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1999-05-07 第145回国会 衆議院 科学技術委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月七日(金曜日)     午前九時三十三分開議   出席委員    委員長 北側 一雄君    理事 河村 建夫君 理事 河本 三郎君    理事 中谷  元君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 吉田  治君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       奥山 茂彦君    河井 克行君       木村 隆秀君    田中 和徳君       棚橋 泰文君    望月 義夫君       石毛 えい君    鍵田 節哉君       近藤 昭一君    末松 義規君       鳩山由紀夫君    近江巳記夫君       西野  陽君    吉井 英勝君       辻元 清美君    中村喜四郎君  出席国務大臣         国務大臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障危機管         理室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障・         危機管理室長  伊藤 康成君         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         科学技術庁原子         力局長     青江  茂君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         工業技術院長  佐藤 壮郎君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君  委員外出席者         原子力委員会委         員       藤家 洋一君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  阿部 信泰君         参考人         (核燃料サイク         ル開発機構理事         )       岸本洋一郎君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   木村 隆秀君     棚橋 泰文君   田中 和徳君     河井 克行君   鍵田 節哉君     末松 義規君   中西 啓介君     西野  陽君 同日  辞任         補欠選任   河井 克行君     田中 和徳君   棚橋 泰文君     木村 隆秀君   末松 義規君     石毛えい子君   西野  陽君     中西 啓介君 同日  辞任         補欠選任   石毛えい子君     鍵田 節哉君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二七号)     午前九時三十三分開議      ————◇—————
  2. 北側一雄

    北側委員長 これより会議を開きます。  内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として核燃料サイクル開発機構理事岸本洋一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側一雄

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 北側一雄

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
  5. 吉田治

    吉田(治)委員 民主党の吉田でございます。  事前に質問主意書、趣旨を出しておりますけれども、順番が前後するということは当然のごとくお許しをいただきたい、そういうふうに思っております。  我が国電力供給におきましては、既に原子力発電というものが三五%を担っているという中で、本当に原子力が主、火力が従というふうなエネルギー政策になってきているということ、そして、準国産エネルギー源として引き続き我が国エネルギー安全保障安定供給を担う重要な電源としての位置づけ原子力においては変わらないというふうなことを私自身強く思っております。また、水力に次いで二酸化炭素を排出しないということ、また量的にも確保できるという特性から、地球温暖化防止対策のためにも役立つエネルギー源として、最近は、ネガティブではなくいい意味での、もう一度原子力というのをちゃんと見直そうと。  大臣は東大の総長も務められたということですが、原子力という名前の学科がこのごろどんどんなくなっていっている。私が子供時分考え方からすると、鉄腕アトム、やはり原子力の火というふうなものは何にもかえがたいというふうな、夢の火であったというのが、考え方によってはおかしな、反原発というふうな中においてもみくちゃにされて、それが、昨年の動燃法改正にもありましたように、妙な隠し立てをする、公開をしないというふうなことも行われたというのは、もう大臣が一番よく御理解をされていることだということでございますので、改めてその辺は御質問をさせていただきません。  大臣事務当局、きょうの答弁はどなたでも結構です。特にエネ庁さんもこれから主管されていくということで、答弁者についてはだれがということなく、答弁していただける方に答弁をしていただいたらいいんですけれども、まず最初に、これは何度も質問されておるんですけれども基本として押さえておきたいなと思うのは、今後、今申し上げた原子力発電というものが動く限り、最小限毎年九百トンずつ使用済み燃料がふえていく。しかしながら、一方、青森の再処理工場は、原子力長計によりますと第二再処理工場と言うらしいんですけれども、フル稼働しても約八百トンの処理最大限である。しかもそれは二〇〇三年からであるというふうな現実の中で、このギャップというふうなもの、この法案が通ったとしても、また六ケ所の再処理工場ができ上がったとしても、毎年百トンずつのギャップというふうなものが出てくる。  これは、さきの参考人招致の中におきましても、参考人の各先生方お話の中で、倉庫と言う方もおられれば、宝の山だ、新しい鉱山が日本にできるんだと言う方もおられれば、いや、単にごみの集まりだよ、それをたまたま置いているんだと。よく産業廃棄物の議論の中で、あれは再資源としてリサイクルすれば非常に宝の山だけれども、そうでないと単なるごみで困ったものだというふうな認識があるんですけれども、この法案ができて、これ以降、これからの長計もあるかと思いますけれども、この百トンのギャップというふうなものをどういうふうに埋めていくのかということをまずちょっとお答えをいただきたいと思います。
  6. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  我が国におきましては、先生案内のとおり、使用済み燃料といいますものは再処理をいたしまして、燃え残りのウランプルトニウムというものを有効に活用していくということを基本的な考え方としておるわけでございます。そのような考え方に沿いまして諸般施策というものが展開されている。  そういう中におきまして今般の中間貯蔵というものもお願いしておるわけでございますけれども、今具体的におっしゃられました百トンのギャップというものを今後どう埋めていくのか。これは恐らく、原子力発電所がこれから増設されてまいりますと、この百というギャップはさらに拡大をしてくるというふうなことが将来的に予測されるわけでございます。それらにつきましては、まずは今お願いをしてございます中間貯蔵という形で、原子力サイト内におきましての使用済み燃料管理というものを緩和いたした上で、そうした施策というものをとった上におきまして、将来の問題としましてぜひ考えていきたい、かように考えておるところでございます。
  7. 吉田治

    吉田(治)委員 今局長の話の中で、原子力発電所増設ということがありました。これは、エネ庁さんが今長期エネルギー需給見込みの中で原子力発電所を二十基これから増設する、この計画には変わりがないのかということ、そして、もしもその二十基が稼働した場合に、今局長質問いたしました八百トンと九百トンのギャップというものは広がるのか、それとも九百トンというのはその二十基が増設されたことも含んでの話なのか、それとも単に、九百トンというのは現在の原子力発電所を回すだけで出てくるのか。その辺、ちょっと確認をお願いしたいと思います。
  8. 稲川泰弘

    稲川政府委員 原子力発電所増設にかかわる基本的な姿勢につきましては、現在も変わりはございません。COP3に基づきます炭酸ガス排出量削減目標を達成するために、二〇一〇年度において、総発電電力量として四千八百億キロワットアワーの実現が不可欠でございまして、これを現在の稼働率等で計算をいたしますと、設備容量としては六千六百万キロワットから七千万キロワットという幅のある目標を持っておりますけれども、十六から二十基の増設が必要でございます。  現在、使用済み燃料年間発生量は九百トン。これは、二〇一〇年、二十基相当のものが実現をできたときには千四百トンと予測をされます。したがいまして、六ケ所の再処理工場年間処理能力八百トンの現状考えますと、貯蔵すべき使用済み燃料の量は、中期的、長期的には拡大をしてまいります。
  9. 吉田治

    吉田(治)委員 原子力局長、今、二〇一〇年には千四百トンになると。その時点で、再処理工場が動き始めて八百トンですよね。では、六百トンというのは、ずっとこれは中間貯蔵、この法案を通して、それによって置いていくという発想でいいんですか。
  10. 青江茂

    青江政府委員 まず、今時点におきましての年間排出量は大体九百トンでございます。再処理工場が動き出した時点におきましての処理能力は八百トンでございます。したがいまして、単年度ベースだけでとりますと、そこには百トンの赤という状態になるわけでございます。そして、原子力発電所増設になりますと、新たな原子力発電所から新規使用済み燃料というのが排出されてくるということになるわけでございます。それが逐次増大をしてくるということになりますと、単年度ベースでのマイナスの百というのが逐次拡大をするといいましょうか、新規増設に伴いまして拡大をしてくるということになるわけでございます。  その赤というものを埋める対応策といたしまして考えてございますのが、まずは、地元の方々の御理解を得ながら、当面の対策としまして、原子力発電所サイト内におきましての貯蔵能力の増強を図るということ、これは逐次行われておるわけでございますけれども、その努力というのが一つあろうかと思うわけでございます。  と同時に、今審議をお願いしてございます中間貯蔵という形でもちまして、サイト内から出てまいりますスペントフュエル、使用済み燃料というものを中間貯蔵施設の中に投入していくということでもちまして、対応というものを当分の間考えていくということであろうかと思うわけでございます。  そして、将来の課題でございますけれども、今八百トンのいわゆる六ケ所の再処理工場、今先生の御質問の中で第一工場だというふうに御指摘もございましたけれども、いわゆる第二工場といったことにつきましても、将来の課題としましてそれは考えていかなければならない。そういった中で、いわゆる逐年出てまいります使用済み燃料というものを処理していくというふうな考え方に立ってございます。
  11. 吉田治

    吉田(治)委員 いや、これは、中間貯蔵というのをまさにこういう法案に出す、政策的に位置づけることによって、この後質問させていただきますけれども核燃料サイクルというふうなものに時間的柔軟性、今局長中間という言葉と将来という言葉を使われましたけれども、ということは、従来の全量処理政策というものが変更がなされ、適時適量処理政策というふうな形に政策変更が今なされたというふうに考えていいのかどうか。そして、この中間貯蔵をされた使用済み燃料というものは、今第二再処理工場お話をなさいました、将来必ず再処理がされると。それはいつまでにされるのかということを含めて、この二点。どういうことになっているのか。
  12. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  我が国におきまして、一番最初に申し上げましたが、いわゆる使用済み燃料は再処理をし、抽出いたしましたウランプルトニウムというのを利用していく、これは政策基本でございます。そこのところというものは、今回の中間貯蔵というものの御審議をお願いしているその点におきましても、この基本的な考えというのは変わりはございません。したがいまして、今の基本的な考え方からいたしますれば、使用済み燃料全量処理をしていくということ、この考え方というものは変更を加えているものでは決してございません。  その再処理をどういうタイミングでしていくのかと申しますのは、再処理能力と申しましょうか、それとの関係に立ってくる。再処理工場施設稼働状況に即しまして、なし得ることを着実にしていくということではないかというふうに理解をいたしてございます。
  13. 吉田治

    吉田(治)委員 ということは、エネルギー源の確保ということから、核燃料サイクル確立というふうなものは何ら変更もなされていない、それから変更する予定もない。では、その場合に、今局長が言われた抽出されるプルトニウムというふうなものの利用計画使用済み燃料については再処理を行っていく、処理して回収するプルトニウム利用計画というふうなものはどういうふうに今なされているんですか。
  14. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  まず、六ケ所の再処理工場稼働いたしました後におきましてそこから出てまいりますプルトニウムの前に、海外に再処理委託をいたしてございますが、返還されるプルトニウムというのがございます。これの利用計画につきましては、もうこれは先生案内のとおり、プルサーマル、軽水炉でもって燃焼をし、そういう形でもって活用していこうという考えに立ってございます。  そして、六ケ所の再処理工場稼働後、逐次プルトニウムというのが出されてくるわけでございますけれども、それにつきましても、プルサーマルというものと新型炉研究開発、こういったもので活用していくという考えに立ってございます。
  15. 吉田治

    吉田(治)委員 今言われた新型研究開発というのは何ですか。
  16. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  非常に細かいところから始まりますけれども、「常陽」といういわゆるFBR実験炉が動いてございます。これにも燃料が必要でございます。そしてまた「もんじゅ」という原型炉が敦賀にございます。これにつきましては、現時点におきましては御案内のような状況で停止中でございますけれども、私どもとしましては、これは大変有用な研究開発のための重要なツールであるというふうに思ってございまして、それはぜひ再稼働をいたしまして、研究開発のために使わせていただきたい、かように思っておるわけでございますが、それの稼働のためにもプルトニウムというのは必要でございます。  こういったふうなもののほかに、例えば燃料サイクル機構の東海それから大洗におきましての諸般の細かい研究施設、こういったものにもプルトニウムの活用が考えられてございます。
  17. 吉田治

    吉田(治)委員 ということは、今質問の中で申し上げましたように、確認したいんですけれども核燃料サイクル確立必要性について行政としてどのように考えているのかということ。  それからもう一点は、今回の法改正で言う使用済み燃料サイト外貯蔵のなりわいというんですか、業というんですか、今局長の答えの中にもありました、まさにこれは中間貯蔵サイト内からサイト外ということですから、行政として推し進めている核燃料サイクル確立に向けた研究開発及びその事業に今後どうつなげていくべきというふうに今考えているのか。  その二点、今考えているというか、政策としてとっていっているのかということをお聞きしたいと思います。
  18. 稲川泰弘

    稲川政府委員 核燃サイクル政策我が国原子力政策のまさに要諦でございまして、これにかかわる政府姿勢は変わりはないということで、先般、平成九年二月の閣議了解においてもこの点が確認をされ、その後累次の確認を繰り返しているところでございまして、核燃サイクル路線についての姿勢は変わりはないということでございます。  他方で、六ケ所村の再処理事業あるいはプルサーマル計画、この実現のために最大限努力をしているところでございますが、現在まで、高速増殖炉開発計画あるいは再処理工場事業計画が当初の計画に比較するとおくれぎみに推移をしていることは事実でございます。  こうした状況を前提といたしまして、使用済み燃料発生状況とこれを処理するための再処理事業の進捗を調整するための措置として、従来からの原子力発電所内での貯蔵に加えて、原子力発電所以外の施設において中間貯蔵をする事業をこの核燃サイクルの中に位置づけるものでございます。従来の核燃サイクル路線そのものを改めるものではなくて、現状に即した現実的な対応によって核燃サイクルを円滑に推進していくものでございます。  もとより、今回提案をいたしております法改正においてもこの方針に変更はございませんで、使用済み燃料は必ず再処理されることを常に明確化をすることによりまして、この貯蔵中間である、永久貯蔵ではないと、そういう懸念を払拭してまいりたいと思っております。
  19. 吉田治

    吉田(治)委員 はっきり申し上げて、今回の中間貯蔵事業については、後ほど質問させていただきますけれども、昨今の原子力を取り巻く立地経済性状況というふうなものを考えていきますと、発電所で発生する使用済み燃料対策としては一つの方策であると私は考えざるを得ない。積極的に考えるのじゃなくて、考えざるを得ない。まさに、今まで長計長計という形で原子力長計の中で言われてきたことを大きく変更するということ、それゆえに本委員会も十二分なる質疑時間で、参考人の方においでいただき、現地も見学をさせていただいているということでございます。  しかしながら、やはり従来の核燃料サイクルというふうな基本路線考えた場合に、今回の中間貯蔵から派生するものとして、核燃料のワンススルー、そういうふうなものの利用との関連。また、使用済み燃料最終処分という観点からすると、今エネ庁長官も言われましたけれども、今回の中間貯蔵というふうなものは、まさに中間というあいまいもことした言葉で、中間というのは時間的な中間なのか、それとも場所的な中間発電所から再処理工場までの間の地点というふうな地理的概念なのか。何かそういう話をするとどこかの委員会で聞いた話になるのですけれども、その辺はどういうふうに考えているのか。  時間的概念であるとするならば、例えば先日委員会で視察をさせていただきました福島の第一原子力発電所については、福島県知事からは、それは二〇一〇年までですよと。先ほど、二〇〇三年に再処理工場と。先ほどの質問の中でお答えをまだいただいていないのですけれども、第二再処理工場というふうなもののめどというものも入ってくるでしょう。  そして、今局長質疑お答えいただきましたように、例えばFBR、「もんじゅ」であるとか「常陽」であるとか、そういうふうな施設が今ほとんど休眠状態と言ったら語弊があるかもしれません。昨年の委員会におきましても、核燃料サイクル開発機構というふうなものを新たに私ども委員会法案審議をして出させていただきましたけれども、それらの休眠状態もいつ解けるのかというとだれもわからない。  現地に行きますと、例えば福井知事さんと市長さんの意見がどうも違う。市長さんは、もうかまへんやないか、安全審査というのを先にやろうやないかと。大阪弁で言ったとは思いませんけれども福井知事さんは、いやいやそれはちょっと待てと。お互い選挙があって、選挙対立候補が何人出ていうこともあったのでしょうけれども、この辺も含めて、中間貯蔵というふうなものの基本的概念というのをもう一度押さえさせていただきたいと思うのですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
  20. 青江茂

    青江政府委員 中間と申しますものの概念ということにつきまして、時間的ないし場所的という二つの側面からおっしゃったわけでございますけれども、私の理解でございますと、時間的にも場所的にもともに中間ということではないかというふうに思ってございます。  それで、いわゆる再処理をするということ自体につきましては、これは永久貯蔵をするものではないということにつきましては先ほどエネルギー庁長官の方からも明確にお答え申し上げたとおりでございまして、これは、閣議了解原子力長計にも、そういう形でもちまして考え方方向というものが明確に示されておるわけでございます。私どもはそのラインに沿って今回の中間貯蔵というものの御審議をお願いしておるというわけでございます。  と同時に、先ほど長計を大きく変更したという御指摘がございましたが、私ども認識といたしましては、長計を大きく変更するというものでは決してないという考えに立ってございます。  と申しますのは、ちょっと長くなるのでございますけれども、現行の原子力長計、これは五年前の平成六年の六月に策定をされたものでございますけれども、その長計の中におきましても、再処理能力を上回る使用済み燃料については、エネルギー資源の備蓄として、再処理するまでの間、適切に貯蔵管理をするという方向が打ち出されてございまして、それを具現化するものが今回の中間貯蔵の御審議をお願いしているものであるという認識に立ってございます。  その今の原子力長計考え方に沿いまして、先ほども出されましたが、平成九年の一月の段階におきましての原子力委員会決定、これも、そのような考え方に沿っての、使用済み燃料管理につきましての当面の貯蔵といいましょうか、中間的な貯蔵という考え方というものを明確に出していると同時に、同年二月の閣議了解におきましても同様の考え方が示されているわけでございます。  そういうことのほか、もう一点、いわゆる「もんじゅ」の再開と申しましょうか、その辺についての御指摘があったわけでございますけれども、私どもとしましては、「もんじゅ」につきましては、いわゆる安全面での対応という面についての調査審議というものは、我々はしかるべきものをきちんと終えたという認識に立ってございます。と同時に、政策面位置づけということにつきましても、同様に、これは原子力委員会のもとに設けられましたFBR懇談会という場におきましての位置づけというものもなした。  そういうふうな作業というものを順次重ねてきた段階におきまして、再開というものにつきまして、今先生がおっしゃられましたように、諸般の、いわゆる地元情勢等を含めまして、議論するような段階に立ち至っていないところから、少しずつ前進というものを考えていっていただけるような環境というものを今模索しつつあるということでございまして、できるだけ早期の再開というものをお願い申し上げたいという姿勢におきましては、私どもは終始一貫考え方としましては変わっていないということで、努力をしてきているつもりでございます。
  21. 吉田治

    吉田(治)委員 では、時間的、場所的概念で、中間というのは時間的には大体どれくらいですか。今、福島知事が二〇一〇年ということを非常に気にされているというふうに申し上げましたけれども、科技庁として現段階中間というのは大体何年くらい先のことを考えられているのか。もしくは、これを共同的に出されているエネ庁として、多分参議院では経済・産業委員会になると思うのですけれども中間という期間はどれくらいなのか。時間と言ったのですから、答えてください。
  22. 稲川泰弘

    稲川政府委員 本件の中間と申し上げている趣旨は時間的概念が中心でございます。その趣旨は、使用済み燃料発生状況使用済み燃料処理する再処理事業の進捗を調整するという考え方でございまして、より核燃サイクル路線を現実的対応によって円滑に推進をしていくという趣旨でございます。  また、二〇一〇年までに必ずこの中間貯蔵施設の業を開始し、各地方自治体の懸念、御要望にこたえてまいりたい、かように考えてございます。
  23. 青江茂

    青江政府委員 私ども認識といたしまして、時間的な問題としましては数十年といった単位というのが頭の中にはございます。
  24. 吉田治

    吉田(治)委員 先ほどから聞いていると、中間というのは、私らは中間といったら五年か十年かなという発想なんですけれども、核というふうなものは何百年、場合によっては一千年という単位というのをよく聞くのですけれども、一千年は多いかもしれない、何百年という単位の中のまさにその中間、だから数十年。今原子力局長が言われたことは間違いがないんですね。
  25. 青江茂

    青江政府委員 中間貯蔵施設におきまして貯蔵をお願いする時間的な問題としましては、私どもの頭の中にありますのは今申し上げた数字でございます。それが、トータルの燃料サイクルとか原子力の開発利用というものを今後どういうふうな形で我が国社会の中で受け入れていくのか、その時間軸というのが数百年なのか何なのか、その辺につきましては、どうも私も確たるものを持ち合わせているわけじゃないのでございますけれども、相当長期にわたる期間の中におきましての数十年ということは事実であろうというふうに思ってございます。
  26. 吉田治

    吉田(治)委員 局長が今長計の話をされて、昭和六十二年の長計について、再処理能力を上回るものは適切に貯蔵管理することがということで来ているということですけれども、数十年という単位を見ますと、例えば昭和三十一年、初めての原子力長計においては、再処理については極力国内技術によることとし、原子燃料公社、これは今の日本原燃、ここで集中的に実施とされていますし、昭和四十二年の長計では、再度国内で処理という原則の再確認と、新たな再処理工場を建設する必要があると言われながら、もう三十年もたっているのですよ。  さらに、昭和五十三年、これは二十年前ですけれども、やはり国内処理確認し、東海再処理施設の運転を通じて我が国における再処理技術の確立と再処理需要の一部を賄う。そして、第二再処理工場、つまり現在の六ケ所で建設が進められています再処理工場については、昭和六十五年ぐらいの運転開始を目途に速やかに建設に着手することが必要と言われながら、どんどん先送りなのですね。  ということは、今局長が言われた数十年という時間的概念、余りこれにこだわるつもりはないのですけれども、数十年ではなくて、問題がもっともっと先になって、いつも委員会でこんな失礼な話をするのですけれども、数十年たったら局長は幾つなのか。私は数十年たってもまだ六十か七十で、この世に多分存在はしているとは思うのですけれども、ちょっと成人病になりやすいかもしれません。しかしながら、その辺を考えたときに、この中間という概念、まさに先ほどエネ庁長官も言われましたように、二〇一〇年云々については余りこだわらない。しかしながら、後ほど時間があれば立地等々についても、貯蔵主体等々についても質問をさせていただきたいのですけれども地元的要望からすると、そんな長いことうちにあるのという発想になるのですけれども地元理解というふうなものは、これは安全面を含めてどういうふうにされていくのか。  そして、数という漢字は大臣よく御存じのとおり、辞書で調べると三、四もしくは六、七。ということは、今数十年と言われると、三十年先かもしれないけれども、六十年、七十年先かもしれない。それとも、はっきり答えられないということなのですか。どうなのですか、局長
  27. 稲川泰弘

    稲川政府委員 この中間貯蔵の趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、使用済み燃料の発生の状況とこれを処理する処理事業の進捗状況の間の調整でございます。現在まで高速増殖炉開発計画あるいは再処理工場事業計画が、当初の計画に比較するとおくれぎみに推移しているのはまさに事実でございます。今後、この中間貯蔵の期間がどの程度のものになるかということについて影響のありますものは、今後の再処理事業、第二再処理工場、さらにプルサーマル計画の進捗状況等でございます。こうしたことを考えまして、今後の再処理事業、それからプルサーマル計画について、この核燃サイクル路線確立のために最大限努力をしてまいりたいと考えてございます。  この期間につきましては、今確たる数字は申し上げられませんが、今後の再処理事業の開始、第二再処理工場の開始、またプルサーマル計画の進捗という点で鋭意努力をいたしまして、この貯蔵期間が長期にわたらないものとなるべく努力をしたいと考えてございます。
  28. 吉田治

    吉田(治)委員 ちょっと質問の順番が前後すると思うのですけれども、今ちょっと質問させていただいたので、では、こういう中間貯蔵施設というのをやるときに事業主体はどういうふうなものを想定されるのか。官がやるのか、民がやるのか、俗に言う昔はやった第三セクターがやるのか。そのときに、預け賃というのはどれぐらいになるのか。その建屋はだれがつくるのか。また、この法案が本年通ります。IAEAの査察のために一億五千万の予算関連法案だと随分言われましたけれども、現実問題として、二〇一〇年までに貯蔵施設というのが本当に操業開始ができるのか、その見通し。  そして、具体的な立地の地点、これは言えないと思うのですね。今言うと問題になると思います。しかしながら、先ほどの質問の答えの中でサイト外と言われました。原子力発電所の外につくるということなのですから、外というのは具体的にどのあたりか。エネ庁さんの答えは、中間というのは時間が中心で場所というのはほとんど関係ない。原子力局長は、いや、時間も場所も。では、場所はどの辺を考えているのか。みんな六ケ所村の方に向かって、自分のところの施設から中間地点に置くという発想なのか。  そして、先ほど質問をさせていただきましたけれども、答えをいただいていませんけれども、国民全体の合意とか、地域の合意というのはどう取りつけるのか。そして、その自治体住民の意向を聴取し、反映するための法令上の手続は、この法案ができても、私は絶対必要だと思うのですね。いや、政省令でできるからいいのですよというのではなくて、何らかの法令上の手続というふうなものが必要ではないかなというふうに思うのですけれども、いかがなのか。  そして、立地するとなると、場所にもよるでしょう。この間福島へ行っておもしろかったなと思うのは、いや、キャスクで置いてもらうのだったら、うちの田んぼを一反貸してもいいよと地域の人たちは皆さん言っておられるというお話を聞きましたけれども、意外にそういう一面もあるのかもしれない。では、そのときに、一番最初質問ですけれども事業主体というふうなものがやはりちゃんとしたところで、大きいところでないとだめなのか。いや、一個一個サイトとして、うちの土地かなりあいているからそこへ置くよ。それほど原子力に対する信頼感というのを持たれている方もいらっしゃるのでしょう。その辺というふうなものをどういうふうに置くのか。  そして、長い質問になりますけれども、今キャスクのお話を少し申し上げましたけれども、では、このキャスクというふうなもので、乾式、湿式と両方あるのですけれども、保管する場合に、このキャスク自身の所有権はだれにするのか。そして、それに対する安全審査原子力安全委員会また原子力委員会等のダブルチェックというふうなものをする場合に、では、今言ったように、本当に田んぼに一つ置いていいよというふうなことが今度はかえって認められるのかどうか。  その辺、まとめた質問になりますけれども、今どういうふうに考え、この法案ができたらどういうふうに運用しようとしているのかというのを、ちょっとまとめてお答えをちょうだいしたいと思います。
  29. 稲川泰弘

    稲川政府委員 逐次お尋ねの点についてお答えを申し上げます。  まず、中間貯蔵事業主体についてでございます。これは、現在まで使用済み燃料貯蔵を安全に実施してきた実績を持ちます電気事業者の技術的蓄積を活用するなど、安全に貯蔵を行うことができる者が事業を行うものでございまして、具体的には、電気事業者がみずから行う場合、電気事業者が第三者に委託する場合とに分かれます。第三者に委託する場合にも、さまざまな業者の民間企業等が想定をされます。いずれの場合におきましても、この提案をいたしております法改正に基づきまして、技術的な基礎、経理的基礎について審査を行い、信頼に足る者がこの事業を担当するように、安全確保に遺漏のないものとしたいと考えてございます。  場所につきましては、発電所外でございまして、その趣旨では、おっしゃっておられるまさに中間の趣旨も意味がございますが、発電所の外に置くこととなります。  また、この貯蔵施設立地にかなりの困難が予想される中での立地に向けての取り組み方針でございますが、いずれにしても、この立地地域の方々及び国民の理解、協力が不可欠でございまして、このため、国、電気事業者及び中間貯蔵事業者それぞれの立場で積極的に、中間貯蔵必要性、安全性、政策上の位置づけにつきまして理解を求める努力を行う必要があると考えてございます。その場合には、貯蔵施設の国内外の実績、安全性、貯蔵技術等の情報を積極的に公開をいたしまして、立地地域のみならず、電力消費地を含めて、幅広く国民の視点に立ってわかりやすく説明をしていくことが必要であろうかと考えてございます。  この場合の立地にかかわる法令上の手続についてのお尋ねがございましたが、この炉規制法全体が原子炉関係施設の設置にかかわる許認可を定める手続法、安全確保法になってございますので、この法律の中で立地手続についての規定をすることはしてございませんが、当然地元関係者の理解と協力が不可欠でございますので、そのための事実上の理解を求める努力を繰り返してまいりたいと考えてございます。  また、これの安全性についてでございますが、原子力発電所における使用済み燃料貯蔵に関して、三十年以上にわたる実績と経験を有してございます。プール及び金属キャスクにより使用済み燃料を安全に貯蔵する、いわば技術とノウハウを十分に蓄積をしてございます。現在まで、原子力発電所におきます使用済み燃料に関するトラブルを見ますと、使用済み燃料の取り扱いの際に生じたものが二十件報告をされておりますけれども貯蔵中におけるトラブルは報告をされておりません。また、直近の十年間では、軽水炉における使用済み燃料の取り扱いにかかわるトラブルは報告をされてございません。  今後、使用済み燃料中間貯蔵施設実現の重要性にかんがみまして、この施設立地地元地域の振興に資することとなるような地域振興策をあわせ実施をしていくこととしてございます。  以上でございます。
  30. 吉田治

    吉田(治)委員 では、もう一度エネ庁長官にお聞きしたいのですけれども、その場合に、自治体住民の意向を聞くための公開ヒアリングというふうなものはすべきだと思うのですけれども、これはこれからする予定になっているのかどうかというのが一点。  そして二点目は、今、事業主体の経理的基礎、技術的能力というのを許可条件にすると言っていますけれども、これは最初のときの許可だけに必要なのか、それとも将来的にも国が関与していくということなのか。  そして三点目は、これが地域振興策になるようにということは、要するに財政的支援、お金を使うということですけれども、この場合、地域に使うお金と同時に、中間貯蔵に使うお金、ただではありませんから、そうしますと、経済性という部分で、今たしか原子力発電原価というのは一キロワットアワー大体九円だと聞いております。では、その場合の、中間貯蔵に使われるお金というのはこの九円の中に入っているのか、新たに、アドオンというのですか、プラスアルファで払うのかという部分。  合わせて四点ですか、お答えをいただきたいと思います。
  31. 稲川泰弘

    稲川政府委員 公開ヒアリングの点につきましては、原子力発電所立地においては、法令外の手続として、原子力安全委員会決定に基づき、地元住民の御理解、御協力を得、意見を伺うために実施をいたしてございます。その他の原子力関連施設では、六ケ所再処理施設や「もんじゅ」について公開ヒアリングを実施したように、施設の安全性について地元住民の御意見を伺うために、個別に適切な対応が図られているものと認識をいたしてございます。  中間貯蔵施設については、立地を円滑に進めるためにどのような対応をとることが適切か、今後検討をしてまいりたいと考えてございます。  また、技術的、経理的基礎に係るものは、当初、認可の際にこれを審査いたしますが、それが維持、継続されるべきは当然でございまして、その意味での監視も当然に行うものでございます。  また、経済性につきましては、原子力発電所内における貯蔵と同様に、現在、原子力発電の運転にかかわる費用の一部として概念的に計上をいたしてございます。原子力発電所内における使用済み燃料貯蔵費用は、原子力発電の運転にかかわる費用、すなわち先生指摘の九円の中に入ってございますが、この原子力発電所外における中間貯蔵にかかわる費用については、原子力発電所内における貯蔵にかかわる費用が原子力発電所外において発生するものでありまして、中で発生するものが外で発生するというもので、基本的には同じ性質のものでございまして、従来の原子力発電の運転にかかわる費用として計上されたものの内枠ということでございます。  外における貯蔵も内における貯蔵基本的に同種の技術が用いられるものでございまして、両者の費用の差が原子力発電の費用に大きな影響を与えるものではないという認識でございます。  以上でございます。
  32. 吉田治

    吉田(治)委員 では、ちょっと具体的にお聞かせいただきたいのですけれども、その場合に、今言いました電気事業者が、考えられる第三者、要するに民間企業に預けた場合に、先ほど申し上げました建屋等々はその民間企業が自分でつくる。それで、例えばキャスクで預かる場合だったら、キャスク一個を大体年間幾らぐらいで預かる予定にしておるのですか。そういう計画もなしにこの法律を出したと私は決して思いたくないですけれども、その辺はいかがなんですか。
  33. 稲川泰弘

    稲川政府委員 結論的には、一キロワットアワー当たりのコストとしてプール方式で十銭強、それから御指摘の金属キャスク方式では一キロワットアワー当たり十銭弱という試算になってございます。  これは、総合エネルギー調査会原子力部会に経済性試算として提出をした計算に基づいて御報告を今申し上げているものでございますが、貯蔵施設の容量を五千トン、貯蔵費用、これは、資本費、運転費、輸送費等々を積算し、その貯蔵施設の建設、それからその貯蔵施設への輸送、それから再処理施設への輸送、貯蔵施設の解体撤去まで、こうしたコストを全体的に含めまして、一キロワットアワー当たりの費用として計算をして出しましたものが先ほどの数字でございます。
  34. 吉田治

    吉田(治)委員 これは二つの方式があるので、時間も足りないのでどっちがどっちというのをお聞きするのはややこしいのですけれども、一キロワットでやられるとちょっとぴんとこないので、一年間キャスク一本大体幾らぐらい、それが一番わかりやすいと思うので、それで答えてください。
  35. 稲川泰弘

    稲川政府委員 失礼をいたしました。  つくりましてから最終的な処理を行うまで、一本約三億円のコストでございます。  我々が試算をいたしましたのは、キャスク貯蔵で、資本費、運転費、輸送費合計で千六百八億円という数字がございます。これは貯蔵容量五千トンベースでございまして、それに基づいて計算をいたしますと、先ほどの一本当たり三億円という費用でございます。
  36. 吉田治

    吉田(治)委員 三億円というのは、それは、キャスクに詰めてそこへ持っていって、何年間そこでとめ置きしてまた持って出すという発想なんですか。  そうして、一年間の預かり料というのを払いますね。その預かり料はその三億の中に入っているのかどうか。入っているのだったら、預かり料は一本当たり幾らなのか。
  37. 稲川泰弘

    稲川政府委員 キャスクをここに預け置く期間は、最長の期間を念頭に置きまして、マックスで四十年間を念頭に置いてございます。これは、ここに置く期間が非常に長引いた場合の、考えられる最高期間という趣旨でここに入れてございます。  また、キャスクを預けた場合の使用料についてのお尋ねがございましたが、この計算の中では、現実のコストだけを考えてございまして、利益部分を含めてございません。そういう意味で、今手元にお答えはございません。
  38. 吉田治

    吉田(治)委員 聞いていたら、おもしろいというか、非常に大ざっぱな話ですね。一キロワット当たり十銭だと言いながら、預かり料の利益は考えていない。  原子力局長の答えでは数十年と言っても、ここでは数字がちゃんと最長四十年と出ているじゃないですか。委員会に対してそういうふうな答え方というのは役所として当然するべきことなんですか。答えの仕方がおかしいんじゃないですか、今までの。先ほどの原子力局長は、数十年、数十年と。エネ庁長官も、議事録を調べたらわかります、数十年と言っているはずですよ。それが、具体的にキャスクは何年間でどうするんだと聞けば、ちゃんと庁内としては四十年とやっているんじゃないですか。それを、そういうふうな答え方をしてごまかすというのはどういうことですか。  そして、もう一つ言うならば、先ほど質問申し上げました、この中間貯蔵についての法体系の中で、政令、省令に委任している部分が随分多い。多い中でこういうふうなことを言って委員会審議に臨むということはどういうことなんですか、両省庁とも。
  39. 稲川泰弘

    稲川政府委員 経済性の試算をいたしますためには、どうしても特定の数字を入れる必要がございます。そういう趣旨で、全体の趣旨はこの貯蔵期間は数十年という従来の答弁に変わりはございませんが、経済性を試算するために特定の数字を入れて原子力部会に報告したものを御報告申し上げたものでございます。当然のことながら、不確定要素が多いために、ある一定の余裕を見ながら考える必要があろうかと思います。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕  政省令委任の点のお尋ねがございました。  原子炉規制法におきましては、製錬の事業、加工の事業、それから原子炉の設置、再処理事業、廃棄の事業につきまして、許認可の基本が定められておりまして、技術的事項、詳細な手続に関する事項については政令及び省令に委任をされてございます。  今回の法改正におきましても、ほかの事業と同様に、技術的事項、詳細な手続等が中心となって政令、省令に委任をいたしてございます。具体的には、実用発電用原子炉から生じます使用済み燃料以外に対象となる使用済み燃料貯蔵能力、許可申請のための手続などを政令に委任をしてございます。六つの点について政令に委任をいたしているところでございます。  これら政令また省令の内容につきましては、この法律案が成立しました後、早急に検討を進めまして、必要に応じ原子力委員会及び原子力安全委員会に御意見を伺いつつ、安全性の確保等に万全を期す趣旨でございます。
  40. 吉田治

    吉田(治)委員 それはわかりますから、ちゃんと説明のときには、数十年というのは概念ですよ、費用コストの部分はこうこうで計算していますよというふうなことを言ってくれないと、そこを詰めていくと、何だ、実際は計算して予定までしていると。  ただ、先ほど質問しましたように、利益のところを入れていない。ということは、それはだれが判断してどういうふうに決定するの。民間業者に預けるわけでしょう、政府が預かるわけじゃないのですから。そうすると、そこのコストがどうなってくるかによって、先ほど言ったように十銭の部分も随分変わってくる。  私は、これはもう一度質問させてもらえる機会があるそうですから後々御質問させていただくということで、話をもとへ戻しまして、核燃料サイクルについて改めて質問させていただきますけれども、先ほどから、核燃料サイクルの一環だ、その中でたまたま今回、中間貯蔵という形をせざるを得ない状況。しかしながら、昨年、この委員会でも質疑をいたしました核燃料サイクル開発機構というふうなものが新たに発足をして、これで半年が過ぎました。委員会でもまた改めて質問の機会があると思いますけれども、先ほどの質問でも申し上げましたように、ほとんどの施設というのが休眠状態にある。それは、先ほどの原子力局長お答えの中にもありました。このような状態が長く続くということは、私は決してよいことでもないと思います。  反対に言ったら、職員の人たちは何をしているのか。毎日動かない機械を見て、ああでもない、こうでもない。そういう人たちに高い給料を払っているのかというのが私たちの気持ちでありますし、そこで働いている人たちにとったら、こんなことばかり毎日嫌だ、何とか動かせてくれよ、自分たちに研究させてくれよ。まさに士気の低下を招く。新たにもう一度動き始めたときに、士気が落ちた人にやれと言ってもできない。  行政としても、技術者が意欲と信念を失わずに持ち続けるための努力というふうなものが私は必要だと思います。あのときの質疑を見ていただいてもわかりますように、まさに科学技術庁と当時の動燃との関係、出向者の話も申し上げました。二人三脚という部分もあるかもしれません。しかしながら、サイクル機構からすると、やはり科技庁さんは上部団体でという話になるのかもしれませんけれども、その辺、どのように考えているのか、まずお伺いをしたいと思います。
  41. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  サイクル機構の諸施設、一番主要な施設でございます、FBR原型炉でございます「もんじゅ」と、それから東海の再処理施設、この二施設につきましては御指摘のとおりなんでございますけれども、サイクル機構はほかにも試験研究用の諸般施設というものを持ってございまして、先ほども触れましたが、FBR実験炉でございます「常陽」とか、東海事業所にございますところのいろいろなプルトニウム関連の研究開発施設、それから高レベル放射性廃棄物の処分関係の研究のための施設等々、こういった施設につきましては、きちんと動いてございまして、そういった施設を使っての研究というものは着実になされておるわけでございまして、全部が全部というわけでは決してないという状態が第一点でございます。  それから、主要な二施設がとまっておるということ自体につきましては、先生のまさに御指摘のとおりだというふうに私どもも受けとめてございまして、確かにそういう側面からいたしますれば、要するに、士気の問題とかそういったことにつきましても、私ども懸念を抱いているところでございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、「もんじゅ」ということだけではなくて、再処理工場の方につきましても、地元の方々の御理解を得るための努力というものをずっと継続をしておるということでもちまして、私ども一日も早い再開というものの努力を重ねてまいりたいというふうに思っているわけでございます。  それから、サイクル機構自体につきましては、昨年の十月に発足をいたしまして以降、昨年度末になるわけでございますけれども、中長期の業務計画というものを立てました。そこでもちまして、サイクル機構というものが、先通常国会におきまして御審議をいただきました動燃改革法に沿いまして、どういうミッションというものを遂行していくのか、いわゆる原点に立ち戻りまして、具体的にどういう事業展開をしていくのかということを理事長以下の裁量でもって決めまして、それに沿いまして各般の研究開発活動というものに手をつけつつある、こういう状況にございます。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 吉田治

    吉田(治)委員 改めて大臣にこれからちょっと質問させていただきたいので、そのときにお答えいただきたいのですけれども、今局長が言われたように、それだったら、中間貯蔵とリサイクル路線というふうなもの、これは、一環だといいながら、比重というふうなものがあると私は思うのです。どういうふうに考えているのか。  今言われたように、全部でないけれども、まさに大半の内容は細々と研究開発をやっているというふうにとらえられるのです。だから、しっかり大型施設をしてやろうというのは、それは時間的にこれからかかるということでそれで結構なのですけれども大臣、ひとつ御質問とお願いというのがありまして、今局長も言われたように、核燃料サイクル開発機構の各施設というのは、安全総点検や申請手続を待っていて、先ほど申し上げましたようにほとんど停止状態である。  大臣の気持ち、多分リサイクル路線をしっかりやっていこうというふうな気持ちだと私は思うのですけれども、ここで、彼らに直接それを大臣の口から伝える必要があるのではないか。まず一点目は、大臣は、そういう施設を訪問されたことがあるのかどうか、またそこに働く彼らがどのような気持ちでいると認識されているのか。  昨年委員会の派遣で行ったときに「もんじゅ」を訪れさせていただきました。一生懸命頑張られていました。昼御飯もカレーライスをごちそうしていただきました。いたずらに長く停止していることは、先ほどから言うように、単に士気の低下のみならず、私たち国民の大きな財産である各種施設とそこに働く彼らのまさに知的財産というふうなものをむだにしていることになるのではないか。国の財政にとってこれを活用することがまさにプラスになると思いますけれども、この辺、大臣としてのお考えはどうなのか。  そして、先ほど一番最初質問意見を申し上げましたけれども、さまざまな細々としたトラブルがある。それぞれに対する処理はしっかりとする必要があるのはもちろんですけれども、それぞれは、例えば急激に突然メルトダウンをして安全を脅かすというふうなものではないけれども、しかしそこに過去のいきさつがあって、必要以上に隠したりした。それがまたばれておかしいことになる。そうすると、そこに働く人たちがかえって今度はまた必要以上に萎縮するという部分もある。  そういうことはないようにして、先ほどから、二十基原発できるのと言ったら、やりますと言うのですけれども、では国としては何をするのというのを本当は聞きたかったのですけれども、これは委員会が別ですのでほかで聞かせていただきます。国としても、例えばマスコミや国民に対して毅然とした態度で説明をする。こう言ったら怒られますけれども、担当の人が出てきて何かくちゃくちゃと言っている。やはりそこは大臣というふうな重みというもので、大臣みずから出ていただく必要があるのではないか。  そして、先ほどから局長の話の中で、運転再開というふうなもの、これは各自治体の理解というものが非常に重要になってくると私は思うのですけれども、適切なタイミングで大臣みずからも各自治体の長に対して要請をするということ。何か私たちがここの委員会で、漏れ伝え聞くところによると知事市長がとかいう話ではなくして、大臣が、私が行ってこうした、こう聞いてきたのだ、だからこうするのだというふうな部分を近い将来にぜひともお聞かせをいただきたい、そういうふうに思っております。  くくった質問になってしまいましたけれども大臣のお気持ちと今後の対応、それから決意のほどをお聞かせいただければと思います。
  43. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 大変適切な御質問をいただきまして、ありがとうございます。  まず、現在「もんじゅ」等がとまっている。これは、単にそれが知的財産というだけではなくて、とまっているといえども維持していくための相当大きな予算が要るということで、心配をしております。それからもう一つは、研究者の士気が非常に落ちているということは事実でございますので、私としてもそれを励ましたい。  どういうふうに励ますかというと、日本の科学技術で、世界で最初にしっかりした「もんじゅ」のようなブリーダーがつくれるということはすばらしいことだと私は思っております。もちろん、フランス等々先進国はありますけれども、日本の技術で世界に冠たるものをつくるという極めて大きな機会を与えられているわけでありますので、そういう意味で研究者を一生懸命守っていきたいと思っています。  そして、先日、御指摘の点でございますが、原研及びサイクル機構を見てまいりました。大洗並びに東海に行ってまいりました。しかもそこで、現場でやっている人々と懇談をいたしました。どういう要望を持っているか、どういう気持ちを持っているか等々について詳しく話し合いをすることができました。  さらにまた、近々福井の方に行ってまいるつもりでございます。現在、国会がございましてなかなか時間がとれないことも事実でありますが、早々福井の方を訪問し、特に「もんじゅ」の研究者たちと話し合いをしてきたいと思っております。  さらにまた、知事さんや市長さんたちともお話し合いをいたしまして、日本のエネルギーの安全確保のためにこういう研究並びに施設というのは重要なのであるということを申し上げてまいりたいと思っております。
  44. 吉田治

    吉田(治)委員 大臣の御熱意、よくわかりましたし、大臣が、大臣室におるのではなくして、やはりこれからどんどん前へ出て、先ほどのマスコミ対応もこれからは大臣が出ていただいて、後ろにバックアップするスタッフ、優秀な方がたくさんおいでなんですから、大臣が優秀でないということじゃなくて、大臣自身がよくわかっておられる方ですから、こういうことについてはこれからどんどん前に出ていただくことを私は切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  45. 北側一雄

  46. 鍵田節哉

    鍵田委員 民主党の鍵田でございます。  前回の委員会に引き続いて、我が党の方からももう既に三人の質問がなされておりますし、他の党でも各方面にわたってこの法案についての議論がなされてきておるわけでございますので、これを突き詰めていきますのに細かい点まで議論をしようと思いますと幾らでもあるのでしょうけれども、大筋の議論が進んできているのじゃないかというふうに思います。  しつこくまたその問題でお聞きすることもあるとは思いますが、若干視点を変えまして、特に日本のエネルギー戦略というものにつきまして、特に各国の状況などと比較をして、どういう考え方で臨んでいったらいいのかというようなことにつきまして、関係省庁なりまた長官のお考えもお聞きをしたいというふうに思っておる次第でございます。  まず、各国のエネルギー状況でございます。  戦略を立てていく上において、特に国民生活を守り、そして産業を安定的に発展さす、その上においてエネルギーの確保ということは大変重要な課題でございますし、これは国家的戦略と言っても言い過ぎではないのではないかというふうに思うわけでございますけれども、それぞれの国の戦略というのは、その資源がその国に埋蔵しているのかいないのか、また、容易にその資源を手に入れることができるかどうかというようなことによりましても非常に変わってくると思います。  日本の場合には、後ほども若干質問させていただきますが、非常に資源の埋蔵がなくて、そういう面で日本独自のエネルギー戦略というものを考えてきておるわけでありますし、これからも進められるというふうに思うわけでございますけれども、そういう観点に立ちまして、各国でどのような戦略が組まれておるのかということをよく認識をしなきゃならないということでお聞きをしていきたいというふうに思います。  それから、埋蔵燃料にだんだん限界が参りますと、必ずそこに、例のオイルショックのような資源ナショナリズムというのが起こってくるわけでございまして、そういう意味では、日本としてもそういう資源ナショナリズムを考えていかなくてはならないわけでございますので、そういう観点からの各国の状況をひとつ聞かせていただきたいというふうに思うわけでございます。  まず、国別にお聞きをしたいというふうに思いますが、特に米国の問題でございます。米国のエネルギー源という面から見てまいりますと、特に電力のエネルギー源としましては、石油が二・六%、石炭五二・七%、原子力が一九・六%、それからLNGが一三・二%、水力が九・六%。これは電事連が調べられたOECDの資料からの出典ではないかというふうに思います。  私は、アメリカというのは、石油が随分出るわけでありますし、そしてアラビアの諸国の石油に対する利権というものもたくさん持っておるというような観点から見ますと、石油の依存度が非常に低いということを意外に思っておるところでございますし、また原子力につきましても、技術的にはかなり先進国であったはずなんですが、日本よりはかなりそのウエートが低い、こういうふうな現状にあるわけでありますけれども、これらの背景について一体どのように把握をされておるのかということが、この米国の電力事情の質問についての第一点でございます。  それから第二点としましては、使用済み燃料というのはワンススルーなんだということが先日来の質疑の中でも出ておりました。既に三千三百トンからの使用済み燃料があって、それをユッカマウンテンに貯蔵するんだ、そしてカーター時代からワンススルーで最終処理をするんだというような政策を持っておる、こういうふうにお聞きをしておるわけであります。  では、それはもう完全に最終処理をされて、そしてもう二度と日の目を見ない、そういう処理の仕方を本当にするのか。それとも、まだ四十年や五十年はほかの資源は大丈夫だし、石炭に至ってはアメリカは無尽蔵にあるなどと言われておるわけでありますから、そういう面からしますと、もっと様子を見た上で、FBRなどの技術が進歩してきて、非常に安定的な運転を他の国などでするようになってきたときにこれを再処理するというようなことも考えられないかどうか、そういう可能性はないのかどうかということを、わかっている範囲でひとつ教えていただきたい。  特に、再処理をするんじゃないかとかなんとかいうふうなことについては現状において言えないかもわかりませんが、しかし、その可能性があるのかどうかという点について、わかっておればひとつお聞きをしたいというふうに思います。
  47. 稲川泰弘

    稲川政府委員 一般的なアメリカのエネルギー事情に関する部分についてのお答えを申し上げます。  先生まさに御指摘のとおり、各国のエネルギー政策は、その国の置かれたエネルギー事情、埋蔵量でありますとかエネルギーの入手可能性等々によって異なってまいります。そういう意味で、アメリカを一概に評価することは非常に難しいところでございますけれども、御指摘ございましたように、石油があり石炭があり、こういうエネルギー事情のもとで、電力につきましては使い勝手の簡単な石炭をかなり多量に使ってございます。OECDの平均の石炭のウエートは三九%でございますが、アメリカにおいては五二%、御指摘のような数字のウエートをとってございます。また、石油については、OECD平均七・五%でございますが、アメリカの場合には二・六%という数字でございまして、これは、アメリカが非常にたくさんの電力事業者がいる中で、産炭地を抱え、そうした発電の容易さを背景にしたものだと考えてございます。  このアメリカのエネルギー政策につきまして、昨年、IEA、国際エネルギー機関がアメリカの政策上の審査を行ってございまして、三点の指摘をいたしてございます。  エネルギー効率向上のための政策措置をつくれというのが第一点。第二点は、低炭素エネルギーへの転換を促進すべし、いわば環境問題、炭酸ガス問題でございまして、炭素に依存をする部分からの転換を図るべし。それからまた、原子力を選択肢として残しておくべきであるという趣旨を述べてございます。アメリカの原子力の電力における比率は約二割でございまして、OECD全体の平均は二四%でございます。この原子力を選択肢として残しておくべきであるという趣旨を述べてございます。  この全体のIEAの指摘の結果として、二〇一〇年の姿は、天然ガスの使用量が若干ウエートをふやすということでございまして、アメリカとしての今後の対応を注目したいと考えてございます。
  48. 青江茂

    青江政府委員 先生指摘になられましたいわゆるアメリカのワンススルー政策ということに関連しての御指摘、これにつきましてお答えを申し上げたいと存じます。  御指摘のとおり、アメリカは、カーター政権以来、いうところのワンススルー政策というものをとっておるわけでございますが、要するに、この政策と申しますのは、多分、いわゆるアメリカの核の拡散ということに対する考え方、ここから来ておるということであろうというふうに思ってございまして、今のそのアメリカの考え方と申しますのは、やはり当分、エネルギー情勢が相当変わらない限り、変更するといったふうな事態というのは私ども予測はいたしてございません。  ユッカマウンテンの最終処分ということにつきましては、これは今地層の調査等を行っておる段階にございますけれども、地層処分をしたとしましても、しばらくの間、いわゆるリトリバビリティー、取り出し可能、それを確保するということを言ってございます。  しかし、それも、先生先ほどちょっと触れられました、何かあったときに取り出しまして再処理をして、いわゆるプルトニウム等の資源エネルギー資源として利用するという考え方に立っておるというわけじゃございませんで、これはいわゆる何か安全性の観点等からやはりウオッチをしておくといいましょうか、そういう観点に立っておるというふうに私ども理解してございまして、もちろん技術的にはそれ自体は可能なわけでございますけれども、米国の考え方としてはそういうものであるというふうに認識をいたしてございます。
  49. 鍵田節哉

    鍵田委員 確かに、現状政策の中では再処理をしてプルトニウムを抽出するというふうなことについては考えられないということでありますが、やむを得ない資源状況、そういうものによってはやはり国家的な戦略としてこれを再利用しようというふうなことが出てきても不思議ではないというふうにも思いますし、またそれは可能だというふうに思います。  もしそういうことになりますと、今はユッカマウンテンというのはごみの山かもわからない、原子力ごみの山ですが、一たんそれを再利用しようとしたら、これは宝の山というか、そういうことに一変してしまうわけであります。そういう面ではエネルギー戦略において非常に強力な武器を持っておると言ってもいいんじゃないかなというふうに思うわけです。そういうことを我々も十分考えておかないと、いや、もう向こうは全部山に捨てているんだということで安心をしておったら、エネルギー戦略において日本がそれこそ非常に弱い立場に置かれてしまうんじゃないかということも考えておかなくてはならぬのじゃないか、こういう観点からお聞きをしたわけでございます。  それでは、二点目でございますけれども、ドイツでございます。  ドイツは、五五%が石炭、それから石油が一・四%、LNGが八・七%、原子力が二九・一%、そのほか水力とかいろいろ入ってくるんですが、やはり石炭と原子力に非常にウエートが置かれておるということであります。  ドイツは石炭産業が非常に盛んでありますし、日本でも戦後かなり日本の炭鉱からドイツの炭鉱に働きに行ったりしたような実績もあるわけでございまして、そういう石炭産業を保護するというふうなこともあるのかもわかりませんし、資源として安易に手に入るということなのかもわかりませんけれども、特にドイツやあの辺のヨーロッパの方へ行きますと酸性雨の問題が非常に深刻でございますけれども、そういう環境問題なども考えますと、非常に問題があるんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。  原子力も、現在のところはウラン燃料だけを使っておるんじゃないかなというふうに思うんですが、そこはちょっと私もまだ勉強不足でございますので、一体どんな事情になっておるのか、教えていただきたいというふうに思います。
  50. 青江茂

    青江政府委員 お答えを申し上げます。  ドイツの原子力の方でございますけれども、炉としましては軽水炉というものを使っておるわけでございますけれどもウラン燃料のみならず、数値は今ちょっと手元にございませんけれども、いわゆるプルサーマルという実績が相当あろうというふうに思ってございます。
  51. 稲川泰弘

    稲川政府委員 ドイツは、御指摘のように石炭産業を抱えてございまして、国内炭といわゆる海外炭との価格差が三倍ございまして、それをどういうふうに社会的に調整をするか、非常に悩みの段階でございます。  ヨーロッパの電力の自由化の進展状況がございまして、エネルギー価格の影響もございまして、今後のドイツがどういう方向に向かうかということは予測は非常に難しいところでございますけれども、IEAによりますと、一次エネルギーの中の石炭の割合は、現在二七%でございますが、これが二〇一〇年には二五%に減るということで、全体的には石炭への依存を下げ天然ガスへの依存を上げるという方向を示してございますけれども、この石炭産業の持つ社会的な問題がございまして、その中でいろいろな悩みを抱えているところと理解をいたしてございます。  ドイツはプルサーマルを行ってございまして、世界全体で千六百二十三体のMOX燃料利用実績がございますが、この千六百二十三に対しまして五百七十四というのがドイツが行ったプルサーマルの実績でございます。そういう意味では、ドイツは現在まで原子力についてかなり積極的な姿勢を示しているというところでございます。
  52. 鍵田節哉

    鍵田委員 ありがとうございました。  プルサーマルのことにつきましては若干勉強不足がございましたので参考になりましたが、問題は、石炭の環境に与える影響、こういうものがドイツの電力事情をどのように変えていくのか、また変えていくという姿勢があるのかどうか、その点ちょっと、もしわかっておればお願いしたい。
  53. 稲川泰弘

    稲川政府委員 ドイツにおきます石炭の発電電力量に占めますシェアは五五%。OECD全体が三八%。ちなみに日本が一八%でございます。そういう意味では、ドイツの電力に占める石炭の依存は極めて高いという状況でございます。  この石炭の依存に関しましては、今後天然ガスのパイプラインが東欧の方からネットワークを組んで送られてまいりますので、そういう意味で天然ガスにシフトすることが一般的には予想されるところでございます。  ただ、先ほど先生の御指摘もございましたドイツの石炭産業の社会的な問題がございますので、石炭に対する助成制度は廃止しながらも、急激な変化がどの程度起き得るかという点が一つあろうかと思います。  他方で、ドイツにおける原子力政策の影響が別途ございまして、仮に原子力についてのシェアを発電電力量の中において低減するということであれば、それに代替し得る、量的確保を図り得るものはやはり石炭であり、天然ガスでございますので、そういう趣旨で、環境問題とはまた別の側面からこのドイツの電源構成というものが決まっていくかと思いますが、今は我々の立場では予測はしがたい状況でございます。
  54. 鍵田節哉

    鍵田委員 では、次にフランスでございますけれども、フランスは七八・二%も原子力に依存しておるという事情がございまして、各国から比べますと大変ずば抜けておるわけでありますが、あと水力が一二・八、石炭が六・一、また石油も一・五と非常に低いわけでありますし、LNGも〇・八と極端に低いわけでございます。  しかし、スーパーフェニックスなどの計画を廃棄したというふうなことも聞いておるわけでございますけれども、今後この高速増殖炉などの研究開発、こういうものがフランスにおいてはどのようになっていくのか、これらについてお答えいただきたい。
  55. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  フランスにおきましてのFBR開発の状況ということでございますけれども、フランスにおきましてのいわゆる原型炉と言われるフェーズのもの、これはフェニックスという名前がつけられてございますけれども、その炉につきましては、現在も稼働中、今たまたま改造工事のために停止中でございますけれども施設としましては活用されてございまして、運転継続中というところでございます。  今先生指摘になられました、その次のフェーズでございます実証炉という段階におきましてのスーパーフェニックスという炉につきましては、これは現実問題としまして、種々のトラブルに見舞われたということであるわけでございますけれども、いわゆる経済性ということが要因でございますけれども、いわゆる閉鎖という状況に相至ってございます。  ただし、そういう状況ではございますけれども、いわゆるFBRというものの研究開発というものを進めるということ自体につきましては、フランスは終始一貫、堅持をしてございまして、私ども日本と大体基本的には同じ考えに立ってございまして、研究協力等も密接な連絡をとりながら進めておるという状況にございます。
  56. 鍵田節哉

    鍵田委員 それでは、次にイギリスについてお尋ねをいたします。  イギリスも、ドイツ同様、石炭に対する依存度が四二・四と非常に高いわけでございます。また原子力も二七・三、LNGも二三・六ということで、比較的ベストミックスに近い分散がされておるようでありますが、石油が四・〇と非常に低いわけなんです。北海油田などを持ちまして、後ほども若干お聞きしますけれどもエネルギー全体の中では、輸入依存度というふうなものはイギリスは非常に低いというよりもマイナスだというふうな状況の中で、石油に対する依存度が非常に低いという、その辺のイギリスの電力事情といいますか、電源事情につきましてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  57. 稲川泰弘

    稲川政府委員 イギリスにおきましても、石炭産業がかなりのウエートでございまして、その社会的問題を抱えながら石炭のウエートを今後どういうふうに下げていくかというのがイギリスにおける一つの悩みであろうかと思います。  ちなみに、IEAが昨年行いましたエネルギー政策の審査によりますと、二点ございまして、エネルギー源の多様化、COP3の目標達成推進の観点から原子力の役割を検討すべしということが一点でございます。それから二点目に、環境目的の達成という視点をエネルギー政策に織り込むべしということでございまして、これは、先生から御指摘のございました石炭の電源構成に占めるウエートが四二・四%と非常に高い点を言ってございます。  この石炭の発電は、今後北海から出てまいります天然ガスにさらにシフトをしていくこと、また、石油のウエートは、今現在は天然ガスの方が使い勝手がいいということで天然ガスになっておりますけれども、電源構成の中では、今後石炭が減り、天然ガス、石油に依存をしていくという形が当面は考えられるかと思います。  ただ、イギリスのエネルギー関係者の懸念は、北海の石油、天然ガスの埋蔵量は今のはかられている数字では一けたでございまして、将来必ずしも長期間にわたって依存ができない、さような中でこのエネルギー政策をどう考えるべきかという趣旨を課題といたしてございまして、そういう意味で、IEAは原子力の役割確認を求めているという状況でございます。
  58. 鍵田節哉

    鍵田委員 では、引き続いて、アジアのエネルギー状況について、特に電力に関連した状況についてお教えをいただきたいんですが、原子力ポケットブックの中で、先進国と旧ソ連それから中欧、東欧諸国、さらにはその他地域というふうになっておるのですが、その他地域というのはアジア、アフリカ、中南米なども含むというふうに見ていいわけですね。
  59. 稲川泰弘

    稲川政府委員 さような趣旨かと理解をいたしてございます。
  60. 鍵田節哉

    鍵田委員 そういう中でも、近年特に経済発展が著しい、そしてエネルギー消費なり電力消費が急速にふえてきておるというのはやはりアジアではないかというふうに思うわけですけれども、このアジア地域における予測が出ております。  二〇〇〇年の予測というのは、もう来年のことですからほぼ現在もうそれが達成されておるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、二〇一〇年の予測にしましても、固形の燃料、これは恐らく石炭ということで見ていいんじゃないか、まさか木炭というのは余り入っていないんじゃないかと思いますので、石炭に対する依存が二〇〇〇年で四三%、それから二〇一〇年で四五%と逆にふえておる。石油の方が一三%から九%に逆に減っておる。その分がガスで一三から一八に増加をしておるというふうな、若干全体の絶対量もふえておるし、その中での比重もいろいろ変わりつつあるんですが、石油とか原子力の比重が若干落ちてきておるというふうなことを考えますと、これは環境に与える影響といいますか、これが非常に大きいんじゃなかろうか。特に日本に対しましては、偏西風の影響を受けるわけでありまして、そういう意味では大変大きな影響が出てくるのではなかろうか。最近日本でも、偏西風に乗ってくる酸性雨の被害の問題が出ております。  そういう点から考えまして、そのような実態についてひとつお聞きをしたいわけでございますが、酸性雨というよりもエネルギーの状況についてお聞きをしたいのと、それから、そういう環境問題につきましては、アジアの方は、環境問題に配慮するよりも、むしろまずエネルギー源を確保するということが主眼になってくる、こういう点がありますので、そういう面では、被害を受ける日本として、これらの環境に対する国際的な役割といいますか、国際的貢献といいますか、そういうふうな観点から、アジアに対してどういうことができるのかということを考えていかなくてはならぬのじゃないか。  国連のそういう環境問題についての機関を日本に置いて、中国でありますとか東南アジア、いろいろそれらに対してのアクションを起こしていこうというふうな動きもあるように聞いておるわけでございますけれども、日本の国として、これらについてどのようにお考えになっておるのかということをお聞かせいただきたい。
  61. 稲川泰弘

    稲川政府委員 環境問題に対する日本の技術的な役割、貢献につきましては、後ほど石炭・新エネ部長の方から別途お答えを申し上げますが、アジアのエネルギー事情全体につきましては、昨年、アジア太平洋エネルギー研究センター、APERCというところが、APECのエネルギー大臣会合に際しまして予測値を発表いたしてございます。これは、一九九五年に比べまして二〇一〇年におきましては、石炭が約一・五倍、石油が約一・四倍、天然ガスが二・二倍に増加をするという数字でございます。  このAPECの中でも先進国を除きましたアジア純粋の数字をはじいてみますと、二〇一〇年に向けて必要な一次エネルギーの供給量は約五八%増加、約六割の増加でございます。特に、最大のエネルギー源でございます石油供給については、輸入量が六五%増加をする、この結果として、アジア以外の地域に対する依存が八〇%以上になる。  かような状況でございまして、全体としては、世界の需要の伸び約四割に対して、アジア自身は六割強の伸びをする、その中でも石油の依存度が、域外依存度、特に中東でございますが、そこに非常に大きな依存をするという姿があらわれてございます。  こうした中で、石炭、石油の利用量が拡大することに伴いまして、環境へのインパクトは非常に大きなものがございます。京都会議、COP3では、世界全体で五%程度の削減ということをねらっているわけでございますが、アジア全体は、化石燃料を中心にして六割程度の増加をするというものでございまして、その中で、この地球環境問題にどう対応していくのかという非常に大きな課題に直面をしているところでございます。  こうした中で、日本としての役割につきまして、別途石炭部長の方から御報告を申し上げます。
  62. 北畑隆生

    ○北畑政府委員 アジアで、石炭を初めとする化石燃料の消費がふえ、比率が高いというのは委員指摘のとおりでございます。こういう消費の増加に伴いまして、温室効果ガスをどういうふうに削減していくか、それに対して日本としてどういうふうに貢献をするかという御質問かと存じます。  通産省といたしましては、二つの事業を現在実施しております。一つは、我が国の省エネルギー、新エネルギーに関する技術をアジアの国々に移転していくため、国際エネルギー消費効率化等モデル事業という事業を現在実施しております。もう一つは、地球温室効果ガスの削減のための国際的な取引スキームであります共同実施等の有望案件を発掘するという観点から、共同実施等推進基礎調査を実施するという事業を進めていっております。  実績を少し申し上げますと、例えば、石炭の消費割合が七割という非常に高い中国について申し上げますと、最初に申し上げました国際エネルギー消費効率化等モデル事業を十年度の実績で五件、二番目に申し上げました共同実施等推進基礎調査につきまして、中国に対して十一件、こういう協力事業を実施しております。  今後とも、アジアの国々に対するエネルギー政策に関する環境対策について、技術支援に努めてまいりたいと考えております。
  63. 鍵田節哉

    鍵田委員 それらの問題については、また後ほど聞かせていただきたいと思っておりますので、ちょっと時間の関係もありますから、この辺でおいておきたいというふうに思います。  今、各国のエネルギー状況について聞かせていただいてまいったわけでありますが、これに関連して、世界のエネルギー資源の埋蔵量につきましても、いろいろな数字をポケットブックなどにも載せていただいておるわけでありまして、日本のエネルギー資源の確保、また電力の安定した供給に、どのような観点からこれからの政策に取り組まれようとしておるのか、こういうことについての覚悟といいますか、そういうものをひとつ長官にもお聞きしたいなというふうに思っております。  化石燃料というのは、先ほども申しましたように、有限のものでありますから、数十年で枯渇するというものもあるわけでございますが、石油が九六年時点で四十四年ぐらいしかないとか、天然ガスが六十三年ぐらいしかない、石炭の場合はまだ二百三十一年ほどある。これも調査時点は九三年ということで古うございますが、石炭が二百三十一年ある。ウランが七十三年ということであります。そういう面で、まだ四十年、七十年というふうな、年齢から見ますと、私なんかもそれまでいるのかどうかわかりませんから、後は野となれ山となれでもいいのかもわかりませんが、日本の国の将来を考えた場合に、そういうエネルギー資源をどう確保していくのか、大変重要でございます。これらの分布の状況を見てまいりましても、非常に地域的な偏りがある。  また、日本の場合の全エネルギーの輸入に対する依存度が、イタリアに次いで非常に高い。イタリアは八二・二%ですか、日本の場合は八〇%というようなことでございます。そのほかでも、大体四〇%から五〇%ぐらい、低いところでは、カナダなどがマイナスの五〇・三とか、イギリスもマイナス一四・九というような数字になっておるわけでございまして、逆に資源の輸出国になっておる、こういう実態にあるわけでございます。  そういう面では、日本のエネルギー資源の確保というのは大変深刻な状況に今後はなってくることが考えられるわけでございますし、さらに、COP3の中で日本が合意した内容は、一九九〇年比で温室効果ガスの排出を六%も削減するという目標を立てておるわけであります。その達成のためには、先ほども出ておりましたが、原子炉を二〇一〇年ぐらいまでに十六基から二十基建設するんだというようなお話もありますけれども、今の原子炉などの立地における進捗状況などを見ておりまして、どうもまゆつばだ、単なる数字として計算上出てきた数字ではなかろうかというふうに思うわけでございます。また、燃料のリサイクルということも真剣に考えていかなくてはならないんではないかというふうに考えておりますので、それらにつきましての長官のお覚悟をひとつお聞かせを願いたいということ。  それから、先月の二十八日に「もんじゅ」訴訟が結審になりましたけれども、どんな判決が出るかによりましてこれからの政策を進めていく上において大きな影響が出ると思いますけれども、これらにつきまして、政府としての考え方につきましてお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 稲川泰弘

    稲川政府委員 天然資源の保有量により各国のエネルギー政策というのはそれぞれ区々でございますが、先進国を中心に二つのキーワードがあると理解をいたしてございます。一つは、特に埋蔵量の少ない石油への依存度を下げる、もう一つは、エネルギー源の多様化に努めるという二点でございます。例えば、世界的には、フランスでは、原子力エネルギー源の中枢に据えておりますし、ドイツ、イギリスは、先ほど御指摘がございましたように、埋蔵量の豊富な石炭の有効利用を継続しているというような状況でございます。  かような中で、我が国エネルギー政策でございますが、輸入依存度が極めて高い位置づけにあるということは御指摘のとおりでございまして、これをいかに安定供給を図るかというのがエネルギー政策のまさに基本でございます。  こういう中で、供給面では、国産または準国産エネルギーである原子力、新エネの開発導入を図るということ、また石油につきましては、依存度の一層の低減に努め、他方で備蓄、自主開発を進めるという視点をとってございます。また、需要面では抜本的な省エネを行うということでございまして、こうしたことにより我が国エネルギー安全保障というものを進め、また、あわせて環境問題、経済成長問題を同時に実現をしていくという方向でございます。  原子力立地について、絵にかいたもちではないかという心配があるという御指摘がございました。現在の状況は、平成十一年度の電力供給計画で、二〇一〇年度ごろまでに運転開始をする原子力発電所二十一基が報告をされてございます。容量にいたしまして二千六百七十五万キロワットでございますが、この二十一基のうち十五基につきましては、用地はほぼ取得済みでございます。また、九基分は増設でございます。  もちろん、土地を確保すれば原子力発電所ができるというものではございませんで、容易な状況ではございませんが、この二十一基、うち用地を確保しているもの十五基、この中で具体的な許可をし、あるいは公開ヒアリング等の具体的な手続を開始しているものが七基ございます。年内にさらに具体的手続に移るものをふやしてまいりたいと考えてございますが、平成十一年度予算では、立地地域における雇用確保に資する産業振興策を中心とした抜本的な振興策の充実を図ってございまして、こうしたことを通じましてこの十六ないし二十基の原子力発電所の具体的な立地を進めてまいりたいと考えてございます。
  65. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 「もんじゅ」訴訟につきましては、後ほど青江局長よりお返事を申し上げます。  先生指摘のとおり、私が非常に心配していることは日本の将来でございます。エネルギー的な面から見て、資源が非常に小さな国である、輸入の依存度が極めて高い、こういう国でどうしたらいいのかということを私は非常に心配をしております。一方で、地球環境との調和ということが非常に重要になってまいります。長期的にエネルギーの安定供給を確保していくということは、国として極めて重要なことだと思っております。こういう中で、エネルギー源の中で占める原子力の重要な役割について、私どもはもっと国民に訴えていきたいと思っております。  この訴え方でございますが、国民の中にもさまざまな議論があることを十分承知しております。国民的な理解を深めるためには、やはり現場において安全運転ということの実績を積み上げていかなければならない、こういう点で最善の努力を払うということがまず第一でございますし、立地している地域の方々との間では、地元を重視するという姿勢のもとで、情報を積極的に公開をするというふうな、事業活動について誠実に対応することが何よりも重要であると思っております。  国といたしましても、政策決定過程の透明性を高めるために、国民各界各層から幅広く御意見を伺う。例えば、原子力政策円卓会議を開催する。こういうところへ私も積極的に、できる限り参加をいたしたいと思っております。さらにまた、シンポジウムとかフォーラム、説明会を開催するというふうなことに積極的に取り組んでおりますし、今後もさらに進めていきたいと思っています。  私は、ひとつ国民の方々に本当に心底からお考えいただきたいことは、確かに新エネルギー、太陽のエネルギー等々、風力あるいは波力、あらゆるものを利用すべきだと思いますけれども、定量的にそれが本当にどれだけ発電することができるか明確にお考えの上で、原子力について御判断いただきたいと思っています。  私は、新エネルギーは絶対やるべきだと思います。あらゆる力を注いででも太陽等々を利用すべきだと思いますけれども、これが足りないことは歴然たるものである、私はそう思っております。こういうことについても訴えてまいりたい。  今後とも、まず第一に安全確保に万全を期すということが必要でございます。これはもちろんでございますが、原子力の意義、必要性等について、電力を生産する立地地域だけの問題としてではなく、電気の恩恵を享受している我々国民一人一人みずからの問題として考えていただきたい。  省エネということは絶対やるべきだと思っております。私も、あらゆるところで講演をして省エネの運動をしております。  特に原子力に関しては、情報の公開が大切であります。それはわかりやすくしなければいけない。難しい情報ではいけないので、わかりやすくかみ砕いた情報の提供をいたしたいと思っておりますし、国民の方々、各界各層との一層の対話を推進してまいりたいと思っております。  こういう点で、エネルギーの確保、二十一世紀における日本のエネルギーの確保のみならず、全世界、人類にとってエネルギーをどうするのかをやはり真剣に考えていかなければならないと思っております。
  66. 鍵田節哉

    鍵田委員 ありがとうございました。  それでは、引き続いて質問をさせていただきたいというふうに思います。  特に、今大臣がおっしゃった新エネルギーの問題でありますが、通産省で言われるいわゆる新エネルギー、新エネというのとはまた別に、前回の審議の中で有馬長官がおっしゃった核融合の問題がございます。これも視野に入れて考えていくんだというふうにお答えがあったんですが、その一言で終わられておりますので、核融合というものが今どのような状況になっておるのか。  それからもう一つは、水素エネルギー。この問題につきましてもいろいろ研究はされておるようでございます。特に、通産省のニューサンシャイン計画の中でもこれが取り上げられておるようでございますが、この水素エネルギーというのは、実用的なものになるとするなら、こんなに画期的なエネルギーはないんじゃないか。石炭とか石油とかというような化石燃料にしても、ウランでもそうですが、採掘される場所がもう限定されておるわけでありますが、水素エネルギーになると、水のあるところならどこでもいいということでありますから、そういう面では非常に画期的なエネルギーだというふうに思うわけでありますが、まだまだ研究段階のようでございます。  それらにつきまして、どんな段階になっておるのか、また見通し、そういうものについてお聞きしたいと思います。
  67. 青江茂

    青江政府委員 まず最初に、核融合の状況、研究の進展の状況につきまして御説明を申し上げます。  核融合でございますけれども、大学を含めまして、かなり広範なところでもちまして基礎的な研究がずっと進展してきておったわけでございますけれども、一つエポックメーキング的なことと申しますのは、我が国におきましてはJT60という原研がつくりました施設、それから、ヨーロッパはJETという施設がございます。ここのかなり大型の施設でもちまして、いわゆる臨界プラズマ条件というものを達成をいたしました。ここは一つ階段を上ったというふうに思ってございます。  その次の段階ということになりますと、自己点火条件。エネルギーを投入いたします、そしてそこで燃料が燃える、その投入したエネルギーと出てくるエネルギー、この比が一でございますととんとんになるわけでございますが、その値が十、二十、それから無限大、ずっと燃え続けると申しますか、そういうふうな自己点火条件というものを達成をする、そしてそれを長時間運転をする、こういったところが次の段階の大きな課題でございます。  これをいわゆる実験炉という段階でトライをしてみようじゃないかというのがITERと言われる構想でございまして、これは、御案内のとおり、日米欧ロ、四極でもって設計研究というのをずっとやってきておったわけでございますけれども、大変残念なことに、昨年の夏でございますが、アメリカがそれから撤退をするという表明をいたしました。その後でございますけれども、そのアメリカ撤退という状況を受けまして、三極で設計というものを継続をしようじゃないかということでもちまして、今設計活動というものを継続をしている途上にございます。  そういったものがはっきりいたしますれば、そのITERというものを本当に具体的にどうするのか、建設をしていくのかどうなのか、こういったふうなことを現実的な問題として議論をしていく。そして、サイティングといいましょうか、立地と申しましょうか、そういったことを考えながらこのプログラムというものを具体的に考えていく時期を迎える。そういう実験炉、ITERというものがもし建設ができ、データがとり得るというふうなことになりますと、将来、実用化の展望というものもその延長線上に開けてくるのではないかというふうに期待をしておるところでございます。
  68. 佐藤壮郎

    ○佐藤(壮)政府委員 水素エネルギーについてお答え申し上げます。  先生指摘のように、水素というのは水を電気分解すればできるわけで、また、燃やしてもまた水に戻るということで、究極のクリーンエネルギーというわけでございますけれども、問題は、水を電気分解するときのエネルギーをどこからとるかということでありまして、これを化石燃料でとると何をやっているかわからないということで、私どもの想定では、例えば、中東の砂漠で太陽光発電を大規模に行う、あるいはシベリア等の未利用の水力を使った電気を使って水を電気分解して水素をつくり、それを日本まで持ってきてエネルギーとして使うということを想定しております。  具体的なプロジェクトといたしましては、平成五年度からニューサンシャイン計画のもとで、水素利用国際クリーンエネルギーシステムの技術ということで研究開発を行っております。この中では、先ほど申しましたように、水素の製造と同時に、輸送、貯蔵、それから日本へ持ってきたときの利用技術ということで、各段階に分けて技術開発を行っているわけでございます。  具体的に申し上げますと、短期的なものといたしましては、水素自動車の早期実用化に向けた燃料系システムの開発、それから、より長期的なものといたしましては、液体水素タンカー、それから液体水素貯蔵タンク等の大量の液体水素の輸送及び貯蔵に必要な要素技術、材料技術、これは二〇二〇年程度を目途としておりますけれども、このような研究開発を行っているところでございます。  ただ、問題はコストでございまして、特に水素を運ぶときには液体水素にしなければいけないということで、これはマイナス二百五十度までに温度を下げなければいけないということで、ここに非常にエネルギーを使います。ここら辺のコスト削減をどうするかということがこれからの研究課題だと思います。
  69. 鍵田節哉

    鍵田委員 開発されるのはまだかなり先のことではないかというふうに思いますけれども、ぜひとも、新しい、本当に夢のあるエネルギーとしてひとつ研究開発努力をしていただきたいというふうに思います。  中間貯蔵のあり方につきましてもいろいろお聞きをしたかったわけでございますが、まだ辻委員があと一時間質問されますので、むしろそちらの方にお任せをするといたしまして、前回の原賠法のときに若干お聞きをして、これも非常に中途半端になったわけですが、原子力発電所の警備の問題につきまして内閣安全保障危機管理室にお聞きをしたいというふうに思います。  あのときにはいろいろ私もお聞きをしたかったわけであります。ちょうど「宣戦布告」というふうな本も出たタイミングもありましたし、私もいろいろなところからこの問題についての示唆も受けましたので質問に取り上げさせていただいたのですが、危機管理室なり、それから防衛庁、その他警察関係から事情聴取しておりますと、その内容について詳細にお聞きをすればするほど、逆に余り日本の抑止力にならないのじゃないか、原発の抑止力にならないのじゃないか、非常にそういう危機感を覚えまして、大変中途半端な質問になりましたし、防衛庁からも来ていただいておったのですが、むしろ質問を避けて終わったわけでございます。  といいますのは、もしどこかの団体なり、またどこかの国が日本に混乱をもたらそうとする場合に、何をターゲットにしたらいいかということを考えれば、やはり原発を破壊する。そのことだけで大変な混乱が起こるわけでありまして、もし私がそういう集団であって日本を攻撃しようとするならば、恐らくそういうところをターゲットにするだろう。それは自分ももちろん大きな被害を受けるかもわからないけれども、決死の覚悟でやるということも事実あるわけでございます。  そういうことを考えましたときに、今の警察の警備、それから海上保安庁の警備で本当に十分なのか。そして、ではそれに対して自衛隊は何ができるのかということを考えてみたわけでありますけれども、しかし、どうもそれをお聞きしますと、全くそういうことについて無為無策とまでは言いませんけれども、非常にいろいろな足かせがあってやりにくい。何か問題が起こればそれについて対策を立てよう、大体日本の危機管理というのはそういうところが多いわけでありますけれども、そういうことじゃないかなというふうに私なりに想像いたしまして、そして、そういう質問の仕方で終わったわけでございます。  その一週間後といいますか、一週間少ししてから、三月の二十三日に、日本海で不審船騒動が起こった。これを海上保安庁も追っかけたけれども、結局、船足が全然違うということで追っつけなかったし、先回りした海上自衛隊につきましても、その行動についていろいろな意見も分かれたんじゃなかろうかというふうに思います、結局、手出しをしないままで逃げられてしまっておるわけであります。  結局、私が質問をして、ここでそういう内容を明らかにするまでもなく、事実でもって世界にそういう日本の無為無策というものがもう明らかになってしまった。こういうふうな状況でありますから、そういう面では、もう一度ここでひとつ、海上保安庁というのはどういう役割で、どういう装備を持っておって、どういうことならできるけれども、どういうことはできないんだ、海上自衛隊につきましてはどういうことはできるけれども、どういうことはできないんだというようなことについて明らかにしてもらいたいと思いますし、また、それをやっていく法律的な根拠につきましてもお考えがあればそれを聞かせていただきたい。  そしてまた、海上保安庁から海上自衛隊に、そういう相手に対する対応をしていく場合にかわっていくそのときの、海上保安庁から自衛隊に依頼をして、そして自衛隊が何らかのアクションを起こしていく、そういうタイムラグの間に問題が起こってしまうということも考えられるわけであります。「宣戦布告」の中でも、各省庁間の意見の相違が起こって、いろいろ議論をしている間にたくさんの日本の警察官なりまた自衛隊員が殺害をされるというようなことが記載をされておるわけでありますけれども、これが単なるフィクションではなしに本当に起こり得ることではないか。日本の今のような対応であれば必ずそれが起こるんだということが可能性として考えられるわけでありまして、そういうことを考えた場合に、日本が主権を侵害をされても何らなすすべなく、相手がしたい放題、まだ何もしておらないわけでありますからそこまでは言えませんけれども、主権を侵しても、それでも黙って帰っていくことを見逃した。こういう実態を見た場合に、何のためにたくさんの予算を費やして自衛隊を置いておるのか、また海上保安庁を置いておるのかということの疑問を持たざるを得ないわけであります。  そういうことを考えた場合に、総合調整機能を持っております危機管理室として、今後これらの実態を踏まえてどのような対策を立てようとしておるのかということについて、若干時間長くなってしまって申しわけありませんが、お答えをいただいて質問を終わりたいというふうに思います。
  70. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 大変御質問が多岐にわたっておりましたのでなかなか一言ではお答えしにくいところがございますが、幾つかにつきましてお答えをさせていただきたいと思います。  まず最初に、原子力発電所のテロの問題でございますが、これにつきましては先般も御質問いただきました。そのときにもお答え申し上げていると思いますが、平成九年でございますか、安全保障会議の議員懇談会におきましてそういったことも議論いたしました。当時、官房長官からは、原子力施設自身は極めて事態においては安全性が高い、また、絶対に大きな事故にはなり得ないように外部的なものに対しても極めて強い防護措置がとってあるというようなことを記者会見で述べていただいているわけでございまして、絶対ないということはもちろん申せないのかもしれませんが、非常に安全については意を払っているということは申し上げられると思います。  それから、先般の不審船問題でございますが、海上保安庁は一体何ができるのかできないのか、こういうお尋ねでございますが、法的に申し上げれば、第一義的な警備責任というのは当然警察官庁であります海上保安庁が持っておるわけでございます。ただ、物理的に相手方の能力と海上保安庁の能力という問題は、これは当然どんな場合でもあり得ることなんだろうと思います。今回の場合には、たまたま向こうの船足が非常に速かった、そして、海上保安庁ももちろんそれなりの速い船足の巡視船艇を持っておるわけでございますが、残念ながら、航続距離と申しますか、その関係で追いつけなかったというのが今回のケースでございます。  そしてまた、御承知のとおり、海上警備行動ということで海上自衛隊の出動になったわけでございますが、これの経緯を申し上げますれば、二十三日の夕刻でございますが、この不審船が、簡単に捕まらないと申しますか、いわゆる不審船であるということがある程度はっきりいたしました段階で関係閣僚会議を持ちました。その後直ちに私ども危機管理監を長といたします官邸対策室を設け、そういう中で当時の状況を逐一追っておったわけでございます。そういうところで、先ほど申し上げましたようなことで海上保安庁の能力で追いつかないというような事態が発生いたしましたので、もちろん海上保安庁からそういうお話もあったわけでございますが、内閣全体として、これは海上警備行動で対処すべきだという判断をいたしたということでございます。  結果として、装備の問題、あるいは法的な問題等も若干あったかと思いますが、特に装備の問題が中心で結果的に停船、立入検査ということに至らなかったのは遺憾と申し上げるしかないわけでございますが、今後ともそういったところについての対策につきましては、どういうふうなことをしていったらいいのか、今、防衛庁、海上保安庁を中心といたしまして、私どもも入りましていろいろ検討をしておるところでございます。  法的な点から申し上げますれば、先ほどもちょっと申し上げましたように、できるだけ早く官邸と申しますか内閣全体としての対応措置がとれるように、今回の場合は官邸対策室というものをつくったわけでございますが、そういったことで、必要があれば閣僚クラスの会議あるいは対策本部といったようなものを設置して、内閣全体、政府全体として遺漏のないようにしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  71. 鍵田節哉

    鍵田委員 では終わります。ありがとうございました。
  72. 北側一雄

    北側委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ————◇—————     午後四時五十七分開議
  73. 北側一雄

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。辻一彦君。
  74. 辻一彦

    ○辻(一)委員 前回の、第一回の審議に続いて二回目ですが、使用済み燃料を含めて、資源という点からどういうふうに考えるか、そういう点で若干質問したいと思います。  まず第一に、原子力発電は、電力の生産とともにプルトニウムとハイレベルの廃棄物を一緒に生み出すというもろ刃の剣の感じがしますが、しかし、我が国の電力、エネルギー需給からいえば、三分の一を現実に原子力発電に依存をしているというのが事実でありますから、それが急に大きく変わることはなかなか容易でない。となると、当分、核分裂による原子力発電というのをやはり当然考えていかなくてはいけない時代が相当続くだろうと思うのですね。  そこで、使用済み燃料から出るあとの廃棄物等はなかなか厄介なものなので、できるだけひとつこれを少なくするということがいろいろな立場から大事だろうと思いますが、そういう点で、使用済み燃料を出さないエネルギーの取り出し方があれば一番結構なのですが、それは省エネルギーであり、資源エネルギーの代替によってそういうことが可能だろうと思うので、初めにこの問題に少し触れてみたいと思います。  昭和四十七年に、第一次石油ショック時代に私は参議院におりましたが、あの当時、我が国は原油で二億九千万キロリッターを輸入しておった。それから、石油ショックの中で、昭和五十年代にあれだけの日本が経済発展をしましたが、五十二、三年であったと思いますが、一億九千万キロリッターの原油輸入。言うならば、あれだけの経済成長を日本がしながら一億キロリッターの原油を節約したということは、エネルギーの歴史の中で画期的なことでなかったか。それだけの省エネ政策と技術を我が国は当時確立をして、これは世界に誇るべきものがあったと思うのです。  しかし、その後、原油の輸入はどんどんふえて、今、正確に私は数字をしっかりまだ把握しておりませんが、三億数千万キロリッターというところに多分いっていると思うのです。これを考えると、まず我々は、この社会、世の中で省エネを徹底してやる、かつて日本が世界に誇ったこの政策とこの技術をもう一度よみがえらせて取り組むべきでないかと思うのですが、そこらについて、一つはエネルギー庁長官と、それから科技庁長官としての大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  75. 北畑隆生

    ○北畑政府委員 我が国エネルギー政策基本は、エネルギーセキュリティーの確保、環境保全、経済成長の同時達成でございます。こういった観点から、新エネルギーの導入、原子力の推進とあわせまして省エネルギーの推進が極めて重要だという御指摘はそのとおりだと思います。  石油ショックのときには、確かに、省エネルギー政策とあわせて、価格が高騰をしたということがありましたものですから、委員指摘のように、極めて効果的な省エネが進んだわけでございます。現在は、実は、エネルギー価格は非常に低いレベルでございますので、この中で省エネルギーをやっていくというのは大変難しい問題があります。石油につきましては、現在、九六年の実績で、三億三千万キロリットルほどの輸入量になってきております。  こういう問題がございますけれども、地球環境問題も踏まえまして、一層の省エネルギーを推進していくということにしております。現在、政府では、二〇一〇年度を目標といたしまして、原油換算で五千六百万キロリットル相当の省エネルギー対策を推進しているところでございます。  具体的には、本年の四月一日に施行されました改正エネルギー法に基づきまして、家電製品、自動車、コンピューター等の事務機器につきまして、いわゆるトップランナー方式の導入によるエネルギー消費効率のさらなる改善、工場事業場におけるエネルギー使用合理化の徹底を図ったほか、省エネルギー技術の開発導入の促進、広報活動等により民生分野の省エネルギーの推進に努めておるところでございます。
  76. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 私も、先生と同じで、省エネルギーを何とか図らなければいけないと思っております。しかし、今、お話がありましたように、随分日本の工業技術は進みました。例えば、冷蔵庫などの電力消費量は、多分もうかつての二分の一以下になっていると思います。こういう意味で、先ほど家電機器についてお話がありましたけれども、こういう努力は今後大いにしていかなければならないと思っています。  それからさらに、後ほどまた御議論があろうかと思いますけれども、省エネと同時に、新しいエネルギーを何とか進めていかなければならない、こういうふうに考えております。
  77. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今、大臣は冷蔵庫のお話に触れましたが、ちょっと私もそれについて一言申し上げておきたいのです。  省エネを徹底しようとすると、ライフスタイル、これを変えるところまでいかないとなかなかいかない。大臣の御発言とちょっと違った数字なのですが、冷蔵庫が、かつての省エネ時代には必ずしも大きくなかった。それがどんどん大型化をする。テレビも大型化をする。いろいろな面で電力の消費がどんどん大きくなっていくということが、今、電力消費の非常に大きな問題、逆に言うと、省エネを逆にしている原因じゃないか。  そういう意味で、きょうはその論議をする時間はありませんが、ライフスタイルまで変える覚悟をしないと、資源のない我が国エネルギーになかなか対応し切れないのじゃないかと思う。一点申し上げておきたいと思うのです。  そこで、具体的な問題で一つだけ伺いたいのですが、新エネルギーの開発は、これはもう、天然ガス、液化ガスや燃料電池、太陽光発電、風力発電、地熱発電、ずっとあるわけですが、太陽光発電について一つだけ伺いたいのです。  というのは、今、大動力、産業用の動力を、電力を太陽光発電から集めるというのは非常に難しいわけですが、日本の電力が一番たくさん要るのは、前にもちょっと申し上げましたが、夏のあの甲子園のときですね。そのときに、天気は暑い、太陽は照る、だから冷房は要る、その冷房でうんと電力が上がる。いつもは使ったことのないようなたくさんの電力が要るから、それに備えて余分の容量の発電所を持たなければいけない。これはかなり大きいですね。そのピークを削ったら、相当これは違ってくるはずだ。  そういう意味で、太陽光発電は、民生とつながったときにかなり有力な力になり得る。ネックは、要するに、技術的に、太陽の光を電気に転換する転換率が今は一一%ぐらいを倍に上げられるかどうか。その可能性はあると思うのですが、その問題が一つ。  もう一つは、大量生産を太陽パネル等でやって、コストを下げることができるかどうかということにあると思うのですね。そこで、学校であるとか、それから市役所であるとか、いろいろな公共用の施設の天井にパネルを張ることを義務づけて、そしてそれに対して国が助成をする。それだけの相当な量のパネルをずっと張ってやるようになれば、コストはかなり下がって、将来、太陽光発電のこれからの道を開くことができるのでないか。  この問題は長くやる気持ちはないのでありますが、一つは、文部省の方で、こういうような考え方が、ひとつ力を入れられないのかどうか。これは政府委員から初めは聞かなければいけないと思うのですが、文部省、いらっしゃいますね。では、とりあえずお伺いします。
  78. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 御指摘の太陽光発電の活用につきましては、文部省といたしましても、平成九年度から、環境を考慮した学校施設の整備、いわゆるエコスクールの整備に関するパイロットモデル事業を実施しているところでございます。  この中で、通産省と協力をいたしまして、屋上等に太陽電池を設置いたしまして、太陽光発電を学校の通常利用いたします電力として活用する。そのための設備に対しまして、通産省と一体となって補助金を出すという形で、現在、計画としては、平成九年度と十年度、両年度で、太陽光発電の施設を設置する予定の学校が二十三校ということでございます。  今後、全体といたしまして、エコスクールを平成十二年度までにおおむね百校程度整備をしてまいりたいと考えておりますので、そういった成果を見きわめながら積極的に推進をしてまいりたいと考えております。
  79. 辻一彦

    ○辻(一)委員 エネルギー庁長官から、一遍、この辺について通産省はどういう力を入れられるのか、伺います。
  80. 北畑隆生

    ○北畑政府委員 太陽光発電につきまして、技術開発と、それからコストダウン、これが課題であるというのは委員指摘のとおりでございます。  太陽光発電につきましては、効率は徐々に上がってきておるのですけれども、もう一段の飛躍を図るために、ニューサンシャイン計画の中で転換効率の向上のための研究開発を行っているところでございます。  それから、学校、地方自治体あるいは民間の住宅に太陽光発電を設置する場合に必要な補助を行っております。また、電力会社の方では、販売電力と同じ価格で買い取る、こういう買い取り協力をやっておるところでございまして、こういった施策を通じまして、太陽光発電の普及拡大を図ってまいりたいと思っております。
  81. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣、科技庁長官であると同時に文部大臣でありますので、文相としてちょっとお伺いしたいのですが、私は、今文部省や通産省が言っているように、幾らかの援助をし、相当力を入れていると思うのですが、その程度ではコストを下げて太陽光発電の道を開くようにはなかなかならない。新しい学校をつくるのならば講堂とかの天井に全部パネルを張ることを法律で義務づけるとか、あるいは現在ある施設を改造するとか、もっと徹底して強力な施策を進めないと、奨励的に、やったら幾らか支援しますよという程度ではなかなか変わらないと思うのです。  科技庁長官でもあり、この問題については深い見識も持っていらっしゃるし、と同時に、文部省の施設関係の責任者である文部大臣でもありますので、ここはひとつ大臣の決意、何か大きく前進させられないかどうか、そこのお考えをちょっと伺いたいと思います。
  82. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 先ほど助成局長より御答弁申し上げましたように、文部省としてはエコスクールという概念の運動をしております。まだ百校程度でありますが、これはもっと将来大幅に進めていくべき努力をさせていただきたいと思っています。  確かに、つくるときに一緒に備えてしまう方が安く上がるというか、やりやすいという面がございますので、これは今後さらに検討して、その方向に進んでいきたいと思っています。
  83. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題には時間をもうとれないと思いますが、これはせっかくですから、大臣、科技庁長官と文部大臣と両方、忙しいでしょうが、幸い兼任されておるのですから、この際に太陽光発電にひとつ本格的に力を入れていただきたいと強く要望しておきます。  そこで、本論に入りますが、中間貯蔵の問題です。  原子力長計、長期計画の初期の段階から、認識は、ウラン資源が将来逼迫していく、だから使用済み燃料を全部、全量処理をして、そこからプルトニウムを取り出して、核燃料サイクルに乗せて有効活用しようというのがあったわけですね。そして、その後には高速増殖炉新型転換炉、そしてプルサーマルもあったでしょうが、こういう順序でずっと将来プルトニウムを生かしていこうというのが大体長期計画の粗筋だったと私は思うのです。  この間、二十三日に随分論議をしましたから多くは申し上げませんが、私は、見通しが誤っていると。しかし、政府の方は誤っているとはなかなか答えにくいので、狂っているのじゃないかと言ったら、それには余り反論がなかったのですが、狂っていることぐらいは認めなきゃいかぬだろうと思うのです。  そういうウランが逼迫しておったという状況と、それから、高速増殖炉新型転換炉がかなり近い将来、私が参議院にいた昭和四十六年に聞いた答弁では三十年、もう二十八年たちましたから、だから、一、二年の間に高速増殖炉が本来ならば実用化されるはずであったが、これからまだ五十年、だから、とにかく八十年ぐらいないと実用化はされない、そういう状況に現実になってきている。そこに狂いが生じて、そして、再処理をすればいや応なしにプルトニウムは出てくる、出てきたプルトニウム高速増殖炉新型転換炉ではなかなか消化ができないから、やみくもにと言うといろいろと御意見があるようだけれどもプルサーマル対応を持っていかざるを得ない。だから、海外に委託した六千五百トンほどの使用済み燃料から出てくるプルトニウムは約三十トン。半分ぐらいはもう処理されておると思いますが、それと、これから国内にあるものを処理していけば三十トン。六十トンをどうするかになると、再処理をする限りは、もう使い道はプルサーマルしか具体的に残されていないという状況になって、今プルサーマルに非常にウエートを置くようになったと思うのですね。  しかし、この長計の前提は、ウランがかなり近い将来逼迫して、そのためにちゃんとプルトニウムを使わなければいかぬという状況であったと思う。ところが今は、ウランは、幸いなるかといいますか、相当需給は緩和をして、ここ数十年はまずそれについてはそれほど心配がないという状況にあるのですね。  そうすると、各国の方は、使用済み燃料をすぐに処理せずに、時間がかかるといって中間的に貯蔵するとか、あるいはアメリカのように、ワンススルーで使い捨てにするかといったら、それも一時保管をしている。彼らは、もし使用済み燃料が有効な資源として将来使えるならばと、全部保管をしている。  資源のある国が将来の資源を保管しているのに対して、我が国資源小国、ないのに、使用済み燃料が出てきたらすぐ再処理をして、そしてそれをプルサーマルで、全部燃やしてしまわぬと批判があってどうもならぬから、燃やしてしまおうというのですが、資源小国のあり方として、ウラン逼迫の当時に策定された長計考え方と、今日の状況の中で資源小国としての我が国がこの問題についてどう考えるかということは非常に大事な問題であると私は思いますが、これについての認識をひとつお伺いしたい。
  84. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  ウランの需給が非常に逼迫をするであろうからというふうな要因といいますものは一つの考えとしてあったというのは事実であろうというふうに思うわけでございます。しかしながら、そういった要因のみならず、本性からいたしまして、これは天然資源でございますので、有限なものでございますので、その限られたウラン資源というものをいかに効果的に利用していくかという観点というのが非常に重視をされてきておったというふうに私ども認識しておるわけでございます。  そういう観点に立ちまして、我が国といたしましては、使用済み燃料というものは再処理いたしまして、回収されるプルトニウム等を有効に利用していくという核燃料サイクルというものを原子力政策基本に据えて、諸般政策施策というものを推し進めてきたというのが今までの状況であったというふうに思うわけでございます。  そういう中におきまして、核燃料サイクル政策といいますものは、恐らく息の長い施策の積み重ねによって具現化なし得ることではないかというふうに思うわけでございまして、その長期的視点に立ちまして、その時点その時点におきましての能力的になし得ることを着実にきちんとなしていくということが必要なのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  85. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は再処理を全部否定しているわけじゃないのですね、これはまたそれで必要だと思う。だけれども、これは全量処理というのがこの方針であったわけですね。再処理をして、出てきたプルトニウムを、余分を持っておるわけにはいかぬから早く処理しなきゃならぬとなると、今早急にプルサーマル等で消費をしなければならぬという。  資源のある国は、大量の使用済み燃料を、今世界はどの国も、さっき午前中も論議があったように、保管をしている。アメリカも三万三千トンの使用済み燃料を、ワンススルーで使い捨てというものの、まだ捨てないで保管しておるのが事実ですね。フランスにしたって、私もフランスのラアーグも見に行きましたが、関電だとかそういう電力会社のキャスクが全部ずっと処理場に並んでいる。では、フランスはどういうふうにやっているかといえば、まず、外国と契約した再処理使用済み燃料処理する。そして、フランスの大使館をこの間呼んで勉強会をやったときにも、フランスの大使館は、今我々は、必要な量、今どうしても要る量を再処理している、こう言っておるんですね。そうすると、フランスも自国の使用済み燃料について、ラアーグの処理場の近くか、場所は別として、相当量を保管しておると私は思うんですよね。ドイツだってそうですよ、イギリスにしても。  各国は、確かに、ドイツのように石炭を持つとか、アメリカのように石油がいよいよになればあるとか、イギリスのように石油があるとか、それからフランスのように原子力に重点を置いている、そういう開きはありますが、現実に使用済み燃料は、かなりな量を各国はいろいろな形で保管をして、そして将来使えるものなら使ってみようという状況にあるんですね。  アメリカは、論議がありましたが、これはワンススルー方式で使い捨て、カーター政権以来そういう政策をとっておった。しかし最近ちょっと状況が変わってきた。しかしこれも、我々も見に行って、じゃ、本当にアメリカは政策変更しているのかというと、いや、ワンススルーの商業用のこれについては政策は変えていません、こう言っておるんですね。核弾頭の解体から出てくるプルトニウムについては、これをMOXで使うようにしているという。だから、商業用については何も変わらないと言っている。だけれども、ユッカマウンテンの現地へ行って、トンネルの中へ入って、いろいろ聞いてみると、彼らは、軍事用とそれから民生用の使用済み燃料をそこで永久処分するために試験をしておるんですね。ずっと大きな、新幹線のちょっと小さいぐらいのトンネルを掘って、そこに並べてやっておるんです。  ところが、私がこういう質問をしたんです。この使用済み燃料は、B型、P型、いわゆる沸騰水型と加圧水型の燃料というものを一緒にして保管しているのか、どうしているんだと言ったら、いろいろ一緒に入れておるんですね。だから、その使用済み燃料をもし生かそうというような考えがあるならば、B型、沸騰水型は沸騰水型、まあ東電のようなのは一緒に、それから、関電系の加圧水型は加圧水型で使用済み燃料を一緒に保管したら処理が万が一のときに将来しやすいんじゃないかと言ったら、そういうことは初めて聞いたので、ぜひほかの機会に正式に発言をしてくれと現場の人は言っているんです。  だから、まず第一は、恐らく三百年ぐらい保管をするというのは、地殻変動等が将来心配されたときに、取り出すことができる。周辺の住民はそういう施設をつくるというとやはり心配がある。だから、永久貯蔵というとなかなか難しいから、三百年はあけておいて、大地震の予告、地殻の変動等があるなら、そこから持ち出すこともあり得るということを説明するために、三百年と言っているという意味もあるんです。しかし、その考えの中には、現場の専門家の連中が言っているように、置いておいて、将来それが必要とあれば出していく道もあるから、同じ種類のものは同じように保管をした方がやりやすいと思うので、そういう提言があったらやってくれ、こう言っておりました。それらを見ると、アメリカにせよ、ワンススルーとは言いながら、将来の資源のことを十分考えておると思うんですね。  前にもお話ししましたが、昭和六十三年に、ウィーンのIAEAへ行って当時のブリックスさんだとかと随分論議をしたときに、ローゼン原子力安全部長とかなり論議をしたときに、使用済み燃料の道は、日本やイギリスやフランスのように再処理をしていく道と、それから、アメリカのようにワンススルーで使い捨ての道とがあるが、アメリカのワンススルーには、これはプールにつけて、ちょっと将来、三十年から五十年様子を見ようという考えも含まれているということを既に十数年前に彼は明確に言っておるんですよ。だから、そういう流れが私はアメリカにもあると思うんですね。  こういうことを見ると、アメリカにしろフランスにしろドイツにしろイギリスにしろ、それから、ロシアは、もちろんこれはもう何とか資源として使わなければいかぬからというので、簡単にアメリカの管理のもとには属さないで独自の道を歩もうとするからMOXの問題が出てきたと思いますが、それらを見ると、どの国も将来の資源としての展望を視野に入れている。  我が国は、正直で結構なんですが、早くひとつプルトニウムをなくそうというので、せっかくの資源をなくしてしまう方に非常にウエートを置くように思うんです。再処理を私は否定はしていない。青森の工場もあるんだから、それは有効に使うことは大事だと思いますが、当面、第二の工場をつくる必要もないし、中間貯蔵によって資源の備蓄を考える、こういう構想を持っていいんじゃないか。  だから、原子力長計の中にも、言いわけだけが、もう五年前にこうしますとちゃんと予告してありますと。それは確かに小さくはかじは切っているんですね。しかし、それはかなり大きな政策の変化かあるいは前進か、それはどちらになりますか、評価はいろいろあるでしょうが、そういう時期に来ているので、資源の確保という観点からかなり、かなりというか大いに見直しをして、検討をする必要はあるんじゃないか。今までのいきさつだけにこだわらずに、長計の見直しについても考える必要はあるんじゃないか、こう私は思っておるんです。  事務局の答弁あったら、これについていただいて、大臣の見解もちょっと伺いたい。
  86. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  再処理先生は否定なさらないというふうなことも御指摘ございました。私どもは、再処理をしてプルトニウム利用するということが、いわゆる限られた資源というものを有効に利用するという観点からももちろんのこと、それから、環境への負荷というものを低減せしめる、廃棄物に伴いましてのことでございますが、そういう観点からも、再処理をしてプルトニウム利用するという道というものを歩むべきであろう、これがやはり基本的な軸であろうというふうには思っているわけでございます。さすれば、その基本的な理念というものを、能力の許す限りにおきまして、現実が許す限りにおきまして、その道を追求していくための努力というものは怠らずに続けていくということが必要なのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  その一環としまして、海外再処理に委託をしたものをいわゆるMOX燃料に製造いたしまして、それをプルサーマルでもって一定規模でもってきちんと利用していくということもその一環にございましょうし、六ケ所の再処理工場というものを着実に仕上げていくということもございましょうし、そういうでき得る限りのことをきちんきちんとなしていくということが今とるべき道ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  その上に立ちまして、いわゆる原子力発電所から出てまいります使用済み燃料というものと国内におきましての再処理能力というものが、将来的には当然のことながらギャップが生ずるということが予測されるわけでございますので、それに対応すべく中間貯蔵ということを今御審議をお願いしているわけでございますが、今先生がおっしゃられた機能というものも多分重なり合ってくるのではなかろうかという気もいたすわけでございます。  そういった先生の御指摘をも、長期計画、これから改定に入るわけでございますけれども、いろいろな角度からの御議論というものをお願い申し上げたいというふうに思っているところでございます。
  87. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 ただいま局長よりお返事申し上げたことと同じでございます。  確かに、先生が御指摘のように、使用済み核燃料を一時どこかに格納しておいて、将来また新たな技術が進んだところで取り出すというようなこともあり得ると思いますけれども、やはり現在のところ、日本でなるべくプルトニウムを早く消費することもありますし、そういう意味で、取り出して資源として活用するということはやはり重要なことだと思っております。  これは将来いろいろなやり方も考えていかなきゃなりませんが、現在のところ、回収されるプルトニウムを有効に利用していくという方策を今後もとらせていただきたいと思っております。
  88. 辻一彦

    ○辻(一)委員 使用済み燃料の件でもう一、二点伺いたいんですが、海外の方で再処理をした使用済み燃料から分離しましたプルトニウム、これを国際機関のIAEAの管理下で国際管理をするということも、今まで論議があって、行き詰まっておるようですが、十分考えられることですから、こういう面の発展というか構想は我が国は持っていないのかどうか。
  89. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたその構想と申しますのは、非常に古くはINFCEの時代からいろいろな角度からの議論がなされてきたというふうに認識をしてございます。  ただ、その議論の非常に具体的な成熟といいましょうか、なかなか進まないと申しますのは、やはり各国それぞれ実情といいますか、プルトニウムに対する認識というものも含めまして、若干錯綜しておるというふうな状況で、近時におきましては、今のプルトニウムの国際管理といった議論というのはやや少ししりつぼみといいましょうか、そんな状況現状としてはあるというふうに認識をいたしてございます。
  90. 辻一彦

    ○辻(一)委員 再処理をすればプルトニウムが出てくるんだし、出てくれば置いておけないから早く使わにゃいかぬということになるので、再処理の量が多ければ多いだけいよいよプルトニウムができてくる、それを早く使ってしまわにゃならぬということになる。その兼ね合いが全体とすれば非常に難しいとは私は思いますが、再処理は必要最小限にとどめて、まあ技術の確立とかいろいろありますから一定の量がなければ施設は動かないのはわかりますが、しかし、なるべくそれを抑えて、そして中間貯蔵で保管できる分量を多くして、そして将来に備える、こういうことはより具体的にひとつ考えてもらいたいと思います。  そこで、MOX燃料、これは同じ関連にはなりますが、アメリカは今まで、カーター以来、再処理はしない、だからプルトニウム利用しない、核拡散防止という観点から、その再処理を禁止してプルトニウム利用もやらないとしていたんですね。しかし、今核弾頭の解体という新しい事態が出てきて、アメリカもここらについていろいろな変化がこの四月あたりに、私が行ったときも、どうするかということについての方針をアメリカの政府としても大体四月に出したい、こう言っておったんですが、政府の方はその後の情報も恐らくわかっていると思うので、今の状況についてちょっと伺いたい。
  91. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  先生案内のとおり、いわゆる戦略核兵器の削減交渉、これが米ソでもって合意が成った、それに伴いましていわゆる核兵器というものを削減していく、それに伴いましてその解体核兵器からのプルトニウムというのが生じてくる、それをどうにかきちんと費消していくといいましょうか消していくということが国際的な課題になっている。数値的には、私どもが伝え聞いているところでございますと、米ソともにそれぞれ五十トン程度ずつというふうに聞いてございます。  その五十トン程度ずつのプルをどう消していくのかということにつきましては、一九九六年の四月でございますけれども、モスクワで開かれました原子力安全サミットにおきましてその処分のオプションというものを検討いたし、その後パリで会合が持たれまして、具体的には、プルトニウムを固化して処分をする、要するに、プルトニウムのピュアな状態というものをシンロックという合成岩のような形で包みまして、それをガラス固化体の中に封じ込めまして、それを処分する、こういう方法と、それから、MOX燃料としまして原子炉でもって燃やしてしまう方法と二つの方法が有力であろうというふうな国際的なコンセンサスができ上がりまして、それを踏まえましてアメリカは、この両オプション、両方とも追求するという決定をなしてございます。  その決定に沿いまして、近時におきましては、DOEが、MOX燃料としての処分をするための契約というものを民間企業と締結したというふうな報道もなされてございます。  そういう状況にあるというふうに理解をいたしてございます。
  92. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、これは素人の分野で恐縮ですが、ロシアを引き込まなければ、核削減条約の有効性も、解体した核弾頭からのプルトニウム処理も、アメリカ、ロシアが一緒にやらなければ恐らく効果は出ない。ロシアの方は廃棄処分だけではやはり済まない、何とか生かしていきたいという気持ちがある。そこで、やむなくMOXということを使わざるを得ないという状況がアメリカの場合にはあったんじゃないかとは思うんですね。だから彼らは、私も、ロスアラモスへ行って核弾頭の解体をやっている試験、これはなかなか見せなかったんですが、いろいろな事柄を聞いたり説明を半日ぐらい聞きましたが、それをやって、そして、条約の結果、核弾頭の解体が具体的に行われるようになれば、プルトニウムを取り出して、そのプルトニウムをMOX燃料にするために工場をつくるというのです。だけれども、解体したプルトニウム処理が終わったらその工場は閉鎖をすると。そういう意味で、アメリカは商業用の使用済み燃料を使っていくという道は依然としてやらない、こういう方針も整合性を持っているんではないかというように理解をしたんです。  そういう状況の中で、アメリカ、ロシアとも五十トンずつできて、半分を廃棄処分しても半分が残るわけですから、ある程度MOXに使っていく可能性があり得るのではないかというように思われるんですね。  そういう状況の中で、我が国は、これからは、出た使用済み燃料あるいは今国内に持っている使用済み燃料中間貯蔵でそっちの方に置いて、三十年—五十年様子を見るということもできるわけだけれども、海外委託をやった六千五百トンの使用済み燃料、これはもう再処理せざるを得ないし、現に半分はされていると思うんですね。そうしますと、海外に既に十五トンぐらいのプルトニウムが再処理されある。それから、全部契約どおり行われればこれからは三十トンが出てくる。これを懸念のないようにどうするかということで、政府の方は、それを全部MOXにしてやれば、まあやらざるを得ないという見解のようでありますが、このMOX燃料現地貯蔵するというか委託して保管する道がないのか。あるいは、置くところがないという場合は、やはりこれは出したところの責任ですから国内に持って帰らなければいかぬ。そうすれば、日本の中ですぐ燃やしてしまうということだけじゃなしに、備蓄といいますか、さっき使用済み燃料を備蓄したと同じような意味において、将来使える資源をもう少し何かの方法で保管をして、今すぐ無理に燃やさぬでも、将来に備える道がないのか。そのときに、長期間保管をしたら、一体そのMOX燃料の組成というか中身がかなりな期間の間にどんなように変化していくのか。ここも非常に大事なところですが、ここらの状況をちょっと伺いたい。
  93. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  MOX燃料にいたしました以降いわゆる長期間保存をするということになりますと、まさに今先生がおっしゃられました組成が変化をする、いわゆるプル241が壊変いたしまして、それによって生成しますアメリシウムというものが蓄積をしてくるということになるわけでございます。そういたしますと、当然のことながら、いわゆる反応度が落ちてくるということで、軽水炉で非常に燃やしにくいというふうなことになるわけでございまして、MOX燃料での長期保存というものは、使い方といたしましては大変効率の悪い方途であろうというふうに認識をいたしてございます。
  94. 辻一彦

    ○辻(一)委員 組成が変化をするというのを経済的にというかパーセントでいえばどんな変化があるんですか。何がどう変わっていくのか。
  95. 青江茂

    青江政府委員 大変申しわけございません。ちょっと数値、どのように壊変し、どういうふうな状態になってくるのかということにつきましては、後ほど、調べましてお届けをさせていただきたいと存じます。恐縮でございます。
  96. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は少し説明を聞いているので、今メモがないのでちょっと記憶が確かかどうかわからぬのですが、使用済み燃料の中にあるプルトニウムは、奇数のプルトニウム239ですね。これが五〇%、これが大体その主力ですね。それから241、これが一〇%。全体として使用済み燃料の大体六〇%ぐらい含まれているというように聞いておるんですが、そのうちのプルトニウム239は半減期が二万四千年。だから、二万四千年を何億年に比べれば短いかわからぬが、我々のあれでいえばこれは変化しないということとほぼ同じですね。  しかし、プルトニウム241は半減期が十四年だから、これは十四年たてば半分になっていく。その過程で放射能が出る、あるいは経済的にはプルトニウムの価値が失われるということになるんですが、半減期によって変化をしていくものの数字は非常に大きくなるのか、あるいはだんだん減ってはいくけれどもそんな大きな数字でないのか。あるいは、プルトニウム241の半減期で崩壊していく中で出る放射線というものが、それはもう使用済み燃料の初めから出ているわけだけれども、何年間か何十年か貯蔵する中で非常にそれが影響するのか、そういうものはどんな影響があるのか、そこらはどうなんですか。
  97. 青江茂

    青江政府委員 お答えいたします。  今先生指摘になられました239が五〇%程度、241が一〇%程度とおっしゃいましたが、どうも、私どもの今手元にございますところでは、239が六〇%強ぐらいではないか、それから241が一〇%弱ぐらいではないかというふうに今記憶をしてございます。したがいまして、御指摘のとおり、241の半減期が十四年でございますので、それがアメリシウムへ転換をしていくということでございますので、その量が多いと認識するか少ないと認識するかというふうなことであろうかというふうに思うわけでございます。  もう一点、いわゆるアメリシウム241のアルファ崩壊の際のガンマ線放出の問題でございますけれども、当然のことながらそれは扱いにくくなるということは間違いないわけでございますけれども、これは技術的に対応可能ではないかというふうに思ってございます。
  98. 辻一彦

    ○辻(一)委員 239は五〇ないし六〇ということですから、高い方をとれば六〇ということになると思うんですね。それで結構ですが、六〇ならなおいいわけで、二万四千年の半減期の分が多いほど安定しているということだから、五〇%よりも六〇%の方がより安定している。割合としては不安定な方は少ないということだから。  だから、これは専門的に計算をいろいろしてみないとわからないと思うんですが、私は、プルトニウム239が六〇%あって、それが二万四千年と安定をしている。241の方は一〇%弱ですね、それは十四年たって半分になっちゃうわけだから不安定だ。しかし、それが非常に決定的な影響を与えるだけの損失でなければ、MOXの形で保管をして貯蔵することも考え得る。恐らく、この前、委員会のときに質問で聞きましたが、MOX燃料は、プルトニウム単体を前に日本が船で運んできた、それに比べて、それは混合燃料ですから、簡単にプルトニウムを取り出すわけにはいかない、だから万が一テロなんかがこれを手に入れたとしても、すぐプルトニウムを取り出せるのかどうかということでは、政府答弁では、高度の工業国家でなければ、そういうMOX燃料を持ってそこからプルトニウムを取り出すようなことは、軍事転用はできないということだから、それはなかなかできないことですね。  そうすると、ある意味の安定性というものを持っているわけだから、もしMOX燃料の形でも貯蔵保管が可能ならば、さっきの問題と結びつくんですが、資源の少ない我が国が早く燃やしてしまわぬといかぬということをやらなくたって、それが一定、何十年か、三十年—五十年保管できるのなら保管をして、将来に備える。各国も皆それを何かの形で知恵を絞っているのに、日本だけが非常に正直に有効な将来の資源を皆なくしてしまうということはとらぬでも、もうちょっと知恵を絞ってそこの論議をやってもらっていいんでないか、こう思うんですが、それはどうですか。
  99. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  先生、決定的かというふうな御指摘がございましたけれども、今の決定的かという点につきましては、決定的ではないというふうなお答えになるんではないかというふうに思ってございます。  しかしながら、軽水炉で燃やすわけでございまして、熱中性子炉で燃やすわけでございますので、アメリシウムがその程度に入っておるということは、その分だけ、少なくとも、まず第一にプルトニウム241という分裂性のものが失われるわけでございますから、その分だけせっかくエネルギーを出すものが失われているわけでございますから、いわゆる熱中性子炉では燃えないわけでございますので、それがまず損であるということと、アメリシウム241は、当然のことながら中性子経済はマイナスでございますので、その分をコンペンセートしてやらないといかぬというふうな問題も生ずるわけでございます。その辺を勘案いたしますと、余り、効率といいましょうか、うまい手では決してないなという気はいたすわけでございます。まして、燃料集合体にして保存をするわけでございますので、恐らく使い道は軽水炉、熱中性子炉ということで決まってしまうわけでございますので、決してうまい使い道ではないなというふうに思うわけでございます。  一方、もう一点、いわゆる核不拡散性、抵抗性と申しましょうか、その点についての御指摘がございました。確かに、燃料集合体に直しますと抵抗性というのは高まるというふうに認識をいたしてございます。  ただ、そういうふうな状況であるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほどの繰り返しになりまして大変恐縮なんでございますけれども、いわゆる再処理をしてプルトニウム利用していくその道というものを歩むべく、着実にできることをなしていくということではないかな、今時点においてなすべきことは。その一環としまして、今の例えば再処理の八百トンの規模というのが近い将来において日本の中に現出をする。そうすればそれが再処理能力でございますので、その規模というのが規定されるわけでございますので、それを再処理に持っていって、そしてプルトニウムというものが出てくる、それを有効に活用していくというふうなことを、順次、その時点においてなし得る最大限のことをきちんとやっていくということではないかなというふうに思っているわけでございます。
  100. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、前に前提に置いたように、海外に委託したプルトニウムはもういや応なしに再処理をしているわけだから、現実にプルトニウムが存在しておるわけですね。それに対して生のプルトニウムのまま持っておるわけにいかないわけだから、これを何かの方法でより安定した形にして活用していくということを考えざるを得ないということで、今MOXの備蓄はどうかと言ったんです。損失があるのはわかる、減った分だけ、崩壊した分だけ今度はマイナスになるわけですから。だけれども大臣、今各国がMOXでプルトニウムを使わざるを得ないという中で、やはり唯一の被爆国として、我が国がよその国に先駆けて大量に使う道は、引き金は引くべきでない。だから、国際的に認知をされてそれが一般化した中でだんだんやっていくのならこれはいいけれども、先にやることはやはりいろいろ考えなきゃいかぬと思うんですよね。  そのときに、保管によって損失が来れば、私は、日本の核拡散防止に対する国際的な熱意を、やはり発言力をちゃんと維持をして示すために、国の経費でもってその損失分を補償したっていいと思うんですよ、それがどれぐらいの経費になるかわからないですが、一〇%弱のプルトニウム241が崩壊をして減っていく分だけ。企業としてはその分を抱え込むのは大変ならば、それはやはり、日本が国際的なそれだけの道義性ある発言力を持つためにそれぐらいのことを考えてもいいと思うんですが、この点は事務局の答弁でなしに、大臣、いかがですか。
  101. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 一つのお考えだと私も思います。  確かに、プルトニウム239に対して、241は十分の一ぐらいありますね。それが十四年ぐらいでアルファディケーしていってしまうというような問題がありますので、そういう意味では、MOXにせよプルトニウムを蓄えておけば、そういう十四年ぐらいでどんどん一部分は変わっていくという問題があります。  それにしても一つのお考えだと思うのですが、ただ、日本は、御承知のように、原子力開発利用につきましては、プルトニウム利用を含めまして、原子力基本法で非常に厳しく規定されておりますし、厳に平和目的に限って進められております。そういう意味では、国際的にも、我が国は、おっしゃるとおり唯一の被爆国として、世界の核不拡散体制の強化に向けて一貫して積極的に対応しているところでございます。  具体的には、核不拡散と原子力平和利用の両立を図るための国際的枠組みである核不拡散条約上の義務を遵守して、国内にあるすべての核物質について、国際原子力機関、すなわちIAEAの厳格な保障措置の適用を受けております。こういうふうな厳格な保障措置の適用を受けながら、日本としてプルトニウム利用ということを考えていきたいと思っております。
  102. 辻一彦

    ○辻(一)委員 IAEAの保障措置といいますか、それの、日本はいいところ、優等生並みの恐らく努力はしていると思います。その面はわかりますが、だんだん時間が来ていますから、今提起した問題は、使用済み燃料それからMOX燃料について、日本も、資源小国が将来の資源を確保するという観点、本当にそういう意味の資源論に立って論議をひとつぜひ深めてもらいたい、このように思います。  最後に、藤家原子力委員長代理が見えていると思うので、ちょっと伺いたいのです。  この前いろいろお話をして、考え方は大体伺ったのですが、要するに、プルトニウムをアメリシウムやネプツニウム等のいわゆる超ウラン元素と一緒に取り出して、そして軍事転用ができない形にはっきりできるならば、これは軍事転用の懸念という面が消されるわけですから、非常に有効な方法。それがまた燃料として燃やせるものであれば、廃棄物と燃料と両方を兼ねるわけですが、委員長代理は、アメリカで、日米間でこういう研究についての共同研究をやりたいというような御提案をされておるようでありますが、どういう研究段階にあり、どういう可能性があり、それから日米間でどういう話がされているのか、伺いたいと思います。
  103. 藤家洋一

    藤家説明員 辻先生が、私がアメリカでやってきたことを、多分新聞紙上であろうかと思いますが、目をつけていただいたことを大変光栄に存じています。  現在、世紀末を迎えて、二十一世紀を百年として見るのか、二〇〇〇年代、千年と見るか、これは世界でいろいろ議論しているところであります。そこの中で、どういう人類のエネルギー源を確保していくか、そういう観点からの先生のこれまでの御質問が続いていると思いますが、私は、今、日本が世界へ向けて発言すべきは、資源最大限利用し、廃棄物をなくし、かつ、原子力が持っているもう一つの問題、核拡散に対して抵抗性が十分ある原子力システムをこれから世界で研究開発していくことが、世界の平和にもつながり、日本の国益にもなる。  日本では、まさに国会で科学技術創造立国として生きていくんだということを御決定になりましたし、昨年は、核燃料サイクル開発機構に関しまして、まさにこういったことを国会の場で議論して実際にこれが動き出すというのは、ほかの国では想像もできない。私にとりましては、大変勇気づけられると同時に、重く受けとめたところでございます。  こういった観点から、私は、アメリカにも、あるいはヨーロッパにもロシアにも、同じようなことで話をしてまいっております。この資源最大限利用し、放射性廃棄物を極限的に減らしていき、核拡散を防止する。  これは、実はサイエンスとしては一つの答えがございます。しかし、これを技術としてどう、どこからアプローチしていくのかということにつきましては、既にもう先ほど御議論がございましたINFCEも、これは一つのそういう方向を目指した努力であったかと思います。これをだんだんと蓄積しながら将来へ向かっていく。技術開発の中でこれをとらえなければいけない。  各国がすべて同じスタンスに立っていないことは先ほどの先生お話のとおりで、アメリカはむしろ、こういったプルトニウムをなくしてしまうためには、放射能消滅という観点からこれを取り上げようとしております。ロシアは、御承知のように、資源としてもこれを利用するんだという観点に立っております。フランスも、御承知のように、これまでサイクルをやりながらプルサーマルを積極的に進めてきた国でございまして、将来に向けてそれよりもいいものをどうやってつくっていくか。むしろ、これは、世界が同じような方向へ向けてしていく努力の中で、日本が、平和利用に限った原子力開発、やはり未来はこれしかないんだということを言える状況にあると思っておりますし、それから、資源小国の日本が資源制約のない技術を確保することによって資源も確保でき、まさに環境保全もやっていけるんだ。  ここには、先生も既に御承知のように、加速器を導入したり、あるいは高速炉を導入したり、これは高速中性子に頼らざるを得ない世界でございますから、将来的にはそうやっていかなきゃいけない。それと、こういった高速中性子でそういった反応を起こさすと同時に、どうやってその材料を提供するか。これが、まさにレーザーでいろいろ物質を分離したり、化学的に分離したり、そういったものを総動員しながらこれからやっていかなきゃいけないと私は思っております。  ただ、技術はステップ・バイ・ステップで進めていかなきゃまいりませんので、今御議論になっているような、プルトニウムを取り出してこれを有効利用していくんだ、こういう技術の蓄積の上に今のような全体が開けていくんだ。だんだんと程度を上げていく努力を私どもはしようと思っておるわけで、いきなりどこか次の点へぽんとものが飛んでしまって、そこで初めて何か別のことが始まるというようには私は理解していないところでございます。  アメリカともこれから積極的にこういった協力を続けたいと思っておりますし、ロシアともヨーロッパとも、それからさらには、将来アジアともそういった関係の協力をしていくのが日本の役割かと思っております。
  104. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間が来ました。立地の問題を残しているのですが、いずれまた機会があると思いますから。  どうもありがとうございました。
  105. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 先ほど、プルトニウム241、十四年は正しいのですが、アルファ崩壊と言ったので、あれは間違いで、ベータ崩壊ですので、訂正いたします。
  106. 北側一雄

    北側委員長 斉藤鉄夫君。
  107. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫です。  前回、エネルギー基本政策、それから原子力基本政策について質問させていただきました。いよいよ法案の中身について、きょうは質問をさせていただきます。  今回、法改正の二つの柱は、一つは保障措置が強化されたこと、それからもう一つは、中間貯蔵という新しい概念が出てきたことでございます。まず、この保障措置について質問をさせていただきたいと思います。  最初質問は、外務省と、それから有馬大臣にお聞きしたいと思いますが、NPT体制そのものをどうお考えになっているかという質問でございます。  このIAEA保障措置の根拠は、核不拡散条約、NPT、その条約によってつくられたNPT体制でございます。これは、核保有国五カ国の核の保有は許す、しかし、そのほかの国は核兵器の保有を許さないという非常に不平等なものでございます。  現状でそれを凍結するというのだったらまだ理解できるのですが、現実には、アメリカ、ロシアを中心に臨界前核実験が行われている。臨界前核実験は、連鎖反応を起こす直前で実験をとめるわけで、核爆発を起こしているわけじゃないから構わないのだというのが向こう側の論理ですが、これまで莫大な核実験のデータの保有があった上でそういうコンピューターシミュレーションによって臨界前核実験を行うということは、それはある意味では核実験を行ったのと同じ知見が得られるわけで、現実には、これまでの核実験を行った国がどんどん核開発の技術を進めている、この臨界前実験によって進めているという現実がございます。そういう意味では、NPT体制というのは本当に現状の凍結ではなくて、核保有国と非保有国の核兵器に対する技術の差というのはもう拡大しているというのが現実でございます。  そういうことを考えれば、まさしく不平等条約なわけですが、このことについて外務省はどういう御見解をお持ちなのかということと、それから、直接所掌ではございませんが、大臣、このことについてどのようにお考えになっているのかお聞きいたします。
  108. 阿部信泰

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり、核不拡散条約におきましては、五大国に対しましては核兵器の保有が認められております。それは、条約ができました一九六七年の段階において、それはやむを得ないということで、それ以上の拡散を防ぐという趣旨で条約ができたわけでございますが、同時に、この条約は、核兵器国、非核兵器国に拡散をしないという義務を課すと同時に、核兵器国に対しましては核軍縮を誠実に進めるという義務を課しておりまして、日本としましては、この義務を事あるたびに強調しまして、ジュネーブの軍縮会議あるいはNPTの再検討会議、来年ございますけれども、そういった場を通じて、核軍縮の促進、条約に基づく義務の履行というものを核兵器国に強く求めるということを行っております。  残念ながら、最近におきましては、冷戦後かなり順調に進んできました戦略兵器の削減、これが戦略兵器削減条約第二号の批准がなかなか進みません関係で最近少し足踏みの状態がありますけれども、何とかこれを打開するように、アメリカ、ロシアに働きかけて核軍縮をさらに推進し、さらにはほかの保有国、イギリス、フランス、中国、これも含めた核保有国全体の核軍縮を進めるように働きかけてまいりたいと考えております。
  109. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 私は、一原子力研究者というか原子核物理学者として、軍事に原子核が使われるということは大変反対です。そういう意味で、多少不平等性があるという御指摘のとおりでありますが、やはりこのNPTは、原子力の平和利用ということ、それから核不拡散を両立させている大変重要な国際的な枠組みである。そういう意味で、各国における原子力平和利用の円滑な推進のためには、NPT及びこれに基づく国際的な核不拡散体制を維持することは極めて重要だと思っております。  日本といたしましては、原子力基本法の精神にのっとって、日本の原子力利用を厳に平和利用、平和目的に限定して推進していくということが大切だと思っています。国際的観点からも、NPTを遵守して世界の核不拡散体制の維持強化に貢献していくことが、日本の原子力平和利用計画的かつ着実に推進していく上で必要不可欠であると思っています。  もう一度申しますが、一原子核物理学の研究者としては、この原子核の持っているエネルギーはあくまでも平和の利用に使うべきだと思っております。
  110. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 大臣のお言葉、本当に重く受けとめました。そういう意味でもNPT体制を強固なものにしていかなくてはならない、こう思うわけです。  先ほどと同じことの繰り返しになりますが、NPT体制を強化するためにも、臨界前核実験については、はっきりとした、これは現実には核実験と同じであるという認識のもとに立って、日本が先頭に立って、アメリカやロシアの臨界前核実験に反対をしていく、またそのように働きかけていくということが大事なのではないかと思いますけれども、外務省の御見解をお伺いします。
  111. 阿部信泰

    ○阿部説明員 臨界前核実験に関する御質問でございますが、現在包括的核実験禁止条約というのがございまして、すべての核爆発はこの条約によって禁止されるということになっております。日本はもう批准を済ませておりますが、アメリカ、ロシアなどという国は、署名はしておりましたけれどもまだ批准をしていません。もちろん、署名することによりまして、条約の趣旨を尊重してその間既に核実験は行わないという条約上の義務はあるわけです。ただしこの条約によって禁止されておりますのは核爆発でございまして、その点は先生のおっしゃるとおり、臨界前でございますので、条約の文言から申しますとこれは禁止されているとは言えない。しかし、おっしゃいますとおり、臨界前核実験によりまして核兵器開発の技術をさらに促進できるということで、これは核兵器全体、核軍縮促進という観点から望ましくないものでございますので、今の段階としては、まず、アメリカ、ロシアという臨界前核実験を行っている二カ国に対して一刻も早く条約をそもそも批准させるということをさせまして、その上で、今後の課題として、この臨界前核実験も抑制し、最終的には禁止するという問題について国際的に取り組んでまいりたいと考えております。
  112. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 唯一の被爆国である日本として、外務省、ぜひその努力を続けていただきたいと思います。  今回、このIAEAの追加議定書作成をされまして、保障措置が従来に比べて格段に厳しくなったと言われております。どの点が厳しくなったのか、わかりやすくその追加議定書の中身についてお伺いしたいと思います。
  113. 阿部信泰

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  簡単にわかりやすくということで申し上げますと、従来のIAEAの保障措置協定におきましては、核開発、核兵器開発に使われるおそれのある、つまりプルトニウムと濃縮ウラン、この流れがどうなっているか、どこかで横流しされないかということを中心に保障措置を行うということでございましたので、濃縮工場、加工工場原子力発電所あるいは再処理施設、そういう二つの核分裂物質が動くところをずっと検証してまいったわけですが、イラクの隠れた活動とか北朝鮮の活動によって、どうもそれだけでは不十分であるということになりまして、その周辺部分の活動につきましても情報の提供を求めるということが加えられたわけでございまして、簡単に申し上げて、三つの分野で新しい義務が課されるということになります。  それは、一つは、これまで核物質を使っていたところだけが対象だったわけですが、今度は、使っていないけれども原子力関連の研究開発活動などが行われている場所、そういうものに関する報告が義務づけられ、情報の提供が義務づけられる、情報の提供でございます。  二番目には、従来はそういう核物質が流れる場所、例えば原子力発電所とかそういった場所が保障措置の対象になっていたわけでございますけれども、これからはそういったものが所在しない周辺の場所についてもIAEAの査察を認める義務を負う、場所的な拡大でございます。  それから三番目には、最終的に、もし日本が提供しました情報に関しまして疑義が生じた場合に、これを解消するためにIAEAが環境試料、土壌のサンプルなどをとりたいという場合には、IAEAが希望する場合にはその場所にIAEAの査察員が来ることを認める、こういう環境試料採取のアクセスを認めるという義務が生じます。この三つが大きなこの新しい追加議定書の強化された内容でございます。
  114. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 IAEAの追加議定書の変更はよくわかりました。  それでは、この追加議定書の内容が強化されたことが法案にどのような形で盛り込まれたのか、どのような形になっているのか、これもわかりやすくお願いいたします。
  115. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  新たな、いわゆる核物質ではないところの情報というものもIAEAに提供する必要がある。例えば遠心分離の回転胴の製造のところの情報といったものが例示として挙げられるわけでございますけれども、そういったものを新たに情報として提供していかなければならないということに関連いたしましては、原子炉規制法に報告徴収権限がございます。そこに新たに四項としまして、そういったことができるようにつけ加えてございます。これが一点でございます。  それから、場所の拡大、それから、環境サンプルをとるために、非常に極端に言いますと、あらゆるところということになるわけでございますけれども、IAEAがこういったところのサンプルをというふうな、今までのように核物質があるところではないところ、そういったところにもIAEAのアクセスを認めるということになるわけでございますが、それに関しましては、今まで立入検査ということで六十八条に一般的に立入検査の権限というのがずっと書いてあるわけでございますけれども、そこに新たにつけ加えまして、具体的には、六十八条の新たに新項を起こしましての八項が立入検査でございます。それから、立ち入りをいたしましたときに、当然のことながら、そういうところに封印をつけたりいろいろなこともいたしますので、その関連では、十三項という形で、今まで入ることができなかったところにも入ることができるという意味におきまして、立ち入りの場所の拡大というのが今の条文でなされてございます。  以上でございます。
  116. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 先ほど阿部審議官の御答弁の中で、イラクまたは北朝鮮という言葉があったんですが、この追加議定書が作成された背景、かなり強化をされた背景、これをどのように外務省としては認識をされておりますでしょうか。
  117. 阿部信泰

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  イラクはNPTの締約国でありまして、IAEAの保障措置に基づく査察も受けていたわけでございますけれども、九一年の湾岸戦争の後で、大量破壊兵器廃棄のための査察団をつくりまして国連が調査をしました結果、核開発の計画に基づく施設があったということが判明したわけでございます。  具体的には、ウラン濃縮のための機材、施設があることが判明しましたし、またプルトニウム生産の計画もあったというようなことがわかったわけでございまして、それが一つ重大な、条約を結び、査察を受けていたにもかかわらず、隠れてそういう活動がなされていたという具体例が出たという問題がございます。  もう一つの問題は、北朝鮮の問題でございまして、こちらもNPTには加盟しておりました。それに基づいてIAEAの査察を受けようとしていたわけですが、その段階で、具体的な査察が始まる前に北朝鮮側がこれを拒否するという事態が生じ、その結果、非常に深刻な核疑惑が生ずるということになりました。  このような、条約に入っているにもかかわらず、一つの場合には査察を受けているにもかかわらず、隠れて核開発がなされたということの経験を踏まえまして、それまでの保障措置に基づく査察ではどうも不十分であるという深刻な認識に至りまして、国際原子力機関におきまして追加的な査察保障措置の制度を定めようということで作業した結果がこの追加議定書でございます。
  118. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そうしますと、今回、追加議定書によって強化された保障措置をとれば、北朝鮮についてもイラクについても、その疑惑が晴れる程度の検査ができる、こういう認識でよろしいのでしょうか。
  119. 阿部信泰

    ○阿部説明員 私ども認識としましては、今度のような新しい追加議定書、これがすべてのNPT条約締約国によって締結されまして、新しい追加的な情報、場所、サンプル調査をすることによって、そのような隠れた核開発というものを防げるというふうに考えております。  そのためには、もちろん、イラクをしてまずそういう追加議定書も結ばさなければいけませんし、北朝鮮については、現在はNPTは凍結とか言っておりますけれども、これをちゃんと条約に復帰させ、IAEAとの保障措置に基づく査察も再開させ、加えて、新しい追加議定書を北朝鮮をして結ばせて、そこで初めてすべての疑惑の解決に向かえる、こういうことでございますが、これが私どもの現在の外交目標でございます。
  120. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 日本でも、この追加議定書批准に続いて国内法を今こうやって整備して、国内法の整備があって初めて現実的な効力を発揮すると思うんですが、現在、世界の中で批准している国がどの程度で、その批准した国の中で国内法を整備した国がどのぐらいあるのか。また、現実に疑惑対象となっているイラクや北朝鮮、その国内法の整備、我々が今国内法の改正審議をやっているわけですが、そういう国内法の整備も北朝鮮やイラクはやっているのかどうか。そもそも、そういう国なのかどうかということも疑問がありますが、その辺についてお伺いします。
  121. 阿部信泰

    ○阿部説明員 この追加議定書は、九七年にIAEAで採択されまして、それ以降、順次各国が署名、批准をしてきているわけでございますけれども、なかなか、ペースは極めて速いという状況にはございませんで、現在のところ、四月一日現在ですが、署名国が三十五カ国、これが批准を終わりまして発効しているのは五カ国ということで、数的にはまだいまだしという状況にございます。発効している国につきましては、当然、国内的に必要な国内法の措置をとって実施できる状態になっているということでございますが、その他につきましては、まだ依然、国内的にも整備の段階にあるというふうに承知しております。  我が国としましては、できるだけこの追加的保障措置の署名国をふやし、批准国をふやすという外交努力を行っておりまして、特にそのような核開発が疑われている国につきましては特段の外交努力を行っているところでございまして、例えばイランのような国につきましては、私自身がこの一月に先方の軍縮担当の局長お話をしまして、イランは現在は穏健派の政権になって、外交的にも国際的な協調のもとに進もうという状況にありますので、そうであればこそ、ぜひ早くこの追加議定書を締結してほしいということを働きかけてまいりました。先方は、基本的には自分らは賛成であるし、問題はないと言っておりますが、若干関連する条件があるというようなことも言っておりますので、そういった点をできるだけ早く突き崩して、イランのような国に対して、署名、批准に持っていきたいと考えております。
  122. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 この保障措置強化の発端となったイラク、北朝鮮についてですが、NPT体制に入って誠意を持ってやるようにというふうに働きかける、これは当然といたしまして、もっと広い意味で、このイラク、北朝鮮に対して我が国の外交の基本方針がどういうものであるのか、ちょっと漠然とした質問ですけれども、これについてお伺いします。
  123. 阿部信泰

    ○阿部説明員 イラクの場合も北朝鮮の場合も、我が国としては、そういった国が平和で豊かな繁栄した国になるということを希望しておるわけでございまして、したがって、イラクにつきましては、国連の大量破壊兵器廃棄の決議を遵守しまして、平和な国として発展することを期待しておるわけですが、そのためには、現在中断された状況になっております国連の大量破壊兵器の査察活動、これを早く再開させ、あるいは最終的には、その確認がとれれば次の段階の継続的査察という段階に移動する。最後、制度的には核不拡散条約に基づく一般的な査察とか化学兵器禁止条約といろいろなものに移れるわけですが、まだそこに至っていないので、まずそこに早く行きなさいということを働きかけております。  北朝鮮につきましてはもっと難しい状況にあるわけでございますが、政府としては、対話と抑止の路線に基づきまして、北朝鮮とも建設的な対話を進めることによって、平和な国、また経済的にも現在の苦境から抜け出せるように働きかけてまいりたいと思いますが、その間において大量破壊兵器の開発、核兵器の開発ということを行わないように政府としては努力してまいりたいと思いますが、現在の段階では、残念ながらそれに関する話し合いを北朝鮮と持つ段階には至っておりません。すぐれて現在はアメリカが北朝鮮との間で核問題、ミサイル問題の話し合いを行っておりますが、これについて、現在の段階としては、やむを得ませんのでアメリカと緊密に連絡を保って、日米の一致した努力としてアメリカに北朝鮮に対応していただくということの努力をしておるところでございます。
  124. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 北朝鮮に対しましては、不審船の問題、またテポドン、拉致の問題、いろいろあって大変という状況はよくわかりますけれども、朝鮮エネルギー開発機構、KEDOに日本は出資しているわけで、私は、ここを一つの窓口として、北朝鮮と日本が友好な関係になって、北朝鮮がNPT体制の中に入ってきやすい環境をつくっていく、そういう努力を外務省としてもぜひしていただきたい、このようにお願いします。  それから、保障措置の中身ですけれども、このように保障措置が強化され、それが世界の中で非常に重要ということなんですけれども、今回、これまでほぼ国が行ってきたこの保障措置にかかわる検査行為、これを民間でもできるような、そういう変更がございました。一方で保障措置のグレードを上げ、強化しなければいけないと言われる中で、民間もその検査に加われるようになったというのは、ちょっと素人考えでは逆行するのではないか、このように思うわけですが、この点について、わかりやすい説明をお願いします。
  125. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  民間でもと申しますか、民間でも任意に、随意にできるというふうな性格のものではないだろうと思うわけでございます。これは、あくまでも民間の一定の能力のあるところに行わせるという意味でございまして、言ってみれば、国が一定の義務を負っておる、その枠組みの中で、その義務の履行の仕方といたしまして民間の力を活用するという性格のものだろうというふうに思うわけでございます。  このような道を開こうとしております背景といたしましては、今後ますます保障措置関係の業務というものが、施設がふえてくる、特に再処理施設というものが将来運開を迎えるわけでございますが、そういったふうなことを考えますと、業務が増大をするというふうなことが予測されるわけでございます。そういうふうなことでございますと、その業務というものに適切に対処するということからいたしますれば、従来より行われてきておりました検査業務で既に定型化したもの、裁量の余地のないもの、こういうものにつきましては、民間の技術能力のあるところの力をかりて行ってもらって、そのアウトプットというものを国の中に溶け込ませていくという形で、同じ機能といいましょうか、実効性というのは上がるではないか。  一方、国といたしましては、国でなければ行い得ない、いわゆる国家公務員を擁して行うべき性格のものというところにシフトいたしまして、保障措置のより効果的な実施を図ろうという趣旨に出るものでございます。
  126. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 この保障措置にかかわるいろいろな検査を通じて、いわゆる民間の原子力産業が持っている企業秘密でありますとか技術ノウハウ、そういうものが漏えいするおそれがあるのじゃないかというふうなことが言われております。  先週、実は、参考人質疑をこの委員会でさせていただきまして、この質問を専門家の先生にもお聞きしたのですが、そんな心配は全くない、こういうお答えでしたけれども政府としては、こういう民間ノウハウの流出ということと保障措置の強化ということの関係についてどのように認識されているか、お聞きします。
  127. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  一定の情報の提供ないしいわゆるIAEA査察官がある場所に立ち入る、こういったことによりまして、一種の商業機密にアクセスし得る機会というのが可能性としてはあるということだろうと思うわけでございますが、そういった側面におきましては、私どもがいわゆる留意をするといいましょうか、提供する情報ということに関しましても、今の商業機密の保全ということに関しましてはきちんとした留意をいたしたい。そして、立ち入る場所といったことにつきましては、IAEAの査察官が入ります際には、いわゆる日本側の査察官等の同行というのを必ず必要とするという形になってございますので、その辺の配意というものも十分に払ってまいりたいというふうに思うわけでございます。  一方、今回のIAEA追加議定書及びIAEAの中におきましての就業規則的なもの、こういった枠組みの中におきまして、その秘密の保全ということに対しましては非常に厳しい枠組みというものが用意をされておるというふうに理解をいたしてございます。
  128. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 その点、わかりました。  これも先週、当科学技術委員会福島第一原子力発電所を視察してまいりました。乾式、湿式の使用済み核燃料貯蔵を見てきたわけですが、同時に原子力発電所も見させていただきました。IAEAの保障措置のいろいろな器具が置いてあったり、いろいろな仕掛けがしてございました。それを見て、委員の方から、ここまでやる必要はあるのか、日本にそういう核兵器開発をする意思は全くないというのは、これは自明のことであって、そういう中でここまでやる必要はあるのかという意見が出ておりました。そうはいいましても、日本だけ特別扱いにするというわけには国際社会の中でいかない、これも理解できることです。  ただ、一般の工業社会の検査ですと、非常にいい成績が続きますと、例えば抜き取り率を下げる。統計学的に信頼性を損なわない、過去のデータも考慮すれば抜き取り率を下げたからといって決して信頼性が損なわれることはないという数学的な裏づけの範囲で抜き取り率を下げる。検査を緩くするわけですね、わかりやすく言うと。  そういうことが一般的にとられて、それが経済合理性にも合致しているわけですけれども、このIAEAの保障措置にかかわる検査にもそういう考え方は取り入れられていいのではないか。イラクや北朝鮮と同じレベルでこの日本の原子力産業が保障措置の検査に協力する必要はないと言ってはちょっと語弊がありますけれども、それは余りに不合理ではないかという意見が、視察をした委員の中から自然発生的に出てきまして、みんな、そうだそうだ、こう言ったわけですけれども、この点に関しましては、こういうことはできないのでしょうか。
  129. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  まさに先生おっしゃられた点につきましては、私どもも感覚的には大変理解のできるところ。  もうこれは繰り返し申し上げる必要は全くないことかもしれないのでございますけれども原子力基本法というのがありまして、「平和の目的に限り、」と大原則が書いてある。と同時に、それを実行するために、原子炉規制法におきましては、設置許可等の基準におきましてもきちんとそこのところは書いてある。そうでない活動というのは一切許されない形で法の枠組みがきちんとでき上がっておるわけでございますから、国内的にはまさに先生がおっしゃられたような感覚であろうというふうに思うわけでございますけれども、事これは、やはり国内だけで我々はそうですよということを幾ら言っておっても、国際的にそれを信用してもらうということがもう一つの側面として大変重要。国際的に信用してもらう。いかにクリーンな手を持っておっても、それを国際社会が大変きれいですねということを認識をして信頼をするというための方途といたしましての意味というのが大変大きいんではないか。いわゆるプルトニウムを含めまして原子力開発、平和利用というものを進めていく、そういう国にとりましてはその意味というのもまた大きいんではないかということで、日本だけというのはなかなか現実的には難しいということなのでございます。  一方、いわゆる査察というものを効率的に行うためのできる限りの努力というのは私ども不断にやってきてございまして、例えば一例を挙げますと、機器の開発でございます。監視カメラというものをより高性能度化していくとか、それを遠隔操作でもって用いることができるようにしていくとか、そういう形でもちまして、事業者の方への、どの程度のバーデンかというのはいろいろ議論があろうと思いますけれども、そのバーデンというのを極力落としていくというための、機器を活用しての努力というのを引き続き行ってまいりたいというふうに思ってございます。
  130. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 原子力をほかの発電手段といろいろなことで比較するわけですけれども、そのときに、ほかの化石燃料や化石燃料発電にはない要素として、原子力にはIAEAの保障措置、NPT体制というものがある。それに対してどの程度のコストがかかっているのかというのは実は今まで余り聞いたことがないので、これからベストミックスを追求していく上でコストも重要な要素、そのコストの中にこの保障措置がどの程度の割合になっているのか。これはなかなかちょっと難しい計算になると思うんですけれども、例えば、日本がIAEA体制にどれだけ出資をしているか、また現実の現場でどれだけのお金がかかっているのか、人件費がかかっているのかということを一つ一つ調査しなければいけないことだとは思うんですが、大体、ネグリジブルスモールで、ほかの発電方法と考えていくときにその点は考慮しなくてもいい程度だとか、そういう定性的な話で結構なんですけれども、この点はどうなんでしょうか。
  131. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘になられました側面におきましての一種のコスト計算と申しましょうか、実は私ども大変申しわけございませんが、なしたことはございません。  ただ、例えば原子力発電所におきましての査察の頻度とかいったものを見てみましたときに、年四回でございます。それを受け入れる発電所側のいわゆる労力といいますものがどれくらいなのか、それから、一定期間におきまして報告をなす義務もかけておるわけでございますが、その報告徴収をするために様式がございまして、それを埋めまして提出をする費用というのがどれくらいかというふうなことをごく簡単に、直観的に見てみましたときに、それこそ大変低い数字ではないかというふうには認識をいたしてございます。
  132. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 原子力が核兵器に転用されることがないということの保障、これは非常に重要なことでございまして、その得られる成果から考えれば、かかっている費用はほとんど無視できる程度のものである、こういう認識だと思いますけれども、わかりました。  保障措置についての質問は以上でございます。今回の法改正が、より実効的な世界の平和、原子力の平和利用、平和開発に資することを希望いたします。  では次に、もう一つの柱でございます中間貯蔵について質問をさせていただきます。  先ほど申し上げましたように、福島第一原子力発電所を視察してまいりました。プール、湿式と乾式を見てきたわけですけれども、意外と小さい。貯蔵プールも意外と小さい。その貯蔵プールの外に出ますと広々とした敷地がまだ広がっておりまして、何で敷地内貯蔵でいけないんですか、逼迫してくればちょっとそれを拡張すればスペースもいっぱいある、地元の了解という面でもコストという面でもその方がいいんではないか。かつ、その方が中間貯蔵中間という意味も明確になってくるんではないか。また、発生者責任も当然明快でございます。その発電所から出た使用済み核燃料。そういう意味では、なぜ中間貯蔵施設をつくらなきゃいけないのか、敷地内貯蔵で十分ではないかという率直な認識を、行った委員また持ちまして、みんなそうだなと言い合いながら帰ってきたんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  133. 稲川泰弘

    稲川政府委員 原子力発電所内使用済み燃料貯蔵状況でございますが、海外再処理工場への使用済み燃料の搬出が終わったということから逼迫傾向にございます。今後の使用済み燃料発生量、国内再処理能力等を勘案して所要の貯蔵施設を確保することが必要というのが今の状況でございます。  ただ、発電所内の貯蔵が長期化することを懸念する発電所立地自治体側からは、将来的な貯蔵方法及びその具体的な計画、方針などを早期に確立すべきだという強い要望が寄せられております。  既に貯蔵状況が逼迫をしております幾つかの発電所では、当面の発電所内の貯蔵能力の増強で短期的な対応を図っているわけでございますけれども、その短期的な対応の了解を得る際に、発電所外における中間貯蔵施設実現を強く求められているというのが実態でございます。こうした地元状況も踏まえまして、発電所外において使用済み燃料中間的に貯蔵することを目的とする施設を整備するための今回の改正法案を提出したところでございます。  なお、貯蔵の技術あるいはコスト、この点につきましては、敷地の中、外、大差はございません。
  134. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 御答弁をお聞きしておりますと、あくまでも地元の都合だということなんですが、中間貯蔵施設をつくるとなりますと、そこに新たなまた地元が出てくるわけで、その地元も長期になることを大変懸念をしている、恒久化を懸念している。同じことなんじゃないかなというふうな気がいたします。  あくまでも長期化はさせないということで新たな中間施設というものをつくるよりも、現在プールなり乾式のところがあるその地元の方に了解をいただいた方が原子力全体から見れば合理的なんじゃないかなと思いますが、この点についてはいかがでしょう。
  135. 稲川泰弘

    稲川政府委員 核燃サイクル政策全体にかかわる、またそのスピードに関します各方面の御理解を十分に得ていく必要があるということかと思っておりますが、現在の原子力発電所所在のところでは、従来から、核燃サイクルのテンポをかくのごとく進めていくということを説明して現在に至っております。  残念ながら、その各核燃サイクルの工程、事業化、再処理でございますとかプルサーマルでありますとか、そうした工程に現在までいろいろな意味でのおくれが生じてきたことは事実でございます。そうした事実の中で、立地所在県の中に政府、電力事業者の今後の姿勢についてのある種の信頼性を損なってきたこともまた事実であろうかと思います。  そうした意味で、現在までの経緯の中で、発電所外で貯蔵をする、核燃サイクルの中に位置づけるという計画を明らかに見せろという御趣旨でございますので、そちらに向かっては、過去の経緯にもかんがみて、そうした対応をとるべきものだと理解をいたしてございます。  また、この中間貯蔵を行うべき新たな立地についても、決して容易なものであるとは理解をしておりませんが、それはそれで、こうした核燃サイクル現状、現在に至るまでの経緯、その中での中間貯蔵及びその技術的安全性その他を、立地地点のみならず一般の消費地点も含めて、全体像を御説明しながら御理解を得てまいりたい、かように考えてございます。
  136. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 中間貯蔵事業主体はそれでは一体だれになるのか、その際の発生者責任はどうなるのか、この二点、お願いします。
  137. 稲川泰弘

    稲川政府委員 使用済み燃料中間貯蔵事業につきましては、既に原子力発電所内において使用済み燃料貯蔵を安全に実施してまいりました実績を有します電気事業者の技術的蓄積を活用するということを中心として、これを安全に貯蔵を行うことをできる者が事業を行うことになります。  具体的な実施の形態は、電気事業者がみずから行います場合と電気事業者が第三者に委託する場合とに分かれます。また、第三者に委託する場合は、さまざまの業者の民間企業等が想定されるわけでございます。  ただ、いずれの場合におきましても、この提案を申し上げております法改正に基づきまして、技術的な基礎、経理的な基礎について審査を行い、信頼に足る者がこの事業を担当するよう、安全確保に遺漏のないよう図ってまいる考えでございます。  発生者責任についてのお尋ねがございましたが、電気事業者が所有をいたします使用済み燃料は、中間貯蔵のために中間貯蔵施設に移されたといたしましても、原子炉規制法六十一条の規定によりまして、貯蔵事業者への譲渡が制限されております。譲渡することができません。したがいまして、その所有権はあくまで電気事業者が有することになります。これによりまして、電気事業者は、中間貯蔵終了後に使用済み燃料を引き取り、再処理すべき責任を負っているところでございます。
  138. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 先日の質問の中で、高速増殖炉路線については有力な選択肢である、こういう御答弁がございました。有力ではあっても選択肢ということでございますので、選択されなかった場合ということが考えられるわけですけれどもFBR路線が選択されなかった場合、この中間貯蔵施設はどうなるんでしょうか。  この使用済み核燃料資源の宝だということで、あくまでも中間貯蔵としてこの資源を保ち続けるという形で倉庫の役目をするのか、それとも、使用済み核燃料はもう最終処分してしまう、そのごみの倉庫としての役割になるのか。  質問の趣旨が別な方向に行ってしまいましたけれども、二つの質問が入ってしまいましたけれども、お聞きします。
  139. 稲川泰弘

    稲川政府委員 FBRについてでございますが、核燃サイクル政策、これは我が国原子力政策の要諦でございまして、その中核にFBRというものが位置づけられております。ウラン資源利用を効率的に、飛躍的に高めるということが可能なことから、今後着実に研究開発を進めるべきものだというふうに考えてございます。  この研究開発のあり方につきましては、原子力委員会高速増殖炉懇談会で、平成九年十二月に開発のあり方が取りまとめられ、御指摘のような、将来の非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢として研究開発を進めることが妥当という結論が出されておりますが、通産省といたしまして、この懇談会における結論を踏まえ、FBRの実用化の可能性を追求するための研究開発を着実に進めることが重要、かような認識でございます。  従来から、再処理をして得られるプルトニウムにつきましては、FBRが実用化されるまでの間、プルサーマル及び「もんじゅ」等の研究開発利用するというのが基本的な考え方でございます。核燃サイクル路線というのは、長期的な視点に立ちまして順次各工程の事業化を着実に進めていくものでございまして、現時点で最も確実なプルトニウム利用方法であるプルサーマルについて、まずこれを着実に実施することが重要、こういうことでございます。  したがいまして、お尋ねの二点目につきましては、この使用済み燃料は、再処理されるまでの間、適切に貯蔵をする、この趣旨において変わりはございません。
  140. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 平成六年策定の原子力長期計画には中間貯蔵という概念はありません、らしき言葉はちょっと出ておりますけれども。当面は発電所内で貯蔵することを原則とするが、将来的な貯蔵の方法等についても検討を進めるという形で出ております。しかし、中間貯蔵という概念はございません。  まず、今回、法律審議をしているわけですけれども、長期計画に載せて全体での位置づけを明確にしてから法制化すべきではなかったかと考えますが、これについてはいかがでございましょうか。  それから、平成六年から現在まで五年間ですか、この中間貯蔵という言葉が初めて出てきたわけですけれども、これは、この間に起きたもろもろの核燃料サイクルの事故、不祥事と関係があるのか。また、核燃料サイクル政策の破綻ではないのかという指摘がございますが、これに対してはどういう御見解か。また、このような状況に立ち至った理由、また、今後の長期計画改定に向けた見通し。  どっと質問しましたけれどもお答えください。
  141. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点、現行長計、これは平成六年六月、五年前でございますけれども、そこには何も書いていないじゃないかという御指摘でございますけれども、一部何かそれらしきことが書いてある。それらしきことではないというふうに私ども理解をいたしてございまして、そういった具体的な問題が生ずるということをきちんと見通しまして、その問題を検討しなさいということが指示をされておるというのが今の長計であるというふうに認識をいたしてございます。  したがいまして、その長計を受けました後、平成九年一月の段階原子力委員会は、その核燃料サイクルを円滑に展開していくことが不可欠であるということを改めて確認した上で、以下のとおり関係の施策というものを進めるべきということでもちまして、使用済み燃料管理ということにつきましては、今のいわゆる中間貯蔵といったことの問題につきまして、「従来からの発電所敷地内での貯蔵に加えて、二〇一〇年頃を目途に発電所敷地外における貯蔵も可能となるような所要の環境整備について早期に結論を得るべく、関係省庁と事業者からなる具体的な検討の場を早急に設ける必要がある。」こういう御指示もいただいてございまして、もちろん、その直後の閣議了解におきましても同様のラインというのが示されておるわけでございます。  それに沿って検討を進めてきた結果、今の状態というものが、中間貯蔵というものを具現化すべき、そういうふうな時期に立ち至ったという判断のもとに、今回御審議をお願いしておるというのが今までの経緯であろうかというふうに思うわけでございます。  それから、もろもろの不祥事と申しましょうか、事故等があったりいたしました。それとの関係ということにつきましては、私どもは、その事故、不祥事といったことに伴いまして、いろいろなところがとまったり停滞をしたりした状態、それがまだ回復できていない側面もあるわけでございますけれども、そういうふうな一つの流れということをかんがみてみた場合に、それによってこの問題というのを考えざるを得なくなったということでは決してないわけでございます。いわゆるスペントフュエルのフローを見てみた場合も、それからプルトニウム利用方向というものを見てみた場合も、今の部分的にとまってございます事象が生じたからこれをやらざるを得なくなったという脈絡にはございません。  それから、破綻ではないかという点につきましては、これは、先ほど来の長期計画長計での考え方というもの、それを敷衍して展開をしつつあるということでございまして、私ども認識といたしまして、破綻というものが生じた、それによってつじつまを合わせようというふうなものでは決してないというふうに認識をいたしてございます。  それから、長計改定の見通しということでございますけれども、昨年の秋以来、予備的な検討というものを進めてまいりました。近々、原子力委員会としまして、正式に長計改定というものをスタートするという運びになってございます。その過程の中におきましては、この問題につきましても、より明確な形での御指示がいただけるものというふうに思ってございます。
  142. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 この中間貯蔵の現実の立地としては、今どういうところを考えていらっしゃるか。これはなかなか答えにくい質問でしょうから、質問としてはさせていただきますが、立地としてあるべき姿、地理的、地勢学的、地質学的にこういうところが望ましいというふうなものがあるのかもしれません。立地についての考え方をお伺いします。
  143. 稲川泰弘

    稲川政府委員 中間貯蔵施設の具体的な立地地点及びその地勢学的あるいは地理的な条件等について、現在定まっておりません。早急にこれを実現すべく、今後最大限努力をしたいと考えてございます。  その際、貯蔵施設の国内外の実績、既に三十年の国内の実績、安全に操業されてきている実績がございます。そうした安全性、貯蔵技術の情報を積極的に公開をいたしまして、電力消費地を含めて幅広く、国民の皆さん方にわかりやすく説明をしていくということが重要だと考えてございます。  他方で、この中間貯蔵施設実現の重要性にかんがみまして、立地が円滑に進められるとともに、この施設立地地元地域の振興に資することになるように地元振興策の実施があわせ必要かと考えてございまして、所要の予算を組み、今後の対応を進めていくことといたしてございます。
  144. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そうしますと、地元理解さえ得られればどこでもいい、地質とか地勢とかそういうことは余り関係ない、こういうことでしょうか。
  145. 稲川泰弘

    稲川政府委員 もちろん、地盤、周辺との距離関係等々の問題がございますが、原子炉本体を設置する場合と比べまして、安全上要求されるレベルは高くないと理解をしてございます。まずは地元理解をいただくことが最も今肝要な状況であるかと認識をいたしてございます。
  146. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ほぼ同様な施設が既に敷地内にあるわけですが、やはり中間貯蔵という新たな概念である以上、新たな安全基準、安全規制また技術基準を新たにつくるんでしょうか。
  147. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘のとおりでございます。今回改正をいただきます法律に基づきまして、中間貯蔵施設にかかわる安全規制、技術基準につきまして、今回の法改正後、慎重に検討を進めて、政省令で詳細な手続、基準等を定めることといたしてございます。  また、原子力安全委員会におかれましても、本年の二月一日、今回の法改正につきまして、「今後、中間貯蔵施設の安全確保に関し適用すべき基本考え方につき、具体的検討を進めることとする」という決定を行っておられまして、今後、具体的な審査指針等の検討に入るものと認識をいたしてございます。  いずれにしましても、これまでの我が国原子力発電所における実績、技術基準の整備状況、これを踏まえながら、安全委員会における検討と連携をとりつつ万全を期してまいりたい、かように考えてございます。
  148. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 この中間貯蔵施設規制者は通産大臣ということのようでございます。質問しておりましても、ある質問は通産省さんがお答えになる、ある質問は科技庁さんがお答えになる、私はどこでどう振り分けられているのか全然わからないんですが、核燃サイクル規制は科技庁という一般的な頭があったものですから、今回、この中間貯蔵規制者が通産大臣になるというのは、ちょっと今までと方針が変わってきたのかな、省庁再編とも関係があるのかなとも思ったりするんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  149. 稲川泰弘

    稲川政府委員 現在も、商業用原子炉にかかわります各種の規制は通産省で行ってございますが、中間貯蔵を行うことを想定しております使用済み燃料、これは、主に通産大臣規制の権限を持っております実用発電用原子炉から生ずる使用済み燃料でございます。そうした実態にかんがみた対応をとってございます。  加えて、これら実用発電用原子炉から生じております使用済み燃料貯蔵は、基本的には既に発電所内で行われている貯蔵と同様でございまして、中間貯蔵施設安全審査を行うに際しましても、五十二基の実用発電用原子炉に伴います貯蔵施設を安全に審査、検査してまいりました通産省の安全規制の経験を活用するということが適当であるという考え方でございます。  こうした考えが、この中間貯蔵規制を通産大臣が行うことが適当であると判断をした背景でございます。
  150. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 しかし、核燃サイクルの一部であるという御答弁もございました。そういう意味では、原子力安全委員会、これは当然ですけれども、科技庁とも密接な連携をとりながら計画を進めていかれる、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
  151. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘のとおりでございます。科学技術庁と密接な連携のもとで今後の対応考えてまいりたいと思います。
  152. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 先日、六ケ所の再処理工場の操業開始おくれが発表されました。中間貯蔵施設計画にこのおくれがどのような影響を与えるのかについてお伺いします。
  153. 稲川泰弘

    稲川政府委員 六ケ所再処理工場の操業、二〇〇三年一月から二〇〇五年七月まで、二年六カ月のおくれが発表されてございます。この結果といたしまして、使用済み燃料貯蔵対策必要量は二年半分増加をいたします。  具体的には、六ケ所における再処理予定量が後ろ倒しになりますために、当初の見込みに対して、二〇一〇年の対策必要量は約千六百トン・ウラン増加をいたします。したがいまして、二〇一〇年ごろに約七千七百トン程度、二〇二〇年には一万六千二百トン程度の中間貯蔵施設が必要となると考えてございまして、この当初の千六百トンの増加が後々増加分としてあらわれてくるというものでございます。
  154. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 最後に、有馬大臣にお伺いをいたします。  今回の法改正は、先ほど申し上げましたように、保障措置の強化と中間貯蔵改正の柱でございます。一見何の脈絡もない二つの独立した改正という見方もできるわけですけれども、しかし、使用済み核燃料というのは宝の宝庫でもあるし、しかし核兵器にも転用できる可能性も伴う。そういう意味では、保障措置の強化ということもこの中間貯蔵施設と密接に関連しているのかなという感じも、この議論をして、今してきております。  原子力行政の最高責任者といたしまして、今回の法改正と、これから原子力行政を行っていかれる上での御決意を最後にお伺いいたします。
  155. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 まず、今後とも、日本のみならず世界的にエネルギーの需要というのはふえていくと思いますね。日本の社会が、二十一世紀、さらにその先の世代にわたって安定した発展を遂げていくためにも、やはりエネルギーの安全確保が非常に大切なことだと思っています。  一方また、環境汚染の問題、地球温暖化防止のための世界的な取り組みが活発に行われているところでございます。そういう意味で、今までに増して地球環境への配慮をしながらエネルギー問題を考えていかなければならないと思っております。  そこで、一つの行き方としては新エネルギーということがあるのですけれども、現在の研究開発という状況では、とてもとても日本の必要なエネルギーというものが新エネルギーだけで確保できるとは思いません。しかし、絶対に新エネルギーの研究開発はしていかなければならないし、それは利用していかなければならない。特に、先生指摘のような宇宙空間での太陽光の利用、そしてそれを地球上へ持ってくる、まだ夢でありますが、そういう研究もさらに進めていかなければならないと思っています。こういうふうな状況をさまざまな点から考えまして、やはり一番いいエネルギーの組み合わせは何であるか、これから真剣に考えていかなければならないと思います。  その中で、原子力というものの持っている有利な点というのは、やはり供給が非常に安定しているということ、それから発電過程で炭酸ガスその他の、NOxにせよ、硫黄化合物などを発生しない、空気公害を起こさないという特徴があるということと、現実問題として既に総電力の三五%を発電している重要なエネルギーである。こういうふうなことから、今後とも着実にその研究開発利用を進めていかなければならないと思っています。  特に私自身は、加速器などによる使用済み核燃料の消滅処理というふうなことは新たな問題として大いに研究を進めていかなければならない、それからまた、核融合というものも絶対に研究を進めていかなければならないと思っています。  今後とも一番重要なことは、特に日本として重要なことは、平和利用を必ず推進する。この平和利用を堅持していく、そして安全を確保していくということを大前提にして進めていかなければならないと思っています。そういう努力をしながら国内外の理解と信頼を得るような努力をして、そして原子力研究開発利用の着実な推進を図っていきたいと思っております。
  156. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  157. 北側一雄

    北側委員長 吉井英勝君。
  158. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。  私は、この原子炉規制法改正案の審議に当たりまして、最初に、原発がどんどん増設されていく、増加に伴って使用済みの核燃料がふえるのは当たり前の話です。その発生量、これは各原発サイトごとに、暦年で使用済み燃料が幾ら発生したのか、毎年の総合計で何トン・ウランかをまず聞きたいというふうに思うわけです。六六年に日本で原発の運転が開始されて以来のデータ、持っていらっしゃったら国会へ出してもらうことができるわけなんですが、まず、これは国会の方へ出せますか。
  159. 稲川泰弘

    稲川政府委員 提出を申し上げます。  若干背景を御説明申し上げますが、原子炉規制法に基づきまして、電気事業者に対して、毎年の燃料の受け入れ量、炉内挿入量、炉外取り出し量等について計画の届け出を受けております。また、この炉規制法の規定によりまして、これをそれぞれの発電所において記録、保管をするべく義務づけを行ってございます。また、電気事業法に基づきましては、これらの数量について報告を受けてございまして、この中で御指摘使用済み燃料の数量を把握しているところでございます。  各年の総集計というものを現在まで、各年それぞれの総数量について、行政目的上必要がなかったというのはまた言い過ぎでございますが、集計をいたしてございません。したがいまして、今現在手元にはございませんが、お求めがあれば御指摘のような数字として提出を申し上げます。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  160. 吉井英勝

    ○吉井委員 それは、各原発サイトごとに暦年のデータで出してもらえますね。これを確認しておきたいんです。
  161. 稲川泰弘

    稲川政府委員 お求めの形、内容で御提出を申し上げます。
  162. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、現在までの毎年の使用済み核燃料の発生量、それから海外委託処理や東海再処理工場に持ち込んだ移送量、幾ら移したか、原発サイト内の貯蔵量、そして貯蔵対策必要量、そして、サイト内の現在の貯蔵プールが満杯になるのがいつと目されるのか、その後の計画されている使用済み核燃料の発生量、それから国内再処理工場への移送量、その稼働状況に見合った処理量と貯蔵対策必要量の推移、こういうものも各原発サイトごとに明らかにして提出してもらえますね。
  163. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘の数字、そのとおり提出を申し上げます。かつ、サイトごとの数字も提出を申し上げます。
  164. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは、昨日のレクチャーのときとは違って、随分実は前進しているんです。  私、なぜこのことを申し上げるかと申しますと、これは大臣も閣議に加わられたPRTR法案、化学物質の移動登録、これは当たり前のことだと思うんですね。レイチェル・カーソンの「沈黙の春」などで指摘されているように、核と化学物質については、環境の面でも生物の面でも人類社会に長期にわたって非常に影響を及ぼすものですから、きちっと把握する。これは、PRTR法の考え方の出発にあると思うんです。  そういう点で、核物質についても、不思議だったのは、きのうも、これ質問しますからと聞いたら、出せない、データを持っていない、わからないというお話だったんですよね。私は、これは非常におかしいと思ったんです。  大体、この法案審議するにしても、各サイトごとに暦年で幾ら使用済み燃料が発生して、どこへ移動して、どこで幾ら貯蔵しておって、どう処理したか、これがつかめないようだったらもう根本的におかしいわけですから。これは、今そういう答弁がありましたが、法的にPRTR法のようにきちっと移動を明確にする。もし、たまたま、法律はないんだけれども一応報告を出させてきたんだが、本当は法律上の手だてが必要だということであれば、それも必要でしょう。  私は、こういう点では、まず大臣最初に伺っておきたいのは、今後、核物質、これは処理済み後のプルトニウムの、どこにどう行っているかというのも含めて全部把握して、そして明らかにする。それは必要ならば、その場合には法的な手だても含めて、政府としてはきちっとしてそれを明らかにする立場に立つ、その点だけ大臣の方から伺っておきたいと思います。
  165. 青江茂

    青江政府委員 プルトニウムの、どういう状態でどこにあって、どのように移動をしておるのかということにつきましては、私ども、いわゆる核物質の計量管理ということを保障措置の仕組みの中で持ってございますので、それにつきましては全量把握をしてございます。そういう状況にございます。
  166. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 原子力の開発利用におきましては、国民の理解と信頼を得ることが不可欠でございますね。そのためには、一つだけ情報を除いておかなきゃいけないことは、核物質防護等に関する一部の情報、これは除かなきゃいけませんけれども、原則としてすべての情報の公開と公開された情報の迅速かつわかりやすい提供、私は常にわかりやすいということを強調しておりますが、提供を通じて原子力に関する透明性を高めていくことが極めて重要と認識しております。
  167. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、私、なぜこれを問題にするかといいますと、使用済み燃料は、いわゆる燃焼度がその時点で幾らであったか、そういうものによってプルトニウムのそれぞれの同位体がどれぐらい転換されているかとかわかってこそ、その再処理前のものもつかめるわけですね。  科学技術庁の方からさきにお答えいただいたのは、あくまでも再処理して抽出後のプルトニウム管理の話なんです。やはり、今後、国際的にもこれをきちっとしないと問題がありますから、大臣答弁にありましたように、そのことを、燃焼度も含めてきちっと発表するということでやってもらいたいというふうに思います。これはエネ庁の方、それでいいですね。
  168. 稲川泰弘

    稲川政府委員 先ほど来お答えを申し上げておりますように、現状の体制で把握をしておりますし、把握をしている内容の数字につきましては、御必要なものはこちらの方に提出を申し上げます。
  169. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、年次別の東海再処理工場の設計処理量と実績値、これは当然出ると思うのです。  これは長期計画の方でも、最大処理量で年間二百十トンですか、明記されておりますから、そうすると、これは大体どの程度の稼働状況であったのか、再処理工場能力は大体どの程度のものなのか。これは、発展途上という一つの見方はあるにしても、七七年から九七年の八百七十トン、九八年六月現在九百四十トンという数字はありますが、それでいきますと大体二〇%というふうに見ていいかと思うのですが、この点はそれでいいですね。
  170. 青江茂

    青江政府委員 稼働の実績ということにつきまして、確かに、東海再処理工場の操業をスタートさせました当初におきまして、規模の問題としまして、年二百十トンといったふうなことを申し上げた事実というのはございますが、それからずっと時間がたちまして以降におきましては、二百十トンといういわゆる看板というのは取り下げてございまして、一日当たりの最大の処理能力というのは〇・七トンでございますということを近時におきましては申し上げてきておるわけでございます。  二百十トンに対しまして、実績の問題といたしまして、稼働しまして、平成八年までの二十年間の稼働実績というものを平均して眺めてみましたときに、年処理量が四十六・八トン程度でございますので、先生がおっしゃられたような数字になるのかなというふうに思ってございます。
  171. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこが僕は不思議なんですね。当初建設したときの設計能力は、年間二カ月間ぐらい仮に定期点検等でとめたとしても、大ざっぱに見て三百日稼働とすると、今の〇・七トンでいっても二百十トンでしょう。だから、やはり設計能力としては二百十トンで始めたということは間違いないのでしょう。
  172. 青江茂

    青江政府委員 御指摘のとおりでございます。  と申しますのは、稼働日数を当時三百日という前提と申しましょうか、そういうことでもちまして二百十トン、〇・七トン掛ける三百日の二百十トンというふうなことを申し上げておったわけでございます。しかしながら、その後におきまして、稼働日数の三百というのが、実態論からいたしまして大変大きな見積もりであったというふうに認識をいたしまして、東海の再処理施設の性格と申しましょうか、そういうふうなことを勘案いたしまして、それ以降、日量でもって能力というのを示し、どれくらい一年間において稼働を予定し得るのかということにつきましては申し上げないような状態に立ち至っておるということでございます。
  173. 吉井英勝

    ○吉井委員 どうもおかしな言いわけだと思うのですよね。設計能力というのは、工場を設計するときに、どれだけのものができるか、それでつくるものなんですから、年間二百十トンが途中から日量〇・七トンに変わるというのは何とも妙な話なんですが、それは非常におかしな話だと思います。  私、なぜこれを今取り上げたかといいますと、六ケ所の工場なんですが、これはこの間私が質問しましたように、ウラン濃縮施設、あれだって今遠心分離機が何割か壊れちゃって設計能力は出ないわけです。そういう中で、今第一工場の年間処理量八百トンで考えているわけですが、それがそもそも予定どおりいくのか。ただ二年半おくらせて、二〇〇五年七月からの操業開始におくらせたというだけの話じゃなくて、本当に年間処理量八百トンがまずいくのかという問題を持っている。私は、東海のデータとか、それから六ケ所の濃縮ウランのプラントのデータからして、そのことをやはりきちっと我々は踏まえて見ておく必要があるということで申し上げたわけです。  さて、第一工場の再処理能力を、稼働率、今の東海並みの二〇%じゃなくて一〇〇%フル稼働で、予定どおり八百トンということで続くものとして、総合エネルギー調査会の原子力部会の中間報告にある数字などを使って試算しますと、これは、皆さんの方からいただいた二〇〇五年の七月におくらせたときの計算し直した貯蔵対策必要量の累計と、計算の仕方によって若干違いますから、私は私ではじいてみて、特に極端に違うものじゃないし、ほうり込む条件によっても変わってくるわけですからね。  例えば、六ケ所のプールが三千トンの余裕があるわけですね。そこで、中間貯蔵に別に回さなくても、そこで引き受けることとか、そういうふうなことも含めて考えていくと、これは二〇一〇年で三千九百トン、二〇二〇年で七千七百トン、二〇三〇年で一万六千二百トンの貯蔵対策必要量になると、訂正した数字をいただきましたが、試算してみてもそう大きな違いはないな。若干私の方のもらっているデータが少ないものですから、もう少したくさん要貯蔵対策量が出るのじゃないかなという感じはします。  ただ、いずれにしても、二〇一〇年にやはり年間能力八百トン・ウランの再処理施設の第二工場をつくって、さらに第三工場ができていないことには、二〇二〇年になると、これは計算の仕方によって若干違いはありますから決めつけて言うわけじゃありませんが、要貯蔵対策量が約一万三千トンを超えるぐらいになってくるのじゃないか。これは一〇〇%稼働率なんですが、第一工場稼働率を二、三〇%とか、東海ほど悪くないにしても、低い目に見れば、これは場合によっては二万トンの要貯蔵対策量が出てくるのじゃないか。  一方、仮に第二工場、第三工場と進めていった場合には、三つ合わせると年間二千四百トンの再処理をして、貯蔵の面ではこれは解決できるわけです。しかし、逆に、そうなると大量のプルトニウムが生まれてきますね。大量のプルトニウムを取り出しても、高速炉が商業運転に入っていないとするとプルトニウム貯蔵量が今度は巨大なものになり過ぎてしまって、これはこれで国際的非難や不信を受けるものになってしまう。だから、やはり高速増殖炉のめどが立たないと再処理施設の第二、第三工場には簡単に進むことはできないんじゃないかというふうに思うんですが、この点についてはどういう見方をしていますか。
  174. 稲川泰弘

    稲川政府委員 使用済み燃料貯蔵対策必要量につきましては、総合エネルギー調査会の場で検討した数字に六ケ所の再処理工場稼働開始遅延に伴います影響分を加味をいたしまして新たな数字をつくってございます。御指摘のありましたように、二〇一〇年のところで三千九百、二〇二〇年で七千七百という数字でございます。この場合の六ケ所への搬出量は、二〇一一年から二〇年で八千トン、すなわち年間八百トンの能力を継続するものとして計算をいたしてございます。御指摘のように、これがさらに低くなったとき、あるいはさらに第二、第三工場をつくったとき、数字は当然に変わります。  ただ、我々としては、この六ケ所の再処理工場稼働が予定どおり行われ、かつ、その所定の能力どおり稼働をすることを希望いたしてございまして、そういう趣旨での周辺の努力もしたいと考えてございます。  ちなみにこの数字、二〇二一年から二〇三〇年度の六ケ所への搬出量八千トン、すなわち年間八百トンの能力を前提に対策所要量をはじいてございます。
  175. 青江茂

    青江政府委員 今の点にちょっと補足をいたしまして。  いわゆる再処理工場を第二、第三とつくった場合、そこから出てくるプルトニウム、これが本当に使えるのかという御指摘であろうというふうに思うわけでございますけれども、これまた長期計画というものを持ち出させていただくわけでございますけれども、民間第二再処理工場についての考え方、その建設計画につきましての考え方でございますけれども、「プルトニウムの需給動向、高速増殖炉の実用化の見通し、」ほかにもございますけれども、そういったものを「総合的に勘案する必要があり、」ということで、今のような要素というものを勘案しながら第二再処理工場というものの建設計画考えていくということでございまして、いわゆる過剰にプルトニウムを出していくというふうなプログラムというのは考えられないんではないかというふうに考えてございます。
  176. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから二〇一〇年では三千九百トン貯蔵対策必要量が生まれてくるんです。この時点で第二再処理工場が動き出すと、二〇二〇年度で七千七百トンの貯蔵対策必要量というのはかなり緩和されるということになるわけですね。八百トンであれば十年間で八千トンですから、一応解決はできると。しかし、第二工場をつくるということはプルトニウムが出てくるわけですから、それを燃やす高速炉がうまくいっていないとだめ、高速炉のめどが立たなければ第二工場をつくるわけにはいかないということになるわけですよ。  それは、今そのことを別な表現でお認めになったわけですが、そうすると、今おっしゃったこの原子力長期計画の中で発電電力量を幾らにするかということに基づく計画はあるんです、もともとそれから出発しているわけですから。しかし、再処理工場や高速炉などは一応稼働するもの、これを前提にして、使用済み核燃料全量処理できない場合の扱いというのを考慮に入れてこなかった。これが今直面している問題じゃないかというふうに思うわけですが、それでもこの長計の中では核燃料収支のバランスのとれた計画だったというふうにお考えですか。
  177. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと私の理解が十分行き届いていないんでございますけれども、いわゆるプルトニウムのバランスというものをとっていくといいましょうか、いわゆる余剰プルというものを持たないということでございますので、そういう枠組みの中で弾力的に対応していくということであったというふうに思ってございますし、これから先のプログラムというのも、そのような形でもってプログラミングをしながら持っていくということであろうというふうに思ってございます。
  178. 吉井英勝

    ○吉井委員 プルトニウムというのは、あくまで再処理すれば生まれるわけですね。その前の段階使用済み燃料としてどんどんたまるわけですよ。だけれども、長期計画の中では、使用済み燃料は再処理をして高速炉などで使うということを前提にしたから一応の全量処理ができる計画で来たわけでしょう。  しかし、今問題になっているのは、まさにこの再処理工場や高速炉は稼働するものという前提でやってきたんだが、それがうまくいかない、今そこに直面しているわけですよ。そうすると、その段階で使用済み核燃料の形でだぶついてしまうか、処理してしまうとプルトニウムの形でだぶついてくるか。こういうことは私は当然考えなきゃいけなかった問題だと思うんですが、そのことを想定していなかったんじゃないですかということを言っているんです。  つまり、プルトニウムの問題だけじゃなしに、使用済み燃料の形かプルトニウムかも含めて、要するに使用したものは全量がくるくる動くんだ、だから核燃料としては収支バランスとれるんだという発想で来たんじゃないのかということを言っているんです。
  179. 青江茂

    青江政府委員 要するに、私ども基本的な考え方としまして、確かに、それをいわゆる再処理能力に即しまして全量処理をする、そこで出てきますプルトニウムというものをこういう形でいわゆる利用していく。ここのところの、当面の、プルトニウムというものを生産をし使っていくというところのバランスというものは、これは先生とれているわけでございますね。二〇一〇年まで、ないし、二〇一〇年を超えて相当長期間にわたりましてもとれているわけでございます。  そうしますと、その再処理工場の、具体的に申しますと年間八百トン、立ち上がりがございますから徐々にだろうと思いますけれども、その入り口のところ、いわゆるプルトニウムが生産される前の段階でのスペントフュエルのオーバーフローと申しましょうか、そこのところというものを考えておらなかったのかという御指摘であるのでございますれば、全部がトータルとしてきれいに回っていくといいましょうか、サイト内の貯蔵から再処理工場へという形でもって全量がすっときれいに流れていくかということにつきましては、そこのところは十分なそのつじつまというのが現時点におきまして合っていないわけでございますから、だからこそ中間貯蔵というのが必要とされるということでございます。  しかしながら、そこのところにつきましては、一種のいわゆる需給のギャップとでも申しましょうか、そこのところを解消すべく、今中間貯蔵という形で御議論をお願いをしておるわけでございまして、従前の、例えば十年前の段階でその問題というのを考えておったのかということにつきましては、必ずしも長計では明確にその考え方というものを出しておるということではないだろうというふうには思います。
  180. 吉井英勝

    ○吉井委員 若干の余裕というのは、各原発のサイトにプールがあるわけですから余裕はあるわけなんです。ところが、それが今いっぱいになってきたということで中間貯蔵の話が出てきているわけですよ。だから私は、これまでの長計の発想というのは、どれだけどんどん原発をつくっていくか、当然使用済み燃料はふえてくる、その使用済み燃料はどんどん出てきても、若干の融通する方はサイト内でやるにしても、今おっしゃったように全量処理する、それは、再処理の工程から、さらに高速炉等で使うということを含めて使用済み燃料全量処理するということで、今まさにおっしゃったように、つじつまの合った、そういう意味では収支バランスのとれた計画としてやってきたというのがこれまでの長計であったと思うんです。  そこで、それを実際少し見てみますと、長計の資料を自分なりに整理してみたんですが、一九六七年以前の長計とか、六七年とか七二年、七八年、こうずっとある中で、全部やるとなかなか大変ですから、ある部分だけとりあえず引っこ抜いて縦軸の方でそれを見てみますと、一九八二年の長計では、一九九〇年には大体使用済み燃料は一千トンを考えて、二〇〇〇年で二千三百トン。再処理については、これは東海が二百十トンでずっといっているということも当てにしていらっしゃったんだと思うんだが、一九九〇年に六ケ所の工場が八百トンで運転を開始する。だから、このつじつまが合うわけですよね。さらに、当面民間工場で年間千二百トンの建設を促進していく、これで来たわけですから、まず、再処理使用済み燃料とそこが合うわけですよ。そして、高速炉の方は、一九九〇年ごろには原型炉もんじゅ」が臨界に達して、そして原型炉で使うだけじゃなしに、九〇年代初めには実証炉に着工する。ですから、これで大体八二年長計では収支バランスのとれたものになっているわけですよ。  八七年の長計で見れば、これは、二〇〇〇年時点使用済み燃料は千百トン、二〇三〇年には二千トンを超える。しかし、六ケ所の再処理工場が九〇年代半ばから運転開始して年間八百トンいけているんだから、それはそれでいけて、二〇一〇年ごろには第二工場が大体運転開始に入る、だから大丈夫だ。生まれてきたプルトニウムについては、一九九二年には、少しおくれたが「もんじゅ」の臨界目標を達成して、九〇年代後半には実証炉の着工を行う。大体これでめどが立つ。そしてさらに、将来的には高速炉技術体系の確立へということで来たわけですよ。  ところが、横軸の方で、仮に六ケ所の再処理工場なり高速炉の方で見れば、もともと六ケ所の方は、七八年の長計では一九九〇年に本格的商業施設運転開始。それが八二年になると、九〇年に八百トンで運転開始。さらに、当面民間工場年間千二百トンの建設促進。八七年長計になると、一九九〇年代半ばに八百トンで運転開始。これが、九四年には二〇〇〇年過ぎの操業開始にだんだんおくれてきて、そして今では二〇〇三年一月が二〇〇五年七月。二〇〇五年七月に本当に動くかどうか、これはまだわかりませんが、どんどんずれてきているわけです。  そして、高速増殖炉の方も、もともと六七年長計では、一九七五年から八〇年ぐらいの間に原型炉の運転。そして、七二年長計では、一九七八年度には原型炉臨界に達す、これはおくれましたけれども。七八年長計になると、一九八五年から九〇年にかけての早い段階原型炉を臨界に持っていって、そして、一九九〇年から九五年の間には今度は実証炉の方が臨界に達する。八二年長計になると、九〇年ごろ「もんじゅ」の臨界、九〇年代の初めに実証炉の着工に移るというふうに計画は変わってくる。八七年長計では、九二年に原型炉もんじゅ」の臨界目標を達成して、九〇年代後半に実証炉の着工に入る。これが九四年長計では、二〇〇〇年代初頭に実証炉の着工へ。今、この実証炉は事実上無期限延期という状況で、原型炉の方もあの状況。  ですから、長計ではバランスをとることを考えたんだけれども、結局、再処理工場にしても、また高速炉にしても、どんどん計画を先へ先へ延ばさざるを得なくなってきたということは、これはやはり事実上長期計画で予定したものが外れてきたんだ。今、中間貯蔵施設だ何だということを言っているわけですが、出発にあるのは、長期計画の見通しが合わなくなってきた、それから、全量処理してサイクルする、その予定が外れてきたんだということが、はっきりこの事態を見れば出ていると私は思うんですけれどもね。そこは率直にやはり認めることが出発になるんじゃないですか。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 青江茂

    青江政府委員 長計の変遷と申しましょうか、先生の御指摘のとおりだろうというふうに思うわけでございます。確かに、再処理工場にいたしましても、FBRにいたしましても、その当時、それぞれの時期におきまして、長期計画が予定をしたスケジュールに沿ってきちんきちんと事が進展をしてきたかということにつきましては、いろいろな問題があったということはそのとおり事実であろうというふうに思うわけでございます。  ただ、一貫して堅持をし、かつ、それを貫徹するために努力をしておりますことというのが、使用済み燃料というものは再処理をして、そしてそれを利用していくんだ、そういうふうなことを基軸にした考え方というものが我が国原子力開発というものを進める上で基本的な軸としてとるべき道なんだということ、ここのところのフィロソフィカルな物の考え方ということにつきましては、終始一貫長期計画が主張してきたところであろうと思うわけでございます。  その理念というものを、再処理にしましても、プル利用にしましても、それを取り巻くいろいろな問題にいたしましても、それをどう現実の中で具体化していくかという問題につきましては、それぞれその局面、局面におきましての一種のずれとでも申しましょうか、そういったものが生じているというのは事実であろうと思うわけでございますけれども、そこの一貫して流れております基本的な物の考え方というものをどう具体化していくかという問題ではないかというふうに思うわけでございます。
  182. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、原子力長期計画がいいか悪いかとか、うまく合ったかどうかとか、適不適とか、その議論を今やっているんじゃないんです。もちろん、計画を立てたってうまくいかないことはあるわけですから、それを今言っているんじゃない。しかし、問題は、初めは海外処理委託、一応全量処理がいけておったわけですよ、処理に関して見れば。それに東海再処理工場、次に六ケ所再処理工場稼働によって、やはり、当初考えていた考え方からいけば、将来を含めたほぼ全期間を通じて全量処理全量サイクルの予定であったんでしょうと。そのおっしゃった、まさにフィロソフィーがいいかどうかという議論はちょっとおいておいて、その全量処理全量サイクルというのは基本的な考え方だったんでしょうということを言っているんですが、それはそのとおりなんでしょう。
  183. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  使用済み燃料につきましては全量処理をしていく、そして、抽出しましたプルトニウム等につきましては利用していくという考え方、これでもって今日まで来ておるというのはそのとおりでございます。
  184. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこで、原子力長期計画考えてきた使用済み燃料全量処理、そういう意味では核燃料収支バランスが崩れてきているというのはやはり現実の問題としてあるわけだから、だから、今皆さんの方が貯蔵対策必要量というのを出さないと、要するに使用済み燃料でだぶつくか、プルトニウムでだぶつくかという問題なんですよ。そういう点ではバランスが崩れてきているわけですから、そのことは認められるんでしょう。
  185. 稲川泰弘

    稲川政府委員 これまで高速増殖炉開発計画あるいは民間再処理工場事業計画が当初の計画に比較するとおくれぎみに推移していることは、まさに事実でございます。  そういう中で、総合エネルギー調査会で検討を行いました使用済み燃料貯蔵対策必要量、この算出に当たりましては、六ケ所での再処理量は年間八百トンという前提を二〇三〇年まで置いております。これは、二〇一〇年に第二再処理工場の方針を決めるという前提でございますので、決まっていない現在として八百トンを前提に要対策量をはじいたというものでございます。ここで出てまいりますプルトニウムについては、プルサーマルあるいは研究用の炉で使うというプルトニウムのバランスを念頭に置いてございます。  あくまで、御指摘のように、計画がおくれたことに伴います、使用済み燃料処理する再処理事業の進捗と使用済み燃料発生状況との調整として今回の中間貯蔵を御提案申し上げているところでございまして、そういう意味では、従来の計画変更され、ずれてきていることについての調整である、あるいは現実的な対応をとる内容であることはおっしゃるとおりでございます。  ただし、これはあくまで時間的な、使用済み燃料の再処理に至るまでの期間の調整でございまして、全量を再処理していくという考え方そのものについては変更はございません。
  186. 吉井英勝

    ○吉井委員 いろいろおっしゃったけれども、三〇年まで第一工場の八百トンでという話なんですが、それでいきますと間違いなく使用済み燃料は物すごくだぶついてくるんです。だぶついてくるから中間貯蔵ということにいかざるを得ない。  仮に、だぶつかせないようにしようと思って第二再処理工場考えようとすると、再処理工場をどんどんやることについてのいい悪いの議論はちょっとおいておいて、数字の面から見れば、それをつくればそれは使用済み燃料の解決にはなるわけです。しかし、今度はプルトニウムがどんどん余剰が生まれてきますから、それをどう処理するか。つまり、高速炉が開発されておればそれは解決できるわけだけれども、高速炉がうまくいかないからそれもできない。  だから、使用済み燃料の形でだぶつく。プルトニウムの形でだぶつく。いずれにしても、今直面している問題は、これまでの長期計画の道、つまり、それは核燃料サイクルということで全量処理ということで進めてきたこの道が今破綻に直面している。これは現実の問題としてまず認めた上で、そこから先どう考えるかという議論は今からまた始めますけれども、私は、大臣、やはり出発点としては、それは好きかどうかは別として、現実の問題としては、その問題に直面したんだということは率直に認めた上で、これからどうするかということを考えるのが政治家としての立場、とるべき道じゃないかと思うのですが、この点は大臣に伺いたいと思います。
  187. 青江茂

    青江政府委員 その前に、ちょっと私の方から事務的に補足をさせていただきたいと思うのでございますけれども先生指摘のように、いわゆる八百トンという六ケ所の工場というものを一つの前提にすれば、そこに一種の、しわという表現が適切かどうかは別にしまして、先生のおっしゃられるしわというのが使用済み燃料のところに生じてくる。だからこそ中間貯蔵施設というのが現実には必要となってくるということで、今御審議をお願いしているんだというふうに私は理解しているわけでございます。  それが、第二工場、第三工場というふうなものを将来考えていくのか。第二工場については、二〇一〇年ごろに基本的な建設計画についての考え方、方針を決めるということになっておるわけでございますけれども、そのときにもいろいろなファクターというのがあるということを申し上げました。そのときに、要するにプルの需要といいましょうか利用というものがどういうふうな形で見込み得るのかということを十分勘案しながら第二工場というのはつくっていくんだということであるわけでございますので、むやみやたらとということでは決してなかろうというふうに思うわけでございます。  さすれば、一方、原子力発電所がまたどんどん建てば使用済み燃料がまた出てくるではないか、そうするとしわがどんどん大きくなりますね、こういう問題というのは現実にあろうかと思うわけでございます。そういったものを使用済み燃料のところで、いわゆる再処理の方の能力に即して対応していくという意味におきまして中間貯蔵というものをお願いしておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  188. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 現在の状況は認めざるを得ない。ですから、私といたしましては、まずブリーダー、FBRは何とかして研究開発をもう一回始めたい、それからまた、再処理工場というのはなるべく早く動くようにしたいと思っております。  そういう意味で、現在の状況を踏まえて、さらなる将来にどう備えるかということは、近々にまた長期計画が始まりますので、原子力長期計画を立てる際にこういう現実をにらんだ上でやっていきたいと思っております。
  189. 吉井英勝

    ○吉井委員 整理しますと、要するに、最初の長期計画、これまでずっと進んできた長期計画、五年ごとのこの計画基本にあったのは、使用済み燃料発電所をふやせば当然ふえていくわけです。使用済み燃料が生まれたものについては、若干の余裕は原発サイト内のプールでそれは保管したり置いておくにしても、しかし出てきた使用済み燃料全量処理をする。それには、まず再処理工場に通してプルにして、プルトニウムを高速炉等で使っていくからサイクルは全体として完結するんだ、この立場で来たわけなんです。  しかし、現実には再処理工場もそれから高速炉もうまくいかないものだから、だから使用済み燃料としてだぶついてきているわけなんです。だぶついてきているから中間貯蔵の話が出てきているが、中間貯蔵でない道をやろうと思ったら、第二再処理工場にいかざるを得ない。しかし、一でさえどんどんおくれているわけですが、第二再処理工場へいったとして、それでプルトニウムが生まれれば生まれたで、今度はプルトニウム余剰がどんどん生まれて、ではプルトニウム用の中間貯蔵施設でも考えるのか、こういう問題になってくるわけなんです。  だから、今大臣も認められたように、やはり現状は、これはもう本当に破綻しているという事実は認めざるを得ないと思うのです。そこから、ではどうするかという次の話に移っていきたいと思うのですが、この核燃料サイクルについては、再処理工場能力という点でも、プルトニウムを燃やす高速炉の開発のめどが立っていないという点でも、私は今サイクルが機能しない現状にあるという現状をまず考えた上で、ではどうするかということを考えないと道は開かれないと思うのです。  そうすると、いずれにしても使用済み燃料が出てくるわけですから、原発サイト内の貯蔵プールが満杯になるのは当然です。ここでの選択肢というのは、サイト内での貯蔵プールの増設考えるか、それともプールの能力に合わせて、満杯になれば順番に原発をとめていくか、あるいは満杯の時期を延ばす。それは、運転の調整を図るということで、例えば出力を落として燃料の寿命を延ばすのか、あるいは燃焼度そのものを上げることを認めてやっていくのかとか、いずれにしてもそういうこと以外に選択肢というのは余りないんじゃないかと思うのですが、この点についてはどういうふうに考えているのですか。
  190. 稲川泰弘

    稲川政府委員 使用済み核燃料現状において、先生のお言葉で言えばだぶついており、この調整のために中間貯蔵という案に至っておるわけでございますが、この調整を行うことによりまして全量処理という核燃サイクルの回転は可能というふうに考えてございます。  現在の原子力発電能力が今の日本のエネルギー供給に占める大きな役割を持っているわけでございますので、そうした観点からも、現在の調整措置をワークさせることによりまして使用済み核燃料対策及び原子力発電所稼働と両面の成り立つ方式を考えていきたいと考えております。
  191. 吉井英勝

    ○吉井委員 原発のサイト内の貯蔵という場合には、そのサイト内にとりあえずプールに貯蔵しておいて、直接処分するのか再処理に持っていくのか、再処理にするにしても、その方式の根本的な再検討とか、あるいは技術開発をどう進めるかとか、それから原子炉のタイプそのものについて改めて再検討して、すべてを燃やし切る原子炉研究開発に進んでいくとか、いずれにしても、一つの方向性、結論が出るまで管理するということで一応いけるわけです。  しかし、サイト外中間貯蔵を進めるということになりますと、この法律上、それはサイト外の再処理を前提としているわけですよ。しかし、現状では高速炉のめどが立たない以上、分離プルトニウム利用のめどが立ってこないわけですから、結局、中間貯蔵という名前でこれは永久貯蔵あるいは最終処分という意味になってくるのではありませんか。
  192. 稲川泰弘

    稲川政府委員 繰り返し申し上げておりますように、サイト外貯蔵、再処理を前提とした時間調整の考え方でございまして、核燃サイクルを進めていくという考え方には全く変わりはございませんし、また、総合エネルギー調査会で貯蔵対策必要量の数字を出してございますが、この数字で見る限り、こうした調整措置を時間をかけて行うことによって、現在の考え方核燃サイクルの回転は可能であると我が方は考えております。
  193. 吉井英勝

    ○吉井委員 それでは、中間貯蔵の期間というのは何年ですか。これは法律にはないわけですが、何年というふうに政令には書き込むのですか。何年なのですか。
  194. 稲川泰弘

    稲川政府委員 中間貯蔵をするに際して、何年個々の燃料体を貯蔵するかということを申請書に記載するという予定はございません。全体的には、概念的には数十年のオーダーでございますが、これは、先ほど来の進捗調整、高速増殖炉の開発、民間再処理工場事業計画、こうしたものの進捗状況に依存をして、結果としての貯蔵期間というものが決まるわけでございます。もちろん、我々としては、各工程、事業化、これが円滑かつ早急に進展をすることによってこの期間を短いものとするという努力をしたいと思います。
  195. 吉井英勝

    ○吉井委員 私はそこで、六ケ所の放射性廃棄物の処分場の方もちょっと聞いておきたいのです。あちらは最終処分場でないとしてきているわけですよね。そうすると、六ケ所は何年でよそへ移すのですか。何年間の期間の貯蔵なのですか。
  196. 青江茂

    青江政府委員 今御指摘の点は、いわゆる返還固化体及び六ケ所の再処理工場稼働しましたその段階におきまして生じますところの高レベルガラス固化体、このことをおっしゃっておられるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、これにつきましては、三十年から五十年、冷却のための期間というものをそこに置きまして、その上でいわゆる深地層処分というものを今後の問題として考えておるというところでございます。
  197. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、ここも考えているということであって、最終処分場は決まっていない。どこへ移すかは全然方向性がないわけです。何かありますか。
  198. 青江茂

    青江政府委員 高レベル放射性廃棄物の処分方策ということにつきましては、最終的には二〇三〇年から二〇四〇年代半ばというところで事業開始ができるようにということでもちまして、二〇〇〇年の初頭におきまして事業実施主体の設立等々、諸般対応策というものを推し進めてきている状況にございます。その上で、今述べましたような時期におきましての事業開始というものを将来的な展望に描いておるわけでございます。
  199. 吉井英勝

    ○吉井委員 幾ら事業実施主体を決めたって、それで最終処分地が決まるわけではないのです。現在の六ケ所も中間貯蔵なのですよ。よそへ移すめどは全くないわけです。今度の中間貯蔵施設法律や政令で期間を明記しないわけです。本当は、これは結局、永久貯蔵施設最終処分場ということを考えているのではありませんか。
  200. 青江茂

    青江政府委員 繰り返しになりまして大変恐縮なのでございますけれども、今、ポリシーの基本としまして何度も繰り返し述べてございますように、使用済み燃料は再処理をしてプルトニウムというのを使っていくのだということを基本的なスタンスに置いておるわけでございます。その意味におきまして、中間貯蔵施設というものに入れましたものを、一定時間経過後、これは私ども基本的な政策のスタンスといたしましては、中間的な施設に入れたものを必ず再処理施設に持っていって再処理をするのだということでございます。  ただし、再処理施設というものが、今の時点におきまして国内再処理につきましてめどが立ってございますのは、八百トン・パー・イヤーの施設ということになるわけでございまして、ここのところが、一種の狭き門とでも申しましょうか、そういう状態にあるわけでございます。そこのところでそれだけのことを順次こなしていく。中間貯蔵施設に入れたものは順次そちらへ持っていくということでございまして、そういう形でもって将来を考えてございます。
  201. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のお話にあった再処理という話は、あくまでも高速炉の開発が完成するという場合と、もう一つは高速炉を開発という方針を転換しないということが前提なんです。今の時点ではそうであっても、世界が全体として高速炉から撤退している中で、日本自身が将来的にどうなるかわからない。そのときに、今のサイト内の貯蔵はあくまでも将来の方向が決まるまでの貯蔵ということなのですが、再処理を前提とした中間処理施設となりますと、方向が変わったときはそこから移すところがなくなるわけですから、これは結局は永久貯蔵施設にならざるを得ないわけですよ。  私はここでちょっと論点を変えて、追加的にこれだけ聞いておきたいことがあるのです。  九九年三月の核燃料サイクル機構の中長期事業計画の中では、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体を「今後立地を進める中間貯蔵施設へ移送し、処分場へ搬出するまで三十年から五十年間程度、貯蔵します」としているわけですが、これは、法案考えている中間貯蔵施設にはこのガラス固化体は入らないはずですが、そのことだけ確認しておきたいと思います。
  202. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  今、核燃料サイクル機構が東海の再処理工場でもって稼働いたしました結果といたしまして生じてございますガラス固化体がございます。これにつきましては、従前、構想といたしましては、いわゆる幌延貯蔵工学センターという構想がございまして、そこへ中間的に貯蔵して、三十年から五十年というふうな構想を持っておったわけでございますけれども、これにつきましては私ども断念をいたしました。  ということでございまして、新たな場所というものを全国的見地という考え方に立って見つけなければならないという問題に直面しているわけでございます。その問題というものの解決に向けて、サイクル機構といたしましては最大の努力を払うという決意でございます。そういう状況に今ございまして、今のこの法案でお願いしてございますいわゆる使用済み燃料中間貯蔵施設ということでは、いわゆるサイクル機構が抱えてございます問題というのは異なる問題でございます。
  203. 吉井英勝

    ○吉井委員 いや、異なるのはわかった上で確認をしておかないと、法律の逐条解説として将来的に問題になってきますから、だから言っているのです。  この法律で言っている中間貯蔵施設にはこのガラス固化体を入れませんということですか。その一言だけでいいのです。
  204. 稲川泰弘

    稲川政府委員 この御提案を申し上げております法律の中での使用済み燃料中間貯蔵施設として許可した施設は、あくまで使用済み燃料中間貯蔵を行う施設でございます。
  205. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで次に、原発サイト内の貯蔵プールで貯蔵が可能だという問題を聞いておきたいと思います。このやり方を進めるという意味でないということを申し上げておきたいと思いますが、これはその上での話なんです。原発サイト内に貯蔵プールをどんどんふやせばいいじゃないか、そういう立場で物を言っているのではないのです。  そのことを前提としてですが、東電の福島第一発電所幹部のお話として、先ほども斉藤さんからお話がありましたが、敷地内で年間ウラン百二十トンの使用済み燃料が発生するが、約百坪の千二百トンプールの竣工により十年分は大丈夫なんだと。さらにもう一基増設すればさらに十年、三基目をつくればさらに十年、これだけでも、三基つくれば三十年は大丈夫ということなんですが、敷地からすれば、さらに四基、五基、六基と次々増設は可能だというお話をしておられました。  なぜ中間貯蔵は原発敷地外なのかと先ほども質問がありましたが、私もここのところが非常に不思議なんですね。なぜなのですか。
  206. 稲川泰弘

    稲川政府委員 発電所内の貯蔵が長期化することを懸念をいたします発電所立地自治体から、将来的な貯蔵方法及びその具体的な計画、方針を早期に確立すべきという強い要望が重ねて寄せられてございます。当面の発電所内の貯蔵能力の増強を現在図ってございますが、こうした短期的な対応を図る場合におきましても、地元の了解を得るに際して、発電所外における中間貯蔵施設実現を強く求められているという状況がございます。  こうした地元状況も踏まえて、今回の案を提案しているところでございます。
  207. 吉井英勝

    ○吉井委員 地元お話は一つある、それはよくわかっているのですが、一方、では物理的にどうなのか。  つまり、福島第一ほどでなくても、敷地の中に千二百トンプールをつくる百坪の土地もないのか。つまり、狭小過密の原発敷地で、保安距離もとれないようなそういうやり方で推進してきたとなれば、それはそれで、それ自体が問題じゃないかと思うのですが、物理的な余地はあるのですね。それぞれの原発サイトというのはかなり広い敷地をとっていますから、その物理的な可能性はあるのですね。これだけ伺っておきたいと思います。
  208. 稲川泰弘

    稲川政府委員 五千トンの中間貯蔵施設で十ヘクタール程度の規模でございますので、物理的にその面積があるかないかという議論でございましたら、物理的な可能性は持っているところが多々あると理解しております。
  209. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、使用前の核燃料と違って、使用済み燃料となりますと、ベータ・ガンマ崩壊するウラン232とかアメリシウム、キュリウムとか、そしてプルトニウムなど、高レベル放射性物質をたくさん含んでいるわけですから、危険の度合いが全然違うのですね。それを原発立地場所以外で引き受ける県があるのか。引き受ける地域がないときにはどうするのかという問題が一方であると思うのです。私は、原発立地県の心配は当然だと思うのです。一方、引き受ける方は引き受ける方で当然心配があって、簡単にそんなのは出てこないと思いますね。  そうすると、中間貯蔵施設は原発敷地外で考えるとすると、引き受ける県、地域が出てこないときには、結局もとへ戻って原発構内でプールを増設しないことには解決できないことになる。原発構内でプールを増設しないということになれば、これは原発をとめるという選択肢に行き着かざるを得ないと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えなんですか。
  210. 稲川泰弘

    稲川政府委員 使用済み燃料貯蔵という観点から見ますと、既に三十年の安全な運転の実績がございます。そういう実績を踏まえ、新たに立地を図る地点に対しまして、あるいは周辺の地点に対しまして、十分な説明を行いたいと思っております。  そういう意味で、新たな原子力発電所をつくるのに比べれば、周囲に与える精神的負担はレベルが随分違いますので、立地は可能だと考えてございますし、また、それを可能とするべく、情報の点、説明の点、また地域振興の点、そうした点で努力をしたいと思っております。
  211. 吉井英勝

    ○吉井委員 原発サイト内でなくて、移送に伴うリスクの確率も高いわけですし、そういう中で中間貯蔵施設を求めていく理由は何なのかということを考えたときに、やはり出発点に戻って、原子力長期計画核燃料サイクル政策の破綻という問題、トイレなきマンションということで我々言ってきましたが、三十年も前から指摘してきたことがまさに今そのとおりになってきているわけですよ。だから、無理な強行をしたから今矛盾に直面をしてきているわけで、再処理の技術についても、原発の炉型も含めたタイプについてもそうだし、最終処分の問題についても改めて基本から、基礎的な研究からきちっとやっていく。それをすっ飛ばしてこれまでのような長計路線のその延長上で考えるならば、使用済み燃料でだぶつくかプルトニウムでだぶつくかというこの矛盾がさらに一層深刻なものにならざるを得ないというふうに思うのです。  最後に、大臣、一言で結構ですから、私はやはり、このサイクルの破綻、長計の破綻ということの上に立って、日本の原子力政策というものを改めて根本から、安全技術の確立とか基礎的な技術の確立の問題から始めて組み立て直すということを一度考えてみるべきじゃないか、そこへ今来ているんじゃないかと思うのですが、この点について最後に大臣のお考えを伺って、質問を終わりにしたいと思います。
  212. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 何事にせよ、基礎科学、基礎技術は開発していかなければならないと思います。
  213. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので終わります。
  214. 北側一雄

    北側委員長 辻元清美君。
  215. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。本日は、非常に長時間にわたりますが、私が最後の質問になります。  さて、今回の法改正によるこの中間貯蔵については、中間貯蔵サイトの外で行うための事業が営めるようになるというような、その部分だけを議論するのではなくて、各委員の皆さんが、原子力政策全体についての中でこの中間貯蔵の是非を考えなければいけないというような視点で本日も議論されてきたかと思います。私も、一番最後になりますと、各委員の方が細部にわたりまして質問をされますので、非常に質問しにくい面が正直言ってあるのですけれども、きょうは、幾つかの点につきまして、サイクル機構の方にもお越しいただいていますので東海の再処理工場現状どもお聞きしながら、質問を進めていきたいと思います。  まず、現在この中間貯蔵施設についてはどのような規模のものを想定していらっしゃるのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  216. 稲川泰弘

    稲川政府委員 規模そのものについては、各事業者が今後検討をしてその規模を定めていくという性格でございます。  一般的な大きさを抽象的に申し上げますと、大体五千トンクラスのもので、プール方式でありますと五十メータープール二個分程度、また、キャスク方式でありますと体育館を二つ並べた程度、それが五千トンの規模でございます。  ただ、具体的なサイトで何トンの規模にするかということについては、どこに立地をするかという点も含めて今後の問題でございます。
  217. 辻元清美

    辻元委員 といいますのも、きょうの審議の中にも出てきましたけれども政府は、現在、二〇一〇年までに原発を二十基程度増設したいという政策を打ち出していて、私はちょっとこれは不可能ではないかと考えているのですけれども、そうしますと、午前中の議論の中でも、二〇一〇年に使用済み燃料は千四百トン出る予定であるというお話を伺いました。政府政策の方針に沿って増設をしていくとこのように使用済み燃料が出てくる。  そうすると、これをくるくる核燃料サイクルで回すんだということなんですけれども、だぶついてくるので中間貯蔵施設増設しなければならないというお話をされていましたので、こういう計画のもとでいくと、今、事業主がそれは自主的に決める、確かに事業主がここの立地でこう決めるというのはそのとおりだと思うのですけれども政府としては、どういう見込みでどれぐらいのものが最低必要なのかとか、そういう見積もりは出していらっしゃるかと思うのですが、それはいかがなんでしょうか。
  218. 稲川泰弘

    稲川政府委員 総合エネルギー調査会で、使用済み燃料貯蔵対策必要量を計算し、議論をしておりますが、二〇一〇年度までの貯蔵対策必要量については二千三百トン、二〇一一年から二〇二〇年度にかけての要対策量は六千トンというふうに計算をいたしました。  その後、再処理工場稼働が六ケ所村で二年半おくれるということでございまして、この要対策量は、二〇一〇年度まで三千九百トン、二〇二〇年度は七千七百トンと計算をされてございます。  そういう意味で、仮に五千トンクラスの貯蔵設備を一地点に置くとすれば、二〇二〇年度までにこの七千七百トンを収容できる五千トンクラスのものが二つ必要だと一般的な計算では考えられるものでございます。
  219. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、使用済み燃料全量処理していくんだというような方針も午前中に伺ったわけですが、現在、海外への再処理委託ということもしておりますけれども、今後はすべて国内で、海外への委託の継続ということは一切ないと考えていいのでしょうか。
  220. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  海外、いわゆる英仏の企業との間で電力事業者が契約をしてございますけれども、軽水炉分につきましては全部搬出済みでございます。まだ一部、その契約に基づきましての原電のガス炉の部分につきましては残ってございますけれども、今後、契約に基づきまして、その残ってございますものが搬出される部分というのはございます。余り多くはございませんけれども、そういう状態にございます。  今後の問題でございますけれども、一つの政府のポリシーの問題といたしまして、再処理は国内で行うのを原則とするという考え方に立ってございます。したがいまして、今、そういうふうな考え方に沿いまして、民間事業者でございます日本原燃によりまして、六ケ所再処理工場というのが建設が進められているという状況にあるわけでございます。  その後につきましては、またもう一度考えなければいけないというふうに思ってございます。
  221. 辻元清美

    辻元委員 最後の部分なんですが、その後については考えるというのは何を、第二、第三の工場を国内に建てるという方向、それとも、また海外に持っていく可能性もあるということを示唆されているのでしょうか。どちらでしょうか。
  222. 青江茂

    青江政府委員 非常に不分明な言い方で大変失礼をいたしました。  いわゆる第二再処理工場の問題でございます。
  223. 辻元清美

    辻元委員 ということは、使用済み燃料については国内で回していく、核燃料サイクルも使って、再処理して回していくということを完結させていこうと。それが完結しなかったら、またわざわざ海外に運んでいってやるわけではないということですね。ですから、今後、要するに国内で完結させていくというのを議論の前提としていいわけですね。
  224. 青江茂

    青江政府委員 政策基本的な物の考え方として、今先生おっしゃられましたような国内でということにつきまして、そういうスタンスをとっておるということでございます。
  225. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、ちょっと次に移りたいのですけれども、その前提で国内で果たして回せるかということになります。  さて、もうちょっと中間貯蔵施設についてお伺いしたいのですが、先ほどから期限の問題が出ていまして、数十年というお答え、それから午前中の吉田委員質問に対して、コスト計算の面で四十年という数字が出てまいりました。先ほどからも、地元の皆さんの御理解ということを原発に比べては得やすいのではないかというような話も出ていましたけれども、必ず出てくるのが、この中間貯蔵というのは何年ぐらい貯蔵するのですかと。ここを説明しない限り納得しないと私は思うのですね。  なぜかといえば、今原子力発電立地自治体から、サイト内の貯蔵についてはどんどんふやしてもらったら困る、はっきり言えばよそに持っていってほしい、そういう要望というか意見が出ているという話でしたけれども、そうすると、ほかに中間貯蔵施設をつくるときも、この原発立地県の皆さんと同じように、自分のところにつくられる場合は、どれぐらいの期限でどんなものができるのだろうということをはっきり説明しないと理解が得られないと思うのですね。  ですから、先ほどコスト計算の面で四十年という期限が出ておりましたが、皆さんのおっしゃっている数十年というのが四十年という解釈でいいのかどうか、お答えいただきたいと思うのです。
  226. 稲川泰弘

    稲川政府委員 使用済み燃料貯蔵期間につきましては、概念的には数十年、ただし、各工程、事業化を円滑にかつ早目に進めるということによってこの期間の短縮に努力をしたいということを申し上げてきております。  この中間貯蔵の期間につきましては、発電所における使用済み燃料の発生と、それから民間再処理工場稼働状況にどうしても依存するものでございますので、そういう意味で、現在、期間が数十年ということを超えて御説明できる状況ではございません。  ただし、その四十年と申し上げましたのは、この中間貯蔵のコスト計算をするに際して具体的な数字を設定する必要がございますが、その現在の稼働状況等を勘案しながら、試算の前提として、いささか余裕を持たせてこの数字を置いたという性格のものでございます。あくまでこの貯蔵期間につきましては、核燃サイクルの各工程の事業化促進等によりましてこの短縮に努めたい、かように考えてございます。
  227. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、今の中間貯蔵の期限について、ちょっと別の角度から御質問したいのです。  プールの中に一たん中間貯蔵されますが、私は先ほどからこれはすごく不思議だったのですけれども、自分の地域にこの中間貯蔵施設が来るとします。運び込まれてきて貯蔵されます、そしてまたこれが出ていきますけれども、また新しいものが来るわけですね。そうすると、地元の皆さんから見たら、いつもあるわけですよね。ですから、それぞれのものは中間と言います、要するに再処理工場に持っていく間の中間的な貯蔵であるとおっしゃるわけなんですけれども、この施設を引き受ける地域の皆さんにとっては、中間貯蔵と言われているものが運び出されてもまた来ますから、いつもあるわけで、永久貯蔵というふうな見方ができるのではないかと私は思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  228. 稲川泰弘

    稲川政府委員 核燃サイクルの一翼を担う中間貯蔵施設でございますので、その中身が変わりながらも位置づけとしては中間貯蔵設備としての性格を持ち続ける、その点は御指摘のとおりでございます。  ただし、我々の考えておりますのは、使用済み核燃料が一定期間時間的調整のために貯蔵をされ、それが再処理をされ、全体的な核燃料サイクルの中で回転をしていくという図でございます。そういう図を実現するという考え方で本件を御提案申し上げておるところでございます。
  229. 辻元清美

    辻元委員 ですから、この中間貯蔵という名前にこだわるのですけれども、今我々はとおっしゃいましたのは、政府の側もしくは事業者の側から見れば中間、特に電力会社などから見れば中間かもしれませんけれども、それ以外のところから見たらこれは全然中間じゃなくて、中間貯蔵という名前でちょっとごまかされがちというか。  そういう中で、この視点ですね。中間貯蔵で倉庫みたいなものなんだと、置いておくだけ置いておいてまた次に回していくという発想なんですけれども、それだけの発想では、先ほどから、だから地元の皆さんの御理解を得やすいだろうというわけではないというふうに私は思うのですが、大臣、いかがですか。さっきからちょっと笑っていらっしゃるのですけれども、そういう見方についてはどうですか。
  230. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 確かに、中間貯蔵という名前である、しかしそこには、入ってきてまた出ていく、入ってきて出ていくということはあることは確かですね。こういうことについてはやはりきちっと御説明していかなければいかぬと思っています。
  231. 辻元清美

    辻元委員 さて、それではもう一点お伺いしたいのですけれども、この責任主体なんです。  貯蔵事業主といいますか、その中間貯蔵を営む者と、それから発生者の責任ですね。使用済み燃料を発生させた、これは電力会社になるかと思いますが、この責任はどのような分担になるとお考えでしょうか。
  232. 稲川泰弘

    稲川政府委員 電気事業者が所有をいたします使用済み燃料は、中間貯蔵のために中間貯蔵施設に移されたといたしましても、原子炉規制法六十一条の規定によりまして、貯蔵事業者への譲渡が制限をされている、譲渡できないということでございますために、所有権はあくまで電気事業者が有しております。したがいまして、電気事業者は、中間貯蔵終了後に使用済み燃料を引き取り、再処理をするべき責任をまず負っております。  使用済み燃料中間貯蔵を行っている間の安全確保の責任についてでございますが、これは、実際に貯蔵を行う者を貯蔵事業者として原子炉規制法上位置づけ、その責任を一元化するという形をとってございまして、使用済み燃料の所有者たる各電気事業者が個別に安全確保の責任を負うよりも、この貯蔵事業者に責任を一元化するということによってその所在が明確になる、かつ確実適切に安全の確保が図られるという考え方をとっております。
  233. 辻元清美

    辻元委員 この責任問題については、先日の参考人の方にも、電事連の方にも伺いまして、発生者責任ということはしっかりとお答えをいただいています。  そうしますと、今幾つかこの中間貯蔵もしくはその施設について伺ったわけなのですが、先ほど、国内でそれを核燃料サイクルによって回していくのだ、だから中間なんだというお話でした。さて、それでは、この再処理工場について質問をさせていただきたいと思うのです。  先ほどからも、六ケ所村の再処理工場のスタートが延期になった話はこの審議の過程でも出ております。さて、それでは、東海村の再処理工場はその後どうなっているのかという点について少し質問をさせていただきたいと思います。きょうは、サイクル機構の方にもお越しいただいておりますので、ちょうど二年ちょっと前にアスファルト固化施設が爆発事故を起こして以来、現在はストップしているという状況かと思います。  まず、これは科技庁の方に伺いたいと思うのですけれども、ことしの三月に核燃料サイクル開発機構が爆発事故フォローアップチームに提出した報告書というのがあって、この内容についてはしっかり検討されたと思いますけれども、この報告書をどう評価されているのでしょうか。
  234. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  平成九年十二月に、科学技術庁の東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故調査委員会というものの報告書がまとめられました。同報告書では、基本的原因及び事故進展に係るシナリオの基本構成について把握できたわけですが、火災の細部の要因やシナリオに複数の可能性が残されているということから、中長期的観点から取り組む課題というものを提言したわけでございます。  この報告書を受けまして、核燃料サイクル開発機構では、中長期的課題について調査検討を行い、本年三月三十日にその検討結果を、当庁が平成十年二月に設置いたしました東海再処理施設アスファルト固化処理施設火災爆発事故フォローアップチームにおいて報告をしたところでございます。  当庁では、このフォローアップチームの意見を聞きながら検討を行ってきたわけですが、これまで得られた結果といたしましては、事故調査委員会の調査結果に沿うものであり、事故調査委員会報告書に示された火災事故原因について、アスファルトと塩の混合物の温度が上昇した仕組みやアスファルトと塩との間の反応の仕組みがより詳細になり、残された課題がほぼ解明されてきたものと評価しております。
  235. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、今、原因がほぼ解明されてきたというお話でしたけれども、これを受けて、科技庁は何かサイクル機構に対して措置をとったり、そういうことはしたのでしょうか。これは報告を受けただけですか。
  236. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  科学技術庁といたしましては以上のところでございますが、現在、我が方から安全委員会の方に、施設の安全性の検討をサイクル機構がした結果につきまして我々なりに評価をしたものを本年二月に報告をいたしておりまして、これについて安全委員会の方で調査審議をしているところでございます。
  237. 辻元清美

    辻元委員 それでは、サイクル機構の方にお伺いしたいのですけれども、このアスファルト固化処理施設については、今後どのようにされていく予定なんでしょうか。
  238. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 お答えいたします。  二年少々前にアスファルト固化処理施設が事故を起こしまして、大変皆様に御心配、御迷惑をおかけしましたが、その後、アスファルト施設そのものにつきましては、中の残存物あるいは中のクリーンナップということをやって、修復作業がかなり進んで、立ち入り制限をしていたような区域を解除したところでございます。  それで、二年前までは再処理施設から出ます低レベルの廃液の処理のためにアスファルト固化施設を運転しておったわけですが、この施設につきましては、今後運転をしないということを決めております。それにかわりまして、アスファルト固化施設の事故以前から計画があったのですが、新しい技術を用いた固化処理施設計画を今持っております。そういう状況でございます。
  239. 辻元清美

    辻元委員 ちょっと最後聞き取れなかったのですけれども
  240. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 従来のアスファルト固化処理施設のニーズにかわる新たに固化処理を行う施設計画を今持っておりまして、それを進めております。
  241. 辻元清美

    辻元委員 今計画を進めていらっしゃると。そうすると、アスファルト固化施設は放棄して、新しい計画を進めていらっしゃるということだったかと思います。  それでは、サイクル機構の方にまずお伺いしますね。そうしますと、随分昔の話になりますけれども、一九八〇年二月にこの再処理設置承認申請書を出していらっしゃると思います。それにのっとって、アスファルト固化処理施設の運転、これを前提にして申請されているわけですね。ですから、この固化処理施設なしの再処理工場の運転ということになってきますと、また別の計画にするということは、この設置承認申請書の内容と一致しなくなりますね。これは出し直していらっしゃるということですか。
  242. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 東海の再処理施設につきましては、運転の計画を今我々持っておりますが、当面の運転に関しましては、運転をすれば当然その低レベルの放射性廃液が出てまいりますので、それの安全な保管を図るために、既にある、余裕のある貯槽を転用してその廃液が受けられるようにするということを一つ進めております。それから、その後の廃液発生の対応を図るために、さらに貯蔵専用の施設貯蔵のための施設の建設を計画しております。並行して、先ほど申し上げましたように、新しい固化処理のための施設計画しておるということで、三つの対策を講じて今後の運転に備えていきたいというぐあいに考えております。
  243. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、科技庁の方にお伺いしたいんですけれども、その際は、承認申請書で、再処理施設はそれにのっとって動いていたわけなんですけれども、今ストップして、今新しく計画中であるというところは、この申請書を出し直して、それでもう一回審査をし直す、それから再開ということになりますね。どうなんでしょうか。
  244. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  アスファルト固化処理の中止に伴いまして濃縮廃液等のアスファルト固化処理が行われなくなるわけでありますが、核燃料サイクル開発機構は、所要の許認可手続を経まして、東海再処理施設の既設の貯槽のうち、貯蔵能力に余裕のあったスラッジ貯槽のうちの一基を濃縮廃液貯槽に転用いたしております。このような貯槽の能力の範囲で再処理施設を運転するということにつきましては安全上の問題はないと考えております。  なお、先ほども出ましたが、核燃料サイクル開発機構におきましては、濃縮廃液貯槽の増設をすべく準備をしているところと聞いておりまして、さらに新たな固化処理施設についても計画中と承知しております。こういうものにつきましては、許認可申請がなされた際には、厳正な安全審査を行うこととなると考えております。
  245. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、この再処理施設については再開するのかどうか、それはどのようにお考えなんでしょうか。
  246. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 サイクル機構になりまして七カ月ほどたちますが、過去半年間ほどサイクル機構の中長期の事業計画というものをつくってまいりました。各界の御意見を伺い、サイクル機構としてこの再処理を含めてこれからどうしていくかという計画を練ったところでございまして、三月末にそれを取りまとめさせていただきましたが、その中にも記させていただきましたけれども、軽水炉の再処理につきましては、一つの大きな技術開発上の使命を持つものとして、できるだけ速やかに運転を再開していきたい。  その理由は、軽水炉の使用済み燃料の性能は御承知のように日ごとにアップしております。燃焼度そのものがアップするとか、あるいはプルサーマル燃料が導入されるとか、そういったことに対応した再処理技術の高度化が必要であるということで、そのための研究開発を中心にした運転というものを計画いたしております。  この中長期事業計画では、これから五年間ほどの近未来の計画を立てたところでございまして、その中で再処理試験を進めていき、民間の再処理事業に寄与するデータを出していきたいという計画を持ってございます。
  247. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、再開したいという方向で今進められているようなんですけれども、私はあのアスファルト固化施設の事故というのは非常に衝撃的でしたね。一つの社会問題にもなりました。ですから、はっきり言えば、あれがだめだったから放棄して、今また新しく計画をしていきますと言っても、なかなか納得しない部分が一般の皆さんにはあると思います。  かつ、もう一点、ちょっとサイクル機構の方にお伺いしたいんですけれども、これはことしの二月二十二日付の報道なんですけれども、再処理工場の心臓部とも言える使用済み燃料溶解槽の臨界防止検知器が不都合になっているということが判明したというような報道を見ました。この臨界状態の発生を自動的に防止する重要な検知器が作動せずに、作業員が目視で確認し、信号を手動で発信していたというような報道があったんですけれども、これは事実でしょうか。
  248. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 お尋ねの件は、再処理工場の中に燃料を溶かす溶解槽というのがございますが、燃料を小さい片に切って、それを装荷して燃料を溶かす。このときにいわゆる臨界を防止する必要がございますから、そのために幾つかの手だてを講じてございます。例えば、燃料を切断するときには切断のカット数をコントロールする、あるいは溶解槽が東海の再処理施設の場合に三つございますが、そのどれに分配するかというところをコントロールする、あるいはその切った片を、バスケットと言っているんですけれども、細長い円筒状のものに入れて、それを溶解槽の中に装荷する、装荷を確認してそれから溶解をするといったような幾つかの安全手段を講じております。そのうちの溶解槽の中にバスケットを装荷した場合に、きちっと装荷できたかどうかということを確認して剪断することになっております。そのために一つの検出器がついておりますけれども、これについては非常に難しい技術だったもので、運転開始直後にふぐあいがいろいろあって、機械で検出するよりも、実際に目で見られますので、目で確認をした方がより確実だということで運転をしてきた経緯がございます。  この件に関しましては、平成九年に私どもはアスファルト事故の反省に基づいて総点検を行いました。その際に自主的に洗い出した問題点の一つとして、改善すべき事項の一つとして、既に公表し、対応を図っているところのものでございます。
  249. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、その記事にも、人間が判断した方が確実であるという答えも、何か問い合わせに答えたというような一文もあったわけなんですけれども、あの固化施設の爆発事故のときも目視で確認と言って、それが一番大きな原因であったというようなことも私ははっきり記憶をしているんですね。  この検知器の問題はこの許認可条件にはっきりと入っていると思うんですね。この許認可条件に入っていることを、結局守らずにというか、ずっと続けてきたことを認めた上で、人間が判断した方が確実とお答えになったということなんですね。  そうすると、また現状に合わせてこれに許認可変更の手続を進めているというような話も聞いているんですけれども、特に東海村の再処理工場については、あれ以後私たちは委員会では時々取り上げてはいるわけなんですけれども、再処理といえば、今この審議の中でも東海村か六ケ所という話で、先ほども国内でぐるぐる回していくという話もありましたが、その一つの東海村がこのような状況というのは非常に心もとない、これで社会的な不安が解消できるのかといったら、決してそうではないと私は思います。  それで、ちょっと時間の関係がありますので一つお願いしておきたいんですけれども、アスファルト固化処理施設の火災爆発事故以降提出された再処理工場にかかわるすべての設計承認申請書の変更申請、どういう点をなされたかということを後で、今口頭では結構ですので、私の方にお示しいただけないかと思いますので、それはお願い申し上げておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  250. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 たびたび申し上げるように、情報公開はいたします。
  251. 辻元清美

    辻元委員 では、それをお願いいたします。  さて、今私がお伺いしただけでは、国内の再処理施設が、六ケ所はスタートがおくれているし、東海は、今お聞きしただけでは、私はまだこれを再開させていいというふうには思えないのですね。  その中で、もう一つお伺いしたいことがあるのですが、コストについてなんです。再処理した場合のコストですね。  最近では、専門家でも、再処理し抽出したプルトニウムを使うと、さっきからワンススルーの話も出ていますけれども使用済み燃料を直接処分するより五%ほど割高になるというようなコスト計算をされる方もいますし、最近ではウランの値段が前よりも安価になっていますので、プルサーマルは直接処分の二倍程度の価格になるのではないかというような計算も出ていますけれども、科技庁としましては、このコストについてはどのようにお考えなんでしょうか。
  252. 青江茂

    青江政府委員 今のコスト計算ということにつきましては、OECD・NEAが一九九四年に一つの分析を行ってございます。その試算に従いますれば、いわゆるサイクルコスト、いわゆる濃縮をし再処理をしとか、燃料の取得をする、そういった燃料周りのところのコスト、これにつきましては、その再処理をするという方の路線は大体一・一倍程度高くつくという状態でございます。  しかしながら、発電コスト全体に占める燃料コストというものは、これは二〇%程度でございます。燃料サイクルコストが一・一倍程度でございますけれども、トータルの発電コストに占める割合が二〇%程度でございますので、その一・一高くつく比率は、総発電コストから考えれば有意な差とは言えないのじゃないかなというふうに思っているところでございます。
  253. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、再処理する場合にはいろいろな、輸送とか、先ほどからもお話が出ています高レベル廃棄物の処分のコストをどう見るかというようなこともあるかと思うのですね。  さて、最後にもう一点、この高レベル放射性廃棄物の処分について、先ほどの御答弁で、二〇〇〇年までに処分の実施主体を決めるという方向で進めているということなんですが、実施主体は大体どういう方向で今検討されているのでしょうか。
  254. 稲川泰弘

    稲川政府委員 現在総合エネルギー調査会原子力部会におきまして、科学技術庁における御審議の結果を踏まえ、どういう実施主体であるべきかという議論を重ねてございまして、その内容を、さらに詳細を詰めて、六月に御報告をするという形をいたしてございます。  どういう実施主体かというお尋ねでございますが、内容、それぞれの資金を電力料金の中から集めて管理をする、そういう能力を持ち、かつその実施、処理を行うに際してこういう技術的能力を持つこと等々、いわばそれの経済的、技術的能力について要求、要請される内容を列挙した上で、かくなる実施主体という言い方をいたしてございます。  詳細また別途の機会に御説明をさせていただきたいと思います。
  255. 辻元清美

    辻元委員 日本の場合、既にこの高レベル廃棄物が一万二千個相当分あるとか、二〇三〇年にはこれが四万から五万個になるとか、それぞれ一つの固化体を見ますと、体積が百五十リットルぐらいで、それから重さが四百キロ、相当なものになるかと思うのですね。  この実施主体を検討する際に、これはどう考えていらっしゃるのでしょうか。  放射能をウラン鉱山レベルに下げるには一万年というふうに言われているわけですね。そうすると、物すごい長い間、ただどこかに保管すればそれだけでいいというわけではなくて、そういうふうな時間的なタームを考えなきゃいけない。  そういうふうなことも含めて実施主体というものを考えていくと思うし、かつ、もう一つは、冷却だけで五十年程度ということですね。これは、民間の業者だったら、この中間貯蔵の場合もそうなんですけれども、どこかのだれかも指摘していたのですが、会社の倒産とかいろいろなことがあるわけですね。果たして、この高レベル廃棄物を本当にしっかりと保管していけるのか。実施主体がどこであろうと、先ほどからの指摘もありますけれども、トイレのないマンションだという指摘を何人もの方がされていますけれども現状考えて、いろいろな条件で実施主体を考えるとおっしゃっていますが、このまま出し続けていくと、非常に難しいのではないかと思います。それはいかがでしょうか。
  256. 稲川泰弘

    稲川政府委員 深い地層で処分をするという前提で各種の計画を議論しているところでございますが、そうした中で、この実施主体が途中で倒産をする、解散をするというような事態のときに、その責任を十分に分担できるか、保証できるかというお話が片方でございます。それは、確かでございます。  そういった中身で、事業主体の会社、組織の解散を防止、禁止し、それに対してどういう保障措置をとるかということも、またこの事業主体を考える上で重要な内容でございます。  そうした点も含めまして、期間の概念も入れながら、その経済的、技術的また法律的な存在の内容を現在具体案としてまとめつつあるところでございます。
  257. 辻元清美

    辻元委員 最後になりますが、実際に今、では市場原理に合うのかという観点からも、原子力政策の見直しということが最近は多々指摘されるようになったかと思います。  「原子力アイ」という雑誌、皆さんも御存じだと思いますけれども、どちらかというと原子力を進めていこうという学者の方もたくさん寄稿されている。その中の討論の中にも、最後にこれを紹介しまして、私はそれで終わりたいと思います。質問ではありません。  市場原理に合うかどうかということなんですね。「核燃料サイクル確立という過去の呪縛に囚われている原子力関係者には、再処理・リサイクルという従来の路線しか見えないようであるが、プルトニウム利用に伴う国際政治状況、通常の企業の存在期間を超えて管理を続けねばならない高レベル廃棄物処分などを考慮すれば、燃料サイクルバックエンドのすべての連鎖を抱えたままで、民間事業としてエネルギー市場で競争していくことは不可能」となってきているのではないかという。  そういう意味では、安全性の問題とかエネルギーの方向性、考え方、それから、それぞれの思想ということもありますけれども、市場原理という面から見ても見直しを検討していく時期ではないかということを最後に指摘させていただきまして、時間が参りましたので、これで終了いたします。  以上です。
  258. 北側一雄

    北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十九分散会