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1999-07-01 第145回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月一日(木曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 石破  茂君    理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君    理事 実川 幸夫君 理事 武部  勤君    理事 玉置 一弥君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       岩永 峯一君    小里 貞利君       小野寺五典君    亀井 善之君       菅  義偉君    田中 昭一君       橘 康太郎君    望月 義夫君       森田  一君   吉田六左エ門君       米田 建三君    渡辺 具能君       鍵田 節哉君    今田 保典君       佐藤 敬夫君    高木 義明君       辻  一彦君    永井 英慈君       遠藤 乙彦君    木村 太郎君       岩浅 嘉仁君    達増 拓也君       寺前  巖君    平賀 高成君  出席国務大臣         運輸大臣    川崎 二郎君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官     大坪 正彦君         運輸大臣官房総         務審議官    高橋 朋敬君         運輸省運輸政策         局長      羽生 次郎君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         運輸省航空局長 岩村  敬君  委員外出席者         運輸委員会専門         員       長尾 正和君 委員の異動 七月一日         辞任         補欠選任   宮島 大典君     岩永 峯一君   望月 義夫君     小野寺五典君   赤松 広隆君     鍵田 節哉君   倉田 栄喜君     木村 太郎君   岩浅 嘉仁君     達増 拓也君 同日         辞任         補欠選任   岩永 峯一君     宮島 大典君   小野寺五典君     望月 義夫君   鍵田 節哉君     辻  一彦君   木村 太郎君     倉田 栄喜君   達増 拓也君     岩浅 嘉仁君 同日         辞任         補欠選任   辻  一彦君     赤松 広隆君 六月三日  気象事業整備拡充に関する請願佐々木秀典紹介)(第三九五八号)  同(佐藤敬夫紹介)(第三九五九号)  同(岩浅嘉仁君紹介)(第四〇五七号)  同(倉田栄喜紹介)(第四〇五八号)  同(今田保典紹介)(第四〇五九号) 同月七日  気象事業整備拡充に関する請願土肥隆一紹介)(第四一九九号)  同(藤村修紹介)(第四三五九号) 同月八日  JR等旅客輸送事業各社による精神障害者への割引制度適用に関する請願稲垣実男紹介)(第四五五六号)  同(岩下栄一紹介)(第四五五七号)  同(臼井日出男紹介)(第四五五八号)  同(江渡聡徳紹介)(第四五五九号)  同(小川元紹介)(第四五六〇号)  同(大原一三紹介)(第四五六一号)  同(奥山茂彦紹介)(第四五六二号)  同(金田英行紹介)(第四五六三号)  同(亀井静香紹介)(第四五六四号)  同(河村建夫紹介)(第四五六五号)  同(久間章生紹介)(第四五六六号)  同(栗原裕康紹介)(第四五六七号)  同(栗本慎一郎紹介)(第四五六八号)  同(佐田玄一郎紹介)(第四五六九号)  同(佐藤静雄紹介)(第四五七〇号)  同(阪上善秀紹介)(第四五七一号)  同(桜井新紹介)(第四五七二号)  同(鈴木俊一紹介)(第四五七三号)  同(園田修光紹介)(第四五七四号)  同(高鳥修紹介)(第四五七五号)  同(武村正義紹介)(第四五七六号)  同(谷垣禎一紹介)(第四五七七号)  同(谷川和穗紹介)(第四五七八号)  同(戸井田徹紹介)(第四五七九号)  同(中川秀直紹介)(第四五八〇号)  同(中谷元紹介)(第四五八一号)  同(中野正志君紹介)(第四五八二号)  同(中山正暉紹介)(第四五八三号)  同(長勢甚遠君紹介)(第四五八四号)  同(桧田仁君紹介)(第四五八五号)  同(平沼赳夫紹介)(第四五八六号)  同(藤井孝男紹介)(第四五八七号)  同(藤本孝雄紹介)(第四五八八号)  同(保利耕輔君紹介)(第四五八九号)  同(細田博之紹介)(第四五九〇号)  同(堀内光雄紹介)(第四五九一号)  同(松岡利勝紹介)(第四五九二号)  同(松本純紹介)(第四五九三号)  同(三塚博紹介)(第四五九四号)  同(武藤嘉文紹介)(第四五九五号)  同(村山達雄紹介)(第四五九六号)  同(目片信紹介)(第四五九七号)  同(森田一紹介)(第四五九八号)  同(森山眞弓紹介)(第四五九九号)  同(八代英太紹介)(第四六〇〇号)  同(谷津義男紹介)(第四六〇一号)  同(山元勉紹介)(第四六〇二号)  同(渡辺具能紹介)(第四六〇三号)  気象事業整備拡充に関する請願石井郁子紹介)(第四六〇四号)  同(大森猛紹介)(第四六〇五号)  同(金子満広紹介)(第四六〇六号)  同(木島日出夫紹介)(第四六〇七号)  同(児玉健次紹介)(第四六〇八号)  同(穀田恵二紹介)(第四六〇九号)  同(佐々木憲昭紹介)(第四六一〇号)  同(佐々木陸海紹介)(第四六一一号)  同(志位和夫紹介)(第四六一二号)  同(瀬古由起子紹介)(第四六一三号)  同(辻第一君紹介)(第四六一四号)  同(寺前巖紹介)(第四六一五号)  同(中路雅弘紹介)(第四六一六号)  同(中島武敏紹介)(第四六一七号)  同(中林よし子紹介)(第四六一八号)  同(永井英慈君紹介)(第四六一九号)  同(春名直章紹介)(第四六二〇号)  同(東中光雄紹介)(第四六二一号)  同(平賀高成紹介)(第四六二二号)  同(藤木洋子紹介)(第四六二三号)  同(藤田スミ紹介)(第四六二四号)  同(古堅実吉紹介)(第四六二五号)  同(松本善明紹介)(第四六二六号)  同(矢島恒夫紹介)(第四六二七号)  同(山原健二郎紹介)(第四六二八号)  同(吉井英勝紹介)(第四六二九号) 同月九日  気象事業整備拡充に関する請願北沢清功紹介)(第四八〇八号)  同(達増拓也紹介)(第四八〇九号)  同(西博義紹介)(第四八一〇号)  同(不破哲三紹介)(第四八一一号)  同(石橋大吉紹介)(第五〇一九号)  同(中村鋭一紹介)(第五〇二〇号)  同(山本孝史紹介)(第五〇二一号)  JR等旅客輸送事業各社による精神障害者への割引制度適用に関する請願逢沢一郎紹介)(第四八一二号)  同(伊藤公介紹介)(第四八一三号)  同(今村雅弘紹介)(第四八一四号)  同(衛藤晟一紹介)(第四八一五号)  同(古賀誠紹介)(第四八一六号)  同(河野洋平紹介)(第四八一七号)  同(田村憲久紹介)(第四八一八号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第四八一九号)  同(西博義紹介)(第四八二〇号)  同(持永和見紹介)(第四八二一号)  同(保岡興治紹介)(第四八二二号)  同(伊吹文明紹介)(第五〇二二号)  同(岩永峯一紹介)(第五〇二三号)  同(遠藤利明紹介)(第五〇二四号)  同(川端達夫紹介)(第五〇二五号)  同(熊代昭彦紹介)(第五〇二六号)  同(佐藤剛男紹介)(第五〇二七号)  同(中尾栄一紹介)(第五〇二八号)  同(丹羽雄哉紹介)(第五〇二九号)  同(林義郎紹介)(第五〇三〇号)  同(茂木敏充紹介)(第五〇三一号)  同(山下徳夫紹介)(第五〇三二号) 同月十日  JR紛争早期解決に関する請願羽田孜紹介)(第五二六二号)  JR等旅客輸送事業各社による精神障害者への割引制度適用に関する請願尾身幸次紹介)(第五二六三号)  同(自見庄三郎君紹介)(第五二六四号)  同(下地幹郎紹介)(第五二六五号)  同(菅義偉君紹介)(第五二六六号)  同(能勢和子紹介)(第五二六七号)  同(原田昇左右紹介)(第五二六八号)  同(宮澤喜一紹介)(第五二六九号)  同(山口泰明紹介)(第五二七〇号)  同(吉川貴盛紹介)(第五二七一号)  同(坂井隆憲紹介)(第五四九四号)  同(御法川英文紹介)(第五四九五号)  同(河野太郎紹介)(第五六三一号)  同(衛藤征士郎紹介)(第五八六七号)  同(亀井善之紹介)(第五八六八号)  同(桜田義孝紹介)(第五八六九号)  同(田中眞紀子紹介)(第五八七〇号)  同(虎島和夫紹介)(第五八七一号)  同(山崎拓紹介)(第五八七二号) 同月十一日  JR等旅客輸送事業各社による精神障害者への割引制度適用に関する請願平沢勝栄紹介)(第六〇八二号)  同(大石秀政紹介)(第六二二七号)  同(高市早苗紹介)(第六三四〇号)  気象事業整備拡充に関する請願辻一彦紹介)(第六二二六号)  同(木島日出夫紹介)(第六五三八号)  同(児玉健次紹介)(第六五三九号)  同(佐々木陸海紹介)(第六五四〇号)  同(志位和夫紹介)(第六五四一号)  同(寺前巖紹介)(第六五四二号)  同(中林よし子紹介)(第六五四三号)  同(平賀高成紹介)(第六五四四号)  同(古堅実吉紹介)(第六五四五号)  同(松本善明紹介)(第六五四六号)  同(矢島恒夫紹介)(第六五四七号)  同(山原健二郎紹介)(第六五四八号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  航空に関する件  観光に関する件     午前十時開議      ————◇—————
  2. 石破茂

    石破委員長 これより会議を開きます。  陸運、海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。実川幸夫君。
  3. 実川幸夫

    実川委員 おはようございます。自由民主党の実川幸夫でございます。  早速質問に入らせていただきます。  最初に、去る六月の二十七日に発生しました山陽新幹線福岡トンネル剥落事故についてお伺いをさせていただきます。  高速大量輸送の大動脈と言ってもいいと思います新幹線におきましてこのような事故が発生したということは、安全上非常に重大な問題ではないかなというふうに思います。事故の後、すぐに大臣から各方面に指示があったというふうに聞いております。あれから四日間たつわけでありますけれども、昨日、運輸省の方からいろいろ発表がありましたけれども、特にJR西日本につきまして警告があったというふうに聞いております。  この四日間、運輸省としましてどのような対応をとってきたのか、まずその点につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
  4. 小幡政人

    小幡政府委員 お答えを申し上げます。  六月二十七日の九時二十四分ごろ、お話のように、山陽新幹線福岡トンネル内におきまして、内壁の一部が走行中の列車上に落下したことによりまして、車両の屋根、パンタグラフ等を損傷したと考えられる事故が発生しております。  運輸省といたしましては、次の二十八日に九州運輸局からJR西日本に対しまして、事故原因の究明及び再発防止対策を講ずる旨の文書を発出しております。また、同日運輸本省から、新幹線トンネルにつきまして緊急安全総点検を実施いたしまして、必要な場合は適切な措置を講ずるよう、新幹線路線を有しております三社に対しまして指導を行ったところでございます。  安全で安定した輸送サービスの提供は、鉄道基本的使命でございます。今回の事故による影響の大きさにもかんがみまして、引き続き関係鉄道事業者指導するとともに、鉄道総合技術研究所協力も得ながら、トンネル構造物安全性についてさらに検討を行っていきたいというふうに考えております。
  5. 実川幸夫

    実川委員 二度とこのような事故が起きないように、引き続きしっかりとまた調査指導のほどをお願い申し上げたいと思います。  次の質問に入らせていただきます。  大臣にお伺いしたいんですけれども、成田空港につきまして何点か質問させていただきます。  昭和四十一年、たしか一九六六年だったと思いますけれども、今の空港の地に国際空港建設という閣議決定がなされました。もう既に三十三年たつわけでありますけれども、実は私、あの地で生まれ育ちましたので、その当時のことをよく覚えております。もう三十三年たちましたけれども、いろいろな形で、賛成派、そしてまた反対派条件賛成派という中で分かれてしまいまして、一面複雑な気持ちになったことも覚えております。  その後、順調と申しましていいかわかりませんけれども、いろいろな事故等がありましたけれども、昭和五十三年に滑走路一本のままで開港いたしました。当時、いろいろ問題がありましたけれども、世界各国から乗り入れ希望、当然、滑走路一本のままでは対応できるものではありません。そういう中、一日も早く平行滑走路完成ということは国際的な要望でもありましたし、また地元要望でもございました。  反対派皆さんとの話し合い、いわゆるシンポジウム、あるいは共生会議円卓会議、それらの合意事項を踏まえながら努力をしてまいりましたけれども、残念ながら、二〇〇〇年度末の平行滑走路完成には間に合わなかったわけでございます。そういう中、先般大臣から発表されました暫定滑走路、いわゆる現実路線をとったわけでありますけれども、この発表につきましては、私も地元に住んでおりますけれども、本当に安心した、安堵感が漂ったわけでございます。  いずれにしましても、これから一日も早く、基本的には二千五百メートルの滑走路を実現するようさらに努力していただきたいと思いますけれども、現在の、成田空港必要性であるとか重要性、そして今後の対応につきまして、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず最初に、国際拠点空港整備運輸省の極めて重大な課題一つと考えて今日まで参りました。二〇〇一年三月三十一日、二〇〇一年までに成田空港第二滑走路完成させる、二〇〇五年までに中部国際空港をつくり上げる、二〇〇七年までに関西国際空港第二滑走路完成させる、こうした目標を持ちながら今日まで参ったところでございます。  御指摘のように、地元皆さん方との話し合いでの解決、これを前提にしながら、運輸省公団千葉県、成田市、そして近隣の町村の皆さん方の御協力を得ながら今日まで進めてまいりましたけれども、残念ながら二〇〇一年三月三十一日までの完成はどうしても日程的には無理な段階になってまいったところでございます。  第一番目に住民の皆さん方の大きな期待、第二番目に何といっても国民サービスの向上、そして、第三番目に既に多くの外国のキャリアから東京へ入りたい、首都圏に入りたいという要望を待っていただいている、国際公約という側面、この三点から、二〇〇一年の完成を見送らざるを得なくなったということから私も記者会見をして、国民皆さん方、そして国際的にもおわびを申し上げたところでございます。  どうやっていくかという一つ話し合いの中で、特に千葉県知事との話し合いの中で、二〇〇二年のワールドカップ開催のときには今日の需要以上のものが望まれる、したがって、幾らおくらせてもこのときまでに第二滑走路をつくらなければならない、そのために千葉県も、また成田市も挙げて積極的な話し合い路線を歩んでいきたい、こういうお話がございましたので、私もそれを受けとめさせていただいた。しかしながら、万が一そういったことで話し合いがつかない場合には二千二百メーターの暫定滑走路工事を進めさせていただきたい、こういうことでお話もさせていただき、地元との話し合いもそうしたものを踏まえて、まず第一に話し合い、第二に万が一の場合の想定もしていくということで二段構えをさせていただき、今地元との話し合いに一層努力をいたしているところでございます。  いずれにせよ、やはり公約というものは守っていかなきゃならぬということの中で、私自身責任を感じますと同時に、二〇〇二年に向けて最大限の努力をしてまいりたい、このように思っております。
  7. 実川幸夫

    実川委員 今大臣から細かに成田空港重要性であるとか必要性、そしてまた今後の対応をお伺いいたしました。  局長にお伺いしたいんですけれども、この暫定滑走路ができた後、当然滑走路自体北側に移るわけでありますけれども、その点の対応、いわゆる騒音対策、これは今大臣からもお話がありましたように、地元との徹底的な話し合いをするということでございますけれども、さらにその話し合いを続けていただきたいと思います。それからもう一点、二千二百メートルの滑走路ができたときのいわゆる離着陸安全性、その二点についてお伺いしたいと思います。
  8. 岩村敬

    岩村政府委員 第一点目の騒音対策の問題でございますが、ただいま大臣の方から、現在の二千五百メートルの滑走路全力を挙げてやるということがまず第一でございますが、これについての騒音対策、これまでもいろいろ対策を準備してまいりましたし、事も進んでおるというふうに思います。  それから、本来の二千五百メートルの滑走路ができない場合の暫定の案、この場合に新たにまた対策が必要となるのかどうかという点でございますが、滑走路北側へ八百メートルほどずれるわけでございまして、北側の方の騒音対策がこれまでの対策以上に必要になるのではないかという懸念があるわけでございます。  ただ、離着陸回数現行計画の約七割ぐらいというふうに見込んでおります。また滑走路が短くなるということで、大型機離発着ができない、中型機中心離発着になるということで、低騒音になる。また性能も、上昇性能が高いということでございまして、暫定滑走路を仮に整備いたしても、北側地区におきます騒音の被害は現在見込んでおりますより小さくなるというふうに考えておるところでございます。この点についてはやはり地元の御理解というのが大事なわけでございまして、地元の御理解を深めるべく、現在、現地で説明をさせていただいておるところでございます。  また、南側でございますが、南側については、北側にずれるわけでございますから南側騒音は減るわけでございますが、なお現在、空港予定地内に居住されておる方がいらっしゃいますので、この方に対する騒音対策を考えなければいけないということでございます。東峰地区という地区でございますが、ここの騒音対策については、空港周辺地域騒音対策は今法律があるわけでございますが、これと同様の対策ができるようにこれから取り組んでいきたいというふうに思っております。したがいまして、用地内の地権者の方が希望するのであれば防音工事もいたしますし、また家屋だけの移転を希望される場合にもそれに応じるということを考えておるところでございます。  申すまでもなく、地権者の方に騒音があるから移転していただく、それは我々の本意ではございませんで、私どもとしては、あくまでも地権者方々に御理解、御協力をいただいて、所有される土地を空港用地として御提供いただきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、地権者なり周辺方々とよくお話し合いをさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、第二点目の暫定滑走路、短いわけでございますが、安全の問題は大丈夫かという御指摘でございます。御指摘のとおり、滑走路が短くなりますと、ジャンボ機のような大型航空機の離発着についてそれが可能かどうか、なお精査が必要でございますが、代表的な機種でいいますと、ボーイング767のような中型機については、着陸はすべてのものについて可能でございますし、また離陸につきましてもグアム、サイパン等のいわゆる近距離路線であれば可能であるというふうに考えております。そういうものであれば安全に離発着ができるというふうに考えておるところでございます。  その結果、小型機で、かつ近距離だとなれば、機能が下がるというような問題はございますが、これについても、我々が二〇一〇年に予測しているもの、その範囲の九割方はカバーできるような予測もしております。我々としては、安全に万全を尽くして、首都圏国際航空需要にこたえられるべく、平行滑走路整備全力を挙げたいというふうに考えておるところでございます。
  9. 実川幸夫

    実川委員 いまだ三十数カ国から乗り入れ希望があるわけでありますし、今大臣からもお話がありましたように、国際公約でもございますので、ぜひとも一日も早く完全空港に向けて努力をしていただきたい、このように思います。  次の質問に入らせていただきます。  鉄道局長にお伺いしたいのですけれども、千葉の北総鉄道千葉ニュータウンから都心へ入る唯一の足でもあります北総鉄道でございますけれども、先般、建設委員会でもこの運賃について斉藤鉄夫議員からも質問があったというふうに記憶しております。  その運賃の件についてお伺いしたいのですけれども、局長御存じのように、この運賃日本一高い運賃と言われております。いわゆる団地皆さんは、ほとんど中学生、高校生そしてまた大学生を抱えている家庭が多い中、年間、各家庭で五、六十万の運賃負担を抱えております。そういうことで、大変な負担になっておるにもかかわらず、昨年の九月ですか、また一〇%の値上げをしたというふうに聞いております。  この運賃につきまして何とかならないかということで、地元の市町村また団地の役員の皆さん関係各位のところに、機関に陳情しておりますけれども、一向にらちが明かない。当然、これまでの建設費であるとかこれまでの金利の負担であるとか、運賃値上げもやむを得ないこともありますけれども、何とか運輸省として鉄道の方に指導していただけないものかどうか、この一点。  それからもう一点、速達性の問題ですけれども、都心まで一時間近くかかるわけであります。朝夕、いわゆる通勤者また通学者の時間帯、そのときだけでも何本か急行を走らせていただけぬものか、技術的には私は何とか工夫してできるのではないかと思うのです。もちろん京成電鉄との兼ね合いもありますけれども、ダイヤの改正のときに工夫をしていただきたい、そういう指導をしていただけないものか。その二点、質問させていただきます。
  10. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  まず北総公団線運賃からお答え申し上げますが、今お話しのように、日本一ではございませんけれども、相当高い運賃レベルであることは事実でございます。  当該鉄道は、御案内のように、住都公団千葉県が開発を進めております千葉ニュータウンから都心へのアクセスということで用意したわけでございますけれども、御案内のように、千葉ニュータウンに係る開発規模が当初予定されたより実は大幅に縮小されております。そういうことの中で、鉄道に係る輸送需要は、整備当初の前提に比べて、実は大幅に少なくなっております。そういうことで北総鉄道は苦しい経営を余儀なくされておるわけでございまして、鉄道自身合理化にあわせまして、千葉県とか住都公団等々の関係者の方からも実は大変な御支援をいただいております。そういう支援をいただきながら、でも、平成十年度の決算を見てみますと、営業収入百十億円に対しまして経常損益はまだ二十四億の赤字、こういう状況でございます。我々としても、北総鉄道の良質な鉄道輸送サービスを安定的に供給していく上でやはり経営基盤の強化が一番大事だということでございますけれども、その課題の中で、運賃水準というものはその観点から設定されているということでございます。  いずれにしても、鉄道の方においてのさらなる経営努力を尽くすとともに、先ほどの関係者協力もいただいておりますけれども、こういうことを重ね合わせまして、現在の運賃をできるだけ長く、上げないで維持できるようにということで頑張っていきたいと思っております。  それからもう一つ速達性の議論で、北総線の列車を京成線内において急行運転できないかという御質問でございますが、この問題につきましては、京成電鉄からの報告によりますと、京成線内の青砥—押上間の各駅停車の混雑率が、実は各駅停車を一本少なくいたしまして急行に振りかえるということになりますので、各駅停車の混雑率が高くなってしまうということ、また、運転本数を増加するということにつきましては、線路容量の関係から現時点では困難である、こういう実態にございます。  それを解消するために、現在、京成電鉄では八広駅の追い抜き施設を実は整備中でございます。これが平成十三年度にはでき上がる予定でございますので、そのときには先ほど申し上げました運転本数の増加が可能でございますので、この時点で急行化につきましては前向きに検討したいというふうに伺っておるところでございます。
  11. 実川幸夫

    実川委員 ぜひ、地元の立場を考えていただきまして、さらに努力をしていただきたいと思います。  時間があれば大臣から今後の運輸行政につきましてお聞きしたかったんですけれども、残念ながら時間になりましたので、ここで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  12. 石破茂

    石破委員長 次に、渡辺具能君。
  13. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 実川先生の大変貴重な時間、一部をおかりいたしまして、都市鉄道整備についてお伺いをさせていただきます。  都市問題を解決する上で都市鉄道整備というのは大変有効だし、逆に言うと、都市鉄道整備が進まなければ都市問題というのは片づかない、私はそういうふうに思っております。  ところが、都市鉄道整備というのは、いわゆる事業者が整備をして運営をするという基本があるわけですけれども、そういう基本の中で、最近都市鉄道の採算性というのは非常に難しくなっている。その採算性を助ける意味で、何とか公的助成をして都市鉄道整備を進めよう、そういうことの工夫の一つがいわゆる上下分離方式なんかではないかというふうに思うんです。  都市鉄道に公共投資が向けられるようになったのは、整備新幹線ですとか地下鉄等一部であり、またしかも最近のことである。全体に占める割合がまだ一%にも満たない。日本の骨格をしょっている、しかも公共性の高い鉄道に対する、そういう状況ではなかなか進まないわけでありますが、鉄道に公共投資がなぜ振り向けられなかったかというのは、それほど大きな理屈があるわけではない、これは、歴史的に単にそうだったというところが大きいんではないかというふうに私は思うんです。  公共投資の対象であるかどうかというのは、便益が不特定多数に及ぶかどうかという点であろうと思いますが、そういう面では、道路なんかと一向に変わらないというふうに私は思うわけです。例えば、道路の上を走るバスとかタクシー、営業用のトラックなんかと変わらないんじゃないか、公的助成がもっとあってもいいんではないかというふうに私は思うんです。  そういう段階の議論はもう終わりにしちゃって、これからは、いかに公的資金というか公共投資の中でどうやって財源を求めてやっていくか、そういう戦略的な段階にもう早く移るべきだというふうに思うわけです。もちろん、財源確保が一番難しいことは当然でありますが、政治の問題でもありますけれども、ぜひ、運輸大臣、この辺の戦略についてどういうふうにお考えで、この都市鉄道というものをどういうふうにお進めになるつもりか、その決意も含めてお伺いしたいと思います。
  14. 川崎二郎

    川崎国務大臣 御指摘いただきましたように、大都市圏における鉄道整備、特に地下鉄を中心とした整備、極めて重要な課題と考えております。  一方、もう渡辺委員、長い御経験をお持ちでございますから御承知のように、港湾は基本的には公共事業、国費を中心として行っていく、しかしながら、航空は基本的には利用者負担というものが原則であります。道路におきましても、高速道路は利用者負担、一般道路は国費を中心とする。こういういろいろな仕分けの中で進んできていることは事実でございます。  今、都市鉄道、特に地下鉄については、国と地方の負担三五%ずつ、七〇%までのスキームは持たせていただいております。残り三〇%の負担と、そして運営費といいますか、そういうものを料金に転嫁をしてやっていく、こういう形で今日までやってきておりますけれども、そこがなかなか経営的にしんどい。しかしながら一方で、民間の鉄道業者が既に自分たちで努力をしてきている。JR東も西もそうでありましょうし、民鉄もそうであります。その中に、下だけは全部国費でやる路線というものが競合して入ってくる、そこの納得性というものはなかなか、既にやっております、努力しております民間業者からいきますと、またさまざまな議論を生むことになるんだろう。  したがって、今の七〇%までの補助をどのぐらいこれから上げることができるのか、そして、それに合う路線はどういう路線なのか、十分御議論をいただかなければならない課題であろう、このように思っております。  私、就任以来、都市鉄道整備というものにかなり力を注いできたつもりでありますけれども、今後一層努力をしてまいりたい、このように思っております。
  15. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 大変現実的には難しい問題であろうかと思いますが、ひとつ英断を持って、また勇気を持って進めていただきたいというふうに思います。  次に、都市鉄道のいわば各論とでもいうべき、都市鉄道調査についてお伺いをさせていただきます。  今般、小渕総理の肝いりで都市鉄道調査にかかっていただくことになった。この対象として十個のプロジェクトが取り上げられておりますが、幸いなことに、私がこれまで陳情申し上げておりました宮地岳線、私の選挙区にあるんですが、宮地岳線について取り上げていただくことになりまして、大変感激し、感謝をしておるわけでございます。  この宮地岳線というのは、今単線なんですけれども、これを地下鉄に乗り入れる、あるいは、もう既に全線にわたって複線化の用地は確保してあるんですけれども、複線化するとか、あるいは、宮地までしか来ていないんですけれども、これを宗像大社のところまで延ばすとか、そういうことになると大変利便性が高い。  今回、もう一つ上がっているプロジェクトの中に北九州の洞海湾横断鉄道というのがありますが、これなんかと、末吉市長さんとよく話をするんですけれども、これを両方から頑張って延ばしてきてドッキングさせようじゃないか、こういう夢を語っているわけでございます。  確かに険しくて長い夢なんだけれども、とにかく歩み出そうじゃないかということで、地元では、今回、調査をしていただくことになったということも一つのきっかけになったんですけれども、地元で促進期成会みたいなものをつくって歩み出そうということになったわけです。そういう折にこういう調査をやっていただくというのは、大きな歯車のたった一つかもしれませんけれども、一つ歯車が回ったかな、こういうふうに受けとめておりまして、大変うれしく思っているわけであります。  ただ、今回の調査の対象といいますか、内容が、地下鉄の乗り入れだけ、そしてその焦点が香椎までの乗り入れ調査するということになっているようでございますけれども、私は、やはり宮地岳線全路線にわたって目配りをした上で、その辺が熟度が高いから当面はここをやろうというんならそれでもいいんだけれども、やはり全線にわたって、できたら将来にわたっての目配りを十分した上で調査を進めていただきたいというふうに思うわけで、その点をぜひお願いをしたいというのと、この調査の推進に当たっては、やはり地元の意向といいますか、地元の意見が反映できるような調査体制でぜひ進めていただきたいというふうに思っているわけでございますけれども、その辺のことと、あわせて今後のスケジュールも含めて教えていただきたいと思います。
  16. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、総理の御指示をいただきまして全国の都市鉄道調査を行っているわけでございますが、先生からかねて御要請のございました西鉄宮地岳線と福岡市交通局との相互直通運転調査もこの対象とさせていただいております。  この調査は、学識経験者、地元の関係の地方公共団体、それから関係の鉄道事業者等から構成いたしますワーキンググループで議論していただこうということでございますが、ここで事業化の方策であるとか収支採算性、費用対効果等の検討をしっかり行っていただくということにしております。  具体的には、関係の事業者等々の考え、当面の課題というようなものが中心になります関係上、お話のように、宮地岳線の香椎駅までの相互直通化に当初は重点を置いた検討ということが中心になろうかと思いますけれども、この際、乗り継ぎ利便の向上あるいは地域の活性化等、総合的な視点からの検討も十分進めるようにという方向で進めたいと思っております。  こういうことで、スタートしたばかりでございますけれども、できれば年度内、場合によっては年度を越えることがあるかもわかりませんが、なるべく早く結論を出しまして、次の事業化に向けて関係者の取り組みを期待したいというふうに考えております。
  17. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 ありがとうございました。  こういう夢を育てるためにも、やはり前段の都市鉄道整備が極めて重要でありまして、特段の御努力をいただきますようにお願いしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  18. 石破茂

  19. 鍵田節哉

    鍵田委員 民主党の鍵田でございます。よろしくお願いいたします。  本日は、特に空港問題を中心に質問をさせていただきたいというふうに思っております。  私は、かねがね、日本のいろいろな分野において国家的な戦略というものをしっかり持って、そして施策を推進していかなくてはならない、こういう面から、日本の安全保障はもちろんのこと、食料安保の問題、さらには、あの忌まわしいバブル経済をつくりましたのは、物づくりというものを忘れて、実業よりも虚業に近い、そういう経済を進めてきた失敗、こういうものにかんがみて、やはり物づくりを大切にしなくてはならない。  物づくりといいましても、決して製造業だけではなしに、第三次産業におきましても、むしろその現業の場面で働いている、そういう人たちを大切にするような国のあり方をしっかり考えていく。今よく言われる言葉に、ホワイトカラーに対してメタルカラーというふうに言われておりますけれども、そういうものを大切にしなくてはならない国のあり方。  さらには、エネルギー問題。これも日本の産業なり、また国民生活を支えていくという意味でも大変重要な国家戦略でございますが、そういうものをやはり国の中心の戦略に据えてやらなくてはならないというふうにとらえて、いろいろなところで質問をさせていただいておるわけでございます。  その一環として、ハブ空港というものをしっかり打ち立てていかなければならないのじゃなかろうかということで、既に質問をされた方もあろうかと思いますけれども、特に日本の場合には、成田空港でありますとか、また関西国際空港でありますとか、その他の空港でもハブ空港化を目指しておる、こういうことにつきまして、運輸省としてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか。  特に、アジアでは、もう既に数々の国で立派なハブ空港建設がされており、また、されようとしておるわけでありますけれども、日本の場合には、もう既に開港以来二十年以上たちました成田におきましても、先ほどもお話がございましたように、まだ滑走路が一本で、もう一本の滑走路につきましても、当面は暫定滑走路でいかざるを得ないというようなことが運輸省の方針で決められておるようでございます。それらの問題につきまして、日本のハブ空港のあり方について、またはその成田暫定滑走路問題などにつきまして、これからどのように成田空港をハブ空港の中心に据えていくのかというようなことにつきまして、ひとつ大臣の方からお答えいただければということで質問をいたします。
  20. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、国の大きな基本方針として、一極集中型から多極分散型の国土形成、これがまず私は基本だろうと思います。  そういった意味では、今アジアで行われているように、日本に巨大な空港一つつくり上げて、海外に行かれる日本の方が全部そこへ集まってきて海外へ出ていかれる、これは、考え方がアジアと我々とは違う。それは、例えば先生お住まいの近畿圏、そして私の住んでおります中部圏、ここにしっかりした拠点空港というものをつくっていかなきゃならぬ。それだけではなく、例えば札幌の千歳、また仙台、福島、広島、九州等々、やはり国際線というものに十分対応できる能力をまずつくり上げていかなければならぬなと思っております。  しかしながら、一方で、核というものが大事でありますので、その中で、近畿圏の需要にこたえるための関西空港、それから中部国際空港、そして成田、この三つの柱を立てながら、特にこの三つにつきましては、完成年度というものを明確にしながら進んでまいりたい。残念ながら、成田は二〇〇一年を断念せざるを得ませんでしたけれども、二〇〇二年六月、平行滑走路、二〇〇七年、関空、そして中部も二〇〇五年という目標を持たせて進んでいるところでございます。  成田の現況は、先ほど申し上げたとおりでございます。  関空につきましては、最終調整を今環境庁といたしているところで、漁業補償等の問題は地元でお詰めいただいた、こういうふうに承知いたしております。  中部国際については、今、愛知県、三重県と漁業補償問題を詰めているところでございます。これも何とか秋までにめどをつけたい、こういう形で進ませていただいております。
  21. 鍵田節哉

    鍵田委員 多極分散型の国家をつくるという、そういう面でハブ空港を日本のそれぞれの拠点に幾つかつくっていくということにつきましては私も賛成でございまして、一極集中というのは必ずしもよくないとは思っております。  ただし、といって、非常に地方に分散をしてしまいますと、結局、アジアの大きな空港、それがその地方の経済の中心でもございまして、それから、世界に向けて発信をします情報でありますとか、人や物の流れ、そういうものの中で日本のハブ空港が埋没してしまう、世界のスポーク航空になってしまうのではないか、こういう懸念もいたすわけでございまして、幾つかの重点ハブ空港というものを目指して、ぜひともその整備を図っていただきたい。  そのハブ空港のあり方は、やはりもう少し日本の国として真水を使うといいますか、空港特会だけではなしに、もっと国家予算を使った、そういう戦略も必要なのではなかろうか。特に、公共事業の占める中でも、港湾とか漁港だとか、そういうものに比べても空港に使用する予算というのが少ないというふうなことも指摘をされております。そしてまた、公団やいわゆる民間企業というふうな形でやるために、借入金でありますとか、またそれに対する償却でありますとか、非常に大きな費用がかかるわけでございまして、国としても、無償、いわゆる無利子の融資をするとか、いろいろ工夫をされておるようでございますけれども、しかし、その償却のために非常に高い着陸料などが強いられておるわけでございまして、これらもやはり国際的な競争において大変苦しい競争を強いられるということにも一つはなるわけでございます。それからまた、航空燃料税の問題もございまして、年間大体一千億円ぐらいを航空会社にこの負担を強いておるというふうにも聞いております。  そういうふうなことにつきましても見直しをするということで、ハブ空港のあり方、さらには航空産業のあり方、こういうものについて、ぜひとも、今後とも国際競争に負けないような施策を進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  さらに、二番目の質問でございますけれども、関空の二期工事の問題でございます。  既に一本の滑走路完成をされて五年経過をしておるわけでございますけれども、現在の最大十六万回の年間の離着陸能力をさらに二十三万回に上げていく、こういうことで、四千メートルの滑走路完成を目指した二期工事必要性というものは大変重要でございます。これにつきましても、既に予算をつけていただいたり、また、地元も一生懸命努力しまして、漁業補償などの交渉につきましても、一期のときよりも早い時点でこの解決を見ておるというふうに聞いておるわけでございます。  本来なら、着工も前年度中にされるというふうに私たちも聞いておったわけでありますが、まだ現在のところ、着工というお声を聞いておらないわけでございます。やはり一日も早い着工というのが望まれるわけでございますし、これからの工事というのは一期工事よりも難工事が予測もされるわけでございまして、特に、深いところへの埋め立てでございますから、土砂の投入量も多いわけでございます。  そういうことを考えますと、二〇〇七年の完成という当初の目標がございまして、大阪市が二〇〇八年のオリンピックということを閣議決定していただいておるわけでございますけれども、これに本当に間に合うのかどうかということで気がかりになってきておるわけでございます。一日も早い着工をしていただいて、オリンピックの招致にも影響するわけでございますから、その見通しをしっかり立てていただくということが大切なのではなかろうかというふうに思います。それらにつきまして、どのような見通しを持っておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  22. 岩村敬

    岩村政府委員 関西空港の二期事業、平行滑走路の建設でございますが、先生御指摘のとおり、二十三万回の容量ということで、なるべく早く着工したいということで努力をしておるところでございます。  そして、具体的な着工までの手続でございますが、今先生から御指摘いただきましたように、漁業補償につきましては本年早々に決着をいたしておるわけでございますが、その後、手続といたしまして、一つ航空法に基づきます飛行場施設変更許可手続というのがございます。これにつきましては、本年二月二十二日に関西国際空港株式会社の方から運輸大臣に対しまして申請が出されまして、去る六月十日に運輸大臣より許可をいたしまして、十一日に告示をいたしたところでございます。  それから、御承知のように、関西空港は埋め立てをして建設をいたしますので、公有水面埋立法に基づく埋立免許の手続が必要になるわけでございます。これにつきましても、設置許可と同様、本年の二月二十二日に関西国際空港用地造成株式会社より大阪府知事に対して出願がされたわけでございます。その後、三月三十一日に大阪府知事より建設大臣そして運輸大臣に対しまして認可申請が出されております。  そして、四月二十八日には、両大臣から環境庁長官に対しまして意見照会をいたしたところでございます。そして現在、環境庁からその意見が出るのを待っておるところでございますが、環境庁より意見が示され次第、一刻も早くこの埋め立ての手続を終えまして、護岸築造工事、そして埋め立て部の地盤改良工事、こういった工事にまず着手をし、用地造成のための実際の埋め立て、さらには空港施設の整備ということを進めてまいるわけでございます。  そして、お尋ねの、二〇〇七年に間に合うのか、当初の計画に間に合うのかということでございますが、これに間に合わせるべく、予算の確保を含めまして、運輸省として最大限の努力をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  23. 鍵田節哉

    鍵田委員 今までの手続のことは私もよく存じておりますので、そのことをお聞きしてもしようがないわけでございます。要は、今後どうなっていくのか、環境庁と何か話をされておるようですが、それらの見通しはどうなのかということを私はお聞きしておるのです。
  24. 岩村敬

    岩村政府委員 現在、環境庁に対しまして、建設大臣そして運輸大臣から意見照会をいたしております。それに対して、いろいろ質問等も、やりとりが何度かございました。質問のやりとりが終わっておりまして、環境庁から意見が近々出されるものというふうに承知をしておるところでございます。
  25. 鍵田節哉

    鍵田委員 これはいろいろ環境庁とのやりとりの問題でしょうから、余り立ち入っては私の方からもうお聞きしませんが、関空問題で、ちょうど開港以来五年経過をしておりますので、五年目の検証ということで、いろいろ地元の方でも問題になっておりますことについて若干お聞きをしたいというふうに思います。関空会社にもかかわりますので、本来なら関空会社に来ていただいてもいいんですが、運輸省としての考え方をお聞きしたいというふうに思っております。関空会社の方では、プロモーションプログラム21というようなことで、活性化に向けたいろいろな取り組みをされておるようにも聞いております。そのことは承知の上で、運輸省の考え方をお聞きしたいわけでございます。  最近、関空の方での、物珍しいということもありまして、開港時はたくさんの見学者もおったようでございますが、それが、五年もたちますと、年々減ってきておるというふうなこともございます。そういうことで、関空に入っておりますテナントでありますとかその他のいろいろな、ホテルでありますとか、そういうところに対する影響もいろいろ出てきておるわけでございまして、そういうことがなぜそういうふうになってきておるのかということについて、若干お聞きをしたいわけでございます。  来島者といいますか、いわゆる島に渡ってくる方々のうち、見学者が六%、それから送迎人、送ってくる人が一九%ぐらい、残りがいわゆる乗客ということになるんですが、見学者が年々減ってきておるというふうな状況がございます。これはやはり、一度行ったらもう余り二度三度行かないというふうな現状もあると思います。  これはやはり、これからの空港島のあり方、そういうことから考えて、見直していかなくてはならないのではないかというふうに思っておるわけでございますが、その問題点として、空港の橋を渡るのに普通車で千七百三十円という料金が要る。さらに駐車料金が一時間で六百十円でしたか、かかる。これらも非常に高いというふうなことで、一度来て、家族連れでそこで遊んで帰るとしましても、それだけで三千円とか三千五百円とかいうものが食事以外にかかってくるというふうなことがありますし、さらには、そこに働きに来ておる人についてもやはり大変な負担になるわけでございまして、若干それらについて工夫をされておるということも聞いております。  先日、関空で働きます労働者二千名ぐらいで労働組合を結成されたようでございまして、その労働組合がいろいろアンケートをとりました。三百人ぐらいにアンケートをとったようでございますが、その中で、飲食料金が非常に高いということで、それが七三%、それから駐車料金が高いという人が七八%、連絡橋の通行料が高いという人は実に九〇%もあるということで、非常に通行料なり駐車場の料金が高い、こういうことになっております。  もちろん、非常に高い、一兆五千億ぐらいのお金をかけてつくった空港でございますし、会社組織でやっているわけですから、これを償却しなくてはならぬ、また借入金を返済しなくてはならぬというふうなことから計算すると、そういう料金がはじかれるんではないかというふうに思うわけでございます。しかし、それらがいろいろ、テナントの営業面でありますとか、また将来の橋の償却、そういうふうなことも含めて、料金を高く設定したことが逆に償却をおくらせてしまう、償還をおくらせてしまうというふうなことにならないかという懸念をしておるわけでございます。  現実に、明石海峡大橋でございますとか東京湾の横断道路、こういうところでもやはり償還期限を延長するとかいうふうなことで料金面で工夫をされたというふうなことも聞いておるわけでございまして、こういう問題について、特に空港に渡る橋などというのは、空港を利用する人のアクセスでございますので、言うたら一般の道路と一緒でございます。これをやはり空港会社に負担をさせておるというところに問題があるんじゃなかろうかというふうにも思うわけでございまして、国がせめて橋ぐらいは買い取るとかいうふうなことはできないのか。空港特会の会計も限界があるということはもちろんわかっておりますが、そこらのいろいろな工夫をして、いろいろな人、利用者、それから空港島を利用しているいろいろなテナントだとか業者なんかにもかかわることでありますから、そういう工夫ができないのかどうかということについてお聞きをしたいと思います。
  26. 岩村敬

    岩村政府委員 関西空港経営問題の核心をついた御質問でございますが、御指摘のとおり、現在、関西空港株式会社としても、活性化、お客様をふやす、そして航空旅客もふやすということでいろいろな工夫をいたしております。  その中で、まず御利用者の中から苦情の多い連絡橋の自動車通行料金の問題でございますが、御指摘のとおり普通車で往復千七百三十円ということでございます。関西空港株式会社、御承知のように、十年度決算でも約二百三十億の経常損失を出しているという非常に厳しい経営状況下にありますが、やはりどうやってお客様をふやし、そして収入をふやすというのが株式会社としてやるべき大きな務めだろうと思います。  そういう中で、これまでにも、例えば、利用促進のために、毎年九月の開港イベントのときには連絡橋の無料開放ということをやっております。その際にどのぐらいお客様がふえるのか、こんなこともチェックしてまいりました。また、クリスマスイベントとかサマーフェスティバルというようなものを設けて、料金の割引もこれまでに試みておるところでございます。こういったことを見ながら、料金と需要といいますか、お客様の利用の度合い、こんなものの関係、こういったこともいろいろ分析をいたしておるわけでございます。  御指摘のとおり、高く取って稼ぐのか、値引きをしてお客様をふやしてトータルとして稼ぐのか。よく言う、損して得とれという言葉もあるようでございますが、そういった工夫、これは当然会社としてやるべきでございますし、我々もそういう視点から会社にいろいろお話を申し上げておるところでございます。  また、橋以外、駐車場の料金、これも非常に高いと言われております。ただ、これにつきましては、四月の一日に料金体系の見直しを行いまして、特に国際空港でございますので長時間駐車が多いわけでございますが、こういう長時間駐車についての割引を一層するということで、例えば一泊二日の場合では現行の三五%引き、それから三泊四日の場合には二八%引きというような形で割引制度も設けておるわけでございます。割り引いたといっても三泊四日でまだ九千円ということでございますので、なかなか一般の消費者といいますか、利用者の方からすれば高いレベルというふうに感じられるかもしれません。  そういったことをいろいろ努力をいたしておりますが、こういった努力をさらに続けて、利用者に愛される関西空港、そして、利用者に喜んでたくさん使っていただける関西空港になるように我々としても会社の方に対して指導してまいりたいというふうに思っております。
  27. 鍵田節哉

    鍵田委員 駐車場の問題はこれから聞こうと思っていたんですが、先にお答えいただきました。  これは関連をしますのでちょっとお聞きをしたいと思いますが、空港のいわゆる前島ですね、りんくうタウンのあの近辺で民間の駐車場をたくさん経営しておりますが、ここらは非常に努力をされまして、長期間の割引でありますとか、送迎サービスでありますとかいうふうなこともやっておりまして、非常に活気を帯びておるようでございます。  それに反して空港内の正規の駐車場、ここの回転率というんですか、駐車場に、一日何回車がその駐車スペースにとまるのか、こういう回転率があるわけですが、平成七年が〇・六六、平成八年が〇・六二、九年が〇・五八、十年が〇・五四ということでございます。その空港内スペースに何回とめるかというのもこれは一としてカウントしますから、そういう面からしますと、スペース全体の一回とめる回数が半分ぐらいしかないということでありまして、これは駐車場を個別に経営するとしたら全く経営として成り立たない。都心部で駐車場を経営しているところは、大体四回から五回近く動いておるわけですね、何台も入れかわりますから。とりあえず一回、全部に車が駐車をした状態が一となるわけですから、そういう面で見ますと、〇・六六とか〇・五四ということは、一日に一回駐車スペースを利用する、それでも空港の半分ぐらいしか埋まっていないというふうな状態になっているんです。  これを例えば大阪国際空港、いわゆる伊丹空港とか羽田とか成田とかで調べてみますと、この辺は大体民間よりはずっと低いです。民間は大体四とか五近いんですが、それでも今言いました羽田や大阪・伊丹やそこらは一・二とか三ぐらいの回数でいっておるわけですから、とりあえず駐車スペースには一回以上は車はとまっておるという利用回数になっておるんですが、関空の場合にはそこまでいっておらないという状態です。  これは、単に駐車場の利用料金が高いということだけじゃなしに、やはり連絡橋と両方要るわけですよ。ダブルなんですね。ですから、だれか家族の人を送ってきても、おろしたら、駐車場にとめないでもうそのまま帰ってしまうというようなこともあるわけですよね。  利用料金が高いということは、ダブルでかかってくるものですから、なおさら利用率が低い、そういうこともちょっと申し上げてこの問題のお答えをいただきたかったわけでございます。長時間駐車などについて割引をされたりしておることもよく承知をしておりまして、前よりは、ちょっと二、三日海外でも出張してこようかというふうな人たちが車で来やすくなったことは事実でございます。それはタクシーを利用したりして来ることを思いますと、随分割安になったわけでございますが、ただ、やはり短時間の場合にはまだそういう工夫はされておりませんから、結局は、空港の連絡橋と駐車場と両方払って夕涼みにでも行こうかというふうなリピーターが非常に少ないという実態があるわけでございます。  こういうことを関空会社に来てもらって答えをもらおうとしても、いやいや、空港経営を考えたらもう精いっぱいでどうにもできません、ないそでは振れませんという答えしか返ってこないのはわかっておりますから、あえて私は来てもらっていないわけでございますが、やはりそういうふうな実態を運輸省としてどのようにお考えになっておるのか。無料開放したら、途端に物すごい車が渡ってくるというのはもう既に実験済みでございますから、無料開放までいかなくても、夜間の割引をするとか、またイベントと一緒になったり、それからレストランを利用したときにはそれについての割引をするとかいうようなこともあわせて、この駐車料金の問題も、それから橋の問題も考えていただけないか。これはもう運輸省におすがりするよりしようがないというのが実態ではなかろうかというふうに思いますので、もう一度できたらお答えをいただきたい。
  28. 岩村敬

    岩村政府委員 駐車場の収入をどうやったら最大にできるか、これはまさに株式会社としての関西空港株式会社の考えることかと思いますが、単価掛ける利用台数でございますので、どちらを重く見るか、そのためにも今まで無料開放してみたり、割引をしてみたりいろいろやって、会社なりにまたいろいろデータも蓄積されてきていると思います。  それから、先ほど羽田とかほかのところはもうちょっと回転率がいいじゃないかという御指摘もございました。不況の中で、おっしゃるとおり、羽田の回転率はここのところ上がっております。これも料金を相当見直しをいたしまして、当初はやはり下げてしまうと収入が減るのじゃないかということで心配をいたしましたが、下げて、当初は下がりましたが、結果的にはお客様がふえて増収になったという結果も出ております。  そんなことも参考にしながら、いろいろ会社としての工夫をする。ただ決まったことだとか、赤字が出ているから何もしないということじゃなくて、先生おっしゃるように、いろいろ工夫をして、会社として利益を大きくする、また利用者に喜んで使っていただく、たくさんの方に喜んで使っていただく、そういうことをするように、我々としても、先ほど申し上げましたように、会社の方にもいろいろ指導をし、相談に乗っていきたいというふうに思っているところでございます。
  29. 鍵田節哉

    鍵田委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。  もう一つ、それともまた関連をするのですが、空港内のテナントでございますね。これにつきましても、件数的にはそんなに減っておらないのですが、平成六年が九十八件、これは開港した年であります。それから、七年が百三件、八年が九十七件、九年が百二件、十年が百一件ということでありますが、そういうことで余りふえもしていない。退店するところもあって、また若干新規開店されるところもあるというふうなことで、増減は大してしていないわけでございますが、やはりまだスペースがかなりあるのじゃないかというふうにも思います。  そして、その売り上げにつきましても、平成六年は、たしか九月に開港でしたか、年度の途中でしたから、売り上げが百四十七億円ということですが、七年からは二百五十四億円、八年が二百五十七億円、ここまでは若干でもふえてきているのですが、九年には二百四十八億円と九億円ほど下がってきておりますし、十年には二百二十六億円と平成七年度から見ましても三十億近く減っておる、こういう売り上げの状況でございます。  そういうふうなことを考えましても、やはり関空の会社、それからテナント、さらには航空局もひとつ絡んでいただいて、この活性化について積極的な努力が必要なのではなかろうか、これからもますますこういう傾向が続いていくのじゃなかろうかというふうに思います。特に、先ほど申し上げましたような、いろいろなイベントを企画をするとか、またセットの料金というふうなことで割引を考えるとか、いろいろな工夫が必要なのではなかろうかということで、空港内で起こっておりますこの五年間のいろいろな問題点について指摘をさせていただきましたので、今後ひとつ十分御検討いただきたいというふうに思っております。  それで、次の質問でございますが、着陸料の問題、これはもういろいろなところで指摘をされておるのじゃないかというふうにも思います。先日も評論家の竹村健一さんがある雑誌に書かれておりますけれども、やはりハブ空港というものを日本の戦略としてしっかり位置づけていくためには着陸料を何とかしないといかぬ、特にアメリカなんかに比べますと、もう問題にならないぐらい高過ぎる。  アジアでも最近かなり新しい空港ができつつあるわけでございまして、特に香港が返還と同時に完成しましたし、韓国におきましても空港が着々と全体の計画の達成に向けて今工事が進められております。また、上海の浦東区におきましても新しい空港をつくろうということで工事が進んでおります。ここらも最終の完成目標としましては、滑走路四本というふうなことも言われておるわけでございまして、中国の場合なんかは、大臣がおっしゃったように、決してハブ空港をどこか一カ所に特化してということじゃなしに、沿海州というのですか、その辺にはたくさんの空港がありまして、いつでもハブ空港化できるような空港ばかりでございます。  そういう面から見ますと、着陸料でございますとか、先ほどちょっと指摘しました航空機の燃料税、こういうふうなことについても工夫をしながら日本の航空会社の負担を減らしていく、そのことによって航空運賃そのものも安くしていく、こういうことが日本の航空戦略、またハブ空港戦略ということを考えましても大変重要なのではなかろうかというふうに思っておりますので、これらについてひとつ大臣のお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  30. 川崎二郎

    川崎国務大臣 議論の中で、まず国内線と国際線を切り分けてお答えをさせていただきたいと思います。  国内線の料金につきましては、スカイマーク、エア・ドゥの新規参入等、規制緩和の中でかなり料金が下がってきた、ある意味では国際的にも国内線はいいところまで料金がなってきたのかな、こういう認識をいたしているところでございます。  しかしながら一方で、ローカルの飛行場、特に航空ネットワークという意味でなかなかつらい状況になってきておりますので、二種Aの空港については三分の二へ着陸料については軽減をさせていただいたところでございます。また、燃料税がかかっておりますのは国内線の話でございますので、その辺も加味しながら、国内ネットワークをどうやって維持していくか、努力をしてまいりたいと思っております。  それから国際線の問題でございますけれども、やはり基本的には独立採算性ということであります。もう既に委員から御指摘いただいておりますように、どのぐらいの真水をその建設のときに入れることができるかということが第一であり、第二の問題として、やはり独立採算性でやっている以上、基本的には金利のかかるお金で飛行場をつくっております。そういった意味では、限られた期間で目標どおりきちっと仕上げるということが大切であろうと。特に、この種の公共事業について時間がかかり過ぎてしまって、結果として大きな負担になって三セク等破綻に至った。私の担当しておりますあの北海道開発庁でも、苫東等そうであります。そういう意味では、金利のかかっているお金を使いながらやっておるんだということは、やはりお互いによく熟知をしておかなければならないだろう。そういう意味では、早く完成をして動き出せば出すほどその負担は軽減される、逆に収入はふえるということになりますので、その点は努力をしていかなければならないなと思っております。  さてそこで、もう一つの議論として、いろいろな方がテレビに出て言われるわけでありますけれども、空港の運営費について、毎年補助金を入れて独立採算性というものを度外視して国家としてそこに手を出すべきだ、国際的に高いからという議論も確かにあることはありますけれども、今のところ私どもは、建設のときの公共事業の真水部分をできるだけ努力をしてまいりたい、それから、早期に完成するべく努力していく、この二つで今のところは歩んでまいりたい。今ちょっと通常の運営費補助金ということまでは、まだ頭の中に入っておりません。先生の御意見でございますので、また頭の中でしっかり体操してまいりたい、このように思っております。
  31. 鍵田節哉

    鍵田委員 確かに日常の運営の方まで補助金をというのは、この空港だけの問題じゃなしに、ほかのことにも波及していきますからそういうことは言えると思うんですが、真水をもっと注入するというんですか、やはり公共事業のあり方を考えて、既存の、もう今も既に動いておることでもやはりこれに真水をさらに注入、先ほど言った橋の買い上げなどというのもその一つじゃないかなというふうにも思うわけですけれども、そんないろいろな工夫が可能じゃなかろうか。  確かに、着陸料が日本の場合は本当に、羽田で九十四万八千円ですか、これは中華航空しかありませんが、それから関空で九十万八千五百円、成田が九十四万八千円ですか、ということのようでありますから、一番アジアの中でも高いのが香港で四十八万幾らですから、半分ぐらいになるわけですね。それから見ますと、やはりいかにも高い。アメリカだとか何かに比べたら、ちょっと数字もたくさんありますから申し上げませんが、問題にならないぐらい高いということであります。その辺の工夫はやはりしていかなくてはならぬのじゃないかというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それからまた、これはもうお答えは結構でございますが、先ほどの関空のことに返りまして、やはりいろいろイベントを考えるとか、そして、空港の見学をするスペースなんかもっと無料で開放するようなことも、羽田なんかは無料でやっているわけですから、そういうふうなことも考えますと、そこへ駐車料金や連絡橋通行料も下げたりしますと、トータルとしてこれから見学者をふやすことにもつながると思いますので、このことについてもひとつ工夫をしていただきたいということで、関空問題なりハブ空港の問題については一応終わりにさせていただきます。  次に、大阪国際空港の問題でございますけれども、何か七月八日にリニューアルオープンされるということでございます。これも、関空ができるときのいきさつなりいろいろございまして、一たんは閉鎖をするというふうなことまで議論をされたこともあったわけでございますけれども、国内線の一部は残すということで国内線だけが関空とこの伊丹とにすみ分けをしたわけでございます。その後、地元の方でも経済の面でも大変落ち込んできたというふうなこともありまして、何とかもう一度活性化できないかというようなことで、増便についても地元の合意も得られて、従来の国際線をまさに国内線に使うということで、増便も兼ねまして航空会社のすみ分けということでリニューアルされることになったわけでございます。問題は、この空港が活性化するということは一つはいいことでございますが、やはり大阪空港に対するアクセスの問題、非常に昔から問題がございます。  これについて、モノレールなどで大阪の北部からこの大阪空港に対してのアクセスをということで取り組んでいただいた、そのことについては大変評価をしておりますし、地元からも喜ばれておるわけでございますが、私がかねがね申しておりましたのは、やはり大阪市内、いわゆる南の方から来るお客さんに対してのアクセスというのは非常に便利が悪い。モノレールと阪急電車を乗り継ぐにしましても乗りかえがございます。荷物があったりいたしますので、どうしても阪神高速の空港線を利用するということでございますが、これはいつも慢性的な渋滞状態でございまして、これを何とかやはり解消するような方策がないものか。これも阪神高速を呼べばいいわけでございますが、決算行政監視委員会で実はこの問題について阪神高速に質問をしたんですが、阪神高速だけではどうにもならないと。あそこは、阪神・淡路大震災のこともあって今大変な状態になっておるわけでございまして、やはり建設省あたりがこれについて十分な手を打ってもらわないといけないわけでございます。  要は、やはり大阪国際空港を管理している運輸省としまして、この活性化をしていく上においてのアクセスの問題として、特に大阪の南部からの利用者に対してどのような対策をこれから打っていこうとするのか。また、建設省なり阪神高速などに対して、またそのほかのアクセスの方法もあります。例えばJRとの接点をつくっていこうというふうなことも計画されておるようでありますが、それらについてどのようなお考えを持っておられるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  32. 岩村敬

    岩村政府委員 伊丹空港でございますが、平成六年に、関西空港開港後に御指摘のとおり国際線がなくなったということで、平たい言葉ですが、空港が寂れてしまったということで、非常に地域から危機感が表明されたわけでございます。それを受けまして、国、地元、学識経験者等が一緒になりまして大阪国際空港地域活性化調査委員会平成八年に立ち上げまして、その中で、ターミナルの再整備、そしてアクセスの整備等の活性化方策の提言をいただいたところでございます。  具体的には、大阪モノレールの活用、さらには、国際線のビル、国際線が出てしまった後ずっと、それからまた震災で被害を受けまして荒れ果てた状態であったわけでございますが、これを文字どおり生かして国内線に使う、さらには、その屋上等を利用して周辺方々の憩いの場をつくる、そういった提言をし、これが実現に向けて今動いておるところでございます。  そして、この活性化施策をフォローアップするために、ことしの一月に、大阪府、兵庫県、それと地元の六市、それから我が方の出先でございます大阪航空局、これをメンバーといたします大阪空港周辺地域活性化連絡会を発足させておるところでございます。御指摘のとおり、空港へのアクセス交通手段の充実は航空輸送の面から見ても非常に重要な課題でございます。この連絡会での議論、こういったところで、いろいろ地域からの、今先生御指摘の道路の問題等々出てくると思います。そういったものを伺った上で、我々としても、所管は今違うわけでございますが、関係の機関にもいろいろなお話をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  33. 鍵田節哉

    鍵田委員 あと数十秒残っておりますので、ちょっと視点を変えまして、エア・ドゥなどの新規参入をされた航空会社がありまして、それが非常に刺激になって、航空運賃の値下げ競争が出ておるんですが、今度はその整備をめぐって、日本航空が何かこの整備費を大幅に引き上げるというふうな話が出ておるわけでございます。  これは日本航空とエア・ドゥとの話でありますから、運輸省は関係ないということかもわかりませんけれども、新規参入をしてくる企業に対して何かいじめをやっているんじゃないかというふうな感じにとれなくもないわけでございます。決して日本航空はそんな気持ちを持っておられないと私は思っておりますけれども、そういうことにならないような何か工夫ができないのかどうか。新規参入してくる企業に対しての、安全性を確保しながら、その整備などにつきまして、十分できるような、既存の企業に依存しなくてもいいようなことが工夫できないのかどうか。こういうことについての行政的な指導もやはり必要なのじゃなかろうかというふうに思いますので、ひとつそれだけお答えいただいて終わりたいと思います。
  34. 岩村敬

    岩村政府委員 新規の航空会社、スカイマークなりエア・ドゥがそれぞれの今整備を委託しておる航空会社との関係でございますが、今後どうするのか、飛行機がふえてきた場合にどうするのか、またその費用をどういう形で新規会社に請求していくのか、そういったことについて今鋭意関係者話し合いがされておるところでございます。また、今大きな流れとして、整備事業についても、既存の事業者も国の内外の整備専門事業者に委託する、そんな動きも出てきております。そういった流れもございます。  いずれにしても、今話し合っているところでございますので、本件については、公正な競争の確保の見地から、関心を持って我々として見守っていきたいというふうに思っております。
  35. 鍵田節哉

    鍵田委員 ありがとうございました。
  36. 石破茂

    石破委員長 次に、辻一彦君。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 久しぶりに運輸委員会に出まして、質問の機会をありがとうございます。  私はきょう、一つは北陸新幹線の問題、それからフリーゲージトレーンの問題、中国の北京—上海間の新幹線問題、この三点で、限られた時間でありますが質問したいと思います。実は私は新幹線問題で質問主意書を出して、近日、答弁が出ることになっておりますので、私の申し上げることであえて答弁を求めないところもありますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、新幹線、五つの整備線が既に決定されて、その中で北陸新幹線は、昭和四十八年の十一月十三日に、時の運輸大臣、政府決定をもって、東京から長野、富山、敦賀から小浜を経て大阪に至るということが決定されております。そういう中で、福井県やその沿線の県民や住民は、以来三十年間、新幹線を待ちわびておったというか、待っておったというのが実態であると思います。  既に政府が決定された線でありますので、あえて申し上げることはないんですが、私はさらに、北陸新幹線の持つ意義を次のように理解をし、主張をして、それをひとつ申し上げたいと思います。  第一は、大きな国家プロジェクトでありますから、東京と大阪の間、これは日本の二大都市、人口の最も集中しているところになりますが、この二つの間に、例えば東海大地震等が東海道新幹線にあった場合に、代替線、第二動脈として、北陸新幹線は東京から大阪に直結されるというところに非常に大事な意義があると思っております。  それからもう一つは、今、日本経済は残念ながら沈滞をしておりますが、これだけの人口、教育を受けた国民があり、労働人口、そして資本、技術等を持っておれば、いずれ日本経済が再生し得る、すると。そのときに、将来の経済の方向は、EUやNAFTA、北米経済圏に匹敵する環日本海経済圏というものがあり得る。環日本海の経済圏の発展の方向を考えると、関西の経済圏は環日本海経済に直結をされなくてはならない、そういう意味を若狭ルートは国土軸の関係からも持っておると思っております。  最後に、これは私の郷里、地元とも関係がありますが、今、日本のエネルギー問題はいろいろありますが、電力を起こす地域と、それから原子力発電所等の使用済み燃料、その後始末をする地域と、二つに大きく分かれております。  青森が、再処理は、低廃棄物等々の処理場として大きな役割を持っていることは当然でありますが、ここはかつて、スーパー特急あるいはミニ新幹線等の新幹線を、青森県以下の御努力、熱意によって、フルサイズ、フルの規格の新幹線に格上げをして決定をして進められているということは御承知のとおりであります。  私の方の福井県は、電力を供給するのでは、今原子力発電では世界一になっております。大臣も御存じでありますが、十五基、それから千二百万キロワット、これだけの発電容量を持つのは、私も、かつてのソ連のチェルノブイリ、アメリカのスリーマイル、いろいろなところを見て回りましたが、世界一、日本一の原子力の電力の供給基地になっておる。それは、関西経済圏の電力の半分、大阪と京都府の電力の全部を、若狭、福井県の原子力発電基地から供給しているという状況にありますが、そういうような重要な意味を持つエネルギーの基地、地域が国土の均衡ある発展から取り残されるということがあってはならないと私は思っております。  そういう点から、若狭ルートの変更等はあり得ないと私は確信しておりますが、これについての答弁は質問主意書をもって近日出していただくことになっておりますので、あえてこれについての答弁を求めませんが、三十年にわたる福井県や若狭地方、予定沿線の住民が強い期待と気持ちを持って運動して今日に至っている、この気持ちを、政府はぜひこれから酌み取ってもらいたい、このように思いますので、大臣の気持ちだけをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  38. 川崎二郎

    川崎国務大臣 辻委員から質問主意書をいただいて、今最終の詰めを行っているところでございますので、そこで正式にお答えをさせていただくことになると思います。  まさに大阪とどう大動脈をつないでいくか、こういう議論の中で、先生の言われた議論が前提としてあったことはよく承知いたしております。一方で、もう新幹線は、上下分離方式、地元の自治体が三分の一負担をしていただく、また運営主体の意見というものも、かつての国鉄のことをやってはならぬということの中から、運営主体というものがしっかり同意をしていく、この二つが大きな要素であろうと思っております。したがって、政府なり政党の考え方、そこにやはり、JR西日本、それから地元皆さん方の考え方、こういうものがしっかり組み合わさりながら決定がなされなければならない、このように考えております。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは、答弁書を拝見して、またその上にこの論議はいたしたいと思いますが、ぜひ三十年来の悲願を、住民の気持ちを酌み取ってもらうように強く願っておきます。  そこで、第二点として、フリーゲージトレーン、軌間可変電車の問題について伺いたいんです。このフリーゲージトレーンは、開発が実現をすると、日本の鉄道の上においても、また新幹線の将来の整備にも非常に大きな影響を与えるのではなかろうか、こう思っております。このフリーゲージトレーンの開発の意義について、大臣からちょっとお伺いをいたしたい。
  40. 川崎二郎

    川崎国務大臣 私どもの鉄道行政の課題として、第一に新幹線問題、第二に都市鉄道整備の問題、第三に在来線の問題、在来線の活性化をどうやっていくか。  新幹線と在来線の組み合わせということをどう我々、進められるかという中で、このフリーゲージトレーンという技術開発、ここに大きな期待を私ども、寄せているところでございます。アメリカで実験も行われ、二百五十キロのスピードまで出ておるようでございます。また、新幹線のいろいろな検討をされておる方々、国会議員の方々もことしの夏には現地に行っていただいて見ていただく予定もあるようでございます。  そういったものもあわせながら、私ども、この技術開発に大きな期待を寄せながら、新幹線と在来線の組み合わせ、ことしも既に十カ所調査に入りましたけれども、今議論を進めさせていただいているところでございます。
  41. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間の点から、多くは伺う時間がないんですが、鉄道局長の方に一つ伺いたいのは、今意義はわかりました、簡潔で結構ですから、開発のおよそのめど。それから、今政府関係者調査に行くということを聞いております、協議会といいますか関係者が。実は、私の方の福井県においても、また若狭地方の皆さんが非常に関心が深いので、そこらの地方議会、県議会を含めて、住民団体や経済団体がぜひフリーゲージトレーンを、一遍現地を見に行きたいと言っておるんですが、開発の段階がいろいろあると思うので、いつの時期に視察をすれば一番効果的なのか、ちょっとそれらも含めて簡単に伺いたい。
  42. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  まず、開発状況ですが、平成九年から平成十二年までの四カ年計画で計画を進めております。それで、実は昨年の十月には高速走行可能な本格的な試験車両が完成しておりまして、ことしの一月には山陰線で時速百キロメートルでの在来線走行を試験した。  現在、四月から約一年半予定しておりますが、米国のプエブロの試験線で高速走行の実験中でございまして、現在まだ二百二十五キロぐらいですが、近い将来二百五十キロ程度で運転をするということを考えております。そういうことの結果を踏まえまして実用化のめどを立てたい、こういうことで進めているわけでございます。  なお、プエブロの試験線の視察についてでございますけれども、現在まだ二百二十五キロでございますけれども、そういうことは基本的にいつでも御視察ができる。ただ、その中で、十万キロ走行ごとに車両を解体いたしまして、ということでの休止の期間がございます。次の検査は実は八月の下旬から一カ月ぐらい予定しておりまして、その時期はお外しいただくということでございます。そしてまた、その次の解体の時期もございますので、お問い合わせいただければ、我々の方で案内させていただきたいと思います。
  43. 辻一彦

    ○辻(一)委員 簡単に伺いますが、標準軌の軌道から狭軌の方に切りかえる、そういうものが、電車を走らせて切りかえる実態を見ることができる時期はいつになりますか。
  44. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  その実験予定は、若干施設の改良等も必要でございますので、年末ぐらいをめどに整備したいと思っております。
  45. 辻一彦

    ○辻(一)委員 あと五分ほどでありますから、この問題はこれで切り上げたいと思います。  大臣に、もうあと五分余りですから伺いたいんです。実は、中国の北京—上海間の新幹線問題について、私も、昭和三十年の初期から中国との長い交流関係を持って、いろいろな人のつながりがあります。また、運輸委員長をやっておりました当時もいろいろ関心を持っておりまして、中国へ行く機会にいろいろ随分と呼びかけといいますか説得、説明をしておったんですが、二年前に私が北京や上海で、鉄道部や上海の鉄道局等の副部長や幹部クラスといろいろ論議をしたときには、まだ一般に中国では日本の新幹線が必ずしも十分理解されているとは言えなかったときがありました。  私の非常に懇意にしているのが、前の呉学謙という外務大臣を長い間やっておったのがまだ青年運動で昭和三十年の初期から、それからまた、楊振亜というこの間まで日本におった大使、中国で一緒にある時期暮らしたこともある非常に縁の深い、その連中、連中というと失礼ですが、皆さんにも会って説明をすると、必ずしも二年ほど前は認識が十分でなかった、スピードが欧州勢に比べて遅いとかコストが高いという認識を持っておったんですね。  私も中国に行く前に、博多—岡山間の五〇〇系に乗って、運転席の後ろにいすを乗せて一時間乗ってみまして、三百はもうコンスタントに二年ほど前にも動くということを体験して行きましたから、説明をする、それはわかった、そういうことです。  もう一つは、機関車と電車方式で全然違うものは、車間距離が日本は非常に短い、三十キロぐらい。欧州は八十とか百キロという長い車間距離。だから、重い機関車で客車を挟んで中国を走るときに、百キロや八十キロにブレーキをかけるのと三十キロごとにブレーキをかけるのと全然違って、欧州の機関車方式を日本に持ってきて三十キロごとにブレーキをかければ、三日間でブレーキが摩耗して、それはもう工場へ入れて入れかえなくてはいけない、そうすれば、余分の車両がたくさん要ってコストがかえって高くなる、そういうことを説明すると、わかってくれたんです。  あれから二年余たって、政府の努力、民間の努力によって、日本の新幹線は欧州勢に比べて同等あるいはそれ以上のレベルであるということが随分と理解されつつあると私は思います。大臣もこの四月に中国を訪ねられ、また、前回、胡錦濤副主席や江沢民首席が日本に来られて新幹線に乗ってもらったという中で、今一層の努力をする非常に大事なときであると思いますが、これらを踏まえて、大臣としては、中国新幹線、ここにぜひひとつ日本方式が取り入れられるような努力をさらにやってもらうことが大事であると思いますが、それらを踏まえて、大臣の考え方と決意のほどをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  46. 川崎二郎

    川崎国務大臣 委員から、一カ月ほど前でしょうか、本もいただきましたので読ませていただいて、大変中国と長い友好関係をおつくりいただいてきた、心から敬意を表しておきたいと思います。  昨年十一月に、小渕総理から江沢民主席に、日本の基本的な高速鉄道計画に対する考え方をお伝えいたしました。その後、江沢民主席に東京—仙台間を新幹線に乗っていただいて、一番先頭席まで行っていただいて、実際の運転しているところまで見ていただいたところでございます。東京オリンピックの当時に来て乗ったことがある、随分改良してよくなったねというお話をいただいて、実は、まだまだ理解が進んでいないというお考えがある一方、江沢民主席初め私がお会いする方々はほとんど、例えば呉邦国副総理にいたしましても、大体私よりも知っている面も多いというのが現状でございます。  さてそこで、一番問題点は、一つは、技術移転というものをしっかりやってもらえるだろうなというのが第一の論点でございます。これは、鉄道部自体が大変多くの人員を抱えておって、建設部隊を持っております。したがって、例えば建設会社に発注というのではなくて、鉄道部自体が建設をされることになるであろう、そして、最終的には新幹線自体も中国でつくりたいんだ、こういうことでございます。したがって、七割程度は自分のところでしっかり建設をしたい、そこへ日本はしっかりとした技術提供をしてくれて、いろいろな意味で協力してもらえるのか、これが第一であります。  それから、当然出てまいりますのは、資金面が出てまいるだろう。  それから、日本にとってフランス、ドイツに比べて有利なのは、何といっても千三百キロという大変長距離を走らせる大プロジェクトをやるわけですから、当然研修期間というものをかなりやりませんと間違いが生じる。我が国は三千人受け入れ体制をJR東を中心にしながらやりますよ、これも言明をいたしているところでございます。そういった意味では、実際の鉄道部を中心としながら理解は進んでおるなと思っております。  ただ、問題は、鉄道部自体がかつての我が国のように大変人数を抱えております。この行革を進めなければならない。したがって、国鉄改革というものも十分参考にさせてもらいながら、この中で新幹線をどう位置づけていくか。そんなことで、実は、新幹線問題に凝縮されたのではなくて、国全体の鉄道のあり方というものも議論しながら高度な政治判断をしていかなきゃならない、こういうふうにお考えになっておるなと私は感じております。  しかしながら、一方で、鉄道部の若い人たちのところまで私どもの技術が十分周知しているか。先ほど申し上げた、先輩の方々はかなり日本に来られていますから全部熟知されておりますけれども、若い技術者はどこまでか、そういうものを、民間の方々と力を合わせながら、また見てもらわなきゃならぬな、こういうことでございます。  いずれにせよ、総理が訪中を近々されます。そのときにもお話をいただくことになるだろうと思っております。
  47. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これで終わりますが、大臣、大変御苦労いただいておりますが、中国は長い間機関車方式にずっとなじんできたので、電車方式のなじみというのはなかなか難しさがあると思うのですが、ぜひひとつ、中国から来た高官はもちろん、若い人たちも新幹線にたくさん乗ってもらって、日本の新幹線の中身をよく体験してもらう。あらゆる努力を尽くして、ぜひ日本の電車方式というものが大きく中国の友好関係を含めて貢献することができるよう、これからもひとつ努力をいただくように強く要望いたしまして、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  48. 石破茂

    石破委員長 次に、細川律夫君。
  49. 細川律夫

    ○細川委員 民主党の細川律夫でございます。  私は、最初に東京圏の鉄道整備についてお伺いをいたします。  昨年の十一月に、東京圏におきます高速鉄道を中心とする交通網の整備についてということで、運政審に対しまして諮問がなされました。大体一年間かけて結論が出る、ことしの十一月か十二月ごろに結論が出ると思いますけれども、先日、この諮問に対して中間取りまとめというのが出されました。この中間取りまとめの中に書かれておりますのは、既存ストックの高度利用を図る事業というのが記載をされまして、新しい路線整備というのは今後の検討にゆだねられるというようなことであろうと思います。  私は、この東京圏の交通事情を考えますと、新線の整備もまた必要であるというふうに考えているものでございます。  御承知のように、ラッシュ時の混雑ということにつきましては、昔から見れば多少改善はされつつありますけれども、以前からの目標であります混雑率の一五〇%というのはなかなか達成されそうもございません。例えば平成九年度の混雑率の数字でありますけれども、上野—御徒町間、これは京浜東北線も山手線も混雑率が二三九、こういうことでありまして、まだまだ混雑率二〇〇以上というのが大変多いわけでございます。平均は一八六ということで、仮に運輸省が予測をしております二〇一五年でそれが一六〇台ということになるということでありましても、それ自身満足できるものではありませんし、しかも平均的な数値でございます。欧米諸国と比べましても、首都圏の混雑というものは突出をしておりまして、長距離通勤あるいは長時間通勤にいたしましても、首都圏は異常であろうかと思います。  私も、埼玉県の方から、埼玉県東部でございますけれども、国会には電車を使って来ております。東武線あるいは地下鉄の千代田線を利用いたしておりますけれども、その千代田線などの混雑率というのは二一三ということでございますから、私ども、乗っておりましても全く身動きがとれないような状況でございます。  もちろん、中間取りまとめに書かれておりますように、既存ストックの高度利用というのは第一であろうと思いますし、それになお将来のニーズに十分こたえられない場合には新線を考える、こういう議論の趣旨というものはよく理解できるわけでありますけれども、しかし、もう既に、地域によりましては既存ストックの高度利用というものも限界に来ているというところもあるわけでございます。  例えば、私の地元であります埼玉県東部などでは、もう既に高架、複々線事業が終わりまして、これは前の答申の七号答申でこれが出ておりまして、これももう既にほぼ完成をいたしておりまして、鉄道についての既存ストックの高度利用というだけでは対応し切れない状況でございます。  そこで、お聞きをいたしますけれども、この中間取りまとめの中で触れられております新たな路線整備については、現在までの運政審の議論の中ではどういうような経過になっているのか、あるいは、今後どういうような形で取り上げられていくのか、そこについてまずお聞きをいたします。
  50. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 お答えいたします。  先生今おっしゃいましたとおり、地域交通部会におきまして、東京圏の高速鉄道網のあり方ということを諮問し、検討していただいているところでございます。その過程で、確かに六月二十二日、今までの議論をまとめまして中間報告がございました。  その中間報告までいく過程でございますが、運輸政策審議会といたしましては、まず地方公共団体、鉄道事業者、利用者の団体からヒアリングを行いまして、その後、現計画に基づく鉄道整備の評価、将来の鉄道需要予測等を行ったわけでございます。  それによりますと、一九八五年に前答申をつくったとき、この場合ですと、約四百万人ぐらいの需要増が見込まれたわけでございますが、それに比べますと、やはり少子高齢化の影響を東京圏といえども受けまして、この目標年次の二〇一五年でまいりますと、通勤通学、特に通学は激減いたしまして、通勤を含めましても微増の需要しか見込めないということでございます。そういたしますと、運賃負担を求めて、そして運賃収入によって投資をするという意欲も事業者において乏しくなっております。それからさらに、空間的な制約というのも、鉄道をつくるに当たっての問題もございます。加えまして、国、地方とも財政事情も相当厳しくなっているというような制約要因というのがクローズアップされたわけでございます。  それで、そういった制約要因がありましても、それを乗り越えてやらなければならない路線があるということもあるかと思いますが、そういうような状況の中で、この二、三年の間でとりあえず事業者が整備をしたいという路線、あるいは整備をしたいという施設、こういったものがかなりございましたので、それを取りまとめますと、やはり新線の大規模建設よりも、現在あるストックを直しまして、例えば相互直通をするとか、駅舎を改善して利便性を改善しお客を呼ぶとか、あるいは短絡線、五百メートル、一キロを整備する、こういったものが主流だったわけでございます。それを集めまして、中間取りまとめということにしたわけでございます。  今後は、今申し上げたような既存ストックの高度利用化というのを図った上でどういったものが整備できるか。これは、現在九十五にも及ぶ路線要望がございます。これを審議会において一つ一つ検討していただくことになるかと思います。そして、その場合、先ほど申し上げましたように、需要の増というのが余り見込めないわけでございますから、新たにどういう整備の方法があるのか。この問題につきましては、現在、運輸政策審議会の鉄道部会において検討していただいておりますので、その検討状況を踏まえて、またその検討状況と連帯しながら、今後の鉄道網の整備、新線建設の問題についてもこれから秋にかけて議論していただくこととなるかと考えております。
  51. 細川律夫

    ○細川委員 今局長の方からお話がありましたのは、専ら既存ストックの高度利用、こういうことでございました。このストックの利用ということにつきましては、今もお話にありましたように、鉄道施設の面のみからストックの高度利用、こういうお話のように私にはうかがえるわけなのです。しかし、鉄道の相互乗り入れだとか、そういう既存のストックの高度利用、これはもちろんだろうと思いますけれども、将来は運輸省も建設省と一緒になる省庁再編もあるわけでございますから、道路施設なんかも高度利用として積極的に考えていくべきではないかというふうに思います。  例えば、地元の例をとって大変申しわけないのですけれども、埼玉では東埼玉道路という高規格道路の事業化がもう決まっているわけなのです。そういう高規格道路と鉄道が一体といいますか、あわせて鉄道建設を行うというような高度利用といいますか、そういうことが考えられないのかどうか。そこらについてもお伺いをいたします。
  52. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 先ほど申し上げましたように、確かに、土地利用なんかの点におきましても、鉄道整備に当たって導入空間の確保は難しくなっておりまして、先生が御指摘なさったように、道路整備というものとの連携というのは当然必要となってくるかと思われます。  そのほかにも、駅周辺の再開発、駅前広場の整備あるいは連続立体交差事業等、いずれも都市サイドあるいは道路サイドと連携をとらなければできない事業でございますので、私どもとしてはこういった連携は一層重要になるものだと考えて、種々の機会をとらえて働きかけたいと思っております。  また、運輸政策審議会においても、都市構造の機能再編整備への対応ということで、そういったものとの連携の重要性指摘されているところでございます。それで、私どもといたしましては、まだ統合はしておりませんけれども、この審議会の中に建設省さんに参加していただいて、道路局、都市局、建設経済局からそれぞれ人を出していただいて、ともに検討しているところでございます。  具体的な路線につきましては、これは事業者をだれにするか等ございますので、今は差し控えさせていただきますが、そういった先生の御指摘の方向というのは大変重要なものであると受けとめております。
  53. 細川律夫

    ○細川委員 新線の整備につきましては、JR、民鉄あるいはまた営団にいたしましても、開発利益というものがなかなか期待できないというようなこともございまして、消極的であるというふうに聞いております。  そこで、お聞きをいたしますけれども、先ほども委員の方から質問がございました。公共交通の維持発展を図るためには、上下分離方式などによりまして、その新線に係る公的資金を積極的に導入をしていく、そういうシステムをつくっていくというようなこともどうしても必要だろうと思いますけれども、そういう点を含めた東京圏におきます鉄道整備の基本的な姿勢といいますか、それについて大臣、どのようにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  54. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、通勤ラッシュ、通学ラッシュ、こういうものに対してどう対応していくか。私も実は新宿駅から乗らせていただいて、成城へ行って、二子玉川へ行って、それから渋谷まで乗らせていただきました。ちょうど複々線化の工事もしておりますし、新玉川線なんか随分便利になったなと、小さなころ路面電車で走っておりましたので、そんなことを見ながら改めて思いをしておるところであります。  一つは、やはり時間、かなり遠くまでが通勤距離に変わってきた、昔、二十年前、三十年前の通勤距離とは違う。電車の距離が延びてきた、それだけにスピードアップを図っていかなければならないという問題等、今回特にテーマにいたしております乗り継ぎの問題、これも間に五分、七分のむだな時間も出てまいりますし、それから階段の問題もあります。これが全部解消されていく、そういう意味では通勤距離が長くてもある程度行けるということで、そこにひとつ力を入れていかなければならないと第一に考えております。そこに対してどういう助成制度があるのか。特に乗り継ぎの場合は、その駅でおりてもらって、そのところで買い物をしてもらった方が民鉄からいえば有利かもしれない。つながって、そのままいなくなっていくということになると、必ずしも、収益構造からいうと逆の可能性もあるものですから、それは公がかなり面倒を見て、まさに国民の利便、それから都市圏の方々の利便にこたえていかなきゃならない課題だろう、こういうふうに思っております。そういう意味では、バリアフリーと似たような考え方であろうと思います。  それから、もう一つは新線をどうするかという議論で、十三号線を今回許可させていただいたところでありますけれども、さあ、そこで、どこまでかなという議論だと思うのですね。バスは走っている、近くにもう一本の線もある。そこへ全部公費で一〇〇%負担した電車が出てきちゃって、バス会社がつぶれた、いや、こちらの経営がおかしくなった、これはなかなか許される話ではないのだろう。  そういう意味では、何でもいいから上下分離にして一〇〇%負担してつくってしまえというのは、私は必ずしもくみしていないものでございます。どのぐらいなら全体的な理解を得られるものか、財政支出的にもできるものか。それから、東京を中心とした各県が御負担をいただけることになっていくのか。この辺をかなり議論させていただいておる。これができると、本当に新線というものに入っていけるのかということであろうと思っております。そのところを今鋭意詰めさせていただき、また勉強もさせていただいているところであります。  ただ、委員指摘のとおり、全体的な、温暖化の問題まで含めまして考えたときに、電車の利便性というものを上げるために一段と努力をしなければならない、このように思っております。
  55. 細川律夫

    ○細川委員 大臣から大変積極的なお話もいただきまして、ありがとうございます。  この東京圏の今の交通事情を考えますと、やはり鉄道がいかに整備をされていくかということが大変重要なことでございますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  次に移りたいと思いますが、私はかねてから交通事故の問題にいろいろと深くかかわってまいりました。当委員会でもいろいろ質問もさせていただいたり、あるいは昔ありました交通特とか法務委員会などでも制度の問題としていろいろ議論もさせていただいてきたわけであります。その関係で、交通事故の遺族の方々あるいは遺児の皆さんともいろいろおつき合いもさせていただいたり、あるいは相談も受けてきているわけでございます。その延長で、きょうは、財団法人交通遺児育英会というものがございますが、これについてお伺いをいたします。  この交通遺児育英会は、昭和四十四年に設立をされまして、交通遺児の進学には大きな力となってきたところでございます。しかし、残念ながら、この育英会がこの五年以上にわたりまして内紛を続けているということを聞いておりまして、これは何とかしていただかなければという気持ちでいっぱいでございます。これは、奨学金を受けております交通遺児にとりましても、また、この育英会に善意の寄附をしてくださっている皆さんにとりましても、まことに憂慮すべきことでございます。  総務庁出身の宮崎清文氏がこの財団の理事長になられたその前後から内部の対立が続きまして、昨年からは理事の選任をめぐりまして大変な混乱をきわめております。これらの経緯につきましては、決算行政監視委員会の方でも議論になったようでありまして、藤村修議員が質問もされておりますので、私の方からは細かいことは省略をしたいというふうに思っております。  こうした混乱が、結局この交通遺児育英会の事業そのものにも大変な支障を来しておりまして、例えば、育英会が運営をしております学生寮の心塾というのがあるのですけれども、この利用者は半減をいたしておりますし、恒例の遺児の触れ合いの場であります奨学生のつどいも開かれなくなったりとか、募金をしてくださった善意ある人たちの期待を裏切る事態が進んでおります。  特に育英会の中心の事業であります奨学金の貸与もこのところ激減をいたしておりまして、これは、平成五年には新しく高校生に貸与するのが九百九十四人だったのが、平成十年には五百八人に減っているとか、これがまた平成十一年は四百人ぐらいになるのではないかというような減少でございます。もちろん少子化とか交通事故死の減少というようなこともありますけれども、しかし、この内紛によるところが大きいわけでございます。この理事会が混乱をしていることによって、奨学金の送金がおくれたり、このことによって奨学金を受けている人たちが大変困ったり、あるいは理事長のハイヤー代に八百万円使ったりというようなことがありまして、育英会に対する信用度も大変低下をしております。  そういうことで、奨学生の数も減ったりしておりますけれども、寄附金もまた大変減っております。平成五年には年間十四億円くらいありました寄附が、昨年は三億円という四分の一にも満たないぐらいに減っております。私は、こういう事態は即刻解決をして、正常な状態に返してもらわなければならないというふうに思っております。  そこでお聞きをいたしますけれども、総務庁の方では、これは主務官庁が総務庁の方ですが、理事の欠員の問題などにつきまして初めて文書によって指導をいたしております。この指導によりますと、「評議員会における理事選任に関する議決に従い、速やかに所要の手続をとり、理事の登記を行うこととされたい。」こういうようなことが六月十四日付の文書でもってされておりますけれども、私が昨日、登記簿謄本をとってみましても、この謄本には、理事が選任されたという登記がされておりません。  それから、そのほかの、例えばこれは加藤六月衆議院議員あるいは石井紘基衆議院議員などが質問主意書を出して、内閣の方から答弁のあれがあるのですけれども、その記述に対しても育英会側は、いずれも答弁書に書かれていることは不法不当のものであり、失当のものであるというようなことを裁判所で話をしているというか論断しているというようなことでありまして、もう総務庁の言うことも一切聞かない、指導にも全く従う気がないというように思われます。  そこで、お伺いしますが、先ほど申し上げた六月十四日付の総務庁が出された文書は、民法六十七条二項には「主務官庁ハ法人ニ対シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」というような規定がありますけれども、このいわゆる主務官庁の命令に当たるのかどうか、理事の登記をしろ、こういう六月十四日付の文書は民法六十七条二項の命令に当たるのかどうか、まずお聞きいたします。
  56. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生の方から交通遺児育英会のいわゆる内紛というものについて御指摘があったわけでございますが、この育英会をめぐる問題につきましては、先生は平成六年以降というお話で言われたわけでございますが、私どもの認識としましては、実はその前から根深いものがあるという認識を持っております。  ちょっと御説明させていただきたいのでございますが、育英会の育英事業そのものは昭和四十四年からスタートしているわけでございますが、その後、昭和五十年代後半になりまして、交通遺児だけでなく病気遺児あるいは災害遺児、こういうものにも奨学金を出すべきではないかというような議論がかなり大きくされたわけでございます。そういう状況のもとで、育英会の内部でそういう路線問題という観点でのある意味での対立が生まれたのが、もともとのこの問題のスタートというふうに認識しております。  昭和五十年代後半からのそういう路線対立が、ある意味で理事会の中におきます対立というような様相になってきておりまして、それが平成六年に、先ほど言われました現在の理事長就任とともに顕在化したというようなのが、私どもの理解の実態でございます。  そういう平成六年以降の流れといたしまして、結果的に申し上げますと、昨年の八月に理事が十四人という数になりました。寄附行為上理事は十五人から二十五人というふうに決めておりますので、定数割れを起こしたという状況でございます。  この定数の問題につきましては、本来的には育英会内部の、いわゆる団体自治の問題だろうというふうに思うわけでございますが、ただ、この定数割れという状況はいかんせん非常に大きい問題だというふうに認識をいたしました。定数割れの理事会のもとで適正な事業執行ができるのかという問題もありますので、昨年の八月以降の状況につきましては強く指導申し上げてきているわけでございますが、事実といたしましては、そういう意味で理事の補充をしようという評議員会が昨年十一月に行われました。その評議員会におきます議論というものが実は今回の問題の発端でございまして、そこで理事の追加が議決されたのか、されてないのかという事実関係の認識に差ができてきてしまったというのが今の実態でございます。  私どもとしましては、理事会の議事録を読む限りにおきましては、一定数の理事については補充の選任がされたという認識を持ちまして、その後それに基づいて諸手続をするべきだという指導をしてきたわけでございますが、理事会の一方の方々におきましては、あそこでは議決はなかったというような認識をされている状況にあるわけでございます。  そういうもとで私ども、いろいろ指導してきたわけでございますけれども、やはり言葉で言っておりますと、どうしても一連のお話の中で行き違いあるいは十分に伝わらないという部分もどうも見受けられましたので、この際、今まで口頭でやっておりました指導というものを改めて文書で整理してお渡しした方がいいのではないかという考えのもとで出しましたのが、先生の言われました六月十四日の文書ということでございます。先生言われました民法六十七条二項に基づく命令かどうかということについては、そういう認識のもとで出したものではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  57. 細川律夫

    ○細川委員 六月十四日の文書によりますと、昨年の「十一月二十五日開催の評議員会における理事選任に関する議決に従い、速やかに所要の手続をとり、理事の登記を行うこととされたい。」こういうことですから、総務庁の方としては、いろいろ言い分が違うところが内部ではあるとしても、これは評議員会で議決があって、当然理事は登記すべきだ、そういう手続がなされるべきだ、こういう御判断なわけですよね。そうでしょう。  それでは、命令ではないけれども、こういう指導をされて、それに対して育英会の今の理事長さんがそういう手続をとらない場合はどうされますか。当然、民法六十七条二項「主務官庁ハ法人ニ対シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」、これで私は命令を出すべきだ、出すことによってきちっと解決すべきだと思いますけれども、これはいかがですか。
  58. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいまの先生の御指摘お話でございますが、今の状況といたしまして、先ほど言いました事実関係の認識の差の問題とともに、一方の側の方々から地位確認の仮処分の申し立てというものも実は出てきたようでございます。そうしますと、私どもとしましては、そちらの動きというものもどうしても多大な関心を持って注視せざるを得ないというような状況も新たに発生してきておりますので、そういうような様子も見ながら、また先生の御指摘も含めながら、いろいろまた指導は強めていきたいというふうに思う次第でございますが、いずれにしましても、育英会の事業そのものがきちっとされるということが大事でございます。そういう観点での指導をいろいろこれからもやってまいっていきたいというふうに考えております。
  59. 細川律夫

    ○細川委員 こういう状態が続きますと、奨学生についてはもちろん、善意の寄附をずっとされてこられた皆さんに対しても大変失礼なことにもなりますから、総務庁の方でも、従わなければ従うような命令を出してでもきちっと解決をしていただきたいというふうに私は思います。  そこで、今お話がありました、きちんと事業ができるようにいろいろ努力をしたい、こういうお話でございますけれども、交通遺児育英会の設立の許可の条件といたしまして、育英会の方は「毎年度の事業計画の作成またはその改正を行なう場合にはあらかじめ内閣総理大臣および文部大臣と協議すること。」こういうことが設立許可書の中に書かれております。これが設立許可のいわば条件になっているのだというふうに思います。  そこで、昨年も内閣総理大臣あるいは文部大臣の名前におきまして、事業計画及び収支予算についてのいわば承認書というようなものがきちんと大臣名で出ておるわけなのですけれども、ことしは一体そういうものが出ているのか、出ていないのか。私は出ていないというふうに聞いておりますけれども、一体これはどうなっているのか。そもそも、総務庁の指導に従わないようなものの事業計画、これは本来承認すべきではないというふうに私は思いますけれども、一体これはどうなっているのか、この点についてお伺いをいたします。
  60. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生からお話のありました設立許可、昭和四十四年の設立許可に際しまして、条件としまして、確かに、事業計画の作成に当たっては、事業資金収入見込み額等と奨学金貸与人数等との均衡について十分配慮するものとし、毎年度の事業計画の作成を行う場合にはあらかじめ協議することというような条件を付しているとおりでございます。ただ、この条件の内容は事業計画そのものについての協議でございます。  今の問題というのは、理事の構成という観点でございますので、理事の構成の問題が直接この事前協議の対象になるかどうかについては、やはりちょっと問題があろうというふうには思います。ただ、そうはいいながらも、事業計画を推進していくためには、やはり適正な寄附行為に基づきます適正な体制というものが必要だろうというふうに思いますので、いろいろ今事前協議の相談をしている中で、この理事の問題についてもいろいろ指導をしているというのが今の実態でございます。
  61. 細川律夫

    ○細川委員 したがって、そもそも総務庁の指導に従わない、そういうようなところと事業計画を相談してやるなんということはおかしくないですか。させない方がいいのじゃないですか、そんな総務庁の方に従わないという。  これは理事長が総務庁の出身だから、いろいろ遠慮とかそういうのがあるのじゃないですか、そこらをはっきりしてください。
  62. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 今、先生、事前協議をやめてしまえ、あるいは事業計画を認めるなというお話でございますが、ただ先生も言われましたように、この育英会の育英事業そのものは非常に社会的意義の高いものでございます。それに、ある意味で対象になった方が今社会的にもいろいろ活躍されているという事実もあるわけでございまして、この事業そのものについては適正な執行をしていただきたいというふうに思っている次第でございます。  それからもう一点、理事長が総務庁のOBだから遠慮があるのではないかというお話がありましたが、それについては全然そういうことはありませんし、私どもも、実は理事長と直接お会いして、かなり厳しいお話はしているというのが実態でございます。
  63. 細川律夫

    ○細川委員 育英会の中の混乱については、総務庁の方で、強い指導理事会とか評議員会を正常化させまして、そして正常な事業遂行ということをぜひお願いしたいというふうに思います。  このままの状態が続きますと、育英会に対する信用度とか、あるいはそれに対する期待度とか、そういうものが日増しになくなっていく。だから、これは早く解決をしなきゃいかぬというふうに思いますので、ぜひこの混乱を収拾していただきたいというふうに思います。  それでは、もう時間が余りなくなりましたので、最後にお聞きをいたしたいのは、地球温暖化対策の問題でございます。  温暖化防止の京都会議、いわゆるCOP3から一年半近く過ぎまして、運輸省の方でもいろいろと温暖化対策をとられてきたところであると思います。その温暖化対策の効果というものがそろそろあらわれてこなければいけない時期ではないかというふうに思います。  CO2排出の二〇%を占めます運輸部門から、どれだけ排出を減らせるかというのが問題でございます。また、運輸部門といいましても、その九割近くが自動車からの排出ということでございます。これまでの運輸省の姿勢を見てみますと、低公害車あるいは低燃費車の開発や普及促進ということにつきましては非常に積極的に取り組んでおられるということで、この点については私も高く評価をしたいというふうに思っております。  しかし、そのほかの対策、特に物流の効率化及び公共交通機関の利用促進、こういった点についてはどうかということでありますけれども、この点については、運輸省の方では、インフラ整備等による二酸化炭素排出抑制型社会の形成、こういうことを言っているようでありますけれども、しかし、この点についての効果が上がっているかどうかということについては大変疑わしいわけでございます。  そこでお聞きをいたしますけれども、モーダルシフトの推進、あるいはトラックの積載効率の向上などについてはどうなっているのか。あるいは、運輸部門では二〇一〇年に一九九六年比の一%減、こういう目標を定めておりますけれども、この二〇一〇年に一九九六年比で一%減という目標が達成できる見通しがあるのかどうか。この二つについてお答えをいただきたいと思います。
  64. 高橋朋敬

    ○高橋(朋)政府委員 お答えいたします。  物流関係につきまして、私の方からお答えさせていただきます。  地球温暖化対策推進大綱におきまして、その施策の一つとして、鉄道、内航貨物輸送の推進、いわゆるモーダルシフトというのを進めるということが挙げられているわけでございます。  その実績なんでございますが、距離の短い輸送分野というのはやはり自動車輸送に依存せざるを得ないわけでございますが、長距離の雑貨輸送、つまり五百キロメートル以上の雑貨輸送につきまして様子を見ますと、平成九年度でありますと、四二%のシェアになっているということでございます。長期的に見て、だんだんではあるのですけれども、少しモーダルシフトのシェアが上がってきてはいるのですが、地球環境問題のことを考えますと、まだまだ十分ではないと思っていますし、五〇%以上にしなければいけないということでもって施策に取り組んでいるところでございます。  具体的には、鉄道輸送力の増強ということでございますとか、鉄道の集配に関するシステムの効率化といったことに取り組んでおります。  それから、コンテナ船とかロールオン・ロールオフ船などのいわゆるモーダルシフト船の整備とか、またこれに対応しました内航ターミナルの整備といったことも進めております。さらに、より将来に向けてということで、次世代の海上輸送システムということでもって、新しい船舶なり新しい港湾、モーダルシフト型というものの研究調査を始めているということでございます。今後ともこのようなモーダルシフトの推進に向けて努力を積み重ねてまいりたいと考えております。  それからトラックの積載率でございますが、近年の傾向ですけれども、トンキロベースで申し上げますと、営業トラックで五〇数%程度でございます。それから自家用トラックで三〇%程度ということで、ほぼ横ばいで推移しているということでございます。  運輸省といたしましても、これまでにもトラックの積載効率の向上を初めとしまして、トラックの輸送効率化ということに取り組んでいるわけでございますが、例えば自家用トラックから積載効率の高い営業トラックへの転換の推進、トレーラー化とか車両の大型化あるいは共同輸配送といったようなことにつきまして進めております。そのための予算あるいは税制上の措置を講じているところでございますけれども、なお引き続き、そのような施策の効果を上げるための努力を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  65. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 二〇一〇年に一九九六年比一%減という目標を達せられるかというお尋ねがございましたが、今の状況を申し上げますと、この目標を達成するためには、二〇一〇年に自然にこのまま何も対策をしなかった場合に比して、千三百万トンのCO2を削減しなければならないわけでございます。  それの削減をどうしていくかということでございますが、先ほど先生から褒めていただきました自動車の個別輸送対策、エンジンの改良等でございますが、こういった自動車などの個別輸送機器の対策で約五百万トン、それから先ほどの公共交通機関の利用促進であるとかモーダルシフト、これで約四百万トン、それから交通の流れを変えるということ、あるいは省エネについて各国民の御協力を得るということ、こういったもので四百万トンということでございます。  したがいまして、技術革新による部分、そしてまたライフスタイルを変えていただく部分、交通の流れを変える部分、事業者の御協力を得る部分等、かなりいろいろな対策がございまして、これの効果が出るまでの時間がそれぞれあるかと思っておりますが、この千三百万トンという数字は十分達成可能ではないかと考えております。  と申しますのは、産業部門や民生部門を見ておりますと、産業部門は比較的省エネ法の関係でやりやすいと思うのでございます、民生部門などに比べますと。民生部門は九六年八千二百万トンの実績を二〇一〇年には七千二百万トンにしなければいけないわけで、一千万トン減らさなければいけない。これに比べまして、運輸部門六千九百万トンを六千八百万トンに、百万トンということで、数字的に見ればそれほど難しくないと、難しいことに違いありませんが、民生部門に比べて難しさは少ないようなところがございます。  しかし、もちろんこれを達成するのは今申し上げた対策を総合的にやらなければならないわけでございますけれども、これは確かにそれぞれの対策に時間差がございますが、実績を上げていく方向でそれぞれ手だてを打っておりますので、二〇一〇年にこの目標は十分達成可能だと考えております。  特に、ことし、この単体の部分では自動車関係税制のグリーン化というのをお願いしておりまして、これなどによりましても百数十万トンのCO2削減効果が、もし実現すれば出ると考えております。私ども、もちろんいろいろな御意見はあろうということは伺っておりますが、こういう施策を早目早目に実行いたしまして、この目標をぜひ達成したいと考えております。
  66. 細川律夫

    ○細川委員 時間が来ましたからこれで終わりたいと思いますが、今お答えでは、割と簡単に目標が達成されるみたいなお話もありましたけれども、しかし、現在この排出量が伸びていないのは、景気が低迷をしているということで経済全体が落ち込んでいる、そういう要素も強いのではないかというふうに思いますが、経済が上向いてもこのCO2の排出量がふえないような積極的な施策も、今から当然講じておくべきだというふうに思います。  前回の鉄道事業法の改正の審議のときにも申し上げましたけれども、鉄道貨物の輸送の推進、そういう貨物輸送のネットワークの維持というような努力なんかについてもまた御努力をお願いしたいというようなことも申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  67. 石破茂

    石破委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  68. 石破茂

    石破委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。遠藤乙彦君。
  69. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 公明・改革の遠藤乙彦でございます。  この一般質疑のお時間をいただきまして、私は、特に首都圏空港整備のあり方という問題を中心に質疑をさせていただきたいと思います。  成田空港の問題、成田を首都の国際線の空港とするということが決まって三十年以上経過をしているわけであります。最近、いわゆる平行滑走路が二〇〇二年、暫定的な滑走路ということで方針がまた変更されたわけでございまして、大臣も大変御苦労されたことはよく理解をいたしております。  今まで首都圏の国際線は成田、そして羽田は国内という方針で来ておりますが、最近の日本の、特に経済不況、また国際的なハブ空港、ハブ都市をめぐっての激しいアジア諸国の競争の中で、やはり今度ちょっと方針を見直す必要が出てきたのではないかと私は考えております。日本の、特に首都圏を中心とした経済の落ち込みは非常に厳しいものがありまして、例えば東京だけをとってみますと、製造業の事業所数ですが、平成三年、十一万一千六百九十から、平成八年には九万七千四百七十ということで、五年間で一三%減少しております。  また、東京証券取引所の外国株、上場会社数も、平成三年末には百二十五社あったわけでございますが、平成十年末には五十二社ということで、五八%もの大幅な減少をしているという状況がありまして、まさに東京の空洞化と言われる事態が出てきているわけであります。何も東京一極集中ということではありませんけれども、首都圏がこれだけ落ち込んできますと、日本全体が落ち込んでいくわけであって、やはり首都圏の活性化なくして日本の活性化はないと私は考えております。  また、今特にアジアの諸国間で、ハブ都市をめぐって、あるいはハブ空港をめぐって、非常に激しい競争が進んでいるということもあるわけでございまして、そういった意味からいきましても、首都圏の活性化、そして、このアジアにおいてハブ空港、ハブ都市の地位を確立することが日本の活性化のために大きな戦略的なポイントではないかというふうに考えるわけであります。  例えば、近年の空港の処理能力、アジア諸国の処理能力を見ますと、シンガポールのチャンギ国際空港が現状で年間三十四万回の能力がある。香港の国際空港では最終計画で三十八万回、上海浦東国際空港が最終計画で三十二万回、また韓国の仁川国際空港は最終計画で五十三万回ということになっております。  これに比べまして、我が国では、成田空港が現在十三万回弱でありますし、また暫定平行滑走路ができる二〇〇二年にようやく二十万回弱に到達をすると言われております。これだけ日本に対する、いわば空路のアクセスが限定をされているために、人の流れ、物の流れ、また金融の流れ等がどうしてもなかなか日本に来にくいということで、こういった国際競争の面からも日本の、特に首都圏の停滞があるわけでございます。こういった点を打破していくためにも、もう一度この首都圏における空港整備のあり方というものを見直していくことが必要な時期に来たのではないかと考えるわけでございます。  今までのいわゆる縦割りの航空行政の視点から進めてきたこういった空港整備のあり方につきまして、今申し上げましたような、日本の活性化、また国際的なハブ都市、ハブ空港化という方向を勘案した上での見直しが必要と考えております。そういった戦略的な大きな問題は、一つは方向性ということをどう位置づけるかということと、もう一つはタイミングの問題があるわけでありまして、この両方においてきちっと考えを決めていく必要があるかと思っております。  特に、タイミングの点では、日本が十分な首都圏空港整備ができないうちに、周辺の諸国がどんどん能力を拡大してハブ化の闘いに勝っていった場合には、取り返しのつかない状況にもなると思われますので、こういった問題も考えて、改めて首都圏空港整備のビジョン、グランドデザインの見直しというものが必要と考えております。こういった意味で、まず大臣の所見といいますか、ビジョン、グランドデザインにつきまして、お考えをお聞きしたいと思います。
  70. 川崎二郎

    川崎国務大臣 午前中も御質疑がありましたけれども、一部のアジアで考えられておるような一極集中型のハブ空港、これは今、日本の国としてはとっていない。これを変えろという御議論かもしれませんけれども、基本的には、やはり関西圏、中部圏、自立した経済圏としてしっかり見ながら、そこに拠点空港をつくっていかなきゃならぬ、そういうスタンスの中で、関空の二期工事それから中部国際空港、こういう問題に取り組んでいるところでございます。そこはぜひ御理解を賜りたい。  そういった意味では、この三空港を足して、アジアの諸都市との、国際ハブ空港という表現を使われましたけれども、諸都市の空港と我々、首都圏、中部圏、近畿圏、この空港整備状況とあわせながら、どちらが優位性かという議論を、まずお考えを賜りたいと思っております。  第二点目に、北海道または東北、中国地方、九州にもそれなりの要望というものがあり、基本的には、やはりチャーター便というものを中心にしながら地域の需要にこたえていく、三つの中核の国際拠点空港と地方空港をチャーター便を中心としながら育てていく、これがまず国際的な視点だろうと思います。  それからもう一つは、羽田でございますけれども、国際化という御議論があるわけでありますが、正直言って、まだ国内の需要に十分こたえられていないというのが今日の状況でございます。そういった意味では、東京は首都でもありますので、各地方と東京との連携というものは必要欠くことができないわけでありますので、まず国内線の需要にこたえられる羽田の整備というものをしていかなきゃならぬということで、今B滑走路の問題に取り組ませていただき、もうすぐその需要にこたえられるかな、このように思っております。  そこで、成田の問題もあわせて、首都の空港全体が成田と羽田で足りるかということになれば、委員指摘のとおり、国際化が進んできている時代、ただし今ちょっと景気の停滞でいろいろ事情がありますけれども、全体として第三空港必要性というものは当然論じていかなければならないし、委員、早く決断をということになろうと思いますけれども、その議論は並行して進めなければならないと思っております。  ただ、私どもが苦慮いたしておりますのは、正直申し上げて、羽田の利便性が非常に高うございます。都心から二十分の飛行場というのは、もう世界的には非常に少ない状況になってきております。新たなものをつくるとしても、かなり時間的な問題は出てくるんだろう。羽田をうんと大きくすればという御議論がありますが、同じ空域の中に幾らふやしてみたところで、特に方向が、東京の方向とか神奈川の方向へ抜けていくわけにいかない、千葉側に抜けざるを得ないという状況の中で、大きな飛行場ができればといっても、一方方向で走らなければならないわけでありますので、それを巨大化させても、果たして需要というものなり安全というものにこたえられるかということになると、いろいろな意味で第三空港の議論を高めていかなきゃならぬことは事実でございますので、しっかりやってまいりたいと思っております。
  71. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私は、一極集中型のハブ空港ということで申し上げたつもりはないので、おっしゃったように、首都圏、関西圏等を含めた、バランスのとれた形での総合的な空港能力の拡大ということは当然だと思っております。ただ、首都圏だけ見ても、非常にニーズが高まっているのに十分な対応ができていないという状況があるわけで、国内線もそうですし、国際線もそうでございます。  今、大臣の方から、羽田については国内需要すらまだ満たされていないのにというお話がありました。ただ、ここはよく見ていきますと、国内線需要についてはどうしてもほかの空港離発着の時間帯規制ということがあって、特に早朝、深夜についてはほかの空港がなかなか使えないということもあって、国内的には、例えば、午前六時から午後十一時までの間は使えるけれども、それ以外は使いにくいという問題があるわけです。羽田は他方、二十四時間化体制ができておりますので、早朝、深夜の枠についてはこれをどう使うか、どううまく活用していくかというところが現実的な、この首都圏空港問題の大きなポイントではないかと考えるわけでございます。  第三空港の問題は当然必要でございますし、ぜひとも検討を進め、早期に方針を出していただきたいと思っておりますし、それによってまた首都圏の能力が拡大をするわけですから、これはぜひ進めてもらいたいわけですが、相当長期の時間がかかることは間違いないわけであって、当面の、今の日本をどう活性化するか、首都圏をどう活性化するかということについては、ぜひとも、羽田と成田の相互補完性といった視点から、現実的な対応をすることが必要ではないかと考えておるわけです。  特に、今御指摘をいたしました羽田空港の早朝、深夜発着枠は、国内線では使えないのが現実でございます。したがいまして、ぜひこれを、例えば近距離のアジア諸国を中心とした国際線に振り向けていくことも一つの重要な、現実的な解決策と思うわけでございます。  そこでまず、羽田の空港の高度利用のあり方という点に関連をしまして、早朝、深夜発着枠、二十四時間体制にはなっているけれども、まだ実際に使われていない枠があるわけでありまして、この分がどれくらいの容量なのか、数字についてぜひお聞きしたいと思います。
  72. 岩村敬

    岩村政府委員 ただいま大臣がお答えいたしましたとおり、羽田空港については国内線の需要にすら十分対応できていないということがございます。  その大きな要因でございますが、騒音面の配慮から東京側の陸地の上空を避けて飛行する、過去何代かの知事とのお約束事もありまして、一般的に東京側の陸地の上空を避けて飛行している、航路に制約がかかっておる。また、沖合展開によりまして、空港周辺への騒音の影響は非常に軽減されました。これは御指摘のとおりでございます。そして、夜間にもある程度飛ぶ余裕が出てきたということでございますが、この騒音問題に関して言いますと、最近では、実際に離発着機が進入し、またそこを通過していく千葉県側の都市部への騒音の影響というものがいろいろ取りざたされておるわけでございます。千葉県または千葉の県議会の方からも、そういったことに対する配慮が必要であるということが出ておるわけでございます。  そういうことでございますので、特に今、深夜の二十三時台から五時台にかけましては国内便、先生おっしゃるとおり、まだ数が少のうございまして、最大で十便程度しか飛んでございません。そういう意味では余裕があるわけでございますが、国際線は御承知のように飛行機が大きい、それから長距離を飛ぶということで重いということがございます。そういったことで、騒音がどうしても地上に及んでくるということがございますので、やはり千葉県側から、県民の生活に支障が来るんじゃないか、今のまま飛行機が飛んでくれば、深夜は昼間以上に障害が大きい、そういう懸念も寄せられておるわけでございます。  そういったことをいろいろ検討してまいりませんと、あいているからすぐに増便、また、新たな便を入れるということにはなかなかなりにくいのかなというふうに思っておるところでございます。
  73. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 当然、千葉県側の騒音問題があることは認識をいたしております。ただ、実際にどれぐらいそこら辺の問題を回避していけるか、ぜひ検討していただきたいと思っているんです。  私自身の計算では、今の羽田の早朝、深夜枠、恐らく一日四十便は十分可能だと思います。週でいえば二百八十便ぐらいは物理的には可能なわけであって、あと騒音問題がクリアできれば、かなりの部分これは使えるのではないかと思うわけでございます。ルートの検討とか機体自体のさらなる改善等を通じて、騒音問題についてはかなり改善の余地があると思うわけでありまして、その点につきましてはどんな検討状況か、あるいは千葉の方で実際の、例えば深夜飛んだ場合の騒音の実態はどういうものかということにつきまして調査がされたかどうか、この点につきましてもお聞きしたいと思います。
  74. 川崎二郎

    川崎国務大臣 詳細については航空局長から御答弁させていただきますけれども、今お話がありましたように、千葉県側とこの問題も誠意を持って話をすることが大事であろう。それだけに、成田問題をまず千葉県側としっかり話し合って解決をしていく、そこに次のステップに移っていく必要があるんだろうと思うんです。  そういった意味で、先ほど御指摘いただいたように、少しいろいろな議論がありましたけれども、成田問題について一つの方向性を出させていただいた。そういうものが進んでいく中で、千葉県側とも誠意のある話し合いというものが次の段階として進んでまいるんではなかろうかな、このように考えております。
  75. 岩村敬

    岩村政府委員 飛行機を飛ばす場合には、飛行機同士の衝突等々を避けるために航路を設定しておるわけでございまして、どういう形で飛ぶか、それぞれ国際的にもお知らせをして、それで飛んでおるわけでございます。  現在の羽田について申し上げますと、先ほど来申し上げているように、陸側、すなわち東京の、空港から見て西側に飛ぶことを原則的に行っておりませんので、東京湾内を使い、また千葉県側の陸域を使って最大の処理能力が上がるようにということで、一言で言うと、のの字形といいますか、一方通行をさせております。進入と出発が上下で分離されるような形で処理能力を上げておるわけでございます。ところが、それが先ほど申し上げたように、結果として千葉の都市部の上からおりてくる、また千葉の都市部に飛行機が上がってくるということになるものですから、騒音の問題が、苦情がまた寄せられておるという面もございます。  そういうことで、ではしからば夜、それを変えて東京の湾内だけで処理をしようとすれば、これは一方通行といいますか、行ったり来たり、出ていく飛行機と入ってくる飛行機が同じところを飛ぶようなことも考えなきゃいけない。そんなことを考えていくと、ではそういう航路がどうやったら引けるのか、安全を保った上で、かつ騒音が低減できるコースはどういうものか、こういったものについていろいろ勉強しておりますが、これまでの飛行ルートと違うものでございますから、簡単に結論が得られないわけでございます。
  76. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 確かに騒音問題は大きなテーマでございますので、これも各関係県あるいは地元と十分に協議する必要があるかと思っております。  ただ、私が申し上げたいのは、羽田の早朝、深夜枠、うまく活用がもし可能であるとすれば、民間シンクタンクの試算によっても、年間二兆円の経済効果があるとも言われ、また十四万人の雇用創出効果があるとも言われておりますので、こういった可能性も含めて総合的に、慎重に検討をしていただきたいということでお願いをしていきたいと思っております。  それから次に、地域との共生ということで、当然、空港使用に当たっては、騒音問題初めさまざまな地域との問題があるわけであって、地域住民の理解、支持がなければ空港は成り立たないということであって、その面からの質問をひとつさせていただきたいと思っております。  羽田空港周辺からも、騒音問題、相変わらず苦情が寄せられることがあります。特にA滑走路、これを北側に離陸するということは今しないというふうに理解をしておりますが、場合によって、離陸のやり直しということでそういったこともある、また市街地を飛ぶこともある、それは安全上やむを得ないかと思っておりますが、最近、そういった事例が多々見受けられるということで、地元からも騒音に対する苦情が寄せられていることがありまして、この点につきまして、どういう状況なのか、御説明をいただきたいと思っております。
  77. 岩村敬

    岩村政府委員 御指摘のとおり、羽田空港につきましては、環境問題、とりわけ騒音問題がございまして、陸域をなるべく避けるということで、A滑走路、すなわち東京の陸域に近い側の滑走路北側に向けての出発、それから北側からの進入についてはできるだけ避けるということで、その運用方式が基本となっております。  ただ、その中にも例外がございまして、今先生の御指摘にもありましたが、危険を回避するために西側に旋回しなければならない場合がございます。また、プロペラ機がまだ東京の島嶼との間で飛んでいるわけでございまして、こういった騒音のそう大きな問題のない飛行機、これについては例外的に今飛んでおるわけでございます。あくまでも基本は、東側に回っていくという運用をいたしておるわけでございます。  そういう中で、今御指摘の苦情でございますが、これは年々下がってきておりまして、特に沖合の新C滑走路ができて以降減っております。そういう中で、例えば平成十年、ヘリコプター関係の苦情が二百二十七件、その他の苦情が百十八件参っておるわけでございます。特に、その中で大田区からは十一件ということでございます。と申しますのは、それ以外の地域から、例えば江戸川区とか、そちらの方からの苦情等もあるわけでございます。  それから、最近ふえたんではないかということでございますが、先ほど来申し上げているように、そこら辺は地元とお約束をし、基本的には飛ばないということでやっております。  ただ、そういう安全確保の場合、特に最近苦情が寄せられた例として、一時的に続けて飛んできたという例があるわけでございますが、これについても、その日の風の向きが急に変わったといいますか、強くなってしまった。本来ならそのままおりられると思っておりてきたんですが、風が急に強まってしまったため、復行といいますか、もう一度エンジンを吹かしまして着陸を断念しまして飛び上がった例。この場合、A滑走路におりてくる場合でも、やはり西側に曲がっていきませんと、実は東側の滑走路にまた飛行機がおりますので、陸側といいますか西側の方に避けてしまった。その結果として、ふだん飛んでこない大きな飛行機が頭の上を飛んだということで苦情があったという例はございます。以前とルールを変えたとか、そういうことでは決してないことを御承知いただきたい、こういうふうに思います。
  78. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 恐らくそういった安全確保のための例外的な状況というふうに理解をいたしますので、地元への説明を非常に丁寧にやるということがポイントじゃないかと思います。方針は全然変わっていない、こういった緊急事態あるいは安全確保のためのものであるということを、丁寧に地元に説明することが大事なことではないかと考えます。  もう一点、ヘリコプターについても、最近、海老取川沿いにいわゆるヘリコプターの格納庫、マスコミとか海上保安庁のがありまして、特に週末等、取材等のこともあって非常に騒音がうるさいという苦情も寄せられておりまして、ぜひこのヘリコプターの格納庫なども沖合移転すべきではないかといった議論も寄せられておりますが、この点につきましてはどんなお考えなんでしょうか。
  79. 岩村敬

    岩村政府委員 ヘリコプターでございますが、現在は御指摘のとおりでございまして、海老取川周辺に新聞社の格納庫、また海上保安庁なりの格納庫がございまして、そこから離発着をいたしておるわけでございます。  御承知のように、来年の三月には新B滑走路完成いたします。それに伴いまして、現在の新聞社の格納庫なり海上保安庁なり国の格納庫なりについて、移転を考慮いたしております。  それで、具体的にどこに移転するか、こういったことを含めて新しい羽田空港の基本計画というものを今取りまとめようといたしておるところでございます。その際には、ヘリコプターの騒音にも配慮して、現在は市街地に非常に近いところに昔のままあるわけでございますが、そういったものの移転も頭の中に入れていきたいというふうに思っております。
  80. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひこの騒音問題につきましては、地元要望をよく聞くとともに、地元に説明を丁寧に行ってほしいということをお願いをしたいと思います。  それから、跡地の問題なんですが、この跡地の利用問題は、地元にとっては非常に大きな関心事項でございます。私自身、平成九年の予算委員会分科会で質問した際には、跡地の広さ、それから場所につきましては、約二百ヘクタールであるけれども区域は決まっていないという答弁をいただいております。その後、いろいろ三者協議会等で議論をしてきていると理解をしておりますが、跡地の範囲と面積はまだ明確に決まっていないためになかなか議論が進まないと聞いておりますので、改めてこの場で、跡地の範囲と面積はどうなっているのか、いつごろ決まるのか等につきましてお聞きをしたいと思います。
  81. 岩村敬

    岩村政府委員 羽田空港の跡地の問題でございますが、これはまさに羽田空港を将来、二十一世紀、さらにはその将来にわたってどのように使っていくかということと大いに関連をしておるわけでございます。  例えば、先ほど先生御指摘の深夜を使う。そうなった場合に、ではその飛行機をどこに置くのか。エプロンをどれだけの広さとるのか。また、交通量がふえれば、それだけ地上での航空機をさばくために誘導路が今の計画より要るのかどうか。そういったことを今、まさに空港の将来をどう見るのか、そして、それに必要な施設をどれだけ見るのか、その議論をいたしておるわけでございます。  そこから、現在の空港と新しく広がるところを合わせたものから将来使うものを引いた残り、それがいわゆる跡地といいますか開発用地となるわけでございまして、まさに空港の機能をどこまで見るか、そして、そのための施設をどれだけ見るのか、その議論を今いたしておるところでございます。具体的にここの範囲だとか、このぐらいになるということは、今の段階ではちょっと明確にお示しできない状況にあるわけでございます。
  82. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 地元的には、ぜひともそれを早く決めて、跡地の利用につきまして計画を進めてほしいというのが強い要望なわけでございますので、その作業を早くお願いをしたいと思っております。  また、地元からいろいろなアイデアが出ておりまして、大田区自体はフワットタウンとか、それから地元の商工会議所では、エランドールというんですか、黄金の飛翔作戦といった非常にユニークな構想が出ております。こういったものはある程度御承知かと思いますが、どのように評価をされておりますか、御意見をお聞きしたいと思います。
  83. 岩村敬

    岩村政府委員 東京商工会議所の案とか地元大田区でかかれた案、それぞれ我々、拝見をいたしております。  ただ、先ほども申し上げましたように、空港あっての羽田でございますので、空港の機能が、狭くなって将来使い勝手が悪いとか、将来の需要にこたえられないというんでは本末転倒でございます。やはり我々としては、先ほども申し上げたように、空港として将来なりとも首都圏の国内の最大のハブとして機能を発揮できるような、そういうものをまずグランドデザインをかいて、その残りについて絵をかくわけでございます。率直なことを申し上げますと、その部分が抜けておるものですから、空港より外の方が非常に豪華になるような絵もあるような気もいたしております。  いずれにいたしましても、まず空港の範囲を定め、そしてその残りのものについて地元とも十分お話し合いをさせていただきたいというふうに思っております。
  84. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 確かに空港あっての羽田ということはそのとおりでありまして、そういった意味からも、先ほどの首都圏空港整備のあり方をぜひ、しっかりと詰めていってほしいということを改めて要望したいと思います。  他方、そういった今の状況を聞きますと、跡地利用問題、やはりこれは明確に方針を決めるのは相当時間がかかるという印象を持つわけでございます。そうしますと、現在、かなり広大な地域が未利用のままで放置をされているという状況が大変目につくわけでございます。  そういった意味で、この跡地の暫定的な活用については、地元からいろいろ意見、要望が出てきておりまして、将来明確に計画が決まるまでの間、暫定的に、構造物をつくらないような形でここを活用したらどうか。例えば、青少年の健全育成の視点から、今、サッカー場や野球場は非常に練習場が少なくて困っておりまして、そういった意味からも、例えば管理はきちっと区がやるような形にして、この跡地を暫定的にサッカー練習場とか野球練習場、あるいは場合によっては野外コンサート場に活用させることも検討してはどうかという意見が多々出てきているわけでございます。この跡地利用の問題が相当長期に時間がかかるものであれば、今のまま単にさくをつくって放置しておくだけではなくて、むしろ積極的に地域との共生を考えるならば、そのような暫定的な使用という形で活用を考えたらどうかという考えがあるわけでございますが、これについてはいかがでございましょうか。
  85. 岩村敬

    岩村政府委員 最初に、法律論といいますか、国有財産の扱いの問題があるかと思います。跡地として処分されるといいますか、ここはもう空港として使わないんだ、将来ともに使わないということが決まるまでの間は、あくまでもその羽田空港用地そのものは、国の事業の用に供する、いわゆる国有財産法上の行政財産に位置づけられております。そして、そこに設置することができる施設というのは、空港の機能にプラスになるといいますか、空港機能上不可欠なもの、こういったものに限られておるわけでございます。したがいまして、御質問のようなサッカー場とか野球の練習場というものを行政財産にしたまま認めるということは、なかなか困難であろうかというふうに思います。  ただ、施設の設置を伴わない一時的な使用ということについて、空港の運営に支障がない範囲であるならば、これは、使用を一時的な使用という形で認めることもあるというふうに考えられます。具体的なお話、これは地元といろいろこれからもお話をしてまいりますが、そういう中で御要望等があれば、個別に検討させていただくことになるかというふうに思います。
  86. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の局長の御答弁、大変私も関心を持って聞いております。  当然のことながら、こういった問題、構造物をつくったりすることはむしろ好ましくないわけであって、全くそういったものをつくらないで、単純な野球練習とかサッカー練習ぐらいのために一時的に使わせるのは、むしろ地元の住民との共生といった視点、あるいはまた青少年の健全育成といった点からも非常に効果が大きいと思いますので、ぜひとも検討をお願いしたいと思っております。  その際、例えば、管理は区に任せて、区の方できちっと責任を持って管理させるとか、もしそういった費用が必要ならば、区ないし自前で調達をして必要な経費をやるとかいった手当てをした上で一時的な活用をすることは望ましいと思いますので、例えばそういった場合にどこを窓口にしてやったらいいのかということにつきまして、ぜひお答えをいただければと思っております。
  87. 岩村敬

    岩村政府委員 窓口の問題でございますが、細かい話になりますが、我が局の飛行場部に管理課という課がございまして、そこがこの空港の施設の管理面をやっております。それから、先ほど申し上げた法律上の財産の扱い方、こういったことも大蔵省の理財局といろいろ調整しながらやっておりますので、今申し上げた課が窓口になるところでございます。
  88. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひこの情報は地元にお伝えをして、今後協議を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、最後に一点だけ。  大臣が五月二十五日の閣議後の記者会見で、既存の鉄道ネットワークを強化して都市交通の利便性を図りたい、事業化調査に着手するといった発言をされております。特に羽田空港へのアクセスという視点から大変有益な案を提示されております。例えば、東武東上線、西武池袋線を池袋から今後、工事が進行中であります営団十三号線に接続をして、さらに渋谷から東横線に接続して、田園調布から今度は目蒲線に接続をして、東急の蒲田から京急の蒲田までをまたつないで、そして京急で羽田空港までつなぐという大変有益な案を提案をされております。私自身も以前、特に羽田空港への鉄道のアクセスということを質問したこともありまして、大変うれしくこの記者会見の内容を聞いたわけでありますけれども、この事業の調査、今後どういった手順、方法によって事業化調査をされるのか、この点につきましてお聞きをしたいと思います。
  89. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  この調査は総理からの直接の指示をいただきまして進めさせていただいておるわけですが、御案内のように、十三号線が着工されましたことを受けまして、東横線とつなぐプロジェクト、これにつきましては、事業主体たる東急電鉄、営団地下鉄とも相当実は前向きの取り組みをしていただいておりまして、諸条件さえ許せば早期に事業化を図りたい、ある意味では熟度の高まっているプロジェクトでございます。  一方、また、東急目蒲線の蒲田駅と京急の蒲田駅を結ぶ、そしてまた空港線に結ぶというプロジェクトにつきましては、御案内のように、蒲田—蒲田駅の間を新線で結ばなきゃならぬという大変な費用負担がかかる事業でございます。こちらにつきましては、正直言いまして、まだ構想の域でございます。ただ、先生おっしゃられましたように、この全体のルートが開通いたしますと、大変に実はメリットの多い、効果の大きいプロジェクトでございますので、熟度の違う計画ではございますけれども、この際、一体的な調査をさせていただこうということで、二年計画で実は調査を開始したいと思っております。  そういうことの結果を踏まえまして、その後の事業化につきましては、先ほど申しましたように、熟度の状態は違いますけれども、関係者間において前向きな取り組みをしていただけることを期待しておる、こういう状況でございます。
  90. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 時間がもうございませんので、終わりたいと思いますが、このネットワーク化は新線をつくるわけじゃありませんので、実際必要なのは東急蒲田と京急蒲田をつなぐだけの問題ですから、余りお金をかけず、極めてこれは投資効果の高い計画だと思います。特に、羽田空港へのアクセスを飛躍的に拡大をするわけでございますので、そういった意味からも地域の活性化ということに非常に大きな効果があるかと思いますので、ぜひ前向きにお願いをしたいし、大臣からもぜひともそういった意味で御支援をお願いできればと思っております。一言何か大臣の方から御意見を賜れればと思います。
  91. 川崎二郎

    川崎国務大臣 昨年、総理から、通勤対策、通学対策、何かできないのか、一つのアイデアとして二階建ての電車はどうだという話までいただいたわけです。その中で、いろいろ検討した結果として、確かに新線もつくらなきゃならぬという事情もあると思うのです。しかし、ちょっとした工夫で、結節点をいじることによってかなり効果が上がるものが出てくるのじゃなかろうか、そういった意味で今回、先ほど御質問いただいた九州また大阪、名古屋等も含めて、いろいろなアイデアも今出させていただいて、何とかこれを実行に結びつけていきたい、格段の努力をしたいと思いますので、どうぞ地元の先生方の御指導のほどもよろしくお願い申し上げます。
  92. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 大臣の大変心強いお言葉、感謝をいたしております。  ぜひとも大臣の一層の御尽力を、また御健闘を祈りまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  93. 石破茂

    石破委員長 次に、木村太郎君。
  94. 木村太郎

    木村(太)委員 きょうは委員会が朝から夕方四時までということで、長時間にわたりまして、大臣初め皆さん、本当に御苦労さまでございます。私に与えていただいた時間が三十五分という限られた時間でありますが、お尋ねしてまいりますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。  私は、整備新幹線、そしてそれに関してのことをお聞きしてまいりたいと思っております。  実は、今与党サイドでいろいろ動きが続いているようでありまして、また報道もいろいろ続いております。さらにはまた、整備新幹線に関しては、いろいろな大会なんかを見ても、すべての政党が、代表も出席して、みんなで頑張ろうというような場面が多いわけでありますので、むしろ我々の政治の分野からも一層努力していかなければならない分野には違いないな、こう思っておりますし、私も関係沿線地域から選出されている議員の一人としてもその意を持っているところでありますので、質問してまいりたいと思っております。  特に、関係沿線の道県知事からも建設促進に対しての訴えというのがますます高まってきていると思いますし、それに対してまた地元が果たすべき役割、具体的に言えば、用地買収あるいはまた並行在来線の問題とかいったことにも、地元地元努力が続いているという印象を持っております。さらにはまた、JR各社においても、JR側は負担増というものを心配、懸念しつつも、やはり基本的には一日も早い開業というものを求めているように認識をさせてもらっています。だとすれば、一連の今申し上げました機運ということを考えた場合に、あとは政府の英断というふうに私はとらえておりますが、運輸大臣の御認識、そして、決意というものをまずお聞かせいただきたいと思います。
  95. 川崎二郎

    川崎国務大臣 私、昨年の七月三十日就任以来、小渕内閣の最大課題が景気の問題でございました。いろいろな議論の中で私自身主張してまいりましたのは、いいプロジェクトを早く仕上げることによって経済効果が出てくる、したがって、しかかりのものは早くやるべきである、そして、公共事業といえどもやはり金利の御負担もあるわけであります、地方の負担もあるわけでありますから、そういった意味では、いつまでにこれを完成させる、それによって民間、周りの方々の力も出てきて相乗効果になるはずだと。こういったことで昨年は、補正予算でも公共事業費を新幹線に振り向けさせていただいたところでございます。今日も、公共事業予備費の扱い方等をめぐってもいろいろな御議論を今いただいておる、こういうふうに第一に認識をいたしております。  さあそれでは、しかかっているものを早く上げようという一つの議論と、もう一つは、新幹線全体のスキームを、縦軸論といいますか、北海道から九州まできちっと通すべきではなかろうか、したがって、まだ工事にかかっていない部分の問題についても、この際、しっかりした議論をすべきではないかと。ですから、私が申し上げてきたこととプラスアルファの考え方が今日出てきている。このプラスアルファの考え方が出てまいりますと、どうしても突き抜かなきゃならないのは財源論という問題になります。  私が申し上げたのは、今の限られた中で集中的な投資をして早くここからここまでの線は仕上げた方がいい、それによって経済効果が出るという議論をずっと秋以来展開してまいりましたけれども、一方で日本列島縦軸論というのが出てまいりまして、その議論を今私どもは注視をしておる。財源論を含めてどうお考えになっていくのかなということがあります。そこは一つ分けておいていただければありがたいなと思っております。  それでもう一つは、何年に、いつまでにこれをやると仮定をいたしましたときに、財源の問題も大事でありますけれども、一方で地元協力も極めて大事であるというふうに御理解をいただきたい。今、青森でも岩手でも大変お世話になっておりますけれども、現実、まだ未買収の地域、また用地を持っておられる方々はかなりの数に上るという実態がございます。したがって、私どもが、いつまでにやりたい、財源もここまでは政府と話して用意しますと言いましても、一方で今の問題が一つのネックになっていると。これは、九州においても、東北においても同じ状況にございます。そういった意味では、地元の先生方の御協力もぜひお願いを申し上げたいと思います。
  96. 木村太郎

    木村(太)委員 今の御答弁をお聞きしまして、現実を大変重視しながらも、大臣として大変前向きな思いがあるというふうに、私は今の御答弁から感じさせていただきました。  また、これから聞こうとしていたことに対しても答えてくれた感もありまして、ちょっとあれですが、本当に大臣から今御答弁があったとおりでして、地元には地元のやるべきこともあるだろうし、また、私が承知しているところでは、東北新幹線の例で言えば、青森県や岩手県が協力し合って、具体的にはことしの秋ごろまでにそういった用地買収の問題なんかを解決するために努力していこうといろいろ動き出しているというふうにも聞いておりますので、もちろん、地元には地元努力の姿勢というものを私もお願いしてまいりたいというふうにも思っております。  そこで、私が今大臣の答弁を聞いて感じた思いからもうちょっと踏み込んで具体的にお聞きしたいんですが、答弁の中にもスキームの見直しというお言葉がありました。今現在はあくまでもまだ注視しているという姿勢だということでありますが、仮に基本スキームというものが見直しされていくとすれば、御答弁にあった開業時期、どうやっていつまでつくるのか、完成するのか、いつになったら新幹線を利用することができるのか、これがやはり大きなポイントというか、整備新幹線の姿に大変重要な位置づけになっていくと思います。  ですので、ちょっと踏み込んだ聞き方になりますけれども、仮に基本スキームが見直しされるとすれば、大臣は、今のこの段階というか、注視している中での判断になろうかと思いますけれども、開業時期は明確に示されることが含まれるべきと私は思うんですが、大臣はどのように思っておられるでしょうか。
  97. 川崎二郎

    川崎国務大臣 一つの議論として先ほど申し上げた財源確保という問題があることは事実であります。一方で、不測の事態も全く起こらないとは言えないという状況の中で、現実、公共事業の担当者としては余り時間を縛られたくないという気持ちがあることは事実なんです。そこは少し私の方から強く、やはりいつまでにやってくれ、これは至上命令だと思ってくれよ、こういうお話を今しかかっているところでございます。例えば八戸までですと、アジア大会が開催をされる、それまでには何とか完成に結びつけたい、こういう思いを私自身持っております。  したがって、これからまさに十二年度予算の枠組み等を考える中で、もう少し明確にしていきたいなと思っているところでございます。
  98. 木村太郎

    木村(太)委員 今の御答弁も私は本当にありがたい答弁というふうにお聞かせいただきました。冒頭言ったように、具体的な与党サイドの動きがいろいろ続いているわけですけれども、ある面では、この運輸委員会という公的な場面において完成時期、開業時期を明確化することを求めること、しかかっているところという今の御答弁でありましたので、我々は、大臣がそういった思いで今頑張っているというふうにもある面では地元にも説明できますし、また期待したいし、また一緒していきたいなというふうにも今印象を持たせていただきました。  そこで、先ほど来御答弁にあった財源の問題でありますが、いろいろなマスコミの新聞の報道にも、仮にということで、いついつまで完成させるとすればこのぐらいの予算が必要になって、ことしの予算に比べれば何倍になるとかというような報道が結構相次いでおりましたけれども、その中で、これは多分与党の協議の場にお示ししたと思うんですが、運輸省で試算を出したという報道も最近ありました。仮に運輸省で試算を出したとすれば、素人考えかもわかりませんが、財源問題についても何らかの新たな検討をし始めているのかなという印象を持っているわけであります。それは具体的に言えば、今までにない別途枠の予算の創設みたいなものも視野に入れた検討をやはり内部的にはしているのかなという印象を持ったわけですが、その辺はいかがなものでしょうか。
  99. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  先生もお話しのように、自民党、自由党の整備新幹線協議会でせっかく整備新幹線の進め方について検討をいただいているわけでございますが、その中で、審議の検討のための材料として、今先生がおっしゃられましたように、ある区間を一定期間内につくるとすると、毎年度どのぐらいの事業費、公共事業関係費が必要になるかという資料を提出させていただきました。これは所要額を積算、試算したものでございまして、財源とは関係ございません。  それで、それを行うとすると、それだけの財源が必要になるということでございまして、その財源論につきましては、実は、先ほどの自民党、自由党の新幹線協議会の場の中で、一つのスキーム見直しのためには財源が必要になりますので、スキーム見直しとその裏づけとなる財源、これについて、せっかく御議論いただいているというふうに理解しております。  そういう意味で、我々として、特段、財源論について検討をしておるということではございません。
  100. 木村太郎

    木村(太)委員 わかりました。大臣の言葉で言いますと、注視している状況であると思いますので、あくまでも試算を出したということだと思います。しかし、財源問題が一番大きなポイント、課題というか、問題ということは間違いないわけであって、現時点では、今の局長さんの御答弁にしても、これはやはり、真剣に現実性を持った検討をしなければならない近々の課題だというふうにも思っております。  そこで、具体的に、しかも当面ということを考えた場合に、これはだれから見ても、いわゆる次の概算要求ということと、また、報道にもありますけれども、十一年度の五千億の予備費ということが、それこそ大変注視されるところであります。今の御答弁は御答弁としても、当面、近々の動きを考えた場合に、また予測されるとすれば、来年度の概算要求と十一年度の予備費五千億ということに対して、何らかの運輸省としての動き、あるいはまた、その動きによって早期完成ということに対しての裏づけ、変化を示すための努力をしようとしているのかどうか、また検討しているのかどうかということをこの時点で確認させていただきたいと思います。
  101. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げましたように、基本スキームの見直しとその裏づけとなる財源のあり方について、先ほどの与党の協議会において御議論いただいておるわけですが、そこの基本的な議論というのは、まさに、先生おっしゃられておりますように、基本スキームの抜本的な見直しということになりますと、通常予算の大幅な増額が必要になる、そしてまた、前倒しのためには予備費も大いに活用できる。こういうことの問題意識の中で、予備費の使用の問題、枠の問題、それから概算要求に向けての要求額の拡大の問題、これを実はせっかく自自協議会の場で御議論いただいておりますので、我々としては、その協議の結果を踏まえて適切に対処させていただきたい、こういう考え方でございます。
  102. 木村太郎

    木村(太)委員 もう一つ確認したいんですけれども、報道なんかもされておりますが、もちろん早期開業、また、先ほど言ったように、仮に基本スキームが見直しされて、開業時期が明確に示されるということを一番望んでいるわけであります。財源ということを考えれば、単年度単年度のお金の額というものも大きくなっていくのは当然であって、だとすれば、国あるいはJR、そしてまた地方自治体、地域の単年度における負担も増すのは、理論から考えられることであるわけであります。  しかし、そのときに、もしかして財源の分担のルールというものも変化するのではないかというような報道もちょっとあったんですけれども、国は幾ら幾ら、地方自治体、地域は三分の一ですか、こういった財源分担ルールというもの、大変ある面では虫のいいお願いなのかもわかりませんけれども、言い方になるかもわかりませんけれども、財源分担のルールというものはこれからも維持されるべきだと私は思いますが、どう考えておられるでしょうか。
  103. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  先生お話しのように、国が二、地方が一という国と地方の分担関係というものが決められているわけでございますが、この定めは、実は、御案内のように、平成九年に改正されました全国新幹線鉄道整備法に基づくものでございまして、先ほど申し上げました自民党、自由党の新幹線協議の場におきましても、この分担ルールを前提に議論が進められております。そしてまた、我々としても、せっかく九年に用意していただいた制度でございますので、その見直しについては念頭にございません。
  104. 木村太郎

    木村(太)委員 ルールはこれからも維持されるというふうに確認させてもらったと、今の答弁で私なりに判断させていただきたいと思います。  しかし、これからもぜひ財源ルールの中に、地方自治体、地域の位置づけもありますので、ある面では運輸省と自治省との連携というものも随時密にしていただきたいということをここで指摘し、また、お願いをしておきたいというふうに思っております。  以上、整備新幹線そのものについてちょっとお尋ねしてまいりました。  次に、整備新幹線の建設促進を進めていこうとするならば、関連することで、並行在来線と貨物の問題が存在しているわけであります。これは、私の地域の東北新幹線でも問題としてある面ではクローズアップされておりまして、少しお聞きしてまいりたいというふうに思います。  地元では、在来線については、東北新幹線の例で言いますと、青森県と岩手県が、周辺市町村の意見を聞きながらも、在来線のあり方というものをいろいろ協議しているようでありまして、きのうの新聞でも、これは地元紙なんですが、両県の知事も近々会談するというような報道もありまして、地元地元で在来線のあり方についていろいろ検討しているようであります。  そこで、もちろん地元地元努力、そして検討しているという姿勢の中で、やはり、国としてもなるべく一緒しながら、地元努力に対する国の位置づけというものを随時持ち備えていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  105. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  並行在来線のJRからの経営分離後の代替交通機関をどうするかということにつきましては、御案内のように、基本的には地域の力で維持していただくことが必要であるというふうに考えております。  その意味で、せっかく青森県、岩手県において取り組みを開始していただいておるわけでございますけれども、我々としても、いろいろなノウハウを有しておりますので、御協力申し上げる。それからまた、経営につきましても、相当大変なことが予想されますので、例えば第三セクター鉄道に譲渡されます鉄道資産について税制上の優遇措置を講ずるというふうな支援措置も講じさせていただいているというところでございます。
  106. 木村太郎

    木村(太)委員 その第三セクターという、多分実際にはそうなっていくわけでありますが、一言で第三セクターと言っても、第三セクターになった後の並行在来線の経営状況というものを、やはり自治体、地域は地域でいろいろ考えながら今協議をしていると思いますので、ぜひこれも、もちろん、地域が実際、第三セクターをつくって運営していくことになろうと思いますけれども、国として最大限指導というか、注視しながら、国もやはり随時かかわり合っていってほしいなということをお願いしたいと思います。  ただ、現実には、ことしの秋ごろまでに地域としての並行在来線の運営方法というものをきちっと定めていくようでありますので、秋ごろに向けての国の姿勢というものもぜひ大事にしていただきたいということをお願いしたいと思います。  また、在来線のことで、もう少しちょっと発展的にお聞きしますけれども、仮に、基本スキームが見直しされまして、整備新幹線の建設促進がこれまで以上に進んでいくとすれば、新幹線とのタイアップや、あるいはまた整合、連結性ということを考えれば、単に並行在来線のみならず、全国の在来線の姿というものを見詰め直してもいいのではないかなというふうに私は思います。このことは前にこの委員会の場で同じようなことを聞いたことがあるのですけれども、改めてこの時期にお聞きしたいと思います。新幹線と並行在来線のみならず、新幹線の駅と連結したその先の目的地に行くための在来線の姿というものもぜひ検討してみるべきだというふうに考えております。二、三日前の新聞にも出ていましたけれども、例えば高山線など五線区を対象に、東海道・山陽新幹線に接続をしているこれらの路線を対象に、フリーゲージトレーンの実現可能性を探る調査運輸省は入るというような報道もありましたが、私は、もちろんその五線だけという意味でなくて、全国的な在来線の姿というものをチェックすべきではないかな、こう思いますが、いかがでしょうか。
  107. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  新幹線の計画は、おかげさまで政府・与党の取り組みの中で進んでいるわけでございますけれども、お話しの在来線、特に幹線でございますけれども、これの機能アップを図らなきゃならぬ、特にスピードでございますが、という問題意識を我々も持っております。  そういう意味で、今後の新幹線を含む幹線鉄道網の機能アップのためにどういうことをすべきかということ、これにつきましては、実は運輸政策審議会の鉄道部会でせっかく実は議論中でございまして、そこに対する国、地方からの支援策も含めまして、この年末までには議論を整理したいと思っております。その意味で取り組みは開始しておりますが、その中で、先ほど先生が例に出されましたように、フリーゲージの調査を実は先行的に入れております。これも、実は新幹線との直通運転という効果にあわせまして、乗り入れます在来線のスピードアップというようなことの可能性調査もあわせてやるわけでございまして、これもその意味で在来線の高度化、近代化の一つの手法でございます。今年度は五カ所ばかりについてスタートいたしますけれども、こういう手法を通じまして、先ほどの在来線の高度化に資すればという思いでやっているわけでございます。
  108. 木村太郎

    木村(太)委員 審議会の場で検討しているということでありますが、その検討をぜひ期待したいと思いますし、先ほど言ったように、新幹線との連結性というものをぜひ視野に入れた検討をして、また形あるものにしていただきたい、こう思います。  地元の話になって大変恐縮でありますが、今局長さんの答弁に幹線のスピードアップ、機能アップということが言葉としてありました。実は、私の方には奥羽本線、まさしく幹線、日本列島の日本海側の一つの大きな太い柱、幹線だと私は思っているわけですが、大臣にもぜひ御承知いただきたいのですが、この奥羽本線の青森—川部間というところがありまして、本線なんですが、いまだ単線であります。明治の初めに開通したものの、この部分だけが単線という、本線においての単線というのは多分全国的にもここだけではないかなというふうに私は思っているのですけれども、本当に残念な今現在の姿であります。  ただ、正式には昭和五十四年に運輸大臣の許可が示されまして、新大釈迦トンネルというトンネルを工事して完成しております。それは、もちろん単線である今の姿から複線にするためのトンネルをつくったわけですが、そのトンネルができた時点で、いわゆる旧国鉄からJRに変化というか時代の動きがあったわけであります。よって、トンネルはできたものの、それ以降は工事そのものは進んでいないというかストップしている状況にあります。しかし私は、この姿は、工事そのものが中止になった、取りやめになったんではなくて、あくまでも凍結されている状況であって、そして運輸大臣の許可の効力は今現在でも継続しているというふうに私なりに認識いたしております。  こういう状況、つまり、全国の運輸鉄道政策体系上極めて特異なというか異例的な状況を、いつまでもこのままでいいとは私は思っておりません。この問題も、もちろん昭和五十四年以降もいろいろ動きをしてまいりました。私ごとですけれども、私も国会に来る前に県議会にいたものですから、県政や県議会なんかが一緒になって毎年のようにお願いしてきた経緯もあるのですが、なかなか、特にJRサイドが芳しくないというか、積極的な思いを今現在持っていないのが本音というか、現実の姿というふうに思っています。しかし、異常な状況だと私は思っておりますので、この状況がいつまでも続かないためにも、何らかのやはり検討を具体的にしていくべきではないか。  しかも、新幹線と在来線の全国的な見直しをしていくとすれば、東北新幹線でいきますと、新青森駅まで来たときに、また奥羽本線の位置づけも、来ることによって変わってくるだろうし、ぜひこういうことも運輸省として前向きな姿勢を出していただきたいな、こう思いますが、いかがでしょうか。
  109. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  奥羽本線、単線ということでございますけれども、全国的に見まして、主要幹線でも単線、非電化という区間が相当ございます。実は委員長の御地元もそうでございまして、我が運輸大臣地元もそういうことでございます。  そういう中で、我々先ほど申しましたように、いろいろな苦心をさせていただこうかということで検討しておるわけでございましたが、何といってもこれは、実はJRあるいは民鉄というような民間事業者の経営の中で整備していただかなきゃならぬということで、最終的にはその事業主体の判断ということになるわけでございます。その中で我々としては、先ほど申しましたように、今後国なり地方なりの支援措置というようなものも加えながら進展できないだろうかというような議論をさせていただいているというところでございます。  ちなみに、お話の区間につきましての複線化につきましては、JR東日本の現在の考え方としては、現行施設で対応が十分可能であるということで、残念ながら当面の具体的な計画はないという報告を受けておりますけれども、先ほど申しましたような観点から、我々としては全国の問題として勉強してまいりたいと思っております。
  110. 木村太郎

    木村(太)委員 大臣のところと委員長のところも同じ状況があるということでありますので、ある面ではこの機会を逃さないでみんなで結集していけば、今あった勉強していくという答弁から違う形になっていくんではないかな、こう思いますので、ぜひお願いしたいというふうに思います。  もう一つ、貨物の問題をお聞きしたいと思います。  貨物の問題も、実際には東北新幹線の例でいっても、私の地元青森県と運輸省サイドで話し合いが始まったというふうにも聞いております。ですので、今まさしく始まったところでありますけれども、現時点でJR貨物は経営分離される並行在来線、そして東北本線を多分走ると思いますし、JR側も最近そういった希望を表明したようでありますので、運輸省として貨物問題について今後どう対応していくのか、確認させてください。
  111. 小幡政人

    小幡政府委員 お話しのように、我々運輸省といたしましては、JR貨物等々と相談いたしまして、東北ルートにつきましては、貨物でございますが、新幹線上を走行しない、在来線を使うことで決着させていただいております。  その意味で、並行在来線になります東北本線、あるいはほかの迂回ルート等々もございますけれども、在来線を使うことが前提になったということの中で、お話しのように、青森県、岩手県、それからJR貨物で実は相談を開始させていただいております。当然、JR貨物につきましては、線路使用料の問題、経営もああいうことでございますので、現状の価格よりは上げるわけにはいかない。一方、また三セク主体としては、今後の運営を考えなければならぬ、そういうことでのせっかくの相談が入っておりますので、我々としても、その協議が円滑に、またいい形で仕上がるように支援してまいりたいというふうに考えております。
  112. 木村太郎

    木村(太)委員 ぜひお願いしたいと思います。  ただ、実際には、うちの地域でいいますと、青森県、岩手県だけでなくて、青森県、岩手県を通る貨物列車のかなりの部分の貨物の中身を見た場合に、北海道から来る荷物が多いわけでありますので、ぜひ北海道の位置づけというか、このことも重視しながら対応していただきたい、こう思っております。  時間が参りましたので、最後に一つ伺いしますが、先ほど来言ってきたように、財源の問題はもちろんこれからでありますけれども、仮に地元負担がふえるのではないかというような不安がある中で、やはり自治体は、地域は、一日も早い開業を希望しながらも、財源の問題、地元地元でまた心配しているのもあろうと思います。だとすれば、並行在来線の経営ということも考えて、しかも貨物問題もありますので、何らかの財政支援あるいはまた優遇措置、具体的に鉄道資産の無償譲渡などが求められてくるようなことも考えられますが、こういったことに対して、現時点で結構ですので、もし考えがあれば、最後にお尋ねしたいと思います。  時間が来ましたので、大臣が冒頭おっしゃってくれた決意というものは、今までの大臣以上に、歴代の大臣以上に私は積極性ある御姿勢があるというふうに認識させてもらったし、また与党サイドの動きが大変続いている中でありますが、この運輸委員会という公的な場面において、ありがたい答弁が大臣局長さんから続いてきたことにも感謝して、また局長さんみずからもいろいろ御苦労されていることを間接、直接に目にしておりますので、御礼申し上げて質問を終わりますので、最後、一点だけ答えてください。
  113. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、並行在来線を運営いたします第三セクターの経営問題については、基本的には御地元でのお話としてお願いしたいということを申し上げましたが、それに際しまして、先ほどもちょっと触れましたけれども、第三セクター鉄道に譲渡される鉄道資産についての税制上の優遇措置は既に講じてございます。そしてまた、第三セクターを運営するに当たりまして、いろいろな面で支援をさせていただきたいと思っております。特にJR旅客会社に対しましては、要員派遣とか運行面での協力、こういうことについてはしっかりやってほしいということでの指導をさせていただいております。  それから、具体のお話でございますけれども、鉄道資産の譲渡価格について、例えば無償という話がございましたけれども、これは実は、JR旅客会社、本件の場合にJR東日本になるわけでございますが、民間会社の資産の譲渡の問題でございますので、我々の方から無償でという指導をする性質のものではございません。  ちなみに申し上げますと、先例となりますが、長野新幹線の高崎—長野間につきまして、しなの鉄道にJR東が譲渡したわけですが、そのときには簿価による譲渡という方法をとっております。この辺につきましては、あくまでも私契約でございますので、その中で詰めていただくべきものかというふうに理解しております。
  114. 木村太郎

    木村(太)委員 終わります。
  115. 石破茂

    石破委員長 次に、達増拓也君。
  116. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  きょうは、一般質問ということで、幾つかのテーマについて質問をさせていただきますけれども、まず最初に、タクシーの規制緩和問題についてであります。  バス、タクシーの需給調整規制廃止に係る運輸政策審議会の答申ということで、タクシーについては、「タクシーの活性化と発展を目指して」というタイトルで、運政審自動車交通部会、ことしの四月九日付で答申が出されたわけであります。  これはもともと、平成九年三月、規制緩和推進計画、閣議決定平成十年三月、そこでタクシーについても規制緩和を進めようという政府方針が決まって、それに沿っていろいろ一連の作業が行われる中での答申ということなわけであります。この問題については、自由党自動車議員連盟というのを立ち上げまして、特に現場の声、各地域や自治体、タクシー業に携わっている方々からの意見等々、そうした生の声を踏まえながら適正に取り組まなければならないということで、力を入れてやっているところであります。  今後の予定として、政府の方では、来年の通常国会をめどに、道路運送法等の一部改正法案の提出という形でこの規制緩和を法制化していくということでありますけれども、既に全国乗用自動車連合会、全乗連などからさまざまな意見も出ているところと聞いておりますが、これは現場の生の声、また地域それぞれの事情、そうしたものをかなり踏まえながら法制化を進めていかなければならないというふうに考えておりますが、その辺の進捗状況についてお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
  117. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  タクシーの規制緩和につきましての今後の予定、段取りでございますが、今委員申されましたように、運輸政策審議会の答申が四月九日に出ております。その後、関係者の意見を聞く、あるいは説明をするということで、四月、五月にかけまして、地方運輸局ブロックごとに説明会を開催いたしました。そのほか、事業者の団体、労働組合等の関係者からも意見、要望を聴取してきております。  今後の段取りでございますが、答申の考え方を踏まえまして法案作成の作業に入ることになりますが、その過程におきましても、関係者の意見、要望をさらに伺いながら検討を進めるというふうに考えております。法案の提出予定といたしましては、来年の通常国会を目途に作業を進めるわけでございますので、この夏、秋ぐらいから、いろいろ具体的な案を示しながら意見を聴取していきたいというふうに考えております。
  118. 達増拓也

    達増委員 自由党は、フリー、フェア、オープンというのをスローガンとしておりまして、およそ規制社会と言われる日本のあしき規制を撤廃あるいは改革していくことを党是としているわけであります。そういう規制の緩和というものは、それによって、よりそのビジネスが発展し、そこにさまざまなチャンスが生まれ、個人の自己実現が図られていく、そういうものでなければならないと思っております。  ただ、タクシーの規制緩和の問題については、どうも関係者から、早く規制緩和を進めてほしい、そういう中でビジネスチャンスはどんどん拡大していくぞとか、そういう前向きな声は余り聞かれないわけでありまして、逆にさまざまな混乱が懸念されるでありますとか、かえって産業が衰える危険性すら指摘されているわけであります。  運政審自動車交通部会の答申の中では、「新規参入や事業の拡大が可能となるよう需給調整規制を廃止し、」とあるわけであります。この部分を読めば、まさに新規参入、事業の拡大、そうしたビジネスチャンスの拡大のための需給調整規制の廃止ということが趣旨なのかなと思われるわけですけれども、タクシー業界の流れを見ておりますと、要は、今供給過剰に悩んでいる。バブルのころにタクシーの数が大幅にふえ、そうした供給過剰状態が慢性化して、どうもビジネスとしてうまくいっていない。さらに、中長期的に見れば、タクシー需要、タクシー利用客の低減、どんどん減っていくという中長期的なトレンドもあり、そういう中で、いわば一種のリストラとして、供給過剰を解消するための規制緩和なのかなといううがった見方もできると思うわけであります。  もし供給過剰を解決したいということであれば、それはその目的のために、例えば期間限定で価格を自由につけ、その中で競争させる、ただ、車の台数が適正レベルに達したところでその目的は達成される、いろいろな考え方があると思います。  他方、供給過剰を解決するための規制緩和かと思うと、実際いざ規制緩和をしてみると、恐らくビジネスの論理からすれば、各社、タクシー会社はとりあえず増車してしまうと思うんですね。競争が厳しくなる中で勝ち残っていくために、とりあえずお客さんを拾えるチャンスを確保しておかなきゃならない。人件費と車両代さえあれば台数をふやせるわけですから、かえって供給過剰に拍車をかけ、非常に市場が混乱する危険性もある。そういったいろいろな心配があるわけで、全乗連の見解の中でも、まず、地域の実態を反映してほしい、そして、段階的かつ弾力的な運用が可能となるような制度としてほしい、さらに、景気の回復を待って実施すべきではないかといったような指摘がなされているわけであります。  こうした指摘、また、そもそもそういうタクシー業が抱えている問題点等々を踏まえ、改めて政府としてタクシー規制緩和を進めていこうとするその趣旨、目的をお聞かせいただきたいと思います。
  119. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まさに今、これから御意見を伺って法案を詰めるところでありますから、そういった御意見もいただいた上でこれから作業を進めていくことになるだろうと思っております。そういう意味では、貴重な御意見をいただいて感謝申し上げたいと思います。  ただ、運輸行政全体の立場からいいますと、業界を育てていく、そして優良な企業を育てていく、それによって国民に質のいいサービスを提供していく、これが四十年間、五十年間続いてまいったんだろうと思っております。  私どもは、先輩がやられたことでありますけれども、特に安全という面からとらえたときに、よかれと思ってやってまいりました。産業界が成長して今日の日本をつくり上げた、しかしながら、次の時代への閉塞感というものがあることは事実、したがって、運輸行政のみならず、すべての分野において規制緩和、需給調整というものを撤廃する、これがやはり基本であろうと思っております。  そこで、例外というものを一、二つくってしまいますと、私のところはこういう事情によって需給調整は残してください、やはりこういう話にならざるを得ない。したがって、程度の差はあっても、需給調整機能というものはなくしていって民間市場にゆだねていく、ここは貫いていかなければならないのかなと、いろいろお話を聞いていても、タクシーの場合は大変つらい場面があるだろうと思います。しかしながら、そこは大方針として貫いていかなければならないだろうと私は考えております。  かつて国が直接やっていた分、例えば国鉄それから日本航空、こういう分野もありました。それから、需給調整ということである程度縛りを入れながら育ててきた業界もございます。しかしながら、すべてについて門戸を開く。  ただ、今御懸念をいただいておるように、その門戸の開き方が、鉄道航空と全部一緒なのかといえば、必ずしもそうではない。例えば、海運の、外航の海運と内航の海運というのは明らかに違う、カボタージュというものが内航にはかかる。航空においても、国際社会の中では大変な裸のけんかをいたしておりますけれども、国内においては基本的には国内の業者の中での争いですよという一つの制約、これはどこの国もそうでありますから、我々もそうです。やはりそういうものを入れながら、程度の差をつけながらやっていく。  そういう意味では、タクシー業界の今日置かれている現状、特に景気の今の状況というものをしっかり頭に入れながら、来年に向けて作業を進めなければならないなと思っております。いただいた御意見も本当に参考にしながら詰めてまいりたいと思っております。
  120. 達増拓也

    達増委員 いろいろな意見を聞きながら、また、景気についても念頭に置きながら進めていくということで、ぜひそのように進めていただきたいと思います。  規制緩和、もともと日本に対して強く規制緩和、規制緩和と言っていたアメリカも、最近は規制改革、レギュラトリーリフォームという言葉を使うようになってまいりまして、その市場の特性に合わせて適切な規制を実現する、そういうきめの細かい規制のあり方、規制緩和のさらにバージョンアップしたような形のものとして規制改革という言葉が使われておりますので、このタクシーの問題についてもそうした方向で進めていくことが大事なのかなというふうに思います。  さて、次のテーマに移りますが、先ほど木村委員からも指摘、取り上げられた整備新幹線についてでございます。  これも、自由党整備新幹線促進特別委員会を党内に発足させまして重点的に取り組んでいるわけでありますけれども、もともとは、去年終わりごろ、自自連立内閣をつくろうということでさまざまな政策協議をする中で、経済対策といたしまして五千億円の公共事業予算を積み増すべきだと自由党が主張いたしまして、自民党さんと合意に至った。その際の五千億円の使い方としては、いろいろなところに紛れてしまうような使い方ではなくて、国家的なプロジェクト、そういうインフラ整備に使うべきだということでの五千億円だったわけであります。  そういう国家的プロジェクトの筆頭に挙げられるようなものがこの整備新幹線ということでありまして、改めて、国としてのリーダーシップ、責任を果たしながら、経済面にも目を配って思い切ったことをやっていこうということで、最初は、この自由党整備新幹線促進特別委員会が発足したときには、北海道札幌から鹿児島までを五年間で結ぼう、そういう目標を掲げて思い切ってやるべきだということを訴えまして、与党同士、自民党さんとの協議の中で、それを十年にしようとか七年にしようとか、いろいろ調整したわけでありますけれども、いずれにせよ、自自連立与党として、国家的プロジェクト整備新幹線の促進を、これもまたパワーアップして進めようというふうになっているわけでございます。  そうした政治の側のイニシアチブ、リーダーシップを踏まえ、この整備新幹線促進に関するまずは政府としての姿勢について伺いたいと思います。
  121. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まさに昨年の連立の中の一つのテーマとして取り上げられ、議論をいただいておるところでございますので、私どもは、資料を提出しながら議論の推移を見ておるところというのが正しいところであろうと思います。  先ほど木村委員にも御答弁を申し上げましたけれども、私は就任直後から、日本経済の再生のためには、今しかかっておるいいプロジェクトを早く仕上げる方が、何か次の違うアイデアを持ってきた新しい仕事だというよりも、既に運輸省なり建設省なり取り組んでおる仕事がありますと、これを一日も早く完成をして経済効果を出す。いついつまでに八戸まで新幹線が引かれるということが決定をすれば、その周りの住民もいろいろな準備をし始めます。駅前整備から始まって、いろいろなことが始まる。それによって観光施設もつくるということになる。したがって、そこを明確にすることが一番大事ではなかろうかという議論をいたしてまいりました。  ただ、次に、自自連立の協議の中で、今までやりかかっているものだけではなくて、新幹線縦軸論、北海道から九州まできちっと通すべきでないかという議論が出てまいりました。したがって、青森まで一日も早くやろうという一つの議論とは別に、御指摘いただきましたように、北海道から九州という議論が出てきている。  そうなると、ことしの公共事業予備費をどう使うかという議論だけでは、とても財源論としてはおさまらない。言われるとおり、五年なのか七年なのか、十年にいたしましても、その間の財源論というものを担保しなきゃならない議論になってまいるものですから、そういった意味では、今そういった議論が政党間の中で行われる、それを私どもはしっかり見ながら、またこたえられるように努力をしていかなきゃならぬ、このように今思っておるところでございます。  一方で、同じように木村委員から出ましたように、新幹線をそうやって引くということになりますと、在来線をどうやって維持していくかという問題も出てまいります。当然、そこには、新幹線を引くための地方の負担プラス在来線を維持していくための地方の負担というものも同時に御理解をいただかなければならない。  同時に、北海道まで引くということになったら、JR北海道から始まって各JRに、結局運営は民間でやるわけですから、そこにきちっと採算性という面で納得いくべきものをお互いが持たないといかぬ、このように思っております。  いずれにせよ、まさに今論議が重ねられているところでありますし、十二年度の予算、概算に向けてそろそろ動き出しておるところでございますので、建設的な意見交換が行われることを期待いたしております。
  122. 達増拓也

    達増委員 大臣より整備新幹線をめぐるさまざまな問題点も指摘していただいて、やはり政治のリーダーシップの重要性、財源等の問題も含めた政治の決断の重要性をますます感じ、頑張らなければなというふうに思う次第でございます。  大臣も御指摘になられた並行在来線問題について質問したいと思います。これは木村委員質問で取り上げていたことでありまして、私は岩手の出身でありますけれども、やはり青森に続く、非常に距離も長い在来線でございます。整備新幹線を開通するのと引きかえに、これがJRのものでなくなったときにどうやっていくのかというのは非常に大きな問題ではあるんです。  ただ、今改めて政治のリーダーシップ、イニシアチブで国家的プロジェクトを力強く推進しようという動きが活発化する中で、やはり国鉄をJRに民営化する際に、新幹線の問題、もともと国家的プロジェクトであったはずのものが、民間の私的なビジネスの話と、あるいは地方、地域の個別の問題という両極に振り分けられて、どうも国の責任というものが引けてしまったような印象を受けます。  世の中が荒っぽかった第二次大戦前や第一次大戦前後など、鉄道というのはまさに国の安全保障の根幹であって、国が本当に責任を持ってきちんとつくり、管理しなければならなかった。今では、そういう戦争の危険性というのは当時に比べれば著しく低いわけでありますけれども、ただ、いろいろな緊急事態のときの、これもライフラインの一つと言っていいんだと思います。そうした観点も含めて、もう少し国として鉄道の問題に改めてきちんと責任ある態度をとっていく必要もあるんではないかと思うんです。  並行在来線問題であります。いろいろ、JRと地域との間の話し合いというようなことにもなっていますけれども、先ほど木村委員から指摘があったように、例えばJR貨物というものを通じて北海道から東京方面に向かうものが、青森、岩手を通過していく。そこを、北海道や東京のための部分を青森、岩手が支えるというところもあって、やはり国家的な視点を持たずに、民間会社と地域の問題だけと国が引いてしまうことはできないと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
  123. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  実は、青森までの整備新幹線につきましては、御案内のようにもう着工しておるわけでございます。その着工のときのお約束事として、既に、地元で責任を持って代替輸送については考えます、こういうスタートをしておるわけでございまして、そこは一つの仕組みとして進めておりますので、それはやはり我々としても基礎に置かざるを得ないと思っております。  その中で、確かに鉄道を第三セクターとして運営していくという上において、いろいろお困りのことがあろうと思います。先ほど申し上げましたけれども、例えば譲渡いたします資産についての税法上の特例とか、あるいはまた、特にランニングについてのノウハウなり人員もございません。そういうことについてのJR旅客会社からの支援、ある意味では民間会社であっても支援でき得る、株主さんに御理解いただける範囲の支援というものは十全に行うようにというようなことを通じて、実はしなの鉄道についてもスタートいたしましたし、そういう前例をもって、また東北地区についてもJR各社を指導しながら、我々もそこに入りまして御相談を申し上げているという状況でございます。
  124. 達増拓也

    達増委員 政府、運輸省としてのそういう調整能力は非常に重要なところだと思います。また、そもそも現在は先ほど述べたような仕切りになっている、そういう約束になっているということでありますけれども、果たしてそれでいいのかという視点も含めて、やはり政治のリーダーシップがこの分野でも重要になってくるのかなというふうに思います。  さて、次に二〇〇〇年問題について幾つか質問をさせていただきます。コンピューター二〇〇〇年問題であります。コンピューターが、下二けたで年号を処理することにより、二〇〇〇年と一九〇〇年を区別できなくなって、さまざまな問題が起きるのではないかと言われていることであります。  これにつきましても、自由党は二月から対策本部を立ち上げまして一生懸命取り組んできております。また、自民党さんとも自自連立与党プロジェクトチームをつくりまして、二週間に一回ぐらいのペースでヒアリングや視察、会議等々、鋭意こなしているところであります。五月の二十八日には、JR東日本さんの新幹線の運行システムについて自自連立与党のプロジェクトチームで視察をいたしまして、実際に西暦二〇〇〇年の元旦をコンピューター上で再現する模擬テストが行われて、ふぐあいなしという結果が出るところを確認したりなどもしております。  また、運輸という分野は、高度情報通信社会推進本部、総理のもとに置かれましたその推進本部のもとで重要五分野の一つと定められて、特に政府としても取り組んでいる。その経緯についても随時、自自のプロジェクトチームでヒアリング等をいたしまして、JRさんと民間の会社の間の情報、意見交換等がちょっと足りないんじゃないかというような指摘をプロジェクトチームとしてしたところ、それを受けて、運輸省さんが間に入ってアレンジして、JRと民間の情報交換、意見交換の場なども持たれ、どんどん対策が進んでいるというふうに聞いております。  そうした中で、今、運輸分野の対策がどの程度進捗しているのかを質問したいと思います。
  125. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、運輸事業というものは、安全性、信頼性、最も重要なところでございます。そして、民間重要五分野の一つとして位置づけられておりますので、私どもとしては、運輸事業者に対して二〇〇〇年問題に対する周知徹底を図りまして、システムの改良、模擬テストの実施、さらに危機管理計画の策定等、そういう総合的な点検を行う、そして、対応に万全を期すよう何回も要請してきたところでございます。  また、それにとどまらず、三カ月に一度は運輸事業者に対してアンケート調査を行いまして対応状況の報告を求め、それに基づいてさらに対策を強めていくよう指導しているところでございます。  現在のアンケート調査の模様でございますが、これは三月現在で若干古うございますが、それによりますと、航空分野での模擬テストの進捗率は、制御系の重要システムで七九%、事務処理系の重要システムで八七%が終了しております。また鉄道分野では、制御系重要システム、事務処理系重要システム、それぞれ四九%。海運分野では、制御系システム六六%、事務処理系システム六五%となっております。  三カ月ごとと申し上げましたように、現在、六月末時点での進捗状況について調査を実施しておりますので、近日中にその集計がなされ、結果を御報告できると思います。その数字というものは、今申し上げたより、よいものであると期待しているところでございます。
  126. 達増拓也

    達増委員 ちょっと今の答弁について一つ確認したいのですけれども、航空管制システムの方は既に三月までに模擬テストを実施して、問題ないことが確認されたというふうに聞いておりましたけれども、そういうことでしょうか。
  127. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 先生おっしゃるとおり、航空管制については既に終了しておりますし、また運輸省の所管しているシステムについては既に終了しております。さらに航空管制につきましては、ほかの国にも呼びかけまして、アメリカとは既に終了しておりますが、相互に運用をチェックしているところでございます。
  128. 達増拓也

    達増委員 アメリカのケーブルテレビのニュース番組のネットワークのCNNが出しているホームページ、きのうたまたま、そこでアメリカの航空管制システムの二〇〇〇年問題対策の記事を発見いたしました。  アメリカの連邦航空局の発表によれば、何とか六月三十日の締め切りには間に合いそうだという記事。アメリカですら、ようやく六月三十日に間に合うように何とか終わったということであります。ともすれば、日本は国際的に対策がおくれているんじゃないかという誤解を受けている面もありまして、三月時点で既に一定程度の確認が終わっているということは非常に自慢していいことだと思います。そういう情報発信の面も含めて頑張っていただけると、非常にいいんじゃないかと思います。  ただ、一つちょっと気になるのは、航空管制システムについて本年三月までに模擬テストを実施し、問題ないことが確認された、これだけだと、やはり、一体どういう模擬テストだったのかとか、問題ないことを確認するための模擬テストが終わったということであって、これだけで問題がないとは言えないんじゃないかとか、いろいろな疑問もわいてくると思うので、その辺、もう少し情報開示、これは一般向けにわかりやすく伝えるというところもあるんでしょうけれども、他方で専門的なニーズにこたえるような情報開示もどんどんやっていただきたいと思うのです。  追加質問になりますけれども、そういった情報開示面についてお答えいただきます。
  129. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 安全性が優先しているということを国民に知っていただくことは極めて重要でございますので、先生の御指摘のように十分情報開示してまいりたいと思います。  私どもの手元にも資料がございますが、非常に技術的なシステムなので、御紹介は一部にさせていただきます。  例えば航空管制でございますと、飛行計画情報処理システム、国際航空交通情報処理中継システム、航空路レーダー情報処理システム、洋上管制レーダー表示システム、航空交通流管制システム等々、これはすべて三月三十日までにプログラムの研修、修正、後、模擬テスト完了ということになっております。  先生の御指摘を受けまして、こういったものについても積極的に情報開示してまいりたいと思います。
  130. 達増拓也

    達増委員 自由党では観光議員連盟というのもありまして、そちらの方にもかなり力を入れているのですが、実はこの西暦二〇〇〇年の元旦というのは、観光ビジネスの方から見ればビジネスチャンスとしてかなり大きい期待があったわけですね。二〇〇〇年を日付変更線のところで迎えるクルーズですとか、どこそこで二〇〇〇年元旦の御来光を拝もうとか、そういう二〇〇〇年ビジネスというのはかなり期待が高かったわけでありますけれども、どうも二〇〇〇年というとコンピューターの二〇〇〇年問題のことがあって、なかなかそういうビジネスチャンスという面が厳しい状況になってきていると思います。  去年、私の地元の岩手県で岩手山の火山活動が活発化するということがありまして、別にすぐにも噴火するということではなく、噴煙が出ているとかそういうわけでも全然ないのに、あたかもすぐにも噴火する、もう噴火しているかのような誤った情報が、特に首都圏とか、実際に現物を確認できないようなところに広く流布し、いわゆる風評被害、うわさによって観光業ですとかさまざまな関連のビジネスがダメージを受けたということがありました。  地元の観光業関係者や商工会等々の必死の努力、銀座で、大丈夫だ、みんな来てくださいというようなキャンペーンをやったりとか、そういうのがあって若干誤解が解けたりということはあったと思うのですけれども、一たん人々が誤った情報をインプットしてそれが定着してしまうと、それをはがすのには非常に困難が生じるわけですね。  この二〇〇〇年問題については、何が絶対正しい情報なのかという、不確実性、不確定性が本質のような問題でありますから、情報マネジメントの問題としても非常に難しいところがあるわけであります。特に運輸行政という観点から見た場合、安全面とまた運輸関係のビジネス振興という面のバランスをどうとっていくのかということが問われると思うのですけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。
  131. 川崎二郎

    川崎国務大臣 昨年、たしか達増委員から風評被害について御質問いただいて、運輸省としても観光行政という立場から広報を徹底するように、こういうお話をいただきました。ことしになって、埼玉のダイオキシン問題、まさにこれも風評というか、テレビ報道によるマイナスがあったところでございます。  そんなものも私、いろいろ御指摘いただいてまいりましたので、今回の二〇〇〇年問題については、徹底的にやりなさい、しかしながら広報のあり方については十分注意をしてほしい、特に、どこどこの地域が旅行に行ったら危ないとか、変なうわさを流せば国際的にも大きな不評を買うことになるよ、そこはやはり、どういうことで、どういう問題があるかということをきちっと分析した上で、しかるべき時期に国民に広報をすべきであろう、春の段階とか今の段階で国民に広報するのは早過ぎる、旅行というサイドに立ちますれば、やはり秋口にはそろそろ予約もされるでしょうから、秋ごろには、私どもの基本的な考え方、地域の問題等も含めて、一つの考え方を出していかなければならないのかな、このように思っております。  しかし、そのときには、今達増委員から御指摘いただいたように、こうこうこういうチェックをしてこうなりましたけれども、こういうところについてはまだ未回答の状況にあります、したがって、私どもは、ここについては問題ないということは国民の方に申し上げるわけにはいかない、逆にアメリカは、こうこうこうで、こういうことでチェックをされておりますので、こういうことについては問題ないと思いますよという、やはり説明をつけた広報をしっかりしていかなければならないんじゃなかろうか、過信もいけませんし、片一方で誤ったうわさを流すということもいけない。この辺を戒めながら、今一つ一つ詰めさせていただいているところでございます。
  132. 達増拓也

    達増委員 最終的には個々人の判断ということになると思うのですね。ですから、この二〇〇〇年問題というのは、運輸関係を離れて、あらゆる分野共通の問題として、一人一人の自立、きちんと自分の頭で考えて判断して行動する、そういうことを個々人に迫るような問題だと思うのです。  恐らく、最終的にもかなりの不確実性、不確定性が残ったままで元旦を迎えることになるのかもしれませんが、そういう中で、あえて飛行機の上で二〇〇〇年を迎えるということを選択する人が出てくるかもしれませんし、またそうでない人も出てくるかもしれない。政府としては、そうした最終的な個々人の判断を支える情報提供をきちっとやって、また、最後の最後まで少しでもその危険性を減らしていく努力をあきらめないで行うということが大事なんだと思います。  私も、党の二〇〇〇年問題の対策本部の事務局長をやっている関係上、恐らく大みそかの日には、国会とか総理官邸とかに歩いて行けるようなところに待機することになるのかなというふうにも思っているのですけれども、それは、安全を確認するため、たくさんの人たちが幸せに安全に元旦を迎えることを確認するためにそういうことをするというふうになってほしいし、しなきゃならないなというふうに思っております。そういう仕事がなければ、私も飛行機の上で元旦を迎える選択をするのじゃないかなという気もいたします。  いずれにせよ、個人個人の人生観とか生き方とかが問われるような局面でもありますが、実はそれが人生の基本といいますか、それが日々普通のことであるようなところもあるのじゃないかというふうに思います。そういったことを政府として取り組んでいくのは非常に大変だと思うのですけれども、本当に最後の最後まできちっと頑張っていただくことを祈念、希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  133. 久野統一郎

    ○久野委員長代理 次に、平賀高成君。
  134. 平賀高成

    平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  初めに、六月二十七日に山陽新幹線福岡トンネル内で発生したコンクリート剥落事故の問題について質問をいたします。  トンネル側壁から崩落した重さ二百キロのコンクリートの塊が、時速二百キロの列車に衝突をいたしました。この事故について、関係者は、コンクリートの塊が運転席に当たったら、これは重大な事故になる可能性がある、また、最悪の場合は脱線も考えられると述べているように、安全運行にとっても致命傷になりかねない重大な事故でありました。  今までの予測もつかないトンネル側壁のコンクリートの塊の剥落による事故でありまして、安全運行そのものを根底から脅かす重大な事故が、安全運行に責任を持つ運輸省に対しても一日おくれの二十八日に報告がありました。その間、新幹線の運行は行われていたわけです。  大臣質問しますが、このようなJR西日本の報告のおくれに対してどういう対策をとったのか、まず質問します。
  135. 小幡政人

    小幡政府委員 事実関係のことでございますので、私の方から御説明させていただきたいと思います。  六月二十七日に架線停電の発生とともに列車が停止いたしたわけでございますが、点検の結果、パンタグラフの損傷が確認されまして、これについては当日、二十七日に我々は、出先機関がJR西日本から報告を受けております。その後、トンネル内壁の乖離が認められたことにつきましては、翌二十八日に報告を受けております。  運輸省といたしましては、JR西日本が状況をより正確に把握するために必要な時間を要したものと理解しておりますけれども、事務的な情報伝達の円滑性をより一層向上させる観点から、九州運輸局より、連絡体制の確立について、二十八日、当日でございますが、指導させていただいております。
  136. 平賀高成

    平賀委員 一歩間違えば重大な事故に発展しかねない、そういう認識がありながら、なぜ一日も連絡がおくれるのか、このおくれに対して一体どういうふうな指導をしたのかということを私は聞いているわけです。端的に答えてください。
  137. 小幡政人

    小幡政府委員 先ほど申し上げましたように、九州運輸局より連絡体制の確立について指導させていただいたということでございまして、二十八日の文書による指示、警告の注意の中身でございます。
  138. 平賀高成

    平賀委員 この問題では、私も運輸省から、一体どういう通達を出したのかということをもらいました。  これを見ますと、私、最初わからなかったのです、連絡のおくれについて何も指摘をしていないのじゃないかなと。ところが、あると聞いたものですから、一体どこだと思ってずっと見ていきましたら、ただ、数文字で、「事故連絡体制を確立し適切な措置を図られたい。」というのが文書の中に入っているだけですよ。  ですから、これほど重大な事故だというふうに言いながら、なぜ連絡がおくれたのかということについてはまともに取り上げられていない、そういう連絡文書を出しているだけです。  ですから、私は、ここのところにやはり今の安全問題に対する運輸省の認識が明確に出ていると思います。大臣、いかがですか。
  139. 川崎二郎

    川崎国務大臣 当然、責任者として、JR西日本としてどういう状態が生じたかを的確に把握して、そこがまず第一だろうと思います。その上で、運輸省にきちっとした連絡をする。その中で、少し点検に時間がかかったということで、もう少し連絡体制をはっきりさせなさい、こう申し上げたのだと思っております。
  140. 平賀高成

    平賀委員 私はやはりそこのところが、しっかりとした連絡は直ちに行うということが一番の原則だということを改めて指摘をしておきます。  それで、JR西日本は、山陽新幹線のコンクリートの構築物の早期劣化対策が、新幹線の安全運行を確保するために、八八年に社内にコンクリート委員会を設置しました。本日の新聞では、通常の二倍の速さで劣化が進んでいるとも報道しています。  しかし、この委員会設立以降も山陽新幹線のコンクリートの剥落事故というのは、最近の二年間だけでも、新関門トンネルでコンクリート片がはがれて、漏水によって停電を起こして三時間近くも立ち往生するとか、コンクリートの剥落事故はこの二年間だけでも四件も発生しているわけです。  また、JR西日本は、今回事故になったコンクリートが落下した原因については、剥落部上部にコールドジョイント部が存在したこと、その下部のコンクリートに不連続面があったことから剥離が生じ、それが徐々に進行し剥離に至ったものと推定されるとしていますが、事故が発生したトンネルだけでも、事故の原因とされた以外に十五カ所のコールドジョイント部が発生していたと言われています。しかも、コンクリート委員会を設置して十年が過ぎようとしておりますが、ところが、JR西日本自身が今回の事故原因と推定しているコールドジョイントの問題について、一回も検討したこともないというのがJR西日本の実態であります。  このことは、コンクリートの劣化対策が必要だということでこのコンクリート委員会をつくったわけなんですが、しかし、有効な対策JR西日本任せではできないということを今回の事故は示しているのではないか。大臣、いかがですか。
  141. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  JR西日本のコンクリート委員会での検討が行われておりますけれども、いわゆる鉄道関係の、トンネルの関係の専門家のお話伺いますと、実はコールドジョイントが存在し、そしてまた、その一部に不連続面が生じているような事態であっても、実は過去の経験則から申し上げますと、今回みたいなような事態には至ることがないというのが経験則でございまして、その意味で、このコールドジョイント部の存在というものが相当の危険性をはらむものであるという認識はなかったということであります。そしてまた、経験則からもそういうことが言える。こういうことの中において、先ほど申しましたように、コンクリート委員会においてこの問題について議論をなされたことはないというふうな発言であったというふうに理解をしております。
  142. 平賀高成

    平賀委員 しかし、実態はいろいろなトンネルの剥落とか橋脚部のコンクリート部分が剥落する、こういう事故がいろいろなところで、新聞でも一覧が出ておりましたけれども、ちゃんと報道をされていました。  しかも、運輸省の安全運行を確保するための定期検査等がJR西日本などの鉄道事業者任せになっていることは私は改めて重大だと思います。現行では、トンネルや橋の定期検査は新幹線鉄道運転規則の十三条の三項によって「二年をこえない期間ごと」というふうに決められています。その定期検査は、方法や手順等はすべて鉄道事業者任せにされて、定期検査の状況についても、事業者は運輸省に報告義務はなく、運輸省の監査のときに定期検査を実施した記録がわかるようにしておけばいい、こういう内容になっています。  また、鉄道のコンクリートの構築物の劣化状況を運輸省が把握できるのは、コンクリート剥離等によって事故が発生し、運転阻害があって初めて報告としてJRから運輸省に行われるときだけであります。  このように、定期点検のあり方を初めとして、鉄道のコンクリート構築物の劣化状況の情報収集等をすべて鉄道事業者任せにしない改善が今鉄道の安全運行の確保のために必要となっているのではないかと思いますが、この点では、大臣、いかがですか。
  143. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  我々として、例えば鉄道事業者が、主体的に責任を持って、自己責任原則のもとで、安全を確保していくということが一番大切であるということは御案内のとおりであります。その意味で、我々は鉄道事業者に対して、自己責任の中での安全管理を徹底するというのが一つでございます。  それとは離れまして、我々として、国として、どういうふうなアプローチをすべきか、これもまた別の問題としてあろうと思います。そういう意味で、今回の、例えば西日本の自発的な調査、自主的な調査に加えまして、鉄道総研の職員に行っていただきまして、そこで我々としてもその情報をいただきながら、この問題について国としての対応をしていこうということでの取り組みを開始しているところでございます。
  144. 平賀高成

    平賀委員 もう少し言いたいと思います。  コンクリート研究の専門家は、こうした事故はどのトンネルで起きてもおかしくない、私見を言うなら、何日か新幹線をとめてでも早急に点検や補修をするべきだ、こういう主張をしています。  しかし、運輸省がJR三社に行っている安全総点検とは、新幹線のトンネル内のコールドジョイント部の下部を中心とした総点検にとどまっています。本当に今回の事故を最大の教訓とするならば、まず一つとして、トンネルや橋の定期検査の方法や手順を法的に定め、その点検項目を義務化することを初め、第二に、コンクリートの鉄道構築物の全体の安全総点検と同構築物のコンクリート剥落情報の収集に運輸省は責任を持って当たること、三点目に、その情報に基づき分析を行って、鉄道コンクリート構築物の抜本的対策を早急に行うことが政府に求められています。こういう方向をきちっとやってこそ、私は安全輸送の保障ができるということを指摘したいと思います。  次に、自賠責保険について質問します。  九八年の交通白書によりますと、交通事故による死亡者数は九千二百十一人で減少しているものの、負傷者数は九十九万六百七十五人、死亡者と負傷者を合わせた死傷者数は百万人に迫るもので、戦後最悪の事態になっています。事故発生件数も八十万件を超えて六年連続で最悪を更新しています。交通事故そのものを減らすための抜本的な対策が求められていることは言うまでもありません。  こうした中で、交通事故の被害者保護と救済、自賠責保険の適用が社会的にも問題になっております。被害者の過失が一〇〇%として、死亡事故でも自賠責保険から一円も保険金が支払われない、こういうケースが多く存在しています。  運輸省に聞きますが、被害者が死亡した事故で、過去五年間の無責件数の推移を端的に説明してください。
  145. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  死亡無責と言われる件数でございますが、被害者が一〇〇%過失で加害者に過失なし、したがって自賠責保険のもとで保険金が支払われないというケースでございます。過去五年間の数字を申し上げますと、平成六年度で千六十四件、平成七年度で千四十六件、平成八年度で九百七十八件、平成九年度で五百七十二件、平成十年度で六百六十六件という状況でございます。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  146. 平賀高成

    平賀委員 死亡事故で無責とされたのが毎年約一千件以上今までありました。九七年度になって急に減りまして、九八年度はまたふえまして六百六十六件になっています。それで、こうした推移を見ますと、保険会社の判断に大きな問題があったことは明らかでありまして、被害者の保護、救済が全く不十分であると言わざるを得ません。  九七年度は、審査会がつくられることになりまして、無責件数が半減しています。それ以前の千件以上に上る被害者は、保険会社からのお支払い不能の御通知といった、たった一枚の紙切れによって、被害者の一方的な過失による事故と判断されて、被害者の遺族は泣き寝入りをしてきたことになります。  大臣に聞きますが、このように被害者が死亡した場合でも、保険会社によって無責と判断され、自賠責保険だけでなく、任意保険からも全く保険金が支払われない、そういうケースが多く存在しています。こうした現状は、被害者の保護、救済という法律の趣旨からいっても多くの問題を持っています。自賠責保険の被害者保護と救済という目的からして、制度の運用について抜本的な改善が必要になっているのではないでしょうか。大臣伺います。
  147. 川崎二郎

    川崎国務大臣 御指摘いただいたことは一つのテーマとして今私の懇談会で議論を、西崎委員長のもとで議論をいただいているところでございます。  ただ、基本的に、もちろん自分に責任があって、例えば飲酒運転をやったとか赤信号でも突っ込んだとか、こういう場合は除いてであることは委員御承知のとおりでございます。  しっかりとした実態というものを見きわめながら、先ほどいただいたような議論を少ししてまいりたい、このように思っております。
  148. 平賀高成

    平賀委員 これは、今まで、運輸省としましても、解決すべき問題があるというふうな認識は持ってみえると思います。  それで、私もいろいろレクチャーを受けてきましたけれども、そういう問題があるから審査会をつくり、再審査会をつくるという二段構えで審査をするというふうになりまして、以前は千件あった無責が、これが死亡した被害者の一〇%、十人に一人は無責と判断されて、自賠責保険の保険金を一円も受け取ってこなかったのが実態でした。九八年の四月にこの審査会や再審査会がつくられて、九八年度は六百六十六件に減ったわけです。これは、本来救われるべき被害者が一方的に無責と判断されてきたと言えるのではないでしょうか。大臣、この点についてどうでしょうか。
  149. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 過去の件数が、自算会の中に審査会、再審査会を置きまして丁寧に死亡無責を審査、再審査した結果、減ったという判断もあろうかと思います。  それは、とりもなおさず、過去の判断が被害者にとって厳し過ぎるのではないかという指摘もあるところでございます。死人に口なしと言われますように、現場の検証がなかなか難しい中で、丁寧に実情を再審査するというのを八年度いたしまして、今定着してきておると思いますので、今後、運輸省として自算会、損保業界をそのような方向で指導監督していきたいというふうに考えております。
  150. 平賀高成

    平賀委員 今答弁がありましたように、これは無責で亡くなられた方に余りにも厳しい対応がされてきたのではないかというふうなことが言われましたが、私もそのとおりだと思います。  特に、審査会や再審査会も今つくられているわけですけれども、しかし、自算会のつくっているこの審査会や再審査会の組織を見ますと、これは自算会がつくった、自動車保険料率算定会、九八年のものですけれども、組織を見ますと、役員の中に、理事として、安田海上保険株式会社社長を初めとして大手の保険会社が六人も入っているわけですね。ですから、これは本当に公平な、公正な判断ができる組織であるかどうか、こういうふうなことも多くの被害者の方々指摘をしているわけです。ですから、保険会社から独立して第三者機関をつくって判定を検討するべきではないのかということも、この際、私は指摘をしておきたいと思います。  そこで、交通事故で肉親を失った家族にとっては、被害者の過失が一〇〇%とされて、保険金ゼロという経済的な問題だけではなくて、精神的な負担も大変なものがあると私は思います。  私のところに、保険会社から死亡事故で無責通知を受けた遺族からの訴えが寄せられていますが、玉田勝治さんという方で、二年前に、オートバイを運転していた一人息子が路線バスと衝突し亡くなられたそうです。玉田さんは、無責の通知に対して何回も異議申し立てを行って、保険会社が、免責三条件の立証が可能と判断していますとして、何ら事実の証拠を示して立証していないことを問題にしています。  私も、玉田さんと保険会社のやりとりの文書を見ましたけれども、被害者の側が、専門家の協力も得て工学的な鑑定書を添付するなど過失の有無を立証し、保険会社の側がそれを否定することになっているわけです。被害者が死亡した事故でも、保険会社が事実の証拠を示して立証していないのに、一方的に立証は可能と判断することで免責が適用されています。ここが問題だと私は思います。  大臣に聞きますけれども、死亡事故において、保険会社が立証の可能性を示すことで、第三条の免責の三要件を満たしていると言えるのでしょうか。大臣、いかがですか。
  151. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 判断根拠の書類にかかわるもので、事実関係が多く含まれておりますので、その点をちょっと御説明させていただきたいと思います。  判断のときの、加害者の方の責任がないということを保険会社が出す文書、あるいはその内容の適否でございますが、いろいろなサンプルがあろうかと思います。幾つかのサンプルの中に、一応説明はされておるように思います。  ただ、保険金支払い額の決定根拠については、被害者に対して十分説明がなされているかどうかという指摘が以前からございました。幾ら十分説明しても、説明し切れない事態が多いわけでございます。そのような指摘を従来から受けておりましたので、平成十年一月十二日付で、自動車交通局長名、私の名前で各保険会社に通達をいたしまして、意思決定理由について、被害者等に対してできるだけ具体的に開示することということを指導いたしました。  その後、従来はともかくといたしまして、被害者、御家族の感情を配慮した、かつわかりやすい意思決定理由を表現上も工夫して、少々の改善が行われたというふうに聞いておりますが、何よりもその判断の内容については、いろいろ争いのある可能性がありますので、先ほどの審査会、再審査会、場合によっては裁判というふうになる可能性が十分ございますが、まず最初に、その判断理由について、根拠を明らかにして、わかりやすい説明をするようにということを指導……(平賀委員「いつですか」と呼ぶ)平成十年一月十二日付でございます。  今後とも、そのような趣旨を体しまして、指導を続けていきたいというふうには考えております。
  152. 平賀高成

    平賀委員 平成十年の一月十二日付でそういうふうな指導をしたと言われましたけれども、私は、この前自算会の説明を求めたときに、平成十一年の六月四日付で遺族のところに行く通知を見ました。ここでも相変わらず、自動車の運行に関し注意を怠らなかったことを立証することができるものと判断し、上記結論といたしましたと、全く変わっていないのですよ。平成十一年六月四日付で遺族に行っている文書も、全く今までと同じです。  それで、やはりこの第三条の三要件というのは、これは満たしていると言えるのですか。
  153. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 委員が今示されましたような例、具体的には存じ上げませんが、そのような、今お聞きした限りでは、大変不親切な判断開示だと思われます。私どもは、今後、一つ一つの判断理由開示がそのようなぶっきらぼうでないように、一々を指導を重ねていきたいというふうに思っております。  ただ、自賠法上の立証の根拠といたしまして、免責要件を充足するために、被害が、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと、及び自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったことを証明した場合というふうに書いてございますので、その点が何かの形で触れられていることが要件になっておると思います。  具体的に、自賠法の要件を満たしているかどうかは、その書面一々の判断だと思いますので、また具体的な調査はそれぞれさせていただきたいと思います。
  154. 平賀高成

    平賀委員 いや、私は、これは本当に、三要件を可能だというふうに判断してと言っていますけれども、立証はしていないわけですよ。言っていることはわかりますか。ちゃんと立証するということが法律にちゃんと要件として書かれているわけですから、そんな、立証できることが可能だというふうなことを判断しましたということでは、立証されていないわけですよ。  なぜそういうことを私が言うかといいますと、例えば、被害者が九〇%以上一〇〇%未満の過失があったにしても、一〇〇%未満であったら、保険金は半分出るんですよ、五〇%は。それは本当に、全く一〇〇%被害者が悪いんだというふうな判断というのは、私は本当に慎重にやらなければならないと思いますよ。ですから、立証できていないのに、立証が可能だと思いますということで、それで無責だというふうにしてしまうのでは余りにも乱暴ではないのかということを私は言っているのです。
  155. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 重ねて答弁を申し上げて恐縮でございますが、先ほど、平成十年一月十二日付で通達いたしましたと、実はその表現につきましては、本年四月から、立証が可能だという従来の表現を改めまして、免責要件を充足するものと判断されるというふうに、明確に、もちろん判断の理由の内容は当然でございますが、表現のしぶりはそのように改めたという報告を受けております。(平賀委員「でも実際違っていましたよ」と呼ぶ)具体的な件については、別途調査させていただきます。
  156. 平賀高成

    平賀委員 今のやりとりを聞いていまして、私は、少なくとも遺族から見ましたら、やはり問題がある制度だと思いますから、これはぜひ検討してもらいたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  157. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほどから局長から御答弁申し上げておりますように、審査、再審査という手続が整っておることは事実であります。しかしながら、今個別の案件として御指摘がございましたので、その個別の案件のことについては、私ども、お聞かせいただければ調査をする、こういうことを申し上げたいと思います。
  158. 平賀高成

    平賀委員 個別の案件は言いましたけれども、しかし、これについて判断しろということじゃなくて、こういうふうな問題があるんだということを言っているわけです。ですから、遺族のこういう問題に対して、やはりいろいろ問題があるわけですから、それについては検討されるんですかということを私は大臣に聞いたんです。
  159. 川崎二郎

    川崎国務大臣 ですから、申し上げましたように、審査、再審査という決められたルールがある、そこにのっとってやっていただくのは基本であろうと。しかしながら、今わざわざこの委員会で個別の案件の具体的なケースを御指摘いただきましたので、それを私ども、正式に見せていただければ調査をさせていただきますと申し上げたわけであります。
  160. 平賀高成

    平賀委員 では、後でまたこの件については対応したいと思います。  それで、交通事故というのはやはり一瞬にして起こる物理現象であって、一たん保険会社によって、死亡した被害者の過失が一〇〇%だというふうになりましたら、それを覆すためには本当に、時間と、苦労から労力から、はかり知れないものがあると私は思います。ですから、多くの人たちが現状ではあきらめざるを得ない、こういう状況にあると思います。  そこで、こういうふうに無責の判定が下って苦しんでいる被害者に対して、私は、それを救済する仕組みをつくる、またそれを改善することが必要だと思いますが、こういう点について、大臣、どういうふうなことを検討され、もし検討されているんでしたらぜひそれを言ってほしいし、またこれからどういうふうなことを検討されようとしているのか、この点について伺いたいと思います。
  161. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほどから触れておりますけれども、二年前から、審査、再審査というもののルールを一つ確立させていただいた、基本的にはそれにのっとるものであろうと。しかし同時に、今私の、今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会、ここにおきまして、無責というものをどうとらえるか、一定の保障を行うべきではないだろうか、先ほど申し上げたように、赤信号で入ってしまったとか大変な飲酒運転で事故を起こした、こういう場合を除いて、何らかの保障というものが考えられないのか、はっきり言って線引きの問題ですね、その問題については今議論をさせていただいておりますとお答えさせていただきました。
  162. 平賀高成

    平賀委員 次に、自動車事故対策センターについて質問します。  私はこの間、千葉の療護センターを見せていただきました。堀江院長先生や職員の方々から貴重なお話を聞かせていただきました。  この療護センターというのは、交通事故による脳損傷によって重度の後遺障害が残っている被害者を入院させて、回復の可能性を追求しながら治療と看護を一生懸命行っていて、植物状態の患者が少しずつ機能を回復させているのを私は目の当たりにしまして、施設の重要性について認識を新たにいたしました。  こうした施設が全国に三カ所ありまして、定員は百三十名、入所を申し込んでも入れなくて待機をされている方が百名以上います。千葉療護センターで伺ったんですが、入院されて五年以上たった患者さんを今転院させようとしています。私は、転院する場合でも、入院されている患者と家族の同意が必要なことはもちろんでありますが、決して追い出すようなことはしてはならないし、患者や家族が安心して今後とも治療と看護が受けられるようにしていかなければなりません。待機者に対しても、治療の機会を保障することが急がれていると思います。  大臣伺います。各療護センターに入院されて五年以上経過した患者の治療と看護についてどのように考えてみえるのか、質問します。
  163. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 たびたび申しわけございませんが、状況の御報告をさせていただきます。  まず、千葉療護センターを御訪問いただきまして、大変ありがとうございます。今の入院待機患者をどう救済するかというのが非常に大きな問題でございます。百名以上お待ちになっておられます。一方、病床は限られておりますので、どのように病床を有効利用するかという難問を抱えております。  治療の実情を申し上げますと、五年以内の治癒率が高い反面、五年を過ぎると非常に治癒率が低くなるという情勢がございます。しかし、介護の必要性は継続するということでございますので、平成九年度から、こういうセンターにおきましては、治癒の実績が比較的高いものでございますので、治療を重点化して行うということをさせていただきまして、病床をできるだけ新規入院患者にあけていくということをさせていただいております。九年に入所される方からは、最大、入院患者の方は五年以内ということにさせていただいておりますが、一方、五年を超える患者さんにつきましては、一般病棟、他の病棟への療護委託を進めるとかということをして病床をあけるようにしております。  その際に、今委員が御指摘されましたように、追い出してはいけない、あるいは家族の同意をもらわなきゃいけないということは当然でございますので、そのように患者家族の同意を得た者のみ、あるいは家族の意に反した退院を行わない等の条件をつけて現場を運用しておるという実情にございます。
  164. 平賀高成

    平賀委員 ぜひこの問題については、本当に入院されている家族の皆さんの意見をよく聞いて対応していただきたいと思います。  もう少しこの問題で質問します。  千葉の療護センターに行きまして、交通事故で植物状態になった被害者を実際に脱却ということで、これはセットされた食ぜんから一人で食事ができるとか、車いすを自分で障害物をよけて運転することができる、こういうふうにして脱却して退院された方が十一名いると聞きました。ここまで回復できるということは、家族の皆さんにとりましてもまさにかけがえのない施設であって、交通事故の被害者の保護と救済の上でも、私は本当に大きな役割を果たしていると思います。  その上で私は、要望ですが、一つはやはり、予算をもっとふやして、数の点でいいましても、こういう施設を充実させてほしい。それからもう一つは、在宅介護をする上で、住宅の増改築に対する準備金等の支援を行っていただきたい。それからさらには、療護センターにおいてショートステイを行うようにしてほしい。こういう患者の家族の皆さんからの要望について、大臣にぜひこたえていただきたいと思いますが、いかがですか。
  165. 川崎二郎

    川崎国務大臣 基本的に、療護センターというものをつくり、先進的な、交通事故の被害者を救う、特に重度の被害者を救う、こういうことで運輸省として取り組みをしてまいったところでございます。  ただ、医療全体の仕組み等、交通事故だけに特化させて、こういうものをどこまで広げていくべきかという議論はいろいろあると思うんです。一般的な病院、国立病院等できちっとこうしたものを処理していくのが本来の筋ではあると思います。しかしながら、事故が多いということから、運輸省としてこういう問題に取り組んできたというのが今日までであろう。  したがって、介護の問題も含めて、来年から介護保険制度も始まります、こういったものをあわせた中で、医療、介護、そして、特にこういう先駆的なものは私どもは一部負担をしていく、うまく組み合わせをしていかなければならぬだろう。その御指摘の中で、私どもは中部地区の療護センターの整備を昨年から三カ年計画で今させていただいているところでございます。  しかしながら、どんどんふやせるかということになれば、一般医療とのバランスの問題というものも考えなければならないし、保険の負担という問題も考えていかなければならないだろう、そういった意味では、御理解をいただいて進めていかなければならない。  しかし、今私の私的な懇談会で御議論いただいておりますけれども、こういうものはしっかりやっていかなきゃならないという御理解は、保険会社の方々も含めていただいているところでありますので、しっかり守っていきたい、このように思っております。どうぞ、今後とも御協力をお願いしたいと思います。
  166. 平賀高成

    平賀委員 ぜひ頑張って、充実のために奮闘していただきたいと思います。  最後に、これは国鉄の分割・民営化の問題で、この審議のときに、一人も路頭に迷わせない、そして組合差別はしないと、国会答弁や附帯決議でこういう決議がされたにもかかわらず、実際には採用差別事件が発生し、既に十三年たっていますが、いまだに解決されずに放置をしてきたことは重大な問題であります。採用差別された一千四十七名の方は、JRへの不採用とされ、その後国鉄清算事業団からも解雇された旧国鉄職員の方であります。  昨年の第百四十三国会で、国会の各党が早期解決するように政府に要請し、ことし五月には官房長官が、放置できないという気持ちはよくわかる、JR各社、労働組合に対しても解決に向けた努力をしたい、また川崎二郎運輸相にもしかるべき対応をするよう指示する、こういうふうに述べております。  そこで、大臣に聞きますが、政府の責任として、どのように解決のための努力をしているのですか。
  167. 川崎二郎

    川崎国務大臣 昨年の特別委員会で、衆参にわたって何度も私、御答弁させていただいている問題でございますけれども、まずJRと旧国労の方々との裁判がずっと続けられてきた。そして、第一審の判決が、JR勝訴という形で一審が出た。そういうものを受けながら、今平賀委員にも御指摘いただきましたけれども、こういう問題について政治的に何かをすべきではないか、こういう意見が出てまいりました。裁判は続いているわけです。しかし、政治的に何かできないかと。  その中で政党間協議が始まった。政党間協議で何らかの結論が出されるならば、私どもも誠意を持って対処してまいりたい、こういうことを申し上げております。これについては、官房長官も私どもも変わらぬ形で今日まで来ている。今、政党の協議というものを見守っているところでございます。
  168. 平賀高成

    平賀委員 この一千四十七名問題というのは、国鉄分割・民営化の中で、政府の国策によって生まれてきたわけですから、政府がしかるべき主導権を持って、解決するために奮闘するということがまず第一に重要だと私は思います。そのことを指摘しておきます。  それで、もう一つこれを解決する上で重要な問題というのは、JRに対する態度の問題があると私は思います。いわゆる横浜人活事件の無罪が確定をいたしました。同事件がでっち上げ事件であったことが明らかになりました。九七年の四月の十五日のこの委員会で、寺前議員の質問に対して当時の梅崎鉄道局長は、関係者の処分の根拠となっている刑事事件が無罪判決であったことを認めています。しかし、いまだに同事件の被害者は職場に復帰していないなど路頭に迷っているのに、加害者やそれを支援してきたJR東日本が加害者責任を全く明らかにしようとしていないことは私は重大だと思います。  でっち上げ事件の裁判では、JR東日本は旧国鉄とは別会社であるといいながら、この事件の裁判に対して、JR東日本は横浜駅助役等を責任者にして、裁判の傍聴は直属の上司の勤労部長と社長の業務指示で傍聴をしたと関係者は認めています。九〇年の十月の第三十一回の公判までに手元の調査だけでも二千五百名以上が業務命令で動員をされています。ここに写真もあります。  また、この事件の……
  169. 石破茂

    石破委員長 平賀君、時間が過ぎておりますので、結論を急いでください。
  170. 平賀高成

    平賀委員 はい、すぐに終わります。  また、この事件を指示した当時の国鉄東京南鉄道管理局総務部長の力村周一郎氏は、九五年の七月のJR東労組東京地本第十回の定期大会で、加害者として本来、世間におわびをしなければいけないところであるにもかかわらず、刑事事件で負けたのは検事であって私が負けたのではない、検察庁が刑事事件として、検察が立証に失敗しただけであると公式に無罪確定判決を批判しています。  その後、力村氏は同社の常務になり、退職時には同社から功労者として表彰され、現在ではJR関連会社の株式会社ジェイアール東日本都市開発の社長になっています。まさに同事件の被害者が職場に復帰できないで、逆に路頭に迷っているのとは全く対照的であります。  このような経過から、力村氏とJR東日本は加害者責任が問われて当然であると思いますが、運輸大臣の見解をぜひ明らかにしてください。
  171. 小幡政人

    小幡政府委員 お答え申し上げます。  先生、加害者と言われる方が刑事告発をした人という意味でございますれば、当該者に対して刑事、民事の責任が追及された事実はないというふうに認識しております。
  172. 平賀高成

    平賀委員 私は、こういう加害者が、本当にその責任を問わないんですか。
  173. 石破茂

    石破委員長 時間が過ぎておりますので、結論を急いでください。
  174. 平賀高成

    平賀委員 刑事事件ではもう確定しているんですよ。そういう姿勢そのものが今の問題に対してもまともな解決に向かっていかない大きな原因だと私は思いますが、この刑事事件の問題は責任を問わないんですか。
  175. 小幡政人

    小幡政府委員 加害者と言われる方が刑事告発した人ということでございますれば、当該者に対して刑事、民事の責任を追及していただきたいわけでございまして、それが追及された事実はないというふうに我々は認識しております。(平賀委員「何て、聞こえないです」と呼ぶ)その当該加害者と言われる方に関して、刑事なり民事なりでその責任が追及されているという事実はない、告発されている事実はないというふうに我々は認識しております。
  176. 平賀高成

    平賀委員 いや、私はその加害者の責任を言っているわけじゃない……
  177. 石破茂

    石破委員長 平賀君、時間が過ぎましたので。  これにて平賀君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時八分散会