○羽毛田
政府委員 三点のお尋ねがございました。
まず現行薬価
制度でございますけれ
ども、
先生、今、現行薬価
基準で公定していることについて、そこから生まれてくる薬価差が、現行
制度の薬価決定が不透明で、高い薬価をつけているから薬価差益が発生するという点での反省というものがまず要るではないかという
お話がございました。
私
ども、現行の薬価
基準につきましても、その
制度を前提とした、できるだけ透明化をし、また価格決定を合理化をするという努力は、この間においても続けてきたことは御案内のとおりでございます。
現在、新薬につきましては、中医協の建議等によりまして定められたルールに基づきまして、類似薬のあるものについては類似薬効比較方式、それのないものについては原価計算方式という
一つの客観的なルールというものの中でやってきております。あるいは既収載品目につきましても、その間、バルクライン方式から加重
平均を基礎とした方式に持っていくというような中での合理化を図ってきております。
そうした中で、現行
制度によるそういった透明化あるいは価格決定の合理化ということはやってまいりましたけれ
ども、確かに、現在の公定価格、つまり、銘柄ごとにそれぞれの薬価を公定をし、そこが出発点になりまして薬価差を求めるような形での当事者間での競争が行われる、そういう中で実際の購入価格が決まってくるという、いわば構造的な要因というものは薬価差をどうしても生み出す。ある
意味からいえば、客観的なルールを今のように決めるということの限界みたいなところだろうと
思いますけれ
ども、そういった仕組みを持っております。
そういった
観点に立って、現行の仕組みではある種の限界があるということで、そのことが薬価差を原因とする薬剤使用でありますとか、あるいは企業の新薬開発行動のゆがみを生じさせている。そういった反省にも立ちまして、その仕組み自体を改めるということが必要ではなかろうかということで、現在取り組みをいたしておるということでございます。したがいまして、現在の公定価格
制度それ自体は改善をするにしても、それ自体が持っている構造的な問題についての
対応が要るという点では、まずそういう取り組みをさせていただいた。
しからば、いわゆるバイアグラの例をお出しをいただきましたけれ
ども、そういった公定という世界を全く離れて、自由価格の世界でやっていったらどうかということでございますけれ
ども、できる限り国が介入することのない
制度とすべきであるという基本
方向はそういうことでございますけれ
ども、
我が国では
国民皆保険のもとで、
医療保険で治療に必要な薬剤についてはすべてある種のフリーアクセスという形で、公的保険
制度でいわばカバーをするという
制度をとっております。そうしますというと、そこに保険
制度によって負う財政的な制約も当然ございますし、どのような仕組みにしますにしましても、公的な
医療保険
制度で見る限界という
意味での一定の上限というものは、やはり必要最小限の国の関与という
意味では必要だと考えております。その中で、できるだけ自由な、メーカーが自主的に判定をするような価格設定ができないかというのが、今私
どもが模索をしている
方向でございます。
そういった
意味で、全く自由価格とすべきということになりますと、すべての医薬品について自由価格にしますと全体の価格が著しく増加をするという懸念は去りませんので、そういった
意味での薬剤給付を保険の外に出してしまえば別だと
思いますけれ
ども、やはり保険
制度でカバーをしつつ、今のような
方向での公定価格
制度からくる薬価
制度という制約をどう打破をするかということになりますと、ある種の上限を引いた中で、できるだけメーカーなりの自主的な価格決定というものを尊重する仕組みに持っていくというのが現在でのやり方としては適切なのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
そうしたところで、いずれの
制度をとるにしましても、
先生お挙げいただきましたように、価格決定というものが不透明であってはならない、それから、その価格決定のそれぞれのコストなりなんなりをきちっと反映をしたような仕組みに最終的に結果として落ちつく
方向に持っていかなければならないという点は、そのとおりであろうと
思います。
そういったことで、その具体策については、先般の審議会の意見も踏まえて目下
検討中でございますから、どういう
制度に最終的に持っていくかはこれからの
検討になるわけでありますけれ
ども、意見書での
検討の
中心となりました薬剤定価・給付
基準額
制度というものに即して御
説明申し上げれば、薬剤定価は基本的には国が定めるのではなくて企業の主体的
判断で定める、そして、中医協にさまざまな分野の
専門家から成る組織を置きまして、薬剤の薬効、薬理作用での分類、あるいは薬剤定価に係ります流通経費率等につきましての
検討、あるいは画期的新薬の範囲をどうするか、そういった
基準上の例外扱い等をするものについてどのように範囲を決めるか、こういったことにつきましては
専門家の組織で、
厚生省が密室でやるというような御
指摘がございましたけれ
ども、そういうことではなくて、
情報も公開をして、透明性、公平性を確保した中でやっていくというような
方向を考えようというのが今の薬剤定価・給付
基準額制で、これ自体がまだたたき台ということでございますから、これからどうするかはこれからの
議論を経なければなりませんけれ
ども、いずれにしても、そういった透明性、公平性というのは大事な
観点だと思っておりますので、どういう
制度の結果になるにしろ、そういった点は今の
制度以上にきちっと位置づけていかなければならない、こんなふうに考えておるところでございます。