○平賀
委員 私は、
日本共産党を代表して、需給
調整廃止四法案、それぞれの法案について、順次反対討論を行います。
まず、
鉄道事業法の一部を
改正する
法律案について反対する理由を述べます。
鉄道は、
我が国の基幹的公共
輸送機関として、全国的ネットワーク網を張りめぐらし、大量安定
輸送、定時性の
確保等など、大きな役割を果たしてきました。二十一世紀には環境、エネルギー等の地球的
制約からいっても、鉄道を初めとする公共
輸送機関復権の世紀と言われています。それにもかかわらず、鉄道
事業者の一方的な判断で地方ローカル線や特定区間が廃止できる、いわゆる
赤字路線切り捨て自由化法案であり、鉄道
事業ゆえの高い
公共性を投げ捨てる改悪法案であり、絶対に容認できるものではありません。
反対する主な理由は、第一に、
安全規制の
緩和がなされ、しかも安全検査等は主に事後チェックと変えられたが、その実効ある体制が不十分であること。
第二は、上限
運賃は従来よりも高コストで算定することになり、同時に、鉄道
事業者はその範囲内で自由に
運賃の引き上げができるようになることなどであります。
次に、
道路運送法の一部を
改正する
法律案についての反対理由を述べます。
反対する第一の理由は、
運賃・
料金の価格破壊が行われ、七〇%の
事業者が
赤字経営に陥っている
貸し切りバスの現状のもとで、需給
調整を廃止し、
運賃・
料金を
認可から届け出に
緩和すれば一層の
新規参入や増車が行われ、今以上に過当
競争が激化し、経営悪化による安全の経費削減を招くなど、安全性や
利用者サービスを低下させるおそれがあることであります。
第二は、
貸し切りバスは、大手
旅行業者による優越的地位を乱用した無理な
運行計画の強要、
運賃・
料金のダンピングなど過当
競争に拍車をかけることになり、人件費の圧縮、長時間過密労働の押しつけなど
運転者の労働条件切り下げに直結するからであります。
次に、
海上運送法の一部を
改正する
法律案に対する反対理由を述べます。
反対する第一の理由は、一般旅客船
事業の
参入規制の自由は、資本力を持つ大手が有益な航路に自由に
参入を許し、
事業者の八割を占める中小零細
事業者の経営に重大な
影響を与えることになることです。
第二に、離島航路
事業は七六%が
赤字経営であり、廃止
規制が
緩和されれば、
事業者が自由に廃止することができるし、航路以外に代替
輸送機関がない多くの島民の通勤通学、食料等の
輸送、医療、福祉など地域社会に重大な死活問題を起こすことになるからです。
第三に、長距離フェリーの
運賃自由化は、貨物を積んだトラックを
輸送することから、内航海運から荷物を奪うことが予想され、中小零細業者がほとんどである内航海運
事業者にとっても重大な打撃となるからであります。
次に、
航空法の一部を
改正する
法律案に対する反対理由を述べます。
反対する第一の理由は、
規制緩和によって、航空
事業を市場に任せ、一層の過当
競争を生み出し、労働条件や整備コストへしわ寄せされることになるからであります。
第二は、
航空会社がみずから
運航、整備の責任を負わず、他社へ丸ごと委託することを認め、今の航空整備士よりも簡易な
運航整備士の資格を設けて飛行点検整備を行わせたり、機長の
路線ごとの資格認定を廃止するなど、コスト削減
競争に拍車をかけ、航空安全に重大な
影響をもたらすことになるからであります。
第三に、
航空会社の判断で自由に路線廃止ができるようになり、不採算路線からの撤退を一層
促進することになるからであります。
第四に、
運賃設定、
変更の
認可制から届け出制への
緩和は、
運賃ダンピング競争に拍車をかけ、
利用者間の不公平、不平等を拡大することになるからです。
最後に、本法案は需給
調整廃止という運輸
事業の根幹にかかわる歴史的な
緩和であり、しかも、地域に密着した公共
輸送機関である地方ローカル線、離島航路、離島路線等の切り捨てが住民の生活を大きく左右し、その存続に貢献してきた関係自治体にとって死活問題となるものです。したがって、住民や
利用者等から率直な意見等を反映した慎重な審議が
期待されていましたが、これをしないできょう採決となったことは、本法案にふさわしい審議でなかったことを厳しく
指摘して、反対の討論を終わります。