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1999-08-05 第145回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月五日(木曜日)     午後一時三分開議   出席委員    委員長 石破  茂君    理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君    理事 実川 幸夫君 理事 武部  勤君    理事 玉置 一弥君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       亀井 善之君    菅  義偉君       田中 昭一君    宮島 大典君       望月 義夫君    森田  一君      吉田六左エ門君    米田 建三君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       赤松 広隆君    今田 保典君       佐藤 敬夫君    高木 義明君       永井 英慈君    遠藤 乙彦君       倉田 栄喜君    岩浅 嘉仁君       辻  第一君    平賀 高成君  出席国務大臣         運輸大臣    川崎 二郎君  出席政府委員         警察庁刑事局長 林  則清君         運輸省運輸政策         局長      羽生 次郎君         運輸省鉄道局長 安富 正文君         運輸省航空局長 岩村  敬君         建設省道路局長 大石 久和君  委員外出席者         参考人         (西日本旅客鉄         道株式会社専務         取締役執行役         員鉄道本部長) 櫻井 紘一君         参考人         (財団法人鉄道         総合技術研究所         理事)     佐藤 泰生君         運輸委員会専門         員       長尾 正和君 委員の異動 七月二十七日         辞任         補欠選任   平野 博文君     赤松 広隆君   松本  龍君     佐藤 敬夫君 八月五日         辞任         補欠選任   橘 康太郎君     渡辺 博道君   寺前  巖君     辻  第一君 同日         辞任         補欠選任   渡辺 博道君     橘 康太郎君   辻  第一君     寺前  巖君 八月五日  JR紛争早期解決に関する請願小坂憲次紹介)(第九四一号)  同(村井仁紹介)(第九四二号)  同(小川元紹介)(第一〇〇二号)  同(羽田孜紹介)(第五二六二号) は委員会の許可を得て取り下げられた。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件(山陽新幹線福岡トンネルコンクリート剥落事故等)  航空に関する件(全日空六一便ハイジャック事件)  航空機ハイジャック再発防止に関する件  派遣委員からの報告聴取  JR紛争早期解決に関する請願小坂憲次紹介)(第九四一号)、同(村井仁紹介)(第九四二号)、同(小川元紹介)(第一〇〇二号)及び同(羽田孜紹介)(第五二六二号)の取下げの件     午後一時三分開議      ————◇—————
  2. 石破茂

    石破委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、御報告いたします。  去る七月二十三日、全日空六一便がハイジャックされ、同機機長長島直之氏が犯人凶刃の犠牲になるという痛ましい事件が起こりました。まことに残念であり、痛惜の念にたえません。  ここに、故長島直之氏と御遺族方々に衷心より哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 石破茂

    石破委員長 黙祷を終わります。御着席願います。      ————◇—————
  4. 石破茂

    石破委員長 陸運に関する件及び航空に関する件について調査を進めます。  本日は、特に山陽新幹線福岡トンネルコンクリート剥落事故等及び全日空六一便ハイジャック事件について政府より説明聴取し、質疑を行います。  まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  陸運に関する件調査のため、本日、参考人として西日本旅客鉄道株式会社専務取締役執行役員鉄道本部長櫻井紘一君及び財団法人鉄道総合技術研究所理事佐藤泰生君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石破茂

    石破委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  6. 石破茂

    石破委員長 去る七月二十六日及び二十七日の両日、山陽新幹線福岡トンネルコンクリート剥落事故実情調査のため、福岡県に委員派遣を行いました。  この際、派遣委員から報告聴取いたします。久野統一郎君。
  7. 久野統一郎

    久野委員 去る七月二十六日から二十七日までの二日間、山陽新幹線小倉—博多間の福岡トンネル発生したコンクリート剥落事故実情調査のため、福岡県に派遣されました。  この際、派遣委員を代表して、私からその調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、石破茂委員長を団長として、衛藤晟一君、実川幸夫君、赤羽一嘉君、渡辺具能君、平野博文君、松本龍君、岩浅嘉仁君、平賀高成君、そして私、久野統一郎の十名であります。  調査は、新幹線営業運転終了後の深夜から未明にかけて行いました。  七月二十六日夜福岡に到着した後、翌二十七日午前零時より、福岡市内会議場にてJR西日本南谷昌二郎代表取締役社長及び櫻井紘一専務取締役鉄道本部長より山陽新幹線福岡トンネルコンクリート剥落事故概況等について説明聴取いたしました。  冒頭に南谷社長より、今回の福岡トンネル事故により利用客関係者心配をかけたこと、同時に、高架橋からコンクリート片落下するという事象が続けて発生しており、山陽新幹線安全性について社会に不安を与えたことについてのおわびの言葉がありました。また、全力を挙げて点検実施補修を行うとともに、専門家も入れた委員会により抜本策検討すべく鋭意進めていること、さらに、今回の事故は想像をしていなかったこととはいえ、新幹線信頼性を疑わせるような事象発生したことを重大に受けとめており、全力を挙げて信頼を回復していきたい旨の発言がありました。  次に、櫻井鉄道本部長より、事故概況山陽新幹線トンネル調査実施と結果、対策実施等について説明がありました。  まず、事故概況ですが、去る六月二十七日午前九時二十四分、山陽新幹線小倉—博多間の福岡トンネル内で、下り線の覆工コンクリートの一部が剥落し、新大阪発博多行きひかり三五一号の屋根の上に落下する事故発生いたしました。このため、パンタグラフが破損し、架線曲引き金具が損傷して架線停電となりましたが、車両応急処置架線の復旧を行い、運転に支障がないことを確認した後、約四時間後に開通したとのことであります。  今回の事故原因としては、剥落箇所の上辺にコールドジョイントと呼ばれる部分があり、その下部コンクリート内部不連続面が見つかっていることから、この不連続面を起点に何らかの事情でひび割れが発生し、これがコールドジョイントと結びついて剥落に至ったものと推定しておりますが、詳細については引き続き調査が行われております。  次に、山陽新幹線トンネル調査実施についてですが、今回の事故を受けて、JR西日本山陽新幹線のすべてのトンネル緊急点検した結果、コールドジョイント部が全線で二千四十九カ所存在することを把握するとともに、当面剥落発生するおそれのある箇所は存在しないことを確認いたしております。  さらに、JR西日本では、コールドジョイント部をより詳細に調査するため、七月四日より至近距離からの打音検査実施しています。七月二十一日朝までの集計では、濁音箇所の数は全体の約一三・七%に当たる二百八十一カ所との報告を受けました。  次に、JR西日本による対策実施でありますが、打音検査の結果、濁音が観測された箇所については、そのすべてに対して念のための予防的措置実施中であり、八月十日までには完了する予定としております。  今回の事故によるコンクリート剥落部分については、予防的措置として、剥落付近の浮いたコンクリートをたたき落とし、表面接着剤として樹脂を塗布した上、覆工表面剥落予防のため等辺山形鋼アンカーボルトにより取りつけるアングル工法による措置がとられています。JR西日本では、このような措置により列車運行の安全は十分に保たれていると考えております。  また、対策工法等については、今後、運輸省検討会指導を受けるとともに、JR西日本社内トンネル対策検討会においても検討を進め、年度内目途に、トンネル補修方法保守管理あり方について取りまとめを行うこととしております。  概況説明等聴取後、福岡トンネルへ向かい、トンネル西口から約二キロメートル内のコンクリート剥落箇所状況及び打音検査状況等を視察いたしました。視察終了後、トンネル西口に設けられた会場にて記者会見を行い、午前三時ごろに全日程を終了いたしました。  最後に、私たちは、事故現場を見て、今までは施工上やむを得ない施工継ぎ目であり、それだけでは事故に至らないと考えられてきたコールドジョイントについて、他の要因が加われば大きな弱点となり、場合によっては大変な惨事を引き起こす可能性があるということを実感するとともに、今回の事故が極めて重大な問題であると改めて認識した次第であります。  今回視察したJR西日本を初め、全国JRその他鉄道関係者問題箇所点検再発防止に向けて懸命の努力を行っていることに対し、心から御慰労申し上げますが、今後必要なことは、今回の事故原因究明及び他地域における問題箇所点検、把握を速やかに行うことと、再発防止のための抜本的な対策を講ずることによって、国民の不安を払拭することであります。今後、委員会審議等を通して、一刻も早く安全対策が図られるよう政府及び関係機関を督励してまいりたいと考えております。  以上が調査概要でありますが、深夜にもかかわらず、調査に御協力をいただきましたJR西日本政府関係機関皆様に感謝を申し上げて、報告を終わります。
  8. 石破茂

    石破委員長 これにて派遣委員からの報告聴取は終わりました。  次に、山陽新幹線福岡トンネルコンクリート剥落事故等及び全日空六一便ハイジャック事件について政府より説明を求めます。川崎運輸大臣
  9. 川崎二郎

    川崎国務大臣 初めに、去る六月二十七日に発生いたしました山陽新幹線福岡トンネルにおけるコンクリート剥落事故概要と、その後の取り組みについて御報告申し上げます。  まず、事故概要ですが、平成十一年六月二十七日午前九時二十四分、山陽新幹線小倉—博多間で停電発生し、下りひかり三五一号が、延長約八・五キロメートルの福岡トンネル出口を通過後、同出口付近で停止しました。このため、点検を行ったところ、一部のパンタグラフが損傷していることが判明しましたので、同箇所について応急処置を行った後、博多までの運転を行いました。  その後の調査により、ひかり三五一号の車両屋根上にコンクリート片が発見され、また、下り線側トンネル覆工の一部が剥落していたことから、トンネル内の壁面のコンクリートの一部が走行中のひかり三五一号に落下し、パンタグラフを損傷させたことが判明しました。  コンクリート落下原因については、現在、科学的な分析作業を行うことにより詳細を調査中ではありますが、現時点では、剥落部上部コールドジョイント部が存在したこと、また、その下部コンクリート不連続面があったことから、剥離が生じ、それが徐々に進行し、剥落に至ったものと推定されています。  運輸省としては、安全の確保運輸の基本との認識から、同種事故再発防止を最も重要な課題と受けとめ、今回の事故に対応してまいりました。  具体的には、六月二十八日に、九州運輸局からJR西日本に対し、事故原因究明及び具体的な再発防止対策の策定を行うとともに、事故時の連絡体制の確立を図るよう文書により指示し、七月三日には、同局の担当官を現地に派遣しております。  また、本省からは、六月二十八日に、同種事故再発防止のため、事故原因と推定される明瞭な不連続面となっている施工上の打ち継ぎ目部、いわゆるコールドジョイント部中心に、新幹線トンネルについて七月末までに緊急に安全総点検実施するとともに、必要に応じ適切な措置を講じるよう、JR東日本JR東海JR西日本に対して指示いたしました。  さらに、七月五日には、JR在来線民鉄地下鉄等を含むトンネルを有する全鉄道事業者に対し、同様の事故発生のおそれのあるトンネル中心とした点検を行うよう指示したところであり、これらの指示を受け、現在、鉄道事業者においてトンネル点検及び所要対策が鋭意進められております。  このうち、JR西日本では、七月六日までに山陽新幹線の全トンネルにおいて目視検査実施し、二千四十九カ所のコールドジョイントを発見しました。その後、これらのコールドジョイント部周辺での打音検査実施し、七月二十四日までにすべての検査を完了し、八月四日までに、濁音が観測された三百一カ所について所要対策を講じたところであります。  また、安全総点検の進展を踏まえ、七月二十二日に本省から大臣官房技術審議官福岡トンネルに派遣し、事故現場及び点検状況について調査を行いました。  なお、このほかの新幹線に係る総点検結果については、JR東日本点検実施した東北上越北陸新幹線については、コールドジョイント数二百五十二カ所、濁音観測箇所九カ所であり、これらの箇所について既に所要対策を講じたところであります。また、JR東海点検実施した東海道新幹線については、コールドジョイント数三十五カ所、濁音は観測されなかったとのことであります。  運輸省としては、今回のトンネル内のコンクリート剥落事故コールドジョイントに起因するという予想もしなかった現象であり、また、このことが鉄道運行の安全に直結する重大かつ緊急のテーマであるとの認識のもと、トンネルの安全問題について、今後JR西日本が行う原因究明調査鉄道事業者各社点検結果等を受け、トンネル構造物に関するコンクリート問題についての検討会を開催し、トンネル点検方法補修方法等を含め、中長期的な保守管理あり方について年度内目途に取りまとめることとしたところであります。  なお、他省庁においてもトンネル点検実施しており、十分連携をとりながら進めてまいりたいと考えております。  また、このトンネルにおけるコンクリート剥落問題とは別に、近年、山陽新幹線高架橋等コンクリート片落下事例が相次いでおり、JR西日本調査結果では、平成八年度から現在まで四十七件に及んでいることが判明し、同社では、この問題についても総点検と必要な対策を既に実施したところであります。  この問題については、従来からJR西日本社内委員会においてその原因対策等検討してきたところでありますが、運輸省では、なお高架橋コンクリート片落下が相次いでいる現状を踏まえ、今般、その検討体制強化することが必要と考え、鉄道総合技術研究所に新たに委員会を設置し、山陽新幹線コンクリート構造物剥落等を防止するとともに、健全性を維持するための方策を確立するよう指示しました。なお、この委員会には国の職員も参加する予定であります。  山陽新幹線福岡トンネルにおけるコンクリート剥落事故概要と、その後の取り組みについて御報告させていただきました。  運輸省としては、早急に緊急点検や必要な対策実施し、今回の事故で損なわれた鉄道安全性への信頼を回復するとともに、今後のトンネル保守管理あり方検討し、同種事故が二度と発生することのないよう、最善の努力を尽くしていきたいと考えています。  委員会委員皆様におかれましても、引き続き、御支援、御協力を重ねてお願い申し上げます。  続きまして、全日空六一便ハイジャック事件について御報告申し上げます。  去る七月二十三日、十一時二十三分羽田発新千歳行き全日空六一便が離陸直後の十一時二十五分にハイジャックされ、同機は、一たん大島上空付近まで飛行した後、米軍横田基地方面に向かい、十二時十四分、羽田空港に着陸しました。犯人を除く乗客五百二名は無事に降機いたしましたが、この間に、同機長島直之機長犯人凶刃に倒れられ亡くなられるという、真に痛ましい事態となりました。まずは、みずからの命をもって乗客、乗員の安全の確保に尽くされた長島機長のみたまに心より哀悼の意を表しますとともに、御遺族方々に心よりお悔やみを申し上げる次第であります。  運輸省としては、このハイジャック事件重大性にかんがみ、まず、同日十一時四十五分に航空局長本部長とする航空機不法奪取事件対策本部を設置しました。私は、対策本部を直接指揮するとともに、十三時三十分に羽田空港における保安対策基準を厳戒時に適用するフェーズIIに引き上げるよう指示し、十三時四十五分にこれを全国空港に拡大させました。  さらに、運輸省では、同日十七時三十分に、航空局長本部長とする全日空六十一便ハイジャック事件原因究明再発防止対策委員会を設置するとともに、航空会社等に対し、改めて保安対策基準強化等について文書による指示を行いました。  その後の捜査機関からの情報によれば、犯人は、二十三日早朝に一たん伊丹空港に赴き、伊丹空港において凶器の入ったかばんを羽田行きの便に託送し、羽田空港受託手荷物引き取り場でこれを引き取り、通行禁止階段を通じて同空港出発ロビーに上がり、全日空六一便に搭乗したということであります。  羽田空港では、既に二十四日早朝より、事件後の全般的な空港保安強化策の一環として、羽田空港受託手荷物引き取り場と出発ロビーを結ぶ階段四カ所に警備員を配置させたところでありますが、さらに、翌二十五日には、全国の他の空港で同様の問題がないかどうか総点検実施し、問題のある空港においては直ちに緊急の対策が講じられたところであります。  また、八月二日には、私が定期航空運送事業者十一社の社長を招集し、空港における保安措置についての検討課題を早急に整理の上、実行可能なものから逐次実施するよう指導するとともに、次の事項については直ちに実施するよう各社に強く要請いたしました。  すなわち、  一、保安措置について外部から投書等を受けた場合の社内連絡体制明確化  二、全国エックス線検査装置及び金属探知器の最新のものへの入れかえや随時接触検査継続による機内持ち込み検査徹底  三、受託手荷物に危険なものが含まれていないかどうかの乗客への確認や随時開披検査実施による受託手荷物に対するチェックの強化  四、逆流防止のための警備監視要員配置継続  五、利用者へのハイジャック対策に係る協力依頼に関する共同広告実施 であります。  また、機内ハイジャック対応マニュアルの見直しを行い、早期に結論を得ることとし、あすより有識者による検討会を開始することといたしました。これとの関連で、機長判断による一般客操縦室見学は廃止するよう各社に強く要請いたしました。  さらに、八月三日には、航空局長全国空港ビル管理者を招集し、ターミナルビルにおける保安措置についても指導を行ったところであり、羽田空港受託手荷物受け取り場から出発ロビーへの逆流防止設備については、近々着工することとしております。  なお、犯人は、六月中旬に羽田空港保安体制の不備を指摘する投書羽田空港警察署空港ビル等に送付し、その後、航空会社及び空港事務所にも送付してきたため、警察連携をとりつつ、空港事務所指導のもとに航空会社等では直ちに講じることができる措置を講じ、引き続き施設の改良等について検討を行っていたやさきに犯行が行われました。このような状況の中で、結果としてハイジャックが起こったことは、極めて遺憾であり、厳粛に受けとめております。  いずれにいたしましても、本件の重大性にかんがみ、運輸省としては、既に緊急措置を講じているところでありますが、今後とも、関係省庁の御協力を得ながら原因究明徹底及び再発防止策のさらなる検討を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  10. 石破茂

    石破委員長 以上で政府説明は終了いたしました。     —————————————
  11. 石破茂

    石破委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
  12. 玉置一弥

    玉置委員 まず、本日の委員会の審査の対象でございます全日空六一便のハイジャック事件、そして山陽新幹線福岡トンネルコンクリート剥落事件、この件でございますが、特に長島機長に対しましては、この事件で殉職をされたということでございまして、心から哀悼の意を表したいと思います。  また、交通関係全般でございますが、特に乗務員の責務といいますか、この辺については、いろいろな規約を見ても、乗務員に任されているというところが非常に強いわけでございます。そのためにも、逆にある程度マニュアル的なものをしっかりしておかなければいけないし、場合によっては強制法的に社内規則あるいは法律によって定めるということで、ある程度指針を明確にすべきではないかとまず感じました。  航空機問題につきましては、同僚の細川委員の方から質疑をさせていただきます。その点をまず申し上げておきたいと思います。  私の方は、コンクリート剥落事件、特に鉄道トンネルあるいは高架橋等々につきまして、御質問をしていきたいと思います。  六月二十七日の山陽新幹線福岡トンネル内の事件ということで、ここで大きなコンクリートの塊が剥落をいたしまして、ゼロ系の新幹線車両が大分大きく破損をしたということであります。この問題を契機にして、一斉にいわゆる構造物検査が今行われているわけでありますが、中身からいきまして、いろいろ問題点がございます。  一つは、山陽新幹線がつくられる前に東海道新幹線がつくられました。そして、山陽新幹線がつくられました。それに続いて上越東北新幹線がつくられた。こういう順番につくられてきたわけでありますが、先ほど大臣報告にもありましたように、コールドジョイント部発生箇所といいますか、特に長さでいきますと、キロ当たりといいますか、その割合が非常に山陽新幹線に多いということですね。例えば、一キロ当たりコールドジョイントの数でいきますと、山陽新幹線トンネル部分コールドジョイント数、二千四十九ということでございますが、これは一キロ当たり七・三カ所になる。JR東海の場合は〇・五という非常に少ない数字。JR東日本は一キロ当たり一・四ということですね。これだけ発生の比率が違うということでございます。  当初、設計段階は、JRの前身でございます国鉄の時代に国と共同でやられてきたということでありますが、同じようなことをやられながら、なぜこういうふうにそれぞれ違った形でトンネルができ上がってしまっているか、トンネルだけじゃなくて、高架橋とかいろいろな部分も調べれば大体付随して結果が出てくると思いますが、大分違った様子ででき上がっているんじゃないかというふうに非常に心配をいたしております。  そこで、この問題点の追求ということになりまして、きょうもお見えでございますが鉄道総研さんとか運輸省、あるいは国の機関の中でもいろいろ調査をされているということであります。  私たちがともかく一番心配になってまいりますのは、新幹線が一番最初にでき上がりました昭和三十九年、それから随時でき上がって、昭和五十年ですか、山陽新幹線が完成したのは。その後は東北上越というふうに続いてきたわけでありますけれども、その同じ仕様なり同じ研究をされてやってこられた鉄道技術、いわゆる土木技術になりますが、この土木技術についてどういうふうに違いがあったのかということをまずお聞きをしたい。これは設計仕様とか工事の発注の方法、あるいは監督とかいうようなことがあると思いますが、少なくともトンネルあるいは高架橋について、どこの基準に基づいて、どういう手法で発注をされてやってこられたのかということをお聞きしたいと思います。
  13. 安富正文

    ○安富政府委員 まず、東海道新幹線、それから山陽新幹線東北新幹線、この三つにつきましては、国鉄が建設しております。それから、上越新幹線については、鉄建公団が建設してJRが運営しているということでございます。  国鉄が建設を行った山陽新幹線等を例にとりますと、まず、設計につきましては国鉄建造物設計標準というのがございまして、これに基づいて具体的に、工事発注の国鉄の新幹線工事局において責任を持って設計をしているところでございます。仕様自体は、請負契約書あるいは図面、それから国鉄土木工事標準示方書というのがございまして、これによって必要な仕様を定めまして、請負業者に工事の実施指導しておるところでございます。さらには、工事発注につきましては、指名競争入札等の入札方式で実際に発注を行っているということでございます。  こういう形で請負業者に工事の実施を依頼した後、具体的な工事の監督でございますが、工事の施工に先立ちまして、国鉄土木工事標準示方書に基づきまして、請負業者から、施工体制であるとか施工の時期、施工の方法などについて必要な書類を提出させております。これを国鉄が確認するということによって万全にできるようにということをチェックしております。さらに、工事中においては発注元の新幹線工事局で定めます工事監督しゅん功検査要領というものに基づきまして、トンネルの内空とかコンクリートの覆工厚さ、こういうものが設計と相違していないかどうか、これを必要に応じて現場立ち会い等で確認するということをやっております。またさらには、出来高払い時あるいは竣工時に検査員が竣工の検査を行うという形で実施しているところでございます。  これは鉄建公団についても基本的に同様な形で、従来からそれぞれの新幹線についてやっているところでございます。
  14. 玉置一弥

    玉置委員 そういう同じようなところで計画されて、新幹線工事局というところで発注をされるということでありますが、余りにも山陽新幹線東海道新幹線東北新幹線と、でき上がり方が違うわけですね。  この中で、西日本さんにちょっとお聞きをしたいのでございますが、実は十二年前に劣化異常が指摘をされた、こういうことが毎日新聞の夕刊に載っておりました。高架橋でのコンクリート落下あるいはトンネル内での落下ということで、その後ひび割れとかそういうことが目立ってきたということで抜き取り検査をやりました。その結果、本来は強アルカリ性であるはずのコンクリートが、わずか十年で外壁から内部にかけて平均一・五センチにわたって中性化が進んでいた。  これは七五年に建設をされ、八五年に検査されたということでございますが、それにどういうふうな対応をされたかということです。この新聞に指摘されていますのは、抜本的な対策がその後進められていなかったということがまず書かれていますね。それで、今回の調査も、それ以前のいろいろな検査も通じまして、東海道新幹線山陽新幹線の中の施設類のでき上がりぐあい、この辺が異常に違う数値が出ておりますので、その辺も含めて。  それから、十二年前に劣化異常が指摘をされたということでありますが、このことを御存じだったのかどうかということと、どういう措置をされたのか、その二つをお答えいただきたいと思います。
  15. 櫻井紘一

    櫻井参考人 先生が御指摘のとおり、国鉄の時代から、山陽新幹線について約十年程度の段階で若干のコンクリートの劣化というものが出始めているという認識がございました。そういう中で、それに対して原因あるいはそれに対する対処方ということでの取り組みがあったわけでありますが、JR西日本になりましてから、その取り組みに対して、やはり私どもも大変重要な事柄であるという認識のもとに、コンクリート委員会というもので、大学の権威の方々にも入っていただいて、コンクリートの劣化についての研究、検討を進めてまいりました。  その結果、山陽新幹線の劣化のメカニズムといたしましては、コンクリートと炭酸ガスによります中性化の進行ということがコンクリートの剥離あるいは鉄筋コンクリートのさびにつながっていくということが判明をいたしまして、それに対する対策に鋭意取り組んでまいったところであります。金額で申し上げますと、今までに約二百億の修繕費をかけて処置をしてまいったところでございます。  以上でございます。
  16. 玉置一弥

    玉置委員 鉄道総研さんにお聞きをいたしますが、検査の仕方とかそういうものはJRになってからは各社違うと思いますけれども、工事の段階では新幹線工事局ということでありますね。それで、できました結果が、先ほどから指摘されておりますように、各社の、各社というか新幹線ごとに大変大きな差が出ているということであります。今回のことも含めていろいろ研究をされていると思いますが、その辺の原因はどこにあるとお思いになりましょうか。わかればお答えいただきたい。
  17. 佐藤秦生

    佐藤参考人 お答えいたします。  鉄道総合技術研究所でございますが、ただいま、JR西日本から本件の事故につきまして依頼を受けまして、原因調査協力してやっているところでございます。現時点、まだ調査中でございます。それからもう一つ、本件につきましては福岡トンネル事故についての調査依頼でございますので、お話のありましたような各トンネルにおけるコールドジョイントの違いその他につきましては、今後のいろいろな検討する場面におきまして、また報告をいただきつつ検討していくということになろうかと思います。
  18. 玉置一弥

    玉置委員 引き続きでございますが、先ほど言いましたように、一キロ当たりコールドジョイント部分がそれぞれ大幅に違うということであります。コールドジョイントの強度といいますのは、こういう剥落の前にも何か技術屋さんの中ではやはり問題視をされているという部分なんですね。それが十分指摘をされながら、特に西日本のトンネル内部あるいはそのほかの構造物に非常にたくさん見られるということなんでして、これをやはり一つ考えていかなければいけないと思います。  昭和三十九年に新幹線が一番最初にできました。山陽が、七五年ですから五十年にできました。というふうになっていくわけでありますが、当初設定の最高速度とか車両重量とか本数、そういうものがあります。ですから、計画されたいわゆる荷重に対して今がどうなっているかということもやはり問題になってくるかと思うのですが、それがまず西日本の関係においてどうなのか。  それからあとは、当初設定に対して、今、数字がふえているはずなんですけれども、そうなったときに、耐用年数あるいは改修、メンテナンスについてどういうことが必要なのか。こちらは鉄道総研の方にお答えをいただきたいと思います。
  19. 櫻井紘一

    櫻井参考人 山陽新幹線について申し上げますと、山陽新幹線は五十年の三月に開業いたしたわけでございますが、その際の列車本数は一日当たり百十七本、運転最高速度は時速二百十キロでございました。また、そのときの新幹線車両でございますが、これはゼロ系車両ということでございましたが、ゼロ系車両の平均的な重さが六十四トンということでございます。一両当たり約六十四トン。軸重にして十六トン、一軸当たりの重さで申し上げますと、十六トン程度ということだったわけでありますが、現在では列車本数が二百六十六本、最高運転速度は、五〇〇系のぞみのみでありますが、時速三百キロの速度で運転をいたしております。  なお、五〇〇系で申し上げますと、車両重量は大変軽くなっておりまして、一軸当たり十一トンということでございますから、ゼロ系に対しましては約六割強ということで、大変軽量化を図った中で高速化をやっておるということでございます。  以上でございます。
  20. 佐藤秦生

    佐藤参考人 お答えいたします。  御質問の趣旨でございますが、列車の本数がふえる、速度がふえる、あるいは荷重がふえるという場合に、例えば線路とか構造物の強度がどのようになってくるかということが御趣旨であろうかと思います。  それで、基本的には、荷重が増加する、本数が増加するということになりますと、その分だけ構造物あるいは線路に負担がかかってまいります。その負担がかかるぐあいにつきましては、鉄道総合技術研究所でいろいろな研究をしております。特に大きな速度向上が起こるような場合につきましては、例えばJR西日本さんの場合には事前にいろいろな相談がございまして、その相談の中で、研究結果に基づいて果たして安全であるかどうかということを検討した上でいろいろ御協力をする、このような仕組みをとっております。  そのようなことが現在のいろいろな場面、JR各社で行われる場面になっておりますので、私どもの研究の成果を御利用いただいて安全を確保していただくというようなことでございます。
  21. 玉置一弥

    玉置委員 今回、西日本さんのお話によりますと、本数は約二倍近くになっているということであります。重量の方は軽くなりましたけれども、速度の方はのぞみが三百キロで、在来線は二百二十から三十ですよね。これも若干ふえてきている。それから、場合によっては二階建てがあります。これは重いですよね。ということを考えていきますと、当初の設定よりも荷重としては大分ふえてきているのではないかというふうに思います。  そうなってくると、やはり工事、レールの取りかえとか締めつけ、ラバーの張りかえとか、いろいろあると思いますが、その辺を頻繁にやらなければいけないというのと、やはり基礎の部分に対する影響、特に高速化しますと振動がかなり強くなりますから、軽くなっても、強くなるということを考えていきますと、従来のメンテナンスあるいは耐用年数の計算では、なかなか当初の計画どおりいかないだろうというふうに思うのです。  西日本さんで十二年前に、既に十年を経過した時点で中性化の指摘がされているということで、これはまず鉄道総研さんとしてもお聞きになっているのかどうか。それから逆に、今までの新幹線の耐用年数に対して今どういう状態なのかということをお聞きしたいと思います。  これはどちらか、お答えできる方で結構です。
  22. 櫻井紘一

    櫻井参考人 それぞれの負荷がふえておるということでございますが、先ほど先生のおっしゃいました一〇〇系の場合も、二階建てにはなっておりますが、重さはゼロ系と同じ範囲内におさめております。といいますのは、レールの負担力の関係で、十六トン以下ということで構造基準上設定をいたしておりますので、すべての車両はそれ以内におさめて設計していくということでやってまいっております。なおかつ、高速化に伴いまして、五〇〇系の場合には相当軽くした形で車を開発したということでございます。  それで、耐用年数の関係でございますが、まず一つは、車両の関係につきましては、おおむね二十年ないし二十五年ということで使用いたしております。ただし、これにつきましては、定期的に全般検査、台車検査あるいは交番検査、仕業検査ということで、きちっとした検査と修繕を繰り返す中で使用できる年数が約二十年ないし二十五年、場合によっては延命工事ということで補強もやっていく、こういう前提で考えて、現在使用しておるところでございます。  それから、軌道につきましては、レールの形状あるいは摩耗状況によって取りかえてまいりますので、あらかじめの耐用年数ということではなくて、使用の線路の形状の性能とかそういう部分でふぐあいになった部分はどんどん取りかえていくということで、実施をいたしております。  それから、構造物の関係のトンネルあるいは高架橋の関係でございます。これにつきましては、私どもの認識としましては、コンクリート構造物ということで、五十年、百年ということで当然もたせていくものであるし、相当の程度長くもつという前提で考えてまいっておりますが、先ほど来出ております事象というものを踏まえまして、さらに今後きちっと検討をしてまいる、こういう認識でおるところでございます。
  23. 佐藤秦生

    佐藤参考人 鉄道総研が、十二年前というお話でございましたけれども、その件についてお答えはちょっと今できません。  ただ、この問題につきましては、JR西日本さんの方で随分以前からいろいろ研究をしていた、あるいは検討をしていたところでございまして、私どもの鉄道総研の関係するメンバーもコンクリートのいろいろな委員会に出まして、その状況あるいは学問的なことでアドバイスをしたり、または協力申し上げたという経緯がございます。
  24. 玉置一弥

    玉置委員 コンクリート委員会をつくられてかなりやっているという話を聞いておりますので、以前から注目はされていたということでございます。  新幹線各社の各線でこれだけの違いがあるというのは、やはり発注の方法と工事現場のチェックだと思うのですね。その辺が非常に問題なんですが、これはJR各社に責任があるのか、あるいは当時の国鉄を仕切っていた運輸省に問題があるのか、どこに問題があるのでしょう。ちょっとよくわからないのですが、これはだれに聞けば、鉄道局長大臣
  25. 安富正文

    ○安富政府委員 基本的に、国鉄時代につくられた山陽新幹線、その施設を現在JRが引き取って保有しているということでございますので、少なくとも、鉄道施設の補修等について、それを適切に保つということについては、第一義的には、現在の施設所有者であるJR西日本において、いろいろな形で責任をとるべきものというふうに考えております。
  26. 玉置一弥

    玉置委員 では、JR西日本さんにお聞きします。前につくられたものの責任は、不良箇所も設計ミスも全部含めてJR西日本にあるという運輸省のお答えでございますが、いかがでございますか。
  27. 櫻井紘一

    櫻井参考人 現時点におきましては、今回のコンクリート剥落原因についてなお調査中でございますので、そういった面では回答は直接は差し控えさせていただきたい、このように思っております。
  28. 玉置一弥

    玉置委員 回答も何も、いろいろな問題が出てきたら、どこの責任でだれが処理して、そのお金はだれが負担するのかという非常に簡単な問題なんですね。ですから、この結果が出る出ないにかかわらず、こういう問題が起きたときにどうかというお話でございますから、いかがでございますか。
  29. 櫻井紘一

    櫻井参考人 山陽新幹線の施設につきましては、平成三年の十月に当社の資産として譲渡されておりまして、この資産につきまして、私どもは責任を持って管理に当たっております。  ただ、先生御指摘の、仮に今回の剥落等建設時点の施工のふぐあいあるいは不良ということが明らかになった場合、こういう点につきましては、私ども、法的な側面を含めて検討してまいりたい、このように考えております。
  30. 玉置一弥

    玉置委員 設計当初あるいは工事の当初からのミスであれば国に対してその費用負担を要求する、こういうことですね。そういう理解でよろしゅうございますか。
  31. 櫻井紘一

    櫻井参考人 さまざまな面を検討しまして、法的な側面等検討してまいるということでございます。
  32. 玉置一弥

    玉置委員 合理的にというのはよくわからないんですが、自分のところの所有物ですから、買ったときに検査していなかったら、買ったときに検査しない方が悪いんですね。それを承知で譲り受けたということになるんです。それでいいのかどうか。わからなかったわけでしょう、今まで。わからなかった、だから、設計の基本的なミスなのか、あるいは当初設計より、先ほど、利用本数は二倍になっていますよね、要するに、予測したより弱かったのか、だから耐用の強度を超えてしまったということでの剥落が起きたのかということになってきますね。  あと、これだけで済めばいいですけれども、あるいは、これから総点検したら中性化がどんどん進んでいていろいろなところに物すごく手が入る、そういう心配をしているわけですね。それが、JR西日本さん、上場会社ですから、上場会社がその負担で耐え切れず赤字になったときに、株主に対していろいろ影響が出てくるわけです。そういうことを考えると、やはり譲り受けたときのもとが悪かったら、製造者責任というのがあるわけですから、その製造者責任を追及すべきではないかと私は言っているわけです。  それを思うと、どうなんですか、こういうことなので、合理的にということで、合理的にというのは半々とかいろいろな意見がありますけれども、そういうことじゃなくて、もとが悪かったら、要するに基準、皆さん方、十六トンの荷重にさえ耐えれば本数がふえてもいいということで、そういうことが技術上通っていたのかどうかということ、それから、普通のものだったらそうですけれども、そうでなかったということがわかったときにどうするかということなんですよね。要するに、決められた仕様で、これは何年間、このぐらいもちますよということでやってきて、その範囲内であれば結構もちます。低ければ低いほどもつということなのか、あるいはもう勝手に風化していくのか。振動とか重量とかで変わってくるというのがありますね。そういう仕様上のことを超えてしまっていたのかということなんです。  仕様上のことを、今は十六トン以下であれば幾ら使ってもいいみたいなお答えがさっきありましたけれども、私はそうじゃないと思うんですよ。やはり使えば使うほど振動はふえますし、補修にお金がかかるし、回数を従来より細かくやらなければいけないといういろいろな問題があるのですね。それも逆に構造上の話かもわからないということなので、要するに、民間の株式会社という立場と交通安全という立場、交通安全に一生懸命力を入れれば株式会社としては危なくなるわけですね、収益という面から考えていくと。  そういうものを考えて、一生懸命片方ではやれやれと言われてやって、それで場合によってはトンネル全部つくりかえという可能性もありますね、構造物全部補強というのもあります。そうなってきたときのことを考えると、適正にという、そんな甘いものじゃなくて、このぐらいが限度だ、もうあとは国の責任だとかいう話になってくると思うのですが、その辺があいまいじゃないかというわけですね。その辺、どうですか。
  33. 櫻井紘一

    櫻井参考人 私どもの山陽新幹線構造物につきましての保守管理、維持管理の部分については私どもに責任がある、このように考えております。  もう一方、まだ原因がはっきりいたしておりませんので、今後いろいろと御検討いただく、あるいは検討を進めていくということでございますが、先生がおっしゃいますように、仮に、つくった段階、建設時点におきます施工不良ということが原因であるということが明らかになった場合は、いわゆる法的側面からどのような形ができるのかということを検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  34. 玉置一弥

    玉置委員 発注時点に戻るわけでございますが、新幹線の工事局で発注された結果、このように三つの大きな差ができてしまったということでありまして、運輸省で、なぜこれだけの差ができたのかということを把握されていますか。  一説によると、山陽新幹線をつくっているころがすごい日本全国繁忙期で、昭和四十八年ぐらいかな、七、八年ですね、九年になるとオイルショックだということで、資材調達が今度ままならないという社会環境がありました。ということですが、そうなってくると、バブル時につくられた日本の構造物はみんな危ないということになるわけですね。そういうものも含めて、ちょっとお答えをいただきたい。
  35. 安富正文

    ○安富政府委員 委員御指摘のとおり、山陽新幹線の今回のコールドジョイント数につきましては、現在、東海道新幹線その他のほかの新幹線点検、それから剥落箇所の数等をまとめて先ほども御報告いたしましたけれども、この山陽新幹線部分について、一キロ当たり七・三カ所ということで、非常に高いという事実はございます。  問題は、どういう理由で山陽新幹線コールドジョイント部発生率が高いか、現時点ではまだ具体的な理由というのは我々としても正確につかんでいるわけではございません。その理由につきましては、当時の施工環境であるとか施工技術、ほかの新幹線との技術上の違いといったようなことを、いろいろ総合的にこれから検討していかなきゃいけないと思います。  そういう意味で、運輸省の中に設けますいわゆるトンネル安全問題検討会においても、そこら辺の問題につきましても原因究明の中で改めてその観点からいろいろ検討していきたいというふうに考えております。
  36. 玉置一弥

    玉置委員 車両の方は、〇系、一〇〇系、三〇〇、五〇〇とだんだんよくなってきて、まあ三〇〇は悪いですけれども、五〇〇、七〇〇とよくなっているんです。工事の方は、山陽が二番手で何でこんなに悪いのか。もう本当に気になってしようがないんですね。だから、その辺は十分やはり調査をしていただいて、場合によっては本当に大改修の可能性を持たないといけないと思うんですね。  というのは、構造物で大事故につながる可能性は非常にある。今回たまたま屋根だけで済みましたけれども、あれがもっと大きなものであるとか、あるいは逆に、下に落ちていてそれに乗り上げたとかいうようなことになったときに本当にどうなのかということを考えると、これもまた大変なことでございまして、交通安全という意味で非常に重要な問題だというふうに受けとめております。ただ単にその辺の構造物の一部が落ちたということだけじゃなくて、要するに、高速で走っているものに影響するということですね。その辺を考えると、非常に問題だ。  そこで、その事故の対応について、若干悪かったんじゃないかというお話が地元紙なんかでもいろいろ書かれております。というは、その福岡トンネル事故の、停電をされたということで、原因がまだ不十分なままに列車を運行させたということなんですが、それでよかったのかどうか、その辺について、JRさんと運輸省さん、両方にお聞きをしたいと思います。  とめて点検をし、ある程度結果がぱっとわかった段階で出発されたのか、あるいは、まず、とりあえず動かせといった状態で動いたのかということだけ確認したいと思います。
  37. 櫻井紘一

    櫻井参考人 事故発生が、六月二十七日九時二十四分ごろに発生したわけでございますが、架線停電ということとパンタグラフの破損ということでございました。これにつきましては、応急処置をするとともに、いわゆる私どもの列車運行のマニュアルがあるわけでありますが、列車運行を再開させる場合には、再開させたときの支障がないかどうかということを確認の上、列車を動かすということでございます。マニュアルに沿った形で応急処置と安全の確認をした上で、徐行速度、百七十キロということで列車運行を再開した次第でございます。
  38. 安富正文

    ○安富政府委員 今回の事故につきましては、先ほど申しましたような経緯であったわけですが、我が方に西日本の方から、九州運輸局でございますが、具体的に電話がありましたのは、当日の午前十一時半ということでございます。九時二十四分ごろパンタグラフ損傷により停電、その結果、徐行運転で再開した旨の連絡を受けました。  具体的に、コンクリートの一部が落下して、車両屋根パンタグラフを損傷したという報告がありましたのが、翌日の午前八時十八分ということでございまして、この間、若干のおくれはございますが、JR西日本の方では、詳細な原因、具体的にどういう過程で、どういうことで停電なりが起こったかということをコンクリート剥落と関連して究明していたということで、若干報告がおくれたというふうに我々は聞いております。
  39. 玉置一弥

    玉置委員 最後に大臣にお伺いしたいんですが、さっきから申し上げていますように、国鉄時代の設計の基本的な問題と、その後の工事施工にかなり問題があるというような感じを事故発生以来受けているわけであります。今のところはJR西日本さんが費用負担をしながらやっておられますけれども、ある限度を超えたときにはやはり国としてバックアップをしていかないといけないだろう、こういうふうに思います。  これについて、責任論というよりも、やはり国鉄というのはもともと、JRに変わってももとは国のものでございますから、つくられたときは国のものだったということからいきますと、その費用負担あるいは各社に対して今いろいろな指示を出されておりますけれども、この問題についてどうしていくのかということで一つの方向性を示さなければいけない、こういうふうに思います。  それから、私がいつも心配をしておりますのは、新幹線は確かにもうかるからお金をかけようということですが、在来線はその分削られていくわけですね。昔は新幹線は別会社で、保有機構というのがありましたから、東海が運用していたということですが、それが各社に配られたわけですから、在来線にお金をかけるよりも、なるべくもうかるところにお金をかけていこうという傾向がだんだん出てきているように思うんです。そうなってくると、在来線の存続にさえかかわるような大きな問題になってくる。  まして安全面からいきまして、改修ですね。私も当初、民営化のときに携わっていましたけれども、改修費用がかなりかさんできていたんですね、国鉄の時代の一番最後の方は。そういう時代をずっと意識をしてみますと、在来線の保全というのが、大丈夫かなというふうに心配をするわけですが、その辺をぜひお答えをいただきたいと思います。
  40. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今回の御指摘は、三つぐらいあると思っております。  まず第一に、事故が起きたときの連絡体制、そういうものが完璧であったか。これは西の南谷社長も発言されておりますとおり、少し体制に不備があったんではなかろうか。私ども、一部注意は申し上げましたけれども、少しそこに問題点はあったろう。これは社内のマニュアルとしてしっかりやってもらわなきゃならないなと思っております。  それから、応急処置として、JR三社、特に西において努力が払われた。総力を挙げておやりになったと思っております。その結果が今上がってきておりますので、この応急処置で正しかったかどうか、これを専門の方にまず見ていただかなければならないだろう。その応急処置を確認した後、今度は、抜本的な対策が必要であるかどうか、これはこれから詰めなきゃならないだろう。抜本対策が必要であるかどうかという過程の中で、どこに問題があるかということをやはり詰めなければならないだろう。玉置委員御指摘のような、つくったときの経過として何か問題があったのか、保守管理に問題があってこういうふうになったのか、その辺はこれから解明しながら私どもとして議論していかなきゃならない。そういった過程の中で、阪神・淡路大震災のときには、開銀の低利融資ということで、三・七五%の融資をいたしたことがございます。こういった一つの参考例もございますので、こういったものも念頭に置きながら、さあ、どこまでやっていかなきゃならないかということを詰めなきゃならない。  それから第三番目の問題として、実は私もテレビで見たわけですけれども、随分住宅のコンクリート剥落しておるのを見ました。建設省の技官にも、私、直接電話をさせていただいて、どうやらこれは運輸省だけの問題じゃないね、かなり建設省も関係ありますね、こういうことで申し上げました。今、両方の技術審議官が連絡をとり合いながら、私どもは委員会をつくりました、コンクリート信頼性の問題に対して。多分建設省もおつくりになると思います。  私は北海道開発庁も担当しておりますけれども、これは、トンネル全部、検査をさせていただいて、西みたいなことはなかったように思っております。  それから、最後の御質問の在来線問題であります。鉄道の問題として、私は三つ挙げさせていただいております。  一つは、都市鉄道というものをどうしていきますかということがあるだろう。第二番目の問題として、いろいろ御議論いただいております、新幹線問題の縦軸問題というのが今政党間でいろいろ議論をされております。それから、やはり在来線というものをどうやって活性化をし、守っていくかというのが大きな課題である。  この三つをどうやっていくかというのは、二十一世紀の鉄道行政の、三つが、課題であるという中で、どれが重要であるということではなくて、三つそろって措置していかなきゃならぬと思っておりますので、どうぞ委員の御協力をお願い申し上げたいと思います。
  41. 玉置一弥

    玉置委員 はい。終わります。
  42. 石破茂

    石破委員長 次に、渡辺具能君。
  43. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。  私からは、福岡トンネル内におきますコンクリート剥落事故についてお伺いをさせていただきます。  私は、この事故は、いろいろな問題を含んでおりますけれども、基本的にはまず、技術的な問題だというふうに思うわけでございます。確かに、列車がとまって国民に不安を与えたという面ではかなり深刻な問題ではありますけれども、まずその前に、この事故技術的にも深刻な問題であったかどうかというあたりをぜひ解明する必要があるのではないか。  対応策等々については、なぜこの事故が起こったかという技術的な解明がまず基本になるというふうに思っているわけでございます。この点について、大臣ももうこれまでにその一端をお述べいただいているわけですけれども、改めて、まずその辺をはっきりさせるということを、決意を伺いたいと思います。
  44. 川崎二郎

    川崎国務大臣 幸いにして重大事故に至りませんでしたけれども、大変大きな問題であるとまず受けとめさせていただいております。  そこで、まず、当事者であるJR西、それからJR三社に徹底的な調査を求め、とりあえずの応急処置を実行していただいたところであります。いよいよこれから基本的なものに入っていかなきゃならぬ。先ほど申し上げた応急処置でよかったのかどうかというのがまず一つ。それで、お互い確認できれば、委員会として、また運輸省として、とりあえず応急処置をさせていただきました、国民の皆さん方、問題ありませんということをまず申し上げなきゃならない。しかし、根本的にまだありますかという問題を第二番目として詰めなければならないだろう。  実は、八月の十一日に、トンネル安全問題検討会というのをスタートさせていただきます。京都大学大学院の工学研究科の教授でございます足立先生に座長になっていただきまして、先ほどから議論が出ておりますとおり、JR民鉄の皆さん方にお入りいただくと同時に、例えば建設省の土木研究所のトンネル研究室長にもお入りいただく、他省の知恵もかりながら、この問題はしっかり詰めていかなければならないだろうと思っております。  年度内に結論を出せるように努力していきたい。そして、わかったものは国民にしっかり公表をして、情報を公開して、問題点はこうやって対策を打ちますということをお示ししながら、JR西が企業として社会的な責任を果たされていくと同時に、国として、国民の皆さん方に対して新幹線信頼性というものを回復していただくように努力をしていかなきゃならない、こう思っております。
  45. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 私の考えるところでは、私は、運輸大臣として十分なる御決意とお考えを伺うことができたというふうに思っております。  それで、技術的な解明はこれからになるわけでございますけれども、とりあえず、当面、これからの検討ということのためにも、今のところ、どういうことを技術的に検討されているかということをお伺いしたいというふうに思います。  私は、先ほども申し上げたように、今回の事故技術的に考えても深刻だったかどうかというあたりが肝心だと思うんです。つまり、その原因を追求してみると、今後も起こり得る事故なのかどうか、そのあたりが私は大変大切ではないかというふうに思うんです。技術的にも深刻であったかどうかというのは、トンネルの本体構造に対して影響のあるような剥離事故であったかどうか、本体に予期しない力が加わっていたとか、そういうことによる事故であったかどうかということが、まず第一だろうというふうに思います。それは私ももう改めてお伺いしませんけれども、新聞なんかにも書かれておりましたとおり、私も現場を見せていただきましたけれども、あの程度の剥離と言ったら申しわけないんですけれども、あれでは本体に力が加わったというような形跡はないというふうに私は思います。  それから二番目は、施工不良であったかどうかということでありますが、私もかつて工事をした者として考えると、あれだけの量を急いで工事をしたという中では、コンクリートの打ち継ぎ目に多少タイムラグが出てくるのはやはり免れ得ないかなというふうに思うわけです。多少そういう、後で考えれば十分じゃなかった面があるかもしれない。  ただ、打ち継ぎに多少時間があったとしたら、私は、それなりの処置をやはりすべきだった、その辺がちゃんとできただろうか。一層目が終わったとき、あるところで終わったとき、ブリージングが出てレイタンスなんかがかなり残ってくる可能性があるんだけれども、その辺をちゃんと除去して、おくれたらおくれたなりの処置をしながら打ち継ぎを行われたかどうかというふうに思うんですね。  しかも、もう一つ、海砂を使ったということが新聞にも出ております。私は、あれは無筋コンクリートだから、そういう面ではその問題はないかなというふうに思っていたんですけれども、ただ、コールドジョイントの関係でいえば、もしも海砂が使われていたとしたら、コールドジョイントというのはやはり生じやすかったんではないか、普通の場合よりはコールドジョイントになりやすかったんじゃないかというふうに思うんです。そこが一つ。  それから、今回の剥離はコールドジョイントは水平方向に入っていて、それだけじゃ落ちないことはだれでもわかる。鉛直方向に不連続面があったはずだと思うんですね。不連続面があったことが事故原因だというふうに、これまでの質疑を聞いておりますと言われておりますけれども、私は、その不連続面がなぜ生じたかというのが原因であって、不連続面は結果であるというふうに思うんです。その不連続面が起こる原因の一つとして考えられるのは、型枠を外すのがタイミングがよかったかどうか、少し早過ぎたんじゃないか、あるいは、型枠を外すときにちょっと引きつれを起こしたんじゃないか、それによって鉛直方向の不連続面が簡単に入ります。そういうことを私としては今のところ大変心配をするわけですけれども、その辺、どういうふうにお考えになっているでしょうか。
  46. 櫻井紘一

    櫻井参考人 当時の工事の仕方と型枠の関連の御指摘でございますが、当時の工事の示方書によりますと、コンクリートの打ち足しに当たりましては、下部コンクリートが幾分固まり始めているときに上部のコンクリートを打ち足す場合には、弱い打ち足し継ぎ目ができるのを防ぐために上部のコンクリートを締め固める際に、振動機を下部コンクリート中に差し込み下部コンクリートが再振動締め固めを受けるようにすることとの表現もありますので、全般的には弱い打ち足し継ぎ目にならないように当時努力していたというふうにうかがえますが、当該の箇所については、恐らく十分でなかったのではないかと推察をいたしております。  また、型枠の外し方、タイミングの関係でございますが、施工上の留意点といたしまして、早期の脱型、型枠外しが弱点箇所原因になり得るという観点からも当該箇所鉄道総研専門家調査をしていただきましたが、今時点からさかのぼってその事実を根拠を持って判断するということは困難だというふうに伺っております。(渡辺(具)委員「海水はどうですか、海砂」と呼ぶ)  それから、海水の関係につきましては、現在、私どもも定かではございませんで、今後さまざまな場面で御検討、御議論をいただく、このように考えております。
  47. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 大分前の工事ですから、その辺のことを今になって調べるというのはなかなか難しいんだろうと思いますが、もしそういうことだとしたら、私は、今点検してあるところ以外にも、これからそういう場所が出てくることは十分考えられるので、その辺のことをぜひいま一度当時の人に詳しく聞いてみるとか、そういうことをやはりする必要があるんではないかというふうに思います。  ただ、先ほども言いましたように、私も工事をしたことのある者として、あれほどの大量の工事をされたわけですから、すべてがパーフェクトにいくというのはもうなかなか難しいわけで、私もあの程度のことだったら起こるかなという感じはするわけです。  しかし、原因がどこにあったかということはぜひはっきりしなきゃいけない。一つがコールドジョイントにあったというのはわかるんですが、もう一つ、なぜ縦方向に、鉛直方向に不連続面が起こったかというのは、ここで聞いてもまだはっきりしませんでしょうか。先ほどの私が言ったようなことが原因だということだったら、もうお答えいただかなくてもいいんですけれども、今私が申し上げることのほかに原因がはっきりわかっていれば、お答えいただきたいんです。
  48. 佐藤秦生

    佐藤参考人 お答えいたします。  まず、今の段階ではっきりわかっているということが非常に少なくて、コールドジョイントがあったということだけでございます。  原因調査につきましては、JR西日本から依頼がございまして、御指摘のように、コールドジョイント以外になぜそのようなことが起こったかというところがやはり一番の問題だというふうに思っております。  そのことにつきましては、恐らく外部からいろいろな要因があった、あるいは内部の材料とか施工、いろいろな問題が恐らく絡んできているんじゃないかということが当然考えられるわけでございまして、現在、この要因をいろいろ考えまして、それぞれ一つ一つがどういう寄与をしたかということを絞り込んでいる段階でございます。  したがいまして、現在まだコールドジョイント以外に原因について特定するというところまで至っておりませんけれども、改めて今後とも調査を進めていきたいというふうに思っております。
  49. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 そういう状況で私がさらに質問してもなかなかお答えしにくいかもしれませんが、私も現場に入りまして、剥落したあとの残った方を見せていただきました。そして、もう一回改めてここに、なるべく大きな写真をいただいたわけです。  私は現場に行ったときもまず直観したんですけれども、この写真を見ていただければわかるんですが、私が一番最初に目についたのは、やはりこの支保工なんですね。支保工のところをぱっくり取られているでしょう。私は、これが縦方向の大きな原因の一つになっているんじゃないかということを直観したんです。ここの付着強度はほとんどなかったんじゃないかと私は思うんです。そのことを現場説明いただいた方に私、ちょっと言ったんですけれども、なかなか御納得いただけなかったんです。  私も帰ってきてもう一回よくこの写真を見ながら考えたら、これを見ていただいてもわかるんですが、ここに支保工が出ていますね。ところが、この面積に比べれば大したことないというふうに思うんだけれども、それはそうじゃないと思うんですね。この剥離したところを、私、改めて言って、プロットしてメッシュで切って深さをはかってもらったんですね。これを見ると、最初は四十五センチと言っておられたのが三十五センチということまでわかったんです。この写真を見てもわかりますが、一番深いところはここですよね。支保工の入っているところが一番深い亀裂になっておるわけです。しかも、支保工の両隣も剥離しているんですね。ここに私が行ったときに、もうモルタルが注入してありました。恐らくここは、H形かI形かどうかわかりませんが、このくぼみのところのコンクリートも落ちていたんじゃないかというふうに思うんです。つまり、この周辺がぱっくり落ちたことがかなり大きな要因になっているんじゃないか、少なくとも引き金になっているんじゃないかというふうに私は思うんです。  まず、この付着強度を考えると、余り時間がないんですが、もうほとんど私はゼロだと思うんですね。コンクリート同士の引っ張り強度に比べれば、鉄筋コンクリートとはもうわけが違う、鉄板にくっつくわけだから。鉄筋コンクリートですと節をつけたりするけれども、これは何もないわけですね。  しかも、繰り返し荷重がありますね、振動があると。コンクリートと鉄板は固有振動が違いますよね。固有振動が違うとどうしても、それでしかも上にコールドジョイントですき間があると、そこに向かって力が逃げるというか、集中してきたんじゃないか。ちょっとのすき間が、大きなつり鐘を共鳴させてどんどん動かすのと同じように、振動によってだんだんそのすき間が大きくなった可能性がある。しかも、このコールドジョイントのところから水が流れ込んで、ますますそのすき間を大きくしたということは十分考えられるんじゃないか。  私は、いろいろ要因はあるんだけれども、その中の大きな要因がどうもこの辺にあるような気がしてしようがないんですけれども、専門家の目で見られて、私の話に対してどういうふうにお考えでしょうか。
  50. 佐藤秦生

    佐藤参考人 お答えいたします。  鋼製の支保工とコンクリートの間の剥離のことでございますが、御指摘のとおりここに剥離が起きたわけでございます。恐らく剥離が起きる以前からやはり、御指摘がありましたように、コンクリートの面と支保工の面と、これはある種の不連続面になっていたということは十分考えられるわけでございます。ここのところが先に切れたのか後に切れたのかというのは、ちょっとまだそこら辺までは今の段階で調査は進んでおりませんが、今後、この剥離した原因につきましては今詳細に検討しておりますので、この支保工のところがどういう状態で寄与していったかということは、恐らくいろいろな検討課題の中でこれからやっていかなければならないことだろうというふうに思っております。
  51. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 私が申し上げたここの辺が原因だったんではないかということの一つの仮説の証明になるかもしれないと思うのは、コールドジョイントの付近、打音調査をされて、濁音が出てきた箇所が三百カ所ですかありますね。その三百カ所がどういうところに集中しているか。コールドジョイントのところにあることは事実だけれども、縦断方向というのか鉛直方向に向かって、どういうところに集中しているか。例えば支保工のあたりでその濁音が出ている部分があれば、私が申し上げているようなことの証明になるんだけれども、今のところ、補修工事をされたような場所あるいは濁音が出た場所はどういう箇所が多いですか。
  52. 櫻井紘一

    櫻井参考人 コールドジョイントの周辺について、すべてについて打音検査をいたしました。濁音箇所は三百一カ所あったわけでございます。  先生御指摘の、そういう打音によります濁音箇所の分布に少し特徴がないかどうか、こういう御指摘になるわけでございますが、現段階におきましては、まだそこのところの特徴の整理まで行き着いておりません。現段階ではコールドジョイント部分からの幅二十センチ程度のところから一メーター程度のところまでというようなことで、いろいろ分布いたしておりますので、今後、勉強してまいりたいと思っております。
  53. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 今の状況ではわからないということだそうですが、その三百カ所のうちどういうところに特色が、位置としてですね、支保工が入っている場所が何カ所あるかというのは、私、わかると思うんです。だから、ぜひそこを調べて御報告いただければというふうに思います。  それからもう一つ。テストピースをとって調査されているというふうに聞いております。もう大分状況がわかってきたんじゃないかと思いますが、そのテストピースのどういう調査をされておるかということと、今のところそのことから何がわかっているかということを教えていただきたいと思います。
  54. 佐藤秦生

    佐藤参考人 お答えいたします。  本件の事故コンクリートから採取しましたテストピースでございますけれども、これで中性化の深さ、例えば圧縮の強度試験あるいは配合分析とか、それから電子顕微鏡を使いまして細かいところがどうなっているかというような観察をしております。そのほかにも、エックス線分析等をやっているところなんです。  これらの試験で、今のところ、材料がどういうふうに使われたのか、あるいはつくられてから今までの間に中で生成物が起きているかというようなところを詳細に分析しているところでございまして、今の段階で詳しいことはまだよくわかっていない、これからさらに詳しくやっていこうという段階でございます。
  55. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 時間がありませんが、もう一つだけ。ぜひその調査の中に、このコンクリートの引っ張り強度を調査される、圧縮強度だけじゃなくて、今回問題になっているのは引っ張り強度ですから、その調査項目をぜひ入れていただきたいというふうに思います。  それから最後に、きのうの夕刊に、トンネルの補強工事が全部終了して、事実上のこれが安全宣言だというふうに書いて、これは何新聞かちょっと忘れましたが、事実上の安全宣言だみたいな書き方をしてあることは、私は問題ではないかというふうに思っております。  これは、皆さんがそうおっしゃったわけじゃなくて、マスコミがそういうふうに受け取ったから書いたのかもしれませんが、先ほど大臣も言っておられたように、とりあえずの応急処置を急いでされて、これから技術的な原因を追求して、本当に必要な措置が、必要ならばこれからやるということを大臣におっしゃっていただいたので、私は、この新聞記事が問題であることは、もうお話を伺ったので問題がないというふうに思うわけでございます。どうか原因徹底的に調べていただいて、今後こういう事故が起こらないような措置をぜひとっていただきますようにお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  56. 石破茂

    石破委員長 次に、望月義夫君。
  57. 望月義夫

    ○望月委員 同じく自由民主党の望月義夫でございます。  本委員会の冒頭で黙祷をささげました長島直之機長につきましては、一九七〇年に起きましたよど号の事件以来、ハイジャック事件としては初めての痛ましい犠牲者となられました。みずからの命と引きかえに五百名を超す乗客の命を救った長島機長に改めて哀悼の誠を表しますとともに、正義と責任の大切さを教えてくれた長島機長の死に報いるためにも、本委員会での審議が単に責任の追及とか糾弾に終わることなく、あくまでもハイジャック再発防止対策の観点に立つべきだと私は考えております。その点を踏まえて、私の質問に入りたいと思います。  まず、七月二十三日の全日空六一便がハイジャックされた経過についてお伺いしたいところですが、新聞とかテレビ等で何度も報道されており、託送手荷物を使ったいわゆる逆流による犯行ということは既に御承知のことと思われますので、ここでは省略させていただくとして、こういった逆流というケースは過去に外国を含めてあったのかどうなのか、お伺いしたいと思います。
  58. 岩村敬

    ○岩村政府委員 今回のような受託手荷物受取場から出発ロビーへ逆流をしてハイジャックに及んだ、こういう事件につきましては、我が国において過去に例はございません。また、最近の海外において発生したハイジャックにおいても、国際民間航空機関、ICAOでございますが、その情報によれば、今回のようなケースはないというふうに聞いておるところでございます。
  59. 望月義夫

    ○望月委員 外国の事例については、今後のことに役立たせるためにも、もう少し詳しく調べておいてほしいと思う。やはり世界各国のいろいろな事例があると思いますので、よく調べておいていただきたいと思います。  次に、運輸省事件直後に、全国の国内線乗り入れ空港六十六カ所について総点検を行ったそうでございますけれども、今回のようなルート以外に凶器を持ち込める可能性のあるルートがあったのかどうなのか、お伺いしたいと思います。あったのであれば、具体的に答えると、保安上の不都合が生じる場合もあるでしょうから、大まかで結構でございますので、答えていただきたいと思います。
  60. 岩村敬

    ○岩村政府委員 定期航空会社が就航しております六十六の空港全部を調べました。そして、最初の逆流の面は、逆流が不可能な空港が十四、すなわち、構造上逆流可能な空港は五十二ございました。これについては、既に警備監視要員により逆流防止措置がとられたわけでございます。  また、今先生御指摘の、それ以外の検査を受けた方と受けない方が混在するような構造があるのかという御指摘でございますが、これについては、そういうことが可能な空港が七つございました。すなわち、五十九の空港では構造上不可能になっておりますが、構造上侵入ができるというのが七つございましたが、これについても侵入防止の措置をいたしたところでございます。
  61. 望月義夫

    ○望月委員 ただいま七つということでございまして、そういったルート以外にほかになければ、そこだけ改善していただけばいいというようなことになるということで、割合簡単にちょっと考えているわけでございますけれども、何分これは広い旅客ターミナルでございますので、引き続き十分な調査をやはりしていただきたい。ありきたりの調査でなくて、もちろんありきたりということはないと思いますけれども、逆流のケース以外にやはりいろいろな問題点があると思いますので、その調査と、そして、やはり何といっても利用客が安心できるような万全な対策をとっていただきたい、このように思います。  次に、今回の事件はまだ捜査当局による取り調べの最中であり、軽々なことは論じられませんけれども、マスコミの報道等によれば、犯人は事前に数回にわたって、マスコミや航空関係者に対し、逆ルートの存在とその防止策の必要性を主張したものを送ってきたとされております。先ほど大臣から御報告がございました。  また、五十五の航空労働団体で組織されている航空安全推進会議というのがございます。これは八年前からあるそうなんですけれども、その中で八年前から、出発と到着の旅客が混在しないよう対策を講ずるべきである、そういう要請を行っていると聞いておりますけれども、この二点について、事実あったのかどうなのか、そしてまた、それについてどのような対策をとっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  62. 岩村敬

    ○岩村政府委員 最初に犯人からの投書の件でございますが、六月の十五日そして十六日にかけて、空港ビル会社と空港警察投書がございました。これを受けまして空港ビルは、空港警察と相談しながら犯人と電話の応答をいたしまして、また空港警察は、この投書を受けて巡回監視の強化を始めたわけでございます。  その後、航空会社に同様の投書が送付されましたし、同月、六月の二十一日に空港事務所に対しても同様の投書が送付されてまいったわけでございます。これを受けまして空港事務所は、二十九日に空港ビル会社、航空会社を集めまして、投書が指摘しているようなことができるのかどうか、現場の確認をまず行いました。その上で対策を協議いたしまして、現場担当者に対する注意喚起そして不審者に対する声かけの徹底を直ちに実施するという決定をしたわけでございます。また、施設や人員の配置といった対策については引き続き検討ということになりまして、七月十五日に改めてまた関係の空港ビル会社、航空会社、そして空港事務所が入りまして協議をするなど、検討を引き続き行っていた。  こういったやさきにこの事件が起こったということで、先ほど大臣が申し上げましたように、運輸省としてはこの事実を厳粛に受けとめておりまして、再発防止に万全を期したいというふうに考えておるところでございます。  第二番目の航空安全推進連絡会議の件でございますが、この会議は、規制緩和に対する意見等多数の要望を年一回取りまとめまして、運輸省に提出をしておるわけでございます。平成三年度以降の要望事項の中に、国内空港のターミナルにおいて出発客と到着客を分離すべきであるという、今先生御指摘の要望が含まれております。ただ、今回のハイジャック事件で明らかになった、手荷物受取場から出発ロビーへの逆流の問題、この点についての特段の指摘はなかったわけでございます。  そして、この指摘に対しまして、出発客と到着客が混在することについては、国内線でございますので、全国空港で出発時に保安検査実施しておりますので、国内線での到着客はすべて保安検査を受けた、すなわちクリーンな状態にあるということで保安上問題がない、そのために全国空港における保安検査徹底を図る、こういったことで対応していくんだ、そういう旨のお答えをこの連絡会議にいたしておるところでございます。  ちなみに、海外におきましても、国内線のターミナルについていいますと、いわゆる今回の羽田のような混在型、これが一般的になっておるわけでございます。  もちろん、この逆流の問題については、先ほど来大臣の最初の御説明にもありましたように、警備員の配置とかその後の施設改良の計画決定とか、順次対応をとっておるところでございます。  いずれにしても、空港における保安措置の見直し、強化というものは非常に大事だと思っておりまして、今後順次検討し、できるものから逐次手をつけてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  63. 望月義夫

    ○望月委員 よくわかりました。  今回の事件は、偶然の積み重ねによる大惨事に至らぬ決着、これはいろいろな意味を含めてでございますけれども、そうであったと私は思っておりますが、むしろ、大事なのはこれからどうするかということだと思います。こういった投書や要請に即応できる体制づくりをしっかりお願いしていきたいと思います。今までも、こういった事件が起こりますと、犯罪といいますか一つ何か起こって、マスコミに出ますと、愉快犯というか、こういったものをまねをするといいますか、幾つか重なるということがございますので、ぜひ、そういった意味で今後の一つの教訓にしていただきたいなというふうに思います。  次に、おのおのの空港によって搭乗手続の仕方やトランジットの扱い等が異なっているということは私自身も容易に想像はできます。また、空港自体が、多くの会社や組織、そして、それらの業務等が複雑に絡み合って運営されている施設であると私は思っております。したがって、ハイジャック等の犯罪に対する取り組みについては、おのおのの空港の特性に応じた対策、かつ個々の組織の見解と利害を超えた現場での統括的な指導が求められていくのではないかなというふうに思いますけれども、その点について、各空港関係者だけの対策会議というようなものは通常行われているのかどうなのか。また、運輸省としては、そういったものについてどのような考えを持っておられるのか、指導しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  64. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先生御指摘のとおり、ハイジャック等の犯罪に対する取り組みにつきましては、さまざまな関係者による一体的な取り組みが必要だと思います。特に空港のように複雑に関係者が入り組んでいるところにおいては一層のことだろうというふうに思います。  そして、現在全国の各空港では、警察等の関係機関航空会社空港ビル、それに空港事務所が入りまして空港保安委員会というものを設置しておるわけでございます。そして、この空港保安委員会を通じて、日常的に、ハイジャック等の犯罪防止対策についての情報交換、意見調整さらには各航空会社等による対策実施が行われておるわけでございます。そして、今回のような事件発生したときには、この機関を通じまして必要な措置を迅速かつ適切に講ずる、そういう構えをいたしておるところでございます。  今後とも、それぞれの空港の特性を踏まえて、現場関係者による一体的な取り組み、これは重要だと思っておりますし、それをさらに強化してまいりたいというふうに思っております。
  65. 望月義夫

    ○望月委員 世はまさにグローバルスタンダード、すなわち、運輸の世界も、世界的な大競争の時代という名のもとに、我が国の航空における規制緩和は、今国会で法律が制定され、いよいよ実施に移されることになるわけでございます。そうなると、従来の許認可をバックにした運輸省指導の効果がだんだんとある意味においては薄れてくると思われるわけなんですけれども、加えて、現場でも競争が、それぞれ民間がしのぎを削ってサービス合戦というようなことで競争が激しくなりますと、コストの削減の観点から、当然安全面の出費も削減の対象になるであろうと予想されております。  しかし、私たちは、やはり人命の尊重が何よりも大切である、そういうことを考えますと、国といたしましても、探知器であるとか人員の配置についての経費負担の見直し等を考えなくてはならないのではないかなというふうに思うわけでございます。こういった安全面での予算措置を含めてハイジャック防止対策について、川崎運輸大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
  66. 川崎二郎

    川崎国務大臣 航空法の改正、規制緩和の議論のときにも御答弁申し上げましたけれども、就任以来、規制緩和が進む中でありますけれども、安全問題については厳しくチェックをさせていただくと再三申し上げてまいりましたし、現実に、私が就任以来さまざまな問題が起きました。行政的な指導を行ってまいったところでございます。また、安全確認もさせていただいてきたところであります。この姿勢はしっかり守っていかなきゃならないと思っております。  今回の問題点でございますけれども、実は、投書をもらって、委員会空港現場レベルでの委員会は動いていた。しかしながら、安全を担保するための予算を減らすということは、先ほどから申し上げているように、各会社、譲ってはいけないよと申し上げてきました、またそれは守ってくれていると思っています。しかしながら、それではこの厳しい経営の中で、新たな措置をする、安全を守るために新たな出費ということになると、なかなか担当者レベルでは決断できなかった。したがって、みんなで見合わせしましょうとか、ちょっと予算の問題、次に考えましょうということで、即断できなかったということが実は今回の事件につながった原因だろうと思っております。  そういった意味では、安全問題について外部から御指摘をいただいたときに、ある程度決定ができる段階まで社内の体制としては上げてもらわなきゃならない、これを実はお願いをした。実は航空会社社長から御提案があって、私ども、取り上げさせていただいたんです。それをまずやる。私どもも安全のために予算措置を行う、そして各航空会社も新たなる、安全を担保するための出費は行う、こういうきちっとした姿勢をとらなきゃならないだろうと思います。したがって、航空十一社それからビル管理会社に来ていただいて、安全に対する出費をお互いにやりましょう、我々国もやりますということで宣言をさせていただいたところであります。
  67. 望月義夫

    ○望月委員 ありがとうございました。運輸大臣の並々ならぬ、安全第一の、そういったことに対するかたい決意をお伺いいたしました。  今後も、世界一安全な日本の航空を目指してさらなる御努力をお願いしたいと思います。また、重ねて長島機長の御冥福をお祈りいたしまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  68. 石破茂

    石破委員長 次に、細川律夫君。
  69. 細川律夫

    細川委員 民主党の細川でございます。七月の二十三日のハイジャック事件について質問をいたします。  まず、乗客乗員を守るために最大限の努力を払われました長島直之機長に、心より哀悼の意を表したいと思います。長島機長の判断、そして副操縦士らの俊敏な行動によりまして乗客の安全は結果的には守られましたけれども、実際は危機一髪の状況だったわけでございます。個人の能力に頼るだけでなく、あらゆるシステムをチェックいたしまして、再発防止に向けた努力をすべきだというふうに考えるところでございます。  最初に、手荷物の検査の問題からお聞きをしたいと思います。犯人がなぜこれほど容易に凶器を持ち込んで、コックピットに侵入をすることができたのかということについてお尋ねをいたします。  とりあえず、その事件後、緊急に運輸省の方は、保安対策基準強化あるいは保安検査強化逆流防止の策とか総点検実施ということなどについて、関係の事業者などに通達を出しまして、特に、機内持ち込みの手荷物検査の厳格化と受託手荷物逆流防止について改善を図るということで、さまざまな対策を講じてこられたことは承知をいたしております。特に、最近になって再発防止のためにとった処置について、どういうことをとられたのか、まずお伺いをいたします。
  70. 岩村敬

    ○岩村政府委員 最初に、ハイジャック発生後直ちにとりました再発防止対策でございますが、航空会社等に対しまして、これから申し上げるような以下の措置を講じるよう指導を行いました。そして、それを受けまして航空会社等は必要な措置実施したところでございます。  すなわち、一つに、羽田空港におきます保安対策基準を厳戒時に適用するフェーズIIに引き上げる、そしてそれを全国空港に拡大をすること、これが第一でございます。  それから第二に、受託手荷物受取場から出発ロビーへの逆流防止のため、羽田空港受託手荷物受取場と出発ロビーを結ぶ階段警備員を配置する。そして、これを全国の定期航空便が就航する国内線旅客ターミナルビルに拡大をいたしました。  三番目に、全国の国内線旅客ターミナルビルにおいて、ダーティーエリア、すなわち保安検査がされていない区域、そこからクリーンエリア、保安検査実施により保安が確保されている区域、そこへの侵入が物理上可能な箇所での保安確保状況について総点検を行いまして、先ほど七つと申し上げましたが、そういう場所については必要な措置実施したわけでございます。  それから四番目として、旅客が所持する金属性等の容器の保安検査を厳格に実施。これは、容器の中に入れると、中に入っているものが刃物であろうと何であろうと反応する、すなわち容器だと思ってそのまま見過ごさず、中をあけて刃物が入っていないかどうかを確認せよということをやっておるわけでございます。  今月二日に入りまして、運輸大臣が定期航空会社社長に対しまして、空港における保安措置について検討課題を早急に整理し、実施可能なものから逐次実施するという強い要請をいたしました。そして、これから申し上げる点については直ちに実施するようにという要請をいたしました。  一つは、保安措置について、外部から投書等を受けた場合の社内連絡体制明確化。  二番目に、旅客に対する機内持ち込み検査徹底するとともに、まずは全国エックス線検査装置金属探知器を最新のものに入れかえる、そして随時接触検査、すなわちボディーチェックを継続する。  三番目として、受託手荷物のチェックを強化することとして、まずは受託手荷物に危険な物が含まれていないことを質問するとともに、随時開披検査実施すること。  四番目として、クリーンエリアとダーティーエリアの分離を徹底することとして、当面、逆流防止のためのガードマンの配置を継続すること。  そして五番目として、利用者ハイジャック対策に係る協力依頼に関して共同広告実施すること。  それからさらに、機内でのハイジャックの対応マニュアルの見直しを行う、そして早期に結論を得るということで、実は明日、第一回目を立ち上げようと思っておりますが、有識者による検討会を開催するということになりました。機内でのハイジャック対応ということで、この関連で、機長の判断による一般客操縦室見学は廃止するよう、これまた強く要請したところでございます。
  71. 細川律夫

    細川委員 手荷物検査につきまして今いろいろお話がありましたけれども、私の方から、この受託手荷物検査について、果たしてこれでよいのかどうなのか疑問が残りますので、質問をいたします。  今、航空局長の方からお話がありましたけれども、受託手荷物のチェックを強化することとし、まずは受託手荷物に危険な物が含まれていないかを質問するとともに、随時開披検査実施する、このように言われましたけれども、果たしてこういうような、手荷物を預かるときに、この中に危険な物が入ってますかなどということを質問すること自体が、ちょっとナンセンスじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、どうもそういうようなことでは対策にならないのではないか。国際便では、受託手荷物についてはエックス線の検査をやっているわけでありますから、国内便でもエックス線の透視検査実施する、こういう保安検査を行うということがむしろいいのではないかというふうに思うんですけれども、どうしてそういうことはなされないのでしょうか。
  72. 岩村敬

    ○岩村政府委員 最初に、受託手荷物に対して、海外でそういうエックス線をかけたりしているかどうかの状況でございますが、テロの脅威度が高いとされております韓国、イギリス、この空港では検査をやっております。しかしながら、カナダ、オーストラリアなどの国では実施をしておりませんし、また、米国では、実施している空港とそうでない空港があるというふうに承知をいたしておるところでございます。  日本の場合、国内線においては受託手荷物についてどういうチェックをしているかと申しますと、搭乗手続を実施した旅客の数と、実際に搭乗した旅客の数が合わない、すなわち荷物だけ預けて搭乗をされないお客様が出た場合には、その搭乗していない旅客の受託手荷物を速やかに取りおろす、すなわち荷物と乗客との照合をする、合わないものはおろしてしまう、そういう形で安全を確保しておるところでございます。  また、今緊急に行っております、受託手荷物の内容についての旅客に対する問いかけですが、危険物が入っていないか、そういう聞き方ではなくて、ただ、どういう聞き方をするか、これはいよいよ保安上の問題もありまして、こういう言い方をして、先生おっしゃるように、それはそのまま聞けば、ないとおっしゃるに決まっているので、ここはいろいろ質問の仕方等、海外でもいろいろそういう質問を受けることがありますが、そういった工夫をエアラインにおいて行うというふうに今考えております。  以上でございます。
  73. 細川律夫

    細川委員 直接回答がなかったのですけれども、このエックス線透視検査はなぜやらないのでしょうか、やればよろしいのじゃないでしょうか、こういうことなんですが、それに対してはどうですか。
  74. 岩村敬

    ○岩村政府委員 エックス線検査の一つの大きな目的は、テロといいますか、爆発物が入っていないかどうか、あとは、国際線の場合ですと麻薬とかいったものの取引がされていないかどうか、そういった視点からやっているように承知をしているわけでございます。先ほど申し上げたように、国内線の場合、そういうものが入ってそのままテロに使われるような場合は、その乗客との数を合わせることによって、それを取りおろすことによってその危険を未然に防止できる、そういう考え方で、エックス線による直接のチェックはしていないわけでございます。  ただ、これについても、非常にそのリスクの高まっている時期とかそういった場合には、特別の、先ほど申し上げたような開披検査とかいろいろな工夫はされておるわけでございまして、ただ、一般的に、通常の場合にまで全部エックス線を通すということはしていない。それよりは、旅客と荷物の数をきちっと合わせるということで保安をしているというのが現状でございます。
  75. 細川律夫

    細川委員 どうも納得がいかないのですけれども、要するに、これをやると、相当お金がかかるということではないのですか。僕は、そういうことでなかなかやれないんじゃないかなというふうに思うのですけれども、これはまあいいです。  続いて、犯人の事前の行動についてお聞きをいたします。  先ほども再発防止について、受託手荷物逆流防止策について運輸省の方からのお話があったのですけれども、犯人が事前に東京空港事務所航空会社あるいはマスコミなどにあてた保安対策といいますか、こういうふうにすればいいんじゃないかというようなことを言っていたことを今やったということですよね。そうしますと、犯人が言っていたとおりのことをきちんとやっていたならば、こういう問題は未然に防げた、これはそうだというふうに思います。  そこで、お聞きをいたしますが、先ほども質問の中に出ておりましたけれども、こうこうこういう欠陥がある、したがってこういう対策を立てなさい、こういうふうに具体的に犯人の方から事前に予告といいますか警告、そういうのがあるにもかかわらず、なぜそれをしなかったのか。このあたりをもう一度、繰り返しになるかもわかりませんが、お聞かせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
  76. 岩村敬

    ○岩村政府委員 投書が来た経緯でございますが、六月十五日から十六日にかけて、空港ビル会社そして空港警察署に送付されてまいりました。そこで、空港ビル会社は、空港警察署と相談しながら犯人との接触もし、犯人といいますか投書した者との接触もし、また空港警察署は、投書を受けて、巡回、監視の強化実施していただきました。その後、航空会社に同様の投書が参りましたし、また、空港事務所にも、二十一日の日でございますが、投書が送付されてまいったわけでございます。  こうした動きを受けまして、空港事務所は、二十九日に、空港ビル会社、航空会社を集めまして、現場の確認を行った上で対策を協議いたしたわけでございます。その場で、現場担当者に対して、こういう動きが指摘されているよということでの注意喚起、そして、不審者に対して声をかけよう、それを徹底しよう、この二つについては直ちにその日からやろうということを決めました。また、施設とか人員配置についての対策は引き続き検討事項ということになりまして、七月十五日に改めてまた関係者が集まりまして協議をし、引き続き検討していたわけでございます。こういうことをしていましたが、結果的にハイジャック事件発生したということでございます。  こういった対策が十分にとられないうちに実際のハイジャックが起こったという事実を厳粛に受けとめ、また、反省もいたしておるところでございます。  こういうことがありましたので、先ほどもちょっと対策の中で申し上げましたが、外部から投書等を受けた場合の社内連絡体制、これまた先ほど大臣からちょっと御答弁申し上げましたが、金のかかるものについても、きちっと判断のできる者まで情報が上がるようにという意味で連絡体制明確化する、再発防止対策について指導を行うなど、今後の同種の事案の発生の防止に万全を期していきたいというふうに思っております。
  77. 細川律夫

    細川委員 犯人の方からの警告といいますか予告によりますと、警備員を配置すべきだ、こういうことが書かれているわけですね。そうしますと、当然警備員を配置すべきかどうかということを検討されたのだろうと思いますけれども、事件が起こってからはすぐに配置していますよね、なぜ直ちに警備員を配置するということにならなかったのか。二回検討していますよね、この二回の検討の中で警備員を配置するかどうかということが議論になったのかならないのか、そして、どういうような話し合いになっていったのか、結局配置しなかったのですから、どうして配置しなかったのか、ここを詳しくお話ししてください。
  78. 岩村敬

    ○岩村政府委員 警備員の配置とか施設の改良についての議論といいますか検討はされました。そして、予算が絡むので、その場ではすぐに決められないということで、引き続き検討という判断がされたというふうに承知をしておるところでございます。
  79. 細川律夫

    細川委員 そうすると、六月の二十五日に第一回目が行われ、七月の十五日に引き続き検討した、そしてまた、もっと先に検討ということで、このまま先送りになっているわけですね。それで今回の事件が起こった。ちょっとこれは、非常に大事なことといいますか、これをきちんとやっていたならば未然に防げたという意味で、このことは大変大きな問題ではないかなというふうに私自身は思います。警備員を、置かないというふうに決めたら決めたでそれは僕はいいと思いますけれども、しかし、置くか置かないかというようなことが先延ばし先延ばしになっていって、こういう事件が起こったということが大変僕は残念だというふうに思います。そういうことで、こういうことにならないように今後のいろいろな対策を立てていただきたいと思います。  もう一点、ちょっとお伺いいたします。  犯人と接触をされたというようなことを言われておりますが、事前にどういう接触があったのか、だれがどういう接触をしたのか、それをしたのは東京の空港事務所の方なのか、それとも、同じような投書が行っておりますけれども、航空会社の方もやったのか、警察の方もやったのか、そこのあたりはどうなんでしょうか。その接触の内容も言ってください。
  80. 岩村敬

    ○岩村政府委員 こういう投書を受けましたので、本人に空港ビルから電話をいたしまして、その際、本人から、警備員を雇うというか、警備員を置けという指摘をしているわけですが、この点に関連して、警備員を新規採用する場合は自分を採用してほしいというようなことの発言が相手方からあったようでございます。また、空港ビルデング側からは、今回の指摘事項は関係者の警鐘とする、それから、警備員の採用については空港ビルデングとして直接契約する立場にはありません、と申しますのは、警備員の採用は航空会社がやっておりますので、そういうことをお話をしたというふうに承知をいたしております。  そして、そういった間の事情については、空港警察とも関連の御相談をしたというふうに承知をいたしておるところでございます。  それから、空港事務所の方は、七月に本人の方に、対応策については関係者で今協議を進めているという電話連絡をいたしたところでございます。
  81. 細川律夫

    細川委員 この間に、警察の方は、これについては犯人とは接触しているということは聞いていますか。
  82. 林則清

    ○林(則)政府委員 まず結論を先に申し上げますと、警察の方は、犯人との接触というのは事前には行っておりません。  御質問のような犯人の指摘につきましては、六月十四日、警視庁の空港署、先ほどから話がありました、ここに手紙がやはり参りました。同じ時期に同様のものが航空会社数社、日本空港ビルデング等になされたということは説明があったとおりであります。  指摘の内容も、要するに三点ありまして、羽田空港の一階到着手荷物受け渡し所から二階出発ロビーへの逆流が可能であるという点、一階到着手荷物受け渡し所から手荷物の盗難が可能であるということ、それから三つ目は、本調査費用の支払い要請ということであったわけであります。  三つ挙げましたけれども、さきの二つにつきましては、手紙が来る前から、警察としましては、これまでも手紙に指摘があったような危険性というものは認められるということで、航空会社等関係機関に対して、ここは対策をとれと、犯人と同じでありますが、我々の方もそれは指摘をしておったところでありました。  各機関においては、逆流防止のための立入禁止を掲示するなどの対策を行ってきた。さらに、先ほど航空局長から御説明がありましたように、対策強化すべく検討中であったというふうに承知しております。
  83. 細川律夫

    細川委員 事前から逆流についての認識をされていて、これについてはきちんと対策をとれ、こういうことを指摘されていた。これはいつごろの話ですか。ごく最近のことですか、それとも、前からそういう指摘をされていたのでしょうか。
  84. 林則清

    ○林(則)政府委員 時期が具体的にいつかというのは、今手元に資料がありませんので、承知しておりませんが、しばらく前から、相当というか前から指摘をしておったというふうに思っております。
  85. 細川律夫

    細川委員 相当前という表現で言われましたけれども、警察の方からもそういう指摘があり、しかもまた、こういう投書のような形で警告もあった、そうすると、これについてやはり対策がとれていなかったということは、私は、ちょっと責任は重いんじゃないかなというような気がいたします。しかも、今回も、検討検討ということで、その間に重大なこんな事件が起こって、しかも機長が亡くなる。  きょうの新聞の報道なんかによりますと、自動操縦装置が切れていて、手動の形になっていて、墜落する可能性も本当にあった。そういうことも書かれておりまして、まかり間違えれば大変なことになっていたというような状況なわけですから、私は非常に大事なことだと思いますけれども、もう一度、そこの説明をしてください。
  86. 岩村敬

    ○岩村政府委員 この逆流防止対策については、航空会社において、先ほど刑事局長からもありましたように、進入禁止の大きな札を出すとか、いろいろ工夫はしてきたわけでございます。  それから、今回の投書を受けて、手荷物受取場には航空会社の職員、荷物を照合する職員がいますが、そういう人を含めて、あそこらを巡回する人を含めて、こういうケースについての注意喚起をし、また、不審な者がいれば声をかけて、例えば、どちらへ行かれるんですかというような声をかける、これはすぐやろうじゃないかということで、航空会社空港ビル会社としては、そのときに考えつく、すぐにできることはすぐやろうということでやったというふうに、我々は承知をしているわけでございます。  ただ、いかんせん、予算が絡むということで、直ちに航空会社も人を雇えない、その分人の目でカバーしようということであったのだと思うのですが、それができなかったこと、それが今回のことにつながってきた、そういう意味で、不十分であったということはあるのかなというふうに思うわけでございます。  ただ、そこの現場の当事者としては、考えつく最大のことはやったというふうに我々は聞いておるところでございます。
  87. 細川律夫

    細川委員 先ほども大臣にちょっとこの件で、望月さんの質問のときですか、お話があったかと思いますが、こういう大事なことの中で、予算の、金のかかることについてはその場その場で結論が出ないというようなことも言われて、なかなか難しいのだというお話があったのですけれども、今の議論を聞いていて、大臣、この点についてどういうふうにお考えですか。
  88. 川崎二郎

    川崎国務大臣 私自身、記者会見で申し上げたのは、一つは、投書を受けた方々が、実名で投書を受けていた、また、実際にその方にも連絡をしたということから、善意の提案者というふうに受け取ってしまったことが一つであろう。  もう一つは、実は、社長にお見えいただいたときに、この話は社長のところには届いておりましたかという御質問を私自身はさせていただきました。届いていないということでございました。  それで、社内連絡体制ということが逆に出たわけでありますけれども、要は、先ほど申し上げました、安全問題で予算を減らそうという気持ちは各社ともないと思います。安全はしっかり守らなければいかぬ。しかし、新たな対策を講じなきゃならないというときに、現場の人たちが即断できたかどうかというところに大きな問題があるのであろう。やはりお金を伴う、体制を整えなければならないという問題になると、かなり高いところから判断をして安全対策をしなければならない。  そういう意味で、先ほど、とった対策として申し上げましたけれども、航空会社からも話があり、社内体制、こういう投書、善意か悪意かわからないけれども、安全問題に関する投書というものがあったときに、もう少し社内のしかるべきところまで上がっていく、そして、そこで即断できる対応をとっていかなきゃならぬなというところを、今回の反省点として考えさせていただいているところでございます。
  89. 細川律夫

    細川委員 この点については、大変大事な点でありますし、今後十分この点についての再発防止に向けての体制を整えていかなければならないところでありますので、この事件を契機に、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、コックピットの問題についてお伺いをいたします。  犯人は、ハイジャックの当日に、大阪から羽田に向かうJALの飛行機のコックピットの、下見を兼ねた見学をしたらしいのであります。これは一昨日発売されました週刊誌の報道でありますから、正確かどうかわかりませんけれども、犯人は機長に対して高度をもっと下げろとか、あるいは、下げろと言っているのがわからないのかとかいうような要求をしたりしたとのことでございます。スチュワーデスは、このままハイジャックされるのではないかというような不安を感じたということであります。これが事実だとすれば、JALとして、この男の挙動について航空当局などに何らかの通知といいますか、通報をするなり、そういう措置をとるべきだったのではないかなというふうに思っております。  また、これは別の週刊誌でございますけれども、この事件が起こった翌日、これはJASのエアバスで起こったことでありますけれども、機長の裁量でコックピットに男と女二名を入れまして、ただ入れただけではなくて、離陸それから着陸、そのときにもコックピットの中に乗せていたというようなことが書かれておりました。これまた余りにも非常識な話でありまして、これが事実だとすれば、こんなことが行われているのかということで、もし行われておるならば、とんでもない話であります。一体、こういうことがあったのかなかったのか、そういうことについて運輸省はどういうように把握をしておられるのか、あるいはどういうふうに考えているのか。また、コックピットに一般の者が入ることについて、一体、今後どういうような対処をされていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  90. 岩村敬

    ○岩村政府委員 第一点目の、犯行当日の、大阪から東京への日本航空便の搭乗の際の操縦室見学でございますが、日本航空から事情を聞きましたところ、当該人物とおぼしき者が、七月二十三日午前の日本航空伊丹—羽田便で操縦室の見学を希望し、それに応じ見学をさせた。ただ、一部週刊誌で報道されておりますように、機長に対して高度を下げるように要求したり、また、これに機長が応じた、そういった事実は一切ないというふうに申しております。このため日本航空は、同報道を行った出版社に八月四日、面談による抗議をいたしたという報告を受けたところでございます。  そしてもう一点の、日本エアシステムのケースでございますが、御指摘のように、当該便の機長が知人二名を、離着陸時を含め羽田空港から女満別空港まで、操縦室内にございます補助席、ジャンプシートを使用させたということでございます。  一般客の操縦室の立ち入り、これは日本エアシステム、日本航空、巡航中は認めておりますが、すなわち離陸時、着陸時は認めておりません、巡航中に限って認めておるわけです。これが運行規程の附属書に書いてございますが、これに違反をしておるということでございます。また、ハイジャック事件の翌日であったということもございまして、日本エアシステムは、そのハイジャック事件のあった日から、巡航中であっても一般旅客の操縦室見学は中止だという社内通達が出ておったそうでございます。あわせて違反をしているということで、会社は、当該機長に七日間の出勤停止等の処分を行ったというふうに聞いております。現在、運輸省としても、会社そして本人から事情聴取を行っておるところでありまして、その結果を踏まえ、適切な措置をしたいというふうに考えております。  また、一般客の立ち入りにつきましては、今申し上げたように、巡航中に限って日本航空そして日本エアシステムは一般客の見学を認めておったわけでございますが、運輸大臣から各定期航空会社指示を出しまして、一般客操縦室見学を廃止するよう強く要請をしたところでございます。
  91. 細川律夫

    細川委員 もう時間がわずかですから次に移りたいと思いますが、新聞などの報道によりますと、これまでは、自動操縦装置は触れなかった、こういうように犯人は言っているという報道もございました。しかし、きょうのある新聞の報道によりますと、自動操縦装置は外れていたということ、それから犯人自身が操縦をしていた、そういうようなことも報道されているわけでありますけれども、一体、自動操縦装置が外れていたのかどうか、犯人そのものが操縦をしたのかどうなのか。  それから、そもそも犯人ハイジャックの目的は一体何だったのか、どういうつもりでこのハイジャックの計画をしたのか。これについて、わかっている限り運輸省の方で説明してください。
  92. 岩村敬

    ○岩村政府委員 運輸省といたしましては、独自の情報に基づき原因究明を進めていかなければならないというふうに思っております。また現在、犯罪でございますので、捜査当局でいろいろな取り調べが進んでおるわけでございますので、捜査当局に対しても情報提供について協力を要請し、連携をとっているところでございます。ただ、捜査中の事案ということでございますので、事柄の性格上、詳細な情報提供には限界があるというふうに聞いております。  しかしながら、捜査当局の持つ情報には、より迅速かつ的確な原因究明及び再発防止策、これが運輸省のやるべきことですが、それに必要な情報があるわけでございますから、運輸省としては、現在行っている独自の情報に基づきます原因究明再発防止策検討を進めるとともに、引き続き捜査当局と連携をとって、得られる情報はいただきたいというふうに思っておるところでございます。
  93. 細川律夫

    細川委員 これまで私がいろいろ運輸省の方とお話をしますと、いろいろな情報がわからないところがあると。犯人がどういうような供述をしているかもよくわからない。これは捜査当局の方の捜査の都合上、なかなか話してもらえないんだ、こういうような話も聞いてきたところでございます。  ただ私の考えでは、捜査そのもの、真実がどうだったかということを追求しながら、どういう刑罰を科したらいいかという捜査のことと、それから一方で、こういう事件でありますから、再発防止のためにどういう措置をとっていかなければならないかということはまた別問題でございます。そういう意味では、捜査当局の方にもいろいろ御協力をいただいて、いろいろな情報を運輸省の方にもまた知らせていただくというようなことが必要ではないかと思います。捜査という特殊なところではありますから、なかなか難しい点もあるかと思いますけれども、再発防止ということに限って、そういうことに有用な情報というのはむしろ積極的に提供していただけたらというふうに思いますけれども、警察庁の方、どういうお考えでしょうか。
  94. 林則清

    ○林(則)政府委員 御指摘のとおりでありまして、警察としましては従来から関係機関に対しまして、こういった事案があった場合に、捜査に支障を及ぼさない限りにおいて情報提供に努めてきたところであります。今後とも捜査に、先ほども御指摘がありましたけれども、刑事事件の捜査中という限界がありますので、何から何までお話し申し上げるということは、捜査である以上できないわけでありますが、それに支障を来さない限り、運輸省等、関係機関とも十分連絡をとって、必要な情報を提供してまいりたい、かように考えております。
  95. 細川律夫

    細川委員 ありがとうございました。  捜査に支障のない限りで、再発防止に限っての情報についてはできるだけ積極的にひとつよろしくお願いしたいと思います。  最後に大臣にお聞きをするつもりでありましたけれども、先ほどもお話をいただきましたので、私の質問はこれで終わりにいたします。  以上でございます。ありがとうございました。
  96. 久野統一郎

    久野委員長代理 次に、赤羽一嘉君。
  97. 赤羽一嘉

    赤羽委員 公明党・改革クラブの赤羽でございます。  まずは、みずからの命をもちまして乗客、乗員の安全の確保に尽くされた長島機長に対し心から哀悼の意を表しますとともに、御遺族方々に心よりお悔やみを申し上げたいと思います。  きょうは、JR西日本またJR総研の参考人方々、いらっしゃっていただいておりますが、大変恐縮ですが、最初に全日空機の方の事案を取り上げさせていただき、残りは、私の範囲で入らない場合は次の、同僚の倉田委員から御質問させていただきたいと思います。  まず、全日空六一便のハイジャック事件につきまして、先ほど同僚の議員、質問されている方が、これからの再発防止が大事だ、責任を問うのではなく再発防止が大事だという意見もありましたが、一人の大変貴重な生命を失っているという事件発生してしまった限り、そこの原因徹底的に追求、究明しなければ、本当の意味での再発は防止できないというふうに私は思っておりますので、まずその点から質問させていただきたいと思います。  六月中旬に、この容疑者からの警告というか、羽田空港の保安不備の指摘をする警告、投書について、どういった感覚で対応されたのか。こんなことは本当に起こるわけはないというふうに思っていたのではないか。本当にシビアな、これは大変だ、航空上の安全性にとって重大な事件だという御認識があったのかどうか、私は大変疑わしいと思わざるを得ないのですが、その点、どうですか。
  98. 岩村敬

    ○岩村政府委員 空港当局さらには航空会社に、こういった投書、脅迫文はたくさん参ります。それで、現場では、その中身それから相手方等々から、取り上げるべき、そして真剣にすぐに対策をすべきもの、そういったものの仕分け、さらには、物によっては上へと、最後には本省にまで連絡してくるもの、これは最初の受けた段階でいろいろ識別してまいります。  そういう中で、今回の投書というのは、先ほど大臣から申し上げましたように、実名で来ている、相手方の連絡先も正しい、そういうことで、これは非常に、まじめというのは変な言い方ですが、きちっとした指摘である、対応が必要だということで警察にも御相談をし、さらには、運輸省に来た段階では運輸省関係者を集めて対策を協議したという意味で、今先生が御指摘されるように、ほっておいたとか軽く見たとか、そういうことでは決してない事案であったというふうに見ております。
  99. 赤羽一嘉

    赤羽委員 しかし、その予告どおりの事件は起きてしまったわけですね。そこの結果責任というのは問われるべきではないですか。  そしてかつ、この七月二十三日にハイジャック発生した直後に、あ、あの投書どおりにやられたなという認識があったのですかなかったのですか、はっきり聞かせてください。
  100. 岩村敬

    ○岩村政府委員 対策をどうしたかということは先ほど来御説明を申し上げていますが、あの投書と同じであったかということについては、直ちに現場から、そしてうちにも情報が来ておりましたので、あのケースではないだろうかということは直ちに上がってまいりました。
  101. 赤羽一嘉

    赤羽委員 では、それなら、受託手荷物受取場から出発ロビーへの逆流防止措置をなぜ二十三日当日にとらなかったのですか。二十四日の、翌日でしょう、これを配置したのは。あの投書どおりの事案が起こってしまったという危機感が本当にあったのですか。あったのなら、なぜ同日、厳戒体制のフェーズIIに上げたのは同日の一時三十分ですか、大臣指示で出ていますね。保安体制は、基準は引き上げられているのですよ。なぜ同時に出発ロビーへの逆流防止措置をとらなかったのですか。そのとらなかったという事実だけを見ていますと、あの投書どおりだということが本当にわかっていたかどうか、極めて疑わしい。どういった経路で入ったのか、試行錯誤していたとしか思えないではないですか。この一日のブランクは何だったのですか。
  102. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先ほど直ちと申し上げましたが、実は捜査当局から二十四日にその事例ではないだろうかというのがあって、それでうちの方もそのときの対応がどうであったか、全部調べたわけですが、そういう意味では、二十四日にあって二十四日に直ちに、全部これはまずいということで指示をしたということでございます。
  103. 赤羽一嘉

    赤羽委員 それに加えて、先ほど大臣の御答弁にもありましたが、この投書自体は各社航空三社社長は知らなかった、報告は届いていなかった。本当にそんなに最重要な案件だったら、なぜ社長報告が届かないのですか。そういう状態なのですか。私は危機管理が欠如しているとしか思えませんが、航空局長としてどう思いますか。
  104. 岩村敬

    ○岩村政府委員 航空会社の方も、全社に届いているということではなくて、これは会社からの報告ですが、エアシステムに最初に来、その後に日本航空に来た。そして、全日空には届いていないという報告を受けております。  いずれにしても、我々に二十一日に届いた段階で、関係者を集め、エアシステムを含め航空各社を集めて対策を始めたわけでございます。そういう意味で、現場としては最大のことをしたというふうに理解をしたいと思いますが、結果的にこういうことが起こった、そのことの重大性には深く反省するべき点があるかと思っております。
  105. 赤羽一嘉

    赤羽委員 最後、御反省の弁も述べられたが、やはりこれだけあからさまに予告どおりのことをやられて、一人の命を失って、最善のことをしたなんというのは言えないと私は思いますよ。何で人が置けなかったのか。予算がなかった、そんなことは理由になりますか。危機管理を本当に抜本的に見直さないと、今後どんな対策をやったって似たような、かなりレアケースかもしれませんが、そういったことは防止できないのではないですか。大臣、どうですか。
  106. 川崎二郎

    川崎国務大臣 冒頭私が御報告をさせていただきましたように、今赤羽委員から御指摘いただいたことが私どもの中でも議論として出てまいり、社内体制、特に外部からの、害意あるか、また善意に満ちた忠告であるか、いずれにせよ、危機管理という観点の中から、安全体制の問題についてはできるだけ高い部分に上げて、そして即断できるような体制をとっていかなければならない、こんな反省をいたしております。  航空局長から申し上げましたけれども、現場において努力をしたことは事実だろうと思いますけれども、万全の体制がとり得たとは思っておりません。
  107. 赤羽一嘉

    赤羽委員 万全の体制はとれなかったという大臣の御見識をいただいたと思います。  それで、今度は荷物のチェックのことを伺いたいのです。  国内線における受託手荷物の荷物チェック、これは、エックス線を通すとか金属探知器を通す、これをやらなかった、やっていない現状がありますね。今後、この事件を契機に、質問し、たまに抜き取りという形であけるというような御答弁がありましたけれども、しかし今回の事案は、そこがフリーパスになったことが、そもそも凶器が飛行機内に持ち込まれてしまった最大のところじゃないですか。ここの部分について抜本的な措置をとらなければ、逆流防止だけで本当に事足りるのか、そういう認識はどうなのかなというふうに私は思いますが、ここの受託手荷物についてのチェックについて御見解をいただきたいと思います。
  108. 岩村敬

    ○岩村政府委員 受託手荷物場からの逆流防止の監視、これはまさに応急手当てでございまして、抜本的にはそこから逆流できないような施設整備をするということが最終的には解決策につながるんだろうと思います。  そういう観点から、羽田空港については早速、手荷物受取場を囲うような形で壁をつくりまして、そこに一たん入ると、今度は外へしか出られないように一方通行の開閉式扉をつけるということで物理的な改築をするということを決定いたしまして、九月にはそれが完成するという決定をいたしたところでございます。
  109. 赤羽一嘉

    赤羽委員 受託手荷物の荷物のチェック、これは、エックス線を通すとか金属探知器を通すというお考えはないということですか。
  110. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先ほども御答弁申し上げましたが、受託手荷物については、乗客との数を合わせるということで今までやってまいったわけでございます。それから、今回緊急に、相手方の問い合わせ、さらには随時の開披、あけて見る、そういうことでやりますが、さらにエックス線なりすべてを開披するなり、そういった対策が必要かどうか、これは今後の課題として検討する一つだろうというふうに思っております。  ただ、今回の逆流防止に関して言えば、そこを仕切ってしまうということで、受託手荷物場から持ってまた出発旅客が上がっていく、これはできなくなるというふうに考えておるところでございます。
  111. 赤羽一嘉

    赤羽委員 それでは、例えば荷物の数と乗客数が違う場合はその荷物をピックアップ、はじくということですが、自爆覚悟の人が爆弾を手荷物に預けて空中爆破を試みるとか、こういうことについてどういう担保、回避する担保をとっているんですか。
  112. 川崎二郎

    川崎国務大臣 実は、まさに捜査当局の捜査を待ちながら、分析をいただきながら、我々詰めなければならない課題を今御提起いただいたわけでございます。  要は、今までは政治犯もしくは金を取りたい、金なり亡命というものが目的でハイジャックというのがされた時代であった。しかし、今回、もし報道されておるようなことが事実だとしたら、自分が死ぬ気だったということが事実だとしたら、実は我々の想定を超えたことであります。そういう意味では、荷物と本人が合致していれば爆弾が積み込まれることはないという一つの想定で今進んでおるわけでありますけれども、本人が死ぬ気だということになれば全く違う想定になるだろう。  そういう意味では、あしたから、佐々淳行さんを中心にしながら犯罪心理学の関係の方も全部お入りいただいて、こういう事案についてどう考えていったらいいか、抜本的に考えてまいりたい。しかし、その前に、今捜査当局の解明を待ちながら進めなきゃならぬだろうと思いますので、一つの課題として受けとめさせていただいていることは事実でございます。
  113. 赤羽一嘉

    赤羽委員 わかりました。安全性というのが最優先するべきことは、大臣の御答弁にもあるとおりでございます。  幾ら国内線といえども、私は、受託手荷物についての荷物チェック体制も、今の御答弁のような方向で進めていただきたいということを要望させていただきたいと思います。  それで、全国空港金属探知器及びエックス線の検査装置、これを最新のものに入れかえるように指示をした、こういうお話がありました。しかし、台数が九十一台のうち六十一台を新品にかえなきゃいけないので、製造の時間がかかってなかなかすぐには措置できないというような説明もいただいておりました。金属探知器、メーカーはそんなに少ないのかというふうな質問をしましたら、何かフィンランドの一社だけだ、こういう話なんですが、日本で金属探知器というのは製造していないんですか。何か理由があって、そのフィンランドの一社しか指定できていないのかどうか。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 岩村敬

    ○岩村政府委員 需要先が極めて限られている、それから、更新といってもそう毎年たくさん出るものではございませんので、今回取りかえようとしている最新の金属探知器のメーカー、今先生御指摘のフィンランドのメトレックス社という一社が最新のものをつくっているというふうに我々、聞いておるわけでございます。(赤羽委員「それは日本でつくっていないんですか」と呼ぶ)そこまでは承知しておりませんが、やはり需要が少ないということもあるんだろうと思いますが、最新のものはフィンランド製というふうに聞いております。
  115. 赤羽一嘉

    赤羽委員 どういう経緯でフィンランドのメトレックス社を採用されているのかどうかわかりませんが、大変な時間がかかるようでしたら、国内のそれなりの精度を持ったものができなければあれですが、日本の技術をもってして、そんなこともあり得ないと思いますので、幅広く検討されるべきではないかというふうに思います。  金属探知器の感度のレベルというのは、率直に言いまして、私、海外なんかに行ったときにかなりひっかかる。同じいでたちで行くんですが、よくひっかかる空港と、何かほとんどフリーパスみたいなところがある。香港なんかほとんど全員ひっかかっていますね。この辺、日本の今の現状、金属探知器の感度レベル、どういうところに設定されているんですか。
  116. 岩村敬

    ○岩村政府委員 金属探知器の感度レベル、具体的にどれだけのものということ、これまた保安上それからリスクの度合いにおいて、いろいろ変わっておるわけでございますので、ちょっとここの場でどれだけということは控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、八月二日に運輸大臣から、定期航空会社の方に保安措置の全面的見直し強化に取り組めという指示をしたわけでございますので、その中で、今の金属探知器の感度レベルをさらに引き上げる必要性も含めて、早急に検討がなされるものというふうに考えております。
  117. 赤羽一嘉

    赤羽委員 多分、感度がよ過ぎるとほとんど全員ひっかかって流れが悪くなり、滞留時間があって非常にクレームが多くなるということだろう、そういう背景もあると思いますが、やはりこういった事件が起こったときこそ、そういったことを改めるチャンスだというふうに僕は思いますので、探知器のレベル、どういうのがあるか知りませんが、それは基本的には最高のレベルでやるべきだ、僕はそう思います。  あと、今回この犯人はコックピットの前から五番目に座っていた、そういうふうな報道もありますが、外国のエアラインを見ていますと、私もちょっと思い返したんですが、二階にコックピットがあるところは、客室乗務員は必ず男性が配置されていると思うのですね。それは、多分こういった安全上のことも考えられているのではないかと思うのですが、あのときも、後ろまで行ってスチュワーデスさんをおどしながら歩いていった。細い通路を歩いていったわけですから、ある意味では相当、タイミングで取り押さえられるチャンスはあったのではないかというような想像もできますが、こういったコックピットの付近の客室乗務員は男性を置くとか、もしくは、今回もたまたま、何か常に乗り合わせているのかわかりませんが、補助というか休みのパイロットの方たちがいらっしゃった、そういう人たちは多分後ろの方に座っているんだと思うのですが、コックピットの周辺に何人か座るとか、安全上の体制をしくべきではないかと思いますが、その点はどうですか。
  118. 岩村敬

    ○岩村政府委員 今御指摘の点も含め、また外国航空会社の実例、これも今鋭意調べておりますが、そういったものも含め、あす、有識者による懇談会を、先ほど大臣から申し上げた佐々淳行先生をヘッドに開始します。その中で、どういう形で機内の安全を保つか、これについての議論をさせていただきたいというふうに思っております。
  119. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ぜひ、機内での安全体制ということで、男性の客室乗務員を置いていくという方向で御検討いただきたいというふうに思っております。  大臣、繰り返しになりますが、今回のこの事件が起こりました。英語で、ツームストーン・セーフティー、墓石の安全、犠牲者が出てから安全対策を進めることというふうな言葉もあります。残念ながらそういう形になってしまったかと思いますが、これからいろいろなことで、今回のようなバーチャルリアリティーそのものの事件が起こってしまったようなこと、何が起こるかわからない、まさにそこに危機管理体制を持っていくのが交通行政を進めていく上で本当に大事なことだというふうに思っております。それは大臣も御同感いただけると思いますが、この点について、さらなる安全対策への御決意を御表明いただければと思います。
  120. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まさに長島機長のとうとい犠牲をむだにしないためにも、しっかりとした安全体制を整えなきゃならない、このように思っております。  特に、先ほどから申し上げております、今までのハイジャック犯が、政治的な意思を持つ者、もしくは金銭的な欲求に基づく者、こういう時代から、平成七年、九年、十一年とこれは二年置きに続いておるわけでありますけれども、違う、まさに異常な形での行動になっております。そういう意味では状況が変化してきている。どういう犯罪者が現在多いのかということをまず念頭に置きながら、その対応策をとらなきゃならないだろう。  まず第一に、機内に凶器を持ち込まれないような万全の体制をしかなければならない。第二に、万が一の場合にどう対応したらいいか。これは今まで、正直申し上げて、コックピットの問題につきましても各航空会社まちまちでありましたし、最終的にはかなり多くの部分を機長の判断にゆだねておった。そこも含めて、やはり統一的な、各社同じ考え方で危機管理だけはやりましょう、こういうことで、この間も御要請を申し上げたところでございます。  そういった意味では、運輸省出過ぎだという御指摘をいただくことになるかもしれませんけれども、危機管理また安全の問題でありますので、私どもの方から航空会社に強く要請を繰り返してまいりたい、このように思っております。
  121. 赤羽一嘉

    赤羽委員 危機管理体制を整えるということ、運輸省が民間企業に意見するというのは、僕は決して出過ぎなことではないというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  この事案の最後の質問として、この事件発生直後に複数のテレビ局が事件の再現を試みようとした、それが正式な取材なのかどうだったのかはよく承知しておりませんが、この点について、運輸省として掌握されている正確な事実を御報告いただけたらと思います。
  122. 川崎二郎

    川崎国務大臣 テレビ朝日とフジテレビで、取材のマナーにもとることが行われたと思っております。  七月二十六日、羽田空港内の取材の申し込みがフジテレビからございました。これは許可をいたしたわけでありますけれども、取材の過程で、許可をしていなかった逆流を試みようとしたため、これを制止し、退場させた事案がございます。  フジテレビからは、同日直ちに、取材中当局に御迷惑をかけた旨の謝罪文が報道局のプロデューサーから航空局長あてに提出されたところでございます。  また、テレビ朝日については、その下請会社の社員二名が、七月二十九日、犯人と同様の行程で移動中、伊丹空港にてビデオ撮影しているところを、JALの通報を受けて駆けつけた警察官に職務質問されたという事案が起きました。両名は偽名での搭乗であり、また、取材許可も受けていなかったということでございます。  私から社長に、三日、取材上のマナーに欠けるということで抗議を申し入れまして、迷惑をかけた旨の謝罪があり、翌日、常務取締役から航空局長あてに謝罪文が提出されたところでございます。  いずれにせよ、取材のマナーということで、モラルというものをしっかり守ってもらわなきゃならない、このように思っております。
  123. 赤羽一嘉

    赤羽委員 日本で報道の自由、表現の自由というのは最優先に守られなければいけない権利だと思いますが、それがすべてにおいて通していいのかどうかということは、取材の許可を得ていないとかそういう最低限のルールを守らない場合は、私は本当に疑問に思いますし、同感の運輸委員会のメンバーは多いと思いますので、しかるべき場をいただいて、当事者の皆さん出席の上、状況に対する参考人質疑云々できるようにお取り計らい願いたいと思います。
  124. 石破茂

    石破委員長 ただいまの赤羽君の申し入れにつきましては、今後理事会等で協議をさせていただきたいと存じます。
  125. 赤羽一嘉

    赤羽委員 終わります。
  126. 石破茂

    石破委員長 次に、倉田栄喜君。
  127. 倉田栄喜

    ○倉田委員 公明党の倉田栄喜でございます。  まず、私は、山陽新幹線福岡トンネルコンクリート剥落事故からお尋ねをしたいと思います。  まず、この原因についてでありますけれども、いわゆるコールドジョイントです。このコールドジョイントということは、専門家の間ではよく知られたことであるというふうに私は認識をいたしております。冒頭大臣の御報告の中で、こういう形態でのコンクリート剥落ということだと思いますけれども、予想もしていなかった、こういうふうなお話でありました。しかし、専門家の間では、よく知られた話。運輸省当局としては、コールドジョイントという問題の指摘あるいは認識というものについてはなかったのでしょうか、あるいは、どう考えておられたのでしょうか。
  128. 安富正文

    ○安富政府委員 委員御指摘のように、コールドジョイント自体については、もちろんその存在自身は我が方も知っておったわけですけれども、今回、コールドジョイントに起因した事故がこういう形で起こった。それまでは、コールドジョイントに起因した事故発生がなかったということもあり、コールドジョイントの存在そのものが、いろいろな形でこういう形の事故原因に結びついてくるという認識がなかったことは事実でございます。  そういう意味で、今回の事故、またこれから原因究明していかなきゃいけないと思いますが、いろいろな要素がかかわって剥落事故が起きたと思いますけれども、今後、その具体的な原因究明について我々としても一生懸命やりまして、その上で具体的な対応策を検討していきたいというふうに考えております。
  129. 倉田栄喜

    ○倉田委員 先ほど赤羽委員からもお話がありましたけれども、全体に、危機管理という問題、阪神・淡路大震災の後に、我が国の危機管理体制というのは非常に大きな問題になりました。後でまた御指摘をさせていただきたいと思いますけれども、そこから考えると、これから起こり得ることであろうということに対して、私も含めて我々一般、どうもその認識が甘いのではないのかという気がいたしてなりません。  今回のコールドジョイント、不良箇所の問題についても、既に委員会で指摘がありましたけれども、東海道新幹線山陽新幹線と、キロ当たりに直してこんなにどうして違うんだという問題点があるわけです。それはなぜなのか。運輸省としては、今から検討委員会とか調査委員会を置かれまして、本当に正確、精緻に検討されるんだと思うんですけれども、しかし、どういう角度から、どういう決意、覚悟で検討するのかということについて、やはり私たちは相当な覚悟でやっていただかなければならない、こう思うのです。  このコンクリート剥落問題については、いわゆる施工の不良ではないのか。あるいは東海道新幹線後の山陽新幹線については、コンクリートの取り扱い方であるとか施工等々、基準等々の問題についてもいろいろ違ってきているのではないのか。また、当時の建設状況、熟練の技術者さんが不足だったのかもしれない。セメントが足りなかったかもしれない。それから砂の問題については、川砂を使ってしまって海砂を使わざるを得なかったかもしれない。海砂だってきちんと洗浄して塩分を抜けば大丈夫だと思うのですけれども、その辺がきちっといっていたのかどうか。  もちろんこれから御検討になることだと思いますけれども、運輸省としては、現時点で、施工不良なのではないのか、手抜き工事なのではないのか、そういう新聞報道がされていることに対してどういう認識を持っておられるのでしょう。
  130. 安富正文

    ○安富政府委員 委員御指摘のように、新聞等では、手抜き工事ではないか、あるいは施工不良ではないかというような幾つかの推測に基づくいろいろなことが言われております。  ただ、我々としては、やはり原因究明をちゃんとやって、具体的にそういうことがあるのかないのかも含めまして、まず、当時の施工環境であるとか、山陽新幹線施工技術とその他の新幹線施工技術がどう違ったのかとか、先生おっしゃいますように、材質の問題はどうだったのかとか、そういうことを多方面にわたって検討した上で、それが具体的に施工不良だったのか、手抜き工事だったのかということを判断すべきではないかと思っております。  そういう意味で、先生からもお話がありましたように、検討会あるいはJR総研の原因究明、こういうものの結果を待って、そこら辺を検討会で十分検討していただきたいというふうに考えております。
  131. 倉田栄喜

    ○倉田委員 この問題は、要するに、当該福岡トンネルというトンネルの問題と、ほかのコンクリート構造物一般にどう絡んでいくのか。我々がこれから二十一世紀を迎えるときにその対策をどうしなければいけないのかという問題に絡んでくることだと思いますので、ぜひ広く正確にというのか、広く深く検討していただきたい、これは御要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、西日本旅客鉄道さんにお見えいただいておりますけれども、これも私は危機管理に関する話だと思いますので、お尋ねをさせていただきたいと思います。公表のあり方ということについて、新聞にもいろいろそれでよかったのかどうかという問題点が出されております。  事故が起こって、運転再開ということに主力が行ったのかどうかわかりませんけれども、コンクリート剥落しましたよということが公表されたのは、これは正確だろうと思うのですけれども、翌日二十八日の午前十一時ごろということ。そうすると、事故が起こってから二十五時間、丸一日以上たってコンクリート剥落というのを発表されておられる。これはどういうことなのだろう、どういう認識なのだろうというふうにこの記事を見て思うわけですね。  最初からもちろん正確に発表しなければならない、きちんと発表しなければならないということだったと思うのですけれども、当初はコンクリート剥落という言葉は全然出てこないわけですよね、いわゆる停電だとか損傷、そして最終的には翌日になってしまう。西日本鉄道当局としては、発表のあり方あるいはこの事故が起こったときの認識の問題としては、どういうことでこういうふうになったのか、危機管理のあり方あるいは事故の処理のあり方、連絡体系のあり方、そういうところに不備がなかったのかどうか。その点はいかがですか。
  132. 櫻井紘一

    櫻井参考人 先生御指摘の危機管理あるいは情報連絡体制の面で大変重要なことだと認識をいたしております。  経過を申し上げますと、今回の事故につきましては、六月の二十七日九時二十四分ごろに架線停電発生とともに列車ひかり三五一号が停止しましたが、点検の結果、パンタグラフの損傷など車両損傷が確認され、応急措置を行い、十時五十四分に運転を再開いたしました。これについては、当日二十七日午前中に運輸局へ報告し、マスコミにも公表したところでございます。  その後、トンネル内にコンクリート塊及びコンクリート剥落箇所を発見いたしましたが、これらと今回の事故との因果関係がなかなか判明しなかったこと、また、先ほど来ございますコールドジョイントに関連して、ああいう落ち方をするということはかつて経験のなかった事象でございます。そういった面で、より的確に状況を把握し、正確に公表することが第一であるというふうに考え、必要な時間を要してしまい、翌二十八日に運輸省報告とプレス発表をした、こういうことになった経過でございます。  今回の件につきましては、より正確に事実確認をしてからお伝えするというスタンスの中で、情報の集約、統合化に時間を要してしまい、結果から見れば、客観的な状況のみでも、不確実な状況であっても早期に情報を提供すべきであったと反省をいたしております。  今後は、連絡体制を改善し、また初期の初動体制についても改善をする中で迅速な情報提供に努める所存でございます。
  133. 倉田栄喜

    ○倉田委員 西日本鉄道さんだけのことではないのかもしれません。我が国の事故が起こった直後の対応のあり方、危機管理のあり方、それが未熟なのかもしれない。今お答えいただきましたように、まずやはり情報公開をもってあるべしである。その中から、いろいろな意見があるし、みんなで防ぐということも出てくるのかもしれない。ぜひ我々は真剣に考えなければならないと思います。  きょう、鉄道総合技術研究所からもお見えいただいております。少し一般的にお答えいただければと思うのですけれども、我が国のコンクリート構造物は大丈夫なんだろうか。こういうことが起こりますと、そういう懸念すら思ってしまうわけです。特に、いわゆる施工不良の問題、これは病理的な現象だとしても、生理的な現象としては、コンクリート構造物というのは一体いつまでもつんだ。先ほど中性化という指摘もありましたけれども、一方で強度のアルカリ化という問題もあるのだと思うのですね。そして、これから川砂がなくなって海砂を使うときにどういうふうに対応していくのだという問題もある。  技術研究所としては、施工不良とか海砂使用とか、これから研究、検討されるのだと思うのですけれども、現段階ではどういうふうな御認識をお持ちでしょう。
  134. 佐藤秦生

    佐藤参考人 お答えいたします。  現段階の認識をお尋ねだということでございますが、今回事故発生いたしました箇所、これは御指摘のとおり、コンクリート施工上、打ち足した跡でありますコールドジョイントがございまして、これが原因の一つであるという認識はそのとおりでございます。しかし、一般にコールドジョイントがあるということだけで危険であるという認識は今持っておりません。恐らく何らかの要因が絡み合って今回の事故発生したという認識でございます。  また、海砂の問題につきましては鋭意分析を進めているところでございます。  いずれにしましても、御質問のございました施工の問題それから材料の問題につきましては、幅広く原因調査しているところでございます。
  135. 倉田栄喜

    ○倉田委員 技術研究所としては、コンクリートの経年劣化とかコンクリートの耐用年数、どなただったか、五十年とか百年とかというお話がありましたけれども、五十年にしても百年にしてもアバウトな話だ。五十年なのか百年なのかという問題もありますし、いわゆる保守管理をきちっとやれば半永久的にもつということを前提にしておやりになっているのかどうかわかりませんけれども、研究所の所見としては、いわゆるコンクリート構造物について、経年劣化だとか耐用年数というのはどういうふうにとらえられておるわけですか。もしそのとらえ方が変われば、先ほども話に出ておりましたけれども、それこそ補修だけじゃなくて全部つくりかえなければいけないよという話が出てくるのかどうかという問題もあるわけですから、コンクリート構造物の経年劣化問題それから耐用年数ということを、一般的に技研としてはどういう所見でおられるのか、それをまずお教えください。
  136. 佐藤秦生

    佐藤参考人 お答えいたします。  コンクリート構造物の劣化でございますけれども、これは気象的な要因もございますし、化学的な要因もございます、それから施工時の要因もございますので、そういう原因コンクリートが変質してきた、その結果として生じるものだというふうに考えられます。したがいまして、これを一概に、どの程度の使用期間に耐えられるかということは非常に困難な問題でございます。  しかし、トンネルにつきましては、使用期間を明確に示したということはありませんけれども、現在の技術でありますれば、適切な保守管理を行えば半永久的に使用に耐え得るものであるというふうに考えております。  それから、橋梁とか高架橋とかいうコンクリート構造物でございますけれども、現在の設計法、現在、設計法が決まっておりますが、この設計法の上では、繰り返し作用します列車荷重、これから影響があるわけですが、これを考慮いたしまして、設計上は百年間使用する、そういう前提で一応計算はするということになっております。  しかし、これも、適切な保守管理がなされ、その対策も研究されておりますので、さらに長期の使用に耐え得るものであるというふうに考えております。
  137. 倉田栄喜

    ○倉田委員 適切な保守管理がきちんとできれば半永久的、あるいはその期間は構造計算的には、償却の問題かもしれませんけれども、百年ぐらいは大丈夫だということになっている。そういうことなのかもしれませんけれども、しかし、危機管理、事故発生ということになれば、施工不良等の問題のみならず、何が起きてくるのかわからない。そのときにどういう措置をとるのか。これは安全とコストの、これだって、一方を最大限にしなければならないとしても無制限ではないのだろう、こう思いますけれども、やはり安全とコストという問題になってくるのだと思うのですね。  そこで、きょうは建設省の方にもお見えいただいておると思いますが、建設省と運輸省当局にお伺いいたします。いわゆるコンクリート構造物施工不良や経年劣化の対策コンクリート構造物と一般的に言ってもいろいろあると思いますので、建設省の方は、きょうお見えいただいた範囲の中で結構でございますので、これをどういうふうにお考えになっておられるのか。今後、適切な保守管理があれば半永久的に大丈夫ですよという立場で維持できるのかどうか。その点の問題意識、運輸省、建設省、それぞれお聞かせください。
  138. 安富正文

    ○安富政府委員 先ほど総研の方からもお話がありましたように、適切な保守管理を行えば、トンネルも含めたコンクリート構造物はかなりの長期使用に耐え得るということでございます。  問題は、今回こういう事故も現実に起こして、あるいは高架橋コンクリート剥落というような事件も起こしております。そういう意味で、我々としては、やはりコンクリート構造物に対する国民の不安、そういうものが出てきていると思いますので、原点に返って、先ほど来申しております、我が方で運輸省に設置しますトンネル問題検討会、さらにはJR総研に設けます高架橋にかかわる問題を中心としたコンクリート構造物委員会におきまして、今後の保守管理あり方についても十分検討いたしまして、国民の不安が生じないようにぜひしていきたいと思っています。  その際には、当然のことながら、建設省等の関係省庁とも十分連絡をとってやっていきたいというふうに考えております。
  139. 大石久和

    ○大石政府委員 建設省のコンクリート構造物の品質管理についてのお考えをお尋ねでございます。  コンクリート構造物の品質確保につきましては、まず、施工時の品質確保対策が最大の課題だろうと考えております。工事完了後では目に見ることができない構造物でございますので、これらの工事の際に、監督職員を選定いたしまして、品質管理の技術基準を定め、適正な品質が確保されるようにしていくということがまず何より大事だと考えてございます。  また、完了後のコンクリート構造物がその機能を十分に発揮するためには、定期的な点検、これは、日常的に毎日見るような点検と時を定めて時々見て回るような点検、いろいろなものがございますが、こういった点検を組み合わせ、補修、補強等を実施しながら保全対策に努めるということは極めて重要だろうと考えてございます。  今、運輸省の方から御説明がございましたように、コンクリート構造物は土木構造物の中でも最も基礎的、根幹的な構造物でございます。これに対する信頼が揺らぐということになりますれば、公共土木構造物全体に対する信頼の問題ということにもなるわけでございますので、こういった事故にかんがみまして、我々も臨時の点検をいたしておりますが、基本的に、コンクリート構造物点検体制のあり方等についても運輸省ともども研究を進めてまいりたいと考えております。
  140. 倉田栄喜

    ○倉田委員 世界じゅうそうだと思いますけれども、日本も、我々はコンクリートの中に囲まれて生活をしているわけですね。コンクリートの経年劣化ということがあって、どんどん剥落するようなことがあったら大変だ。学説の中には、二〇〇五年から二〇一〇年ごろにかけてどんどん剥落するのではないのか、こういう指摘もあるわけですね。その学説がどういう位置づけになるのか私はわかりませんけれども、しかし、危機管理というのは、まさにそこに危機管理の問題があるわけであって、これも、コストと安全のバランスの問題は確かにあるかもしれませんけれども、起こり得ないことかもしれない、しかし、考えられることに対してどう対応するのかということだと思うのですね。  このコンクリート構造物に関しては、十分な調査と今後の対策、経年劣化の問題、これは運輸省、建設省が中心になるのだと思いますけれども、十全にやっていただきたいということは特に要望しておきたいと思います。  そこで、危機管理という観点から、全日空六一便ハイジャック事件についてお伺いをいたしたいと思います。  機長に対しては本当に心から哀悼の意を表したいと思いますし、御家族の方にはお悔やみを申し上げたいと思います。  危機管理という視点から考えるならば、本当に我々は、阪神・淡路大震災のときに大騒ぎしたけれども、その教訓をその後に生かしているのだろうかという思いがしてなりません。  先ほどからるる指摘がありましたけれども、いわゆる犯人からの警告に対してどう対応したのか。そしてさらに、これは運輸省当局は御承知だと思いますけれども、民間航空の安全確保に関する要請書ということで、航空安全推進連絡会議から毎年要請書として当局に、大臣もお目通しになっているのかもしれませんけれども、出ていると思うのですね。これを見ますと、ハイジャック・爆発物対策に大体今回同じようなことは指摘をされている。  まず、運輸省は、この航空安全推進連絡会議の安全確保に関する要請書をどういうふうに受けとめて、どういう対応をとられたのでしょうか。
  141. 岩村敬

    ○岩村政府委員 この航空安全推進連絡会議は、規制緩和に対する意見等多数の要望を年一回取りまとめまして、運輸省に提出をしておるものでございます。  平成三年度以降、要望事項の中に、国内空港のターミナルにおいて出発客と到着客を分離すべきである、そういう要望が入っておるわけでございます。ただ、今回のハイジャック事件のポイントとなりました、手荷物受取場から出発ロビーへの逆流の話についての指摘はなかったわけでございます。  出発客と到着客の混在の問題については、この指摘がされる際、当方から推進連絡会議のメンバーにこちらの考え方を示しておるわけでございます。出発客と到着客の混在については、全国空港において出発時に保安検査実施しており、国内線での到着客はすべてクリーンであるので保安上問題はない、全国空港における保安検査徹底を図ること、これが肝要なのであるということをお答えしておるわけでございます。ちなみに、海外においても、国内線の空港ターミナルではいわゆる混在型が一般的であるというふうに承知をいたしておるところでございます。  ただ、今回の逆流の問題については、先ほど来御答弁申し上げましたが、事件発生後、羽田を含む全国空港での受託手荷物受取場から出発ロビーに逆流が可能なターミナルビルにおいてはとりあえず警備員を配置して対応するということ、そして、羽田については、受託手荷物受取場の入り口に逆流防止のための設備を設けるということ、これは近々着工の予定でございますが、そういった対策をしてまいっておるわけでございます。
  142. 倉田栄喜

    ○倉田委員 機内でのハイジャック対応マニュアルというのもまた見直されるということ、想定をしてないこともあり得るということで見直されるんだろうと思うんですけれども、どういうふうにそのマニュアルをつくるかということは別に、それは公表すること自体がとんでもないことだろうと思いますけれども、検討されるときに、操縦室に入れるようなことで本当にいいのかどうか。もちろん、絶対という言葉があるのかどうかわかりませんけれども、しかし、操縦室には入れないんだというアナウンスは必要なのではないのか、そうすべきだというふうにも私は思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。  時間が参りましたので、大臣、いわゆるコンクリート剥落事故、それから今回のハイジャック事件は、その後の対応、公表のあり方等々いろいろな問題を含めて、大臣自身はこの問題について、危機管理ということについてどう認識をしておられますか、どういうふうにしてやっていかなければならないとお考えですか、この点をお聞きして質問を終わりたいと思います。
  143. 川崎二郎

    川崎国務大臣 JR西におけるトンネル剥落事件、そして全日空ハイジャック事件事件が相次ぎました。ある意味では、今御指摘いただきましたように、基本的にはJR西における管理の問題であろう、またハイジャック事件につきましては、一番御指摘いただきますのは、犯人犯人といいますか投書に対してどう対応したか、もっと突き詰めて言えば、あそこに守衛を置いておけばという御議論までいただきました。まさに、民間会社がやるべきことということが第一義的ではありますけれども、トータル的に安全管理というものをどう考えますか、危機管理をどう考えますかというときに、私どもの役所の責任というものもあるだろう、このように思っております。  まず第一に、コンクリートに対する信頼性、またトンネルの問題、こういう問題をやはり国という視点から目を加えながら、国民に対するしっかりとした説明責任というのが私どもにあるんだろうと思っております。ハイジャック対策につきましても、各社各社でお考えいただいていたという対応から、先ほども申し上げましたけれども、私どもがリーダーシップをとりながらやっていかなきゃならない部分というものがかなりできてきておる。  そういう意味では、なかなか仕分けが難しゅうございます。基本的には費用も何もすべて民間会社がお払いになるわけでありますから難しゅうございますけれども、安全という面から、私どもははっきりと物を言っていかなければならない、こういう認識をいたしております。
  144. 倉田栄喜

    ○倉田委員 終わります。
  145. 石破茂

    石破委員長 次に、岩浅嘉仁君。
  146. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 自由党の岩浅でございます。  質問七人目でございます。通告した質問で大分重複しておるものがございます。できるだけはしょって質問をいたしたいと思いますが、二、三点どうしても重複する質問がございますので、御容赦を賜りたいと思います。  今、社会資本、道路、鉄道あるいは住宅までコンクリート剥落する、社会現象になってきておるのではないかと危惧をいたしております。高度経済成長期から突貫工事でいろいろな施設がつくられましたが、もうそろそろ限界に来ておるのではないか、その一つの予兆が今回のトンネル事故ではなかったかと思うんです。  いろいろな統計がありますけれども、公共事業全体に占める維持更新費、維持管理費の割合がどのぐらいになるのか。ある調査では、来年は全体の公共事業に占める維持管理費は一八%、十年後、二〇一〇年には三六%、そして、二〇二〇年という断面で見ますと、実に約六割が維持更新費で新規投資は四割にしかすぎない、実はこういう厳しい数字も出ております。私は、日本の社会資本というのは、将来的にそういう全国の社会資本全体を診断しなきゃいけないというふうな信号が今回の剥落事故であったのかなという感じもいたすわけでございます。  今回の事故は、我々は絶対に安全だと思っておりました新幹線の安全点検体制に盲点があったということを初めて知らしめたわけでございます。先ほど倉田先生の最初の御質問にもございましたコールドジョイントコールドジョイントという言葉を初めて知りまして、国会図書館で現代用語の基礎知識、知恵蔵、イミダスといろいろな辞書がありますが、全部調べたんですけれども、この言葉は載っておりませんでした。来年二〇〇〇年版からは大きく扱われると思うんですが、それだけ、専門家の方にはもう前からわかっておった、しかし、我々一般の人間には古くて新しい言葉ということが言えるのではないかと思うんです。  先ほど倉田先生からもお尋ねがあったんですが、あえて私もお伺いしておきます。  鉄道トンネルにおけるコールドジョイント発生ということは、専門家の間ではいつの時点でその存在が認識されておったのか。そして、トンネルのここにはコールドジョイントがありますよ、こういうことは以前から把握をされておったのかどうか。また、安全検査項目には入っておらないということでございましたが、これはどうしてか。また、どんな項目について対策をとって、どのような安全点検をどのぐらいの周期で当事者としてなさってきたのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  147. 佐藤秦生

    佐藤参考人 お答えいたします。  鉄道トンネルにおけるコールドジョイントという言葉でございますけれども、これがいつから使われていたのか正確には不明でございます。昭和五十年ごろの本には出ているということでございますから、それ以前より使われていたようであるというふうに考えております。ただ、コールドジョイントという用語は、科学的な専門用語というよりはむしろ現場用語ではないかというふうに思われます。したがいまして、一般的な本には余り出ていなかったのではないか、こういうように考えております。  トンネルの覆工にコンクリートの打ち込みが機械で行われるようになったのはかなり昔でございまして、約八十年ぐらいたっております。したがいまして、それ以来トンネルにはコールドジョイントが生じていたということは十分考えられますし、その存在そのものは専門家の中では認識されていた、こういうふうに思っております。トンネルにおける安全性につきましては、コールドジョイントですが、専門家の間でも特に問題視はされていませんでした。
  148. 櫻井紘一

    櫻井参考人 点検項目についてお答えをいたします。  コールドジョイント自身が一つの要因となって事故を起こすということにつきましては、従前全くの知見がなく、トンネル検査マニュアルにも重点的に検査を行うべきものとはなっていませんでした。そういう関係で、私どもも検査項目には入れておらなかったのが現状でございます。  なお、新幹線トンネル検査は、法令で定められた二年に一回の周期で行う定期全般検査というのがございますが、これにつきましては、ひび割れ、漏水の有無、ジャンカ、コンクリートの浮き、漏水どいの状態等について、目視あるいは打音検査によって行っておるところでございます。また、この二年に一回の定期検査のほかに、毎年、ゴールデンウイーク、お盆あるいは年末年始という三回の多客期の前に、不定期の全般検査ということで同内容について目視検査を行っておるところでございます。
  149. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 御答弁によりますと、専門家コールドジョイントがこういう問題を惹起するとは想像していなかったということでございますが、今後は当然検査項目に入ってくると思います。  それぞれ御質問の中であったわけでございますが、特に山陽新幹線の岡山—博多間、コールドジョイントの全体の九七%がこの区間に集中しておる。オイルショック等の問題も指摘をされました。当時のいろいろな施工状況、さまざまな要因があったと思いますが、当時の状況を完全に精査をすると同時に、施工後の完成検査も含め、工事の施工状況全体をどのぐらいの熱意を持って調査をされるおつもりなのか、伺っておきたいと思います。
  150. 櫻井紘一

    櫻井参考人 今回の福岡トンネル事故にかんがみまして、早速福岡トンネルの関連について当時の状況調査したわけでございます。一つは工事費がございますが、この工事費につきましては、工法等の全体の概要はわかりますが、細部はなかなかわからないという状況ですし、また、当時の担当いたしました会社に対しても聞き取り調査をいたしましたが、全体的には詳細はなかなかわからないという感じでございました。ただ、コンクリートの材質に関しましては、福岡トンネルは川砂を使用していた、セメントについては高炉セメントB種が支給品であった、あるいは骨材の場所がどこそこであったという説明はいただきました。また、この工区は比較的地質がよく、湧水も余りなかったために工程的には比較的順調であったこととか、コンクリートの運搬につきましては、運搬車がトラブルを起こしたこともあるとは聞きましたが、剥落の当該箇所の特定の話はわかりませんでした。それから、竣工検査につきましても、当時の規定に基づき行ったと思われますが、全く記録に残っておりませんので、具体的な内容についてはわからなかったというのが現在の状況でございます。  私どもとしましては、福岡トンネルに限らず、今回、各種打音検査、そして濁音箇所が大変多くあったというようなことも含めまして、今後、関係いたしました会社に対して可能な限り状況調査するということで把握してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  151. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 よろしくお願いします。  この事故が起こりましてこういう報道がなされたのですが、確認をしておきたいのです。技術評論家の桜井さんという方が、屋根が大破したひかり三五一の車両は、開業当時の初代、これはゼロ系というのですか、これが幸いした、この形は、空調機器などを載せるため、屋根が頑丈な二重構造になっておる、しかし、このトンネルを十分前に通過した五〇〇系のぞみであればアウトでした、車両の重心を低くするために設計した屋根は薄いので、同じようなコンクリートが落ちてくると、屋根を突き破って乗客を直撃し、惨事となっていたでしょう、こういうことを報道で知ったわけですが、これはあり得ることでございますか。
  152. 櫻井紘一

    櫻井参考人 五〇〇系のぞみの車両につきましても、従来の新幹線車両、ゼロ系でありますとかと同様に、車両の最高速度、五〇〇系でいいますと時速三百キロの営業運転に見合った形で、動揺、あるいは車内外の圧力変動、あるいは自重も含めた荷重等に対する十分な強度を確保した構造設計を行っております。したがいまして、ゼロ系と比較いたしましても、ゼロ系は二百二十キロ、五〇〇系は三百キロという違いはありますが、それぞれに見合った形での強度を持っておるということからいたしまして、特段の差はないというふうに考えておる次第でございます。  ただ、実際に実証したということではございませんので、設計上からいいますと、そういうことと考えておりますので、ゼロ系とは違って客室まで一段と影響が及ぶかどうかということにつきましては、例えば五〇〇系の場合には骨の数がゼロ系よりも多く入っているというようなこともございますので、一概に何とも言えないということで御理解をいただきたいと思います。
  153. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 わからないということがわかったということであろうと思います。  再発防止の視点からも、先ほど申し上げました施工状況調査、完成後の検査体制の確認をよろしくお願い申し上げたいと思います。  岩波新書の小林一輔さんが書いた「コンクリートが危ない」という本がございます。私も一読したわけでございますが、この事故以来、大変売れておるようでございます。その中に、「コンクリートのがん」として、アルカリ骨材反応による特有のひび割れなどの症状が山陽新幹線高架橋の柱、橋梁の橋台や橋げたなどに見られる、これはレイタンスと呼ばれるコンクリート表面に薄い層状をなした一種のかすの処理が、施工マニュアルどおりに除去しなかったことによる手抜き工事だ、こういう紹介もされております。  また、コンクリート片あるいはモルタルの落下の主な原因であると考えられているアルカリ骨材反応によるひび割れなどの症状に関して、現時点でその発生状況についてどの程度把握をされておるのか、またJR西日本コンクリート検討委員会における検討状況について伺っておきたいと思います。  さらに、今回の事故で、目視検査だけでは安全が守れないことがわかった、山陽新幹線ではこれからが老朽化対策の正念場と言われることを考えますと、一定期間列車を運休して、徹底的に調査点検する必要がある、こういう指摘をなされる方もおいででございますが、この点、どうお考えになっておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  154. 櫻井紘一

    櫻井参考人 高架橋コンクリート片またはモルタルの落下につきましては、私どもの六十三年以来のコンクリート委員会で種々検討をしていただきましたが、その見解では、その主たる要因は中性化であるというふうにされております。したがいまして、その補修方法としてライニング工法も提案され、それに基づいて補修を行っておるところでございまして、現在までに二百億の投入をしてやってまいっておるというのが実情でございます。  なお、コンクリート委員会につきましては、山陽新幹線高架橋について、五十五年ごろからひび割れ等が見られ始めたことから、昭和六十三年に大学の学識経験者を中心としてコンクリート委員会を設置して、その原因究明補修保守管理方法についての研究、試験を主たる目的として活動してまいりまして、先ほどございました中性化現象ということが判明したわけでございますが、アルカリ骨材等の関係についてはその検討過程の中では出てまいりませんでした。
  155. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 次に、JRの在来線等、新幹線以外のコンクリート構造物安全性について伺っておきますが、去る七月五日付の鉄道局施設課長から各地方運輸鉄道部長あての在来線のトンネル点検についてという通達がなされまして、点検が進められていると思いますが、これまでの点検経過の策定状況点検結果の報告はどのようになっているのか、伺っておきたいと思います。  また、経営体力の弱いいわゆる第三セクター鉄道事業者等において、コンクリート構造物の経年劣化、コールドジョイント等による剥落など類似の事例が発生した場合、輸送の安全確保のための補修工事等に対しまして現行の助成措置にはどのようなものがあるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  156. 安富正文

    ○安富政府委員 まず第一点目でございますが、委員御指摘のように、七月五日に、JR在来線、地下鉄、民鉄トンネルを有する鉄道事業者に対して、同様の事故発生のおそれのあるトンネル、これはすべてということじゃなくて、そのおそれがあるトンネルということで絞っておりますけれども、これを中心点検計画を策定して点検実施するように指導したところでございます。  現在、数としては全トンネルで四千三百カ所ぐらいございます、新幹線を入れますと四千八百カ所ですが、その新幹線を除きました総トンネルのうち約半分ぐらいを実際に点検をしておるところでございます。現在、各事業者から点検の計画が出てきておりまして、それぞれの事業者は定めました計画に従って順次点検実施しているところでございますが、事業者はトンネルの数によって実際の点検の終了する時期が違いますが、おおむね十月末までにはすべての事業者で終わるというふうに考えております。  それからもう一点、第三セクター等の鉄道事業者に対してどういう助成措置があるかということでございますが、在来線につきましては、今言いましたように、いろいろな点検をやっておりまして、今後その対応策を検討してまいりたいと思っておりますが、老朽トンネルの改修工事について保安度が著しく向上するものにつきましては、現在、近代化補助という補助制度がありましてこれを活用することができますが、一般の改修というか一般の補修工事については、本来的には鉄道事業者がみずからの負担で実施していくという形になるかと思います。  今後の具体的な点検補修の対応策を検討する中で、第三セクターも含めた鉄道事業者にどういう支援をやっていったらいいかということについては、先生の御指摘も踏まえて検討していきたいと思います。
  157. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 第三セクターは大変厳しいわけでございます。助成措置の充実もぜひ御検討をお願い申し上げたいと思います。  さらに、問題箇所点検補修につきまして、現在のコールドジョイント検査は、先ほどもお話がございました打音検査中心となっておるわけでございますけれども、今後の検査体制に最新技術を導入していく必要があるのではないかと。  近畿日本鉄道におきましては、平成三年より、トンネル内壁の経年変化の診断に役立てるため、内壁の写真をデータベース化するシステムを導入し、三百六十度回転する特殊カメラを使い内壁を二メートル間隔で輪切り状に写してコンピューターに保存して、端末機に補修、破損箇所の拡大画像を呼び出し、〇・二ミリぐらいの小さなひび割れをも確認することができる機械を導入しておる、こういうことを伺いました。  このような新しい技術開発の現況、及び、今後新たな開発を促進するための公的助成、また、そういう技術の導入を促進するためにどのように考えておるのか、伺っておきたいと思います。
  158. 安富正文

    ○安富政府委員 トンネル検査の手法につきましては、いろいろな手法が現在検討されております。現に、我が運輸省の方で鉄道総研の方に技術開発の一環として補助をしている部分がございます。これにつきましても、平成六年度から八年度にかけまして、トンネルの壁面のクラック等の変状を測定するための検査システム、ちょっと専門的で、ConSISという装置を開発しまして、現在これはJR東海で一台使われている状況でございます。  そのほかに、今先生御指摘の近鉄でやっているものであるとか、営団でやっております赤外線カメラを使ったものであるとか、あるいはJR西日本検討しております音波、超音波を使ったもの、レーザーを使ったもの、いろいろな手法があるかと思います。  ここら辺につきましては、トンネル検査技術についていろいろな方法についてさらに我々としても検討しまして、どういう技術開発をしていったらいいか、今後詰めていきたいというふうに考えております。
  159. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 今回の事故に限らず、将来に向かって最も重要なことの一つは、国が事故原因究明し、同種事故再発防止を目的として行う調査が必要だと思います。  我が国には、鉄道事故調査の場合は、航空事故調査委員会や海難審判庁のような法的根拠に基づく専門的な調査機関が存在しておりません。また、運輸省にもその機能や権限は与えられていない。そのため、実際に鉄道事故発生すると、刑事訴訟法に基づいて警察、検察という捜査機関が刑事司法捜査に乗り出すことになる。その目的は業務上過失致死傷罪や過失往来危険罪など犯罪の立件にあります。つまり、事故再発防止という観点からの事故調査ではなく、犯罪性の有無を判断するための証拠集めという観点からの捜査が行われるのであります。  警察、検察による調査という日本の鉄道事故調査の手法は、たとえそれらの機関の捜査能力や水準が高いといたしましましても、複合的な諸要因が重なり合って発生する鉄道事故の真相の究明という点で見た場合、著しい限界と制約があると思います。私は、鉄道事故調査は、警察、検察による犯罪捜査ではなく、再発防止の観点を最優先して行われる必要があると思います。  運輸大臣の諮問機関でございます運輸技術審議会が昨年調査機関の必要性を指摘いたしましたが、今回の事故を契機に、鉄道事故原因究明再発防止を目的に、鉄道局長をトップにした事故調査検討会を設置することとなったと伺っております。しかしながら、この検討会は常設ではなく、死者五人以上または重傷者二十人以上の大事故発生した際に立ち上げるものであり、大きな事故に至らなかったケースや運休、大幅なおくれなどに対しては、事故分析小委員会運輸技術審議会鉄道部会内に設けて統計的に分析するということになっておりますが、これでは十分とは言えないと思います。法律の整備とか専門的な常設の第三者機関の設立が必要であると考えますが、御所見を伺いたいと思います。  御承知のとおりアメリカには、航空事故や海難事故、すべての運輸事故調査を所管いたしますNTSB、国家運輸安全委員会がございます。同種の組織はカナダ、オランダ、スウェーデン、ニュージーランドなどにも存在して、フランスにおいても設立が検討されていると伺っております。我が国におきましても、差し当たりは単独の鉄道事故調査委員会として設置し、条件が整い次第、航空事故調査委員会や海難審判庁との統合を図りまして、さらに高速道路における自動車事故調査も加えて、運輸事故全般を調査する運輸事故調査委員会へと発展させることが望ましいと考えますが、いかがでございますか。     〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
  160. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先日も、アメリカから今御指摘のあった方が見えまして、私と少し議論をさせていただいたところでございます。  御指摘のとおり、鉄道については事故調査検討会鉄道局長のもとに新たにつくらせていただきました。海運、海難につきましては裁判機能まで運輸省の中に持っております、警察機能、事故調査機能、それから裁判機能まで持っております。航空機については特別の委員会を持っていると。そういう意味では、三つのモードでそれぞれ違うやり方をいたしておることは事実でございます。  一方、アメリカのように一つにまとめてしまって、運輸省とは切り離してやれという議論があることも事実です。これは、つい最近まで金融行政で議論をいただいたところだろうと思うのです。初めは、企画と調査を分けろと。しかし、だんだん各党の御主張が、最後は企画と調査まで一緒になってしまって、大蔵省から離せばいいんだ、こういう議論が出てきたようでございますけれども、いろいろな議論があるんだろうと。  実は、私はその際に申し上げましたのは、アメリカが、事故調査の結果、それが民間業者に行政を通じてフィードバックされて我が国よりも事故が減っているなら、我々は見習いたい。しかし、今の現状を見ると、どうもアメリカの事故は我が国より多いですね。必ずしも、行政と事故調査というものを分けた結果として、いい結果が出ているようには私の目からはまだ思えない。  しかしながら、行政とチェック機能というものは基本的に将来分けていった方がいいんじゃなかろうかなという御指摘が、何もこの問題だけじゃなくて全体としてある話であろう。そういった意味では、もう少し私自身も勉強したいと思っております。  ただ、最後の目標は、先生から一番最初に御指摘いただいたとおり、事故の結果が分析されフィードバックされて事故が少なくなる。国民の安全が保たれているところでありますから、それができるかできないか。先ほど危機管理の方も少し議論いただきましたように、今のところ行政を通じてフィードバックした方がどうも民間の方々は動かれるというのが実態のようでありますので、そこのところをよくこれから勉強してまいりたいと思っております。しかし、一つの流れとしてあるということは十分受けとめさせていただいているところでございます。
  161. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 今アメリカの例が出ましたが、アメリカも、一九六〇年代後半、七〇年代ですか、財政難で社会資本が非常に整備ができなくていろいろなアクシデントが起こった、そういうことも背景にあるんではないか。しかし、前向きに考えていただくということで、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、ハイジャックの問題です。  長島直之機長に対し深く哀悼の誠をささげながら、数点お伺いをいたしたいと思います。  先ほど質問がございましたが、いわゆる逆流の問題でございます。  国際民間航空条約、いわゆるシカゴ条約十七附属書によれば、安全性確保のため、「各締約国は、国際民間航空の運航に従事する航空機への持ち込みが認められていない物件の持ち込みを防止するため、乗継ぎ客、通過客及びそれらの者の機内手荷物を規制する適当な措置を講じることを確保しなければならない。」さらには、「各締約国は、空港の保安検査地点を通過後、保安検査を受けた旅客と受けていない他の人々とが混在又は接触する可能性がないようにしなければならない。万一、混在又は接触が発生した場合には、関係者及びその機内手荷物を搭乗前に再度検査しなければならない。」と規定をされております。  搭乗前に預けた荷物は事実上検査されていないわけですから、荷物受取場はダーティーエリアであります。出発ロビーと到着ロビーが別の階に分かれていても事実上通り抜けることができるのであれば、クリーンエリアとダーティーエリアとは峻別されていないことになる。これは、いわゆる前段の条約に反することになるのではないかと思います。その点をお伺いいたしたいと思います。  さらに、簡単で結構ですが、逆流可能な五十二の空港において当面とった措置と今後とるべき恒久的措置について、伺っておきたいと思います。
  162. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先生御指摘のとおり、国際民間航空条約の第十七附属書には、ダーティーエリアとクリーンエリアは保安確保のために峻別せいということになっております。そういう趣旨で、先ほど来御答弁申し上げていますように、保安検査を受けた人と受けていない人が接触または行き来ができないように、ダーティーエリアとクリーンエリアを分けるという方針で進んでまいったわけでございますが、唯一受託手荷物の受取場と出発ロビーとの間を、進入禁止とは書いてございましたが、物理的にそこが通れる形になっていたという盲点があったわけでございます。  そして、全国の六十六の空港のうち、逆流不可能な空港は十四空港ございますが、それ以外の五十二空港については、今回の事件を反省して、当面の措置として、警備監視要員の配置により逆流防止確保いたしておるところでございます。さらに、八月二日には、運輸大臣から定期航空運送事業者に対し、かかる措置継続指示をいたしました。  また、今後の恒久的な逆流防止措置でございますが、ターミナルにおける保安措置の全面的な見直し、強化の一環をこれからやるわけでございますが、これも先ほどの八月二日に、定期航空会社に対して、検討を早急に進めるように指示をいたしております。  ただ、今回事件がございました羽田空港については、九月完成をめどに、現在、受託手荷物場を隔離する形での壁、そして出入り口を設置しようということをやっておるところでございます。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  163. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 次に、具体的な事件発生した後におきます客室乗務員、副操縦士などの乗務員のとった行動について、数点伺っておきたいと思います。  乗っ取り犯への対応マニュアルの公開を求めることは、今後の同様の事件発生した場合に支障が生じると思われますので、あえて公開は求めませんが、今回のように乗っ取り犯が操縦することまでは想定していなかったようですが、実情はどうかということ。  さらに、今後は、乗客が飛行機に乗るために空港に来て、飛行機に乗り目的地まで行き、空港を離れるまで、あらゆる場面における事件事故を想定したマニュアルを作成し、実際に実地訓練をすることが必要と思いますが、現在、各航空会社空港事務所はどのぐらいの頻度で訓練をしているのか、伺っておきたいと思います。  さらに、三点目ですが、今回、犯人からの要求に対してコックピットをあけるまで極めて短時間であったわけでございます。犯人からの要求からあけるまでに、二分と言われておりますけれども、何分かかったのか。  犯人から要求を突きつけられた客室乗務員、今はキャビンアテンダントと言うんですか、昔のスチュワーデス、スチュワーデスは正社員であったのか、契約社員であったのか、また、マニュアルに即した実地訓練は受けていたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  164. 岩村敬

    ○岩村政府委員 第一点目の現在のハイジャック機内での対応マニュアルの中に、こういった操縦を目的とするようなケースが想定されていたかということについては、そういう想定はなかったというふうに言わざるを得ないと思います。御承知のように、昭和五十年代までのハイジャック、これは政治的な背景とか金品を求めるとか、いわゆるハイジャックとしてそういった事案に対応するマニュアルであったことは間違いございません。  ただ、平成になって、七年以降ありますが、ここでのハイジャックというのを見てまいりますと、どうも動機もまちまち、また、通常では想定できない、みずから航空機を資格もないのに操縦してみたいというような動機も、また行動も、我々が想像できなかったようなものがございます。  そういうことでございますので、やはり、ハイジャックのマニュアルは見直しが必要であろうというふうに考えておりまして、八月二日の運輸大臣指示に基づきまして、あす、有識者による懇談会、第一回を開催いたしますが、そういう中で、ハイジャック発生したときの航空機内の保安対策について、海外事例も含めて十分な検討をしてまいりたい、また、こういう動機が従来と違うということも含めて検討をしてまいりたいというふうに思っております。  第二点目のハイジャックの際の訓練、ハイジャックに対応する際には、ただマニュアルをつくるだけではだめで、それに基づいての訓練が要るわけでございます。航空会社によって若干内容が違いますが、全日空の場合でいいますと、運航乗務員については毎年訓練をいたしております。また、客室乗務員等については、平成三年、そして平成八年に訓練をしたというふうに承知をいたしております。  また、第三点目でございますが、今回の事案でコックピットをあけるまでの時間のお尋ねがございましたが、これについては、犯行に至る経緯、それから途中の犯人乗務員のやりとり等々、詳細な部分がまだ明らかになっておりません。我々もいろいろ努力をしておりますが、先ほどのお話にもありましたように、犯罪捜査中ということでいろいろ制約もありまして、かちっとした、どのタイミングで、そして何分で入った、何秒で入ったという話は、我々、正確にはまだ承知していないところでございます。いずれ、あしたから開く委員会の中でも今回の事例研究をいたしますので、その際には、どういう経緯でどういうやりとりがあって入ったのか、そういったこともきちっと事実を調べてまいりたいと思います。  また、もう一点ございましたが、今回の事件で客室乗務員の方の経歴及び訓練のことでございますが、実は、今回ハイジャックが行われました二階席には二人の客室乗務員が乗務をいたしておりました。この二人は契約社員ではございましたが、保安要員としての訓練、これにつきましては正社員と全く同一の訓練を受けております。それから、先ほどお話のあった途中の、中間での訓練、この点については、この乗務員については平成九年二月に乗務員の資格を取得しておりまして、先ほど申し上げたように、八年に中間の訓練というのがありましたので、そういう意味では、資格取得の際の訓練は受けておりますが、その後の中間の訓練というものは受けておらなかったという状況でございます。
  165. 岩浅嘉仁

    岩浅委員 契約社員だった、こういうことでございますね。  もう最後になるのですけれども、実際にハイジャックの訓練をしておるとかおっしゃるのですが、現場の人に聞いてみますと、一年に一回、十分ビデオを見るだけだという声もあるのですよ。ですから、あすから検討委員会が始まるのであれば、過去、実際どうだったのか、これはやはり正確に検討委員方々に知らしめて、各航空会社指導して、よりよきものをつくらないかぬ、情報開示をしなければいけない。私は、それが非常に大事なことであろうときょうの質疑認識をいたしました。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後になりますけれども、先ほど赤羽先生からもお話がありました、外国の航空会社ではコックピットの近くに頑強な男性のお客を優先的に乗せるとか、実はそうやっておるそうです。それから、今回は別の便に乗る男性乗務員が六人おったわけですね、一番後ろにおった。その方々をコックピットの近くに配置するとか、これは経費が要ることでございますけれども、専門的に訓練された軽武装の警備員といいますか警護員というのをひそかに一人ずつ潜ませておくとか、いろいろな方法があると思うのですね。ぜひ具体的な防止策というものをあすから検討していただきまして、安全を確保していただきたいと思います。御答弁は結構でございます。  以上で終わります。
  166. 石破茂

    石破委員長 次に、平賀高成君。
  167. 平賀高成

    平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  初めに、六月二十七日の山陽新幹線福岡トンネルコンクリート剥落事故を契機にして、鉄道コンクリート構造物安全性に対して大きな疑問が出され、今、多くの利用客に大きな不安を与えております。  特に重大なことは、既に十数年も前から山陽新幹線コンクリート剥落問題ではいろいろな早期の劣化が指摘をされておりまして、JR西日本自身八八年に、これは略称ですけれども、コンクリート委員会をみずからの会社の中につくって、コンクリート早期劣化の原因が一体何であるのかということを検討してきたわけですが、しかし、その原因がいまだにはっきりしない。今の劣化のスピードでこのままいきますと、設計強度そのものが本当に大丈夫なのかという状況が今の山陽新幹線の実態だと思います。  そこで、安全であるべきトンネルが今回のトンネル内のコンクリート剥落事故によってあわや大惨事になりかけた、こういうことですから、私は、大変深刻に受けとめなければならない、そういう問題だと思います。特に、山陽新幹線でいいますと、これは総延長が五百五十一キロで、五一%に当たる二百八十キロがトンネルですから、トンネル内の安全というのは山陽新幹線の安全運行のいわば前提条件になっている、こういう状況にあると思います。六月二十七日の事故発生以来、JR西日本調査では、コールドジョイント部分が二千四十九カ所あって、打音検査をやることによって三百一カ所が濁音があった、こういう状況でありました。これらの箇所ではいつコンクリートが落ちても不思議ではないという状況にあるわけです。  そこで、質問するわけですが、コンクリート剥落事故というのは、山陽新幹線トンネル点検保守をやっている現場の人たちの声でいえば、トンネルコンクリートが落ちてくることは常識だということが言われていたわけですが、こういう問題について運輸省は承知をしていたのですか。
  168. 安富正文

    ○安富政府委員 トンネル鉄道施設につきましては、当然のことでございますが、鉄道運転規則によりまして、事業者の方で一定期間ごとに点検をする、異常が見つかればそれを補修するということを実施してきておりますし、そういう指導も我々しております。  そういうことでございますので、トンネルで何らかの異常があれば計画的に改善、補修がなされるものと我々は承知しておりましたが、今回、実はそういう中でコンクリートコールドジョイントに起因した事故というのが起きました。我々としても、このコールドジョイントに起因してこういう形で事故が起こるということについては十分承知していなかったという点はございます。そういう意味で、今後の具体的な定期検査あり方点検あり方については、こういう点も踏まえてどういうふうにしていったらいいか、あるいはどういう補修方法を講じていったらいいかということについては、先ほど来申しておりますが、検討会で十分検討していきたいというふうに考えております。
  169. 平賀高成

    平賀委員 よく承知していたかどうかについてはちょっと不明確な答弁だったと思います。  ここに、週刊朝日のことしの八月六日付の号があります。これは、山陽新幹線の開業以来、長年にわたって保守点検の作業に当たってきたベテランの作業員の方の証言があるわけですが、何と言っているかといいますと、「特にトンネル内はボロボロで、天井からコンクリートが落ちてくるなんていうのは、もう十年も前から作業員の間では常識でした。落ちたコンクリート塊を見つけてはJRの保線担当者に報告していましたから、会社が知らないハズはない。」こういう証言をしています。このように、安全確保の前提条件が崩れてきつつある、こういう兆候がありながら、運輸省JR西日本が本格的な調査をしたり具体的な対応をしてこなかったというのは、私は大変重大だと思います。  また、今回のコンクリート剥落事故によって、やはりトンネル内での点検整備のあり方が私は問われていると思います。このコンクリート剥落事故が起きる前までは、運輸省点検項目でいいましても、コールドジョイントの内容は点検項目に入っていなかったわけです。特に、今回のこの事故を通じて、コールドジョイントがどれほど重大な問題なのかということが明らかになったわけですから、この機会に運輸省点検項目の中にコールドジョイントとその周辺の点検を入れるべきだというふうに私は思いますが、この点での答弁をお願いします。
  170. 安富正文

    ○安富政府委員 委員御指摘のとおり、従来、コールドジョイントそのものに着目して我々として点検項目に入れてやっているということはなかったということは事実でございます。現に、鉄道総研でまとめられたトンネル検査補修のためのマニュアルがございますが、この中でも、トンネルコールドジョイントについて特別の点検対象とはしていなかったところでございます。  ただ、今回の事故にかんがみまして、当然、このコールドジョイントに起因する事故がこれから起こらないように、当面の措置としてL形鋼等で防止措置を講じておりますけれども、今後点検あり方を含めて我々としても検討していきたいと思いますので、その中で、この点検項目の対象としてコールドジョイント部を考えていくということをぜひ検討していきたいというふうに考えております。
  171. 平賀高成

    平賀委員 さらに聞いていきたいと思います。運輸省JR西日本は、このコールドジョイントの問題だけではなくて、特に安全軽視の問題という点でいいますと、高架橋の問題についても私は同様だと思います。特に、高架橋は百六十五キロを占める、かなりの部分を占めるわけですから、その面でも大変重大だと思います。  私も、高架橋コンクリート落下については、姫路市内の西蒲田地区や福岡市の博多地区、こういうところも視察をしましたけれども、やはり歩いてみるだけでコンクリートの破片が落ちているわけです。ですから、率直な感想を言いますと、これは満身創痍の状態にあったというのがコンクリート剥落の実態だと思います。特に、JR西日本の神戸支社の調査によりましても、新大阪と相生間、この区間だけでも約一万七千もの危険箇所が見つかったことを明らかにしています。  こういう実態に対して、JR西日本の方は、剥落原因というのはコンクリートの中性化だ、対応策というのはライニング工法だということを言ってきたわけです。しかし、この中性化の原因、そしてライニング工法を十数年間やってきたわけですが、しかし、一向にこの状態というのが改まっていないわけです。ですから、私は、ライニング工法の補修対策というのは不十分だと言わざるを得ないんですが、この点での運輸省の見解を求めます。
  172. 安富正文

    ○安富政府委員 委員御指摘のように、JR西日本では、山陽新幹線コンクリートの劣化問題につきまして、六十三年当時からコンクリート委員会というのを設けまして、いろいろ検討を行ってきたところでございます。  このコンクリート委員会においては、山陽新幹線高架橋のひび割れやコンクリート片剥落、これは中性化という現象で原因が起きているというふうに分析しまして、この中性化を含むコンクリートの劣化問題に対処するための補修工法としてライニング工法というのを使ってきておるわけですが、これによって、今回一斉点検をしまして対応したときにも、その剥落した箇所をはつり落として補充材を入れまして、コーティングするという形で、ライニング工法で当面の応急措置としてやっているところでございます。  ただ、今回、このコンクリート委員会のほかに、JR総研も含めまして、JR総研の中でコンクリート剥落問題についての検討委員会を設けることにしておりますので、このライニング工法がいいのかどうか、それから、当面の措置としてのライニング工法のほかに恒久的な措置としてどういう措置があるのか、これから検討して対応策を図っていきたいというふうに考えております。
  173. 平賀高成

    平賀委員 明確に答えられませんけれども、しかし新たな方法を検討せざるを得ないというわけですから、これまでのライニング工法というのは不十分だと言わざるを得ないというふうに私は理解をします。  既に、このコンクリート剥落の問題が一体どこに原因があるのかということは、ずっと前からいろいろ議論にもなり指摘をされてきたわけです。  例えば、これは八七年当時の「コンクリート工学年次論文報告集」があります。そこの9—1というところで、「鉄筋コンクリート床版下面に施工した各種補修工法の効果」という論文をJR西日本の岡山保線所の方が書いています。これを読みますと、「変状が生じるのは、細骨材として用いた海砂に含まれている塩分の影響、かぶり不足、締め固め不良などによるコンクリートの品質不良などに起因すると考えている。」こういう指摘をしています。  それからさらに、「ライニング工法は必ずしも完全であるとはいえない。」こういう指摘もあります。さらに、「現在おこなわれている補修は、構造物の変状の程度、原因にあまり関係なく同種の工法をとっていることが多い。」と。ですから、原因などにも余り関係なくライニング工法をとっているということを、当時のJR西日本の岡山保線所の方が論文で書いているわけです。  ところが、こういう指摘をされているにもかかわらず、JR西日本運輸省は真剣にこれを受けとめずに、本格的な原因究明とその対策検討されてこなかったわけです。  しかも、JR西日本コンクリート片が落ち続ける原因を、これは新聞でも報道されました、七月一日付の毎日新聞。ひび割れや剥離が発生するのは、水、セメント、砂などの配合割合が主原因とし、海砂使用による塩害や手抜き工事との指摘を否定し続けてきた、こういうことが指摘をされています。  こうしたおざなりのJR西日本の対応や、それを黙認してきた、こういう問題が私はあると思うんですが、もしそうじゃないというのでしたら、この間運輸省がとってきたさまざまな指導や提言などがありましたら、答弁をしてください。
  174. 安富正文

    ○安富政府委員 トンネル等、高架橋も含めましたコンクリート構造物についての第一義的な維持、補修のいわゆる権限を持っておりますのは鉄道事業者でございます。この鉄道事業者に対して、我々としましては、一定の期間ごとに定期点検を行うというような形で指導してきております。  そういう中で、ではコンクリートの問題について具体的な指導をしたかという点については、先生おっしゃるとおり、これまで個別の話としてはやってきていないことは事実でございますが、ただ、一般的な点検補修という中で、そういう剥落あるいは落下等が起こらないように指導してきたところでございます。  ただ、これにつきましては、何度も先ほどから申していますが、高架橋コンクリート剥落問題についても、どういう対処方法をしたらいいか、点検補修、今後の対応策について、我々としてもJR総研の委員会に参加して検討していきたいというふうに考えております。
  175. 平賀高成

    平賀委員 具体的に、JR西日本などに対して指導や、さらには提言などをやってこなかったと、この点では、まさに事業者であるJR西日本任せになっていたということが実態だと私は思います。  そこで、新幹線の安全輸送の前提となっているトンネルの保守の問題や、さらには高架橋などのコンクリート構造物に対する不安がここまで国民の前に明らかになっているわけですから、私は改めて、この原因とその対策が、どんな角度からの批判に対しても耐えられるような、そういうものになることが今求められていると思います。  この点では、コンクリート早期劣化の原因が、主たる要因は中性化だ、それでライニング工法だということでやってきたわけなんですが、しかし、さまざまな、アルカリ骨材反応の指摘だとか塩害の指摘ということがあるわけですから、私は、この機会に、それらの問題も含めて、コアの抜き取りの問題も、そういったことを検討して、全面的に行って、その情報の公開や、さらにはどの程度の強度に耐えられる状態にあるのかということを全面的に明らかにして、対策を講ずることが必要だと思います。  この点で求められているのが、私は、JR任せではなくて、コンクリート工学の学者や研究者を含めた公正中立な第三者機関政府の責任でつくるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  176. 川崎二郎

    川崎国務大臣 御指摘いただきました件ですけれども、まず第一に、JR西日本が事態をしっかり掌握する、そして、応急の措置をまず行うことであろう、そして、それを東、東海まで広げさせていただき、民鉄、また在来線まで今チェックを行っているところでございます。  そうした結果が既にまとまりましたので、私ども、八月の十一日の日に、トンネル安全問題検討会というのを発足させていただきます。京都大学の工学研究科の足立教授に座長をお願い申し上げまして、学識経験者、そしてJRはもちろんでありますけれども、民間の鉄道事業者、加えて、先ほど少し申し上げましたように、建設省の土木研究所トンネル研究室長、こういう方にも入っていただいて、年度内、来年の三月までに基本的な見直しをさせていただきたい。まず、応急対策でよかったのかどうか、また、どういうことから起因してこういう問題が生じたか、それに対する対応策としては今後どのようなことをやったらいいか、これを来年の三月までに詰めたいと思っております。  一方、高架橋等の御指摘でございます。  これは、コンクリート全体に対する不信というものであろうと思います。いろいろな形で学説も出てきております。基本的には、しっかりとした補修点検をしていけば長い間もつというのが大勢の議論でありますけれども、しかし、他の学説も出てきておるところでありますので、改めて、山陽新幹線の問題に起因いたしましたコンクリート構造物検討委員会をつくらせていただきたい。これも年度内に結論を得たいと思っております。  一方で、先ほど建設省からも御答弁がありましたけれども、建設省サイドからもこの問題を議論していく、また、運輸省の中でも港湾局なり航空局なり、コンクリートを現実に使っておる部署がありますので、そういうところとも十分連絡をとりながら進めてまいりたい、このように思っております。
  177. 平賀高成

    平賀委員 対策の専門の委員会の設置をいろいろお話ししていただきましたけれども、私は、今お話がありました、例えば運輸局長のもとにつくるトンネル安全問題検討会、それから鉄道総研の中につくる第三者の検討会とかいろいろあると思います。しかし、今まで検討会の問題というのは、基本的には事業者が責任を負ってつくるということでありましたから、JR西日本の中にコンクリート委員会をつくって、それで検討していただいて対策を講ずるということになってきたわけですね。ですから、この点ではやはりJR西日本任せになっていたというのが、私は、この間の経過だと思います。  今お話しになられましたこの新たな検討機関につきましても、鉄道局長のもとにつくるというのも、結局運輸省の中の組織ですよ。それから、鉄道総研の中につくる検討委員会というのも、本当に公正なものなのかといえば、そもそもこの鉄道総研というのはどういう活動資金で運営されるかといえば、JR各社の出資金で運営されていくわけですから、その活動資金はJR各社に依存しているという組織でありますから、こういう組織ではなくて、公正中立で、運輸省からも独立した、そういう検討委員会をつくるべきだということを私は改めて提案したいと思います。  特にイギリスなどでは、これは、九四年一月にイギリスの国鉄が民営化されていくわけですが、安全問題は本当に大丈夫なのかということについて、政府の責任で、運輸省からも独立した鉄道監督局、こういうものをつくるということになっているわけですから、こういうことも取り入れていくべきだ、いく時期に来ているんだということを私は改めて指摘しておきたいと思います。  次に、ハイジャックの問題について質問をします。  七月の二十三日に全日空ハイジャック事件発生しました。機長が、乗客、乗員五百十七名の命を守るために、ハイジャック犯から文字どおり命をかけて業務を遂行し、そして痛ましくも命を落とされましたが、私はこうしたことに対して心からのお悔やみを申し上げたいと思います。  この事件を契機にして、私は、まず最初に、ハイジャックマニュアルの抜本的見直しや託送手荷物等のチェック体制など、二度とこのような事件が起こらないような抜本的対策を強く要求いたします。  そこで、質問なんですが、政府は、ハイジャック等防止対策要綱、これは七三年の八月三十一日に閣議了承されていますが、この中では、第二章の二、旅客と送迎人との分離柵の整備、送迎人及び検査前の旅客と検査後の旅客とを完全に分離できるよう、施設の整備改善を促進することとする、それからもう一つ、エックス線の探知器についても、これも第一章の(三)のアというところで、エックス線透視装置の整備ということが指摘をされているわけです。  ですから、二十六年も前から、そうした分離の問題やエックス線探知器の整備の問題、こういうことが指摘をされてきて、この立場で運輸省はいろいろな対応をされてきたと思います。  しかし、航空関係の労働組合でつくる航空安全推進連絡会議、たびたび他党の議員も質問されていましたけれども、現状では不十分だといって、混在を完全に分離するべきであるということで、八年も前から毎年政府に要請をしてきました。このような航空関係者の要求に対して、航空局はどのような対応をされてきたのでしょうか。
  178. 岩村敬

    ○岩村政府委員 御指摘の航空安全推進連絡会議でございますが、今御指摘のハイジャック問題だけではなくて、規制緩和に対する意見等多数の要望を年一回取りまとめまして、運輸省に提出をしております。そして、平成三年度以降、要望事項の中に、国内空港のターミナルにおいて出発客と到着客を分離すべきであるという要望が入っておるわけでございます。  運輸省は、毎年、この連絡会議のメンバーと一定の時間をとりまして、担当部局から所見を申し上げておるところでございます。  本件については、全国空港において出発時に保安検査実施しており、国内線での到着客はすべてクリーンであるとの観点から、出発客と到着客の混在自体は保安上の問題は生じない、それよりは、全国空港における保安検査徹底を図ることが大事であるから、航空会社に対してそういった指導徹底しているというような旨をお答えしておるところでございます。また、ちなみに、海外においても、国内線の空港ターミナルはいわゆる出発と到着が混在する形が一般的でございます。  なお、今回のハイジャック事件犯人受託手荷物受取場から出発ロビーに逆流したこと、これが犯罪のポイントであったわけでございますが、このことについては、事件発生後、逆流が可能なターミナルビルにつきましては警備員を配置して対応しておりますし、また、羽田空港では、受託手荷物受取場への入り口に逆流防止のための設備の整備をするということで近々着工の予定でございます。
  179. 平賀高成

    平賀委員 先ほど来、この航空安全会議からの申し入れに対して、手荷物のところでの指摘というのはなかったというふうなことが、二回答弁がありました。私は、なぜこの航空安全会議方々が毎年毎年こういう問題を指摘したのか、運輸省としては、なぜ毎年そんなことを言われるのか、どこが一体不十分なのか、そういう問題意識というのは局長はなかったんですか。
  180. 岩村敬

    ○岩村政府委員 この御指摘自体、分離をする、すなわち、検査を受けてクリーンになった人またはものと、クリーンになっていない、先ほど対策要綱のお話が出ましたが、あの中にも書いてありますが、クリーンでない人が接触しないようにする、そういう趣旨でこういう提案があったんだろうと思いまして、当方としては、それについてはクリーンなエリアとダーティーなエリアを切り分け、そのクリーンなエリアに入るために出発旅客は全員検査を受けるんだということで、それは目的が達せられるではないかというお話をし、また、それに対して、いや、実はその受託手荷物場から逆送できる、そういう御指摘は当時は、当時というか、今回に至るまでないことも事実でございます。
  181. 平賀高成

    平賀委員 実際、最新の週刊現代でこの航空安全会議の方が一体何と言っているのか。「われわれは、新羽田空港の設計図が完成した九一年から、一階と二階の行き来ができる問題を「要請書」にまとめ運輸省に提出してきました。これに対する運輸省航空局の返答は「いったん出来上がった設計を変更できない」というものでした。この問題点は、以降毎年指摘し続けていたが改善されなかった。」ということをちゃんと言っているわけですよ。  しかも、私も何回かこの間、福岡とか広島へ行って、羽田空港へ帰ってきましたけれども、私たちが外に出ていく階段をおりていくときに、逆に、同じ階段の横に上りの階段がありますよ。そこの階段をずっとおりていきましたら、入り口のところにロープが張ってあって、侵入禁止の看板がありましたけれども、現場はそういう状況になっているわけです。ですから、そこのところを逆流する方がいたとしても、普通の人は、絶対にこれがハイジャック犯につながるとか、不審者だというふうな認識は全くないと私は思いますよ。  ですから、そういう問題として、私は本当に真摯にこの問題を受けとめるべきじゃないのか。航空安全会議の人たちが指摘をしてきたこの問題を本当に真摯に受けとめるべきだというふうに思いますが、局長の答弁を求めます。
  182. 岩村敬

    ○岩村政府委員 週刊誌でどういう報道がされているか、私、正確には承知しておりませんが、ここに当時の具体策ということで、推進会議から出ておるものを読み上げますと、羽田、伊丹など全く区切りなく混在している、九六年一月の伊丹発全日空ハイジャック事件の凶器が持ち込まれた経緯が特定できておらず、国内といえども万全ではない、また、九八年の交渉において、羽田東ターミナルの具体的計画の中に出発と到着の旅客が分離できるよう配慮することとの要請を行ったが、現在においてなお明示されていない、早急に明示していただきたいということでございまして、逆走のこと、また手荷物受取場で凶器をとって出発ロビーへ上がっていく、そういった具体的な御指摘ではなかったわけでございます。そして、それに対してのお答えとして、クリーンになった方とクリーンになっていない方が混在しないように徹底をしているんだという御説明を申し上げているわけでございます。  ただ、この要望について真摯に受けとめろという点については、我々真摯に受けとめて、担当部局でしっかり時間をとって議論をさせていただいているわけでございます。意見といいますか見解の相違もあろうと思いますが、いろいろな御要請なり御提案については、我々、しっかりと耳を傾けてまいりましたし、今後とも傾ける所存であります。
  183. 平賀高成

    平賀委員 時間もなくなりましたので、最後に、私、先月の三十日に、航空局長ハイジャックの問題で五点にわたって申し入れをしました。この中には、逆流防止の問題や二重チェックの問題があります。そのときに、エックス線の探知器の問題で、羽田空港では十九台中五台しか新型が導入されていない、人命は金にはかえられませんから、直ちにこれは新しいものに変えるべきだというお話をしました。そのときに航空局長は、これはメーカーが小さなメーカーであって、決してお金の問題をけちってやっているわけではないという回答をしていました。  しかし、きょうのこの委員会に出された資料を見ていましたら、今年度中に国が関係する空港については全部最新のエックス線探知器にする、こういうふうになっています。結局、これはお金の問題だったということを私は指摘をしたいんですが、この点についてどうなんですか。
  184. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先般、先生がお見えになったときにこの話をいたしました。そして、その中で申し上げたのは、メーカーの問題、それも指摘いたしました。実際に一番最新鋭のモデルをつくっておるメーカーは、先ほども御答弁いたしましたように、今のところ一社しかないというふうに報告を受けているわけで、では、果たして数がそろうかどうか、そういう問題はあるということの御指摘をしたんであって、実際にやる、やらないの点については、その後八月二日に運輸大臣より定期航空会社に対して最新のものに入れかえることを強く要請した、これを受けてこれから動きが出てくるということでございます。
  185. 平賀高成

    平賀委員 当初七年計画でこれは配備していくというふうに言っていました。ですから、結局これを一気にやったということは、やる気になればできるということを証明していると私は思います。  最後に、私は大臣に一言伺いたいんですが、航空行政というのは、競争力の問題とか効率化の問題を優先させたら本当に取り返しのつかないことになるというのが今回の教訓でもあります。また、指摘をされていた問題がそのとおりに実行されてハイジャックをやられていたわけです。ですから、本当にこの対応のおくれについてはしっかり改めていただいて、安全運航のために一層奮闘されていかれることを、最後に決意を伺って終わりたいと思います。
  186. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今議論いただいた労働組合の協議会から御指摘いただいたことと、投書に書かれていたこととは必ずしもイコールではない、こういう御答弁をずっと申し上げてきたところである。投書に書かれたことが現実に実行されてしまった、そういう外部からの投書に対してどういう対応をしていくべきか、今回も社内連絡体制明確化というものを各社に要請をしているところでございます。  また、運輸省としても何をすべきか、しっかり考えてまいりたいと思っております。
  187. 平賀高成

    平賀委員 私は、やはり安全運航に対する認識の違いがこういう問題を生んでいると思います。そのことを指摘して、終わりたいと思います。      ————◇—————
  188. 石破茂

    石破委員長 この際、衛藤晟一君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び日本共産党の五派共同提案による航空機ハイジャック再発防止に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。江崎鐵磨君。
  189. 江崎鐵磨

    ○江崎委員 ただいま議題となりました航空機ハイジャック再発防止に関する件につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び日本共産党の五会派を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     航空機ハイジャック再発防止に関する件(案)   去る七月二十三日、全日空機がハイジャックされ、機長が命を失うという、我が国の空の安全を脅かす重大な事件発生した。   本委員会は、この事件において殉職された長島直之機長に対し心から哀悼の意を表するものである。   今回の事件は、犯行前に、犯人羽田空港内の警備上の不備についての警告文を航空会社等に発し、その筋書どおりに犯行が行われたという驚くべき事件である。この意味において、今回の事件は極めて深刻であり、今後このような事件を未然に防止するために関係者に対し全力をあげて再発防止策に取り組むことを促すものである。  一 捜査当局は、この憎むべき犯罪の実態を早期に解明し、厳正な対応を行うべきである。  二 航空会社など関係者は、早急に、空港警備体制の総点検を行い、その不備を正すとともに、警備体制の強化航空機内安全飛行体制の確立、乗務員及び乗員の対応マニュアルの作成などハイジャック再発防止対策を講じ、空の安全を確保し、国民の信頼を一日も早く取り戻すべきである。    また、政府は、これらの措置が確実に講じられるよう指導、監督に万全を期すべきである。   右決議する。 以上であります。  本決議案の提出に当たりましては、事件発生以来理事会等において協議を重ね、共同提案として提出いたすことになったものであります。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  190. 石破茂

    石破委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  ただいまの衛藤晟一君外四名提出の動議のとおり、航空機ハイジャック再発防止に関する件を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  191. 石破茂

    石破委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  この際、ただいま議決いたしました決議につきまして、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川崎運輸大臣
  192. 川崎二郎

    川崎国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分尊重し、航空関係者指導監督等、運輸省として十分な努力をし、ハイジャック再発防止に万全を期してまいる所存であります。
  193. 石破茂

    石破委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 石破茂

    石破委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  195. 石破茂

    石破委員長 次に、請願取り下げの件についてお諮りいたします。  本委員会に付託になっております請願中、JR紛争早期解決に関する請願第九四一号、第九四二号及び第一〇〇二号につきまして、昨四日、紹介議員小坂憲次君、村井仁君及び小川元君から、並びに同請願第五二六二号につきまして、本日、紹介議員羽田孜君から、それぞれ取り下げの願いが提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 石破茂

    石破委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十分散会