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1999-06-04 第145回国会 衆議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月四日(金曜日)     午後一時一分開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 赤松 正雄君 理事 東  祥三君       瓦   力君    木村  勉君       阪上 善秀君    桜井 郁三君       櫻内 義雄君    中谷  元君       中野 正志君    額賀福志郎君       深谷 隆司君    細田 博之君       松本  純君    八代 英太君       吉川 貴盛君    川内 博史君       中野 寛成君    藤田 幸久君       旭道山和泰君    坂口  力君       山中あき子君    井上 一成君       藤井 裕久君    中路 雅弘君       古堅 実吉君    伊藤  茂君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      小松 一郎君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 東郷 和彦君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         労働大臣官房長 野寺 康幸君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部長   内藤 昌平君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  阿部 信泰君         外務省中近東ア         フリカ局長   天江喜七郎君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君 委員の異動 六月四日  辞任         補欠選任   河野 太郎君     松本  純君   細田 博之君     中野 正志君   山中あき子君     旭道山和泰君   松本 善明君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   中野 正志君     細田 博之君   松本  純君     桜井 郁三君   旭道山和泰君     山中あき子君   中路 雅弘君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   桜井 郁三君     河野 太郎君 六月三日  核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定追加議定書締結について承認を求めるの件(条約第一号)  民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)の締結について承認を求めるの件(条約第九号)  航空業務に関する日本国政府イスラエル国政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第一五号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定追加議定書締結について承認を求めるの件(条約第一号)  民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)の締結について承認を求めるの件(条約第九号)  航空業務に関する日本国政府イスラエル国政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第一五号)     午後一時一分開議      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定追加議定書締結について承認を求めるの件、民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国政府イスラエル国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。     ―――――――――――――  核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定追加議定書締結について承認を求めるの件  民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)の締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国政府イスラエル国政府との間の協定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 高村正彦

    高村国務大臣 ただいま議題となりました核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定追加議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  国際原子力機関平成九年に保障措置制度強化及び改善のためモデル追加議定書を採択したことを受け、政府は、この追加議定書締結するため、国際原子力機関と数次にわたり交渉を行い、平成十年十二月四日にウィーンで、我が方池田在ウィーン国際機関日本政府代表部大使先方エルバラダイ事務局長との間でこの追加議定書署名を行った次第であります。  この追加議定書は、保障措置制度実効性強化し及びその効率を改善するため、国際原子力機関に提供する情報の拡充国際原子力機関に対する補完的なアクセスの提供等について規定するものであります。  この追加議定書締結は、核兵器の不拡散体制強化に関する国際協力に寄与するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この追加議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成九年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の総会において採択されたものであります。  この条約は、民間職業仲介事業所運営を認め及びそのサービスを利用する労働者を保護するために必要な枠組みについて定めたものであります。  我が国がこの条約締結することは、民間職業仲介事業所が国際的な基準に従って運営されることを確保するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  最後に、航空業務に関する日本国政府イスラエル国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、イスラエル国との間で航空協定締結するため、イスラエル国政府交渉を行いました結果、平成十一年四月二十三日に東京において、先方ベンヤアコブ駐日大使との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定は、我が国イスラエル国との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国イスラエル国との間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村勉君。
  6. 木村勉

    木村(勉)委員 今提案された三つの条約について質問をさせていただきますけれども、その前に、ユーゴコソボ紛争について新しい展開がありましたので、ちょっと触れて質問させていただきます。  ユーゴ和平案を受諾したということで世界じゅうがほっとしているわけでございますけれども、これからまだ紆余曲折はあろうかと思います。NATO空爆がこれで停止される大きな前進をしたと思いますけれども、空爆が停止され、そしてまたユーゴ国内での悲惨な民族浄化政策がこれでもうやめになるのか、その辺の見通し高村外務大臣としてはどう認識されているか。また、日本政府としてはこの動きに対して今後どう対応していこうとしているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  7. 高村正彦

    高村国務大臣 ユーゴ政府和平案に合意したということは、和平に向けた大変大きな一歩であるというふうに考えております。ただ、これで確実に和平が達成できるかどうかということはなかなかそうも言い切れないところもあるわけでありますが、確実に和平に向かって進むように日本政府としても努力をしていきたい。  サミット外相会議が九、十と予定されております。場合によっては外相会議をそれよりも早く開こうという動きもあるようでありますが、そういう中で、まだ細かい点で詰め切っていないところがあるとすればそういうことを詰め切るように日本政府としてもお手伝いをしてまいりたい、こういうふうに考えております。  いずれにしても、できるだけ早くユーゴ軍あるいは治安部隊等が撤退を開始し、その後に難民が安全に帰還できるような条件が整うように期待しておりますし、そういう中で当然にNATO空爆もやむであろう、そういうことが早く来ることを期待しているわけでございます。
  8. 木村勉

    木村(勉)委員 和平案が受け入れられたといってもすぐはなかなか喜んでばかりいられないという懸念があるようでございますけれども、具体的にその懸念はどういうところにあるのか、もし差し支えなかったらお聞かせいただきたいと思います。
  9. 高村正彦

    高村国務大臣 具体的にどういうところにあるというよりも、今までの、ランブイエ合意案をのむのまないという話の中でも、NATO側からすれば、ミロシェビッチ大統領態度がかなりぐらぐらした、こういう感じを持っていて、言葉が適切かどうか別として、例えばアメリカなどは、ひょっとしたらまただまされるのではないかというような感じを持っているように聞いております。  ただ、国際的安全保障プレゼンスということの中身も、今までよりは相当詰まった形になっていると承知しておりますし、大きな和平に向けた一歩であったことは間違いないと思っておりますので、それをより確実に、これから国際社会、力を合わせてしてまいりたい、特にG8の中でそういうことをやってまいりたい、こういうふうに思っているわけであります。
  10. 木村勉

    木村(勉)委員 そういう大きな一歩にしていっていただきたいと思うんです。特に、八十万の難民が、全部国外じゃないわけですけれども、マケドニアとかアルバニアの方に多くの難民がいる。その難民に一日も早くコソボに帰ってきてもらう手だてをやはりしっかりすることが今大事なような気がしますし、それに対して日本政府は大いにお役に立てる立場にいるんじゃなかろうかな、こう思っています。ですから、難民のキャンプにテントを千張り送るとかなんかというのは対症的なことであって、できるだけ早く難民を帰してやれる、そういうコソボの、まずライフラインや何かの整備をしっかり支援してやって、それで早く帰れるようにしていくということを日本政府としては各国に呼びかけたらどうか。難民支援の、今高村外相も、サミットの前に外相会議をやるかもしれないというお話がございましたけれども、それに日本が、難民の早い帰還を促すための国際支援会議を提唱するというような形で、日本リーダーシップをとったらいかがかな、こう思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  11. 高村正彦

    高村国務大臣 難民帰還の前提というのはまさに、今の民族浄化等が行われている、そういったことについての政治解決をまずするということが第一でありまして、これは、先ほど申し上げましたように、G8外相会議等、今も断続的に政務局長会議事務方会議を行っていますが、そういった中で進めていきたい、こういうふうに思っております。  難民が帰る条件というのは、まずユーゴ軍あるいは治安部隊が撤退すること、そしてそれに伴って、国際的安全保障プレゼンス内容が少し詰まってきつつあるわけでありますが、そういったものが難民が安全に帰れるように一緒にコソボに入っていく、そういうことでありまして、その後で復興が始まるんだろうと思うんです。復興が始まらないと難民が帰れないということではないんだろうと思うんです。難民が帰って、その上で復興が始まっていくんだろうと。  その復興支援については、日本政府は既に一億ドルという、国際社会から大きく評価されるような金額を出すということを表明しているわけで、そういう意味では、紛争解決後の復興ということについては、日本政府は、お金を出しますよと、他の国に先んじてそういうことを申し上げることによって大きなリーダーシップをとっている、こういうふうに思うわけであります。  安全保障プレゼンスとともに、文民プレゼンス難民が帰っても、すぐ何らかの統治機構みたいなものが必要なわけで、そういった中に日本がどういう貢献ができるか、こういうことについても、国際社会と協議しつつ、日本政府としても検討をしてまいりたい、こういうふうに今思っている状況でございます。
  12. 木村勉

    木村(勉)委員 それでは、先ほど提案された三件についてお尋ねします。  イスラエルとの航空協定ということですけれども、これが承認されれば、イスラエルは年内にも関空乗り入れたいということらしいのですけれども、本協定締結の意義と、今後の我が国イスラエルとの関係あり方について、御見解をいただきたいと思います。
  13. 天江喜七郎

    天江説明員 お答えいたします。  日本イスラエル関係は、中東和平が軌道に乗りました一九九〇年から、人事往来あるいは要人往来等も含めまして、非常に盛んになってございますが、この三年くらいは横ばいでございます。  この協定ができることによりまして、直行便が引かれる結果、人的な往来につきましてはふえていくというように思われます。特に、二〇〇〇年は、キリスト教徒の方々はもちろんのこと、一般の方も、キリスト生誕二千年というようなことで、イスラエル政府も非常に観光等に力を入れておりますので、その関係でも、中東、特にイスラエルに対する観光客が多くなると思っております。
  14. 木村勉

    木村(勉)委員 関空乗り入れ予定エルアルイスラエル航空は、一九八五年のローマ、ウィーンの二空港同時襲撃事件を初め、過去何度もテロに襲撃されてきたわけでございます。関空乗り入れはいいんですけれども、テロ危険性が心配でございますので、その辺に対してどう認識し、対策をどう講じようとしているのか、お尋ねします。
  15. 小松一郎

    小松政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、イスラエルエルアル航空でございますけれども、過去にテロの被害に遭ったことがあるということでございまして、保安措置の問題につきましては、両国も非常に重要だと考えているわけでございます。  この条約航空協定の十三条にこの保安措置の点が記載してございますけれども、具体的には、イスラエル航空企業我が国への乗り入れに際しましての保安措置あり方に関しましては、航空交渉に先立って専門家による協議が行われておりまして、イスラエルの航空機が乗り入れ空港における、搭乗前の乗客へのインタビュー実施インタビュースペースの確保など、国内法で認められる範囲内で必要な自主的保安措置実施することになっております。  なお、十三条の六項というところに、「両締約国の権限のある当局は、特別の保安措置に関する実施取決めについて合意することができる。」こういう規定がございまして、これは通常、我が国は五十数カ国と航空協定はもう既に結んでおりますけれども、この中に入っていない規定でございまして、保安措置のより詳細な点につきましては、この航空協定を御承認いただきまして、発効させました後、エルアル航空が提出する運航計画などを踏まえまして具体的に調整していくことになっておりまして、我が方といたしましては、適切な保安措置整備実施に万全を期していく考えでございます。
  16. 木村勉

    木村(勉)委員 ことし一月、中東を訪問した高村外相は、イスラエルによる南レバノン撤退問題について四項目提案を行いました。中東和平問題に対する我が国貢献は、これまで主にパレスチナの自立を助けるための経済支援に重点が置かれていたわけでございますが、日本政府としては、中東和平に関して、政治的な提案というのはこれが初めてだろうと思います。  ことし一月に外相中東を訪問した時期は、五月のイスラエル選挙が決定し、暫定自治期間が終了するまでの中東和平進展が絶望的となる一方で、パレスチナ政府自治期間の終了に合わせて独立宣言をする意思を表明しているという微妙な時期であったわけであります。こうした時期に高村外相南レバノン問題について四項目提案を行った意図、そしてまた、同提案に対するシリアレバノンイスラエル、各当事国反応についてお伺いしたい。
  17. 高村正彦

    高村国務大臣 南レバノンでは、和平プロセスが停滞している間にも戦闘状態が継続し、双方に数多くの死傷者を出し続けておりまして、一日も早く問題が解決することが喫緊の課題となっているわけでございます。我が国は、この問題の解決に少しでも貢献したいという考え方から、一月初めの私の中東訪問の際に、当事者間の議論の基礎、きっかけを提供することを意図して、南レバノン項目提案を行ったわけであります。  この提案に対しては、イスラエル政府は非常に前向きでありました。イスラエル政策と合致しているというふうに述べておりました。シリア政府は、日本の積極的な努力を評価すると言っておりましたし、レバノン政府からは、南レバノン安定化支援日本関心を払っていることを評価する、こういうことを言っていましたし、全体的に関係国から積極的な反応があった、こういうふうに思っております。  我が国としては、このような反応を踏まえて、引き続き関係国への働きかけを行っていきたい、こういうふうに思っております。
  18. 木村勉

    木村(勉)委員 先月の十七日、イスラエル首相の総選挙があったわけでございますけれども、労働党のバラク氏が選ばれました。バラク氏は、南レバノン撤退問題について一年以内に実施することを明言するとともに、シリアとの和平交渉についても再開用意があると述べております。また、ゴラン高原返還をめぐるシリアとの交渉についても、ラビン政権時代交渉が停止した時点から再開する用意があると言っております。バラク氏のこの態度表明により、シリアイスラエル間の交渉再開見通しが大きく開けました。  他方、南レバノン問題に関しては、さきに高村外相が四項目提案を行っており、我が国政府としても今後のイスラエルシリア間の交渉の行方には無関心でいる立場ではありません。高村外務大臣は、今後この問題の解決に向けて、我が国政府としてどのような側面支援を行っていくおつもりなのか、その可能性についてお伺いしたいと思います。
  19. 高村正彦

    高村国務大臣 イスラエルシリアの間の和平交渉は中断されたままでありまして、交渉再開させることは両国間の和平進展のために、また戦闘状態が継続する南レバノン問題の解決との関連からも、ぜひとも必要であるわけであります。そのために、国際社会としても当事者間の交渉再開を促すとともに、それを積極的に支援していく必要がある、こういうふうに思っております。  我が国はこれまで、自分の中東訪問機会やあるいはシャラ・シリア外相の訪日の機会を通じて、シリアに対し、イスラエルとの交渉のテーブルに着くように求め、イスラエルに対しては、交渉に当たり、過去の経緯を考慮するよう求めてきたわけでございます。今後とも我が国としては、このような政治的な働きかけを粘り強く続けることにより、当事者和平努力支援していきたいと考えております。
  20. 木村勉

    木村(勉)委員 我が国はことし九月、東京パレスチナ支援国会合を開催する予定であります。パレスチナ支援我が国中東和平貢献策の柱であり、パレスチナ支援への拠出額でも米国に次ぐ額を行っております。中東和平問題は今後一年間が正念場になるものと予想されますが、我が国現時点リーダーシップをとれる分野といえば、やはりこの分野になるものと思われます。パレスチナにおける現在の経済的苦境を緩和し、パレスチナ住民和平への支持を確保することは、今後の交渉における良好な環境を生み出すものであり、非常に意味のある重要な貢献であろうと思われます。  九月に予定されているパレスチナ支援会合において、我が国はどのようにリーダーシップをとっていこうと考えているのか、外相の御見解を賜りたい。
  21. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国といたしましては、バラク首相のもとにイスラエルの新政権が樹立された後、速やかにパレスチナとの和平プロセス再開されて、ワイリバー合意実施パレスチナ最終的地位交渉が加速化された形で進展することを強く希望しているわけでございます。私は、これからも引き続き、イスラエルパレスチナ双方と密接な意見交換を行いつつ、和平実現に向けての働きかけ支援協力を積極的に行っていきたいと考えております。  その一環として、我が国は、本年九月にパレスチナ支援調整会合東京で開催し、中東和平プロセスパレスチナ人に対する国際社会全体としての支援の姿勢を示す機会としたいと考えているわけでございます。この会合におきましては、我が国のイニシアチブにより、過去の援助の評価や効果的な援助国間調整を行うとともに、援助を通じた和平当事者間の信頼醸成などについて議論したい、こういうふうに思っております。
  22. 木村勉

    木村(勉)委員 次に、国際原子力機関との保障措置協定追加議定書についてでございますけれども、これは、イラク及び北朝鮮核開発疑惑を契機として作成されたわけでありましたけれども、今回のこの措置で今後このような疑惑が生じることは十分防げるのかどうか、あるいは、今後さらなる保障措置制度拡充強化が必要になるのかどうか、それについてお答えいただきたいと思います。
  23. 高村正彦

    高村国務大臣 北朝鮮IAEAとの追加議定書締結のための交渉が開始される見通しがあるとは承知していないわけであります。そういう中で、この議定書によって北朝鮮核開発が防げるかといえば、なかなかそういうことではないということかもしれませんが、我が国としては、将来的には北朝鮮追加議定書締結すべきと考えていますが、現時点では、KEDO軽水炉プロジェクト進展の過程で北朝鮮IAEAとの保障措置協定完全履行を達成するということが重要であると考えており、KEDOプロジェクトの推進に努める考えでございます。  イラクについても、IAEAとの間で追加議定書締結のための交渉は現在まで行われていない、こう承知をしているわけであります。イラク追加議定書締結すべきであると考えますが、まずは、イラクの場合は、国連安保理決議に基づく核分野を含む大量破壊兵器の廃棄という義務を完全に履行することが重要であると考えております。  いずれにいたしましても、我が国としては、より多くの国が追加議定書締結するよう、外交上の働きかけを通じて引き続き努力していきたいと思っております。
  24. 木村勉

    木村(勉)委員 北朝鮮の核疑惑の問題からこういう議定書ができたんですけれども、北朝鮮というのは一番予測しがたい、なかなかわからない国でございまして、そういう国が日本の隣にあるということは、日本の安全保障にとって大変な不安要因でございます。  米国のペリー北朝鮮政策調整官が検討を進めている包括的かつ統合されたアプローチの具体的な内容というのはどういうものが含まれているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  25. 高村正彦

    高村国務大臣 ペリー北朝鮮政策調整官が検討をしている包括的かつ統合されたアプローチは、実現可能な対北朝鮮政策の選択肢として、核やミサイル問題等の安全保障問題及び拉致問題等の人道問題を含む包括的なものであり、かつ、日米韓三国の協調により統合されたアプローチであると承知をしております。  このような内容我が国立場を十分踏まえたものでありますので、我が国政府はこれを支持しているわけでございます。
  26. 木村勉

    木村(勉)委員 前回のこの外務委員会でも、北朝鮮の最高指導者の金正日を国際社会に出すべきだというような議論があったわけですけれども、それは、向こうの意思もあって、国際社会へのコミットといいますか、なかなか難しいんだろうと思います。  冷戦が崩壊した過程で、東欧が割合大きな戦争もなく軟着陸できたのは、情報が世界各国から入っていたということが大きかったわけでございまして、今北朝鮮は、情報操作といいますか、三十八度線あたりには妨害電波を発して、なかなか外部の情報が入らないようにされているようでございますけれども、私は、北朝鮮をソフトランディングさせていくためには、やはりその内部の国民の皆さん方に世界の情勢を客観的に理解してもらえるようなことがどうも大事なような気がするわけでございます。日本として、日本海を通じてあるわけでございまして、もっと客観的な情報を北朝鮮に流すといいますか、送るといいますか、そういうことを考えて、ひとつ内部からの世界を見る目を養っていただいて、余り暴走するようなことのないようなソフトランディングを図っていくことがとても大事なような気がするわけです。  これだけ技術が発展しているわけですから、妨害されても何らかの形で北朝鮮の方々に世界の情勢がわかるような、決して一国のプロパガンダじゃない、客観的な事実が伝わるような方法というものは日本政府としては考えられないのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 高村正彦

    高村国務大臣 政府といたしましても、北朝鮮国際社会に開かれた体制となることが望ましく、関係諸国、とりわけ日米韓との関係の改善が望ましいと考えております。  北朝鮮は、最近一カ月の間に、ペリー米国北朝鮮政策調整官の訪朝、金永南最高人民会議常任委員長の訪中、南北次官級当局会談の開催についての韓国との合意等、国際社会への関与を増大してきていますが、そのような動きは基本的に好ましいと考えております。  今委員が御指摘になりましたように、北朝鮮の人々がより多くの客観的な情報を与えられることは基本的に好ましいと考えますけれども、北朝鮮は社会の隅々まで統制の張りめぐらされた強固な統治体制をしいており、外部からの情報が自由に流れる体制となっていないわけでありまして、まさにより多くの関与とより自由な外部との交流を促進するよう意を用いていく必要があると考えております。
  28. 木村勉

    木村(勉)委員 最後に、民間職業仲介事業所条約の件でございます。  今までのILOの方針と大分方向が転換されたわけでございますけれども、それに至った経緯について、もう一つは、今の日本の大きな社会問題になっております雇用の不安、失業率が四・八%、男性は五%を超えたということでございまして、これが批准されることによって、今までの日本の失業の実態を説明していただくと同時に、これが失業対策にどういう貢献ができるか、それについてお答えいただきたいと思うのです。
  29. 上田秀明

    ○上田政府委員 経緯について私からお答え申し上げます。  ILOでこの職業紹介に関します条約は、まず昭和八年に、営利目的の有料紹介所を三年以内に廃止するというようなことを決めました条約ができたのですけれども、この条約規定が厳し過ぎるというような意見が出されまして、それを改正する形で、昭和二十四年に、営利目的の有料職業紹介所を漸進的に廃止する、または規制するという第九十六号条約が採択されました。  その当時は、労働市場が現在ほどは発達しておらなくて、一部の業者による搾取まがいの行為が頻発しておったというようなこと、あるいは公共職業安定組織が未整備だったというようなことから、九十六号のような条約が意義があったものと思います。  しかし、その後、産業構造が変化し、労働者の就業意識の変化、質、量、多様化というようなことがございまして、また高度な技術を有する労働者を求めるという、労働市場が大きく変化をしてまいりまして、こういうところを踏まえまして、労働需給の調整機能を強化する必要があるという考えが広まってまいりまして、民間職業仲介事業所の役割が増大してきているということから、これらを運営するに当たっての国際的な基準を定めて、第九十六号条約を改正する条約ということでこの第百八十一号条約が一九九七年のILO総会において採択されたものでございます。  雇用情勢等に与えます影響等につきましては、労働省の方から御答弁いただきます。
  30. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 この六月一日に発表になりました本年四月の失業率は、今御指摘のように、四・八%と大変高い失業状態が続いているわけであります。  この失業の内容につきましては二種類あるというふうに考えておりまして、まず一つが需要が不足しているために生じている失業、もう一つは、需要はあるけれども、労使の需要供給といいますか、そのニーズがマッチをしないために生じている失業がありまして、この割合が近年我が国においては相当高まっているというふうに考えております。この四月の失業率四・八%の内訳としましても、後者のミスマッチによる失業というものが三・三%程度を占めているのではないかというふうに考えております。  実際に、公共職業安定所に寄せられる求人を見ましても、例えば技術、専門職のようなものにつきましては求人がかなり多いのですけれども、求職者の方は一般事務とかあるいは管理事務とかこういった希望が多いというふうに、なかなかこれは結びつかないというふうなことがございます。  そういったことで、需要不足の解消に努めることはもちろんですが、需要はあるけれども労働市場でマッチングしない、こういった失業の解消に努めていくことが失業情勢の解消に大いに意義のあることだというふうに思っています。  この百八十一号条約を受けました派遣法あるいは職業安定法の改正を今御審議いただいておりますが、この改正によって民間の活力を大いに活用しまして、こういったミスマッチの解消に官民挙げて取り組むことによって、できるだけ速やかな失業の解消というものが図られるというふうに大いに期待しているところであります。
  31. 木村勉

    木村(勉)委員 もう質問は終わりました。ありがとうございます。
  32. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、川内博史君。
  33. 川内博史

    ○川内委員 民主党の川内博史でございます。大臣、きょうもよろしくお願いします。  質問通告をさせていただいていないので本当に恐縮なんでございますが、けさの新聞の報道のことでございますので、御容赦をいただいて御答弁をいただければありがたいなというふうに思うのです。  委員の皆さん方も、けさ新聞の一面に出ておりましたので、皆さんよくよくご存じだと思いますが、ユーゴスラビアの問題に関して、コソボの紛争に関して和平合意が成立をした、空爆停止へ向かうかというようなサブキャッチがついておりましたけれども、そういう大きな報道があったわけでございます。  このユーゴスラビアの問題に関して、この報道を受けて、政府としてどのようにお考えになっていらっしゃるかということを最初に、本当に通告していないので申しわけないのですけれども、御答弁をいただきたいというふうに思います。
  34. 高村正彦

    高村国務大臣 政治解決へ向けた大きな一歩である、これが確実に政治解決に向かうよう、日本政府としてもG8等の場を通じて努力をしていきたい、こういうふうに思っております。  和平案の骨子、これはマスコミ等にも報道されておりますが、簡単に言いますか。  ユーゴ軍治安部隊等を含むすべての部隊が撤退する。それから、NATOを中核としつつ、ロシアや中立国も参加する国際平和部隊が駐留する。統一的な指揮系統を有する。このNATOを中核としつつというところを認めたということが、ユーゴ政府が大きく一歩踏み出したということだと思っております。それから、一定期間内にユーゴ軍治安部隊を撤退させ、それに応じて、NATO側空爆を一時停止する。ある程度撤退したら、停止して様子を見るということなんだろうと思っております。  それで、アハティサーリ大統領によれば、今後、ユーゴ軍部とNATO軍の間で接触が行われるとともに、具体的な撤退の仕方及びその検証方法につき協議が行われ、同時に、国連安保理において国際安全保障プレゼンスに権限を与える安保理決議作成作業が行われることになる、こういうことでございます。
  35. 川内博史

    ○川内委員 この問題については、解決へ向けた大きな一歩が生まれたわけでございますので、ぜひ、日本政府としても頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、私がこの外務委員会でずっと取り上げさせていただいております中米のドミニカの日本人移住者の問題に関してでございます。  五月十三日の外務委員会で、昭和三十一年当時の日本とドミニカの外交文書の、公式文書の交換公文ですか、この文書の公開をしてくださいというふうにお願いをしている件。それと、ドミニカ政府から日本人移住者に対して譲渡の申し出があったラ・ルイーサ地区の土地の調査報告書に関して、その報告書をぜひお見せいただきたいという、文書の公開と調査報告書の公開、二点に関して進捗状況を。  文書公開に関しては、ドミニカ政府の公開してもいいですよという了解を待っているところだというふうに御答弁があり、また、土地の調査報告書に関してはお見せしますよということだったのですけれども、五月十三日から、きょう六月四日、ほぼ二十日、三週間程度たっているわけですが、進捗状況がどうなっているのかということをお尋ねさせていただきます。
  36. 高村正彦

    高村国務大臣 いわゆるメルカード書簡の公開について、ドミニカ政府に公開していいかどうか問い合わせているのですが、いまだに返事がありませんので、さらに督促をしているところでございます。  それから、土地の調査報告書については、先週、移住者に対して郵送したところでございます。今ここにありますので、委員にお渡しします。
  37. 川内博史

    ○川内委員 どうもありがとうございました。調査報告書は今手元にしっかりいただいたので、しっかり読ませていただきたいと思います。  メルカード書簡の件に関してでございますが、事務方からで結構でございます。今非常に情報通信も発達しておりますので、三週間たっても返事がないというのは余りに時間がかかり過ぎるんじゃないかなというふうに思うのです。この文書の公開をしてもいいかということを文書で申し入れたのか、それとも口頭なのか、それはいつされたのか、そして督促を何回したのか、いつしたのかという事務的なことについて、ぜひ御説明をいただきたいと思います。
  38. 内藤昌平

    ○内藤説明員 この書簡の公開をしたいということは、先月、五月の初めに書類で、口上書をもって、大使館が先方外務省に対して行っております。それに対する返事は、実は彼らが農地庁等の了解をとるために手続中ということで、その手続をできるだけ早くしてほしいということは随時督促してございます。
  39. 川内博史

    ○川内委員 ぜひ、きょうのこの調査報告書のように、次の外務委員会でその文書をまた大臣からいただければ私も大変に幸せでございます。よろしくお願いをしたいというふうに思います。  続いて、条約三本についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず、イスラエルとの航空協定に関連してでございます。  今回、イスラエルとの航空協定ができて、今後、イスラエルとの人的交流というものがさらに一層進んでくるんだろうというふうに思うのですが、イスラエルでは、先月の総選挙で、私などは全然予想もしていなかったのですけれども、ネタニヤフさんからバラクさんに首相が交代をされたわけでございます。  このバラクさんという方は、私は、大変不勉強で恥ずかしいお話なんですが、新聞でイスラエル首相バラク氏が当選というのを読んで初めてバラクさんという人の名前を知ったぐらいでございまして、本当に勉強不足だったなというふうに反省をしているのですけれども、大変な和平の推進者であるということで、パレスチナ和平にも大きなお働きをされる方であろうというふうに思います。  外務大臣は、ことしの一月に、今回新しく首相になられたバラクさんに、当時野党の党首としてお会いになっていらっしゃるわけでございますが、一月にバラクさんにお会いになったときに、大臣は、この人がもしかしたら次の首相になる人なんだなというふうにお思いになってお会いになられたのか。  また、外務省として、もしかしたらネタニヤフさんを破って新しい首相になるかもしれぬということで、大臣を引き合わされたのか。外務省としての分析みたいなものも、事務方からあわせて。  まず、大臣から、そのときの感想を御答弁いただいて、イスラエルの政治状況についてどういうふうに分析をされていらっしゃったかということを事務方から御答弁いただきたいと思います。
  40. 高村正彦

    高村国務大臣 私は、バラク労働党党首との会談を通じて、バラク党首が中東和平等の諸問題に対して明確なビジョンを持っておられる、これらの問題に前向きに取り組む姿勢を有した人物、そういう印象を受けたわけでございます。  当時、事務方からは、次の選挙首相になる可能性が十分ある人だ、だれとも言えない、どちらとも言えないが、十分にその可能性があるという説明は受けておりました。
  41. 天江喜七郎

    天江説明員 イスラエルの総選挙でございますが、直前まで五人の候補が争っておりまして、その段階では、バラク候補とネタニヤフ候補、どちらがリードするかということにつきましてはいろいろな判断があったわけでございます。  第二回目の決選投票というのが六月一日で、あるいは決選投票までもつれ込むかもしれないなというような観測もございました。しかし、最初の投票日の五月十七日の二日前に三名の候補が相次いで辞退いたしまして、結局はバラク候補とネタニヤフ候補二人の決選投票が第一回で行われることになったときに、もう既に、やめた方々はバラク票に自分たちの票が行くようにということでやめられたということで、これは勝負があったなというふうに見たわけでございます。  以上でございます。
  42. 川内博史

    ○川内委員 日本の政治家の中で、現時点で新しいイスラエル首相バラクさんと会談をされたというのは、高村大臣を筆頭に恐らくそんなに数多くはないと思うのです。今後もまた、パレスチナ和平へ向けて、高村大臣にも、バラクさんが首相になられる前から知っていたという御縁を生かしてぜひ頑張っていただきたいなと思っています。  そして次に、ILO百八十一号条約に関してでございますが、民間職業仲介事業所に関する条約でございます。  この条約の目的というのは、その第二条に、「この条約の目的は、」「民間職業仲介事業所運営を認め及びそのサービスを利用する労働者を保護することにある。」と。「そのサービスを利用する労働者を保護することにある。」というふうに、労働者の保護を大きな目的にしているようでございます。  二年前のILO総会でこの百八十一号条約が採択をされたときには、我が国からは、政府、労働界、経済界、使用者側、この政労使の代表が出席をして、それぞれに投票権を持ち、それぞれに政労使が賛成票を投じたということでありますが、このILOの百八十一号条約の第二条、目的がそのサービスを利用する労働者を保護することにあるこの条約の趣旨に政労使ともに賛同をしたということであろうと思うわけでございます。  ところが、今国会で衆議院を通過いたしました労働者派遣法、この条約を受けて国内法整備にかかった段階で、審議会においては労働側の代表が反発をして反対をするというような新聞やテレビでの報道もございましたし、この国会の周辺でも労働界、労働者の皆さん方が連日にわたって集会をされ、派遣労働者の権利を守ってくれというような声が多く出ているわけでございますが、労働者の権利を守る、労働者を保護するという条約の趣旨が、ある意味では国内法に十分に生かされなかったからこそ、こういう労働界、労働者の皆さん方からの反発というものが起きているのではないかと考えるわけです。  ILOの条約を採択した所管の省庁というか責任大臣として、条約国内法との関係労働者の権利を十分に守ってくださいよという条約と、一方では労働界の反発が起きている国内法について、外務大臣としてその整合性をどうお考えになられるかというところをお聞かせいただきたいですし、あわせて労働省の見解も承りたいというふうに思います。
  43. 高村正彦

    高村国務大臣 本条約に定める労働者の保護措置につきましては、現行法及び今回の関連国内法の改正により、遺漏なく実施されることとなるわけでございます。  関連国内法の改正を検討した審議会においてはさまざまな観点から議論が行われたと承知しておりますが、本条約を批准すること及び本条約の義務を担保するための国内法の改正を行うことについては、労使ともに意見が一致していたというふうに私は聞いております。
  44. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 今般、労働者派遣法の改正を行うにつきましては、大きい論点が二つあったかと思います。  一つは、派遣労働の拡大によって不安定就労を拡大させるのではないかという点と、もう一つは、今御指摘のありました、労働者の保護の充実強化をどうやって図っていくかという二点であったと思います。  前者につきましては、今般、派遣労働の対象業務を拡大するについて一年以内の派遣に限定をするという縛りをかけまして、常用労働との代替を厳しく制限するという措置をいろいろととりました。一年を超えて派遣したときには労働大臣の改善命令、改善命令に従わないときは罰則を科するというふうなことにしておりますし、また、後者につきましては、御指摘の百八十一号条約二条にそのような規定がありますし、また六条にも、労働者の個人情報の保護及び労働者のプライバシーの尊重、こういった規定もあるわけでございます。  この点につきましては、改正法案では、派遣労働者の情報の収集につきまして、事業目的に必要な範囲内での派遣労働者の個人情報の収集、こういうものに限定をしていると同時に、従来規定がありませんでしたが、派遣労働者の秘密の漏えいの禁止規定を設けました。あるいは、違法事案がありましたときには労働大臣へ申告する権利というものを新しく設け、また、この申告をしたことを理由とする不利益取り扱いの禁止等の条項も盛り込んだところでございます。  この法案が衆議院を通過するに当たりましては、衆議院におきまして、一年を超えて派遣を受け入れている場合における労働大臣の派遣先への当該労働者の雇い入れ勧告権、あるいはセクシュアルハラスメントの防止につきまして男女雇用機会均等法に定められたセクシュアルハラスメントの防止の規定を派遣先にも適用する、こういった修正がなされまして衆議院を通過いたしております。  現在参議院で審議中でありますが、成立後はこういった規定の適用に適正を期しまして、派遣就労が適正に行われるように努力をしたいと考えているところであります。     〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
  45. 川内博史

    ○川内委員 今、大臣から、労使ともに一致した意見として条約を採択したんだというふうに認識していると。もちろん、そのとおりだと私も認識をしております。  もう一度労働省の方から御答弁をいただきたいのです。今るる御説明があったわけでございますが、私がお尋ねをした趣旨というのは、平たく言えば、この労働者の保護を目的とした条約を受けて国内法整備をしようとしているにもかかわらず、なぜ労働界の皆さん方が、労働者の皆さん方が反発をされるんでしょうかということをお尋ねしたわけです。これこれこうで自分たちは一生懸命こういうことを定めましたと。それはもちろん一生懸命やられていることは私も十分に認識をしていますし、それは理解もしています。ただ、じゃどうして国会の周りにまで来て反対反対と言われるんでしょう、その辺の分析はされていらっしゃいますかということをお尋ねしたわけでございますので、もう一度お答えいただけますか。
  46. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 この労働者派遣法につきましては、先ほど申し上げましたように、衆議院においても修正がなされて、現在参議院で審議中でございますが、その衆議院におきます議論、あるいは現在参議院で行われておる議論におきましても、例えば派遣労働者につきます社会保険、労働保険の適用等、これは会計検査院の指摘も受けたこともあるわけですが、なかなか適正にこの保険への加入が行われていないような問題、あるいは派遣には常用型と登録型と二種類ありますが、特に登録型の派遣というのは大変不安定な就労形態なので、これについては認めるべきではないのではないかというふうな、いろいろな御議論がありました。  今委員御指摘のように、こういった問題については、さらに将来の検討課題というふうにして残されているわけでありまして、今般の改正によってすべての問題が解決したとは私ども見ておりません。その点につきましては、衆議院における附帯決議等々で、さらに三年後の見直し等の段階において適正に見直しの検討をするというふうに意見が付せられております。  私ども、新しい法律が適用、改正されました場合には、その施行状況を見ながら、なおいろいろと御指摘された問題について十分吟味をする必要があるというふうに考えております。
  47. 川内博史

    ○川内委員 ぜひ今後も、働く方たちの権利を守るというか保護していただくために、今も十分に御努力をいただいているわけでございますが、さらに一層御努力をいただけますようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  次に、IAEA保障措置協定追加議定書についてでございますが、ちょっと私、論点を変えて、先ほどイラク北朝鮮の問題もちょっと議論に出たわけでございますが、そもそもIAEAによる保障措置制度というのは、核兵器保有国が核兵器を持っていない国、核を持っていない国に対してある程度強い権限を持って査察を行うというような意味合いがあるのではないか。どうも核兵器保有国の既得権益保持のための制度のように思えてならないわけでございます。  アメリカやロシアといった核兵器大国が、IAEAを隠れみのにして、核兵器というのは非常に兵器自体のコストパフォーマンスでいけば安上がりで、しかも大変な交渉力を持てる、威力を持つという意味では、言葉は悪いですが、それほど豊かでない国にとっては、それを持つことが安いコストで自国の交渉力を高めるという意味では、持ちたいという誘惑に駆られる兵器なのかなというふうにも私は思っているんですけれども、核兵器保有国が核を持っていない国を抑え込むために、持ちたいと思っている国を抑え込むためにつくられた機関のような気がしてどうもしようがないわけでございます。  なぜそういうふうに思うかというと、いつぞやの新聞で見たんですけれども、アメリカではプルトニウム二・三トンがエネルギー省管轄下の核関連施設で行方不明になっているという記事や、また、ロシア国内に保管されている核物質の管理が非常にずさんで、原爆開発をたくらむ団体や国家に流出するおそれがあるという報告書を、これまた自分自身は非常にずさんな管理をしているアメリカの米科学アカデミーがまとめたという新聞報道もあるわけでございます。アメリカやロシアのこれらの核関連施設で非常に甘い管理体制、警備体制がある。  また、ロシア国内には核兵器以外に約七十五トンのプルトニウムと六百トンの高濃縮ウランが保管をされているということでありますから、そういう核大国は、非常に管理がずさんであったり警備が甘かったりする割には、核を持たない国、核兵器を持たない国に対しては非常に厳しい査察をしようとするというのは、どうもIAEAというものの実効性をもうちょっと日本は被爆国として強化していく必要があるんじゃないか、そのために私たち日本人なり日本政府としてなし得ることがあるのではないかというふうに思うんです。  大ぐくりな質問になってしまいましたけれども、ぜひ大臣から、IAEAに関する評価とその実効性、そしてまた、日本が被爆国として、核兵器なんというものはこの地球上から本当になくしていかなきゃいけない、核というのは平和利用のためだけに、人間が安心して楽しく暮らすためだけのエネルギーとして使っていくべきなんだ、そういう動きをしていかなければならないと思うんですけれども、その辺の取り組みについて御答弁をいただきたいというふうに思います。
  48. 高村正彦

    高村国務大臣 核兵器拡散条約、NPTのもとでの核不拡散体制は、核兵器国に対する核軍縮の努力を求めつつ、これ以上核兵器国をふやさないことを確保することを目的とするものであり、世界の大多数の国がNPTを締結し、この体制に参加しているわけでございます。IAEA保障措置制度は、このような不拡散体制を担保する重要な制度で、国際社会の平和と安全に大きく貢献してきたものと考えております。  現在御審議いただいている追加議定書が作成される契機となったイラク及び北朝鮮核開発疑惑に見られるように、冷戦終結後においても核不拡散体制強化国際社会全体が取り組むべき重要な課題であり、この追加議定書は、現行の保障措置制度強化、効率化を図り、核不拡散体制強化に資するものと考えております。  核物質の管理の問題でありますが、我が国として、その実態等について確認することはなかなか困難なわけでありますが、仮に適切な管理、防護がなされていないといった事態があるとすれば、極めて重大な問題であります。核物質の適正な管理、防護の問題は、一九九六年にモスクワで開かれた原子力安全サミットでも取り上げられておりますが、今後とも国際的に取り組んでいくべき課題と認識しております。  IAEAの現行の保障措置協定は、核物質の計量管理を中心とする仕組みであり、このような計量管理制度は、核物質防護条約に基づく核物質の防護制度とともに、各国における核物質の適切な管理の根幹をなすものと考えております。  現行の保障措置協定強化及び改善を図るものとして作成された追加議定書は、未申告の核物質や原子力活動のIAEAによる探知を可能とする制度を整えることを主眼とするものであり、その締結は、各国における核物質の適切な管理に資するものと考えております。  我が国は、広島、長崎の悲劇を経験した国として、核の惨禍が二度と繰り返されないよう、核兵器のない世界を目指して、現実的な措置を着実に積み重ねていくことが重要であると考えております。特に、米ロ両国に対しては、STARTプロセスの促進を強く求める等、核兵器国に対して核軍縮努力を一層強化するよう求めております。  また、CTBTの早期発効に向けて、インド、パキスタン等の未締結の国に対する働きかけや、ジュネーブ軍縮会議におけるカットオフ条約交渉の早期開始のため、積極的なイニシアチブを発揮しているわけでございます。  さらに、昨年の国連総会におきましては、核軍縮に関する将来の措置についての多国間での議論及び五核兵器国による交渉を通じた核戦力の削減を掲げた決議案を提出し、この決議案は圧倒的多数の支持を得て採択されたわけでございます。賛成が百六十、反対がゼロ、棄権十一でありました。  我が国は、今後ともこのような努力を粘り強く積み重ねていくことが肝要と考えております。
  49. 川内博史

    ○川内委員 ありがとうございました。
  50. 森山眞弓

    ○森山委員長代理 次に、藤田幸久君。
  51. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 きょうは、まず日本イスラエル航空協定について御質問したいと思います。  イスラエルエルアルという航空会社、非常にいろいろなところで今までテロ等の洗礼を受けてきているわけです。したがいまして、日本乗り入れをするとなるとさまざまな安全措置が必要であるというふうに聞いております。例えば、あすは六月五日の土曜日でございますけれども、あすエルアル関空に着くというふうになる場合にどのような保安体制が必要かということについて、まずお答えをいただきたいと思います。
  52. 高村正彦

    高村国務大臣 イスラエル航空企業我が国への乗り入れに際しての保安措置あり方に関しましては、航空交渉に先立って専門家による協議が行われました。イスラエルの航空機が乗り入れ空港における搭乗前の乗客へのインタビュー実施インタビュースペースの確保等、国内法で認められる範囲の必要な自主的保安措置実施することとなっております。  保安措置のより詳細な点につきましては、本件航空協定の発効後、エルアル航空が提出する運航計画等を踏まえて調整していくこととしておりまして、我が方としましては、適切な保安措置整備実施に万全を期していく考えでございます。
  53. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 午後の時間ですので、ジョークじゃありませんが、六月五日土曜日に関空に着く場合にというふうに私は質問したんですが、土曜日はエルアル航空は飛ばないことになっております。  つまり、実は私、前にジュネーブにおりましたときに、エルアル航空に乗った日本人の乗客がジュネーブに着くことになっておりました。それでABCという時刻表を見たら、エルアル航空は着かないことになっていたんです。実際にはその飛行機は飛んでおりまして、ところが、飛んでいるけれども時刻表に載せてはいけないということになっていたんです。つまり、土曜日は安息日ですので、エルアル航空は本当は飛んじゃいけないと。飛んでおったけれども載せちゃいけないというのが当時の状況でございました。現在は、載せないだけじゃなくて、飛ぶことも土曜日は禁止されているというのがエルアル航空の状況だそうでございます。  ちょっとジョークのような話を申し上げましたが、恐らく今までの通念では考えられないようなことが習慣、宗教上起こり得るということで、土曜日にエルアル航空が飛ぶということはあり得ないというようなこともございますので、ちょっと、こういう時間でございますので、参考までに申し上げました。  それはさておきまして、そういったことも含めまして、恐らく今までの日本の、こういうふうにチェックをすればこういうふうにうまく対応できるだろうということの想像を超えたようなことも実は起こり得るんじゃないか。  いろいろな新聞報道にもございますけれども、例えば、エルアル航空の方では二重にいわゆる検査装置を置きたいと言っているとか、それから、やはり警備上に独自の、日本で言えば銃刀法の関係で、保安要員というのは置けないわけですけれども、そういったことを超えたような安全措置エルアル航空側が求めてきた場合にどうするのか。その辺、どの程度まで実際に詰めておるのか、余り長くならない程度で、差し支えない範囲で聞かせていただければ幸いです。
  54. 天江喜七郎

    天江説明員 この交渉は、九二年六月から七年にわたりまして行ってきたんですが、その最大の眼目である問題点は、テロをいかに防止するかということでございまして、日本イスラエルの当局との間で頻繁にこの問題についての議論をしてきたわけでございます。  ことしまとまりましたのは、この問題につきましてイスラエル側が譲歩したということがあるわけでございますが、先ほど先生が言われましたように、エルアル航空関係でのテロ事件を見てみますと、三十年間で約六十件弱起こっておりますが、一九九〇年五月以降は基本的に全然起こっておらない。これは、中東和平の進みぐあい等々も、またテロに対する国際的な世論の高まりというのはあろうかと思いますが。この辺につきまして、保安の具体的な措置につきましては、機微な点にございますものですから、一切外には出ておらないという点を御理解いただきたいと思いますが、新しいハイテクの装置の導入等も含めまして、いろいろ検討が進んでおるというふうに理解しております。
  55. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございました。ぜひその辺、よく詰めて、お願いをしたいと思います。  次に、ケルン・サミットについて、もう間近でございますのでお聞きしたいと思いますが、国会で私も何回か債務の帳消し問題について質問してまいりましたが、また引き続き質問させていただきたいと思います。  最近、いわゆる日本スキームという案が提示をされております。これは、いわばリスケをして四十年間に延長するということで、ある意味では、先に延びるということで、今の日本の法体系の中では便法化のようにも見えるのですが、しかし、四十年かかるということは利息が加わりますから、金額が実質三倍近くなってしまうと思います。今九千五百ですから、大体三兆円ぐらいになるんだろうと思うんですけれども。その三兆円に実質ふえるということは、もちろん、四十年ということは今生まれていないような人を対象にした形になるということ自体がどうかということと、いわば不良債権を先延ばししたツケというものが、あるいはその問題処理の難しさというものを最近経験をしたばかりでございますが、これもやはりそういった面もある。  具体的には、返す方も、それからそれをやがていわば帳消しにする方も額がふえるわけですね。両方とも三兆円になってしまう。結局、両方にとって負担増というふうにも考えられるわけですが、その点について、大臣どうお考えになりますでしょうか。
  56. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 ただいまケルン・サミットに向けて議論されております重債務貧困国の債務の救済の問題でございますけれども、日本提案しておりますといいますか、日本のやり方というのは、基本的に自助努力というのを尊重しつつ、同時に重債務国の負担を和らげる、二つの目的をうまく調和させる形でこの問題に対応したいということでございます。  具体的には、今先生から御指摘のありましたように、適用国に対しまして四十年繰り延べる、そのうち十六年は猶予期間でございますけれども、こういう長期の繰り延べを行います。この長期の繰り延べを行いますと、この措置によって実質的に六七%の削減をしたのと同等の効果を持つ、こういうふうに国際的にも理解され、受け入れられておるわけでございますが、これをさらに六七%から一〇〇%まで上げるというのが今般のODA債権の処理に関します日本考え方でございます。  それで、繰り延べることによりまして確かに将来的には債務のストックということでは減っていかないわけでございまして、これを減らすためにはいわゆる帳消しをするしかないわけでございます。しかし、こういう超長期の繰り延べによりまして、一つは、相当大きな削減率に結びつく、六七%以上のものに結びつくわけでございまして、加えまして、返済に見合う債務救済無償というのを供与いたしますので、これを合わせれば大変に実質的な債務救済になるということで、この考え方そのものは、債務救済方法としては一般に国際的にも受け入れられる一つのオプションであるということでございますので、これはこれでこれからの重債務国の負担問題に対する有力な対応策であろうというふうに思っております。
  57. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 結局、基本的な考え方ですが、いわゆる金を貸している側が金貸しの論理で自助努力ということを話しているような気がしまして、自助努力をはるかに超えて、それが構造的に、場合によっては紛争、不安定の原因にもなりかねない。したがって、ストックそのものを変えていかない限り根本的な解決にならないという流れが、去年は七万人がバーミンガムに集まり、ことしは十万人がケルンに集まる。そして、聞くところによりますと、世界じゅうから二千万人の署名を持った方々がシュレーダー首相にその署名を手渡す。日本からも四十八万人の署名が集まる。今週でしょうか、そういう署名が野中官房長官にも渡されたそうでございますけれども。基本的なそのストックを減らすということ。それから、自助努力というのは、ある意味では手に届く範囲での自助努力。ただ、これは例えば、通貨が変わったり、それから穀物市場の変動があったりしてはるかに超えてしまっているので対応している。  したがって、それに対する便法的、もちろん何もしないよりはよろしいんですけれども、そういう視点からの取り組みが日本のこれからの外交姿勢としても必要ではないかということで申し上げているんですが、このストックを減らすという考え方はとれませんでしょうか。
  58. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 この債務の救済に対します方法論としまして、確かに、直接的な帳消しをすることによってストックを減らしていくということはもちろんあるわけでございまして、欧米の幾つかの国はこういうやり方をとっております。  他方、日本のような考え方につきましても、これはこれで日本援助理念の基本的な部分でございますし、先進国の中にも、こういうやり方については、これは十分一つの行き方として理があるというふうに見られておるわけでございます。  あえて申し上げますと、キャンセルをいたしますと基本的にはもはやその国の信用度というものを対外的に認めさせるということが非常に難しくなりますので、結局キャンセルするということは、確かに債務負担の軽減にはなりますけれども、最終的には、やはり経済が成長してその中で経済発展をやっていくということが基本にならねばならないわけでございますので、そういう意味でこのキャンセルという考え方は、これはこれで一つの対応でございますけれども、別の、自助努力を大切にし、それから経済の発展の基盤そのものも尊重する、つまり、必要な時点が来ればニューマネーの注入による対応もあり得る、そういう手段も当然この債務問題の解決にはあっていいんだろうと思うんでございますね。  したがいまして、日本の今までとってきました対応というものも、これはこれで一つ十分な理由と合理性があるということではないかと思っております。
  59. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 別の角度から、日本政府がこういう日本スキームで行う場合に、債務救済の適用を受ける国には新規の円借款を供与しないということになっている関係で、対象国四十一カ国のうち、ベトナム、ミャンマー、ガーナ、ケニアですか、が恐らくそれを辞退するというふうに判断されておる、あるいは適用されないということのようですけれども。ということは、結局、今おっしゃったニューマネーが欲しいがゆえにこういった四カ国は適用を受けたくないと。そうすると、対応が、もちろん日本側だけの問題ではありませんけれども、何か結果的に中途半端になってしまうというような気もいたしますが、その辺はいかがでしょうか。
  60. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 確かに、重債務貧困国の今のリストに載っております四十一カ国の中に、アジアでは今先生が御指摘になりました三カ国が載っておるわけでございます。  例えば、ベトナムのような国をとってみますと、一応過去のいろいろな経緯でベトナム自身が債務をいろいろ抱えておるわけでございますけれども、現時点、それから、これから将来を見ますと、ベトナムが年七、八%の成長をこれまで維持してきておりますし、これからも大変にダイナミックな発展を遂げていくだろうという期待があるわけでございます。日本はそれをしっかり支えていく、こういう立場にあるわけでございますが、こういうベトナムが今リストに載っておるからということで債務救済を受ける、その結果ニューマネーが入らなくなる、あるいは非常に入りづらくなるということになりますと、それは、恐らくベトナムのこれからの経済発展戦略にとってかなり大きな影響を持ち得るだろうと思います。  私どもが今ベトナムがこれからどういう政策をとるかということを予断するわけにはいきませんけれども、一つの予測としては、恐らく債務救済の道をベトナム自身は選ばないで、別の発展戦略をとるんではないかというふうに考えております。ミャンマーにつきましては、ちょっといろいろ経緯がございますし、IMFそれから世界銀行等の調整政策そのものに今乗っておりませんので、ちょっとカテゴリーが難しゅうございますけれども。  そういうことで、この債務救済の措置というのは、やはりその国自身が自助努力に基づいて発展をする、そのために新規の借款を必要とする、そういう強い意思を持ち、かつ、その政策をきちんとやっていくという国に対しては、これはやはりそういう意思、政策というものが尊重されるべきでしょうし、日本としてもそういうものを支援していく、そういう姿勢は十分我々として持つべきではないかというふうに思います。
  61. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 前にも御質問しましたが、債務救済の無償資金協力というのがあります。要するに、まず返しなさい、そうしたらすぐその分を充当します、したがって負担はふえませんよという、便法的にそうなんですけれども。例えば、その場合に商品購入が義務づけられる、そうすると、やはりもともとの発想は、援助が教育だとか環境だとかあるいはベーシック・ヒューマン・ニーズに行かないということから発していますから、商品購入を義務づけるということは、せっかくそういう方法をとってもそういった社会発展等に行くという保証がないわけです。それから、実際にそれがどういうプロセスで行われているのかというその透明性も担保されない。  ですから、この債務救済無償資金協力というものが瞬間的にでも機能するためにはその辺を整備していく必要があると思いますけれども、でなければ、せっかくやる意味が結果的に余りないんではないかと思うんですが、その辺に対する対応はどうお考えでしょうか。     〔森山委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 債務救済無償の使途、その使われ方という点についての御指摘であるかと思います。  確かに、この点につきましては、原則として、日本に対します借款の元利返済がある、それに見合う同額を無償資金協力という形で提供、供与するわけでございますが、その場合の無償資金協力は、基本的には相手方にとっては商品の輸入に必要な外貨を提供する、これにほぼ等しいわけでございます。従来は、こういうことで債務救済無償の運用もやってきたわけでございます。  しかし、同時に、単に商品輸入の代価に使われるということではなくて、もう少しその国の、通常こういう国は貧困国でございますので、貧困対策あるいは教育とか保健衛生とか、基本的な社会政策向けにこの資金が活用される、そういう道を開いていくということは、これは政策的に必要なことだろうと思っております。一部でございますけれども、バングラデシュのようなケースにつきましては、これは今の重債務貧困国とはちょっと違いますけれども、最貧国、LLDCに対する債務救済の制度のもとで、基本的には同様のものでございますが、そういった資金の使い方、使途につきまして日本側からも注文をつける、バングラ政府と合意をしまして、一定の金額についてはそういった合意された目的にきちんと使われる、かつ、それをこれからモニターしていく、そういう方法を導入し始めておりますので、そういった方法をもう少し広げていくといったようなこともこれから検討していきたいと思います。
  63. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 大臣にお伺いしたいと思いますが、この債務帳消し問題というものは、来年サミットが沖縄で開かれますが、私は来年沖縄でサミットが開かれるというのは大変いいことではないかと思っておりますけれども、この問題が来年の沖縄サミットでも取り上げられるというのは御存じでしょうか、大臣は。
  64. 高村正彦

    高村国務大臣 来年の沖縄サミットの具体的な議題というものはあくまでケルン・サミットが終わった後で決まるわけですから、御存じですかと言われても何とも言えないわけでありますが、そういうことはケルン・サミットだけですべて終わってしまうということではないだろうという認識があるかという意味であれば、それはあります。
  65. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 恐らく取り上げられるんだろうと思いますが、六月十九日に、ケルン・サミットが行われるときに、先ほど言いました十万人ぐらいの方が人間の鎖というのを使ってその会場を取り巻くそうですけれども、ケルンが終わった後は今度は沖縄に向かって活動を始めようというようなことになっているようでございます。ということは、ケルンが終わりますと、議長国は日本でございますから、昨年バーミンガムから現在にかけてはいわばドイツの首相に対していろいろなアプローチがされてまいりましたが、いよいよケルン以降は日本の総理に対してこういったアプローチが行くと思います。  その際には、今回ケルンはそれなりに今まで日本政府なりに対応をとってきていただいたようですけれども、多分、まず返してもらってすぐ貸すという便法的な対応とかいうことではなく、もっと本質的に、ストックを減らす、それから日本が議長国としてプレッジをする、そして今までの日本の、これはある意味では大蔵省の問題、予算単年度制の問題その他、それからいろいろな必要があって財投から、日本の急激な経済成長もありましたのでお金を出さざるを得なかったという日本の事情があったと思いますけれども、その辺を含めて日本の姿勢というものが来年の沖縄サミットに対して非常に問われる案件になると思います。そういう意味で、逆に言いますと、沖縄サミットにおいてかなり思い切った姿勢を示すいいチャンスではないかと思いますけれども、急な質問ですけれども、大臣、その辺の見通しについて何か思いの一端でも披露していただければ幸いです。
  66. 高村正彦

    高村国務大臣 実質的に一〇〇%削減ということに踏み切ったということで、日本としてはかなり積極的な姿勢を示したと考えているわけであります。  委員がおっしゃるように、もっとはっきりやればいいじゃないかというのは、それはわからないではないわけでありますが、日本のODAの理念としてやはり被援助国の自助努力ということがあるわけで、その自助努力ということをぐっと押していけば、それは一〇〇%実質削減ということ自体が違ってくるわけでありますし、逆に委員のようなお考えを一〇〇%押していけば、それは四十年延ばして債務救済無償で実質的にやっていくというのはちょっとおかしいという考えもあるでしょうが、私たちは私たちなりにODAの理念というものを持っておりまして、それと両立する形でできるだけのことをしよう、こういうことをやっていこうと思っているわけで、これは国際的にも理解をされる、こういうふうに思っております。  国際的に理解されると言っても、各国政府が理解してくれるという話とNGOの一部の方が理解するかしないかという、確かにそういう話はありますけれども、私たちなりにかなり思い切った措置をとろうとしている、こういうふうに考えているわけでございます。
  67. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  残された時間、ちょっとコソボ和平案についてお聞きをしたいと思います。  今回は、ロシアとそれからアハティサーリ大統領の動きが非常に多かったわけですが、ロシアに関しましては大臣みずからがいろいろ動かれた点が多かったのかという、多かったのか少なかったのか、動きもされたのではないかなという気もいたしますが、フィンランドを含めた今回のとりあえずの和平案の環境づくりに日本政府として何か動かれたことがあったのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。
  68. 高村正彦

    高村国務大臣 フィンランド大統領等の和平案というのは、これはまさにロシア、アメリカ、フィンランドのそれぞれの代表者の間でされたもので、そこに直接日本政府がどうということはありませんが、この和平案自体がG8の七項目の一般原則の上に立っているものでありますから、そういう意味では、G8外相会議で定められた七項目の一般原則、それをつくる上においては日本政府日本政府として貢献をしてきている、こういうことでございます。
  69. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今回、ユーゴの議会でも随分、相当激論があった、それから、ロシアの方もある意味では反発が出ているというふうに聞いておりますし、一方、クリントン大統領の方は、いわゆるユーゴ軍の方が撤退という状況が確認をされないうちは空爆を続けるということで、各交渉関係をされた指導者の方では妥協に向かって動かれる。一方で、各国内政治事情はなかなかそれについていけない面もあるような気もいたしますが、きのうとりあえず合意をされたと言われております和平案が、どの程度そういう各国の国内事情も含めて機能するか、その点について、どの程度の機能の可能性について大臣はお考えでしょうか。
  70. 高村正彦

    高村国務大臣 こういう政治的解決に向けては、それぞれの国内事情があることによってなかなか指導者たちが妥協しにくいというのは、それは常にあることなんだろう、こういうふうに思っておりますが、こういう和平合意ができた以上、それは万難を排してこれを実行してもらわなきゃ困りますし、国際社会としても、それをしてもらうように協力をしていくということが必要で、日本もそういったことの努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  71. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 日本の場合には、今まで空爆を理解ということできたわけですけれども、今後、ここまで和平案がきた段階におきまして、もちろんG8の合意の中でそれに従っていくということでしょうけれども、例えばアメリカの方で、いわゆるユーゴ軍の撤退が確認をされなければ空爆を続行していくと言っている段階で、日本政府として、ここまである程度煮詰まった段階で、できるだけ早く空爆を終結させるようにというような働きかけ、あるいは意思表示をする非常にいいタイミングのような気も私はいたしますが、その点について、大臣、いかがでしょうか。
  72. 高村正彦

    高村国務大臣 これにつきましては、アハティサーリ・フィンランド大統領とチェルノムイルジン・ロ特使の和平提案の中に、一定期間内にユーゴ軍治安部隊を撤退させ、それに応じてNATO側空爆を一時停止する、こういうことがあって、それをミロシェビッチ・ユーゴ大統領が受け入れた、こういうことでありますから、今いろいろなところで、現時点で、この時点で停止しろとかあの時点で停止しろとかいろいろ言うことがプラスになるのかどうかという話が一つあると思います。  ただ、こういう合意ができていても、その実施に当たっていろいろな問題が出てくる可能性というのはこれからあるわけですから、そういうことは、G8の会合、それは外相会合もありますし、政務局長会合もありますが、そういう中で、そこがうまく進まない、どこかがネックで、だれかが非常に強硬であって、それでうまくいかない。そういうようなことがあれば、そこはもうちょっとこうした方がいいんじゃないかと日本として意見を言うということは当然あり得る話だ、こう思っておりますが、今アハティサーリ・フィンランド大統領が一応の線を示して、合意しているということですから、直ちにどうしろとかいうことを今日本が言うことはかえって有益でないだろう、こういうふうに思っています。どこかでネックがまた出てきたら、そこでいろいろ動く余地はあるだろうと思っています。
  73. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございました。
  74. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、坂口力君。
  75. 坂口力

    ○坂口委員 公明党・改革クラブを代表しまして、質問させていただきたいと思います。  私、コソボ・クリージスのところから入らせていただきたいと思います。  昨夜、きょう質問をさせていただきますメモをつくりまして、テレビを見ることもなく床に入りまして、けさスイッチを入れてみましたら全然様相が変わっておりまして、慌ててけさはメモをつくりかえたという状況でございます。いずれにいたしましても、和平に向かっているということでございますから、まことに結構なことだというふうに思っております。  先ほども大臣からお話がございましたように、チェルノムイルジン・ロシア特使それからアハティサーリ欧州連合特使、この両方が提示をされました和平案というものをミロシェビッチ大統領が受け入れるということを表明された、コソボ自治州から軍隊を引き揚げるということも発表されたということでございます。昨年も一度そういう約束がありましたけれどもスムーズにいかなかったという経緯もございますので、本当に今回、これがきちっと和平が確立するのかどうかということにつきましては、もう少し時間を要するのではないかというふうに思っております。  現在の段階で、先ほどからもお話ございましたが、いろいろな情報が入ってきているのだろうというふうに思いますけれども、最新の情報で、これは確かなものだというふうに外務大臣が判断をしておみえになるのか。あるいはまた、いやしかし、そうはいうものの、まだ若干時間を要するというふうにお考えになっているのか。その辺のところの現在におきます状況というものを少しお話をいただいて、そしてこの質問に入っていきたいと思います。
  76. 高村正彦

    高村国務大臣 ミロシェビッチ大統領が受諾を表明した和平案の骨子でありますが、ユーゴ軍治安部隊等を含むすべての部隊が撤退をする。ただし、撤退後、ユーゴの要員が限られた数で特定の機能を果たすために戻ってくる。それから、NATOを中核としつつ、ロシアや中立国も参加する国際平和部隊が駐留する。同部隊は、統一的な指揮系統を有する。そして、一定期間内にユーゴ軍治安部隊を撤退させ、それに応じ、NATO側空爆を一時停止する。そして、アハティサーリ大統領によれば、今後、ユーゴ軍部とNATO軍の間で接触が行われるとともに、具体的な撤退の仕方及びその検証方法につき協議が行われて、同時に、国連安保理において国際安全保障プレゼンスに権限を与える安保理決議作成作業が行われる、こういうことになっているわけであります。  それで、G8の外相会議の中で、ユーゴ軍治安部隊が撤退するにしても、どの程度撤退するのかということが非常に英米、ロシアの間でいろいろ問題があった中で、一度すべての部隊が撤退した上で、特定の目的を果たすために一部が戻ってくる、こういう形のものをミロシェビッチ大統領がのんだということは、これはかなり具体化している。ただ、その一部というのが、どの程度、どうなっているのかということは、これからまた決めなきゃいけない話だと思います。  それから、NATOを中核としつつということ、そしてロシアや中立国も参加する国際平和部隊と。そのNATOを中核としつつということをミロシェビッチ大統領がのんだということは、これは大きな前進である、こういうふうに思います。  そして、一定期間内にユーゴ軍治安部隊を撤退させ、それに応じて、NATO軍は空爆を一時停止する。英米なんかは、すべてが完全に完了しなければ空爆停止はない、こう言っていたのを、ある程度の段階で一時停止する。これはアメリカの代表も含む三人で和平案をつくった中でされたものでありますから、G8としてもそれは全体としてのめるものだ、こういうふうに思っております。  では、これがどうなるのか。私たちは大きな希望を持って、そしてこの希望が確実に果たせるように全力を尽くしていくと言う以外に今はないんだろう、こういうふうに思っております。
  77. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。  それで、先ほど大臣、さきの質問者に対する答弁の中で、ユーゴ軍の撤退がどの程度の撤退かわかりませんけれども、とにかくユーゴ軍がまず撤退をする、そしてその次に難民が安全にそこへ帰ってくる、そしてその次に復興が始まる、この順序をおっしゃいました。私どもは、この順序には何ら異存はないわけでございますが、ユーゴ軍が撤退をしてその後難民が安全に帰ってくるまでの間には、まだ幾つかの手順が必要なんだろうというふうに思われます。  今もお話がございましたように、一体、ユーゴ軍がどの程度撤退するのか。そしてまた、一部何か帰ってくるというふうにおっしゃいましたが、それはどういう意味なのか。その辺のところも少しわかりにくいわけですが、とにかくそこには、NATOを中心としたといいますか、そのほか中立国から派遣をされます軍隊が入りますのか、あるいはPKO的なものなのか、そこは状況の判断によって違うんだろうというふうに思われますが、その辺のところについてはこれからの推移を見る以外にないわけで、今ここをどうですかというふうに申し上げても、なかなかここはお答えをいただきにくいだろうというふうに思いますから、後で、もしもお答えをいただければ、つけ加えていただければ結構でございます。  それで、比較的うまく軍隊の引き揚げが行われて、そしてその後の難民の安全、あるいはまたそこに住んでいた人たちの生活の安定というものが図られるということになりました場合には、あるいはまたさまざまな協定がつくり上げられたときには、いわゆるPKOがそこに派遣されてくることもあるんだろうというふうに思いますが、これも仮定の問題ですから、もしそういうふうになりました場合に、日本に対しましてもぜひ協力をお願いしたいという話が来るのか来ないのか、これもわかりません。しかし、もしもあったとすればそのときにはどうするのかということも、これは考えておかなきゃならないことだというふうに思いますが、そうしたことも含めて、大臣として今どのようにお考えになっているのか、少し感想をお聞かせいただきたいと思います。
  78. 高村正彦

    高村国務大臣 セルビア部隊の復帰を認めるという点について、ちょっと詳しく申し上げますと、ユーゴ軍治安部隊の撤退後、国際文民団及び国際安全保障プレゼンスとの連絡、地雷除去、セルビア人固有の史跡管理及び国境管理のため、数百人規模のセルビア部隊の復帰を認める、こういうことに一応なっているわけでございます。  それから、和平の確保の問題については、これはアハティサーリ大統領らが発表しているわけでありますが、NATOを中核としつつ、ロシアや中立国も参加する国際平和部隊が駐留すること、及びこの部隊が統一的な指揮系統を有する、こうされているわけで、この国際平和部隊に関する詳細、例えば国連との関係とか構成とか任務等については、これからG8や国連安全保障理事会での議論を通じ詳細が固められていくことになると承知しております。  それで、日本が、例えばPKOで対応できるのではないか、そのPKOへの参加を要請された場合どうするかということであります。いろいろ詰まらないとなかなか答えにくいわけですが、国連等から要請があった場合のPKOへの我が国の参加に当たっては、一般原則として、憲法、国際平和協力法の枠内で行われるべきこと、国内の支持を受けるものであり、また国際社会からも評価されるものであること、現地の事情に合わせて要員の派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制を整え得ること、我が国が適切に対応することが可能な分野であること等の観点から、現地調査の結果及び国連や関係国際機関等の意向等を十分踏まえ、総合的に判断する、こういうことを一般原則として打ち立てているわけであります。  本件に関しても、このような十分な検討を慎重に行った上で我が国の対応を決めていきたい、こういうふうに考えております。
  79. 坂口力

    ○坂口委員 今流動している最中でありますから、今はこれ以上お聞きをすることは大変失礼かと思いますので、これだけにとどめておきたいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、和平が成立をしますことを望んでおりますし、その方向に大きく動いていることだけは間違いがないのだろうというふうに思います。  この段階でございますから、NATO空爆を開始し、なぜその実行に踏み切ったかということの総括をするのはいささか早い時期であることもよく承知をいたしておりますが、やはりNATOに入っている国々のいわゆる人権というものに対する考え方が、非常に厳しいものがあるなというふうに私は思っております。  人権というものを侵すものに対しては厳しく対処をするというその姿勢、これは我々日本人にはなかなか理解しがたいところもあるわけでありまして、日本におきましては、例えば先般来の通信傍受のことでもそうでありますが、善良な市民の人権というものだけでなくて、組織的に大きな犯罪を犯した人、あるいは犯す可能性のある人に対しても人権というものは守られるべきだというような風潮がございまして、善良な市民の人権も、あるいは犯罪者の人権も何か込みにして語られるところがございます。  そこはしかし、ヨーロッパ、NATOに所属する国々におきましては、やはり人権を侵すものに対しては厳しく対処するというその姿勢は、日本におきます人権感覚とは大分意識が違うのではないかという気がいたしております。  これはまた、ヨーロッパだけの話ではなくて、我々のアジア地域におきます問題にも関連をしてくるわけでございますが、我々もやはり人権に対してはきちっとしたものを持っていかなきゃならない時代が来ているのであろうというふうに思っております。  そういう意味で、このNATOの出陣、それを総括する時期としてはまだ早いわけではございますけれども、この人権というものに対して厳しく立ち向かったNATO軍、これがなぜそうであったかということに対するもし大臣のお考えがございましたら、これはお答えをひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。  それから、時間的に制限されておりますからもう一つお聞きをしたいと思うんです。しかし、そうはいいますものの、このNATO軍の今回の出動によって軍需施設等が爆撃を受けたわけでありますが、ただ、その軍需施設だけではなくて、中国大使館誤爆の問題がございましたが、その中国大使館の誤爆の問題だけではなくて、一般市民の、病院でありますとか老人施設でありますとかというような民間の施設に対する誤爆もかなり相続いたわけであります。その都度、誤爆であったということになってきているわけでございますが、一遍か二遍でございますと、誤爆も、それはそういうことも起こり得る可能性もあるだろうというふうに思いますけれども、何回もたび重ねて誤爆ということが言われますと、本当に誤爆かな、そういう民間施設も含めた爆撃ではないのかという、そんな思いもしないではないわけであります。  NATO軍は、私は、この人権というものに対して厳しい考え方を持って今回対処したというふうに思っておりますが、それであればあるほど、その軍需施設といったものに対する爆撃と民間に対する、一般市民に対する爆撃とは、これはきちっと整理をして区別をしなきゃならない、民間にそういう爆撃をしてはならないということをきちっとしなきゃならない立場にあるというふうに思っているわけでございます。  トータルでのNATO軍の行動というものに対して理解を示します一方において、その辺のところをきちっと整理しないといけない。それに対して外務大臣としてはどんなふうにお考えになっているか。  恐らく、もう近いうちにこの爆撃も、空爆も終わるのであろうというふうには思いますけれども、まだ終わったわけではございませんから、万が一これからまだ続くというようなことになりましたときに、その辺に対して、日本としての発言というものも、国際舞台の中で適当な時期に適当な場所であってもしかるべきではないかという気もいたします。  その辺のところをあわせてお聞きしたいと思います。
  80. 高村正彦

    高村国務大臣 NATO諸国が大変人権に対して厳しい、日本国民とはちょっと違うのではないか、こういうお話もありましたが、人権一般もさることながら、やはりアウシュビッツの例に特に象徴されるような民族浄化というような言葉とかそういう実態に対しては、物すごくその恐ろしさというのを近くで知っているわけでありますから、身にしみて知っている人たちは日本以上の反応を示したということは私はあると思うんです。日本国民は、空襲の恐ろしさは知っておりましても、民族浄化の恐ろしさというのは、そこはやはり体験がある人とない人では違うということはあるかとも思います。  それからもう一つは、ミロシェビッチ大統領の方が、大変な政治解決に向けた平和解決努力をかたくなに拒否して、それも一年ぐらい拒否し続けてきた。そしてその間に、さらに新たに四万人もの兵力を投入して、さらなる民族浄化をやるような姿勢を示した。そういうような中で、NATO側とすれば、やはりボスニア・ヘルツェゴビナのデイトン合意ができたときの成功体験があって、今度も空爆ということを後ろ盾にして迫ればミロシェビッチ大統領ものむのではないか、そういう感じが強かったんではないかな、私は当初からそういうことを申し上げてきたんですが、そういう感じもいたします。  それから、これだけたび重なると誤爆ではないのではないかと言いましたが、決してそういうことはないだろうと思います。やはり、こういう空爆を続ける上で、民主主義国家は世論の支持ということが絶対に必要でありますが、こんな誤爆が続くということで、どこの国も、その世論に及ぼす悪い影響というのは、それはもう大変なものでありますから、わざわざそういうことを目的を持ってやるはずはないだろうと思っております。  NATOの誤爆によって一般市民や在留外国人が犠牲になっていることについては、我が国としても極めて遺憾であり、犠牲となられた方々に対しては深い哀悼の意を表するものであります。  誤爆につきましては、ソラナNATO事務総長は、正当な軍事目標及び軍事関連目標以外への攻撃を回避するために多大な注意を払う旨表明しております。  また、コーエン米国国防長官は、中国大使館に起こったような誤爆を防止するために以下の措置をとる旨発表し、それに努めていると承知をしております。  ベオグラードにある諸外国の大使館の移転、新築がなされたときには、米政府関係部局にしかるべき情報が伝達されるようにする。標的に関する情報の作成と手続を強化する。攻撃してはならない標的に関するデータベースの更新を迅速に行うための手続をとる。  我が国といたしましては、NATO空爆により一般市民や在留外国人に犠牲が及ばないことを強く希望するものでありますし、そういったこともNATO等に伝えてきているわけでございます。
  81. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。では、この問題はこれだけにしておきたいというふうに思います。  さて、条約についてでございますが、三条約ございまして、時間のあります範囲内におきましてお聞きをさせていただきたいというふうに思います。  まず、民間職業仲介事業所に対する条約でございますが、この条約は昭和二十四年に採択されたものでありまして、当時と現在とを比較いたしますと、労働を取り巻きます環境というのは大きく変化していることは今さら申し上げるまでもありません。それが今回、第百八十一号条約になってきたわけでありますが、現在の日本における、民間職業紹介所というんですか、あるいはそれを含めた、労働省にお聞きをしましたら、民間の労働力需給調整機関、こう言うんだそうでございますが、そのトータルとしてどのような現状にあるか、そして、今回の条約締結されることによって、今までもし問題があったとするならば、今後それがどのように変わっていくのかということについて御説明をいただければありがたいと思います。
  82. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 まず、現在の民間需給調整機関と言われるものの現状でございますけれども、これには、民間の職業紹介事業所と民間の派遣事業と両方ございます。  まず、民間の職業紹介事業所の現状ですが、これは平成十年の三月末現在の数字でございますけれども、有料職業紹介が三千三百七十五事業所、無料職業紹介事業の許可事業所数が五百十四事業所となっておりまして、これらを通じました平成九年度の就職件数を見ますと、雇用期間四カ月以上の件数で、有料職業紹介を通じたものが二十八万六千四百五十件、無料職業紹介事業を通じた就職件数が五万六千九百三十五件というふうになっております。  また、派遣事業の方でございますけれども、現在、派遣事業は二十六業務に限定をされておりますが、この派遣元事業所数が、平成十一年の六月一日、ことしの六月一日現在で、派遣事業所が合計で一万五千八百七十二所、このうち登録型が三千七百七十三所、常用型の派遣を行いますものが一万二千九十九所というふうになっております。  現在の派遣労働者数ですが、これは平成九年度の数字ですけれども、八十六万人でございますけれども、いわゆるこのうち登録型が七十万人というふうなことになっております。  現在の問題点というようなことでございますが、従来、職業紹介も派遣事業も一定の分野に限定をしてこれを認めているということでございますが、今般の百八十一号条約のILOにおける採択、こういった国際的潮流の変化を踏まえまして、派遣につきましては、一年以内の派遣でございますが、広くこれを原則的に派遣対象とする、あるいは職業紹介につきましても、ブルーカラーも含めて広く紹介の対象にする、こういった改正法案をお願いしているわけでございまして、こういったことによって、従来派遣の対象にならない、あるいは職業紹介にならなかった分野について、ミスマッチの解消に民間の活力を大いに発揮できるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
  83. 坂口力

    ○坂口委員 それで、今回派遣法が改正になりまして、現在参議院の方で審議中でございます。原則自由ということになったわけでございますが、原則自由になりましたがゆえに、不安定な雇用ということも心配をされております。  今回の派遣法の改正とこの条約との整合性と申しますか、この条約とのかかわり、これは、今回の派遣業におきますその心配というのは、この条約との関連においては、もうそれはないというふうに理解をしていいのか、やはりまだまだ日本の派遣業その他を見ましたときに、これからいろいろと注意をしていかなきゃならない点が多いということなのか、その辺、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  84. 小松一郎

    小松政府委員 お答え申し上げます。  五月十九日の衆議院労働委員会及び二十一日の衆議院本会議で可決されました自民党、自由党、民主党、公明・改革、社民党の五党による労働者派遣法改正法の共同修正案の内容でございますが、これは、御案内のとおり、個人情報の保護措置強化、派遣期間の制限の違反に対する制裁の強化、派遣先に対する雇い入れ勧告などとなっていると理解しております。そのうち、この今御審議をいただいておりますILOの条約関係がある部分といたしましては、個人情報の保護措置強化でございます。  共同修正案の内容は、一般労働者派遣事業の許可の基準として、個人情報を適正に管理し、派遣労働者の秘密を守るために必要な措置が講じられていることを追加すること、これに加えまして、派遣元責任者の業務として派遣労働者などの個人情報の管理に関することを追加することでございます。  この今御審議をいただいております条約上の要請、条約上の義務を担保する上では、もともとの政府案の労働者派遣法等の改正法及び職業安定法等の改正法案における措置で十分であったというふうに考えてございますが、今回の修正は、条約上の重要な要請の一つでございます個人情報の保護、具体的にはこの条約の六条に記載されてございますが、これに関しまして、条約の要求する水準よりもさらに強化された措置をとるということについて定めたものでございますので、条約上は全く問題がないというふうに考えてございます。
  85. 坂口力

    ○坂口委員 もう一点だけお聞きをしておきたいというふうに思います。  これは労働省だと思いますけれども、今回のこの派遣法の改正によって、今後の雇用をどれだけ回復させることができるのか、あるいはミスマッチをどれだけなくすることができるのかといった雇用とのかかわりにおいて、この派遣業の改正というものがどういう意味を持っているかということについて、御答弁をいただきたいと思います。
  86. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 いろいろと産業構造の変化ですとか、あるいは労働者の就労意識の変化等によりまして、我が国におきます労働力需給の状況というのは随分と大きく変化をしております。短期間、専門能力を生かして働きたいという労働者も相当ふえておりますし、企業の方も、短期の労働需要として、即戦力となる労働者を市場から速やかに求めたいというふうな希望もあるわけでございます。  我が国の現状におきますそういった事情とか、あるいはこのILOの百八十一号条約に見られます国際的潮流、こういったものを踏まえて、今般、労働者派遣法の改正もお願いしているわけであります。  そういったことで、派遣労働が一年間の短期即戦力、こういった労働市場におきましてはこれからさらに拡大していくのではないか。そういう意味では、先ほども御議論ありましたが、我が国におけるミスマッチによる失業、こういったものの解消にある程度資するところがあるのではないかというふうに見ておりますし、また、派遣労働は短期即戦力ということでございますから、企業を新しく起こそうとするような場合、あるいは異業種に進出するようなときに、自分で抱える労働者だけではなくて、労働市場から専門家を迅速に集めましてそういった要請に企業がこたえていく、そういったことによって、新しい事業展開あるいは新しい事業を起こすというふうなことにもこの派遣労働というのは効果があるのではないかというふうに考えております。  また、例えば高齢者の方は、就労意欲は我が国では大変強いのですが、必ずしも常用労働だけを希望しておられるわけではありませんで、できれば働きたいときに働きたい、こういった方も多いわけでありますから、今般、派遣が広く適用されるということになりますと、そういった高齢者の方が派遣を通じて就労し、あるいは派遣の中から正規労働に行くというふうなこともあるのではないかというふうに思います。  そういうことで、現在、八十六万人近くおられる派遣労働者がこれからどのくらいふえるか、なかなか的確な数量的な見通しは難しいと思いますが、そういった意味で、我が国における雇用の開発あるいはミスマッチの解消というところで、相当大きな力になるのではないかというふうには見ております。
  87. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。労働問題はこれだけにしておきたいと思います。  もう一つ、時間が迫ってまいりましたので、イスラエルとの航空協定についてお聞きをしたいと思います。  時間が余りございませんので、少しはしょりまして、イスラエルとの貿易でありますとか人の交流というのは、中期的に見ますとだんだん増加をしてきておりますが、この二、三年だけを見ますと、日本の経済停滞もございまして、こちらの方も停滞をしているという状況でございます。  今回、この航空協定が結ばれるということは、これはまことに結構なことでございますが、その航空協定が結ばれることによって、この現在のイスラエルとの間がどう今後さらに打開をされていくのかということを、少しお話を伺っておきたいと思います。それが一つ。  それから、もしも時間がありましたらで結構でございますが、先日、バラク党首が首相に当選をされたというイスラエルの現状がございます。この現状の中で、中東和平の推進ということが非常に期待をされておりますけれども、今後、外務大臣としては、バラク首相の誕生がどのように変化をしていくのか、変化をしていくと言うと少し言葉が悪いですが、中東和平に対して、どのように進展をしていくというふうにお考えになっているのか、また、日本との外交におきましてどのような役割があるのかといったようなことを少しお話しいただきたいと思います。
  88. 高村正彦

    高村国務大臣 後半部分については私が答えさせていただいて、あと政府委員で申しわけないのですが。  さきのイスラエル選挙バラク労働党党首が次期首相として当選したことは、和平進展を願うイスラエル国民の審判であったと評価しております。バラク党首が当選し、議会選挙においても和平推進派とされる左派、中道派が勝利したことにより、今後、パレスチナシリアレバノン、すべての交渉トラックにおいて活性化することが期待されております。最終的な問題の解決までは、エルサレム問題、入植地問題等、難しい問題を解決する必要があり、簡単な道のりではありませんけれども、ワイリバー合意実施パレスチナ最終的地位交渉シリアとの交渉再開などを通じて、和平プロセスが最終的な解決へ向けて前進することを強く希望しております。  私は、バラク党首の当選に際し祝辞を出し、故ラビン首相の偉業を受け継いで和平を実現されることを希望し、我が国としても可能な限りの支援を行うことを伝えました。我が国は、バラク政権樹立後においても引き続き日本イスラエル二国間の働きかけを粘り強く行い、和平達成の努力支援していく考えでございます。
  89. 天江喜七郎

    天江説明員 最初の質問につきましてお答えいたします。  坂口先生御指摘のとおり、この数年、特に二、三年の間は、貿易、人的な往来も頭打ちとなっておりますが、この十年という景気を見てみますと、かなり大きくふえておるわけでございます。例えば邦人の往来につきましては、過去五年間でも往復一万四千人から一万七千人にふえているとか、あるいは貿易も、これは我が国からの輸出はこの五年間で九百十四億円から一千三百六十二億円とふえております。これはイスラエル日本の経済状況にもよりますので、将来のことは確としたお答えはできませんけれども、私は、やはり基本的にはイスラエルとアラブ、特にパレスチナとの和平が進むということが、イスラエルに対する投資が進むとか、あるいは経済、貿易が活発になるとか、人の往来が活発になるということの大きな要因になるのではなかろうかと思います。したがいまして、我が国といたしましては、中東和平を積極的に支援していくということがまず来ようかと思います。  そのほか、いろいろイスラエル側でも、歴史の宝庫であるイスラエルパレスチナ、そこにおける日本の観光誘致ということも考えておるようでございますし、また、我が国の方は、特にハイテク分野を含めまして企業進出が進んでおりまして、現在四十五社を数えております。なお、九七年十月にはテルアビブにジェトロの事務所が開設されて、経済関係を積極的に支援していこうという体制になっております。  以上でございます。
  90. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。これで終わります。
  91. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、古堅実吉君。
  92. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党の古堅です。  条約やその他の質問に入る前に、緊急に質問をしたいと思います。  たった今聞いたばかりなんですが、嘉手納基地で米軍のハリアー機が墜落し炎上した、そういう情報に接しています。大臣、御存じですか。
  93. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 外務省に対しましては、きょう午後、ここの在京米国大使館から連絡がございました。先生のお尋ねの件につきまして承知をいたしております。概要を申し上げましょうか。  本日の昼ごろでございますが、嘉手納飛行場内で、米の海兵隊所属のハリアー航空機一機が飛行場を離陸しようと滑走路を走行しておりますときに、その同機のエンジン部分に何らかのものが吸い込まれ、このためエンジン部分から火を噴いたということでございます。そういたしまして、同機のパイロットは直ちに離陸を中止いたしまして、同航空機は滑走路のそば、これは飛行場内でございますが、滑走路のそばで停止をいたしたということでございます。なお、この事故により、パイロットは負傷を負いましたけれども、同機は火災のため損壊いたしました。他方、日本側への人身被害、財産損害というものはないということでございます。  この連絡を受けまして、外務省におきましては、直ちに外務省の北米局審議官より在京の米国公使に対しまして、事故の発生について遺憾の意を表明いたしました。それとともに、事故原因の調査及び結果に関する説明を申し入れいたしますとともに、事故の再発防止に万全を期するよう申し入れたところでございます。
  94. 古堅実吉

    ○古堅委員 このハリアー機というのは、これまでも事故が多くて危険きわまりないものだとたびたび指摘されました。沖縄でそれがその他にも配備されようとされたときにも県民から厳しい抗議を受けて、それを許さぬといった闘いに発展した、そういう経緯などもございます。基地内におけるこのような墜落炎上という事故とはいえ、このハリアー機がいかに危険きわまりないものであるかということを改めて示す、そういうことになりました。  改めて、怒りを込めて抗議するとともに、このハリアー機を嘉手納から直ちに撤去させる、そういうことをも含めて対処していただくよう、政府に強く要求したいと思います。大臣のお考えを伺いたい。
  95. 高村正彦

    高村国務大臣 直ちに撤去要請をするという気持ちはございません。  ただ、今政府委員からも答えましたように、事故がないように、そしてこの事故原因を調査してこちらに通報するように、直ちに申し入れたところでございます。
  96. 古堅実吉

    ○古堅委員 厳しい対処を求めておきます。  それでは、予定しております質問に入りますが、条約についての質問の前に、関連して、核持ち込み事前協議問題について若干お尋ねしておきたいと思います。  政府は、核持ち込みあるいは核兵器搭載艦艇の日本寄港が事前協議の対象であり、事前協議があればいつでもいかなる場合にもノーだと言い続けてまいりました。しかし、一方では、通過や寄港は核持ち込みに当たらないと明記したアメリカ政府内の公文書が幾つも公表されてまいっています。  そこで、大臣にお聞きしたい。日本政府が言うように、核兵器搭載艦艇の領海通過も寄港も事前協議の対象であるということが日米両政府の合意だというのであれば、なぜアメリカ政府部内でそれと違うことが報告され続けるのか、そういう公文書が何度も出てくるということになるのか、わかるように説明してください。
  97. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 ただいま先生御指摘の米国での文書でございますけれども、一番最近の報道にございます文書、それはレアード国防長官からロジャーズ国務長官にあてた書簡でございますが、この書簡はアメリカ政府部内の国防当局と国務省当局との間の政府部内におけるやりとりを記した文書であると承知をいたしておりまして、そのような内部文書について我々としてコメントするということは差し控えたいと存じます。  他方、事前協議の対象でございます核の持ち込みにつきまして、寄港及び領海通過が含まれていることに関しましては、いわゆる岸・ハーター交換公文の規定及び藤山・マッカーサー口頭了解からして十分に明らかであるというふうに考えているところでございます。また、米国政府も、安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に遵守すること及び事前協議に関しましては、日本政府に、意思に反して行動することはない旨を繰り返し述べてきているところでございます。
  98. 古堅実吉

    ○古堅委員 いいですか、このレアード国防長官の文書、今もおっしゃった政府部内の文書とはいえ、政府はそれが公文書であることも認めています。それが交換されたその時点というのは一九七二年六月十七日ですよ。レアード国防長官がロジャーズ国務長官あてに送った書簡も、アメリカの立場を明らかにした幾つかの公文書の一つでありますけれども、その書簡の中で、国防長官は、「法的側面では、この問題に関する我々と日本政府との交渉の記録は、極めて明確です。ライシャワー大使がこの問題を一九六三年四月に大平外相と協議した際、事前協議条項は日本の水域もしくは港湾にいる核兵器積載艦艇には適用されないという同大使の見解を大平は確認しました。」このように述べています。  この書簡が米国政府内部の公文書だということはここでも改めて認めますか。確認のために大臣からお聞きしたい。
  99. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 この文書につきましては、繰り返しになって恐縮でございますけれども、米政府部内の国防省の長官から国務省の長官に対して発出された文書ということでございますので、もちろん、それが私的な文書というふうに認識しているわけではございません。国防省の考え方を国務省に伝達したものというふうに承知しておりますが、それはあくまでも米国政府部内でのやりとりのための文書である、こういうふうに考えております。
  100. 古堅実吉

    ○古堅委員 それが公文書だということを認めますか。
  101. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 役所の公の文書であるということはそのとおりであると思います。
  102. 古堅実吉

    ○古堅委員 米政府の公文書であり、国防長官の認識となっておるのであります。七二年になっても国防長官がこうした認識であるということが問題なんですよ。ですから、おかしいのではないかということで真っ先にお尋ねしたわけです。政府説明では、藤山・マッカーサー口頭了解は一九六〇年一月十九日となっています。これは、岸・ハーター交換公文、それがなされた同じ日です。その文書化されたものが国会に提出されたのが一九六八年四月二十五日、しかも大平外相が六三年に核持ち込みは認めないと述べたと強調もされます。  しかし、それでも、一九七二年に至っても、アメリカは、核搭載艦船の領海通過や寄港が核持ち込みに当たらないという見解を、その閣僚が述べ合っておるんです。公文書でやり合っておるんです。核兵器持ち込みをする側がこうした認識をしているというのには根拠があるというふうに思いませんか。一九七二年というのは、核持ち込み問題の検討がなされた、そういうふうな過程ではありません。どうして国防長官がこうした認識を当然のごとく国務長官に述べているのか、これを解明すべき重大な問題とは考えませんか。大臣、お聞かせください。
  103. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 累次お答え申し上げておりますとおり、我々といたしましては、このレアード長官の書簡というのは米政府内部でのやりとりの文書であるという認識でございまして、そのような文書に関しまして、我が国政府としてコメントするということは控えたいということでございます。  いずれにいたしましても、先生がただいま御指摘されましたような点につきましては、我が国政府といたしまして、核積載艦船の寄港及び領海通過は事前協議の対象としないということを大平外相が確認したというような事実は承知していないということでございまして、この点は従来より説明申し上げているところでございます。
  104. 古堅実吉

    ○古堅委員 レアード書簡に見られるように、アメリカ政府は、核兵器積載艦艇の日本寄港、通過については事前協議条項ではないとの立場を明確にしています。アメリカがこのような認識に立ち、その立場をとっている限り、米艦艇の日本寄港、通過に際して、仮に核兵器を積載していても事前協議に持ち込んでくることはないことは、いわば当然だと考えられます。また、アメリカのこのような態度が許される限り、アメリカ側からの事前協議の申し入れがないからといって、その艦艇が核兵器を積載していないことを意味するものとはなり得ないことも、また理の当然というべきことであります。  このように、アメリカの核兵器積載艦艇も自由に寄港、通過することが事実上許されることになります。これでは、国是としての非核三原則は公然と破られるという重大問題とならざるを得ません。政府委員に答弁させるのではなしに、大臣みずからお答えください。
  105. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先ほどと繰り返しになるのはなるたけ差し控えさせていただきますけれども、一九八一年に、いわゆるライシャワー発言というのが我が国におきまして論議を呼んだときがございます。これはまさに核積載艦船の寄港及び領海通過に関する論議であったわけでございますが、その一九八一年当時の、いわゆるライシャワー発言が国会で取り上げられました際にも、外務省内の記録等を調査したという経緯があったわけでございますが、その当時に、鈴木総理より、国会において答弁をされておりまして、大平さんはそういうことを言っておらない、後任の外務大臣にも引き継いでいない、記録もないというふうな答弁をされておられるところでございまして、政府としてそのときに一応の結論を出しているということでございます。  さらに、先ほど申しましたように、核の持ち込みの中に寄港及び領海通過が含まれるということにつきましては、岸・ハーター交換公文の規定及び藤山・マッカーサー口頭了解からして十分明らかであるというふうに考えておるところでございますし、米国政府も、安保条約及び関連取り決めに基づきます日本に対する義務を誠実に遵守し、事前協議については日本政府の意思に反して行動することはない旨を、これは何度も繰り返し確認をしてきているのがこれまでのところでございます。
  106. 古堅実吉

    ○古堅委員 政府立場では、一九六〇年にこの問題は明確にされた。米政府内部でそれ以外の認識が出るはずもなかったということを言いたいのでしょうけれども、しかし、繰り返しそれに反することが出てきておるから、今ここで質問をしておるのですよ。このまま見過ごされてはならないのじゃないか。国是にかかわる重大な問題だぞと言っているわけです。一九七二年に至るもなお、今の説明にかかわらず、岸・ハーター交換公文などとかいう、これで決まっておりますということに反するようなことが、アメリカの認識として、公式の立場としてその閣僚たちが書簡で交わし合うということが平気で行われておるのですよ。通過や寄港は核持ち込みに当たらない、事前協議条項ではない、このようなことを繰り返し述べているということは、否定もできない、紛れもない事実です。  レアード国防長官はその書簡の中で、念を押すように、「その後、どの日本政府もこの解釈に異議を唱えていません。」とも述べておるのです。このことは、日米協議の中で、通過であれ寄港であれすべて核持ち込みであって、当然事前協議条項であり、いかなる場合も許可しないことを日本側から正式に通告しなければ決着がつかない問題だということを示すものです。これは、外務大臣がアメリカの政府に提起すれば事は済む、難しい話ではありません。日本政府は、それは事前協議条項であり、事前協議が持ち込まれればいつでもノーと言う、そういう態度は国会で説明しているわけですから、何も難しい問題ではないはずです。アメリカに外交ルートで決着すべき問題ではありませんか、大臣。
  107. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほど政府委員も述べておりますように、一九八一年当時、いわゆるライシャワー発言が国会で取り上げられた際、外務省内の記録等を十分調査して、そして当時の鈴木総理から、大平さんはそういうことを言っていない、後任の外務大臣も引き継いでいない、外務当局も一切承知していない、記録もない。ライシャワー発言があった後でこういうことを言って、政府としてもう結論を出しているわけであります。  そしてさらに、そのライシャワー発言の後、マンスフィールド大使から園田外相に対し、米国政府は従来から安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に遵守していることを確認しているわけであります。従来から米政府は、この問題について日米間で密約はない、こういうことを言っておりますし、現在も変わっていない、こういうことを承知しております。
  108. 古堅実吉

    ○古堅委員 重大な問題は、どんなにここで説明をしても、一方であるアメリカ、核兵器を積んでも事前協議なしに日本に寄港も通過もできると考えておるアメリカ側が、日本の了解を得て、それは事前協議条項ではないのだということを主張し、そのような公的な態度をとっているということがあるので、このままでは許されないのではないか、見過ごすわけにはいかぬじゃないかということを言っておるわけなんですよ。  仮に、アメリカがそんな態度をとっている、そういうことを承知の上で、アメリカに対して日本政府が、アメリカのそういう考えというのは間違っておるのだということにかかわる外交的な何らの措置もとらないということになれば、日本政府が国会で述べていることは国内向けの問題だ、そういうことにされてしまいます。アメリカに対しては何ら有効に働かない。ですから、有効に働かないのだから、アメリカは勝手に、核兵器を積んだ艦船であっても事前協議を持ち出すことなしに寄港も通過もするということになってしまいますよ。それは許されないのじゃないか。非核三原則を守る、そういう立場から、これでいいのかということが問われています。  外交の責任者である大臣の誠実な、非核三原則にかかわる、その責務を果たす態度が問われておるのです。そういう立場で、もう一度お答えください。
  109. 高村正彦

    高村国務大臣 この文書が公開されて、それを日本人が見たのは最近かもしれませんが、一九七二年当時の文書であるわけであります。そして、その後こういう問題がいろいろ、ライシャワー発言等でこういう問題が国会でも問題になって、そしてアメリカ側も我が国との約束は誠実に守る、こういうことを言って、我が国としては決着がついた問題だと考えておりますから、同じ問題を、そのライシャワー発言、大平さんとライシャワー大使との間のことについても、そういう話が国会で決着がつき、日米間でも決着がついた問題だと思っておりますから、何度も確かめるというようなことは私としてはしない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  110. 古堅実吉

    ○古堅委員 国是にかかわる重大な問題でそれだけの問題を指摘されながらも、唯一の被爆国である日本政府として、アメリカとの関係外交上この問題についての決着を国民がわかるような形できちっとやろうとしない、こういう態度というのは決して許されてはならない問題だ、重大な問題だと考えます。厳しくそのことを指摘して、時間もありますので、次の質問に移らせていただきます。  国際原子力機関との保障措置協定追加議定書についてです。  日本共産党は、一刻も早く核兵器全面禁止を実現する立場から、核兵器保有国の核兵器廃絶を主張し、また、いかなる国であれ核兵器を新たに保有することにも強く反対しています。我が党の一貫したこの立場から質問をするものであります。  一九九七年七月に出された国際司法裁判所の勧告的意見では、「各国は、核軍縮へと導く交渉を、誠実に遂行し完結させる義務が存在する」と、核軍縮を誠実に進め、廃絶するよう求めています。そのことを受けて、核兵器廃絶を期限を切って実現しようという動きなど、注目すべき運動の広がりが見られます。ところが、今年五月二十一日に終わったNPT再検討会議に向けた準備委員会では、核保有国の核軍縮について具体的勧告を出せないまま終わってしまいました。核兵器のない世界の実現のために、唯一の被爆国である日本政府は、それにふさわしい積極的な努力に欠けているように思われます。いかがですか、大臣。
  111. 阿部信泰

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  核兵器のない世界を目指すということが我が国外交の大きな目標でございまして、また、これは核不拡散条約第六条の義務としても書かれており、その九五年の無期限延長の際にも、この核軍縮の義務というものが改めて確認されたところであります。  それに基づきまして、来年二〇〇〇年の核不拡散条約再検討会議を目指しまして、この四月に準備会議、最後の会議が開かれたわけですが、ただいま御指摘のありましたように、残念ながら、そこで採択すべき最終文書について依然として合意に至らなかったという事情にございます。  我が国としましては、核のない世界を目指すという目標のために、この場でも何とか、核兵器国と核を持たない国との間の対立を緩和する道を探しまして、妥協の道を探しましたけれども、残念ながら努力は結実しなかったという状況にございます。しかしながら、この努力は来年の再検討会議に向けましてさらに精力的に継続して、何とか、できるだけ早く核のない世界を実現するという目標を達成すべく努力を継続しているところでございます。
  112. 古堅実吉

    ○古堅委員 昨年の第五十三回国連総会でも、非同盟諸国は、期限を切った核兵器全面廃絶に明確に言及した決議案四本、すなわち、核兵器使用禁止条約、国際司法裁判所の勧告的意見、廃絶の期限つき核軍縮、二国間核軍縮交渉、その四つを提出しました。また、アイルランドは、核兵器なき世界に向けて新アジェンダ、課題の必要性の決議案を提出し、そのほかにも、南半球全体を非核地帯に拡大することを求める決議案も提出されましたが、アメリカはそのすべてに反対した。多くのアジア地域の国は、韓国や一、二の例外を除いては、それらに全部賛成いたしました。ところが、日本だけはそのすべてに棄権する態度をとったのであります。アジアにおける日本の孤立が際立つ態度でありました。  世界で唯一の被爆国として、またアジアの一国として日本がこれでいいのか、そのことが鋭く問われていると思いますが、大臣、いかがですか。
  113. 阿部信泰

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  昨年の国連総会におきましては、御指摘のように、非同盟諸国から何本かの核軍縮決議が出されました。特に、従来から、明確な期限を求めて核を廃絶すべきであるという決議案が出されておりますが、これについては、依然として、核兵器を持っている国の方は反対をしております。  日本としましては、何とか、核兵器国も含めまして、核をできるだけ早く削減するという現実的な道を探るということで、核兵器の究極的廃絶を目指す決議というものを用意しまして、核保有国も含めて、最大限ぎりぎり、強い約束を取りつけるべく努力をいたしまして、核兵器国を含む圧倒的多数の賛成でこの決議を採択することができました。  非同盟諸国の期限を限った決議につきましては、遺憾ながら核兵器国の賛成が得られない状況においてこれを強引に進めますことは、いたずらに核兵器国との対立をあおるだけで、現実的には核軍縮の推進に役立たないということで、残念ながら日本としては棄権をしたわけでございます。
  114. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が残り少なくなりましたので、最後の質問をいたします。  今後の核軍縮の目標として、非同盟諸国などは期限を切った核兵器廃絶を目指し、他方、アメリカなどの同盟国関係者は、兵器用核物質禁止条約など、核不拡散体制強化に役立つものだけに限定しようとしています。態度が際立っています。また、交渉形態では、非同盟諸国が非核兵器国も加わる多国間交渉の早期開始を主張しているのに対し、アメリカなどは非核兵器国の排除を主張するなどが中心的争点となろうとしています。  このような状況の中で、日本政府はどういう態度をとるのか。やはりアメリカに追従していくのか、これまた厳しく問われるところだと思いますが、大臣、いかがですか。
  115. 高村正彦

    高村国務大臣 日本政府は、核のない世界というのはどこの国よりも強く望んでいるわけであります。強く望んでいればこそ、どうやったら現実に核のない世界に一番早くたどり着けるか、現実にどうなのかということを考えた上で、究極的核廃絶決議案というものを出して、そして圧倒的多数で可決をされたということでございます。  核廃絶のためには、やはり現実問題とすれば、核兵器国がその気持ちにならなければ核廃絶は実現しない、これはどうしようもない現実でありますから、できるだけ核兵器国にも働きかけて、いたずらに対立して、交渉にも入れないというような状況をつくらないで、そしてできるだけ現実的に、一歩一歩確実に核のない世界にたどり着くためにどうしたらいいか、そういう現実的観点を常に見ながら行動しているということを申し上げたいと思います。
  116. 古堅実吉

    ○古堅委員 言わんとしているのは、現実的な対処というものを否定しようという立場からではなしに、現実的対処という名のもとに、唯一の被爆国たる日本国が、その立場にふさわしいという態度を堅持してやるのではなしに、アメリカに追従する、そういうふうな立場から、国民が納得のできないような態度を国連でもその他でもとっておるではないか、これでいいのかということを厳しく指摘しているものであります。  以上で終わります。
  117. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  118. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 質問の前に一言、同僚の諸先生から、コソボユーゴの今報道されている事態と我が国の対応について、さまざま質疑がございました。私も気持ちは共通でございます。注意深く、また非常に高い関心を持ってあの事態を見詰めながら、どのような決断が出るのか。高村大臣も参加をされましたG8外相会議が一つのベースになっていることは言うまでもございませんし、これから後、お話のありましたような、特に我が国としては難民の問題、それからあの地域が安定した将来があるような、そういう視点での努力が大事ではないかというふうに思います。特別、御見解を伺う時間がございませんけれども、要望させていただきたいと思います。  まず最初に、国際原子力機関との追加議定書について、関連をいたしまして一、二質問をさせていただきます。  一つは、昨日本会議を通過いたしました、私ども審議をいたしましたKEDOにも関係をすることなんですが、これから先どのような努力をしていくのかということに関連をいたしまして、KEDOが建設をする原子炉部品の北朝鮮への供給以前に、国際原子力機関との保障措置協定を完全に履行する、また資機材の供与国との間で平和的な原子力協力協定締結することなどが第一段階としてまず必要になるということになるわけだと思います。これは米朝枠組み合意でも確認をされているわけでございまして、また、これまででもその他のさまざまなことにつきまして、KEDO北朝鮮との間に既に六本の議定書締結をしているということも聞いております。  そういう展望を考えますと、さまざまの困難な事項はございますけれども、日本は、KEDOの原加盟国という立場でさまざまなそういう困難を越えなければならない。外務省としても、またKEDOに携わる外務省の皆さんにしても、そういう努力について、辛抱強いと申しましょうか、また積極的な努力をしなければならないと思いますが、本協定にも関連をすることでございますので、御見解を伺いたい。
  119. 阿部信泰

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありましたように、そもそもこのたびのIAEA追加議定書、それをつくる発端となりましたのは、北朝鮮イラクの核疑惑でございます。  これまでの経緯としましては、北朝鮮につきましては、アメリカと北朝鮮との間の合意された枠組み、これによりまして、二つの軽水炉を提供する、そのかわりにIAEAの完全な査察を復活する、黒鉛炉を廃棄するというような約束ができたわけでございまして、また、この合意された枠組みという文書の中には、朝鮮半島の非核化も実現するということが書いてありますので、私どもとしましては、これを着実に実行することが北朝鮮の核疑惑を解消する最善の道だと考えております。  そのために、今後とも、おっしゃるとおりなかなか難しいと思いますけれども、最善の努力をして、これを実現すべく努力していくというのが私どもの方針かと思います。
  120. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 あの国が国際社会に健全に生きられる国になるようにさまざまの誘導と協力も必要があると思います。そのためにはさまざまの忍耐強い努力も必要であるというふうに思います。  この間も私は褒めたのですが、KEDO事務局次長の小野さんの論文がございまして、その中にこういう言葉がございました。我々としては、安全保障上好ましくない北朝鮮の現状を肯定することなく、KEDOの活動を将来の望ましい半島情勢を見据えた意欲的な事業としてとらえるべきである。そして、この事業を進めながら、北朝鮮国際社会の一員として、体制を整備していけるように手助けをしていきたい。そのためには忍耐と息の長い努力が求められることは言うまでもない。現状に対する相当強い批判の言葉が向こうから投げつけられる、それに対する気持ちなどなども書いてございます。  真剣な気持ちで職員の皆さんが、関係する方が努力をされているのだなということをうれしく思います。この前も、きょうも高く評価しましたが、何も外務省を褒め殺しするつもりではありませんで、一人の政治家として、真剣なことをやっておられるということを喜んでいるわけであります。頑張ってほしいというふうな気持ちでございます。  大臣に伺いたいのですが、この本議定書によりまして拡大強化される措置の前提としては、もちろんNPT体制があるわけでありますし、その第六条では、核保有国に対して誠実に努力することを義務づけているということになっているわけであります。幾つかの新しい、さらなる努力が必要であろうというふうに思います。核保有国の削減の努力ということも、STARTⅡは調印されておりますが、ロシアの批准が得られず、発効のめどが立っていないという状況がございます。  こういう方向をやはり早急に進めることが大きな前提で、大事な柱であるということは言うまでもございませんし、また、米ロ以外の核保有国、中国、イギリス、フランスなどを加えた多国間の交渉も開始をされなければなりません。当然ですが、この追加議定書の経過にもございますように、未加盟国の加盟促進を図るということも必要でございます。  そういう意味では、日本は、今までもそうでありましょうが、今後ともさらに積極的な努力を行うべきポジションを持つ国ということになるわけでありますが、さまざまな一般論は別にいたしまして、そういう流れの中の現段階で、特に今やらなければならないこと、特に努力をしていること、そういう当面の焦点はどういうふうに御判断になっておりますでしょうか。
  121. 高村正彦

    高村国務大臣 核保有国の核軍縮の問題だと思いますが、米ロは戦略兵器削減条約、いわゆるSTARTのもと核弾頭数を大幅に削減してきておりまして、双方の合計は、九一年で二万二千六百四十六発、九七年が一万五千九百三発、また、英国は昨年七月、核弾頭を三百発から二百発以下に削減する旨決定したところでございます。  今後、米ロ間の第二次戦略兵器削減条約、STARTIIが締結されれば、両国に配備された戦略核弾頭数は、おのおの現在の半分以下の三千から三千五百に削減されて、核軍縮が一層進展することが期待されるわけでございます。  我が国は、国際世論も喚起しつつ、両国に対し、STARTIIの早期締結を粘り強く求めるとともに、おのおのの核弾頭数を二千から二千五百に削減するSTARTIIIの早期交渉開始を求めてまいります。また、米ロ以外の核兵器国に対しても、現在の核軍縮努力を一層強化するよう求めていく考えでございます。なお、我が国は、ロシアと旧ソ連諸国における核兵器の安全な廃棄に係る協力として、九三年に一億ドルを拠出して以来、その実施に努めている次第でございます。
  122. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 エネルギー庁長官にお越しをいただきました。一つお聞きをしたいと思います。  つい最近、あるものを読みまして、非常に関心を持ちました、興味を持ちました。それは、昨年の秋、ドイツでシュレーダー政権がスタートしまして、その政権がスタートする前、選挙が終わった後、長い協議がございまして、そして、いわゆる赤と緑の協定というものが出されているわけであります。雇用・失業問題、エネルギー問題などが中心になりますが、百ページぐらいの長い文書でありまして、自社さのときにもこんな長いものをつくったことないなと思いますし、今の自自でも極めて簡単なものだと思いますが、考え方を書いているのです。失業問題、雇用問題を打開するに当たっての考え方はどうだろうかというさまざまなことが書いてございます。エネルギー問題につきましても、これからの時代、環境と産業と暮らし、経済、両立をしなくちゃならぬ、どういう発想でいくべきなのかということが随分述べられております。非常におもしろく拝見をいたしました。  そしてまた、最近、私の大学時代の恩師も含めまして二十人ぐらいの方々が、イギリスとドイツと、調査団で勉強に参りまして、帰ってきて話を聞きまして、また非常に興味を持ちました。その中で、特にエネルギー政策につきまして興味を持ちましたのは、原発をめぐる賛否、反対運動その他その他という段階から、重点を、やはりクリーン・ソフトエネルギーをどう着実にふやしていく時代にするのかという意味での発想が詳細にいろいろと書かれている。また、そういう方向に緑の方々も含めて長期の視点で取り組もうとしているということに非常に関心を持ったわけであります。  今まで、この原発の問題につきましては、スウェーデンでも長いさまざまの曲折と経緯がございまして、関心を持ってその経過などを聞いたり読んだりしているわけであります。要するに、クリーンエネルギー、ソフトエネルギーの時代、それは先般京都でのCOP3もございましたが、CO2を出さないというだけではなくて、核廃棄物という非常に始末の困るものをどうやって打開をするのか、そうでない時代をどうつくるのかということになるわけであります。  そういう発想で、どうやってクリーン・ソフトエネルギーをふやしていく時代に転換をするのか。それから、エネルギーコストの問題でも、数年前までは困難でありましたが、コストダウンの可能性、技術進歩も非常に進んで、可能な時代になっているということで、例えばソーラーシステムについての大胆な政策的経費とか、あるいは風力、これはアメリカの西海岸などでも大規模な進展があるわけでありますが、そういう問題。それから、環境とエコロジー税制。日本の場合でも、運輸省が出したグリーン税制など、賛否さまざまな議論があるようでありましたが、そういうものに正面から取り組もうというふうな動きが出ております。  それらを見ますと、我が国のさまざまな論争と比較をしながら、興味深く読んだり、話を聞いたりしたわけでありますけれども、やはりこれからの時代、日本条件考えてみましても、エネルギーの長期展望、長期見通し、エネルギー論争、何か新局面をつくることが求められる時期ではないだろうかという感じを深くするわけであります。  別の委員会で専門的に議論されることではございましょうが、たまたまこういう条約などがございまして、具体的なことというよりも、一つの流れとして、そういう発想を持って、国民的なと申しましょうか、そういう深い議論と展望を持った議論が起こされるべきときではないだろうか。ドイツの場合を見ましても、どう進展するのか興味を持って見ておりましたが、一つの国としての新しいモデルが生まれようとしているということを感ずるわけでありまして、それらの点につきまして、御所見を伺いたい。
  123. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のございました、緑の党と連立政権を組むドイツ新政権が、原子力の廃止を視野に入れた検討を行っていること等を承知いたしてございます。  しかしながら、原子力政策を含みますエネルギー政策あり方というものは、各国固有のエネルギー事情、環境事情、環境問題への対応の観点から、各国が独自に判断をしていく安全保障の要素がございます。  例えば我が国は、御高承のとおり、エネルギー資源の大宗を輸入に依存いたしておりますし、また、周りを海に囲まれているという意味で、電力について申し上げれば、隣国からこれを輸入するという可能性はございません。  他方で、御指摘のございましたドイツと比較をいたしますと、例えばドイツのエネルギー自給率は、石炭その他を中心といたしまして、我が国の五%に対して三〇%の自給率を持っておりますし、加えて、EUの域内で非常に大きな、広域な電力連携ということができる立場にございます。加えて、ドイツは、九〇年以降現在に至るまで、年間の電力の伸び率は〇・六%、他方で、我が国は三%弱の伸び、すなわち需要がかなりまだ伸びつつあるという我が国の状況がございます。  こうしたエネルギー事情を踏まえまして、各国それぞれに、ある種の安全保障の考え方を念頭に置きながら、独自にエネルギー政策というものを判断していくものだと考えてございます。  こういう観点から、我が国のエネルギー政策の基本目標というのは、三つのE、すなわちエネルギーの安定供給、それから環境保全、経済成長、この三つを同時達成するということを根本に置いてございます。このため、エネルギー需給のあり方を明らかにすべく、御指摘ございましたCOP3の目標を踏まえまして、一九九〇年レベルに炭酸ガスを安定化するという目標でございますが、これを踏まえて、昨年六月に長期エネルギー需給見通しの改定を行いまして、これは需給両面で対応をとるというもので、結果として、二〇一〇年まで、今から十数年の間、全くエネルギーの伸びをゼロにして、経済成長を支えていこうという計画でございます。  この中で、簡単に申し上げますが、供給面ではクリーンエネルギーに最大限の努力をする予定でございます。既に、日本の太陽光発電の能力はアメリカとともに世界のトップレベルでございます。風力については自然条件がございますのでなかなか伸びがございませんが、そういう意味で、最大限の努力をクリーンエネルギーに置きながらも、やはり原子力が非化石エネルギーの中では中枢の役割を持つもの、かような考え方でございます。
  124. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 丁寧な御説明をありがとうございました。大体は承知しているので、私も原子力発電に関する産業界のシンポジウムに出たり、いろいろな議論はやっておりますから、伺っております。  ただ、一つの考え方として、これからの時代、エネルギー、生活、環境、生き方、スウェーデンの場合でも、市民運動からも政府側からも、暮らし、生き方とエネルギー、各家庭にパンフレットが行くとか、いろいろな議論があるとかあるわけでありまして、それだけの質実剛健とか着実さというのは日本の社会にはないんだなというようなことを実は私は思うわけでありましたが、いろいろな未来志向の考え方を持っていくという意味で、あえて問題提起をさせていただきました。  時間がありませんから、次にもう一問伺いますが、民間職業仲介事業追加議定書に関連して伺います。  労働省からお越しをいただいておりますが、これは外務省も関連するのですが、条約国内法の仕切りということを一遍双方よくお考えいただきたいという気がいたします。  例えば、この百八十一号批准の中身、それから、衆議院から今参議院に回っている国内法の議論、修正賛成ということで私どもの党も賛成をさせていただきましたが、いろいろな議論がございました。その議論の中身というよりも、何か条約で決められていることと、条約関連国内法というのが出てくるんだけれども、その条約の直接の問題ではないテーマも別の話では出てくるというふうなことがございまして、さまざま議論が行われるということになるわけであります。  ですから、今度のあれで見ましても、百八十一号条約批准のための中身を見ますと、最低必要条件というのは、職業紹介の原則自由化あるいは労働者の情報を含めた保護とかなどだと思いますし、職安法にかかわる部分が中心、派遣法のところで非常に議論になる、別途のことなので、条約国内法のかかわりというものはきちんと整理をしながらやるということが必要なのではないだろうか。この国際原子力機関の問題もそうでございまして、別途、廃棄物の中間処理施設などをめぐりまして大分議論が激しくあったようでございますけれども、これは何かついでに出てきたような感じがいたしまして、たまたま今度のこのILO問題についても感ずるわけでございます。この点について、今後、国内法条約というものをきちんと取り仕切るということの必要性があるんじゃないかということも考えさせられるテーマだというふうに認識をしておりますが、いかがでしょうか。  もう時間が終わりましたから、答弁を伺う前に、要望だけひとつしておきます。  この間、外務大臣に未批准のさまざまな条約についての促進方を要望いたしまして、前向きの御答弁をいただきました。ILO関連だけ調べてきましたら、国会図書館で出したものに百数十本ございまして、これは私も全部どうかはわかりませんので、連合とか組合の方々に、今特に必要なのは何だろうかということで勉強を一緒にやりましたら、十五、六項目、これは特に必要じゃないかという指摘がございました。  例を御紹介する時間がございませんけれども、大臣、この前も、前向きに努力をしなくちゃならぬという主張をおっしゃいましたので、できましたら、条約局になるのかどこになるのか、お役所の方々とそれらの中身について一緒に勉強したり、研究したりして、いいものは早くできるように、お互いに努力をしたいというふうに考えておりますが、ぜひそのようにお願いしたいと思います。
  125. 野寺康幸

    ○野寺政府委員 簡潔にお答えいたします。  まず、条約批准の前提でございますけれども、条約を批准する場合に、これを完全に施行するという意味で、まず国内法制を完全に整備するということに心がけております。  さらに、今後のILO条約の批准の問題でございますけれども、ILOに加盟国している国として、可能な限りILO条約を今後も批准してまいりたいというふうに考えております。
  126. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 では、終わらせていただきます。
  127. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  128. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定追加議定書締結について承認を求めるの件に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
  129. 古堅実吉

    ○古堅委員 私は、日本共産党を代表して、本追加議定書に対して反対の討論を行います。  言うまでもなく、我が党は、新しい核兵器国の出現を許すものではありません。しかし、五つの国だけに核兵器保有を認める核独占体制の維持、強化を図るNPTと結びつく限り、明らかに核独占体制を非核を保障する側から補完することになるのであります。  しかも、保障措置とは、非核兵器国の核兵器への転用を査察の措置によって結果として核兵器保有国の核兵器独占体制を保障するもので、非核兵器国のみに核兵器への転用の有無の調査を義務づけ、一方的に制約を課す不平等なものであります。  その上、本追加議定書による保障措置強化がNPT体制と結びつくことは、非核を保障する側から核保有国の独占体制をより強めるものにほかなりません。  しかも、本追加議定書によって、より広範な情報の申告や、申告していない怪しいところへの査察の導入などの措置強化は、これまで以上に非核兵器国への内部介入を許す手段を提供することになり、アメリカなどの核保有国がより内部介入しやすくするおそれを強めるものであります。  最後に、真の核兵器拡散を確立するためには、核兵器の廃絶以外にはあり得ないのであります。本追加議定書によって保障措置を幾ら強化したとしても、アメリカなどの核保有国の核兵器による力の政策が続く限り、新たな核兵器開発の誘引が非核兵器国からはなくなりません。そのため、真に世界における核兵器の不拡散を実現するには、我が党が世界政治における緊急な第一義的な課題として提唱している、全世界からすべての核兵器の廃絶を実現する以外にないことも指摘して、討論を終わります。  以上です。
  130. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  131. 中馬弘毅

    中馬委員長 採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  132. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)の締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、航空業務に関する日本国政府イスラエル国政府との間の協定締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  136. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会