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1999-04-27 第145回国会 衆議院 科学技術委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十七日(火曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 北側 一雄君    理事 河村 建夫君 理事 河本 三郎君    理事 中谷  元君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 吉田  治君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       奥山 茂彦君    木村 隆秀君       園田 修光君    田中 和徳君      三ツ林弥太郎君    村岡 兼造君       鍵田 節哉君    近藤 昭一君       鳩山由紀夫君    近江巳記夫君       松浪健四郎君    吉井 英勝君       辻元 清美君    中村喜四郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君  委員外出席者         参考人         (元北海道大学         工学部教授)  石川 迪夫君         参考人         (全国原子力発         電所所在市町村         協議会会長)  河瀬 一治君         参考人         (電気事業連合         会原子力開発対         策会議燃サイ         クル部会長)  前田  肇君         参考人         (元中央大学教         授)      中島篤之助君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   望月 義夫君     園田 修光君   中西 啓介君     松浪健四郎君 同日  辞任         補欠選任   園田 修光君     望月 義夫君   松浪健四郎君     中西 啓介君 本日の会議に付した案件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二七号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 北側一雄

    北側委員長 これより会議を開きます。  内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案審査のため、本日参考人として元北海道大学工学部教授石川迪夫君、全国原子力発電所所在市町村協議会会長河瀬一治君、電気事業連合会原子力開発対策会議燃サイクル部会長前田肇君及び元中央大学教授中島篤之助君、以上四名の方々に御出席いただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の順序でございますが、石川参考人河瀬参考人前田参考人中島参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言はすべてその都度委員長の許可を得てお願いいたします。また、参考人委員に対し質疑ができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず石川参考人にお願いいたします。
  3. 石川迪夫

    石川参考人 石川でございます。  実は土曜日の夜まで安全条約関係でウィーンの方に行っておりまして、相当寝ぼけ眼でおりますので、お許し願いたいと思っております。  実は、これまでは国際会議と申しますと、原子力発電の非常にたくさんあるような国とやってきたわけでございますが、今回は、資源の小さな国、旧ソ連の崩壊によりまして幾つかの小さな国が独立をしておりますが、それらの国と話ができる会議でした。そういった国の中に、原子力発電を持っている国があるわけでございますけれども、この人たちが、原子力発電というのを自分たちの、国民生活エネルギー源として一番大切なものとして考えているというふうな話を聞かされて驚いたわけでございます。逆に、私たち原子力を持っております豊かな国の方は、いろいろな面で電気を便利に使っている、そのような国では非常に反対運動が多いわけでございます。小さな資源のない国では、原子力発電国民生活を守る上でもうかけがえがないんだという主張にびっくりしてまいったわけでございます。世の中にはこのような意見原子力に対してあるということをぜひ知っていただきたいわけでございます。  さて、法案の中心になります使用済み燃料中間貯蔵の問題にかかわりまして、そのもとになります核燃料サイクルからお話をさせていただきたいというふうに思っております。  原子炉といいますのは非常に妙な機械でございまして、核分裂を起こしますとついでに核分裂を起こすことのできる燃料がふえていくという性質を持っております。御承知のように、プルトニウムができるわけでございます。これを原理的に考えてみますと、核燃料サイクル現実性がわかってくるわけでございます。  核分裂によって、二つ半ぐらい中性子が出てくることは皆さん方御存じだと思いますけれども、そのうちの一つが次々と核燃料に当たっていって連鎖反応が起こり、一定の出力が原子炉で出るわけでございますが、核燃料サイクル現実性はその残り一つ半にあるわけでございます。それがどのような話かといいますと、軽水炉でございますと、そこら辺にある水とか鉄とか、それから残りウランの238、核分裂をしないウランに当たって消費されるわけでございますが、その割合が軽水炉の場合には大体〇・六個ぐらいこのウランの238に当たって消費されるわけでございます。当たりますと、238は一つふえますので239。この奇数が核分裂をする材料でございますけれども、239になって、その途端にプルトニウムに変わってくるわけで、次の核分裂材料になるというわけでございます。  そういたしますと、その水とか鉄といったようなものをなるべく少なくして、燃料を密に集めていきますと、残りの一・五個のうちの〇・六個しかウラン238に当たらなかったものがもっとふえるのではないか。そのとおりでございまして、実際に実験をやってみますと、それが〇・七個になり、一個になり、一個以上になってくるわけでございます。一個以上になりますと、核分裂をしたものが、核分裂をいたしますと新しく核分裂材料がまた一つふえるという奇妙なことができてくるわけでございまして、これを増殖というふうに言っているわけでございます。  さて、増殖が完全に行われるようになりますと一体どのようになるかといいますと、ウランの235は天然に大体〇・七%しかございませんから、残りウランの238がそのようにプルトニウムに変わっていきますと、九九・三%のものがプルトニウムに変わるわけでございますので、九九・三を〇・七で割りますと百五十で、百五十倍に燃料の量がふえるわけでございます。理論的な話でございますが、実際的には、恐らく六十倍にふえるであろうということになってまいります。  そういたしますと、今あるウランの七十年分ぐらいは簡単に取り出せるだろうと言われておりますけれども、この六十倍ということになりますと四千二百年分ということになりまして、人類エネルギーとしては夢のような量にふえるわけでございます。石油があと残りが六十年とか石炭が三百年とか言われておりますけれども、そういったものと比べまして、四千年ということになりますと、現在のエネルギーの問題が非常に楽になる。こういうようなところから、動燃改革法のときにおきましても、吉川先生から、将来の人類の保険のために核燃料サイクルをやっていくんだというふうなお話になっているわけでございます。  ところが、原理的に実験をやってみてできるのがどうして発電になるといけないかということになりますと、非常に密な炉心から熱をとるものでございますから、ナトリウムのような非常に熱の伝わりのいいものを使わなくちゃなりません。この技術にまだ私たちが習熟していないわけでございまして、問題は、原理的な問題ではなく、むしろ電気を取り出すという工学的な問題でございます。したがいまして、ある程度の失敗を許していただければ、これはそのうちに実現するものというふうに考えられるわけでございます。  さて、高速炉の話は別にいたしまして、核燃料サイクルのいま一つの柱でございますプルサーマルについてお話をさせていただきたいと思っております。  プルサーマルといいますのは、出てまいりましたプルトニウムを普通の軽水炉の方に入れてもう一度燃料として使うわけでございますから、これは先ほど申し上げましたように、軽水炉でございますと、次に出てくる燃料というのは〇・六個しかふえませんから、これは資源的なものとしましてはそれほど大した量にはならないわけでございます。現在の見当でございますと、四割ぐらいふえるかなといったようなことになっているわけでございます。  このプルサーマル計画核燃料サイクルにとって非常に大きいといいますのは、これは高速炉を使ってやっていく場合には六十回もその原子炉の中で燃料を使っていくわけでございますけれども、この第一回目のステップ、一遍使った燃料をさらにもう一遍原子炉で燃やしていく、これは研究室の中ではどのようになるかというのはわかっておりますけれども、実際の規模でやっていくというところに大きな意味があるわけでございまして、核燃料サイクルの大きな第一歩を踏み出し始めたということが言えるのではないかというふうに私は考えております。  さて、そういう中での使用済み燃料中間貯蔵でございますが、燃料を貯蔵するというのは、私たち、JPDR、日本で初めて発電をしました原子炉をつくっておりましたようなころには、原子炉炉心三つ分ぐらいの燃料の貯蔵庫をつくっておけば十分だろうと考えておりました。その理由は、一つ分は、原子炉とその燃料プールへの出し入れの分でございますが、その残り二つ分は、それぐらいありますと大体五、六年はもつであろうというにらみでございました。五、六年使用済み燃料をつけておきますと、大部分の放射能の熱はなくなってしまいますから、輸送に便利でございます。そうして輸送をしていって、再処理をしてプルトニウムに変えてまた使うんだ、原子炉の初めのときから何となくそう考えていたわけでございます。  ところが、実際問題といたしましては、再処理の問題が、これは初めからできていたわけでございますけれども、アメリカの核不拡散の問題、技術的な問題だけではございません、もちろん、技術的な問題もございますが、そのほか一般的に原子力についての安全上の問題等が指摘されまして、おくれていったわけでございます。  そうなりますとどのようなことになるかといいますと、比較的ゆとりを持った使用済み燃料プールの中のものをもう少し詰めて入れろ、リラッキングでございますけれども、そういうふうな方向で処理していたわけでございますが、これでもたまってくる燃料というのに耐え切れずに、例えばサイトの中にいま一つ使用済み燃料プールをつくるとか、もしくはサイトの外に燃料プールをつくっていくというふうになっていっているわけでございます。  さて、それでは海外の事情というのはどういうことになっているかということを簡単に御説明いたしますと、米国では、再処理をいたしておりませんので、大体すべての燃料中間貯蔵と同じように蓄えられていっているわけでございます。  フランスは、非常に大きな再処理工場を持っておりますので、これは中間貯蔵プールというのはございませんけれども燃料を貯蔵するプールを、その再処理工場のところに大きなものを持っております。  そのほか、ドイツ、イギリス、スウェーデンといったような国になりますと、これは、フランスイギリスに再処理を委託するとともに、自分の国で多少ゆとりのあるプールを、使用済み燃料貯蔵施設を持っているわけでございます。  さて、こういうことを申し上げますと、再処理用貯蔵プールというのは何か余分なものをつくるのではないかというふうにお考えかもわかりませんけれども石炭発電所でございますと、石炭を使うために貯蔵するところがございます。それと同じように、再処理をするためにも、ある程度使用済み燃料をためておく倉庫のようなものが必要でございますけれども、そういったようなものというふうにお考えいただければよろしいのではないだろうかと思っております。  原子力発電は、まだ最後の高レベル廃棄物の処分が決まっておりませんものでございますから、トイレのないマンションといったような悪口を言われておりますけれどもマンションといたしますと、自分の家のものを貯蔵する倉庫を今からつくっておくんだというふうにお考えいただければ、この中間貯蔵施設というのがその意味が出てくるのではないだろうかというふうに私自身考えているわけでございます。  さて、原子炉倉庫と申しましても、何しろ使用済み燃料を入れるものでございますから、これ自身は非常に高い放射能を持っている材料を持っているものでございますから、今回の法の改正によりまして、原子炉並みの安全のチェックをいたしまして、そうして安全を確保するということによって、その安全は十二分に守れるというふうに考えております。  と申しますのは、この使用済み燃料貯蔵プールといいますのは、発熱においても、原子力発電の量から比べますと、ぐんと低いものでございますし、また臨界になるといったようなおそれもございませんので、今のような安全貯蔵の問題が中心になってくるわけでございますが、原子力発電の当初から燃料プールをつくっていたように、安全につくれるものというふうに考えているわけでございます。  さて、以上のようなものでございますけれども、これを行っていきます場合には、国民に対して十二分に説明を行っていく必要があるのではないかというふうに考えております。  お隣におられます中島先生とともに新円卓会議の方をやらせていただいているわけでございますけれども、この新円卓会議の中のお話でこのごろ感じますのは、実は、反対派とそれから原子炉推進派との討論というのは両方とも両極端でもって飽きてきた、むしろ実生活に即したような議論をしてほしいというふうな声が高まっているわけでございます。  せんだってのプルサーマルの問題にいたしましても、地元方々が、国の説明、第三者の説明ということになりますと、夕暮れどきに非常にたくさん集まってきていただいているわけでございますけれども、この方々は皆、自分たちで話を聞いて判断をしようと。一般的に、マスコミで、新聞紙上に書かれるセンセーショナルな問題、もしくは電力から話される問題、反対派から語られる問題、そういったようなところで問題意識は見つけるけれども、その問題点についてわかりやすく話をしていただいたときに、自分たち判断をしていこうというわけでございまして、その最も信用をしておりますのは、国からの説明でございます。  したがいまして、国の方から、この使用済み燃料貯蔵倉庫につきましての意義もしくは必要性安全性等を話をしていただきたいという気持ちは非常に強いわけでございますが、一般的に、これまで見ておりますと、国の方からそういった働きかけというのが余りないように思うのであります。  例えば、こういったお話でございますと、原子力委員会の方から非常に強く、マイクの前に立ってお話をしていただくということが必要かと思いますけれども、余りそういった姿勢というのが国民の前に見えてこないといったようなお話がございます。また、何か事故が起こりましたような場合に、安全委員の方が前に立ってお話をしていただくような姿勢というようなものがございますと、国民理解も進むのではないだろうかというふうに思っております。  それにつきましては、業界紙でございますけれども、お手元にございます「動燃事故」並びに「御用聞き」というところで、数年前から、こういったような点が必要ではないだろうかということを述べさせていただいたわけでございます。徐々には進んでいるのだろうとは思いますけれども、まだ余りそれが目に見えた格好になっていない。ぜひこういった点を改めていただいて、核燃料サイクルを、これはエネルギー資源にとって最も大切な点でございますので、進めていただきたいというふうに考えております。  以上で、時間が経過いたしましたようでございますので、終わらせていただきたいと思います。(拍手)
  4. 北側一雄

    北側委員長 ありがとうございました。  次に、河瀬参考人にお願いいたします。
  5. 河瀬一治

    河瀬参考人 私は、敦賀市長河瀬でございます。また、全国原子力発電所立地をいたしております市町村協議会会長もさせていただいております。  今、ちょうど統一地方選が終わったばかりでございまして、ようやく二期目を迎えました。まだ初登庁しておりませんが、きょうは公務ということで寄せていただきました。  今回は、原子炉規制法改正に関します法律改正のためということで、私ども原子力発電所を持っております自治体の意見を聞いていただけるという大変貴重なお時間を与えていただきました。心から感謝を申し上げる次第でございます。また、昨年の四月には、動燃法改正につきまして、敦賀市で公聴会を開催していただきまして、意見を聞いていただいたわけでございます。これまた厚く御礼を申し上げる次第でございます。  敦賀市には、原子力発電所が、昭和四十五年三月に運転を開始いたしました、日本で最初の商業用軽水炉原子力発電所でございます日本原電敦賀一号機、また日本原電敦賀二号機、さらには核燃料サイクル機構の「ふげん」また「もんじゅ」が立地をしておるところでございます。さらには、火力発電所もございます。隣接をいたします美浜町にも三基の原子力発電所立地をされておりまして、我が国の電力供給に大きく貢献をしているというふうに自負をいたしておるところでございます。  また、私、原発立地市長といたしまして、また全原協会長ということで、保障措置関係、また中間貯蔵施設関係など、法改正案に関します事項につきまして、現状問題等を申し上げますので、御理解いただきたいというふうに存ずる次第であります。  また、この際でございますので、原子力防災関係につきましても意見を少し述べさせていただきたいというふうに思っております。  まず、保障措置関係でございますけれども、御承知のように、最近、日本海側には不審船事件等発生をいたしております。また、敦賀港などにも、北朝鮮からのズ・ダン号という船等漂着をしたりということで、また、北朝鮮の兵士と見られる遺体が揚がったという事件ミサイル発射、そして、私どもの近くでございます小浜市などでも、若いカップルが相当前に行方不明になっておるという事件発生をいたしておりまして、市民の皆さん方、県民の皆さん方にいたしますと、非常に朝鮮半島と近いなという認識のあるところでございます。  また、一昨年のロシアタンカー重油流出事故というのがございまして、敦賀市にも大変たくさんの油が漂着をしたのですけれども、大変多くのボランティアの皆さん方のおかげできれいに解決をいたしました。その際にも、実は、ハングル文字PETボトルでありますとかごみが大量に漂着をいたしておりました。  恐らくそういう関係で、逆に申しますと、敦賀というのは、御承知のように昔から港町として栄えたところでございますけれども、そういう潮の流れ等朝鮮半島からの文化も入ってきたのも一つの経緯であるわけでありますが、そのような今の不審船等事件などを見ますと、また「宣戦布告」という小説を読まれた方もいらっしゃるかもしれませんが、ああいうような形で、ひょっとしますと私ども立地をいたしております原子力発電所に何か仕掛けられて事件が起こらないか。また、ミサイル日本列島を飛び越していったということでありますけれども、そういうところでねらわれないかという非常に不安を持つのも事実でございます。  また、特に「もんじゅ」につきましては、大量のプルトニウムを使用しながら、また純度の高いプルトニウムが生産できるということでございまして、諸外国、また原子力発電所に異論を唱える皆さん方から、核兵器に転用するのではないかというように見られがちでございます。日本としては今核物質平和利用を堅持していることはもう言うまでもないことでございますけれども、諸外国平和利用であることを理解していることが非常に重要だというふうに思っておるところでございます。  そうなりますと、やはり日本というのは原子力エネルギー平和利用に限定使用していることを徹底的に開示することが重要じゃなかろうかというふうに考えておるところでございます。そういうためには、やはり保障措置に基づきます査察措置を厳しくすることはもとよりでありますけれども、特に日本原子力関係施設の公開を自発的にかつ積極的に行うべきであるというふうに思っております。  そして、このような問題は私ども原子力発電所立地いたしております市町村には到底解決できることではございません。私どもは、やはり安全問題また地域振興問題で精いっぱいでございまして、国際的な問題まではとても及ばないわけでございまして、ぜひ国としてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っておる次第でございます。  また、保障措置に関します業務の増大、高度化に対応するためということで、定型化しました検査民間機関に行わせるとのことでございますけれども業務スリム化に伴いまして、検査体制が弱体化したり透明性を欠くことのないような措置をする必要があるというふうに思っておる次第でございます。  次に、中間貯蔵施設関係につきまして意見を述べさせていただきます。  日本バックエンド対策ということになるわけでありますが、これまでバックエンド対策早期確立についてということで、私ども、先ほど言いました全国原子力発電所所在市町村協議会、略しまして全原協と言っておりますので御理解いただきたいと思いますが、全原協は強く要望してきたわけでありますけれども、その取り組みがなされなかった。放射性廃棄物対策使用済み燃料対策など、バックエンド対策というのは置き去りにされる傾向にあったというように思っております。近年になりまして、廃棄物保管場所が狭くなりまして、言葉をかえますと、ふん詰まり状態になってからようやくその取り組みが始まったのではなかろうかというふうに感じております。国は原子力長期計画も立てているわけでありますけれども、いつも計画どおりにはなっておりません。特にバックエンド対策は大きくおくれてきたというように思います。  現在の使用済み燃料保管対策の状況でありますけれども、特に敦賀の例を挙げさせていただきますと、日本原電敦賀二号機は、再処理工場建設工事がおくれておる関係で、これまで十二年の運転期間中に一回も使用済み燃料輸送実績がございません。貯蔵プールがあふれる状態になっておるわけでございます。そういうことで、やむなくプールの改造、リラッキングで対応をしているわけでありますけれども地元といたしましては、使用済み燃料は当初再処理工場に搬出するものというように理解をいたしたことから、やはり建設当初の説明とは異なっているものでございます。地元といたしましては、使用済み燃料がいつまでもサイト内に保管されるのではないかという懸念を持つのは当然ではなかろうかというように思います。  今、地方自治体といいますのは、放射能もないごく一般の家庭から出るごみに対しましても大変苦慮しているのが現状でございまして、そういう中で、放射性廃棄物等というのは地域のイメージダウンに、また地域の土地利用が長期的にわたりまして制限されるということから、これは忌避される性格を持つものだというふうに思っております。使用済み燃料はあくまでも有効な資源として再利用されるまでの間、保管管理するものとして社会に認知されるものにする必要があるというように感じております。  それでは解決策についてどうかということでございますけれども、やはりこのような事態の解決策といたしましては、この法案のように使用済み燃料中間貯蔵施設の制度を採用するものでありますけれども、それを業として行う者に対する厳しい安全規制とチェック機能が重要であるというように思います。しかしながら、このような施設は歓迎して地元に迎えられるものとは考えにくいことでございますし、安全性はもとより、その点を補います代替の地域振興策等が大切であるというように思います。  例えばの例でありますけれども、私どもごみの焼却場をつくりますと、隣接をいたしましてその廃熱を利用した温水プールをつくったりする、そういうようなことで焼却場の建物のクリーンなイメージを持ってもらう、そのようなことでございます。要するに、その地域だけが苦しんだり泣きを見るようなことがあってはならぬというように思っております。むしろその地域が他よりも発展するような政策をとっていただきたい、このように思っておるところでございます。このような政策がとれてこそ初めて使用済み燃料中間貯蔵施設建設が可能になるというように私は思っておる次第でございます。  次に、冒頭申し上げました原子力防災の関係でございまして、特に原子力災害対策特別措置法、仮称でありますが、これの早期制定についてということでお話をさせていただきたいと思います。  現行の防災対策問題点でございますけれども、現行の災害対策基本法では市町村の役割が大変重いものでございます。特に原子力防災業務の主なものというのは、広報措置また住民の退避措置であるわけでございまして、原子力災害は一般災害とは全く違うというように私どもは思っております。放射能という全く目に見えないものが風向きによって、またその状況によってどのような形で私どもの地域を襲ってくるかわからないというときに、短時間の間に大量の住民を避難させるということは極めて厳しい業務であるというように思っております。これを市町村の範囲でやりなさいということは、私は的確に実行できないというように実は思っております。  そういう点で、その特殊性また市町村の位置づけ等々考えますと、私は、原子力災害というのは、国の一元的な安全規制の延長線上のものだというように考えておりまして、先ほど言いましたように自然災害と同一に扱うということは非常に無理があるというように思っておる次第でございます。ぜひ原子力災害対策特別措置法を制定していただいて、またこういうことが制定されることによって、私どもの地域、また、今国の方では地球の環境問題等々を考慮するとまだまだ発電所は必要であるというようなお話を聞いておりますし、そういう点でも住民の皆さん方が安心できるのではなかろうかというように考えておる次第でございます。  細かいことにつきましては、今、事故があったとき八キロから十キロの対応になっておりますが、こういう根拠等々につきましても現在明確にもなっておりません。また、国や事業者の責任の位置づけの問題もございます。そういうことから、ぜひ、何度も繰り返しになりますけれども原子力災害対策特別措置法を早急に制定すべきだというように思っておる次第でございます。  最後になりましたけれども、このような大変貴重な場所で意見を述べる機会をいただきましたことに対しまして心から感謝を申し上げる次第でございます。  この法案以外の原子力問題につきましても私見を含めました意見を述べさせていただきましたけれども立地をいたしております地元の抱える問題等につきましても今後国会においても取り上げていただきまして、原子力に対します国民理解を深めていただければ幸いに存ずる次第であります。  このようなことを申し述べさせていただきまして、私の意見発表とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 北側一雄

    北側委員長 ありがとうございました。  次に、前田参考人にお願いいたします。
  7. 前田肇

    前田参考人 おはようございます。関西電力前田でございます。  私は、電気事業連合会で核燃料サイクル関係を検討しております委員会、サイクル部会といいますけれども、そこの部会長を務めておりますので、本日はそういった立場から、また、私の個人的な考えもあわせて意見を述べさせていただきたい、こう思います。  初めに、使用済み燃料中間貯蔵の御説明に入ります前に、原子力発電を取り巻いております最近の状況について簡単に触れさせていただきたいと思います。  私ども電気事業者は、すべてのお客様に低廉で安定した電気を公平に供給するということを目指しておるわけでございます。  まず安定供給面から申し上げますと、原子力中心に石油、石炭、天然ガスそれから水力等をバランスよく組み合わせて開発する、いわゆるベストミックスということを追求してきております。かつて非常に石油に依存しておったわけでございますが、第一次石油ショック以降、原子力中心に天然ガスあるいは石炭火力の開発を進めてまいりまして、石油への依存度を非常に大幅に低下させてまいりました。こういったことで、電源の多様化を通じて電力の安定供給の確保に努めているわけでございます。  お手元にレジュメと幾つかの添付資料を配付させていただいておりますけれども、添付資料の一を見ていただきますと、一九九七年度の発電電力量の実績で、原子力は全体の約三六%の電力を供給しているということがおわかりいただけるかと思います。今後とも、将来にわたって重要な電源としての役割を担うものと考えておりまして、エネルギーセキュリティー上からも極めて重要な電源だというふうに原子力を位置づけております。  また、もう一つの大きな問題といたしまして、近年、化石燃料の燃焼に伴います、いわゆる温室効果ガスが地球環境に与える影響というものが懸念されているわけでございますが、一昨年京都で開催されましたCOP3では先進国の温室効果ガスの排出削減目標というものが決められておりまして、日本は二〇一〇年ごろまでに一九九〇年レベルの六%以下に削減するということになっております。これを受けまして、我が国としてはさらなる省エネルギーの推進とか新エネルギーの導入に取り組む方針でございますが、添付の二にお示ししてございますように、とりわけ温室効果ガスを排出しない原子力発電は地球温暖化問題に極めて有効な手段と考えておりまして、二〇一〇年までに新たに二十基程度の建設が必要と考えております。我々、これに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  このように、現在の原子力を取り巻く情勢としては、導入当初の主たる目的であったエネルギーセキュリティーの確保に加えまして、地球温暖化問題への対応という命題のもと、原子力発電の積極的な推進が今後とも不可欠だと考えている次第でございます。  原子力開発を進めてまいります上では安全の確保というのが大前提である、これは論をまたないところでございますが、その上に、国民の皆様の御理解を得て進めるということが必要不可欠でございます。私ども電気事業者も、各種のシンポジウムとか説明会あるいは見学会等を通じて原子力に関する理解促進の努力を続けておりますけれども、やはり国会の場でこのような原子力に関する議論をしていただくということは非常に重要なことだと考えておりまして、そのような場で意見を述べる機会を与えていただいたことに、改めて感謝を申し上げたいと思います。  さて、本題の使用済み燃料についてでございますが、使用済み燃料とは、添付の三を見ていただくとおわかりいただけると思いますが、ウラン燃料原子炉の中で三ないし四年間燃えまして、その核分裂の能力が大幅に低下した後に原子炉から取り出されたものを使用済み燃料と言っています。この中には、原子炉での燃焼で燃え残ったウラン235あるいは燃えにくいウラン238及び238が中性子を吸収してできた、燃えやすいプルトニウム239、こういった、まだ燃料としてリサイクル利用できる物質が九七%も残っております。  エネルギー資源に乏しい我が国において、貴重なウラン資源をより有効に活用するため、使用済み燃料を再処理してウランプルトニウムを取り出し、これを燃料として再利用するということで将来にわたってエネルギーの安定確保を図ることが我が国の基本的な政策となっているわけでありまして、これは言うなら、二十一世紀に向けて、循環型社会、よく言われますリサイクル社会を構築するという基本的な理念にも合致したものであろうかと思っております。  このように、使用済み燃料は我が国にとって重要なエネルギー資源であり、総合エネルギー調査会原子力部会では、使用済み燃料中間貯蔵を将来のプルトニウム本格利用時代に備えた資源備蓄というふうにとらえておりまして、使用済み燃料をリサイクル燃料資源というふうに名づけております。  次に、使用済み燃料中間貯蔵必要性について申し上げます。  添付四を見ていただきたいと思いますが、我が国の原子力発電所から発生する使用済み燃料は、現在、年間九百トン程度、これが二〇一〇年には千四百トン程度、さらに二〇三〇年には千九百トン程度となることが見込まれております。  一方、再処理側について申し上げますと、海外再処理工場への搬出は、昨年、九八年度ですべて終わっておりまして、今後の再処理は実質的にはすべて六ケ所再処理工場で行われることになります。六ケ所再処理工場処理能力は年間八百トンでございますので、これを上回る使用済み燃料は適切に貯蔵していく必要がございます。  使用済み燃料の貯蔵について、地元の御理解を得ながら、当面は発電所貯蔵プールを増強して対応していくこととしておりますが、長期的には、やはりエネルギー資源の備蓄として発電所敷地外に集中貯蔵するのが適切であるというふうに考えております。  それでは、その必要時期でございますけれども、今後の使用済み燃料発生量、再処理能力あるいは発電所の貯蔵能力等を勘案いたしますと、二〇一〇年までに発電所敷地外の中間貯蔵を実現する必要がある、このように考えております。  中間貯蔵に必要な設備容量といたしましては、我が国全体で、二〇一〇年には約六千トン、二〇二〇年には約一万五千トン程度の施設が必要ではないか、このように見込んでおります。  リサイクル路線を弾力的に運用していくためには、そのサイクルの流れの中に流通在庫といった部分を保有しておくことが必要でありまして、使用済み燃料貯蔵施設はまさにこの流通在庫に相当する重要な施設である、このように考えております。  また、使用済み燃料中間貯蔵プルトニウム利用の観点から見ますと、六ケ所再処理工場からのプルトニウムはMOX燃料に加工しまして軽水炉計画的に使用していくことにしておりまして、中間貯蔵しました使用済み燃料は、主として六ケ所再処理工場に続く第二再処理工場において再処理することになるというふうに考えております。  第二再処理工場につきましては、六ケ所の再処理工場の稼働状況あるいは再処理技術の開発動向あるいは高速増殖炉開発シナリオ等を踏まえて、二〇一〇年ごろに方針決定をするというふうに長期計画で定められております。国際原子力機関、IAEAの試算によりますと、二十一世紀半ばにはウラン需給が逼迫してくるとの見通しもございます。エネルギーセキュリティーの観点から、将来への資源の備蓄のために使用済み燃料の貯蔵を行い、エネルギー供給面での柔軟性を持たせるということが重要であろうかと考えております。  いずれにいたしましても、資源小国である我が国としては、限られた資源をいかに有効に活用するか、またその余地を残しておくかが重要な命題でありまして、使用済み燃料は将来的に全量再処理するということを基本としつつ、貴重なエネルギー源として活用していくことが肝要であると考えております。  次に、使用済み燃料貯蔵の安全性について説明させていただきます。  使用済み燃料貯蔵施設は、静的、安定的に貯蔵する施設であります。発電後の使用済み燃料核分裂反応を起こす能力が大幅に低下しておりますし、また、含まれます放射性物質の量や発熱量も時間の経過とともに減少していく性質があります。また、放射性物質は燃料被覆管に閉じ込められており、容易には外部へ漏れない構造となっています。  使用済み燃料貯蔵に必要な放射線遮へい、除熱あるいは核分裂連鎖反応の防止等の安全技術は、既に稼働中の原子力発電所燃料貯蔵プールやキャスク貯蔵で用いられている実績のある技術でございます。過去においても、発電所使用済み燃料の貯蔵中にトラブルが発生したことは一度もございません。したがって、使用済み燃料の貯蔵は現行の技術で十分安全に実施できるものと考えております。  使用済み燃料の貯蔵方式には、プール貯蔵に代表される湿式の貯蔵方式とキャスク貯蔵に代表される乾式の貯蔵方式がありますが、両方式とも、海外では既に多くの実用化の実績がございます。  添付五には、欧州各国の中間貯蔵施設の状況を示しておりますが、そのほかに、米国では各発電所サイトにおいて乾式貯蔵が広く採用されております。  また、添付の六、七に、我が国において採用されておりますプール貯蔵方式あるいは乾式貯蔵方式の写真をお見せしております。添付六は、実はこれはフランスのラアーグの再処理工場の写真でございますが、我々の発電所でも同じようなプールを用いております。  次に、使用済み燃料中間貯蔵に関する電気事業者の取り組みと今後の課題に関して説明させていただきます。  電気事業者としましては、使用済み燃料中間貯蔵は全電力共通の課題であるとの認識のもと、国の総合エネルギー調査会原子力部会での法制化に向けた審議に対応すべく、電気事業連合会の中に全電力が参加した検討会を昨年三月に設置し、中間貯蔵の今後の進め方について検討を進めているところでございます。  また、これと並行して、施設の具体的な立地について電力各社が取り組んでいるところでありますが、電気事業者としましては、貯蔵施設の安全性、必要性等について地元の御理解を得つつ、地元の意向を十分反映して地域環境及び自然環境との調和に配慮し、立地点の確保に取り組んでまいる所存でございます。  また、中間貯蔵立地に当たりましては、国民の皆様の御理解と御協力が不可欠でございまして、国とも協調をとりつつ、使用済み燃料貯蔵の必要性、安全性、さらには政策上の位置づけについて、積極的に国民の皆様の御理解を得るべく努力してまいる所存でございます。  使用済み燃料中間貯蔵の事業化に当たりましては、まず早期に立地点を確保することが最重要課題でありますが、そのためにも、法令に基づく事業規制により事業の安全性、信頼性を確保し、事業に透明性を持たせることが重要であると認識しております。今回の法改正によりまして、使用済み燃料中間貯蔵の事業化に必要な所要の法規定が整備されることを電気事業者として要望する次第でございます。  最後に、地球温暖化防止対策としても原子力発電の一層の推進が求められている中において、発電所の円滑な運転と密接不可分な使用済み燃料対策に将来への道筋をつける意味で、また、リサイクル利用できる資源を備蓄して将来のエネルギーセキュリティーに備えるという面において、使用済み燃料中間貯蔵の事業化は大きな意義を持つものであります。我々電気事業者としても、中間貯蔵施設の実現に向けて、国における法制度の整備と歩調を合わせて施設の立地に向けた取り組みを推進してまいる所存でありますので、ぜひとも御理解を賜りたく、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
  8. 北側一雄

    北側委員長 ありがとうございました。  次に、中島参考人にお願いいたします。
  9. 中島篤之助

    中島参考人 中島でございます。  最初に、資料として二つ、皆さんのお手元に行っているかと思います。これは、どちらも古文書に属するような古い話になってしまうので恐縮なんですけれども一つは、八四年の十二月ですから、今からもう十五年前に、エコノミストという毎日新聞社で出しております雑誌に私が発表したものであります。ここでは、「放射性廃棄物は暫定貯蔵を考えよ」という題になっております。これは、私がつけた題ではなくて、エコノミストの編集者がつけた題なんですけれども、そうすると、私は暫定貯蔵に反対ではないなというふうに考えられるとちょっと困るので、最初に弁解しておきますと、ごらんいただけばわかるんですけれども、この当時、全量再処理をするという日本のバックエンドの方針は無理だということを私は言いたかったわけであります。  前半は、高レベル廃棄物処理処分問題が国際学術連合で初めて取り上げられまして、当時私は日本学術会議におりまして、日本学術会議は国際学術連合の下部機関でありますので、まさかICSUがそういう問題を取り上げることになろうとは思っていなかったんですけれども、取り上げることになったものですから、少しあちこちにお願いいたしまして、学術会議はお金がありませんので、文部省からお金をいただきまして研究班をつくったことを思い出しました。東京大学の武内先生を首班として、放射性廃棄物の処分の問題の研究班をつくっていただいたわけであります。また、国際的なICSUの会議にも、原子力産業会議の御尽力で、一万ドルでしたか出していただいて、そして報告をまとめることができたということでありました。  この後半の方に、再処理というのは、当時の状況から見てこれは妄想、これも編集者がつけたんですが、到底実際の事業にはなっていないと。これは、きょうの議題にも大変関係のあることでありますので申し上げますと、再処理というのは、核兵器をつくるためのプルトニウムをつくる技術から発展したわけでありまして、かなり長い技術経験があるわけですけれども、しかし、事業として見た場合にそれがちゃんと成り立っているかどうかということについては、非常に今でも疑問がある。  これは今申し上げておきますと、千九百何年でしたか、国際核燃料サイクル評価会議というのがありました。カーター大統領の提唱で行われたものでありますが、このときに核燃料処理の部会がありまして、これは日本が議長国をやったわけです。このときに出された再処理の費用の見積もりというのは、現在少なくとも数倍になってしまっておるというわけでありまして、経験を踏んで年数がたてばだんだん安くなってくるというのでなければ確立された技術というふうには私は言えないと思うんですけれども、反対に少なくとも数倍以上になっている。  ですから、現行のピューレックス法と呼ばれます方法のままでは、恐らくコストを下げることは非常に難しいだろうと私は考えております。もっと新しい再処理方法、例えば弗化物を使う方法とか、要するに乾式の方法が考えられておりますが、むしろそういうものの技術開発を急ぐ方が現在必要なことであって、現在のピューレックス法をそのまま延長して、それが採算のとれる技術になっていくかどうかということは非常に疑問であると考えております。  それから、同じことが、これは岩波の「科学」に書きました報告、これは八六年でありますが、「核燃料処理現状問題点」ということの最後のところだけを委員部の方にお願いしてコピーしたものが皆さんのお手元に行っております。これも後でごらんいただきたい。  私が申し上げたいのは、これはどちらも十五年前の話である、やっと中間貯蔵が今出てきたというのは、やはり日本原子力政策が非常に甘い見通し、楽観的な見通しのもとに進められていたのではないだろうかということを最初に申し上げたいのであります。  現在まで、我が国は、ウランとして一万二千九百四十トンを九七年末までに使用したということになっております。そのうちの五千六百トンが実は海外の委託再処理でありまして、これは、フランスのラアーグとイギリスのTHORP工場に搬出されて、これはたしかもう終わったはずであります。  国内で再処理をやりました動燃事業団は、最初の見込みでは年間二百十トンだということでしたけれども、これは、単に技術的な理由のほかに、アメリカから核不拡散条約との見合いでその能力を制限されたということもありまして、ようやく最近になりまして年間九十トンぐらいの処理ができるようになっている。累積としては九百四十トンしか処理をしていないということになります。  そういうことでありますから、結果として、原子力発電所の事業所内にプール貯蔵等で現在七千トンの貯蔵量が蓄積しているというのが状況であります。先ほど前田参考人がおっしゃいましたように、毎年九百トンくらいがこれからも出てくるということになるわけであります。  六ケ所の再処理工場は、これは一応現在八百トン年間処理できるんだと。二〇〇三年操業ということでありましたが、これは二年ほど延びるし、コストも大変高くなってきているということが最近報道されております。  いわゆるリサイクル資源中間貯蔵ということについての問題点でありますけれども、私は、この問題が出てきたということは、今までの我が国のバックエンド政策と申しますか、いわゆる核燃料サイクル政策の一つの矛盾といいますか、破綻といいますか、その結果ではないかというふうに考えざるを得ないのであります。  原子力委員会は、原子力開発利用の長期計画の中で、使用済み核燃料を全量再処理するんだという方針を、よく言えば堅持してきた。しかし、堅持するといっても、実際に技術的なバックグラウンドなしに堅持したらいろいろな破綻が来るのは当然でありまして、今度中間貯蔵したということは、本当はその方針を大転換したことになるはずであります。そのことが全然明確にされていないということがまず最大の問題であると私は思います。  この問題に伴いまして、プルトニウムが分離されてくるわけでありますが、そのためには、これは核不拡散との見合いで透明性を確保しなければいけない。つまり、核兵器に使用することはないということをどうして担保するか。それから、そのためには余分のプルトニウムを持たないようにするんだというわけでありますが、その余分のプルトニウムを持たないことの柱になっておったのが、一つは高速増殖炉で燃焼させる、もう一つは「ふげん」で燃焼させるというようなことが方針でありました。ところが、御存じのように、「もんじゅ」の事故でありますとか、一昨年の動燃処理工場の火災事故などがありまして、こういう方針の全面的な見直しが私は必要になっているのではないかというふうに考えるわけであります。  ですから、我が国の原子燃料サイクルをめぐる現在の問題点ということで、まず問題になりますのは、今まで言ってきた高速増殖炉というのがいつ動くのかというか、いつ期待できるのかということですね。これは今までは、私の別刷りにも書いてありますが、二〇一五年だというのが当時の原子力委員会のお考えであります。二〇一五年以降に電力網に入るだろう。ところが、今問題になっているのは、この間の「もんじゅ事故以後、二〇五〇年より早くはないだろうというようなことになりまして、これは「もんじゅ」ではなくて、「もんじゅ」の後の実証炉の時期が全く未確定になっているわけであります。  それから、「ふげん」が非常にコストがかかり過ぎるからという理由でもって中止するということになりました。しかし、私は、この方針はちょっと現在では見直す必要があるんじゃないか。といいますのは、我が国でプルトニウムの混合燃料、MOX燃料を一番たくさん燃やした原子炉が「ふげん」でありまして、これをただコストが高いからという理由だけで廃止することにした原子力委員会の方針は、核拡散ということを考えた場合にはもう一度考え直す必要があるということを私は考えております。  それから次に、その代案として出てきたのがプルサーマル計画でありますけれども、これが予定どおり果たして進むのか。海外再処理というのは、そういう意味では、お金をかなり払えば外国がやってくれる。問題はその輸送でありまして、まず戻ってくるプルトニウムの護衛が大変だったわけでありまして、そのためにわざわざ海上保安庁の「しきしま」という巡視船を百六十億円もかけてつくりました。しかし、それでもその武装は完全ではないということで、結局アメリカ海軍のバックアップが必要であったというのが過去の状況であります。  ですから、プルトニウムを裸で運ぶのは危ないから、今度はMOXにして運ぼうというわけでありますが、この輸送も、現在いろいろアメリカの議会筋が何かクレームをつけているようでありまして、難しくなっているという状況があります。  それから、六ケ所村の再処理工場は八百トンということで、これが順調に動きましても足らないわけでありまして、その以後の計画はこれから決めるということになっているわけであります。  それから次に、高レベル放射性廃棄物処理処分、これは地層処分をするんだということは決まったものの、それがどこが実施主体になり、どこへそれを処分するのかということはいまだに未定である、皆さん御存じのとおりであります。一方で、原発の開発計画、これは環境問題も含めてもっと増設しなきゃいかぬ。  これはいろいろな意見があります。先ほど石川参考人が触れられましたように、円卓会議などで国民の各層の御意見を伺っておりますと、非常に難しい問題が山積しているという感じを私は受けるわけです。  こういう今私が幾つか挙げました原子燃料サイクルをめぐるいろいろな問題は、どれ一つとってもそれぞれが国民的な討議が必要になることでありまして、これは円卓会議では残念ながら昨年取り上げることができませんで、ことしになったらなるべく精力的に原子燃料サイクル問題を取り上げようということが決まったばかりであります。そのことは三月に出しました中間報告の提言に書かれておりますので、ごらんいただければと思います。  それから次に、今度の具体的な問題点について私の意見を二、三申し上げさせていただきます。  第一は、中間ということでありますが、この数字が、法律にはどこにも、例えば何十年というような数字はないわけであります。  一つの言い方は、これはウランの需給が逼迫する時期だと。これは、先ほどありましたように、国際原子力機関が二〇五〇年ごろには逼迫するかもしれないと言っているから、そうすると五十年ということになるわけですが、そのことは明示されておりません。  それから、検討会の報告書では、経済性を計算する、つまり何年間保存するかという期間が決まらなければ経済計算はできませんので、そこには四十年という数字が出ておりますけれども、なぜ四十年なのかという根拠は全くございません。  それからもう一つ、この法律案で、何条でしたか、中間貯蔵施設が初めから原子力発電所敷地外という表現になっております。私は、これはちょっと問題だと思うのです。少なくとも敷地は含め敷地外もというのならまだ私は容認できますけれども、初めから敷地外。これは、余りにも今の国民原子力に対する不信感あるいは不安感を無視した考え方でありまして、先ほど河瀬参考人も言われましたが、普通のごみでさえ、いわゆるNIMBYと申しまして、ノット・イン・マイ・バックヤード、大切なことはわかるけれども、必要なことはわかっても自分のうちの裏庭に置くのはお断りだというのが一種のはやりになっている。こういう風潮の中で、そう簡単にこの貯蔵施設ができるだろうかということを私は心配するものであります。  それから三番目に、燃料がどんな性質のものかということが余り書いてありません。使用済み燃料というとそれでみんな同じかというと、実は、核燃料処理をすぐやるんだということであれば、余り燃料軽水炉の中で長時間燃すことは得策ではありません。これはウランの236がふえるとかその他のことがありまして、大体四万五千メガワット・デー・パー・トンくらいでとどめる必要がある。ところが、例えば、ここに書かれておりますように、三十年ないし四十年資源として保存しておいて、そしてそれからプルトニウムを取り出すんだという場合には、これはなるべく長時間燃した方がいい。つまり八万メガワット・デーくらいまでいければ、技術的に可能ならば、その方が経済上は非常に有利になってまいります。  そういうようなことがありますと、そのとき出てくる燃料は当然違ってくるわけであります。それから、プルサーマルの結果出てくる燃料と今までの使用済み燃料とは必ずしも同じではありませんので、そういう将来考えられるいろいろな、例えば軽水炉を使うにしましても、トリウムを使うというようなことが可能でありますから、そういうオプションに対して全然規定がないわけであります。これは、法律というのはそういう技術的な規定をするところではないのかもしれませんけれども、やはり現在のところでは非常に狭い視野でしか将来の原子力開発、原子力にかかわる技術開発を考えていないということになります。  それから四番目の問題としては、一つ輸送問題があります。  これは、確かに今まで貯蔵プール等々で事故は少ないということはおっしゃるとおりでありますけれども、運び込むときあるいはその途中は非常に問題でありまして、特に原子炉敷地外貯蔵ということを前提にいたしますと、それがどこにつくられるかわかりませんが、そこまでのところと、そこから今度は再処理工場への輸送と二重に輸送が必要になります。これが一カ所ではなくて、全国に何カ所つくられるかということも何も明示されておりませんが、それによって非常に輸送問題は大きな問題になってくると私は思います。我が国では、従来はこういう使用済み燃料は全部海上輸送であります。ですから、それから考えますと、将来立地されるいわゆる中間貯蔵所もこれは当然海岸立地なのだろうか。そのことは何も書いてありませんけれども、そのことを考える必要があるかと思います。  それから、全量再処理の方針の反対として、いわゆる直接処分、これは、アメリカがやっているような、使用済み燃料を貯蔵した後、発熱が小さくなったらばいきなり最終処分をするという方法でありますが、これに反対、再処理をしなければいけないのだという理由として挙げられておるのは、そのまま地下に埋めたりすると、これはプルトニウム鉱山をつくるようなものだから、したがって反対なのだ、再処理をしなければいけないのだという理由が挙げられておりましたけれども、今後の中間貯蔵施設というのは、多分地下ではなくて地上につくられるでありましょうから、これは同じですから、もっと問題だ。だから、今までの原子力委員会が挙げられた方針は、直接処分に反対だという理由はなくなったというふうに言わざるを得ないのであります。  中間貯蔵施設というものの安全性は確保されるのだというお話でありますけれども、逆に言いますと、この危険性は高レベル廃棄物の最終処分前の暫定貯蔵とほとんど変わりません。例えば現在、青森にフランスから返ってきたガラス固化体が貯蔵されておりますけれども、そういうものの危険性とほぼ同じだと考えておけばいいのではないかと思います。  この地層処分につきましても、最近、一番その点で進んだ政策を展開したフランスで、これは三カ所最終処分場を考えておったのですけれども、それに対していろいろ異議が出ました。つまり、将来の技術開発も見込むと、つまり処分というのは将来取り出すことを考えないという意味があるわけですけれども、それを取り出せるような、つまり回収可能な長期貯蔵という方針への転換が伝えられているわけであります。これらについての整合性も私は十分考えておく必要があるかと思います。  以上申し上げましたが、時間が参りましたので締めくくりますが、今回出されました法案は、危険性の大きい使用済み燃料の取り扱いについて、はっきり申し上げて思慮不十分であると言わざるを得ないのでありまして、原子力開発に対して深刻な不信感を抱いている国民に、一層大きな不安を、懸念を抱かせることになるのではないかということを危惧するものであります。  以上で私のお話を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  10. 北側一雄

    北側委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 北側一雄

    北側委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥山茂彦君。
  12. 奥山茂彦

    ○奥山委員 おはようございます。  今四人の参考人の先生方からいろいろ御意見を聞かせていただいたわけでございます。我々も、これまでから、前回の委員会においていろいろ質疑が行われたわけであります。そしてまた、きょうは各先生方からいろいろな方面からの意見を聞かせてもらったわけでありますが、基本的には、我が国のこれからのエネルギー政策というものは、特に電気の総発電量というものは、言うまでもなく原子力発電が主流になっておるわけでありまして、現在で既にもう三割以上の原子力発電からの供給がなされておる。しかも、これを四五%ぐらいまで近い将来上昇させていかなければならぬ。そういう中におきましては、これからの原子力発電というものは、その安全性を大事にしながらより進めていかなければならないわけであります。  そこで、いわゆる使用済み燃料の処分の問題でいろいろ問題を起こしておるわけであります。昨日のマスコミ等でもずっと報じられておりますのが、日本原燃がまたまた操業を開始するのが二〇〇五年まで繰り延べされた、こういうことで二年半の繰り延べが決定されたようであります。そうなってまいりますと、これまでの我が国の中間貯蔵がそれぞれの発電所内で行われてきた、これが重大な影響を受けることはもう言うまでもないわけであります。  そこにおいて、一つは再処理の問題でありますけれども、これが過去五回、いろいろな理由でもって繰り延べがずっとなされてきて、しかもまた二〇〇五年に。本当にもう確実にその時点で開始ができるのかどうかということが今一番の問題でなかろうかと思います。そういう中におきまして、一つは、この再処理技術的な問題がまだまだ我が国の場合はあるのかどうかということを、まず石川参考人にお尋ねをしたい。  それから、続きまして、自治体、特にきょうは敦賀市長さんに来ていただいておるわけでありますけれども、特に発電所内における使用済み燃料の貯蔵が、先ほどもいろいろな話の中において、もう今が限界じゃなかろうかというような話まであったわけであります。しかも、これがさらに延ばされるということになってきて、今度、中間貯蔵の新たな方法を検討しなければならぬというところまで追い込まれているわけでありますが、こういった面を、原発立地の自治体の見地からどういう対応をこれからされるのか。あるいは、住民不信がまたまたここで生まれてくるのでなかろうか、こういうことが懸念されるわけであります。そういう点をお尋ねをしたいと思います。  それから、電気事業連の前田会長さんにお尋ねをしたいのですけれども、こういう事態に至って、しかも再処理がさらに繰り延べられるということになってきた場合に、場合によってはそれぞれの原子力発電所の貯蔵能力をもう超えてしまうということになってくると、これは非常に深刻なことになるのではなかろうか。そういうことになってくると、改めてまた海外における再処理をしなければならぬという事態まであるいは追い込まれるかもしれない、そういうことがあります。そういうことは、これからの電気事業連としてはどういう対応をされていかれるのか。  それから中島参考人に、安全性にいろいろまだ技術的に問題があるという先ほどの御意見が強かったわけでありますけれども、こういう事態になったときに、その再処理技術的な問題等も含んで、どういう見解を持っておられるのか。  以上、お尋ねをしたいと思います。
  13. 石川迪夫

    石川参考人 お答えさせていただきます。  まず基本的に、再処理技術というのは、これは御承知のように原爆の時代から始まっているものでございますから、軍の研究としてはもう四十年以上の実績があるわけでございます。これが我々原子力発電の場合には市民の技術になってきているというわけでございまして、この技術イギリスフランス、またアメリカ等で行われてきているものでございますから、今日本で、六ケ所でできております新しい工場についていろいろなトラブルを経験することであろうと私は思いますけれども、本質的な意味での再処理技術についての問題というものはないと私は思っております。初めてのものでございますから、参加をしておられる方々がいろいろな困難に出会われること、それによっておくれるといったようなことは当然あるであろうというふうには思いますけれども、それが本質的な、例えば事故、災害、とんでもないことにつながるというものではないというふうに考えております。  以上でお答えを終わらせていただきます。
  14. 河瀬一治

    河瀬参考人 私ども立地の自治体が、これから使用済み燃料等々についてどのように取り組むかということでございます。  これは先ほど申し上げましたけれども、当初から使用済み燃料は再処理工場へ運ぶんだということをいただいて私どもは実は原発立地をいたしております。これは原子炉設置許可申請書にも記載されていることでありますし、言葉は悪いですけれども、トイレなきマンションという中にどんどんためるものがふえていくということは、先ほど言いましたように、非常にイメージダウンにもつながりますし、そういう不安がございますので、やはり今は、中間貯蔵施設をつくるということの約束もいただいていますから、そのことを見きわめますとともに、やっていただくようにこれから国等にも強力に働きかけをしていきたいというように思っております。
  15. 前田肇

    前田参考人 ただいまの御質問は、六ケ所の再処理工場がおくれたということで発電所の貯蔵状況が逼迫するんじゃないかという御心配かと思いますけれども、既に、ここ二、三年、平成九年から十年にかけまして、全国で約十カ所の発電所におきまして、発電所内での貯蔵容量の増強、これは、プールの中に燃料を置きますラックというのがあるのですけれども、そういうラックを増設するとかいったことで発電所内での貯蔵容量の増強に今努めております。  それで、六ケ所工場の、確かに本体は今回二年半おくれるということになりましたけれども使用済み燃料を受け入れますプールそのものはもう完成しております。したがいまして、私どもとしては、何とか早く地元と安全協定を結ばせていただいて、本体再処理工場が操業を開始するまでの間に千六百トン程度の使用済み燃料をそこへ搬入させていただきたい、こういうふうに希望しております。  こういった発電所サイトでの対応策、それから、六ケ所の工事をこれからきちんと進めていく、また搬入させていただく、こういうことで、発電所運転に支障を来すような事態にはならない、このように考えております。  以上です。
  16. 中島篤之助

    中島参考人 私が申しました安全性に対する懸念というのは、申し上げたとおりでありまして、いわゆる今までのプール貯蔵とかキャスク貯蔵とかで余り大きな問題が起こっていないということは私も認めます。ただし、輸送の問題がある。それから、それがどこにできるのかが明確じゃありませんけれども、もし仮に日本に何カ所もそういう貯蔵所がつくられるとすると、この輸送問題が非常に大きな問題になるだろうということを申し上げたわけであります。  もう一つは、これは核拡散防止上の対策等で、原子炉と同じように、あるいは高レベル廃棄物の処分場と同じように、非常に厳重な防御をしなければならぬ施設にならざるを得ないのでありまして、その点で、民間に委託するというのは少し安易ではないかと私は考えております。  以上です。
  17. 奥山茂彦

    ○奥山委員 こういった中間貯蔵施設というものが、今の前田参考人から聞かせてもらった話では、まだしばらくはそれぞれの発電所の敷地内にもう少しはいけそうだ、こういうことでありますけれども、しかし、こういったおくれを契機にしながら、新たな中間貯蔵施設を設けなければならぬ。  しかし、これまで原子力発電所を新たに設置する場合も住民説得に大変な時間を要してきたわけであります。これまで原子力発電所を新たにつくる以上に、今度は中間貯蔵施設を設けるということになってくると、住民説得というものが非常に難しいであろう、我々はそんなように思うわけであります。  そういう中において、先ほどの中島参考人の話にもありましたように、日本の国内で複数そういう施設を設けていかなければならぬし、また、その方向で政府の方針も出されてきておるわけでありますが、そういうことを想定するとしても、日本の国内で何カ所ぐらいそういう施設を設けなければならぬか。現在は毎年九百トン出るわけですね。これが二〇一〇年には千四百トンが出て、二〇三〇年には千九百トンぐらいが出るであろう、こういう予測が立てられているときに、石川参考人に、そういう施設を六ケ所村の日本原燃の敷地内以外にあとどのくらい設けなければならぬかということが一つ。それから、できたら前田参考人にもお尋ねをしたいと思うのです。
  18. 石川迪夫

    石川参考人 お答えを申し上げますというよりも、非常にお答え申し上げるのが難しい御質問かと思います。  これは、つくられる中間貯蔵施設の規模、大きさにもよってくるわけでございます。それから、今つくられております再処理施設が動きまして、そうして、また次の再処理施設の計画もあるやに聞いておりますが、それがいつごろできるかということになるわけでございます。  要は、再処理工場運転する前の資源倉庫であるというふうに私は申し上げたと思いますが、そういったものでございますので、複数の数があったとしてもそれはあり得ることであろうというふうに私は考えております。
  19. 前田肇

    前田参考人 何カ所かというのはストレートにお答えするのはちょっと難しゅうございますけれども、先ほど私は、二〇一〇年に六千トン程度の容量、二〇二〇年に一万五千トン程度の容量というふうに申し上げました。  これは、例えば二〇二〇年に一万五千トンつくったら、一遍にその年に満杯になるわけではなくて、それからさらに十年ぐらいはそこへ運び込めるという余裕を見て考えておりますので、そうしますと、二〇三〇年ぐらいまでは一万五千トンの容量でいけるだろうと思います。  では、その一万五千トンを何カ所に分けてつくるのか、こういう話になるわけですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今、電気事業連合会で、電力各社が集まりまして、今後立地にどういうふうに取り組むか、いろいろと検討しております。やはり一番大事なのは国民合意、地元の御理解ということですので、そういった点に、パンフレットをつくったり、ホームページで情報を流したり、いろいろやっております。  実際の立地は、これはやはり各電力それぞれ、地元のそれぞれの固有の事情もございますので、まず各電力で、自分のところで探そうというつもりをいたしております。  最終的に、全国にたくさんできるのか、あるいは幾つかの電力会社が集まって一カ所共同でつくるのか。共同でつくるということも当然あり得ると思います。その辺はちょっと今のところは何とも申し上げられませんが、全国で少なくとも複数箇所、二カ所、三カ所、四カ所といった複数箇所のものができれば、輸送の距離その他から考えてもいいんじゃなかろうかというふうに思っております。
  20. 奥山茂彦

    ○奥山委員 先ほど河瀬参考人から、原子力発電所の防護対策、防御対策に少し触れられたわけでありますけれども、我々もその点は大変心配をしております。それは北朝鮮の弾道ミサイルの問題もありましょうが、それ以前に、いわゆるテロ的な行為とか、不審な者に侵入された場合の対応というものが、それぞれの原子力発電所、本当に今大丈夫なのかという懸念があるわけであります。そういう話を我々はいろいろ聞く中において、非常に防御体制が懸念されるということがあるのです。  先ほども少し触れられたわけでありますが、地元市長として、これからどういう体制をつくってもらわなければならぬというふうに考えておられるか、その辺を聞かせてもらいたいと思います。
  21. 河瀬一治

    河瀬参考人 先ほど申し上げたとおりなのですけれども、ただ、どうも日本人というのは安全ぼけをしていることも事実じゃなかろうかと私は思います。本で読んだり、そういう事件があると、ふっと不安がよぎるのですけれども、終わってしまいますとそれを忘れてしまうというところも実は感じておりますし、私ども、まさか北朝鮮のスパイが来て、うちらにある発電所に爆弾を仕掛けることはないだろうというふうに実は思っていることも事実でありますが、これを地元としてどう警備しようと言われましても、とてもできるものでもございませんし、やはりこれは、安全管理という一つの責任上、国としてしっかりとやっていただければ、これにこしたことはない。  いろいろなお話を聞きますと、日本原子力発電所ほど無防備なところはないということは聞いておりますし、私どももアメリカまたヨーロッパの発電所も視察をさせていただきましたが、管理体制、またなかなかそういう厳しいものがあるなということも実は感じておりますので、国の安全上ということで責任を持って管理をしていただければ、地元とすればより一層安心だなという気もいたしております。  ただ、市長という立場でどうできるかというと、そういうことを国の皆さん方にお願いをするしかないというふうに思っております。
  22. 奥山茂彦

    ○奥山委員 もう余り時間がありませんので、最後に、先ほど中島参考人が触れられたわけなのですが、保障措置検査業務、こういった業務が、一定の範囲内になるわけでありますけれども、民間に任せてもよいということになってきたわけであります。  ただ、こういう問題は、これまでデータ改ざん事件等もいろいろあって、本当に民間に依頼するのが信頼されるかどうかという懸念が、我々もまだ一抹残っておるわけでありますけれども、その辺はいかがですか。
  23. 中島篤之助

    中島参考人 私は余り賛成できないと思っておるわけであります。  法案によりますと、定型的な部分は民間に任す、つまり、ルーチンになっているようなチェックとかは民間に任せてもいいのじゃないかと。  これは、現在の保障措置の体系がどういうものであるかということをお話ししないと大変ですが、二つあるわけですね。国内の保障措置とIAEAの査察を待つ保障措置、両方があります。それで、国内の保障措置の基本は計量管理であります。つまり、核物質がどのぐらい、どこにあるかということを、場所を決めましてそれを管理しているわけですね。要するに、商店の在庫管理と同じ考え方でありまして、何カ月かごとに異動を調べましてチェックをしていく。そういうもので、一種のパターン化しているものは任せてもいいのではないかという気がしないでもないのです。  しかしやはり、これは外交問題といいますか、日本が核兵器はつくらないというのは、日本国民でつくろうと思っている人はだれもいないと私は思うのですけれども外国から見ると、非常に巨大な原子力産業を持っていて、技術能力も非常に高い。したがって、核武装を着々と進めているのではないかと外国は思っていることもまた事実でありまして、そのはざまで出てくる問題ですから、民間に委託をするというようなことは、外国の信用という点からいっても、懸念を払拭する意味でも、余りしない方がいいのではないかと私は考えております。
  24. 奥山茂彦

    ○奥山委員 では、終わります。
  25. 北側一雄

    北側委員長 辻一彦君。
  26. 辻一彦

    ○辻(一)委員 参考人の皆さん、どうも御苦労さまです。  限られた二十分ですから、要点だけ伺いたいと思います。  その前に私のスタンスを申し上げておきたいのですが、いろいろ御意見がありますが、核燃料サイクルの中で中間貯蔵施設の問題が出てきたのは、やはり、プルトニウム利用計画の破綻、ほころびが出てきた、こう考えざるを得ない。予定どおり全部再処理をして、プルトニウムをATR、新型転換炉や高速増殖炉で全部処理するとするならば、こういう問題は出てこない。そこに、ATRの開発中止あるいはFBR、高速増殖炉の「もんじゅ問題等々によって破綻が出てきた。政府はそれは破綻ではないと言って、じゃ見通しが狂ったのかと言うと、それには反論はしないのですが、見通しが狂ったということは事実であろうと思うのです。  しかし、私は、中間貯蔵をさりとて否定するわけではない。というのは、使用済み燃料を全量処理して、全部早々と燃やしてしまう、なくするということが、資源小国の我が国にとって、長い将来を考えたときに本当にいいのかどうか。中間貯蔵等によって、むしろ使用済み燃料を相当期間貯蔵して、備蓄してもいいのじゃないか。電事連もそういう考え方を示されておりますが、そういう考え。  それから、米ソ両国が戦後、核弾頭に詰めたのはそれぞれ百トンというプルトニウムですが、今、我が国がプルサーマルで使おうとするのは六十トン。海外から三十トン、国内で三十トン。これは膨大なプルトニウムを使う計画ですから、核不拡散の先頭に立つべき我が国として、果たして大量プルトニウム使用社会への引き金を引くべきかどうかということは、引かない方がいいだろう。こういう点から、中間貯蔵はよりましな考え方でないだろうかというように思う。  そういうスタンスで具体的に二、三点伺いたいのですが、昭和六十三年、八八年ですが、私はウィーンに行って、当時のブリックス事務局長や各次長、担当部長と二日間ほど相当論議をしました。  ローゼンというアメリカ出身の原子力安全部長、関電の高浜原発にOSARTで調査に来ていますが、彼とかなり論議をしたときに、アメリカはワンススルーで廃棄する、処分する。日本フランスイギリスは再処理をやって、これを生かそうとしている。しかし、アメリカのワンススルーでやっている中にも、最終廃棄をする前段であると同時に、本当にこのプルトニウムが安全に使えるような道があるならば、将来の資源として、水の中につけて五十年ぐらい様子を見てもいいじゃないか、こういう考え方があるということを、昭和六十三年ですから十年余り前ですが、明確に彼は指摘をしておったと私は思うのですね。  その点を考えると、まず一つは、資源小国という我が国が使用済み燃料を全部早々と処理して、もう持っていきどころがないからプルサーマルで全部燃やしてしまう、それが資源小国のとるエネルギー政策であるのかどうか。この点について、電事連の前田参考人それから石川参考人中島参考人、三名からお伺いしたい。その上でまたお伺いしたいと思います。
  27. 前田肇

    前田参考人 お答えいたします。  政府の統計で、日本は一次エネルギーの八二%を海外からの輸入に頼っている、こういう数値がよく出てまいります。  実を申しますと、その八二%の中には原子力は入っておりませんで、原子力は国産エネルギーの方に分類されております。現在、原子力燃料でありますウランは全量を海外から輸入しているわけでありまして、ですから、これも本質的に輸入燃料と考えますと、日本の輸入比率は九四%になります。これだけエネルギーを輸入している大国でありますので、やはり将来のエネルギーセキュリティーという観点からすると、利用できる使用済み燃料はできるだけリサイクルをして、国内での自給率を高めていこうというのがお国の政策なのでございます。よく御承知のとおりでございますけれども。  そこで、将来のそういった利用に備えて備蓄をしておくというのはいかがかという御意見でございますけれども、私も、最終的には全量再処理とはいいながら、燃料サイクルの中ではいろいろ、非常に進んでおるところもあるし少し時間がかかっておるところもございますから、そういう時間調整、在庫調整的な意味で、中間貯蔵をして将来に備えるというのは非常に意味のあることだと思っております。  今申し上げましたように、ウランは全部海外から輸入しているわけでありますけれども、輸入してきたウランで燃やした燃料中間貯蔵するということは、言うならば、外国にあるウラン鉱山を日本の国内に持ってきて日本の国内のエネルギー鉱山に置きかえているようなわけでして、これを将来再処理して使えばまさにこれは国産エネルギーということになるわけですから、そういう意味で、ある程度はプルトニウム利用技術確立のために再処理してまいりますけれども、再処理の容量を超える分は将来のために貯蔵しておく、これはやはり非常に大事なことだというふうに私思っております。
  28. 石川迪夫

    石川参考人 お答え申し上げます。  先生のお話のように、貯蔵するという考え方も大いにあり得るかと思います。  お話がありましたローゼン、私、長い間の友人でございまして、考え方も非常によくわかっているわけでございますけれども一つの方法は、プルサーマルでもって四割ぐらい資源がふえる。それから一つの方法は、高速増殖炉ができました場合には、先ほど申し上げましたように、六十倍ぐらいふえる。したがって、高速増殖炉ができるまでためておいてそれから使うか、その前に、四割ぐらいしか資源はふえないが、プルトニウムを持っているという核疑惑等々を見込んで、入ってくるものは使ってしまうか、そういったような考え方でございまして、その選択肢は幾つか考えられるというふうに申し上げるのが一番正しいかと存じます。  終わります。
  29. 中島篤之助

    中島参考人 問題は、一つは、ウランの需給がどうかということですが、現在、数十年はウランの需給が逼迫する状況にはないと私は考えております。  そういう点から考えますと、プルサーマルというのは、確かに多少ウラン資源の節約にはなりますけれども、コストが大分高くつく、少なくとも今までの方法の二倍ぐらいにはなるはずでありますから、経済的にいえば決してプラスのものではない。それより前に、原子燃料サイクル全体の状況の中で中間貯蔵をどう位置づけるかということについて原子力委員会なり政策当局がもっと全体像を国民に明示すべきである。それなしにいきなり中間貯蔵を出してくると、これはかえって不信感を増すばかりであろうと私は考えます。  以上です。
  30. 辻一彦

    ○辻(一)委員 詳しく伺いたいのですが、時間的に制約がありますから、第二点に移ります。  これは河瀬参考人にお尋ねしたいのですが、さっきの御意見の中にも、あるいはちまたの意見の中にも、使用済み燃料立地自治体が敷地内に長期保管した方がより現実的であるという意見もあるわけなのですが、これは、立地の当時の約束からすれば、全く政府の約束をほごにすることで、あり得ないことであるとは私は思いますが、これについて、立地の自治体としてのお考えを聞きたい。  もう一つエネルギーを湯水のように使う時代は既に過ぎて、いかにエネルギーを確保していくかということを国民的に考えなくてはならない時代に入っている。そういう意味で、中間貯蔵施設をつくるならば、消費地の近くにそれをつくって広く国民で痛みを分け合ってエネルギー確保をするという考え方を持つべきであると私は思いますが、これをひとつ河瀬参考人と業界の前田参考人にお尋ねしたい。
  31. 河瀬一治

    河瀬参考人 まず後者の方でありますけれども中間貯蔵施設を例えば消費地の近くにつくるということも、特にエネルギーの問題を皆さん方にわかっていただくためには必要なことではないかなというふうに実は私は思います。そういうことが実現できれば、消費地も供給地も同じようなスタンスでエネルギーのことを真剣に考えていただいておるということが理解できるのではなかろうかというふうに思っております。  それと、最初の方でございますけれども、やはりこれは当初からの約束事でありますので、むやみに、どんどこ敷地内にそういうのがたまっていく、今リラッキングという形で対応はしておりますが、それをまた中間貯蔵までもつくってやるということは、とても県民なり市民の同意をいただけないというふうに私は思っておりますので、ぜひ、どこにするかはわかりませんが、そういうところにしっかりしたものをつくっていただきたいと思っております。
  32. 前田肇

    前田参考人 消費地の近くにつくればいかがかという御意見でございますけれども、今現在、私ども電力事業者として立地点をいろいろと探しております。  立地点を探すに当たりましては、例えば関西電力の場合ですと、得られます面積だとか、自然公園法その他の法規制だとか、あるいは特に輸送という面ではやはり海岸でないと難しいと思いますので輸送だとか、そういったことでいろいろな条件で今適地を十数カ所ピックアップしましていろいろと探しているわけでございます。その中には、当然、福井県だけではなくてその他の地域、あるいは消費地に近いところ等も含めて、幅広く今探しているところでございまして、絞り込みにはまだしばらく時間がかかるかと思いますけれども、できるだけ幅広く探したいとは思っております。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 次に、第三点として、先ほどちょっと私は冒頭に触れましたが、核文明論というか、核、原子力をどう使うかということは、技術的な安全の問題とあわせて、文明論の上からも考えるべき問題ではないか。特に、我が国が世界唯一の被爆国である、核拡散防止の先頭に立つべきであるという立場からすれば、プルサーマルという商業利用とはいえ、こういう中で六十トンからの大量のプルトニウムを使おうとする計画、大量プルトニウム消費社会に入り込むということは、国際的なこういう意味の核拡散防止に対する説得力を弱めることになるのではないか。そういう意味で、私は、むしろ相当な期間中間貯蔵によって、再処理は必要最小限にとどめてやっていくということがいいのではないかと思いますが、これについて、業界の前田参考人中島参考人にちょっとお尋ねしたい。
  34. 前田肇

    前田参考人 私どもプルサーマル計画を進めております。プルサーマル計画は、資源の有効利用とか、あるいは将来のFBR時代に備えたプルトニウム利用技術の体系、制度の整備とかいった観点から進めておるわけでございます。  国際社会の非難を浴びないようにということは当然でございまして、我々は、海外の再処理で今出てきておりますプルトニウムを使わずに置いておくということの方がむしろ海外の危惧を招くのではないか、やはり余剰のプルは持たないということで、出てきたプルトニウムはできるだけ早くプルサーマルで燃やしていくべきだ、このように考えてプルサーマル計画を今進めているところでございます。
  35. 中島篤之助

    中島参考人 その意味で私申し上げたのですけれども、「ふげん」をやめるというのはコストという理由からやめたのですね。ですけれども、実は実績からいうと、日本の国産動力炉でありまして、しかもMOXを燃やす点では一番大きな実績を上げている。集中燃焼をすればプルサーマルで幾つかやるよりも私は効率はいいと思います。仮に新しくつくったとしても七、八百億円でできるわけであります。ただし、規模をふやしてコストをということを言わなければ、余分のプルトニウムを持たないという点ではむしろ非常に効果のある原子炉なのではないかというふうに私は考えているということを申し上げます。
  36. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この間、一月の下旬に、私、アメリカの砂漠、原子力施設を十日間ほど見てきたんですが、ロスアラモス、原爆をつくったところですが、そこでは核弾頭の解体試験をやっておるのですね。核弾頭を解体してそこからプルトニウムを取り出す。アメリカもロシアも条約によって核削減をやるんですが、それをどうするか、置いておくわけにはいかぬから弾頭を解体してプルトニウムを取り出す。取り出したプルトニウムをどうするかというので、これに限って、アメリカではMOXの工場をつくって、そこでそれを加工して、それの処理が終わったら工場は閉鎖をするということを宣言しておるんですね。そういう意味で、今、中島参考人言われた、「ふげん」を、燃やせる一番有力なのをただなくしてしまっていいのかどうかということは大事な問題提起であると私も考えて、なおひとつ論議の必要はあるような感じもいたします。  そこで、もう一点。プルトニウムを軍事的転用のできない形で取り出すことができないのかどうか。これは、この間原研の理事長も来ていろいろなお話も聞きましたし、我々も国会論議をかなり今まで何回かやったことがありますが、軍事転用できない形でプルトニウムを取り出して生かす道があればまた状況は随分と変わると思うのですが、その技術的可能性、あるいは超ウラン元素とまぜてプルトニウムを取り出して、それを燃料に使える可能性等はどうなのか。これは石川参考人中島参考人から簡潔にちょっとお伺いしたい。
  37. 石川迪夫

    石川参考人 お答えいたします。  私、今お話を伺いまして、私の耳を疑ったのでございますが、たしか六ケ所でつくられる再処理工場ではウランプルトニウムをまぜた形で取り出してくるはずでございます。ということは、そのままそれが原爆の材料になるということにはなり得ないと思いますので、今先生がおっしゃられたとおりのことで行っているのではないかと思っております。
  38. 中島篤之助

    中島参考人 プルトニウムを消滅させるのは、ほかの炉型を考えれば可能だと思います。例えば、トリウムの溶融塩炉を使うというような方法は既に提案されておりますし、現在の軽水炉でもトリウム燃料を使ったりした形でプルトニウムをだんだん減らしていくということは不可能ではないと思います。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題は少しまた論議をやりたいと思いますが、私の申し上げているのは、プルトニウムウランとまぜて取り出すわけですから、これは、相当な工業国家でなければ分離をまたできないものだと思いますから、転用は簡単ではないと思うんですが、ただ、プルトニウム自体を、もっといろいろな元素がありますから、そういうものとまぜて取り出す可能性。それは、藤家原子力委員長代理がこの間アメリカへ行って、そういう可能性に言及をして、日米間の共同研究をやるということを提案されて、この間もここで意見を聞いたわけですから、その論議は私はさらにひとつ深めてみる必要があると思っております。  最後に、防災の問題で河瀬参考人にお伺いします。  時間の点から詳しく聞けないんですが、安全性は国の一元的責任であるから防災も国の責任であって、端的に言うと、防災訓練をやるときに、国がやってくれ、自治体は協力します、こういうスタンスが今までに伺ったいろいろな代表の皆さん方意見の中にうかがわれるんですが、しかし一面で、私は、今日の地方自治法に基づいた市町村長の最も最大の災害時における公的な役割というものは、住民の生命、身体、財産を守ることにある。この点を考えれば、やはり地方自治法、災害基本法をもとにして原子力の特性を考えた特別措置法の中で、国も責任を持ち、全力を挙げる、自治体もやはり全力を挙げ、それぞれ責任を分担して万が一に備えた防災対策に当たるべきである、こう思いますが、それらについての見解を伺って終わりたいと思います。
  40. 河瀬一治

    河瀬参考人 今先生から御指摘いただいたとおりで、私どもの仕事はもうそれが第一だというふうに思っております。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、非常に自然災害と違うというその認識をぜひ国にも持っていただいて、放射能という大変目に見えない厄介なものが発生したとき本当に私どもだけで対応できるかという、その点をぜひ御理解をいただいて、もちろん私どもも責任を持って、国がこういう法律をつくっていただければともどもに対応することはもうかたくお約束を申し上げる次第でありますけれども、ぜひまた先生のお力をひとつお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  41. 辻一彦

    ○辻(一)委員 だから、私たちが考えている原子力災害特別措置法等も、そういう自治体の御要望を踏まえて、やはり災害基本法をもとにして、例えば自然災害なら活火山特別措置法があります、それから地震なら大地震特別措置法というように、災害基本法の上に特別措置法を乗せている。それから事故災害では、大事故の石油コンビナートの災害防止をどうするか、これも災害基本法の上に特別措置法として乗せておりますから、原子力については、原子力の特性を踏まえて災害基本法の上に特別措置法として乗せるべきである、私はこういう意見を持っているということを申し上げて、ぜひひとつ自治体でも御努力をいただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  42. 北側一雄

    北側委員長 斉藤鉄夫君。
  43. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫でございます。  四人の参考人の方、きょうは大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  質問をさせていただきます。最初に石川参考人前田参考人にお伺いいたします。  中島参考人お話の中にもあったんですけれども、今回の中間貯蔵施設核燃料サイクル全体の中でどのように位置づけられているのかが明確でない、このような御指摘がございました。私もその点よく理解できます。その位置づけについてどうお考えになっているかをお聞きいたします。  こういう漠然とした聞き方ですとちょっと答えにくいでしょうから、私なりの問題の整理を言いますと、プルトニウムは高速増殖炉で使う、その核燃料サイクルを回すというのが方針であるわけですけれども、その高速増殖炉の開発がおくれてしまった、したがって矛盾が出てきて、その矛盾を解消するための中間貯蔵施設だという考え方、位置づけがあるかと思います。また、片方で、先ほど前田参考人がおっしゃったように、全く新しい見方で、日本に新たな資源鉱山ができるんだ、こういう考え方もあるわけでございまして、そういう位置づけもできるかと思います。  そういう意味で、今回の中間貯蔵施設核燃料サイクルの中でどのように位置づけられておられるのか、その点をまず最初にお伺いします。
  44. 石川迪夫

    石川参考人 お答えさせていただきます。  私、先ほどこの中間貯蔵施設倉庫というふうに申し上げたわけでございます。  確かに、高速増殖炉ができてどんどんと六十倍になっていくのが一番望ましいわけでございますが、それも、高速増殖炉ができ、再処理工場ができたから一挙に六十倍になるかといいますと、やはり何度も使っていきますと高次のアクチニドの元素ができてまいりますので、研究室で考えられているものが果たして工業レベルでどれだけ使えるかというのがわからないわけでございまして、そういうような意味で、プルサーマルというのは核燃料サイクルの第一歩の非常に大きなステップだ。六十回転がすうちの一回、二回というのを回していくわけでございますね。そういったような意味で私は非常に大きな意味を持っているというふうに思っております。  それと並べまして、今の再処理を行います上には原料としてどこかにためておく必要がある。幾分かためていないと、再処理工場がとまったり動いたりするのもこれまた非常に問題でございますので、ある一種の倉庫を持たしているというところで私はこの中間貯蔵の問題を見ております。  確かに、一つの考え方でざっと進むというのは非常に歯切れがいいのでございますけれども、世の中というのはある程度遊びが、遊びといいますとハンドルの遊びでございますけれども、そういったようなゆとりというのがこういった倉庫でも生まれてくるというのが必要なんではないだろうかと思っております。
  45. 前田肇

    前田参考人 核燃料サイクル確立というのはもちろん基本方針でありますけれども核燃料サイクル中心といいますのは原子力発電所ですね。原子力発電所には、燃料を供給する側として、いわゆる上流側として、それこそウラン鉱山から始まって、濃縮工場、転換工場、加工工場とあるわけです。それで出てきた使用済み燃料が今問題になっているわけですけれども、この下流側にも、再処理工場もあれば廃棄物の処分場もありますし、MOX工場もあります。  そういったいろいろな施設が核燃料サイクルを構成しているわけですけれども、これが本当に、タイミングといい量的なバランスといい、すべてぴしっととれれば非常にスムーズにサイクルが回るわけですけれども、実際には、一つ一つの施設はそれぞれ非常に大きな技術でありますし、資金のこともありますし、地元の御了解ということもありますし、すべてが歩調をとってきちんとでき上がるわけではないわけなので、そういう意味で、今石川参考人がおっしゃった遊びといいますか余裕といいますか、柔軟性を確保するためには、バッファー的といいますか、そういった施設というものは非常に重要な役割を持っていると僕は思います。  そういった意味で、この中間貯蔵施設発電所と再処理工場の間のバッファー、工程調整の役割を果たす、そういう役割を果たしながら、先ほど申し上げたようなエネルギー資源を備蓄している、そういった役割かと思います。
  46. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。  続いて、前田参考人にお伺いします。  全体の使用済み核燃料発生状況、またそれを再処理施設で消化をしていくその需給バランスということは先ほどの御説明でよく理解できたわけでございますが、各個、個別の原子力発電所の中で今使用済み核燃料が保管されているわけですが、非常に逼迫しているところもあるし、逼迫していないところもあるかと思うのですけれども、そういうことがわかるような御説明を、定性的で結構でございますので、お願いいたします。
  47. 前田肇

    前田参考人 個別の発電所というお話でございましたけれども、まず全体像で申し上げますと、今、日本の五十一基の発電所の貯蔵容量が一万二千六百トンございます。そのうち現在七千トン燃料がたまっています。したがって、まだ五千トン余裕がある、マクロで言うとそういうことになります。しかし、これは発電所によってそれぞれ事情が違います。  先ほどちょっと申し上げましたけれども、苦しくなりつつある発電所は、プールの容量を大きくするとか、そういった増強対策をやっております。もし六ヶ所工場への搬出というのがずっとおくれるようなことになりますと、二〇〇二年ごろには東京電力の福島第二発電所、二〇〇四年ごろには関西電力の高浜発電所あたりが苦しくなってこようかと思っております。
  48. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 よくわかりました。  石川参考人にお伺いいたします。  海外での中間貯蔵施設というものについては、ちょっと我々知識がないのですけれども、どういう状況にあるのかお伺いいたします。
  49. 石川迪夫

    石川参考人 お答え申し上げます。  まず、アメリカでございますけれども、約三万三千トン、これは再処理をいたしませんので、もう既に中間貯蔵といいますか、最終処分といってもよろしいわけでございますが、燃料はそのままで蓄えられているというふうに承知いたしております。  それから、ドイツでございますけれども、ゴアレーベンというところとアーハウスという中間貯蔵施設、二カ所持っておりますが、これで合わせて大体八千トンばかりの容量を持っているわけでございます。  また、スウェーデンでございますが、これが五千トンの中間貯蔵施設を持っております。  スイスは、比較的原子力発電所が少ないわけでございますが、これも八百トンといったような中間貯蔵施設を持っているというふうに私は承知いたしております。  なお、フランスでございますが、これは中間貯蔵施設というわけではございませんけれども、例のラアーグの再処理工場プールに一万五千トン規模の貯蔵施設を持っております。  それから、英国でございますが、やはり再処理工場のところに一万一千五百トンといった大きさのものを持っております。  以上でございます。
  50. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 中島参考人にお伺いします。  先ほどの最初のレクチャーの中で、私ちょっと理解が間違っていたかもしれませんけれども使用済み核燃料については、ワンススルーといいましょうか、そのまま最終処分する方がトータルとしてはいいんだというふうに私は理解をしたんですけれども現状技術レベルでもってすれば、確かに使用済み核燃料のまま最終処分する方がいいという結論が出てくるということも、そういう可能性もあるということもわかるんですけれども、今後の技術開発の可能性というふうなことを考えれば、一気に使用済み核燃料をそのまま最終処分するのは余りにもったいないような気がいたしますけれども、この点について、先生のお考えをもう少し詳しくお聞かせください。
  51. 中島篤之助

    中島参考人 私は、直接処分が日本のとるべき道だということを申し上げたのではないのです。ただ、現在までの我が国の、例えば再処理についての現状技術開発の現状が大変前途遼遠の感じがするわけです。  例えば、先ほど私は、ピューレックスという方法がそれほどコストを下げる見込みはないだろうと申し上げました。それでは、そのほかの弗化物による再処理法であるとか、そのほかの乾式再処理法なんかが研究が十分されていないのが残念ながら現状である。これは、責任があるのは、原子力研究所とか、あるいは旧動燃核燃料サイクル開発機構がもっとそういう方向に研究の方向を切りかえなきゃいけない。ところが、核燃サイクル開発機構の方が、事故を起こした東海工場を何とか再開したいというところなんです。私は、実は核燃サイクル機構の運営審議会の委員も昨年から仰せつかりまして、状況を知っておりますが、専ら地元の了解を得たいけれども地元というのは東海村ですけれども、なかなか地元がうんと言わないというふうなことがあるわけですね。  ですから、こういう状況から考えますと、そもそも全量を再処理するという方針はもう破綻したと私は思うんですけれども、そのことを原子力委員会が、それではこうするんだということをやはり国民の前にはっきり示されることがとにかく問題を前進させるかぎだというふうに私は考えております。  高レベル廃棄物についても、努力されていないわけではありませんけれども、いまだに実施主体も決まらず、どこをサイトにするかということさえも決まっていない。フランスなんかですと、やはり地質調査所とかそういうところの協力を得て、幾つかから選んで、そしてそこで地元意見も聞くということをやるわけですが、日本ではそれが全然具体化していないと思います。  こういう状況のもとでは、発電所の中に使用済み核燃料がたまり続けるという状況はしばらくは続くのではないか、それは一時貯蔵なのかどうかわかりませんが、そういうふうに思っておるわけであります。  お答えになったかどうかわかりません。
  52. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 先ほどの意見陳述を聞いておりまして、高速増殖炉に対しての考え方が石川参考人中島参考人でかなり違ったわけですけれども、ここで前田参考人にお伺いしたいのですけれども、高速増殖炉を電気事業者としてどのように考えていらっしゃるかという質問でございます。  新型転換炉、ATRの開発、国もトータルで、今ちょっとど忘れをしましたが、数千億円の国費を投入して研究開発を進めてきたものでございます。ATRというのは軽水炉とFBRの中間に位置するもの、このように我々は理解しておりましたけれども、最終段階になりまして、実証炉をつくる段階になって、電気事業者の方から、コストが高過ぎるということで、我々はもうそれに参画する気はないという意思表示があって、ATR、新型転換炉開発が中止になりました。中止になったと言っていいのかどうか、基礎研究はまだ細々と続いているわけですけれども。  そのようなことがあった経験を踏まえまして、高速増殖炉についても、現段階ではかなりの高コストが言われているわけですけれども、一兆円を超える国費を投入したその最後の段階になってやはりまた、これだけの高コストのものについては我々は興味がありませんという話も出てくるんではないかというふうなおそれを我々は抱いているわけですが、電気事業者として、この高速増殖炉開発をどのようにとらえていらっしゃるか、お聞きいたします。
  53. 前田肇

    前田参考人 お答えいたします。  高速増殖炉と、それからもう一つ新型転換炉「ふげん」の話が出ておりますけれども、「ふげん」につきましては、確かに国産の新型炉でございまして、プルトニウムを燃やせるという特徴があったわけでございますけれども、私は、「ふげん」は、そういった意味での技術開発上の役割は十分果たしたと思っております。ただ、それを実証炉として本当にコマーシャルに展開していく段階になりますと、非常に高くつくということ。それで、プルトニウムを燃やすという面では、プルサーマルがもう本当に幅広く展開できる時期になってまいりましたので、新型転換炉、ATRをつくっていく意義も薄れてきた、こういうことだったかと思います。  では、FBRはどうか。同じように途中で逃げ出すんじゃないか、こういうお話でございますけれども、私どもは、先ほどからいろいろな方がおっしゃっていますように、FBRは将来の日本エネルギーセキュリティーという観点から一番有力な方策だと思っております。FBRを開発することによってウラン資源の利用効率が現在の六十倍になるとすれば、核融合というのはまだ相当時間がかかるでしょうから、核融合が出てくるまではFBRというのは絶対必要だと私は思っております。  ただ、技術開発には、非常に長期の時間もかかりますし、これをコマーシャルに展開するためにはコストも下げていく必要があるということで、私ども電気事業者も、今後とも核燃料サイクル開発機構と協力しながらFBRの開発に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  54. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 保障措置について、前田参考人、それから河瀬参考人にお伺いいたします。  今回の保障措置、かなり厳格化されたという認識ですけれども一つは、原子力産業の中にあって、ここまで細かく調べられると原子力産業の発達の阻害になる、つまり、企業ノウハウがなくなってしまうという指摘がございます。このことについて、これは石川参考人にお伺いする方がいいのかもしれません、原子力産業の競争力を維持するという観点と保障措置についてどのようにお考えになっているのか、簡単に、石川参考人前田参考人にお伺いします。  それから、河瀬参考人には、保障措置の強化は地元にもかなりいろいろな負担を強いることになるかと思いますが、何か御意見がございましたら、一言お願いいたします。
  55. 石川迪夫

    石川参考人 御指名でございますので、お答えさせていただきたいと思います。  私、原子力発電並びに安全という方では勉強してまいりましたが、保障措置という面ではほとんど勉強いたしておりませんので、そういう割り引いた点で私のお答えを聞いていただきたいと思います。  今、商業的なノウハウと保障措置との関係というお話でございましたが、私が考える限りは、どこでどれだけプルトニウムができているかという計算でございますから、これで商業的なノウハウというのはないと思います。  以上でお答えは終わらせていただきたいと思います。
  56. 前田肇

    前田参考人 我々、原子力を進めていくに当たりまして、透明性といいますか、そういうことをきちんと示すことが非常に重要といいますか、一番の大前提でありますので、国際的な保障措置は我々もきちんと受け入れていく、守っていくということでやっております。IAEAの保障措置も強化される方向にございますけれども、我々としても、そういったことは当然受け入れていく所存でございます。  ただ、現在でも、年三回の中間査察、それから年一回の棚卸しということが発電所に対して行われております。それが今のところ負担になっているとは申しませんけれども、やはり合理的な査察方法だとか、それから、今ノウハウの話が出ましたけれども発電所に限って言うならば特にノウハウを心配することはないと思いますけれども、メーカーサイドの方で、もしそういった機微なノウハウ等が保障措置の対象になるのであれば、これはその機密をきちんと守るような措置がとられる必要があろうか、このように思います。
  57. 河瀬一治

    河瀬参考人 私、先ほどもちょっと触れましたけれども市町村に直接保障措置について負担がどうのと、ちょっと私ども、今まだ見えない状況でございます。  ただ、今やはり情報公開等々、いろいろな住民の皆さん方、知るという権利なんかも行使をされますが、それと発電所との絡みも、これは私、一地方自治体が考える問題かどうかなというふうに思います。ただ、先ほど言いましたように、検査体制が弱体化したり、また透明性を欠くことのないような措置は必要だなというふうに思っているだけでございます。
  58. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 最後に、河瀬参考人にもう一度お伺いいたします。  私ども、この中間貯蔵施設は必要な施設だというふうに認識をしております。今後、この円滑な立地に向けて努力をしていかなくてはならないわけですけれども原子力施設を多く抱えていらっしゃる自治体の長として、アドバイスがあればお聞かせ願えればと思います。
  59. 河瀬一治

    河瀬参考人 こういう施設はどちらかというとやはり迷惑施設ということになるというふうに思います。そうしますと、受ける自治体も、迷惑施設だから地域振興、特にまた、私ども地方自治体も、町づくりということでいろいろな観点で取り組んでおるんですけれども、例えばその地域の町づくりと一致したような形で応援がもし国からありますと、こういう施設もできやすいんではなかろうかなというふうに思いますので、国としてそういう点もしっかりと説明をしながらこういう施設を求めていくべきじゃないかなというふうに思います。
  60. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。
  61. 北側一雄

  62. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 参考人方々には、本日は貴重な御意見を陳述いただきまして、ありがとうございました。  今回の法改正の柱の一つである使用済み燃料中間貯蔵について、まず石川参考人にお伺いいたします。  私は、先般、科学技術委員会で、通産省に対して、中間貯蔵の安全性に関する質問を行いました。この質問に対して、中間貯蔵は国内の原子力発電所等で既に実績があり、高い安全性が確認されている、それで、プール貯蔵または金属キャスク乾式貯蔵により実施していくとの答弁がございました。  それで、専門的な知見をお持ちの参考人に、この中間貯蔵施設の安全性についてどのように考えているのか、また、この安全性の問題が、参考人も陳述されましたように、どうもマスコミのセンセーショナルな記事等で国民にいろいろな不安を助長しているような傾向、あるいは、これに対して、国も積極的にマイクの前に立って安全性への理解を得る姿勢にも欠けているというようなこともございましたので、ひとつ安全性について、こういうことをも含めての御答弁をお願いしたいな、こう思います。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  63. 石川迪夫

    石川参考人 お答え申し上げます。  長く時間はとりませんが、少しお時間をいただきたいと思います。  まず、中間貯蔵の施設でございますが、原子力発電所というのは、原子炉をとめましたときには燃料を一時プールに出すわけでございますが、このときの安全上の問題になりますのは、その燃料が集まって臨界状態にならないかどうかということでございますけれども、これは、昔は、臨界状態にどのようにしたら持っていけるかというのが、私たち原子力を始めたときの問題でございまして、臨界にならないような状態というのは非常によくわかっていたわけでございます。したがいまして、こちらの問題はまず、もう四十年来、昔から解けているというふうに申し上げてよろしいかと思います。  そういたしますと、使用済み燃料の次の問題はどうなるかといいますと、燃料のさやが破れますと中から放射性物質が空気中に出てまいります。腐食の問題でございます。これにつきましても、これまで既に水の中に何十年といって燃料がたまっておりますが、腐食して放射性物質が出てきた問題はないと先ほど前田参考人の方からお話がございましたように、こちらの方も水の中でも解決いたしておりますし、もしそれが、これは乾式貯蔵と申しまして、空気中で貯蔵する方法もあるわけでございますが、この方になりますと、もう一つ軽微になるであろうと一般的な技術から考えられるわけでございます。  そういたしますと、次の問題は何かというわけでございますが、人もしくは動物等がその燃料体に接近をして放射能を浴びるというわけでございますが、これは放射線を遮へいすればよろしいわけでございます。それとともに、ほんのわずかながら放射能が出るということは、熱が出るということでございますが、それを冷却をしてやるという必要があるわけでございます。これは、空気中、水の中におきましても、遮へいというのは十二分にわかっている問題でございますので、こちらの方も十二分に対処できるかと思っております。  また、除熱の問題は、自動車に空冷の自動車と水冷の自動車がありますように、これもきちんと計算上で取り出せるわけでございますので、一般的な貯蔵施設をつくる上での安全性というのは、これは原子炉をつくる以上に、楽と申し上げますと語弊がありますけれども技術的に課題が少ない問題というふうに考えております。さはさりながら、それをおろそかにしてはいけませんので、今度の法律改正によって、原子力施設、原子炉並みにやるということについては私は大賛成でございます。  なお、今後は、プルトニウム燃料の盗難の問題、そういったようなものがございますけれども、この安全防護の問題、並びに、管理状態が悪くなりますと、これは先ほどの腐食のような問題も出てくるわけでございますから、安全管理ということを徹底するということが必要かと思いますが、これも原子炉規制法の中に入れておけば、それもきちんとできるというふうに考えているわけでございます。  以上が、中間貯蔵に対します物的な、もしくは人間的と申しますか人災的と申しますか、そういったものの安全性につきましての大まかなお答えでございます。  それから、先ほど河瀬参考人から迷惑施設というふうなお話がございましたが、私、実際上それが迷惑施設かどうかはわかりませんけれども、この原子力に対する、反といいますよりも嫌原子力でございますね、こういった風潮が現在日本の国の中にも蔓延していることは事実でございますし、日本のみならず、欧米の先進諸国の中で蔓延をしているわけでございます。それが、先ほど申し上げましたように、今回の会議に行ってまいりまして、非常に資源を持たない貧しい国の人たちが、これがなかったら生きていけないんだ、逆に言いますと、それを自分の生命線というのはちょっと大げさかもわかりませんが、そんな感じで原子炉を見ておられるということが私にとっては非常に新しい感慨でございましたので、冒頭、お話をさせていただいたわけでございます。  そういった意味で、私、いずれがいい悪いという話ではございませんで、経済的、文化的な相違によりまして、それについての人の考え方も大いに変わってきているわけでございます。そうなりますと、原子力発電というのは、将来の人類エネルギーにとって非常に大切なものでございますから、科学技術、こういったものにつきましては、きちんと国民説明をしないと、一般的にやはり難しいものは、国民だれでもそうでございますが、勉強したがりません。説明をきちんとしないと、何かデマのようなことがありますと、そんなものはやはり危ないんじゃないかななんというような感じになるのも非常によくわかるわけでございます。そういった面で申し上げますと、原子力発電を持っている電力会社の言うことというのもまゆつばをもって国民が一般的に聞くというのも、これは当然のことだと思います。  そういうことでございますので、一つは、マスコミ自身がきちんとした報道をしてほしいと思うのでございます。これは、私たちも努力をして、私、実は、原子力報道を考える会というのをつくりまして、マスコミのOBとともに、間違った点を指摘するようなことをボランティアでやっておりますけれども、そういった活動も続けますが、最も国民に信頼をされておりますのは、新円卓会議を通じましても、やはり国、政府なんでございますね。この意味で、エネルギーの中における原子力の位置づけというのをぜひ政治家の皆さん方に議論をしていただいて、どういうふうなことになっているのかという答えを出していただきたいと思います。  と申しますのは、現在の状態というのは、昭和二十八年に原子力平和利用が始まったときの答えの上に成り立っているわけでございますので、比較的古いわけでございます。それに乗っかって私たち業務を推進しておりますが、今ここで、ひとつ皆さん方にも答えを出していただきたいと思いますし、また、原子力委員会安全委員会という責任を持った方、一番国から信頼をされている方が、姿が見えないという声が非常に高いわけでございますので、ぜひ姿を見せて、こういうときにも、こういう選択肢がある、したがって皆さんどう思いますかというふうな発表をぜひマイクの前に立ってやっていただければ、国民理解が相当進むのではないかというふうに愚考いたしております。  以上で答弁を終わらせていただきたいと思います。
  64. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうもありがとうございました。  次に、関連がございますので、前田参考人にお聞きいたします。  原子力必要性を国会の場でも説明できる機会を与えられたことに感謝をしているということがございましたが、実は、中間貯蔵施設立地についてです。  発電所内の使用済み燃料の貯蔵状況は逼迫しており、発電所立地地元住民からは早急に発電所外に使用済み燃料を搬出すべきであると主張されていると聞いております。このような状況であれば、今回の法改正が可決されたとしても、実際の立地に向けてはかなりの困難が予想されます。  そこで、中間貯蔵立地に向けた電気事業者の取り組みはどうなっているか。また、御指摘がございましたように、やはり法治国家でもありますから、関係法令の整備あるいは安全規制技術基準の整備、こういうことが十分になされて、国策の事業でもありますこの原発、あるいはこういう中間貯蔵の施設が一緒になって推進されていくべきではないかな、こう思うのです。それで、このような立場から、電気事業者の側での取り組みに対しての御意見を御開陳いただければ幸いと思います。
  65. 前田肇

    前田参考人 電気事業者の取り組みについてお答え申し上げます。  まず、地元から、早く外へ運び出せ、こう言われているのじゃないかというお話でございましたけれども、それは必ずしもそうではございませんで、先ほども申し上げましたように、幾つかの発電所ではプールの貯蔵容量をふやすような工事もさせていただいております。これは地元の御了解を得てやっているわけでございます。  ただ、永久に発電所に貯蔵するのはいかぬよ、将来的には持ち出せ、こういう御意向でございますので、我々としても一日も早くこの中間貯蔵施設をつくりたい、こういうふうに考えているわけでございます。  では、具体的に何をやっているのかということでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども電気事業連合会の中で各社集まりまして、これからの進め方等についていろいろ議論しております。やはり、一番大事なことは、私は、使用済み燃料の貯蔵というのは、先ほどから再々出ておりますけれども、決してごみをためるのじゃなくて、将来使う重要な、貴重なエネルギー源資源として備蓄をするのだということをまず御理解をいただくことが一番大事だろうと思っております。  ここにちょっと持ってきておりますけれども、私ども関西電力がこういうパンフレットもつくっております。「ウラン燃料はリサイクルできるエネルギー資源です。」こういうようなものをつくっておりますけれども、こういったことで中間貯蔵の意義をまず御理解をいただく。  それから、安全性、これは今、石川参考人が細かくおっしゃいましたけれども、絶対安全ですということ、これも御理解をいただく必要があろうかと思います。その辺を我々は、シンポジウムとか説明会とか見学会とか、そういうものを幅広くやっていって御理解を得ていこう、このように思っております。  それから、やはり地域振興といいますか、そういうものが来たら、これは迷惑施設ではなくて、こういうものが来てくれてよかったというふうに本当は思っていただけるような努力をする必要があるわけでございます。その中間貯蔵施設をつくれば、余り多くはないにしても地元雇用の効果もありますし、固定資産税ももちろん入ってくるわけでございますけれども、ほかの原子力発電所その他に電源三法によるいろいろな地域振興策がとられておりますけれども、やはりそれと整合性のとれたような形で国の支援策というものもぜひこれはお願いしたい、このように思っている次第でございます。
  66. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、これも関連がございますので中島参考人にお伺いしますが、高レベル放射性廃棄物対策について。  整合性ある原子力開発利用の観点から、残された最重要課題はこの最終処分をどうするかの問題だ、こう私は思っております。このことにつきましては私も科学技術委員会で再三取り上げているわけですが、一応二〇〇〇年までに法整備をしたいということと、あと、貯蔵方式は千メートルぐらいの深地層貯蔵にしたいんだ、こういう答弁もいただいております。  また、アメリカではそのまま最終処理処分、貯蔵へ持っていっているようでございますが、この高レベル放射性廃棄物の今後の進め方、最終処分、今言いましたような私への委員会での答弁も含めまして、どうしたら一番ベターなのか、そういうようなことをお聞かせいただきたいと思います。
  67. 中島篤之助

    中島参考人 これは、詳しくお話ししますと非常に時間がかかります。それで、この高レベル廃棄物の問題というのは、私のお配りしました資料に国際学術連合が持ち出した問題がありまして、実は一番難しい問題は、技術的な問題もありますけれども一つは社会的な需要といいますか、例えば処分場をつくった場合にそれが社会的に受け入れられるかどうかだということが一番問題なんだということが今までの経験からわかっているわけです。  しかし、その前に技術的な問題で申しますと、昔は、例えばロケットで打ち上げてしまえとか、南極の氷の中へ埋めたらだんだん入っていくだろうとか、幾つかのチョイスがあったわけですね。結局それはそうではなくて、安定な地層に埋設するのが一番あり得る方法だということになったのが一九八五年ごろの話だということであります。  それで、日本もその方向に沿っているわけですが、結局、国際学術連合の考え方ですと、一辺が約十キロメートルぐらいの安定岩体があればこれは数千年でも数万年でも貯蔵はできると。ですから、国際的にいえば、高レベル廃棄物の貯蔵については技術的には大変楽観的な見通しをしています。  問題は日本でありまして、日本という国は四つぐらいのプレートが入り組んでおる国でありまして、そういう大きな安定岩体を探すことは非常に困難であるというふうにむしろ考えた方がいいと思います。  一つのチョイスとしては、海洋底処分という考え方があります。これは海洋処分ではないのですけれども、現在、海洋には有害廃棄物を投棄してはいけないというロンドン条約というのがありまして、それが一つの障害になりますけれども、学術連合は、わざわざ海洋底処分。これは、マントルの中へ入れてしまえば、それが例えば日本でうまくいけば何百万年かずっとたってからやっとまた出てくるわけです。この間に放射能はなくなってしまうという考え方で、これは実際に、国際学術連合に、昔のあの地震研におられました方が参加されまして、そういう案が書いてあります。  私、そのことをさるところで申しましたら、その海洋底処分はできないんだということで反論されたこともありますけれども日本ではむしろそういうことをもっと研究すべきだと思うんですね。これは、確かにマントルは入っていくところがあるわけですけれども、下手をすると出てくるところもあるわけですから、海洋底のいわゆるリソスフェアといいますけれども、そのリソスフェアの問題を相当研究しないといけないんですけれども、残念ながら原子力委員会等々から十分な支援は全然なされていないというふうに私は思っております。  これが技術的な問題でありますが、そういうことで、例えばアメリカは、さっき言ったように再処理をやらないで、そして使用済み燃料のまま、これは最初は二カ所処分場をつくると言っていたんですけれども、結局は一カ所、コロラド州のユッカマウンテンというところに非常に深い穴を掘りまして、そこへ埋設するという計画が進んでおりますけれども、穴を掘ったけれども、いよいよ入れることになると反対があって、そこは日本と違って雨がほとんどない非常に乾燥した地域だそうでありますけれども、私は行ったことありませんが、日本ではそういう点でも非常に困難があるかと思います。  それで、高レベル廃棄物を地層に埋めた場合の問題というのは地下水問題ですね。ですから、最初周りにいろいろなものをパックしまして、放射能が万一出てきた場合でも人間圏には来ないようにするというようなことは、何百万年という期間ではそれは果たして可能なのかどうかということがまだ究明されておらない。  日本の段階は、さっき言いましたように、二〇〇〇年に法律はつくりたいと通産省の方はおっしゃっているようでありますけれども、その前に、地下の研究をする地下研究施設、これもすんなりとは進んでいなくて、今核燃サイクル機構では、北海道の幌延とそれから瑞浪、東濃地区で地下研計画を持っておりますが、幌延は私は適地ではないと思っているわけです。  そういうことがありまして、これも施設が動いてから実は具体化されるということではないかと私は思っています。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 原子力政策の今後の進め方について、河瀬参考人から経験を踏まえての御意見を聞こうと思いましたが、時間が切れましたのでこれでやめたいと思います。  どうもありがとうございました。
  69. 北側一雄

    北側委員長 吉井英勝君。
  70. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  最初に電事連の前田参考人に伺いたいというふうに思います。  実は、けさの陸奥新報などに、あるいはデーリー東北とか東奥日報に紹介されておりますが、六ケ所の再処理工場の操業二年半延期の問題ですね。これによって、当初八千四百億円に考えられていたものが一兆八千八百億円、とうとうこれが二・五倍の二兆一千四百億円へ膨らみ、最終的には三兆円ぐらいかかるものになるんじゃないかとも言われているわけですね。それで、二〇〇三年一月から操業を二〇〇五年七月からと、これは六回目の先送りということで、どうも六ケ所の再処理工場というのはなかなかうまくいっているような見通しはないと。  そうすると、再処理コストが、当初お考えになっていらっしゃったより、仮に三兆円プラントになっていきますと物すごく上がると思うんですね。それから、MOXを仮に始めるとしたときに、これは、日本原燃へ、六ケ所へ行ってお聞きしたときに、大体MOX用の再処理工場は別プラントを考えないとできない、特にダーティープルトニウム処理ですから、軽水炉用の再処理工場じゃできない、これは会社の方も言っておられました。  もう一つ、今度、お使いになる濃縮ウランの方ですね。これも、動燃の人形峠とそれから六ケ所の濃縮ウランプラントですね。これは実はこの間のこの委員会でも伺ったわけですが、大体、遠心分離器が既に何割かとまってしまっている。今年内にプラントを停止して調査を徹底的にやるんだというお話も出ておりますから、濃縮ウラン燃料の入り口の段階からこれはなかなか大変。ただでさえ日本の濃縮ウランのコストは三倍高いということも、これは原子力ハンドブック等でも紹介されているところです。そうすると、こういう状況の中で、今の原発のリサイクルの方式をお考えになってのやり方でいったとき、やはり電事連としても原発の発電コストについては相当コストアップするということを考えていらっしゃるのかな、かなり腹をくくっていらっしゃるのかなという印象を受けるのですが、その点からまず伺っておきたいと思います。
  71. 前田肇

    前田参考人 お答え申し上げます。  六ケ所の再処理工場は、御指摘のとおり二年半おくれます。二兆一千四百億という最終の工事費見通しが出ております。これは、六ケ所の再処理工場につきましては、基本的にはフランスのUP3という工場を持ってきたわけですけれども、これをやはり日本の条件に合わせていろいろ設計変更しております。地震対策日本の厳しい地震対策、あるいは放射能の放出レベルもうんと厳しくしておりますし、また、あそこは近くに三沢のアメリカ軍の基地がありますので、そういった飛行機の落下等に対しても耐えられるように多くの設計変更をしております。  そういうことでコスト高になってきたわけでございますけれども、こういったいろいろな条件を全部詰めて、最終的な設計の細かいところを固めまして、そしてこの一月でしたか、科学技術庁から工事の最終的な第七次の認可を受けております。これを受けたことによって、大体工事費の見通しもそれから工程も確定してきたということで今回の発表になったわけでございまして、私どもといたしましては、これ以上おくれることはもうないだろう、こういうふうに思っております。  それから、工事費につきましても、三兆円というお話ございましたが、とてもそこまでいくとは思っておりませんで、この二兆一千四百億で何とかおさめたい、このように思っております。  それから、MOXの再処理がどうかというお話ございましたけれども、六ケ所の再処理工場は、先ほどからお話し申し上げていますように、発電所から出てくる使用済み燃料の量に比べたら再処理工場のキャパシティーは少し小そうございますから、これは当面ウラン使用済み燃料をずっと再処理していくつもりでございます。MOXの使用済み燃料は、当面はためておいて第二再処理工場で使うということになろうかと思います。  ただ、これはフランスでも実績がございますし、日本の東海でも「ふげん」のMOX燃料の再処理をしております。六ケ所の再処理工場でも、多少スループットを落とせばMOXの再処理技術的にできないことはないように理解しております。  濃縮がいろいろ停止しているというお話、これは確かに停止いたしておりまして、我々としても非常に遺憾なことだとは思っておりますが、濃縮といいますのは特に非常に国際的に機微な技術でございまして、海外から技術導入するわけにまいりませんので、これは営々として日本の国内で開発してきた技術でございます。こういった技術開発にある程度の行きつ戻りつがあるのはやむを得ないとは思っておりますけれども、事業化いたしました以上はできるだけ早くこの問題を解決してきちんと立ち上げていきたい、このように思っております。  トータルといたしましてこういったリサイクルが高くつくのではないかというお話でございますけれども、ワンススルーとリサイクルとの比較というのはいろいろなところでなされております。OECD・NEAの検討では一四%ぐらい高いだろうということが言われておりまして、これは燃料費として一四%ですけれども原子力発電全体のコストに与える影響としてはせいぜい三%ぐらいだろうと言われております。  ただ、再処理の方はもうきちんと工程も契約もありまして、コストもはっきりわかっているわけでございますけれども、ワンススルーの方はまだ世界じゅうで実際にワンススルーをやったところはないわけです。技術も確立しているのかどうか、コストもはっきりしておりません。一方、再処理の方はきちんとコストがわかっている。ワンススルーの方はもう一つわからない。それで比較をして今の時点で高いとか安いとか言うのは、うんと大きな差があれば別ですけれども、先ほど申し上げましたように、一つの試算ではせいぜい三%、四%であれば、これは我々電気事業の経営努力の中で十分吸収していける程度のものだろう、このように思っております。
  72. 吉井英勝

    ○吉井委員 再処理工場は、二兆一千四百億で、これ以上にならないであろう、確定だろうというお話なんですが、この計画はもともとが八千四百億円から始まっていますから、二・五倍なんですね。河瀬参考人のところの福井の方、確かに北朝鮮、まあ来るか来ないかわからないにしてもその心配ありというお話だったんですが、ここの場合は三沢の基地そのものにあるわけですから、たびたび誤爆もあれば戦闘機の墜落もありますから、これはそれ以上に非常に事故確率の高いところなので、そういうコストを考えたらこれは簡単におさまるような話じゃないなというふうな印象を受けます。  それは一応置いておきまして、サイクルとして安全技術も含めて完成したものであれば、前田参考人お話一つの話として通っていくものになると思うんですが、そもそもこれは、濃縮の過程も大量の事故をやっちゃって、もうとめざるを得ない。軽水炉の段階でも、美浜二号の事故もあれば福島の二F三の事故もありましたし、それは十分完成したものとまだ言いがたいものがありますし、再処理工場に至っては、東海の事故もあれば、現に六ケ所は何度も何度も先送りをやらざるを得ない。今これは最終だとおっしゃるが、その最終というのは、前も最終であって、これはまた延びてきたわけですから、本当にこれが完成しているのかな。高速炉は御承知のように「もんじゅ」の事故の状況ですし、国際的に撤退も続いている。日本で最終処分の技術が確立したとはまだ言いがたい。  そうすると、サイクルとして完成したものとしてコストの計算その他が本当にできる状況にあるのか。いい、悪いとか、賛成、反対とか、そういう議論を置いておいて、非常にさめた目で見たときに、現在、原発全体として、サイクルとして完成したものというふうに電事連の前田参考人としてはお考えなのかどうか、これはまだまだ未完成な部分があって今後の研究開発の余地が大いにありというふうに見ていらっしゃるのか、その辺も伺っておきたいと思うんです。
  73. 前田肇

    前田参考人 いわゆる核燃料サイクル技術がトータルとして完成したものかどうかという御質問でございますけれども、少なくとも、濃縮、そしてそれを発電所で燃やす、出てきたものを再処理する、こういった技術は、私は一応完成した技術だと思っております。一応と申しますのは、海外では、例えばフランスイギリス等では再処理はもう事業として十分成熟した事業になっております。濃縮も当然でありまして、もう何十年来濃縮というのは海外で行われてきておるわけです。  日本の場合は、六ケ所でやり始めまして、御指摘のとおり幾つかのトラブルに遭遇はいたしております。しかし、技術開発、特に濃縮などは、海外から技術移転ができないまま日本で開発してきたものでございまして、こういった技術開発にはある程度のそういった失敗はつきものだろうと思っておりますし、今とまっておりますのも、原因は、立ち上げ時の運転操作の方法をもう少しきちんとやれば克服できるという見通しもついておりますので、これも私は、全然見通しのないようなものじゃなくて、ほぼ完成した技術だろう、このように考えております。  FBRはまだ少し先の話でございまして、これはまだ多少、いろいろ基礎的な面も含めて技術開発の必要性はあろうかと思っております。  以上です。
  74. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、中間貯蔵ということを考えるときにも、やはりサイクルの問題が非常に大事じゃないかなと。つまり、サイクルが完成していないものであれば、中間貯蔵という発想で置いておくことがいいのか、もっと別な、いずれにしても、使用済み核燃料をどう扱うかということは考えなければいけない問題ですから、それをどこかの地域でとりあえず預かっていただいてということでいいのか、どういうふうに考えていくべきかというのは、まさにそこに一つの問題があると思うのです。  そこで、中島参考人に伺いたいのですが、現在の原子力のサイクルの中で、濃縮から原子炉から再処理、最終処分、高速炉、確立したと言える技術があるのか、あるいは、まだ研究開発を大いに進めるべき段階のものがあるのか。この辺のところについて、専門的なお立場から御意見を伺っておきたいと思います。
  75. 中島篤之助

    中島参考人 これも非常に大きな問題でありますけれども、まず最初の方から申しますと、ウラン濃縮ですね。これは、実は我が国では旭化成が中心になりまして、化学分離法、つまり、イオン交換樹脂を使ってウランを濃縮する方法を成功させております。ところが、どういうわけか、これは原子力学会賞をもらったきりで研究中止という事態になってしまっております。それはどうしてなのか、私は非常に不思議に思っておるのであちこちにそういうことを書いているわけですが、まさか、これは本当ではないと思うのですが、これは技術の性質上、八%以上の濃縮はできないという技術であります。ですけれども軽水炉に使うのであれば、三%に濃縮されればいいわけですからいいのですが、遠心分離法というのは、これは下手をすればすぐ高濃縮ウランをつくれる、つまり核兵器に直結する技術でありますから、先ほど前田さんも言われたように、機微な技術であるというふうにされるのはその理由でありまして、私は、その選択も一つ間違っていたのではなかろうかというふうに実は思っているわけであります。  それから、実は、濃縮ウランについてはそのほかに、アメリカが今一生懸命やっておりますのはレーザー濃縮であります。これは原理的には、現在の方法ですと、どの方法を使いましても必ずウランの、いわゆるテールといいまして、〇・三%あるいは〇・二%のウラン235を含んだものが廃材となってしまいます。そういうことがなくて、ほとんどウラン235を完全に搾り取ることができるという技術でありますから、成功すれば非常に私はいいと思います。日本でも多少の研究はしておりますが、こういう問題もありますから、私は、むしろ今後の研究開発にまつということだと思います。  それから、再処理につきましては、私は、皆さんのところに差し上げたものにも書いてありますとおり、特に、一九八五年ごろ私は妄想だと言ったエコノミストの編集部の方は、私の論文をそういうふうにお読みになったのだと思いますが、実際にカーター大統領は別の理由で、つまり核拡散防止という立場から再処理工場を停止したわけですね。それで、日本にもそれをやれといって押しつけてきたわけでありますが、その後、レーガン大統領になりまして、むしろ原子力を奨励するという政策がとられたのですけれども、バーンウェル工場、これは千五百トンの非常に大きな工場が既に完成いたしまして、運転をするということになりました。  そのときに、たしかベクテルという会社が音頭取りをしまして五社のコンソーシアムができまして、補助金を連邦政府から出してほしいということをしたら、アメリカのGAO、会計検査院と日本では訳しておりますが、GAOは、トン当たり二十四万ドルでなければ引き合わないから、それはなぜかというと、再処理工場というのは製品としてはプルトニウムウランが出てくるわけですけれども、その価値から考えて二十四万ドル以下でなければだめだということで、補助金の支出を拒否しましたので、結局バーンウェルは動かないということがありました。  日本は、実はそのときに既に六十万ドルを払ってフランス及びイギリスに海外再処理委託をしている。日本はお金持ちだということです。実はその後プラザ合意があって、大変円高になりました。当時は二百五十円だったのですが、一番円が高くなったのは一ドル八十円ぐらいになりましたから、そのときには非常に電気事業連合会としてはにこにこしておられたのではないかと私は思うのですけれども、今の百二十円でも海外委託の方が、その限りにおいては、むしろ経済計算からいえば安くつくのです。ただし、国内でやりますと、いわゆる日本の高コスト体質というか、今問題になっていますけれども、非常に高くなってしまうというのが現状であります。  残念ながら、再処理というのは、現在のピューレックス法というのは、核兵器を開発する、プルトニウムをとるための方法として開発された方法でありまして、その限りにおいてかなりの長い経験があります。四十年以上の経験があると思いますが、要するに核兵器をつくる場合にはプルトニウムがとれればよいので、しかしこれを商業用処理として引き合わすという点からいいますと、なかなかコストを下げることが難しい方法ではないかと私は考えているわけです。  ですから、それについてももっとほかの方法というのは、先ほどから何回か申しましたが、幾つかの方法が考えられておりますけれども日本では、動燃フランスからの技術を導入して、それを消化するのに悪戦苦闘して、最近、二百十トンという能力の工場が年九十トンを何とか動かせるというところにようやく来たというのが現状ではないかというふうに思います。  それから、高レベル廃棄物の問題につきましては、これは全くまだ問題でありますし、先ほど申しましたように、どこかがそれを、社会的需要というふうに言うのは簡単ですけれども地元にしてみれば、そんなものを子孫の末まで置いておくというのは必ずしもすんなりといく話ではないんじゃないか。  ですから、そういうことを含めて、原子力委員会なり原子力政策に責任のある方々が、もっと事態をはっきりと国民説明をする。よくこのごろ説明責任ということが言われますが、そのことをやることが急務ではないかということで、私は先ほどの陳述をしたわけであります。  以上です。
  76. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、原子力長期計画の何度も何度もの改定の中で、軽水炉使用済み燃料が当然生まれてくる、施設が計画どおり稼働しなかったら余ってくる、そういう問題がありますから、これは、長計の見直しは見直しとして、電事連としても実際はかなり今そこの矛盾にぶつかっていらっしゃるのではないかと私は思うのですが、一言何か感想的なことを伺えればと思います。ちょっと言いにくいかもしれませんが、それで終わりたいと思います。
  77. 前田肇

    前田参考人 非常に難しいことを聞かれましたが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やはりこういう非常に大きなサイクルを回していくということは、おっしゃるようにそんなに易しいことではないと思っております。  ただ、これは我々一生懸命取り組んでおりますし、また、技術的にできないことはないと思っておりますし、できる見通しもございますし、我々としては、できるだけコストを低くして、原子力の競争力が維持できるような形でどうやって事業化していくか、そこに今頭を砕いておるところでございますけれども、今後ともそういうことで国民の皆さんの御理解を得ながら進めてまいりたい、こう思っております。
  78. 吉井英勝

    ○吉井委員 どうもありがとうございました。終わります。
  79. 北側一雄

    北側委員長 辻元清美君。
  80. 辻元清美

    辻元委員 本日は、お忙しい中、本委員会にお越しいただきまして、ありがとうございます。私は社民党の辻元清美と申します。どうぞよろしくお願いします。  この中間貯蔵問題ということで、これから私たち委員会で審議を進めていきますし、明日は視察にも参ることになっております。その中で、私が素朴な疑問として幾つか考えておりますことをきょうは御質問させていただきたいと思います。  まず最初に、前田参考人にお聞きしたいんですけれども中間貯蔵ということになりますと、発生者責任の問題ということをどのようにお考えでいらっしゃるか、その点について、業界の中でも議論されていることではないかと思いますので、まず教えていただきたいと思います。
  81. 前田肇

    前田参考人 中間貯蔵を事業化するときにだれが事業主体になるか、これはこれから決めていくことでございます。電力が直接事業主体になるかもわかりませんし、先ほどから出ています倉庫業というような形で第三者に委託することもあり得ると思います。  それで、発生者責任という件でございますけれども、事業主体が何であれ、我々の使用済み燃料をそこへ持っていって貯蔵してもらう、所有権は当然我々がずっと持っておるわけでございます。大量の使用済み燃料を、もしかしたら一社だけじゃなくて二社、三社から受け取るかもわかりませんが、これを集中して貯蔵する管理の責任はその事業主体が持つことになりますけれども、所有権は我々が持つことになります。  それから、当然これは原子炉規制法でもきちんと明記されておるわけでございますが、使用済み燃料は最終的に必ず再処理するということになっておるわけでございます。ですから、当面中間貯蔵に運び出すときにも、これは中間貯蔵が終わったら再処理のところへ持っていくということになっておりますので、出口と入り口とか、ためている間の所有権といいますか、そういう意味で、我々の責任は当然ついて回るといいますか、責任を果たしていくということになると思います。
  82. 辻元清美

    辻元委員 先ほどから、再処理が少し、六ケ所につきましてもおくれるとか懸念の声も出ているわけなんですけれども、そうしますと、もう一問、今必ず再処理するというお話なんですが、どれぐらいの期間、中間貯蔵といいますが、見通しですね、業界ではどのようにお考えでしょうか。
  83. 前田肇

    前田参考人 それは非常に難しい御質問なんですけれども、何年間貯蔵するか、逆に言いますといつになったらそれを持ち出すのかということ、これは当然その時点での使用済み燃料のバランスですね。  例えば、第一再処理、第二再処理工場もできていて、再処理のキャパシティーがどれぐらいになっているのか、あるいはプルサーマルの規模とかFBRの実用化状況とかがどうなっているのか。さらに申し上げるならば、ウランの需給が逼迫しているのかしていないのか。ウランの需給が逼迫してくれば、当然これは早く再処理をして早くリサイクルをする必要が出てまいるわけです。  したがって、そういったいろいろな条件から決まってまいりますので、ちょっと一概には申し上げかねますけれどもウラン需給という観点から申しますと、IAEAの予測の一つには、二十一世紀半ばには逼迫するという予測も出ておりますし、FBRの実用化も、従来二〇三〇年と言っていたのが多少おくれるにしても、二十一世紀の半ばには当然実用化されておると思いますし、その辺が一つの目安になるんじゃないかなという気はいたします。
  84. 辻元清美

    辻元委員 河瀬参考人に次はお聞きしたいんですけれども河瀬参考人も日々、原発立地県として地元の皆さんの声を直接お聞きになる立場だと思うんです。中間貯蔵の施設をまたこれからどこか探していくとなると、そこの地元の皆さんが必ず聞くのが、いつまで預かるんですかとか、どうなっていくんですかということは必ず問いとして出てくると思うんですね。原子力関係の引き受け手というか、これは率直に申し上げまして、今の現状ではなかなか難しいんじゃないかなというような意見を私は持っています。  それで、日ごろ河瀬参考人地元の皆さんと接していらっしゃいまして、先ほどから、うちが引き受けるときは、それはよそへ持っていくという話だったから、それは守ってもらわなければ困ると。私もそう思います。約束でした。そうしたら、今度引き受け手というところの立場に立ってみますと、またそこで、どこかあるかなといっても、なかなかない。こういう、言ってみれば、たらい回しと言うたら変ですけれども、なかなかはっきりしない中で、日ごろ、原発立地県として地元の皆さんはどういう声があるのか。早く持っていってくれという声はあると思うんですけれども、だからといって、皆さんもきっとほかに急に引き受け手が見つかるともなかなか思われないと思うんですね。  そういうときに、私は、ここ科学技術委員会、国の責任もあると思います、しっかりそういうことを示せないという。率直な国に対しての御意見とか要望とか、こういう声があるからどう思うんだとか、そういうことがあればこの際お聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  85. 河瀬一治

    河瀬参考人 今御指摘いただきましたとおり、市民の皆さん方、住民の皆さん方というのは、特に中間貯蔵について、当然地元では、それはもう結構です、うちは発電所を持っておりますしという感覚がございます。それと、最初の約束ということで、使用済み燃料は運び出してください、約束は守ってもらうという声が私は多いように思っております。  そういう中で、先ほど迷惑施設という言葉も使ったんですが、これはイメージがそうだというふうに私は思います。現実問題として、では中間貯蔵施設が本当に発電所と同じような形のものかといいますと、そこはまた、理解のある方は、先ほど倉庫という言葉が出ましたけれども、そういう皆さん方もいらっしゃるのも実は事実であります。  そういう点で、住民の皆さん方にしましても、わかっているようでわかっていない人、わかっていないようでわかっている人というようなことがございますので、私が思いますのは、国として、中間貯蔵のみならず、もっといろいろな面で、わかりやすく理解を得られるような政策をとっていただきたいというふうに実は思っております。  そうしませんと、いろいろな事故があったりトラブルがありますと、結局、私ども地域が非常に迷惑をする。まして、危ないものを持っておる地域ですというようなことで、特に私どもは、港町と気比の松原等、実は非常に風光明媚なところでございますが、そういうことのイメージダウンが非常に多いんですね。  ちょっとした事故がありましても報道がされますので、それを見て、もうあんなところは行かぬとこ、私は大学なんか持っていますが、そんなところへ子供をやらぬとことかいう、非常に迷惑を受けていますので、国等につきましては、ぜひそういう正しい理解のもとでの原子力政策をしっかり進めていただく。これは先ほど言いましたように、中間貯蔵のみならず、全体としての原子力政策としてそういうことをぜひお願いしたいというふうに実は思っておる次第であります。
  86. 辻元清美

    辻元委員 引き受け手があるかどうかという問題で、どれぐらいの期間ということもきっと説明責任として説明しなければならないですし、それからもう一点、今、河瀬参考人の御発言の中にもあった安全性の問題ですね。  次に、中島参考人にお聞きしたいと思います。さて、そうしますと、中間貯蔵施設の安全性という面から見て、中島参考人はどのようにお考えでしょうか。
  87. 中島篤之助

    中島参考人 施設そのものがきちんとした基準を守って建設されれば、それ自体の危険性というのはそう多くない。私が申し上げたのは、そこへ運び込むとき、あるいはその管理の段階でトラブルが発生し得る可能性がある。  一番大きな問題は、要するに核拡散防止上の問題だと思うんです。つまり、それにどれだけの対策をするかということは、立地される場所にもよりますし、これは今までちょっとない経験だと思うんですけれども、その点で、現在出されている法律案は割に楽観的に過ぎるのではないかということを私は最初に申し上げたつもりであります。  いわゆる我々原子力をやっている連中が、原子炉に比べれば安全と。これは当たり前でありまして、原子炉というのは高温と高圧があります。圧力が高いわけですね。それに比べれば、そういうものはありませんから、そういう危険性は確かにないということは言えます。それから、貯蔵で臨界状態が起こるというようなことは、防御する方法は十分にありますから、その点は私は心配しておりません。しかし、それがあるところに立地されて、結局、それを防護する、いわゆる保障措置というよりは、物質防護をやるのにいろいろ問題が起こるんではないかということを申し上げたいわけであります。
  88. 辻元清美

    辻元委員 ありがとうございます。  今の中島参考人お話の中に、法案がちょっと甘いんではないかというふうなお言葉があったんですが、私たちは、これからこの法案について審議いたしますので、もう少しそこの部分を詳しく、御意見があればお願いしたいと思います。
  89. 中島篤之助

    中島参考人 法案では、これは認識の相違かもしれませんが、原子力発電所の敷地外というのを初めから前提にしているんです。この問題については、敷地内の容量の増加とか、あるいは、電気事業者にもっと、使用済み核燃料発生量そのものを減らすための技術開発とか、そういうことを考えていただく必要があるんですね。そういうことが全く触れられていないということで申し上げたのと、それからもう一つは、期限が明示されていない。これはさっきの御質問にありましたけれども、これは非常に重大な問題でありまして、受け入れていただく場合にしても、一番問題になる問題だと思うんですね。  御承知のように、我が国では、既に高レベル廃棄物のガラス固化体が青森にフランスから返ってきて貯蔵されています。これは、地元との約束では、三十年ないし五十年のうちには最終処分場に持っていくということになっていますけれども、これが果たしてそのとおり実行されるかどうか。青森では、固化体は受け入れているんだけれども、それが無期限に置かれるのは困る。同じ問題が中間貯蔵の場合でも、恐らく地元が一番問題にするのは、中間ではなくて永久貯蔵になっては困るということだと思いますので、その辺がはっきり法案上も明示される必要があるんではないかと私は思っております。
  90. 辻元清美

    辻元委員 それでは、もう一度前田参考人にお聞きしたいんですけれども中間貯蔵ということになりますと、この中間貯蔵にかかる費用、これは発生者の方から、先ほど倉庫論みたいなのがありましたけれども、預かってもらうということで費用が発生しますが、これは電力業界としてもいろいろな見積もりをされているのではないかと思うんです。というのは、やはり経済界の人が一番厳しくコスト面でのチェックをなさっていると思いますので、これはどれぐらいかかると見積もっていらっしゃるのでしょうか。
  91. 前田肇

    前田参考人 もちろん、中間貯蔵施設というのは、まだ詳細設計をするところまで至っておりません。したがって、まだ今のところはごく概算の話として聞いていただきたいんですけれども原子力発電所でも使用済み燃料というのは今プールであるとかキャスクで貯蔵していますね。当然のことながら、それと同じ程度の費用でおさまるだろうと思っています。  それで、試しに、五千トンクラスの貯蔵施設をつくるものとして、その貯蔵施設をつくる費用、それから燃料をそこまで持っていく運搬賃、それから保管中にかかる費用、それから何十年か後にそこから再処理工場まで持っていく運搬賃、それからその施設を貯蔵が終わったら廃止して全部跡をきれいにする費用、そういったものを全部ひっくるめて、概算ですけれどもやってみますと、大体一キロワットアワー当たりにして十銭前後の費用というような概算は一応いたしております。  ただ、これはごく概算でして、我々としては、これからこれをもっとコストダウンするように詳細設計の中で詰めていこう、このように思っています。
  92. 辻元清美

    辻元委員 もう一点、前田参考人にお聞きしたいんですが、アメリカなどで、この核燃料サイクルのコスト面での見直しということが言われていまして、多分、電力業界としてもそういう事例についての御研究もなさっていると思うんですけれども、それについてはどういう御意見をお持ちでしょうか。日本とどこが違うのかがちょっと私、よくわからないので、教えていただければと思います。
  93. 前田肇

    前田参考人 アメリカと日本の一番大きな違いは、アメリカが、一九七八年でしたか、カーター大統領が大統領になって、それまで進めてきた再処理、リサイクルという路線を変更しまして、再処理をやらないというふうに決めたわけです。したがって、アメリカは、それ以降、今まで再処理路線をとっていません。使用済み燃料はそのまま最終的に処分する、こういうことをやっています。  処分をするために、電力会社から、一キロワットアワー当たり一ミル、一ミルというのは千分の一ドルなんですけれども、というお金をアメリカ政府がずっと徴収していまして、そのお金でもってアメリカ政府が電力会社の使用済み燃料を全部引き取りましょう、こういう約束を法律でしています。ところが、約束の期限が来まして、約束の期限が実は去年一月に来たんですけれども、アメリカ政府は、全然引き取る当てがないものですから、今電力会社から訴えられているような状況です。  ということは、結局、最終処分をするとアメリカ政府は決めたけれども、最終処分をする場所がなかなかうまくいっていない。もう一つは、米ソの核軍縮で核弾頭から出てきたプルトニウムをどうするかという問題も出てまいりまして、やはりプルトニウムは、そのまま処分するのはむしろ危ないから、原子炉で燃やした方がいいんじゃないかということで、今、そういったMOXで燃やそうという方向へ移りつつあります。  したがって、アメリカも、ずっとカーター以来ワンススルーで来たけれども、現実問題に直面して少しずつ変わりつつあるというのが今の現状だろうと私は思っています。
  94. 辻元清美

    辻元委員 それでは、石川参考人前田参考人中島参考人にお伺いしたいんですけれども、私たちエネルギーの将来ということで、新しいエネルギー、自然エネルギーの問題もこの委員会で随分と議論が出ております。石川参考人中島参考人は研究者のお立場で、そして前田参考人は事業者のお立場で、これに今後どのように取り組んでいくか、このコスト面という問題はまだ残っておりますけれども、それを下げていく努力はどのような点でできるのかとか、御意見をいただきたいんです。
  95. 石川迪夫

    石川参考人 私見を述べさせていただきたいと思います。  自然エネルギー、こういったものは、使えるものはできる限り使っていけばいいというふうに私は考えております。ただ、自然エネルギーの一番の欠点というのは、太陽のエネルギーからすべてが来るものでございますけれども、いかんせん、そのエネルギー密度が低いわけでございます。それを高くする、これはなかなか大変でございます。  例えば電気とかジェットエンジン、ガソリンが非常にエネルギー源として使い勝手がいいというのは、エネルギー密度が高いから、我々の便利なものに使えるわけでございますね。太陽のエネルギーというのは、簡単に言えば、人間にもばい菌にも平等に与えられているものでございますから、それを私たちは人間にうまく使ってばい菌を殺したいというわけでございますので、これは密度を高くしなくちゃならないんです。  この密度の低いものを高くするというのはどういうことかといいますと、例えばお塩をお澄ましに入れていいお味にするのは楽でございますけれども、いいお味のところからお塩を取り出すといったら、非常にこれは手間がかかる、お金がかかるというところから見ておわかりになっていただけるだろうと思います。  ですから、使っていくということは、いかに原子力があっても、将来はひょっとすると太陽エネルギーだけになるかもしれませんから、やっていくべきだと思いますけれども、そのコストは相当にかかるものと。  それから、第二番目で、今は新エネルギーが始まったばかりでございますから、皆新品同様でございます。したがって快適かもしれませんが、これのメンテナンスということになりますと、これは相当大変なものがあるであろうというふうに私自身は考えております。  そういうことでございますので、新エネルギーも使う、それは使うんでございますが、大量のエネルギー源というのもあわせて必要ではないだろうかと思っております。
  96. 前田肇

    前田参考人 電力会社といたしましても、新エネルギーの導入には熱心に取り組んでおります。関西電力は、六甲アイランドに非常に大きな太陽光の発電設備、試験設備を持っております。  御承知のとおり、電力需要というのは真夏のお昼が一番高くなるわけでございまして、もし、太陽光発電が普及して、真夏のお昼に太陽光発電をしたら一番パワーが出るわけですから、少しでもピークの部分をとってもらえれば我々としても助かるという意味で力を入れております。例えば、現在私ども、太陽光発電を屋根の上につけられたお客様、約二千五百件ぐらいの方と契約をして、余剰の電気は買っておりますし、また夜中には逆にこちらから送るというような形で協力しているわけです。  そういうことで進めてまいりたいと思っておりますけれども、量的に言えば、幾ら太陽セルを敷き詰めても、とても電力需要の一〇%も賄えるものじゃないということは御理解いただく必要があると思います。
  97. 中島篤之助

    中島参考人 私はもっと悲観的でありまして、新エネルギーは極力推進すべきであると思いますけれども、例えば、日本じゅうの屋根に張ればというような試算ができます。しかし、それをやりましても、現在の供給量、エネルギーの需給から考えますと、せいぜい三%になれば大成功ではないかと思うんですね。ですから、努力はすべきだけれども非常に難しい。  どこにネックがあるかというと、例えば太陽光発電ですと、これはコストがもっと下がらなきゃいけない。通産省の試算でも七分の一ぐらいと言っておりましたが、今それよりは、サンシャイン計画をつくったときよりは大分下がってまいりましたけれども、まだまだ高いというのが問題ですね。お金持ちでないとつけられないということになります。大体五キロワットでかつては九百万ぐらいしたのが、今は六百万ぐらいになったでしょうか、その程度だと思います。  それから、次に風があります。  これは、日本ではもう少し努力していいと私は思うんですけれども、これも非常に難しい。それは考えればわかりますけれども日本は国土が狭いわけですから、一定の面積当たりから出る電気の量という勘定をしますと、非常に厳しいということになってしまいます。  しかし、これも幾つかのベンチャー企業を初め、電力会社、東北電力だとか北海道電力等で努力はしておられます。しかし、これも、例えばアメリカのように非常に広大な荒蕪地がある、カリフォルニア州なんかで百六十万キロワットでありますが、ああいう大きなウインドパークは日本では非常に難しいでしょう。  ですから、幾つかの、それぞれの自治体が、むしろ過疎地でやってみようかというようなところが出てくれば、これはやはり政府がそれを奨励するという形で、どのぐらいいくでしょうか。パーセントでいうと余り大きな期待はできない、前田さんは一〇%と言うけれども、私はそんなに甘く見てはいけないと思います。
  98. 辻元清美

    辻元委員 大変参考になる御意見をちょうだいしました。どうも、本日はありがとうございました。
  99. 北側一雄

    北側委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、貴重な御意見を賜りまして、本日はまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会