運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-05-13 第145回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十三日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 赤松 正雄君 理事 東  祥三君       瓦   力君    木村  勉君       河野 太郎君    阪上 善秀君       櫻内 義雄君    田村 憲久君       中谷  元君    額賀福志郎君       深谷 隆司君    細田 博之君       八代 英太君    吉川 貴盛君       川内 博史君    中野 寛成君       藤田 幸久君    坂口  力君       山中あき子君    藤井 裕久君       吉田 幸弘君    古堅 実吉君       松本 善明君    伊藤  茂君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      小松 一郎君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵省国際局長 黒田 東彦君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部長   内藤 昌平君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君 委員の異動 三月二十五日  委員柿澤弘治君が退職された。 四月十三日             補欠選任              木村  勉君 五月十三日  辞任         補欠選任   瓦   力君     田村 憲久君   井上 一成君     吉田 幸弘君 同日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     瓦   力君   吉田 幸弘君     井上 一成君 四月二十二日  拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約締結について承認を求めるの件(条約第一〇号) 同月二十七日  国際海事衛星機構インマルサット)に関する条約改正及び国際移動通信衛星機構インマルサット)に関する条約改正受諾について承認を求めるの件(条約第二号)  標章国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッド採択された議定書締結について承認を求めるの件(条約第五号)(参議院送付)  投資促進及び保護に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第六号)  投資促進及び保護に関する日本国政府ロシア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第七号) 三月二十五日  WTO協定WTO衛生植物検疫協定改定に関する請願中林よし子紹介)(第一六〇六号)  米軍基地縮小撤去、武力によらない安全保障に関する請願中川智子紹介)(第一六六三号) 四月一日  米の関税化に関する譲許表改定承認反対等に関する請願松本善明紹介)(第一七四五号)  核兵器完全禁止核廃絶国際条約締結に関する請願城島正光紹介)(第一七四六号)  WTO協定WTO衛生植物検疫協定改定に関する請願松本善明紹介)(第一七四七号) 同月七日  在沖縄米軍基地縮小撤去に関する請願伊藤茂紹介)(第一八八五号)  WTO協定WTO衛生植物検疫協定改定に関する請願児玉健次紹介)(第一九七六号)  同(中林よし子紹介)(第一九七七号)  同(藤田スミ紹介)(第一九七八号)  米の関税化に関する譲許表改定承認反対等に関する請願松本善明紹介)(第一九七九号) 同月九日  WTO協定から米除外に関する請願松本善明紹介)(第二一九一号) 同月十四日  米の関税化に関する譲許表改定承認反対等に関する請願松本善明紹介)(第二四〇七号) 同月十六日  ODA予算大幅削減に関する請願古堅実吉紹介)(第二七〇一号) 同月二十八日  米軍低空飛行即時中止に関する請願松本善明紹介)(第二九三四号) は本委員会に付託された。 四月二十七日  核兵器廃絶国際条約締結促進に関する陳情書外一件(第一二七号)  日韓漁業協定締結に関する陳情書(第一二八号)  サミットの沖縄県開催に関する陳情書外二件(第一八〇号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  国際海事衛星機構インマルサット)に関する条約改正及び国際移動通信衛星機構インマルサット)に関する条約改正受諾について承認を求めるの件(条約第二号)  標章国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッド採択された議定書締結について承認を求めるの件(条約第五号)(参議院送付)  投資促進及び保護に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第六号)  投資促進及び保護に関する日本国政府ロシア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第七号)     午前九時開議      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際海事衛星機構インマルサット)に関する条約改正及び国際移動通信衛星機構インマルサット)に関する条約改正受諾について承認を求めるの件、標章国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッド採択された議定書締結について承認を求めるの件、投資促進及び保護に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件及び投資促進及び保護に関する日本国政府ロシア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。     ―――――――――――――  国際海事衛星機構インマルサット)に関する条約改正及び国際移動通信衛星機構インマルサット)に関する条約改正受諾について承認を求めるの件  標章国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッド採択された議定書締結について承認を求めるの件  投資促進及び保護に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件  投資促進及び保護に関する日本国政府ロシア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 高村正彦

    高村国務大臣 ただいま議題となりました国際海事衛星機構インマルサット)に関する条約改正及び国際移動通信衛星機構インマルサット)に関する条約改正受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  これらの改正は、それぞれ、平成六年十二月及び平成十年四月にロンドンで開催された国際海事衛星機構の総会において採択されたものであります。  これらの改正は、国際海事衛星機構の名称を国際移動通信衛星機構に改めること及び会社を通じてインマルサット衛星システムを運営するために機構目的構成等を変更することを内容とするものであります。  我が国がこれらの改正受諾してその早期発効に寄与することは、移動衛星通信業務の継続的な提供を確保するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、これらの改正受諾について御承認を求める次第であります。  次に、標章国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッド採択された議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この議定書は、平成元年六月にマドリッドで開催された国際会議において採択されたものであります。  この議定書は、外国において標章保護を受ける手続を簡略化する標章国際登録制度の確立を目的とするものであります。  我が国がこの議定書締結することは、外国標章保護を受けようとする我が国出願人便宜に資するとともに、我が国標章保護を受けようとする外国出願人便宜にも資するものであり、工業所有権分野における国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、投資促進及び保護に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、バングラデシュ側の強い希望を受け、バングラデシュ投資促進及び保護に関する協定締結するため、平成六年以来交渉を行いました結果、平成十年十一月十日に東京において、先方アザド外務大臣との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定は、投資許可及び投資許可に関連する事項について最恵国待遇相互に与えているほか、投資財産収益及び投資に関連する事業活動に関する最恵国待遇及び内国民待遇収用等措置がとられた場合の補償送金等の自由、投資紛争解決のための手続等について定めております。  この協定締結により、我が国バングラデシュとの間の投資増加並びに経済関係拡大及び緊密化促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、投資促進及び保護に関する日本国政府ロシア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、ロシアとの間で投資促進及び保護に関する協定締結するため、平成十年二月以来、ロシアとの間で交渉を行いました結果、平成十年十一月十三日にモスクワにおいて、我が方都甲特命全権大使先方シャポヴァリヤンツ経済大臣との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定は、従来の我が国投資保護協定と同様、投資許可及び投資許可に関連する事項について最恵国待遇相互に与えているほか、投資財産収益及び投資に関連する事業活動に関する最恵国待遇及び内国民待遇収用等措置がとられた場合の補償送金等の自由、投資紛争解決のための手続等について定めております。  さらに、この協定は、投資環境整備における国際的傾向ロシア投資環境の現状を踏まえ、法令の公表、貿易に関連する投資措置禁止等の従来の我が国投資保護協定にはない新しい規定を設けております。  この協定締結により、我が国ロシアとの間の投資増加並びに経済関係拡大及び緊密化促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉川貴盛君。
  6. 吉川貴盛

    吉川委員 自由民主党の吉川貴盛でございます。  ただいま提案がございましたロシアとの投資保護協定バングラデシュとの投資保護協定インマルサット条約改正標章国際登録に関するマドリッド議定書、このことにつきましては後ほどお伺いをさせていただきたいと思います。  まずは、最初にコソボ関係質問させていただきたいと思います。  去る五月六日にボンで開催されましたG8の外相会議におきまして、高村外務大臣は二億ドルに上るコソボ難民に対する日本支援策説明いたしまして、大変大きな称賛が得られたことを私は評価をいたしたいと思います。  大臣は、帰国後、G8合意項目の中の国際的なコソボ駐留組織に関する項目につきまして、日本からの何らかの形の参加があり得るべきで、要員派遣検討する旨を発言されたのであります。G8合意での駐留組織文民組織治安維持組織が併記されておりまして、大臣としてはPKO協力法に基づいた文民警官派遣念頭に置いているものと思われるのでありますが、日本として協力可能な分野を具体的に提示し、積極的に関与を行うべきであると私は考えているものであります。  我が国としていかなる分野協力をしていこうとしているのか、大臣見解をお伺いさせていただきます。
  7. 高村正彦

    高村国務大臣 今般のG8外相会合では、国際的な文民及び安全保障プレゼンスにつき合意をいたしました。  御質問は、このようなプレゼンスの性格及び我が国貢献をどう考えているかとの趣旨と考えますが、今般の合意は現段階ではまだ一般的な内容のものでありまして、今後、国連との関係、任務、構成等に関し、さらに具体的な検討が進められることになります。したがって、このようなプレゼンスに対する我が国の対応について考えを申し上げることはまだ時期的に難しいわけでありまして、今後、この具体的内容が固まった段階で、我が国としての貢献可能性検討したいと考えております。  G8の中では、このプレゼンスについて、ミリタリー、軍事的なものを含むというのは、これはロシアを含めてみんなそういう考えであるわけでありますが、それがどの程度、どういう形で軍事的なものになっていくのか、総体、いろいろなことがまだ固まっておりませんので、我が国として、今の段階でどういう形で参加するかということはなかなか難しいわけでありまして、そういうのが固まっていくことを見ながら、見ながらといっても、その固まっていくことについても、我が国自身もいろいろ意見をG8の中では申し上げていくわけでありますけれども、見ながら、我が国として参加するのかしないのか、参加するとすればどういう形で参加をするのか、そういったことを含めて当然検討をしていくことになる、こういうことを申し上げているわけでございます。必ずしも、文民警察官念頭に置いているとか、そういうことではありません。
  8. 吉川貴盛

    吉川委員 次の質問に移らせていただきます。  このG8の緊急外相会議コソボ紛争政治的解決へ向けて七項目合意に基づいて動き出したやさきに、NATOによる中国大使館への誤爆が発生をいたしたところであります。  この七項目合意には、国連主導治安維持部隊文民監視団派遣と、国連安保理決議に基づくコソボ暫定統治機構の設置という項目が含まれているわけであります。安保理決議には、空爆に反対してきた中国の同意が必要であり、安保理常任理事国である中国への期待が大きくかかっていたのは言うまでもないことだろうと思うのです。  中国が、国連代表部を通じて、この事件を野蛮な行為と激しく非難をいたしました。空爆即時無条件停止を求めたのは理解できるところでありまするけれども、懸念されたとおり、国連緊急安保理事会に先立つ記者会見で、コソボ空爆即時停止が行われない限り国連安保理におけるコソボ問題解決の話し合いは不可能な旨発表いたしました。これは、G8が合意した政治的解決を求める国連決議等拒否権を発動する姿勢を示したものと言えるのではないかと思うのです。  中国は、ロシア日本とともに、コソボ和平への転換点になると期待されたチャンスを握りつぶすことなく国連決議採択に加わることが重要であろうかと私は思っております。そうすることが国際社会の共感を得、また、国際社会が、いかなる紛争国連のもとでの政治的解決でなければ実効性を持ち得ないという共通の認識をつくる機会にもなるものと考えるからであります。  中国に対して、G8の合意交渉のテーブルにのせるよう求めていくべきであると考えますが、我が国としてはいかなる働きかけを行うべきでありましょうか。大臣見解をお伺いさせていただきます。
  9. 高村正彦

    高村国務大臣 コソボ問題の政治解決のためには、G8が統一ポジションを固め、国連主導的役割を果たし得る状況に持っていくことが重要であります。この観点から、先般のG8外相会合におきまして、政治解決のための七原則について合意されるとともに、これらの原則を実施するため、国連安保理決議を目指して準備を進めること等が合意されたことは、委員が御指摘のように極めて重要なことである、こう思っております。  国連安保理決議採択のためには、これも委員が御指摘のように、安保理常任理事国である中国理解協力を得ることが不可欠であります。先般のG8外相会合においても、G8議長国であるドイツが会合結果を中国に報告することとなっており、現在、シュレーダー首相中国訪問中でございます。昨日首脳会談も行われた、こう聞いております。  いろいろ難しい点もありますが、我が国としては、この訪問の結果をも踏まえつつ、適当な機会をとらえて中国とも話し合っていきたい、こういうふうに思っております。
  10. 吉川貴盛

    吉川委員 ロシアのチェルノムイルジン・ユーゴスラビア問題担当特使でしょうか、北京におきまして中国要人と相次いで会談をし、コソボ問題に対する中ロ間の共同歩調を確認し、両国は、ユーゴ政府が発表したコソボ自治州に派遣した軍と警察の一部撤退を受けて、NATO即時空爆停止を求める原則的な立場で一致した、そういうような報道もなされました。  中ロ両国国連安保理共同歩調をとることとなると、G8合意関連決議採択することはさらに困難になることが予想されるのでありまして、このG8の西側のメンバーで唯一空爆参加をしていない我が国は、ロシア中国に対し、対等の立場で発言できるものと私は考えておるものであります。  今月末に大臣訪ロを予定いたしておるわけでありまするけれども、この際、この問題に関して、ロシアとの交渉にどのような態度で臨まれるのでしょうか。  報道質問をするのは大変申しわけないのでありまするけれども、大変ロシアの情勢を象徴しているように、プリマコフ首相解任をされたのであります。今も申し上げましたように、ロシアは、NATOによるユーゴスラビア空爆問題の調停役を果たしているわけでありまするけれども、内政混乱調停工作の失速が懸念をされるのではないのか、そういった心配もございます。  さらにもう一つ、今申し上げましたけれども、今月訪ロをされる大臣の日程に、全くこの解任問題等影響ないのでしょうか。多少懸念をされるものでありますから、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  11. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国は、コソボ問題の政治解決のためのロシアのこれまでの外交努力を高く評価しておりまして、今後ともロシアが重要な役割を果たすことを期待するものでございます。  コソボ問題の政治解決のためには、ロシアを含めたG8が統一ポジションを固め、国連主導的役割を果たし得る状況に持っていくことが必要であります。この観点から、先般のG8外相会合において、政治解決のための七原則について合意されるとともに、これらの原則を実施するために国連安保理決議を目指して準備を進めること等が合意されたことは、極めて重要なことであると考えております。  今後、安保理決議準備していく上で、ロシアと他のG8諸国との間で、依然として立場が一致していない問題があるわけでありますが、一致していない問題というのは、例えば国際的文民及び安全プレゼンス内容構成空爆停止ユーゴ軍治安部隊撤退のタイミング、どっちが先だとか同時期とか、そういった点が必ずしも一致していない、そういう点もありますけれども、今後、相違点をできる限り小さくしていくことが重要であります。今月末の私の訪ロの際を含めて、あらゆる機会をとらえてロシアと協議してまいる考えであります。  プリマコフ首相解任されたことは非常に大きな出来事である、こう思っておりますが、少なくとも現時点日本の側から、今月末の私のロシアに行くということを取りやめるとか、そういうことは一切考えておりませんで、現時点では着々と準備を進める、こういうことでありますし、ロシアがこれからもコソボ問題の解決に向けて政治的努力を発揮していただく、そのことを大いに期待している、こういうことでございます。
  12. 吉川貴盛

    吉川委員 ぜひ訪ロを決行されまして、実りある成果をおさめていただきたい、このように思うのでございます。  次に、大臣は先日、日本外務大臣として初めてマケドニア訪問されました。今後両国関係を友好的に進展させる上で大変有意義なものと理解をしているのでありますが、マケドニア滞在中、ディミトロフ外相との会談を行っているわけでありまするけれども、実際に難民が流入している当事国マケドニアとして、コソボ問題をいかにとらえ、紛争解決方法をどのように考えておられるのか、またユーゴ周辺国我が国に対し具体的にどのような援助を求めているのか、その会談結果につきまして若干御説明をいただければと思います。
  13. 高村正彦

    高村国務大臣 ディミトロフ外相との会談では、コソボ問題に関するマケドニア立場ディミトロフ外相は、まず、コソボ問題は政治的解決が図られるべきであると。具体的には、民族浄化強制追放停止難民の帰還、コソボ復旧復興、さらに、将来の民主的社会の実現が図られるべきである、そのためには国際的な監視団が必要である、コソボにおいては各民族に平等に自治権が与えられるべきである、国境の変更は認められない、こういうふうに述べておられました。  さらに、先方からは、コソボ紛争影響で受けたマケドニア経済的損失が既に二億二千万ドルに上っている、貿易額は四〇%減少した、一万五千人の追加的失業者が出ている等の具体的な説明がありました。こうした困難を克服するため、我が国を含む国際社会支援を求めたいという要請がありました。  私からは、多数の難民を受け入れているマケドニア及びアルバニアに二年間で約六千万ドルの支援を行うことを含む、総額二億ドルのコソボ貢献策説明しましたところ、先方からは強い謝意が表明されました。
  14. 吉川貴盛

    吉川委員 今般の大臣マケドニア訪問においては、四月三十日、スコピエにおいて、マケドニア政府に対するビトラ総合病院医療機材整備計画及び食糧増産援助に資するための総額十億二千四百万円を限度とする額の無償資金協力の書簡の交換ディミトロフ外相との間で行われたと聞きます。その後のG8会議におきましても大きな評価を得たと承知をいたしているわけであります。  さらにまた、政府は、マケドニアと同様にコソボ難民の流入により社会保障システムに多大な困難をもたらしているアルバニアに対しても援助を行う旨、かねてより表明いたしております。大臣マケドニア訪問と同時期に外務省国際社会協力部長大臣の名代としてアルバニア訪問していると聞いているのでありますが、このアルバニア及びその他ユーゴ周辺諸国に対する援助につきましての進捗状況説明いただきたいと思います。
  15. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国は、四月二十七日に発表したコソボ貢献策で、大量の難民を受け入れているマケドニア及びアルバニアに対する支援として、二年間で六千万ドルを供与することとしております。  また、資金協力のみならず、医療等分野への支援として、本邦医療専門家派遣関連機材の供与及びその他の支援要員派遣を行っております。マケドニア訪問の折には、その一環として、ビトラ総合病院医療機材整備計画及び食糧増産に関する総額十億二千四百万円の無償資金協力交換公文ディミトロフ外相との間で署名いたしました。  また、訪問中に、医療分野協力のために現地に派遣された専門家とも直接お会いし、激励する機会がありました。  マケドニア及びアルバニアに対する支援を着実に実施しているわけでありますが、今後とも、遅滞なく実施すべく鋭意努力してまいる考えでございます。
  16. 吉川貴盛

    吉川委員 次に移らせていただきますが、政府は、コソボ難民支援に対する我が国の人的貢献を積極的に行う目的で、NGOに対する支援に大変力を入れておるわけであります。先月二十日には小渕総理がNGO代表と懇談を行ったほか、具体的には、一件一千五百万円を限度とするNGO事業費に対する補助、既に現地で支援活動を行っている団体への概算払いの承認ですとか、あるいは草の根無償資金協力についても一千万円を限度に資機材の購入や施設建設に必要な経費の支援、その他国連難民高等弁務官事務所や国連ボランティア計画を通じてのNGOへの支援等がありまして、これまでにないNGOへの協力であると私は理解をいたしております。  国連平和維持活動協力法に基づく政府の人的貢献はさまざまな制約がありまして、迅速な対応が難しい面もあります。NGOの活用というのはそういった面からも非常に重要なことと言えるのでありまして、高村大臣が今回のマケドニア難民キャンプ訪問に際して、NGOグループによる現地での支援活動を視察されたと思うわけでありまするけれども、こうしたNGO活動をいかに評価して、今後、政府としてNGOに対しどのような支援を続けていかれようとするのでしょうか。見解をお伺いいたします。
  17. 高村正彦

    高村国務大臣 私は、マケドニア訪問の際、現地で活躍する我が国NGOの方々とお会いする機会がありましたが、我が国NGOはマケドニアコソボ周辺地域において日本国民による国際貢献の実を上げており、政府としても高く評価しているところでございます。  政府としては、コソボ難民支援に官民一体となって取り組むために我が国NGOによる支援活動を応援することとしており、NGOに対する支援制度の弾力的運用等の措置をとっているところでございます。
  18. 吉川貴盛

    吉川委員 このコソボ難民のキャンプを、私どもの同僚議員が五月二日から五日まで二泊四日で、マケドニアの、大臣が訪れたと同じキャンプ地に視察に行っております。同僚の滝実議員、戸井田徹議員、新藤義孝議員、下地幹郎議員の四名でありまするけれども、彼らの報告、話を聞きまして、私もなるほどなと思うことがたくさんございました。  まずギリシャに行って、テッサロニキからマケドニアの首都であるスコピエまで四時間かかるんだそうでありますが、四時間かけてステンコベッツの難民キャンプ場、ここには約二万八千人収容されていると聞いております。大臣もここに行かれてサッカーボールをプレゼントされたということでありますが、子供たちは喜びましたか、サッカーボール。その辺の感想も後でお伺いしたいと思いますが、そこで私どもの同僚の四名がこの難民キャンプ地を視察いたしまして、顔の見える支援というものをもっとすべきだという結論に達した、こういうことであります。  例えば、顔の見える支援というのはどういうことかといいますと、あの難民の収容されているテントというのは、一テントに十二人から十八人ぐらい入っているんだそうであります、一家族といいますか、一族というんでしょうか、そういうのが入っているんだそうであります。例えば、収容所で子供が生まれて、栄養状態が悪いせいか黄疸が出ているとか、そういったところも見てきたそうであります。  その中で一番感じたのは、あのテントはイギリス軍のテントであり、そして、日本が拠出をしているお金と申しましょうか、それで食糧、缶詰とか、あるいはパンは、WFPが小麦粉を提供してマケドニアで生産をしてそのパンを配っている、そういうような状況の中で、例えば、これは細かなことかもしれませんが、缶詰は例えばイギリス製とかドイツ製と聞きました。日本製の、日の丸のついた缶詰ではないわけでございまして、収容されているこの難民の皆さんは、日本がお金を出したということは全く知らない、食糧をいただいているのは、そのマークがついているイギリスとかドイツとかアメリカとかの支援をいただいているんだというような感覚でしかないということらしいんですね。  そこで、この四名の同僚の皆さんが、缶詰やあるいは布おむつの緊急空輸をしたらどうか。なぜ布おむつかというと、ごみが物すごく出て、紙おむつですと大変なごみ化をしてしまいますので、布おむつを日本から送ってはどうかというようなことを提案いたしております。さらにはトイレ、シャワーですね。御承知のように、大臣は御視察をされてきたわけでありますから、いかに条件が悪いかということを御承知だと思うんですが、自衛隊員用の浄化装置つきのトイレとシャワー、そういったものも提供してはどうか、あるいは、このNGOの皆さんのお力添えもいただきながら、日本独自で難民のキャンプ村を創設してはどうか、そういった幾つかの御提案をされておるわけであります。  このことはもう大臣にもこの四名の同僚の方々が報告をされていると思うわけでありまするけれども、何かこのことに対して大臣が感ずるものがありましたならばお話をしていただければというふうに思います、顔の見える支援ということで。
  19. 高村正彦

    高村国務大臣 難民に対する人道支援でありますから、一番大切なことはその難民がいかに助かるか、こういうことでありますが、それと同時に、日本国民の税金を使う以上、やはりそこに日本支援しているんですよということがわかってもらうということも、委員がおっしゃるように、とても大切なことである、こういうふうに思っております。テントの話は、日本から支援している一千張りのテントは主としてアルバニアへ行っておりまして、そのアルバニアに向かったテントにはちゃんと日の丸がついているというふうに承知をしております。  自民党の同僚議員の方から私も直接いろいろ伺って、そして、あらゆる面で日本の顔が見えるようにすることが、それは日本のタックスペイヤーに対する責任ですよということは外務省の中でも担当者に指示をしておきましたし、担当者も、それはもうかねてから重々承知をしておるところで、そういう努力をしておりますので、御指摘の点、どういうふうに生かしていけるかということをさらに検討したい、こう思います。
  20. 吉川貴盛

    吉川委員 大変残念なんですが、時間がありませんで、最後に二つだけ一緒に質問させていただきますので、御答弁をお願いしたいと思うんです。  連休中の四日の日に、太田総務庁長官が、北方領土返還運動の責任者として北海道の根室市を訪問いたしました。残念ながら、納沙布岬から北方領土が、島が霧に隠れて見えなかったのでありまするけれども、地元の代表の方やあるいは返還運動に携わっている方、元島民の方には、来年、二〇〇〇年までにこの領土問題の解決の兆しが見えなければもうこの返還運動自体をやめたいという切実な思いを持っている人もいるわけであります。  ぜひ大臣として、来年の二〇〇〇年に向けた平和条約、領土の返還に向けて、根室を一度御視察していただけませんか。ぜひお願いします。元島民の方あるいは関係する方々が、高村外務大臣がこの視察をされるということでどれだけ勇気を持たれるかと思うと、私は、ぜひ大臣にも御視察をしていただきたい、こう思うわけであります。  そのことと、それから、先ほどの協定四つ、ロシアバングラデシュそれからインマルサット条約改正、この受諾の意義、標章国際登録に関するマドリッド議定書締結の意義、この四つに対しての意義を、事務的で結構でありますから、簡単に、最後に御説明いただければというふうに思います。
  21. 高村正彦

    高村国務大臣 外務大臣の根室からの北方領土視察、昭和六十三年の宇野大臣による視察以降、日程等の理由から実施されていないわけでありますが、委員指摘のとおり、北方領土を根室から視察するとともに、旧島民を初めとする地元住民との直接の意見交換を行い、平和条約交渉に臨む政府の姿勢を説明することは極めて重要であると考えております。御指摘の点を踏まえて、何ができるか検討してみたいと思います。委員の御指摘、頭の片隅じゃなくて真ん中に入れて考えたいと思います。
  22. 小松一郎

    ○小松政府委員 本日御承認をお願いしております四件の条約締結の意義について簡単に御説明をさせていただきます。  まず、投資保護協定二本でございます、バングラデシュロシアでございます。  投資につきましては、これは条約でございますから双務的な形にはなってございますけれども、基本的には、やはり相手国側が、経済発展のために日本投資促進を非常に強く希望しておるということでございまして、この場合、もちろん政府が強制をすることはできない分野の問題でございますので、投資家の方といたしましては、やはりその投資環境ということで、法的な安定性、予測可能性ということを非常に重視するわけでございます。  この二本の投資保護協定は、従来我が国締結しております投資保護協定、五本ございますが、これと同様の内容投資許可などに関する最恵国待遇投資財産収益及び投資に関連する事業活動に関する内国民待遇及び最恵国待遇収用等措置がとられた場合の待遇等について定めておりまして、我が国投資家にとって、今申し上げたような観点から、極めて意義のある内容となっているわけでございます。  特に、ロシアにつきましては、ロシアの国内の状況にかんがみまして、今までの投資保護協定には含んでございません法令等の公表、それから貿易に関連する投資措置禁止等の規定を新たに定めておりまして、この協定締結が、今後、バングラデシュ及びロシア政府による投資環境整備の努力と相まって、両国間の投資の増大及び経済関係緊密化に資することが期待されるわけでございます。  次に、インマルサット協定条約改正でございますが、これは、国際海事通信、特に海難等が起きた場合の衛星通信を確保してきている重要な機構でございまして、これが、衛星通信の分野で最近いろいろな会社の参入等によりまして競争が激化しているという現状を踏まえまして、いわゆる民活の考え方に基づきまして、新たに英国に創立することになります会社にその業務を移管する、ただし、条約上の機構が、基本的な公共性等の原則が守られるようにこれを監視していくということで、意義があるというふうに考える次第でございます。  次に、標章国際登録に関するマドリッド協定議定書でございますが、これは、標章の国際的な保護を求める場合に、条約がございませんと、そういう出願者が外国に行って外国で出願しなければならない、これを、国際的な機関を通じて国際登録がこれで認められるようになるわけでございまして、経済界からも早期締結希望の非常に高い条約でございますので、何とぞ御承認をいただきたいと考える次第でございます。
  23. 吉川貴盛

    吉川委員 終わります。ありがとうございました。
  24. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、川内博史君。
  25. 川内博史

    ○川内委員 川内でございます。きょうもまたハードボイルドな高村大臣にいろいろと聞かせていただきますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  まず、私はドミニカの日本人移住者の問題についてずっと取り上げさせていただいているのですけれども、せんだっての三月三日の外務委員会におきまして、高村外務大臣から日本人のドミニカ共和国への移住に関する外交文書の公開についての見解をいただいたわけでございます。一九五六年、昭和三十一年三月二十七日付だったと思うのですが、ドミニカ政府のルイス・メルカードという農務大臣から、当時の在ドミニカの吉田公使にあてた書簡、文書ナンバー三二六六という外交文書でございますが、公開をお願いいたしましたら、大臣は、通常の手続に従い審査中であるが、審査を急がせる、自分が急がせると言ったことは大変に重い意味を持つんだという御答弁をいただきました。  三月三日から二カ月が現在経過をしておるわけでございますが、現在どのような状況になっているかということを、まずお尋ねをさせていただきたいと思います。
  26. 高村正彦

    高村国務大臣 本件書簡につきましては、外務省において公開に向けた審査の最終段階にあり、相手国との信頼関係の維持の観点から、現在、書簡の送り元であるドミニカ共和国政府の了解を求めているところでございます。  したがって、外務省としては、先方政府の了解を得次第公開するということで考えております。
  27. 川内博史

    ○川内委員 そうしますと、外務省の内部における手続はすべて終了をしている、あと、ドミニカ政府が出してもいいですよという返事を今待っている状態であるという理解でよろしいでしょうか。
  28. 高村正彦

    高村国務大臣 そういう理解で結構です。  そういう理解で結構ですが、ちょっとつけ加えますと、相手の答えが必ずしも明快でない場合どう判断するかという判断はあるかもしれませんが、九九・九%、委員がおっしゃった理解で結構でございます。
  29. 川内博史

    ○川内委員 きのう私、事務当局というか事務方の方にちょっとお伺いしたのですけれども、ちょっと私、どうなのかなと、理解できなかったのは、例えば、自分がもらった手紙をだれかに、昔こんな手紙をもらいましたよと見せる場合に、相手の了解が果たして必要なのかどうか。  しかも、当時のドミニカ政府日本にあてた文書というのは、この文書ナンバー三二六六以外は私もすべて持っているのですね。三二六六だけが火災でドミニカ政府が持っていない、どこかに紛失してしまったとおっしゃるので、日本政府に対して公開をしてくださいということをお願いしていたわけですけれども、この外交文書を公開するに当たって、ホットなものであれば相手国の了解というのも必要なんでしょうけれども、四十年前のものを公開するのに、相手国の了解を取りつけなければ公開できないという規則があるのでしょうか。規則があるから相手国の了解を求めているのか、それとも、規則はないけれども、一応礼儀だから、とりあえず了解を求めているということなのでしょうか。その辺、ちょっと明らかにしておいていただきたいのです。
  30. 内藤昌平

    ○内藤説明員 先ほど大臣も答弁申し上げたとおり、相手国との信頼関係の維持というのは外交の鉄則でございますので、規則等にかかわらず、先方様の手紙ですし、かつ先方様が手紙の記録を持っていないということもありまして、こちらからこういう手紙をいただいていますということを御説明して、さらに検討していただいているということでございます。
  31. 川内博史

    ○川内委員 私がお尋ねしたのは、四十年前の外交文書を公開するに当たって相手国の了解を求めなければならないという外務省の中に規則がございますかということをお尋ねしたのですけれども。
  32. 高村正彦

    高村国務大臣 私も正確に知らなかったので申しわけないのですが、今の政府委員の答弁からすれば、そういう明確な規則はないけれども、信頼関係を維持する上で必要だ、これが外交の鉄則である、こういうことでございます。  そんなに時間がかかることだと思っていませんから、もうちょっとお待ちください。
  33. 川内博史

    ○川内委員 今、大臣から、もうちょっと待てというお言葉がございました。  もうちょっと待てという意味は、ドミニカ政府が万々が一、それは公開してもらっちゃ困るというようなことを言ってきた場合は、見せてもらえなくなってしまったのでは私もそれこそ困ってしまいますので、今の大臣のもうちょっと待ってくださいというのは、ドミニカ政府理解をしっかりと求めつつ、当時の外交文書を公開できるようにするぞという意味に理解してよろしいでしょうか。
  34. 高村正彦

    高村国務大臣 公開したいと思って向こうの了解を得ているわけでありますから、そういう方向で向こうにも説明をし、お願いしているところでございます。
  35. 川内博史

    ○川内委員 よく理解をいたしました。ありがとうございます。それでは、私は待たせていただきますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、やはりドミニカの問題に関連して、今回、ドミニカ政府から日本人の移住者の方々のために無償で譲渡するという申し出のあったラ・ルイーサ地区という地区の土地に関して、お伺いをさせていただきたいと思います。  私自身、昨年ドミニカを訪問したときにはこの土地を見てまいったわけでございますが、せんだっての三月の委員会では、大臣から、政府としてコンサルタントに委託をして、この無償譲渡の申し出のあった土地に関して、その地質の調査を今行っている、三月下旬ごろまでには報告書が提出をされる見込みであると。  その調査が終了したのかどうか、また、その調査が終わっているのであれば結果がどうだったのか、そしてまた、その報告書について、私どもにも見せていただけるものであるのかどうか、また、移民の皆様方に対して、その調査の結果等、報告を当然されたと思うのですけれども、それについての移民の皆様方の反応というところを御説明いただきたいと思います。
  36. 高村正彦

    高村国務大臣 ドミニカ政府が日系移住者に無償譲渡することとしたラ・ルイーサ地区は、約七百五十ヘクタールの広大な土地でございます。現地の調査機関が実施した調査によれば、地区内で土地の肥沃度に若干ばらつきはありますが、約八割が普通程度以上の肥沃度を有する土地であるとの結果が出ております。また、本件調査において地元住民の意向を調べたところ、日本人移住者の同地区への定着を歓迎するとの結果となっております。  本件調査は移住者の参考に資する目的で行われたものでありますから、移住者の方には読んでいただくということにしております。
  37. 川内博史

    ○川内委員 今の大臣の御答弁というのは、コンサルに調査をさせているというふうに私どもが聞く以前から、現地の大使館の方や、また先ほどもちょっと御答弁いただいた移住部長などもおっしゃっていたことでございまして、私がきょうお伺いしたのは、今、大臣の御答弁は大体おまとめになられた御答弁ですからむべなるかなというふうにも思うのですが、その調査の報告書等を、そうであったならば見せていただいて、詳細なその報告というものを私どもも知り、大変に興味を持っておりますので、それをぜひ見せていただきたいと思うんですけれども、それを見せていただくわけにはいかないんでしょうか。
  38. 高村正彦

    高村国務大臣 近々公開いたしますから、まず移住者の方に見ていただきますが、委員にも当然見ていただきます。
  39. 川内博史

    ○川内委員 では、それもまたお待ちしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  ドミニカの話題については以上で終了させていただきます。文書の公開、それから報告書の公開、お約束をいただいたというふうに理解をしておりますので、よろしくお願いします。  次に、日本人の方々が北朝鮮に拉致をされたのではないか、あるいは拉致されているという断定もできると思うんですけれども、この問題について若干お伺いをさせていただきたいと思います。  私がなぜこの問題を取り上げるかということに関しては、私の地元の鹿児島の、二十年前に大変若い恋人同士というか若いカップルが行方不明になっている。当時は行方不明だというふうに言われたわけですけれども、実は北朝鮮という国に拉致をされて、連れていかれたらしいというふうに現在ではほぼ断定をされているわけでございますが、我が国政府としても、この問題については、先ほど自民党の委員の方から、コソボ難民支援に関していろいろ御質問があったわけでございますが、よその国の難民支援することも大事なことでございましょうが、我が国の国民一人一人、生命、財産の危険に侵されたときに、たった一人であろうが二人であろうが、数が少なかろうが、その一人を全力で守るということがやはり政治にとって大変に重要なことだというふうに私は考えています。  せんだって、大臣はごらんになったかどうかわかりませんが、「プライベート・ライアン」という米国の映画がございまして、第二次世界大戦のときに、ライアン二等兵という人をあらゆる犠牲を払って救い出しに行く映画だったんですけれども、たった一人であっても、どんな犠牲を払っても、救い出すべきは救い出すという国としての強い意思を持つべきではないのかなというふうに思うんです。  そこで、我が国政府として、これはもうあらゆる報道や、あるいは総理や外務大臣も御発言をされていらっしゃるところでございますが、政府として、今北朝鮮に拉致をされているとほぼ断定をされていらっしゃる日本人の方が何人いるという数字の確認からさせていただきたいと思います。
  40. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国捜査当局は、これまでの捜査結果を総合的に検討した結果、七件、十名の事案について北朝鮮による拉致である疑いが極めて強いものと判断しております。
  41. 川内博史

    ○川内委員 七件、十名の方がどうやら拉致をされたらしいというふうにほぼ断定をしているということでございますが、その七件、十名の方々に対して、これまで政府として、あるいは外務省として、これらの方々を救い出すために具体的にどのような努力をされていらっしゃったかということを次に御説明をいただきたいと思います。
  42. 高村正彦

    高村国務大臣 政府といたしましては、本件が我が国国民の生命にかかわる重要な問題であるとの認識に立ち、従来より北朝鮮側に対し、この問題をしっかりと取り上げてきているわけであります。  例えば、平成三年から四年にかけて行われていた日朝国交正常化交渉においても、我が方より北朝鮮側に照会を行うとともに、消息等についての調査を強く求めた経緯がございます。その後も、国会のような公の場や非公式の日朝交渉など、あらゆる機会をとらえて本件について北朝鮮側の真剣な対応を求めてまいりました。また、北朝鮮との間で各種協議を有している米国との関係においても、この問題を取り上げ、協力を求めてきているところでございます。  委員も御承知だと思いますが、日本政府、ある意味ではかなり強くやっておりまして、このことで、事実上、日朝国交正常化交渉がとんざしたということもある。そのことでまた、委員とは立場を異にする人からは批判を浴びたこともある。そういう中でも、私たちは、取り戻すということが実現していないわけですから、だらしないじゃないかと言われれば、それは甘んじて受けざるを得ませんが、私たちは相当の決意であらゆる手を尽くしているつもりでございます。
  43. 川内博史

    ○川内委員 今、大臣から大変に強い御決意をお聞かせいただいたわけでございます。我が方は、この問題が解決しない限り、おたくの国との関係が進展することはないよと言いながら、何とか解決をしようというふうにしてきたという大臣の御答弁でした。しかし、北朝鮮という国は、この問題自体が存在しないというふうに言っているわけでございますから、存在しない問題に対して、我が方がこの問題に対してどう対応していくかというのは、ただ相手の国に対して言うだけでは、強い決意を持って申し上げるだけではなかなか進展をしないのではないかというふうに私は思っていまして、特別な手段とか、ありとあらゆる方法というものがとられてしかるべきではないかなというふうに思うんです。  そこで、せめてこの拉致されていらっしゃる七件、十名の方々が、今、北朝鮮のどこでどのように生活をしていらっしゃるか、あるいは監禁状態にあるのか軟禁状態にあるのか、そういったような情報についても政府としてつかんでいらっしゃるのだろうか。これはつかんでいるとかつかんでいないという簡単な御答弁でいいんですけれども、そういう情報収集をし、その方たちがどこにいるというところまではわかっているんだということであれば御説明をいただきたいと思います。
  44. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 先ほど大臣の御答弁にもございましたように、政府としては、本件、必死になって対応しているわけでございますが、情報収集の面でも、これはどういうチャネルということは申し上げられませんが、収集に努めております。内容につきましては、特にこういう場で中身を申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、情報収集にも全力を挙げております。
  45. 川内博史

    ○川内委員 それは、もうあらゆる方法を駆使して情報を集め、救出に向けた動きをしていくべきだというふうに思います。  せんだって大臣が、拉致されていらっしゃる皆さんの日本に残された家族に対して、最大限の努力をするというふうに明言をされていらっしゃって、私も非常に心強く感じたんですけれども、最大限の努力をする、しかし救出できるかどうかは相手もあることだからわからないということでは、私も、決して大臣がそういう意味で最大限の努力をするというふうにおっしゃったとは思っておりませんで、この最大限の努力をするという意味は、必ず、北朝鮮に拉致をされたであろう日本人の方たちを救い出す、救出する、取り戻すという意味であるというふうに理解をしているのですが、私の理解に間違いはございませんでしょうか。
  46. 高村正彦

    高村国務大臣 政府といたしましては、拉致問題は我が国国民の生命にかかわる重要な問題であるとの認識で、今後とも、米国等の関係国とも緊密に連携しながら、問題の解決に向け、何が効果的であるか、こういうことを考えて、あらゆる機会をとらえて北朝鮮側の真剣な対応を求めていく、そういう強い決意を持っているということを申し上げておきます。
  47. 川内博史

    ○川内委員 ぜひ頑張っていただいて、早く日本に帰ってきていただけるようにしていただきたいというふうに思います。  次に、やはり私の地元の鹿児島に関連する話題なんですけれども、鹿児島は農業県でございまして、特に畜産が盛んであるわけでございますが、最近、農業に携わる皆さん方とお話をしておりますと出てまいりますのがいわゆる次期WTOの農業交渉のことなわけでございます。そのWTOの農業交渉というものがどういうものであるかというのは、当然地元の農業に携わっていらっしゃる方々も専門家ではないですから、どういう交渉が行われ、どういうふうに決まっていくのかということに関してはそれほど深い理解があるわけではないと思うんですけれども、しかし何となくこのWTOの農業交渉というものに自分たちの農業の未来というものがかかっているのではないかという非常に危機感を持っていらっしゃるということは私もよく理解をしているわけでございます。  次期WTOの農業交渉に関して、年末には関係閣僚会議が開かれて、交渉範囲等の詳細が決まるというふうにも聞いておりますし、現在そのための準備が進んでいるということでありますが、日本の農業というのは、歴史、伝統、文化をつくってきた日本の国の柱というか、日本そのものであるというふうに言っても過言ではないと思うんですけれども、この農業を守っていくために、WTOの交渉に、必ず日本に有利な方向に会議が持っていけるように、あるいは会議で勝利できるようにしっかりとやっていくんだという御決意を大臣の方からまた聞かせていただきたいというふうに思います。
  48. 高村正彦

    高村国務大臣 これまで我が国は、各種の国際会議や二国間協議などの機会を通じて、農業の多面的機能や食糧安全保障の重要性等を主張し、これらに対する国際的な理解が深まるよう努力してきたところでございます。  WTO次期農業交渉においても、我が国農業の実情、輸出入国の貿易関連措置状況を踏まえ、農業の多面的機能の発揮や食糧安全保障の確保等、農作物純輸入国としての我が国考えが十分反映された内容合意が得られるよう最大限努力をしてまいります。
  49. 川内博史

    ○川内委員 今大臣から強い御決意をいただいて本当にありがたいと思うんですけれども、私はなぜそんな聞かなくてもいいようなことを大臣にわざわざお尋ねをしたかということをちょっと御説明を申し上げたいと思うんです。  実は、しょうちゅうの税率のことに関してWTOでもめたときに、提訴されて日本が結局負けたんですけれども、地元のことばかり申し上げて大変に恐縮なんですが、しかし、交渉のやり方として、私、説明外務省やらあるいは大蔵省の主税の方々に聞いていて何となく納得がいかなくて、私自身が実はアメリカの交渉担当者に直接お会いしていろいろ話を聞いたんですね。  EUとアメリカとのいろいろな話し合いの中では、EUの中にはお酒に限っても例外が幾つかあるということをそのアメリカの交渉担当者もしっかりと認識をしていて、どんな決め事であってもそれは当然例外はあるでしょう、しかし日本交渉担当者は、しょうちゅうというものがどれだけ日本のお酒の業界の中でも例外的な飲み物であるかということに関してそれほど熱心な説明はなかったように思うよというふうなことを私に聞かせてくれたんです、私がすべてのことが終わった後にアメリカに行って聞いたときに。  もちろん外務省の方も、WTOでいえば、農業交渉でいえば農水省の方も一生懸命におやりになるとは思うけれども、しかしさらに日本の国益を守るために全力を尽くしていただきたいというふうに、後でまた私たちがあれがこうだったとかああだったとか言わなくて済むようにぜひ頑張っていただきたいなと思いまして、あえて大臣に聞かせていただいたところでございます。  余り時間もないので、あと五分でございますから、次に、今回の四本の条約議定書について若干お伺いをさせていただきたいと思いますけれども、投資保護協定を結んで、実際に投資が果たして増加するのかなというごくごく単純な疑問でございます。  ロシアバングラデシュ、今回二国と投資保護協定を結ぶわけでございますが、ロシアバングラデシュ両国とも、民間の見方でいえば、カントリーリスクが今非常に高いという感じがして、投資保護協定が結ばれたから、では日本から投資をいたしましょうという状況にはなかなかないのではないかなというふうに思うのです。  そうすると、ロシアバングラデシュの二国と投資保護協定を結んだというのは、何か具体的な案件があるのか、また、何か特定の案件がないとすれば、結んだ後どの程度投資がふえると思っていらっしゃるのか、また、ロシアバングラデシュ両国の経済状況、政治状況について外務省さんがどう判断していらっしゃるのか、総合的に、簡単で結構ですから、御答弁をいただきたいと思います。
  50. 小松一郎

    ○小松政府委員 委員も御指摘のとおり、我が国投資家が投資を行うか否かということは、それぞれ当該国の市場の経済的重要性や投資環境整備状況を初めとするさまざまな要因が関係する、そういうことを踏まえて、投資家がみずからの判断で行うわけでございますので、この投資保護協定締結されたら直ちに投資がふえるということは、残念ながら、そういうことにはならないわけでございます。  他方、我が国が今まで五本の投資保護協定締結してございますけれども、その中にも、我が国からの投資が順調に伸びている国もございまして、そういった投資が伸びているということにつきましては、その協定の存在もその一因ではないかと考えている次第でございます。  例えば、ごく簡単にその御紹介をさせていただきますと、スリランカでございますけれども、日本・スリランカ投資保護協定署名されました一九八一年度末の時点におきましては、我が国の対スリランカ直接投資の累計は、四十八件、千二百九十二万三千ドルでございましたが、同協定が発効しました八二年度から九六年度までの十五年間において、百三件、二億二千百九十万ドルの対スリランカ直接投資が行われたというのが私どもが把握している統計でございます。  それから、ロシアバングラデシュでございますが、ロシアにつきましては、九一年末のソ連邦崩壊以降、移行期の混乱に見舞われながらも、政治の民主化と市場経済化を柱とする体制転換への道を歩んでおると認識しております。また、その国土、人口、豊富な天然資源等からいたしまして、ロシア投資先としての大きな潜在力については我が国経済界の共通の認識であるというふうに理解をしております。投資保護協定締結我が国の対ロ投資促進に弾みをつけまして、日ロ間の経済的交流の一層の促進が図られることを政府としては期待している次第でございます。  また、バングラデシュでございますが、地理的に見て南アジアにおける東南アジアへの玄関口として重要な位置を占めるほか、安価で豊富な労働力を有しておりまして、有望な投資先としての潜在力を有しております。また、同国では、九六年六月に成立いたしましたハシナ政権が、内政の安定確保に努めるとともに、これまでの外国投資促進政策を一層進めるべく、輸出加工区の拡大及び新設並びに民間による輸出加工区の設置を認める法律を制定するなどの措置をとっております。こういうバングラデシュ側の努力とこの投資保護協定締結が相助け合いまして、今後、日本バングラデシュの間の投資の増大及び経済分野での交流の一層の増進を期待したいところでございます。
  51. 川内博史

    ○川内委員 今いろいろ御答弁をいただいたのですけれども、こういう外務委員会の席で一つの国を評価するのに、言葉遣いは大変に難しい部分というのはいろいろ出てこようかと思うのですけれども、例えば、バングラデシュについて昨日外務省のスタッフの方に説明をしていただいたときには、バングラデシュという国は非常に安定をしている国だ、政治的には今大変に安定をしているというふうに説明をしていただいたのです。しかし、私が別なところから入手した資料では、それほど安定しているとも思えない状況も入手をしておりますし、その国をどう見るかということに関してはいろいろな見方があるし、どういうふうにそれを言葉として表現するかということに関しても、難しい問題もいろいろあろうかと思いますけれども、ぜひいろいろな情報収集にお努めをいただいて、これからの日本の国のためにまた外務省さんに大いに頑張っていただきたいということをお願いいたしまして、もう時間が来てしまいましたので、私の持ち時間を終了させていただきます。ありがとうございました。
  52. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、藤田幸久君。
  53. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 民主党の藤田幸久でございます。きょうは二十五分でございますので、簡潔に質疑をさせていただきたいと思います。  まず、コソボのことについて御質問したいと思いますけれども、今回、いろいろな出来事、中国大使館に対する誤爆の問題、それから、ロシアの首相も解任をされた、いろいろ流動的な状況がございますけれども、今回の流れを見ておりまして、そもそもこの空爆が決行されております意義づけは、人道的惨劇を阻止するためということが大前提にございます。そして一方、日本政府として、そういった問題に対する外交努力をされておられるわけでございますけれども、G8の中で、外務大臣も、御苦労さまでございますが、参加をされてまいりましたが、そもそも今回の人道的悲劇を防止するための外交努力ということについてどんな努力をされておられるのか、まずお聞きをしたいと思います。大臣、簡潔にお願いをいたします。
  54. 高村正彦

    高村国務大臣 政治的解決がされることが必要だと考えておりまして、そして、その政治的解決のためには、やはりミロシェビッチ大統領が国際社会の要求を受け入れる、そして、そのことによって、いわゆる民族浄化と言われるような人道的惨劇が終わると同時に空爆も当然のことながら終わる、そういった結果が招来されるようにG8の中で努力をしてきましたし、これからもしていきたい、こういうふうに思っております。  この人道的惨劇というのは、昨年の二月の終わりごろからずっと続いて、だんだんエスカレートしてきた、こういうことでありますが、国連の中でもいろいろな決議があったりして、外交努力が国際的にもされてきましたし、昨年いっぱいまでは日本も安保理のメンバーでありましたから、安保理の中でも努力をしてきたわけでありますが、残念ながら今安保理のメンバーではないわけで、ただ、日本が安保理のメンバーでないからといって、最終的に国連解決するということは、私は非常にいいことだと思っていますから、そういう方向になるようにG8の中でもいろいろ努力をしている、こういうことでございます。
  55. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 その中で、G8あるいはNATO国連といろいろございますが、誤爆の関係など見ておりまして、事実関係の確認が非常に重要だろうと思っております。  伝えられるところによりますと、中国大使館に対する誤爆というのは、そもそもCIAがつくった地図が古いものであったということでございますが、もしそうであるならば、昔の地図であるならば、今、中国大使館が存在しているところには建物がなかったわけですから、建物がないところに空爆をするわけでないので、前の地図であったという情報自体がおかしいんではないかと思うんですけれども、その辺についての情報把握を外務省の方でどうされておられるのか。  そもそも、そういう説明をアメリカの方から、あるいはNATOの方から聞いたのかどうか、それで、その昔の地図に基づいておるという情報について確認をされておられるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  56. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 昔の情報に基づいて行動をとったという情報は、公開情報として現在のところ承知しておりますけれども、NATO側から軍事的な情報といたしまして提供を受けているという状況にはございません。軍事的な情報につきまして、将来NATOの側から提供を受けるという可能性があるかないかにつきましては、NATO側との協議の次第によるというふうに思います。  しかしながら、同時に私どもの、政府といたしまして、民間施設、日本の外交施設といったようなものに対して攻撃が行われるべきでないということにつきましては、米国政府及びNATO側に対して正式に申し入れを行ったところでございます。
  57. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 この前、G8に大臣が出席をされましたが、NATOに入っていないG8の加盟国であるという特徴があったわけでございます。逆に言いますと、NATOに入っていないがゆえにNATOよりも情報が劣るということであっては、私はまずいんだろうと思うんです。というのは、先ほどの大臣の答弁にもありましたように、今、安全保障理事会に入っていないということが、対応において結局デメリットがあってはまずいというわけになると思います。  したがって、G8のメンバーで、NATOに入っていないということを生かして調停あるいは外交、政治努力をするならば、今の西村局長の答弁にあったように、実際に事実関係がどうだったかということについて、いつNATOから情報が来るかわからないというのではなく、積極的に事実を把握しなければ、この調停、外交努力というものが成り立たないんではないかと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。
  58. 高村正彦

    高村国務大臣 日本はG8の中で努力をしている、その最大の眼目は、G8の中の統一ポジションをつくろうと。それは、NATO加盟国と、それからNATOに加盟していない日本と、そしてロシアNATO空爆に当初から否定的であったロシア、そういう中でも、その統一ポジションをつくることによってミロシェビッチ大統領に受け入れてもらおう、そういう努力をしているわけでございます。  そして、もし委員がおっしゃった調停努力というのが、中国NATO、あるいはアメリカとの調停努力という意味であれば、現時点で、NATO議長国であるドイツの首相が昨日江沢民主席と首脳会談を行ったところでありますし、まずそういうことをやるということでありますが、日本も場合によってはいろいろやるわけでありますが、日本がやる調停努力というのは、どうなんでしょうか、誤爆の原因がどうだからこうだから、そういう話なんでしょうか。そういうことは、やはりむしろNATO側が中国に直接きっちり説明すべきことであって、公開情報以上に日本が、それは、知っていないより知っていた方がいいということはそのとおりでしょうが、そこに本質的な問題があるというふうには私は考えておりません。
  59. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 いや、そういうことを言っているわけじゃございませんで、中国あるいはNATOと話をする際にも、例えば、前の地図を使ったというならば、その間違えられた、現在中国大使館があるところは建物がなかったはずなわけで、今、日本大使館を新たにつくるところも建物がないようですけれども、その辺について事実確認をされない限り、日本がいろいろな、G8で統一行動をとる、あるいは統一ポジションをとる際にも、やはり信頼度からしてまずいんではないかということを申し上げているわけです。  ちょっと時間がありませんので、その事実関係について、公開情報以上の、例えば、本当に昔のCIAの情報、地図に頼っていたがゆえの結果なのかどうなのかについて、ぜひ調査をしていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。  それから、今回、中国大使館の方を含めて、随分民間人の殺傷が多いわけでございますけれども、それについては、私は去年の四月それから一昨年の外務委員会でも取り上げてきた問題でございますが、赤十字条約というものが非常に重要になってきたなということを感じております。これは要するに、兵士とか捕虜とか市民が戦争に巻き込まれた際にどう守るかということなわけです。ですから、例えば、日本大使館がたまたま誤爆を受けて、そこに日本の民間の人がいた場合にという、極めて現実性のある話でございます。  結局、先ほど申しましたように、今回の空爆の根拠が、人道的惨劇を防止するという前提にありますけれども、そういう人道的惨劇、つまり民間人が紛争に巻き込まれる可能性があるわけでございますから、非人道的行為あるいは戦争犯罪を糾弾する場合に、日本が、例えば一九四九年の赤十字条約についても、国内普及ということについて怠ってきた、それから、二つの議定書についても批准をしていない。  それで、一昨年のこの外務委員会の答弁では、アメリカもイギリスもフランスも加わっていないからという答弁でございましたが、その後イギリスが加わりました。それから、アメリカも第二議定書については加入の意思表示をしている。  そうすると、高村外務大臣初め日本外務省が大切にしておりますG8の中で、意思表示すらはっきりしていないのは日本だけなわけですね。そして、今回も、人道的惨劇の発生の可能性というものを抑止するためにやむを得ずということを、つまり、日本政府の今回のポジションは、人道的惨劇ということが前提になっていながら、G8の中で日本だけが意思表示すらしていない。私は、これからこういう同じような対応をする場合に、やはりこれは大変な欠陥であるのではないかと思います。  この赤十字条約についての国内普及と、それから二つの議定書に対する批准のことについて、もう二年越しで私は取り上げておるわけですが、そろそろはっきりしていただきたいと思うわけです。それで、もしはっきりできないならば、何が問題になっているのかということについて、大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  60. 高村正彦

    高村国務大臣 御指摘のジュネーブ諸条約の追加議定書でありますが、戦争犠牲者の保護、戦闘手段の規制、これら義務の履行の確保等につき詳細に規定しているものであり、全体として見れば、一定の意義を有していると考えております。  他方、本件追加議定書は、長期間の交渉の結果合意された妥協の産物でありまして、長年にわたる論点に十分な解決を与えていない面もあることは否定し得ないわけであります。  いずれにしましても、締約国数がふえてきていること、また一方で、米国等いまだ締結していない国もあるといった諸事情を勘案しつつ、その締結につき引き続き総合的な検討を行ってまいりたいと存じます。  何が問題であるかというお話でありますが、私自身精査したわけでございませんので、私が報告を受けている点を簡単に申しまして、さらなる質問については政府委員に答えさせます。  私が報告を受けている段階では、戦闘員が捕虜の待遇を得るための条件に関する規定がジュネーブ諸条約よりも緩和しておりますが、その結果、文民と戦闘員の識別が明確に行われず、かえって文民の十分な保護に欠ける場合が生ずる可能性があるといったような報告も受けておりますし、それともう一つは、我が国の国内法体制との整合性、国内法の整備の要否などにつき政府内で種々検討すべき点がある、そういった点を含めて総合的に検討しているのだという報告を受けております。詳細が必要であれば政府委員に答弁させます。
  61. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今の答弁は去年と全く同じ答弁でございますが、私は先ほどの質問で、アメリカはその後、第二追加議定書に対しては、締約はしていないけれども批准をする意思を表示しているわけであります。それから今の、戦闘員と非戦闘員との識別に関しましてはこれは第一追加議定書の問題でありますから、少なくても、日本はアメリカと同じように第二追加議定書に加わるということを意思表示しても全然問題ないはずでございますので、ちょっとやはり、一年もたっていながら、状況が変わりながら、全然変わっていない答弁をされるということについては私は非常に芳しくないと思っておりますので、これはぜひ、状況が変わっているわけでございますし、今の答弁では状況が変わっているということの理由に対して答えになっていないわけですから、さらに努力をしていただきたいというふうに思います。  それから今度の難民問題に関しましても、例えば一億ドルを人間の安全保障基金に投入をするということになっているわけですから、人間の安全保障基金に一億ドルを決めていながら、その根本の、こういった赤十字条約の追加一、二とあって、例えばまず第二から意思表示をするとか、そういう意思表示をしていなければ、日本が国際舞台に行って、こういった人道的惨劇云々によってやむを得ずというような論拠がなくなってしまうのではないかと思いますので、さらなる努力をお願いしたいと思います。政府委員の方の時間をとりますと、もうあと数分しかありませんので、それをぜひよろしくお願いしたいと思います。  それで、もう一つ、これは予算委員会の方でお聞きしたことでございますが、重債務最貧国に関する債務免除のことについてお聞きをしたいと思います。  私ども国会等で取り上げてまいりましたが、政府の方で四月二十八日に、いわゆる重債務最貧国に対する債務免除ということについて決定をいただきました。この方向づけはケルン・サミットに向けていいことだろうと思いますが、ただ、よく見てみますと、さらに努力をしていただきたいという点がございます。  まず債務救済無償援助というものがございまして、要するに、まず一たん返してくれれば、ほぼ同時に返しますよという話ですが、ただ、よく読んでみますと、商品購入を伴う無償援助というふうになっておるのです。商品購入ということは外貨調達力が必要なわけですが、もともとそれができないわけでこういう債務救済という措置をとるわけですけれども、なぜ商品の購入を義務づけておるのか。これでは結局、根本的な状況の変化にはならないのではないかというふうに思っておりまして、この債務救済無償援助の方法について、もう少し改善をしていただきたいと思いますが、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  62. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  御質問は、なぜ商品購入と結びつけているかということでございますけれども、まず、私どもの債務救済無償援助については、そもそも実質的に債務救済と同等の効果を有しているというのが基本でございますし、さらに、一番大事なこととして、そういう救済の手を差し伸べられる相手国が、自分たちの経済社会開発に向けた自助努力、これを根幹として維持することが大事だということでございます。  そういう観点から、みずからの経済運営に必要な外貨を補うという形で商品、そこのところが不足しているので外貨を提供するが、内部にある需要たる商品の購入ということは基本として置いておくということでございます。したがって、自助努力を根幹とするということから、被援助国の経済運営の一つとしての商品購入、そこの外貨を手当てする、そういうことと組み合わせた仕組みになっている次第でございます。
  63. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 自助努力というと、形式論としてはそのとおりなわけですが、しかしながら実際問題としますと、そもそも輸出等で外貨調達力がないという国である。それから日本の場合も、例えばアメリカ、カナダあたりも、いわゆる贈与、グラントの比率を九〇%とか一〇〇%というふうに上げるということになっておるわけですが、したがって、債務救済無償援助とそれからグラントの比率を上げるというようなことが両方組み合わせとしてなければ実質的に自助努力というものができない環境にあるので、今回、ケルン・サミットでもそういう方向になっているのだろうと思うのです。  そうしますと、例えばODA予算の中の贈与資金の比率というものが固定されていますけれども、例えばこれを弾力的にでもしない限りは、今の自助努力ということは実質できないということになるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  64. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 今回導入することを提案しております債務救済援助の削減率を一〇〇%にする、そういうことは御承知だと思いますけれども、それとの関係では、現在持っております無償援助の枠組みでそこのところを手当てするということでおりますので、私どもとしては、現在の制度は基本的に、相手国の外貨繰りを緩和するという観点からして効果的であるという認識でございますので、基本的には今の枠組みのもとで今回の新しい提案を進めていくこととしたいと考えております。
  65. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 もちろん、これは非常に難しい問題だろうと思いますが、私が申し上げておりますのは、今大島局長が答えていただいた問題は具体的な質問通告ではございませんでしたが、ほかの質問通告に関連しておるので先にお聞きしたわけです。  つまり、贈与資金がそのまま返済資金に使われるような制度、もちろん今まで、商品購入を伴うというふうにしたのは軍事援助とかに回らないという面で必要だったと思いますし、そういった意味でベーシックニーズに回るような援助、あるいは今回のいわば債務帳消しに関して、環境とのスワップとか、教育とのスワップとか言われていますけれども、実際にそれを実行せしめるためには、債務救済無償援助・プラス・グラントの比率とか、そういったことをしていくことがなければ、結局、もともと宮澤大蔵大臣あたりがおっしゃっているように、一回返せば済むことでないということは、そうじゃない形に環境を整備していく必要があると思うのです。  そういった意味で、この贈与資金が返済資金に回せるような制度の検討をされるべきではないかと思いますが、これは質問通告しておりますが、いかがでしょうか。
  66. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 御通告を受けていなかったものですから十分お答えできるかどうかわかりませんけれども、基本的には、貧困国の債務救済無償援助をどういうふにするかという話でございまして、それについては、世界的な動きの中で、削減率を六七から一〇〇にするということにしておりまして、それはそれとしてのかなりの踏み込んだ新しい動きだと私どもは認識しております。これを今度、ケルン・サミットに向けて関係国との間でさらに詰めていくということだろうと思います。  それと離れまして、一般的に最貧国をどういうふうにしていくかということについて、先生が御指摘のとおり無償援助を中心とした援助とすべきであるということであれば、基本的な認識としてはそういうことだろうと思います。  ただ、現在提案してこれから国際的な協力を進めていく案としては債務救済をどうするかということでございまして、一般的な形での最貧国に対する支援という意味では、先生の御指摘のような点も十分念頭に置きながら今後の方針を考えていくということだと思います。
  67. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 時間がないのであれですが、そうじゃないんだろうと思うんですね。  つまり、今大島局長は、今回は債務救済だけだとおっしゃるんですが、四月二十八日の政府の発表も「重債務貧困国に対する開発と」と入っているわけでして、高村外務大臣、サミットに行かれて、単に今回ほかのG7と一緒に債務救済、ジュビリー二〇〇〇に日本もやっと加わったよというだけじゃなくて、要は、いろいろなことを、リスケジューリングで補って、例えば、返してくれた途端に払いますよという話じゃなくて、その重債務最貧国のストックをどうやって減らしていくかということがなければ、自助努力をしてもできないという構造にあるのでと。単に植民地時代からのことがあるのでとか、いつまでもずるずるというレベルをはるかに超えた状況にあるので、今度は一緒にやろうという話になっています。ストックをどうやって減らしていくかということに対する具体的な意思表示、政策的な視点がなければ根本的、長期的に解決できない、そういうことだろうと思います。多分ケルンのサミットあたりで実際にそういった話が出ると思うんですね、大臣。  ですから、そういう視点もあわせてこたえられるような、議論ができるような準備をされて、ケルン・サミットに小渕総理ともども行かれる必要があるんではないかと思いますが、そういう点について、大臣、個人的な所感でも結構ですが、コメントをいただければ。これは私は非常に重要な日本の姿勢を示す政策であると思いますので、コメントいただければ幸いと思います。
  68. 高村正彦

    高村国務大臣 日本の、自助努力を促すという理念、それから、今委員が御指摘になった、現実の、自助努力といったって、今の状況でそんなことできる状況じゃないではないかということの中で、極めて柔軟、現実的な対応を図っていきたいというのが日本政府立場でありまして、そういう日本政府考え方についてはもう既にサミット参加国の人たちに伝えてありまして、それについては一応の了解は得られているというふうに認識をしておりますが、委員からの御指摘もありますので、さらにいろいろ考えてまいりたい、こういうふうに思います。
  69. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 どうもありがとうございました。
  70. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、坂口力君。
  71. 坂口力

    ○坂口委員 四条約に対する質問は後に回させていただきまして、私はコソボ・クリージスのところを少しお聞きしておきたいというふうに思います。  先ほどからいろいろ御議論ございましたが、小渕首相が、米国訪問中の四日の未明であったというふうに思いますけれども、ワシントンで、訪米中のロシアのチェルノムイルジン元首相、いわゆるユーゴ問題の大統領特使と三十分間にわたって会談をされた、こういうふうに伝えられております。  そして、マスコミの報道でございますが、マスコミがチェルノムイルジン特使の発言として、ユーゴのミロシェビッチ大統領は、国連のもとでの交渉への参加、それからもう一つは、難民の安全な帰還実現のため国連のもとでの国際的な駐留を受け入れる、この二つを受け入れる用意があると語っているということを発言されたというふうに伝えておりますが、これは事実でしょうかどうか、一遍事実確認をさせていただきたいと思います。
  72. 高村正彦

    高村国務大臣 小渕総理とチェルノムイルジン特使との会談において、チェルノムイルジン特使から、ユーゴは国連のもとでの交渉参加する用意がある、国連のもとでの国際プレゼンスにも同意する用意がある旨の発言があったことは御指摘のとおりでございます。
  73. 坂口力

    ○坂口委員 この二つのことが伝えられた。そして、その後G8緊急外相会議というのが開かれることになった。小渕首相とチェルノムイルジン特使との間の話とその後のG8緊急外相会議というものとがどう連携しているのかということが少しわかりにくいわけです。国連のもとでの紛争解決のための協議がずっと続いている最中に、国連とは少し立場の違うG8というサミットの場で、今回のコソボ紛争に対する解決策と申しますか、解決をしていく道が探られた。ちょっと奇異な感じを受けたわけであります。  国連の中でそれを議論するということではなくてG8の外相会議の中でこのことが議論をされる、その意味するところ、それはどういうことがあったのかということをひとつお聞きしたい。
  74. 高村正彦

    高村国務大臣 G8と国連関係でございますけれども、それぞれ沿革も構成メンバーも異なるためにその機能や役割にはおのずから違いがあるわけでありますが、高い視点から見れば、両者とも、国際社会の秩序の維持強化や世界全体の平和と繁栄を目指していることに変わりはないわけであります。G8と国連相互に排他的な存在ではないわけでありまして、その時々の情勢等を踏まえつつ、個々の事例に即して、それぞれがその機能と役割に応じて行動するとともに、必要に応じて相互協力しつつさまざまな国際的課題に対処していくべきと考えており、我が国としてもおのおのの場で積極的な貢献を行っていくわけであります。  もちろん国連の場でいろいろ協議が行われているわけでありますが、それ以外の組織が、国連の邪魔をするというのじゃなくて、お手伝いをするという意味でいろいろするということは十分あり得ることだろう、こういうふうに考えております。
  75. 坂口力

    ○坂口委員 サミットと国連関係はこの次にお聞きをしようと思っておりましたが、先にお答えをいただいたわけでございます。そのこともお聞きをしたかったわけでございますが、しかしその前に、本来ならば、国連の中でずっと今までもこのコソボの問題を続いて検討してきたわけでございますし、そしてチェルノムイルジン特使等も活躍されて、そして新しい段階でさらに進んでいこうというときになっていたわけですが、それを、国連の場にすぐ入っていかずにG8でお話しになったというのは、それなりの意味があるんだろうというふうに僕は思っております。  今までのG8におけるお話し合いというのは、どちらかといいますと各国間の調整でありますとか、それから世界の新しい秩序づくりというんでしょうか、そうしたことが主でなかったかというふうに思いますが、今回のように、紛争解決のための合意紛争解決のためにどうするかというようなことを合意されたということは新しい出来事ではなかったのかという気がいたします。今までのサミットの歴史をずっと振り返って、今までいろいろ議論をされたことも拝見をしましたけれども、今までのお話し合いと、今回のコソボに対する解決策をこういうふうにしていこうという話とは少し異質と申しますか、やはり今回は少し新しい分野に踏み込んでいるという感じを受けたわけでございます。  そういうふうな意味で、これからサミットというのがどんな方向に向いていくのか、そしてそれは、現在あります国連との間でどういう関係を保っていくのかということが非常に重要になってくるんだろうというふうに思っているわけでございまして、そういう意味で、サミットと国連関係というのをその次にお聞きしたい、こういうふうに思っていたわけでございます。  そのサミットと国連の問題をお聞きする前段階として、今回G8になったということについてどのようにお聞きになっているのかということがあれば、お聞かせをいただきたい。
  76. 高村正彦

    高村国務大臣 一番最初の問いを少し補足させていただくところから始めたいと思います。  ミロシェビッチ大統領が、御指摘の二つのことを受け入れる用意がある、こう言っているということでありますが、ミロシェビッチ大統領が国連のもとでの交渉参加する用意があるとしているのはいかなる点についてかということはちょっと不明でありますが、いずれにしても、政治解決のためには、ミロシェビッチ大統領がG8外相会合合意された七項目を受け入れる、これは国際社会合意というようなことになっているわけで、不可欠であるわけであります。  そして、ミロシェビッチ大統領が、国連のもとでの国際プレゼンスに同意する用意がある、こう言ったわけでありますが、難民の安全な帰還等のためには何らかの軍事プレゼンスは必要であるというのが国際社会の認識でありますが、ミロシェビッチ大統領はいまだに軍事プレゼンスは受け入れられないという立場である、こういう状況の中でまさにG8外相会議が開かれたわけであります。  それで、やはりコソボ問題の政治解決のためには、国際社会が一致してミロシェビッチ大統領に圧力といいますか、ミロシェビッチ大統領を説得することが必要である、そのためには、いずれかの段階国連主導的役割を果たし得る状況に持っていくことが重要であると。他方、この問題にこれまで深く関与してきているのは欧米主要国とロシアでありまして、今後、この問題を安保理の場で議論するにしても、まず欧米主要国とロシアの間で共通ポジションをつくることが重要であるということであります。  本年四月には、エリツィン大統領はコソボ問題に関するG8会合の開催を提案したわけでありますが、これを受けてG8諸国内で協議を行ってきた結果、G8としての統一ポジションを出す見通しがあったために、今回G8外相会合が開催されるに至ったものであります。ただ会合を開くだけじゃしようがないので、統一ポジションができそうだぞという形になったので開いたというわけでございます。  我が国としては、今回のG8外相会合に基づいて国連安保理決議を目指し、今後ともG8の一員として貢献していきたい、こういうふうに思っております。
  77. 坂口力

    ○坂口委員 G8の外相会議で七項目でございましたか決議されて合意されておりますが、そうしますと、このことは、まだ国連の中ではここまで合意はされていないということなんだろうと思うんですね。だから、ここでやれと。  それで、それなりのやはり理由があったんだろうと私は思うのです。一つは、やはり国連における安保理におきましては、中国も存在しておりますしいたしますからなかなか話が進みにくいということもあるので、国連の場でもいろいろやってきたけれども、進みにくい部分もある。だから、国連とは違う場所においてひとつ決めて、そしてそれを今度は国連でどうかというふうに話しかけるというような役割を果たしたんだろうというふうに私は私なりに想像いたしておりますが、いずれにいたしましても、このG8というのが国連的な役割、今までよりもより国連的な役割を果たしたのではないかという気がいたします。  それはそれで、私はそれがいいとか悪いとかということを申し上げているわけではなくて、そういう働きもあるのではないかというふうに思っておりますが、もう一つそのことを進めます前に、G8で合意をいたしましたその後、先ほどからお話がございます中国大使館への誤爆問題が起こってまいりまして、このときに予想をされておりましたよりも中国の問題が非常に難しくなりましたから、さらにこのコソボの問題が解決の難しい状況に置かれたことは事実だろうというふうに思います。  こういう状況になることはその当時はまだわかっていなかったわけでございますが、そういう新しい事態を踏まえて、今後、このG8の合意をどう実現していこうというふうに日本外務大臣としてお考えになっているのかをお聞きしたい。
  78. 高村正彦

    高村国務大臣 G8として一応七項目、これは一般的原則でありまして、細かいところになるとまだまだG8完全に一致しているわけではありませんが、そういうものができて、そして、G8議長国の首脳が中国に行ってそのことをお話ししよう、ほかのG8諸国も、安保理に行ったときの常任理事国の一つである中国にはきっちりお話をしなければいけないよ、何とか納得していただいて、その七項目を含むような安保理決議をつくってというような構想を抱いていたわけでありますが、まさに、中国大使館の誤爆というような事態が発生して、委員がおっしゃるように、より困難になったということは、それは客観的に言えるのかと思います。  ロシアのチェルノムイルジン特使が誤爆の直後に言っておられた言葉でありますが、突発的事件によって政治解決が妨げられてはいけないと。いけないといっても、それは中国側の立場もありますからなかなか難しくなっているわけでありますが、私たちは、やはり、G8で合意を見た一般的原則をミロシェビッチ大統領に納得してもらう、そのことによって今の民族浄化と言われるような恐ろしい状態がなくなる、そのことによって当然空爆もなくなる、そういったことをするように、あらゆる場面であらゆる努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  79. 坂口力

    ○坂口委員 ドイツのシュレーダー首相中国に行かれまして、そしてNATOの一員としての立場説明になったんです。NHKの報道を見ておりますと、どなたでしたか、留意するというふうに中国の最高幹部は答えたというふうに流れておりまして、留意するというのはどういう意味なのか、理解をするというところまでは至っていない、聞きおくという程度のことなんでしょうか、そういう答弁であったというふうなことが流れておりますが、かなり難しい状態になっているなという感じがするわけであります。  NATOの一員でありますドイツの首相が出かけられて話をされる、それは一つの当然のこととして大事なことだというふうに思いますが、今ロシアが大変、チェルノムイルジン特使を立てて、そして交渉に当たっている。どちらかといえば、ロシアの方の立場中国に近いといいますか、あるいはユーゴの立場をかなり尊重した立場での発言というふうに感じておりますが、それはそれで、一つの大きな役割を果たすんだろうと思うんです。  しかし、G8の中でNATOに籍を置いていない日本日本もその一員であります。だから、一方において、ロシアは、どちらかといえばユーゴの立場も十分に踏まえながら発言をして、何とか仲裁をしていこうというふうにしている。私はやはり、これを解決していくためにはもう一人、NATOには属していないけれども、自由主義陣営の立場を十分に踏まえながら、ここで仲介の労をとってこの問題を解決していく、そういう立場の国が必要なのではないんだろうかというふうに思っております。  そうした意味で考えていきますと、日本かカナダかということになるんでしょうか。やはり、これは、日本中国なんかに対しましても、NATOには入っていないわけでありますから、より第三者的立場中国の意見も聞きということもでき得る立場にある。ですから、もう少し積極的に日本もこの問題の解決に関与していいのではないかという気がいたします。  総理それから外務大臣、大変な御努力をされていることに私は敬意を表しておりますし、多としておるわけでございます。しかし、どちらかといえば、やや、おつき合いという感じもしないではない。もう少し、より積極的にこの問題の解決に当たってもいいのではないか、また、当たる立場にあるのではないかという気がいたしますが、その辺、外務大臣の率直なお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  80. 高村正彦

    高村国務大臣 御指摘のように、日本はG8の一員であってもNATOの一員ではないという立場であります。それから、ロシアという国は非常にユーゴと民族的にも近いし、宗教的にも近いという、ユーゴとの間で非常に物事の話しやすい国、国民感情からいっても非常にユーゴに同情的な国であります。日本とすれば、その中で統一ポジションをどうつくるかということに調停役を果たすのには非常にいい立場にあると思いますし、それはそれで、G8の中で日本役割を果たしてきた、こう思っております。  一番大切なことは、実質的にどういうふうに政治解決に向けて役に立つかということが一番大切なことで、そのときに政治的プレゼンスがきっちり示せればそれにこしたことはない、こういうことであります。NATOの加盟国の中でもいろいろニュアンスの差はあるわけでありますが、NATO加盟国とも全く同じではない、ロシアとも全く同じではないという立場で第三の立場を鮮明にして何か打ち出して、それでぐいぐい引っ張っていくということが本当に役に立つのであればやりたいという気持ちはありますが、そういう中で統一ポジションをつくる中で日本が本当に役に立つのは何かな、こう考えながら今汗を流させていただいているということで御理解をいただければ大変ありがたい、こういうふうに思います。
  81. 坂口力

    ○坂口委員 統一ポジションというのがどういう意味合いを持つのかということを私も十分に理解しているわけではございません。大事なことであるということは理解をいたしますが、統一ポジションというのが全体の中でどういう位置を占めるのかということは十分に理解できておりません。ですから、理解できていない上で発言するのは甚だ失礼でございますけれども、何かもう少し役割があるのではないかという率直な気持ちを持っておりますことを申し述べておきたいと存じます。  それから、先ほどお話をさせていただきましたG8の性格でございますが、G8は、組織でありますとかそうしたものを持っているわけではございませんし、それから、何か機構があるわけでもありません。その時々の、平たい言葉で言えば定期的な会議みたいなものでございますが、しかし、今回は、定期的な会議という立場を超えた一つの役割をしておみえになるように思うわけでございます。  そういう意味で、G8の位置づけというのは、これからは、こういうことにもさらに幅広くしていくべきだというふうにお考えになるか。それとも、G8の仕事というのは、今までやってきたような社会秩序の形成ですとか、あるいはまたさまざまな経済的な合意の形成ですとか、そういうことだけに限っていった方がいいというふうにお考えになっているのか。その辺の御意見もひとつお聞かせいただいて、この問題は終わりにしたいと思っております。
  82. 高村正彦

    高村国務大臣 現在、G8の枠組みについて、その拡大に向けた具体的な動きというのはないのだろう、こう思います。  G8の機能については、時代の要請に応じてずっと変化を遂げてきてはいますが、今後とも、さまざまな国際的課題に柔軟かつ機動的な対応をしていくべきものと考えております。
  83. 坂口力

    ○坂口委員 それでは、本来の四条約の問題につきまして、二、三お聞きをしたいというふうに思いますが、まず最初、インマルサットシステムのことにつきましてお聞きをしたいというふうに思います。  この利用範囲は次第に拡大をされまして、九四年の改正、九八年の改正、だんだんと利用範囲の拡大がされてきております。今後もこの利用範囲は拡大をしていくものというふうに思いますけれども、一体、これからの利用価値として、どんな方向にこれが進んでいくのだろうかということははっきりしない面もあるわけでございますが、どんなふうにお考えになっているかということが一つでございます。  ついでに、もう一つ質問をさせていただきたいと思います。  この中を見せていただきますと、平和目的以外には利用しないことになっております。平和目的のものに利用するということになっている。私は、平和目的に利用するというのは、初め少し勘違いをいたしておりまして、打ち上げられた衛星を利用する段階において平和目的に利用するのに限る、こういう意味だというふうに思っておりましたが、昨日説明を受けましたら、打ち上げる衛星について、いわゆる平和的に利用する衛星ならばいいという意味だというふうにお話がございましたので、少し私の考えておりましたのとは違いました。しかし、平和的利用のために打ち上げられました衛星であっても、それを利用する段階において、必ずしもそれが平和的のみに利用されるかどうかということはわからないというふうに感じます。  例えば、そう頻回にあってはならないことでございますけれども、先日の、例えば北朝鮮なら北朝鮮の船舶が日本の近くにやってきた。そして、そのとき利用したかどうかはわかりませんけれども、そうしたのが、これからもそういうことがあって、そして日本の国の中を攪乱をする、あるいは破壊行動を行おうというようなもしも意図があってそういうインマルサットシステムを利用しようと思えば、それはできないわけではない。  しかし、それを利用する人が、どんなことにそのときそのとき利用しているかということは、これはなかなかわかりにくいことなのだろうというふうに思います。もしもそれが破壊的なことと申しますか、いわゆる平和的な、建設的なことではなくて、他の国に対するスパイ活動をするとかなんとか、そういうことのために利用されていたということが後でわかった場合には、そういったことがあればそれは処罰をしますよということはあるのかないのか。  ちょっと、この条約を拝見しただけでは、どうもそういうところはないように思いますけれども、その辺は一体どうなのかということを、ひとつあわせてお答えください。
  84. 小松一郎

    ○小松政府委員 お答え申し上げます。  まず、インマルサットの利用の問題でございますが、委員指摘のありましたとおり、インマルサットは、当初は海事通信、特に海上における遭難及び安全にかかわる通信の改善を目的として発足したものでございまして、その後の条約改正によりまして航空機及び陸上移動体についても通信業務の提供を行ってきているところでございます。  特に、従来、海上及び通信インフラのない山岳地帯等での遭難救助のための通信手段として利用されるようになってきておりまして、我が国の阪神・淡路大震災のときのように、災害により通信手段の途絶えた地域においては重要な通信手段として既に活用されておるところでございます。  今後は、このような一般的な通信並びに遭難及び安全のための通信に加えまして、海上及び通信インフラのない地域からの通信や、海外出張時などにおきます外国からの通信などの一般的な利用をも念頭に置いた、より小型の端末による高速データ通信サービス、例えばインターネット接続や画像伝送、こういったものも想定されておりまして、そういったようなものへの利用などがいろいろと考えられているところと承知しております。  次に、平和利用の問題でございますが、これも委員の御質問の中で御指摘が既にあったところでございますけれども、この条約に定めております機構の基本原則というものの中に、平和的目的のためにインマルサットが活動するということが定められておりまして、九八年改正によりまして、民間の会社に事業を移管するに当たりましても、機構条約上の機構として残しておくという目的の一つは、機構の今まで行ってきました事業の公共性にかんがみまして、平和目的を含めまして、会社がこのような基本原則に従うことを機構が監督し、確保することを定めておるわけでございます。  具体的には、会社と機構が公的業務契約などを締結することになっておりまして、会社は、現行条約上、機構目的として設定されている専ら平和的目的のために活動するということを従うべき基本原則としてそのまま受け継いでいるというわけでございます。  委員の御指摘にございましたように、エンドユーザーがどういうふうな目的に使うかということについてまで逐一チェックをするところまでは、この条約は求めていないわけでございます。  他方、明らかに破壊活動のためと、今御質問で御指摘になったような点があるわけでございますが、そういった目的に使われていることが明らかであったという場合に、これは、この条約にはその場合の対処につきまして特別に規定はしていないわけでございますけれども、当然のことながら、この条約の精神からいたしますと、そういった利用がなされないようにできる限りの防止措置をとるとか、そういったことは当然求められると思うわけでございまして、そういうことを会社ができる限りの努力を行うという方向で、機構もその監督をするべきだと考える次第でございます。
  85. 坂口力

    ○坂口委員 まだもう少し聞きたいこともございますけれども、時間もございませんので、この問題はこれだけにしておきたいと思います。  それから、標章国際登録に関する問題でございますが、これも一問だけお聞きをしておきたいというふうに思います。  出願の国際的なルールを定めることも非常に重要でございますけれども、その前に、標章の決め方ですね。その前の段階で、各国間の標章の決め方に違いがありますと、幾らそれから後のルールを決めましてもいろいろの問題が起こってくるというふうに思いますので、そこについてきちっとしておく必要があるというふうに思います。  これも、いろいろお話を伺い、私も勉強をしてみましたが、国際的なルールというものは現在も存在しますし、さまざまなルールや基準が一つのルールに従って決められている。ただし、決められてはいるんですけれども、運用の違い等もございまして、実際問題といたしましては各国間でいろいろの問題が起こっている、そういうケースも幾つかぶつかっているというような状況でございます。  簡単で結構でございますが、ちょっとお答えをいただきたい。
  86. 小松一郎

    ○小松政府委員 委員指摘のとおりでございまして、このマドリッド議定書でございますけれども、これは、標章という知的所有権の一種類でございますけれども、これの内容であるとか保護するその保護の水準であるとか、そういうものを定めた条約ではないわけでございまして、国際登録をする手続を定めた条約でございます。つまり、この条約なかりせば、外国においてトレードマーク等の保護を受けたいと思う日本の法人等があれば、その国に出かけていってその国の特許庁に当たる機関に登録をしなければならない。これを、この条約に入りますと、そういう方は特許庁に出願登録をいたしますと、WIPO、世界知的所有権機関でございますが、その国際事務局を通じましてその国際登録をやってくれる、こういうことになるわけでございます。  今御指摘のございました標章、そういった知的所有権の内容そのものとか保護の水準でございますけれども、それにつきましては、別途、例えば工業所有権保護に関するパリ条約でございますとか、WTO協定の一部でございます知的所有権の貿易関連の側面に関する協定、俗にTRIPS協定と呼ばれております、こういうものが定めている領域であるわけでございますが、それらの条約も、完全に各国の制度を同一にするというところまで定めてございませんで、ごく基本的な事項であるとか保護すべき最低の水準というものを定めているわけでございます。  ただ、今委員の御指摘ございましたように、なるべくこういったものが国際的に一致している、ハーモナイゼーションという言葉で呼んでおりますけれども、こういうことが望ましいことはそのとおりでございますので、また、それはそれでそういった国際努力が行われるべきであると考えておりまして、そういう国際努力には我が国も積極的に参加していきたいというふうに考えてございます。
  87. 坂口力

    ○坂口委員 もう最後になると思いますけれども、投資促進に関するもの、ロシアバングラデシュと両方ございます。両方拝見をいたしましても、最近、貿易それから投資ともに停滞をしている。とりわけ、ロシア日本との関係を見ましたときに、輸出、輸入ともにこれは停滞をいたしておりますし、投資も非常に停滞をいたしております。バングラデシュは国も小さいですから、ロシアと比較をいたしますと。ロシアはもう少し日本との間の、国も近いことでありますから輸出入、投資が進んでもいいわけでございますけれども、現実問題としては進んでいない。  これは、何かやはりそれなりの理由があってこうなっているわけでございますが、これを打開していくために日本日本としてもう少し努力をしなきゃならないと思うんですが、どうすればいいというふうにお考えになっているのかということをちょっと手短にお答えいただけますか。
  88. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 おっしゃられますとおり、日本ロシア経済関係が目覚ましく拡大していかない現状にございます。それを打開するために何をすべきかという御質問でございますけれども、基本的には、ロシアが今、国内の経済、もちろん、それに伴いまして政治的な側面もあるわけでございますけれども、移行期に伴います混乱というものに国全体として足をとられているというような状況にある、そこのところが一番の重要な問題であろうというふうに思います。  したがいまして、税制につきましても、諸般の経済関係を律しますところの法律関係にいたしましても、それから企業のレベルにおきましては簿記のつけ方とか使っております会計簿記のレベルといったような点につきましても非常に立ちおくれた状況にございます。これをロシア政府は大急ぎで改善している状況でございまして、国際的な水準に達するべく多大の努力をしているというのが現状でございます。  したがいまして、何をしなければいけないかという御質問との関係でお答えを申しますと、ロシア自体が自助努力をしてそういう制度を早急に直していくということをしなければいけないわけでございまして、ロシア自身もそのことはよく承知の上で大至急努力をしているという状況でございます。  我が国も、そういう努力に対しまして、いろいろな方面で協力をしているわけでございまして、技術的な協力を一生懸命しているわけでございまして、これは今後とも続けようというふうに考えているわけでございます。しかしながら、ロシア自体は非常に大きなポテンシャルを持つ国でございまして、経済関係が近い将来大きく発展する可能性は大いにあるというふうに思います。  そういう意味におきましても、今回お願いをいたしております投資保護協定その他によりまして制度的な基盤を整備するということが、今おっしゃられました経済関係拡大にもつながっていくというふうに考えている次第でございます。
  89. 坂口力

    ○坂口委員 一言だけ。著しい前進がないとおっしゃいましたけれども、著しいどころか全然前進していないんですね。ですから、これはそれなりの意味があります、日本日本として考えていかなきゃならない面があるというふうに思います。  私も私なりの意見を持っておりますけれども、きょうはもう時間がございませんからこれだけにしておきたいというふうに思いますけれども、さらなる努力を、日本としてできることをひとつやっていただきたいと思います。ありがとうございました。
  90. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、松本善明君。
  91. 松本善明

    松本(善)委員 案件についても質疑はございますが、最初にコソボの問題について伺いたいと思います。あと案件もありますので、簡明に要点をお答えいただきたいと思います。  NATOのユーゴスラビアへの空爆は、我が党が指摘したとおり、コソボ紛争解決するどころか一層複雑に泥沼化させていることはもうだれの目にも明らかになってきていると思います。外務大臣御自身も、四月二十五日の「日曜討論」で、空爆に入ること自体が誤算といえば誤算と言われたし、じり貧を恐れてどか貧になったという言葉も引用されたぐらいでございます。今やはり緊急に求められているのは、NATOによる軍事介入の即時停止であり、外交的手段による紛争の平和的解決であると私は考えます。  外務大臣、誤爆は支持しないけれども爆撃続行は支持すると言われたということを言われておりますが、改めて、外務大臣空爆の続行を支持されているんでしょうか。
  92. 高村正彦

    高村国務大臣 NATO空爆を開始した時点から今日に至るまで、私は支持するということを言ったことはございません。
  93. 松本善明

    松本(善)委員 それでは、政治的解決が必要だということはこの委員会でも言われましたけれども、一方で政治的解決を言いながら空爆を続行、拡大するということになりますと、これは完全に自己矛盾だと思います。  といいますのは、武力でNATOの主張をユーゴスラビアにのませることというのは、これは降伏を求める。これは武力解決です。やはり、空爆停止して、そして政治的な話し合いをする。これが政治的な解決だと思うんです。軍事的な解決ではなくて政治的な解決を求めると言うならば、空爆を支持するということを言っていないと言われるならば、やはりこれをやめる、そして政治的な解決を求めるということを言うべきではないかと思いますが、いかがですか。
  94. 高村正彦

    高村国務大臣 NATOによる軍事行動につきましては、国際社会の粘り強い外交努力にもかかわらず、ユーゴ側がこれをかたくなに拒否し、一方で、ユーゴ軍及びセルビア治安部隊による過度の武力行使が続くという状況のもと、さらなる人道上の惨劇を食いとめるため、やむを得ざる措置としてとられたものと理解をしております。  他方で、コソボ問題の最終解決政治解決しかあり得ず、そのためには、ミロシェビッチ大統領が国際社会の要求を受け入れることが不可欠であります。先般のG8外相会合においては、G8としての七原則合意されたところであり、同大統領がこれを早急に受け入れるべく、同大統領にこれまで以上説得を続けていく必要があると思います。  委員が具体的にいかなる意味で自己矛盾と述べられているか必ずしも明らかでありませんが、このような重要な局面に差しかかっている現在、何の解決の見通しもなく空爆停止することが政治的解決に資するかは極めて疑問だと思っております。  ユーゴ側が国際社会の要求を受け入れれば空爆はとまることは、これはもう間違いないことでありますが、空爆をとめたからといってユーゴ側が民族浄化と言われるようなことをやめるという保証は何にもない。保証は何にもないどころではなくて、かえってフリーハンドを与えられて、そういうことが今後もずっと続くという可能性が極めて強いという政治判断を私はしているわけでございます。
  95. 松本善明

    松本(善)委員 国際社会国際社会と言われますが、やはりすべての国が受け入れる国際的な機関というのは、もちろん国連であります。国連以外にはありません。外務大臣も、国連が最終的に解決に関与せざるを得ないということはお認めになっているわけです。ということになると、中国参加をしなければこれはそういうふうにならない。国連解決をするということならば、中国も言っていますように、やはり軍事的な解決ではない、空爆をやめて、そして平和的な交渉のテーブルに着くということが何よりも大事なんではないか。この委員会でも、先ほど自民党の議員も、中国がテーブルに着くことが大事だということを言われました。私は、そうでなければ、やはりこれは長期化して、そして一層泥沼化するんではないかと思います。  外務大臣民族浄化とかそういうユーゴ側のことを言われましたのでちょっと申し上げようと思いますが、我が党は、この問題はセルビアとアルバニア系住民の双方に問題がある民族紛争というふうに見ております。今、アメリカとNATOは、コソボの独立を目指すコソボ解放軍、KLAを軍事的に後押しして、ユーゴ側の民族浄化を一方的に問題にしておりますけれども、九八年十二月二十一日付のアメリカ国務省の文書によりますと、私ここに原文を持っておりますけれども、KLAはKLAに参加しなければ殺すとか家に火を放つとか村民を脅迫している、スティムリエ地域では六つの村が逃げ出す準備を整えた、こういう報告を国務省がしております。そして、テロ組織と断定をしていました。実際、その内戦の戦火やKLAの脅迫を逃れた避難民は、当時二十万人とも三十万人とも言われておりました。  こういう経過で、私どもは民族紛争と見ているわけですが、外務大臣はこの問題を民族紛争と見ておりますか。
  96. 高村正彦

    高村国務大臣 長い間の民族的なあつれきからある民族紛争を端緒にして起こった出来事であることは、これは間違いないと思っております。それから、コソボ解放軍というのがすべて正義で、ユーゴ軍がすべて悪、一〇〇対ゼロだなんということは、これはこういう問題の本質からいって私はあり得ないことだ、それは両方にいろいろな問題があってこういう問題が起こっているということは、それはもうそういうことなんだろうと思います。でありますから、国際社会といいますか、ある意味で両方に問題があるということで、非常に調停努力というか政治努力みたいなのを、長いことやっていますが、特に昨年の三月ぐらいからは、国連の場でもそうですし、いろいろなところでやられてきたわけですね。  それで、一年たってもどうしても解決のめどがつかない、その間に人道的惨劇が繰り返される、そういう状況の中で、国際社会は極めて中立的な立場で両側に、これで合意しなさいということを最後の最後の手段として突きつけた。  それについては、決して片っ方に偏していたというものではなくて、コソボ解放軍側に対しても、あなたたちが求めている独立ということは、これは国境線変更になるからだめだよ、ユーゴの領土的一体性を保持したままやるんだよ、それから、この問題が平和解決できた暁にはやはりコソボ解放軍側も武装解除するんだよ、こういうようなことを突きつけて、最後まで嫌がっていましたが、コソボ解放軍側はそれをのんだ。  そして、ユーゴ側はそれに対して、ユーゴ軍の方がかなり優勢でありましたから、まさにコソボ解放軍をやっつけるというだけではなくて、そういう中で、ユーゴ軍だか民兵だか治安部隊だかよくわかりませんが、民族浄化に伴う虐殺みたいなことも伝えられている。そういうことがなくなるようなことを、軍、治安部隊の撤退というようなことについて最後まで合意しない、かたくなに拒否した、そういう状況がある中での最後の最後の手段としての空爆であった、こういうことであります。  ですから、民族紛争という側面がないなどと言っているわけでは絶対ないし、片方が一〇〇%正しくて片方が一〇〇%おかしかったと言っているわけでもない。だけれども、極めて中立的な立場に立った国際社会の調停に対して、片方は最後はのんだけれども、片方は最後まで拒否して民族浄化と言われるような非人道的な行為を続けていた、そういうことであると認識をしております。
  97. 松本善明

    松本(善)委員 民族紛争だということを一つ認められたことは大事だと思いますが、それはそうなればなるほど武力解決にはなじまないんですよ。これは徹底的な話し合いによって、粘り強い話し合いで外交的な解決をする以外に解決できない。これは長い人類の歴史の上から見ても明白です。  あなたはNATOの案を最終的にのまなかったからしようがないということでいらっしゃいますけれども、それは中立的なというふうにあなたは言うかもしれないが、それは一方的だというふうな判断も十分あり得るわけです。双方が客観的に国際社会としての意見として認められるのは、やはり国連であります。それを抜きにして、この案を、一方の案をのまないから武力行使をする、そういうことは国連では認めていないわけなんです。外務大臣自身も武力行使を認める国連決議がないことは認めておられます。  私はここで根本問題を聞きたいのですけれども、国連憲章四十二条の武力行使を認める決議は、憲章第七章の平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に対する行動の章の中にございます。七章では、まず第一に三十九条で、平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為の存在についての決定から始まるわけです。そして、それがあって初めて、勧告をするとか、あるいは四十一条の武力行使を伴わない経済制裁でありますとか外交関係の断絶とか、あるいは最後は四十二条の武力行使の決議に至る、こういう国連憲章の枠組みがございます。その枠組みを全く無視してやられているのが今度のNATO空爆ではないか。  国連を本当に大事にして、私どもは国連の破壊だと、これはカールソン前スウェーデン首相も言っておられますけれども、国連の破壊なのです。国連を守るためにやはり、また日本の憲法の立場紛争の平和的解決という原則を守るためにも、日本はそういう立場から発言すべきではないか。この国連憲章の枠組みとのかかわりで、外務大臣、何と考えていますか。
  98. 高村正彦

    高村国務大臣 繰り返しますが、NATO軍による軍事行動につきましては、国際社会の粘り強い外交努力にもかかわらずユーゴ軍がこれをかたくなに拒否し、一方でユーゴ軍及びセルビア治安部隊による過度の武力行使が続くという状況の中で、さらなる人道上の惨劇を食いとめるためにやむを得ざる措置としてとられたものと理解しております。  いずれにいたしましても、我が国は今回のNATOによる軍事行動の当事者ではなく、また、作戦面を含むNATOの軍事行動に対する詳細な情報を有しておらず、政府として法的評価を下すことができないことを御理解いただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  この国連憲章、最終的に有権解釈をするのは国連の安保理だ、こういうふうに思っておりますが、まさにロシアがこのNATO空爆国連憲章違反である、すぐ空爆停止すべきである、こういう決議を提出したわけでありますが、十二対三という大差で否決されたということも聞いております。  それだから国連憲章に合致したものだと私が申し上げるつもりはございませんけれども、いずれにしても、法的評価ということは、詳細な事実関係民族浄化と言われることが果たしてどこまで行われているのか、そういったことも含めて、また人道的介入と言われることがいろいろな学説等でも認められてきつつあるわけでありますが、そういう国際法的な評価自体が形成途上のものである、こういうような状況の中で、事実関係の点、そして日本自身が当事者ではない、日本は世界の裁判官ではありませんので、この場合明確な法的評価は下せない、下さない、こういうことでございます。
  99. 松本善明

    松本(善)委員 正面からお答えになっていないように私は思います。国連の平和に対する脅威の仕組みの問題を申し上げているわけなんです。  じゃ、端的に聞きますが、国連でこの三十九条の平和に対する脅威とか平和の破壊及び侵略行為の存在がこのユーゴ問題で決定をされたことがありますか。平和に対する脅威だという決議がありましたか。なければないとはっきりおっしゃってください。
  100. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 コソボの問題に関しまして行われた決議は三つでございまして、今委員がおっしゃられたような趣旨の決議はないと了解しております。
  101. 松本善明

    松本(善)委員 今御答弁があったとおりです。平和に対する脅威という決議はないのですよ。そういう状況のもとでは武力行使は認められないのですよ、どんなに具体的なことが議論をされましても。それが国連憲章の仕組みであります。  私どもは、国連憲章は、前文にも書いてございますが、二回の世界大戦の結果から生み出された人類の英知だというふうに思っております。日本国憲法の紛争の平和的解決の精神もそうだと思います。これは、主権尊重、内政不干渉、武力不行使、国際紛争の平和的解決、この根本原則、これが今踏みにじられているというふうに私ども思いますし、そういう点では主権国家に対する――ミロシェビッチ大統領の措置をすべて支持するわけではないと先ほど申し上げたとおりですけれども、しかし主権国家であることは間違いありません。その主権国家に対する侵略行為であり、現在の国際法秩序そのものを根底から破壊するものだと考えているわけです。  ですから、私は、やむを得なかったという外務大臣説明は何遍もお聞きしましたけれども、やはりこの時点で失敗はもう明白になってきている。NATOによる一切の武力行使の即時停止、そして日本政府交渉による平和的な政治的解決の実現のために積極的な役割を果たすことを強く要求いたしまして、この問題の質疑は終わろうと思います。  時間もありませんので、簡明に、投資保護協定について伺います。  まず、バングラデシュとの投資保護協定でありますが、この協定には第五条に「いずれの一方の締約国の投資家の投資財産及び収益も、他方の締約国の領域内において、不断の保護及び保障を受ける。」とあります。これが一体何を意味するのか。受け入れ国の規制権を全く認めないということになるのではないかと思います。  これをどうしてお聞きするかというと、昨年結局とんざをした多数国間投資協定というのがありまして、その案文では、企業の重役などの任命や雇用は国籍要件の禁止、だから受け入れ国から登用したり雇用はしなくてもいいという条項のほかに、パフォーマンス要求の禁止も書き込まれました。国産の物品・サービスまたは自国民からの物品・サービスの購入、使用、優先を義務づけてはならない、こういうものですね。一般的に言いますと、投資の受け入れ国が自国の産品を購入することだとか労働者の現地雇用を求めるのは当然だと私は思うのです。それを認めないというのは経済覇権主義じゃないか。そういう投資企業側の利益の保障のみを追求するというやり方は、平等互恵の経済関係のあり方にも反しますし、二十一世紀は人類が共存していく時代だと思います。それは国民的な友好を進めるという点でも日本の利益にもならないと思うのです。そういう点について外務大臣、どうお考えか、伺いたいと思います。  政府委員、答弁するなら、ほんの簡単に答えなさいよ。もう時間がないのだから。
  102. 小松一郎

    ○小松政府委員 バングラデシュ五条について御質問がございましたので、事務的に御説明をさせていただきますと、ここに書いてございます不断の保護及び保障ということでございますけれども、これは条約を離れまして、一般国際法上外国人を保護しなければならない、これは一般的な義務でございまして、これは生命のみならず財産もそこに含まれるわけでございます。そういう意味で、そういう一般的な保護をしなければならないという一般的な規定でございまして、既に我が国締結しております同種の投資保護協定にも入ってございます。  その中には、今委員の御指摘にございましたパフォーマンス要求等についてのこれが具体的にここから出てくるというわけではございません。ただ、それはWTO協定関係のTRIMs協定でございますとか、あと、御言及のございました多数国間投資保護協定、そういった別の協定の話でございます。
  103. 高村正彦

    高村国務大臣 この投資保護協定自体、日本側から求めて締結したものではないわけでありまして、バングラデシュ側からこういう投資保護協定を結んでほしい、こう言ってきているわけであります。  それは、バングラデシュ側が、自由経済というものをよく理解していて、今のままでは日本の国の企業というのは我が国投資してくれないなと。これは、日本国が政治的意思で企業に行けと言うわけにはできないわけでありますから、現実に、自由経済の中でどういう状況をつくったら日本の企業が投資するであろうか、日本の企業に投資してほしい、こう熱烈に願っているバングラデシュ政府が、その主体的な意思に基づいて、日本の企業の投資環境をつくれば投資してもらえるのではなかろうか、そういうことで、こういう投資保護協定を結んでほしい、こう言ってきているわけでありますから、我が国が何か覇権主義で、我が国が何か押しつけている、そういうようなことでは全然ない。むしろ、それがないと、個々の自由企業というのは利益を上げるためにやっているわけですから、やはりそれだけの投資環境整備しないとなかなか進まないという客観的な事実を十分知ったバングラデシュ政府がそういうことを望んで、その結果日本国政府はそれに応じた、こういうことでございます。覇権主義ではありません。
  104. 松本善明

    松本(善)委員 私の言いますのは、投資を求める側がそうであっても、日本が大局と将来を考えた場合にそれにそのまま乗っかっていっているのではいかぬのじゃないか。やはり将来を深く考えた場合に、自分の方で規制をする必要があるのではないかということを言っているわけです。  ロシアとの協定の第十六条は、「現地調達についての要求、輸出制限又は輸出入の均衡についての要求に該当する貿易に関連する投資措置をとってはならない。」というふうに規定をいたしました。これはWTO協定に倣ったものというふうに言われておりますが、この協定は、WTO協定そのものが市場原理万能の考えが根本になっているように思います。  今、規制緩和、市場原理万能に対する批判は世界的に高まっておりまして、それは、ヘッジファンドの規制の問題とか農業協定を食糧安全保障など非貿易的関心事項観点から改正すべきだという意見などであります。先ほど外務大臣も、どこまでおやりになるつもりかはわかりませんが、その点についても触れられて答弁をされました。市場原理万能の立場の是正が必要になっているという点についての外務大臣見解伺いたいというのが一つ。  それからもう一つ、もう時間もありませんのであわせてお聞きをいたしますと、こういう事態を考えますと、一九七四年十二月に国連総会が採択をいたしました諸国家の経済権利義務憲章は非常に重要であったということを改めて私は感じます。新旧の植民地に反対をし、各国の経済主権の確立を求めたこの決議に、日本は棄権をしております。個別採択でも、投資に関する第二条第二項(a)に棄権をいたしました。この規定は、自国の法令に基づいて、また自国の国家的目的と政策の優先順位に従い、自国の国家管轄権及び範囲内で、外国投資を規制し、それに対して権限を行使すること。いかなる国家も外国投資に対し特権的待遇を与えることを強制されないと明記をしております。  今回の投資協定は、この国連総会決議の方向に反するものになったと言わざるを得ません。国連総会の第二条の規定と異なって各国の投資に対する規制権を剥奪することは、長期的に見て、発展途上国の経済発展を阻害し、日本の国益にならないのではないかということを私どもは考えているわけでございます。  この二点について、外務大臣見解伺いたいと思います。
  105. 高村正彦

    高村国務大臣 最初の御質問、市場経済が万能であるかどうかということでありますが、全体的に、市場経済と計画経済を比べれば、明らかに市場経済の方がまさっていたということは、もうこれは歴史上の決着のついた問題だと私は考えております。ただ、だからといって、それじゃ市場経済が万能かといえば、やはり市場がすべて正しいとは限らないわけでありまして、私は、万能である、極端な市場原理主義が正しいとは考えておりません。  それから、二番目の問題でありますが、我が国は、各国の天然資源に対する恒久主権及び国有化の権利を認めるとの立場をとっておりますが、諸国家の経済権利義務憲章には、外国投資に対し受け入れ側が恣意的または差別的措置をとる等の権利乱用があった場合の歯どめがなく、また、国有化が国際法上合法であるための条件にも十分言及されていない等の問題があります。我が国は、この憲章全体の採択においては棄権し、この憲章第二条については、今述べたような理由により反対をいたしました。  我が国は、開発途上国の経済発展のために必要な先進国よりの資本の流れを促進するとの観点からも、国際投資の安全に配慮することが重要と考えております。かかる立場に基づき、我が国としては、各国との投資保護協定締結については、この憲章の趣旨に十分配慮しつつも、我が国投資家の円滑な事業活動を確保するとともに投資財産の安全を図ることによって、投資促進し得る内容協定締結するとの方針で臨んできております。よって、この協定も、かかる認識を踏まえた内容となっております。  ですから、まさに大局的立場から考えた場合にこういうことが必要だと考えて、協定締結したわけでございます。
  106. 松本善明

    松本(善)委員 もう時間もありませんので終わりますが、外務大臣が言われた、計画経済と市場経済との対比だけで物を考えるというのは違っているのじゃないか。ある意味では日本だって、我が国の経済の発展についての計画を持っているわけです。私どもは同意をしない部分がありますけれども、今の政府だってそういうことを考えている。  私の申しておりますのは、やはり、市場原理万能ということでずっと進んできたいろいろな問題が、ヘッジファンドの問題とか農業の問題とか等々で矛盾に突き当たっている。私どもは世界経済の発展を、改めてそういう時点で考え直さなければならぬのではないかということを提起しておるのでございます。  時間もありませんので、このことを申し上げて質問を終わりたいと思います。
  107. 中馬弘毅

  108. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 最初に、本日の案件とはちょっと別になりますが、一つ話題を申し上げまして、大臣の御所見を伺いたいと思います。  それは、アフリカにおけるエチオピア・エリトリア国境紛争の問題でございます。御案内のように、昨年の五月に発生をいたしまして、現在、激化しているとかいう状況ではありませんけれども、なおかつ解決をしていない、膠着状態と申しましょうか、そういうことにございます。私どもの国は、二回にわたるアフリカ開発会議でホスト役を果たすとか、あるいは四十数カ国のアフリカ大陸の国々とできるだけやはり友好の関係を持つとか、努力を積み重ねているわけでありますし、今後の我が国国際社会における活動の中でも大事な分野だと思います。  実は、昨日の朝、日本・エチオピア友好議員連盟という会合を久方ぶりに持ちまして、大使を含めまして懇談をいたしました。そのときに、この国境紛争の問題について、今まで日本、それから大使館はエチオピア側にしかないわけですが、双方を見ておるわけですが、大変努力をしているということを高く評価するお話がございまして、また、みんなでやはりこういう問題を、早く紛争が打開できるように一層の努力を私どもはしていこうではないかということを実は話し合ったところでございます。  そういう立場に立ちまして、アフリカ局から大臣の方にも文書が行っていると思いますが、簡単な書面で、申し上げますと、  エティオピア・エリトリア間の国境紛争の平和的解決を促すために、日本国政府は青木アフリカ紛争問題担当大使を両国派遣し、働きかけを行っている。この努力を高く評価するとともに、両国に国交のある日本国として、平和的解決のために、さらに一層の努力を強く要望する。 ということを、みんなで、参加者全員で実は確認をしたところであります。  こういうことにつきましてもそうですが、私ども同僚議員みんなでさまざまの世界の国々との議員連盟などを通じた友好のための努力をしているわけでありまして、政府の努力、また議員の努力を含めまして、貢献できるようにという気持ちも含めまして、たまたま昨日こういう話題がございまして、きょう外務委員会があるものですから、冒頭に御紹介をして、大臣の御所見を伺って、いい努力をみんなでやろうということだったものですから、大臣のお気持ちを伺いたいと思います。
  109. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国政府の努力を評価していただいた上で一層の努力をせよという叱咤激励をしていただいたことを、心から感謝申し上げるものでございます。  本件紛争につきましては、今委員からも御紹介がありましたように、青木アフリカ紛争問題担当大使を両国派遣するなど、繰り返し、紛争の平和的解決へ向けた働きかけを行ってまいりました。四月下旬からは、国連がサハヌーン事務総長特使を両国派遣し、調停活動を行っており、またアフリカ統一機構、OAUも調停活動を行っております。  我が国としては、本件紛争が、両国のみならず、すべてのアフリカ諸国の開発にとって不可欠である平和に悪影響を及ぼすことを懸念しておりまして、国連及びOAUと緊密に連絡をとりつつ、我が国関係者の両国への派遣可能性検討しつつ、引き続き、本件紛争の平和的解決を求めていく考えでございます。
  110. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ありがとうございました。  申し上げましたように、政府のレベル、また議員のレベル、いろいろなことを通じましてよりよき関係の努力をしてまいりたいというふうに思います。一層の御努力に期待をいたしております。  本日の案件にかかわってですが、その中で一つ、ロシアとの投資保護協定に関連をしてお伺いをしたいと思います。  きのうからのニュースを見ましても、ロシアの政局、大変な状態だなということでございまして、片やコソボの問題もございますし、これから日本ロシアとの関係というものも、橋本内閣当時の努力、それから小渕内閣になりまして首相レベル、外相レベルでのさまざまな御努力、また目の前に控えている外務大臣のお仕事というのも伺っているわけでありまして、非常に緊張した、またさまざまなことを配慮したさまざまな努力をしなければならないということを私どもなりに思うわけでございます。また、こういう協定が効果あるものに、また意義あるものになるように期待をしていきたいというふうに思うわけでございまして、そういう点から二つだけお伺いしたいと思います。  一つは、ロシア我が国との経済、先ほど来、同僚議員の質問と答弁の中にさまざまございました。私も伺っておりまして、その質疑のとおりだなというふうに思うわけであります。いずれにしましても、目の前はさまざま困難なことがございますし、非常に厳しいものがございます。  ただ、そういうものを、やはり目の前の努力と、地域も展望しながらどう努力をしていくのかというわけでございまして、そういう意味では、この協定が意味あるものになるような努力も必要でありますし、また政府レベル、経済界レベル、それぞれパイプと仕組みがあるわけでありまして、それも効果あるようにしなければならないというふうに思うわけでございまして、そういう意味での姿勢というものが伺いたい一つであります。  もう一つは、日ロ両国間の関係の中で一、二伺いたいことがございます。  小渕総理が、朝鮮問題につきましての四者会談関係をいたしまして、さらにプラス2、ヨーロッパでも、2プラス4か、4プラス2かありますけれども、六者が望ましいということで、日本ロシアを加えた話というものが恐らくこれからのアジアの集団安全保障への一つのベースになるか、たたき台になるという意味も含めてでございましょう。私も大変結構なことだというふうに思っておりますが、それらの発想についてロシア側はどのように考えているのだろうかということを伺いたいわけであります。  もう一つは、今参議院で審議をされておりますガイドライン、いわゆる日米安保条約、新ガイドラインの問題がありますが、どこかの報道でちょっと見ましたら、ロシア側の幹部の方で、あの中身につきまして相当厳しい発言をしたというニュースを新聞で読んだことがございます。ロシアとして、こういう問題をどのようにとらえているのだろうか。中国の態度はよくわかっておりますが、ロシアはどう考えているのだろうかということでございまして、その二つの点について、この協定に関連をしてお伺いいたします。
  111. 高村正彦

    高村国務大臣 この投資保護協定目的でありますが、投資家の保護投資環境整備のための法的枠組みを提供することによって、日ロ間の投資促進することにあるわけでございます。ただし、投資は、民間企業が経済合理性に基づき行うものであり、実際に対ロ投資が増大するか否かは、今後ロシア投資家にとって魅力のある投資環境をいかに整備していくかにかかっていると言えるわけであります。  我が国としては、この協定締結我が国の対ロ投資促進に弾みをつけ、日ロ間の経済的交流の一層の増進が図られることを期待するとともに、あらゆる分野で日ロ関係を一層進展させつつ、平和条約についても、東京宣言及びモスクワ宣言に基づき、二〇〇〇年までに北方四島の帰属の問題を解決して、平和条約締結すべく全力を傾けていく考えであります。  国際問題に関する日ロ間の協議、協力も強化していく考えでございます。特に、北東アジアにおける多国間の対話の場を将来的に設置することにつきましては、小渕総理の提案に基づき、関係国に対し働きかけを行っているところでありますが、ロシアからは基本的な支持を得ているわけでございます。  ガイドラインにつきましては、イワノフ外相とお会いしたときにも、私の方から説明をいたしましたし、今後とも説明をしていくつもりでございますが、イワノフ外相からは、こんなことはだめだとか、そういうようなことを言われたことはございません。
  112. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 4プラス2のことをお伺いしましたのは、ガイドラインの審議の中で思うのですが、やはりいかにして安定したこれからのアジアあるいはアジア太平洋地域の地域集団安全保障の仕組みをつくることができるか。私ども、政治の大きな課題として、それにチャレンジをしなければならないという思いを深くするわけでございまして、そういう意味では、今の朝鮮半島問題につきましても、やはり四者の会談、それから朝鮮半島の南北の交流、それから日朝関係というものが並行してうまく進むということが非常に望ましい、常々そう思っておりますが、またその発展の上にそういうことも構想する、そういう議論を真剣に交わしながらみんなで努力をしていくというのが今求められていることではないだろうかという気持ちがするからでございます。  短い時間ですが、コソボ問題につきまして若干お伺いをさせていただきます。  先ほど、坂口同僚委員質疑の中で、G8と国連安保理という話がございました。非常に興味深くその論議を伺っておりました。また、今、松本議員の方で、国連憲章とNATO空爆ということについての議論がございました。私も伺っておりまして、NATOの今回の空爆という行動自体が、今の国連憲章第七章あるいは第二条とかいろいろなことを引用してお話がございましたけれども、今の国連憲章の中身と仕組みによって説明できる、あるいはそれによって肯定されるということではない関係にある、私はそう思います。  同時に、しかしユーゴにおけるコソボ地域のあのような事態がある、またあのような行動が発生をしたというのも現実でありますし、また外務大臣のG8と国連ということのお話につきましても、興味深く答弁を伺っておりました。  いずれにしても、やはりそういうことを考えますと、ある意味では、大きく言うならば、ヨーロッパではアジア以上に進行しているポスト冷戦時代の安全保障、あるいは共通の安全保障というものをどうつくっていくのかということを年じゅう念頭に置きながら、現実には非常に難しい、厳しい問題が発生する。どうしたらいいんだろうか、恐らく各国の指導者とも、そういうことを強く念頭に置き、日ごろ考えながら問題の対応に当たっておられるということだと思います。  それで、簡単に外務大臣のそういう認識を伺いたいのであります。  一つは、やはり今の国連憲章の条文、中身からいってこれは肯定される行動ではないという、これは現実の問題ですね。と同時に、やはり最終的には国連中心で打開されるべきである。大臣もおっしゃいましたが、そういう努力というものがあるわけでありまして、それら全体をどう認識しながらやっていくのか、努力をしていくのかということですね。そういう物の考え方と申しましょうか、認識が非常に大事なことではないだろうかというふうに思うわけでございます。  そういう意味で申しますならば、国連憲章とNATO空爆というものは両立し得ない中身になっているというふうに私も思います。その辺というのは、やはり論理立てはきちんとはっきり言いながらやっていくということがいいことではないかなというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
  113. 高村正彦

    高村国務大臣 確かに、武力行使を認める明確な国連決議があるわけではない、それから、そういう状況の中で、明確に空爆をしていいという国連憲章の明文があるわけではない、それはそのとおりだと思います。ただ、これまで繰り返して述べていたような状況のもとに、日本政府とすれば、やむを得なかったということで理解をしているということであります。  それで、法的にこれは国連憲章違反であるかどうかという最終的な法的解釈権というのは国連安保理にあることは、これは疑いを入れないところでありますが、先ほども申し上げましたように、これは国連憲章違反である、だから空爆はすぐ停止すべきである、こういうロシア提案した決議案は十二対三という大差で否決されたということもまた、事実としてあるわけであります。  一般国際法上、人道的介入というように言われることが、どういう状況のもとで、どんな条件でそういうことが許されるかということはまだはっきり確立したわけではないというのが一方であるのと同時に、日本政府として、民族浄化と言われるようなことが行われている、大量の難民が発生しているというのは、客観的事実としてはっきりわかりますけれども、その中で虐殺がどの程度行われているかとかいうことは、そうはっきりわかるわけでもない。  そういう中で、はっきりした法的評価日本政府としてすることは、これは差し控えておりますが、現時点でどういう形で解決をしたら一番いいのかということは、ミロシェビッチ大統領が国際社会の要求を受け入れることによって、人道的な悲惨な状況がなくなり、それと同時に、空爆も当然停止される、そういうことを目指して日本政府としては一生懸命努力しているところでございます。
  114. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間がございませんし、本会議もございますから、最後に二問だけ一緒にお伺いをさせていただきます。  一つは、中ロの激しいと申しましょうか厳しい態度というものへの対応の問題であります。  私は、先般の高村さんも参加をされましたG8外相会議の結論、その冒頭項目、七項目とかいうのは、やはり打開の方向への足がかりをここでつかむことができたのかなという評価もなされておりますし、私もそんな気でこの中身を実は伺っているわけであります。  ところが、その後に中国大使館誤爆事件などという問題が発生をいたしました。何か足がかりの方向に向かったのかなというときに、さらに厳しい問題が発生をいたしまして、そこでどうするのかということを緊急に、また、お役に立つ努力をしなければならぬというのが、今置かれている状況だと思います。  ドイツの首相が北京を訪問なさっているということもございますし、あるいは中ロの協議も行われてございますし、外務大臣ロシアに行かれるということも伺っております。しかし、このような段階の中で、NATO参加をしていない、しかもG8の一員である、また国連の中でも大事なポジションを持っている日本がどのような活動をするのか、あるいは、どのように役に立つ効果的な活動をするのかということは、やはり非常に大事な立場に今我が国はあるんではないだろうかという気がいたします。  そうなりますと、相当鮮明に、また踏み込んで貢献する役割をどうするのかということが期待をされる立場ではないだろうかというふうに思うわけでありまして、そういう意味では、政府としても、また外務大臣としても、やはりビジブルな貢献すべき行動というものを展開すべきだと私は思いますけれども、どう思われますかというのが一つであります。  もう一つは、今後のさまざまな協力の問題でございます。  難民問題の打開のための、深刻な難民問題の現実に対する支援のことは伺いました。また、私どもは難民対策に積極的に協力をする。しかし、NATOの一員ではありませんから、もちろん戦費は払わないということは当然のことだと思います。僕は、ミサイルを撃つためのお金は払わない、これは当然のことだと思います。  それから同時に、先ほど外務大臣の答弁がございましたが、やがてではなく、なるべく早く和平達成後に、どのような、国際部隊というのか、あるいは治安駐留部隊というのか、さまざまな表現でなされておりますが、何らかのやはり国連を中心にした手当てが必要だということになると思います。それは当面の治安だけではなくて、やはりあの地域の将来の解決の方向に向けた打開が必要であるというふうに思います。  そういうことを考えますと、従来、PKOなどをめぐりましてさまざま議会で議論をさせていただいてまいりましたが、そういうレベルから、さらにもう一歩発想を別にして、ミリタリーの能力、効力を持つのがどうかではなくて、もっと民生あるいは地域の歴史を踏まえた発展、今後の問題、そういう角度からの対応というのがやはり非常に大事なことではないだろうか。今、それらは具体化する段階ではありませんから、具体的にどう決めるかということではないと思いますが、私はそういう気持ちを持っているわけでございます。  時間切れに、恐縮ですが、二つ質問をさせていただきました。
  115. 高村正彦

    高村国務大臣 中国大使館爆撃は、G8外相会合において重要な成果があったやさきに起こった事件だけに、この事件が政治解決へ向けての機運に悪影響を与えることがないようにすべきことは当然でありまして、我が国は、G8の一員として、そのような方向で努力してまいる所存でございます。  ロシアにつきましては、我が国は、コソボ問題の解決のための同国のこれまでの外交努力を高く評価しており、また、今後ともロシアが重要な役割を果たすことを期待するものであります。  今後、安保理決議準備していく上で、ロシアと他のG8諸国との間で依然として立場が一致していない問題、まさに今委員が御指摘になった、国際的プレゼンスがどういうものになるかというような問題でありますが、今後、相違点をできるだけ小さくしていくことが重要でありまして、今月末の私の訪ロの際も含めてあらゆる機会をとらえてロシアと協議してまいる考えでございます。  それから、中国につきましても、先般のG8外相会合において合意された七原則を実施するための国連安保理決議採択するためには、安保理常任理事国である中国理解協力を得ることは不可欠でありますので、我が国といたしましては、積極的に機会をとらえて中国とも話し合っていきたい、こういうふうに考えております。  国際的プレゼンスがどうなるかというのは非常に大きな問題で、大体幅はもう決まっているのですね。ミロシェビッチ大統領が言っている立場から米英が言っている立場、その間のどこぐらいになるかな、こういう話でありますので、まさにこれ、調停努力というようなものなので、現時点でもういろいろな話がいろいろ行われている中で、今日本としてはこれだといってぼんと打ち出すことが、調停努力の中で役に立つのかどうか。役に立つという見きわめをしていたらやりますけれども、現時点で直ちにそういうことではなくて、今G8の中でいえば八つの国がいろいろ細かいところも含めて政務局長会議、そういう形でやっているところでありますので、その御理解をいただきたいと思います。
  116. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 以上で終わります。
  117. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  118. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより国際海事衛星機構インマルサット)に関する条約改正及び国際移動通信衛星機構インマルサット)に関する条約改正受諾について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  119. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、標章国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッド採択された議定書締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  121. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、投資促進及び保護に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件及び投資促進及び保護に関する日本国政府ロシア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件に対する討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
  122. 松本善明

    松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、ロシア及びバングラデシュとの投資協定に対する反対討論を行います。  我が党は、資本主義的活動を認めるものであり、投資活動も全面的に否定するものではありませんが、投資受け入れ国の経済主権や雇用などの要求を全く否定することは、国際経済全体の利益、長期的、大局的に見ると我が国の国益にも反すると考えます。以下、反対理由を具体的に述べます。  反対理由の第一は、外国投資を求める国は自国の経済発展に活用させるために投資を受け入れるにもかかわらず、いずれの協定も受け入れ国の規制権を全く認められず、専ら投資保護の義務だけを負わされているからであります。内国民待遇を規定していることから受け入れ国企業と平等だと見られるかもしれませんが、もともと免税などの特権を受けながら高利潤を上げる外国投資にとって有利に働くことは明らかであります。  このことは、一九七四年十二月に国連総会が決議をした新国際経済秩序が、投資受け入れ国が外国投資を規制し、外国投資に特権的待遇を与えることを強制されないと明記しています。本協定はそれに逆行しているものであります。  第二に、具体的に幾つか挙げますと、ロシアとの協定では、現地生産品や労働者の使用を求めること自体を禁止する規定を盛り込んだこと、バングラデシュとの協定では、バングラデシュ投資財産及び収益を不断に保護、保障することを義務づけたこと、両協定とも収益その他の資金の領域外移転の自由を保証したことで、投資受け入れ国が進出企業の資金を自国経済にほとんど役立てることができなくした点などであります。  以上で反対討論を終わります。
  123. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて両件に対する討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  124. 中馬弘毅

    中馬委員長 採決に入ります。  まず、投資促進及び保護に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、投資促進及び保護に関する日本国政府ロシア連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  126. 中馬弘毅

    中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  128. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十六分散会