○佐々木(陸)
委員 そういうふうに
判断を下している事実はあるわけですよ。世界の大問題になったあのチェコスロバキア侵略とかアフガニスタン侵略なんかについて、
政府は直ちに、これは侵略だ、やめろ、ソ連は撤退しろという形で国際政治に働きかけているわけですよ。やっているんですよ、そういうことはちゃんと。その限りでは、我々と基本的に同じ立場に立っているわけです。立ったわけです、その時点では。
しかし、その後、例えば八三年の
アメリカによるグレナダ侵略、そして八九年十二月のパナマ侵略、これらはその後に開かれた、国連安保理では決定がなされませんから、国連総会で、明確に侵略だ、
アメリカは直ちに撤退せよ、こういう決議もなされているわけです。
そういう問題については、
日本政府は法的
判断を下せないのか、下さないのか、要するに今まで下していないんですね。つまり、下す場合もあるけれ
ども、下さない場合もある。そこに一体どういう基準があるのかということが問われるわけです。ソ連の行為だったらすぐに国連憲章あるいは国際法違反だと断定できるけれ
ども、
アメリカのやっている行為だとちっとも断定できない、いつまでたっても断定できない。
二、三年前の予算
委員会の
質問で、橋本
総理が、我が国は国連加盟以来米国による武力行使を国際法上違法であるとして反対したことは一度もありませんというふうにおっしゃいました。それ以後見ても、去年の
アメリカの一連の行動とか、アフガニスタンとかあるいはイラクとかありましたし、それから、ことしになってのこういうユーゴの空爆といった問題についても、
政府は
判断を下せないのか、下さないのか、下していないわけです。
先ほど、
判断を下す第一義的な当事者は安保理だとおっしゃいましたけれ
ども、今はありませんがソ連とか、
アメリカとか、こういう安保理に席を占めている大国が行っている武力行使については、安保理は
判断を下せないですよ。それが正当な行為である場合に立派な行為だという
判断は下すでしょうが、侵略かどうかということが問われたようなときにその国が拒否権を行使すれば
判断を下せないわけですから。
実際、グレナダのときなんかは、
アメリカ一国の反対で、これを侵略だ、やめろという決議が安保理では葬り去られているわけです。さっきは三対十とかなんとかという最近の国連安保理での決議の問題がありましたけれ
ども、このグレナダの問題では、
アメリカ一国が反対しただけです。
あと棄権が三カ国ぐらいありましたが、その他の国は全部賛成してこれは
アメリカの違法行為だということをやったけれ
ども、それは結論を下せないんですね。つまり、安保理常任
理事国がかむような、加わっているようなものについては、安保理は第一義的な当事者なんてあなた言うけれ
ども、それは結局へ理屈にすぎない。そこではまともな
判断を下せるわけないんです。
だから、まさにそういうところがかかわっているようなものについて、
日本が安保理に席を占めようなんて言っている国であるならば、そういう問題について積極的に法的な
判断を下して世界に働きかけて、違法なら違法だ、やめさせるということの先頭に立ってやっていくことがまともな外交のあり方じゃないか、私はこういう
意見を申し上げておきたい。
時間になりましたので終わります。ありますか。