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1999-06-01 第145回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月一日(火曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 原田昇左右君    理事 鴨下 一郎君 理事 栗本慎一郎君    理事 佐藤 静雄君 理事 村田 吉隆君    理事 石井 紘基君 理事 前田 武志君    理事 谷口 隆義君 理事 佐々木洋平君       安倍 晋三君    相沢 英之君       赤城 徳彦君    嘉数 知賢君       粕谷  茂君    倉成 正和君       桜田 義孝君    田中眞紀子君       田邉 國男君    滝   実君       萩山 教嚴君    堀之内久男君       三塚  博君    矢上 雅義君       山口 泰明君    安住  淳君       鍵田 節哉君    熊谷  弘君       田中  甲君    葉山  峻君       藤村  修君    石田 勝之君       旭道山和泰君    富田 茂之君       福島  豊君    米津 等史君       辻  第一君    中林よし子君       保坂 展人君  委員外出席者         総務庁行政監察         局企画調整課長 関  有一君         大蔵省主計局司         計課長     児島 俊明君         会計検査院事務         総局第三局長  大和 顕治君         参考人         (静岡県知事) 石川 嘉延君         参考人         (社団法人日本         能率協会チーフ         コンサルタント         )       星野 芳昭君         決算行政監視委         員会専門員   酒井 喜隆君 委員の異動 六月一日         辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     嘉数 知賢君   森  喜朗君     安倍 晋三君   赤羽 一嘉君     富田 茂之君   村山 富市君     保坂 展人君 同日         辞任         補欠選任   安倍 晋三君     森  喜朗君   嘉数 知賢君     熊谷 市雄君   富田 茂之君     赤羽 一嘉君   保坂 展人君     村山 富市君 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件(事務事業評価監視システム導入に関する問題)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 原田昇左右

    原田委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件、特に事務事業評価監視システム導入に関する問題について調査を進めます。  本日は、参考人として静岡県知事石川嘉延君及び社団法人日本能率協会チーフコンサルタント星野芳昭君に御出席をいただいております。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。両参考人には、事務事業評価監視システム導入に関する問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、石川参考人星野参考人順序で、お一人二十五分程度御意見をお述べいただきたいと思います。次に、委員からの質疑に対しましてお答えいただければ大変幸甚でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、まず石川参考人にお願いいたします。
  3. 石川嘉延

    石川参考人 静岡県知事石川嘉延でございます。  本日は、決算行政監視委員会におきまして発言の機会をちょうだいできましたこと、まことに光栄に存じ、厚く御礼申し上げる次第でございます。  それでは、早速、静岡県で行っております行財政改革、その中でも主要な柱でございます業務棚卸表、これを中心に、本県におきます取り組みについて御紹介いたします。  まず、資料の一ページをごらんいただきたいと思います。  ここにございますように、本県では、行財政改革を行います場合に、「行政生産性向上」ということを合い言葉に取り組んでおるところでございます。既に、本県では二十年以上前から、常に行革の精神でさまざまな行財政改革取り組みを行ってまいったわけでありますが、これまでの経過を振り返ってみますと、とかく節約するとか削減するということの域を出ないわけでございます。  しかし、厳しい社会経済状況の中で、多様化する、それから、ますます増大いたします住民ニーズに的確に対応し、本県が目指します「快適空間静岡づくり」を実現するためには、節約型の行財政改革ではもう限界があるということから、行政生産性向上を目指す必要があるということで取り組みを行っておるところでございます。  具体的な手法といたしましては、リエンジニアリング考え方に基づきまして、目的を明確にして、戦略的な行政運営、すなわち目的指向型行政運営を行っていくことがポイントであるという考えに立って進めているところでございます。  この目的指向型行政運営を行います場合の仕組みといたしまして、一ページの下にありますように、二つのサブシステムといいますか、二つの視点から取り組む必要があると考えておるところでございます。  一つは、政策重点化仕組み。これは、方針管理システム確立する必要がある。もう一つは、施策・事務評価システム構築する必要がある。これは手法としては、業務棚卸表作成公開を通じて行う。この二つの仕掛けになっておるわけでございます。  では、具体的に内容の御説明に移りたいと思います。二ページをごらんいただきたいと思います。  まず、行政生産性向上を目指し、手法としてリエンジニアリングを取り入れるということは、具体的にどういうことだったかということであります。  平成七年度から、静岡県立大学の北大路信郷教授の指導のもとに、我々の行っております業務について分析評価をする手法として、業務棚卸表導入をしよう、そのためには、まず関係職員の頭の切りかえが大事だということから、平成七年度から九年度、三カ年にわたりまして、本庁課長級職員全員に対して研修を行いました。もちろん、課長一人で作業をするわけじゃございませんで、部下四百二十六人も巻き込んだ研修を行いました。  この研修に当たりましては、課題発見分析ツールとして業務棚卸表を活用いたしまして、これをもとに斬新な切り口の改革提案考えさせるということで取り組んだわけでありますが、やった結果が、期待以上のものが出てまいりました。  具体的に、業務棚卸表というのはどういうものかというのを三ページ以降にちょっと記載してございます。係レベルにおきまして、県庁組織最小単位でございます係のレベルでさまざまな仕事を行っているわけでございますが、それを三ページの表にありますような形に一表にまとめさせるわけでございます。目的業務の概要、管理指標実績、それから目標期限困難度人工数。  一番右の方にございます人工数というのは、係スタッフのそれぞれの職員を動員して、何時間、何人の人数を投入しているかというところまで分析をさせるわけでございます。  このようなそれぞれの業務につきまして、最小単位まで分析をして表にまとめさせる。  具体的な例示として、例えば下水道を例にとってみますと、下水道係は、係の目的としては、四ページのところにありますように、生活環境改善を図るとともに公共用水域における水質汚濁を防止するという目的があるわけでありますが、それをさらに中項目、小項目に分類をいたしてまいりますと、以下にあるような事業に細分化される。真ん中辺にございますが、それぞれの事業について管理指標を用意する。  例えば、真ん中辺にあります公共下水道事業の促進という事業でいきますと、管理指標は市町村の数とか箇所数というように分類できるわけです。それをさらに、そのまた下のように細分類いたしまして、予算要望の取りまとめとかいうような項目にさらにブレークダウンをして、それぞれの管理指標実績、それから具体的な目標期限、それからその作業に要する時間数、一人当たりの時間数、一人でこなした場合に何時間かかるかというようなことを分析いたしまして、掲載するわけでございます。  このような業務棚卸表は、目的と、それを実現するための大きな手段、そしてその大きな手段実現するための中ぐらいの手段、さらにそれを実現するための小さな手段というぐあいに、樹木構造目的手段から成る数段階樹木構造業務分析いたします。そのそれぞれの目的手段ごとに、今のような管理指標、それから投入人員投入労力、それを分析して仕上げるわけでございます。  特に、この業務棚卸表の場合に、特徴の二点目といたしましては、目的目標達成度合いを示す管理指標を設定する、それからさらに、労働の投入量を記載する、こういうことが特徴になってくるわけでございます。  それから、五ページ、六ページに参りまして、それらを今度はさらに、余り木ばかり見ておりますと森が見えないということになりますので、総括表作成をするということにしております。その事例が、下水道でいいますと、係の行っておりますそれぞれの事業を六ページにあるような形に総括表でまとめ、下水道関係の、森も鳥瞰できるようにするというようなことをいたしております。  それから、七ページをごらんいただきますと、この業務棚卸表作成いたしまして、これをどういうふうに活用しているかということでございます。  平成九年度に、本庁のすべての係、スタッフ単位にこの業務棚卸表作成をいたしまして、この棚卸表を基礎にいたしまして具体的な事務事業見直し実施いたしまして、この結果、平成十年度に向けました予算編成組織再編基礎資料としたところでございます。さらに、平成十一年度に向けまして、平成十年度におきましては、十一年度から実施をいたしました組織改編基礎資料としてまた使ったところでございます。  七ページの真ん中にございますように、この業務棚卸表は中項目で数えますと、県庁全体、本庁部局で約一万二千の項目になりました。そのうちの三千五百が何らかの改善対象になりまして、その事業の数あるいは削減額は表に記載のとおりでございます。本県の場合、予算総額が約一兆三千億でございますので、それから見ると大変小さな額になるわけでございますが、後に述べますような組織簡素化等にはこの業務棚卸表大変威力を発揮したというふうに、内部では評価をしているところでございます。  それから、この業務棚卸表は、七ページにございますように、平成十年六月、昨年の六月からインターネットを通じてすべて公開をいたしております。一日のアクセス件数でいきますと約三十件でございます。それからまた、総括表インターネット公開しております。また、個表総括表の下のものにつきましては、簿冊で県内十カ所、本庁一カ所と県内九カ所の中心的な出先機関におきまして、自由閲覧方式公開をしているところでございます。  それから、この業務棚卸表もとにいたしました効果一つが、先ほど予算見直し事務事業見直しでございましたが、二つ目は、組織見直しにこの業務棚卸表が反映をしたということでございます。  今日、行政執行に当たりましても、意思決定迅速化ということが大変強く求められております。そういう観点から本県組織を見てみますと、八ページの真ん中からちょっと下側の「フラット化による中間職の廃止」という表にございますように、これまでの組織は、下は係員から部長に至るまで七階層組織基本になっておりました。これを右側にありますような五階層簡素化をいたしまして、この簡素化を契機に、従来、部の下にありました課、室という組織名を、総室と室という二つ改編をいたしました。  まず、この室でございますが、大規模な従来の課で行っておりました業務中心にいたしまして、意思決定をできるだけ迅速に行うために、かなり小規模な室に再編成をいたします。そこに権限の移譲を行いまして、それぞれの小グループごとに迅速に意思決定ができる体制を整える。と同時に、余り細分化したことに伴って縦割り弊害などを来してはいけませんので、その室を類似業務ごとに大くくりをいたしました総室を設けまして、そこで業務の繁閑に応じた相互の応援体制やあるいは類似業務相互協力体制、これを総室長のもと達成をするというふうに改編をすることにいたしまして、平成十一年度、今年度からこのような体制に切りかえました。  もちろん、一気に切りかえたのではなくて、昨年度、平成十年度におきまして、平成十年度から従来第一次産業の部が二つございましたものを一つにいたしましたときに、ここの部をフラット化いたしました。と同時に、フラット化にまずなじみやすいと想定をいたしました生活・文化部という組織がございます、ここと、防災担当防災局、この三つにおきましてフラット化の実験を兼ねた実施をいたしまして、一年の実績を見た上で、全庁に及ぼしたわけでございます。この結果、九つの部の中に八十の課があったわけでございますが、これを三十六の総室と二百九の室に改編をいたしたところでございます。  以上が、これまで取り組んでまいりました業務棚卸表中心とした事務事業見直しあるいは組織フラット化の結果でございますが、今後の課題といたしましては、方針管理システムをいかに確立するかということが重要な課題として残っております。  平成十年度から、このシステム確立に向けて準備に取りかかっております。この方針管理システムのねらい、個々の業務執行単位での生産性向上ということは、この業務棚卸表によってかなりそのねらいが達成しそうだという実感を我々は持っておるわけでございますが、今度は、さらにそれを県政全体として、戦略的な行政運営達成による生産性向上、これを図るためには、民間企業経営方針決定に該当するような方針決定仕組みをつくっていく必要があるという考えもとに、これからこの確立に向けて取り組んでいくつもりでございます。  この方針管理システム構築は、多少試行錯誤があるような感じがいたしますので、詳細まだ御報告できる状態になっておりませんが、戦略的な行政運営ということになりますと、それぞれの部局横断的なテーマなどについても縦割り弊害をいかに除去して取り組むか、あるいは、旧来の前例踏襲という行政運営から脱皮して新しいものにどんどんチャレンジする、そういう方向へ向かってまいりたいというふうに思います。そのための手法として、それぞれの管理職において方針案を提示させ、それを全体で討議をして、私のもとで最終的には討議をして方針を確定し、これらを全員が共有して業務執行に当たる、そういう体系を確立したいということで取り組むことにしております。  それから最後に、前後いたしましたが、この業務棚卸表導入に伴いまして、職員定員管理にも大変いい効果が出てまいったわけでございます。本県では、平成九年度の末に、平成十年から五カ年間で五百人の職員数削減するという定員管理計画作成いたしまして、十年、十一年、五カ年計画の二カ年間で、これは純減でございますが、既に二百五十五人の職員数削減達成しております。この五百人の職員数削減実現いたしますと、私が直接的に指揮管理をし得る立場にある一般行政事務職職員が七千三百人ほどおりますが、それの約六・九%に該当する職員数でございまして、この削減計画実現をするわけでありますが、既に、二カ年で過半の削減をいたしておるところでございます。  そのほか、この業務棚卸表作成によりまして、業務のアウトソーシングもしやすくなってまいりましたし、組織の再編とか業務執行に当たりましてのいろいろな効率化、この面でも、議論をするときに、共通の尺度といいますか、共通のデータをもとに議論し合えるということで、業務執行部局行革を担当いたします行革推進室とのいろいろな話し合いも、それぞれ感情論に陥らないで大変スムーズにいくというような、副次的な効果も出てきておるところでございます。  以上、大変概略でございますが、本県におきます業務棚卸表中心といたしました行財政改革取り組み実態につきまして、御報告をした次第でございます。(拍手)
  4. 原田昇左右

    原田委員長 ありがとうございました。  次に、星野参考人にお願いいたします。
  5. 星野芳昭

    星野参考人 皆さん、おはようございます。  私の方が説明させていただくのは、地方自治における行政評価の現状と課題というタイトルでございます。  私ども日本能率協会は、平成六年度から地方自治体における行政改革、とりわけ事務事業評価とか組織問題とかについての支援をさせていただきまして、それを通じて、今、特に民間企業のいろいろなコンサルティングなんかもやっておりますけれども、それと比べまして、地方自治体がどのように地域の中で信頼されて構造改革していくのかというあたりのところの話をさせていただきたいと思っています。  お手元の横長の資料を見ていただきますと、まず三ページの方でございますが、行政評価ということで各地方自治体取り組みをされておりますけれども、その本質は何かということでまず最初に申し上げたいのは、「マネジメントシステムとしての行政評価」というところでございます。  要するに、企画をしまして、実施をして、その結果を次の企画実施に反映するというのがマネジメント基本でございます。私ども民間企業自治体を比べますと、企業の方は徹底してこの結果評価に力を入れまして、そして次のプランニング実施に反映するという、マネジメント確立についてかなり時間をかけて取り組んでおられました。ところが、自治体実態はどうも、どちらかといいますと、毎年一年間、何に一番エネルギーをかけているかというと、予算の獲得なんですね。ですので、一年間終わったときに、結果としてどうなったのかということに余り注意力を払ってないということが感じられます。  そこで、この表のように、プランニング、それから実施評価というサイクルをちゃんと回していくということ。ところが、実態としましては、この線になっているあらわし方のところは情報なんでございますけれども、どこかで分断しております。  本来は、事業計画というのは、その自治体の将来ビジョン、これは総合計画ということで五年なり十年なり長期の計画を立てられております。これを裏づけて具体的に毎年の計画に反映しなきゃならないのだけれども、どうもそのあたり総合計画と毎年の予算編成というものが連動していないということ、それから、予算を獲得することにかなりパワーをかけるのですけれども、その結果を次に反映しないというところ、このあたりをどのようにこのプラン・ドゥー・シーマネジメントサイクルを回していくかということが、地方自治体における行政評価本質じゃないかなというふうに考えております。  次に四ページでございますけれども、「地方自治における行政評価目的」。何のためにこの行政評価をやるのか。行政評価というのは、プラン・ドゥー・シーでございます。もともと自分たち仕事を何のためにやっていくか、その目的がどれだけ達成できたかどうかという、そのことについての目的というのは直接三つございます。  一点目は、まず目的志向課題解決型の行政活動実現するということでございまして、その自分たちのやっていることというのは、町のビジョンの中のどの部分を担っているのかということですね。ややもすると、規則や法令に従うことが第一ということがありがちでございますけれども、そうではなくて、目的にこだわるということが一点でございます。  そして、わかりやすく透明性の高い行政運営実現するということでございまして、住民にその考えていることをちゃんと伝えるということでございます。それによって、行政住民とのパートナーシップを確立するというところに結びつくわけでございます。住民との協働を図るため、やはり住民と同じ目線に立って、事業目的や将来方向というものを共有化していかなければならないということでございます。  さらに、この結果を次のプランニングに反映するということを通じまして、将来にツケを残さない財政構造にするということが求められます。そして、政策の再構築を図っていくということでございまして、これがひいては健全なまち運営ということで、この表の右側の方の「財源の確保と有効活用」というのは、どちらかというと、納税者に対する住民に対してのその結果の報告でございます。この左側の「住民との協働」というものに対しては、どちらかといいますと、納税者というよりは住民自治の主役としての住民に対する共有化ということでございまして、そのような形で住民一体となった活動をすることによって、魅力ある安定したまちづくり実現を図るということでございます。  ですので、昨今、中央財政は非常に危機的な状況を迎えておりますけれども、単に短期的に予算を節約する、コストを削減するということの目的だけでは行政評価は根づかないというふうに考えられます。やはり、住民一体となった、本来の地方自治に戻るための取り組みだということだと思います。  そこで、次の五ページでございますけれども、まず、各自治体で今どのような取り組みをしているのかということでございます。先ほど静岡県の石川知事の方から取り組み事例がございましたけれども都道府県と市、それから区、四十七都道府県と六百九十三の市区を対象にした最近の調査結果によりますと、この表のような段階がございます。  まず、行政評価必要性を感じていない、これは、都道府県ではゼロでございます。まだ幾つかの市では、そういう必要性を感じていない。これはどういうことかといいますと、やはり行政評価を単に予算のカットのツールだというふうな受けとめ方をしているところがございます。そういうところは、従来からのそういう事務事業見直しはやっていたということで、必要性を感じていない。そういうところがまだ残っていると思われます。  そして、その次のステップは、一応様子を見るとか検討中とか、体制をつくって情報収集して先進的な静岡県や三重県に勉強に行ったりというところが、おととしと比べれば去年、去年と比べればことしは少なくなっておりまして、その次の三段階に移っております。  これはどういうことかというと、試行中もしくは一部実施中ということでございまして、本格導入ということではないのですが、とりあえず幾つかの事業だけ選んでまずやってみようということで、モデルで試行して、そして、それを踏まえて次の全面導入ということですね。  これはやはり、すべての仕事事務事業に対して評価導入するということと、それから情報公開、これが不可欠でございます。情報公開をすることによって、住民と一緒になった評価スタートをする。  そして最後に、五番目の段階でございまして、定着化を図るということでございます。そして工夫発展をしていくということでございまして、まだこの五段階にいる自治体というのは数少ないのじゃないかということでございます。私どもの知る限りは、静岡県や三重県や、都道府県でもまだ幾つかの県でございます。これをごらんになりますと、都道府県の方がやや行政評価についてはスタートが早いなということでございまして、徐々に、二番、三番、四番というふうに階段を上ってくるのじゃないかなというふうに思われます。  そこで、実際に先進的な自治体行政評価はどういうふうに取り組んでいるかということでございまして、先ほど静岡県の事例をお話がございましたけれども、私どもの方は、平成七年度から三重県における評価システム導入を外部の立場でお手伝いさせていただいておりまして、その取り組みを整理したものが、次の六ページでございます。  まず最初に何が必要かというと、やはり、幹部を含めた頭の切りかえというのが必要なわけでございます。まず、変えなければならないことに気づかないと、これはスタートできないのです。そういう意味では、最初の年は全管理職研修、副知事や出納長や、それから分所、そして課長と、上からおりていくというそれを行いました。そして、システム要件をつくりまして評価の骨格を組み立てたのが一年目でございます。  そして、八年度には既に、九年度予算に反映するということをやっていただきました。これは非常に、かなりの議論があったのでございますけれども、結果的にはよかったと思っております。そして平成九年度からは、その個々の事務事業見直しだけじゃなくて、総合計画達成度の評価と連動していかなければならないのですね。そして、どこまでできたのかという目標を設定しまして、そして目標達成度をプラン・ドゥー・シーしていくという、そのような仕掛けになっております。ここで、九年度の最後に、三千三百の事務事業という、具体的な活動見直した結果を一般公開するということに踏み切ったわけでございます。  そして今、十年度、十一年度、どういう取り組みをしているかというと、さらにこれを、住民と一緒になった、協働した評価をするというのが最終的な目標でございますので、ですから、単に内部評価ということではなくて、住民相互評価をしていくということが基本でございます。そこで、どんなことをしたかというと、NPOとの連動、NPOはNPOなりの評価の視点を持っていますので、一緒になった評価をしていく。それから、大きなイベントとかいうものについては、他の県、それから市町村と一緒になった評価をしております。これはかなりその成果が出ております。  そういうことと、それから補助金につきましては、補助金の交付団体については競争原理を導入するということでございまして、こんな目的で県としてはこの事業考えています、その目的に対して一番的確なやり方の提案をしたところに優先的に補助金をつけるということの取り組みなんかもされております。  そのように、一つ一つまず自分たち自身から見詰め直して、そしてそれを将来的なビジョンに近づけていって、そして本来の住民自治である住民との相互評価へ向けて確立をしてきたわけでございます。  今まで行政評価ということで一言で話をさせていただきましたけれども、次の七ページに書いておりますが、行政評価というのは一体何なのかということで、平成九年度ぐらいからいろいろなところで行政評価についての議論が沸き起こりました。さまざまな定義ができておりますけれども、どうも、私ども実務的な立場、実際に地方自治体組織にこの評価システムを適用して、そして変化をさせて定着化に向けて努力をする、そのような立場で申し上げますと、大きく二つに分けられると思っております。  まず一つは、政策と、その政策実現した具体的な事業がございます。これを評価する。この目的は、町の将来ビジョンをどう実現していくかということでございまして、その解決すべき課題目的手段の関係で明らかにする。  これも実は二つございまして、将来のあるべき姿、施策の目標を設定しまして、そして具体的な事務事業をデザインしていくというデザインアプローチ。それから、先ほど静岡県の事例ではどちらかというと総点検アプローチということでございまして、現状の事業目的を明らかにして、そしてどんな施策にそれが貢献しているのですか、もともとその目的は本当に今の時代でも意味があるのですかという、この辺のあたりを自己点検して、そしてそれを情報公開を通じて関係者と共通認識を図っていく、そのような評価というのをいわゆる政策事業評価というふうに言っています。  これともう一つ、実際に自治体で多い仕事というのは住民に対するサービスでございます。これは、住民とか受益者に対するサービスとしての個々の事務業務、これをどれだけニーズを満たしたかどうかという観点でとらえて、そして改革や改善をしていくというものでございます。  この二つについて、ちょっとさらに詳しく説明をさせていただきます。  まず、政策事業評価ということでございまして、次の八ページの事例でちょっと申し上げてみます。  従来の自治体予算編成の現場や事業の執行の現場ではどういう傾向があるかというと、事業をやり抜くことに真剣になるわけですね。それがひいては予算消化主義という、民間企業から見ますと非常に奇異となる現象を起こしているのじゃないか。本来は何のためにやっているか。最終的には、やはりそこの地域の住民が安心して暮らしていける、そしてほかの町に対して誇れるということですね。そういう意味では、そのために解決すべき問題、課題がたくさんあるわけでございまして、その解決すべき課題、問題を初めに設定して何をすべきかという、先ほどデザインアプローチと申し上げましたけれども、これがこの表の政策体系の左から右におりていくやり方でございます。そして、この左の方から右の方におりてくるやり方が政策実現、右の方から左に現状の目的を追求するのが総点検。  ここで非常に大きな葛藤が生じるわけですね。いろいろな問題が生じます。自分たち事業の本来の目的、それから実際の目的との違いとかということが起きまして、そういう意味では、今地方自治に必要なのは総点検。確かに、地道なやり方でございます。もう一方で必要なのは、本来どういう課題に取り組むかということを、国や都道府県や市町村、そういう枠を取っ払って、その地域に住んでいる方々が最終的には幸せになるような、そういう観点でとらえて新しく政策をデザインするということじゃないかと思うのです。  それが、次の九ページにありますように、例えばこの例ですと、青少年の健全な育成を図らなければならないということを意味します。そういう施策の目標をつくりまして、それを実現するときにはどうあるべきなのかということを、その地域の実態をわかっている方々、いろいろな組織や所属部門の壁を取っ払って、真っさらに、白紙でデザインをするということになりますと、このような骨格になってきます。どういうような対象住民に対して、どんなような意図を持って、税金を使って、もしくは住民と一緒になって解決していくか。そうすると、ここにありますような、「青少年の社会ルール遵守」とか「家庭・青少年の悩みへの対応・解決をはかる」とかと、大きな一つのユニット、単位ができるわけでございます。この単位に沿って現状の事業をぶつけていくというやり方が求められていると。  ややもすると、事業を守り抜くとか、特に地方自治体の場合には補助金というものが非常に大きな影響を与えています。ある補助金のついている事業をやめたいんだけれども、その補助金をやめるということを言い出すとほかの事業の補助金にも影響を与える、そういう、ある意味では慣習がございまして、そのあたりをどう解決するかということじゃないかなと思います。  次の十ページの方は、これはかなり身近な、住民に対する、ここで言っている住民というのは行政サービスの顧客としての住民に対してという意味が一つございます。「対象者」と書かれておりますけれども、サービスの利用者に対して、例えば住民票の発行とか施設の維持管理とかデイサービスとかいろいろな統計情報サービスとかというもの、どんなニーズにこたえていくかということが、これがサービスの成果、品質でございます。これとサービスの料金との兼ね合いで、同じサービスの品質であればできるだけ利用料は安い方がいいわけですね。それから、利用料が少し高くても早くやる、それからいつでもできるようにやる、そういうことがこの行政サービスの評価でございます。  さらにもう一つ必要なのは、納税者立場に立ってサービスの効率性というものを評価するということが必要です。例えば住民票の発行にしても、利用者一人当たりのコストというのは幾らぐらいかかっているのかというふうに分析しようと思っても、なかなか必要なデータがございません。そういう意味でも、サービスの正確な原価、そしてそれを実際に提供すると大体幾らかかっているんですかということでございまして、そのようなことでの評価ということのプラン・ドゥー・シーというものが行政サービス評価ということでございます。  つまり、政策体系に基づいてどんな事業構築するかという評価と、それから、住民にとって身近な行政サービスをどのように品質とコストという観点でよりよくしていくかという評価がございます。  次の十一ページの方は、このプラン・ドゥー・シーについて自問自答していくということでございます。デザインアプローチも総点検アプローチも、最終的には具体的な事業評価におりてきますので、このように、現状、これは、例えば平成十年度の実績としてはどんなことをやったのか、そしてシーですね、結果の評価をしまして、その次の改善案に結びつけるというプラン・ドゥー・シーをきちっと回す。  お気づきのように、このドゥーとシーの中の質問項目というのは、納税者である住民、それから行政サービスの受益者である住民、そして住民自治の主役としての住民という、それぞれの立場からの質問なんです。この質問にどうやって答えるか、答えることによって、自治体職員というのが自分たちの本来の役割、使命が認識できます。そして、場合によっては住民と一緒になって協力してやっていただくとか、そういうことも含めて総合評価を目指していくということが、今現在先進的な自治体で取り組んでいるものでございます。  さて、最終的には行政評価というのはどのような体制でやらなければならないのかということで、十二ページのところにございますけれども、やはり税金を使って仕事をしている世界の方たちですので、公開性、透明性が必須でございます。このように、各段階事業部門、歳出部門が自分たち仕事を、先ほど申し上げたように住民自治の主役とか行政サービスの受益者という市民に、住民にそれを公開して、一緒の評価をして、企画実施評価を健全に確立していくということが基本でございます。  しかし、それだけですと、先ほどのように、施策の目標とか、もっと言うと政策目標とか、それに対してどういう事業の組み立て方をするかということで、部分最適になりがちですので、政策評価スタッフというものをつくらなければならないと思います。  そこで、全体のバランスを図りながら、一年間まとめてある時期に、決算報告ということで、当自治体としましては昨年一年間こういう活動をしました、そして町づくりのビジョンに対してはここまでできています、しかしまだここまではできていません、ですからこういうことを住民にはお願いしますという、今ちょうど企業が株主総会の時期でございますけれども、まさに、株主に対して結果報告をして、そして理解を求めるということが必要になってくると思います。そのためにも、一番右側にございますように行政評価機関の設立はやはり必要かと思います。  ただし、大切なことは、行政評価機関が何でもかんでも自治体仕事に介入しましてチェックをするということでは、物理的には無理ですし、本来プラン・ドゥー・シーというのは身近なところでやって総合評価をすることが目的でございますので、このようにうまく行政評価システムそのものが機能しているかどうかということ、これをシステム監査といいますが、システム監査ということと、それからこの評価結果の進捗の監視、ちゃんと評価の結果が絵にかいたもちになっていないかどうかということ、そういうことで、やはり行政組織や議会から完全に独立していることが条件じゃないかということでございます。  やはり独立性、公平性、アンパイアの世界でございますので、プレーヤーに対してやはりアンパイアという立場で、そして行政評価機関が適宜情報公開意見反映をということで、別な形で納税者である国民に対して適宜報告をする。例えば、なかなか勧告してもそのとおりに動いてくれないところがありますよ、その原因はここですというところまで、わかりやすく納税者に伝える工夫が要るのじゃないかなということでございます。  十三ページ、十四ページ、ちょっと飛ばしますけれども、そういう意味で、先ほど申し上げたような定着化のための課題としましては、やはり行政評価機関の設立が求められると思います。ただし、自治体からの改革障害要因の駆け込み寺、ヘルプデスクみたいなものです。  補助金の制約があって実はなかなか改革をしてもできない、だから、それをすくい上げて、そして解決するように持っていくということとか、それから、最終的にはやはり国とか都道府県、市町村が一体となってその地域に対しての行政活動全体の評価をしていく、そういう決算結果、活動結果の体制とか、それから、評価システムがやはりばらつきが出ないように、ちょうど企業のISOみたいに、そういう基準をつくるというものも考えられます。そして、システム監査員の育成を図って、最終的にはあらゆる税金使途先について、コストを納税者にわかりやすくするような工夫ですね。ですから、税金でつくったもの、税金でやられている仕事については実はこれだけコストがかかっているんですということをオープンにすることによって、納税者の関心を高めて、自分たちの町をより魅力あるものにしていくということが求められているのではないかなと思います。  以上で、簡単ではございますけれども、今、地方自治体でどういう取り組みをしてどんなことを指向しているのか、何が課題なのかということと、それから、行政評価の今後のあり方について、簡単ではございますけれども意見を述べさせていただきました。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  6. 原田昇左右

    原田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  7. 原田昇左右

    原田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  この際、両参考人に申し上げます。  御発言は、すべてその都度委員長の許可を得てお願いをいたします。また、委員に対しましては質疑ができないこととなっておりますことをあらかじめ御了承いただきたいと思います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜田義孝君。
  8. 桜田義孝

    ○桜田委員 自由民主党の桜田義孝でございます。参考人のお二人におかれましては、お忙しいところを御苦労さまでございます。  現在、国会では、中央省庁改革と地方分権関連法案の審議の真っ最中でありますが、明治維新後、アジアの諸国の中で奇跡的な近代化を遂げ、高度経済成長をなし遂げていく中で、中央、地方を問わず、我が国の行政の果たしてきた役割は非常に大きいものがあろうかと思われます。しかし、欧米生活にキャッチアップが完了し、国家社会全体が成熟期を迎えた現在、市場経済の低迷と膨大な財政赤字が私たちの生活から快適性を奪っていることもまた事実であろうかと思います。  こうした中、至るところで、透明性、公平性、効率性ある行政への国民の要望が増大しているところであります。二十一世紀に向けて私たちは、活力ある経済社会を創造していくためにも、行政、政府のあり方を根本的に変えていかなければなりません。今こそ、効率的で透明性にあふれる、わかりやすい、国民のための行政を、中央、地方とも、国全体が一丸となって実現していかなければならないところであります。  今回は、特に地方行政における事務事業評価というテーマでありますが、本日の参考人が関係しておられます、静岡県そして三重県などの幾つかの自治体では、既に事務事業評価システム導入され、一定の効果が出ていると伺っております。もしこのような一部地方自治体による努力が行政効果に有効であるならば、私たちは、他の自治体にも見習って導入していくべきであると思いますし、国がそれを積極的に支援していく必要があるのではないかと考えます。  このような視点から質問をさせていただきたいと思いますが、最初に静岡県の知事にお伺いしたいのですけれども静岡県では、業務棚卸表作成し、行政各部署の目的目標を客観、具体化するという徹底的な自己評価システム導入されて、県の組織階級も、七階級から五階級まで簡素化されたと伺っております。  説明によれば、この事務事業見直しにより、平成十一年度四月のスタート時点で、千二百八十八の事業にわたって三百六十七億円が削減されたということでありますが、地方政庁としてはなかなか思い切ったことをやられたと評価をする次第であります。  初歩的質問でありますが、そもそも静岡県がここまで熱心に行政改革に取り組まれたことの背景について、一体どういうことが主たる原因であったのかをまずお伺いしたいなと、そして、実際の事務遂行上見られた弊害や矛盾点、問題点について、具体的に、主なところで結構でございますのでお伺いしたいなと思います。石川知事にひとつお願いいたします。
  9. 石川嘉延

    石川参考人 静岡県が今回の行革取り組みました動機とか背景でございますが、行政の衝に当たってみますと、つくづく感じますことは、住民行政に対する需要は無限大にあります。それに対して行政がよくやっているかどうかという評価は、極力、あらゆる要望、要求にどうやってこたえるか。多々ますます弁ずという言葉がございますが、端的に言うと、多々ますます弁ずという原理が働く世界でございます。  しかし、一方で、財源、人員は有限でございますし、特に昨今の経済不況の中で、税収あるいは国からのさまざまな交付税、その他の交付金あるいは補助金、これらの財源の確保については、現状でも大変でありますし、先行きも楽観を許さない。そうしますと、無限大に発生する行政需要に対して、有限の資源、人員でどう対応するか、これはもう真剣に行革考えざるを得ない。しかし、これまで取り組んでまいりました節約型、けちけち型の行政改革ではどうしようもない。  そこで、いろいろ考えました結果出てきた結論は、民間の企業において達成されております生産性向上の概念を行政にも導入する必要があるということを痛感いたしました。ましてや、昨今のように、ますます世の中の動きが激しくなり、行政の対応も、素早い変化、旧来のいろいろな慣例とかあるいは制度にとらわれないで、新しい事態にいかに新しい行政対応をするかということが求められる時代においては、組織全体のあり方もそれに即応したものになっていかなければいけない、そんなこんなを考えまして、今回のような取り組みに至ったわけでございます。  参考になりましたのは、日本を中心とした民間の企業、民間の実業界における取り組みが大変参考になった。現実に、我々手がけてみて、その手ごたえも実感しつつあるところでございます。
  10. 桜田義孝

    ○桜田委員 どうもありがとうございます。  その中で、私が先ほどから伺っている中で、非常に大変な努力をなされたのではないだろうかという特に大事なことは、組織フラット化ということなんです。中間職の廃止を実現されているわけです。私も、市議会議員、県議会議員、衆議院議員となっているわけですけれども課長さんだとか課長補佐、主査、参事とか、いろいろ項目があって、何でこんなに項目がいっぱいなくてはならないのかなというふうに思うわけです。私もサラリーマン生活というのをやったことがないものですから、特に名前、名称を覚えるだけでも大変だというのが実際のところでございます。  そして、私なんかが知っているような範囲でも、地方自治体でも名前が十項目ぐらいあるのではないだろうかと思うし、そのとき、静岡県では、七項目のところを五階級にしたということで、簡素化透明性というものにおいては大変すばらしいと思っているところです。  その中でよくできたなと思うのは、これは私、官僚の抵抗というものは物すごくあったのではないだろうかというような気がするのです。何かをやろうとすると、官僚というのは、とにかく自分のポジション、位置というものを削られたりすることは非常に嫌がるという性格を非常に持っている。  私も、この十二年間、いろいろな議員をやっていて気がつくのですけれども、この抵抗をどういうふうに抑えたのか。こういう抵抗は、もっともだ、知事の言うことはごもっともでございますということで、みんな賛同してすんなりと、どんどん役職のフラット化というのが進んだのかどうか、それをぜひひとつお伺いしたい。いろいろな抵抗があった、それでも押し切って、知事の強いリーダーシップのもとで推し進めたということなのか、職員に理解があったのか、社会的に、あるいはマスコミ等いろいろな社会的な、住民の理解のもとに推し進められたのか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいな、そんなふうに思います。
  11. 石川嘉延

    石川参考人 桜田先生がおっしゃるように、行革を進めようと思いますと、一番のネックは、実は行政組織の内部の抵抗でございます。  私自身も公務員の経験がございますから、身に覚えがないわけじゃございません。しかし、今回、静岡県がこのようなかなり大胆なことができましたには、いろいろな条件があると思います。  一つは、時代がもう許さなくなってきている、そういう意識は職員の中にもいろいろ浸透しつつございます。  それともう一つは、一方で、そうはいってもなかなか実行ができない。そのためには、ある程度心の底から納得をするような仕掛けを用意していかなければいけないということで、実は私は、平成六年にまず行政生産性向上ということを提唱したときに、その意味、意義づけ、これを幹部職員に徹底する必要があるということで研修会をスタートさせました。あわせて、まず身近なところからいろいろ取り組んで実感を持ってもらうということを心がけまして、平成七年度からハーフ運動というものを提唱してやってもらったわけです。これは私の発案というよりも、むしろ中から、行革推進担当部局から、そういうことをやりましょうということで出てまいりました。  それは、いろいろ、私を含め、民間の生産性向上取り組みの中から、例えば執務環境をきれいにすると非常に効率が上がるとかいうような事例を参考にして、会議の数を半分にする、書類の数を半分にする、判この数を半分にするというような目標を立てまして、これを三年間で実施しようと。それぞれ目標を立てたからには、結果をみんなに知ってもらって、それを逆にプレッシャーにしようということで、その目標公開し、それぞれの年度ごとに公表してまいりました。  その結果、会議の数でいいますと、公式、非公式、打ち合わせもすべて含めて、各種の打ち合わせ、会議がございましたのが、ほぼ半分に近い四七%ぐらい削減ができたとか、書類の数も半分にできたとか、ほぼそういう目標達成しながら、現実に、そういうことをやると執務環境も非常によくなるとか効率が向上するということを非常に実感をさせながらやったということが一つでございます。  それとあわせて、先ほど御紹介しました幹部職員対象にしたリエンジニアリング研修によりまして、それぞれの部署で抱えておる、改革をしたらいいと思うテーマについて、すぐ実現するとかそういうことを、責任を問わないからまず案を出してみろということで、一種のシミュレーションをやらせたわけです。そのシミュレーションについて、私以下幹部職員、部長まで含めて全員がその聞き取りをする発表会をやらせまして、これも三年間やってみた結果、これはかなりいける、我々もそういう手ごたえをつかむと同時に、各職員にもその作業に参加する過程でその意義も感じ取ってもらったということが背景にあったと思うわけです。  それから、最終的には、行政生産性向上は、ただ単に、やみくもな職員削減とか予算削減ではないと。生産性向上というのは、例えば今の我々の持てる資源、能力でこれから増大する需要をいかに賄うか、そういうことであるということを十分理解をさせた、これがかなり大きな今日までの推進の原動力ではなかったかというふうに私は理解をしております。
  12. 桜田義孝

    ○桜田委員 幹部職員を集めての、改革のテーマ、責任を問わないからどんどんテーマをやれ、この姿勢は非常に、今の行政なんかでは、政府が何でも失敗すると責任追及ばかり言うものだから、責任のあるようなことは一切言わない、うそをついても責任をとらせられないようないいことばかり言う、こういう風潮が多い中で、知事のその姿勢というものは私も本当に高く評価するところであります。やはりこういうことは、地方でもできるならば国レベルでもできるんだ、こういう認識を知事自身はお持ちかどうか、ちょっとお伺いしたいなということ。  それと、いろいろな会議削減して、いろいろ、書類でも半分にするということですが、半分という目標はかなり大幅な目標ではないだろうかなというふうな気がいたします。  知事は自治省出身ということで、役人の世界にいた人間が役人の削減に結びつくようなことをやることについては本当に勇気の要ることだと思うのですけれども、特に、この削減したものを新たなる事業展開に向けるのだ、そういう目標設定というものをやっていたわけですね。やおら、債務が超過しているからこれを削減するためにやるのだ、そういうことではないわけですね。増大する需要ということで、新たなる事業展開のために必要なのだ、そういう認識でよろしゅうございますね。
  13. 石川嘉延

    石川参考人 そのとおりでございます。  幸いなことに本県は、大変財政状況も逼迫しておりますけれども、政府のさまざまな景気対策によって一両年のうちに経済が回復軌道に乗れば、今の危機の状態は、過去の蓄積が本県の場合はいろいろございましたので、これは私の努力というよりも歴代の知事のおかげでそういう状態にございましたので、まあ乗り切っていける。しかし、今のような大変な状態が継続いたしますと、私のところも、既に大変になっておる大都府県と同じような事態に直面しかねない。そのときにはまた別な方策が必要かと思うのですけれども、今のところは、今のような、できるだけ中の入れかえ、弾力的な行政体質を確立することによって増大する需要に対応するという方針でいけるのではないかというもくろみのもとに進めているところでございます。
  14. 桜田義孝

    ○桜田委員 評価システムというと、あくまでも内部の人が内部管理をするということで、評価については、いろいろな成果が出てきたことについてよく成果が出てきたなと。内部の人が内部評価をするということは、やはりどうしても査定が甘くなるのではないか、どうしても身内びいきということがあるのではないだろうかという気がして、よくぞここまで出てきたなということで感心するわけでございます。これについては、先ほど星野先生の方からお話がありましたけれども、外部の評価システムをこの庁内に導入しようとか、そういう考えはなかったのかどうか。  それと、仕事の量を少なくするということにおいて、やはり内部管理をするその作業も、いわば事務量が増大するということで、全国で十一自治体の中で事務事業全体にやっているのは六団体しかないというふうにも伺っておるのですけれども、管理システム、管理する作業も大変ではないだろうかというような気がするのですね。私なんかも、自分の秘書に毎日の日報を書かせて、見ているのですけれども、十人も十五人もいると、毎日日報表を見るだけでも大変ですよね、あれは。  ちなみに、外部評価の問題と、知事が評価の指標をどの程度、業務棚卸表に対してどのくらい知事みずからがチェックしているのかどうか、一年間に幾日ぐらい、どのくらいの時間をもってこの評価表に目を通しながらやっているのか、ちょっとお伺いしたいなと思います。
  15. 石川嘉延

    石川参考人 外部の評価については、現在私どもも検討しております。  それに先立って、この業務棚卸表を全部自由に閲覧できるような体制にしてありますので、県民の皆さんがこれを閲覧して、それによってさまざまな評価意見を出してもらうことを期待して、そういう公開をしているわけです。  あわせて、本県では「県民のこえ」という担当者を決めまして、各部署に窓口を決めまして、いろいろな苦情とか意見をそこでまず受けとめて、内部で消化するという仕組みもつくっております。それ以外に、今後外部の専門的な方々の意見評価システム考えていきたいと思っているところでございます。  それから、私自身がどの程度この評価の指標と実績の突き合わせ等をやっているかということでございますが、一万二千項目もございますので、すべてについて私がなかなか目を通しがたいわけでありますが、議会とかマスコミとか、あるいは私自身がさまざまな機会にいろいろな方々から県政に対する御意見とか苦情を承って、それにかえておるところでございます。  私を含めて、県庁組織管理職職員は、もちろん評価することも大事でありますけれども、まず、組織目標を与えて、それの進行を管理するということが非常に重要ではないか、戦略的な発想でそれぞれの組織を動かしていく、そういう観点でやっておるところでございます。  評価そのものは県民の方にやっていただく。それによって、その声を反映して改善していく、そういう発想あるいは仕組みで動かしているところでございます。
  16. 桜田義孝

    ○桜田委員 知事、私は、行政自治体、全国の自治体の市町村合併、知事も県も合併すべきだ、行政単位をもうちょっと広域化すべきだ、それが行政改革の最大のメーンテーマであるという認識を持っているんですけれども、知事自身におかれましては、町村合併や県の合併については、どのような御意見を持っていますでしょうか。
  17. 石川嘉延

    石川参考人 合併につきましては、私は、そういう機運のあるところとか可能性のあるところというのは、静岡県内考えますと、かなりいろいろ見えてまいりますので、そういうところは積極的に合併の方向へ風を送っております。アドバイザー制度も設けまして、相談にも応ずるとか、いろいろ研究も手助けをするとかやっております。  しかし中山間地、特に過疎的な地域、町や村になりますと、地理的、地形的になかなか広域化しがたいような自治体もあるわけでございます。ここを単純に、効率性の原則といいますかねらいで合併しても、実は果たしてそういうことがそこに住んでいる人にとっても幸せをもたらすか、あるいは本当に効率化するどうか、非常に疑問を感ずる場所もございます。そういうところは、実は、現行でも県がその事務を委託を受けて代行するという仕掛けがあるわけでございますので、分権が進んで当該町や村の権限が形式的に膨らんだ場合でも、県がそれを引き受けて代行してあげるという方法もあると思います。  また、本県では既に実行しているわけでありますけれども、専門職員の不足する分については、県が一種の人材派遣会社になりまして専門職員を派遣する。あくまで人件費は相手持ちでありますけれども、人事のローテーションは県の大きな組織の一環で行う。そうすると、常に、その時々に必要な技術職員、例えば高齢対策にしても、あるいは建設関係の技術職員にしても、専門職員は県からの派遣で確保できるからどうだということで実行いたしております。これも市町村、特に町村から喜ばれてやっているところでございます。
  18. 桜田義孝

    ○桜田委員 どうもありがとうございます。  終わります。
  19. 原田昇左右

    原田委員長 次に、前田武志君。
  20. 前田武志

    ○前田(武)委員 前田武志でございます。  民主党を代表して、石川参考人星野参考人に質疑をさせていただきます。本日は、両参考人、まことにありがとうございます。  先ほど来、両参考人の御意見を伺っておりまして——ちょっと、何か悪いようですね。ちょっと待たせてもらいます。
  21. 原田昇左右

    原田委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  22. 原田昇左右

    原田委員長 速記を起こしてください。  それでは、再開いたします。  前田武志君。
  23. 前田武志

    ○前田(武)委員 先ほど来、両参考人のお話をお伺いしながら、静岡県において、あるいはまた資料によると、静岡県あるいは三重県を初め各府県において、行政評価システムというのを、いわば棚卸しにしろ、あるいは三重県で行われたと言われております企業会計的な考え方を導入して、複式簿記といいますかバランスシート的なことで評価していく、そういう企業会計的なことも含めまして、非常に合理的な政策評価実施に移しつつあり、しかも、その成果をおさめておられる。  翻って、国の方が、実は行政改革財政改革、まことにお粗末な感じを受けるわけでございます。ここはシステムの違いということもあるんでしょうが、そういった印象を持ちながら、こうやって両参考人をここに迎えてお話を聞くというのは非常に意義が深いというふうに感じておりました。  そこで、多少具体的な話をお聞きいたしますが、まず石川知事さんのところにおいては、ツリー構造といいますか、樹木の構造で、上位目的、それを遂行する手段、それが次の目的になっている、そういう考え方、これは多分係単位ぐらいに総括的に総点検していく。非常に成果を上げておられるように思います。  そして、知事さんも触れておられましたが、多分森全体を見るためには、ということは、静岡県の長期計画であったり知事さん御自身が公約されたこと、あるいは議会等の議論も通じて基本政策的なことを持っておられる、それが森というか大きな大目標になっていくと思うんですが、その森の方については、多分星野さんの方で言うとデザインアプローチというようなことやら、あるいは財政全体の話になってきますと、貸借対照表といいますかバランスシート的な考え方ということになっていくと思うんですが、そういった解釈、理解の仕方でよろしいのかどうか、まず知事さんにお伺いをいたします。
  24. 石川嘉延

    石川参考人 静岡県の財政に貸借対照表を導入することについては、現在研究をいたしておりまして、まだ着手はいたしておりません。  私どもは、十年間単位の中期計画をずっと累次にわたって実行してまいりまして、現在、私が知事になってから、「新世紀創造計画」という名のもとに、中期計画、一九九五年から十年間の中期計画を立てました。それを三ないし四年間の実施計画にブレークダウンして、これをもと計画的な行政運営を心がける。その際に、計画実現する、あるいは実現性の見通しを立てるための方法として、財政の見通しをあわせて立てまして、そのもとに、毎年毎年予算編成をしているという状態でございます。  特に、現行の地方税財政制度のもとでは、一番神経を使いますのは、支出の面で公債費の動向が今後どうなっていくか。これは、借金の累計、どれだけの期間の借金がどういうふうにたまっているかということをもとに推計できますので、これをもとに、公債費の支出動向が今後どうなるかということがポイント。  それからもう一つは、この公債費も含めました義務的経費、人件費、扶助費、この三つを核とする義務的経費をいかに増大させないかということに腐心をしながら、今はやっておるところでございます。  今後は、民間企業会計を導入して、さらにより正確な、確実な将来見通しも含めた財政運営ができるかどうか、現在研究しているところでございます。
  25. 前田武志

    ○前田(武)委員 今、情報公開についてもお述べになられたわけでございますが、静岡県、知事さんのおやりになったことで、棚卸しをインターネットに載せられたということ、私は、これはすばらしいことをおやりになっているなというふうに思いました。  要は、情報公開というのは、御説明のようにアカウンタビリティーであったり、あるいは星野さんが御指摘のように、住民、そして行政一体となって、地方自治というのは、そこの住民のいわば生きがいのある人生を実現していく舞台をどう構築していくかということになるのだろうと思いますから、そういう意味では情報公開というものが基礎だろうと思うのですね、協働作業のための。それからまた、もちろんこういう合理的な手法を入れていこうとすると、情報公開が前提になると思います。  そこで、ちょっと知事さんにお聞きしたいのは、どうしても、まず情報公開をやり始めると、交際費だとか出張旅費はどうかだとか、どうもあら探しの手段のように思われて、地方自治体においても余り積極的に取り組む気になれないようなところもあるのだろうと思うのですが、むしろ本来は、アカウンタビリティーであり、協働作業のための基礎データであり、そして、行政改革といいますか、効率的な行政のための基本条件だと思います。  さらに超えて、こういう情報公開がなされていくと、新たな視点から、住民の方から、まさしくタックスペイヤーあるいは県民のサイドからのあるべき政策といいますか、課題というものが出てくるのだろうと思います。あるいは、その中にはもっと、県の持っているすばらしい情報を組み合わせて、新しい商売といいますか、行政にかわり得るような、アウトソーシングをやらなくても、民の側から、市場の側から新しい仕事というものを見つけるというようなことにもつながっていくのではないかと思います。  そこで、三十件ほどアプローチが、アクセスがあったという知事さんのお話でありますが、そういう私が申し上げたような芽が出ているのかどうかということをまず知事さんにお聞きして、それから、星野さんには、私のこういう考え方に対するコメントをいただきたいと思います。
  26. 石川嘉延

    石川参考人 インターネットでアクセスをされた方々の中には、まだ、前田先生おっしゃるようなところまでいった水準ではないように承知をしております。  今後、私ども、まだインターネット公開している部分は総括表だものですから、さらにその下の個表一つ一つの小事業、小目的、一番最終の一万二千ありますこれについてもインターネット公開をしたいというふうに思っていますが、現状では、簿冊県庁と県下九つあります出先機関で自由閲覧をしてもらえるようにしてあるということでございます。  将来的には、公開をしたことによってさまざまなチャンネル、手段でいろいろな意見や提言が出てくることを、私どもも期待しておるところでございます。
  27. 星野芳昭

    星野参考人 お答えします。  お手元の資料の十六ページ、最後のページに、ちょっとこれがヒントになるかと思うのですが、実は行政評価というのは、組織全体の中でのソフトの面での改革でございまして、当然、これをやることによって、各行政の守備範囲とか自治体の範囲の再設定とか、それから組織構造フラット化ということになります。  従来は、どちらかというとハードの改革が中心だったのじゃないかと思いますが、この行政評価というのはソフトの改革でございます。だから、機構改革ということではなくて、つくった機構をどのようにマネジメントしていくかということでございます。先ほどのお話にありますような企業会計ということでいきますと、実はバランスシート、貸借対照表をつくるということは、これは第一歩でございまして、県なり自治体財政状況がどうなっているかというのは、これは基本でございます。  しかし、行政評価というのは、そのレベルだけではなくてさらに、実は企業会計というのは管理会計というのがありまして、経営管理、マネジメントにどう活用していくかということでいきますと、政策体系の中の、例えばきょうの事例にありますような、青少年の健全育成のために幾ら使ったのかどうかということとか、それからさらに、その中で具体的な事業として挙げていますような、ジュニアリーダー研修事業とかに幾ら使ったのかどうか、これは従来幾らというのが予算の費目だけなんですね。本来は人件費というものがかかっていますので、人件費を平均賃率で掛けまして、正味の原価を明らかにして、さらに利用者は何人いるのか。そうしますと、一人当たりの正味原価がわかるわけですね。だから、企業会計の次のステップは原価管理ということでございまして、ここまでいかないと本当の意味のコスト意識は芽生えないのじゃないかなという感じがしています。  もちろん、それはあくまでも制度でございますので、それをつくるときのいろいろな思想、それが最終的にはやはり、この十六ページにありますような基本理念なんですね。例えば行政なり県なりという立場では、補完性の原則というのですね、基本的には住民に近いところで全部判断して責任を持っていただくということであります。  その辺のところの全体像で考えていくと、いろいろな意味で整理されるのじゃないかということで、お答えになりましたのかどうか。——どうもありがとうございました。
  28. 前田武志

    ○前田(武)委員 行政改革の前に、国会内の事務改革をやらなければいけない時代じゃないのかな、こう思うわけでございますが……。  今のお話と関連して、例えばこの棚卸しというのも、言ってみれば資産の部の棚卸資産というような感じではないかなと思うのですね、バランスシート上から連想して考えると。したがって、ここにはいろいろな各係ごとの、下水道の例なんかも載っておりました。それに必要な人員なんかも載っておりました。資産と考えていいわけですね。  しかし、バランスシートで見ると、片一方では資本の部の、それは負債というよりもむしろ人的資本として、こちらの右側に、貸方の方にあるんだろうと思うんですね。結局それを結びつけるのは、多分今の御説明の、一人当たりの効率といいますか、いわばリターン・オン・エクイティー、ROEというのですか、そういう考え方で結びつくのではないか。逆に言うと、棚卸資産の中に人的なものが当然入っているわけで、政策の途中段階のいろいろな必要な人材、そういうものも含めて、目的に対してどれだけ効率的にやったかというのがROEに対応するものではないか。  そうすると、棚卸表といいますか、こういう考え方、そしてトータルの財政全体を見ていくバランスシート、そこに何か結びつきも考えられるのではないか、こう思いますが、星野さんはどうお考えですか。
  29. 星野芳昭

    星野参考人 非常に的を得た意見だと思います。  実は今、企業経営の世界では、従来の設備とか機械とかという会計学の世界での資産ということじゃなくて、例えば技術とか、それから顧客のロイヤルティーといいますか、お客さんに対するイメージとか、そういう目に見えないものを資産価値で評価していくというのが盛んでございます。同じように、実は自治体でもそういうことの適用は十分できるんじゃないか。例えば住民地方自治への参画度みたいなもの、NPOの働き度合いとか活動レベルとかというのもある意味では資産ですね。そういう意味で、正しい資産価値を明らかにして、それを住民とか関係者に知らしめていくということは、十分一つ方向としては正しいんじゃないかというふうに考えられます。
  30. 前田武志

    ○前田(武)委員 もう一つ星野さんにお聞きしたいんです。  アメリカにおいてもこういう考え方を導入しておりますし、ヨーロッパにおいては、EU統合という前提で、随分と各国において行財政、特に財政改革にこういう手法を取り入れたというふうに聞いておりますが、今まとめて星野さんの頭の中にある、整理されたものをちょっと御紹介していただきたい。特に、動機ですね、例えばアメリカなんかにおいては、連邦政府においてもこの方式を取り入れているというふうに聞いておりますが、どういう状況で、またどういう動機で取り入れたかといったことについて、短く。
  31. 星野芳昭

    星野参考人 アメリカの状況は私は専門じゃございませんけれども、昨年、一昨年、アメリカの企業幾つか訪問に行ったところ、やはり政府関係の方々が一生懸命企業に聞きに来て、自分たち仕事にどうそれが適用できるかという、ベストプラクティスといいますか、そういう取り組みなんかをやられているということを聞きました。国防総省とかいろいろなところで取り組みをされておりますので、そういう意味では非常に、一つ方向としてはおっしゃっているとおりじゃないかと思います。
  32. 原田昇左右

    原田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  33. 原田昇左右

    原田委員長 速記を起こしてください。  議事進行について大変御迷惑をかけております。何か故障をしておりますので、十七委員室にかえます。直ちに十七委員室へ移動していただきたいと思います。まことに恐縮ですが、よろしくお願いいたします。  若干休憩いたします。     午前十一時四分休憩      ————◇—————     午前十一時七分開議
  34. 原田昇左右

    原田委員長 それでは、これより会議を再開します。  前田武志君。
  35. 前田武志

    ○前田(武)委員 せっかく石川参考人星野参考人に来ていただいて、いささか国会の中の方が、ちゃんと事務改革も効率性もうまくいきませんでして、まことに恐縮でございます。  私自身も、この機会なものですから、ぜひ、石川知事そして星野さんと、陳述された意見に従って対話の形で明らかにしていきたい、こう思っていたんですが、それが途切れてしまっていささか残念であります。  さて、続きとしてやらせていただきますが、いずれにしろ、日本の場合にも、今年度末で国、地方合わせて六百兆円と言われるぐらいの大きな借金というふうに言われております。そういった中で、行財政改革というのはもう避けて通れない道でありますし、もちろん、単に財政の問題のみならず、行政目的というものを、この時代に合った、先を見た的確な、効率的なものにしていかなきゃいかぬという大きな目的があるわけでございますが、片一方で、こうやって知事さんが地方自治体で随分と先見的に進めていただいている。しかし、そういう中でも、やはり地方財政というものについては今のままでは限界があると思うんですね。  例えば地方の財源ということにおいて言えば、知事さんから見て、今、知事さん御自身がどういうようなお考えを持っておられるか。こういう場ですから、もちろんなかなか言いにくいところもあると思いますが、例えば地方の税収、税源といいますか財源、これが余りにも貧弱、要は交付税に頼るところが余りにも多過ぎるのではないか。そういうことになってくると、せっかくこういう行政改革等をやっていって効率的な静岡県独自の行政を展開していこうとしても、基本的なところでなかなかうまくいかない。  もちろん、今、国の方でも行政改革をやっているわけでございますが、森の方に当たる大目標なんというのも、多分、各省庁別の縦割りの大きな整備の目標等があって、基本的にはそういうものがほとんどを占めているのではないか。片一方でそういう実態がある。しかも財源の方も、交付税というような形に依存せざるを得ない。こういった矛盾について、知事さんはどういうふうに考えておられますか。
  36. 石川嘉延

    石川参考人 地方の財源の拡充の問題については、もうこれは、今よりももっともっと地方に傾斜をして改善をしていただきたいと思っておりますが、その中で、交付税については、私どもというか、私自身の実感としては、交付税が地方の自主性を阻害しているという実感を持ったことは一度もございません。
  37. 前田武志

    ○前田(武)委員 要は、交付税という形で配分するぐらいなら、それこそ、国、地方合わせて全体の税のある部分を、初めから地方が何割かちゃんと持つ。そして、これはドイツ型になるんでしょうが、税収がある割合以上に上がるところについては、これを足らざるところに補う、そしてその上で交付税的なものを考えれば、交付税の生かし方というのも非常に大きいかと思うんですが、そうじゃないものですから、三分の二を国で集めて、需要の方は三分の二地方にあるのに、そこを交付税という形でやるものですから、どうしてもそこが、自治体行政財政というものが多少気楽になるというところがある。その矛盾を知事さんはお感じになりませんか。
  38. 石川嘉延

    石川参考人 基本論では、現状の国、地方の財源配分が六対四、ほぼ六割と四割ですね、それぐらいになっていると思いますが、事業実施ベースで考えますと事業はその逆になっておりますので、それに近づけるように、本来の事業実施ベースに財源配分も合わせるべきであるということは私も全く同感でございます。  しかし、税源には偏りがありますので、そういうような、マクロで六、四を四、六に切りかえた場合でも、財源調整システムというのは必要だと思いますし、そのときに、交付税制度というふうに呼ぶかどうかは別にして、そういう調整システムは残していただかないと、これは全体が回っていかないんじゃないかというふうに思っております。
  39. 前田武志

    ○前田(武)委員 その辺はもう全く同感でございまして、要は、もう少し自治そのものに、財源的にも責任の持てる、そしてまた、効率的な地方自治をやっていけばそれだけのリターンがある、住民の福祉が増進するというような、そういうシステムに変えていく必要があるし、そしてそこにやはり、残るアンバランス、あるいは効率的な国の支援という意味での交付税的なものというものを考えていくべきじゃないかというふうな趣旨でございます。  さて、もう時間が参ったわけでございますが、今までの両参考人のお話を伺いながら、要は、国の場合には縦割りでございますから、多分各省庁ごとに、各省庁の各課、各係ごとに棚卸し的な考え方を導入する、そして、省においてはデザインアプローチ的なものを省の大きな行政目的として考えていく、そして、それを実際に意思決定していくところに、議院内閣制であるところの政治家が、大臣、副大臣なり政務次官なりそういう人たちが、意思決定をして、省としての政策を打ち出していく、そういうようなイメージではないのかなと私は思うんですね。  それが、今のところ官僚内閣制になっているものですから、大体行政というのは各課ごとにすべて網の目が張られているようなものでございますが、そこにはもちろん、こういう棚卸し的な考え方もバランスシート的な考え方も、ほとんど今のところ皆無に近いわけでございます。そういった意味で、私は、知事さんなんかが総務庁長官ぐらいになっていただいた方が行革は早く進むんではないか、こう思うぐらいでございますが、そういう感想を申し上げて、最後に、星野さん、専門家として、ひとつ今の私の考え方に対するコメントをいただきたいと思います。
  40. 星野芳昭

    星野参考人 国の場合というのは非常に巨大な範囲の組織でございまして、やはり今おっしゃるような省レベルで棚卸しをやるというのは、これは基本だと思います。しかしながら、やはりそれを全体を束ねる、政策体系というもので束ねて、ある地域では例えば教育問題、ある地域ではむしろ環境問題というような、資源バランスを考えるという、やはり経営企画的な機能が恐らく内閣の期待されるところじゃないかなと思っております。  いずれにしても、組織の形だけじゃなくて、実際に、方針管理じゃございませんけれども、毎年のプラン・ドゥー・シーでちゃんとそれを国民に見せていく、ビジョンがどこまで達成できたのか、できていないところはどこなのか、その理由は何なのかというところをオープンにするというところがなければ、今いろいろ、棚卸しでもデザインでも形だけの取り組みになってしまうんじゃないかということで、やはり基本理念と、それを徹底する、最後はやはり人材なんですね。十六ページにありますような、そういう人財像という全体像で改革するというところがまさに構造改革じゃないかということでございまして、最後にコメントさせていただきました。
  41. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  42. 原田昇左右

    原田委員長 次に、谷口隆義君。
  43. 谷口隆義

    ○谷口委員 公明党・改革クラブの谷口でございます。  本日は、石川知事、また星野参考人、大変お忙しいところ当委員会出席をいただきまして、ありがとうございました。  先ほどからのやりとりをいろいろお聞きいたしておったわけでございますが、私はこの行政評価システム考える際に、先ほど星野参考人もおっしゃっておりましたが、マネジメント感覚がなければいけないのだろうというように思っております。地方自治体状況を見ますと、このような行政評価システムがかなり進んでおるところもございますし、いまだそれほど進んでおらないところもあるわけでございますが、やはり財政状態が極めて悪いような自治体は何とか改善をしなきゃいかぬというようなことで、このような行政評価システムに対して極めて真剣に取り組んでおられるところも多いようでございます。  まず初めにお伺いしたいわけでございますが、石川知事、また星野参考人、冒頭にお話しいただきましたわけでございますが、聞いておりまして、二人のおっしゃっていることについて、アプローチの仕方が違うのかなというように思ったわけでございます。  一つは、静岡県の石川知事の方は、事業目的、進捗状況等を記した業務棚卸表というようなものを作成されて行政評価を行う方法を実施されておられる。一方、星野参考人、何か三重県の方でやっていらっしゃるということでございますが、費用対効果というような観点を考慮に入れられて、事業ごとの成果を数値化した事務事業目的評価表というのを導入されておられるようでございます。  先ほども申し上げましたように、静岡県の方は、いわば業務棚卸表というのは担当セクションごとの成果を明示するというような方法ではないかと思っておるわけでございます。ですから、そういう意味において、行政評価システムのアプローチの仕方が違うのかなというように思うわけでございますが、この辺について、まず初めに石川知事の方からお考えを教えていただき、その後また、星野参考人からお考えを教えていただきたいというように思っております。
  44. 石川嘉延

    石川参考人 私どもが取り組んでおりますこの業務棚卸表は、それぞれの事業目的、どういう目的でどんなことをやっているのか、それに対してお金、予算はどれだけ投入されているのかということを一覧でわかるようにする。最終的にはこれを県民に公開して、それについていろいろ御意見をいただき、さらに改善につなげていくというねらいを持っておるわけでございます。  それをさらにトータルしてまいりますと、それぞれの係なり、係を束ねた、今度我々は室というふうにしましたが、その室のあり方がこれでいいのかとか、今度はそういう組織への県民の御意見もまたいろいろそこに反映されてくる、そういうねらいでやっております。  と同時に、これを行うことによりまして、すべての情報共有化できる。内部におる行政組織の人間も共有化できると同時に、県民もこれを共有化する。そういうことによって、業務の内容を改善させる。最終的には、生産性向上あるいは成果、県民サイドから見ても成果が上がる、そういう方向へ持っていきたいというねらいで始めたわけでございます。  まだ緒についたばかりでありますので、これは一種のまだ整正過程にあるものでございまして、完成品とは私ども思っておりません。今後いろいろ改善、工夫を凝らして、よりよいものにやっていきたいと思っているところでございます。
  45. 星野芳昭

    星野参考人 質問にお答えします。  静岡県の業務棚卸表と、それから三重県等の事務事業評価システムとの違いなんでございますけれども先ほど私が申し上げたように、デザインアプローチか現状分析アプローチかといいますと、事務事業評価システムの方は、どちらかというと、デザインアプローチと現状分析アプローチを併用しているというところがございます。  それから、現状分析のときの対象が、静岡県の場合には、今それぞれの課とか職場でやっている業務仕事ということが非常に地道な、具体的なということで、そこから自分たち仕事目的を追求するというアプローチ。  事務事業評価システムの方は、どちらかといいますと、先ほど申し上げたように、政策事業評価中心考えまして、政策体系の中で自分たちがやっている事業に、お金がついている、もしくはついていなくても職員が時間をかけているということで、住民のためにやっている事業中心にその費用対効果を明らかにしていって、政策体系の中で上位の施策レベル達成度という、そこの中での優先順位づけ、プライオリティーづけをするというアプローチでございます。  いずれにしても、今やっている現状からスタートするというところは共通点じゃないかというふうに思います。
  46. 谷口隆義

    ○谷口委員 そうですね。今の現状からスタートするという意味においては、静岡県も、三重県でもやっていらっしゃるようでございますが、三重県も同じところから来ているんだろうというように思うわけでございます。  今、石川知事の方から業務棚卸表のことをおっしゃったわけでございます。大変体系的な仕組みになっておるというように、私先ほど見せていただきまして感心したわけでございますが、もともとの発想が、これは要するに県の中でいろいろな問題があって、行政評価システムを立ち上げていかなきゃいかぬ、構築していかなきゃいかぬというような形で、県の、いわゆる自治体の中で起こったのか。一方、三重県の方は、先ほどお話をされたように外部委託をしてやっていらっしゃるようでございますが、そのあたりで、出てきたシステムの方法について若干やり方が違うのかなというように思ったりしておるわけであります。これについて、石川知事の方から、どういうところからこういう発想が起こったのかということを教えていただきたいと思います。お願いいたします。
  47. 石川嘉延

    石川参考人 これは私、かねがねから、静岡県の職員の経験もございまして、そのころやっておりました節約型の行財政改革に限界を感じておりました。一方で、私は、知事になりましてから、いろいろ民間のすぐれた経営者の方々にお会いする機会がございまして、その方々から盛んに、県の行政の硬直性とかあるいは能率の悪さとか、あるいはその能率の悪さの原因になっていると外部から見て思われる点などについてもいろいろ意見をいただきました。  それをもとに、それでは、行政内部にそういうものをうまく反映して改革をしていくにはどういう手法がいいのかということから、私は行政生産性向上という合い言葉を提案しまして、それをもとに県の内部で、では、それを実現するための手法は何か考えられないかということで内部に考えさせて、始めたわけでございます。  時あたかも、特に地方行政レベルにおきます情報公開ということが大きな課題になってまいりまして、当県でもいろいろ、支出の非常に不適切な部分を県民から厳しく指弾を浴びるというようなこともございましたので、これは、単に個々の支出の公開ということにとどまらずに、すべての業務について公開にたえ得るものにしていこう、あるいは、そういうことを意識していろいろやることによって内部からでも改革が実現し得るという手ごたえを感じて取り組み、今日に至っておるところでございます。
  48. 谷口隆義

    ○谷口委員 私は、冒頭お話をさせていただきましたように、行政評価システム構築する際にはマネジメント感覚がやはり必要ではないかというように思っております。このようなマネジメント感覚と申しますと、業務の執行とそれに対する責任というのはこれは一対のものでございますから、例えば目標としておるところに至らなかったら、そういう場合には、いわゆる民間の企業においてはそれなりの責任を問われるというようなことになるわけでございます。  そういう観点で先ほど星野参考人のお話を聞いておりますと、最終的に第三者機関みたいなものがあって、業務の遂行が目的どおりになされたかどうかという評価をするようなところがやはり必要ではないかというような御提言がございました。知事のお話を聞いておりますと、行政内部で構築されたというようなことになってまいりますと、それをウオッチするような、監視するようなところ、第三者機関でそれを監視し、それが円滑に動いておるかどうか、仮に、円滑に動いておらない、当初の目的どおりに動いておらないとすると、それはそれなりにある程度の責任も問うというような全体的なシステムが必要ではないかというように思うわけでございますが、このあたりについて、どのようにお考えでございましょうか。
  49. 石川嘉延

    石川参考人 マネジメント感覚が必要だという谷口先生のお話はそのとおりだと思っておりますが、これについては、今、これから我々手がけようとしておるところでございます。これまでの段階では、業務棚卸表公開することによって県民のいろいろ批判を受けて、それそのものが一種の外部評価機能を果たす、果たしてもらうということを現在は期待しております。  それから、あわせて、現行の監査委員制度のもとでも、会計監査以外に業務監査を行うという機能が加わりましたので、この監査委員によります業務監査にも期待をしております。その監査を行う際にこの業務棚卸表効果を、材料として、データとして活用していただけるのではないかというふうに期待をしているところでございます。  あわせて、今後、外部の、特に専門的な見地からの評価をしていただける委員会というか組織、これは現在検討しておるところでございます。  あわせて、一方で、マネジメントという観点からいいますと、今回のこの業務棚卸表並びにそれをもとにしました組織フラット化によりまして、本県の場合は、室のところで、決まった方針を実行するのは室長以下のところでどんどん、どしどし実行するという体制になりました。  そうしますと、総室長とか部長、私も含めたそれより上のランクの者の役割は何かということになってくるわけでございまして、ここが新しい方針決定する、あるいはその方針方針どおりに全体がうまく運営されているかどうかを管理する、そういう機能を果たすべきではないかということで、この方針管理のあり方について、昨年度から準備を始めまして、今年度以降、平成十一年度以降、研修も含めて、方針管理のシステム確立したいということで取り組んでおるところでございます。  そういたしますと、一種の車の両輪、業務執行についての評価の体系と方針を打ち出す、それをまたうまく徹底していく、そういう仕組み、この二つが整うというふうに考えて、今やっておるところでございます。
  50. 谷口隆義

    ○谷口委員 それと、先ほど知事のお話で大変よくやっていらっしゃるなと私が思ったところは、一つは、職員の定員を二年間で五百人ほど減らした、これはもう大変なことだと思うんです。それともう一つは、これは中項目ですか、一万二千項目のうち三千五百を改善した、これも大変な御努力だというように思っておるわけでございますが、これは、仮に金額で換算しますと、どの程度のコスト低減効果というか、効果があったというようになるわけでございましょうか。
  51. 石川嘉延

    石川参考人 見直し効果を金額で表示すればどうなるかということでございますが、平成十年度におきましては、見直し対象になりました事業削減額は四百三十九億円、十一年度は三百六十七億円ということでございます。  これらの事業はほとんどが、昨今いろいろ話題になります公共事業というよりも、まあ、ソフト的な、いろいろ業務執行に係るような種類のものが非常に多いわけでございます。金額評価はそういうことでございます。
  52. 谷口隆義

    ○谷口委員 星野参考人にお聞きしたいわけでございますが、先ほどの冒頭のお話の中で、プラン・ドゥー・シーですか、PDSサイクルとか、このように言われるようなことをおっしゃっていらっしゃったわけでありますが、国の会計システムも、これは今当委員会においても決算承認をやらなきゃいかぬわけでございます。ところが、民間企業と同じように毎期毎期決算を承認しなければ進んでいけないということにはなっておらないわけで、もう二年もたまっておるというような状況でございます。私は、やはりこの決算承認がきちっと行われておらないと、いろいろなむだ等々を指摘するのはなかなか難しいんではないか、このように思うわけでございますが、冒頭おっしゃったこのPDSサイクルですね、プラン・ドゥー・シーの前提で、各自治体も同じようにこの種の決算が承認されないと進まないというようなこともないようでございますので、このような大前提が問題があるとは考えていらっしゃるでしょうか。
  53. 星野芳昭

    星野参考人 プラン・ドゥー・シーというのは、実はシーの視点が大切でございまして、私が先ほどからずっと申し上げているのは、やったことの活動が、目的がどれだけ達成できたかということのシーでございます。従来の決算というのは、どちらかといいますと、使ったお金が規則どおりに、決まりどおりに正しく使われたかどうかということだったと思うのですけれども、そのあたりのところが、多少二つを分けて考えてみてもよろしいのじゃないか。特に、プラン・ドゥー・シーのプラン、ドゥーに反映させるためには、目的をどれだけ達成できているのかどうかということでございまして、そういうことによって、実際にプランニングをやっている人、ドゥーをやっている人の活動に反映をされるということじゃないかと思います。  それから、マネジメントの感覚ということを申し上げましたけれども、やはり日常の管理のマネジメントと、それから変革期のマネジメントとはちょっと違うのでございまして、今日本の行政に求められているのは、変革期のマネジメントじゃないかということでございます。それはやはり従来の考え方を変えていかなきゃならないということで、私の方の資料の十四ページの「行政体質改革の基本方向」ということは、やはり従来の暗黙の常識といいますか、これをどのように関係者に合わせていくか、外部環境変化に合わせていくかということでございまして、やはりこういう魂が入っていないと、形だけの管理活動をやっても、実はかえって管理の手間だけがかかることもありますので、やはり常に首長やトップが理念を浸透していくということで、このように従来の体質を表の右の方に変えていかなければならない、そういうあたりのところの浸透策が今一番求められているマネジメントじゃないかなということで、御質問にお答えしました。
  54. 谷口隆義

    ○谷口委員 プラン・ドゥー・シーのシーというのは、さっきもおっしゃったように、最終的にチェックをして、これを計画の立案であるとかまた実行にフィードバックさせるという意味で、極めて重要なんですね。私は何を言いたかったかといいますと、そのチェックをする際にチェックができるベースが整っておらないですよというようなことを私は言いたかったわけでございます。  最終的には決算数字にあらわれるわけなんですね。ですから、例えば行政の効率性なんというのは、七つある部門を五つにしたよというのは、行政の効率性という意味においては確かに一歩進んでおるわけでございますが、それが最終的に決算数字に反映されるわけでありまして、そういう意味において、それが明確になっておらないと次のところにフィードバックできないですよ、こういう意味において私は申し上げたわけでございます。  先ほどの質問の中にも出ておりましたが、バランスシート、最近、国のバランスシートもそろそろやらなきゃいかぬということで大蔵省も検討に入ったようでございますが、地方自治体を見ておりますと、五県十三市においてもう既にバランスシートをつくったことがあるというようなことが出ておるわけでございます。このバランスシートも、最終的にあらゆることが集約し、そこに入るわけでございます。そういう意味において、私は以前公認会計士をやっておったわけでございますが、バランスシートのないような企業なんというものは信頼できないわけでございます。これは、国も地方自治体も全く同じでありまして、そこに集約される、そこにすべての要因が内包されておるわけでございますから、そこを分析することによって、どこが悪いんだ、資産のどこが悪いんだ、負債のどこが悪いんだというようなところの分析は、これはもう当然必要ではないか。  また、それにつけ加えて申し上げますと、企業会計的な考え方、例えば特殊法人があるとか、また外部の法人を抱えておるとかいうような場合に、今、民間企業においては、グループで評価しようというような動きもあるわけでございますが、そのあたりも見ていかないと、例えば一地方自治体のことだけではなくて、三セクもあり特殊法人もあり、こういうことになっておりますから、そうすると、そこに内在しているいろいろな問題が最終的なバランスシートの中に包含されている、内包されているという観点からしますと、まずそこに突っ込む必要があるんではないかというように思うわけでございます。  そろそろ時間が参りましたので、最後の質問ということで、石川知事の方から御答弁をお願いいたしたいというように思います。
  55. 石川嘉延

    石川参考人 現在、私どもも、貸借対照表を中心とした企業会計の発想を我々の財政にも適用すべきじゃないかという観点から研究しておりますが、単純な導入は労多くして功少ないのじゃないかという観点から、しかし効能はあるだろうという予測のもとにやっております。  それから、今谷口先生御指摘のような、県にも道路公社、住宅供給公社、土地開発公社という三公社を筆頭に、財団法人組織の外郭もございます。これらを全部包含した一種の連結決算も必要になってくるという感覚で、我々も、今その勉強をしておるところでございます。
  56. 谷口隆義

    ○谷口委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  57. 原田昇左右

    原田委員長 次に、佐々木洋平君。
  58. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 自由党の佐々木洋平です。  きょうは、参考人の皆さん、大変御苦労さんでございます。  時間がないので端的に御質問申し上げます。  従来、行政評価というのは予算にスポットを当てられておったという部分があったと思いますが、今回、静岡県では、行政棚卸表というもので管理指標を数値化した。これは大変なことだろうと思いますが、先ほども話があったとおり、県民がよくわかるということで、私も今感心をしたんです。  そこで、ちょっとお伺いしますが、行政改革の推進やら、予算あるいはまた定数の削減、いろいろな組織のスリム化あるいは業務委託等々あると思うんですが、最も効果が出たのはどれでしょうか。知事にお願いしたいんです。
  59. 石川嘉延

    石川参考人 最も効果があったという観点で考えますと、自分たちの姿が自分みずからよく見えるようになった。そのことによって、むだといいますか、生産性向上、能率の向上という観点から、組織のあり方の見直しもスムーズにいきましたし、その成果の一つとして、余分な人員の削減もスムーズにできたということでございます。  予算の全体の縮小という観点からいいますと、まだそこまでは結びついておりません。行政需要というのは、先ほど申し上げましたように無限にあるわけでございまして、これは民間企業、例えば最近話題になっておりますアメリカのGEの経営者が言っているような、もう見込みのない部分はどんどん切り捨てるというようなことが行政部分では行い得ないわけですね、ごく一部の行政需要であってもそれにはこたえなきゃいけないということがありますので。  そういう観点で、予算削減、総体の削減というところまではストレートに結びついてはおりませんが、効率がよくなる、生産性向上という観点では、かなりの成果が上がりつつあるというふうに考えております。
  60. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 重ねて知事にお伺いしたいんです。  ちょっとこの書類を見ますと、業種別に細かく分けて棚卸し評価をしているんです。そうしますと、広い県全体の事業を見た場合に、その比較というんですか、評価をする、これは非常に難しいような感じもするし、優先の順位を決める場合にも大変難しいんではないかという感じが実際します。あるいはまた、今おっしゃったんですが、行政内部の自己点検というのは明快に出てくることは確かにそうだろうと思うんですが、逆に、さっきも質問が出たと思うんですが、第三者機関というものに見てもらうということが非常に大事になってくるだろうと思うんです。  その辺の評価順位のつけ方、あるいはまた全体のそういったものの評価をどのようにして見られているか、知事にお伺いします。
  61. 石川嘉延

    石川参考人 まだ佐々木先生おっしゃるようなレベルにまでなかなか達しておらないのが実情でございますが、例えば、この資料にございました例で見ますと、下水道なら下水道の係のところで、予算に係る作業をどういう目標でどれだけの経費と人手をかけてやっているかという項目が出てまいりますね。これはほかのセクションにも、あるいはほかの事業にもこういう部分があるわけでございます。  そうすると、例えば財政当局とか人事当局が、横並びで全部これだけを見比べてみますと、ここのセクションは何でこれだけの人員を投入しているかという横の比較ができるようになります。そうすると、原因分析、それはそれなりに理由があるとか、あるいは能率が悪いとか、そういうことを共通のデータで議論ができるような土俵ができてまいりますので、そういう点で当面は非常に効果が出ておるわけでございます。  今後は、異なる政策分野でどう優先順位をつけるかとかいうことは、行政内部の作業も必要でございますが、最終的には、県民、県民の意向を反映した議会で決着がつくものだと思うのです。その際にも、できるだけ議論がしやすいような、材料になる、データにはなるのではないか、そのためにいろいろこれからも改善はしていかなきゃいけないというふうに思っております。
  62. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 ありがとうございました。  私も地方議会にいたものですから、ちょっと意見を申し上げておきたいと思うんです。  行政評価をする場合に、いろいろなセクションがあると思うんです。例えば、事務事業評価一つのセクションとする。あるいは、公共事業なら公共事業一つのセクションにする。あるいはまた、その事業のプロセスを分析する。私は、こういう一つのやり方が行政には必要じゃないのかなと。逆に言えば、今の棚卸し制度とのかかわりがちょっと違ってくるんですが、将来そのような、公共事業なら公共事業一つの、棚卸しでも何でも結構なんですが、そういうものを考えていくということはどうなんでしょう。  両参考人にお聞きしたいと思うんですが、今、そういう三つぐらいに、事務評価、それから公共事業なら公共事業だけの評価分析をする、あるいはまた事業のプロセスがいろいろあるわけですが、それを評価する、そういった部分を評価しながら全体の評価をしていくということはどんなものでしょうか。  両参考人にちょっとお願いしたいと思います。
  63. 石川嘉延

    石川参考人 佐々木先生のおっしゃる問題は、先ほど私が御説明いたしたと思うのですけれども方針管理の分野に属する事柄ではないかと思うのでございます。  実は昨年から、方針管理システム確立したいということで今取り組んでおるところでございますが、例えば公共事業の中のどの分野に重点を置くかとか、あるいは県政全体の中で公共事業にどれだけ財源を投入するかとか、そういう枠組みをまず決めなきゃいけませんね。これは業務棚卸表からは出てこないわけでありまして、方針をどう立てるか、これは、私を筆頭にした管理部門で方針の確定をする必要がある。その決められた方針もとに、それを実施するに当たってこの業務棚卸表が威力を発揮してくるというふうに考えておるのでございます。  我々の行革取り組み順序といたしましては進行管理の方から始まったわけでございまして、次に方針管理の方向へ踏み出したいと思って、今取り組んでおるところでございます。
  64. 星野芳昭

    星野参考人 住民から見れば、もともと事務事業も公共事業も、その違いというのはわかりませんし、やはりその町がどれだけよくなったかどうかということでございますので、お答えいたしますと、三つの中の三番目のプロセス分析は、ちょっと事務事業なり公共事業の後だと思うんですね。むしろ、事務事業と公共事業の中の評価、やはり施策評価事業評価とありまして、その基本は施策評価でございます。  昨今、公共事業の場合は箇所別評価のところがかなり中心になっておりますが、本来は、それだけでは不十分です。本来、その地域の中で社会資本整備をするにはどういう優先順位かというのは、ある程度の生活圏をつくりまして、そしてその施策評価、きょう資料に載せていましたように、今、担当部署の事業に関係なく、ニーズ側、どういうものが必要なのかどうかというところから組み立てる、そういう地域評価、地域の中の社会資本整備評価というものがこれから恐らく主流になってくるのではないかなというふうに考えられます。
  65. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 星野参考人にもう一度お伺いしますが、地方公共団体の評価システムについて今後どういう課題があるのか、ちょっと最後にお伺いします。
  66. 星野芳昭

    星野参考人 課題につきましては、お手元の資料にちょっとまとめております、先ほど時間がなくてしゃべれなかったのですが。  第一点は、何をもって一番必要かということでいきますと、やはりいろいろな自分たち仕事の原点から見詰め直してくると、障害が出てくるわけです。それはいろいろな障害がございます、議会との関係とか特定の住民団体とか。そのあたりをどのように情報公開を通じて明らかにしていくかということでございまして、その辺の透明性の確保ということが一番じゃないかなということです。  それがある程度解決されていれば、この自己点検方式、それから、その先の住民との相互評価というのはかなり正常に機能してくるのではないかなというふうに思います。
  67. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 ありがとうございました。  終わります。
  68. 原田昇左右

    原田委員長 次に、辻第一君。
  69. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党の辻第一です。  きょうは、お二方の参考人、お忙しい中を当委員会に御出席をいただいて、御意見を拝聴させていただきました。ありがとうございました。  まず、お二方にお尋ねをしたいと思います。  近ごろ、事務事業の再評価という問題がごく普通に使われるようになりましたが、この事務事業の再評価にかかわって、費用対効果評価という手法があると思うのですが、ともすれば、これが、経済的効果だけに目が向いたり、費用の確保といいましょうか切り捨てといいましょうか、そのようなところに使われかねない要素といいましょうか、使われ方が懸念をされております。  広く行政サービスを考えたときに、この費用対効果評価事務事業の再評価でどのように展開をすべきか、お二人にお尋ねをいたします。
  70. 石川嘉延

    石川参考人 私ども、今取り組んでおります行財政改革の現段階におきましては、辻先生おっしゃるような費用対効果分析についての有効な手法はまだ確立をしておりません。  とりあえず、現在やっております業務について、どういう目的で、どういう目標を持って、どれだけの人と予算を投入しているかということをまず明らかにする。みずからもそれを用いて、生産性向上という概念からもっといろいろ改善できないかという取り組みをすると同時に、県民に公開をして、また県民の御意見を、最終的には議会を通じて伺って、改善につなげていきたいと。今そういう段階で進んでおるところでございますので、費用対効果を端的にあらわすような尺度も今持っておりませんし、これからの課題だと思っております。
  71. 星野芳昭

    星野参考人 お答えします。  費用の方は、先ほど企業会計の話になってくるわけでございまして、人件費を含めて原価をどのように明らかにするかということなんですが、一番議論になるのは効果の方でございます。  効果の方は、従来の公共事業の批判にもございますように、例えば本当に雇用効果があったのかどうかとか、個々の事業で言われていると思うのです。そのためにも、やはり政策体系を整備しまして、その地域その地域の中でどのような効果が出たかどうかということ、例えば洪水の危険から身を守ることができたのかどうかとか。  一方で、その効果というのは一つだけじゃございません。プラスの効果とマイナスの効果。マイナスの効果の典型的なものが、環境ですね。その辺のあたり住民の意向を踏まえながら、つまり、利便性だけじゃないですね。むしろ利便性をちょっと我慢して自然を守るということも、これも一つ効果でございますので、そういう意味で、決していわゆる企業的な経済効果だけではないなと。まあ企業も最近は利益だけじゃなくて、環境に対する負荷を軽減するということで取り組みされていますけれども、だんだんそのような効果についての議論が多元化してくるのではないか。  そういう意味でも、やはり政策体系をきちっとつくりまして、どういう町づくりにするのかという基本方向、これは地域によって違うわけですね、過疎化の地域と都市部では違いますので。それで、住民行政協働化していくというところが費用対効果を確実なものにするのではないかなというふうに考えられます。
  72. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、石川参考人にお尋ねをいたします。  静岡県において、施策や事務評価システムとして、業務棚卸表作成公開を行っておられます。いただきました「静岡県型行政評価システム 概要」を見させていただきました。活用結果が出ておりますが、廃止、縮小、統合などの項目別に、見直し実績ということが出ております。  しかし、民間企業による手法自治体事務事業評価導入することが県民にとって果たしてどうなのか。再評価の結果、拡充、充実あるいは新設などという結論になった事例の存在はどうなのか。  また、あわせて、行政評価住民の声、意見はどのように反映されているのか。  あるいは、住民サービスが低下するようなことはないのかどうか。  こういう点、静岡県知事にお尋ねをいたします。
  73. 石川嘉延

    石川参考人 民間企業手法がどこまで有効かということでございます。  これは、生産性を上げるということは、同じ目的、同じ事業を実行するのに、より少ない人員とより少ない予算達成して、初めて生産性向上があったというふうに定義をするわけでございます。私どもはその定義のもとにやっておりまして、別にこれは、あるべき水準を我慢して節約するとか削減するとか、単にそういう発想で取り組んでおるのではございません。そういう観点からいきますと、民間でやっておりますいろいろな手法は大変参考になることが多く、どんどん取り入れて今やっておるところでございます。  それから、いろいろ見直しをした結果、削減をした。これは削りっ放しではなくて、常に新しい行政需要は出てまいります、あるいは拡充しなければいけないこともございます。最近の非常に厳しい財政環境のもとで新しいそれらの行政需要にこたえるために、今までのいろいろなものを見直して、それで浮いてきた予算とか人員、能力、人力を新しい需要に振り向けていく、そういう観点でやっております。  どれだけ新しいものをやったかということは、きょうはデータをお出ししてございませんが、毎年毎年新しい予算編成の中で新しい事業にどう取り組んだかというのは、これも公開をしておりますし、そのためにこそこういうことをやっているということでございます。
  74. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、星野参考人にお伺いをいたします。  事務事業の再評価考えるときに、例えば、国が直轄事業や補助事業についての再評価を行っております。三月に出ました建設省の公共事業の再評価結果を見ますと、評価対象となる、事業採択後五年間経過して未着工や事業採択後十年間経過した事業、合計五千七百二十四事業のうち、再評価等が終了した五千二百四事業のうち、中止が九事業、休止が二十五事業という結果でございます。これらは、それぞれ地建や都道府県などに設けられた事業評価監視委員会等の意見を聞いて評価実施されたものでございます。  これについて、公共事業の問題点を指摘しておられる住民住民団体の方は、再評価の結論に対して問題点を指摘したり、住民意見が反映されていないと言っておられるところがございます。つまり、内部の評価と外部の評価の問題、委員会は外部の評価という位置づけと言うのかもしれませんが、委員構成からして、中立的な構成になっているかどうかの点についても意見があります。  そこで、だれもが納得のいく外部の評価を得る必要性があると思うんですが、いかがでございますか。
  75. 星野芳昭

    星野参考人 事業の再評価というのは、ある意味では非常に難しいものでございます。というのは、今のケースの場合は、評価と、それから、継続するかやめるかというのを、意思決定というのを実は分けないといけません。というのは、やめるかどうかというときにはもう既にこれはかなりのコストがかかっていますので、企業でもそうですけれども、新しく事業をやめるときには、その事業をやめるときのいろいろなデメリットといいますか、犠牲というものも加味しながら見ていかなきゃならないと思うのですが、そのあたりのところをやはりぜひ明確に分ける。  つまり、本当にその事業が地域のためになっているかどうかという、費用対効果というものをまず一回評価して、そして、今までのいろいろないきさつとか、今までのいろいろな費用とか、それからいろいろな補償問題とかという、そういうことの代替案、つまり、そのままいく場合と、それからやめる場合と休止の場合と、それぞれの三つの代替案についてやはりメリット、デメリットを比較して、それをやはり公開するという手続がもっと必要じゃないかなということでございます。そういう意味では、実は再評価というのは途中の段階ですので、非常に難しい面を持っています。  その意味でも、私が申し上げたいのは、事前評価をもっと徹底してやる。つまり、予算化する段階で、本当にその事業が必要なのかどうか、類似の事業はほかにないかどうか、その地域にとって本当に効果が出るかどうか。それから、前提条件。その事業の前提にするときの人口の伸びとか企業のいろいろな動向とか、そのあたりをもっと民間企業並みに、徹底して予算化の段階でいろいろな観点から検証するということが必要じゃないかなと。そういう意味ではまだまだ、企業の場合は意思決定の結果が間違えば非常に大きな欠陥をもたらしますので、そういう意味のところが求められてくるのじゃないかなということでお答えしたいと思います。
  76. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、石川参考人にお尋ねをいたします。  事務事業の再評価ということを考えるときに、住民の側の視点に立つことが大変重要でございます。現に行われている事業や施策についての再評価だけでなく、例えば行政のあり方、憲法や地方自治の理念あるいは政策方向など、当該自治体住民のニーズを十分反映しているのかどうか、あるいは、住民間で意見の相違のある事業についての事業の展開のあり方など、こうした面を事務事業の再評価においてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、石川参考人にお尋ねをいたします。
  77. 石川嘉延

    石川参考人 住民行政への、県政へのさまざまな意見にどう取り組むかということでございますが、これは、私自身の仕事として、住民との直接対話の機会をできるだけ設けるようにしております。  定例的には年四回、市町村から推薦をいただいた方と公募の方と、両方半々ぐらい交えて、県内四カ所で一種の対話集会をやっておりますし、今年度は、四年に一回、過去の実績でいいますと、全市町村を回ってそのようなスタイルで意見の交換をいたしております。  それからまた、県の各部局には「県民のこえ」担当というのを置きまして、広聴体制確立をする。あわせて、その一環として県政モニターも配置をしておりますし、そういう方々を通じて県政へのさまざまな意見を集約し、それを、最終的には県の中期計画、十年間ごとの中期計画にさまざまな要望を踏まえたものを反映いたします。それを、さらに三年もしくは四年単位の実施計画にブレークダウンして、各三年単位、どういうことを行うのか、それもきちんとできるだけ数値目標を書きまして、下水道の普及率は何%アップするとか、交通事故の事故率をどれぐらい削減しようとか、そういう目標を全部提示いたしまして、県民の方々にできるだけ客観的に県政の評価もしていただけるような計画書を作成し、公表しております。  それに対してさらに財源的な裏づけがどうなるのか、これもあわせて公表して進めておるところでございます。
  78. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参りました。終わります。  ありがとうございました。
  79. 原田昇左右

    原田委員長 参考人に対する質疑はこれをもって終了いたします。  両参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、私から厚く御礼を申し上げます。  どうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。(拍手)  本日は、これにて散会いたします。     午後零時七分散会