○山中(あ)
委員 附帯条項がついておりまして、可及的速やかにということでございますが、半分の権利しか行使ができないということは、国は半分の責任しか果たしていない、権利を行使するためのその手だてをとるということを果たしていないというふうにお
考えいただきたいと思います。
それでは、あと五分ほどですけれども、次の話題に移らせていただきます。
ちょうど二十四日ですか、男女共同参画推進予算として二億一千五百万円が計上されまして、そして、六つの新規の事業があります。そのうちの
一つは女性に対する暴力に関する施策、そしてその研究協
議会の発足。もう
一つはその実態調査ということがございました。
けさ七時のNHKのニュースの中で、ドメスティック・バイオレンスの防止プロジェクトという全国で初めての会合が
東京であったということが報道されました。これは先週末だそうですが、鈴木隆文さんという男性の方が、男性に向けて、加害者側の意識を
改革する必要、そして自己抑制の力を身につけることを呼びかけるということで発足したものだそうです。
そのNHKの報道によりますと、
日本においては、これは既婚または同棲というものも含めて、精神的暴力を受けた女性は二人に一人、身体的暴力を受けた女性は三人に一人ということが出ております。ですから、
日本の社会のこういった
状況というのがいよいよ表立って問題になってきたわけでございます。
残念なことに、在バンクーバーの総領事の暴行事件というのは、私は、
日本における人権、特に暴力、性的虐待などの問題に対する
認識のおくれというのが海外において露見したと思って非常に情けないと思ったわけですが、この件は参議院において取り上げられておりましたので、私は取り上げるつもりはございませんでした。しかし、どうも
外務省の
対応、そして何よりもカナダの有力紙でありますグローブ・アンド・メールの記事を読みましたときに、これは取り上げざるを得ないというふうに思いまして、急ぎ準備したわけでございます。
この事件が起きた二月十六日から十七日にかけてということですが、とにかく解任し帰国させるという
方針を
外務省が決めたのは二十五日でございます。一週間もたっているわけでございます。その間に、二月十九日に外務報道官が会見をちゃんといたしておりまして、カナダの言い方では、配偶者に対する虐待か、配偶者に対する暴力行為、
日本では言い方が違うのかどうかわかりませんが、そのようなことをおっしゃっています。そして、マスコミの
質問に対しましても、まあ、マスコミの
質問自体が問題でございます。家庭内の口論だけであれば、表に漏れなければ問題にならないという気がしないでもないが、だれが警察に通報したのか、こういう発想のマスコミの
質問に対して、報道官のお答えは、カナダの法則、
日本の法則、それぞれいろいろあるでしょう、ですから、自分たちではどういう形でそこに、警察まで至ったかはわからないけれども、出頭したときの、その逮捕状の執行が行われたということであると
理解しているというような非常にあいまいなお答えでした。
御存じのように、カナダというのは、国連開発計画で常に人間開発指数でトップにあります。八位の
日本とこれだけ違うわけでございますが、人権及び自由の憲章というチャーターを一九八二年にも採択しておりますから、この国は、医者が通報しなければ医者が義務を怠るということになるわけで、当然、医者がその義務を果たしたというだけにすぎないわけでございます。このときに既に領事
関係に関するウィーン
条約に関しても言及されておりますから、それで、その結果としては、領事の特権免除が任務の遂行に必要な範囲に限られているということももう既に記者会見をしている。なぜこの十九日の時点でとりあえずの解任と帰国ということをお決めにならなかったのか。
こういうことをしないために、二十二日のグローブ・アンド・メール紙においてかなりの、もう実名入りの相当の記事が出ておりますけれども、その中で一番私が、これは文化の問題でもないし夫婦間の問題でもないと思いましたのは、オタワの、カナダの
外務省のアンドレ・ルメイ報道官が、バンクーバー警察がカナダ
外務省と相談して、そして総領事として、
外交官特権は非常に制限された形でしか使えないということと、カナダでは許されない行為にかかわっているならば告訴されるであろうということをきちっと言っているわけです。そのとき、まだ
日本は何もリアクションを正式にしておりません。
そして、二十五日に至っても、これは同首脳と書いてありますが、
外務省のどういう首脳の方かわかりませんが、総領事は文化の問題などとは言っていない、夫婦の問題だと言っただけだとか、現地の事情に通じていなければならないのに、これはたまたまカナダだったからこんなことになったというふうにとれるようなコメントを発表している。これは、私は大変大きな問題だと思います。
特にお願いしておきたいのは、この総領事夫人は被害者であるということです。彼女に対してのケア、配慮が一体どうなっているのか。故国から離れたところで、一番
信頼しているはずの夫に暴行を受け、しかも病院に行かなければいけない。もうけがの
状況は全部グローブ・アンド・メールの新聞に出ておりますけれども、そういう暴行を受け病院に行ったら、警察が来て事情聴取を受け、新聞に報道され、夫は解任され、そして自分もいずれ帰国しなければいけない。こういう
状況に置かれた女性の
立場というのに対して、きちんとした配慮をしていただきたい。よもや、夫に恥をかかせたとか、または
外務省に迷惑をかけたというような発想はないと思いますけれども、そこのところをきちっとしていただきたいということと、この女性の問題というのは人権の問題という
認識を持って、そしてぜひこの点では、UNDPで言うグローバルスタンダードに
日本が近づけるように、特に国際的な一番フロントにいる
外務省として
努力をしていただきたい。この事件をきっかけに、もう
一つ女性に対する、女性の
立場というものに対する
外務省の
あり方がビジブルな形でいい形に変わっていってくださるということを望んでおります。
外務大臣、一言だけコメントをいただいて、私、
質問を終わらせていただきます。