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1999-05-27 第145回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十七日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 原田昇左右君    理事 鴨下 一郎君 理事 栗本慎一郎君    理事 佐藤 静雄君 理事 村田 吉隆君    理事 石井 紘基君 理事 前田 武志君    理事 谷口 隆義君 理事 佐々木洋平君       安倍 晋三君    相沢 英之君       赤城 徳彦君    嘉数 知賢君       粕谷  茂君    倉成 正和君       桜田 義孝君    田中 昭一君       田邉 國男君    滝   実君       東家 嘉幸君    萩山 教嚴君       堀之内久男君    矢上 雅義君       山口 泰明君    鍵田 節哉君       熊谷  弘君    葉山  峻君       藤村  修君    赤羽 一嘉君       石垣 一夫君    旭道山和泰君       福島  豊君    米津 等史君       辻  第一君    中林よし子君       保坂 展人君  出席国務大臣         運輸大臣    川崎 二郎君  出席政府委員         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁生活安全         局長      小林 奉文君         警察庁刑事局長 林  則清君         警察庁交通局長 玉造 敏夫君         警察庁警備局長 金重 凱之君         総務庁長官官房         審議官     大坪 正彦君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         国土庁防災局長 林  桂一君         外務省北米局長 竹内 行夫君         厚生省健康政策         局長      小林 秀資君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         運輸省海上交通         局長      宮崎 達彦君         運輸省航空局長 岩村  敬君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         総務庁行政監察         局企画調整課長 関  有一君         大蔵省主計局主         計監査官    荻原 鉄夫君         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 今田 寛睦君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       船渡 享向君         会計検査院事務         総局第一局長  関本 匡邦君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         決算行政監視委         員会専門員   酒井 喜隆君 委員の異動 五月二十七日         辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     田中 昭一君   三塚  博君     嘉数 知賢君   森  喜朗君     安倍 晋三君   石田 勝之君     石垣 一夫君   村山 富市君     保坂 展人君 同日         辞任         補欠選任   安倍 晋三君     森  喜朗君   嘉数 知賢君     三塚  博君   田中 昭一君     熊谷 市雄君   石垣 一夫君     石田 勝之君   保坂 展人君     村山 富市君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件  行政監視に関する件     午前九時開議      ————◇—————
  2. 原田昇左右

    ○原田委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
  3. 滝実

    滝委員 自由民主党の滝実でございます。  二十五分間の時間をちょうだいいたしましたので、当面問題になっております介護保険に関連いたしまして、その作業状況、そして、それに関連しての幾つかの御要望を申し上げたいと思うのでございます。  ただいま行革特別委員会におきましては、分権法審議が国の省庁の再編の問題とあわせて行われているわけでございますけれども、その中で、現在地方団体が行っている事務の分類についても新しい考え方が示されているわけでございます。従来地方団体が行っていた事務は、固有事務委任事務に分かれるわけでございますけれども、新しい考え方では、自治事務法定受託事務に分類される、こういうことになるわけでございます。  ところで、介護保険に関する事務については、原則として、市町村が行う事務自治事務というふうに分類されるわけでございますし、そして都道府県幾つかの事務については法定受託事務、こういうようなことに相なっているわけでございますので、基本的に、現在市町村作業をいたしている事務自治事務、要するに市町村が全面的に責任を負う、こういうような意味合いのことになってくるわけでございます。  そこで問題になりますのは、自治事務である以上は、その事務前提となる物の考え方、これはやはり市町村責任が負えるような、そういう作業のプロセスが必要だというふうに思います。基本的な枠組みについては、当然、介護保険法で示される、あるいはそれに付随する政省令で若干のことがあってもいいと思うのでございますけれども基本市町村が最終的に責任を負うわけでございますので、従来のような感覚でこの事務に取り組むということは、これはやはり新しい法を示している以上は問題が出てこようか、こういうふうに思います。  そこで、現在市町村作業している中で、幾つかの問題点、不安の問題もあわせて出てまいっておりますので、その幾つかについて、順次お尋ねをしてまいりたいと思うのでございます。  まず、現在市町村が行っている作業の中にはいろいろな作業があるわけでございますけれども基本となる作業は何かといえば、一つは、介護保険給付の事業をどの程度見込むか、要するにどれだけの介護サービス当該市町村が見込むのか、その金額がどの程度になるのか、こういう作業がまず先行をいたしているわけでございます。そして、その結果をもとに、今度は保険料を算定する、こういう作業が続くわけでございます。  厚生省は、ことしの春に、この介護サービス水準あるいは支給限度額のおおよその基準、そして保険料試算基準、そういうものをお示しになっているようでございますけれども、この厚生省が示された基準もとに、現在、市町村が相当な意気込みで作業をやっております。作業をやっておりますけれども、具体的に作業がまとまったところで、厚生省は次のステップをどうするのか。  要するに、それぞれ市町村が大変、例えば当初の思惑の介護サービス水準よりもはるかに金額が大きくなったり小さくなったりと、そういうようなことが出てこようかと思うのでございますけれども、結果を見て、こういった作業をこれからどういうふうなことに厚生省として考えていくのか、その点についてまずお伺いをしたいと思うのです。
  4. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 来年の四月からの介護保険制度施行に向けまして市町村大変御苦労をお願いしているわけでございます。私ども、できるだけ円滑に進むように、国といたしましても、政省令をできるだけ早くということで、現在までのところ、主な事項の八五%は一応終了しております。  給付の量とか、それから保険料見込みにつきましては、昨年の秋に試算を行うためのワークシートをお示ししたわけでございますが、ことしの四月でございますけれども、最終的なワークシートをお出しいたしましたし、各市町村でいろいろ試算ができるというふうな、簡便に計算ができるためのコンピューターのソフトを配付いたしまして、必要な情報の提供に努力をいたしているわけでございます。  これらの材料をもとに、まだ仮単価といいますか暫定的な試算しかできないわけでございますけれども、各市町村におきまして、給付量とか、それから保険料見込み、こういったものを計算することが可能な状況になってございます。  したがいまして、今後とも、市町村の御意見をよくお聞きしながら、制度の円滑な施行に向けまして、準備に支障がないように私どもとして最大限の努力をいたしたい、こういうふうに考えておりますが、介護報酬関係は、まだ決まっておりません。正確に言いますと、来年にまでずれ込むおそれがあるわけでございますけれども、しかしそれでは間に合わないということで、ことしの七月の末を目途にいたしまして、私どもの方で主なものにつきましては仮の単価設定したい、こういうことで努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  5. 滝実

    滝委員 ただいま老人保健福祉局長から、この作業の当面の考え方について御答弁をいただきました。  要するに、市町村心配をいたしておりますのは、最終的にはこれは市町村責任を持たなければならない、こういう性格の事務なのでございますけれども、今みんな恐れておりますのは、例えば保険料試算をすると相当な額になるじゃないか、こういうようなことが報道で出されて、マスコミを通じていろいろ言われているものですから、市町村責任を負わなければならない事務であるにもかかわらず、結局、その積算するに当たってのいろいろな根拠となるものが、市町村責任ではどうしても処理できないものが押しつけられる、こういうことに相なってくる、今そういう状況下にあるわけでございます。  やはり、これは自治事務でございますから、市町村が最終的に責任を負うという以上は、市町村が自分の責任においてこの制度を仕組むんだという考え方が前面に出ませんと、これは後々、なかなかスムーズな運営ができないんじゃないだろうかな、こういうふうに思います。  そこで、もう一つ出てきますのが、実際に保険料が幾らになるのかというのは、今も局長がお述べになりましたように、介護のいろいろなサービス単価、どのぐらいの介護の経費になるのか、まずそれが出なければこの保険料の積算ができない、こういう仕組みになっているわけでございますね。ところが、もう既にマスコミでは、いや、保険料は三千円を超すの、四千円を超すの、こういうことになっておりますので、ここら辺のところに私は問題があるように思うのです。  まず、この問題は、私ども国民といいますか、国会議員も含めてでございますけれども最初に、厚生省宣伝資料でもって頭の中に入っておりますのは、大体介護保険料というのは月に二千五百円前後、うまくいけば二千二百円から二千七百円の間でござるというようなことが頭の中に既に入っているわけです。  これは当然、最初のことでございますし、価格平成七年度価格でというような前置きがついているのでございますけれども基本的にはこれは保険でございますから、保険基本的な考え方をあくまでも厚生省は貫いてもらいたいというのが第一点でございます。要するに、保険料最初設定で二千五百円ということが頭の中に入っているわけでございますから、その二千五百円にある程度照準を合わせた介護サービスというものを設定してもらわないと市町村はなかなかやりにくい、こういうことになるだろうと思うのです。  それからもう一つは、介護サービス水準だとかあるいは保険料を決めるに当たって、私は、厚生省が独断でお決めになったらぐあいが悪いと思うのです。やはり、市町村が最終的に責任を持つというその仕掛けをどこかできちんとしてもらいたい。厚生省審議会で学者の意見を聞いて決めましたというのでは、これは自治事務が泣くと思うのです。新しい法案では、自治事務ということではっきりと明示しているわけでございます。  例えば、従来国民健康保険なんかは団体委任事務というふうに設定して、今回いわば自治事務というふうになっているのでございますけれども、この介護保険は、設定のときから自治事務という一応の前提で走っているわけでございますので、その辺のところをもう一遍局長に御答弁をいただきたいと思うのです。
  6. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先生の御指摘のように、この介護保険制度というのは自治事務ということでございますので、それを損なうことがないように私ども当然考えなければいけない。  ただ、伝えられていますように、保険料設定について非常に高いものがあるのじゃないか、こういうことで市町村の方から不安の声が漏れているというのは私ども十分承知いたしております。そういう声にも耳を傾ける必要があると思っておりますけれども基本自治事務でございますし、社会保険というシステムで運営いたしますので、その実が損なわれないような形で運営することが私どもとしては非常に肝要であるということで、円滑な施行というもので何らかのいろいろな対策というのは必要になるかもわかりませんけれども、それを超えて、その制度の本旨が異なるような運営はすべきではない、こういうことを肝に銘じまして今検討している、こういうところでございます。
  7. 滝実

    滝委員 そこで、新聞マスコミ等で伝えられるところによりますと、例えば、厚生大臣がどこでどういうことを言ったとか、あるいは介護保険料一定額を超えたところには国が補助金を出すとか、そういうようなことが断片的に伝えられているのでございますけれども、私は、今の段階で断片的にせよ厚生省からそういうものが表に出てくるということは、甚だ好ましいことではないだろうというふうに思います。まず市町村作業をやっているわけでございますから、市町村厚生省がやはり作業段階から十分に意見交換をしてもらいたい、こういうふうに思います。  介護保険料が例えば三千円を超えるところは超えた分の二分の一を国が助成するんだなんということは、今の段階ではそんなことはあり得ないと思うのでございますけれども、そういうような雰囲気を国民皆さん方に植えつけること自体が大変問題が多いように思います。したがって、この辺のところはひとつくれぐれも市町村と十分に協議をしてもらいたい。  それからもう一つは、保険でございますから、保険考え方をあくまでも貫いていかないと、制度として初めからパンクしたものになってしまうおそれがあるのじゃなかろうかなと。要するに、介護保険料が高いところは国が補助金を出せばいいというような安易なことでは、そもそも保険として出発するものが初めから崩れてしまう、こういう問題があるだろうと思います。ただし、あくまでも、最初に頭の中に入り込んだ、例えば保険料二千五百円とかそういうものは当然前提として議論をされなければならない。それを大幅に超えるようであれば、それは改めて国会において十分な議論をしていく、こういうような考え方がなければ、この問題は初めから保険として出発するに当たって崩れてしまう、私はこういうふうに思うのでございますけれども、その辺のところをもう一遍局長からお願い申し上げたいと思うのです。
  8. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 高齢者介護保険料水準につきましては、現在、各市町村におきまして、介護サービス必要量、こういうものの見込みを立てていただいている、こういう段階でございます。  この高齢者保険料でございますけれども、これは施設のサービスとか在宅サービス水準によって当然変わってくるわけでございます。特に療養型の病床群という、病院老人病院というのがたくさんあるところ、これについては非常に高くなる、こういう傾向があるわけでございます。  いずれにいたしましても、まだ、市町村の方でサービス見込みを立てて保険料の算定を試算している、こういう段階でございまして、六月中を目途にいたしまして、各市町村推計値というものを、都道府県を通じまして私どもの方にも一応いただくということになっております。その結果を見て、いろいろな市町村からの要望を踏まえた対応をしたい、こういうふうに考えております。  したがいまして、現時点で、新聞報道がございますような、高い保険料のところに一律に支援する、こういったようなことについて具体的な検討といいますか方向づけ、そういうふうな段階にはまだ至っていないわけでございます。これからいろいろ、分析等も踏まえまして市町村ともよく御相談をしながら、対応検討してまいりたい、こういうふうに考えておりますし、保険主義の趣旨を全く損なうような形での対応というのは望ましくない、こういうふうに考えております。
  9. 滝実

    滝委員 今の局長のお考えのとおり、これは保険基本的な原則を崩さないように、しかも市町村対応できるように、そういうことで作業を進めていただきますことをお願い申し上げたいと思います。  次に、細かいことになって恐縮なんでございますけれども市町村心配している中で、細かいことでも幾つかの問題がありますので、その点について触れさせていただきたいと思うのでございます。  今度は、介護保険料徴収する場合に市町村はまた頭を悩まさなければいけない、次はこういうことになるわけでございます。特に、年金月額において一万五千円以下の人たちから介護保険料をいただくときには、市町村が直接自宅を訪問して、普通徴収の方法によってこの保険料をいただいて歩く、こういうことになるわけでございます。  私の地元の人口十万人程度の市の場合を例にとりますと、人口十万人程度で月々一万五千円以下の方がどのぐらいおるかというと、大体四千人おるのです。これは全国的な平均でもあるようでございます。人口十万人の都市で四千人の方々が一万五千円以下の人たち、この人たちからの介護保険料がどの程度になるかはこれからの問題でございますけれども、これをいただいて歩くということになるといただきにくいというのが、これはなかなかもって今一番恐れられているところでございます。  しかし、保険である以上、そして保険料として定められた以上、これはもう制度でございますから、市町村職員はとにかくいただきに上がらなければいけない、こういうことに相なるわけでございますね。これは実際問題としてなかなか難しいというか、大変汗をかきながら、保険料を出してくださいと言うことも、言う方も言いにくいし出す方も出しにくい、そういうようなことが相当想定をされるわけでございます。  そこで問題になりますのは、安易に考えますと、市町村職員人件費を考えたら、月々わずかばかりの保険料であれば、人件費と比べてどっちが得かといえば、人件費を減らして減免してしまった方がいいじゃないか、こういうようなことになりがちでございます。  介護保険法にはちゃんと減免規定もあるのでございますけれども、恐らくこの減免規定は、災害とか事故に遭ったとか、一時的な事故、現象、そういうような一時的に支払えないような状況を想定しての減免規定だろうと思うのでございます。しかし、ともすればやすきにつく、保険制度全体を理解せずにどうもそういうことになりがちです。恐らく、どこかの市町村が、どこか一つがやると瞬く間にそういうような事態になってくる。ここのところはなかなかややこしいところがあるのでございますけれども、私は、厚生省はやはり全市町村意見を聞いた上でこの問題についての取り組み方を決めておく必要があるだろうというふうに思います。この点についての御意見を伺っておきたいと思います。  それからもう一つは、これに付随して、この問題は特に二号保険者の場合になるんですけれども、二号保険者の場合には、国民健康保険に入っている場合には、国民健康保険料と合わせてこの介護保険料をいただくことになっているわけですね。そうすると、今でも国民健康保険料の支払いがなかなか思うようにいかないような方が、介護保険料上乗せになりますと、ますますそれに拍車をかけるということを市町村心配をいたしておるわけです。要するに、介護保険料上乗せされた結果、ただでさえ徴収率の悪い国民健康保険料がもう一遍悪化する、この辺のところをどうするんだというのが悩みの種でございます。  こういった点について、ひとつ近藤局長の方から考え方をお示しいただきたいと思うんです。
  10. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 高齢者保険料につきましては、これは制度としてでございますけれども所得段階に応じまして定額の保険料をいただくということでございますので、低所得者保険料というのは一応低い水準設定する仕組みになっているわけでございます。  それからまた、年金の天引きという形で八割方は年金の方で徴収するということで、市町村保険料徴収の負担を軽減いたしているわけでございます。  先生の御指摘減免でございますけれども先生指摘のように、制度といたしましては、災害等の特別の理由があった場合ということで条例で定めるという形になっているわけでございまして、これ以外の仕組みにつきましては、特に一般的な低所得であるからということだけで保険料減免というのは想定していないわけでございます。  これは、そういう方で大変お困りの方もいらっしゃるわけでございますけれども、残念ながら、現在の所得把握というものにつきまして、なかなか難しい面があるわけでございます。所得税とか住民税の課税の方は所得把握できているわけですが、それ以下の方の把握ができないという事情もございまして、一般的な事務にのるような形での低所得者対策というのは非常に難しいということで、これからの研究課題にさせていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。したがいまして、現段階では災害等の特別以外の減免は考えていないということでございます。  それからもう一つ国民健康保険料との関係でございます。  国民健康保険料上乗せをしていただいて徴収していただくという形でございますので、介護保険料上乗せになると国保保険料徴収が難しくなるんじゃないか、こういう御指摘を前々から受けているわけでございます。年齢が、四十歳から六十四歳、一号の被保険者が六十五歳以上で、国保関係のいわゆる二号の被保険者は四十歳から六十四歳という方でございます。したがいまして、四十歳未満の人とそれから四十歳から六十四歳までの人との徴収率がはっきりとした形で下がったというのがわかった場合につきましては、下がった分について一定の手当てをしたい、こういうことで今検討をいたしているところでございます。
  11. 滝実

    滝委員 時間が参りましたので、後は御要望だけを申し上げておきたいと思うんです。  一つは、重要な問題はこの運用に関してでございますけれども、要介護認定を五段階認定市町村がおやりになります。そうしたら、今度、市町村判定について不満がございますと、都道府県審査会審査請求ができる、こういうような仕組みになっているわけでございます。  今、市町村が恐れるのは、果たして、この市町村の行った判定の結果、不満人たちに対する再審査都道府県がきちんとやってくれるかどうか、都道府県は恐らく逃げてしまうんじゃないだろうかなと。件数が多くなるおそれもあるわけでございますので、都道府県審査会が逃げてしまって、市町村判定をもう一遍やり直せ、こういうようなことに立ち至らないかということを非常に心配をいたしております。したがって、この問題は、都道府県仕事はいわば市町村に対して従たる仕事でございますけれども都道府県責任を持って対応するように、ひとつ今から啓蒙してもらいたい、こういうふうに思います。  それから、自治省財政局長さんにもおいでいただいておりますので、問題は、次の財政問題とも絡みまして、判定で要介護判定ができなかった、要するに、自立できるという人たちについてはこの介護保険法の適用がない。  それからもう一つは、もともと法律でもって予定していなくて現在やっているいろいろな福祉サービスがあります。そういった点について、厚生省自治省も、その辺の財政援助といいますか、財政的にどう面倒を見るかということについて、ひとつ真剣に取り組んでいただきますことを御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  12. 原田昇左右

    ○原田委員長 次に、藤村修君。
  13. 藤村修

    ○藤村委員 民主党の藤村修でございます。  本委員会は決算行政監視ということで、マスコミでも話題になりました平成の目安箱というものを設けられて、昨年から、行政への苦情や批判、告発を、だれもが手軽に国会に届けて、内容次第では国会審議してくれるという、そういう非常に開かれた委員会になっていることと存じます。委員長ほか理事の皆様に、こうして忙しい中にも一般質問の委員会を開いていただいたことに敬意を表したいと存じます。  ただ、何か、ことしに入ってから、この目安箱に送られる投書は若干減っている、こんなことも伺いましたが、昨年の目安箱で、本委員会でも二回ほど取り上げられましたが、財団法人交通遺児育英会という、これは総務庁がいわゆる主務監督官庁ということで、民間の交通遺児の進学奨学資金を手当てするような、そういう団体の問題につきまして、これは昨年のこの決算行政監視委員会で、平成の目安箱の投書から取り上げられたものとして、私は、その後の問題について、きょうはこれに絞って御質問をさせていただきたい、このように存じます。  まず、昨年は三月の二十五日と五月の十三日にこの投書からこの問題について本委員会で質疑が行われたと、記録を見させていただきました。私はことしに入ってからこの委員会に参加したものですから、そのときにはおりませんでしたが、実は私自身が、非常に自分の問題として、この財団法人の問題がちょっと人ごとではない、こういうことで、最初にその点だけちょっと御説明をしたいんです。  私自身は、学生時代からその交通遺児というグループに出会いました。昭和四十五年のことであります。当時、交通戦争と言われて、年間の交通事故死亡者が、今は一万人を切るとかその辺ですが、二万人を超すような大変な、戦争とまで言われた時代でありました。  私自身は、大学の体育会自動車部、こういうところに所属しておりました。自民党の理事先生の一人にもそういう仲間がおりますし、あるいは総務庁の太田総務庁長官も、今この自動車部の学生のグループの九州の役員もされていると伺っております。この学生の自動車部というのは、自動車競技や自動車のエンジンの整備などに没頭するクラブですが、自動車を使うという関係から、交通事故の問題に無関心ではいられなかったわけであります。  そして、交通遺児という、自動車事故で親を失った人々のことが当時マスコミで大変取り上げられるようになり、交通遺児の子供たちの作文集はテレビを通して全国のお茶の間に流れて、大変大きな反響を呼びました。  私も、この交通遺児の作文を読みまして、自動車部という学生として、交通遺児の子供たちの高校進学を訴える街頭募金にみずから学生のときから立ち始め、あるいは地元で交通遺児を励ます会というボランティア、今で言うボランティアサークル活動に取り組んだことで、それが、私自身の今の政治の世界に出てきた理由の一つでもございますし、あるいはその原点とも言えるものだと思います。  この交通遺児の救済という学生が中心の運動が、今は、あしなが学生募金あるいはあしながおじさんの運動ということで非常に社会に定着をしてきております。そして、それは交通遺児だけにとどまらずに、災害や病気で親を失い、経済的に苦しい高校生、大学生の奨学金をカンパし、さらに、遺児とともに生きるというこの運動全体があしなが運動として社会からも非常に注目視され、あるいは定着をしていると評価をしております。  既に運動自身は、最初から数えればもう三十三年ぐらい、三分の一世紀に差しかかっております。最初の募金というのは、昭和四十二年の秋に東京の数寄屋橋と池袋で、朝の十時から夜の八時まで八日間ぶっ通しで、二十歳代の若者が声をからして、交通遺児の救済ということでカンパをお訴えしたところです。訴えの中心は岡嶋さんという方で、当時は二十四歳。この方は、自分の親がわりでもあった、年は大分上のお姉さんがトラックにひき逃げをされた、いわゆる交通事故被害者の家族であります。この岡嶋さんらの街頭募金をいわゆるモデル、原型として、今でも毎年、これは春と秋に全国の主要な都市で、学生たちがあしなが学生募金を継承して、ことしの春も、この四月で五十八回目の街頭募金が行われました。私も、大阪難波の街頭でことしも立ちました。  私のような大学自動車部の学生がこうして全国的に募金運動をバトンタッチしてと、そういう時期がしばらくあり、あるいは、その募金のおかげで高校、大学にまで進学できた、これは奨学生というか遺児自身ですね、彼らが今度はいわゆる恩返し運動という形で立ち上がって、遺児が運動の担い手になった時期。あるいは今日は、この遺児の学生とともに街頭に立つ九割の若者たちというのは、高校生、大学生あるいは一般のボランティアで、累計で見れば、この街頭に立った人たちだけで百五十万人ぐらいの若者がこの募金運動に参加してきた、三分の一世紀を経た運動でございます。  そして、この募金の受け皿というのが、今話題にしようとしておりますが、財団法人交通遺児育英会という、これは総務庁が主務官庁の、監督官庁の民間の財団でございます。昭和四十四年に、これは国会決議という異例の形で、国会で決議をして、そういう財団をつくるべしということから民間の財団を発足させて、過去に五万五千人ぐらいの交通遺児たちの高校や大学の進学の奨学金を貸与した。  あるいは、この奨学金で育った交通遺児たちが、さらに災害遺児とか病気遺児にも進学の夢をと奨学制度づくりの中心になりまして、平成五年、六年前でありますが、そこからいわば派生をして、任意団体であしなが育英会という形で別な団体が誕生して、交通遺児以外の遺児の進学を面倒を見ている。これは任意団体でございます。今、こういう二つの流れがございます。  私は、交通遺児育英会の発足の時代からずっとこの募金運動にかかわり続けて、いわゆる若者の熱意と行動力、あるいは普通の庶民のあしながおじさん、おばさん、そして、それをマスコミも大変支援してくれました。そして、成長したこのあしなが運動は、戦後の日本の最大のボランティア活動として、あるいはNPOというのでしょうか、歴史に残る事業であると自負しております。  ところが、この運動が四半世紀を超えたころ、つまり平成六年から、交通遺児育英会、この財団法人が実は変質をしてまいりました。このことを、過去の歴史を踏まえてきょうは質問に取り上げたいと存じます。  きょうお配りをさせていただきましたのは新聞のコピーだけでございますが、ちょっと最近の話としては三ページ目の一番下の記事、これが当委員会とかかわる記事でございます。  これは毎日の五月十四日の記事で、見出しは「交通遺児育英会に総務庁、天下り計画 九一年に内部文書」とあって、冒頭は、「財団法人・交通遺児育英会(宮崎清文理事長)に、監督官庁の総務庁が官僚を天下りさせる計画が書き込まれた内部文書が十三日、衆院決算行政監視委員会で取り上げられ、総務庁は文書の存在を認めた。」これは当委員会で石井委員が取り上げられて、マスコミでも問題になった。  さらに、次の四ページ目の頭、上の方には、去年の十月二十一日の産経新聞の記事がございます。これは、その後に石井委員の方から質問主意書を出されたようでありますが、それに対して総務庁の方としては、いわゆる要請を受けて元総務副長官の方を推薦した、総務庁から新たに新任理事を推薦して、これは平成三年三月ですか、常任理事に就任した。そして、実はこの方が今、平成六年四月から理事長でいるわけです。この政府の「答弁書では「交通安全行政の経験が豊富な宮崎氏を理事候補として育英会に推薦」したことを認めている。」こういう記事でございました。  私は、官庁のOBがそういう民間に行って、そして経験を生かしていただくことすべてが悪いとは申しませんが、このケースについては、この平成六年四月以降、大変な社会的問題にまで広がっている。それは、マスコミが相当取り上げたこともあります。あるいは、この募金運動に本当にかかわってこられた、いわば庶民、市民、一般の国民の皆さんが非常に注目をしていた、そういうこともございます。  そんな中で、昨年の十一月に、実は育英会が、評議員会とか理事会とか、これが二つとも定数割れになってしまっている。つまり、そういう問題がある団体の理事とか役員はやめたいということがあったのでしょう、相当やめていかれて、とうとう定数割れになってしまった。だから、昨年の十一月に評議員会でまず理事の補充選任をした、そういうことがございました。  実はこれは、そもそもの今の発端というのは、平成六年、今から五年前の、総務副長官をされた方が新しい理事長になってからの問題でございます。それが、このお配りしました新聞コピーでいいますと一ページ目の、これは朝日新聞でありますが、大変、こんなでかい記事が当時出たわけです。平成六年四月十七日、問題の原点であると私は書きましたが。  このときに、実は評議員会というのが、先ほど私が申しました、四半世紀たった財団の運営をある意味では代がわりということで、それまで財団の活動、特に募金運動を支えた、一つは学生たちの募金運動の中心的な人物の人。あるいは、あしながおじさんという形でたくさんの市民の皆さんから協力をいただいているのですが、このあしながおじさんの代表的な方。あるいは、遺児みずから、そして災害遺児や病気遺児に運動を進めた、そういう中心的な、またこれも社会に出た、もちろん大人の人ですが、そういう人。そのそれぞれの代表者三人を理事に新たに採用して若い人たちを入れたらどうか、こういう提案がなされたわけであります。これは、評議員であった前衆議院議員の柿澤さんがそのときの評議員会で提案をされた。  実は、そのときの評議員会で、非常にそれはいい話だということで圧倒的な賛同があったのですが、それではその候補者については理事会で検討しなさいよということで、それは平成六年三月三十日の第五十回評議員会の話でございました。そこから実は話がある意味ではもつれ始めたというか、片や総務副長官の方が理事長になって、そして、民間できょうまで汗を流した人たち理事に入れるなどとんでもないと思われたかどうか知りませんが、それからの話でございます。もう五年来の話でございます。  そこで、私がまず最初にお聞きしたいのは、この第五十回評議員会、平成六年三月三十日、これは監督官庁の方にもこの評議員会の議事録は読んでいただいていると思いますので、このときに、私が今言っているようなことであったのかどうか。つまり、そういう民間から、汗を流した募金のOB、あるいは遺児のOB、あるいはあしながおじさんたちのグループの代表者を理事に入れるべきだ、そういう話があったことを監督官庁としてはどのように受けとめていたか。当時の議事録についての見解をまず最初に教えていただきたいと存じます。
  14. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生お示しの第五十回評議員会についてでございますが、このたび先生の方からこの辺の御連絡がありましたので、私ども、改めてこの五十回の評議員会の議事録をまた読んだわけでございます。  内容的には、当時、理事が上限二十五人の定数のところ、二十二人の理事がおられました。そういう意味で、三人の理事数の枠が余裕があるということを前提といたしまして、先生が今言われましたように、現場のことをよくわかっている人たちの声が理事会に反映される必要があるのではないかというような問題提起がありまして、これにつきましていろいろ議論がされたというような内容のものとして承知しておるところでございますが、そういう具体的な理事の追加について理事会でいろいろ検討しろというような要請をされたものだったというふうに理解しております。
  15. 藤村修

    ○藤村委員 そして、実態としては、次の評議員会の内容を受けて理事会は話をし始めたようでありました。しかし、次の五十一回目の評議員会が開かれて、ここでも、同じく評議員でありました柿澤前衆議院議員から、この三人の理事の候補追加の問題はどうなったのかということで、また議題になり話題になったわけですが、それ以来、結果としては去年の十一月まで理事選任の評議員会というのは、形式的な以外にそういう中身のある話がされないまま、ずっといわばたなざらしになっていたわけであります。二十五年間の過去の歴史の中で、本当に現場で汗をかき、そしてその方たち、ある意味では成長してもう立派な方たちばかりになっているその人たちが、名前も挙がりながら、本当にたなざらしにされて全く採用されなかった。  これはもう、四年間の期間が去年の十一月までありますので、これはやや形式的な指導になるのかもしれませんが、この間、監督官庁としてはそういうことに対する御指導というのはされたのか、もしされたのなら、そういう指導の経緯を時系列で説明していただきたいと存じます。
  16. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいまの五十回の評議員会以降につきまして、育英会の内部でさまざまな議論があったということを承知しております。  私どもとしまして、実はこの問題、先生も御承知だと思いますけれども理事の選任あるいはそういう育英会の内部の体制の問題につきましては、寄附行為に基づいて進められるものでございます。そういうような状況もとで、総務庁といたしましては、その検討の推移というものを関心を持って見守ってきたというのが実態でございます。  ただ、先ほども先生ちょっとお触れになりましたように、昨年定数割れという状況が起きていたわけでございまして、こうなりますと、寄附行為との関連の問題、あるいはそれについて、育英会の事業そのものの遂行に支障があるのではないかという懸念も出たわけでございますので、そういうような定数割れにつきまして是正する中で、かねてから懸案となっております五十回以降の評議員会の意向というものについてもしっかり検討するようなことを私どもとして強く指摘はしてきているところでございます。
  17. 藤村修

    ○藤村委員 今時系列で云々というときに、余り具体的ではなかったんですが、指導をしてきているところであった、こういうことでございました。  それは、確かに理事の定数というのは十五人以上二十五人以内という、寄附行為、いわゆる定款で決められておりますので、足りていれば役所としてはいいんじゃないかという御判断もあったと思いますし、私もそのことは余り今とやかく申し上げることはないと思います。  ただ、問題は、今度は逆に言うと、理事の定足数十五人の最低員数を割ったということが去年の八月に起こった。ここからがまた新たな問題であろうかと思うんです。  実はその間、役所の方はそうして静観をしていた、見守っていたということでありますが、国会の方は決して見守ってはおりませんで、平成六年六月には予算委員会分科会、あるいは平成七年二月には交通安全対策特別委員会がございました。それから平成七年十一月あるいは平成八年二月、これも交通安全特、あるいは平成八年予算委員会分科会、さらに翌年の予算委員会分科会、順次これは問題としては取り上げてきていますので、監督官庁としても決して無視していたわけではないと思います。  そして、冒頭申しました平成目安箱に、昨年実は、汗をかいたというかいわば貢献してきた仲間のあしながおじさんたちのグループの代表者が、本委員会の目安箱に投書をされたわけであります。この方は、あしなが・つっかい棒の会というタイトルのついた会の代表で、いわゆるあしながおじさんたちのグループの代表者とされる人ですが、この方が去年二月に最初に投稿されました。それで、それを取り上げて、本委員会で二回この問題が取り上げられたんですが、しかし、その後にそれをいわば注視、注目していたこのあしなが・つっかい棒の会の代表、吉岡さんという方ですが、昨年十月に三度目の投書を出してこられました。  これを、簡単に一部だけ紹介しますと、私どもは財団法人交通遺児育英会の問題に関して、本年二月二十三日と四月十四日の二回、平成の目安箱に投書をいたしました。この問題は二回にわたって決算行政委員会で取り上げていただいたこと、これは感謝している、総務庁長官は三月二十五日、天下りの問題を含めて、団体の姿勢を整理してもらうことも含めてこの問題を再検証をし、きちんと対応しますと答弁をされた、しかし、これは去年の十月でありますので、その後七カ月も問題は改善されてないばかりかと、続くわけであります。  すなわち、そういうことで、総務庁長官もそのときは前向きにちゃんと検証するんだとお答えになった。しかし、その後に、昨年八月には今度は、理事の最低員数十五人以上と決められている、その十五人をも下回ってしまった。これは、さっきちょっと申しましたように、ある意味では、理事の方はそういう社会的に立派な方ばかりでありますので、何か問題とか内紛とかと言われているところへ余り顔を突っ込みたくない、そういうことでやめていかれた方もあったんだろうと思いますが、十五人を切ってしまった。  これは、今度はいよいよ、いわば寄附行為に基づく、本当に形式的にも指導をしなければならないというのが監督官庁の役割かと思いますが、まず、なぜそうして、さっき政府側の答弁では平成六年当時は二十二人ですか、いらっしゃった理事がぽつんぽつんとやめていって、どうして十五人の定数割れになってしまったのか。私がさっき言いましたように、そういう内紛には首を突っ込みたくないのでやめたというのもあるんでしょうか、その辺まず、なぜ一体理事が定数割れしたのかというのはどういうふうに見られているんでしょうか。総務庁の見解をお聞きしたいと思います。
  18. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 理事の現在数の経緯でございますけれども、先ほど先生言われましたように、平成六年時点におきましては、十五人から二十五人の定数の中で二十二人在職されておりました。平成九年の改選時にそれが十七人になったわけでございまして、その後死亡された方あるいは辞任された方がありまして、昨年八月末には十四人となって定数割れを生じているというところがこの経緯でございます。  先生は、辞任の理由みたいなお話を今されましたけれども、その辺につきましては、私ども、ちょっと承知できる範囲ではないということを御理解いただきたいと思います。
  19. 藤村修

    ○藤村委員 そうなると、さっきは、二十二人があって定数には足りているので、あと、追加にどういう方を選ぶかは、そこまで監督官庁としては口を出すべきではない。私もそう思いますし、それで静観して、見守ってこられた。しかし、いよいよこれは、寄附行為という、いわば法律的にも問題が生じる、定数の最低員数の十五人すら切ってしまったら、このときこそは、やはり監督官庁というのはきっちりと、ちゃんと要件をそろえてくださいよと指導しなければならないわけであります。  去年の八月末とおっしゃいました。それからもうどれだけたっていますか。どんな指導をされてきたんでしょうか。指導の内容についてお聞かせください。
  20. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 実はこの問題は、先生冒頭にお話しされました、いろいろな長い経緯の中で、ある意味で育英会内部におきます、事業遂行の路線のあり方に対する考え方の相違というところから、ある意味で昭和五十年代後半から根っこがあるようなところから出てまいりまして、当時から、理事の方々の中でいろいろな意見の対立があるという大きい流れのもとで、平成六年以降の今御指摘の、宮崎理事長体制の問題が顕在化しているというのが実態だというふうに思っている次第でございます。そういう理事間の対立という中で定数割れが生じてきたということは、私ども非常に重大に憂慮しているところでございます。  特に、昨年も御指摘があったと思いますが、会長も不在であるという状況指摘を受けているところでございます。私どもといたしまして、会長を選任するようなこと、あるいは理事についても理事数を適正化するようなこと、これについては、私自身も理事長とお会いしてお話ししたこともございますし、事務的にも何回もお話はしている、御指摘はしているところでございます。
  21. 藤村修

    ○藤村委員 去年のこの委員会での質問の報道、それから石井委員の質問主意書の報道、先ほどの四ページ目の新聞コピーでございますが、これは産経新聞では、要は、八月末から理事数が足りないということで、八月下旬以降、理事会は定数の下限である十五人を下回る不正常な状態が続いており、理事の補充選任を行った後にこの宮崎理事長は年内にも辞任するものと見られる。これは新聞の勝手な推測かもしれませんが、そういう去年の八月以降の流れにはなっていた。  実は、具体的に理事長は動かれたと思うのです。昨年十一月二十五日に評議員会を開いている。御承知のとおり、国会の二院制とか、あるいは内閣と国会関係のようなもので、あくまで評議員会というものが理事の選任権があるので、評議員会を開いてそこで理事を選任する、そういう作業が昨年の十一月二十五日開催の評議員会において行われまして、実は新たに八人の理事、この八人の中には、私が先ほど来主張しておりました、現場で汗をかいてきた学生の募金運動の先輩の一人、それから、あしながおじさんのグループを代表して今の吉岡さん、この投書をされた方ですね、それから、奨学金を受けて社会に巣立った、そして今非常に活躍している一人の遺児の卒業生、この三人も、この八人の理事の中に選ばれたんですね。  評議員会はその八人を選んで、八人を加えれば定数割れを大きくちゃんと回復できる、正常な状態に戻せるということで、昨年の十一月二十五日の評議員会では、この八人の理事の選任ができた。  ところが、これが今度、評議員会の今の八人の理事の選任の結論と、それから宮崎理事長以下の理事会側とが、この決定についていわば真っ向から対立をしまして、結局これは、今たなざらしの状態でございます。  ですから、まず総務庁は、この昨年十一月二十五日の評議員会における八人の理事の選任について、やはり仲裁して入らないといけないと思うのですが、どう判断し、どういう見解でもって今指導をされるのか、それをお聞きしたいと思います。
  22. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 先生お話しになりました、昨年十一月二十五日の評議員会におきましては、理事会が推薦いたしました理事三人の候補に加えまして、評議員会の席上、二人の評議員の方の追加、それから、先生が言われました三団体の代表する方、計八人について議決行為が行われたということは承知しております。  ただ、議事録をよく読みますと、その三団体の方につきましては、個別の理事候補の名前が特定されたのかどうか、ここはややちょっとはっきりしない部分があるんじゃないかなというふうに私ども実は思っております。  ちょっと読ませていただきますと、この議事録の、当時議長をされておりました方の「議決の提案」のところで、「そういう三団体からの汗を流した方の代表ということでお名前は特定しないということで八人を、」これについて議決ということで、「賛成者多数」という状況になっているわけでございます。  私どもとして、その八人という枠は決まったけれども、三団体については、名前が特定されたのかどうかという部分についてはややちょっと疑問には思っているわけでございますが、ただ、少なくとも議決があったということについてはしっかり認識しているところでございまして、私どもといたしまして、育英会に対しまして、議決に基づいた手続をとるように指導をしてきているところでございます。
  23. 藤村修

    ○藤村委員 ということは、今の中身を申しますと、五人は確定して議決された、三人については名前の確定が若干あいまいであるかもしれないという判断のもとに、しかし八人が決まった、こういうふうにとらえていらっしゃる。  実はこれは、石井委員から質問主意書が昨年末出まして、政府もこれに、いわゆる内閣答弁をしておりまして、そこで総務庁としては、「育英会の寄附行為に従い、本年十一月二十五日に開催された評議員会における理事選任の議決に基づき、理事の変更登記を行うよう指導しているところである。」こう述べていらっしゃる。これは政府見解ということでございます。  その後に、ことしの三月、つまりつい二カ月ほど前に、この財団法人育英会の理事会が開かれております。私は今、ここに議事録を持っております。これは臨時理事会でありました。まず、この理事会自体は、その八人を全く無視して、案内も出さずに、定数割れの人たちだけの理事会を開いて、その中で専務理事が、これは議事録に載っている話ですが、総務庁、つまり監督官庁から、「登記をしろとか、そんな話は一切ございません。」と専務理事の立場で答えておりますが、何にもしないのですか、総務庁は。
  24. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 その議事録で専務理事が言われておりますことにつきましては、私どもちょっと遺憾に思っているわけでございまして、私も含めまして、所要の手続をとるようには指導しているところでございます。
  25. 藤村修

    ○藤村委員 まず、去年の八月から、社会的に非常に注目されている、あるいは社会の支援を得ている財団の、寄附行為に基づく最低員数の十五人の理事数を割った。ここから本当は、可及的速やかというか、本当にすぐに補充するのが当たり前な話で、監督官庁はまたそういうことを指導、内容的にどうだとか、ああだこうだと言うのではなしに、やはりそういう形式を整えるということにおいては非常に強力に指導してもらわないといけないのだけれども、それからもう九カ月ですよ。ほうりっ放しじゃないですか。  今の、現場の専務理事が、いや、そんな指導は一切受けていませんと言って、それに対しては、遺憾である程度でいいのですか。これはちゃんとしろというのは、この過去の指導、つまり政府答弁でも答えているように、「登記を行うよう指導している」と言うからには、これは指導の現実、時系列に何月何日、いつ、どのように指導したか、これを全部きょうまでのを出してください。出せますか。
  26. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 そういう記録という形で残しておりませんので、申しわけないのですけれども、記憶としては、話をしたということは現実としてあるのですが、先生言われましたように、時系列で、いつ何時、だれに対して、どういう言い方をしたかというところまでは、ちょっと記録をとっておりませんので、御容赦いただきたいというふうに思います。
  27. 藤村修

    ○藤村委員 いや、それがすぐちゃんともとへ正常に戻っていればいいのですよ。もう去年の八月から、きょうの時点でもまだ定数不足ですよ。それは御承知のとおりであります。  それで、片っ方は、定数不足は認めながらも、しかし、一切そんな指導は受けていませんと、堂々と定数割れの不規則な理事会を開いて、そこで専務理事の立場で堂々と答えて議事録に残している。これでは、監督官庁は何の役にも立っていないというか、何の意味も示していないということをまさに世間に露呈しているわけであります。これは一体どういう責任をとるんですかね。もちろん、第一義的に、この財団の理事会の責任、これはあります。監督官庁はどう責任をとりますか。
  28. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 基本的には、理事の構成という問題につきましては、内部の問題というふうに考えざるを得ないところでございますが、定数割れという問題は、確かに非常に憂慮される大きな問題だというふうに思っております。  私どもといたしましては、先ほど言いましたように、会長を置く、選任するというようなことも含めまして、寄附行為に基づく体制になるように指導することが大事だと思っておりますし、そういう体制をつくった上で育英会の事業というものが適正に運営されるようになること、これが大事だというふうに思っておりますので、さらに強い指導をしていきたいと思っております。
  29. 藤村修

    ○藤村委員 私も、登記をするようにということを政府答弁、内閣答弁書で書いてあったので、登記することが重要だと思っていたのですが、実は、林修三さんという弁護士さんで、元内閣法制局長官、公益法人のベテランであります、一番詳しい方だと思いますが、この方の見解によったものによりますと、「寄付行為所定の手続によって選任された理事は、選任と同時に理事となるものであり、変更登記(理事の就任登記)がなされているか否かは関係ありません。少なくても、法人内部においては、選任された理事は、就任登記がなされていなくても、理事として遇さなければなりません。」という見解をお持ちで、これは、一般的な通説だと聞いておりますが、総務庁は、この見解についてどういう、あるいは異論がありますか。
  30. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 林先生の書物につきまして、昨日先生の方から御連絡がありましたので、ちょっと私も読ませていただきました。  この書物において、これは「公益法人研究入門」という財団法人公益法人協会の出されたもので、林先生が著作になっているものでございますが、法人とこの登記の関係につきまして、二つの異なるやり方が併存していると。一つは、設立登記が成立要件になっているようなケース、例えば商法上の会社、あるいは学校法人、社会福祉法人、こういうようなグループがある。もう一つは、民法上の公益法人などに代表されるもので、法人の設立というものにつきましては別途の要件が満たされていることで完了するので、登記につきましては第三者対抗要件だというような記載があることについては承知した次第でございます。
  31. 藤村修

    ○藤村委員 承知だけではなしに、総務庁は全体の、日本国じゅうの公益法人の監督をする、いわば中心的な官庁でありますから、ちゃんと今、見解を述べていただきたいわけです。  つまり、理事のことについては、登記をしようがしまいが、それは登記をするということは対外的に、この方がもし裁判とか何かやられたときにはその団体を代表するかどうかということで問われるけれども、それはあくまでそういう問題であって、登記があろうがなかろうが、選任された理事理事として内部的には遇されなければならないということについては、総務庁はどういうふうにお考えですか。
  32. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 冒頭先生言われました公益法人の問題について、総務庁が主務官庁じゃないかということにつきましては、実は、総理府の方で各省の連絡会議を持っておりますので、私どもはちょっとそこのポジションにはないということは御理解いただきたいというふうに思うのです。  ただ、いずれにいたしましても、登記につきましては手続が決まっておりますので、その手続に乗っかってしっかりやるようにということは強く指導しているところでございます。
  33. 藤村修

    ○藤村委員 強く指導しているところでありますと言いつつ、さっきも言いますように、もう何カ月にもなるという現実を見たときに、これは民間の団体ですから、強制的に役所が何かするようなことはできないでしょう。それならば、今度は、その財団から何か言ってきたときに、総務庁も、これはちゃんとやってもらわないとできませんよということは指導の一環でできますよね。——うんうんとおっしゃっているので、できるのだろうと思います。  すると、この財団法人、昭和四十四年の設立当時に、いわゆる設立許可条件として事前協議制度があるのですね。いわば国会決議でできたような団体でありますので、この団体の重要な事項、予算とか事業計画などは、内閣総理大臣に相談して、報告して、ある意味では承認してもらってやってくださいよみたいな、設立許可条件に事前協議というのが入っております。  今、実は事前協議をやっているじゃないですか。三月は、そもそも定数に足りない理事会で予算とか事業計画を決めた。私は、この団体の事業やら予算がとまっちゃったら困るから、それはそれで、定数不足だからといってだめだとか、そんなことは言いませんが、しかし総務庁は、さっきから登記をしろと指導しているところでございますと言いながら、その事業計画、予算の事前協議に今応じているじゃないですか。応じているということは、ちゃんと条件をつけていますか。これはちゃんと定数が足りた理事会でもう一遍かけなさいとか、そういう条件をつけないと、これは指導にならないですよ。  まず、その事前協議に応じているか応じていないか、なぜ応じているのか、あるいは応じられるのか、その点を答えてください。
  34. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 定数割れの問題に対しましては、確かに憂慮すべき非常に大きい問題だというふうに思っているわけでございますが、ただ、先生言われましたように、事業の執行そのものに支障が出てくるのも非常に問題だというふうに思っております。  事前協議の問題につきましては、当然、協議を受けているところでございますが、そういうもののやりとりの中で、また定数割れの問題についても指導をあわせしているというのが実態でございます。
  35. 藤村修

    ○藤村委員 団体の専務理事は一切受けていないと言う、そんないわば執行理事者と、それで、事前協議は事前協議でやって、そこでまた指導しているところでありますと。これ、九カ月間たなざらしでいまだにまだ定数不足。これはいよいよ世間注目であります、本当にこの団体はしょっちゅう報道されたりなんかして。  ですから、これは事前協議を受ける前提にしないといけないんじゃないですか。つまり、本来定数が足りない理事会で事業計画とか予算を承認したのでしょう。それは、事前協議といいつつ実は事後に、今協議している最中だと思いますけれどもね。しかし、これを承認するからには、ちゃんともう一度定数を満たした理事会で審議しなさいとか、つまりそれが指導じゃないですか。監督官庁としては、今中身の問題はああだこうだ言う必要は確かにないのですが、ただ、定数割れ、十五人を割っているこの理事会で決めた予算とか事業計画というのはやや暫定的ですよ、とまったら困るからまあしゃあないなということで。これはまた、設立許可条件で事前協議。役所が、これは内閣総理大臣が最終的にはいわば承認するような格好になるのでしょう。そのときにどうして指導しないのですか、そこでできるじゃないですか。御見解を。
  36. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 確かに先生言われるように、絡めてというやり方もあろうかというふうに思いますけれども、実は、先生お配りのこの新聞記事、五月二十一日の産経の新聞記事によりますと、理事長側の考え方として、十一月の評議員会については、議長から議決の宣言がなく八人を議決したとは認められないというような考え方をとっているところでございまして、その辺、私どもが議決してあるじゃないかということについての事実についての認識のずれがちょっとあるというのが実態でございます。  そういう憂慮される状況にはあるわけでございますが、ただ、現実として、その育英会の事業そのものも進めてやってもらわなければいけないという状況の、私ども非常に苦しい立場になるわけでございますが、事業についてのきちっとした事前協議の中での進捗は図っていく必要があるというふうに考えております。
  37. 藤村修

    ○藤村委員 また原点に戻りますが、去年の二月二十三日に、この決算行政監視委員会に平成の目安箱ができて割にすぐだったでしょうか、先ほど言っておりましたあしながおじさんたちのグループの代表者、吉岡さんという方が、るるとこれを投書してこられました。  ほんの一部だけを申しますと、「「育英会」の資金は国民の善意の寄付、国税からの補助金、また自動車産業やその労働組合、生損保など関係会社、団体からの寄付によって成り立っています。「あしながおじさん奨学金制度」は発足して二十年近くになりますが、「遺児の教育のために」と毎月ささやかな寄付が全国から送られたものであり、その総額だけで百二十億円を超え、学生による街頭募金「あしなが学生募金」を合わせれば百五十億円余に上ります。」という、この心のこもった寄附が、この数年、仕事をしない財団の高齢の役職員、あるいは特に官庁や会社からの天下りの職員の並外れて高額な給与、八百万円から九百万円となっていますね、不必要な弁護士費用、合計弁護士費用三千万円を約一年半の間で使っているのです、それなどの「無駄遣いに消えていることは断じて許されることではありません。」これが、去年のこの委員会への発端でありました。  弁護士費用を何で使っているかといいますと、つまり、過去ずっと長年苦労してやってきた、いわばボランティア上がりの職員たちの中で運営に対していろいろな反発があったので、その人たちを、いわばいじめをして追い出そう、やめさせよう、こういうことがありまして、それを東京都労働委員会に申し立てたら、そこで審問が始まって、結果、弁護士費用が財団としては二千四百万かかって、それから、結果は負けているわけですから、和解金を五百万円払っている。こんなことをしているのです。このお金はどこから来ているかというのは、さっきの募金でございます。  私、今ここに一つ、財団の募金を本当に毎年ずっとやってこられた方のコピーを入手したんです。  これは、去年の四月の話です。この方は、毎月一万円ずつずっと送り続けてきているんですね。その方が、理事長の判この押してあるところに、この判こに矢印を書いて、あなたの車代、ハイヤー代は「私の僅かな年金から出してました、口惜しいです、知らなかった。」と。さらに、これは次の一年間の振り込み書が財団から送られたんでしょう、それを突っ返してきて、振り込み用紙を「私には燃やす事ができません、心が許せず、理事長の方の手で捨てるなり、燃やすなりして下さい。八十歳の僅かな年金から出したお金です。」と書いてあるわけです。  つまり、こんなお金を使う財団が、今、職員をいじめて、東京都労働委員会に提訴されて、それで弁護士費用に二千四百万使って、和解金に五百万使っているんですか、こんなことが許されていいのか、このことを私は訴えたいと存じます。  今、政府の方からもちょっと答弁されました、新たに理事に選任されたはずだという八人の方々、その中の一部の方々が、理事長を相手取って、理事の地位確認の申し立てというのですか、あるいは、理事として遇することなく進められた最近の理事会の決議無効などの訴えを裁判所に起こしています。  この裁判に対しても、育英会というのは、過去と同様に法外な弁護士費用を払って、いわば受けて立つという様子ですけれども、一体このお金はどこから出てくるんでしょうかと私は申し上げたいと存じます。  話を変えます。  ことし一月に、神戸市東灘区に阪神・淡路大震災の遺児たちの心のケアを行うレインボーハウスというのが完成しました。これは任意団体、先ほど来申し上げておりました交通遺児たちが、奨学金を受けて大学にまで行けた人たちは、本当に社会に対して恩返しをしたいと。そして、その人たちが、災害遺児とか病気遺児、すべての遺児ということなんですが、これに対してあしなが育英制度を募金運動でつくって、今、すべての遺児たちの奨学金が出ているわけであります。  そんな中で阪神・淡路大震災が起こった。このときは、あしなが育英会の学生たちが地震の後すぐに現場に入りまして、親を亡くした子供たちがどれだけいるんだろうか、そういうことをずっとつぶさに調査をして、その結果、子供たちにまずは奨学金を出さないといけない、そういうことで対応した。そして今、四年余りたってきますとわかってきたことは、これはお医者さんもいらっしゃるんですが、トラウマというんでしょうか、本当に大変なショックの中で精神的な非常に大きなショックを受けている、こういうことで、レインボーハウスといういわば心のケアハウスを完成させました。  これは、全額を学生による街頭募金、あるいは、あしながおじさんたちによるカンパで施設を完成させた。土地と建物で十億円を超す大事業だったんですが、四年でやってしまったわけですね。民間の若者たちです。  昭和四十二年から始まったこのあしなが運動というのが三分の一世紀を経て、物の時代から心の時代に今入っていると言われますが、この大震災で親を失った子供たちは、経済的危機に加えて、精神的にちょっと想像ができないほどのショックを受けて、その心のケアは今後二十年ぐらい続けていかなければならないと言われておりますが、それをこの神戸に建てたレインボーハウスで実現しよう、こういう試みで、これが完成になったということであります。  あるいはまた、彼ら、神戸の人たちが、一月の二十五日でしたか、コロンビア大震災が起こりましたが、そうすると、彼らは一番わかるわけですね。あのコロンビアの大震災の中で、五千人ぐらい亡くなったと思いますが、やはりまた震災遺児が生まれているんじゃないかということで、彼らは二月、三月、震災遺児、コロンビアの遺児の募金をしよう、救済をしようということで、これまた全国に火が広がって、募金を集めて、つい先般、コロンビアに代表がその募金を、たしか一千二百万円ぐらい集まったものを届けてまいりました。たまたまコロンビア大統領がこの五月に来日されて、夫人も来られて、これについては本当に感謝をされておった、私も大統領夫人にもお会いしましたが。  そんな民間の、過去もう四半世紀から三分の一世紀になります運動を、そしてそれを学生たちや若者たちが、あるいはあしながおじさんという人たちが、そしてマスコミも非常に応援してくれた、そういう運動を、今いわば役所の、私は天下りという言葉は嫌いでありますが、総務庁の元副長官という方が理事長になったことで、この五年来、この交通遺児の財団というのは本当にとんでもないことになっている。今や監督官庁も、言うことを聞かないからどうしようもないと苦慮している、こういう状況でございます。  私は、日本のNPOの草分け的なこのあしなが運動というものが、今、時代の要請もあって新たに心というものを模索しているわけで、教育の中でも心の教育というのは最近唱えられておりますが、それに比べて、この財団の今の現状。交通遺児育英会は、奨学事業と対になっていた教育事業、高校生、大学生の集いというのを毎年開いてきたんですが、この集いの開催も、総務元副長官が理事長になった平成六年から完全にストップして、何にもしておりません。  これは、支援者である世間、社会、日本国民の皆さんに向けて、ボランティアの魂を理解しない人たちが、奨学金だけ出していればいいというくらいの発想で、理事などに居座って、マスコミには内紛と書かれている現状、これはもはや看過できない、このように考えます。  民間の公益法人について、私は、民間の知恵とかエネルギーを生かして活動している分には、できるだけ監督官庁は指導とか介入というのは最小限にとどめるべきだ、このように思います。  ただ、今の交通遺児育英会というのは不正常のきわみであります。理事の定数最低限がもう九カ月も満たない。だから、もう形式的に、財団として許可した寄附行為に反している、その要件を満たさない。そこがまた何回も理事会をやって、それで事業計画や予算も、それはそれで当面困るだろうから事前協議に応じますという、こんな姿勢ではもうだめですよ。もうこれは不正のきわみでしかない。ボランティアを理解しない、あるいは人間愛を踏みにじるような非常識な大人たちによって、過去四半世紀の輝かしい歴史を汚しているとしか私には思えません。  監督官庁、本当にこれはどうするか、今からどうするのか。それも、ああしています、こうしています、でも聞いてくれませんで九カ月ずっと来たんですよ。答えてください。
  38. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 この問題は、先ほどもちょっと触れましたけれども、過去の長い経緯の中で、理事の方々のいろいろな確執というものの延長で今ここに来ているということで、非常に憂慮すべき状況にあるというふうに思っているわけでございます。  私どもといたしまして、先ほども言いましたように、基本的には、先生も言われました団体自治の世界ではあるわけでございますけれども、定数割れという状況は非常に大きい問題というふうに思っておりまして、強くそこは指導を今後も続けていきたいというふうに思っております。  ただ、一方、先ほどもちょっと言いましたように、今も執行部側は、十一月の評議員会につきまして、あれは議決はなかったものというふうに思っているところでございまして、その延長のもとで、先ほど先生言われましたように、地位保全の仮処分の申し立ても出てきたという状況もあるわけでございます。  そちらの動向というものも、やはり強い関心を持っていかなければならないとは思いますが、基本的には、そういう長い歴史の中での確執というものがなくなるような話し合いを十分やっていただく、こういうような方向も含めて、指導を強くやっていきたいというふうに思います。
  39. 藤村修

    ○藤村委員 長い歴史の確執は、総務庁は何も余り立ち入ることはないと思うんですよね。ただ、今、去年の八月から理事定足数の最低限が不足しているというのは、これはいわば財団の設立許可を出した監督官庁の責任ですよ。早急に指導をして理事の定足数足りましたというなら、それでいいですよ。まだほうりっ放しじゃないですか。そんなこと関係なしに、今、何か裁判が起きている。  政府見解、去年、質問主意書で内閣総理大臣の名前で答えているんですよ。これは、石井委員の質問主意書に答えて、昨年、平成十年十二月二十五日付、クリスマスの日でしたね、内閣総理大臣小渕恵三先生の名前で、「総務庁としては、財団法人交通遺児育英会の寄附行為に従い、本年十一月二十五日に開催された評議員会における理事選任の議決に基づき、理事の変更登記を行うよう指導しているところである。」と。指導しているだけでいいんですか。結果を出さなければ、これは社会が、世間が黙っていないですよ。審議官、もう一度答えてください。
  40. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 先生の御指摘のとおりというふうに思っておりまして、さらに強い指導を続けていきたいというふうに思っております。
  41. 藤村修

    ○藤村委員 私何度も言いますように、今、行政改革という中で、できるだけ民間でできることは民間でする、国自身がそういう発想で来ている。それが、そもそも民間で発足した財団法人で、平成六年に総務副長官が理事長になったその背景は、実は三百六十億円ものいわば財産があるんですね、きょうまでずっと募金運動で蓄積してきた。奨学金というのは貸与ですから、返ってくる。平成六年ですか、当時三百六十億円。だから、ここへ役人を送って給与を出したり、理事長は無給なんですけれども。  しかし、いわば民間で育て、本当に民間の善意や熱意やエネルギーを結集して三百六十億円集めたお金を、これだけ集まったからには——実は今、交通遺児もどんどん数が減っています。それは交通事故が減っているということもあります。それから、こういう運動に嫌気が差して、あるいは学校なんかも、あそこの奨学金は危ないからやめておけとか、そういうこともあります。仕事はどんどん減っている。金はある。これこそ本当に天下りに最適な団体になってきたんじゃないかと思わざるを得ないような現状でありまして、このことが裏にあるのではないかと思う。  これは、民間あるいはマスコミなんかがそう言っているわけですから、そういう疑いを抱かれないためにも、総務庁は監督官庁として、九カ月たなざらしにしているんですから、もう一カ月以内ぐらいで本当にこれは決着をしろと。つまり、最低限の形を整えなさい、定数割れを、十五人を超しなさいと。これは何も中身に立ち入った話ではないのです。公益法人を許可しているわけでしょう、総務庁が、政府が許可をする主体なんですから。  そこは、これはある意味では形を整えて、全然聞く耳持たないのなら、それは財団を、実は公益法人の設立を許可する権限とそれから解散させる権限がありますから、解散させる。そのぐらいやってもらわないと、民間、あるいはきょうまで支援してきた百五十万の街頭に立った学生たち、あしながおじさん、だれも許せませんよ。  このことを最後にお訴えをして、一時間近くになりました。本当に時間をいただきましたことを委員長に感謝を申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  42. 原田昇左右

    ○原田委員長 次に、福島豊君。
  43. 福島豊

    ○福島委員 本日は、第三セクターの問題を私は取り上げさせていただきたいと思います。  今国会におきましてはPFI法案が提出されたわけでございますけれども、今新たに、財政状況の危機的状況の中で、民間活力というものをいかに活用するのかということが話題になっております。しかし、この民間活力の導入ということにつきましては、既に我が国では、第三セクターという形で、これは昭和四十四年、新全国総合開発計画の中で「プロジェクトの中核的な事業の実施主体として公共・民間の混合方式による新たな事業主体を創設して民間資金の導入を図る方式」という提言を受けて、その導入が図られた歴史がございます。  しかし、この第三セクターにつきましては、その後の三十年余りの歴史の中で大変大きな問題を抱えるに至っているということが指摘をされているわけでございます。地方行政委員会におきましても、この問題は何回か取り上げられております。この問題をどのように解決していくのかということは、現時点で極めて大切なことであると私は考えております。  第三セクターの現状についてさまざまなマスコミ報道がなされております。一番早いものでは、平成九年、日経新聞が取り上げました。八五年以降設置された資本金一億円以上の第三セクター、自治体の出資比率が二五%以上のもの三百八十九社に対しての調査でございましたけれども、九七年の一月期以降の赤字決算見込みの団体は五一・九%。累積赤字が存在する第三セクターは六九・一%、そのうち赤字解消の見込みがない、または困難なものが五〇・八%、過半の第三セクターが非常に厳しい状況にあるという調査が発表されました。  平成十年になりましてからは、読売新聞社がまず調査を行いまして、主要第三セクター三十七社についての調査を行いました。資本金総額一千五百十一億円に対して、累積赤字が二千九百三十億円、そして借入金の総額は一兆三千七百八十八億円にも上るという報道でございました。  また、十一月には、毎日新聞報道がございました。これは、四十七都道府県、十二政令指定都市出資第三セクター六百七十八社中二百八十二社が一九九七年度決算が赤字である、四十九社が債務超過である、累積赤字の総額は五千三百三十億円に上るという報道でございました。  そしてまた、第三セクターの破綻につきましても、これは東京商工リサーチの調査でございますけれども、九四年度四、九五年度三、九六年度八、九七年度十二、九八年度はさらにふえて二十一、実質赤字の第三セクターはおよそ七割に上るのではないかという報道がなされております。  こういった状況というのは看過することのできない状況でございまして、自治省におきましても、後ほど触れさせていただきますけれども、地方公共団体等の第三セクターへのかかわりのあり方、そしてまた、第三セクターに関する指針というものを先日出したところでございますが、いま一度、改めてこの第三セクターの状況について、全国に何社あり、そしてまた赤字の第三セクターはどのくらいあるのか、自治省はその状況についてどの程度の情報を認識しているのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
  44. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答え申し上げます。  自治省におきましては、大体三年ごとに、設立あるいは出資状況等の調査をさせていただいております。最新の調査結果、平成八年の一月一日現在のものでございますけれども、道路公社、土地開発公社を含めまして、いわゆる地方公社、これは第三セクターも含むわけでありますが、九千三百四十四ございます。うち、第三セクターといいますか、公と民とが一緒になってつくっている法人ということになりますと、民法法人と商法法人ということになりますが、民法法人はそのうち四千七百五十九、商法法人は二千八百九十三となっております。  また、経営状況でございますけれども、私どもも、一部に赤字の累積等によって経営が深刻化している第三セクターがあるということは承知いたしております。率直に申し上げまして、第三セクターの数は九千三百ほどございまして、それぞれが基本的に地方団体責任において設立され、指導監督を行われるものであるということ、また、第三セクターと一口に申しましても、地方団体が全面的に関与しているものから、ごく一部の株式を保有しているだけのものといったようなことで、地方団体のかかわり方もまちまちでございますことから、自治省といたしましては、個別の第三セクターの経営状況について具体的な把握というのはいたしておらない状況でございます。  ただ、設立に関係いたします地方団体の将来の財政運営に及ぼす影響という観点から、損失補償または債務保証を設定しておる額というものにつきましては決算統計において把握をいたしておりまして、九九年度末では大体二十四兆円程度金額に上っております。  そのほか、問題を生じておる第三セクターにつきましては、地方団体の方から、地方課を経由することが多うございますけれども、個別に事情を聴取するなりいたしまして、必要な助言、指導を行っているという状況でございます。
  45. 福島豊

    ○福島委員 二十四兆円という額をお示しになりましたが、大変な巨額でございます。個別の調査というのはしていないんだという話でございますけれどもマスコミでも詳細な調査というのはやっておるわけでございまして、マスコミ以上に、地方自治体の情報というのは自治省に集まっているだろうというふうに私は思います。  そしてまた、この第三セクターの破綻に関連して地方自治体の財政がこうむる影響というのは極めて大きい場合があり得るわけでございまして、この点については、さらに踏み込んで情報を収集する必要があるだろうというふうに私は思います。  さまざまな出資のあり方がある、それはそのとおりでございます。ですから、それは、例えば五〇%以上の出資がある場合とか、そういうグレードを設けるというのは当然あってしかるべしだと思いますけれども、グレードをつけた上で、極めて出資の比率が高くて自治体の関与が深いものについては、自治省はその情報というものを積極的に集めるべきであると思いますけれども、いかがでしょう。
  46. 香山充弘

    ○香山政府委員 御指摘にもございましたように、第三セクターの経営が地方団体に及ぼす影響というのは、率直に申し上げて無視できない状況になっております。そういう意味で、御指摘にもございましたように、このたび指針というものを示して、地方団体に注意を喚起した次第でございます。  こういった指針を出しましたことをきっかけといたしまして、これまで第三セクターを対象といたしましては、損失補償契約、そういった設定状況だけの調査ということだったわけでありますけれども、今後、公的支援の状況あるいは経営状況といったものを具体的に調べてみたいというふうに思っております。  これは、すべての第三セクターというわけにはまいりませんので、一定の線引きをせざるを得ないと思っておりますけれども、そういう調査をいたしまして、第三セクターの経営状況地方団体の財政運営とを関係づけて把握するということで、現在、具体的に検討させていただいている状況でございます。
  47. 福島豊

    ○福島委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  昭和六十三年に、地方公営企業研究会報告というものがその当時も出されておりまして、その中では、第三セクターに関して、「地方行財政上の位置づけが不明確なうえ、その適正な運営を確保するための仕組みが必ずしも十分ではない、」「運営如何によって関係地方公共団体の行財政に重大な影響を及ぼしかねない」という指摘が既に十年前になされております。  ただ、その後、日本全国がバブルに躍ったわけでございまして、バブルの中で、こういった見直しが進むどころか、逆に第三セクターがふえていった。そしてバブルの崩壊した後には、それが大変大きなツケとなって地方公共団体にのしかかっているというのが現状だというふうに思います。  今、過剰三兄弟というようなことが言われております。不良債権の過剰、そしてまた設備の過剰、雇用の過剰ということが言われておりますが、私はそこに一つつけ加えて、公的セクターの過剰というのも恐らくあるのだというふうに思います。見直されるべきものは今見直しておかなければ将来にわたって禍根を残すのではないか、そのように私は思っております。  そして、第三セクターに対してさまざまな取り組みを地方自治体は行っております。先日も報道されておりましたのは、第三セクターに天下りを、先ほどもありましたけれども、県の職員なりがOBで再就職したときに退職金をもらう、これは退職金の二重取りではないかということで、幾つかの自治体ではこれを廃止しようという動きがあります。報道されているところでは、北海道、高知県、川崎市、そしてまた本年四月からは大阪府、神奈川県については第三セクターの退職金を廃止するということが実施されているわけでございます。  こういった取り組みにつきましても、先ほどお話ございました第三セクターに関する指針の中に、こういった的確な職員の雇用のあり方の確保というようなことが盛り込まれておりますけれども、こういった点についても自治省としては積極的に指導すべきではないかと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  48. 香山充弘

    ○香山政府委員 自治省におきましては、平成九年十一月に地方行革指針というのをお示しいたしまして、その中で、地方公社等を含む外郭団体につきまして、統廃合あるいは役職員数の見直し、さらには業務執行の効率化等の運営改善を図るということを強く要請いたしたところであります。  これを受けまして、地方団体の方におきましても、外郭団体の見直しに積極的に取り組んでいただいている団体もありまして、中には、御指摘ありましたように、地方公務員OBに対する退職手当の廃止といった項目に取り組んでおる地方団体もございます。  また、先ほどもお答えいたしましたが、自治省におきまして今月の二十日に、第三セクターに関する指針というものを策定いたしまして、その中でも、第三セクターの役職員の数、給与の見直し、組織機構のスリム化等を特に要請いたしたところでございます。  OB職員という特定の者に対する退職金のあり方、そういう具体的、個別の事項まで指導するということは考えておりませんけれども、今後とも、地方行革を積極的に推進する観点から、先進的な取り組み事例等も地方団体に積極的に紹介するなどいたしまして、外郭団体の経営の合理化に関する見直しについても強く要請してまいりたいと考えておる次第でございます。
  49. 福島豊

    ○福島委員 次に、第三セクターに関しての、経営状況等についての情報公開ということでございます。  これもマスコミで繰り返し指摘をされているところでございまして、極めて不十分なのではないか、そしてまた、不十分な情報公開が今日の財政状況の悪化を招いたのではないかというような指摘がございます。先ほどお話のございました第三セクターに関する指針の中でも、情報の開示、情報の公開ということにつきましては一定の項目が盛り込まれてはおります。しかし、これが実効性を持って今後それぞれの自治体で運用されるということが極めて大切であるというふうに思います。その情報公開の推進について、自治省としてどのように取り組んでいくのかということについてお示しいただきたいと思います。
  50. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答え申し上げます。  第三セクターのうち、商法法人につきましては、商法の定めるところによって取締役が貸借対照表とかその要旨を公告する、民法法人については、財務に関する情報等を自主的に開示するということが定められております。  また、地方自治法におきましては、地方団体一定割合以上の出資を行っているものについて、監査委員による監査報告、あるいは地方団体の長の調査権、さらには議会に対する経営状況の提出といったことが義務づけられておりまして、この規定に沿った書類等が調製された場合には、これらの情報も原則として住民に開示されておるという状況でございます。  ただ、この場合、第三セクターの情報公開というのを地方団体と同じように考えるべきだという強い意見もございますけれども、一方で、株式会社方式の第三セクターの場合は、民間の資本を積極的に導入する、そのために株式会社方式を採用しておるわけであります。その場合には、株主の利益というのも一方で出てまいりまして、そういった意味で、商法に規定されておる情報開示に関する規定による対応で十分であるというような意見も、これは強い意見としてございます。  そういう意味で、第三セクターの情報開示は、地方団体における情報開示と全く同じように論ずることはできないという面があります。この点につきましては御理解賜りたいと存じますけれども、その点に留意をいたしました上で、御指摘にありましたように、第三セクターの経営状況を住民として十分チェックする、場合によっては、第三セクターの事業の内容につきまして住民からのフィードバックを期待する、そういった観点から、私ども、第三セクターの情報開示は極めて重要であると考えております。  今回地方団体にお示しした指針の中でも、第三セクターの事業、特に行政施策とかかわりが極めて大きい場合にあっては、第三セクターみずからが地域住民にわかりやすい形で情報提供をする。また、出資者である地方団体においても、自治法の規定は規定といたしまして、特に地方団体が五〇%以上出資しているもの、あるいは損失補償契約を締結しているもの、あるいは公的支援が相当大きいもの等につきましては、経営状況に関するあらましといったようなものを作成するなどして、住民に対する広報に積極的に努めていただくよう、注意を喚起いたしたところでございます。
  51. 福島豊

    ○福島委員 商法の規定によって株主の権利を守らなきゃいけない、情報の開示に当たっては一定の制約があるということは御指摘のとおりだというふうに思いますが、一方、こういう意見もございます。  これは、名古屋大学の名誉教授の室井先生でございますが、三セクや公社の法整備ができれば制度はもっと安定するはずである、公金が出ている以上、住民に知る権利がある。ですから、それは商法との整合性ということもありますけれども、きちっとしたそういう仕組みを、本来であれば昭和六十三年にさかのぼって考えるべきであったのではないかというふうに思いますけれども、今後の情報開示のあり方を見詰めながら、必要があれば適切な対応を考えていただきたいというふうに私は思います。  次に、特別法人に当たる方の公社のことについて、ちょっとお尋ねをしたいと思います。  これは土地開発公社の問題でございますけれども、先日、このような報道がございました。土地開発公社は全国にございますけれども、これが塩漬け用地をたくさん持っている、要するに、使う当てもないけれどもたくさんの土地を確保している、そしてまた、土地の購入に当たっての融資の負担、返済の負担、こういうものが非常に大きくなっている、それに対して情報が甚だ不備であるので、全国の市民オンブズマン連絡会議が今後これを調査していこうというような報道がなされました。夏ごろに結果を公表するというような話になっておりますが、こういった状況につきましても、自治省はある程度の情報をお持ちだと思いますが、御説明いただきたいと思います。
  52. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答え申し上げます。  開発公社によって先行取得された土地、これは、基本的には設立団体である地方団体の依頼等に基づくものというのが大半になるわけでありますけれども、その後の事業計画の見直しとか、あるいは財政状況の変化等によりまして、公社が長期にわたって保有せざるを得ないという土地がふえておるということは、私ども承知をいたしております。  この件につきましては、最終的な利用に供するまでの間、公社としても積極的な活用を図るべきである、また、地方団体が委託した場合に、取得後の事情変更等により委託元による再取得が困難となっているような場合にも、その利用目的の見直し等を含めて処分の促進に努めるべきであるというふうに私ども考えております。例えば、昭和六十二年の通達によりまして、そういったことについての地方団体に対する注意を喚起するような通達も出させていただいておりまして、その旨の指導を行っているところでございます。  今後とも、公社における土地保有の現状を踏まえまして、長期保有土地それ自体を有効活用する方策、あるいは処分の促進に地方団体が計画的に取り組んでいただけるよう、指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  53. 福島豊

    ○福島委員 この問題も、地方公共団体がいわばバブルに踊った結果が今あるというふうに考えていいと思います。右肩上がりの経済は続きません。人口も減っていきます。その中にあって、どれだけの土地が必要なのか、不要な資産というものは処分すべきだという観点で、きちっとした取り組みをしていただきたいと思います。  そして、最後に一点だけ。  先ほど、第三セクターに関する指針の中で、第三セクターの経営の予備的診断ということで、フローチャートが示されております。その中で、一番悪いのはCということで、「深刻な経営難の状況にあり、経営の観点からは事業の存廃をも含めた検討が必要」、そういうところに評価が落ち至る第三セクターについて、自治体の対応というものをどのように促していくのか、それは早急に結論を出さなきゃいけない、先送りしてはいかぬというふうに思います。関係者の関連でなかなか結論が出せないような事態というのもたくさん出てくるだろうと思います。この点について自治省としてどのように取り組むおつもりか、最後にお聞きして、私の質問を終わります。
  54. 香山充弘

    ○香山政府委員 今月の二十日に出させていただきました第三セクターの指針というのは、設立に当たっての留意事項、運営の指導監督時に当たっての留意事項というものを取りまとめたものでございます。  そのポイントは、第三セクターを設立する場合に、設立地方団体の財政運営に影響が及ばないように、設立の前に、財政収支の見通し、あるいは公的支援のフレーム、あるいはほかの方式との比較考量といったことを十分に検討すべきである、そういうこと。それから、設立された後につきましては、定期的な経営診断を行うこと。それから、第三セクター自体において組織機構の見直しとかあるいはスリム化等につきまして抜本的な取り組みを促すこと。さらには、民間の活力をさらに活用する意味から、民間資本が逆に第三セクターに参加しやすいような環境を整える必要がありますから、民間の経営ノウハウを持っておる人材の登用、あるいは民間資本に対する適切な配当、あるいは事業目的が達成された場合には民営化に移行する、こういったことも含めて検討すべきである。そして、何よりも問題を先送りしないで早急に対処すべきである。こういうことを促した内容でございます。  私ども、この指針そのものは、地方団体に義務づけをするような性格のものではございませんけれども、既に地元等におきましていろいろ問題が提起されておりまして、指針というものを一つのきっかけといたしまして積極的な取り組みをしていただける地方団体幾つか出るということを期待いたしております。そういった地方団体に対しましての御相談にも十分応じまして、そういった取り組みを積極的に支援していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  55. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございました。
  56. 原田昇左右

    ○原田委員長 次に、石垣一夫君。
  57. 石垣一夫

    石垣委員 公明党・改革クラブの石垣でございます。本日は、障害者にかかわる欠格条項の見直しについてお尋ねをしたいと思います。  障害者の施策については、昭和五十六年の国際障害者年以降、急速に進んでまいりました。特に、この際にノーマライゼーションの理念が導入されてから、障害のある人もない人もともに普通に暮らしていける、そういう社会の構築が求められております。平成五年度において策定をされました障害者対策に関する新長期計画、平成七年には障害者プラン等がつくられて、障害を理由とする各種資格制限等が障害者の社会参加を不当に拒む要因とならないよう必要な見直しを行う、こういうふうに施策が進んできたのでございます。  具体的に例を挙げてお尋ねをしたいと思うんです。  申し上げるまでもなく、この欠格条項問題は、法律によって身分または資格取得のできない実態をいうわけでございます。  例えば、医師、薬剤師、レントゲン技師、看護婦に視覚障害者はなれないという法律があります。これは厚生省関係です。また、知的障害者であるために、公営のスポーツセンター、プール、宿泊施設を断られた、これは地方自治体の施設に多いわけでございますけれども、地方自治体が条例でもってこれを制限しておる。あるいはまた、障害によっては、運転免許、警備業ができないという法律があります。これは警察庁関係であります。さらにまた、精神病者はタクシー、バスは付添人がなくても乗車できる、しかし旅客船には介護人がないと乗船できない、こういう規則があります。これは運輸省関係です。などなどのそういう欠格条項を撤廃してほしい、こういう要望が今大きく盛り上がってきております。この実態をどのように見直していくのか、具体的にお聞きしたいと思うんです。  現在、欠格条項の法律が全部で七十九あると聞いております。これを省庁別に申し上げていきますと、人事院で一、警察庁で九、防衛庁一、科学技術庁二、環境庁二、法務省三、厚生省四十三、農水省二、通産省一、運輸省九、郵政省一、労働省二、建設省三、計七十九であります。  さらに、これを障害者別に申し上げれば、身体障害者関係が十七、身体障害者と精神障害者、ダブっておりますけれども、これは十、全障害が五、精神薄弱と精神障害が五、精神障害が四十二。  次に、制限の種類を申し上げれば、資格制限が六十九、行動制限が六、利用制限が四。次に、制限の程度を申し上げれば、絶対的欠格事由、これが三十三、相対的欠格事由が四十三、両方が三、こういう実情であります。こういうふうに今申し上げたところで、中でもやはり厚生省関係が一番、これは四十三と際立って多いわけであります。  この夏には、いわゆる見直しに係る指針が政府で決定され、ここからいよいよ作業がスピードアップされてくると思うんですけれども厚生省は、この施策の推進においてやはり当然リーダーシップを持って進めなきゃならない、私はこのように思うわけであります。  したがって、これまでの見直しに係る審議会での審議状況や、あるいはまた、これまでの栄養士資格等の見直し等の経緯を踏まえて、医療関係職種の資格制限等についていろいろと改正に向かって検討を始めてこられたと思うんですけれども、今後のスケジュール等も含めてお示しを願いたいと思います。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  58. 今田寛睦

    ○今田説明員 御指摘の欠格条項の見直しにつきましては、先ほども御紹介いただきましたように、障害者対策に関する新長期計画あるいは障害者プランの中でも指摘をされておりまして、これに基づいて、総理府の方でこれらを全省庁的にまとめて、各省庁に見直しについての方針というものをお示しいただくという形に推移いたしております。  厚生省といたしましては、こういった流れの中で、それぞれ所管をしております部局に対しまして見直しのための作業を行うようお願いをしているわけであります。  現在までにやってまいりましたことをあえて申し上げれば、例えば、平成十年の六月には、関係いたします医療従事者、それから薬物取り扱い関係者、それから美容、理容等の衛生関係の資格者等の団体と意見交換をいたしております。そういった意見交換の中で、今後の欠格事由に関します見直しについて、先般中央障害者施策推進協議会の方で示されました見直しの基準といいますか、見直しの進め方、こういったものに沿いまして、現在、各局で検討をするように指示したところでございます。
  59. 石垣一夫

    石垣委員 では、厚生省でこれまで見直した制度はどうなんですか。
  60. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 お答えをいたします。  これまで見直したのがありますかというお尋ねでございますが、平成五年度に診療放射線技師についての法改正がありまして、その際に、精神障害者が絶対的欠格事由とされていたところを相対的欠格事由に改めております。
  61. 石垣一夫

    石垣委員 では、一件だけですか。
  62. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 私がお答えしましたのは、医療関係職種を私は所管をしておりますので、私どものところで一件実施をしております。
  63. 石垣一夫

    石垣委員 厚生省が、現在に至ってまだ一件しか見直しをしていない。私は、やはり厚生省の姿勢がすべてを物語ると思うんですよ。先ほど申し上げました七十九件の中で四十三件、約半数を占めているわけですね。やはり、厚生省がリーダーシップをとって徹底的にこれは対処していく、こういう姿勢が示されなければ、各省庁とも七月の指針が出てからやろう、こういうふうに非常にのんびり構えているんですね。これではいかぬと思うのです。やはり、所管する厚生省がみずから範を示して積極的に対処していく、こうならなきゃいかぬと思うのです。  では、具体的に一つお聞きしたいと思うのですけれども、薬事法第六条の第二号のニ、精神病者には薬局開設の許可を与えないことができる、いわゆる資格取得時の制限ということになっておりますけれども、こういう点はどうなんですか。
  64. 中西明典

    ○中西政府委員 薬事法におきましては、薬局開設の許可につきまして一定の相対的な不許可の基準を定めているところでございまして、都道府県知事がこの基準に基づき、保健衛生上の見地から個別に許可及び不許可の判断をしておるところでございます。  医薬品等につきましては、医師の処方せん等に基づきまして適切な判断と助言のもとに調剤あるいは販売がなされなければ、その医薬品本来の効果を発揮できないのみならず、生命や健康に影響を与えるおそれがあるということから、薬局開設者につきまして、薬局の管理責任を全うできる能力が必要であるという観点からそうした基準が定められているところでございます。  障害者に係る欠格条項の見直しにつきましては、先ほど障害保健福祉部長から答弁いたしましたとおり、現在、政府全体で検討が進められているところでございまして、この開設許可に係る相対的欠格条項の規定のあり方につきましても、業務の特性を踏まえつつ十分検討していかなければならないというふうに考えております。
  65. 石垣一夫

    石垣委員 今、私は具体的に聞いているわけです。精神病者といえども、やはり病気の症状の重い人と軽い人があるわけですね。だから、それを一律にこういうことで結局決めてしまうということについてはいかがなものか、私はそう思うんですよ。  また、一歩譲って、資格は、こういう場合は経営者が薬剤師を雇う、そういうことによって私は許可できると思うのですね、申し出た場合に。こういうことも考えられるのですけれども、いわゆる症状の強弱によって判断する、こういう方向に、私はこの欠格条項の見直しについては基本的な考え方としてはそうあらねばならないと思うのですけれども、いかがですか。
  66. 今田寛睦

    ○今田説明員 私どもの部が精神保健福祉法を所管しておる関係で申し上げますけれども、御指摘のように、今回の見直しについては、必ずしも絶対的に欠格事由を適用しなくても、相対的にあるいは状況に応じて対応できるものがないのか、それは一つの視点として指摘されております。  と同時に、精神障害の場合で申し上げますと、もちろんそういう形で一定の相対的な定義ができるという場合もあろうかと思いますが、また一方で、症状というものが変転をするといった場合に対する対応ということも念頭に置きながらこの相対的なものの定義を考えていかなくてはならない、そういう意味での技術的な問題というのが多々ございますけれども、先ほど申し上げましたように、必ずしも絶対的でなければならないのかということについて、そこに目を向けて制度というものをもう一遍よく見直してみようじゃないかという考え方で対処すべきというふうに思っております。
  67. 石垣一夫

    石垣委員 したがって、今申し上げましたいわゆる薬局開設の資格取得、これについても前向きに検討されるわけですか。
  68. 中西明典

    ○中西政府委員 今先生おっしゃった指摘も十分踏まえまして、検討してまいりたいというふうに考えております。
  69. 石垣一夫

    石垣委員 次に、保健婦助産婦看護婦法第九条、いわゆる目が見えない者、耳が聞こえない者、または口がきけない者には、保健婦、助産婦、看護婦または准看護婦の免許を与えない、これは資格取得時の制限ということで絶対的欠格事由、こういうことになっておりますけれども、これは、目が見えないのは非常に厳しいですけれども、耳が聞こえない、口がきけない、これでこの職につけないということについては果たしていかがなものですか。
  70. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 まず、保助看、保健婦、助産婦、看護婦に始まります医療関係職種の多くについて、実は絶対的欠格事由というのが出ているわけでございます。それは、目が見えない者とか耳が聞こえない者、または口がきけない者というのが法律上規定をされているのは事実でございます。なぜこういう医療職種に多いかということを少し説明をさせていただきたいと思います。  それは、これらの職種が、結局、患者さんまたは病院を、それから一般住民の方を、相手をしていろいろなお話を聞くとか、または苦痛状態があれば苦痛の状態に合わせて対応していくとかということで、医療関係職種は、ある意味では、目も耳も、それから肌の感覚も、そういう五感をすべて使って患者さんに対応していくものだ、私はこのように思っておるわけであります。  そういう意味では、患者さんということの方も考えなくちゃいかぬ、それから、先生がおっしゃられましたように、障害者の方々のいわゆるノーマライゼーションということも考え、いろいろな職業につけるという自由も大事であります。そういうことから、これのバランスがとれて、今医療関係職種には絶対的欠格事由が相当あるのだと思っております。  それで、今先生がおっしゃった保健婦、助産婦、看護婦につきましても、この三つの、目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者も絶対的欠格事由に入っていることは事実でございます。  ただ、さきに言語聴覚士法の法律ができましたときに、こういう欠格事由について見直しをするようにという附帯決議をいただいておりまして、それを受けまして、今先生がおっしゃられたようないろいろな問題はありますが、患者のこともありますけれども厚生省としても、やはり障害者の方の自立及び社会経済活動への参加を促進するという観点からも検討を進めていこう、このように思っておるところであります。
  71. 石垣一夫

    石垣委員 では、諸外国における医療関係の免許資格の状況はどうなっていますか。
  72. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 諸外国の事情につきましては、現在取りまとめができていないところでございまして、また次回、資料をそろえて御説明させていただきたいと思います。
  73. 石垣一夫

    石垣委員 では、障害者に対してなぜ資格が与えられないのか、こういうことで、私は、軽い障害であればやはり積極的にこれは許可していく、こういう方向に、ノーマライゼーションの時代でございますから、やはり基本原則をきちっと確立をして、これで対処していく、こういうふうに今後厚生省としてリーダーシップをとって、各省庁関係にいち早くこの問題について障害者の方の要望にこたえられるような、そういう施策の展開を強く要望しておきます。  以上です。
  74. 鴨下一郎

    ○鴨下委員長代理 次に、米津等史君。
  75. 米津等史

    ○米津委員 自由党の米津でございます。  私は、厚生省に対して、海外戦没者の遺骨収集と海外戦没者の慰霊碑について御質問させていただきます。  昨年の十月十七日、朝日新聞に「遺骨と役所」という題名の記事がありました。   厚生省の四階に「霊安室」がある。かつての戦地で発掘・収集され、ようやく祖国に戻ってきた旧日本兵の遺骨はここでしばらく時を過ごす。この夏も、白い布に覆われた百余りの骨箱が花の芳香に浸っていた。   「最近はモンゴルやシベリアなどが多いです」と担当者。大半は身元不明者だ。毎年五月になると、「千鳥ケ淵」に納められる。   祭壇中央に一つ、身元判明者の骨箱があった。宮城県出身で陸軍准尉だった佐藤太さんの遺骨だ。パプアニューギニアで昨夏、名前や部隊を刻んだ認識票といっしょに見つかった。   発見者は、戦地に消えた夫を捜しに何度も島を訪れている大阪市に住む七十五歳の女性だった。夫の足取りは不明のままだ。   彼女に胸の内を尋ねた。「主人が帰ってきたのと同じ気持ちです」と言って、涙声になった。夫捜しに終止符を打つという。島内には、まだ十万人前後の日本兵の骨が埋まっていると見られるが、ほかの激戦地同様、政府は遺骨収集に消極的だ。   佐藤さんの骨は九月下旬、故郷で大勢の人たちに温かく迎えられたが、遺族らの胸には、すっきりとしないものが残った。なぜ、返還に一年以上かかったのか。   厚生省が現地に赴き、遺骨を持ち帰ったのは今年二月。すぐに身元の見当がついたのに、宮城県への確認依頼は七月になってからだ。さらに、「お盆までに」という遺族の強い要望もかなわず、遺骨は霊安室に放置され続けたのだ。   「ほかの仕事もありますから」。それが厚生省の釈明だった。 という記事の内容でございます。  まず第一に、政府は遺骨収集に消極的だということにつきまして、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
  76. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 戦没者の御遺骨の国による収集でございますけれども、戦後間もなく、昭和二十七年度から、南方地域においてまず開始をし、今日まで三十万柱の御遺骨を収集し、日本にお迎えしております。そのほか、陸海軍の部隊や一般邦人の引揚者が持ち帰られたものを含めますと、これまで海外で亡くなられた戦没者は約二百四十万人いらっしゃいますが、そのうち約半分の百二十三万柱を日本にお迎えしているところでございます。  この間、いろいろと工夫をしながら進めてまいったわけでございます。例えば、昭和四十八年度からは、国の職員だけではなくて、現地の実情に詳しい戦友会、また御遺族の方、また、これは大変私どもにとって力強い助けになっておりますけれども、学生ボランティアの方の御協力も得て収集を実施しております。さらに、平成七年度からは、遺骨の情報があった場合直ちに対応できるように、遺骨収集応急派遣事業を創設いたしております。  現在の私どもの進めております遺骨収集の中心は、平成三年度から新たに遺骨の収集が可能になりました旧ソ連、モンゴル地域における抑留中の死亡者の遺骨収集が中心になっております。平成四年度から本格的に実施し、昨年度までに九千三百七十六柱の御遺骨を日本にお迎えいたしております。  これらの地域については、最近になって収集が可能になったことから、高齢化している御遺族の希望に沿うべく、精力的に遺骨収集を行っているところであり、具体的な計画を申しますと、旧ソ連地域につきましては、平成十年度からおおむね五年間程度で収集を終えようという計画で頑張っております。また、モンゴル地域におきましては、今年度でおおむね収集を終わらせようということで進んでおります。特に、最近急ピッチでやっておりまして、例えば、昨年度の例で申しますと、旧ソ連では二千三百七十一柱、モンゴルでは四百八十九柱、合わせて二千八百六十柱と、前年度の約三倍の御遺骨を収集しております。  私どもの援護の担当職員も、昨年は四十四名ロシア・シベリア地域、モンゴルに行かせております。非常に長い期間、人によっては一カ月以上にわたり非常に気象条件の悪いところに向かわせております。特に、平成十一年度においても、旧ソ連地域においては、ハバロフスク地方等においては八地域において収集を実施するようしておりますし、モンゴルにつきましては、先ほど申しましたように、今回で一応終えようというところで努力をいたしております。  旧ソ連、モンゴル地域以外については、国によっては収集が拒否をされるというところがございますので、現時点で可能な地域についてはおおむね終了していると考えておりますが、遺骨の所在について確たる情報があった場合はできるだけ速やかに対応するということを基本にして、応急派遣事業を活用するなどして、より機動的な対応をしておるところでございます。  戦後五十三年経過し、遺骨の中には諸条件等により収集が困難なものも多くなってきておりますけれども厚生省では、これまで御説明申し上げたように、遺族の方の御要望にこたえるために遺骨収集に鋭意取り組んでいるということで御理解いただきたいと思っております。  したがって、先生がただいま御披露されました報道について、政府が遺骨収集に消極的であるというようなことは私ども毛頭考えていないわけでございますけれども、そのような印象を国民の方々に与えているとすれば非常に残念でございまして、私どもとして、遺骨収集の意義やその実態について国民の方々に御理解いただけるよう、いろいろな機会に広報等についてさらに一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  77. 米津等史

    ○米津委員 さきの大東亜戦争で国家存亡のときに礎となられた方々の御遺骨を一日も早くふるさとにお迎えをするということは、非常に大切なことであると私は思いますし、その窓口の厚生省の今後さらなる姿勢が問われているというふうに思います。  この記事の中にもありましたが、身元の判明している遺骨が御遺族のもとに返還されるまでになぜ一年以上かかったのか、お答えをいただきたいと思います。
  78. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 現在、個別に送還されました御遺骨につきましては、一緒に出てきました遺留品、また私どもが持っております埋葬図等の資料を手がかりにいたしまして、慎重に身元確認に努めているわけでございます。そしてその上で、関係都道府県に対して、御遺族の有無、その氏名、現住所等の調査及び御遺族の御遺骨を受領する意思の確認を依頼し、受領意思のある御遺族に対しましては、都道府県を通じまして当該御遺骨の返還をしているところでございます。  ただいま御指摘の事案について私ども調べましたところ、確かに、一昨年八月に民間の方がパプアニューギニアで発見されたものでございます。そして、発見後速やかにその方は現地のホテルに預けられたようでございます。そして、遺留品については国内に持ち帰られたわけでございます。その後、昨年二月に、同じパプアニューギニア地域における他の御遺骨もございましたので、政府の戦没者遺骨受領団が遺骨を受け取りに参りまして、日本に送還いたしました。その後、御遺族の氏名、現住所の調査、遺骨、遺留品の受領意思の確認等所要の調査を行い、昨年九月に御遺族のもとに返還したものでございます。  確かに、遺骨が発見されましてから一年と一カ月、遺骨受領団による送還後でも七カ月を経過しているということは、いかにもこれは長いわけでございます。このような事態になった要因として、確かに、先ほど言いましたように、ソ連抑留者の死亡者の遺骨収集の進捗に伴って大変私ども事務量が多くなっているという背景があったというものの、やはり、この身元確認のための方法が非常に機械的ではなかったのかなとか、やや慎重過ぎるようなことをやっているんじゃないのかなというような面もあり、対応に柔軟性を欠いた点があったのではないかと深く反省しているわけでございます。  そこで、これらの要因を改善すべく、現在では、旧ソ連等抑留中死亡者収集遺骨担当と南方地域収集遺骨担当とを分担させて仕事をするということとか、また、援護の職員の職務を見直しまして、この遺骨関係職員を増員させるということを今年の四月からやっております。このようなことによりまして遺骨の調査と御遺族への速やかな返還に努めていきたいと思っておりまして、今後とも誠心誠意対応してまいりたいと思っております。
  79. 米津等史

    ○米津委員 徐々に人的な体制を含めて整えられているというふうにお受け取りいたしますが、「さらに、「お盆までに」という遺族の強い要望もかなわず、遺骨は霊安室に放置され続けたのだ。 「ほかの仕事もありますから」。それが厚生省の釈明だった。」というふうに書かれております。  この一言がすべてをあらわしているわけではないと思いますけれども、御遺族の心情を考え、国の窓口として、厚生省対応についてもう一度御見解をお伺いしたいと思います。
  80. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 現在、霊安室において海外から持ち帰りました御遺骨をどのようにお預かりしているかということについてまず説明をさせていただきますと、送還された御遺骨につきましては、身元が判明されるまでの間、また判明ができない場合、千鳥ケ淵の戦没者墓苑に納骨するわけでございますけれども、それまでの間、私ども厚生省の中にございます霊安室に安置しているわけでございます。この霊安室におきましては、厚生大臣を初め厚生省幹部のお花を供えたり、毎日お水を供えているというようなことで、御遺骨の尊厳を損なわないよう十分な配慮をしているつもりでございます。  また、この間、御遺族の方々が拝礼を希望されるということも時々ございます。このような場合については、霊安室に御案内し、拝礼をお願いしているわけでございます。  しかし、今先生からおしかりをいただいております、非常に時間がかかった、その言いわけが多忙であったというようなことを申したということで御遺族の方に大変不快な念を与えた結果になったということについては、まことに残念であると思っております。  ここで、私どもこのような援護行政に携わる職員といたしまして、御遺族の御心情というものをいま一度思い起こして、御遺族に対する援護の一環として行われる遺骨収集事業につきましての基本的な理念というものを再認識いたしまして、事務的といいますか、機械的な処理に流れないよう、誠心誠意、懇切丁重な対応をしてまいりたい、そのように私も職員に対して指導してまいりたいというふうに思っております。  また、先ほど申しましたように、今日の状況というのは、御遺族や戦友の方々も高齢化して、確かに、一般論として申しますと、遺族の方々の判明、遺族の方々への伝達というのはなかなか困難が伴う場合が多うございますけれども、今年の四月からいろいろと体制の強化をして、事務の迅速化が図られるよう努力をしているということについて、御理解いただきたいと思っております。
  81. 米津等史

    ○米津委員 私は、現在十三ある海外戦没者の慰霊碑に、機会を見つけて訪れております。まだ四つしか行けておりませんが、昭和四十八年のフィリピン戦没者の碑、これはフィリピンにあるわけですけれども、それ以降、厚生省が積極的に海外戦没者慰霊碑を建てられていらっしゃいますが、この維持管理につきまして、一つ御質問をしたいと思います。  この管理委託先ですが、国によっては観光局になっていたり、あるいは魚類・野生生物局になっていたり、環境整備局になっていたり、日本人会になっていたりと。地理的にも非常に難しい、厳しいところにあるゆえに大変なことだろうとは思いますけれども、しかしながら、私がその慰霊碑に伺ったときに、お彼岸であったりお盆であったり、そういうときに、お花を含めて、政府の代表たる人がお参りをした形跡は全くありませんでした。非常に残念な思いをいたしましたし、特にサイパンあるいは南太平洋のパプアニューギニアの島においては、地元の方々が清められているすぐそばで、日本人観光客が非常に楽しんでいるというか、飲み物、食べ物を食べて散らかしているというような光景を何回も目にいたしました。  私は、こういうところにつきましても、ぜひ、厚生省あるいは政府の幹部の方々がお彼岸あるいはお盆にこういう慰霊碑等で、皆さん方の礎になった方々に失礼があってはいけないという気持ちを込めて参拝をする必要があるのではないかなと思いますけれども、海外戦没者の慰霊碑の維持管理について、厚生省にお伺いしたいと思います。
  82. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 厚生省では、旧主要戦域ごとに中心となるべき地域を一カ所選びまして、戦没者の方々の慰霊と平和への思いを込めまして、戦没者慰霊碑を建立してきているところでございます。  慰霊碑につきましては、昭和四十六年に硫黄島戦没者慰霊碑をつくりましたのを初め、四十七年度以降、計画的に海外慰霊碑の建立を進め、現在までのところ十四カ所、慰霊碑を建立いたしております。  先ほど申しましたように、モンゴルの抑留中死没者の遺骨収集がおおむね完了するという事情がございますので、慰霊碑の建立を行いたいというふうに思いまして、今年度の予算ではその調査費を計上いたしております。平成十三年度において建設を実施するという計画で進んでおります。  また、問題は建立した後の維持管理でございますけれども、それぞれの建立地の相手国の関係機関の中で適切と思われる機関と、維持管理に関する契約を締結いたしております。私ども、それに必要な予算も計上し、維持管理が適切に行われるよう努めているところでございます。  先生もごらんになったようでございますけれども、確かに、年月の経過とともに補修の必要が生じる慰霊碑も出てまいります。このようなものについては、適宜補修を行っているところでございます。  また、委託契約の内容についても、相手方が妥当かどうか、またしっかりと維持管理が契約どおり行われているかどうかというような点検も定期的に行っておりますし、これからも万全を期してまいりたいというふうに思っております。  慰霊碑の竣工時においては、厚生大臣や政務次官その他幹部職員が現地に赴きまして、追悼式を挙行いたしております。私も、昨年の十月に、これは慰霊碑の移転、改築でございましたけれども、ミャンマーに出張させていただきまして、追悼式に参加させていただきました。また、今月の初めには、モスクワに行く機会がございましたので、そこに日本人墓地がございましたので、そこのお参りをさせていただきました。このように、機会あるときに、慰霊碑等を訪れまして拝礼をさせていただいておるところでございます。  また、毎年、政府事業として、主要戦域を中心に御遺族の参加を得て慰霊巡拝等を実施しているところでありまして、その際に、各慰霊碑において追悼式を実施しております。現在でも、このような追悼式に対して幹部職員が出席いたしております。先ほど私が申したように、出張の際にはこのような拝礼を行うということで行っておりまして、今後とも、事情の許す限り厚生省幹部の、慰霊に訪問する機会が設けられるよう、さらに努めてまいりたいというふうに考えております。
  83. 米津等史

    ○米津委員 先ほども申し上げましたように、さきの大東亜戦争において国家の礎になられた先人の方々に対し、形だけではなく、心のこもった対応をぜひ厚生省の方々に要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  84. 鴨下一郎

    ○鴨下委員長代理 次に、中林よし子君。
  85. 中林よし子

    ○中林委員 私は、まず、岡山県備中町の陥没問題について質問をいたします。  この岡山県備中町の平川郷というところでは、昨年八月から今日まで、道路だとか河川だとか小学校などで、陥没だとか地盤沈下が相次いで生じております。  この一帯は八十八戸の住宅があって、二百二十四人が住んでいます。十五戸で床下のコンクリートなどに亀裂が入って、日を追ってそれが拡大する、家が傾いて戸のあけ閉めも不自由になる、修理してもまた傾くなどの被害が進行しております。今月五月四日から五日にかけては、この地区の中心からさらに外れたところにあるお宮が陥没をして、被害地域がさらに拡大する様相となっております。  私も、今月の十七日に現地に行きました。住民の皆さんから、いつ家が落ちるかと思うと不安で眠れない、何かあったときにはすぐ飛び出せるように裏口は常にあけている、これから一体どうなるのかなど、口々に大変不安の声が語られ、そして、一番求めているのは原因究明だ、このようにおっしゃいました。  この地帯は石灰岩地帯で、これまでの調査で、地下には、固まっていない、弱い、やわらかい粘土が厚く堆積しているドリーネが数多くあって、ドリーネに堆積した土砂が地下水の流動によって消失していく、空洞が発生して表付近の土が沈下して、陥没が発生するとされているわけです。  しかし、その原因が何であるかということはいまだに不明です。本格的な調査が強く求められており、国としても四月二十七日に、国土庁、建設省、通産省が現地を訪れました。私は、国として、この問題について責任を持って原因究明に当たる必要があるというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  86. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 岡山県備中町平川郷地区の土地の陥没につきましては、昨年夏ごろより断続的な発生が見られ、学校のプール、体育館、農協倉庫、橋梁、河床あるいは民家等にさまざまな被害を及ぼしておるということで、町におかれましては、本年三月に対策推進本部を設置するとともに、県とともに応急復旧対策を講じているというふうに伺っているところでございます。  このような土地陥没の対策を講ずるに当たりましては、やはり何といっても、土地陥没の原因究明、あるいは地中の空洞化の現状とか今後の見通し等の実態を把握することが大変重要であるというふうに考えております。  町におかれましても、平成十年度に、平川小学校等の平川郷中心部について、民間の調査機関に委託して地質調査を実施されているというふうに聞いております。また、県においても、陥没箇所の拡大等を踏まえて、応急工事の実施とともに、調査専門委員会を立ち上げて、原因究明と対策の確立を急がれているというふうに聞いているところでございます。  国土庁におきましては、先ほど先生の御指摘のように、去る四月二十七日でございましたが、国土庁、建設省、通産省等の専門家が被災現地を訪問して事前調査を行ったところでございます。また、先ほど申しました県の調査専門委員会につきましては、国の専門家も参加する予定としているところでございます。  そういうようなことで、今後とも、関係省庁と連絡調整を密にしながら、県と連携して原因の究明と実態把握に協力してまいりたいと考えているところでございます。
  87. 中林よし子

    ○中林委員 町それから県は、毎日毎日被害が進行したり拡大しているということで、本当にもう対策を早急に講ずる必要があるということで、それなりの対応をしているのです。私は、やはり国としての取り組みを強化していただきたいというふうに強く思います。  といいますのは、カルスト台地でこれだけの陥没ということは初めてのケースだというふうに思います。確かにこの地域では十年前にも畑だとか山だとか陥没がありましたけれども、しかし、人家だとか直接そういうところに被害がなかったものですから、調査はしたものの対策がおくれているというふうに思います。その調査だけでも二千万円かかったと言われております。この備中町は小さな町ですので財政負担も大変だ。県はもちろん委員会を立ち上げましたけれども、やはり国の専門的な知識というのはどうしても必要だろう。しかも、カルスト台地というのはここだけではなくて全国各地にありますから、そういう意味では、今回この問題を契機に国として急いで原因究明を徹底的に行っていただきたい、これが一点です。  同時に、梅雨を前にして、やはり被害に対する救済措置が待ったなしの課題だというふうに思います。予測はつきませんし、それから突然陥没するというようなこともありますので、原因究明がなければ災害復旧の対象にしないなどということではなくして、今県などが緊急の対応をしておりますけれども、国としても、県や町などから要望があったら、原因究明を待たなくとも災害復旧の対象としてぜひ対処していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  88. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 国におきましては、先ほども申し上げましたが、四月に担当官の派遣を行っております。その後も、関係省庁の担当官も集まりまして、それぞれの所管ごとのいろいろな情報の共有化あるいは連絡体制の強化等を図ったところでもございますし、また県の方からも、担当の方に数度にわたりまして上京いただきまして、実情の把握、あるいは国に対する要望の聴取、対策についての意見交換というようなこともさせていただいております。  これから出水期に向けまして災害の危険性が増すというおそれも考えられるわけでございまして、さらに県との連絡も密にしたいと思いますし、関係省庁が連携協力しまして、現地の観測あるいは警戒態勢あるいは河川の応急対策といったようなことに関して遺憾のないように、地元の公共団体に対して助言あるいは必要に応じて指導というようなことを図ってまいりたいというふうに考えております。
  89. 中林よし子

    ○中林委員 国としての対応を本当に強く求めたいと思います。  それでは次に、昨年私は、中国山中の、岩国米軍基地から飛び立った、米軍がエリア567と言われているところの危険な飛行について質問をいたしましたけれども、それに続いて、このエリア567の問題で質問をさせていただきます。  島根県西部を中心に山口、広島三県にまたがる三角形を米軍はエリア567、このように呼んでおります。日常的に、定期的に戦闘訓練などが実は行われております。そのことも実は米軍は認めております。この空域は自衛隊の訓練空域NR7と言われている低高度部分で、防衛庁は昨年の私の質問に対して、このNR7という地域は練習機の初級操縦訓練をするところだ、そういうふうに答弁をされております。  そんなところで、米軍が空対空訓練あるいは空中戦闘訓練、ダムだとか橋だとかを仮想目標にした対地訓練など大変危険な訓練をしているわけですけれども、これは一体だれが米軍に対して許可をしているのでしょうか。防衛庁なのでしょうか、それとも運輸省でしょうか。
  90. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 先生今お触れになりましたとおり、ナンバー7の低高度訓練空域につきましては、通常、自衛隊の、特にこれは山口県の防府に所在いたします航空自衛隊第十二飛行教育団が空域の統制を行うこととされておりまして、これは米軍に限りませんけれども、自衛隊以外の航空機がそこを通過する際にはその当該部隊の長に連絡するという手順が決められております。  基本的にこの空域につきましては、自衛隊以外の者が基本的には使ってはいけないという排他的な性格のものではございませんで、私ども通報は受けておりますけれども先生言われるような意味で禁止したりあるいは許可するといった権限を私どもが持っているものではないということでございます。
  91. 中林よし子

    ○中林委員 許可はしていないということですけれども、調整して使わせている、こういうことだと思うのですね。それは、もう米軍であれあるいは民間機であれそこを使ってもよろしい、調整さえつけば、という話だと思うのですね。そうすると、これは少なくとも防衛庁が一応許可、調整という、使ってもよろしい、本来は防衛庁の、自衛隊の訓練空域なのだけれども、そういう設定はしてあるけれども、そこに米軍が来ようと民間機が来ようと調整さえつけばよろしいということになっていると思うのですよ。  そうであるならば、例えば戦闘訓練、ドッグファイトだとかこういうものを、下には多くの住民が住んでいるその真上でやっていいのか。しかも、今言われたナンバー7という自衛隊の訓練空域は一万一千フィート以下、つまり三千三百メートル以下の低空なのですよ。そういうところでこんな訓練を米軍がやってよいのか。私は、防衛庁はそれは全くやめさせるべきだというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  92. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 まず、私どもの調整を受ける観点と申しますのは、先生御承知のように、低高度で防府の、これは航空自衛隊のパイロットになる要員が一番最初に乗る練習機でありますけれども、それを使ってプロペラ機で非常に低速で訓練をする、そういう空域でございまして、そこに異質なといいましょうか、他のトラフィックが入ってくることによって危険を防止するための調整を受けているわけであります。先生おっしゃるような、戦闘機の本格的な訓練、ジェット戦闘機の本格的な訓練を行うための空域としては、私ども、確かに非常に狭いと思いますし、高度も、そこで先ほどの航空自衛隊のプロペラ機とまじり合って飛ぶようなことは基本的には考えられないことだと思っております。  あと、その空域に入るときの調整は受けておりますけれども、私どもとして、具体的に米軍がどういう訓練をやっておるかということについてはつまびらかにしていないところであります。
  93. 中林よし子

    ○中林委員 私は大変無責任だというふうに思います。これまでも、県だとかあるいはその関係の自治体からこういうことがやられているという報告は上がっているはずだというふうに思います。  そこで、実は米軍の兵隊そのものが、広島のテレビ、RCCでのインタビューに答えている。岩国米軍基地のパイロットがこう答えているのですね。エリア567、ここではどんな訓練をしていますかという問いに、この米兵は、すべての任務だ、空対空訓練、ドッグファイトという追撃訓練、それにハイウエーや道の上をなぞる飛行、橋やダムを爆撃する訓練、雲が低く垂れ下がっているとき雲の下を飛行するんだ、こういう証言をしております。  少なくとも、ちゃんと調べて、そして自衛隊でさえもやっていないような危険な訓練を、人家があり、人が住んでおる、こういう低空のところでやるべきではない、そこは防衛庁、ちゃんと米軍に言うべきではありませんか。
  94. 柳澤協二

    ○柳澤政府委員 私どもからお答えするのが必ずしも適当かどうかわからないところはございますけれども、当然、我々、日米共同訓練等を通じて米軍と一緒に行動するような際には、安全面について十分な打ち合わせもしておりますし、また、御指摘のようなことが具体的にあるといたしますれば、地元を管轄します防衛施設局等を通じて、米軍等にはいろいろな機会をとらえて安全上の配慮については話し合いを行っているところであると承知しております。
  95. 中林よし子

    ○中林委員 話し合いを行っているというようなことで、これがやめられるはずもない。  そこで、外務省とアメリカとの間で、この一月に日米の間で低空飛行に関しては合意事項がありました。しかし、これが結ばれた後にも、実はこの地域ではそういう訓練が頻繁にやられているという証言が次々に挙がっております。  そこで、私は、運輸大臣にきょうわざわざお出かけいただいたのは、本当に安全な航空、飛行、これを担保する、そして空の安全を守っていく、そういう責任をぜひ運輸省としてとっていただきたい、そういうことからお出かけいただいたわけです。  実は、島根県の益田市というところで、ずっと米軍機がどういう飛行訓練をしているかということを克明に記録している人がいるわけです。米軍のパイロットが証言しているように、雲の下を飛行するんだという証言がありますけれども、実は、昨年七月三十日ですけれども、ドッグファイトの訓練をやっているのを目撃しました。これはFA18という、写真もちゃんと撮って確認しているわけですけれども、急降下、急上昇をやっている。しかも、これがどのぐらいの低いところかということで、実は当日、雲がありましたから、石見空港へこの方は電話をして、今雲はどのくらいの高さなのかと言ったら、一万二千四百フィート、こういうふうに答えがあったということですね。だから、それよりも下だということなんですよ。そういう戦闘訓練をやっていた。  しかも、実は、岩国の米軍の滑走路がことしの二月から四月の間改修工事がありましたから、そのときは岩国に米軍の戦闘機はありませんでした。このときは飛び立ってきていないのです。五月に入ってからまた頻繁に来るようになった、毎日来る、こういう状況になっております。  こんなことを運輸省は認めていいのでしょうか。本当に、国民の命や安全、それを守っていくために、運輸省が、いわば自衛隊の訓練空域として、あの雫石の事故から学んで、ここは自衛隊の訓練空域と指定している。しかも、自衛隊もやっていないような危険なことを米軍が傍若無人にやるということは、脱法行為そのものをやっているんじゃないかというふうに私は思わざるを得ないわけですけれども、当然、運輸省としても、米軍に対して禁止するよう強く言うべきだと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  96. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 委員大体おわかりいただいているんだと思いますけれども、昭和四十六年八月に策定されました航空交通安全緊急対策要綱に基づきまして、民間航空機が飛行する空域、それから訓練の空域、ここは分かれております。  したがって、私ども基本的に気をつけなければなりませんのは、民間航空機がこの訓練空域というものに入っていかない、有視飛行で入っていって間違いが起きる、こういうことがあってはなりませんから、そこをしっかり管制をしておく。また、米軍機が訓練空域というものを逸脱して民間航空機というものに接近をしてくる、こういうことがあってはならない。現実問題、私どもが知っておる限りは、このような支障が生じた場合はないということであります。  なお、米軍は、航空法の内容を尊重し、低空訓練飛行については安全性を最大限確保し、かつ地元住民に与える影響を最小限とすることを、平成十一年一月の日米合同委員会において確認をいたしております。米軍が当該訓練・試験空域で安全上問題がある訓練を行っていないものと私どもは理解をいたしているところでございます。  また、そのような問題があるとしたら、外交ルートを通して話し合いが行われるもの、このように考えております。
  97. 中林よし子

    ○中林委員 質問時間が終了という知らせが来たので、きょうは外務省の方にも来ていただいているのですけれども、お答えいただきませんが、日米地位協定でも、こういう戦闘訓練をする地域、これは海上で十五カ所わざわざ設けているわけですよ。私たちは、地位協定で、これを認めているわけじゃないけれども、少なくとも、人家がたくさんあるその上空で、ただ通過するだけではない、戦闘訓練をしている、しかもそれが低空でやられている。  大臣、こういう本当に日本の航空法そのものも守れないような飛び方をしていることについては、今、四市六町二村からこういうことはやめてほしいという決議も上がっておりますので、ぜひ政府として対応をしていただきたいということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
  98. 鴨下一郎

    ○鴨下委員長代理 次に、保坂展人君
  99. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  本日は、国民の間でプライバシーということについて大変大きな関心が高まっているところでもありますので、いわゆる緒方宅事件について、警察庁長官に来ていただいていますので、過去の事件ではございますけれども、これをどのように振り返るのか、大変大きな関心があるところです。長官としての責任ある、現在の時点からこの緒方宅事件をどう総括するのかという御答弁をお願いしたいと思います。
  100. 関口祐弘

    ○関口政府委員 委員お尋ねのいわゆる緒方事件につきましては、昭和六十二年当時の東京地方検察庁の捜査におきまして、警察官による盗聴行為があったと認められたこと、またその後の民事訴訟におきましても、同様な行為があったことが推認されたことは、警察としても厳粛に受けとめているところでありまして、まことに残念なことであったと考えております。  警察といたしましては、本件の反省を踏まえまして、今後とも国民の信頼を裏切ることのないよう厳しく戒めていく所存であります。
  101. 保坂展人

    保坂委員 ただいまの答弁につきましてもう少し伺いたいのです。  東京地検の、警察官による盗聴行為があったというふうに地検が認めた、そして、民事訴訟でもこれが推認された。そうすると、警察庁としてはどういう事実認定、つまり、こういう事実があったということを警察庁としても受けとめるということは、これを事実として認める、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
  102. 関口祐弘

    ○関口政府委員 ただいま御答弁申し上げたように、判決等の事実を踏まえてのことでございますけれども、私ども、神奈川県警察におきまして、この警察官個人の関与等の問題について、当時調査をいたしたわけでございますが、確認はできなかったというふうなことでございます。  また、当時の警察の内部調査では、県警が組織として本件に関与したことはない、職務命令は発していないという結果を得ているところでございます。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 保坂展人

    保坂委員 私は簡単に、その事実があったのかどうなのかということをお聞きしたのですが、今の、別の方向で、警察官個人の実行行為は認められた、けれども組織体としてこれを確認することができなかったということですが、では、個人としての盗聴行為というのは当然あったということでよろしいんでしょうか。ちょっと確認のために答弁お願いします。
  104. 関口祐弘

    ○関口政府委員 その点でも、個人につきましてでございますけれども、確認はできませんでした。  ただ、私どもとしましては、地検の捜査、あるいは訴訟等におきましてこうした判決もいただいているということ、これは先ほど来申し上げているように、厳粛に受けとめていかなければいかぬということを痛切に感じているところでございます。
  105. 保坂展人

    保坂委員 確認はできなかったけれども厳粛に受けとめているという答弁、後ほどもう一回伺いたいと思いますが、では、具体的に、ちょっと実務的な部分をお答えいただきたいのです。  そうすると、警察官が個人ないし数人で発案してアパートを借りて継続的に盗聴するということは、警察組織的には可能なんでしょうか。局長さんで結構です。警備局長さん。
  106. 金重凱之

    ○金重政府委員 警察としましては、違法な盗聴行為といったようなことについては、これまでも行ってきておらないわけでありますので、そうしたことについてはあり得ないものというふうに考えております。
  107. 保坂展人

    保坂委員 では、警備局長に伺いますが、今の、長官は、警察としては厳粛に受けとめていて、まことに残念だと言っているのですね。そして、「本件の反省を踏まえ」、これはどういうことですか。その反省というのは何なんですか。今の話では、何にもやっていない。冤罪じゃないですか、それでは。反省と言っているんですよ。何を反省しているんです。
  108. 金重凱之

    ○金重政府委員 先ほど長官から御説明させていただきましたように、私ども、当時、神奈川県警、内部調査いたしましたけれども、この警察官個人の関与については、手を尽くして調査いたしましたが、確認できなかったということでございます。  しかしながら、この六十二年当時の東京地検の捜査、あるいはその後の民事訴訟というようなことで、警察官による盗聴行為があったということが認められたというようなこと、あるいは推認されたというようなこと、そのことについて警察としては厳粛に受けとめておりますし、まことにこれは残念なことであったというふうに考えておるということを申し上げたわけです。  したがいまして、警察としては、本件の反省を踏まえまして、今後とも国民の信頼を裏切ることのないよう厳しく戒めてまいる所存である、こういうことを長官からも御答弁させていただいたというところでございます。
  109. 保坂展人

    保坂委員 では、長官に伺いますが、今警備局長最初にお答えになったのは、違法な盗聴行為は一切やっていないんだということですよね。ところが、長官の最初の総括的なお話は、厳しくこれを受けとめて、本件の反省を踏まえということで、こういう疑いがかかったこと、そしてまた、組織的な関与が認められないにしても民事判決等全部確定してしまっていること、この事実を厳しく受けとめる、つまり、そういう実行行為はあったんだから、今後やらないんだ、こういうふうに言ってもらわないと困るのですけれども、その点いかがですか、長官。
  110. 関口祐弘

    ○関口政府委員 警察といたしましては、盗聴と言われるようなことを過去にも行っておりませんし、今後ともそうしたことは絶対あり得ないということを、私、確信を持って申し上げたいと思います。  ただいま委員の御指摘の問題でございますけれども、私どもとして、個人の関与ということにつきましても確認ができなかったというのが当時の状況でございます。ただしかし、やはり検察なりあるいは裁判所においてそうした疑いがかけられるということ自体も、やはりそうしたことはあってはならないことでありまして、そうしたこともないようにということで、私ども、今後とも指導を徹底をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  111. 保坂展人

    保坂委員 反省というのは、普通、誤ったことをしたときにしか使えない言葉だと思います。事実がわからないのに反省してしまうということはあり得ないことだというふうに指摘しておきたいし、きちっとそのことを認めて、今後一切しないということであればわかりやすいのですが、そうならない。  実は、補聴器メーカーなどに勤めてきた丸竹洋三さんという方が長いこと、秘聴器という名前だそうですが、秘密に聞く機械ですね、そういう呼び方で盗聴器を警察に納入してきたという証言があります。この納入してきたものが後に日本共産党の事務所などで、私は共産党ではありませんが、あえてこれは国民全体にかかわるプライバシーの問題としてお聞きをしていますけれども、発見されたという証言もされているのですね。自分がつくった、ハンダづけをしたものだ、技術屋としては、もうこれは自分がつくったものに間違いない、こういうふうに言っているのですが、この点に関してはいかがですか、局長さん。
  112. 金重凱之

    ○金重政府委員 累次、国会答弁を申し上げておるわけでありますけれども、私ども警察、盗聴と言われる行為を行うための機材は調達した事実はございません。  今御指摘の、日本共産党の施設からでございますか、発見された機器があるというようなことのお話がありましたけれども、日本共産党の施設等から盗聴器が発見された事案、過去に幾つかありますけれども、警察に対して被害届が出されなかったり、あるいはまた、警察に告訴、告発がなされても、証拠品の提出や関係者の供述が十分に得られないということなどの事情で、これは被疑者の特定に至らなかったというふうに承知いたしております。
  113. 保坂展人

    保坂委員 では、刑事局長さんにも伺いますが、こういう、例えば音響メーカーから盗聴器と間違われるような、あるいはそれによく似た性能のものを、例えば捜査現場なり、ないしは取り調べなど、さまざまな警察活動の現場で使うということはあることですか。
  114. 林則清

    ○林(則)政府委員 お尋ねの件でございますけれども、結論から先に言いますと、盗聴器と俗に言われるものを捜査において使用するということは、絶対にございません。  あるいは委員の方の御指摘になっておるのは、誘拐等の場合に、家族の同意を得て、相手からかかってくる、犯人からかかってくるものを、素早くこれを録音しませんと人命その他に非常にかかわるというような資材は、これは捜査において用いることはございます。
  115. 保坂展人

    保坂委員 では、最後に長官に伺って終わりにしますけれども、先ほどの丸竹さんの証言なんですが、たった一人の方が証言している。となれば、その方が大いなる錯覚をしているというふうに考えることもできましょうし、また、信用に当たらないという見方もできるかと思います。しかし、元同僚の方が、間違いありません、自分はサービス部門でそのことを修理してきましたという証言まで出ているのですね。こういうことに対して、やはり警察組織への信頼性という意味でも、もう一度厳しく点検し、また調べるということを指摘して、ぜひそうしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  116. 関口祐弘

    ○関口政府委員 先生の御質問の趣旨でございますけれども、刑事局長、警備局長答弁させていただいておりますけれども、警察は、いろいろな部門で犯罪捜査活動等の各種の警察活動を行う上で、そのために必要な装備資機材と言われるものを整備しております。例えば、誘拐事件の捜査において必要不可欠である、犯人からの電話内容を録音するための資機材を導入することもあるわけでございます。  しかし、先生指摘のような盗聴のための資機材と言われるようなものについては、私ども、いわゆる盗聴と言われるような行為は行っていないわけでございまして、そのための資機材というものは調達をしていないということでございます。
  117. 保坂展人

    保坂委員 時間で、やめますけれども、盗聴は一切行っていないということと、緒方宅事件は反省するということの大きな乖離、ここをきちっと埋めていただくためにも、この丸竹さんという方が証言されていることについてきちっと調べるべきであるということを指摘して、終わります。      ————◇—————
  118. 原田昇左右

    ○原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件、特に、事務・事業の評価・監視システム導入に関する問題について調査のため、来る六月一日火曜日午前九時三十分から、参考人として静岡県知事石川嘉延君及び社団法人日本能率協会チーフコンサルタント星野芳昭君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 原田昇左右

    ○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次回は、来る六月一日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五分散会