田一君紹介)(第三八〇九号)  同(山元勉君紹介)(第三八一〇号)  同(山本幸三君紹介)(第三八一一号)  同(山本孝史君紹介)(第三八一二号)  同(横内正明君紹介)(第三八一三号)  同(横光克彦君紹介)(第三八一四号)  同(渡辺博道君紹介)(第三八一五号)  同(鰐淵俊之君紹介)(第三八一六号)  肝炎患者の救済とウイルス肝炎の総合的な対策に関する請願(安倍晋三君紹介)(第三六二五号)  同(衛藤晟一君紹介)(第三六二六号)  同(佐藤静雄君紹介)(第三六二七号)  同(笹川堯君紹介)(第三六二八号)  同(鈴木俊一君紹介)(第三六二九号)  同(砂田圭佑君紹介)(第三六三〇号)  同(土肥隆一君紹介)(第三六三一号)  同(能勢和子君紹介)(第三六三二号)  同(福島豊君紹介)(第三六三三号)  同(堀之内久男君紹介)(第三六三四号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第三六三五号)  同(宮路和明君紹介)(第三六三六号)  同(伊吹文明君紹介)(第三六七四号)  同(金田誠一君紹介)(第三六七五号)  同(松本純君紹介)(第三六七六号)  同(田村憲久君紹介)(第三七〇二号)  同(桧田仁君紹介)(第三七〇三号)  同(岩下栄一君紹介)(第三八一七号)  同(山本孝史君紹介)(第三八一八号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(岩浅嘉仁君紹介)(第三六四〇号)  同(能勢和子君紹介)(第三六四一号)  難病公費医療患者負担廃止医療保険制度改悪反対に関する請願(青山二三君紹介)(第三六四三号)  同(鉢呂吉雄君紹介)(第三六四四号)  同(青山二三君紹介)(第三六七八号)  国立療養所稚内病院結核病棟復活に関する請願(金田誠一君紹介)(第三六七九号)  同(金田誠一君紹介)(第三七〇五号)  同(金田誠一君紹介)(第三八二〇号)  マッサージ診療報酬の適正な引き上げに関する請願(金田誠一君紹介)(第三六八〇号)  患者負担増反対、保険によるよい医療に関する請願(上田清司君紹介)(第三七二〇号)  同(細川律夫君紹介)(第三七二一号)  患者負担の再引き上げ中止、安心してかかりやすい医療の充実に関する請願(田中慶秋君紹介)(第三七二二号)  聴覚障害者社会参加を制限する法律の早期改正に関する請願(村井仁君紹介)(第三八一九号) 六月三日  小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(逢沢一郎君紹介)(第三八五五号)  同(赤松正雄君紹介)(第三八五六号)  同(浅野勝人君紹介)(第三八五七号)  同(荒井広幸君紹介)(第三八五八号)  同(伊藤茂君紹介)(第三八五九号)  同(飯島忠義君紹介)(第三八六〇号)  同(池端清一君紹介)(第三八六一号)  同(石井啓一君紹介)(第三八六二号)  同(石井紘基君紹介)(第三八六三号)  同(石毛えい子君紹介)(第三八六四号)  同(石田勝之君紹介)(第三八六五号)  同(一川保夫君紹介)(第三八六六号)  同(臼井日出男君紹介)(第三八六七号)  同(漆原良夫君紹介)(第三八六八号)  同(江口一雄君紹介)(第三八六九号)  同(枝野幸男君紹介)(第三八七〇号)  同(小里貞利君紹介)(第三八七一号)  同(小澤潔君紹介)(第三八七二号)  同(大口善徳君紹介)(第三八七三号)  同(大島理森君紹介)(第三八七四号)  同(大野松茂君紹介)(第三八七五号)  同(大村秀章君紹介)(第三八七六号)  同(粕谷茂君紹介)(第三八七七号)  同(川端達夫君紹介)(第三八七八号)  同(河井克行君紹介)(第三八七九号)  同(河村建夫君紹介)(第三八八〇号)  同(神田厚君紹介)(第三八八一号)  同(木部佳昭君紹介)(第三八八二号)  同(岸本光造君紹介)(第三八八三号)  同(北村哲男君紹介)(第三八八四号)  同(久間章生君紹介)(第三八八五号)  同(久野統一郎君紹介)(第三八八六号)  同(倉田栄喜君紹介)(第三八八七号)  同(栗原裕康君紹介)(第三八八八号)  同(栗本慎一郎君紹介)(第三八八九号)  同(小池百合子君紹介)(第三八九〇号)  同(小林守君紹介)(第三八九一号)  同(佐々木洋平君紹介)(第三八九二号)  同(佐田玄一郎君紹介)(第三八九三号)  同(佐藤孝行君紹介)(第三八九四号)  同(笹山登生君紹介)(第三八九五号)  同(塩谷立君紹介)(第三八九六号)  同(実川幸夫君紹介)(第三八九七号)  同(島聡君紹介)(第三八九八号)  同(白保台一君紹介)(第三八九九号)  同(新藤義孝君紹介)(第三九〇〇号)  同(鈴木淑夫君紹介)(第三九〇一号)  同(園田修光君紹介)(第三九〇二号)  同(園田博之君紹介)(第三九〇三号)  同(田中眞紀子君紹介)(第三九〇四号)  同(田邉國男君紹介)(第三九〇五号)  同(高橋一郎君紹介)(第三九〇六号)  同(武村正義君紹介)(第三九〇七号)  同(棚橋泰文君紹介)(第三九〇八号)  同(玉置一弥君紹介)(第三九〇九号)  同(近岡理一郎君紹介)(第三九一〇号)  同(戸井田徹君紹介)(第三九一一号)  同(富田茂之君紹介)(第三九一二号)  同(虎島和夫君紹介)(第三九一三号)  同(中川正春君紹介)(第三九一四号)  同(中田宏君紹介)(第三九一五号)  同(中谷元君紹介)(第三九一六号)  同(中野正志君紹介)(第三九一七号)  同(中山太郎君紹介)(第三九一八号)  同(中山成彬君紹介)(第三九一九号)  同(仲村正治君紹介)(第三九二〇号)  同(西川知雄君紹介)(第三九二一号)  同(西田猛君紹介)(第三九二二号)  同(葉梨信行君紹介)(第三九二三号)  同(萩山教嚴君紹介)(第三九二四号)  同(畑英次郎君紹介)(第三九二五号)  同(畠山健治郎君紹介)(第三九二六号)  同(東順治君紹介)(第三九二七号)  同(桧田仁君紹介)(第三九二八号)  同(平田米男君紹介)(第三九二九号)  同(平林鴻三君紹介)(第三九三〇号)  同(福田康夫君紹介)(第三九三一号)  同(藤波孝生君紹介)(第三九三二号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第三九三三号)  同(堀内光雄君紹介)(第三九三四号)  同(堀込征雄君紹介)(第三九三五号)  同(前原誠司君紹介)(第三九三六号)  同(増田敏男君紹介)(第三九三七号)  同(松崎公昭君紹介)(第三九三八号)  同(松沢成文君紹介)(第三九三九号)  同(宮腰光寛君紹介)(第三九四〇号)  同(村田敬次郎君紹介)(第三九四一号)  同(村山富市君紹介)(第三九四二号)  同(持永和見君紹介)(第三九四三号)  同(谷津義男君紹介)(第三九四四号)  同(山本有二君紹介)(第三九四五号)  同(吉川貴盛君紹介)(第三九四六号)  同(渡辺周君紹介)(第三九四七号)  同(渡辺具能君紹介)(第三九四八号)  同(安倍基雄君紹介)(第三九八四号)  同(青山二三君紹介)(第三九八五号)  同(赤松正雄君紹介)(第三九八六号)  同(井奥貞雄君紹介)(第三九八七号)  同(伊藤茂君紹介)(第三九八八号)  同(伊吹文明君紹介)(第三九八九号)  同(池坊保子君紹介)(第三九九〇号)  同(今村雅弘君紹介)(第三九九一号)  同(岩浅嘉仁君紹介)(第三九九二号)  同(岩永峯一君紹介)(第三九九三号)  同(江藤隆美君紹介)(第三九九四号)  同(遠藤和良君紹介)(第三九九五号)  同(尾身幸次君紹介)(第三九九六号)  同(金田誠一君紹介)(第三九九七号)  同(河合正智君紹介)(第三九九八号)  同(熊谷市雄君紹介)(第三九九九号)  同(玄葉光一郎君紹介)(第四〇〇〇号)  同(小池百合子君紹介)(第四〇〇一号)  同(小島敏男君紹介)(第四〇〇二号)  同(小平忠正君紹介)(第四〇〇三号)  同(古賀誠君紹介)(第四〇〇四号)  同(今田保典君紹介)(第四〇〇五号)  同(佐々木秀典君紹介)(第四〇〇六号)  同(佐々木洋平君紹介)(第四〇〇七号)  同(阪上善秀君紹介)(第四〇〇八号)  同(桜井郁三君紹介)(第四〇〇九号)  同(島津尚純君紹介)(第四〇一〇号)  同(下村博文君紹介)(第四〇一一号)  同(菅義偉君紹介)(第四〇一二号)  同(武部勤君紹介)(第四〇一三号)  同(谷洋一君紹介)(第四〇一四号)  同(中川秀直君紹介)(第四〇一五号)  同(中曽根康弘君紹介)(第四〇一六号)  同(中野寛成君紹介)(第四〇一七号)  同(中村喜四郎君紹介)(第四〇一八号)  同(林義郎君紹介)(第四〇一九号)  同(原健三郎君紹介)(第四〇二〇号)  同(原口一博君紹介)(第四〇二一号)  同(船田元君紹介)(第四〇二二号)  同(前田武志君紹介)(第四〇二三号)  同(前原誠司君紹介)(第四〇二四号)  同(松永光君紹介)(第四〇二五号)  同(松浪健四郎君紹介)(第四〇二六号)  同(松本惟子君紹介)(第四〇二七号)  同(村山達雄君紹介)(第四〇二八号)  同(山口泰明君紹介)(第四〇二九号)  同(山本公一君紹介)(第四〇三〇号)  同(吉田幸弘君紹介)(第四〇三一号)  同(渡辺周君紹介)(第四〇三二号)  肝炎患者の救済とウイルス肝炎の総合的な対策に関する請願(石毛えい子君紹介)(第三九四九号)  同(大村秀章君紹介)(第三九五〇号)  同(田中眞紀子君紹介)(第三九五一号)  同(戸井田徹君紹介)(第三九五二号)  同(青山二三君紹介)(第四〇三三号)  同(桜井郁三君紹介)(第四〇三四号)  同(船田元君紹介)(第四〇三五号)  同(吉田幸弘君紹介)(第四〇三六号)  年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(福田康夫君紹介)(第三九五三号)  同(小里貞利君紹介)(第四〇三七号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(土屋品子君紹介)(第三九五四号)  同(土屋品子君紹介)(第四〇三九号)  同(船田元君紹介)(第四〇四〇号)  患者負担の再引き上げ中止、安心してかかりやすい医療の充実に関する請願(中田宏君紹介)(第三九五五号)  同(西川知雄君紹介)(第三九五六号)  同(松沢成文君紹介)(第三九五七号)  同(吉田幸弘君紹介)(第四〇五六号)  社会保障の拡充に関する請願(遠藤和良君紹介)(第三九八三号)  年金制度改正に関する請願(鍵田節哉君紹介)(第四〇三八号)  難病公費医療患者負担廃止医療保険制度改悪反対に関する請願(中野寛成君紹介)(第四〇四一号)  マッサージ診療報酬の適正な引き上げに関する請願(金田誠一君紹介)(第四〇四二号)  同(吉田幸弘君紹介)(第四〇四三号)  重度障害者介護体制確立に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇四四号)  重度障害者の入院時における付添介護人に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇四五号)  重度障害者のためのケアハウス設置に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇四六号)  重度障害者障害基礎年金増額に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇四七号)  介護用ホイスト水平トランスファー等の支給に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇四八号)  介護保険法の適切な施行実現に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇四九号)  無年金障害者の解消に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇五〇号)  障害者に関する医療制度改善に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇五一号)  人工呼吸器を必要とする脊髄損傷者に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇五二号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇五三号)  寒冷積雪地重度障害者への寒冷地手当に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇五四号)  脊髄損傷者の寒冷地以外における異常発汗手当に関する請願(小里貞利君紹介)(第四〇五五号) 同月七日  社会保障の拡充に関する請願(古川元久君紹介)(第四一二〇号)  同(山口俊一君紹介)(第四一二一号)  小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(安住淳君紹介)(第四一二二号)  同(赤城徳彦君紹介)(第四一二三号)  同(伊藤茂君紹介)(第四一二四号)  同(池坊保子君紹介)(第四一二五号)  同(石井郁子君紹介)(第四一二六号)  同(大石秀政君紹介)(第四一二七号)  同(大森猛君紹介)(第四一二八号)  同(近江巳記夫君紹介)(第四一二九号)  同(岡部英男君紹介)(第四一三〇号)  同(奥田建君紹介)(第四一三一号)  同(奥谷通君紹介)(第四一三二号)  同(金子満広君紹介)(第四一三三号)  同(木島日出夫君紹介)(第四一三四号)  同(熊代昭彦君紹介)(第四一三五号)  同(倉成正和君紹介)(第四一三六号)  同(玄葉光一郎君紹介)(第四一三七号)  同(児玉健次君紹介)(第四一三八号)  同(穀田恵二君紹介)(第四一三九号)  同(佐々木憲昭君紹介)(第四一四〇号)  同(佐々木洋平君紹介)(第四一四一号)  同(佐々木陸海君紹介)(第四一四二号)  同(坂口力君紹介)(第四一四三号)  同(阪上善秀君紹介)(第四一四四号)  同(志位和夫君紹介)(第四一四五号)  同(鈴木恒夫君紹介)(第四一四六号)  同(瀬古由起子君紹介)(第四一四七号)  同(仙谷由人君紹介)(第四一四八号)  同(橘康太郎君紹介)(第四一四九号)  同(辻第一君紹介)(第四一五〇号)  同(寺前巖君紹介)(第四一五一号)  同(土肥隆一君紹介)(第四一五二号)  同(中尾栄一君紹介)(第四一五三号)  同(中路雅弘君紹介)(第四一五四号)  同(中島武敏君紹介)(第四一五五号)  同(中林よし子君紹介)(第四一五六号)  同(中村喜四郎君紹介)(第四一五七号)  同(春名直章君紹介)(第四一五八号)  同(東中光雄君紹介)(第四一五九号)  同(平賀高成君紹介)(第四一六〇号)  同(不破哲三君紹介)(第四一六一号)  同(福永信彦君紹介)(第四一六二号)  同(藤木洋子君紹介)(第四一六三号)  同(藤田スミ君紹介)(第四一六四号)  同(古川元久君紹介)(第四一六五号)  同(古堅実吉君紹介)(第四一六六号)  同(前田正君紹介)(第四一六七号)  同(松本善明君紹介)(第四一六八号)  同(矢島恒夫君紹介)(第四一六九号)  同(保岡興治君紹介)(第四一七〇号)  同(山中貞則君紹介)(第四一七一号)  同(山原健二郎君紹介)(第四一七二号)  同(吉井英勝君紹介)(第四一七三号)  同(吉田公一君紹介)(第四一七四号)  同(綿貫民輔君紹介)(第四一七五号)  同(安倍晋三君紹介)(第四三〇一号)  同(相沢英之君紹介)(第四三〇二号)  同(伊藤忠治君紹介)(第四三〇三号)  同(石川要三君紹介)(第四三〇四号)  同(市川雄一君紹介)(第四三〇五号)  同(植竹繁雄君紹介)(第四三〇六号)  同(小此木八郎君紹介)(第四三〇七号)  同(北側一雄君紹介)(第四三〇八号)  同(河野洋平君紹介)(第四三〇九号)  同(斉藤鉄夫君紹介)(第四三一〇号)  同(城島正光君紹介)(第四三一一号)  同(杉山憲夫君紹介)(第四三一二号)  同(田端正広君紹介)(第四三一三号)  同(武山百合子君紹介)(第四三一四号)  同(辻元清美君紹介)(第四三一五号)  同(古堅実吉君紹介)(第四三一六号)  同(三塚博君紹介)(第四三一七号)  同(宮本一三君紹介)(第四三一八号)  同(八代英太君紹介)(第四三一九号)  肝炎患者の救済とウイルス肝炎の総合的な対策に関する請願(古川元久君紹介)(第四一七六号)  年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(赤城徳彦君紹介)(第四一七七号)  同(古賀正浩君紹介)(第四一七八号)  同(中村喜四郎君紹介)(第四一七九号)  同(小川元君紹介)(第四三二〇号)  同(小此木八郎君紹介)(第四三二一号)  同(田村憲久君紹介)(第四三二二号)  年金制度改正に関する請願(鍵田節哉君紹介)(第四一八〇号)  聴覚障害者社会参加を制限する法律の早期改正に関する請願(木島日出夫君紹介)(第四一八一号)  公的年金制度の充実に関する請願(木島日出夫君紹介)(第四一八二号)  医療保険制度改革に関する請願(木島日出夫君紹介)(第四一八三号)  マッサージ診療報酬の適正な引き上げに関する請願(古川元久君紹介)(第四一八四号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第四一八五号)  重度障害者介護体制確立に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一八六号)  重度障害者の入院時における付添介護人に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一八七号)  重度障害者のためのケアハウス設置に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一八八号)  重度障害者障害基礎年金増額に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一八九号)  介護用ホイスト水平トランスファー等の支給に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一九〇号)  介護保険法の適切な施行実現に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一九一号)  無年金障害者の解消に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一九二号)  障害者に関する医療制度改善に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一九三号)  人工呼吸器を必要とする脊髄損傷者に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一九四号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一九五号)  寒冷積雪地重度障害者への寒冷地手当に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一九六号)  脊髄損傷者の寒冷地以外における異常発汗手当に関する請願(保利耕輔君紹介)(第四一九七号)  食品の安全基準緩和反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第四二九一号)  同(大森猛君紹介)(第四二九二号)  同(金子満広君紹介)(第四二九三号)  同(木島日出夫君紹介)(第四二九四号)  同(児玉健次君紹介)(第四二九五号)  同(穀田恵二君紹介)(第四二九六号)  同(佐々木憲昭君紹介)(第四二九七号)  同(佐々木陸海君紹介)(第四二九八号)  同(志位和夫君紹介)(第四二九九号)  人間らしく生きられる介護保険制度改善に関する請願(大森猛君紹介)(第四三〇〇号)  看護婦の増員・夜勤改善に関する請願(石井郁子君紹介)(第四三二三号)  同(大森猛君紹介)(第四三二四号)  同(奥田建君紹介)(第四三二五号)  同(金子満広君紹介)(第四三二六号)  同(木島日出夫君紹介)(第四三二七号)  同(児玉健次君紹介)(第四三二八号)  同(穀田恵二君紹介)(第四三二九号)  同(佐々木憲昭君紹介)(第四三三〇号)  同(佐々木陸海君紹介)(第四三三一号)  同(志位和夫君紹介)(第四三三二号)  同(瀬古由起子君紹介)(第四三三三号)  同(辻第一君紹介)(第四三三四号)  同(寺前巖君紹介)(第四三三五号)  同(中路雅弘君紹介)(第四三三六号)  同(中島武敏君紹介)(第四三三七号)  同(中林よし子君紹介)(第四三三八号)  同(春名直章君紹介)(第四三三九号)  同(東中光雄君紹介)(第四三四〇号)  同(平賀高成君紹介)(第四三四一号)  同(不破哲三君紹介)(第四三四二号)  同(藤木洋子君紹介)(第四三四三号)  同(藤田スミ君紹介)(第四三四四号)  同(古堅実吉君紹介)(第四三四五号)  同(松本善明君紹介)(第四三四六号)  同(矢島恒夫君紹介)(第四三四七号)  同(山原健二郎君紹介)(第四三四八号)  同(吉井英勝君紹介)(第四三四九号)  難病公費医療患者負担廃止医療保険制度改悪反対に関する請願(古堅実吉君紹介)(第四三五〇号) 同月八日  精神障害者保健福祉手帳のサービス拡大に関する請願(稲垣実男君紹介)(第四四五八号)  同(岩下栄一君紹介)(第四四五九号)  同(臼井日出男君紹介)(第四四六〇号)  同(江渡聡徳君紹介)(第四四六一号)  同(小川元君紹介)(第四四六二号)  同(大原一三君紹介)(第四四六三号)  同(奥山茂彦君紹介)(第四四六四号)  同(金田英行君紹介)(第四四六五号)  同(亀井静香君紹介)(第四四六六号)  同(河村建夫君紹介)(第四四六七号)  同(久間章生君紹介)(第四四六八号)  同(栗原裕康君紹介)(第四四六九号)  同(栗本慎一郎君紹介)(第四四七〇号)  同(佐田玄一郎君紹介)(第四四七一号)  同(佐藤静雄君紹介)(第四四七二号)  同(阪上善秀君紹介)(第四四七三号)  同(桜井新君紹介)(第四四七四号)  同(鈴木俊一君紹介)(第四四七五号)  同(園田修光君紹介)(第四四七六号)  同(高鳥修君紹介)(第四四七七号)  同(武村正義君紹介)(第四四七八号)  同(谷垣禎一君紹介)(第四四七九号)  同(谷川和穗君紹介)(第四四八〇号)  同(戸井田徹君紹介)(第四四八一号)  同(中川秀直君紹介)(第四四八二号)  同(中谷元君紹介)(第四四八三号)  同(中野正志君紹介)(第四四八四号)  同(中山正暉君紹介)(第四四八五号)  同(長勢甚遠君紹介)(第四四八六号)  同(桧田仁君紹介)(第四四八七号)  同(平沼赳夫君紹介)(第四四八八号)  同(藤井孝男君紹介)(第四四八九号)  同(藤本孝雄君紹介)(第四四九〇号)  同(保利耕輔君紹介)(第四四九一号)  同(細田博之君紹介)(第四四九二号)  同(堀内光雄君紹介)(第四四九三号)  同(松岡利勝君紹介)(第四四九四号)  同(松本純君紹介)(第四四九五号)  同(三塚博君紹介)(第四四九六号)  同(武藤嘉文君紹介)(第四四九七号)  同(村山達雄君紹介)(第四四九八号)  同(目片信君紹介)(第四四九九号)  同(森田一君紹介)(第四五〇〇号)  同(森山眞弓君紹介)(第四五〇一号)  同(八代英太君紹介)(第四五〇二号)  同(谷津義男君紹介)(第四五〇三号)  同(山元勉君紹介)(第四五〇四号)  同(渡辺具能君紹介)(第四五〇五号)  聴覚障害者社会参加を制限する欠格条項の早期改正に関する請願(桜井新君紹介)(第四五〇六号)  社会保障の拡充に関する請願(伊藤忠治君紹介)(第四五〇七号)  同(上原康助君紹介)(第四五〇八号)  同(仙谷由人君紹介)(第四五〇九号)  同(春名直章君紹介)(第四五一〇号)  同(山原健二郎君紹介)(第四五一一号)  小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(稲垣実男君紹介)(第四五一二号)  同(遠藤武彦君紹介)(第四五一三号)  同(太田昭宏君紹介)(第四五一四号)  同(嘉数知賢君紹介)(第四五一五号)  同(北村哲男君紹介)(第四五一六号)  同(斉藤鉄夫君紹介)(第四五一七号)  同(辻元清美君紹介)(第四五一八号)  同(冨沢篤紘君紹介)(第四五一九号)  同(中西啓介君紹介)(第四五二〇号)  同(中山利生君紹介)(第四五二一号)  同(永井英慈君紹介)(第四五二二号)  同(長勢甚遠君紹介)(第四五二三号)  同(西村眞悟君紹介)(第四五二四号)  同(宮島大典君紹介)(第四五二五号)  同(森山眞弓君紹介)(第四五二六号)  年金改悪反対、安心して暮らせる老後保障に関する請願(志位和夫君紹介)(第四五二七号)  肝炎患者の救済とウイルス肝炎の総合的な対策に関する請願(長勢甚遠君紹介)(第四五二八号)  年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(石井一君紹介)(第四五二九号)  同(桜井新君紹介)(第四五三〇号)  同(園田修光君紹介)(第四五三一号)  重度障害者介護体制確立に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五三二号)  同(高鳥修君紹介)(第四五三三号)  重度障害者の入院時における付添介護人に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五三四号)  同(高鳥修君紹介)(第四五三五号)  重度障害者のためのケアハウス設置に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五三六号)  同(高鳥修君紹介)(第四五三七号)  重度障害者障害基礎年金増額に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五三八号)  同(高鳥修君紹介)(第四五三九号)  介護用ホイスト水平トランスファー等の支給に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五四〇号)  同(高鳥修君紹介)(第四五四一号)  介護保険法の適切な施行実現に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五四二号)  同(高鳥修君紹介)(第四五四三号)  無年金障害者の解消に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五四四号)  同(高鳥修君紹介)(第四五四五号)  障害者に関する医療制度改善に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五四六号)  同(高鳥修君紹介)(第四五四七号)  人工呼吸器を必要とする脊髄損傷者に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五四八号)  同(高鳥修君紹介)(第四五四九号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五五〇号)  同(高鳥修君紹介)(第四五五一号)  寒冷積雪地重度障害者への寒冷地手当に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五五二号)  同(高鳥修君紹介)(第四五五三号)  脊髄損傷者の寒冷地以外における異常発汗手当に関する請願(佐田玄一郎君紹介)(第四五五四号)  同(高鳥修君紹介)(第四五五五号) は本委員会に付託された。 六月一日  精神保健福祉法改正に関する陳情書(第二〇七号)  精神病床のあり方に関する陳情書(第二〇八号)  国民健康保険法の保険給付の一部改正に関する陳情書(第二三〇号)  介護保険制度の充実・強化に関する陳情書(第二三一号)  老人保健事務電算共同処理事業の財政支援に関する陳情書(第二三二号)  児童扶養手当の所得制限緩和に関する陳情書(第二三三号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  厚生関係の基本施策に関する件     午前九時四十五分開議      ――――◇―――――
  2. 木村義雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍晋三君。
  3. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 自由民主党の安倍晋三であります。  厚生委員会に付託をされた法案は大体すべて処理が終わったわけでありますが、きょうは一般質疑ということで、大臣、大変御苦労さまでございます。  時間もございませんので、早速質問に移らせていただきたいと思うわけでありますが、我が党内におきましても、介護保険制度、来年の四月からの実施に向けましていろいろな議論がなされているわけでありまして、中には延長論もあるわけであります。しかしながら、この介護保険法が成立するに当たりまして、当委員会におきましても百二十時間にも及ぶ大変な審議がなされた結果、来年の四月からいよいよ施行ということになっているわけであります。  今まで我が国の介護は家族に頼っていたという側面があったわけでありまして、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんの介護はお嫁さんやお嬢さん、また、たまには息子や孫、男の子ということもあったわけでありますが、しかし、そのほとんどを大体女性の力に頼っていたというのが現実であったわけであります。また、その家族介護自体がやはりこれは家族のあり方として正しいんだという日本の伝統的な考え方もあったのも事実であるわけでありますし、私自身もその姿は麗しい姿であろう、こんなようにも思うわけであります。  しかしながら、介護の長期化あるいは核家族化が進展する中で、同じ地域にすら息子夫婦やなんかと一緒に住んでいないというのが現状であるわけでありますし、今までのように家族に頼っていくことができなくなってきた。  そういう中で、これからは家族が介護ということではなくて、もちろん家族が介護をしていくという精神は大切でありますが、これからは家族の介護ではなくて介護の社会化ということ、今まで頑張ってこられたお年寄りの介護は御家族だけに頼っているのではなくて世代間であるいは社会が、国家が支えていく仕組みをつくっていくという、大きな転換を決意したということが介護保険制度であろう、私はこんなように思うわけであります。  そのためには、私は、やはり何としても来年の四月からしっかりと実施をしていくということなんだろうと思います。もちろん、これは我が国初めての制度でございますし、また先行している国も世界でもドイツしかないというわけでありますから、不安は当然あるんだと思います。しかし、その不安を払拭していくために何をなすべきかということを議論すべきであって、延長する、あるいは負担を一時先送りするというような考え方は、特に我々自由民主党はとるべきじゃない、このように考えているわけでありますが、来年の四月からの施行に向けての大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  4. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今委員のおっしゃられるとおりでございまして、国会におきまして平成九年の十二月に成立をいたしたわけでございますが、提出してから一年有余の御審議もいただきました。  そんな中で、平成十二年の四月一日から実施するということが法定されておりますので、私どもとしては、この介護保険の実施というのは、医療保険あるいは年金と並ぶ三大保険の制度の一つとして、高齢化社会に対応する保険制度の大きな柱だと思っておりますし、国会の御審議で十分御議論いただいた結果でございますから、来年の四月から法律の命ずるところによってこれを実施していくというのは、当然過ぎるほど当然なことだと私どもも自覚をいたしております。
  5. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 ただ、こうした議論が出てくる背景には、やはり不安があるんだろう、こういうふうに思うわけであります。それは、大体分けて二つあるんだろうと思うわけであります。  一つは供給体制。市町村がこの介護保険施行に当たって十分に対応できる体制を整えることができているかどうか。あるいはサービス供給体制が、二百八十万人と言われる要介護者または要支援者のための施設あるいはサービスが十分に確保されているのだろうかという不安も当然あるのだろう、こういうふうに思うわけであります。  それと同時に、負担につきまして、一体幾ら負担をしなければいけないのだろうか、そういう不安であります。  特に、最近の朝日新聞の報道でございますが、六十五歳以上のお年寄りの定額の負担が高いところで七千円ぐらいになってしまう、二千円弱のところから比べて三倍強になる、これは不公平ではないか、高過ぎるのではないか、そういう不安がだんだん拡大されてきて、そして今日の延長論につながっているのだろう、こういうふうに思うわけであります。  ただ、この朝日の報道の積算根拠につきましては、六十五歳以上の要介護・支援者、そういう状況になる方の発生率が若干高過ぎるような気もいたすわけでありますし、また、そうなった方が一〇〇%申請をされてサービスを受けられるという前提のもとに積算されているわけでありますから、そんなふうにはならないのだろう、私はこんなふうに思っているわけであります。  しかし、私は、こうした不安を払拭するためにも、一日も早く大体幾らになるんだという額を厚生省も明示をしていただきたい、このように思うわけでありまして、できれば、きょうこの場で大体幾らぐらいであるという線を明示していただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  6. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 事務的な説明の前にちょっと申し上げさせていただきます。  介護保険につきましては、今、市町村におきまして、厚生省の指導あるいは都道府県等の指導のもとに万全の体制をしくべく準備中でございます。  その中で、今委員の御指摘になった供給体制、例えばホームヘルパーの数が確保できるかどうか、地域的にもどうか等々いろいろ問題が提起されておりまして、いよいよ十月から介護の認定が正式に始まるということを踏まえまして、各市町村におきましても大変真剣に取り組んでいただいている結果いろいろ問題が提起されているのではないか。逆に言えば、この実施が迫っておるためにいろいろ問題が出てきているんじゃないかと思われます。  そこで、私どもとしては、そういう事態を踏まえまして、さらにこの介護保険について現場の意見をよく聞いて、それを的確に、客観的に把握した上で政策的に対応をきちっとしていくことが非常に重要であると存じておりますので、そういった点の万全の体制をしくべく、過般も厚生省全体の問題として取り組むように指示をいたしたところでございます。  なお、負担の問題につきましては、これは新聞報道で千五百円くらいから八千円以上というような報道もございますが、特に高いところだけについていろいろ調べてみますと、今委員の御指摘のように、後期高齢者の割合が高いとか要介護率が高い。これはある程度客観的な事実に基づくものでございますが、施設の整備率の問題とか、特にサービスの整備率、これを一〇〇%と見るかどうかという問題等もございまして、八千円以上のところも、標準的な計数によって置きかえて計算しますと四千円台になるというようなこともございますので、私どもとしては、なるべく実態を正確に把握するために、六月から七月へかけて各保険者たる市町村から、今度は介護事業計画をつくる前提のものをキャッチしておく必要がございますから、そういうものをキャッチした上で対応をきちっと具体的にしていきたいというように考えております。  なお、計数的な点でございますれば、局長の方から答弁いたします。
  7. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 保険料につきまして補足させていただきたいと思いますが、はっきり申し上げて、まだ出る段階ではないわけでございます。  市町村の方で介護保険事業計画をつくるわけでございますが、そのための実態調査を行いまして、介護サービスの必要量というものを算出いたしている過程でございます。この結果につきましては六月中には私どもの方に上がってくる、こういうふうに考えておりまして、それを踏まえた上で全国的なベースで私ども推計したいというふうに考えておりまして、七月中には明らかにできるのではないか、こういうふうに思っております。
  8. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 できるだけ早く負担が大体どれぐらいになるんだという目安を発表していただいて、事実でないようなそうした不安は一日も早く払拭をしていただきたい、こんなように思う次第であります。  先ほど、七千円等々になるという記事につきまして批判的に話をさせていただいたわけであります。しかしながら、私がこの介護保険法案を委員会で一番最初に質問させていただいたときに指摘もさせていただいたわけでありますが、介護保険料を試算するときに、要介護・支援者合わせて二百八十万人ということであります。この中で、既に施設に入っている方、また、これから施設ができてそこに入られる方も含めてすべて施設に入られる方ということで七十万人か八十万人、残りの在宅の方については受けるサービスの量が大体四〇%ぐらいであろう、そういう答弁であったわけであります。  この四〇%というのは、今の措置制度の段階では、措置制度を受ける受けないというのはいろいろな事情もあるのだろう、私はこういうふうに思うわけでありますが、しかし、保険料を当然毎月毎月払うわけでありますから、まさに権利として確立した中で、その権利を行使する人が本当に四〇%なんだろうかというように感じるわけでありますが、今でもこの数字は変わらないのでしょうか。
  9. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 この四〇%の数字でございますけれども、これは利用率ということで、すべての対象者が自分の活用できるものをすべて利用するのが一〇〇%という前提で、現に既にある供給能力にそれを希望するかどうかという希望率を掛け合わせたものを利用率と言っておりまして、これは、平成六年ぐらいに、現在の老人保健福祉計画をつくるときに、各市町村でこれからどれだけ利用率があるだろうかというのを推計したときに大体四〇%であったということでございまして、それが十二年度の目標値ということでございます。残念ながら、まだ四〇%には到達していないような状態ではないかと思います。  ただ、先生御指摘のように権利ということで介護保険が動き出しますと当然ふえてくるということで、私どもの推計でも五年後には六〇%、十年後には八〇%、こういうふうな推計をいたしているわけでございます。
  10. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今、当然伸びていくというお話でございましたが、私の感じでは、出だしの四〇%が実はもうちょっと高くなるのではないかな、そういう危惧もあるわけでございますので、指摘をさせていただきたいと思います。  今、局長のお話でも、その比率も四〇%から八〇%にだんだんふえていくわけであります。それと同時に、介護の必要なお年寄りの数も、どんどん、十年間で百万人ふえていくわけでありまして、しかも利用率もふえていくということになりますと、当然体制をもっともっと強化していかなければいけないわけであります。新ゴールドプランは平成十二年に終了するわけでありますが、やはりポストゴールドプランというのが必要なんだろう、こんなように私は思うわけであります。  もちろん、十年度の第三次補正におきまして、特養で一万人分、またショートステイで三千人分を積み上げているわけでありますが、ポストゴールドプランをしっかり当初予算から入れていく必要がある、こういうふうに私は思うわけでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  11. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これから市町村別に介護保険の事業計画というのをつくっていただきますので、それはこれからの介護の基本になる計画でございます、それらを見まして充実を図っていかなければなりませんが、なお将来の課題としては、今の整備率の話も含めまして、やはり介護基盤の強化を図って良質な介護保険給付が行われるようにしていくことは当然でございますので、ゴールドプランの後の計画をどうするかというのは、私ども、これから事業計画等の提出を待って、内容の充実したものを目指すべく新しいものも検討しなければならないだろう、こう思っております。
  12. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 先ほどのお話ですと、七月までには大体推計が終わるということでございますから、それであれば概算要求には間に合うわけでありますから、私は、来年度の予算からしっかりとポストゴールドプランを位置づけしていただきたい、こんなようにも思うわけであります。  財源的にも、今まで措置制度でやっている部分が、今度は保険を導入するわけでありますから数千億浮くというわけでありまして、社会的入院等々の費用を引けば三千七百億とか八百億とか浮くのではないかと世上言われているわけでありますから、そうした費用は当然この分野に投入をしていくべきなんだろう、こんなように私は思うわけであります。  また、今、この介護保険に対しての不安をあおり立てる報道というのが一部にあるわけでありまして、その中には、今まで措置制度の中で受けているサービスが人によっては低下をしてしまう人がいるという報道も私は何回か目にしたわけであります。実際そういうことが起こってくるのかどうかということについてお答えをいただきたいと思います。
  13. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護保険制度におきましては、在宅重視が基本理念ということで、介護サービスの水準を引き上げることで在宅のサービスモデルを示したわけでございまして、例えば要介護度がIIIのケースのサービスモデルでは、一週九回のホームヘルプサービスでございますとか、一回の訪問看護とか、三回のデイサービスとかデイケア、こういったものを盛り込んで、従来の水準よりはかなり高いものにしているわけでございます。  ただ、個別のケースで見ますと、現行の措置制度におきましては必ずしも要介護状態に応じました給付上限がないわけでございまして、したがいまして、一部の自治体におきましては、集中的にその方にホームヘルプをするとか、こういう形をとっているわけでございまして、そのときには今の水準を上回るという場合も当然あるわけでございます。  こうしたサービスがあるところをどうするかということでございますけれども、もちろん、独自の上乗せをするかどうかというのは市町村の判断によって決められる、こういうふうに私ども考えております。
  14. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 現在横出しでやっている部分を含めると、場合によっては新しい制度において低下をするということもあり得る。ただ、その部分については今後市町村が独自に判断をして、横出しの部分は横出しの部分としてやっていくということになるんだろう、こういうふうに思うわけであります。ただ、当然それはその地域の保険料に反映をしていくわけでありますから、そこはまさに地方分権で地方が独自に考えていくことなんだろう、こんなように思うわけであります。  また、先ほど一部の地域については高額になるということをお話しさせていただいたわけであります。これは、各市町村が、ただいま申し上げましたように自己責任において、地方分権の趣旨にのっとって、自分たちはどういう介護の体制を整えていく、施設はこれぐらいにしますよ、だからこれぐらいの介護保険料になりますよということを住民全体で考えていくということについては、大変いい制度なんだろう、こういうふうに私は思うわけでありますが、しかし、この制度をスムーズにスタートさせるためには、やはり余り高い保険料については考えなければいけないんだろう、こういうふうに思うわけであります。  一部の地域については、例えば六十五歳以上の高齢化率が高いところ、あるいは七十五歳以上の後期高齢化率が高いところ、あるいはまた療養型病床群が極めて多い地域というのがあるんだろうと思うんですね。しかし、療養型病床群が多い地域というのは、行政としてはそういう行政をやってきたんだろうと思うわけでありますが、それをずっとやってくる過程において、来年から介護保険制度がスタートするということは念頭に置かずに、住民の皆さんもそういう意識がないままに来てしまって、いきなり例えば高い保険料を取られるというのはやはり少し問題があるんだろうと私は思います。  ただ、そうはいっても、いっぱい施設があっても、施設がなくて在宅中心でやっているところと同じ保険料ということであれば、それはそれで当然ある意味での不公平が生じてくるわけでありますが、しかし、この制度をスムーズにスタートさせるためには、余計な不安を払拭するためには、ある程度モラトリアムを、五年とかそういう期間を設定して、その期間は頭打ちをしますよ、これぐらいの額以上は頭打ちをしますよ、その頭を超えるところは調整交付金以外の方法をもってしても国が負担をしますと。ただ、例えば五年間なら五年間の間に、もしそれがなければ高額になるんですよということでちゃんと努力をさせる、あるいは住民との間にコンセンサスを形成させることも私は必要なんだろうと思うわけであります。  その財源につきましては、先ほどの、措置から保険に移行するに当たって浮いた分は何とか使うことができないかどうかということをお伺いさせていただきたいと思います。
  15. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 高保険料となる地域の要因というのは、今委員の御指摘のように、特に後期高齢者、要介護者になる可能性の高い地域は比較的高くなるのは当然でございますし、それから保険料も、所得水準に応じまして格差をつけて徴収するということでございますから、低所得階層が多い地域はなかなか保険料の徴収がままならぬということもございます。  そのために、国の二五%分のうち五%分は調整金としてそういうもののために充てよう、災害の場合もこれに準じた扱いになると思いますが。そして一方、いろいろやってみて、本当に保険者の収支が非常に赤になるとかいうようなこともございますから、それは法律で規定されておりますが、安定化基金をつくって、これは各府県単位に設置いたしますけれども、それによって補てんないし貸付制度をするということが法定されておるところでございます。  一方、今委員の御指摘のように、もう一つの要因は、施設介護が非常にウエートが高くて、特老が多いあるいは特に療養型病床群が多いという場合には、これが介護費用を押し上げて、それが結果として保険料にはね返ってくるのは計算上明らかでございます。こういったものに対して、激変緩和とかモラトリアムというような考え方にしても、国庫補助でやるということは、そういう施設介護にインセンティブを与えていく結果になりますし、自助努力で、市町村で在宅介護を一生懸命やっているところとますます格差を拡大することにもなる可能性もあるわけですね。  したがって、私どもは、全体としてそういうことも考えながら、どういう形で高いところと低いところの調整をするかということは考えなきゃなりませんけれども、今直ちに高いところだけに補助金を出して暫定的にせよやるということは、在宅介護によって仕組まれた介護保険というものをより施設介護中心のものにする政策志向になるのではないかという懸念を持っておりますので、その点だけはちょっと申し上げさせていただきたい。  ただ、余りこれが極端に離れて、保険料が格差があるということも好ましいことではございませんが、将来的には施設と在宅の比率関係というものが那辺が妥当であるか、現実にあるものを保険システムに組み入れていくわけでありますが、将来的にどうすべきかということは、厚生省として、我々としても、公平な負担と給付ということからして当然看過できない問題だという意識は持たせていただいています。
  16. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 大臣の今の御答弁、大変説得力があるわけでありますが、私が申し上げたポイントは、五年とかそれぐらいの期限を切るわけであります、その間に自治体が努力をしなさい、ただ激変緩和ですよということで。ぜひとも御考慮をお願いしたいということを申し上げておきたいと思う次第であります。  今、この介護保険制度の中で、家族介護に対してどうしようかということも議論がなされているわけであります。  過疎地におきましては、やはりどうしても、家族の方がヘルパー等々の資格を取れば、そういう方にやってもらわなければならないような人的な状況があることも事実でありますし、また、その方がうまくいくところもあるわけであります。しかし、最初の前提として申し上げましたが、そうなるのであれば、介護の社会化ができないではないかという議論もあるわけであります。  しかし、私は、それは実情と若干かけ離れた理想論ではないかなと思うわけでありまして、家族介護に対する給付というのも考えてもらいたい、こんなように思うわけでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  17. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この介護保険制度というのは、ドイツでは現金給付を行われているやに聞いておりますけれども、我が国では現金給付はいたさない建前になっています。そして、お互いに社会の責任で社会保険システムを活用して支え合おうというシステムでございますから、原則的には社会の責任で介護をやるという建前を貫くべきであるという意見がございます。私もその立場は支持いたしますけれども、そういう立場から、この家族介護について、家族介護は何であるかという定義によりますけれども、一切認めるべきでないという意見もあります。  他方、例えば息子さんがホームヘルパーの資格を持っておって、そういう御職業につきながら、身内のお父さんなりが痴呆性老人で要介護状況にあるというような場合に、隣のうちまでケアマネジャーの指示に従って介護に行くんだけれども、家族介護になるから自分のうちへは寄っちゃいけないよ、あるいは見ちゃいけないよということもいかがかなと。  したがって、やはりそこは人情といいますか家庭の温かいきずなというものを大切にしなきゃなりませんから、ケアマネジャーの策定されたケアプランの中における位置づけであれば、お他人さんをやろうと自分の親をやろうと、定型的な勤務形態をきちっとしておきさえすれば、介護保険で払うからといってこれは現金給付になるものではないと私個人は考えておりますので、今は審議会で議論中でございますが、できたらそんな方向にしたいなというふうに思っています。
  18. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今の大臣のお話でございますと、ノンズロにどんどこ家族介護ということではなくて、ちゃんとヘルパーの資格も取って、またケアマネジャーのケアプランの中でやっていくということでございますから、それはそれで、この理念を守りつつ現状に即した対応なんだろう、こんなように思うわけであります。  もう時間がだんだんなくなってまいりましたので、とにかくこの介護保険制度というのはしっかり責任を持って堂々とやっていくんだということを力強く示していくことによって、国民の皆さんの不安も解消できるのではないか、私はこのように思いますので、大臣に今後とも頑張っていただきたいと思う次第であります。  最後に、この介護保険につきましても、また年金につきましても、特に年金の基礎年金の部分については税であるべきかどうかということが今自由党との間で議論がなされているわけでありまして、私は、この議論は大変意味のある議論だろう、こういうふうに思っております。この問題についても議論をしたかったわけでありますが、時間がなくなりましたので、ちょっと細かいことなんですが、もし税方式ということであればこれは問題がなくなる話でありますが、我が党としては、年金についてはそうではない、半分までという方針なわけであります。  今度、年金の改正を行う中で、大学生の皆さんが年金を払っている、今、人によっては両親の所得によってある程度猶予してもらっているわけでありますが、今度の改正によっては大分猶予を長くしようということでありますが、海外で勉強している人あるいは専門学校に行っている人、一部の人については、現在でも所得が低くてもこの猶予が適用されないわけであります。私は、今度の改正を機に、そういう人たちにもやはり枠を広げていくべきなんだろう、こういうふうに思うわけでありますが、御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  19. 矢野朝水

    ○矢野政府委員 ただいま御指摘ございましたように、学生さんにつきましては、親の収入によって免除かどうかを決定する、それで、ほとんどの方が親が学生の保険料を払っている、こういうことでございまして、改善を求める声が非常に強いわけでございます。  そこで、今回の改正では、本人の所得によって免除かどうかを決定する、学生さんは所得がございませんから、ほとんどの方が免除を受けるということになろうかと思います。そういった方は、卒業して社会人になってから、稼ぐようになってから自分の金で追納していただく、こういう制度改正を予定しているわけでございます。  その場合、海外留学生の方も同じようにすべきではないか、こういう御指摘でございますけれども、海外の方は、これは現在でも任意加入でございます、強制加入ではございません。そういうことで、任意加入の方にそういう免除制度を導入するというのはなかなか難しかろう、こう思っております。  ただ、専門学校生とかこういった問題につきましては、これまでも、学生の範囲につきまして、今学校教育法の体系に乗ったものを学生という定義づけをしておりますけれども、この学生の範囲についてもっと広げるべきじゃないか、こういう御指摘もございます。そういった問題につきましては、これからいろいろ検討してまいりたいと思っております。
  20. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
  21. 木村義雄

  22. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  早速、介護保険の中身についてお伺いしたいと思います。  来年四月実施ということで、今議論も進んでおるわけです。各市町村でいろいろな青写真を描いておりますね。この青写真の中身がいろいろとこれから出てくるわけですけれども、今まさに、マスコミが主なんですけれども、もしかしたら実施しないで見送りするんじゃなかろうかと言われております。政権与党として我々も今いろいろと中身について議論しておりますけれども、厚生大臣として、先ほど御質問に立たれました安倍議員も同じことを質問されたと思いますけれども、実施見送り論に対してどう考えていらっしゃるか。すなわち、厚生大臣の腹の中をはっきりとお聞きしたいと思います。お願いいたします。
  23. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、来年の四月一日から施行することが法定されております。したがって、私どもとしては、この実施をいささかもおくらせることなく完全実施をしたいということで、万全の体制をとるべく今準備中でございます。  一部に、負担がかさむから保険料を徴収停止したらどうかとか、施行は延期したらどうかとかいうようなことが選挙絡みで言われるというような報道がございますけれども、逆に言えば、これだけの国会論議を経て、介護は二十一世紀の少子・高齢化社会へ向けての大きな柱でございますから、ここまで来て、準備も全部万端しておるのに延ばしたり、いろいろそういうことをすれば、かえって不信感を買って、国民に対する責任を果たせないと私は思っておりますので、これはどうしても四月から実施いたしたい。  ただし、初めての試みでございますから、一〇〇%完全な姿でいけるかどうかはわかりません。私どもは一〇〇%を目指しますけれども、滑り出して、船出してから、いろいろな問題があればこれを訂正しながらやっていくということも一つの責任の果たし方だと存じますので、あとう限り、現在は完全実施を目指してせっかく努力中でありますので、いささかもこれを変えるつもりはございません。
  24. 武山百合子

    ○武山委員 もう一言、中身について突っ込んでお聞きしたいと思います。  今いろいろと議論されておりますけれども、四月実施前に、これは見直しした方がいいという問題点がいろいろ出てきた場合、見直しするおつもりでしょうか。
  25. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 法定されている枠組み、スキームについて、これを直すということになると法律改正をお願いしなきゃいかぬということになりますから、法令の定めた範囲内で対策が必要であれば、当然打たなくちゃなりません。私どもは、局部的ないろいろの現象なり報道に基づいてあれこれ言うのではなくて、六月から七月にかけまして市町村から実態的な数字等も上がってまいりますので、そういうところを見まして、本当に那辺に問題点があるかを客観的に把握した上で、そういった枠組みの中で対応がより必要である、そしてより船出がスムーズにいくというようなことであれば、あとう限りまた努力もしてみたい。  ただ、その内容についていろいろ観測的な報道等もなされておりますが、それらは一切私どもが関知していないところでございますので、申し添えさせていただきます。
  26. 武山百合子

    ○武山委員 我々自由党は政権与党の片方を担っておるわけですけれども、いろいろ議論されておりまして、本当にここの部分に問題点があるということに我々が議論を煮詰めた場合は、よい批判として、またよい政策として厚生大臣に詰め寄っていきますので、ぜひお考えいただきたいと思います。  それから、一方で実施主体である市町村を初め関係機関からさまざまな懸念が寄せられていることも事実なわけですね。  そこで、保険料に関して何点かお伺いしたいと思いますけれども、全国町村会からことし五月にいわゆる三つの要望が出たと思います。これについて一つずつお聞きしたいと思います。  まず、国庫負担について二五%を定率負担とし、調整費の必要額は別枠で確保する、これはどこまで議論が進んでおりますでしょうか。
  27. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 公費負担が五〇%で、そのうち二五%は国ということで決まってきておりますが、そのうちの五%を調整交付金で調整する。しかし、これは外枠でしてほしいとかいろいろ要望のあることも承知いたしております。  私どもとしては、日本全体で五%を調整財源に使えますから、かなりな規模で、例えば後期高齢者の多い市町村とか所得の低い市町村でどうしても負担が増加するというようなところは調整が可能だと思います。  なお、財政安定化基金も府県ごとに設置いたします。規模は、この委員会でも二千億程度と申し上げたこともございますが、大体そんな規模で考えていきたいと思っています。それによって、ある意味では決算的な調整になるかもしれませんが、それを補てんしたり、あるいは貸付金で対応するというようなことも十分考えておりますので、トータルとしてお考えいただきたいなというように思います。
  28. 武山百合子

    ○武山委員 二点目としまして、財政安定化基金の負担のあり方について、国と都道府県で二分の一ずつ負担し、市町村の負担をなくす、これについてどうでしょうか。
  29. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これも、そういう御意見がございますので、実は私もどうかなということで多少検討をさせてみたんですが、法律上、国が三分の一、府県が三分の一、そして市町村が三分の一で、しかもそれは第一号保険料によって賄う旨が法定されておりますので、これはちょっと法律改正をしないと、そこの部分だけをゼロにするとかそういうわけにはまいらぬと思います。  したがって、この建前で安定化基金は構成し、運用してまいりたいと思っております。
  30. 武山百合子

    ○武山委員 三点目、無所得者それから無年金者に対する保険料の減免措置を講じる、これについてはいかがでしょうか。
  31. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これも、よく水準が三千円とか二千五百円とか八千円になるとか言われておりますが、これはいわばその市町村における逆算された平均値を指しておりまして、それを中心価格として、所得のない方々は保険料の二五%引きあるいは五〇%引きまでできる、それから所得の多い方は二五%増ないし五〇%増までできる。なお、さらにそれを超える低減というのも条例によって地方自治体が可能なような枠組みにしてございますので、それらを活用していただいて、低所得者対策というものもかなり実際上は行われ得るというように想定をいたしておるところでございます。
  32. 武山百合子

    ○武山委員 ありがとうございます。  それでは、次に移りたいと思います。  六十五歳以上の第一号被保険者が毎月払う保険料は、所得段階別に五段階に分けた定額保険料となるわけですけれども、この定額保険料は所得が低いほど負担が重く、逆進性が強い、一般に、また私もそう思っております。また、現在の措置制度では利用者の所得に応じた負担額が設定されているわけですけれども、保険制度ではサービスの定率一割が自己負担となるわけですね。さらに、保険外負担は全額自己負担となるなど、負担する側にとっては、少しでもプラスになっていきますと重く感じるわけですね。  高齢者の毎月の負担はこれだけではないわけです。住宅費、食費、光熱費、医療費などもかかってくるわけですけれども、やはり重いという感覚ですね。この点について厚生大臣はどう思っていますでしょうか。
  33. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この保険を創設するに当たりまして配慮すべき重要な視点は、やはり所得に応じて負担の実質的な公平を期する。低所得者対策としてあとう限りやって、実質的に負担のできない方に押しつけるわけにまいりませんから、そんな視点がぜひ必要だと思います。今五段階の話もありまして、私も先ほど申し上げたとおりでございまして、そういった点も法制上の仕組みとして本来予定されておるというように思います。  なお、この法定された、ビルトインされた制度のほかに、なおどういう対策があるかということが今よく新聞なんかで問われておりますけれども、これらは、先ほど申しましたように、市町村の実態、この事業計画の基礎になる数字等もだんだん判明して、はっきり客観的にわかってまいりますから、それらを見ながら対応措置が必要であるかどうかを含めて総合的に検討する。  具体的には、概算要求というのは八月末までにございますから、来年の四月からですから、当然予算要求しておかなければできません。これから何ができるか、何をなさなければならないか、そして予算措置として何をしなければならないか等々を含めて、まず実態を明らかにした上で適切な対策を講じていくことが必要である、そういう認識のもとに今作業を進めさせていただいております。
  34. 武山百合子

    ○武山委員 国民にとってわかりやすい実態をきちっと出していただいて――その仕組み自体もわかりにくいんですね。非常に複雑で何段階にも分かれておりまして、意味不明にとれる部分が大変多いんですね。ですから、わかりやすくやっていただきたいというのが国民の声ですので、ぜひそのようにやっていただきたいと思います。  次に移ります。  厚生省の試算によりますと、平均月掛け二千五百円という額は、二〇〇〇年時点での介護費用を四兆二千億円と見積もった試算をベースにしているわけですけれども、この試算は低く見積もり過ぎという批判があるわけです。仮にこの試算を前提として、この半分は公費負担となるわけですけれども、何らかの租税措置が必要になるはずだと思いますけれども、この公費負担部分はどのように調整するんでしょうか。
  35. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 制度実施後の実際の姿というのは当然変わってくるわけでございます。  先ほどお話がありましたように、平成八年の十月の試算では国の負担分が三千七百億円ぐらい減る。この数字は、当然これからまだ精査いたしますので、若干減ると思います。  こういう形で、国の負担、県の負担、それから市町村の負担、都道府県の方は増加して市町村の方が減る、こういう状況にあるわけでございますけれども、公的な負担ということでございますので、国の財政も地方の財政も大変ではございますけれども、当然必要なものは確保していくということで、当然の前提としてこの制度を仕組んでいるわけでございます。
  36. 武山百合子

    ○武山委員 何とか確保するということでよろしいわけですね。必ず確保するということですね。  それでは、次に移りたいと思います。  保険料の未納問題に対してどのように対処するのかということをお聞きしたいと思います。
  37. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護保険におきましては、いろいろ未納問題が大変であるというのが制度創設を論議したころから問題になっております。そういうこともございまして、市町村等の要望も踏まえまして、高齢者の被保険者の保険料につきましては年金からの天引きという形をとっておりまして、これで約八割程度の方の保険料が徴収できるということでございます。  残りの二割の方につきましては、窓口徴収でございますとか口座振替、いろいろな手段を講じなきゃいかぬわけでございますけれども、国民健康保険の例を見ますと、高齢者の世帯というのはかなりまじめに高い収納率を誇っているわけでございまして、恐らく介護保険におきましても高い収納率は確保されるのではないか、こういうふうに思っています。  しかし、それだけでは滞納する方も出ていらっしゃるおそれがあるわけでございますので、当然、督促とか納付相談に応じますし、制度的にも、未納者の態様に応じまして償還払いをするとか一部給付を差しとめるとか、こういう手段も講じているわけでございます。
  38. 武山百合子

    ○武山委員 現在でも健康保険は未納、滞納の問題を大変多く抱えているわけです。そこで、保険料方式による介護制度はあらかじめ未納者を前提とした制度じゃなかろうか、これが本当に二十一世紀のあるべき介護保険制度と言えるのかどうか、私は甚だ疑問に思っておりますけれども、厚生大臣の見解を伺いたいと思います。
  39. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の御指摘は、二号被保険者に依存する割合が高いので、二十一世紀にはこれで支えられるかという御質問でございますね。  その点につきましては、これは高齢者だけで支え合うというわけにまいりませんので、社会全体の連帯で支え合うということでございます。しかし、一方で給付も全く受けられないような若い方々に負担をお願いするのはいかがかという発想だったと思いますが、四十歳以上の方で、しかも十五疾病で、加齢に伴う疾病に準じたような障害で要介護状況になった方々には介護給付をするという前提でこの制度が構築されております。  四十歳以上の方々の職場においては、健康保険に上乗せをして徴収するということになりますので、その額が上乗せされることだけでも大変だとは私も思いますけれども、いろいろ国庫補助その他の制度によって保険料の低減も図っておりますし、将来を支える制度であるという意味で、四十歳以上の方々に、二号被保険者に御負担願っておるということで、制度の仕組みとしては私はこれからもこれを基本に維持し永続していってしかるべきものだというように考えております。
  40. 武山百合子

    ○武山委員 この介護保険の実施に伴って、健康保険に与える影響がたくさん出ているのも事実ですね。健康保険法において上限保険料率が、政管健保で千分の九十五、そして組合健保で千分の九十一と、既に保険料率が九十を超える組合が五百近くあり、介護保険料の上乗せで上限保険料率九十五を超えることが予想される組合は全体の三分の一を超えると言われているわけです。  老健拠出金が四〇%を超える状況のもとで、介護保険料が事実強制的に徴収されるとなりますと、組合健保の本来の医療費の支払いに大きな影響を及ぼすことが指摘されておりますけれども、この問題についてはどうお考えでしょうか。
  41. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この問題は、ただ介護保険保険料と既存の医療保険保険料だけの問題ではございませんで、医療保険全体のあり方と関係してまいります。特に、老人医療費の制度をどうするかということと極めて密着しております。  私ども、医療保険の改正の中で、項目として、診療報酬のあり方とか薬価の問題と並んで最も重要だと考えているのは、老人保健のシステムをどうするかということを、今おいおい御協議を願い、私どもも中心課題として検討しておりますが、これがある程度めどを確立いたしませんと……。今委員の仰せられたように、健保組合千八百くらいのうち千五百くらいが赤字になる、しかも上限に張りついているというような状況で、これは医療保険の老人保健制度のあり方と非常に密着しておりますね。  そんなことで、私ども、医療保険における四大改革、診療報酬のあり方、薬価、老人保健、それから医療提供体制の問題とともに総合的にこれは考えていかなければいけない課題である、しかも、そんなに先の先に延ばし得ない課題ではないかということで検討を今進めさせていただいております。
  42. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、保険料方式は多くの問題を抱えているということが事実になっているわけですね。これらの問題を解消するためにも、我が自由党は、消費税を中心に全額公費で負担する方式に変えるべきではないかと主張しておるわけです。  今、消費税を例えば一二%とかというのは実際は上げられないと思うんですよ。でも、少なくとも今我々が消費税で五%払っている部分だけでも公費で全額負担する、残りをどうするか、そういう議論もできると思うんですね。  やはり視点を変えて、今までの保険方式というのは問題点が多いということが明らかにわかっているわけですし、過去の反省として、二十一世紀の社会保障全体のあり方から見ますと、消費税を中心にした全額公費負担というのも一つの選択肢だと思いますし、私たちはそれを主張しておりますけれども、厚生大臣はどう思っていらっしゃいますか。
  43. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 自由党がそのような御主張をなさっていることは、私も重々承知いたしております。特に基礎年金の全額税方式は、方向性を早く出すということで、これが決着しないと年金改正法ができないということで、与党内の調整が未調整であるという大きな原因になっております。  しかし、社会保険の方式を維持しながらも勤労者等の生活保障をきちっとしていくことが負担と給付の責任関係は明確でございますし、もちろん、当然公費である程度負担はいたしますけれども、純粋な民間保険とは違いますけれども、社会保険方式の方がベターであるという判断を率直に私どもしておりますので、申し上げさせていただきます。  なお、介護についても税でやった方がいいという今の御主張、それも自由党の御主張であるということも承知はいたしておりますが、これを社会の責任でやるということになれば、社会のそれぞれの成員の負担と給付によって支えようという相互互助組織、これが私は非常に有効だと思いますので、これはぜひ御理解をいただいて、この法律のとおり施行させていただきたいと思います。  なお、将来課題として消費税の引き上げの問題に言及されましたが、それがこういう社会保障に充てられればいいのではないかという御意見のようにもうかがわれますけれども、今の現実は消費税を上げるほどの経済状況ではございませんし、消費税の成立経過その他からしても、容易に、そう簡単に福祉目的だから上げられるというような性格のものでもないんじゃないかという感じが私は率直にしておりますものですから、中長期的な課題としてはともかく、当面の課題としてはなかなかとり得ないというふうに感じておるところでございます。  なお、今年度の予算で、今委員のおっしゃられたように、消費税五%取って、一%は地方消費税に回しておりますが、その中で、基礎年金でありますとかそういう特別なものは消費税の対象項目として、貴党の御主張等もございまして、予算総則でやったことは事実でございますが、これは、今消費税の方が高くて、限定されたものだけをその中でやるということでございますのでよろしゅうございますが、オーバーフローした場合は率直に言って当然増税ということにならざるを得ないわけでございますので、私どもとしては、将来課題として、税のあり方、社会保障の負担のあり方等々を含めて検討課題ではございますが、当面はなかなか貴党の御主張のとおりにもいかぬというふうに率直に申し上げさせていただきます。
  44. 武山百合子

    ○武山委員 私個人で五%以上に消費税を上げるなんて言いましたら党で怒られますので、あくまでも、上げるとかということはまた別の問題としまして、税方式か社会保険料方式かという議論というのは、この場で短い時間ではとても議論できませんので、党対党ということで、実務者会議で十分議論させていただくという形になると思いますけれども、本当に大きな議論の分かれ目になると思うんですね。やはり新しいことをするというときは、大変なエネルギーが要る、意識も変えていかなきゃいけない。それは大変なエネルギーだと思います。  それで、まさに今二十一世紀の日本の社会保障全体をどうするのかという大議論になっているわけですから、国民の立場からどうしたらいいのかというのは、もちろん皆さんの党でも議論されておりますけれども、そこは国民が新しいことも望んでいるということを十分踏まえていただいて、十分実務者会議等で議論させていただくという形でこの質問は終わりにしたいと思います。  最後になりますけれども、ホームヘルパー、ショートステイ、老人訪問看護ステーションなど、新ゴールドプランに示された在宅サービスの達成率はまだまだ一〇〇%に届いていないというのが現状ですけれども、まず一点、基盤の整備は十分と考えられているかどうか。  それから、特別養護老人ホームはこれまで生活施設であったわけですけれども、通過施設に今度変わることになるわけです。現在、特養施設への入居待機者が全国で大変大勢控えているというのが現状ですけれども、厚生省は今後この特養施設の設置は抑制していく方針なのかどうか、そこをお聞きしたいと思います。
  45. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 まず、在宅の関係のホームヘルパー、ショートステイ等でございますけれども、ホームヘルパーは、九年度末でございますのであと二年間あるという時点でございますけれども、八〇・四%でございます。それから、ショートステイの関係が七二・六%ということで、急速に伸びておりますので、恐らく年度末あるいは十二年度当初には一応目標は達成できるんじゃないかと思います。  ただ、訪問看護ステーションでございますけれども、これは少し出おくれておりまして、九年度末では五一%でございます。ただ、このところ急激に伸びております。十一年度末で五千カ所の目標というのはなかなか難しいわけでございますけれども、そのうち間もなくそれは超えるであろう、こういうふうに見込んでおります。  また、十分かと言われれば、十分ではございませんので、これから在宅重視ということでございますので、在宅サービスの充実というのは当然必要になる。まだまだ需要が顕在化しない面もございますが、これから顕在化すると思いますので、その辺に力を入れていく必要があるというふうに思っております。  それから、特別養護老人ホームの関係でございます。これは、かなり充足は高くなってきております。ただ、まだ地域的な偏在というのもございますので、待機者というのもあることは事実でございます。高齢化と同時に当然要介護者もふえてまいりますので、その関係での増設というのは必要になりますけれども、これからの介護保険制度はやはり在宅重視ということで、在宅サービスの方に重点を置いた充実というのが必要になろうかと思いますので、特別養護老人ホームを決して軽視するわけではございませんけれども、必要な整備は進めますけれども、特にそれに偏った充実というのはなかなか難しい、バランスをとってやっていく必要がある、こういうふうに考えております。
  46. 武山百合子

    ○武山委員 私の質問は、抑制していくのかという質問だったんですけれども、急激に抑制できないということですね。そういう意味ですね。つくることもあり得る。その辺、もうちょっときちっとお答えいただけますか。
  47. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 先ほども申し上げましたように、全体としてはかなりの量は確保できた、こういうふうに思っておりますが、地域的な偏在もございますし、これからまだ高齢化が進んでまいりますと要介護の対象者というのはふえてまいりますので、それに応じた整備というのは必要だと思っておりますけれども、それを超えて整備を進めるというのはどうかな、こういうふうに考えております。
  48. 武山百合子

    ○武山委員 特養施設というのは、国民負担というのがまた増すわけですから、青写真としましては在宅の方向に行くわけですけれども、しかし、待機者が大勢いるところもあるということでバランスをとる、そういう意味に解釈して……。わかりました。  それでは、私の質問時間はこれで終了いたしましたので、どうもありがとうございました。
  49. 木村義雄

  50. 松崎公昭

    松崎委員 民主党の松崎公昭でございます。  第一番目の安倍先生の方からも、私もこの前行革特でも御質問いたしましたが、介護保険の二〇〇〇年四月のスタートはしっかりやりますということでございますので、この件はもうお聞きいたしませんが、日本の根幹を揺るがす介護保険をやろうというときに、選挙でありますとか目先のことで余りうろうろしてほしくないな、与党の皆さんに一度一言申し添えておきたいと思っております。  きょうは、私は、今まで余り施設関係の質問がありませんでしたので――介護対象者二百八十万の中では、特に特養でございますけれども、対象者二十九万人、約一割強で数の上では少ないかもしれません。しかし、今まで老人保健を、老人福祉をしっかりと支えてきたその施設側が、現在、私も実は施設に関係をする一人でありますので、大変不安になっております。  もちろん、この介護保険制度そのものが、あちらこちらでたくさんのカテゴリーで問題点がまだ残っている、そして今審議中であるということは十分承知をしております。しかし、現在、特養とか、老健もそうでありますけれども、実際にたくさんの老人を預かりながら動いているわけですね。動いているわけですが、それが来年四月からどんな経営をしていいのかということで、大変な心配と混乱の中におります。私も現場を時々見ていまして、全国の施設の関係者の気持ちは本当に不安だらけであります。  そこで、きょうは施設関係に絞りまして御質問をさせていただきたいと思います。やや細かい点にも立ち入るかもしれませんけれども、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、特別養護老人ホームの施設運営の基盤となります介護報酬設定。これがいろいろな情報で揺れ動いておりますので、今どういう方針でいくんだということがわかっていらっしゃれば、今動いている既存の施設と、来年、二〇〇〇年四月から新しくスタートする施設は多分違うと思いますが、その二つをどういう形で介護報酬の設定を考えているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  51. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 特別養護老人ホームの介護報酬につきましては、今審議会で審議中でございますが、基本的な考え方といたしましては、要介護度のIからVまでの要介護状態に応じまして評価することを基本としておりまして、地域差も勘案して設定する予定でございます。  一部誤解があろうかと思いますので若干申し上げますと、在宅サービスにつきましては、六万から三十五万とかIからVで非常に大きな差が出ておりますので、それと同じような格差がつくんではないか、こういうふうな疑念が出ているわけでございます。  ただ、確かにIからVについて要介護度に応じまして金額は変えたいというふうに思っておりますけれども、共通部分が当然あるわけでございまして、特に建物の部分は当然共通でもございますし、それから光熱水費につきましても当然共通であるわけでございまして、この辺については要介護度と余り関係ない部分もあるわけでございます。関係するのは、やはり人件費系統が一番関係するのかなと思っておりますが、いずれにいたしましても、在宅サービスほどの差はつかない、こういうふうに御理解を願いたいと思うわけでございます。  こういうふうな形で設定をするわけでございますけれども、そのほかに機能訓練でございますとかあるいは常勤医師を配置した場合には加算するとか、こういった加算措置もあわせて組み込みたい、こういうふうな考え方をいたしているわけでございます。
  52. 松崎公昭

    松崎委員 局長、もう少しわかりやすく答えていただかないと。私どもも、国の役人が見えましても、今混乱中なんでしょうけれども、随分違いますので何度もお聞きしているんですよ。  今、在宅サービスとほとんど変わりませんというようにお答えになりました、今ちょっと言いましたよね、そうじゃなくて、三十一万五千円と大体出ているわけでしょう、一カ月の平均が。私がお尋ねしたのは、三十一万五千円で、今の措置費と全国平均ではそう変わらないというような話にも聞いておりますので、その辺どうなんですか。大体出ているんであればもう少しはっきり……。  もちろん包括部分の加算の部分でありますとか、それから単価を十年の措置費を基準に計算していらっしゃいますよね、特に既存は五年間の経過措置がありますから、その間はどうなるのかということをもう一度お聞きします。それから、新しい施設はどうなるか、その辺、区別がつくはずでありますから別々に答えてください。
  53. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 区分して申し上げますと、新しい施設と既存の施設につきましては、基本的には一緒でございます。ただ、経過措置がございますので、既存の施設につきましては五年間に限りまして経過的な単価の設定、一部負担の設定というのがあるということでございます。  それで、在宅と同じだということではなくて、確かに在宅と同じように段階はつけますけれども、在宅の関係は六万から三十五万というふうに非常に大きな格差があるわけでございますが、施設の関係は、先ほども申し上げましたように、共通部分といいますか余り要介護度と関係ない部分もございますので、そういう面ではIからVの格差というのはなだらかな形になる、こういうふうなことを申し上げたわけでございます。  また、三十一万五千円という数字が出ましたけれども、これは、昨年、市町村が介護保険料を試算するときの一つの目安という形で十年度価格で出したものでございます。したがいまして、これは確かに参考にはなりますけれども、これをもとにやるというのではなくて、現在、施設につきまして実態調査をやっておりまして、実態調査の結果を踏まえまして具体的な報酬額を決めたいというふうに思っています。  ただ、報酬額そのものは、正式に決まりますのは来年にずれ込むということでございますけれども、そうはいいましても、市町村の都合もございますし施設の都合もあるわけでございますので、おおよその目安につきましては七月の末を目途に一応の仮の単価をお示ししたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  54. 松崎公昭

    松崎委員 その仮の単価が三十一万五千円ぐらいだということではないんですね。  というのは、もう来年の四月ですから、経営する側は、後ほど聞きますけれども、どのぐらいのランニング資金が要るとか、いろいろな計算があるわけですよ。それから、今うわさされている範囲では、今までよりも一割、二割収入が減るであろうということで、いろいろな情報によって、きょうの新聞にもありますように、もう既に特養で職員をどんどん減らしている、そういう現状があるんですよ。  私も、老人ホーム以外に民間会社も経営しておりますけれども、やはり四月の見通しがつかないようでは……。特に、特養の場合は今まで措置費で、全部税金だ。これは見方によればいわば甘やかしかもしれませんよ。しかし、そういう制度で来ているわけです、一人頭幾らと。千葉県の場合ですと、私の施設では三十一万三千三百七十一円という措置費なんですけれども、それで全部大体賄えるようにやっているわけですね。それが幾らになるのかわからないのでは、これは不親切だし、もう少しこの辺ではっきりしていただきたい。七月にある程度の目安が出るということであればお待ちをさせていただきたい、そう思います。  特に、先ほどの基礎部分というか包括部分、これは国の加算部分がいっぱいあります、こういったものがもちろん入っているのかもしれません、あるいは施設の建設費の負担、償還の費用でありますとか、いろいろな加算も入っているようでありますけれども、今の措置費とおおむね同じくらいなのか、あるいは下がりそうなのか、経過的な五年間に関してどんな感じで描いたらいいか。今の措置費と比べ、下がるのか、同じなのか、上がるのか、こういった国の加算を含めまして、どうでしょうか。
  55. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 予断を与えるのでなかなか難しいわけでございますけれども、基本的には、今までの特養は介護職員が四・一対一ということで決まっております、若干それより加算されているところもあると思いますけれども。都道府県の補助でかなりのかさ上げをしているところ、こういうところまで及びつくかどうかわかりませんけれども、普通の県でありますれば恐らくそれを上回るような額になるであろう。平均的な形では三対一という形で設定をいたしますので、介護職員と施設の職員との対比を、今まで四・一対一を三対一まで引き上げる、こういうふうな措置を講じますので、平均的には恐らく上回るのではないか、こういうふうに思っております。  ただ、個々の施設は当然要介護度なんかが違いますので、押しなべて上がるということにはいかないと思いますけれども、平均値だけということで申し上げれば、恐らくそういう状態になるのではないかな、こういうふうに予測はいたしております。
  56. 松崎公昭

    松崎委員 特に首都圏は今まで東京都をトップに厚かったのです。ですから、今その辺の影響は物すごく出そうなんですね。それを国が何とかしろと私は申しませんけれども、現状はやはり相当厳しいと思うのです。  千葉県の場合ですと、埼玉あるいは神奈川はもう少しいいのかもしれませんけれども、年間で県の加算が大体千六百万円ございます。私の市ですと市単で五百五十万ございます。ですから、これでもう二千万以上なんですね。これを一人に直しますと、一人で月額三・五万円ぐらいのかさ上げということです。ですから、そういう人口密集地帯で人件費も高いようなところは、少し過剰だという福祉への見方もあるかもしれませんけれども、現状はそれでやらざるを得ないということで、東京も含めて首都圏はそれだけの加算をしているわけなんですね。  そういうところは今財政難もありましてそっくり削られそうだということで、そうなりますとまさに一割、二割減ってしまいますものですから、これは千葉県の例でありますけれども、特養で職員を減らしていく、パートに切りかえていく、今からそういう自己防衛をしないと今までの施設をずっと継続していくことはできない。つまり、これは国の責任というよりも日本全体の責任で介護保険制度ができたわけでありますから、だれの責任とは言いません、しかし、今までそういう施設でやってきたわけですから、そこに対しては、例えば国の方からも、今おっしゃったように、平均では全国的に見たら措置費よりも少し上がるかもしれないということであれば、少なくとも現状を下げないように、東京なり人口過密地帯には、国も下げていないんだよ、今の措置費よりしばらくは下げないよということになれば、そういう指導といいましょうか、県、都にもそういう指導をしていただきたいな、そんなふうに私は思うわけでございます。  さて、その一番の重要な問題が、今の答えでも、私が悪いのか、わかったようなわからないような大変難しいお答えでございました。しかし、今のところ、平均的には措置費よりは上がるのではないか、そういうお答えがありましたので、それはそれで私は今後各施設が一つの目安になるのかな、そんなふうに思っております。  さて、特に加算の問題でちょっと配慮してもらいたいのは、常勤のお医者さんを義務化するかどうかということです。どうも今のところは義務化ではないようでありますけれども、これから競争の時代になりますと、常勤医のいる施設の方がはるかにお客様が集まるということになってまいりまして、ある意味では競争時代の目玉になってしまう。そんなことで、これだけはしっかりと配置の加算を、もし常勤で置く場合には、お医者さんは非常に単価が高いわけでありますから、この辺はぜひ今後の介護報酬の設定の中で配慮していただきたいな、そんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
  57. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 常勤医師の配置につきましては、現行の特別養護老人ホームにおきましても常勤医師を置いた場合には加算する、こういう制度がございます。まだ利用されているところは非常に少ないわけでございますけれども、制度としてはあるわけでございまして、介護報酬におきましてもその制度を引き継ぐ、こういう方向で検討いたしております。
  58. 松崎公昭

    松崎委員 わかりました。  それから、介護報酬の細かいところに入って申しわけないのですけれども、施設は五年間は自立、要支援も入れるわけでありますけれども、IからVでも重い方を一生懸命努力をするわけでございますが、その努力に対して保険給付は逆に下がってしまうわけですね。職員が努力をして少しでもランクを軽くすると保険給付が下がってしまう。これはおかしいじゃないか、これは素朴な考え方でございますが。やる気を起こして、自立、要支援、あるいはIIIをIIにする、IIをIにする、そういう努力があるわけでありますけれども、そういったことを給付なり報酬の面で何か考慮されるでしょうか。
  59. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 入所者の要介護状態が職員の努力で改善された場合でございますけれども、先生のように加算をし評価をすべきではないか、こういう御意見がある一方で、審議会でもいろいろ御意見がございます。そもそも医療福祉等の専門職の方は、そういった誘因がなくても当然改善の努力をするし、当然そうすべきである。あるいは、これは御本人の努力というのが非常に大きいわけでございますけれども、御本人が努力して改善されたといたしましても、その報酬が下がらなければ、一割負担ということでございますので本人の負担が下がらない、これはおかしいではないか。こういうふうな双方の御意見がございまして、はっきり言ってまだ結論ができかねるという状況であるわけでございます。方法論としてもまた非常に難しい面があるわけでございまして、さらに検討課題ということにさせていただきたいと思っております。
  60. 松崎公昭

    松崎委員 確かに、措置制度でやっていたものを保険制度という形で、全然違う視点で評価をしたりやるわけですから、始めたところで、我々が気がつかないところでいろいろな矛盾が出てくる、これはよくわかります。ですから、それはしっかりこれから検討すべきだと思いますけれども、やはり今まで経営してきた側のこともよく考えていただきたい。もちろん入所者のことも考えていただきたい。  特に、その中で一番問題になっておりますのは、入所者が入院した場合。その間、今も三カ月は措置費で来るわけでありますけれども。私どもの施設でも大体一割ぐらいはいつも入院しております。そうなりますと、この間、これは今までどおりなのか、保険給付の方の扱いが、病院に入ってしまいましたからその間はカットですよということなのか、その辺、ちょっとお考えを示していただきたい。
  61. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 現行と同じ扱いというのが結論でございます。つまり、三カ月以内に退院することが明らかな方につきましては退院後再入所できる、こういう義務づけをいたしたわけでございます。  ただ、現行の措置費の制度では、三カ月間べたに重複して公的な給付が出る、こういう状態が続いているわけでございます。これにつきましていろいろな批判があることも事実であるわけでございます。ただ、施設の側の経営から見ますと、あけておいて報酬がゼロということになりますと、これもなかなか経営的には問題である。  この両者の調整をどうつけるかいろいろ工夫をする必要があるのではないかということで、やはり若干の介護報酬上の評価というのも必要ではないか。こういうふうな空床の利用と介護報酬上の評価というものを組み合わせるという形で工夫をする必要がある、こういうふうに考えております。
  62. 松崎公昭

    松崎委員 今のお答えでは私はよくわからないのですけれども、これからその辺が問題なのかなと。  ということは、何か担当のお話では、三カ月間は、その分を見越して全体の包括部分に入れるんだというお話もございました。これもまた非常にあいまいでわかりづらいのでありますけれども、今のお答え以上にまだ何も出てこないということでよろしいのでしょうか。
  63. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 薄まきに入れるというのも一つの技術的なやり方としてはあるかと思いますけれども、非常に少額な金でございますので、薄まきにすれば入っているのか入っていないのかわからないような状態にもなるわけでございますので、どういう方法にするかというのは全くまだ決まっておりません。
  64. 松崎公昭

    松崎委員 決まっていないということでありますのでこれ以上は申し上げませんが、その辺も、今の措置費と同じようにしろとは言いませんけれども、これは身体の状況で入院させざるを得ないのが必ず出てきますから、それを、あいているから、これは保険ですから、それはカットだということになればそういうことかもしれませんけれども、それでは非常に経営が成り立ちません。何らかの方法でそこをしっかりと考えていただきたい、そんなふうに思います。  時間がありません。その次に、一番問題なのは、四月からスタートいたしますが、保険制度になりますと介護報酬そのものが二、三カ月おくれて入ってくるのであろう。そうしますと、別におんぶにだっこで言っているわけではないのですけれども、現実的に、今の措置費の制度ではもうかるという話は全くないのですよ。ですから、ランニングコストがかかるわけですから三カ月分人件費を払うとか、そこに対して非常に不安に思っておりますけれども、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  65. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 確かに、今までの措置費と違いまして、措置費の場合ですとサービスを提供した月に収入も入ってくるわけでございまして、介護報酬のシステムになりますと、今の診療報酬と同じような仕組みになるわけでございますので、例えば四月にサービスを提供したとしますと、五月に請求があって六月に介護報酬の形で給付というか報酬が支払われる、こういう関係になるものですから、最長二月間の間隔があくわけでございます。  新規の場合ですと、まだ、それを覚悟して入ってくるということもあるんでしょうけれども、現に動いている施設が切りかわるということになりますと、やはりつなぎ資金というのが必要になるわけでございます。若干の蓄えがある施設もあるわけでございましょうけれども、そうでない施設につきましてはつなぎ資金が必要になるわけでございます。  現在、私どもの方の制度といたしましては、社会福祉・医療事業団の方で経営資金の融資制度というのがあるわけでございます。ただ、一度にふえるとその資金がショートいたしますので、その拡充も含めて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  66. 松崎公昭

    松崎委員 確かに豊かな施設もあります。それから、二、三年、四、五年の若い職員の多いところは、確かにデイサービスでありますとかショートステイである程度の余裕が出ていますから、つなぎ資金もかなりできるところもあるかもしれません。しかし、古い施設とか、なかなか今まで厳しいところも多いわけですから、たとえ二カ月でも大変なお金になります。  ですから、これはできれば無利子等の貸し付けの制度をつくっていただくべきだと思いますけれども、大臣、そんなお考えはどうでしょうか。
  67. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今、局長が答弁申し上げましたように、事業団等の融資措置を検討したいということでございますので、この原資との関係もございまして、今直ちに無利子というわけにはまいりませんが、できるだけこの趣旨に即応して低利融資の道を考えていけばいいかなという感じを持っております。
  68. 松崎公昭

    松崎委員 この五年間の経過期間にいろいろな意味で体力をつけさせて、競争の原理に勝てるような強い体質の施設にしなければいけない、そんなふうに思っております。  さて、もう一つ。施設に入っている方々も、施設がどうなってしまうのだろうかと相当今不安に思っているようであります。家族も含めまして。そういうことで、財産の問題ですと成年後見制度だとかこれから動いてくるわけで、またそういういろいろな問題があると思いますけれども、特に苦情処理の窓口とかあるいは施設に対する損害賠償、こういったことに非常になれていないものですから、今後は契約の世界になりますから、そういう問題がたくさん出てきます。その辺のことはどのように御指導されるおつもりか、ありましたらお答えをいただきたいと思います。
  69. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 苦情処理のシステムにつきましては、法律上で申し上げますと、これは県に置かれております、県単位であるということですが、国民健康保険団体連合会、いわゆる国保連と言われるところが苦情処理の機関になっているわけでございますけれども、実際に重要な役割を果たしていただけると思いますのは、やはり身近な行政主体でございます市町村だと思っております。  したがいまして、市町村におきましても、サービス事業者とか施設の運営基準におきまして、サービスの提供事業者等に対しまして、利用者からの苦情に関しまして調査とか指導助言、こういったものができるように必要な規定を置いたわけでございます。したがいまして、市町村におきます苦情処理の対応を法令上も位置づけたわけでございます。  こういうことで、法制的には国保連でございますけれども、市町村もその一翼を担う。そのほか、恐らくNPOとか、先ほど先生がお触れになりました成年後見制度、それから、今もっと簡易な形で、社会福祉協議会の方で財産管理といったものをいろいろ検討をしているわけでございまして、こういったものの活用というのがこれから大変大切になる、こういうふうに思っております。
  70. 松崎公昭

    松崎委員 時間になりました。  ちょっとお聞きしただけでも、まだまだ不確定なことと同時に、国自身も大変な中で新しい制度に立ち向かっていらっしゃる、よくわかります。しかし、施設は、今初めて本当の経営に向き合うという時代が来たわけでありますので、その辺の指導をしっかりとお願いをしたいと思います。終わります。
  71. 木村義雄

  72. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。  いよいよこの十月から介護保険の要介護認定が始まるわけでございますけれども、けさほど来いろいろ質疑に出されておりますように、実施の延期論等、何か不安を呼び起こすような報道を初めとして声がたくさん出てきております。こういう状況は、介護保険の実施主体であります市町村にも疑心暗鬼を呼び起こしかねない、そういう不安といいますか危険があると思います。  大臣も御存じでいらっしゃると思いますけれども、住民サイドの福祉を進めてきておられます自治体の首長の集まり、福祉自治体ユニットでも声明を出されております。  ちょっとその声明を紹介させていただきますけれども、「施行延期は、施行に向けて営々と努力してきた多くの市町村に対する重大な背信行為であるだけでなく、介護地獄に苦しむ多くの住民の期待を裏切り、介護サービスと自治体の現場に大きな混乱をもたらし、今以上に問題解決を困難にしてしまう」、こういうアピールを出されまして、法定されていますとおり二〇〇〇年四月からの実施ということを強く要望されております。  この間、テレビ等を拝見しておりますと、介護保険を企画しました当時の厚生大臣、民主党の菅代表、介護保険制度の審議、成立を担当されました当時の小泉前厚生大臣、そして現在実施に入る、その最先端で御奮闘くださっています宮下厚生大臣、三人で進めようという決意をされたというふうにテレビで拝見いたしましたけれども、この実施延期論に対しまして、再度大臣から断固とした方針といいましょうかお考えを伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
  73. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先般来申し上げているとおり、来年の四月からの実施が法定されておりますので、私としては、これは絶対守って実施にこぎつけたいと思っております。  なお、せんだって前厚生大臣、前々厚生大臣に、前々厚生大臣は貴党の党首でもございますけれども、おいでいただきまして、とにかくこの種のものは選挙でどうのこうのというような性格のものではない、国民に対して責任を果たすためにはきちっとやることが必要なので、特に菅党首も、これを船出させることが極めて重要である、やはりいろいろな問題が想定されるので、それはまたそのときにどんどん直していけばいいので、とにかく約束したとおり勇断を持って実行してほしいという激励とあれをいただいたわけでございます。  私としても全く同感でございまして、菅代表は当時実質的に枠組みを模索され、検討された方であり、小泉前厚生大臣はそれを国会に上程して、一年有余国会の御審議に当たって対応された方で、私がこれを実施するということでございますから、これは、個人的なつながりとかそういうことを超えて、国会の意思としてお決めいただいたものであり、また、自治体ユニットの御意見等も開陳されましたが、そのとおりだと思います。  したがって、私どもは、二十一世紀のこうした大きな柱を打ち立てるわけでありますから、そういった問題意識、重要性にかんがみまして、ぜひともこれは来年四月から実施したいというように決意を新たにいたしておるところでございます。
  74. 石毛えい子

    ○石毛委員 もう少し踏み込んだ質問をさせていただきたいと思います。  新聞報道等を見ておりますと、政府・与党の中にも、一部の方かとも思いますけれども、例えばサービス提供だけを来年四月から実施して保険料徴収を延期したらというようなお考えですとか、あるいは、全市町村が一斉にスタートを切るということだけではなくて、一部の、準備の整った自治体から実施に入ったらどうかとか、スタートの切り方をめぐってもいろいろな御意見が出されているやに報道ではうかがえます。  私は、これは、例えばサービスだけを先行させて保険料凍結ということになりましても、財源は必要ですから、税を投入するあるいは国債を発行するとか消費税をアップするとか、そういうことにもつながってくるとも思いますし、先ほど来大臣が申されておられますように、そうしたことが今の日本の社会でそれほど容易に合意を形成できるというようなことでもないと思いますし、そういう点を兼ね合わせて考えますと、実態的にも無理な部分が多く、そしてまた介護保険法に照らしても、法はそういうふうな組み立てにはなっていない。随分、法制度から離れた声が出てくるという思いで私はこの間いろいろな報道等を拝見しておりますけれども、保険料徴収の先送り論ですとか、一部自治体での先行実施論とか、こういう点に関しましてもう少し突っ込んだ大臣の御認識を承れればと存じます。
  75. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 保険料の一部延期論あるいは市町村で準備が整わないところは先延ばししたらどうかというのは、私も報道でその種のことが言われておるということを見るだけでございまして、実際に責任者の方等からそういうことは一切耳にいたしておりません。私も、報道を見まして、そういうことを考える人もいるのかなという程度の感想でございます。  私としては、今委員のおっしゃられたとおり、このスキームは維持していきませんと、不十分な格好で出しますと崩壊につながると思います。したがって、いただくべき保険料はちゃんといただくという建前でないといけませんし、また、この制度を行政主体である市町村に保険者としてお任せするわけですが、それぞれが別個にということになりますと、制度としての統一性を欠きますし、あらゆる面で混乱が生じます。また、事業サービス提供者も困ります。  そんなようなことでいろいろ考えてみますと、これはセットで考えていかなければならないというように基本的に考えておりますから、今委員の御指摘のとおりで、委員の意見と全く同感でございます。  ただし、実態を調査しませんと、いろいろ報道等でなされることが本当にそうなのかどうかということもございますから、今、私の方では、厚生省の中へ介護保険実施本部というのをつくっておりますが、緊急会議をいたしまして、これは住民と密着したサービスでございますから、市町村の担い手が現場におりていって、どういうことを本当に考えておるか、その感触を聞き、問題点を探ってこないと適切な対応はできないと思いますので、そういう体制をとって、これは単に老人保健局の話ではなくて、全省的な話として取り組みの指示を申し上げているところでございまして、そんな方向でぜひとも実現を図っていきたいと思っております。
  76. 石毛えい子

    ○石毛委員 ぜひとも制度の根幹が揺るがないように。いろいろと、もう少し延ばすとかあるいは変えるとかというところも出てくるかと思いますけれども、軽々にという表現はいかがなものかと思いますけれども、いじりますと、介護保険制度として組み立てているその根幹が揺るぐというようなことはあってはならないと思いますので、ぜひとも慎重にも慎重に、僣越でございますけれども、よろしくお願いいたします。  私は、この延期論ですとか、それにつながる議論といいますのが、どうも総選挙絡みの話として出されてきているのではないかというような感じを受けるのですけれども、こういう時期であるからこそ、介護を社会的に保障していく、社会化を図っていくということがなぜ必要だという認識にこの立法府で達したのかということを、やはり初心に戻って確認する必要があるのではないかというふうに思います。  幾つか原因、理由はあると思いますけれども、大きな理由の一つは、やはり家族介護の限界といいましょうか、老老介護の実態、それから女性がたくさん介護を担わざるを得ないというような状況、介護のために仕事をやめなければならないというようなことも含めて女性が介護を担っている状況、そうしたことをもう少し社会的な課題としてみんなで力を合わせて解決していこうというところでこの介護保険制度が成立したというふうに思っております。医療保険をもっとリーズナブルにするとか、いろいろ理由はございますけれども、大きな理由として今申し上げたことがあると思います。このことをもう一度確認させていただきたいと思います。  大臣、高齢社会をよくする女性の会という活動を御存じでいらっしゃるかと思いますけれども、そのNPO団体が昨年の九月から十月に実施をいたしました家族介護の状況の調査で、現在でも七割は女性が介護に携わっている。そして、この調査で非常に大きな特徴点だと私が思いますのは、虐待をしたというふうに自分の介護を振り返ったことがあるかどうかという設問に対しまして、回答された方の約半分ぐらいの方が、思わず声を荒げたとか、手を上げたり、たたいたり、つねったりしたとか、その行為を行ったことがあるという回答をされていらっしゃいます。別の面ではもちろん、いい笑顔を返してくださったときにはとてもうれしいというような、家族ならではこその喜びの回答もございますけれども、どうしても長期間続く介護の中で、意図せずに結果的には虐待というような行為に走ってしまう、そういう介護の閉塞性の問題というのがあるのだと思いますね。  そういうところから、ぜひとも介護をもっと社会的な営みとしてという声が上がってまいりまして、そして厚生省の中にも研究会がつくられましたりして、介護保険として制度が実を結ぶということになったんだと思います。この家族介護の大変さ、そこから介護の社会化という考え方が国民のコンセンサスとして形成されてきたということについて、ぜひ大臣にも御所見を伺わせていただきたいと思いますので、お答えをお願いいたします。
  77. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今回の介護保険の成立の必要性、背景等について、今、委員の方から言及されましたが、基本的には全く私も同感でございます。  今までの家族介護の中における、特に嫁しゅうとというような関係で非常に束縛を受けるとか、そしてまた、今、世論調査の結果にありますように、それは面倒を見なくちゃいけないけれどもやむを得ない気持ちで暴力を振るうとか、そういうことは容易にあり得ることなんです。それらを排除して、社会のシステムを確立しておいて、本当にお互いの責任で、社会的責任で助け合おうというのが今回の制度の趣旨でございます。  特に女性の方々の関心が非常に高いということも私も承知しております。それは、委員の御指摘のような背景によると思います。  そんなことでございますので、そういう原点の考え方を、委員のおっしゃられるように私どもももう少し広報をしていかないといけないし、もし、ただ負担がふえる、保険料負担がふえるということのみに着目して、負担がふえたら選挙に不利だという視点だけだとすれば、それは極めて偏狭な見方だと私は思います。  保険料もある程度負担していただくけれども、それだけの社会的コストを払っていただきながら、全体として社会をよくするための介護システムだということをもうちょっとPRしていく必要がございますので、厚生省でも広報センターをつくって、もうちょっと市民の中に溶け込んで、本当に現実的なものとして、今おっしゃったような点を含めて、今さら広報宣伝でもあるまいとおっしゃるかもしれませんが、まだまだ十分な認識が得られていると思われない点もございますから、その広報支援、広報宣伝を含めて実態調査も兼ねてやっていきたいと思っておるところでございます。
  78. 石毛えい子

    ○石毛委員 法律が成立しましてから、厚生省としまして、都道府県に対してこの制度の実施の推進につきまして細かい説明をされたりしておられる状況をはたから拝見しまして、大変僣越ですけれども、厚生省はプレゼンテーションが余りお上手ではないのではないか。どうして自治体の職員が元気を出してやれるようなプレゼンテーションをされないのかとか、それから、住民が役所の窓口に聞いてくると、役所の方は国から言ってこないからわからないという答えを随分されたという。私も随分呼ばれまして介護保険のお話などさせていただきますときに、参加者からそういう声を随分耳にしております。  介護保険は、区市町村が中心になって事業計画をつくって、そこに被保険者の代表が参画してという、今までの保険制度とは一味、二味違う新しい仕組みとして私は設計されていると思いますけれども、そのあたりの御認識がどうもちょっと足りないのではないか、その足りなさがプレゼンテーションが余りお上手じゃないというところに出てきているのではないかというような感想もこれまでは持っておりました。  今、大臣、そういうお言葉をいただきましたので、ぜひそこに住む住民、そして担当する役所の職員の方々が納得して元気を出して進められるような、そういう広報活動もお願いしたいと思います。  新聞では、この五月の世論調査、いろいろと介護保険延期等々の議論が出てまいりましたそのところでも、実施に賛成という回答が七割に上るという状態ですから、永田町のという表現はいかがかとも思いますけれども、そこでの議論と国民が期待しているところとのずれが生じないように、ぜひともよろしくお願いいたしますということを再度申し上げさせていただきたいと思います。  次の質問でございます。ここから、とはいえという質問に入るわけでございますけれども、一つは、介護保険が導入になっていって、サービスを利用する方々がどれぐらい広がっていくかということにかかわる質問でございます。  いただきました資料を見ておりますと、例えば訪問介護のサービスでは、現状では利用者の方の八一・三%が費用負担が無料の方でございます。それから、特別養護老人ホームに入所されていらっしゃる方につきましては、御本人の年収が五十万円未満の方で五二%。介護保険の審議のときにも随分議論されてきたことでございますけれども、措置制度のもとではどうしても所得の低い方々からサービスの提供をしていくというようなこと、その結果が今申し上げましたような実情になっているんだと思います。  そこで、介護保険を導入しますと、その保険料がサービスを立ち上げていく財源の大きな部分をなしていくということになりまして、サービスをふやしていく、したがって、中堅の所得層の方にもあるいはもっと高い所得層の方にもサービスの利用を広げていくことが可能になる、そういうスキームになると思いますけれども、今の介護保険の準備状況の中で、低所得者利用のサービスから、中堅所得層あるいはそれを超えた所得層のニーズにこたえていくというような、そのサービス提供の展望をどのように今持っていらっしゃるかということについて御見解をお伺いしたいと思います。
  79. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 措置制度のもとにおきましては、負担能力に応じまして利用者負担を取る、こういうことでございましたので、どうしても所得が低い方が優先的に利用するという形が結果としてあったわけでございます。介護保険制度では定率の一割負担ということでございますので、一定以上の収入がある人につきましては、介護保険制度への移行ということで負担が軽減される方も当然出てくるわけでございます。  それから、今までの措置制度では所得調査というのが行われておりますので、そういう心理的な抵抗感というのもかなりあったかと思うわけでございます。介護保険制度になりますと、権利としての給付を受けるということでございますので、中堅所得層の介護サービスというのは当然ふえてくる。先ほど来、在宅サービスの関係、四〇%ぐらいの利用率と申し上げましたけれども、これが需要が顕在化してくるということで、この率も次第に高まってくるのではないかというふうに思っております。
  80. 石毛えい子

    ○石毛委員 これから顕在化してくるという期待をお話しいただいたわけですけれども、今スタートラインで、そもそも在宅サービス四〇%と想定した、そこのところが困難な状況ではないかというようなことも伺っています。在宅サービスは、二〇〇〇年四月に介護保険がスタートするときに、サービスプランのおよそ四〇%ぐらいの水準で立ち上げる。ですけれども、実情はそれよりはるかに少ないところ、低いところというふうに伺っております。ここのところがもっとニーズが出てくるインセンティブが働くようにしていかないと、実際問題としては需給のマッチングがなかなかうまくいかないのではないかというふうに思うところでございますので、ぜひともそのサービスの充実を、供給が需要を呼び起こすということになると思いますから、工夫をしてくださるように要請をしたいと思います。  もう一つ、介護保険の制度の内部にかかわってお尋ねしたい問題なのですけれども、けさほど来、保険料負担の高さというようなことが議論に上っておりましたけれども、私は、もう一つ心配している点で、このサービスの利用料負担ということが大丈夫なのかしら、その利用料負担を知ったらサービスを利用するという意向を引っ込めてしまうのではないかしらというような不安感も抱くところでございますけれども、社会保障制度として介護保険が持つ優位さというのは、低所得の方にも利用しやすいような利用料設定をするというところが制度として非常に大事な点だと思います。  今、審議会ではこの利用料の検討にも入っているというふうに伺っておりますけれども、低所得者に対する利用料負担についてどのような検討をされているかということをお伺いしたいと思います。
  81. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護保険法上の制度といたしまして、高額介護サービス費ということで、利用者の負担の上限額を定めよ、こういう規定があるわけでございまして、現在具体的な検討を審議会で行っているところでございます。  この高額介護サービス費につきましては、健康保険制度にあります高額療養費との整合性が一つあるわけでございます。それと同時に、長期にわたりましてサービスを受けるという介護の特性があるわけでございまして、こういったものを踏まえまして検討をいたしているわけでございまして、先日の審議会でその枠組みをお示ししまして、おおむねの了承を得ている、まだ最終的な決定には至っておりませんけれども、おおむねその段階に至っているわけでございます。  具体的には、所得に応じました負担の上限額の設定という観点から、通常よりも低い上限額が適用される者といたしまして、世帯全員が市町村民税が非課税の者、あるいは老齢福祉年金を受給している者、こういった者に低い額を適用する、こういう形で決めているわけでございまして、その額を申し上げますと、一般の方につきましては月額三万七千二百円、市町村民税の世帯非課税の者につきましては二万四千六百円、老齢福祉年金の受給者につきましては一万五千円、こういうふうな方向で検討しているわけでございます。
  82. 石毛えい子

    ○石毛委員 今、局長から、市町村民税非課税者の場合には、非課税で多数該当時のときには二万四千六百円、それから老齢福祉年金受給者等の場合には一万五千円、そして低所得者以外で多数該当時というふうに言われるそうですけれども、一般の方の場合三万七千二百円という金額をお示しいただきました。  この御紹介をいただきながら、審議会ではおおむね了承の方向というふうにおっしゃられましたでしょうか、おおむね了承にいくのでしょうか、私は率直にそういう感想を今持ちましたけれども、もうちょっとこの辺は詳しくお話ししていただいてよろしいでしょうか。
  83. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 今申し上げましたような枠組みで、金額そのものはまだこれからでございますので、一応数字としてはお示しいたしましたけれども、金額というよりは枠組みをこういう形で決めたらどうかということで、その枠組みにつきましてはおおむね了承を得た、こういうことでございます。
  84. 石毛えい子

    ○石毛委員 安心いたしました。  私は、市町村民税非課税世帯二万四千六百円、また老齢福祉年金受給者の方々で一万五千円といいますのは、負担する立場からいいますと、かなり多くの方にとっては厳しいのではないかというふうに思っております。  例えば国民生活実態調査のデータを見ていますと、高齢者の方の所得は、年所得で二百五十万円未満の方が約五割ぐらいいらっしゃいますよね。二百五十万ですと月二十万ぐらいの所得になって、それで二万幾らぐらいというのは、高齢者の方の生活構造として少し御無理をしていただければ大丈夫なのかな。それから、これはフローの所得でありまして、ストックの部分はまた別ということもあるかもしれませんから、市町村民税非課税世帯でも、非課税世帯のアッパーぎりぎりぐらいの所得の方でしたら二万四千六百円ぐらいでも可能なのかしらという思いと、家計の構造上見て、これは是認されるのかしらという思いと、非課税と一言で言いましても、この非課税の幅は非常にあるわけですね。  そうしますと、例えば年所得百五十万とかそのぐらいの方でも非課税、でも生保ではないというような方にとりまして、二万四千六百円という金額は、これは一、二カ月で済むという話ではありませんから、大変厳しいのではないかというふうに思っております。幾つか私も知り合いの自治体の職員の方にどうでしょうというふうに伺ってみましたら、生保に移っていく人がとても多いのではないのというような率直な声も聞かれました。  それから、私は、所得の捕捉自体がなかなか難しいという事実的なことはあるんだと思いますけれども、例えば申告制度によって所得を捕捉して、そして市町村民税非課税世帯の金額も幾つかの段階に分けて、もう少しきめ細かな実施をしていただくとか、何かもうちょっと利用者にとってこの制度は本当に実施してよかったと思えるような工夫をしていただけたらというふうに思います。  これは審議会で審議中のことですので、御答弁をと申し上げても無理なことだと思いますので、私の方の要請として受けとめていただけますように申し上げたいと思います。  それで、次の質問でございますけれども、介護保険がスタートになりましたら、例えば要介護認定の問題でいろいろな苦情が出てくる、問題が出てくるというようなことは避けられないと思いますから、一年、二年、三年ぐらいはいろいろと起こってくるんだと思いますけれども、その不服の問題ですとか苦情の申し立ての問題、先ほど松崎委員もこの点に触れられておりましたけれども、そして局長も説明をされておられましたけれども、法的には国保連がこれを担うということになっておりますけれども、実際に今制度を運用していく段階で、どこまで具体的に市町村のレベルで取り組むというような方策を厚生省としてお出しになっていらっしゃるかという点を確認させていただきたいと思います。
  85. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 先生お話しのように、法律上は国民健康保険団体連合会が苦情処理の受け皿になっているわけでございますが、市町村も一番身近な公共団体である、しかも保険者である、こういうことでございますので、昨年度末、三月末でございますが、三月末に公布をいたしましたサービス事業者・施設の運営基準におきまして、市町村もサービス提供事業者等に対しまして利用者からの苦情に関しまして調査とか指導助言ができる、こういうふうな規定を置いたわけでございまして、市町村も前面に立って苦情処理に当たっていただける、こういうふうに理解をいたしております。
  86. 石毛えい子

    ○石毛委員 ちょっと確認をさせていただきたいのですけれども、施設サービスについても、それから在宅サービスの事業者についても、両方ともに市町村が苦情を受け付けることができるということでよろしいですか。
  87. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 在宅サービスも施設サービスも、双方ともでございます。
  88. 石毛えい子

    ○石毛委員 そうしますと、昨年度三月末の基準でそこまで厚生省の方がお示しくださったということになりますと、もうちょっと踏み込んで、これは市町村が条例によって市町村限りで独自に苦情を受け付け、処理してもいいというふうに解釈してよろしいのでしょうか。国保連が受け付けるということとの関連はどういうふうに整理されますでしょうか。
  89. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 条例までは考えていないわけでございますけれども、必要があれば双方ともできる、国保連もできますし、市町村もできる、対等の立場でできるというふうに私どもは理解をいたしております。
  90. 石毛えい子

    ○石毛委員 対等の立場で、国保連も市町村もそれぞれ固有の立場で苦情を受け付けて解決に当たってよろしいということでございますね。
  91. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 対等と申しましたけれども、地域的な差はございます。  市町村はやはり市町村の枠の中で、国保連は県のレベルの団体でございますので広域的な処理も当然できるわけですが、区域内に限っては対等だというふうに私どもは理解をいたしております。
  92. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございました。  法的には国保連が規定されているわけでございますけれども、これはサービスの方ですね、認定の不服は別でございますね。サービスの利用につきまして苦情があったときに、市町村が独自にこれを受け付け、これに対応、処理してもよいということであり、条例に規定するかどうかは市町村の判断による、そういう理解をさせていただいてよろしいわけでございますね。しつこくて恐縮ですが、確認を。
  93. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 条例で定めるかどうかというのは市町村の御判断だ、こういうふうに考えております。
  94. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございます。  多くの皆さんが、国保連といったってどこにあるのか知らないし、そしてまた、市町村が確実にそういう窓口をつくってくれるものかどうかという安心感もないしというような声がたくさん出されておりましたので、今の局長の御答弁を皆さんに知っていただいて、多くの市町村でこれが先進的に取り組まれていくということを要望したい、私もそういうふうに皆さんにお伝えしていきたいと思います。  もう一つの質問でございますけれども、冒頭にも申し上げましたように、多くの自治体で介護保険に向けての準備を進めてこられておりまして、読売新聞の調査でございますけれども、二〇〇〇年四月にスタートする介護保険制度に対応できる自治体という回答でございますけれども、周辺市町村と協力すれば対応できると答えている自治体が五六・六%、不安な点はあるが単独市町村で何とか対応できる三〇%、計八六・六%、九割程度の自治体が介護保険制度のスタートに対応できるというふうに回答をしております。これは連合等の調査でも、大丈夫だろうという自治体、首長トップアンケートのところでそういう回答も出ていますので、総体としてはスタートに向けて準備は整ってきていると思うわけですけれども、この読売新聞のアンケートでは、不安な点が多く現状では対応は難しいという回答も九・一%ございます。約一割がそういう自治体というふうに言えるのかと思います。  これは昨年の暮れ近くのアンケートですので、年が明けてからまた随分状況は変わってきていると思いますけれども、一割近くの自治体が不安だというような回答をしているというところに注目をしなければならないのではないか。ましてや、きょう私は冒頭から申し上げてまいりましたけれども、延期論ですとかあるいは制度が根本的な欠陥ありというような批判をされる声とか、さまざまな声が出てくる、その対応関係に無理だという自治体もある、こういう呼応関係にあるという側面も決して軽視できない、無視できないというふうに思うわけでございます。  そこでお尋ねをしたいと思いますけれども、こういう不安を抱いている自治体に対しまして、厚生省はどのように情報を提供されていかれようとしているのか、あるいはきめ細かなサポートをどんなふうにされようとしているのか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
  95. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 約一割、九・一%ということでございますが、厚生省で実際に首長のアンケートはまだ実施しておりませんけれども、今度、六月、七月になりますと実態の関係が明らかになってまいります。  そこで、実際に不安をお持ちの町村等はどういう町村であるか、私ども、県を通じれば大体わかりますから、場合によりますと県を通じて御指導申し上げるなり説明する。なお、私の方でも、本省から直接グループでも派遣をして、強圧的にやるんじゃなしに、よく事情や説明をお聞きしたいと思っています。  本当に自信のない町村がもしかありとすれば、どういう原因なのかということを明確にして、その対応措置を具体的に考えていきたいと思っております。そのために、私は、実施本部でも、厚生省全体の問題であるから、老人保健局だけでは人数も足りませんから、皆さんそれぞれの御経験をお持ちだから、現場に赴いてそういう意向もきちっと把握してほしいという指示をいたしております。  なお、広報支援センターというのをつくって、広報を徹底して行うと同時に指導もやるという体制もあわせて指示をいたしておりますので、なるべく早く稼働させて、そして実態調査が上がってくるのとあわせて、そういう不安感のないようにしていきたいというように思っております。
  96. 石毛えい子

    ○石毛委員 細かい質問で恐縮ですけれども、広報支援センターといいますのは、厚生省のインターネットで広報されて、だれでもアクセスできるようになっておりますのでしょうか。
  97. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 インターネットも利用いたしますし、またいろいろの各種のメディアの手段を通ずるなり、また現地に赴くなり、いろいろの体制で総合的にやっていこうと思っております。
  98. 石毛えい子

    ○石毛委員 要望をさせていただきたいと思いますけれども、私は今個人的に、介護保険事業計画作成委員会に被保険者代表として委員になられた方々と定期的に勉強会をするとか、そういうような活動といいますか勉強会などをしておりまして、議論になって出てきますことは、例えばの一つに、自治体の役所の方が、この制度で措置から契約に変わったという、そこの本質的なところの認識が薄いのではないか。例えば、要介護認定を担当する介護支援センターの調査員を、ケアプランをつくる人、ケアマネジャーと同じ人にした方が利用者にとってはむだがなくていい、そういうプランを自治体が出すというようなことがございます。私は、それはおかしい。ケアプランをつくるケアマネジャーは要介護者の選択に基づくわけですから、要介護認定をするという行政行為とケアマネジャーを選ぶ行為とは違うはずだから、同一人になるように介護保険事業計画の中でそういうことを出していこうというような発言が行政の側からされるのはおかしい。そのことに疑問を持つ被保険委員の声などが聞かれてまいります。そういうようなことは多々あります。  介護保険事業計画は、被保険者代表も委員に入っているということから、ここからが広報支援センターはぜひ多面的、多角的に機能していただきたいという要望なのですけれども、介護保険をプランニングする市町村の支援センターであると同時に、国民は本当にたくさんの人たちが介護保険に関心を持っております、ちょっと集いをやりますと何百人の人数がすぐ集まるくらいですから、大変だと思いますけれども、ぜひとも広報支援センターが国民に対しても有効に機能していただいて、そして介護保険を、いろいろ問題はあるけれどもこれは解決していくということで、自分たちがこれを社会の安心を保っていく道具として使っていこう、そういうコンセンサスが誕生できるように頑張っていただきたいというふうに思います。  ぜひともこの広報支援センターの有効な力の発揮ということも要望させていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  99. 木村義雄

    木村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  100. 木村義雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本孝史君。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  101. 山本孝史

    山本(孝)委員 山本でございます。  時間が限られておりますので、多少単刀直入な御質問をさせていただくかもしれませんが、よろしくお願いを申し上げます。  まず一点目ですけれども、保険料の軽減問題についてであります。  大臣の御答弁をお聞きしておりますと、大きな格差は問題であるという認識をお示しなさる一方、例えばきょうの午前中でも、是正には少し消極的な発言のようにも受けとめるのですけれども、単刀直入にお伺いして、保険料の軽減はされるお考えなのかあるいはされないお考えなのか、今どちらのお考えでいらっしゃいましょうか。
  102. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 介護保険は、保険者を行政主体である市町村に任せてあります。一方、福祉の関係でいきますと、特老とかあるいは療養型病床群の多いところは保険料が高くなるということは一般的に言えます。そのほかに、後期高齢者の割合とか低所得の層が多いという場合に高くなるということもございます。したがって、保険料の差が実態的に生ずるということは、この制度で現状を保険化すればやむを得ない点があろうかと思います。  しかるところ、高額保険料については何らかの措置を講ずべきであるという報道もなされて、私の写真入りで、高齢者の高額の方の二〇ないし三〇%を国で助成した方がいいかと思われるような記事もございますが、そういうことはございません。  ただ、順調な滑り出しをするために何が必要か、法の枠組みの中でどのようなことが考えられるかは、まず実態を明らかにすることが必要でございますから、実態を明らかにした上でどういう対応が可能かということをこれから詰めてまいりたい。  特に、これからと申しますのは、概算要求までにはいろいろの対策を来年の四月の実施に向けて明らかにしていく必要がございますので、そんな感じを持っておりますが、ただ、具体的にどうかと問われると、今の段階ではまだ具体的な策は決定していない、こう言わざるを得ないということでございます。
  103. 山本孝史

    山本(孝)委員 具体策を決定していないというお話で、それはそれなんでしょうけれども、私の質問は、その前段階として、保険料の格差は今の段階であるということはわかっているわけで、これから六月にかけて各自治体から上がってくる、最終的な数が精査される、七月、八月の概算要求という時期が非常に詰まっていますね、その中で何らかの対応をしなければいけないということですから、想定されている事態の中で具体策は考えていないけれどもという御発言は、揚げ足取りのような形になって申しわけないのですが、具体策は考えていないけれども何らかの軽減措置はするというお考えでおられるのか、あるいは軽減措置は必要ないというお考えでおられるのか、どちらのお考えなのかということです。
  104. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほど制度を御承知かと思いまして省略させていただきましたが、後期高齢者の割合が多いとか低所得者が多いということに着目しての調整措置があることも事実ですし、安定化基金制度もございます。そういった枠組みの中でどうなるのか。しかも、報道されるような、あんな格差は私は余り存在しないと思います。格差はあってもあれほど大きな、千五百円から八千円以上というようなことはあり得ないと思うのでございますが、その実態を明らかにした上でどうすべきかということを決めていきたい、こう申しておるところでございます。
  105. 山本孝史

    山本(孝)委員 その辺の厚生省の先取りをした対応の姿勢が見えてこないことが、現場の不安をより大きくしていると思うのですね。  格差があることは明らかであって、計算の根拠が間違っているからとかいうことをこの間からおっしゃっておられますけれども、それは限られた自治体の話であって、全体的な傾向はもう既に明らかになっている。その中で、政府としては、高額の保険料を負担しなければいけない自治体に対して軽減措置をとる考えをどう詰めていくのか。具体策は持っていないけれども、現行制度の中で枠組みをもっとふやしていこうということなのか。  この間から、これは五月の十八日の質疑でも同じことをお伺いをして、何らかの措置は必要であるというようなニュアンスでお話しになり、その後、きょう午前中聞いておりましても、若干消極的にも聞き取れますので、どちらの考え方を持っておられるのか。その方向性すらも数字が出てこないとわからないという話では国民の不安がふえるだけではないかということで、私はここをはっきりとお示しになった方がよろしいと思っているのですが、それもやはり数字が出てからということで先送りなのでしょうか。
  106. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先送りするつもりはございませんが、私の認識としては、まず実態を正確に把握した上で的確な対応をすべきものだ、このように存じております。
  107. 山本孝史

    山本(孝)委員 慎重な答弁に終始されましたということになるのでしょうけれども。  では、次の質問に参ります。利用者の立場からいろいろと考えてみますと、サービス利用のときに、サービス利用者間で不公平が生じないかという問題が私はあると思います。  端的に申し上げれば、お金を持っておられる方が、そのお金に物を言わせて、早く私を施設に入れろとか、あるいは政治的な圧力等々含めてさまざまな圧力が施設管理者にかかって優先的にサービスを利用できるというような事態が生じるおそれはないのか、その認識。  そのような事態を避けるために、私が思いますのは、サービスの提供あるいは利用している状況についてその情報を公開する、あるいはサービスの評価をしてその結果を公表する、そういった体制をつくる必要があると思うのですけれども、こういった体制づくりの必要性の認識と体制づくりへの道筋、もしお考えがあればこの二点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  108. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 基本的に、現在でも特別養護老人ホーム等の入所に関しましてそういうことが言われる可能性もございますけれども、施設と申込者の契約で決定されますものですから、原則として申し込み順というのが筋だと存じます。  お金があるから、お金を使って優先して変えるというようなことがあってはならない。そして、先順位の者の入所がいやしくも理由なしに排除されるというようなことがあれば、私どもは、運営上の基準違反に問われても仕方ないことであるし、それは好ましいことではございませんから、そのような入所決定が行われないように今後も指導してまいらなければいかぬというように思っております。
  109. 山本孝史

    山本(孝)委員 後半部分の、サービス提供、利用状況についての情報の公開、あるいは評価してのその結果の公表、そういった体制づくりをお考えになっておられるのか。あるとすれば、どういう道筋で今後体制づくりをしていかれるのか、その点についてお答えをいただきます。
  110. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 サービス業者の公開につきましては、これがどの程度までできるかというのはまだこれからの検討にまつところが多いわけでございますけれども、社会福祉・医療事業団の関係でWAMNETというシステムを、昔からあるわけですが、これを介護保険の方に利用しようということで拡充しようとしております。  その中で、どの程度できるかというのは今後の検討課題だと思っておりますし、それは全国組織でございますので、どこまできめ細かくできるかというのはございますので、やはり地域の、県あたりがそういうことをやっていただければありがたいというふうに思っておりますし、十分その辺のこともこれから検討してまいりたいということで、今具体的なことは申し上げる段階ではございません。
  111. 山本孝史

    山本(孝)委員 これは新聞でしか見ておりませんのであれですが、こういったシステムづくりについては通産省の方が先行して考えておられるような点がありまして、本来厚生省がやるべきことが、何か通産省が先にネットワーク化されておられるというのは、厚生省の中にそういう感覚がないのかな、申しわけありませんけれども、そういう思いが若干しています。  こういう情報公開、利用状況の公開等々をしませんと、先ほど大臣申されましたように、申し込み順で例えば施設であれば施設が利用できるということにしましょう、そうすると、その申し込み順が、後ろの者が先に行くというような形が起きているのじゃないか、起きるんではないか。そこはどうやってチェックできるんだということになります。  利用者としては、ただただ待っているだけ。いい施設だから、あの施設に入りたいと思うから、こっちの施設と言われても、若干待ってあっちに行きたいと思う。  そのときに、ここにウエイティングリストがつくられて、載っている順番が本当にそうなのか、待っていればその順番になるのかということを利用者側にきっちり伝えてもらわないと、さっき冒頭申し上げましたように、いろいろな圧力で、あるいはお金を持っているがゆえにその順番が変わって、そういったものを持っていない人ほど後回しにされるというおそれはないのか。そういう思いがするものですから、そういった懸念は持っておられないのか、その懸念に対してどう対応すれば一番公平な制度になると思っておられるのか、そこのところをもう一度、大臣、お考えをお聞かせください。
  112. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今おっしゃられたような、順序を変えたり何かして、それが金銭にまつわるようなことがあってはならないわけでございまして、私どもは順番制と考えておりますから、そういう情報は今後関係者の間に明らかにしていきたい。  ただ、個人の名前まで出してどうのこうのということにはならないと思いますけれども、判断できるような情報はできれば開示してよろしいのではないか、こう思います。
  113. 山本孝史

    山本(孝)委員 やはり利用者にできるだけ情報を与えてあげるということが大切だと思いますので、そのシステムを、余り考えておられないようですけれども、体制を早くつくっていただきたいと思います。  もう一つ、同じような質問になって恐縮ですが、ケアプランの作成という点について。  これは、介護支援専門員、ケアマネに頼むわけですね。そのときに、そのケアマネジャーが所属しておられる機関あるいは団体、いわゆるサービス提供事業者、どこの事業者に所属しておられるかによってつくられてくるケアプランに差が出るのではないか。  もうちょっと端的に申し上げれば、そのケアマネジャーがいろいろな事業者とつながりを持っているサービス提供事業者に属しているといった場合に、その方がおつくりになるケアプランと在宅介護を数人でやっておられる団体がおつくりになるケアプランとを比較した場合に、どうしてもプランの内容の多様性だとかあるいは選択性だとかといった点で差が出てくるのではないか。  利用者側でいえば、もうちょっとありていに申し上げれば、大きなところのケアマネジャーに頼んだ方がいいプランができるという事態が起きるのではないかという気がするのですけれども、この点についての御認識はいかがですか。
  114. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 そういうことがあってはならないと思いますので、そういうチェックシステムなりが必要でございます。苦情処理等の機能も市町村に持たせていくわけでございますから、そういうことのないようにしたい。  ただ、現実の人的関係でどのようになるかはともかくとして、認定は認定、介護プランの作成とサービスの提供とは別の話でございますから、それは本来別のものと観念していかないといけません。  ただ、事業者に所属して、縁の深い人が仮にケアマネジャーをやるということがあり得るのかどうか、私もちょっとまだよくわかりませんが、余りそこが密着しておりまして、そちらの事業者主体でケアマネジャーが行動されるようなことがあるとすれば、そこはきちっとチェックして、あるべき姿に戻していく機能を持たせなければならない、抽象的で恐縮ですが、そのようには思います。
  115. 山本孝史

    山本(孝)委員 ここは認識の問題だと私は思っています。  要介護認定についての訪問調査は介護施設等々に委託できることになっています。そこのケアマネジャーが訪問調査を引き受けて、高齢者のお宅にお伺いをします。そこで認定をします。認定をして、さらにその後ケアプランを作成します。  さっきおっしゃいましたように、認定についての不服等々は一定の処理ができると思うんですが、自分がつくられたケアプランが本当にいいのかどうかというのは、ここでつくっていただく一例目は無料ですけれども、二例目からはお金がかかるわけですから、どうやってこれを比較するんだ。これが本当にいいのかといったときに、そんなややこしいことを言っているんだったらあっちの大きいところへ行った方がよっぽどええでという話になって、みんなでそっちへ行く、すなわち、大企業が抱え込んでしまうじゃないかということになりませんか。  ケアマネジャーというのは今回の介護保険のいわば営業マンですから、そういった方たちの活動というのをどうやってきっちりとチェックしていくのかというシステムが私はないと思います。  そこは、今の大臣の御答弁を聞いておりましても、本当に利用する立場に立ったときにどうなんだという心配、不安にきっちりとお答えになっていないと思いますので、きょうは時間が短いので聞けませんけれども、ここはもう一回、大企業といったらおかしいですけれども、さまざまな医療法人が中心になって老健施設を持っている、老人病院を持っている、そこで特別養護老人ホームもやっている、在宅ケアもしている、さまざまなところに行った方がより多様性のあるプランができるというのは私は当然だと思いますので、そういった点で、お年寄りの皆さんに、いや、どなたに頼んでも同じなのよということを担保できるシステムをぜひ考えていただきたいと思います。  次の質問ですが、問題は、要介護認定に伴って対象外になる人たちがいるということです。  そこへのサービスは引き続きしていかなければいけない。そのときに、この十一年度に百億円の予算で組まれました在宅高齢者保健福祉推進事業、この補助金を御答弁では拡充を検討するというところまでお話しになっておられますけれども、私は大幅に拡充をしていただかないとこういった方たちへの対応がきかないと思います。その点についての大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  116. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 私も、百億では到底足りないと思っておりますから、実態を調査しながら、大幅にという表現でいいかどうかはともかくとして、重点を置いて拡充していきたいと思っております。
  117. 山本孝史

    山本(孝)委員 政治的用語で大幅というのは何倍を言うのか、私よくわかりませんけれども、ぜひここは拡充をしていただいて、今サービスを受けている人たちがサービスが打ち切られてしまうという状況は何とか防がないと、介護保険への不満が募るだけだというふうに思います。  それからもう一つの問題は、きょう午前中も安倍委員が御質問されておられましたけれども、平成十一年度、今年度で終わります新ゴールドプラン、この後、新ゴールドプランのいわばスーパーゴールドプラン的なものをつくるのか、どういうふうに改定をしていくのかという点があろうと思います。午前中はそういうことが必要だという御認識をお示しになったように思いますが、まずつくるのかつくらないのかということですね。  そして、もしつくるときに、私、いろいろ地元を回っておりましても、在宅介護より施設介護を望む声の方がはるかに多いのですね。そういう意味合いで、在宅介護を進めるための介護保険制度としておつくりになったかもしれませんが、そういった社会の要望がある。厚生省としては、施設か在宅かという政策的な選択がある。そういったところを含めて、ゴールドプランの改定、その中で介護施設の整備目標をどういうふうに考えていかれるのか、今の割合でそのままいかれるのか、あるいは施設の方に若干ウエートを置かざるを得ないとお考えになるのか、この二点についてお伺いします。
  118. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほど午前中も申し上げましたように、ゴールドプランが終了いたしますので、当然新しい計画的な整備が必要だと存じます。  ただ、計画的な整備と申しましても、量的にただ漫然と拡大するということではありませんで、これからの介護保険の対象としては、在宅と施設介護のウエートをどう考えていくかというのは非常に大きな課題でございますから、当然私どもは介護保険の本旨に従って在宅介護もかなり重視していかなければならぬと思っておりますが、施設介護も地域的な偏在その他がございますから、当然また更新あるいは新設も予想されると存じます。  そういうことを含めまして、新しい計画の中で、考え方をきちっと統一して新しい計画をつくっていかなければならぬというように思います。
  119. 山本孝史

    山本(孝)委員 今のお言葉を解釈しますと、各自治体がもっと施設が欲しいという声を上げてきたときに、厚生省としてはその施設整備を大蔵省と相談しながら認めていく、すなわち、新ゴールドプランの今の目標値がありますが、この数字をさらに上に上げていくというお考えはあるということでしょうか。
  120. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今も申し上げましたように、施設サービスと在宅サービスとの比率をどうするかという大きな課題がございます。したがって、そういうものを見通した上で、施設介護の前提となる施設の整備がどの程度必要であるかということと、地域的な偏在をどう是正していくか、これは出されたものを全部認めていくというわけにもこれからはまいらぬと思います。  したがって、在宅サービスと施設サービスの調和を図りながらなお考えていくということでございますが、総体としては、これから高齢化が進みますし、今二百八十万人と言われる方々が、要介護者がやがて来世紀の二五年ぐらいには五百万を超えるとも言われますから、当然容量としてはふえていくということは趨勢としてはございますから、それらの方向性を考えながら計画をつくらなければならぬと思っています。
  121. 山本孝史

    山本(孝)委員 大臣も答弁でお触れになっています在宅と施設介護の割合、ここをどういうふうに見ていくのかということはとても大きいことで、ただ、これも概算要求に絡む話ですから、新ゴールドプランの後のプランをつくるとすれば、そんなに議論の時間があるわけではないので、どちらの方針にいくのか。地方からいろいろと数字が上がってくれば、それを若干認めて、施設の新たな整備も認めるというお考えなのか、あるいはそうでないのか。これも、きょう時間がありませんけれども、機会を見つけて言っていただきたい。地方の自治体が非常にここは懸念しています、先ほどの福祉推進事業の百億円の話と同じで。ここも考えを早く示していただきたいと思います。  もう一つの質問は、ヘルパーの技量と研修時間の関係です。  今、ヘルパーさんの目標値は、新ゴールドプラン上は十七万人等とありますけれども、今の実績等を見ても、一級から三級の方たちがどのぐらいの割合でおられるのかという数字は持っておられないというお話でした。  特に、三級ヘルパーの問題ですけれども、三級ヘルパーに身体介護を任せても大丈夫だという御認識があるのかどうかが一点。  それから、今、政府が新規の雇用創出に向けて規制緩和を考える中で、このヘルパーの研修時間を短縮するという考えを出しておられる。この五十時間という時間を短縮するということもあり得るのか。  家族給付についてはする方向で検討しておられるようですが、家族給付のときの、その方のヘルパーさんとしての資格は、やはり最低三級の五十時間は研修していただかないといけないというお考えでおられるのか。この三つをお願いいたします。
  122. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 五十時間の問題でございますけれども、これは私ども最低限の問題だと考えておりますので、これを削る考え方はございません。  それから、身体介護を三級でいいかどうかということで、これはいろいろ御議論はございます。ただ、ヘルパーの数は、今の需要には十分こたえておりますけれども、これから急増するという面でまだまだ三級というのを一概に否定できないだろうということで、三級ヘルパーの方は恐らく事業者の中でさらに研修される、こういうことも前提にして身体介護も認める、こういう考え方でございます。  それから、家族介護の関係でございますけれども、家族介護の関係もまだ結論は出ておりませんけれども、認められれば三級もいい、こういうことでございます。
  123. 山本孝史

    山本(孝)委員 三級でないといけないということだと思いますけれども。そうすると、老老介護をしておられるような高齢者の方で三級ヘルパーの資格を取れないという方たちは、同じように介護をしていても家族給付は受けられないという形が起きてきますので、そういった点も含めて、今の考え方はぜひ検討していただきたいと思います。  もう一点は、広域連合の考え方です。  介護保険法の審議をしておりましたときには、広域連合というのは、要介護認定等の事務の共同化といいますか簡素化のために広域連合を進めておられるというふうに私は受けとめていました。したがって、福岡のような大型の広域連合というのは想定されていなかったと思います。しかしながら、答弁を聞いておりますと、福岡も一つの方法という御答弁をされて、肯定をされておられます。しかも、保険料格差を考えるとこういう方法も望ましいと受けとめられるような御発言もされておられます。  そうしますと、適正と考える規模というのは一体何なんだ。保険制度を県単位で運営すればいいじゃないかという議論もあったわけで、そういった点も考えますと、何らかの誘導的なものがなくて、各自治体の好きな動きに、今いわば放任されておられるというか放置しておられるようにも思えます。このままでいきますと、私は保険方式をみずから否定しておられるのではないかとも思うわけです。  あるいは、福祉への住民参加ですとかあるいは地方自治の推進、さらには地方自治体の合併の促進、起爆剤といいましょうか、いろいろなことに実はこの介護保険の広域連合というのは使えたはずで、そうしたいいチャンスを、この日本の国というか、厚生省だけじゃなく政府はみすみす見逃してしまったのではないかと私は思います。  あくまで、どこまでもいくのであれば市町村単位でやればよかったし、ここまで好き勝手にやらせるのであればもっと違う誘導策があったはずだというふうに思いますので、広域連合という考え方は、もうここまで来てしまうと是正できないんでしょうけれども、御答弁いただく時間がなくなってしまいましたけれども、私は、ここは厚生省としてはあるいは日本の政府としては大きなミスだったというふうに思います。  あと指摘だけにとどめざるを得ないのですけれども、要介護認定も、要支援、自立を含めて七段階、要介護だけでも五段階というのは、やはり細か過ぎたのではないか。ここも、今もう修正はきかないでしょうけれども、これはやはり細か過ぎたと思います。  審査委員会の資格についても、介護を経験していない人が審査委員をやっているという事態はぜひ避けていただきたい。研修されるとおっしゃっていましたけれども、その点も検討していただきたいと思います。  施設職員の処遇の問題。先ほど松崎委員申し上げていましたように、今、施設で常勤がみんな非常勤にかわる、あるいは新規の補充をしない、報酬の決定がおくれているがために施設の職員の待遇というのは物すごく悪くなっています。こういうことも含めて、早く体制をつくっていただきたいと思います。  話は戻りますけれども、保険料の格差を是正するとかあるいは広域連合の方がよかったんだとかとおっしゃる。あるいは、さらに申し上げれば、介護と医療の一体化を進めるということで導入した介護保険なのに、一方の医療保険改革はちっとも進みやしない、出てきもしないという中で、何か釈然としないものがあるわけですね。  こういう厚生省の姿勢を見ていますと、申しわけありません、大変最後の質問として乱暴ですけれども、一体介護保険制度とは何なのだ、なぜ保険制度にしたのだ、今これだから介護保険は必要なんだという説明が私は厚生省の中で不足していると思います。  したがって、最後の質問としてお伺いしたいのは、なぜ介護保険制度でなければならないのか、大臣から最後に御答弁をいただいて、質問を終わります。
  124. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これは先ほど来御議論いただいておりまして、その背景等についても御質問、御意見の開陳がございました。それは、特に少子・高齢化社会を迎えまして、家族介護だけでは支え切れない、社会の相互責任で支えていこうというシステムをつくろうということでこの介護保険システムがつくられたものと、一言で言えば言えると思います。  その必要性はこれからも変わりないわけでございまして、保険制度を選択したことに私は決して誤りはなかったと思うんですが、それをうまく運用できるように最大限これから努力して発足にこぎつけたい、こう思っております。
  125. 山本孝史

    山本(孝)委員 もう一分ありますので。  医療保険制度の改革につなげていく、その思いを込めて、思惑を込めて介護保険をおつくりになったはずですね。これは裏のねらいなのか表のねらいなのかは別にして、そういうことを公表しておられる厚生官僚もおられるわけですから、そこの意図は否定はしない。  そうしますと、問題は、保険制度をとったのは、給付と負担の関係が明確だから保険制度でなければいけないというのが一貫した政府の御答弁でした。その保険と給付の関係が明確であるはずなのに、保険料の格差是正をする、あるいは福岡県のような広域化も一つの方向だとおっしゃる。ということは、繰り返しになりますが、地方自治を進めるあるいは住民参加の福祉の体制をつくるといった高邁な理念を掲げていたのに、そこを捨ててしまって、介護だけ、お金だけ何とか取れるシステムをつくればいいという話になってしまうのではないか。  だから、なぜ介護保険制度でなければならないのか、なぜ今介護保険が必要なのかという御説明は、今の御説明は介護を社会的に提供する体制は必要であるという認識をお示しになっただけであって、介護保険制度をなぜ今つくらなければいけないのかという説明になっていないと私は思います。  もし補足で御説明をいただけるのならば、なぜ介護保険制度が今必要なのか、なぜ保険制度が今必要なのかということにもう一度御答弁をいただいて、終わります。
  126. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 基本的には先ほど申し上げたとおりの認識でスタートしておりますが、医療と介護との関係とか、医療改革と後見の改革、非常に関係が深うございます。そしてまた、その改革なしに介護が充実していくとも思われませんので、今、医療保険制度についても鋭意検討はしておりますが、ちょっとはかばかしく御審議をいただける状況にまだなっていないことは残念でございますが、そんな感じはいたします。  なお、広域連合とか一部事務組合のあり方について、私どもは、実は私自身は、これからの地方分権時代で合併等々が行われる可能性が十分ございますから、福祉面のいろいろ共通のサービスを共有することによって、広域化したり何かして市町村合併の実がだんだん形成されていくのではないかと逆に考えます。  そんなことで決して矛盾しているようにも考えませんが、この点は、保険者を市町村にしながらなぜ広域化を進めるのだという御疑問のお答えになりませんけれども、私の気持ちとしては、決して間違った方向ではないというふうに考えております。
  127. 山本孝史

    山本(孝)委員 ありがとうございました。終わります。
  128. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 次に、五島正規君。
  129. 五島正規

    ○五島委員 介護保険の実施というのが来年の四月、非常に近づいてくる中で、非常に多くの議論がされております。  今も同僚議員の山本議員から質問があったわけですが、この問題についてはそれぞれ若干論議の重点の置き方が違うという感じもあるわけでございますが、しかし、もう法律ができ上がっているこの介護保険について、来年の四月から実施するということについては大臣もさまざまなところで意見の表明をされているわけでございます。ただ、マスコミその他でこれの延期論というものが出る中において、非常に多くの心配あるいは混乱が存在していることも事実でございます。  そこで、大臣としては来年四月からの実施という決意についてはされているわけでございますが、具体的に、今年夏に来年度予算の概算要求というのが行われるわけでございます。この場合、来年の介護保険の実施ということを前提として、数字を入れた概算要求をやられる予定であるのかどうか、まずそこを大臣にお伺いしたいと思います。
  130. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 介護保険の実施につきましては、厚生大臣の私一人だけの決意ではございませんで、これは総理、官房長官にも念押しをしてございますし、我が党の幹事長その他にも念押ししてございますから、これは政府で決めたことを実施するという点では一致いたしておることをまず最初に申し上げさせていただきます。  その上で、概算要求のときには、来年の四月からの話でございますから、当然要求すべきものは全部要求していく、あらあらの姿はそこで出てくるだろう。特に、今議論されておりますように、介護報酬も最終的には十二月の予算決着によらないとフィックスされた固定値が出ないと思いますが、大体こういうことになるだろう。そして、それで通していくという決意で概算要求はさせていただきますので、おおよその姿は、八月末には大体概算要求を通じておわかりいただけるようなものにしたいと思っております。
  131. 五島正規

    ○五島委員 今の御答弁は非常に大事だと思います。  これまでさまざまな局面において、厚生省は決着のつかないものについては白紙要求という形でもって概算要求をしてきた経過がございますが、介護保険の実施ということについて、厚生大臣を初め御決意の披瀝はあるわけでございますが、ここまでいろいろな議論がある中において本当に実施できるのという不安が非常に広がっていることは事実でございます。そういう意味におきまして、今厚生大臣がおっしゃったように、決して白紙要求ということではなく、具体的な数字を入れた概算の要求をしていただくということで理解したいと思います。  次に、このことに関連いたしまして、今、山本議員からも御指摘がありましたように、各自治体間においていわゆる介護保険料の格差というものが大きな問題になっていることは事実でございます。問題は、格差があるという指摘だけではだめなんだろうと思います。この格差が何によって生まれてきているのか、ここをやはり明らかにする必要があると思います。  先ほども大臣おっしゃっていたわけでございますが、いわゆる自治体間における高齢化状況の格差あるいは自治体間における所得の格差、これら二つについてはそれぞれ係数を掛けて調整することになっています。この調整ではこの格差が埋まらないということであるのかどうか。あるいは、この自治体間の格差というものが、いわゆる在宅介護の整備状況の格差により、その体制が進んでいるところとおくれているところの自治体間の格差というものによって生じている格差なのか。三番目の問題として、それとも、例えば入所施設の配置あるいは入所者数の格差というものによって生まれてきている格差なのか。あるいは、最後に、私はこの点については山本議員と若干意見は違うわけですが、自治体間の規模の違いによって、過疎地域において要介護者の発生の変動により介護の保険基盤というものが非常に変動してしまうということによって起こってくる格差なのか。  この四つ、五つが考えられるわけでございますが、この格差と言われているものの原因について、厚生省はどこに一番大きな原因があるのか、お答えいただきたいと思います。
  132. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 先生が御指摘なされた幾つかの要因が重なり合っているのだと思いますけれども、今私どもが伝え聞いている、実際に見せてもらう書類によりますと、やはり施設、特に療養型病床群が多いところが一番影響が大きい、こういうふうに思っております。
  133. 五島正規

    ○五島委員 療養型病床群が多いということが格差を生み出している一つの原因だということについては後ほど改めてお伺いするとして、その前に、介護保険の実施については広域化をして行うということになっておりまして、それは、ケアプランその他をつくっていく上において、あるいは介護そのものの提供体制、サービス体制についての共同化だけではなくて、実は一定の規模において介護保険が実施されるためには、受け皿である自治体そのものに一定のスケールがないと運営しにくいのです。  しかし、実際にそこに格差があるというのも事実だと思います。したがって、財政基盤を一定安定させるためには、その側面からの共同化というものは必要なんだろうというふうに考えます。  高知県の例でございますが、ある村でございますけれども、人口が千数百名、高齢化が非常に進んでいる。お年寄りが一人入所しますと保険料に二百円の差が出てまいります。施設入所が一人ふえると保険料が二百円ふえるし、一人減ると二百円下がる。非常に人口が少なくて、しかも高齢化が高いところでそういう問題がある。そうしたところが財政基盤を安定させるためには、これはここの場合も同じなんですが、広域化というものを進めていかざるを得ないだろう。  今のところは、この広域化についてはそれぞれ該当自治体そのものに任されているということでございます。しかし、大都市から見れば、そういう町村を一緒に抱えることは、サービスの面ではいいけれども、財源を一つにしていくという形になるとその分だけデメリットが大きいということであって、県なりあるいは厚生省の方から、スケールの単位において財政の共同化というものについて何らかの方向性が出ないと、この問題については非常に保険財政が不安定なままになるのではないかと心配されるわけでございますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  134. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 法律上の建前は、行政主体である市町村を保険者とするということでこれがスタートすることになりますけれども、確かに、三千三百の市町村はそれぞれ規模、人口あるいは高齢化率、みんなまちまちでございます。特に、今先生のおっしゃられたように、小さいところほど、山間地に行きますと高齢化率も高いし、一人の療養型病床群が発生すればぼんと上がるとか、そういうことが十分起こり得ます。  したがって、私どもとしては、私も田舎の選挙区でございますのでよくわかりますけれども、人口が二千とかあるいは千以下の村が単独でというのはなかなか難しいと思いますので、認定は郡単位くらいでやりますけれども、保険者としても、これをスタートしてみて、各市町村の保険者がこれは一緒にやった方がいいんだということがだんだんわかってくるんじゃないかと思いますが、法律の建前上、厚生省が広域化を強制するわけにもまいりませんので、自主的な動きに任せながらこれをサポートしていこうという今の姿勢であることを御理解いただきたいと思います。
  135. 五島正規

    ○五島委員 法律の建前はそのようになっているわけでございますが、これを運営していくと、実態として適切なスケールがない限りは介護保険制度は非常に問題が起こってくるという点で、厚生省と都道府県、あるいは該当自治体との間における協議というものをぜひ進めていただきたい、お願いしておきたいと思います。  もう一つ、今局長からも御答弁があったわけでございますが、介護保険料の格差というものの中に療養型病床の存在があるというふうに御指摘がございました。私も、それはそうだろうと思います。問題は、介護保険適用者の入所施設というのは、特養、老健、療養型病床となっている。そして、特養や老健施設というのは、福祉圏の中において、全国的にも高齢化の状況、地域的な規模の状況に応じて大体一応のバランスをもって設置されてきたと思うんですね。  ところが、療養型病床というのは、これから移行していくわけでございますが、その基盤は老人病院でございます。特に特例許可老人病院は、療養型病床へ転換していくという方向が出されています。特例許可老人病院というのは、決して地域的にこういう施設がつくられたりあるいはそのようなバランスのもとでつくられてきているという内容ではないことは言うまでもございません。  したがいまして、この特例許可老人病院のうち、介護保険指定の療養型病床というものをどのような形で介護療養型病床に変えていくのか。特養や老健の場合ですと、これはすんなりと全部介護保険の適用に変えていきますよとなったとしても、それほど地域的に大きなバランスの崩れは起こってこない。しかし、特例許可老人病院を中心とした療養型病床への転床と、その中における介護療養型病床への指定ということになってきますと、特例許可老人病院の地域格差がそのまま反映してしまうと思います。一体これはどのようにしようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  136. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護保険施設の利用者数につきましては、国全体で、介護保険施設全体としまして高齢者人口の三・四%、こういうふうに見込んでおりまして、三施設間のバランスといたしまして、特養、老健施設、療養型病床群で八対七対五、これは目安でございますけれども、私どもお示ししたわけでございます。  こうした参酌標準のほかに、その市町村におきます現在の施設の種類ごとの入所者数、それから医療計画上の整備目標を市町村に当てはめた入所者数、あるいは、三施設間の八対七対五ではなくて、三施設間のアンバラがある、これを是正したときにどういうふうな保険料になるのか、こういうふうなことを試算していただきまして、市町村の段階で療養型病床群のうちどの部分が介護保険適用になった方が望ましいかどうか、こういうふうな結論を出していただきました。  実際に指定するのは都道府県でございますので、そういう意見を持って都道府県と市町村が御協議をなさる。これは二つだけではだめで、関係者の意見も踏まえて決めなきゃいかぬということで、なかなか複雑で難しい問題であるわけでございますけれども、そういう交渉、協議というものをどうしてもやっていただく必要がある。それによって、そこでの結論をもって施設の指定をする、介護保険に来るもの、医療保険に残るもの、こういう仕分けをしていただく必要がある。難しい事業ではございますけれども、こういうことでお願いせざるを得ない、こういうふうに思っております。
  137. 五島正規

    ○五島委員 この八、七、五という比率の中で入所施設をお決めになるとおっしゃるわけでございますが、この八と七というのは、先ほども繰り返しておりますが、地域的に一応のバランスをもって固定された数字でございます。ところが、五というもののそもそものあれは、全く自由にいわゆる介護力強化病院として出てきたところを中心に療養型病床に転床していこうという内容でございます。しかも、この施設入所の希望については、要介護度I以上の人については本人が自己選択できることになっている。  そういうふうな状況の中で、介護療養型病床を八、七、五の割合で制約していこうとした場合、どういう理由で、どのような方法でもってこの基準を守らせるように制約をかけようとお考えになっているのか、そこのところをお伺いしたいのです。
  138. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 まさにこの八、七、五とか三・四%というのは目安でございますので、これをもって強制するというのはできないわけでございます。したがいまして、最終的には県の権限で決める、こういうことになるわけでございます。  ただ、実際問題、それでできるかどうかというのはなかなか本当に難しい問題であるわけでございますが、できるだけその目安に近づける努力をどうしてもしていただく必要がある、粘り強い交渉をやっていただく必要があるのではないか、こういうふうに思っております。
  139. 五島正規

    ○五島委員 厚生省の医療法に基づくところのさまざまな措置の中において出てきた結果を、また介護保険ができて来年の四月から実施という段階になって、地方自治体、県の段階でこれを何とかやってくれ、これはとてもじゃないけれども自治体としてはやり切れない。これははっきりしていると思いますね。  だから、厚生省は、この八、七、五の枠というものの中で施設療養を整備していこうというのであれば、それに対しては何らかの基準なりを示して県の方と協議していただかないと、それを全くしないままで、各県でよろしゅうしてくださいよという形ではとても解決がつかないだろうと思っています。  それから、いま一つ、厚生省は、これまで介護保険で要介護の問題について三・数%という数字を挙げて議論されているわけですが、これは常に全国一律の数字をもって物を言ってこられたわけですね。  例えば平成七年のお出しになった数値から見ましても、六十五歳、七十五歳、八十五歳それぞれの平均余命、そして、その中における自立期間と非自立期間、言いかえれば要介護の期間、これを比較してみますと、全国水準に比べて平均余命が長い高知県等におきまして見ますと、当然、平均余命が長いわけですから、自立期間も決して全国に比べてそれほど短いというわけではないわけです。しかし、それに比べてはるかに非自立期間、すなわち要介護の期間というのが、女性の場合、全国平均より一年ぐらい長く出てまいります。これは、高齢者の数の比率だけでなくて、高齢化が進むことによって地域的に要介護の期間というものに地域間の格差がある。  そうなりますと、そういう地域においては、より多くの介護というものが求められるし、より介護の社会化である介護保険の実施が求められるわけですが、それだけに、この問題を、そこのところだけを、全国水準で三・数%という数字でもって要施設療養の数が発生するという根拠というのは若干おかしい。これは、やはりもう一度組み合わせた形で、それぞれの自治体の中における必要な入所施設をどのように考えるのか、これは厚生省の方できちっと出すべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  140. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 全国平均は三・四%ということでございますけれども、補正ができるような形にはしているわけでございまして、高齢化率が高いところについてはより高く、それから高齢化率が低いところはもう少し低くてもいいですよと。たしか、三・一%から三・七%の間でお示ししているわけでございまして、平均的には三・四%ということでございます。  ただ、療養型病床群は、先生御指摘のように、もともと地域偏在がございますので、それを入れても既に上回っている、全部入れば既に上回っている、こういうふうなところもあるわけでございます。したがいまして、その調整が難しいということであるわけでございますが、やはり一定の枠の中にとどめていただきまして、例えば、私どもが申し上げているのは、その枠の中で優先的に指定するものは、療養環境が整ったものから優先してほしいということ、それから、介護力強化病院につきましては、平成十四年度末までに完全型かこれに準ずる療養型病床群に移行する見込みのないものにつきましては指定しないようにお願いをいたしているわけでございます。
  141. 五島正規

    ○五島委員 私の言っているのは、高齢化の比率の問題だけじゃなくて、例えば具体的数字を挙げましょう。  六十五歳以上の女性の場合、全国平均で見ますと、約二十一・二三年の平均余命があるうち、自立期間は十八・四年、したがって、非自立の期間というものが二・八三年。これは全国平均です。しかし、高知の場合ですと、六十五歳の平均余命二十一・八二年、〇・五年ぐらい長いわけですが、その中で自立の期間というものは十八・二五年、そして非自立の期間が三・五七年で約一年長い。  同じように、高齢化がずっとある中で少子化が進んでいきますと、それぞれの数が高いというだけでなくて、その地域地域によって、高齢者の中において最後に要介護になる年数がかなり全国平均と比べても差が出てくる。こういうふうなものの読み込みが余りできていない。これは各県ごとに見てみた場合にもかなりばらつきのある問題で、実は、この一年間平均で要介護の期間が多いか少ないかというのは、かなり介護保険にとっては大きな問題になってくると思います。そういうふうな部分は、単なる高齢化率だけでは検討できない内容なので、そこを検討される必要があるのではないかというふうなことで申し上げております。  それから、いま一つ、今局長が御答弁なされた内容の中で、療養型病床については療養型一類から四類まで暫定基準も含めてあるわけですが、介護保険指定の段階においては、いわゆる療養型であれば、療養型の完全型から移行型の四型の場合まですべて介護保険の指定にするのかどうか。療養型病床で移管した中において介護療養型に指定を受けたいという病院があった場合、これについてはどのような形でこの指定をしていくのか。  これは、もちろん都道府県に任せていると言いながら、局長も御認識になっているように、療養型病床の存在によって圧倒的に保険料の格差の大きな原因になっているという状況の中でどのようにそこのところをお示しになるのか、お伺いしたいと思います。
  142. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 いずれにいたしましても、都道府県の方で枠を決めなければいけないわけでございますけれども、その枠の中での優先順位として私どもがお示ししておりますのは、対象としては、資格としては介護力強化病院まですべて対象になるわけでございますけれども、優先順位といたしましては、やはり完全型の療養型の病床群またこれに準ずるもの、こういった療養環境の水準が高いものを優先してほしい、その順番でその枠を埋めてほしい、こういうふうな指導はいたしております。
  143. 五島正規

    ○五島委員 完全型の療養型の施設基準が整備されたところから指定していきたいというお話でございます。  そうなった場合に、介護力強化病院を三年以内に療養型病床に移行し、介護保険の方に移していくという政策との整合性の問題が今後に残るということだろうというふうに思います。  そこで、もう一つお伺いしたいわけですが、介護保険が実施された場合、この老人医療費というのは当然変わるわけですね。現在の老人病院に入所しておられる方々の一部、あるいは老健施設の医療費、その他デイケアとか訪問看護の費用というものが老人医療費から介護保険に移ってまいります。このことによって老人医療費というのが一体どの程度軽減されて、その結果、各医療保険保険者の老人保健拠出料はどの程度軽減されるのか、お伺いしたいと思います。
  144. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 まだ費用推計の関係は平成八年十月のものしかございませんので、これで御説明いたしますと、老人医療費等は二兆一千九百億円が介護保険制度へ移行するわけでございまして、この中で、各医療保険者の老人保健拠出金が合計で九千九百億円が減額されることになるわけでございます。これの内訳でございますけれども、政管健保で二千九百億円、健保組合で二千三百億円、国保で三千九百億円、こういうふうな内訳になっているわけでございます。  その一方で、介護納付金をいただくわけでございますので、これは四十歳から六十四歳の方の御負担になるわけでございますけれども、各医療保険者の合計では一兆二千百億円程度、こういう拠出をお願いしている、こういうことでございます。
  145. 五島正規

    ○五島委員 そもそもこの介護保険の実施というのは、今のお話は平成七年度の資料でお話しになっていると思いますが、たしか介護保険の実施までに医療の抜本改革というものを同時にやっていって、そのことによって老人医療の拠出の問題等々を含めて整理をしていくというふうなことが政府並びに与党の国民に対する公約であったはずだと思っています。  万一、介護保険の実施の来年の四月までにこの医療制度の抜本改革あるいは老人医療制度の改革ができないということになった場合は、今、局長がお示しになったように、介護保険に移るであろう現在の老人医療費の中で、保険者の側からいえば約九千億ぐらいが減ってくる。一方、介護負担の分で一兆二、三千億ぐらいがふえてくるという形になって、増加になってくるわけですね。そして、抜本改革がないわけでございますから、結果として各保険者としては負担の増という形だけでいくわけでございます。  今、御案内のように、各健保とも財政状況が非常に悪化しているという状況がございます。しかも、あらゆるデータをとってみても、各医療機関の経営も非常に厳しくなってきているという状況の中で、一たんこのまま改革をずらして介護保険を実施してしまいますと、結局、医療費と介護保険の合計額というのは当初よりも大きく膨らんだままで進んでいかざるを得ない。これははっきりしていると思います。  一たん膨らんでしまった医療と介護の費用というものを、もう一度医療制度を抜本的に見直してそれを圧縮するということが果たしてできるのか。今まで過去の例からいっても、そうした老人医療費を中心とした医療の伸びをいかに抑えるかということできゅうきゅうとしてきた状況から考えて、その新しい制度を発足し、介護についても介護ニーズがふえてくれば当然ふえてくるだろう、そういう状況の中で、制度の実施をおくらせたことによって膨らんでしまったものをどこかで取り返すなんというようなことはできるはずがないだろうと私は思うわけですが、それはできると考えておられるのかどうか、あるいはどうしても平成十二年の四月までに医療の抜本改革をあわせてやるという決意なのかどうか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  146. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 老人保健制度をどうするかというのは医療保険制度の中心課題でございまして、私ども、今、鋭意検討をしていただいておりますし、保険審議会におきましてもこれに取り組んでいただいておるところでございますが、老人保健のあり方について、考え方の相違等もいろいろございまして、必ずしも意見の帰一ができておりませんし、負担関係その他もまだ収れんはいたしておりません。  しかしながら、来年の平成十二年中には実施できるようにということで鋭意努力しておりますので、他の薬価制度の問題、医療提供体制の問題等々を含めていろいろ課題は多くございますが、医療保険の、特に老人医療の問題については十二年中にぜひ実施できるようにしたいというようにも考えております。
  147. 五島正規

    ○五島委員 平成十二年度中というお話というのは、これはかなり、一年間ずれているなというふうに私は思うわけですね。  平成十二年度中に変えると言われても、今年度中にこの改革の報告について明確に出ていて、そしてその実施が若干おくれるということであればともかく、来年の四月の段階で医療制度なり老人保健制度がどうなるのかということについての基本的な態度が厚生省として煮詰まっていないという状況になったら、介護保険の実施をしてしまった後の医療制度の抜本改革というのは現在とは非常に違った議論になってくるだろう。  そういう意味で、これについては政府の公約でもありますので、本来ならこの国会ということでございましたけれども、状況はおくれているようですが、厚生省としてあるいは与党としての案をいつお示しいただけるのか、そのところを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  148. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今、主として薬価制度を中心にした医療保険の改革について与党内で議論をしていただいておりますが、率直に申しまして、私ども、薬剤定価・給付基準額制というものを御提示いたしたのでありますが、なかなかこれが同意が得られない。これは党内の同意ばかりではございませんで、対米関係等もございました。そんなことで一応議論を戻した格好になっておりますけれども、これは鋭意私ども詰めたいと思っておりますし、党にもそういう要請をいたしております。  なお、今、老人保健の問題につきまして、十二年度中ということを申し上げたわけでありますが、私ども、今、いろいろ非常に困難な中で、老人保健も非常に課題が多くていろいろの論点がございますので慎重なことを申し上げたわけですが、できる限り早く成案を得たいという気持ちは変わりございませんから、四つの課題がございますから、並行して検討してまいりたいと思っております。
  149. 五島正規

    ○五島委員 終わります。
  150. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 金田誠一君。
  151. 金田誠一

    金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。  私は、大綱二項目、らい予防法廃止後の諸問題と介護保険の実施に関する諸問題、この二項目につきまして、時間の範囲でできるだけ質問いたしたいと思います。  最初に、らい予防法の関係でございますけれども、平成八年三月二十六日にらい予防法の廃止に関する法律案が可決したわけでございますが、これに対する附帯決議の中で、これは参議院のものでございますが、衆議院も同じ附帯決議がなされております。「ハンセン病療養所から退所することを希望する者については、社会復帰が円滑に行われ、今後の社会生活に不安がないよう、その支援策の充実を図ること。」と、衆参ともに同じ文面で附帯決議が行われているわけでございますが、その後の状況を見ますと、この附帯決議どおり行われておらないといいますか、全くこの趣旨が生かされていない、私はそう考えるわけでございます。  そこで第一点お尋ねをしたいのは、現在のハンセン病療養施設の入所者数、これに対して社会復帰を希望している方の数、現在は直ちには希望はしないけれども将来希望するかもしれない方の数、これに対して現実に社会復帰をなさった方は八名だと思うわけでございますが、そうかどうかも含めて、この数字をひとつお答えいただきたいと思います。
  152. 伊藤雅治

    伊藤(雅)政府委員 お答えいたします。  現在、ハンセン氏病療養所の入所者の数でございますが、昨年十二月末現在で四千九百十八名でございます。そこで、社会復帰に関しまして、らい予防法の廃止のときの附帯決議を受けまして、平成八年に調査をしております。この調査時点の平成八年の入所者数は五千三百七十一名でございましたが、アンケート調査によりますと、この五千三百七十一名のうち社会復帰を希望する者が百四名、一・九%、現在は考えていないという方が五百四十七名、一〇・二%、希望しない人は四千三百六十五名、八一・三%でございました。  その後、この百四名の方につきまして療養所のケースワーカーなどが直接面談をいたしまして、百四名のうち四人の方が希望を取り消しまして、百人の方が社会復帰を希望する、こういう意向が確認されたわけでございます。その後、この百名の方のうち、平成十年に八人の方が社会復帰をされまして、平成十一年度におきましては、現在手続中でございますが、若干名の方が社会復帰に向けて手続をしているところでございます。
  153. 金田誠一

    金田(誠)委員 現在、約五千名弱ということになりましょうか、入所をされている方が。それに対して復帰希望者百名、現在は考えていないけれども将来はという含みのある方が五百数十名、合わせて六百数十名でしょうか、こういう方が復帰の可能性のある方だと思います。これに対して実際復帰をなさった方が八名、これからなさるだろう方が若干名、極めて少数でございます。  なぜこういうことになったのか。この附帯決議にうたわれている、「社会復帰が円滑に行われ、今後の社会生活に不安がないよう、その支援策の充実を図る」という趣旨が実際は生かされていないということだろうと私は思うわけでございます。大臣、そのことをぜひこれからの質疑を通じて御理解をいただきたいと思いますし、御理解がいただければしかるべく施策を講じていただきたい、こういう趣旨で以下質問をさせていただきたいと思います。  実は先般、鹿児島の星塚敬愛園、この施設に入所をされております島比呂志さんという方からお手紙をちょうだいいたしました。  島さんは、御承知だと思いますけれども、施設の中にありながら、いろいろ文筆活動を続けておられまして、らい予防法のもとにおける今までの極めて悲惨な状況なり法の問題点を広く訴えてこられた方でございます。この方から先般、この手紙をいただきました。大臣にこの手紙のコピーをきのう差し上げました。  ごらんいただいたと思うのですが、この字をごらんになっても、原稿用紙の升目二つか四つ使われて、大きな字を非常に震える手で書かれている。これを見ただけで、お目の状態、健康状態が推察していただけると思うわけでございますけれども、大変御高齢でございます。大正七年生まれ。ですから、八十一かそのくらいになられていると思うわけでございます。  私、この一月に施設を訪問いたしまして、お見舞いをいたしました。そのときもかなり重症で、床に伏せっておられました。多少はお元気になられたのかなと思うわけでございますが、御高齢で障害も残っておられるし、病弱ということで大変心配をいたしているわけでございます。  島さんが入所されましたのは一九四七年と伺っております。この年は、実は私の生まれ年でございます。昭和二十二年なのでございます。おぎゃあと生まれた赤ん坊が私の年になる、この歳月を施設で過ごさざるを得なかったということでございます。そういう方からのお手紙でございます。その一部を読ませていただきます。  「社会復帰の実現がなければ、らい予防法廃止の意義がなくなる」、この言葉を実践するため六月には、北九州市へ社会復帰いたします。自分の書いた文章に責任を持つというのは命がけの仕事です。友人たちは死にに行くようなものだと止めましたが、私はそれでもよいと思っています。 こういう手紙をちょうだいいたしました。  今月二十七日ごろをめどに社会復帰を準備されている、北九州市小倉区に住まわれるそうでございますが、特別そこが出身地とか身寄りがいるということではなくて、支援者の方がいらっしゃって、受け入れ体制を整えてくださっているということでございました。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕  島さんだけではございません。このハンセン病の患者さん方は、らい予防法のもとで家族とのきずなを断ち切られ、社会との関係を断ち切られ、もちろん職場との関係も断ち切られておられます。島さんもそうでございますが、断種手術などを強制された方も多いわけでございます。そして、四十年、五十年と施設の中で生活をしておられる。その方の社会復帰は、附帯決議にあるとおり、社会復帰が円滑に行われ、生活に不安がないよう希望する人には支援策の充実を図る、私は当然のことだと思うわけでございます。  しかし、前段申し上げましたとおり、お答えをいただきましたとおり、わずか八名の復帰しか実現をしておらない。島さんは、私は推測をしますに、国は何を今までしてきたのか、何をこれからしようとしているのか、本当にらい予防法を廃止して、その提案理由の中にもさまざまな反省の言葉等も述べられているんですけれども、それを具体的にどう実行をしようとしているのか、そのことを命をかけて島さんは問いかけようとしておられる、私はそのように受けとめさせていただきました。  大臣、いかがでございましょうか、大臣はどのようにお受けとめでございましょうか、御所見を賜りたいと思います。
  154. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ハンセン病療養所における五千人を超す方々の今日までの御苦労は大変なものであったと思います。そして、いわゆるらい病と言われた、今はハンセン病でございますけれども、そのときの状況から、最近は、医学の進歩もございまして、肉体的にはかなり改善されてきている、代表者にお会いいたしたときも、私はそんな感じを持ちました。  しかしながら、この何十年か、若い青春のときをこういう施設に閉じ込められて、そして、今お話しのように、断種その他もあったお話も聞きました。大変な御苦労をされたものと思います。そして、今、島さんが八十歳の高齢をもってなお一回社会復帰の問題点を実践してみようというお気持ちは、これは並々ならぬものがあろうかと思います。  今政府としては、厚生省の方としては、就職支度金でありますとか、そういう諸準備のために二百五十万円程度を用意するということになっておりますが、事柄は金額だけの問題ではないことは十分承知をしておりますが、この金額等についても果たして十分なのか。それが原因なのかどうか、よく調査しませんとわかりませんけれども、私ども、代表者とお会いしたときには、社会復帰したいのだけれども社会も受け入れてくれないだろうというような点も指摘されておられました。  そういうことをいろいろ考えてみまして、島さんが一石を投じられたその御決断は、五千人を代表しての大変なお気持ちの表明かなというように受けとめさせていただきます。
  155. 金田誠一

    金田(誠)委員 島さんの気持ちをそれなりにお受けとめをいただいたと思うわけでございます。  五十一年間、あるいは五十二年になるのかもしれませんけれども、そういう長期にわたって施設の生活を余儀なくされて、八十一か二という御高齢、最後に人としてこの世に生まれたあかしを残したいという思いかなという気もいたすわけでございます。それにしても、そう思うのが無理からぬこと、当たり前なこと。そして、今日までのらい予防法の経過を考えれば、国としてできる限りの援助をしてさしあげる、これは私は当然のことだと思うわけでございます。  それにつけても、大臣、今、国として二百五十万円の一時金ということがございました。途中までは百五十万円だったそうでございますが、二百五十万になった。  いずれにしても、本来であれば、その年齢まで社会にあれば、いろいろな事故等でそうならない場合もありましょうけれども、普通は家族のきずながあり、社会のつながりがあり、退職はされていたとしても会社との関係があり、したがって、年金保険、その他預金があり、財産がありというものですよね。しかし、それらを蓄積しようにもできない環境に置かれた。それを余儀なくされてきた。そして、まだ今なお差別と偏見が強く残っている。家族との関係も、修復できる方もいればそうでない方もいらっしゃる。地域社会でも大変な困難を余儀なくされるだろう。ましてや、社会生活の経験、特殊な空間での経験しかおありにならないという方に対して、今の二百五十万円、支度金といいますか一時金といいますか、そういうもので果たして、この決議にうたわれている、「不安がないよう、その支援策の充実を図ること。」という言葉に値するものなのかどうなのか。  経済的なことだけですべて解決するとは私は思いません。そのほかにもいろいろなサポート、援助が必要だろうと思いますが、まず基本となるのは、経済的な基盤でございます。余りにもひど過ぎはしないか、そういう気がしてなりません。いかがでしょうか。
  156. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 いろいろの施設に入所されておって、国もそれなりの対応はなされておるわけでございますが、そのことが逆に社会へ出ていくことの妨げになっているようであってはならない。逆に言いかえますと、社会に復帰したいといって施設を出ていかれる方々も同等な処遇が受けられてもしかるべきかなという考え方もあろうかと存じます。  私としては、今直ちにこの結論を申し上げるわけにはまいりませんけれども、八名しかいないということがそういうところに原因がありとすれば、この方々はこれからの医学の進歩でふえることはないわけですから、できる限り、社会復帰を希望される方の処遇は今後考えていかなければならぬなというように個人的には今の段階は思っておりますが、結論を申し上げるにはちょっとまだ検討不足のような感じもいたしますので、申し上げさせていただきます。
  157. 金田誠一

    金田(誠)委員 大臣、基本的に御理解をいただいたなというふうに受けとめさせていただきました。にわかに結論めいたことはなかなか面倒なのかもしれませんが、心情としては御理解をいただいた、これから前向きに対処されるものだろう、このように受けとめさせていただきたいと思います。  その上で、用意しております質問項目、まだ多少ございますので、述べさせていただきたいと思います。  現在の処遇の問題点、普通の一般のお年寄りの介護、あるいは先般成立をした精神保健福祉法、これら一連の法体系の中でも、病院から施設、施設から在宅、ノーマリゼーションの精神に従っても、住みなれた地域でというのが大きな流れであることは申し上げるまでもないわけでございます。それがかなわない場合、施設あるいは病院となるわけで、それは自己決定ということを基盤に置くのは当然でございますけれども、そうした大きな流れの中にある。したがって、施設に入っている方と在宅を志向される方を特別異なる処遇のもとに置く必要は何もないと思うわけです。  特に、四十年、五十年、ハンセン病療養所という施設環境に置かれた方々が、人間を回復したい、島さんの言葉をかりると人権回復ではなくて人間の回復だということをおっしゃっておりますけれども、そういう立場から、世間並みの人間として生きたあかしとして社会生活をしたいというのは当然です。それを保障するのも当然だと思いますが、今の施策では、施設入所者は、私計算してみますと、総予算を総入所者で割りますと概算八百五十万程度、ちょっと数字は前後するのかもしれませんが、いただいた予算書を割り返すと八百数十万という数字になります。これに対して、施設から出て在宅でというふうに希望すると、一時金二百五十万だけでございます。  あるいは、施設に入所されている方は、障害年金受給者、最高額八万三千七百七十五円だそうでございますが、この最高額まで満たない方、障害年金ゼロという方もいらっしゃいます、年金資格を持っていない、あるいは持っていても金額に格差がある、この方々には八万三千三百円の差額分を入所者給与金ということで支給をしてこられた。これについては使途についてもさまざま、入所者の衣服その他日常生活の需要等を満たし、もって療養生活の安定に資するという目的でございます。この目的は、施設から出られて在宅になっても同じことではないでしょうか。  あるいは、施設にいらっしゃれば住居費その他はかからないわけですね。職員の手厚い、厚いかどうかはいろいろ議論もあるのかもしれませんが、一定の手だてが講じられている。在宅になると、それらがなくなるわけです。  本来であれば、この入所者給与金なるものが仮に在宅者給与金に衣がえをして、入所している以上に不安のない形で給与をされて不思議はないというふうに私は思うわけですが、現在の制度では、入所者の給与金ですから、施設を出られるとこの給与金は切られてしまうのだそうでございます。  こういう処遇における格差、入所者給与金の扱いを見ても、施設にいることがいいことで、施設から出て在宅を希望するということは、言葉ではそうおっしゃらなくても、やっておられることを見ますと、施設から出るな、出れば報復されると言うに等しい処遇ではないでしょうか。それに対して、島さんが今身をもって問いかけをされているのだというふうにも思うわけでございます。  いかがでございましょうか、現在の施設の処遇と在宅者の処遇の格差、私は今問題点をるる指摘したつもりでございますが、御所見を賜りたいと思います。
  158. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 療養所における処遇の問題といたしまして、障害者年金一級相当額、これは入所しておれば入所者給付金ということで一律支給をいたしておるのは御指摘のとおりでございますが、今までの考え方からいたしますと、要するに、ノーマライゼーションということで社会に出るということが望ましいとはしつつも、退所後も療養所における処遇と同等の生活支援を継続するということは社会復帰の考え方に沿わないものではないかという発想だと思うのです。  それで、これは本当に合理的なことかといえば、今委員の指摘されるような面が多々ございますので、島さんの本当に貴重なお手紙を拝見し、また委員の御指摘は非常に共鳴するところもございますので、いろいろ検討はさせていただくようにいたしたいと思います。
  159. 金田誠一

    金田(誠)委員 ぜひひとつ早急に検討をいただきたいと思います。そして、何十年と施設に生活をされた方、これは自己決定が原則でございますから、全く個人の意思に基づくべきだと思いますけれども、在宅、社会復帰を希望される方は本当に安心をして希望することができる、そういう状態を早急につくっていただきたい。そして、島さんは今月末に復帰をするわけでございますから、それまでに間に合わせろということは無理にしても、ぜひ早急に検討をいただきたいなと思うわけでございます。  検討の中身は、社会復帰準備支援事業実施要綱というものがございますけれども、これの全面改正になるのかあるいはこれにかわるものになるのか。大臣、いみじくもおっしゃいました、今の社会復帰というのは、そういう経済的支援がなければ復帰できないということであれば、復帰にそぐわないのではないかという前提でこれができている、その立脚点そのものを変えなければならないわけでございます。それを変えるということで、大臣、今御同意をいただいたというふうにまずは受けとめさせていただきます。立脚点を変えていただいて、自立したくてもできないような境遇に長いこと置かれた、自分の意思に基づかずにそういう境遇に置かれたという方々に対する国の措置という立場でお考えをいただきたい。  したがって、この要綱の立脚点を含めた全面改正という形になるのかな、あるいは新たなものの制定ということになるのかなと思いますけれども、ぜひ早急に、数カ月という単位で御検討いただきたいと思うわけでございますが、いま一度お答えをいただきます。
  160. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これは、今申しましたように、十分合理性があると思いますし、収容者の方々のいろいろ歴史的経過その他を見ますと十分理解できますので、検討はさせていただきますが、今ここで結論を申し上げるわけにいかない。  と申しますのは、予算執行上の問題もありますし、総額の中でできるのかどうか、あるいは法律といわないでも法令改正を必要とするかどうか、私、今その点は必ずしもつまびらかにしておりませんので、そういうことを含めまして検討させていただきます。
  161. 金田誠一

    金田(誠)委員 趣旨は十分伝わってまいりました。思うところは私と大臣と変わるものではないというふうに受けとめさせていただいて、ぜひ早急な御検討をお願いを申し上げておきたいと思うわけでございます。  時間も残り少なくなってまいりました。介護保険の方にはちょっと無理なようでございますので、これは大臣にお渡ししてございませんでしたが、島さんの書かれた「裁判に花を」という冊子から引用させていただいて、質問を締めくくらせていただきたいと思います。  実は、島さんも今のハンセン病に伴う国家賠償訴訟というのですか、この裁判の原告の一人でございます。これについていろいろなことも言われておりますし、いろいろな評価もございます。ただ、私は今ここでこの裁判について見解をどうのこうのということを申し上げるつもりはございません。私自身は、国家賠償の責めに国が任じてしかるべきだというふうに思っております。そういう立場でございます。しかし、今の場は、社会復帰に当たって適切な措置をとっていただきたいということを申し上げるにとどめさせていただきたいと思います。  ただ、島さんを含む原告になられた方々の心情の一端を、この島さんの「裁判に花を」という文書が端的に表現をしているのではないかな。このお気持ちに国が本当に真摯にこたえていくということが、裁判問題をも解決する道筋につながってくるのではないかというふうに思うものですから、ちょっとお聞きをいただきたいと思います。  「もしこの裁判の結果、いくらかでも賠償金がいただけるとしたら、私は原告の皆さんにお願いして、国際医療センター建設基金を作りたい、と考えています。賠償金のお金は、たとえ一円であっても、そこに国の償いの意思が含まれているから、らい予防法廃止記念の国際医療センター建設資金に、最もふさわしいお金だと考えるからです。 国際医療センターが完成しました暁には、その玄関前に、日本の誤ったらい政策を変革した小笠原登、大谷」 これはお名前は藤郎と書いてフジオとお読みするのでしょうか、私、ちょっと不勉強で、本当に申しわけございません。  「大谷藤郎両博士の銅像を建立したいと夢みています。 私はこの裁判に、花を添えたいのです。」 という文書でございます。  こういうお気持ちで裁判ということにかかわっておられるのだなと痛切に感じるところでございます。  どうぞひとつこうしたお気持ちを受けとめていただいて、まずは社会復帰者に対します、附帯決議を踏まえた国の施策の充実、見直しというものを早急に対策を講じていただきたい、心からお願いを申し上げる次第でございます。
  162. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今委員の方から裁判上の問題について言及されました。  島さんのお気持ちは十分わかります。しかしながら、裁判ということになりますと、その内容については、申し上げるまでもございませんけれども、司法の場における判断にまちたい。そして、私どもとしては、全体として、本当に賠償に値するかどうかの論戦は法廷で行うべきものでございますので、これは言うまでもないことでございますが、そのように申させていただきます。  なお、前段の話はよく理解できますし、また、行政府だけで対応が可能でございますから、十分検討させていただくということでございます。
  163. 金田誠一

    金田(誠)委員 裁判の方の話はまた別の機会に譲らせていただきます。  終わります。ありがとうございました。
  164. 木村義雄

  165. 福島豊

    福島委員 本日の委員会では、介護保険をめぐりまして各党よりさまざまな御意見が述べられております。質問に関しましても重複するところが多々あろうかと思いますが、改めて一から一つ一つお尋ねをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず初めに、介護保険の実施の延期論ということでございます。  最近になりまして、介護保険の実施を来年四月からどうするのかということについて、さまざまな発言が相次いでおります。野中官房長官も、来年四月の実施時期に向け、どう調整していくか非常に悩んでいるという発言もございましたし、また連立与党の自由党の小沢党首は、市町村は皆反対だ、そんなものを何で無理やりやるのかというような発言もございました。  しかし、こうした見直しの発言に対しましては、非常に不適切な発言であるという批判も強いわけでございます。例えば岡本祐三先生の言葉でございますけれども、衆院選への思惑で介護保険延期論を語るのは無責任だ、そういう姿勢が政治不信を生む、介護保険は従来の福祉と違い、国民の多数を占める中間所得層を受益者として老後の生活設計を立てやすくする、こういう制度であるから延期をするということについては決して認めることはできないというような発言をいたしております。  私もそれはまことにそのとおりだというふうに思っております。ここまで準備をしてまいりまして延期をするというようなことがもしあれば、制度そのものに対しての不信感を生み、最後は、介護保険そのもののスタートが永久にできなくなってしまうというようなことに立ち至るのではないかという懸念すらするわけでございます。  ただ、さまざまに心配される点はあるわけでございまして、この点については、来年四月までの期間、そしてまた四月を過ぎてからの期間におきましても、政府はできるだけ努力をしていただくということはもちろん必要だと思っております。この点につきまして、厚生大臣の御意見を改めてお聞きいたしたいと思います。
  166. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 しばしば、本日の質疑を通じまして申し上げておりますように、これはもう法律で来年の四月一日から実施が決まっておるということのほかに、やはり今委員のおっしゃられたように、高齢化社会を迎えて、何とか相互扶助の精神で介護の問題を解決しようという大きな社会保障の柱を打ち立てようということでございますから、これはどうしても私としても実施したい。  今政府側の官房長官の発言もございましたが、これは詳細に見ますと、十一時ごろの発言ではやや誤解を生ずるような、一部いろいろ問題があって悩んでいるんだというようなことで報道されましたが、午後の四時の会見は、私もビデオを拝見いたしましたが、これはきっぱりと、非常に誤解で自分の気持ちと全く相反するものである、政府で決めたことだ、実施するということを明言しておられますので、その点ははっきり申し上げさせていただきます。  いずれにしても、これは私個人が幾ら力んでも実施できるものではございません。政府全体として、また国会の皆さん方の御同意を得たものでございますから、総力を挙げてやるということでなければなりません。そして、その責任を国民に対して果たしていくというのが政治家としての責務だと私は心得ておりますから、これはいろいろな言われ方をいたしますが、ぜひとも船出をさせて、そして、なお船出するまでにいろいろ問題があればよく対策を講じますし、船出の後、またいろいろ問題があればそれを是正していくということでこの柱を打ち立てていきたいというように決意をいたしております。
  167. 福島豊

    福島委員 そこで、現在の介護保険の制度の予想される問題点に対してどう取り組むのかということは、一つの柱として非常に重要だと思いますが、もう一つの柱は、これだけマスコミでさまざまに書かれますと、本当に大丈夫なのか、こういう思いが国民の中で強くなるわけでございまして、介護保険に対しての不安を払拭するように、そしてまた、新たな制度ですから、始めたらどうしても欠点が出てこざるを得ないわけですから、この程度のことはありますよ、幻想ばかりではありませんということも含めてきちっとした情報を国民に伝える必要があるというふうに私は思います。  これは先日の朝日新聞の記事でございますが、「介護保険「出前で」お答え」ということで、練馬区では九十四回で参加者五千人を超して介護保険の制度の説明をしている。例えば介護支援専門員とか難しい言葉がたくさん出てくるわけでございまして、お年寄りの方はいきなり言われてもよくわからないということもあろうかと思います。そういう意味では、各自治体でこのPRは例えば自治会等を通じながら熱心に取り組んでおられると思いますけれども、四月までの期間の間にさらにこれを強力に推し進めていただきたいということが第一点。  そしてまた、介護保険の制度、これはこれだけ大きな制度ができるわけですから、ぜひとも積極的にテレビを使って大臣がみずから国民に語りかけるというような形で説明をするということも考えていただければというふうに私は思っております。  それから、もう一つ大切なことは、始まってからいろいろな苦情が出てくると思うのです。そのときにどうするのかということではなくて、例えば目安箱といいますか、一一〇番でも結構でございますけれども、始まってからいろいろな国民の意見を全部受けとめるような窓口、これを同時に準備するということが必要なのではないかというふうに思います。  それは八代教授も言っています、「二〇〇〇年四月に介護保険制度が始まると、さらに多くの問題が噴出するはずだ。それを批判するだけでなく、三年後の制度見直しで改善できる仕組みを作るべきだ。」と。いろいろな苦情があるかもしれませんけれども、それをしっかりと受けとめて見直しに必ず結びつけていきます、そういうスタンスを示すということが制度発足当初のさまざまな混乱に対しての緩和の働きをなすのではないか。  制度のPRと始まってからの苦情の処理、この点についてのしっかりとした取り組みをお願いしたいと思っておりますが、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  168. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今、委員の御指摘された点は全く同感でございます。事前の広報が、厚生省としても大分努力はいたしておるところでございますけれども、なお不十分であることは否めません。  そこで、せんだって介護実施本部の緊急集会を招集いたしました、課長以上を。これは老人保健局だけの問題ではなしに、厚生省としても全省挙げて取り組まないといけないような大きな問題だということで、特に広報、周知徹底をさらに期するということが非常に必要でございますので、広報センターをぴしっとつくって、そして府県とよく連携をとりながら市町村あるいは一般の方々に対する広報をさらにさらに深めてほしい、また問題が那辺にあるか実態を吸い上げてほしい、そういうことの指示をいたしておりますので、これが本格的に稼働するようになると思います。  そしてまた同時に、今いろいろ言われておりますが、実態調査の結果、介護事業計画を保険者がつくるわけですが、それがだんだん上がってまいりますから実態がある程度正確にわかる、そうすればどういう対策を打ったらいいかという客観的な対策が浮かび上がってくるだろう、そう思っております。  なお、テレビ等を通じてというのは私も考えてみました。コストも相当かかりますけれども、しかし、私が出るかどうかは別問題として、今は視覚に訴えるというのが非常に有効です。パンフレットを配っても余り読みもしないという御時世だと思うのですよ。ですから、これは少々金がかかっても、せっかくの御指摘でありますし、私もかねてから考えておりますので、本当に考えてみたいと思います。  それから、苦情一一〇番というようなものでありますが、これは非常に魅力的な提案でございます。これはまた実施の段階にかけて、どういうところで設置し、どういう吸い上げをしたらいいか。いずれにいたしましても、そういうオープンな形で苦情が吸い上げられるということはとても重要なことでございますから、そのような方向で検討させていただきます。
  169. 福島豊

    福島委員 次にお尋ねしたいことは、介護保険の費用、これは当初は四・二兆円というふうに試算をされていたわけでございます。ただ、若干古い数字にはなるわけでございまして、この点については、マスコミによる報道でも、当初の試算四・二兆円が膨らむのは避けられないということをお述べになっておられます。  もちろん、これは各自治体からの事業計画をすべて吸い上げませんと正確なことは答弁できないということはあろうかと思いますが、保険料に直結することでもございますし、現時点での見通しというようなものがありましたらお答えいただければと思います。
  170. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 四兆二千億でございますけれども、これは平成七年の数値でございますので、その後の単価のアップ等で多少ふえるというふうな見通しでございますが、いずれにいたしましても、今、市町村の方で事業計画をつくるために事業量の見込みを立てております。これが今月中に上がってまいりますので、それを踏まえた上で、私ども分析の上で全国的な数値を来月中には出したい、こんなようなことで作業を進めたい、こういうふうに考えております。
  171. 福島豊

    福島委員 次に、保険料の格差の問題ですが、これは先ほどから多くの委員の方が指摘をしておられます。当初マスコミが報道されておりましたように、五倍も六倍も格差が開くということはまずないであろう。先般報道されました北海道の厚田村保険料の試算、全国最高ということになっておりますけれども、これについても、その基礎となる数字の置き方というのが少し違うのではないかという評価がなされているようでございます。  しかし、いずれにしても格差が生じるということは避けられないことでございまして、逆に言うと、それぞれの自治体がサービスを提供して、それに対しての応分の負担を求めるということですから、格差が起こってむしろ当たり前なんだという考え方ももちろんあるわけでございます。  現時点におきましてどの程度の格差が生じ得るのか、また、どの程度の格差であれば容認し得るのかということにつきましての基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  172. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 新聞等では五倍ぐらいになるんじゃないかというふうな言われ方をしているわけでございますけれども、私ども、まだ十分な資料を持っておりませんので、どの程度におさまるのかというのもわかりませんし、どの程度であれば満足するかというのは、まさに国民の意識に係るだろうと思っております。したがいまして、五倍がどのくらいになるか、これは私の感じでございますけれども、三倍以内にはおさまるんではないのかなという感じは持っております。  これも、まだしかとした数字は持っておりませんので、間違ったと言えばまたおしかりを受けるかもわかりませんけれども、感じとして、厚田村なんかも八千円というふうに伝えられておりましたけれども、施設に入っている方は二倍以上、平均的にはいます。これを前提とした上でも、いろいろ調整いたしますと、その半分ぐらいの四千円ちょっとという感じに落ちてまいります。したがいまして、かなりあそこもそういう意味では高く出そうなところでございますので、そう見ますと、これを超えてさらに高くなるというのは非常に少ないんではないのかなという感じを持っています。  一方、非常に少ない方のものも、確かに千何百円とかいうのもお聞きするわけでございまして、そういうのを考えますと三倍前後というのが今の差かな、したがって全国平均の倍なんてなるようなのはまずないんではないか、これはちょっと言い過ぎかもわかりませんけれども、そんな感じを持っております。  これは私個人のいろいろなところからお聞きしたりした感じでございますので、まだ統計的な数字というのは残念ながら持ち合わせておりません。先ほど申し上げましたように、今月中に大体の全国的なものがそろってこようかと思います。したがいまして、それを分析した上で全国的な平均値というものを私どもとして計算してみたい、こういうふうに思っております。
  173. 福島豊

    福島委員 それで、先ほど大臣が明確に否定されましたが、月三千円超過分について国が二〇%から三〇%の定率補助、日経新聞の一面に出た記事でございます。いずれにしましても、三倍ということであればやはりある程度の調整をしなければいかぬだろうというような考え方は出てくると思います。ただ、どういうふうに行うのかというのは、介護保険の性格そのものを変えてしまうようなことというのはなかなかできないことでもあろうというふうにも思います。  今のところでは、先ほどからの御答弁をお聞きしておりますと、まだ決まっていないということが結論であろうというふうに思いますけれども、ただ、定性的には、例えば時限的な措置としてやるのかどうなのか、それからもう一つは一律にやるのかどうなのかというような性格づけというのは、これは介護保険の性格と密接に絡んでくることでございますからできるんだろうというふうに思います。  規模とかそういうことは別としまして、基本的な考え方として、どういう形の補助であれば、保険料格差の是正であれば、介護保険制度に対して悪影響と言うと何か語弊がありますけれども、性格を変えるようなものとして想定し得るのかということにつきまして、大変漠然とした質問でございますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  174. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この格差の要因が、後期高齢者の割合とかあるいは所得水準の各被保険者による違いとかいろいろそういうことが指摘されております。そのほかにも、療養型病床群の施設介護のウエートの高いところはどうしても高くなる、これは当然の帰結でございますが。したがって、中期的には、私は、介護保険を維持していくためには格差が余りあることは好ましくないと思いますので、基盤の面で平準化を図っていかないとこれはなかなか永続しないと思います。  そういう意味で、これは来年とか再来年で直ちにやるということになると、例えば今入所者を強制的に追い出すとかそういう格好になっても現実的でありませんから、とらざるところです。したがって、これから整備をしていく段階で、地域間格差、市町村間の格差とかそういうものを是正する方向で整備を進めていく。同時に、絶対量がふえてまいりますから、どうしたってある程度量的にも拡大せざるを得ませんが、施設と在宅介護の比率のバランスをとっていくということは何よりも必要かと思います。そういったことは中期的な課題だと思っておりますが、ぜひその基準は方向性を出さないと、格差がそのまま放置されていっては、この保険制度はなかなか公平感の点からいっても持続できないと思いますから、そのことはまず基本的に申し上げたいと思います。  その上で現実の問題はどうかということは、先ほど来御答弁申し上げておりますように、今、各介護事業計画をつくる前提としての各市町村の詰めがなされておりますので、それらを見た上で、本当にどの程度の保険料格差なのか、あるいは高齢期の割合がどうなのかというのは現実にわかってまいりますから、今局長、三倍程度というような話もありましたけれども、どの程度に実際広がりを持っているものかどうか、客観的にこれを把握した上で、しかるべき対応はどうあるべきかということを、抽象的で恐縮でございますけれども、総合的に検討して、全体としての財源調整をやるのか、あるいは個別に対応するのかという問題はあると思いますが、私は、余り個別的な対応を保険料で、さっき申しましたように、基準以上だから三千円以上は二割補助するとかそういう発想はなかなかとりにくいと思うのです。  それはなぜかというと、在宅介護が中心で介護保険がスタートしているのに、施設優先の政策志向になりまして、かえって実質的なアンバランスが拡大するおそれがございますから、そういう意味で私は反対をしているわけでして、個別のやり方はいろいろ問題なしとしないと思います。  そういう意味で非常に消極的にお受け取りになっておられると思いますが、全体としての調整が必要であるかどうかを含めて実態をよく調査した上で、船出しやすいように全体として考えていきたいというように申し上げさせていただきます。
  175. 福島豊

    福島委員 また保険料と関連することでございますが、財政調整のあり方ということでございまして、市は何とかなるかなと思うのですね。しかし、町村は財政運営が果たしてきちっとできるのかということに対しては、いまだに非常に不安が強いだろうというふうに思います。  これは同じく日経新聞の報道でございますが、全国町村会が実施した介護保険に関するアンケートの調査では、財政を円滑に運営できるかどうかということで、できると思うのはわずか一・六%にしかすぎないという実態があるわけですね。一番多いのは、現時点ではわからないということで七二・八%ですけれども、しかし、保険料収入の不足、人件費などの運営事務費の負担、想像を上回る多額の給付等々が想定されて財政的に非常に困難になるのではないか、また、これは国保の財政にも大きな影響を与えるだろうというふうに心配をいたしておるわけでございます。  それで、それに応じたように、市町村関係者からの主な要望事項ということの中には、まず一つは、調整交付金というのは国の負担の二五%のうちの五%であるということになっておりますけれども、これは二五%に上乗せした五%にしてほしいという要望もあるわけでございます。また、財政安定化基金につきましても、市町村の負担というのはもうやめて、国と都道府県だけで負担してくれと。ですから、市町村の、とりわけ町村の負担というものをできるだけ軽減した上での財政調整を行っていただきたいという要望が一方ではあるわけですね。  これはまた全体の構造が変わるという話にもなるわけでございますが、こういった町村の財政運営に関しての強い不安感というものを払拭するためには、もう少しこの財政調整のあり方について厚みを増す必要があるのじゃないかというふうにも思いますが、この点についての御所見をお聞きしたいと思います。
  176. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 二五%のうちの五%の調整交付金でございますが、これを別枠にしろというような御意見のあることも承知はいたしております。  しかしながら、四兆二千億とも四兆五千億とも思われる総費用に対しての五%ということになりますと、二千億以上とかなりの額になりますね。そういうようなことでありますので、これは別枠にするかどうか。私は、建前としては、その中に包含されるという制度の仕組みになっておりますので、これをなかなか変えるわけにいかないと思いますが、実効上、それである程度調整はつく面も相当多いと思います。  それからもう一つ、安定化基金というのがございますから、これもちょっとねらいは違いますけれども、府県単位につくって、今お話しのように市町村の負担分はいけないんだということなんですが、一号保険料をもって充てるということも法律で書かれておるものですから、これを、ちょっといかがかな、三分の一ずつのものを消すわけにもいかないなという感じは持っております。  したがって、先ほど来申し上げておるように、全体として調整を要するのはどの領域であり、どの程度のものが必要かということは、そういった実態を客観的に把握した上で判断をすべきものであると思っておりまして、私ども、円滑な施行のためには少々無理してもやるつもりは十分ありますが、今ここでどういう方策だということを申し上げる段階にないということで御理解いただきたいと思うのです。  先ほど来御質問にありますように、概算要求のときまでにはあらあらの、やはり八月までにはある程度の姿をお示ししないといけないと思いますし、十月から本格実施になりますので、そういった手順も頭に置きつつ、総合的にこれからスピーディーに検討していきたい、こう思っております。
  177. 福島豊

    福島委員 また、上智大学の八代先生は、地方交付税の増額ということで、実質的に同じことになるけれども介護保険の制度そのものはいじくらない、こういうような支援の仕方もあるのじゃないですかというようなことを提言いたしておりますが、そういう点も含めて御検討いただければというふうに思います。  次は、税方式への移行の話を再度確認をしたいと思います。  私ども、かつて税方式ということを言っておりまして、この点については、中期的には日本の社会保障制度をどう変えるのかということで、ぜひともしっかりとした議論をしなければいかぬというふうに思っております。ただ、いきなりできるのかと言われますと、なかなか難しい点も多いかなという気もするわけでございまして、この点につきましての御見解をお聞きしておきたいと思います。
  178. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 お考えとしては一つの考え方かもしれませんが、私どもは、やはり負担と給付の関係が明確であり、また公費もそこに投入いたしますけれども、そういったバランスのとれた形の社会保険方式が一番適当であろうということで今回国会の意思としても御選択いただいておりますから、それでまいりたいと思います。  税方式で全部やれということは、大体今の福祉方式でということに平たく言えばなる可能性は十分ございますが、逆に言えば、今の福祉のやり方でこの高齢化社会を支え切れないという問題意識から介護保険というものに来ておるという点もございますので、せっかくのいろいろなお考えはあろうかと存じますけれども、社会保険方式を介護保険の一つの大きな柱にしていきたいというふうに、これはかたく信じておると申し上げていいと思うのですが、そのような対応をさせていただきたいと思っています。
  179. 福島豊

    福島委員 次に、施設入所者の経過措置のことでございますが、これは以前の委員会から繰り返し質問されているところでございます。  とりわけ特別養護老人ホームの入所者の方の場合、所得が非常に低いという場合が多いだろうというふうに思います。ここに一割の自己負担ということが課せられた場合に、果たして払うことができるのだろうか。払えなくて入所の継続を続けるのかどうなのか。要介護度の話は別としまして、そういう事態も多々生じることがあるのではないかというふうに思いますが、この点について、経過措置は考えるという答弁がなされているわけでございますが、具体的にはどういう方向で対応がなされるのか、どこまで検討が進んでいるのか、御説明をいただきたいと思います。
  180. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護保険制度の施行時、来年の四月一日におきまして特別養護老人ホームに入所されているいわゆる旧措置入所者でございますけれども、この方々につきましては、五年間ではございますけれども経過措置がございまして、所得の区分に応じまして〇%から一〇%の間で決められる、こういう形になっているわけでございます。現行制度から介護保険制度へ円滑な移行を図る、こういうことから、この旧措置入所者にかかわります利用者負担額が、現行の措置費におきまして負担していただいている額を大きく上回るようなことがないように、そういう方向で検討させていただいているということで、必ずしも現状維持というわけではないわけでございますけれども、大きな変動とならないように激変緩和をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  181. 福島豊

    福島委員 重ねてお尋ねしますが、施設の入所者の場合に、自立、要支援という人だけでもこの厚生省の資料では八%ということになるわけですね。こういった方の場合には施設サービスに関しては介護保険からの保険給付がありませんね。そうなった場合に、その部分というのはすべて、今のお話ですと措置のときの負担と変わらないようにするということですから、保険給付が出ない部分もカバーされるというふうに考えていいわけですね。
  182. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 これにつきましても経過措置が設けられておりまして、自立とか要支援と認定された方におきましても、五年間に限りましては新入所者と別の介護報酬をお支払いする、こういうことになっているわけでございまして、これをどの程度の額にするかということについてはまだ決定するような段階ではございませんけれども、施設全体としてこういう人たちが入ったために運営がおかしくなることがないような、多少は影響はあると思いますけれども、大きく影響がないような形で決める方向で今検討をいたしているところでございます。
  183. 福島豊

    福島委員 医療施設の場合にも、診療報酬の長期低減ということですか、長期間入院によって低減する、そうすると退院圧力というのがかかる、そして転々とたらい回しになるという事態があるわけでございまして、それと同じようなことが特別養護老人ホームも含めまして介護施設において起こらないような対応というものをしっかりとしていただきたいというふうに要望をいたしておきたいと思います。  次に、今もお話ございましたが、介護報酬で調整をするということでございますけれども、介護報酬の策定作業のスケジュールにつきまして御説明いただきたいと思います。
  184. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護報酬を決めるスケジュールでございますけれども、現在、介護報酬の関係の審議会をやっておるわけでございまして、今月から来月にかけまして具体的な報酬点数以外の介護報酬の骨格を固めるような形で精力的な御審議をお願いしているわけでございます。  ただ、こういう形で審議をして、正式に決まりますのは、予算との関連とか物理的な作業もございまして、来年までずれ込むということになるわけでございますが、新規参入せられる民間企業の方とか施設とか在宅のサービスをやっている方、こういう方の便宜というものを考慮いたしまして、まだ仮単価ということでございますけれども、主な項目につきましては一応の目安をお示ししたらどうか、加算とかなんとか細かいことはなかなか決めづらいし、決定的な数値になるわけではございませんけれども、それほど動かないような形の目安となるような仮単価をお示ししたい。  これは審議会の正式な手続を経ていない形になるかもわかりませんけれども、来年の四月からの導入を控えますと、来年になるまでほとんどわからないというわけにもまいりませんので、私どもとしてそういう方針で今作業を進めているところでございます。
  185. 福島豊

    福島委員 そこで、基本的な考え方をお尋ねしたいんですが、介護報酬がそれぞれ具体的に定まってきますと、そこからおのずと積み上げまして介護保険の総事業費というんですか、総費用というのが求められるということになろうかと思います。ただ、そこで出てきた総費用というのが余りにも大き過ぎるという話になりますと、これはどこか削らなきゃいかぬということで、また圧縮をするというようなプロセスが起こるのかなというふうに想像したりもするわけです。  これは、医療保険の世界の中の診療報酬の考え方とリンクしてくるわけですけれども、基本的に、現場での費用の積み重ねがそのまま保険料にはね返るという考え方をとるのか、保険料の方を考えると、そこのところは現場の実情とは少しすれ違っても抑制することもあるというふうに考えるのか、どちらの考え方をとられるのか。これはこれからずっと続くことですから、基本的な考え方としては非常に大事な点だと思いますが、この点についての御認識をお聞きしたいと思います。
  186. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護報酬の額は、事業費の総額でございますとか保険料が先に決まってそれを見てさじかげんをする、こういうものではございませんで、個別のサービスの報酬額とサービスの利用を積み上げた結果が総事業費になるということでございますので、先にやはり報酬があるということで適正な額を設定する必要がある、こういうふうに考えております。
  187. 福島豊

    福島委員 再度の御確認ですが、介護報酬の改定ということが恐らくまた将来的には出てくるのではないかと思うわけですが、基本的な考え方として堅持されるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  188. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護報酬のあり方として恐らく今の方がオーソドックスでないのかな、こういうふうに思っておりますので、今後ともそういう考え方で決まっていくというふうに考えております。
  189. 福島豊

    福島委員 次に、民間の参入ということについてお尋ねをしたいと思います。  二十一世紀の日本の社会福祉を考えますと、いかに効率よくこれを供給するかということは避けては通れない課題であるというふうに思います。この介護保険の事業につきましても、民間の参入ということを図るためにさまざまな取り組みが現在までなされてきたというふうに伺っておりますが、その民間参入の現状、今後の見通しということにつきまして、そしてまた、今経済の状況が非常に悪いということもありますし、失業率も非常に高いということもございますから、雇用の創出とも関連した形で御認識をお聞きできればと思います。
  190. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 現行制度のもとでも、在宅サービスにつきましては民間参入を認めているわけでございます。  ちょっと古いんですが、訪問介護事業を平成八年と平成九年を比べてみますと、平成八年が民間委託の数で三十七カ所であったわけですが、これが平成九年には六十六カ所にふえております。十年の数字はまだ把握しておりませんが、恐らくふえているのではないかと思います。それから、訪問入浴サービスが、八年が四百十八件、平成九年が四百三十一件というふうな伸びを示しているわけでございます。  介護保険制度におきましてはこの在宅サービスというのがかなりの伸びを示すもの、こういうふうに私どもも思っているわけでございまして、民間企業の方も、一定の要件を満たして都道府県知事の指定を受ける、こういうことですと、これまでは市町村からの委託だったわけでございますけれども、直接に介護保険に参入できるような形になるわけでございまして、民間企業の関心というのは非常に高いわけでございます。  もう既に各都道府県では民間企業に対しまして、勉強会といいますか説明会みたいなものを開いておりまして、金融業とかあるいは製造業等の異業種の事業者が、しかもかなり大手の会社が子会社みたいなのをつくって参入しているということで、大変多くの事業者がその説明会に参加されております。例えば、東京都では千九百人、それから千葉県では千二百六十三社、こういったような、四けたに上るような会社あるいは個人の参加がある、こういうことでございます。
  191. 福島豊

    福島委員 そうした転換というのは必要なことだと思いますが、ただ、先ほども他の委員から御指摘がございましたけれども、窓口を広げてハードルを低くすると質の低下が起こるのではないかという指摘は当然あるわけでございまして、ホームヘルパーの養成について簡略化するというのも一つの考え方かもしれませんけれども、やはりそこで一定の質を維持しようという考え方は非常に重要だと思います。  特に、民間の参入ということを間口を広げていく場合には、質の保証というものをしっかりとやっていく必要があると思います。むしろ、ホームヘルパーの増員ということであれば、そういったホームヘルパーの研修を行う機会をふやすとか、そしてまたいろいろな地域でやるとか、多様な取り組みを行っていく中で、質は維持したままで増員をするという考え方でなければならないというふうに私は思いますが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  192. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、質の確保というのは大変大事でございます。まだ当面は量という面もかなりあろうと思いますけれども、質の担保をしつつ、例えばヘルパーの養成研修の拡大を図るために実習施設の拡大等、こういったような形で質を落とさないで研修機会をふやす、こんなような工夫もしていく必要があるというふうに考えております。
  193. 福島豊

    福島委員 次に、介護保険の対象外サービスの継続の必要性についてお尋ねをしたいと思います。  配食サービスにつきましても、地域においては非常に重要なサービスだというふうに認識されておるわけでございます。  また一方では、識者の中では、介護サービスの対象というのは、自治体が保険者として責任を持って運営するのだから、どういうサービスを提供するのかということについては、地域地域によって事情もあるだろう、そこの判断に任せたらどうかという考え方も今でも根強くあると思います。例えば豪雪地帯であれば、除雪も非常に大切なサービスじゃないかというような指摘もあるわけでございまして、そこのところをどう弾力化するかというのは、見直しの中でも非常に大切なことではないかというふうに私は思っております。  ただ、差し当たって、介護保険の対象外のサービス、現状で行われておりますこと、これはできるだけやはり維持をしてもらわなきゃいかぬと思いますし、続けていただきたいというふうに私は思っております。また、それは地域の住民の願いでもあろうかというふうに思います。  この介護保険対象外サービスについての厚生省の自治体への支援のあり方、今後の対応につきまして、御説明をいただきたいと思います。
  194. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 配食サービスにつきましては、必ずしも要介護と関係ない、どちらかといえばひとり暮らし老人とかそういった方の需要が大きいということで、介護保険のサービスには入らなかったわけでございますが、確かに、高齢者の自立を助けていく、このためには配食サービスといったものが特にひとり暮らし老人等につきましては大変重要な課題である、こういうふうな認識を持っているわけでございます。  事業としていろいろ制約もあるわけでございますので、どこでもできるというわけではないと思いますけれども、市町村の判断でこれをやっていく、これについて国として支援をしていく、先ほども百億円の事業の話が出ましたけれども、これを拡充するような形で高齢者の在宅保健福祉事業を推進していく必要がある、このように考えております。
  195. 福島豊

    福島委員 その一つの側面で、先ほど少し飛ばしてしまったのですが、施設入所者、特に自立マターの要支援ということで、退所する場合の受け皿施設をどうするのかということについて多くの方が大変関心を抱いておられる。そしてまた、先日の新聞報道では「宅老所」の話が書いてありまして、こんなことが書いてあります。介護保険という制度からこぼれる人の受け皿が要ると。まさに施設入所者で自立とか要支援という人も恐らくそういうことが起こる可能性があるところでありますし、そしてまた、それ以外の場合でも、このすき間を埋めるような小回りのきく制度というものは非常に大切なことなんだろうと思います。この「宅老所」についても、「制度の枠ではくくりきれない宅老所に補助を」という訴えが続いていたというようなことがこの記事には記載をされております。  そういう意味で、介護保険の対象外のサービスというものに対しても、今局長から御答弁ございましたけれども、百億という枠にとどまらず、まさにそういうものがうまく回ってこそ介護保険もうまく回るんだ、こういう認識で積極的に取り組んでいただきたいというふうに要望をさせていただきます。  次に、家族給付の話です。  これも新聞で報道されておりましたが、「家族介護に現金給付」ということで、これも厚生大臣の写真入りの記事でございましたが、この点については先ほども御質問がございました。当初の委員会での審議でも、ここのところは非常に大きな議論になった点でございます。  考え方は理解できるつもりでございますが、しかし、これはやはり一定の条件下で検討してもいい課題であろうというふうに思っておりまして、再度、大臣の御認識をいただきたいと思います。
  196. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 我が国の介護保険制度は、現金給付を前提としていないのは申し上げるまでもございません。  しかし、家庭において親等が痴呆性老人になり要介護者になった場合に、その御家族の一人がたまたまホームヘルパーであったというような場合は、その家族がケアマネジャーのケアプランの中で実施するものであり、ほかの諸条件もあるかと思いますが、そういうことであればあえてこれを否定する必要はない。むしろ、私も委員と同様に、認めていいのではないか。しかし、無定量に、無定限にこれを認めるということは現金給付につながりますし、介護保険制度の枠外の話になりますから、そこはきちっとすべきだと思いますが、私は、そういう意味の家族的なつながりというものは尊重していってよろしいのじゃないかというように思っております。
  197. 福島豊

    福島委員 再度御確認ですが、この点については概算要求に当然盛り込むという話になるのでしょうか。八月、夏までには一定の結論を出されるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  198. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 そういった条件のもとで認められた場合は、介護報酬を当然払うことになります。したがって、一般の方々をやるのと変わりないという状況で考えていきたいと思っております。したがって、例えば親族であり親であるからといって、無定量に勤務したからといって、それが介護保険で請求できる性質のものではないと思うのですね。  一般的に、隣のうちまで行っても、そのうちへ行っちゃいけないよ、自分のうちで介護はできないよという厳しい意見があることも承知しております。これは現金給付の何か突破口になるんじゃないかという懸念を示されるそれなりの理由はあると思いますが、私は、きちっとした条件であれば、介護報酬をその部分について払うことは何らおかしくない、差し支えないというように思っております。
  199. 福島豊

    福島委員 そうしますと、先ほども申しましたが、なおさらのこと、介護に関する講習というのをできるだけ幅広くやらないと、あの人は受けられたけれども私は受けられなくて、それが家族給付の違いになっているというような事態が起きないように、取り組みといいますか、その下ごしらえみたいなものをしっかりとしていただきたいというふうに思います。  次にお尋ねしますことは要介護認定のことでございます。この点については、各地で審査会の準備等、条例が六月に出るというところが多いかと思いますけれども、進んでいると思いますが、その準備状況につきまして簡単に御説明をしていただきたいと思います。
  200. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 現在、各市町村におきまして、広域実施の準備でございますとか介護認定審査会の定数を定める条例の制定、認定審査会の委員の選定等の必要な手続を進めていただいているわけでございます。六月の議会にかかるということで準備を進めていただいている、こういうふうに理解をしております。
  201. 福島豊

    福島委員 これに関しては、厚生省からの御説明でも、現在のものがベストというわけではない、しかし、今までの経過を考えますと大分ベターにはなっている、そういう話だろうと思いますし、そしてまた、これから一気にたくさんの対象を処理していくわけでございますから、その中で適宜、フィードバックをかけて認定の仕組みそのものを改良していくという作業が継続的にやはり行われる必要があるだろうというふうに思っております。  ですから、最初はどうしても違いが出てくる。違いをなしにしようというのはどだい無理な話だと私は思っておりまして、そこのところは人間がちゃんとカバーすればいいという話になるわけでございまして、そういった継続的な取り組みにつきましての御認識をお聞かせいただきたいと思います。
  202. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 介護認定につきましては、既に審議会の了承を得まして、私ども、省令で決めさせていただいているわけでございますけれども、そのソフトにつきましてまだ検証をやっております。検証でどうしても変えなければいけないということであれば若干の手直しはあり得ると思っておりますが、施行後におきましても、当然、常に見直しをする必要がある。それから、一分間スタディーみたいな、基礎的なデータそのものがまだ足りないような状況でもございますので、そういったものの充実や、まだいろいろ御指摘の面もございますので、そういったものの研究、そういったものを踏まえた上での手直しというのはこれからも続けていく必要がある、こういうふうに認識しております。
  203. 福島豊

    福島委員 できるだけそうしたプロセスをオープンに進めていただくことがこの制度に対しての信頼感を築き上げていくことになると思いますので、ぜひともよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、介護保険の広域化、広域の施行ということでございます。数としてはかなりふえてきたのではないかというふうに私も思いますが、現状につきまして再度御報告をいただきたいと思います。
  204. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 要介護認定の広域化でございますけれども、要介護の認定だけを広域化したという地域は、五月現在でございますが、四百五十一地域で二千五百六市町村ということで、全市町村の七七%になっております。それから、時点が若干違いますが、保険財政の広域化まで進んでいるところ、三月現在でございますが、五十九地域で四百四十二市町村でございまして、全市町村の約一四%が保険財政の広域化まで進んでおります。
  205. 福島豊

    福島委員 この広域化につきましては、厚生省がその助成の措置を行っていただいておりますが、財政に関してはまだまだ進み方が少ないのではないかという気がいたします。もちろん、来年の四月ということを考えますと、タイムリミットがあるような気もいたします。  ただ、一方では、安定した財政運営ということを考えるのであれば、施行後であっても財政の広域化を図るという考え方も当然あっていいんではないかというような思いもいたします。この点については、実施前は今こういう状況でございますけれども、実施後の見通しといいますか、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  206. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 市町村が自主的に決められるわけでございますから、私どもが予測は立てづらいわけでございますけれども、少しずつ進んでいくのではないか、こういうふうに思っております。ただ、要介護認定みたいにどうしても必要かという必要性に迫られての広がりと、財政までやるとなると損得論みたいな話が出てまいりますので、その辺の調整にはやはり時間がかかるのかな、こういうふうに思っております。
  207. 福島豊

    福島委員 国保の問題も一つはなかなかやりにくいという理由になるのかなというふうに思うんですね。ですから、医療制度の改革ということを今後考えていかなきゃいけない、それに合わせてこのあたりのことも再度議論をする必要があるのではないかというような思いがいたします。  次に、これは先日、国民生活センターが分析をしたデータでございますが、介護の契約書、これは不備が目立つということで、もともと介護保険というのは、措置から利用者が選択をする仕組みに変えるということがうたい文句であったわけでございますが、現実に民間のサービスの提供者と利用者の契約を見てみると、その中身というのは、どうも利用者の権利というものを十分に擁護したような内容になっていないのではないかという指摘が出たわけでございます。これは介護保険の実施に向けてぜひともきちっとしておかなければならない点であるというふうに思います。  いろいろなことが書いてあります。「ヘルパーの資格や研修歴を全く明示していない契約書が多く、書いてあっても「十分な教育訓練を受けた者」など、抽象的な表現が目立った。」、また、「利用者側によるヘルパーの変更要求を認めると明記している会社は三社にすぎず、認めているように読める会社を含めても七社だけだった。」と。五十五社のうちこれですから、推して知るべしという話であろうかというふうに思います。また、事故の際の事業者の責任についての明確な規定が書かれていないとか、いろいろな点があります。  今回のこの国民生活センターの分析というものを下敷きにしまして、適切なガイドラインといいますか、そういうものをつくっていただく必要があると思いますが、この点についての厚生省の御認識をお聞きしたいと思います。
  208. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 御指摘のように、事業者と利用者が直接に契約する、こういうことがあるわけでございますが、事業者の義務といたしまして、相手が高齢者でございますので、サービスの内容等につきまして丁寧な説明を行って同意を得る必要がある、こういうふうな義務規定を置いているわけでございます。これは運営基準で決めているわけでございますが、そのサービス提供の出発点となりますケアプランの作成に当たりまして、介護支援専門員はその原案について利用者またはその家族に説明を行い、文書により利用者の同意を得ること、それから具体的なサービスの提供の開始に際しまして、説明書、書類を交付いたしまして利用者またはその家族に説明をする、その上で同意を得る、こういうことで、サービス提供のさまざまな段階におきまして利用者に対して必要な説明を行って同意を得ることを義務づけております。  このほか、その運営基準におきましては、苦情処理とか事故発生時の対応等を迅速かつ適切に行うような規定もいたしているわけでございまして、トラブルの防止に努める必要があると思っております。  それで、先生御指摘のような関係で、標準約款みたいなものをつくったらどうかという話もあるわけでございまして、現在ございますのは、シルバーサービス振興会によります訪問介護、訪問入浴、福祉用具貸与等の標準約款の策定をいたしております。また、有料老人ホームの関係では、有料老人ホーム標準約款、こういったようなものができております。こういったものの普及をこれから心がける必要がある、こういうふうに考えております。
  209. 福島豊

    福島委員 問題は、必要なことをちゃんと説明しなきゃいけませんよというふうにはこの運営基準の中にも書かれているわけですが、何が必要なのか、ここのところをきちっと示さないと読む側はわからぬわけです。それで、そのまま同意してしまうということになるわけです。ですから、いろいろな団体がつくっているものもあると思いますが、この運営基準、今から変えるというわけにもなかなかいかないかもしれませんけれども、何が必要な情報なのか、これはどこかできちっと利用者に説明しなきゃいけませんよと。利用者も、この情報がないじゃないか、ここはどうなっているのかとか、そういうことはよくわかっていて聞き返すことができればいいですけれども、大体は言われたとおりに、ああ、そうですかと聞いて同意をするというのが普通のパターンだと思いますから、そこのところはしっかりとした道筋を示していただきたい、そのように思います。  次に、先ほども御質問がございましたけれども、療養型病床群の取り扱いの問題でございます。医療保険でこれをカバーするのか、それとも介護保険でカバーするのかというところは非常にデリケートな問題だというふうに思いますが、この点について、短期的な、差し当たってどうするのかということと、それから将来的には療養型病床群というのはすべて介護保険に移行するものなのか、それともそうでないものなのかということについての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  210. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 当然、現在も将来とも、医療保険に残るべきものはあるというふうに思っていますし、もちろん介護保険に来るものがあるということで、両者の役割分担というのはあろうかと思うわけでございます。  介護保険の関係では、特に施設介護の関係で、一定のガイドラインといいますか制約があるわけでございます。その枠の中で、これは実際問題難しい面もあるというのは我々も承知しておりますけれども、県の御努力で一定の範囲におさめる努力をしていただく必要があると思うわけでございまして、将来的には、その中の介護力強化病院につきましては転換をしなければ介護保険からは出ていってもらう、こんなような仕組みをしておりますので、医療と介護が必要な方もいらっしゃると思いますけれども、医療が中心的で介護が従である、例えば神経難病とか人工透析のような患者さん、これは原則的には医療保険適用の療養型病床群にいていただく方がベターではないのかな、こういうふうなおおよその考え方を持っておりますけれども、これは地区地区によっていろいろ事情が異なろうかと思いますので、その辺は時間をかけて調整していく必要がある、こういうふうに考えております。
  211. 福島豊

    福島委員 これは通告をしておりませんが、局長に一点御確認をしたいのです。  老人保健制度の対象となる七十以上の方で現在療養型病床群に入っておる、こういった方は負担が非常に少ないだろうと思うのです。一方、それが例えば丸ごと介護保険の対象に四月からなったとします。そうすると一割負担ということになるのですか。要するに、負担のあり方というのは、その人が医療の側にいた方がいいのか、介護の側にいた方がいいのか、これは差があるのですよ。ちょっとここのところを御確認ですけれども。
  212. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 まだ高額サービス費が決まっておりませんので何とも言えないわけでございますけれども、老人病院、今の医療保険にとどまれば一日千二百円、三十日か三十一日で三万六千円か三万七千二百円でございますので、この間御提示いたしました高額介護サービス費の額とほぼ同額でございますので、それほどの損得というのはない、こういうふうに認識しております。
  213. 福島豊

    福島委員 わかりました。  次に、介護保険と並行して進められてまいりました医療保険制度改革につきましてお尋ねをしたいと思います。  今国会でも、薬価制度改革につきまして法案が提出される予定でございましたが、これは最終的には断念をされたということでございますが、介護保険のスタートに向けて、薬価の問題ももちろんありますけれども、それ以上に大切なことは高齢者の医療をどうするのか、先ほど五島委員からも御質問がございましたけれども、ここの部分の方がもっと大切なんじゃないかというふうに私は思います。  ただ、高齢者の医療をどうするのかということについて、審議会も含めて果たして十分なスピードで議論が進んでいるかといえば、恐らくそうではないという印象をだれもが持っておるのではないかというふうに思いますが、今後の見通しにつきまして大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  214. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 医療保険制度につきましての四つの課題ということを申し上げておりますが、診療報酬のあり方、薬価の問題、老人医療制度をどうするか、それから医療提供体制ということで、これは並行的に議論を進めさせていただいております。  私どもといたしましては、いずれも十二年中の実施を目指して努力をしてまいってきておりますが、今のところ、薬価の方はちょっとまだ党側の調整がつきませんし、参照価格制度を提唱いたしましたけれども、その考え方を一応棚上げというか、そういうことで検討のやり直しをやっておりまして、正直言ってまだ成案を得ておりません。したがって、これをまとめて今国会に出すというのはなかなか困難な状況ではないかと思うのですが、さらにこれも進めていくということでございます。  診療報酬につきましては、これは中医協のマターでございますから、中身はいろいろ検討させていただいておりますが、法律改正ということではないと思います。  それから、老人医療の問題、今委員の御指摘のように、私どもも最大の問題であるという意識を持っています。しかし、実際にこれも審議会を通じましていろいろ試算を提出したりいたして、また老人医療のシステムのあり方についても二通りの考え方を示したりしておりますが、なかなか熟した議論になっていないというように率直に認めざるを得ません。  したがって、私どもとしては、薬価の問題あるいは診療報酬の問題と非常に関係がありますけれども、あるいは一部負担をどうするかという問題と非常に密接な関係がありますが、老人医療の制度をどうするかというのも非常に重要な課題でございますから、できるだけ成案を急ぎたいとは思いますが、これも両論ありまして、必ずしも帰趨が明らかでないという点がございますので、先ほど御質問があったのにお答えして十二年中にはというように申し上げてありますが、これも鋭意進めてまいりたい。  そして、介護保険との関係でいきますと、医療保険の中でも老人医療は非常に密接な関係があると思います。したがって、実施が四月からになりますので検討を急がなければならないとは思っておりますが、結論を得るのにいろいろな調整その他を要するという率直な一面もございますので、できるだけ早くやっていくつもりではございますが、御理解もいただきたいと思います。
  215. 福島豊

    福島委員 なかなか難しいということだろうと思いますが、先日の報道でも、三つの不安で貯蓄率が上昇、これは日銀の論文ですか、年金の不安、そしてまた高齢者は介護の不安、中高年層はリストラの不安ということで、三つの不安で貯蓄率が上昇したという分析があるわけでございます。  医療の問題もその一つに結びつく話だと思いますけれども、全般として、社会保障制度の改革がスムーズにいっていないということが非常に不安感をもたらしている。社会保障制度の安定性というものに対しての危機感が現在の貯蓄率の上昇に結びついている。これは以前から経済学者がいろいろと指摘してきたことでございますが、日銀のそういった論文が出たということでございます。  最近経団連も、社会保障制度改革を本格的にすべきであるというような提言を改めてしておるようでございますけれども、医療年金、介護にわたる全般的な社会保障制度改革に本腰を入れて取り組まなければならない時期というのが本当に迫っているというか、もう抜き差しならない時期なんだというふうに私自身は思います。  通告しました質問の順番を若干入れ違えておりますけれども、年金の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  厚生年金保険料収入が給付を下回った、赤字になったということですね。これは発足以来初めてのことである。そしてまた、現在は運用益でこれを賄うということができるけれども、しかし積立金を取り崩していくというのが予想以上に早く迫ってくる。二〇〇二年前後には、毎年の運用収入だけでは赤字を補てんできなくなる。  したがって、今国会でもその提出というものがどうなるか、いまだに見通しがつかない年金改革法案でございますけれども、その改革案が出る前に、既にこれは計算そのものをもう一度見直さなければいけないということになってきたのではないかと思うのですね。この点について、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  216. 矢野朝水

    ○矢野政府委員 ことしは五年に一度の財政再計算の年でございまして、政府案というのを取りまとめたわけでございますけれども、今与党内で調整が行われておりまして、まだ法案が国会に提出できない、こういう状況でございます。これは、一刻も早く与党内の調整をお願いして法案を国会に出させていただきたいということで努力していきたいと思っております。  年金の抱える問題でございますけれども、これは今委員が御指摘になったとおりでございます。年金制度というのは、給付と負担の均衡というのが制度が存続するための絶対的な条件でございますけれども、我が国の年金というのは、保険料の方は段階的に引き上げていく段階保険料方式をとっておるわけでございます。ところが、今回、経済状況が非常に厳しいということで、保険料につきましては引き上げを凍結する、こういうことが既に決まったわけでございます。厚生年金でいいますと、年間二兆円を超えるような保険料収入が入ってくるはずだったものが入ってこない、こういう状況になっております。  一方で、今回の改正では給付につきまして伸びを抑えていく、こういう改革を考えておるわけでございますけれども、現在、先ほども申し上げましたように、まだ法案が国会に提出できない状況でございます。  私どもとしましては、こういう経済状況ですから、保険料の凍結というのはやむを得ないわけですけれども、できるだけ早く経済が回復して保険料の凍結解除の時期が一刻も早く来ることを期待しておるわけでございます。  それから、給付につきましては、このまま放置しておきますと、負担と給付との均衡が崩れて財政が悪化するわけでございますので、給付につきましても将来の伸びを抑えていく、こういう改革を一刻も早く実現いたしまして長期的なバランスを確保する、こういう制度改正を一刻も早く実現する必要がある、そういった制度改正をお願いしたい、こう思っておるわけでございます。
  217. 福島豊

    福島委員 私が申し上げたかったのは、この数字は、保険料の凍結ということだけではなくて、リストラということが一つある、それから月収がふえない、むしろ減る場合がある、そういうような保険料以外の二つのファクターがかなりきいてきて赤字になってしまったのではないかというような書き方がなされていますね。  そういうことがどの程度に評価できるのかというのは、私も細かな数字は存知しておりませんけれども、そういう事態を前提としますと、今回提出予定でありますところの法案の対応だけで今後対応できるのかどうなのか、そこのところにも不安が生じているのではないかということを申し上げたかったわけでございまして、この点については再度御説明をいただきたいと思いますが、時間もありますので……。  次は健保組合の方の話に移りまして、これも大変だという話があるわけでございます。  健康保険組合の赤字も最高の三千九百六十九億円ということで、これが九九年度の収支の見込みでございます。九八年度の赤字見込み額の約三倍にふえている、解散した組合も本年度十一組合に上るという報道になっております。これも非常に大変なことだというふうに思います。  先ほども、介護保険のスタートと高齢者の医療制度の改革ということ、このセットの話というのが必要ではないかという話をいたしましたが、組合健保の負担というのは、来年になりますと介護保険に対しての拠出金というのが上乗せをされるわけですね。老人保健の拠出金が多少なりとも減るかもしれませんが、合算をすれば出ていく分がふえるという結論にならざるを得ないだろうというふうに思うのです。現在でも赤字の組合が八四・六%ですから、そこに負担をまた重ねるという形になりますと、さらにこれは拡大していくということになるでしょうし、赤字を回避しようとすれば保険料率を上げなきゃいかぬという話になると思うのです。この保険料率を上げるという話が果たしてのみ込める話になるのかどうなのか、ここのところは大変大きな問題だと思いますが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  218. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 御指摘になりましたように、健康保険組合の財政状況は、現在、大変厳しい状況になっていることはそのとおりでございます。そういう状況の中で介護保険制度が創設をされますと、これも御指摘のございましたように、一方においていわゆる老人保健の拠出金が若干減りますけれども、新たに介護納付金という形での負担がくるということで、財政的には厳しい要因が一つ加わってまいります。  こういった健康保険組合の財政状況をどうするか、これは実はひとり健康保険組合だけではなくて、医療保険全体を通じての状況でございます。特に最近のように、医療費は大幅に伸びて、しかし賃金はそう伸びないという状況で、ここからきておりますので、そうしますと、健康保険組合に限らず医療保険財政の改善を図るためには、先ほど大臣が御答弁申し上げましたような、それぞれの構造にメスを入れる形で医療保険の抜本改革をすることを通じまして医療保険の体質をしっかりさせていきませんと解決にならない。私ども、そういう意味からも抜本改革の取り組みが大変大事であるということで、抜本改革を通じてそういった健康保険財政、特に介護保険導入後における医療保険財政も含めまして対応いたしていきたいということで、抜本改正の平成十二年度からの実施に努力することを最大の眼目にしてまいりたいというふうに思っております。
  219. 福島豊

    福島委員 局長の答弁がよくわからなかったのですが、差し当たって来年度はどういう見通しになりますか。
  220. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 来年度、介護納付金が新たに加わることは、今回の介護保険の実施に伴って当然起こることでございますから、それはやはり医療保険としてもきちっと納付をしていただくために、現在のスキームの中でも円滑な納付についていろいろ工夫をいたしておりますから、そういったことを含めまして、来年度の円滑な納付に向けまして、先ほど老人保健福祉局長からも御答弁ありましたように、来年度のいわゆる納付金等はどういうふうな姿になってくるか、これから実態把握ということで出てまいりますので、そこも踏まえながら円滑な実施につきましては私どものサイドからも努力をいたしたいというふうに思っております。
  221. 福島豊

    福島委員 私はこんなふうに考えているのです。  裁判も起こされました。とりあえず来年は、なかなか間に合わない話が多過ぎますので、いっとき、今現在は、例えば老人保健の拠出金でも滞納した場合には非常に懲罰的な利息がつくわけでございまして、こういうことはやめて、逆に低利の融資をする、懲罰的な滞納金を取るということでなくて、そういう何らかの緊急避難的な措置を考える必要があるのではないかというふうに私個人は思います。ここのところはぜひよく考えていただきたいというふうに思っております。  いずれにしましても、今、医療保険の方も、現実に健康保険組合の財政は破綻状況、厚生年金も赤字になったということで、赤字三兄弟になるのではないか。介護保険も赤字になるかもしらぬというふうに思ったりもしますけれども、全体として社会保障制度をどう変えていくのかということについて、橋本内閣でその取り組みがスタートしたわけでございますけれども、再度この議論というのはどこかでスタートさせる必要があるのではないか。これはどこでやったらいいのか。厚生省の中でやるのがいいのか、それとも例えば経済戦略会議のような形で、どういう結論が出てくるかわからないからちょっと不安な点もございますけれども、総理直属のそういう機関を設けることも考えていいのではないかというような気がいたします。  この点について厚生大臣がどうこう言う立場ではないというふうな気もいたしますけれども、今後、社会保障制度改革は絶対避けては通れない話ですから、これをどういう形で成就するのかということにつきまして、大臣の御認識を再度お聞きしたいと思います。
  222. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 最近のいろいろな世論調査を見ましても、国内問題としては景気の問題がございますけれども、それに劣らないだけの社会保障に対する期待感が非常に大きいし、関心も高いと私どもは認識しております。それだけに、人口構成その他が、これから少子・高齢化ということがいや応なく迫られる現実でございますので、対応が迫られるわけであります。  したがって、国内問題の中で社会保障制度を抜本的にどうしていくかということは我々が真剣に考えなければなりませんし、その対応をなるべく早く示していかないと国民に安定した社会保障制度の姿を提示できませんし、安心していただくわけにはいかぬと思うのです。  そういう意味で、ぜひとも社会保障制度について内閣全体としても最大の関心を示さなければならないということでございまして、小渕内閣におきましてもその点はいささかも変わっておりません。  また、その手法として、こういうように停滞しているから、閣僚会議でやって果たして直ちにうまくいくものかどうか、そこは疑問に思いますから、私ども、専門家集団を抱えておりますので、いろいろ諸団体の利害調整その他の問題、現実の問題がございますし、納得したものでないとなかなかまとめられないという点もありますから、そういう非常に重要な課題がある、しかもいろいろの面で山積しておるという意識はもう十分持たせていただいておりますので、この点についても鋭意努力しながら、全体視野を持ちながら一つ一つ解決をしていきたいと考えて、決意をしているところでございます。
  223. 福島豊

    福島委員 ぜひとも力強い取り組みをお願いいたしたいと思います。  残る時間は個別の問題につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、近年、アレルギー性疾患というのが非常にふえているわけでございまして、アトピーですとかぜんそくですとか、いろいろなアレルギー性疾患がございます。  先日、こういう衝撃的なデータが日本アレルギー学会で報告をされたと週刊誌に載っておりました。週刊誌を読んで質問するのはいいか悪いかという話がありますが、要するに、アトピー性皮膚炎の治療の外用性ステロイド剤で女の赤ちゃんが九五%の比率で生まれていると。  これも医学的には、こういう事実というか観察でありまして、因果関係がどうなのかという話になるわけでございますが、先般から厚生省にいろいろとお尋ねをいたしておりますけれども、アトピー性皮膚炎の患者さん、小児の一〇・三%、成人の七・四%、全体とすれば、小児は大体八百万人ぐらいおるのでしょうか、ですから、百万人を超える人がアトピー性皮膚炎に罹患をしているだろうというふうに思うわけでございます。  この中で、こういった方にはステロイド剤の外用剤が幅広く使われているわけでございますが、この外用性のステロイド剤がさまざまな副作用を引き起こすことがあるというふうに効能書きには書いてありますけれども、実際どのぐらいの頻度で副作用が起こっているのかということについては、余りそのデータを見ることがないわけでございます。  私も、小さなお子さんを抱えておられるお母さんとお話ししますと、ステロイド剤というのは副作用が起こって怖いからというようなことで、あんな例もあったよ、こんな例もあったよというようなことが口コミで実は非常に広がっているわけですね。  このあたりの事実というのは、先ほどの女の子供の出産が多いというような衝撃的な週刊誌の報道もあったわけでございますので、ぜひとも客観的な事実というものを明らかにしていく必要があるのではないか。そしてまた、副作用の発生が非常に多いということであるのであれば、このステロイド剤の使用法について一定のガイドラインというものをきちっとつくって、そしてこれが一般の開業医の先生方にも広く流布するような、そういう対応が必要なのではないかというふうに考えているわけでございますが、厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  224. 伊藤雅治

    伊藤(雅)政府委員 外用性ステロイド剤の問題につきましては私どもも大変重要な問題というふうに認識しておりまして、近年、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患の研究については、重点的な研究課題と位置づけまして、年々研究費の増額を図っているところでございます。  平成十年度から、この外用性ステロイド剤の副作用の問題につきまして、三カ年計画で研究事業に取り組んでおりまして、アトピー性皮膚炎の治療法の確立と評価に関する研究という形で、東京大学医学部の玉置教授に研究をお願いしているわけでございます。  現在、初年度の研究報告書が提出されたわけでございますが、その骨子を申し上げますと、十施設五百四十八例のアトピー性皮膚炎の患者さんが対象となっておりますが、九〇%程度の症例におきましては、副作用が余り問題とならない外用量でアトピー性皮膚炎の症状がコントロールされているということが一点でございます。二点目といたしまして、一〇%程度の患者さんにつきましては治療の効果等につきましていろいろ問題があったということがございます。それから三点目といたしまして、血管拡張でございますとか皮膚萎縮などのステロイドの副作用につきましては、外用量それから塗布する部位によって出現率が異なるというようなことが報告されております。  いずれにいたしましても、今年以降、さらにこの詳細な調査を行いまして、私どもとしては、御提案のような一般の医科向けなり病院における治療のガイドラインのようなものにまとめまして、広く使用していただくというようなことを検討していきたいと考えております。
  225. 福島豊

    福島委員 今御説明がございましたように、何%かの事例では副作用というのは避けがたいところがあるのだろうというふうに思うのですね。ただ、これは母数が非常に大きなことですので、本当に多くの方が潜在的にそういうことで悩んでおられるということを理解して対応する必要があるのではないかというふうに思います。  そしてまた、現在はアトピー性皮膚炎に対してステロイド剤が非常に著効を示すわけでございますけれども、近年開発が進んでいる、DNAを投与することによってこのアレルギーに関しての感作を行うというような治療法も開発されつつあるように新聞には報道されておりますし、そういった意味での代替的な治療法の開発に力を注いでいただきたい、そのように申し上げておきたいと思います。  次に、結核の話をお聞きいたします。  先日の新聞で、福島県で集団結核感染が院内感染として起こったという報道が出ておりました。こういった院内感染というのは、集団ではないにしても、散発的な事例というのは、実際にさまざまな医師の方とお話をするとお聞きするところでございます。意外とたくさんこういうことが起こっているのじゃないかというような印象がございますけれども、この点についての厚生省の御認識をお聞きしたいと思います。
  226. 伊藤雅治

    伊藤(雅)政府委員 近年、結核につきましては、いわゆる再興感染症と言われておりますように、減り方が減ったというよりはふえ始めているわけでございまして、それに伴いまして集団感染の事例も増加しておりまして、件数だけ申し上げますと、平成七年が十一件、八年が二十一件、九年が二十九件、十年が四十四件となっております。このうち、医療機関の中で発生している集団感染事例につきましては、十年の四十四件のうち十一件、こういう状況でございます。  これは、私どもといたしましては、医療機関における集団感染につきまして、医療機関におきます管理の徹底を図っていくという観点から、特に平成九年の八月に通知を出しまして周知徹底を図っているところでございますが、さらに現在、関係学会等の御協力も仰ぎまして、総合的な院内感染防止のためのガイドラインの策定に努めておりまして、これを近々まとめていきたいと考えているところでございます。  さらに、現在、公衆衛生審議会の結核予防部会におきまして総合的な結核対策の見直しを行っていただいておりまして、その中におきましても、結核の院内感染の問題も重要な課題として取り上げておりまして、今月中を目途にまとめまして、その意見をもとにさらに趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  227. 福島豊

    福島委員 福島の集団結核感染の事例では、看護婦が発症と判定後も、入院まで三、四日間勤務し、また、最初の患者について病院が会津保健所への報告を怠っていたということで、医療現場における結核に対しての緊張感のなさといいますか、なれといいますか油断といいますか、そういうものが恐らくあるんだろうなというふうに私は思います。現在は多剤耐性の結核菌がふえているということもございますし、ぜひとも緊張感を持った対応をするように、再度徹底した御指導を、今御報告がありましたようにその線に沿って進めていただきたい、そのように要望させていただきます。  次に、これも院内感染の事例でございますが、これは透析にかかわる院内感染ということで、最近二例続けてB型肝炎の集団感染、院内感染と疑われる事例が発生いたしました。これは数年前に東京都内でも同じような事例があったわけでございまして、そのときにも原因は一体何なのかと厚生委員会でも取り上げられたことを記憶いたしております。  今回のこの事例について、どういう状況なのか、現在わかっている状況をお教えいただきたいと思います。
  228. 中西明典

    ○中西政府委員 五月二十七日に兵庫県の方から、加古川市内の医療機関におきまして五名のB型肝炎患者が発生し、うち二名が既にお亡くなりになったという報告を受けまして、私どもといたしまして兵庫県に対しまして、感染原因の究明、他の感染患者の発生状況の把握等について指導してきておるところでございまして、私どもといたしましても、担当官を兵庫県に派遣し、現在兵庫県が取り組んでいる調査を支援してきているところでございます。  県といたしまして院内感染調査委員会を設置され、立入調査等も行ってきていただいておるところでございますが、まだ調査結果についてはまとまっていないというのが現状でございます。
  229. 福島豊

    福島委員 以前の東京都内の医療機関における事例についても、よく調べたけれども結局よくわからなかったという結論になったように伺いました。多分、血液が付着して、それが別の患者の穿刺のときに付着して感染を起こしたんだろうと容易に想像できるわけですが、なかなかそれを検証するということが現実には恐らく難しいんだろうなというふうに思います。  これは医療過誤の問題ともつながってくるわけでございますが、一定の医療機関の中におけるさまざまな業務のルーチンのあり方、こういうものがどういうふうにマニュアル化されコントロールされているのかということが非常に大切だろうというふうに思っております。こういった院内感染を防ぐという意味からも、そしてまた医療過誤を防ぐという意味からも、そういう点は大切だと私は思います。  現在の医療監視のあり方というのは、実はこういったことについては十分目が行き届いていないのではないか、その点は今後改めていく必要があるのではないか、そのように私は思いますが、再度御見解をお聞きしたいと思います。
  230. 中西明典

    ○中西政府委員 医療監視の中でも、毎年実施方針を立てまして、その中の留意事項の一つとして院内感染防止対策への対応につき指示いたしてきているところでございます。  先生の方で先ほどお触れになりました、東京の新宿で起きましたB型肝炎の集団感染事件、これは平成六年でございますが、その後厚生省といたしましては、ウイルス肝炎研究財団と共同で策定いたしました平成七年改定のウイルス肝炎感染対策ガイドライン、これにつきまして医療機関に対し平成七年三月に改めて通知し、院内感染対策の推進が図られるよう指導してきているところでございますが、それも含めて、こういった加古川の事件もございます、感染防止のためのガイドラインについてはよく周知してまいりたいというふうに考えています。  それからさらに、ことし四月には透析医学会に対しまして透析の安全な実施のためのマニュアルの作成を依頼したところでございまして、今後兵庫県の調査結果なども踏まえまして、さらに医療機関に対して、そういったウイルス肝炎対策を含め感染対策の徹底につき十分な指導をしていかなければならない、かように考えております。
  231. 福島豊

    福島委員 どうもありがとうございます。  次に、また個別の問題でございますが、先日の報道で、東京都立衛生研究所、名古屋市衛生研究所の実態調査で衣類からホルムアルデヒドが検出された。これも、通産省の所管である家庭用品規制法に定められている水準以上のものが検出された。これもいろいろと刺激作用がありましてアトピー性皮膚炎を起こしたりするわけでございます。  この点について改めて調査された中で、形状安定加工された衣類の九割、カーテン、カーペット類の六割から検出された。これは非常に大切なことだろうというふうに思うのですね。特にカーテン、カーペットとかそういうものは乳幼児が接触する可能性が非常に高い。それがまた、室内における生活時間が非常に長い乳幼児にとってはアトピー性皮膚炎の原因になるというような可能性も恐らくあり得るんだろうというふうに私は思います。  この点については、両研究所のデータというものを踏まえて全国的な観点からの調査、そしてまた、これは所管がちょっと違うわけでございますけれども、通産省ともぜひともよく話をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  232. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 家庭用品にさまざまな化学物質が含まれているわけでございますし、これらの化学物質によりまして健康被害を生ずるおそれもあるわけでございますが、これに関しましては、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律というのがございまして、これに基づきまして有害物質ごとに基準を設定し、規制を実施いたしているところでございます。  このうち、今御指摘のございました衣類のホルムアルデヒドにつきましては、衣類の種類ごとにホルムアルデヒドの基準を設けているわけでございます。具体的に申し上げますと、生後二十四カ月以下の乳幼児のつける下着等につきましては、これは検出してはならないというふうになっておりますが、例えば、私どものつけております下着につきましても、七五ppm以下というふうな基準を設定いたしておりまして、この基準に基づきまして、全国の都道府県あるいは政令市等におきまして、実際に買ってきまして監視指導を行っているわけでございます。こういったことで衣類の安全性に努めているわけでございます。  また、昭和五十四年度から健康被害モニター報告制度というのを設けておりまして、家庭用品に含まれます化学物質による健康被害につきまして情報を収集いたしまして、必要に応じて対策を講ずるといったこともやっております。  これらの最近の報告によりますと、下着類に起因いたします健康被害の報告というのは、数%というレベルでございます。この中には、当然今先生御指摘の形状記憶の関係のものは含まれておりませんけれども、ただ、こういった先生御指摘になったような報告もあったわけでございますので、健康被害モニター報告といったものを通じまして情報の収集を図りますとともに、専門家の先生の御意見をよく聞きまして、今後どういった対策を講じていく必要があるかということは検討してまいりたいと考えております。  また、その他の問題も、いわゆるシックハウス症候群と最近言われているものもございます。これも非常に関心の高いものでございますが、これらも、現在種々のものにつきまして調査研究を進めております。さらに一層充実をし、住環境に起因するこういう健康被害の防止というものに努めてまいりたいと考えております。
  233. 福島豊

    福島委員 個々の利用者が、これはこのワイシャツが原因でこうなったんだというふうに認識するほどの被害ではない、しかし、よく調べてみると多少なりとも何かはあるかもしらぬという水準の話なのかもしれません。ただ、こういう事実が明らかになったわけでございますので、厚生省としても鋭意取り組んでいただきたいというふうに思います。  質問時間が終わりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  234. 木村義雄

  235. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  日本経済の非常に深刻な現状を我々が考えるときに、消費不況の克服がまさしく今急務になっている、消費不況の克服のためには国民の老後への不安を解消することが一つの重要なかぎになってきている、この点では、先ほども大臣お触れになっておりましたが、共通の認識が形成され始めていると思います。  そこで、最初に申したいのは、高齢者の社会保障を考えるとき、医療と介護と年金、これが主要な柱になっている。それぞれが独自の役割を持っており、本来であれば相互に補い合うものでなければならない。この三つの柱の現状と今後を相互の関連でしっかりとつかむことが非常に大切だと私は考えます。そうでなければ、国民の将来に対して責任を負えないということになります。  厚生大臣に、この点についての考えをまず最初に伺います。
  236. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の御指摘のように、最近の景気動向の中で、需要政策としては、消費を拡大するということが非常に重要な視点でございまして、政府としても消費喚起のためにいろいろの施策を講じておるところでございますが、社会保障面におきまして長期的な安定、安心できる制度がないから消費が抑制されて貯蓄に回るんだということがよく言われておりまして、私も、ある一面はそういう点は否定できないことだと存じます。  したがいまして、私どもの立場としては、消費拡大という視点ばかりではございませんが、そういうことも頭に置きながら、社会保障の長期的な安定、安心できる制度をつくり上げるということが極めて重要なことであると存じております。  今委員の御指摘のように、年金医療、介護、これは三つの大きな柱でございまして、いずれもが今少子・高齢化という急速な変化を踏まえて改革が求められておりますので、今誠心誠意この改革に取り組んでおる。しかし、いろいろの要因が重なり合っておりますし、利害調整その他、非常に身近な行政であるだけに一義的になかなか解決できない問題が多うございますので、私どもは、いろいろ精力的にその調整を図りながら改革案をお示ししたいということで努力させていただいております。
  237. 児玉健次

    児玉委員 まず、年金の問題ですが、現在、日本の高齢者世帯の五六%が年金のみで生活をしています。そして、年金受給者の過半数が国民年金であって、その平均受給額は、皆さんよく御存じのとおり、月の金額でいえば四万円台です。ことし三月のこの委員会でも論議をしたところですが、最初に厚生省に伺いたいのは、第一号被保険者及び基礎年金拠出者の直近の数を示していただきたいと思います。
  238. 宮島彰

    ○宮島政府委員 平成九年度末の被保険者数でございますけれども、一千九百五十九万人でございます。これに、ちょっと時点が異なりますが平成七年公的年金加入状況等調査の第一号未加入者百五十八万人を加えますと二千百十七万人となります。  それから、平成九年度の国民年金第一号被保険者の基礎年金算定対象者数につきましては一千二百四十八万人となっております。これは、一年間の保険料納付月数を十二で割ることによって算定された数でございますので、いわば納付者が全員十二カ月納付したと仮定した数字でございますので、例えば十月に新規加入して六カ月だけ納付したという人につきましては納付者〇・五人というカウントになっております。
  239. 児玉健次

    児玉委員 そこで申したいんですが、今厚生省から明らかにされたように、第一号被保険者が千九百五十九万人、そして少し古い数字ではあるけれども国民年金の未加入者が百五十八万人、合わせて二千百万人です。そして、基礎年金の拠出者数、これはいわゆる納入月で計算していますからこれが即人数だとは私は思いませんけれども、一つの極めて重要なメルクマールだと思います、それが千二百四十八万人である。  そうすると、基礎年金拠出者の比率は大体六〇%であって、それを除く数は四〇%。よく国民年金保険料の納付率は三割云々と言われますが、それを相当大幅に上回っている。公的年金制度の根幹が問われるところにまで今空洞化が進みつつある、この点を私はまず指摘しておきたいんです。  次に、国民の三人に一人が加入している国民健康保険の問題です。  保険料の滞納世帯数はどうか。一九九六年、平成八年の段階で二百九十六万世帯であることが明らかにされています。これも直近のデータで示していただきたいのと、そしてもう一つ、現行の老人医療保険加入の形態にあって、被扶養者すなわち保険料を負担しなくていい方々の人数が、これも直近で何人になっているか。  以上二点、お答えいただきたいと思います。
  240. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お尋ねの中で、国民健康保険保険料を滞納している世帯数でございますけれども、平成十年の六月一日時点というのが最新でございますが、国民健康保険保険料を滞納している世帯数は全国で約三百二十二万世帯、率にしまして全世帯の一六・五%という数字になってございます。
  241. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 現行の老人保健制度の中で、被扶養者でございます高齢者でございますが、平成十年度の推計値で三百十万人でございます。
  242. 児玉健次

    児玉委員 私たちが介護保険制度を考えるときに、もちろん国民年金でいえば、納入している人の年代はもうあれこれ述べる必要もありませんが、全体として年金が深刻に空洞化し始めている。それから国民健康保険の滞納世帯数ですが、わずかの間に二百九十六万世帯から三百二十二万世帯にふえてきている。  そういう中で、私たちが高齢者の暮らしを直視して考えようとする場合、先ほど申しましたように、医療年金の現状と今後がどうなろうとしているか、そのことと介護保険の国民負担の問題を結びつけて考える必要がある。  まず年金ですが、現在検討されている年金のいうところの改革ですが、報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げ、賃金スライド制の凍結、給付水準の五%引き下げ等、明るい材料は一つもありません。特に支給年齢の六十五歳への繰り延べについていえば、逃げ水年金という言葉が出てきているぐらいです。そろそろもらえると思ったらどんどん逃げていく、しかもそれが次第にかすんでいく、こういう状態ですね。  次に高齢者医療ですが、これもさまざまな議論がされていますが、一つはっきりしていることは、九七年に発表された当時の与党の医療保険制度協議会の指針、少しおくれて発表された厚生省案、そこで完全に共通しているのは、高齢者医療において定率制を導入する問題です。もう一つは、先ほどの厚生省のお答えでも明らかなように、現在保険料を負担していない三百十万人の被扶養者を含めて全員から保険料を徴収する、こういうことですね。  それで、いつ始まるか。私たちは、この医療改革、これは改悪だと思っています。年金医療の問題を皆さんがいろいろ議論しているけれども、なぜそれがスムーズに進まないのか。その底流には、おととし四月の消費税の引き上げ、九月の医療引き上げ、これが国民の暮らしと日本経済に何をもたらしたか。この点について国民の間に広い根強い怒りがあります。その怒りが結局力になって、年金医療の連続改悪は国民の厳しい反対に直面せざるを得ない。それが現在の事態だと考えています。  その点を述べた上で、もっと直接的に言ってみたいと思うのです。介護保険料が月額三千円弱、先日のこの委員会で大臣がお答えになった中身です。それに高齢者の医療保険料がやがては重なってきましょう。  与党協議会の座長をなさっている丹羽雄哉氏が「生きるために 医療が変わる」という書物を出されて、私は大変興味深く読みました。その中で丹羽氏はこう言っています。「介護保険料は二〇〇一年度で月額平均二千五百円となっているが、老人医療費は少なくみても介護費用の二倍はかかるので、介護保険料と同水準にして月額五千円が現実的ではないか。」  三千円弱だとすれば六千円弱ということになる。これが重なってかぶさってきて、しかも、国民の五六%が年金のみに依拠して暮らしているが、その年金支給というのはこの後減額されることはあってもふえていく見通しは極めて乏しい、そういう状況ですね。  ことしの一月二十七日の予算委員会で、私はこの問題について質問いたしました。私の質問に対して宮下厚生大臣は、「余りこれが」これというのは介護保険料ですね、「余りこれが高度または高額になりますとこの保険制度が成り立たなくなる可能性もありますから、」非常に率直にお答えいただいたと思うのです。この答弁は、介護保険問題についての一つのやはり重要なステップだったと思うのですね。  宮下大臣があのときおっしゃった「保険制度が成り立たなくなる可能性」、この可能性を多くの国民が実感して、そして介護保険制度について強い不安、危惧を持っている。そのことが最近の介護保険制度をめぐるさまざまな論議の底流にある、私はそう考えております。  保険料が余り高額になって保険制度が成り立たなくなる危険性、今、我々は現実にそこに直面しているのではないか。この点、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  243. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 介護保険保険料がかなり高いものになりますと、医療保険とか年金保険料とかいろいろ重なってまいりましてなかなか容易でないことを恐らく頭に置きながら申し上げたことでございまして、今の介護保険保険料の実態がどうであるかというのはこれからよく調査をして、各市町村の事業計画に基づく数値を見た上でいろいろ判断していきたいと思っております。今言われるような、例えば八千円とか九千円近いものというようなことになるとなかなか容易ではございませんが、私ども、そういう北海道の例もございましたので調べてみますと、かなりオーバーエスティメートしているのではないかと思われる節もございまして、標準的に見て四千円台くらいではないか、そういう感じを持っておりますので、現実にどのような姿になってくるか客観的によく見た上でいろいろまた判断をして対策を講じていきたいと思っています。
  244. 児玉健次

    児玉委員 私は北海道ですから、厚田の名誉のために一言言っておきましょう。  非常に高額だということが随分流布されました。確かにあの地域では要介護率を二九%と算定した。これは、その役場の担当の方たちが、一つは、先ほどの議論にもありましたけれども、今までの重なる努力で施設介護について一定の水準までいっている問題。そして、地域の住民全体の介護に対する責任感と熱意のあらわれ、それがこういう率になっているのだという点は一言述べておきたいと思うのです。  そこで、今の問題に返りますが、皆さんに資料をお配りしていると思うので、ちょっと手にとっていただきたいと思います。  「高齢者世帯の世帯類型別所得階層分布」、一九九五年のもので少し古いですが、私が見る限りでは、こういう形で分析したのはこれが一番新しいものです。  女性の高齢単独世帯のところを見ていただきたいと思います。ごらんのとおり、年の所得が五十万円未満、五十万円未満というのは月四万二千円以下です、そういう方たちが、二百十四万世帯のうち一〇・二%、そして、五十万から百万、百万から百五十万、それぞれ見ていただくとおりで、下のところの「再掲」の部分、百五十万円未満が五六・五%に及んでいます。  高齢者の暮らしの二極分化ということがよく言われます。確かにリッチな高齢者もいます。この資料の中でも年収一千万円以上という部分が、高齢者夫婦世帯の場合六・一%に及ぶ。午前中の論議の中で、それは主としてフローの部分だ、ストックはまた別だ、こういう発言もありましたが、多分そうでしょう。一方ではそういう部分もあるけれども、しかし他方で、女性の高齢単独世帯、月収四万二千円以下が一〇・二%、それだけいらっしゃる。二十一万八千世帯ということになりますね。こういう方たちから介護保険料を徴収していく。  今私が指摘した女性高齢単独世帯の五十万円未満、それから百万から百五十万、そのあたりの方々は、年金のみで生活する比率がその他の方々より高いと思います。そういう方々の乏しい年金から介護保険料を徴収し、早晩、高齢者の医療保険料も重ねて徴収していくことになる。これで生活が成り立つとお考えでしょうか。この点について、私はやはり大臣の率直なお考えを聞かせていただきたい。
  245. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この表によりますと、五十万円未満の女の方の単独世帯ということでございますから、客観的な数値だろうと思いますが、こういう方が、年金の収入なのかどうかはちょっとわかりませんけれども、さらにこの上に高齢者保険保険料が加算されるであろうという前提でございます。  まず最初に、高齢者の問題はこれから設計をしてまいります、公的負担をどの程度にするか、実際の受益者の負担をどうするかというような問題はこれから詰めてまいります。これから高齢化社会を迎えますと、ある程度公的負担を投入していかざるを得ないのではないかなと思いますが、それが財政的な圧迫要因になる点も一方ございますので、今、制度のあり方、制度の仕組み等について検討をさせていただいております。  そのことをまず申し上げた上で、今御指摘のように一〇・二%、女性の単独世帯の一割の方、なかなか大変だと思います、この数値から見ますと。したがって、この方々が本当に介護の最小限の保険料を御負担いただけるか、さらに給付の一割を負担いただけるかという問題は、やはり私ども真剣に受けとめなくちゃならないと存じます。  そこで、私どもとしては、今の介護保険の中では、なるべく低所得の方々に対しては保険料を低減することが可能なような条例案の制定等も予定しておりますし、また、介護費用の一割といいますけれども、高額療養費制度に倣いまして一定の基準を設けるほか、特に、低所得の、福祉年金等を主体にされる方とか、あるいは市町村民税の、世帯全体としても非課税の方あるいは単独でも非課税の方等々は一万五千円くらいにするとか、いろいろな試算を設けて検討させていただいておりますから、低所得者対策には十分配慮してやらなければならない。  そうしないと、正直言って、本来の平等な介護という点に至らない点があっては、制度がなかなか永続しないし、本来の目的にそぐわないと思いますから、ある程度所得のある人には負担していただく、低所得の人にはなるべく緩和措置を講じていくという姿勢で構築してまいりたいと思っています。
  246. 児玉健次

    児玉委員 介護保険料の特徴ですが、今もお話がありましたが、何段階かに分ける、五段階ないし六段階と。そして、標準のものに対して一・五倍までいただくところもあれば逆の部分もある、それはこれまでの論議でよく承知しております。この仕組みそのものが非常に厳しい逆進性を持っている。  厚生省はよく御存じだと思いますが、九七年九月に武蔵野市が出した、「介護保険について、もう一度考えてみましょう。」という、なかなか説得力のあるパンフレットです。  その中で、「逆進性の強い毎月の定額保険料」、老齢福祉年金受給者、本人の年収は四十万二千四百円。そして基準額の〇・五掛ける十二カ月分で年額の保険料が一万五千円、保険料比率が三・七三%。ところが、年金収入のみで市町村民税非課税、年収二百六十六万円。この方の年の介護保険料が三万円、比率は一・一三%。そしてリッチな部分、余りリッチとは言えないだろうけれども、本人が市町村民税課税で年収一千万、この方は、年額の保険料が四万五千円、比率は〇・四五%。年収一千万の人は〇・四五%で、そして老齢福祉年金の方は三・七%負担する。その逆進性を正すことが、私たちがこの後、国民の願いに合致する介護保険制度をつくっていこうというときの一つのポイントだと思うんですよ。  その上でさらに言いたいんですが、そういう制度をつくろうとするとき、国が財政的にもその他の面でもどのように支援をしていくかという問題です。これも従来よく議論いたしました。介護保険制度の財政規模、平成七年、九五年度価格で四兆一千六百億、四・一六兆だと。それだけの規模で国民にとって新たな負担が二兆円を超えて生ずる、この問題です。本当に、約一年半、この問題は皆さんと私は議論してまいりました。そして、皆さんがさまざまな資料を提起されましたけれども、最近極めてわかりやすい資料を私はいただくことができた。  平成十二年度ベース、平成七年度価格、現行制度でいえば総費用は三兆七千四百億、医療部分と福祉部分に分かれる。細かいことは省きますが、公費負担が二兆五千五百億。そして介護保険に移ったら総費用は四兆一千六百億、公費負担は二兆一千億。国の負担はどうか。現行の一兆五千五百億が一兆一千八百億円に減ずる、三角三千七百億円と書いてあります。これは、私たちが計算したものではなく、厚生省の財政試算です。いかがでしょうか、そのとおりじゃありませんか。
  247. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 御指摘のとおり、平成八年に私どもの方で、平成七年度価格で推計したものでございます。
  248. 児玉健次

    児玉委員 まさに厚生省自身が計算して明らかにされた金額です。  そこで、私は大臣に言いたいのですが、随分世界の国々で社会保障についてドラスチックな動きが最近もあります。そういう中で、新たな社会保障の制度を導入しようとする場合に、国民に対して二兆円を超える負担を求めながら、国自体の財政負担は逆に三千七百億円も軽減される、こういう形で新たな制度を導入した国があるだろうか。随分調べてみましたが、私はついに見つけることができなかった。  ここのところを思い切って改善する、国の負担を抜本的にふやしていく、そのことを決断しなければ国民は到底納得しないと思います。大臣、いかがでしょうか。
  249. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この発表された現行制度との比較表でございますが、これは当時の恐らく推算値でございまして、三千七百億円得したのではないかという議論があることはよく承知しておりますし、これは厚生省が試算値として出したものですから、率直に当時の試算値として認めざるを得ないと思います。ただ、こういう制度を創設するときに、必ず国庫負担が今よりも多くなければならないということではないと思います。  これからの高齢化社会を控えまして、国の負担がふえるということは、つまり税負担がまたふえるということも意味いたしますから、増税につながる可能性もありますし、最も効率的に制度を構築していくということも大きなこれからの高齢化社会を迎えての視点だと存じますので、ふえればいいんだ、減ればまずいんだということは一概に言えないと思います。  ただ、こういった点もございますので、私どもとしては、介護保険の円滑な施行のためには、例えば健康支援事業でありますとかいろいろのことを今考えておりますけれども、そういったこれにまつわる、円滑なスタートを切るためのものにもある程度配慮しなくちゃいけないかなということは、全体として考えておるということだけ申し上げさせていただきます。
  250. 児玉健次

    児玉委員 この問題は、最後にもう一回議論したいと思います。私は、国の負担の現状に固執していたのでは、この制度に対する国民の理解というのは、皆さんの理解とますます遠ざかるばかりになるでしょうね。その点は指摘しておきましょう。  そこで、今大臣がおっしゃった国民各層に対するさまざまな配慮の問題です。これは私たち衆議院としても非常に大切にしたいと私は考えているのですが、平成九年十二月三日に参議院において介護保険法が可決をされたとき、私たち日本共産党はこの法案には反対いたしました。私自身も本会議で二度反対討論をしたことがあります。しかし、十二月三日の参議院本会議の決議の中身を我々は真剣に検討して、これは賛成するのが至当だ、妥当だと考えましたから賛成し、全会派一致の決議になりました。この決議の最後にどう書いてあるか。「全ての国民が適切に介護サービスを利用することができるよう、低所得者に対する必要な措置を講ずること。」これに対して、私たちがどのくらい誠実に真剣にこたえていくか、それが今求められていると考えます。  そこで、これも随分議論をし、けさからも議論がありましたが、保険料についての減免の制度についてです。  一月の予算委員会で私はこのことを具体的に提起をし、その後、厚生省は、四月二十日の全国担当課長会議に、介護保険条例準則案を提起されて、その第二十四条で「次の各号のいずれかに該当する者のうち必要と認められるものに対し、保険料を減免する。」と明記されて、全部読みませんが、一、震災、風水害、火災その他、二として、世帯の生計を主として維持する者が死亡、心身に重大な障害を受け、長期間入院、収入の著しい減少、三として、事業または業務の休廃止、事業における著しい損失、失業等による収入の減少、四として、干ばつ、冷害と霜や凍害などというふうになっていますね。  そこでまずお聞きしたいのは、これは市町村の条例をつくる場合の一つのモデルだろうと思うのですが、それぞれの市町村はみずからの責任において、みずから裁量して例えば減免についての条例をおつくりになる、これは当然のことです。地方自治の本旨がそのことを求めています。  そうすると、厚生省が提示されているこの準則案は、市町村がいろいろ論議をなさるときの、その際の一つのモデルである。あくまでこの条例制定は市町村が独自に主体的に実施する、そういうふうに私は理解しますが、いかがでしょうか。
  251. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 保険料の減免事由についての条例準則でございます。まだ案でございますけれども、もし条例準則になった場合でございますけれども、この準則は、法律の規定の趣旨を踏まえまして適切と考えられることをお示ししたものでございます。したがいまして、一定の規範性は持つのではないかと思いますが、法令のように市町村を絶対的に拘束する、こういうものではない、こういうふうに理解しております。
  252. 児玉健次

    児玉委員 もっと率直に伺いたいというか、もっとずばり答えていただきたいのですが、準則という以上、市町村がそれぞれの市町村議会で大いに議論をなさって条例を制定なさる、そのときの一つの参考となるものでしょう。
  253. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 私どもがある程度の規範性を持っていると言う意味では、災害等の場合には五%の調整交付金で調整措置をする、こういうことも考えているわけでございます。したがいまして、一定の全国統一的な基準で行う必要があるわけでございまして、そういう意味で、これ以外のもので減免したというものについてはこの算定からは対象にならない、こんなようなことで考えているわけでございます。
  254. 児玉健次

    児玉委員 近藤局長はある程度の規範性を持つというふうにおっしゃったけれども、それは厚生省のお考えであって、市町村がみずからの責任で、まさにみずからの責任ですよ、恣意的でなく、住民に対する責任、そして地域の介護に対する責任、その責任に深く依拠されて、みずからの裁量で条例をつくっていかれる、それが一番好ましい経過になっていくだろう、私はそう考えますが、いかがでしょうか。
  255. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 私が規範性を持つと言いましたのは、調整交付金とかそういう面も考慮した上でのことでございまして、法令とは違いますので市町村を絶対的に拘束するものではない、こういうふうに考えております。
  256. 児玉健次

    児玉委員 では、次の問題です。その減免条例ができた、その減免分に対して国がどのように責任を負うかという問題です。  減免した分が第一号被保険者の保険料にはね返るのでは減免の趣旨が生かされませんね。厚生省がここで例えば一号から四号まで準則案として示されている。とすれば、もしそれに準拠して減免が行われた場合、そのことに対して国としては財政支援を行うというのが当然だと思うんですが、いかがですか。
  257. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 全国の統一的な基準で調整をする、災害があった場合には全国のプールした金で一定の支援をする、こういうことでございますので、他の市町村との公平性という面を考えますと、やはり独自で決められたものは独自の負担でお願いする、こう言わざるを得ないと思っております。
  258. 児玉健次

    児玉委員 局長、この点は皆さんとしてどのようにしていくかということを今検討中でしょうか。私はこの問題についてもさらに引き続いて議論をしていきたいし、国民の声をこの国会審議の場に率直に反映していきたいと考えております。  次の問題です。高額介護サービス費のことです。皆さんからいただいた資料で、「一般」というところがありました、「低所得者等以外」という。この「一般」と言われる方がその世帯の中でお一人だけ介護サービスを受ける場合に、月三万七千二百円の高額サービス費で利用料が軽減されるのはどのようなケースでしょうか。
  259. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 お一人だけの場合でございますけれども、これは暫定的な形でお示ししたものでお答えをいたしますと、介護療養型の医療施設に入院をされた場合というのが該当しようかと思っております。
  260. 児玉健次

    児玉委員 まさにそのケースだけですね。  大臣に申し上げたいと思います。これは金額の設定が高額に過ぎますね。これでは国民の利用料負担軽減に役に立たないと私は率直に申し上げたい。  何も一般の方だけではありません。例えば非課税世帯の二万四千六百円、年収五十万円未満の方、さっき議論しました、月収は四万二千円。もしかしたらそういう方々がこの部分に該当するかもしれないけれども、四万二千円の中から二万四千六百円を負担するというのは、これは生活が成り立たないということとイコールですね。しかも、これは食事の費用や日常生活費は含んでおりませんから、文字どおり利用料だけですから。これではまずい。  そこで、これまで厚生省はこのことについてどうおっしゃっていたか。昨年三月二日の衆議院の予算委員会で、当時の羽毛田局長は私の質問にこう答えられた。最初のところはちょっと要約しますが、医療保険制度とは幾らか事情が違う、医療保険というのは一回に数百万円かかることもあるし、何カ月かで治療することが多いから、そういう医療保険制度とは違うから、以下その言葉のとおりです、「介護保険の場合には長期化をするわけでございますから、その長期化をした場合の負担ということも考えなければなりませんので、そういったことをあわせ考えまして具体的な水準を決めてまいる、」と。厚生省自身が方向を示されたのと今度のこれとでは私は大きく違うと。このサービス費の金額を思い切って低減すべきではないか。その点について、大臣、検討していただきたい。
  261. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これは三万七千二百円という額を一応の試算値として審議会の検討材料として提供したものでございますが、それをさらに市町村民税の非課税だと二万四千六百円、それから福祉年金等で生活なさっている方は一万五千円、こう申し上げておるわけです。その基準になる考え方といたしましては、医療保険の高額療養費六万三千六百円というのをもちろんそのまま適用いたしませんで、介護の場合は、申されたように長期に継続いたしますので、高額療養費を十二カ月の間に三回以上利用されたレベルを一応想定いたしまして、上限として三万七千二百円というのを想定したものでございまして、これを中心に御議論をいただきまして最終決定することになろうかと存じますが、今私ども考えているのは、その水準としてはおおむね妥当ではないかと。そして、さらにその試算は下限も設けておりますので、そういった点に配慮したものとなっているというように私どもは思っております。
  262. 児玉健次

    児玉委員 この点は検討していただくように私は求めたいと思います。いかがですか。
  263. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これで最終的に決定したわけでございませんので、審議会の意見等もよく踏まえながら、最終的に決定をさせていただきます。
  264. 児玉健次

    児玉委員 そこで、先ほどの議論をもう少し続けたいと思います。  最初に、介護保険制度の財政規模ですが、平成七年の段階で四兆一千六百億であった。先日、大臣は、月額二千五百円と言っていた保険料が三千円弱になったと。言ってみれば介護保険全体のスケールの中の一七%に当たる第一号被保険者の保険料の部分が二千五百円から三千円弱になったと。それは全体の財政規模が膨らんだから当然そうなるのであって、財政規模が五兆円前後になると私は推定していますが、局長、いかがでしょう。
  265. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 今、市町村の方で事業量を見込みまして、今月中ぐらいに大体出てまいるわけでございます。それを踏まえまして、来月中に計算できるような形で考えたいということでございまして、現段階で幾ら幾らと言えるようなところまではまだ達しておりません。そういう全体の資料をいただいてから作業してまいりたい、こういうふうに考えております。
  266. 児玉健次

    児玉委員 そのお答えからは、前回のこの委員会で厚生省としては保険料を月額三千円弱と見ているという、それが出てきませんね。三千円弱と見ているのは、まさか霊感がひらめいておっしゃったわけじゃないでしょうから、積算がありますよ。二千五百円が仮に三千円になるとすれば一・二倍ですから、そうすると、全体の財政規模はほぼそれに比例してふえる、そうなりませんか。
  267. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 もしそういう結果になれば当然そういう数字になろうかと思いますが、まだそこまで言えるような詰めた数字は持っておりません。
  268. 児玉健次

    児玉委員 これはやはり議論の基礎になるところですが、第一号被保険者は全国で約二千二百万人ですね。これはある新聞がつい最近書きましたが、国が二千億円程度新たな負担をすれば、そのすべてを第一号被保険者に投入した場合、月額保険料が単純計算で七百円から九百円軽減される。計算してみたらごく単純計算でそうなるでしょうね。  この二千億というのは私はおよそ問題にならない金額だと思う。国は三千七百億円負担を減じていて、そして今、どうやって国民の願いに近い介護保険制度にしようかというときに、二兆円の負担を国民に求めておいて国が身軽になる、そんな話はない。そこのところを私はぜひ直視していただきたいのです。大臣、国の負担額がこのままでいいとお考えでしょうか、どうでしょうか。
  269. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この介護の国費負担部分に還元するというようなストレートな考え方は私はとっておりません。むしろ、介護にならないための健康予防事業でありますとか、そういうことが非常にこれから重要でありますし、今、百億円だけ計上して健康支援事業をやっておりますが、その種のものは到底百億円では四月以降まずいと思っておりますから、そういった万般のものを含めて、計算上は還元するという言い方はおかしいのですけれども、そういうことも頭に置きながら全体として充実したものとしてやっていこうということで、保険の中だけで処理をしようという考え方はとらざるところでございます。
  270. 児玉健次

    児玉委員 現行の福祉を後退させないというのが一つは重要な判断基準だと思います。そして、介護保険によって生ずる福祉のさまざまな問題は、本来的に介護保険で措置をしなければならない。そこは別の何かでどうこうするというのは、厳しく言えばびほう策と言われても仕方がない。介護保険制度で生み出される問題はやはり介護保険制度で措置をしていく。  この間、新聞投書が随分続きましたが、私が一番注目した新聞の投書は、五月の二十三日の朝日新聞で、渋谷区介護保険事業計画作成委員、大森實さん、七十二歳の方がこう言っています。「ここに至っては、介護保険法の実施を凍結して国民的討議をやり直し、これまでに出ている各種、各階層の意見をくみ上げて再度、法案を作り直すことが最善です。どうしても、それが出来ないというなら、国の負担を二倍に引き上げなさい。」この制度の内容を熟知している方の声だと私は考えます。  当然、財源の問題が出てきます。この際明言しておきたいのは、財源を消費税に求めることで喜ぶのは、社会保障への負担を大きく免れる企業です。その道は進むべきでないと私ははっきり申しましょう。日本の財政構造を、従来型の公共事業に重点を置いたものから社会保障を主役にしたものに思い切って転換する、二十一世紀に向けて日本の国の財政構造を切りかえていく、そうすることで財源は十分に生み出すことが可能です。  当面、介護保険への国の負担を思い切って増額する。そのことで保険料、利用料を軽減し、市町村の減免について国が責任を負い、この前から議論になっている介護報酬の地域加算も、その地域の一号被保険者にはね返らないような措置もしていく。そのことが今求められていて、そのように厚生省が真剣な政治的決断をこの時期になさることが公的介護制度に対する国民の期待にこたえる道だ、私はそう考えます。大臣のお考えを最後に聞きたいと思います。
  271. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 公共投資との比較下における財源の問題の御指摘もございましたが、これは貴党がしばしば指摘される点でございまして、私どもは必ずしもそうは思っておりません。  そして、介護のシステムは、これは国会で御審議をいただいた上でその枠組み等が決められてきておるわけでございまして、私どもとしては、その枠組みに従って円滑な実施を目標としているということは申し上げるまでもないわけであります。その枠組みを超えてやろうということになれば、これはこの法律をまた根本から見直すということでありますが、私どもはそういうことは一切考えておりませんで、これを船出させて、そして完璧な形でできるかどうかはともかくとして、少なくともそれを目指して努力し、なお船出した後、所要の必要な改正があればどんどん直していくということで、国民のための介護保険制度にしていかなければならぬ、こう思っておるところでございます。
  272. 児玉健次

    児玉委員 終わりますが、大臣、一言はっきり言っておくのは、国の負担を思い切ってふやすことは、現在の介護保険制度の枠組み、スキーム、介護保険料といささかの矛盾もない。これは小渕内閣の決断でできることです。そのことを強く述べて、終わります。
  273. 木村義雄

    木村委員長 中川智子さん。
  274. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。きょうも着席での質問をお許しください。  私は、きょうは、与えられた時間を薬害クロイツフェルト・ヤコブ病の質問をさせていただきたいと思います。  昨日六月七日、第二次の提訴が東京地裁に行われました。患者と遺族の方たち六人が、昨日、東京地裁に提訴されました。そしてきょうは、患者の家族の方、そして原告団ともに、この院内で集会を持ちまして、厚生省とも話をさせていただきました。でも、やはり私は、きょうのこの質問のこの席に、ヤコブ病で物言わなくなった奥さんを三人のお嬢さんたちと一緒に介護をしている谷さんですとか、弟さんを亡くされた遺族の方、そして一歳半のときに脳腫瘍で手術して元気になって、中学では無遅刻無欠席で頑張っていたヒロ君、高校一年生、希望した高校に入ってすぐにこのヤコブ病に侵され、今は植物状態で入院しているヒロ君の御両親ですとか、そのような方にこの席に座って、皆さんにお話を聞いていただきたい、そう思います。でも、それができませんので、せめてその方たちの怒り、悲しみ、そしてだれがこんな体にしてしまったの、その言葉を、私自身の思いに変えて質問をさせていただきます。  きょうお昼に、患者、原告の方、遺族の方、家族の方のお話を聞いておりましたら、やはり皆さん、涙なしでは聞けないんです。私も、先ほど環境委員会でも質問してきたから、ここではしっかり質問しなくてはと思ったのですけれども、本当にその言葉を聞いていただきたいと思います。きょうは特別に大臣が、この委員会が終わった後、数分ですが会っていただける。そのときに、その声を、そして、なぜ、だれがこんな体にしてしまったのかということに対して、少しでも誠意のあるお返事を聞かせてあげてほしいという思いをまず最初に言います。  きょうのお昼の集まりでも、お兄さんを亡くされた妹さんが、元気な元気なお兄さんが二十一歳で交通事故で脳にけがをしたけれども、事故の後は本当に元気になって、優しい優しいお兄さんだった、そのお兄さんが二十九歳で亡くなったわけですが、だんだんだんだん、目が見えないよ、耳が聞こえないよ、話せなくなった、動けない、よくなりたいと一生懸命頑張ったけれども死んでしまった。もう兄はいない。助けてとも言えない。そんな状態にしてしまったのは一体だれなの。  厚生省が安全だと認めて認可した医療用具で、医薬品ではなくて、ヒト組織の乾燥硬膜が医療用具として軽く認可されて、そして三叉神経痛で手術したり、交通事故、脳腫瘍、そのような病気になって、手術で本当に元気になったと思ったのに、わけがわからなくて大変な状態になって、一、二年で亡くなってしまう。なぜなのでしょう。なぜこんなことが起きるのでしょう。  そして、きょう大臣と会いたいとお願いしたときも、厚生省は、裁判中だから、そう言いました。大臣もそのようにおっしゃいました。なぜ裁判になるのでしょう。どうして厚生省が被告席に座らないといけないのでしょう。このような委員会もある。ちゃんと監督責任を果たさなければいけない。そして厚生省は、大臣の所信演説で、国民の健康と命を守るのが厚生省の責任だとおっしゃったにもかかわらず、きのうも被告席に座らないといけない。こういうことがなぜ繰り返されるのかということを私はぜひとも伺いたい。皆さんもそのことを聞きたいと思います。  そこで中西局長、私はこの間、予算委員会から始めまして四回質問をさせていただいております。予見可能性についてとかさまざまなことで御答弁いただいていますが、中西局長も、患者の方はもう植物人間の状態で一言も言葉を発することができませんけれども、ヤコブ病がどんな病気で、そして患者、家族の方が今どんなに苦労されていて、その声はどこまで局長の耳に届いているか、そして、もしも局長の御家族、奥様とか娘さんがヤコブ病になったとしたらどんなふうにお思いになるか、人間としてのお言葉をまず最初に少しでいいですから聞かせてください。
  275. 中西明典

    ○中西政府委員 先生御説明のとおり、不幸にしてクロイツフェルト・ヤコブ病に罹患された患者の方、亡くなられた方、あるいは御遺族の方、大変なお苦しみでございます。私がその立場になったらどうかという御質問でございますが、大変苦しみ、また悲しむ、これはそのとおりであろうと私自身も考えるところでございます。
  276. 中川智子

    中川(智)委員 何がそのとおりだかよくわかりませんが、では、質問に移ります。  毎日放送のインタビューの中で、薬害問題にとても詳しい、そしてまた今度の裁判では原告側の証人となっていらっしゃいます東京医科歯科大学の片平先生によりますと、薬害の本質というのは、副作用一般と違い、危険性がわからなくて起きるのではなく、一部の人が知っていたあるいは知り得たにもかかわらず適切な処置をとらなかったために起きている、一九七八年にガンマ線照射では病原体が滅菌できないという報告の時点で予見可能性は生じる、そのようなお話をされています。  私が厚生省からいただいた資料の中で、「病原微生物検出情報」という雑誌にきっちりとクロイツフェルト・ヤコブ病のことが、ヒト乾燥硬膜を移植して発症したと八九年、九三年に出されている。これは厚生省の関連部局でたくさんとっていらっしゃいます。地方の衛生研究所を含めると百三十四部とっていますね。保健医療局企画課長もとっている、保健医療局長もとっている、読んでいるかどうかわかりません、生活衛生局の食品保健課、科学技術審議官、それぞれこの本は購入していて、五部購入しているのは、保健医療局疾病対策課、結核・感染症対策室。  この中にクロイツフェルト・ヤコブ病の報告がきっちり載っている、こういう本というのは何のために、何に生かすために購読しているのですか。そして、今まで、このような本の中から薬害とか副作用とかそういうことできっちり情報を得て、報告があって、対処したものは何件ありますか。局長、お答えください。
  277. 中西明典

    ○中西政府委員 今先生御指摘の件でございますが、一つは、第一症例報告、これはCDC週報、MMWRでございますが、これにつきましては、六十二年当時、厚生省の保健医療局あるいは国立予防衛生研究所に送付されておりました。そのうち、当時の国立予防衛生研究所におきましては、発行の機関誌「病原微生物検出情報」に掲載するかどうかについて編集会議において検討が行われたところでございますが、編集責任者の判断で掲載を見送ったという経緯がございます。  それからまた、当時の保健医療局の関係職員の中で、世界で最初の症例報告などヒト乾燥硬膜とCJDに関する情報について何らかの認識を有していた者は、私ども調査いたしましたが、確認されておりません。さらに、十月の「臨床とウイルス」において予防衛生研究所の所員がMMWRの記事の要約を行っておりますが、同氏は、その内容について、予研内で報告したり厚生省に情報を提供したことはないということでございまして、第一症例報告は当時厚生省において確認されていなかったというのが実態でございます。  第二症例報告につきましては、平成元年四月に「病原微生物検出情報」に要約記事が掲載されておりますが、その内容について、予研から厚生本省に対して特段の注意喚起は行われておらず、当時厚生省において第二症例報告は確認されていないというのが事実だと考えております。
  278. 中川智子

    中川(智)委員 そのことは聞き飽きました。そういうふうなことを放置している厚生省の責任ということに対してどう考えるのかということを聞いているのです。もう一度答えてください。
  279. 中西明典

    ○中西政府委員 これも従前から御答弁申し上げておりますけれども、当時の厚生本省と海外の関連機関や国内の試験研究機関との情報の連絡体制が必ずしも十分でなかったということは、反省すべき点多々あろうということは申し上げてきておるところでございます。  ただ、法的な意味において平成八年まで厚生省においてヒト乾燥硬膜によるCJD発症の危険性の認識ができなかったということにつきましては、これは裁判の準備書面等で述べておるとおりでございまして、例えば、CJDの発症原因としてのプリオン仮説が定説化されたのは平成五年である、あるいは、我が国において疫学的に乾燥硬膜とCJDとの関連性が相当程度明らかとなったのは研究調査班の全国調査によることである、あるいは、WHOがヒト乾燥硬膜の不使用を勧告したのは平成九年である等々、そういう事実に照らして、法的な意味において予見可能性があったということは言い得ないというふうに、私どもとしては、国としては考えているということでございます。
  280. 中川智子

    中川(智)委員 諸外国に比べて十年も放置しておいて、その間にたくさんの情報を知り得たにもかかわらず、そのような答弁を繰り返すということに対して、全く無責任で、本当にあいた口がふさがらないというのが今の実感です。  反省はしていると、ある意味でそのことをしっかりとキャッチしてそれに対する対策をとらなかったことの責任に対しては厚生省はおっしゃっていませんけれども、私は、御答弁の中で一歩踏み込んで、ヤコブ病を発症した患者の方、今現実的に苦しんでいる人たちを救済するということを早急に大臣にお願いしたいと思います。  きょうの話し合いの中でも、病院の中で、現実に患者の方は、医療従事者の方たちが、ヤコブ病というのが一体どんな病気か本当によくわからない、どんな経路で感染するのかもわからない、ですから、うがいをしたうがい液さえもみんなと一緒の洗面所のところには捨てちゃだめですよ、トイレの排水のところ、別のところに捨ててくださいとか、一つ一つが差別されている。マスクして、眼鏡して。唾液さえも飛ばないように。そして個室に移る。今、医療費は免除しているとおっしゃいますが、差額ベッド代は出ない。そして、御主人が会社をやめて介護する、そのような状況でしか介護ができない。そんな中で、生活が圧迫されて、みんなずたずたになっている。なぜこんな病気になったのか、だれの責任なのかということ以上に、現実にすごい差別が行われているわけです。せめてその差別に対してどうにか厚生省として対策をとってもらいたいと思うのです。  厚生省の今の認識で、ヤコブ病の感染というのは、唾液とか、何か触れたとか、シーツだとか、そんなもので本当に感染するのかどうか。そんなもので感染しないなら、しっかり医療機関にそういう事実を言っていただきたいし、医療費だけではなくて、差額ベッドですとか、自宅で介護をしていらっしゃる方の生活、ヘルパーさんですとか、さまざまな援助というのをぜひともしていただきたいのです。していただきたいというそのことに対する御答弁。  いま一つは、医薬品副作用に対しては、救済措置がHIVでもできましたが、あのときも、附則ということで法律の全面改正でなくてできました。今回は医療用具として認定したということで、一切医薬品の副作用の救済の対象にはならないのです。でも、医薬品も医療用具も、厚生省が安全だといって認可したことには変わりないし、これで六十人近くの方――私は、これからも発症してくる、ヤコブ病患者の人は出てくると思います。それは、発症した家族の方が、同じ病院でほかの手術で乾燥硬膜を移植した方たちを現実に見ていらっしゃいます。そんなことで、これからもきっと発症してくる。その方たちのためにも、今現実に苦しんでいる方に対して、医療用具として認可しているわけですが、医薬品のように医療用具としての救済措置をぜひともしていただきたい。そして、医療現場の差別をなくするために、ぜひとも正しいヤコブ病のことを医療機関に通達なりなんなりで出していただきたい。  この二点について、大臣の御答弁をお願いします。
  281. 伊藤雅治

    伊藤(雅)政府委員 大臣からお答えしていただく前に、私の方から若干御説明をさせていただきたいと思います。  今委員御指摘の、ヤコブ病などの患者さんの入院ベッドの確保の問題でございますが、これは私ども、平成十年度より、厚生省と地方自治体が半額ずつ予算を負担いたしまして、重症難病患者入院施設確保事業というのを創設したわけでございますが、これは必ずしもまだ円滑に実施されていないわけでございまして、特に北海道におきましては、まだ現在関係のところと協議中でございます。したがいまして、今後、この難病医療、特に重症者の入院施設の確保につきまして全力を挙げてまいりたいと考えております。  さらにお尋ねの、医療従事者などへの感染の可能性につきまして、マニュアルによりますと、CJD患者の採血、腰椎穿刺などによる髄液の採取などにおきましては、ひっかき傷でございますとか飛沫による目の汚染などに注意をするということになっておりまして、これらは専門の医療機関として注意を払って行えば、そういうことを十分認識していただければ問題ないわけでございまして、私どもといたしましては、感染予防についての万全の注意を払いながら、入院病床の確保につきまして取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  282. 中西明典

    ○中西政府委員 医薬品の副作用による健康被害につきましては、基本的に、適正な目的に従って適正に使用された場合においても、医薬品は本来の性質等から副作用というのが不可避的に生じ得るという現実に着目いたしまして、医薬品を供給する製薬企業等が共同して救済を図っていくという観点から、製薬企業がそれぞれお金を出し合って救済制度を設けているということでございます。  他方、医療用具につきましては、基本的に、事故の大半は用具そのものの欠陥あるいは使用方法の誤りによるものと考えられます。それから、用具といいましても千差万別でございまして、その使用に伴うリスクの格差というのが極めて大きいものでございます。そうした点から見て、医薬品副作用救済制度と同様の制度を措置するというのは極めて難しいというふうに認識しております。  医療用具の欠陥による事故が生じたということになれば、基本的には、製造物責任法がございますから、その法律に基づき製造物責任というのが発生するのではないかというふうに考えておるところでございます。
  283. 中川智子

    中川(智)委員 中西局長にもう一度伺いますけれども、医療用具の欠陥というところで、PL法のそちらだけじゃなくて、認可した厚生省の責任はどうなるのですか。
  284. 中西明典

    ○中西政府委員 用具を承認する際に、明らかに、通常その用具を正常に使用しておるにもかかわらず何らかの事故が発生する、あるいはこういった使用の仕方によって事故が発生するということがわかっておるにもかかわらず、そういうことが添付文書その他にきちっと表記されていないということであればともかく、通常使用することによって基本的な事故は発生しないというのが前提であろうと思います。  ただ、先生おっしゃるヒト乾燥硬膜の話につきましては、承認時において、ヒト乾燥硬膜を使用することによってCJDが発生するとか、そういった話は予見可能ではなかった。予見可能性についていえば、先ほど申し上げましたように、私ども準備書面で述べておりますとおり、国としては、ずっと後の時点になってから予見可能性が発生したということでございます。
  285. 中川智子

    中川(智)委員 九七年にクロイツフェルト・ヤコブ病との因果関係というのがわかって回収しましたよね、これは欠陥だということで。そうしたら、その前の汚染されたものに対しては厚生省は一切責任がないのですか。おかしいですよね。だって、承認したものが、危ないということで九七年に回収したわけですよね。それを回収したけれども、垂れ流していた分に対しては一切責任がないとおっしゃる今の御答弁ですか。
  286. 中西明典

    ○中西政府委員 医薬品等の副作用にしろ、あるいはその他感染症の発生にしろ、私どもとして、副作用情報あるいは感染症情報というものを収集し、これを分析し、その都度しかるべき対応をとってきておるわけでありまして、回収すべきものについてはその時点で回収を行い、あるいは予見し得ない副作用があるという話であれば、例えば添付文書を改定する、それにとどまらない場合はその医薬品そのものの回収をする、あるいは承認自体を取り消すという措置を講ずるわけであります。  予見可能であるのに放置しておるということであれば、それは確かに問題があることは間違いはございませんが、CJD、乾燥硬膜の問題につきましては、私どもといたしましては、この問題を知って以降、中央薬事審議会のCJD部会で御論議いただき、さらに、WHOの勧告を受け、その時点で市場にある乾燥硬膜を回収したということでございますので、私どもとしては行政上責任がないというのが私どもの立場でございます。
  287. 中川智子

    中川(智)委員 私は、このヤコブ病というのは、これからまだ出てくる。今、六十三名です。でも、もう亡くなっている方がほとんどだし、原因不明で亡くなっている。それで、表に出てきていない人はたくさんいらっしゃるし、またこれからも発症する。ですから、今きっちりと厚生省が、裁判で決着をつけるのではなくて、この場で、国会の場で一度、患者、家族の方、遺族の方のお話を聞いていただきたい、私はそのようにずっと訴えているのですが、実現しません。  大臣、きょうはお話を五分でも聞いていただくわけですが、やはり厚生省の方もヤコブ病のことをよく御存じないのです。本当に御存じなくて出ていらっしゃるので、いつも何だかわけのわからない、そして議事録なんかもしっかり読んでくださっていないので、同じことで終わっているのですが、これは私は殺人行為だと思っています、はっきりした殺人。にもかかわらず、このような答弁で、今苦しんでいる患者を救うことすらしない。そして、なぜこのようなことが起きたのかを直接厚生省が患者の方に伝えることすらしない。こんなことがこの国でまかり通っていいのかと思います。  ですから、参考人という形でなくても結構ですが、集中審議をしていただくか、ぜひとも委員会としてヤコブ病患者の家族、遺族の方のお話を聞く場をつくっていただきたい。大臣、お願いします。裁判とは別に、裁判で勝つとか負けるとかという話ではなく、人間として、また政治家として、これだけ問題になってきて、またこれからも問題になるだろう薬害ヤコブ病に対して、この委員会としてしっかりと話を聞く場を持っていただきたいとお願いしますが、大臣、いかがでしょう。そして、委員長にもお願いします。
  288. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 中川委員がしばしばCJDにつきまして情熱を込めて言及されておられることに対しましては、私も本当に、その粘り強さと信念的な行動と申しますか、そういうことに改めて敬意を表したいと存じます。  しかるところ、中身につきましては、ちょっと揚げ足をとるようで恐縮ですが、これは厚生省の殺人的な行為であるというようなところまで至りますと、私どもとしてもそれは看過できません、責任者として。これはやはり、そういった背景、そういう問題意識があればこそ恐らく訴訟という格好になっていると存じますので。  局長がしばしば申し上げておるように、医学的、薬学的知見からして、ヒト乾燥硬膜とCJDとの関連を予見することは不可能であったという主張を終始いたしておりまして、国家賠償法上も違法と言うことはできないという国の主張を申し上げておりますので、この点は裁判の成り行きに私どもはゆだねざるを得ないというように思います。  なお、患者の皆さん方並びに特に御家族の方々の苦しみ、それはもう中川委員のおっしゃられるとおりであると思います。この後、私は患者の方、御家族だけにお会いするお約束をしておりますので、委員会外でございますが、しばらくの時間をとってお聞きしたいと存じております。  この問題はHIVとちょっと事情が違うように私は思いますし、また、今後、アルカリ処理等を行えば乾燥硬膜を使ってもCJDが出るということもないというように聞いてもおります。そんなことで、くれぐれもこういうことが行われないように厚生省として今後注意していかなければならないと存じます。  そしてまた、医療現場におきまして差別の話もありましたが、そういった点は、もしもありとせば、やはりそういうことがないように指導もしなければいかぬと思います。  患者の皆さんの声をこの委員会で聞くかどうかは、これは委員会でお決めいただくことでございまして、私が申し上げる立場にはないということでございます。
  289. 木村義雄

    木村委員長 ただいまの中川委員委員会に対します御要請の件につきましては、理事会にて協議いたしたいと存じております。
  290. 中川智子

    中川(智)委員 殺人的行為というような言葉は行き過ぎました。でも、患者、家族、遺族の方の思いを酌みますと、やはり、だれがこんな体にしたの、何が原因で死んでしまったんだ、それが正直な気持ちです。ぜひともぜひとも、なぜこんなことが起きたのかということをしっかりと解明していただいて、患者の方たちがちゃんとした医療を受けて、家族の方たちが少なくとも追い詰められないように、安心して患者の方の治療ができるように、全面的なバックアップを厚生省にお願いして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  291. 木村義雄

    木村委員長 笹木竜三君。
  292. 笹木竜三

    ○笹木委員 笹木竜三です。質問を始めます。介護について質問をしたいと思っています。  最近の新聞でも、仮に高齢者の社会保障を消費税だけで賄うとしたら、これは基礎的な年金と老人医療、介護保険、この三つで来年度も二十九兆円かかる、消費税でいうと一二%になるんだ、あるいは、二〇二五年には百兆円から百二十五兆円になって、二三から二八%まで消費税を高めないといけない、こういうことが非常に宣伝されています。確かにたくさんかかるんだとは思うのですけれども。  この介護保険制度について、いろいろな国民の方々の意見なんかも聞く機会が多いわけですけれども、特定の方に介護のしわ寄せが行かずに、老後のことも安心して不安なく暮らせるように、よりきめの細かい制度をつくる、これについては反対する方はいないと思います。しかし、ほとんどの方が少し疑問というか不安を感じているというのは、この委員会でも何度か質問させていただきました。年金一つとっても、その運用が全くでたらめである、他の先進諸国に比べても、預かっている年金のお金についての運用が非常にお粗末だ、そういったところがまた新しい保険をつくって、どういうコスト感覚で、どういう経営をされるのだろうか、ここに非常に不安を持っておられる方がたくさんおられると思います。  この介護保険創設が必要だというときにいろいろなお話がありました。推進者の方からも、役所の方からも、それによって、例えば高齢者の医療費、社会的な入院等も含めて、こういった費用も減らしていくことができるのだ、そういったことも盛んに主張されました。  それで、先ほどの数字とかいろいろな試算が出ているわけですけれども、お伺いをしたいわけですが、例えば介護保険を導入しない場合ということで、平成八年の推計で、平成十二年度で医療費が全体で三十二兆円になるという推計がありました。平成九年の推計では、平成十二年度で医療費は二十六兆円になるというふうに出ています。これは減っているわけです。平成八年度の推計が介護をやらない場合には三十二兆円。それが二十六兆円になる。若干数字の違いはありますが、その差ですけれども、介護保険の創設によって、医療費、主に高齢者の医療費だと思いますけれども、減っていく部分について、どういうふうに推計されているのか、その根拠をここで確認させていただきたいと思います。
  293. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 今老人保健制度がございまして、老人医療費を給付いたしているわけでございますけれども、その中で、介護的な要素が強いものだと老人保健施設がございます。それから、全部移るかどうかは別にいたしまして療養型病床群というもの、あるいはその中に介護力強化病院という形で介護力に非常に重点を置いた医療がございます。これにつきましては基本的には介護保険の方に移る、こういうことで推計をさせていただいているわけでございます。
  294. 笹木竜三

    ○笹木委員 単純に、こちらにあったものがこちらに移ってそれで減る、そういう推計だけでこの数字が出ているということでしょうか。
  295. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 財源の仕組みは違いますけれども、基本的には、老人医療でやっておりました介護的な色彩が強い医療部分につきまして介護保険の方でそれにふさわしい処遇をしよう、こういうふうな形で、福祉の関係の事業もあわせまして、保険医療、福祉が一体になって運営できるような仕組み、こういう形でこの介護保険制度が成り立っているわけでございます。
  296. 笹木竜三

    ○笹木委員 大臣にお答えいただきたいわけですけれども、介護保険の創設で社会的な入院は減らすことができる、それは単に、今まで医療で面倒を見ていたのをその分介護に移した、それでその分だけ医療が減るということではないはずです。社会的入院そのものの数を減らすことができる、あるいは、介護とかリハビリをよりきめ細かくやることでそういった入院そのものをさらに減らすことができる、あるいは症状もさらに回復することを目指すということがあるはずです。  そういったことも含めて、介護保険を創設することで高齢者の医療等がこれだけ改善するのだということを、例えば中央省庁の法案で政策評価ということもこれから始まるわけですから、数字どおりにいくとは思いません、しかし、そういったことも含めてしっかりと数字を示して国民を説得していく姿勢が必要だと思います。ぜひそういったことを、さらに数字も細かく詰めて検討して国民に示していただきたい、そう思います。それについて御意見をいただきたい。  もう一点、これからサービスの事業者は選べるということになるわけですけれども、介護の機器について、実際に今つくっているメーカーとかあるいは関係者に聞きましても、つくった値の四倍ぐらいで売られているとか、実際に所によっては売りの二分の一ぐらいで入れているとか、かつての薬と似たようなことをいろいろ聞くわけです。この介護の機器についても、これから介護のいろいろな事業者がつくっていくわけですけれども、より規制緩和を進めてより合理的な値段に変えていく、そういった努力をさらにしていく必要があると思います。  以上二点について、最後に大臣から御意見をいただきたい、そう思います。
  297. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 まず、介護保険制度の創設の趣旨、今さら改めて申し上げるまでもございませんけれども、これは単に医療費あるいは社会的入院を減らして振りかえるというだけの目的ではございません。あくまでも高齢化社会を迎えて家族介護で支え切れない介護問題の緊急性、重要性にかんがみまして、また国民的なニーズもございますので、それに対応した保険制度をつくろうということが主眼でございまして、その結果、医療と介護の費用間の調整が結果として行われるということでございまして、この点は委員の御指摘のように、その相互関係をもうちょっと明確にした方がいいということでありましょう。  今この介護保険を何としても滑り出したいということでありますので、また、これからいろいろ介護報酬を決めたりなんかして全体としてはわかるわけでありますので、これがある程度スタートする段階まで至らないとなかなかそういう正確な数値はお示しできないのではないか。また、スタートする時点でも、いろいろな角度の問題がございますから、なかなか確約はできませんが、そういう委員の御指摘のような視点も重要だと思っております。  それから介護機器につきましては、やはりこれはある競争原理のもとに効率的なものがつくられることが絶対肝要でございまして、これが国民のためになります。したがって、広い意味のいわゆる介護ビジネスの一翼だと思いますけれども、安価で効率的なものが提供されるように、経済構造がそうならなければなりませんし、供給構造もそうならなければなりませんし、そして、いやしくも、やはり痴呆症その他で判断能力その他が劣る、加齢を伴った方々が対象でありますから、あくまで機器一般、その他万般にわたりまして、サービスにおいても、言葉は悪うございますが、介護を食い物にするようなことがあってはならない。私ども、それは厳に慎んで、そういう事業者は排除していかないといけないわけでございまして、委員の御指摘はそういう点に中心があろうかと思いますので、今後注意してやりたいと思っています。
  298. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう終わりますけれども、財政についても非常な大きな重圧になる介護について、今までとは違った最低限のコスト感覚、経営感覚を持って臨む、それが恐らく国民への説得材料になるのだ、そう思います。よろしくお願いします。  質問を終わります。
  299. 木村義雄

    木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会