○前原
委員 空中給油機それから輸送機の具体的な問題はこれぐらいにいたします。
前に戻りますけれども、この
空中給油機の
議論から、そもそも論に戻りたいと思うんですね。
先ほど大臣は、御
答弁の中で、
日本は他国を攻撃するための態勢というものをそもそも持っていない、
日本の防衛というものはそういう体制になっていないというような
お話がございました。しかし、専守防衛というのはわかったようでよくわからない部分がございますので、突っ込んだ
議論をさせていただきたいというふうに思っております。
防衛ハンドブックに専守防衛の
議論というのが二つあるわけでございますが、一つは、田中総理大臣が衆議院の本
会議で
答弁をされている部分を読ませていただきますけれども、「専守防衛ないし専守防御というのは、防衛上の必要からも相手の
基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行なうということでございまして、これはわが国防衛の基本的な方針であり、この
考え方を変えるということは全くありません。」こういう
答弁を田中総理は当時されております。
それから、これは昭和五十六年の三月、参議院の予算
委員会で、当時の大村
防衛庁長官が
答弁をされているのは、「専守防衛とは相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その防衛力行使の態様も自衛のための必要最小限度にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限るなど、憲法の
精神にのっとった受動的な防衛戦略の
姿勢をいうものと
考えております。これがわが国の防衛の基本的な方針となっているものでございます。」このように三つの点が書かれているんですね、専守防衛で。一つは、相手からの武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使すること、これがまず一点目です。それから、その防衛力の行使の態様も自衛のための必要最小限度にとどめる。これは当然自衛権発動の三要件に入っていることであります。三つ目は、保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限る。つまり、防衛力行使の態様も保持する防衛力についても必要最小限度のものに限る、これが専守防衛だ、こういうことになっているわけですね。これはこれで私は
理解できるわけです。
そこで、これは私がしばしば取り上げている今までの
政府の見解でありますけれども、敵
基地攻撃と自衛権の範囲というものなんですね。
これは昭和三十四年の三月、衆議院の内閣
委員会で、当時の伊能
防衛庁長官が
答弁されていることを読ませていただきますと、
誘導弾等による攻撃を受けて、これを防御する手段がほかに全然ないというような場合、敵
基地をたたくことも自衛権の範囲に入るということは、独立国として自衛権を持つ以上、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨ではあるまい。そういうような場合にはそのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の
措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に全然方法がないと認められる限り、誘導弾などの
基地をたたくということは、法理的には自衛の範囲に含まれており、また可能であると私どもは
考えております。
こういう
答弁があるわけです。
つまり、誘導弾等の攻撃を受けた場合に、他に手段がない場合は必要最小限度の処置としてその
基地をたたくことも自衛の範囲に含まれる、こういうことを、これは昭和三十四年に
答弁をされているわけですね。
さて、では専守防衛ということと今の敵
基地攻撃と自衛権の範囲というものをあわせて
考えた場合、みずからやるということはこれは憲法上絶対あり得ないし、専守防衛という、先ほどの一番目のポイントというのは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する、これは私も当然のことだろうというふうに思っております。しかし、敵
基地攻撃と自衛権の範囲という
政府の見解からすれば、他国を報復のために攻撃する能力を持つことは専守防衛に反するのかどうなのかというところは私はポイントだと思うんですね。
今までの国会の討論、
議論、いろいろ私も見させていただきました。F4を導入するときにいわゆる補助タンクをつけるのかどうなのかというところに始まって、F15やP3Cの導入の場合も同様な
議論がもう延々と行われてきたというものは私も読ませていただきました。
何か、相手のところまで行くこと自体がだめだ、それは専守防衛に反するというような
議論になっているように思うんですけれども、とすれば、この敵
基地攻撃と自衛権の範囲というものの観点から少々
議論としては錯綜しているんではないか、矛盾しているんではないかというふうに思うわけでありますが、
防衛庁長官、この点について、他国を報復のために攻撃する能力を持つことは専守防衛に反するのかどうなのか、その点ちょっと
お答えをいただきたいと思います。