○佐藤(謙)
委員 ここも、去年の十二月の二十九日に私は行って、余りの悪臭と、もうどうにもいても立ってもいられない、一刻も早くそこを逃げ出したいほどの
汚染でした。赤茶けた土が私たちの眼前に迫って、それこそ三十メートルぐらい掘られたその谷底に、四十万立米の産廃が持ち込まれている。中には、建設廃材だけではなくて、車のバッテリーや廃家電の部品、点滴袋などの医療
廃棄物、工場から出るプラスチック類なども持ち込まれて埋め立てられている。
それとは別にこの橋本市が有名になったのは、まさに無許可操業のこの業者の黙認や許可の便宜を図ったとされる県職員が金の力で環境行政をゆがめた、これは和歌山地裁の判決でそう言われているわけですけれども、有罪判決を受けた産廃汚職
事件でも有名なわけであります。
こうした幾つもの問題が絡み合いながら、実は地元の市民が、これは大変なことだということで、摂南大学の宮田教授に
調査を依頼したところ、焼却灰から三万ピコ
グラム、これは大阪の能勢が三万九千ですけれども、それに次ぐ三万ピコ
グラムの
数字が出てきてしまった。
ここは大阪の衛星都市で、かなりの方々が大阪に勤めに出ておられる。ここで新
住民と
農家とが反目をして一時対立があったわけですけれども、私はすばらしいなと思いますのは、その三万ピコ
グラムを公表するかどうかの苦悩の中で、
農家の方々は、隠してももっと悪くなるだろう、我々の子や孫のために本当にためになるんだろうか、我々も加害者であるという自覚を持たなければいけないという苦渋の決断から、この三万ピコ
グラムを公表する。そして、そこから
風評被害との戦いは始まるわけでありますけれども、
消費者には
消費者の論理があって、少しでも安全な
食品を手に入れたい、これは
消費者の当然の権利でありますから、そうした
消費者の
立場と、苦渋の中で農業をやっている方々がそうした思いをここにぶつけて、ついきのうですか、この
地域約七百世帯の方々約二千人の中で八割の人たちが、アンケート
調査に完全撤去を望むということで答え、そして公害調停を申請した。そこまで追い詰められてきているわけであります。
私どもは、過般、
ダイオキシン類汚染対策緊急措置法、参議院に二月の十七日に提出をさせていただきましたけれども、その最大の眼目は
住民参加。とにかくこんなに
大気が
汚染され、水が汚され、土がどうなっているのか。健康被害もあちこちで出ている。
調査をしてくれと言っても、一向にどこも
調査に来てくれない。これは明らかに産廃だと言っても、それはそんなに危険なものではないといって押し返されていたわけでありますけれども、
住民が
調査すべきというときに、それを義務づけるためのそうした法律を我々は提出させていただきました。
これから、
所沢市の問題を含めて、
対策関係閣僚会議が二十四日に開かれて、三月中に
対策推進基本指針ですとか、
TDIを早急に見直すとか、いろいろと手を打とうとされているようであります。こうしたものを未然に防ぐというのはこれから大いにやっていただきたいわけですけれども、問題は、既に
汚染されたところ、香川県の豊島は、私はあれは政治的な決着だったと思うのですね。橋本総理が選挙中に豊島に行かれて、よし、これは何とか救わなくちゃというような政治的な解決方法で物事が処理されていくというのは私は健全であるはずはないと思っておりますし、そうであるならば、豊島にも似たこうした橋本市の問題をどう処理していったらいいのだろうか。
我々も、真剣にこれは
考えていくわけでありますけれども、これは基金というのがあって、上限が八億円、国が二億円、それから業界が四億円、そして地方自治体が二億円という新廃掃法で基金があると聞いておりますけれども、これは去年の六月以降に捨てられたものから適用されるということで、どうも橋本市はその
基準が満たされていない。
これだけ市民運動が、自分たちの健康と安全のために
努力して
努力したけれども、今、市民に無力感が漂っていて、公害調停に持ち込むしかないというぎりぎりのところに来ているわけです。この制度はどういう制度で、これからこうした橋本のような場合に機能していくものなのかどうか、その辺を。