○吉井
委員 原子力推進艦船の
事故というのは随分過去にありました。例えば、六三年四月十日のスレッシャー号というのがボストン東方沖で沈没した有名な事件を初めとして、各港湾の中でも、例えばイギリスのレゾルーション号というのが海軍の基地で、横須賀の基地みたいなものですね、メルトダウン寸前の
事故までいった。実は、メルトダウン寸前の
事故、これはいずれも冷却水
事故から始まっているのですが、随分数多くやっているのです。
港に入っていて
原子炉事故をやったときに、例えば非常に過酷な
事故であった場合に、それはもう動かないわけですから、汚染された船を直ちに港の外に引っぱり出すとか、非常に困難な問題をもともと持っているのです。だから、
政府声明で保証してくれているとか、そういうことばかり言って、本当に
事故が起こったときにどうするのかという防災という観点が極めて弱いということを私は言わざるを得ない。外務省にしても
科学技術庁にしても、そこのところは非常に大きなこれまた穴になっているということを私は
指摘せざるを得ないと思います。
昨年の十二月二十五日付で、放射能対策等三港連絡協議会、横須賀、佐世保、沖縄から、
原子力安全局の室長あてでありますが、要するに
科学技術庁に要望書が届いています。その中でも、「国の防災基本計画の中で適用除外となっている「寄港中の
原子力軍艦
原子炉に係る万一の
事故対策」について、
原子力発電所等の
事故による災害の防災計画と同様な対策の指針を早急に確立する」ことを求めております。
実は、この要望書は、私、十年余り前、参議院で
議論するためにこの三港の協議会の文書などをいただいて読んだときから、同じことが繰り返し繰り返し言われているのです。つまり、実際に
原子炉で
事故が起こったら、住民を、国の基準でいけば約十キロほど外へ、安全なところへ逃げてもらうように避難誘導しなきゃいけない、あるいは沃素剤を服用してもらうようにしなきゃいけないとか、その具体的な対策を立てないことには原発の地域防災計画にならないのに、それを求めても、外務省にしても
科学技術庁にしても、事実上それを阻止する、そういう行動をとってこられたために、同じ要望書が繰り返し出されているわけです。
ですから、やはり
原子力艦船の入港してくる自治体でも
原子力防災計画をつくれるように国として協力をする、きちんとした態度をとるということを、これは担当の部局の問題じゃなしに、
政府としてそこをきちんと示すことが、私は住民の安全を守る上で大事なことだと思うのです。
この点だけは
大臣に伺っておきたいと思います。