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1999-05-07 第145回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月七日(金曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 吉田 公一君 理事 井上 義久君    理事 青木 宏之君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       小林 多門君    阪上 善秀君       田中 和徳君    玉沢徳一郎君       西川 公也君    蓮実  進君       松本 和那君    宮腰 光寛君       目片  信君    石井 紘基君       大畠 章宏君    佐々木秀典君       田中 慶秋君    平野 博文君       山本 譲司君    丸谷 佳織君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席政府委員         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省住宅局長 那珂  正君  委員外出席者         参考人         (慶應義塾大学         教授)     伊藤  滋君         参考人         (八王子市長) 波多野重雄君         参考人         (三井不動産株         式会社代表取締         役社長)    岩沙 弘道君         参考人         (全国公団住宅         自治会協議会代         表幹事)    楓  健年君         建設委員会専門         員       白兼 保彦君 委員の異動 五月七日         辞任         補欠選任   田中 慶秋君     佐々木秀典君   畑 英次郎君     石井 紘基君   長内 順一君     丸谷 佳織君 同日         辞任         補欠選任   石井 紘基君     畑 英次郎君   佐々木秀典君     大畠 章宏君   丸谷 佳織君     長内 順一君 同日         辞任         補欠選任   大畠 章宏君     田中 慶秋君 本日の会議に付した案件  都市基盤整備公団法案内閣提出第三一号)  住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案鉢呂吉雄君外一名提出衆法第一七号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市基盤整備公団法案及び鉢呂吉雄君外一名提出住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人として慶應義塾大学教授伊藤滋君、八王子市長波多野重雄君、三井不動産株式会社代表取締役社長岩沙弘道君及び全国公団住宅自治会協議会代表幹事楓健年君、以上四名の方々に御出席いただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  議事の順序でございますが、伊藤参考人波多野参考人岩沙参考人楓参考人順序で御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため参考人方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、伊藤参考人、お願いいたします。
  3. 伊藤滋

    伊藤参考人 伊藤でございます。  質疑ができないというのは学校の雰囲気とちょっと違うので、質問しないように一生懸命努力いたします。  私、今回の両法案を見させていただきまして、両法案とも、ねらっているところは実は大都市リノベーション改革、これについて一生懸命法案でお考えになっているということは高く評価いたします。  リノベーションというのは、積極的に町を変えるということです。なぜ私が大都市リノベーションとわざわざ申し上げたかと申しますと、実は、五番目の国土計画が去年の三月に閣議で決定されました。そこの中で、御存じだと思いますけれども、国家としてやるべき、国土を改造する四つ具体的戦術というのがございまして、農村社会の方は多自然居住、それから地方都市市長さんや知事さんは地域連携軸、そこの中の一つ大都市リノベーションということがきちっと書いてございます。これは、国土計画を五つつくったのですが、そこの中で画期的なことでございまして、都市について一生懸命国も考えるんだぞということをきちっと明文化したのは、五番目でようやっと初めてということでございます。  この大都市リノベーションは、では何で出てきたかと申しますと、御存じのように阪神淡路大震災がございました。ちょうど五番目の国土計画議論をしているときに阪神淡路大震災が起きたのですね。その結果、皆様十分御存じのとおりでございますが、前から言っていたことが現実になりました。改めて、大都市の中の非常に質の悪い住宅が、全部と言っていい、つぶれたと思います。戦争前の、重いかわら屋根を乗っけていろいろ土壁でつくった、神戸でこういう住宅がいっぱいあったのですね、長屋も含めまして。これは全部つぶれちゃったんです。その結果、お年寄りの方が物すごく亡くなられました。六千四百人ぐらいの方がお亡くなりになりましたが、私の類推するところ、年齢別がよくわかっていないのですが、六十歳以上の方の亡くなられた比率は約四割ぐらいあるんじゃないか。それで、四割の中のまた三分の二ぐらいは御婦人なんです。  ですから、大都市リノベーションというのは、世界でも依然として侮べつの目で見られている都市の中の住宅市街地、何であんなところに依然として日本人は住んでいるのかということと、それから、来るべき、もう来ておりますが高齢化社会への町づくりというのを全くやっていなかった。高齢化社会の話と、それから、国際的に依然として評価の低いというより、何だと言われているような、差別的な目でアメリカやドイツやイギリスの連中が見ているこういう住宅事情、この二つがどういう事実を露呈するかということを阪神淡路大震災が示したわけですね。それを受けまして、この五番目の国土計画では大都市リノベーションという言葉を入れたわけです。これは国是と私は考えております。  それで、この大都市でございますが、これはいろいろ議論がございますが、私が考えますのに、およそ人口が百万から上の都市というのは、何らかの形で大都市問題を抱えてございます。そういう点では、東京とか大阪、名古屋だけではなくて、その他の札仙広福、神戸横浜、そして、多分百万都市はこれから幾つか出てまいりますが、そういう都市対象にした住宅を、市街地を手直ししなければいけないというのは、これはもう当然国民全体が考えていることでございます。  それならば、その町づくり住宅市街地をどういうふうにつくっていくかということでございますが、一つ私考えますのに、こういうことがこれから起きるのではないかと思っております。  それは、規制緩和、いろいろ民間お金をもっと自由に使えという、これは国全体の世論みたいになっているわけですね。民間お金活性化して使え、それで規制緩和しろとアメリカから言われている。このことは裏返しをしますと、所得の幅が広くなるということなのですね。大金持ちも出てくるけれども、貧乏人もこれからますます出てくる。今までのように、日本が全部中流意識、みんなが大体同じような生活をしているから満足だという状況が、これからはだんだん少なくなってくると思います。所得税率は物すごく高い六五%、これは確かに高いのです。ですが、所得税率が五〇%になれば、これは当たり前に金持ちが出てまいりますが、片っ方で、高齢化が進展しますと、仕事を手にすることができないお年寄りもふえてまいりますから、年金だけで暮らさなければいけないというお年寄りもいっぱい出てくる。このことは何を意味するかというと、所得の幅がずっと広くなって、貧乏人もたくさん出てくる、大金持ちも出てくる、こういうのが当たり前の実は先進諸国都市に住んでいる人たちなのです。日本ではそれをいろいろ、皆様税金を使いながら、そして税制とかそういうのでぎゅっと中産階級の中へみんな入るようにしていた。それが国際的な環境の中で、そのたがが緩んだ。  そうなってまいりますと、おのずから住宅供給の仕方というのが多分にこれまでと違ってくると思うのです。これは民間不動産業者の方もいろいろな住宅を売り出す作戦を考えてくると思います。金持ち対象にしてやる、こういうようなディベロッパーあるいは住宅供給業者も出てくるでしょうし、あるいは学生の下宿、そういうところにねらいをつけて住宅を供給する、こういう方も出てくるでしょう。しかし、そこの中で、やはりこの所得のレンジが広くなってきたということは、おのずから公営住宅の位置づけ、それから公社公団住宅の位置づけというのがこれまでよりもより鮮明な形で出てくるのではないかと思っております。  今回極めて重要なことは、こういう住宅供給だけではなくて、先ほど私申し上げましたように、住宅供給の新しいマーケットが広くなるわけです。そこの中でおのずから公的セクターとしての、どういう公団になるかわかりませんが、これから出てくる公団が、そこできちっと国民の負託にこたえるような仕事をするということと同時に、町自体を直さなければいけないということがございます。  時間がもうあっという間になくなりますけれども、この間、私、阪神淡路大震災仕事をしていましたから、神戸長田というところへ行ってきました、新長田長田は今物すごく元気に再開発をやっております。ところが、どういう人をそこに来てもらうかという明確な焦点を、なかなか長田商店のおばあちゃんとか御主人は考えられない。やはりそこできちっとした、長田の町にこういう住宅を供給すれば、なるほど長田の町に新しい人が住み活気が出てくるなということを考えるのは専門家なんですね、幅広い見方で。  そのとき考えましたのは、長田から西神ニュータウンまで神戸市営地下鉄が行っています。それがずっと三宮まで行っている。新長田というのはちょうど真ん中なんですね。そうしますと、西神ニュータウンの方は比較的住宅地ですから、四十歳、五十歳の核家族が住んでいる。ところが、核家族おじいちゃん、おばあちゃんと暮らすのが嫌いなんです。どこかに住んでもらいたい。それから、子供たちは町の三宮あたりで遊びたいですね。新長田おじいちゃん、おばあちゃんが住んでいる、こういう公的住宅があれば非常にいいんです。要するに、スープの冷めない距離というのは、今の時代地下鉄で二十分ぐらいの距離でもいいわけですね。  そうすると、子供たちが遊んでいる三宮におやじや母親が監督がてら行く、帰りに孫を連れて新長田へ来て、おじいちゃん、おばあちゃんの家で、おじいちゃん、おばあちゃん元気かと。こういうようなことを考えるというのが必要なんです。こういう考え方はやはり専門家でなければだめです。その専門家がいっぱいいるのが、実は今の住宅都市整備公団なんです。  住宅都市整備公団というのは、そういう点では比較的、私はいろいろな角度からつき合っておりますが、役人じゃないものですから、つき合いやすいんです。市役所の役人よりずっとつき合いやすいんですね。ましてや都庁の役人より。御用御用、出てこいと言うと、多分、はいと言って出てくるような、こういうシビルサーバントです。私は、役人より公団技術屋さんや事務屋さんの方がずっとシビルサーバントの素質を持っていると思います。  ですから、そういう専門家を使いながら、広い観点から、どこに住宅を供給したらいいか、それが広い意味で、大きい家族がうまくけんかしないで暮らせるような、そういう配置をすることができる、こんなことを考える、これが大変重要でございます。  それから、もう時間がございませんが、最後に申し上げたいことは、これからむだなお金を使うということは許されません。ですから、小さい市とか、あるいは区でも、そこに住宅供給をする特別の組織をつくって、あるいは区画整理をする技術者を抱えて、それを市の職員、県の職員で雇っていくというのは、ずっとやめるまで何か仕事をつくらなきゃいけないですね。そういうことはあちこちいっぱいあるんです、日本組織は。たまたま抱えちゃって、その連中に食事をさせるために仕事をつくるということはあるんです。それはもうおかしい時代なんですね。  ですから、臨機応変にダイナミックに、高度の能力を持った、そういう都市づくり専門家が、北は多分旭川ぐらいから南は沖縄まで自由に動き回る、そして一番いい技術を提供し、一番質のいい住宅なり町づくりを完成していく、そういういい意味職人集団、これが今極めて必要になってきたと思います。  では、そういう例は今までなかったかと申し上げますと、実はあるわけなんです。戦争前のことですが、これは有名な話です。北陸、福井市をスタートとしたと思いますが、水道屋さんの集団がありました。水道屋さんの集団はこれはどこですかね、厚生省というのはあったかな、やはりそこの外郭組織技術屋集団で、福井水道事業をやったら次は富山の水道事業をやるとか、こういうふうにして、非常に高度の技術を持った職人集団がぐっと全国を動いていって、効率のいい整備をしたんですね。  ですから、そういう点では、ここの組織をやはり国全体として効率よく使って、むだな税金を使わない。それから、この組織を使ってうまく民間仕事と、よくわかりませんが、建設省とか運輸省とかがこうすべきだというので、いかめしい顔で何かそういう仕事をしろということと民間仕事の間のつなぎをする、こういう組織として大変重要ではないかと思います。  ちなみに、私、もう時間が終わりですが、今、再開発コーディネーター協会というところの取り仕切りをやっております。それから、都市計画家協会という任意団体ですが、そこの取り仕切りをやっています。こういう第三者的で、なおかつ下世話な話を非常によく聞いて、そしてその話を整理して、これは区役所、これは国、これは県庁というふうに整理をして、それを最後うまく組み立てていく、こういうことが大変必要な時代になってまいりました。新しい自由業だと思いますが、そういう自由業をきちっと活性化していく点でも、この新しい組織は、どういう名前になりますかわかりませんが、大変重要ではないかと思っております。  以上、十五分をちょっと過ぎましたけれども、終わらせていただきます。(拍手
  4. 平田米男

    平田委員長 ありがとうございました。  次に、波多野参考人にお願いいたします。
  5. 波多野重雄

    波多野参考人 ただいま伊藤先生からちょっと御批判をいただいた立場の、私は八王子市長波多野でございます。  私ども八王子市は、人口約五十一万人、首都東京の西に位置して、東京中核都市として大学が二十一を数える学園都市でもあります。  私は市長就任四期目ですが、この間、住宅都市整備公団の御協力もあり、着実に八王子市の町づくりが行われてまいりました。  目下、政府は、厳しい財政状況のもと行財政改革に取り組まれ、日本安心、安全な国づくり、そして国民生活安定に日夜御努力されていることに、まず地方公共団体を預かる責任者として厚く感謝申し上げる次第でございます。  私は、地方公共団体住宅都市整備公団とのかかわりについて、以下、主要な点を申し上げ、バブル崩壊後の今日こそ、都市基盤整備には新たな公団必要性と、そのバックアップに期待する立場で御意見を申し上げます。  まず一つ目として、住宅都市整備公団地方公共団体とのかかわりについてでございますが、私は、地方公共団体長期展望に立った町づくりを効果的に進めるためには、息の長い、人的、物的、技術的にすぐれ、また国家的見地に立った政策の支援体制が必要であると考えております。その点、住宅都市整備公団は、国際的な視野と高度な技術力、豊富な人材を持ち、安心、安定的な協力関係を維持し、秩序ある計画的町づくりに最適なパートナーと考えております。  一方、民間ディベロッパー住宅団地の造成を行っておりますが、地方公共団体の合目的的町づくりとは一致しない状況がしばしば見られ、後の町づくりに際して、ややもすると障害をもたらす結果となることもあります。  私は、民間事業者を否定するものではありませんが、民間事業者による町づくりは、無理のない、市街地中小規模住宅団地に限られるのが現実の姿であり、都市基盤整備を伴う規模の大きい事業については、民間採算性の問題から実施は困難であり、公益性を優先した質の高い町づくりは、市と公団協力し合って初めて実施が可能と考えております。  二つ目として、市街地開発事業推進についてでございますが、私は、これこそが町の活性化を促進するために最も有効な施策と考えております。  中心商店街活性化問題が国の重要施策一つとなっている今日、大型店の撤退による空洞化や後継者問題で悩む商店街活性化対策として、再開発手法による開発が有効であると考えております。もちろん、中には民間住宅も含まれる場合もあり、これらを整理統合し、権利移転を行い、町の活性化を図るには、地方公共団体ひとりのみでは到底不可能であります。その点、ノウハウを持つ住宅都市整備公団コーディネートにより事業が円滑に立ち上がる実例を見ても、いかに地域住民が国の力を反映した公団信頼を置いているかを如実に物語っていると思われます。特に、地域の骨格となるような重要な再開発事業での公団に対する期待は、大きなものがあります。  三つ目として、土地区画整理事業推進についても、地域住民の自発的、小規模土地区画整理事業組合施行で行われておりますが、概して、規模の大きい、地域スプロール化対策や複雑な地縁関係の調整、あるいは不整形土地または赤道などの混在する場合は、住宅都市整備公団の卓越したノウハウ技術力コーディネートの御支援は不可欠であり、良好な土地環境整備こそ町づくりの原点であることから、この手法を抜きにしては実施できません。  四つ目として、民間事業者との提携ですが、建築は必ず土地取得に始まります。市街地には不整形土地虫食い状態土地が散在し、これを整形、集約化することにより立派な土地が確保されます。そして、その上に合理的な建築物が可能となりますが、これには相当長い年月を要します。したがって、民間建築活動にはまず良好な基盤整備が必要であり、その点、住宅都市整備公団は、国の総合経済対策としての土地有効利用事業に既に着手しており、従来からの信頼性と的確な指導性を持って、地方公共団体と連携して、粘り強く不在地主、相続、あるいは係争物件を適切に処理するなど、土地取得実績を上げております。  なお、公団は、民間活力育成から、私ども、八王子住宅建設協同組合地元工務店でありますが、これらに対し基盤整備後の土地を民卸しすることにより、事業機会の提供を行い、地場産業育成にも努めており、今後も、民間建築活動を支えるとともに、良好な基盤整備に期待するところが大であります。  五つ目として、国民の生命、安全、財産の保全など、緊急的に対応を図るべき都市整備上の課題については、国と地方公共団体が両輪となって解決を図る必要があると思います。  先ほどの伊藤先生のお話ではありませんが、阪神淡路大震災復興に際して、災害復旧事業などに住宅都市整備公団の力が偉大な成果を上げたことは言うまでもありません。一たんこのような大規模災害が発生した場合は、その地域地方公共団体は自区内対応が精いっぱいであり、早い復旧は至難のわざであります。したがいまして、公団問題解決に係るノウハウ、すぐれた人材機動力に期待するところは大であります。  六つ目として、多摩ニュータウン事業について申し上げたいと思います。  多摩ニュータウン事業は、約三千ヘクタールであります。稲城市、多摩市、町田市、八王子市にまたがる地域は、昭和三十九年以来、住宅都市整備公団東京都が着手し、今日約八三%が完成し、十八万人がそこで生活するすばらしい町並みが形成されております。昔、この地域は山村、陸の孤島といった地域で、今では、電車、バスが行き交い、多摩川を渡る橋も完成し、間もなく多摩都市モノレールが開通する至便な都市と変貌しており、この発展には目を見張るものがあります。  七つ目として、八王子みなみ野シティについて申し上げます。  ここは、約三百九十五ヘクタールで、公団施行土地区画整理事業として実施されていますが、入居が平成九年より始まり、見事な環境で、昨年の宅地分譲応募平均倍率は十六倍で、相変わらず高い人気であります。  また、八王子みなみ野シティには、地区内を通るJR横浜線に、平成九年四月、八王子みなみ野駅も開業いたしました。この地域自然環境を生かし、広い道路河川等整備し、業務集積も進行し、近くの大学や企業、レジャー客などでにぎわいを呈しています。  この土地は、山に点在する農家と畑で構成されていましたが、今では、近くの片倉城址公園付近に農地を集約し、また、里山を生かした公園業務用地商店街健康住宅を初めとする住宅地などが整備され、同時に、八王子市も子育てセンターエンゼルプラザの開設をし、質の高い施設が構築されております。  この長期にわたる複雑な地形、権利関係整理統合していただいた住宅都市整備公団に対して、地元地権者は尊敬の念を持っている次第であります。  八つ目として、多摩ニュータウン内の八王子管内について、既に実施中の十三住区は、Nシティーとしてコンセプトコンペを実行し、また、開発に着手している多摩ニュータウン十九住区の町づくりは、来るべき二十一世紀に向けた次世代町づくりの実現を目指しています。すぐれた自然環境との共生、省エネ、省資源の追求、市民参加町づくりなどをテーマとして、先導的な都市となるよう、現在、私も公団と一緒になって勉強しておるのであります。  さらに、周辺の酪農家との共存、交流も大事なテーマであり、かなり抵抗の強かった農家方々、そしてこの地域東京都でも珍しい酪農家集落ですが、住宅都市整備公団設計段階から民間人を入れたプログラムの対応に対し、酪農家と共存する広場、あるいは古くからある神社の森を保存するなどの設計に翻意し、かたくなに拒否していたこの地域への都市計画道路にも協力が得られ、将来に向けて「モーと鳴く画期的都市」が生まれることを楽しみにしている次第です。  九つ目として、川口リサーチパークについては、自然環境に配慮しながら整備開発する予定であります。  十番目として、賃貸住宅家賃については、右肩上がり経済の終えんした今日、従来の原価方式から時代に適合した生活方式家賃として、弱者対策に配慮しつつ、市場との連動を図る適切な評価方法を考慮していただきたいとお願い申し上げます。  最後になりましたが、以上、地方公共団体を代表して、住宅都市整備公団実績評価するとともに、今後とも新公団必要性につき、参考人として私の意見を申し上げました。  ありがとうございました。(拍手
  6. 平田米男

    平田委員長 ありがとうございました。  次に、岩沙参考人にお願いいたします。
  7. 岩沙弘道

    岩沙参考人 三井不動産岩沙でございます。  ただいま波多野市長から、八王子での民間事業者の役割についてちょっとお話がございましたが、民間事業者にもいろいろございまして、私どもも八王子の住環境整備と発展のために力を尽くしてきたつもりでございますので、いずれ機会を改めまして、不動産協会の運営委員長といたしましても、民間事業者のそういった町の発展に尽くそうという思いと能力を御説明に参りたいと思っている次第でございます。  オフィスビルとか住宅、商業施設等の複合開発を初めとする都市開発に三十年以上携わってきました者といたしまして、また、その過程におきまして住宅都市整備公団との共同事業等の経験を有する者として、新公団について意見を述べさせていただきたいと存じます。  皆様御高承のとおり、都市問題、特に大都市問題の解決は、日本の未来を決める重要な課題であると存じます。近年になりまして、都市の再生への関心が高まり、規制緩和策や税制の見直しなどが論議され、多様な政策が実施されるようになりました。  しかしながら、我が国の大都市は、経済大国にふさわしいレベルには達しておりません。私は、二十一世紀の都市には、最低限でも次の三つの機能が不可欠だと考えております。  第一には、情報化社会における高度な情報サービス産業を生み出す産業インキュベーター、雇用創造母体としての都市機能であります。高度情報化社会では、コンピューターのネットワークが情報、通信にとどまることなく、生産、流通、金融、教育、娯楽、医療、環境などの各分野に大きな影響を及ぼすとともに、新たな関連サービス事業を次々と生み出します。オフィス、住宅、学校など、都市施設の情報インフラ整備のおくれが、せっかくの雇用創造のチャンスを抑制していると思います。  第二には、国際化社会における国際交流、国際金融の場としての機能でございます。我が国の大都市を取り巻く諸制度の閉鎖性と魅力不足のため、国際交流や国際金融の進展が妨げられ、アジアの首都機能としての地位すら失いかねない、そういう状況となっております。  第三の機能は、生活する場としての都市であります。都市圏の無秩序な拡大により生じた長距離通勤や交通混雑の解消、都市公園の確保や都市施設の拡充など、生活空間の豊かさ実現への宿題は無数にあると存じます。また、少子高齢化社会にふさわしい都市に改造していかなければいけない、再生していかなければならないと考えております。  二十世紀の産業社会で優等生的存在であった我が国の大都市は、二十一世紀型の高度サービス産業社会に向けて大改造の必要に迫られていると思います。このような問題を解決して都市を再生していくことが、緊急課題である経済再生にもつながる内需拡大、雇用創造の最も賢明な方法ではないか、かように考える次第でございます。  本来、都市改造の担い手は、国、地方公共団体、住民であるべきだと思いますが、先ほど波多野市長からもいろいろ御説明がございましたが、地方公共団体の財政的問題、地元の合意形成の難しさとか、町づくり事業長期にわたる中でのリスクなど、私ども民間事業者も、そういった観点では、積極的な町づくりのプロとして、コーディネーターとして、計画施設のマーケットを熟知している事業者として参画を求められ、参画してまいりました。  平成九年二月の新総合土地政策推進要綱策定以降、規制緩和や法税制改正によりまして、民間事業者事業に参画し、コーディネーターとして力を発揮しやすい環境を整えていただいております。しかし、広域的、長期的、段階的に取り組まなければいけない町づくりにおきましては、土地の先行取得基盤整備、多数の住民の合意形成など、民間事業者だけでは将来とも取り組むことが難しい分野でございます。私は、新公団にはぜひこの分野での役割を期待いたしたいと存じます。  都市の再生は、国、地方公共団体公団民間事業者、住民と、すべての担い手が協力してまたは協働して取り組まなければならないと認識しております。  都市の防災性の向上、土地利用の効率化の観点から、細分化されて権利関係も錯綜している区画形状の整っていない土地整理統合いたしまして有効活用することは、特にバブル崩壊後強く求められております。このような機能は、我々民間事業者に与えられている法律上の権能、さらには民間企業における資金の調達力、経営効率などから、相当程度の区域にまたがり、かつ長期対応が必要とされるものについては、やはり公的機関、なかんずく新公団により主導されるべきものと考えられます。  区画整理事業住宅市街地開発事業等によって敷地の整備が行われた後、今までは住宅都市整備公団で行っておられました住宅等の建物の整備民間事業者が行うことによりまして、それぞれの長所を生かして市街地の形成を図るシステムというのは効率的かつ合理的であり、新公団の役割も大きなものがあると考えます。  一方、私ども民間事業者におきましても、土地区画整理事業市街地開発事業の経験からさまざまなノウハウを有しております。都市機能を再生させるための事業は、地域規模によりその条件がさまざまでございます。かつ、地域間競争を考えることも必要な時代になってまいりました。  そういう意味では、公民の役割分担も多様なケースが考えられます。その事業の条件に応じ、民間事業者の参画のタイミング、参画の方法などさまざまな協働の手法が提供されるとともに、事業がスピーディーかつ効率よく進み、また完成後の管理運営を含めた、将来にわたり町が繁栄していくことが肝要かと思います。さらには、経済状況事業環境の変化が激しい時代でございますので、そういった変化に迅速に対応し、リスクを極力小さくするような途中での見直しなど、柔軟な取り組みも必要ではないかと考えます。  今後は、民間でできるものは民間にゆだねるという観点から、例えば、町づくりの基本プランの策定において早い段階から民間事業者のプランを取り入れていただくことや、民間事業者の専門分野である業務系施設のマーケット調査、権利関係、許認可の取得などの個別業務で民間事業者ノウハウがあるものについては極力民間事業者に委託していただくことなどが望まれます。  また、基盤整備後の土地の処分につきましては、価格のみで判断することなく、公正な選定基準を定めた上、プランの策定能力や事業全体におけるその事業者の位置づけ、実施能力などを総合的に判断していただくなど、新しい協働のあり方を検討していただきたいと思います。  次に、住宅に関して申し上げますと、住宅のストックが世帯数を大幅に上回っている今日、民間事業者の供給能力、供給住宅の質の向上から考えますと、住宅の分譲からの新公団の撤退は時代の必然かと思います。  一方、賃貸住宅につきましては、幅広い層での需要が増加しているにもかかわらず、民間事業者の供給は地域対象が限られたものとなっております。中堅勤労者向けの良質な賃貸住宅の供給といった面からは必ずしも十分とは言えないのが現状でございます。  現在、首都圏で四十四万戸のストックを有し、年間一万二千戸以上供給しておられます住宅都市整備公団は、中堅勤労者への良質な賃貸住宅経済的弱者への住宅の提供を行っておられまして、今後ともこのことは大変重要なことであると考えます。こうした意味で、新公団が当分の間、新規の賃貸住宅の供給を行うことは必要なことと思います。  しかし、今後は、定期借地権及び定期借家権の導入や規制緩和による土地の高度利用、さらには証券化による資金調達やリスク分散の手法の導入によりまして、民間事業者からの供給が増加するとともに、新たな投資家も登場してくると思われるため、将来的には分譲住宅と同様、民間事業者の分野となっていくものと思われます。また、既存のストックであります八十万戸の賃貸住宅の建てかえや管理運営については、民間活力を導入できる分野は極力導入していただきつつ、新公団において対応されるのが現実的であろうかと存じます。  さて、これまで私どもは、住宅都市整備公団地方公共団体との協業と役割分担のもと、都心の大規模開発事業を手がけてまいりましたが、ここでは私どもがかかわった事例を御紹介いたします。時間の関係で、二つ御紹介しようと思っていたのですが、一つにいたしまして御紹介申し上げます。  品川区の再開発事業でございますが、本事業は、大崎副都心エリア内の二十九ヘクタールに及ぶ地域におきまして、公共公益施設の整備に伴い、都市機能の更新を行うものであります。街路、公園などの基盤整備や、敷地の統合、整序による街区の形成を行いました。住宅、ビル、商業等の複合的な町づくりを図ろうとするものでございます。これを受けて、現在、五つの街区におきまして具体的な町づくり活動が進行いたしております。このうち一街区がリーディングプロジェクトとして、この一月に建築着工の運びとなりました。  この市街地開発事業では住宅都市整備公団に参加組合員として加わっていただいております。これは、分譲住宅部分は同じく参加組合員である私ども民間事業者が担当いたしております。約二百戸ぐらいやっております。住宅都市整備公団賃貸住宅部門を担当するということで、百戸程度の賃貸住宅を担当していただいております。こういった役割分担がございます。  また、住宅都市整備公団が品川区にかわりまして、施行地区外道路の拡幅事業において、これはまさに基盤整備でございますが、目黒川からソニー通りまで三百メーターにわたりまして、舗道状空間を入れまして幅二十二メーターの主要道路、現在は六メーターぐらいの道路なんです。これを二十二メーターの主要道路に拡幅いたすわけですが、用地買収、土木工事ともに行っていただいております。  さらに、この地域におきましては、住宅都市整備公団及び私ども民間事業者が、発足当初から町づくりのコーディネーターといたしまして、そのノウハウ、パワーを連携、協働して提供してまいりました。このような地域における複合的な町づくりを考えますと、こうした早い段階からの公民の役割分担は今後ますます必要であろうかと感じております。  もう一つ御紹介しようと思っておりました例はリバーサイド21という大川端のプロジェクトでございますが、また質疑の中でお尋ねいただければと存じます。  私どもは、今までも町づくり都市開発におきまして住宅都市整備公団との協働を行ってまいりましたが、今後も一層、新しい公団民間の協働による町づくりが重要になると思いますし、先ほども申しましたように、私ども民間事業者自体も、より専門的なノウハウ並びに研さんを積みまして、町の再開発事業を担ってまいりたい、お役に立ってまいりたいと存じている次第でございます。私の意見は以上でございます。  ありがとうございました。(拍手
  8. 平田米男

    平田委員長 ありがとうございました。  次に、楓参考人にお願いいたします。
  9. 楓健年

    楓参考人 御紹介いただきました全国公団住宅自治会協議会の楓でございます。  意見を申し述べる前に、まず、住宅都市整備公団改革の審議に当たりまして、居住者を代表して意見陳述の機会を与えてくださいました平田建設委員長を初め各会派の委員の先生方に、心から御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。  さて、今回の公団改革論議が始まりました際、全国公団賃貸住宅で暮らすおよそ七十三万世帯、約二百万人の居住者の間には大きな衝撃と不安が広がりました。  その不安の内容は、公団賃貸住宅が公共住宅ではなくなって民間住宅になってしまうのではないかということがまず一点であります。  その結果として家賃が大幅に上げられるのではないか、これが二点目であります。  三点目は、公団住宅の管理は今後一体どういうふうになるんだろう、公団の直接管理を離れて現在の公団の住環境の状態が今後ともによいレベルで維持されるのかどうか。こうしたことが不安の中身でございました。  考えてみますと、昭和三十年、日本住宅公団として発足し、その業務が現在のこの住宅都市整備公団に受け継がれて四十三年になろうかと思いますが、公団大都市地域の勤労所得階層を主な施策対象として、民間市場では不足している標準世帯向けの良質な公共賃貸住宅や宅地を供給し、我が国の公共住宅政策づくりに先導的な役割を果たしてきました。このような公共住宅の担い手としての住宅都市整備公団への評価は、阪神淡路大震災直後の多くの自治体関係者を初め多くのマスコミが取り上げた、震災時などの際には公共住宅の方が絶対に有利だ、こういうような大合唱にも如実にあらわれているのではないかというふうに思います。  公団で暮らす私たちは、それぞれの団地、地域において自治会や町内会を結成し、コミュニティーづくりに努力してまいりました。盆踊りや運動会、高齢者の皆さん方への助け合い、あるいは子供たちへのふるさとづくり、最近では集合住宅におけるごみ処理問題や自主防災会づくりも自治会、町内会活動の大きな柱になってきています。団地周辺の民間マンションで遊び場のない子供たちが私たちの公団住宅の団地の広場や遊園地に遊びに来る光景は、全国どこの団地でも日常的に見られる光景であります。  また、阪神淡路大震災でその安全性が証明された公団住宅。ちなみに、阪神淡路大震災ではあれだけたくさんお亡くなりになった方がいらっしゃいますが、公団住宅においては建物の倒壊による死者は一名もございません。こういう安全性が証明された公団住宅の自主防災会では、大震災などの際、団地が地域救援活動の拠点になろう、こういうことを合い言葉に活動しています。  こういう意味では、公団住宅の役割は終わったのではなく、ますます公共賃貸住宅として、とりわけ大都市においてはこの役割の重要性は高まっているのではないかというふうに私どもは考えています。このことは、公団の空き家募集における大変な倍率が何よりも物語っています。新公団法を検討していただく際、このような公団住宅の現状も視野に入れた御審議をお願いしたいというふうに思います。  次に、お手元に配らせていただいています資料が二部ございます。一つにとじておりますが、まず前半の四枚が都市基盤整備公団法案に関する私どもの要請事項であります。五枚目からは、私どもが三年置きに行っております第五回団地の生活と住まいアンケート調査の集計結果の概略であります。  このうち、アンケートの集計結果をごらんいただきたいと思いますが、これは三年ごとに私どもが実施しています公団居住者の生活実態調査であります。今回はその五回目の調査で、一月の十五日から三十一日までという極めて短期間の取り組みでありましたが、全国二百二十三団地の自治会が参加し、総計二十二万四千六百七十五世帯にアンケート用紙を配付させていただいて、十一万三千六百四十八世帯から回収を得た回答をまとめたものでございます。  これを見ていただくとよくわかりますが、まず世帯主の年齢のところでありますが、五十歳代が二割を超えております。六十から六十四歳が一割五分ぐらいございます。六十五歳から六十九歳が一割強であります。七十歳以上が一割三分ちょっと、こういうような数字になっております。六十歳以上をお年寄りとお呼びすると最近ではおしかりを受ける場合が多いわけでありますが、六十歳以上の百分比の合計を見てみますと、これだけで全体の約四割を占める、こういうような居住者構成になっております。  次に、世帯の年間収入でございますが、これは一九九七年度、一昨年の税込みの数字でありますが、いわゆる所得分位一分位に相当する四百八十六万円未満の合計が五三・四%ございます。中でも百万円未満というような世帯が二・六%、百四十万未満世帯が四・二%、こういう数字を占めています。所得分位二分位に相当する階層が一八・七%、第三分位に相当する階層が一二%、第四分位、第五分位が合わせて九・二%というような状態であります。  調査結果をごらんいただければおわかりのように、基本的には公営住宅へ申し込み資格を持つ所得分位一、二分位の合計が七二・一%もございまして、多くの自治体では、公共賃貸住宅、いわゆる公営住宅の少ないところでは公団賃貸住宅公営住宅の役割をしている、こういうことが具体的にあらわれております。  加えて、未曾有の不況の中で、全国各地の団地の中でも働きたくても職場のない人たちが目立ち始めています。アンケートの結果の中にこのことは数字で具体的にあらわれております。  こういう衝撃と不安の中で公団改革論議を見守っていた私たちに対し、当時建設大臣でありました亀井建設大臣は、今までのような役所仕事ではなく、住んでいる私たちにもっと満足していただけるようにしたい、入居者の御心配のない形でやっていきたい、管理のレベル低下のないようにするとお約束をいただきました。また、瓦建設大臣には、管理については安心して住まい、生活できるように考えたい、家賃問題では公営住宅とのかかわり、居住者の負担部分の問題等さまざまあって、一般会計からの導入も図りながら考えていくとの御発言をいただきました。  このような歴代建設大臣の御発言が私たちの不安解消に一定の役割を果たしたことは言うまでもございません。また、政府関係者のたくさんの方から居住の安定を図るというお言葉もいただいております。  そういう立場で今回の法案を詳細に読ませていただくと、幾つかの点で気がかりなことがございます。以上のような立場から、具体的に法案について二、三意見を申し述べさせていただきます。  まず、新公団の名称についてでありますが、都市基盤整備公団ということで、この名称の中には、七十三万戸の居住者がいるにもかかわらず住宅もしくは居住という言葉が見当たりません。  先日も、私は、自分の団地で何人かの方にこの名称について意見をお聞きしました。そうすると、ある人がこういうことを言いました。今まで、知り合いの方にどちらにお住まいですかというふうに聞かれた場合に、公団住宅に住んでいる、住宅公団に住んでいるというふうに答えれば相手の方はわかっていただけた、これからは基盤公団に住んでいると言わなきゃいけないんでしょうか、まるで造成の工事現場に住んでいるような感じで、こういうような意見を言っておりました。  民間住宅市場だけでは供給困難な、良質なファミリー向け賃貸住宅を供給する役割は、なお必要とされています。また、政府として、借家の居住水準の向上を図るための住宅政策を総合的に推進していくためには、直接供給を今後とも維持していく必要があるのではないかと考えます。ちなみに、平成五年度の住宅調査によりますと、我が国の借家の平均床面積は約四十五平米でありまして、欧米の先進諸国に比べれば非常におくれているということが指摘されております。そうした中で、公団の果たしていく割合はますます大きいというふうに思います。  そういう意味で、公団の名称、目的の中に、名称にはぜひ住宅を入れていただきたい、それから、目的のところには「福祉の増進に寄与することを目的とする。」という従来ありましたこの文言は、ぜひとも削除しないでいただきたいというふうに思います。  いろいろたくさん申し上げたいことはございますが、時間が参りましたようでございますので、もう一点だけにさせていただきますけれども、家賃の問題について、近傍同種の家賃というようなことが盛んに出てまいります。そうした場合に、居住の安定に配慮していただくためには、入居者の負担能力の実態を勘案して定めるというようなことを法文の中に明記していただけないか。近傍同種を基準として公団住宅家賃を変更した場合、相当の値上げとなって居住の安定を損なうおそれが出てくるのではないか、こういうような不安を持っております。  それから、新公団組織あるいは財務、会計、こういうところにつきましては、開かれた公団にしていただいて、国民の代表が運営委員に入るだとか、あるいは財務諸表その他についても、せめて一般民間企業が行っているように有価証券報告書のような形で広く一般に公開されるような、こういうような経理が図られることを心からお願いして、私の意見を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手
  10. 平田米男

    平田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 平田米男

    平田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田義昭君。
  12. 原田義昭

    ○原田(義)委員 自民党の原田義昭でございます。  まずもって、きょうは四人の参考人の先生方、大変お忙しいところ私どものために足を運んでいただきまして、大変有益なお話をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。それぞれお立場に立脚した、非常に観念論でない御意見を賜りましたこと、心から感謝を申し上げます。  私、最初の質問でございますけれども、限られた時間でございますが、多少自分の考えていること等入れながら、時間内で終わらせたいと思います。  まず、経済、景気が低迷しておる、何とか景気の回復をということは、今、官民挙げての願いでございます。バブル崩壊後、もう十年近くなるわけでございますけれども、もうそろそろいいだろう、こんな感じがいたしますが、おかげさまで、年が明けまして、特に年度がかわったぐらいから大分経済の指標もよくなってきたのではないかな、一応底入れをした、あとはどういうピッチで上向きに行くかというような感じではないかと思います。もちろんいろいろ評価があろうかとは思いますが。きょうの新聞等でも株価も一万七千円を超えた、株価だけではありませんけれども、そういう数字がいろいろ出ておるわけであります。  私、開銀の速報レポートを私用によく使わせていただくんですけれども、一番新しい数字を、釈迦に説法でございますけれども若干拾わせていただきますと、二月の景気動向指標では、二カ月連続で五〇%以上が上向きというふうに書かれた。二月は六〇%が上向きの指標を示しておるというようなこと。鉱工業生産指数は、横ばいであるけれども上向きの方向が見えてきた。  さらに、設備投資の関係では機械受注額、これは、製造業は減少しているけれども、非製造業のうちの通信業を中心に大幅に増加しておる、そういう意味で、全体では五%増になっておる、こういうことがございます。公共工事金額は、補正予算の効果等により前年同月比、これは三月ですが八九%の増ということでございます。さらに、新設住宅着工戸数。これは、持ち家を中心にめっきり上昇の数字になってきた。前月比三・二%増と三カ月連続の増加となった、こういう数字が出ております。  参考までですけれども、多少ほかのことも言いますと、個人消費は、二月においては、日数が少ないというのもありますが、消費性向は低下した。商業販売額は、よく言われますけれども、大型小売店、百貨店は二・七%の減。コンビニは、ゲームソフトの売り上げが寄与して三・三%増と非常に力強くいっております。新車がよく景気指標に使われますけれども、軽自動車が非常によい。ただ、残りの普通車、小型車はだめ。こういうような、まだ下向きということが書いてあります。  何といっても、こういうのを見てみますと、全体の景気はマイナスから横ばいぐらいに何とか上りそうでありますが、言えますのは、住宅建設、さらには公共投資、これが、大幅な予算投入もありまして、景気の牽引車として引っ張り上げておる。あと、先ほど言いましたように、通信業が設備投資を含めて元気がいい。あと小型自動車。これも、多少は税制上の問題も影響しておるようでございます。  しかし同時に、完全失業率がかつてない水準で高くなっておる。二月で四・六%、三月で四・八%と言われていますね。  ちょっと話が外れますけれども、小渕さんが今度アメリカに行ってきたんですね。なかなか大したものだなと思うのは、これからももしかしたらもっと伸びるかもしれぬ、経済が、企業が体質を強くする過程においてはやむを得ないことだ、しかし、これらの雇用を吸収するような新しい産業、経済活動をつくり上げていかないけぬ、こういうことをアメリカで堂々とその辺のことも言ってこられました。  いずれにいたしましても、日本経済は非常に大事なところに来ておるわけですが、私が言わんとするところは、この中で住宅産業、公共投資が元気がいい、景気の牽引車を任じておる。こういうところで、私どもここにおるのは衆議院の建設委員会のメンバーでございますけれども、私どもがいろいろな政策を昨年の暮れからことしにかけて打ってまいりました。  例えば、住宅建設がこのところ大変調子がいいということはもう既にいろいろ報じられております。これも、御承知のようにいろいろな減税措置といいますか、住宅ローンの控除制度というのを新しく導入いたしまして、これは例えば限度額も大幅に引き上げましたし、従来は建物だけが対象になっていたけれども、これを敷地も含めてローンの対象にするとかこういうようなこと、さらには住宅資金の贈与、これについて特例措置を講じた、こういうようなもろもろの政策を投じた、それがかなり直接的にこういう効果に結びついているんではないかなと、多少かかわり合った者として自負をしておると同時に、やはり政策というものがいかに国民生活に直接に影響するものか、それだけに我々がやることは責任重大だな、そういうふうに思うわけであります。  特に、私どもが担当しておる建設分野は、ひとり国民生活そのものじゃなくて、今申し上げましたように、経済全体の中に大変大きなウエート、位置づけを占めておるということについて、改めて責任というものを感ずる次第でございます。  多少違うアスペクトから入ってまいりましたけれども、今のような景気認識といいますか、その中で、建設、公共事業が果たしておる役割、これは岩沙さんなんか民間事業者として日々御苦労されておりますけれども、こういうことについてはどういうふうにお考えでしょうか。  特に、今年度の税制やら財投の力点は、住宅政策にどっちかというと重点を置きました。また、土地の流動化の問題とか不良資産をこれからどういうふうに解かしていくかというような問題、まだ問題点は山ほどあるわけでございまして、事業者の観点から一度御意見を聞かせていただきたいな、こう思っております。
  13. 岩沙弘道

    岩沙参考人 まず、昨年の緊急経済総合対策並びにその後の住宅需要喚起策の成果でございますが、先生御指摘のとおり、住宅政策としてはかつてないほどの住宅需要を喚起いたしておりまして、本当に政策効果があったものと思っております。大体十万戸で三兆三千億の波及効果がある、大変内需拡大に、また雇用創造にも、一兆円で十四万三千人ぐらいの雇用を創造すると言われている部分でございますので、今回のこの住宅需要喚起策としての住宅ローン控除そのほか先生からお話のありました税制について、我々業界といたしましても本当に感謝いたしておりますし、また、それを生かさなければということで、現在努力をいたしております。  十一月から一、二、三、四と、それからこのゴールデンウイークも非常に住宅市場は好調で、活気を呈しております。九八年度の着工戸数は残念ながら百二十万戸を切ってしまったというようなことですが、この住宅需要喚起策に伴って、販売を先にやったわけでございますので、これから着工が出てくるということで、景気に実効性が出てくるのではないかと思います。  それから、公庫の金利も、いろいろ御指導、御理解の中で、六月まで二・四という水準に抑えられているということも、需要者にとっては大変住宅購入を検討しやすい、こういう状況になっております。  需要を先食いしているというわけではありませんで、今まで控えておられた需要がかなり動き出しているということでございますし、今回顕著な例は、あらゆる需要層が動いております。一次取得からキャッシュリッチ層まで需要が動いております。  また、それに連動いたしまして、中古市場の方も同じように一次から買いかえで、やや高額の中古住宅の流通まで現在波及いたしておりまして、そういう意味では、住宅市場が全般的に動いているという、最近ではかつてない状況でございます。  一つには、商品企画自体もお客さんの満足度の高い住まいという形で業界の方も努力した結果もあるわけですが、先ほどから申しております住宅需要喚起策としてのいろいろな税制の改正、それから金利の先高感が多少インパクトになっておりますが、金融公庫の金利の問題でございます。  それから、不動産の流動化につきましては、昨年九月にSPC法をつくっていただきました。それから、十二月に会社型投資信託等の規制緩和もされております。またさらに、SPC法は、不良債権の担保不動産の流動化という観点が強過ぎる部分については、もっと不動産全般を流動化していく方向にということでいろいろ改正も御検討いただいているように思います。  そういう中で、金融不安も三月の公的資金の注入で一つ安心感というかセーフティーネットが完備されたような状況にございますので、これから、先ほども陳述の中で申し上げましたように、我々民間も含めていろいろ土地を有効利用しやすい環境整備していただいておりますし、また、今国会でも四法案、再開発関係のさらに促進する法案もかかっていると思いますので、いろいろな意味土地を生かして、先ほどお話し申しました都市の再生につなげるようなプロジェクトが動いていく中で、不動産も、優良不動産、不良不動産含めて、絡めて、むしろ、不良不動産だけでは市場は動きませんが、優良不動産とあわせる形で柔軟に取り組んでいけば大きく市場は動いて、内需拡大にも寄与するのではないかと考えております。  そういう意味で、一つだけお願い申し上げたいのは、借地借家法の改正で、現在定期借家権が国会にかかっておりますが、ぜひ創設をお願いいたしたいなと。これは、不動産の証券化、流動化には非常に欠くべからざる前提条件の一つではないかと考えますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  14. 原田義昭

    ○原田(義)委員 それぞれ大事なことですから、また私どもも努力をしたいと思っております。  それで、本法案についてですが、八王子市長さん、この公団法を実に精力的に活用されて今日こられたということについて、私からも敬意を表したいと思います。同僚の小林多門議員からいつも市長の御苦労ぶりは聞いておりましたけれども、私はお話を聞いて、そうかと。私は、住都公団というのはだんだん使命を終わりつつあるのかなというような気持ちも一部にはあったんですけれども、世の中は、だんだん民間活力への移行というか、民営化、民営化。もう一つは地方分権ということで、やはり、国ないし国にかわるものが余り出しゃばっていくという時代ではないかなとは正直言って思っていたんですけれども、お話をお聞きしますと、特に大型の、面の広い総合的な基盤整備につきましては、やはり専門家も多く擁する、また国のいろいろな権限を効率的に行使する、こういう公団の役割というのは、さらに新しい形で重要になるかな、こういうふうに思いました。  そういう意味では、ただいまの市長の御説明は本当に胸を打つものがございました。その中で、最後に、私どもに対して敬意を表しますというような、尊敬の念を持っている次第ですというようなくだりもございましたけれども、私どもは、ぜひ、この機能、役割をこれからも任じて、やはりしっかりと社会のために役立てていかなければいけない、そういうふうに思っております。  時間が参りましたが、もう一つだけ、楓参考人に。  今回の法案では、低所得者、老齢者への家賃の特別措置といいますか、これが明記されておりますけれども、それは先ほどの御説明、意見陳述の趣旨からすると、まだまだ不十分というような感じでございましょうか。その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
  15. 楓健年

    楓参考人 私どもが、アンケート調査のところで、第一分位を四段階に分けて調査いたしました。  今回のルールのあれによりますと、二五%以下ということで、このことは非常に大きく評価するわけでございますけれども、二五%ということで一括になってしまいますと、その中には一〇%未満だとか一五%未満というような方たちも含まれるわけですね。  そういう意味で、現在、公営住宅がとっているような、これは将来の問題になるのかもわかりませんけれども、こういうきめ細かい、居住者の所得実態を勘案していただいた家賃ルールができれば非常にありがたいなというふうに思っております。
  16. 原田義昭

    ○原田(義)委員 終わります。
  17. 平田米男

  18. 石井紘基

    石井(紘)委員 御苦労さまでございます。民主党の石井紘基でございます。  公団賃貸住宅居住者の代表の楓さんから言われました不安、心配、それから、これまでの経過と随分違うじゃないかという、矛盾を感じられておられるということは、本当に私も痛切によく理解ができるわけでございます。  そこで、私の質問は、まず岩沙参考人に、恐縮でございますけれども、もし可能であれば、三井不動産の資本金とか総資産とか、あるいは住宅供給、あるいは宅地の供給事業というものを、例えば売上高で結構でございますが、どのくらいやっているものか、もし都合の悪い点はおっしゃらなくて結構でございますので、お聞かせいただければと思います。
  19. 岩沙弘道

    岩沙参考人 お答えいたします。  私どもの資本金は約千三百数十億でございます。総資産は二兆円ございます。住宅は、大体、戸建て、マンション合わせまして全国で一万戸供給いたしておりまして、首都圏で六千戸ぐらい供給いたしております。住宅部門の売り上げは約三千億弱といった規模でございます。お答えになりましたでしょうか。
  20. 石井紘基

    石井(紘)委員 おっしゃりにくいこともあったかと思いますが、率直にお答えいただきまして、大変参考になるわけでございます。ありがとうございます。  そこで、今のお出しいただきました数字を住都公団の現状の規模というものと比較をさせていただきたいと思うのです。  そういたしますと、今、資本金が千三百億ぐらいだとおっしゃられた。住都公団の資本金は二千四百三十九億円でございます。それから、総資産というものは、三井不動産の場合は二兆円ほどだとおっしゃられたのですが、住都公団は二十六兆五千八百億円であります。供給額、売上高は三千億ちょっと切るぐらいじゃないかと思うのですが、住都公団の場合は一兆円近い金額になっております。しかも、三井不動産の場合は、今おっしゃられた数字というのは、これはほとんどすべて業界トップであろうというふうに、特に住宅の売上高においてはトップであろうというふうに私は思うわけでございます。  ディベロッパー、不動産の業界というのは、二、三社が民間ではちょっと抜け出ておりますので、上位ずっとずらっと並べますと、恐らくこれは十社以上の分を住都公団が独占をしておる、市場独占をしておる、こういう形であろうと思います。  そこで、今後、都市基盤整備公団として、例えば家賃設定あるいは宅地等についても市場家賃というものを設定する、家賃の基準というものを従来のように設けない、これを取り外すということにして、市場の中に、民間との競争にいよいよもって堂々と割り込んでいくという形をとるわけであります。  もとより、住都公団というものは、税制上あるいは土地取得等あるいは長期資金の調達、あるいはさらには政府の補助金ががっぽり出るというような大変な特典を持っておる国の企業であります。こういうものが民間のそうした経済活動の中に、世界的な大規模なずうたいといいますか、規模をもって割り込んでいく。今までもそうでしたが、そういうことになった場合に、こうした中での競争という面で、当然大きなハンディを民間の企業の方は負うことになると思います。  そういう点で、これもまた、いろいろ住都公団と従来も区画整理や大規模開発でもって一緒に隊列を組みながらというか、住都公団のお世話になってというか、やってこられた立場でおっしゃりにくいと思いますけれども、率直に、大所高所から見解を伺わせていただければありがたいと思いますけれども、いかがですか。
  21. 岩沙弘道

    岩沙参考人 率直にお答えさせていただきます。  まず、今回の新公団さんの方針で、分譲マーケットからは撤退するということでございまして、例えば現在の住宅市場でいきますと、我々民間は非常に経営効率を迫られております。そういう意味で、主として住宅の供給は分譲を行っているわけでございますので、まず基本的に、事業対象の分野で競合がないという状況があろうかと思います。  それから、賃貸住宅事業でございますが、これにつきましては、現在、首都圏で約百四十万戸のストックがございますので、いわゆる賃貸マンションと言われているようなもので年間十万戸ぐらい供給されているわけでございますが、民間側のは、ほとんど土地をお持ちの地主さんが土地のコストというものを考えない形で上物をマンションとしてお建てになって、もしくは我々と共同事業で、我々が分譲部分を担って、いわゆる立体換地という方式で取り分を賃貸にお出しになる、こういうことでございますが、その場合もやはり、経営効率という観点とマーケットでの安全性というような観点から、ほとんど、住都公団さんが提供されております中堅層向けのものとはちょっと違って、高所得層向けとか単身の若い学生さん向けとか、いろいろすみ分けが行われている状況でございます。  それで、中堅層向けの賃貸住宅マーケットを今後どうするかということでございますが、これにつきましては、先ほども意見陳述でも申し上げましたように、我々としては、公団さんと市場でこれから競争をしていきたいと思っています。  ただ、先ほど申しましたように、現段階では、土地を購入して、企業的な、経営的な観点で賃貸住宅事業を中堅層向けに供給する状況が整っておりません。これが、定期借地権が今度相続割合とかなんかで是正されましたし、それから、定期借家権が通ることによって契約期間がいろいろな形ですっきりする。それに現在、不動産の流動化、証券化という形、それから、プロジェクトファイナンスのような形で資本市場から、建設についても、建設した後も、賃貸住宅家賃から上がるキャッシュフローを前提にした証券化商品というようなものを運用対象として考えていただく。  そういうトータルの仕組みが動き出せば、賃貸住宅長期間資金が寝て、収益性の悪い、経営効率として、やや、選択として分譲を選択する志向である必要はなくて、我々も資金効率のいい事業としてハイブリッドな組み立てができる可能性が出てきますので、そのときは市場であらゆる層に我々も供給していきたいと思っています。  結果的にそうなりますと、恐らく新公団さんも、その分野は、我々は生きるか死ぬか本当に毎日市場で戦っておりますので、今のような時代右肩上がりではなくて、お客様も、将来の財産価値の向上、値上がりという形では買ってこられません。本当に自分のライフスタイルとか家庭の事情とか、生活の中の要請で選択されてこられますので、極めて満足度の高い、顧客志向に徹した商品を供給していかなければ生き残れないわけでございます。そういう観点で賃貸住宅事業もやれば、民間の活力と知恵の中で戦えるのかな、こんなふうに思っております。  長くなりましたが、以上、お答え申し上げました。
  22. 石井紘基

    石井(紘)委員 公団長期資金の調達ができるというわけですが、こんなのは公団じゃなくともほかのところに長期資金の調達が必要があればさせればいいだけの話であって、公団が今はそれができるからといって、しかし、最終的には、私は民間の方がこれは強いというふうに思いますので、特に三井不動産ということじゃなくて、各業界の皆さん頑張っていただきたいと思うわけでございます。  それから、いろいろノウハウ公団が持っているとか人材があるとか言うわけですけれども、それは、先ほどの岩沙さんのお話のように、ちゃんと岩沙さんのお話の中にも、私ども民間事業者もプロフェッショナルなコーディネーターとして、また計画施設のマーケットを熟知している事業者として参画しているんだとか、あるいは、土地区画整理事業市街地開発事業の経験からさまざまなノウハウを有しているんだとか、誇り高くおっしゃっているわけですよ。だから、公団は、長期資金の調達ができてノウハウがあるから公団じゃなきゃできないんだなんて、そんなことはもう全くないわけです。これは、法律制度上の問題だけなんですね。  だから、そういう点で、こんなに民間事業の中へ殿様みたいに入っていって、そして、三井不動産だ、三菱地所だ、東急建設だ、ついていらっしゃいというようなことをやっているような国というのはないわけですよ、先進国では。だから、市場経済の基本的な原理からいって、やはりこれは、民間に対して制度上いろいろな措置を政策的に加えるなら加えるということでやっていってもらわないと、市場経済、不動産、建設というのは経済の背骨ですから、これがもたなくなっていく。そういう点で、ぜひ堂々とおっしゃりたいことをおっしゃっていただいて、公団であろうと建設省であろうと、おじる必要は全然ないです。分譲宅地や分譲住宅なんかの販売なんかも委託を、これはごく一部でしょうけれども、されておったりとか、そんなものをやらなくたっていいんですよ。  そこで、今度は八王子市長さん、どうも波多野市長、お久しぶりでございます。いろいろと、市長という立場ですから、国に対して、それは対等におっしゃれることはないと思います。ですから、先ほどのようなお話も、市長としての立場という点で私も理解をしておきたいと思うわけでございますが、一方、やはり市の経営という点でも、財政上の問題というのは非常に深刻だろうと思うんですね。  そういう点で、住都公団というのは、先ほど申しましたようにもう大変な、国からの補給金を初めとする補助金というようなもので、もうギブアップ寸前の経理状態でやっておるわけです。しかも、民間企業でしたらこれは株主に対して公開をしなきゃならぬけれども、例えば住都公団というのは、土地の売買価格とか建設資金とか、そういうものを一切公開しないわけですね。明らかにしていない。その結果、莫大な、一兆円しか売らないのに年間二兆七千億円かかっている、そういうような財政状況なわけですよ。  これまでの借入金の残高なんというのは、もうウナギ登りに毎年毎年上がっていって、今や十四兆五千億というふうになってきておりまして、もうもたないわけですね。国の財政という観点からも、ちょっと念頭に入れて、住宅公団についてお考えをお持ちいただければありがたいな、こういうふうに思うわけでございますが、何か一言だけで結構でございますので。
  23. 波多野重雄

    波多野参考人 私、基本的に、国だから、あるいは東京都だから遠慮をするということは毛頭考えておりません。私は、そういう関係は対等であるというように生来考えておる男でありまして、基本的には、町づくり国づくりなんですね。国づくり責任者は国であるんですね、国土。私は、戦後一貫して、国土総合開発法あるいは首都圏整備法をずっと読んでみますと、日本全体を国の責任でやりましょうと。そういう法律の前提に立つならば、そこでやはり、国が直接できない、国が直接できなかったならば国の政策をだれがやるか。公社公団という組織をつくったわけでありますから、それがやはり国づくり町づくりと一緒になって、両輪となって、安定した、安心して住める国土計画というものをつくらなければいけないと私は思う。  そういう意味では、やはり住都公団の果たしてきた役割は大きい。これは、別におもねって言う言葉じゃありません。やはり日本国土計画というものはそうあるべきだ、そのように私は思いますので、今後もやはり提携をしながら、もちろん民間とも提携をするということにやぶさかではありません。
  24. 石井紘基

    石井(紘)委員 自治体の長の波多野市長としては、恐らく大変優秀な市長さんなんだろうなと思わせるような御答弁をいただきました。  最後に、楓さん、公団賃貸住宅の居住者の立場から、何か御発言があればどうぞ発言してください。
  25. 楓健年

    楓参考人 先ほどの意見の中でも申し上げたんですが、やはり私どもとしましては、七十三万世帯二百万人が住んでいる、その管理というのは歴然として業務として残るわけですから、そういう意味では、新公団の中にも住宅という名前はぜひ残していただきたいということが一つ。  それともう一つは、やはり住宅というのは福祉の最たるものだというふうに考えておりますので、従来の公団法の中にありました「福祉の増進に寄与する」という、これを目的の中にきちっと明記をしていただきたい。  それから、家賃については、やはり近傍同種とか市場家賃とかいろいろ言われておるわけでありますけれども、そういういろいろ算出する根底の中に入居者の所得実態というものをそれなりに勘案したルールをつくっていただかないことには、負担率が非常に高くなるという問題が出てくるのではないかというふうに考えておりますので、その辺をひとつよろしくお願いしたいと思います。
  26. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。
  27. 平田米男

    平田委員長 井上義久君。
  28. 井上義久

    ○井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。  四参考人皆様には、御多忙の中、委員会に御出席をいただきまして、大変貴重な御意見を賜りまして、心から御礼、感謝申し上げる次第でございます。  それぞれ大変貴重な御意見をお聞かせいただきましたけれども、幾つか確認をさせていただきたい、こう思っております。  まず、伊藤参考人大都市リノベーション、これが国策として明確にされたということ、私も大変画期的なことだというふうに思っているわけでございます。それに関連して、いわゆる規制緩和とか民間資金の活用とかということで、そういうことをずっと推し進めていくと所得の格差が出てくる、それに応じて住宅供給の仕方がこれまでと変わってくる、こういうお話でございまして、例えば、では民間がどういう住宅を供給するのか、公団あるいは公社、公営がどういう住宅供給をするのか、それぞれ役割が変わってくるんだろう、こう思うわけです。  その一つの前提として、私は、大都市リノベーションを進めていく中で、やはりこれまでの日本住宅政策というのはどちらかといえば持ち家というのが主体であった、これからはライフスタイルに応じて住みかえていくということが大都市リノベーションのために大変必要だと思うんですね。そうすると、賃貸住宅をどう供給していくかということをこれとセットできちっとしていかなければいけないんではないかというふうに考えますと、私は、公営あるいは公団公社、この賃貸住宅供給必要性というのはこれからもさらにあるんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。  そういう観点からいいますと、先生のお考えで、賃貸住宅供給ということに関して、民間、公社、公営、公団、いわゆる公的セクター、そういう役割分担を考えますと、今回の公団法の改正は、賃貸住宅については再開発に応じて供給する、そういうふうに特化しているわけなんですけれども、果たして公団住宅というものが公的セクターとして、そういう大都市リノベーションに応じた住宅供給のセクターとして十分な役割を果たしていけるのか、また、新公団法の中でそれが十分に盛り込まれているのかどうかということを先生のお立場からひとつお伺いしたいのが一点です。  それからもう一点は、いわゆる住都公団、これまでの公団の中に、そういう意味大都市リノベーションをやっていく上で特に住宅に関しても専門家が大変たくさんいらっしゃる、私もそのとおりだと思いますし、いろいろ接点を持ちますけれども、極めて柔軟な考えの人もたくさんいらっしゃるわけなんです。ただ、これまでそういう専門家集団をたくさん抱えているにもかかわらず、例えば空き家が増大をしていったとか、あるいは分譲の売れ残りがたくさん出てきたとかという極めてミスマッチがやはり最近になって出てきている、それが公団を新しくつくり変えるということの一つのきっかけにもなっていると思うんですね。  では、なぜそういうミスマッチが起きてしまったのか、その辺のことをきちっと総括しておきませんと、これから新しく公団をつくっても同じようなミスマッチが出てくるんじゃないか。私は、公団の運営の仕方に問題があったんじゃないか、こんなふうに認識しているんですけれども、その辺のお考え、新公団法の中でそのことがきちっと担保されているのかどうか、先生のお考え、この二点をちょっとお伺いしたい。
  29. 伊藤滋

    伊藤参考人 それでは、お答えいたします。  賃貸住宅は、私は、これから日本人の生活で非常に重要な位置づけを持ってくると思っております。これは人生のずっと結婚してから死ぬまでの過程を考えますと、身の回りでしょっちゅう起きていることですが、子供が独立をしていきますと、せっかく一生懸命手に入れた分譲住宅も急に寂しくなります。それからまた、連れ合いが亡くなっていきますと、これは分譲住宅を手に入れたということ自体がおかしい、死ぬまでの段階でどう維持するかということだけになってくるわけですね。途端にお医者さんが欲しいとか、あるいはもう少し文化的、知的な刺激がある場所へ行きたいとか、こういう話が高齢者の、特に独身になられた方の頭の中をよぎるわけです。  そういう点で、こういう話を聞きましたけれども、これはうそか本当かわかりませんが、三多摩の非常に有名な、大学の先生なんかがいる住宅都市の中で奥様が連れ合いを亡くされて、ひとりになって、急に気がついたら寂しくて、友達もいない、いろいろな社会福祉の整備についても必ずしも柔軟ではないといったときに、どこか東京の東の方の区に住んでいる友達が来て、何か東の区の方がいろいろ友達も多いし、生活も物も安くて役所の面倒見もいいということで、途端に、かつての非常に権威の高かった市からかつては余り評判のよくなかった区の方へその連れ合いの七十過ぎぐらいの御婦人が移ろう、そういうようなことをよく聞くんですね。  ですから、生活のステージ、死ぬまでのライフサイクルの中で、分譲のものを持ち、そして場合によっては公団賃貸住宅に入り、最後はもしかすると公営に入っていく、こういうことが大多数の皆様方のこれからの生活の中に起きてくるんではないかと思います。そういう対応の中で、果たして、それならば、公営住宅あるいは公団住宅がきちっと対応してきているかというと、私はしていないと思うんです。むしろ、これから一生懸命考えなきゃいけないわけです。  高齢者の問題というのも、お年寄りの中でもお金を持っているお年寄りお金のないお年寄りがいるわけですから、そうすると、高齢者一般というのではなくて、高齢者の中も幾つかの対応を細やかにしなきゃいけない。こういうことを当然、公営住宅公団住宅も、それから多分三井不動産のようなお立場の方も全部考える、そうでなければ住宅の市場、マーケットを広げることができない、私はそう思っているわけです。その点で、賃貸住宅公団がこれから手がけるというのは、今までの賃貸住宅を考えるのではなくて、やはり新しい高齢社会の中での賃貸住宅をどういうふうにつくっていくかというチャレンジをしなきゃいけないと思っております。  ただ、余りむだ金は使ってもらいたくないものですから、なるべく効率よく、スピードアップして仕事をしていただきたいというのを私は公団にお願いしたいんです。とかく公の仕事というのは、役所が最たるもので、建設省はどうかわかりませんが、国の仕事は五年かかるというと十年かかるのは当たり前だ、何でも長くするのが当たり前だ、そういう雰囲気がございますが、そういうことはやめて、やはり生活の中で新しい環境を手に入れるという庶民の考え方からすれば、なるべく早く環境をいい方向へ変えていく、それをぜひ今度公団にやっていただきたいと思います。  それから、専門家集団のミスマッチ、これは御指摘のとおりなんです。専門家というのは二つの側面がございまして、自分の専門領域のところでは非常に能力を発揮するんですね。質のいいコンクリートをどういうふうに安く手に入れるかとか、あるいはおふろ場についての設計は今までと違う、そういうことは物すごくたけているわけですけれども、全体を総合して、これからの大都市圏あるいは地方都市圏の中で、どういうお年寄り、あるいはどういうひとり者の人、あるいはどういう核家族がどういう場所に住宅が欲しいかという点の全体の総合像を判断するということは、必ずしも今までうまくいっていなかった。住宅公団もいろいろな方がおられますが、そういう全体像をつかまえる、そういう仕事がこれから大変重要になるんじゃないかと思っています。これは民間の方もそうでございます。民間も、とかく狭い視野で商品を並べて失敗することがございます。  そこで、私、これから大変重要になると思いますのは、全体像を組み立てていく専門家、これが都市計画、町づくり住宅、不動産の市場で物すごく重要になってくるかと思うんですね。これは、場合によっては組織の中の専門家ではなくて、むしろ組織に関係なく、いろいろな会社とも、市役所とも、国とも、いろいろな形でつき合える、そういう自由な手を持った専門家、こういう人たちがもっともっと日本の中にふえてこなければいけないと思っているんです。どうも日本は、いろいろな人が専門的技術を持っていても、おまえはどの組織、これは民間も全部そうです、どこの会社ということで断ち切られていて、なかなか自由な仕事ができない。  そういう点でも、私は、専門家が高齢者になりまして、御年配になって組織を離れた後に、むしろ思い切って、非常に小さい、専門の事務所でも会社でも結構です、そういうのをつくられて、いろいろなコーディネーションをやるということが必要じゃないか。住民の方との話し合いをした結果を市役所へ持っていって、市役所の人の話と住民の話を総合して公団の担当の人のところへ行って、それでうまくいかなかったら、場合によっては県庁へ話をつなげるとか、小回りのきく、こういう職業がない限りは、どんな新しい組織をつくり、どういうお金の調達をしても、私たちの考えている動きが一般化していかないと思います。  以上が私の所感でございます。
  30. 井上義久

    ○井上(義)委員 次に、波多野参考人にお伺いしますけれども、先ほど楓参考人からもお話がございましたけれども、現在のこの公団住宅入居者の七二%強が第一分類、第二分類の所得者の皆さんで、いわゆる公営住宅対象者であるわけなんですね。そういう現状を市長としてどういうふうに認識されているかということと、それから、当然、公営住宅で、なおかつ今回、政策家賃ということで、公的資金といいますかいわゆる税金を導入して、政策家賃というものも今度公団住宅で新たに考えるということになるわけなんですけれども、そうすると、公営住宅との境目が余りなくなってくるという現状があると思うんですね。市としての住宅供給公営住宅、それから公団、公社があるかどうかはちょっとわかりませんけれども、そういうことについて、市長としてどういうふうに今後の住宅政策を考えていらっしゃるか、御意見があればと思います。
  31. 波多野重雄

    波多野参考人 私どもも、市の公営の住宅もございます。しかし、これは非常に小規模のものでありますが、公団住宅は概して大規模土地、そういう中で公団住宅をおつくりになりますので、そういう面では、価格の面でいった場合、やはり今先生がおっしゃるような居住関係、今後、家賃問題ではそういう安定的に配慮をするということでありますので、非常にそういう面では私どもの住宅と競合しない、こんなふうに私は考えております。
  32. 井上義久

    ○井上(義)委員 それでは、岩沙参考人にお伺いいたします。  特に賃貸住宅の供給ということに関して、先ほど、民間では当分の間、限度がある、いわゆる新公団の役割は正確にはちょっとわかりませんけれども、当分の間とおっしゃったのか、将来的には民間がやりますよというふうにお伺いしたと思うんですけれども。  一方、今回、公団家賃がコスト主義から市場家賃という方に移行する、こういうことになっているんですけれども、実は、この市場家賃というのが非常にくせ者というか、実際に本当に市場家賃というのはあるのかという率直な、我々もいろいろな人に頼まれて家を探したり、自分の家を探したり、本当に市場家賃というのはあるのかなと。ある意味で、日本の国はそういう意味での賃貸住宅市場というのが非常に未形成なんだろうというふうに認識しているんですね。  そういう点で、一つは、民間賃貸住宅の市場というものをどうこれから日本でつくっていくかということについて、御意見がありましたら、ぜひお願いしたいということと、それから優良な賃貸住宅、特に先ほど伊藤先生にもお伺いしましたけれども、大都市リノベーションで、やはり賃貸住宅の供給というのはこれから大都市に非常に重要になってくるんだろうと思うんですよ。そういうことを本当に民間で促進するために、先ほど定期借地権とか定期借家権の問題にお触れになりましたけれども、ここがポイントだというふうに我々は考えているというものがございましたら、お聞かせいただければと思います。
  33. 岩沙弘道

    岩沙参考人 お答え申し上げます。  まず最初に、当分の間と申しましたのは、先生御指摘のとおり、将来、民間公団と市場で競争して、いい賃貸住宅を供給してまいりたい、今回、公団さんが分譲住宅をもう手がけないというふうな方向を打ち出されたように、行く行くは民間が全面的に担える時代が来ればいいな、私個人としてはそう思っております。  しかし、先ほど申しましたように、現在、賃貸住宅市場における公団並びに公的住宅民間賃貸住宅の役割がちょっと違っておりまして、対象といたします需要者とかエリアとか、それから先生からも御指摘ございましたが、福祉的な面で非常に重視していかなければいけない、社会的ないろいろ弱者の方に対しての手厚いそういう配慮しなきゃいけない住宅政策、こういった面は、たびたび申しておりますように、こういう大変厳しい経営環境の中で経営効率を求められております我々民間としては、なかなか現段階では手がけがたい、こういうことでございます。  それで、市場があるか、こういうお話でございますが、私は市場は形成されていると思います。それで、リクルートなんかがよくその賃貸住宅市場のデータをかなり詳細に公開しておりまして、そういう意味では市場家賃の把握ということは可能ではないか、こう考えております。  先ほどから申しておりますように、民間賃貸住宅というのはエリアが公団と結構違っておりますので、そういう意味での民間の企業として提供している賃貸住宅市場というのはいまだなわけでございますけれども、先ほど申しましたように十万戸ほど供給されておりまして、地主の方がそういうマンション形態で賃貸住宅をつくっておられて、これが結構、市場にいろいろな形で出ているということでございます。  では、民間がやれるためのポイントは何かということでございますが、先ほども申し上げましたように、民間としては、賃貸住宅を現状でやろうとしますと、やはり土地を買って長期に保有していかなきゃいけないということで、いわゆるアセットとして長期保有をしなきゃいけないという意味では非常にリスクもございますし、財務体質の改善を市場から非常に迫られております我々不動産業界の多分大多数がそうだと思いますが、なかなかたえがたい。そうすると、民間としては、同じようなエリアでどういう事業をやるかと考えた場合に、やはり分譲住宅事業を今先行するわけでございます。  したがいまして、そこのところが非常に、新しい金融・資本市場とハイブリッドな関係で事業を組み立てられるような、不動産の証券化とかプロジェクトファイナンスとか、こういった仕組みができますと、資金が長く寝ないで、運用並びに投資を求めている資本市場の参加者の皆さんにお譲りできるわけでございますので、それで我々は、あとの運営管理というか賃貸管理業務を委託してやっていくという形で、ノーアセットビジネスと私は申し上げておるのですけれども、その部分でプロとしてお手伝いしていける、こういう時代が来ようかと思っております。そのためには、ちょっと法務委員会の案件かもしれませんが、やはり収益の期間をはっきりさせるという意味で定期借家権の制度の創設が大事ではないか、かように考える次第でございます。  ありがとうございました。
  34. 井上義久

    ○井上(義)委員 それでは、楓参考人にお伺いいたします。  公団自治協の皆さん、それぞれの団地、自治会等でコミュニティーづくりですとかあるいは住環境の改善のために大変な御努力をされておりますことについて、私も大変敬意を表しておる次第でございます。  お話がありましたように、住み続けられるということが一番、住宅は基本的人権の一つであるという認識からいえば、当然そういうことなわけでございまして、そういう意味でいろいろな御心配があることは、もう当然だと思います。我々も、安心して住み続けられるようにするということのために最大限努力しなければいけない、こんなふうに思っておるわけでございます。  一つは、建てかえのときなんかも私も大変いろいろ苦労したことがあるのですけれども、今回、市場家賃化ということで、あるいは戻り入居が可能なように政策家賃を導入するということで、これがきちっと担保されれば相当な前進じゃないかというふうに思うのですけれども、そういうことについての今回の新公団法に伴うさまざまな政策家賃導入についての評価。  それからもう一方で、要するに公団住宅を廃止して住宅管理に特化した、そのための公団に衣がえした方がいいのじゃないかという議論とか、あるいは公営住宅とか公社の方に全面的に移管して、そっちでやった方がいいのじゃないかとかという議論もあるのですけれども、私は、これまで公団が果たしてきた住宅供給の、特に中堅所得層、ファミリー向けの住宅供給に果たした役割は非常に大きなものがありますし、管理のノウハウもありますし、それから、やはり公団という大きな基盤の中できちっとした管理をしていくという経営の安定ということを考えますと、必ずしもそういう意見にくみしないのですけれども、楓参考人はどうお考えでございましょうか。
  35. 楓健年

    楓参考人 たくさんお尋ねがありましたので、十分お答えできるかどうかわかりませんが、まず、最後にお聞きになられました、管理に特化した公団と言われたところがありましたが、私は、冒頭の意見の中でも申し上げましたが、やはり日本の借家の実態というのは持ち家に比べて居住環境が極めて劣悪だ、そういう認識を持っております。広さの面でいえば、先ほども申し上げましたように、借家の平均床面積というのは大体四十五平米ぐらいですけれども、持ち家の方ですと、これの倍近くございますね。  そういうことからいいますと、欧米の先進諸国などを見てみますと、いわゆる公共住宅の持っている比率が、低いところでも大体一五%ぐらい、通常三〇%ぐらいは持っている。私は、この住宅というものの市場そのものを否定するわけではありませんけれども、一定のそういうような影響力のある公共住宅という柱がないことには、本当の意味での健全な市場というのは成り立たないのではないかというふうに、まず一つ考えております。  それから、家賃の特別措置、そういうことについてのお尋ねでございますけれども、確かに建てかえの問題というのは非常に居住者にとりまして深刻であります。一つには、建てかえ対象になっています団地の居住者というのは、大体三十年を経過したということでありますので、結構高齢者の比率が高くなっている、こういうような特徴がございます。  こういう中で私は常々疑問に思っておりますのは、現在は建てかえ事業というふうに言われているのですが、今やられているのは本当の意味の建てかえかなと。例えばAという団地がありましたときに、今、これは法律的な手続でいえば、A団地というのを用途廃止いたしまして、更地にいたします。この更地にできたところに新しい団地、A'という団地をつくるわけですね。これを建てかえというふうに称しているわけでありますけれども、言葉の定義からすると、建てかえというのは、あくまで従来居住している人たちにとって、その人たちが今まで住んできた住宅が老朽化してきた、あるいは時代のニーズに合わなくなってきた、こういうようなものを改良、改善していくために、時代のニーズに合わせていく、住宅の居住水準のレベルを上げていく、これが本来の建てかえの目的ではないかというふうに思っています。  そういうような観点からした場合に、やはり現在の建てかえの中で、先生方いろいろお骨折りの中でそれこそ幾つかのことで大きな前進をして、それは感謝を申し上げている次第でございますけれども、まだ現在におきましても、やはり建てかえを実際に着工された団地におりますと、その中に戻り入居した人でも住み続ける方というのは年々減っていっておりますし、そういう人たちに聞きますと、ボクシングでボディーブローをずっと打たれているようなものであって、一、二年というのは何とかもつわけでありますけれども、これが七年、七段階とかいろいろな形でずっと家賃が上げられていくと、年々、片一方では年金生活に入っていく、そういう収入面での変化がございます。そういうようなことと、一方でこの家賃が上げられていく、そういうような関係からすると、もう一踏ん張り頑張っていただけたらいかがなものかなというふうに思っております。お答えになったかどうかわかりませんが。
  36. 平田米男

    平田委員長 西野陽君。
  37. 西野陽

    ○西野委員 自由党の西野陽でございます。  きょうは、四人の参考人の先生方にお越しをいただきまして、それぞれの立場がございますのでそのお立場から、平素取り組んでいただいております問題について、短時間でありましたけれども端的にいろいろと御陳述をいただきまして、参考にさせていただいたところがございましたことを、お礼を申し上げておきたいと思います。  まず最初に、岩沙社長さんにお尋ねを申し上げたいと思います。  実は、御社は、先ほど来もお話が出ておりますとおり、都市開発住宅供給等々相当のウエートをお持ちいただきまして、広く都市環境を含めた基盤整備のために民間立場から大変な御貢献をいただいておりますことを、ある意味で私は敬意を表しておきたいというふうに思っております。  そこで、私は実は大阪なんでございまして、東京はほとんどこの国会周辺しかわからない人間でございまして、いわば田舎者でございます。きょうは岩沙さんがお見えになるということで、三井不動産はどんなものをこの東京の近くでやっておるのかと思いまして、ちょっと見学に行ってまいりました。一番近いところで、先ほど、後ほど質問があればというふうにおっしゃっていましたけれども、八重洲口からごくわずかでございますけれども、距離にして二、三キロメートルじゃないかと思うぐらいの近いところでございましたけれども、大川端リバーシティ21開発事業でございまして、いや、これは立派なものでございますな。  これはまことにもって感心しまして、ちょうど昼になりまして腹が減りましたので、飯でも食おうかと思いまして食堂を探しましたら、食堂が少ないのです。どこにあるのかなとやっと探しまして行きましたら、あれはたしか水曜日だったと思うのですけれども、ほかのレストランが閉まっておりまして、そこしかあいておりません。カレーライス屋さんでございました。カレーライスを食べさせていただきまして、国会へ帰ってきた、こういうことがあったのでございます。  このリバーシティ21でございますが、ちょっとお尋ねしますが、約三十ヘクタールでございますか、墨田川ですか、東京湾に面しましたところで、海があり、水があり、緑がありということでございますが、もとは何か民間の石川島播磨重工業の跡地だというふうに承っております。まず、このリバーシティのところで御社が御担当されました範囲というのは、住宅部門でいきますと、総数の大体何%ぐらい、何戸ぐらいでございますか。ちょっとそれを教えてください。
  38. 岩沙弘道

    岩沙参考人 私ども、分譲住宅で千三百戸ぐらいを供給いたしたと思います。それから、賃貸で五百六十戸ぐらいですから、二千戸弱供給いたしたわけでございますが、全体で四千戸弱ぐらいになろうかと思います。今、公団さんが建築中の部分が、ちょっと戸数を失念いたしましてあれですが、大体五割近い供給をさせていただいております。
  39. 西野陽

    ○西野委員 このリバーシティで、約五〇%程度を民間として岩沙社長さんのところが担当されておる、こういうことなんでございますけれども、一見、見渡しましたところ、これは全部民間でおやりになってもいいのではないかなというふうに実は感じたのでございます。よく見ますと、おっしゃったように、建築中のものは公団か公社かよくわかりませんけれども、要するに公的機関が、東京都なのか公団なのかはよくわかりませんけれども、民間でないところがおやりになっているんですね。  あの場所になぜ公共機関が住宅を建てる必要があったのかなという、ふと疑問を実は抱いたのでございますが、これは何も岩沙さんに聞くべきことではないと思うのでございますけれども、どうですか、やはりああいう場所で公的機関も住宅供給された方がいいと現在もお思いでございますか。ちょっと済みません。
  40. 岩沙弘道

    岩沙参考人 お答え申し上げます。  中央区の都心人口回復という大きな施策もございまして、町というのは、やはり多様な人々で構成されている方が活力もあるし、にぎわいもある、それからやはり周辺のいろいろな住民の方々を含めてコミュニティーというものが形成されていかなければいけないと思いますので、そういう意味では、ああいった場所ではございますが、住環境創造整備を行いながら、多様な居住が実現したという意味で、私は非常に意味があったのではないかと思っております。  あれは、民間である私どもと、公団さん、それから東京住宅供給公社、都営住宅、こういう官民の共同事業という形で開発をされたわけでございます。
  41. 西野陽

    ○西野委員 確かに、そういうすばらしい環境のところでもございますから、公的な機関がそこに出て住宅を供給するということは、都民の中にもいろいろな層の方がおいででございましょうから、多様性を持ったという意味でいいのかなというふうには思っておるのです。いわば堤防も立派な堤防がございますし、公共施設もございますし、何かシニアセンターまでございますし、郵便局はありますし、至れり尽くせりでございますから、立派な町だと思いますし、そういう意味では、御社が進出されたことは、非常に効果のあるいいことだというふうに思っておるのです。  これは改めてまた次の委員会で承ろうと思うのですが、岩沙さん、町の再生という場合に、御社のように民間だけで開発をなさる、先ほどおっしゃった品川の方のゲートシティ大崎ですかのように民間だけで開発をなさる、再生をされる場合と、いわゆる公民が共同で開発をなさっている場合とあるのですが、民だけでやる場合と公民とやる場合と、お互いにメリット、デメリットがあるんじゃないか、あるいは効果、いろいろあるんじゃないかと思います。端的に言って、どう違うのでございましょう。どういう効果があるのでございましょう。お示しをいただきたい。
  42. 岩沙弘道

    岩沙参考人 お答え申し上げます。  先ほど意見陳述の中でも申し上げましたが、先生御指摘のように、民間だけで可能なプロジェクトもたくさんございまして、それはそれで担っていきたいと思っているわけでございますが、やはり町づくりというのはある意味では上位計画がございまして、そして地元地域方々が、自分たちの町はこういうふうにしたいんだという、町をよくしていきたいという思いがどういうふうに実現されていくかということだと思うのですが、そうすると、どうしてもやはり広域的になります。それから、長期的になります。それから、街区としてまとめて、ある意味では、都市環境として、二十一世紀に非常に質の高い都市空間にしていかなければいけない。そして、しかもそれは、都市景観とかいろいろな意味で豊かさ、潤い、先ほど伊藤先生もお話しになりました大都市リノベーションという観点からいけば、やはり景観も大事でございます。  そういうようなことで、やはりいろいろな面で地元の皆さんの御理解をいただきながら、そういった観点で町づくりを進めていくことになりますと、いろいろな面で、資金的にも先行的な負担がかかりますし、それから長期的な対応が必要になってまいりまして、民間ではこの辺はなかなかできない。  それから、主要な都市の住環境を整えるために、基盤整備をどういうふうに整えなければいけないかという部分につきましても、一つのまとまった整序された敷地の中での開発は我々もできますが、それを整序しながら、またそれをずっと計画、プロジェクトの対象敷地外にまでつなげていくというようなことになりますと、新公団さんのそういった基盤整備というようなこととやはり連携して共同してやっていくような形が必要か、こんなふうに思っております。
  43. 西野陽

    ○西野委員 ところで、公団は新公団に変わるわけですが、先ほど来からいろいろお話が出ておりますとおり、今日まで養ってきたあるいは体験したいろいろなノウハウというものが、これからの町づくりのために新公団の役目は私はある、こう思っておるのです。だけれども、こういう時期ですから、新公団が果たすべき役目というのは、もう整形された立派な一法人が所有しておった場所はむしろ民間さんにお任せをして、むしろ公の皆さんには、非常に申しわけないけれども、例えば非常に権利が錯綜しておる場合だとか、あるいは虫食いだとか、合意形成に時間がかかるとか、こういうところにやはり官はしっかりやっていかないと、私はそう思っているので、新しい公団の役目も大変だと思いますけれども、その責任また役目があるのだろうというふうに思っておるのです。  それで、伊藤先生、お尋ねしたいのでございますけれども、きょうは御説明の中で非常にわかりやすくおっしゃっていただいたのでございますけれども、私どもが新聞とかそういうもので先生の発表の記事を読ませていただいておりますと、例えば都計審の中央審議会の会長をもなさっておられますね。それから土地有効利用事業本部土地評定等審査会、何か長ったらしい名前ですけれども、審査会会長、要するに、土地は幾らが適切かどうかということを評定されているんじゃないかと思いますが、その会長さんもなさっている。  それで、ちょっと突っ込んだ話で、きょうはお話ししておりませんが、参考のために聞かせていただきたいと思うのでございますが、土地の買い取りの価格、これを決めるのに、不動産鑑定士さんもおいででございますけれども、どのようにして価格決定をなさっておるのか、ちょっとわかりやすく、一般論で結構でございます。  その場合に、例えば、有効利用するために買い取った価格が、いわゆる公示価格というのがございますね、公示価格よりも低いということになりますと、これはいろいろ影響が出てくると思うのですが、そういう場合は、逆に今度は再開発事業に支障を来さないかなという気がいたすのですけれども、その価格の決定の方法と、差がある場合、ちょっとお示しを。一般論で結構でございます。
  44. 伊藤滋

    伊藤参考人 私、先生の御質問の後者の方で取りまとめをやっておりますが、一つ一つの事例についてまでこの土地の値段が高い、安いということを決めているのではなくて、土地の価格を決める考え方、公団職員さんの考え方、算定式みたいなものを見せてもらいまして、その算定式のような考え方が、大体私たち学者から見ておかしくないかどうか、これをチェックしているのです。  例えば、もうひとつ具体的に申し上げますと、土地を仕込んで、土地公団土地何とか本部が買いますね、整形にしたり道路を入れたりしますね。そして、例えば三井不動産さんに売るとします。ところが、整形にするまでに一体何カ月かかるのか、何年かかるのか。これはリスクなんですね、お金が寝ちゃうわけですから。だから、この仕事に対して、こういう都心のあるところでは土地を造成するまで一年かかるのか、二年かかるのか、この辺の感覚を、私たちは、少しこれは短過ぎるのじゃないかとか、これは随分長過ぎるねとか、そういう感覚で算定式なんかをチェックしているのです。  結果を申し上げますと、公示価格というのは、私たち、余り信用していないのです。むしろ、そこで土地を入手して、例えば家賃、月坪幾らにしましょうか、七千円ぐらいで二LDKのマンションを三井不動産がつくったとするとき、例えば土地を買って、一年たって三井不動産さんに売って、三井不動産さんがそれを一年半で仕上げた。それで月坪七千円で二LDKを貸せるか。そのときは、では土地の値段を幾らにしないとだめか逆算できますね、住宅の売り値はあらかじめ相場がありますから。  そういう点で、相場に見合う土地の値段を決めなきゃいけない。これはもう民間は当たり前にやっているのです。ですから、そういう点では、不動産鑑定士の皆様方が取引事例とか近傍の値段がこうだといううわさをもとにしていろいろ判断するだけではどうも信用なりませんので、とことんその辺まで突っ込んで値段を決めています。  ですから、私の記憶しているところでは、現在、公団さんのお買いになっているのは公示価格の四分の三、七五%ぐらいの値段で買っているのじゃないでしょうか。僕はもっと低くして買えと言っているのですけれども、余り低く買うと政府でもらったお金を消化し切れないというので、何か困ったなんて言っていますが、私は、低く、安く買うのが当たり前だと思っているので、そういうことをしょっちゅう言って、恨まれております。  以上です。
  45. 西野陽

    ○西野委員 どうもそうらしゅうございまして、普通は高くなっているのかなと思うのですが、逆に先生がお入りになって、委員会で安くなっているので、公団は困っているんじゃないかな、こう思っているのですが、これからもひとつ御検討いただきたいというふうに思っております。  ただ、先生、もう一点だけ、いろいろなケースを当たられて、新公団に移るわけですが、分譲は撤退する、いろいろありますけれども、機能的に、新たにこういう点を持たせたらさらに町づくりとして役目を果たすのではないかという点がありましたら、ひとつ御指摘をいただきたいと思います。
  46. 伊藤滋

    伊藤参考人 二つ申し上げます。  一つは、極めてこれはここ十年ぐらいの仕事だと思うのですが、土地をきれいにするということは権利関係をきれいにすることですから、往々にしてそれなりの人たちの権利も入っているんですね。これを整理するのは民間企業はできないのです。今度の公団ですと、例えば中坊さんのようなところとつながりが強くなりますから、警察も後ろへ来るとか、そういう点では、それなりの人たちの権利についての整理は見事にやってくれるんじゃないかと私は期待しているのです。これは大変重要なことです。  それから二番目は、都市計画は今度市や区でやってくれということになりました。国はもう文句を言わないのです。ところが、市や区へ落ちますと、何にも仕事をしないんじゃないかと私は思います。市議とか区議とか代議士さんとかいろいろいるでしょう。だから、それを、仕事をするのが今度の公団の役目かな、それが委託を受けてということじゃないかと思う。  以上です。
  47. 西野陽

    ○西野委員 最後に、市長さん、お越しをいただいております。八王子市というのは、名前で、いい町だなと思っているのです。確かに、いい大学環境、学研都市的な環境もございます。人口五十一万、私の住んでいる町もたまたま五十一万なんですよ。えらい差があるなと思って痛感しているのです。  一言教えてほしいのでございますけれども、新公団八王子市に手を出すより、私が住んでいる、東大阪市というのですけれども、私の方で手を出した方がいいと思うのです。なぜならば、私の方は密集市街地なんです。虫食い地がたくさんあるのですよ。そんな立派なところへは公団さん行かなくて、八王子市長さん立派でございますから、十分これで対応できると思うのでございますけれども、それでもなお、八王子市長さんとしては、やはり公団の力を今後もかりて町づくりをやっていった方がいいとお思いになりますか。私どものような町の方が必要だとお思いになりますか。どうでございますか。
  48. 波多野重雄

    波多野参考人 私は、日本国じゅう公団さんが必要ではないか、こんなふうに考えております。  特に、私ども八王子市は、東京の中でもまだまだ整備が完全ではありません。あのように万葉時代から、丘陵ですから、防人を見送るような歌まで残っておる丘に大学ができたわけです。そういう丘が残っておりまして、そういう丘を全部住都公団整理をしていただいて、そして農地はきちっと整理をする、それで町はきちっとつくる、道路はつくる、川をきれいにする、そして全体の丘をきれいにしたために、小林一茶の「名月をとってくれろと泣く子かな」というのがあるのですね、名月が頭の上に来るのです。これはすばらしい町で、こういうふうにやはり全体を、虫食いその他の赤道、いろいろな問題を整理して売るのには公団以外にはないじゃないかと思うのですね。先生のところでもおやりになったらいいと思います。
  49. 西野陽

    ○西野委員 終わります。
  50. 平田米男

    平田委員長 辻第一君。
  51. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党の辻第一です。  きょうは、御四方の参考人には、お忙しい中をこの委員会に御出席をいただいて、貴重な御意見をお聞かせいただきました。大変勉強させていただきました。ありがとうございます。  それでは、端的にお尋ねをいたします。  まず、楓参考人にお尋ねをいたします。家賃と建てかえの問題でお尋ねをいたしたいと思います。  公団自治協の調査を初め多くの調査の中で、公団の居住者全体が高齢化をしている、あるいは低所得者化が進んでいる。そういう中で、市場家賃の導入で、これまで住んでおられた居住者全体を初め家賃全体が上昇する。そうして、高くなる家賃を払うということに困難な方がふえる。住みなれた住宅地域から出ていかざるを得ない深刻な状況が起こるのではないかと心配をされています。この問題についての御意見と望ましい対策をお聞かせいただきたい。  もう一点、建てかえの問題でございますが、これももう既に深刻な問題でありましたが、さらに法制化をされるということで、一定の基準に達した団地において建てかえがこれまで以上に、言うなら強制的に行われる。そうして二倍、三倍という急激な家賃の値上げが行われ、居住者が戻り入居できない、出ていかざるを得ない状態が心配をされておる。この点についての御意見と望まれる対策についてお尋ねをいたします。
  52. 楓健年

    楓参考人 まず最初の市場家賃についてでございますけれども、市場家賃そのものが存在するのかどうなのかという議論はさておきまして、まず、一般に言われている市場家賃というのは極めて不安定なものではないかというふうに思っています。それで、公共住宅家賃をそういう不安定なところにゆだねていいのかどうかという疑問を持っております。法案なんかを見せていただくと、近隣近傍という言葉が使われておりますが、ただ、その前段のところをずっと見ていますと、原則市場家賃だとかいろいろな形で書かれていますので、近隣近傍、近傍同種というのは、これは市場家賃というふうに理解するわけでありますけれども。  そうした場合に、個々の団地ごとにやられるわけでしょうけれども、私は、継続入居者の家賃を決める際に市場を参考にする、こういった場合に、いわゆる賃貸住宅の継続入居者の家賃を考えるときに、それを参考にするような市場があるのかどうか。要するに、数十戸という、そういうオーダーではあるでしょうけれども、数千戸、数万戸というような単位でそういうような市場があるとはとても思えない。  もう一つ、市場家賃家賃制度の根幹に据えていくためには、その前提として情報がいかに公開されるかということが担保されなければ、なかなかその辺は非常に難しいだろうというふうに思います。  例えば、家賃の中で非常に大きなファクターを占めるのは土地の価格ではないかというふうに思いますけれども、土地の値段というのは、これは欧米からも指摘されていますように、日本の場合、なかなかこれはブラックボックスになっているところがあるわけですね。こういうようなブラックボックスを抱えたようなところでどれだけの情報公開ができるか。決してこれは日本だけではありませんけれども、アメリカあたりでも決して公開が進んでいる分野だというふうには思いませんが、ただしアメリカの場合には、当事者については十分な情報を提供するという法律がございますが、ところが日本にはそうしたものもない。こういうような中で市場家賃をベースにしていくというのは、私ども居住者としては極めて不安に感じる、こういう印象を持っております。  それから、対策の点でありますが、従来のコストをベースにした家賃論というのは、これはある意味では住宅を供給する側が一方的にこれぐらいかかりましたよということで家賃を決めてくるわけでありますから、そういう供給者側の論理の家賃ということがある面では言えます。ただ、コストというものがはっきりしているわけですから、そういう意味では、高いか安いかは別にして、上限がはっきりしているわけですね。ところが、市場家賃となると、上限がはっきりするのかという、このところも私どもの不安な点であります。  ですから、こういうようなところを考えますと、対策としましては、やはり家賃を決める大きなファクターとして、実際に住んでいる居住者の負担能力、所得の実態、こういうようなものを家賃を算定していくときにどれぐらい勘案していただけるのか、それと、先ほど申し上げた情報公開をどこまでやっていただけるのか、この辺のところにかかっているのではないかというふうに思います。  それから、建てかえについてでありますけれども、確かに現状では、おっしゃいますように、建てかえをやりますと家賃が三倍、四倍というような値段になっていきます。新しく建てればそうなるというのは、これはある意味では仕方のないことなのかもしれませんけれども、私は、原点に返る必要があるのではないかというふうに思っています。  それはどういうことかといいますと、現在、建てかえ事業をずっとやっている、あれを見ていますと、当初、建てかえ事業がスタートした時期から十年余を経過した今日になって、公団側の建てかえの姿勢がかなり変わってきています。従来は、三十年代建築の団地を、これはもう順番にずっとやっていくというようなことが基本でありました。ところが、最近は、建てかえて要するに採算が合うかどうかというようなことが、建てかえ事業に着手していくかどうかの一つの非常に大きな要素になってきているのではないかというふうに思っています。  そういうことからしますと、やはりこの建てかえ事業というのは、先ほども申し上げましたように、もう明らかなこれは再開発事業になってくるわけで、そうしますと、要するに、この再開発利益というのをどういう形できちんと分配していくかというようなルールがつくられなければいけないのではないか。そういう意味では、保有している者、あるいはたな子である私たち、こういうところとの間の民主的な関係の中での、そういうような関係がきちんと形成されていくということがまず大前提だ。  それを前提にしますと、建てかえに関しての情報だとかこういうものは事前にしっかりと公開し、しかも住民側の意見についても十分聞き、取り入れるものは大胆に取り入れていくというような、こういう姿勢があって、その上で、やはり家賃については個々、ケース・バイ・ケースに応じてやっていく必要があるのではないか。むしろ、建てかえというのは国の経済政策としてやられた側面が非常に強いですので、そういう意味でいえば、建てかえなどについては国の側から、建てかえ事業についての補助金というような、こういう制度を御検討いただいてもいいのではないかというふうに思っています。
  53. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、伊藤参考人にお尋ねをいたします。  住宅は人権だとか住宅は福祉だとか、このように申されておりますが、世界第二の経済大国と言われながら、我が国の住宅事情というのは非常に貧困だと思います。先ほど楓さんの御意見の中にあったと思うのですが、平成五年で我が国の賃貸住宅の平均は四十五平米ということで、非常に厳しい実態でございます。ヨーロッパ諸国、イギリスやドイツなどに比べて公共住宅は数分の一ぐらいでしょうか。そういうことを含めて、日本の公共住宅政策が貧困であったというような中で今日の事態が起こっているのではないかと思います。  そこで、日本住宅状況の現状と公共住宅政策についてお尋ねをいたしたいと思います。
  54. 伊藤滋

    伊藤参考人 今の数字のとおり、四十五平米というのはこのごろあちらこちらで使われているわけでございます。その点では、日本は、戦後五十年、政府住宅にほとんど真剣に対応していなかったと私は思っています。ドイツやイギリスは戦後すぐに、特にドイツは戦後すぐに、三十代ぐらいの御夫婦が住宅取得したいというときに無利子でお金を貸して、町の中の四階建て、五階建ての住宅を手に入れて、三、四十年暮らせるわけですね。そういうことをやっていたのです、ドイツは。イギリスだってかなりのことをやっていた。その金は、その当時の日本はどこへ使ったかというと、日本もいろいろ、頭はよかったですから、こういう、元気になって、所得がかなりいいところになるようにお金を使ったのです。しかし、やはり半世紀たって考えてみれば、おっしゃるとおり、二十一世紀のやるべきことの第一番目は都会の住宅をよくすることだと思っております。  都会の住宅をよくするときには、人生のライフサイクルに応じて住宅を使い分けていくということが大事だと思うのですね。ですから、学生のときは下宿で、結婚して民間のちょっとしゃれたマンションへ入って、子供ができて公団の、あるいは、三井不動産にしましょう、三井不動産の分譲住宅に入って、子供が出ていけば次に御夫婦は公団賃貸住宅に入って、最後公営住宅で面倒を見てもらうとか、そういうことを皆さんお考えになる時代。ですから、そういうサイクルで政府住宅政策を考えるべき。これはまさに福祉の問題なんですね。ですから、何という公団になるかわかりませんが、町づくり公団とか暮らし公団と言った方がずっといい公団になるかなと私は思っています。  以上でございます。
  55. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、楓参考人岩沙参考人にお尋ねをしたいのです。  中堅所得者に良好な住宅供給の問題ですが、いわゆるファミリー層への賃貸住宅の供給です。今、深刻な不況、そして失業、倒産が激増する、そのことはバブルの崩壊で土地神話もなくなった、そういう中で、持ち家への期待がやむを得なく減るというのですか、そして賃貸住宅へのニーズが大きくなっています。殊に中堅所得者、ファミリー賃貸住宅の要望が強いと思います。これについては、市場や民間にゆだねては十分な供給が難しい、このように考えられます。  そこで、質のよい、環境のよい、支払い可能な家賃の公的な賃貸住宅を供給することがいよいよ重要になっているのではないかと思います。このときに新しい公団賃貸住宅の建設から撤退をするということは、私は許せないと思うのですね。今こそ住宅公団の役割がいよいよ大きい、このように考えるのですが、楓参考人岩沙参考人にお尋ねをいたします。
  56. 楓健年

    楓参考人 私どもが周辺で見ておりまして、岩沙先生のいらっしゃる三井不動産はそんなことはございませんようでございますけれども、民間のマンションをずっと見せていただいて気がつくのは、余裕のスペースが非常に少ない。運動場だとか遊園地だとか、こういうようなところがほとんどないところが多いわけでございます。  ですから、私、冒頭のあれで申し上げましたように、周辺のマンションの子供たちが団地に遊びに来るというのは日常見なれた光景だということを申し上げたわけですけれども、やはり平均的なファミリー向けの住宅ということになりますと、当然夫婦と子供さんがいて、その中で子育てがあるわけですね。そうすると、単に住宅内部の設備云々だけではなしに、そうした住宅を取り巻く環境がどれだけあるのかというようなことを全体で考えた場合に、やはりトータル的に見た場合に、まだまだ公団の力というのは高く評価しなければいかぬのではないかということを考えております。  それから、先ほど西野先生のときに十分お答えできなかったのですけれども、数字だけで申し上げましたけれども、やはり本来、新しくできる公団仕事として、私どもの印象では、住宅というものが物すごく後退してしまっているなというような印象を受けています。それは、現在ある七十三万戸を管理するという、こういうだけの問題ではなしに、先ほど私申し上げましたように、欧米、ヨーロッパの先進の資本主義の国ですと、低くても大体一五%くらいの公共住宅がある、多いところでは三〇%を超えるような公共住宅があるということを申し上げましたけれども、一方で公共住宅を建設しながら、もう一方である住宅を管理していくという、これがあって初めて住宅をこしらえていくことになるわけですね。そういうところを公団の役割にきっちりさせていただくことが必要ではないかというふうに思います。  先ほど来からのお話を聞いておりまして、名称につきましても、大臣が住宅から撤退するということを言ったものだから、名称の中から住宅あるいは居住というのを削除したというふうに仄聞しております。ですけれども、新しい公団になる中で、いろいろそれなりのすみ分けが今まで以上に進む中でいえば、管理だとか一定の建設を前提にしたとしても、名称に住宅というのが入ったとしても、余り業界の方からそう苦情は出ないのではないかというふうに思っております。
  57. 岩沙弘道

    岩沙参考人 お答えいたします。  先生の御指摘では、持ち家の方に中堅所得層はやむを得ず向かっているというような御認識をお示しいただきましたが、住宅市場でのお客様の志向というのは、やむを得ずというよりはそれぞれのライフスタイルとか勤務先でのお仕事の御都合とか、非常にいろいろな御事情の中で、両方、選択対象として、同じようなウエートがあるのではないか、それぞれの価値観の中で御選択なさっているわけでございます。  九八年度六万六千戸、分譲マンションが供給されましたが、それの大体七割くらいは中堅層、特に公団や公的な住宅賃貸住宅にお住みになっている方々と等しい層の方々民間の分譲マンションも御購入なさっておられまして、そういう意味では選択の対象になっているわけでございます。  先ほど来私もお話し申し上げておりますように、現段階では、賃貸住宅という事業分野に限っていいますと、民間では、そういったファミリー層の、中堅所得層向けの良質な住宅がなかなか供給しづらい状況にありますので、御選択なさる中で、公的な住宅の方に、特に公団住宅の方に中堅所得層の方々はお向かいになる、こういう実態でございます。  この状況というのは、これも先ほど来お話し申し上げておりますように、まだまだ、ちょっとこの景気状況といろいろな経営をめぐる状況の中では、民間事業者としてはなかなか事業として手がけづらい。事業としては、経営効率を考えまして、分譲住宅の方でお客さんの満足の高い市場での需要におこたえしているというのが現状でございます。  ただ、今後は、これも先ほどから申しておりますように、できるような方向へいろいろな環境を整えていただいて、民と公、また多様な選択にかなうような市場の厚みを増していくということも大事ではないかと考える次第でございます。
  58. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が来ました。終わります。
  59. 平田米男

    平田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  本日は、貴重な御意見をお述べいただき、有意義な審査をすることができました。まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十分散会