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1999-03-11 第145回国会 衆議院 科学技術委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十一日(木曜日)     午後一時二十六分開議   出席委員    委員長 北側 一雄君    理事 河村 建夫君 理事 河本 三郎君    理事 中谷  元君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 吉田  治君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       奥山 茂彦君    木村 隆秀君       田中 和徳君   三ツ林弥太郎君       村岡 兼造君    望月 義夫君       鍵田 節哉君    近藤 昭一君       渡辺  周君    近江巳記夫君       中西 啓介君    吉井 英勝君       辻元 清美君    中村喜四郎君  出席国務大臣         国務大臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君  出席政府委員         科学技術政務次         官       稲葉 大和君         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         科学技術庁原子         力局長     青江  茂君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君         運輸省海上技術         安全局長    谷野龍一郎君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      須田 明夫君         海上保安庁警備         救難部参事官  中村 達朗君         参考人         (日本原子力研         究所理事長)  松浦祥次郎君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   鳩山由紀夫君     渡辺  周君 同日  辞任         補欠選任   渡辺  周君     鳩山由紀夫君 三月五日  原子力損害賠償に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二六号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力損害賠償に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二六号)  原子力開発利用とその安全確保に関する件(使用済燃料輸送容器データ問題)     午後一時二十六分開議      ————◇—————
  2. 北側一雄

    北側委員長 これより会議を開きます。  原子力開発利用とその安全確保に関する件、特に使用済み燃料輸送容器データ問題について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本原子力研究所理事長松浦祥次郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側一雄

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 北側一雄

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  5. 辻一彦

    ○辻(一)委員 去年からかなり問題になってきました、使用済み燃料、またMOX等輸送容器データ改ざん問題について、きょうは若干質問いたしたいと思います。  私も理科系の学校におったものですから、学生時代に、戦時中になりますが、データが非常に大事だということは痛感しました。実験等をやっていると、自分の期待する方向にデータが出ればいいんだけれども、出ないと、ちょっとこのデータがいじれたらいい結果が出るなという誘惑に駆られることが時にはあるわけですが、そこは非常に厳正にデータというものをやらないといけないということを、我々もそれなりに勉強してきたのです。  そういう意味で、データというのは正確さを期するということが非常に大事であると思いますが、今回のデータ改ざんの問題は、私は、科学者技術者としてはまことに恥ずべき行為、あってはならないことであるというように思っております。例えば、実際の四十四基の輸送容器のうち三十八といいますから、八六%、約九割がデータ改ざんが行われていたということはまことに大きな問題であると思うわけですね。  それで、原子力開発等を進めるときに一番大事なのは、やはり安全性確保ということが一番重要ですが、安全性を論ずる場合に、その基本データにあるわけで、そのデータが信用できないとなったときに、原子力安全性に対する国民信頼原子力行政に対する国民信頼も大きく崩れていく。今回は非常に大きな打撃を与えたのではないかと思います。いろいろと各層で、政府を初め民間においても随分と努力をしておるのですが、そういうものが一遍に崩れていくというのが今度のこのデータ改ざんの持つ大きな問題ではないかと思うのですね。  だから、原子力行政原子力安全性に対する信頼性を回復していくには非常な決意が必要だと思いますが、前にも、去年の十月、十二月にかなり論議をしましたが、大臣も新しく科技担当となったわけでありますので、この点についての担当大臣としての考え方、そういうものをしっかりと聞かせていただきたいと思います。
  6. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先生指摘のとおり、研究を進めていく上で、データを間違えるということはあると思いますが、改ざんというふうなことは絶対あってはならないと思いますね。研究者が一回これをやったら、まず一生浮かばれないと思います。同じように、やはり原子力に関する国民信頼を失う、それから安心をしなくなる。こういう点から見まして、今回のデータ改ざんということに関しましては、大変残念に思っております。絶対あってはならないことであると思っておりまして、これはまず大変重く受けとめているところでございます。  もう御案内のように、昨年十二月三日、使用済燃料輸送容器調査検討委員会報告書が取りまとめられました。現在、この報告書を受けまして、輸送容器に携わるすべての事業者が、今後品質管理等再発防止等に真剣に取り組むことを切望いたす次第でございます。  また、これを機会に、原子力に携わるすべての人々が、謙虚で尊大でないように、そしてしっかりしたモラルを持つ、今後この報告書の趣旨を体しましてモラルを再構築しまして、一日も早い国民信頼性の回復に当たっていただきたいと思っております。私といたしましても、関係者の今後の取り組みが本当に実を上げるように、今後こういうことを繰り返さないように、全力を挙げて指導してまいる決意を持っております。
  7. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣にはまた若干具体的な論議をした上で尋ねたいと思っております。  そこで、輸送キャスクデータ改ざんの問題で、まず運輸省の方に尋ねたいと思います。  昨年の十月十四日に、運輸省材料会社をかなり調査をして、水素の中では五つの例の中に三つのデータ改ざんがあったという具体的な報告をしておりますが、その後、大変詳しい調査をやった、こういう報告を受けております。  今、皆さんに差し上げました参考資料の一というところ、この一番下を見ますと、運輸省の方では現物を全部委託調査をやった。その結果、水素については、従来の仕様値申請者が出したところの目標値といいますか、基準値を満足している。しかし、硼素の方の濃度については、その下にありますように、六体は従来の材料仕様値基準値を下回っていた。しかし、いずれも従来の解析仕様値からいえば、これを満足している、こういうデータ結果を報告しておりますね。  私は、実際、本来ならば、材料基準に満たないのならばやり直しをするのが当然である、これはもう常識であると思うのですね。それを、レジンの、いわゆる遮へい材容器への鋳込みが既に終わっておるので、基準に満たないものも、基準値の方を下げることによってクリアをさせて、それを認めていくというように受け取らざるを得ない。これは逆であって、材料基準値に満たないならば、当初の設計書どおりにやり直すというのが当然であろうと思いますが、いろいろな事情はあるとは思いますが、まずこれについて伺いたい。
  8. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えをさせていただきます。  データ改ざんが判明しました後、今先生が御指摘がございましたように、私ども、まず一番最初にやりましたことは、今配付されていると思いますが、安全審査中の実機につきまして、実際に鋳込んだレジンの七十六キットすべてについて立ち会いまして、そして分析をいたしました。その結果、密度、水素濃度は問題なかったわけでありますが、炭化硼素濃度につきましては六キット仕様値を下回っていたということでございます。したがって、その仕様値そのものを下回っていたことについては極めて遺憾ではございますが、解析入力値はこれを満足いたしておりました。したがいまして、実機そのもの放射線遮へい能力につきましては、当初設計承認で意図しました能力を結果的に担保していたと言えると思います。  ただ、そのまま認めてしまいますことは、こうしたデータ改ざんという事件再発防止の観点で極めてよろしくないと我々判断をいたしまして、識者に随分御相談をして二つ結論を得ました。  一つは、この事件の原因というのが、関係企業とか技術者モラル品質管理能力の欠如にあるということ。それから、レジン材料を製造する際の目標濃度達成度合いにある程度のばらつきが出ざるを得ないという技術的な事実があるということ。そして、それを前提とした遮へい能力計算をした方が逆に安全であると考えられる結論に至ったこと。そうしたことから、再発防止意味も込めまして、設計承認にさかのぼって再審査をしたいと考えたわけでございます。  ただ、そのときに、新たな設計に当たりましても、当初設計で意図した放射線遮へい能力を下回るようなことがあっては絶対にならない、こう考えまして、それだけを条件として要請をいたしました。その結果、昨年の十二月二十四日に再申請された設計承認要件、これは、レジン中性子遮へい材仕様は安定的に達成できるレベルまで実は下げて申請をしてきております。  ただ、一方では、放射性物質収納限度を下げることによって容器安全レベルを変えない設計要件として申請をしてまいっております。現在、これを審査中でございます。  先生指摘の、既につくった容器という御指摘がございましたが、ただいま現在のところは、容器承認申請をまだ受領していない段階でございまして、受領いたしましたら、今申し上げました新たな設計要件に沿って厳正に審査をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  9. 辻一彦

    ○辻(一)委員 説明も前に聞きましたし、今のお話も聞くと、申請者が、事業者がこれだけの基準確保したいといって出したのが材料仕様値基準値。ところが、解析をした数字はもっと低いところで解析をしたのだから、申請した基準値は満たしていないけれども解析数字からいえばいいのだ、こういうことになると思うのですね。  それでは、事業者といいますか、申請者設計書申請したときのいわゆる基準値材料仕様値というのは一体どういう意味を持つのか。材料仕様値というものを、基準値を示したら、それが満たされておるかどうかを解析していくわけですから、本来ならば、解析入力値は、基準値事業者申請したそれをもとにして解析すべきものであるのですね。これは、科学技術庁がやっておるのは全部それをやっておるのですが、運輸省の方はなぜ、業者がこれだけのことをやりますといって出している基準値解析基本にしなかったのか。そこはいかがですか。
  10. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 先生の今の御指摘の点は、材料をつくる際の中性子遮へい材機能を高める物質として、水素硼素化合物、この二つがございますが、その硼素化合物についての御指摘かと思います。  御指摘のように、実際に、解析入力値とそれから材料をつくるときの基準値には大きな差がございます。実は、硼素化合物もともと機能は、熱中性子硼素に吸収させまして、そしてその二次ガンマ線を減少させるという役割を担っております。その減少度合いとそれから硼素濃度との関係をグラフにかきますと、ちょうどあるポイント、これが解析入力値に当たるわけでございますが、その数値を前後にしまして、それより濃度が低くなると急激に遮へい能力が悪くなる、それよりも濃度が相当高まっても余り能力が高まらない。こういうことで、解析入力値一つ変曲点に当たる数値でございます。我々は、設計審査をするときは、最終的に入力値設計要件が規定されてしまいますので、この数値を使うことは妥当かなと判断をいたしました。  一方、メーカー材料仕様値を、別途それを達成するために決めるわけでありますが、この数値相当高目に、背伸びをしてと言ったらちょっと語弊がありますが、決めております。これはもちろん、決めたからには達成するのが当たり前のことでありますが、先ほど言いましたように、相当程度できぐあいにばらつきがあると技術的に判断できますので、我々としては、仕様値安全サイドにありますのでそれで結構だと理解し、解析入力値についてはその変曲ポイントの方をとらせていただいたということでございます。説明が悪くて申しわけありません。
  11. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その説明ではなかなか納得はできないのですが、もうちょっと具体的な問題で聞きたいと思うのです。  科学技術庁が同様に、レジン仕様値とそれから解析をやっておるのですね。運輸省がやっているのと科学技術庁がやっているのと、非常に大きな数字の差がありますね。  例えば、差し上げた資料の一番最後のところをちょっと見てもらうといいのですが、水素の場合は、いろいろな条件を考えて一〇%減と、材料仕様値も一〇%落として、それから解析入力値も一〇%落としていますね。これは、一〇%落とした時点では、科技庁のいわゆるNFTエクセロックスという運輸省がやっているのとは同じなんですね。  ところが、今言った硼素の方になると、NFTの方は、これは〇・〇一九四以上。これは一立方センチ当たりのグラムの数字ですが、その数字以上が今まで。今度はこれを二割減らす。二割減らすと〇・〇一五五以上というふうになるのですね。大体、約ですが。二割を減らしてやっている。ところが、運輸省エクセロックスを見ると、これは〇・〇一九四以上であったのを今度は〇・〇〇二四というふうに、これはもう八分の一に落としてしまったのですね。言うなら一二%です。  そうすると、科技庁といっても、科技庁自体にそれは申請した、それだけは。簡単に科技庁運輸省解析方法と言いますが、科技庁の方は二〇%減で、あとは余裕を見て解析をしている。それで、運輸省の方は八七%減ということになるのですね。一二・五%を引くと八七%。約九割今までの数字から落としておるのです。ほぼ似たようなレジンというもので、キャスクの一番表に出る、あるいは一メーター離れて出るところの線量が、法の示す、決める範囲内であればどんな方法もいろいろあり得るということでしょうが、そんなに大きな違いがないと、私はずっとこういうのを見ても思うのだけれども、なぜ運輸省解析した数字科学技術庁解析している数字が七分の一、八分の一と大きな開きがあるのか。それはどうなるのですか。
  12. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 先生、ちょっと繰り返しになって大変恐縮ですが、まず、改ざん前に受け取りました設計承認の際の仕様値とそれから入力値との間には、先生指摘のような大変大きな差がございます。それは先ほど申し上げたような理由で……
  13. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっと待ってください。大臣の退席は与党の時間に行うということになっておったはずで、私との約束もそうだったはずだけれども
  14. 北側一雄

    北側委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  15. 北側一雄

    北側委員長 それでは、速記を起こしてください。  もう一度、運輸省谷野海上技術安全局長、御答弁をお願いします。
  16. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えさせていただきます。  ちょっと説明がややこしくなるかもわかりませんが、当初設計を予定しておりました当初設計要件では、仕様値とそれから入力値と大幅に異なっております。ただし、仕様値については、入力値、つまり容器安全レベルを左右する入力値安全サイドにある数字でございます。これについては、安全サイドにあるから、事業者が自主的にそれを達成したいという要請をそのまま受け入れたということであります。  それで、今般こういう改ざんがございまして、また技術的に少しチェックをさせていただきました結果、やはりどうも材料をつくるときにばらつきが出そうでありますので、最終的に容器安全レベルを規定する、決めてしまう入力値に合わせて仕様値を決めさせていただいた、こういうことでございます。
  17. 辻一彦

    ○辻(一)委員 だから、私の聞いているのは、科技庁の方は、〇・〇一九四を二割減で〇・〇一五五として、それから解析入力値も同じ数字ですね。運輸省の方は、〇・〇一九四を〇・〇〇二四と八分の一に落として、解析値もそれに合わせた。だから、解析入力値科学技術庁運輸省では七分の一ですね。科技の方は七倍、それから運輸省は七分の一になる、〇・〇一五五というのと〇・〇〇二四というのを比べれば。それはそれほど違った材料を使っていない。レジンは、原材料を出しているのは同じところがやって、同じことをやっているのですね。それなのになぜこれだけ解析基本的な数字が違うのか、そこを聞きたい。
  18. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 繰り返しになって大変恐縮でありますが、当初設計のときに、容器そのもの安全レベルを規定した入力値自身が〇・〇〇二四でございました。したがいまして、容器そのもの安全レベルは、その数値ベースにして算定をいたしております。ただし、それを実際につくっていく際の、メーカーがつくる材料目標値材料作製目標値として〇・〇一九四というのを設定していたわけでございます。ただ、それだけ差があること自身について、技術的には遮へい能力にはそれほど差はございませんが、そもそも差があることが適当かどうかということを今般、改ざん後考え直しまして、その上で解析入力値設計仕様値とを一致させたということでございます。  先生指摘のように、科技庁が決めておられます仕様値運輸省が決めております仕様値で、どれだけ技術的に遮へい能力に差があるかというのは、計算してみないとわかりませんが、余り差はないと理解しております。
  19. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私の聞きたいのは、入力値を言えば、〇・〇一五五というのと〇・〇〇二四というのは、七分の一、七倍ですね。だから、解析をするときの一番基本数字が、科技と運輸、同じようなものを扱いながらなぜこれだけ違うのか、そこをちょっと聞きたい。
  20. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 科技庁さんの方でお決めになっているものと私どもで決めている数字との違いを明確に御説明できませんが、私どもは、御承知のように、海上輸送についての安全部分を担務させていただいております。そして、そのときの容器設計要件設計承認容器承認、それから安全審査の業務をやらせていただいております。  我々としましても、技術的には、識者に御相談を申し上げながら、容器そのもの遮へいレベルを達成するための要件について規定をさせていただいておりまして、特に数値そのものについて厳密にすり合わせをしたわけではございません。
  21. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは科技庁が出しているのですが、運輸省もこれを活用しているということを私は聞きました。使用済燃料輸送容器調査検討委員会政府でやっておられるわけですね。この中の二十四ページにこう書いてあるのです。硼素濃度の全実測データ中の最小値は、ロットサンプルの〇・〇一七六が科技庁調査によると最小運輸省の方は、これはたしかもうちょっと数字が小さかったと思うのですが、大体似たような数字であったと思います。読めばわかりますが。そこで、安全解析書材料仕様値に対して九〇・七%、だから約一〇%少ない値であると、一番最後のページにあります。だから、解析用入力値は、測定誤差や工程中の誤差、いろいろ考慮して、厳し目を十分にとって、二倍の安全裕度をとって、その一〇%の二倍、二〇%減らして〇・〇一五五としたとあるのですね。  水素は、下にあるように、これは同様で、一〇%減らしたとしている。水素の方は、運輸省の方も一〇%減、こう入力値もしていますね。ところが、この硼素の方だけは、科技庁運輸省になぜ七倍、七分の一の差があるのか、それをちょっと聞かせてほしい、こう言っておるのです。
  22. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 先生のおしかりを受けるかもしれませんが、私どもの法的な手続面お話をさせていただきますと、設計承認それから容器承認そのものは、事業者申請に基づいて、我々行政サイドが最終的な安全審査についてのチェックをやらせていただくということであります。  したがいまして、基本的には事業者自身が出してきた数字ベースにして、それで最終的な基準値をクリアしているかどうかということを判断するわけでありまして、そういう意味では、私どもが絶対的な基準値として材料仕様値を特に定めているものではありませんので、我々としては、その違いについて、それが全体として安全サイドにあれば、それを認めざるを得ないというのが事実でございます。そういう考え方に立って判断をさせていただいております。
  23. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今の答弁に非常に矛盾があるのは、事業者は、第一次申請というか、初めの申請のときには硼素濃度を〇・〇一九四以上、こうしたのですね。それに対してあなたの方は、事業者申請どおりやっていないんだ、〇・〇〇二四、八分の一で解析入力値はよろしい、こうしておるわけでしょう。これはあなた、当初の、初めて設計書審査するときに、事業者申請もとにするなら、なぜ〇・〇一九四という数字入力解析値に据えなかったのか。そっちの方はもう自分の方で八分の一に切り下げておいて、そして業者申請どおりやるというのは矛盾がある。
  24. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 済みません、お時間をとって恐縮でございます。  〇・〇〇二四、つまり解析入力値そのものも、厳密には事業者が選択してきた数字であります。その〇・〇〇二四の妥当性について、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、硼素遮へい能力濃度との関係でちょうど変曲ポイントに当たるその数値が一番効果的な数字だから、それを選んできたことについて、運輸省はそれを認知したという整理でございます。  ただ、新しい設計承認において、その入力値設計仕様値とを合わせました点につきましては、我々もそれを認知いたしておりますが、これももちろん事業者が選択をして出してきたものでございます。
  25. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ちょっとわからないね。事業者申請もとにするなら、一番最初に〇・〇一九四以上という数字仕様値目的値に挙げたわけだから、それに入力値を合わせて安全審査解析をやるべきですよ。そっちの方は八分の一に下げて、今度は業者が〇・〇〇二四を申請してから、それに基づいて解析入力値を決めるというのはどうも腑に落ちない。
  26. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 安全レベル判断をする際に、解析のために使う入力値がその容器安全性を観念的には規定してしまいます。したがいまして、その〇・〇〇二四という数字で算定したものが、要するにその容器安全性ということになります。  他方、事業者自身自分でその〇・〇〇二四という解析値を達成するために具体的な材料をどのようにつくっていくかという目標値として、ちょっと数字は忘れましたが、それよりも濃度の高い数値を規定してきております。  それで、それは安全サイドにあるから、メーカー自身自分で定めた基準だから、それを認めることについては特に安全審査上はマイナスにはならないと判断して、その〇・〇〇二四で我々はそれを認知したということでございます。  ただ、そこに差があり過ぎますと、つまり、事業者自身が背伸びをし過ぎて、品質を高めるという目標を置いたこと自身が大変クルーシャルな目標ではなかったのかと考えまして、直接、解析に使っておりました数値にその設計仕様値を定め直したことを、後で、二回目といいますか、新たな申請書では認知した、こういうことでございます。
  27. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それならば、最初に、第一回の申請が行われたときにその努力をすべきで、あなた、そのときは認めておいて、そして、実際の数字が随分と問題が出てきたからこの数字を下げるということはまず理解しがたいが、限られた時間ですから、余り細かい専門的な論議を技術的にやってもあれですから、指摘しておきたいのは、同じような材料、同じような遮へい容器をつくりながら、なぜ科技庁とそれから運輸省が使う基本的な安全解析数字基本において違うのかということを、後で資料を添えてわかるように知らせてもらいたい。  これは科技庁にも。運輸省の方は、〇・〇〇二四という、科技庁が示した安全解析数値基本の七分の一の数字ですね。なぜなのかということを、それはひとつ科技庁の立場から一遍説明を知らせてもらいたい。  そのことの論議を、本当は安全委員長に来てもらってやるといいんですが、時間の点からまた次の機会に、それは安全委員会の見解として伺うことにしたいと思います。  そこで、若干今まで論議をしたんですが、運輸省は、一回目の設計申請書の中に申請者が、業者が出したこの仕様値基準値と、そしてあなた方が使った安全解析数字は非常に、八分の一という差があるわけです、事実として。これが今度のデータ改ざんを安易に考えさせた大きな一つの要因でないか。  業者は、出したら本当はそれを守るというのが当然業者の仕事だし、政府も、業者がこれだけの基準を達しますと出したら、それをもとにして解析をして、それだけの数字がちゃんと含まれているかどうかということを見るのが大事なんだけれども、その数字が八分の一では、余りにも小さい、開きが大きい。だから、その分析をやった、それを請け負わせた原電工事ですか、レジン遮へい材を詰め込んだところでは、安全解析数字は八分の一も低いのだから、そんな数字は上下したって大したことない、こういう感覚が私はあったんじゃないかと思うのですね。  だから、既に内部告発で、この前この委員会にも出されておりましたが、あの中身を見ても、随分と改ざんしていますね。三月一日に報告した中身はどうも思わしい結果が出ないということを、分析しているところの担当者がレジンを鋳込んだところの課長へ報告しておる。それから、三月七日のを見ると、特に硼素基準に達していないと。そして、数字を五つ、六つずっと挙げているのを見ると、全部いじって、基準値以下を全部〇・〇一九四以上に、〇・〇二〇一とか〇・〇一九七とか〇・〇一九八とか、全部数字改ざんして、そこをクリアしようとしておったわけですね。  こういう数値の大きな開きをそのままに見過ごしておったところに、安易にデータを扱わす温床があったのではないか。そういう意味では、運輸省が、解析入力値とそして業者の出した仕様値、いわゆる目的値とのこの乖離、大きな数字の開きを放任したところに極めて問題があると思いますが、それについての見解はどうですか。
  28. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 先ほど先生がおっしゃった詳しいお話は、別途また御説明をさせていただきたいと考えておりますが、運輸省の名誉のためにちょっと一点だけ言わせていただきたいのでありますが、解析入力値で使う数字が小さい方がより安全な容器レベルを達成できるということだけは、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  ただ、先生二点目で御指摘のありました、その入力値とそれから事業者自身がみずから定める設計仕様値の間に大きな開きがあって、ために事業者自身自分で設定した目標にたどり着けなかった、そのために改ざんに及んだのかもしれない、こういうお話でございましたが、それについては、私の方としては一言もございません。あるいは先生のおっしゃるとおりかもしれないと思っております。  したがいまして、冒頭申し上げましたが、今般、改ざんが起こった後、私ども、技術的知見を持った顧問会というのをセットさせていただいておりますが、その場で詳しく御相談をして、材料仕様値なるものについてある程度のばらつきが出る、したがって、やはり入力値とそれから仕様値の間には余り乖離を持たないで、極力同じ数値で整理する方がいいという御指摘を受けておりますし、新たな申請書ではそうさせていただいております。そういう意味では、先生の御指摘のとおりでございます。  最後になりますが、運輸省としては、輸送の安全について中立的な立場から安全担保を図るというのが国民から負託されている任務だと理解しておりますので、今回の改ざんを契機にしまして、特に一番大きな原因の要素になっております品質管理だとかモラルの低下の部分については、十分安全審査でカバーしていきたいと思いますし、それから、実際に国が立ち会う機会をふやしまして、適切な容器がつくられるように努めていきたいと思っております。
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 運輸省がいろいろ努力をしていることは、私は、それはそれなりの、あるいは非常な努力を一生懸命やっているということは、理解します。  さっきの問題については、なおまた後日論議もし、資料も提供を求めたいと思います。  それで、大臣がいらっしゃれば、こういう状況の中で、このデータ改ざんを初め一連の打ち続く不祥事が本当に日本の原子力行政に対する安全性と行政に対する信頼を著しく失わせていくことは、これらを踏まえた立て直しを本格的にやらないと大変なことになるんではないか、こういう点を特に強く見解をただしたかったんですが、それは時間の点から割愛して、最後に、MOXの海上輸送の防護の問題について、せっかく運輸省、外務省見えておりますから、五、六分質問をしたいと思います。  MOX燃料をイギリスやフランスから運ぶのに、前回は、これはMOXでなしにプルトニウムの粉末だったんですが、「しきしま」を使って護衛をして輸送したんです。今回は「しきしま」を使わないように見受けるんですが、あれだけ経費を相当かけて建造した「しきしま」を今回はなぜ使わないのか。時間の点から、簡潔に聞きたい。
  30. 須田明夫

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、一九九二年のプルトニウム粉末輸送の際には、海上保安庁の「しきしま」による護衛という形で輸送を行いました。  ただ、今回の輸送につきましては、プルサーマル計画の一環といたしまして、今後約十年間にわたりまして電気事業者が主体となって継続的に実施する事業であるということも踏まえまして、関係事業者及び関係政府の間で、安全かつ適切な輸送方法というものにつきまして協議を重ねてまいりました。その結果、二隻の武装化した輸送船を並行して運航させまして、この二つの船が相互に護衛するという方式によることによって十分なレベルの核物質防護が確保されるという判断に至りましたことも踏まえ、総合的に判断いたしました結果、今回のような方式を採用することといたしたものでございます。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 「しきしま」の装備、これは、機関砲とか、大きいのと小さいのを二門ずつ搭載しておったわけですが、その装備、速度、そういう一番大事な点を、差し支えなければ、ごく簡単にちょっと聞かせてください。
  32. 中村達朗

    中村説明員 お答え申し上げます。  巡視船「しきしま」の武器等の装備につきましては、三十五ミリ機関砲二基、二十ミリ機関銃二基、ヘリコプター二機、高速警備艇二隻、空域監視装置一基となっております。  その他の装備につきましては、警備業務の性格にかんがみ、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 テロが、そういう装備を、大事なことをわかれば、またそれを上回るのをつくられる可能性だってあり得るわけですから、そういうことでなかなか全部明らかにできないということは、それは理解できますが、しかし、「しきしま」というのは、日本の造船技術の粋を集めて、相当な経費をかけてつくった護送船ですから、かなりしっかりしたものだと思うのですね。  今、イギリスの民間で雇うところの二隻の船に順番に護衛をさせるということで代替する効果を上げようという考えのようですが、その二隻をもって、「しきしま」が、九二年か、何年か前にプルトニウム粉末を輸送したと同様以上の、少なくとも同等の護衛能力がきちっとあるのかどうか、そこらはどうなんですか。
  34. 須田明夫

    ○須田説明員 今回の輸送方式は、先ほども若干触れましたけれども、二隻の武装輸送船が相互に護衛しながら航海をしてくる、お互いに護衛をし合いながらしてくるということが一つ。それから、それぞれの船にはイギリスの原子力庁警察隊から派遣されます護衛のための専門の武装警察官が乗船して護衛をしてくるということが基本でございます。  それ以上の装備等詳細につきましては、先生もおっしゃられたとおり、機微な点がございますので申し上げることはできませんけれども、こういった形でもって行う今回の護衛態勢と申しますのは、一九九二年の「しきしま」による護衛態勢と比べましても遜色のないレベルの十分な警備態勢がしけるというふうに考えております。
  35. 辻一彦

    ○辻(一)委員 外務省からもらった日米原子力協定実施取極附属書五Bというのがありますね。中身は数点ありますが、これは私は読み上げませんが、この中身を、少なくともこの附属書五Bのガイドライン、指針を満たしているということは明言できますか。
  36. 須田明夫

    ○須田説明員 今回の護送輸送方式につきましては、日米原子力協定実施取極附属書五Bの指針その他国際約束に従って、十分なレベルの核物質防護が確保されるというふうに判断しております。  ちなみに、日米協定の指針との関係では、米側に既に公式に輸送計画を提出しているところでございますけれども、そこに至る過程におきましても、非公式に米国とも協議を重ねてまいった次第でございます。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これはきちっとやってもらわなければ困りますね。  それから、最後一つだけですが、科技庁に。  あってはならないし、あり得ないと私は思いますが、もし、テロ等がMOX燃料を何かの方法で手に入れたりしたときに、これからプルトニウムを抽出して核兵器につなげようとすれば、なかなかな技術力というか工業力がないと簡単にはすぐプルトニウムを取り出せるものではないと思うのだが、どのぐらいの技術力と工業力があれば今のMOX燃料からプルトニウムを抽出することができるのか、それを簡単に伺いたい。
  38. 青江茂

    ○青江政府委員 お答え申し上げます。  ただ、今の先生の御指摘につきまして、具体的な技術力それから工業力といったことにつきまして明確にお答えできないということなのでございますけれども、一般的に申し上げますれば、MOX燃料からプルトニウムを抽出するということになりますと、剪断、溶解、プルとウランとの間の分離、それからプルトニウムの精製、こういった一連の再処理と同じような工程が必要とされるわけでございまして、言ってみれば、再処理の技術からFPをマネージする技術を取り除いたレベルというふうな言い方ができるのではないかというふうに思うわけでございます。  そういうことからいたしますと、かなりな水準の技術力、工業力というのが必要、国のレベルから見ますと、今、再処理がなし得る国というのはある程度限られておるわけでございますけれども、そういった国の工業力、技術力というふうなことというのが概括的に言えるのではないかというふうに思ってございます。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これで終わります。ちょっと時間の点から不十分だったのですが、海上輸送の安全問題についてはまたの機会に、さっきの問題とあわせて論議をいたしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  40. 北側一雄

    北側委員長 江渡聡徳君。
  41. 江渡聡徳

    ○江渡委員 自由民主党の江渡でございます。  政務次官におかれましては、常日ごろより、大臣を補佐いたしまして、よりよい科学技術政策の実現に御努力されていますこと、まずもって心から敬意を表させていただきたいと思います。  本日は、原子力関係につきまして質問をさせていただきたいと思うわけでありますけれども原子力開発利用に当たりましては、もう改めて私が言うまでもなく、安全の確保というものが何よりも重要なわけであります。この安全の確保に当たりましては、原子力関係の施設の設計や建設、そしてまた運転の状況というものを、科学技術庁や通産省、さらには原子力安全委員会が専門的な、技術的な観点からきちんとチェックをいたしまして、万全を期す体制になっていると理解をしております。  しかしながら、立地している地元の自治体などの声を聞いてみますと、特に原子力施設の立地地域におきましては、住民の間に原子力の安全についての不安感というものがまだまだ大きいように感じております。  原子力の問題につきましては、技術的な要素ということが非常に多いことから、どうしても、専門家でないとなかなか理解しにくい、そのような部分があります。専門家や技術者が考える安全と地域住民や国民が受けとめる安全との間には私はかなりのギャップがあるように思っております。すなわち、地域住民等にいかに安心していただくかということが私は最重要な点であろうと思っております。したがって、国といたしましてもこの点については最大限の努力をするべきであると考えておるわけでございます。  そこで、この原子力の安全につきまして、地域住民を初めとする国民の皆さん方に理解していただき、そして先ほど申したように安心していただくためにはどのような施策というものが必要かということ、その辺のところの見解をお聞かせいただきたいと思います。
  42. 稲葉大和

    ○稲葉政府委員 大変重要な御質問だと受けとめております。  私のところも原子力発電所を抱えている県でもありますし、特に先生がおっしゃられる原子力安全性そしてさらには安心感、この両者が一致した認識というものが住民に対して与える影響力というものはまことに重大なものがあると思っております。  そんな中で、動燃のあの「もんじゅ」のナトリウムの漏えい事故、さらにはアスファルト固化処理施設の火災爆発事故など一連の事故によって、国民の皆さんの原子力安全性そしてまたさらに安心感につながる信頼性というものを大変損なってきた、これはまことにゆゆしきことだと受けとめております。これからは、そういうことが絶対に起こらないように、担当している人たちがこの事件を事実として的確に皆さんに情報を速やかに提供すること等、さまざまな手段によって国民の皆さんの信頼感を回復していかなければならないと思っています。  そのために、国では、政策決定過程において、国民各界各層から幅広く御意見を承って会議を進める原子力政策円卓会議、さらには地元の皆様に対しての説明会の開催、それとさらに、原子力安全委員会の会合の結果を皆さんのところにお届けするような情報公開システムなどによって、今一層の信頼回復に努めているところであります。  特にまた現場におきましては、安全運転等の実績をさらに積み重ねていただくことによって、安全性、安心感を醸成していくことが肝要かと思っています。  なおまた、今後さらに情報をわかりやすく公開、提示すること、さらには、求められた情報を公開するという形にとどまらず、政府広報あるいは科学技術庁の中のPR等を通じまして、我々の方から積極的に皆様方に原子力安全性お話し申し上げ、安心感を高めていただくような手段をとってまいりたいと思っております。
  43. 江渡聡徳

    ○江渡委員 ありがとうございます。  安心感というのはやはり一番大事な点だと思っておりますので、どうぞ今後とも御努力のほどをよろしくお願いしたいと思います。  さらに、国民の皆さん方に安心していただくためには、万が一ということを考えて、原子力の防災ということに対しましてもしっかりとした取り組みをしていただくということが私は大変大事なことであると思っております。この点におきましても、国や事業者と地域の皆さん方との間におきまして、やはり意識の程度というものについては相当な開きがあるようにも感じております。  先ほど述べましたように、原子力施設の安全確保策などのような技術的な問題につきましては、一般の方々の理解を得るというのはかなり難しい点があるかもしれません。しかし、原子力防災につきましては、まさに住民の方々の身の回りの問題でありまして、また、身近な存在でもある地方自治体にも密接に関係してくる問題であると認識しております。このような問題におきまして、国や事業者と地域の方々と申しましょうか、地元の皆さん方との認識の開きというものを埋めていくために、取り組みというものをきちんとそして着実に行うということが私は大切だろうと思いますし、また国民の皆さん方の安心につながるのではないのかなと思っております。  そこにおきまして、国民の安心につながるような原子力の防災対策の取り組み方ということに対しての決意と申しましょうか、そして、これからの取り組み方ということに対しての御意見というものをお聞かせいただきたいと思います。
  44. 稲葉大和

    ○稲葉政府委員 江渡さんおっしゃられるように、原子力そしてまた原子力発電所等の問題につきまして、まだまだ安心感というものがお手元に、あるいは私たちの手元に届いていないのではないか、そういう不安感があることは、これは否定できないことなんじゃないかと思っております。したがって、万が一にも事故が起きてはならないが、この防災対策については、防災基本計画に原子力災害対策の一編を追加させていただいたわけであります。  そして、原子力発電所本体からかつてのナトリウム事故というようなことがあってはならない、そしてないように相努めていかなければなりませんが、と同時に、外部的な力、自然災害等からの安全性も十分確保していかなきゃなりませんし、特に最近の国際情勢においても大変不安な要素がたくさんあるわけで、こんな点につきましても、防災対策について、原子力安全委員会においては、各地方公共団体の御意見を承ったり、その実効性を高めるためにいろいろな事項を検討しているところであります。  また、私たちとしましては、地元の住民の皆さんとの対話を強化することにより、皆さん方からも安心していただけるような防災体制をもっともっと、二重三重のセーフティーガードを見つけていかなければならないと思っております。
  45. 江渡聡徳

    ○江渡委員 次に、高レベル放射性廃棄物の日本への返還輸送について質問をしたいと思っております。  我が国日本は、資源の乏しい国でありまして、原子力発電所から発生する使用済み燃料を再処理し、そして回収されるプルトニウム等を再び燃料として有効利用する核燃料サイクルを原子力政策の基本としております。これまでに発生した我が国の使用済み燃料のかなりの部分はイギリスやフランスに再処理というものを委託しておりまして、再処理に伴い発生する高レベル放射性廃棄物につきましては、ガラス固化体にして、青森県の六ケ所村にある日本原燃の管理施設に返還輸送されることになっております。  これまで既に海外に搬出した使用済み燃料の再処理によりまして、今後十数年間に約三千五百本のガラス固化体が返ってくると聞いております。このような返還輸送がこれまでに三回行われておりまして、返還されましたガラス固化体が百二十八体貯蔵されているわけでございます。そして、現在第四回の輸送が行われているところでありまして、先月、二月の二十五日ですけれども、フランスを出航した輸送船が、四月の中旬にはむつ小川原港に入港する予定になっているわけでございます。  皆様方のお手元に資料として配付させていただいた、私の地元は青森県なわけでございますけれども、この三月六日付の青森県の地元紙によりますと、青森県の木村知事は、今回の高レベル放射性廃棄物の搬入について、むつ小川原開発問題への国の対応も判断材料になるのかとの記者の質問に対しまして、むつ小川原株式会社の問題は避けて通れず、国と県がお互い話し合っていかなければならない、そういうときに船の接岸が迫ってきている、県と国の関係が悪化した場合は、国策だからといってどうこういかないのは当然のことと述べたとの報道がなされているわけでございます。  平成七年の第一回目の返還輸送におきましては、木村青森県知事は、国に対して、青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしないことの文書による確認を求め、それに対する回答を得た上で輸送船の接岸を許可いたしました。また、昨年の第三回目の返還輸送の際におきましても、高レベル放射性廃棄物の最終処分についての政府一体の取り組みの強化や、あるいは原子力レスキュー隊を前向きに検討することを確認した上において輸送船の接岸を許可したという経緯があるわけでございます。  本輸送のむつ小川原港までの責任というものはフランスの再処理事業者にあることになっておりまして、今回もし接岸拒否ということになりますと、三回目ということになります。つまり、地方自治体の判断によりまして返還輸送船の接岸ということがたびたび拒否されるようなことになりますと、これは私は外交上も問題が出てくるのではないのかなというふうに懸念しております。  そこで、外務省にお聞かせいただきたいと思うのですけれども、今度の輸送に対しまして再び接岸拒否というような事態になりますと、外交上もゆゆしき問題になるのではないかなと私は認識しているのですけれども、外務省はどのようにお考えになっているのでしょうか。
  46. 須田明夫

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  ガラス固化体の返還輸送は、日英仏の電気事業者が主体となって行っているものではございますけれども、日英仏三国の政府もこの輸送の円滑な実施に向けて協力を行っているという事情にございます。したがいまして、この輸送が円滑に実施されますことは、我が国とイギリス、フランスとの関係におきまして外交上も重要であるというふうに認識しております。  また、輸送船が通過するルートの沿岸国につきましては、近海輸送についてこれまでも理解を得るよう努めてまいってきているところでございますが、我が国の国内の事情によりまして本件の輸送の円滑な実施に支障が生じ、日本が放射性廃棄物の引き取りを拒否しているといったような印象を与えることは、イギリス、フランスとの関係のみにとどまらず、こういった輸送沿岸国との関係においても避けるべき事態であるというふうに考えております。
  47. 江渡聡徳

    ○江渡委員 では、次は、科技庁に同じようにお聞かせいただきたいんですけれども、もし万が一接岸拒否というようなことになったとすれば、これはやはり大変な問題になってくるわけですけれども、どのようにお考えでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
  48. 稲葉大和

    ○稲葉政府委員 大変難しい問題でありまして、私どもとしましては、そういう事態が三たび引き起こされてはならない、そのために今までも誠実にこの問題に取り組んできたつもりであります。  この返還輸送の案件は、私どもの国にとりまして、核燃料サイクル政策の一環をなすものとして大変重要な課題であるわけであります。したがって、今回の輸送に関しましては、かつての輸送以上に安全かつ円滑に行われているもの、そしてまた最大限努力を払っているところであります。  今回の輸送につきましては四回目になるわけであって、去る二月の二十五日フランスを出発しました。  繰り返しますが、これまで私どもは、地元の関係者の方々また関係国家間と十分に相談をさせていただいて準備を進めてきたところでありますし、また、かつて二回拒否をされたわけでありますが、その際にも、国は誠心誠意知事さんとお話し合いを進めながら問題処理に当たった経緯があるわけであって、今回については、三回目の拒否ということはあり得ないものと私どもは思っております。そして、さらに皆さんの理解を図っていくために、事業者の方々そして外務省、通産省等関係省庁と連携をとりつつ対応してまいりたい、そう考えております。
  49. 江渡聡徳

    ○江渡委員 私といたしましては、この返還廃棄物の問題は、この廃棄物というものを円滑に受け入れるということが、とりもなおさず我が国の対外的信用の点におきましても非常に重要なことであると思っております。このような点からも、どうぞ科技庁の方におきましても、あるいは外務省その他国の各関係機関におきましても、立地地元の理解が十分に得られるように引き続き御努力されることをお願い申し上げたいと思います。  最後になりますけれども、今のことに関連いたしまして、むつ小川原開発問題について質問させていただきたいと思います。  むつ小川原開発プロジェクトにつきましては、現在、その取り扱いにつきまして、国土庁、北東公庫、経団連、青森県、むつ小川原開発株式会社という関係者間におきまして協議が進められておるわけでございます。  本問題におきましては、むつ小川原開発株式会社の債務処理問題でありまして、一義的にはエネルギー政策あるいは原子力政策の問題とは直接関係がないわけでありますけれども、むつ小川原地域におきまして、我が国にとって重要な施設であります国家石油備蓄基地や核燃料サイクル施設が立地しておりまして、地元の青森県におきまして、このむつ小川原開発の問題については、国のエネルギー政策に協力していること、このことに結びつけて考えられているという状況でございます。  そこで、科技庁にお伺いしたいと思うわけでございますけれども、この核燃料サイクル施設計画を推進している立場から、むつ小川原開発問題に対してどのように取り組んでいくのか、そこのところの認識をお聞かせいただきたいと思います。
  50. 稲葉大和

    ○稲葉政府委員 おっしゃられるとおり、このむつ小川原開発の計画について、さらに私どもは核燃料サイクル施設計画を推し進めていかなければなりません。その点からしましても、開発がスムーズに進まれることを望んでやまないところでありますが、この点について、我が科学技術庁としましては、財団法人環境科学技術研究所の建設、運営を通じて、この地域一帯の振興に一助をしてきたつもりであります。  さらに、今後この問題に関して、むつ小川原総合開発会議の一員として、昨年の十二月二十五日に閣議了解された政府の方針、「現在関係者間において行われている協議における結論を踏まえて、適切な対応を行う」という方針を踏襲して対処してまいる所存でございますので、私どもとしましては、今後のむつ小川原開発計画の推移を見守っていきたい、また、役所としてもそれにできるだけ関与していきたい、そう考えております。
  51. 江渡聡徳

    ○江渡委員 私も、地元六ケ所というものを抱えている、その地域から出ている議員といたしまして、このむつ小川原開発につきまして、科技庁並びに関係省庁の最大限の御協力あるいは御努力というのをお願いしたいと思っているわけでございます。  時間が参りましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  52. 北側一雄

    北側委員長 吉田治君。
  53. 吉田治

    ○吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。  昨年からずっと、この輸送容器の安全規制に関しては本委員会でも随分議論をしてまいりまして、いよいよ報告書も出た。また、これから原子力行政については、行政改革の中で、今までの科技庁、通産省二つの所管から、通産省のその後である産業経済省ですか、その方へ一元化をなされていくというふうに聞いております。そういう中での質問でございます。  また、本案に関しましては、科学技術庁の方としては「輸送容器に対する安全規制の充実強化について」、そして通産省は「使用済燃料輸送容器データ問題に対する具体的取組について」という二つ報告書が出ております。  読んでおりますと、若干、ニュアンスというのですか、表題を聞くだけでも違う。しかしながら、大事なことというのは、まさに安全、これは文化と言ってもいいと思うのです、安全文化というものをどう醸成していくか。まさに同僚議員の今までの質問、これから後の質問も、単に基準を設けてそれさえ守ればいいんだ、一つの設定目標というか、それさえというのではなくして、心の中から安全を遵守する精神、気持ちといったものが醸成されていかなければならない。これは、単に事業者のみならず、そこへ集い働く皆さん方の中にも必要になってくるのだと思います。  そこで、さきの、最後科学技術委員会の審議において、同僚の佐藤敬夫議員から、当時のこのデータ改ざん問題について、原電工事並びに日本油脂の刑事責任についての質疑がございまして、そのときの答弁は、法務省さんから、個別案件についてはというふうな、いつものお答えをいただいたんですけれども、これは、ここから先のさまざまな施策の中において、この原電工事という会社自身がなくなっていく。そういうふうになってきますと、これはまた刑事責任がひょっとして、時効というものがあるんでしょうけれども、刑事責任を追及するということになっていったときに、その会社自身がなくなってしまった場合に果たして追及はできるのか、新しい証拠が出てきたときにという疑念もあるんです。  まず法務省、きょうはわざわざおいでいただいておりますけれども、現在の刑事事件としての調査過程と、また、今申し上げましたように会社本体がなくなっていった場合、後どういうふうに刑事責任というふうなものを個別案件として調査していくのか、この二点、お答えをいただきたいと思います。
  54. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 お答えいたします。  まず、刑事責任の有無でございますが、先生御存じのように、刑法の百五十七条の二項ということになりますが、「公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金」、こういう規定になっております。この場合に、具体的事件についての個々の適用についてはなかなか申し上げにくいところでございますが、虚偽の申し立てをして得たものといいますか、それがこの刑法の百五十七条の二項に言う免状あるいは鑑札または旅券に該当するのかどうかということがまさに問題になるわけでございます。  免状というのは、例えば自動車運転免許証等、これに該当するというのが判例でございますが、特定の人に対しまして一定の行為を行う権利を付与する、その証明書ということになるわけでございます。それから、鑑札というのは、例えば古物商の許可証等がこれに当たるであろうというふうに解釈されております。  したがって、お尋ねの件につきましては、容器承認書というんでしょうか、これが今申し上げたような免状、鑑札に当たるか当たらないかということが問擬されているということでございますが、具体的な事件の適用の問題でございますので、今この段階で、それが該当するとかしないとか、率直に申し上げることは控えさせていただきたいと思います。  それから、一般論でございますが、刑事事件の場合に法人が処罰される場合もございます。ただ、その場合には、法人が解散等で消滅いたしますと、処罰対象が消滅するわけでございますので、なかなか罪に問うのは難しいわけでございます。ただ、そういう場合でも、今の刑事法は、原則として、自然人といいますか、人の刑事責任が土台にありまして法人の責任も追及するという形になっておりますので、こういった行為をした者については、会社の消滅にかかわらず、犯行のときに違法行為であれば、それは時効が完成するまでは刑事責任の追及はあり得るということになろうかと思います。
  55. 吉田治

    ○吉田(治)委員 刑事局長、それでは大体どれぐらいがめどですか。これは今個別案件ですからということで、結果というのは出てくるんですか。
  56. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 具体的な案件につきまして、捜査機関が捜査しているか否かということにつきましてもなかなかお答えしにくいところでございます。  通常、かかるような案件につきましては、捜査機関がみずから捜査に動く場合もございますし、あるいは、所管省といいますか、それを所管している省庁が刑事事件であるというふうにお考えならば、告発なりあるいは刑事事件としての御相談を捜査機関とするということもあろうかと思いますが、本件の場合には、お答えしにくいところではございますが、先ほど申し上げた刑法百五十七条の二項の解釈としては慎重に行う必要がある事案かなというふうに申し上げたい、これで御推察いただきたいと思います。
  57. 吉田治

    ○吉田(治)委員 どうもありがとうございました。どうぞお帰りいただいて結構でございます。  続いて、先ほど通産省と科技庁報告書ということで、まず通産の方にお聞かせいただきたいと思います。わざわざエネルギー庁長官おいでですので、これも質問が終わったら御退席いただいてと思います。  通産省の基本的な考え、これは私ども「報道発表資料本文」という形で読ませていただきましたけれども、まず事業者みずからの品質管理等の強化があって、通産省は事業者における取り組みを適切に確認することを前面に打ち出しているように私は感じております。基準・認証の関係で、自主保安、自己責任原則の強化というのを進めているというのは聞いておりますけれども、それをした場合に、科技庁さんが出された報告、また科技庁さんの姿勢というふうなものと整合性が図られるのかどうか。  そして、二点目は、品質管理体制などの審査において、科学技術庁の方の資料では輸送物安全技術顧問会というふうなものの意見を求めておりますけれども、通産省においては原子力発電技術顧問会としておりまして、これは、目的であるとか構成というふうなものは異なるものなのかどうなのか。  また、原子力施設の構内輸送のために通産省から確認を受けた輸送容器について、陸上輸送に用いる場合は再度科学技術庁の確認を受けることになるのかどうか。その場合、では通産省でまずした審査結果、これは科技庁の確認の場合に生かされていくのかどうか。  非常に細かいことですけれども、この辺、資源エネルギー庁長官としてのお答えをいただきたいと思います。
  58. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 今後の安全のための物の考え方先生指摘になられましたとおりでございまして、まず電気事業者みずからが品質管理の強化を図って再発の防止に万全を期していくことが必要、その上で通産省としては事業者における取り組みを適切に確認する仕組みをとっていく、かような組み立てをとってございまして、この考え方は、先般、昨年末に結論をお出しいただきました調査検討委員会基本的な姿勢でもあるというふうに理解しております。また、科技庁においても同様のお考えが基本にあるというふうに理解をいたしてございます。  顧問会についてのお尋ねでございますが、現行の法制度のもとでは、原子力発電所の構内の輸送にかかわる輸送容器について通産省が取り扱ってございますが、御指摘のありました顧問会にキャスク輸送にかかわる専門家の先生にもお入りをいただいて、御議論を賜ることとしているところでございます。  今後、現行法制のもとでは、構内及び構外というところで科学技術庁と通産省の分担がございますが、その間、極力事務的な連絡体制は強化していきたい、かように考えてございます。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  59. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いや、連絡体制ではなくて、今申し上げているのは、構内輸送でオーケーと通産省が出したものについて、もう一遍科学技術庁の確認を受けたときに、通産省の確認をしたものは科学技術庁としては一〇〇%受け入れて、そのまま、ではどうぞ、陸上輸送していいよというふうな形になるのかということ。それから、先ほど言いました二つの顧問会議、これの目的、構成というものについて、どう違いがあるのか、同じものなのかどうなのか、その辺はいかがなんでしょう。
  60. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 現行の規制体系のもとでは、構内に関しましては、電気事業者に例えば使用中の検査をするなどの義務づけをする、多少制度内容が違いがございます。したがいまして、現行法制度のもとでは、通産省における構内の取り扱いが、そのまま同時に科学技術庁の制度の許可の対象になるものではございません。  また、顧問会につきましては、通産省の顧問会は、原子力の建設、運転に関するものから輸送容器にかかわるところまで全般をカバーするものでございまして、今回、その評価のために、キャスク輸送にかかわる専門家にもお入りをいただいたものでございまして、それぞれ若干の趣旨の違いはあろうかと思いますが、キャスク輸送の安全にかかわる物の考え方基本については、大きな差はないと理解してございます。
  61. 吉田治

    ○吉田(治)委員 他省庁ばかり質問していて申しわけないのですけれども、これは後ほど科技庁さんの方に整合性というものについて御質問させていただいて、エネ庁さんの方は商工の担当になりますのでこれ以上は申し上げませんけれども、何かその辺の、ダブルスタンダードと言ったら悪いですけれども、法制の問題、これから統一化されていく、一元化されていく中においての、その途中の問題だと私は感じているのです。  ただ、ちょっとこれは事前に質問通告という形でしていないのですけれども、一月二十九日付で、MOX燃料輸送計画に係る米国との公式協議の開始というふうな報道発表があったのですけれども、現時点でのこの協議の状況というのが、わかる範囲であれば今エネ庁の方から御説明をいただきたいのですけれども、わからなければ後日で結構です。
  62. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 本件については、外務省を中心にして政府部内の処理を行ってございますので、本来ならば外務省からお答えするのが適当かと思いますが、現地時間一月二十八日付で正式の公式協議をアメリカに提出をいたしまして、アメリカの中で現在この取り扱いについて協議が行われているところと理解をしてございます。  なお、その前に非公式の協議をアメリカとも繰り返してございまして、これはイギリス、フランスも一緒でございますが、その中では現在まで特段のアメリカからの異議は受け取っていない、かような状況でございます。現在、アメリカにおいて国内の協議を行われているところでございます。
  63. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、もう結構でございます。  キャスクという一つのものが構内から陸上へ出て、省庁が現法制下でかわっていくというお話で、二つ報告書が出てきてという中なんですけれども基準値というものは一緒だということでございますので、基準値というものが一たん決められている以上は、それがいかなるものであろうともそれを遵守するというのは当たり前の話でありまして、ましてや原子力安全性にかかわるものであるということは、人間の生命、健康に重大な影響を及ぼしかねないものであるという認識を持たなければならないのも、これは当然のことであります。  先ほどの同僚議員の質問の中にもありましたように、納期に間に合わないとか、あるいはコストがかかって会社に迷惑がかかるからということで、安易にこれに合わせるために改ざんして帳じりを合わせるというようなことは絶対あってはならない。また、こんなことは小学生でもわかることでありますし、いま一度当事者の猛反省ということを私は求めたいと思います。  しかし、私はそれ以前に、この基準値というふうなものの妥当性、どこまでの基準が安全を実質的に担保し得るかといったことを本当は検証しておくべきではなかったのかなということをまず指摘をさせていただきたいと思います。  日本では、こういうことに対しては、とかく安全ということについては慎重になるというのですか、事故が起こらないことが当たり前。アメリカ、欧米なんかは、よく言われますように、これは原子力の話じゃございません、一般的な概念として、人間のやることだから事故が起こってしまう、そのときどうするか、そうならないようにどうするかという、その原点が違うと思うのです。特に原子力というふうなものは、我が国が被爆国であるということもあって、パブリックアクセプタンス上厳しくならざるを得ないというのは、ある意味では仕方がないことでありますけれども、しかしながら、そういう中で、必要以上に基準値を厳しくして、それであたかも非常にいい仕事をしているように、ひょっとしたら自己満足に陥っているのかなと。そうであってはまた問題でありますし、そういう意味でいったら、それが今度の改ざんというふうな形で、ひょっとしたら現場にしわ寄せがいってしまったのかなと。だからといって、それがいいとは私は決して言えませんけれども、そこでお聞きしたいことが何点かございます。  現行の法令の基準によりますと、実際の使用済み燃料を収容した容器については、その容器の表面の線量当量率で毎時二ミリシーベルト、表面から一メーター離れたところの線量当量率で毎時百マイクロシーベルトになっています。この法令の基準値と、今回問題となった遮へい材材料データ、これは事業者が設定した材料仕様値であると理解しておりますが、このデータとの関係を御説明していただき、問題になった中性子遮へい材の技術というのは米国のビスコ社の技術であり、アメリカでは、材料をまぜたときの生の状態の密度と硬化した後の密度が一・五九以上という製品保証でアメリカの原子力規制委員会の型式承認を得ていると聞いております。  承認された理由については私も詳しくは把握はしておりませんが、日本では、この密度以外に硼素濃度水素濃度仕様書に記載し、遮へい検査を行わせている。法令を満足させるためにここまでする必要があったのかなかったのか、あるいは代替の措置はなかったのかなというふうに思っております。  そして、昨年十月に六ケ所再処理施設への試験燃料搬入に際して、データ改ざんにかかわった容器が使用された。この使用済み燃料輸送物について、実際の線量当量率の測定値はどうであったのか、その値は安全と言えるのかどうか。そして、実際の測定値は基準の数十分の一以下であったというふうに聞いておりますが、仮に測定値がぎりぎりで基準を下回っていたものであったなら輸送の許可を行ったのかどうか。設計が妥当でない、あるいは設計どおり容器が製作されていないということで輸送の許可がなされないことになるのではないかなと思うのですけれども、どうでしょうか。  そして、容器設計として、ぎりぎりで法令の基準を満足するように仕様を定め、設計承認を受け、そのとおりにできていればよいということなのか。ぎりぎりではいけないとすれば、どの程度のマージンというか、その間というか、そういうふうなものは、規制あるいは当局の指導でそのマージンというものは決められているのかどうか。  事前にもう質問を全部出しておりますので、まとめて五つ質問をさせていただきました。お答えをお願いしたいと思います。
  64. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  まず最初の御質問でございますが、我が国における放射性物質輸送の安全基準につきましては、国際原子力機関、IAEAが定める放射性物質安全輸送規則に基づいておりまして、その一九八五年版というものを取り入れて、平成三年一月一日から施行しているものでございます。そういう意味におきましては、国際的に均一のものでございます。  それで、この基準材料仕様値関係をまず申し上げますと、この基準を満たすべく業者の方で設定してくる材料の値というのが材料仕様値ということでございまして、この材料仕様値の設定に関しては、あくまでも申請者の方で決めてくるものでございます。  二番目の御質問でございますが、中性子遮へい材レジンというものにつきましては、これ自体、中性子を減速させる水素原子と、減速された中性子を捕獲いたしまして二次ガンマ線を低減させるための硼素原子というものがこの中に入ってございます。  この中性子の遮へい計算を行うためには、レジンの単位体積当たりの水素硼素の原子の個数、すなわちそれぞれの原子個数密度というものが必要でございまして、この値を出すためには、レジンの密度に加えまして、水素硼素濃度が必要でございます。この三つを事業者設計の際の材料仕様値として設定しているものでございます。  米国における審査の詳細につきましては把握してございませんが、沃素及び水素濃度を用いて遮へい計算を実施している模様でございます。  三つ目の御質問でございますが、昨年十月、六ケ所村に搬入されました使用済み燃料の実際の線量当量率の値は二つございます。つまり二基運び込んだわけでございますが、一号機が〇・〇一二八ミリシーベルト・パー・アワー、二号機が〇・〇一三二ミリシーベルト・パー・アワーということで、これは基準値の百五十六分の一あるいは百五十一分の一でございます。表面から一メートルのところにおきましては、二・四マイクロシーベルト・パー・アワーと二・二マイクロシーベルト・パー・アワー。これは、基準値に比較しまして四十一分の一と四十五分の一でございまして、基準を満たしておりますので、安全であったと考えております。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕  第四番目の質問でございますが、輸送物確認の際の線量当量率の測定値につきましては、測定の誤差等を考慮いたしますれば、基準値に対してある程度の余裕度は必要であると考えております。  また、輸送物確認の前段階として位置づけられております設計が妥当でなかったり、設計どおり容器が製作されていなければ、輸送物の確認はされないということになってございます。  第五番目の御質問でございますが、一般的には、事業者設計を行う場合には、基準値に対してかなりの余裕を持たせた設計としております。ただ、どの程度の余裕を持たせるかにつきましては、先ほど申し上げましたように、事業者が設定するということで、当局から指導は行ってございません。  なお、今回のデータ改ざんのあった使用済み燃料輸送容器につきましては、最大量の使用済み燃料を収納した場合で、表面の二ミリシーベルト・パー・アワーの基準値に対して少なくとも五七%の余裕度、表面から一メートルの百マイクロシーベルト・パー・アワーの基準値に対しましては少なくとも約三六%の余裕度を持たせた設計事業者が行ってございます。
  65. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そういうふうな中で、国の規制の範囲というのは、今回の報告書の中で非常に多いように思うんですね。顧問会による的確な審査を導入することは充実であるが、さまざまな国による現場確認であるとかいうふうなのが強過ぎるのではないかと思うんですけれども、その辺はいかがなんでしょう。  現実に、国から、こうだから規制で規制で規制でとすると、余りにもまた今度は現場にしわ寄せが行き過ぎて、それよりも、できれば、事業者の行う品質管理体制の確認などによって、改ざんを組織的に防止するための方策をとることなんかが有効だと思うんですけれども、その辺、あわせていかがでしょうか。
  66. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えを申し上げます。  使用済燃料輸送容器調査検討委員会報告書におきましては、データ改ざんの背景に、品質管理や監査の不備があったことを指摘するとともに、再発防止に当たっては、事業者が品質管理体制の構築等を図っていく中で、国がこれを適切に確認する仕組みを充実し、全体として再発防止策が有効に機能することが重要であると指摘してございます。  さらに、報告書は、法令の基準を遵守するために事業者が自発的に定める技術的な仕様値を法令に定めるなど、国が細部にまで関与するのは、過度の規制となり、適当でなく、むしろ、事業者の行う品質管理体制の確認などによって改ざんを組織的に防止するための方策をとることが有効と考えると指摘してございます。  当庁といたしましては、今回のような問題の再発を防止する観点から、調査検討委員会指摘を踏まえて、輸送容器の製作に係る審査、検査の充実強化を図るということを考えておりますが、この中におきましては、国による効果的な現場確認等を行うということによりまして、事業者による品質管理について適切に確認をすることが必要であると考えております。  また、適正な基準ということに関しまして、国が表面の線量当量率等の安全確保上必要とされる基準を定めて、事業者が、この基準を満たし得るとともに、現実的に達成できる材料仕様値をみずから設定するというものでございまして、国はその妥当性に問題がないかをチェックするという現行のシステムが適当であろうと考えております。
  67. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いろいろ問題点を指摘されておりますが、時間が参りました。本当に難しい問題ですけれども、あと、原子力の一元化も含めてよろしくお願いしたいと同時に、大臣、せっかくお帰りになられたのに質問ができなくて残念でございます。  以上でございます。
  68. 北側一雄

  69. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 自由党の菅原喜重郎でございます。  使用済み燃料輸送容器データ問題については、二月に行われた本委員会において、使用済燃料輸送容器調査検討委員会報告書において、技術者及び企業のモラルの問題が大きくかかわるものと指摘されていることについて、その重要性を私からも改めて提起しました。有馬大臣からも、「原子力に携わるすべての人々が報告書の趣旨を体して、倫理観を厳しく持ち、一日も早い信頼性の回復に当たっていくことが重要である」と認識しているとの答弁をいただいたところです。  事業者モラルの問題については、国が押しつけるものではなく、技術者個人や事業者の組織的な取り組みが必要な問題であると思います。しかしながら、再発防止のための取り組みを事業者モラルの向上の取り組みのみにゆだねるのではなく、国においても、事業者の取り組みを確認するなど、再発防止のために必要と考えられるあらゆる措置を講じ、このような問題が二度と発生することのないよう万全の体制とする必要があると考えますので、輸送容器に対する安全規制の充実強化の対応がどうなったのか、概要をお伺いします。
  70. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  先生今おっしゃいましたように、再発防止ということでは、品質管理体制、輸送容器製作に係る技術的能力容器の製作方法に関する審査、検査の充実方策が重要であるということで、二月二十四日から施行しているところでございます。  具体的には、まず品質管理体制の審査の充実につきましては、申請者から適切な品質管理計画書の提出を求めまして、製造者の品質管理体制、下請事業者を含む品質監査の実施方法等について厳正に審査することとしております。  技術的能力につきましては、申請者から下請事業者の選定基準等に関する説明を求めて、下請事業者の技術的能力審査方法等について厳正な審査を行うこととしております。  製作方法につきましては、具体的な品質管理体制や製作方法が固まった時点で、製作方法に関する説明書の提出を求めることといたしております。  さらに、検査におきましては、安全上の重要度を考慮しながら、国による効果的な立ち会い検査を実施することといたしております。  以上のような体制強化のために、顧問会に品質管理や分析の専門家を新たに加えたところでございます。
  71. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 輸送容器製作に係る品質管理体制の審査を充実するということでありますが、これは、私が先ほど申し上げた、事業者の取り組みを国が確認する一つの例であると思います。  しかしながら、突然これからは品質管理体制を審査するといっても、事業者も国もきちんと対応できるんでしょうか。せっかく充実を図るのであれば、事業者にとっても何が求められているのか理解でき、また、国際的にも胸を張れるような立派なシステムにすべきと考えます。  そこで、品質管理体制の審査の充実策の具体的な内容をどのようになさっているのか伺います。
  72. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  品質管理体制の審査の具体的な充実強化策でございますが、容器承認審査の段階で、国際標準化機構が策定した品質管理の国際規格でございますISO9002に準拠して、輸送容器メーカーや下請事業者等の発注先が適正に品質管理を行っているか、あるいは、輸送容器製造の際にメーカーや下請事業者に明確な指示を行っているか、さらには、メーカーが要求事項を指示どおり行っていることを品質監査により検証できるか等の諸点につきまして、申請者輸送容器メーカーや下請事業者に適切に措置させることを求める核燃料物質輸送容器の製作に係る品質管理指針を二月二十四日に策定し、関係者に通知したところでございます。また、申請者からの品質監査報告を受けるとともに、国が現場確認を実施することとしております。  このような審査を適切に行うため、先ほど申し上げましたが、品質管理の専門家二名を追加し、体制強化を図るとともに、審査に当たる側の当庁職員に対しましても、品質管理に係る研修を実施したところでございます。
  73. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 国際的にも認められている基準にのっとって体制が整備され、国も直接現場を確認するということでありますので、一応安心はしますが、このような仕組みがやはりきちんと機能し、今回のような問題が再度起こることのないよう万全を尽くしてもらいたいと思います。  さて、今後はデータ改ざんがあった輸送容器についてどのような取り扱いをするのかが問題です。原燃輸送株式会社は、改ざんのあった輸送容器設計変更承認申請を先月末に提出したとのことですが、原燃輸送株式会社の行った設計変更承認申請における変更内容はどういうものなんですか。
  74. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  原燃輸送株式会社は、中性子遮へい材材料仕様値を新たに設定するとともに、以前の材料仕様値に対する遮へいの余裕度と同等の余裕度を維持するため、容器に収容する使用済み燃料の総放射線量を低減するという内容の設計変更承認の申請を当庁に対して行ったところでございます。
  75. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 輸送容器に収納する使用済み燃料の総放射能量を抑え、当初予定していた安全裕度を維持するという申請の内容は理解できるわけなんですが、データ改ざんしたという原燃輸送株式会社からの申請は、今提出されたばかりではあるのですが、やはりこの審査結果が出て承認されるものとは思いますが、しばらくこれも先になるのじゃないかと思います。  そこで、現時点での方針について、科学技術庁は、原燃輸送株式会社の設計変更承認申請を認める考えなのかどうか。ちょっと直截的な質問になりましたが、お伺いさせていただきます。
  76. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃいましたように、今出たばかりでございまして、審査に入ったところでございますが、先ほど申し上げました充実強化した審査、検査体制をフルに使いまして、この申請について厳正に審査を進めることといたしております。
  77. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 やはり今後は、先ほど説明のあった再発防止策が実際の審査にきちんと反映され、万が一にも同じような問題が発生することのないように全力で取り組んでもらいたいと思います。  そこで、このことについて政府にお伺いしますが、データ改ざん問題の再発防止に向けた次官の決意をひとつお伺いさせていただきます。
  78. 稲葉大和

    ○稲葉政府委員 御質問にお答え申し上げます。  このデータ改ざんという問題は、大臣も申し上げましたように、大変ゆゆしき問題であります。本来、品質がしっかり管理されているか、そして基準値に十分該当する品質であるかどうか、それをきっちり検査しなければならないはずのものを、さらにその品質を超えた問題として、データ自体を改ざんしてきたということはゆゆしき問題であり、あってはならない問題と大臣も受けとめておられるわけであります。  そして、昨年十二月、使用済燃料輸送容器調査検討委員会報告書を取りまとめたところであります。事実関係を究明し、輸送容器安全性の評価及びモラルの問題をも含めた今後の対応策を内容としているわけでありますが、我々としましては、この報告書を受けまして、輸送容器に携わるすべての事業者が今後、品質管理等再発防止等に真剣に取り組んでいくその姿勢が必要でありますし、また同時に、原子力に携わるすべての人々に対しまして、この報告書の趣旨を体して、モラルを再構築し、一日も早い国民からの信頼性の回復に当たっていただくことを心から望んでやまないものであります。  関係者の今後の取り組みが真に実を上げるものとなるように、全力を傾けて当庁としても指導してまいる所存であります。
  79. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 輸送容器データ改ざん問題は、国民原子力に対する信頼を大きく揺るがしましたが、資源に乏しい我が国においては、原子力開発利用は着実に進めていくべきものです。中でも、ウラン資源を有効に利用する核燃料サイクルは重要であり、特に、燃やした燃料以上に新たな燃料をつくり出し、現在の発電用原子炉である軽水炉などに比べてウラン資源を飛躍的に活用することができる高速増殖炉は、まさに夢の原子炉であると思います。将来的に、核燃料サイクルの中核となるべきものと考えていますので、我が国としては、その実現に向けての研究開発を推進すべきと思います。  しかし、その研究開発の中核たる「もんじゅ」は、平成七年十二月にナトリウム漏えい事故を起こし、現在運転を中止しており、まだ運転再開のめどが立っていません。私としては、高速増殖炉を実用化する意図を持っているなら、一刻も早い「もんじゅ」の再開のためにも、必要なデータを取得し、技術を確立することが不可欠であると考えています。  そこで、「もんじゅ」の取り扱い及び今後の見通しについてどうなっているのか、お伺いします。
  80. 青江茂

    ○青江政府委員 「もんじゅ」の状況につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  「もんじゅ」についてでございますけれども、まず、ポリシーサイドの問題につきましては、平成九年、事故後でございますけれども原子力委員会もとにおきまして高速増殖炉懇談会というものが設けられまして、さまざまな議論が行われまして、その議論が平成九年の十二月に取りまとめられてございまして、そこでの報告書の中におきまして、「もんじゅ」の位置づけ、こういったことにつきましての議論が整理されたわけでございます。  一方、安全面の方の問題ということにつきましては、事故後、原子力安全委員会の方におきまして、事故原因の究明、再発防止策の審議等を進めまして、昨年の四月に報告書というものが取りまとめられてございます。  さらに、科学技術庁において設けられました安全総点検チームの検討といいますものも、昨年の三月にその報告書を取りまとめたという状況に相なってございます。  このように、「もんじゅ」に関連いたします種々の案件と申しますのが段階を踏んで着実に進められておる、こういう状況にございまして、今後は、事故の教訓を踏まえたナトリウム漏えい対策につきまして、国の安全審査を通じて「もんじゅ」の安全対策、安全性というものを確認し、その後、所要の改造工事を実施する、こういうふうな展開になってこようかというふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、「もんじゅ」は高速増殖炉実用化の可能性を追求するために必要不可欠な研究用のツールでございまして、安全確保を第一に、地元の理解を得ながら段階を踏んで着実に進めてまいりたい、かように考えてございます。
  81. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ぜひとも、この「もんじゅ」の運転により必要なデータを収集し、高速増殖炉技術の確立に向けて努力していただきたいと思います。  また、高速増殖炉を実現させるためには、政府のしっかりとした展望のもと着実に研究開発が進められるべきと思いますので、将来の高速増殖炉の研究開発をどのように進めていこうとしているのか、国の考え方をお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
  82. 青江茂

    ○青江政府委員 お答えを申し上げます。  今後のFBR、高速増殖炉の研究開発の進め方でございますが、先ほどの御答弁のときにも触れさせていただきましたが、原子力委員会もとに設けられました高速増殖炉懇談会、ここで種々の御議論をいただいてその方向性というものが示されてございます。  それを敷衍いたしますと、高速増殖炉と申しますのは、将来の非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢といたしまして、その実用化の可能性というものを追求するために着実に研究開発を進めるべし、それから、「もんじゅ」はこのための研究開発の場の一つとして位置づけられる、こういう方向というのが打ち出されておるというわけでございます。  今後は、この方針に沿いまして、「もんじゅ」の運転によりまして幅広いデータの蓄積というものを図りますとともに、高速増殖炉を中心にいたしましての、先進的なコンセプトに基づきましての核燃料サイクル技術というものの研究開発に取り組みまして、安全性、経済性というものの一層の向上を図りまして、将来の実用化に向けた研究開発成果を着実に積み重ねてまいりたい、かように考えてございます。
  83. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 終わります。  ありがとうございました。
  84. 北側一雄

    北側委員長 午後四時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後三時二十二分休憩      ————◇—————     午後四時六分開議
  85. 北側一雄

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉藤鉄夫君。
  86. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫です。  使用済み燃料輸送容器データ改ざん問題について質問をさせていただきます。  原子力にかかわる不祥事、事故がありますと、必ず、特に原子力については国民一般の関心も非常に強いものですから、監督不行き届きである、何をやっているんだということで、規制が強化される。その繰り返しであったような気がします。それでだんだん規制は強化されていく。それで本当に問題の解決になっているんだろうか、そういう観点できょうは質問をさせていただきたいと思います。  今回のこのデータ改ざん問題、事件の直接の原因といいましょうか、発端は、一技術者、それも民間の技術者データ改ざんでございます。原子力産業に限らず、データ改ざんなどということは、あってはならない、技術以前の人間の問題であるわけですけれども、こういう問題が起きますと、先ほど言いましたように、規制を強化してその再発防止を図る、こういう議論で、その議論を何度も何度も繰り返しておりますと、最終的には一人に対して一人の人をつけて始終監視する、チェックするというところまで、極端な例ですけれども行ってしまいます。それは現実にはできないわけでございまして、適当なところで線を引くといいましょうか、合理的なその規制のあり方ということを考えなくてはいけないわけでございます。  きょうは、その視点で、問題意識で、国が規制をするということを現実にどのような形で行っていったらいいんだという問題について質問をさせていただきます。  私は、この場合、三つのケース、場合があると思います。  一つは、完全に民間と民間の話であって、民間の契約、しかしそのことが国民の生活の安全にかかわっている、しかし国の規制というものは直接ない、こういう場合でございます。例えば、電気製品を民間人が買う、その電気製品の安全、こういう問題。  それから二番目は、今回のこのケースに当たるわけですけれども、あくまでも話は民間と民間の契約の問題、しかし国が安全規制という形でかかわっている、こういうケース。  それから三番目は、もう国が直接発注をした場合。例えば公共工事なんかがそうかと思います。国が橋をつくる、その橋の安全性、こういう場合。  三つに分かれると思うんですけれども、この二番目と三番目について議論をしてみたいと思います。最初の、民民かつ国の規制が直接ないという場合は、例えばPL法でありますとか民事訴訟法、民事の問題として解決されるということで、今回はちょっと除外をします。  さて、二番目のケース、つまり民間同士の契約であるけれども国が安全規制という形で関与している、こういうことで、今回のケースに当たるわけです。今回、申請者である原燃輸送、その原燃輸送と契約した容器製造メーカー、その容器製造メーカーの下請の原電工事、この三社とも民間でございまして、完全に民民民でございます。これに対して国の規制が原子炉等規制法ということであるわけですけれども、この原子炉等規制法に三つの点について国が関与しますよと書いてございます。  一つ設計承認輸送物の設計の承認を受けることができる。それから二番目が容器承認容器ごとに輸送容器設計どおり製作されていることの承認を受けることができる。三番目が、輸送物が基準に適合することについての確認。この三つについては国が関与しますよ、こういうふうになっているわけですが、具体的にはどういう形で関与するのか、まずその点をお伺いします。
  87. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  まず最初設計承認でございますが、この段階におきましては、申請者が設定した材料仕様値等をもとに、輸送容器設計が安全基準、表面及び一メートルのところでの線量当量の基準でございますが、これに適合することについての確認を行っているものでございまして、例えば線量当量率に対する遮へい計算が妥当であるかというようなことを審査しております。  容器承認の段階におきましては、個々の輸送容器設計されたとおりに製作されているということを確認してございます。具体的には、遮へい計算で用いられた遮へい材の寸法あるいは材料仕様値のものが実際に用いられたかどうかというようなことを確認してございます。  最後の段階でございますが、これが法定で最も重要な部分でございますが、例えば使用済み燃料を入れた状態の輸送容器輸送物と申しますが、この確認でございまして、個別の輸送ごとに、輸送に先立って線量当量率の測定等を行いまして、安全基準に実際に数値が適合しているかどうかというようなことを確認するものでございます。
  88. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そうしますと、最初設計承認容器承認というのは、あくまでも非常に定性的といいましょうか、具体的な数字があって、その数字をきちんと満足しているかどうかということではなくて、大体妥当な手続でいろいろな作業を行っているなという定性的な確認。最後の、輸送物が基準に適合することについての確認というところが、法律で決められた表面線量率を実際に満足しているか、そういう具体的な数字でクリアすべきもの。ですから、あくまでも法令的に数字が決まっているのは最後の表面線量率であって、最初二つについては定性的な手続確認、こういう理解でよろしいでしょうか。
  89. 間宮馨

    ○間宮政府委員 設計承認の段階におきましては、遮へい計算というのを行うわけでございまして、その際は、先ほど申し上げました材料仕様値等を用いまして、数式を用いて、実際にその表面が幾らになるか、一メートル離れたところが幾らになるかというその数値を出しまして、それが基準値以下であるかどうかというチェックはいたします。そういう意味では定量的なものも含まれてございます。
  90. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そうしますと、最終的な表面線量率について、これは国としてきちんとチェックする、それに至るいろいろな品質管理、製作についても、あくまでも民間と民間の契約に基づく工事だけれども、国としては責任を持ちますよ、こういう理解でよろしいんですか。
  91. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  品質管理等につきましては定量的にというわけにはまいりませんので、あくまでも最終的なゴール、つまり輸送物の安全が担保されるということを各段階において最大限に確認をしていくということでございまして、その限りにおいては我々責任を持って審査をしているわけでございます。
  92. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 よくわかりました。途中段階の品質管理についても科技庁としてはある程度責任を持ってそれをチェックする立場にあったということがわかったわけです。  それでは、今回のケースについてお伺いしますが、問題を起こした原電工事、また輸送容器メーカーの品質管理はどのような実施状態であったのかをまずお伺いします。
  93. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  原電工事は、通常は、品質保証規定に基づきまして、品質保証にかかわる組織、文書管理、ふぐあい処理等を定める品質保証計画書を定めることとしておりましたが、今回のレジン充てん工事につきましては、同社はこの品質保証計画書を定めていなかったわけでございます。また、同社の安全・品質保証部は二名しかおりませんで、レジンの製造、施工にかかわる社内の品質監査は実質的には行っておらず、実際の品質管理活動は作業実施部門自身によって行われていたということでございます。  このように、同社における品質管理の取り組みは十分ではなくて、これがデータ改ざんの背景の一つになったものと考えられております。
  94. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今の御答弁は、原電工事の品質管理の状況は甚だお粗末なものであったということですけれども、そうしますと、先ほどの、国は最後の表面線量率だけではなく品質管理についても責任を持つということと矛盾をしてまいります。つまり、今回、規制側としてはその点まで十分チェックすべきところであったけれどもチェックしていなかったということになるわけですが、その点はお認めになりますか。
  95. 間宮馨

    ○間宮政府委員 反省点でございますが、我々としては、これまでのところそういうことはなかったということもございまして、いわゆる製造段階においてはちゃんと一流メーカーが関与しておりますので、製造はほぼ大丈夫であろうということで、いささかそこら辺のチェックについては十分でなかった点があろうかと思っております。
  96. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 それでは、この点についてはまた後ほど返ってまいりますけれども、今回は複数の企業間にまたがる工程でふぐあいが発生しております。これは、一般の製品をつくるにしても、例えば建築物をつくるにしても、今や複数の企業、多重構造でつくっているということは通常でございます。今回のキャスクの製造についてもそのとおりでございますが、複数の企業間にまたがる品質管理の相互チェックといいましょうか、相互監査というのでしょうか、それぞれの企業がある共通したスタンダードのもとに品質管理をしていかなければ、最終的にでき上がるものが、ある思想に基づいた品質管理で、ある目標の品質を達成できないのは当然でございますが、複数企業間にまたがる品質管理の監査体制についてはどうだったのでしょうか。
  97. 間宮馨

    ○間宮政府委員 輸送容器の製作における各企業の関係につきましては、原燃輸送輸送容器の発注者でございまして、輸送容器メーカー設計、製造を行い、原電工事が中性子遮へい材の充てん工事を行い、日本油脂が材料の小分け作業と分析を受注しているということでございます。  これらの間の品質監査でございますが、原燃輸送は、輸送容器メーカー各社の製作開始時及び製作中に品質監査を実施してございます。それで、輸送容器メーカーとともに原電工事が行うレジン充てん工事に立ち会ってもおります。しかしながら、原電工事における原材料の小分け作業に関する輸送容器メーカーによる監査状況については十分把握していなかったということでございます。  また、原電工事は、日本油脂に対する品質監査を実施していなかったということでございます。  このように、全体的には、輸送容器製造に係る品質監査は十分でなかったと考えられております。
  98. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そうしますと、一社、各社の中の品質管理も非常にお粗末だった、各社間の相互の品質管理の共通性、共有性を持つ品質監査についても甚だお粗末だった、こういうことかと思います。  製造過程でふぐあいが生じた場合、例えば、今回の場合でいえば、硼素濃度水素濃度基準値を満たしていなかったということがわかった。これは一つのふぐあいがわかったということだと思うのですけれども、そういうふぐあいが生じたときの処理の手続ということについては、何か取り決めがあったのでしょうか。
  99. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  原燃輸送NFT輸送容器品質保証基準というのがございますが、ここにおきましては、輸送容器メーカーに対して、ふぐあい品が発見された場合は直ちに作業を中断し処置するということを要求しております。  また、輸送容器メーカーにおきましては、ふぐあい処理等を定める品質保証計画書を策定しておりました。しかしながら、原電工事においては、レジン充てん工事についてふぐあい処理等を定める品質保証計画書を策定していなかったということでございます。  さらに、日本油脂におきましては、原電工事から承認を受けている品質管理要領書というものを持っておりましたが、これに基づいて、ふぐあい品が生じた場合はふぐあい発生票により連絡するということになってございましたが、今回の場合、口頭等による連絡を行ったのみであって、同発生票は発出されておりませんでした。
  100. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今の私の三つの質問で、今回、原電工事の社内体制、品質管理も、それから、ふぐあいが生じたときの処理の手続、こういうものが非常に不備であった、また、複数企業間の品質監査の体制も不備であったということが明らかになったわけです。  また議論を最初に戻しまして、最初、このようにお答えになりました。法令で定められている表面線量率を満足するということを国として確認するだけではなく、その表面線量率が守られるために、そのものをつくっていく、品質をつくり込んでいく段階でも国は関与していますよというお答えでございました。しかし、現実には、今回こういうような形で、品質をつくり込んでいく工程が大変お粗末だったにもかかわらず、それが国としては見抜けなかったということになります。  そうなりますと、議論は、では国が民間企業の品質管理についてもう少し奥まで立ち入って、一つ一つチェックしていこう、こういう議論になってくるのですけれども、果たしてそれで問題は解決するのかなというのがきょうの私の、委員会の問題意識でございます。  これを進めていきますと、先ほど言いましたように、全部に立会人を置いてチェックをする、こういうことになってまいります。そんなことは現実に不可能ですし、また、ある不正をしようと思えば、たとえ立会人がいてもできるものでございますし、それは全く無意味だと思うのですけれども、そうしますと、全く新しい考え方で規制というのを考えていかなくてはいけないのではないかというふうな気がします。  その議論をする前に、どこまで国としてチェックをするのか、かかわるのか。民間と民間の契約、それに国は規制という形でかかわっているわけですが、どこまで立ち入ってチェックするべきなのかという点について、何かお考えがあれば、お伺いします。
  101. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  調査検討委員会報告書におきまして、「事業者が品質管理体制の構築等を図っていく中で、国がこれを適切に確認する仕組みを充実し、全体として再発防止策が有効に機能するようにしていくことが重要である。」という指摘がございます。  このように、品質管理体制の構築につきましては、本来、発注や受注を行う企業の間で行われるべきものでありまして、国は、企業における品質管理体制が確実に構築され機能していることを確認するということが重要であろうかと認識しております。  このようなことから、今般の再発防止策の策定に当たりましては、申請者に対し、輸送容器メーカーや下請企業を含め、民間企業において普及しつつあるISO9002に準じた品質管理システムを構築することを求め、国はこれを確認することとしているものでございます。  具体的には、ISO9002に準拠した品質管理審査指針をあらかじめ申請者に示し、これによる審査を行うとともに、申請者から品質監査報告を受けまして、品質管理の監査状況が機能しているかどうかを現場で確認するということといたしております。
  102. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 難しいお言葉でお答えになったのでちょっとよく理解できなかったのですが、要するにこういうことですか。一々作業員また技術者がやることをチェックはできない、だから、そういう考え方はやめて、その会社の品質管理のあり方、また複数の企業間にまたがる品質管理のあり方、その運用方法チェックするのが国の役目なんだ、それがきちんとした体制になっているというところまで国がチェックするんだというお答えですか。
  103. 間宮馨

    ○間宮政府委員 おおむねそのとおりでございますが、いずれにいたしましても、指針を示すという行為を通じまして、我々がどういうところをチェックするかということをあらかじめ相手に知らせるわけでございますから、相手方は、それにそぐったやり方をしないと通らないということを知るわけでございます。それで動いてくれているということでございますが、それをしも我々は現場に行って確認をする、つまりシステムが機能しているということを確認するということでございます。
  104. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 それはよくわかりました。  では、今回なぜ、その品質管理、品質監査の体制が機能していなかったということを見抜けなかったのか。どういうことでございましょうか。
  105. 間宮馨

    ○間宮政府委員 幾つかあろうかと思いますが、一つ我々が考えておりますのは、輸送容器審査において、これまで設計審査の段階で品質管理についても審査を行っていたわけでございますが、この段階でありますと、下請企業まで含めた輸送容器の製作の体制が十分に構築されていないということでございまして、したがって、十分に審査が実質上はできていなかったということでございます。  これを反省いたしまして、今後は、輸送容器メーカーや下請企業など、輸送容器の製造体制が構築される段階、すなわち容器承認の段階で品質管理体制の審査を充実して行うということを考えているものでございます。
  106. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今までは、とにかく検査をする、できたものを検査する、もしくはその作業をチェックするということで規制という行為を実施してきたけれども、これからは、もちろんそういうことも必要なんでしょうが、それにプラスして、品質管理、品質監査、そういうシステムそのもの、また、それが実際に現場でうまく動いていく担保、これをチェックします、このように今回から変わります、こういうことでしょうか。
  107. 間宮馨

    ○間宮政府委員 そのとおりでございます。
  108. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 自動車を例にとりますと、これは完全に国が安全を規制しているということはないわけですけれども、例えば自動車産業では、品質監査、複数の企業間にまたがる品質管理の一貫性、そういうものをどういう体制でつくられているか、それについてどう認識しているか、そして今回の輸送容器のケースと比べてどこが違うか、それについてお伺いします。どのように認識されているかということをお伺いします。
  109. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  詳細についてはつまびらかではございませんが、近年、民間企業間の取引において品質管理が重要という意識が高まっておりまして、先ほど申し上げましたISO9000シリーズというものが策定され、これによって複数の企業間の品質監査を含めた体制の構築が可能となってきておりまして、こういう動きが進行しつつあると認識しております。  具体的には、ISO9000シリーズ品質管理システムにつきましては、日本品質保証機構やロイド・レジスターなどの第三者機関が企業の品質システムを審査し、認証を与えているわけでございまして、我が国におけるISO9000シリーズの品質管理システムの認証取得状況を見ますと、一九九五年には二千二百十三社であったものが、一九九八年には八千七百三十六社に増加しております。このうち、自動車産業を含むと思われる機械関係及び金属関係の企業は、それぞれ一三%、九%となっておりまして、これらの分野で国際規格の品質管理の普及は着実に進みつつあると認識しております。
  110. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 では、同じ質問を、原子力発電の分野、これは、今回の輸送容器の場合と同じようにあくまでも民間の事業ですが、安全規制という形で国が関与しております。この原子力発電では、多重構造にわたる企業間の品質管理の一貫性、これをどう担保しているか、どのように御認識か、お伺いします。
  111. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  原子力発電所の品質管理につきましては、国際原子力機関、IAEAが作成した「原子力発電所の安全基準—品質保証」というものを参考といたしまして、日本電気協会が定めた「原子力発電所の品質保証指針」、JAEGというものに基づきまして、施設の設計、製作、運転の各段階において品質管理が行われているものと承知いたしております。  この品質保証指針、ほぼ先ほどの9000と同等と我々考えておりますが、これにおきましては、原子力発電所の安全性及び信頼性確保するため、設計、運転、保守等の管理、不適合の管理、再発防止対策等について措置すべき事項が定められておりまして、本指針に基づきまして、電気事業者から元請企業、調達先までの各事業者において品質管理体制が適切に構築されているものと認識しております。
  112. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そういたしますと、例えば自動車などの一般製造業、また原子力発電、国が安全規制で関与している分野、これにおいては、既に前から、品質管理の体制が担保されているということをチェックすることによって国が安全規制に関与する、こういう考え方が実行されてきた。しかし、この輸送容器の分野に限っては、そういう考え方は実行されずに、今回の事件を通して、今後そうやっていきますと先ほどお述べになりました。  なぜ、原子力という非常に安全について国民の意識が高い分野で、輸送容器の分野だけ品質管理が立ちおくれていたのか、この点についてお伺いします。
  113. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  非常に難しい御質問かと思います。  我々といたしましては、今回のデータ改ざんの背景に品質管理や監査の不備があったということが指摘されているわけでございますから、理由はあるわけでございますが、一つ考え得ることといたしましては、今回、レジンの製造という新しい技術の導入に際しまして、下請事業者の選定及び監査体制が十分でなかったということが一つ挙げられようかと思っております。  具体的には、輸送容器へのレジンの充てん工事は原電工事が行ったわけでございますが、同社は、この分野における技術的能力は十分でなく、また品質管理を確立しないまま工事に参画したということでございまして、ここから品質管理体制の不備が生じたものと考えております。また、原燃輸送や製造メーカーによる原電工事に対する品質監査も十分でなかったということが重なったということではないかと思っております。
  114. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 いえ、質問しているのは、ほかの分野では、そういう技術的能力のない企業が入り込む余地のないような品質管理体制、そういう品質管理体制を確認しているということだったわけです。そういうことで国が安全規制という形で関与するということだったんですけれども輸送容器については結局そういう技術能力のない会社が入り込んでしまうような規制であったと。なぜ輸送容器の分野だけ国の規制の考え方が違っていたんですか、こういう質問です。
  115. 間宮馨

    ○間宮政府委員 難しい質問ということは再度申し上げますが、今のようなお問い合わせでございますと、我々なりに考えますと、輸送容器の問題につきましては、当然安全性ということで、我々、表面の値、一メートル離れたところの値が確実に下回るようにということに全神経を集中してきたわけでございまして、その中で遮へい計算に非常に力を入れてきたわけでございます。したがって、ほとんどのエネルギーはそこに集中してきたというのが一つございます。  それと、これがそういうことであるというのはいいことでないかもしれませんけれども最後最後チェックが、法律で求められているチェックというのが、輸送前に必ず、実際のものが入った状態で、いわゆる物の確認というのを行うわけでございまして、それで最後は必ず安全は確認できるというのがあって、遮へい計算がしっかりしていて物の確認が行われればいいというのが主たる関心事であったということではないかとも思われます。
  116. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 大臣にお伺いします。  今の議論は、規制といっても、作業員なり技術者の行動を全部チェックするわけにはいかない。ですから、基本的に、システムの中で品質が管理される、そういう機能になっていることを国はチェックする、そういう形の規制、そういう形でなくてはいけないし、これからそうするというお答えでございました。僕もそのとおりだと思います。  具体的にはISO9000シリーズを使ってそれをやっていくということで、具体案も示されているわけで、その点については御努力を非常に評価するわけでございますが、この国の安全規制についての大臣のお考えと、それからもう一つデータ改ざんするということが原子力技術者の現場で起こったという、目を覆うようなモラルの低下。原子力そのものが社会の中で非常に、昔は尊敬の目をもって見られていたけれども、最近は、学科も、原子力工学というのをやめて量子工学だとか、また横文字の学科だとか、そういうふうに変えないと学生が来ない、こういうふうな状況になっている。そこにも一つモラルの低下の原因があるのではないかと思いますが、そういうことに関しましての大臣の御認識、その二点をお伺いします。
  117. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず、今回の問題は、原子力に対する国民信頼や安全という観点からもあってはならない極めて遺憾なことであり、今おっしゃられたように、嘆かわしいことだと私は思っております。そういう意味で、これを重く受けとめてきております。  きょうたびたび御議論になっておられます使用済燃料輸送容器調査検討委員会報告書が取りまとめられておりますが、この報告書を踏まえて、地元の方々を初めとする国民の皆様方の不安と不信を払拭して、一日も早く信頼を回復するための努力をしていかなければならないと思っております。  その中では、今斉藤先生指摘になられましたように、品質管理等再発防止業者たちが一生懸命真剣に取り組んでくれることを心から願っているわけでありますが、そのために科学技術庁としても一層の指導に全力を傾けてまいりたいと思います。  しかし、私が非常に心配をしていることは、まさに、斉藤先生最初に問題意識として出された、事故のたびに規制が強化されてきたけれども、規制強化だけでは問題の本質的な解決にならないということだと思います。  もう既に、事故、故障等に伴って実に多くの調査委員会がつくられ、その報告書がもう山積している。これだけ受けながら本質的な変化がないということを、私は科学技術庁長官を拝命いたしましてつくづく心配をしているところであります。この裏側には、原子力関係の人々の倫理観、責任感、謙虚さ、こういうふうなものが今欠けてきているのではないか、これを何とかもう一度復活させる、倫理観や責任感、謙虚さを復活させるという努力から始めなければ、こういう問題は解決しないのではないかと思っています。また、さらに、情報公開をする上でも、適切に速やかに行う努力をしていかなければならない。こういうふうな点で、私も何とか努力させていただきたいと思っております。  しかしながら、もう一つしかしながらがあるのでありますが、先ほども、横浜の病院で二人の患者さんを間違えたのはどういうわけか、こういうふうな御議論が実は予算委員会の方でございました。やはり、我々、科学技術に携わる者、医療も含めてでありますが、全般的にこの倫理観とか責任感をぴしっと育てていかなければならないとつくづく考えている次第でございます。
  118. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ある意味では、学術の世界、科学技術の世界の根本的な革命を起こさなくてはいけないと思っておりますが、ぜひ大臣のリーダーシップを期待いたします。  二番目のケース、民間と民間で、国が安全規制で関与しているということだけで議論が終わってしまいました。  国が直接発注する場合の品質管理体制のあり方で、時間があと一分ほど残っておりますので、宇宙を例にとりまして。  まあ宇宙、非常にふぐあいがたくさんこれまで発生してきました。「きく六号」それからADEOS、それから、円軌道に入らなかった「かけはし」、そういうふぐあい。これは、国が直接発注をしている、国といいましょうか、事業団、特殊法人ですけれども、国が直接関与しているものについてのふぐあい、これについての品質管理体制は、先ほどありました民民に対して規制で関与している場合とどこが違うか。もう時間がありませんので、端的にお答えいただきまして、私の質問を終わります。
  119. 池田要

    ○池田政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたふぐあいは、すべてが品質管理というよりも、むしろ宇宙空間につきましての知見を正しく反映していないといったような点もあろうかと思います。ただ、現在、これまでのふぐあいにつきましては、技術的な検討を終えまして、ほぼ、どういう状況で起こったかといったことにつきましての対策は十分考えられるようになってきてございます。  今、国が、宇宙開発事業団が行っておりますような品質管理体制についてのお尋ねがございました。  ロケットでございますとか人工衛星、こういった宇宙開発にかかわります機器につきましては、回収して修理するということはできないわけでございますし、そうした意味では、地上で用います機器に比べましてより厳しい品質管理を行うことが必要だ、こういう考え方で臨んでおります。  宇宙開発事業団におきましても、発足当初から、米国の航空宇宙局、NASAの品質管理、これは基本的には米軍の品質管理と同じようなものというふうに承知しておりますけれども、こうした品質管理を参考といたしまして、契約先のメーカーに対しましても、製品の設計段階におきます信頼性のプログラム、それから製造段階におきます品質管理プログラム、この二つの標準プログラムの実施というものを要求してございまして、厳正な品質管理を実施しているところでございます。  ただ、先ほど御指摘ございましたように、こういう品質管理につきましても、宇宙開発の進展につきまして不断に見直しをしていく必要があると思っております。最近のふぐあいの発生も踏まえまして、この品質管理のあり方につきまして改めて検討を行っておりまして、その改善措置の一環としましては、先ほども話題になりましたけれども、国際的な品質管理規格でございますISO9000の導入、これの認証作業も行っておるところでございます。  いずれにしましても、今後とも、この宇宙開発につきましても、品質管理の重要性を十分認識しながら取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  120. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 終わります。
  121. 北側一雄

    北側委員長 吉井英勝君。
  122. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  きょうは、後ほど、大変お忙しいところをお願いいたしました原研の松浦理事長の方にも伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  最初に、きょうのテーマでありますキャスクデータ改ざんの問題から伺いたいと思うんですが、これは、法令基準に照らしただけであれば、問題になった輸送容器もともと基準値内であったわけですよね。設計変更承認申請書の値も当然法令基準をクリアしているものです。中性子遮へい材材料仕様値を、初めから設計変更承認申請の値を使っておれば、いわばデータ改ざんを考えなくても製作後の容器承認を得られたというものであります。  そこで、最初に端的に伺っておきたいんですが、どういう根拠で初めの仕様値を決めたのか、また、どういう根拠で新仕様値を設定したのか。一言で結構ですから、その点をまず最初に伺っておきたいと思います。
  123. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  前半の部分、もと材料仕様値でございますが、これは随分検討会でも議論ございました。しかしながら、やはりこれという一つの理由はないようでございまして、いろいろな複数の理由から、申請者がこれが一番いいということで申請してきたものでございます。  新しい値に関しましては、これは我々再点検を命じたわけでございますが、この結果等を踏まえまして、いわゆる必ず充足できる値ということで考えてきたようでございます。  以上でございます。
  124. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、これという理由は検討してみてなかったというお話なんですが、これは一言で言いますと、今回のデータ改ざんの問題というのはいわば原子力利権にかかわる問題であったというふうに思っているんです。  もともと、原電工事という、こういうのを専門じゃない業者がなぜキャスクレジンにかかわるのかということ自体が問題なんです。要するに、この工事を独占的に受注するために、みずから契約を結んだビスコプロダクツ社とのライセンス契約に基づいて、その数値を使った。そうすると、本当は原電工事なんかよりはるかに力を持った業者がたくさんあるわけですが、なかなかそこが参入できないということで、まず独占的に受注を図るというのが出発にあった。ところが、みずから申請して承認を得たその値にみずからクリアできなくなっちゃった。まさに自縄自縛に陥って、データ改ざんに行き着かざるを得なくなったというのが今回の問題の根源的な問題であって、私は、こういうところをやはりきちっと、本当は検討会なんかでも厳しく解明をし、そこを是正するということにしていくべきであったというふうに思っております。  さて、この原電工事は解散してしまうということが言われているわけです。そこで、きょうはエネ庁の方にも来ていただいておりますから一言伺っておきたいんですが、問題は、企業の方は、データ改ざんなどをやって解散だ、それで済むかもしれませんが、そこにまじめに働いていた人たち、その雇用は一〇〇%保障されるのかどうか。これは、少なくとも親会社の日本原電の方できちっと責任を持って雇用不安などは起こさない、そういうことをやる責任はやはりあると思うんですが、この点について、エネ庁の方でどういうふうにやっていらっしゃるかを伺っておきます。
  125. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘のありました雇用問題につきましては、事業者において取り組むべき問題であるというふうに認識をいたしてございますが、原電工事の親会社であります日本原子力発電からは、原電工事の従業員の雇用確保については万全を期すよう努力する所存だという言葉を受けております。
  126. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、一言だけ申し上げて、エネ庁の長官、お忙しければ退席していただいて結構なんですが、実は一昨年の三井三池の閉山のときも、一〇〇%最大限努力というお話をしていらっしゃったんです。これは通産省も労働省もそうですが、しかし、あの地域は随分深刻な事態になっております。ですから、雇用の問題については、日本原電の方がエネ庁の方に約束しているとおり、しかとそのとおりやらせ切るように今後も引き続いて取り組んでいただきたい、そのことだけ申し上げておきたいと思います。お忙しかったら、どうぞ、もうこの後の質問では結構ですから。  それで、責任のない、働いてきた人たちには雇用不安が生まれ、そして、きょうも既に質問があったように、本来責任をとるべきトップの方は、法律上の根拠なしということで、データ改ざんを指示しておってもとがめなし。原子力産業の分野に無責任体制が横行するなどということになったら大変なことだというふうに、私はそこを心配しております。  そこで、科学技術庁の長官にこの点で一言伺っておきたいんですが、データ改ざんという最悪の事態を許さない仕組みをつくらないと、これは倫理だ何だということもあるでしょうけれども、しかし、仕組みの上でそこをやはりきちっとしないと、原子力国民信頼を得られないものになってしまう。私はこの点で、長官としてどのように責任をとらせるかとか、責任をきちっと果たさせるような仕組みをどうつくっていくかという点について、一言御見解を伺っておきたいと思います。
  127. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げておりますように、今回のデータ改ざんということは、原子力に携わる者が決して起こしてはならぬことだと思っております。そういう意味で大変私も残念というか、遺憾というか、本当に嘆かわしいことだと思っているわけです。  そこで、使用済燃料輸送容器調査検討委員会報告書が取りまとめられた昨年十二月三日以降、官民の関係方面において関係者の処分がなされたと承知しております。当庁においても担当局長の処分を行いました。データ改ざんを行った原電工事については、会長、社長等の退任、担当課長の解職等の処分を行うとともに、本年夏をめどに会社を解散することを決めております。これは先ほど御指摘のとおりです。また、データ改ざん関係した日本油脂においても、社長等の役員の減給処分、担当課長の出勤停止等の処分を行っており、十分な社会的制裁を受ける結果となったかと考えております。  たびたび同じようなことを申し上げて恐縮ですが、私は、原子力に携わるすべての人々が、責任感と使命感とそして誠実さを持って真摯に日々の仕事に取り組んでいくべきだと考えております。そういうことを積み重ねて、原子力に対する信頼が回復されるよう、全力を傾けて指導していく所存でございます。  しかし、この問題は、原子力だけではなく、巨大科学において科学者研究者がやはり真剣に考えていかなきゃならない問題だと思います。
  128. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、社会的糾弾を浴びるようなものについて、社会的責任を果たす、これは当然のことだと思っているんですが、しかし、法律上は、これだけ重大なデータ改ざんをやってもとがめなし。これは少し一般社会の常識にはそぐわないものですから、やはりこの点はきちっとした道を考えていかなきゃならぬだろう。  これは何も罰だけ与えればいいという発想じゃありませんが、なぜそれを言うかというと、今回の問題もそうなんですが、一昨年秋にも、私も取り上げました原発の配管の焼鈍データデータ改ざんとか、こういうものはすべて内部告発でわかったんですね。ということは、逆に言えば、原子力分野でデータ改ざんがほかには行われていないということが残念ながら証明できないということなんです。今それぐらい深刻な事態に直面しているということを私たちは率直に見なきゃいけないというふうに思うんです。  それだけに、これはそうしたデータ改ざん等ができないような仕組みあるいは直ちに明らかになる仕掛けをどう考えるかということも大事でしょうし、それは学者の分野であれば、長官も、そんなものは学者生命を失うとおっしゃっておられる、まさにそうだと思うんです。しかし同時に、私は、こういうことが本当にきちっとした対処がされていく、その仕掛けというものをやはり考えていかないと、本当にほかにはデータ改ざんはないということが何しろ証明できない、ほかにもあるという可能性がある、そういう深刻さを思うときに、これは簡単に見過ごしにできるものじゃないというふうに思っております。  さて、データ改ざんというのは、こんなものは本来論外な話です。あってはならぬ話で、こんなことを論じなきゃいけないこと自体が情けない話なんです。ただ、データ改ざんじゃないんだけれども、しかし人間というものはミスを犯す可能性というものは当然あるわけで、ミスを犯す動物でもあるわけですからあり得るわけで、そのミスを防ぐ努力を尽くしても仮にミスが起こった場合に、事故に至らないとか、あるいは事故を最小規模のものに抑え込む、そういうシステムや技術の開発というのが科学技術の分野では一面非常に重要な課題だというふうに思っております。  そこで、松浦理事長さんの方に、ここから若干、幾つか伺いたいのですが、原子力の分野というのは事故が発生すると被害が大規模なものになるものですし、あるいは人類の長い将来にわたって、例えば遺伝子の欠損などの影響も含めて被害が及ぶ。これは、松浦理事長さんがあるもので書いていらっしゃった、使っておられる言葉で言えば、未来社会への潜在的影響とか、あるいは環境適応性、安全性にかかわる問題だというふうに私は思うのです。ですから、日本原子力研究所に対して国民が抱いている期待というのは、人類社会の将来において原子力を安全な技術として確立されるかどうかにかかわる基礎的な分野の研究、そういうところに非常に大きな期待をやはり持っていると思うのです。  そこで、高レベル放射性廃棄物を生み出さない技術であるとか、あるいは高レベル放射性物質の短寿命化とか消滅技術の研究と開発について、現在の取り組みや実用化の可能性や将来展望というものについて伺いたいというふうに思います。
  129. 松浦祥次郎

    ○松浦参考人 今の御質問にございました、高レベル放射性廃棄物を生まない技術、あるいはそれを処理する技術、短寿命化する技術、それに関しまして、現在の日本原子力研究所が取り組んでおります研究の現状、将来展望について御説明させていただきます。  原子力を使います場合には、核分裂の反応を使うか核融合の反応を使うか、どちらかしかございません。このどちらかで原子力をエネルギーとして使用するわけでございます。  どちらの技術を使いましても、放射性廃棄物といいますか、放射性生成物ができない技術というのはございません。特に、現在世の中で非常に多く使われておりますのは核分裂を使っての発電技術であります。この場合には、燃料の中に高レベル廃棄物、中には非常に寿命の長い放射性物質ができるわけでございます。したがって、技術として開発すべきは、そのような非常に寿命の長い放射性物質をいかに寿命の短いものに変えるか、ないしは、放射性物質をいかに閉じ込めておくか、そういうことが技術的な問題となるわけでございます。  高レベル廃棄物と申しますのは、再処理から出てまいりますときには硝酸の中に溶けているわけでございます。したがいまして、これを消滅するあるいは短寿命化するという場合には二つの大きい技術の分野がございます。一つは、その硝酸溶液の中に溶けておるものから消滅すべき非常に寿命の長い放射性物質を分離するということ、それからもう一つは、その分離されたものを今度は本当に短寿命化する、あるいは他の寿命の短いものにする、そういうことでございます。  まず最初の、高レベル放射性廃棄物の溶液からそういう長寿命のものを分離するという技術に関しましては、原研は、研究レベルでございますけれども、高レベル廃液からの長寿命核種の分離を実験室規模で行いまして、非常に高い収率で分離できるということを実証しております。これは、具体的にはアメリシウムとかキュリウムとかいう元素でございますけれども、物によりましては九九%、あるいは九九・九%以上の分離ができるということを実証しております。今後は、これに関しまして、まさに再処理から出てきました実廃液を用いての実験を行うという方向で進めることになります。  次に、今度は、その出てまいりました、分離されました非常に寿命の長い物質、例えばアメリシウムとかキュリウムでございますけれども、こういうものはエネルギーの高い中性子を当てますと大体核分裂を起こします。こういうものが核分裂いたしますと、ウランやプルトニウムよりもさらに短い寿命のものが多くなるということが物理的には幾つかの実験で示されております。  いずれにしろ、全体として考えますと、ウランやプルトニウムの核分裂でできたのとほぼ同様のものができてくる。これらはもともとのアメリシウムやキュリウムよりはるかに寿命が短うございますので、将来にわたって閉じ込めておく確実性というのは非常に高いわけでございます。  したがいまして、こういう形で中性子を当てるために、それではどういうものを開発すればいいかということでございますが、現在我々が考えておりますのは、加速器、それから、未臨界炉と申しますが、これは原子炉のようなものでございますけれども、それ自身では持続的に連鎖反応が起こらないような、いわばうんと小型にした原子炉と考えていただいたらいいかと思います。  加速器を用いまして、この未臨界炉の中につくりましたいわばターゲット、的に加速器からの非常に高い陽子のビームを撃ち込みまして、中性子を非常にたくさん出します。この中性子を用いまして、未臨界炉に入れました、先ほど申しましたキュリウムやアメリシウムでつくった燃料体のようなものでございますが、これに中性子を当てまして、そしてそれらを核分裂させまして寿命を短くする。こういう形で、消滅処理といいますか、むしろ短寿命化処理ができるということが物理的な考え方からは幾つか実験結果として証明されておりますので、今後これを実際に工学的なシステムにおいて実証していく、そういう方向で進めたいと考えております。  このために今どういうことをやっているかといいますと、非常に高いエネルギーでプロトンを加速し、またかなり強い電流でプロトンを加速するための加速器を開発するということ。それから、ターゲット、的になりますところには非常にエネルギーの高い、電流の大きい陽子のビームが当たりますので、このターゲットが非常に高い熱を発生します。そのために冷却システムの開発を行うということでございます。  それから、燃料に関しましては、アメリシウムやキュリウムの燃料の特徴をうまく使うために、現在ウランやプルトニウムで使われております酸化物ではなくて、むしろ窒化物の方が熱伝導等がいい、そういう特性から窒化物燃料を使うということを選択いたしまして、そのための物性データの整備とか、あるいは照射実験の準備、再処理の実験の準備、そういうことを進めているわけでございます。  また、先ほど最初に申しました加速器と組み合わせる未臨界炉につきましても、こういうアメリシウムやキュリウムを使ったような未臨界炉というのは今まで世の中にございませんので、このための炉物理的な解析をするためのデータを集めたり、設計コードをつくったり、そういうことを進めているわけでございます。この点につきまして、今後は、未臨界の体系を用いました炉物理実験を行って設計データを蓄積する、それから材料とか燃料の照射実験を進めていく、そして全体として先ほど申しましたようなシステムが成り立つような研究を進める、こういうように考えております。
  130. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のお話を伺っておりまして、加速器と未臨界炉を組み合わせて新しい発電という可能性も開けてくる、非常に興味のある分野もあるかなというふうに感じたのですが、率直に言いまして、今日人類が到達している安全技術の水準をかなり超えた巨大規模化した商業炉、これについて評価は立場によっていろいろですから、いや大丈夫だという方もいらっしゃるだろうし、私はかなり安全技術の水準を超えた巨大化したものになっているというふうに思っておりますが、その評価は別として、私は、原子炉が大規模地震時にも事故を起こさないような固有安全炉であるとか、仮に事故が発生しても事故の規模を最小に抑える小規模な原発の研究とか、既に超小型高速炉のプランの提起などもあるようですが、そういうものをシリーズにしたりパラレルにつないだタイプのものの研究など、現有のものがもう完全に完成された成熟したものという決めつけではなくて、まだまだいろいろな可能性というものを追求するということは、やはり大事ではないかなというふうに思っているわけです。  そこには、例えば超小型高速炉といえばこれは増殖しない方ですが、増殖するもので考えても、小型のものであるとか、あるいは、溶融塩炉であるとか高転換軽水炉であるとか、さまざまな炉型を含めて、やはり原子力の分野では、安全技術の観点からすれば、どういうものであれば本当に人類が安全にコントロールできるのであろうかということを含めた、そういう研究というのはまだまだ必要な分野を持っているのではないかというふうに思っているのですが、原研でのそういう取り組みなどについて、やっていらっしゃることについて聞かせていただければと思うのです。
  131. 松浦祥次郎

    ○松浦参考人 ただいまの御質問にお答えさせていただきます。  原子炉の大事故というのは、大きく分けまして二つ考えられます。一つは、核暴走。要するに、制御棒でコントロールできないような暴走が起こるような事故。チェルノブイリの事故がその系統の事故でございました。もう一つは、原子炉を冷やしております冷却水のパイプが破断する、あるいは冷却水系統のどこかが漏れを起こして、その漏れがとめられないようになって、いわば原子炉が空だきになる状況。これがアメリカのTMI型の事故でございます。  現在、世界じゅうで非常に多く使われております軽水型の原子炉につきましては、先ほども申しました核暴走の事故の可能性はほとんどないといいますか、そんなものは今まで起こったことは、非常に小型の実験炉は別として、実用ではございません。もう一つの冷却材喪失事故の方が、どちらかというと確率としてはまだ核暴走よりも高いわけでございます。  したがって、現在の軽水炉の安全性を現在より高める、そういう観点から、固有安全炉と言われている軽水炉のアイデアが今までも幾つか提案されてございます。これは、いずれもそう大型ではなくて、比較的中型ないしは小型のものでありますけれども、そういうものが幾つか提案されております。  しかし、そのほとんどがやはりいろいろな事情で実現いたしませんで、現在のところ、それが安全評価等がなされて、実際に使っていいものだというふうに認識されて、そういう型式承認が得られておりますのは、米国のウエスチングハウス社が開発しましたAP600というタイプでございまして、これはアメリカのNRCが型式承認をしております。  この原子炉の特徴は、万一、冷却材が喪失するような事故、例えばパイプが切れるとか、あるいはどこかの機器が漏れを起こすとか、そういうことが起こりましたとしましても、ポンプを回してどんどん冷やすということをせずに、自然の力といいますか、重力でございますが、その重力で自然に原子炉が冷えてそれで大事故に至らない、そういう設計になっているわけでございます。  しかし、こういう設計のものは、本来ポンプで与えます動力がないものですから、水が本当に原子炉の中を冷やすかどうかについては幾つか問題がある。そういうことで、こういうものが本当に冷えるかどうかが問題であったわけでございますが、原研におきましても、こういうタイプの原子炉が、事故のときにどのくらい原子炉を冷やす能力があるかどうかを確認実験をしたい、そういう計画を持っております。  また同時に、アメリカのNRCが、AP600という具体的なものにつきましてそういう実証試験をしたい、そういう要望を持っておりました。我々は、NRCと共同いたしまして、このAP600型の、固有安全炉というよりもむしろ受動的な安全炉と言った方がいいと思いますけれども、その実験をいたしまして、こういうタイプのリアクターが、冷却材喪失事故のようなときに十分炉心を冷やすことができる、それを原研の実験装置を使いまして実証をいたしました。こういうデータに基づいて、先ほど申しました型式承認が得られたわけでございます。  今後は、我が国の次世代軽水炉に採用される可能性のあるような受動安全システム、これはいろいろ今後もアイデアを考えないといけませんが、そういうかなり広い範囲の実験を行いまして、我が国の次世代の軽水炉の安全評価、あるいは安全性向上に役立つような研究を進めたい、こんなふうに思っているわけでございます。
  132. 吉井英勝

    ○吉井委員 それから、あわせて、やはりエネルギーの転換効率を高めるということは、これは電力業界はもちろんやっていかなければいけない課題だと思いますが、原発にしろあるいは火力にしろ、非常に大量の熱を実際には捨ててしまっているわけで、そこには多流体サイクルのようなシステムもあれば、とりわけ今問題になるのはやはり海洋へ投棄する熱ですね。それをできるだけ低温領域までエネルギー転換する。佐賀大学などでは、海洋温度差発電というのは暖かい方の国でやるような分ですが、別に海の深いところの冷温水を使わなくても、原発の場合であれば、廃熱との差が七度とかそれぐらいでやっておりますが、そういうところでのエネルギーの転換とか、そういうことを含めた、エネルギーの転換によって地球温暖化の要因を除去するという二重効果を持たせるような研究とか、原研などでさまざまな取り組みを基礎的な分野からやっていらっしゃるものと思いますが、もう時間が残り五分足らずになりましたというメモをいただきましたので、締めくくりに入らせていただきたいと思います。  それで私は、やはり人類が現在到達した安全技術の枠の中で着実に研究開発を進めていき、安全技術のシステムや技術レベルが上がればそれに応じてもっと前進すればいいわけであって、どうもその辺が必ずしもそうなっていない、はみ出しているという分野がかなりあるというのが今抱えている問題ではないかなということを実は感じているわけです。  それは、原発のサイクルからいいましても、この間も取り上げましたが、濃縮の分野でも遠心分離器が数割の破損を起こしておるとか、また原発そのものも、軽水炉でもPWRでもBWRでもこれまでにもかなり大きな事故もやっておりますし、それから高速炉、再処理工場、さまざまな分野でやはりまだ十分成熟したと言い切れないだけに、私はそういうところを含めて原研の研究開発というものをやっていただくことが非常に大事ではないかなというふうに思っております。  最後に、理事長の方には、この到達した安全技術の水準の枠の中で実用化に至る、そういう研究開発を進めることが重要な役割ではないかなという点での、原子力研究のあり方についてのお考え、大臣の方にも同様のことを伺って、特に大臣には大学への期待もありますから、基礎研究費も含めて、やはりそこを厚くして、日本の科学技術が層の厚いといいますか、そういう発展が得られる方向についてのお考えというものを伺うようにして、質問を終わりたいと思います。
  133. 松浦祥次郎

    ○松浦参考人 最後に、原研が今後どういう考え方で仕事を進めていくかということについての御質問だったと存じますので、その点についてお答えいたしたいと思います。  申し上げるまでもなく、原子力エネルギーというのは、二十一世紀のエネルギー源として、環境に優しく、かつ長期にわたって安定的にエネルギーを供給する技術として非常に重要なものと理解しております。しかしながら、どのような文明の利器につきましても、その使用におきましては利益と同時にリスク、これは損害が起こる可能性でありますが、それがあるわけでございます。そういう利器を使おうと思いますときには、当然、そのリスクと利益とのバランスをよく考えて総合的に検討して使うべきである、そういうふうになるわけでございます。  この場合、それでは原子力のリスクとは何かといいますと、大きくは、核拡散と放射線障害の二つだと思います。これらに関しまして、原研はその防止に万全を期すための技術的なあるいは科学的なデータを提供していくというのが使命の大きいものだと考えているのが一つございまして、これがいわば安全研究に関する一番の基礎的な考え方でございます。  一方、原子力という言葉を使われますと、一般の方々は原子力発電と核爆弾の二つがイメージされると思いますが、実は、原子力というのはもっと非常に広い可能性を持っているものでございます。これは、光とか電子とか中性子とかイオンビーム、こういうものはすべて原子力関連技術から出たものでございますので、こういう可能性を十分に広げて、将来の人類の福祉あるいは学術研究の振興に役立てる、そのための基礎的な研究を進めるというのが原研のもう一つの大きな仕事だと考えております。  以上の点から、原研は、我が国の中核的な原子力総合研究開発機関といたしまして、原子力エネルギー研究並びに科学技術の総合的な展開に貢献していきたいと思う次第でございます。  今私どもが御指導いただいております有馬大臣は核物理学分野のトップリーダーでありまして、この核物理学というのは原子力科学技術の一番重要な基盤でございますので、今後とも御指導よろしきを得て事業を展開していきたいと思う次第でございます。  ありがとうございました。
  134. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず、吉井先生原子力の御専門のお立場からの御見識に尊敬の意を払いたいと思います。  今、原研理事長がお話をいたしましたように、新しいやり方で使用済み核燃料を処理しようという方向が動いております。これは、理学的にはCERNのルビアという前所長が考え出した方法でございますけれども、これを工学的なものにしていくということが、現在原研に課せられた大きな仕事だと思っております。  それから、いろいろ、御指摘がありましたような新型炉、特に小型炉の研究であるとか、今後まだたくさん基礎研究をしなければならぬものがあると思うのですね。そういう意味で、原子力は済んだんだというふうに考えない、特に基礎的な研究はまだ非常にたくさん残っているのだということを強調させていただきたいと思います。  そして、それを使って実用技術を開発していかなければなりませんが、その実用技術のやはり基礎をまず開発していくことというのが、特に科学技術庁に課せられた業務だと思っております。  それからもう一つは、先ほど御指摘のことでございますけれども、私が非常に心配をしていることは、今後の原子力研究をしていく人々、原子力技術者の養成でございます。  大学における原子力関係の学部・学科の評価は明らかに下がりました。したがって、名前を変えようというような努力が行われています。これは何とかしなくてはならない。やはり原子力研究をし原子力技術者となっていこうという人々の志を高くするような、希望を持たすようなことを考えていかなければならない。そういう意味で、若い人々の健全な育成ということを今後図っていかなければならないと思っております。  幸い、今回の行政改革によって、今までも仲よく一緒にやってまいりましたけれども原子力関係のみならず、宇宙にしても海洋にしても、科学技術庁が進めておりました研究と大学を中心にして進めてきた文部省とが今後協力をより一層強くしていくことになりますので、こういう点で、私は非常に日本の科学技術の将来に希望を持っているわけであります。  さまざまな面で科学技術庁と文部省関係研究所や大学が協力を進めることによって、さらに一層基礎科学を、そして基礎技術を進めて、世界的に評価の高い研究成果を生み出すことができるでありましょうし、さらにまた、優秀な研究者、優秀な技術者を養成する上でも、この科学技術庁と文部省の協力というのは非常にすばらしいことであろうと考えておりまして、そういう面で一層の努力をさせていただきたいと思っております。  さらにまた、ぜひ先生方にお願いでございます。  非常にありがたいことに、科学技術基本法を議員立法で立ててくださいました。そして、それがもとになって科学技術基本計画がつくられました。それによって、十七兆円を五年間に出していただくというふうなことができたことによって、日本の科学技術の研究者は大変元気になりました。しかし、これは二〇〇〇年で終わるわけです、二〇〇〇年で。  この先のことも、私どもも大いに考えますので、先生方も、ぜひともこの点でさらにまたお力添えを賜れれば幸いでございますので、最後にこのことをお願いいたしまして、私の答弁とさせていただきます。
  135. 吉井英勝

    ○吉井委員 質問を終わります。  松浦理事長、どうもありがとうございました。
  136. 北側一雄

    北側委員長 辻元清美さん。
  137. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  皆さん、最後ですから、元気に質問をしたいと思います。  さて、私も、このたびのデータ改ざん問題につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、私は、昨年の十二月十一日にもこの問題につきまして、当時は竹山科学技術庁長官でしたが、国務大臣に対して質問をさせていただきました。改めまして、本日は有馬長官に、私は今回のこの問題は重大な不祥事であるという認識なんですけれども、いかがでしょうか。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
  138. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げておりますように、不祥事であり、まことに残念なことであり、嘆かわしいことであったと思っております。
  139. 辻元清美

    辻元委員 それでは、不祥事であるという認識に立ちまして質問を続けさせていただきたいのですが、この中で、データ改ざんのあった輸送容器、これは、使用済み燃料輸送容器が三十九基、それからもう一種類、MOX燃料輸送容器が一基ありました。このうち、きょうは、関西電力のMOX燃料輸送容器につきまして、これはエクセロックス—4(M)型と言われておりますけれども、これについてお尋ねしたいと思います。  まず最初に、経過を確認させていただきたいと思います。  まず、この容器は、設計の承認の申請日が一九九五年十一月二十日でした。そして、設計を承認した日は一九九六年三月二十六日です。その後、容器の承認の申請日ですが、これは一九九六年十一月十五日です。その後、この容器の承認申請を取り下げた日が一九九八年十二月十八日と聞いております。それで、設計承認書を返却し、設計の承認を再度申請した日は、一九九八年、この同じ年の十二月二十四日というふうに伺っておりますが、この経過でよろしいでしょうか。
  140. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃったとおりであります。
  141. 辻元清美

    辻元委員 それでは、この経過に従いまして幾つか御質問させていただきたいのです。  まず、この一九九六年十一月十五日の容器承認申請後、運輸省が承認するか否かを検討されると思います。この承認するかどうかを示さないうちに、一九九八年十二月十八日、関西電力側が承認申請を自主的に取り下げました。  さて、それでは、仮に関西電力が取り下げずにこの承認申請をしたままであるならば、運輸省はこの容器に承認を与えたのでしょうかどうでしょうか。
  142. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答え申し上げます。  データ改ざんがあったわけですので、承認を与えなかったと思います。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  143. 辻元清美

    辻元委員 ということは、データ改ざんがあったということで承認しないということですから、不承認容器ということになりますでしょうか。
  144. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えいたします。  未来永劫不承認の手続をする容器という御趣旨かどうかちょっとわかりませんが、当初の設計承認要件で、それを充足している容器としては承認できない、こういうことでございます。
  145. 辻元清美

    辻元委員 ということは、不承認であるということですから、不承認の容器に当たると思います。これは、以前、うちのスタッフが運輸省の方から御説明を受けた折も、このまま取り下げがなければ不承認容器に該当するだろうというようなお答えをいただいております。  さて、そうしますと、一九九八年十二月二十四日に再申請された設計承認申請の内容は、その前の一九九五年に提出されていた設計承認申請とどこが違ったのでしょう。
  146. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えいたします。  違いについては、若干技術的になりますが、一つは、中性子遮へい材仕様値、それから解析入力値について見直しております。具体的には、炭化硼素材料仕様値を〇・〇一九四グラムパー立方センチメートルから〇・〇〇二四グラムパー立方センチに、それから、水素材料仕様値につきまして〇・〇九六グラムパー立方センチから〇・〇八六グラムパー立方センチに、さらに、解析入力値につきまして〇・〇九六グラムパー立方センチから〇・〇八六パー立方センチに見直しております。さらに、収納をいたします放射性物質の量につきまして約一〇%減らしております。  以上が主な違い点でございます。
  147. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、通常であるならば、この設計承認申請に承認を与えるということになりますと、関西電力は、承認された新たな設計に沿って新たな容器をつくり直すということになるわけですね。
  148. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおりであります。
  149. 辻元清美

    辻元委員 それで、万が一、関西電力が問題の容器を改めて容器承認申請するという場合、添付される材料証明書というのがあると思うのですけれども、これは原電工事が作成したものになるのでしょうか。
  150. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 仮定の議論なので、私、正しくお答えができないと思います。従前の材料承認申請書をそのまま出してくるのか、改ざん前の数値に直して出してくるのか、そもそも同じ、つくる途中の容器について新たな設計承認に該当する容器として出してくるのか、ただいまのところ容器承認申請を受けておりませんので、極めて仮定の議論になりますので、お答えができないわけであります。
  151. 辻元清美

    辻元委員 しかし、これを作成するのは原電工事になるのですか。
  152. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 今申し上げましたように、容器承認申請がまだ全く出てきておりませんので、どのような容器承認申請を出してくるのか、現時点において、私、責任を持ってお答えができないということであります。
  153. 辻元清美

    辻元委員 というのは、これが原電工事が作成したものになる場合は、データ改ざんや証明書の偽造などが行われて、そのモラルが問われている会社であるかと思います。解散を決めた会社でもありますし、この会社が出す証明書を採用するということは社会的にも問題になるかと思いますので、私はその点を強く指摘させていただきたいと思うのですよね。  この前の質問のときも申し上げましたが、データ改ざんし、そして、私は、前の質問のときには、この改ざんした容器は使いませんねということをしつこく言っていたわけですよ。でないと社会的信用は回復できませんよというようなことをずっと申し上げていたはずなのですけれども、証明書として採用することのないように、またこの場で指摘させていただきたいと思います。  さて、もう一つ運輸省海上技術安全局の通達というので、ちょっと長い名前なのですけれども、「危険物船舶運送及び貯蔵規則に基づく放射性輸送物の安全の確認について」、こういう通達があると思います。  これを読んでいきますと、この大きなIIというものの2の(1)に容器承認申請というのがあります。この項目の3には、容器承認申請時期は、原則として、新規に製作される輸送容器については設計承認を受けた後製作に着手する前とし、その他の輸送容器については最初に使用する前とするというふうに書いてあります。  これに従いますと、これは、輸送容器設計承認申請から容器承認が出されるまでの一連の手続の原則だ、これに示し合わせてやりなさいよというルールであるというふうに理解しているのですけれども、それでよろしいのでしょうか。
  154. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおりの理解で結構かと思います。
  155. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、新規に製作される輸送容器については設計承認を受けた後に製作に着手するということですから、まず申請して、それから一からつくるということですよね。
  156. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お言葉を返すようですが、一からつくるかどうかは別にいたしまして、設計要件に従ってつくるということで、そのときの材料として、それこそ文字どおり原材料から、一からつくるケースもありますし、あるいは、別の容器を改造して、その容器に、つまり設計要件に合致するようにつくり直すケースもあり得ると思います。
  157. 辻元清美

    辻元委員 私は、てっきりこれは新規に製造するという原則であると理解していたのですが、そうしましたら、今おっしゃいました、別の容器などを改造してつくるというケースは多々あるわけですか。
  158. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えいたします。  多々あるかどうかは承知しておりませんが、一例を申し上げますと、MOX燃料輸送容器として、既に使用済み燃料容器として使われたものを改造した例はございます。
  159. 辻元清美

    辻元委員 データ改ざんなどがあった場合というのは、今回のケースが初めてですか。
  160. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 初めてでございます。
  161. 辻元清美

    辻元委員 先ほど、このような不祥事があった場合に規制を強めても、次も次も不祥事が起こってしまうというような話がありましたけれども、私、この原則を貫いたらいいと思うのですね。一たびデータ改ざんしてしまったらそういうものは使えない、一からやり直せというように。今回そういう例にしたら、これは非常に厳しいですよ。一たび改ざんしてしまったら、お金をかけてつくっていたものを、また今度新しい基準につくり直すことはもう一切だめだというふうに。今回初めてのケースとおっしゃっていますけれども、そういうことが非常に緊張感を生み、こういう不祥事を二度と起こさないための一つのストッパーになると思いますけれども、こういう考え方についてはいかがでしょうか。
  162. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 先生のおっしゃる点は、一つ考え方だと理解できます。  私どもが考えておりますのは、そもそも、放射性物質輸送容器安全性確保する観点から、二つの問題をきっちり整理しなければいけないと認識しております。  一つは、輸送容器の表面放射線量当量を安全レベルに抑えるかどうか、これは極めて科学技術的な問題としてとらえて粛々とやるべきだという考え方です。  それからもう一つは、それを実際に製造する者がどういう心構えでそれを実施していくか。そのときに、きっちりとした安全レベルを担保するための、例えば品質管理能力に心が砕けるかどうか、これを行政側としてどう担保していくか。この二つの問題に分けて議論すべきではないかというふうに認識をいたしております。
  163. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、容器そのものに罪はないのですよ。容器が何か勝手に変質したとかは今のところないわけで、データ改ざんしたというところが問題です、データ改ざんした行為というものが。  そうしますと、普通、データ改ざんしたりそのようなことをしたら、ペナルティーとか罰があるはずなのです。その罰、ペナルティーとして、そういうものは二度と使えぬというふうにしてみたらいかがですかということを、大臣、私は今申し上げているのです。そうでないと、規制とか安全値をというのは何回もそういうことがありますので、データ改ざんした行為そのものに対するペナルティーという意味で今回はっきりとしたけじめをつけるべきだと考えますけれども、いかがですか。
  164. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答え申し上げます。  いずれにしましても、一般的にですが、改ざんのあった容器につきましては、容器承認書の返却という行為を行っておりますし、再点検を求めておりますし、これまでも、物事が明らかになるまでは輸送物の確認をしないということで、業務の停止に等しいこともしておりますし、実際にデータ改ざんに携わった者については解職等の罰を受けておりますし、そこら辺については、先生おっしゃるようなストッパー的な意味のことは重々やられてきているというふうに考えておりまして、我々としては、今後の方向を、再発防止ということで、システム自体を改めていくということで、今現在鋭意動いているところでございます。
  165. 辻元清美

    辻元委員 前のときも同じような御説明を受けたかと思うのですけれども、二度と起こさないためにはそれでは甘過ぎるというふうに私は思います。  さらに、引き続きまして、このエクセロックス—4(M)のみならず、東京電力のTN—17(M)型MOX燃料輸送容器は四基あると思います。TN—12B(M)型MOX燃料輸送容器は三基あると思うのですけれども、このスクラップ問題に移らせていただきたいのです。  先ほども指摘がありましたけれども、使用廃止届が出されるまでこのような容器は、結局、今までは使用済み燃料輸送容器として使用されていた経歴があって、これはデータ改ざん以外の問題ですけれども、これを今度つくり直して使用しようとしている。  今までに使用済み燃料輸送用として製造、使用されていた期間は一体どれぐらいで、何回ぐらい輸送に使ってきたのか。今度は容器そのもの安全性について幾つかお聞きしたいと思います。
  166. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 お答えいたします。  先生指摘の点でありますが、まずエクセロックス—4型輸送容器、これは今回データ改ざんのあったものでございますが、容器承認は五十九年に行っております。その後平成七年までに十二回の使用済み燃料輸送に使用されております。  それから、TN—17(M)型MOX輸送用として既に容器四基を承認いたしておりますが、そのうちの二基は容器承認を五十九年に行っておりまして、その後平成八年までに五回から十三回の使用を行っております。それから、別の容器二基につきましては、昭和六十年に容器承認をしておりまして、その後平成八年までに十一から十二回の使用回数でございます。  それから、もう一つ指摘のありましたTN—12B型基は、容器承認を昭和六十年の三月にいたしておりますが、昭和六十年以降平成十年まで、三基ありますが、それぞれ十回使っております。
  167. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、それらの容器の劣化の状況についてはどのように把握されているのでしょうか。事業者からの報告があるのでしょうか。
  168. 谷野龍一郎

    谷野政府委員 劣化といいますと悪くなったというふうに受け取られますが、要するに変質しているかどうかについての確認という意味でお答えを申し上げたいと思います。  使用済み燃料輸送用の容器は、もともと設計時点から長期間の使用に耐えるように設計をされております。また、容器承認後も所有者に対しまして、一年に一回以上、場合によっては、例えば一年に十回以上使う場合にはその十回に対して一回、例えば外観検査でありますとか、未臨界検査でありますとか、気密漏えい検査でありますとか、つり上げ荷重検査でありますとか、そういった検査を行うこと、さらに輸送容器のガスケット等の部品の交換等メンテナンスを実施すること、そして輸送容器の健全性の保持を図ることを義務づけております。  これまで使用済み燃料輸送容器のものをMOX用に転用した際には、それらのメンテナンスの状況をすべて確認いたしまして、健全な容器であることを確認した後に新たな容器承認をいたしたということでございます。
  169. 辻元清美

    辻元委員 時間があと一分になってしまったのですが、私はやはり納得できないのです。  今の劣化の問題はこれでおきまして、データ改ざん問題に移りますが、これは技術的な問題ではなくて社会的な問題だと思っています。  この社会的な問題にどのように対処するかというのを、技術的なものだけで説明しようと思っても無理だと思うのです。特に、原子力にかかわることに対する社会との接点というのは、これは安全だとか、これだけの放射線でしたら人体に関係ありませんというようなことを技術的につい説明しがちなところが、かえって社会的に反発を受けたり不安感をあおるということがありますので、最後に長官にお聞きしたいのですけれども、私は、このデータ改ざん問題は社会問題であるという認識ですから、そこに切り込んでいかないと、そこへの厳しい対処をしなければ、こういう問題に対しての一般の市民からの不満や不安は解消されないと思いますが、いかがでしょうか。
  170. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げておりますように、今回のデータ改ざんというのはあってはならぬことだということであります。ですから、もう既に、それにかかわった人々というのは退職をするなり処罰を受けているわけですね。  そういうことも踏まえて、今後、一般の国民の方たちにさらに説明をして、そして信頼を回復する努力をいたしたいと思っています。  原子力一般の問題にしてしまって申しわけありませんけれども、まず現場、その現場で安全運転の実績を積み上げていく、そして最善の努力をするということがやはり必要だと思いますし、地域の人々との間では、地元重視をしながら、事業活動について着実に誠実に対応していくことが何よりも重要であると考えております。  また、国といたしましても、政策決定の過程の透明性を高め、国民各界各層から幅広く御意見を伺うことが必要でございまして、この点に関しましては、原子力政策円卓会議の開催をさらに進めてまいります。さらに、シンポジウム、フォーラム、説明会などを開催する。こういうことを通じて、国民の方々の御理解を賜ろうという努力をいたしたいと思っております。  データ改ざん輸送容器のことについても、今後どういうふうにこれに対処していくかということについても、透明に、なるべく早く国民にお知らせをしてまいりたいと思います。すなわち、情報の公開、そしてわかりやすい情報を提供すること、そういうことを今後さらに続けさせていただきたいと思っております。  こういうことを通じて、今問題になっております容器に関しましても、今後それをどういうふうにしていくかということについて、国民に御説明をしていきたいと思っております。
  171. 辻元清美

    辻元委員 最後の部分ですが、容器について今後どのようにしていくか御説明をいただけるということですので、しっかりこの後もフォローしていきたいと思います。  それでは、以上で終わります。      ————◇—————
  172. 北側一雄

    北側委員長 次に、内閣提出原子力損害賠償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。有馬国務大臣。     —————————————  原子力損害賠償に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  173. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御説明申し上げます前に、きょう、たびたび出たり入ったりをいたしまして、御迷惑をおかけしましたことを心よりおわび申し上げます。御連絡がどうも不十分であったようだということを後で聞きまして、大変申しわけなかったと思っております。同時に参議院の方の予算委員会が走っていたものですから、あちらに行ったりこちらに行ったりいたしまして、大変御迷惑をおかけいたしましたことをもう一度重ねておわびを申し上げます。  それでは、提案理由を御説明申し上げます。  原子力損害賠償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  原子力開発利用を進めるに当たりましては、安全の確保を図ることが大前提であることは申すまでもありませんが、さらに万一の際における損害賠償制度を整備充実し、被害者の保護に万全を期することにより国民の不安感を除去するとともに、原子力事業の健全な発達に資することが必要であります。  このような観点から、原子力損害賠償に関する法律が昭和三十六年に制定され、原子力事業者に無過失損害賠償責任を課すとともに、原子力事業者への責任の集中、損害賠償措置の義務づけ等の一連の制度を導入し、さらにその後の諸情勢の変化に対応して所要の法改正が行われてきたところであります。  平成元年の法改正以来九年を経過した現在、最近における原子力損害賠償制度に係る内外の状況の進展にかんがみ、賠償措置額を引き上げ、原子力損害賠償補償契約及び原子力事業者に対し政府が行うものとされる援助に係る期限を延長するための措置を講ずるとともに、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案において新設することとなる使用済み燃料の貯蔵の事業に係る原子力損害賠償の対象とするための措置を講ずることが不可欠であります。  これら諸点につきまして検討を行い、ここに改正案を取りまとめ提出した次第であります。  以上、本法案を提出いたします理由につきまして御説明申し上げました。  次に、本法案の要旨を述べさせていただきます。  第一に、現在の賠償措置額三百億円につきまして、民間責任保険の引受能力や国際的動向といった点を総合勘案し、六百億円に引き上げることといたしております。  第二に、原子力損害賠償補償契約及び原子力事業者に対し政府が行うものとされる援助に係る期限を延長し、平成二十一年十二月三十一日までに開始された原子炉の運転等に係る原子力損害について適用するものとしております。  第三に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案におきまして、使用済み燃料の貯蔵の事業に関する規制を新たに設けることとすることに伴いまして、原子力損害賠償する責めに任ずべき原子力事業者として使用済み燃料の貯蔵の許可を受けた事業者を加える等所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  174. 北側一雄

    北側委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明十二日金曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十七分散会